JP2019536892A - 改良された半田及び高純度の鉛を製造する方法 - Google Patents

改良された半田及び高純度の鉛を製造する方法 Download PDF

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Abstract

鉛と錫とを含有する金属混合物組成物であって、重量で、少なくとも10%の錫および45%の鉛と、錫と鉛を合わせて少なくとも90%含み、錫よりも鉛が多く、1ppm〜5000ppmの銅と、少なくとも0.42%のアンチモン(Sb)と、少なくとも0.0001重量%の硫黄と、合計が最大で0.1%である、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、およびタングステン(W)と、各々1つが最大で0.1%である、アルミニウム、ニッケル、鉄、および亜鉛とを含む金属混合物組成物が開示される。この金属混合物組成物を製造するための前処理工程、続いて鉛を蒸発により除去し、少なくとも0.6重量%の鉛を含む底部流が得られる真空蒸留工程を含む方法も開示される。【選択図】図1

Description

本発明は、高温冶金による、新しい鉱石を意味する一次供給源からの、リサイクル可能な材料としても知られる二次供給原料からの、またはそれらの組み合わせからの銅(Cu)の製造と組み合わせた、非鉄金属、特に錫(Sn)および鉛(Pb)の製造に関するものである。リサイクル可能な材料は、例えば、副生成物、廃棄物材料、および使用済み材料でよい。より具体的には、本発明は、改良された半田組成物、銅金属製造から副生成物として生成される主に錫および鉛を含む金属混合物、ならびに真空蒸留によるその製造および分離に関するものである。
非鉄金属を製造するための原料として利用可能な材料には、通常、複数の金属がある。大量生産用途の大部分において非鉄金属には高純度が要求されているため、製造プロセスで異なる金属を分離する必要がある。非鉄金属製造プロセスは、典型的には、少なくとも1つの、通常は複数の高温冶金プロセス工程を含み、そこでは金属と金属酸化物の両方が液体溶融状態で起こり、分離した典型的にはより軽い液体スラグ相としての金属酸化物を溶融金属相から重力によって分離することができる。スラグ相は通常、プロセスから分離した流れとして抜き出され、この分離は金属製造からの副生成物としてのスラグの製造をもたらすことができる。
非鉄金属は、一次供給源とも呼ばれる出発材料としての新しい鉱石から、または二次供給原料としても知られるリサイクル材料から、またはそれらの組み合わせから製造することができる。
二次供給原料からの非鉄金属の回収は、長年にわたり最も重要な活動となってきた。使用後の非鉄金属のリサイクルは、そのような金属に対する強い需要が継続していること、および高品質の新しい金属鉱石の入手可能性が低下していることのために、産業に貢献している。また、二次供給原料の処理は、典型的には、副生成物としてスラグを生成する製錬所などの高温冶金処理工程の使用を含む。
高温冶金法により銅を製造する場合、存在する錫および/または鉛はより容易に酸化される傾向があり、その酸化物は上澄みスラグ相に容易に移行する。このスラグは銅に富む溶融金属から分離することができる。その後の化学的還元工程により、スラグ中の錫および/または鉛は金属状態に戻る。これらの金属は、錫および/または鉛に富み、典型的には両方のかなりの量を含んでいる溶融金属混合物として残りのスラグから分離することができる。これらの金属流は、通常、銅含有副生成物よりも低い融点を有する。それらはしばしば「半田」(solder)と呼ばれ、時には「ホワイトメタル」とも呼ばれる。錫および鉛の他に、これらの粗製半田組成物は、銅(Cu)、アンチモン(Sb)、砒素(As)、ビスマス(Bi)、鉄(Fe)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、テルル(Te)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、ケイ素(Si)、タリウム(Tl)、ガリウム(Ga)などの他の金属をかなり少量ながら含む可能性があり、時には、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、およびイリジウム(Ir)などの貴金属も通常は少量であるが含む可能性がある。粗製半田は、硫黄(S)、炭素(C)、および酸素(O)などの金属とは見なされない元素も含む可能性がある。
粗製半田組成物は、それらの組成に応じて直接的な商業用途を有することができるが、金属製品をそれらのより要求の厳しい最終用途へのグレードアップに許容できるようにするために、より純度の高い形態で半田から個々の成分を回収する必要がある。このような半田流からより高純度の錫(Sn)を回収すること、およびいくつかのより高純度の形態で鉛(Pb)を回収することにも主に大きな関心が残っている。
半田から出発してより高純度の金属流を得るための公知の技術は、典型的には非常に低い圧力、典型的には50Pa絶対圧以下、おそらく10〜15Pa以下、そしてしばしば1〜5Pa程度の低い圧力下で、少なくとも900℃、しばしば1100℃程度の比較的高い温度と組み合わせて行われる技術である真空蒸留によるものである。半田タイプの金属混合物の真空蒸留はバッチ式で行うことができ、そのようなバッチ式真空蒸留技術は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および非特許文献1に開示されている。金属の真空下での蒸留も連続方式で実施することができ、そのような連続蒸留技術は、特許文献4、特許文献5、および特許文献6に開示されている。
中国特許第101696475号明細書 中国特許第104141152号明細書 中国特許第101570826号明細書 中国特許第102352443号明細書 中国特許第104651626号明細書 中国特許第104593614号明細書 中国特許出願公開第1899738号明細書 中国特許第102534249号明細書
ヤン他(Yang et al), "真空分離による廃棄物Sn系合金からの金属のリサイクル(Recycling of metals from waste Sn−based alloys by vacuum separation)", Transactions of Nonferrous Metals Society of China, 25 (2015), 1315−1324, Elsevier Science Press
本発明者らは、特にPbが蒸発し始めてその濃度が低下するとき、操作中の溶融液体金属相の流動性の低下のために、半田型金属の蒸留に操作上の問題があることを見出した。問題はバッチ式操作で起こるが、連続真空蒸留ではより顕著になり、それによって高温でさえも時間の経過と共に不溶性の固体が形成され、特に小さな開口部などの敏感な領域では蒸留装置に付着し、それにより円滑な操作を損ない、さらには機器を閉塞する可能性がある。
本発明は、上述の問題を未然に防ぐ、または少なくとも軽減すること、および/または全般的に改善を提供することを目的とする。
本発明によれば、添付の請求項のいずれかに定義されているように、金属混合物組成物および金属混合物が中間流として生じる方法が提供される。
一実施形態では、本発明は、鉛(Pb)および錫(Sn)を含有する金属混合物であって、重量基準で、
少なくとも10%の錫と、
少なくとも45%の鉛と、
錫と鉛を合わせて少なくとも90%含み、
錫よりも鉛が多く、
少なくとも1ppm、最大で5000ppmの銅と、
少なくとも0.42%のアンチモン(Sb)と、
少なくとも0.0001重量%の硫黄(S)と、
合計が最大で0.1%である、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、およびタングステン(W)と、
最大で0.1%のアルミニウム(Al)と、
最大で0.1%のニッケル(Ni)と、
最大で0.1%の鉄(Fe)と、
最大で0.1%の亜鉛(Zn)とを含む金属混合物を提供する。
一実施形態では、本発明は、請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載の金属混合物を蒸留により分離する方法であって、液体溶融金属供給組成物を前処理する工程を含む。
a)供給組成物は、かなりの部分が錫および鉛であり、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、および/または亜鉛(Zn)を少なくとも0.16重量%含み、供給組成物は、少なくとも500℃の温度で利用可能であり、
前処理工程は、
b)供給組成物を最高825℃の温度まで冷却し、重力によって第1の液体溶融金属相上に浮遊する第1の上澄みドロスを含む浴を生成する工程と、
c)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属、またはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含む化合前記第1の液体溶融金属相に添加して、重力によって第2の液体溶融金属相上に浮遊する第2の上澄みドロスを含む浴を形成する工程と、
d)第2の液体溶融金属相から第2のドロスを除去する工程とを含み、
それによって、前処理からの生成物として得られる液体溶融金属相は、本発明に係る金属混合物を形成し、
本方法は、金属混合物を蒸留工程に付す工程であって、鉛(Pb)が蒸発によって金属混合物から除去され、少なくとも0.6重量%の鉛を含む底部生成物が得られる工程をさらに含む。
本発明者らは、供給組成物中の特定の金属が、錫を含む混合物から鉛を蒸発させるのに適した真空蒸留の条件下で、これらの特定の金属のうちの少なくとも2つの間の相互金属間化合物および/または少なくとも1つの特定の金属と錫との金属間化合物を形成できることを見出した。本発明者らはさらに、これらの金属間化合物の多くが、それらが形成される混合物の温度よりもはるかに高い融点を有することを見出した。したがって、本発明者らは、これらの高融点金属間化合物が溶液から出て固体を形成する可能性があることを見出した。これらの固体は、液体金属中に懸濁したままである可能性があり、例えば、液体混合物の粘度を上昇させることによって、混合物の流動性を低下させる危険性がある。これは、例えば、液体金属の流れを減速させて装置の能力を低下させ、それにより装置を低いスループットで運転させることによって、蒸留装置の円滑な運転を妨げる可能性がある。固形物はまた、蒸留装置に固着および/または付着する可能性があり、それによって、例えば、プロセス流の重要な通路を詰まらせることによって、蒸留装置の操作を損なうか又はさらには妨げる危険性を作る。説明されている現象は、強制的にシャットダウンをして装置を開いて清掃するか、影響を受ける装置のアイテムを交換することさえある。
本発明者らは、液体金属混合物中の鉛含有量が減少すると、そのような金属間化合物を形成する傾向が所与の温度で増大することを見出した。したがって、本発明者らは、溶融供給混合物が蒸留装置の入口から底部生成物の出口に向かって進むにつれて、蒸留装置を通って流れる液体混合物からの鉛の蒸発のために、金属間化合物の形成の危険性が増大することを見出した。
本発明者らはさらに、そのような金属間化合物を形成する傾向が溶融液体金属相の温度の低下と共に増加することを見出した。本発明者らは、例えば、真空蒸留装置に入る供給物が、蒸留装置を出るSnに富む液体生成物よりも低い温度を有し得ることを観察した。このように、本発明者らは、金属間化合物の不利な効果がより低い温度でより顕著になり得ることを見出した。したがって、本出願人は、蒸留装置の入口部分は、金属間化合物によって引き起こされる上述の問題を特に起こしやすい可能性があると考えている。
本発明者らはさらに、錫からの鉛の連続蒸留が、本発明によって対処される問題をさらに引き起こしやすいことを見出した。本発明者らは、これは少なくとも部分的には、連続蒸留操作が、溶液から出て装置に付着する可能性がある固形分の漸進的な蓄積のためにより多くの時間を提供するためであると考える。したがって、連続操作では、固形分が蓄積し、バッチ操作で見られ得るものよりも大きな問題を引き起こす可能性がある。加えて、連続真空蒸留装置内の液体金属流は典型的には狭い通路を有する複雑な経路をたどる。この経路およびこれらの狭い通路は、溶液から出てきて固形分の固定点への付着を求めることによって妨げられがちである。
本発明者らは、特に、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、およびアルミニウム(Al)は、真空蒸留工程への半田供給中に存在すると、半田の真空蒸留中に邪魔になる金属間化合物をもたらし得る金属であることを見出した。これらの潜在的に邪魔な金属のうち、制御されるために典型的により重要であるのは、Cu、Ni、Fe、Zn、およびAlである。この理由は、Cu、Ni、Fe、Zn、およびAlを含有する供給原料から錫および/または鉛を回収することはより有利であるということである。プロセス上の理由から、錫および/または鉛の回収工程の上流で全工程に鉄および/またはアルミニウムを導入することもできる。したがって、錫および/または鉛を回収しようとする粗製半田中間生成物中にCu、Ni、Fe、Zn、およびAlが存在する可能性がより高く、これは上流プロセス工程における選択、および上流プロセス工程のための原料物質、典型的には高温冶金的性質のものの選択の結果である。
本発明者らは、蒸留工程への半田供給中のこれらの金属の濃度を特定のレベル内に制御することによって、確認された問題を大幅に軽減し、さらには回避することができ、半田は、鉛の少なくとも一部の蒸発によってより濃縮した流れに分離されることを見出した。
