JP2020002080A - ジアルコキシマグネシウムの製造方法、オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用固体触媒及びオレフィン類重合体の製造方法 - Google Patents

ジアルコキシマグネシウムの製造方法、オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用固体触媒及びオレフィン類重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが得られるジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供すること。【解決手段】金属マグネシウムとアルコールを、反応促進剤の存在下で反応させて、ジアルコキシマグネシウムを得るジアルコキシマグネシウムの製造方法であって、該金属マグネシウムと該アルコールとを反応させる前に又は反応途中に、界面活性剤を添加すること、を特徴とするジアルコキシマグネシウムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ジアルコキシマグネシウムの製造方法、特に、オレフィン類重合用触媒成分の担体原料に適するジアルコキシマグネシウムの製造方法、その製造方法により得られるジアルコキシマグネシウムを用いるオレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用固体触媒及びオレフィン類重合体の製造方法に関する。
従来、オレフィン類の重合方法としては、ジアルコキシマグネシウム、チタンハロンゲン化合物及び内部電子供与性化合物を相互に接触させて得られる固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、からなるオレフィン類重合触媒の存在下に、オレフィン類を重合又は共重合させるオレフィン類の重合方法が数多く提案されている。
このようなオレフィン類の重合方法においては、得られるポリオレフィンの形状は、重合に用いる固体触媒成分の形状に依存するため、固体触媒成分のモフォロジー(粒子構造)の制御は重要であり、数多くの検討がなされている。
このような中、オレフィン類の重合において、ポリオレフィンの形状の制御の1つの要求として、粒度分布指数(SPAN=(D50/(D90−D10))が小さいことがある。
ここで、固体触媒成分の粒子構造は、固体触媒成分の担体となるジアルコキシマグネシウムの粒子構造に依存する。つまり、粒度分布指数(SPAN)が小さいポリオレフィンを得るために、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが求められている。
粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムを製造する方法としては、例えば、特許文献1には、金属マグネシウムとアルコールを、反応促進剤としてヨウ素の存在下で、反応させる方法において、反応促進剤であるヨウ素を複数回に分けて反応系に添加することにより、平均粒子径(D50)が55μm且つ粒度分布指数(SPAN)が0.78のジアルコキシマグネシウムが得られることが開示されている。
国際公開第2013/058193号
しかし、特許文献1の製造方法では、平均粒径が50μmを超えるような粒径が大きいジアルコキシマグネシウムを製造する場合には、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが得られるものの、平均粒径が小さいジアルコキシマグネシウムを製造する場合には、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが得られないという問題があった。
従って、本発明の目的は、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが得られるジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、金属マグネシウムとアルコールを反応させる際に、反応系中に環状のジメチルポリシロキサンを存在させることにより、粒度分布が広くなりやすい比較的粒径の小さなジアルコキシマグネシウムにおいて、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、金属マグネシウムとアルコールを、反応促進剤の存在下で反応させて、ジアルコキシマグネシウムを得るジアルコキシマグネシウムの製造方法であって、
該金属マグネシウムと該アルコールとを反応させる前に又は反応途中に、界面活性剤を添加すること、
を特徴とするジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記界面活性剤が、Si−O単位の数が1〜30のジメチルポリシロキサンであることを特徴とする(1)のジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記界面活性剤が、周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩であることを特徴とする(1)のジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記ジメチルポリシロキサンが、下記一般式(1a):
Figure 2020002080
(式中、nは3〜30の整数である。)
で表される環状ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする(2)のジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、前記ジメチルポリシロキサンが、下記一般式(1b):
Figure 2020002080
(式中、mは1〜30の整数である。)
で表される鎖状ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする(2)のジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(6)は、前記一般式(1b)で表されるジメチルポリシロキサンが、前記一般式(1b)中のmが1〜10である鎖状ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする(5)のジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(7)は、前記周期表第2族元素の脂肪酸塩が、マグネシウム又はカルシウムの脂肪酸塩であることを特徴とする(3)のジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(8)は、前記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径(D50)が5〜100μmであることを特徴とする(1)〜(7)いずれかのジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(9)は、前記金属マグネシウムの平均粒径(D50)が5〜500μmであることを特徴とする(1)〜(8)いずれかのジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(10)は、前記ジアルコキシマグネシウムの嵩密度が0.15〜0.70g/mlであり、且つ、粒度分布指数((D50/(D90−D10))が0.3〜2.0であることを特徴とする(1)〜(9)いずれかのジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(11)は、前記ジアルコキシマグネシウムのSi含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とする(1)〜(9)いずれかのジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(12)は、(1)〜(11)いずれかのジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られたジアルコキシマグネシウム(a)と、チタンハロゲン化合物(b)と、電子供与性化合物(c)とを接触させて得られたものであることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分を提供するものである。
また、本発明(13)は、(A)(12)のオレフィン類重合用固体触媒成分、及び(B)下記一般式(2):
2 pAlQ3-p (2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。R2が複数存在する場合、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とするオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
また、本発明(14)は、更に、(C)外部電子供与性化合物を含むことを特徴とする(13)のオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
また、本発明(15)は、(13)又は(14)いずれかのオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが得られるジアルコキシマグネシウムの製造方法を提供することができる。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法は、金属マグネシウムとアルコールを、反応促進剤の存在下で反応させて、ジアルコキシマグネシウムを得るジアルコキシマグネシウムの製造方法であって、
該金属マグネシウムと該アルコールとを反応させる前に又は反応途中に、界面活性剤を添加すること、
を特徴とするジアルコキシマグネシウムの製造方法である。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法に係る金属マグネシウムの形状は、特に制限されず、例えば、顆粒状、リボン状、粉末状等が挙げられる。これらのうち、金属マグネシウムとしては、粉末状のものが好ましい。粉末状の金属マグネシウムの平均粒径(D50)は、5〜500μmであり、10〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜400μm、特に好ましくは30〜300μmである。金属マグネシウムの表面状態は、特に制限されないが、表面に酸化マグネシウム等の被膜が生成されていないものが好ましい。金属マグネシウム中の平均粒径が5μm未満の微粉成分の含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であり、平均粒径が500μm以上の粗粉成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法に係るアルコールは、特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の炭素数が1〜6の低級アルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。アルコールの含水量は、特に制限されないが、含水量が少ないほど好ましく、無水アルコール又は含水量が200ppm以下の脱水アルコールが特に好ましい。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、金属マグネシウムと、アルコールとを、反応促進剤の存在下で反応させる。
