以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面によって詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加する場合、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたって、関連する公知の構成又は機能についての具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番又は順序などが限定されるものではない。また、別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願で明らかに定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
図1は、本発明の好ましい実施例に係るレーザ装置の概略的な構成を示す図である。
図1を参照すると、本発明の好ましい実施例に係るレーザ装置1は、レーザビームLBを発振するレーザ発振器10と、レーザ発振器10から伝送されたレーザビームLBを予め定められた基準伝送順序Sに従って順次伝送すると共に、レーザビームLBの光路情報を提供可能に設けられる光学系20と、光学系20から伝送されたレーザビームLBを集光して加工対象物Pに照射すると共に、レーザビームLBの光路情報を提供可能に設けられるレーザノズルアセンブリ30と、レーザ装置1の全般的な駆動を制御し、光学系20及びレーザノズルアセンブリ30から提供されたレーザビームLBの光路に関する情報に基づいて、レーザビームLBの光路の歪みを診断及び補正する制御器40などを含むことができる。
まず、レーザ発振器10は、互いに異なる波長帯域を有する加工光LBp及び指示光LBmのいずれか1つのレーザビームLBを、加工光路OPpに沿って選択的に発振可能なように設けられる。加工光路OPpは、レーザ発振器10から発振されたレーザビームLBが光学系20とレーザノズルアセンブリ30を順次経由した後、加工対象物Pに照射されるように進行するレーザビームLBの実際の光路をいう。このような加工光路OPpは、後述するマウント側光学部材220、その他の加工光路OPpに影響を与える部材の整列状態に応じて変化し得る。
また、レーザ発振器10は、加工光LBpと指示光LBmが互いに同一の光軸を有するように設けることができる。すると、レーザ発振器10から発振された加工光LBpと指示光LBmは、互いに同一の光路に沿って伝送され得る。
加工光LBpは、加工対象物Pのレーザ加工に使用されるレーザビームLBであって、加工対象物Pに予め定められた基準吸収率以上だけ吸収される波長帯域を有する。加工光LBpとして使用可能なレーザビームの種類は、特に限定されない。加工対象物Pの種類に応じて、様々な種類のレーザビームのうち少なくとも1つを加工光LBpとして使用することができる。
指示光LBmは、レーザビームLBの光路を診断するためのレーザビームLBであって、レーザビームLBのビームスポットを目視で観察可能な、またはカメラで撮影可能な可視光波長帯域を有する。特に、指示光LBmは、指示光LBmにより後述するセンシング部材250、350が損傷しないように、加工光LBpに比べて低い出力を有することが好ましいが、これに限定されるものではない。指示光LBmとして使用可能なレーザビームの種類は、特に限定されない。後述するセンシング部材250、350の種類に応じて、様々な種類のレーザビームのうち少なくとも1つを指示光LBmとして使用することができる。
制御器40は、予め定められた工程条件に応じて、加工光LBp及び指示光LBmのいずれか1つのレーザビームLBを選択的に発振するようにレーザ発振器10を制御することができる。例えば、制御器40は、加工対象物Pをレーザ加工する場合には、加工光LBpを発振するようにレーザ発振器10を制御することができる。例えば、制御器40は、レーザビームLBの光路を診断する場合には、指示光LBmを発振するようにレーザ発振器10を制御することができる。
一方、制御器40は、加工光LBp及び指示光LBmのいずれか1つのレーザビームLBを選択的に発振するものとして説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、制御器40は、加工光LBp及び指示光LBm以外に他の種類のレーザビームも選択的に発振可能なように設けられてもよい。
次に、光学系20は、レーザ発振器10から発振されたレーザビームLBを加工光路OPpに沿ってレーザノズルアセンブリ30に伝送可能なように、レーザ発振器10とレーザノズルアセンブリ30との間に設置される。このため、図1に示すように、光学系20は、後述するマウント側光学部材220を有するミラーマウントアセンブリ200を備えることができる。
ミラーマウントアセンブリ200の設置数は、特に限定されない。例えば、光学系20は、複数のマウント側光学部材220を用いてレーザビームLBを基準伝送順序Sに従って順次伝送可能なように、複数のミラーマウントアセンブリ200を備えることができる。このようなミラーマウントアセンブリ200の具体的な構造は後述する。
次に、レーザノズルアセンブリ30は、光学系20から加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBを加工対象物Pに照射可能なように設置される。このようなレーザノズルアセンブリ30の具体的な構造は後述する。
図2は、マウント側ビームスプリッタが装着されたミラーマウントアセンブリの部分断面図であり、図3は、マウント側反射ミラーが装着されたミラーマウントアセンブリの部分断面図である。
また、図4は、ミラーマウントアセンブリの平面図であり、図5は、加工光が固定ブロックに吸収される態様を示すミラーマウントアセンブリの部分断面図である。
図2に示すように、ミラーマウントアセンブリ200は、それぞれ、ミラーマウント210と、加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBの少なくとも一部を、加工光路OPpと予め定められた第1の関連を有するマウント側センシング光路OPs1に選択的に案内するマウント側光学部材220と、マウント側光学部材220の整列状態を調節する整列機230と、マウント側センシング光路OPs1に沿って進行するレーザビームLBに含まれるノイズを除去するノイズフィルター240と、ノイズフィルター240によってノイズが除去されたレーザビームLBを集光する集光レンズ250と、集光レンズ250によって集光されたレーザビームLBをセンシングし、マウント側センシング光路OPs1の態様に対応するマウント側光路信号を出力するマウント側センシング部材260などを有することができる。
ミラーマウント210は、加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBがマウント側光学部材220に入射されるように、マウント側光学部材220を支持可能に設けられる。すなわち、ミラーマウント210は、レーザ発振器10、またはミラーマウントアセンブリ200のうち基準伝送順序Sの先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBがマウント側光学部材220に入射されるように、マウント側光学部材220を支持可能に設けられる。
このようなミラーマウント210の構造は、特に限定されない。例えば、図2に示すように、ミラーマウント210は、レーザビームLBの進行通路を提供するベースブロック211と、マウント側光学部材220が設置され、ベースブロック211を通過するレーザビームLBがマウント側光学部材220に入射されるように配置されるミラープレート212と、マウント側光学部材220を固定可能なようにミラープレート212に装着される固定ブロック213と、ベースブロック211とミラープレート212とを締結する締結部材214と、マウント側センシング部材260が設置されるセンサブロック215などを有することができる。
図2に示すように、ベースブロック211は、レーザビームLBが進行できるように内部に形成されたレーザ通路211aを有することができる。ベースブロック211は、ボルト、その他の固定部材(図示せず)によって予め定められた位置に固定設置されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
レーザ通路211aの形状は、特に限定されず、レーザビームLBの加工光路OPpと対応する形状を有する。例えば、図2に示すように、レーザ通路211aは、加工光路OPpの延長方向を垂直に切り替えるようにマウント側光学部材220が設置された場合に、‘L’字状を有することができる。すると、レーザ発振器10または前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBは、レーザ通路211aの一側開口部211bを介してレーザ通路211aに進入し、マウント側光学部材220に入射される。また、マウント側光学部材220によって反射されたレーザビームLBは、延長方向が垂直に切り替えられた加工光路OPpに沿って進行し、レーザ通路211aの他側開口部211cを介して放出される。
図2に示すように、ミラープレート212は、マウント側光学部材220を挿入可能なように開放形成された開放口212a、及び開放口212aに挿入されたマウント側光学部材220を支持可能なように開放口212aの内周面から突出形成されたフランジ212bなどを有することができる。このようなミラープレート212は、後述する締結部材214によってベースブロック211の一面に締結され得る。
開放口212aは、マウント側光学部材220を挿入可能なように、マウント側光学部材220と対応する形状を有する。フランジ212bは、開放口212aに挿入されたマウント側光学部材220の外周部を支持可能なように、開放口212aの内側面から予め定められた長さだけ突出形成される。これによって、マウント側光学部材220は、外周部がフランジ212bによって支持されるように開放口212aに挿入されることによって、ミラープレート212に分離可能に装着され得る。
図2に示すように、固定ブロック213は、開放口212aに挿入されるように一側面から突出形成される加圧部213aを有することができる。このような固定ブロック213は、ボルト(図示せず)によってミラープレート212の一面にねじ結合されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
