JP2020002075A - ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体及びその可変領域断片 - Google Patents

ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体及びその可変領域断片 Download PDF

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Abstract

【課題】ラットとヒトの腎上皮ポドプラニンの両方を標的とできる標的交差性を持つ抗体や低分子抗体を提供すること。【解決手段】以下の6つのCDRのアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、以下の6つのCDRのアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、以下の6つのCDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を少なくとも1つ有する、ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片:重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)重鎖CDR2:VIWGGGNTYYNSALKS(配列番号:2)重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)軽鎖CDR1:KSSQSLLNSGNQKNYLI(配列番号:4)軽鎖CDR2:WASTRES(配列番号:5)軽鎖CDR3:QNDHTYPLT(配列番号:6)。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体及びその可変領域断片などに関する。
ポドプラニンは、血小板凝集因子及び転移促進因子として知られるムチン型糖タンパク質であり、C末端に膜貫通部位を有するI型膜貫通型タンパク質である。
ポドプラニンは、脳腫瘍、中皮腫、精巣腫瘍、卵巣がん、及び各種扁平上皮がん(口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がん、皮膚がん、子宮頸がん)などに高発現していることが知られている。したがって、抗ポドプラニン抗体は、ポドプラニンが高発現しているがん(腫瘍)において抗がん作用(抗腫瘍活性)を示すことが期待される。そのため、ポドプラニンに対する特異性や親和性がより高い抗体や、ポドプラニンを認識する新規抗体などが求められている。
腎臓中のポドプラニンが発現している糸球体足細胞(ポドサイト)は、血中蛋白質の濾過膜としての機能を果たしている.このポドサイトが障害を受けると蛋白尿が生じ、ポドサイト障害が長く続くと糸球体の基底膜からポドサイトが脱落し、糸球体硬化・慢性腎不全へと進行する(非特許文献1)。
ポドサイトは増殖・再生能を持たないため,治療のうえでポドサイトの形態,機能を保持することは重要である(非特許文献2)。そのため、ポドサイト障害の早期発見やポドサイトへの効果的な薬物の運搬が求められている。
国際公開第2015/053381号
日本内科学会雑誌 2012, 101(4): 1092-1101 北里医学 2016; 46: 1-12
そこで、ポドサイトにターゲットを絞り、腎上皮ポドプラニンを認識する新規抗体が求められている。
しかしながら、抗体は、標的特異性が高いという特性を有するが、医薬開発においては、動物実験は必須であるところ、ヒト由来の標的分子へ結合する抗体は、動物由来の標的へ結合しないことが多い。
本発明が解決しようとする課題は、ラットとヒトの腎上皮ポドプラニンの両方を標的とできる標的交差性を持つ抗体や低分子抗体を提供することである。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定配列をCDRとして有する抗体や低分子抗体がかかる課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
(1)
以下の6つのCDRのアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、
以下の6つのCDRのアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、又は
以下の6つのCDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を少なくとも1つ有する、ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片:
重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)
重鎖CDR2:VIWGGGNTYYNSALKS(配列番号:2)
重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)
軽鎖CDR1:KSSQSLLNSGNQKNYLI(配列番号:4)
軽鎖CDR2:WASTRES(配列番号:5)
軽鎖CDR3:QNDHTYPLT(配列番号:6)。
(2)
以下の6つのCDRのアミノ酸配列を少なくとも1つ有する、(1)に記載の交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片:
重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)
重鎖CDR2:VIWGGG(N/K)TYYNSAL(K/A/Q/E)S(配列番号:7)
重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)
軽鎖CDR1:(K/R/S/T)SS(Q/K/R)SLLN(S/N/K/A/P)GNQ(K/Q/E/H)NYL(I/N/V)(配列番号:8)
軽鎖CDR2:(W/G/R/A)ASTR(E/G)S(配列番号:9)
軽鎖CDR3:QNDHTY(P/L)L(T/I)(配列番号:10)
(3)
配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む軽鎖;
配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を含む軽鎖;又は、
配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む、ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片。
(4)
(1)から(3)のいずれかに記載のアミノ酸配列のいずれか1つをコードする核酸。
(5)
(4)に記載の核酸を含む発現ベクター。
(6)
(5)に記載の発現ベクターを含む形質転換体。
(7)
(1)から(3)のいずれかに記載のヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を有効成分として含む医薬組成物。
本発明によれば、ラットとヒトの腎上皮ポドプラニンの両方を標的とできる標的交差性を持つ抗体や低分子抗体を提供することができる。
LPMab-16のVHとVLのアミノ酸配列を示す。ハイライトを付した部分は、VH及びVLにおけるCDRを示す。 (A)VH、(B)VLとして、Hu1LPMab-16 ScFv ~Hu8LPMab-16 ScFvのアミノ酸配列比較を示す。ハイライトを付した部分は、VH及びVLにおけるCDRを示す。 ファージミドベクターpTHのベクターマップを示す。 (A)VH、(B)VLとして、Hu2LPMab-16 ScFvライブラリーの4ラウンド後のクローン1〜3のアミノ酸配列比較を示す。ハイライトを付した部分は、VH及びVLにおけるCDRを示し、下線を付したアミノ酸残基は、変異導入残基であることを示す。 (A)VH、(B)VLとして、Hu5LPMab-16 ScFvライブラリーの4ラウンド後のクローン4〜11のアミノ酸配列比較を示す。ハイライトを付した部分は、VH及びVLにおけるCDRを示し、下線を付したアミノ酸残基は、変異導入残基であることを示す。 第二世代交差性一本鎖可変領域断片(ScFv)のVLのアミノ酸配列比較を示す。ハイライトを付した部分は、VLにおけるCDRを示し、下線を付したアミノ酸残基は、変異導入残基であることを示す。 (A)VH、(B)VLとして、CDR及びその周辺にリジン残基を含まない第三世代交差性一本鎖可変領域断片(ScFv)のアミノ酸配列比較を示す。ハイライトを付した部分は、VH及びVLにおけるCDRを示し、下線を付したアミノ酸残基は、変異導入残基であることを示す。
(ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片)
本発明のヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片は、
以下の6つのCDRのアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、
以下の6つのCDRのアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、又は
以下の6つのCDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を少なくとも1つ有する。
重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)
重鎖CDR2:VIWGGGNTYYNSALKS(配列番号:2)
重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)
軽鎖CDR1:KSSQSLLNSGNQKNYLI(配列番号:4)
軽鎖CDR2:WASTRES(配列番号:5)
軽鎖CDR3:QNDHTYPLT(配列番号:6)。
