本願は、その内容に依拠し、参照により、全内容が以下に完全に記載されているが如く、本明細書に組み込まれる2016年11月22日出願の米国仮特許出願第62/425,295号の優先権を主張するものである。
以下、添付図面に例を示す、ガラス成形装置の成形体の実施形態について詳細に説明する。図面全体を通し、可能な限り、同じ又は類似の部品には同じ参照番号を用いている。ガラス成形装置の成形体250の1つの実施形態を図5A〜5Fに概略的に示す。この実施形態において、成形体は上部252を有し、第1の成形面44及び第2の成形面45が上部252から延びている。第1の成形面44及び第2の成形面45は、成形体250の底縁部(根底部46)で収束している。溶融ガラスを受け取るトラフ251が、成形体250の上部252に配置されている。トラフ251は、第1の堰260、第1の堰260から離間した第2の堰280、及び第1の堰260と第2の堰280との間に延びる底部253を有している。トラフ251は、入口端部40、入口端部に対向する遠位端部42、及びトラフ長LTを更に有している。第1の堰260及び第2の堰280の各々は、頂部263、底部253から頂部263に向かって上方に延びる補強部266、及び垂直面264に対して角度αで配向された傾斜内面261を有することができる。トラフ長LTの少なくとも一部について、トラフ251の断面が台形となるように、トラフ251の底部の幅WBがトラフの頂部幅WTより小さくてよい。トラフ251の頂部幅WTは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで一定であってよく、傾斜内面と垂直面264との角度αは、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って変化してよい。添付図面を具体的に参照しながら、ガラス成形装置の成形体の様々な実施形態について、本明細書で更に説明する。
本明細書において、方向を示す用語、例えば、上方、下方、右、左、前、後、上端、下端等は、図示のみを参照したものであって、絶対的な方向を暗示することを意図するものではない。
特に断りのない限り、本明細書に記載の方法は、そのステップが特定の順序で実行される必要があること、及びすべての装置が特定の配向を必要とすることを意図するものでは決してない。従って、方法クレームが、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していない場合、又は装置クレームが、個々の構成要素に対する順序若しくは向きを実際に列挙していない場合、あるいは、ステップが特定の順序に限定されるべきであること、又は装置の構成要素に対する特定の順序若しくは向きが、特許請求の範囲又は明細書に特に明記されていない場合、如何なる点においても、順序や方向が推測されることを意図したものでは決してない。これはステップの配列、動作フロー、構成要素の順序、又は構成要素の配向に関する論理的事項、文法体系又は句読法から派生した平易な意味、及び明細書に記載の実施形態の番号若しくは種類にも適用される。
本明細書において、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別に解釈されない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「ある」構成要素と言った場合、文脈上明らかに別に解釈されない限り、2つ以上のかかる構成要素を有する実施形態を含む。
図1は、連続ガラスリボン12等のガラス物品を製造するガラス成形装置10の概略図である。バッチ材料15は、モーター18によって駆動されるバッチ送達装置17によって溶融容器14に導入することができる。モーター18を作動させるために任意のコントローラ20を設けることができ、溶融ガラスレベルプローブ22を用いて、立管24内のガラス溶融物のレベルを測定し、測定した情報をコントローラ20に伝達することができる。
ガラス形成装置10は、第1の接続管26を介して溶融容器14に連結された、清澄管等の清澄容器28を含むこともできる。混合容器32が、第2の接続管30によって清澄容器28に連結されている。更に図示するように、下降管38が、送達容器36から成形体50の入口端部40にガラス融液を送達するように配置されている。本明細書に図示及び記載の実施形態において、成形体50は、アイソパイプと称することもできる、溶融成形容器である。
溶融容器14は、通常、耐火(例えば、セラミック)煉瓦等の耐火材料で構成されている。ガラス成形装置10は、通常、例えば、白金、又は白金−ロジウム、白金−イリジウム等の白金含有金属、及びこれ等の組み合わせから構成される導電性耐熱金属で構成される構成要素を更に有することができる。かかる耐熱金属には、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、及びこれ等の合金、及び/又は二酸化ジルコニウムも含まれる。白金を含む構成要素は、第1の接続管26、清澄容器28、第2の接続管30、立管24、混合容器32、送達導管34、送達容器36、下降管38、及び入口端部40のうちの1つ以上を含むことができる。
ここで、図2A〜2Cは、概して、トラフ51、第1の成形面44、及び第2の成形面45を有する従来の成形体50を示す図である。トラフ51は、成形体50の上部52に配置され、第1の堰60、第2の堰80、及び第1の堰60と第2の堰80との間に延びる底部53を有している。トラフ51の深さ(即ち、堰高HW)は、成形体50に沿った長さLの関数として変化してよい。第1の成形面44及び第2の成形面45が、成形体50の上部52から垂直方向下方(即ち、図示の座標軸の−Z方向)に延び、互いに向けて収束し、根底部46とも称することができる、成形体50の下部(底部)の縁部で結合している。従って、第1の成形面44及び第2の成形面45は、一部の実施形態において、根底部46を最下部の頂点とする、成形体50の上部52から下流方向に延びる逆二等辺(正)三角形を形成することができる。延伸平面47が、概して、図示の座橋軸の±Y方向に根底部46を二等分し、垂直方向下方(即ち、図示の座標軸の−Z方向)に延び、成形体50の入口端部40から遠位端部42まで±X方向に延びている。
ここで、図1〜2Cにおける動作において、バッチ材料15、具体的にはガラスを成形するためのバッチ材料が、バッチ送達装置17によって、容器16から溶融容器14に供給される。バッチ材料15は、溶融容器14内で溶融ガラスに溶融される。溶融ガラスは、第1の接続管26を通して、溶融容器14から清澄容器28に移動する。清澄容器28内において、ガラスに欠陥をもたらす可能性がある溶存ガスが、溶融ガラスから除去される。次に、溶融ガラスは、第2の接続管30を通して、清澄容器28から混合容器32に移動する。混合容器32は、例えば、攪拌することによって溶融ガラスを均質化し、均質化された溶融ガラスは、送達導管34を通して送達容器36に移動する。送達容器36は、下降管38を通して、均質化された溶融ガラスを成形体50の入口端部40内に排出し、次に、入口端部が、均質化された溶融ガラスを、成形体50の遠位端部42に向けて、成形体50のトラフ51内を移動させる。
均質化された溶融ガラスは、成形体50のトラフ51を満たし、最終的にオーバーフローして、成形体50の上部52の第1の堰60及び第2の堰80を越え、トラフ51の長さLT(図2C)に沿って流れ、次いで垂直方向下方に流れる。均質化された溶融ガラスは、成形体50の上部52から、第1の成形面44及び第2の成形面45に向けて流れる。第1の成形面44及び第2の成形面45を流れる均質化された溶融ガラス流が、根底部46で合流及び融合して、牽引ローラー(図示せず)によって、延伸平面47上を下流方向に延伸されるガラスリボン12が成形される。ガラスリボン12を個別のガラスシートに分割する、ガラスリボン12をそれ自体の上に圧延する、及び/又はガラスリボン12に1つ以上のコーティングを施す等、成形体50の下流において、ガラスリボン12を更に処理することができる。
成形体50は、通常、溶融ガラスと化学的に適合し、かつ溶融成形プロセスに関わる高温度に耐え得る耐火セラミック材料から形成されるが、別の実施形態において、成形体の一部、又は成形体全体を別の材料、例えば金属材料で形成することができる。成形体を形成することができる代表的なセラミック耐火材料は、ジルコン(例えば、ケイ酸ジルコニウム)、低クリープジルコン、炭化ケイ素、ゼノタイム、及び/又はアルミナベースの耐火セラミックを含むが、これに限定されるものではない。成形体50のトラフ51に流込する溶融ガラス塊は、堰60、80に外向きの圧力を加える。この圧力が、成形体を構成する耐火セラミック材料の高温クリープと相まって、数年に及ぶ可能性があるガラス延伸キャンペーン期間中に、堰60、80を徐々に外側に(即ち、図2A及び図2Bに示す座標軸の±Y方向に)湾曲させる可能性がある。
成形体50の長さLに沿って不均一であり得る外方湾曲は、トラフ51が最も深い、入口端部40から成形体50の長さLの最初の1/3において、最も顕著であり得る。堰の外方湾曲は、トラフ51内のガラスの分布を著しく変える可能性があって、湾曲が最も顕著である堰60、80上のガラス流を減少させ、湾曲がそれほど顕著でない堰60、80上のガラス流を増加させる。これが得られるガラスリボン12(図1)に望ましくない厚さ及び幅の変動をもたらし、それによって、規格外のガラスリボンが廃棄されるため、ひいてはプロセスの非効率性を招き得る。湾曲が経時的に進行するにつれ、成形体50の使用が中止され、外方湾曲によってガラス品質が低下したために、ガラス成形装置が再構成される可能性がある。
加えて、特定の種類のガラスは、(例えば、1300℃を超える)非常に高い温度での処理を必要とし、かかる高温度は、成形体50を構成する材料のクリープを加速し得る。このクリープの加速は、成形体50の長期的な寸法の安定性に悪影響を及ぼす可能性があり、成形体50の寿命を短くする可能性がある。クリープを軽減する従来の解決策は、熱安定性に優れた材料で成形体50を構成することであり、これは成形体50の資本コストを大幅に増加させる可能性がある。また、溶融成形ガラスの需要が増大するにつれ、より大きい成形体50を用いて、より大きいガラスの質量流量を生み出し、溶融成形プロセスのスループットを向上させると共に、得られるガラスリボンの幅を大きくすることができる。成形体50からのガラスの質量流量を増加させるためには、成形体50の容積を大きくする必要があり、これが、ひいては堰に対して更に水圧応力を加え、堰の外方湾曲を更に強める可能性がある。より大きい成形体50を構成することは、より大きい耐火材料の素材片を必要とし、成形体50及びかかる成形体で成形されるガラスシートの製造コストを増加させ得る。
図2A〜図2Cは、概して、第1の堰60、第1の堰60から離間した第2の堰80、及び第1の堰60と第2の堰80との間に延びる底部53によって画成される、トラフ51を有する従来の成形体50を示す図である。図2A〜2Cは、成形装置10に用いられる前であって、堰に湾曲が生じる前の成形体50を示している。成形体50は、第1の堰60の第1の外面62から第2の堰80の第2の外面82まで測定した外幅W2を有している。成形体50の外幅W2は、第1の成形面44及び第2の成形面45から第1及び第2の堰60、80の頂部63まで、及びトラフ51の入口端部40から遠位端部42まで一定である。第1の堰60の外面62、第1の成形面44、第2の成形面45、及び第2の堰80の外面82が、外幅W2、及び第1成形面44と第1の外面62との接合部48、又は第2成形面45と第2の外面82との接合部48から測定される、成形体50の上部高HUが、成形体50の入口端部40から遠位端部42に向けて徐々に減少する、高さプロファイルを有する立体外形を画成している。