加圧部213aは、開放口212aに挿入されたマウント側光学部材220と接触するように、予め定められた高さだけ固定ブロック213の一面から突出形成され得る。加圧部213aは、開放口212aに挿入されたマウント側光学部材220を加圧してフランジ212bに密着した状態で固定することができる。したがって、加圧部213aは、外部から印加された外力、振動などによりマウント側光学部材220が開放口212aの内部で遊動することを防止することができる。また、加圧部213aは、マウント側光学部材220と接触した接触面を介して、レーザビームLBによってマウント側光学部材220に印加された熱の伝達を受けることができる。これにより、固定ブロック213は、マウント側光学部材220から伝達された熱を外部に放出することで、高熱によってマウント側光学部材220が損傷することを防止することができる。
一方、固定ブロック213は、指示光LBm1は透過させ、加工光LBp1は吸収するように設けることができる。このため、固定ブロック213は、ガラス、その他の指示光LBm1を選択的に透過させる材質で形成することができる。特に、マウント側光学部材220と対面する固定ブロック213の入射面、及び後述するノイズフィルター240と対面する固定ブロック213の出射面は、それぞれ、指示光LBm1を選択的に透過させるように無反射コーティングすることができる。すると、図2に示すように、指示光LBm1は、固定ブロック213を透過してマウント側センシング光路OPs1に沿ってマウント側センシング部材260に向かって進行することができる。これに対して、図5に示すように、加工光LBp1は、固定ブロック213に吸収され得る。したがって、固定ブロック213は、加工対象物Pのレーザ加工時に、固定ブロック213を透過した加工光LBp1によってマウント側センシング部材260、その他のレーザ装置1の構成要素が損傷することを防止することができる。
締結部材214は、ミラープレート212をベースブロック211に締結可能に設けられる。例えば、図2に示すように、締結部材214は、ねじ部がミラープレート212を貫通してベースブロック211の一面にねじ結合される締結ボルト214a、及び締結ボルト214aのヘッドとミラープレート212との間に介在するばね214bなどを有することができる。ばね214bは圧縮コイルばねであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
締結部材214の設置数は特に限定されない。例えば、図4に示すように、複数の締結部材214が予め定められた間隔を置いて設置されてもよい。
このような締結部材214によれば、ミラープレート212は、ばね214bから提供される弾性力によって、ベースブロック211の一面側に付勢される。これにより、締結部材214は、ミラープレート212とベースブロック211とを弾性的に締結することができる。
図2に示すように、センサブロック215は、固定ブロック213を透過した指示光LBm1が内部に進入できるように、固定ブロック213の一面に装着される。センサブロック215は、ボルト(図示せず)によって固定ブロック213の一面にねじ結合されることが好ましいが、これに限定されるものではない。センサブロック215の内部には、後述するノイズフィルター240、集光レンズ250、マウント側センシング部材260などを、予め定められた間隔を置いて設置することができる。
このようなセンサブロック215は、固定ブロック213の一面に選択的に装着できる。例えば、図2に示すように、センサブロック215は、レーザビームLBの光路を診断する場合に、固定ブロック213の一面に装着できる。例えば、図3及び図5に示すように、センサブロック215は、加工対象物Pをレーザ加工する場合に、固定ブロック213の一面から分離できる。これにより、加工対象物Pをレーザ加工する場合に、センサブロック215が加工光LBpの進行を干渉することを防止することができ、センサブロック215及びこれに設置された部材の荷重によりミラーマウントアセンブリ200の耐久性が低下することを防止することができる。
マウント側光学部材220は、レーザ発振器10または前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBの光路を調節可能なように設けられる。このようなマウント側光学部材220として使用可能な光学部材の種類は、特に限定されない。例えば、図2及び図3に示すように、マウント側光学部材220は、レーザビームLBを複数の光路に分岐するマウント側ビームスプリッタ222と、レーザビームLBを全反射するマウント側反射ミラー224などであってもよい。
図2に示すように、マウント側ビームスプリッタ222は、ミラープレート212の開放口212aに挿入可能なように、ミラープレート212の開放口212aと対応する形状を有する。マウント側ビームスプリッタ222は、加工光路OPpに沿って入射されたレーザビームLBを、予め定められた第1の関連を有する複数の光路に分岐できるように設けられる。
例えば、マウント側ビームスプリッタ222は、加工光路OPpに沿ってマウント側ビームスプリッタ222に入射されたレーザビームLBを、予め定められた分岐比率に応じて透過及び反射させるように設けることができる。すると、マウント側ビームスプリッタ222に入射されたレーザビームLB中のある一部は、マウント側ビームスプリッタ222を透過し、マウント側ビームスプリッタ222に入射されたレーザビームLB中の他の一部は、マウント側ビームスプリッタ222によって反射される。これにより、マウント側ビームスプリッタ222は、マウント側ビームスプリッタ222に入射されたレーザビームLB中のある一部を第1透過光路に案内でき、マウント側ビームスプリッタ222に入射されたレーザビームLB中の他の一部を第1反射光路に案内できる。第1透過光路は、マウント側ビームスプリッタ222を透過したレーザビームLBが進行する光路をいい、第1反射光路は、マウント側ビームスプリッタ222によって反射されたレーザビームLBが進行する光路をいう。
第1透過光路及び第1反射光路のいずれか一方は、レーザビームLBの光路診断に必要なレーザビームLBを移送するマウント側センシング光路OPs1として活用でき、第1透過光路及び第1反射光路の他方は、加工対象物Pのレーザ加工に必要なレーザビームLBを移送する加工光路OPpとして活用できる。例えば、図2に示すように、第1透過光路がマウント側センシング光路OPs1として活用することができ、第1反射光路が加工光路OPpとして活用することができる。これにより、マウント側ビームスプリッタ222は、レーザビームLBのある一部を加工光路OPpから抽出してマウント側センシング光路OPs1に沿って進行するように案内でき、レーザビームLBの残りの一部を加工光路OPpに沿ってそのまま進行するように案内できる。
また、マウント側ビームスプリッタ222は、加工光路OPpとマウント側センシング光路OPs1とが予め定められた第1の関連を有するようにレーザビームLBを分岐することができる。このため、マウント側ビームスプリッタ222は、加工光路OPpの延長方向が予め定められた角度だけ切り替えられるようにレーザビームLBを反射することができる。例えば、マウント側ビームスプリッタ222は、加工光路OPpの延長方向が垂直に切り替えられるようにレーザビームLBを反射することができる。すると、図2に示すように、マウント側センシング光路OPs1は、マウント側ビームスプリッタ222によって延長方向が切り替えられる前の区間の加工光路OPpと一直線をなすようになり、マウント側ビームスプリッタ222によって延長方向が垂直に切り替えられた後の区間の加工光路OPpと垂直をなすようになる。
このようなマウント側ビームスプリッタ222として使用可能な光学部材の種類は、特に限定されない。例えば、マウント側ビームスプリッタ222は、レーザ発振器10または前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から加工光路OPpに沿って伝送された指示光LBmの少なくとも一部をマウント側センシング光路OPs1に選択的に案内できる第1の二色性ミラーであってもよい。前述したように、第1透過光路がマウント側センシング光路OPs1である場合に、マウント側ビームスプリッタ222は、指示光LBmの少なくとも一部を選択的に透過させ得るように光学コーティングされた第1の二色性ミラーであってもよい。すると、図2及び図3に示すように、マウント側ビームスプリッタ222は、マウント側ビームスプリッタ222に入射された加工光LBpをマウント側センシング光路OPs1に進入できないように選択的に全反射することができ、マウント側ビームスプリッタ222に入射された指示光LBmの少なくとも一部をマウント側センシング光路OPs1に進入するように選択的に透過させることができる。
このようなマウント側ビームスプリッタ222によると、レーザ発振器10から発振された加工光LBpは、ミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222によって基準伝送順序Sに従って順次反射されることで、レーザノズルアセンブリ30に伝達され得る。また、マウント側ビームスプリッタ222によると、レーザ発振器10から発振された指示光LBmは、ミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222を透過してミラーマウントアセンブリ200のマウント側センシング部材260に分配され得る。
ところで、ミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222が互いに同一の指示光LBmの透過率を有する場合、指示光LBmのほとんどは、ミラーマウントアセンブリ200のうち基準伝送順序Sの前半部に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222によって加工光路OPpから抽出せざるを得ない。すると、ミラーマウントアセンブリ200のうち基準伝送順序Sの後半部に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222には、小さな光量の指示光LBmのみが到達するようになる。すると、前記後半部に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側センシング部材260は、小さな光量の指示光LBm1を用いてレーザビームLBの光路を診断しなければならないので、レーザビームLBの光路診断の結果に誤りが発生する恐れがある。
これを解決するために、マウント側ビームスプリッタ222のうち前記先順位に位置するマウント側ビームスプリッタ222であるほど、低い指示光LBm1の透過率を有するように形成することができる。これにより、マウント側センシング部材260に均等な光量の指示光LBmを分配させることによって、レーザビームLBの光路診断の結果の正確性を向上させることができる。
