JP2020002897A - 診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常を予備故障レベルで検知し、かつ異常箇所を特定する。【解決手段】車両Vのエンジンルーム3内に配置された内燃機関1を診断するための診断装置が提供される。診断装置は、予め分類された内燃機関の複数の可動部A〜Dにそれぞれ対応してエンジンルーム内に配置された複数のマイクMA〜MDと、各マイクにより検出された検出音を、各マイクに対応する可動部の所定の正常音パターンと比較し、各マイクに対応する可動部に異常があるか否かを判定するように構成された診断ユニット100とを備える。【選択図】図1

Description

本開示は診断装置に係り、特に、車両のエンジンルーム内に配置された内燃機関を診断するための診断装置に関する。
車両のエンジンルーム内には、その動力源としての内燃機関が配置されている。この内燃機関に異常が発生した場合、異常を即座に検知することが望ましい。最も基本的な異常検知方法は、ドライバが車両運転中に自己の感覚(主に聴覚、触覚)によって異常を検知する方法である。しかしこれだと、異常の度合いが大きくないと検知が難しく、また検知できるかどうかはドライバの習熟度に大きく依存する。このため、異常を比較的早い段階から客観的に検知できる診断装置の開発が行われている。
特開平4−363641号公報
従来の診断装置は、何等かの部品が完全に故障し、即修理が必要で、車両が実質的に走行不可能となるレベル、すなわち完全故障レベルに至った異常しか検知できないものが多い。完全故障レベルに至る前の予備故障レベル、すなわち、車両はまだ走行可能で、直ちに修理の必要はないが、放置しておくとやがて完全故障レベルに至るような軽度の故障レベルで、異常と検知できるものはあまり見当たらない。
また、内燃機関には複数の可動部があるが、いずれかの可動部に異常が発生した場合、どの可動部に異常が発生したのかを判断して、異常箇所を特定できるのが便利である。
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、異常を予備故障レベルで検知でき、かつ異常箇所を特定できる診断装置を提供することにある。
本開示の一の態様によれば、
車両のエンジンルーム内に配置された内燃機関を診断するための診断装置であって、
予め分類された前記内燃機関の複数の可動部にそれぞれ対応して前記エンジンルーム内に配置された複数のマイクと、
各マイクにより検出された検出音を、各マイクに対応する前記可動部の所定の正常音パターンと比較し、各マイクに対応する前記可動部に異常があるか否かを判定するように構成された診断ユニットと、
を備えたことを特徴とする診断装置が提供される。
好ましくは、前記正常音パターンは、周波数に対する音圧レベルの関係で規定され、前記診断ユニットは、前記検出音の任意の周波数の音圧レベルがいずれかの前記可動部の前記正常音パターンを超えたとき、その正常音パターンを超えた前記可動部に異常があると判定する。
本開示の他の態様によれば、
車両のエンジンルーム内に配置された内燃機関を診断するための診断装置であって、
予め分類された前記内燃機関の複数の可動部に共通に前記エンジンルーム内に配置されたマイクと、
前記マイクにより検出された検出音を、前記可動部毎の所定の正常音パターンと比較し、いずれかの前記可動部に異常があるか否かを判定するように構成された診断ユニットと、
を備えたことを特徴とする診断装置が提供される。
好ましくは、前記可動部毎の正常音パターンは、前記可動部毎に異なる周波数レンジにおける音圧レベルとして規定され、前記診断ユニットは、前記検出音の任意の周波数の音圧レベルが、いずれかの前記可動部の前記正常音パターンを超えたとき、その正常音パターンを超えた前記可動部に異常があると判定する。
本開示によれば、異常を予備故障レベルで検知でき、かつ異常箇所を特定できる。