反応促進剤としては、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、金属ハロゲン化物、酸ハライド、下記一般式(6):
SiR1 n(4-n) (6)
で表されるハロゲン化ケイ素化合物等が挙げられる。
一般式(6)中、R1は、アルキル基又はアルコキシ基であり、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基又はアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数が1〜2のアルキル基又はアルコキシ基である。Xは、塩素原子又は臭素原子であり、Xとしては、塩素原子が好ましい。nは、0〜3の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0が特に好ましい。なお、nが2以上のとき、複数のR1は互いに同一であっても、異なってもよい。また、Xが複数あるときは、複数のXは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
一般式(6)で表されるハロゲン化ケイ素化合物は、好ましくはテトラフルオロシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラヨードシランである。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法において、金属マグネシウムの合計量に対するアルコールの合計量のモル比(アルコール合計量/金属マグネシウム合計量)は、好ましくは3〜30、特に好ましくは5〜20である。金属マグネシウムの合計量に対するアルコール合計量のモル比が、上記範囲にあることにより、微粗粉が少なく粒度分布が良好で且つ、嵩密度の高いジアルコキシマグネシウムとなる。なお、金属マグネシウムを、1回で反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、金属マグネシウムを、複数回に分けて反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、複数回の添加量の合計を指す。また、アルコールを、1回で反応系に添加する場合は、アルコールの合計量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、アルコールを、複数回に分けて反応系に添加する場合は、アルコールの合計量とは、複数回の添加量の合計を指す。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法において、金属マグネシウムの合計量に対する反応促進剤の合計量のモル比(反応促進剤合計量/金属マグネシウム合計量)は、好ましくは0.0001〜0.1、特に好ましくは0.003〜0.03である。金属マグネシウムの合計量に対する反応促進剤の合計量のモル比が上記範囲にあることにより、粒度分布及び嵩密度が良好で且つ、形状の良好な高純度ジアルコキシマグネシウムとなる。なお、金属マグネシウムを、1回で反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、金属マグネシウムを、複数回に分けて反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、複数回の添加量の合計を指す。また、反応促進剤を、1回で反応系に添加する場合は、反応促進剤の合計量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、反応促進剤を、複数回に分けて反応系に添加する場合は、反応促進剤の合計量とは、複数回の添加量の合計を指す。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、金属マグネシウムとアルコールとを、撹拌しながら、アルコール中に金属マグネシウムを分散させた懸濁状態で、これらの反応を行う。本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、反応促進剤を、予めアルコールに混合しておき、反応促進剤を含有するアルコールと、金属マグネシウムとを混合することにより、あるいは、金属マグネシウムとアルコールとを混合させて得られる懸濁液に、反応促進剤を添加することにより、あるいは、反応促進剤が液体の場合はアルコールと混合せずにそのまま添加することにより、反応系中に反応促進剤を導入し、金属マグネシウムとアルコールとを、反応促進剤の存在下で、反応させる。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、反応系への金属マグネシウム及びアルコールの導入を、一度に行ってもよいし、あるいは、複数回に分けて行ってもよい。以下、反応系へ金属マグネシウム及びアルコールを複数回に分けて添加することを分割添加とも記載する。つまり、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、最初から金属マグネシウム及びアルコールの全量を用いて反応を開始してもよいし、あるいは、金属マグネシウム及びアルコールの一部を用いて反応を開始した後、反応を継続中に、残りの金属マグネシウム及びアルコールを、一度に又は複数回に分けて反応系に添加してもよい。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、反応系への反応促進剤の導入を、一度に行ってもよいし、あるいは、複数回に分けて行ってもよい。つまり、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、金属マグネシウム及びアルコールと共に、反応促進剤の全量を混合してもよいし、あるいは、金属マグネシウムとアルコールとを混合した後、反応を開始する前に、反応促進剤の全量を添加してもよいし、あるいは、金属マグネシウム及びアルコールと共に、反応促進剤の一部を存在させて反応を開始した後、反応を継続中に、残りの反応促進剤を、一度に又は複数回に分けて反応系に添加してもよい。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法における反応温度は、原料混合物の沸点以下であれば特に限定されず、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは50〜90℃であり、また、反応時間は、好ましくは0.5〜15時間、特に好ましくは1〜10時間の範囲であり、また、反応雰囲気は、不活性ガス雰囲気である。
そして、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、金属マグネシウムとアルコールとを反応させる前に又は反応途中に、反応系に、1回で、あるいは、複数回に分けて、界面活性剤を添加する。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法に係る界面活性剤としては、特に限定されず、界面自由エネルギーを小さくする特性を有する物質であれば好適に用いられる。界面活性剤は、1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。そして、界面活性剤としては、Si−O単位の数が1〜30のジメチルポリシロキサン、周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等が好ましい。Si−O単位の数が1〜30のジメチルポリシロキサンは、1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。また、周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩は、1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
Si−O単位の数が1〜30のジメチルポリシロキサンとしては、一般式(1a):
Figure 2020002080
(式中、nは3〜30の整数である。)
で表される環状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。
また、Si−O単位の数が1〜30のジメチルポリシロキサンとしては、下記一般式(1b):
Figure 2020002080
(式中、mは1〜30の整数である。)
で表される鎖状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。
本発明において、周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩とは、周期表第1族元素又は周期表第2族元素と炭素数5以上の中から長鎖の炭化水素基を有する1価カルボン酸とからなる化合物である。周期表第1族元素は、Hを除き、Li、Na、K、Rb、Cs、Frであり、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、ナトリウム又はカリウムが特に好ましい。また、周期表第2族元素は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba又はRaであり、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムが好ましく、マグネシウムまたはカルシウムが特に好ましい。特に、周期表第2族元素の脂肪酸塩としては、マグネシウムの脂肪酸塩が、ジアルコキシマグネシウムと同様、固体触媒成分の調製時に塩化マグネシウムへと変化することから、反系外に除去する必要がない点で好ましい。
つまり、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、(i)金属マグネシウムとアルコールとを反応させる前に、界面活性剤を反応系に添加してから、金属マグネシウムとアルコールとの反応を開始させて、金属マグネシウムとアルコールとの反応を行うか、又は(ii)金属マグネシウムとアルコールとを反応させている途中に、界面活性剤を添加し、更に金属マグネシウムとアルコールとの反応を続ける。
一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンにおいて、一般式(1a)中、nは、3〜30の整数、好ましくは3〜20の整数、より好ましくは3〜10の整数である。一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンとしては、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサンなどが挙げられる。一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンは、1種であっても、一般式(1a)で表される範囲の2種以上の組み合わせであってもよい。
