JP2019535321A - タンパク質ライゲーションの方法及びその使用 - Google Patents

タンパク質ライゲーションの方法及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、可逆性分子間共有結合などの可逆性共有結合を含む共有結合による、タンパク質ライゲーション技術、精製又は組換えペプチド、ペプチド及びタンパク質の作製方法、並びにその使用に関する。特にこの発明は、分子間エステル結合、特に組換えキメラペプチド及びタンパク質中に存在するアミノ酸側鎖のヒドロキシル基とアミド基の間の可逆性エステル結合、並びにタンパク質工学における、例えば、官能基化された多量体タンパク質複合体を含む、多量体タンパク質複合体の調製におけるそのようなペプチド及びタンパク質の使用に関する。【選択図】図20

Description

発明の分野
本発明は、可逆性分子間共有結合などの可逆性共有結合を含む共有結合による、タンパク質ライゲーション技術、精製又は組換えペプチド、ペプチドの作製方法、並びにその使用に関する。特にこの発明は、分子間エステル結合、特に組換えキメラペプチド及びタンパク質中に存在するアミノ酸側鎖のヒドロキシル基とアミド基の間の可逆性エステル結合、並びにタンパク質工学におけるそのようなペプチド及びタンパク質の使用に関する。
発明の背景
タンパク質ライゲーション技術は、分子生物学の分野において重要なツールであり、且つ検出、精製及びタンパク質工学の技術などの、数多くの生命科学分野において広範な用途を有する。
最近まで、タンパク質ライゲーションは、イオン結合、水素結合、疎水結合及びファンデルワールス力などの、比較的弱く且つ非永久的な非共有的相互作用に頼っていた。グラム陽性菌の線毛中の分子内共有的イソペプチド結合を安定化するという最近の特徴は、タンパク質ライゲーションにおける新規ツールとしてのその可能性を明らかにしている。
イソペプチド結合は、リジン及びアスパラギン又はアスパラギン酸塩/アスパラギン酸のアミノ酸側鎖間にできるアミド結合である。イソペプチド結合は、数多くの利点を有し、これは自発的形成、生物学的条件下での可逆性、及びほとんどのプロテアーゼに対する抵抗を含む。しかし、イソペプチド系の不可逆性は、イソペプチド系を用いて作製され得るタンパク質複合体の複雑性及び柔軟性を制限する傾向がある。
安定した共有的イソペプチド結合は、ナノ技術のためのタンパク質構造の作出に使用することができる。複雑なタンパク質構造の作出が可能であるタンパク質ライゲーション技術の開発は、非常に望ましい。
現在はわずか2種の既知のイソペプチド系しか利用可能でないので、新たなタンパク質ライゲーション技術が必要とされ続けている。
本発明の目的は、前述の欠点の一部を克服するかもしくは少なくとも改善するか、又は少なくとも有用な選択肢を公に提供する、可逆的タンパク質ライゲーション技術及びそれらの使用を含む、タンパク質ライゲーション技術を提供することである。
本発明の他の目的は、例示としてのみ示される以下の説明から明らかになるであろう。
発明の概要
一態様において、本発明は、免疫グロブリン様ドメインを含む1以上のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドに関し、ここでこのIg様ドメインは、Ig様ドメインの最後のβ−鎖を含む、切断型タンパク質及びペプチドに分割される。
別の態様において、本発明は、ペプチドタグ及び結合パートナー対に関し、ここで:
a)ペプチドタグは、β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ配置内に自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である1個の反応性残基を含み、且つここでこのペプチドタグは、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも5個の隣接アミノ酸、例えば、8、10、12、14、又は16個のアミノ酸を含み、且つ任意にβ−クラスプ含有タンパク質の全アミノ酸配列は含まず;
b)該結合パートナーは:
i. β−クラスプ含有タンパク質の個別の断片を含み、ここで該断片は、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも約10個の、例えば、20、30、40、50個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片と少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を含み;並びに
ii. β−クラスプ含有タンパク質中に自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である他の反応性残基を含み:並びに
c)該ペプチドタグ及び結合パートナーは、自発的に形成されるエステル結合を形成することにより互いに結合することが可能である。
別の態様において、本発明は、ペプチドタグ及び結合パートナー対に関し、ここで:
a)ペプチドタグは、βシートを形成することが可能である少なくとも約10個、例えば、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、又は少なくとも24個のアミノ酸を含み、ここでこれらのアミノ酸の一つは、β−クラスプ含有タンパク質のβ−クラスプ中にエステル結合を自発的に形成することが可能である反応性残基であり、ここでこの反応性残基は、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択され、且つ任意にここでこのペプチドタグは、β−クラスプ含有タンパク質の全アミノ酸配列は含まず;
b)該結合パートナーは:
i. β−クラスプ含有タンパク質の個別の断片を含み、ここで該断片は、β−クラスプ含有タンパク質のβ−クラスプドメインの少なくとも約10個、例えば、少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約60、少なくとも約80、少なくとも約100、もしくは少なくとも約120個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片と少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の同一性を有する配列を含み;並びに
ii. β−クラスプ含有タンパク質の自発的エステル結合に関与した反応性残基を含み、ここでこのペプチドタグ中の反応性残基がトレオニン又はセリンである場合、結合パートナー中の反応性残基は、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸であり、及びここでペプチドタグ中の反応性残基がグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸である場合、結合パートナー中の反応性残基は、トレオニン又はセリンであり;並びに
c)該ペプチドタグ及び結合パートナーは、エステル結合を自発的に形成することにより、互いに結合することが可能である。
当業者は、該当する場合は、本明細書記載の任意の実施態様は、本明細書記載の任意の態様に関することを理解するであろう。
様々な実施態様において、β−クラスプ含有タンパク質は、Ig様フォールド含有タンパク質である。
様々な実施態様において、β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ配置内の自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である1以上の反応性残基は、Ig様フォールド含有タンパク質由来のβ−クラスプ中に2つのβシートを含むIg様フォールド中に存在する。一例において、各反応性残基は、Ig様フォールド含有タンパク質由来のIg様フォールド中に存在する。
一実施態様において、β−クラスプ配置中に2つのβシートを含むIg様フォールドは、エステル結合を介して結合された最初及び最後のβ−鎖を追加的に有する。
様々な実施態様において、このエステル結合は、分子間エステル結合である。
一実施態様において、ペプチドタグが反応性セリン残基を含む場合、結合パートナーは、反応性グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基を含むか、又はここでペプチドタグが反応性グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基を含む場合、結合パートナーは、反応性セリン残基を含む。
一実施態様において、これら2つの反応性残基間に形成されたエステル結合は、可逆的に加水分解され得る。
一実施態様において、これら2つの反応性残基間に形成されたエステル結合は、pHが7よりも大きい場合に可逆的に加水分解される。
特定の例において、これら2つの反応性残基間に形成されたエステル結合は、pHが約7〜約9、又は約7.5〜約9、又は約8〜約9である場合に、可逆的に加水分解される。一例において、エステル結合は、pHが約8である場合に、可逆的に加水分解される。
様々な実施態様において、ペプチドタグ及び結合パートナーが以下の1以上を含む条件下で維持される場合に、エステル結合が形成されることが可能である:
a)約7又はそれを下回るpH、
b)1以上の分子密集剤の存在、
c)1以上の二価の陽イオンの存在、
d)グリセロールの存在、
e)両性イオン性緩衝分子の存在、
f)エチル又はプロピル連結したスルホン酸官能基を含む、アルキル連結したスルホン酸官能基を含む緩衝分子の存在、
g)複素環を含む緩衝分子の存在、
h)複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在、
i)飽和された複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在、
j)飽和された複素環式6員環を含む緩衝分子の存在、
k)先のe)からj)の各々において規定された緩衝分子の存在、
l)先のa)からk)の任意の組合せ。
一実施態様において、緩衝分子は、MES、MOPS、及びHEPESを含む群から選択される。
一実施態様において、該Ig様フォールド含有タンパク質は、1以上のエステル結合を自発的に形成することが可能である、クロストリジウム・パーフリンゲンス由来のアドヘシンタンパク質Cpe0147、又はそれと少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性のあるタンパク質である。
一実施態様において、該Ig様フォールド含有タンパク質は、1以上のエステル結合を自発的に形成することが可能である、LPXTG−モチーフ細胞壁アンカードメインタンパク質(タンパク質ID:EFM47174.1)などのモビルンカス・ムリエリス由来の1以上のアドヘシンタンパク質ドメインからの1以上のIg様ドメインを、又はそれと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性のあるタンパク質を含む。
一実施態様において、本ペプチドタグは、配列番号1に示された配列のアミノ酸565−587の10個以上の、例えば、12以上、14以上、16以上、20以上、22個以上の隣接アミノ酸、又はそれと少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性のある配列を含む。
一実施態様において、本結合パートナーは、配列番号1に示された配列のアミノ酸439−563の10個以上、例えば、20以上、40以上、60以上、80以上、100個以上の隣接アミノ酸、又はそれと少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性のある配列を含む。
一実施態様において、このペプチドタグは、長さ50個未満のアミノ酸である。
別の態様において、本発明は、Ig様フォールドドメイン含有タンパク質由来のIg様フォールドドメインの少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含むペプチドタグに関し、ここでこの少なくとも約10個の隣接アミノ酸は、βシートを形成することが可能であり、且つここでこのアミノ酸の1個は、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択されるIg様フォールド含有タンパク質のIg様フォールド中に分子間エステル結合を自発的に形成することが可能である反応性残基であり、且つここでペプチドタグは、Ig様フォールド含有タンパク質の全アミノ酸配列を含まない。
別の態様において、本発明は、Ig様フォールドドメイン含有タンパク質由来のIg様フォールドドメインの少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含むペプチドタグに関し、ここでこの少なくとも約10個の隣接アミノ酸は、βシートを形成することが可能であり、且つここでこのアミノ酸の1個は、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択されるIg様フォールド含有タンパク質のIg様フォールド中の分子間エステル結合を自発的に形成することが可能である反応性残基であり、且つここでペプチドタグは、異種アミノ酸配列を含む。
一実施態様において、本ペプチドタグは、異種タンパク質由来の少なくとも8個の隣接アミノ酸を含む。
一実施態様において、本ペプチドタグは、配列番号1に示す配列のアミノ酸565−587の10個以上の隣接アミノ酸又はそれと少なくとも75%の同一性のある配列を含む。
別の実施態様において、本ペプチドタグは、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含み、ここでグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXXDXX[Q/E](配列番号30)に存在する。
別の実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列[H/E]XDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号55)に存在する。
別の実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号57)に存在する。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXXSXX[Q/E](配列番号57)に存在する。
別の実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列[H/E]XDXXXXX[Q/E](配列番号58)に存在する。
更なる態様において、本発明は、Ig様フォールド含有タンパク質の断片を含む結合パートナーに関し、ここで該断片は、Ig様フォールド含有タンパク質由来のIg様フォールドドメインの少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片と少なくとも75%の同一性を有する配列を含み、且つここでこの断片は、Ig様フォールド含有タンパク質のIg様フォールド中に分子間エステル結合を自発的に形成することが可能である反応性残基を含み、この反応性アミノ酸残基は、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択される。
一実施態様において、本結合パートナーは、異種アミノ酸配列を含む。一実施態様において、本結合パートナーは、異種タンパク質由来の少なくとも8個の隣接アミノ酸を含む。
一実施態様において、本結合パートナーは、配列番号1の断片である。
別の実施態様において、本結合パートナーは、配列番号1に示された配列のアミノ酸439−563の10個以上の隣接アミノ酸、又はこれと少なくとも75%の同一性を有する配列(配列番号1の配列を除く)を含む。
様々な実施態様において、本ペプチドタグ及び/又は結合パートナーは、配列番号1−4又は21−30のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む。
様々な実施態様において、本ペプチドタグ及び/又は結合パートナーは、配列番号1−4又は21−30のいずれか一つのアミノ酸配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、又は少なくとも約40個又はそれよりも多い隣接アミノ酸を含む。
様々な実施態様において、本ペプチドタグ及び/又は結合パートナーは、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む。様々な実施例において、ペプチドタグ及び/又は結合パートナーは、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含み、且つ表37から表41の一つにおいて規定された該アミノ酸配列中に存在する2つ以上のドメイン由来の少なくとも1個のアミノ酸を含む。
様々な実施態様において、本ペプチドタグ及び/又は結合パートナーは、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、又は少なくとも約40個又はそれよりも多い隣接アミノ酸を含む。様々な実施例において、本ペプチドタグ及び/又は結合パートナーは、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、又は少なくとも約40個又はそれよりも多い隣接アミノ酸を含み、且つ表37から表41の一つにおいて規定された該アミノ酸配列中に存在する2つ以上のドメイン由来の少なくとも1個のアミノ酸を含む。
様々な実施態様において、本ペプチドタグ、結合パートナー、又はペプチドタグ及び結合パートナーの両方は、エステル結合の自発的形成が可能である反応性残基を2個以上含み、ここで反応性残基は、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択される。
一態様において、本発明は、該ペプチドタグ及び/又は該結合パートナーが、核酸分子、タンパク質、ペプチド、小型分子有機化合物(発蛍光団を含む)、金属−リガンド錯体、多糖、ナノ粒子、ナノチューブ、ポリマー又はそれらの組合せにコンジュゲートされる、ペプチドタグ及び結合パートナー対に関する。例えば、本ペプチドタグ及び/又は結合パートナーは、異種アミノ酸配列を含む。
一実施態様において、本発明は、ペプチドタグ及び1以上の異種アミノ酸配列を含むキメラタンパク質に関する。
一実施態様において、本発明は、ペプチドタグ中の反応性残基がセリンである、キメラタンパク質に関する。
一実施態様において、本発明は、ペプチドタグ中の反応性残基がトレオニンである、キメラタンパク質に関する。
一実施態様において、本発明は、結合パートナー及び1以上の異種アミノ酸配列を含む、キメラタンパク質に関する。
一実施態様において、本発明は、結合パートナー中の反応性残基がセリンである、キメラタンパク質に関する。
一実施態様において、本発明は、結合パートナー中の反応性残基がトレオニンである、キメラタンパク質に関する。
一態様において、本発明は:
a)2個以上のペプチドタグ、又は
b)2個以上の結合パートナー、又は
c)少なくとも1個のペプチドタグ、及び少なくとも1個の結合パートナー:を含む、キメラタンパク質に関する。
一実施態様において、本キメラタンパク質は、1以上の異種アミノ酸配列を含む。
一実施態様において、本キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの1つのみは、反応性残基としてセリンを含む。
一実施態様において、本キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの各々は、反応性残基としてセリンを含む。
一実施態様において、本キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの1つのみは、反応性残基としてトレオニンを含む。
一実施態様において、本キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの各々は、反応性残基としてトレオニンを含む。
一実施態様において、本キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの1つのみは、反応性残基としてトレオニン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸を含む。
一実施態様において、本キメラタンパク質中に存在する各ペプチドタグ又は結合パートナーは、反応性残基としてトレオニン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸を含む。
一実施態様において、本キメラタンパク質は、分岐している。
一実施態様において、この分岐したタンパク質の各枝は、少なくとも1つのペプチドタグ又は結合パートナーを含む。
別の態様において、本発明は、2以上のキメラタンパク質を含む多量体タンパク質複合体に関する。
一実施態様において、本キメラタンパク質の少なくとも1つは、酵素、抗原、構造タンパク質、抗体、サイトカイン、又は受容体を含む異種アミノ酸配列を含む。
一実施態様において、本多量体タンパク質複合体は、2以上のキメラタンパク質を含み、ここでこのキメラタンパク質の少なくとも1つは、酵素を含む異種アミノ酸配列を含み、且つこのキメラタンパク質の少なくとも1つは、酵素を含む異なる異種アミノ酸配列を含む。
別の態様において、本発明は、本明細書記載のペプチドタグ、本明細書記載の結合パートナー、本明細書記載のキメラタンパク質、及び酵素、抗原、構造タンパク質、抗体、サイトカイン、又は受容体を含む異種アミノ酸配列などの、異種アミノ酸配列:を含む群から選択された1以上の成分を含む多量体タンパク質複合体に関する。
一実施態様において、本多量体タンパク質複合体は、本明細書記載の幹ドメイン、本明細書記載の枝ドメイン、本明細書記載のカーゴ、及び本明細書記載のカーゴタンパク質:を含む群から選択された1以上の成分を含む。
一実施態様において、本多量体タンパク質複合体は、2以上の幹ドメインを含む。様々な実施例において、本多量体タンパク質複合体は、予め決定された様式で集成及び共有的に連結することが可能である2以上の幹ドメインを含む。
特定の実施態様において、この2以上の幹ドメインは各々、1以上のIg様フォールドの少なくとも一部を含み、これにより、Ig様フォールドの第一の部分を含む第一の幹ドメインと、Ig様フォールドの相補的部分を含む第二の幹ドメインの間の特異的相補性、並びにこれら2つの幹ドメイン間の特異的結合及びエステル結合の形成を提供する。
特定の実施態様において、本多量体タンパク質複合体を形成する幹ドメインの各々は、例えば予め決定された様式で、1以上の他の幹ドメインに相補性であり及び/又は特異的に結合する。特定の実施例において、2つの幹ドメインの間の特異的結合は、各々の幹ドメインに存在する結合ドメイン間の相補性により供され、例として、一方の幹ドメインは、例えばβ−クラスプ配置中に通常存在するβシートの最初又は最後のβ−鎖の一部を少なくとも含み、且つ第二の幹ドメインは、β−鎖又はβシートの相補的部分を少なくとも含み、これにより第一及び第二の幹ドメインの結合上のβ−クラスプ配置を反復発生する。
特定の実施態様において、本幹ドメインは、それらが相補的であるもの以外の、他の幹ドメインなどの、多量体タンパク質複合体の他の成分に結合しない。例えば、本多量体タンパク質は、2以上の幹ドメインを含み、ここで一つの幹ドメインは、Ig様ドメイン−含有タンパク質由来の第一のIg様ドメインの一部を少なくとも1つ、及びIg様ドメイン−含有タンパク質由来の第二のIg様ドメインの一部を少なくとも1つ含み、並びに別の幹ドメインは、第一のIg様ドメイン又は第二のIg様ドメインのいずれかの少なくとも一部を含み、これにより2つの幹ドメイン間の結合上の第一又は第二のIg様ドメインが相補し且つ反復発生する。
特定の実施例において、本多量体タンパク質は、それらのドメインが誘導されるIg様ドメイン−含有タンパク質の未変性の配列中で、互いに隣接している2以上のIg様ドメインを集合的に含む、2以上の幹ドメインを含む。特定の実施例において、2以上の幹ドメインは各々、一つのIg様ドメインの少なくとも一部、及びIg様ドメイン−含有タンパク質中で一つのIg様ドメインに隣接しているIg様ドメインの少なくとも一部を含む。一例において、Ig様ドメインの一部は、Ig様ドメイン−含有タンパク質のIg様ドメイン中のβ−クラスプ配置に通常存在するβシートの最初又は最後のβ−鎖である。
様々な実施態様において、本多量体タンパク質複合体は、配列番号1−4又は21−30のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む、1以上のタンパク質成分を含む。
様々な実施態様において、本多量体タンパク質複合体は、配列番号1−4又は21−30のいずれか一つのアミノ酸配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、又は少なくとも約40個又はそれよりも多い隣接アミノ酸を含む、1以上のタンパク質成分を含む。
様々な実施態様において、本多量体タンパク質複合体は、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む、1以上のタンパク質成分を含む。様々な実施例において、本多量体タンパク質複合体は、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む、1以上のタンパク質成分を含み、且つ表37から表41の一つに規定された該アミノ酸配列に存在する2以上のドメイン由来の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
様々な実施態様において、本多量体タンパク質複合体は、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、又は少なくとも約40個又はそれよりも多い隣接アミノ酸を含む、1以上のタンパク質成分を含む。様々な実施例において、本多量体タンパク質複合体は、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、又は少なくとも約40個又はそれよりも多い隣接アミノ酸を含む、1以上のタンパク質成分を含み、且つ表37から表41の一つに規定された該アミノ酸配列に存在する2以上のドメイン由来の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
別の態様において、本発明は、共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成する方法であって、この方法が:
a)ペプチドタグ又はキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つのペプチドタグを含む工程;
b)結合パートナー又はキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つの結合パートナーを含む工程;
c)工程a)のペプチドタグ又はキメラタンパク質と、工程b)の結合パートナー又はキメラタンパク質を、分子間エステル結合を自発形成するのに適した条件下で接触させる工程;
d)任意に工程a)からc)を1回以上、例えば2回以上、4回以上、6回以上反復する工程:を含み、これにより共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成することを含む、方法に関する。
一実施態様において、共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成する方法は:
a)本明細書記載のペプチドタグ、又は本明細書記載の少なくとも1つのペプチドタグを含むキメラタンパク質を提供する工程;
b)本明細書記載の結合パートナー、又は本明細書記載の少なくとも1つの結合パートナーを含むキメラタンパク質を提供する工程;
c)工程a)のペプチドタグ又はキメラタンパク質と、工程b)の結合パートナー又はキメラタンパク質を、分子間エステル結合を自発形成するのに適した条件下で接触させる工程:を含み、これにより共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成する。