本発明のヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片(以下、単に、それぞれ、「交差性抗体」、「交差性抗体可変領域断片」と言う場合がある。)は、特定配列をCDRとして有することにより、ラットとヒトの腎上皮ポドプラニンの両方を標的とできる標的交差性を有する。
したがって、ヒト及びラットの腎上皮ポドプラニンの両方に強く結合することができるため、ラットを用いた動物実験で実証して、そのままヒトへの利用可能となる交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片である。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、ラットでのデータに基づいてヒトへの外挿が容易になされるので、ヒトへの実用を目指した最適化に適しており、新規ツールとしての抗体又は抗体可変領域断片を提供する。
また、抗体又は抗体可変領域断片は、診断薬や試薬としての有用性も高いため、本発明によれば、医薬、診断薬及び試薬として有用な、新規な交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を提供することも可能である。
本明細書において「抗体」とは、一対のジスルフィド結合で安定化された2本の重鎖(H鎖)と2本の軽鎖(L鎖)が会合した構造をとる。重鎖は、重鎖可変領域VH、重鎖定常領域CH1、CH2、CH3、及びCH1とCH2の間に位置するヒンジ領域からなり、軽鎖は、軽鎖可変領域VLと軽鎖定常領域CLとからなる。この中で、VHとVLからなる可変領域断片(Fv)が、抗原結合に直接関与し、抗体に多様性を与える領域である。また、VL、CL、VH、CH1からなる抗原結合領域をFab領域と呼び、ヒンジ領域、CH2、CH3からなる領域をFc領域と呼ぶ。
可変領域のうち、直接抗原と接触する領域は特に変化が大きく、相補性決定領域(complementarity−determining region:CDR)と呼ばれる。CDR以外の比較的変異の少ない部分をフレームワーク(framework region:FR)と呼ぶ。軽鎖と重鎖の可変領域には、それぞれ3つのCDR(重鎖CDR1〜3、及び軽鎖CDR1〜3)が存在する。
本発明に係る交差性抗体は、モノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であってもよい。また、本発明の交差性抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEのいずれのアイソタイプであってもよい。
本発明に係る交差性抗体は、ラットとヒトに対して交差性を有する限り、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ニワトリなどの非ヒト動物を免疫して作製したものであってもよいし、組換え抗体であってもよく、キメラ型抗体(キメラ抗体)、ヒト化抗体、完全ヒト化抗体などであってもよい。キメラ型抗体(キメラ抗体)とは、異なる種に由来する抗体の断片が連結された抗体をいう。
「ヒト化抗体」とは、非ヒト由来の抗体に特徴的なアミノ酸配列で、ヒト抗体の対応する位置を置換した抗体を意味し、例えば、ラットを免疫して作製した抗体の重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3を有し、重鎖及び軽鎖のそれぞれ4つのフレームワーク領域(FR)を含むその他のすべての領域がヒト抗体に由来する抗体などが挙げられる。かかる抗体は、CDR移植抗体と呼ばれる場合もある。用語「ヒト化抗体」は、ヒト型キメラ抗体を含む場合もある。
ここで、抗体は、通常、腎上皮領域へ到達するには、血液と尿を分離する膜を通過する必要がある。しかし、通常のIgG型の抗体では大きすぎて通過することができない。
そこで、本発明においては、交差性抗体におけるVH及びVLのアミノ酸配列を利用した、低分子抗体とすることで、腎上皮領域へ到達しその表面へ特異的に結合できる。
本発明においては、交差性抗体可変領域断片は、ラットとヒトの腎上皮ポドプラニンの両方を標的とできる標的交差性を持つと共に、腎上皮領域へ到達し得る低分子抗体である。
本発明に係る交差性抗体可変領域断片としては、本発明に係る抗体の「抗原結合フラグメント」と理解される抗体断片とすることができる。
本発明に係る交差性抗体可変領域断片としては、特に限定されるものではないが、具体的には、VH、VL、CL及びCH1領域からなるFab;2つのFabがヒンジ領域でジスルフィド結合によって連結されているF(ab')2;VH及びVLからなるFv;VL及びVHを人工のポリペプチドリンカーで連結した一本鎖抗体であるscFvのほか、diabody型、scDb型、tandem scFv型、ロイシンジッパー型等の二重特異性抗体などが挙げられる。
ここで、scFvにおけるポリペプチドリンカーは、特に限定されるものではないが、グリシンとセリンとを構成アミノ酸残基として含むリンカーが挙げられる。
ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性を有する限り、多重多価低分子抗体としてもよい。
本発明に係る交差性抗体可変領域断片を用いることにより、ラットとヒトの腎上皮ポドプラニンの両方を標的とできる標的交差性を持たせると共に、腎上皮領域へ到達しその表面へ特異的に結合できる。そのため、本発明に係る交差性抗体可変領域断片を用いることで、ポドサイト障害の早期発見やポドサイトへの効果的な薬物の運搬を行うことも可能である。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、以下の観点でも重要である。
すなわち、腎臓病の一つに腎上皮細胞の障害がある。腎上皮細胞が完全に障害されると腎臓の濾過機能が失われてしまい、回復する見込みがない。そのため、腎上皮細胞の残存率を検出できる診断薬があれば、腎上皮細胞の回復を狙った治療を検討すべきかを検討できるようになる。また、腎上皮に治療薬を運搬できれば、腎上皮細胞を効果的に回復させ得ることができる。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、腎上皮細胞表面にあるポドプラニン特異的であり、ヒト及びラットのポドプラニンの両方に強く結合することができる。
また、ヒト型化抗体とすることも可能である。
そのため、ラットを用いた動物実験で機能を実証して、そのままヒトへ投与できるものである。腎臓病は未知の部分が非常に多く、未だ腎臓病を最初から狙って開発された医薬品はほとんどない。そのため、腎上皮へ特異的な抗体は腎上皮へ様々な分子を運搬できるため、病理機構の解明のような研究仕様にも利用価値があると考える。
本発明に係るラット及びヒト由来のポドプラニンに特異的に結合するヒト型化された交差性抗体可変領域断片は、本発明に係る交差性抗体の物質運搬及びイメージング利用に用いることができる。
加えて、腎臓には、ビタミンAなど腎臓特異的に集積できれば薬効が期待できる分子がいくつか存在するが、その局在化が困難であるため、それらを利用することができていない。本発明によって、ラット実験によって、それら分子を有効利用することができるだけでなく、薬効が認められた場合、そのままヒトへの応用を検討できるため、実用化につながりやすいと考えられる。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、以下の6つのCDRの少なくとも1つを有していてもよい。これらのCDRは、LPMab-16のCDR配列である。
重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)
重鎖CDR2:VIWGGGNTYYNSALKS(配列番号:2)
重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)
軽鎖CDR1:KSSQSLLNSGNQKNYLI(配列番号:4)
軽鎖CDR2:WASTRES(配列番号:5)
軽鎖CDR3:QNDHTYPLT(配列番号:6)。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、6つのCDRのうち少なくとも1つを含むものであればよいが、6つのCDRのうち複数のCDRを含んでいてもよく、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、又は6つ含むものとすることができる。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片が、6つのCDRを含む場合、当該交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、配列番号:1〜3で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1〜3及び配列番号:4〜6で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1〜3を有する。
本発明に係る抗ポドプラニン抗体が、配列番号:1〜3で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1〜3及び配列番号:4〜6で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1〜3のいずれか1つを含む場合において、その少なくとも1つに、1から数個のアミノ酸の付加、置換、又は欠失を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
