JP2020000430A - 動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラム - Google Patents

動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】野球選手の動きの解析負荷を改善する。守備者及び走者の動きを定量的に評価できる仕組みを提案できる。【解決手段】選手トラッキングシステム1において、動作分析装置11の映像・データ管理部111が、野球試合の記録データを用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、映像解析装置12へ送信する。また、集計処理部113が、映像解析装置12により解析された選手の位置データを用いて、プレイシーンで行われた選手の動きを数値化し、分析処理部115が、数値化した選手の動きに関するデータを用いて、ポジション別、プレイ別の守備者の動き、塁別、プレイ別の走者の動きをグラフ化等して表示する。【選択図】図1

Description

本発明は、選手の動作を分析する技術に関し、特に野球選手の動きを分析する技術に関する。
選手の動作を分析する技術として、選手を追尾する非特許文献1のトラッキングシステムがある。非特許文献1のトラッキングシステムは、サッカー選手をカメラで撮影し、ソフトウェアを用いてカメラ映像から選手のピッチ上の位置を計算して可視化する。
"TRACAB、OPTICAL TRACKING、OPTICAL SPORTS PERFORMANC TRACKING"、ChyronHego Corporation、[online]、[平成30年5月30日検索]、<URL:https://chyronhego.com/products/sports-tracking/tracab-optical-tracking/>
非特許文献1のトラッキングシステムを用いることにより、サッカー選手の動きについては分析できる。しかしながら、非特許文献1のトラッキングシステムはサッカー競技を対象競技とするため、競技ルール及び選手の動き方が異なる野球競技に流用することは困難であった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、野球選手の動きの解析負荷を改善することを第1の目的とし、守備者及び走者の動きを定量的に評価できる仕組みを提案することを第2の目的とする。
本発明の動作分析装置は、野球選手の動きを分析する動作分析装置において、野球試合の記録データを用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、前記野球試合のフィールド映像を解析する映像解析装置へ送信する映像管理部を備える。
本発明によれば、野球選手の動きを分析する動作分析装置において、野球試合の記録データを用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、野球試合のフィールド映像を解析する映像解析装置へ送信するため、野球選手の動きを解析する時間を短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を低減できる。
上記動作分析装置において、前記映像管理部は、前記野球試合の記録データを用いて前記プレイシーンでのプレイ内容を特定し、前記プレイ内容に応じた所定の時間又はフレーム数を解析対象時間又は解析対象フレーム数として指定する。
本発明によれば、野球試合の記録データを用いてプレイシーンでのプレイ内容を特定し、プレイ内容に応じた所定の時間又はフレーム数を解析対象時間又は解析対象フレーム数として指定するため、野球選手の動きを解析する時間を更に短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を更に低減できる。
上記動作分析装置において、前記映像管理部は、前記野球試合の記録データを用いて前記プレイシーンでの守備チームが先攻か否かを特定して指定する。
本発明によれば、野球試合の記録データを用いてプレイシーンでの守備チームが先攻か否かを特定して指定するため、その指定に基づき守備者のユニフォームの色を特定することにより、ユニフォームの色を活用して自動で守備者の初期位置を容易に特定できる。つまり、選手の初期位置に目星を付けるという作用を通じ、初期位置に対応する映像フレーム内の部分的領域のみから選手を特定できることから、野球選手の動きを解析する時間を更に短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を更に低減できる。
上記動作分析装置において、前記映像管理部は、前記野球試合の記録データを用いて前記プレイシーンで塁に走者がいるか否かを特定して指定する。
