JP2019531216A - オムニホイールを備える医療装置及びオムニホイール装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、オムニホイール312’,312”,312’’’及び制動装置307a,307b,307c,307dを使用することにより医療装置の容易な移動を可能にするオムニホイール装置に関するものである。
Description
本発明は医療装置に関する。特に、本発明は、少なくとも1つのオムニホイールを有する移動手術用システム、オムニホイール、オムニホイール装置、オムニホイールを制御する方法、プログラム要素及び/又はコンピュータ読取可能な媒体に関する。
移動手術用システム及び、特に、Cアームを含む移動手術用撮像システムは、C字状架台システム上に取り付けられたX線源及びX線検出器を備える装置である。X線システムは、特に、例えば検査されるべき対象のX線画像を取得する等の診断目的で使用される。
X線画像を取得するために、X線システムは、通常、X線発生装置及びX線検出器を有する。X線発生装置及びX線検出器は、検査されるべき対象の相対する側に配置され、X線画像の取得のために動作的に結合される。X線放射がX線発生装置からX線検出器に向かって放出される。検査されるべき対象は、X線検出器とX線発生装置との間に位置され、従ってX線放射により貫通される。X線検出器の検出器エレメントは空間的に減衰されるX線放射に基づく情報を取得し、該情報は後に当該対象のX線画像の発生のために使用される。
一般的に、X線発生装置及びX線検出器の両者は、相当の重量を持つ重く且つ剛的に組み込まれたエレメントである。従って、X線システムを例えば手術室の床等の表面上を移動させるためには、所望の配置及び位置決めのために該X線システムに対して相当の力を印加しなければならない。特に、検査されるべき対象に対する正確な位置決めが必要とされ得る。
国際特許出願公開第2011/030255号は、双方向移動アセンブリに関するものである。
移動手術用システムの一層効率的な移動に対する要求が存在するであろう。
本発明の上記目的は独立請求項の主題により解決され、更なる実施態様は従属請求項に含まれている。
本発明の一態様によれば、移動手術用システムが提供される。この移動手術用システムは、該移動手術用システム(例えば、Cアームを含む移動撮像手術システム)を移動させるための少なくとも1つのオムニホイールを有し、該オムニホイールは、車輪本体を有する少なくとも1つの車輪装置と、前記車輪本体の中心に配置された車輪シャフト(車輪軸)と、少なくとも1つのローラ装置と、車輪制動装置及びローラ制動装置の少なくとも一方と、を有する。前記少なくとも1つのローラ装置はローラ軸(ローラシャフト)及びローラ本体を有し、該少なくとも1つのローラ装置は、前記車輪本体上に、該ローラ装置の周面の少なくとも一部が前記車輪本体の周面の少なくとも一部を形成するように配置される。前記車輪制動装置(もし有るなら)は、前記車輪シャフトの回り又は対応する軸の回りにおける前記車輪本体の運動を抑止(ブロック)するように構成される。これに対応して、ローラ制動装置が利用可能であれば、該ローラ制動装置は前記ローラ軸の回り又は対応する軸の回りにおける前記ローラ本体の運動を制動するように構成される。
一例においては、オムニホイールが提供され、該オムニホイールは、車輪本体を有する少なくとも1つの車輪装置と、前記車輪本体の中心に配置された車輪シャフトと、少なくとも1つのローラ装置と、車輪制動装置及びローラ制動装置の少なくとも一方と、を有する。車輪制動装置は、前記車輪軸の回りにおける前記車輪本体の回転を停止させ、抑止し及び/又はロックするよう構成される。ローラ制動装置は、前記ローラ装置の回転を停止させ、抑止し及び/又はロックするよう構成される。前記車輪制動装置及び前記ローラ制動装置は、互いに独立に作動させることができる。
例えば、2以上のオムニホイールが使用される実施態様において、オムニホイールは当該車輪を抑止するための車輪制動装置又は当該ローラの少なくとも1つを抑止するためのローラ制動装置の何れかのみを有することができる。一例において、該オムニホイールは、車輪制動装置及びローラ制動装置の両方を有することもできる。これは、単一のオムニホイールが使用される場合、又は代わりに2以上のオムニホイールが使用される場合にも当てはまり得る。
前記少なくとも1つのローラ装置は、ローラ軸及びローラ本体を有する。一例において、前記少なくとも1つのローラ装置は、前記ローラ本体が当該表面に接触するための前記車輪本体の車輪外周の少なくとも一部を形成するように前記車輪シャフトから一定の距離に配置される。他の例において、前記少なくとも1つのローラ装置は、前記車輪シャフトから変化する距離に配置される。当該ローラの軸は、当該オムニホイールがローリングし得る床の表面の不規則性(凹凸)を補償することができるようにバネ又は他の弾性エレメント上に取り付けることができる。前記車輪制動装置は、前記車輪シャフトの周り又は該車輪シャフトの回りにおける前記車輪本体の運動を抑止するように構成される。前記ローラ制動装置は、前記ローラ軸の周り又は前記ローラ軸の回りにおける前記ローラ本体の運動を抑止するように構成される。車輪装置がローラ装置を有するような例において、前記車輪装置のシャフトは前記ローラ装置の軸に対して実質的に垂直に(直角に)向けられ得る。言い換えると、前記車輪装置は前記ローラ装置によりサポートされる移動に対して垂直な移動をサポートすることができる。