本明細書において「1から数個のアミノ酸の付加、置換又は欠失を有する」という場合、付加、置換又は欠失されるアミノ酸の個数は、結果として得られるポリペプチドがCDRとしての機能を保持する限り特に限定されないが、例えば、1個、2個、3個又は4個とすることができる。「1個のアミノ酸の付加、置換又は欠失を有」していてもよく、「1〜2個のアミノ酸の付加、置換又は欠失を有」していてもよく、「1〜3個のアミノ酸の付加、置換又は欠失を有」していてもよく、「1〜4個のアミノ酸の付加、置換又は欠失を有」していてもよい。
アミノ酸の欠失、置換又は付加の位置は、CDRとしての機能が保持される限り、アミノ酸が欠失、置換又は付加される位置は、CDR配列のどこであってもよい。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片においては、重鎖CDR1及び/又は重鎖CDR3を含む場合、重鎖CDR1は、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1であることが好ましく、及び/又は重鎖CDR3は、配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3であることが好ましい。
交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片が、重鎖CDR2を含む場合、重鎖CDR2は、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2であることが好ましく、あるいは、重鎖CDR2は、配列番号:2で表されるアミノ酸配列において1個のアミノ酸の置換を含むアミノ酸配列である重鎖CDR2であることが好ましい。配列番号:2で表されるアミノ酸配列における1個のアミノ酸の置換は、リジン残基(K)の置換であることが好ましい。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片においては、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び/又は軽鎖CDR3を含む場合、それぞれ、配列番号:4〜6で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1〜3であることが好ましく、あるいは、軽鎖CDR1は、配列番号:4で表されるアミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸の置換を含むアミノ酸配列である軽鎖CDR1であることが好ましく、軽鎖CDR2は、配列番号:5で表されるアミノ酸配列において1〜2個又は1個のアミノ酸の置換を含むアミノ酸配列である軽鎖CDR2であることが好ましく、軽鎖CDR3は、配列番号:6で表されるアミノ酸配列において1個のアミノ酸の置換を含むアミノ酸配列である軽鎖CDR3であることが好ましい。
本発明に係る抗ポドプラニン抗体が、配列番号:1〜3で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1〜3及び配列番号:4〜6で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1〜3のいずれか1つを含む場合において、その少なくとも1つが、配列番号:1〜3で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1〜3及び配列番号:4〜6で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1〜3の対応するアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
本明細書において、「80%以上の同一性を有する」とは、変異前のアミノ酸配列と当該アミノ酸配列から変異した配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列一致が最大になるようにアライメントしたときに、共通するアミノ酸残基の数が、変異前のアミノ酸配列のアミノ酸数の80%以上であることを意味する。
同一性は80%以上であって、CDRとしての機能を保持する限り特に限定されないが、例えば85%以上、90%以上とすることができる。
本明細書において、配列番号:1〜3のいずれかで表されるアミノ酸配列と「80%以上の同一性を有する」とは、配列番号:1〜6のいずれかで表されるアミノ酸配列と変異した配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を比較して、一致が最大になるようにアライメントしたときに、共通するアミノ酸残基の数が、配列番号:1〜6のいずれかで表されるアミノ酸配列のアミノ酸数の80%以上であることを意味する。
重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3のアミノ酸配列にアミノ酸を付加、置換、又は欠失させたアミノ酸配列からなるCDRや、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するCDRは、部位特異的変異導入法、ランダム変異導入法、チェーンシャフリング法、CDRウォーキング法などの公知の方法を用いて作製され得る。これらの方法によれば、ファージディスプレイ法によってCDRに種々の変異を有する抗体又は抗体断片をファージ表面に提示させ、抗原を使用してスクリーニングすることにより、より親和性が成熟したCDRを得られることが当業者によく知られている(例えば、Wu et al.,PNAS,95:6037−6042(1998);Schier,R. et al.,J.Mol.Bio.263:551−567(1996);Schier,R. et al.,J.Mol.Biol.255:28−43(1996);Yang,W.P. et al.,J.Mol.Biol.,254:392−403(1995)。)。
本明細書において「アミノ酸」は、その最も広い意味で用いられ、天然アミノ酸に加え、人工のアミノ酸変異体や誘導体を含む。アミノ酸は慣用的な一文字表記又は三文字表記で示される場合もある。本明細書における「アミノ酸」としては、天然タンパク質性L−アミノ酸、非天然アミノ酸、アミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられる。
非天然アミノ酸としては、例えば、主鎖の構造が天然型と異なる、α,α−二置換アミノ酸(α−メチルアラニン等)、N−アルキル−α−アミノ酸、D−アミノ酸、β−アミノ酸、α−ヒドロキシ酸や、側鎖の構造が天然型と異なるアミノ酸(ノルロイシン、ホモヒスチジン等)、側鎖に余分のメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸、ホモフェニルアラニン、ホモヒスチジン等)、及び側鎖中のカルボン酸官能基がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸等)などが挙げられるが、これらに限定されない。
以下の6つのCDRのアミノ酸配列を少なくとも1つ有する、交差性抗体又は抗体可変領域断片であってもよい。
重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)
重鎖CDR2:VIWGGG(N/K)TYYNSAL(K/A/Q/E)S(配列番号:7)
重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)
軽鎖CDR1:(K/R/S/T)SS(Q/K/R)SLLN(S/N/K/A/P)GNQ(K/Q/E/H)NYL(I/N/V)(配列番号:8)
軽鎖CDR2:(W/G/R/A)ASTR(E/G)S(配列番号:9)
軽鎖CDR3:QNDHTY(P/L)L(T/I)(配列番号:10)。
配列番号7〜10において、括弧を用いて記載されるアミノ酸残基は、括弧内から選択されるいずれかのアミノ酸残基であることを意味する。例えば、配列番号:7のアミノ酸を例示して説明すると、(K/A/Q/E)は、K、A、Q、Eのいずれかであることを意味する。
配列番号:7の具体的アミノ酸配列としては、図2及び図4〜図7で記載される重鎖CDR2として記載されるアミノ酸配列が挙げられる。
配列番号:8の具体的アミノ酸配列としては、図2及び図4〜図7で記載される軽鎖CDR1として記載されるアミノ酸配列が挙げられる。
配列番号:9の具体的アミノ酸配列としては、図2及び図4〜図7で記載される軽鎖CDR2として記載されるアミノ酸配列が挙げられる。
配列番号:10の具体的アミノ酸配列としては、図2及び図4〜図7で記載される軽鎖CDR3として記載されるアミノ酸配列が挙げられる。
配列番号7〜10のCDRの組み合わせとしては、重鎖CDR1及び重鎖CDR3に加え、4つのCDRのうち少なくとも1つを含むものであればよいが、4つのCDRのうち複数のCDRを含んでいてもよく、例えば、2以上、3以上、又は4つ含むものとすることができる。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片が、軽鎖CDRとして、配列番号7〜10のCDRの組み合わせとして3つのCDRを含む場合とは、当該交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、配列番号:8〜10で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1〜3を有することを意味する。
ここで、配列番号7〜10のCDRの組み合わせは任意の組み合わせであってよいが、配列番号:2及び11〜14のいずれかのアミノ酸配列の重鎖CDR2、配列番号:4及び15〜34のいずれかのアミノ酸配列の軽鎖CDR1、配列番号:5及び35〜38のいずれのアミノ酸配列の軽鎖CDR2及び配列番号:6及び39〜40のいずれかのアミノ酸配列の軽鎖CDR3の組み合わせとすることが好ましく、より好ましくは、図2及び図4〜図7に記載される組み合わせである。
