JP2019531781A - 一体的に射出成形される層スリーブを備えたペンシル - Google Patents
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Abstract
着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルであって、塗布されるべき物質からなる芯と、この芯を被覆する一体的に射出成形されたスリーブとを備え、このスリーブが熱可塑性材料からなり、この熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなる混合物からなる、ペンシルにおいて、スリーブは、それぞれ半径方向で見ると、第1プラスチック相の濃度が中央領域中よりも高い外側強化ゾーンを有し、スリーブは、それぞれ半径方向で見ると、第1プラスチック相の濃度が中央領域中よりも高い内側外側強化ゾーンを有する。
Description
本発明は、各主請求項の前提部に記載の尖らせることができるペンシル、とりわけ化粧品用ペンシル、およびその製造方法に関する。
木製のペンシルスリーブにより芯が収容される化粧品用ペンシルは非常に普及している。この木製のペンシルスリーブは、鉛筆削り器の原理に従って動く削り器を用いて、手動で良好に尖らせることができ、尖らせ直すことができる。
しかし、木製のペンシルスリーブの製造は、本質的に非常にコスト高である。その上に木製の板を成型し、接着し、その後切削により切り離さねばならない。
この種のペンシルが、鉛筆または色鉛筆としてではなく、化粧品用ペンシルとして製造されねばならない場合には、さらなる特殊な問題が生じる。
化粧品用ペンシルは、通常、色鉛筆よりも高い木材品質を必要とする。これは、通常化粧品用ペンシルがより均質な先端像を有するべきであるからである。さらに、化粧品用ペンシルには、多かれ少なかれコスト高の表面仕上げが必要である。個々のペンシルには、通常一度または数回ラッカー塗りをし、またはコーティングをする。なぜならば、個々の色鉛筆と比較して高価である化粧品用ペンシルは、買い手に対して視覚的および触覚的に特別な高品質感を伝えるべきであるからである。
芯用ペーストに関連してそれ自体では問題のないこの種のペンシルの典型的な製造方法は、適切な芯用ペーストを押し出し、溝を付けた薄板に貼り付ける、またはプラスチックスリーブ中に押し入れる方法である。この方法は、色鉛筆の製造において実証された方法に相当する。この押し出し成形方法における欠点は、通常、比較的硬い芯になるような芯用ペーストのみが挿入可能である点である。なぜならば、この芯は、さらなる処理において取扱い可能であり続けなければならず、柔らかすぎる芯では、これに続いて張り合わされるべき薄板の間に挟まれる際に、変形する恐れがあるからである。しかしながら、硬い芯は、まさに化粧品用ペンシルにおいてしばしば望ましくないが、この理由は、相対的に高い圧力下でのみ、満足できる量の化粧品を芯から引き外すことができることにより、いわゆる塗布がより難しくなるからである。
この理由により、化粧品用ペンシル製造の分野では、しばしば異なる芯の製造方法が採用される。この方法の場合、化粧品用のペーストは、事前に製造された同心の穴を備えたシャフトスリーブ中に熱い状態で注入され、そこで芯用ペーストが冷却する。しかし、この場合には、化粧品用ペーストが、(熱い状態では)比較的高い割合の揮発性成分を有しうるとの問題が生じる。この揮発性成分は、少なくとも時間の経過とともに、さらに冷却状態でも拡散し、または移動する傾向がある。
したがって、この種の柔らかい芯を備えた化粧品用ペンシルでは、そもそも木製のスリーブである場合には、芯を収容する木製のペンシルスリーブの内側表面にも、特別な前処理が採用されることが必要である。特別な方策が必要であるのは、芯の揮発性成分が木材中に入って拡散しまたは木材中で移動し、木材を通って芯から出て、可能性として外側表面におけるラッカーに悪影響を与えることを防がねばならないからである。ところで、この問題は、プラスチックにおいても、とりわけ発泡プラスチックにおいても直面しうる。プラスチック中にも、揮発性成分は拡散し、しばらくしてプラスチックを十分強く通り抜ける際に、外側表面に悪影響を与える可能性がある。
この問題を正すために、独国特許出願公開第2 834 479号明細書は、油脂芯を備えた化粧品用ペンシルであって、芯がスリーブに入れられる前に金属被覆を設けた化粧品用ペンシルを作ることを提案している。金属被覆は良好な遮断部になるが、不必要なコストが生じる。さらに、これは、ペンシルを尖らせる際には妨げとなる。金属被覆は、確かに非常に薄くすることができ、ほとんど薄膜により形成されうる。しかし削り器で切り取られる細長片は、もつれあう傾向があるが、この理由は、木材の削りくずが切り取られる場合とは異なり、この場合には、削りくずが切れないからである。
独国特許出願公開第31 37 4 86 A1号明細書は同じ問題を扱っている。この文献で提案されるのは、芯を射出可能なプラスチック材料からなる細管中に入れ、この細管を、外側で、溶媒が透過しない層、例えばポリエステルからなるプラスチック薄膜で被覆することである。この種の構成はコスト高であるのみならず、化粧品用ペンシルに課せられる高い視覚的および触覚的要件も満たすことができない。さらに、この薄膜は、熱収縮チューブとして取り付けられる場合には、しわが寄る、または一般的に望ましくない重複を形成しうる。これ以外に、プラスチック薄膜を組み込むことにより、プラスチック薄膜は、ペンシルを尖らせる際に切り込みが入りかつ必ずしもきれいに切り取られず、その結果、尖らせた端部の見かけがよくないとの危険があるとの理由からも問題がある。さらに、上で既に金属被覆について述べた削りくずが切れないとの問題もある。これらの問題は、尖らせやすさについて上述の特許出願中で何も述べられてとはいえ、当業者には公知である。
欧州特許第0 613 634 B1号明細書も、この問題を扱っている。この文献ではペンシルスリーブを組み合わせて形成するが、このスリーブは薄壁のプラスチック細管からなり、この細管を本来のペンシルスリーブの収容開口中に押し入れることを提案している。これらの双方の部分を組み立てた後に、芯を注入する。明らかに、押し入れられる薄壁のプラスチック細管の課題は、芯を密封し、芯の注入温度を超えて芯を形状安定で保つことである。この細管の壁は薄いので、比較的硬いプラスチックを採用する場合でさえも、尖らせるのに妨げとはならない。これに反して本来のペンシルスリーブについては、良好に尖らせることができるプラスチックを用いることができ、このプラスチックについて芯の成分の拡散挙動について顧慮するには及ばない。
一般的には、一体的なペンシルスリーブをプラスチックで製造する場合には、何重にも相反する目標が存在する。
まず、手動の鉛筆削り器の原理に従って動作する削り器を用いて尖らせることができるように、十分柔らかいプラスチックを用いねばならない。そして、同時に、このプラスチックは、芯の注入温度を超えて形状保持性を有さねばならない。最後に、可能な限り後加工を少なくして、所望の視覚的、触覚的および高品質の外観を提供するために、このプラスチックは、可能な限り魅力的な表面を形成せねばならない。
この限りで役に立つ妥協を見つけるために、多くの本質的に相対的に硬質のプラスチックを、ペンシルスリーブの製造のために採用する。これらのプラスチックは必須となる耐久性を有する。この場合、尖らせやすさは、大概プラスチックが発泡することにより確保される。しかしながら、発泡プラスチックは、射出成形方法では加工されえず、ペンシルスリーブは押し出により製造することが必須である。発泡および押し出しにより、表面品質は悪影響を受け、その結果、この種のペンシルスリーブは、後処理なしには、販売用には適さない。
このための一例は米国特許第5 360 281号明細書であり、この特許は、発泡プラスチックからなるペンシルスリーブについて保護請求をしている。この特許は、ペンシルスリーブを射出成形により製造することについての思想も述べているが、この思想は特許請求項中には入れられていないが、これは、明らかに、提案されたプラスチックが発泡しない場合、極端に尖らせやすさが劣っていることを示す。
最後に、米国特許出願公開第2013/0121747 A1号明細書も言及すべきであるが、この文献は、化学的および機械的な観点から特に安全なペンシルスリーブを備えたペンシルを提供することを目的にしている。この点は、製造時および使用時にVOCを放出しないこと、および割れる際に破片がでないプラスチック混合物を選択することによって達成されるべきで、その結果、これに対応するペンシルは、小さな子どもにも適している。さらに、このペンシルは、容易に尖らせることもできるとされている。
この問題を解決するために、上述の米国特許は、ペンシルスリーブの製造のために、以下のようなプラスチック混合物を採用することを提案している。すなわち、このプラスチック混合物は、
・少なくとも1つのスチレンブタジエンコポリマーと、
・少なくとも1つのスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーと、
・スチレンポリマー、スチレンアクリルニトリルポリマー、アクリルニトリルブタジエンスチレンポリマー、アクリルスチレンメチルメタクリレートまたは上述のプラスチックの組み合わせからなる群から選ばれた少なくとも1つのさらなるプラスチックと、
・少なくとも1つの補助剤と
からなる。
・少なくとも1つのスチレンブタジエンコポリマーと、
・少なくとも1つのスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーと、
・スチレンポリマー、スチレンアクリルニトリルポリマー、アクリルニトリルブタジエンスチレンポリマー、アクリルスチレンメチルメタクリレートまたは上述のプラスチックの組み合わせからなる群から選ばれた少なくとも1つのさらなるプラスチックと、
・少なくとも1つの補助剤と
からなる。
化粧品用ペンシルの製造時における上述の問題については、この特許出願は扱っていない。とりわけ、この出願は、芯注入時に生じる問題も、良質の外側表面をいかに達成可能にするかとの問題も扱っていない。また、この出願により認識された芯の成分が移動するとの問題については、この米国特許は十分に満足できる解決方法を提供していない。この米国特許は、揮発性成分を備えた芯の完全な乾燥に対して、スリーブを製造するプラスチック混合物に対して、ワックスを配合することにより対処することを提案している。この解決方法は、とりわけ化粧品分野では不適当であるが、この理由は、この方法では、プラスチックに添加される技術的なワックス自体が芯中で移動しないことを保証できず、この移動は望ましくないからであるが、この理由は、芯は、化粧品として認められる懸念のない物質のみが規定された量だけ放出するべきであるからである。