図3に示すように、マウント側反射ミラー224は、マウント側ビームスプリッタ222の代わりにミラープレート212の開放口212aに装着可能なように、ミラープレート212の開放口212aに対応する形状を有する。マウント側反射ミラー224は、レーザ発振器10または前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBを全反射して、加工光路OPpの延長方向を予め定められた角度だけ切り替え可能なように設置される。例えば、図3に示すように、マウント側反射ミラー224は、レーザビームLBを全反射して加工光路OPpの延長方向を垂直に切り替え可能なように設置することができる。すると、加工対象物Pのレーザ加工時に、レーザ発振器10から発振された加工光LBpは、ミラーマウントアセンブリ200のマウント側反射ミラー224によって基準伝送順序Sに従って順次伝送されてレーザノズルアセンブリ30に伝達され得る。
整列機230は、ミラーマウント212及びミラーマウント212に装着されたマウント側光学部材230の整列態様を調節可能に設けられる。このような整列機230の構造は、特に限定されない。例えば、図2に示すように、整列機230は、回転方向及び回転角度に応じてミラープレート212及びミラープレート212に装着されたマウント側光学部材230の整列態様を調節可能なようにミラープレート212に装着される調節ダイヤル232、及び調節ダイヤル232を回転駆動するアクチュエータ234などを含むことができる。
図2に示すように、調節ダイヤル232は、外周面にねじ山が形成されたボルトの形状を有することができる。このような調節ダイヤル232は、端部がベースブロック211の一面に加圧接触するように、ミラープレート212にねじ結合され得る。
アクチュエータ234は、調節ダイヤル232を回転駆動できるように調節ダイヤル232と軸結合され得る。アクチュエータ234は、駆動力を提供するモータ(図示せず)、及びモータから提供された駆動力を調節ダイヤル232に伝達する減速機(図示せず)などを有することができる。図1に示すように、制御器40は、このようなアクチュエータの駆動を制御する補正部42を備えることができる。
このようなアクチュエータ234によって調節ダイヤル232が回転駆動されると、ミラープレート212は、調節ダイヤル232の回転方向及び回転角度に応じて、所定の距離だけベースブロック211に近接するか、またはベースブロック211から離隔するように漸進的に移動することができる。これにより、整列機230は、ベースブロック211とミラープレート212との間の角度を締結部材214を中心に変更させることによって、ミラープレート212、及びこれに装着されたマウント側光学部材220の整列状態を調節することができる。すると、加工光路OPp及びマウント側センシング光路OPs1を含むレーザビームLBの光路は、整列機230の駆動態様に応じて切り替えることができる。
このような整列機230の設置数は、特に限定されない。例えば、図4に示すように、X軸及びY軸のそれぞれを中心にベースブロック211とミラープレート212との間の角度を変更可能なように、一対の整列機230を、予め定められた位置にそれぞれ設置することができる。すると、レーザビームLBの光路は、整列機230の駆動態様に応じてX軸及びY軸のそれぞれを中心に切り替えることができる。
図2に示すように、ノイズフィルター240は、固定ブロック213を透過した指示光LBm1が入射されるように、固定ブロック213と集光レンズ250との間に設置される。ノイズフィルター240は、指示光LBm1をレーザビームLBの光路診断に適した形態に整形可能なように、指示光LBm1に含まれるノイズを除去することができる。このようなノイズフィルター240は、マウント側センシング光路OPs1に案内された指示光LBm1を、ノイズが除去された状態で集光レンズ250に伝達することによって、ノイズによりレーザビームLBの光路診断の結果に誤りが発生することを防止することができる。
図2に示すように、集光レンズ250は、ノイズが除去された指示光LBm1が入射されるように、ノイズフィルター240とマウント側センシング部材260との間に設置される。このような集光レンズ250は、焦点がマウント側センシング部材260の予め定められたセンシング面260aに位置するように設置されることが好ましいが、これに限定されるものではない。このような集光レンズ250は、ノイズが除去された指示光LBm1を集光してマウント側センシング部材260のセンシング面260aに照射することができる。
図6は、マウント側センシング部材260を用いてマウント側センシング光路を導出する方法を説明するための図であり、図7は、レーザビームが光路の歪みなしにマウント側ビームスプリッタに伝送された場合の加工光路とマウント側センシング光路の態様を示す図であり、図8は、レーザビームが光路が歪んだ状態でマウント側ビームスプリッタに伝送された場合の加工光路とノズル側センシング光路の態様を示す図である。
マウント側センシング部材260は、集光レンズ250によって集光された指示光LBm1をセンシングし、マウント側センシング光路OPs1の態様に対応するマウント側光路信号を出力することができる。マウント側センシング光路OPs1の態様は、マウント側センシング光路OPs1の座標、マウント側センシング光路OPs1の延長方向、その他のマウント側センシング光路OPs1に関する各種情報を含むことができる。
図6に示すように、マウント側センシング部材260は、マウント側センシング部材260のセンシング面260aに照射された指示光LBm1の第1ビームスポットBSm1の位置をセンシング可能に設けることができる。このため、マウント側センシング部材260は、指示光LBm1の第1ビームスポットBSm1の画像を撮影するカメラ、指示光LBm1の第1ビームスポットBSm1の位置に対応する位置感知信号を出力するPSDセンサ、及びその他の指示光LB1mの第1ビームスポットBSm1の位置に関する情報を提供可能な様々なセンサのうち少なくとも1つを有することができる。特に、マウント側センシング部材260がカメラを有する場合に、カメラとしてCCDカメラが採用されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
制御器40は、マウント側センシング部材260から出力されたマウント側光路信号に基づいて、レーザビームLBの光路診断を行うことができる。このため、図1に示すように、制御器40は、レーザビームLBの光路診断を行う診断部44をさらに備えることができる。
図6に示すように、診断部44は、マウント側センシング部材260によってセンシングされた指示光LBm1の第1ビームスポットBSm1の位置に基づいて、マウント側センシング光路OPs1の態様を導出した後、マウント側センシング光路OPs1と予め定められた第1基準センシング光路OPrs1との光路差D1を算出することができる。特に、診断部242は、マウント側センシング光路OPs1に沿ってセンシング面260aに照射された第1ビームスポットBSm1の位置と、第1基準センシング光路OPrs1に沿ってセンシング面260aに照射された第1基準ビームスポットBSr1の位置との差を用いて、マウント側センシング光路OPs1と第1基準センシング光路OPrs1との光路差D1を算出することができる。
ここで、第1基準センシング光路OPrs1は、レーザビームLBが、レーザ発振器10または前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から、予め定められた第1基準加工光路OPrp1に沿ってマウント側ビームスプリッタ222に伝送される場合のマウント側センシング光路OPs1をいう。また、第1基準加工光路OPrp1は、光路の歪みが発生していない場合に、レーザ発振器10または前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220から伝送されたレーザビームLBが進行する加工光路OPpをいう。前述したように、マウント側センシング光路OPs1は、加工光路OPpと第1の関連を有する。これによって、第1基準センシング光路OPrs1もまた、第1基準加工光路OPrp1と第1の関連を有するように設置することができる。
図7に示すように、指示光LBmが第1基準加工光路OPrp1と一致する加工光路OPpに沿ってマウント側ビームスプリッタ222に伝送される場合に、マウント側センシング光路OPs1は、第1基準センシング光路OPrs1と互いに一致するようになる。また、図8に示すように、指示光LBmが第1基準加工光路OPrp1から所定の光路差D2だけ外れた加工光路OPpに沿ってマウント側ビームスプリッタ222に伝送される場合に、マウント側センシング光路OPs1と第1基準センシング光路OPrs1は、加工光路OPpと第1基準加工光路OPrp1との光路差D2に比例する光路差D1だけ互いに不一致になる。
診断部44は、第1の関連を用いて、加工光路OPpの態様をマウント側センシング光路OPs1の態様に基づいて導出し、加工光路OPpと第1基準加工光路OPrp1との光路差D2を、マウント側センシング光路OPs1と第1基準センシング光路OPrs1との光路差D1に基づいて算出することができる。加工光路OPpの態様は、加工光路OPpの座標、加工光路OPpの延長方向、その他の加工光路OPpに関する各種情報を含むことができる。
前述したように、ミラーマウントアセンブリ200は、レーザ発振器10から発振されたレーザビームLBを、マウント側ビームスプリッタ222を用いて基準伝送順序Sに従って順次伝送可能なように設置される。したがって、ミラーマウントアセンブリ200のうち基準伝送順序Sの1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222には、レーザ発振器10から発振されたレーザビームLBが加工光路OPpに沿って伝送される。また、ミラーマウントアセンブリ200のうち基準伝送順序Sの2位以上の特定順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222には、前記特定順位の直前の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222によって反射されたレーザビームLBが加工光路OPpに沿って伝送される。