配列番号7〜10のCDRの任意の組み合わせは、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1及び/又は配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3と組み合わされる。
本発明のヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片は、
配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む軽鎖;
配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を含む軽鎖;又は、
配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖、を含むことが好ましい。
本段落において、記載される交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片としては、各配列番号で表されるアミノ酸配列において、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3は、各配列番号で表されるアミノ酸配列を有していることが好ましい。あるいは、交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片としては、各配列番号で表されるアミノ酸配列において、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3は、図2及び図4〜図7で示されている各配列番号で、重鎖CDR1〜3及び軽鎖CDR1〜3として表されるアミノ酸配列であることが好ましい。
本明細書において、配列番号:41〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の付加、置換、又は欠失という場合、付加、置換、又は欠失するアミノ酸の数は、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個とすることができる。その他の用語は、上述したとおりである。
本明細書において、配列番号:41〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列と「80%以上の同一性を有する」とは、配列番号:41〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列と変異した配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を比較して、一致が最大になるようにアライメントしたときに、共通するアミノ酸残基の数が、配列番号:41〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列のアミノ酸数の80%以上であることを意味する。
本発明に係る交差性抗体は、Fc領域に1以上のN型糖鎖が結合し、該N型糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない抗体であってもよい。N型糖鎖は、N−結合型糖鎖ともいう。
例えばIgG抗体のFc領域には、N型糖鎖の結合部位が2ヶ所存在し、この部位に複合型糖鎖が結合している。N型糖鎖とは、Asn−X−Ser/Thr配列のAsnに結合する糖鎖をいい、Asnに結合した共通した構造Man3GlcNAc2(−Asn)を有する。非還元末端の2つのマンノース(Man)に結合する糖鎖の種類により、高マンノース型、混成型、及び複合型などに分類される。
N型糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)にはフコースが結合し得るが、フコースが結合していない場合、結合している場合に比較してADCC活性が著しく上昇することが知られている。このことは例えば、国際公開第2002/031140号に記載されており、その開示は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
ADCC活性が著しく向上することにより、抗体を医薬として用いる場合に投与量を少なくすることができるので、副作用を軽減させることが可能であると共に、治療費も低減させることができる。
本発明に係る交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片は、抗がん活性を有する物質を結合させて用いてもよい。
本明細書において、「抗がん活性を有する物質」とは、腫瘍サイズの低下(遅延又は停止)、腫瘍の転移の阻害、腫瘍増殖の阻害(遅延又は停止)、及びがんと関連する一つ又は複数の症状の緩和、の少なくとも1つを生じさせる物質を意味する。具体的には、毒素、抗がん剤、ラジオアイソトープなどが挙げられるが、これらに限定されない。
抗がん活性を有する物質は、公知の方法によって交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片に直接結合させることができる。
抗がん活性を有する物質は、交差性抗体可変領域断片により、腎上皮に送達され、交差性抗体可変領域断片から切り出されてその抗がん活性を示してもよく、交差性抗体可変領域断片に結合したまま抗がん活性を示してもよい。
(核酸)
本発明は、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片をコードする核酸も包含する。核酸は、天然の核酸であっても人工の核酸であってもよく、例えば、DNA、RNA、DNAとRNAのキメラが挙げられるが、これらに限定されない。交差性抗体及び交差性抗体可変領域断片をコードする核酸の塩基配列は、当業者が公知の方法又はそれに準ずる方法に従って決定することができ、公知の方法又はそれに準ずる方法で調製することができる。
(発現ベクター)
本発明は、本発明に係る核酸を含む発現ベクターも包含する。発現ベクターは、使用する宿主細胞にあわせて適宜選択することができ、例えば、プラスミド、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、カリフラワーモザイクウイルスベクターやタバコモザイクウイルスベクター等の植物ウイルスベクター、コスミド、YAC、EBV由来エピソームなどが挙げられる。これらの発現ベクターには、公知の方法(制限酵素を利用する方法など)で、本発明に係る核酸を挿入することができる。
本発明に係る発現ベクターは、本発明に係る核酸、例えば、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片をコードする核酸に加え、さらに、抗体遺伝子の発現を調節するプロモーター、複製起点、選択マーカー遺伝子などを含むことができる。プロモーター及び複製起点は、宿主細胞とベクターの種類によって適宜選択することができる。
(形質転換体)
本発明は、本発明に係るベクターを含む形質転換体を包含する。形質転換体は、本発明に係るベクターを適切な宿主細胞にトランスフェクトすることによって得ることができる。宿主細胞としては、例えば、哺乳類細胞(CHO細胞、COS細胞、ミエローマ細胞、HeLa細胞、Vero細胞等)、昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞(サッカロミセス属、アスペルギルス属等)といった真核細胞や、大腸菌(E.Coli)、枯草菌等の原核細胞などを用いることができる。
(交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片の製造方法)
本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片の製造方法は限定されないが、例えば、交差性抗体のモノクローナル抗体は、ポドプラニン又はその断片で免疫した非ヒト哺乳動物から抗体産生細胞を単離し、これを骨髄腫細胞などと融合させてハイブリドーマを作製し、このハイブリドーマが産生した抗体を精製することによって得ることができる。また、抗ポドプラニンポリクローナル抗体は、ポドプラニン又はその断片で免疫した動物の血清から得ることができる。
本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を遺伝子組換え法で作製する場合、例えば、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片をコードする核酸を含む発現ベクターで適当な宿主を形質転換し、この形質転換体を適当な条件で培養して抗体を発現させ、公知の方法に従って単離精製すればよい。
単離精製方法としては、例えば、プロテインA等を用いたアフィニティーカラム、その他のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析などが挙げられ、これらを適宜組み合わせることができる。
所定のエピトープの配列に結合する抗体は、当業者が公知の方法又はそれに準ずる方法で作製することができる。例えば、エピトープ配列を含むペプチドを固相担体に固定し、当該ペプチドと複数の抗体の結合を検出することにより、同エピトープに特異的に結合する抗体を得ることができる。
ここで、「複数の抗体」としては、動物を抗原タンパク質又はその部分ペプチドで免疫することによって得たものを用いてもよいし、ファージディスプレイ法によって作製した抗体ライブラリー又は抗体フラグメントライブラリーを用いてもよい。ファージディスプレイ法によるライブラリーを用いる場合、エピトープ配列を含むペプチドを固相担体に固定しパニングを繰り返すことによって、同エピトープに特異的に結合する抗体を得ることもできる。
ヒト型キメラ抗体及びヒトCDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体を産生するハイブリドーマのmRNAから抗体遺伝子をクローン化し、これをヒト抗体遺伝子の一部と遺伝子組換え技術で連結することによって作製することができる。
