JP2019532957A - 工程不純物への結合が低下している抗体 - Google Patents

工程不純物への結合が低下している抗体 Download PDF

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Abstract

本発明は、バリアント抗体、及び工程不純物への結合レベルが低下している前記抗体を生成する方法に関する。特に、本発明は、重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されているバリアントIgG4抗体を記載する。該バリアントIgG4抗体は、非修飾IgG4抗体と比べて、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合レベルが低下している。本発明はまた、前記バリアントIgG4抗体を含む組成物にも関する。【選択図】なし

Description

本発明は、非特異的及び/又は特異的相互作用を通じて、宿主細胞タンパク質などの製造工程不純物と結合する能力が低下している新規の抗体に関する。より詳細には、本発明は、抗体のアミノ酸配列に対する修飾により、そのような製造工程不純物を結合する能力が低下している新規の免疫グロブリンに関する。
モノクローナル抗体(mAb)は、広範な疾患の治療的処置に使用されるバイオ医薬品である。これらの複雑な組換えタンパク質の製造は、遺伝子工学によって適当な活性形態で製品を発現することができる生物学的宿主系の使用を典型的には必要とする。これに関して、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)細胞などの哺乳動物細胞株は、これらのタンパク質を折り畳み、組み立て、及びこれらのタンパク質に適当な翻訳後修飾を加え、ヒト系との適合性を確保することができるため、多数のmAb製品の工業生産に宿主として広く使用されている。
mAbの作製に細胞ベースの系を使用することで生じる結果及びそれによる重要な課題は、一連の他の複合体不純物から製品タンパク質を単離する必要性である。これらは工程関連不純物と呼ばれ、宿主生物に内在する、又はそのような細胞と関連する多様なタンパク質を含む(ウイルス様タンパク質など)。これらのいわゆる宿主細胞タンパク質(HCP)は、バイオ医薬品の安定性及び安全性の両方にマイナスの影響を与える可能性がある広範なクラスの分子である。いくつかのHCPは、製品タンパク質の安定性に悪影響を与え得るタンパク質分解活性を有している可能性がある。他のHCPは、最終製剤に存在する場合、患者に免疫原性応答を引き起こす可能性がある。これらの理由のために、HCPのクリアランスは、全てのバイオ医薬品製品の製造にとって重要な課題である。
宿主細胞タンパク質のクリアランスは、直交型分離化学を利用する複数のクロマトグラフィー精製法の使用により典型的には達成される。そのようなアプローチは通常は有効であるが、製品mAbが、HCP集団を含む1つ以上のタンパク質にいくつかの相互作用又は親和性を示し、これらのHCPと製品との同時精製をもたらす場合、課題が生じる。そのようなケースにおいて標準的なアプローチは、これらの相互作用を妨げるために物理化学的視点から設計された、適切なクロマトグラフィーカラム洗浄戦略を開発することである。HCP相互作用傾向は、mAb分子によって異なることから、抗体の超可変相補性決定領域(CDR)がこれらの相互作用に主に関与すると一般に考えられている。しかし、相互作用の増加につながるこれらの領域内の正確な配列及び構造モチーフは解明されていない。
G、A、M、D及びEで表される免疫グロブリン(Ig)の5つのクラスのうち、mAbバイオ医薬品の大多数は免疫グロブリンG(IgG)クラスに収まる。このうち、1〜4の番号が付けられた4つのサブクラスがある。
近年、ホスホリパーゼBドメイン含有タンパク質2(PLBD2:phospholipase B domain containing protein 2)としても知られる推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2:putative phospholipase B-Like 2)などのHCPは、特定の免疫グロブリンバリアントと同時精製する傾向が増加していることが示された。他ではなく、いくつかのIgGアイソタイプと同時精製する傾向のこの相違に対する明確な理由は不明であるが、以前の研究は、IgGとPLBL2の間の相互作用はCDRによって主に駆動されるが、IgG1サブクラスとIgG4を区別するIgG4定常領域の特徴によって促進されると推測している(Tranら (2016) J. Chromatogr. 1438:31-38)。しかし、これらの相違の正確な性質は不明のままである。PLBL2などの工程不純物は、患者において免疫応答を誘発する可能性がある。さらに、PLBL2などのリパーゼは、製剤賦形剤の劣化の潜在的原因物質として同定されている(Dixitら、(2016) J. Pharm. Sci.、105(5):1657-66及びUS2016/0101181)。これらの賦形剤は、最終製剤中の製品タンパク質の安定化に必要であり、その分解は、薬物の有効期間を損ない、したがって潜在的安全性を損なうことになる。これらの理由のために、最終製剤中の工程不純物及びPLBL2などのHCPの存在は、非常に望ましくない。
特定の免疫グロブリンがPLBL2などのHCPと相互作用する傾向の増加は、十分に安全な最終製剤を確保するために特殊精製スキームの開発を余儀なくした。そのようなアプローチは有効ではあるものの、製造の関連コストを増加させるだけでなく、工程の妥当性確認の負担を増加させ、精製工程が、工程不純物を許容可能なレベルまでロバストに取り除けることを示す必要があることから、理想ではない。これは、次いで分析要件の増加に関しても意味を持つ。その理由は、PLBL2は、従来の手法によって検出することが難しく、オーダーメイド化された免疫アッセイの使用をしばしば必要とすることが示されているためである(WO2015/038884)。
したがって、治療用免疫グロブリンの最終製剤中のHCPのレベルをより効果的かつ費用効率良く低下させることが依然として必要とされている。
本発明の第1の態様によれば、重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されているバリアントIgG4抗体が提供される。バリアントIgG4抗体は、非修飾IgG4抗体と比べて、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合レベルが低下している。
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体をコードする細胞株が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、工程不純物への結合を低下させるためにIgG抗体を修飾する方法であって、
a)工程不純物の結合に関与する少なくとも1つのアミノ酸を同定するステップ、及び
b)工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸を異なるアミノ酸で置換することにより、IgG抗体のバリアントを作製するステップ
を含む方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合が低下しているIgG4抗体を作製する方法であって、抗体配列を重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾することを含む方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体を含む組成物が提供される。
最終バルクmAbのHCP ELISA希釈直線性を示す図である。アッセイにおける希釈非直線性を評価するために、異なるサブタイプのヒト化IgG製品の最終バルク試料がHCP ELISAにより分析された。補正HCP値は、測定されたHCP濃度に希釈係数を乗じ、次いで製品濃度で除して希釈ごとに計算される。試料希釈ごとの補正HCP値は、希釈係数の関数としてlog-logスケールでプロットされる。希釈係数が増加するにつれて補正HCP値が上昇するとき、非直線性が観察される。mAb7のみがHCP ELISAで非直線性を示す。 異なるmAbの抗PLBL2ウエスタンブロットを示す図である。PLBL2の存在を検出するために、ヒト化IgG製品の最終バルク試料がウエスタンブロットにより分析された。(A)試料の均等なローディングを示すSyproRUBY染色ゲル。(B)抗PLBL2抗体でプローブしたウエスタンブロット。画像の右側の矢印により示されているように、PLBL2は約60kDaのmAb7試料でのみ検出される。 SPRによる異なるmAbへのPLBL2の結合を示す図である。異なるmAbに結合するPLBL2の表面プラズモン共鳴(SPR)センソグラム。(A)センソグラムは、固定化された抗ヒトIgG Fcモノクローナル抗体による全7種類のmAbの類似の捕捉レベルを示す。mAb注入は約-200秒で矢印によって示され、PLBL2注入は0秒で矢印によって示されている。PLBL2がIgG4分子に選択的に結合されることを示す、mAb1、mAb3、mAb5、及びmAb7(B)、並びにmAb2、mAb4、及びmAb6(C)からのPLBL2結合並びに解離を示す拡大表示センソグラム。 mAb7に対するPLBL2結合親和性を示す図である。mAb7に対するPLBL2結合親和性を計算するための表面プラズモン共鳴結合実験。(A)センソグラムは、1.25μMから80μMに増加するPLBL2濃度がmAb7への結合の増加と相関することを示している。(B)定常状態のプロットは、PLBL2濃度の関数としての結合応答を示している。1:1結合モデルがKDを計算するのに使用される。 mAb3、mAb6A及びmAb6BへのPLBL2の結合を示す図である。2つの異なる宿主細胞発現系で発現されたmAb3及びmAb6に結合するPLBL2の表面プラズモン共鳴センソグラム。mAb6AはCHO K1a宿主系を用いて発現され、mAb6BはHEK 293宿主発現系を用いて発現された。結果は、IgG4分子(mAb6A及びmAb6B)はいずれも、異なる細胞株で生成されているにもかかわらず、PLBL2と同程度に相互作用することを示している。その一方で、IgG2分子(mAb3)は相互作用しない。 mAb3、mAb6A及びmAb6Bに対するPLBL2結合親和性を示す図である。PLBL2に対するこれらの分子の結合親和性のフィッティングを示す、(A)mAb3、(B)mAb6A、及び(C)mAb6Bにおけるバイオレイヤー干渉法(Bio Layer Interferometry)(BLI)実験の結果。KD結果は、1:1結合モデルによるローカルフィットを用いて計算された。mAb3に関しては相互作用がなかったため、親和性データは得ることができなかったことに留意されたい。 図6−1の続きである。 mAb7単独及びPLBL2結合試料のHDX差分プロットを示す図である。重水素標識は、0.5分、5分、60分、120分、180分、及び240分で測定された。縦棒は、6つの標識時点からの各ペプチドの合計HDX差を表す。溶媒暴露が有意に低下している配列領域が、K218-F256(重鎖)としてマークされている。 異なるmAbの配列アライメントを示す図である。mAb1〜7の下方CH1、ヒンジ及び上方CH2ドメインのアミノ酸配列を、ヒト生殖系列IgG1、IgG2及びIgG4の対応する位置のアミノ酸に対してアライメントした。アライメントは、異なるmAb分子のPLBL2結合を比較する実験に基づく推定PLBL2結合部位であるIgG4のヒンジ領域に限定された。配列間の相違がグレーで強調する。目的とするアミノ酸残基は、PLBL2が結合することが観察されたIgG4分子で保存され、PLBL2が結合しないことが観察された他のIgGサブタイプでは保存されないもの(すなわち異なる残基)である。そのようなアミノ酸が10個同定され、それらを黒四角で囲む。 変異誘発による異なるmAbの配列アライメントを示す図である。親IgG4(mAb5)の変異誘発により合計7つの異なるヒンジ修飾IgG4バリアント(mAb5-1B〜7B)が作製された。このアライメントは、このIgG4バリアントのアミノ酸配列を、親IgG4並びに2種の他の非ヒンジ修飾IgG4(mAb6及びmAb7)、及びIgG2(mAb3)及びIgG1(mAb8)のアミノ酸配列と比較する。接尾語「A」又は「B」は、抗体がCHO(A)又はHEK(B)哺乳動物宿主細胞を介して発現されたかを意味する。アミノ酸配列の相違はグレーで強調する。次に、枠で囲まれたグレーのますは、PLBL2結合に影響を与える役割を果たしているとみなされたアミノ酸残基を強調する。IgG4バリアントのヒンジ配列の変異を黒で強調する。 IgG2、IgG4、及びバリアントIgG4分子とPLBL2との相互作用を示す図である。非修飾親(mAb5B)と比べた、ヒンジ修飾IgG4バリアント(mAb5-1B〜7B)へのPLBL2の結合をテストする表面プラズモン共鳴(SPR)実験の結果。さらなる対照としてIgG1(mAb8A)、IgG2(mAb3B)、及びIgG4(mAb6B及びmAb7A)を含むいくつかの他のmAbを分析に含めた。接尾語「A」又は「B」は、抗体がCHO(A)又はHEK(B)哺乳動物宿主細胞を介して発現されたかを意味する。