第1実施形態に係る車両の概略側面図である。 第1実施形態に係る正常音パターンを示すグラフである。 第2実施形態に係る車両の概略側面図である。 第2実施形態に係る正常音パターンを示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1実施形態に係る車両の概略側面図である。本実施形態において、車両Vはキャブオーバ型トラックであり、これに搭載される動力源としての内燃機関(エンジン)1は直列4気筒ディーゼルエンジンである。しかしながら、車両および内燃機関はこれらに限定されず、例えば車両は乗用車等の小型車両であってもよいし、エンジンはガソリンエンジンであってもよい。図中、左側が車両前方、右側が車両後方である。
車両Vは、図示しないラダー状のシャシフレームと、その前端部にチルト可能に設けられたキャブ2とを有する。周知のようにキャブ2の下方、かつシャシフレームの左右のサイドレール間にはエンジンルーム3が形成され、このエンジンルーム3内にエンジン1が縦置き状態で配置され、シャシフレームに支持されている。
エンジン1の前方にはラジエータ4が離間して配置され、ラジエータ4の前方にはインタークーラ5が重ねて配置されている。またエンジン1の後端にはクラッチ6と変速機7が順次取り付けられる。ラジエータ4とインタークーラ5は図示しないブラケット等により一体的に結合されてシャシフレームに支持されている。
エンジン1には、予め分類された複数の可動部がある。本実施形態の場合、これら可動部とは、ベルト系可動部A、動弁系可動部B、クランク系可動部C、ギヤトレイン系可動部Dの計4つである。
ベルト系可動部Aは、エンジン1の前端部に設けられている。ベルト系可動部Aは、クランクシャフト8の前端部に取り付けられたクランクプーリ9と、ファンクラッチ10を介してファン11に連結されたファンプーリ12と、オルタネータ(図示せず)を駆動するオルタネータプーリ13と、エアコン(A/C)コンプレッサ(図示せず)を駆動するA/Cコンプレッサプーリ(図示せず)と、これらプーリに巻き掛けられたベルト14と、各回転支持部のベアリングとを含む。ファン11、オルタネータおよびA/Cコンプレッサはそれぞれ補機をなし、対応するプーリは補機プーリをなす。
動弁系可動部Bは、エンジン1の上端部に設けられている。動弁系可動部Bは、複数の吸気弁および排気弁(エンジンバルブ15と総称する)と、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフト(カムシャフト16と総称する)と、カムシャフト16の駆動力をエンジンバルブ15に伝達するための中間部品(ロッカーアーム等、図示せず)と、エンジンバルブ15を閉付勢するバルブスプリング(図示せず)と、各回転支持部のベアリングとを含む。
クランク系可動部Cは、クランクシャフト8と、複数(4つ)のピストン17と、これらピストン17およびクランクシャフト8を連結する複数(4つ)のコンロッド18と、各回転支持部のベアリングとを含む。
ギヤトレイン系可動部Dは、エンジン1の後端部に設けられている。ギヤトレイン系可動部Dは、クランクシャフト8の後端部に取り付けられたクランクギヤ19と、カムシャフト16の後端部に取り付けられたカムギヤ20と、これらカムギヤ20およびクランクギヤ19を連結する一乃至複数のアイドルギヤ21と、各回転支持部のベアリングとを含む。
他方、本実施形態の診断装置は車両Vに搭載される。診断装置は、複数(4つ)の可動部A〜Dにそれぞれ対応してエンジンルーム3内に配置された複数(4つ)のマイクMA〜MDと、これらマイクMA〜MDにより検出された検出音に基づいて可動部毎に異常があるか否かを判定する診断ユニットとしての電子制御ユニット(ECU)100とを備える。
ベルト系可動部Aに対応するマイクMAは、ベルト系可動部Aの付近もしくは近傍に配置され、シャシフレーム、エンジン1またはキャブ2に取り付けられている。本実施形態の場合、マイクMAは、ファンプーリ軸を中心としてファン11およびベルト14の半径方向外側に配置されている。マイクMAは、ベルト系可動部Aに向けられ、ベルト系可動部Aに異常が発生したとき異常音を即座に検知できるようになっている。