図2A〜2Cに示す成形体50において、トラフ51は、成形体50の入口端部40から遠位端部42まで延びる矩形断面を有している。その初期の状態(即ち、成形体50をガラス成形装置に用いる前)において、矩形トラフ51の内幅W1は、トラフ51の底部53から第1の堰60及び第2の堰80の頂部63まで、及びトラフ51の入口端部40から遠位端部42まで一定である。即ち、トラフ51の断面は、縦断面において矩形である。本開示において特に断りのない限り、トラフ51等の構造体の縦断面は、図2Bに示す座標軸のY−Z平面に平行な基準平面に沿って取られた断面を意味し、縦断面積は、縦断面における構造体の面積を意味する。第1の堰60及び第2の堰80は、垂直(即ち、図2Bに示す座標軸のX−Z平面に平行)かつ互いに平行である。第1の堰60は縦断面において矩形であり、トラフ51の底部53から第1の堰60の頂部63まで、及びトラフ51の入口端部40から遠位端部42まで一定の堰厚T1を有している。第2の堰80も縦断面において矩形であり、トラフ51の底部53から第2の堰80の頂部63まで、及びトラフ51の入口端部40から遠位端部42まで一定の堰厚T2を有している。成形体50の長さLに沿った任意の点におけるトラフ51の縦断面積は、トラフ51の堰高HWを乗じた内幅W1として計算することができる。本開示において、堰高HWは、トラフ長LTに沿った任意の点における、第1又は第2の堰60、80の高さを意味し、概して、トラフ51の入口端部40における入口堰高以下であってよい。加えて、トラフ長LTに沿った任意の点における成形体50の水力直径は、当該点における成形体50の接液周長で除した当該点における成形体50の断面積として定義することができる。矩形の縦断面を有するトラフ51の断面積は、内幅W1を乗じた堰高HWに等しい。接液周長は、堰高HWを2倍し、それに内幅W1を加えたものであり得る。従って、トラフ長LTに沿った任意の点における矩形の成形体50の水力直径は、(HW×W1)/(2×HW + W1)として定義することができる。
図3は矩形トラフ51を有する幾つかの成形体50について、トラフ51の縦断面積に対し、トラフ51の水力直径をプロットした図である。図3に示す成形体50は、第1及び第2の堰60、80にわたり、同じガラス質量流量を有しているが、異なる内幅W1及び成形体50の入口端部で測定された堰高HWである、異なる入口堰高によって定義される異なる断面積を有している。成形体50の入口端部40から遠位端部42までの長さLに沿った一定の長手方向位置(即ち、±X方向)において、各々の矩形成形体の縦断面積及び水力直径を測定した。縦断面積対水力直径データに近似する傾向線によって、特定のガラス質量流量における、流量等価矩形成形体50の流量等価曲線90が生成される。流量等価曲線90に沿って左から右へ、トラフ51の内幅W1が減少し、堰高HWが増加する。縦断面積が増加するにつれ、水力直径が減少する。図3の流量等価曲線90上にある縦断面積及び水力直径を有する成形体は、縦断面積及び水力直径が、トラフ長LTに沿った同じ長手方向位置で測定されることを条件に、断面形状とは無関係に、第1及び第2の堰60、80にわたり、図3の流量等価曲線90の生成に使用した成形体50と同じガラス質量流量を有している。異なる目標ガラス質量流量に対し、異なる流量等価曲線90を生成することができる。
本開示において後述する成形体の実施形態が、「流量等価矩形成形体」と比較される。本開示において、「流量等価矩形成形体」とは、矩形トラフ51、並びに本開示において後述する成形体150、250(図4A〜図6F)の質量流量及び外形と同じ、第1及び第2の堰60、80上のガラス質量流量及び外形を有する、前述の成形体50を意味する。本明細書において説明する流量等価矩形成形体50の特性は、流量等価矩形成形体50が、ガラス成形装置10に使用される前(即ち、堰が外側に湾曲する前)に特定される。流量等価矩形成形体50の第1の堰60と第2の堰80とは、垂直かつ互いに平行であり、本開示において後述する成形体150、250(図4A〜6F)の第1の堰160、260、及び第2の堰180、280のトラフ151、251の入口端部40における頂部厚TTと同じである堰厚T1、T2を有している。流量等価矩形成形体50のトラフ51は矩形縦断面を有し、及び/又は流量等価矩形成形体50の第1の堰及び第2の堰は、矩形縦断面を有している。流量等価矩形成形体50の第1の外面62、第1の成形面44、第2の成形面45、及び第2の外面82によって画成される外形は、本開示において後述する成形体150、250の外形と同じである。
本開示において後述する成形体の実施形態は、流量等価矩形成形体と比較して、成形体の堰の外方湾曲の発生を抑制し、それによって、成形体の耐用年数を延ばし、成形体から成形されるガラスリボン12(図1)の寸法特性を安定させる。加えて、本明細書において後述する成形体の実施形態は、従来の流量等価矩形成形体50に対する流量等価性を提供すると同時に、(ガラス成形装置10で使用される前の)成形体の外形を(ガラス成形装置10で使用される前の)流量等価矩形成形体50の外形と同じに維持し、それを用いて成形されたガラスリボン12の一貫した特性を維持する。
本開示において後述する成形体の実施形態の各々について、底部に近接する堰の下部に材料を追加することによって各々の堰を補強することができる。堰の下部に材料を追加することによって、成形体の断面積及び/又は流動力学が変化する可能性があり、成形体の堰上の溶融ガラスの質量流量に変化をもたらし得る。従って、第1及び第2の堰の頂部における厚さTT、トラフの深さ、他の幾何学的パラメータ、又はこれ等の組み合わせを調整して、同じ外形及び寸法を有する流量等価矩形成形体50と比較して、堰にわたって同等の質量流量を有する成形体を提供することができる。堰の下部を補強することによって、堰の拡張に対するより良い耐性をもたらすことができ、トラフの幾何学的形状を調整して流量等価性を維持することによって、溶融ガラスの流動特性について妥協せずに済む。更に、堰の下部を補強することによって、湾曲を抑制するために堰に加えられる圧縮力に依存せずに、堰の拡張を低減することができる。
図4A〜4Fは、トラフ151、第1の成形面44、及び第2の成形面45を有する成形体150を示す概略図である。トラフ151は、成形体150の上部152に配置され、第1の堰160と第2の堰180との間に延びる底部153を有している。トラフ151は、成形体150の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ151のトラフ長LTに沿って深さが浅くなっている。第1の成形面44及び第2の成形面45は、成形体150の上部152から垂直方向下方(即ち、図示の座標軸の−Z方向)に延び、互いに向けて収束し、成形体150の根底部46で結合している。従って、第1の成形面44及び第2の成形面45は、一部の実施形態において、根底部46を最下部の頂点とする、成形体150の上部152から垂直方向下方に延びる逆三角形(二等辺三角形又は正三角形)を形成することができることを理解されたい。延伸平面47が、概して、図示の座橋軸の±Y方向に根底部46を二等分し、垂直方向下方(即ち、図示の座標軸の−Z方向)に延び、成形体150の入口端部40から遠位端部42まで±X方向に延びている。
図4D〜4Fにおいて、第1の堰160は、第1の内面161、第1の外面162、及び第1の内面161と第1の外面162との間に延びる頂部163を有している。第1の内面161は、トラフ151の底部153から第1の堰160の頂部163まで延び、第1の外面162は、第1の成形面44と第1の堰160の頂面163との間を、略垂直(即ち、±Z方向)に延びている。第1の成形面44から第1の堰160の頂部163までの第1の外面162の上部高HUは、成形体150の入口端部40から遠位端部42に向けて減少し、成形体150の上部152の高さプロファイルを画成している。第1の外面162は、第1の成形面44から第1の堰160の頂部163まで、及び成形体150の入口端部40から遠位端部42までによって画成される形状を有している。第2の外面182は、第2の成形面45から第2の堰180の頂部163まで、及び成形体150の入口端部40から遠位端部42までによって画成される形状を有している。第1の外面162の形状は、第2の外面182の形状と同じであり、第1の外面162と第2の外面182とは、図4A〜4Fの座標軸によって規定されるX−Z平面に対し平行かつ垂直である。成形体150の第1の外面162の形状及び第2の外面182の形状は、第1の外面62(図2B)及び第2の外面82(図2B)は、図2A、2Bの座標軸によって規定されるX−Z平面に対し平行かつ垂直である、流量等価矩形成形体50(図2B)の第1の外面62(図2B)及び第2の外面82(図2B)と同じであってよい。
第1の堰160は、底部153に近接し、且つ第1の堰160の頂部163に向けて上方(即ち、+Z方向)に延びる補強部166を含んでいる。第1の堰160は、図4D〜Fの座標軸の±Y方向に測定される、 第1の内面161から第1の外面162までの堰厚Tを有している。補強部166において、トラフ151の底部153の近傍で測定した第1の堰160の最大補強厚TRは、第1の堰160の頂部163で測定した頂部厚TTより大きくてよい。1つ以上の実施形態において、堰厚Tを、トラフ151の底部153における最大補強厚TRから+Z方向上方に向けて、第1の堰160の頂部163の近傍の頂部厚TTまで減少してよい。1つ以上の実施形態において、第1の堰160は、第1の堰160の頂部163から下方に向けて第1の堰160の補強部166まで延びる垂直部168を有することができる。堰厚Tは、第1の堰160の垂直部168において一定であってよく、第1の堰160の頂部厚TTと同じであってよい。
第1の堰160の補強高HRは、トラフ151の底部153から補強部166の上端までの垂直距離として定義される。補強部166の上端は、第1の堰160の頂部163、又は補強部166と垂直部168との間の遷移点169であってよい。堰厚Tは、トラフ151の底部153における最大補強厚TRから補強部166の上端まで、徐々に減少してよい。例えば、1つ以上の実施形態において、補強部166の上端を、第1の堰160の頂部163とし、補強高HRが堰高HWに等しく、堰厚Tは、トラフ151の底部153における最大補強厚TRから、第1の堰160の頂部163における頂部厚TTまで徐々に減少してよい。あるいは、別の実施形態において、補強部166の上端が、第1の堰160の頂部163に近い補強部166と、垂直部168との遷移点169に対応することができる。補強高HRは堰高HWより小さくてよく、堰厚Tは、トラフ151の底部153における最大補強厚TRから、堰厚Tが頂部厚TTに等しい遷移点169まで徐々に減少してよく、次いで遷移点169から第1の堰160の頂部163まで一定のままであってよい。
図4Dから図4E、次いで、図4Fに漸進的に示すように、補強高HRは、入口端部40から遠位端部42まで、トラフ151のトラフ長LTに沿って減少してよい。トラフ長LTは、成形体150の入口端部40から、堰高HWがゼロに減少する成形体150の遠位端部42におけるトラフ151の端部までの長手方向距離として定義することができる。1つ以上の実施形態において、補強高HRは、トラフ151の長さLTに沿った堰高HWの減少に比例して、減少してよい。補強高比HR/HWは、堰高HWに対する補強高HRの比として定義することができる。実施形態において、補強高比HR/HWは、トラフ151の長さLTに沿って一定であってよい。あるいは、1つ以上の実施形態において、補強高HRは、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿った堰高HWより単位長当たりの減少が速くてよい。即ち、トラフ151の単位長当たりの補強高HRの減少速度は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って、トラフ151の単位長当たり堰高HWが減少する速度より大きくてよい。これ等の実施形態において、補強高比HR/HWは、トラフ151の入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。