ヒト型キメラ抗体の場合、ラット抗体を産生するハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素によりcDNAを合成し、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(LH)をPCRでクローニングして配列を解析する。次に、一致率の高い抗体塩基配列から、リーダー配列を含む5'プライマーを作製し、5'プライマーと可変部3'プライマーによって上記cDNAから、シグナル配列から可変領域の3'末端までをPCRでクローニングする。一方で、ヒトIgG1の重鎖及び軽鎖の定常領域をクローニングし、重鎖と軽鎖それぞれについて、マウス抗体由来可変領域と、ヒト抗体由来定常領域とをPCRによるOverlapping Hanging法で連結し、増幅する。得られたDNAを適当なベクターに挿入し、これを形質転換して、ヒト型キメラ抗体を得ることができる。
ヒトCDR移植抗体の場合、使用するマウス抗体可変部と最も相同性の高いヒト抗体可変部を選択してクローン化し、メガプライマー法を用いた部位選択的突然変異導入により、CDRの塩基配列を改変する。フレームワーク領域を構成するアミノ酸配列をヒト化すると抗原との特異的な結合ができなくなる場合には、フレームワークの一部のアミノ酸をヒト型からラット型に変換してもよい。
元の配列において、1又は複数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列からなるCDRや、元の配列に80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるCDRは、部位特異的変異導入法、ランダム変異導入法、チェーンシャフリング法、CDRウォーキング法などの公知の方法を用いて作製され得る。
これらの方法により、ファージディスプレイ法によってCDRに種々の変異を有する抗体又は抗体断片をファージ表面に提示させ、抗原を使用してスクリーニングすることにより、より親和性が成熟したCDRを得られることが当業者によく知られている(例えば、Wu et al.,PNAS,95:6037−6042(1998);Schier,R. et al.,J.Mol.Bio.263:551−567(1996);Schier,R. et al.,J.Mol.Biol.255:28−43(1996);Yang,W.P. et al.,J.Mol.Biol.,254:392−403(1995)。)。本発明は、このような方法で成熟させたCDRを含む抗体も包含する。
その他の抗体の製造方法として、トリコスタチンA処理ニワトリB細胞由来DT40細胞株から抗体産生株を取得するAdlib法(Seo,H. et al.,Nat.Biotechnol.,6:731−736,2002)、マウス抗体遺伝子が破壊されヒト抗体遺伝子が導入されたマウスであるKMマウスを免疫してヒト抗体を作製する方法(Itoh,K. et al.,Jpn.J.Cancer Res.,92:1313−1321,2001;Koide,A. et al.,J.Mol.Biol.,284:1141−1151,1998)などがあり、これらも本発明に係る交差性抗体の産生に応用することができる。
本発明に係る交差性抗体可変領域断片は、当該フラグメントをコードするDNAを用いて上述の方法で発現させてもよいし、また、全長の交差性抗体を得てからパパイン、ペプシンなどの酵素で処理して断片化してもよい。
本発明に係る交差性抗体は、作製方法や精製方法により、アミノ酸配列、分子量、等電点、糖鎖の有無、形態などが異なり得る。しかしながら、得られた抗体が、本発明に係る交差性抗体と同等の機能を有している限り、本発明に含まれる。例えば、本発明に係る交差性抗体を、大腸菌などの原核細胞で発現させた場合、本来の抗体のアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が付加される。本発明は、かかる抗体も包含する。
本発明に係る交差性抗体が、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していないN型糖鎖を有する抗体である場合、かかる抗体は公知の方法又はそれに準ずる方法に従って製造することができる。かかる抗体の製造方法は、例えば、国際公開第2002/031140号、特開2009−225781号公報に記載されており、その開示は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
具体的には、例えば、本発明に係る交差性抗体をコードするDNAを含むベクターを用いて、GDP−フコースの合成に関与する酵素の活性、又はα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの活性が低下又は欠失した細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養した後、目的とする交差性抗体を精製することによって得ることができる。
GDP−フコースの合成に関与する酵素としては、例えば、GDP−mannose 4,6−dehydratase(GMP)、GDP−keto−6−deoxymannose 3,5−epimerase,4−reductase(Fx)、GDP−beta−L−fucose pyrophosphorylase(GFPP)が挙げられる。
ここで、細胞は特に限定されないが、哺乳動物細胞が好ましく、例えば上記酵素活性を低下又は欠失されたCHO細胞を用いることができる。
上記方法によって得られる抗体組成物は、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合している抗体を含む場合もあるが、フコースが結合している抗体の割合は、抗体全体の20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。
また、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していないN型糖鎖を有する抗体は、本発明に係る交差性抗体をコードするDNAを含むベクターを昆虫卵に導入し、孵化させて昆虫を成長させ、必要に応じて交配を行ってトランスジェニック昆虫を作製し、当該トランスジェニック昆虫又はその分泌物から抗ポドプラニン抗体を抽出することによっても得ることができる。昆虫としてはカイコを用いることができ、その場合、繭から抗体を抽出することができる。
この方法によって得られる抗体組成物も、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合している抗体を含む場合もあるが、フコースが結合している抗体の割合は、抗体全体の20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。
(医薬組成物)
本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片は、ポドプラニンを発現する腎臓における腫瘍の予防又は治療に用いてもよい。本発明に係る医薬組成物は、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を有効成分として含み、さらに薬学的に許容できる担体や添加物を含む。
本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片は、腫瘍細胞を標的とする薬物の送達に用いてもよい。本発明に係る医薬組成物は、抗がん活性を有する物質を結合させた交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を有効成分として含んでいてもよく、さらに薬学的に許容できる担体や添加物を含んでいてもよい。
担体及び添加物の例としては、水、食塩水、リン酸緩衝液、デキストロース、グリセロール、エタノール等の薬学的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ぺクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、界面活性剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に係る医薬組成物は、様々な形態、例えば、液剤(例えば注射剤)、分散剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、粉末剤、坐剤などとすることができる。好ましい態様は、注射剤であり、非経口(例えば、静脈内、経皮、腹腔内、筋内)で投与することが好ましい。
本発明に係る医薬組成物は、ポドプラニンが関連する疾患、例えば、腫瘍、血栓症、動脈硬化症などの治療に有効である。
本発明は、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を治療有効量投与することを含むポドプラニンが関連する疾患の治療方法も包含する。
本明細書において、治療有効量とは、治療する疾患の一つ又は複数の症状が、それによりある程度緩和される作用物質の量を意味する。抗がん剤の場合、腫瘍サイズの低下;腫瘍の転移の阻害(遅延又は停止);腫瘍増殖の阻害(遅延又は停止)、及びがんと関連する一つ又は複数の症状の緩和、の少なくとも1つを示す量を意味する。
具体的には、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片の投与量は、例えば、0.025〜50mg/kg、好ましくは0.1〜50mg/kgであり、より好ましくは0.1〜25mg/kg、さらに好ましくは0.1〜10mg/kg又は0.1〜3mg/kgとすることができるが、これに限定されない。
(マーカー、診断薬)
本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片は、ラットとヒトの腎上皮ポドプラニンの両方を標的とできる標的交差性を有するので、腎上皮細胞の残存率をイメージングすることで、腎臓病の診断に特に有用である。