一実施態様において、共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成する方法は、ペプチドタグ、結合パートナー、又は1以上のキメラタンパク質中に存在する1以上の反応性残基が、セリン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸である場合、pH7以上で、多量体タンパク質複合体を維持することを含む。
一実施態様において、共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成する方法は、ペプチドタグ、結合パートナー、又は1以上のキメラタンパク質中に存在する1以上の反応性残基が、セリン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸である場合、pH7以上で、多量体タンパク質複合体を維持すること、又はセリン残基とグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基の間で形成される共有結合の加水分解に適した条件下で、多量体タンパク質複合体を維持することを任意に含む。
一実施態様において、共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成する方法は:
e)ペプチドタグ又はキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つのペプチドタグを含む工程;及び/又は
f)結合パートナー又はキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つの結合パートナーを含む工程;
g)工程e)のペプチドタグ又はキメラタンパク質、及び/もしくは工程f)のペプチドタグ又はキメラタンパク質を、多量体タンパク質複合体と、分子間エステル結合を自発形成するのに適した条件下で接触させる工程;
h)任意に工程e)からg)を1回以上、例えば2回以上、4回以上、6回以上反復する工程;並びに/又は
i)任意に7以上のpHで多量体タンパク質複合体を維持する工程;又は
j)工程h)及び工程i)のいずれかの組合せ:を更に含む。
様々な実施態様において、分子間エステル結合の形成に適した条件は、以下の1以上を含む:
a)約7又はそれを下回るpH、
b)1以上の分子密集剤の存在、
c)1以上の二価の陽イオンの存在、
d)グリセロールの存在、
e)両性イオン性緩衝分子の存在、
f)エチル又はプロピル連結したスルホン酸官能基を含む、アルキル連結したスルホン酸官能基を含む緩衝分子の存在、
g)複素環を含む緩衝分子の存在、
h)複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在、
i)飽和された複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在、
j)飽和された複素環式6員環を含む緩衝分子の存在、
k)先のe)からj)の各々において規定された緩衝分子の存在、
l)先のa)からk)の任意の2以上の組合せ。
一実施態様において、この緩衝分子は、MES、MOPS、及びHEPESを含む群から選択される。
別の態様において、本発明は、共有的に連結した多量体タンパク質複合体中の1以上の可逆可能な共有結合を加水分解する方法であって:
a)共有的に連結した多量体タンパク質複合体を提供する工程であって、このタンパク質複合体が:
i. 少なくとも1つの本明細書記載のペプチドタグ、又は本明細書記載のペプチドタグを少なくとも1つ含むキメラタンパク質;及び
ii. 少なくとも1つの本明細書記載の結合パートナー、又は本明細書記載の結合パートナーを少なくとも1つ含むキメラタンパク質:を含み、
ここでこのペプチドタグ、結合パートナー、又は1以上のキメラタンパク質中に存在する反応性残基の1又は複数は、セリン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸である工程;
b)このタンパク質複合体を、セリンとグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸の間の共有結合を加水分解するのに十分な期間、pH約7以上で維持するか、又はセリン残基とグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基の間に形成された共有結合の加水分解に適した条件下で、多量体タンパク質複合体を維持し、
これにより多量体タンパク質複合体の1又は複数の可逆性の共有結合を加水分解する工程:を含む、方法に関する。
一実施態様において、このペプチドタグ、結合パートナー、又は1以上のキメラタンパク質中に存在する反応性残基の1又は複数がセリンである場合、他の反応性残基は、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸である。
様々な実施態様において、この接触又は維持は、適用される場合に、エステル結合が、形成されるか又は加水分解されるのに十分な期間である。
様々な実施態様において、セリンとグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸の間の分子間エステル結合の加水分解に適している条件は、以下の1以上を含む:
a)約7又はそれを上回るpH、例えば、約8〜約9のpH、
b)1以上の分子密集剤の存在又は非存在、
c)1以上の二価の陽イオンの存在又は非存在、
d)グリセロールの存在又は非存在、
e)両性イオン性緩衝分子の存在又は非存在、
f)エチル又はプロピル連結したスルホン酸官能基を含む、アルキル連結したスルホン酸官能基を含む緩衝分子の存在又は非存在、
g)複素環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
h)複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
i)飽和された複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
j)飽和された複素環式6員環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
k)先のe)からj)の各々において規定された緩衝分子の存在又は非存在、
l)先のa)からk)の任意の2以上の組合せ。
一実施態様において、この緩衝分子は、MES、MOPS、及びHEPESを含む群から選択される。
一実施態様において、維持は、pH約8〜約9においてである。
一実施態様において、維持は、1以上の二価の陽イオンの非存在下においてである。
一実施態様において、維持は、1以上の分子密集剤の非存在、及び/又はグリセロールの非存在下においてである。
様々な実施態様において、接触又は維持は、約1時間未満の期間である。特定の実施態様において、接触又は維持は、約30分未満、又は約20分未満、約10分未満、又は約5分未満の期間である。
他の実施態様において、接触又は維持は、1時間以上、例えば、2、3、4、5、又は6時間以上の期間である。一晩を含む、より長い期間が、意図される。当業者が理解するように、本明細書記載の「実施例」は、エステル結合の形成、及び反応性残基が加水分解を可能にする場合はエステル結合の加水分解の両方を迅速に生じ、且つ一般により短い反応時間が望ましいことを確立する。特定の実施態様において、例えば、所定の反応において存在するペプチドタグ、結合パートナー、結合対、又はキメラタンパク質の集団中に存在する反応性残基の実質的に全て又は全てが、反応しなければならない場合、接触又は維持は、数時間以上のより長い期間であることができる。
別の態様において、本発明は、共有的に連結した多量体タンパク質複合体の調製における、ペプチドタグ及び結合パートナー対、又は1以上のキメラタンパク質の使用に関する。
一実施態様において、ペプチドタグ及び結合パートナー対の又は1以上のキメラタンパク質の使用では、該ペプチドタグが反応性セリン残基を含む場合、該結合パートナーは、反応性グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基を含むか、或いは該ペプチドタグが反応性グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基を含む場合、該結合パートナーは、反応性セリン残基を含む。
一実施態様において、ペプチドタグ及び結合パートナー対の又は1以上のキメラタンパク質の使用では、該ペプチドタグは、長さ5〜50個アミノ酸である。
別の態様において、本発明は、ペプチドタグ及び結合パートナー対、ペプチドタグ、結合パートナー、又はキメラタンパク質をコードしている核酸分子に関する。
別の態様において、本発明は、ペプチドタグ及び結合パートナー対、ペプチドタグ、結合パートナー、又はキメラタンパク質をコードしている核酸分子を含むベクターに関する。
別の態様において、本発明は、ペプチドタグ及び結合パートナー対、ペプチドタグ、結合パートナー、又はキメラタンパク質をコードしている核酸分子を含む細胞、又はペプチドタグ及び結合パートナー対、ペプチドタグ、結合パートナー、又はキメラタンパク質をコードしている核酸分子を含むベクターに関する。
様々な実施態様において、本発明は、生物触媒、生体物質合成、化学物質生成、1以上の標的分子(例えば、複合体混合物からの)の濾過、単離又は分離、バイオレメディエーション、ナノ粒子合成、標的分子の検知、同定および/または局在化、光学活性分子を含む分子の展示、表面コーティング、治療用生体材料、生物学的スカフォールド、組織工学、物理的補強、並びに1以上の活性物質の送達:を含む群から選択される適用における、前述のペプチドタグ、結合パートナー、ペプチドタグ及び結合パートナー対、キメラタンパク質、又は核酸分子、ベクター、又は細胞の使用に関する。
別の態様において、本発明は、ペプチドタグ及び結合パートナー対に関し、ここで:
a)ペプチドタグは、β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ内で、自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である一つの反応性残基を含み、且つここでこのペプチドタグは、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含み、ここでグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXXDXX[Q/E]中に存在し、且つ任意にβ−クラスプ含有タンパク質の全アミノ酸配列は含まず;
b)該結合パートナーは、
i. β−クラスプ含有タンパク質の個別の断片を含み、ここで該断片は、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも約10個、例えば、20、30、40、50個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片と少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を含み、並びに、
ii. 該β−クラスプ含有タンパク質中で自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である他の反応性残基を含み、並びに
該ペプチドタグ及び結合パートナーは、自発的に形成されるエステル結合を形成することにより互いに結合することが可能である。
別の態様において、本発明は、ペプチドタグ及び結合パートナー対に関し、ここで
c)ペプチドタグは、β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ内で、自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である一つの反応性残基を含み、且つここでこのペプチドタグは、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含み、ここでグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列[H/E]XDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号55)中に存在し、且つ任意にβ−クラスプ含有タンパク質の全アミノ酸配列は含まず;
d)該結合パートナーは、
iii. β−クラスプ含有タンパク質の個別の断片を含み、ここで該断片は、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも約10個、例えば、20、30、40、50個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片と少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を含み、並びに、
iv. 該β−クラスプ含有タンパク質中で自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である他の反応性残基を含み、並びに
該ペプチドタグ及び結合パートナーは、自発的に形成されるエステル結合を形成することにより互いに結合することが可能である。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号56)中に存在する。別の実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXXSXX[Q/E](配列番号57)中に存在する。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列[H/E]XDXXXXX[Q/E](配列番号58)中に存在する。
更なる態様において、本発明は、第一のペプチド結合パートナー及び第二のペプチド結合パートナーを含むペプチド結合対に関し、ここで接触される場合、これらのペプチド結合パートナーは、分子間エステル結合を自発的に形成することが可能であり、ここで
a)一方の結合パートナーは、トレオニン、及びセリンからなる群から選択される反応性残基を含み、且つ
b)他方の結合パートナーは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸からなる群から選択される反応性残基を含み、
並びに接触される場合、第一及び第二の結合パートナーは、自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアクセサリーアミノ酸残基を追加的に含む、セリンプロテアーゼ活性部位様配置を含む、β−クラスプ、例えばIg様フォールドを形成する。
別の態様において、本発明は、第一のペプチド結合パートナー及び第二のペプチド結合パートナーに関し、ここで接触される場合、これらのペプチド結合パートナーは、分子間エステル結合を自発的に形成することが可能であり、ここで:
a)一方の結合パートナーは、トレオニン、及びセリンからなる群から選択される反応性残基を含み、且つ
b)他方の結合パートナーは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸からなる群から選択される反応性残基を含み、
並びに接触される場合、第一及び第二の結合パートナーは、自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基を追加的に含む、セリンプロテアーゼ活性部位様配置を含む、β−クラスプ、例えばIg様フォールドを形成する。
別の態様において、本発明は、ペプチド結合対に関し、ここで接触される場合、このペプチド結合対は、2つの反応性アミノ酸残基間に分子間エステル結合を自発的に形成することが可能であるセリンプロテアーゼ活性部位様構造を形成し、ここで一方の結合パートナーは、トレオニン、及びセリンからなる群から選択される一つの反応性残基を含み、且つ他方の結合パートナーは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸からなる群から選択される一つの反応性残基を含み、且つここで活性部位に存在する反応性アミノ酸残基は、タンパク質データバンクの標準直交座標系における以下の相対原子位置:
a)Cβ(CB)Thr/Ser:0、0、0;
b)Cδ(CD)Gln/Glu:0.02±0.08、1.91±0.08、−1.61±0.08:を有する。
様々な実施態様において、本結合パートナーの一方又は両方は、自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基を含む。
一実施態様において、自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基は、ペプチド結合パートナー内のベータ−鎖形成する配列内に存在する。
一実施態様において、自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基は、反応性残基と一緒にベータ-鎖形成するアミノ酸配列中に存在する。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーは、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含む。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーは、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含み、ここで反応性残基及びヒスチジンの両方は、結合パートナーの同じベータ−鎖内に存在する。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーは、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含み、且つここでヒスチジンは、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基の一次アミノ酸配列中の10個のアミノ酸中である。
一実施態様において、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジン及びグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸は、結合パートナーの一方のベータ−鎖形成するアミノ酸配列中であり、且つペプチド結合パートナーの一次アミノ酸配列中の8個のアミノ酸中である。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含む結合パートナー中に存在するグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXXDXX[Q/E](配列番号30)中に存在する。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含む結合パートナー中に存在するグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列[H/E]XDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号55)中に存在する。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含む結合パートナー中に存在するグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号56)中に存在する。別の実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含む結合パートナー中に存在するグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列HXDXXSXX[Q/E](配列番号57)中に存在する。別の実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含む結合パートナー中に存在するグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基は、アミノ酸配列[H/E]XDXXXXX[Q/E](配列番号58)中に存在する。
一実施態様において、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーは、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含み、ここでヒスチジンは、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基の約6、約5.5、約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5又は約2オングストローム以内にある。
一実施態様において、これらの結合パートナーが接触される場合、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンの最も近い原子は、トレオニン及びセリン反応性残基の最も近い原子の約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5又は約2オングストローム以内にある。
一実施態様において、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジン残基は、トレオニン又はセリン反応性残基と同じ結合パートナー上に存在する。
一実施態様において、分子間エステル結合の自発的形成を促進するアミノ酸残基の一つは、水素結合の形成が可能であるように、トレオニン又はセリン反応性残基に十分に近いヒスチジン残基である。
一実施態様において、ヒスチジン残基とトレオニン又はセリン反応性残基の間の最も近いアプローチは、約5オングストローム未満、約4オングストローム未満、約3.5オングストローム未満、約3.4オングストローム未満、約3.2オングストローム未満、又は約3オングストローム未満である。
一実施態様において、分子間エステル結合の自発的形成を促進するアミノ酸残基の一つは、トレオニン又はセリン反応性残基と水素結合を形成することが可能であるヒスチジン残基である。
一実施態様において、ヒスチジン残基とトレオニン又はセリン反応性残基の間の距離は、約5オングストローム未満、約4オングストローム未満、約3.5オングストローム未満、約3.2オングストローム未満、又は約3オングストローム未満である。
様々な実施態様において、分子間エステル結合の自発的形成を促進するアクセサリーアミノ酸残基の一つは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸反応性残基と水素結合を形成することが可能であるアスパラギン酸残基である。
一実施態様において、アスパラギン酸アクセサリー残基は、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基と同じ結合パートナー上に存在する。
一実施態様において、アスパラギン酸アクセサリー残基は、トレオニン又はセリン反応性残基と同じ結合パートナー上に存在する。
一実施態様において、グルタメート/グルタミン酸又はグルタミン残基及びアスパラギン酸残基は、自発的に形成される分子間エステル結合の形成を促進する。
一実施態様において、分子間エステル結合の自発的形成を促進するグルタメート/グルタミン酸又はグルタミン残基は、アスパラギン酸促進する残基と同じ結合パートナー上にある。
一実施態様において、活性部位に存在する反応性アミノ酸残基は、タンパク質データバンクの標準直交座標系における以下の相対原子位置:
a)Cβ(CB)Thr/Ser:0、0、0;
b)Cδ(CD)Gln/Glu:0.02±0.08、1.91±0.08、−1.61±0.08:を有する。
一実施態様において、セリンプロテアーゼ活性部位様構造もまた、1以上のアクセサリーアミノ酸を含み、ここでこの活性部位に存在する反応性アミノ酸残基は、タンパク質データバンクの標準直交座標系における以下の相対原子位置:
a)Cβ(CB)Thr/Ser:0、0、0;
b)Cδ(CD)Gln/Glu:0.02、1.91、−1.61:
を有し、且つここでその活性部位に存在する1以上のアクセサリーアミノ酸残基は、存在する場合、反応性Thr/Ser Cβ位置に対する以下のCγ(CG)位置:
c)His:1.35、3.67、3.34
d)Asp:−3.45、−0.89、−2.19:
を有し、且つここで原子間の距離の標準偏差は:
e)Cβ(CB)ThrからCδ(CD)Glnまでについて0.08、
f)Cβ(CB)ThrからCγ(CG)Hisまでについて0.25
g)Cβ(CB)ThrからCγ(CG)Aspまでについて00.04:である。
別の態様において、本発明は、第一のペプチド結合パートナー及び第二のペプチド結合パートナーを含むペプチド結合対に関し、ここで接触される場合、これらのペプチド結合パートナーは、分子間エステル結合を自発的に形成することが可能であり、ここで
a)一方の結合パートナーは、トレオニン及びセリンからなる群から選択される反応性残基を含み、並びに
b)他方の結合パートナーは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸からなる群から選択される反応性残基を含み、
並びに接触される場合、第一及び第二の結合パートナーは、セリンプロテアーゼ活性部位様構造を形成する。
別の態様において、本発明は、第一のペプチド結合パートナー及び第二のペプチド結合パートナーに関し、ここで接触される場合、これらのペプチド結合パートナーは、分子間エステル結合を自発的に形成することが可能であり、ここで
a)一方の結合パートナーは、トレオニン及びセリンからなる群から選択される反応性残基を含み、並びに
b)他方の結合パートナーは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸からなる群から選択される反応性残基を含み、
並びに接触される場合、第一及び第二の結合パートナーは、セリンプロテアーゼ活性部位様構造を形成する。
別の態様において、本発明は、ペプチド結合対又は第一のペプチド結合パートナー及び第二のペプチド結合パートナーに関し、ここでセリンプロテアーゼ活性部位様構造は、タンパク質データバンクの標準直交座標系における以下の相対原子位置:
a)Cβ(CB)Thr/Ser:0、0、0;
b)Cδ(CD)Gln/Glu:0.02、1.91、−1.61:を有する活性部位中に存在する反応性アミノ酸残基を含み、
且つここでセリンプロテアーゼ活性部位様構造は、反応性Thr/Ser Cβ(CB)位置に対する以下のCγ(CG)位置:
c)His:1.35、3.67、3.34
d)Asp:−3.45、−0.89、−2.19:を有するその活性部位に存在するアクセサリーアミノ酸残基を含み、
且つここで、原子間距離に関する標準偏差は:
e)Cβ(CB)ThrからCδ(CD)Glnまでについて0.08、
f)Cβ(CB)ThrからCγ(CG)Hisまでについて0.25
g)Cβ(CB)ThrからCγ(CG)Aspまでについて00.04:である。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離は、グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)の約2.2オングストローム〜約3オングストロームの間である。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離は、グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)の2.49〜2.65オングストロームの間である。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離は、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)の約4.5〜約6.0オングストロームの間である。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離は、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)の4.86〜5.60オングストロームの間である。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離は、自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)の約3.5〜約4.5オングストロームの間である。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離は、自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)の4.07〜4.18オングストロームの間である。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最小距離は、約2.2オングストロームであり、及び
