JP2020003204A - 冷凍機及び冷凍装置 - Google Patents
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Description
特許文献1では、冷凍装置に用いられる冷媒のR404Aの代替品として、HFC−32、HCFC−125、HFO−1234ze、及びHFO−1234yfを含む混合冷媒が使用さている。
以下では、単独で冷凍サイクル回路を構成するものを冷凍装置と称し、冷凍装置のうち、例えば蒸発器(第二の熱交換器)を備えないものを冷凍機と称する。
この例では、冷凍機2は不図示の店舗内でショーケース10に接続されている。ショーケース10は、前述の膨張弁11及び蒸発器12と、膨張弁11及び蒸発器12を順次接続する接続配管13とを有している。
膨張弁11は、接続配管13内を後述する冷媒(熱伝達媒体)が流れる開状態と、接続配管13内を冷媒が流れない閉状態とに切替えることができる。また、膨張弁11は、開状態と閉状態との間で、接続配管13内を流れる冷媒の流量を調節することができる。
膨張弁11、送風機16、温度センサ17、18、及び圧力センサ19は、冷凍機2の後述する制御部29に接続されている。温度センサ17、18及び圧力センサ19は、測定結果を制御部29に送信する。膨張弁11及び送風機16は、制御部29によって制御される。
圧縮機25の上流側には、比較的小型の気液分離器であるサクションカップ25aが設けられている。凝縮器26に対向する位置には、凝縮器26に空気を送るための送風機32が配置されている。冷媒配管27における圧縮機25よりも上流側には、冷媒配管27内に充填された冷媒28の圧力を測定する圧力センサ33が設けられている。
冷媒配管27の端部には、冷媒配管27を接続配管13に接続したり分離したりするための接続部34a、34bが設けられている。なお、接続部34aは、冷媒配管27の上流側の端部に設けられている。接続部34bは、冷媒配管27の下流側の端部に設けられている。
冷媒配管27におけるレシーバータンク36よりも下流側の部分と圧縮機25とは、第一の接続配管38で接続されている。第一の接続配管38には、レシーバータンク36側から、ストレーナ39、補助電子膨張弁40が順に設けられている。ストレーナ39は、冷媒28中の異物を取り除くためのものである。補助電子膨張弁40は膨張弁11と同様に、第一の接続配管38を開状態又は閉状態にするとともに、第一の接続配管38内を流れる冷媒28の流量を調節する。
圧縮機25、送風機32、圧力センサ33、補助電子膨張弁40、43は、制御部29に接続されている。圧力センサ33は、測定結果を制御部29に送信する。
圧縮機25、送風機32、及び補助電子膨張弁40、43は、制御部29に制御される。
HCFC−125は、化学名がペンタフルオロエタンで、化学式がCHF2CF3である。HCFC−125のGWPは3500である。
HFC−134aは、化学名が1,1,1,2−テトラフルオロエタンで、化学式がC2H2F4である。HFC−134aのGWPは1430である。
HFO−1234zeは、化学名が(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)である。HFO−1234zeの化学式はtrans−CF3CH=CHF、C3H2F4であり、GWPは7である。
ここで、図2を用いて冷媒のモリエル線図について説明する。モリエル線図の横軸はエンタルピーを表し、縦軸は圧力を表す。図中には、飽和液線L1と飽和蒸気線L2を示している。冷媒の温度ごとに等温度線L11が示され、冷媒のエントロピーごとに等エントロピーL21が示される。
図1に戻って説明を続ける。制御部29は、図示はしないが演算素子、メモリー、及び制御プログラム等で構成されている。制御部29のメモリーには、制御プログラムや、冷媒28のモリエル線図を表す式等が記憶されている。
冷凍機2は、冷媒配管27が接続配管13を介して膨張弁11及び蒸発器12に接続されることで、冷凍サイクル回路45を構成する。
店舗内でショーケース10の接続配管13に、冷媒28が充填されていない冷凍機2の冷媒配管27の接続部34a、34bを接続する。このとき、補助電子膨張弁40、43は閉状態になっている。膨張弁11は開状態になっている。