本発明は、PLBL2を含むHCPなどの工程不純物との相互作用が低下している抗体に関する。特定の位置の残基のアミノ酸の修飾(例えば、置換、挿入、又は欠失による)は、PLBL2などのHCPを結合する特定の抗体の能力の低下をもたらすことが見出されている。相互作用に関するこの低下傾向は、PLBL2などの工程不純物の同時精製レベルの減少をもたらし、この工程関連不純物を取り除くことを目的とした特異的精製戦略を不要にする。実際に、例えば、これらのアミノ酸残基変化を組み込むIgG4分子に結合するPLBL2のレベルは、PLBL2同時精製が問題であるとは見出されないレベルと一致している。このことが、今度は製造工程の効率を向上させ、関連コストを減少させ、過度な製品試験の必要性を軽減し、最終的には患者の安全性を確保するのに役立つ。これに加えて、PLBL2などのリパーゼは、最終製剤における製品タンパク質(組換え抗体)の安定化に必要なポリソルベート80などの製剤賦形剤の劣化に関する潜在的な原因物質として同定されている。PLBL2の結合の低下は、最終製剤薬物におけるこのHCPの潜在的レベルを最小化するのに役立ち、これにより製品(組換え抗体)の有効期間を最大化し、コストをさらに下げ、安全性を確保するであろう。
IgG4のエフェクター機能
IgG4は、IgGアイソタイプIgG1、IgG2、及びIgG3と重鎖定常領域において95%を超える配列相同性を共有する。IgG4は、IgG1と比べて、活性化Fcガンマ受容体、すなわちFcγRIIa及びFcγRIIIaへの結合親和性が低い。IgG4は、IgG1と比べて、高親和性FcγRIに対する弱から中程度の結合親和性を有する。IgG4は、IgG1と似た抑制性FcγRIIbへの結合親和性を維持している。IgG4は、IgG1と同じようにFcRnにも結合する。IgG4は、C1qタンパク質複合体への結合を示さない、又はごくわずかな結合を示し、古典的補体経路を活性化することができず、これによりCDC活性が低下している。IgG4は、ADCC活性が低下している、又はADCC活性がない。エフェクター結合のこの低下は、エフェクター機能が不要である又は望ましくない、組換え抗体で使用するIgG4重鎖定常ドメインを選択することにつながった。
コアIgG4ヒンジは配列CPSC(配列番号19)を含むのに対して、コアIgG1ヒンジは、低減しにくいCPPC(配列番号20)を含む。IgG4のS241(Kabat)は、鎖内環化ジスルフィドの形成を可能にするより柔軟なヒンジをもたらし、「半抗体」の出現につながる。半抗体は、一般にIgG4 Fabアーム交換として知られる、異なる抗体由来の非共有結合重鎖を含有する。IgG4のコアヒンジは、IgG1と同様にS241をプロリンに修飾して(すなわち、S241P)安定化することができる。
多くの治療的IgG4抗体は、S241P置換を含むヒンジ改変領域を有する。IgG4‐S241P単一置換は、L248Eバリアントの非存在下で、通常のFcγRI結合を保持することができる。IgG4 L248Eバリアントは、IgG1と比べてFcγRIへのIgG4‐PEの結合親和性を低下させ、FcγRIへの親和性がIgG4野生型の約20分の1である。
IgG4配列修飾
本発明者らは、IgG分子の保存領域と、PLBL2を含むがこれに限定されないHCPなどの工程不純物を前記分子が結合する能力の間の、予想外の関係を同定した。具体的には、本発明者らは、IgG4サブクラスの抗体の高度に保存されたヒンジ領域の主要なアミノ酸残基及び周囲の配列を同定した。これらは、PLBL2などのHCPにこれらの抗体を結合させることに関与する。これらのアミノ酸残基が修飾される場合、その結果生じる修飾IgG4分子は、前述の修飾がない親IgG4分子と比べて、前記修飾なしに、同じIgG4エフェクター機能(例えば、IgG4分子のFcRn受容体結合挙動)を維持しながら、PLBL2などのHCPを結合する能力の低下を示す。さらに、修飾IgG4分子は、前記修飾がないIgG4の、安定性、剪断挙動などの生物物理学的特性を少なくとも維持(又は増強)する。
したがって、本発明の第1の態様によれば、重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されているバリアントIgG4抗体であって、非修飾IgG4抗体と比べて、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合レベルが低下しているバリアントIgG4抗体が提供される。
1つの実施形態において、アミノ酸の1つ又は組み合わせは、Kabat残基203〜243の間である。さらなる実施形態において、アミノ酸の1つ又は組み合わせは、Kabat残基222〜243の間である。代替の実施形態において、アミノ酸の1つ又は組み合わせは、Kabat残基222〜256の間である。
1つの実施形態において、アミノ酸の1つ又は組み合わせは、(i)Kabat残基226〜243の間のヒンジ領域の1つ以上のアミノ酸、及び/又は(ii)Kabat残基203、及び/又は(iii)Kabat残基222から成る群から選択される。
1つの実施形態において、非修飾IgG4抗体は、ESKYGPPCPSCP(配列番号21)又はESKYGPPCPPCP(配列番号22)(すなわち、Kabat 226〜243位)のヒンジ領域配列を有する。
1つの実施形態において、ヒンジ領域はKabat残基203〜256の間である。1つの実施形態において、ヒンジ領域はKabat残基226〜243の間である。さらなる実施形態において、ヒンジ領域はKabat残基226〜238の間である。代替の実施形態において、ヒンジ領域はKabat残基234〜250の間である。
1つの実施形態において、バリアントIgG4抗体は、配列CPPC(配列番号20)(Kabat残基239〜242)を含む。これは、「コアヒンジ」として知られる。代替の実施形態において、バリアントIgG4抗体は、配列CPSC(配列番号19)(Kabat残基239〜242)を含む。
1つの実施形態において、修飾は、Kabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせの欠失を含む。
1つの実施形態において、修飾は、Kabat残基203〜256の間の領域の1つ以上のアミノ酸の挿入を含む。
1つの実施形態において、修飾は、Kabat残基203〜256の間の領域の1つ以上のアミノ酸の置換を含む。
重鎖のヒンジ領域の中又は近くに存在する主要なIgG4アミノ酸残基は、197位のセリン(S197)、198位のロイシン(L198)、203位のリジン(K203)、207位のスレオニン(T207)、211位のアスパラギン酸(D211)、222位のアルギニン(R222)、226位のグルタミン酸(E226)、227位のセリン(S227)、229位のチロシン(Y229)、230位のグリシン(G230)、237位のプロリン(P237)、238位のプロリン(P238)、246位のグルタミン酸(E246)、247位のフェニルアラニン(F247)、249位のグリシン(G249)、250位のグリシン(G250)、及び251位のプロリン(P251)である。目的とする配列は、図8及び9に示されている。
主要なIgG4アミノ酸残基は、203位のリジン(K203)、222位のアルギニン(R222)、226位のグルタミン酸(E226)、227位のセリン(S227)、229位のチロシン(Y229)、230位のグリシン(G230)、237位のプロリン(P237)、及び238位のプロリン(P238)である。IgG4ヒンジ領域の修飾は、これらの位置の周囲の1つ以上のアミノ酸置換を作り、PLBL2などのHCPを結合する能力が低下している修飾IgG4分子をもたらすことを含んでもよい。
さらに、IgG4ヒンジ領域の修飾は、229位のチロシン(Y229)及び/又は230位のグリシン(G230)の除去を含んでもよく、特定の実施形態において、これらの排除は、以前に列挙した位置の1つにおける少なくとも1つのアミノ酸置換又はさらなる排除と組み合わされ、親IgG4抗体と比べてPLBL2などのHCPを結合する能力が低下しているバリアントIgG4抗体をもたらす。
別の実施形態において、IgG4ヒンジ領域の修飾は、237位及び238位のプロリン残基(P237及びP238)の少なくとも1つのアミノ酸置換又はさらなる排除と組み合わされ、親IgG4抗体と比べてPLBL2などのHCPを結合する能力が低下しているバリアントIgG4抗体をもたらす、229位のチロシン(Y229)及び/又は230位のグリシン(G230)の除去を含んでもよい。1つの実施形態において、修飾は、SCDKTHT(配列番号24)又はCCVE(配列番号25)によるYGPP(配列番号23)(Kabat残基229〜238)の置換を含む。
1つの実施形態において、修飾は、IgG1、IgG2、及び/又はIgG3抗体生殖系列配列における同等のアミノ酸配列への置換を含む。さらなる実施形態において、IgG1、IgG2、及び/又はIgG3抗体生殖系列配列はヒトである。IgG抗体生殖系列配列は、当技術分野で周知である。例えば、203位〜256位(両端を含む)の間のIgG1生殖系列配列は、図8に、配列番号8として示されている。203位〜256位(両端を含む)の間のIgG2生殖系列配列は、図8に、配列番号9として示されている。
1つの実施形態において、IgG4ヒンジ領域の修飾は、1つ以上の以下の主要なアミノ酸残基、すなわち、203位のリジン(K203)、222位のアルギニン(R222)、226位のグルタミン酸(E226)、227位のセリン(S227)、229位のチロシン(Y229)、230位のグリシン(G230)、位のプロリン(P237)及び238位のプロリン(P238)を、代替アイソタイプのヒト抗体の生殖系列配列由来の対応する位置のアミノ酸残基と置換することを含む。代替アイソタイプは、IgG1、IgG2、又はIgG3であってもよい。1つを超える置換がなされるそのような実施形態において、置換は、必ずしもただ1つの代替IgGアイソタイプに基づき選択される必要はなく、その代わりに、1つを超える代替ヒト抗体アイソタイプ由来の残基の組み合わせであってもよい。したがって、そのような実施形態のバリアントIgG4は、これらの主要な位置において、IgG1生殖系列配列及びIgG2生殖系列配列、又はIgG1生殖系列配列及びIgG3生殖系列配列、又はIgG2生殖系列配列及びIgG3生殖系列配列、又はIgG1、IgG2、及びIgG3生殖系列配列由来のアミノ酸残基から成り得ることが予測される。
代替アイソタイプの生殖系列配列が、IgG4生殖系列配列中の主要な前述の残基と対応する位置にアミノ酸を含有しない実施形態において、そのような実施形態のバリアントIgG4は、該タンパク質配列から排除された前記位置(複数可)の1つ以上のアミノ酸残基を持つ。
1つの実施形態において、修飾は、
(i)K203からR、E、若しくはQ;R222からT、K、若しくはQ;E226からL若しくはI;S227からR、P、A、N、若しくはT;Y229からS、C、F、W、若しくはH;G230からC、A、N、若しくはS;P237からH、E、D、若しくはV;及び/又はP238からT、K、若しくはEを含む1つ以上のアミノ酸の置換、及び/又は
(ii)EPKSCDKTHT(配列番号27)、若しくはERKYGPP(配列番号28)、若しくはERKCCVE(配列番号29)、若しくはELKTPLGDTTHT(配列番号30)によるESKYGPP(配列番号26)(Kabat残基226〜238)の置換、及び/又は
(iii)SCDKTHT(配列番号24)、若しくはCCVE(配列番号25)によるYGPP(配列番号23)(Kabat残基229〜238)の置換のいずれか1つ又は組み合わせを含む。これらの修飾は、表1にまとめられている。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列配列の203位にグルタミンで置換されたリジンを有する(K203Q)。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列配列の222位に、リジン、スレオニン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、及びバリンから成る群から選択される残基で置換されたアルギニンを有する。さらなる実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列配列の222位に、リジン及びスレオニンから成る群から選択される残基で置換されたアルギニンを有する。さらなる実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列配列の222位に、スレオニンで置換されたアルギニン(R222T)を有する。さらなる実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列配列の222位に、リジンで置換されたアルギニン(R222K)を有する。本明細書に記載された実施例に示されるように、この位置での修飾は、PLBL2結合の最大の低下を示した。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列配列の226位に、イソロイシン及びロイシンから成る群から選択される残基で置換されたグルタミン酸を有する。例えば置換は、E226Lである。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、227位にプロリン及びアルギニンから成る群から選択される残基で置換されたセリンを有する。