b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離は、約4.5オングストロームであり、及び
c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離は、約3.5オングストロームであり、
並びにここでトレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最大距離は、約3オングストロームであり、及び
b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離は、約6オングストロームであり、及び
c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離は、約4.5オングストロームである。
一実施態様において、トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最小距離は、2.49オングストロームであり、及び
b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離は、4.86オングストロームであり、及び
c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離は、4.07オングストロームであり、
ここでトレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最大距離は、2.65オングストロームであり、及び
b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離は、5.60オングストロームであり、及び
c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離は、4.18オングストロームである。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、グラム陽性菌由来のIg様ドメインを含む。
様々な実施態様において、第一のペプチド結合パートナー、第二のペプチド結合パートナー、並びに第一及び第二のペプチド結合パートナーの両方は、本明細書の配列番号1−4及び20−30のいずれか一つに由来する少なくとも10個の隣接アミノ酸を含む。
様々な実施態様において、第一のペプチド結合パートナー、第二のペプチド結合パートナー、並びに第一及び第二のペプチド結合パートナーの両方は、本明細書の配列番号31から58のいずれか一つに由来する少なくとも10個の隣接アミノ酸を含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、クロストリジウム属タンパク質又はタンパク質断片を含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、モビルンカス属タンパク質又はタンパク質断片を含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、クロストリジウム・パーフリンゲンスのタンパク質又はその断片を含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、モビルンカス・ムリエリスのタンパク質又はその断片を含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、クロストリジウム・パーフリンゲンスゲノムのAC1_0147遺伝子内にコードされている。この遺伝子産物に対応するアミノ酸配列は、UniprotエントリーB1R775において与えられる。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、モビルンカス・ムリエリスゲノムのHMPREF0580_0271遺伝子内にコードされている。この遺伝子産物に対応するアミノ酸配列は、UniprotエントリーE0QN07において与えられる。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、Cpe0147のそれであり、配列番号1−4として本明細書に提示されているアミノ酸配列である。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、モビルンカス・ムリエリスLPXTG−モチーフ細胞壁アンカードメインタンパク質のそれであり、配列番号21−30として本明細書に提示されているアミノ酸配列である。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、モビルンカス・ムリエリスLPXTG−モチーフ細胞壁アンカードメインタンパク質のそれであり、配列番号31から58のいずれか一つのアミノ酸配列由来の10個以上の隣接アミノ酸を含むアミノ酸配列中に存在する。
一実施態様において、本Ig様ドメインは:
a)Cpe0147のIg様ドメインのポリペプチド配列に対し、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する切断型タンパク質(アミノ酸439から563)[配列番号2]、及び/又は
b)Cpe0147のIg様ドメインのポリペプチド配列に対し、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するペプチド(アミノ酸565から587)[配列番号3]:
を含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは:
a)モビルンカス・ムリエリスLPXTG−モチーフ細胞壁アンカードメインタンパク質のIg様ドメインのアミノ酸配列に対し少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質;
b)配列番号21−30として本明細書に提示されるアミノ酸配列のいずれか一つに存在するIg様ドメインのアミノ酸配列に対し少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質;及び/又は
c)配列番号31−58として本明細書に提示されるアミノ酸配列のいずれか一つに存在するIg様ドメインのアミノ酸配列に対し少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質:
を含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは:
a)モビルンカス・ムリエリスLPXTG−モチーフ細胞壁アンカードメインタンパク質のIg様ドメインのアミノ酸配列に対し少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質;
b)配列番号21−30として本明細書に提示されるアミノ酸配列のいずれか一つに存在するIg様ドメインのアミノ酸配列に対し少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質:
c)配列番号31−58として本明細書に提示されるアミノ酸配列のいずれか一つに存在するIg様ドメインのアミノ酸配列に対し少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質:
を含む。
一実施態様において、この切断型タンパク質は、N−末端に、先行するIg様ドメインの最終β−鎖を更に含む。
一実施態様において、本Ig様ドメインは、そのN−末端に、先行するIg様ドメインの最終β−鎖由来の少なくとも5個の隣接アミノ酸を更に含む。例えば、本Ig様ドメインは、そのN−末端に、Ig様ドメインが由来する未変性の配列内においてそれに先行するIg様ドメインの最終β−鎖由来の少なくとも5個の隣接アミノ酸を更に含む。
一実施態様において、この切断型タンパク質は、N−末端に、完全長Cpe0147タンパク質のアミノ酸416から438(DTKQVVKHEDKNDKAQTLIVEKP[配列番号4])の先行するIg様ドメインの最終β−鎖を更に含む。
一実施態様において、N−末端に先行するIg様ドメインの最終β−鎖を更に含む切断型タンパク質は、自己−重合する。
一実施態様において、この自己−重合するタンパク質は、タンパク質を共有的に捕獲する枝ドメインを更に含む。
一実施態様において、この自己−重合するタンパク質は、カーゴ酵素を共有的に捕獲する枝ドメインを更に含む。
一実施態様において、このカーゴ酵素は、酵素的経路の一部を形成する。
一実施態様において、エステル結合は、切断型タンパク質とペプチドの間にできる。
一実施態様において、エステル結合は、切断型タンパク質の最初のβ−鎖と、Cpe0147のIg様ドメインの最後のβ−鎖を含むペプチドの間にできる。
一実施態様において、このエステル結合は、加水分解可能である。
一実施態様において、この切断型タンパク質は、450位に、アミノ酸置換を含む。
一実施態様において、この切断型タンパク質は、450位に、トレオニンからセリンへの、アミノ酸置換を含む。
本発明の他の態様は、単なる例として与えられる以下の説明から及び添付図面を参照し、明らかになるであろう。
本明細書において使用される用語「及び/又は」は、「及び」又は「又は」又は両方を意味する。
本明細書において使用される名詞の後の「(複数可)」は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
本明細書に開示された数字の範囲についての言及(例えば、1から10)はまた、その範囲の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)、並びに同じくその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2から8、1.5から5.5、及び3.1から4.7)の言及も組み込むことが意図され、従って本明細書に明確に開示された全ての範囲の全ての部分範囲は、これにより明確に開示される。これらは、明確に意図される単なる例であり、且つ列挙された最低値と最高値の間の数値の全ての可能性のある組合せは、同様の様式で本明細書において明確に言及されると考えられる。
本明細書において、特許明細書、他の外部文献、又は他の情報源について言及される場合、これは一般に、本発明の特徴を考察する状況を提供することを目的としている。別に具体的に言及しない限りは、そのような外部文献の言及は、いかなる権限においても、そのような文献、又はそのような情報源が先行技術であるか、又は当該技術分野における一般的知識の一部を形成することの承認として構築されるものではない。
本明細書において使用される用語「含む」は、「少なくとも一部はそれからなる」ことを意味する。その用語を含む本明細書における陳述を理解する上で、各陳述又は請求項の中のその用語により前置きされる特徴は、全て存在することが必要であるが、他の特徴も存在することができる。「含んでいる」及び「含まれた」などの関連用語も、同じ様式で解釈されるべきである。
本発明はまた、個別に又は集合的に、本願の明細書において言及もしくは指摘される部分、要素及び特徴、並びに該部分、要素又は特徴のいずれか又はいずれか2以上の組合せで構成することを広範に語っており、ここで本発明が関連する技術分野において公知の同等物を有する、特定の数値が本明細書において言及される場合、そのような公知の同等物は、個別に言及されるように、組み込まれることが意図される。
図面の簡単な説明
本発明は、ここで単なる例として及び図面を参照し、説明されるであろう:
図1は、クロストリジウム・パーフリンゲンスCpe0147アドヘシン由来の単独ドメインのリボン図を示し、Ig様タンパク質ドメインの最後の鎖(青色)及び金属結合部位(赤色円)を強調している。このタンパク質の最初の鎖及び最後の鎖を連結する安定化している分子間エステル結合は、スティック形状で示し、且つ拡大している(挿入図)。自発的に形成されるエステル結合は、化学スキームにおいて示したように、トレオニンとグルタミンのアミノ酸の側鎖の間に自発的にできる。
図2は、最後のβ−鎖(残基565−587)を含むペプチドと切断型Cpe0147タンパク質の間の分子間エステル結合形成を示すアッセイの結果を描いている。図2Aは、エステル結合形成に対する緩衝液成分の作用を示している。グリセロール及びCaClの両方の除去後、ほとんど結合形成は認められない。カルシウムの存在下で、タンパク質の〜40%は変換されるが、グリセロールの存在下では、変換は〜70%である。タンパク質−ペプチド複合体の定型化された概念図は、連結するエステル結合(濃い黒線)により示している。図2Bは、最適化された緩衝液条件下での結合形成の時間経過を示している。エステル結合形成は、15分未満でほぼ完了した。
図3は、スプリットCpe0147ドメインのタンパク質ライゲーション能を示している。図3Aは、構築体AのMBP-Cpe0147439−563融合体、及び構築体BのCpe0147565−587-eGFP融合体のライゲーションされた集成体の、X線小角散乱法(SAXS)−誘導されたアブイニシオエンベロープを示している。これらの成分部分の結晶構造は、A−Bエンベロープに合致している。図3Bは、構築体Aのマルトース−結合タンパク質−Cpe0147439−563付加物と、構築体BのCpe0147565−587−緑色蛍光タンパク質付加物の間のエステル結合形成の経時的なSDS−PAGE分析を示している。時間経過は、20時間後での、>90%の完了を示している。A−B架橋された集成体の定型化された概念図を、右側に示している。図3Cは、20時間での100%完了に対し規準化されたエステル結合変換のプロットを示している。エステル結合形成は、GraphPad Prismによりプロットし、指数関数的二相会合モデルにフィットさせた。図3Dは、カーゴとしてマルトース−結合タンパク質を運搬する自己−重合するCpe0147構築体(アミノ酸416−563)由来の大腸菌におけるナノ鎖のインビボ集成体を示している。SDS−PAGE分析は、質量が最大で〜500kDaよりも大きい多くの種の形成を示している。自己−集成したナノ鎖の定型化された概念図を、右側に示している。
図4は、T450S変種において、pH変化により引き起こされるエステル結合形成及び加水分解を示す。図4Aは、低いpH条件下、並びにCaCl及びグリセロールの存在下での、エステル結合形成の反応スキームを示す。結合はその後、pHの8以上への上昇、並びにCaCl及びグリセロールの除去により、加水分解されることができる。使用される(及び右側に図示された)構築体は、図3Aのものと同じMBP/GFPカーゴ組合せであるが、Cpe0147におけるトレオニン450とセリンの置換を伴う。図4Bは、20時間の期間に及ぶ、エステル結合形成の時間経過(上側)のSDS−PAGE分析を示す。同じ時間経過を、加水分解反応(下側)について示す。図4Cは、100%に対し規準化したエステル結合形成及び加水分解のプロットを示す。指数関数的二相の指数関数モデルは、エステル結合形成及び加水分解の両方のデータに、GraphPad Prismによりフィットした。
図5は、Cpe0147及び変種の一次元1H核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析を示す。メチル領域(例えば−1ppmでの一重線)は、タンパク質−ペプチドコンジュゲートの形成の診断をする。このスペクトルは、可視化を助けるために、タンパク質濃度に従いスケール化された。図5Aは、600μM Cpe439−587(結合形成された対照)のスペクトルを示す。図5Bは、400μM対照Cpe439−563のスペクトルを示し、図5Cは、混合した50μM Cpe439−563+過剰なDTKQVVKHEDKNDKAQTLVVEKP[配列番号3]ペプチドのスペクトルを示す。この混合物は、タンパク質−ペプチドコンジュゲートの形成を確実にするために、1時間、HEPES及びグリセロール(pH7.0)の中で反応させた。次に試料を、緩衝液−交換し、過剰なペプチドを除去する。図5Dは、ペプチド対照150μM DTKQVVKHEDKNDKAQTLVVEKP[配列番号3]のスペクトルである。
図6は、pH、分子密集剤、及びCa2+のエステル結合形成に対する作用のSDS−PAGE分析を示す。Cpe439−563は、タンパク質ドメインの最後のβ−鎖を含むペプチド(Cpe565−587)と混合し、緩衝分子(50mM)、分子密集剤、及び塩化カルシウム(100μM)を選択して、180分間インキュベーションした。SDS−PAGEゲルレーンは、以下であった:(C)ペプチドを含まない対照Cpe439−563;(1)酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0中のCpe439−563+ペプチド;(2)リン酸ナトリウム緩衝液pH6.0中のCpe439−563+ペプチド;(3)MOPS緩衝液pH7.1中のCpe439−563+ペプチド;(4)トリス・HCl緩衝液pH8.0中のCpe439−563+ペプチド;(5)ホウ酸エステル緩衝液pH8.8中のCpe439−563+ペプチド;(6)グリセロール(10%v/v)中のCpe439−563+ペプチド;(7)ショ糖(200mM)中のCpe439−563+ペプチド;(8)PEG 1k(10%)中のCpe439−563+ペプチド。
図7は、グリセロール及びCaClの存在下、中性pHでのSDS−PAGE緩衝液スクリーンを示す。Cpe439−563は、タンパク質ドメインの最後のβ−鎖を含むペプチド(Cpe565−587)と混合し、20%(v/v)グリセロール及び100μM塩化カルシウムの一定濃度を含む、緩衝分子(50mM)を選択して、15分間インキュベーションした。SDS−PAGEゲルレーンは、以下のようであった:(C)ペプチドを含まない対照Cpe439−563;(1)Bis−トリスプロパン緩衝液pH6.8中のCpe439−563+ペプチド;(2)HEPES緩衝液pH7.0中のCpe439−563+ペプチド;(3)リン酸ナトリウム緩衝液pH6.8中のCpe439−563+ペプチド;(4)MOPS緩衝液pH7.1.中のCpe439−563+ペプチド。
図8は、アルカリpHでの尿素中のCpe0147ドメイン−2の安定性のSDS−PAGE分析を示す。無傷のドメインCpe439−587を、トリス・HCl、pH9.0緩衝液中の漸増濃度の尿素中で、24時間インキュベーションした。分子間エステル結合を持つ野生型Cpe0147ドメインは、エステル結合を欠いている同じタンパク質よりも、SDS−PAGEゲルを通って更に移動する。Cpe439−587構築体は、50mMトリス・HCl、pH9.0、6M尿素中であっても、加水分解に対し非常に安定しており、エステル結合が加水分解されるのは、かすかなより高い質量のバンドの出現により証明されるように、非常に小さい割合のみである。
図9は、トリプシン消化後の、Cpe0147−T450S439−587の質量分析を示している。このスペクトルは、架橋された複合体のm/zフラグメントに対応するピークを示し、且つ予想されるセリン−グルタミン側鎖架橋の存在を確認している。
図10は、pH範囲にわたる、Cpe0147−T450S439−587安定性のSDS−PAGE分析を示す。Cpe−T450S439−587(濃度250μM)を、pHのエステル結合安定性又は加水分解に対する作用を分析するために、様々なシステムにおいて、20時間インキュベーションした。Ser450とGln580の間のエステル結合は、pH7以下で安定しており、且つpH7以上で加水分解する。SDS−PAGEゲルレーンは、以下であった:(1)MES緩衝液pH5.5中のCpe−T450S439−587;(2)MES緩衝液pH6.0中のCpe−T450S439−587;(3)MES緩衝液pH6.5中のCpe−T450S439−587;(4)HEPES緩衝液pH7.0中のCpe−T450S439−587;(5)HEPES緩衝液pH7.5中のCpe−T450S439−587;(6)トリス・HCl緩衝液pH8.0中のCpe−T450S439−587;(7)トリス・HCl緩衝液pH8.5中のCpe−T450S439−587;(8)トリス・HCl緩衝液pH9.0中のCpe−T450S439−587
図11は、Cpe0147−T450S439−587の診断的メチル領域の1D H NMRエンドポイント分析を示している。各タンパク質試料(濃度250μM)を、pHのエステル結合安定性又は加水分解に対する作用を分析するために、様々なシステムにおいて、20時間(特に指定しない限りは)インキュベーションした。メチル領域のシグナル(例えば、−1ppmの一重線)は、タンパク質−ペプチドコンジュゲートの形成の指標である。図面の注釈に示したように、試料は、上から下へ、以下である:(1)トリス・HCl緩衝液pH9.0中のCpe−T450S439−587;(2)トリス・HCl緩衝液pH8.5中のCpe−T450S439−587;(3)トリス・HCl緩衝液pH8.0中のCpe−T450S439−587;(4)HEPES緩衝液pH7.5中のCpe−T450S439−587;(5)HEPES緩衝液pH7.0中のCpe−T450S439−587;(6)MES緩衝液pH6.5中のCpe−T450S439−587;(7)MES緩衝液pH6.0中のCpe−T450S439−587;(8)MES緩衝液pH5.5中のCpe−T450S439−587
図12は、T450S変種のエステル結合の形成及びタンパク質安定性を示す、Cpe−T450S 439−587の診断的メチル領域の1D H NMRの経時分析を示す。タンパク質Cpe−T450S439−587(濃度250μM)は、トリス・HCl緩衝液pH9.0中でインキュベーションし、且つNMRスペクトルは、図上に注釈したように、異なる時点で収集した。
図13は、反復されたCpe0147−T450S439−587(Cpe−T450S439−587)エステル結合形成及び加水分解サイクルのSDS−PAGE分析を示す。Cpe−T450S439−587タンパク質の単独の試料は、エステル結合形成を促進するか(50mM MES pH5.5、0.1mM塩化カルシウム及び20%(v/v)グリセロール)又はエステル結合加水分解を誘導するか(50mMトリス・HClpH9.0)のいずれかの緩衝液間でサイクルさせた。同じタンパク質試料を、これら2種の緩衝液の間で3回サイクルさせた。より遅い加水分解工程のために、この試料は、最大反応を確実にするために、各工程で24時間透析した。SDS−PAGEゲルレーンは、以下であった:(1)結合形成された、トリス・HCl、pH7.0緩衝液システム中のCpe−T450S439−587−クロマトグラフィーにより大腸菌から精製され、且つサイズ排除クロマトグラフィー工程を続け、単独種を単離した;(2)トリス・HCl、pH7.0緩衝液システム中のCpe−T450S439−587、親和性クロマトグラフィーにより大腸菌から精製された混合された集団;(3)結合再形成された、MES緩衝液システム中のCpe−T450S439−587((2)由来)−1;(4)結合再加水分、トリス・HCl緩衝液システム中のCpe−T450S439−587((3)由来)−1;(5)結合再形成、MES緩衝液システム中のCpe−T450S439−587((4)由来)−2;(6)再加水分解された、トリス・HCl緩衝液システム中のCpe−T450S439−587((5)由来)−2;(7)再形成された、MES緩衝液システム中のCpe−T450S439−587((6)由来)−3;(8)再加水分解された、トリス・HCl緩衝液システム中のCpe−T450S439−587((7)由来)−3。
図14は、構築体AのMBP-Cpe0147439−563融合体、及び構築体BのCpe0147565−587-eGFP融合体のライゲーションされた集成体のX線小角散乱法を示している。図14Aは、X線小角散乱強度により測定された、MBP−Cpe−GFP構築体のSEC−SAXS溶出プロファイルを示す。点線は、散乱プロット(図14Bに示す)を生じるために平均化した、散乱データを表している。図14Bは、散乱角に対しプロットしたSAXSデータを示す(log(I)、対、q[Å−1];白丸、平均化し且つ溶媒−減算した)。差し込み図:直線性(ln(I*C)、対、q[Å−2])を示す、低角(low angle)データのGuinierプロット。図14に示したデータは、図3Aに示したアブイニシオエンベロープを誘導するために使用した。
図15は、タンパク質データバンクにおいて公開されたCpe0147タンパク質(PDB ID:4NI6)の第一のIg様ドメインの活性部位内の、重要な反応性残基及びアクセサリー残基の相対位置を示す。この活性部位は、トレオニン(又は本明細書記載のようにセリン)及びグルタミン又はグルタミン酸又はグルタメート反応性残基並びにヒスチジン及びアスパラギン酸のアクセサリー残基を含む。
図16は、分子間エステル結合形成に必要な、ヒスチジン及びアスパラギン酸アクセサリー残基を伴う、トレオニン及びグルタミン反応性残基を含む、4つの活性部位のアミノ酸残基の空間配置を示す。選択された原子名にラベルをつけた。この図は、タンパク質データバンクファイル4MKMからのPymol及び座標を用いて作製した。
図17は、このドメインの最初及び最後のベータ−鎖を架橋する分子間エステル結合を含む9つのIg様ドメインの構造オーバーレイを示している。図17Aは、黒色線により接続されたCα位置を伴うドメインの全体図であり、且つ重要な反応性残基及びアクセサリー残基は、白色スティックモデルで示している。図17Bは、黒色線により接続された主鎖Cα位置を伴う、白色のボール−スティックモデルの、トレオニン及びグルタミンの反応性残基並びにヒスチジン及びアスパラギン酸のアクセサリー残基の側鎖の拡大図である。
図18は、エステル結合架橋を形成することが可能である、モビルンカス・ムリエリス由来のアドヘシンタンパク質ドメインのアミノ酸配列を示す(LPXTG−モチーフ細胞壁アンカードメインタンパク質、タンパク質ID:EFM47174.1)。反応性残基及びアクセサリー残基は、太字である。 図18は、エステル結合架橋を形成することが可能である、モビルンカス・ムリエリス由来のアドヘシンタンパク質ドメインのアミノ酸配列を示す(LPXTG−モチーフ細胞壁アンカードメインタンパク質、タンパク質ID:EFM47174.1)。反応性残基及びアクセサリー残基は、太字である。
図19は、重要な反応性残基及びアクセサリー残基を含む、9種のモビルンカス・ムリエリスのアドヘシンタンパク質ドメインの複数の配列アラインメントを示す。反応性残基及びアクセサリー残基は、強調している。
図20は、自発的に形成されるエステル結合を介して共有的に連結された不−可逆的に連結されたタンパク質ドメインの「幹」、及びカーゴとして機能性ドメインを運搬するペプチド結合パートナーを含む、不−可逆的に連結された又は可逆的に連結された、選択的に標的化されたドメインのいずれかを含む「幹」を含む、多価のタンパク質スカフォールドの絵図表示を示す。
図21Aは、Molドメインを架橋結合するエステル結合の修飾された境界を示す概略図を示す。各操作されたMolドメインは、未変性のドメイン境界と比較する場合に、ずらされる。操作された構築体は、それら自身のC−末端ベータ−鎖を欠き、代わりにN−末端に融合された先行するドメインのC−末端ベータ−鎖を有する。混合される場合、隣接ドメインは、鎖相補性を介して結合し、且つ自発的エステル結合形成により一緒にライゲーションし、未変性様ドメイン構造を再形成する。図21Bは、X線小角散乱法(SAXS)により可視化された、Mol7−11連結生成物を示す。SAXSデータから誘導された構築されたアブイニシオエンベロープは、最大寸法〜220Åの分子を説明し、これは5つのタンパク質鎖としてモデル化された原子レベルのX線結晶構造と、非常に良くフィットしている。
図22は、Molドメイン間のエステル結合形成のSDS−PAGE分析を示す。Mol8、Mol9、Mol10及びMol11の試料は、全ての可能性のある組合せで混合し、24時間インキュベーションした後、SDS−PAGEにより分析した。認めることができるように、Molドメインは、非−隣接ドメイン間の交差反応性を伴わない、特定の順序でエステル結合を形成する。