これに対して、まず第1に、本発明の課題は、着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルを示すことであり、このペンシルは、一体的に、完全にプラスチックからなるスリーブを有し、このスリーブは、好ましくは鉛筆削り器を用いて手動で尖らせることができ、かつ、高品質で好ましくは光沢を有する外側表面を有し、射出成形後には、妥当な場合には文字入れまたはそれ以外の大概は局所的な装飾をつけることを除いて後加工はもはや必要ではないというものである。
本発明によるペンシルは、揮発性成分を有するまたはこれを有さない塗布されるべき物質からなる芯と、芯を被覆する一体的におよび一つの材料として射出成形されたスリーブとを備え、このスリーブが熱可塑性材料からなり、この熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相の混合物からなるが、これらのプラスチックは、それぞれ純粋な形態では異なる特性を有する。
本発明の意味合いでは、「プラスチック相」の概念は以下のように定義する。
最も単純でうまく制御可能な場合には、双方の相のうちの一方が、それぞれ単一のポリマー材料のみからなる(そして、これにより、より広義の意味合いにおける1つの相を形成する)一方で、他方の相については、以下に述べる定義が該当する。要求の厳しい場合には、双方の相について、狭義の意味合いでの相を記述した以下の定義が該当する。
最も単純でうまく制御可能な場合には、双方の相のうちの一方が、それぞれ単一のポリマー材料のみからなる(そして、これにより、より広義の意味合いにおける1つの相を形成する)一方で、他方の相については、以下に述べる定義が該当する。要求の厳しい場合には、双方の相について、狭義の意味合いでの相を記述した以下の定義が該当する。
狭義の意味合いでの相は、異なるプラスチックからなり、これらのプラスチックは、ここで述べる極性の定義によれば、全て弱い極性を有し、または全て強い極性を有する。
1つの相は、複数の熱可塑性プラスチックから構成されるように選択され、これらは、それぞれ古典的な熱可塑性プラスチックでも、また熱可塑性エラストマーでもありえる。この相中には、双方の物質分類すなわち熱可塑性プラスチックおよび熱可塑性エラストマーが0〜100%の異なる割合で含まれうる。
重要であるのは、本発明により採用される双方の相は、熱溶融後の合成過程中ないし押し出し機スクリュー上で、機械的に互いに巨視的に均一に混ざり合わせることができるが、しかし、これに加えて、機械的な力作用なしに部分的に脱混合される傾向があるという点である。この際、粘性の高い溶けたポリマーマトリックス中での拡散制限は、自然発生的な完全な脱混合に対抗する。脱混合過程用の駆動力は、極性の差であり、一方の相の全ての成分と他方の相の全ての成分とそれぞれ異なる。この際、一方の相は「構造相」として作用し、これは、その主な熱可塑性挙動において、冷却されるシャフトスリーブの基本的な安定性に寄与し、これにより、高品質で、光沢を有するから非常に光沢を有する、引っかき傷のつきにくい表面の形成が可能になる。少なくとも部分的な弾性挙動を特徴とする第2の「妨害相」は、冷却後に、部分脱混合後のシャフトスリーブの内側領域中の構造相の構造の弱化を可能にし、かつ、このようにしてコア材料の全体としてより柔らかい構造を保証し、より良く鋭利に尖らせる可能性を保証する。
「1つの材料として」射出成形されるとは、本発明の意味合いでは、単一の材料(それ自体は混合相の混合物であったとしても)のみを型穴中に射出注入し、それも大概1回の射出でこれを行い、例外的に複数の連続する射出で行うことを意味する。これは、「オーバーモールド」とは対照的であるが、オーバーモールドの場合には、まず、第1の材料を型穴中に射出注入し、その後別の材料貯蔵部から別の特性を有する第2の材料を上に射出する。
本発明によるペンシルが際立っている点は、第1プラスチック相と第2プラスチック相とが、射出成形により部分的に脱混合され、これにより、半径方向で見ると、その外周表面の領域(外側強化ゾーン)中では、第1プラスチック相の濃度(第1プラスチック相全体の濃度の意味合いで、または好ましくはないが概念として含むのは、第1プラスチック相の少なくともある構成要素の濃度の意味合いで)が中央(これは、通常中央の弱化ゾーンのことである)の濃度よりも高いスリーブを形成するように、第1プラスチック相と第2プラスチック相とが選択されているという点である。同時に、スリーブが内周表面の領域(内側強化ゾーン)中でも、第1プラスチック相の濃度(第1プラスチック相全体の濃度の意味合いで、または好ましくはないが概念として含むのは、第1プラスチック相の構成要素の少なくともある構成要素の濃度の意味合いで)がより高いように、第1プラスチック相と第2プラスチック相とは選択されている。
さらに本発明によるペンシルの際立っている点は、これが、鉛筆削り器の原理で動作する削り器を用いて尖らせうる、すなわち、ペンシルを手動で回転させることにより尖らせうるとの点である。
ペンシルを尖らせることができるか否かについての本発明による決定のためには、様々な代替となる基準が存在するが、これらは理想的な場合累積して満たされている。これらは、
・手動削り器を用いて、ペンシルの端部(この端部の一貫した円錐形は、削り器の刃が配置されている角度に対応する)において、少なくとも5回、より良くは少なくとも8回完全にペンシルを回転させることを介して、連続して3回、連続した削りくずを取り除くことができる。すなわち、この削りくずは、一貫したカールを形成し、好ましくは全長に渡って一定の厚さ(+/−10%の変動あり)が保たれ、理想的には、削りくずの端部に向かって、平均して15%を上回らない、より良くは10%の厚さの上昇のみが、観察されること
・この種の削り器が後に残す通常円錐状の断面が、この場合は好ましくは均質で滑らかである。この断面は(尖らせる過程が中断した際に削り器の刃が至る位置により印付けられる局所的な段差縁を除いて)、好ましくは、局所的な噴出、細かい破片または例えば0.3mmを超える深さの段差が全くないこと
である。
・手動削り器を用いて、ペンシルの端部(この端部の一貫した円錐形は、削り器の刃が配置されている角度に対応する)において、少なくとも5回、より良くは少なくとも8回完全にペンシルを回転させることを介して、連続して3回、連続した削りくずを取り除くことができる。すなわち、この削りくずは、一貫したカールを形成し、好ましくは全長に渡って一定の厚さ(+/−10%の変動あり)が保たれ、理想的には、削りくずの端部に向かって、平均して15%を上回らない、より良くは10%の厚さの上昇のみが、観察されること
・この種の削り器が後に残す通常円錐状の断面が、この場合は好ましくは均質で滑らかである。この断面は(尖らせる過程が中断した際に削り器の刃が至る位置により印付けられる局所的な段差縁を除いて)、好ましくは、局所的な噴出、細かい破片または例えば0.3mmを超える深さの段差が全くないこと
である。
通常第2プラスチック相は、スリーブが鉛筆削り器の様式の削り器を用いて確実に尖らせることができるように選択されている。このための尺度は、同一のサイズのスリーブを有するペンシルであって、かつ完全に第1プラスチック相からなり、かつ上述の方法では尖らせることができないペンシルとの比較である。
したがって、明らかにより複雑なオーバーモールド方法(この場合、まず、1つのスリーブ部分を第1の材料で射出し、その後、可動スライダーを引いた後に、第2の材料からなる第2のスリーブ部分を上に射出させる方法)によってのみ製造可能である、いわゆる多層のスリーブがすぐに得られる。
本発明によるペンシルが際立っている点は、各外周表面と内周表面とに直接接する位置に、特定の割合の第2プラスチック相が見出されうる場合であっても、純粋な第1プラスチック相に固有の特性が、各外周表面と内周表面とにおいて射出成形を用いて獲得される第1プラスチック相が強化されることにより、特徴的に効果を発揮するという点である。このようにして、第1プラスチック相は、それぞれ同じ1つの鋳造プロセスにおいて、ペンシルスリーブの外周表面において、高い表面品質の層を形成させる。この表面は、第1プラスチック相を正しく選んだ場合、肉眼で見ると絶対的に平坦で鏡のように滑らかにすることができる。さらにペンシルスリーブの内周表面において、遮断機能を備えた層が形成される。この遮断機能については後でまたより詳細に説明する。この機能は芯注入時および/または芯の保存能力について良い影響を与える。
本発明によれば、ここで課題を分割する。第1プラスチック相は、突出した表面品質が達成可能なように選択されうる。第1プラスチック相と第2プラスチック相とが、互いに対して正しく調整されていて、その結果、必須の混合物が設定されている場合、このようにしてピアノラッカーの輝きに匹敵しうる鏡のような輝きを示す表面が達成されうる。あるいは、相応の調整をする場合には、欠陥のない、非常に均質でサテン仕上げの外観も達成されうる。
第1プラスチック相の選択時には、尖らせやすさについて顧慮するには及ばない。なぜならば、第1プラスチック相が、外側で好ましくは80重量%を上回って、より良くは90重量%を上回って強化される外側強化ゾーンは、半径方向に薄く保つことができ、必要な場合、明らかにオーバーモールドの場合よりも薄く保つことができるからである。
同じことが、第1プラスチック相が内側で少なくとも70重量%以上に強化される内側強化ゾーンについても大抵の場合該当する。
理想的には、外側および/または内側強化ゾーンの伸張RAAないしRIAは、外周表面ないし内周表面から半径方向に内側に向かって計測する場合、0.075〜0.5mmであり、より良くは0.35mmまでにすぎない。これにより、第1プラスチック相に、機械加工がややうまくできない傾向がある場合でも、鋭利に尖らせる可能性を妨げることはない。
内側強化ゾーンの半径方向の伸張RIAが、外側強化ゾーンの半径方向の伸張がRAAよりも少し小さい場合に、各機能の実現にとって好都合であることが明らかになった。したがって好ましくはRAA>RIAが該当し、理想的な場合にはRAA>RIA×12/10さえ該当する。