例えば置換は、S227Pである。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列ヒトIgG4配列の229位にあるチロシンを含有しない。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列ヒトIgG4配列の230位にあるグリシンを含有しない。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列ヒトIgG4配列の237位にあるプロリンを含有しない。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、生殖系列ヒトIgG4配列の238位にあるプロリンを含有しない。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、リジン、アスパラギン、スレオニン、アルギニン、メチオニン、イソロイシン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、グリシン、バリン、チロシン、セリン、トリプトファン、システイン、ロイシン、及びフェニルアラニンから成る群から選択される残基で置換された229位のチロシンを有する。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、リジン、アスパラギン、スレオニン、アルギニン、メチオニン、イソロイシン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、グリシン、バリン、チロシン、セリン、トリプトファン、システイン、ロイシン、及びフェニルアラニンから成る群から選択される残基で置換された230位のグリシンを有する。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、リジン、アスパラギン、スレオニン、アルギニン、メチオニン、イソロイシン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、グリシン、バリン、チロシン、セリン、トリプトファン、システイン、ロイシン及び、フェニルアラニンから成る群から選択される残基で置換された237位のプロリンを有する。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、リジン、アスパラギン、スレオニン、アルギニン、メチオニン、イソロイシン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、グリシン、バリン、チロシン、セリン、トリプトファン、システイン、ロイシン、及びフェニルアラニンから成る群から選択される残基で置換された238位のプロリンを有する。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、229位のチロシン、230位のグリシン、237位のプロリン、及び238位のプロリンを含有せず、その代わりに以下のペプチド配列、SCDKTHT(配列番号24)を含有する。代替の実施形態において、バリアントIgG4分子は、229位のチロシン、230位のグリシン、237位のプロリン、及び238位のプロリンを含有せず、その代わりに以下のペプチド配列、CCVE(配列番号25)を含有する。例えば、バリアントIgG4は、Kabat 229〜238 YGPP(配列番号23)の欠失、及びCCVE(配列番号25)の挿入を含む。例えば、バリアントIgG4は、CCVE(配列番号25)によるKabat 229〜238 YGPP(配列番号23)の置換を含む。本明細書に記載された例、これらの位置での修飾は、PLBL2結合の最大の低下を示した。
1つの実施形態において、バリアントIgG4分子は、247位にロイシンで置換されたフェニルアラニンを有する。
1つの実施形態において、修飾は、PAAAS(配列番号32)又はPAAAP(配列番号33)によるEFLGGP(配列番号31)(Kabat残基246〜251)の置換を含む。
表1にまとめられた、特定のKabat残基における可能性があるアミノ酸修飾(例えば置換、及び/又は挿入、及び/又は欠失)の例は、PLBL2などのHCPを結合する能力が低下している修飾IgG4抗体を作製するためにIgG4抗体に対して行われ得る。これらの修飾は、アミノ酸のいずれか1つ以上(すなわち、組み合わせ)において行われ得る。
1つの実施形態において、バリアントIgG4抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体である。
別の実施形態において、IgG1、IgG2、及び/又はIgG3抗体生殖系列配列における同等のアミノ酸配列への置換は、ヒト抗体生殖系列配列を含む。
1つの実施形態において、修飾は、バリアントIgG4分子の両方の重鎖に対して行われる。代替の実施形態において、修飾は、バリアントIgG4分子の重鎖の1つのみに行われる。
1つの実施形態において、非修飾IgG4抗体と比較して重鎖定常領域においてさらなる修飾がない。
1つの実施形態において、修飾は、IgG4エフェクター機能に必要なアミノ酸残基には行われない。例えば、野生型IgG4 F247(Kabat)(EU F234)は、ADCC及びCDC活性の減衰に重要である。さらに、修飾E248(Kabat)は、エフェクター機能を弱め、具体的にはFcγRIへの結合を低下させることができる。
1つの実施形態において、バリアントIgG4抗体は、S241からP及び/又はL248からEへのさらなる置換を含む。1つの実施形態において、バリアントIgG4抗体は、S241からPへのさらなる置換を含む。この修飾は、IgG4分子の安定性を改善するのに役立つ。1つの実施形態において、バリアントIgG4抗体は、配列PAAAP(配列番号33)によるEFLGGP配列(配列番号31)(Kabat残基246-251)のさらなる置換を含む。
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体をコードする核酸構築物が提供される。
該核酸構築物は、宿主細胞株にトランスフェクトすることができる。したがって、本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体をコードする細胞株が提供される。
さらなる配列修飾
本発明のさらなる態様によれば、重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されているバリアントIgG抗体であって、非修飾IgG抗体と比べて、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合レベルが低下しているバリアントIgG4抗体が提供される。例えば、バリアントIgG抗体は、Kabat残基203〜256の間の重鎖定常領域の1〜25個のアミノ酸で修飾されている。例えば、バリアントIgG抗体は、Kabat残基203〜256の間の重鎖定常領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23個のアミノ酸で修飾されている。例えば、バリアントIgG抗体は、重鎖定常領域のKabat 197位、198位、203位、207位、211位、222位、226位、227位、229位、230位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、246位、247位、248位、249位、250位、又は251位のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されている。例えば、バリアントIgG抗体は、重鎖定常領域のKabat 203位、222位、226位、227位、229位、230位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、247位、248位、又は251位のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されている。
宿主細胞タンパク質
宿主細胞タンパク質、又は「HCP」は、細胞培養又は発酵中に宿主細胞により産生される、細胞内及び/又は分泌タンパク質を含む目的とするタンパク質(すなわち、組換えタンパク質/バリアントIgG4)に関係のないタンパク質を指す。宿主細胞タンパク質の例は、精製中及び精製後に依然として存在するならば、目的とするタンパク質に損害をもたらし得るプロテアーゼである。例えば、プロテアーゼが、目的とするタンパク質を含む試料中に残留しているならば、もともと存在しなかった産物関連物質又は不純物を作り出す可能性がある。プロテアーゼの存在は、精製工程中の時間と共に、及び/又は最終製剤中の目的とするタンパク質の崩壊を引き起こす可能性がある。
1つの実施形態において、宿主細胞タンパク質は、哺乳動物細胞又は細菌細胞から作製される/に由来する。さらなる実施形態において、哺乳動物細胞は、ヒト又はげっ歯類(ハムスター又はマウスなど)細胞から選択される。
特定の実施形態において抗体を発現するのに使用される宿主細胞は、CHO細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、COS細胞、K562細胞、BHK細胞、PER.C6細胞、及びHEK細胞から成る群から選択される(すなわち、宿主細胞タンパク質はこれらの宿主細胞に由来する)。あるいは、宿主細胞は、大腸菌(E. coli)(例えば、W3110、BL21)、枯草菌(B. subtilis)、及び/又は他の適切な細菌、すなわち、真菌若しくは酵母細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス属種(Aspergillus sp.)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、アカパンカビ(Neurospora crassa))などの真核細胞から成る群から選択される細菌細胞であってもよい。例えば、宿主細胞はCHO細胞である。あるいは、宿主細胞はHEK細胞である。
1つの実施形態において、宿主細胞タンパク質は、推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2)である。PLBL2は、ホスホリパーゼBドメイン含有タンパク質2(PLBD2)としても知られる。
PLBL2などのHCPへのIgG4分子の結合を低下させることは、これらの工程関連不純物と製品IgG4との同時精製のレベルを同時に減少させる結果になる。このことが、今度は、製剤からHCPを取り除くための特異的精製戦略、例えば、充填床カラムクロマトグラフィー(pack bed column chromatography)中のストリンジェントな洗浄条件などの必要性を排除する。そうすることで、製造工程の効率が向上し、関連コストが減少し、オーダーメイド化される可能性がある免疫アッセイを用いた過度な製品試験の必要性が軽減する。最終的に、これらの修飾は、PLBL2などのHCPが最終製剤中に存在するリスクを潜在的に軽減するのに役立ち、その結果、それらが患者において免疫原性応答を引き起こす可能性を最小化する。
PLBL2などのHCPを結合するこれらの修飾IgG4分子の能力の低下は、実施例に提供された方法に基づき定量化することができる。
宿主細胞タンパク質に結合するレベルの低下を測定することができるいくつかの方法がある。例えば、結合レベルの低下は、例えば親和性クロマトグラフィーによって精製された時点で、抗体を含む溶液中に存在する宿主細胞タンパク質の量を単に測定して評価することができる(非修飾IgG4と比べた量の低下は、宿主細胞タンパク質結合の低下を示している)。1つの実施形態において、IgG4抗体は、非修飾IgG4抗体と比較して宿主細胞タンパク質への結合親和性及び/又は結合活性が低下している。
1つの実施形態において、バリアントIgG4抗体は、非修飾IgG4抗体と比べて結合活性が少なくとも10%低下、例えば、結合活性が少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%低下している。
1つの実施形態において、バリアントIgG4抗体は、非修飾IgG4抗体と比べて結合親和性が少なくとも10分の1に低下、例えば、結合親和性が少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%低下している。
抗体バリアントを含む組成物
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体を含む組成物が提供される。
本発明の組成物は、従来の手法に従って、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤、及び任意の他の既知の補助剤及び賦形剤と共に製剤化することができる。薬学的に許容可能な担体又は希釈剤、及び任意の他の既知の補助剤及び賦形剤は、本発明の選択された化合物及び選択された投与方法に適切であるべきである。
1つの実施形態において、バリアントIgG4は、少なくとも10mg/mL、例えば、少なくとも20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL又は95mg/mL又は100mg/mLの濃度である。