本発明の一態様によれば、車輪本体を備える車輪装置と、該車輪本体の中心に配置された車輪シャフト、車輪軸又は車軸と、少なくとも1つのローラ装置と、車輪制動装置及びローラ制動装置の少なくとも一方とを有するオムニホイールが記載される。前記少なくとも1つのローラ装置はローラ軸及びローラ本体を有し、該少なくとも1つのローラ装置は、前記車輪本体上に、該ローラ装置の周面の少なくとも一部が前記車輪本体の周面の少なくとも一部を形成するように配置される。前記車輪制動装置は、前記車輪シャフトの周り又は該車輪シャフトの回りにおける前記車輪本体の運動を抑止するように構成される。更に、もしあるなら、前記ローラ制動装置は前記ローラ軸の周り又は該ローラ軸の回りにおける前記ローラ本体の運動を抑止するように構成される。
本発明の他の態様によれば、第1オムニホイール、第2オムニホイール及び取り付けプレートを有するオムニホイール装置が提供される。前記第1オムニホイール及び前記第2オムニホイールは前記取り付けプレートの同一の側に取り付けられる。該オムニホイール装置は、移動手術用システムの基台として使用することができる。
一例においては、第1オムニホイール及び取り付けプレートを有するオムニホイール装置が提供される。上記第1オムニホイールは上記取り付けプレートに取り付けられる。他の例において、医療用装置又はCアームを含む移動手術撮像システムはオムニホイール及びオムニホイール装置の少なくとも一方を有する。
本発明の一態様によれば、オムニホイールを作動させ又は制御する方法が提供され、該方法は所望の移動方向を決定するステップを有する。該所望の移動は、入力装置を介して供給されるユーザ入力とすることができる。前記所望の移動方向が前記車輪シャフトに対して平行である場合、前記車輪制動装置は作動され、かくして対応する車輪は抑止される一方、前記ローラ制動装置は作動されず、前記ローラ装置による当該所望の移動を可能にする。前記所望の移動方向が前記車輪シャフトに対して垂直である場合、前記ローラ制動装置が作動されて、前記ローラ装置の軸は抑止される一方、前記車輪制動装置は作動されず、前記車輪本体が車輪シャフトの回りで回転することにより当該所望の移動を可能にする。しかしながら、両方向の移動が望まれない場合、前記車輪制動装置及び前記ローラ制動装置が作動される。
本発明の他の態様によれば、移動手術用システムを動作させ又は制御する方法が提供され、該方法は所望の移動の方向を決定するステップを有する。該所望の移動の方向が前記少なくとも1つのオムニホイールの車輪シャフトに対して平行である場合、該オムニホイールの車輪の前記車輪制動装置が作動される一方、前記少なくとも1つのオムニホイールに対して垂直な前記他のオムニホイールの車輪制動装置はロック解除される。前記所望の移動の前記決定された方向が前記少なくとも1つのオムニホイールの又は前記第1オムニホイールの車輪シャフトに対して垂直である場合、該少なくとも1つのオムニホイールのローラ制動装置が作動され、及び/又は前記他のオムニホイールの又は前記第2オムニホイールの車輪制動装置が作動される。移動が望まれない場合、前記少なくとも1つのオムニホイールの車輪制動装置及び/又は前記他のオムニホイールの車輪制動装置が作動される。
一例においては、オムニホイールを作動させる他の方法を提供することができる。該方法は、所望の移動の方向を決定するステップを有する。該所望の移動の方向が前記車輪シャフトと平行である場合、当該方法は前記車輪制動装置を作動させるステップを有する。制動装置を用いることにより、当該車輪をロックすることができる。前記所望の移動の方向が前記車輪シャフトに垂直である場合、前記ローラ制動装置が作動される。該ローラ制動装置を作動させる結果として、前記ローラの少なくとも1つを抑止する。
移動が望まれない場合、当該車輪及びローラを抑止するために前記車輪制動装置及び前記ローラ制動装置が作動される。
他の例において、オムニホイールを作動させ又は制御する方法は、所望の移動方向を決定するステップを有することができる。所望の又は意図される方向は、釦、ジョイスティック又はスマートハンドル等のユーザインターフェースを介してユーザにより供給することができ、該ユーザインターフェースは所望の移動を当該ハンドルの向きにより、印加される力の強度により及び/又は方向により認識するように構成される。検出される方向に依存して、ブレーキに関する動作が実行される。当該所望の移動の方向が前記第1ホイールの第1車輪シャフトに平行な場合(例えば、横振り移動がなされるべき場合)、当該方法は該第1ホイールの車輪制動装置を作動させるステップ及び該第1ホイールに垂直な車輪の車輪制動装置をロック解除するステップ(このような制動装置が利用可能である場合)を有することができる。車輪制動装置が利用可能でない場合、車輪制動装置の解放及び/又は作動は必要とされない。ローラ制動装置が利用可能でない場合、ローラ制動装置の解放及び/又は作動は必要とされない。