本発明者らはさらに、半田を真空蒸留に適するようにするために、これらの潜在的に有害な金属、特に銅を半田から完全に除去する必要がないことを見出した。本発明者らは、例えば、蒸留工程への半田供給物中に少量の銅が存在したままであると、確認された問題が実用的かつ経済的に許容可能なレベルまで低減され得ることを見出した。この知見は、一次および/または二次原料、特に二次原料、さらに重要なことには使用済み物質を含む原料からの銅の回収からの副生成物として生じる半田流を処理できるという利点をもたらす。
本発明に係る金属混合物は、少なくとも0.0001重量%の硫黄(S)を含む。我々は、硫黄含有量の制御により目標とされる結果を達成するために、例えば、1重量ppmの検出限界以下の非常に低いレベルまで硫黄のレベルを下げることは必要とされないことを見出した。それどころか、金属混合物中の硫黄の存在は技術的利益をもたらす。
我々は、硫黄が銅と極めて容易に結合して硫化銅(CuSなど)を形成すること、および硫化銅がプロセス中の2つの主成分、すなわち錫と鉛を含む液体金属混合物から重力により容易に分離することを見出した。したがって、硫黄の存在は、上澄みドロス中のCuを分離することを意図しているすべてのプロセス工程においてCuの除去に寄与することができる。本出願人らは実際に、本発明に係る方法においてSをプロセス化学物質としてSを含むことを好む。我々は、黄鉄鉱(FeS)などの硫黄含有化合物の添加が実際に本発明に係る金属混合物の銅含有量を減少させるのを助けるこの目的に適している可能性があることを見出したが、我々は元素状硫黄の使用を好み、その使用は、1つ以上の追加の化学元素の導入を回避するからである。したがって、いかなる形態の硫黄も、特に元素状硫黄は、本発明者らにとって、望ましくない金属のうちのいくつかの、特に銅の除去に非常に適したプロセス化学物質である。
したがって、本発明に係る金属混合物中の硫黄の存在は、本発明に係る金属混合物が銅製造プロセスからの副生成物として製造されたことの強い指標である。結果として、本発明に係る方法のための出発材料は、特定されたレベルなどの不純物として測定可能な量の銅を含有する可能性が高い。そのような出発流の銅含有量は、SによるCuの結合が1つのみである様々な可能なプロセス工程によって減少させることができる。Cuを除去するためのいかなるS処理も、金属混合物中に測定可能な微量のSを残す可能性が非常に高い。したがって、本発明に係る金属混合物中のSの存在は、銅製造からの副生成物として製造された金属混合物と強い関係を与え、好ましくは硫黄または適当なS含有化合物による処理を含む工程を含む。
本発明に係る金属混合物中の硫黄の存在は、明記されているように、いくらかの銅も存在しているという条件で、邪魔にならないことを我々はさらに見出した。Sの存在は、工業的に許容される品質に達するためのそれらの経路において、より少ない貴金属の流れからCuを除去するためのその後の浄化工程に寄与することができる。したがって、本発明に係る金属混合物中のSは好ましい存在であり、有利な利点が下流に現れる。
特許文献7は、コーティング用の磁極材料の内側スリーブと外側スリーブとの間の半田付け方法を開示している。この明細書に明記されているような鑞付け用半田は、意図的に調製され、そして主としてPbおよびSn、若干のSb、そしてさらに0.5重量%以下の不純物を含有すると述べられている。不純物は、最大で0.08重量%のCuおよび最大で0.02重量%のSとしてさらに特定されている。少なくとも1重量ppmのCuおよび少なくとも0.0001重量%、したがってこれもまた1重量ppmの硫黄を含む半田材料については、特許文献7には開示されていない。特許文献7の鑞付け用半田は、そこから高純度のPbおよび/またはSnを回収することを意図していない。
本発明に係る組成物は、蒸発によって組成物中の鉛の大部分を除去するために蒸留工程に容易に供され得ることを我々は見出した。我々は、そのような蒸留は、多くの商業規格に対応する鉛生成物を得るために慣用の手段によって容易にさらに精製することができる鉛に富む頂部流を生成することができ、同時に、錫に富んでいるが、鉛(Pb)の最小存在と共に、処理の生成物中に存在するアンチモン(Sb)の大部分も含む底部流を生成することを見出した。アンチモン(Sb)の存在は、アンチモンのレベルが合理的な限度内に留まり、かつ蒸留操作のSnに富む底部生成物中に規定のレベルのPbが留まる限り、必ずしもこの分離にとって邪魔にはならない可能性があることを我々は見出した。本出願人らは、本明細書の以下でさらに論じるように、蒸留のSn生成物中に残存するPbが、許容できる有意なレベルまでアンチモンのための追加の溶媒として作用すると考えている。さらに、半田供給物と共に入ってくるPbの全てを蒸発させないことによって、真空蒸留への半田供給物と共に入ってくるアンチモンの大部分も底部生成物中に残留し、それによってアンチモン含有量が低いままであるPb蒸留物を生成でき、したがってより容易に精製して、特に組成に敏感な鉛用途に望ましい特性を有する「軟鉛(soft lead)」とも呼ばれる高純度鉛生成物を得ることができると本出願人らは考えている。
本発明に係る金属混合物の真空蒸留中の金属間化合物の形成の問題は、蒸留工程の底部生成物中に少なくとも規定濃度の鉛を残すことによってさらに軽減されることを我々はさらに見出した。この量の鉛は、潜在的に有害な金属をより良好に溶液中に保ち、潜在的に邪魔をする金属間化合物を形成する傾向を減らすことに有益な影響を与えると我々は考えている。
本発明に係る方法の一部として行われる真空蒸留の底部生成物中に最少量の鉛が存在すると、銀を除去することによって粗錫流を精製するための4工程の晶析装置操作を記載している特許文献8に記載されているような技術を用いた晶析装置によって底部生成物中の銀または他の貴金属を除去することがより容易になることを我々はさらに見出した。
本発明に係る方法は、鉛が豊富で、かなりの量の錫(Sn)を含み、そして特定の限度内のアンチモン(Sb)ならびに銅(Cu)を含む供給材料を処理することができ、一方では商業用等級の高純度鉛生成物へのさらなる精製に適した蒸留物を製造し、他方では商業的に重要な量のいくつかの金属(特に、錫、アンチモン、および残りの鉛が存在するが、おそらく貴金属、特に銀(Ag)などの他の金属価を含む金属)へのさらなるアップグレードに適した液体溶融金属混合物を製造することができることを我々は見出した。
本出願人らは、本発明に係る方法のための供給流として適した粗製半田を製造する上流工程は、典型的には700〜1000℃の範囲内ではなく、典型的に特定の500℃よりはるかに高温で操作することを指摘する。本出願人らはさらに、本発明に係る方法の最後の工程、すなわち真空蒸留工程は、典型的にはさらに高い温度で操作されるべきであることを指摘している。背景技術の欄で上述したように、真空蒸留によって錫から鉛を除去するための典型的な温度は、少なくとも900℃、しばしば1100℃程度に高温である。
したがって、本出願人らは、本発明に係る方法の工程a)が直観的でないことを提起する。錫から鉛を分離するための真空蒸留工程に供される前に、当業者は半田を製造した高温に保ち、おそらくさらにそれを加熱することを好むことを本出願人らは提起する。しかしながら、本出願人らは、本発明に係る方法の一部としての冷却工程a)が、さらなる化学物質の介在なしに、本発明との関連で上澄みドロス相への供給中に真空蒸留工程にとって望ましくない半田中の成分のかなりの部分を移動させることができ、したがってこのドロス相は液体金属相から分離されるために利用可能になることを見出した。本出願人らは、この冷却工程が、望ましくない成分に富む別個のドロス相を作り出すことにおいて重要な一因であり、これらの望ましくない成分をより少なく含有する液体金属相を残し、したがって蒸留工程中の金属間化合物の形成の可能性によって引き起こされる操作上の問題に遭遇する機会がより少ない真空蒸留工程により適していることを見出した。本出願人らは、冷却工程が、残りの液体半田相中の銅、ニッケル、鉄、および/または亜鉛の含有量を特に減少させることができることを見出した。
本出願人らは、本発明に係る方法の一部としての工程c)を、真空蒸留に向かう途中で液体金属相中の望ましくない金属の濃度をさらに減少させると提起している。しかしながら、この工程は特定されたように化学物質を消費する。後続の化学処理工程c)はより少ない化学物質を必要とするという追加の利点を冷却工程a)がもたらすと本出願人らは提起している。工程c)で特定された化学物質は、塩基として作用することになり、そしてこの塩基は、少なくとも工程d)において除去されるドロスになる。ドロスは有価金属を含み、そして有価金属の回収のために本発明に係る方法の一部として液体金属相から分離されたドロス相を再利用することは経済的に興味深い。しかしながら、そのようなドロス流からのこれらの金属のための既知の回収方法の多くは高温冶金的性質のものである。それらは非常に高い温度で操作されるので、高温プロセス流と接触する装置のほとんどの構造用鋼は典型的には耐火材料で保護されている。しかしながら、工程c)で使用され、工程d)で分離されたドロス相になる化学物質は、典型的な高温冶金非鉄金属回収プロセス工程で使用される最も一般的に使用される耐火材料に対して攻撃的である。したがって、本出願人らは、冷却工程a)が工程c)で導入された化学物質のレベルを抑えることに寄与するだけでなく、高温冶金プロセスによってそこから金属有価物を回収するために、工程d)で分離されたドロスを再利用するための許容レベルにも寄与すると提起する。
我々は、冷却工程b)において、主に鉄およびニッケルが錫と化学的に結合することができ、本明細書の他の箇所で特定されるように、下にある液体流が十分な鉛を含み、したがって十分に高い密度であるならば、これらの化合物が上に浮かぶ可能性があることを見出した。
我々は、工程c)で導入された化学物質が、望ましくない金属のいくつか、主に亜鉛を結合することができ、これが工程b)について上で説明したのと同じ条件下で容易に上に浮かぶ形で結合できることを見出した。
本発明の一実施形態に係る方法の一実施形態のフロー図を示す。
本発明は、特定の実施形態に関して、および特定の図面を参照して以下に説明されるが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載されたいずれの図面も単に概略的であり、非限定的である。図面において、要素のいくつかのサイズは誇張されていることがあり、説明の目的のために一定の縮尺で描かれていない。寸法および相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に必ずしも対応しない。
さらに、本明細書および特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素間で区別するために使用されており、必ずしも逐次的または時系列的な順序を説明するために使用されているわけではない。これらの用語は適切な状況下では相互交換可能であり、本発明の実施形態は本明細書に記載または図示した以外の順序で機能することができる。
さらに、本明細書および特許請求の範囲における頂部、底部、上、下などの用語は説明のために使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下では相互交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示した以外の向きでも機能することができる。
本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、用語「備える」および「含む」は包括的または限定的であり、列挙されていない追加の要素、組成の構成要素、または方法工程を排除するものではない。したがって、「備える」および「含む」という用語は、「から本質的になる」および「からなる」というよりも限定的な用語を包含する。
他に特定されない限り、本明細書に提供される全ての値は与えられた終点までを含み、終点を含み、そして組成物の構成物または成分の値は、組成物中の各成分の重量パーセントまたは重量%で表される。
さらに、本明細書で使用される各化合物は、その化学式、化学名、略語などに関して互換的に議論され得る。