本発明の医薬組成物の活性成分の実際の投与レベルは、患者に有害となることなく、特定の患者、組成物、及び投与方法に対して所望の治療的応答を達成するのに有効な活性成分量を得られるように異なってもよい。選択された投与レベルは、使用される本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時期、処置期間、使用される特定の組成物と併用される他の薬物、化合物及び/又は材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康及び既往歴、並びに医学的技術分野で周知の同様の要因を含む、様々な薬物動態学的要因に依存するであろう。当技術分野で通常の技量を有する医師又は獣医師は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定及び処方することができる。
1つの実施形態において、組成物中の推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2)の濃度は、500ppm未満、例えば400ppm、300ppm、200ppm、100ppm、90ppm、80ppm、70ppm、60ppm、50ppm、40ppm、30ppm、20ppm又は10ppm未満である。
1つの実施形態において、組成物中の推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2)の濃度は、PLBL2約200ng/製品mg(すなわち、ng/mg)未満、約150ng/mg未満、約100ng/mg未満、又は約50ng/mg未満である。
1つの実施形態において、組成物は、バッファー及び/又は脂肪酸エステルをさらに含む。さらなる実施形態において、脂肪酸エステルは、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。
上記に述べた通り、PLBL2は、最終製剤中の製品タンパク質の安定化に必要なポリソルベートなどの製剤賦形剤の劣化の潜在的な原因物質として同定されている。したがって、PLBL2の結合を低下させることが、今度は最終製剤薬物中のPLBL2のレベルを最小化し、これにより製品の有効期限を最大化するであろう。したがって、本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体を含む、有効期間が延長/改善された組成物が提供される。
さらに、本発明のさらなる態様によれば、抗体組成物の有効期間を延長する方法であって、抗体配列を重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾することにより、PLBL2への結合が低下しているIgG4抗体を作製することを含む方法が提供される。
抗体バリアントの使用
本発明のさらなる態様によれば、治療において使用するための本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体が提供される。本発明は、種々の標的に対する様々なIgG4抗体に適用し得、したがって前記IgG4バリアントは、一連の疾患を処置するのに使用することができることが、当業者によって理解されるであろう。
本明細書に記載された抗体は、処置方法に使用することもできる。処置は、治療的、予防的(prophylactic)又は防止的(preventative)であり得る。処置は、疾患の少なくとも1つの側面又は症状の軽減、低減、又は予防を包含し、本明細書に記載された疾患の予防又は治癒を包含する。
本明細書に記載された抗体は、治療的、予防的又は防止的処置に有効な量で使用され得る。本明細書に記載された抗体の治療的に有効な量は、疾患の1つ以上の症状を改善若しくは低減する、又は疾患を予防若しくは治癒するのに有効な量である。
抗体バリアントを調製する方法
本明細書に提供されるのは、抗体バリアント、及び工程不純物結合レベルを低下させるために、アミノ酸配列変化により修飾されている前記抗体バリアントを作製する方法である。これらの修飾は、得られた医薬品中に存在する工程不純物の量を低下させる有益な効果がある。
したがって、本発明のさらなる態様によれば、工程不純物への結合を低下させるためにIgG抗体を修飾する方法であって、
a)工程不純物の結合に関与する少なくとも1つのアミノ酸を同定するステップ、及び
b)工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸を異なるアミノ酸で置換することにより、IgG抗体のバリアントを作出するステップ
を含む方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、非修飾IgG抗体と比べて工程不純物への結合が低下しているIgG抗体のバリアントを作出する方法であって、
a)工程不純物の結合に関与する少なくとも1つのアミノ酸を同定するステップ、及び
b)工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸を異なるアミノ酸で置換することにより、IgG抗体のバリアントを作出するステップ
を含む方法が提供される。
1つの実施形態において、工程不純物の結合に関与するアミノ酸は、タンパク質間相互作用を試験するのに使用することができる方法又は方法の組み合わせの使用により同定される。1つの実施形態において、タンパク質間相互作用を試験する方法は、水素重水素交換質量分析(HDX-MS)、結晶構造解析、酵母2ハイブリッドスクリーニング、コンピュータ3D構造モデリング、又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。そのような実施形態は、いくつかのこれらの方法のアウトプットの組み合わせを必要とする場合があり、適当な科学的推論の適用により、工程不純物の結合に関与するアミノ酸(複数可)の同定が推定され得る。
1つの実施形態において、工程不純物の結合に関与すると同定されたアミノ酸は、定常領域に存在する。さらなる実施形態において、工程不純物の結合に関与すると同定されたアミノ酸は、重鎖定常領域に存在する。
タンパク質間相互作用方法(例えばHDX-MS)により決定された領域の、工程不純物と相互作用しないアイソタイプに対する工程不純物と相互作用するIgGアイソタイプの配列アライメントにより、工程不純物の結合に関与するアミノ酸を同定できるようになる。工程不純物と結合しないIgGアイソタイプから工程不純物と結合するIgGへの、生殖系列間保存的置換により、次いで工程不純物に結合しないバリアントを作出できるようになるであろう。したがって、1つの実施形態において、工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸が、代替のIgG抗体生殖系列配列由来の同等のアミノ酸で置換される。
1つの実施形態において、工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸は、該抗体配列の保存領域における保存的な、同じ種の、免疫グロブリン生殖系列間アミノ酸変化により修飾される。
したがって、本明細書では、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合が低下しているIgG4抗体を作製する方法であって、抗体配列を重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾することを含む方法が提供される。1つの実施例において、宿主細胞タンパク質は、推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2)である。方法は、親和性クロマトグラフィー法を用いてIgG4抗体を精製することをさらに含んでもよい。方法は、少なくとも1つの他の直交型クロマトグラフィー法を用いて、さらなるIgG4抗体を精製することをさらに含んでもよい。1つの実施例において、直交型クロマトグラフィー法は、イオン交換クロマトグラフィーである。
したがって、本発明は、結合する工程不純物のレベルを低下させるために、より古典的なクロマトグラフィー方法により精製されるものよりむしろ、部位特異的変異誘発により作製される抗体バリアントを提供する。本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義された方法により得られるIgG抗体が提供される。
1つの実施形態において、IgG抗体はIgG4抗体である。したがって、この実施形態において、工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸は、IgG1、IgG2、及び/又はIgG3抗体生殖系列配列由来の同等のアミノ酸で置換される。
IgG4抗体バリアントを調製する方法
本発明のさらなる態様によれば、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合が低下しているIgG4抗体を作製する方法であって、抗体配列を重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾することを含む方法が提供される。
抗体を作製する方法は、当業者に周知である。例えば、方法は、前記IgG4抗体をコードする組換えポリヌクレオチドで形質転換又はトランスフェクトされた組換え宿主細胞の懸濁培養物を調製すること、及び前記IgG4抗体の発現を可能にする条件下で前記宿主細胞培養物を培養することを含んでもよい。方法は、親和性クロマトグラフィー法を用いてIgG4抗体を精製することをさらに含んでもよい。方法は、少なくとも1つの他の直交型クロマトグラフィー法を用いてIgG4抗体をさらに精製することをさらに含んでもよい。1つの実施例において、直交型クロマトグラフィー法は、イオン交換クロマトグラフィーである。
1つの実施形態において、方法は、例えば親和性クロマトグラフィー法を用いてIgG4抗体を精製すること(例えば培養後に)をさらに含む。さらなる実施形態において、親和性クロマトグラフィー法は、スーパー抗原親和性クロマトグラフィーである。1つの実施形態において、スーパー抗原は、タンパク質A、タンパク質G、及びタンパク質Lから選択される。したがって、さらなる実施形態において、スーパー抗原親和性クロマトグラフィーは、タンパク質A親和性クロマトグラフィー、タンパク質G親和性クロマトグラフィー、及びタンパク質L親和性クロマトグラフィーから選択される。
1つの実施形態において、方法は、イオン交換クロマトグラフィーなどの少なくとも1つの他のクロマトグラフィー法を用いて、IgG4抗体をさらに精製するステップをさらに含む。1つの実施形態において、1つ以上のさらなるクロマトグラフィーステップは、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、及び混合モードクロマトグラフィー、特に陰イオン交換クロマトグラフィーから成る群から選択される。1つの実施形態において、少なくとも1つの他のクロマトグラフィー法は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを含まない。
方法は、深層濾過(細胞及び細胞残渣の除去のための)、及びナノ濾過(ウイルスの除去のための)などの濾過ステップも含んでもよい。精製ステップも、哺乳動物発現系を用いて生成される材料に対する任意のウイルス不活性化ステップを含むように講じることができる。
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるバリアントIgG4抗体を作製する方法であって、前記抗体をコードする核酸構築物を宿主細胞で発現させるステップ、及び場合により前記抗体を精製するステップを含む方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義された方法により得られるIgG4抗体が提供される。
定義
特に定義されない限り、本明細書に使用された全ての技術的及び科学的用語は、(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション法、タンパク質精製及び生化学における)当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。標準的な手法は、分子的、遺伝的、及び生化学的方法、並びに化学的方法に使用される。
本明細書に使用される場合、用語「抗体」は、抗体を天然に産生する任意の種に由来するものであれ、又は組換えDNA技術により作出されたものであれ、血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクトーマ、酵母、又は細菌から単離されたものであれ、全ての免疫グロブリン又はIgG(IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4など)、IgM、IgA、IgD又はIgE抗体を指す。抗体は、モノクローナル、組換え、ポリクローナル、キメラ(例えば、異なる供給源(例えばヒト/マウスキメラ抗体)又は異なる抗体型(例えば、IgG2/4抗体)由来)、ヒト、ヒト化、多重特異性(二重特異性を含む)、又はヘテロコンジュゲート抗体であってもよい。該用語はまた、単一可変ドメイン(例えば、VH、VHH、VL)、ドメイン抗体(dAb(登録商標))、抗原結合断片、免疫学的に有効な断片、Fab、F(ab')2、Fv、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv、閉鎖立体配座多重特異性抗体、ジスルフィド結合scFv、ダイアボディ、TANDABS(商標)等も含む。1つの実施形態において、抗体はIgG4である。別の実施形態において、抗体は組換えIgG4である。別の実施形態において、抗体はバリアントIgG4である。別の実施形態において、抗体は組換えバリアントIgG4である。