本発明によれば、野球試合の記録データを用いてプレイシーンで塁に走者がいるか否かを特定して指定するため、解析対象を絞り込むことができる。これにより、野球選手の動きを解析する時間を更に短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を更に低減できる。
上記動作分析装置において、前記映像解析装置により解析された選手の位置データを用いて、前記プレイシーンで行われた選手の動きを数値化する集計処理部と、前記数値化した選手の動きに関するデータを用いて、ポジション別若しくはプレイ別の守備者の動き、又は、塁別若しくはプレイ別の走者の動きの情報を表示する分析処理部と、を更に備える。
本発明によれば、映像解析装置により解析された選手の位置データを用いて、プレイシーンで行われた選手の動きを数値化し、数値化した選手の動きに関するデータを用いて、ポジション別若しくはプレイ別の守備者の動き、又は、塁別若しくはプレイ別の走者の動きの情報を表示するため、守備者又は走者の動きをそれぞれ個々に定量的に評価できる。また、数値化された選手の動きに関するデータを活用することにより、野球選手の動きを緻密に分析でき、野球選手の技術向上に繋げることができる。
本発明の動作分析方法は、野球選手の動きを分析する動作分析方法において、動作分析装置が、野球試合の記録データを用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、前記野球試合のフィールド映像を解析する映像解析装置へ送信するステップを行う。
本発明の動作分析方法は、上記動作分析装置としてコンピュータを機能させる。
本発明によれば、野球選手の動きの解析負荷を低減できる。守備者及び走者の動きを定量的に評価できる仕組みを提案できる。
システム全体構成を示す図である。 動作分析処理を示すシーケンス図である。 フィールド映像の例を示す図である。 メタ情報の例を示す図である。 解析シーン情報の例を示す図である。 位置データの例を示す図である。 移動データの例を示す図である。 プレイデータの例を示す図である。 位置データと移動データの具体例を示す図である。 プレイデータの具体例を示す図である。 守備者の分析画面の例を示す図である。 守備者の分析画面(ポジション別;傾向把握用)の例を示す図である。 守備者の分析画面(ポジション別;分析用)の例を示す図である。 守備者の分析画面(プレイ別;傾向把握用)の例を示す図である。 守備者の分析画面(プレイ別;分析用)の例を示す図である。 走者の分析画面の例を示す図である。
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る選手トラッキングシステム1を含むシステム全体構成を示す図である。選手トラッキングシステム1は、野球場内のカメラ2で撮影された野球試合のフィールド映像と、DB群3から取得した守備者及び走者等に関するメタ情報(野球試合の記録データ)とを組み合わせ、機械学習を活用した映像解析を行い、守備者及び走者の試合中の動きをデータ化して端末装置4へ提供するシステムである。
図1に示すように、選手トラッキングシステム1は、動作分析装置11と、映像解析装置12と、を備えて構成される。動作分析装置11は、フィールド映像とメタ情報とを用いて、野球競技に特有な特徴を踏まえ選手の動きを把握するために十分な解析対象を特定し、解析シーン情報としてフィールド映像とともに映像解析装置12に伝える。映像解析装置12は、フィールド映像のうち解析シーン情報で指定された解析対象について映像解析を行う。このように、解析対象を絞ることにより、野球選手の動きを解析するシステム処理負荷を低減する。
次に、動作分析装置11の機能について説明する。
図1に示すように、動作分析装置11は、映像・データ管理部111と、映像・データ記憶部112と、集計処理部113と、動きデータ記憶部114と、分析処理部115と、を備えて構成される。
映像・データ管理部111は、カメラ2から野球試合のフィールド映像を受信し、DB群3からメタ情報であるスコアラのプレイ情報等を受信して、映像・データ記憶部112に記憶して管理し、プレイ情報等を用いて解析対象を特定して、解析対象の情報を含む解析シーン情報をフィールド映像とともに映像解析装置12へ出力する機能を備える。
例えば、映像・データ管理部111は、プレイ情報等を用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、解析対象時間帯を含む解析シーン情報を映像解析装置12へ送信する。
例えば、映像・データ管理部111は、プレイ情報等を用いてプレイシーンでのプレイ内容を特定し、プレイ内容に応じた所定の時間又はフレーム数を解析対象時間又は解析対象フレーム数として指定し、解析対象時間又は解析対象フレーム数を含む解析シーン情報を映像解析装置12へ送信する。
例えば、映像・データ管理部111は、プレイ情報等を用いてプレイシーンでの守備チームが先攻か否かを特定して指定し、守備チームが先攻か否かを示す情報を含む解析シーン情報を映像解析装置12へ送信する。