一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンの添加量は、反応に用いられる金属マグネシウムの合計量に対して0.1質量%以上、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.5〜20質量%である。なお、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンを、1回で反応系に添加する場合は、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンの添加量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンを、複数回に分けて反応系に添加する場合は、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサンの添加量とは、複数回の添加量の合計を指す。また、金属マグネシウムを、1回で反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、金属マグネシウムを、複数回に分けて反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、複数回の添加量の合計を指す。
また、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンにおいて、一般式(1b)中、mは、1〜30の整数、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜12の整数、特に好ましくは1〜10の整数である。一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。特に、ジアルコキシマグネシウムを製造後、溶媒を留去する際、溶媒と共に蒸発し易いため、ジアルコキシマグネシウム中の残留量が少なくなり、ジアルコキシマグネシウムの純度が高くなる点で、一般式(1b)中のmが1〜6である鎖状ジメチルポリシロキサンが好ましい。一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンは、1種であっても、一般式(1b)で表される範囲の2種以上の組み合わせであってもよい。
一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンの沸点は、特に制限されないが、ジアルコキシマグネシウムの製造に用いられるアルコールの沸点よりも高いことが望ましい。一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンの沸点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは80〜500℃、さらに好ましくは80〜400℃、特に好ましくは90〜300℃である。特に、反応後に得られるジアルコキシマグネシウムを加熱乾燥、気流乾燥又は減圧乾燥するときに、アルコールと共に除去され易く、ジアルコキシマグネシウム中の鎖状ジメチルポリシロキサンの残留量が少なくなり、ジアルコキシマグネシウムの純度が高くなる点で、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンの沸点が90〜250℃の範囲にあることが好ましい。
一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンの添加量は、反応に用いられる金属マグネシウムの合計量に対して0.1質量%以上、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.5〜20質量%である。なお、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンを、1回で反応系に添加する場合は、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンの添加量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンを、複数回に分けて反応系に添加する場合は、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサンの添加量とは、複数回の添加量の合計を指す。また、金属マグネシウムを、1回で反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、その1回で添加するときの添加量を指し、また、金属マグネシウムを、複数回に分けて反応系に添加する場合は、金属マグネシウムの合計量とは、複数回の添加量の合計を指す。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法において、(i)金属マグネシウムとアルコールとを反応させる前に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を反応系に添加してから、金属マグネシウムとアルコールとの反応を開始させて、金属マグネシウムとアルコールとの反応を行う方法としては、例えば、反応促進剤及び本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を含有するアルコールに、金属マグネシウムを混合して反応を開始させ、金属マグネシウムとアルコールとの反応を行う方法;金属マグネシウムとアルコールと本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)とを混合させて得られる懸濁液に、反応促進剤を添加して、反応を開始させ、金属マグネシウムとアルコールとの反応を行う方法等が挙げられる。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法において、(ii)金属マグネシウムとアルコールとを反応させている途中に界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加し、その後、更に金属マグネシウムとアルコールとの反応を続ける方法としては、例えば、反応させる金属マグネシウムの全量のうちの一部を用いて反応を開始し、反応を継続中に、残りの金属マグネシウムを、一度に又は複数回に分けて反応系に分割添加する時に、又は残りの金属マグネシウムの分割添加と分割添加の間に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加した後、更に金属マグネシウムとアルコールとの反応を続ける方法;反応させる金属マグネシウムの全量を用いて反応を開始し、反応を継続中、すなわち、金属マグネシウムとアルコールとの反応を開始させてから反応を終了させるまでの間に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加し、その後、更に金属マグネシウムとアルコールとの反応を続ける方法;反応させる金属マグネシウムの全量のうちの一部を用いて反応を開始し、反応を継続中に、残りの金属マグネシウムを、一度に又は複数回に分けて反応系に分割添加し、全ての金属マグネシウムの添加をし終えたときから金属マグネシウムとアルコールとの反応を終了させるまでの間に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加し、本発明に係るジメチルポリシロキサンの添加後、金属マグネシウムとアルコールとの反応を更に続ける方法等が挙げられる。
これらの方法うち、粒度分布指数(SPAN)が小さくなる点で、金属マグネシウム、アルコール及び反応促進剤の全量を添加し終えたときから金属マグネシウムとアルコールとの反応を終了させるまでの間に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加し、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)の添加後、金属マグネシウムとアルコールとの反応を更に続ける方法が好ましく、金属マグネシウム、アルコール及び反応促進剤の全量を添加し終えたときから60分以内に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加し、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)の添加後、金属マグネシウムとアルコールとの反応を更に続ける方法する方法が特に好ましい。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行った後、得られたジアルコキシマグネシウムを、加熱乾燥、気流乾燥又は減圧乾燥等の方法により乾燥させることにより、あるいは、不活性炭化水素化合物で洗浄することにより、ジアルコキシマグネシウムからアルコールを除去する。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、金属マグネシウムとアルコールとを反応させる前に又は反応途中に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加して、金属マグネシウムとアルコールとの反応を行うことにより、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムを得ることができる。特に、従来の方法では、平均粒径が小さいジアルコキシマグネシウムを得るために、平均粒径が小さくなる条件で反応させると、粒度分布指数(SPAN)が大きくなってしまっていた。それに対し、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、金属マグネシウムとアルコールとを反応させる前に又は反応途中に、本発明に係る界面活性剤(例えば、一般式(1a)で表される環状ジメチルポリシロキサン、一般式(1b)で表される鎖状ジメチルポリシロキサン或いは周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩等)を添加して、金属マグネシウムとアルコールとの反応を行うことにより、粒度分布が広くなりやすい比較的粒径の小さなジアルコキシマグネシウムにおいて、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムを得ることができる。つまり、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、粒径が小さく且つ粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムを得ることができる。
また、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法では、嵩密度が高いジアルコキシマグネシウムが得られる。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムの粒度分布指数(SPAN)(SPAN=(D90−D10)/D50)は、2.0以下、好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.0以下である。本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムの平均粒径(D50)は、特に制限されず、通常5〜100μm、好ましくは7〜90μm、より好ましくは10〜80μm、更に好ましくは10〜60μm、特に好ましくは10〜50μmである。