更に、当該方法は、前記所望の移動の方向が前記第1車輪シャフトに垂直な場合に(例えば、長手方向の移動がなされるべき場合に)、前記第1ホイールのローラ制動装置を作動させ、及び/又は前記第2ホイールの車輪制動装置を作動させるステップを有することができる。ローラ制動装置が利用可能でない例においては、第2ホイールの車輪制動装置のみを作動させることができる。
移動が望まれない場合、前記第1ホイールの及び前記第2ホイールの車輪制動装置を同時に作動させることができる。
上記移動の方向は、前記車輪制動装置に接続され及び/又は前記ローラ制動装置に接続されたユーザインターフェースにより選択することができる。ユーザインターフェースは、意図される方向を、対応するブレーキをオン及びオフすることにより変換する釦又は力感知ハンドル若しくはスマートハンドル等のセンサとすることができる。
本発明の他の態様によれば、オムニホイール及び/又はオムニホイール装置を作動させ又は制御するプログラム要素が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、CD−ROM等のコンピュータ読取可能な媒体であって、プロセッサにより実行された場合に前記オムニホイールを作動させる方法及び前記オムニホイール装置を作動させる方法の少なくとも一方を実行するように構成されたプログラムコードを有するコンピュータ読取可能な媒体が提供される。特に、前記方法、前記プログラム要素及び前記コンピュータ読取可能な媒体は、各々、車輪装置及び/又はローラ装置の制動装置を作動させるように構成される。
プログラム要素は、ワールドワイドウエブ等のネットワークを介して提供することができると共に、斯様なネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードすることができる。
本発明の他の例示的実施態様によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードするために利用可能にする媒体も提供され、該コンピュータプログラム要素は本発明の上述した実施態様の1つによる方法を実行するように構成される。
移動手術用システム、特にCアームを含む移動手術撮像システムは、C字状構造体に取り付けられたX線源及びX線検出器を備える装置であり、整形外科手術、疼痛処理、泌尿器科、血管臨床部門のために普通に使用される。手術室は非常に混雑し得る。斯かるCアームシステムにオムニホイールを用いることは、該Cアームにより使用される空間を低減することを可能にする。移動手術用システム及び/又はCアームシステムにより満たされることが望まれる特定の移動が、当該Cアームシステムの基台に取り付けられたオムニホイールによりなされるからである。該オムニホイールを、Cアームを移動させるための複雑で嵩張る機構の代わりに用いることができる。従って、当該手術に関わる人員のために一層多くの空間が利用可能となり得る。該移動手術用システムは、関心人体構造を“イメージチェーン”の視野内に位置決めするために、角度設定、推進、横振り、高さ位置決め等の種々の精細な位置決め運動を有する。“イメージチェーン”とは、X線源、検出器、フレームグラバ並びに画像の処理及び表示のための装置を要約するために使用される用語である。精細位置決め移動が関心人体構造全体をカバーするには不十分であるような長骨の手術(例えば大腿骨骨折)又は脊椎手術の場合、当該移動手術用システムは手術室(OR)内で基台車輪を用いた平行な移動により動かされる。当該システムは、5度及び10度の斜面上における平衡喪失及び望まれない横方向移動に関する規則条項を満たさねばならない。これらの規則条項は、現在のところ、しばしば、最悪で起こり得る向きにおける重心の位置の釣り合わせを用いて満たされている。安全性のために、バランス重りがC弧部から最も遠い位置に追加され、当該システムを嵩張って重いものにさせ、従って操作することを困難にさせ得る。
車輪位置は、当該システムの異なる向きにおける重心の軌跡に基づくものである。CG(重心)は、当該システムを平衡させるために、全ての可能性のある状況におけるバランスのとれた重量寄与度を保証するために十分に広いことが必要とされる車輪基台面積(footprint)によりカバーされねばならない。
C弧部の長手方向及び横振り移動のために嵩張る機構に代えてオムニホイールを使用することは、CG分布の面積を減少させることができ、車輪基台の面積を最小化させることができるので、コンパクトなシステム設計が得られる。オムニホイールを用いることにより、横振り機構及び長手方向運動を減少させることができ、CGが広く分散されることはない。