図23は、実施例17において本明細書において説明された、モビルンカス・ムリエリス由来のMol7a、Mol8、Mol9、Mol10及びMol11タンパク質の操作されたIg様ドメインのアミノ酸配列を示す。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインは斜体で示し、Mol幹ドメインは通常文字で示し、鎖相補性領域には下線を付け、且つ反応性残基及びアクセサリー残基は太字で記した。
図24は、実施例18に説明されたように調製された、Cpe2−HL−Molドメインの操作されたドメイン構造を示す概略図を示す。各構築体は、ヘリカルリンカーを介してN−末端に融合されたCpe2枝ドメインを伴う、Mol幹ドメインからなる。枝ドメインは、C2pept−タグ付きカーゴタンパク質を捕獲し、これは自発的エステル結合形成によりその構築体へ共有的にライゲーションされる。
図25は、実施例18に記載したような、抗原−提示スカフォールドツリーの集成のプロセスを示している概略図を示す:(A)各枝−幹ドメインは、C2pept−タグ付き抗原へ個別にライゲーションされる。(B)ライゲーションされた抗原−枝−幹構築体は混合され、特定された順序で、4つの個別のT−抗原への共有的連結により、ツリー様構造を形成する。(C)各集成されたツリーは、4つの抗原の各々の1つのコピーを含む。
図26は、枝−幹構築体とそれらの各々のC2pept−T−抗原の間の反応のSDS−PAGE分析を示す。A. T1抗原。B. Cpe2−HL−Mol10(M10)。C. T1+Cpe2−HL−Mol10。D. T3.2抗原。E. Cpe2−HL−Mol9(M9)。F. T3.2+Cpe2−HL−Mol9。G. T13抗原。H. Cpe2−HL−Mol8(M8)。I. T13+Cpe2−HL−Mol8。J. T18.1抗原。K. Cpe2−HL−Mol7(M7)。L. T1+Cpe2−HL−Mol7。
図27は、ツリー集成体のSDS−PAGE分析を示す。A.ツリーの全ての成分は、一緒にライゲーションし、>250kDa移動する生成物を形成する。B.IMACフロースルー。T18.1(Cpe2−HL−Mol7にライゲーションされる)のみ、無傷のHis−タグを有する。全ての一時的に形成された複合体は、カラムを通過し、完全に形成されたツリー及びモノマー性T18.1−Cpe2−HL−Mol7のみ、親和性カラム上に留まった。C.IMAC溶出。D.IMAC溶出したタンパク質のSEC精製。最初のピークは、完全に形成されたT−抗原ツリーを含む。E.第二の小さいSECピークは、モノマー性T18.1−Cpe2−HL−Mol7を含む。
図28は、実施例18において本明細書で説明した操作されたCpe2−Molタンパク質構築体のアミノ酸配列を示す。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインは斜体で示し、Cpe2枝ドメインには下線を付け、ヘリカルリンカードメインは下線をつけた斜体で記し、且つMol幹ドメインは通常文字で示した。
図29は、実施例18において本明細書で説明した操作されたC2pept−T抗原タンパク質構築体のアミノ酸配列を示す。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインは斜体で示し、C2peptタグ及びリンカードメインには下線を付け、且つT抗原配列は通常文字で示した。
図30は、eGFPを表示している多量体タンパク質スカフォールドの集成のプロセスを示す。(A)全ての枝−幹は、ペプチド−タグ付きeGFPカーゴへ個別にライゲーションされる。(B)、(C)ライゲーションされたeGFP−枝−幹構築体は混合され、ツリー様構造を形成する。
図31は、各枝−幹構築体とそれらの各々のpept−GFPカーゴの間の連結反応のSDS−PAGE分析を示す。A. 分子量ラダー。B. Corio−HL−Mol7タンパク質。C. Gberg1−HL−Mol8タンパク質。D. Gberg2−HL−Mol9タンパク質。E. Cpe2−HL−Mol10タンパク質。F. C2pept−GFPカーゴタンパク質。*G. Corio−HL−Mol7+Coriopept−GFP。H. Gberg1−HL−Mol8+Gberg1pept−GFP。I. Gberg2−HL−Mol9+Gberg2pept−GFP。J. Cpe2−HL−Mol10+C2pept−GFP。*他のペプチド−GFP構築体は、明確には示さないが、この試料とほぼ同一であるように見える。
図32は、追加のGFP−枝−HL−幹ドメインが追加されたためにライゲーションされた生成物の質量の増加を示す、eGFP−ツリー集成体のSDS−PAGE分析を示す。A. 分子量ラダー。B. Mol11タンパク質(M11)。C. GFP−Cpe2−HL−Mol10複合体(M10)。D. Mol11及びGFP−Cpe2−HL−Mol10複合体の連結(M11+M10)。E. M11+M10+GFP−Gberg2−Mol9(M9)の連結は、予想される〜150kDa生成物を生じる。F. M11+M10+M9+GFP−Gberg1−HL−Mol8(M8)の間の反応は、〜250kDaのヘテロ−四量体種を生じる。G. 図7Cに例示したような、完全なツリー集成体、M11+M10+M9+M8+GFP−Corio−HL−Mol7(M7)。H. 分子量ラダー。
図33は、実施例19において本明細書で説明した操作されたCpe様/Molタンパク質構築体のアミノ酸配列を示す。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインは斜体で示し、Cpe様枝ドメインには下線を付け、ヘリカルリンカードメインは下線をつけた斜体で記し、且つMol幹ドメインは通常文字で示した。
図34は、実施例19において本明細書で説明した操作されたCpe様/GFPタンパク質構築体のアミノ酸配列を示す。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインは、斜体で示し、C2peptタグ及びリンカーには下線を付け、且つGFPドメインは、通常文字で示した。
図35は、実施例20において本明細書において説明した、組換えT抗原及びT抗原−含有する多価の多量体タンパク質複合体の免疫原性のELISA分析の結果を示すグラフである。
発明の詳細な説明
本発明は、アミノ酸側鎖間に自発的に形成されるエステル結合架橋の形成、特に異なるタンパク質のアミノ酸側鎖間に自発的に形成される可逆的エステル結合架橋の形成、それにより2つ以上のタンパク質又はタンパク質−含有結合パートナーの連結が可能になる方法を提供する。従って本発明は、エステル結合の独自の特徴を探索することによる、タンパク質ライゲーション技術、特に可逆的であるライゲーションの必要性に対処する。この技術は、程度の微細な制御により操作されるべき複雑なタンパク質集成が可能である。
特定の態様において、本発明は、免疫グロブリン(Ig)様ドメインを含む1以上のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドに関し、ここでこのIg様ドメインは、Ig様ドメインの最後のβ−鎖を含む、切断型タンパク質及びペプチドにスプリットされる。特に、本発明の特定の実施態様は、切断型タンパク質、それらの誘導体又は断片、及びペプチド、それらの誘導体又は断片の間の、可逆的に自発的に形成されるエステル結合に関する。
他の態様において、本発明は、1以上の異種アミノ酸配列を含む1以上の切断型Ig様ドメインに関し、ここで2つ以上のこのような切断型Ig様ドメインが互いに接触する場合、Ig様ドメインは自己−重合を受ける。
特定の実施態様において、異種アミノ酸配列は、本明細書において「カーゴ」、例えば、「カーゴタンパク質」又は「カーゴ酵素」と称される。
本発明は更に、多数の付着したカーゴタンパク質を含む切断型Ig様ドメインに関し、ここで切断型Ig様ドメインは、可逆的に自己−重合する。特定の実施態様において、自己−重合するIg様ドメインは、同じIg様ドメイン−含有タンパク質に由来する。他の実施態様において、異なるIg様ドメイン−含有タンパク質由来のIg様ドメインは、自己−重合するか、又は可逆的に自己−重合する。
切断型の可逆的に自己−重合するIg様ドメインは、カーゴタンパク質の制御可能な集成体を提供する。例えば1以上の切断型の可逆的自己−重合するIg様ドメインは、1以上のカーゴタンパク質を含む、タンパク質「スカフォールドの」制御可能な集成体を提供する。特に、切断型の可逆的自己−重合するIg様ドメインは、多数の酵素の制御可能な集成に有用である。一部の実施態様において、本発明は、酵素収量を最適化するため、天然の酵素経路を模倣するために有用である。
本発明の特定の利点は、以下を含む:
a)増大したペプチド安定性、
b)高度に制御可能なタンパク質集成プロセス、
c)ペプチド及びタンパク質製造の容易さ及び効率性、
d)多量体タンパク質複合体中の非−隣接又は非−相補的結合対間の最小の架橋−反応性、
e)可逆的に自己触媒するペプチド架橋。
特定の定義
用語「及び/又は」は、「及び」又は「又は」を意味することができる。
本明細書において使用される用語「含む」は、「少なくとも一部はそれからなる」ことを意味する。その用語を含む本明細書における陳述を理解する上で、各陳述においてその用語の前に置かれる、特徴は、全て存在することが必要であるが、他の特徴も存在することができる。「含んでいる」及び「含まれた」などの関連用語は、同じ様式で理解されるべきである。
本明細書において使用される「精製された」は、絶対純度は必要ではなく;むしろ、問題の物質が、それが先に存在した環境よりもより純粋であるという、相対的用語が意図される。実際には、この物質は、典型的には、例えば、様々な他の成分を除去するための分別に供され、且つ生じる物質は、その所望の生物活性又は活性を実質的に保持している。用語「実質的に精製された」とは、製造時にそれらが会合され得る他の成分を少なくとも60%非含有、好ましくは少なくとも約75%非含有、及び最も好ましくは少なくとも約90%非含有、少なくとも約95%非含有、少なくとも約98%以上非含有である物質を指す。
用語「α−アミノ酸」又は「アミノ酸」は、α−炭素と指定される炭素に結合したアミノ基及びカルボキシル基の両方を含む分子を指す。好適なアミノ酸は、天然のアミノ酸のD−異性体及びL−異性体の両方、更には有機合成及び他の代謝経路により調製された天然に生じないアミノ酸を含むが、これらに限定されるものではない。文章が別に明確に指示しない限りは、本明細書において使用される用語アミノ酸は、アミノ酸アナログを含むことが意図される。
特定の実施態様において、本明細書において意図されるタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドは、天然のアミノ酸のみを含む。用語「天然に生じるアミノ酸」とは、天然に合成されるペプチドにおいて通常認められ、且つ一文字略語A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVにより公知である、20種のアミノ酸のいずれか一つを指す。他の実施態様において、本明細書において意図されるタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドは、1以上のアミノ酸アナログを含む。
用語「アミノ酸アナログ」又は「非天然のアミノ酸」は、アミノ酸に構造的に類似し、且つアミノ酸と置換され得る分子を指す。アミノ酸アナログは、アミノ基とカルボキシル基の間に1以上の追加のメチレン基を含むこと(例えば、α−アミノβ−カルボキシ酸)を除いて、或いは類似の反応基によるアミノ基又はカルボキシ基の置換(例えば、第一級アミンの第二級又は第三級アミンによる置換、もしくはカルボキシ基のエステルによる置換)を除いて、本明細書に規定されたような、アミノ酸と構造的に同一の化合物を含むが、これらに限定されるものではない。
別に指定しない限りは、当該技術分野の技術の範囲内である、分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の通常の技術を、本明細書記載の方法の実践において利用してよい。このような技術は、以下などの文献に十分に説明されている:Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第二版(Sambrookら、1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J. Gait編集、1984);Animal Cell Culture(R.I. Freshney編集、1987);Handbook of Experimental Immunology(D.M. Weir及びC.C. Blackwell編集);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M. Miller及びM.P. Calos編集、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M. Ausubelら編集、1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編集、1994);Current Protocols in Immunology(J.E. Coliganら編集、1991); The Immunoassay Handbook (David Wild編集、Stockton Press NY, 1994);Antibody: A Laboratory Manual(Harlowら編集、1987);並びに、Methods of Immunological Analysis (R. Masseyeff、W.H. Albert、及びN.A. Staines編集、Weinheim: VCH Verlags gesellschaft mbH, 1993)。
用語「ペプチド」及び同類のものは、任意の長さのアミノ酸残基の任意のポリマーを指すように、本明細書において使用される。このポリマーは、線状又は非線状(例えば分岐した)であることができ、これは修飾されたアミノ酸又はアミノ酸アナログを含むことができる。この用語はまた、天然に修飾された、或いは介入、例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化により、又は他の修飾もしくは操作、例えば標識もしくは生体活性成分とのコンジュゲートにより修飾されたアミノ酸ポリマーを包含している。
特定されたタンパク質に関して本明細書において使用される「断片」は、典型的には、特定されたタンパク質の少なくとも約10個の隣接アミノ酸を意図している。例えば、Ig様フォールド含有タンパク質由来のIg様フォールドドメインの断片は、該Ig様フォールドドメイン由来の10個以上の隣接アミノ酸を含む。同様に、配列番号1から4、21から30、又は31から58の一つで本明細書に提示されるアミノ酸配列の断片は、特定された配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む。
用語「切断型タンパク質」は、アドヘシンタンパク質Cpe0147のIg様ドメイン(残基439から563)の切断に由来したタンパク質を指すように、本明細書において使用される。用語「切断型タンパク質」の他の使用は、例えば異なる特定されたタンパク質の切断に関して、その用語が本明細書において使用される文脈から明らかであろう。
本明細書において使用される用語「枝」及び/又は「枝ドメイン」は、ペプチドタグ、結合パートナー、キメラタンパク質、タンパク質スカフォールド又はタンパク質複合体などの、本明細書のタンパク質−含有成分に関して使用される場合、1以上のカーゴを結合するライゲーション又は連結部分又は機能、或いは多量体タンパク質複合体の1以上の他のタンパク質成分に官能基を提供するポリペプチド又はタンパク質ドメインを意図している。枝ドメインの例は、例えば、実施例18及び19など、本明細書に提供され、且つ例えば、図20(成分V、W、X、Y、及びZとして)、並びに図24、25、及び30において描かれている。
本明細書において例示されるように、枝又は枝ドメインは、特定の実施態様において、ペプチドタグ/ペプチド結合パートナー相互作用及び/又は本明細書記載のような自発的共有結合形成を介して、1以上の他のタンパク質成分、1以上のカーゴ又は官能基、例えば1以上のカーゴタンパク質へ、「捕獲する」及び/又はライゲーションするであろう。
特定の明確に意図された実施例において、枝ドメインは、a)β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ配置内の自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である1つの反応性残基を含み、並びに該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも5個の隣接アミノ酸を含むか、或いはb)β−クラスプ含有タンパク質の断片を含み、ここで該断片は、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含み、且つβ−クラスプ含有タンパク質中の自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である反応性残基を含むか:のいずれかである。一例において、枝ドメインは、本明細書に例示されたCpe2−C2pept結合対の一部分を含み、ここでCpe2−C2pept結合対の相補的部分は、カーゴ上に存在するか、又はこれを含む。
本明細書において使用される用語「カーゴ」は、最終的に本明細書記載のキメラタンパク質又は多量体タンパク質複合体などのような、本明細書記載のタンパク質中にもしくはその上に存在するかそうでなければこれに組み込まれる官能基を意図する。特定の実施態様において、カーゴは、ペプチドタグもしくは結合パートナーに付着されるかもしくは付着されるべきであるか、又はキメラタンパク質もしくは切断型タンパク質の一部を含み、これは次に1以上の他のタンパク質成分に共有的に結合され、本明細書に提供されるような多量体タンパク質複合体を形成してよい。このようなカーゴはまた、本明細書において価数とも称され、これにより多価のタンパク質又はタンパク質複合体は、同じであるか又は異なって良い、複数のカーゴの存在を意図している。当業者により、特定の実施態様において、異種アミノ酸配列は、カーゴを含み、従って官能基又は官能基の一部を提供し得ることは理解されるであろう。
特に意図されるカーゴタンパク質は、酵素、又は酵素活性部位、多量体酵素もしくは酵素複合体の1以上のサブユニットなどの酵素の一部である。
本明細書において使用される用語「幹」及び/又は「幹ドメイン」は、ペプチドタグ、結合パートナー、キメラタンパク質、タンパク質スカフォールド又はタンパク質複合体などの、本明細書においてタンパク質−含有成分に関して使用される場合、それに1以上の更なる幹もしくは幹ドメイン、1以上の枝もしくは枝ドメイン、1以上のカーゴもしくは官能基、又は本明細書記載の多量体タンパク質複合体の1以上の他のタンパク質成分が共有的に結合される、スカフォールド部分又は機能を提供するポリペプチド又はタンパク質ドメインを意図している。従って、幹又は幹ドメインは、他の幹又は幹ドメインを含む、他の成分が形成されるものに対する又はその周囲のコアの成分として考えることができる。幹ドメインの例は、例えば、実施例18及び19において本明細書に提供され、且つ例えば、図20(成分1、2、3、4、及び5として)、並びに図24、25、及び30に描かれる。
本明細書に例示されるように、幹又は幹ドメインは、特定の実施態様において、1以上の他の幹もしくは幹ドメイン、又は1以上の枝もしくは枝ドメインなどの、1以上の他のタンパク質成分へ、ペプチドタグ/ペプチド結合パートナー相互作用及び/又は本明細書記載の自発的共有結合形成を介して、ライゲーションするであろう。
特定の明確に意図された実施例において、幹ドメインは、a)β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ配置内の自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である1つの反応性残基を含み、且つ該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも5個の隣接アミノ酸を含むか、或いはb)β−クラスプ含有タンパク質の断片を含み、ここで該断片は、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含み、且つβ−クラスプ含有タンパク質中の自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である反応性残基を含むか;のいずれかである。一例において、幹ドメインは、そのC−末端β−鎖又はその一部を欠いているIg様ドメインなどの、β−クラスプ含有タンパク質のIg様ドメインなどの、Ig様ドメイン又はその一部を含む。別の例において、幹ドメインは、別のIg様ドメインからのβ−鎖に加え、例えばβ−クラスプ−含有タンパク質の完全長β−クラスプドメイン中の先行するIg様ドメインからの最終のβ−鎖などの、別のIg様ドメインの最終β−鎖など、Ig様ドメイン又はその一部を含む。一例において、幹ドメインは、Cpe0147タンパク質からのIg様ドメインの少なくとも一部を含み、且つ任意に、完全長Cpe0147タンパク質中の先行するIg様ドメインの最終β−鎖などの、Cpe0147からの別のIg様ドメインの一部を含む、β−クラスプ−含有タンパク質のβ−クラスプドメインからの別のIg様ドメインの追加部分を有する。別の実施例において、実施例6から16に例示されたMolポリペプチド、又は実施例17から20に例示されたMolドメインなどの、1以上のIg様ドメインの1以上の部分を含む同等の幹ドメインが、使用される。
名詞に続く用語「(複数可)」は、単数又は複数の形、又は両方を意図している。
本発明は、前述のものからなり、且つ同じく以下が、例のみをもたらし、且つ決してその範囲を限定しないその構造も構想している。
Cpe0147アドヘシン
接着マトリクス分子を認識する微生物表面成分(MSCRAMM)は、非常に長く、薄い細菌の表面分子のクラスであり、且つプロテアーゼが豊富な環境において大きい機械的剪断ストレスに供される。MSCRAMMは典型的には、多くのドメインへフォールディングされた単独のポリペプチドである。特に、本発明は、グラム陽性菌由来のMSCRAMMアドヘシンタンパク質を活用する。本発明の例証的実施態様において、クロストリジウム・パーフリンゲンス由来のアドヘシンが使用される。実施例において本明細書において例示されたタンパク質及び細菌種を含む、C.パーフリンゲンス以外の細菌に由来し、且つ本明細書に記載のように利用されるアドヘシン又は関連タンパク質の他の例が、意図されている。アドヘシンは、表面への細菌の付着を媒介する点で重要である。クロストリジウム・パーフリンゲンスのアドヘシン(Cpe0147)のバイオインフォマティクス分析は、その構造が11の反復ドメインを含み且つC−末端の細胞壁−アンカリングモチーフ(5’-LPKTG)を末端としているシャフトにより、細胞壁に付着されたN−末端アドヘシンドメインを含むことを予測している。これらの反復ドメインは、各々が全てのβ−鎖IgG様フォールドを含むと予想される(Kwon, H.;Squire, C. J.;Young, P. G.;Baker, E. N.、Autocatalytically generated Thr-Gln ester bond cross-links stabilize the repetitive Ig-domain shaft of a bacgterial cell surface adhesin、P Natl Acad Sci USA 2014, 111 (4), 1367)。各ドメイン内で、最初のβ−鎖上のトレオニン残基の側鎖は、エステル結合により、最後のβ−鎖上のグルタミン残基の側鎖へ共有的に結合している。
自発的エステル結合形成
いずれかの機序理論に結びつけられることを欲するものではないが、エステル結合架橋は、Gln−580(又はGlu−580)へのThr−450の求核攻撃、His−572によるプロトン抽出(proton abstraction)、及びAsp−480/Glu−547対による結合分極により、アミノ酸側鎖上のヒドロキシル基とアミド基の間、又はヒドロキシル基とカルボン酸/カルボキシラート基の間に、自発的に形成されると考えられる。再度いずれかの理論に結びつけられることを欲するものではないが、本明細書に記載したようにそのような自発的共有結合形成を受けることが可能である他のIg様ドメインの反応性アミノ酸残基を含む活性部位に、同等の反応が予測される。
本明細書において使用される用語「エステル結合」は、その少なくとも1つがタンパク質主鎖に由来しない、ヒドロキシル基とアミドの間(アンモニア又は水分子の除去を伴う)、又はヒドロキシル基とカルボン酸又はカルボキシラート基の間の共有結合を指す。エステル結合は、単独のタンパク質内に分子内形成されるか、又は2つのペプチド/タンパク質又はタンパク質/タンパク質分子の間に分子間形成されてよい。
典型的には、エステル結合は、例えば、トレオニン又はセリン残基とグルタミン、グルタメート/グルタミン酸、アスパラギン又はアスパルテート/アスパラギン酸の間に生じてよい。エステル結合に関与した対の各残基は、本明細書において反応性残基と称される。従ってエステル結合は、トレオニン残基とグルタミン残基の間にできてよい。特に、エステル結合は、トレオニンの側鎖ヒドロキシルとグルタミンのアミド基の間に生じることができる。
本明細書で考察する用語「ペプチド結合対」は、1つの反応性残基を有する結合パートナー、及び第二の反応性残基を有する第二の結合パートナーを指す。接触した場合、各結合パートナー由来の反応性残基は、エステル結合架橋を形成する。1つの結合パートナーとエステル結合の形成が可能である1つの反応性残基を含む、本明細書において意図されるキメラポリペプチドなどのポリペプチドは、特定の実施態様において、別の結合パートナーとエステル結合の形成が可能である1以上の他の反応性残基を含み、これにより複数の結合パートナーを有することは理解されるであろう。2つ以上の結合パートナーを結合することが可能であるこのようなポリペプチドの代表例は、実施例において本明細書において提示される。従って、ペプチド結合対は、他の結合パートナーのその対において存在するペプチドへの結合を排除せず、且つ当業者は、更なる結合パートナーは、付着され、例えば、多量体タンパク質複合体の一部として、更なる結合対を形成することを理解するであろう。
ペプチド結合対の反応性残基間のエステル結合形成は、例えば、アスパラギン酸/アスパルテート及び/又はヒスチジンアミノ酸残基により促進され得る。自発的エステル結合形成を促進する各残基は、この残基は反応を促進するが、これにより修飾されないので、本明細書においてアクセサリー残基と称される。従ってアスパラギン酸及びヒスチジンは、反応性残基対の間の自発的エステル結合形成を促進し得る。
これらの反応性残基が接触された場合、反応性残基は、セリンプロテアーゼ活性部位様幾何配置を含むIg様フォールドを形成する。反応性残基及びアクセサリー残基を含むセリンプロテアーゼ活性部位様構造は、本明細書において、活性部位と称される(図15参照)。典型的には、活性部位の反応性残基及びアクセサリー残基は、例えば、図16に示したような空間配置を含む。
この活性部位は、例えばグルタミン、グルタミン酸又はグルタメート反応性残基などの第二の反応性残基、例えばヒスチジンなどの第一のアクセサリー残基、及び例えばアスパラギン酸などの第二のアクセサリー残基に密に近接しているトレオニン反応性残基を含む。例えば、トレオニン反応性残基のCβ原子は、反応性グルタミン残基のCδから、2.40、2.45、2.50、2.55、2.60、2.65、2.70、2.75、2.80又は2.85オングストローム以内であってよい。例えば、トレオニン反応性残基のCβ原子は、ヒスチジンアクセサリー残基のCγ原子から、4.50、4.55、4.60、4.65、4.70、4.75、4.80、4.85、4.90、4.95、5.00、5.05、5.15、5.20、5.25、5.30、5.35、5.40、5.45、5.50、5.55、5.60、5.65、又は5.70オングストローム以内であってよい。例えば、トレオニン反応性残基のCβ原子は、アスパラギン酸アクセサリー残基のCγ原子から、4.00、4.05、4.10、4.15、又は4.20オングストローム以内であってよい。