圧縮機25を運転させて、冷媒配管27内及び接続配管13内等にR448Aである冷媒28を充填する。補助電子膨張弁43を開状態にして、冷凍サイクル回路45の高圧側(凝縮器26側)と低圧側(蒸発器12側)との圧力を等しくしておく。
以上の工程で、ショーケース10の膨張弁11、蒸発器12、及び接続配管13と、冷凍機2とで冷凍装置1が構成される。
吸込口25bから吸込まれる冷媒28の状態について、図2を用いて説明する。吸込口25bから吸込まれる冷媒28は、圧縮機25で圧縮される前であるため、比較的低温かつ低圧である。この時の冷媒28は、状態C1になる。
圧力センサ19が低圧側の圧力P1を測定し、温度センサ18が圧縮機25の吸込口25bに対応する温度を測定する。これらの測定結果が制御部29に送信されることで、制御部29は、圧縮機25の吸込口25bでの冷媒28が、状態C1であることが分かる。
制御部29は、例えば状態C1の冷媒28が圧力センサ33が測定する高圧側の圧力P2まで断熱圧縮される条件で、状態C2の冷媒28の温度を算出する。
制御部29は、高圧側の圧力P2と飽和液線L1とから、状態C3’での冷媒28の温度を算出する。状態C3での冷媒28の温度は、温度センサ17が測定する温度とする。
状態C3’での冷媒28の温度と状態C3での冷媒28の温度との差の絶対値から、過冷却度を算出する。
制御部29は、例えば状態C3の冷媒28が低圧側の圧力P1まで等エンタルピー変化する条件で、状態C4の冷媒28の温度を算出する。
膨張弁11を通った冷媒28は、蒸発器12内を流れる。蒸発器12内を流れる冷媒28は、圧力はほとんど変わらない状態で送風機16から送られた空気により加熱されて蒸発する(蒸発過程)。
一方で、送風機16から送られた空気が熱を奪われることで、ショーケース10が冷却される。
制御部29は、低圧側の圧力P1と飽和蒸気線L2とから、状態C1’での冷媒28の温度を算出する。状態C1’での冷媒28の温度と状態C1での冷媒28の温度との差の絶対値から、過熱度を算出する。
冷凍サイクル回路45における冷媒28の過熱度は、蒸発器12及び凝縮器26の周囲の空気の温度等により変化する。例えば、蒸発器12の周囲の空気の温度が高くなるのにしたがって、蒸発器12で奪わなければいけない熱量が増加するため、冷媒28が乾きやすくなり過熱度は増加する。
本実施形態の冷凍装置1は、この過熱度が35℃以下になる場合があるように運転される。圧縮機25の運転時間に対する冷媒28の過熱度が0℃以上35℃以下になる時間の割合は、50%を超えることが好ましい。圧縮機25の運転時間とは、ON/OFF制御の圧縮機の場合には、圧縮機がONのときのみの時間のことを意味する。言い換えれば、圧縮機25の運転中に過熱度が低くなっていることが好ましい。
膨張弁11の開度を調節することで、冷凍装置1内を流れる冷媒28の流量が調節される。
JIS B8623に規定されるコンデンシングユニットの試験方法に基づいて、冷凍機を用いて試験を行った。試験は、規定される冷却熱量計装置に、実施例及び比較例の冷凍機を取付けて行った。
この規定では、状態C1での冷媒の温度が18℃に設定されている。蒸発温度が−30℃である場合には、冷媒の過熱度は、−30℃と18℃との差の絶対値で48℃となる。なお、蒸発温度が低い温度条件とは、例えば蒸発温度が−30℃以上−15℃以下、特に蒸発温度が−30℃のことを意味する。
試験に用いた冷凍機の仕様を表2に示す。
実施例の冷凍機には冷媒としてR448Aを用い、比較例の冷凍機には冷媒としてR404Aを用いた。圧縮機は、インバータ駆動のロータリー型のものを用いた。ローターの回転数は、30〜80rps(revolution per second)の範囲で変化させることができる。圧縮機のオイルは、エステル系のものを用いた。圧縮機の冷却方式は、リキッドインジェクションである。
冷凍機の周囲の空気の温度は、32℃に調節した。
蒸発温度を−30℃と一定にした条件で、圧縮機の吸込口で吸込まれる冷媒の温度(吸込温度)を約18℃、10℃、0℃と変化させた。それぞれの場合の過熱度は、約48℃、40℃、30℃となる。凝縮器の入口における冷媒の温度と凝縮器の出口における冷媒の温度とで差がある場合には、入口における温度と出口における温度との平均値である平均凝縮温度を凝縮温度とした。平均蒸発温度も同様に定義される。平均凝縮温度は40℃で一定になるようにした。