例えば、映像・データ管理部111は、プレイ情報等を用いてプレイシーンで塁に走者がいるか否かを特定し、塁に走者がいるか否かを示す情報を含む解析シーン情報を映像解析装置12へ送信する。
映像・データ記憶部112は、カメラ2から受信した野球試合のフィールド映像と、DB群3から受信したスコアラのプレイ情報等を含むメタ情報と、を読み出し可能に記憶する機能を備える。
集計処理部113は、映像解析装置12により解析された選手の位置データを受信し、選手の位置データを用いて、プレイシーンで行われた選手の動きを数値化する機能を備える。例えば、集計処理部113は、映像解析装置12からの選手の位置データを元に、速度、加速度、移動距離等の移動データを算出し、プレイシーンにおける各選手の最大速度、反応時間、ルート効率等のプレイデータを算出する。
動きデータ記憶部114は、映像解析装置12から受信した選手の位置データと、集計処理部113により算出された移動データ及びプレイデータと、を読み出し可能に記憶する機能を備える。
分析処理部115は、集計処理部113により数値化された選手の動きに関するデータを用いて、ポジション別、プレイ別の守備者の動き、塁別、プレイ別の走者の動きの情報を表示する機能を備える。例えば、分析処理部115は、位置データと移動データとプレイデータとを組み合わせ、プレイシーンでのプレイ情報等を併せて用いて、分析したいプレイシーン、塁、選手、チーム等を検索する検索手段及び検索結果、選手やチーム全体の動きをグラフ化したグラフ情報、選手の位置をプロットしたプロット位置情報、任意の指標で任意の対象を順位付けしたランキング情報、指定した選手やプレイシーンの映像等を表示する。
次に、映像解析装置12の機能について説明する。
映像解析装置12は、いわゆる映像解析技術を用いて、野球試合のフィールド映像から選手の位置を特定して位置データを生成する機能を備える。例えば、映像解析装置12は、フィールドの背景画像と野球試合中のフィールド映像との画素差分を算出する背景差分法、時間的に前後する2つのフレームの画素差分を算出するフレーム間差分法等を用いて、フィールド映像に含まれる移動体つまり選手を抽出し、各選手のフィールド上での位置を数値化した位置データを算出する。
動作分析装置11と映像解析装置12とは、互いに通信可能に電気的物理的に接続されている。動作分析装置11は、例えば、カメラ2、DB群3、端末装置4とのそれぞれの間で、API(Application Programming Interface)、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)を用いて通信を行い、映像解析装置12との間で、FTP(File Transfer Protocol)等を用いて通信を行う。例えば、動作分析装置11の映像・データ管理部111及び分析処理部115は、Webサーバで構築する。
動作分析装置11及び映像解析装置12は、CPU、メモリ、ハードディスク等を備えたコンピュータで実現可能である。動作分析装置11又は映像解析装置12としてそれぞれ又は全てをコンピュータを機能させるためのプログラム及びプログラムの記憶媒体も作成可能である。
続いて、カメラ2、DB群3、端末装置4について説明する。
カメラ2は、野球場内の少なくともフェアゾーン全てが撮影範囲に含まれるようにサブスコアボード付近に固定設置され、野球試合を撮影し、野球選手を映したフィールド映像を出力する装置である。フィールド映像は試合映像と同義であるが、選手の位置をフィールド面に対して特定するので、フィールドにフォーカスを当ててフィールド映像としている。なお、カメラ2は、選手の動きを確実に捕捉するため、高解像度カメラを用いることが好ましい。
DB群3は、カメラ2で撮影されたフィールド映像の野球試合に関する記録データを記憶するDB群である。図1に示したように、DB群3には、例えば、配球情報DB31、投球情報DB32、公式記録情報DB33が含まれる。
配球情報DB31は、スコアラにより登録された配球情報を記憶するDBである。配球情報は、打者に対する投手の投球を組み合わせた情報であり、例えば、球種、コース、高低、球速等を変えて組み立てられる情報である。投球情報DB32は、球をトラッキングする外部のトラッキングシステムにより生成された投球情報を記憶するDBである。投球情報は、打者に対して投手が投げた投球に関する情報である。
配球情報及び投球情報は、野球試合に関するメタ情報の例である。配球情報DB31及び投球情報DB32は、配球情報及び投球情報に限らず、スコアラによってスコアブックに記録される全ての情報を保持する。例えば、配球情報DB31又は投球情報DB32は、試合年月日、球場名、試合名、試合時間、試合開始時刻、試合終了時刻、天候、チーム名、選手名、守備位置、表回、裏回、打順、ストライク、ボール、アウト、ストライクカウント、アウトカウント、得点、三振、四死球、空振、凡打、長打、安打、盗塁、残塁、塁状況、エラー、ダブルプレー、投球数、各投球時の時刻等を記憶する。