本明細書において使用される用語「自発的に形成される」は、存在する任意の他の物質(例えば、追加的酵素触媒)を含まずに、及び/又はタンパク質もしくはペプチドの化学修飾を伴わずに、タンパク質中に又はペプチドもしくはタンパク質の間に(例えば、2つのペプチド間又はペプチドとタンパク質の間に)形成することができる、結合、例えばエステル結合又は共有結合を指す。自発的に形成されるエステル結合は、タンパク質の生成後、又はペプチドもしくはタンパク質の結合パートナーの間の接触後に、例えば1、2、3、4、5、10、15、20、25、もしくは30分以内に、又は1、2、4、8、12、16、もしくは20時間以内になど、ほぼ直ちにできてよい。本発明者らは、アミノ酸側鎖間に自発的に形成されるエステル結合を維持するが、エステル結合形成を可逆性にはしない、Cpe0147、Ig様フォールド中のThr450>Serのアミノ酸置換を確立している。非天然の誘導体を含む、セリン相同体又は誘導体などの、可逆的エステル結合が可能である他のアミノ酸置換も同じく、意図されている。
本明細書において使用される用語「可逆的」とは、トリガー、例えばpH変化により開始される場合、加水分解され得る、加水分解可能なエステル結合を指す。典型的には、加水分解可能なエステル結合は、セリン残基と、グルタミン、グルタメート、又はグルタミン酸残基の間にできてよい。好ましくは、エステル結合は、セリン残基の側鎖ヒドロキシル基とグルタミン残基のアミド基の間に生じることができる。
明確に意図された実施態様において、Cpe1047のIg様フォールド中のSer450置換により例示されたものなど、その中のエステル結合がpH約7以上で存在する複合体を維持することは、セリン−含有エステル結合の加水分解につながる。とりわけ、複合体中に存在し且つ例えば、可逆性ではない他のエステル結合は、セリン−グルタミン又はセリン−グルタメート/グルタミン酸のエステル結合には関与せず、加水分解されない。当業者は、この特異性は、本明細書に記載され且つ例示された多量体タンパク質複合体の方向付けられた構築に寄与することを認めるであろう。
本明細書に意図されたような可逆性エステル結合は、特定の実施態様において、その中又はその間に可逆性エステル結合が存在するタンパク質複合体、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドが、好適な条件に投入された後に、ほぼ直ちに加水分解される。例えば、結合は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、もしくは30分以内に、又は1、2、4、8、12、16もしくは20時間以内に加水分解される。本明細書に提示される実施例において例示されたように、pHは、本明細書に記載されたセリン−グルタミン又はセリン−グルタメート/グルタミン酸のエステル結合の可逆性の重要な決定因子であり、ここでpH7以上への上昇は、加水分解につながる。実施例において概説されたように、緩衝条件及び緩衝剤、二価の陽イオンの存在もしくは非存在、及び/又はグリセロールなどの分子密集剤の存在もしくは非存在などの他の因子は、加水分解反応の速度論及び平衡に影響を及ぼし得、且つ当業者は、本明細書に説明されたタンパク質複合体中に存在する可逆性エステル結合の所望の及び/又は最適な加水分解を提供するために、本明細書に提供される説明を用い、反応条件を確定することができる。
「保存的アミノ酸置換」は、その中のアミノ酸残基が、化学的に類似した又は誘導された側鎖を有する別の残基で置き換えられているものである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、例えば、当該技術分野において規定されている。これらのファミリーは、例えば、塩基性側鎖を持つアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アスパルテート/アスパラギン酸、グルタメート/グルタミン酸)、非帯電の極性側鎖を持つアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分岐した側鎖を持つアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、並びに芳香族側鎖を持つアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。非限定的にN−アルキル化されたアミノ酸(例えば、N−メチルアミノ酸)、D−アミノ酸、β−アミノ酸、及びγ−アミノ酸を含む、非天然のアミノ酸により置換されたペプチドのような、アミノ酸アナログ(例えば、リン酸化された又はグリコシル化されたアミノ酸)も、本発明において意図される。
ペプチドモチーフ
Cpe0147に加え、本発明者らは、自発的エステル結合形成が可能である反応性アミノ酸残基及びアクセサリーアミノ酸残基を含む、モビルンカス・ムリエリス由来の複数のアドヘシンタンパク質ドメイン[配列番号21−29、31]を含む、他のペプチド/構造を確定した。グルタミン反応性アミノ酸残基及びヒスチジンアクセサリー残基を含む、HxDxxDxxQペプチド配列モチーフを確定した。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフは、例えば、ペプチド結合対、本明細書記載のキメラタンパク質の一部、又は本明細書記載の多量体タンパク質複合体のためのもしくはこれのタンパク質成分の一部の1つのペプチドを形成してよい。自発的エステル結合形成が可能であるHxDxxDxxQペプチドモチーフを含むペプチド/構造の代表的リストは、図19及び本明細書の別所に示している。更なるコンセンサスペプチド配列モチーフは、すなわち、[H/E]xDxx[D/S]xx[Q/E](配列番号55)、HxDxx[D/S]xx[Q/E](配列番号56)、HXDXXSXX[Q/E](配列番号57)、及び[H/E]XDXXXXX[Q/E](配列番号58)が、同定されている。再度、[H/E]xDxx[D/S]xx[Q/E]ペプチド配列モチーフ、及び/又はHXDXX[D/S]XX[Q/E]ペプチド配列モチーフ、及び/又はHXDXXSXX[Q/E](配列番号57)ペプチド配列モチーフ、及び/又は[H/E]XDXXXXX[Q/E](配列番号58)ペプチド配列モチーフは、例えば、ペプチド結合対、本明細書記載のキメラタンパク質の一部は本明細書記載の多量体タンパク質複合体のためのもしくはこれのタンパク質成分の一部の1つのペプチドを形成してよい。
前述の反応性アミノ酸残基及びアクセサリーアミノ酸残基を含む、数多くの代表的操作されたペプチド結合対は、実施例において本明細書において例示されており、ここで反応性アミノ酸残基及びアクセサリーアミノ酸残基の1以上は、1つのペプチドに存在し(例えば、表42及び44に示されたペプチド配列を参照)、並びに結合対を含む他の反応性アミノ酸残基及びアクセサリーアミノ酸残基の1以上は、別のペプチドに存在する(例えば、表41及び43に示されたペプチド配列)。更に、本明細書の実施例は、ペプチド結合対を例示し、ここで1つのペプチドは、反応性アミノ酸残基とアクセサリーアミノ酸残基の2種以上のセットを含み、複数の結合パートナーにライゲーションすることができる。例として、例えば実施例18及び19に提示された特定のペプチド構築体は、相補的「幹」ドメインにライゲーションすることができる反応性アミノ酸とアクセサリーアミノ酸の1セット(例えば、図24に図示され、且つ表41に提示されたアミノ酸配列において同定されたMol幹ドメインなど)、並びに、カーゴタンパク質(例えば、図24に図示され、且つ表42に示したアミノ酸配列の同定されたC2pept−Tタンパク質構築体など)を含む結合パートナーへライゲーションすることができる反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸の更なるセットを含む。
技術の応用
本発明は、分子生物学、免疫学、合成生物学、ナノ技術の分野、及び他の関連分野において有用であることは理解されるであろう。例えば、本発明は、関心対象のペプチド及び/又はタンパク質の精製、検出及び同定、酵素のレジリエンス及び有効性を増強するためのタンパク質スカフォールディングにおいて有用である。
当業者は、本発明のポリペプチドは、特定の実施態様においてクラスター化されたマルチ酵素複合体の天然の抗力に匹敵する自己−集成する酵素複合体の操作に関して適していることを理解するであろう。現在のタンパク質スカフォールドは、酵素化学量論の限界のある制御により、小型の2又は3の酵素複合体に限定されることは理解されるであろう(Lee, H.;DeLoache, W. C.;Dueber, J. E., Spatial organization of enzymes for metabolic engineering. Metab Eng 2012, 14(3) 242-251、Horn, A. H. C.;Sticht, H., Synthetic protein scaffolds based on peptide motifs and cognate adaptor domains for improving metabolic productivity. Frontiers in Bioengineering and Biotechnology, 2015, 3(191), 1-7、及びChen, R. Chen, Q.;Kim, H.;Siu, K. H.;Sun, Q.;Tsai, S. L.;Chen, W.、Biomolecular scaffolds for enhanced signalling and catalytic efficiency. Curr Opin Biotech 2014, 28, 59-68)。現在特徴付けられているかどうかにかかわらず、酵素経路の一部を形成する全ての酵素は、意図されている。
特定の実施態様において、本発明は、特定の配置中の酵素経路を同時局在化するモジュラービルディングブロックである。例えば幹ドメイン内の、適切なペプチドタグ/結合パートナー対の選択により、多量体タンパク質複合体は、方向を持った様式で集成されることができ、その結果カーゴタンパク質又は他の官能基は、予め決定された配置中に位置づけられることができる。特定の実施態様において、実施例、特に実施例17−19において示されたように、5つの異なる幹ドメインの適切な選択は、単独の反応において実施例17において使用された幹ドメインの場合において、現在の技術とは異なり、特定の順序の少なくとも5ドメインでの各ビルディングブロックの複合集成体が可能である。
本明細書記載の構築体及び方法は、当業者が、特定の順序で自己−アレンジする幹ドメインを選択及び構築し、これにより幹ドメインが、1以上のIg様フォールドの少なくとも一部を含み、結果的にIg様フォールドの第一の部分を含む第一の幹ドメインと、Ig様フォールドの相補的部分を含む第二の幹ドメインの間の特異的相補性は、これら2つの幹ドメイン間のエステル結合の特異的結合及び形成につながることを可能にする。当業者に理解されるように、特に実施例17−19に提示されるものなどの、本明細書に提供される実施例を考慮し、Ig様フォールドの2以上の部分を有する1以上の幹ドメインの適切な構築は、そのような幹ドメインが、2以上の他の幹ドメインに結合することを可能にし、次に予め決定された順序で幹ドメインの方向を持った結合を可能にする。例えば、特定の実施態様において、1つの幹ドメインは、例えば、β−クラスプ配置中に通常存在するβシートの最初又は最後のβ−鎖の少なくとも一部を含み、且つ第二の幹ドメインは、β−鎖又はβシートの少なくとも相補的部分を含み、これにより、第一及び第二の幹ドメインの結合上にβ−クラスプ配置を反復発生する。
特定の実施態様において、本明細書において意図された多量体タンパク質複合体は、それにカーゴ又は官能基が付着された単独の幹又は枝ドメインを含む。他の実施態様において、本明細書において意図された多量体タンパク質複合体は、複数の幹ドメイン及び/又は枝ドメインを含み、その1以上のいずれかには、1以上のカーゴ又は官能基が付着されている。従って特定の実施態様において、本明細書において意図された多量体タンパク質複合体は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は5よりも多いタンパク質成分、例えば2、3、4、5又は5よりも多い幹ドメイン、枝ドメイン、又はカーゴタンパク質を含む。例えば、2、3、4、5又は5よりも多い幹ドメインを含む多量体タンパク質複合体は、本明細書において例示されたように、明確に意図されている。本明細書において例示されたものを含む、そのような多量体タンパク質複合体は、追加のタンパク質成分、例えば、2、3、4、5、もしくは5よりも多い枝ドメイン、及び/又は2、3、4、5、もしくは5よりも多いカーゴタンパク質を含む。
先に概説したように、現在の技術とは異なり、本発明は、通常単独の反応で、少なくとも5ドメインの特定の順序で、各ビルディングブロックの集成体を複合することができることは理解されるであろう。本発明の特定の実施態様において、5個以上のモジュラービルディングブロックのナノ鎖が、作出され得る。10個以上のビルディングブロックのナノ鎖が、意図されている。現在の技術とは異なり、本発明は、単独の反応混合物中で作製される集成体を複合することができることも理解されるであろう。
特定の実施態様において、本発明は、例えば循環腫瘍細胞(CTC)を含む稀細胞の単離(磁気ビーズ−アフィボディ捕獲)におけるなど、精製、検出及び同定の用途に有用である。現在の技術は、典型的には、腫瘍マーカーを低レベルで発現しているCTCを捕獲することが難しいので制限される。本発明により可能となる強力な自発的に形成される共有結合が診断方法の感度を増強することは、理解されるであろう。
特定の実施態様において、本発明は、例えば原子間力顕微鏡(AFM)チップ上に固定することにより、タンパク質の機構的/物理的特徴の研究において有用である。本発明の結合特異性は、より特異性が低いジスルフィド結合を基にした現在のアプローチと比べ、タンパク質の機構的特性の研究に適していることは理解されるであろう。
特定の実施態様において、本発明は、例えば酵素の環状化による酵素のレジリエンス及び安定性の増加に有用である。本発明により可能な増大した酵素のレジリエンス及び安定性は、生体内変化、バイオ燃料製造及び分子診断などの、多くの重要な用途において望ましいことは理解されるであろう。
特定の実施態様において、本発明は、例えば抗体への抗原の共有的付着において、合成ワクチン製造に有用である。合成ワクチン製造に関する現在の技術は、典型的には、時間を要し、経費がかかり、且つ発現される分子のサイズにより制限されることが多い。本発明は、より少ない経費及びより短い時間で高い特異性を伴い集成され得る様々なタンパク質サブユニットの製造が可能である。
特定の実施態様において、本発明は、外膜小胞中の酵素又はタンパク質の治療的送達に有用である。現在の技術を用い、組換え産物は、典型的には単独の微生物培養により生成され、且つ使用のために精製されることは理解されるであろう。組換え産物を発現している宿主内のその産物の蓄積は、毒性につながり且つ収量を制限することが多い。本発明は、細胞毒性を低下し、且つ収量を増加する外膜小胞中の組換え産物の生成を可能にする。
特定の実施態様において、本発明は、触媒性バイオフィルムを構築するために有用である。本発明は、バイオフィルムを、触媒酵素などの機能性ペプチドを展示するように操作することが可能である。
特定の実施態様において、本発明は、タンパク質の発現及び溶解度の分析に有用である。発現及び溶解度分析の現在の方法は、典型的には多くの精製工程を必要とし、非常に時間を要することは理解されるであろう。本発明は、関心対象のタンパク質への蛍光ラベルの付着により、迅速な発現及び溶解度分析が可能である。
特定の実施態様において、本発明は、タンパク質ベースのヒドロゲルの製造において有用である。本発明は、生理的条件下で自発的にできるタンパク質スカフォールドの合成を可能にすることは理解されるであろう。
特定の実施態様において、本発明は、合成ナノファイバーの製造において有用である。本発明は、自己-重合するタンパク質モノマーの製造を可能にする。
多価のタンパク質構造は、ペプチド結合対の様々な組合せを用い集成されることができ、ここで一方の結合パートナーは、活性部位を反復発生し且つ自発的結合形成を可能にするのに十分な、本明細書記載の自発的に反応する活性部位の成分を含み、且つ他方の結合パートナーは、自発的に反応する活性部位の残りの成分を含むことは、本明細書を読む上で理解されるであろう。結合パートナー成分及び活性部位成分の好適な選択により、結合の特異性及び選択性は、複数の官能基を保持するタンパク質スカフォールドの順序のある構築を可能にするように、達成することができる。このようなスカフォールドの一つの代表を、図20に示しており、ここで選択的ペプチド結合パートナーは、活性部位を反復発生し、異なる機能性カーゴを一緒にし、本明細書記載の自発的エステル結合形成により形成された構造中心それ自身に、これらの官能基を共配置する。可逆性結合及び不可逆性結合の両方が形成され、その構造中心の脱構築を必ずしも生じずに、異なる官能基の交換、又は官能基の置き換えが可能である。
図20に描かれたもの、並びに例えば実施例18及び19に例示されたものなどの、複数の官能基を保持するタンパク質スカフォールドもまた、本明細書において多価の多量体タンパク質複合体と称される。特定の実施態様において、そのようなスカフォールドは、同じ官能基の複数のコピーを保持し、そのためホモバレント(homovalent)な多量体タンパク質複合体又はマルチ−ホモバレントな多量体タンパク質複合体と称すことができる。他の実施態様において、そのようなスカフォールドは、異なる官能基の複数のコピーを保持し、そのためヘテロバレントな多量体タンパク質複合体又はマルチ−ヘテロバレントな多量体タンパク質複合体と称すことができる。
本明細書において具体的に説明及び/又は例示された1以上のタンパク質成分を含むそのような複合体を含む、配列番号1−4又は21−30のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含むか、及び/又は配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸などの、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む、1以上のタンパク質成分を含むマルチ−ホモバレントな多量体タンパク質複合体を含むホモバレントな多量体タンパク質複合体、及びマルチ−ヘテロバレントな多量体タンパク質複合体を含むヘテロバレントな多量体タンパク質複合体は、本明細書の表37から41の一つにおいて同定された該アミノ酸配列中に存在する2以上のドメイン由来の少なくとも1つのアミノ酸を含み、且つ本明細書において明確に意図されている。
以下の実施例は、明白に又は暗黙にのいずれかで、任意の様式、形状、又は形態において、本発明を例証することが意図されているが、限定するものではない。これらは使用されるものの典型であるが、当業者に公知の他の手順、方法論、又は技術を、代わりに使用してよい。
実施例
方法論
細菌株、プラスミド及びオリゴヌクレオチド
大腸菌株DH5αを、全てのDNA操作に使用し、且つBL21(λDE3)(Stratagene)株を、タンパク質発現のために使用した。培養は、アンピシリン(100μg/ml)を補充した、2xYT培地中で、37℃で成長させた。使用したオリゴヌクレオチドプライマーは、表1に列記している。
C2 Cpe0147構築体のクローニング
Cpe0147アミノ酸配列439−563(完全配列についてはUniprotエントリーB1R775参照)をコードしているDNAを、Kwonらの論文(2014)において先に報告されたC2構築体から、プライマーPYC2NtermFwd[配列番号5]及びPYC2NtermRev[配列番号6]を用いて、PCR増幅した。増幅したPCR断片を、EcoRI及びKasI制限エンドヌクレアーゼにより消化し、発現ベクターpMBP−ProExHta(Invitrogen)へクローニングした。pMBP−ProExHtaは、先にTing, Y. T.;Batot, G.;Baker, E. N.;Young, P. G.の論文Acta crystallographica. Section F, Structural biology communications 2015, 71, 61において報告されており、これは、マルトース結合タンパク質(MBP)遺伝子を、pProExHtaのHis6−タグとrTEV(組換えタバコEtchウイルスプロテアーゼ)切断部位の間に挿入することにより作製した。生じたベクターpMBP−Cpe0147439−563は、N−末端His−タグ付きMBP融合タンパク質、それに続くrTEV切断部位及びCpe0147439−563切断型タンパク質ドメインを作製した。
切断可能なrTEV認識配列を欠いている第二の構築体を、Cpe0147439−563の、先にTingらの論文(2015)において説明されたベクターpMBP3へのサブクローニングにより作製した。生じたベクターpMBP3L−Cpe0147439−563は、N−末端His−タグ付きMBP融合タンパク質、それに続く−AGA−3残基リンカー及びCpe0147439−563切断型タンパク質ドメインを作製した。
第三の自己−重合性構築体は、プライマーFwdcomp1[配列番号7]及びPYC2NtermRev[配列番号6]を使用する、C2構築体からの、Cpe0147アミノ酸配列416−563のPCR増幅により作製した。増幅されたPCR断片は、EcoRI及びKasI制限エンドヌクレアーゼにより消化し、発現ベクターpMBP−ProExHtaへクローニングし、構築体pMBP−Cpe0147416−563Polyを作出した。
Cpe0147の残基565−587由来のN−末端ペプチドタグを伴う操作された増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)を含む構築体を、以下のように作製した。Cpe0147の残基565−587をコードしている特注した相補性76bp合成オリゴヌクレオチドCtermpeptF2[配列番号8]及びCtermpeptR2[配列番号9];Integrated DNA Technologies)を、100℃から20℃への温度勾配を適用することにより、アニーリングした。アニーリングされた生成物は、KasI及びNcoI制限エンドヌクレアーゼ部位に相補的な一本鎖オーバーハングを含み、且つKasI部位とNcoI部位の間で、構築体SP−GFP(Tingら、2015)のeGFPのN−末端で挿入し、構築体pC2pept−GFPを作出した。この構築体は、N−末端His−タグ配列、それに続くrTEV切断部位及びeGFPに融合されたCpe0147565−587 ペプチド配列を含む。全ての構築体は、オークランド大学生物化学学部DNAシークエンシング施設(School of Biological Sciences, University of Auckland)において配列を検証した。
Cpe0147の部位特異的変異誘発
pMBP3L−Cpe0147439−563のT450S変種を、鋳型としてのpMBP3L−Cpe0147439−563による、リン酸化プライマーPYC2T13SFwd[配列番号10]及びPYC2T13SRev[配列番号11]を使用する、インバースPCR部位特異的変異誘発により作製した。簡単にいうと、高−忠実度DNAポリメラーゼ(iProof、Bio−Rad)を、pMBP3L−Cpe0147439−563プラスミドのPCR増幅に使用し、センスプライマーの5’端に所望の変異を持つ線状化されたPCR産物を作製した。次にT450S変異を持たないメチル化された親鋳型を、DpnI消化により、非−メチル化線状PCR産物から取り除いた。最後に、このPCR産物を、分子間ライゲーションにより、再環状化した。生じたプラスミドpMBP3L−Cpe0147−T450S439−563を、大腸菌DH5α細胞へ形質転換し、増幅し、抽出し、且つ配列検証のために精製した。完全に無傷のドメインCpe0147−T450S439−587も、操作した。
タンパク質発現及び精製
組換え発現構築体を収容する大腸菌BL21(λDE3)細胞を、アンピシリン(100μg/ml)を補充した2xYT培地において、オービタル振盪機(180rpmで)上で、37℃で、光学密度OD600=0.5〜0.6まで成長させた。タンパク質発現を、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)最終濃度0.3mMの添加により誘導し、培養物を、更に18℃で16時間インキュベーションさせた。細胞を、4℃で、4000gで20分間ペレット化し、瞬間凍結させ、−20℃で貯蔵した。
組換えタンパク質を、凍結細胞から精製し、これは解凍し、完全EDTA−非含有プロテアーゼインヒビターカクテル錠(Roche)を添加した、溶解緩衝液[50mM HEPES pH7.0、300mM NaCl、5%(v/v)グリセロール、10mMイミダゾール]中に再浮遊させ、18,000psiで細胞破壊装置(Constant Systems)を用いて溶解させた。不溶性タンパク質画分を、遠心分離(55,000g、4℃で30分間)により除去し、可溶性組換えタンパク質画分を、固定式金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)による精製のために、5mL Protino NiNTA 5カラム(Macherey−Nagel)上に負荷した。組換えタンパク質は、洗浄緩衝液[50mM HEPES pH7、300mM NaCl、20mMイミダゾール]により洗浄し、溶出緩衝液(500mMイミダゾールを含む洗浄緩衝液)により、直線勾配で溶出した。
除去可能なHis−又はHis/MBP親和性タグを持つ構築体について、組換えタンパク質を含有するIMAC由来の画分を、>100×容積の透析緩衝液[20mM HEPES pH7、100mM NaCl、1mMベータ−メルカプトエタノール]に対し一晩透析し、且つrTEVの組換えタンパク質に対するモル比1:50で組換えTEVプロテアーゼを使用し、His6−タグ又はHis−MBPを同時に除去した。未消化のタンパク質及びrTEVプロテアーゼを、第二ラウンドIMACにより除去した。切断されたHis−MBPタグを持つタンパク質を、アミロース樹脂(NEB)を通過させることによる追加の精製に供し、夾雑している切断されたMBPタンパク質を除去した。精製されたタンパク質を濃縮し、且つ10mM HEPES pH7及び100mM NaClで平衡化したSuperdex 200 10/300カラム(GE Healthcare)上で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に供した。SEC−精製したタンパク質を、〜20mg/mlまで濃縮し、液体窒素によりフラッシュ凍結し、引き続き−80℃で貯蔵した。
ペプチド合成
Cpe0147565−587を含む合成ペプチドを、好適に官能基化されたアミノメチルポリスチレン樹脂を使用する0.1mmolスケールのTribute(Tucson、Az)自動合成装置上で、Fmoc/tBu固相法を用いて調製した。簡単に述べると、N−Fmoc基を、DMF(v/v)中の20%ピペリジンにより2×5分間除去し、生じるFmocアミノ酸(0.5mmol)を、DMF中で、HATU(0.45mmol)及びDIPEA(1mmol)と20分間カップリングさせた。このペプチドを、95%TFA、2.5%TIPS及び2.5%水(v/v/v)により、3時間かけて樹脂から放出させ、エーテルにより沈殿させ、且つ遠心分離により除去した。粗ペプチドを、その分析プロファイル及びLC−MSにより確認した質量を基に、好適な勾配を使用する逆相HPLCにより精製した。
質量分析
Cpe0147439−563−Cpe0147565−587産物のタンパク質質量は、ポジティブモードでのESIを用いるHewlett Packardシリーズ1100 MSD質量分析計を備える、Agilent 1120コンパクトLCシステムを用い、LC−MSにより確認した。LC−MSは、Zorbax SB−300 C3(5μm;3.0×150mm)カラム(Agilent)、及び流量0.3ml/分で、21分間にわたり5%から65%のBの直線勾配(〜3%のB/分)を用いて行った。使用した溶媒システムは、A(HO中0.1%ギ酸)及びB(アセトニトリル中0.1%ギ酸)であった。データ(date)は、400−2000のm/z範囲内で獲得し、且つm/z値は、デコンボルーションし、モノアイソトピック質量を得た。全ての他の質量分析実験は、オークランド大学の質量分析センター(オークランド、ニュージーランド)において、LC−MS/MS、Q−Star XL四重極飛行時間型システムを用い、行った。