本発明のオムニホイールは、当該オムニホイール内で制動装置を使用する。制動装置を使用することは、当該移動手術用システムの手動での移動を可能にし、全ての移動に関して電動支援システムを要することはない。電動支援システムは、複数のモータの使用により当該システムの価格を上昇させると共に、該システムの嵩も増加させ得る。しかしながら、モータは、特別に重い装置の手動での移動を支援するために、制動装置として又は制動装置に加えて用いることもできる。また、モータの制動機能を、車輪をロックするために用いることもできる。特定の適用例において、前記ローラを制動するためにモータを設けることもできる。一例においては、電磁ブレーキを使用することにより、低コストの手動システムを提供することもできる。一例において、電磁ブレーキは回転する装置の動きをロックするために設置される。他の例において、電磁ブレーキは車輪の動きをロック及びロック解除するために前記車輪装置にのみ配置される。電磁ブレーキは、回転が制御されるべきホイールの車輪シャフトに取り付けることができる。
ブレーキは、停止状態にされた場合にブレーキとして働くモータと置換することができる。モータ(例えば、電気モータ)は、当該医療用装置の容易な操作のために又は重い装置の移動を支援するために、回転して移動を補助することができる。
このようにして、オムニホイールを使用する医療用装置等のシステムは、斯様なシステムにより使用される空間を低減させることができる。このような低減及び嵩張る装置の防止は、病院環境における高価な土地建物の節約に役立ち得ると共に、混雑した手術室における位置決め問題も減少させることができる。オムニホイールを使用することは、C字状スタンドの専有面積を減少させる助けとなり得ると共に、混雑したOT(手術室)における良好な配置を可能にし得る。
当該移動手術用システムのコンパクトな設計により、各制動装置を備えたオムニホイールを使用する場合、該移動手術用システムの重量は小さくなり得、斯様なシステムは容易に設計及び/又は寸法決めすることができる。当該重量はバランス喪失から保護するための平衡用質量が該医療用システムのコンパクトな設計により不要となり得る故に減少され得ると共に、該医療用システムを移動させるために(特に、該システムを長手方向及び/又は横振り運動で移動させる場合)小さな移動力しか必要とされない。
このように、当該オムニホイールは、当該システムの操作者又はユーザにより手動で容易に操作することができる軽量の医療用システムを可能にする。また、オムニホイールは移動の正確さを向上させる助けともなり得る。オムニホイールは、移動の方向を、好ましくは前記車輪制動装置及びローラ制動装置を独立に作動させることにより非常に正確に決定することができるからである。このように、ブレーキを使用するオムニホイールは、例えばCアーム撮像システムのために良好に定まった横振り及び長手方向移動を行うことができる。これにより、Cアームの操作を一層困難にさせるような、力の歪んだ印加による影響を低減することができる。
本発明の一態様によれば、前記少なくとも1つのローラ装置は前記車輪装置内で移動可能である。一例において、前記ローラ装置はバネ又は他の弾性エレメントを用いて取り付けることができ、該バネ又は他の弾性エレメントは、該ローラ装置が表面の不規則性(凹凸)を補償すると共に該ローラ装置及び前記車輪装置の周面と当該移動手術用システムが移動される表面との間の良好な接触を保証することを可能にし得る。
本発明の他の態様によれば、前記ローラ装置の直径は前記車輪装置の直径よりも小さい。減少された直径は、完全な装置としての該ローラ装置が前記車輪本体と一緒に前記車輪シャフトの周りで運動することを可能にし得る。該ローラ装置の表面は、前記車輪装置の表面を形成することもできる。
前記ローラ本体が大きな摩擦係数(friction number)を持つ材料から形成される場合、結果としての大きな摩擦を持つ車輪を提供することができる。例えば、当該ローラ本体はゴムから形成することができる一方、前記車輪本体は他の材料から形成することができる。
本発明の他の態様によれば、車輪制動装置及びローラ制動装置のうちの少なくとも一方は、制動装置、モータ及びシャフトロック装置のうちの少なくとも1つを有する。制動装置は、前記ローラに押圧されるプレートとすることができる。一例においては、制御されるべき前記車輪装置のシャフトに取り付けられた電磁ブレーキを用いることができる。停止状態にされるモータは、車輪装置の動きを制御する制動装置のための代替例であり得る。
当該オムニホイールの設計に依存して、制動力の強さ及び大きさに関して異なる制動方法が適用可能である。
一例において、当該移動手術用システム及び特に前記オムニホイール装置は、第1オムニホイール及び第2オムニホイールを有する。前記第2オムニホイールは、前記取り付けプレートにおける前記第1オムニホイールと同一の側に取り付けることができる。他の例において、前記第1オムニホイール及び前記第2オムニホイールは前記取り付けプレート上又は前記移動手術用システムの基台上に、前記第1オムニホイールにおける前記車輪装置のシャフトが前記第2オムニホイールにおける車輪装置のシャフトと同一の仮想軸上に位置するように取り付けられる。
このような構成は、二重車輪構成と称することができ、重い重量の医療装置のために使用することができる。