特に、粒度分布が広くなりやすい比較的粒径の小さなジアルコキシマグネシウムにおいて、粒度分布指数(SPAN)が小さいジアルコキシマグネシウムが得られるという観点において、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムの平均粒径(D50)は、好ましくは7〜90μm、より好ましくは10〜80μm、更に好ましくは10〜60μm、特に好ましくは10〜50μmであり、且つ、粒度分布指数(SPAN)は、2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.8以下である。
なお、本発明において、D10、D50、D90は、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、MICROTRAC HRA 9320−X100)で測定して求められる粒度分布における積算体積分率が、それぞれ、10%、50%、90%に対応する粒子径(μm)を指す。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムの純度は、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムを用いて、オレフィン類重合用固体触媒成分を製造するときに、反応系にポリシロキサンを添加しない場合は、99質量%以上であり、より好ましくは99〜100質量%、特に好ましくは99.1〜99.9質量%である。なお、本発明において、ジアルコキシマグネシウムの純度とは、溶媒を除去した後のジアルコキシマグネシウムの純度のことであり、溶媒を除去した後、ジアルコキシマグネシウム中のハロゲン含有量からジアルコキシマグネシウム中の反応促進剤の含有量を求め、ジアルコキシマグネシウム中のSi含有量からジアルコキシマグネシウム中のジメチルポリシロキサンの含有量を求め、下記の式により算出した値のことである。
ジアルコキシマグネシウム純度(質量%)=100−{(反応促進剤含有量(質量%)+(ジメチルポリシロキサンの含有量(質量%))}
また、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムを用いて、オレフィン類重合用固体触媒成分を製造するときに、オレフィン類重合体の立体規則性を高めること等を目的として、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造の反応系に界面活性剤を添加する場合、本発明に係る界面活性剤が、ジアルコキシマグネシウム中に残留していてもよいので、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウム中の本発明に係る界面活性剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウム中の反応促進剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。なお、本発明において、溶媒を除去した後、ジアルコキシマグネシウム中のハロゲン含有量からジアルコキシマグネシウム中の反応促進剤の含有量を求め、また、ジアルコキシマグネシウム中のSi含有量からジアルコキシマグネシウム中の本発明に係るジメチルポリシロキサンの含有量を求める。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムの嵩密度は、好ましくは0.15〜0.70g/ml、より好ましくは0.20〜0.60g/ml、特に好ましくは0.20〜0.50g/mlである。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムは、アルコールを含有しないものが好ましいが、アルコールの含有量が5質量%以下のもの、好ましくは2質量%以下のもの、特に好ましくは1質量%以下のものであれば許容される。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムは、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造原料のジアルコキシマグネシウムとして、好適に用いられる。特に、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムは、平均粒径が小さく、且つ、粒度分布指数(SPAN)が小さいポリオレフィン製造用の固体触媒成分を製造するための原料アルコキシマグネシウムとして、好適である。
本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られるジアルコキシマグネシウムを原料として用いるオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法は、特に制限されず、適宜選択される。
例えば、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法としては、以下の製造方法が挙げられる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分は、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られたジアルコキシマグネシウム(a)と、チタンハロゲン化合物(b)と、電子供与性化合物(c)とを接触させて得られたものであることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分である。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分に係るジアルコキシマグネシウム(a)の製造方法の詳細は、上述したとおりである。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を構成するチタンハロゲン化合物(b)としては、公知の物から選ばれる一種以上が挙げられ、四価のチタンハロゲン化合物が好ましく、チタンテトラクロライドがより好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を構成する電子供与性化合物(c)としては、公知の物から選ばれる一種以上が挙げられ、酸素原子あるいは窒素原子を有する有機化合物であることが好ましい。
電子供与性化合物(c)としては、コハク酸エステル、マレイン酸エステル、シクロヘキセンカルボン酸エステル、エーテルカルボン酸エステル、ジカーボネート、エーテルカーボネートから選ばれる一種以上であることが好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分において、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、電子供与性化合物の含有量は特に規定されない。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分において、チタン原子の含有割合は、0.5〜8.0質量%であることが好ましく、1.0〜6.0質量%であることがより好ましく、1.0〜4.0質量%であることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分において、マグネシウム原子の含有割合は、10〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることがさらに好ましく、15〜25質量%であることが一層好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分において、ハロゲン原子の含有割合は、20〜90質量%であることが好ましく、30〜85質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましく、45〜75質量%であることが一層好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分において、電子供与性化合物(c)の含有割合は、合計で、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分において、その総合性能をバランスよく発揮させるためには、チタン含有量が1〜4質量%、マグネシウム含有量が15〜25質量%、ハロゲン原子の含有量が45〜75質量%、電子供与性化合物(c)の含有量が2〜20質量%であることが望ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を製造する方法としては、アルコキシマグネシウム(a)、チタンハロゲン化合物(b)及び電子供与性化合物(c)を、沸点が50〜150℃の不活性有機溶媒(d)の存在下に接触させる方法が挙げられる。
沸点が50〜150℃の不活性有機溶媒(d)としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、オクタン、デカン等から選ばれる一種以上が挙げられる。沸点が50〜150℃の不活性有機溶媒(d)としては、芳香族炭化水素化合物及び脂肪族炭化水素化合物が一般的であるが、反応性又は反応後の洗浄時に不純物の溶解度が低下しないのであれば、芳香族炭化水素及び飽和炭化水素以外の不活性有機溶媒でもよい。
また、本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を製造する場合、さらに、反応系にポリシロキサンを加えてもよい。ポリシロキサンとしては、従来公知のものが適宜選択されるが、デカメチルシクロペンタシロキサン及びジメチルポリシロキサンから選ばれる一種以上が好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサンがより好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を調製する方法の詳細は、従来公知のオレフィン類重合用固体触媒成分を調製する方法と同様である。
なお、上述したように、本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分は、本発明のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られたジアルコキシマグネシウム(a)と、チタンハロゲン化合物(b)と、電子供与性化合物(c)とを接触させ、反応させて得られるものである。
本発明によれば、粒子表面が平滑で、平均粒径が大きく、低微粉量で、かつ粒径分布が狭い重合体を高い重合活性下で形成し得るオレフィン類重合用固体触媒成分を提供することができる。
本発明のオレフィン類重合用触媒は、(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分、及び(B)下記一般式(2):
2 pAlQ3-p (2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。R2が複数存在する場合、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とするオレフィン類重合用触媒である。また、本発明のオレフィン類重合用触媒は、(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分、及び(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物に加えて、更に、(C)外部電子供与性化合物を含むことができる。
本発明のオレフィン類重合用触媒に係る(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分は、上述したとおりである。
