JP2019532642A - ナノポアを通した誘導による核酸検出方法 - Google Patents

ナノポアを通した誘導による核酸検出方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、試料中の標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、(a)試料を標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と接触させることであって、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成する、接触させることと、(b)試料を、膜貫通ポアを含む膜と接触させることと、(c)膜に電位を印加することと、(d)複合体と膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在について監視して複合体の存在または不在を決定し、それによって試料中の標的ポリヌクレオチドを検出することと、を含む、方法を提供する。【選択図】

Description

本発明は、概して、膜貫通ポアを用いて標的ポリヌクレオチドを検出および/または分析する方法に関する。本発明はまた、方法での使用のための新規プローブおよびプローブのパネル、ならびに方法を実施するためのキットに関する。方法は、多くの用途を有する。特に、方法は、診断、多型の検出、およびV(D)Jレパトア解析に使用され得る。
幅広い用途にわたる迅速かつ安価なポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)配列決定および同定技術が現在必要とされている。既存の技術は、主に、多量のポリヌクレオチドを生成するために増幅技法に依存し、信号検出のために多量の専門蛍光薬剤を必要とするため、時間がかかり、高価である。
膜貫通ポア(および他のナノポア)は、ポリマーおよび様々な小分子のための直接的な電気的バイオセンサーとして大きな可能性を有する。特に、最近は、潜在的なDNA配列決定技術としてナノポアが注目されている。
ナノポアにわたって電位が印加されると、ヌクレオチドなどの分析物が特定の時間バレル中に一時的に滞留する場合、電流の流れに変化がある。ヌクレオチドのナノポア検出は、既知のシグネチャーおよび持続時間の電流変化をもたらす。鎖配列決定方法では、単一のポリヌクレオチド鎖はポアを通過させ、ヌクレオチドの同一性が誘導される。鎖配列決定は、ポアを通るポリヌクレオチドの移動を制御するために分子ブレーキの使用を含み得る。
本発明者らは、CRISPR遺伝子編集機構の一部を形成するガイドRNAおよびDNAならびにRNA誘導型およびDNA誘導型エフェクタータンパク質の新規用途を同定した。本発明者らは、試料中の1つ以上の標的ポリヌクレオチドの存在、不在、または量について試験するために、関連RNA誘導型エフェクタータンパク質と共に使用することができる修飾ガイドRNA配列を設計した。本発明者らは、膜貫通ポアと共にガイドRNAおよびRNA誘導型エフェクタータンパク質を用いて標的ポリヌクレオチドを検出する方法を開発した。方法は、様々な方法で実施することができるが、それらが標的ポリヌクレオチド(複数可)を選択するためにガイドRNAおよびRNA誘導型エフェクタータンパク質を使用し、標的ポリヌクレオチド、ガイドRNA、およびRNA誘導型エフェクタータンパク質を含む複合体の膜貫通ポアへの送達を含むという共通点を有する。方法は、C2c2を使用するRNA編集システムを含む、他のポリヌクレオチド誘導型タンパク質エフェクターシステムに拡張することができる。ガイドRNAなどのガイドポリヌクレオチドは、ナノポアに基づく検出方法における使用に特に適合され得る。
本発明者らによって開発された方法は、高感度であり、試料中の他の成分から標的ポリヌクレオチド(複数可)を抽出するために別々の分離ステップを必要とすることなく、試料中の微量のポリヌクレオチドを検出するために使用することができる。よって、方法は、簡単であり、富化または精製ステップなどの複雑なステップを必要としない。したがって、方法は、迅速であり、迅速な結果ならびに粗製および/または「汚れた」試料からの結果を得るために使用することができる。方法は、したがって、迅速な診断が必要とされる診断環境において特に有用である。方法はまた、遺伝子またはゲノムの特定の断片または領域を標的とするのに特に有用である。方法の主な利点は、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、標的またはアダプターの測定の前に標的ポリヌクレオチドから積極的に除去される必要がないことである。本発明のいくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に依然として付着している間に検出または特徴付けされ得る。本発明の他の態様では、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、標的の測定中に膜貫通ポアによって自動的に除去され得る。いくつかの実施形態では、方法は、試料中の他の成分からの標的ポリヌクレオチド(複数可)の分離を容易にするために特異的に設計されたガイドポリヌクレオチドを使用する。
方法は、本質的に分離ステップを含むので、多くの他のポリヌクレオチド配列を含有する試料において、ポリヌクレオチド配列の関心領域を特徴付ける、例えば配列決定することを可能にする。例えば、大きなゲノムに存在する関心遺伝子のみが配列決定され得る。配列決定は、SNPを含有する領域、またはT細胞中のV(D)J領域などの他の関心領域に限定することができる。これは、複雑なまたは時間のかかる断片化またはプルダウン試料調製方法を必要とせずに所望の情報にアクセスしながら、感度および効率を改善させる。それはまた、関心標的ポリヌクレオチド断片のみが測定されるか、またはその増加した割合が試料中の全ポリヌクレオチド断片に対して測定されるので、ナノポア実験の実施にかかる時間を短縮する。非標的ポリヌクレオチドの量が標的ポリヌクレオチドの量に対して過多である場合、標的ポリヌクレオチドを検出するのにかかる時間は、非標的ポリヌクレオチドの除去またはこれを測定する必要性の低下のため、有意に短縮され得る。方法はまた、PCRまたは他の標的富化アプローチを必要としないことから利益を得る。
したがって、本発明は、試料中の標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、
(a)試料を標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と接触させることであって、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成する、接触させることと、
(b)試料を、膜貫通ポアを含む膜と接触させることと、
(c)膜を挟んで電位差を印加することと、
(d)複合体と膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在について監視して複合体の存在または不在を決定し、それによって試料中の標的ポリヌクレオチドを検出することと、を含む、方法を提供する。
試料中の標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、
(a)試料を標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と接触させることであって、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成する、接触させることと、
(b)試料をナノポアと接触させることと、
(c)ナノポアを挟んで電位差を印加することと、
(d)複合体とナノポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在について監視して複合体の存在または不在を決定し、それによって試料中の標的ポリヌクレオチドを検出することと、を含む、方法も提供される。
本発明はまた、
−標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するヌクレオチド配列、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質およびアダプター配列、ならびに/または表面に連結することができるアンカーに結合するヌクレオチド配列を含む、ガイドポリヌクレオチド、
−本発明の2つ以上のガイドポリヌクレオチドのパネル、
−本発明のガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を含む、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、
−ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質および表面に連結することができるアンカーを含む、キット、ならびに
−試料中の二本鎖ポリヌクレオチドを含む標的を検出する方法であって、
(a)試料を第1のプローブおよび第2のプローブと接触させることであって、第1のプローブおよび第2のプローブが、試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成し、第1のプローブが、標的二本鎖ポリヌクレオチド中の第1の配列に結合し、表面に連結することができるアンカーを含み、第2のプローブが、標的二本鎖ポリヌクレオチド中の第2の配列に結合し、アダプター配列を含む、接触させることと、
(b)試料を膜貫通ポアと接触させることと、
(c)膜貫通ポアに電位を印加することと、
(d)複合体と膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在について監視して複合体の存在または不在を決定し、それによって試料中の標的二本鎖ポリヌクレオチドを検出することと、を含む、方法を提供する。
図は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
伸長CRISPR RNA(crDNA)を担持する不活性化CRISPR−Cas9複合体が特定のゲノムDNA配列「a」と接触するためにどのように使用され得るかの例を示す。この図では、Cas9タンパク質Aは、ゲノムDNA B中の特定の遺伝子座aと接触する。CRISPR RNA Cは、「PAM」部位Dに先行するaの配列を担持する。Cas9は、aの融解を触媒し、非標的鎖a’にハイブリダイズする。crRNAはまた、tracrRNA Eおよびアンカリングポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド結合タンパク質装填ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にする伸長部Fに対する部分的相補性を担持する配列を保有し得る。tracrRNAはまた、アンカリングポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチド結合タンパク質装填ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にする伸長部Gを保有し得る。あるいは、Cas9は、アンカレッジまたは精製のためのタンパク質の表面への結合またはプルダウンを可能にする、ペプチドタグ、またはポリヌクレオチド親和性タグ、または反応性部分Hを保有し得る。野生型Cas9ヌクレアーゼの標準的な開裂部位I、Jも示されており、その両方は「死んだ」Cas9(dCas9)において不活性化され、その一方はCas9の「ニッカーゼ」突然変異体において不活性化される(Streptococcus pyogenesタンパク質中の残基H10およびD840の突然変異)。 0または1つの不活性化ヌクレアーゼ部位を有するCRISPR−Cas9が特定の遺伝子座に(図1のように)結合しており、酵素Bおよび配列aに相補的な配列を保有するアダプターが伸長され、標的DNAに直接ライゲーションされる、図1の代替方法を示す。パネルCは、活性または部分活性Cas9ヌクレアーゼによって、部位DおよびEの一方または両方で誘導された標的における二本鎖切断を示す。パネルFは、CRISPR−Cas9複合体の変位された鎖への種Bの結合によって誘導されたCRISPR−Cas9複合体の解離を示す。パネルGは、E.coli DNAポリメラーゼIなどのポリメラーゼ−エキソヌクレアーゼおよびE.coli DNAリガーゼなどのリガーゼの存在下で種Bの3’末端を伸長する効果を示す。 酵素装填アダプター(「Y−アダプター」)、種Aが、適切な3’伸長部を担持するcrRNA−tracrRNAハイブリッド、種Bにどのようにハイブリダイズされ得るかを示す。種Aは、種Bの3’伸長部、および酵素Dの装填のための5’伸長部に対する部分的相補性a*を有するオリゴヌクレオチドC、種Cに対する部分的相補性を担持するオリゴヌクレオチドEを含む。オリゴヌクレオチド種Bは、配列S1、tracrRNA Gに対して部分相補的な、crRNAのプロトスペーサー配列、および配列a*に対して相補的な、配列aの3’伸長部を保有するオリゴヌクレオチドFを含む。 コレステロール部分を保有するオリゴヌクレオチドなどのアンカリング種Aが、適切な3’伸長部を担持するcrRNA−tracrRNAハイブリッド、種Bにどのようにハイブリダイズされ得るかを示す。全ての部分は、配列S2が種Bに固有のプロトスペーサー配列であり、図3に示されるハイブリッドとは異なる配列を標的とすること、アンカリング種A上の、配列b、配列b*に相補的であるcrRNAに対する3’伸長部以外は、図3と同様である。種Bは、コレステロールまたはビオチンまたはデスチオビオチンなどのアンカリング部分Cを保有する。 二本鎖DNA標的Aが、CRISPR−Cas9複合体Cによる認識によって、どのように非特異的DNA Bと区別され得るかを示す。 混合物中の特異的および非特異的DNAが、ナノポアによる標的および非標的DNAの捕捉に使用され得るアダプター部分Aで誘導体化され得ること以外は、図5と同一である。 アダプター部分Aが、ナノポアを通る標的および非標的DNAの移動を制御するために使用されるポリヌクレオチド結合タンパク質Bを保有し得ること以外は、図6と同一である。 標的DNA C上の2つの隣接する遺伝子座に対するCRISPR−Cas9複合体(A、B)が試料を明確に同定するために使用され得る例を示す。図3のように、複合体Aは、酵素装填伸長部を担持するcrRNAを含有する。図4のように、複合体Bは、アンカリング伸長部を担持するcrRNAを含有する。複合体Bに結合する遺伝子座を担持するDNAは、トリブロックポリマー膜などの表面Dに結合する。複合体Aに結合している酵素は、ナノポアを通るバーコード付きDNA分析物Eの移動を制御し得る。システムを洗い流すことによって、溶液から(標的遺伝子座を有さない種、Fを含む)非特異的分析物の除去後、2つの遺伝子座を担持する実体Gのみが検出され、実体F、H、またはIは検出されないであろう。 アンカリング部分を含有する伸長部を担持する不活性Cas9(「dCas9」)が、ナノポアを通るポリヌクレオチド結合タンパク質制御転座を介して標的分析物の配列を富化および決定するために使用され得る例を示す。この例では、酵素結合アダプター部分は、溶液中の全DNAの一方または両方の末端にライゲーションされる。標的遺伝子座を含有するDNAのみがアンカリングdCas9複合体に結合する。 ナノポアを通るDNA分析物の移動を制御するために使用され得るライゲーションされた酵素結合アダプターを有するDNA分析物を示す。 酵素の転座が、特定の遺伝子座に結合しているCRISPR−dCas9複合体によって一時的にストールされ得る、図10と同様の、結合酵素を有するDNA分析物を示す。 標的ポリヌクレオチド分析物に結合しているdCas9の検出方法を示し、標的分析物および結合dCas9の両方の鎖は、ナノポアを通して転座され、ナノポアは、標的分析物および結合dCas9の通過を可能にする狭窄部を担持し、dCas9は、ナノポアを通して測定されたイオン電流における特徴的な偏向を生じる。 標的ポリヌクレオチド分析物に結合しているdCas9の検出方法を示し、標的分析物の両方の鎖は、ナノポアを通して転座されるが、ナノポアの狭窄部は、結合dCas9の転座を防止し、ナノポアを通して測定されたイオン電流における特徴的な偏向または滞留時間を生じる。 標的ポリヌクレオチド分析物に結合しているdCas9の検出方法を示し、標的分析物は、図6のように、ポリヌクレオチド結合タンパク質遊離アダプターで誘導体化され、ポリヌクレオチド分析物の2つの鎖の一方は、ナノポアを通して転座され、標的分析物に結合しているdCas9は、ナノポアを通して測定されたイオン電流における特徴的な偏向または滞留時間を生じる。 結合dCas9を有する標的分析物の配列決定方法を示し、標的分析物は、図7のように、ポリヌクレオチド結合タンパク質結合アダプターで誘導体化され、ポリヌクレオチド分析物の2つの鎖の一方の転座は、ポリヌクレオチド結合タンパク質によってナノポアを通して制御される。この例では、標的分析物に結合しているdCas9は、ポリヌクレオチド結合タンパク質の転座における、およびしたがってナノポアを通して測定されたイオン電流における特徴的なストールを生じ得る。 図4のようにコレステロール部分を担持する伸長型CRISPR−dCas9を介して、図8のように膜にアンカリングされ、図3のように、伸長型CRISPR−dCas9複合体にハイブリダイズされたバーコード付きポリヌクレオチド結合タンパク質装填オリゴヌクレオチド分析物の制御された移動によって同定され、コレステロール伸長型CRISPR−dCas9に隣接する遺伝子座に結合する、標的DNAの同定方法を示す。 アンカリング部分が、例えば、ビオチンまたはデスチオチンであり得、アンカリング部分が、ストレプトアビジン誘導体化ビーズまたはナノ粒子に結合し得る、図16の誘導体を示す。 既知または一般的な遺伝子座に結合するコレステロール伸長CRISPR−dCas9複合体を介して膜にアンカリングされる標的DNAの例を示し、同じ標的DNAは、その存在または不在が酵素伸長CRISPR−dCas9複合体によって決定される多数の未知の配列を含有する。この例では、各酵素伸長CRISPR−dCas9複合体は、図16のように、組み合わせて遺伝子座の存在または不在を明確に同定するために使用され得る固有のバーコードを保有する。標的DNAはまた、コレステロール伸長CRISPR−dCas9複合体を介するよりもむしろ膜に直接連結され得る。 例となるポリヌクレオチド、λファージDNA、およびゲノムの末端から2,855bpである特定の標的遺伝子座Aの位置を示す。 コレステロール伸長部を担持する結合CRISPR−dCas9が1〜3kbセグメントにランダムに断片化され、各セグメントが標的ポリヌクレオチドの配列を決定するために一方または両方の末端にポリヌクレオチド結合タンパク質装填Y−アダプターを担持する、図19の標的遺伝子座を示す。アセンブリは、コレステロール部分を介して膜表面にアンカリングされる。 ファージλDNAが1〜3kbセグメントにランダムに断片化され、酵素−Y−アダプターが断片化DNAにライゲーションされ、コレステロール伸長型CRISPR−dCas9が図19に示される標的に結合された、実験からのファージラムダ参照に対して整列させた配列データのカバレッジプロットを示す。カバレッジプロットは、予想位置(λファージゲノムの末端から2855bp)における特定の遺伝子座Aの富化を示す。上パネルは、フォワード(B)およびリバース(C)リード方向から累積されたアラインメントを示し、下パネルは、フォワードおよびリバース配向の集計を示す。 図19および20に示される遺伝子座に結合コレステロール伸長型dCas9を担持する標的DNAのポリヌクレオチド結合タンパク質制御転座によって検出されたナノポア電流シグネチャーのトレース例を示す。この例では、dCas9は酵素の転座を一時的にストールさせる。電流トレースは、オープンポアレベルA、リーダーシグネチャーB、標的分析物シグネチャーC、およびストールDを含む。 図16のように、酵素伸長型dCas9上のバーコード付きオリゴヌクレオチドの酵素制御移動によって検出されたナノポア電流シグネチャーのトレース例を示す。電流トレースは、オープンポアレベルA、リーダーシグネチャーB、およびバーコードシグネチャーCを含む。 ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、ポリヌクレオチド標的を膜貫通ポアを含む膜にもたらすためにどのように使用され得るかを示す。未結合ポリヌクレオチドは、膜貫通電位の印加および膜貫通ポアを用いるポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体の検出の前に洗い流され得る。 アダプターおよびリーダー配列がガイドRNAにどのように付着され得るかの例を示す。 本発明の方法が、ポリヌクレオチドを膜にテザリングするための膜アンカーを含むガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質および異なるSNPに特異的であり、SNP間を区別するためのバーコード付きアダプターを含むガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を用いて、SNPの存在または不在を検出するためにどのように使用され得るかを示す。 一対のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチドガイドエフェクタータンパク質を、関心領域(ROI)を含むポリヌクレオチド断片を得るためにどのように使用することができるかを示す。第1のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、図11に示されるようにポリヌクレオチド結合タンパク質をストールさせるように作用し、関心領域を膜貫通ポアを用いて特徴付けることを可能にするように、そのヌクレアーゼ活性を無効化することができた。 図28Aは、両方の末端にライゲーションされ、両方の末端で各々がコレステロール部分(D)を担持するオリゴヌクレオチドを介して膜(C)表面上にテザリングされた酵素結合Y−アダプター(B)を含む標的DNA分析物(A)の固定化を示す。コレステロールアンカー(F)を担持する結合CRISPR−dCas9(E)は、分析物を第3の位置の膜にテザリングする。この図は、DNA上の酵素転座を開始するためのMgATPの付加前のシステムを示す。 図28Bは、各々がコレステロール部分(D)を担持する両方の末端にライゲーションされた酵素結合Y−アダプター(B)を含む標的DNA分析物(A)の固定化を示す。ビオチン部分(F)などの親和性タグを担持する結合CRISPR−dCas9(E)は、分析物をストレプトアビジンなどのビーズ(C)にテザリングする。この図は、DNA上の酵素転座を開始するためのMgATPの付加前のシステムを示す。 図28Cは、コレステロール部分(D)を担持する一方の末端にライゲーションされた酵素結合Y−アダプター(B)を含む標的DNA分析物(A)の固定化を示す。他方の末端は、ヘアピン(G)を有する。ビオチン部分(F)などの親和性タグを担持する結合CRISPR−dCas9(E)は、分析物をストレプトアビジンなどのビーズ(C)にテザリングする。この図は、DNA上の酵素転座を開始するためのMgATPの付加前のシステムを示す。 MgATPの付加後の図28によって導入されたシステムを示す。CRISPR−dCas9複合体への酵素の転座は、CRISPR−dCas9複合体の遭遇(A)後に停止される。 膜にわたる電位の印加、およびナノポアによる標的分析物の末端の捕捉(A)後の図29によって導入されたシステムを示す。 分析物に印加された電位がCRISPR−dCas9複合体に結合している酵素を放出し、酵素が転座を再開した(A)後の図30によって導入されたシステムを示す。 初期のプレdCas9転座事象(B)、ストーリング(C)、および転座の再開(D)を含む、MgATPの付加の約2350秒後のトレース例を示す。ストールからの再開は、強調および拡大される(E)。 DNAの一本鎖が通り抜けるのに十分なだけの大きさであるポアに遭遇する二本鎖DNA鎖の概略図である。相補鎖は、第1の鎖が通過すると、ポアによって剥離される。 ナノポアを通して転座するDNA鎖の電流対時間プロットを示す。トレースは、ポア中にDNAが存在しないとき、オープンポアレベル、Aで開始する。各末端にアダプターを有する二本鎖DNA鎖は、次いでポアに遭遇し、転座を開始する。ポアは、二本鎖DNAが通過するには小さすぎるので、図33のように一本鎖のみが転座する。DNAの転座は、特徴的な信号(領域B)を生成し、次いでオープンポアレベル、Aに戻る。事象は、典型的には、0.5秒未満継続する。下パネルは、上パネルの拡大図である。 図14に示されるように、DNA鎖がそれに結合しているdCas9酵素を有すること以外は、図34と同じ実験を示す。数十秒続くロングポーズは、ポア中のDNAに関連する電流レベルで観察される。これらの事象のいくつかは、電位が逆転されるときにのみオープンポアレベルに戻る。 図14に示されるように、DNA鎖がそれに結合しているdCas9酵素を有すること以外は、図34の実験を示す。それは、鎖が転座し、信号がオープンポアレベル、Aに戻る事象を示す。第2および第3のパネルは、第1のパネルの拡大図であり、第2は事象の始まりを示し、第3は終わりを示す。このトレースから、その中の新たなロングポーズレベル、Cを有するが、信号が図34と同じ特徴的なパターンを有することが分かる。これは、DNA鎖に結合しているdCas9がDNA単独で観察された信号の修飾を引き起こしていることを示す。 それを収容するのに十分に大きいポアをインタクトで通過する二本鎖DNA鎖の電流トレースの例を示す。オープンポア電流から、A、電流はDNAがそれを通過するにつれてより低いレベルまで低下し、B、次いでオープンポアレベルに戻る。 それを収容するのに十分に大きいポアをインタクトで通過する二本鎖DNA鎖の電流トレースの例を示す。この場合、DNAは、図12に示されるようにそれに結合しているタンパク質を有する。ここで、タンパク質転座(C)を表すDNAレベルからの電流には余分な偏向がある。 複数のタンパク質がDNAに結合している、それを収容するのに十分に大きいポアをインタクトで通過する二本鎖DNA鎖の電流トレースの例を示す。各タンパク質は、電流に対して別々の偏向を引き起こす。 複数のタンパク質が(図39のものとは異なる位置で)DNAに結合しており、タンパク質がポアを通過するときに異なる信号を生成すように修飾または装飾された、それを収容するのに十分に大きいポアをインタクトで通過する二本鎖DNA鎖の電流トレースの例を示す。 配列aを有する5’DNA伸長部Dを担持するcrRNA CおよびtracrRNAでの、ビーズ表面BへのdCas9接触標的Aの富化および検出または配列決定方法の例を示す。標的Aは、数十ヌクレオチドからメガベースを超える長さまでの範囲の任意のサイズであり得る。Bは、例えば(バルク溶液中またはカラムフォーマット中の)ビーズ表面または膜であり得る。Bへの付着は、Bがストレプトアビジンなどのタンパク質でコーティングされている場合にビーズBへの付着を可能にするビオチンなどの化学部分を担持する、Dの伸長部に相補的な配列a’を担持する、オリゴヌクレオチドEによって媒介される。非標的DNAは、その後Bから洗い流され得る。標的Aの平滑または相補末端へのアダプターFの酵素またはクリックケミストリーライゲーションは、過剰なアダプターが洗い流された標的をビーズに結合させて標的−dCas9−ビーズアセンブリGをもたらしながら、達成され得る。標的Aの配列決定または検出は、次いで、膜H、およびtに相補的な配列t’を介してアダプターFにハイブリダイズするコレステロール修飾オリゴヌクレオチドテザーIを含有するフローセルにアセンブリGを送達することによって達成される。アセンブリGは、重力によって、または例えばビーズBが常磁性である場合には印加磁界によって膜に送達され得る。 rrsH遺伝子(E.coli K−12、株MG1655、ピークiの座標223771−225312)に対するcrRNAプローブを用いて、全E.coliゲノム試料からの全1 6S(rrs)遺伝子の富化を示すカバレッジプロットの例を示す。A、上は、フォワード(正数)とリバース(負数)方向リードについてのカバレッジ対位置のプロットを示す。7つのターゲットピーク、i〜viiは、同定され、バックグラウンドBに対して大きな比率を占める。A、下は、フォワードおよびリバース方向リードの集計を示す。Cは、各ビンにマッピングされた塩基の数に対して正規化された、参照に首尾よくマッピングした全てのリードのリード長のヒストグラムを示す。Dは、プルダウンに使用される単一プローブの7つの予想結合位置を示す。ピークviiは、標準的な「オフターゲット」部位である標的配列に位置するが、プローブ配列に対して20中19の一致を担持する。 ナノポア配列決定によって決定される、結合している標的対非標的分子の割合に対する、dCas9接触DNA試料への熱ストレス、続いてその後のSPRIビーズクリーンアップ、およびビーズベースのdCas9プルダウンを適用する効果を示す。 ナノポア配列決定によって決定される、結合している標的対非標的分子の割合に対する、dCas9接触DNA試料への熱ストレス、続いてその後のSPRIビーズクリーンアップ、およびビーズベースのdCas9プルダウンを適用する効果を示す。 ナノポア配列決定によって決定される、結合している標的対非標的分子の割合に対する、dCas9接触DNA試料への熱ストレス、続いてその後のSPRIビーズクリーンアップ、およびビーズベースのdCas9プルダウンを適用する効果を示す。 2つの異なるオリゴヌクレオチド伸長部、dCas9接触標的分子AのそれぞれtracrRNAおよびcrRNAからの配列[a−c]およびdを利用し、連続的にtracrRNAおよびcrRNA(またはその逆)の存在について選択するために使用され得る、連続的な「プルダウン」および「トーホールド溶出」方法の例を示す。tracrRNA伸長部aに部分的に相補的な配列a’−b’を担持するオリゴヌクレオチドBがまず精製表面Cに結合され、Aが[B+C]でインキュベートされ、任意の非標的DNAが洗い流される。[A+B+C]でインキュベートされる場合、オリゴヌクレオチドBと完全に相補的な配列[a+b]を担持するオリゴヌクレオチドDは、[B+C]からAを放出する「トーホールド変位」として知られる現象によってAのtracrRNA伸長部からオリゴヌクレオチドBを変位するであろう。Aは、図41に概説されるように、ナノポア配列決定もしくは検出のためにフローセルに適合および送達され得るか、または次いでcrRNA伸長部G(配列d)に相補的であるオーバーハングd’を有する二重螺旋オリゴヌクレオチドFを担持する、第2の種類の表面Eに結合させ、Fをもたらし得る。Fはまた、図41に概説されるように、適合および配列決定または検出され得る。表面CおよびEは、(バルクでもカラムフォーマットでも)ビーズまたは膜であり得る。 実施例7に記載されるように、単一crRNAプローブを用いる16S rrs遺伝子のプルダウンからの、熱ストレス(55℃、5分)、(該当する場合、1回の熱ストレス後に行われた)SPRI精製、および(ビーズ捕捉後に行われた)トーホールド変位方法のコンビナトリアル効果を示す。A、熱ストレス、SRRI、またはトーホールドなしの対照。B、SRRIのみ。C、熱ストレスのみ。D、熱ストレスおよびSPRI。E、トーホールドのみ。F、SPRIおよびトーホールド。G、熱ストレスおよびトーホールド。H、熱ストレス、SPRI、およびトーホールド。各パネル(A〜H)は、図42に示されるものと同様の、E.coliカバレッジプロットの例を示す。 実施例7に記載されるように、単一crRNAプローブを用いる16S rrs遺伝子のプルダウンからの、熱ストレス(55℃、5分)、(該当する場合、1回の熱ストレス後に行われた)SPRI精製、および(ビーズ捕捉後に行われた)トーホールド変位方法のコンビナトリアル効果を示す。A、熱ストレス、SRRI、またはトーホールドなしの対照。B、SRRIのみ。C、熱ストレスのみ。D、熱ストレスおよびSPRI。E、トーホールドのみ。F、SPRIおよびトーホールド。G、熱ストレスおよびトーホールド。H、熱ストレス、SPRI、およびトーホールド。各パネル(A〜H)は、図42に示されるものと同様の、E.coliカバレッジプロットの例を示す。 実施例7に記載されるように、単一crRNAプローブを用いる16S rrs遺伝子のプルダウンからの、熱ストレス(55℃、5分)、(該当する場合、1回の熱ストレス後に行われた)SPRI精製、および(ビーズ捕捉後に行われた)トーホールド変位方法のコンビナトリアル効果を示す。A、熱ストレス、SRRI、またはトーホールドなしの対照。B、SRRIのみ。C、熱ストレスのみ。D、熱ストレスおよびSPRI。E、トーホールドのみ。F、SPRIおよびトーホールド。G、熱ストレスおよびトーホールド。H、熱ストレス、SPRI、およびトーホールド。各パネル(A〜H)は、図42に示されるものと同様の、E.coliカバレッジプロットの例を示す。 実施例7に記載されるように、単一crRNAプローブを用いる16S rrs遺伝子のプルダウンからの、熱ストレス(55℃、5分)、(該当する場合、1回の熱ストレス後に行われた)SPRI精製、および(ビーズ捕捉後に行われた)トーホールド変位方法のコンビナトリアル効果を示す。A、熱ストレス、SRRI、またはトーホールドなしの対照。B、SRRIのみ。C、熱ストレスのみ。D、熱ストレスおよびSPRI。E、トーホールドのみ。F、SPRIおよびトーホールド。G、熱ストレスおよびトーホールド。H、熱ストレス、SPRI、およびトーホールド。各パネル(A〜H)は、図42に示されるものと同様の、E.coliカバレッジプロットの例を示す。 実施例8に記載されるように、dCas9の野生型または「特異性強化型」突然変異体で行われたプルダウンを比較する。パネルAは、そうでなければ野生型バックグラウンドにおける、dCas9突然変異体バリアントが、図42および実施例6に記載されるように、E.coli rrs 16S遺伝子から引き出された、対照実験を示す。ピークは、図42において同定される通りである。パネルBは、野生型dCas9突然変異体バリアントが「特異性強化型」dCas9突然変異体、D10A/H840A/K848A/K1003A/R1060Aで置き換えられた同等の実験を示す。ピークCおよびDはまた、図42のピークviiに対応し、PAMに対する位置−2に不一致を保有する、rrsD遺伝子に対応する。 実施例9に記載されるように、触媒的に死んだ(dCas9、A)または生きた(B)Cas9で行われたプルダウンのナノポアDNA配列決定ランからのカバレッジプロットを示す。パネルAは、そうでなければ野生型バックグラウンドにおける、dCas9突然変異体バリアントが、図42および実施例6に記載されるように、E.coli rrs 16S遺伝子から引き出された、対照実験を示す。この実験におけるインキュベーション温度は30℃であった。パネルBは、dCas9突然変異体が触媒活性Cas9で置き換えられた同様のプルダウン実験を示す。この実験におけるインキュベーション温度は37℃であった。*は、実施例6と比較してこの実験で使用されたより高いインキュベーション温度に起因するさらなるピークを示す。パネルCおよびDは、カバレッジがリードの方向性によってグループ化され、正数がフォワードリードを示し、負数がリバースリードを示す、dCas9および生きたCas9プルダウンのカバレッジプロットを示す。 Aは、図41に示されるものと同様であるが、酵素装填アダプターと標的分子Cとの間にバーコードアダプターBをさらに含有するビーズ−標的コンジュゲートを示す。他の成分は、図41に記載される通りである。パネルDは、7つの個別バーコード付き試料、NB01〜NB07を含有した単一の6時間配列決定ランからのカバレッジプロットを示す。各バーコードは、実施例10の本文に記載されるように、crRNAプローブの異なるセット、およびしたがってE.coliゲノムの異なる標的領域と関連付けられる。プローブ組み合わせは、実施例10の本文に列挙される。 分析物がdCas9を介してビーズに結合している間に、捕捉標的分析物へのアダプターの付着を含む3つのワークフロー例を示す。A、ビーズに結合している捕捉標的分析物の末端への酵素フリーアダプターのライゲーションを介したdCas9の酵素フリー検出、B、ビーズから標的を放出、増幅、および配列決定するための、上記のような、PCRアダプターのライゲーションによる標的の富化、続いて標的のPCR増幅、C、dCas9が標的に結合し、標的がビーズに結合している間の、高精度ナノポア配列決定のための、1Dバーコードアダプター、続いて配列決定アダプターの連続的なライゲーション。 クリックケミストリーによってアダプターライゲーションのために粘着末端を同時に付加しながら、DNAのトランスポザーゼ媒介せん断による、高分子量DNAからの標的の迅速な富化のための、実施例11に記載されるワークフローの例を示す。dCas9は、次いで、実施例11に記載されるように、せん断DNAに結合しており、オフターゲット効果は、実施例6において前述されるように、ストレスステップによって最小化され、配列決定アダプターは、クリックケミストリーを介してライゲーションされる。このワークフローは、実施例11に記載されるように、トランスポザーゼ断片化ステップとアダプター付着ステップとの間にCas9結合およびビーズ捕捉ステップの挿入を有する、Oxford Nanopore Technologies SQK−RAD003キットを利用する。 配列aを有する5’DNA伸長部Cを担持するcrRNAでの、ビーズ表面BへのCpf1またはdCpf1接触標的Aの富化および検出または配列決定方法の仮想例を示す。標的Aは、数十ヌクレオチドからメガベースを超える長さまでの範囲の任意のサイズであり得る。Bは、例えば(バルク溶液中またはカラムフォーマット中の)ビーズ表面または膜であり得る。Bへの付着は、Bがストレプトアビジンなどのタンパク質でコーティングされている場合にビーズBへの付着を可能にするビオチンなどの化学部分を担持する、Cの伸長部に相補的な配列a’を担持する、オリゴヌクレオチドEによって媒介される。非標的DNAは、その後Bから洗い流され得る。標的Aの平滑または相補末端へのアダプターFの酵素またはクリックケミストリーライゲーションは、過剰なアダプターが洗い流された標的をビーズに結合させて標的−Cpf1−ビーズアセンブリGをもたらしながら、達成され得る。標的Aの配列決定または検出は、次いで、膜H、およびtに相補的な配列t’を介してアダプターFにハイブリダイズするコレステロール修飾オリゴヌクレオチドテザーIを含有するフローセルにアセンブリGを送達することによって達成される。アセンブリGは、重力によって、または例えばビーズBが常磁性である場合には印加磁界によって膜に送達され得る。 実施例13に記載されるものなどの、「ペアアダプター」プルダウンが行われる仮想例を示す。(標的配列yおよびzを担持する)標的DNA分析物Aは、0〜数百ナノグラムの範囲のAの様々な濃度で非標的DNA分析物Bと混合される。実施例8に記載されるCは、ナノポア配列決定アダプターおよび任意のバーコード配列bを保有するcrRNA上のDNA伸長部を担持するdCas9−tracrRNA−crRNA複合体である。Dは、crRNAを表面にテザリングすることを可能にする配列tを保有するcrRNA上のDNA伸長部を担持するdCas9−tracrRNA−crRNA複合体である。AおよびBの混合物への種CおよびDの添加は、BのバックグラウンドにおけるAの検出を可能にする。配列yおよびzを担持する標的分子のみが、共に(Dの伸長部tに相補的な配列t’を有する)コレステロール修飾オリゴヌクレオチドEを介して膜表面Fにテザリングされ、標的分析物の検出を可能にする酵素アダプターを保有する。Gのナノポア捕捉は、したがってHの捕捉よりも増強される。ナノポアJによるGおよびHの捕捉は、電子的に測定される。Kは、捕捉事象L1およびオープンポア電流L2によって中断されたナノポア電流トレースの例を示す。L1の頻度は、膜上の種Gの濃度および溶液中のHのバックグラウンドレベルに依存する。Mは、標的分析物Aの濃度に対する事象L1の頻度の仮想プロットを示す。Nは、溶液からの種「G」のバックグラウンド捕捉のレベルを示し、よって「偽陽性」率である。
開示される生成物および方法の異なる適用が、当該技術分野における特定の必要性に適合され得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定的であることは意図されないことも理解されたい。
さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「ポリヌクレオチド」への言及は、2つ以上のポリヌクレオチドを含み、「アンカー」への言及は、2つ以上のアンカーを含み、「ヘリカーゼ」への言及は、2つ以上のヘリカーゼを含み、「膜貫通ポア」への言及は、2つ以上のポアなどを含む。
上記または下記の本明細書に引用される全ての出版物、特許、および特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
方法
本発明は、試料中の標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、(a)試料を標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と接触させることであって、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成する、接触させることと、(b)試料を、膜貫通ポアを含む膜と接触させることと、(c)膜を挟んで電位差を印加することと、(d)複合体と膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在について監視して複合体の存在または不在を決定し、それによって試料中の標的ポリヌクレオチドを検出することと、を含む、方法を提供する。ステップ(a)および(b)は、同時にまたはいずれかの順序で連続して実施され得る。
方法は、(a)複合体を形成するために試料を標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と接触させることであって、試料が膜貫通ポアを含む膜と接触し、膜貫通ポアに電位が印加される、接触させることと、(b)複合体の少なくとも一部分が膜貫通ポアに対して移動する際に1つ以上の測定を行って複合体の存在または不在を検出し、それによって試料中の標的ポリヌクレオチドを検出することと、を含み得る。
いくつかの実施形態では、方法は、(a)試料を標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および膜貫通ポアを含む膜と接触させることと、(b)膜を挟んで電位差を印加することと、(c)膜貫通ポアを通過するイオン流、または試料、ガイドポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と膜貫通ポアとの相互作用から生じる他のシグナルを測定して、ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および標的ポリヌクレオチドを含む複合体の存在または不在を決定し、それによって試料中の標的ポリヌクレオチドを検出することと、を含む。イオン流の測定は、ポアを通した電流の測定を含み得る。
方法は、多数の異なる方法で実施することができる。方法は、様々な異なる適用を行うために使用することができる。方法は、例えば、単一の標的ポリヌクレオチドの、または多数の標的ポリヌクレオチドの存在または不在を決定するために使用され得る。方法は、定量的であり得る。例えば、試料中に存在する標的ポリヌクレオチドの量(濃度など)を、本発明の方法を用いて決定することができ、および/または試料中に存在する異なるポリヌクレオチドの相対量を決定することができる。方法は、多型の存在もしくは不在および/または多型の同一性など、標的ポリヌクレオチドに関するさらなる情報を提供することができる。
方法は、ガイドポリヌクレオチドに付着しているアダプターが膜貫通ポアと相互作用するかを決定することを含み得る。方法は、標的ポリヌクレオチドに結合していないアダプターを含むガイドポリヌクレオチドが膜貫通ポアと相互作用しないように実施され得る。典型的には、かかる未結合ガイドポリヌクレオチドは、膜貫通電位が膜に印加される前に洗い流される。標的ポリヌクレオチドは、アダプターを含む結合ガイドポリヌクレオチドが洗い流されるのを防止するために、表面、例えば膜にテザリングされ得る。標的ポリヌクレオチドは、それに直接、例えば、その末端の一方に付着している膜アンカーなどのテザーを有し得る。あるいは、膜アンカーなどのテザーを含む第2のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を使用して、標的ポリヌクレオチドを表面、例えば膜にテザリングすることができる。
標的ポリヌクレオチドがテザリングされている表面は、ビーズであり得る。
アダプターは、典型的には標的ポリヌクレオチドに特有であり、膜貫通ポアと相互作用すると異なるシグナルを生じる。各々が異なる標的ポリヌクレオチドについて選択的であり、異なるアダプターを有する、複数のガイドポリヌクレオチドを試料に添加して、膜貫通ポアと相互作用する異なるアダプターによって引き起こされる異なるシグナルに基づいて異なる標的ポリヌクレオチドを検出および/または定量化することができる。この実施形態では、アダプターは、バーコードを含むと考えられ得る。
方法は、異なるポリヌクレオチド配列に結合する複数のガイドポリヌクレオチドを使用し得る。異なるポリヌクレオチド配列は、例えば、同じ標的ポリヌクレオチド中の異なる配列(例えば、標的ポリヌクレオチドの異なる部分)、異なる標的ポリヌクレオチドの配列または標的ポリヌクレオチド内の代替配列、例えば多型を包含する配列、例えば一塩基多型(SNP)であり得る。
いくつかの実施形態では、方法は、標的ポリヌクレオチドをさらに特徴付けることを含み得る。例えば、方法は、標的ポリヌクレオチドの全部または一部を配列決定することを含み得る。
いくつかの実施形態では、方法は、標的ポリヌクレオチドの異なる領域に結合する2つ以上のガイドポリヌクレオチドおよび/または2つ以上のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を用いて標的ポリヌクレオチドの存在、不在、または量を検出することであって、標的ポリヌクレオチドへの2つの異なるガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の結合が、標的ポリヌクレオチドが試料中に存在する場合、膜貫通ポアを通して、検出可能なシグナル、例えば検出可能な電流変化をもたらす、検出することを含み得る。シグナルは、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクター複合体のうちの1つにおけるアダプターに特徴的であり得、シグナルは、そのガイドポリヌクレオチドが膜アンカーを含む第2のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に「連結される」場合のみ観察され、この「連結」は、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の両方が標的ポリヌクレオチドに結合している場合に生じる。言い換えれば、標的ポリヌクレオチドは、アダプターを含むガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクター複合体を、膜アンカーを含むガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクター複合体に「連結する」のに役立つ。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が膜アンカーを含む実施形態では、付着は、タンパク質自体を介して、例えばstrep−tag/flag−tag/his−tagの使用によって行われ得る。
いくつかの実施形態では、方法は、試料を膜貫通ポアと接触させる前に、試料中の他のポリヌクレオチドから標的ポリヌクレオチドを分離する必要なしに、標的ポリヌクレオチドを選択的に配列決定することができるように、各標的ポリヌクレオチドを標的ポリヌクレオチドに特異的なガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体でマーキングすることによって膜貫通ポアを用いて標的ポリヌクレオチドを選択的に特徴付けること、例えば配列決定することを含み得る。