図4B及び4D〜4Fにおいて、1つ以上の実施形態において、トラフ150の底部151における最大補強厚TRは、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで一定であってよい。別の実施形態において、トラフ150の底部151における最大補強厚TRは、トラフ151の入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。1つ以上の実施形態において、底部153から第1の堰160の頂部163までの第1の堰160の堰厚Tの平均である平均堰厚TAは、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。
図4Cにおいて、前述のように、溶融ガラスからの第1及び第2の堰160、180に対する圧力に起因する、第1及び第2の堰160、180にかかる最大曲げ応力は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42に向けて、トラフ151のトラフ長LTの最初の1/3以内に生じ得る。従って、トラフ151が浅く、従って、溶融ガラスによって加えられる圧力又は応力が低いトラフ151の遠位端42と比較して、曲げ応力に対抗し、トラフ151の入口端部40から開始するトラフ長LTの最初の1/3における堰の拡張を減少させる上において、補強部166がより大きい利益をもたらすことができる。即ち、堰高HWがトラフ151の入口端40から遠位端42に向けて減少するにつれ、トラフ151はより浅くなり、第1の堰160及び第2の堰180にかかる曲げ応力は、トラフ151の遠位端部42に向けて減少してよい。1つ以上の実施形態において、最大補強厚TR及び補強高比HR/HWのいずれも、図4C、及び図4Dから図4E、次いで、図4Fに漸進的に示すように、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。
例えば、実施形態において、補強部166は、図4Cに示すように、入口端部40から遠位端部42までのトラフ151の長さLに沿って部分的に延びていてよい。1つ以上の実施形態において、補強部166は、トラフ151の入口端部40からトラフ151の長手方向の中間点158まで延びていてよい。即ち、実施形態において、補強部166は、トラフ151の入口端部40から延び、トラフ長LTより短い補強長LRを有することができる。補強長比LR/LTは、一部の実施形態において0.9以下、別の実施形態において0.7以下、更に別の実施形態において0.5以下、又は更に別の実施形態において0.4以下であってよい。1つ以上の実施形態において、補強長比LR/LTは、0.2〜0.75、0.2〜0.5、0.2〜0.4、0.25〜0.75、0.25〜0.5、又は0.25〜0.4であってよい。
あるいは、1つ以上の実施形態において、図4Bに示すように、補強長LRはトラフ長LTと同じであってよい。1つ以上の実施形態において、トラフ151の長手方向中間点158が、LR/LTが0.5に等しい長手方向の位置に対応している。換言すれば、長手方向中間点158は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTの半分である長手方向の位置に対応している。
図4D〜図4Fにおいて、内面161は、第1の堰160の補強部166に沿って、湾曲部170を有することができる。補強部166の補強高HRが堰高HWより小さい実施形態において、内面161は、遷移点169から第1の堰160の頂部163まで延びる垂直部171も有することができる。あるいは、湾曲部170は、トラフの151の底部153から第1の堰160の頂部163まで延びていてよい。1つ以上の実施形態において、曲率部170の曲率が凹であってよい。曲率部170の曲率は、放物線曲率、円形曲率、楕円形曲率、又は他の湾曲形状若しくはこれ等の組み合わせ(即ち、複合曲率)であってよい。添付図面において、第1の堰160及び第2の堰180の湾曲部170の曲率は、説明のために誇張されていることに留意されたい。
湾曲部170の曲率は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って変化してよい。1つ以上の実施形態において、湾曲部170の曲率(例えば、曲率半径)は、トラフ151の入口端40から遠位端42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。例えば、概して円形曲率を有する実施形態において、湾曲部170の曲率半径は、トラフ151の入口端部40においてより大きく、トラフ151の遠位端部42に向けてトラフ長LTに沿って減少してよい。
更に図4D〜4Fにおいて、1つ以上の実施形態において、湾曲部170の曲率は放物線曲率であってよい。これ等の実施形態において、放物線方程式であって、以下の式1で示される、均等荷重下において一端に固定された片持ち梁の応力方程式を用いて、第1の堰160及び第2の堰180の曲げ応力をモデル化することができる。
式1において、Sは片持ち梁の応力、Fは均等荷重、lは片持ち梁の長さ、xは片持ち梁に沿った距離、Zは式1のみに関連(即ち、本明細書を通して参照されるZ軸と混同しないように)する梁断面の断面係数であってI/ zと等しく、ここで、Iは梁の慣性モーメント、zは中立軸から梁の極縁部までの距離である。1つ以上の実施形態において、第1の堰160の内面161に圧力を及ぼしている、溶融ガラスの均一な荷重によって与えられる曲げ応力に対抗するように、湾曲部170の曲率をモデル化することができる。第1の堰160の内面161の曲率に沿った各点における、第1の堰160の堰厚Tは、内面161に沿った各点において、トラフ151を通して流れる溶融ガラスが、第1の堰160に与える曲げ応力に比例し得る。これ等の実施形態において、湾曲部170の曲率は、以下の式2の一般的な放物線方程式によって定義される曲線の一部に一致し得る。
式2において、yは湾曲部170上の点の±Y位置を示し、zは湾曲部170上の点の±Z位置を示す。湾曲部170の曲率は、トラフ151の底部153において、第1の堰160及び第2の堰180を強化し、堰の外方湾曲を軽減し、第1及び第2の堰160、180の寸法安定性を改善する。当然のことながら、他の曲率によっても、第1及び第2の堰160、180を同等に強化して、外方湾曲の抑制及び堰の寸法安定性の改善をもたらすことができる。
図4D〜4Fにおいて、第2の堰180は、第2の内面181、第2の外面182、及び第2の内面181と第2の外面182との間に延びる頂部163を有している。第2の堰180、第2の内面181、及び第2の外面182は、各々第1の堰160、第1の内面161、及び第1の外面162に関して各々前述した1つ以上の特徴を示すことができる。1つ以上の実施形態において、第2の堰180は、第1の堰160の鏡像であってよく、トラフ長LTに沿って第1の堰160と同じ寸法を有することができる。
図4A〜4Fに概略的に示す成形体150の実施形態において、第1の堰160、第2の堰180、及び底部153によって形成されたトラフ151は、トラフ151の入口端部40から遠位端42まで、トラフ長LTに沿って長手方向(即ち±X方向)、及び上部152と第1、第2の成形面44、45との接合部48から第1の堰160及び第2の堰の頂部163までの上部152の高さHUに沿って垂直方向(即ち±Z方向)に一定である、第1の外面162から第2の外面182まで測定した外幅WOを有している。トラフ151は、第1及び第2の堰160、180の頂部163において、第1の堰160の第1の内面161と第2の堰180の第2の内面181との間で測定した頂部内幅WTを有している。頂部内幅WTは、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。
更に図4D〜4Fにおいて、底部153は、第1の外面162及び第2の外面182に対して略垂直(即ち、図4A〜4Fの座標軸によって規定されるX−Z平面に略垂直)な平坦な面であってよい。トラフ151の底部内幅は、第1の堰160と第2の堰180との補強部166間で測定した底部幅WBと同じであってよい。1つ以上の実施形態において、トラフ151の入口端部40における底部幅WBは、トラフ151の遠位端部42における底部幅WBより小さくてよい。即ち、1つ以上の実施形態において、トラフ151の底部幅WBは、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。1つ以上の実施形態において、第1の堰160及び第2の堰180の補強部166は、トラフ151の底部が、第1の堰160から第2の堰180まで連続的に湾曲し、底部幅WBがゼロになるように、トラフ151の中心線CL(図4B)で交わることができる。
1つ以上の実施形態において、第1の堰160及び第2の堰180の底部153から頂部163までのトラフ151の幅の平均である、トラフ151の平均内幅は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。別の実施形態において、入口端部40におけるトラフ151の平均内幅は、トラフ151の遠位端42におけるトラフ151の平均内幅より大きくてよい。即ち、1つ以上の実施形態において、トラフ151の平均内幅は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。
第1の堰160及び第2の堰180に湾曲補強部166を有する、図4A〜4Fに概略的に示す成形体150の実施形態は、流量等価矩形成形体50(図2A〜2C)の外形及び質量流量と同じ外形、及び第1、第2の堰160、180上の質量流量を有する一方、流量等価矩形成形体50内で生じる堰の外方湾曲を軽減することができる。本開示において前述したように、成形体150の外形は、成形体150の第1の外面162、第1の成形面44、第2の成形面45、及び第2の外面182によって画成される。本明細書に記載の実施形態において、成形体150の長さL及び外幅WOは、流量等矩形成形体50の長さL及び外幅W2(図2B)と同じであってよい。加えて、トラフ151の入口端部40から遠位端部42までの成形体150の長さに沿った各点における、成形体150の上部高HUは、入口端部40から遠位端部42までの流量等矩形成形体50の長さLに沿った同じ点における、流量等矩形成形体50の上部高HUと同じであってよい。成形体150の外形を流量等価矩形成形体50の外形と同じに維持し、第1の外面162及び第1の成形面44から根底部46、並びに第2の外面182及び第2の形成面45から根底部46下降する溶融ガラスの流動力学を維持することによって、堰の湾曲が生じる前に、流量等価矩形成形体50によって製造される溶融成形ガラスシートと同じ溶融成形ガラスシート12(図1)を得ることができる。しかし、成形体150の第1及び第2の堰160、180の湾曲部170が、第1及び第2の堰160、180を補強し、堰160、180の湾曲を抑制する。
湾曲を抑制するために、トラフ151の底部153における第1及び第2の堰160、180を補強する(即ち、第1及び第2の堰160、180を厚くする)と、成形体150の流動特性が変化する。従って、トラフ151の断面積が減少したとき、流量の等価性が維持される方法で、第1及び第2の堰160、180を補強する必要がある。特定のガラス質量流量について策定された、目標とするガラス質量流量の流量等価曲線(例えば、図3に示す流量等価曲線90等)から成形体150を逸脱させずに、堰160、180の補強が達成される。より具体的には、成形体150の流量等価性を流量等価矩形成形体50と同じに維持するために、トラフ151の特定の内部寸法を変更又は修正することができる。補強部166、及び補強部166に沿った第1及び第2の内面161、181の湾曲部170を導入することによって、トラフ151の底部(即ち、トラフ151の底部153)から第1及び第2の堰160、180の頂部163までの溶融ガラスの流路長が減少し、ひいては、トラフ151の入口端部40から第1及び第2の堰160、180の頂部163までの溶融ガラスの流動インピーダンスを減少させることができる。第1及び第2の堰160、180の頂部163までの溶融ガラスの流動インピーダンスを減少させることによって、同じ断面積を有する流量等価矩形成形体50と比較して、第1及び第2の堰160、180の頂部163上の溶融ガラスの流量が増加する。しかし、この流量の変化を補償するために、トラフ151の断面積を減少させて、溶融ガラスの流動インピーダンスを増加させ、それによって、第1及び第2の堰160、180上の溶融ガラスの質量流量を減少させ、流量等価矩形成形体50と同じ溶融ガラスの質量流量を実現することができる。