冷媒の過冷却度は、所定の温度とした。すなわち、図2において飽和液線L1上にある状態C3’から所定温度の過冷却度冷却した状態C3の冷媒が膨張弁により膨張する。
試験結果は、R404Aを用いた比較例の冷凍機に対するR448Aを用いた実施例の冷凍機の冷凍能力、COP(成績係数)の比率を示す。
なお、冷凍能力は冷媒の単位体積当たりの値としている。冷凍能力の単位は、1時間当たりに除去できる熱流量(kW/h)である。冷凍機は、圧縮機での理論断熱圧縮動力を消費して、この圧縮動力に相当する熱を蒸発器で取入れた熱とともに凝縮負荷として凝縮器から放出する。そのため、冷凍機のCOPは、冷凍サイクルのCOPよりも1だけ大きな成績係数と規定される。
R448Aでは、冷媒の過熱度が大きくなるのにしたがって、冷凍能力比、及びCOP比は小さくなることが分かった。冷媒の過熱度が43℃のときに冷凍能力比が100%をわずかに超えることから、比較例の冷凍機に比べて、冷媒の過熱度が43℃以下のときに実施例の冷凍機の冷凍能力が高くなることが分かった。
冷媒がR448Aである場合と同様に、冷媒の過熱度が大きくなるのにしたがって、冷凍能力比、及びCOP比は小さくなることが分かった。冷媒の過熱度が38℃のときに冷凍能力比が100%をわずかに超えることから、冷媒の過熱度が38℃以下のときに実施例の冷凍機の冷凍能力が高くなることが分かった。
冷媒がこのような組成の範囲の場合、冷媒の過熱度が35℃以下であれば、R448A及びR449Aのいずれにおいても、冷凍能力比が100%超えることが分かった。
冷媒28の過熱度が35℃以下であれば冷凍能力比が100%超えるため、蒸発温度が低い温度条件でも地球温暖化への影響を軽減させつつ、冷凍能力比を高くすることができる。
冷凍機及び冷凍装置は、さらに四方弁を備えることで、冷却運転と加熱運転とに切替えられるように構成してもよい。
前記実施形態では、冷凍機2内に設けられた制御器29に利用側機器の各種温度センサや圧力センサ、電子式の膨張弁を接続し、冷凍装置1の運転制御を行っているが、集中管理装置等の外部制御機器を別途設けてもよい。
2 冷凍機
11 膨張弁(減圧装置)
12 蒸発器(第二の熱交換器)
25 圧縮機
26 凝縮器(第一の熱交換器)
27 冷媒配管
28 冷媒
45 冷凍サイクル回路
Claims (5)
- 1つの圧縮機と、
第一の熱交換器と、
前記圧縮機及び前記第一の熱交換器を順次接続する冷媒配管と、
前記圧縮機、前記第一の熱交換器、及び前記冷媒配管内に充填された冷媒と、
を備え、前記冷媒配管が減圧装置及び第二の熱交換器に接続されることで冷凍サイクル回路を構成する冷凍機であって、
前記冷凍サイクル回路における前記冷媒の過熱度が35℃以下になり、
前記冷媒は、
20重量%〜30重量%のHFC−32と、
20重量%〜30重量%のHCFC−125と、
20重量%〜30重量%のHFC−134aと、
15重量%〜30重量%のHFO−1234yfと、
を含む混合冷媒であり、
前記圧縮機の運転時間に対する前記冷媒の過熱度が35℃以下になる時間の割合が、50%を超えることを特徴とする冷凍機。 - 前記圧縮機の吸込口と前記圧縮機の吐出口とを接続する第二の接続配管と、
前記第二の接続配管に設けられた第二の電子膨張弁と、
を備え、
前記圧縮機を駆動する前の前記第二の電子膨張弁は開状態であり、
前記圧縮機が所定時間運転した後に、前記第二の電子膨張弁を閉状態とする請求項1に記載の冷凍機。 - 前記冷媒は、
26重量%の前記HFC−32と、
26重量%の前記HCFC−125と、
21重量%の前記HFC−134aと、
20重量%の前記HFO−1234yfと、
7重量%のHFO−1234zeと、
を含む請求項1又は2に記載の冷凍機。 - 前記冷媒は、
24重量%の前記HFC−32と、
25重量%の前記HCFC−125と、
26重量%の前記HFC−134aと、
25重量%の前記HFO−1234yfと、
を含む請求項1又は2に記載の冷凍機。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の冷凍機と、
前記冷媒配管に接続された前記減圧装置及び前記第二の熱交換器と、
を備える冷凍装置。
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