動弁系可動部Bに対応するマイクMBも、動弁系可動部Bの付近もしくは近傍に配置され、シャシフレーム、エンジン1またはキャブ2に取り付けられている。本実施形態の場合、マイクMBは、エンジン1の上方の離間した位置でかつエンジン前後長の中間位置付近に配置されている。マイクMBは、動弁系可動部Bに向けられ、動弁系可動部Bに異常が発生したときに異常音を即座に検知できるようになっている。
クランク系可動部Cに対応するマイクMCも、クランク系可動部Cの付近もしくは近傍に配置され、シャシフレームまたはエンジン1に取り付けられている。本実施形態の場合、マイクMCは、エンジン1の外側面部でかつエンジン前後長の中間位置付近に取り付けられている。マイクMCは、クランク系可動部Cに異常が発生したときにエンジン1内に発生する異常音を即座に検知できるように配置されている。
ギヤトレイン系可動部Dに対応するマイクMDも、ギヤトレイン系可動部Dの付近もしくは近傍に配置され、シャシフレームまたはエンジン1に取り付けられている。本実施形態の場合、マイクMDは、ギヤトレイン系可動部Dの上方かつ外周側に配置されると共に、ギヤトレイン系可動部Dに向けられ、ギヤトレイン系可動部Dに異常が発生したときに異常音を即座に検知できるようになっている。
ここで、各可動部に異常が発生したときの異常原因および症状には違いがある。以下、これらの違いを含め、各可動部の異常原因および症状について説明する。
ベルト系可動部Aにおいては、主にベルト14の滑り音(または鳴き音)発生といった予備故障レベルの異常が発生し得る。他方、ベルト14が完全に切断するベルト破断が生じると、ファン11が回転せずオーバーヒートしたり、オルタネータでの発電ができずバッテリ電圧が極度に低下したりして、完全故障レベルに至る。このレベルの異常は、ECU100に装備された別の基本的診断機能により直ちに検知され、ドライバに警告されるので、本実施形態で特に扱う異常ではない。本実施形態では、それより前の予備故障レベルの異常を扱う。代表的には、ベルト14の劣化等によってベルト14が滑り、滑り音が発生する異常が、予備故障レベルの異常である。
滑り音発生の原因は他にもある。例えば、ベルト14のテンション調整の不備、プーリの摩耗、プーリベアリングの摩耗や焼き付き等、ベルト14の一部の切れ、ベルト14への異物咬み込みなどである。
ベルト滑りが発生すると、多くの者が経験しているように、ベルト系可動部Aからキュルキュルといった比較的甲高いベルト滑り音すなわち異常音が発生する。この異常音は、エンジンの始動時やアイドル時のように、エンジン回転数が低回転のときに顕著に発生し、エンジン回転数が高回転になると消失する傾向がある。また異常音は、エンジンの冷間始動直後のような、ベルト14が未だ暖まっていないときに顕著に発生し、ベルト14が暖まると消失する傾向がある。
この異常音は、異常度合いが進むにつれ大きくなるものであり、車外の人が聞こえる程大きくなると異常は相当進行しているといえる。本実施形態の目的は、これ程大きくなる前に異常音を検知し、ベルト系可動部Aに発生した異常を予備故障レベルで確実かつできるだけ早期に検知すると共に、異常箇所がベルト系可動部Aであることを確実に特定することにある。
次に、動弁系可動部Bにおいては、主に動弁系の騒音増大という予備故障レベルの異常が発生し得る。この異常の原因は、例えば、過度に劣化したり量が不足したオイルの使用による潤滑不良または不足、部品間(例えばロッカーアームとエンジンバルブ15の間)のクリアランス異常、部品の過度の摩耗等である。この異常原因が生じると、部品同士が当たるときの衝突音が大きくなり、動弁系の騒音が増大する。
例えばある1気筒の1本の吸気弁に異常が生じると、異常音がクランクシャフト2回転当たりに1回発生する。従って異常音は、タッタッタッといった、エンジン回転数に同期した周期の断続音である。エンジン回転数が高くなるにつれ異常音の発生周期は短くなり、異常音はより連続音に近づいていく。また異常の程度が大きくなる程、異常音の音圧レベルは増加する。