実施形態において、堰高HWを減少させる(即ち、上部高HUを流量等価矩形成形体50と同じに維持して、トラフ151をより浅くする)、第1及び第2の堰160、180の頂部厚TTを変更する、他の幾何学的変更を行う、又はこれ等の組み合わせを行うことによって、成形体150のトラフ151の縦断面積を減少させることができる。従って、成形体150のトラフ151の水力直径対縦断面積のプロットが、同じ溶融ガラスの質量流量を有する流量等価矩形成形体50について生成された、目標ガラス質量流量の流量等価曲線(例えば、図3に示す流量等価曲線90)上に留まるように、トラフ151の縦断面積を減少させることができる。
成形体150は、溶融ガラスの流動特性(即ち、成形体150の外面に沿った質量流量及び流動力学)を維持する一方、流量等価矩形成形体50と比較して、堰の拡張に対するより良い耐性を示すことができる。成形体150は、堰の拡張に対抗するために加えられる圧縮力に依存せずに、堰の拡張に対するより良い耐性を示すこともできる。更に、第1及び第2の堰160、180の補強部166に沿って湾曲部170を使用することによって、第1及び第2の堰160、180に最小限の材料を追加して堰の拡張に対する耐性を増大させることができる。
1つ以上の実施形態において、ガラス成形装置10の成形体150は、上部152、上部152から延びる第1の成形面44と第2の成形面45であって、成形体150の根底部46で収束する成形面、及び成形体150の上部152に配置され、溶融ガラスを受け取るトラフ151であって、第1の堰160、第1の堰160から離間した第2の堰180、及び第1の堰160と第2の堰180との間に延びる底部153を有し、入口端部40及び遠位端部42を更に有するトラフを備えている。第1の堰160及び第2の堰180の各々は、頂部厚TTを有する頂部163、底部153から頂部163に向けて上方に延びる補強部166を備えている。補強部166の各々は、湾曲内面161、181を有している。トラフ151の底部153は、第1の堰160の湾曲内面161と第2の堰180の湾曲内面181との間に延びている。トラフ151の底部幅WBは、トラフ151の長手方向長さ(すなわち、トラフ長LT)の少なくとも一部に沿ってトラフ151の頂部幅WTより小さい。
実施形態において、第1の堰160の補強部166は、トラフ151の底部153から第1の堰160の頂部163まで延びることができ、第2の堰180の補強部166は、トラフ151の底部153から第2の堰180の頂部163まで延びることがでる。一部の実施形態において、第1の堰160及び第2の堰180の各々は、第1の堰160及び第2の堰180の補強部166から頂部163まで延びる垂直部168を含むことができる。垂直部168は垂直内面171を有している。1つ以上の実施形態において、堰高HWに対する補強部166の高さHRの比は、トラフ151の長手方向の長さ(即ち、トラフ長LT)の少なくとも一部に沿って、トラフ151の入口端部40から遠位端42に向けて減少してよい。
1つ以上の実施形態において、湾曲内面161の曲率は凹曲率であってよい。あるいは、別の実施形態において、湾曲内面161の曲率は、トラフ151の長手方向の長さの少なくとも一部に沿って変化してよい。更に別の実施形態において、湾曲内面の曲率は、トラフ151の長手方向の長さの少なくとも一部に沿って減少してよい。一部の実施形態において、湾曲内面160の曲率は放物線曲率であってよい。これ等の実施形態の一部において、湾曲内面161、181の放物線曲率に沿った各点における堰厚を、トラフ151を通して流れる溶融ガラスが第1の堰160又は第2の堰180に及ぼす曲げ応力に比例させることができる。図5A〜5Fに示す成形体250の実施形態は、堰の外方湾曲を抑制するように構成されている。
ここで、図5A〜5Fは、成形体250の別の実施形態を示す概略図である。図4A〜4Fに示した成形体150の実施形態と同様に、図5A〜5Fに示す成形体250の実施形態は、流量等価矩形成形体に関連した溶融ガラス流動特性を維持する一方、堰の外方湾曲を軽減するように構成されている。図5A〜5Fにおける寸法は、説明のために誇張してある。1つ以上の実施形態において、成形体250は、台形の縦断面を有するトラフ251を有している。成形体250は、トラフ251、第1の成形面44、及び第2の成形面45を有している。トラフ251は、成形体250の上部252に配置され、第1の堰260、第2の堰280、及び第1の堰260と第2の堰280との間に延びる底部253を有している。トラフ251は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って深さが浅くなっている。第1の成形面44及び第2の成形面45は、成形体250の上部252から垂直方向下方(即ち、図示の座標軸の−Z方向)に延び、互いに向けて収束し、成形体250の根底部46で結合している。従って、第1の成形面44及び第2の成形面45は、一部の実施形態において、根底部46を最下部の頂点とする、成形体250の上部252から垂直方向下方に延びる逆三角形(二等辺三角形又は正三角形)を形成することができることを理解されたい。延伸平面47が、概して、図示の座橋軸の±Y方向に根底部46を二等分し、垂直方向下方に延び、成形体250の入口端部40から遠位端部42まで±X方向に延びている。
図5D〜5Fにおいて、第1の堰260は、第1の内面261、第1の外面262、及び第1の内面261と第1の外面262との間に延びる頂部263を有している。第2の堰280は、第2の内面281、第2の外面282、及び第2の内面281と第2の外面282との間に延びる頂部263を有している。説明を簡単にするために、第2の堰280は第1の堰260の鏡像であって、本明細書において後述する、第1の堰260のすべての特徴を有し得ることを理解しつつ、第1の堰260及び第2の堰280の形状について、第1の堰260を参照して説明する。
第1の堰260の第1の内面261は、トラフ251の底部253から第1の堰260の頂部263まで延び、第1の外面262は、第1の成形面44と第1の堰260の頂部263との間を垂直方向(即ち±Z方向)に延びている。第1の成形面44から第1の堰260の頂部263までの第1の外面262の上部高HUは、成形体250の入口端部40から遠位端部42に向けて減少し、成形体250の上部252の高さプロファイルを画成している。第1の外面262は、第1の成形面44から第1の堰260の頂部263まで、及び成形体250の入口端部40から遠位端部42までによって画成される外形を有している。第2の外面282は、第2の形成面45から第2の堰280の頂部263まで、及び形成体250の入口端部40から遠位端部42までによって画成される形状を有している。第1の外面262の形状は、第2の外面282の外形と同じであり、第1の外面262と第2の外面282とは、図5A〜5Fの座標軸で規定されるX−Z平面に対し平行かつ垂直である。成形体250の第1の外面262の外形は、第1の外面62(図2B)及び第2の外面82(図2B)が、図2A〜2Bの座標軸によって規定されるX−Z平面に対し平行かつ垂直である、流量等価矩形成形体50(図2A〜2B)の第1の外面62(図2A〜2B)と同じであってよい。
第1の堰260は、底部253から第1の堰260の頂部263に向けて上方(即ち、+Z方向)に延びる補強部266を含んでいる。堰厚Tは、図5A〜5Fにおける座標軸の±Y方向に第1内面261から第1外面262まで測定した、第1の堰260の厚さである。トラフ251の底部253の近傍の±Z位置で測定した堰厚Tである、第1の堰260の最大補強厚TRは、第1の堰260の頂部263で測定した堰厚Tである頂部厚TTより大きくてよい。1つ以上の実施形態において、堰厚Tは、トラフ251の底部253における最大補強厚TRから+Z方向上方に向けて、第1の堰260の頂部263の近傍の頂部厚TTまで徐々に減少してよい。
第1の内面261は、第1の堰260の頂部263から、トラフ251の底部253に向けて下方(即ち−Z方向)に、第1の外面262から離れる方向(即ち、−Y方向)に傾斜させることができる。トラフ長LTに沿った任意の点における第1の内面261の傾斜は、トラフ251の底部253から第1の堰260の頂部263まで第1の内面261に沿ってY−Z平面内に延びる線である線Bの傾斜として定義される。線Bの傾斜は、ΔZ/ΔYの絶対値として定義され、ここで、ΔZは線B上の2点間の±Z方向の変化であり、ΔYは線B上の同じ2点間の±Y方向の変化である。第1の内面261の傾斜は、トラフ長LTに沿った各点において、トラフ251の底部253から第1の堰260の頂部263に向けてトラフ長LTに沿って一定であってよく、これは、直線Bが単一の直線であることに一致する。例えば、一部の実施形態において、第1の内面261は平面であってよく、線Bは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って(即ち、± X方向に)一定の傾斜を有することができる。
あるいは、第1の内面261の傾斜は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って変化してよい。1つ以上の実施形態において、トラフ251の入口端部40の近傍の第1の内面261の傾斜は、トラフ251の遠位端42の近傍の第1の内面261の傾斜より小さくてよい。例えば、一部の実施形態において、第1の内面261の傾斜は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。トラフ長LTに沿って変化している傾斜を有する第1の内面261は、非平面であって、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿ってねじれていてよい。遠位端部42に向けてトラフ長LTに沿って第1の内面261の傾斜を増加することによって、第1の堰260に対する溶融ガラスの曲げ応力が、トラフ251の入口端部40の近傍の曲げ応力と比較して、実質的に小さい領域であるトラフ251の遠位端部42の近傍の第1の堰260の補強が減少する。トラフ251の遠位端部42における第1の堰260及び第2の堰280の補強は、曲げ応力が小さいため、影響力が少ない可能性がある。
第1の内面261の傾斜は、内面261と第1の外面262に平行な垂直面とのY−Z平面内の角度である傾斜角αによって特徴付けることもできる。前述の傾斜角αは、垂直面264と、トラフ251の底部253から第1の堰260の頂部263まで、第1の内面261に沿ってY−Z平面に延びる線として前述した線Bとの間に形成される角度と同じである。傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、内面261の少なくとも一部に沿ってゼロより大きくてよい。1つ以上の実施形態において、傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。あるいは、別の実施形態において、トラフ251の入口端部40の傾斜角αは、トラフ251の遠位端部42の傾斜角αより大きくてよい。例えば、実施形態において、傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。あるいは、別の実施形態において、傾斜角αはトラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。