本発明の他の態様によれば、当該移動手術用システムは、他のオムニホイール又は第2オムニホイール及び取り付けプレートを更に有することができ、前記少なくとも1つのオムニホイール又は前記第1オムニホイール及び前記他のオムニホイールは前記取り付けプレートの同一の側に取り付けられる。このように、動作状態において、前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールの両方は、前記ベースプレートと床との間に位置するように配置することができる。
一例において、前記第1オムニホイール及び前記第2オムニホイールは前記取り付けプレートに、前記第1オムニホイールにおける前記車輪装置のシャフトが前記第2オムニホイールにおける前記車輪装置のシャフトの仮想軸に対し垂直な仮想軸上に位置するように取り付けられる。言い換えると、第1オムニホイールのシャフトは他のものに対しT字状構成で向けられる。
本発明の他の態様によれば、前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールは前記取り付けプレートに、前記少なくとも1つのオムニホイールにおける車輪装置のシャフトが前記他のオムニホイールにおける車輪装置のシャフトと同一の仮想軸上に位置するように取り付けられる。このような二重ホイール構成は、負荷を少なくとも2つのホイールに分散させる助けとなり得る。
本発明の他の態様によれば、前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールは前記取り付けプレートに、前記少なくとも1つのオムニホイールにおける車輪装置のシャフトが前記他のオムニホイールにおける車輪装置のシャフトの仮想軸に対して垂直な仮想軸上に位置するように取り付けられる。
このようなT字状構成は、異なる方向への移動をサポートすることができる。特に、他のものに対して垂直な方向への移動をサポートすることができる。
本発明の更に他の態様によれば、前記第1オムニホイール及び前記第2オムニホイールは共通のハウジング内に取り付けられる。
本発明の他の態様によれば、前記第1オムニホイール及び前記第2オムニホイールは枢軸(支点)上に取り付けられる。
枢軸上への両ホイールの取り付けは、特に小さな段差又はケーブル等の障害を横切る場合に容易な長手方向の移動を可能にし得る。
以下、本発明の例示的実施態様を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明のより良い理解のための前側キャスタ輪を備えた移動X線システムを示す。該X線システム100は、X線源103及びX線検出器104を備えたCアーム102を示している。Cアーム102は支持アーム105上に取り付けられ、該支持アームは横振り運動107及び長手方向運動108を可能にするための継手106を有している。上記横振り運動及び長手方向運動をサポートするために、大きなベースプレート109が用いられ、支持アーム105の該長手方向及び/又は横振り運動をサポートするために広範囲で変化し得る異なる重心のための大きな面積を提供する。規制要件を満たすために取り付けられる大量の平衡重りの結果、嵩張ったシステム本体110となる。これら平衡重りは、重心を後輪111及び前側キャスタ輪112の中間に位置させるために必要とされる。
図2は、本発明の一例示的実施態様による、例えばCアームを含む移動手術用撮像システム200等の医療装置200を示す。該移動手術用システム200は、システム本体210及びCアーム202を保持する支持アーム205を有する。このCアーム上に取り付けられたものは、X線源103’及びX線検出器104’である。これらは互いに面するように対向する方向で取り付けられる。後輪111’に加えて、1対のオムニホイール212’,212”が使用される。矢印207により示されるように、オムニホイール212,212’,212”は、医療装置200の横振り運動及び長手方向運動をサポートするために用いることができる。オムニホイール212の使用は、長手方向の正確な運動を可能にする。横振り運動がなされた場合も、正確な運動が可能である。点線により示されたように、システム本体210の全体の寸法は、横振り運動を行うために支持アーム105を用いるシステム100の広がりと較べて、コンパクトな設計に減少させることができる。前側キャスタ輪112の代わりに、車輪基体209に取り付けられた組み込み制動機構を備えるオムニホイール212,212’,212”の組み合わせは、一層正確な移動を可能にする。種々の運動のためのオムニホイール212の使用は、横振り機構及び長手方向運動機構を少ない複雑さで実施化することを可能にする。従って、当該システムの嵩が小さくなる。斯かる小さなシステムは、システム全体の占有面積を低減し、該システムを余り嵩のないものにさせる。システム200の小さな形状の結果として平衡重りは最少の量となるので、該システムは軽量に構成することができ、従って容易に移動させることができる。