外側強化ゾーンを複製する箇所で、相応に射出成形金型を徹底的に冷却すると、外側強化ゾーンの自由表面は、少なくとも95重量%まで、場合によっては97重量%以上まで、第1プラスチック相(および、場合によってはその中に埋め込まれた顔料および/または充填剤)からなる。
外側強化ゾーン全体内では、第1プラスチック相の割合は80重量%以上、明らかにより良いのは90重量%以上である。
内側強化ゾーンを複製する箇所で、相応に射出成形金型を徹底的に冷却すると、内側強化ゾーン全体内の第1プラスチック相の割合は、少なくとも67重量%以上、より良くは70重量%以上である。
これに対応して、これに伴ってしばしば中央の弱化ゾーンが生じる。スリーブの中央にあるこの中央弱化ゾーン内では、第1プラスチック相の局所的な重量%割合は、射出成形のために調製された射出成形混合物中で第1プラスチック相が射出注入から持つ重量割合よりも低減する。スリーブの中央との概念は、いずれの場合も外周表面における半径と、内周表面における半径との平均値として算出される半径の領域の周りの+/−0.75mm、または少なくとも+/−0.5mmの範囲のことを指し、円形ではない輪郭の場合には、平均半径が設定される。
型穴中に射出注入されたプラスチックペーストにおける第1プラスチック相の割合に応じて、中央弱化ゾーン全体内の第1プラスチック相は、好ましくは少なくとも60重量%、より良くは55重量%以下である。
これとは逆に、第2プラスチック相については、場合によっては、第1プラスチック相が全混合物に対してより高い重量割合を有する場合でさえ、プラスチック構造の形成に特徴的に関与する箇所では、第1プラスチック相の強度をより小さくするプラスチックを選択可能である。この際、第2プラスチック相の選択時には、表面品質および/または芯の成分に対するその遮断性については顧慮するには及ばないが、この理由は、第2プラスチック相は、表面の形成については特徴的に関与していないからである。
ペンシルのスリーブを射出成形により製造することにより、この場合、このペンシルには特定の物理的特性が与えられる。なぜならば、この場合、射出成形によって初めて、第1プラスチック相が外周表面で強化され、これにより妥当な場合には、第1プラスチック相と第2プラスチック相とが射出成形金型中に射出注入前に均質に混ざり合っているにも関わらず、ピアノラッカー様の、またはいずれにしても特に高品質の表面が形成されるからである。確かに、この種の脱混合が生じる理由は、いまだ完全には解明されていない。にもかかわらず、型中に射出注入される第1プラスチック相と第2プラスチック相との混合物が、型穴の十分冷却された表面に当たることにより、まず急激な冷却が生じることが認識できる。この冷却は脱混合を伴うが、この理由は、一方のプラスチック相が、他方のプラスチック相よりも迅速に凝固するからである。相間の極性の差は、脱混合の駆動力として作用し、工具型穴の表面ないし内部における温度挙動が異なることにより、既存の型穴中のゾーンの冷たさが異なるがゆえに双方の相が順次凝固し、巨視的な脱混合が行われる。
このようにして、良好に冷却された型穴の表面は、完全にまたは主に第1プラスチック相からなる層に覆われる。このようにして生じる層は、大概非常に強いが、この理由は、第2プラスチック相の割合がゆえに、その特徴的な妨害効果を発揮しえないからである。
この上述の層は、その熱伝導性が劣悪であるがゆえに断熱性を示すので、さらなる急激な冷却が防がれる。この結果、この脱混合は、上述の層の下方で低減するが、これは大概急速に低減する。したがって、中央では通常、重量%割合の変化が生じる場合であっても、第1プラスチック相と第2プラスチック相との混合物がそのままで、凝固の途中でも得られるままとなる。第2プラスチック相がこの組織を妨げるので、この凝固層は、この領域中では、型穴の冷却された表面において形成される上述の層よりも強くない。
削り器ないし鉛筆削り器との概念は、ここでは、例えば、鉛筆、色鉛筆および化粧品用ペンシルのために採用される古典的な鉛筆削り器のことを称する。この種の鉛筆削り器は、金属、木製またはプラスチックからなる本体を有し、この本体が、尖らせるべきペンシル先端用の円錐状の収容部と、少なくとも1つの刃(これは、ペンシルを手動で相応に回転させると、先端から削りくずを取り除く)とを有する。
熱可塑性材料との概念は、ここでは、加熱により、射出注入可能な粘性の状態に移行しうる材料を称する。この概念は、古典的な熱可塑性プラスチックおよびTPE(熱可塑性エラストマー)を網羅する。
第1プラスチック相と第2プラスチック相とは化学的に異なり、すなわち通常、異なる材料分類ないしプラスチックタイプからなる。
様々な概念について上で述べた定義は、文脈から明らかに異なる場合でない限り、後続の説明についても該当する。
本発明の好適なさらなる構成
第1プラスチック相の濃度は、外側強化ゾーンと内側強化ゾーンとから中央に向かって好ましくは継続的に低減する。
この点が、本発明によるペンシルないしその多層スリーブと、公知のスリーブとの差異であるが、公知のスリーブの場合、その2つ以上の層は、さらなる一貫したプラスチック層、一貫した膜、または一貫したラッカー層などが塗布されることによってのみ得られる。
当然、最後には、本発明によるスリーブにも、とりわけ部分的な追加装飾のために、例えば、文字入れの目的のために、さらなるプラスチックまたはラッカー層ならびに膜が設けられうる。
好ましくは、スリーブは、その全断面に渡って第1プラスチック相と第2プラスチック相とから形成され、この際、双方のプラスチック相は、局所ごとに異なる重量割合で見出されうるが、通常これは、重量割合が断面に沿って(半径方向で)継続的に変化するように見いだされる。「全断面」との概念は、場合によっては外周表面より下方の0.2mmの範囲中にある縁層は含まない。内周表面より下方の0.2mmの範囲中にある縁層についても、妥当な場合には同じことが該当する。
理想的な場合、スリーブは、それぞれ表面近くにのみ別の層、例えば以下で述べるような形態の引き外し可能な外皮を有し、全断面に渡ってスレート状の構造を有することはない。なぜならば、この場合、傾斜を望ましくないように強化してしまい、尖らせる際に剥がされる削りくずは、意図せず非常に細かいかけらに砕け、これにより、化粧品芯にさえも汚れを引き起こしうるからである。
遮断層は機械的な遮断層でありえ、これは、非常に滑らかで、これにより芯を注入する際に、空気の混入が防がれる。この空気の混入は、内側表面が比較的粗い木製のスリーブ中に芯が注入される際にしばしば観察されている。
遮断層は、これに代えて、または同時に化学的な遮断層でありえるが、これは明らかに好適である。この種の遮断層は、芯の成分の移動が制限される点が際立っている。第1プラスチック相の選択に応じて、とりわけイソパラフィンとシリコーンとの移動が制限され、および/または水と極性を有する揮発性物質例えばアルコールとの移動が制限される。第1プラスチック相がこの種の制限を行うが、これは、芯についての認識可能な悪影響(硬化/乾燥)が記録されえない程度に、12ヶ月の間23℃の一定の温度で保管後でも記録されえない程度に、いずれにしてもこの制限が移動を減少させる場合に行う。狭義の意味合いでの遮断層とは、いずれにしても、(純粋な)第1プラスチック相が、純粋な第2プラスチック相よりも、イソパラフィンとシリコーンとに対して、および/または、水と、極性を有する揮発性物質例えばアルコールとに対して拡散係数がより小さい場合のことである。さらに、第1プラスチック相は、移動により芯から出てしまう可能性のあるそれぞれ揮発性または液体の構成成分中に湿潤しえない。
特に有利であるのは、第1プラスチック相として、弱い極性を有するプラスチックであって、電気陰性度の差ΔΕΝが0.3〜0.5(それぞれこれらの値を含む)の範囲であるプラスチックの純粋物質または混合物を用いることであると判明したが、このプラスチックが、強い極性を有するプラスチックとの弱い相互作用が可能であるこれ以外のモノマー成分ないしブロックを有し、その結果、直接的な自然発生的な脱混合が防がれる。ここで、および以下で、電気陰性度の差ΔΕΝとは、ポリマー構造中の隣接する原子間における最大の電気陰性度の差であると理解される。
この際、特に好都合であるのは、スチレンアクリルニトリルないしアクリルニトリルスチレンコポリマーの分類中の1つまたは複数のプラスチック(省略記号:SAN、ここおよび全ての箇所で命名はDIN EN IDSO 18064による)を用いることである。SANは弱極性であるが、その中に含まれるアクリルニトリルの割合を介して、別の強い極性を有するプラスチックとの相互作用を開始させることができる。
好適なSAN組成物は、65重量%〜80重量%の割合のスチレンと、20重量%〜35重量%の割合のアクリルニトリルとからなり、それぞれ異なるモル質量からなる。特に好都合である組成物は、70重量%の割合のスチレンと、30重量%の割合のアクリルニトリル(それぞれ+/−1.5重量%の許容誤差あり)からなる。理想的にはBASF SE社(ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)、ドイツ在)が販売している商標「ルーラン(LURAN)378P(登録商標)」のスチレンアクリルニトリルを採用する。
スチレンアクリルニトリル、特にLURAN378P(登録商標)が際立つ点は、純粋な形態で、また別の適切なプラスチックとの混合物形態でも、その耐化学性を有し、とりわけ、しばしば中和剤として化粧品用ペースト中に採用されるアミンに対しても耐化学性を有する点である。スチレンアクリルニトリル、特にLURAN378P(登録商標)は、さらにその耐熱形状安定性を有する。これらの特性は、射出成形途中における本発明による脱混合と関連付けて利用され、これによりスリーブの内周における表面にこれらの優れた特性を与えられる。
同時に、このスチレンアクリルニトリル、特にLURAN378P(登録商標)は、表面におけるその卓越した外観が際立っているが、この点は、ここで、スリーブの外周における表面に必須の表面品質を付与するために、射出成形途中における本発明による脱混合と関連付けて利用される。
スチレンアクリルニトリル、特にLURAN378P(登録商標)は、本質的に高い強度、とりわけ高いひっかき抵抗性を示し、かつもろいことが公知である。純粋なスチレンアクリルニトリルから製造されたスリーブは、したがって、鉛筆削り器を用いて通常の力で難なく尖らせることができない。