次に、クランク系可動部Cにおいては、騒音発生という予備故障レベルの異常が発生し得る。この異常の原因は、例えば、オイルパン22内のオイル不足によるクランク系潤滑不足、ピストン17とシリンダボア23間の摺動部における潤滑不足およびこれによるスラップ音発生である。この異常原因が生じると、各回転支持部や、ピストン17とシリンダボア23間の摺動部における摺動音およびスラップ音が大きくなり、僅かな騒音ないし異常音が発生する。
このクランク系可動部Cの異常音はウーといった連続音である。またエンジン回転数の変化に対し、異常音の周波数(すなわち音階)はほぼ変わらないが、音圧レベルが変化する。このクランク系可動部Cの異常音は、他の可動部のものと比べて音圧レベルが最も低く、認識し難い。そこで本実施形態ではマイクMCを、エンジン1のクランクケースの外側面部に取り付け、クランクケース内の異常音に起因して発生したクランクケースの共鳴音をマイクMCで即座に検知すると共に、走行風の当たりやすい場所にマイクMCを設置してマイクMCを熱害から保護するようにしている。
次に、ギヤトレイン系可動部Dにおいては、ギヤラトル音(または歯打音)増大という予備故障レベルの異常が発生し得る。この異常の原因は、例えば、ギヤトレイン系可動部Dにおける潤滑不良または潤滑不足、ギヤトレイン系可動部Dへの異物混入、これらに起因するもしくはしないギヤ歯の摩耗、劣化、損傷である。この異常原因が生じると、一方のギヤ歯と他方のギヤ歯が噛み込むときのギヤラトル音が増大し、異常音が発生する。
ギヤトレイン系可動部Dにおいて、例えばギヤ歯が完全に1枚欠損する故障が発生すると、クランクシャフト8からカムシャフト16に動力を伝達するときの位相タイミングがずれる。そしてエンジンバルブ15が誤ったタイミングで開閉し、最悪、エンジンバルブ15がピストン17に衝突してエンジンバルブ15が破損し、完全故障レベルに至る。この場合、完全故障は動弁系可動部Bにも及び、またピストン17も破損した場合にはクランク系可動部Cにも及ぶ。従って、ギヤトレイン系可動部Dの完全故障は致命的であり、こうなる前に、予備故障レベルで異常を確実に検知する必要がある。
ところで本実施形態では、図1に示すように、エンジン1はターボチャージャ(図示せず)を備え、そのコンプレッサで圧縮した吸気をインタークーラ5に導入してインタークーラ5で冷却するようになっている。そして冷却後の吸気は、インタークーラ出口パイプ24から排出され、連結パイプ25および下流側吸気管26を通じて吸気マニホールド27に送られる。連結パイプ25は、インタークーラ出口パイプ24と下流側吸気管26を連結するための着脱可能なパイプであり、フレキシブルホースにより形成される。
エンジン整備の際に、例えばエンジンを降ろすため、連結パイプ25の位置でインタークーラ出口パイプ24と下流側吸気管26の連結を切り離すことがある。このとき連結パイプ25は、インタークーラ出口パイプ24と下流側吸気管26の少なくとも一方から脱着される。この脱着時に連結パイプ25の装着不良が起こり、連結パイプ25の端部から吸気漏れが起こることがある。
吸気漏れが起こると、漏れ部分からシューといった漏れ音が発生する。また連結パイプ25は、ベルト系可動部Aの側方付近に位置されるため、漏れ音はベルト系可動部Aの作動音(ベルト駆動音、ファン音等)に紛れて聞こえづらい。このため、連結パイプ25の装着不良に起因した吸気漏れは一般的には認識し難い。ブースト圧が過度に低いが原因不明という事態が起こり得る。
しかしながら、本実施形態では、この僅かな吸気漏れ音も、ベルト系可動部Aに対応したマイクMAによって検知するため、吸気漏れ音発生異常をも確実に検知することができる。
さて次に、診断ユニットとしてのECU100による診断方法を説明する。
ECU100は、各マイクMA〜MDにより検出された検出音を、各マイクMA〜MDに対応する可動部A〜Dの所定の正常音パターンと比較し、各マイクMA〜MDに対応する可動部A〜Dに異常があるか否かを判定するように構成されている。検出音と正常音パターンの比較、および異常があるか否かの判定は、可動部毎、マイク毎に個別に行われる。
診断方法は各可動部において同じなので、以下代表例として、ベルト系可動部Aの診断方法を説明する。