オムニホイール212又は対応するオムニホイール装置を備える移動X線システム200は、X線Cアーム202を正確に位置決めする助けとなる。オムニホイール212,212’,202”は、長手方向及び横振り運動を実現することができ、これらの運動を支持アーム105においてサポートするための複雑なシステムは必要としない。このように、小型のX線システム200を提供することができる。オムニホイール212が使用される場合、予め定められた方向の正確な移動が可能となる。斯かる高い精度の移動は、当該移動手術用システムの移動の良好な繰り返し及び/又は再現を可能にし得る。例えば、180度の運動に対してさえ移動方向の位置合わせは実質的に必要とされないので、前後運動を行う際に少ない押し引きしか示す必要がない。更に、オムニホイール212,212’,212”は2つの運動及び/又は運動の方向を分離させることができる。異なる方向の斯かる別個に選択可能な運動は、正確な動き(例えば長手方向の又は横振り運動)に貢献することができる。言い換えると、運動を実質的に2以下の運動に分離することは、位置決めのための高精度をもたらす助けとなり得る。当該オムニホイールは、各運動を単一の方向で別個に制御することを可能にする。
従って、オムニホイール212は当該移動手術用システムの正確な移動を可能にし得る。オムニホイールは、全ての方向に運動を行うことを可能にする。これらの運動は、当該オムニホイールの所定の方向への動きにより組み立てることができる。オムニホイール内のブレーキを使用することは、主たる2方向における車輪の動きを個別に抑止することを可能にする。このように、斯かる制動装置は当該2つの直角方向の各々を必要に応じて個別に止める(ロックする)ことができる。2つの運動(例えば、横振り及び長手方向の)の分離が可能であり得る。
図3は、本発明の一例示的実施態様によるオムニホイール装置の側断面図を示す。該オムニホイール装置312は、互いに別個に動作及び制御することができる2つの別個のオムニホイール312’,312”を有する。オムニホイール装置312の構成において、両オムニホイール312’,312”は同じ向きで取り付けられている。両オムニホイール312’,312”は別個に且つ互いに独立に動作されるので、以下ではオムニホイール312’のみが説明される。同じ説明が、オムニホイール装置312の他方のオムニホイール312”に対しても当てはまる。
オムニホイール312’は、車輪シャフト301又は車輪軸301を有している。車輪シャフト301及び車輪本体302は、対応する車輪装置を形成する。車輪シャフト301は長手方向軸を定める。車輪本体はローラ303a,303b,303c,303dを担持する。ローラ303は、ローラ本体を有し、ローラ軸304a,304b,304c,304d上に各々取り付けられる。
下側のローラ303cは、図3には示されていない床(例えば、手術室の床)の表面と接触することができる。上側のローラ303aはハウジング305内に位置されている。両オムニホイール312’,312”は、該ハウジング305内に配置されている。ホイール312の周面をローラ303a,303b,303c,303dの周面に位置合わせするために、ローラ軸304a,304b,304c,304dが車輪本体302内に取り付けられる場合、弾性取り付け装置を用いることができる。
ローラ303a,303b,303c,303dのローラ軸304a,304b,304c,304dの回りでの可能な運動は、矢印306a,306b,306c,306dにより示されている。ローラ303a,303b,303c,303dの動きを抑止するために、制動装置307a,307b,307c,307dは対応するローラをロックすることができる。制動装置307は、上記ローラのローラ軸304a,304b,304c,304dの回りでのローラの運動を停止させるために、抑止位置において当該ローラに(特に、ローラの周面に)押圧させることができるプレートを有する。図3は、全ての制動装置307が解放され、ローラ303a,303b,303c,303dが軸304a,304b,304c,304dの回りで回転することができる状態を示している。
車輪シャフト301も、矢印309により示される方向に回転する車輪を抑止するために制動装置を有することができる。オムニホイール312,312’,312”がシャフト301に対して垂直で軸304aに対して平行な運動が長手方向運動となるように取り付けられていると仮定される場合、オムニホイール312’,312”が表面上に位置された場合、ローラ303cは横方向運動又は横振り運動をサポートすることが分かる。また、シャフト301及び各オムニホイール312’,312”も、矢印309の方向の車輪運動をロックするための制動装置を有することができる。制動装置として電磁ブレーキを用いることができる。電磁ブレーキは、車輪又はローラの回転軸上に取り付けられる回転可能な内側部分と、取り付け支持体(例えば、ハウジング)上に固定される外側部分とを有することができる。該電磁ブレーキは、上記外側部分に対する内側部分の動きを制御して、シャフト301の運動及び/又は回転を制御することができる。該電磁ブレーキ内のバネは回転する上記内側部分を摩擦で保持することができ、当該磁石が駆動された場合、当該シャフトは自由に回転することができる。制動装置の他の設計も、適用可能である。