あるいは、第1プラスチック相として、アクリルニトリルエチレンプロピレンスチレン(AES)分類中のプラスチックを採用することができる。理想的にはロミーラ化学製品販売処理(ROMIRA fuer Vertrieb & Verarbeitng von Chemieprudukten)有限会社(ピンネベルク(Pinneberg)ドイツ在)が、商標「ローテック(ROTEC)A702(登録商標)」の下で市販しているアクリルニトリルエチレンプロピレンスチレンを用いる。
しかし、これに代えてABS、または、SAN、ABSおよび純粋なポリスチレンの混合物も可能であり、スチレンオレフィンコポリマーも可能である。非極性から弱い極性を有するTPE、例えばTPE−SまたはTPE−Oをわずかな割合だけここに添加することができ、この際、SBSがTPEとして、一般的に表面の輝きを低減させることができるが、この第1の構造相から析出される成形体の外側外皮のもろさを変えるのを助けることもできる。逆に構造相の極性を高くする場合、第1プラスチック相も、電気陰性度の差ΔΕΝが、0.5より大きく1.7までの少なくとも1つの極性を有するプラスチックまたはそれらの混合物からなるようにすることも可能で、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリアミドまでの族からなるようにすることも可能でありえ、この場合、好適にはPETおよび誘導体、PCT、PBTおよびポリカーボネートならびにこれらの混合物が採用されうる。この場合も、必要な場合、少量の極性を有するTPE(例えば、TPA、TPCまたはTPU)を、もろさを低減させるために混入させることができる。
この際、第1プラスチック相の凝固温度は、常に、第2相の凝固温度より低く、これにより脱混合が適切に起こりえ、かつ高品質で好ましくはピアノラッカー様の表面構造が形成されうるように選択されるべきである。
本発明によれば、スリーブが第1プラスチック相のこれらの特別な特性により特徴付けられる必要がない箇所で、第2プラスチック相が、第1プラスチック相の強度を弱らせるように選択される。
一般的には、第2プラスチック相は、好ましくは少なくとも、射出成形の途中で、第1プラスチック相からの脱混合現象を介して、およびそれ自体ポリエチレンなどの中で半結晶領域を形成しつつ、および/または、熱可塑性エラストマーなどに対してミクロ相分離により、物理的に架橋するプラスチックまたはプラスチック混合物であるべきであると言える。これによりある程度の柔らかさおよび/または弾性が材料中に生じる。異なる極性による脱混合は、この際、一般的には、構造成分を弱化させ、その結果、より良く尖らせることができる。
非極性から極性の弱い第1プラスチック相との混合物中で、第2プラスチック相は、極性を有する少なくとも1つの熱可塑性プラスチックであり、電気陰性度の差ΔΕΝが、0.5より大きく1.7までの範囲である。この組み合わせ中で、第2プラスチック相として、極性を有する熱可塑性エラストマー(省略記号TPE−ET)の分類中の少なくとも1つの代表からなるプラスチック混合物を、好ましくは純粋にこのプラスチック混合物を採用することが特に有利であると判明した。しかし、TPE−ETを、極性を有する別の熱可塑性エラストマー、とりわけ熱可塑性ポリアミドまたはポリウレタンと混合することも可能であるが、極性を有する熱可塑性プラスチック、例えばPET、PCT、PBTおよび誘導体、ポリカーボネート、PMMA誘導体、ポリアクリレート、ポリウレタンならびにポリアミドを混入させることも可能である。
とりわけ、ポリエーテル基に対してソフトセグメントとして機能するTPE−ETおよびその混合物を採用する。特に好都合であるのは、この分類に属する副分類中の、極性を有する熱可塑性ポリエステルエラストマーないし極性を有する熱可塑性コポリエステル(省略記号TPC−ET)を採用することであると判明した。典型的には、このプラスチックは、硬質部分と軟質部分とを交互に備えたブロック・コポリマーからなる。化学的な相互作用は実質的にエステルおよび/またはエーテルベースの水素結合である。理想的には、DSMエンジニアリング・プラスチック非公開株式会社(DSM Engineering Plastics BV)(ウアモンダーバーン 22、6167 RDゲレーン(Urmonderbaan 22、6167 RD Geleen)オランダ在)製の商標アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標)の下で販売される極性を有する熱可塑性コポリエステルを採用する。
驚くべきことに、上述の第1プラスチック相と第2プラスチック相との混合物は、(第1プラスチック相の濃度が90重量%以下に低下しないとの意味合いで)ほぼ脱混合しない箇所では、個々の成分自体に従って予想されうるよりも強度が小さい。これに基づいて、良好に鋭利に尖らせやすさが生じる。この際、柔らかい芯用ペーストのとりわけ極性を有する揮発性の成分または移動可能な液体の成分に対して、第2プラスチック相の耐久性が限られている点は重要ではないが、この理由は、第1プラスチック相が、芯用ペーストと直接接触する表面において、上述のように遮断層を形成するからである。さらに、この理由で、TPEないしTPC−ETでは光沢のある表面が達成されえない事情も重要でもない。
第1プラスチック相が極性を有する相である場合、この混合物中の第2プラスチック相は、少なくとも1つの非極性から弱い極性を有する成分からなる。この場合、とりわけSBSまたはEPDMのタイプの熱可塑性エラストマーおよびこれらの混合物が提供される。さらに、好適にはポリエチレン、ポリプロピレン、ならびに、エチレンおよび/またはプロピレンおよび/またはブチレンおよび/またはスチレンおよび/またはアシルニトリルのコポリマーとのブレンドも採用することができる。射出成形可能なシリコ−ンも、この場合、純粋にまたは混合物として採用することができる。
基本的に考えられうると思われるのは、第1プラスチック相の重量割合が20重量%〜80重量%であり、第2プラスチック相の重量割合が80重量%〜20重量%であり、充填剤ないし補助剤および顔料の重量割合が0重量%〜30重量%であり、より良くは15重量%までのみである。あらゆる種類の不純物は望ましくなく、パーミル領域を上回る、とりわけ15重量パーミルを上回ることは好ましくは回避される。個々の場合でこれが達成されない場合は、5重量%までの、より良くは2.5重量%までの不純物は許容可能である。
本発明による効果の実現のために特に好都合であるのは、第1プラスチック相の重量割合が少なくとも45重量%であり、より良くは少なくとも55重量%の設定であると判明した。大抵の場合、第1プラスチック相の推奨上限は、この場合75重量%、より良くは65重量%である。充填剤ないし補助剤および顔料は重量割合が15重量%まで、より良くは5重量%までのみ追加可能である。
第1プラスチック相と第2プラスチック相とが、スリーブ用に採用されるプラスチックの少なくとも主な部分を形成する。これは、本発明によるスリーブが、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなり、これらが、プラスチックペーストの主な部分を形成し、ないし場合によっては、採用されるプラスチックペーストの少なくとも90重量%を提供することを意味する。最良の場合には、第1プラスチック相と第2プラスチック相と、これらに添加される顔料および補助剤とが、または、これらの双方のプラスチック相のみがこれらに添加される顔料と共に、スリーブ用に採用される全プラスチックペースト(不純物を除く)を形成する。
これ以外には、上述のように、プラスチックマトリックスに影響を与えるがその構造には関与しない充填剤と、補助剤例えば顔料とを加えることができる。ガス発生剤または発泡剤を射出成形に悪影響を与える量用いることは避けるべきであり、好ましくは完全に避けるべきである。
補助剤には、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなるマトリックス中に補助剤の様式でのみ注入され射出成形の途中で溶融しないプラスチック成分も含まれ、例えば、すり砕かれた形態で充填剤として添加される架橋したエラストマーまたは熱硬化性プラスチックも含まれる。しかし、好ましくはそれ自体プラスチックからなるこの種の充填剤は回避されるが、この理由は、これらは、粘着性を高める可能性があり脱混合を妨げる可能性があるからである。
好適には、第1プラスチック相は、スリーブの外周表面における算術的平均光沢度GUが30GUを上回る、より良くは40GUを上回るように選択される。計測は、ISO2813に準拠して、縦軸Lに沿った方向で、均等に間隔を空けた10個の計測点を備えた10mmの道のり上で、60°の計測角度で行う。
本発明のさらなる作用、利点および構成可能性は、後続の実施形態から読み取ることができる。
実施例
第1サンプル
第1サンプルは、基本的な原理を示す。冒頭に述べた定義に基づけば、本発明ではなく公知ではない第1実施例のために、60重量%のSAN(LURAN(ルーラン)378P(登録商標))と、40重量%のTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))とを、3%の顔料(好ましくは様々な会社から入手可能である通常タイプの黒い顔料、カーボンブラック(Carbon Black)CI 77266を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。このためには、ライストリッツ(Leistritz)社(90459 ニュルンベルク、ドイツ在)製の押し出し機が役立ちうる。
第1サンプル
第1サンプルは、基本的な原理を示す。冒頭に述べた定義に基づけば、本発明ではなく公知ではない第1実施例のために、60重量%のSAN(LURAN(ルーラン)378P(登録商標))と、40重量%のTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))とを、3%の顔料(好ましくは様々な会社から入手可能である通常タイプの黒い顔料、カーボンブラック(Carbon Black)CI 77266を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。このためには、ライストリッツ(Leistritz)社(90459 ニュルンベルク、ドイツ在)製の押し出し機が役立ちうる。