したがって、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片は、腎生検に代わる腎上皮細胞の検査の代替手段となり得る。
本発明は、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を含むがんの診断薬、がんの診断のための本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片の使用、本発明に係る交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を用いるがんの診断方法をも包含する。
本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。
また、本明細書において、本発明に係る交差性抗体として記載している内容は、本発明に係る交差性抗体可変領域断片と読み換えて理解することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。
マウス由来抗ヒトポドプラニン抗体LPMab-16のヒト型化
マウス由来抗ヒトポドプラニン抗体LPMab-16 IgGの重鎖と軽鎖の配列から重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)を同定した。同定したVHとVLのアミノ酸配列をabYsis (http://www.abysis.org/)により、それぞれのフレームワーク領域(FR)と相補性決定領域(CDR)を同定した(図1)。その後、多くのヒト型化に使用されるスキャホールド(参考文献1)であるヒト抗体である4D5(Herceptin)のCDRにLPMab-16のCDRを移植したHu1LPMab-16とTabHu (Tools for antibody humanization) (http://www.biocomputing.it/tabhu)(参考文献2)を用いてLPMab-16の可変領域(Fv)をヒト型化したHu2LPMab-16~Hu8LPMab-16を設計した。LPMab-16のVHとVLのアミノ酸配列をそれぞれTabHuに打ち込み、Antigen VolumeをLarger than 1.538Å(protein)(参考文献2)を選択しSubmitすることで、Digitデータベース(参考文献3)とヒトgermlineであるIMGT遺伝子データバンク(参考文献4)と配列相同性やCDRのクラスからフレームワークであるID:3QOS_Hを選択した。その後、プログラム上で同定されたフレームワークに対してLPMab-16の全CDRを移植し、ヒト型化LPMab-16に対し計算によりバックミューテーション(back mutation)を加えることで、変異残基候補が選抜された。選抜された候補に対しScoreが0.2以上の残基であるVH5とVH71とVL9とVL18とVL66とVL83を選択しNext cycleにより変異導入を行い、再度計算によりBack mutation候補残基を選抜した。その結果、Scoreが0.2以上の残基がなかったため、3QOS_HにLPMab-16のフレームワークを移植し、VH5とVH71とVL9とVL18とVL66とVL83にback mutationを加えた配列をHu2LPMab-16とした。同じように、TabHuから最適フレームワークを6種類選び、Back mutationを加えHu3LPMab-16〜Hu8LPMab-16を作製した(図2)。Hu1LPMab-16~Hu8LPMab-16のVHとVLの間を(GGGGS)×3のペプチドリンカーでつないだ一本鎖Fv(Hu1LPMab-16 scFv~Hu8LPMab-16 scFv)を設計した。なお、VHとペプチドリンカーの間のAは、VHを別のVHに入れ替えやすいように、便宜上、制限酵素サイトとして組み込んだものである。すなわち、各scFvにおいて、VHとVLは、AGGGGSGGGGSGGGGSにより連結されている。
大腸菌BL21(DE3)により調製したHu1LPMab-16 scFv~Hu8LPMab-16 scFvをヒトポドプラニン提示CHO細胞(CHO-hPDPN)とラットポドプラニン提示CHO細胞(CHO-rPDPN)に対する結合力をEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)により測定したところ、Hu2LPMab-16 scFvとHu5LPMab-16 scFvがヒトポドプラニンとラットポドプラニンへの強い結合力を示した。そこで、Hu2LPMab-16 scFvとHu5LPMab-16 scFvをより好適な交差性抗体可変領域断片として選択し、Hu2LPMab-16 scFvとHu5LPMab-16 scFvに関してラットポドプラニンへの結合力を向上させるべく、以下の検討を行った。
ラットポドプラニン認識能向上に向けた第一世代交差性一本鎖可変領域断片の取得
エラープローンPCRを利用しランダム変異導入を行うことでライブラリーを作製し、M13ファージを利用したファージディスプレイ法を用いて、ヒトポドプラニンとラットポドプラニンに結合する第一世代交差性一本鎖可変領域断片の取得を行った。
Hu2LPMab-16 scFvとHu5LPMab-16 scFvの遺伝子に対してGeneMorph II Random Mutagenesis Kit (Agilent)を利用しエラープローンPCRをすることで、1~16程度の塩基にランダムな変異導入を行いライブラリーの設計を行った。鋳型であるHu2LPMab-16 scFvとHu5LPMab-16 scFvの遺伝子量を調整することでランダム変異の個数の制御が可能であるため、鋳型遺伝子量を500ng、250ng、100ng、10ng、1ngを利用しランダム変異の存在率を制御した。エラープローンPCRにより増幅した遺伝子をそれぞれアガロースゲル電気泳動後に目的遺伝子をQIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN)によるゲル抽出を行った。その後、ゲル抽出産物をそれぞれ等量に混合し、PrimeSTAR(登録商標)GXL DNA Polymerase (TaKaRa)でライブラリーの増幅を行いQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)により精製した。その後、NcoIとSacIIにより制限酵素処理を行い、アガロースゲル電気泳動後ゲル抽出により精製した。そして、NcoIとSacIIで制限酵素処理を行ったファージミドベクターpTHにT4リガーゼ(NEB)でライゲーション反応を行い1.5×109 cfu(Hu2LPMab-16 scFv)と1.8×109 cfuのDiversityを持つ二種類のM13ファージライブラリーを作製した(図3)。
作製したHu2LPMab-16 scFvのライブラリーを用いてヒトポドプラニン提示CHO細胞(CHO-hPDPN)とラットポドプラニン提示CHO細胞(CHO-rPDPN)に対しパニング操作4ラウンド行うことでラットポドプラニンに対し高親和な交差性抗体の取得を行った。ラウンドごとの細胞の条件を二種類用意し、それぞれ以下に示す(表1)。それぞれ4ラウンド後に取得したファージをモノクローンとして交差性抗体候補を提示したファージのCHO-rPDPNとCHO-hPDPN対する結合力をEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)によって評価したところ、両方に結合能があるものに関して遺伝子配列を行ったところパニング条件Aから取得した3つの遺伝子配列(clone 1〜3)であることが示された(図4)。同様にHu5LPMab-16 scFvのライブラリーに関してもパニングを行ったところ、パニング条件Aから7個(clone 4〜10)とパニング条件Bから1個(clone 11)を取得した(図5)。
取得した11個のクローンのC末端にFLAGタグとHisタグを付加した配列を大腸菌での発現ベクターpRAに挿入後、培養上清を利用し大腸菌発現系における発現量とCHO-rPDPNとCHO-hPDPNに対する結合力をELISAによって評価した。その結果、Hu2LPMab-16 scFvから取得したクローン3とHu5LPMab-16 scFvから取得した全クローンは鋳型抗体であるLPMab-16のscFvと同等の発現量であった。より発現量の高かったクローン1とクローン2に関して大腸菌を用いて発現させ、固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(Ni Sepharose 6 Fast Flow, GE)とサイズ排除クロマトグラフィ(HiLoad 26/600 Superdex 200 pg, GE)と陽イオン交換クロマトグラフィ(Mono S 5/50 GL, GE)で精製を行った。その後、CHO-rPDPNとCHO-hPDPNに対してクローン1とクローン2の結合力をフローサイトメーター(BD AccuriTM C6 Plus フローサイトメーター, BD Bioscience)を用いて測定を行った。測定結果をf(x)=a*x/(x+Kd) (x:抗体濃度, f(x):蛍光強度中点, a:飽和蛍光強度, Kd:結合親和力)を用いてフィッティング(参考文献5)を行い、クローン1とクローン2のヒトポドプラニンとラットポドプラニンに対する結合親和力を算出した。その結果、クローン1はヒトポドプラニンに6.3±1.4 nM、ラットポドプラニンに108±18 nMで、クローン2はヒトポドプラニンに6.5±1.4 nM、ラットポドプラニンに500±140 nMの結合親和力を示した。これより、ヒトポドプラニンに対してはクローン1と2では同等の結合親和力を示すが、ラットポドプラニンに対しクローン1のほうが強く結合しているので、クローン1を第一世代交差性一本鎖可変領域断片とした。
表1 パニング条件