例えば、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリヌクレオチドのみ膜にテザリングされるように膜アンカーでタグ付けされ得る。試料中の他のポリヌクレオチドは、洗い流され得る。あるいは、ポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質は、例えば当該技術分野で既知の技法を使用して、試料中のポリヌクレオチドの末端に結合させることができ、ポリヌクレオチド結合タンパク質は、例えばポリヌクレオチド結合タンパク質の移動に必要な補因子を付加することによって、複合体形成後にポリヌクレオチドに沿って移動させることができる。この実施形態では、結合ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリヌクレオチド上のポリヌクレオチド結合タンパク質をストールさせる一方、ポリヌクレオチド結合タンパク質は、非標的ポリヌクレオチドの末端からプロセシングされる。次いで、膜貫通電位が印加されると、電位の力およびポアとの接触は、標的ポリヌクレオチドがポアを通って転座するように、結合ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を標的ポリヌクレオチドから変位させる。ポリヌクレオチド結合タンパク質が結合していない非標的ポリヌクレオチドは、シグナルが検出されないように、または得られる任意のシグナルが標的ポリヌクレオチドとポアとの相互作用から生じるシグナルから容易に区別することができるように、急速にポアを通過する。標的および非標的ポリヌクレオチドの両方を含む、試料中のポリヌクレオチドの3’末端鎖は、例えばエキソヌクレアーゼを用いて分解され得る。このように、標的ポリヌクレオチドを選択的に特徴付け、例えば配列決定することができる。ポリヌクレオチド結合タンパク質は、例えばATPまたは別のヌクレオシドなどの補因子およびγsGTPを付加することによってポリヌクレオチドに沿って移動させることができる。
別の実施形態では、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を使用して、選択された点でポリヌクレオチドを切断することができる。これは、関心領域に関する方法によって得られる、配列情報などの情報を限定するために使用され得る。例えば、ヌクレアーゼ活性を有する2つのポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を用いて、図27に示されるように目的のポリヌクレオチド断片を得ることができる。代替として、不活性化または無効化ヌクレアーゼ活性を有する修飾ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を用いて上記のようにポリヌクレオチド結合タンパク質をストールさせることができ、第2のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を用いて特徴付けられる断片を切断することができる。この実施形態は、例えば、特にV(D)Jレパトア解析用途において有用である。
さらに、いくつかの実施形態では、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリヌクレオチドを、ポアを通過する電流に対するガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体の効果を用いて標的ポリヌクレオチドの存在もしくは不在を決定、定量化、または同定することができるように、タグ付けまたは標識する。
例えば、アダプターは、膜にテザリングされた標的ポリヌクレオチドに結合している場合のみ膜貫通ポアと相互作用するので、ガイドポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、膜アンカーでタグ付けされた標的ポリヌクレオチドを同定するために使用され得るアダプターに付着させることができる。未結合ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、洗い流され得る。各々が異なる標的ポリヌクレオチドについて選択的であり、異なるアダプターを有する、複数のガイドポリヌクレオチドを試料に添加して、膜貫通ポアと相互作用する異なるアダプターによって引き起こされる異なるシグナルに基づいて異なる標的ポリヌクレオチドを検出および/または定量化することができる。
あるいは、標的ポリヌクレオチドに結合しているガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリヌクレオチドが膜貫通ポアを通過するときに検出可能なシグナルを生成し得る。膜貫通ポアがガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の通過を可能にするには小さすぎる、例えば二本鎖ではなく一本鎖ポリヌクレオチドの通過を可能にするポアである場合、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質がポアに到達するとき、ポアを通したポリヌクレオチドの移動は遮断される。これはポアを通過する電流に影響を及ぼし、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体の存在を検出することを可能にする。例えば、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、ポアの力および印加電位によって標的ポリヌクレオチドから剥離され(標的ポリヌクレオチドが印加電位によってポアを通って引張られるとき、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体はポアと接触し、標的ポリヌクレオチドに対する継続的な引張は、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体が標的ポリヌクレオチドから締め出される(すなわち、結合解除される)ように、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体をポアに押し付け)、電流中に検出可能なスタッターを生じる。標的ポリヌクレオチドの異なる部分に結合する2つ以上のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、方法において使用され得る。結合ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体の各々がポアに到達するとき、それはスタッターを引き起こすであろう。したがって、複数のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を用いて標的ポリヌクレオチドを同定することができる。例えば、1つ以上のガイドポリヌクレオチドは、特定の多型が標的ポリヌクレオチド中に存在する場合のみ標的ポリヌクレオチドに結合するように設計され得る。ポリヌクレオチドがポアを通過するときに観察されるスタッターの数、またはポリヌクレオチドがポアを通過するときの特定のスタッターの存在もしくは不在は、多型の存在または不在を示し得る。
膜貫通ポアが、二本鎖ポリヌクレオチドおよび結合ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体の通過を可能にするのに十分に大きい場合、二本鎖ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体のポア通過は、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体がポアを通過するときに認識可能なシグナルを生成するであろう。したがって、1つ以上のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を用いて標的ポリヌクレオチドを同定することができる。例えば、ガイドポリヌクレオチドは、特定の多型が標的ポリヌクレオチド中に存在する場合のみ結合するように設計され得る。標的ポリヌクレオチドがポアを通過するときに観察される結合ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体に起因するシグナルの数、または標的ポリヌクレオチドがポアを通過するときの特定のシグナルの存在もしくは不在は、多型の存在または不在を示し得る。二本鎖ポリヌクレオチドおよび結合ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の通過を可能にするナノポアとしては、例えば、ナノキャピラリーが挙げられる。したがって、この実施形態では、ポアは膜に含まれていなくてもよい。ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および/または標的ポリヌクレオチドのうちの1つ以上は、典型的には、方法を実施することを可能にするように修飾される。したがって、本発明はまた、修飾ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、ならびに本発明における使用に適したかかるポリヌクレオチドガイドおよびエフェクター分子のパネルを提供する。
方法は、標的ポリペプチドの量または標的ポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を決定することをさらに含み得る。1つ以上の特徴は、典型的には(i)標的ポリヌクレオチドの長さ、(ii)標的ポリヌクレオチドの同一性、(iii)標的ポリヌクレオチドの配列、(iv)標的ポリヌクレオチドの二次構造、および(v)標的ポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択される。
ステップ(a)は、試料を複合体の1つ以上の成分が結合することができるビーズ(例えば、微粒子)と接触させることをさらに含み得る。あるいは、(a)で使用される成分のうちの1つ以上、例えば、標的ポリヌクレオチド、ガイドポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、ビーズ(例えば、微粒子)に予備結合させることができる。
試料は、水性媒体中で提供されてもよく、あるいは試料は、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質およびガイドポリヌクレオチドを含む水性媒体に添加されてもよい。水性媒体は、典型的には、膜を挟む電位差の印加後に膜貫通ポアを通してイオン流を提供するためにイオンを含むであろう。水性媒体はまた、典型的にはバッファーを含むであろう。水性媒体は、典型的には、6〜9の範囲のpHおよび/またはNaClなどの100〜200mM塩の範囲のイオン濃度を有する。
ビーズは、典型的には、水性媒体よりも密度が高く、媒体に浸透して膜と接触し、よって膜表面でアンカーに付着している種の濃度を効果的に高める。
方法では、印加される電位は、電圧電位であり得る。代替的には、印加される電位は、化学的電位であり得る。この例は、両親媒性層にわたって塩勾配を使用することである。塩勾配は、例えば、Holden et al.,J Am Chem Soc.2007 Jul 11:129(27):8650−5に開示されている。
結合ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体の変位が必要とされない実施形態では、ガイドポリヌクレオチドおよび/またはエフェクタータンパク質は、標的ポリヌクレオチドに架橋され得る。
本発明の方法では、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、二本鎖ポリヌクレオチドに結合するプローブによって置き換えられ得る。プローブは、酵素と会合していても、していなくてもよい。例えば、プローブは、RecAコーティングプローブ、ペプチド核酸(PNA)、架橋核酸(BNA)、ロックド核酸(LNA)、γPNA、三重螺旋DNA、またはモルホリノプローブであり得る。プローブは、典型的には、標的ポリヌクレオチド中の配列に相補的な一本鎖領域を含む。プローブは、ループ、例えばヘアピンループなどの二本鎖領域および/もしくは二次構造、または三重螺旋を含み得る。プローブは、典型的には、約8〜約50、約10〜約40、例えば約15〜約30、好ましくは約18〜約25、例えば19、20、21、22、23、または24ヌクレオチドの長さを有する。プローブは、それに付着している膜またはアダプターに連結することができるアンカー配列を有し得る。例えば、プローブは、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、またはRecAコーティングプローブであり得る。プローブは、PNA、BNA、LNA、γPNA、三重螺旋DNA、またはモルホリノプローブであり得る。プローブは、それに付着しているポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質を有し得る。ポリヌクレオチド結合タンパク質は、アダプターに含まれるリーダー配列に結合させることができる。
方法では、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、特定のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに結合するタンパク質によって置き換えられ得る。特定のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに結合するタンパク質には、例えば、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼおよびジンクフィンガーヌクレアーゼが含まれる。かかるヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチド内の特定の部位に結合するように操作することができる。
特定の実施形態では、方法は、試料中の二本鎖ポリヌクレオチドを含む標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、(a)試料を第1のプローブおよび第2のプローブと接触させることであって、第1のプローブおよび第2のプローブが、試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成し、第1のプローブが、標的二本鎖ポリヌクレオチド中の第1の配列に結合し、膜に連結することができるアンカーを含み、第2のプローブが、標的二本鎖ポリヌクレオチド中の第2の配列に結合し、アダプター配列を含む、接触させることと、(b)試料を膜貫通ポアと接触させることと、(c)膜貫通ポアに電位を印加することと、(d)複合体と膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在について監視して複合体の存在または不在を決定し、それによって試料中の標的二本鎖ポリヌクレオチドを検出することと、を含む、方法であり得る。任意の未結合プローブは、ステップ(c)の前に洗い流され得る。ステップ(d)は、アダプターと膜貫通ポアとの相互作用について監視することを含む。標的ポリヌクレオチド中の第1の配列および第2の配列は、典型的には各々二本鎖ポリヌクレオチドの一部分である。
第2のプローブは、ポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質をさらに含み得る。第2のプローブ中のアダプターはリーダー配列を含んでもよく、ポリヌクレオチド結合タンパク質はリーダー配列に結合していてもよく、および/またはアダプターはバーコードを含んでもよい。
方法のステップ(a)は、試料を2つ以上の第1のプローブと接触させることであって、2つ以上のプローブが異なる配列に結合する、接触させることを含み得る。方法のステップ(a)は、試料および膜貫通ポアを2つ以上の第2のプローブと接触させることを含み得る。典型的には、2つ以上の第2のプローブは、異なるバーコードを含む。
異なる配列に結合するガイドポリヌクレオチドまたはプローブを使用する方法では、それらの配列は、同じ標的ポリヌクレオチド内の異なる標的ポリヌクレオチドに存在してもよく、または標的ポリヌクレオチドに存在し得るSNPなどの代替配列であってもよい。
一実施形態では、方法は、第1および第2のプローブの複数対、例えば2〜50、3〜40、4〜30、5〜25、6〜15、または8〜10対を使用し、各対は、異なる標的ポリヌクレオチドに結合する。代替の実施形態では、方法は、標的ポリヌクレオチド内の異なるまたは代替の配列を同定するために使用することができる、単一の第1のプローブおよび複数の第2のプローブを使用し得る。
方法を用いて、標的分子のエンリッチメント後の複合体バックグラウンド中に1つ以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30個以上の標的ポリヌクレオチドを検出することができる。一実施形態では、配列決定、例えば、ナノポア配列決定が検出に使用される。したがって、この実施形態では、標的DNA分子は、主にその配列によって同定され得る。
方法は、マルチプレックスアッセイとして実施され得る。マルチプレックスアッセイは、異なるバーコードを利用し得る。バーコードは、例えば、各々バーコードをナノポアによって同定することを可能にする別個のヌクレオチド配列を有し得る。一実施形態では、バーコード配列は、試料をガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型結合タンパク質と接触させる前に、試料中の全てのポリヌクレオチドにライゲーションされ得る。第2のバーコードは、試料をガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型結合タンパク質と接触させる前に、第2の試料に添加することができる。第1および第2の試料は、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型結合タンパク質の添加の前または後、好ましくはガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型結合タンパク質が標的ポリヌクレオチドに結合した後に組み合わせることができる。試料のプール化が、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型結合タンパク質が標的ポリヌクレオチドに結合した後に起こる場合、精製ステップ(ストレス、非標的結合タンパク質の除去、および/または非標的ポリヌクレオチドの除去を含む)は、プール化の前または後に実施され得る。複数の試料、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30個の試料は、バーコードで標識され、この方法で組み合わせることができる。この実施形態では、全ての試料は、例えば同じフローセルを使用して、同時に配列決定し、それらのバーコードアダプターを使用して同定することができる。
別の実施形態では、バーコードおよび配列決定アダプターは、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型結合タンパク質が標的ポリヌクレオチドに結合した後に添加され得る。例えば、バーコードおよび配列決定アダプターは、ビーズ上でライゲーションされ得る。標的装填バーコード付き適合ビーズは、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型結合タンパク質が標的ポリヌクレオチドに結合した後、および任意に1つ以上の精製ステップ(ストレス、非標的結合タンパク質の除去、および/または非標的ポリヌクレオチドの除去など)が実施された後に、試料に添加され得る。
方法は、標的ポリヌクレオチドに特異的に結合していない、任意のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質および/またはガイドポリヌクレオチド、例えばガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を除去することを含み得る。試料中に存在する、標的ポリヌクレオチドに結合していない、過剰なポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質および/またはガイドポリヌクレオチド、例えばガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体とポアとの相互作用を監視するときにバックグラウンドを生成することができる。標的ポリヌクレオチドに特異的に結合していないガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および/またはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリヌクレオチド複合体は、試料中のポリヌクレオチドを表面、例えばビーズまたはカラムに結合することによって、ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および標的ポリヌクレオチドを含む複合体から分離され得る。標的ポリヌクレオチドはまた、試料中のガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および/またはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリヌクレオチド複合体を表面、例えばビーズまたはカラムに結合することによって、試料中の非標的ポリヌクレオチドから分離され得る。標的ポリヌクレオチド(複数可)は、例えば、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体上の捕捉部分を介した「プルダウン」によってバックグラウンドから分離され得る。
方法は、ステップ(b)の前に標的ポリヌクレオチドに特異的に結合していない任意のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を選択的に変性することを含み得る。ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体結合の「オフターゲット」効果は、結合ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体に熱および/または化学ストレスを加えることによって低減され得る。典型的には、この実施形態では、非標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、加えられた熱ストレスまたは化学ストレスによって選択的に変性される。適用された熱または化学処理は、遊離ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質(すなわち、試料中のポリヌクレオチドに結合していないが、ガイドポリヌクレオチドに結合していてもよいポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質)および非標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質(すなわち、試料中のポリヌクレオチドに非特異的に結合しているポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、または「オフターゲット」ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質)のみが変性されるように選択することができる。標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、熱ストレスまたは化学ストレス中に標的ポリヌクレオチドに結合したままである。任意のオフターゲットポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、試料中のポリヌクレオチドへのその非特異的結合から放出される。一実施形態では、ガイドポリヌクレオチド中の対応する配列に正確に相補的である標的配列に結合しているポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質のみは、ストレス中にポリヌクレオチドに結合したままである。
尿素(例えば最大6M、5M、または4M)、塩酸グアニジニウム、極端なpH(酸性またはアルカリ性、例えばpH6、pH5、もしくはpH4未満、またはpH8、pH9、もしくはpH10超)、または高塩濃度などの任意の適切な化学ストレスを使用することができる。適切な条件は、当業者によって容易に決定され得る。
化学ストレスは、標的ポリヌクレオチドへのポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の特異的結合を破壊することなく、ポリヌクレオチドへのポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の非特異的結合の選択的破壊をもたらす任意の期間にわたって実施され得る。化学ストレスは、約30秒〜約10分間、例えば約1分、約2分、約3分、約5分、約6分、約7分、約8分、または約9分間実施されてもよい。
熱ストレスは、任意の適切な温度で実施することができる。典型的には、温度は、ポリヌクレオチドへのポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の非特異的結合を破壊するのに十分高いが、標的ポリヌクレオチドへのポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の特異的結合が破壊されないように十分に低い。例えば、試料は、約40℃〜約65℃、約45℃〜約65℃、約50℃〜約60℃、例えば約55℃の温度に加熱することができる。
熱ストレスは、標的ポリヌクレオチドへのポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の特異的結合を破壊することなく、ポリヌクレオチドへのポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の非特異的結合の選択的破壊をもたらす任意の期間にわたって実施され得る。熱ストレスは、約30秒〜約10分間、例えば約1分、約2分、約3分、約5分、約6分、約7分、約8分、または約9分間実施されてもよい。
過剰の未結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質および/またはガイドポリヌクレオチドを除去するために、精製ステップが用いられ得る。これは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)および塩化ナトリウムを試料に添加し、試料中に存在するポリヌクレオチドがビーズに結合するように試料をカルボキシル基でコーティングされた常磁性ビーズと接触させることによって達成され得る。適切なビーズは市販のSPRIビーズを含み、当該技術分野で既知の標準的なプロトコルが使用され得る。一実施形態では、標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、その後、表面、例えば異なる捕捉ビーズを使用して、非標的ポリヌクレオチドから分離され得る。典型的には、ここで、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を表面に特異的に結合するために使用される結合部分を含有し得る。任意の非結合ポリヌクレオチドは、洗い流され得る。標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、任意の適切な手段によって表面から溶出させることができ、または表面は、例えば表面がビーズである場合、複合体をポアに送達するために使用することができる。
「オフターゲット」効果は、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質上、例えばガイドポリヌクレオチド上の第1の結合部分を用いる、捕捉表面上の標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体の精製、標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を溶出すること、およびガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質上、例えばガイドポリヌクレオチド上の第2の結合部分を用いて標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を第2の特異的捕捉表面に移すことによってさらに最小化され得る。これは、例えば、第1の結合部分および第2の結合部分が共に末端伸長部、またはガイドポリヌクレオチド上のオリゴヌクレオチドに結合することができる他の一本鎖ポリヌクレオチド配列である場合に達成され得る。ガイドポリヌクレオチド上の第1の末端伸長部は、第1の捕捉表面、例えばビーズ上の第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有し、ガイドポリヌクレオチド上の第2の末端伸長部は、第2の捕捉表面、例えばビーズ上の第2の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有する。これを構成する1つの方法は、図44に描写される。図44では、crRNAは、ビーズ、カラム、または表面上の標的分子の捕捉に使用される3’DNA伸長部(図44の配列d)を含み、tracrRNAは、5’DNA伸長部(図44の配列a・c)を含む。第1の捕捉表面、例えばビーズからの標的の放出は、トーホールド変位として知られる現象によってもたらされ得る。
標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、まず、第1の末端伸長部に相補的な第1の捕捉オリゴヌクレオチドを担持するビーズ上での捕捉によって非標的ポリヌクレオチドから分離される。非標的ポリヌクレオチドは、洗い流される。標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、ガイドポリヌクレオチド上の第1の末端伸長部とビーズへの結合について競合する競合オリゴヌクレオチドの添加を介した、トーホールド変位によってビーズから溶出され得る。この実施形態では、第1の捕捉オリゴヌクレオチドは、第1の末端伸長部より長く、第1の配列および第2の配列を含み、第1の配列は、第1の末端伸長部中の配列と相補的であり、第1および第2の配列は、共に競合オリゴヌクレオチドの配列と相補的である。典型的には、第1の配列は、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有し、第2の配列は、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有する。競合オリゴヌクレオチドは、10〜80、例えば20〜60または30〜50ヌクレオチド、例えば40ヌクレオチドの長さを有し得る。第1の捕捉オリゴヌクレオチドは、10〜80、例えば20〜60または30〜50ヌクレオチド、例えば40ヌクレオチドの長さを有し得る。捕捉オリゴヌクレオチドは競合オリゴヌクレオチドと同じ長さを有してもよく、または捕捉オリゴヌクレオチドおよび競合オリゴヌクレオチドが第1および第2の配列の両方にわたって相補的である配列を有するという条件で、捕捉オリゴヌクレオチドは競合オリゴヌクレオチドより長くても短くてもよい。この実施形態では、第1の末端伸長部は、5’末端伸長部の5’末端または3’末端伸長部の3’末端にある、第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の配列と相補的でない配列を有する、末端部分、および第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の第1の配列と相補的である配列を有する部分を含む。第1の末端伸長部の末端部分は、典型的には、2〜10ヌクレオチド、例えば3、4、5、または6ヌクレオチドの長さを有し得る。第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な第1の末端伸長部の部分は、典型的には、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有し得る。
標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体の溶出後、複合体は、ガイドポリヌクレオチド上の第2の末端伸長部を介して第2の「送達」ビーズに結合させる。第2の「送達」ビーズは、第2の末端伸長部に相補的な第2の捕捉オリゴヌクレオチドを含む。第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、5〜40、例えば10〜30もしくは15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さ、または10〜80、例えば20〜60もしくは30〜50ヌクレオチド、例えば40ヌクレオチドの長さを有し得る。第2の末端伸長部は、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有し得る。第2の捕捉オリゴヌクレオチドは第2の末端伸長部と同じ長さを有してもよく、または第2の捕捉オリゴヌクレオチドおよび第2の末端伸長部が5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドにわたって相補的である配列を有するという条件で、第2の捕捉オリゴヌクレオチドは末端伸長部より長くても短くてもよい。第2末端伸長部は、第1捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、または競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。第2の捕捉オリゴヌクレオチドはまた、第1の捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、または競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。
したがって、ガイドポリヌクレオチドが第1の末端伸長部および第2の末端伸長部を含む場合、方法は、ステップ(b)の前に
(i)試料をそれに結合している第1の末端伸長部に相補的な配列を含む第1の捕捉オリゴヌクレオチドを有する表面と、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体が表面に結合するように接触させることと、
(ii)表面に結合しているガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体を競合オリゴヌクレオチドと、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体が表面から放出されるように接触させることと、
(iii)ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体をそれに結合している第2の末端伸長部に相補的な配列を含む第2の捕捉オリゴヌクレオチドを有するビーズと、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体がビーズに結合するように接触させることと、任意に
(iv)ビーズを膜貫通ポアに送達することと、を含み得る。
本発明の異なる実施形態では、(i)熱もしくは化学ストレス、過剰な未結合および/もしくは非標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製、またはトーホールド精製なし、(ii)熱または化学ストレスのみ、(iii)過剰な未結合および/または非標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製のみ、(iv)トーホールド精製のみ、(v)熱または化学ストレスならびに過剰な非結合および/または非標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製、(vi)熱または化学ストレスおよびトーホールド精製、(vii)過剰な非結合および/または非標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製ならびにトーホールド精製、あるいは(viii)熱または化学ストレス、過剰な非結合および/または非標的結合ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製、ならびにトーホールド精製があり得る。
標的ポリヌクレオチド/ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体が結合しているビーズは、複合体をポアに送達するために使用され得る。例えば、ビーズは、磁性であり得、ビーズに結合している標的ポリヌクレオチドは、フローセルの下に配置された磁界の印加によってポアを含むフローセルのウェル中に引き込まれ得るか、または重力によって沈降させることができる。配列決定は、テザー、例えばビーズを膜にテザリングする、ビーズ上のアダプター末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド−コレステロールテザーを流すことによって開始することができる。あるいは、テザーは、ビーズ−標的ポリヌクレオチドコンジュゲートが添加される前に膜に導入することができる。例えば、アダプター末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド−コレステロールテザーは、ビーズ−標的ポリヌクレオチド(複数可)が添加される前に、泳動用バッファーおよびテザーをフローセルに流すことによってフローセル中の膜に組み込まれ得る。この状況では、ビーズ−標的ポリヌクレオチド(複数可)がフローセルに添加される場合、それらはコレステロールによって膜中にアンカリングされるオリゴヌクレオチドに遭遇するときに膜にテザリングされるようになる。
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、ナノポア配列決定に適合され得る。例えば、試料中の全てのポリヌクレオチドは、方法のステップ(a)の前に一方または両方の末端に添加された配列決定アダプターを有し得る。試料中のポリヌクレオチドは、配列決定アダプターの添加の前に断片化され得る。あるいは、標的ポリヌクレオチドは、ステップ(a)後に一方または両方の末端に添加された配列決定アダプターを有し得る。この実施形態では、配列決定アダプターは、非標的ポリヌクレオチドからの標的の分離前または後に添加され得る。配列決定アダプターは、典型的には、ポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質を含む。配列決定アダプターがステップ(a)後に添加されるとき、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリヌクレオチド複合体は標的ポリヌクレオチドに結合したままである。アダプターの結合後、いくつかの実施形態では、一般に、標的ポリヌクレオチドがアダプター添加の前に非標的ポリヌクレオチドから分離された場合、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリヌクレオチド複合体は、アダプターに装填されたポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質によって変位され得る。ポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質によるポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリヌクレオチド複合体の変位は、ポリヌクレオチド結合タンパク質がポリヌクレオチドに沿って移動するのに必要な1つ以上の補因子の添加によって制御することができる。
標的ポリヌクレオチドは、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を介して、表面、例えば、カラムまたはビーズに結合しながら、その自由末端の一方または両方へのアダプターのライゲーションによって、ナノポア配列決定に適合され得る。末端は、アダプター結合を容易にするためにdAテール化され得る。
標的ポリヌクレオチド
ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などの核酸であり得る。ポリヌクレオチドは、DNAの1本の鎖にハイブリダイズされたRNAの1本の鎖を含み得る。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の任意の合成核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロックド核酸(LNA)、またはヌクレオチド側鎖を有する他の合成ポリマーであり得る。PNA骨格は、ペプチド結合によって連結した繰り返しN−(2−アミノエチル)−グリシン単位で構成されている。GNA骨格は、ホスホジエステル結合によって連結した繰り返しグリコール単位で構成されている。TNA骨格は、ホスホジエステル結合によって共に連結した繰り返しトレオース糖で構成されている。LNAは、上記のように、リボース部分における2’酸素および4’炭素を接続する余分な架橋を有するリボヌクレオチドから形成される。
ポリヌクレオチドは、好ましくはDNA、RNA、またはDNAもしくはRNAハイブリッド、最も好ましくはDNAである。標的ポリヌクレオチドは、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が結合する二本鎖領域を含む。標的ポリペプチドは、二本鎖であり得る。標的ポリペプチドは、一本鎖領域ならびに他の構造、例えばヘアピンループ、三重螺旋、および/または四重螺旋を有する領域を含み得る。DNA/RNAハイブリッドは、同じ鎖上にDNAとRNAとを含み得る。好ましくは、DNA/RNAハイブリッドは、RNA鎖にハイブリダイズした1つのDNA鎖を含む。
標的ポリヌクレオチドは、任意の長さであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、少なくとも10個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも400個、または少なくとも500個ヌクレオチドまたはヌクレオチド対の長さであり得る。標的ポリヌクレオチドは、1000個以上のヌクレオチドもしくはヌクレオチド対、5000個以上のヌクレオチドもしくはヌクレオチド対の長さ、または100000個以上のヌクレオチドもしくはヌクレオチド対の長さであり得る。標的ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、典型的には50個以下のヌクレオチド、例えば40個以下、30個以下、20個以下、10個以下、または5個以下のヌクレオチドを有する短いヌクレオチドポリマーである。標的オリゴヌクレオチドは、好ましくは、約15〜約30ヌクレオチド長、例えば約20〜約25ヌクレオチド長である。例えば、オリゴヌクレオチドは、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30ヌクレオチド長であり得る。
標的ポリヌクレオチドは、疾患および/または微生物に関連するポリヌクレオチドであり得る。
方法は、2〜50個、3〜40個、4〜30個、5〜25個、6〜15個、または8〜10個などの複数の標的ポリヌクレオチドを検出し得る。標的ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの群であり得る。例えば、群は、特定の表現型に関連付けられ得る。群は、特定の種類の細胞に関連付けられ得る。例えば、群は、細菌細胞を示し得る。群は、ウイルス、真菌、細菌、マイコバクテリウム、または寄生生物を示し得る。
標的ポリヌクレオチドは、特定の疾患または状態に関連するバイオマーカーであるかまたはそれを含む、2つ以上のポリヌクレオチドの群であり得る。バイオマーカーは、疾患または状態を診断または予後診断するために使用することができる。バイオマーカーの適切なパネルは、例えば、Edwards,A.V.G.et al.(2008)Mol.Cell.Proteomics 7,p1824−1837、Jacquet,S.et al.(2009),Mol.Cell.Proteomics 8,p2687−2699、Anderson N.L.et al.(2010)Clin.Chem.56,177−185に記載されるように、当該技術分野で知られている。疾患または状態は、好ましくは、癌、冠状動脈性心疾患および心血管疾患を含む心疾患、または結核もしくは敗血症などの感染性疾患である。
標的オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、好ましくは、マイクロRNA(またはmiRNA)または低分子干渉RNA(siRNA)である。2つ以上の標的ポリヌクレオチドの群は、2つ以上のmiRNAの群であり得る。本発明での使用に適したmiRNAは、当該技術分野で周知である。例えば、適切なmiRNAは、公開されているデータベースに保存される(Jiang Q.,Wang Y.,Hao Y.,Juan L.,Teng M.,Zhang X.,Li M.,Wang G.,Liu Y.,(2009)miR2Disease:a manually curated database for microRNA deregulation in human disease.Nucleic Acids Res.)。
ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質
ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドポリヌクレオチドに結合し、ガイドポリヌクレオチドが結合するポリヌクレオチドに結合する任意のタンパク質であり得る。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、非限定的な例として、標的ポリヌクレオチド認識ドメインおよび少なくとも1つのヌクレアーゼドメインを含み得る。認識ドメインは、ガイドポリヌクレオチド(例えばRNA)および標的ポリヌクレオチド(例えばDNA)を結合する。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、二本鎖ポリヌクレオチドの一方もしくは両方の鎖を切断する1つのヌクレアーゼドメインを含有し得るか、または第1のヌクレアーゼドメインが標的ポリヌクレオチドの一方の鎖の開裂のために配置され、第2のヌクレアーゼドメインが標的ポリヌクレオチドの相補鎖の開裂のために配置される、2つのヌクレアーゼドメインを含有し得る。ヌクレアーゼドメインは、活性または不活性であり得る。例えば、ヌクレアーゼドメイン、または2つのヌクレアーゼドメインの一方もしくは両方は、突然変異によって不活性化され得る。
ガイドポリヌクレオチドは、ガイドRNA、ガイドDNA、またはDNAおよびRNAの両方を含むガイドであり得る。ガイドポリヌクレオチドは、好ましくは、ガイドRNAである。したがって、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、RNA誘導型エフェクタータンパク質である。
RNA誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドRNAに結合する任意のタンパク質であり得る。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、標的ポリヌクレオチドに結合するガイドRNAの領域ではないガイドRNAの領域に結合する。例えば、ガイドRNAがcrRNAおよびtracrRNAを含む場合、RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、tracrRNAに結合し、crRNAは、典型的には、標的ポリヌクレオチドに結合する。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、標的ポリヌクレオチドにも結合する。標的ポリヌクレオチドに結合するガイドRNAの領域は、RNA誘導型エフェクタータンパク質にも結合し得る。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、標的ポリヌクレオチドの二本鎖領域に結合する。RNA誘導型エフェクタータンパク質が結合する標的ポリヌクレオチドの領域は、典型的には、ガイドRNAがハイブリダイズする配列の近くに位置する。ガイドRNAおよびRNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、複合体を形成し、この複合体は、次いでガイドRNAの配列によって決定される部位で標的ポリヌクレオチドに結合する。
RNA誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドRNAが結合する配列の上流または下流に結合し得る。例えば、RNA誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドRNAが結合する配列の隣に位置するDNA中のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に結合し得る。PAMは、5’−NGG−3’(式中、Nは任意の塩基である)、5’−NGA−3’、5’−YG−3’(式中、Yはピリミジンである)、5’TTN−3’、または5’−YTN−3’などの、短い(10未満、典型的には2〜6塩基対)配列である。異なるRNA誘導型エフェクタータンパク質は、異なるPAMに結合する。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、特に、標的がRNAまたはDNA/RNAハイブリッドである場合、PAMを含まない標的ポリヌクレオチドに結合し得る。
RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、RNA誘導型エンドヌクレアーゼなどのヌクレアーゼである。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、Casタンパク質である。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、Cas、Csn2、Cpf1、Csf1、Cmr5、Csm2、Csy1、Cse1、またはC2c2であり得る。Casタンパク質は、Cas3、Cas4、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、またはCas10dであり得る。好ましくは、Casタンパク質は、Cas9である。Cas、Csn2、Cpf1、Csf1、Cmr5、Csm2、Csy1、またはCse1は、好ましくは、標的ポリヌクレオチドが二本鎖DNA領域を含む場合に使用される。C2c2は、好ましくは、標的ポリヌクレオチドが二本鎖RNA領域を含む場合に使用される。
RecAファミリー由来のタンパク質などのDNA誘導型エフェクタータンパク質は、DNAを標的化するために使用され得る。使用され得るRecAファミリー由来のタンパク質の例は、RecA、RadA、およびRad51である。RNA誘導型エンドヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性は、無効化され得る。RNA誘導型エンドヌクレアーゼの1つ以上の触媒ヌクレアーゼ部位は、不活性化され得る。例えば、RNA誘導型エンドヌクレアーゼが2つの触媒ヌクレアーゼ部位を含む場合、触媒部位の一方または両方は、不活性化され得る。典型的には、触媒部位の一方は、それが特異的に結合するポリヌクレオチドの一方の鎖を切断し、他方の触媒部位は、ポリヌクレオチドの反対の鎖を切断するであろう。したがって、RNA誘導型エンドヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチドの二本鎖領域の両方の鎖、一方の鎖を切断するか、またはどちらの鎖も切断しない場合がある。
ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、非限定的な例として、Cas9であり得る。Cas9は、標的認識およびヌクレアーゼローブを含む2ローブマルチドメインタンパク質構造を有する。認識ローブは、ガイドRNAおよびDNAを結合する。ヌクレアーゼローブは、標的DNAの相補鎖および非相補鎖の開裂のために配置されるHNHおよびRuvCヌクレアーゼドメインを含有する。Cas9の構造は、Nishimasu,H.,et al.,(2014)Crystal Structure of Cas9 in Complex with Guide RNA and Target DNA.Cell 156,935−949に詳述されている。Cas9の関連PDB参照は、5F9R(標的DNA開裂のためにプライミングされた単一誘導型RNAおよび二本鎖DNAと複合した触媒活性Streptococcus pyogenes CRISPR−Cas9の結晶構造)である。
Cas9は、野生型Cas9と比較して低減したオフターゲット結合を示す「特異性強化型」Cas9であり得る。かかる「特異性強化型」Cas9の例は、S.pyogenes Cas9 D10A/H840A/K848A/K1003A/R1060Aである。ONLP12296は、TEV開裂可能なリンカーと共にC末端Twin−Strepタグを有するS. pyogenes Cas9 D10A/H840A/K848A/K1003A/R1060Aのアミノ酸配列である。
RNA誘導型エンドヌクレアーゼの触媒部位は、突然変異によって不活性化され得る。突然変異は、置換、挿入、または欠失突然変異であり得る。例えば、1つ以上、例えば2、3、4、5、または6つのアミノ酸が、置換または触媒部位に挿入または触媒部位から欠失され得る。突然変異は、触媒部位での単一のアミノ酸の場合、好ましくは置換挿入であり、より好ましくは置換である。当業者であれば、RNA誘導型エンドヌクレアーゼの触媒部位およびそれらを不活性化する突然変異を容易に同定することができるであろう。例えば、RNA誘導型エンドヌクレアーゼがCas9である場合、一方の触媒部位はD10での突然変異によって、他方はH640での突然変異によって不活性化され得る。
標的ポリヌクレオチドを切断しない不活性化(「死んだ」)ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、したがって方向性バイアスを示さない。標的ポリヌクレオチドを切断する活性(「生きた」)ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、切断部位の2つの末端のうちの一方のみに結合したままであり得、したがっていくらかの方向性バイアスを示し得る。
ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、長期間にわたって標的ポリヌクレオチドに結合したままである。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、膜貫通ポアおよび膜貫通電位の不在下で、少なくとも約1〜少なくとも約10、例えば約2〜約8時間または約4〜約6時間にわたって標的ポリヌクレオチドに結合したままである。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、印加電位下で膜貫通ポアとの相互作用によって標的ポリヌクレオチドから変位され得る。
一実施形態では、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、それが変位されている短期間に標的ポリペプチドを膜貫通ポアに保持し得る。これは、ポアを通過する微量の電流においてスタッターとして見られ得るが、他の手段によって、例えば光学的測定またはトンネリングによっても検出することができる、検出可能なシグナルをもたらす。
ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、ポリヌクレオチドに沿って移動し、それを遅くする能力を有し得る。例えば、RNA誘導型エフェクタータンパク質は、摺動分子ブレーキとして作用し得る。この実施形態では、RNA誘導型エフェクタータンパク質は、膜貫通ポア通した標的ポリヌクレオチドまたはガイドRNAの移動を制御するために、モータータンパク質として使用され得る。
ガイドポリヌクレオチド
ガイドポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合することもできる配列を含む。ガイドポリヌクレオチドは、それが標的ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合することを可能にする任意の構造を有し得る。
ガイドポリヌクレオチドは、典型的には、標的ポリヌクレオチド中の約20ヌクレオチドの配列にハイブリダイズする。ガイドRNAが結合する配列は、約10〜約40、例えば約15〜約30、好ましくは約18〜約25、例えば19、20、21、22、23、または24ヌクレオチドであり得る。ガイドポリヌクレオチドは、典型的には、標的ポリヌクレオチドの二本鎖領域の一本鎖に相補的である。ガイドポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの配列、またはその中の配列に相補的な、約10〜約40、例えば約15〜約30、好ましくは約18〜約25、例えば19、20、21、22、23、または24ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。相補性の程度は、好ましくは、正確である。
ガイドRNAは、PAMに対して5’である標的ポリヌクレオチド中の領域に相補的であり得る。これは、標的ポリヌクレオチドがDNAを含む場合、特にRNAエフェクタータンパク質がCas9またはCpf1である場合に好ましい。ガイドRNAは、グアニンに隣接する標的ポリヌクレオチド中の領域に相補的であり得る。これは、標的ポリヌクレオチドがRNAを含む場合、特にRNAエフェクタータンパク質がC2c2である場合に好ましい。
ガイドRNAは、それが標的ポリヌクレオチドおよびRNA誘導型エフェクタータンパク質に結合することを可能にする任意の構造を有し得る。ガイドRNAは、標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するcrRNAおよびtracrRNAを含み得る。tracrRNAは、典型的には、RNA誘導型エフェクタータンパク質に結合する。ガイドRNAの典型的な構造は、当該技術分野で知られている。例えば、crRNAは、典型的には、一本鎖RNAであり、tracrRNAは、典型的には、一本鎖がcrRNAの3’末端に付着している二本鎖領域およびcrRNAに付着していない鎖の3’末端にヘアピンループを形成する部分を有する。crRNAおよびtracrRNAは、単一片sgRNAとしてインビトロで転写され得る。
ガイドRNAは、追加のRNA塩基もしくはDNA塩基または他の核酸塩基などの他の成分を含み得る。ガイドRNA中のRNAおよびDNA塩基は、天然塩基または修飾塩基であり得る。ガイドRNAの代わりにガイドDNAが使用され、RNA誘導型エフェクタータンパク質の代わりにDNA誘導型エフェクタータンパク質が使用され得る。標的ポリヌクレオチドがRNAである場合、ガイドDNAおよびDNA誘導型エフェクタータンパク質の使用が好ましいことがある。
ガイドポリヌクレオチドは、本発明の方法における使用のために特異的に修飾され得る。本発明は、(i)任意にリーダー配列を含む、アダプター配列または(ii)膜に連結することができるアンカーを含む、ガイドポリヌクレオチド、特にガイドRNAを提供する。
本発明のガイドポリヌクレオチドは、(i)アダプターおよび/または(ii)膜に連結することができるアンカーが付着されている、本明細書で論じられるガイドポリヌクレオチドのいずれかであり得る。
(i)アンカーまたは(ii)アダプターは、例えば、tracrRNAの5’末端、tracrRNAの3’末端、crRNAの3’末端、または内部に存在し得、tracrRNAおよびcrRNAはsgRNAに含まれる。例えば、図2−4および25を参照されたい。(i)アンカーまたは(ii)アダプターは、例えば化学基またはスペーサーを介して、crRNAの5’末端に添加され得る。(i)アンカーまたは(ii)アダプターは、化学基またはスペーサーを介してガイドポリヌクレオチドに添加され得る。(i)アンカーまたは(ii)アダプターは、化学基、例えばチオール、クリック基、ビオチンなどを介するか、またはDNA、RNA、PNA、BNA、LNA、TNAスペーサーを介する、任意の適切な手段、例えばライゲーションによって、ガイドポリヌクレオチドの5’または3’末端、例えばtracrRNAの5’もしくは3’末端、またはcrRNAの5’もしくは3’末端に付着してもよい。スペーサーがポリヌクレオチドである場合、スペーサーは、1〜30、例えば2〜20、3〜15、4〜10、例えば5、6、7、8、または9ヌクレオチドの長さを有し得る。
アンカーは、ガイドポリヌクレオチド中の末端伸長部または内部ループ配列に相補的であるオリゴヌクレオチド(アンカーオリゴヌクレオチド)に付着してもよい。tracrRNAの5’末端、tracrRNAの3’末端、crRNAの3’末端、またはcrRNAの5’末端は、例えば、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有する末端伸長部を有し得る。アンカーオリゴヌクレオチドは末端伸長部と同じ長さを有してもよく、またはアンカーオリゴヌクレオチドおよび末端伸長部が5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さにわたって相補的である配列を有するという条件で、アンカーオリゴヌクレオチドは末端伸長部より長くても短くてもよい。アンカーオリゴヌクレオチドは、例えば、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有し得る。内部ループ配列は、上で特定された長さのいずれかを有し得る。
ガイドポリヌクレオチドは、合成的に修飾され得る。crRNAおよびtracrRNAの5’および3’末端の両方を修飾することができる。参照により本明細書に組み込まれる、Lee et al.,(2017)Synthetically modified guide RNA and donor DNA are a versatile platform for CRISPR−Cas9 engineering.eLIFE;6:e25312を参照されたい。合成修飾は、DNA、RNA、PNA、LNA、BNA、DNAスペーサー、RNAスペーサー、および脱塩基スペーサー、例えばSp18を含む、ガイドRNA(またはガイドDNA)への修飾または人工塩基の組み込みを含み得る。あるいは、修飾は、平面疎水性分子、化学タグ、蛍光分子、アプタマー配列、アミン、アジド、アルキン、チオール、クリック基、ビオチンなどのヌクレオチド塩基と構造的に無関係である化学部分での修飾を含み得る。
本発明のガイドポリヌクレオチドは、それに付着しているポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質を有し得る。ポリヌクレオチド結合タンパク質は、ガイドRNAの鎖の一方の末端付近に、典型的には5’末端付近に結合させることができる。ポリヌクレオチド結合タンパク質が結合している末端は、典型的には、アダプター、好ましくはリーダー配列を含むアダプターの添加によって修飾される。ガイドRNAがリーダー配列を含む場合、ポリヌクレオチド結合タンパク質は、典型的には、リーダー配列に結合している。
ガイドRNAがcrRNAを含む場合、ポリヌクレオチド結合タンパク質は、crRNAに沿って移動することができるように配置され得る。かかるガイドRNAは、複合体の存在または不在を検出するために、crRNAが膜貫通ポアを通って転座する方法において有用である。
ガイドポリヌクレオチドは、ビーズまたはカラムなどの表面上の標的ポリヌクレオチドの捕捉を可能にするように特異的に適合され得る。これは、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体が結合している標的ポリヌクレオチドを捕捉し、試料中の非標的ポリヌクレオチドから分離することを可能にし、次いでこれを洗い流すことができる。ガイドポリヌクレオチドは、ビーズまたはカラムなどの表面に結合している捕捉オリゴヌクレオチドの配列に相補的である配列を有する、3’または5’末端の末端伸長部を含み得る。例えば、捕捉オリゴヌクレオチドは、親和性タグによって表面に結合させることができる。任意の適切な親和性タグが使用され得る。1つの例は、ビオチン−ストレプトアビジン親和性タグである。捕捉オリゴヌクレオチドは、5〜40、例えば10〜30もしくは15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さ、または10〜80、例えば20〜60もしくは30〜50ヌクレオチド、例えば40ヌクレオチドの長さを有し得る。末端伸長部は、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有し得る。捕捉オリゴヌクレオチドは末端伸長部と同じ長さを有してもよく、または捕捉オリゴヌクレオチドおよび末端伸長部が5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さにわたって相補的である配列を有するという条件で、捕捉オリゴヌクレオチドは末端伸長部より長くても短くてもよい。
ガイドポリヌクレオチドは、第1の結合部分および第2の結合部分を含み得る。第1の結合部分および第2の結合部分は、共に、ガイドポリヌクレオチド上の、末端伸長部、またはオリゴヌクレオチドに結合することができる他の一本鎖ポリヌクレオチド配列であり得る。ガイドポリヌクレオチド上の第1の末端伸長部は、第1の捕捉表面、例えばビーズ上の第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有し得、ガイドポリヌクレオチド上の第2の末端伸長部は、第2の捕捉表面、例えばビーズ上の第2の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有し得る。これを構成する1つの方法は、図44に描写される。図44では、crRNAは、ビーズ、カラム、または表面上の標的分子の捕捉に使用される3’DNA伸長部(図44の配列d)を含み、tracrRNAは、5’DNA伸長部(図44の配列a・c)を含む。一実施形態では、第1の末端伸長部は、5’末端伸長部の5’末端または3’末端伸長部の3’末端にある、第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の配列と相補的でない配列を有する、末端部分、および第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の第1の配列と相補的である配列を有する部分を含む。第1の末端伸長部の末端部分は、典型的には、2〜10ヌクレオチド、例えば3、4、5、または6ヌクレオチドの長さを有し得る。第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な第1の末端伸長部の部分は、典型的には、5〜40、例えば10〜30または15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドの長さを有し得る。
第2末端伸長部は、第1捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、または競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。第2の捕捉オリゴヌクレオチドはまた、第1の捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、または競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。末端伸長部は、ガイドポリヌクレオチドの5’または3’末端、例えばtracrRNAの5’もしくは3’末端またはcrRNAの5’もしくは3’末端などに付着させることができる。末端伸長部は、任意の適切な手段によってガイドポリヌクレオチドに付着させることができる。末端伸長部は、例えば、化学基もしくはスペーサー、例えばライゲーションを介して、化学基、例えばチオール、クリック基、ビオチンなどを介して、またはDNA、RNA、PNA、BNA、LNA、TNAスペーサーを介して添加することができる。スペーサーがポリヌクレオチドである場合、スペーサーは、1〜30、例えば2〜20、3〜15、4〜10、例えば5、6、7、8、または9ヌクレオチドの長さを有し得る。末端伸長部は、tracrRNAの5’末端、tracrRNAの3’末端、crRNAの3’末端、crRNAの5’末端に存在してもよく、または例えば、tracrRNAおよびcrRNAがsgRNAに含まれる場合、ガイドRNAに内部的に添加された配列によって置換されてもよい。例については図41および44を参照されたい。内部配列が末端伸長部について本明細書に記載される機能を果たすために使用される場合、それは典型的にはガイドポリヌクレオチド内のループ構造中に存在するか、またはそうでなければ捕捉オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションのためにアクセス可能である。
本発明は、本明細書で定義されるポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合している本発明のガイドポリヌクレオチドも提供する。
本発明によって、ガイドポリヌクレオチド、好ましくは本発明のガイドRNAのパネル、および本発明のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、好ましくはガイドRNA/RNA誘導型エフェクタータンパク質複合体のパネルも提供される。ガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体のパネルは、キットに含まれ得る。
本発明のパネルは、本発明のガイドポリヌクレオチド、ならびに本発明の方法において共に使用され得るガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質のパネルを含み得る。ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体中に存在し得る。
パネルは、膜に連結することができるアンカーを含む第1のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、およびアダプターを含む第2ガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を含むことができ、第1のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体および第2のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、同じ標的ポリヌクレオチド中の異なる配列に結合する。パネルは、2〜50個、3〜40個、4〜30個、5〜25個、6〜15個、または8〜10個などの、複数のかかる第1および第2のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を含み得る。パネルが複数の第1および第2のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を含む場合、各第2のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、典型的には異なるアダプターを含む。これは、パネルが試料中に存在する異なる標的ポリヌクレオチド間を区別することを可能にする。
パネルは、標的ポリヌクレオチドの第1の配列に結合する第1のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、および標的ポリヌクレオチドの第2の配列に結合する第2のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を含み得る。同じ標的ポリヌクレオチドのさらなる配列に結合するさらなるガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体がパネルに含まれ得る。第1の、第2の、およびさらなるガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、同じもしくは異なるアダプターを含んでもよく、またはアダプターを含まなくてもよい。第1のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、膜アンカーを含むことができ、第2のおよび/またはさらなるガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、同じアダプターまたは、好ましくは異なるアダプターを含み得る。
アダプターは、パネルが、信号、例えば標的ポリヌクレオチドのポアへの通過をストールさせるガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体によって、またはポアを通過する結合ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体によって引き起こされる、ポアを通過する電流の変化を検出することによって、膜貫通ポアと相互作用する標的ポリヌクレオチドに結合しているガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体の効果を検出する方法における使用のためである、ガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体に含まれる必要はない。
第1の、第2の、および/またはさらなるガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリヌクレオチドの同じ部分に結合し得るが、各々標的ポリヌクレオチドのその部分に存在する異なる多型に特異的であり得る。この実施形態では、異なる多型に特異的な各ガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体は、異なるアダプターおよび/またはリーダー配列を含み得る。本発明の方法は、異なるアダプター間および/または異なるリーダー配列間で区別することができ、したがって多型を同定するために使用することができる。
パネルは、第1の標的ポリヌクレオチドに結合する第1のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、および第2の標的ポリヌクレオチドに結合する第2のガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体を含み得る。さらなる標的ポリヌクレオチドに結合するさらなるガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体がパネルに含まれ得る。例えば、第1の、第2の、および/またはさらなるガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、各々アンカーおよび/または他の結合部分に連結され得る。かかるパネルは、例えば配列決定による、さらなる特徴付けのために、試料中の複数の目的のポリヌクレオチドを膜貫通ポアに送達するのに有用であろう。例えば、かかるパネルは、目的の複数のポリヌクレオチドについて選択し、それらを膜貫通ポアを含む膜に、試料中の他のポリヌクレオチドが膜電位の印加の前に洗い流され得るようにテザリングするであろう。
試料
試料は、任意の適切な試料であり得る。試料は、典型的には、標的ポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つを含有することが知られているか、または含有するらしいと疑われるものである。方法は、膜貫通ポアへの送達のための標的ポリヌクレオチドを選択するのに使用することができる。試料の他の成分は洗い流され得、例えば、それらは膜貫通ポアを含む細胞から洗い流され得る。かかる他の成分は、下記:折り畳まれても折り畳まれなくてもよいタンパク質、ペプチド、炭水化物、非標的ポリヌクレオチドなどのポリマー、および細胞破片のうちの1つ以上を含む。
試料は、生体試料であり得る。本発明は、任意の有機体または微生物から得られたかまたは抽出された試料上でインビトロで実施され得る。有機体または微生物は、典型的には、古細菌、原核生物、または真核生物であり、典型的には、植物界、動物界、真菌界、モネラ界、および原生生物界の5つの界のうちの1つに属する。本発明は、任意のウイルスから得られたかまたは抽出された試料上でインビトロで実施され得る。
試料は、好ましくは、流体試料である。試料は、典型的には、体液を含む。体液は、ヒトまたは動物から得ることができる。ヒトまたは動物は、疾患を有するか、それを有する疑いがあるか、またはその危険性がある場合がある。試料は、尿、リンパ液、唾液、粘液、精液、または羊水であり得るが、好ましくは、全血、血漿、または血清である。典型的には、試料は、ヒト由来であるが、代替的には、別の哺乳動物由来、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、もしくはブタなどの商業的家畜由来であってもよく、またはあるいは、ネコもしくはイヌなどの愛玩動物由来であってもよい。
代替的には、植物由来の試料は、典型的には、穀物、豆果、果物、または野菜などの商業的作物、例えば、小麦、大麦、オート麦、セイヨウアブラナ、トウモロコシ、大豆、米、バナナ、リンゴ、トマト、ジャガイモ、ブドウ、タバコ、豆、レンズ豆、サトウキビ、ココア、綿、茶、またはコーヒーから得られる。
試料は、非生体試料であってもよい。非生体試料は、好ましくは、液体試料である。非生体試料の例としては、外科用流体、水、例えば飲料水、海水、または河川水、および臨床検査用の試薬が挙げられる。
試料は、典型的には、アッセイされる前に、例えば、遠心分離によって、または不必要な分子もしくは細胞、例えば赤血球を濾過して取り除く膜への通過によって処理され得る。試料は、採取された直後に測定されてもよい。試料はまた、典型的には、アッセイの前に、好ましくは−70℃未満で保管され得る。
試料は、ゲノムDNAを含み得る。ゲノムDNAは、断片化されてもよく、または方法のステップ(a)は、ゲノムDNAを断片化することをさらに含んでもよい。DNAは、任意の適切な方法によって断片化され得る。例えば、DNAを断片化する方法は、当該技術分野で知られている。かかる方法は、MuAトランスポザーゼなどのトランスポザーゼを使用し得る。
試料は、T細胞DNAを含み得る。
試料は、非標的ポリヌクレオチドを含み得る。一実施形態では、標的ポリヌクレオチドおよび非標的ポリヌクレオチドは、同じ遺伝子またはゲノムに由来し得る。
複合体とポアとの相互作用の監視
方法は、ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および標的ポリヌクレオチドによって形成された複合体と膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在について監視して、複合体の存在または不在を決定することを含む。効果は、ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および標的ポリヌクレオチドが膜貫通ポアと相互作用することによって形成された複合体を示す。効果は、複合体、標的ポリヌクレオチド、またはガイドポリヌクレオチドの成分のうちの1つに付着しているアダプターのポアを通る転座によって引き起こされ得る。効果は、複合体、標的ポリヌクレオチド、またはガイドポリヌクレオチドの成分のうちの1つに付着しているアダプターのポアを通る転座を示す。
効果は、電気的測定および/または光学的測定を使用して監視され得る。この場合、効果は、電気的または光学的量における1つ以上の測定された変化である。
電気的測定は、電流測定、インピーダンス測定、トンネル効果測定、または電界効果トランジスタ(FET)測定であり得る。
効果は、電流、抵抗、または光学特性の変化をもたらす膜貫通ポアを通るイオン流の変化であり得る。効果は、膜貫通ポアにわたる電子トンネル効果であり得る。効果は、複合体と膜貫通ポアとの相互作用による電位の変化であり得、効果は、FET測定において局在電位センサーを用いて監視される。
アダプター
アダプターは、少なくとも1つの一本鎖ポリヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド領域を含み得る。一本鎖ポリヌクレオチドは、それらがポアを通過することができ、異なる方法でポアを通って流れる電流に影響を及ぼす少なくとも2つの異なる領域に容易に分類することができるので、有用である。例えば、異なる配列を有するポリヌクレオチドの異なる領域は、典型的には異なる方法でポアを通って流れる電流に影響を及ぼす。少なくとも2つの異なる領域は、好ましくは異なるヌクレオチドの少なくとも2つのストレッチに対応する。例えば、一本鎖ポリヌクレオチド領域は、アデニンヌクレオチドのストレッチおよび脱塩基ヌクレオチドのストレッチを含み得る。各ストレッチは、異なる方法でポアを通って流れる電流に影響を及ぼすであろう。
あるいは、異なるヌクレオチドの少なくとも2つのストレッチは、異なるポリヌクレオチドバーコードである。ポリヌクレオチドバーコードは、当該技術分野において周知である(Kozarewa,I.et al.,(2011),Methods Mol.Biol.733,p279−298)。バーコードは、特異的かつ既知の方法でポアを通って流れる電流に影響を及ぼすポリヌクレオチドの特異的な配列である。
アダプターは、ポアを通過することができない二本鎖ポリヌクレオチドを含み得る。かかる二本鎖領域の存在は、領域中の鎖のうちの1つが電位の影響下でプローブから剥離されるときにアダプターがポアを通って移動するのを遅延させ得る。かかる遅延は、検出可能なシグナル、例えばポアを通って流れる電流の変化を生じる。二本鎖領域の長さは、遅延の長さを使用してポアと相互作用するアダプターを同定することができるように、異なるポリヌクレオチドアダプター間で変動し得る。二本鎖領域の典型的な長さは、約4〜約50塩基対、例えば5、6、7、8、9、もしくは10〜20、30、もしくは40塩基対、または4〜50の任意の整数である。
アダプター中に1つ以上の二本鎖ポリヌクレオチド領域を含めることは、ガイドポリヌクレオチドのパネル中のアダプターの集団から得ることができる可能な信号の数を増加させ、よって本発明の方法を用いてアッセイすることができる標的ポリヌクレオチドの数を増加させる。
二本鎖ポリヌクレオチド領域は、例えば、本発明に従って読みとられ得るように、ガイドポリヌクレオチドを示すバーコードなどのアダプターの特定の領域を、ポアのバレルまたはチャネル中に保持するために使用され得る。
アダプターは、ヌクレオチド配列を含み得る。ヌクレオチドは、典型的には、核酸塩基、糖、および少なくとも1つのリン酸基を含有する。核酸塩基は、典型的には、複素環である。核酸塩基には、プリンおよびピリミジン、より具体的にはアデニン、グアニン、チミン、ウラシル、およびシトシンが挙げられるが、これらに限定されない。糖は、典型的には、五炭糖である。ヌクレオチド糖は、リボースおよびデオキシリボースを含むが、これらに限定されない。ヌクレオチドは、典型的には、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである。ヌクレオチドは、典型的には、一リン酸、二リン酸、または三リン酸を含有する。リン酸は、ヌクレオチドの5’または3’側に付着され得る。
ヌクレオチドには、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、5−メチルシチジン一リン酸、5−メチルシチジン二リン酸、5−メチルシチジン三リン酸、5−ヒドロキシメチルシチジン一リン酸、5−ヒドロキシメチルシチジン二リン酸、5−ヒドロキシメチルシチジン三リン酸、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、5−メチル−2’−デオキシシチジン一リン酸、5−メチル−2’−デオキシシチジン二リン酸、5−メチル−2’−デオキシシチジン三リン酸、5−ヒドロキシメチル−2’−デオキシシチジン一リン酸、5−ヒドロキシメチル−2’−デオキシシチジン二リン酸、および5−ヒドロキシメチル−2’−デオキシシチジン三リン酸が挙げられるが、これらに限定されない。アダプター中のヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP、またはdCMPから選択される。ヌクレオチドは、脱塩基であり得る(例えば、核酸塩基を欠く)。ヌクレオチドは、追加の修飾を含んでもよい。特に、好適な修飾ヌクレオチドには、2’−アミノピリミジン(例えば、2’−アミノシチジンおよび2’−アミノウリジン)、2’−ヒドロキシルプリン(例えば、2’−フルオロピリミジン(例えば、2’−フルオロシチジンおよび2’フルオロウリジン)、ヒロドキシルピリミジン(例えば、5’−α−P−ボラノウリジン)、2’−O−メチルヌクレオチド(例えば、2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルグアノシン、2’−O−メチルシチジン、および2’−O−メチルウリジン)、4’−チオピリミジン(例えば、4’−チオウリジンおよび4’−チオシチジン)が含まれ、ヌクレオチドは、核酸塩基(例えば、5−ペンチニル−2’−デオキシウリジン、5−(3−アミノプロピル)−ウリジンおよび1,6−ジアミノヘキシル−N−5−カルバモイルメチルウリジン)の修飾を有するが、これらに限定されない。
アダプターは、1つ以上の異なるヌクレオチド種を含み得る。例えば、T k−mer(例えば、TTA、GTC、GTG、およびCTAなどの中心ヌクレオチドがチミンベースであるk−mer)は、典型的には、最も低い電流状態を有する。Tヌクレオチドの修飾版は、電流状態をさらに低減し、それによってアダプターがポアを通って移動するときに見られる全電流範囲を増加させるために、修飾ポリヌクレオチドに導入され得る。
G k−mer(例えば、TGA、GGC、TGT、およびCGAなどの中心ヌクレオチドがグアニンベースであるk−mer)は、k−mer中の他のヌクレオチドによって強く影響される傾向があり、したがって修飾ポリヌクレオチド中のGヌクレオチドを修飾することは、それらがより多くの独立した電流位置を有するのを助け得る。
3つの異なる種の代わりに同じヌクレオチド種の3つのコピーを含めることは、その後、例えば、修飾ポリヌクレオチド中の3ヌクレオチドk−merをマッピングすることのみ必要であるため、特徴付けを容易にし得る。しかしながら、かかる修飾は、アダプターによって提供される情報を低減する。
脱塩基ヌクレオチドと共に1つ以上のヌクレオチド種をアダプター中に含めることは、特徴的な電流スパイクをもたらす。これは、アダプター中の1つ以上のヌクレオチド種の位置の明確な強調を可能にする。
アダプター中のヌクレオチド種は、化学原子または基、例えばプロピニル基、チオ基、オキソ基、メチル基、ヒドロキシメチル基、ホルミル基、カルボキシ基、カルボニル基、ベンジル基、プロパルギル基、またはプロパルギルアミン基を含み得る。化学基または原子は、蛍光分子、ビオチン、ジゴキシゲニン、DNP(ジニトロフェノール)、光解離性基、アルキン、DBCO、アジド、遊離アミノ基、酸化還元色素、水銀原子、またはセレン原子であるか、それらを含み得る。
アダプターは、ハロゲン原子を含むヌクレオチド種を含み得る。ハロゲン原子は、核酸塩基および/または糖などの異なるヌクレオチド種上の任意の位置に付着させることができる。ハロゲン原子は、好ましくは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)である。ハロゲン原子は、最も好ましくは、FまたはIである。
アダプターは、四重螺旋を形成することができる配列を含み得る。四重螺旋は、4つの配列鎖から形成される三次元構造である。四重螺旋は、ポアの最も狭い部分を通って転座または移動することができない。四重螺旋は、ポアの最も狭い部分よりも広い。例えば、野生型α−HLポアの最も狭い部分は、直径1.3nmである。α−HL−NNポアの最も狭い部分は、直径1.5nmである。これらのポアのいずれかが本発明において使用される場合、四重螺旋は、好ましくは、1.3nm超、例えば1.5nm超、例えば2nm超、3nm超、または5nm超の幅を有する。当業者であれば、使用されているポアに適したサイズの四重螺旋を設計することができるであろう。四重螺旋形成配列は、それが四重螺旋に形成されない場合、ポアの最も狭い部分を通って転座または移動することができる。四重螺旋形成配列は、好ましくは、ポリヌクレオチドである。それは、本明細書で論じられるポリヌクレオチドのいずれかであり得る。
四重螺旋は、任意の種類の四重螺旋であり得る。四重螺旋は、二分子四重螺旋または四分子四重螺旋などの分子間四重螺旋であり得る。四重螺旋形成配列は、好ましくは、分子内四重螺旋を形成することができる。
四重螺旋形成配列は、好ましくは、(G−テトラッドまたはG4−DNAとしても知られる)G−四重螺旋を形成することができる。これらは、グアニンが豊富であり、四本鎖構造を形成することができるポリヌクレオチド配列である。4つのグアニン塩基は、フーグスティーン水素結合を通して会合してグアニンテトラッドと呼ばれる正方平面構造を形成することができ、2つ以上のグアニンテトラッドは、互いの上に重なってG−四重螺旋を形成することができる。四重螺旋構造は、各対のテトラッド間の中心チャネルに位置する、カチオン、特にカリウムの存在によってさらに安定化される。G−四重螺旋を形成することは、当該技術分野で周知である(Marathias and Bolton,Nucleic Acids Research,2000;28(9):1969−1977、Kankia and Marky,J.Am.Chem.Soc.2001,123,10799−10804、およびMarusic et al.,Nucleic Acids Research,2012,1−11)。
四重螺旋形成配列は、より好ましくは、配列Ga、続いてNb、続いてGc、続いてNd、続いてGe、続いてNf、続いてGgを含み、Gは、グアニンを含むヌクレオチドであり、a、c、e、およびgは、独立して、1、2、3、4、および5から選択され、Nは、任意のヌクレオチドであり、b、d、およびfは、2〜50である。a、c、e、およびgの値は、同一であり得る。Gは、好ましくは、グアノシン一リン酸(GMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、ジデオキシグアノシン一リン酸、N2−メチル−GMP、N2−メチル−cGMP、N2−メチル−dGMP、N2−メチル−ジデオキシグアノシン一リン酸、N2−メチル−06−メチル−GMP、N2−メチル−06−メチル−cGMP、N2−メチル−06−メチル−dGMP、N2−メチル−06−メチル−ジデオキシグアノシン一リン酸、2’−O−メチル−GMP、2’−O−メチル−cGMP、2’−O−メチル−dGMP、2’−O−メチル−ジデオキシグアノシン一リン酸、6−チオ−GMP、6−チオ−cGMP、6−チオ−dGMP、6−チオ−ジデオキシグアノシン一リン酸、7−メチル−GMP、7−メチル−cGMP、7−メチル−dGMP、7−メチル−ジデオキシグアノシン一リン酸、7−デアザ−GMP、7−デアザ−cGMP、7−デアザ−dGMP、7−デアザ−ジデオキシグアノシン一リン酸、8−オキソ−GMP、8−オキソ−cGMP、8−オキソ−dGMP、または8−オキソ−ジデオキシグアノシン一リン酸である。
適切な四重螺旋形成配列は、WO2014/072703に開示されている。
四重螺旋は、ポアの最も狭い部分を通って転座することができないので、ブレーキのように作用し、アダプターまたはガイドポリヌクレオチドの別の、典型的には一本鎖の領域をポアの最も狭い部分に保持する。アダプター領域は、次いで、ガイドポリヌクレオチド、したがって複合体中の標的ポリヌクレオチドを同定する特有の電流を生じる。しばらくすると、四重螺旋は、典型的には、印加電位の影響下で不安定化し、展開するであろう。四重螺旋のブレーキ作用は、したがって、典型的には一時的である。折り畳まれていない四重螺旋形成配列は、典型的には、印加電位の影響下でポアを通って転座または移動する。
連結
ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および標的ポリヌクレオチドを含む複合体は、アンカーを用いて膜に連結させることができる。複合体を膜に連結するために、1つ以上のアンカーが使用され得る。典型的には、1つ以上のアンカーは、標的ポリヌクレオチド、ガイドポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質上などの複合体の同じ成分上に存在する。あるいは、1つ以上のアンカーは、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質上などの異なる成分上に存在し得る。
膜がトリブロックコポリマー膜などの両親媒性層である場合、1つ以上のアンカーは、好ましくは、膜に挿入することができるポリペプチドアンカーおよび/または疎水性アンカーを含む。疎水性アンカーは、好ましくは、脂質、脂肪酸、ステロール、カーボンナノチューブ、ポリペプチド、タンパク質、またはアミノ酸、例えば、コレステロール、パルミチン酸、またはトコフェロールである。好ましい実施形態では、1つ以上のアンカーは、ポアではない。
両親媒性分子、コポリマー、または脂質などの膜の成分は、1つ以上のアンカーを形成するように化学修飾または官能化され得る。好適な化学修飾および膜の成分の官能化の好適な方法は、以下により詳細に論じられる。任意の割合、例えば、少なくとも0.01%、少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、または100%の膜成分が官能化され得る。
1つ以上のアンカーは、好ましくはリンカーを含む。1つ以上のアンカーは、1つ以上、例えば2、3、4つ、またはそれ以上のリンカーを含み得る。1つのリンカーを用いて、ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の両方を膜に連結させることができる。
好ましいリンカーには、ポリマー、例えばポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール(PEG)、多糖類、およびポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。これらのリンカーは、線状、分岐、または環状であり得る。例えば、リンカーは、環状ポリヌクレオチドであり得る。標的ポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチドは、環状ポリヌクレオチドリンカー上の相補的配列にハイブリダイズし得る。
1つ以上のアンカーまたは1つ以上のリンカーは、切断または分解することができる成分、例えば制限部位または光解離性基を含み得る。
官能化リンカー、およびそれらが分子に連結し得る方法は、当該技術分野で既知である。例えば、マレイミド基で官能化されたリンカーは、タンパク質中のシステイン残基と反応し、それに付着することになる。
ポリヌクレオチドの架橋は、「鍵と鍵穴」配置を使用して回避することができる。各リンカーの一方の末端のみが共に反応してより長いリンカーを形成し得、リンカーの他方の末端は、それぞれポリヌクレオチドまたは膜と各々反応する。かかるリンカーは、WO2010/086602に記載されている。
本発明の配列決定方法では、リンカーの使用が好ましい。ポリヌクレオチドが、ポアと相互作用する際に切り離さないという意味で、永久的に膜に直接連結している場合、配列決定ランは膜とポアとの間の距離のためにポリヌクレオチドの末端まで継続することができないので、いくらかの配列データは失われるであろう。リンカーが使用される場合、ポリヌクレオチドは完了するまで処理されることができる。
連結は、永久的であるか、または安定であり得る。換言すれば、連結は、複合体がポアと相互作用する際に膜に連結したままであるようなものであり得る。
連結は、一時的であり得る。換言すれば、連結は、複合体がポアと相互作用する際に膜から減連結し得るようなものであり得る。複合体検出およびポリヌクレオチド配列決定について、一時的性質の連結が好ましい。永久的または安定リンカーがポリヌクレオチドの5’または3’末端のいずれかに直接付着し、リンカーが膜と膜貫通ポアのチャネルとの間の距離よりも短い場合、配列決定ランはポリヌクレオチドの末端まで継続することができないので、いくらかの配列データは失われるであろう。連結が一時的である場合、連結した末端がランダムに膜から分離されると、ポリヌクレオチドは完了するまで処理することができる。永久的/安定または一時的連結を形成する化学基は、以下により詳細に論じられる。複合体は、コレステロールまたは脂肪アシル鎖を使用して両親媒性層またはトリブロックコポリマー膜に一時的に連結され得る。ヘキサデカン酸などの6〜30個の炭素原子の長さを有する任意の脂肪アシル鎖を使用することができる。
好ましい実施形態では、アンカーは、複合体をトリブロックコポリマー膜または脂質二分子層などの両親媒性層に連結させる。核酸の合成脂質二分子層への連結は、以前に、様々な異なるテザリング方法を用いて実施されてきた。これらを以下の表1にまとめる。
合成ポリヌクレオチドおよび/またはリンカーは、コレステロール、トコフェロール、パルミチン酸、チオール、脂質、およびビオチン基などの好適なアンカー基の直接付加のために容易に適合可能である、修飾ホスホロアミダイトを合成反応中に使用して官能化され得る。これらの異なる結合化学は、ポリヌクレオチドへの付着のための一式のオプションを与える。欠く異なる修飾基は、わずかに異なる方法でポリヌクレオチドに連結し、連結は、必ずしも永久的ではないため、ポリヌクレオチドについて異なる滞留時間を膜に与える。