本来の射出成形過程は、エンゲル(Engel)社(90451 ニュルンベルク/ドイツ在)製のエーモーション(E−motion)940/160T型の射出成形機械で行うことができる。調製されたペーストを、約1400バールの射出注入圧力で、射出成形金型の型穴中に押し入れる。射出成形金型は、この際、流体の媒体により冷却されるが、この媒体は、型穴に対して密閉された射出成形金型を貫流する。とりわけ、スリーブ中で後の時点で芯を収容するために設けられている中空空間を複製する射出成形金型のコアピン自身も、流体の媒体により直接冷却される。すなわち、コアピン自身も冷却媒体が貫流する。
続いて離型が行われるが、これは、好ましくはコアピンをスリーブと共に型穴から引き抜き、その後スリーブをコアピンから押し外すことにより行われる。
このように製造されたスリーブ2は、特に好適には図1で具体的に示すように見えるが、この際、スリーブ2の構成における個々の点については、後でより詳細に言及する。
このように製造されたスリーブは、引っかき傷のつきにくいピアノラッカーの様な輝きを備えた顕著な外周表面を示す。この表面は芯の成分の移動に対して非常に強く、かつ良好に装飾可能である。
目視検査が可能な断面を得るために、図1に記されたスリーブ2を引張試験機中に張設し、かつ相応の大きさの引張力で、その縦軸Lの方向で2つの半片になるように裂いた。これにより得られた断面3の破面であって、顕微鏡により支援された初期光学評価により得られうる破面の細部を拡大したものを図3に示す。
図3に基づいてすでに、内周5および外周4の表面に接する位置で、およびそれらの直下で、別の種類の層が形成されたことを認識しうる。この所見は、RAMAN分光法を採用した計測により検証されるが、これについては、後でより詳細に説明する。この結果は、図4に提示されている通りである。
この図よりわかるように、外側強化ゾーン6と内側強化ゾーン7とが確認されうる。外側強化ゾーン6と内側強化ゾーン7との特徴は、型穴の内側で複製される表面の温度を介して影響されうる。射出注入開始時に、対応する型穴の表面が冷たいほど、脱混合はより強く特徴付けられる。この点は、内側強化ゾーン7についても該当する。すでに上述したように、内側強化ゾーンを複製するコアピンの温度は、コアピン自体に多少なりとも徹底的に冷却剤を貫流させることにより制御可能である。
この場合、外側強化ゾーンの自由表面上では、RAMAN分光法を用いて、その計測精確性の枠内では第2プラスチック相の割合を検出しえない。この点は、この実施形態の枠内でのみ望ましいのではなく、一般的に好適である。なぜならば、この種の形成はここで望まれるピアノラッカー様式の表面である光沢を有する表面の達成にとって好都合であるからである。半径方向で内側方向で自由表面の下方で、第1プラスチック相の割合は低減し始める。約0.2mmの深さまででは、第1プラスチック相の割合は90重量%を上回る割合で存在する。
興味深いことに、いずれにしても、外側強化ゾーンの領域中で、スリーブの壁を形成するプラスチック相の強度が有意に低減する規定の境界層が存在するように思われる。この第1比較例にしたがって製造されたスリーブを、刃を用いて斜めに切り込みを入れた結果、図5に図示するように、斜めに突き出た削りくずが生じ、その後、素手でこの削りくずを引っ張ることにより、切り込みの深さに依存せず、外皮をスリーブの表面から引き外すことができる。外皮は比較的強く、大抵の場合、引き外し長さが4cmを上回って初めて、裂き取ることができる。
一般的には言うことができるのは、本実施形態を越えた作用で、この種の外皮引き外しテストの結果として、この種の外皮を厚さが0.08mm〜0.25mmで引き外しうる場合には、特に良好な尖らせやすさが常に存在することが明らかであるとの点である。
ここまでで明らかになったと思われる点は、削り器の刃は、相対的に強い外皮を完全に細かく破断せねばならないことに頼るべきではなく、切断と剥離とが混ざるように思われる点であり、これは便利に作用するとの点である。
第2サンプル
冒頭に述べた定義に基づけば本発明ではなくかつ公知ではない実施例の製造のためには、60重量%のAES(ロテック(ROTEC)A702(登録商標))と、40重量%のTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
冒頭に述べた定義に基づけば本発明ではなくかつ公知ではない実施例の製造のためには、60重量%のAES(ロテック(ROTEC)A702(登録商標))と、40重量%のTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
このペーストの処理は、上で第1実施形態について記述したように、第1実施形態で記載した機械を用いて、これも同様に射出成形方法で行う。
このようにして製造されたスリーブ2は、図1で具体的に示したように特に好適に見える。
このように製造されたスリーブは、サテン仕上げの輝きを備え、顕著に引っかき傷のつきにくい外周表面を示す。これは芯の成分の移動に対して抵抗力を有し、かつ良好に装飾可能である。
RAMAN分光法を用いた検査により、後でより詳細に説明するように、このプラスチック混合物を射出成形する際にも、明らかに認識可能な外側強化ゾーンと、これも同様に明らかに認識可能な内側強化ゾーンとが設定され、その伸張は、上述の領域内における射出成形金型の冷却の強度に応じて動くことが示される。
第3サンプル
第3実施例であって同時に本発明の第1実施形態を製造するためには、60重量%の第1プラスチック相用の混合物(これは、70重量%のAES(ロテック(ROTEC)A702(登録商標))と、30重量パーセントのポリスチレン(スチロロ―ション(STYROLOTION)PS 416N(登録商標)、イネオス・スチロルチオン(INEOS Styrolution)社(ドイツ、フランクフルト在)製)からなる)と、40重量パーセントの第2プラスチック相用の混合物(これは、90重量パーセントのTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))と、10重量パーセントのTPE−A(ペバックス(Pebax)(登録商標)2533 SA 01、アルケマ(ARKEMA)社(フランス、コロンブ在)製)とからなる)とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
第3実施例であって同時に本発明の第1実施形態を製造するためには、60重量%の第1プラスチック相用の混合物(これは、70重量%のAES(ロテック(ROTEC)A702(登録商標))と、30重量パーセントのポリスチレン(スチロロ―ション(STYROLOTION)PS 416N(登録商標)、イネオス・スチロルチオン(INEOS Styrolution)社(ドイツ、フランクフルト在)製)からなる)と、40重量パーセントの第2プラスチック相用の混合物(これは、90重量パーセントのTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))と、10重量パーセントのTPE−A(ペバックス(Pebax)(登録商標)2533 SA 01、アルケマ(ARKEMA)社(フランス、コロンブ在)製)とからなる)とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
このペーストの処理は、上に第1の実施形態について説明したように、そこで説明した機械を用いて、これも同様に射出成形方法で行う。
このようにして製造されたスリーブは、図1から図4で具体的に示したように、原理的な構造を示す。
このように製造されたスリーブは、高品質でかつ顕著に引っかき傷のつきにくい外周表面を示す。これは芯の成分の移動に対して抵抗力を有し、かつ良好に装飾可能である。
この実施形態の際立つ点は、外側強化ゾーンの領域中で、スリーブの壁を形成するプラスチック相の強度が有意に低減する境界層が存在する点である。この実施形態にしたがって製造されたスリーブを、刃を用いて斜めに切り込みを入れた結果、図5に図示するように、斜めに突き出た削りくずが生じ、その後、素手でこの削りくずを引っ張ることにより、切り口の深さに依存せず、外皮をスリーブの表面から引き外すことができる。外皮は比較的強く、大抵の場合、引き外し長さが4cmを上回って初めて、裂き取ることができる。ここで興味深いのは、この種の引き外しテストでは、半径方向で外皮の下方域中にまで到達するようにより深く切る場合に、引き外しうる削りくずの厚さがひとりでに薄くなり、さらに引き外す際には外皮のみが引き外されるようになる点である。図5cは、この実施形態における引き外しテストの写真を示す。ここで十分認識できる点は、まず、より深い切り込みが付けられ、これにより最初は厚い削りくずが生じるが、少し進むとすぐにその厚さが低減し(周囲方向で直線の縁が設けられたより広いレーンにより認識可能であるように)、写真中右側上方に見える外皮をさらに引き外しうるのみとなる。図5c’は、図5cと同じ内容を示すが、写真としてではなく線描図として示し、したがってより良く再現可能である。例えば、縦軸Lの方向で延在する網掛け線は、より深い切れ目、およびこれに続く移行領域(これも、半径方向で外皮の下方域中にまで到達する)を明示している。縦軸に対して約45°で延在する斜めの網掛け線のみがついた領域は、上述の外皮のすぐ下方にある領域であり、外皮のみを引き外すことにより露出される。
特に、RAMAN分光器を用いた検査は、後続でより詳細に説明するように、このプラスチック混合物を射出成形する際にも、明らかに認識可能な外側強化ゾーンと、同様に明らかに認識可能な内側強化ゾーンとが生じ、その伸張が、射出成形金型の冷却の強度に応じて、上述の領域内で移動することを示すのに有利でありうる。
第4サンプル
本発明のさらなる実施形態である第4サンプルを製造するために、70重量パーセントの第1プラスチック相用の混合物(これは、70重量パーセントのSAN(ルーラン(LURAN)378P,イネオス・スチロルチオン(INEOS Styrolution)社(ドイツ、フランクフルト在)製)と、30重量パーセントのABS(ポリラック(POLYLAC)PA−727、チ メイ(CHI MEI)社(台湾、台南在)製)とからなる)と、30重量パーセントの第2プラスチック相用の混合物(これは、70重量パーセントのTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))と、30重量パーセントのTPE−A(ペバックス(Pebax)(登録商標)2533 SA 01、アルケマ(ARKEMA)社(フランス、コロンブ在)製)とからなる)とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