また、配球情報DB31及び投球情報DB32は、選手トラッキングシステム1が過去に求めた選手の位置データ、移動データ、プレイデータを記憶してもよい。過去のデータは、選手トラッキングシステム1において、選手やチームの過去の動きと現在の動きとを週、月、年、年度単位で比較するために用いられる。
公式記録情報DB33は、NPB(日本野球機構)が公開する野球試合の公式記録情報を記憶するDBである。公式記録情報もメタ情報の例である。公式記録情報には、例えば、試合の情報、試合結果(勝、負、引分、得点、失点、点差、先制等)、投手成績(被安打数、自責点等)、打撃成績(安打数等)、個人投手成績、個人打撃成績等を含む。
なお、配球情報DB31、投球情報DB32、公式記録情報DB33によりそれぞれ記憶される各情報の情報源の配置位置はどこでもよいので、全てのDBを物理的に1つの共有DBで構築する構成も考えらえる。本実施形態では、一般的に各DBの運用管理母体がそれぞれ異なることを踏まえて、別々のDBで表現している。
また、配球情報DB31、投球情報DB32、公式記録情報DB33は、それぞれが分析した独自情報を保持してもよいし、試合結果等の共通情報については重複して保持してもよい。各DBは、互いに、不足情報を補う補完的関係になり、共通情報が正しいか否かを確認するための照会先にもなる。
端末装置4は、動作分析装置11へアクセスして選手の動きに関する情報を受信し、グラフ形式やランキング形式等で形成された分析画面をモニタに出力する機能を備える。端末装置4は、例えば、パソコン、タブレット端末、スマートフォン端末等といった汎用装置である。一般的に端末装置4は、野球球団の関係者等により、選手評価、選手育成、チーム分析を行うために用いられる。
次に、選手トラッキングシステム1を用いて行う野球選手の動きを分析する動作について説明する。図2は、野球選手の動きを分析する処理シーケンスを示す図である。
ステップS1;
動作分析装置11は、野球場内に定点固定された高解像度のカメラ2から、野球試合が行われたフィールド映像(図3)を受信するとともに、DB群3から、同一の野球試合に関するメタ情報(図4)を受信する。
ステップS2;
次に、動作分析装置11は、ステップS1で受信したメタ情報を用いて、野球競技に特有の解析対象を特定する。つまり、ステップS2では、野球独自の競技ルール等を踏まえ、フィールド映像の解析範囲を絞る処理を行う。野球特有の特徴を活用するので、野球競技に用いることができ、かつ、解析時間の短縮を実現できる。以降、解析対象の特定方法の例を4つ説明する。
(第1実施例)
野球競技の場合、解析対象の映像は、1試合3時間の映像のうち、約300球のプレイシーンのみでよい。プレイシーンとは、例えば、投手が振りかぶり、アウトカウント等が行われるまでのシーン、つまり、試合中で球が有効な時間帯のシーンである。
そこで、動作分析装置11は、メタ情報を用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯とする。例えば、動作分析装置11は、フィールド映像の開始時刻を0:00(分:秒)とし、配球情報DB31に登録された投球時の時刻情報を用いて、投手が球をリリースした時刻(0:00からの相対時刻)を決定するとともに、その次に球をリリースした時刻までの経過時間を計算して、リリース時刻から経過時間(リリース時刻からの相対時間)までの時間を解析対象時間帯とする。このように、解析対象をプレイシーンで特定することにより、解析時間の短縮を実現できる。
(第2実施例)
動作分析装置11は、各プレイシーンにおいて、メタ情報を用いて当該プレイシーンでのプレイ内容を特定し、当該プレイ内容に応じて、解析対象の解析時間を何秒間とするかを指定し、又は解析フレーム数を何フレーム数とするかを指定する。具体的には、解析対象時間帯の開始時刻は、第1実施例と同様に投球時の時刻情報を用いて決定する一方、終了時刻については、打球結果等のプレイ内容に応じて決定して指定する。
例えば、動作分析装置11は、三振、四球等のプレイアクションが発生しない場合は1秒又は1フレーム、凡打のプレイアクション(アウトにするための捕球、送球)が発生する場合は10秒、長打のプレイアクションが発生する場合は30秒等、プレイ結果に対応する秒数又はフレーム数を固定値で予め設定情報として設定しておく。
そして、動作分析装置11は、各プレイシーンについて、スコアラ情報や公式記録情報等を参照して各プレイシーンのプレイ内容を特定し、上記設定情報に基づき、打者が打っていない場合、守備者及び走者の位置は投球時のみで足りるので1フレームの解析のみと指定し、打者が打っている場合、凡打であれば10秒と指定し、長打であれば30秒と指定する。
このように、プレイ結果に応じて解析時間又は解析フレーム数を指定することにより、最短の解析時間を実現できる。
(第3実施例)