ポリヌクレオチドのリンカーまたは官能化膜への連結はまた、いくつかの他の手段によって達成することができるが、但し、相補的反応性基またはアンカー基がポリヌクレオチドに付加され得ることを条件とする。ポリヌクレオチドのいずれかの末端への反応性基の付加は、以前に報告されている。チオール基は、T4ポリヌクレオチドキナーゼおよびATPγSを使用して、ssDNAまたはdsDNAの5’に付加することができる(Grant,G.P.and P.Z.Qin(2007).”A facile method for attaching nitroxide spin labels at the 5’ terminus of nucleic acids.”Nucleic Acids Res 35(10):e77)。T4 ポリヌクレオチドキナーゼおよびγ−[2−アジドエチル]−ATPまたはγ−[6−アジドヘキシル]−ATPを使用して、アジド基をssDNAのdsDNAの5’−リン酸に付加することができる。チオールまたはクリックケミストリーを使用して、チオール、ヨードアセトアミドOPSS、もしくはマレイミド基(チオールに対して反応性)、またはDIBO(ジベンゾシクロオキシチン(dibenzocyclooxtyne))、もしくはアルキン基(アジドに対して反応性)のいずれかを含有するテザー(tether)は、ポリヌクレオチドに共有付着させることができる。ビオチン、チオール、およびフルオロフォアなどの化学基のより多様な選択は、修飾オリゴヌクレオチドをssDNAの3’に組み込むために、ターミナルトランスフェラーゼを使用して付加することができる(Kumar,A.,P.Tchen,et al.(1988).”Nonradioactive labeling of synthetic oligonucleotide probes with terminal deoxynucleotidyl transferase.”Anal Biochem 169(2):376−82)。任意の他のポリヌクレオチドについて、ストレプトアビジン/ビオチンおよび/またはストレプトアビジン/デスチオビオチン連結を使用することができる。アンカーは、好適に修飾されたヌクレオチド(例えば、コレステロールまたはパルミチン酸塩)と共にターミナルトランスフェラーゼを使用して、ポリヌクレオチドに直接付加され得ることも可能であり得る。
1つ以上のアンカーは、ハイブリダイゼーションを介して複合体を膜に連結させ得る。ハイブリダイゼーションは、1つ以上のアンカーと標的ポリヌクレオチドもしくはガイドポリヌクレオチドとの間、1つ以上のアンカー内、または1つ以上のアンカーと膜との間にあり得る。1つ以上のアンカーにおけるハイブリダイゼーションは、上記のような一時的な方法での連結を可能にする。例えば、リンカーは、共にハイブリダイズされた2つ以上のポリヌクレオチド、例えば3、4、または5つのポリヌクレオチドを含み得る。1つ以上のアンカーは、標的またはガイドポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る。1つ以上のアンカーは、標的またはガイドポリヌクレオチドに直接、ポリヌクレオチドに付着しているYアダプターおよび/もしくはリーダー配列に直接、またはポリヌクレオチドに付着しているヘアピンループアダプターに直接ハイブリダイズし得る。あるいは、1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチドに、ポリヌクレオチドに付着しているYアダプターおよび/もしくはリーダー配列に、またはポリヌクレオチドに付着しているヘアピンループアダプターにハイブリダイズされる、1つ以上、例えば2または3つの中間ポリヌクレオチド(または「スプリント」)にハイブリダイズされ得る。
1つ以上のアンカーは、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを含み得る。アンカーの一部は、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド分析物にライゲーションされ得る。ssDNAの短片のライゲーションは、T4 RNAリガーゼIを使用して報告されている(Troutt,A.B.,M.G.McHeyzer−Williams,et al.(1992).”Ligation−anchored PCR:a simple amplification technique with single−sided specificity.”Proc Natl Acad Sci U S A 89(20):9823−5)。代替的には、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかを、二本鎖ポリヌクレオチドにライゲーションし、その後2本の鎖を熱変性または化学的変性によって分離することができる。二本鎖ポリヌクレオチドに、一本鎖ポリヌクレオチドの片を二本鎖の末端の一方または両方に付加するか、または二本鎖ポリヌクレオチドを一方または両方の末端に付加するかのいずれかが可能である。一本鎖ポリヌクレオチドの二本鎖ポリヌクレオチドへの付加について、これは、一本鎖ポリヌクレオチドの他の領域へのライゲーションのためのT4 RNAリガーゼIを使用して達成することができる。二本鎖ポリヌクレオチドの二本鎖ポリヌクレオチドへの付加について、次いでライゲーションは、(コンカテマーまたはダイマー形成を防止するために多くの試料調製用途について日常的に行われるように)それぞれポリヌクレオチド上の相補的3’dA/dTテールおよび付加されたポリヌクレオチドで、またはポリヌクレオチドの制限消化および適合性アダプターのライゲーションによって生成された「粘着末端」を使用して、「平滑末端化」することができる。次いで、二本鎖が融解すると、各一本鎖は、一本鎖ポリヌクレオチドがライゲーションに使用された場合、5’または3’修飾のいずれかを有することになり、二本鎖ポリヌクレオチドがライゲーションに使用された場合、5’末端、3’末端、またはその両方における修飾を有することになる。
ポリヌクレオチドが合成鎖である場合、ポリヌクレオチドの化学合成中に1つ以上のアンカーが組み込まれ得る。例えば、ポリヌクレオチドは、反応性基が付着したプライマーを使用して合成することができる。
アデニル化ポリヌクレオチドは、ライゲーション反応における中間体であり、アデノシン−一リン酸がポリヌクレオチドの5’−リン酸に付着している。この中間体の生成のために様々なキット、例えばNEBの5’ DNA Adenylation Kitが利用可能である。反応中に修飾ヌクレオチド三リン酸をATPで置換することによって、反応性基(例えばチオール、アミン、ビオチン、アジドなど)のポリヌクレオチドの5’への付加が可能となり得る。アンカーは、好適に修飾されたヌクレオチド(例えば、コレステロールまたはパルミチン酸塩)と共に5’DNAアデニル化キットを使用して、ポリヌクレオチドに直接付加することができることも可能であり得る。
ゲノムDNAの部分の増幅のための一般的な技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することである。ここでは、2つの合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、DNAの同じ区画のいくつかのコピーを生成することができ、各コピーについて、二本鎖中の各鎖の5’が、合成ポリヌクレオチドとなる。ポリメラーゼを用いることによって、単一または複数のヌクレオチドを一本鎖または二本鎖DNAの3’末端に付加することができる。使用することができるポリメラーゼの例としては、ターミナルトランスフェラーゼ、Klenow、およびE.coli Poly(A)ポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。反応中に修飾ヌクレオチド三リン酸をATPで置換することによって、コレステロール、チオール、アミン、アジド、ビオチン、または脂質などのアンカーが二本鎖ポリヌクレオチド内に組み込まれ得る。したがって、増幅ポリヌクレオチドの各コピーは、アンカーを含有することになる。
理想的には、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドを官能化することを必要とせずに膜に連結する。これは、ポリヌクレオチド結合タンパク質または化学基などの1つ以上のアンカーを膜に連結させ、1つ以上のアンカーをポリヌクレオチドと相互作用させることによって、または膜を官能化することによって達成することができる。1つ以上のアンカーは、本明細書に記載される方法のいずれかによって膜に連結し得る。とりわけ、1つ以上のアンカーは、マレイミド官能化リンカーなどの1つ以上のリンカーを含み得る。この実施形態では、ポリヌクレオチドは、典型的には、RNA、DNA、PNA、TNA、またはLNAであり、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。この実施形態は、ゲノムDNAポリヌクレオチドに特に適している。
1つ以上のアンカーは、一本鎖もしくは二本鎖ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド内の特定のヌクレオチド配列、もしくはポリヌクレオチド内の修飾ヌクレオチドのパターンに連結(couple)するか、それに結合(bind)するか、もしくはそれと相互作用する任意の基、またはポリヌクレオチド上に存在する任意の他のリガンドを含み得る。
アンカーにおける使用に適した結合タンパク質には、以下に列挙されるものを含む、E.coli一本鎖結合タンパク質、P5一本鎖結合タンパク質、T4 gp32一本鎖結合タンパク質、TOPO V dsDNA結合領域、ヒトヒストンタンパク質、E.coli HU DNA結合タンパク質、および他の古細菌、原核生物、または真核生物の一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド(または核酸)結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
特定のヌクレオチド配列は、転写因子、リボソーム、エンドヌクレアーゼ、トポイソメラーゼ、または複製開始因子によって認識される配列であり得る。修飾ヌクレオチドのパターンは、メチル化または損傷のパターンであり得る。
1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチドに連結(couple)するか、結合(bind)するか、それにインターカレートするか、またはそれと相互作用する任意の基を含み得る。基は、静電気、水素結合、またはファンデルワールス相互作用を介してポリヌクレオチドにインターカレートするかまたはそれと相互作用する。かかる基には、リジンモノマー、ポリ−リジン(ssDNAまたはdsDNAと相互作用することになる)、臭化エチジウム(dsDNAにインターカレートすることになる)、ユニバーサル塩基またはユニバーサルヌクレオチド(任意のポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る)、およびオスミウム錯体(メチル化塩基に対して反応し得る)が含まれる。ポリヌクレオチドは、したがって、膜に付着した1つ以上のユニバーサルヌクレオチドを使用して膜に連結し得る。各ユニバーサルヌクレオチドは、1つ以上のリンカーを使用して膜に連結し得る。ユニバーサルヌクレオチドは、好ましくは、以下の核酸塩基、ヒポキサンチン、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、6−ニトロインドール、ホルミルインドール、3−ニトロピロール、ニトロイミダゾール、4−ニトロピラゾール、4−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロインダゾール、4−アミノベンゾイミダゾール、またはフェニル(C6芳香族環)のうちの1つを含む。ユニバーサルヌクレオチドは、より好ましくは、以下のヌクレオシド、2’−デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、7−デアザ−イノシン、2−アザ−デオキシイノシン、2−アザ−イノシン、2−O’−メチルイノシン、4−ニトロインドール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−ニトロインドールリボヌクレオシド、5−ニトロインドール2’−デオキシリボヌクレオシド、5−ニトロインドールリボヌクレオシド、6−ニトロインドール2’−デオキシリボヌクレオシド、6−ニトロインドールリボヌクレオシド、3−ニトロピロール2’−デオキシリボヌクレオシド、3−ニトロピロールリボヌクレオシド、ヒポキサンチンの非環状糖類似体、ニトロイミダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、ニトロイミダゾールリボヌクレオシド、4−ニトロピラゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−ニトロピラゾールリボヌクレオシド、4−ニトロベンゾイミダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−ニトロベンゾイミダゾールリボヌクレオシド、5−ニトロインダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、5−ニトロインダゾールリボヌクレオシド、4−アミノベンゾイミダゾール2’−デオキシリボヌクレオシド、4−アミノベンゾイミダゾールリボヌクレオシド、フェニルC−リボヌクレオシド、フェニルC−2’−デオキシリボシルヌクレオシド、2’−デオキシネブラリン、2’−デオキシイソグアノシン、K−2’−デオキシリボース、P−2’−デオキシリボース、およびピロリジンのうちの1つを含む。ユニバーサルヌクレオチドは、より好ましくは、2’−デオキシイノシンを含む。ユニバーサルヌクレオチドは、より好ましくは、IMPまたはdIMPである。ユニバーサルヌクレオチドは、最も好ましくは、dPMP(2’−デオキシ−P−ヌクレオシド一リン酸)またはdKMP(N6−メトキシ−2,6−ジアミノプリン一リン酸)である。
1つ以上のアンカーは、フーグスティーン水素結合(2つの核酸塩基が水素結合によって共に保持されている)、または逆フーグスティーン水素結合(一方の核酸塩基が他方の核酸塩基に対して180°回転している)を介して、ポリヌクレオチドに連結(couple)(または結合(bind))し得る。例えば、1つ以上のアンカーは、ポリヌクレオチドとフーグスティーン水素結合または逆フーグスティーン水素結合を形成する1つ以上のヌクレオチド、1つ以上のオリゴヌクレオチド、または1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。これらの種類の水素結合は、第3のポリヌクレオチド鎖が二本鎖ヘリックスに巻き付き、三本鎖を形成することを可能にする。1つ以上のアンカーは、二本鎖構造と共に三本鎖を形成することによって、二本鎖ポリヌクレオチドに連結(couple)(または結合(bind))し得る。
この実施形態では、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、または100%の膜成分が官能化され得る。
1つ以上のアンカーがタンパク質を含むとき、それらは、例えば、膜と適合可能である外部疎水性領域を既に有する場合、さらなる官能化なしで膜中に直接アンカリングすることができることがある。かかるタンパク質の例としては、膜貫通タンパク質、膜内タンパク質、および膜タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。代替的には、タンパク質は、膜に適合する遺伝的に融合された疎水性領域によって発現され得る。かかる疎水性タンパク質領域は、当該技術分野で既知である。
1つ以上のアンカーは、好ましくは、膜への送達前にポリヌクレオチドと混合されるが、1つ以上のアンカーは、膜と接触させ、その後ポリヌクレオチドと接触させることができる。
別の態様では、ポリヌクレオチドは、それが特異的結合基によって認識され得るように、上記の方法を使用して官能化されてもよい。具体的には、ポリヌクレオチドは、(ストレプトアビジンへの結合のための)ビオチン、(マルトース結合タンパク質または融合タンパク質への結合のための)アミロース、(ポリ−ヒスチジンまたはポリ−ヒスチジンタグ付きタンパク質への結合のための)Ni−NTA、または(抗原などの)ペプチドなどのリガンドで官能化され得る。
好ましい実施形態に従い、1つ以上のアンカーを使用して、ポア内に優先的に入るリーダー配列にポリヌクレオチドが付着しているときに、ポリヌクレオチドを膜に連結させることができる。好ましくは、ポリヌクレオチドは、ポア内に優先的に入るリーダー配列に付着(例えばライゲーション)している。かかるリーダー配列は、ホモポリマーポリヌクレオチドまたは脱塩基領域を含み得る。リーダー配列は、典型的には、直接、または1つ以上の中間ポリヌクレオチド(もしくはスプリント)を介して、1つ以上のアンカーにハイブリダイズするように設計される。かかる実例において、1つ以上のアンカーは、典型的には、リーダー配列中の配列または1つ以上の中間ポリヌクレオチド(もしくはスプリント)中の配列に対して相補的ポリヌクレオチド配列を含む。かかる実例において、1つ以上のスプリントは、典型的には、リーダー配列中の配列に対して相補的ポリヌクレオチド配列を含む。
ポリヌクレオチドを両親媒性層などの膜に連結するための以上に論じられる方法のいずれも、もちろん他のポリヌクレオチドおよび膜の組み合わせに適用することができる。いくつかの実施形態では、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、トリブロックコポリマー層または脂質二分子層などの両親媒性層に連結している。かかるポリヌクレオチドの化学的結合のための様々な方法論が利用可能である。化学的結合に使用される分子の例は、EDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドヒドロクロリド)である。反応性基は、市販のキット(Thermo Pierce、部品番号22980)を使用してポリヌクレオチドの5’に付加することもできる。好適な方法には、ヒスチジン残基およびNi−NTAを使用する一時的親和性結合、ならびに反応性システイン、リジン、または非天然型アミノ酸によるより強固な共有結合が含まれるが、これらに限定されない。
リーダー配列
リーダー配列は、典型的には、ポリマーを含むポリマーは、好ましくは、負に荷電されている。ポリマーは、好ましくは、ポリヌクレオチド、例えばDNAもしくはRNA、修飾ポリヌクレオチド(例えば、脱塩基DNA)、PNA、LNA、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリペプチドである。リーダーは、好ましくは、ポリヌクレオチドを含み、より好ましくは、一本鎖ポリヌクレオチドを含む一本鎖リーダー配列は、最も好ましくは、DNAの一本鎖、例えばポリdTセクションを含む。リーダー配列は、好ましくは、1つ以上のスペーサーを含む。
リーダー配列は、任意の長さであり得るが、典型的には、10〜150ヌクレオチド長、例えば20〜150ヌクレオチド長である。リーダーの長さは、典型的には、本方法に使用される膜貫通ポアに依拠する。
リーダー配列は、膜貫通ポア中に優先的に進み、それによってポアを通るポリヌクレオチドの移動を促進する。リーダー配列は、本明細書で論じられるようにポリヌクレオチドを1つ以上のアンカーに連結させるのに使用することもできる。
配列決定アダプター−Yアダプター
ナノポア配列決定に使用するためのY−プアダプターは、当該技術分野において既知である。Yアダプターは、典型的には、(a)二本鎖領域と、(b)一本鎖領域または他方の末端において相補的ではない領域とを含む。Yアダプターは、一本鎖領域を含む場合、オーバーハングを有するとして記載され得る。Yアダプター中の非相補領域の存在は、二本鎖部分とは異なり2本の鎖が典型的には互いにハイブリダイズしないため、アダプターにY形状を与える。Yアダプターは、1つ以上のアンカーを含み得る。
Yアダプターは、好ましくは、ポア内に優先的に入るリーダー配列を含む。
Yアダプターおよび/またはヘアピンループは、当該技術分野で既知の任意の方法を使用してポリヌクレオチドにライゲーションされ得る。アダプターの一方または両方は、T4 DNAリガーゼ、E.coli DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tma DNAリガーゼ、および9N DNAリガーゼなどのリガーゼを使用してライゲーションされ得る。あるいは、アダプターは、以下に論じられる方法を使用してポリヌクレオチドに付加され得る。
好ましい実施形態では、方法は、一方の末端にYアダプター、および他方の末端にヘアピンループを含むように、試料中の二本鎖ポリヌクレオチドを修飾することを含む。任意の修飾方法を使用することができる。方法は、好ましくは、二本鎖標的ポリヌクレオチドを修飾することを含む。
二本鎖ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドをMuAトランスポザーゼおよび二本鎖MuA基質の集団と接触させることによって、Yアダプターおよびヘアピンループなどのアダプター、またはアンカーを備えてもよい。トランスポザーゼは、二本鎖ポリヌクレオチドを断片化し、MuA基質を断片の一方または両方の末端にライゲーションさせる。これは、アダプターまたはアンカーを含む複数の修飾二本鎖ポリヌクレオチドを生成する。修飾二本鎖ポリヌクレオチドは、次いで、本発明の方法を使用して調査され得る。
これらのMuAに基づく方法は、WO2015/022544およびWO2016/059363に開示されている。それらは、WO2015/150786にも詳細に議論されている。
二本鎖ポリヌクレオチドは、一方の末端にYアダプター、および他方の末端にヘアピンループを備えてもよい。例えば、集団中のある割合のMuA基質は、リーダー配列を含むYアダプターであり得、集団中のある割合の基質は、ヘアピンループであり得る。
Yアダプターは、アダプターが付着している二本鎖領域が巻き戻されるときに明らかになる捕捉配列、親和性タグ、またはポアテザーを含み得る。捕捉配列またはタグは、二本鎖ポリヌクレオチドの第1の鎖がポアを通過するときに二本鎖ポリヌクレオチドが巻き戻される場合に二本鎖ポリヌクレオチドの第2の鎖がナノポアから拡散するのを防止するように機能し、ポアは、テザーに結合するか、またはYアダプター中の捕捉配列に相補的である配列を含むオリゴヌクレオチド、Yアダプター上のタグの親和性パートナーでタグ付けされている。
ヘアピンループ
ナノポア配列決定に使用するためのヘアピンループアダプターは、当該技術分野において既知である。ヘアピンループは、二本鎖ポリヌクレオチドの一端に提供することができ、方法は、好ましくは、ポリヌクレオチドの一端にヘアピンループを有するポリヌクレオチドを提供することをさらに含む。ポリヌクレオチドの2つの鎖は、一端でヘアピンループと連結され得る。
好適なヘアピンループは、当該技術分で既知の方法を使用して設計することができる。ヘアピンループは、任意の長さであり得る。ヘアピンループは、典型的には、110ヌクレオチド長以下、例えば100ヌクレオチド長以下、90ヌクレオチド長以下、80ヌクレオチド長以下、70ヌクレオチド長以下、60ヌクレオチド長以下、50ヌクレオチド長以下、40ヌクレオチド長以下、30ヌクレオチド長以下、20ヌクレオチド長以下、または10ヌクレオチド長以下である。ヘアピンループは、好ましくは、約1〜110、2〜100、5〜80、または6〜50ヌクレオチド長である。ループがアダプターの分別選択性に関与する場合、ヘアピンループのより長い長さ、例えば50〜110ヌクレオチドが好ましい。同様に、ループが下記の選択的結合に関与していない場合、ヘアピンループのより短い長さ、例えば1〜5ヌクレオチドが好ましい。
ヘアピンループは、ポリヌクレオチドのいずれかの末端、例えば5’末端または3’末端に提供され得る。ヘアピンループは、当該技術分野で既知の任意の方法を使用してポリヌクレオチドにライゲーションされ得る。ヘアピンループは、T4 DNAリガーゼ、E.coli DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tma DNAリガーゼ、および9N DNAリガーゼなどのリガーゼを使用してライゲーションされ得る。
配列決定によってポリヌクレオチドを特徴付ける方法において、ヘアピンループによって連結された二本鎖ポリヌクレオチドの2つの鎖は、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して分離され得る。ポリヌクレオチドの2つの鎖は、次いで、一度に1つずつポアを通して移動させる。この方法で二本鎖構造体上の両方の鎖を結合し、調べることは、特徴付けの効率および精度を増加させる。
ヘアピンループは、好ましくは、選択的結合部分を含む。これは、ポリヌクレオチドが精製または単離されることを可能にする。選択的結合部分は、その結合特性に基づいて選択され得る部分である。したがって、選択的結合部分は、好ましくは、表面に特異的に結合する部分である。それが、本発明に使用される任意の他の部分よりもはるかに大きい程度で表面に結合する場合、選択的結合部分は表面に特異的に結合する。好ましい実施形態では、部分は、本発明に使用される他の部分が結合しない表面に結合する。
好適な選択的結合部分は、当該技術分野で既知である。好ましい選択的結合部分には、ビオチン、ポリヌクレオチド配列、抗体、抗体断片、例えばFabおよびScSv、抗原、ポリヌクレオチド結合タンパク質、ポリヒスチジンテール、ならびにGSTタグが含まれるが、これらに限定されない。最も好ましい選択的結合部分は、ビオチンおよび選択的ポリヌクレオチド配列である。ビオチンは、アビジンでコーティングされた表面に特異的に結合する。選択的ポリヌクレオチド配列は、相同配列でコーティングされた表面に特異的に結合する(例えば、ハイブリダイズする)。代替的には、選択的ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド結合タンパク質でコーティングされた表面に特異的に結合する。
ヘアピンループおよび/または選択的結合部分は、切断、ニック、開裂、または加水分解され得る領域を含み得る。かかる領域は、ポリヌクレオチドを精製または単離後に結合している表面から除去することを可能にするように設計することができる。好適な領域は、当該技術分野で既知である。好適な領域には、RNA領域、デスチオビオチンおよびストレプトアビジンを含む領域、ジスルフィド結合、ならびに光開裂可能な領域が含まれるが、これらに限定されない。
ビーズ
ビーズ、典型的にはマイクロ粒子を使用して、複合体を膜貫通ポアに送達することができる。これは、WO2016/059375に記載されている。本発明の方法では、任意の数のマイクロ粒子を使用することができる。例えば、方法は、単一のマイクロ粒子、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、100、1,000、5,000、10,000、100,000、500,000、もしくは1,000,000個以上のマイクロ粒子を使用し得る。2つ以上のマイクロ粒子が使用される場合、マイクロ粒子は同じであり得る。あるいは、異なるマイクロ粒子の混合物が使用され得る。
各マイクロ粒子は、付着している1つの複合体を有し得る。あるいは、各マイクロ粒子は、2つ以上の複合体、例えば付着している3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、50個以上、100個以上、500個以上、1,000個以上、5,000個以上、10,000個以上、100,000個以上、1000,000個以上、または5000,000個以上のポリヌクレオチドを有し得る。マイクロ粒子は、複合体で実質的にまたは完全にコーティングまたは被覆され得る。マイクロ粒子は、その表面の実質的に全部または全部にわたって付着している複合体を有し得る。マイクロ粒子は、アダプターを介して複合体に付着させることができる。アダプターは、Yアダプターまたはヘアピンアダプターであり得る。
複合体は、その成分のうちの任意の1つ以上を介してマイクロ粒子に付着させることができる。ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および/または標的ポリヌクレオチドは、マイクロ粒子に付着させることができる。例えば、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、ガイドポリヌクレオチド、および/または標的ポリヌクレオチドは、マイクロ粒子の表面に結合するであろう付着している結合部分を有し得る。
適切な結合部分の例には、タンパク質結合タグ(ストレプトタグ、フラッグタグなど)、共役結合体(ポリヌクレオチド、ポリマー、ビオチン、ペプチド)、およびアミノ酸(システイン、Fazなど)が含まれる。
複合体は、2つ以上のマイクロ粒子に付着させることができる。
微粒子は、そのサイズが典型的にはマイクロメートル(μm)で測定される微細粒子である。微粒子は、マイクロスフェアまたはマイクロビーズとしても知られている場合がある。微粒子は、ナノ粒子であり得る。ナノ粒子は、そのサイズが典型的にはナノメートル(nm)で測定される微細粒子である。
マイクロ粒子は、典型的には、約0.001μm〜約500μmの粒径を有する。例えば、ナノ粒子は、約0.01μm〜約200μmまたは約0.1μm〜約100μmの粒径を有し得る。より多くの場合、マイクロ粒子は、約0.5μm〜約100μm、または例えば約1μm〜約50μmの粒径を有する。マイクロ粒子は、約1nm〜約1000nm、例えば約10nm〜約500nm、約20nm〜約200nm、または約30nm〜約100nmの粒径を有し得る。
マイクロ粒子は、球状または非球状であり得る。球状マイクロ粒子は、マイクロスフェアと呼ばれ得る。非球状粒子は、例えば板状、針状、不規則、または管状であり得る。本明細書で使用される「粒径」という用語は、粒子が球状である場合は粒子の直径を意味し、粒子が非球状である場合は体積基準の粒径を意味する。体積基準の粒径は、問題の非球状粒子と同じ体積を有する球の直径である。
方法において2つ以上のマイクロ粒子が使用される場合、マイクロ粒子の平均粒径は、約0.5μm〜約500μmなどの、上記に論じられるサイズのうちのいずれかであり得る。2つ以上のマイクロ粒子の集団は、好ましくは、5%以下または2%以下などの10%以下の変動係数(平均に対する標準偏差の比)を有する。
マイクロ粒子のサイズを決定するために任意の方法が使用され得る。適切な方法としては、フローサイトメトリーが挙げられるが、これに限定されない(例えば、Chandler et al.,J Thromb Haemost.2011 Jun;9(6):1216−24参照)。
マイクロ粒子は、任意の材料から形成され得る。マイクロ粒子は、好ましくは、セラミック、ガラス、シリカ、ポリマー、または金属から形成され得る。ポリマーは、ポリヒドロキシアルカノエート、デキストラン、ポリラクチド、アガロース、セルロース、デンプン、もしくはキトサンなどの天然ポリマー、またはポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、シラン、もしくはメタクリレートなどの合成ポリマーであり得る。適切なマイクロ粒子は、当該技術分野において知られ、市販されている。セラミックおよびガラスマイクロスフェアは、3M(登録商標)から市販されている。シリカおよびポリマーマイクロ粒子は、EPRUI Nanoparticles&Microspheres Co.Ltdから市販されている。マイクロ粒子は、Polysciences Inc.、Bangs Laboratories Inc.、およびLife Technologiesからも市販されている。
マイクロ粒子は、固体であり得る。マイクロ粒子は、中空であり得る。マイクロ粒子は、ポリマー繊維から形成され得る。
マイクロ粒子は、ポリヌクレオチドを抽出および単離するために使用されるキットから誘導され得る。
マイクロ粒子の表面は、分析物と相互作用し、これを付着することができる。表面は、官能化なしに、ポリヌクレオチドなどの分析物と自然に相互作用し得る。マイクロ粒子の表面は、典型的には、分析物の付着を容易にするために官能化される。適切な官能化は、当該技術分野において知られている。例えば、マイクロ粒子の表面は、ポリヒスチジンタグ(ヘキサヒスチジンタグ、6×Hisタグ、His6タグ、またはHis−tag(登録商標))、Ni−NTA、ストレプトアビジン、ビオチン、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、PNA、GNA、TNA、またはLNAなど)、カルボキシル基、第4級アミン基、チオール基、アジド基、アルキン基、DIBO、脂質、FLAGタグ(FLAGオクタペプチド、ポリヌクレオチド結合タンパク質(以下に論じられるもののいずれかを含む)、ペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片で官能化され得る。マイクロ粒子はまた、本明細書で論じられるリンカーまたは基のいずれかで官能化され得る。
マイクロ粒子は、ポリヌクレオチドに特異的に結合する分子または基で官能化され得る。この例では、マイクロ粒子に付着され、膜貫通ポアに送達されるであろうポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドと呼ばれ得る。これは、マイクロ粒子が他のポリヌクレオチドを含有する試料から標的ポリヌクレオチドを選択または捕捉することを可能にする。分子または基は、標的ポリヌクレオチドには優先的なまたは高い親和性で結合するが、他のもしくは異なるポリヌクレオチドには結合しないか、または低い親和性でのみ結合する場合、標的ポリヌクレオチドに特異的に結合する。分子または基は、1×10−6M以下、より好ましくは1×10−7M以下、5×10−8M以下、より好ましくは1×10−8M以下、またはより好ましくは5×10−9M以下のKdで結合する場合、優先的なまたは高い親和性で結合する。分子または基は、1×10−6M以上、より好ましくは1×10−5M以上、より好ましくは1×10−4M以上、より好ましくは1×10−3M以上、さらにより好ましくは1×10−2M以上のKdで結合する場合、低い親和性で結合する。
好ましくは、分子または基は、標的ポリヌクレオチドに、他のポリヌクレオチドについてのその親和性よりも大きい、少なくとも10倍、例えば少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも1000、または少なくとも10,000倍である親和性で結合する。親和性は、蛍光および放射性同位体を利用するものなどの既知の結合アッセイを用いて測定することができる。競合結合アッセイも当該技術分野において知られている。ペプチドまたはタンパク質とポリヌクレオチドとの間の結合強度は、Hornblower et al.,Nature Methods.4:315−317.(2007)に記載されているようにナノポア力分光法を用いて測定することができる。
マイクロ粒子は、標的ポリヌクレオチドもしくはガイドポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするか、または標的ポリヌクレオチドもしくはガイドポリヌクレオチドの一部分もしくは領域に相補的である一部分もしくは領域を含む、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドで官能化され得る。これは、マイクロ粒子が他のポリヌクレオチドを含有する試料から標的ポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチドを選択または捕捉することを可能にする。
オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドに対して優先的なまたは高い親和性でハイブリダイズするが、他のポリヌクレオチドに実質的にハイブリダイズしない、ハイブリダイズしない、または低い親和性でハイブリダイズするとき、標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドに、他の配列についてのそのTよりも高い、少なくとも2℃、例えば少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、または少なくとも10℃である、融解温度(T)でハイブリダイズする場合、特異的にハイブリダイズする。より好ましくは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドに、他の核酸についてのそのTよりも高い、少なくとも2℃、例えば少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、または少なくとも40℃である、Tでハイブリダイズする。好ましくは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドに、1つ以上のヌクレオチド、例えば1、2、3、4、または5つ以上のヌクレオチドだけ標的ポリヌクレオチドとは異なる配列についてのそのTよりも高い、少なくとも2℃、例えば少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、または少なくとも40℃である、Tでハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、典型的には、標的ポリヌクレオチドに、少なくとも90℃、例えば少なくとも92℃または少なくとも95℃のTでハイブリダイズする。Tは、DNAマイクロアレイの使用を含む、既知の技法を用いて実験的に測定することができ、またはインターネット上で入手可能なものなどの公的に入手可能なT計算機を用いて計算することができる。
ハイブリダイゼーションを可能にする条件は、当該技術分野において周知である(例えば、Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:a laboratory manual,3rd edition,Cold Spring Harbour Laboratory Press、およびCurrent Protocols in Molecular Biology,Chapter 2,Ausubel et al.,Eds.,Greene Publishing and Wiley−lnterscience,New York(1995))。ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェントな条件下、例えば37℃の30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、および1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液の存在下で実施し、続いて50℃の1×(0.1650M Na)〜2×(0.33M Na)SSC(標準クエン酸ナトリウム)で20回洗浄することができる。ハイブリダイゼーションは、中等度ストリンジェントな条件下、例えば37℃の40〜45%ホルムアミド、1M NaCl、および1%SDSのバッファー溶液の存在下で実施し、続いて55℃の0.5×(0.0825M Na)〜1×(0.1650M Na)SSCで洗浄することができる。ハイブリダイゼーションは、高ストリンジェントな条件下、例えば37℃の50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝溶液の存在下で実施し、続いて60℃の0.1×(0.0165M Na)SSCで洗浄することができる。
オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチドの一部分または領域に実質的に相補的である一部分または領域を含み得る。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの領域または部分は、したがって、標的ポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド中の部分または領域と比較して5、10、15、20、21、22、30、40、または50ヌクレオチドの領域にわたって1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の不一致を有し得る。
領域の一部分は、典型的には、50ヌクレオチド以下、例えば40ヌクレオチド以下、30ヌクレオチド以下、20ヌクレオチド以下、10ヌクレオチド以下、または5ヌクレオチド以下である。
マイクロ粒子は、好ましくは、常磁性または磁性である。マイクロ粒子は、好ましくは、常磁性もしくは超常磁性材料、または鉄などの常磁性もしくは超常磁性金属を含む。任意の適切な磁性マイクロ粒子が使用され得る。例えば、例えば、Clontech、Promega、Invitrogen ThermoFisher Scientific、およびNEBから市販されている磁性ビーズが使用され得る。いくつかの実施形態では、マイクロ粒子は、ニトリロ三酢酸(NTA)などの金属キレート基などの有機基が付着している磁性粒子を含む。有機成分は、例えば、−C(=O)O−、−C−O−C−、−C(=O)−、−NH−、−C(=O)−NH、−C(=O)−CH−I、−S(=O)−、および−S−から選択される基を含み得る。有機成分は、NTA(ニトリロ三酢酸)などの金属キレート基を含み得る。通常、金、鉄、ニッケル、またはコバルトなどの金属も、金属キレート基に付着している。この種の磁性ビーズは、Hisタグ付きタンパク質を捕捉するために一般的に使用されているが、本発明における使用にも適している。
マイクロ粒子は、最も好ましくは、Life Technologiesから市販されているHis−Tag Dynabead(登録商標)、IBAからのMag Strepビーズ、NEBからのストレプトアビジン磁性ビーズ、Beckman Coulterからの固相可逆固定化(SPRI)ビーズ、またはDynabeads(登録商標)MyOne(商標)ストレプトアビジンC1(ThermoFisher Scientific)である。

本発明に従い、任意の膜を使用することができる。好適な膜は、当該技術分野で周知である。膜は、好ましくは、両親媒性層または固体層である。
両親媒性層は、親水および親油特性の両方を有する、リン脂質などの両親媒性分子から形成された層である。両親媒性分子は、合成または天然であり得る。非天然型両親媒性物質および単分子層を形成する両親媒性物質は、当該技術分野で既知であり、例えば、ブロックコポリマー(Gonzalez−Perez et al.,Langmuir,2009,25,10447−10450)が含まれる。ブロックコポリマーは、2つ以上のモノマーサブユニットが共に重合されて単一のポリマー鎖を作成する、ポリマー材料である。ブロックコポリマーは、典型的には、各モノマーサブユニットによって寄与される特性を有する。しかしながら、ブロックコポリマーは、個々のサブユニットから形成されたポリマーが保有しない固有の特性を有し得る。ブロックコポリマーは、モノマーサブユニットのうちの1つが疎水性(例えば、親油性)である一方、他のサブユニット(複数可)が水性媒体中で親水性であるように操作することができる。この場合、ブロックコポリマーは、両親媒性特性を保有し得、生体膜を模倣する構造を形成し得る。ブロックコポリマーは、ジブロック(2つのモノマーサブユニットからなる)であり得るが、3つ以上のモノマーサブユニットから構築されて、両親媒性物質として挙動するより複雑な配置でもあり得る。コポリマーは、トリブロック、テトラブロック、またはペンタブロックコポリマーであってもよい。膜は、好ましくは、トリブロックコポリマー膜である。
古細菌二極性テトラエーテル脂質は、脂質が単分子層膜を形成するように構築される天然型脂質である。これらの脂質は、一般に、厳しい生物環境で生き残る好極限性細菌、好熱菌、好塩菌、および好酸球において見出される。それらの安定性は、最終二分子層の融合性質から得られると考えられている。一般モチーフ親水性−疎水性−親水性を有するトリブロックポリマーを作製することによってこれらの生物学的存在を模倣するブロックコポリマーを構築することは簡単である。この材料は、脂質二分子層と同様に挙動するモノマー膜を形成し、ベシクルから層状膜に至るまで幅広い相挙動を包含し得る。これらのトリブロックコポリマーから形成された膜は、生体脂質膜に対していくつかの利点を有する。トリブロックコポリマーは合成されているため、その性格な構造を慎重に制御して、膜を形成し、ポアおよび他のタンパク質と相互作用するために必要とされる正しい鎖長および特性を提供することができる。
ブロックコポリマーはまた、脂質サブ材料として分類されないサブユニットから構築されてもよく、例えば、疎水性ポリマーは、シロキサンまたは他の非炭化水素系モノマーから作製され得る。ブロックコポリマーの親水性サブセクションはまた、低いタンパク質結合特性を保有し得、これは、生の生体試料に曝露されたときに高度に耐性である膜の作製を可能にする。このヘッドグループ単位はまた、非分類脂質ヘッド基に由来してもよい。
トリブロックコポリマー膜はまた、生体脂質膜と比較して増加した機械的および環境的安定性、例えば、はるかに高い動作温度またはpH範囲を有する。ブロックコポリマーの合成性質は、ポリマー系膜を幅広い用途のためにカスタマイズする基盤を提供する。
膜は、最も好ましくは、WO2014/064443またはWO2014/064444に開示されている膜のうちの1つである。
両親媒性分子は、複合体への連結を促進するように化学修飾または官能化され得る。
両親媒性層は、一分子層または二分子層であり得る。両親媒性層は、典型的には、平面である。両親媒性層は、湾曲してもよい。両親媒性層は、支持されてもよい。両親媒性層は、凹面であってもよい。両親媒性層は、(ピラーに付着している)両親媒性層の周辺領域が両親媒性層領域よりも高くなるように隆起ピラーから吊り下げられてもよい。これは、マイクロ粒子が上記のような膜に沿って移動、移動、摺動、または転動することを可能にし得る。
両親媒性膜は、典型的には、天然に移動性であり、約10−8cm s−1の脂質拡散速度を有する2次元流体として本質的に作用する。これは、ポアおよび連結した複合体が、典型的には、両親媒性膜内で移動することができることを意味する。
膜は、脂質二分子層膜であり得る。脂質二分子層は、細胞膜のモデルであり、幅広い実験研究のための優秀な基盤として働く。例えば、脂質二分子層は、シングルチャネルレコーディングによる膜タンパク質のインビトロ調査のために使用することができる。代替的には、脂質二分子層は、幅広い物質の存在を検出するためのバイオセンサーとして使用することができる。脂質に二分子層は、任意の脂質二分子層であり得る。好適な脂質二分子層には、平面脂質二分子層、支持二分子層、またはリポソームが挙げられるが、これらに限定されない。脂質二分子層は、好ましくは、平面脂質二分子層である。適切な脂質二分子層は、WO2008/102121、WO2009/077734、およびWO2006/100484に開示されている。
脂質二分子層を形成するための方法は、当該技術分野で既知である。脂質二分子層は、Montal and Mueller(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,1972;69:3561−3566)の方法によって一般に形成され、この方法において、脂質一分子層は、水溶液/空気界面上で、その界面に対して直角な孔の両側を通り過ぎて担持される。脂質は、通常、最初にそれを有機溶媒中に溶解し、次いで少量の溶媒を孔の両側で水溶液の界面上で蒸発させることによって、電解質水溶液の界面に添加される。いったん有機溶媒が蒸発すると、孔の両側の溶液/空気界面は、二分子層が形成されるまで、孔を通り過ぎて物理的に上下に動かされる。平面脂質二分子層は、膜内の孔にわたって、または陥凹部内への開口部にわたって形成され得る。
Montal & Muellerの方法は、費用効果があり、かつタンパク質ポア挿入のために好適である高品質の脂質二分子層を形成する比較的簡単な形成方法であるため、普及している。二分子層形成の他の一般的な方法には、先端浸漬(tip−dipping)、二分子層の塗装(painting bilayers)、およびリポソーム二分子層のパッチクランプが含まれる。
先端浸漬二分子層形成は、孔表面(例えば、ピペット先端)を、脂質の一分子層を担持する試験溶液の界面上に接触させることを伴う。ここでまた、脂質一分子層は、有機溶媒中に溶解した少量の脂質を溶液界面において蒸発させることによって、溶液/空気界面において最初に生成される。次いで、二分子層は、Langmuir−Schaeferプロセスによって形成され、孔を溶液界面に対して移動させるために機械的自動化を必要とする。
二分子層の塗装について、有機溶媒中に溶解した少量の脂質が孔に直接塗布され、これが、試験水溶液中に沈められる。脂質溶液は、塗装用刷毛などを使用して孔にわたって薄く広げられる。溶媒を薄くすることは、脂質二分子層の形成をもたらす。しかしながら、二分子層からの溶媒の完全な除去は困難であり、したがって、この方法によって形成された二分子層は安定性が低く、電気化学的測定中にノイズを生じやすい。
パッチクランプは、生体細胞膜の研究において一般的に使用される。細胞膜は吸引によりピペットの端部に留められ、孔にわたって膜のパッチが付着する。この方法は、リポソームを留め、それが次いで破裂してピペットの孔にわたる脂質二分子層シールを残すことにより、脂質二分子層を生成するために適合されてきた。この方法は、安定した、巨大かつ単層のリポソームと、ガラス表面を有する材料における微小孔を作ることとを必要とする。
リポソームは、超音波処理、押出、またはMozafari法によって形成することができる(Colas et al.(2007)Micron 38:841−847)。
好ましい実施形態では、脂質二分子層は、WO2009/077734に記載されるように形成される。有利には、本方法において、脂質二分子層は、乾燥脂質から形成される。最も好ましい実施形態では、脂質二分子層は、WO2009/077734に記載されるように、開口部にわたって形成される。