本発明のさらなる実施形態である第4サンプルを製造するために、70重量パーセントの第1プラスチック相用の混合物(これは、70重量パーセントのSAN(ルーラン(LURAN)378P,イネオス・スチロルチオン(INEOS Styrolution)社(ドイツ、フランクフルト在)製)と、30重量パーセントのABS(ポリラック(POLYLAC)PA−727、チ メイ(CHI MEI)社(台湾、台南在)製)とからなる)と、30重量パーセントの第2プラスチック相用の混合物(これは、70重量パーセントのTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))と、30重量パーセントのTPE−A(ペバックス(Pebax)(登録商標)2533 SA 01、アルケマ(ARKEMA)社(フランス、コロンブ在)製)とからなる)とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
このペーストの処理は、上に第1サンプルについて説明したように、そこで説明した機械を用いて、これも同様に射出成形方法で行う。
このようにして製造されたスリーブは、図1から図4で具体的に示したように、原理的な構造を示す。
このように製造されたスリーブは、高品質でかつ顕著に引っかき傷のつきにくい外周表面を示す。これは芯の成分の移動に対して抵抗力を有し、かつ良好に装飾可能である。
この実施形態の際立つ点は、外側強化ゾーンの領域中で、スリーブの壁を形成するプラスチック相の強度が有意に低減する境界層も存在する点である。この実施形態にしたがって製造されたスリーブを、刃を用いて斜めに切り込みを入れた結果、図5に図示するように、斜めに突き出た削りくずが生じ、その後、素手でこの削りくずを引っ張ることにより、切り込みの深さに依存せず、外皮をスリーブの表面から引き外すことができる。外皮は比較的強く、大抵の場合、引き外し長さが4cmを上回って初めて、裂き取ることができる。ここで興味深いのは、この種の引き外しテストでは、半径方向で外皮の下方域中にまで到達するようにより深く切る場合に、引き外しうる削りくずの厚さがひとりでに薄くなり、さらに引き外す際には外皮のみが引き外されるようになる点である。ここで、パノラマ写真として2つの個々の撮影から組み合わされた図5dは、この実施形態における引き外しテストの写真である。上述の点が意味的に同様に該当する。図5d’は、図5dと同じ内容を示すが、写真としてではなく線描図として示し、したがってより良く再現可能である。例えば、縦軸Lの方向で延在する網掛け線は、より深い切れ目、およびこれに続く移行領域(これも、半径方向で外皮の下方域中にまで到達する)を明示している。縦軸に対して約45°で延在する斜めの網掛け線のみがついた領域は、上述の外皮のすぐ下方にある領域であり、外皮のみを引き外すことにより露出される。
特に、RAMAN分光器を用いた検査は、後続でより詳細に説明するように、このプラスチック混合物を射出成形する際にも、明らかに認識可能な外側強化ゾーンと、同様に明らかに認識可能な内側強化ゾーンとが生じ、その伸張が、射出成形金型の冷却の強度に応じて、上述の領域内で移動することを示すのに有利でありうる。
第5サンプル
第5サンプルを製造するためには、70重量パーセントの第1プラスチック相用の混合物(これは、80重量パーセントのSAN(ルーラン(LURAN)378P、イネオス・スチロルチオン(INEOS Styrolution)社(フランクフルト、ドイツ在)製)と、20重量%のAES(ロテック(ROTEC)A702(登録商標))とからなる)と、30重量パーセントの第2プラスチック相用の混合物(これは、90重量パーセントのTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))と、10重量パーセントのTPE−A(ペバックス(Pebax)(登録商標)2533 SA 01とからなる)とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
第5サンプルを製造するためには、70重量パーセントの第1プラスチック相用の混合物(これは、80重量パーセントのSAN(ルーラン(LURAN)378P、イネオス・スチロルチオン(INEOS Styrolution)社(フランクフルト、ドイツ在)製)と、20重量%のAES(ロテック(ROTEC)A702(登録商標))とからなる)と、30重量パーセントの第2プラスチック相用の混合物(これは、90重量パーセントのTPC−ET(アルニテル(Arnitel)EM400(登録商標))と、10重量パーセントのTPE−A(ペバックス(Pebax)(登録商標)2533 SA 01とからなる)とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。
このペーストの処理は、上に第1の実施形態について説明したように、そこで説明した機械を用いて、これも同様に射出成形方法で行う。
このようにして製造されたスリーブ2は、原則的に、図1から図4で具体的に示したように見える。
このように製造されたスリーブは、高品質でかつ顕著に引っかき傷のつきにくい外周表面を示す。これは芯の成分の移動に対して抵抗力を有し、かつ良好に装飾可能である。
この実施形態の際立つ点は、外側強化ゾーンの領域中で、同様にスリーブの壁を形成するプラスチック相の強度が有意に低減する境界層が存在する点である。この実施形態にしたがって製造されたスリーブを、刃を用いて斜めに切り込みを入れた結果、図5に図示するように、斜めに突き出た削りくずが生じ、その後、素手でこの削りくずを引っ張ることにより、切り込みの深さに依存せず、外皮をスリーブの表面から引き外すことができる。外皮は比較的強く、大抵の場合、引き外し長さが4cmを上回って初めて、裂き取ることができる。ここで興味深いのは、この種の引き外しテストでは、半径方向で外皮の下方域中にまで到達するようにより深く切る場合に、引き外しうる削りくずの厚さがひとりでに薄くなり、さらに引き外す際には外皮のみが引き外されるようになる点である。ここで、パノラマ写真として2つの個々の撮影から組み合わされた図5eは、この実施形態における引き外しテストの写真である。上述の点が同様に該当する。
図5e’は、図5eと同じ内容を示すが、写真としてではなく線描図として示し、したがってより良く再現可能である。例えば、縦軸Lの方向で延在する網掛け線は、より深い切れ目、およびこれに続く移行領域(これも、半径方向で外皮の下方域中にまで到達する)を明示している。縦軸に対して約45°で延在する斜めの網掛け線のみがついた領域は、上述の外皮のすぐ下方にある領域であり、外皮のみを引き外すことにより露出される。
特に、RAMAN分光器を用いた検査は、後続でより詳細に説明するように、このプラスチック混合物を射出成形する際にも、明らかに認識可能な外側強化ゾーンと、同様に明らかに認識可能な内側強化ゾーンとが生じ、その伸張が、射出成形金型の冷却の強度に応じて、上述の領域内で移動することを示すのに有利でありうる。
比較例
比較例としては60重量%のSAN(ルーラン(LURAN)378P(登録商標))と、40重量%の通例非極性を有するSBSブロック・コポリマー(アルルナ(ALLRUNA)W55(登録商標))とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。ALLRUNA(アルルナ)W55(登録商標)は、アルロッド・ヴェルクシュトッフ(ALLOD Werkstoff)有限合資会社(91593 ブルクベルンハイム(Burgbernheim)ドイツ在)の商標である。
比較例としては60重量%のSAN(ルーラン(LURAN)378P(登録商標))と、40重量%の通例非極性を有するSBSブロック・コポリマー(アルルナ(ALLRUNA)W55(登録商標))とを、3%の顔料(好ましくは上述のタイプの黒い顔料)を添加して、好適には250°+/−10°の温度にして、射出成形可能な粘性の状態にして、その際均質に混ぜ合わせる。さらなる充填剤または補助剤は添加しない。ALLRUNA(アルルナ)W55(登録商標)は、アルロッド・ヴェルクシュトッフ(ALLOD Werkstoff)有限合資会社(91593 ブルクベルンハイム(Burgbernheim)ドイツ在)の商標である。
このペーストの処理は、上に第1の実施形態について説明したように、そこで説明した機械を用いて、これも同様に射出成形方法で行う。
このようにして製造されたスリーブ2は、図1で具体的に示したように特に好適であるように見える。
このようにして製造されたスリーブは光沢のない外側表面を示し、有意な外側強化ゾーンも内側強化ゾーンも示さない。これに代えて、これらの材料は、凝固するまで実質的に均一に混ざり合ったままである。外皮引き外しテストを行うこともできないが、なぜならば、スリーブは明らかに強度が均一である。
濃度測定のためのRAMAN分光法
とりわけ本発明による外側および内側強化ゾーン中に見いだされる濃度を測定するために、RAMAN分光法は選択すべき手段の1つであり、これは、例えば、上述の第1サンプルに基づいて、例示的により詳細に説明した通りである。
とりわけ本発明による外側および内側強化ゾーン中に見いだされる濃度を測定するために、RAMAN分光法は選択すべき手段の1つであり、これは、例えば、上述の第1サンプルに基づいて、例示的により詳細に説明した通りである。
RAMAN分光法を実施するためには、上述の破面はあまり適切ではないと判明する。これに代えて、スリーブをまずその縦軸に対して横断方向で完全に切断ないし鋸で切り、その後得られた断面を研磨することにより生じる断面において検査を行った。
SANとTPC−ETとの局所的な量の比率を明確にするために、RAMANスペクトルを、第1の実施形態にしたがって製造されたスリーブの断面に渡って測定した。この計測は、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)社(168 サードアベニュー(Third Avenue) ウォルトハム(Waltham) MA アメリカ合衆国 02451在)のアルメガ(Almega)シリーズのRAMAN分光器を用いて行った。