更に図5D〜5Fにおいて、底部253の近傍で測定した第1の堰260の最大補強厚TRは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。1つ以上の実施形態において、第1の堰260の頂部厚TTは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。図5D〜5Fは、トラフ251の入口端部40、中央、及び遠位端部42における成形体250の縦断面を示している。トラフ251の入口端部40における第1の頂部厚TT1は、トラフの中央における第2の頂部厚TT2より小さくてよく、第2の頂部厚TT2は、トラフ251の遠位端部42における第3の頂部厚TT3より小さくてよい。1つ以上の実施形態において、トラフ251の入口端部40における第1の頂部厚TT1(図5D)は、トラフ251の遠位端部42における第3の頂部厚TT3(図5F)より小さくてよい。
トラフ長LTに沿って、最大補強厚TRを一定に維持した状態で、トラフ長LTに沿って第1の堰260の頂部厚TTを増加すると、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加する平均堰厚を得ることができる。平均堰厚は、第1の堰260の底部253から頂部263までの第1の堰260の平均厚である。1つ以上の実施形態において、平均堰厚が一定、又は頂部厚TTが増加するにつれ、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少するように、トラフ長LTに沿って、第1の堰260の第1の内面261の傾斜を増加してよい。
図5Cにおいて、前述のように、第1及び第2の堰260、280に対する溶融ガラスからの圧力に起因する、第1の堰260及び第2の堰280にかかる最大曲げ応力は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて、トラフ長LTの最初の1/3以内に生じ得る。従って、トラフ251が浅く、従って、溶融ガラスによって加えられる圧力又は応力がトラフの頂部においてより低い、トラフ251の遠位端42と比較して、トラフ251の入口端部40から始まるトラフ長LTの最初の1/3における堰の拡張を減少させる上において、第1の堰160の最大補強厚TRはより効果的であり得る。1つ以上の実施形態において、最大補強厚TRは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。1つ以上の実施形態において、第1の内面261の傾斜は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。
1つ以上の実施形態において、最大補強厚TR、従って、第1の堰260及び第2の堰280の補強部266は、図5Cに示すように、入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って部的にのみ延びていてよい。例えば、一部の実施形態において、最大補強厚TRは、トラフ251の入口端部40からトラフ251の長手方向の中間点258まで延びていてよい。即ち、実施形態において、最大補強厚TRは、トラフ251の入口端部40から延び、トラフ長LTより短い補強長LRを有することができる。補強長比LR/LTは、一部の実施形態において0.9以下、別の実施形態において0.7以下、更に別の実施形態において0.5以下、又は更に別の実施形態において0.4以下であってよい。1つ以上の実施形態において、補強長比LR/LTは、0.2〜0.75、0.2〜0.5、0.2〜0.4、0.25〜0.75、0.25〜0.5、又は0.25〜0.4であってよい。
あるいは、1つ以上の実施形態において、補強長LRは、図5Bに示すように、トラフ長LTと同じであってよい。1つ以上の実施形態において、トラフ251の長手方向の中間点258は、LR/LTが0.5に等しい長手方向の位置に対応している。換言すれば、長手方向の中間点258は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTの半分である長手方向の位置に対応している。
図5D〜5Fに示すように、第2の堰280、第2の内面281、及び第2の外面の各々は、第1の堰260、第1の内面261、及び第1の外面262に関してそれぞれ前述した特徴の1つ以上を示すことができる。1つ以上の実施形態において、第2の堰280は、第1の堰260の鏡像であってよく、第1の堰260と同じ寸法を有することができる。第2の堰280に関し、底部253で測定される第2の堰280の最大補強厚TRが、第2の堰280の頂部における頂部厚TTより大きくなるように、第2の外面から離れる+Y方向(即ち、第1内面261の傾斜に対向する方向)に、第2の内面281を傾斜させることができる。
図5A〜5Fに概略的に示す成形体250の実施形態において、第1の内面261、第2の内面281、及び底部253によって形成されるトラフ251は、台形の断面を有することができる。第1の堰260、第2の堰280、及び底部253によって形成されるトラフ251は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ251のトラフ長LTに沿って長手方向(即ち、±X方向)、及び上部252の第1及び第2の成形面44、45との接合部48から、それぞれ第1の堰260及び第2の堰280の頂部263まで、上部252の上部高HUに沿って垂直方向(即ち±Z方向)に一定である、第1の外面262から第2の外面282まで測定した外幅WOを有することができる。トラフ251は、第1の堰260及び第2の堰280の頂部263の近傍において、第1の内面261と第2の内面281との間で測定した頂部内幅WTを有することができる。頂部内幅WTは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。
1つ以上の実施形態において、底部253は、第1の外面262及び第2の外面282に対し略垂直(即ち、図5A〜5Fの座標軸によって規定されるX−Z平面に略垂直)な平坦な面であってよい。前述のように、底部幅WBは、第1の内面261と第2の内面281との間で測定した底部253の幅であって、トラフ251の底部におけるトラフ251の内幅を示している。1つ以上の実施形態において、トラフ251の底部幅WBは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。あるいは、別の実施形態において、第1の内面261及び第2の内面281の傾斜は、トラフ251の入口端部40から遠位端部まで、増加することができ、これによって、トラフ251の底部幅WBが、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。
1つ以上の実施形態において、トラフ251の底部253から第1の堰260及び第2の堰280の頂部263までのトラフ251の幅の平均である、トラフ251の平均内幅は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。即ち、実施形態において、入口端部40におけるトラフ251の平均内幅は、トラフ251の遠位端42におけるトラフ251の平均内幅より大きくてよい。あるいは、別の実施形態において、第1の内面261及び第2の内面281の傾斜は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて増加することができ、これによって、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って、トラフ251の平均内幅を一定に保持又は増加させることができる。前述のように、トラフ251の深さ(即ち、堰高HW)は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。
ここで、図6A〜6Fは、台形の縦断面を有する成形体250の別の実施形態を示す図である。前述の図4A〜4Fに示した成形体150及び図5A〜5Fの成形体250実施形態と同様に、図6A〜6Fに示す成形体250の実施形態は、流量等価矩形成形体50に関連した溶融ガラスの流動特性を維持する一方、第1及び第2の堰260、280の外方湾曲を軽減するように構成されている。図6A〜6Fにおける寸法は、説明のために誇張してある。成形体250はトラフ251、第1の成形面44、及び第2の成形面45を有することができる。トラフ251は、第1の堰260、第2の堰280、及び第1の堰260と第2の堰280との間に延びる底部253を有している。トラフ251は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って、深さが浅くなっている。第1の成形面44及び第2の成形面45は、成形体250の上部252から垂直方向下方(即ち、図6Aに示す座標軸の−Z方向)に延び、互いに向けて収束し、成形体250の根底部46で結合している。
図6D〜6Fにおいて、第1の堰260は、第1の内面261、第1の外面262、及び第1の内面261と第1の外面262との間に延びる頂部263を有している。第2の堰280は、第2の内面281、第2の外面282、及び第2の内面281と第2の外面282との間に延びる頂部263を有している。説明を簡単にするために、第2の堰280は第1の堰260の鏡像であって、本明細書において後述する、第1の堰260のすべての特徴を有し得ることを理解しつつ、第1の堰260及び第2の堰280の形状について、第1の堰260を参照して説明する。
本明細書で述べたように、第1の堰260の第1の内面261は、トラフ251の底部253から第1の堰260の頂部263まで延びている。トラフ251の底部253の近傍の±Z位置で測定した堰厚Tである、第1の堰260の最大補強厚TRは、第1の堰260の頂部263で測定した堰厚Tである頂部厚TTより大きくてよい。堰厚Tは、トラフ251の底部253における最大補強厚TRから第1の堰260の頂部263の近傍の頂部厚TTまで徐々に減少してよい。
第1の内面261は、第1の堰260の頂部263から、トラフ251の底部253まで、第1の外面262から離れる−Y方向に傾斜させることができる。第1の内面261の傾斜(即ち、ΔZ/ΔYの絶対値であって、トラフ251の底部253から第1の堰260の頂部263まで第1の内面261に沿ってY−Z平面内に延びる線Bの傾斜を定義する)は、トラフ長LTに沿った各点において、トラフ251の底部253から第1の堰260の頂部263に向けて、トラフ長LTに沿って一定であってよい。1つ以上の実施形態において、第1の内面261は平面であってよく、線Bは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定の傾斜を有することができる。あるいは、別の実施形態において、第1の内面261の傾斜は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って変化してよい。
1つ以上の実施形態において、トラフ251の入口端部40の近傍の第1の内面261の傾斜は、トラフ251の遠位端42の近傍の第1の内面261の傾斜より小さくてよい。例えば、実施形態において、第1の内面261の傾斜は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。トラフ長LTに沿って変化する傾斜を有する第1の内面261は、非平面であって、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿ってねじれていてよい。トラフ251の遠位端部42に向けて、トラフ長LTに沿って第1の内面261の傾斜を増加することによって、第1の堰260に対する溶融ガラスの曲げ応力が、トラフ251の入口端部40の近傍の曲げ応力と比較して、実質的に小さい領域であるトラフ251の遠位端部42の近傍の第1の堰260の補強が減少する。