脂質二分子層は、脂質の2つの対向する層から形成される。2つの脂質層は、それらの疎水性テール基が互いに向き合って疎水性の内部を形成するように配置される。脂質の親水性ヘッド基は、二分子層の両側で水性環境に向かって外側に向いている。二分子層は、液体不規則相(流体層状)、液体規則相、固体規則相(層状ゲル相、交互ゲル相)、および平面二分子層結晶(層状サブゲル相、層状結晶相)を含むがこれらに限定されないいくつかの脂質相中に存在し得る。
脂質二分子層を形成する任意の脂質組成物を使用することができる。脂質組成物は、必要とされる特性、例えば表面荷電、膜タンパク質を支持する能力、充填密度、または機械的特性を有する脂質二分子層が形成されるように選択される。脂質組成物は、1つ以上の異なる脂質を含んでもよい。例えば、脂質組成物は、最大で100種の脂質を含有し得る。脂質組成物は、好ましくは、1〜10種の脂質を含有する。脂質組成物は、天然型脂質および/または人工脂質を含んでもよい。
脂質は、典型的には、ヘッド基、界面部分、および同じであるかまたは異なり得る2つの疎水性テール基を含む。好適なヘッド基には、中性ヘッド基、例えばジアシルグリセリド(DG)およびセラミド(CM);双イオン性ヘッド基、例えばホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、およびスフィンゴミエリン(SM);負に荷電したヘッド基、例えばホスファチジルグリセロール(PG);ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、リン酸(PA)、および カルジオリピン(CA);ならびに正に荷電したヘッド基、例えばトリメチルアンモニウム−プロパン(TAP)が含まれるが、これらに限定されない。好適な界面部分には、天然型界面部分、例えばグリセロール系またはセラミド系部分が含まれるが、これらに限定されない。好適な疎水性テール基には、飽和炭化水素鎖、例えばラウリン酸(n−ドデカノール酸(n−Dodecanolic acid))、ミリスチン酸(n−テトラデコノニン酸(n−Tetradecononic acid))、パルミチン酸(n−ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(n−オクタデカン酸)、およびアラキジン酸(n−エイコサン酸)、不飽和炭化水素鎖、例えばオレイン酸(シス−9−オクタデカン酸)、ならびに分岐炭化水素鎖、例えばフィタノイルが含まれるが、これらに限定されない。鎖の長さ、ならびに不飽和炭化水素鎖中の二重結合の位置および数は変化し得る。鎖の長さ、ならびに分岐炭化水素鎖中のメチル基などの分岐の位置および数は変化し得る。疎水性テール基は、エーテルまたはエステルとして界面部分に結合し得る。脂質は、ミコール酸であり得る。
脂質はまた、化学修飾されてもよい。脂質のヘッド基またはテール基は、化学修飾され得る。そのヘッド基が化学修飾されている好適な脂質には、PEG修飾脂質、例えば1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N −[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000];官能化PEG脂質、例えば1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3 ホスホエタノールアミン−N−[ビオチニル(ポリエチレングリコール)2000];ならびにコンジュゲーションのために修飾された脂質、例えば1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)および1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(ビオチニル)が含まれるが、これらに限定されない。そのテール基が化学修飾されている好適な脂質には、重合性脂質、例えば1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル(tricosadiynoyl))−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;フッ化脂質、例えば1−パルミトイル−2−(16−フルオロパルミトイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;重水素化脂質、例えば1,2−ジパルミトイル−D62−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;およびエーテル結合脂質、例えば1,2−ジ−O−フィタニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンが含まれるが、これらに限定されない。脂質は、複合体への連結を促進するように化学修飾または官能化され得る。
両親媒性層、例えば、脂質組成物は、典型的には、層の特性に影響を与える1つ以上の添加剤を含む。好適な添加剤には、脂肪酸、例えばパルミチン酸、ミリスチン酸、およびオレイン酸;脂肪アルコール、例えばパルミチン酸アルコール、ミリスチン酸アルコール、およびオレイン酸アルコール;ステロール、例えばコレステロール、エルゴステロール、ラノステロール、シトステロール、およびスチグマステロール;リゾリン脂質、例えば1−アシル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;ならびにセラミドが含まれるが、これらに限定されない。
固体層は、微細電子材料、絶縁材料、例えばSi、A1、およびSiO、有機および無機ポリマー、例えばポリアミド、プラスチック、例えばTeflon(登録商標)またはエラストマー、例えば二成分付加硬化シリコンゴム、およびガラスを含むがこれらに限定されない有機および無機材料の両方から形成することができる。固体層は、グラフェンから形成され得る。適切なグラフェン層は、WO2009/035647に開示されている。Yusko et al.,Nature Nanotechnology,2011;6:253−260および米国特許出願第2013/0048499号は、マイクロ粒子の使用なしでの固体層中の膜貫通ポアへのタンパク質の送達を記載している。本発明の方法は、これらの文献に開示されている方法における送達を改善するために使用され得る。
本方法は、典型的には、(i)ポアを含む人工両親媒性層、(ii)ポアを含む単離された天然型脂質二分子層、または(iii)ポアが内部に挿入された細胞を使用して実施される。本方法は、典型的には、人工両親媒性層、例えば人工トリブロックコポリマー層を使用して実施される。層は、ポアに加えて、他の膜貫通タンパク質および/または膜内タンパク質、ならびに他の分子を含んでもよい。好適な装置および条件は、以下に論じられる。本発明の方法は、典型的には、インビトロで実施される。
複合体が送達される膜は、典型的には、液体中に含まれる。液体は、膜を「濡れた」状態に保ち、それが乾燥するのを止める。液体は、典型的には、水溶液である。水溶液は、典型的には、水と同じ密度を有する。水溶液の密度は、典型的には、約1g/cmである。溶液の密度は、溶液の温度および正確な組成に応じて変動し得る。水溶液は、典型的には、約0.97〜約1.03g/cmの密度を有する。
膜は、典型的には、2つの体積の水溶液を分離する。膜は、体積間の電流の流れに抵抗する。膜中に挿入された膜貫通ポアは、膜にわたるイオンの通過を選択的に可能にし、これは2つの体積の水溶液中の電極によって検出された電気信号として記録することができる。標的ポリヌクレオチドを含む複合体の存在は、イオンの流れを調節し、結果として生じる電気信号の変動を観察することによって検出される。
アレイ
膜は、典型的には、各膜が好ましくは膜貫通ポアを含む、膜のアレイの一部である。したがって、本発明は、膜のアレイを使用して標的ポリヌクレオチドを検出する方法を提供する。
膜は、アレイが試験試料から並行して測定する多くの個別のセンサーと等価であるように、各々その独自の電極を使用して個別にアドレス指定される、電気的に絶縁した膜のアレイを有する装置に含まれ得る。膜は、比較的高密度に充填され、所与の体積の試験試料に多数の膜を使用することを可能にし得る。膜および装置の適切なアレイは、当該技術分野、例えばWO2009/077734およびWO2012/042226に記載されている。WO2009/077734は、例えば、マイクロウェル孔のアレイにわたって形成された複数の個々にアドレス可能な脂質二分子層を開示し、各マイクロウェルは、脂質二分子層と接触する電極および水性媒体を含有する。
装置は、典型的には、膜および膜貫通ポアが予め挿入されている「使用準備完了」状態でエンドユーザーに提供される。「使用準備完了」状態で提供される典型的な装置は、各膜が膜貫通ポアを含み、液体を含有するウェルにわたって提供される、両親媒性膜のアレイを含む。かかる装置およびその作製方法は、WO2014/064443に開示されている。分析対象の試験液は、両親媒性膜の上面に塗布される。
装置を「使用準備完了」状態で提供することは、しかしながら、性能の低下をもたらし、またはセンサーを損傷し得るため、センサーが乾燥しないように、すなわち両親媒性膜を通過することによって液体がウェルから失われないように注意を払う必要があるという追加の考慮点を有する。センサーの乾燥の問題に対処するための1つの解決策は、膜の表面を通るいかなる蒸発も最小限に抑え、膜のいずれかの側に提供される液体がいかなる浸透効果も低減するために同じイオン強度を有し得るように、デバイスに両親媒性膜の表面にわたって緩衝液を提供することである。使用時には、緩衝液は両親媒性膜の表面から除去することができ、分析対象の試験液が表面に接触するように導入される。
いくつかの用途は、膜にわたる電気的特性、例えばイオン電流の測定を使用し得る。かかる測定を提供するために、装置は、極性媒体を含む体積と電気的に接触する各区画中のそれぞれの電極をさらに含み得る。他の種類の測定は、例えば蛍光測定およびFET測定などの光学的測定について実施され得る。光学的測定および電気的測定は、同時に実施され得る(Heron AJ et al.,J Am Chem Soc.2009;131(5):1652−3)。
装置は、共通電極をさらに含み得る。装置は、共通電極と各区画中のそれぞれの電極との間で接続された電気回路をさらに含むことができ、電気回路は電気的測定を行うように構成されている。かかる電気的測定は、膜でまたは膜を通って起こるプロセスに依存し得る。
装置は、ナノポアアレイの測定を行うためのFETアレイを含み得る。
ポア
ナノポアは、ナノメートルスケールの少なくとも1つの寸法を有する孔である。ナノポアは、ポア形成タンパク質によって、またはシリコンもしくはグラフェンなどの合成材料中の穴として作成され得る。あるいは、ナノポアは、これらのハイブリッド、例えば合成膜中に設定されたタンパク質チャネルであり得る。ナノポアはまた、DNA折り紙ポアまたはガラスキャピラリーであり得る。ナノポアは、典型的には約20nm未満の直径であるが、最大約100nmの直径であり得る。
膜貫通ポアは、膜をある程度横切る構造である。それは、印加電位によって駆動される水和イオンが膜を横切ってまたは膜内で流れることを可能にする。膜貫通ポアは、典型的には、水和イオンが膜の一方の側から膜の他方の側へ流れ得るように膜全体を横切る。しかしながら、膜貫通ポアは、膜を横切る必要はない。一方の末端が閉じている場合がある。例えば、ポアは、それに沿ってまたはその中に水和イオンが流れ得る、膜中のウェル、ギャップ、チャネル、トレンチ、またはスリットであり得る。
任意の膜貫通ポアが本発明において使用され得る。ポアは、生物学的または人工的であり得る。適切なポアは、タンパク質ポア、ポリヌクレオチドポア、および固体ポアを含むが、これらに限定されない。ポアは、DNA折り紙ポアであり得る(Langecker et al.,Science,2012;338:932−936)。膜貫通ポアは、好ましくは、膜貫通タンパク質ポアである。膜貫通タンパク質ポアは、ポリヌクレオチドなどの水和イオンが膜の一方の側から他方の側へ流れることを可能にするポリペプチドまたはポリペプチドの集合体である。本発明では、膜貫通タンパク質ポアは、印加電位によって駆動される水和イオンが膜の一方の側から他方の側へ流れることを可能にするポアを形成することができる。膜貫通タンパク質ポアは、好ましくは、ポリヌクレオチドがトリブロックコポリマー膜などの膜の一方の側から他方の側へ流れることを可能にする。膜貫通タンパク質ポアは、DNAまたはRNAなどのポリヌクレオチドをポアを通して移動させることを可能にする。
膜貫通タンパク質ポアは、モノマーまたはオリゴマーであり得る。ポアは、好ましくは、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、または少なくとも16個のサブユニットなどのいくつかの繰り返しサブユニットで構成される。ポアは、好ましくは、6量体、7量体、8量体、または9量体ポアである。ポアは、ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーであり得る。
膜貫通タンパク質ポアは、典型的には、それを通ってイオンが流れ得るバレルまたはチャネルを含む。ポアのサブユニットは、典型的には、中心軸を取り囲み、鎖を膜貫通βバレルもしくはチャネルまたは膜貫通α−ヘリックスバンドルもしくはチャネルに寄与する。
膜貫通タンパク質ポアのバレルまたはチャネルは、典型的には、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、または核酸などの、sとの相互作用を促進するアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、好ましくは、バレルまたはチャネルの狭窄部付近に位置する。膜貫通タンパク質ポアは、典型的には、アルギニン、リジン、もしくはヒスチジンなどの1つ以上の正電荷アミノ酸、またはチロシンもしくはトリプトファンなどの芳香族アミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、典型的には、ポアとヌクレオチド、ポリヌクレオチド、または核酸との間の相互作用を促進する。
本発明に従った使用のための膜貫通タンパク質ポアは、β−バレルポアまたはα−ヘリックスバンドルポアに由来し得る。β−バレルポアは、β鎖から形成されるバレルまたはチャネルを含む。適切なβ−バレルポアとしては、α−溶血毒、炭疽毒素、およびロイコシジンなどのβ−毒素、ならびにMycobacterium smegmatisポリン(Msp)、例えばMspA、MspB、MspC、またはMspD、CsgG、外膜ポリンF(OmpF)、外膜ポリンG(OmpG)、外膜ホスホリパーゼAおよびNeisseriaオートトランスポーターリポタンパク質(NalP)などの細菌の外膜タンパク質/ポリン、ならびにリセニンなどの他のポアが挙げられるが、これらに限定されない。α−ヘリックスバンドルポアは、α−ヘリックスから形成されるバレルまたはチャネルを含む。適切なα−ヘリックスバンドルポアは、内膜タンパク質およびα外膜タンパク質、例えばWZAおよびClyA毒素を含むが、これらに限定されない。
膜貫通ポアは、Msp、α溶血毒(α−HL)、リセニン、CsgG、ClyA、Sp1、および溶血性タンパク質フラガセトキシンC(FraC)に由来するか、またはそれらに基づき得る。膜貫通タンパク質ポアは、好ましくはCsgG、より好ましくはE.coli Str.K−12 substr.MC4100からのCsgGに由来する。CsgGに由来する適切なポアは、WO2016/034591に開示されている。膜貫通ポアは、リセニンに由来し得る。リセニンに由来する適切なポアは、WO2013/153359に開示されている。
野生型α溶血毒ポアは、7つの同一のモノマーまたはサブユニットから形成される(すなわち、それは7量体である)。α溶血毒−NNの1つのモノマーまたはサブユニットの配列は、例えば、WO2016/059375に開示されている。
膜貫通タンパク質ポアは、好ましくはMsp、より好ましくはMspAに由来する。MspA由来の適切なポアは、WO2012/107778に開示されている。
膜貫通タンパク質ポアなどの本明細書に記載されるタンパク質のいずれも、例えば、ヒスチジン残基(hisタグ)、アスパラギン酸残基(aspタグ)、ストレプトアビジンタグ、フラッグタグ、SUMOタグ、GSTタグ、もしくはMBPタグの付加によって、またはポリペプチドがかかる配列を天然に含有しない細胞からのそれらの分泌を促進するためのシグナル配列の付加によって、修飾してそれらの同定または精製を補助することができる。遺伝的タグを導入することの代替は、ポアまたは構造体上の天然のまたは操作された位置上にタグを化学反応させることである。これの例は、ゲルシフト試薬を、ポアの外側に操作されたシステインに反応させることであろう。これは、溶血毒ヘテロオリゴマーを分離するための方法として示されている(Chem Biol.1997 Jul;4(7):497−505)。
ポアは、顕示標識(revealing label)で標識され得る。顕示標識は、ポアが検出されることを可能にする任意の好適な標識であり得る。適切な標識としては、蛍光分子、放射性同位体、例えば125I、35S、酵素、抗体、抗原、ポリヌクレオチド、およびビオチンなどのリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。
膜貫通タンパク質ポアなどの本明細書に記載のタンパク質のいずれも、合成的にまたは組み換え手段によって作製され得る。例えば、ポアは、インビトロ翻訳および転写(IVTT)によって合成され得る。ポアのアミノ酸配列は、非自然発生アミノ酸を含むように、またはタンパク質の安定性を増加させるように修飾され得る。タンパク質が合成手段によって生成される場合、かかるアミノ酸は、生成中に導入され得る。ポアはまた、合成または組み換え生成のいずれかに続いて改変され得る。
膜貫通タンパク質ポアなどの本明細書に記載のタンパク質のいずれも、当該技術分野において知られている標準的な方法を使用して生成することができる。ポアまたは構造体をコードするポリヌクレオチド配列は、当該技術分野における標準的な方法を使用して誘導および複製され得る。ポアまたは構造体をコードするポリヌクレオチド配列は、当該技術分野における標準的な方法を使用して細菌宿主細胞において発現され得る。ポアは、組み換え発現ベクターからのポリペプチドのインサイツ発現によって細胞において生成され得る。発現ベクターは、任意に、ポリペプチドの発現を制御するために誘導性プロモーターを担持する。これらの方法は、Sambrook,J.and Russell,D.(2001).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されている。
ポアは、タンパク質生成有機体からの任意のタンパク質液体クロマトグラフィーシステムによる精製に続いて、または組み換え発現後に大規模に生成され得る。典型的なタンパク質液体クロマトグラフィーシステムには、FPLC、AKTAシステム、Bio−Cadシステム、Bio−Rad BioLogicシステム、およびGilson HPLCシステムが含まれる。
診断
本発明の方法は、疾患または状態を診断または予後診断するために使用することができる。疾患または状態は、好ましくは、癌、冠状動脈性心疾患、心血管疾患、結核、または敗血症である。
疾患または状態の例には、腹部大動脈瘤、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性心筋梗塞、急性前骨髄球性白血病(APL)、腺腫、副腎皮質癌、アルコール性肝疾患、アルツハイマー病、未分化甲状腺癌(ATC)、不安障害、喘息、星細胞腫、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害(ASD)、B細胞性慢性リンパ性白血病、B細胞性リンパ腫、ベッカー性筋ジストロフィー(BMD)、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、バーキットリンパ腫、心肥大、心筋症、心血管疾患、小脳神経変性、子宮頸癌、胆管癌、真珠腫、絨毛癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性膵炎、大腸癌、結腸直腸癌、先天性心疾患、冠動脈疾患、皮膚筋炎(DM)、糖尿病性腎症、下痢型過敏性腸症候群、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、拡張型心筋症、ダウン症候群(DS)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、子宮内膜癌、子宮内膜類内膜腺腫、子宮内膜症、上皮性卵巣癌、食道癌、食道扁平上皮癌、本態性血小板血症(ET)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)、濾胞性リンパ腫(FL)、甲状腺濾胞癌(FTC)、前頭側頭型認知症、胃癌(胃癌)、神経膠芽腫、多形性膠芽腫(GBM)、神経膠腫、糸球体疾患、糸球体硬化症、過誤腫、HBV関連肝硬変、HCV感染、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、難聴、心疾患、心不全、B型肝炎、C型肝炎、肝細胞癌(HCC)、肝門部胆管癌、ホジキンリンパ腫、ホモ接合型鎌状赤血球疾患(HbSS)、ハンチントン病(HD)、高血圧、下咽頭癌、封入体筋炎(IBM)、インスリノーマ、肝内胆管癌(ICC)、腎臓癌、腎臓疾患、喉頭癌、晩期不眠症(睡眠疾患)、肺平滑筋腫、白血病、肢帯型筋ジストロフィー2A型(LGMD2A)、脂肪腫、肺腺癌、肺癌、リンパ増殖性疾患、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫(MM)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、代謝性疾患、三好型ミオパチー(MM)、多発性骨髄腫(MM)、多発性硬化症、MYC再編成リンパ腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、心筋梗塞、心筋損傷、筋腫、鼻咽頭癌(NPC)、ネマリンミオパチー(NM)、腎炎、神経芽細胞腫(NB)、好中球増加症、ニーマンピック病C型(NPC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肥満、口腔癌骨肉腫卵巣癌(OC)、膵臓癌、膵管腺癌(PDAC)、膵臓腫瘍、パニック病、甲状腺乳頭癌(PTC)、パーキンソン病、PFV−1感染症、咽頭疾患、下垂体腺腫、多発性嚢胞腎、多発性肝嚢胞、真性多血症(PV)、多発性筋炎(PM)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性骨髄線維症、プリオン病、前立腺癌、乾癬性関節炎、乾癬、肺高血圧症、再発性卵巣癌、腎細胞癌、腎明細胞癌、網膜色素変性症(RP)、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、リウマチ性心疾患および心房細動、関節リウマチ、肉腫、統合失調症、敗血症、重篤卵巣癌、セザリー症候群、皮膚疾患、小細胞肺癌、脊髄小脳失調症、扁平上皮癌、T細胞白血病、奇形癌、精巣胚細胞腫瘍、サラセミア、甲状腺癌、舌扁平上皮癌、トゥレット症候群、2型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、子宮平滑筋腫(ULM)、ブドウ膜黒色腫、血管疾患、水疱性口内炎、またはワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(WM)が含まれる。
多重方法を使用する実施形態では、2個以上の標的ポリヌクレオチド(例えば、少なくとも5個以上、10個以上、20個以上、または30個以上)の存在または不在が決定され得るので、上記の疾患のうちのいずれかの2つ以上(例えば、3、4、5、6つ以上)を予後診断または診断することが可能である。したがって、複数(例えば、少なくとも2個以上、少なくとも3個以上、少なくとも10個以上、少なくとも20個以上、または少なくとも30個以上)の標的ポリヌクレオチドを検出および/または分析するための多重方法が提供される。
方法は、微生物または微生物の群に由来するポリヌクレオチドを検出するためにも使用され得る。これは、疾患診断および監視に有用であるが、他の用途も有する。例えば、方法は、腸内または膣内フローラ、皮膚上または他の場所に存在する微生物を分析するために使用され得る。微生物は、例えば、細菌、ウイルス、真菌、またはマイコバクテリウムであり得る。方法は、どの感染因子が疾患を引き起こしているのかを決定するために、よって治療の最良コースを決定するために使用され得る。例えば、尿路感染症および他の感染症は、ますます抗細菌薬耐性を発現させている。方法は、感染症の原因である細菌を決定するために、よって感染症を首尾よく治療するであろう抗生物質または他の治療を同定するために使用され得る。
方法は、ゲノムDNAを特徴付けるために使用され得る。1つの特定の例示的な実施形態では、方法は、SNPなどの多型を同定するために使用され得る。別の実施形態では、本発明の方法は、例えばV(D)J領域のレパトア解析に使用され得る。かかる方法は、解析のために血液細胞、またはT細胞由来の試料を使用し得る。
方法は、未知の配列を特徴付けるためにも使用され得る。
ポリヌクレオチド結合タンパク質
ポリヌクレオチド結合タンパク質は、ポリヌクレオチドに結合することができ、かつポアを通るその移動を制御することができる任意のタンパク質であり得る。タンパク質がポリヌクレオチドに結合するか否かを判定することは、当該技術分野において簡単である。タンパク質は、典型的には、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの特性と相互作用するか、またはそれを修飾する。タンパク質は、それを開裂して個々のヌクレオチドまたはヌクレオチドのより短い鎖、例えばジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを形成することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。部分は、特定の位置にそれを配向するか、またはそれを移動させる、例えばその移動を制御することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。
ポリヌクレオチド結合タンパク質は、好ましくは、ポリヌクレオチドハンドリング酵素(polynucleotide handling enzyme)に由来する。ポリヌクレオチドハンドリング酵素は、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの特性と相互作用しかつそれを修飾することができるポリペプチドである。酵素は、それを開裂して個々のヌクレオチドまたはヌクレオチドのより短い鎖、例えばジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを形成することによってポリヌクレオチドを修飾し得る。酵素は、特定の位置にそれを配向するか、またはそれを移動させることによってポリヌクレオチドを修飾し得る。ポリヌクレオチドハンドリング酵素は、それが、ポリヌクレオチドに結合し、かつポアを通るその移動を制御することができる限り、酵素活性を提示する必要がない。例えば、酵素は、その酵素活性を除去するように修飾されてもよく、または酵素として作用することを防ぐ条件下で使用されてもよい。そのような条件は、以下により詳細に論じられる。
ポリヌクレオチドハンドリング酵素は、好ましくは、核酸分解酵素に由来する。酵素の構造体に使用されるポリヌクレオチドハンドリング酵素は、より好ましくは、酵素分類(EC)群3.1.11、3.1.13、3.1.14、3.1.15、3.1.16、3.1.21、3.1.22、3.1.25、3.1.26、3.1.27、3.1.30、および3.1.31のうちのいずれかのメンバーに由来する。酵素は、WO2010/086603に開示されているもののいずれかであり得る。
好ましい酵素は、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、トランスロカーゼ、およびトポイソメラーゼ、例えばジャイレースである。適切な酵素は、E.coliからのエキソヌクレアーゼI、E.coliからのエキソヌクレアーゼIII酵素、T.thermophilusからのRecJおよびバクテリオファージラムダエキソヌクレアーゼ、TatDエキソヌクレアーゼ、ならびにそれらのバリアントを含むが、これらに限定されない。ポリメラーゼは、PyroPhage(登録商標)3173 DNAポリメラーゼ(Lucigen(登録商標)Corporationから市販されている)、SDポリメラーゼ(Bioron(登録商標)から市販されている)、またはそれらのバリアントであり得る。酵素は、好ましくは、Phi29 DNAポリメラーゼまたはそのバリアントである。トポイソメラーゼは、好ましくは、部分分類(EC)群5.99.1.2および5.99.1.3のうちのいずれかのメンバーである。
酵素は、最も好ましくは、ヘリカーゼに由来する。ヘリカーゼは、Hel308ヘリカーゼ、RecDヘリカーゼ、例えばTraIヘリカーゼまたはTrwCヘリカーゼ、XPDヘリカーゼ、またはDdaヘリカーゼであり得るか、またはそれらに由来する。ヘリカーゼは、Hel308 Mbu、Hel308 Csy Hel308 Tga、Hel308 Mhu、TraI Eco、XPD Mbu、もしくはそれらのバリアントであり得るか、またはそれらに由来し得る。
ヘリカーゼは、WO2013/057495、WO2013/098562、WO2013/098561、WO2014/013260、WO2014/013259、WO2014/013262、およびWO/2015/055981に開示されているヘリカーゼ、修飾ヘリカーゼ、またはヘリカーゼ構造体のいずれかであり得る。
Ddaヘリカーゼは、好ましくは、WO/2015/055981およびWO2016/055777に開示されている修飾のいずれかを含む。
本発明に従い、任意の数のヘリカーゼを使用することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のヘリカーゼが使用され得る。いくつかの実施形態では、異なる数のヘリカーゼが使用され得る。上記ヘリカーゼのうちの2つ以上の任意の組み合わせが使用され得る。2つ以上のヘリカーゼは、2つ以上のDdaヘリカーゼであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、1つ以上のDdaヘリカーゼおよび1つ以上のTrwCヘリカーゼであり得る。2つ以上のヘリカーゼは、同じヘリカーゼの異なるバリアントであり得る。
2つ以上のヘリカーゼは、好ましくは、互いに付着している。2つ以上のヘリカーゼは、より好ましくは、互いに共有付着している。ヘリカーゼは、任意の順序で、かつ任意の方法を使用して付着し得る。本発明における使用のための好ましいヘリカーゼ構造体は、WO2014/013260、WO2014/013259、WO2014/013262、およびWO2015/055981に記載されている。
ポリヌクレオチド結合能力は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して測定することができる。例えば、タンパク質をポリヌクレオチドと接触させることができ、ポリヌクレオチドに結合し、それに沿って移動するその能力を測定することができる。タンパク質は、ポリヌクレオチドの結合を促進ならびに/またはその活性を高い塩濃度および/もしくは室温で促進する修飾を含み得る。タンパク質は、ポリヌクレオチドに結合する(例えば、ポリヌクレオチド結合能力を保持する)が、ヘリカーゼとして機能しない(例えば、移動を促進するための全ての必要な成分、例えば、ATPおよびMg2+を備えるとき、ポリペプチドに沿って移動しない)ように修飾され得る。かかる修飾は、当該技術分野で既知である。例えば、ヘリカーゼにおけるMg2+結合ドメインの修飾は、典型的には、ヘリカーゼとして機能しないバリアントをもたらす。これらの種類のバリアントは、分子ブレーキとして作用し得る。
酵素は、ポアと共有結合していてもよい。任意の方法を使用して、酵素をポアと共有結合させることができる。
鎖配列決定において、ポリヌクレオチドは、印加された電位と共にまたはそれに対して、ポアを通して転座される。二本鎖ポリヌクレオチドに対して進行的または前進的に作用するエキソヌクレアーゼをポアのシス側に使用して、残りの一本鎖を印加電位下で、またはトランス側に逆電位下で供給することができる。同様に、二本鎖DNAを解くヘリカーゼも、類似の様式で使用することができる。ポリメラーゼも使用することができる。印加された電位に対する鎖転座を必要とする配列決定アプリケーションの可能性もあるが、DNAはまず、逆電位下または電位のない状態下で酵素によって「捕まら」なければならない。その後、結合に続いて電位が戻されると、鎖は、ポアをシスからトランスへと通り、電流によって拡張された立体構造で保持されることになる。一本鎖DNAエキソヌクレアーゼまたは一本鎖DNA依存性ポリメラーゼは分子モーターとして作用して、印加された電位に対して、新たに転座された一本鎖を、制御された様式でポアを通ってトランスからシスへと引き戻すことができる。
本発明において、任意のヘリカーゼを使用することができる。ヘリカーゼは、ポアに対して2つのモードで働き得る。第1に、本方法は、好ましくは、それが、印加された電位から生じる電界と共にポアを通してポリヌクレオチドを移動させるように、ヘリカーゼを使用して実施される。このモードでは、ポリヌクレオチドの5’末端がまずポア中に捕捉され、ヘリカーゼは、最終的に膜のトランス側に転座するまで電界を有するポアを通過するように、ポリヌクレオチドをポア中へと移動させる。代替的には、本方法は、好ましくは、ヘリカーゼが、印加された電位から生じる電界に対して、ポアを通ってポリヌクレオチドを移動させるように実施される。このモードでは、ポリヌクレオチドの3’末端がまずポア中に捕捉され、ヘリカーゼは、最終的に膜のシス側に押し出されるまで印加電界に対してポアの外に引き出されるように、ポリヌクレオチドをポアを通って移動させる。
本方法はまた、逆方向で実施されてもよい。ポリヌクレオチドの3’末端は、まずポア中に捕捉され得、ヘリカーゼは、最終的に膜のトランス側に転座するまで電界を有するポアを通過するように、ポリヌクレオチドをポア中へと移動させ得る。
ヘリカーゼが、移動を促進するために必要な構成要素を含まないか、またはその移動を妨げるかもしくは防ぐように修飾されている場合、それはポリヌクレオチドに結合し、印加された電界によってポア内に引き込まれたときにポリヌクレオチドの移動を遅らせるブレーキとして作用する。不活性モードにおいて、ポリヌクレオチドが3’または5’を下にして捕捉されているかにかかわらず、トランス側に向かってポア内にポリヌクレオチドを引くのは、印加された電界であり、酵素がブレーキとして作用する。不活性モードにあるとき、ヘリカーゼによるポリヌクレオチドの移動の制御は、ラチェッティング、スライディング、およびグレーキングを含むいくつかの方法で説明することができる。ヘリカーゼ活性を欠くヘリカーゼバリアントも、この方法において使用することができる。
ポリヌクレオチドは、任意の順序でポリヌクレオチド結合タンパク質およびポアと接触させることができる。ポリヌクレオチドが、ヘリカーゼなどのポリヌクレオチド結合タンパク質およびポアと接触される場合、ポリヌクレオチドはまず、タンパク質と複合体を形成することが好ましい。ポアにわたって電圧が印加されると、ポリヌクレオチド/タンパク質複合体は次いで、ポアと複合体を形成し、ポアを通るポリヌクレオチドの移動を制御する。
ポリヌクレオチド結合タンパク質を使用する方法における任意のステップは、典型的には、遊離ヌクレオチドまたは遊離ヌクレオチド類似体、およびポリヌクレオチド結合タンパク質の作用を促進する酵素補因子の存在下で実施される。遊離ヌクレオチドは、上記の個々のヌクレオチドのうちの1つ以上であり得る。遊離ヌクレオチドには、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、およびデオキシシチジン三リン酸(dCTP)が挙げられるが、これらに限定されない。遊離ヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、CMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP、またはdCMPから選択される。遊離ヌクレオチドは、好ましくは、アデノシン三リン酸(ATP)である。酵素補因子は、構造体が機能することを可能にする因子である。酵素補因子は、好ましくは、二価金属カチオンである。二価金属カチオンは、好ましくは、Mg2+、Mn2+、Ca2+、またはCo2+である。酵素補因子は、最も好ましくは、Mg2+である。
分子ブレーキは、ポリヌクレオチドに結合し、ポアを通るポリヌクレオチドの移動を遅らせる任意の化合物または分子であり得る。分子ブレーキは、上記に論じられるもののいずれかであり得る。分子ブレーキは、好ましくは、ポリヌクレオチドに結合する化合物を含む。化合物は、好ましくは、大環状体である。好適な大環状分子には、シクロデキストリン、カリックスアレーン、環状ペプチド、クラウンエーテル、ククルビツリル、ピララレン(pillararene)、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。シクロデキストリンまたはその誘導体は、Eliseev,A.V.,and Schneider,H−J.(1994)J.Am.Chem.Soc.116,6081−6088に開示されるもののいずれかであり得る。シクロデキストリンは、より好ましくは、ヘプタキス−6−アミノ−β−シクロデキストリン(am−βCD)、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−β−シクロデキストリン(am−βCD)、またはヘプタキス−(6−デオキシ−6−グアニジノ)−シクロデキストリン(gu−βCD)である。
ポリヌクレオチド特徴付け
方法は、標的ポリヌクレオチドを特徴付けることを伴い得る。標的ポリヌクレオチドがポアと接触するとき、標的ポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を示す1つ以上の測定は、ポリヌクレオチドがポアに対して移動する際に行われる。
方法は、各ポリヌクレオチドの2つ、3つ、4つ、または5つ以上の特徴を測定することを伴い得る。1つ以上の特徴は、好ましくは、(i)ポリヌクレオチドの長さ、(ii)ポリヌクレオチドの同一性、(iii)ポリヌクレオチドの配列、(iv)ポリヌクレオチドの二次構造、および(v)ポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択される。{i}、{ii}、{iii}、{iv}、{v}、{i,ii}、{i,iii}、{i,iv}、{i,v}、{ii,iii}、{ii,iv}、{ii,v}、{iii,iv}、{iii,v}、{iv,v}、{i,ii,iii}、{i,ii,iv}、{i,ii,v}、{i,iii,iv}、{i,iii,v}、{i,iv,v}、{ii,iii,iv}、{ii,iii,v}、{ii,iv,v}、{iii,iv,v}、{i,ii,iii,iv}、{i,ii,iii,v}、{i,ii,iv,v}、{i,iii,iv,v}、{ii,iii,iv,v}、または{i,ii,iii,iv,v}などの(i)〜(v)の任意の組み合わせが本発明に従って測定され得る。
(i)について、ポリヌクレオチドの長さは、例えば、ポリヌクレオチドとポアとの間の相互作用の数またはポリヌクレオチドとポアとの間の相互作用の持続時間を判定することによって測定され得る。
(ii)について、ポリヌクレオチドの同一性は、いくつかの方法で測定され得る。ポリヌクレオチドの同一性は、ポリヌクレオチドの配列の測定と併せて、またはポリヌクレオチドの配列の測定を伴わずに測定され得る。前者は簡単であり、ポリヌクレオチドが配列決定され、それにより同定される。後者は、いくつかの方法で行うことができる。例えば、ポリヌクレオチド中の特定のモチーフの存在が測定され得る(ポリヌクレオチドの残りの配列を測定することなく)。代替的には、本方法における特定の電気的および/または光学的シグナルの測定は、特定の供給源から得られるものとしてポリヌクレオチドを同定することができる。
(iii)について、ポリヌクレオチドの配列は、前述のように判定することができる。適切な配列決定方法、特に電気的測定を使用するものは、Stoddart D et al.,Proc Natl Acad Sci,12;106(19):7702−7、Lieberman KR et al,J Am Chem Soc.2010;132(50):17961−72、および国際出願第WO2000/28312号に記載されている。
(iv)について、二次構造は、様々な方法で測定され得る。例えば、方法が電気的測定を伴う場合、二次構造は、滞留時間の変化またはポアを通過する電流の変化を使用して測定され得る。これは、一本鎖および二本鎖ポリヌクレオチドの領域を識別することを可能にする。
(v)について、任意の修飾の存在または不在が測定され得る。本方法は、好ましくは、メチル化によって、酸化によって、損傷によって、1つ以上のタンパク質によって、または1つ以上の標識、タグ、もしくはスペーサーによってポリヌクレオチドが修飾されているか否かを判定することを含む。特異的修飾は、ポアとの特異的相互作用をもたらすことになり、これは下記の方法を使用して測定することができる。例えば、メチルシオチン(methylcyotsine)は、各ヌクレオチドとのその相互作用中にポアを通過する電流に基づき、シトシンと区別され得る。
方法は、ポアが膜中に存在する膜/ポアシステムを調査するのに適した任意の装置を使用して実施され得る。方法は、膜貫通ポアセンシングのために好適な任意の装置を使用して実施され得る。例えば、装置は、水溶液を含むチャンバと、チャンバを2つの区画に分ける障壁とを備える。障壁は、典型的には、ポアを含有する膜が形成される孔を有する。代替的には、障壁は、ポアが存在する膜を形成する。
方法は、WO2008/102120に記載される装置を使用して実施され得る。
様々な異なる種類の測定を行うことができる。これは、電気的測定および光学的測定を含むが、これらに限定されない。蛍光の測定を含む適切な光学的方法は、J.Am.Chem.Soc.2009,131 1652−1653によって開示されている。考えられる電気的測定としては、電流測定、インピーダンス測定、トンネル効果測定(Ivanov AP et al.,Nano Lett.2011 Jan 12;11(1):279−85)、およびFET測定(国際出願第WO2005/124888号)が挙げられる。光学的測定は、電気的測定と組み合わされ得る(Soni GV et al.,Rev Sci Instrum.2010 Jan;81(1):014301)。測定は、膜貫通電流測定、例えば、ポアを通過するイオン電流の測定であり得る。
電気的測定は、Stoddart D et al.,Proc Natl Acad Sci,12;106(19):7702−7、Lieberman KR et al,J Am Chem Soc.2010;132(50):17961−72、および国際出願第WO2000/28312号に記載されるような標準的な単一チャネル記録装置を使用して行われ得る。あるいは、電気的測定は、例えば、国際出願第WO2009/077734号および国際出願第WO2011/067559号に記載されるような、マルチチャネルシステムを使用して行われ得る。
本方法は、好ましくは、膜にわたって電位が印加された状態で実施される。印加される電位は、電圧電位であり得る。代替的には、印加される電位は、化学的電位であり得る。この例は、両親媒性層などの膜にわたって塩勾配を使用することである。塩勾配は、Holden et al.,J Am Chem Soc.2007 Jul 11;129(27):8650−5に開示されている。いくつかの実例において、ポリヌクレオチドの配列を推定または判定するために、ポアに対してポリヌクレオチドが移動する間の、ポアを通過する電流が使用される。これは、鎖配列決定である。
方法は、ポアに対してポリヌクレオチドが移動する際のポアを通過する電流の測定を伴い得る。したがって、装置はまた、電位を印加し、膜およびポアにわたる電気シグナルを測定することができる電気回路を含み得る。方法は、パッチクランプまたは電圧クランプを使用して実施され得る。方法は、好ましくは、電圧クランプの使用を伴う。
方法は、ポアに対してポリヌクレオチドが移動する際のポアを通過する電流の測定を伴い得る。膜貫通タンパク質ポアを通るイオン電流を測定するために好適な条件は、当該技術分野で既知であり、実施例において開示される。方法は、典型的には、膜およびポアにわたって電圧が印加された状態で実施される。使用される電圧は、典型的には、+5V〜−5V、例えば+4V〜−4V、+3V〜−3V、または+2V〜−2Vである。使用される電圧は、典型的には、−600mV〜+600mVまたは−400mV〜+400mVである。使用される電圧は、好ましくは、−400mV、−300mV、−200mV、−150mV、−100mV、−50mV、−20mV、および0mVから選択される下限と、+10mV、+20mV、+50mV、+100mV、+150mV、+200mV、+300mV、および+400mVから独立して選択される上限とを有する範囲内である。使用される電圧は、より好ましくは、100mV〜240mVの範囲内、最も好ましくは、120mV〜220mVの範囲内である。増加した印加電位を使用することによって、ポアによる異なるヌクレオチド間の識別を増加させることが可能である。
方法は、典型的には、金属塩、例えばアルカリ金属塩、ハロゲン塩、例えば塩化物塩、例えばアルカリ金属塩化物塩などの任意のチャージキャリアの存在下で実施される。チャージキャリアには、イオン性液体または有機塩、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化トリメチルフェニルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、または1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドが含まれ得る。上記の例示的な装置において、塩は、チャンバ内の水溶液中に存在する。塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化セシウム(CsCl)、またはフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物が典型的に使用される。KCl、NaCl、およびフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物が好ましい。チャージキャリアは、膜にわたって不斉であり得る。例えば、チャージキャリアの種類および/または濃度は、膜の各側で異なり得る。
塩濃度は、飽和であり得る。塩濃度は、3M以下であってもよく、典型的には、0.1〜2.5M、0.3〜1.9M、0.5〜1.8M、0.7〜1.7M、0.9〜1.6M、または1M〜1.4Mである。塩濃度は、好ましくは、150mM〜1Mである。方法は、好ましくは、少なくとも0.3M、例えば少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.8M、少なくとも1.0M、少なくとも1.5M、少なくとも2.0M、少なくとも2.5M、または少なくとも3.0Mの塩濃度を用いて行われる。高い塩濃度は、高いシグナル対ノイズ比をもたらし、ヌクレオチドの存在を示す電流が、正常電流変動のバックグラウンドに対して同定されることを可能にする。
方法は、典型的には、バッファーの存在下で実施される。上記に論じられる例示的な装置において、バッファーは、チャンバ内の水溶液中に存在する。本発明の方法において、任意のバッファーを使用することができる。典型的には、バッファーは、リン酸バッファーである。他の好適なバッファーは、HEPESおよびTris−HClバッファーである。本方法は、典型的には、4.0〜12.0、4.5〜10.0、5.0〜9.0、5.5〜8.8、6.0〜8.7、または7.0〜8.8、または7.5〜8.5のpHで実施される。使用されるpHは、好ましくは、約7.5である。
方法は、0℃〜100℃、15℃〜95℃、16℃〜90℃、17℃〜85℃、18℃〜80°C、19℃〜70℃、または20℃〜60°Cで実施され得る。方法は、典型的には、室温で実施される。方法は、任意に、酵素機能を支持する温度、例えば約37℃で実施される。
遊離ヌクレオチドおよび補因子