このような指示光LBmの伝送態様を考慮して、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、指示光LBmが第1基準加工光路OPrp1に沿ってマウント側ビームスプリッタ222に伝送されるかを、加工光路OPpの態様、光路差D2などに基づいて個別に判断することができる。前述したように、レーザ発振器10は、加工光LBp、指示光LBmなどのレーザビームLBを互いに同一の光軸を有するように発振するので、レーザ発振器10から発振されたレーザビームLBは、互いに同一の加工光路OPpに沿って伝送される。また、マウント側ビームスプリッタ222とマウント側反射ミラー224は、レーザビームLBを同一の加工光路OPpに沿って伝送できるように、ミラープレート212に選択的に装着される。これによって、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、レーザビームLBがレーザ発振器10または前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から第1基準加工光路OPrp1に沿ってマウント側光学部材220に伝送されるかを、加工光路OPpの態様、光路差D2などに基づいて個別に判断することができる。
例えば、診断部44は、前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200に対してレーザビームLBの光路診断を行う場合に、加工光路OPpと第1基準加工光路OPrp1とが不一致であると、レーザビームLBが前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200まで伝送される過程において異常現象により加工光路OPpの歪みが発生すると判断できる。異常現象とは、レーザ発振器10の整列状態の不良、その他のレーザビームLBが前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200まで伝送される過程で加工光路OPpの歪みを発生させる現象をいう。
例えば、診断部44は、前記2位以上の後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200に対してレーザビームLBの光路診断を行う場合に、加工光路OPpと第1基準加工光路OPrp1とが不一致であると、レーザビームLBが前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200まで伝送される過程で加工光路OPpの歪みが発生すると判断できる。異常現象とは、レーザ発振器10の整列状態の不良、前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220の整列状態の不良、その他のレーザビームLBが前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200まで伝送される過程で加工光路OPpの歪みを発生させ得る現象をいう。
レーザビームLBが前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220まで伝送される過程で発生する加工光路OPpの歪みは、レーザ発振器10、前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220などの様々な部材により発生し得る。これにより、レーザビームLBが前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220まで伝送される過程で加工光路OPpの歪みが発生した場合には、どの部材により加工光路OPpが歪むかを検出するのに困難を伴うことがある。
これを解決するために、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、レーザビームLBの光路診断を基準伝送順序Sに従って順次行うことができる。
このため、診断部44は、レーザビームLBが、第1基準加工光路OPrp1に沿って前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断されると、レーザビームLBが第1基準加工光路OPrp1に沿って前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されるかを判断できる。
例えば、診断部44は、レーザビームLBが、第1基準加工光路OPrp1に沿って前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断されると、レーザビームLBが第1基準加工光路OPrp1に沿って前記2位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されるかを判断できる。
また、診断部44は、レーザビームLBが、第1基準加工光路OPrp1と不一致の加工光路OPpに沿って前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断される場合、レーザビームLBを前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に直接伝送する部材で加工光路OPpの歪みが発生すると判断できる。
例えば、診断部44は、レーザビームLBが、第1基準加工光路OPrp1と不一致の加工光路OPpに沿って前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断される場合、レーザ発振器10で加工光路OPpの歪みが発生すると判断できる。すると、レーザ発振器10を正常状態に整列する作業、その他の補正作業によって加工光路OPpの歪みを補正することができる。
また、診断部44は、レーザビームLBが、第1基準加工光路OPrp1と不一致の加工光路OPpに沿って前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断される場合、レーザビームLBを前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に直接伝送する部材で加工光路OPpの歪みが発生すると判断できる。
例えば、診断部44は、レーザビームLBが、第1基準加工光路OPrp1と不一致の加工光路OPpに沿って前記2位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断される場合、前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220により加工光路OPpの歪みが発生すると判断できる。すると、整列機230を用いて、前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のミラープレート212及びこれに設置されたマウント側光学部材220を正常状態に整列する作業、その他の補正作業によって光路の歪みを補正することができる。
このように、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、レーザビームLBの光路診断を基準伝送順序Sに従って順次行うことによって、どの部材で加工光路OPpの歪みが発生するかを正確に検出することができる。ただし、前記のような探知方法によると、基準伝送順序Sの最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220で発生する加工光路OPpの歪みは検出できない。前記最後の順位に位置するミラーマウント210のアセンブリのマウント側光学部材220で発生する加工光路OPpの歪みを検出する方法については後述する。
図9は、エネルギー損失なしにマウント側光学部材に伝送されるレーザビームのエネルギー分布の態様を示す図であり、図10は、エネルギーが損失した状態でマウント側光学部材に伝送されるレーザビームのエネルギー分布の態様を示す図である。
前述したマウント側センシング部材260は、マウント側センシング部材260のセンシング面260aに照射された指示光LBm1の第1ビームスポットBSm1の位置及び指示光LBm1のエネルギーが共にセンシング可能に設けられてもよい。このため、マウント側センシング部材260は、マウント側センシング部材260のセンシング面260aに照射された指示光LBm1の熱を探知して第1ビームスポットBSm1の位置及び指示光LBm1のエネルギーをセンシングする赤外線センサ、マウント側センシング部材260のセンシング面260aに照射された指示光LBm1の熱画像を撮影する熱画像カメラ、及び、その他の指示光LBm1の第1ビームスポットBSm1の位置及び指示光LBm1のエネルギーに関する情報を共に提供可能なセンサのうち少なくとも1つを備えることができる。
図9に示すように、エネルギーの損失なしに加工光路OPpに沿ってマウント側光学部材220に伝送されたレーザビームLBは、同心円をなすエネルギー分布態様を有する。これに対して、図10に示すように、異常現象により、エネルギーが損失した状態で加工光路OPpに沿ってマウント側光学部材220に伝送されたレーザビームLBは、偏心円や楕円をなすエネルギー分布態様を有する。異常現象は、レーザ発振器10の整列状態の不良、マウント側光学部材220の整列状態の不良のように、加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBのエネルギー損失を発生させ得る現象をいう。
加工光LBp、指示光LBmなどのレーザ発振器10から発振されたレーザビームLBは、互いに同一の加工光路OPpに沿って伝送されるので、互いに同一のエネルギー分布態様を有することができる。また、マウント側センシング光路OPs1には、マウント側ビームスプリッタ222によって加工光路OPpから抽出されたレーザビームLBが案内されるので、加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBと、マウント側センシング光路OPs1に沿って進行する指示光LBm1とは、互いに同一の形態のエネルギー分布態様を有する。また、マウント側ビームスプリッタ222とマウント側反射ミラー224は、加工光路OPpの延長方向を互いに同一の角度だけ切り替えるので、マウント側ビームスプリッタ222によって加工光路OPpに案内されたレーザビームLBと、マウント側反射ミラー224によって加工光路OPpに案内されたレーザビームLBとは、互いに同一の形態のエネルギー分布態様を有する。
このようなエネルギー分布態様を考慮して、診断部44は、マウント側センシング部材260によってセンシングされた指示光LBm1のエネルギーを用いて、マウント側センシング光路OPs1に沿って進行する指示光LBm1のエネルギー分布態様を導出した後、加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBのエネルギー分布態様を、指示光LBm1のエネルギー分布態様に基づいて導出することができる。