図4は、本発明の一例示的実施態様による多方向移動を可能にするオムニホイール装置の底面図を示す。図4においては、実質的に三角形の形状を有するベースプレート409が用いられる。図4は、当該医療システムを安定化させるために用いられる平衡用車輪401’,402”も示している。該平衡用車輪401’,402”は従来の一方向性車輪として実施化することができる。オムニホイール312’は、平衡用車輪401’,401”の中間において長手方向前方402の方向に取り付けられる。該オムニホイール312’は、ベースプレート409の尖った角部の近傍に配置される。該尖った角部は前方向402を指し示すことができる。オムニホイール312’は、ベースプレート409の長軸410又は対称軸410上に取り付けられる。該長軸は長手方向運動と平行である。オムニホイール312’は車輪本体302及び複数のローラ303を有する。図4から分かるように、複数の方向405の移動が可能である。例えば特定の方向をロックし又はロック解除することによって車輪302及び/又はローラ303の運動を制御することにより、個々の方向を分離することができ、正確な移動を生じさせることができる。車輪の方向の移動及びローラの方向の移動に関して力を表面に伝達するためにローラ303a,303b,303c,303dを用いることができる。
車輪本体302は長手方向410,403に向けられ、従って、長手方向の移動はローラ運動の代わりに又はローラ運動に加えて車輪運動を含む。図4の概略図において、ローラ303は横方向に向けられた複数の平行なローラ303として描かれている。しかしながら、如何なる他の構成も可能である。プレート409の前側位置におけるオムニホイール312’は長手方向403及び横方向404を分け、かくして、任意の方向における正確な移動も可能にする。方向を変える場合のジャッキは回避することができる。可能な全方向的運動は種々の方向405により示されている。
図5は、本発明の一例示的実施態様による、ロックされたローラを伴う図4のオムニホイール構成を示す。プラットフォーム409上に支持される当該移動手術用システムの純粋に長手方向の運動は、記号501で示されるブレーキでローラ303を抑止することにより達成することができる。このように、図5はローラ303のロックされた状態を示す。該ローラ制動装置は、横方向運動404を停止させると共に、車輪本体302の車輪運動により実質的に長手方向403の運動のみを可能にするために使用することができる。この場合、該ローラ制動装置は、車輪制動装置が作動されていない間に作動される。
図6は、本発明の一例示的実施態様によるロックされた車輪運動による図4のオムニホイール装置を示す。記号601により示されたように、車輪本体302の車輪運動は抑止されている。ローラ303は解放されており、横方向404に自由に動くことができる。長手方向の移動がロックされた図6の装置は、プラットフォーム409上に取り付けられた移動手術用システム全体の横振れ運動602を可能にする。従って、車輪制動装置による車輪のロック及びローラ303を解放又はロック解除することは、純粋な横振れ運動602を可能にすることができる。この場合、ローラ制動装置が作動されていない間に車輪制動装置が作動される。
図7は、本発明の一例示的実施態様による、車輪及びローラが抑止された図4のオムニホイール装置を示している。図7には、抑止された車輪(601)及び抑止されたローラ(501)の結果、プラットフォーム409の動きが防止される制動状態となることが示されている。全車輪及び全ローラ302,303が抑止された場合、全ての動きは制止又は抑止される。
ローラ303及び車輪302のための個々のロック及び/又は個々のブレーキによるホイールは、移動Cアーム内の長手方向及び横振り機構を設計から除外して省略するために使用することができる。個々のブレーキは他のものから分離され、他のものからは独立に制御し又は作動させることができる。
言い換えると、上記の長手方向及び横振り機構の機能は、複雑な機械的運動システムから、それに応じてロック可能及び/又は解放可能なローラ及び/又は車輪を備えるオムニホイールに転換される。この制動機構によれば、低コストの非電動手動システムを提供することができる。長手方向及び横振り機構の寸法の低減は、小型で軽量のシステムにつながり、このことは、斯様なシステムを格納する場合及び斯様なシステムが使用される場合の空間消費を低減する。
図8は、本発明の一例示的実施態様によるプラットフォームの前部に取り付けられた2つの平行なオムニホイールを備えるオムニホイール装置を示す。図4において、オムニホイール312’は三角形状ベースプレート409の長軸410上に取り付けられている。図8の構成によれば、2つのオムニホイール312’は長軸410に対して対称且つ平行に取り付けられる。図8の該二重オムニホイール構成は、ベースプレート409上に取り付けられた重い医療システムを運ぶことを可能にする。負荷の重さは両オムニホイールに実質的に均等に分配される。