本明細書に使用される場合、用語「CDR」は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。免疫グロブリンの30可変部分には3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR(又はCDR領域)がある。故に、「CDR」は本明細書に使用される場合、全ての3つの重鎖CDR、又は全ての3つの軽鎖CDR(又は、適切な場合、全ての重鎖CDR及び全ての軽鎖CDRの両方)を指す。抗体の構造及びタンパク質フォールディングは、他の残基が抗原結合領域の一部とみなされ、当業者によってそのように理解されることを意味し得る。
本明細書に使用される場合、用語「ドメイン」は、タンパク質の残りの部分と無関係な三次構造を有するフォールディングされたタンパク質構造を指す。一般に、ドメインは、タンパク質の別々の機能特性に関与し、多くの場合、タンパク質及び/又はドメインの残りの部分の機能を喪失することなく他のタンパク質に付加、除去、又は導入することができる。
抗体は、タンパク質産物、すなわち目的とするタンパク質である。例えば、タンパク質産物は、バリアントIgG4である。例えば、タンパク質産物は、組換えIgG4である。例えば、タンパク質産物は、組換えバリアントIgG4である。
本明細書に使用される場合、用語「ヒンジ領域」及び/又は「ヒンジ配列」は、慣例的に抗体のヒンジ領域として知られるもの、すなわち、アミノ酸番号がKabatナンバリングによる、分子タンパク質配列の226位〜243位(両端を含む)、又はEUナンバリングによる216位〜230位(両端を含む)のアミノ酸をカバーするIgG分子のドメインを指す。これらの領域は、「遺伝子ヒンジ」とも呼ばれ得る。これに加えて、用語「ヒンジ領域」及び「ヒンジ配列」は、本明細書に使用される場合、アミノ酸番号がKabatナンバリングによる分子タンパク質配列の203位〜223位(両端を含む)、又はEUナンバリングによる196位〜215位(両端を含む)のアミノ酸も含むと解釈されてもよい。さらに、用語「ヒンジ領域」及び「ヒンジ配列」は、本明細書に使用される場合、アミノ酸番号がKabatナンバリングによる分子タンパク質配列の244位〜256位(両端を含む)、又はEUナンバリングによる231位〜243位(両端を含む)のアミノ酸を含むと解釈されてもよい。
あるいは、「構造的ヒンジ」は、H/L鎖ジスルフィドの後の残基で始まり、Fcドメインの前の残基で終わるヒンジに基づき、Kabat 234位〜250位(又はEU 221位〜237位)として定義されている。
ヒンジは、1つのヘリックスターンにより形成される最初の重鎖間ジスルフィドのFabドメインの末端である上部ヒンジ(Kabat 234位〜238位、又はEU 221位〜225位)、及び最後のジスルフィドからFcドメインの始めまでの下部ヒンジ(Kabat 243位〜250位又はEU 230位〜237位)に構造的に分類することができる。中央又はコアヒンジは、ジスルフィド橋により結合された2つの平行ポリプロリン二重らせんを含む、ヒトIgG1における「CPPC」(配列番号20)モチーフ(Kabat 239〜242位又はEU 226〜229位)である。
当技術分野のほとんどのナンバリングはヒトIgG1に基づいており、インデルのために特定のヒンジ配列で異なることが留意されるべきである。例えば、IgG4のコアヒンジの隣の「YGPP」(配列番号23)モチーフは、IgG1における「SCDKTHT」(配列番号24)モチーフと同等であり、したがってIgG4の「YGPP」(配列番号23)が、単に229位〜232位ではなく、それぞれ229位、230位、237位及び238位である理由である。
本明細書に使用される場合、抗体分子を記載する文脈での用語「修飾されたヒンジ」は、タンパク質配列の203位〜256位(両端を含む)の間のアミノ酸残基が、非修飾及び/又は親抗体の配列のアミノ酸残基から変えられている任意の抗体を指す。これらの変化は、代替アミノ酸の残基(複数可)の置換、又は代替配列のペプチド配列全体の置換のどちらかを含み得る。変化は、タンパク質からのアミノ酸、又はペプチド配列の排除も含み得る。
本明細書に使用される場合、用語「非修飾」は、工程不純物への結合を低下させる修飾の前の抗体を指す。これは、天然の生殖系列フォーマットでの抗体を含み得る。該用語は、安定性を改善するために多くのIgG4抗体において使用される置換S241P(すなわち、Kabat残基239〜242の配列CPPC[配列番号20]をもたらす)などの、宿主細胞タンパク質結合を低下させる以外の特性を改善するために既に修飾されている抗体も含み得る。したがって、1つの実施形態において、非修飾抗体は置換S241Pを含む。非修飾抗体は、エフェクター機能を改善するために多くのIgG4抗体において使用される置換L248Eにより既に修飾されている抗体も含み得る。したがって、1つの実施形態において、非修飾抗体は置換L248Eを含む。
用語「修飾」は、重鎖定常領域のKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸の1つ又は組み合わせの置換、及び/又は欠失、及び/又は挿入のいずれか1つ又は組み合わせを記載するのに本明細書で使用される。例えば、修飾は、1つ以上のアミノ酸置換、及び/又は1つ以上のアミノ酸挿入、及び/又は1つ以上のアミノ酸欠失を含み得る。用語「欠失」、「除去」、「置換」、「排除」は、本明細書で互換的に使用される。
例えば、バリアントIgG抗体は、Kabat残基203〜256の間の重鎖定常領域の1〜25個のアミノ酸で修飾されている。例えば、バリアントIgG抗体は、Kabat残基203〜256の間の重鎖定常領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23個のアミノ酸で修飾されている。例えば、バリアントIgG抗体は、重鎖定常領域のKabat 197位、198位、203位、207位、211位、222位、226位、227位、229位、230位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、246位、247位、248位、249位、250位、又は251位のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されている。例えば、バリアントIgG抗体は、重鎖定常領域のKabat 203位、222位、226位、227位、229位、230位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、247位、248位、又は251位のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されている。
本明細書に使用される場合、用語「宿主細胞」は、非改変生物によって発現されないポリペプチドを発現するように遺伝的に改変することができる原核生物及び真核生物の両方の任意の生物を指す。特定の実施形態において宿主細胞は、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、COS細胞、K562細胞、BHK細胞、PER C6細胞、及びHEK細胞から成る群から選択される。宿主細胞は、大腸菌(例えば、W3110、BL21)、枯草菌、及び/又は真菌若しくは酵母細胞(例えば、ピキア・パストリス、アスペルギルス属種、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、アカパンカビ)などの他の適切な真核細胞から成る群から選択される細菌細胞であってもよい。
本明細書に使用される場合、用語「宿主細胞タンパク質」及び略称「HCP」は互換的に使用され、宿主細胞が発現するように改変されている免疫グロブリン(すなわち目的とするタンパク質)、宿主細胞によって発現される免疫グロブリンを除いて、任意のポリペプチドを指す。
本明細書に使用される場合、用語「工程不純物」は、医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH))ガイドライン(例えばICH Q6B)により、目的とするタンパク質が製造される工程の結果存在する不純物として定義することができ、それを指すと解釈される。したがって、この定義は、製造工程に由来する不純物、すなわち、細胞基質(例えば、宿主細胞タンパク質、宿主細胞DNA/RNA)、細胞培養物(例えば、誘導物質、抗生物質、又は培地成分)、又はそれらの下流処理物を包含する。用語「工程不純物」は、製品関連不純物(例えば抗体凝集物及び/又は断片)を含まない。
本明細書に同定された全ての「アミノ酸」残基は、天然のL体であってもよい。標準的なポリペプチド命名法に従って、アミノ酸残基の略号は表2に示す通りである。
全てのアミノ酸配列は、左から右方向がアミノ末端からカルボキシ末端の従来の方向である式により、本明細書に詳述される。
本明細書に使用される場合、抗体のアミノ酸配列を記載する文脈で使用される用語「生殖系列」は、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを免疫化することにより、又はヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることよりヒト免疫グロブリン配列を用いて1つの系から得られ、及び選択されたヒト抗体が、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも90%同一である、任意の抗体のアミノ酸配列を記載する。
本明細書に使用される場合、「生殖系列間保存的アミノ酸変化」に言及するとき、これは、抗体の最初の生殖系列配列の少なくとも1つのアミノ酸が、同じ種の別の抗体生殖系列配列の、アライメントされた同等の位置のアミノ酸に由来する異なるアミノ酸配列へと修飾される、抗体の保存的変化として定義される。
本明細書に使用される場合、抗体を記載する文脈での用語「親(parent)」又は「親の(parental)」は、天然に存在する生殖系列ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列から成る、任意の免疫グロブリンを指す。IgG4サブクラスの抗体を記載する文脈での用語「親(parent)」又は「親の(parental)」は、ヒトIgG4分子の保存された定常領域(重鎖及び軽鎖の両方)に、相補性決定領域を含む可変ドメインの任意のアミノ酸配列と共に、天然に存在するヒト生殖系列アミノ酸配列を含有し、ヒンジ領域が、アミノ酸配列、すなわち、システイン-プロリン-プロリン-システイン又はシステイン-プロリン-セリン-システインを含有する任意の免疫グロブリンを指す。
本明細書に使用される場合、用語「修飾IgG4」又は「バリアントIgG4」又は「組換えIgG4」は互換的に使用され、「親」IgG4抗体と同じアミノ酸配列を含むが、1つ以上のアミノ酸が異なる任意のIgG4抗体を指す。特定の実施形態において、これらの相違は、表1に詳述した又は本明細書に記載される修飾の少なくとも1つに相当し得る。
本明細書に使用される場合、PLBL2などの宿主細胞タンパク質(HCP)への抗体の結合という文脈での用語「結合」は、抗体と前記宿主細胞タンパク質(HCP)の間の特異的及び/又は非特異的、可逆的及び不可逆的相互作用の両方を指す。「結合レベル」、「結合能力」、「相互作用傾向」、「相互作用」は、本明細書で互換的に使用される。抗体とHCPの間のそのような結合相互作用は、当業者によって定量的に決定することができる。例えば、抗PLBL2ウエスタンブロットが、実施例2と同じように実施されてもよい。
そのような結合相互作用は、リガンドとして抗体及び分析物として宿主細胞タンパク質を用いて、例えば、BIAcore(商標)3000又はBIAcore(商標)T200機器で表面プラズモン共鳴(SPR)技術を用いることにより、定量的に決定することもできる。
本明細書に使用される場合、用語「親和性」は、PLBL2などのHCPに対する1個の分子、例えば本発明の抗体の結合の強度を指す。抗体の、その標的又は混入物質(HCPなど)に対する結合親和性は、平衡法により決定することができる。結合親和性を定量する方法には、例えば、Octet(登録商標)RED 384機器と組み合わせたバイオレイヤー干渉法(BLI)が挙げられる(実施例6参照)。他の方法には、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)若しくは放射性免疫測定法(RIA))、又は速度論(例えばBIACORE(商標)分析)が挙げられる。
本明細書に使用される場合、PLBL2などの宿主細胞タンパク質への抗体の結合という文脈での用語「活性」は、抗体に結合しているHCPの量を指す。例えば、PLBL2に結合される抗体の数。結合活性を定量する方法には、HCPがどれほど抗体に結合しているか(例えばPLBL2ng/mg)を決定する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、実施例3参照;HCPがどれほど抗体に結合しているか(例えばPLBL2結合(RU))を決定する、BIAcore(商標)3000又はBIAcore(商標)T200機器における表面プラズモン共鳴(SPR)技術、実施例4参照、が挙げられる。