ECU100は、周期的な所定の検出タイミングが到来したとき、マイクMAを使って、ベルト系可動部Aの発生音を検出する。そしてこの検出音に対し周波数分析を行って、周波数に対する音圧レベルの関係で規定された検出音パターンを作成する。
他方、ECU100には、予め実験等に基づいて作成された図2に示すような正常音パターンNが記憶されている。正常音パターンNも、周波数f(Hz)に対する音圧レベルS(dB)の関係で規定され、この点は検出音パターンと同じである。
正常音パターンNは、正常とみなせる音圧レベルSの各周波数fの最大値として規定され、言い換えれば、検出音パターンが正常音パターンNの範囲内であれば異常ではなく正常とみなせるような音パターンである。この正常音パターンNは、主にベルト14の滑り音という異常音が発生した異常時の音パターンと、異常音が発生してない正常時の音パターンとを実験的に求め、これら音パターンを区別し得るような態様で設定されている。
前述したように、本実施形態では、連結パイプ25からの吸気漏れ音の有無も加味して正常音パターンNが設定されている。
従ってECU100は、図中破線で示すように、検出音パターンKが正常音パターンNから一部でもはみ出したとき、言い換えれば、検出音パターンKの任意の周波数の音圧レベルが正常音パターンNを超えたときには、ベルト系可動部Aに異常があると判定する。またECU100は、図示省略するが、検出音パターンKが正常音パターンNからはみ出さないとき、言い換えれば、検出音パターンKの全ての周波数の音圧レベルが正常音パターンNを超えないときには、ベルト系可動部Aに異常がないと判定する。
異常があると判定した場合、ECU100は、図示しない警告装置(例えば警告灯)を起動し、ドライバにできるだけ早急な点検整備を促す。またECU100は、自身のメモリ内に、ベルト系可動部Aの異常に対応した診断コードを書き込み、後の整備時にそれを読み取れるようにする。これにより整備時に異常箇所を容易に特定し、整備に要する工数や時間を削減することができる。
以上の診断方法が、他の可動部(動弁系可動部B、クランク系可動部C、ギヤトレイン系可動部D)にも同様に適用される。
このように本実施形態では、予備故障レベルの異常の検知に最適な正常音パターンを予め可動部毎に設定し、可動部毎に、マイクで検出された実際の検出音を正常音パターンと比較して、異常な可動部を検知する。マイクは、予備故障レベルの異常によって生じる微妙な異常音を確実に検知可能である。よって本実施形態によれば、異常を予備故障レベルで確実に検知でき、かつ異常箇所を容易に特定することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態を説明する。なお第1実施形態と同様の部分については説明を割愛し、以下、第1実施形態との相違点を主に説明する。
図3に示すように、本実施形態の車両Vの構成は第1実施形態とほぼ同様である。相違点は、マイクが一つしか設けられない点であり、動弁系可動部Bに対応したマイクMBしか設けられない点である。すなわち、4つの可動部A〜Dに共通の一つのマイクMBがエンジンルーム3内に配置されている。そして一つのマイクMBにより4つの可動部A〜Dの異常を個別に検知できるようになっている。
なお、設置するマイクは動弁系可動部Bに対応したマイクMBでなくてもよく、他の可動部に対応したマイク、または別の位置に設置されたマイクでもよい。但し、本実施形態では共通の一つのマイクで全ての可動部の異常を検知可能としているため、全ての可動部の異常音をできるだけ検知できるようなマイクの位置および向きであるのが好ましい。そのため、本実施形態のように動弁系可動部Bに対応したマイクMBを用いることは好ましい。
ECU100は、マイクMBにより検出された検出音を、可動部毎の所定の正常音パターンと比較し、いずれかの可動部に異常があるか否かを判定するように構成されている。
図4には、本実施形態で用いる別の正常音パターンを示す。NBは動弁系可動部Bの正常音パターン、NCはクランク系可動部Cの正常音パターン、NDはギヤトレイン系可動部Dの正常音パターンである。本実施形態では図2に示したベルト系可動部Aの正常音パターンNAも使用する。