本明細書では、そして他に特定されない限り、金属および酸化物の量は、高温冶金学における典型的な慣例にしたがって表される。各金属の存在は、金属がその元素形態(酸化状態=0)で存在するか、または任意の化学的結合形態、典型的には酸化形態(酸化状態>0)で存在するかにかかわらず、一般的にその全体の存在で表される。比較的容易にそれらの元素形態に還元することができ、かつ高温冶金プロセスにおいて溶融金属として発生することができる金属については、スラグまたはドロスの組成が与えられ、そのような金属の大部分が実際に酸化形態および/または化学的結合形態で存在し得る場合でさえ、それらの元素金属形態に関してそれらの存在を表現することはかなり一般的である。したがって、本発明に係る金属混合物の組成は、Fe、Zn、Pb、Cu、Sb、Biの含有量を元素金属として規定するものである。貴金属の量が少ないと、非鉄高温冶金学的条件下で還元するのがより困難であり、大部分は酸化形態で生じる。これらの金属は通常、最も一般的な酸化物の形で表現される。したがって、スラグまたはドロス組成物は、典型的には、それぞれSiO、CaO、Al、NaOとして表されるSi、Ca、Al、Naの含有量を与えている。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、合計で最大で0.10重量%のクロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、およびタングステン(W)を共に含み、好ましくは最大で0.010%、より好ましくは最大で0.005%、さらにより好ましくは最大で0.0010%、好ましくは最大で0.0005%、より好ましくは最大で0.0001重量%のクロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、およびタングステン(W)を共に含む。我々は、これらの化合物の存在をより低いレベル以下に制御することによって、潜在的に妨害となる金属間化合物の形成の危険性が低減されることを見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、およびタングステン(W)の合計の少なくとも0.0001重量%を共に含み、好ましくは少なくとも0.0005重量%、より好ましくは少なくとも0.0010重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.0020重量%、好ましくは少なくとも0.0030重量%、より好ましくは少なくとも0.0050重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.010重量%のクロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、およびタングステン(W)の合計を共に含む。我々は、満足のいく蒸留操作を得るために、これらの化合物を非常に低いレベルまで、例えばそれらの検出限界以下の約1重量ppm以下まで除去することは必須ではないことを見出した。他方、これらの化合物を非常に低いレベルまで除去するには、かなりの追加の努力、プロセス工程、化学物質、および注意を必要とし、そして蒸留操作における追加の利益はこれらの追加の程度を正当化しないことも我々は見出した。したがって、上で明記したように、これらの化合物の存在を2つの測定可能な限度内に制御することが有益であることを我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る方法で前処理される液体溶融金属供給組成物は、少なくとも0.5%、より好ましくは少なくとも0.75%、さらにより好ましくは少なくとも1.0%、好ましくは少なくとも1.5%、より好ましくは少なくとも2.0%、さらにより好ましくは少なくとも2.5%、さらにより好ましくは少なくとも3.0%のクロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、および/または亜鉛(Zn)の合計を共に含む。我々は、特定のレベルのこれらの化合物を含有する粗製半田を本発明に係る方法によって容易にうまく前処理することができ、その結果下流の真空蒸留が長時間の金属間化合物の形成によって影響されずに操作できることを見出した。これは、本発明に係る方法が、多種多様な原材料の高温冶金処理によって、そしてそれらの上流の処理工程における多種多様な金属含有補助材料の使用によって得ることができる粗製半田を処理することができるという利点をもたらす。二次原料として供給される銅製錬および精製操作からの副生成物として得られる半田を処理する能力が特に有利である。これらの二次原料は、多種多様な起源に由来する可能性があり、したがって多種多様な他の化合物、特に鉛および/または錫以外の他の金属を含有する。さらなる利点は、真空蒸留を意図した粗製半田の銅含有量も非常に低いレベルまで減少させる必要がないことであり、それは上流のプロセス工程の性能に対する品質圧力を低下させ、したがってこれらのプロセス工程をより自由にし、それにより同じ装置制限内でより高い効率および/または容量が得られる。本出願人らは、本発明に係る方法の前処理工程が、明記されているような著しいレベルの望ましくない成分に容易に対処できることを見出した。また、望ましくない成分は既に除去可能であるか、またはステップb)などの特定の物理的手段によって除去されることさえ可能であるので、これらの成分の特定のレベルは、必ずしもプロセス化学物質のより高い消費、および工程d)において除去されるドロスからの金属有価物の回収のための任意の高温冶金工程におけるより大きな問題をもたらさない。
一実施形態では、本発明に係る方法で前処理される液体溶融金属供給組成物は、最大で10.0%、好ましくは最大で8.0%、より好ましくは最大で6.0%、さらにより好ましくは最大で5.0%、好ましくは最大で4.0%、より好ましくは最大で3.0%、さらにより好ましくは最大で2.0%のクロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、および/または亜鉛(Zn)の合計を共に含む。規定のように上限を配慮することにより、所望の結果を達成する上で本発明に係る方法の前処理工程をより効果的に実行することが可能になり、エネルギーおよび化学物質に関する要求は制限され、実用的で、経済的なままであるので、これをより効率的な方法で実行することが可能になることを我々は見出した。特定成分の存在が制限されることのさらなる利点は、ドロスの量が制限されたままであることである。除去されたドロスは、必然的にいくつかの有価金属を同伴する。したがって、ドロスはまた、本文脈では主に錫および/または鉛ではあるがアンチモンおよび貴金属などの他の金属を含む可能性のある所望の金属を回収することを目的とした主プロセス流からの有価金属の損失を表す。たとえドロスが本発明に係る方法の上流のプロセスポイントにリサイクルされるとしても、ドロスと共にリサイクルされる所望の金属の量は、プロセスの非効率性を表す。したがって、上に特定した限度によるこのプロセス損失および/または非効率性の減少は、全体的なプロセスの利点となる。この特徴のさらなる利点はまた、金属供給組成物が製造されそして前処理される全プロセスにおいて循環している鉛が少なくなることである。高温での鉛含有金属流の処理は、産業衛生のそれ自身の問題を表す。したがって、特定の特徴はまた、銅または他の非鉄金属の製造からの副生成物としての錫および/または鉛の回収に関連するより低いおよび/またはより多く含まれる産業衛生問題にも寄与する。
一実施形態では、本発明に係る方法で前処理される液体溶融金属供給組成物は、少なくとも510℃、好ましくは少なくとも520℃、より好ましくは少なくとも550℃、さらにより好ましくは少なくとも575℃、好ましくは少なくとも600℃、より好ましくは少なくとも650℃、さらにより好ましくは少なくとも700℃、好ましくは少なくとも750℃、より好ましくは少なくとも775℃、さらにより好ましくは少なくとも800℃、さらにより好ましくは少なくとも830℃の温度で入手可能である。我々は、供給流が調製される上流プロセスにおいて、より高い供給温度がより多くの流体供給流に寄与することを見出した。また我々は、高温では、銅と錫との間に形成される金属間化合物が本発明の一部としてある程度除去される必要があり、これらの金属間化合物は同量の銅に対して錫の捕捉が少ない傾向があることを見出した。したがって、除去された金属間化合物は、主要製品への経路を継続している溶融金属組成物からのより少ない有価錫を同伴するので、より高い温度は銅汚染のより効率的な除去に寄与する。我々はさらに、粗製半田の供給温度が高いほど前処理工程をより効果的かつ効率的にすることができることを見出した。例えば、我々は、より高い供給温度が冷却のためのより大きな余地を提供し、そしてより広い到達冷却軌跡が目的の金属化合物、すなわち蒸留の下流で金属間化合物を形成することができるものの除去において、特に銅の除去において、より効果的であることを見出した。
一実施形態では、本発明に係る方法で前処理される液体溶融金属供給組成物は、最高1000℃、好ましくは最高980℃、より好ましくは最高960℃の温度で入手可能である。供給温度を指定された限度より低く制限することは、上流プロセス工程のエネルギー要求が実用的であり、十分に効率的かつ経済的であるという利点をもたらすことを我々は見出した。指定された限度を超えるより高い温度は、化学エネルギーを含むこのエネルギー入力がどのような形態で発生したとしても、追加のエネルギー入力を正当化するために十分な追加の利益をもたらさないことが見出された。
一実施形態では、本発明に係る方法で前処理される液体溶融金属供給組成物は、最高で820℃、好ましくは最高で800℃、より好ましくは最高で750℃、さらにより好ましくは最高で700℃、さらにより好ましくは最高で650℃、好ましくは最高で600℃、さらにより好ましくは最高で550℃、好ましくは最高で525℃、より好ましくは最高で500℃、さらにより好ましくは最高で450℃、好ましくは最高で400℃、より好ましくは最高で370℃、さらにより好ましくは最高で360℃、好ましくは最高で350℃、さらに好ましくは最高で345℃、さらにより好ましくは最高で330℃、好ましくは最高で320℃、より好ましくは最高で310℃の温度まで冷却されて、重力によって第1の液体溶融金属相上に浮遊する第1の上澄みドロスを含む浴を生成する。我々は、半田の冷却により、望ましくない金属のいくつか、特に銅だけでなく、ニッケル、鉄、亜鉛、およびアルミニウム、ならびにクロム、マンガン、バナジウム、チタン、およびタングステンの少なくとも一部を、これらのいずれかが存在する場合に除去することを見出した。冷却軌跡がより広くなり、および/または温度がさらに下がると、より多くのこれらの金属が溶解して上澄みドロスになることを我々はさらに見出した。冷却軌跡が広くなればなるほど、好ましくは中間ドロス除去と組み合わされて、冷却工程が異なる連続した冷却工程に分割される傾向が強くなる。これは、同じ量の望ましくない金属を除去するために全体としてより少ないドロスを除去する必要があるかもしれないという利点、および全体の量のドロスが主に鉛および/または錫であるより少ない全プロセスのターゲット金属を含むが、半田中に存在する可能性がある様々な貴金属や、特定の状況下では存在する可能性があるアンチモン(Sb)もまた含まれるという利点をもたらす。また、粗製半田が冷えているほど、その密度が高くなり、ドロスがより密な液体金属相の上に浮遊しやすくなるので、ドロスの重力による分離に有利であることも我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る方法で前処理される液体溶融金属供給組成物は、少なくとも230℃、好ましくは少なくとも232℃、より好ましくは少なくとも240℃、さらにより好ましくは少なくとも250℃、より好ましくは少なくとも270℃、さらにより好ましくは少なくとも280℃、好ましくは少なくとも290℃、さらに好ましくは少なくとも300℃、さらにより好ましくは少なくとも310℃、好ましくは少なくとも320℃、より好ましくは少なくとも325℃、さらにより好ましくは少なくとも328℃の温度まで冷却される。冷却工程のこの下限のおかげで、除去する必要がある同量の銅を結合するのに消費される錫が少なくなることを我々は見出した。この理論に拘束されることを望まないが、本出願人らは、これは、CuSnの形成がより有利に働き、CuSnの形成がより低い温度ではあまり有利には働かなくなるためであると考える。したがって、冷却工程の下限は、ドロス中の同量の銅と共に除去される必要がある有価錫の量を減らす。ドロスがプロセスの上流で任意でリサイクルされても、本発明に係るプロセスの冷却ステップによって除去される同量の銅に対してそのプロセスでリサイクルされる必要がある錫が少なくなるので、この特徴は効率改善を表す。
冷却工程において、我々はさらに、金属が液体のままであり、冷却によって、および/または化学化合物の添加によって引き起こされる化学反応によって形成される固体が表面まで上昇することができ、スキミングによってその下の液体金属相から除去することができることを可能にするためにその粘度が十分低いままであるから、指定されたような最低温度に配慮することが好ましいことを見出した。
本発明に係る方法の工程c)において所定の化合物を添加することの主な目的は、粗製半田中に存在し得るあらゆる亜鉛の大部分を除去することである。
一実施形態では、本発明に係る方法によって得られる底部生成物は、鉛の除去による蒸留工程において、0.60重量%を超える鉛、好ましくは少なくとも0.65重量%の鉛、より好ましくは少なくとも0.70重量%の鉛、さらにより好ましくは少なくとも0.75重量%の鉛、好ましくは少なくとも0.80重量%の鉛、好ましくは少なくとも1.0重量%、より好ましくは少なくとも1.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも2.0重量%の鉛。好ましくは少なくとも3.0重量%、より好ましくは少なくとも4.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも5.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%の鉛を含む。我々は、蒸留のSn生成物中に残存するより高い含有量のPbが、例えば、蒸留工程への供給物中に存在し得るアンチモンの量のための追加の溶媒として作用し得ると考える。この溶解力効果は、蒸留工程における分離の利益になり得る。本発明に係る方法の一部としての真空蒸留工程の主な目的は、鉛(Pb)を蒸発させそして従来の手段によりさらに浄化して高純度の鉛、いわゆる「軟鉛」の生成物を生成するのに適した鉛含有頂部生成物を生成することである。蒸留工程の底部生成物中にある量の鉛を残すことは、鉛以外の多くの金属にとって魅力的なままである液相を提供し、それ故これらの金属が揮発性になることの望み、ならびに液相から脱出し蒸留工程の頂部生成物になる傾向を減らすことによってその目的を達成するのに役立つと我々は考える。蒸留工程の底部生成物中により高濃度の鉛を残すことによってこの利益が高められると我々は考える。この利益は、本発明に係る方法の蒸留工程への供給物中に存在するあらゆるアンチモンにとって特に重要であると我々は考える。