エステル結合ライゲーション反応
Cpe0147439−563の最初のタンパク質精製を、トリス・HCl(pH8.0)緩衝システムにおいて行った。pH及び緩衝システムに対する作用を調べる最初の実験は、希釈したタンパク質から残留トリス・HCl(〜2−5mM)及びNaCl(5mM)を含んだ。引き続きの実験のために、タンパク質を、HEPES緩衝システムにより精製した。エステル結合形成を決定する反応は、10μMのタンパク質濃度により実行した。−80℃で貯蔵した濃縮したタンパク質を解凍し、〜20倍希釈し、反応緩衝液中10μMとし、一方他の成分の濃度は変動させた。全ての反応物は、特に言及しない限りは、20℃でインキュベーションした。時間経過実験に関して、試料は、反応チューブ中により大きい容積から収集し、SDS負荷緩衝液の添加及び99℃で〜3分間の加熱により停止した。
NMR分光法
NMR実験は、BBFOプローブを装備した、Bruker 500MHz装置を使用して実施した。通常の5mm NMRチューブ(Norell)を使用した。試料は典型的には、90%HO及び10%DOを含んだ。特に言及しない限りは、全ての実験は、300Kで行った。標準Hプロトンパルス配列を使用し、ウォーターサプレッションを、2ms Squa100.1000パルスでの、励起スカルプティング法により達成した。シングル−パルスニューテーション法を用いるパルスチップ−アングル検量(Bruker pulsecal routine)(Wu, P. S. C.;Otting, G. J. Magn. Reson. 2005, 176, 115)を、各試料について行った。
X線小角散乱法
X線小角散乱法のための試料は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、10mM HEPES pH7.0、100mM NaClへ緩衝液交換した。データは、Australian Synchrotron SAXS/WAXSビームラインで、0.006<q<0.6Å−1(q=4πsin(θ)/ λ)の運動量移行範囲を対象とする、カメラ長1.6mの、波長1.03Åで、収集した。データは、SEC−SAXSにより収集し、且つscatterBrain及びPRIMUSを用い処理した。SAXSデータは更に、GASBOR及びDAMMIFにおいて作製されたアブイニシオモデリングを含むASTASパッケージのプログラムを用い、並びにDAMAVERで作製されたコンセンサスモデルにより分析した(Petoukhov, M. V.;Franke, D.;Shkumatov, A. V.;Tria, G.;Kikhney, A. G.;Gajda, M.;Gorba, C.;Mertens, H. D.;Konarev, P.V.;及び、Svergun, D.I.、J Appl Crystallogr. 2012, 45, 342)。
ライゲーションされたMBP−Cpe−GFP集成体のX線小角散乱法を行い、構造の低解像度エンベロープを決定した。データは、SEC−SAXSにより、Superdex S200インクリース5/150 GLカラム(GE Healthcare Life Sciences)へ注入した12mg/mlタンパク質の25μlから、2秒毎に収集した。SEC溶出プロファイルの中央ピークを表す画像(イメージ120−130)を、散乱曲線に示したように(図14A)、分析のために使用した。緩衝液を減算した散乱曲線は、Guinierプロット(挿入図)と共に、図14Bに示している。SAX分散パラメータ及び統計を、表2に示している。
モビルンカス・ムリエリスアドヘシンの3ドメイン構築体のX線結晶解析
モビルンカス・ムリエリス株BV 64−5[ATCC(登録商標)35240(商標)]の3−ドメインエステル結合構築体のクローニングを、ゲノムDNAからのPCR増幅及び制限クローニングにより達成した。4つの重複する3−ドメインエステル結合構築体を、表3に列挙した遺伝子特異的プライマー対を用い、M.ムリエリスゲノムDNA(ATCC(登録商標)35240(商標))から、PCR増幅した。簡単に述べると、GC−リッチ緩衝液により高−忠実度DNAポリメラーゼ(iProof、Bio−Rad)を、0.5ngゲノムDNAからの3−ドメイン構築体のPCR増幅に使用した。増幅したPCR断片を、KasI及びXhoI制限エンドヌクレアーゼにより消化し、発現ベクターpProExHta(Invitrogen)へクローニングし、以下の構築体を作製した:Mol3−5、Mol5−7、Mol7−9、及びMol9−11。生じたプラスミドを、配列検証し、タンパク質発現のために、大腸菌BL21(DE3)細胞へ形質転換した。
組換え発現構築体を収容する大腸菌BL21(λDE3)細胞を、アンピシリン(100μg/ml)を補充した2xYT培地において、オービタル振盪機(180rpmで)上で、37℃で、光学密度OD600=0.5〜0.6まで成長させた。タンパク質発現を、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)最終濃度0.3mMの添加により誘導し、培養物を、更に18℃で16時間インキュベーションさせた。細胞を、4℃で、4000gで20分間ペレット化し、瞬間凍結させ、−20℃で貯蔵した。
組換えタンパク質を、凍結細胞から精製し、これは解凍し、完全EDTA−非含有プロテアーゼインヒビターカクテル錠(Roche)を添加した、溶解緩衝液[50mM HEPES pH7.0、300mM NaCl、5%(v/v)グリセロール、10mMイミダゾール]中に再浮遊させ、18,000psiで細胞破壊装置(Constant Systems)を用いて溶解させた。不溶性タンパク質画分を、遠心分離(55,000g、4℃で30分間)により除去し、可溶性組換えタンパク質画分を、固定式金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)による精製のために、5mL Protino NiNTA 5カラム(Macherey−Nagel)上に負荷した。組換えタンパク質は、洗浄緩衝液[50mM HEPES pH7、300mM NaCl、20mMイミダゾール]により洗浄し、溶出緩衝液(500mMイミダゾールを含む洗浄緩衝液)により、直線勾配で溶出した。
組換えタンパク質を含有するIMAC由来の画分を、>100×容積の透析緩衝液[20mM HEPES pH7、100mM NaCl、1mMベータ−メルカプトエタノール]に対し一晩透析し、且つrTEVの組換えタンパク質に対するモル比1:50で組換えTEVプロテアーゼを使用し、His6−タグを同時に除去した。未消化のタンパク質及びrTEVプロテアーゼを、第二ラウンドIMACにより除去した。精製されたタンパク質を濃縮し、且つ10mM HEPES pH7及び100mM NaClで平衡化したSuperdex 200 10/300カラム(GE Healthcare)上で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に供した。SEC−精製したタンパク質を、〜200−400mg/mlまで濃縮し、及びMol5−7の場合750mg/mlに濃縮し、液体窒素によりフラッシュ凍結し、引き続き−80℃で貯蔵した。
セレノメチオニン−標識したMol7−9タンパク質を、メチオニン生合成の阻害を基にした改変プロトコール(Doublie S, Carter C. (1992) Preparation of Selenomethionyl Protein Crystals. Oxford University Press. New York)を用いて、作製した。簡単に述べると、2xYT培地を、M9最小培地と置き換え、細胞を、未変性のタンパク質の発現について説明した前記プロトコールのように成長させた。一旦OD600が1.5に到達したならば、リジン、フェニルアラニン及びトレオニンの各々100mg/l並びにイソロイシン、ロイシン及びバリンの各々50mg/lを、この培養物に添加した。次に豊富なL−セレノメチオニン(60mg/l)を添加し、細胞を、37℃で更に15分間成長させ、その後0.1mM IPTGにより、18℃で16時間誘導した。
精製した組換えタンパク質は、部分的にコンパイルされた結晶化スクリーンを使用し、290Kで、シッティングドロップ蒸気拡散結晶化スクリーニング試験に供した。最初の結晶化条件は、ハンギングドロップ蒸気拡散フォーマットにより、等量のウェル溶液と混合した1μlタンパク質溶液により、最適化した。各構築体に関する結晶化条件、タンパク質濃度及び凍結防止溶液は、表4及び5に列挙した。
X線回折データは、Australian Synchrotron(MX1及びMX2)において収集した。データは、XDS(Kabsch, W. (2010). XDS. Acta Cryst. D66, 125-132)及びPOINTLESS/AIMLESS(Evans, P.R. & Murshudov, G.N. (2013) Acta Cryst. D69, 1204-1214)により、処理し且つスケール化した。Smet−Mol7−9の構造は、SADによる位相決定により解明した。位相決定、密度変更及びモデルビルディングには、SHELX−CDEを使用した(A short history of SHELX. Sheldrick, G.M. (2008). Acta Cryst. A64,112-122)。モデルビルディングは、COOTにより完了した(Emsley, P., Lohkamp, B., Scott, W. G. & Cowtan, K. (2010). Acta Cryst. D66, 486 - 501)。SeMet−Mol7−9構造は、REFMACにより精緻化した(Murshudov G. N., Skubak P., Lebedev A. A., Pannu N. S., Steiner R. A., Nicholls R.A., Winn M.D., Long, F. & Vagin, A.A. (2011). Acta Cryst. D67, 355-367)。Mol7−9の未変性構造並びにMol9−11、Mol5−7及びMol3−5の構造は、先に解明された各構造の重複するドメインを使用する、分子交換により解明し、REFMACを用いて精緻化した。最終検証には、MOLPROBITYを使用した(Chen V. B., Arendall W. B. 3rd, Headd J. J. , Keedy D. A., Immormino R. M., Kapral, G.J., Murray, L.W., Richardson, J.S. & Richardson, D.C. (2010). Acta Cryst. D66, 12 - 21.)。
実施例1
この実施例は、Cpe0147439−563切断型タンパク質ドメインとCpe0147565−587ペプチドの間のエステル結合の自発的形成を明らかにする。
方法
Cpe0147残基439−587を包含しているIg様ドメインを、2つのパーツに分けた;配列439−563を含む切断型タンパク質、及びそのドメインの最終β−鎖を含む残基565−587(DTKQVVKHEDKNDKAQTLVVEKP [配列番号3])ペプチド。切断型タンパク質は、マルトース結合タンパク質(MBP)構築体として、大腸菌において組換えにより作製し、引き続きMBPタグを除き、他方で相補的C−末端ペプチドを化学的に合成した。
結果
一緒に混合した場合、これらのN−末端切断物及びペプチドは、共有的エステル結合連結を自発的に形成し、これはSDS−PAGE分析において明確である(図2A及び図5)。この複合体の質量は、質量分析により、17129.2±1.4Da(計算値17131.6Da)と確認した。このシステムにおけるエステル結合形成の速度は、インキュベーション条件を最初のトリス・HCl(pH8.0)システムから変更することにより最適化し、分子密集剤、二価陽イオン及び特異的pH緩衝分子を含むことにより達成される結合形成速度は、有意に増加した(図2A)。最適化された反応緩衝液は、50mM HEPES(pH7.0)、10mM NaCl、100μM CaCl及び20%グリセロールを含有している。この反応緩衝液を10μMタンパク質と共に用い、タンパク質:ペプチド比1:2で、エステル結合形成反応は、5分間と短い間にほぼ完了した(図2B)。結合形成の速度は、4℃〜28℃の温度範囲にわたり類似しており、氷上又は冷蔵庫内でインキュベーションされる実験が可能である。
興味深いことに、pH/緩衝液スクリーニングは、使用した特定の緩衝分子は、溶液それ自身のpHよりも、結合形成により大きい影響を及ぼすことを示唆している(図6及び図7)。最も有効な緩衝分子MES、MOPS及びHEPESは、全て両性イオン性であり、アルキル(エチル又はプロピル)連結したスルホン酸官能基を持つ飽和された複素環式6員環を含む。
実施例2
この実施例は、2つのタンパク質間の共有の架橋を明らかにしている。
方法
N−末端のMBP−タグ付きCpe0147切断型タンパク質は、Cpe0147アドヘシンタンパク質の残基565−587に由来する、N−末端ペプチドタグにより操作された増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)と対形成した。
結果
先に最適化した緩衝液システム中での、Cpe0147439−563切断型タンパク質ドメインのeGFPに融合したCpe0147565−587ペプチド配列とのインキュベーションは、質量84,580Daの二量体の不可逆的に架橋した集成体を作製した。MBP−Cpe0147−eGFPライゲーション産物は、X線小角散乱(SAXS)により可視化した。構築されたアブイニシオエンベロープ(図3A)及びSAXSデータから誘導した粒子分布関数は、最大寸法〜176Åの分子を説明しており、これはライゲーションされた集成体の個別の成分の既知のサイズと非常に良くフィットしている。図3B及び図3Cに図示した時間経過は、〜1時間の時点でのエステル結合形成が50%に及び6時間で〜90%変換に近づいたことを示している。
実施例3
この実施例は、Cpe0147439−563切断型タンパク質ドメインのインビボにおける自己−重合を明らかにしている。
方法
Cpe0147のIg様ドメインは、自己−重合性構築体として操作され、全長に沿ってMBP−カーゴタンパク質を展示している中心のCpe0147−由来の柄を含むナノ鎖を形成した(図3D、右側)。そのC−末端β−鎖を欠いているCpe0147の切断型第二ドメインは、完全長Cpe0147タンパク質において先行するIg様ドメインの最終β−鎖(残基416−438、DTKQVVKHEDKNDKAQTLIVEKP[配列番号4])を含むように、伸びたそのN−末端を有した。His−タグ付きMBPカーゴタンパク質は、このN−末端伸長に融合され、このタンパク質は、発現され、且つ固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー樹脂を用い、粗細菌溶菌液から単離される。
結果
SDS−PAGE分析は、〜56kDa(モノマー)から>500kDa分子質量までの範囲の種の混合物による、重合の指標である診断的ラダーパターンを示している(図3D)。この結果は、インビトロにおいて開発されたエステル結合技術は、架橋形成並びに細菌の内部でのタンパク質分解及び加水分解の両方に対する安定性による、インビボにおける実験に振り替え可能であることを示している。
実施例4
この実施例は、可逆的エステル結合を明らかにしている。
方法
架橋しているThr−Gln対を、Ser−Gln対と置き換えた(T450S変種)。先に最適化した緩衝液システム下での、Cpe0147のIg様ドメイン2のT450S変種を使用する、Ser−Gln架橋の形成は、トリプシン消化及び質量分析により最初に確認した(図9)。この同じシステムにおいて、加水分解反応性は、SDS−PAGE及びH−NMRにより評価し(図10から図12)、最適化し、その後本発明の3種のタンパク質のMBPカーゴシステムのT450S変種に適用した(図4)。
結果
低pH条件下並びにCaCl及びグリセロールの存在下で、この構築体は、安定しており、且つ加水分解しないエステル結合を形成する(図4A及び図4B)。しかし、pH8〜9までのpH上昇並びにCaCl及びグリセロールの除去は、エステル結合の加水分解を促進し、野生型Glnの代わりにGluアミノ酸を残した(図4A及び図4B)。
図4Cに示した、エステル結合形成及び加水分解の時間経過は、野生型システムのように、二相指数関数モデルにフィットすることができる;結合形成に関して会合モデルに、及び加水分解に関して崩壊モデルに。T450Sシステムにおけるエステル結合形成は、野生型同等物のように、〜1時間で、>50%変換を示し、このことはこれらが、それらのライゲーション能においてほぼ同等であることを示唆している。加水分解は、結合形成よりもより遅く、〜20%無傷のエステル結合が20時間後も残存している。
加水分解後、分離されたMBP構築体及びeGFP構築体は、エステル結合形成を開始する本発明者らの低pHの最適化された条件への緩衝液の交換により、簡単に再ライゲーションすることができる。これは、野生型Glnは、活性部位において、Gluと置き換えることができ、且つ依然エステル結合を形成するということを暗示している。興味深いことに、結合形成及び結合破壊のプロセスは、同じ試料について、少なくとも3つのサイクルを通じて完了される(図13)。
実施例5
この実施例は、Cpe0147−ドメイン2の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Cpe0147−ドメイン2(残基439-587)のペプチド配列は、Uniprot(エントリーB1R775)から入手した。
Cpe0147-ドメイン2の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、タンパク質データバンクファイル4MKMから得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子は、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Cpe0147-ドメイン2
表6は、Cpe0147-ドメイン2のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表7に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表8に列記している。
実施例6
この実施例は、T450S−Cpe0147−ドメイン2の活性部位におけるペプチド配列及び必須残基を明らかにしている。
方法
Cpe0147-ドメイン2(残基439-587)のペプチド配列は、Uniprot(エントリーB1R775)から入手し、且つアミノ酸位置450のトレオニンは、セリンアミノ酸と置き換えた。
T450S−Cpe0147-ドメイン2
表9は、T450S−Cpe0147-ドメイン2のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQ配列モチーフには、下線をつけている。
実施例7
この実施例は、Mol3の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol3のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol3の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol3−Mol4−Mol5構築体(E0QN07配列5430−5825)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol3
表10は、Mol3のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表11に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表12に列記している。
実施例8
この実施例は、Mol4の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol4のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol4の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol3−Mol4−Mol5構築体(E0QN07配列5430−5825)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol4
表13は、Mol4のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表14に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表15に列記している。
実施例9
この実施例は、Mol5の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol5のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol5の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol3−Mol4−Mol5構築体(E0QN07配列5430−5825)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol5
表16は、Mol5のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表17に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表18に列記している。
実施例10
この実施例は、Mol6の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol6のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol6の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol5−Mol6−Mol7構築体(E0QN07配列5681−6100)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol6
表19は、Mol6のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表20に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表21に列記している。
実施例11
この実施例は、Mol7の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol7のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol7の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol5−Mol6−Mol7構築体(E0QN07配列5681−6100)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol7
表22は、Mol7のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表23に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表24に列記している。
実施例12
この実施例は、Mol8の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol8のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol8の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol7−Mol8−Mol9構築体(E0QN07配列5958−6383)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol8
表25は、Mol8のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表26に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表27に列記している。
実施例13
この実施例は、T6105S−Mol8の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol8のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手し、且つアミノ酸位置6105のトレオニンを、セリンアミノ酸と置き換えた。
T6105S−Mol8の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol7−T6105S−Mol8−Mol9構築体(E0QN07配列5958−6383)の未公表のX線結晶構造から得た。Mol7−Mol8−Mol9(E0QN07配列5958−6383)の野生型DNA配列を、部位特異的変異誘発に供し、Mol8のT6105S変種を作出した。Mol7及びMol9ドメイン配列は、野生型配列を含んだ。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。セリン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
T6105S−Mol8
表28は、T6105S−Mol8のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
セリン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表29に列記している。
セリンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表30に列記している。
実施例14
この実施例は、Mol10の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol10のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol10の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol9−Mol10−Mol11構築体(E0QN07配列6247−6669)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol10
表31は、Mol10のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表32に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表33に列記している。
実施例15
この実施例は、Mol11の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol11のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol11の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol9−Mol10−Mol11構築体(E0QN07配列6247−6669)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol11
表34は、Mol11のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
トレオニン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表35に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表36に列記している。
実施例16
この実施例は、Mol9の活性部位における必須残基のペプチド配列、相対原子配置、及び原子間距離を明らかにしている。
方法
Mol9のペプチド配列は、Uniprot(エントリーE0QN07)から入手した。
Mol9の自発的分子間エステル結合形成に関する4つの必須残基の各々に関する原子の座標データは、Mol9−Mol10−Mol11構築体(E0QN07配列6247−6669)の未公表のX線結晶構造から得た。タンパク質データバンク(PDB)標準直交座標系を使用した。トレオニン反応性残基のCβ(CB)原子を、参照座標(0、0、0)として選択した。