方法は、遊離ヌクレオチドもしくは遊離ヌクレオチド類似体、および/またはポリヌクレオチド結合タンパク質の作用を容易にする酵素補因子の存在下で実施され得る。方法はまた、遊離ヌクレオチドまたは遊離ヌクレオチド類似体の不在下および酵素補因子の不在下で実施され得る。遊離ヌクレオチドは、上記に論じられる個々のヌクレオチドのいずれかの1つ以上であり得る。遊離ヌクレオチドには、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、およびデオキシシチジン三リン酸(dCTP)が挙げられるが、これらに限定されない。遊離ヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、CMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP、またはdCMPから選択される。遊離ヌクレオチドは、好ましくは、アデノシン三リン酸(ATP)である。酵素補因子は、ポリヌクレオチド結合タンパク質が機能することを可能にする因子である。酵素補因子は、好ましくは、二価金属カチオンである。二価金属カチオンは、好ましくは、Mg2+、Mn2+、Ca2+、またはCo2+である。酵素補因子は、最も好ましくは、Mg2+である。
測定種類
様々な異なる種類の測定を行うことができる。これは、電気的測定および光学的測定を含むが、これらに限定されない。蛍光の測定を含む適切な光学的方法は、J.Am.Chem.Soc.2009,131 1652−1653によって開示されている。考えられる電気的測定としては、電流測定、インピーダンス測定、トンネル効果測定(Ivanov AP et al.,Nano Lett.2011 Jan 12;11(1):279−85)、およびFET測定(国際出願第WO2005/124888号)が挙げられる。光学的測定は、電気的測定と組み合わされ得る(Soni GV et al.,Rev Sci Instrum.2010 Jan;81(1):014301)。測定は、膜貫通電流測定、例えば、ポアを通過するイオン電流の測定であり得る。
電気的測定は、Stoddart D et al.,Proc Natl Acad Sci,12;106(19):7702−7、Lieberman KR et al,J Am Chem Soc.2010;132(50):17961−72、および国際出願第WO2000/28312号に記載されるような標準的な単一チャネル記録装置を使用して行われ得る。あるいは、電気的測定は、例えば、国際出願第WO2009/077734号および国際出願第WO2011/067559号に記載されるような、マルチチャネルシステムを使用して行われ得る。
本方法は、好ましくは、膜にわたって電位が印加された状態で実施される。印加される電位は、電圧電位であり得る。代替的には、印加される電位は、化学的電位であり得る。この例は、両親媒性層などの膜にわたって塩勾配を使用することである。塩勾配は、Holden et al.,J Am Chem Soc.2007 Jul 11;129(27):8650−5に開示されている。いくつかの実例において、ポリヌクレオチドの配列を推定または判定するために、ポアに対してポリヌクレオチドが移動する間の、ポアを通過する電流が使用される。これは、鎖配列決定である。
キット
本発明はまた、本発明の方法における使用のためのキットを提供する。キットは、典型的には、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質および膜に連結することができるアンカーを含む。キットは、ガイドポリヌクレオチド、アダプター配列、ポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質、および/またはリーダー配列のうちの1つ以上をさらに含み得る。キットは、マイクロ粒子をさらに含み得る。
ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、アンカー、アダプター、ポリヌクレオチド結合タンパク質、リーダー配列、および/またはマイクロ粒子は、本明細書に定義されるもののいずれかであり得る。キットは、ガイドポリヌクレオチドまたはガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体のパネルを含み得る。パネルは、典型的には、特定の微生物、疾患に関連するマーカー、特定の多型などを検出するなどの特定の目的のために設計されている。
キットは、上に開示される膜、例えば両親媒性層またはトリブロックコポリマー膜のいずれかの構成要素を含み得る。キットは、膜貫通ポアをさらに含み得る。方法を参照して上記に論じられる実施形態のいずれも、キットに等しく適用される。
キットは、上記の実施形態のいずれかを実施することを可能にする1つ以上の他の試薬または器具をさらに含み得る。かかる試薬または器具には、以下、好適なバッファー(複数可)(水溶液)、対象から試料を得るための手段(容器または針を含む器具など)、ポリヌクレオチドを増幅および/もしくは発現させるための手段、上記に定義されるような膜、または電圧もしくはパッチクランプ装置のうちの1つ以上が含まれる。試薬は、流体試料が試薬を再懸濁するために使用されるように、乾燥状態でキット中に存在し得る。キットはまた、任意に、キットを本明細書に記載の方法で使用することを可能にする指示、または方法が使用され得る有機体に関する詳細を含み得る。キットは、磁石または電磁石を含み得る。キットは、任意に、ヌクレオチドを含み得る。
キットは、末端伸長部、または本明細書に記載の第1および第2の末端伸長部を有するガイドポリヌクレオチドと、捕捉オリゴヌクレオチド、または本明細書に記載の第1および第2の捕捉オリゴヌクレオチドとを含み得る。キットは、本明細書に記載の競合オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。キットは、親和性分子対の半分(例えばストレプトアビジン)を含むビーズと、親和性分子対の他の半分(例えばビオチン)を含む第1および第2の捕捉オリゴヌクレオチドとをさらに含み得る。第1および第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、各々、別々の表面、例えば別々のビーズの集団に結合されてもよい。第1の捕捉オリゴヌクレオチドは、例えば、「精製」ビーズまたは「精製」カラムに結合されてもよい。第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、例えば、「送達」ビーズに結合されてもよい。「精製」ビーズおよび/または「送達」ビーズは、磁性であり得る。
ナノポアと、ガイドポリヌクレオチド結合ドメインを含むポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と、標的ポリヌクレオチドの一部分およびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質のガイドポリヌクレオチド結合ドメインに結合するように適合された構造における配列に相補的である第1の部分を含むガイドポリヌクレオチドとを含む、試料中の標的ポリヌクレオチドを検出するためのシステムも提供される。一実施形態では、システムは、ナノポアが膜中に存在する膜をさらに含む。一実施形態では、システムは、標的ポリヌクレオチドをさらに含む。システムの一実施形態では、標的ポリヌクレオチド、ガイドポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、複合体を形成する。システムの一実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、膜に連結している。
下記の非限定的な実施例は、本発明を説明する。
実施例1:
この実施例は、ナノポアによる混合物中の特定の標的ポリヌクレオチドの検出方法を記載する。この実施例では、標的DNAは、標的ポリヌクレオチドに結合する2種類のCRISPR−Casプローブを用いて同定される。第1のものは、コレステロールタグ付きCRISPR−Casプローブを介して標的ポリヌクレオチドを膜にアンカリングする伸長部を含有する。第2のもの(「分析物」)は、結合ポリヌクレオチド結合タンパク質(ヘリカーゼ)を保有する伸長部を担持し、ナノポアを通る分析物上のバーコード配列のポリヌクレオチド結合タンパク質制御移動を介して間接的に標的ポリヌクレオチドを明確に同定する。
材料および方法
オリゴヌクレオチドAR131およびAR132を、各々40μMで、10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl中、95℃〜25℃、毎分0.6℃でアニールした。ハイブリダイズさせたDNAは、「コレステロールhyb」(ONLA17351)として知られていた。
オリゴヌクレオチドAR130およびONLA11326を、各々40μMで、10mMのTris−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl中、95℃〜25℃、毎分0.6℃でアニールした。ハイブリダイズさせたDNAは、ONLA17350として知られていた。ポリヌクレオチド結合タンパク質を、以下のようにONLA17350のストール含有鎖に装填し、閉鎖した:ヘリカーゼを50mMのHEPES(pH8.0)、100mMの酢酸カリウム、1mMのEDTAに、Zeba脱塩カラム(Thermo)を用いてバッファー交換し、ヘリカーゼをONLA17350に、50mMのHEPES(pH8.0)、100mMの酢酸カリウム中の3.5μMのバッファー交換ヘリカーゼとの室温で5分間の500nM(分子)のONLA17350のインキュベーション(200μl)によって装填した。ヘリカーゼを、次いで、100μMのTMADとの室温で1時間の混合物のインキュベーションによってDNAの周囲で閉鎖した(最終体積、220μl)。非特異的結合未閉鎖ヘリカーゼを、5mMのATP、10mMのMgCl、2.5MのNaCl、100mMのトリス(pH8.0)(最終体積、275μl)を含む0.25体積当量の塩−ATPストレスバッファー(55μL)を用いて、25分間室温でアダプターから流出させた。25mMのトリス−Cl(21℃でpH7.5)、28%(重量/体積)のPEG−8000、2.5MのNaCl中の3.7体積当量のSPRIビーズの5分間室温での添加によって、複合体をSPRI精製に供した。ビーズを磁性ラック上でペレット化し、上清を除去した。まだ磁性ラック上にある間に、ビーズを500ulの50mMのトリス(21℃でpH7.5)、2.5MのNaCl、20%PEG(重量/体積)8,000で洗浄し、360°回転させてラック上でペレットを浸漬した。洗浄バッファーを除去し、ペレットを遠心分離機で短時間パルス標識した後、磁性ラックに戻して溶液の最後の残留物を除去した。ペレットを次いで30ulの25mMのトリス−Cl(21℃でpH7.5)、20mMのNaClに5分間室温で再懸濁した後、磁性ラック上に配置して「ヘリカーゼ−Y−アダプターhyb」として知られていた精製アダプターを回収した。
3.6キロベースの試験分析物を、λファージゲノムDNAに対する特異的プライマーを用いたPCRによって増幅し、平滑末端を担持する二本鎖DNA分析物を得た。この分析物は、「平滑λ3.6kb」として知られていた。「コレステロールhyb」または「ヘリカーゼ−Y−アダプターhyb」のいずれかへのハイブリダイゼーションを可能にする3’伸長部を担持するCRISPR RNA(「crRNA」)を、40μMの「Alt−R(商標)」tracrRNA(IDTから購入)を別々に10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl中の各crRNAで、65℃から25℃まで毎分1.0℃でアニールすることによって、tracrRNAとハイブリダイズさせ、「ガイドRNA」として知られる複合体を得た。CRISPR−dCas9複合体を、100nMの「ガイドRNA」をCas9結合バッファー(20mMのHEPES−NaOH、100mMのNaCl、5mMのMgCl、0.1mMのEDTA、25℃でpH6.5)中の100nMのdCas9(ONLP11836)と10分間21℃でインキュベートすることによって形成し、100nMのCRISPR−dCas9複合体を得た。結合dCas9を有する、これらの複合体は、「コレステロールhyb」または「ヘリカーゼ−Y−アダプターhyb」がそれぞれcrRNA3’伸長部にアニールすることができるかによって、「アンカープローブ」または「ヘリカーゼプローブ」として知られていた。
この実施例では、「アンカープローブ」は、各指定種の100nMの分子濃度で、結合dCas9と、tracrRNAに別々にハイブリダイズされた、オリゴヌクレオチドAR145またはAR138またはAR141またはAR142を含んだ。
この実施例では、「ヘリカーゼプローブ」は、各指定種の100nMの分子濃度で、結合dCas9と、tracrRNAに別々にハイブリダイズされた、100nMのオリゴヌクレオチドAR133またはAR134またはAR135を含んだ。
「アンカープローブ」および「ヘリカーゼプローブ」は、以下の表に従って、合計20μlまで、以下の組み合わせで共にプール化された。
これらの混合物は、「プローブ組み合わせ」として知られていた。
20μlの「プローブ組み合わせ」(100nM分子)に、1.1μlの標的DNA(「平滑3.6kb、ONLA17510」)を10nM分子のONLA17510の最終濃度まで添加し、「プローブ−標的複合体」として知られる複合体を得た。21.1μLの「プローブ−標的複合体」を、「ヘリカーゼ−Y−アダプターhyb」、「コレステロールhyb」、HEPES−KOH、KCl、MgCl、およびrATPの混合物中で100μLの最終体積まで希釈し、最終濃度の「MinION反応ミックス」として知られる、25mMのHEPES−KOH、500mMのKCl、10mMのMgCl、10mMのrATP、30nMの「ヘリカーゼ−Y−アダプターhyb」、100nMの「コレステロールhyb」、10nMの「CRISPR−dCas9複合体」、pH8.0を得た。「MinION反応ミックス」を10分間周囲温度でインキュベートした後、以下のように、混合物をナノポア分析に供した:電気的測定を37℃のバッファー(25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)中のブロックコポリマーに挿入された単一CsgGナノポアから得た。ブロックコポリマーに挿入された単一ポアを達成した後、バッファー(2mL、25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)をシステムに通して流して任意の過剰なCsgGナノポアを除去した。全てのその後のステップを34℃で行った。シス区画を、(「洗浄バッファー」として知られる)500μlの25mMのHEPES−KOH(pH8.0)、500mMのKCl、10mMのMgCl、および10mMのrATPで、各洗浄間10分で平衡化した。10分間21℃でプレインキュベートした75μlの「MinION反応ミックス」を、フローセルに適用し、10分間インキュベートして、標的DNAと接触する任意のプローブ−dCas9複合体をブロックコポリマーに付着させた。さらに10分後、さらに2mLの「洗浄バッファー」を、フローセルに通して灌流して、標的と接触しない任意のdCas9結合CRISPRプローブおよび「ヘリカーゼ−Y−アダプターhyb」を含む、任意の非特異的標的DNAを除去した。実験は180mVで行い、ヘリカーゼ制御DNA移動を監視した。DNA鎖の転座から生じる電気信号を、その特有の電流信号によって同定された、ヘリカーゼ−Y−アダプターhybのナノポアの頻度を計数することによって分析した。
結果
ヘリカーゼを使用して、CsgGナノポアを通した、「コレステロールhyb」を介してトリブロックコポリマーにテザリングされた、Cas接触型プレ配列決定ミックスの移動を制御した。図8は、標的DNA中のそれらの同族部位に結合している2つのCRISPR−dCas9プローブを担持する標的DNA分子を示す。図23は、ナノポアを通る分析物のヘリカーゼ制御転座から生じる電気信号を示す。例となる信号は、「アンカープローブ」および「ヘリカーゼプローブ」の両方が標的DNAと接触したことを示す。データは、テザリングされたCRISPR−dCas9複合体を介した標的ポリヌクレオチドの固定化が標的DNAポリヌクレオチドを首尾よく同定したことを実証する。
実施例2
この実施例は、ナノポア配列決定による混合物からの特定の20nt標的DNAポリヌクレオチド配列(「標的」)を含有する断片の直接富化および配列決定方法を記載し、標的DNAは、コレステロールタグ付きCRISPR−Casプローブと接触し、ナノポアを通るDNAの移動は、DNAモータータンパク質によって制御される。この例では、「標的」は、その配列によって直接的に明確に同定されている。結合CRISPR−Casプローブは、ヘリカーゼの転座を一時的にストールさせ得、よってまた、試料をさらに明確に同定するために使用され得る。
材料および方法
オリゴヌクレオチドAR131およびAR132は、各々40μMで、10mM Tris−Cl(pH8.0)、1mM EDTA、100mM NaCl中、95℃〜25℃、毎分0.6℃でアニールされた。ハイブリダイズされたDNAは、「コレステロールhyb」(ONLA17351)として知られていた。
「コレステロールhyb」へのハイブリダイゼーションを可能にする3’伸長部を担持するCRISPR RNA(「crRNA」)を、40μMの「Alt−R(商標)」tracrRNA(IDTから購入)を10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl中のオリゴヌクレオチドAR139で、65℃から25℃まで毎分1.0℃でアニールすることによって、tracrRNAとハイブリダイズさせ、「ガイドRNA」として知られる複合体を得た。CRISPR−dCas9複合体を、100nMの「ガイドRNA」をCas9結合バッファー(20mMのHEPES−NaOH、100mMのNaCl、5mMのMgCl、0.1mMのEDTA、25℃でpH6.5)中の100nMのdCas9(ONLP11836)と10分間21℃でインキュベートすることによって形成し、100nMのCRISPR−dCas9複合体を得た。結合dCas9を有する、これらの複合体は、「コレステロールhyb」がcrRNA3’伸長部にアニールすることができるので、「アンカープローブ」として知られていた。腸内細菌ラムダファージゲノムDNAを、gTube(Covaris,Inc.)を用いて約1kbの平均サイズに断片化した。断片化DNAを、NEBNext End−Repair/dA−tailing Module(NEB)を用いて末端修復およびdAテール化した。標準SK007アダプターを、SPRIビーズを用いて精製された末端修復断片化ラムダファージDNAにライゲーションした。得られたライブラリー(25μl、1μgの全DNA)に、275nM(分子)のONLA16941を室温で>5分間添加して、リーダーを「コレステロールhyb」の非特異的ハイブリダイゼーションに対してブロックした。両方のDNA末端上に末端ライゲーションされ、装填されたヘリカーゼを担持する、得られたDNAライブラリーは、「プレ配列決定ミックス」として知られていた。
12μlのプレ配列決定ミックスに、33μlの「アンカープローブ」を添加し、73nMの「アンカープローブ」および約0.32nMの標的部位を含有する混合物を得た。結合を10分間21℃で進行させ、その後混合物を、以下のように、SPRI磁性ビーズを用いた精製ステップに供した:0.4体積当量のAMPure XP SPRI磁性ビーズ(Beckman Coulter)を混合物に添加し、得られた混合物を5分間21℃で撹拌した。磁性ビーズを磁性分離機を用いてペレット化し、上清を吸引し、100μlの50mMのトリス−Cl、2.5MのNaCl、20%PEG8,000(25℃でpH7.5)をビーズにまだラック上にある間に添加し、ペレットを360°回転させてラック上でペレットを洗浄した。ビーズをもう一回直ちにペレット化し、上清を吸引し、その後チューブをラックから取り出し、25mMのトリス−Cl、20mMのNaCl(25℃でpH7.5)を含有する45μlのバッファーをビーズに添加して、5分間21℃でのインキュベーションによってDNAを溶出した。ビーズを磁性分離機を用いてペレット化し、(「プローブ−標的複合体」として知られる)溶出液を保持した。
45μLの「プローブ−標的複合体」を、ONLA17351、HEPES−KOH、KCl、MgCl、およびrATPの混合物中で330μLの最終体積まで希釈し、最終濃度の「MinION反応ミックス」として知られる、25mMのHEPES−KOH、500mMのKCl、10mMのMgCl、10mMのrATP、10nMのONLA17351、10nMの「CRISPR−dCas9複合体」、および約44pMの標的部位、pH8.0を得た。
電気的測定を37℃のバッファー(25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)中のブロックコポリマーに挿入された単一CsgGナノポアから得た。ブロックコポリマーに挿入された単一ポアを達成した後、バッファー(2mL、25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)をシステムに通して流して任意の過剰なCsgGナノポアを除去した。全てのその後のステップを34℃で行った。シス区画を、(「洗浄バッファー」として知られる)500μlの25mMのHEPES−KOH(pH8.0)、500mMのKCl、10mMのMgCl、および10mMのrATPで、各洗浄間10分で平衡化した。10分間21℃でプレインキュベートした150μlの「MinION反応ミックス」を、フローセルに適用し、10分間インキュベートして、標的DNAと接触する任意のコレステロール:CRISPRプローブ:dCas9複合体をブロックコポリマーに付着させた。さらに10分後、さらに2mLの「洗浄バッファー」を、フローセルを通して灌流して、任意の非特異的標的DNAを除去した。実験は180mVで行い、ヘリカーゼ制御DNA移動を監視した。DNA鎖の転座から生じる電気信号を分析し、それらのヌクレオチド配列を決定した。
結果
ヘリカーゼを使用して、CsgGナノポアを通した、「コレステロールhyb」を介してトリブロックコポリマーにテザリングされた、Cas接触型プレ配列決定混合物の移動を制御した。図9は、その同族部位およびコレステロールテザーに結合している末端装填ヘリカーゼ、CRISPR−dCas9を担持する標的DNA分子を示す。図15は、ヘリカーゼの経路、およびその転座が結合CRISPR−dCas9複合体の遭遇時どのように一時的にストールされ得るかを示す。図22は、ナノポアを通る標的DNA(この場合、λDNAの3.6キロベース断片)のヘリカーゼ制御転座および転座事象の途中の1つのかかる一時的ストール事象から生じる電気信号を示す。例となる信号は、dCas9が標的DNAと接触したこと、およびヘリカーゼがdCas9と接触したことを示す。データは、テザリングされたCRISPR−dCas9複合体を介する標的ポリヌクレオチドの固定化が首尾よく富化し(図21参照)、他の非特異的断片よりも優先して標的DNAポリヌクレオチドを配列決定したことを実証する。
実施例3
この実施例は、ナノポア配列決定によるDNAポリヌクレオチド(「DNA」)の混合物からの特定の20nt標的DNAポリヌクレオチド配列(「標的」)を含有する断片の直接富化および配列決定方法を記載し、標的DNAは、コレステロールタグ付きCRISPR−Casプローブと接触する。この実施例では、オリゴヌクレオチドの混合物は、DNAの混合物の各末端でY−アダプター上に装填されたポリヌクレオチド結合タンパク質を担持する。この例では、Y−アダプターは、ストール部位を含有しないが、Y−アダプターにハイブリダイズされたコレステロール部分を含有するテザーオリゴヌクレオチドを介して膜表面にアンカリングされる。モータータンパク質は、結合CRISPR−Cas複合体を含有しない混合物中の任意のDNAを完全に巻き戻し、それによって膜から非標的DNAを放出する。さらに、E.coliエキソヌクレアーゼIなどのエキソヌクレアーゼは、DNAモーター転座と同時に標的の非転座鎖、および完全に巻き戻される試料中の任意の非標的DNAを分解するために使用され得る。ポリヌクレオチド結合タンパク質は、結合CRISPR−Cas複合体を含有する任意のDNAを部分的に巻き戻すが、ナノポアとは無関係なCRISPR−Cas複合体の遭遇時にストールする。ナノポアによる標的の捕捉時、CRISPR−Cas複合体は、印加電位によって標的から除去され、それによって標的上のポリヌクレオチド結合タンパク質の転座を再開する。分析物の配列およびストールの位置は、試料を明確に同定するために使用され得る。
方法
オリゴヌクレオチドAR131およびAR132は、各々40μMで、10mM Tris−Cl(pH8.0)、1mM EDTA、100mM NaCl中、95℃〜25℃、毎分0.6℃でアニールされた。ハイブリダイズDNAは、「コレステロールhyb」(ONLA17351)として知られていた。
「コレステロールhyb」へのハイブリダイゼーションを可能にする3’伸長部を担持するCRISPR RNA(「crRNA」)を、40μMの「Alt−R(商標)」tracrRNA(IDTから購入)を10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl中のオリゴヌクレオチドAR145で65℃から25℃まで毎分1.0℃でアニールすることによって、tracrRNAとハイブリダイズさせ、「ガイドRNA」として知られる複合体を得た。CRISPR−dCas9複合体を、100nMの「ガイドRNA」をCas9結合バッファー(20mMのHEPES−NaOH、100mMのNaCl、5mMのMgCl、0.1mMのEDTA、25℃でpH6.5)中の100nMのdCas9(ONLP11836)と10分間21℃でインキュベートすることによって形成し、100nMのCRISPR−dCas9複合体を得た。結合dCas9を有する、これらの複合体は、「コレステロールhyb」がcrRNA3’伸長部にアニールすることができるので、「アンカープローブ」として知られていた。
ヘリカーゼを担持する約20nMのY−アダプターONLA17917を、66mMのトリス−Cl(pH8.0)、10mMのMgCl、2mMのATPγS、100μlの体積中4.5%(重量/体積)のPEG−8000中の20,000単位のNEB Quick T4 DNAリガーゼを用いて、1μgの末端修復dAテール化3.6kb DNA CS(ONLA17510)に、周囲温度で10分間ライゲーションした。ライゲーションしたDNAを、DNAを24μlの20mMのCAPS、40mMのKCl(pH10)中で溶出したことを除いて、実施例2に詳述されるようにSPRI精製によって精製した。このDNAに、10nM(分子)の「アンカープローブ」を添加し、試料を10分間周囲温度でインキュベートして、アンカープローブを標的に接触させた。このDNAに、10nM(分子)のSK43、Y−アダプターにハイブリダイズすることができるコレステロール部分を担持するオリゴヌクレオチドを添加した。これは、「MinION配列決定ミックス」として知られる、各末端上にポリヌクレオチド結合タンパク質装填Y−アダプターを担持する3.6キロベース標的二本鎖DNAをもたらした。
プレ配列決定ミックスを、分析のために150μlの体積まで希釈し、25mMのHEPES−KOH(pH8.0)、500mMのKCl、10nMのコレステロールhyb(ONLA17351)、および約250ngのMinION配列決定ミックスを含有する混合物をもたらした。
電気的測定を37℃のバッファー(25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)中のブロックコポリマーに挿入された単一CsgGナノポアから得た。ブロックコポリマーに挿入された単一ポアを達成した後、バッファー(2mL、25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)をシステムに通して流して任意の過剰なCsgGナノポアを除去した。全てのその後のステップを34℃で行った。シス区画を、(「燃料レス洗浄バッファー」として知られる)500μlの25mMのHEPES−KOH(pH8.0)、500mMのKClで、各洗浄間10分で2回平衡化した。10分間21℃でプレインキュベートした150μlの「MinION反応ミックス」を、フローセルに適用し、10分間インキュベートして、標的DNAと接触する任意のコレステロール:CRISPRプローブ:dCas9複合体をブロックコポリマーに付着させた。さらに10分後、さらに2mLの「燃料レス洗浄バッファー」を、フローセルを通して灌流して、任意の非結合標的DNAを除去した。実験を180mVで行い、ナノポア電流を約800秒間監視し、その後フローセルを2mLの25mMのHEPES−KOH(pH8.0)、500mMのKCl、10mMのATP、0.1mMのMgClで灌流した。DNA鎖の転座から生じる電気信号を分析し、それらのヌクレオチド配列を決定した。
結果
ヘリカーゼを、非加水分解性ATP類似体ATPγSの存在下で標的の両方の末端にライゲーションし、結合CRISPR−dCas9を含有しないか、またはナノポアとは無関係なCRISPR−dCas9ストールに先行する、任意の標的DNAを巻き戻すために使用した。CRISPR−dCas9およびライゲーションされたY−アダプターを、「コレステロールhyb」を介して、および標的の両方の末端にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを介して、トリブロックコポリマーにテザリングした。図28は、膜表面への標的の固定化を示す。標的は結合CRISPR−dCas9プローブを担持し、MgATPの不在下で、ヘリカーゼは標的DNAの末端に位置する。図29は、MgATPの添加時の結合CRISPR−dCas9複合体への両方のヘリカーゼの転座およびストーリングを示す。ストーリングは、一方または両方のヘリカーゼによって達成され得る。図30は、電位の印加時のナノポアによる標的分析物の捕捉を示す。図31は、ナノポアによる標的の捕捉時のヘリカーゼによる結合CRISPR−dCas9複合体の除去を示す。図32は、初期のプレdCas9転座事象(B)、ストーリング(C)、および転座の再開(D)を含む、MgATPの添加の約2350秒後のトレース例を示す。ストールからの再開は、強調および拡大される(E)。
配列
オリゴヌクレオチド
tracrRNA
全体を通して使用されるtracrRNAは、IDTから購入された67量体であった(「Alt−R(商標)」tracrRNA、カタログ番号1072534)
バクテリオファージラムダDNA(GenBankアクセッションID J02459.1、NEBから入手)を、SnaBIおよびBamHI−HF(NEB)で消化し、NEBNext Ultra End Repair/dA−Tailing Module(NEB)を用いて末端修復およびdAテール化した。ヘリカーゼ装填アダプターを、NEB Blunt/TA Ligase Master Mixを使用してdAテール化DNAにライゲーションした。
実施例4
この実施例は、標的/プローブ複合体の直接検出による混合物からの特定の20nt標的DNAポリヌクレオチド配列(「標的」)を含有する断片の検出方法を記載し、標的DNAは、CRISPR−Casプローブと接触する。この実施例では、「標的」は、ナノポアと相互作用する標的/プローブ複合体によって与えられる固有の信号によって明確に同定される。この場合、ポアはDNAの一本鎖を収容するのにだけ十分に大きい(図14)。
材料および方法
両方の末端で末端修復およびdAテール化された3.6kb長のラムダDNAを、ヘリカーゼを有さないSK007アダプター(ONLA16389、上+ONLA19936、下+ONLA19750、ブロッカー)にライゲーションした。これを次いで、以下のように、SPRIビーズを用いて精製した:0.4体積当量のAMPure XP SPRI磁性ビーズ(Beckman Coulter)を混合物に添加し、得られた混合物を5分間21℃で撹拌した。磁性ビーズを磁性分離機を用いてペレット化し、上清を吸引し、100μlの50mMのトリス−Cl、2.5MのNaCl、20%PEG8,000(25℃でpH7.5)をビーズにまだラック上にある間に添加し、ペレットを360°回転させてラック上でペレットを洗浄した。ビーズをもう一回直ちにペレット化し、上清を吸引し、その後チューブをラックから取り出し、25mMのトリス−Cl、20mMのNaCl(25℃でpH7.5)を含有する45μlのバッファーをビーズに添加して、5分間21℃でのインキュベーションによってDNAを溶出した。ビーズを磁性分離機を用いてペレット化し、溶出液を保持した。これは、「二重−Y3.6kb」である。
以前使用された領域3.6kbラムダを標的とする配列を有するCRISPR RNA(「crRNA」)AR148を、10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl中の40μMの「Alt−R(商標)」tracrRNA(IDTから購入)に65℃から25℃まで毎分1.0℃でアニールすることによって、tracrRNAとハイブリダイズさせ、「ガイドRNA」として知られる複合体を得た。CRISPR−dCas9複合体を、100nMの「ガイドRNA」をCas9結合バッファー(20mMのHEPES−NaOH、100mMのNaCl、5mMのMgCl、0.1mMのEDTA、25℃でpH6.5)中の100nMのdCas9(ONLP11836)と10分間21℃でインキュベートすることによって形成し、100nMの「CRISPR−dCas9複合体」を得た。
0.5μgの二重−Y3.6kbを、50μLのCRISPR−dCas9複合体と、少なくとも10分間20℃でインキュベートした。これに次いで、65μLの2×c17バッファー(1MのKCl、50mMのHEPES、pH8)、12.5μLのELB、および脱イオン水を添加して、最終体積を最大150μLとした。これは、「チップ試料」である。
電気的測定を37℃のバッファー(25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)中のブロックコポリマーに挿入された単一CsgGナノポアから得た。ブロックコポリマーに挿入された単一ポアを達成した後、バッファー(2mL、25mMのHEPES−KOH、150mMのフェロシアン化カリウム(II)、150mMのフェリシアン化カリウム(III)、pH8.0)をシステムに通して流して任意の過剰なCsgGナノポアを除去した。全てのその後のステップを34℃で行った。シス区画を、(「c17」として知られる)500μlの25mMのHEPES(pH8.0)、500mMのKClで、各洗浄間10分で平衡化した。150μlのチップ試料を次いで、チップに添加し、データを100mVで34℃で記録した。
結果
CRISPR−dCas9複合体が存在しない場合、またはCRISPR−dCas9複合体が二重−Y3.6kb中に存在するcrRNA配列を有さない場合、得られる信号は、典型的には<0.5秒持続する60〜80pAでの事象に特徴的である。図33および34は、それに結合しているCRISPR−dCas9複合体がポアを通って転座しない二重−Y3.6kbを示す。
CRISPR−dCas9複合体が存在するが二重−Y3.6kbが存在しない場合、事象は観察されない。
二重−Y3.6kbが、上記のように二重−Y3.6kb中に見られるcrRNA配列を有するCRISPR−dCas9複合体に結合している場合、信号は、約60pAで長いブロックによって支配される。これらのブロックは、典型的には>>10秒持続する。これらの事象は、自発的にオープンポア電流に戻ることもある。これらの事象は、上記のものと同じ特徴プロファイルを有するが、2つのY−アダプター間に新たな長い静電レベルを有する。図14、図35、および図36は、CRISPR−dCas9複合体がポアに到達するまでポアを通って転座するDNAを示し、その時点で二重−Y3.6kbは、CRISPR−dCas9複合体がそれに作用するポアの力によって置き換えられるまで停止し、その時点で二重−Y3.6kbは、転座し続ける。
実施例5
この実施例は、標的/プローブ複合体の直接検出による混合物からの特定の20ヌクレオチド標的DNAポリヌクレオチド配列(「標的」)を含有する断片の検出方法を記載し、標的DNAは、CRISPR−Casプローブと接触する。この例では、「標的」は、ナノポアと相互作用する標的/プローブ複合体によって与えられる固有の信号によって明確に同定される。この場合、ポアは、プローブが付着している二本鎖DNAを収容するのに十分に大きい(図12参照)。
材料および方法
3.6kb長のラムダDNAを調製および精製した。これは3.6kbである。
領域3.6kbラムダを標的とする配列を有するCRISPR RNA(「crRNA」)AR148を、10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl中の40μMの「Alt−R(商標)」tracrRNA(IDTから購入)に65℃から25℃まで毎分1.0℃でアニールすることによって、tracrRNAとハイブリダイズさせ、「ガイドRNA」として知られる複合体を得た。CRISPR−dCas9複合体を、200nMの「ガイドRNA」をCas9結合バッファー(20mMのHEPES−NaOH、100mMのNaCl、5mMのMgCl、0.1mMのEDTA、25℃でpH6.5)中の200nMのdCas9(ONLP11836)と10分間21℃でインキュベートすることによって形成し、200nMの「CRISPR−dCas9複合体」を得た。
0.5μgの3.6kbを、25μLのCRISPR−dCas9複合体と、少なくとも10分間20℃でインキュベートした。これに次いで、25μLの2×1Mバッファー(2MのKCl、50mMのHEPES、pH8)を添加した。これはチップ試料である。
電気的測定は、絶縁破壊によって形成された単一15nm直径SiN ALDポアから得た(しかし、>10nMの直径を有する任意のポア、例えば、固体、タンパク質、DNA折り紙、または任意の他の材料を使用することができた)。シスおよびトランスは1MのKClであり、電圧は変動した。試料を用いないポア特徴付けの期間後、シス区画の体積をチップ試料で置き換え、測定を異なる電圧で20℃で実施した。
結果
CRISPR−dCas9複合体が存在しない場合、またはCRISPR−dCas9複合体が3.6kb中のDNA配列に相補的であるcrRNA配列を有さない場合、得られる信号は、3.6kbがポアを通過するときに短命電流偏向のものである(図37)。3.6kbが、上記のように3.6kb中に見られるDNA配列に相補的であるcrRNA配列を有するCRISPR−dCas9複合体に結合している場合、信号は、ポアを通過するCRISPR−dCas9複合体を表す追加のサブレベルを有する(図38)。複数のCRISPR−dCas9複合体がDNAに結合している場合、各複合体は、電流に対して別々の偏向を引き起こす(図39)。dCasが修飾または装飾される場合、信号は、各複合体が細孔を通過するときに変化する(図40)。複合体によって引き起こされる電流偏向の信号位置の変化は、ポリヌクレオチド(例えばDNA)についての情報を提供するために使用することができる。
実施例6
この実施例は、標的分子の富化後のナノポア配列決定による複雑なバックグラウンドにおける特定のポリヌクレオチドの検出方法を記載する。この実施例では、標的DNA分子は、主にその配列によって同定される。標的分子は、dCas9分子上の捕捉部分を介した「プルダウン」によってバックグラウンドから分離される。dCas9は、好ましくは、Escherichia coliのリボソーム16S(rrs)遺伝子に対するcrRNAによって標的分子に結合する。「オフターゲット」効果は、捕捉ビーズ表面上でのその後の精製前に過剰な未結合dCas9を除去するためのSPRI精製ステップと組み合わせて、結合dCas9タンパク質に熱および塩ストレスを加えることによって低減する。標的DNA分子は、ナノポア配列決定に適合され、dCas9は、アダプター上に装填された酵素によって変位されるまでその標的に結合したままである。
dCas9は、この伸長部に相補的なDNA配列(図41のa’)を担持するビーズ捕捉オリゴヌクレオチドコンジュゲート上の標的分子の捕捉を可能にする5’DNA伸長部(図41の配列a)を担持するtracrRNA分子を保有する。この実施例では、捕捉オリゴヌクレオチドは、ビオチン部分を介してビーズに連結される。この実施例では、非標的DNAは洗い流され、標的分子はビーズに結合したままである。標的分子は次いで、その遊離dAテール化末端の一方または両方へのライゲーションによってナノポア配列決定に適合させ、dCas9標的分子は、ビーズに結合させる。ビーズ−標的−RNPアセンブリ全体は次いで、配列決定のためにフローセルに送達される。アセンブリは、フローセルの下に配置された磁界の印加によってフローセルのウェルに提供されるか、または重力によって沈降させることができる。配列決定は、ビーズ上に、ビーズを膜にテザリングする、アダプター末端にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドコレステロールテザーを流すことによって開始される。あるいは、コレステロールテザーは、ビーズ−標的コンジュゲートがフローセルに添加される前の、「洗い流し」ステップ中に膜に導入することができる。
方法
E.coli全ゲノムライブラリー、ONLA18816(NCBI参照配列:NC_000913.3)を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約5.9kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製した。このライブラリーを次いで、製造業者の指示に従って、NEB Ultra IIキットを使用して末端修復およびdAテール化した。末端修復およびdAテーリング後、断片化ゲノムDNAを、0.4×SPRI精製に供し、0.1×TE中でSPRIビーズから溶出した。
200nMのDNA伸長型tracrRNA(AR363)を、(dCas9結合バッファーとして知られる)25mMのHEPES−NaOH(pH8.0)、150mMのNaCl、および1mMのMgClを含有するバッファーに添加した。tracrRNAを90℃まで2分間加熱し、湿った氷上で急冷し、その後100nMのdCas9(ONLP12326)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートした。250nMのcrRNA(AR400)を次いで反応物に添加し、さらに10分間室温(約21℃)でインキュベートした。最終体積は50μLであった。この混合物は、リボヌクレオチド−タンパク質複合体(RNP)として知られていた。
dCas9−標的複合体を形成するために、500ng(約1.2μL)の上記からのゲノムDNA(ONLA18816)をRNPに添加し、20分間室温でインキュベートした。混合物を次に55℃で5分間インキュベートして、その意図する標的に結合していないdCas9を除去した。混合物を以下のように1×SPRI精製に供した:51μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートした。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約250μLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを40mMのCAPS(pH10.0)、40mMのKClを含む12.5μLのバッファーと5分間インキュベートすることによって溶出した。ビーズをもう1回ペレット化し、「SPRI溶出液」として知られる上清を保持した。
50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)Tween−20を含む約120μLのバッファー中の2.5μLのAR364捕捉オリゴと約1時間撹拌しながらインキュベートした。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去した。このコンジュゲートは、「捕捉ビーズ」として知られていた。
dCas9−結合標的分子を、12.5μLのSPRI溶出液を10μgの捕捉ビーズ(1μL)および65μLのDynabeadsキロベースBINDER結合溶液(Thermo Scientific Cat.#60101)と20分間撹拌しながらインキュベートすることによって、捕捉ビーズに結合させた。ビーズをその後、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、20mMのNaClを含有するバッファーで1回洗浄した。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去した。この試料は、「ビーズ−標的複合体」として知られていた。
Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit by Ligation(SQK−LSK108)からの酵素装填アダプター(チューブ「AMX 1D」)を、上記からペレット化ビーズを12.5μLの2×LAQA1バッファー(New England Biolabs,Inc.からの寄贈品)、7μLのヌクレアーゼフリー水、5μLのAMX 1D(SQK−LSK108の一部)、および0.5μLのT4 DNAリガーゼ(NEB Cat.#M0202)を含むライゲーションミックスで再懸濁することによって、ビーズ−標的複合体にライゲーションした。ビーズをライゲーションミックス中で10分間撹拌しながらインキュベートし、ペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する約125μLのバッファーで1回洗浄して、遊離未ライゲーションアダプターを除去した。洗浄後、ビーズをもう1回ペレット化し、製造業者の指示に従って1倍に希釈した、50μLのRBF(SQK−LSK108の成分)に再懸濁した。この混合物は、装填試料として知られていた。
図41は、ここで装填試料としても知られる、dCas9−crRNA−tracrRNA−標的−ビーズコンジュゲートの予想される外観を示す。
Oxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した50nMのテザーオリゴを含有する800μLの1×RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移した。装填試料の50μL全体をSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませた。MinIONのデータ収集を直ちに開始し、データを標準カスタマープロトコルに従って収集および分析した。
結果
図42は、MinKNOW 1.7.14ソフトウェアで標準ベースライン配列決定スクリプトを実行するOxford Nanopore Technologies MinIONフローセルを使用して上記プロトコルを用いる6時間の配列決定ランにわたって収集されたデータを示す。このプルダウンに使用される単一のcrRNAプローブ、AR400は、dCas9を図42Dに列挙される7つの16Sリボソーム遺伝子部位の各々に誘導すると予想され、1つの位置は、位置viiとして同定され、PAM部位に対して−2位に単一の不一致を担持し、別の位置は、ピークiとして同定され、PAM部位に対して−6位に単一の不一致を担持する。約4.6Mbのゲノムのうち、約35kb(約0.76%)のインプットDNA(7×中央リード長、5.9kb)が標的と考えられ得る。92,942配列決定リードがこのランから得られ、標準的なベースコールおよびアラインメント解析ワークフローを通して配置された。85,126リードをE.coliMG1655ゲノム(NC_000913.3)にマッピングすることができ、そのうち62,943(73.9%)が各予想プローブハイブリダイゼーション位置の3つの中央リード長内にマッピングされた。配列決定リードのパイルアップは、位置i、ii、iii、iv、vおよびviの各々について9,000〜10,000倍のカバレッジ深度をもたらした。
材料
実施例7
この実施例は、標的分子の富化後の、ナノポア配列決定による複雑なバックグラウンドにおける特定のポリヌクレオチドの検出方法を記載する。この実施例では、標的DNA分子は、主にその配列によって同定される。標的分子は、dCas9分子上の捕捉部分を介した「プルダウン」によってバックグラウンドから分離される。dCas9は、好ましくは、Escherichia coliのリボソーム16S(rrs)遺伝子に対するcrRNAによって標的分子に結合する。「オフターゲット」効果は、dCas9タンパク質に熱および塩ストレスを加えること、続いてtracrRNAに特異的な捕捉表面上のdCas9−標的複合体の精製および溶出、ならびにdCas9−標的複合体のcrRNAに特異的な第2の特異的捕捉表面への転移によって最小化される。第1の「精製」ビーズからの標的の放出は、トーホールド変位として知られる現象によってもたらされる。標的DNA分子は、ナノポア配列決定に適合され、dCas9は、アダプター上に装填された酵素によって変位されるまでその標的に結合したままである。