本発明のオレフィン重合用触媒は、(B)下記一般式(2):
2 pAlQ3-p (2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。R2が複数存在する場合、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機アルミニウム化合物を含む。
上記一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物としては、特に制限されないが、R2としては、エチル基及びイソブチル基から選ばれる一種以上が挙げられ、Qとしては、水素原子、塩素原子及び臭素原子から選ばれる一種以上が挙げられ、pは、2、2.5又は3が好ましく、3であることが特に好ましい。
このような有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイドなどのハロゲン化アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド等から選ばれる一種以上が挙げられ、中でもジエチルアルミニウムクロライドなどのハロゲン化アルキルアルミニウム、又はトリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム等から選ばれる一種以上が好ましく、トリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムから選ばれる一種以上がより好ましい。
本発明のオレフィン類重合用触媒において、外部電子供与性化合物(C)としては、公知の外部電子供与性化合物のうち酸素原子あるいは窒素原子を含有するものが好ましい。外部電子供与性化合物(C)は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明のオレフィン類重合用触媒において、外部電子供与性化合物(C)としては、下記一般式(3):
3 qSi(OR44-q (3)
(式中、R3は、炭素数1〜12のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基または置換基を有する炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を示し、R3が複数存在する場合、複数のR3は互いに同一でも異なっていてもよい。R4は、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基または置換基を有する炭素数7〜12の芳香族炭化水素基を示し、R4が複数存在する場合、複数のR4は互いに同一でも異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)で表される有機ケイ素化合物から選択される一種以上が挙げられる。
また、本発明のオレフィン類重合用触媒において、外部電子供与性化合物(C)としては、下記一般式(4):
(R56N)sSiR7 4-s (4)
(式中、R5およびR6は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜20のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、R5およびR6は互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成してもよく、R56N基が複数存在する場合、複数のR56N基は互いに同一でも異なっていてもよい。R7は炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ビニルオキシ基、炭素数3〜20のアルケニルオキシ基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基を示し、R7が複数存在する場合、複数のR7は互いに同一でも異なっていてもよい。sは1から3の整数である。)で表されるアミノシラン化合物から選択される一種以上が挙げられる。
上記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物又は一般式(4)で表わされるアミノシラン化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、アルキル(シクロアルキル)アルコキシシラン、(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、シクロアルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、テトラキス(アルキルアミノ)シラン、アルキルトリス(アルキルアミノ)シラン、ジアルキルビス(アルキルアミノ)シラン、トリアルキル(アルキルアミノ)シラン等が挙げられる。
上記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物又は一般式(4)で表わされるアミノシラン化合物としては、具体的には、n−プロピルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジイソペンチルジメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキシル)ジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ビス(エチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)t−ブチルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)(メチルシクロペンチルアミノ)メチルシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ビス(シクロヘキシルアミノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、エチル(イソキノリノ)ジメトキシシラン等から選ばれる一種以上が挙げられ、中でも、n−プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジイソペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン等から選ばれる一種以上が好ましい。
また、本発明のオレフィン類重合用触媒において、外部電子供与性化合物(C)としては、2つ以上のエーテル基を有するエーテル化合物が挙げられる。2つ以上のエーテル基を有するエーテル化合物としては、2位に置換基を有する1,3−ジエーテル化合物が好ましい。2位に置換基を有する1,3−ジエーテル化合物としては、下記一般式(5);
6−O−CH2CR78CH2−O−R9 (5)
(式中、R7およびR8は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基あるいはシクロアルケニル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基あるいはハロゲン置換芳香族炭化水素基、置換基を有する炭素数7〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基または炭素数2〜12のジアルキルアミノ基を示し、同一または異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R6およびR9は炭素数1〜12のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基あるいはハロゲン置換芳香族炭化水素基または置換基を有する炭素数7〜12の芳香族炭化水素基を示し、同一または異なっていてもよい。)
で表される1,3−ジエーテル化合物が挙げられる。
一般式(5)で表される1,3−ジエーテル化合物としては、類具体的には、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン等が挙げられ、中でも、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明のオレフィン類重合用触媒において、(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分、(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物及び必要に応じて用いられる(C)外部電子供与性化合物の含有割合は、本発明の効果が得られる範囲において任意に選定され、特に限定されるものではないが、オレフィン類重合用固体触媒成分(A)中のチタン原子1モルあたり、(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物が、1〜2000モルであることが好ましく、50〜1000モルであることがより好ましい。また、(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物1モルあたり、(C)外部電子供与性化合物が、0.002〜10モルであることが好ましく、0.01〜2モルであることがより好ましく、0.01〜0.5モルであることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法は、特に制限されず、例えば、(C)外部電子供与性化合物を用いる場合、(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分、(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物及び(C)外部電子供与性化合物を、公知の方法で接触させることにより、オレフィン類重合用触媒を製造する方法が挙げられる。
上記各成分を接触させる順序は任意であるが、例えば、以下の接触順序を例示することができる。
(i)(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分→(C)外部電子供与性化合物→(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物
(ii)(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物→(C)外部電子供与性化合物→(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分
(iii)(C)外部電子供与性化合物→(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分→(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物
(iv)(C)外部電子供与性化合物→(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物→(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分
上記接触例(i)〜(iv)のうち、接触例(ii)が好適である。