機器を較正するため、および各スペクトルの個々の部分を割り当てることができるように、まず原材料を計測する。すなわち、100重量%のSANからなる板と、100重量%のTPC−ETからなる板とを製造した。計測点が完全に各板上にある限り、および板の厚さが2/10mmを上回る限り、試験片のサイズは重要ではない。双方の板を個別に計測した。
このようにして得られたスペクトルを、図6のグラフ中にプロットした。点線は、SANについて受光したスペクトルで、実線は、TPE−ETについて受光したスペクトルを示す。
SANを測定するためには、3050cm−1でその最大値に達するピークの面を参照し、また同様にSANにとって特徴的な最大値が2250cm−1であるピークの面も参照でき、これらは匹敵する値を提供し、したがって、以下で別々に考慮するには及ばず、無視し続けうる。
その後、図4中で特定された点100および200について順々に計測を行った。この際受光された双方のスペクトルは重なり合い、したがって、図7および(部分拡大図として)図8に示されるようになる。この図ですでに、点100と点200とで、異なる濃度のSANとTPC−ETとが見出されうることが認識できる。
その後、0重量%と100重量%とのSANを備えたすでに言及した試料に追加して、SANとTPC−ETとから製造された体系的に異なる混合物を製造し、適切な温度制御で縁層なしに上述の板に加工し、すなわち30重量%、50重量%、70重量%のSANを含みかつこれを補完する割合のTPC−ETを含む混合物とする。これらの一連の試料の個々の代表について受光されたスペクトルのRAMAN強度を、グラフ中にプロットし、図9に示した。図9からは、各混合比率に対して、特徴的なRAMAN強度を割り当てることができ、SANないしTPC−ETの重量%割合と、これらについてそれぞれ計測さうるRAMAN強度との間に線形の関係性が存在することが認識される。
その後、上で既に述べたように、第1の実施形態にしたがって製造されたスリーブ2の研磨された断面を、図10で具体的に示すように段階的に計測した。外側から半径方向に進んで、スリーブ断面の中央までの点ごとに順に計測を行い、内側から半径方向に進んで一点ずつスリーブ断面の中央まで計測を行った。
これらの計測の結果が、図10に示す図である。射出成形のために採用されたプラスチックペーストの混合比率は、SANが2/3、TPC−ETが1/3であった。これから出発して、計測結果のばらつきを考慮すると、射出成形工具中の射出成形プロセス時に、部分的な脱混合に至ったとわかる。
この際、スリーブの外周面の表面におけるSANの濃度は、ほぼ100重量%である。
内周面の表面では、SANの濃度は、約70重量%にすぎない。
上述の他のサンプル中のプラスチック相およびその量割合を測定するために、同様の方法を行う。
本発明によるペンシルの構成
本発明によるペンシル1は、図2、3および4に示されるように構成されている、このペンシルの外径は通常約6〜16mmである。
本発明によるペンシル1は、図2、3および4に示されるように構成されている、このペンシルの外径は通常約6〜16mmである。
このペンシルは、その中央に芯8用の収容部を有し、これは形状締結の廻り止めを形成するので有利である。その断面は円形でありえるが、好ましくは楕円ないし多角形ないし八角形で構成されていて、これにより、芯8とスリーブ2との間のより良い保持が確保される。八角形の2つの対向する平坦面間の距離は、好ましくは3〜5mmである。スリーブ2の壁厚は好ましくは1.5〜3mmの範囲である。ペンシル1の長さ、すなわちその縦軸L方向の伸張は、通常85mmより長く、大抵100mmより長く、180mmまである。
芯8用の収容部は、好ましくはその縦軸L方向でスリーブ2全体を貫通して伸張していて、すなわち、スリーブ2は、半完成品として管を形成する。これにより、芯注入が容易になる。なぜならば、スリーブは、すぐあとでより詳細に説明する円錐形を形成する側で、芯注入の目的で、スリーブを密閉する金型中に差し込まれることができ、この金型は、芯の端部すぐの近くで円錐の領域中で、これに応じて通常これも同様に円錐状に経過する形状となる。芯用ペーストは、その後スリーブの他方の端部であって台座のある端部から注入され、かつスリーブ2中の芯収容部および芯8の先端を複製する金型の中空空間を充填する。本発明によるスリーブのような、プラスチックからなるスリーブは、芯注入の目的でこのスリーブを密閉する金型中に特に良好に差し込まれるないし射出注入されるが、これは、このスリーブのプラスチックが、木製のスリーブに比較して可逆的な弾性を有し、すなわち、相応の金型中に差し込まれないし射出注入可能であるからである。スリーブの非常に平坦な外側表面は、確実な密閉を達成するために寄与する。
ペンシル1の一端は円錐形12になるよう尖らされ、好適には円すい角Piは20°と60°との間である。この端部は、このようにして、通常の木製のペンシルで公知である尖った面を複製し、これにより最初に尖らせる場合に削り器の刃に対して正確に位置付けられる継ぎ目面を形成するのに寄与し、かつ、これにより、削り器刃が、その全長で削りくずを取り除くことが可能になる。
ペンシル1の他端は、好ましくは、その外径が引っ込んだ領域となる形状の台座9を有する。この台座の上に、エンドキャップ10を載せることができ、好ましくは台座9とエンドキャップ10との間のラッチが生じる。芯を可能な限り良好に保護しおよび移動を回避するために、蓋の下には、通常追加的な密閉部が設けられていて、これはしばしば栓すなわちシリコン栓11の形状の物である。完成したペンシル1は、芯8がスリーブ2を超えて突出している側で、通常、上に乗せられた蓋12を用いて、出来上がったままに保たれる。本発明により達成された非常に平坦で引っかき傷のつきにくい外側表面は、蓋10が良好にかつ確実に載せられるのを助ける。本発明により達成された表面は、引っかき傷がつきにくいので、蓋10を30回引き外し再度載せた後でさえも、蓋10が通過した表面について、ペンシルの縦軸方向に延在する微細な引っかき傷などによる肉眼で認識可能な鈍磨は生じない。蓋10は、少し小さいサイズで実施され、したがって、スリーブ2の外径に比較して内径が少し小さい。このように製造された蓋10は、本発明により達成されたスリーブ2の表面上に吸い付くように載せられ、その滑らかさがゆえにそこから再び引き外すことができる(スティックスリップがない)。
全般的な最後の所見
独立的に、場合によっては上述の説明のさらなる特徴および/またはすでに存在する請求項でも補強されて保護請求されるのは、着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルであって、塗布されるべき物質からなる芯と、この芯を被覆する一体的に射出成形されたスリーブとを備え、このスリーブが熱可塑性材料からなるペンシルであって、この熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなる混合物からなり、これが際立っている点は、削りくずが外周面から突き出るように外周表面に切り込みを入れた後、素手でこの削りくずを引くことにより、外皮をスリーブの表面から引き外すことができるという点である。
独立的に、場合によっては上述の説明のさらなる特徴および/またはすでに存在する請求項でも補強されて保護請求されるのは、着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルであって、塗布されるべき物質からなる芯と、この芯を被覆する一体的に射出成形されたスリーブとを備え、このスリーブが熱可塑性材料からなるペンシルであって、この熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなる混合物からなり、これが際立っている点は、削りくずが外周面から突き出るように外周表面に切り込みを入れた後、素手でこの削りくずを引くことにより、外皮をスリーブの表面から引き外すことができるという点である。
独立的に、場合によっては上述の説明のさらなる特徴および/またはすでに存在する請求項でも補強されて保護請求されるのは、着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルであって、塗布されるべき物質からなる芯と、芯を被覆する一体的に射出成形されたスリーブとを備え、このスリーブが熱可塑性材料からなり、この熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなる混合物からなる、ペンシルであって、このペンシルが際立っている点は、そのスリーブが、手で分けることができる2つの層を有する構造を有し、好ましくはこれら双方の層のうちの表面に近い層がより薄い点である。
独立的に、場合によっては上述の説明のさらなる特徴でも補強されて保護請求されるのは、着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルであって、塗布されるべき物質からなる芯と、この芯を被覆する一体的に射出成形されたスリーブとを備え、このスリーブが熱可塑性材料からなり、この熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなる混合物からなる、ペンシルであり、これが際立っている点は、そのスリーブが、半径方向で見ると、中央領域中よりも第1プラスチック相の濃度がより高い外側強化ゾーンを有する点である。
これに関して注記すべきは、内側強化ゾーンの形成は、必要な場合、スリーブの内周において相応の温度制御をすることにより達成されうるという点であろう。この請求項が効力を発するところでは、上の説明は意味的に同様に該当し(この変形例では存在しない、ないし純粋に任意選択的である)内側強化ゾーンに根差す特別な制限のみがない。
独立的に、場合によっては上述の説明のさらなる特徴および/またはすでに存在する請求項でも補強されて保護請求されるのは、着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルであって、塗布されるべき物質からなる芯と、この芯を被覆する一体的に射出成形されたスリーブとを備え、このスリーブが熱可塑性材料からなり、この熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなる混合物からなる、ペンシルであり、これが際立っている点は、そのスリーブが、半径方向で見ると、中央領域中よりも第1プラスチック相の濃度がより高い内側強化ゾーンを有する点である。