野球競技の場合、先攻と後攻がある。そこで、動作分析装置11は、スコアラ情報や公式記録情報等のメタ情報を参照し、プレイシーンにおいて、守備チームが先攻であるか後攻であるかを特定して指定する。守備チームが先攻であるか後攻であるかを指定することにより、守備チームのユニフォームの色を活用して自動で選手の初期位置の特定を行い易くすることができ、特に守備者の初期位置の判定率を向上できる。このとき、動作分析装置11は、先攻又は後方の情報を守備チームのユニフォームの色に変換する映像解析装置12の手間を省くため、守備チームのユニフォームの色を特定して指定してもよい。
(第4実施例)
動作分析装置11は、スコアラ情報や公式記録情報等のメタ情報を参照し、プレイシーンにおいて、各塁に走者がいるか否かを予めインプットする。このように、各塁に走者がいるか否かを予めインプットすることにより、解析対象範囲を絞り込むことができ、解析時間の短縮を実現できる。
ステップS3;
次に、動作分析装置11は、ステップS2で特定した解析対象の情報を含む解析シーン情報(図5)をフィールド映像(図3)とともに映像解析装置12へ送信する。図5に示すように、動作分析装置11は、例えば「解析開始時刻;3:30、解析時間;10秒、守備者:赤色、走者;一塁」という解析シーン情報を送信する。
ステップS4;
次に、映像解析装置12は、フィールド映像から解析シーン情報内の解析対象に対応するフレームを特定し、既存の映像解析方法を用いて、守備者及び走者を含む全選手の位置をそれぞれ算出して、選手の位置データを数コンマ秒単位でプレイシーン毎に生成する。
例えば、図5に示した解析シーン情報#3の場合、映像解析装置12は、3:30から、3:30に10秒を加算した3:40までの時間帯に含まれるフレームを特定し、特定フレームの中から移動体つまり選手が移動するフィールド上の位置を算出する。このとき、守備者のユニフォームが赤色である情報を活用して、特定フレームの中から赤色の画素を探索することにより、守備者の位置を特定する。フレームから特定色の画素を“探索”する処理は、選手に関する指標が何もない状態からフレーム間差分法等を用いて選手を“抽出”する処理よりも、解析時間を短縮できる。また、走者については、一塁に走者ありという情報を活用して、一塁から一定近距離内の部分領域を解析対象領域として選手の位置を特定する。フレームの全領域について映像解析を行う処理から解放されるので、解析時間を短縮できる。その後、映像解析装置12は、スコアラ情報や公式記録情報等のメタ情報を参照し、特定した各位置に対して各選手のIDを関連付けて、守備者及び走者を含む各選手の位置データを生成する。
なお、守備チームが先攻又は後攻であることを示す情報が解析シーン情報に含まれる場合、映像解析装置12は、公式記録情報等のメタ情報を動作分析装置11から取得し、守備チームのユニフォームの色を自ら特定する。
また、雨天等によりフィールド映像の画質が低下し、選手と背景との境界が不鮮明になると、選手の位置の特定に時間がかかる可能性がある。このように、選手の位置特定精度が天候、野球場、時間帯等の環境条件に依存する場合、映像解析装置12は、予め境界を把握し易くするための適正値を算出しておき、適正値へ補正するための画素補正値を環境条件ごとに学習データとして保持しておき、試合の環境状況に応じた学習データを用いてフレーム映像の各画素の画素値を補正してもよい。
また、選手の交差等により選手の位置を誤検知する可能性がある。そこで、映像解析装置12は、フィールド映像に対するマウスポインタのクリック操作の入力を受け付ける受付部を備え、受付部で受け付けたユーザによる正しい指定位置を対象選手の位置に補正する手動補正部を備えてもよい。
ステップS5;
次に、映像解析装置12は、ステップS4で算出した守備者と走者を含む全選手の位置データ(図6)を動作分析装置11へ送信する。
ステップS6;
次に、動作分析装置11は、映像解析装置12で算出された選手の位置データ(図6)を用いて、速度、加速度、移動距離等の移動データ(図7)を数コンマ秒単位でプレイシーン毎に算出する。
ステップS7;
次に、動作分析装置11は、映像解析装置12で算出された選手の位置データ(図6)と、ステップS6で算出した移動データ(図7)とを用いて、プレイデータの項目に応じた集計処理を行うことにより、各選手の最大速度、反応時間、ルート効率等のプレイデータ(図8)を算出する。
図9A及び図9Bは、位置データと移動データとプレイデータとの具体例を示す図である。図9Aの位置データには、「0〜0.501秒間」の「9回表、打者;佐藤、投手;鈴木、ツーストライク、ツーアウト、走者;一塁、第3球目」のプレイシーン(以下、プレイシーンA)において、「中堅手」の「伊藤」選手の位置データ51が例示されている。位置データは、フレーム画像の横方向をX軸、縦方向をY軸の二次元座標とし、X座標、Y座標として表される。