crRNAは、ビーズ、カラム、または表面上の標的分子の捕捉に使用される3’DNA伸長部(図44の配列d)も担持する。dCas9は、「精製」ビーズ、カラム、または表面上の標的分子の捕捉を可能にする5’DNA伸長部(図44の配列a・c)を担持するtracrRNA分子も保有する。標的ポは、まず、tracrRNAのDNA伸長部に相補的なオリゴヌクレオチドを担持するビーズ上での捕捉によって非標的DNAから分離される。非標的DNAは、このステップ中に洗い流される。標的分子は、DNA伸長型tracrRNA分子とビーズへの結合について競合するオリゴヌクレオチドの添加を介した、トーホールド変位によってビーズから溶出される。標的分子の溶出後、標的は、crRNA上のDNA伸長部を介して第2の「送達」ビーズに結合させる。標的分子は次いで、その遊離dAテール化末端の一方または両方へのライゲーションによってナノポア配列決定に適合させ、dCas9標的分子は、ビーズに結合したままである。ビーズ−標的−RNPアセンブリ全体は次いで、配列決定のためにフローセルに送達される。アセンブリは、フローセルの下に配置された磁界の印加によってフローセルのウェルに提供されるか、または重力によって沈降させることができる。配列決定は、ビーズ上に、ビーズを膜にテザリングする、アダプター末端にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドコレステロールテザーを流すことによって開始される。あるいは、コレステロールテザーは、ビーズ−標的コンジュゲートがフローセルに添加される前の、「洗い流し」ステップ中に膜に導入することができる。
方法
E.coli全ゲノムライブラリー、ONLA18816を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約7kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製した。このライブラリーを次いで、製造業者の指示に従って、NEB Ultra IIキットを使用して末端修復およびdAテール化した。末端修復、dAテール化、断片化ゲノムDNAを、0.4倍SPRI精製に供し、0.1倍TE中でSPRIビーズから溶出した。
200nMのDNA伸長型tracrRNA(AR363)を、(dCas9結合バッファー、BBとして知られる)25mMのHEPES−NaOH(pH8.0)、150mMのNaCl、および1mMのMgClを含有するバッファーに添加した。tracrRNAを90℃まで2分間加熱し、湿った氷上で急冷し、その後100nMのdCas9(ONLP12326)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートした。250nMの3’DNA伸長部を担持するcrRNA(AR191)を次いで反応物に添加し、さらに10分間室温(約21℃)でインキュベートした。最終体積は50μLであった。この混合物は、リボヌクレオチド−タンパク質複合体(RNP)として知られていた。
dCas9−標的複合体を形成するために、500ng(約1.2μL)の上記からのゲノムDNA(ONLA18816)をRNPに添加し、20分間室温でインキュベートした。混合物を次に55℃で5分間インキュベートして、その意図する標的に結合していないdCas9を除去した。混合物を以下のように1×SPRI精製に供した:51μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートした。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約250μLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを40mMのCAPS(pH10.0)、40mMのKClを含む12.5μLのバッファーと5分間インキュベートすることによって溶出した。ビーズをもう1回ペレット化し、「SPRI溶出液」として知られる上清を保持した。
50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)Tween−20を含むバッファー中の2.5μLのAR667捕捉オリゴ(配列a’−b’、および3’ビオチン部分を含む)と約1時間撹拌しながらインキュベートした。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去した。このコンジュゲートは、「精製ビーズ」として知られていた。
オリゴヌクレオチドAR132およびAR196を、標準TEバッファー(10mMのトリス−Cl、1mMのEDTA、pH8.0)+200mMのNaCl中の40μMの各オリゴヌクレオチドをインキュベートし、95℃で2分間加熱し、25℃まで約2時間かけてゆっくり冷却することによって、PCRサーモサイクラーを用いてハイブリダイズした。crRNA配列のDNA伸長部に相補的なオーバーハングを担持する、12.5μLのこの二重螺旋DNAを、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)のTween−20を含む約120μLのバッファー中の50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)と、約1時間撹拌しながらインキュベートした。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、各洗浄ステップで磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去した。このコンジュゲートは、「送達ビーズ」として知られていた。
dCas9−結合標的分子を、12.5μLのSPRI溶出液を50μgの精製ビーズおよび67.5μLのDynabeadsキロベースBINDER結合溶液(Thermo Scientific Cat.#60101)と20分間室温で撹拌しながらインキュベートすることによって、精製ビーズに結合させた。ビーズを、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、20mMのNaClを含有するバッファーで1回洗浄した。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去した。この試料は、「精製ビーズ−標的複合体」として知られていた。
標的DNA−RNP複合体の固定化後、標的DNAを精製ビーズから、図44からの配列a・bを担持する25μMのオリゴヌクレオチドAR668、20mMのトリス−Cl(pH8.0)、および100mMのNaClを含有する20μLのバッファーの添加によって、室温で10分間、穏やかに撹拌しながら溶出した。溶出液を「精製ビーズ溶出液」として保持した。
精製ビーズ溶出液を次いで、20μLの精製ビーズ溶出液を1μLの送達ビーズ、および105μLのDynabeadsキロベースBINDER結合溶液(Thermo Scientific Cat.#60101)との20分間撹拌しながらのインキュベーションによって、送達ビーズ上に固定化した。ビーズをその後、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、20mMのNaClを含有するバッファーで1回洗浄した。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去した。この試料は、「送達ビーズ−標的複合体」として知られていた。
Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit by Ligation(SQK−LSK108)からの酵素装填アダプター(チューブ「AMX 1D」)を、上記からペレット化ビーズを12.5μLの2×LAQA1バッファー(New England Biolabs,Inc.からの寄贈品)、7μLのヌクレアーゼフリー水、5μLのAMX 1D(SQK−LSK108の一部)、および0.5μLのT4 DNAリガーゼ(NEB Cat.#M0202)を含むライゲーションミックスで再懸濁することによって、ビーズ−標的複合体にライゲーションした。ビーズをライゲーションミックス中で10分間撹拌しながらインキュベートし、ペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する約125μLのバッファーで1回洗浄した。洗浄後、ビーズをもう1回ペレット化し、製造業者の指示に従って1倍に希釈した、50μLのRBF(SQK−LSK108の成分)に再懸濁した。この混合物は、装填試料として知られていた。
図44は、トーホールド変位オリゴヌクレオチドを用いて精製ビーズから標的結合dCas9分子を溶出し、Oxford Nanopore MinIONフローセル上に装填するために第2の送達ビーズに移すために必要とされる、この実施例に記載される連続的な一連のステップを示す。
Oxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した50nMのテザーオリゴを含有する800μLの1×RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移した。装填試料の50μL全体をSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませた。MinIONのデータ収集を直ちに開始し、データを標準カスタマープロトコルに従って収集および分析した。
結果
図45は、非標的E.coliDNAからのE.coli16S遺伝子標的の富化に対する、熱ストレス、SPRI精製、精製ビーズ結合、トーホールド変位、および捕捉ビーズ結合のコンビナトリアル効果を示す。結果を、オンターゲットのリード%を示す、以下の表に要約する。
具体的には、図45、Hは、3つ全ての富化方法の相加効果を実証する。図45、Hのデータは、MinKNOW 1.7.14ソフトウェアで標準ベースライン配列決定スクリプトを実行するOxford Nanopore Technologies MinIONフローセルを使用して上記プロトコルを用いる6時間の配列決定ランにわたって収集された。このプルダウンに使用される単一のcrRNAプローブ、AR191は、dCas9を図42Dに列挙される7つの16Sリボソーム遺伝子部位の各々に誘導すると予想され、1つの位置は、位置viiとして同定され、PAM部位に対して−2位に単一の不一致を担持し、別の位置は、ピークiとして同定され、PAM部位に対して−6位に単一の不一致を担持する。約4.6Mbのゲノムのうち、約36kb(約0.78%)のインプットDNA(7×中央リード長、5.1kb)が標的と考えられ得る。
10,482配列決定リードがこのランから得られ、標準的なベースコールおよびアラインメント解析ワークフローを通して配置された。9,245リードをE.coliMG1655ゲノム(NC_000913.3)にマッピングすることができ、そのうち7,975(76.1%)が各予想プローブハイブリダイゼーション位置の3つの中央リード長内にマッピングされた。配列決定リードのパイルアップは、位置i、ii、iii、iv、vおよびviの各々について>1,000倍のカバレッジ深度をもたらした。
材料
タンパク質
ONLP12326:S.pyogenes Cas9 D10A/H840A、TEV開裂可能なリンカーを有するC末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEV(上記配列)によって開裂された部分を示す。
実施例8
この実施例は、標的分子の富化後の、ナノポア配列決定による複雑なバックグラウンドにおける特定のポリヌクレオチドの検出方法を記載する。この実施例では、標的DNA分子は、主にその配列によって同定される。標的分子は、dCas9分子上の捕捉部分を介した「プルダウン」によってバックグラウンドから分離される。dCas9は、好ましくは、Escherichia coliのリボソーム16S(rrs)遺伝子に対するcrRNAによって標的分子に結合する。オフターゲット、すなわち不一致領域の結合は、dCas9を「特異性強化型dCas9」として知られるdCas9酵素の突然変異誘導体のそうでなければ野生型のバックグラウンドで置換すること、ならびに捕捉ビーズ表面上でのその後の精製の前に過剰な未結合dCas9を除去するためのSPRI精製ステップと組み合わせて、結合dCas9タンパク質に熱および塩ストレスを加えることによって低減する。標的DNA分子は、ナノポア配列決定に適合され、dCas9は、アダプター上に装填された酵素によって変位されるまでその標的に結合したままである。
dCas9は、この伸長部に相補的なDNA配列(図41のa’)を担持するビーズ捕捉オリゴヌクレオチドコンジュゲート上の標的分子の捕捉を可能にする5’DNA伸長部(図41の配列a)を担持するtracrRNA分子を保有する。この実施例では、捕捉オリゴヌクレオチドは、ビオチン部分を介してビーズに連結される。この実施例では、非標的DNAは洗い流され、標的分子はビーズに結合したままである。標的分子は次いで、その遊離dAテール化末端の一方または両方へのライゲーションによってナノポア配列決定に適合させ、dCas9標的分子は、ビーズに結合させる。ビーズ−標的−RNPアセンブリ全体は次いで、配列決定のためにフローセルに送達される。アセンブリは、フローセルの下に配置された磁界の印加によってフローセルのウェルに提供されるか、または重力によって沈降させることができる。配列決定は、ビーズ上に、ビーズを膜にテザリングする、アダプター末端にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドコレステロールテザーを流すことによって開始される。あるいは、コレステロールテザーは、ビーズ−標的コンジュゲートがフローセルに添加される前の、「洗い流し」ステップ中に膜に導入することができる。
方法
E.coli全ゲノムライブラリー、ONLA18816を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約5.9kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製した。このライブラリーを次いで、製造業者の指示に従って、NEB Ultra IIキットを使用して末端修復およびdAテール化した。末端修復およびdAテーリング後、断片化ゲノムDNAを、0.4×SPRI精製に供し、0.1×TE中でSPRIビーズから溶出した。
200nMのDNA伸長型tracrRNA(AR363)を、(dCas9結合バッファーとして知られる)25mMのHEPES−NaOH(pH8.0)、150mMのNaCl、および1mMのMgClを含有するバッファーに添加した。tracrRNAを90℃まで2分間加熱し、湿った氷上で急冷し、その後100nMの野生型を有するdCas9(ONLP12326)または「特異性強化型」dCas9(ONLP12296)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートした。250nMの3’伸長部を担持するcrRNA(ここでは使用されない伸長部、AR191)を次いで反応物に添加し、さらに10分間室温(約21℃)でインキュベートした。最終体積は50μLであった。この混合物は、リボヌクレオチド−タンパク質複合体(RNP)として知られていた。
dCas9−標的複合体を形成するために、500ng(約1.2μL)の上記からのゲノムDNA(ONLA18816)をRNPに添加し、20分間室温でインキュベートした。混合物を次に55℃で5分間インキュベートして、その意図する標的に結合していないdCas9を除去した。混合物を以下のように1×SPRI精製に供した:51μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートした。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約250μLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを40mMのCAPS(pH10.0)、40mMのKClを含む12.5μLのバッファーと5分間インキュベートすることによって溶出した。ビーズをもう1回ペレット化し、「SPRI溶出液」として知られる上清を保持した。
50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)Tween−20を含む約120μLのバッファー中の2.5μLのAR364捕捉オリゴと約1時間撹拌しながらインキュベートした。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去した。このコンジュゲートは、「捕捉ビーズ」として知られていた。
dCas9−結合標的分子を、12.5μLのSPRI溶出液を10μgの捕捉ビーズ(1μL)および65μLのDynabeadsキロベースBINDER結合溶液(Thermo Scientific Cat.#60101)と20分間撹拌しながらインキュベートすることによって、捕捉ビーズに結合させた。ビーズをその後、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、20mMのNaClを含有するバッファーで1回洗浄した。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去した。この試料は、「ビーズ−標的複合体」として知られていた。
Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit by Ligation(SQK−LSK108)からの酵素装填アダプター(チューブ「AMX 1D」)を、上記からペレット化ビーズを12.5μLの2×LAQA1バッファー(New England Biolabs,Inc.からの寄贈品)、7μLのヌクレアーゼフリー水、5μLのAMX 1D(SQK−LSK108の一部)、および0.5μLのT4 DNAリガーゼ(NEB Cat.#M0202)を含むライゲーションミックスで再懸濁することによって、ビーズ−標的複合体にライゲーションした。ビーズをライゲーションミックス中で10分間撹拌しながらインキュベートし、ペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する約125μLのバッファーで1回洗浄して、遊離未ライゲーションアダプターを除去した。洗浄後、ビーズをもう1回ペレット化し、製造業者の指示に従って1倍に希釈した、50μLのRBF(SQK−LSK108の成分)に再懸濁した。この混合物は、装填試料として知られていた。
図41は、ここで装填試料としても知られる、dCas9−crRNA−tracrRNA−標的−ビーズコンジュゲートの予想される外観を示す。
Oxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した50nMのテザーオリゴを含有する800μLの1×RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移した。装填試料の50μL全体をSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませた。MinIONのデータ収集を直ちに開始し、データを標準カスタマープロトコルに従って収集および分析した。
結果
図46は、MinKNOW 1.7.14ソフトウェアで標準ベースライン配列決定スクリプトを実行するOxford Nanopore Technologies MinIONフローセルを使用して上記プロトコルを用いる6時間の配列決定ランにわたって収集されたデータを示す。このプルダウンに使用される単一のcrRNAプローブ、AR191は、dCas9を図42、Dに列挙される7つの16Sリボソーム遺伝子部位の各々に誘導すると予想され、1つの位置は、文字CおよびDとして同定され、PAM部位に対して−2位に単一の不一致を担持する。この位置は、図42、Dにおいて同定されるピークviiに対応する。CまたはDとして同定される不一致ピークに対する最大ピークの高さの比は、野生型dCas9および「特異性強化型」dCas9バリアントについてそれぞれ3.33:1および9.45:1であった。
材料
タンパク質
ONLP12296:「特異性強化型dCas9」として知られる、S.pyogenes Cas9 D10A/H840A/K848A/K1003A/R1060A:TEV開裂可能なリンカーを有するC末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEV(上記配列)によって開裂された部分を示す。
ONLP12326:S.pyogenes Cas9 D10A/H840A、TEV開裂可能なリンカーを有するC末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEV(上記配列)によって開裂された部分を示す。
実施例9
この実施例は、標的分子の富化後の、ナノポア配列決定による複雑なバックグラウンドにおける特定のポリヌクレオチドの検出方法を記載する。この実施例では、標的DNA分子を主にその配列によって同定し、リード方向性バイアスに対する触媒活性(「生きた」、野生型)および死んだ(D10A/H840A)Cas9の効果を調査した。方向性バイアスは、特定のリード方向について富化するために使用され得る。標的分子は、Cas9分子上の捕捉部分を介した「プルダウン」によってバックグラウンドから分離される。Cas9は、好ましくは、Escherichia coliのリボソーム16S(rrs)遺伝子に対するcrRNAによって標的分子に結合する。「オフターゲット」効果は、捕捉ビーズ表面上でのその後の精製前に過剰な未結合Cas9を除去するためのSPRI精製ステップと組み合わせて、結合Cas9タンパク質に熱および塩ストレスを加えることによって低減する。標的DNA分子は、ナノポア配列決定に適合され、Cas9は、アダプター上に装填された酵素によって変位されるまでその標的に結合したままである。
Cas9は、この伸長部に相補的なDNA配列(図41のa’)を担持するビーズ捕捉オリゴヌクレオチドコンジュゲート上の標的分子の捕捉を可能にする5’DNA伸長部(図41の配列a)を担持するtracrRNA分子を保有する。この実施例では、捕捉オリゴヌクレオチドは、ビオチン部分を介してビーズに連結される。この実施例では、非標的DNAは洗い流され、標的分子はビーズに結合したままである。標的分子は次いで、その遊離dAテール化末端の一方または両方へのライゲーションによってナノポア配列決定に適合させ、Cas9−標的分子は、ビーズに結合させる。ビーズ−標的−RNPアセンブリ全体は次いで、配列決定のためにフローセルに送達される。アセンブリは、フローセルの下に配置された磁界の印加によってフローセルのウェルに提供されるか、または重力によって沈降させることができる。配列決定は、ビーズ上に、ビーズを膜にテザリングする、アダプター末端にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドコレステロールテザーを流すことによって開始される。あるいは、コレステロールテザーは、ビーズ−標的コンジュゲートがフローセルに添加される前の、「洗い流し」ステップ中に膜に導入することができる。
触媒活性Cas9は、標的部位の各々で二本鎖切断を行うと予想される。Sternberg et al.,Nature 507,62−67(2014)によって実証されるように、生きたCas9が切断物の一方の側のみに結合したままであるとした場合、有意な方向性バイアスが予想される。
方法
E.coli全ゲノムライブラリー、ONLA18816を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約5.9kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製した。このライブラリーを次いで、製造業者の指示に従って、NEB Ultra IIキットを使用して末端修復およびdAテール化した。末端修復およびdAテーリング後、断片化ゲノムDNAを、0.4×SPRI精製に供し、0.1×TE中でSPRIビーズから溶出した。
死んだCas9を有するリボヌクレオチド−タンパク質複合体を形成するために、200nMのDNA伸長型tracrRNA(AR363)を、(dCas9結合バッファーとして知られる)25mMのHEPES−NaOH(pH8.0)、150mMのNaCl、および1mMのMgClを含有するバッファーに添加した。tracrRNAを90℃まで2分間加熱し、湿った氷上で急冷し、その後100nMのdCas9(ONLP12326)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートした。250nMのcrRNA(AR400)を次いで反応物に添加し、さらに10分間室温(約21℃)でインキュベートした。最終体積は50μLであった。この混合物は、死んだRNPとして知られていた。
生きたCas9を有するリボヌクレオチド−タンパク質複合体を形成するために、200nMのDNA伸長型tracrRNA(AR363)を、Cas9開裂バッファーとして知られる、20mMのHEPES、5mMのMgCl、0.1mMのEDTAを含有する25℃のバッファー、pH6.5に添加した。tracrRNAを90℃まで2分間加熱し、湿った氷上で急冷し、その後100nMの野生型S.pyogenesCas9(New England Biolabs,Inc.,Cat#M0386T)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートした。250nMのcrRNA(AR400)を次いで反応物に添加し、さらに10分間室温(約21℃)でインキュベートした。最終体積は50μLであった。この混合物は、生きたRNPとして知られていた。
Cas9−標的複合体を形成するために、500ng(約1.2μL)の上記からのゲノムDNA(ONLA18816)をRNPに添加し、(死んだRNPについて)30分間30℃または(生きたRNPについて)30分間37℃でインキュベートした。混合物を次に55℃で5分間インキュベートして、その意図する標的に結合していないCas9を除去した。混合物を以下のように1×SPRI精製に供した:51μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートした。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約250μLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを40mMのCAPS(pH10.0)、40mMのKClを含む12.5μLのバッファーと5分間インキュベートすることによって溶出した。ビーズをもう1回ペレット化し、「SPRI溶出液」として知られる上清を保持した。
50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)Tween−20を含む約120μLのバッファー中の2.5μLのAR364捕捉オリゴと約1時間撹拌しながらインキュベートした。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去した。このコンジュゲートは、「捕捉ビーズ」として知られていた。
Cas9−結合標的分子を、12.5μLのSPRI溶出液を10μgの捕捉ビーズ(1μL)および65μLのDynabeadsキロベースBINDER結合溶液(Thermo Scientific Cat.#60101)と20分間撹拌しながらインキュベートすることによって、捕捉ビーズに結合させた。ビーズをその後、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、20mMのNaClを含有するバッファーで1回洗浄した。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去した。この試料は、「ビーズ−標的複合体」として知られていた。
Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit by Ligation(SQK−LSK108)からの酵素装填アダプター(チューブ「AMX 1D」)を、上記からペレット化ビーズを12.5μLの2×LAQA1バッファー(New England Biolabs,Inc.からの寄贈品)、7μLのヌクレアーゼフリー水、5μLのAMX 1D(SQK−LSK108の一部)、および0.5μLのT4 DNAリガーゼ(NEB Cat.#M0202)を含むライゲーションミックスで再懸濁することによって、ビーズ−標的複合体にライゲーションした。ビーズをライゲーションミックス中で10分間撹拌しながらインキュベートし、ペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する約125μLのバッファーで1回洗浄して、遊離未ライゲーションアダプターを除去した。洗浄後、ビーズをもう1回ペレット化し、製造業者の指示に従って1倍に希釈した、50μLのRBF(SQK−LSK108の成分)に再懸濁した。この混合物は、装填試料として知られていた。
図41は、ここで装填試料としても知られる、Cas9−crRNA−tracrRNA−標的−ビーズコンジュゲートの予想される外観を示す。
Oxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した50nMのテザーオリゴを含有する800μLの1×RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移した。装填試料の50μL全体をSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませた。MinIONのデータ収集を直ちに開始し、データを標準カスタマープロトコルに従って収集および分析した。
結果
図47は、プルダウンに触媒不活性Cas9(「死んだ」、A)または活性Cas9(「生きた」、B)のいずれかを用いて、MinKNOW 1.7.14ソフトウェアで標準ベースライン配列決定スクリプトを実行するOxford Nanopore Technologies MinIONフローセルを使用して上記プロトコルを用いる6時間の配列決定ランにわたって収集されたデータを示す。このプルダウンに使用される単一のcrRNAプローブ、AR400は、Cas9を図42、Dに列挙される7つの16Sリボソーム遺伝子部位の各々に誘導すると予想される。この例において上昇したインキュベーション温度に起因する、追加のピーク、*も見られる。それぞれCおよびDとして同定される、「死んだ」および「生きた」Cas9のカバレッジ方向性プロットは、生きたCas9によって課されるわずかな追加の方向性バイアスを実証する。
材料
タンパク質
ONLP12326:S.pyogenes Cas9 D10A/H840A、TEV開裂可能なリンカーを有するC末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEV(上記配列)によって開裂された部分を示す。
実施例10
この実施例は、標的分子の富化後の、ナノポア配列決定による複雑なバックグラウンドにおける特定のポリヌクレオチドの混合物の検出を多重化するための方法を記載する。この例では、同じE.coli全ゲノム試料を、crRNAプローブの異なる組み合わせを含む複数の別々の富化dCas9「プルダウン」に供した。各試料を特定のDNAバーコードアダプター配列とライゲーションし、全ての試料を同じフローセルを用いて同時に配列決定し、それらのバーコードアダプターを用いて同定することを可能にした。
方法
E.coli全ゲノムライブラリー、ONLA18816を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約5.9kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製した。このライブラリーを次いで、製造業者の指示に従って、NEB Ultra IIキットを使用して末端修復およびdAテール化した。末端修復およびdAテーリング後、断片化ゲノムDNAを、0.4×SPRI精製に供し、0.1×TE中でSPRIビーズから溶出した。500ngのこのライブラリーを次に、Oxford Nanopore TechnologiesのNative Barcoding Kit 1D(Cat#EXP−NBD103)からの7つのネイティブバーコード(NB)アダプター、NB01、NB02、NB03、NB04、NB05、NB06、およびNB07の各々に、製造業者の指示に従ってライゲーションした。
7つの試料を個別に、各々crRNAプローブの異なる組み合わせで、以下のように調製した:220nMのDNA伸長型tracrRNA(AR363)を、(dCas9−EDTAバッファーとして知られる)50mMのトリス−Cl(pH8.0)、150mMのNaCl、および1mMのEDTAを含有するバッファーに添加した。100nMのdCas9(ONLP12326)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートした。200nMのcrRNA(トータル)を次いで反応物に添加し、さらに10分間室温(約21℃)でインキュベートした。最終体積は50μLであった。crRNAの組み合わせは以下の通りであった:(NB01)AR398、(NB02)AR399、(NB03)AR400、(NB04)AR398およびAR399、(NB05)AR398およびAR400、(NB06)AR399およびAR400、(NB07)AR398、AR399およびAR400。これらの7つの混合物は、リボヌクレオチド−タンパク質複合体(RNP)として知られていた。
この例で使用される3つのcrRNAプローブの各々は、以下の表に従って、E.coli染色体の固有の領域を標的とする。
RNP−標的複合体を形成するために、500ngの上記からの各バーコードを保有するゲノムDNA(ONLA18816)を、別々に、RNPの各混合物(NB01〜NB07、合計7つ)に添加し、20分間室温でインキュベートした。各混合物を次に55℃で5分間インキュベートして、その意図する標的に結合していないdCas9を除去した。混合物を以下のように1×SPRI精製に供した:約50μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートした。この時点で、7つの試料全てを単一のチューブに組み合わせた。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約1mLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを40mMのCAPS(pH10.0)、40mMのKClを含む12.5μLのバッファーと5分間インキュベートすることによって溶出した。ビーズをもう1回ペレット化し、「SPRI溶出液」として知られる上清を保持した。
50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)Tween−20を含む約120μLのバッファー中の2.5μLのAR364捕捉オリゴと約1時間撹拌しながらインキュベートした。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去した。このコンジュゲートは、「捕捉ビーズ」として知られていた。
dCas9結合標的分子を、12.5μLのSPRI溶出液を30μgの捕捉ビーズ(1μL)および50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)のTween−20を含む約65μLのバッファーと20分間撹拌しながらインキュベートすることによって、捕捉ビーズに結合させた。ビーズをその後、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回洗浄した。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去した。この試料は、「バーコード付きビーズ−標的複合体」として知られていた。
Oxford Nanopore TechnologiesのNative Barcoding Kit 1D(EXP−NBD103)からの酵素装填アダプターミックス(チューブ「BAM」)を、上記からのペレット化ビーズを12.5μLの2倍Blunt/TA Ligase Master Mix(New England Biolabs,Inc.、Cat#M0367)、5μLのBAM(Oxford Nanopore Technologies,Ltd.、キットEXP−NBD103)、および7.5μLのヌクレアーゼフリー水を含むライゲーションミックスで室温で10分間再懸濁することによって、バーコード付きビーズ−標的複合体にライゲーションし、ペレット化し、遊離未ライゲーションアダプターを除去するために50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する約125μLのバッファーで1回洗浄した。洗浄後、ビーズをもう1回ペレット化し、製造業者の指示に従って1倍に希釈した、50μLのRBF(SQK−LSK108の成分)に再懸濁した。この混合物は、バーコード付き装填試料として知られていた。
図48は、ここでバーコード付き装填試料としても知られる、ライゲーションされたバーコードアダプターを有する、dCas9−crRNA−tracrRNA−標的−ビーズコンジュゲートの予想される外観を示す。試料は、(標的配列以外で)試料を同定する、標的と酵素装填アダプターとの間のバーコードアダプター配列の存在を除いて、図41に示されるものと同様である。
Oxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した50nMのテザーオリゴを含有する800μLの1×RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移した。バーコード付き装填試料の50μL全体をSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませた。MinIONのデータ収集を直ちに開始し、データをOxford Nanopore TechnologiesのNative Barcoding Kitsの標準カスタマーワークフローに従って収集および分析した。
結果
図48、Dは、上記の多重化プロトコルを用いる6時間の配列決定ランにわたって収集された、E.coliゲノムに対して整列させたリードからのカバレッジプロットを示す。試料を、MinKNOW 1.7.14ソフトウェアで標準ベースライン配列決定スクリプトを実行する単一のOxford Nanopore Technologies MinIONフローセルにかけ、使用されるNative Barcoding Kitに適したOxford Nanopore Technologiesワークフローを用いて分析した。
各バーコード、NB01〜NB07は、以下の表に従ってE.coli配列の特定領域のプルダウンに関連付けられる。図48、Dのカバレッジプロットは、各特定の標的領域についてのバーコード配列のデコンボリューションの成功を示す。
材料
タンパク質
ONLP12326:S.pyogenes Cas9 D10A/H840A、TEV開裂可能なリンカーを有するC末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEV(上記配列)によって開裂された部分を示す。
実施例11
この実施例は、標的分子の富化後の、ナノポア配列決定による複雑なバックグラウンドにおける特定のポリヌクレオチドの検出方法を記載する。この実施例では、標的DNA分子は、主にその配列によって同定される。標的分子は、dCas9分子上の捕捉部分を介した「プルダウン」によってバックグラウンドから分離される。dCas9は、好ましくは、Escherichia coliのリボソーム16S(rrs)遺伝子に対するcrRNAによって標的分子に結合する。「オフターゲット」効果は、ビーズ表面上でのその後の捕捉前に過剰な未結合dCas9を除去するためのSPRI精製ステップと組み合わせて、結合dCas9タンパク質に熱および塩ストレスを加えることによって低減する。
この実施例では、DNA分析物は、捕捉ビーズに結合しながら、以下のいずれかの異なる方法で適合され得る:(1)高分子量ゲノムDNAは、せん断、末端修復、dAテール化、および適切な末端を用いてアダプターにライゲーションしてもよく、または(2)高分子量DNAは、Oxford Nanopore Technologies Rapid 1D Sequencing Kit(SQK−RAD003)によって使用されるものなどのトランスポザーゼシステムを用いて同時に切断および適合されてもよい。アダプターは、ビーズ上にある間に捕捉された分析物に対して他の化学反応が行われることを可能にし得るが、遊離アダプターなどの過剰な成分は洗い流される。例として、分析物は、酵素アダプターをライゲーションする前に適切なアダプター化学をライゲーションすることによって、Oxford Nanopore Technologiesの1D技術に適合され得る。あるいは、PCRによる捕捉標的の増幅、およびビーズからの捕捉分析物の放出を可能にするアダプターがライゲーションされ得る。
捕捉標的がPCRによって放出される例を除いて、ビーズ−標的−RNPアセンブリ全体を配列決定のためにフローセルに送達する。アセンブリは、フローセルの下に配置された磁界の印加によってフローセルのウェルに提供されるか、または重力によって沈降させることができる。配列決定は、ビーズ上に、ビーズを膜にテザリングする、アダプター末端にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドコレステロールテザーを流すことによって開始される。あるいは、コレステロールテザーは、ビーズ−標的コンジュゲートがフローセルに添加される前の、「洗い流し」ステップ中に膜に導入することができる。
方法
E.coli全ゲノムライブラリー、ONLA18816を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約5.9kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製する。このライブラリーを、製造業者の指示に従って、NEB Ultra IIキットを使用して末端修復およびdAテール化する。末端修復およびdAテーリング後、断片化ゲノムDNAを、0.4×SPRI精製に供し、0.1×TE中でSPRIビーズから溶出する。この試料は、「dA−テール化lゲノムDNA」として知られている。
500ngのdAテール化ゲノムDNAを、Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit by Ligation(SQK−LSK108)からの酵素装填アダプター(「AMX 1D」)に、12.5μLの2倍Blunt/TA Master Mix(New England Biolabs,Inc.、Cat#M0367)、7.5μLのヌクレアーゼフリー水、および5μLのAMX 1D(SQK−LSK108の一部)中、10分間室温でライゲーションする。ライゲーション後、未ライゲーションアダプターを0.4倍SPRI精製によって精製し、適合されたライブラリーを10mMのトリスCl、20mMのNaCl、pH8.0中でSPRIビーズから溶出する。この試料は、「プレライゲーションゲノムDNA」として知られている。
1μgのE.coli高分子量ゲノムDNA試料をせん断し、粘着末端を、約1μgのDNAの2.5μLの(Oxford Nanopore Technologies,Ltd.のSQK−RAD003からの)FRAとの、10μLの合計体積、30℃で20分間、続いて80℃で1分間のインキュベーションによって、単一のステップで導入する。500μLのAMPure XP SPRIビーズをヌクレアーゼフリー水で5回洗浄し、続いて50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)のPEG−8000を含む元の体積のバッファーに再懸濁し、「洗浄済みSPRIビーズ」を得る。ゲノムDNA試料を、0.4倍「洗浄済みSPRIビーズ」を用いる精製に供し、SPRIビーズを0.1倍TEを含む12.5μLのバッファーと室温で5分間インキュベートすることによって溶出する。ビーズをもう1回ペレット化し、「トランスポザーゼ断片化ゲノムDNA」として知られる上清を保持する。
200nMのDNA伸長型tracrRNA(AR363)を、(dCas9結合バッファーとして知られる)25mMのHEPES−NaOH(pH8.0)、150mMのNaCl、および1mMのMgClを含有するバッファーに添加する。tracrRNAを90℃まで2分間加熱し、湿った氷上で急冷し、その後100nMのdCas9(ONLP12326)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートする。250nMのcrRNA(AR400)を次いで反応物に添加し、さらに10分間室温(約21℃)でインキュベートする。最終体積は反応毎に50μLであった。この混合物は、リボヌクレオチド−タンパク質複合体(RNP)として知られている。
dCas9−標的複合体を形成するために、500ng(約1.2μL)のトランスポザーゼ断片化ゲノムDNA、dAテール化ゲノムDNA、またはプレライゲーションゲノムDNAのいずれかを反応毎にRNPに添加し、20分間室温でインキュベートする。混合物を次に55℃で5分間インキュベートして、その意図する標的に結合していないdCas9を除去する。各混合物を以下のように1×SPRI精製に供する:51μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートする。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約250μLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを40mMのCAPS(pH10.0)、40mMのKClを含む12.5μLのバッファーと5分間インキュベートすることによって溶出する。ビーズをもう1回ペレット化し、「SPRI溶出液」として知られる上清を保持した。
50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)Tween−20を含む約120μLのバッファー中の2.5μLのAR364捕捉オリゴと約1時間撹拌しながらインキュベートする。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去した。このコンジュゲートは、「捕捉ビーズ」として知られていた。
(トランスポザーゼ断片化ゲノムDNA、dAテール化ゲノムDNA、またはプレ適合ゲノムDNAに結合している)dCas9結合標的分子を、12.5μLのSPRI溶出液を10μgの捕捉ビーズ(1μL)および65μLのDynabeadsキロベースBINDER結合溶液(Thermo Scientific Cat.#60101)と20分間撹拌しながらインキュベートすることによって、捕捉ビーズに結合させる。ビーズを、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、20mMのNaClを含有するバッファーで1回洗浄する。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去する。この試料は、「ビーズ−標的複合体」として知られている。
1つの反応では、Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit by Ligation(SQK−LSK108)からの酵素装填アダプター(チューブ「AMX 1D」)を、上記からペレット化ビーズを12.5μLの2×Blunt/TA Master Mix(New England Biolabs,Inc.、Cat#M0367)、7.5μLのヌクレアーゼフリー水、および5μLのAMX 1D(SQK−LSK108の一部)を含むライゲーションミックスで10分間室温で再懸濁することによって、ビーズ上で捕捉されたdAテール化ゲノムDNAにライゲーションする。この試料は、「ビーズライゲーション1D」試料として知られている。
第2の反応では、標的がビーズに結合している間に2つの連続的ライゲーションを行うことによって、分析物を「1D」配列決定のために調製する。第1のライゲーション反応では、ビーズを、2.5μlの1Dアダプター、25μlのBlunt/TA Ligase Master Mix、および22.5μLのヌクレアーゼフリー水に再懸濁し、10分間室温でインキュベートする。10分のインキュベーション後、さらに10μLのBAMおよび10μLのBlunt/TA Ligase Master Mixをビーズに添加し、さらに10分間室温でインキュベートする。この試料は、「1D」試料として知られている。
第3の反応では、ビーズに結合しているトランスポザーゼ断片化ゲノムDNAを、ビーズを1倍RBF、および1μLの(SQK − RAD003からの)RPDを含有するバッファーに10分間再懸濁することによって、配列決定に適合させる。この試料は、「Rapid 1D」試料として知られている。
上記ライゲーションの各々の後、ビーズをライゲーション後にペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する125μLのバッファー中で1回洗浄し、50μLの(SQK−LSK108からの)RBFに再懸濁し、製造業者の指示に従って1倍に希釈する。この混合物は、装填試料として知られている。