第1の内面261の傾斜は、内面261と第1の外面262に平行な垂直面との角度であるとして、本明細書において前述した傾斜角αによって特徴付けることもできる。傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、内面261の少なくとも一部に沿ってゼロより大きくてよい。1つ以上の実施形態において、傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。あるいは、トラフ251の入口端部40の傾斜角αは、トラフ251の遠位端部42の傾斜角αより大きくてよい。例えば、実施形態において、傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少してよい。あるいは、別の実施形態において、傾斜角αはトラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。
更に図6D〜6Fにおいて、頂部253の近傍における、第1の堰260の頂部厚TTは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。1つ以上の実施形態において、底部253の近傍で測定した第1の堰260の最大補強厚TRは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。図6D〜6Fは、トラフ251の入口端部40、中央、及び遠位端部42における成形体250の縦断面を示している。トラフ251の入口端部40の近傍の第1の補強厚TR1は、トラフの中央の第2の補強厚TR2より小さくてよく、第2の補強厚TR2は、トラフ251の遠位端部42における第3の補強厚TR3より小さくてよい。1つ以上の実施形態において、トラフ251の入口端部40における第1の補強厚TR1(図6D)は、トラフ251の遠位端部42における第3の補強厚TR3(図6F)より小さくてよい。1つ以上の実施形態において、トラフ251の入口端部40の近傍における第1の堰260の頂部厚TTは、流量等価矩形成形体50(図2A〜図2B)の堰厚T(図2B)より小さくてよい。
トラフ長LTに沿って、頂部厚TTを一定に維持した状態で、トラフ長LTに沿って第1の堰260の最大補強厚TRを減少させると、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って減少する平均堰厚を得ることができる。前述のように、平均堰厚は、第1の堰260の底部253から頂部263までの第1の堰260の平均厚である。1つ以上の実施形態において、第1の堰260の第1の内面261の傾斜は、トラフ長LTに沿って増加してよい。
図6B及び6D〜6Fに示すように、トラフ251に沿って、第1の堰260及び第2の堰280の頂部厚TTが一定のままであると、トラフ251の頂部内幅WTも、トラフの入口端部40から遠位端42まで、トラフ長LTに沿って一定に維持することができる。トラフ251の底部幅WBは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。図6D〜6Fに示すように、実施形態において、トラフ251の入口端部40の近傍の第1の底部幅WB1は、トラフ251の中央の第2の底部幅WB2より小さくてよく、トラフ251の中央の第2の底部幅WB2は、トラフ251の遠位端部42の近傍の第3の底部幅WB3より小さくてよい。実施形態において、第1の内面261と第1の外面262に平行な垂直面との傾斜角α(即ち、第1の内面261の傾斜)は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。あるいは、別の実施形態において、第1の内面261と第1の外面262に平行な垂直面264との間の傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで変化してよい。これ等の実施形態の一部において、第1の内面261と第1の外面262に平行な垂直面264との傾斜角αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて増加することができ、これにより、一定の傾斜角α又は第1の内面261の傾斜を有する実施形態と比較して、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って、底部幅WBをより大きい割合で増加させることができる。
1つ以上の実施形態において、トラフ251の平均内幅(即ち、低部253から第1及び第2の堰260、280の頂部263までのトラフ251の幅の平均)は、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。
図5A〜6Fに概略的に示す成形体250の1つ以上の実施形態において、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ251の頂部幅WTを一定とし、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って、傾斜内面261と垂直面264との角度αを変化してよい。傾斜内面261と垂直面264との角度αはトラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。あるいは、傾斜内面261と垂直面264との角度αは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。これ等の実施形態において、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ251の底部幅WBを一定にすることができる。あるいは、トラフ251の底部幅WBは、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って変化してよい。一部の実施形態において、トラフ251の底部幅WBは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。
図5A〜6Fに概略的に示す成形体250の1つ以上の実施形態において、トラフ251の底部幅WBはトラフ251の入口端部40から遠位端部42まで一定であってよく、トラフ251の頂部幅WTは、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って変化してよい。トラフ251の頂部幅WTは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。あるいは、トラフ251の頂部幅WTは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。これ等の実施形態において、傾斜内面261と垂直面264との角度αをゼロより大きくし、トラフ251の入口端40から遠位端42まで一定とすることができる。あるいは、傾斜内面261と垂直面264との角度αは、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って変化してよい。一部の実施形態において、傾斜内面261と垂直面264との角度αは、トラフの入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。
図5A〜6Fに概略的に示す成形体250の1つ以上の更なる実施形態において、傾斜内面261とトラフ251の垂直面264との角度αはゼロより大きく、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで一定であってよく、トラフ251の底部幅WBは、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って変化してよい。トラフ251の底部幅WBは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。あるいは、トラフ251の底部幅WBは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。これ等の実施形態において、トラフ251の入口端部40から遠位端部42まで、頂部厚WTを一定とすることができる。あるいは、トラフ251の頂部幅WTは、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って変化してよい。一部の実施形態において、トラフ251の頂部幅WTは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。
1つ以上の実施形態において、トラフ251の傾斜内面261とトラフ251の垂直面264との角度α、頂部厚WT、及び底部厚WBは、トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて、トラフ長LTの少なくとも一部に沿って変化してよい。一部の実施形態において、トラフ251の傾斜内面261とトラフ251の垂直面264との角度αは、入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。あるいは、実施形態において、トラフ251の傾斜内面261とトラフ251の垂直面264との角度αは、入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。一部の実施形態において、頂部厚WTは、入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。あるいは、実施形態において、頂部厚WTは、入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。一部の実施形態において、トラフ251の底部幅WBは、入口端部40から遠位端部42に向けて増加してよい。あるいは、実施形態において、トラフ251の底部幅WBは、入口端部40から遠位端部42に向けて減少してよい。
台形の縦断面を有するトラフ251を有する、図5A〜5F及び6A〜6Fに概略的に示す成形体250の実施形態は、第1の堰260及び第2の堰280にわたり、流量等価矩形成形体50(図2A〜2B)の外形及び質量流量と同じ外形及び質量流量を有する一方、流量等価矩形成形体50内で生じる堰の外方湾曲を軽減することができる。図5A、5D、6A、及び6Dにおいて、本明細書において前述したように、成形体250の外形は、成形体250の第1の外面262、第1の成形面44、第2の成形面45、及び第2の外面282によって画成される。本明細書に記載の実施形態において、成形体250の長さLT及び外幅WOは、流量等価矩形成形体50の長さLT及び外幅W2(図2B)と同じであってよい。加えて、トラフ251の入口端部40から遠位端部42までの成形体250の長さLに沿った各点における、成形体250の上部高HUは、入口端部40から遠位端42までの流量等価矩形成形体50の長さLに沿った同じ点における、流量等価矩形成形体50の上部高さHUと同じであってよい。成形体250の外形を流量等価矩形成形体50の外形と同じに維持し、第1の外面262及び第1の形成面44から根底部46、並びに第2の外面282及び第2の形成面45から根底部46まで下降する溶融ガラスの流動力学を維持することによって、堰の湾曲が生じる前に、流量等価矩形成形体50によって製造される溶融成形ガラスシートと同じ溶融成形ガラスシート12(図1)を得ることができる。しかし、成形体250の第1及び第2の堰260、280の補強部266が、第1及び第2の堰260、280を補強し、堰260、280の湾曲を抑制する。
前述のように、湾曲を抑制するために、第1及び第2の堰260、280を補強する(即ち、台形の縦断面を有するトラフ251を組み込んで、トラフ251の底部253において第1及び第2の堰260、280を厚くする)と、成形体250の流動特性が変化する。従って、トラフ251の断面積が減少したとき、流量の等価性が維持される方法で、第1及び第2の堰260、280を補強する必要がある。特定のガラス質量流量について策定された、目標とするガラス質量流量の流量等価曲線(例えば、図3に示す流量等価曲線90等)から成形体150を逸脱させずに、堰260、280の補強が達成される。