図9Aの移動データには、位置データ51より求めた「伊藤」選手の移動データ52が例示されている。移動データ52は、「伊藤」選手の時間経過に伴う位置移動に基づき計算した速度、加速度、最短移動距離、累計移動距離等である。移動データの計算方法は、図7に示した移動データの備考欄で説明した通りであり、具体的な計算方法を以降に示す。
速度V=(一つ前のレコードとの2点間の距離)/(一つ前のレコードとの時間差分)=√{(X−X−1+(Y−Y−1}/(S−S−1
加速度α=(一つ前のレコードとの速度の差分)/(一つ前のレコードとの時間差分)=(V−V−1)/(S−S−1
最短移動距離D1=1レコード目と対象レコードとの2点間の距離=√{(X−X+(Y−Y
累計移動距離D2=(一つ前のレコードの累計移動距離)+(一つ前のレコードと対象レコードとの2点間の距離)=D2−1+√{(X−X−1+(Y−Y−1
なお、レコードとは、図9Aに示した表の列データを指す。また、XとYは対象レコードのX座標とY座標、X−1とY−1は一つ前のレコードのX座標とY座標、XとYはプレイ内の最初のレコードのX座標とY座標、Sは対象レコードの時刻、S−1は一つ前のレコードの時刻、Vは対象レコードの速度、V−1は一つ前のレコードの速度である。
図9Bに示したプレイデータには、プレイシーンAでの「伊藤」選手のプレイデータ53、及び同様に算出された他の守備選手のプレイデータが例示されている。プレイデータ53は、位置データと移動データとを用いて、「伊藤」選手のセット時位置、投球時位置、反応時間、初速度、最大速度、最大速度到達時間、最大加速度、最終移動位置、最短移動位置、累計移動距離、移動距離差分等である。以降、プレイデータの計算方法を示す。
セット時位置=投球開始の一秒前時点の位置=選手トラッキングの4秒目以降の最初のレコードのX,Y
投球時位置=投球開始時点の位置=選手トラッキングの5秒目以降の最初のレコードのX,Y
反応時間=時系列に見て、初めに速度が計測された時間(移動したとみなす閾値を設けて算出してもよい)
初速度=時系列に見て、初めに速度が計測された際の速度(移動したとみなす閾値を設けて算出してもよい)
最大速度=MAX速度
最大速度到達時間=MAX速度を計測した際の時間(複数同じ速度がある場合は、最短のレコードを対象とする)
最大加速度=MAX加速度
最終移動位置=プレイ終了後の位置=選手トラッキングの最終のレコードのX,Y
最短移動距離=プレイ開始と終了時の移動距離=選手トラッキングの最終のレコードの最短移動距離
累計移動距離=プレイ中の移動距離累計=選手トラッキングの最終のレコードの累計移動距離
移動距離差分=累計移動距離−累計移動距離
ステップS7により、フィールド映像に含まれる全守備者及び全走者のプレイデータがそれぞれ生成される。プレイデータは、AチームのA1という打者に対してBチームのB1という投手が投げる所定のプレイシーンについて、Bチームの各守備者のそれぞれの守備範囲、守備位置、反応速度、打球の追い方等、Aチームの打者及び走者の塁間スピード、加速度、盗塁スタート、コース取り等の情報を提供するための情報源となる。
ステップS8;
最後に、動作分析装置11は、選手の位置データと移動データとプレイデータとを組み合わせて用い、プレイシーンの打者、投手、イニング等の試合におけるプレイシーンでのプレイ情報等を併せて用いて、ポジション毎、プレイ毎、選手毎、チーム毎の守備者の動きや、塁毎、プレイ毎、選手毎、チーム毎の走者の動きに関する表、グラフ、ランキング情報を形成し、分析画面として端末装置4に送信してモニタに表示させる。以降、具体例を説明する。
まず、守備者の動きを分析するための分析画面について説明する。
動作分析装置11は、端末装置4からの守備者の分析画面要求に応じ、各プレイシーンでの各守備者のそれぞれの位置データを時系列にリスト化した守備位置データ(図10の上図)を表示するとともに、各プレイシーンでの各守備者の位置を野球平面図にプロットした守備位置プロット画面(図10の下図)を併せて表示する。守備位置プロット画面を参照することにより、端末装置4のユーザは、所定の打者に対するチームの守備シフトを把握できる。
次に、図10に示した守備位置データにおいて、端末装置4のユーザが所定のポジション欄61を指定すると、動作分析装置11は、指定されたポジションの守備者の各プレイシーンでの守備位置をグラフにプロットした守備位置画面(図11)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、ポジション別の選手の守備位置の傾向を把握できる。
その後、動作分析装置11は、指定された守備者の移動ルートの軌跡を野球場平面図に表示した移動ルート画面(図12の左図)を表示するとともに、その守備者の移動速度を表示した移動速度画面(図12の右図)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、ポジション別の選手の移動速度を把握できる。