ビーズに結合しているプレ適合ゲノムDNAを含有する試料について、ビーズを50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する125μLのバッファー中でもう1回洗浄し、50μLのRBF(SQK−LSK108の成分)に再懸濁し、製造業者の指示に従って1倍に希釈する。この混合物は、「プレライゲーション試料」として知られている。
さらなる反応では、Oxford Nanopore TechnologiesのLow−Input By PCRキット(SQK−LWP001)からのPCR−アダプター(チューブ「PCA」)を、上記からペレット化ビーズを50μLの2倍Blunt/TA Master Mix(New England Biolabs,Inc.、Cat#M0367)、30μLのヌクレアーゼフリー水、および20μLのPCAを含むライゲーションミックスで10分間室温で再懸濁することによって、ビーズ上で捕捉されたdAテール化ゲノムDNAにライゲーションする。ライゲーション後、ビーズをさらに125μLの10mMのトリス−Cl(pH8.0)、20mMのNaClで洗浄し、50μLのLongAmp Taq 2×Master Mix(NEB Cat#M0287)、2μLのWGPプライマー、および48μLのヌクレアーゼフリー水を含有する混合物に再懸濁する。混合物を、94℃での30秒の変性、ならびに94℃での30秒の変性、62℃で30秒のアニーリング、および65℃での500秒の伸長の10サイクルを含む、PCR増幅に供する。この試料を、上記のように予め洗浄したAMPure XPビーズを用いて0.4倍SPRI精製に供する。試料を、SPRIビーズから10μLの10mMのトリス−Cl(pH8.0)、20mMのNaCl中、5分間室温で溶出する。SPRIビーズからの溶出後、1μLのRPD(SQK−LWP001)を添加し、混合物を10分間室温でインキュベートして、クリックケミストリーによって配列決定アダプターをライゲーションする。さらに35μLのRBF、25μLのLLB、および5μLのヌクレアーゼフリー水も添加する。この試料は、「PCR」試料として知られている。
5つのOxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した50nMのテザーオリゴを含有する800μLの1×RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移す。各試料:1D、PCR、Rapid 1D、ビーズライゲーション、およびプレライゲーションを、5つのフローセルの各々のSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませる。MinIONのデータ収集を直ちに開始し、データを標準カスタマープロトコルに従って収集および分析する。
図49は、(1)ビーズに結合している捕捉標的分析物の末端への酵素フリーアダプターのライゲーションを介したdCas9の酵素フリー検出、(2)ビーズから標的を放出するための、上記のような、PCRアダプターのライゲーションによる標的の富化、続いて標的のPCR増幅、(3)dCas9が標的に結合し、標的がビーズに結合している間の、高精度ナノポア配列決定のための、1Dバーコードアダプター、続いて配列決定アダプターの連続的なライゲーションのための3つの例となるワークフローを示す。
図50は、アダプターライゲーションのために粘着末端を同時に付加しながら、DNAのトランスポザーゼ媒介せん断による、高分子量DNAからの標的の迅速な富化のための、実施例11に記載されるワークフローの例を示す。dCas9は、次いで、実施例11に記載されるように、せん断DNAに結合しており、オフターゲット効果は、ストレスステップによって最小化され、配列決定アダプターは、クリックケミストリーを介してライゲーションされる。このワークフローは、実施例10に記載されるように、トランスポザーゼ断片化ステップとアダプター付着ステップとの間にCas9結合およびビーズ捕捉ステップの挿入を有する、Oxford Nanopore Technologies SQK−RAD003キットを利用する。
結果
上記のワークフローの各々からの結果は、図42に描写されるもの、すなわち、全ゲノム試料からのE.coli rrs遺伝子の標的化富化と非常に類似した結果をもたらす。この例における唯一の相違は、配列決定アダプターを付着するための末端調製の方法である。バーコードの連続的なライゲーションを介して、1Dアダプター、続いて酵素装填配列決定アダプターを付着する能力は、ナノポア配列決定の単一分子精度を高める。トランスポザーゼを介したアダプターの結合、続いてクリックケミストリーを介した酵素フリーライゲーションを行う能力は、エンドユーザーにより大きな利便性を与え、より速い試料調製時間を可能にし得る。PCRアダプターを付着する能力は、エンドユーザーにかなり改善された感度を与え、はるかに少ない投入量の出発材料から富化標的の検出を可能にし得る。
標的分析物がビーズに結合している間の配列決定アダプターのライゲーションは、ポアを汚すことまたはヌクレオチド濃度を枯渇させることによってナノポア配列決定反応を害し得る過剰なアダプターをライゲーションステップ後に便利に洗い流すことを可能にする
材料
タンパク質
ONLP12326:S.pyogenes Cas9 D10A/H840A、TEV開裂可能なリンカーを有するC末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEV(上記配列)によって開裂された部分を示す。
実施例12
この実施例は、標的分子の富化後の、ナノポア配列決定による複雑なバックグラウンドにおける特定のポリヌクレオチドの検出方法を記載する。この例では、標的DNA分子は、主にその配列によって同定される。標的分子は、触媒活性(「生きた」、野生型)Cpf1(ONLP12350)または不活性(E993AまたはD908A)dCpf1(ONLZ11882またはONLZ11883)上の捕捉部分を介した「プルダウン」によってバックグラウンドから分離される。Cpf1またはdCpf1は、好ましくは、Escherichia coliのリボソーム16S(rrs)遺伝子に対するcrRNAによって標的分子に結合する。「オフターゲット」効果は、ビーズ表面上でのその後の捕捉前に過剰な未結合Cpf1またはdCpf1を除去するためのSPRI精製ステップと組み合わせて、結合Cpf1またはdCpf1タンパク質に熱および塩ストレスを加えることによって低減する。
Cpf1またはdCpf1は、図RB12に描写されるように、この伸長部(AR364)に相補的なDNA配列を担持するビーズ捕捉オリゴヌクレオチドコンジュゲート上の標的分子の捕捉を可能にする5’DNA伸長部(AR766)を担持するcrRNA分子を保有する。この実施例では、捕捉オリゴヌクレオチドは、ビオチン部分を介してビーズに連結される。この実施例では、非標的DNAは洗い流され、標的分子はビーズに結合したままである。標的分子を次いで、その遊離dAテール化末端の一方または両方へのライゲーションによってナノポア配列決定に適合させ、Cpf1標的分子をビーズに結合させる。ビーズ−標的−RNPアセンブリ全体を次いで、配列決定のためにフローセルに送達する。アセンブリは、フローセルの下に配置された磁界の印加によってフローセルのウェルに提供されるか、または重力によって沈降させることができる。配列決定は、ビーズ上に、ビーズを膜にテザリングする、アダプター末端にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドコレステロールテザーを流すことによって開始する。あるいは、コレステロールテザーは、ビーズ−標的コンジュゲートがフローセルに添加される前の、「洗い流し」ステップ中に膜に導入することができる。
方法
E.coli全ゲノムライブラリー、ONLA18816を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約5.9kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製する。このライブラリーを、製造業者の指示に従って、NEB Ultra IIキットを使用して末端修復およびdAテール化する。末端修復およびdAテーリング後、断片化ゲノムDNAを、0.4×SPRI精製に供し、0.1×TE中でSPRIビーズから溶出する。この試料は、「dA−テール化lゲノムDNA」として知られている。
250nMのDNA伸長型crRNA(AR766)を、(Cpf1結合バッファーとして知られる)50mMのトリス−HCl(pH8.0)、100mMのNaCl、10mMのMgCl、および1mMのDTTを含有するバッファーに添加する。crRNAを95℃まで2分間加熱し、室温まで冷却させ、その後500nMのCpf1(ONLP12326)を添加し、反応物を20分間室温(約21℃)でインキュベートする。この混合物は、リボヌクレオチド−タンパク質複合体(RNP)として知られている。
Cpf1−標的複合体を形成するために、500ng(約1.2μL)の上記からのゲノムDNA(ONLA18816)をRNPに添加し、60分間室温でインキュベートする。混合物を次に55℃で5分間インキュベートして、その意図する標的に結合していないCpf1を除去する。混合物を以下のように1×SPRI精製に供する:51μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートする。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約250μLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを40mMのCAPS(pH10.0)、40mMのKClを含む12.5μLのバッファーと5分間インキュベートすることによって溶出する。ビーズをもう1回ペレット化し、「SPRI溶出液」として知られる上清を保持する。
50μgのSolulink「Nanolink」ストレプトアビジン磁性ビーズ(5μL)を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2MのNaCl、1mMのEDTA、0.05%(体積/体積)Tween−20を含む約120μLのバッファー中の2.5μLのAR364捕捉オリゴと約1時間撹拌しながらインキュベートする。未結合オリゴヌクレオチドを、ビーズを同じバッファーで2回洗浄し、磁性分離機を使用してビーズをペレット化することによって除去する。このコンジュゲートは、「捕捉ビーズ」として知られていた。
Cpf1またはdCpf1結合標的分子を、12.5μLのSPRI溶出液を10μgの捕捉ビーズ(1μL)および65μLのDynabeadsキロベースBINDER結合溶液(Thermo Scientific Cat.#60101)と20分間撹拌しながらインキュベートすることによって、捕捉ビーズに結合させる。ビーズを、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有するバッファーで3回、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、20mMのNaClを含有するバッファーで1回洗浄する。このステップ後、ビーズをペレット化し、上清を除去する。この試料は、「ビーズ−標的複合体」として知られている。
Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit by Ligation(SQK−LSK108)からの酵素装填アダプター(チューブ「AMX 1D」)を、上記からペレット化ビーズを12.5μLの2×Blunt/TA Master Mix(New England Biolabs,Inc.、Cat#M0367)、7.5μLのヌクレアーゼフリー水、および5μLのAMX 1D(SQK−LSK108の一部)を含むライゲーションミックスで10分間室温で再懸濁することによって、ビーズ上で捕捉されたdAテール化ゲノムDNAにライゲーションする。この試料は、「ビーズライゲーション1D」試料として知られている。
ビーズをライゲーション後にペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する125μLのバッファー中で1回洗浄し、50μLの(SQK−LSK108からの)RBFに再懸濁し、製造業者の指示に従って1倍に希釈する。この混合物は、装填試料として知られている。
Oxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した50nMのテザーオリゴを含有する800μLの1×RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移す。装填試料をフローセルのSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませる。MinIONのデータ収集を直ちに開始し、データを標準カスタマープロトコルに従って収集および分析する。
結果
上記のワークフローからの結果は、図42に描写されるものおよび図47に描写されるもの、すなわち、全ゲノム試料からのE.coli rrs遺伝子の標的化富化と非常に類似した結果をもたらす。生きたCpf1は、方向性バイアスを課し得る。この実施例における相違は、RNPを形成するために使用されるCRISPRタンパク質(すなわち、Cas9またはdCas9ではなく、Cpf1またはdCpf1)、およびRNPを形成するための単一DNA伸長型crRNAの使用である。
標的分析物がビーズに結合している間の配列決定アダプターのライゲーションは、ポアを汚すことまたはヌクレオチド濃度を枯渇させることによってナノポア配列決定反応を害し得る過剰なアダプターをライゲーションステップ後に便利に洗い流すことを可能にする。
材料
タンパク質
ONLP12350:Acidaminococcus sp.Cpf1、TEV開裂可能なリンカーを有するN末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEVによって開裂された部分を示す:
ONLZ11882:Acidaminococcus sp.Cpf1 D908A、TEV開裂可能なリンカーを有するN末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEVによって開裂された部分を示す:
ONLZ11883:Acidaminococcus sp.Cpf1 E993A、TEV開裂可能なリンカーを有するN末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEVによって開裂された部分を示す:
実施例13
この実施例は、ナノポア検出によるヒトバックグラウンドにおける特定のバクテリオファージラムダポリヌクレオチドの迅速な検出および定量化のための方法を記載する。この実施例では、標的DNAを、表面上への標的分子の固定化に使用され得る親和性タグを保有する1つ以上のdCas9−RNP複合体(複数可)(「固定化dCas9複合体(複数可)」)に接触させ、1つ以上のさらなるdCas9−RNP複合体(「バーコードCas9複合体(複数可)」)は、第2の領域において標的DNA分子と接触する。「バーコードdCas9複合体」は、その電流シグネチャーがdCas9がその標的に結合していることを確認するために使用される、酵素装填アダプター分子を保有する。標的領域の存在は、バーコードによって同定され、一方で非標的DNAに対する標的の検出の感度は、膜表面上への固定化によって向上する。よって、dCas9複合体の両方の種類は、バーコード配列の検出を成功させるために、同じ標的分子に結合している必要がある。この例では、非標的DNAを洗い流す必要はない。
方法
バクテリオファージラムダ全ゲノムライブラリー(NEB Cat#N3013)を、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いるE.coli高分子量ゲノムDNAの約5kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製する。ヒト全ゲノムライブラリーも、製造業者の指示に従って、Covaris gTubeを用いる高分子量ゲノムDNA(Sigma Aldrich、Cat#000000011691112001)の約5kbの中央サイズへのランダム断片化によって調製する。
「酵素装填crRNA」を、オリゴヌクレオチドOLIGO_1、3’DNA伸長部を担持するcrRNAオリゴヌクレオチド、およびOLIGO_2、DNAアダプターオリゴヌクレオチドを、PCR装置で、10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、200mMのNaCl中、40μMの各オリゴヌクレオチドで、95℃まで2分間加熱し、20℃まで約2時間かけてゆっくり冷却することによって、ハイブリダイズすることによって調製する。このアニーリング反応は、crRNA部分、および「crRNAアダプター」として知られる、二重螺旋であり、3’dA−オーバーハングを担持する、DNA伸長部分を有するハイブリッド分子をもたらす。Oxford Nanopore Technologiesの1D Sequencing Kit By Ligation(SQK−LSK108)からのAMX 1D酵素アダプターを、5μLの(dT−オーバーハングを保有する)AMX 1Dを1μLの「crRNAアダプター」(1.25μL)、50μLの2倍NEB Blunt/TA Master Mix、および43.8μLのヌクレアーゼフリー水と、約100μLの合計体積で、10分間室温でインキュベートすることによって、「crRNAアダプター」にライゲーションする。過剰な未ライゲーション材料を、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、28%(重量/体積)のPEG−8000中で平衡化した3.8倍体積のAMPure XP SPRIビーズの添加によって精製し、10mMのトリス−Cl(pH8.0)、20mMのNaClを含むバッファー中で「酵素装填crRNA」を溶出する。
「コレステロールテザー」を、オリゴヌクレオチドAR131およびAR132をPCR装置で、10mMのトリス−Cl(pH8.0)、1mMのEDTA、200mMのNaCl中、40μMの各オリゴヌクレオチドで、95℃まで2分間加熱し、20℃まで約2時間かけてゆっくり冷却することによって、ハイブリダイズすることによって調製した。このアニーリング反応は、以下のcrRNA AR140に対する相補性を担持する3’オーバーハングを有するハイブリッド分子をもたらす。
200nMの「Alt−R」tracrRNA(Integrated DNA Technologies,Inc.、Cat#1072532)を、(dCas9結合バッファーとして知られる)25mMのHEPES−NaOH(pH8.0)、150mMのNaCl、および1mMのMgClを含有するバッファーに添加する。tracrRNAを90℃まで2分間加熱し、湿った氷上で急冷し、その後100nMのdCas9(ONLP12326)を添加し、反応物を10分間室温(約21℃)でインキュベートする。2つのcrRNA、1つの3’DNA伸長配列を担持する、125nMのAR140、および配列決定アダプターを担持する、上記からの125nMの「酵素装填crRNA」の等モルミックスを添加する。インキュベーションを室温(約21℃)で10分間継続する。最終体積は、約50μLである。この混合物は、リボヌクレオチド−タンパク質複合体(RNP)として知られている。
dCas9−標的複合体を形成するために、変動する量の0〜100ngの上記からのバクテリオファージラムダゲノムDNAを、一定の1μg(合計5μL中)の上記からのヒトDNAと混合し、RNPに添加し、20分間室温でインキュベートする。混合物を、過剰な未結合dCas9、crRNA、およびtracrRNAを除去するために、以下のように1×SPRI精製に供する:51μLのAMPure XPビーズを混合物に添加し、穏やかな再懸濁によって混合し、10分間室温でインキュベートする。ビーズを磁性分離機を使用してペレット化し、50mMのトリス−Cl(4℃でpH8.0)、2.5MのNaCl、20%(重量/体積)PEG−8000を含む約250μLのバッファーで2回洗浄し、SPRIビーズを12.5μlの10mMのトリス−Cl(pH8.0)、20mMのNaClとインキュベートすることによって溶出する。12.5μLの溶出液に、35μLのRBF、25μLのLLB(SQK−LSK108、Oxford Nanopore Technologiesの両成分)、および2.5μLのヌクレアーゼフリー水を添加する。この試料は、「装填試料」として知られている。
Oxford Nanopore MinIONフローセルを、その入口ポートを介してピペットで移した、AR134Aおよびコレステロール部分への相補性を担持する、50nMの「コレステロールテザー」を含有する800μLの1倍RBFでプライミングし、続いて10分の停止後、SpotONポートを開いたその入口ポートを介して200μLの同じ混合物をピペットで移す。装填試料の75μL全体をSpotONポートにピペットで滴下し、流体をフローセルに吸い込ませた。フローセルは洗い流されず、膜テザリング分析物はナノポアによって優先的に捕捉されるので、バックグラウンドにわたる標的分析物の定量化が可能である。MinIONデータ収集を直ちに開始し、データをアダプター事象の数を計測することによって収集および分析する。
結果
図52は、上記の例を漫画形態で示す。ナノポア配列決定リードアウトは、酵素装填アダプターCに依存する(バーコード配列bをもたらすようにベースコールされ得る)特徴的な事象L1によって中断され、その頻度は、標的分析物(膜テザリング種G、および溶液種H)の濃度に依存し、膜テザリング種Gは、ナノポアへのその近接のため、ナノポアJによって優先的に捕捉される。一定量のヒト非標的DNAに対する標的分析物(バクテリオファージラムダ)の滴定は、標的分析物濃度に対する事象L1の頻度のプロットMをもたらす。ゼロ標的分析物濃度(N)での事象L1の頻度は、溶液から捕捉される(すなわち、表面にテザリングされていない)種Hの検出の「偽陽性」またはバックグラウンド率を示す。
材料
タンパク質
ONLP12326:S.pyogenes Cas9 D10A/H840A、TEV開裂可能なリンカーを有するC末端Twin−Strepタグ、括弧内太字はTEV(上記配列)によって開裂された部分を示す。
結果
CRISPR−dCas9複合体が存在しない場合、またはCRISPR−dCas9複合体が3.6kb中のDNA配列に相補的であるcrRNA配列を有さない場合、得られる信号は、3.6kbがポアを通過するときに短命電流偏向のものである(図37)。3.6kbが、上記のように3.6kb中に見られるDNA配列に相補的であるcrRNA配列を有するCRISPR−dCas9複合体に結合している場合、信号は、ポアを通過するCRISPR−dCas9複合体を表す追加のサブレベルを有する(図38)。複数のCRISPR−dCas9複合体がDNAに結合している場合、各複合体は、電流に対して別々の偏向を引き起こす(図39)。dCasが修飾または装飾される場合、信号は、各複合体がポアを通過するときに変化する(図40)。複合体によって引き起こされる電流偏向の信号位置の変化は、ポリヌクレオチド(例えばDNA)についての情報を提供するために使用することができる。

Claims (75)

  1. 試料中の標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、
    (a)前記試料を前記標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と接触させることであって、前記ガイドポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、前記試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成する、接触させることと、
    (b)前記試料を、膜貫通ポアを含む膜と接触させることと、
    (c)前記膜にわたり電位差を印加することと、
    (d)前記複合体の存在または不在を決定し、それによって前記試料中の前記標的ポリヌクレオチドを検出するように、前記複合体と前記膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在を監視することと、を含む、方法。
  2. 前記ガイドポリヌクレオチドが、ガイドRNAであり、前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、RNA誘導型エフェクタータンパク質である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RNA誘導型エフェクタータンパク質が、RNA誘導型エンドヌクレアーゼまたは前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼであり、RNA誘導型エンドヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性が無効化されている、請求項2に記載の方法。
  4. (i)前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼの1つ以上の触媒ヌクレアーゼ部位が不活性化されている、および/または
    (ii)前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼがCas、Cpf1、もしくはC2c2である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記Casが、Cas9である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記標的ポリヌクレオチドが、二本鎖であるか、もしくは二本鎖領域を含み、および/またはDNA、DNA/RNAハイブリッド、またはRNAである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップ(b)の前に前記標的ポリヌクレオチドに特異的に結合していない任意のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を選択的に変性させること、および/または前記標的ポリヌクレオチドに特異的に結合していない任意のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質を除去することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記標的ポリヌクレオチドに特異的に結合していない任意のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、約50℃〜約60℃まで加熱することによって変性する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記標的ポリヌクレオチドに特異的に結合していないポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、前記試料中の前記ポリヌクレオチドをビーズまたはカラムに結合させることによって、前記ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および標的ポリヌクレオチドを含む前記複合体から分離される、請求項7または8に記載の方法。
  10. ポリエチレングリコール(PEG)および塩化ナトリウムを前記試料に添加し、前記試料をカルボキシル基でコーティングされた常磁性ビーズと、前記試料中に存在する前記ポリヌクレオチドが前記ビーズに結合するように接触させることを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記ガイドポリヌクレオチドが、前記標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するヌクレオチド配列と、前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合するヌクレオチド配列とを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ガイドポリヌクレオチドが、前記標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するcrRNAとtracrRNAとを含むガイドRNAである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ガイドRNAが、sgRNAである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ガイドポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、または前記標的ポリヌクレオチドが、それに付着している前記膜に連結することができるアンカーを有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記アンカーが、コレステロールを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記アンカーが、前記ガイドポリヌクレオチド上の伸長部にハイブリダイズされたポリヌクレオチドを介して前記ガイドポリヌクレオチドに付着している、請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記ガイドポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、または前記標的ポリヌクレオチドが、それに付着している表面に結合することができる結合部分を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記表面が、ビーズの表面である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記結合部分が、前記ガイドポリヌクレオチド上の末端伸長部である、請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記ガイドポリヌクレオチドが、任意選択に前記ガイドポリヌクレオチド上の末端伸長部である、2つの結合部分を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ガイドポリヌクレオチドが、第1の末端伸長部および第2の末端伸長部を含み、前記方法が、ステップ(b)の前に、
    (i)前記ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体が前記表面に結合するように、前記試料を、それに結合している前記第1の末端伸長部に相補的な配列を含む第1の捕捉オリゴヌクレオチドを有する表面と接触させることと、
    (ii)前記ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体が前記表面から放出されるように、前記表面に結合している前記ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体を、競合オリゴヌクレオチドと接触させることと、
    (v)前記ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体が前記ビーズに結合するように、前記ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリヌクレオチド複合体を、それに結合している前記第2の末端伸長部に相補的な配列を含む第2の捕捉オリゴヌクレオチドを有するビーズと接触させることと、任意選択に
    (vi)前記ビーズを前記膜貫通ポアに送達することと、を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記膜および/またはビーズに連結していないガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および/またはポリヌクレオチドを洗い流すステップをさらに含む、請求項14〜20のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記標的ポリヌクレオチドが、リーダー配列を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記ガイドポリヌクレオチドが、それに付着しているアダプターを有し、任意選択に前記アダプターがバーコードおよび/またはリーダー配列を含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. ポリヌクレオチド結合タンパク質が、リーダー配列に付着している、請求項23または24に記載の方法。
  26. ステップ(d)が、前記ポアを通した前記アダプター、前記標的ポリヌクレオチド、または前記ガイドポリヌクレオチドの転座によって引き起こされる効果について監視することを含む、請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. ステップ(a)が、前記試料および膜貫通ポアを、
    (a)第1のガイドポリヌクレオチドおよび第1のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質であって、前記第1のガイドポリヌクレオチドが、前記標的ポリヌクレオチド中の第1の配列に結合し、それに付着しているアダプターを有する、第1のガイドポリヌクレオチドおよび第1のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と、ならびに
    (b)第2のガイドポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質であって、前記第2のガイドポリヌクレオチドが、前記標的ポリヌクレオチド中の第2の配列に結合し、前記第2のガイドポリヌクレオチドまたは前記第2のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、それに付着している表面に連結することができるアンカーを有する、第2のガイドポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と、に接触させることを含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. (i)前記第1および第2のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が同じであり、前記第2のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、それに付着しているアンカーを有さないか、または
    (ii)前記第1および第2のポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、異なるRNA誘導型エフェクタータンパク質である、請求項27に記載の方法。
  29. 前記アダプターの前記膜貫通ポアとの相互作用を検出することを含む、請求項27または28に記載の方法。
  30. 前記アダプターが、バーコードを含む、請求項29に記載の方法。
  31. ステップ(a)が、前記試料を2つ以上の第1のガイドポリヌクレオチドと接触させることであって、前記2つ以上の第1のガイドポリヌクレオチドが、異なるポリヌクレオチド配列に結合する、接触させることを含む、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記2つ以上の第1のガイドポリヌクレオチド複合体上の前記アダプターが、異なるバーコードを含む、請求項31に記載の方法。
  33. 前記異なるポリヌクレオチド配列が、同じ標的ポリヌクレオチド内にあるか、または前記標的ポリヌクレオチド中に存在し得る代替配列である、請求項31または32に記載の方法。
  34. 前記代替配列が、SNPを含む、請求項33に記載の方法。
  35. ステップ(a)が、前記試料を2つ以上の第2のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体と接触させることであって、前記2つ以上の第2のガイドポリヌクレオチドが、異なるポリヌクレオチド配列に結合する、接触させることを含む、請求項27〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記異なる標的配列が、異なる標的ポリヌクレオチド中に存在する、請求項31、32、または35に記載の方法。
  37. 前記試料が、それに付着しているポリヌクレオチド結合タンパク質を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  38. ステップ(c)の前に、前記ポリヌクレオチド結合タンパク質を前記ポリヌクレオチドに沿って移動させるステップであって、前記ポリヌクレオチド結合タンパク質の移動が、前記標的ポリヌクレオチドに結合しているガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体に到達すると停止する、ステップを含む、請求項37に記載の方法。
  39. ステップ(d)において前記膜貫通ポアが、前記標的ポリヌクレオチドに結合している前記ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体が前記ポアを通した前記標的ポリヌクレオチドの転座中に前記複合体から変位されるように寸法決定される、請求項38に記載の方法。
  40. 前記ガイドポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、それに付着しているビーズに連結することができる結合部分を有し、ステップ(a)において前記ガイドポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、ビーズに連結しているか、またはステップ(a)が、前記試料をビーズと接触させることをさらに含む、請求項37または38に記載の方法。
  41. 前記標的ポリペプチドの量または前記標的ポリヌクレオチドの1つ以上の特徴を決定することをさらに含む、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記1つ以上の特徴が、(i)前記標的ポリヌクレオチドの長さ、(ii)前記標的ポリヌクレオチドの同一性、(iii)前記標的ポリヌクレオチドの配列、(iv)前記標的ポリヌクレオチドの二次構造、および(v)前記標的ポリヌクレオチドが修飾されているか否か、から選択される、請求項41に記載の方法。
  43. 前記標的ポリヌクレオチドが、それに付着している膜に連結することができるアンカーを有し、前記ガイドポリヌクレオチドが、それに付着しているアダプターおよび/またはリーダー配列を有する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記アダプターの前記膜貫通ポアとの相互作用を検出することを含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記アダプターが、バーコードを含む、請求項44に記載の方法。
  46. ステップ(a)が、前記試料を2つ以上のガイドポリヌクレオチドと接触させることであって、前記2つ以上のガイドポリヌクレオチドが、前記標的ポリヌクレオチド中の異なる配列に、または異なる標的ポリヌクレオチドの配列に結合する、接触させることを含む、請求項37〜45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記ポアが、前記複合体全体が前記ポアを通過するように寸法決定される、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  48. ステップ(a)後に、前記試料中の前記ポリヌクレオチドが断片化される、および/または前記ガイドポリヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、前記標的ポリヌクレオチドに架橋される、請求項1〜47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 試料中の二本鎖ポリヌクレオチドを含む標的を検出する方法であって、
    (a)前記試料を第1のプローブおよび第2のプローブと接触させることであって、前記第1のプローブおよび前記第2のプローブが、前記試料中に存在する任意の標的ポリヌクレオチドと複合体を形成し、前記第1のプローブが、前記標的二本鎖ポリヌクレオチド中の第1の配列に結合し、表面に連結することができるアンカーを含み、前記第2のプローブが、前記標的二本鎖ポリヌクレオチド中の第2の配列に結合し、アダプター配列を含む、接触させることと、
    (b)前記試料を膜貫通ポアと接触させることと、
    (c)前記膜貫通ポアに電位を印加することと、
    (d)前記複合体の存在または不在を決定し、それによって前記試料中の前記標的二本鎖ポリヌクレオチドを検出するように、前記複合体と前記膜貫通ポアとの相互作用から生じる効果の存在または不在を監視することと、を含む、方法。
  50. (i)前記標的ポリヌクレオチドが、DNAおよび/またはRNAを含み、
    (ii)任意の未結合プローブが、ステップ(c)の前に洗い流され、
    (iii)ステップ(d)が、前記アダプターの前記膜貫通ポアとの相互作用について監視することを含み、
    (iv)(a)前記第1のプローブおよび/または前記第2のプローブが、酵素を含み、任意選択に
    前記第1のプローブおよび/もしくは前記第2のプローブが、ガイドRNA/RNA誘導型エフェクタータンパク質複合体であるか、または前記第1のプローブおよび/または前記第2のプローブが、RecAコーティングプローブであり、
    (b)前記プローブが、PNA、BNA、LNA、γPNA、三重螺旋DNA、またはモルホリノプローブであり、
    (v)前記第2のプローブが、ポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質をさらに含み、任意選択に前記アダプターがリーダー配列を含み、前記ポリヌクレオチド結合タンパク質が前記リーダー配列に結合しており、
    (vi)前記アダプターが、バーコードを含み、
    (vii)ステップ(a)が、前記試料および膜貫通ポアを2つ以上の第1のプローブと接触させることであって、前記2つ以上のプローブが、異なるヌクレオチド配列に結合し、任意選択に異なるバーコードを含み、任意選択に前記異なる配列が、同じ標的ポリヌクレオチド内に存在するか、前記標的ポリヌクレオチド中に存在し得る代替配列であるか、または異なる標的ポリヌクレオチド中に存在する、接触させることを含み、
    (viii)ステップ(a)が、前記試料および膜貫通ポアを2つ以上の第2のプローブと接触させることであって、前記2つ以上のプローブが異なるヌクレオチド配列に結合する、接触させることを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記試料が断片化ゲノムDNAを含むか、または前記試料がゲノムDNAを含み、ステップ(a)が前記ゲノムDNAを断片化することをさらに含む、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記試料が、対象からの生物学的流体である、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記標的ポリヌクレオチドが、疾患および/または微生物と関連しているポリヌクレオチドである、請求項1〜52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記疾患が、感染性疾患、心疾患、または癌である、請求項53に記載の方法。
  55. 前記試料が、T細胞DNAを含む、請求項1〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するヌクレオチド配列、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、アダプター、および/または表面に連結することができるアンカーに結合するヌクレオチド配列を含む、ガイドポリヌクレオチド。
  57. ガイドRNAである、請求項56に記載のガイドポリヌクレオチド。
  58. crRNAおよびtracrRNAを含み、前記crRNAおよびtracrRNAが、任意選択にsgRNA中に存在する、請求項57に記載のガイドポリヌクレオチド。
  59. (i)前記アンカーまたは(ii)前記アダプターが、前記tracrRNAの5’末端、前記tracrRNAの3’末端、前記crRNAの3’末端、または内部に存在し、前記tracrRNAおよびcrRNAが、sgRNAに含まれる、請求項57または58に記載のガイドポリヌクレオチド。
  60. それに付着しているポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質をさらに含む、請求項56〜59のいずれか一項に記載のガイドポリヌクレオチド。
  61. 前記アンカーが、コレステロールである、請求項56〜60のいずれか一項に記載のガイドポリヌクレオチド。
  62. 請求項56〜61のいずれか一項に記載のガイドポリヌクレオチドと、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質とを含む、ガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体。
  63. 前記ガイドポリヌクレオチドが、ガイドRNAであり、前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、RNA誘導型エフェクタータンパク質である、請求項62に記載の複合体。
  64. 前記RNA誘導型エフェクタータンパク質が、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ、または前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性が無効化されているRNA誘導型エンドヌクレアーゼである、請求項63に記載の複合体。
  65. 前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼの触媒ヌクレアーゼ部位のうちの1つ以上が不活性化されている、請求項64に記載の複合体。
  66. 前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼが、Cas、Cpf1、またはC2c2である、請求項64または65に記載の複合体。
  67. 前記Casが、Cas9である、請求項66に記載の複合体。
  68. 請求項54〜59のいずれか一項に記載の2つ以上のガイドポリヌクレオチド、または請求項62〜67のいずれか一項に記載の2つ以上の複合体のパネル。
  69. (a)ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、および表面に連結することができるアンカーを含む、キット。
  70. アダプターおよび/または(ii)ポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質をさらに含む、請求項69に記載のキット。
  71. 請求項56〜61のいずれか一項に記載のガイドポリヌクレオチド、請求項62〜67のいずれか一項に記載のガイドポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質複合体、または請求項68に記載のガイドポリヌクレオチドもしくは複合体のパネルを含む、請求項69または70に記載のキット。
  72. 試料中の標的ポリヌクレオチドを検出するためのシステムであって、
    ナノポアと、
    ガイドポリヌクレオチド結合ドメインを含むポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質と、
    前記標的ポリヌクレオチドの一部分中の配列に相補的である第1の部分、および前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質の前記ガイドポリヌクレオチド結合ドメインに結合するように適合されている構造物を含むガイドポリヌクレオチドと、を含む、システム。
  73. 標的ポリヌクレオチドおよび/または膜をさらに含み、前記ナノポアが前記膜中に存在する、請求項72に記載のシステム。
  74. 前記標的ポリヌクレオチド、ガイドポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、複合体を形成する、請求項73に記載のシステム。
  75. 前記標的ポリヌクレオチドが、膜に連結している、請求項73または74に記載のシステム。

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