また、診断部44は、加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBのエネルギー分布態様が予め定められた基準エネルギー分布態様と異なる場合、レーザビームLBが加工光路OPpに沿ってマウント側光学部材220まで伝送される過程でレーザビームLBのエネルギー損失が発生すると判断できる。基準エネルギー分布態様は、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿ってマウント側光学部材220に伝送された場合に、レーザビームLBのエネルギー分布態様をいう。このような基準エネルギー分布態様は、同心円をなすエネルギー分布態様を有することが好ましいが、これに限定されるものではない。
また、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、レーザビームLBがエネルギー損失なしにマウント側光学部材220に伝送されるかを、加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBのエネルギー分布態様に基づいて、個別に判断できる。特に、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿ってマウント側光学部材220に伝送されるかを、基準伝送順序Sに従って段階的に判断できる。
このため、診断部44は、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿って前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断されると、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿って前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されるかを判断できる。
例えば、診断部44は、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿って前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断されると、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿って前記2位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されるかを判断できる。
また、診断部44は、レーザビームLBが、エネルギーが損失した状態で加工光路OPpに沿って前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断されると、レーザビームLBを前記先順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に直接伝送する部材でレーザビームLBのエネルギー損失が発生すると判断できる。
例えば、診断部44は、レーザビームLBが、エネルギーが損失した状態で前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断される場合、レーザ発振器10でレーザビームLBのエネルギー損失が発生すると判断できる。すると、レーザ発振器10を正常状態に整列する作業、その他の補正作業によって、レーザビームLBのエネルギー損失を補正することができる。
また、診断部44は、レーザビームLBが、エネルギーが損失した状態で加工光路OPpに沿って前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断される場合、レーザビームLBを前記後順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に直接伝送する部材でレーザビームLBのエネルギー損失が発生すると判断できる。
例えば、診断部44は、レーザビームLBが、エネルギーが損失した状態で前記2位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側ビームスプリッタ222に伝送されると判断される場合、前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220でレーザビームLBのエネルギー損失が発生すると判断できる。すると、整列機230を用いて、前記1位に位置するミラーマウントアセンブリ200のミラープレート212及びこれに設置されたマウント側光学部材220を正常状態に整列する作業、その他の補正作業によって、レーザビームLBのエネルギー損失を補正することができる。
このように、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、レーザビームLBのエネルギーの診断を基準伝送順序Sに従って順次行うことによって、どの部材でレーザビームLBのエネルギー損失が発生するかを正確に検出できる。ただし、前記のようなエネルギー損失検出方法によると、ミラーマウントアセンブリ200のうち基準伝送順序Sの最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220で発生するレーザビームLBのエネルギー損失は検出できない。前記最後の順位に位置するミラーマウント210のアセンブリのマウント側光学部材220で発生するエネルギー損失を検出する方法については後述する。
図11は、レーザノズルアセンブリの概略的な構成を示す図である。
図11に示すように、レーザノズルアセンブリ30は、レーザノズル310と、加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBの少なくとも一部を、加工光路OPpと予め定められた第2の関連を有するノズル側センシング光路OPs2に選択的に案内するノズル側光学部材320と、ノズル側センシング光路OPs2に沿って進行するレーザビームLBに含まれるノイズを除去するノイズフィルター330と、ノイズフィルター330によってノイズが除去されたレーザビームLBを集光する集光レンズ340と、集光レンズ340によって集光されたレーザビームLBをセンシングし、ノズル側センシング光路OPs2の態様に対応するノズル側光路信号を出力するノズル側センシング部材350などを有することができる。
図11に示すように、レーザノズル310は、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220から加工光路OPpに沿って伝送されたレーザビームLBが内部に進入できる中空形状を有する。レーザノズル310は、内部に進入したレーザビームLBを集光できる集光レンズ312を有することができる。集光レンズ312は、ノズル側光学部材320によって加工光路OPpに分岐されたレーザビームLBを集光できるように、ノズル側光学部材320と加工対象物Pとの間に設置されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
レーザノズル310は、レーザノズル310の内部に進入したレーザビームLBの直径を予め定められた比率で拡大して集光レンズ312に伝達可能なように設置されるビームエクスパンダ(図示せず)、その他のレーザビームLBを加工対象物Pの加工目的に合わせて整形可能な様々な光学部材(図示せず)をさらに備えることができる。
レーザノズル310は、予め定められた第2基準加工光路OPrp2とレーザノズル310の中心軸とが一致するように設けられることが好ましいが、これに限定されるものではない。第2基準加工光路OPrp2は、光路歪みが発生していない場合に、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220から伝送されたレーザビームLBが進行する加工光路OPpをいう。
このようなレーザノズル310は、集光レンズ312によって集光されたレーザビームLBを加工光路OPpに沿って加工対象物Pに照射することで、加工対象物Pをレーザ加工することができる。
次に、図11に示すように、ノズル側光学部材320は、加工光路OPpに沿ってレーザノズル310の内部に進入したレーザビームLBが入射できるようにレーザノズル310の内部に設置することができる。ノズル側光学部材320は、集光レンズ312に到達していないレーザビームLBが入射されるように、集光レンズ312に比べて、光学系20側の近くに設置されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
ノズル側ビームスプリッタ322は、加工光路OPpに沿って入射されたレーザビームLBを、予め定められた第2の関連を有する複数の光路に分岐できるように設けられる。
例えば、ノズル側ビームスプリッタ322は、加工光路OPpに沿ってノズル側ビームスプリッタ322に入射されたレーザビームLBを、予め定められた分岐比率に応じて透過及び反射させるように設けることができる。すると、ノズル側ビームスプリッタ322に入射されたレーザビームLB中のある一部は、ノズル側ビームスプリッタ322を透過し、ノズル側ビームスプリッタ322に入射されたレーザビームLB中の他の一部は、ノズル側ビームスプリッタ322によって反射される。これにより、ノズル側ビームスプリッタ322は、ノズル側ビームスプリッタ322に入射されたレーザビームLB中のある一部を第2透過光路に案内でき、ノズル側ビームスプリッタ322に入射されたレーザビームLB中の残りの一部を第2反射光路に案内できる。第2透過光路は、ノズル側ビームスプリッタ322を透過したレーザビームLBが進行する光路をいい、第2反射光路は、ノズル側ビームスプリッタ322によって反射されたレーザビームLBが進行する光路をいう。
第2透過光路及び第2反射光路のいずれか一方は、レーザビームLBの光路診断に必要なレーザビームLBを移送するノズル側センシング光路OPs2として活用でき、第2透過光路及び第2反射光路の他方は、加工対象物Pのレーザ加工に必要なレーザビームLBを移送する加工光路OPpとして活用できる。例えば、図11に示すように、第2透過光路が加工光路OPpとして活用することができ、第2反射光路がノズル側センシング光路OPs2として活用することができる。これにより、ノズル側ビームスプリッタ322は、レーザビームLBのある一部を加工光路OPpから抽出してノズル側センシング光路OPs2に沿って進行するように案内でき、レーザビームLBの残りの一部を加工光路OPpに沿ってそのまま進行するように案内できる。