ラットポドプラニンの高親和化にむけた一残基変異体の評価
取得した第一世代交差性一本鎖可変領域断片のラットへの結合親和性を向上させるため、Hu2LPMab-16 scFvとクローン1〜3の配列を比較したところ、KabatナンバリングにおけるVH14とVH49とVL10とVL27とVL34とVL50とVL94にエラープローンPCRにより変異導入されていた(図4)。また、Hu5LPMab-16とクローン4~11の配列を比較したところ、VH49とVH56とVH93とVL14とVL27とVL27EとVL34とVL42とVL50とVL55とVL63とVL95にエラープローンPCRにより変異導入されていた(図5)。変異導入残基はファージディスプレイ法により取得したクローンのうち2つ以上のクローンに同じ位置に変異が入っている残基であるVH49とVL10とVL27とVL27EとVL34とVL50の5残基を変異導入残基とした。変異導入する残基に一残基ずつNDT, VHG, TGGの3種類のコドンを利用することで全アミノ酸へ飽和変異を加えることのできる22c-trick法(参考文献6)により第一世代交差性一本鎖可変領域断片(クローン1)に変異導入を行った。大腸菌を形質転換し、96wellプレートを用いて多検体培養後、培養上清を発現量とCHO-hPDPNとCHO-rPDPNへの結合力をELISAにより結合評価を行った。その結果から、第一世代交差性一本鎖可変領域断片であったアミノ酸と比べ発現量とヒトポドプラニンとの結合力が同程度でかつ、ラットポドプラニンに対し強い結合力を示すアミノ酸を置換候補有望アミノ酸とした。その結果、VH49ではG、VL10ではT、VL27ではK, R、VL27EではS, A, P, K、VL34ではI, N、VL50ではG, A, T, Rとなった(表2)。
表2 置換候補有望残基
ラットポドプラニン高親和性交差性一本鎖可変領域断片(第二世代交差性一本鎖可変領域断片)の作製
取得した置換候補有望残基のアミノ酸がすべて入るようなライブラリーを設計した(表3)。この際、置換候補有望アミノ酸が複数ある場合は、できるだけ1つのプライマーで作製したが、一つのプライマーでできないVL27Eでは二本のプライマーをコードするアミノ酸の比率に混合し使用し、オーバーラップPCR(PrimeSTAR(登録商標)GXL DNA Polymerase (TaKaRa))によってライブラリーを作製した(表4)。1stPCRでは鋳型を第一世代交差性一本鎖可変領域断片もしくは第一世代交差性一本鎖可変領域断片のVL27をRにした変異体(VL27R)と変異を加えるためのプライマーを利用し、遺伝子断片を作製した。その後、アガロースゲル電気泳動後ゲル抽出により精製した。精製した1stPCR産物を鋳型である第一世代交差性一本鎖可変領域断片とVL27Rごとに2ndPCRを行い、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)により精製した。その後、NcoIとSacIIで制限酵素処理を行い、pRAにDNA Ligation Kit <Mighty Mix>(TaKaRa)を利用しライゲーションによりライブラリー遺伝子を作製した。作製したライブラリーで大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、単離したコロニーを96wellプレートで培養し、培養上清をELISAにより発現量とCHO-hPDPNとCHO-rPDPNに対する結合力を評価した。その結果から発現量で規格化後のCHO-rPDPNに対する結合力が第一世代交差性抗体よりも強くなっているサンプルに関して配列解析を行い19種類の第二世代交差性一本鎖可変領域断片のVLを同定した(図6)。第二世代交差性一本鎖可変領域断片のVHは、図4に示すclone 1のVHと同一のアミノ酸配列とした。
取得した第二世代交差性一本鎖可変領域断片に関してそれぞれ大腸菌により調製し、固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(Ni Sepharose 6 Fast Flow, GE)とサイズ排除クロマトグラフィ(HiLoad 26/600 Superdex 200 pg, GE)とANTI-FLAGR M2 Affinity Gel(sigma)によるアフィニティ精製を行い、CHO-rPDPNに対してフローサイトメーターによる結合親和力を評価した。その結果、最も発現量が多いもので、3.72mg/培地Lとなり、最もラットポドプラニンに対して結合親和性が強いものでは、4.06 nMであった(表5)。得られた第二世代交差性一本鎖可変領域断片は、いずれもヒトポドプラニンに対して、強い結合親和性を維持していた。
表3 ライブラリーに使用したコドン (R: A/G, B: C/G/T, W: A/T, S: C/G)
表4 使用したプライマー
表5 第二世代交差性抗体の収量とラットポドプラニンへの結合親和力
CDR領域及び周辺にリジン残基を含まないラットポドプラニン高親和性交差性抗体(第三世代交差性一本鎖可変領域断片)の作製
リジン残基の側鎖は、有機化合物などを化学結合させる時によく用いられるが、抗原が結合する領域であるCDR及びその周辺のリジン残基に化学結合されると、抗体の抗原結合性が低下もしくは失われることがある。そこで、1stPCRで鋳型を第一世代交差一本鎖可変領域断片のVL50がRになった第二世代一本鎖可変領域断片(VL50R: 図6のsecond clone1)からCDR領域及び周辺にリジン残基を無くしても、ヒト及びラットポドプラニンに高親和に結合する交差性抗体可変領域断片を作製するため、各対象リジン残基への一残基変異体の評価から置換候補有望残基を導き出し、それらアミノ酸がすべて入るようなライブラリーを設計した(表6)。この際、置換候補有望アミノ酸が複数ある場合は、できるだけ1つのプライマーで作製したが、一つのプライマーでできない場合では二本のプライマーをコードするアミノ酸の比率に混合し使用し、オーバーラップPCR(PrimeSTARR GXL DNA Polymerase (TaKaRa))によってライブラリーを作製した(表7)。VH94に関しては、一残基変異体の作製の際に得られたVH94Rを利用した。また、VH94には、リジン残基が含まれているが、変異体取得の段階で、リジン残基を含まない変異体を選択することで対応することとした。1stPCRで鋳型を第一世代交差一本鎖可変領域断片のVL50がRになった第二世代交差一本鎖可変領域断片(VL50R: 図6のclone1)もしくはVH94Rと変異を加えるためのプライマーを利用し、遺伝子断片を作製した。その後、アガロースゲル電気泳動後ゲル抽出により精製した。精製した1stPCR産物を鋳型であるVL50Rごとに2ndPCRを行い、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)により精製した。その後、NcoIとSacIIで制限酵素処理を行い、pRAにDNA Ligation Kit <Mighty Mix>(TaKaRa)を利用しライゲーションによりライブラリー遺伝子を作製した。作製したライブラリーで大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、単離したコロニーを96wellプレートで培養し、培養上清をELISAにより発現量とCHO-hPDPNとCHO-rPDPNに対する結合力を評価した。その結果から発現量で規格化後のCHO-hPDPNとCHO-rPDPNに対する結合力が高いサンプルに関して配列解析を行い8種類の第三世代交差性一本鎖可変領域断片のVHとVLを同定した(図7)。
取得したCDR領域及び周辺のリジン残基を無くした第三世代交差性一本鎖可変領域断片に関してそれぞれ大腸菌により調製し、固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(Ni Sepharose 6 Fast Flow, GE)とサイズ排除クロマトグラフィ(HiLoad 26/600 Superdex 200 pg, GE)とANTI-FLAGR M2 Affinity Gel(sigma)によるアフィニティ精製を行い、CHO-rPDPNに対してフローサイトメーターによる結合親和力を評価した。その結果、最もラットポドプラニンに対して結合親和性が強いものでは、19.61 nMであった(表8)。
表6 ライブラリーに使用したコドン (K: T/G, S: C/G)
表7 使用したプライマー
表8 第三世代交差性一本鎖可変領域断片の収量とラットポドプラニンへの結合親和力
図4に記載のclone 1中のVHとVL間の(GGGGS)×3配列を1回繰り返しのGGGGSにすることによって、scFvが二量体であるdiabodyを形成させるようにした組換えタンパク質を大腸菌にて調製した。その結果、ポドプラニン提示CHO細胞に対してdiabodyはscFvよりも親和性が100倍程度増加した。そして、ヒト型化前のLpMab-16の配列で作製したdiabodyとclone 1から作製したdiabodyをラットへ投与したところ、LpMab-16の配列で作製したdiabodyに比べて、clone 1から作製したdiabodyはその1/40量で腎臓の糸球体を染色することができた。また、clone 1から作製したdiabodyは肝臓、肺、脾臓、心臓、腸管を染色しなかった。
clone 1によるフローサイトメトリーにより親和性を測定したところ、Kd値が108±16nMであったところ、diabodyでは、Kd値が、1.7±0.3nMであった。
本実施例における参考文献は、以下のとおりである。
参考文献1:Jung, S. & Plu Ckthun, A. Improving in vivo folding and stability of a single-chain Fv antibody fragment by loop grafting. Protein Eng. 10, 959-966 (1997).