より具体的には、成形体250の流量等価性を流量等価矩形成形体50と同じに維持するために、トラフ251、第1の堰260、第2の堰280、底部253、又はこれ等の組み合わせを修正して、第1の堰260及び第2の堰280上の溶融ガラスの質量流量を変更することができる。トラフ251の中心に向けて傾斜した第1の内面261及び第2の内面281を組み込むことによって、トラフ251の底部(即ち、トラフ251の底部253)から第1の堰260及び第2の堰280の頂部263までの溶融ガラスの流路長を減少させることができ、これによってトラフ251の入口端部40から第1の堰260及び第2の堰280の頂部263までの溶融ガラスの質量流量に対するインピーダンスを減少させることができる。前述のように、第1の堰260及び第2の堰280の頂部263までの溶融ガラスの質量流量のインピーダンスの減少によって、同じ断面積を有する流量等価矩形成形体50と比較して、第1及び第2の堰260、280の頂部263にわたり溶融ガラスの流量が増加する可能性がある。しかし、この質量流量の変化を補償するために、成形体250のトラフ251の縦断面積を更に減少させ、トラフ251を通過する溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを増加させ、それによって第1及び第2の堰260、280上の溶融ガラスの質量流量を減少させ、流量等価矩形成形体50と同じ溶融ガラスの質量流量を実現することができる。
実施形態において、堰高HWを減少させる(即ち、上部高HUを流量等価矩形成形体50と同じに維持して、トラフ151をより浅くする)、第1及び第2の堰260、280の頂部厚TTを変更する、他の幾何学的変更を行う、又はこれ等の組み合わせを行うことによって、成形体250のトラフ251の縦断面積を減少させることができる。従って、成形体250のトラフ251の水力直径対縦断面積のプロットが、同じ溶融ガラスの質量流量を有する流量等価矩形成形体50について生成された、目標ガラス質量流量の流量等価曲線(例えば、図3に示す流量等価曲線90)上に留まるように、トラフ251の縦断面積を更に減少させることができる。
台形の断面を有する成形体250は、溶融ガラスの流動特性(即ち、成形体250の外面に沿った質量流量及び流動力学)を維持する一方、流動等価矩形成形体50と比較して、堰の拡張に対するより良い耐性を示すことができる。成形体250は、圧縮力の適用に依存せずに、堰の拡張に対するより良い耐性を示すこともできる。
本明細書に記載の実施形態は、以下の実施例によって更に明確になるであろう。特に断りのない限り、実施例は、GOMAソフトウェアを用いた、成形体の数学モデル化に基づいている。
実施例1
図4A〜4Fに示す構成を有する成形体150について算出した曲げ応力をモデル化した。成形体150は、8インチ(約20.3cm)のトラフ幅、及び12インチ(約30.5cm)のトラフ深さ(即ち、堰高HW)を有していた。第1の堰160の第1の内面161、及び第2の堰180の第2の内面181を、式2のモーメント曲線関数によって生成した輪郭に一致するように成形した。堰高HWが最大になる点、従って、曲げ応力が最大になる点である、トラフ151の入口端部40において、相対曲げ応力を算出した。図7は、図4A〜4Fの成形体150の湾曲堰について算出した相対曲げ応力702を示している。図2A及び2Bに示し、2インチ(約5.1cm)の堰厚T1、T2を有する流量等価矩形成形体50の比較例についても曲げ応力をモデル化した。流量等価矩形成形体50の相対曲げ応力のモデル化の結果も、矩形堰曲げ応力704として図7に示してある。相対曲げ応力は、トラフ151の底部(即ちトラフ151の底部153)からの距離の関数として図7に示してある。
図7に示すように、テーパー補強を付加すると、堰の底部にかかる曲げ応力が大幅に減少した。テーパー補強は、面積慣性モーメント及び断面係数を大きくすることによって応力を大幅に減少させた。堰の下部3インチ(約7.6cm)内の応力を、60%〜75%も減少させることができる。
実施例2
断面が台形のトラフ251を有する、図5A〜5Fに示す構成を有する成形体250の堰の拡張率をモデル化した。トラフ251の入口端部40における堰高HWを12.95インチ(約32.89cm)にセットし、トラフ251の入口端部40における第1及び第2の堰260、280の頂部厚TTを1.025インチ(約2.604cm)にセットし、トラフ251の入口端部40における補強厚TRを3.525インチ(約8.954cm)に設定した。入口端部40におけるトラフ251の底部幅WBを4.70インチ(約11.94cm)に設定した。トラフ251の入口端部40から遠位端部42に向けて、堰高HWを略直線的に減少させる一方、トラフ長LTに沿って、第1及び第2の堰260、280の底部幅WB、及び内面261、281の傾斜角αをそれぞれ一定に維持した。トラフ251の入口端部40において、トラフ251の縦断面積は94平方インチ(in2)(約606.5cm2)であり、トラフの接液周長は31インチ(約78.7cm)であった。成形体250の算出水力直径は、12.0インチ(約30.48cm)であった。トラフ251の断面積及び水力直径のプロットを図10の参照番号290で示す。図10は、流量等価矩形成形体50の流量等価曲線90も含んでいる。図10に示すように、トラフ251の断面積及び水力直径のプロット290は、流量等価曲線90上にあり、実施例2の成形体250の堰260、280上のガラス質量流量が、流量等価曲線90の生成に使用した流量等価矩形成形体50と同じであることを示している。
図8の参照番号802は、成形本体250の遠位端部42から入口端40までのトラフ251の長さに沿った相対距離を関数とする(即ち、図8において、遠位端部42をx=0に設定)、年当たりのモデル化堰拡張率を示している。比較のために、図2A〜2Cに示す、矩形の堰及び矩形のトラフ51を有する、流量等価矩形成形体50の堰の拡張率をモデル化した。流量等価矩形成形体50は12.95インチ(約32.89cm)の堰高HW、2インチ(約5.1cm)の堰厚T1、T2、及び7.75インチ(約19.69cm)のトラフ内幅WIを有していた。12.95インチ(約32.89cm)の堰高及び2インチ(約5.1cm)の堰厚を有する、流量等価矩形成形体50の断面積対水力直径のプロットを図10の参照番号92で示すが、これは流量等価曲線90上に存在している。両方のモデルについて、同じ熱的及び機械的負荷条件を使用した。流量等価矩形成形体50のモデル化堰拡張率を図8の参照番号804で示す。
図8に示すように、台形のトラフ251を有する成形体250の堰の拡張率802は、成形体250の遠位端部42から約0.85の相対長(即ち、トラフ長LTの85%)において、最大堰拡張率UT,MAXを示した。流量等価矩形成形体50の比較例は、略同じ位置である、成形体50の遠位端部42から0.85の相対長において最大堰拡張率UR,MAXを有していた。台形トラフ251を有する成形体250は、流量等価矩形成形体50のUR,MAXより63%小さいUT,MAXを示した。従って、成形体250の堰260、280を補強して、台形断面を有するトラフ251を構成することによって、最大堰拡張率を最大63%減少させることができる。
比較例1
一定の生産速度で一定期間、図2A〜2Cの流量等価矩形成形体50を運転した後の流量変化を、矩形成形体50を廃止した後の堰の弛み、及び堰の拡張の実際の剖検測定から算出した。流量等価矩形成形体50は、ジルコン耐火材料で構成されていた。流量等価矩形成形体50の予測流量変化902を、成形体50の入口端部40からの相対距離の関数として図9のグラフで示す。図9に示すように、最大流量変化904(即ち、最大流量変化の絶対値)が、成形体50の入口端部40から約0.05の相対長で生じ、その点において、堰上のガラスの質量流量が、毎時1インチ当たり8ポンド(ポンド/時/インチ)(約1.43kg/時/cm)以上減少することを示している。
比較例2
一定の生産速度で一定期間、図2A〜2Cの第2の流量等価矩形成形体50を稼働させた後の流量変化をモデル化した。比較例2の流量等価矩形成形体50の寸法は、比較例1の流量等価矩形成形体50の寸法と同じであったが、比較例2は、構成材料として低クリープジルコン耐火材料を用いてモデル化した。低クリープジルコン耐火材料は、通常のジルコン耐火材料と比較して、堰の拡張に対しより大きい耐性を示す。比較例2の流量等価矩形成形体50のモデル化流量変化906を、成形体50の入口端部40からの相対距離の関数として図9のグラフで示す。図9に示すように、最大流量変化908(即ち、最大流量変化の絶対値)が、成形体50の入口端部40から約0.05の相対長で生じ、その点において、堰上のガラスの質量流量が、毎時1インチ当たり6ポンド/時/インチ(約1.07kg/時/cm)以上減少することを示している。予想通り、堰の拡張に対してより耐性がある別の材料を使用することによって、比較例2の最大流量変化908は、比較例1の最大流量変化904より小さい。
実施例3
一定の生産速度で一定期間、図2A〜2Cの第3の流量等価矩形成形体50を稼働させた後の流量変化をモデル化した。実施例3の矩形成形体50の寸法は、比較例1の流量等価矩形成形体50の寸法と同じであったが、実施例3は、構成材料として低クリープジルコン耐火材料を用いてモデル化した。加えて、実施例3の第3の成形体は、堰の拡張を減少することの好影響を示すために、堰の拡張効果をシミュレーションから除いてモデル化した。実施例3の矩形成形体のモデル化流量変化910を、成形体50の入口端部40からの相対距離の関数として図9のグラフで示す。図9に示すように、最大流量変化912(即ち、最大流量変化の絶対値)が、成形体50の入口端部40から約0.05の相対長で生じ、その点において、第1及び第2の堰60、80上のガラスの質量流量の減少が5ポンド/時/インチ(約0.89kg/時/cm)未満であることを示している。堰の拡張効果をシミュレーションから除去した、実施例3の成形体50の最大流量変化912は、同じ材料で構成されているが、堰の拡張効果をシミュレーションに含む比較例2の最大流量変化908と比較して、流量変化において45%の改善を示している。従って、堰の拡張効果をシミュレーションから除去することによって、実施例3の成形体50の耐用年数が、比較例2の流量等価矩形成形体50の耐用年数の約1.8倍に延びることを示している。
耐用年数の改善予測は、堰の拡張が全く生じないと仮定したもので、最大の改善である。比較例2の流量等価矩形成形体50の耐用年数の1.8倍の最大の耐用年数の改善に対し、実施例2の堰の拡張における63%の減少を乗じることによって、実際の耐用年数の改善を予測することができる。堰の拡張を考慮しない、実施例3の成形体50について得られた推定耐用年数の改善は、比較例2の流量等価矩形成形体50の予測耐用年数の約1.5倍である。
前述に基づき、本明細書に記載の実施形態は、ガラス成形装置に使用される成形体に関するものであることを理解されたい。本明細書に記載の成形体は、材料のクリープ及び堰の垂直内面に対する溶融ガラスの圧力による成形体の堰の外方湾曲の開始を抑制するように構成して、成形体の耐用年数を延ばすことができる。
本明細書は、成形体の堰の外方湾曲の開始を抑制する様々な実施形態及び技法を説明してきたが、当然のことながら、これ等の実施形態及び技法の各々は、個別又は1つ以上の実施形態及び技法と併せて使用することができる。
特許請求した主題の精神及び範囲から逸脱せずに、本明細書に記載の実施形態に対し様々な改良及び変更が可能であることは当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、かかる改良及び変形が添付の特許請求の範囲及びその均等物に属することを条件に、本明細書に記載の様々な実施形態に対する改良及び変形を網羅することを意図している。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
ガラス成形装置の成形体であって、
溶融ガラスを受け取るトラフであって、第1の堰、該堰から離間した第2の堰、前記第1の堰及び前記第2の堰との間に延びる底部、入口端部、該端部に対向する遠位端部、及び前記入口端部から前記遠位端部まで延びる長さを有するトラフを備え、