また、ノズル側ビームスプリッタ322は、加工光路OPpとノズル側センシング光路OPs2とが予め定められた第2の関連を有するようにレーザビームLBを分岐することができる。このため、ノズル側ビームスプリッタ322は、加工光路OPpとノズル側センシング光路OPs2とが、予め定められた間の角度を有するように、ノズル側ビームスプリッタ322に入射されたレーザビームLBを反射することができる。例えば、ノズル側ビームスプリッタ322は、加工光路OPpとノズル側センシング光路OPs2とが垂直をなすように、ノズル側ビームスプリッタ322に入射されたレーザビームLBを反射することができる。
このようなノズル側ビームスプリッタ322として使用可能な光学部材の種類は、特に限定されない。例えば、ノズル側ビームスプリッタ322は、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220から伝送された指示光LBmの少なくとも一部をノズル側センシング光路OPs2に選択的に案内できる第2の二色性ミラーであってもよい。前記第2反射光路がノズル側センシング光路OPs2として活用される場合に、ノズル側ビームスプリッタ322は、指示光LBmの少なくとも一部を選択的に反射してノズル側センシング光路OPs2に案内できるように光学コーティングされた第2の二色性ミラーであってもよい。すると、ノズル側ビームスプリッタ322は、ノズル側ビームスプリッタ322に入射された加工光LBpを、ノズル側センシング光路OPs2に進入しないように選択的に透過させ、ノズル側ビームスプリッタ322に入射された指示光LBmの少なくとも一部を、ノズル側センシング光路OPs2に進入するように選択的に反射することができる。
図11に示すように、ノイズフィルター330は、ノズル側センシング光路OPs2に案内された指示光LBm2が入射されるように、ノズル側ビームスプリッタ322と集光レンズ340との間に設置される。ノイズフィルター330は、指示光LBm2をレーザビームLBの光路診断に適した形態に整形可能なように、指示光LBm2に含まれるノイズを除去することができる。このようなノイズフィルター330は、ノズル側センシング光路OPs2に案内された指示光LBm2を、ノイズが除去された状態で集光レンズ340に伝達することによって、ノイズによりレーザビームLBの光路診断の結果に誤りが発生することを防止することができる。
図11に示すように、集光レンズ340は、ノイズが除去された指示光LBm2が入射されるように、ノイズフィルター330とノズル側センシング部材350との間に設置される。集光レンズ340は、焦点がノズル側センシング部材350の予め定められたセンシング面350aに位置するように設置されることが好ましいが、これに限定されるものではない。このような集光レンズ340は、ノイズが除去された指示光LBm2を集光してノズル側センシング部材350のセンシング面350aに照射することができる。
図12は、ノズル側センシング部材を用いてノズル側センシング光路を導出する方法を説明するための図であり、図13は、光路の歪みなしにレーザビームがノズル側光学部材に伝送される場合の加工光路とノズル側センシング光路の態様を示す図であり、図14は、光路が歪んだ状態でレーザビームがノズル側光学部材に伝送される場合の加工光路とノズル側センシング光路の態様を示す図である。
ノズル側センシング部材350は、集光レンズ340によって集光された指示光LBm2をセンシングし、ノズル側センシング光路OPs2の態様に対応するノズル側光路信号を出力することができる。ノズル側センシング光路OPs2の態様は、ノズル側センシング光路OPs2の座標、ノズル側センシング光路OPs2の延長方向、その他のノズル側センシング光路OPs2に関する各種情報を含むことができる。
図12に示すように、ノズル側センシング部材350は、ノズル側センシング部材350のセンシング面350aに照射された指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の位置をセンシング可能に設けることができる。このため、ノズル側センシング部材350は、指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の画像を撮影するカメラ、指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の位置に対応する位置感知信号を出力するPSDセンサ、及びその他の指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の位置に関する情報を提供可能な様々なセンサのうち少なくとも1つを有することができる。特に、ノズル側センシング部材350がカメラを有する場合に、カメラとしてCCDカメラが採用されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
診断部44は、このようにノズル側センシング部材350から出力されたノズル側光路信号に基づいて、レーザビームLBの光路診断を行うことができる。
図12に示すように、診断部44は、ノズル側センシング部材350によってセンシングされた指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の位置に基づいて、ノズル側センシング光路OPs2の態様を導出した後、ノズル側センシング光路OPs2と予め定められた第2基準センシング光路OPrs2との光路差D3を算出することができる。特に、診断部44は、ノズル側センシング光路OPs2に沿ってセンシング面350aに照射された指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の位置と、第2基準センシング光路OPrs2に沿ってセンシング面350aに照射された指示光LBm2の第2基準ビームスポットBSr2の位置との差を用いて、ノズル側センシング光路OPs2と第2基準センシング光路OPrs2との光路差D3を算出することができる。
ここで、第2基準センシング光路OPrs2は、レーザビームLBが、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200から第2基準加工光路OPrp2に沿ってノズル側ビームスプリッタ322に伝送される場合のノズル側センシング光路OPs2をいう。前述したように、ノズル側センシング光路OPs2は、加工光路OPpと第2の関連を有する。これによって、第2基準センシング光路OPrs2もまた、第2基準加工光路OPrp2と第2の関連を有するように設置することができる。
図13に示すように、指示光LBmが、第2基準加工光路OPrp2と互いに一致する加工光路OPpに沿ってノズル側ビームスプリッタ322に伝送される場合に、ノズル側センシング光路OPs2は、第2基準センシング光路OPrs2と互いに一致するようになる。また、図14に示すように、指示光LBmが、第2基準加工光路OPrp2から所定の光路差D4だけ外れた加工光路OPpに沿ってノズル側ビームスプリッタ322に伝送される場合に、ノズル側センシング光路OPs2と第2基準センシング光路OPrs2は、加工光路OPpと第2基準加工光路OPrp2との光路差D4に比例する光路差D3だけ互いに不一致になる。
診断部44は、第2の関連を用いて、加工光路OPpの態様をノズル側センシング光路OPs2の態様に基づいて導出し、加工光路OPpと第2基準加工光路OPrp2との光路差D4を、ノズル側センシング光路OPs2と第2基準センシング光路OPrs2との光路差D3に基づいて算出することができる。
診断部44は、指示光LBmが第2基準加工光路OPrp2に沿ってノズル側光学部材320に伝送されるかを、ノズル側センシング部材350を用いて導出した加工光路OPpの態様、光路差D4などに基づいて判断できる。加工光LBpは、指示光LBmと同一に、加工光路OPpに沿って加工対象物Pに照射される。これによって、診断部44は、指示光LBmが第2基準加工光路OPrp2に沿ってノズル側光学部材320に伝送されると判断される場合、加工光LBpが加工対象物Pの予め定められた基準位置に照射されると判断できる。これに対して、診断部44は、指示光LBmが、第2基準加工光路OPrp2と所定の光路差D4だけ不一致である加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されると判断される場合、加工光LBpが、加工対象物Pの基準位置から所定の光路差D4だけ離隔した位置に照射されると判断できる。
前述したように、レーザ発振器10から発振されたレーザビームLBは、ミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220によって加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送される。したがって、加工光路OPpと第2基準加工光路OPrp2とが互いに不一致であると、レーザ発振器10及びマウント側光学部材220のうち少なくとも1つの部材で光路歪みが発生すると見なすことができる。
ところで、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに対して、レーザビームLBの光路診断を基準伝送順序Sに従って段階的に行う場合、レーザ発振器10、及び前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200を除いた残りのミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220のうち、どの部材で光路歪みが発生するかを検出できる。これによって、診断部44は、レーザビームLBが、第1基準加工経路に沿って前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断されると、レーザビームLBが第2基準加工光路OPrp2に沿ってノズル側光学部材320に伝送されるかを判断できる。
また、診断部44は、レーザビームLBが、第2基準加工光路OPrp2と不一致の加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されると判断される場合、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220で光路歪みが発生すると判断できる。すると、整列機230を用いて、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のミラープレート212及びこれに設置されたマウント側光学部材220を正常状態に整列する作業、その他の補正作業によって、光路歪みを補正することができる。