なお、上記接触例(i)〜(iv)において、「→」は接触順序を意味し、例えば、「(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分→(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物→(C)外部電子供与性化合物」は、(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分中に(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物を添加して接触させた後、(C)外部電子供与性化合物を添加して接触させることを意味する。
本発明のオレフィン類重合用触媒は、(A)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分、(B)一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物及び(C)外部電子供与性化合物を、オレフィン類不存在下で接触させてなるものであってもよいし、オレフィン類の存在下で(重合系内で)接触させてなるものであってもよい。
本発明によれば、表面が平滑で、平均粒径が大きく、低微粉量で、かつ粒径分布が狭いオレフィン類重合用触媒を提供することができる。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法は、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行うことを特徴とするものである。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類の重合は、単独重合であっても共重合であってもよい。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等から選ばれる一種以上が挙げられ、エチレン、プロピレンまたは1−ブテンが好適であり、プロピレンがより好適である。
プロピレンを重合する場合、他のオレフィン類との共重合を行ってもよく、プロピレンと他のα−オレフィンとのブロック共重合であることが好ましい。ブロック共重合により得られるブロック共重合体とは、2種以上のモノマー組成が連続して変化するセグメントを含む重合体であり、モノマー種、コモノマー種、コモノマー組成、コモノマー含量、コモノマー配列、立体規則性などポリマーの一次構造の異なるポリマー鎖(セグメント)が1分子鎖中に2種類以上繋がっている形態のものをいう。共重合されるオレフィン類としては、炭素数2〜20のα−オレフィン(炭素数3のプロピレンを除く)であることが好ましく、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、これ等のオレフィン類は一種以上併用であってもよい。とりわけ、エチレン及び1−ブテンが好適に用いられる。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法では、オレフィン類の重合を、有機溶媒の存在下でも不存在下でも行うことができる。また、本発明のオレフィン類重合体の製造方法では、気体及び液体のいずれの状態でも、重合対象となるオレフィン類を用いることができる。
オレフィン類の重合であるが、例えば、オートクレーブ等の反応炉内において、本発明のオレフィン類重合用触媒の存在下、オレフィン類を導入し、加熱、加圧状態下に、オレフィン類の重合を行うことができる。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法において、重合温度は、通常200℃以下であるが、100℃以下が好ましく、活性や立体規則性の向上の観点からは、60〜100℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。本発明のオレフィン類重合体の製造方法において、重合圧力は、10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましい。また、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に重合反応は一段で行ってもよいし、二段以上で行ってもよい。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類を重合(以下、適宜、本重合と称する。)するにあたり、重合対象となるオレフィン類に対して本発明のオレフィン類重合用触媒の構成成分の一部又は全部を接触させることにより、予備的な重合(以下、適宜、予備重合と称する。)を行ってもよい。
予備重合を行うに際して、本発明のオレフィン類重合用触媒の構成成分及びオレフィン類の接触順序は任意であるが、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内に先ず有機アルミニウム化合物を装入し、次いで本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を接触させた後、プロピレン等のオレフィン類を一種以上接触させることが好ましい。または、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内に先ず有機アルミニウム化合物を装入し、次いで外部電子供与性化合物を接触させ、更に本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分を接触させた後、プロピレン等のオレフィン類を一種以上接触させることが好ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類、あるいはスチレン等のモノマーを用いることができ、予備重合条件も、上記重合条件と同様である。
上記予備重合を行うことにより、触媒活性を向上させ、得られる重合体の立体規則性および粒子性状等を一層改善し易くなる。
本発明によれば、表面が平滑で、平均粒径が大きく、低微粉量で、かつ粒径分布が狭い重合体を高い重合活性下で製造することができるオレフィン類重合体の製造方法を提供することができる。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法は、特に、気相法によるポリオレフィンの製造プロセスに適用される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<ジエトキシマグネシウムの製造>
積算型ガスメーター、滴下ロート、撹拌器及び還流冷却器を備え、内部が窒素ガスで充填されている容量1Lの四つ口フラスコ内に、金属マグネシウム粉(平均粒径97μm)2.0g、無水エタノール76g及びヨウ素1.29g(5.07ミリモル)を装入し、オイルバスでエタノールの還流温度まで加熱し、還流状態を維持した。
次いで、この中に、金属マグネシウム粉5.8gとエタノール33gの混合物を、4回に分けて6.5分毎に添加した。全量を添加後、デカメチルシクロペンタシロキサン0.37g(1.00ミリモル)を添加し、更に1時間の加熱還流を行い、反応を完結させた。
次いで、反応液をロータリーエバポレーターにて乾燥し、粉末状のジエトキシマグネシウム29.9gを得た。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.84質量%、Si原子含有量は0.70質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると8.53質量%)であった。また、分析評価の結果を表1に示す。
<平均粒径(D50)及びSPANの分析>
レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、MICROTRAC HRA 9320−X100)を用い、ジアルコキシマグネシウムを無水エタノールに分散させて、自動測定を2回行い、粒度分布を測定し、積算体積分率10%の粒子径(D10)、積算体積分率50%の粒子径(D50)、積算体積分率90%の粒子径(D90)を求め、各平均値を、D10、D50、D90とした。そして、得られたD50の値を平均粒径とし、また、得られたD10、D50及びD90の値から、下記の式よりSPANを算出した。
SPAN=(D90−D10)/D50
<ジアルコキシマグネシウム純度>
得られたジアルコキシマグネシウムの純度(質量%)は、自動滴定装置自動滴定装置(株式会社三菱ケミカルアナリテック製、型式GT−200)により測定した、溶媒を除去した後のジアルコキシマグネシウム中のハロゲン含有量(質量%)から、反応促進剤として用いたヨウ素のジアルコキシマグネシウム中における含有量(質量%)と、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置(株)日立ハイテクサイエンス製、型式SPS-3100により測定した、溶媒を除去した後のジアルコキシマグネシウム中のSi含有量(質量%)から、デカメチルシクロペンタシロキサンのジアルコキシマグネシウム中における含有量(質量%)を各々求め、下記の式により算出した。
ジアルコキシマグネシウム純度(質量%)=100−{(ヨウ素含有量(質量%))+(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量(質量%))}
(実施例2)
デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.37g(1.0ミリモル)から1.11g(3.0ミリモル)に変更する以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.73質量%、Si含有量は1.84質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると4.85質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.37g(1.0ミリモル)から3.33g(9.0ミリモル)に変更する以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.32質量%、Si含有量は4.22質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると11.14質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
金属マグネシウム粉を全量添加後、デカメチルシクロペンタシロキサン0.37g(1.0ミリモル)を添加する代わりに、金属マグネシウム粉2.0g、無水エタノール76g及びヨウ素1.3g(5.08ミリモル)を装入する際にデカメチルシクロペンタシロキサン1.11g(3.0ミリモル)を添加する以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.88質量%、Si含有量は3.23質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると8.51質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
金属マグネシウム粉を全量添加後、デカメチルシクロペンタシロキサン0.37g(1.0ミリモル)を添加する代わりに、金属マグネシウム粉5.8gとエタノール33gの混合物の4回目分割添加を行う際にデカメチルシクロペンタシロキサン1.11g(3.0ミリモル)を添加する以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.62質量%、Si含有量は2.66質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると7.02質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例6)