原子間距離は、ソフトウェアプログラムPymol内の距離測定ツールを用いて得た。
Mol9
表37は、Mol9のペプチド配列を示す。必須の反応性アミノ酸及びアクセサリーアミノ酸は、太字で記す。HxDxxDxxQペプチド配列モチーフには、下線をつけている。
セリン、アスパラギン酸、ヒスチジン及びグルタミン残基の原子の座標は、下記表38に列記している。
トレオニンのCβ(CB)からグルタミンのCδ(CD)、ヒスチジンのCγ(CG)及びアスパラギン酸のCγ(CG)までの原子間距離(オングストローム)を、下記表39に列記している。
実施例17
この実施例は、柄又は幹様多量体構造を形成するため、特定の順番で一緒にライゲーションする操作されたモビルンカス・ムリエリス(Mol)ドメイン間のエステル結合の自発的形成を通じた「幹」構造を有する共有的に連結した多量体タンパク質複合体の調製を明らかにしている。
方法
Mol7、Mol8、Mol9、Mol10及びMol11のIg様ドメインを修飾し、これにより各個別の構築体のドメイン境界をシフトさせ、その結果Mol7からMol10までの構築体は、それら自身の最終ベータ−鎖を欠き、且つ各Mol構築体は、先行するMolドメインの最終ベータ−鎖を含むようにN−末端で延長され、これは本明細書において鎖相補配列とも称される。His−タグ及びrTEV切断モチーフは、各N−末端伸長に融合され、各タンパク質は発現され、且つ粗溶菌液から、固定された金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)樹脂を用いて単離し、次にHis−タグを、rTEVプロテアーゼにより除去した。
この実施例において使用した修飾されたMol構築体Mol7a−Mol11のアミノ酸配列は、下記表40及び図23に示している。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインはイタリック体で示し、Mol幹ドメインは通常文字で示し、鎖相補領域には下線をつけ、且つ反応性残基及びアクセサリー残基は太字で示した。Mol7aドメイン構築体は、N−末端鎖相補配列を欠いているのに対し、Mol11ドメイン構築体は、N−末端Mol10鎖相補配列を伴う未変性のMol11ドメインで構成されている。
一緒に混合する場合各構築体は、鎖相補及びエステル結合形成を通じて特定の順序で他とライゲーションし(図21A参照)、図21A及び図21Bに示したように、未変性のドメイン構造と同等の構造を再編成する。
各構築体の特異性は、最適化された反応緩衝液(50mM HEPES(pH7.0)、10mM NaCl、100μM CaCl、及び20%グリセロール)中で、24時間、等モル量のMolドメインの添加により試験した。結合形成は、SDS−PAGEにより分析した。
結果
SDS−PAGE分析は、エステル結合のみ、隣接対間に形成される(図22)−すなわち、共有的に結合されたタンパク質構築体は、未変性のタンパク質中に存在するIg様ドメイン配列を反復発生することを示している。非隣接対の間には、エステル結合形成は存在しない。4種全ての構築体が混合される場合、4種の構築体の合計と一致する共有複合体が形成される。
考察
この実施例は、所望の規定された構造を有する多量体タンパク質複合体は、個別の成分構築体間の適切な相補性の選択を介して調製され得ることを明らかにしている。ここで、Mol Ig様タンパク質のβ−クラスプドメイン由来の相補的アミノ酸配列の選択は、方向を持ったライゲーション及び多量体タンパク質複合体の形成を可能にし、幹様スカフォールドを提供する。更に所望の規定された構造は、個別の成分全てが単独の反応に存在する場合であっても、達成することができる。
実施例18
この実施例は、互いに所望の関係で配置された機能活性(「価数」)を伴う「ツリー様」構造を有する、多価の多量体タンパク質複合体の形成を明らかにしている。
ここで、Mol幹ドメインは、特異的エステル結合ペプチドタグを持つカーゴタンパク質を捕獲する、Cpe0147 Ig様ドメイン2(Cpe2)枝ドメインを保持するように操作された。操作されたキメラMol−Cpe2(すなわち、モビルンカス・ムリエリス−クロストリジウム・パーフリンゲンスCpe0147 Ig様ドメイン2)構築体と、カーゴタンパク質の間のエステル結合の自発的形成は、特定の順序で各成分を一緒にライゲーションし、ツリー様構造を有する多量体タンパク質複合体を形成する。
方法
実施例17由来のMol7、Mol8、Mol9、Mol10及びMol11のIg様ドメインは、先に実施例1に説明したように、Cpe2ドメインと一緒にされるよう操作した。ここで、Cpe2ドメインは、ヘリカルリンカー(HL)へ、及びこのヘリカルリンカーは各ドメインのN−末端鎖相補性ペプチドのN−末端(Cpe2−HL−Mol)に融合させた。これは、Mol幹ドメイン及びCpe2枝ドメインが、α−ヘリカルリンカーにより分離されている構築体を形成する(図24)。
この実施例で調製されたCpe2−HL−Mol構築体のアミノ酸配列は、下記表41及び図28に示している。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインはイタリック体で示し、Cpe2枝ドメインには下線をつけ、ヘリカルリンカードメインは下線付きのイタリック体で示し、且つMol幹ドメインは通常文字で示している。Mol7b−含有する構築体は、本明細書記載のHXDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号56)コンセンサス配列、すなわちHXDXXSXX[Q/E](配列番号57)ペプチド配列モチーフの一例を具体化している。
N−末端C2peptタグを持つT抗原カーゴタンパク質(C2pept−Tタンパク質)を操作した。各々ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)の異なる株により天然に発現される4種の異なるT−抗原を使用し、4種の異なるC2pept−Tタンパク質構築体を生じた。
これらのC2pept−T構築体のアミノ酸配列を、下記表42及び図29に示している。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインはイタリック体で示し、C2peptタグ及びリンカーには下線をつけ、ヘリカルリンカードメインは下線付きのイタリック体で示し、且つMol幹ドメインは通常文字で示している。
これらのタンパク質構築体を、個別に発現させ且つ精製した。各成分は、構築体のN−末端に融合されたHis6−タグ及びrTEV切断モチーフを伴い、発現させた(すなわち、His6−rTEV−Cpe様−HL−Mol及びHis6−rTEV−pept−T18.1)。組換えタンパク質は、粗溶菌液から、固定された金属イオンアフィニティクロマトグラフィーを用いて単離し、引き続きT18.1を除く全てのタンパク質構築体から、His6−タグを、rTEVプロテアーゼにより除去した。
概略すると、多量体タンパク質複合体を以下のように調製した。各Cpe2−HL−Mol構築体を、対をなすC2pept−Tタンパク質へ個別に初回ライゲーションし(図25Aに図示したように)、その結果異なるT−抗原を、各独自のCpe2−HL−Mol構築体へライゲーションした。次にこれらの個別の反応物を、図25Bに示したように、一緒に混合し、これにより前記実施例16において先に説明したように、幹ドメインを、鎖相補性及び自発的エステル結合形成により、特定の順序で一緒に結合し且つライゲーションした。これは、エステル結合により共有的に連結されたツリー様構造を有する多量体タンパク質複合体を形成し、これは図25Cに示したように、枝末端にT−抗原を展示した。
等モル量の各Cpe2−HL−Mol構築体を、個別の反応において、対をなすC2pept−Tタンパク質へ、初回ライゲーションした。アリコートを、SDS−PAGEによる結合形成の検証のために、取り除いた。
次工程において、全ての個別にライゲーションされたT−タンパク質−Cpe2−HL−Mol構築体を、一緒に混合した。24時間インキュベーションした後、多量体タンパク質複合体を、IMACにより精製し、あらゆる部分的に形成されたスカフォールド及びあらゆるモノマー性タンパク質を除去した。T18.1タンパク質のみ、His−タグを保持し、その理由は他の構築体上の全てのHis−親和性タグは、rTEVプロテアーゼにより除去されるからであり、従ってT18.1を含む構築体のみ、親和性カラム上に保持された。
結果
SDS−PAGE分析(図26)は、各C2pept−Tタンパク質カーゴが、相補性Cpe2−HL−Mol構築体と混合される場合、Cpe2ドメインとC2pept−Tタンパク質の間にエステル結合が形成されたことを示している。特に、図26のレーンC、F、I及びLを参照し、そこでは各高MWの共有的に結合したCpe2−HL−Mol−C2pept−Tタンパク質を、図26の「架橋したT−抗原−枝−幹」として規定された位置に、容易に認めることができる。
4種のCpe2−HL−Mol−C2pept−Tタンパク質が一緒に混合され、インキュベーションされ、その後IMACにより精製される、第二のライゲーション工程の代表的結果を、図27に示した。
高分子量種は、IMAC前にインキュベーションした試料において認められ(図27、レーンA)、またフロースルー画分及び溶出された画分においても認められた(図27、各々、レーンB及びC)。IMAC精製から溶出したタンパク質は、図27のレーンCにおいて認められるように、2つの主要なタンパク質種を含んだ。>250kDaの主要な高MW複合体、及びおよそ70kDAのより小さいMWの複合体が、認められた。これらの分子量は、多価の多量体タンパク質複合体(すなわち、図25Cに図示した完全に形成された多量体タンパク質複合体)の理論的質量290kDa、及びモノマー性T18.1−Cpe2−HL−Mol7構築体の理論的質量69.1kDaと、各々、非常に良く対応していた。
これら2つの種は、各々、図27のレーンD及びEに示したように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分離した。
考察
この実施例は、規定された所望の構造を有し且つ予め決められた位置に異なるカーゴタンパク質を保持する多量体タンパク質複合体は、個別の成分構築体間の適切な相補性を介して調製され得ることを明らかにしている。ここで、Mol Ig様タンパク質のβ−クラスプドメイン由来の相補的アミノ酸配列の選択は、方向を持ったライゲーション及び幹様スカフォールドを提供する多量体タンパク質複合体の形成を可能にし、ここで各異なる「幹」成分は、特異的Cpe2−C2pept結合パートナー間の更なる共有的連結を介して、特異的機能性タンパク質カーゴを保持する。
この場合、各一価の構築体が単独の異なる抗原を有する、個別の一価の多量体タンパク質構築体(「幹−枝−カーゴ」タンパク質構築体)が、個別の反応において最初に調製された。これに、単独の第二の反応における複数の一価の多量体タンパク質構築体の組合せによる、規定された構造を有する所望の多価の多量体タンパク質複合体の形成が続く。多価の多量体タンパク質中に存在する異なる機能活性の間の構造相関は、ライゲーションパートナーの間の相補性の好適な選択により、及びライゲーション反応の適切な配列決定により、容易に適合させることができる。
実施例19
この実施例は、互いに望ましい関係で配置された機能活性を伴う「ツリー様」構造を有する多量体タンパク質複合体の形成を明らかにしている。
ここで、Mol幹ドメインは、クロストリジウム・パーフリンゲンス以外の種由来の細菌性アドヘシンから誘導された多様なCpe様枝ドメインを保持するように操作され、ここで各Cpe様枝ドメインは、共有的に連結したペプチドタグを有する。Cpe様枝ドメインと、それらの特異的ペプチドタグ付きカーゴ(ここでは、増強された緑色蛍光タンパク質、eGFP)の間のエステル結合の自発的形成は、特定の順序で各成分を一緒にライゲーションすることを可能にし、ツリー様構造を有する多価の多量体タンパク質複合体を形成する。
方法
Cpe様ドメインは、下記の給源からクローニングした:
Geberg1−ゲメラ・ベルゲリアエATCC 700627、寄託番号AWVP01000087
Gberg2−ゲメラ・ベルゲリアエATCC 700627、寄託番号ERK56535
Corio−コリオバクテリアセアエ菌68−1−3、寄託番号NZ_CP009302。
Mol7、Mol8、Mol9、Mol10及びMol11のIg様ドメイン(先に実施例18において説明した)を、ヘリカルリンカーを介して各ドメインのN−末端鎖相補性ペプチドのN−末端へ融合したCpe様ドメイン(例えば、Corio−HL−Mol、図30A)により操作した。この実施例において調製したCpe様−HL−Mol構築体のアミノ酸配列は、下記表43及び図33に示している。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインはイタリック体で示し、Cpe様枝ドメインには下線をつけ、ヘリカルリンカードメインは下線付きのイタリック体で示し、且つMol幹ドメインは通常文字で示している。
GFPカーゴタンパク質は、各々そのN−末端に先に概説したようなCpe様ドメインに対し相補的な特異的Cpe様peptタグを有するもので操作し、4種の異なるCpe様pept−GFPタンパク質構築体を生じた。4種の異なるCpe様pept−GFPタンパク質構築体のアミノ酸配列は、下記表44及び図34に示している。各配列において、HisTag及びrTEV切断ドメインはイタリック体で示し、Cpe様peptタグ及びリンカーには下線をつけ、且つGFPドメインは通常文字で示している。
これらの構築体は、個別に精製し、その後混合し、「ツリー様」構造を有する多量体タンパク質スカフォールド複合体へ集成した。各成分は、構築体のN−末端へ融合されたHis6−タグ及びrTEV切断モチーフと共に発現された(すなわち、His6−rTEV−Cpe様−HL−Mol及びHis6−rTEV−pept−GFP)。組換えタンパク質を、粗溶菌液から、固定された金属イオンアフィニティクロマトグラフィーを用いて単離し、引き続きHis6−タグをrTEVプロテアーゼにより除去した。
概略すると、多量体タンパク質複合体を以下のように調製した。各Cpe2−HL−Mol構築体を、対をなすCpe様pept−GFPタンパク質へ個別に初回ライゲーションし(図30Aに図示したように)、その結果GFP機能性を、各独自のCpe2様−HL−Mol構築体(例えばCorio−pept−GFP)へライゲーションした。次にこれらの個別の反応物を、図30Bに示したように、一緒に混合し、これにより幹ドメインを、鎖相補性及び自発的エステル結合形成により、特定の順序で一緒に結合し且つライゲーションした。これは、エステル結合により共有的に連結されたツリー様構造を有する多価の多量体タンパク質複合体を形成し、これは図30Cに示したように、枝末端にGFP機能性を展示した。
等モル量の各Cpe様−HL−Mol構築体を、個別の反応において、対をなすCpe様pept−GFPタンパク質へ、初回ライゲーションした。24時間インキュベーションした後、4種の個別のGFP−Cpe様−HL−Molライゲーション集成体を、キャッピングMol11ドメインと一緒にした。アリコートを、SDS−PAGEによる結合形成の検証のために、取り除いた。
次工程において、個別の反応物を一緒に混合し、ライゲーション生成物形成を調べた。
結果
個別の反応物のSDS−PAGE分析(図31)は、各Cpe様pept−GFPカーゴタンパク質がその相補的Cpe様−HL−Mol構築体と混合される場合に、エステル結合が、Cpe様ドメインとpept−GFPタンパク質の間に形成されることを示した。「架橋したGFP−枝−幹二量体」と表示された位置の、図31のレーンG、H、I及びJにおける高MW種を参照のこと。
24時間インキュベーションした後、4種の個別のGFP−Cpe様−HL−Molライゲーション集成体を、キャッピングMol11ドメインと一緒に組合せた。Mol幹ドメインは、鎖相補性を通じて会合し、「ツリー様」構造を有する多価の多量体タンパク質複合体を形成し、これは次にエステル結合形成を介して共有的に連結し、共有的に連結された多量体タンパク質を生じた。
図32において容易に認めることができるように、個別の反応物を混合した場合、ライゲーション生成物は、各連続するGFP−Cpe様−HL−Mol複合体の追加により、段階的に質量が増加した。例えば図32のレーンD、E、F、及びGを参照のこと。最終生成物は、特定された順序で一緒に共有的にライゲーションされた、9種の個別のタンパク質の複合体であった−「完全ツリー」とラベルされた位置のレーンGにおける高MW種を参照のこと。
考察
この実施例は、望ましい規定された構造を有し、且つ予め決定された位置に複数のカーゴタンパク質を保持する、多価の多量体タンパク質複合体は、個別の成分構築体間の適切な相補性により調製することができることを明らかにしている。ここで異なる細菌種由来のIg様タンパク質のβ−クラスプドメインからの相補的アミノ酸配列の選択は、幹様スカフォールドを提供する多量体タンパク質複合体の方向を持ったライゲーション及び形成を可能にし、ここで各異なる「幹」成分は、特異的Cpe様−Cpe様pept結合パートナー間の更なる共有的連結を介して、機能性タンパク質カーゴを保持する。
この場合においては、各一価の構築体がタンパク質機能性を有する、個別の一価の多量体タンパク質構築体(「幹−枝−カーゴ」タンパク質構築体)を、個別の反応において最初に調製した。これに、複数の段階的反応における複数の一価の多量体タンパク質構築体の組合せによる、規定された構造を有する所望の多価の多量体タンパク質複合体の形成が続く。多価の多量体タンパク質に存在する機能活性の間の構造上の関係は、ライゲーションパートナー間の相補性の適切な選択により、及びライゲーション反応の適切な配列により、容易に適合させることができる。
実施例20
この実施例は、互いに所望の関係に配置された機能活性を持つ「ツリー様」構造を有する多価の多量体タンパク質複合体の形成を介した、複数のタンパク質カーゴの機能活性及びこれらのタンパク質官能基の共配置を明らかにしている。
方法
実施例18に説明したように調製した多価のT抗原−含有多量体タンパク質複合体の免疫原性は、ウェスタンブロット及びELISAにより分析した。
多量体タンパク質複合体のアリコートは、SDS−PAGEにより電気分解し(実施例18において先に概説し、且つ図27に図示した)、且つ標準技術を使用するウェスタンブロット分析のためにメンブレンへ転写した。ELISAプレートを、個別の組換えT抗原タンパク質又は完全多価の多量体タンパク質複合体(例えば、図27、レーンDにおいて「架橋したT−抗原ツリー」として同定された種)のいずれかによりコーティングした。次にこれらのプレートを、以下のT抗原の抗血清と共にインキュベーションした:T1タイピング血清はT1抗原に対し特異的であり、T6タイピング血清はT6抗原に対し特異的であり、且つT18タイピング血清はT18抗原に対し特異的である。T18特異的モノクローナルFABであるアルファE3もまた使用し、且つ組換えT18又はT抗原ツリーとのみ反応性があった。組換えT6タンパク質は、本多量体タンパク質の一部ではないので、このT抗原を陰性対照として使用した。
結果
ウェスタンブロット分析(データは示さず)は、本多価の多量体タンパク質複合体は、T抗血清との免疫原性を発揮することを確立し、これはT抗原は、本多価の多量体タンパク質複合体と共配置されていることを確認した。
ELISAの結果は、図35に示している。T1タイピング血清は、T1組換えタンパク質により、及び多価の多量体タンパク質により結合されたが、T18又はT6組換えタンパク質へは結合されなかった。同様に、T18タイピング血清及びT18−特異的FABアルファE3の両方は、組換えT18タンパク質へ、及び多価の多量体タンパク質へ結合した。本多価の多量体タンパク質への反応性は、T6タイピング血清により示されず、これはT6抗原は本多価の多量体タンパク質上に存在しないことと一致した。
考察
これらの結果は、タンパク質カーゴの機能は、本明細書に説明されたような多価の多量体タンパク質複合体に存在する場合に、維持されることを明確に明らかにしている。先に報告されたウェスタンブロット分析は、本タンパク質複合体中に成分T抗原を含む線状エピトープの存在を確立している。更に、非変性条件下で実行されるELISAは、本多価の多量体の複合体中に存在する抗原は、それらの未変性のコンホメーション及び免疫原性機能を維持することを確立している。
この実施例は、複数のタンパク質カーゴの機能−この場合各T抗原の免疫原性機能「価数」−は、維持され、且つ本明細書記載のような多価の多量体タンパク質複合体により提示されることを明らかにしている。ここで、各異なる「幹」成分が機能性タンパク質カーゴを保持する場合、幹様スカフォールドを提供する多量体タンパク質複合体の方向を持ったライゲーション及び形成は、規定された構造様式で複数の官能基の提示及び共配置を可能にする。
産業的応用
本発明は、多量体複合体の、特に共有的に連結した多量体タンパク質複合体の制御された集成及び分解を可能にする、ペプチド及びタンパク質のライゲーション技術を提供する。従って、本発明は、バイオ医学、医薬、診断、遺伝子操作、農業、及び園芸栽培の部門を含む、広範な産業における適用を有する。
前述の説明的言及が、公知の同等物を有する構成要素又は整数を作製する場合、そのような同等物は、個別に言及されるように含まれる。
本発明は、実施例により及び特定の実施態様を参照し説明されているが、本発明の範囲又は精神を逸脱することなく、修飾及び/又は改善が行われてよいことは理解されるべきである。
加えて、本発明の特徴又は態様がマーカッシュグループの観点から説明される場合、当業者は、これにより、本発明はまた、マーカッシュグループの個別のメンバー又はメンバーの亜群の観点から説明されることを認めるであろう。

Claims (86)

  1. ペプチドタグ及び結合パートナー対であって、ここで
    a)ペプチドタグが、β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ配置内に自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である1個の反応性残基を含み、且つここでこのペプチドタグが、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも5個の隣接アミノ酸、例えば、8、10、12、14、又は16個のアミノ酸を含み、且つ任意にβ−クラスプ含有タンパク質の全アミノ酸配列を含まず;
    b)該結合パートナーが:
    i. β−クラスプ含有タンパク質の個別の断片を含み、ここで該断片は、該β−クラスプ含有タンパク質の少なくとも約10個の、例えば、20、30、40、50個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片と少なくとも75%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を含み;
    ii. β−クラスプ含有タンパク質中に自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である他の反応性残基を含み:並びに
    該ペプチドタグ及び結合パートナーは、自発的に形成されるエステル結合を形成することにより互いに結合することが可能である、ペプチドタグ及び結合パートナー対。
  2. a)ペプチドタグが、βシートを形成することが可能である少なくとも10個のアミノ酸を含み、ここでこれらのアミノ酸の1つが、Ig様フォールド含有タンパク質のIg様フォールド中の分子間エステル結合を自発的に形成することが可能である反応性残基であり、ここでこの反応性残基は、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択され、且つ任意にここでこのペプチドタグは、Ig様フォールド含有タンパク質の全アミノ酸配列を含まず;
    b)該結合パートナーが:
    i. Ig様フォールド含有タンパク質の個別の断片を含み、ここで該断片が、[Ig様フォールド含有タンパク質由来の]Ig様フォールドドメインの少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片との少なくとも75%同一性を有する配列を含み、並びに
    ii. Ig様フォールド含有タンパク質中の自発的分子間エステル結合に関与した反応性残基を含み、ここでこのペプチドタグ中の反応性残基がトレオニン又はセリンである場合、結合パートナー中の反応性残基が、グルタミンもしくはグルタメート/グルタミン酸であり、並びにペプチドタグ中の反応性残基がグルタミンもしくはグルタメート/グルタミン酸である場合、結合パートナー中の反応性残基が、トレオニン又はセリンであり;並びに
    c)該ペプチドタグ及び結合パートナーは、エステル結合を自発的に形成することにより互いに結合することが可能である、請求項1記載のペプチドタグ及び結合パートナー対。
  3. β−クラスプ含有タンパク質中のβ−クラスプ配置内の自発的に形成されるエステル結合に関与することが可能である1以上の反応性残基が、Ig様フォールド含有タンパク質由来のβ−クラスプ中に2つのβシートを含むIg様フォールド中に存在する、請求項1又は2記載のペプチドタグ及び結合パートナー。
  4. ペプチドタグが反応性セリン残基を含む場合、結合パートナーが、反応性グルタミンもしくはグルタメート/グルタミン酸残基を含むか、又はペプチドタグが反応性グルタミンもしくはグルタメート/グルタミン酸残基を含む場合、結合パートナーが、反応性セリン残基を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー。
  5. 2つの反応性残基間に形成されたエステル結合が、可逆的に加水分解可能である、請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー。
  6. 2つの反応性残基間に形成されたエステル結合が、pHが7よりも大きい場合に可逆的に加水分解される、請求項4記載のペプチドタグ及び結合パートナー。
  7. 前記Ig様フォールド含有タンパク質が、1以上のエステル結合を自発的に形成することが可能である、クロストリジウム・パーフリンゲンス由来のアドヘシンタンパク質Cpe0147、又はそれと少なくとも75%同一性のあるタンパク質である、請求項1〜6のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー対。
  8. 前記ペプチドタグが、配列番号1に示された配列のアミノ酸565−587の10個以上の隣接アミノ酸又はそれと少なくとも75%の同一性のある配列を含む、請求項7記載のペプチドタグ及び結合パートナー対。
  9. 前記結合パートナーが、配列番号1に示された配列のアミノ酸439−563の10個以上の隣接アミノ酸又はそれと少なくとも75%の同一性のある配列を含む、請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー対。
  10. 前記ペプチドタグが、長さ50個未満のアミノ酸である、請求項1〜9のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー。
  11. Ig様フォールドドメイン含有タンパク質由来のIg様フォールドドメインの少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含むペプチドタグであって、ここでこの少なくとも約10個の隣接アミノ酸が、βシートを形成することが可能であり、且つここでこれらのアミノ酸の1個が、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択されるIg様フォールド含有タンパク質のIg様フォールド中に分子間エステル結合を自発的に形成することが可能である反応性残基であり、且つここでペプチドタグが、Ig様フォールド含有タンパク質の全アミノ酸配列を含まない、ペプチドタグ。
  12. 配列番号1に示す配列のアミノ酸565−587の10個以上の隣接アミノ酸又はそれと少なくとも75%同一性のある配列を含む、請求項11記載のペプチドタグ。