図15は、エネルギー損失なしにノズル側光学部材に伝送されたレーザビームのエネルギー分布の態様を示す図であり、図16は、エネルギーが損失した状態でノズル側光学部材に伝送されたレーザビームのエネルギー分布の態様を示す図である。
前述したノズル側センシング部材350は、ノズル側センシング部材350のセンシング面350aに照射された指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の位置及び指示光LBm2のエネルギーが共にセンシング可能に設けられてもよい。このため、ノズル側センシング部材350は、ノズル側センシング部材350のセンシング面350aに照射された指示光LBm2の熱を探知して第2ビームスポットBSm2の位置及び指示光LBm2のエネルギーをセンシングする赤外線センサ、ノズル側センシング部材350のセンシング面350aに照射された指示光LBm2の熱画像を撮影する熱画像カメラ、及び、その他の指示光LBm2の第2ビームスポットBSm2の位置及び指示光LBm2のエネルギーに関する情報を共に提供可能なセンサのうち少なくとも1つを備えることができる。
図15に示すように、エネルギーの損失なしに加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されたレーザビームLBは、同心円をなすエネルギー分布態様を有する。これに対して、図16に示すように、異常現象により、エネルギーが損失した状態で加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されたレーザビームLBは、偏心円や楕円をなすエネルギー分布態様を有する。異常現象は、レーザ発振器10の整列状態の不良、マウント側光学部材220の整列状態の不良、その他の加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBのエネルギー損失を発生させ得る現象をいう。
このようなエネルギー分布態様を用いて、診断部44は、ノズル側センシング部材350によってセンシングされた指示光LBm2のエネルギーを用いて、ノズル側センシング光路OPs2に沿って進行する指示光LBm2のエネルギー分布態様を導出した後、加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBのエネルギー分布態様を、ノズル側センシング光路OPs2に沿って進行する指示光LBm2のエネルギー分布態様に基づいて導出することができる。
また、診断部44は、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されるかを、加工光路OPpに沿って進行するレーザビームLBのエネルギー分布態様に基づいて判断できる。特に、診断部44は、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿って前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220に伝送されると判断されると、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されるかを判断できる。
また、診断部44は、レーザビームLBがエネルギー損失なしに加工光路OPrp2に沿ってノズル側光学部材320に伝送されると判断される場合、加工光LBpが、エネルギーが損失していない正常状態で加工対象物Pに照射されると判断できる。これに対して、診断部44は、レーザビームLBmがエネルギーが損失した状態で加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されると判断される場合、加工光LBpが、エネルギーが損失した非正常状態で加工対象物Pに照射されると判断できる。
また、診断部44は、レーザビームLBが、エネルギーが損失した状態で加工光路OPpに沿ってノズル側光学部材320に伝送されると判断される場合、レーザビームLBをノズル側光学部材320に直接伝送する前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のマウント側光学部材220でレーザビームLBのエネルギー損失が発生すると判断できる。すると、整列機230を用いて、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200のミラープレート212及びこれに設置されたマウント側光学部材220を正常状態に整列する作業、その他の補正作業によって、レーザビームLBのエネルギー損失を解消することができる。
前記のように、レーザ装置1によれば、ミラーマウントアセンブリ200及びレーザノズルアセンブリ30のそれぞれに対するレーザビームLBの光路診断の結果に基づき、加工光路OPpの全区間において光路歪みが発生する地点、及び光路歪みがどの部材で発生するかなどを容易に検出することができる。
また、レーザ装置1によれば、ミラーマウントアセンブリ200及びレーザノズルアセンブリ30のそれぞれに対するレーザビームLBのエネルギー診断の結果に基づき、加工光路OPpの全区間においてレーザビームLBのエネルギー損失が発生する地点、及びレーザビームLBのエネルギー損失がどの部材で発生するかなどを容易に探知することができる。
図17は、光路が単位整列機によって切り替えられる態様を示す図であり、図18は、光路が単位整列機によって切り替えられる他の態様を示す図である。
また、図19は、光路が複数の整列機の組み合わせによって切り替えられる態様を示す図であり、図20は、レーザビームが照射される加工対象物上の実際の位置が整列機によって調節される態様を示す図である。
加工光路OPp、マウント側センシング光路OPs1、ノズル側センシング光路OPs2などを含むレーザビームLBの光路は、ミラーマウントアセンブリ200にそれぞれ備えられた整列機230の調節ダイヤル232を回転駆動して、ミラープレート212及びミラープレート212に装着されたマウント側光学部材220を移動させることによって切り替えることができる。
ところで、調節ダイヤル232の設置方向は、ミラーマウントアセンブリ200のうち当該調節ダイヤル232が装着されたミラーマウントアセンブリ200の設置方向に応じて決定される。これにより、図17及び図18に示すように、調節ダイヤル232によって光路が切り替えられる方向は、調節ダイヤル232別に互いに異なってもよい。
また、製造工程上の公差により、調節ダイヤル232の外周面に形成されたねじ山のピッチ間隔及び形状が不均一な場合がある。また、レーザ装置1を長時間使用する場合、調節ダイヤル232とミラープレート212との接触部位、調節ダイヤル232とベースブロック211との接触部位などに異物が流入したり、摩耗が発生したりすることがある。
このような公差、異物、摩耗などによると、調節ダイヤル232の回転駆動時に、調節ダイヤル232の回転角度とミラープレート212の移動距離との実際の関係と、予め定められた基準関係とが不一致となる特異点が発生することがある。基準関係は、公差、異物及び摩耗のない調節ダイヤル232を対象として測定した調節ダイヤル232の回転角度とミラープレート212の移動距離との関係をいう。また、公差の大きさ、異物の流入量、異物の流入位置、摩耗量などは、調節ダイヤル232別に異なっていてもよい。これにより、図17及び図18に示すように、特異点の発生態様は、調節ダイヤル232別に異なっていてもよい。
このように調節ダイヤル232別に、光路の切替方向、特異点の発生態様などが異なるので、調節ダイヤル232の回転方向及び回転角度と、調節ダイヤル232による光路の切替値との相互関係を示す光路切替関数は、調節ダイヤル232別に異なって定められることが好ましい。例えば、ある一部の調節ダイヤル232に対する光路切替関数は一次関数であってもよく、他の一部の調節ダイヤル232に対する光路切替関数は多次関数であってもよい。
制御器は、このように調節ダイヤル232別に個別に定められた光路切替関数が格納される格納部46をさらに備えることができる。
ところで、異物の流入量、異物の流入位置、摩耗の発生位置、摩耗量などは、レーザ装置1の使用期間に応じて不規則に変化し得る。したがって、機械学習技法を用いて、調節ダイヤル232別に光路切替関数を周期的に更新することが好ましい。
このため、補正部42は、予め定められた学習条件が満たされると、ミラーマウントアセンブリ200にそれぞれ備えられたアクチュエータ234を予め定められた学習モードに応じて個別に駆動すると共に、指示光LBmを発振するようにレーザ発振器10を駆動することができる。
学習条件は、特に限定されない。例えば、学習条件は、光路切替関数を更新した後、予め定められた基準時間が経過したか否か、及び加工対象物Pのレーザ加工が停止した状態であるか否かのうち少なくとも1つを含むことができる。すると、補正部42は、光路切替関数を最後に更新した後、基準時間が経過した場合、加工対象物Pのレーザ加工が停止した場合など、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに備えられたアクチュエータ234を学習モードに応じて駆動することができる。
学習モードは、特に限定されない。例えば、学習モードは、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに備えられた調節ダイヤル232が、予め定められた基準方向に基準角度分ずつ段階的に回転駆動されるように定められてもよい。すると、補正部42は、学習条件が満たされた場合に、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに備えられた調節ダイヤル232が基準方向に基準角度分ずつ段階的に回転駆動されるように、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに備えられたアクチュエータ234を駆動することができる。特に、補正部42は、調節ダイヤル232が基準角度だけ回転された後、所定の待機時間の間停止するように、アクチュエータ234を断続的に駆動すると共に、調節ダイヤル232が待機中のときに指示光LBmを発振するように、レーザ発振器10を断続的に駆動することができる。
また、補正部42は、学習条件が満たされた場合に、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに備えられたアクチュエータ234を、基準伝送順序Sに従って段階的に駆動することができる。すなわち、補正部42は、基準伝送順序Sの先順位から後順位側に進行しながら、アクチュエータ234を段階的に1つずつのみ学習モードに応じて選択的に駆動するものである。