デカメチルシクロペンタシロキサン0.37g(1.0ミリモル)を添加する代わりに同モルのヘキサメチルシクロトリシロキサンを添加する以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.54質量%、Si含有量は2.43質量%(ヘキサメチルシクロトリシロキサン含有量に換算すると6.41質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例7)
デカメチルシクロペンタシロキサン0.37g(1.0ミリモル)を添加する代わりに同モルのオクタメチルシクロテトラシロキサンを添加する以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.49質量%、Si含有量は2.56質量%(オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量に換算すると6.76量%)であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
金属マグネシウム粉添加後のデカメチルシクロペンタシロキサンの添加を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.61質量%、Si含有量は0質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると0質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例8)
デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.37g(1.0ミリモル)とすることに代えて、デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.074g(0.2ミリモル)にする以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は3.16質量%、Si含有量は0.01質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると0.03質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例9)
デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.37g(1.0ミリモル)とすることに代えて、デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.185g(0.5ミリモル)にする以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.94質量%、Si含有量は0.18質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると0.48質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例10)
デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.37g(1.0ミリモル)とすることに代えて、デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を5.55g(15.0ミリモル)にする以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は3.08質量%、Si含有量は5.10質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると13.46質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例11)
デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.37g(1.0ミリモル)とすることに代えて、デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を7.40g(20.0ミリモル)にする以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.88質量%、Si含有量は5.60質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると14.78質量%)であった。結果を表1に示す。
(実施例12)
デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を0.37g(1.0ミリモル)とすることに代えて、デカメチルシクロペンタシロキサン添加量を11.10g(30.0ミリモル)にする以外は、実施例1と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.70質量%、Si含有量は6.20質量%(デカメチルシクロペンタシロキサン含有量に換算すると16.36質量%)であった。結果を表1に示す。
Figure 2020002080
1)金属マグネシウム合計量に対する環状ジメチルポリシロキサンの添加量
2)得られたジアルコキシマグネシウム中のSi含有量
(実施例13)
積算型ガスメーター、滴下ロート、撹拌器及び還流冷却器を備え、内部が窒素ガスで充填されている容量1Lの四つ口フラスコ内に、金属マグネシウム粉(平均粒径97μm)2.0g、無水エタノール76g及びヨウ素1.29g(5.07ミリモル)を装入し、オイルバスでエタノールの還流温度まで加熱し、還流状態を維持した。
次いで、この中に、金属マグネシウム粉5.8gとエタノール33gの混合物を、4回に分けて6.5分毎に添加した。全量を添加後、ステアリン酸マグネシウム0.37g(0.63ミリモル)を添加し、更に1時間の加熱還流を行い、反応を完結させた。
次いで、反応液をロータリーエバポレーターにて乾燥し、粉末状のジエトキシマグネシウムを得た。分析評価の結果を表2に示す。
Figure 2020002080
1)ジアルコキシマグネシウム調製時に添加したアルカリ土類金属脂肪酸塩の金属マグネシウム合計量に対する質量比
(実施例14)
<オレフィン重合用固体触媒成分の調製>
窒素ガスで充分置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン30mlおよびトルエン20mlを装入して、混合溶液を形成した。次いで、上記実施例1で得たジエトキシマグネシウム10g 、トルエン50mlおよびフタル酸ジ−n−ブチル3.3ml(12.5ミリモル)を用いて形成された懸濁液を、10℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。
その後、液温を10℃から90℃まで昇温し、攪拌しながら、90℃で2時間反応させた。
反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン100mlで4回洗浄し、新たに四塩化チタン30mlおよびトルエン70mlを加え、110℃に昇温し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、40℃のn−ヘプタン100mlで10回洗浄して、オレフィン重合用固体触媒成分(A−1)を得た。
なお、この固体触媒成分(A−1)中には、内部電子供与性化合物として、フタル酸ジエステルが14.2質量%含まれていた。また、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.2重量%であった。
<オレフィン重合触媒の形成及びプロピレン重合>
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの撹拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム1.32ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.13ミリモルおよび上記固体触媒成分(A−1)をチタン原子換算で0.0026ミリモル装入し、オレフィン重合用触媒を形成した。
次いで、水素ガス4リットルおよび液化プロピレン1.4リットルをオートクレーブに装入し、20℃で5分間予備重合を行った後、70℃まで昇温し、70℃で1時間の重合反応を行うことにより、プロピレン重合体を得た。固体触媒成分1g当たりの重合活性および得られた重合体の物性を表3に示す。
<重合体の平均粒径、粒度分布指数および粒径75μm未満の微粉量>
得られた重合体の平均粒径、粒度分布指数および、粒径75μm未満の微粉量について、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(カムサイザー、株式会社堀場製作所製)を用い、下記の測定条件において重合体の体積基準積算粒度分布の自動測定を行なった。
(測定条件)
ファネル位置:6mm
カメラのカバーエリア:ベーシックカメラ3%未満、ズームカメラ10%未満
目標カバーエリア:0.5%
フィーダ幅:40mm
フィーダコントロールレベル:57、40秒
測定開始レベル:47
最大コントロールレベル:80
コントロールの基準:20
画像レート:50%(1:2)
粒子径定義:粒子1粒ごとにn回測定したマーチン径の最小値
SPHT(球形性)フィッティング:1
クラス上限値:対数目盛とし32μm〜4000μmの範囲で50点を選択
(比較例2)
ジエトキシマグネシウムとして、上記比較例1で得たジエトキシマグネシウムを用いたこと以外は、上記実施例14と同様にして、オレフィン重合用固体触媒成分の調製、オレフィン重合触媒の形成、プロピレン重合及び得られた重合体の物性評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2020002080
(実施例15)
<ジエトキシマグネシウムの製造>
積算型ガスメーター、滴下ロート、撹拌器及び還流冷却器を備え、内部が窒素ガスで充填されている容量1Lの四つ口フラスコ内に、金属マグネシウム粉(平均粒径97μm)2.0g、無水エタノール76g及びヨウ素1.3g(5.1ミリモル)を装入し、オイルバスでエタノールの還流温度まで加熱し、還流状態を維持した。
次いで、この中に、金属マグネシウム粉5.8gとエタノール33gの混合物を、4回に分けて6.5分毎に添加した。全量を添加後、ヘキサメチルジシロキサン3.3g(20ミリモル)を添加し、更に1時間の加熱還流を行い、反応を完結させた。
次いで、反応液をロータリーエバポレーターにて乾燥し、粉末状のジエトキシマグネシウム27.8gを得た。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.9質量%、Si含有量は0.13質量%(ヘキサメチルジシロキサン含有量に換算すると0.77質量%)であった。また、分析評価の結果を表4に示す。
(実施例16)
ヘキサメチルジシロキサン添加量を3.3g(20ミリモル)から2.2g(14ミリモル)に変更する以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.9質量%、Si含有量は0.09質量%(ヘキサメチルジシロキサン含有量に換算すると0.51質量%)であった。結果を表4に示す。