ベルト系可動部Aの異常検知についてはやや特殊であるので説明を後回しにすることとし、ここではまずその他の可動部B〜Dの異常検知について説明する。
図4に示すように、可動部毎の正常音パターンNB,NC,NDは、可動部毎に異なる周波数レンジfB,fC,fDにおける音圧レベルとして規定されている。周波数レンジは、fC、fB、fDの順に次第に高くなる。本実施形態では各周波数レンジが隣接しているが、隣接せず離れていてもよい。また本実施形態では各正常音パターンの音圧レベルが異なっているが、同じであってもよい。
例えば、最も低周波数側のクランク系可動部Cの正常音パターンNCは、周波数レンジfC内においてのみ規定され、周波数fに対する音圧レベルSの関係で規定されている。図示例では便宜上音圧レベルSが一定であるが、周波数fに応じて変化してもよい。
同様に、中間の周波数レンジの動弁系可動部Bの正常音パターンNBは、周波数レンジfB内においてのみ規定され、最も高周波数側のギヤトレイン系可動部Dの正常音パターンNDは、周波数レンジfD内においてのみ規定されている。
このように周波数レンジを分けた理由は、異常時に音圧レベルが上昇する周波数レンジが可動部毎に異なるからである。すなわち、クランク系可動部Cの異常音は、こもり音のような音であるため、周波数レンジが最も低い。ギヤトレイン系可動部Dの異常音は、クランクシャフト1回転当たりに数10回程度ギヤが噛み合うため、周波数レンジが最も高い。動弁系可動部Bの異常音は、典型的にはクランクシャフト2回転当たりに1回発生するので、中間の周波数レンジとなる。
クランク系可動部Cにおいては、正常時と異常時の音圧レベルの差が周波数レンジfCにおいて最も顕著に大きくなる。よってその特性を活かし、クランク系可動部Cの正常音パターンNCは周波数レンジfC内においてのみ規定されている。勿論、正常音パターンNCは前記正常音パターンNと同様の観点で設定されている。
動弁系可動部Bの正常音パターンNBと、ギヤトレイン系可動部Dの正常音パターンNDとについても同様である。各可動部毎に、正常時と異常時の音圧レベルの差が最も顕著に大きくなる周波数レンジと、その周波数レンジ内の音圧レベルとが定められている。
ところで、ベルト系可動部Aでは、他の可動部B〜Dほど単純ではなく、正常時と異常時の音圧レベルの差が様々な周波数レンジにおいて大きくなり、この周波数レンジには前記周波数レンジfB〜fDの少なくとも一つを含む場合がある。また、可動部B〜Dではエンジンの運転条件と関係なくほぼ常に異常音が発生する一方、ベルト系可動部Aでは、エンジンの冷間始動時(クランキング中)と、その直後のベルトが暖まるまでの所定時間内、かつアイドル運転中に、限定的に異常音が発生するという特徴がある。
そこで本実施形態では、こうした差異を活かし、エンジンの冷間始動時(クランキング中)と、その直後のベルトが暖まるまでの所定時間内、かつアイドル運転中(以下、冷間始動タイミングという)に、マイクMBで検出された検出音(具体的には検出音パターン)を正常音パターンNAと比較して、ベルト系可動部Aに異常があるか否かをECU100により判定する。比較方法と判定方法は第1実施形態と同様である。そしてこの冷間始動タイミングでは、検出音と正常音パターンNB〜NDとの比較、および可動部B〜Dに異常があるか否かの判定は行わない。
このように判定タイミングを分けることで、一つのマイクMBにより、ベルト系可動部Aの異常を他の可動部B〜Dの異常と区別して良好に検知することができる。そして異常箇所をベルト系可動部Aと特定し、その後の整備を容易にすることができる。
他方、その冷間始動タイミング以外のタイミングにおいて、マイクMBで検出された検出音(具体的には検出音パターン)を正常音パターンNB〜NDと比較し、可動部B〜Dのいずれかに異常があるか否かをECU100により判定する。このときには正常音パターンNAとの比較、および可動部Aに異常があるか否かの判定は行わない。