一方、図10に示した守備位置データにおいて、端末装置4のユーザが所定のプレイ欄62を指定すると、動作分析装置11は、指定されたプレイシーンの各守備者の位置をそれぞれ野球場平面図にプロットした守備位置画面(図13の左図)を表示するとともに、指定されたプレイシーンに対応するフィールド映像(図13の右図)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、プレイシーン別の選手の守備位置の傾向を把握できる。
その後、動作分析装置11は、指定されたプレイシーンの各守備者の移動ルートの軌跡を野球場平面図に描画した移動ルート画面(図14)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、プレイシーン別の守備選手の動きを把握できる。
次に、走者の動きを分析するための分析画面について説明する。
動作分析装置11は、端末装置4からの走者の分析画面要求に応じ、各プレイシーンでの各走者のそれぞれの位置データを時系列にリスト化したリード位置データ(図15)を表示するとともに、各プレイシーンでの各走者の位置を野球平面図にプロットしたリード位置プロット画面(不図示;図10の下図を参考)を併せて表示する。リード位置プロット画面を見ることにより、端末装置4のユーザは、所定の投手及び打者に対する各走者のリード位置を把握できる。
次に、図15に示したリード位置データにおいて、端末装置4のユーザが所定の塁欄71を指定すると、動作分析装置11は、指定された塁の走者の各プレイシーンでの位置をグラフにプロットしたリード位置画面(不図示;図11を参考)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、塁別の選手のリード位置の傾向を把握できる。
その後、動作分析装置11は、指定された走者の移動ルートの軌跡を野球場平面図に表示した移動ルート画面(不図示;図12の左図を参考)を表示するとともに、その走者の移動速度を表示した移動速度画面(不図示;図12の右図を参考)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、塁別の選手の移動速度を把握できる。
一方、図15に示したリード位置データにおいて、端末装置4のユーザが所定のプレイ欄72を指定すると、動作分析装置11は、指定されたプレイシーンの各選手の位置をそれぞれ野球場平面図にプロットしたリード位置画面(不図示;図13の左図を参考)を表示するとともに、指定されたプレイシーンに対応するフィールド映像(不図示;図13の右図を参考)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、塁別の選手のリード位置の傾向を把握できる。
その後、動作分析装置11は、指定されたプレイシーンの各走者の移動ルートの軌跡を野球場平面図に描画した移動ルート画面(不図示;図14を参考)を表示する。これにより、端末装置4のユーザは、塁別の走者の動きを把握できる。
勿論、守備者の分析画面と走者の分析画面を同一画面内に、並列又は重ね合わせて表示することも可能である。例えば、図10に示した守備位置データと図15に示したリード位置データとを上下又は左右に表示してもよい。
その他、図12に示した指定守備者の移動速度画面に、全ての守備者の移動速度を含めて表示してもよいし、指定守備者又は全守備者の移動量のグラフを重ねて表示してもよい。図15に示したリード位置データに基づく走者の移動速度画面については、一塁走者や二塁走者のみではなく、打者の移動速度を重ねて表示してもよい。その他、ユーザの見易さを考慮して、打者が打った時刻を強調する補助線等を追加することや様々な加工を加えることも可能である。
図10から図15に例示した分析画面を表示することにより、端末装置4のユーザは、各守備者のそれぞれの守備範囲、守備位置、反応速度、打球の追い方等を分析でき、打者及び走者の塁間スピード、加速度、盗塁スタート、コース取り等の情報を分析できる。なお、図8に示すプレイデータの項目内容は、選手の動きを示す指標の一例にすぎず、選手の動きを示す指標であれば他の指標を作成して追加してもよい。
以上より、本実施形態によれば、選手トラッキングシステム1において、動作分析装置11の映像・データ管理部111が、野球試合の記録データを用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、映像解析装置12へ送信するので、野球選手の動きを解析する時間を短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を低減できる。
また、本実施形態によれば、選手トラッキングシステム1において、動作分析装置11の映像・データ管理部111が、野球試合の記録データを用いてプレイシーンでのプレイ内容を特定し、プレイ内容に応じた所定の時間又はフレーム数を解析対象時間又は解析対象フレーム数として指定するので、野球選手の動きを解析する時間を更に短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を更に低減できる。