本発明に係る金属混合物の真空蒸留中の金属間化合物の形成の問題は、蒸留工程の底部生成物中により重要な鉛の存在を残すことによってさらに軽減されることを我々はさらに見出した。より多くの量の鉛は、潜在的に有害な金属をより良好に溶液中に保持すること、および上流の蒸留工程中に潜在的に邪魔をする金属間化合物を形成する傾向を減少させることに有益な影響を与えると我々は考えている。理論に縛られるわけではないが、この効果は希釈に基づく可能性があると考えられるが、真空蒸留工程で起こる条件下で金属間化合物の形成の危険性を減らすのに役割を果たす追加の要因が存在する可能性があると我々は考える。
一実施形態では、鉛の除去による蒸留工程で得られる底部生成物は、最大で10.0重量%の鉛、好ましくは最大で9.0%の鉛、より好ましくは最大で8.0%、さらにより好ましくは最大で7.0重量%、好ましくは最大で6.5重量%、より好ましくは最大で6.0重量%、さらにより好ましくは最大で5.0%、さらにより好ましくは最大で4.0重量%の鉛を含む。蒸留工程の底部生成物中のこの規定レベルの鉛を超えないことが、底部生成物中に存在する異なる金属のさらなる分離を容易にし、良質の錫の等級のための国際的な業界標準の大部分を満たす主たる錫生成物を得るという利点を下流にもたらすことを我々は見出した。さらに、鉛含有量を規定の範囲内に制御することは、一方では蒸留工程全体を通して液体中に鉛が存在することによって得られる利益と、他方ではさらに処理して高い価値の副生成物流に容易にアップグレードするのに副生成物が適している蒸留の底部生成物中に存在する他の金属を含有する1つ以上の副生成物と組み合わせて蒸留の底部生成物をアップグレードして少なくとも高い価値の主たる錫生成物にする下流の作業との間で実用的かつ経済的なバランスをもたらすことを我々は見出した。貴金属も存在し、これらの貴金属がその底部流からの真空蒸留の下流で回収されるべきであるならば、底部生成物中の鉛の限定された存在が有益であることを我々はさらに見出した。この回収は、例えば、CN102534249に記載されているような高銀含有粗錫生成物から銀を除去するための晶析装置中で行われてもよく、それにより鉛の多くが存在しているが、より価値のある錫のいくらか必然的に残留している、共に貴金属が濃縮される液体ドレインから結晶性Sn高含有相を分離することができる。真空蒸留からの底部に残留する鉛の量を制限することは、そのような晶析装置中のドレインの量を減少させ、所望の貴金属中により濃縮されたドレインをもたらし、それ故貴金属を回収するためのさらなる処理に対してより興味深いことを我々は見出した。さらなる利点は、有価錫がドレイン中に失われることが少なく、錫の主生成物につながる流れの中で利用可能なままでいることである。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも15重量%の錫、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも22%、さらにより好ましくは少なくとも24重量%、好ましくは少なくとも26重量%、より好ましくは少なくとも28重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%の錫を含む。我々は、完全な真空蒸留用の半田を調製するための粗製半田の前処理が利用可能なより広い温度範囲を有するという利点と共に、半田中のより多い量の錫が混合物の融点を下げることを見出した。本明細書の他の箇所で述べたように、これは、より多くのターゲット金属が溶液から出て、溶融金属相から容易に除去され得るドロスになることができるという利点をもたらす。本発明に係る金属混合物から回収することができる高純度錫金属は、同じ金属混合物から回収することができる高純度鉛金属と比較して需要が高いことも我々は見出した。したがって、金属混合物から誘導された錫の主生成物は、いかなる鉛含有主生成物よりも経済的価値が高い。したがって、より高い錫含有量は、錫金属を高純度で回収するための供給原料としての本発明に係る金属混合物への経済的利益を増大させる。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%の鉛を含む。我々は、液体金属混合物中のより多量の鉛が液体金属相からのドロスの分離を改善することを見出した。液体金属中の鉛の濃度が高いほど、典型的には密度が低いドロスがより速くそしてより容易に液体金属相の上に浮遊し、半田の、したがって有価錫および鉛のより少ない同伴と共に除去することができるよりはっきりとした別のドロス相を形成する。これらの状況下では、ドロスは、したがって、より少ない有価金属錫および鉛を含む。したがって、より多くの錫および鉛は、高価値の主要な製品へのアップグレードのために前処理された半田内に残っている。ドロスが本発明に係る方法の前処理工程の上流の処理工程にリサイクルされる場合、より良好な分離は上流にリサイクルされる錫と鉛の量を減少させ、その量は、本発明に係る方法への粗製半田供給で終えるために処理される必要がある。また、より高い鉛含有量は、これによって通常は半田の錫含有量が少ないことを表すが、半田中の銅の溶解度が低下するという利点をもたらし、これは真空蒸留底部生成物から派生した最終的な錫の主要生成物内の低い銅含有量をもたらし、この錫の主要生成物の経済的価値を増大させる、および/または下流プロセス工程における残りの微量の銅の除去の負担ならびにそのような下流プロセス工程で生じたドロスの回収に関連する手直しを軽減することを我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で80重量%の鉛、好ましくは最大で75%、より好ましくは最大で70%、さらにより好ましくは最大で65%、好ましくは最大で60重量%の鉛を含む。液体金属混合物中の過剰量の鉛は、本発明に係る混合物中の多量の鉛に関連する利点をさらに高めることはないことを我々は見出した。過剰量の鉛が金属混合物中のより価値のある錫を希釈し、それによってこの金属混合物に対する高純度の錫を回収するための原料としての興味が低減することを我々はさらに見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、合わせて少なくとも91重量%の錫および鉛、好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、さらにより好ましくは少なくとも94%、さらにより好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも96.5%、さらにより好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも98.5%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも98.7重量%の錫および鉛を含む。本発明に係る金属混合物は、本発明に係る方法の真空蒸留工程を重要な工程要素とした、高純度の錫および鉛を回収するための供給流として興味深い。したがって、錫および鉛の合わせたより高い含有量は、金属混合物から回収され得る主要生成物の量を増加させ、そして蒸留生成物のさらなる精製から主要生成物流へと生じ得る通常より低い価値の副生成物流の量を減少させる。これは、これらの非主要生成物を除去するために必要な負担を、主要生成物仕様によって課されるレベルまで、そして望ましくは実際にできる限り高い国際貿易基準を満たすべきレベルまで低減する。この負担には、化学物質とエネルギーの消費だけでなく、人件費と設備投資のコストも含まれる。したがって、合わせて錫および鉛のより高い含有量は、錫金属を高純度で回収するための供給原料としての本発明に係る金属混合物、ならびに経済的に許容可能な形態の鉛金属への経済的関心を増大させる。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも2重量ppmの銅、より好ましくは少なくとも3ppm、さらにより好ましくは少なくとも4ppm、さらにより好ましくは少なくとも5重量ppmの銅、好ましくは少なくとも6ppm、より好ましくは少なくとも7ppm、さらにより好ましくは少なくとも8ppm、さらにより好ましくは少なくとも9重量ppm、好ましくは少なくとも10ppm、より好ましくは少なくとも12ppm、さらにより好ましくは少なくとも14ppm、さらにより好ましくは少なくとも15重量ppmの銅、好ましくは少なくとも16重量ppm、より好ましくは少なくとも18ppm、さらにより好ましくは少なくとも20重量ppmの銅を含む。我々は、ここで特定された量の銅が、真空蒸留工程のための供給流としての金属混合物の有用性を破壊することなく、したがって本発明によって得られる効果を著しく減少するまたは破壊することなく、すなわち、金属混合物に対して行われる真空蒸留工程が、蒸留操作を損なう銅を含む金属間化合物の問題に遭遇することなく長期間にわたって連続モードで操作することができなくなるという危険性を増大させることなく、本発明に係る金属混合物中に残され得ることを見出した。蒸留工程への半田供給物として使用したときに特定されたような少量の銅が本発明に係る金属混合物中に存在すると、特定された問題は実際上そして経済的に許容できるレベルまで低減し得ることを我々は見出した。
上記に特定したように、金属混合物中の許容される銅のレベルが高いことはまた、本発明の方法の供給流が由来する上流のプロセスが操作の自由度を増すという利点をもたらす。これらのプロセスは、おそらく銅金属の高温冶金学的回収にも関係している可能性がある。本発明に係る方法のための供給流にしたがって副生成物として粗製半田を製造する方法は、一次ならびに二次、そして使用済み金属含有材料を含む、はるかに多様な可能な原材料から錫および/または鉛以外の主要金属を回収することができる。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で4500重量ppmの銅、好ましくは最大で4000ppm、より好ましくは最大で3500ppm、さらにより好ましくは最大で3000ppm、さらにより好ましくは最大で2500ppm、好ましくは最大で2000ppm、より好ましくは最大で1500ppm、さらにより好ましくは最大で1250ppm、さらにより好ましくは最大で1000ppm、好ましくは最大で800ppm、より好ましくは最大で600ppm、さらにより好ましくは最大で400ppm、さらにより好ましくは最大で200ppm、好ましくは最大で150ppm、より好ましくは最大で100ppm、さらにより好ましくは最大で75ppmの銅を含む。本発明に係る金属混合物中の銅の濃度が低いほど、蒸発によって混合物中の鉛の少なくとも一部を除去するために金属混合物を真空蒸留にかけたときに金属間化合物が形成される危険性が低いことを我々は見出した。本発明に係る金属混合物中の銅の存在が低いほど、下流の真空蒸留からの生成物流中の銅の濃度が低いことを我々はさらに見出した。これは、特に化学物質消費に関して、および好ましくは本発明に係る方法の上流でリサイクルされる形成された副生成物の量に関して、したがって、高温冶金工程で耐火材料を攻撃することによるなど、このリサイクル操作におけるこれらの化学物質の潜在的に有害な影響を低減することに関して、主要な生成物になる方向へのそれらの経路上のこれらの流れからの銅のさらなる除去における負担を軽減する。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で0.10重量%の亜鉛(Zn)、好ましくは最大で0.010%、より好ましくは最大で0.0050%、さらにより好ましくは最大で0.0010%、好ましくは最大で0.0005%、より好ましくは最大で0.0001重量%の亜鉛を含む。本発明に係る金属混合物に対して行われる真空蒸留は、亜鉛の存在に特に敏感であり得ることを我々は見出した。亜鉛は、第一に、金属間化合物を形成することができ、それ故、本発明によって対処される問題に寄与する。亜鉛はまた、かなり揮発性の金属であり、存在する亜鉛はまた、少なくとも部分的に蒸留装置内の蒸気相の一部になり得る。蒸留装置内の加熱は、蒸留装置内の加熱電極を通して電流を送ることによって電気的に行われることが非常に多い。我々は、規定の範囲内で亜鉛の存在を制御することにより、互いに近くに位置し得る、そして電圧差のあるこれらの加熱電極の2つの点の間で起こる電気的アークの危険性を低減することを見出した。このような電気的アークは、加熱設備の電気回路の短絡を表しており、多くの場合、機器の即時シャットダウンの原因となる。ヒューズがない、または故障していた場合は、電気系統のトランスおよびAC/DCコンバータに損傷を与える可能性がある。アークは電極に損傷を与え、そして恐らくは電極を破壊し、そしてさらに特に電極と炉壁との間に引かれるときに炉壁を通して燃焼する可能性がある。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも0.0001重量%の亜鉛(Zn)、好ましくは少なくとも0.0005%、より好ましくは少なくとも0.0010%、さらにより好ましくは少なくとも0.0050%、好ましくは少なくとも0.010重量%、より好ましくは少なくとも0.050重量%の亜鉛を含む。本発明に係る金属混合物の真空蒸留中に亜鉛が引き起こし得る問題を十分に軽減するために、亜鉛を過度に低いレベルまで除去する必要はないことを我々は見出した。したがって、特定されたように、少量の亜鉛が真空蒸留のための供給物として金属混合物中に残されてもよいことを我々は見出した。我々は、特定された限度で、主要最終生成物中の所望の低レベルの亜鉛が容易に達成され得ることを見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で0.10重量%のニッケル(Ni)、好ましくは最大で0.050%、より好ましくは最大で0.010%、好ましくは最大で0.0050%、より好ましくは最大で0.0010重量%のニッケル(Ni)を含む。ニッケルは、非鉄金属の回収に利用可能な多くの原材料、特に二次原材料、そして特に使用済み材料に存在する金属である。