  13. Ig様フォールド含有タンパク質の断片を含む結合パートナーであって、ここで該断片が、[Ig様フォールド含有タンパク質由来の]Ig様フォールドドメインの少なくとも約10個の隣接アミノ酸を含むか、又は該断片と少なくとも75%同一性を有する配列を含み、且つここで断片が、Ig様フォールド含有タンパク質のIg様フォールド中に分子間エステル結合の自発的形成が可能である反応性残基を含み、この反応性アミノ酸残基が、トレオニン、セリン、グルタミン、及びグルタメート/グルタミン酸を含む群から選択される、結合パートナー。
  14. 結合パートナーが、配列番号1の断片である、請求項13記載の結合パートナー。
  15. 配列番号1に示す配列のアミノ酸439−563の10個以上の隣接アミノ酸、又はそれと少なくとも75%の同一性のある配列(配列番号1の配列を除く)を含む、請求項13又は14記載の結合パートナー。
  16. 前記ペプチドタグ及び/又は該結合パートナーが、核酸分子、タンパク質、ペプチド、小型分子有機化合物(発蛍光団を含む)、金属−リガンド錯体、多糖、ナノ粒子、ナノチューブ、ポリマー又はそれらの組合せにコンジュゲートされる、請求項1〜10のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー対、請求項11又は12記載のペプチドタグ、又は請求項13〜15のいずれか一項記載の結合パートナー。
  17. 前述の請求項のいずれか一項記載のペプチドタグ、及び1以上の異種アミノ酸配列を含む、キメラタンパク質。
  18. ペプチドタグ中の反応性残基が、セリンである、請求項17記載のキメラタンパク質。
  19. ペプチドタグ中の反応性残基が、トレオニンである、請求項17記載のキメラタンパク質。
  20. 請求項13〜16のいずれか一項記載の結合パートナー及び1以上の異種アミノ酸配列を含む、キメラタンパク質。
  21. 結合パートナー中の反応性残基が、セリンである、請求項20記載のキメラタンパク質。
  22. 結合パートナー中の反応性残基が、トレオニンである、請求項20記載のキメラタンパク質。
  23. a)前述の請求項のいずれか一項記載の2個以上のペプチドタグ、又は
    b)前述の請求項のいずれか一項記載の2個以上の結合パートナー、又は
    c)前述の請求項のいずれか一項記載の少なくとも1個のペプチドタグ、及び前述の請求項のいずれか一項記載の少なくとも1個の結合パートナー:を含む、キメラタンパク質。
  24. キメラタンパク質が、1以上の異種アミノ酸配列を含む、請求項23記載のキメラタンパク質。
  25. キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの1つのみが、反応性残基としてセリンを含む、請求項23又は24記載のキメラタンパク質。
  26. キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの各々が、反応性残基としてセリンを含む、請求項23又は24記載のキメラタンパク質。
  27. キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの1つのみが、反応性残基としてトレオニンを含む、請求項23又は24記載のキメラタンパク質。
  28. キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの各々が、反応性残基としてトレオニンを含む、請求項23又は24記載のキメラタンパク質。
  29. キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの1つのみが、反応性残基としてトレオニン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸を含む、請求項23又は24記載のキメラタンパク質。
  30. キメラタンパク質中に存在するペプチドタグ又は結合パートナーの各々が、反応性残基としてトレオニン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸を含む、請求項23又は24記載のキメラタンパク質。
  31. キメラタンパク質が、分岐している、請求項17〜30のいずれか一項記載のキメラタンパク質。
  32. 分岐したタンパク質の各枝が、少なくとも1つのペプチドタグ又は結合パートナーを含む、請求項31記載のキメラタンパク質。
  33. 共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成する方法であって、この方法が:
    a)請求項10、11、もしくは15のいずれか一項記載のペプチドタグ、又は前述の請求項のいずれか一項記載のキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つのペプチドタグを含む工程;
    b)請求項12〜15のいずれか一項記載の結合パートナー、又は前述の請求項のいずれか一項記載のキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つの結合パートナーを含む工程;
    c)工程a)のペプチドタグ又はキメラタンパク質と、工程b)の結合パートナー又はキメラタンパク質を、分子間エステル結合を自発形成するのに適した条件下で接触させる工程;
    d)任意に工程a)からc)を1回以上反復する工程:を含み、
    これにより共有的に連結した多量体タンパク質複合体を形成することを含む、方法。
  34. ペプチドタグ、結合パートナー、又は1以上のキメラタンパク質中に存在する1以上の反応性残基が、セリン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸である場合、pH7以上で、多量体タンパク質複合体を維持する、請求項33記載の方法。
  35. 前記方法が:
    a)前述の請求項のいずれか一項記載のペプチドタグ、又は前述の請求項のいずれか一項記載のキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つのペプチドタグを含む工程、及び/又は
    b)前述の請求項のいずれか一項記載の結合パートナー、もしくは前述の請求項のいずれか一項記載のキメラタンパク質を提供する工程であって、ここでこのキメラタンパク質が、少なくとも1つの結合パートナーを含む工程、
    c)工程a)のペプチドタグもしくはキメラタンパク質、及び/又は工程b)のペプチドタグもしくはキメラタンパク質を、多量体タンパク質複合体と、分子間エステル結合を自発的に形成するのに適した条件下で、接触させる工程、
    d)任意に工程a)からc)を1回以上繰り返す工程、並びに/又は
    e)任意に7以上のpHで多量体タンパク質複合体を維持する工程、又は
    f)工程d)及びe)のいずれかの組合せ:を更に含む、請求項33又は34記載の方法。
  36. 共有的に連結した多量体タンパク質複合体中の1以上の可逆性の共有結合を加水分解する方法であって、この方法が:
    a)共有的に連結した多量体タンパク質複合体を提供する工程であって、このタンパク質複合体が:
    i. 少なくとも1つの本明細書記載のペプチドタグ、又は本明細書記載のペプチドタグを少なくとも1つ含むキメラタンパク質;
    ii. 少なくとも1つの本明細書記載の結合パートナー、又は本明細書記載の結合パートナーを少なくとも1つ含むキメラタンパク質:を含み、
    ここでペプチドタグ、結合パートナー、又は1以上のキメラタンパク質中に存在する1以上の反応性残基は、セリン、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸である工程;
    b)このタンパク質複合体を、セリンとグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸の間の共有結合を加水分解するのに十分な期間、pH約7以上で維持するか、もしくはセリン残基とグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基の間に形成された共有結合の加水分解に適した条件下で、多量体タンパク質複合体を維持する工程:を含み、
    これにより多量体タンパク質複合体の1以上の可逆性の共有結合を加水分解することを含む、方法。
  37. ペプチドタグ、結合パートナー、又は1以上のキメラタンパク質中に存在する1以上の反応性残基がセリンである場合、他の反応性残基は、グルタミン、又はグルタメート/グルタミン酸である、請求項36記載の方法。
  38. セリンとグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸の間の分子間エステル結合の加水分解に適した条件が:
    a)約7又はそれを上回るpH、例えばpH約8〜約9、
    b)1以上の分子密集剤の存在又は非存在、
    c)1以上の二価の陽イオンの存在又は非存在、
    d)グリセロールの存在又は非存在、
    e)両性イオン性緩衝分子の存在又は非存在、
    f)エチル又はプロピル連結したスルホン酸官能基を含む、アルキル連結したスルホン酸官能基を含む緩衝分子の存在又は非存在、
    g)複素環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
    h)複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
    i)飽和された複素環式アルキル環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
    j)飽和された複素環式6員環を含む緩衝分子の存在又は非存在、
    k)先のe)からj)の各々に規定された緩衝分子の存在又は非存在、
    l)先のa)からk)の任意の2以上の組合せ:の1以上を含む、請求項36又は37記載の方法。
  39. 共有的に連結した多量体タンパク質複合体の調製における、前述の請求項のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー対、又は前述の請求項のいずれか一項記載の1以上のキメラタンパク質の使用。
  40. 前記ペプチドタグが反応性セリン残基を含む場合、該結合パートナーは、反応性グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基を含むか、或いは該ペプチドタグが反応性グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸残基を含む場合、該結合パートナーは、反応性セリン残基を含む、請求項39記載の使用。
  41. 前記ペプチドタグが、長さ5〜50個のアミノ酸である、請求項39又は40記載の使用。
  42. 前述の請求項のいずれか一項記載のペプチドタグ及び結合パートナー対、前述の請求項のいずれか一項記載のペプチドタグ、前述の請求項のいずれか一項記載の結合パートナー、又は前述の請求項のいずれか一項記載のキメラタンパク質をコードしている核酸分子。
  43. 請求項42記載の核酸分子を含むベクター。
  44. 請求項42記載の核酸分子又は請求項43記載のベクターを含む細胞。
  45. 生物触媒、生体物質合成、化学物質生成、1以上の標的分子(例えば複合体混合物からの)の濾過、単離又は分離、バイオレメディエーション、ナノ粒子合成、標的分子の検知、同定および/または局在化、光学活性分子を含む分子の展示、表面コーティング、治療用生体材料、生物学的スカフォールド、組織工学、物理的補強、並びに1以上の活性物質の送達:を含む群から選択される適用における、請求項39〜41のいずれか一項記載の使用、又は前述の請求項のいずれか一項記載の核酸分子、ベクター、もしくは細胞の使用。
  46. 第一のペプチド結合パートナー及び第二のペプチド結合パートナーを含む、ペプチド結合対であって、ここで接触される場合、これらのペプチド結合パートナーは、分子間エステル結合を自発的に形成することが可能であり、ここで:
    a)一方の結合パートナーは、トレオニン、及びセリンからなる群から選択される反応性残基を含み、且つ
    b)他方の結合パートナーは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸からなる群から選択される反応性残基を含み、
    並びに接触される場合、第一及び第二の結合パートナーは、自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基を追加的に含む、セリンプロテアーゼ活性部位様配置を含むIg様フォールドを形成する、ペプチド結合対。
  47. 一方又は両方の結合パートナーが、自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基を含む、請求項46記載のペプチド結合対。
  48. 自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基が、ペプチド結合パートナー内のベータ−鎖中に存在する、請求項46記載のペプチド結合対。
  49. 自発的分子間エステル結合形成を促進する1以上のアミノ酸残基が、反応性残基と一緒にアミノ酸配列を形成するベータ−鎖中に存在する、請求項46記載のペプチド結合対。
  50. グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーが、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含む、請求項46記載のペプチド結合対。
  51. グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーが、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含み、ここで反応性残基及びヒスチジンの両方が、結合パートナーの同じベータ−鎖中に存在する、請求項50記載のペプチド結合対。
  52. グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーが、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含み、ここでヒスチジンが、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基の一次アミノ酸配列中の10個のアミノ酸内にある、請求項46記載のペプチド結合対。
  53. 自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジン、及びグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸が、結合パートナーの一方のアミノ酸配列を形成するベータ−鎖内にあり、並びにペプチド結合パートナーの一次アミノ酸配列中の8個のアミノ酸内にある、請求項46記載のペプチド結合対。
  54. グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基を含む結合パートナー中に存在するグルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基が、アミノ酸配列HXDXXDXX[Q/E](配列番号30)に存在するか、又はアミノ酸配列[H/E]XDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号55)に存在するか、又はアミノ酸配列HXDXX[D/S]XX[Q/E](配列番号56)に存在するか、又はアミノ酸配列HXDXXSXX[Q/E](配列番号57)に存在するか、又はアミノ酸配列[H/E]XDXXXXX[Q/E](配列番号58)に存在する、請求項46記載のペプチド結合対。
  55. グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基を含む結合パートナーが、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基を含み、ここでヒスチジンが、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基の約6、約5.5、約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5又は約2オングストローム以内にある、請求項46記載のペプチド結合対。
  56. 結合パートナーが接触される場合、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンが、トレオニン及びセリン反応性残基の約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5又は約2オングストローム以内にある、請求項46記載のペプチド結合対。
  57. 自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジン残基が、トレオニン又はセリン反応性残基と同じ結合パートナー上に存在する、請求項46記載のペプチド結合対。
  58. 分子間エステル結合の自発的形成を促進するアミノ酸残基の一つが、水素結合の形成が可能であるように、トレオニン又はセリン反応性残基に十分に近いヒスチジン残基である、請求項46記載のペプチド結合対。
  59. ヒスチジン残基とトレオニン又はセリン反応性残基の間の距離が、約5オングストローム未満、約4オングストローム未満、約3.5オングストローム未満、約3.4オングストローム未満、約3.2オングストローム未満、又は約3オングストローム未満である、請求項58記載のペプチド結合対。
  60. 分子間エステル結合の自発的形成を促進するアミノ酸残基の一つが、トレオニン又はセリン反応性残基と水素結合を形成することが可能であるヒスチジン残基である、請求項46記載のペプチド結合対。
  61. ヒスチジン残基とトレオニン又はセリン反応性残基の間の距離が、約5オングストローム未満、約4オングストローム未満、約3.5オングストローム未満、約3.2オングストローム未満、又は約3オングストローム未満である、請求項50又は60記載のペプチド結合対。
  62. 分子間エステル結合の自発的形成を促進するアクセサリーアミノ酸残基の一つが、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸反応性残基と水素結合を形成することが可能であるアスパラギン酸残基である、請求項46記載のペプチド結合対。
  63. アスパラギン酸残基が、グルタミン又はグルタメート/グルタミン酸反応性残基と同じ結合パートナー上に存在する、請求項62記載のペプチド結合対。
  64. アスパラギン酸残基が、トレオニン又はセリン反応性残基と同じ結合パートナー上に存在する、請求項46記載のペプチド結合対。
  65. グルタメート/グルタミン酸又はグルタミン残基及びアスパラギン酸残基が、自発的に形成される分子間エステル結合の形成を促進する、請求項46記載のペプチド結合対。
  66. 分子間エステル結合の自発的形成を促進するグルタメート/グルタミン酸又はグルタミン残基が、アスパラギン酸の促進性残基と同じ結合パートナー上にある、請求項65記載のペプチド結合対。
  67. 活性部位に存在する反応性アミノ酸残基が、タンパク質データバンクの標準直交座標系における以下の相対原子位置:
    a)Cβ(CB) Thr/Ser:0、0、0;
    b)Cδ(CD) Gln/Glu:0.02、1.91、−1.61:
    を有する、請求項46記載のペプチド結合対。
  68. 活性部位に存在する反応性アミノ酸残基が、タンパク質データバンクの標準直交座標系における以下の相対原子位置:
    a)Cβ(CB) Thr/Ser:0、0、0;
    b)Cδ(CD) Gln/Glu:0.02、1.91、−1.61:
    を有し、且つここでその活性部位に存在するアクセサリーアミノ酸残基が、反応性Thr/Ser Cβ位置に対する以下のCγ(CG)位置:
    c)His:1.35、3.67、3.34
    d)Asp:−3.45、−0.89、−2.19:
    を有する、請求項46記載のペプチド結合対。
  69. 第一のペプチド結合パートナー及び第二のペプチド結合パートナーを含むペプチド結合対であって、ここで接触する場合、これらのペプチド結合パートナーは、分子間エステル結合を自発的に形成することが可能であり、ここで
    a)一方の結合パートナーは、トレオニン及びセリンからなる群から選択された反応性残基を含み、並びに
    b)他方の結合パートナーは、グルタミン及びグルタメート/グルタミン酸からなる群から選択される反応性残基を含み、
    並びに接触する場合、第一及び第二の結合パートナーは、セリンプロテアーゼ活性部位様構造を形成する、ペプチド結合対。
  70. セリンプロテアーゼ活性部位様構造が、タンパク質データバンクの標準直交座標系における以下の相対原子位置:
    a)Cβ(CB) Thr/Ser:0、0、0;
    b)Cδ(CD) Gln/Glu:0.02、1.91、−1.61:
    を有する活性部位中に存在する反応性アミノ酸残基を含み、且つここでセリンプロテアーゼ活性部位様構造が、反応性Thr/Ser Cβ位置に対する以下のCγ(CG)位置:
    c)His:1.35、3.67、3.34
    d)Asp:−3.45、−0.89、−2.19:
    を有するその活性部位に存在するアクセサリーアミノ酸残基を含む、請求項69記載のペプチド結合対。
  71. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離が、グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)の約2.2オングストローム〜約3オングストロームの間である、請求項69記載のペプチド結合対。
  72. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離が、グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)の2.49〜2.65オングストロームの間である、請求項69記載のペプチド結合対。
  73. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離が、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)の約4.5〜約6.0オングストロームの間である、請求項69記載のペプチド結合対。
  74. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離が、自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)の4.86〜5.60オングストロームの間である、請求項69記載のペプチド結合対。
  75. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離が、自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)の約3.5〜約4.5オングストロームの間である、請求項69記載のペプチド結合対。
  76. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の距離が、自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)の4.07〜4.18オングストロームの間である、請求項69記載のペプチド結合対。
  77. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
    a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最小距離が、約2.2オングストロームであり、及び
    b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離が、約4.5オングストロームであり、及び
    c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離が、約3.5オングストロームであり、
    並びに、ここでトレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
    a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最大距離が、約3オングストロームであり、及び
    b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離が、約6オングストロームであり、及び
    c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離が、約4.5オングストロームである、請求項69記載のペプチド結合対。
  78. トレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
    a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最小距離が、2.49オングストロームであり、及び
    b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離が、4.86オングストロームであり、及び
    c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最小距離が、4.07オングストロームであり、
    並びに、ここでトレオニン又はセリン反応性アミノ酸残基のCβ(CB)の:
    a)グルタミン/グルタメート/グルタミン酸反応性アミノ酸残基のCδ(CD)までの最大距離が、2.65オングストロームであり、及び
    b)自発的分子間エステル結合形成を促進するヒスチジンアミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離が、5.60オングストロームであり、及び
    c)自発的分子間エステル結合形成を促進するアスパラギン酸アミノ酸残基のCγ(CG)までの最大距離が、4.18オングストロームである、請求項69記載のペプチド結合対。
  79. 前述の請求項のいずれか一項記載のペプチドタグ、前述の請求項のいずれか一項記載の結合パートナー、前述の請求項のいずれか一項記載のキメラタンパク質、及び異種アミノ酸配列を含む群から選択される、1以上の成分を含む、多量体タンパク質複合体。
  80. 幹ドメイン、枝ドメイン、カーゴ、及びカーゴタンパク質を含む群から選択される、1以上の成分を含む、請求項79記載の多量体タンパク質複合体。
  81. 請求項17〜32のいずれか一項記載のキメラタンパク質の2種以上を含む、請求項79又は80記載の多量体タンパク質複合体。
  82. キメラタンパク質の少なくとも1種が、酵素、抗原、構造タンパク質、抗体、サイトカイン、又は受容体を含む、異種アミノ酸配列を含む、請求項80記載の多量体タンパク質複合体。
  83. 多量体タンパク質複合体が、2種以上のキメラタンパク質を含み、且つここで少なくとも1種のキメラタンパク質が、酵素を含む異種アミノ酸配列を含み、並びに少なくとも1種のキメラタンパク質が、酵素を含む異なる異種アミノ酸配列を含む、請求項79〜82のいずれか一項記載の多量体タンパク質複合体。
  84. 多量体タンパク質複合体中に存在する1以上のタンパク質成分が、配列番号1−4又は21−30のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む、請求項79〜83のいずれか一項記載の多量体タンパク質複合体。
  85. 多量体タンパク質複合体中に存在する1以上のタンパク質成分が、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含む、請求項79〜84のいずれか一項記載の多量体タンパク質複合体。
  86. 多量体タンパク質複合体中に存在する1以上のタンパク質成分が、配列番号31−58のいずれか一つのアミノ酸配列の10個以上の隣接アミノ酸を含み、且つ本明細書の表37から表41の一つにおいて規定された該アミノ酸配列中に存在する2以上のドメイン由来の少なくとも1個のアミノ酸を含む、請求項79〜85のいずれか一項記載の多量体タンパク質複合体。
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