また、本実施形態によれば、選手トラッキングシステム1において、動作分析装置11の映像・データ管理部111が、野球試合の記録データを用いてプレイシーンでの守備チームが先攻か否かを特定して指定するので、その指定に基づき守備者のユニフォームの色を特定することにより、ユニフォームの色を活用して自動で守備者の初期位置を容易に特定できる。つまり、選手の初期位置に目星を付けるという作用を通じ、初期位置に対応する映像フレーム内の部分的領域のみから選手を特定できることから、野球選手の動きを解析する時間を更に短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を更に低減できる。
また、本実施形態によれば、選手トラッキングシステム1において、動作分析装置11の映像・データ管理部111が、野球試合の記録データを用いてプレイシーンで塁に走者がいるか否かを特定して指定するので、解析対象を絞り込むことができる。これにより、野球選手の動きを解析する時間を更に短縮でき、野球選手の動きを解析する演算量を更に低減できる。
また、本実施形態によれば、選手トラッキングシステム1において、動作分析装置11の集計処理部113が、映像解析装置12により解析された選手の位置データを用いて、プレイシーンで行われた選手の動きを数値化し、分析処理部115が、数値化した選手の動きに関するデータを用いて、ポジション別、プレイ別の守備者の動き、塁別、プレイ別の走者の動きをグラフ等で表示するので、守備者又は走者の動きをそれぞれ個々に定量的に評価できる。また、数値化された選手の動きに関するデータを活用することにより、野球選手の動きを緻密に分析でき、野球選手の技術向上に繋げることができる。
最後に、選手トラッキングシステム1の応用例を説明する。本実施形態では、選手の位置及び動きを解析・分析する場合について説明した。一方、映像解析処理ではフレーム映像と背景画像間又はフレーム間で画素値(濃淡値、輝度値等)の差異を元に任意の移動体を検出できるので、投球や打球等の球、ベースコーチ、審判員等の位置及び動きを解析・分析してもよい。
1…選手トラッキングシステム
11…動作分析装置
111…映像・データ管理部(映像管理部)
112…映像・データ記憶部
113…集計処理部
114…動きデータ記憶部
115…分析処理部
12…映像解析装置
2…カメラ
3…DB群
31…配球情報DB
32…投球情報DB
33…公式記録情報DB
4…端末装置

Claims (7)

  1. 野球選手の動きを分析する動作分析装置において、
    野球試合の記録データを用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、前記野球試合のフィールド映像を解析する映像解析装置へ送信する映像管理部
    を備えることを特徴とする動作分析装置。
  2. 前記映像管理部は、
    前記野球試合の記録データを用いて前記プレイシーンでのプレイ内容を特定し、前記プレイ内容に応じた所定の時間又はフレーム数を解析対象時間又は解析対象フレーム数として指定することを特徴とする請求項1に記載の動作分析装置。
  3. 前記映像管理部は、
    前記野球試合の記録データを用いて前記プレイシーンでの守備チームが先攻か否かを特定して指定することを特徴とする請求項1又は2に記載の動作分析装置。
  4. 前記映像管理部は、
    前記野球試合の記録データを用いて前記プレイシーンで塁に走者がいるか否かを特定して指定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の動作分析装置。
  5. 前記映像解析装置により解析された選手の位置データを用いて、前記プレイシーンで行われた選手の動きを数値化する集計処理部と、
    前記数値化した選手の動きに関するデータを用いて、ポジション別若しくはプレイ別の守備者の動き、又は、塁別若しくはプレイ別の走者の動きの情報を表示する分析処理部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の動作分析装置。
  6. 野球選手の動きを分析する動作分析方法において、
    動作分析装置が、
    野球試合の記録データを用いて投球一球ごとのプレイシーンに対応するプレイ時間帯を特定し、解析対象時間帯として、前記野球試合のフィールド映像を解析する映像解析装置へ送信するステップ
    を行うことを特徴とする動作分析方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか記載の動作分析装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする動作分析プログラム。
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