したがって、この方法がニッケルの存在に対処することができることは、非鉄金属の回収において重要である。さらに、非鉄金属を回収するための高温冶金プロセスは、プロセス化学物質としてかなりの量の鉄を消費することが多い。この目的のために二次鉄含有材料を使用できることは有利である。これらの材料は、大量の鉄に加えて、少量のニッケルも含み得る。これらの種類のプロセス化学物質にも対処できることは有利である。しかしながら、ニッケルもまた真空蒸留中に金属間化合物を形成し得る金属である。本発明に係る金属混合物中に存在するニッケルの量を特定の限度内に制御することにより、金属混合物の真空蒸留中にニッケル含有金属間化合物が形成される危険性を十分に低減できることを我々は見出した。我々はさらに、プロセスの下流で大量のニッケルを除去するよりも、真空蒸留工程への半田供給物中のニッケル含有量を下げることが好ましいことを見出した。このような下流のニッケル除去は、通常、砒素(As)および/またはアンチモン(Sb)を除去することと共に行われ、非常に有毒なガス、アルシン(AsH)および/またはスチビン(SbH)を発生する危険性がある。したがって、指定された限度内にニッケルを除去することはまた、有毒ガスの発生に対する下流の危険性を減少させ、それ故に安全上のおよび産業衛生上の措置でもある。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも0.0005重量%のニッケル(Ni)、好ましくは少なくとも0.0010%、より好ましくは少なくとも0.0050%、好ましくは少なくとも0.010%、さらに好ましくは少なくとも0.050重量%のニッケル(Ni)を含む。我々は、1重量ppmの検出限界以下のような非常に低いレベルまでニッケルを除去することが必須ではないことを見出した。本発明に係る金属混合物中に存在するニッケルの量を特定の範囲内に制御することによって、金属混合物の真空蒸留中にニッケル含有金属間化合物が形成される危険性を十分に低減し、ならびに真空蒸留用の原料としての調製における金属混合物の浄化における不必要な努力を回避しながら、起こり得るアルシンおよび/またはスチビンのガス発生に関連する下流での安全上のおよび産業衛生上の危険性の増大を回避できることを我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で10重量%のアンチモン(Sb)、好ましくは最大で8%、より好ましくは最大で6%、好ましくは6%未満、さらにより好ましくは最大で5.5%、好ましくは最大で5.0%、より好ましくは最大で4.5%、さらにより好ましくは最大で4.0%、さらにより好ましくは最大で3.5%、好ましくは最大で3.0%、より好ましくは最大で2.5%、さらにより好ましくは最大で2.0%、好ましくは最大で1.5%。より好ましくは最大で1.1重量%のアンチモン(Sb)を含む。我々は、金属混合物が真空蒸留用の供給材料として使用されるときに問題を生じることなく、アンチモンが特定の限度内で本発明に係る金属混合物中に許容され得ることを見出した。アンチモンもまた蒸留条件下で少なくとも部分的に蒸発する可能性があるので、アンチモンの量を特定の上限未満に保つことが重要であることを我々は見出した。アンチモンのレベルがより高い場合、高鉛含有頂部生成物と共に蒸留工程を離れるアンチモンの量は有意になる可能性がある。所望の工業規格に適合するより高純度の主要鉛生成物を得るためには、蒸留工程の下流の従来の浄化工程においてアンチモンのこの量をこの鉛流から除去する必要がある。特定の限度を超えるアンチモンの量は、これらの下流の浄化工程の負担を増大させ、そしてアンチモンを含有する副生成物流の量を増大させる。これらの副生成物流もまた、かなりの量の鉛を含む可能性があるので、副生成物中のこの鉛は主要な鉛生成物になることはなく、少なくとも全体的な作業の有効性を低下させる。過剰量のアンチモンはまた、蒸留装置内および下流での錫に富む液体の融解温度を上昇させる傾向がある。これはさらに高い温度で操作することを必要とし、それは装置の摩耗を増加させる。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、0.42重量%超のアンチモン(Sb)、好ましくは少なくとも0.43%、より好ましくは少なくとも0.45%、さらにより好ましくは少なくとも0.47%、好ましくは少なくとも0.50%、より好ましくは少なくとも0.55%、さらにより好ましくは少なくとも0.60%、さらにより好ましくは少なくとも0.65%、好ましくは少なくとも0.75%、より好ましくは少なくとも1.0%、さらにより好ましくは少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも2.0%、より好ましくは少なくとも2.5重量%のアンチモン(Sb)を含む。本発明に係る金属混合物は、このアンチモンの存在が、金属混合物が受ける可能性のある下流の真空蒸留工程に著しい障害をもたらすことなく、特定の限度内で測定可能な、さらにはかなりの量のアンチモンを含んでもよいことを我々は見出した。本発明に係る方法のための供給流が由来する上流のプロセスのためにこれが特別な操作の自由度を与えることを我々は見出した。中間流として、および本発明に係る方法のための原料として生成する粗製半田中のアンチモンの量のこの許容のおかげで、これらの上流プロセスはアンチモンが存在する原材料の量を受け入れることができる。アンチモンは、非鉄金属用の様々な一次供給原料および二次供給原料、ならびに多くの使用済み材料中に存在し得る。アンチモンは、例えばローマ時代以来、配管工事用に使用されてきた鉛中に存在する可能性がある。これらの材料は現在、解体材料として、しばしば配管および他の目的のために銅と組み合わせて、そして半田接続用に錫および鉛と組み合わせて利用可能になるかもしれない。本発明に係る金属混合物中に、したがって本発明に係る方法への供給流である粗製半田中にも、ある量のアンチモンを許容することは、そのような混合された使用済み物質を受け入れるための上流プロセスを提供する。本発明に係る方法に対して、ならびに真空蒸留によって生成された頂部流および底部流をさらにアップグレードさせる下流プロセスに対して、これが大きな困難を作ることなく、本発明に係る混合金属において、かなりの濃度のアンチモンが許容されることを我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で0.10重量%の鉄(Fe)、好ましくは最大で0.070%、より好ましくは最大で0.050%、さらにより好ましくは最大で0.010%、好ましくは最大で0.0050%、より好ましくは最大で0.003重量%、さらにより好ましくは最大で0.0030重量%の鉄を含む。鉄は、非鉄金属の回収に利用可能な多くの原材料、特に二次原材料、そして特に使用済み材料に存在する金属である。さらに、非鉄金属を回収するための高温冶金プロセスは、プロセス化学物質としてかなりの量の鉄を消費することが多い。鉄は真空蒸留中に金属間化合物を形成し得る金属である。本発明に係る金属混合物中に存在する鉄の量を特定の限度内に制御することにより、金属混合物の真空蒸留中に鉄含有金属間化合物が形成される危険性を十分に低減できることを我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも0.0001重量%の鉄(Fe)、好ましくは少なくとも0.0002%、より好ましくは少なくとも0.0003%、さらにより好ましくは少なくとも0.0005%、好ましくは少なくとも0.0010%、より好ましくは少なくとも0.0015%、さらにより好ましくは少なくとも0.0020重量%の鉄を含む。1重量ppmの検出限界未満のような非常に低いレベルまで鉄を除去することが必須ではないことを我々は見出した。本発明に係る金属混合物中に存在する鉄の量を特定の限度内に制御することにより、真空蒸留のための原料としてのその調製における金属混合物の浄化における不必要な努力を回避しながら、金属混合物の真空蒸留中に鉄含有金属間化合物が形成される危険性を十分に低減することができることを我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で0.10重量%のアルミニウム(Al)、好ましくは最大で0.050%、より好ましくは最大で0.010%、さらにより好ましくは最大で0.0050%、さらにより好ましくは最大で0.0010%、好ましくは最大で0.0005%、より好ましくは最大で0.0001重量%のアルミニウムを含む。アルミニウムは、非鉄金属の回収に利用可能な多くの原材料、特に二次原材料、および特に廃飲料缶などの使用済み材料に存在する金属である。さらに、非鉄金属を回収するための高温冶金プロセスは、半田タイプの液体金属流から銅を除去するために、アルミニウム粒状物などのプロセス化学物質としてアルミニウムを使用することができる。アルミニウムは真空蒸留中に金属間化合物を形成し得る金属である。本発明に係る金属混合物中に存在するアルミニウムの量を特定の限度内に制御することにより、金属混合物の真空蒸留中にアルミニウム含有金属間化合物が形成される危険性を十分に低減できることを我々は見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも0.0001重量%のアルミニウム(Al)、好ましくは少なくとも0.0002%、より好ましくは少なくとも0.0003%、さらにより好ましくは少なくとも0.0005%、好ましくは少なくとも0.0010%、より好ましくは少なくとも0.0015%、さらにより好ましくは少なくとも0.0020重量%のアルミニウムを含む。1重量ppmの検出限界未満のような非常に低いレベルまでアルミニウムを除去することが必須ではないことを我々は見出した。我々は、本発明に係る金属混合物中に存在するアルミニウムの量を特定の限度内で制御することにより、真空蒸留のための原料としてのその調製における金属混合物の浄化における不必要な努力を回避しながら、金属混合物の真空蒸留中にアルミニウム含有金属間化合物が形成される危険性を十分に低減できることを見出した。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で0.10重量%の硫黄(S)、好ましくは最大で0.070%、より好ましくは最大で0.050%、さらにより好ましくは最大で0.010%、好ましくは最大で0.0050%、より好ましくは最大で0.0030重量%の硫黄を含む。本発明に係る金属混合物中の硫黄の存在は、硫黄含有金属および/またはスラグおよび/またはドロスが冷却および固化したとしても、臭気の問題を引き起こす可能性があり、産業衛生上の問題を引き起こす可能性があることを我々は見出した。これらの問題は、操作中および保管中に発生する可能性があるが、保守作業中にはさらに重要になる可能性がある。したがって、本発明に係る金属混合物中の硫黄のレベルを特定された上限内に下げることが好ましい。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、好ましくは少なくとも0.0002重量%の硫黄(S)、より好ましくは少なくとも0.0003%、さらにより好ましくは少なくとも0.0005%、好ましくは少なくとも0.0010%、さらに好ましくは少なくとも0.0015%、さらにより好ましくは少なくとも0.0020重量%の硫黄を含む。我々は、硫黄含有量の制御で目標とされる結果を達成するために、1重量ppmの検出限界のような非常に低いレベルまで硫黄のレベルを下げる必要がないことを見出した。それどころか、金属混合物中の硫黄の存在は技術的利益をもたらす。
我々は、硫黄が銅と極めて容易に結合して硫化銅(CuSなど)を形成し、そして硫化銅がプロセス中の2つの主要成分、すなわち錫と鉛を含む液体金属混合物から重力によって容易に分離することを見出した。その目的のために、本発明に係る方法におけるSの存在は好ましく、そして本発明に係る金属混合物中の硫黄の存在もまた好ましい。本発明に係る金属混合物中に少量の硫黄を維持することは、Cuを硫化物に結合させ、そしてプロセス全体の下流のさらなる浄化工程で形成され得るさらなるドロス内に移動することによって金属混合物中に残留する少量の銅のさらなる減少に寄与することを我々は見出した。Sは、好ましくはプロセス内に、またはおそらく硫化銅の一部に容易に変換可能な形態の生成物中に導入される。我々は、黄鉄鉱(FeS)などの硫黄含有化合物もまた適切であり得ることを見出したが、元素状硫黄の使用は1つ以上の余分な化学元素の導入を回避するので、元素状硫黄を使用することが好ましい。したがって、硫黄、特に元素状硫黄は、本発明者にとって、望ましくない金属のいくつかの、特に銅の除去に非常に適したプロセス化学物質である。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも10重量ppmの銀(Ag)、好ましくは少なくとも50ppm、より好ましくは少なくとも100ppm、さらにより好ましくは少なくとも125ppm、さらにより好ましくは少なくとも150の銀を含む。銀は真空蒸留の間に金属間化合物を容易に形成して、真空蒸留工程を損なうことが見出されなかったので、銀は、本発明のプロセス流中で、真空蒸留工程を損なうことなく、そのような貴金属にとって相当な量が許容できることを我々は見出した。銀に対するこの許容度は、本発明に係る方法のための適切な供給流であり、そして本発明に係る金属混合物の起源である粗製半田を製造する上流プロセスが銀を含む原材料を受け入れることを可能にする。また、銀は原材料中に非常に少量で存在する可能性があるが、上流で製造された粗製半田中にすでに幾分濃縮され、本発明に係る混合金属中でさらに一層濃縮され、本発明に係る方法の真空蒸留工程の底部生成物中でさらに一層濃縮される可能性がある。