本明細書に使用される場合、宿主細胞タンパク質に対するある抗体の結合の変化を、同じ宿主細胞タンパク質に対する別の抗体の結合と比べて述べる文脈で使用されるときの用語「低下している」は、前記宿主細胞タンパク質に対する2つの抗体の結合の相対差を指す。親和性又は活性の差は、リガンドとして抗体及び分析物として宿主細胞タンパク質を用いて、例えば、BIAcore(商標)3000又はBIAcore(商標)T200機器で表面プラズモン共鳴(SPR)技術を用いることにより、定量的に決定することができる。この場合、結合活性が10%を超えて低下する、及び/又は結合親和性が10分の1未満に低下している場合、ある抗体は、別の抗体と比べて結合レベルが「低下している」と定義される。したがって、1つの実施形態において、バリアント抗体は、非修飾抗体と比べて結合活性が少なくとも10%低下している、及び/又は結合親和性が10分の1以下に低下している。
本明細書に使用される場合、PLBL2などの成分の濃度又は量を記載する文脈での用語「百万分率」又は「ppm」は、IgG4抗体などの製品の濃度と比較した前記成分の濃度を指す。「ppm」値は、基本的に成分と抗体製品のモル比であり、例えば、成分濃度(ng/mLで測定された)を抗体濃度(mg/mLで測定された)で除して計算することができる。次いで、この計算の結果が、抗体製品100万部あたりの成分の部となる。あるいは、検出されたHCPは、pg/mgに等しい「ppb」(「十億分率」)により測定されてもよい。
本明細書に使用される場合、「親和性クロマトグラフィー」は、等電点、疎水性、又は大きさなどの生体分子の一般的な特性ではなく、生体分子間の特異的、可逆的相互作用を利用してクロマトグラフィー分離を達成するクロマトグラフィー法である。
「スーパー抗原」は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーと、これらのタンパク質の標的リガンド結合部位とは異なる部位で相互作用する一般的リガンドを指す。ブドウ球菌エンテロトキシンは、T細胞受容体と相互作用するスーパー抗原の例である。抗体を結合するスーパー抗原には、IgG定常領域を結合するプロテインG、IgG定常領域及びVHドメインを結合するプロテインA、並びにVLドメインを結合するプロテインLが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、1つの実施形態においてスーパー抗原は、プロテインA、プロテインG、及びプロテインLから成る群から選択される。
本明細書に使用されるとき、用語「プロテインA」は、その天然の供給源(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞壁)から回収されたプロテインA、合成によって作製されたプロテインA(例えば、ペプチド合成又は組換え法により)、及びCH2/CH3領域を有するタンパク質を結合する能力を保持するそれらのバリアントを包含する。
「プロテインA親和性クロマトグラフィー」又は「プロテインAクロマトグラフィー」は、免疫グロブリン分子のFc部分に対するプロテインAのIgG結合ドメインの親和性を利用する特異的親和性クロマトグラフィー法を指す。このFc部分は、ヒト又は動物免疫グロブリン定常ドメインCH2及びCH3、又はこれらに実質的に類似する免疫グロブリンドメインを含む。実際には、プロテインAクロマトグラフィーは、固体支持体に固定化されたプロテインAの使用を伴う。プロテインG及びプロテインLも、親和性クロマトグラフィーに使用することができる。固体支持体は、プロテインAが接着する非水性マトリックスである(例えば、カラム、樹脂、マトリックス、ビーズ、ゲル等)。そのような支持体には、アガロース、セファロース、ガラス、シリカ、ポリスチレン、コロジオンチャコール(collodion charcoal)、砂、ポリメタクリレート、架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)、並びにデキストラン表面増量剤及び任意の他の適切な材料を含むアガロースが挙げられる。そのような材料は、当技術分野で周知である。任意の適切な方法が、スーパー抗原を固体支持体に付着させるのに使用され得る。タンパク質を適切な固体支持体に付着させる方法は、当技術分野で周知である。プロテインA又はプロテインLが固定化された及びされていないそのような固体支持体は、Vector Laboratory(バーリンゲーム、カリフォルニア)、Santa Cruz Biotechnology(サンタクルス、カリフォルニア)、BioRad(ハーキュリーズ、カリフォルニア)、Amersham Biosciences(GE Healthcareの一部門、ウプサラ、スウェーデン)、及びMillipore(ビルリカ、マサチューセッツ)などを含む多くの商業的供給源から容易に入手可能である。
用語「バッファー」は、溶液のpHを安定化する緩衝液又は緩衝剤を意味する。バッファーは、一般に、弱酸及びその共役塩基、又は弱塩基及びその共役酸を含む。至適pHの又は至適pHに近いタンパク質溶液の緩衝は、正しいタンパク質フォールディング及び機能を確保するのに役立つ。
用語「脂肪酸エステル」は、エステル結合を介して頭部基に連結された脂肪酸鎖を含有する任意の有機化合物を意味する。エステル結合は、ヒドロキシル基(例えば、アルコール又はカルボン酸)がアルコキシ基に置換されるときに形成される。脂肪酸エステルの例は、一般に、リン脂質、脂質(例えば、頭部基が、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドを含むグリセロールである)、並びに非イオン性界面活性剤であるポリソルベート20、ポリソルベート60、及びポリソルベート80のような例えばポリソルベートを含む表面活性剤及び乳化剤が挙げられる。表面活性剤及び乳化剤は、共溶媒及び安定剤として有用であり、タンパク質製剤に添加されて、気液界面及び固液界面剪断などの機械的ストレスに対するタンパク質安定性を増強することができる。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照してこれより記載される。
[実施例1]
最終バルクmAbのHCP ELISA希釈直線性
以前の研究は、宿主細胞タンパク質(HCP)phospholipase B-Like 2(PLBL2)が、哺乳動物細胞宿主を用いて生成された抗体試料中に存在する可能性を示した。さらに、PLBL2の存在は、試料中の合計HCPレベルをELISAにより定量化する場合に観察される希釈非直線性の原因となり得る。最終バルク原体中にPLBL2を含有する可能性があるmAb製品を同定するために、HCP ELISAを行って試料の希釈直線性を評価した。CHO由来製品試料中の免疫原性HCPの合計量を定量化するために、独自のELISAを社内で開発した。このHCP ELISAは、GSKのCHO由来製品間の多品種使用のために、カスタムヤギ抗CHO HCPポリクローナル抗体及び社内作製HCP参照標準を使用し、複数のバイオ医薬品mAb製品の精製工程試料間の、HCPのクリアランスをモニタリングするプラットホーム方法として使用されている。このアッセイは、2.0ng/mLの感度を有する。工程内及び最終バルク物質試料の室内再現精度は5.7〜14.9%CVに及び、繰り返し性は3.5〜8.8%CVに及ぶ。
各試料の最低4つの希釈物を、ELISAにより分析する。補正HCP値は、測定されたHCP濃度に希釈係数を乗じ、次いで製品濃度で除して希釈物ごとに計算する。試料希釈ごとの補正HCP値を、希釈係数の関数としてlog-logスケールでプロットする。各試料の希釈勾配を、以下のlog-log式を用いて計算する:
Log (補正HCP) = A + B×Log (希釈係数)
(式中、Aはy切片であり、Bは勾配である)。希釈が増加するにつれて上昇する補正HCP値は、希釈非直線性を示しており、PLBL2の存在を示唆している可能性がある。
IgG1、IgG2、IgG4、及びIgG2/IgG4キメラを含む、異なるサブタイプのヒト化IgG製品を分析した。IgG2/IgG4キメラは、ヒンジ領域がヒトIgG2の生殖系列配列と交換されてはいるが、ヒトIgG4生殖系列配列を有する抗体である。結果は、希釈係数が増加するにつれて上昇する補正HCP値により決定した希釈非直線性が、mAb7、IgG4分子でのみ観察されることを示している(図1)。以下の表3は、HCP ELISAにおいてこれらのmAb製品ごとに得られた希釈勾配値を含有する。
これらの結果は、mAb7最終バルク物質中に、過剰な、ELISAで使用した抗CHO HCP検出抗体を飽和させているHCPがあることを示唆している。HCPがPLBL2であるかどうかを確認するために、さらなる実験が必要となった。
[実施例2]
異なるmAbの抗PLBL2ウエスタンブロット
実施例1は、mAb7がHCP ELISAにおいて希釈非直線性を示すことを示した。PLBL2が希釈非直線性に関与し得るかどうかを決定するために、抗PLBL2ウエスタンブロットを、ELISAにより以前に分析した(実施例1)同じヒト化IgG製品で行った。
100μgのmAb製品を含有する試料を2×試料バッファー(Novex)で1:1希釈し、次いで4〜20%勾配ゲル(Novex)にローディングした。SDS-PAGEを定電流下、1ゲルあたり24mAで30分間、その後1ゲルあたり36mAで50分間行った。電気泳動後、ゲルを固定し、タンパク質をSYPRO(登録商標)Ruby(Thermo Fisher Scientific)で染色した。Sypro(登録商標)RUBY染色ゲルを、FLA-3000 Fluorescent画像Analyzer(富士フイルム株式会社)で撮像した。Sypro(登録商標)RUBY画像(図2A)は、各製品がゲルに均等にローディングされたことを示している。
ウエスタンブロッティングを、XCell II(商標)Blot Module(Novex)を用いてPVDF膜(Bio-Rad)にゲルを移し、25Vの定電圧で105分間流して行った。移した後、TBST(Sigma)で1:10希釈した蛍光ブロッキングバッファー(Rockland Immunochemicals)を用いて膜を一晩ブロックした。ブロッキング後、膜をTBSTで洗浄し、1μg/mLの抗PLBD2ポリクローナル抗体(Abcam、ab138334)と室温で2時間、インキュベートした。インキュベーション後、膜をTBSTで10分間、3回洗浄した。次いで、膜を1μg/mLのマウス抗ウサギcy3コンジュゲート(Jackson Immunoresearch)と室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、膜をTBSTで10分間、3回洗浄した。洗浄後、膜を30分間乾燥させた。乾燥膜をFLA-3000 Fluorescent Image Analyzerで撮像した。このウエスタンブロットは、20ngのPLBL2の検出下限を有する。ウエスタンブロット画像(図2B)は、PLBL2がmAb7に関して最終バルク物質で検出され、他のIgG製品のいずれでも検出されないことを示している。この結果は、実施例1に記載したmAb7に関して観察される希釈非直線性にPLBL2が関与しており、試料中に存在するPLBL2の量を定量化するためにさらなる分析が行われるべきであるという議論を支持している。
[実施例3]
mAb試料中のPLBL2の定量
mAb7中のPLBL2の検出を前提として、試料中のPLBL2の濃度を正確に定量化するためにELISAを開発した。このELISAは社内で開発され、参照標準として組換えハムスターPLBL2、及び検出用にカスタム社内生成ポリクローナル抗PLBL2抗体を使用する。このアッセイは2.0ng/mLの感度を有する。試料の室内再現精度は3.23%CVである。
PLBL2 ELISAを使用して、以前に調べた4種類の異なるmAb製品の精製工程にわたって採取された試料中のPLBL2濃度を定量化した。PLBL2濃度は、採取後、最初のクロマトグラフィーステップ(ステップ1)後、及び最終バルク原体(最終)後に決定し、以下の表4に見出すことができる。
表4に見出される結果は、相当量のPLBL2がmAb7の最終バルク原体に残留しているが、テストした他のmAb製品には残留していないことを示している。興味深いことに、mAb7に関して採取材料中のPLBL2の52%のみが、最初のクロマトグラフィー精製ステップ中に除去され、一方99.92%がこのステップ中にmAb1から除去される。両方の製品が精製に同じ樹脂を使用していることを考えると、PLBL2はmAb分子と直接相互作用しており、クロマトグラフィー樹脂とは直接相互作用していない可能性がある。
[実施例4]
SPRによる異なるmAbへのPLBL2の結合
前のデータに基づいて1つの可能性のある説明は、PLBL2が優先的にmAb7に結合し、他のmAb製品にはしないというものである。以前に述べたように、mAb7は、他のサブタイプには存在しないPLBL2の結合部位を提供し得るIgG4分子である。なぜPLBL2がmAb7の精製中に除去されないかをさらに調べるために、表面プラズモン共鳴(SPR)結合実験を行った。この実験では、抗ヒトIgG Fc抗体(GE Healthcare)を、Biacore(商標)T200機器(GE Healthcare)を用いて約7000応答単位(RU)のレベルまでSeries S CM5センサーチップ(GE Healthcare)の2つのフローセル(FC4及びFC3)に固定化した。固定化抗体を使用して、バックグラウンド除去のためのインライン参照セルとしてFC3を用いて、1×HBS-EP+バッファー(GE Healthcare)中のmAb製品を約2500RUのレベルまでFC4に捕捉した。HBS-EP+バッファーを用いて組換えハムスターPLBL2を5μMに希釈し、30μL/分で60秒間注入した。製造者の推奨プロトコルを用いて、表面の再生前にPLBL2の解離を180秒間測定した。