このときECU100は、図4に破線で示すように、検出音パターンKの任意の周波数の音圧レベルが、いずれかの可動部B〜Dの正常音パターンNB〜NDを超えたとき、その正常音パターンNB〜NDを超えた可動部に異常があると判定する。図示例では、検出音パターンKが周波数レンジfC内で正常音パターンNCを超えたため、クランク系可動部Cに異常があると判定する。
この場合、検出音パターンKのうち、周波数レンジfB〜fD外のものは無視し、周波数レンジfB〜fD内のものに限って正常音パターンNB〜NDとの比較を行う。そしていずれかの正常音パターンNB〜NDを超えるものがあれば、その超えたものに対応する可動部を異常と判定する。
これにより、検知精度は第1実施形態より若干劣るかもしれないが、一つのマイクMBにより、3つの可動部B〜Dの異常を区別して良好に検知することができる。そして異常箇所を特定し、その後の整備を容易にすることができる。第1実施形態と比べてマイクの数を削減できるので製造コストも抑制できる。
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示の他の実施形態や変化例は他にも様々考えられる。
(1)例えば、可動部の数や種類は変更可能であり、これに対応して第1実施形態の場合はマイクの数も変更可能である。
(2)第1および第2実施形態において、可動部毎の正常音パターンをエンジン運転状態、例えばエンジン回転数とエンジン負荷(燃料噴射量、アクセル開度、吸入空気量等)とに応じて変化させてもよい。例えば、図4に示した正常音パターンNB〜NDの周波数レンジfB〜fDをエンジン回転数が高くなるほど高くしてもよい。こうすると、エンジン回転数が高くなるほど異常音の周波数が高くなる動弁系可動部Bおよびギヤトレイン系可動部Dに対応して、正常音パターンNB〜NDをエンジン回転数に応じて適切に変化させることができる。
(3)第2実施形態において、ベルト系可動部Aの異常検知を省略することも可能である。
前述の各実施形態の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関
3 エンジンルーム
100 電子制御ユニット
V 車両
A ベルト系可動部
B 動弁系可動部
C クランク系可動部
D ギヤトレイン系可動部
MA〜MD マイク

Claims (4)

  1. 車両のエンジンルーム内に配置された内燃機関を診断するための診断装置であって、
    予め分類された前記内燃機関の複数の可動部にそれぞれ対応して前記エンジンルーム内に配置された複数のマイクと、
    各マイクにより検出された検出音を、各マイクに対応する前記可動部の所定の正常音パターンと比較し、各マイクに対応する前記可動部に異常があるか否かを判定するように構成された診断ユニットと、
    を備えたことを特徴とする診断装置。
  2. 前記正常音パターンは、周波数に対する音圧レベルの関係で規定され、前記診断ユニットは、前記検出音の任意の周波数の音圧レベルがいずれかの前記可動部の前記正常音パターンを超えたとき、その正常音パターンを超えた前記可動部に異常があると判定する
    請求項1に記載の診断装置。
  3. 車両のエンジンルーム内に配置された内燃機関を診断するための診断装置であって、
    予め分類された前記内燃機関の複数の可動部に共通に前記エンジンルーム内に配置されたマイクと、
    前記マイクにより検出された検出音を、前記可動部毎の所定の正常音パターンと比較し、いずれかの前記可動部に異常があるか否かを判定するように構成された診断ユニットと、
    を備えたことを特徴とする診断装置。
  4. 前記可動部毎の正常音パターンは、前記可動部毎に異なる周波数レンジにおける音圧レベルとして規定され、前記診断ユニットは、前記検出音の任意の周波数の音圧レベルが、いずれかの前記可動部の前記正常音パターンを超えたとき、その正常音パターンを超えた前記可動部に異常があると判定する
    請求項3に記載の診断装置。
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