したがって、一連の高温冶金プロセス工程は、銀である貴金属および有価金属のための一連の濃縮工程として作用し、したがって、銀金属回収方法の興味深い最前線部分として作用する。したがって、本発明に係る金属混合物の蒸留の底部流からの銀の回収は、上流の中間流のいずれかからのその回収の試みと比較してはるかに容易であるはずであり、そして本発明に係る方法のための供給材料を形成する粗製半田を生成する上流プロセスのための出発材料として使用される銀を含有する原材料の大部分についても同様である。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で2000重量ppmの銀(Ag)、好ましくは最大で1800ppm、より好ましくは最大で1700ppm、さらにより好ましくは最大で1600ppm、さらにより好ましくは最大で1500ppm、好ましくは最大で1400ppm、より好ましくは最大で1350ppm、好ましくは最大で1300ppm、より好ましくは最大で1200ppm、さらにより好ましくは最大で1100ppm、好ましくは最大で1000ppm、より好ましくは最大で900重量ppmの銀を含む。特定の濃度を超えるレベルの銀は、それほど有益ではなくなり、不利にさえなり得ることを我々は見出した。真空蒸留への供給物中のより高いレベルの銀において、銀の一部は実際に蒸発しそして蒸留工程における蒸気相の一部となることがある。その結果、非常に貴重な銀の一部は蒸留工程の底部生成物に入り込むことができず、そこから高純度錫主要生成物流を生成する目的の下流プロセスによって実用的かつ経済的な方法で適切な副生成物内に回収することができる。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも10重量ppmのビスマス(Bi)、好ましくは少なくとも50ppm、より好ましくは少なくとも100ppm、さらにより好ましくは少なくとも150ppm、さらにより好ましくは少なくとも200重量ppmのビスマス、任意でとして最大で2000重量ppmのビスマス、好ましくは最大で1800ppm、より好ましくは最大で1500ppm、さらにより好ましくは最大で1300ppm、さらにより好ましくは最大で1100ppm、好ましくは最大で1000ppm、より好ましくは最大で950重量ppmのビスマスを含む。我々は、ビスマスが真空蒸留工程の条件下で比較的揮発性であり得ることを見出した。したがって、ビスマスのいくらかは蒸留工程の頂部流に入り込むかもしれず、そこから所望の生成物特性に適合する鉛主要生成物を得るためにその後除去される必要があるかもしれない。この下流の汚染物質除去は化学物質を消費し、そしてまたいくらかの有価鉛を含む副生成物流を作り出す。たとえうまくリサイクルされたとしても、これらの副生成物流はプロセスの非効率性を表し、それは有利には減少する。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも10重量ppmの砒素(As)、好ましくは少なくとも100ppm、より好ましくは少なくとも200ppm、さらにより好ましくは少なくとも300ppm、さらにより好ましくは少なくとも350重量ppmの砒素を含む。この特徴は、いくらかの砒素を含有する供給原材料が、本発明に係る方法のための半田供給原料が由来する上流プロセス工程によって受け入れられ得るという利点をもたらす。我々は、本発明に係る方法を含むだけでなく、さらなる浄化のための任意の下流工程または下流起源の副生成物流をリサイクルすることができる上流工程を含む全体のプロセスが、特定されたような砒素の量に対処できることを見出した。さらに、本発明者らは、商業的に興味のあるいくつかの合金は、重大な問題なしに、あるレベルに関してAsを容易に受け入れ、そしてそのような合金の選択された種はAsの存在さえ歓迎することを見出した。したがって、本発明に係る金属混合物ならびに方法は、特定された限度内ではあるが、そのプロセス流中のAsの存在を許容するように調製される。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で2000重量ppmの砒素、好ましくは最大で1900ppm、より好ましくは最大で1800ppm、さらにより好ましくは最大で1700ppm、さらにより好ましくは最大で1600ppm、好ましくは最大で1500ppm、より好ましくは最大で1400重量ppmの砒素を含む。我々は砒素の量を限度内に保つことを好む。これにより、真空蒸留工程からの生成物流のいずれからも下流で砒素を除去する負担が軽減される。これらの除去工程は化学物質を使用し、そして鉛および/または錫などのいくらかの量の有価金属も必然的に含む副生成物流を生成する。たとえうまくリサイクルされたとしても、これらの副生成物流は全体的なプロセスの非効率性を表し、それらを減らすことは有利である。リサイクルはまた、これらの副生成物流中の化学物質によって引き起こされる問題、例えば、装置内で使用されかつ高温の液体流と接触する耐火材料に対する水酸化ナトリウムの腐食作用を引き起こす可能性がある。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、少なくとも10重量ppmのインジウム(In)、好ましくは少なくとも50ppm、より好ましくは少なくとも100重量ppmのインジウムを含む。我々は、インジウムの存在が現実的な範囲内で許容可能であり得ることを見出した。これは、上流のプロセス工程がインジウムを含有する原材料を受け入れることを可能にし、そしてそれは種々の異なる金属を含む原材料から非鉄金属を回収するための他の方法においては受け入れられない可能性がある。
一実施形態では、本発明に係る金属混合物は、最大で1000重量ppmのインジウム、好ましくは最大で800ppm、より好ましくは最大で700ppm、さらにより好ましくは最大で600ppm、さらにより好ましくは最大で500ppm、好ましくは最大で400ppm、より好ましくは最大で300重量ppmのインジウムを含む。砒素の存在下で、かなりの量のインジウムが特に安定な金属間化合物を形成し得ることを我々は見出した。これらの化合物は、比較的低密度であることを特徴とし、したがって、特に後者が鉛を含有する場合には、液体金属相の上に容易に浮遊するようになる。これが真空蒸留工程で起こると、金属間化合物は液体からの鉛の蒸発を実際に損なうことがあり、したがって真空蒸留の性能を著しく低下させる。したがって、本発明に係る金属混合物中のインジウムの濃度を特定された限度内に制限することを我々はより好む。
一実施形態では、本発明に係る方法は、ステップc)の前に浴から第1の上澄みドロスを除去するステップを含む。次の前処理工程を開始する前に、各前処理工程からドロスを除去することを我々はより好む。異なる工程からのドロスを結合させて前処理工程の最後に全てのドロスを共に除去する代替方法と比較した場合、これはドロスの総量が少ないという利点をもたらすことを我々は見出した。ドロスはまた、いくらかの錫および/または鉛を含み、したがってこれらの量の有価金属は、蒸留工程に供給される金属流から不利に除去される。これらの量の有価金属はまた、同伴錫および/または鉛を含むが、前処理によって液体金属流から除去された他の金属もまた含む、その中の金属価を回収するためにドロスを再処理する負担を増大させる。
本発明に係る方法の一実施形態では、供給組成物を得るための方法は、金属製錬工程を含み、除去されたドロスの少なくとも1つは製錬工程にリサイクルされ、好ましくは形成され、分離された全ての上澄みドロスは製錬工程にリサイクルされる。銅製錬所などの上流の製錬工程は、本発明に係る方法に供するのに適した副生成物として粗製半田流を生成し、本発明に係る金属混合物を前処理工程によって生成するのに適した非鉄金属回収工程であるのみならず、本発明に係る方法の前処理工程において生成されたドロスの少なくとも1つをリサイクルするための非常に適した点でもあることを我々は見出した。工程c)で起こった化学反応に続いて、工程b)での冷却によって生じた第1の上澄みドロス、ならびに工程d)で除去された第2の上澄みドロスをリサイクルすることが好ましい。
工程c)において、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属をそのまま添加してもよく、例えば、ナトリウム金属を添加する。そのような場合、ナトリウムをその水酸化物および/または酸化物、より容易に亜鉛と結合する化合物に反応させるためにいくらかの水を加えることも好ましい。しかしながら、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を化学的に結合した形で、より好ましくは固体として添加することが好ましい。なぜなら、結合形態がより良好に行われていることを我々は見出したので、そして固体は典型的には純粋な金属の形態よりも低い密度を有するので、したがって余分なものは液体金属の上に浮遊したままで、ドロスと共に除去することができるからである。結合形態は、例えば酸化物であり得るが、好ましくは水酸化物である。水酸化カルシウム(Ca(OH))および水酸化カリウム(KOH)が適切であることを我々は見出したが、所定量の亜鉛、そしてまた最も容易に入手可能な形態の適切な化合物を結合するために重量ベースでより効率的であるので、好ましくはその固体形態で水酸化ナトリウム(NaOH)を使用するのが好ましい。我々はさらに、所定の化合物の添加が固体の上澄みドロスとその下にある液体金属相との間のより良好な相分離を助けることを見出した。より良好な相分離は、より少ない主要金属の鉛および錫を含有するより清浄なドロスに寄与し、したがってこれらの有価金属のより効果的かつ有用な回収に寄与し、同時により高いプロセス効率にも寄与する。
本発明に係る方法の一実施形態では、工程c)においてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を化学的に結合した形で、好ましくは固体として添加する。純粋な金属形態の添加が適切であり得ることを我々は見出したが、我々は化学的に結合した形態を使用することをより好む。化学的に結合した形態は、前処理工程で除去されるための標的金属との化学反応に入るためのより接近しやすい形態のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を提供する。例えば、NaZnOのような標的金属と化学的に結合した形態の反応生成物は重力によって溶融液体流からより容易に分離され、したがってより価値の低い金属を含むより清浄な流れとしてより容易に除去することができることを我々は見出した。
本発明に係る方法の一実施形態では、工程c)においてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を酸化物または水酸化物として、好ましくは水酸化物として添加する。我々は、その方法が、その化学的に結合した形態で金属に付随する酸素および水素に容易に対処できることを見出した。この形態はまた、プロセスがより困難になるであろう化学元素の導入を回避することを我々は見出した。
本発明に係る方法の一実施形態では、ステップc)において水酸化ナトリウムが添加される。水酸化ナトリウムがこの前処理工程に最も適していることを我々は見出した。水酸化ナトリウムは、他の化学的に結合した形態のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属と比較して、より容易に入手可能であり、より魅力的な供給条件であることも我々は見出した。
本発明に係る方法の一実施形態では、供給組成物は少なくとも0.0010重量%の亜鉛(Zn)を含有し、酸素源と共に、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の添加の間および後に、着火源が浴の上方に設けられる。亜鉛が少なくとも規定量で存在する場合、工程c)において添加されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属が、副生成物として水素ガスを発生させる反応において亜鉛と反応することを我々は見出した。これは、水酸化ナトリウムが添加された場合に特に有効であり、それはNaZnOおよび水素ガスを生成する。NaZnOはドロス中に入るが、水素ガスは浴から放出される。水素ガスは空気との混合物中で非常に広い爆発限界を有し(空気中のその低い可燃限界(LFL)は4体積%程度の低さであり)、浴の上方の雰囲気は典型的に化学的に不活性ではなく主に空気からなりそして熱い。したがって、工程c)における水素ガスの発生は、爆発の危険を表す。浴の上方の空気は酸素源を提供する。また、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の添加中および添加後に浴の上方に着火源を設けて、浴の上方の空気と水素との混合物の組成が爆発限界内に到達する前に容易に発生する水素が燃焼するようにすることが好ましい。
本発明に係る方法の一実施形態では、第2の液体溶融金属相が少なくとも100重量ppmの銅を含み、プロセスの一部として硫黄が工程c)で形成された浴に添加される。硫黄は、存在する銅と容易に反応し、金属混合物の銅含有量をさらにそして著しく低減させることができることを我々は見出した。硫黄の添加は、少なくとも部分的に銅の硫化物(例えば、CuS)の形態で銅を含有するドロスを生成することが見出され、そしてこのドロスは低密度を有するので、鉛と錫を共にベースとした溶融液体半田の頂部上に容易に浮かぶことを我々は見出した。
すべての銅が容易に硫黄と結合するわけではなく、少量の銅が硫黄による処理の下流で許容される。少量の硫黄の存在を維持することが好ましい。なぜなら、これは、混合物からの鉛の蒸発によって、本発明に係る金属混合物から生成された流れをさらに浄化するのに有利であることを我々は見出したからである。硫黄処理およびドロス分離の後に少量の硫黄を保持することは、少量のCuおよびSが互いを見つけて硫化銅に転化するのにより多くの時間を提供し、それは次に真空蒸留の下流でさらに浄化するための工程の一部として金属生成物流から分離され得る。