IgG1、IgG2、IgG4、及びIgG2/IgG4キメラを含む異なるサブタイプの7種類の異なるヒト化IgG製品を、このプロトコルを用いてSPRによりPLBL2結合に関して分析した(以下の表5参照)。結果は、センサーチップでのmAbの捕捉はほぼ等しいにもかかわらず(図3A)、PLBL2がテストした3つのIgG4分子全てに結合し、他のサブタイプのいずれにも結合しないことを示している(図3B、図3C)。各mAbへのPLBL2結合レベルは、以下の表5に見出すことができる。
表5の結果は、PLBL2がIgG4サブタイプの抗体に結合する傾向が増加していることを示している。さらに、mAb 2、3、5及び6は全て、同じ可変領域を含有することから、該結果は、これがPLBL2を結合する能力の増強に関与するIgG4分子の定常領域であること示していることになる。
特に、PLBL2は、mAb4に結合しなかった。mAb4は、IgG2の生殖系列ヒンジ領域を含有するが、定常領域の残りの部分はIgG4の生殖系列から成るIgG2/IgG4キメラである。これらの結果は、PLBL2がmAb製品に直接結合しているために、mAb7の精製中に除去されないことを示唆している。
これらの結果は、PLBL2の結合の駆動に主に関与するのはIgG4分子の定常ドメインだけでなく、この定常ドメインのヒンジ領域もPLBL2の結合に関与する可能性があることを示していることになる。
mAb7に対する組換えPLBL2の結合親和性を計算するために、第2のSPR実験を行った。この実験は、同じ固定化された抗ヒトIgG Fcチップであるが、mAb7を約170RUレベルまでしか捕捉しないものを使用した。捕捉後、1.25μM〜80μMにわたる濃度の分割注入により、PLBL2を30μL/分で120秒間注入した。結合親和性(KD)を、定常状態で1:1結合モデルを使用するBiacore T200評価ソフトウェアを用いて決定した。
結果は、濃度が増加するにつれてmAb7へのPLBL2の結合が増加することを示している(図4A)。定常状態の結合応答(PLBL2注入開始の約110秒後)を使用して、結合親和性を計算した(図4B)。mAb7へのPLBL2結合に関して、40.0μMのKDが計算された。これは比較的弱い結合であるが、HDX-MS実験においてmAb7分子をPLBL2で飽和させるように、該実験をセットアップするのにこの結果は有用であった。
[実施例5]
PLBL2の結合に対する発現系の影響
前の例は、他の抗体サブタイプ(例えば、IgG1及びIgG2)と比べて、IgG4サブタイプの抗体がPLBL2を結合する傾向の増加を示した。これらの抗体を生成するのに使用される宿主細胞発現系が、PLBL2を結合する抗体の能力に影響を与え得るかどうかを決定するために試験を行った。試験は、いずれも同じ可変ドメインを有するが、異なるIgGサブクラスのmAb6(IgG4)及びmAb3(IgG2)を用いて行った。したがって、これらの分子の挙動の差は、定常抗体ドメインに直接起因し得る。
簡単には、mAb3(IgG2)を発現するCHO K1a細胞のもう1つの別個の培養と並行して、IgG4 mAb6を発現するCHO K1及びHEK293細胞(それぞれ、mAb6A及びmAb6Bを意味する)を別々に培養した。これらの培養物は、標準的なmAb清澄化及び下流の精製工程を通過させる前に、適当な時点で採取した。次いで、これらの抗体各々の精製試料を、Biacore(商標)T200を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて、PLBL2を結合する抗体の能力について分析し、比較した。
試料(表6)をHBS-EPバッファー中20μg/mLに希釈し、前固定したプロテインAチップ(GE Healthcare)の反応フローセルに10μL/分で60秒間注入した。次いで、HBS-EP中100μg/mLに希釈したPLBL2を反応フローセル及び参照フローセルの両方に5μL/分で120秒間注入した。両方のフローセルを、10mMグリシン、pH1.5を30μL/分で10秒間、次いでHBS-EPを30μL/分で30秒間用いて再生した。
結果(図5)は、両方のIgG4分子が、異なる細胞株で生成されるにもかかわらず、PLBL2と同程度に相互作用することを示している。その一方で、IgG2分子は相互作用しない。表7は、各試料により生成された任意の値を示している。
[実施例6]
IgG2及びIgG4サブタイプの抗体の結合親和性の定量
前の実験は、他のサブクラスの抗体(例えば、IgG1及びIgG2)と比べて、IgG4サブクラスの抗体がPLBL2を結合する能力の増加を示した。PLBL2に対するIgG4の抗体の親和性を定量化する試験も行った。
試料は、実施例5に記載したように生成した。次いで、これらの試料中で抗体と結合するPLBL2の親和性を、Octet(登録商標)RED 384機器を用いてバイオレイヤー干渉法(BLI)により評価した。試料(表6に言及されているのと同じ)をPBS-T中10μg/mLに希釈した。市販のプロテインAバイオセンサー(Pall)を、各試料に1000RPMで120秒間浸漬した。次いで、ローディングしたバイオセンサーを様々な濃度(1538nMから16nMまで連続2倍希釈)で1000RPM、300秒間、PLBL2に浸漬して結合を評価した後、PBS-Tに1000RPMで300秒間浸漬して解離を評価した。バイオセンサーを、製造者の指示書に従って10mMグリシン、pH1.5、及びPBS-Tを用いて再生した。
結果(表8)は、1:1結合モデルによるローカルフィットを用いて生成した。mAb3に関しては相互作用がなかったため、親和性データは得られなかった(図6A)。mAb6A及びmAb6Bは両方とも低親和性を有した。mAb6AはmAb6Bと比べて、より速い結合速度により親和性が約14倍増加した。その一方で、解離速度は類似していた。mAb6A及びmAb6Bのフィッティングを、それぞれ図6B及び6Cに示す。
これらの結果は、宿主細胞発現系は、PLBL2を結合する発現IgG4の能力に影響を与えないが、該分子の結合親和性に影響を与える可能性があり得ることを示している。
[実施例7]
HDX-MSにより探索されたmAb7とPLBL2の間の相互作用
mAb7及びPLBL2の相互作用の根底にある科学をさらに理解するために、Synapt G2-S質量分析計に連結されたWaters HDXマネージャーシステムを用いて、mAb7試料及びPLBL2と結合したmAb7試料のHDX-MS分析を行った。SPRによる40.0μMのKDに基づくと、重水素標識後、mAbの約70%がPLBL2と結合される。重水素標識を、0.5分、5分、60分、120分、180分、及び240分で測定した。データをWaters DynamXソフトウェアを用いて分析し、HDX差分プロットを生成した(図7)。縦棒は、6つの標識時点からの各ペプチドの合計HDX差を表す。非結合及びPLBL2結合mAb7のHDXプロフィールの比較は、PLBL2に結合すると、重鎖の領域K218-F256が重水素取り込みの低下を示すことを明らかにする。これは、mAb7へのPLBL2結合によるこの領域の安定化を示すものであり、他の実験の結合結果と十分に相関する。
[実施例8]
異なるmAbのヒンジ領域の配列アライメント
前の結果は、PLBL2が、製品への直接結合及び同時精製により、mAb7(IgG4分子)を汚染することを示している。同様に、前の例は、同じくIgG4サブタイプであるmAb5及びmAb6も、PLBL2を結合できることを示した。異なるアイソタイプのmAbへのPLBL2結合の分析は、結合がIgG4分子のヒンジ領域で生じる可能性が最も高いことを示唆した。これは、HDX-MSデータによって支持された。異なるIgGアイソタイプにおける少数の異なるアミノ酸を考えると、PLBL2結合に関与する個々のアミノ酸残基を同定し得る可能性がある。PLBL2結合に関与するIgG4アミノ酸残基を決定するために、mAb製品のヒンジ領域のアミノ酸配列アライメントを生成した。
配列アライメントの分析において、目的とする残基は、PLBL2が結合することが観察されたIgG4分子(mAb5、mAb6、及びmAb7)で保存され、PLBL2が結合しなかった他のIgGサブタイプでは保存されないもの(すなわち異なる残基)である。この分析によりそのような残基が10個認められ、それらを黒い四角で囲む(図8)。具体的には、目的とする残基は、K203、R222、S227、Y229、G230、P237、P238、E246、F247及びE248である。
IgG2又はIgG1で見出されるものに対する、IgG4で見出されるアミノ酸由来のこれらの10個の残基の変異は、PLBL2がIgG4分子に結合するのを防ぐと予想された。
[実施例9]
PLBL2への結合を軽減するためのIgG4ヒンジ領域残基の変異誘発
実施例1から8まで詳述した試験は、IgG4分子の定常領域が、PLBL2へのこれらの免疫グロブリンの結合を可能にすることに主に関与することを示した。さらに、IgG4とIgG2/IgG4キメラの間で行われた比較は、PLBL2とのこれらの相互作用を、該分子のヒンジ領域又はその付近に局在化できるようにした。試験した様々な分子のアミノ酸配列のアライメントは、PLBL2結合において役割を果たすヒンジ領域内の特定のアミノ酸を、排除工程を通じて同定できるようにした。最終ステップは、IgG4分子のヒンジ領域の修飾が、PLBL2への免疫グロブリンのこのサブクラスの結合をどれほど軽減することができるかを示す確証的変異誘発実験を行うことである。
IgG4サブクラスの抗体へのPLBL2の結合をもたらすことに関与するとして同定された10個のアミノ酸残基のうち7個を、代替のアミノ酸、例えば、ヒトIgG1及び/又はIgG2抗体の生殖系列ヒンジ配列で見出されるものに置換する試験を行った。mAb5をモデル分子として用いて、HEK293宿主細胞発現系を、ヒンジ領域が修飾されたいくつかのmAb5バリアントをコードするベクターDNAで一過性にトランスフェクトする変異誘発実験を実施した。
mAb5のヒンジ領域に対する変異は、PLBL2結合に影響を与える役割をある程度果たしていると以前に同定されたアミノ酸配列位置においてであった(実施例8)。変異は、表1に記載されている単一点変異のいずれかとして、及びそれらの様々な組み合わせで導入され、7つの異なるヒンジ修飾IgG4バリアント分子(mAb5-1B、2B、3B、4B、6B及び7B)を生成した。同時に、非修飾親IgG4(mAb5B)を一過性に発現する培養物も準備した。これに加えて、異なる抗原標的に対する同じくIgG4バリアントであるmAb7のヒンジ領域に対する変異も、単一点変異のいずれかとして、及びそれらの様々な組み合わせで作出し、3つの異なるヒンジ修飾バリアント(mAb7-2B、4B及び5B)を生成した。
これらのバリアントの接尾語ナンバリングは作出された変異を反映し、該ナンバリングは、ヒンジ修飾IgG4バリアントの両方のセットにわたって維持した。故に、mAb5-2Bのヒンジ領域は、mAb7-2Bのものと同じである。
さらに、追加の対照としてのIgG2(mAb3B)及びIgG4(mAb6B)、並びにヒンジ修飾IgG1バリアント(mAb2-αB)を発現する培養物も準備した。図9は、これらのIgG4バリアントの修飾ヒンジ領域を図示し、試験に含めた他のmAb分子のヒンジ領域配列に対してそれらをアライメントしている。表9は、評価した異なる分子を詳述する。分子名の接尾語「A」及び「B」は、抗体が、それぞれCHO K1又はHEK293細胞で発現されたかどうかを意味する。
HEK293細胞により生成された材料を、標準的なmAb精製工程を用いて精製した。簡単には、製品mAbsの十分な一過性発現に適当な期間培養した後、細胞を除去し、清澄化した細胞培養上清をプロテインA親和性クロマトグラフィーを用いて精製した。プロテインA溶出液を、Tris溶液を用いて中性pHに滴定した。調査中の異なるmAb分子を含有する中和プロテインA溶出液を、実施例10〜12に記載されるように、次いで一連の結合アッセイに供した。
[実施例10]
IgG2、IgG4及びIgG4バリアント分子におけるPLBL2相互作用アッセイ
実施例9で生成され、記載された様々なmAbの、組換えヒトPLBL2との相互作用を、Biacore(商標)T200(GE Healthcare)結合法を用いて表面プラズモン共鳴(SPR)により評価した。20μg/mLのmAbを、市販の前固定プロテインAチップ(GE Healthcare)のフローセル4に10μL/分で60秒間注入し、HBS-EP+ランニングバッファー中で10秒間安定化させた。捕捉抗体のレベルの変動は、10%未満であった。次いで、100μg/mL(1538nM)組換えヒトPLBL2を、フローセル4及び3に5μL/分で120秒間注入した。フローセル3は、インライン参照セルとして機能し、低下している5μL/分流速を使用して低親和性相互作用を促進した。次いで、センサーを10mMグリシン、pH1.5により30μL/分で10秒間再生した。