(実施例17)
ヘキサメチルジシロキサン添加量を3.3g(20ミリモル)から5.5g(34ミリモル)に変更する以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.7質量%、Si含有量は0.22質量%(ヘキサメチルジシロキサン含有量に換算すると1.28質量%)であった。結果を表4に示す。
(実施例18)
ヘキサメチルジシロキサン添加量を3.3g(20ミリモル)から7.3g(45ミリモル)に変更する以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.6質量%、Si含有量は0.01質量%(ヘキサメチルジシロキサン含有量に換算すると0.06質量%)であった。結果を表4に示す。
(実施例19)
ヘキサメチルジシロキサン3.3g(20ミリモル)の代わりにドデカメチルペンタシロキサン3.3g(8.5ミリモル)を用いる以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.4質量%、Si含有量は0.65質量%(ポリシロキサン含有量に換算すると3.6質量%)であった。結果を表4に示す。
(実施例20)
ヘキサメチルジシロキサン3.3g(20ミリモル)の代わりにシリコーンオイル(CasNo.63148-62-9)3.3gを用いる以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.3質量%、Si含有量は0.09質量%(ポリシロキサン含有量に換算すると0.52質量%)であった。結果を表4に示す。
(実施例21)
ヘキサメチルジシロキサン3.3g(20ミリモル)の代わりにオクタメチルトリシロキサン3.3g(14ミリモル)を用いる以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.5質量%、Si含有量は0.01質量%(ポリシロキサン含有量に換算すると0.08質量%)であった。結果を表4に示す。
(実施例22)
ヘキサメチルジシロキサン3.3g(20ミリモル)の代わりにデカメチルテトラシロキサン3.3g(11ミリモル)を用いる以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.1質量%、Si含有量は0.20質量%(ポリシロキサン含有量に換算すると2.2質量%)であった。結果を表4に示す。
(比較例3)
金属マグネシウム粉を添加後のヘキサメチルジシロキサンの添加を行わないこと以外は、実施例15と同様にして、粉末状のジエトキシマグネシウムを調製した。
得られたジエトキシマグネシウムの分析を行ったところ、ヨウ素含有量は2.6質量%、Si含有量は0質量%であった。結果を表4に示す。
Figure 2020002080
1)金属マグネシウム合計量に対する環状ジメチルポリシロキサンの添加量
2)得られたジアルコキシマグネシウム中のSi含有量
(実施例23)
<オレフィン重合用固体触媒成分の調製>
窒素ガスで充分置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン30mlおよびトルエン20mlを装入して、混合溶液を形成した。次いで、上記実施例15で得たジエトキシマグネシウム10g 、トルエン50mlおよびフタル酸ジ−n−ブチル3.3ml(12.5ミリモル)を用いて形成された懸濁液を、10℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。
その後、液温を10℃から90℃まで昇温し、攪拌しながら、90℃で2時間反応させた。
反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン100mlで4回洗浄し、新たに四塩化チタン30mlおよびトルエン70mlを加え、110℃に昇温し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、40℃のn−ヘプタン100mlで10回洗浄して、オレフィン重合用固体触媒成分(A−2)を得た。
なお、この固体触媒成分(A−2)中には、内部電子供与性化合物として、フタル酸ジエステルが14.2質量%含まれていた。また、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.2重量%であった。
<オレフィン重合触媒の形成及びプロピレン重合>
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの撹拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム1.32ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.13ミリモルおよび上記固体触媒成分(A−2)をチタン原子換算で0.0026ミリモル装入し、オレフィン重合用触媒を形成した。
次いで、水素ガス4リットルおよび液化プロピレン1.4リットルをオートクレーブに装入し、20℃で5分間予備重合を行った後、70℃まで昇温し、70℃で1時間の重合反応を行うことにより、プロピレン重合体を得た。固体触媒成分1g当たりの重合活性および、得られた重合体の物性を表5に示す。
<重合体の平均粒径、粒度分布指数および粒径75μm未満の微粉量>
得られた重合体の平均粒径、粒度分布指数および、粒径75μm未満の微粉量について、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(カムサイザー、株式会社堀場製作所製)を用い、下記の測定条件において重合体の体積基準積算粒度分布の自動測定を行なった。
(測定条件)
ファネル位置:6mm
カメラのカバーエリア:ベーシックカメラ3%未満、ズームカメラ10%未満
目標カバーエリア:0.5%
フィーダ幅:40mm
フィーダコントロールレベル:57、40秒
測定開始レベル:47
最大コントロールレベル:80
コントロールの基準:20
画像レート:50%(1:2)
粒子径定義:粒子1粒ごとにn回測定したマーチン径の最小値
SPHT(球形性)フィッティング:1
クラス上限値:対数目盛とし32μm〜4000μmの範囲で50点を選択
(比較例4)
ジエトキシマグネシウムとして、上記比較例3で得たジエトキシマグネシウムを用いる以外は、上記実施例23と同様にして、オレフィン重合用固体触媒成分の調製、オレフィン重合触媒の形成、プロピレン重合及び得られた重合体の物性評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2020002080

Claims (15)

  1. 金属マグネシウムとアルコールを、反応促進剤の存在下で反応させて、ジアルコキシマグネシウムを得るジアルコキシマグネシウムの製造方法であって、
    該金属マグネシウムと該アルコールとを反応させる前に又は反応途中に、界面活性剤を添加すること、
    を特徴とするジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  2. 前記界面活性剤が、Si−O単位の数が1〜30のジメチルポリシロキサンであることを特徴とする請求項1記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  3. 前記界面活性剤が、周期表第1族元素又は周期表第2族元素の脂肪酸塩であることを特徴とする請求項1記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  4. 前記ジメチルポリシロキサンが、下記一般式(1a):
    Figure 2020002080
    (式中、nは3〜30の整数である。)
    で表される環状ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする請求項2記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  5. 前記ジメチルポリシロキサンが、下記一般式(1b):
    Figure 2020002080
    (式中、mは1〜30の整数である。)
    で表される鎖状ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする請求項2記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  6. 前記一般式(1b)で表されるジメチルポリシロキサンが、前記一般式(1b)中のmが1〜10である鎖状ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする請求項5記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  7. 前記アルカリ土類金属の脂肪酸塩が、マグネシウム又はカルシウムの脂肪酸塩であることを特徴とする請求項3記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  8. 前記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径(D50)が5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  9. 前記金属マグネシウムの平均粒径(D50)が5〜500μmであることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  10. 前記ジアルコキシマグネシウムの嵩密度が0.15〜0.70g/mlであり、且つ、粒度分布指数((D50/(D90−D10))が0.3〜2.0であることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  11. 前記ジアルコキシマグネシウムのSi含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のジアルコキシマグネシウムの製造方法を行い得られたジアルコキシマグネシウム(a)と、チタンハロゲン化合物(b)と、電子供与性化合物(c)とを接触させて得られたものであることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分。
  13. (A)請求項12記載のオレフィン類重合用固体触媒成分、及び(B)下記一般式(2):
    2 pAlQ3-p (2)
    (式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。R2が複数存在する場合、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)
    で表される有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  14. 更に、(C)外部電子供与性化合物を含むことを特徴とする請求項13記載のオレフィン類重合用触媒。
  15. 請求項13又は14いずれか1項記載のオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
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