工程c)で形成された浴に硫黄が添加される実施形態では、浴の温度は最高で400℃、好ましくは最高で375℃、より好ましくは最高で350℃である。これは、液体金属浴に到達して銅と反応することができる前に、硫黄が燃え尽きる危険性が少ないので、硫黄はより効果的であるという利点をもたらすことを我々は見出した。
本発明に係る方法の一実施形態では、供給組成物は銅を含み、本方法は、存在する銅(Cu)の量と反応するのに必要な少なくとも化学量論量で、好ましくは化学量論より少なくとも2%以上、より好ましくは化学量論より少なくとも5%以上、さらにより好ましくは化学量論の少なくとも110%で、工程d)の生成物に硫黄を添加する工程を含む。我々は、硫黄が粗製半田中に存在する銅と容易にそして好ましくは反応し、そしてCuSなどの硫化物形態の銅を含有するドロスを形成することを我々は見出した。我々は、化学量論を超える特定の過剰の硫黄が、銅含有量の所望のレベルまでの減少の成功に寄与することを見出した。我々は、本明細書に特定されているような限度内の量の硫黄を添加することによって、150重量ppmまたはそれ以下の低い銅レベルが得られることを見出した。
一実施形態では、硫黄は、存在する銅(Cu)の量と反応するのに必要な化学量論量の最大で200%、好ましくは最大で150%、より好ましくは最大で化学量論量の125%、さらにより好ましくは最大で120%、さらにより好ましくは最大で化学量論量の115%の量が添加される。本明細書の他の箇所で特定されるように、硫黄の量は、粗製半田中に存在する銅の許容できる除去を達成し、本発明に係る金属混合物中の銅の目標濃度を得て、本発明に係る方法の一部としての真空蒸留工程のための供給材料として適している組成物を得るのに十分であることを我々は見出した。我々は、銅を所望のレベルまで首尾よく低減するために過剰の硫黄が必要ではないことを見出した。さらに、硫黄含有ドロスは上流の高温冶金プロセス工程にリサイクルすることができ、そこで硫黄は揮発性の硫黄酸化物を形成することができる。したがって、本発明に係る方法において特定されたレベルを超える追加の硫黄は、ここで形成された硫黄含有ドロスがリサイクルされる上流のプロセス工程からの排ガスに対する浄化負荷を増大させる。したがって、我々は、添加される硫黄の量を特定されたような限度内に保つことを好む。
浴の上方に着火源が設けられている本発明に係る方法の実施態様においては、浴の上方の雰囲気に元素状硫黄を添加することによって着火源が提供される。我々は、前処理工程中に元素状硫黄が浴の上方に存在する条件下で容易に着火し、そして水素濃度が低燃焼限界以下であっても存在する水素が燃焼することを保証できることを見出した。我々はさらに、添加された硫黄が、銅を化学的に結合しそして銅をドロス内に移動させることにより銅含有量の減少に関与しそして寄与することができることを見出した。好ましくは、銅を除去するために使用される全ての硫黄は、元素状硫黄として浴の上方の雰囲気に添加される。我々は、粉末としてよりもむしろ粒状物として元素状硫黄を添加することを好む。細かい硫黄の粉塵はあまりにも速く発火し、効率の悪い硫黄の使用に対応するため、粉塵を取り除いた粒状物を我々は好み、したがって、同じ効果を得るには硫黄の消費量を増やす必要があり得る。この形態の元素状硫黄は魅力的な供給条件で多くの供給元から容易に入手可能である。この形態の元素状硫黄はまた、浴の表面の大部分にわたって容易に分配可能であり、それ故に浴の表面のこの大部分にわたって水素を燃焼除去するのに非常に有効であり、それ故にまた水素の発生によって引き起こされる爆発の危険性を減らすのに有効である。粒状形態は、より少ない粉塵を発生させるというさらなる利点をもたらし、したがって、取り扱い中に吹き飛ばされ得る硫黄の量が少なくなり、拡散すると考えられる浴に到達しないため、硫黄のより効果的な使用に加えて、作業環境および大気中の硫黄粉塵による起こり得る産業衛生問題を回避する。
元素状硫黄が添加され、銅を含有する第3のドロスが形成される本発明に係る方法の実施形態において、本方法はさらに、浴から第3のドロスを除去することを含む。この銅含有ドロスを第1および第2のドロスとは別に除去することを我々はより好み、これにより、除去されるドロスの総量が制限されるという利点がもたらされる。我々はまた、本発明に係る方法において、溶融金属浴からの第3のドロスの一部としてほとんど不可避に除去される銅および錫および/または鉛の回収のための理想的な場所として、この第3のドロスを上流の製錬工程に、存在する場合には、特に上流の銅製錬工程にリサイクルすることを好む。
第3のドロスが除去された本発明に係る方法の実施形態では、第3のドロスの除去後、ある量のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属が浴に添加される。プロセス化学物質として工程c)に添加される材料について上記で説明した理由と同様に、化学的に結合した形態および/または固体の形態を使用することが好ましい。より好ましくは、酸化物または水酸化物、さらにより多くの水酸化物、さらにより好ましくは水酸化ナトリウムが使用される。我々は、この追加のNaOHが残りの硫黄と容易に反応して亜硫酸ナトリウム(典型的にはNaSO)と副生成物としての水素ガスにすることを見出した。亜硫酸ナトリウムは別のドロス相を形成し、これもまた浴から除去するのが好ましい。水素は水素ガスとして浴から浴の上方の大気中に放出される。この工程において、NaOHの代替物でも同様の反応が起こる。
本発明に係る方法の実施態様において、第3のドロスの除去およびある量のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の浴への添加の後、着火源が浴の上方に提供される。着火源は、浴の上方の雰囲気に元素状硫黄を添加することによって提供されることが好ましい。我々は、前処理工程中に元素状硫黄が浴の上方に存在する条件下で容易に着火し、そして水素濃度が低燃焼限界以下であっても存在する水素が燃焼することを保証できることを見出した。好ましい低粉塵含有量に関して上でなされたのと同じ追加の見解で、元素状硫黄を粉末としてよりもむしろ粒状物として添加することを我々は好む。この形態の元素状硫黄は魅力的な供給条件で多くの供給元から容易に入手可能である。この形態の元素状硫黄はまた、浴の表面の大部分にわたって容易に分配可能であり、それ故に浴の表面のこの大部分にわたって水素を燃焼除去するのに非常に有効であり、それ故にまた水素の発生によって引き起こされる爆発の危険性を減らすのに有効である。粒状形態は、より少ない粉塵を発生させるというさらなる利点をもたらし、したがって、取り扱い中に吹き飛ばされ得る硫黄の量が少なくなり、拡散すると考えられる浴に到達しないため、硫黄のより効果的な使用に加えて、作業環境および大気中の硫黄粉塵による起こり得る産業衛生問題を回避する。
本発明に係る方法の一実施形態では、ケイ素源を浴に添加する。二酸化ケイ素源、より好ましくは砂を使用するのが好ましい。ドロスのうちの少なくとも1つを除去する前に、好ましくは存在する場合には第3のドロスを除去する前に、しかしながら代わりに第1のドロスまたは第2のドロスを除去する前に、より好ましくは、ドロスのうちのいずれか1つを除去する前に、このケイ素源を浴に添加することが好ましい。我々は、特にこの添加された化合物が、砂などの二酸化ケイ素を含む場合、このケイ素源は、ドロスを「堅くする」、すなわちドロスをより流動的にせず、その粘度を高め、はるかにより固体のように振舞わせるという利点をもたらすことを見出した。ドロスの堅さのこの変化は、スキミングによる浴からのドロスの回収およびドロスの除去を容易にする。このように処理されたドロスはまた「より乾燥した」ものにもなり、すなわちそれは回収されそしてより少ない有価金属の同伴で除去され得る。これは、主要金属を製造するための全プロセスの有効性と効率の両方を改善する。我々は、二酸化ケイ素がドロスを堅くさせるために使用されるのに非常に適していることを見出した。砂は、いかなる方法においてもプロセスを損なうことなく結果を達成するために適切な純度で便利かつ容易にそして経済的に入手可能な二酸化ケイ素源である。ドロス中の二酸化ケイ素は、ドロスと共に上流の製錬工程に容易にリサイクルさせることができ、ここで二酸化ケイ素は典型的には製錬所からのスラグ副生成物に入り、そしてそれはさらなる利益をもたらすことができる。砂は、その堅くする効果がその時点で浴中の液体金属の上に浮遊している大量のドロスに達するように、浴表面の広い領域にわたって分布することが好ましい。
我々は、工程c)で添加された化合物の量に対して5重量%以下、好ましい実施形態においては工程c)で添加されたNaOHの量に対して5重量%以下である量の砂を使用することをより好む。より好ましくは、我々は、工程c)で添加された化合物の総量に対して、最大で4重量%、さらにより好ましくは最大で3%、好ましくは最大で2%、より好ましくは少なくとも1%、さらにより好ましくは最大で0.5%、さらにより好ましくは最大で0.1重量%の砂を使用する。好ましくは、我々は、砂をいくつかの連続した副工程で添加する。
本発明に係る方法の一部としての蒸留工程は、50Pa絶対圧以下、場合によっては10〜15Pa以下、そしてしばしば0.1〜5Pa程度のような非常に低い圧力下で、少なくとも800℃、好ましくは少なくとも900℃の比較的高い温度と組み合わせて実施することができる。半田タイプの金属混合物の真空蒸留はバッチ式で実施することができ、そのようなバッチ式真空蒸留技術は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および非特許文献1に開示されている。金属の真空下での蒸留も連続方式で実施することができ、そのような連続蒸留技術は、特許文献4、特許文献5、および特許文献6に開示されている。
本発明に係る方法の一実施形態では、蒸留工程は連続操作方式で行われる。
本発明に係る方法の一実施形態では、蒸留工程は、最大で15Pa絶対圧の圧力、好ましくは最大で10Pa、より好ましくは最大で5Pa、さらにより好ましくは最大で1Pa、さらにより好ましくは最大で0.7Pa絶対圧の圧力で行われる。より低い圧力は、より揮発性の低い金属からより揮発性の高い金属を分離するのを容易にするので、有益であることを我々は見出した。さらなる利点は、より高い操作圧力を使用するときと比較して、分離がより低い温度で行われ得ることである。これは操作がまたエネルギー的により効率的であるという利点をもたらす。
本発明に係る方法の一実施形態では、蒸留工程は、少なくとも800℃、好ましくは少なくとも850℃、より好ましくは少なくとも900℃、さらにより好ましくは少なくとも930℃の温度で行われる。例えば、より高い温度はより揮発性の高い金属(複数可)の揮発性を増大させるので、より高い温度は、金属を蒸気と残留液相へと分離するのを促進することを我々は見出した。より高い温度はまた、気化される金属(複数可)と液相中に保持される金属(複数可)との間の揮発度の差を増大させることができる。我々はさらに、より高い温度はまた、金属間化合物が装置壁に形成および/または付着し、そしてそれ故恐らくは蒸留操作を損なう危険性を減少させることを見出した。
以下の実施例は、粗製半田が真空蒸留工程に供されるべきであるときの粗製半田の洗浄の効果を示す。添付の図は、この実施例において操作されたプロセス工程および順序の流れ図を示す。この実施例で報告されている組成は重量単位で表されており、毎日採取された試料の分析結果および3ヶ月間にわたる結果の平均であった。
金属流の分析のために、液体金属の試料を採取し、型に流し込み、冷却して固体にする。固体試料の一方の表面は、清浄で平坦な表面が得られるまで試料をHerzog HAF/2製粉機に1回または好ましくはそれ以上通過させることによって調製される。清浄で平坦な試料表面は、その後Ametek社(ドイツ)からも入手可能なSpectro Analytical Instruments社(US)製のスパーク発光分光分析(OES)装置Spectrolab Mを用いて分析され、パラメータ、結晶、検出器、および管は、所望の精度および/または検出限界に対して最も適切な性能を達成するために、容易に選択および適合させることができる。分析は、銅、ビスマス、鉛、錫、アンチモン、銀、鉄、亜鉛、インジウム、砒素、ニッケル、カドミウム、さらには元素硫黄を含む、試料中の様々な金属についての結果を提供し、これらの金属の大部分に対して約1重量ppmの検出限界までこれを提供する。
ドロスの分析のために、本発明者らは、好ましくはPANalytical B.V.社(オランダ)のPANalytical Axios XRF分光計を使用して、適切に較正された蛍光X線(XRF)技術を使用することを好む。添付の図の流れ図において、流れ4およびその上流の流れなどの著しい量の汚染物質を含有する金属の試料を分析するために、この技術はまた、上記のOESよりも好ましい。また、この技術を用いて、分析の目的に最も適合する精度および/または検出限界に関して結果を最適化するために、詳細を容易に選択および適合させることができる。
粗製半田出発材料は、約85重量%のCuを含有する「黒色銅」中間体を生成する銅製錬所における銅、鉛、および錫含有材料の精製から生じた(流れ1)。次に、この黒色銅を銅精錬所で一連の乾式精錬工程にかけ、一方ではより高純度の銅プライム製品を、そして他方では多数のスラグ副生成物を生成した。製錬所および銅精錬所は、図中の工程100として表されている。精錬操作の一部として、粗製半田はこれらの精錬所スラグのいくつかから流れ2として回収される。粗製半田は表1に示すような組成を有していた。この粗製半田の洗浄は、そうでなければ下流の真空蒸留工程に悪影響を及ぼす危険性があるであろう相当量の含有金属不純物を除去するために行われる。洗浄工程の目標不純物は、主にCu(1.6176%)、Fe(44ppm)、Ni(11ppm)、およびZn(573ppm)であり、粗製半田洗浄の目的は、さらに真空蒸留を使用して、半田を滑らかに処理することができることである。