前の実験の結果に基づき、mAb8A(IgG1である)は、組換えヒトPLBL2と相互作用しないことがわかっていた。そのため、mAb8Aは、結果を正規化する陰性対照として使用した。
SPR分析の結果(図10)は、mAb5-2B及びmAb5-4Bに対する、それらの親分子(mAb5B)と比べたPLBL2のRUのおおよそ90%の減少、及びmAb7-2B及びmAb7-4Bに対する、それらの親分子(mAb7A)と比べたPLBL2のRUの約80%の低下を示している。mAb5-3Bは、結合の変化を示さなかった。これは、この変異単独が、相互作用の低下において失敗に終わったことを示している。mAb5-2Bは、222位にアルギニンからリジンへの単一のアミノ酸置換を含有する。mAb5-3Bは、227位にセリンからプロリンへの単一のアミノ酸置換を含有する。mAb5-4Bは、mAb5-2B及びmAb5-3Bの両方に存在する変異を含有する。これは、227位でのプロリンへの置換はPLBL2相互作用を低下させていないが、悪影響も有していないこと、及び観察されたPLBL2結合の低下は、222位でのリジンへの置換によるものであることを示している。実際に、当該位置でのIgG1からIgG4への生殖系列交換を表す、mAb2の222位でのリジンからアルギニンへの置換(図9)は、PLBL2への結合を示さなかった親分子(mAb2)と比べた場合、SPRによるPLBL2への結合の増加を有する変異体(mAb2-αB)をもたらした。当該位置でのIgG4からIgG2への生殖系列交換を表す、mAb5の222位でのアルギニンからスレオニンへの交換(図9)は、親分子(mAb5)と比べて、SPRによるPLBL2に対する結合の約30%の減少を有する変異体(mAb5-8B)をもたらした。
このデータは、PLBL2結合を促進する上で、222位のアルギニンが重要な要因であることを示唆しているが、mAb5-5Bにより示されたPLBL2結合の低下から明らかなように(図10)、他のヒンジ残基もこのHCPの結合に影響を与え得る。その一方で、mAb8AはPLBL2との相互作用を示さず、mAb6Bは最大量の結合を示した。
[実施例11]
IgG2、IgG4及びIgG4バリアント分子におけるPLBL2親和性アッセイ
実施例9で生成され、記載された様々なmAbに対するPLBL2の相互作用の親和性を、Octet(登録商標)RED 384機器(ForteBio)を用いてバイオレイヤー干渉法(BLI)により、実施例6に記載された同じ方法でテストした。
市販のプロテインAバイオセンサーを、10μg/mL、120秒間、1000RPMで試料に浸漬した。バイオセンサーを、アッセイバッファー(HBS-EP+)に1000RPMで30秒間浸漬して、ゆるく結合したタンパク質を解離させた。ローディングしたバイオセンサーを、次いで様々な濃度(1538、769.2、384.6、192.3、96.15、48.15、24、0nM)で組換えヒトPLBL2に浸漬し、最後にHBS-EP+に5分間浸漬した。
結合及び解離速度を、グローバルフィットにより1:1結合モデルを用いて測定した。しかし、速い解離速度のため解離曲線の最初の50秒のみを分析した。結果を表10に示す。
カーブフィッティング不良のため、mAb5-2B、mAb5-4B、mAb7-2B、mAb7-4B及びmAb8Aに関する速度論的値は計算することができなかった。これは、これらの分子に関してPLBL2との相互作用がなかったことを示すものである。これらの結果は、実施例10からの知見により生じ、これらの試料に関するPLBL2への結合の影響も示している。KDの大きな低下(10×以上)が、親分子(mAb5B)と比べてmAb5-6Bに関して見られた。mAb5-1B及びmAb5-7Bは、わずかにより速い結合速度(kon)に起因する、望ましくないPLBL2に対する親和性のわずかな増加を示した。全ての残りの変異体は、親分子と比べた場合、PLBL2への結合の10×未満の低下を示し、そのため結合親和性の変化は有意とはみなされなかった。
[実施例12]
IgG2、IgG4及びバリアントIgG4分子の抗原結合
抗体分子mAb3、mAb5(ヒンジ修飾バリアントの全てを含む)及びmAb6は全て、これらの抗体が同じ抗原に対して標的にされることから、同じ可変領域を含む。試料の変異誘発が、各分子の抗原結合活性に悪影響を与えなかったことを示すために、抗原結合を、Biacore(商標)T200(GE Healthcare)を用いて表面プラズモン共鳴(SPR)により評価した。リガンドを捕捉する前固定したプロテインAセンサー(GE Healthcare)を使用して、活性を評価した。センサー表面を、使用前に再生するために(10mMグリシン、pH1.5を30μL/分で60秒間用いて)、5×スタートアップサイクルを全てのフローセルで実行した。各mAb試料をPBS-T中10μg/mLに希釈し、フローセル4に10μL/分で60秒間注入し、10秒の安定化期間を設けた。10μg/mLの標的抗原を、次いでフローセル4及び3に10μL/分で60秒間注入し、この後注入を停止し、アッセイバッファーを10μL/分の流速で100秒間注入して、解離を可能にした。次いで、センサー表面を次の注入に備えて、10mMグリシン、pH1.5を30μL/分で60秒間用いて再生した。
各分子の活性を計算するために、抗原結合応答(RU)を抗体捕捉応答(RU)で除し、百分率として報告した。報告された百分率は、依然としてその抗原に結合することができる、試料中に存在する抗体の量を示す。この実験に起因する検定誤差は10%である。表11は、全てのmAbが標的抗原に対して100±10%の活性を示したことを示している。これは、結合の喪失も変化もなかったことを示すものである。全ての変異体は同程度に行った。特に、mAb5B又はそのヒンジ修飾バリアントのいずれか(mAb5-1B〜7B)の結合に差はなかった。
[実施例13]
宿主細胞タンパク質(HCP)へのIgG4結合の軽減
問題のある宿主細胞タンパク質は、典型的には製品と同時精製し、通常はごく微量で存在するが、十分に精製された原体中に存在するレベルが、安全性及び薬効両方の問題を提起し得る場合があった。PLBL2の結合はこの重要な例を示しているが、他の問題のある宿主細胞タンパク質が、目的とする抗体製品と相互作用することが報告される場合があった。
その結果、他のHCPの結合を軽減するためのIgG4ヒンジ領域修飾の効果を示すために、試験を行ってもよい。第1段階は、例えばmAb6をモデル分子として用いて、IgG4と相互作用する傾向があるHCPを同定することであろう。これらのHCPは、mAbのFc領域が市販のプロテインAビーズに結合し、ヌルCHO K1清澄化未処理バルク(CUB)材料と複数回の10分のインキュベーション期間を経るHCP濃縮方法を用いて同定することができる。次いで、最終的な結合複合体をビーズから溶離し、LC-MS/MSを用いて分析する。複数の反応モニタリング(MRM)方法を、本宿主細胞タンパク質を定量化するのに使用することができる。
これらのHCPを同定することに成功すれば、前の実施例に詳述された方法を使用して、修飾mAb5変異体と共に、もともとのmAb5分子の両方へのこれらのHCPの結合を評価することができる。これらの生成は、実施例9に記載されている。これらの試験は、本発明の主題であるヒンジ領域修飾を用いて、IgG4へのPLBL2結合を軽減するだけでなく、HCPに結合する傾向もより広範に低下させる能力をより一般的に図示するのに役立つであろう。

Claims (20)

  1. 重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾されているバリアントIgG4抗体であって、非修飾IgG4抗体と比べて、宿主細胞タンパク質(HCP)への結合レベルが低下している、前記バリアントIgG4抗体。
  2. 修飾が、
    (a)IgG1、IgG2、及び/若しくはIgG3抗体生殖系列配列における同等のアミノ酸配列への1つ以上の置換、並びに/又は
    (b)Kabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせの欠失、並びに/又は
    (c)Kabat残基203〜256の間の領域の1つ以上のアミノ酸の挿入
    を含む、請求項1記載のバリアントIgG4抗体。
  3. 修飾が、
    (a)Kabat残基226〜243(両端を含む)の間のヒンジ領域の1つ以上のアミノ酸の修飾、及び/又は
    (b)Kabat残基203の修飾、並びに/又は
    (c)Kabat残基222の修飾、並びに/又は
    (d)K203からR、E、若しくはQ;R222からT、K、若しくはQ;E226からL若しくはI;S227からR、P、A、N、若しくはT;Y229からS、C、F、W、若しくはH;G230からC、A、N、若しくはS;P237からH、E、D、若しくはV;及び/又はP238からT、K、若しくはEを含む1つ以上のアミノ酸の置換、並びに/又は
    (e)EPKSCDKTHT(配列番号27)、若しくはERKYGPP(配列番号28)、若しくはERKCCVE(配列番号29)、若しくはELKTPLGDTTHT(配列番号30)によるESKYGPP(配列番号26)(Kabat残基226〜238)の置換、及び/又は
    (f)SCDKTHT(配列番号24)、若しくはCCVE(配列番号25)によるYGPP(配列番号23)(Kabat残基229〜238)の置換
    を含む、請求項1又は2記載のバリアントIgG4抗体。
  4. 非修飾IgG4抗体と比較して宿主細胞タンパク質(HCP)への結合親和性及び/又は結合活性が低下している、請求項1〜3のいずれか1項記載のバリアントIgG4抗体。
  5. S241からP、及び/若しくはL248からEへのさらなる置換、並びに/又はPAAAP(配列番号33)若しくはPAAAS(配列番号32)によるEFLGGP(配列番号31)(Kabat残基246〜251)の置換を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のバリアントIgG4抗体。
  6. 配列CPPC(配列番号20)(Kabat残基239〜242)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のバリアントIgG4抗体。
  7. 非修飾IgG4抗体と比較して重鎖定常領域においてさらなる修飾がない、請求項1〜6のいずれか1項記載のバリアントIgG4抗体。
  8. 宿主細胞タンパク質が、推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2)である、請求項1〜7のいずれか1項記載のバリアントIgG4抗体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載のバリアントIgG4抗体をコードする細胞株。
  10. 工程不純物への結合を低下させるためにIgG抗体を修飾する方法であって、
    a)工程不純物の結合に関与する少なくとも1つのアミノ酸を同定するステップ、及び
    b)工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸を異なるアミノ酸で置換することにより、IgG抗体のバリアントを作出するステップ
    を含む、前記方法。
  11. 工程不純物の結合に関与するアミノ酸が、タンパク質間相互作用を試験する方法又はタンパク質間相互作用を試験する方法の組み合わせを使用して同定される、請求項10記載の方法。
  12. タンパク質間相互作用を試験する方法が、水素重水素交換質量分析(HDX-MS)である、請求項11記載の方法。
  13. 工程不純物との結合に関与すると同定されたアミノ酸が重鎖定常領域に存在する、請求項10〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 工程不純物が宿主細胞タンパク質である、請求項10〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 宿主細胞タンパク質(HCP)への結合が低下しているIgG4抗体を作製する方法であって、 抗体配列を重鎖定常領域においてKabat残基203〜256の間の領域のアミノ酸のいずれか1つ又は組み合わせで修飾するステップ
    を含む、前記方法。
  16. 宿主細胞タンパク質が、推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2)である、請求項14又は15記載の方法。
  17. 請求項1〜8のいずれか1項記載のバリアントIgG4抗体を含む組成物。
  18. バリアントIgG4抗体が、少なくとも10mg/mL、少なくとも20mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも75mg/mL、又は少なくとも100mg/mLの濃度である、請求項17記載の組成物。
  19. 組成物中の推定ホスホリパーゼB様2(PLBL2)の濃度が500ppm未満、100ppm未満、又は10ppm未満である、請求項17又は18記載の組成物。
  20. バッファー及び/又は脂肪酸エステルをさらに含み、場合により脂肪酸エステルがポリソルベート20又はポリソルベート80である、請求項17〜19のいずれか1項記載の組成物。
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