参考文献2:Olimpieri, P. P., Marcatili, P. & Tramontano, A. Tabhu: tools for antibody humanization. Bioinformatics 31, 434-435 (2015).
参考文献3:Chailyan, A., Tramontano, A. & Marcatili, P. A database of immunoglobulins with integrated tools: DIGIT. Nucleic Acids Res. 40, D1230-4 (2012).
参考文献4:Giudicelli, V., Chaume, D. & Lefranc, M.-P. IMGT/GENE-DB: a comprehensive database for human and mouse immunoglobulin and T cell receptor genes. Nucleic Acids Res. 33, D256-D261 (2004).
参考文献5:Richard A. Stein, John C. Wilkinson, Cheryl A. Guyer, A. & Staros*, J. V. An Analytical Approach to the Measurement of Equilibrium Binding Constants: Application to EGF Binding to EGF Receptors in Intact Cells Measured by Flow Cytometry. Biochemistry 40, 6142-6154 (2001).
参考文献6:Kille, S. et al. Reducing Codon Redundancy and Screening Effort of Combinatorial Protein Libraries Created by Saturation Mutagenesis. ACS Synth. Biol. 2, 83-92 (2013).
配列番号:1〜3 LPMab-16のVHのCDR1〜3のアミノ酸配列を示す。
配列番号:4〜6 LPMab-16のVLのCDR1〜3のアミノ酸配列を示す。
配列番号:7 VHのCDR2のアミノ酸配列を一般式で示す。
配列番号:8〜10 VLのCDR1〜3のアミノ酸配列を一般式で示す。
配列番号:11〜14 VHのCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号:15〜34 VLのCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号:35〜38 VLのCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号:39〜40 VLのCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号:41 LPMab-16のVHのアミノ酸配列を示す。
配列番号:42 LPMab-16のVLのアミノ酸配列を示す。
配列番号:43〜50 Hu1LPMab-16 scFv ~Hu8LPMab-16 scFvのVHのアミノ酸配列を示す。
配列番号:51〜58 Hu1LPMab-16 scFv ~Hu8LPMab-16 scFvのVLのアミノ酸配列を示す。
配列番号:59〜61 clone 1〜3ののVHのアミノ酸配列を示す。
配列番号:62〜64 clone 1〜3ののVLのアミノ酸配列を示す。
配列番号:65〜72 clone 4〜11ののVHのアミノ酸配列を示す。
配列番号:73〜80 clone 4〜11ののVLのアミノ酸配列を示す。
配列番号:73〜80 clone 4〜11ののVLのアミノ酸配列を示す。
配列番号:81〜99 第二世代交差性一本鎖可変領域断片(scFv)のVLのアミノ酸配列を示す。
配列番号:100〜107 第三世代交差性一本鎖可変領域断片(scFv)のVHのアミノ酸配列を示す。
配列番号:108〜115 第三世代交差性一本鎖可変領域断片(scFv)のVLのアミノ酸配列を示す。
配列番号:116 scFvのVHとVLを連結するアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列における「GGGSGGGSGGGSGGGS」の配列は、リンカー配列を示し、重鎖(N末端側)と軽鎖(C末端側)をリンカー配列は連結する。
配列番号:117〜128 プライマーの塩基配列を示す。

Claims (7)

  1. 以下の6つのCDRのアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、
    以下の6つのCDRのアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を少なくとも1つ有するか、又は
    以下の6つのCDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を少なくとも1つ有する、ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片:
    重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)
    重鎖CDR2:VIWGGGNTYYNSALKS(配列番号:2)
    重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)
    軽鎖CDR1:KSSQSLLNSGNQKNYLI(配列番号:4)
    軽鎖CDR2:WASTRES(配列番号:5)
    軽鎖CDR3:QNDHTYPLT(配列番号:6)。
  2. 以下の6つのCDRのアミノ酸配列を少なくとも1つ有する、請求項1に記載の交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片:
    重鎖CDR1:DYGVN(配列番号:1)
    重鎖CDR2:VIWGGG(N/K)TYYNSAL(K/A/Q/E)S(配列番号:7)
    重鎖CDR3:HRGA(配列番号:3)
    軽鎖CDR1:(K/R/S/T)SS(Q/K/R)SLLN(S/N/K/A/P)GNQ(K/Q/E/H)NYL(I/N/V)(配列番号:8)
    軽鎖CDR2:(W/G/R/A)ASTR(E/G)S(配列番号:9)
    軽鎖CDR3:QNDHTY(P/L)L(T/I)(配列番号:10)。
  3. 配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む重鎖;
    配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を含む重鎖;
    配列番号:41、43〜50、59〜61、65〜72及び100〜107のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖;
    配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む軽鎖;
    配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の付加、置換、若しくは欠失を含むアミノ酸配列を含む軽鎖;又は、
    配列番号:42、51〜58、62〜64、73〜99及び108〜115のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖、
    を含む、ヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のアミノ酸配列のいずれか1つをコードする核酸。
  5. 請求項4に記載の核酸を含む発現ベクター。
  6. 請求項5に記載の発現ベクターを含む形質転換体。
  7. 請求項1から3のいずれか1項に記載のヒトとラットの腎上皮ポドプラニンに結合する交差性抗体又は交差性抗体可変領域断片を有効成分として含む医薬組成物。
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