注釈すべきであろう点は、外側強化ゾーンの形成が、必要な場合スリーブの外周における相応の温度制御により達成されうること、および、型穴中に射出注入後はもはや必要ではない熱エネルギーが、スリーブのプラスチックペーストから、その後に実質的にその内周面を介して取り去られるとの点である。この請求項が応力を発するところでは、上の説明は意味的に同様に該当し(この変形例では存在しない、ないし純粋に任意選択的である)外側強化ゾーンに根差す特別な制限のみがない。
1 ペンシル
2 スリーブ
3 スリーブ断面
4 外周
5 内周
6 外側強化ゾーン
7 内側強化ゾーン
8 芯
9 台座
10 エンドキャップ
11 シリコン栓
12 円錐
100 計測点1
200 計測点2
L ペンシルおよびそのスリーブの縦軸
S 削りくず
D 外皮の厚さ
A 引き外し長さ
Pi 円すい角
2 スリーブ
3 スリーブ断面
4 外周
5 内周
6 外側強化ゾーン
7 内側強化ゾーン
8 芯
9 台座
10 エンドキャップ
11 シリコン栓
12 円錐
100 計測点1
200 計測点2
L ペンシルおよびそのスリーブの縦軸
S 削りくず
D 外皮の厚さ
A 引き外し長さ
Pi 円すい角
Claims (30)
- 着色料および/または化粧品物質を塗布するためのペンシルであって、塗布されるべき物質からなる芯と、前記芯を被覆する一体的に射出成形されたスリーブとを備え、前記スリーブが熱可塑性材料からなり、前記熱可塑性材料が、第1プラスチック相と第2プラスチック相とからなる混合物からなる、ペンシルにおいて、
前記スリーブは、それぞれ半径方向で見ると、前記第1プラスチック相の濃度が中央領域中よりも高い外側強化ゾーンを有し、
前記スリーブは、それぞれ半径方向で見ると、前記第1プラスチック相の濃度が中央領域中よりも高い内側強化ゾーンを有することを特徴とする、ペンシル。 - 外周表面に切り込みを入れた後、削りくずが前記外周面から突き出て、素手で前記削りくずを引っ張ることにより、外皮を前記スリーブの前記表面から引き外すことができることを特徴とする、請求項1に記載のペンシル。
- 前記第1プラスチック相の濃度は、前記外側強化ゾーンから、および、前記内側強化ゾーンから中央に向かって継続的に低下することを特徴とする、請求項1または2に記載のペンシル。
- 前記プラスチックスリーブは、その断面面積の少なくとも80%、より良くは少なくとも90%を超えて、前記第1プラスチック相と前記第2プラスチック相とから形成され、前記双方のプラスチック相は、局所的に異なる重量割合で見いだされうることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記スリーブは、主に、少なくとも85%まで、または好ましくは専ら、前記第1プラスチック相と前記第2プラスチック相とからなり、これに加えて場合によっては充填剤および補助剤とからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペンシル。
- 第1プラスチック相と第2プラスチック相とは、前記ペンシル中で組み合わされるが、これらのプラスチック相は、その極性が異なり、電気陰性度の差ΔΕΝが0.3≦ΔΕΝ≦0.5の範囲の極性の低いプラスチックであるか、または、電気陰性度の差ΔΕΝが0.5<ΔΕ≦1.7までの範囲の極性の高いプラスチックであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第1プラスチック相は、少なくとも、電気陰性度の差ΔΕΝが0.3≦ΔΕΝ≦0.5の範囲の極性の低いプラスチックを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第1プラスチック相は、少なくとも、電気陰性度の差ΔΕΝが0.5<ΔΕ≦1.7までの範囲の極性の高いプラスチックを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第2プラスチック相は、少なくとも、電気陰性度の差ΔΕΝが0.5<ΔΕ≦1.7までの範囲の極性の高いプラスチックを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第2プラスチック相は、少なくとも、電気陰性度の差ΔΕΝが0.3≦ΔΕΝ≦0.5の範囲の極性の低いプラスチックを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第1プラスチック相は、AESまたは好適にはSANを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第2プラスチック相は、TPEまたは好適にはTPC−ETを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第1プラスチック相は、強い極性を有する構造ポリマーであり、好適にはPET、PCTまたはPBTまたはPMMAを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第2プラスチック相は、弱い極性を有するTPEまたは好適にはTPVもしくはTPOを含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記第1プラスチック相の重量割合が少なくとも45重量%、より良くは少なくとも55%であるように、前記スリーブを形成する材料系が設定されていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のペンシル。
- 射出注入のために調製される混合物中の前記第1プラスチック相の上限は、85重量%、より良くは70重量%であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記スリーブの前記外周表面における算術的平均光沢度GUは、30GUを上回り、より良くは40GUを上回ることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記スリーブは、互いに分離可能な2つの層からなる構造を有し、好ましくはこれら双方の層のうちの表面に近い層がより薄いことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記プラスチックスリーブは、非発泡性プラスチック材料からなることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記スリーブは、双方の端面で開いた管として構成されていることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記スリーブは、1つの端面において円錐形状に先細り、好ましくは前記スリーブの縦軸Lに対する円すい角(Pi)が25°〜35°であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記スリーブは、1つの端面において、より小さい直径の段差を有することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載のペンシル。
- 前記ペンシル端部において、および好ましくは前記段差上に、前記スリーブの端部を閉栓する端部キャップが固定されていることを特徴とする、請求項11に記載のペンシル。
- 請求項1〜23のいずれか1項に記載のスリーブを備えたペンシルの製造方法において、
・完全に互いに混ざり合った第1プラスチック相と第2プラスチック相とから、可塑化され射出成形可能なペーストを製造する工程と、
・前記プラスチック相は、冷却された金型表面上に当たると脱混合するように、異なる凝固挙動を有するように選択する工程と
・少なくとも900バール、より良くは少なくとも1100バールの高圧下で、好ましくは軸方向で、後の時点でスリーブになる部分の端面から、前記ペンシルの前記スリーブを複製する射出成形金型の型穴中へ、前記ペーストを射出注入する工程と、
・前記型穴を形成する壁表面に直接接する位置で、前記型穴の全長で、主に前記第1プラスチック相または前記第1プラスチック相の1つのプラスチックを凝固し、かつこれにより前記壁表面で強化するように、前記射出成形金型を急激に冷却する工程と、
・続いて、前記双方のプラスチック相を、これより下にある領域中で、前記壁表面の領域中よりも脱混合を少なくして、または脱混合なしに共に凝固させる工程と
を特徴とする、方法。 - 前記射出成形金型は、前記スリーブの外周面の領域中で、金型の継ぎ目を複製しないことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
- 射出が完了した前記スリーブは、その縦軸に沿って前記金型から取り出されることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
- 前記芯収容部は、前記スリーブの中央で、金型コアを形成するピンにより複製され、前記スリーブが前記射出成形金型から取り出される際に、前記スリーブは前記ピンと共に引き戻されることを特徴とする、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
- 前記外周面を複製する前記射出成形金型の表面は、粗度深さがRz≦5μmであることを特徴とする、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
- 前記スリーブをその先細りする端部で密閉しかつ後の時点の未使用の芯先端の形状を複製する金型中に、前記スリーブを差し込み、かつ前記芯を形成するペーストを前記スリーブの他の端部中に充填することにより、前記芯を注ぐことを特徴とする、請求項24〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 芯ペンシル、とりわけ化粧品用ペンシルを製造するために、請求項1に記載の、または、請求項2〜8のいずれか1項に記載のスリーブの使用。
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