粗製半田は、約835℃の温度で上流の精錬所操作から入手可能であった。第1の洗浄操作シーケンス部分200において、半田は334℃まで冷却され、これは2工程で行われた。第1の工程では、粗製半田を約500℃に冷却し、第1のドロスを溶融液体の表面から除去した。第2の工程では、粗製半田をさらに334℃に冷却し、第2のドロスを溶融液体の表面から除去した。冷却工程200は、粗製半田中に存在する銅の大部分を含み、副生成物として除去された総ドロスを形成した(流れ9)。残りの半田中間体(流れ3)中の関心のある金属の濃度が表2に提供される。半田中の銅含有量は、この一連の冷却工程およびドロス除去によって、1.6176%から0.6000%まで減少した。また、半田中のFeおよびZn濃度も著しく減少した。冷却操作中に形成された全てのドロスを除去して、製錬工程へのプロセス内の上流でリサイクルさせ(流れ9として示す)、その結果、その貴重な金属含有量を可能な限り評価することができた。
第2の洗浄工程300において、固体水酸化ナトリウム(流れ13)を表2の半田中間体に添加した。この処理工程において、亜鉛は水酸化ナトリウムによって結合され、おそらくNaZnOを形成し、上澄みとして半田から分離し、流れ10として除去された分離相を形成した。その結果、半田流れ4中の亜鉛含有量はさらに減少した。水酸化ナトリウムの量は、半田中のZn濃度が16重量ppmまで減少するように調整された(表3)。この工程で形成されたドロスもまた、図中のボックス100の一部として上流の製錬工程にリサイクルされた(流れ10)。
水酸化ナトリウムを使用する工程300の下流のさらなる洗浄工程400では、半田の銅含有量低減するために、金属相中に存在する銅の量に対して化学量論の約130%に相当する量の元素状硫黄(流れ14)を添加した。元素状硫黄として、Tarnobrzeg(ポーランド)のZaklady Chemiczne Siarkopol社から入手可能な顆粒状の硫黄を使用した。硫黄14は主として銅と反応して硫化銅を形成し、それは別の上澄みドロス相に移動した。ドロスは流れ11として除去された。工程400における硫黄添加の後、工程500において、さらなる量の水酸化ナトリウム(流れ15)を添加して、残りの微量の硫黄を化学的に結合させて別のドロスを形成した。反応のためにしばらく時間をおいた後、一握りの顆粒状硫黄を浴表面上に散布/拡散させた。硫黄は反応の副生成物として液体から発生した可能性のある水素を発火させ燃焼させた。続いて、ドロスを乾燥させる/硬くするために、少量の白い砂を浴上に散布/拡散させた。次いで、工程500で形成された全ドロスを流れ12として液体金属浴から取り出した。こうして得られた浄化された半田(流れ6、その組成は表4に示されている)は38ppmのCuしか含まず、工程600において真空蒸留でさらに処理した。硫黄含有ドロス12は、上流の精製プロセス100において再処理され、その結果、その貴重な金属含有量を評価することができた。
こうして、浄化された半田6は、真空蒸留を用いて、平均温度982℃および平均絶対圧力0.012ミリバール(1.2Pa)でさらに処理された。真空蒸留工程は、工業規格にしたがってさらに精製されて高品質の主生成物になるのに適した2つの生成物流を生成した。一方では、付加流れ7として主に鉛を含有する生成物流を得て、他方では、底部生成物8として主に錫を含有する生成物流を得た。これら2つの蒸留生成物流7および8の組成を表5に示す。
真空蒸留は、連続モードで、そして金属間化合物の形成による蒸留装置のいかなる閉塞または目詰まりも観察されることなく約3年間の期間の間、行われた。真空蒸留工程の両方の生成物流は、工程700および800で、それぞれさらに精製されるのに適した全期間中に留まり、確立された国際工業規格にしたがって主生成物を形成した。
ここまで本発明を十分に説明してきたが、特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲内の広範囲のパラメータ内で本発明を実施することができることを当業者は理解するであろう。

Claims (34)

  1. 鉛(Pb)および錫(Sn)を含有する金属混合物であって、該金属混合物は、重量基準で、
    少なくとも10%の錫と、
    少なくとも45%の鉛と
    を含み、錫と鉛を合わせて少なくとも90%含み、錫よりも鉛が多く、
    前記金属混合物はさらに
    少なくとも1ppm、最大で5000ppmの銅と、
    少なくとも0.42%のアンチモン(Sb)と、
    少なくとも0.0001重量%の硫黄(S)と、
    合計が最大で0.1%である、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、およびタングステン(W)と、
    最大で0.1%のアルミニウム(Al)と、
    最大で0.1%のニッケル(Ni)と、
    最大で0.1%の鉄(Fe)と、
    最大で0.1%の亜鉛(Zn)とを含む金属混合物。
  2. 少なくとも15重量%の錫を含む、請求項1に記載の金属混合物。
  3. 少なくとも50重量%の鉛を含む、請求項1または請求項2に記載の金属混合物。
  4. 錫と鉛を合わせて少なくとも91重量%含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  5. 少なくとも2重量ppmの銅を含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  6. 少なくとも2重量ppmの硫黄を含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  7. 最大で4500重量ppmの銅を含む、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  8. 最大で0.10重量%の亜鉛(Zn)を含む、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  9. 最大で0.10重量%のニッケル(Ni)を含む、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  10. 最大で10重量%のアンチモン(Sb)を含む、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  11. 最大で0.10重量%の鉄(Fe)を含む、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  12. 最大で0.10重量%のアルミニウム(Al)を含む、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  13. 最大で0.10重量%の硫黄(S)を含む、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  14. 少なくとも10重量ppmの銀(Ag)を含む、請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  15. 少なくとも10重量ppmのビスマス(Bi)を含む、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  16. 少なくとも10重量ppmの砒素(As)を含む、請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  17. 少なくとも10重量ppmのインジウム(In)を含む、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の金属混合物。
  18. 請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載の金属混合物を蒸留により分離する方法であって、液体溶融金属供給組成物を前処理する工程を含み、 a)前記供給組成物(2)は、かなりの部分が錫および鉛であり、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)および/または亜鉛(Zn)を少なくとも0.16重量%、任意で最大で10重量%含み、前記供給組成物(2)は、少なくとも500℃の温度で使用可能であり、
    前記前処理工程は、
    b)前記供給組成物(2)を最高825℃の温度まで冷却し(200)、重力によって第1の液体溶融金属相(3)上に浮遊する第1の上澄みドロス(9)を含む浴を生成する工程と、
    c)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属、またはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含む化合物(13)を前記第1の液体溶融金属相(3)に添加して(300)、重力によって第2の液体溶融金属相(4)上に浮遊する第2の上澄みドロス(10)を含む浴を形成する工程と、
    d)前記第2の液体溶融金属相(4)から前記第2のドロス(10)を除去する工程とを含み、
    それによって、前記前処理からの生成物として得られる前記液体溶融金属相(6)は、請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載の金属混合物を形成し、
    前記方法は、前記金属混合物(6)を蒸留工程(600)に付す工程であって、鉛(Pb)が蒸発によって前記金属混合物から除去され、少なくとも0.6重量%の鉛を含む底部生成物(8)が得られる工程をさらに含む方法。
  19. 工程c)の前に前記浴から前記第1の上澄みドロス(9)を除去する工程を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記供給組成物(2)を得るための前記方法は金属製錬工程を含み、前記除去されたドロス(9、10、11、12)の少なくとも1つを前記金属製錬工程でリサイクルする、請求項18または請求項19に記載の方法。
  21. 工程c)において、前記アルカリ金属および/または前記アルカリ土類金属(13)は、化学的に結合した形で、好ましくは固体として添加される、請求項18から請求項20までのいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記アルカリ金属および/または前記アルカリ土類金属(13)は、酸化物または水酸化物として、好ましくは水酸化物として添加される、請求項18から請求項21までのいずれか1項に記載の方法。
  23. 工程c)において、水酸化ナトリウムを添加する、請求項18から請求項22までのいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記供給組成物(2)は、少なくとも0.0010重量%の亜鉛(Zn)を含み、前記アルカリ金属および/または前記アルカリ土類金属の添加時および/または添加後、酸素供給源と共に前記浴の上方に着火源が設けられる、請求項18から請求項23までのいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記第2の液体溶融金属相(4)は、少なくとも100重量ppmの銅を含み、硫黄(14)が工程c)で形成された前記浴に添加される、請求項18から請求項24までのいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記供給組成物(2)は銅を含み、前記方法は、少なくとも存在する銅(Cu)の量と反応するのに必要な化学量論的量で工程d)の前記生成物(4)に硫黄(14)を添加する工程を含む、請求項18から請求項25までのいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記浴の上方の前記着火源(13)は、前記浴の上方の雰囲気に元素硫黄を添加することによって提供される、請求項24、または請求項24を引用する請求項25若しくは請求項26に記載の方法。
  28. 硫黄添加(400)の後、第3のドロス(11)が形成され、前記方法は、前記浴からの前記第3のドロス(11)の除去をさらに含む、請求項25から請求項27までのいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記第3のドロス(11)の除去後、ある量の水酸化ナトリウム(15)を前記浴に添加する(500)、請求項28に記載の方法。
  30. NaOH(15)の添加後、着火源が前記浴の上方に設けられる、請求項29に記載の方法。
  31. ケイ素源が前記浴に添加される、請求項18から請求項30までのいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記蒸留工程(600)は、連続操作方式で行われる、請求項18から請求項31までのいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記蒸留工程(600)は、最大で15Pa絶対圧の圧力で行われる、請求項18から請求項32までのいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記蒸留工程(600)は、少なくとも800℃の温度で行われる、請求項18から請求項33までのいずれか1項に記載の方法。
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