格納部46は、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに備えられたアクチュエータ234が学習モードで個別に駆動されると、調節ダイヤル232別に回転方向及び回転角度と光路の切替値との相互関係を個別に分析して、調節ダイヤル232別に光路切替関数を個別に更新することができる。
一方、補正部42は、レーザビームLBが照射される加工対象物P上の実際の位置と加工対象物Pの基準位置とが、光路の歪みによって互いに不一致であると診断部44で診断される場合に、ミラーマウントアセンブリ200のそれぞれに備えられたアクチュエータ234を駆動して、レーザビームLBが加工対象物Pの基準位置に照射されるように光路の歪みを補正することができる。
前述したように、診断部44は、加工光路OPpと第1基準加工光路OPrp1との光路差D2、加工光路OPpと第2基準加工光路OPrp2との光路差D4を算出した後、光路差D2、D4に基づき、どの部材で光路の歪みが発生するか、及びレーザビームLBが加工対象物Pの基準位置に照射されるかなどを診断する。このとき、光路の歪みによって光路差D2、D4がそれぞれ発生するので、光路差D2、D4は、それぞれ光路の歪みの大きさ及び方向を示す光路歪みのベクトル値に該当し得る。すなわち、光路差D2は、レーザビームLBがマウント側光学部材220まで伝送される過程で発生した光路歪みのベクトル値に該当することができ、光路差D4は、レーザビームLBがノズル側光学部材320まで伝送される過程で発生した光路歪みのベクトル値に該当することができる。
このような光路差D2、D4の性格を考慮して、補正部42は、光路が光路差D2、D4に対応する切替値だけ切り替えられるように、ミラーマウントアセンブリ200のうち少なくとも1つに備えられたアクチュエータ234を選択的に駆動して、光路の歪みを補正することができる。すなわち、補正部42は、調節ダイヤル232を用いて光路を切り替えて光路差D2、D4を除去できるように、ミラーマウントアセンブリ200のうち少なくとも1つに備えられたアクチュエータ234を選択的に駆動することができる。
補正部42は、光路差D2、D4及び格納部46に格納された光路切替関数を総合的に考慮して、ミラーマウントアセンブリ200のうちどのミラーマウントアセンブリ200に備えられたアクチュエータ234を駆動するか、及びアクチュエータ234をどのような方式で駆動するかなどを決定することができる。
例えば、補正部42は、レーザ発振器10から加工対象物Pに至るまで、加工光路OPpの全区間にわたって光路歪みが補正されるように、ミラーマウントアセンブリ200のうち少なくとも1つに備えられたアクチュエータ234を選択的に駆動することができる。すなわち、補正部42は、診断部44から整列異常により光路歪みを発生させると検出された全てのマウント側光学部材220が正常状態に整列されるように、マウント側光学部材220で光路歪みが発生する全てのミラーマウントアセンブリ200に備えられたアクチュエータ234を選択的に駆動することができる。
より具体的には、補正部42は、格納部46に格納された光路切替関数を考慮して、光路歪みを発生させるそれぞれのミラーマウントアセンブリ200に備えられた調節ダイヤル232が、光路差D2、D4に対応する回転方向及び回転角度だけ回転駆動されるように、光路歪みを発生させるそれぞれのミラーマウントアセンブリ200に備えられたアクチュエータ234を駆動することができる。すると、図17乃至図20に示すように、光路歪みを発生させる全てのミラーマウントアセンブリ200において光路歪みが共に補正されることによって、レーザビームLBが加工対象物Pの基準位置に照射され得る。図20において、‘BSp’は、光路歪みにより基準位置から光路差D4だけ離隔した加工対象物Pの特定の位置に照射された加工光LBpのビームスポットを示し、BSr3は、加工対象物Pの基準位置に照射された加工光LBpのビームスポットを示す。
例えば、補正部42は、加工光路OPpの全区間において前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200と加工対象物Pとの間の区間でのみ光路歪みが選択的に補正されるように、ミラーマウントアセンブリ200のうち少なくとも1つに備えられたアクチュエータ234を選択的に駆動することができる。これは、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200と加工対象物Pとの間の区間でのみレーザビームLBが第2基準加工光路OPrp2に沿って進行するように光路歪みが補正されれば、加工光路OPpの残りの区間に光路歪みが残存しても、レーザビームLBは加工対象物Pの基準位置に照射され得ることを考慮したものである。
より具体的に、補正部42は、光路差D2、D4及び光路切替関数を考慮して、前記最後の順位に位置するミラーマウントアセンブリ200と加工対象物Pとの間の区間で光路差D4が選択的に除去されるように、ミラーマウントアセンブリ200のうち少なくとも1つに備えられたアクチュエータ234を選択的に駆動することができる。例えば、図19に示すように、補正部42は、調節ダイヤル232のそれぞれによるノズル側センシング光路OPs2の切替値を合算した総光路切替値が光路差D3に対応するように、ミラーマウントアセンブリ200のうち少なくとも1つに備えられたアクチュエータ234を選択的に駆動することができる。このとき、補正部42は、最小個数のアクチュエータ234のみが制限的に駆動されるように、駆動対象であるアクチュエータ234を選択することが好ましいが、これに限定されるものではない。
前記のように、レーザ装置1によれば、光路歪みを整列機230を用いて自動的に補正できるので、加工対象物Pの加工品質を向上させることができる。
図21は、本発明の好ましい実施例に係るレーザ装置を診断及び補正する方法を説明するためのフローチャートである。
図21を参照すると、レーザ装置1を診断及び補正する方法は、レーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失の発生の有無を診断するステップ(S10)、及びステップS10でレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失が検出されると、レーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失をそれぞれ補正するステップ(S20)などを含むことができる。
ステップS10において、診断部44は、指示光LBmを加工光路OPpに沿って発振するようにレーザ発振器10を制御する。すると、レーザ発振器10から発振された指示光LBmは、基準伝送順序Sに従ってマウント側ビームスプリッタ222とノズル側ビームスプリッタ322によってマウント側センシング光路OPs1とノズル側センシング光路OPs2に分配され、マウント側センシング部材260とノズル側センシング部材350に伝送される。マウント側センシング部材260はそれぞれ、マウント側センシング光路OPs1の態様及びマウント側センシング光路OPs1に案内された指示光LBm1のエネルギーに対応するマウント側光路信号を出力する。また、ノズル側センシング部材350は、ノズル側センシング光路OPs2の態様及びノズル側センシング光路OPs2に案内された指示光LBm2のエネルギーに対応するノズル側光路信号を出力する。
診断部44は、マウント側光路信号及びノズル側光路信号に基づいて、加工光路OPpの全区間においてどの地点で光路歪み及びレーザビームLBのエネルギー損失が発生するか、及びどの部材により光路歪み及びレーザビームLBのエネルギー損失がそれぞれ発生するかなどを診断する。このとき、診断部44は、基準伝送順序Sに従って、ミラーマウントアセンブリ200及びレーザノズルアセンブリ30のそれぞれに対して、レーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失を順次診断することができる。
また、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200及びレーザノズルアセンブリ30を対象として、基準伝送順序Sに従ってレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失の診断作業を順次行っている途中に、レーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失が検出されると、診断作業を中止する。これと共に、診断部44は、ディスプレイ装置、その他の表示装置を用いて、加工光路OPpの全区間においてレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失が発生する地点、及びレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失の発生原因となる部材などを表示する。
また、診断部44は、ミラーマウントアセンブリ200とレーザノズルアセンブリ30の全てを対象として、基準伝送順序Sに従ってレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失の診断作業を行った結果、加工光路OPpの全区間においてレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失が検出されない場合、表示装置を用いてレーザ装置1が正常状態であることを表示する。
ステップS20において、補正部42は、ステップS10で行ったレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失の診断結果に基づいて、レーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失の発生原因となる部材を正常状態に整列する作業、その他の補正作業を行う。例えば、補正部42は、整列機230を駆動して、ミラーマウントアセンブリ200のミラーマウント210及びこれに設置されたマウント側光学部材220を正常状態に整列する作業、その他の補正作業を行うことができる。
また、診断部44は、ステップS20で行った補正作業によってレーザビームLBの光路歪み及びエネルギー損失が正常に補正されたかを点検すると共に、ミラーマウントアセンブリ200及びレーザノズルアセンブリ30のうち、ステップS10で診断作業を行っていない残りの部材に対しても診断作業を行うことができるように、ステップS10を再開することができる。
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。
したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。