前記第1の堰及び前記第2の堰の各々が、前記底部からそれぞれの堰の頂部まで延びる傾斜内面であって、垂直面に対してある角度で配向された内面を有し、
前記長さの少なくとも一部について、前記トラフの断面が台形となるように、前記トラフの前記底部の幅が、前記トラフの頂部幅より小さく、
前記トラフの前記頂部幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部まで一定であり、
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記長さの少なくとも一部に沿って変化している、
成形体。
実施形態2
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部まで一定である、実施形態1記載の成形体。
実施形態3
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記長さの少なくとも一部に沿って変化している、実施形態1記載の成形体。
実施形態4
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記トラフの前記遠位端部に向けて増加している、実施形態3記載の成形体。
実施形態5
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記トラフの前記入口端部から前記トラフの前記遠位端部に向けて減少している、実施形態1記載の成形体。
実施形態6
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記トラフの前記入口端部から前記トラフの前記遠位端部に向けて増加している、実施形態1記載の成形体。
実施形態7
前記長さの前記少なくとも一部が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端までの全長にわたって延びている、実施形態1記載の成形体。
実施形態8
前記長さの前記少なくとも一部が、前記トラフの入口端部から、前記長さの0.25〜0.5倍の距離まで延びている、実施形態1記載の成形体。
実施形態9
ガラス成形装置の成形体であって、
溶融ガラスを受け取るトラフであって、第1の堰、該堰から離間した第2の堰、前記第1の堰及び前記第2の堰との間に延びる底部、入口端部、該端部に対向する遠位端部、及び前記入口端部から前記遠位端部まで延びる長さを有するトラフを備え、
前記第1の堰及び前記第2の堰の各々が、前記底部からそれぞれの堰の頂部まで延びる傾斜内面であって、垂直面に対してある角度で配向された内面を有し、
前記長さの少なくとも一部について、前記トラフの断面が台形となるように、前記トラフの前記底部の幅が、前記トラフの頂部幅より小さく、
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部まで一定であり、
前記トラフの前記頂部幅が、前記長さの少なくとも一部に沿って変化している、
成形体。
実施形態10
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部まで一定である、実施形態9記載の成形体。
実施形態11
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記長さの少なくとも一部に沿って変化している、実施形態9記載の成形体。
実施形態12
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて増加している、実施形態11記載の成形体。
実施形態13
前記トラフの前記頂部幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて減少している、実施形態9記載の成形体。
実施形態14
前記トラフの前記頂部幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて増加している、実施形態9記載の成形体。
実施形態15
前記長さの前記少なくとも一部が、前記入口端部から前記遠位端までの全長にわたって延びている、実施形態9記載の成形体。
実施形態16
前記長さの前記少なくとも一部が、前記トラフの入口端部から、前記長さの0.25〜0.5倍の距離まで延びている、実施形態9記載の成形体。
実施形態17
ガラス成形装置の成形体であって、
溶融ガラスを受け取るトラフであって、第1の堰、該堰から離間した第2の堰、前記第1の堰及び前記第2の堰との間に延びる底部、入口端部、該端部に対向する遠位端部、及び前記入口端部から前記遠位端部まで延びる長さを有するトラフを備え、
前記第1の堰及び前記第2の堰の各々が、頂部厚を有する頂部、及び垂直面に対してある角度で配向された内面を有し、
前記トラフの断面が台形となるように、前記トラフの前記底部の幅が、前記トラフの頂部幅より小さく、前記長さの少なくとも一部に沿って変化し、
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部まで一定であり、
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフ長の少なくとも一部に沿って変化している、
成形体。
実施形態18
前記トラフの前記頂部幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部まで一定である、実施形態17記載の成形体。
実施形態19
前記トラフの前記頂部幅が、前記長さの少なくとも一部に沿って変化している、実施形態17記載の成形体。
実施形態20
前記トラフの前記頂部幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて減少している、実施形態19記載の成形体。
実施形態21
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて減少している、実施形態17記載の成形体。
実施形態22
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて増加している、実施形態17記載の成形体。
実施形態23
前記長さの前記少なくとも一部が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端までの全長にわたって延びている、実施形態17記載の成形体。
実施形態24
前記長さの前記少なくとも一部が、前記トラフの入口端部から、前記長さの0.25〜0.5倍の距離まで延びている、実施形態17記載の成形体。
実施形態25
ガラス成形装置の成形体であって、
溶融ガラスを受け取るトラフであって、第1の堰、該堰から離間した第2の堰、前記第1の堰及び前記第2の堰との間に延びる底部、入口端部、該端部に対向する遠位端部、及び前記入口端部から前記遠位端部まで延びる長さを有するトラフを備え、
前記第1の堰及び前記第2の堰の各々が、頂部厚を有する頂部、及び垂直面に対してある角度で配向された内面を有し、
前記長さの少なくとも一部について、前記トラフの断面が台形となるように、前記トラフの前記底部の幅が、前記トラフの頂部幅より小さく、
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度、前記トラフの前記頂部幅、及び前記トラフの前記底部の前記幅が、前記長さの少なくとも一部に沿って変化している、
成形体。
実施形態26
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて増加している、実施形態25記載の成形体。
実施形態27
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて減少している、実施形態25記載の成形体。
実施形態28
前記トラフの前記頂部幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて増加している、実施形態25記載の成形体。
実施形態29
前記トラフの前記頂部幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて減少している、実施形態25記載の成形体。
実施形態30
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて増加している、実施形態25記載の成形体。
実施形態31
前記トラフの前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて減少している、実施形態25記載の成形体。
実施形態32
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度、前記トラフの前記頂部幅、及び前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部までの全長に沿って変化している、実施形態25記載の成形体。
実施形態33
前記傾斜内面と前記垂直面との前記角度、前記トラフの前記頂部幅、及び前記底部の前記幅が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて、前記長さの0.25〜0.5倍の距離まで変化している、実施形態25記載の成形体。
実施形態34
ガラス成形装置の成形体であって、
溶融ガラスを受け取るトラフであって、第1の堰、該堰から離間した第2の堰、前記第1の堰及び前記第2の堰との間に延びる底部、入口端部、該端部に対向する遠位端部、及び前記入口端部から前記遠位端部まで延びる長さを有するトラフを備え、
前記第1の堰及び前記第2の堰の各々が、頂部厚を有する頂部、及び前記底部から前記頂部に向けて上方に延びる補強部を有し、
各々の補強部が湾曲内面を有し、
前記トラフの前記底部が、前記第1の堰の前記湾曲内面と前記第2の堰の前記湾曲内面との間に延び、
前記トラフの前記長さの少なくとも一部に沿って、前記トラフの前記底部の幅が、前記トラフの頂部幅より小さい、
成形体。
実施形態35
前記第1の堰の前記補強部が、前記トラフの前記底部から前記第1の堰の頂部まで延び、前記第2の堰の前記補強部が、前記トラフの前記底部から前記第2の堰の頂部まで延びている、実施形態34記載の成形体。
実施形態36
前記第1の堰及び前記第2の堰の各々が、前記補強部から前記第1の堰及び前記第2の堰の前記頂部まで延びている垂直部を有する、実施形態34記載の成形体。
実施形態37
前記垂直部が垂直内面を有する、実施形態36記載の成形体。
実施形態38
前記補強部の高さの堰高に対する比が、前記トラフの前記入口端部から前記遠位端部に向けて、前記長さの少なくとも一部に沿って減少している、実施形態36記載の成形体。
実施形態39
前記湾曲内面の曲率が、凹曲率である、実施形態34記載の成形体。
実施形態40
前記湾曲内面の曲率が、前記長さの少なくとも一部に沿って変化している、実施形態34記載の成形体。
実施形態41
前記湾曲内面の曲率が、前記長さの少なくとも一部に沿って減少している、実施形態40記載の成形体。
実施形態42
前記湾曲内面の曲率が、放物線曲率である、実施形態34記載の成形体。
実施形態43
前記湾曲内面の前記放物線曲率に沿った各々の点における堰厚が、前記トラフを流れる溶融ガラスによって、前記第1の堰又は前記第2の堰に加えられる曲げ応力に比例する、実施形態42記載の成形体。
1つ以上の実施形態において、第1の堰160及び第2の堰180の底部153から頂部163までのトラフ151の幅の平均である、トラフ151の平均内幅は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って一定であってよい。別の実施形態において、入口端部40におけるトラフ151の平均内幅は、トラフ151の遠位端42におけるトラフ151の平均内幅より小さくてよい。即ち、1つ以上の実施形態において、トラフ151の平均内幅は、トラフ151の入口端部40から遠位端部42まで、トラフ長LTに沿って増加してよい。