オムニホイールの場合、実質的に全ての長手方向移動のために前方ローリング径が使用される。この前方ローリング径は前記車輪の直径により形成される。この前方ローリング径は、横方向移動のために用いられる前記ローラの直径よりも大きい。例えば、車輪302の車輪径は120mmである一方、前記ローラの直径は25mmである。車輪の一層小さな直径は、結果として高いローリング摩擦を生じ、床の凹凸又は床上に位置するケーブルを乗り越えることにより高い抵抗を生じる。従って、図1〜図8によれば、オムニホイール312’の向きは、前方にローリングするオムニホイールが用いられるようなものとする。横方向移動のためには、ローラが使用される。幾つかのケースにおいては、車輪302が横方向に向けられた交差/横方向車輪構成を用いることもできる。
図9は、本発明の一例示的実施態様による二重オムニホイールの横方向ローリング構成を示している。車輪本体302が横方向に向けられる単一及び複数横方向ローリングオムニホイール構成は、横方向移動のために大きなローリング径が必要とされる場合に用いることができる。図1〜図8で説明された原理は、該二重横方向ローリングオムニホイールにも当てはまる。
図1〜図9に示された構成は、前記ロック及び/又は制動機構を全てのオムニホイールにおける対応する車輪及びローラに対して同じ態様で用いる。車輪に対する制動装置又はロック装置は、主オムニホイールシャフト301において実施化することができる。
電磁ブレーキの代替として、ローラに対する制動装置又はロック装置は、プレート307a,307b,307c,307dにより示されるような当該オムニホイールの側部にプレートを押圧することにより実施化することができる。
図10は、本発明の一例示的実施態様による前方及び横方向に向けられたオムニホイールの組み合わせを用いるオムニホイール装置を示す。オムニホイール312’,312’’’は、前記長軸に沿ってT字状構成で取り付けられる。該T字状は、前方移動の方向を指して長軸410に対し対称に向けられる。このように、該T字状配置の結果、長手方向の車輪運動のために用いられるオムニホイール312’は対称軸410、即ち長軸410上に取り付けられる一方、横方向の車輪運動のために使用されるオムニホイール312’’’は長軸410に対して垂直に取り付けられる。記号1001及び1002により示されるように、オムニホイール312’,312’’’のうちの1つの車輪部分のみが、対応する運動を保証するためにロックされる。ローラ303’,303’’’のための制動装置は、図10の構成では使用されない。これら2つのオムニホイール312’,312’’’は、前後に配置される。これらオムニホイールの各々は、所望の移動を可能にするために車輪に対してロック可能である。例えば、横方向移動に対してはホイール312’が抑止される一方、長手方向移動のためにはホイール312’’’が抑止される。特に、対応する車輪302’302’’’又は車輪本体302’302’’’が制動装置により抑止される。車輪を抑止する方がローラを抑止するより容易であるので、ローラ303’,303’’’は抑止されない。他の構成においては、車輪は抑止されないで、ローラを抑止することもできる(もし存在するなら)。しかしながら、複雑さを低減するために、ローラの抑止は行われないであろう。
図11は、本発明の一例示的実施態様による2つのオムニホイールの軸支取り付け構成を示す。図11において両ホイール312’,312’’’に対し丸い形状を用いることにより2つの同様に向けられたホイールの構成が示されているとしても、図11のホイール構造は図10に示されるような(即ち、T字状の)構成とすることもできることに注意すべきである。その場合、1つの真っ直ぐに(312’)及び1つの垂直に(312’’’)向けられたオムニホイールが使用される。これらオムニホイール312’,312’’’は、プレート409に対して軸支取り付け部1102を備えた翼部1101に取り付けられる。枢軸(支点軸)に対する取り付けは、平行車輪取り付け及びT字状車輪取り付けの両方に対して用いることができ、両方の場合において負荷を分担する助けとなる。
以下の説明においては、後続ホイール312’’’が先行ホイール312’に対して垂直であると仮定される。枢軸1102及び支点結合部1101を用いることにより、プレート409からの負荷は、先行オムニホイール312’及び後続オムニホイール312’’’に均等に分配される。この均等な負荷バランスは、両方向における制動摩擦の均等な分配の助けとなる。仮想直径が、矢印1103により示される。この仮想直径1103は、ホイール312’,312’’’の個々の車輪径より大きい。このような構成によれば、小さな段差、床の変化及び/又はケーブルの乗り越えは、矢印1104により示されるような枢軸1102の揺動作用により容易となる。
図4の単一ホイール構成は、小さい負荷に対して動作し得る。従って、この単一のオムニホイールによる解決策は、軽量システムに対して使用することができる。横方向に向けられたオムニホイールの車輪部分による構成は、希にしか使用されない。横方向に離隔されたローラを備える図8による前方に向けられた二重オムニホイールを具備する構成は、ローラが横振りに対して過剰制約となるので、複雑な設計に対してのみ使用することができる。図8による二重車輪構成が使用されると共に横振り移動が望まれる場合、ホイール312’の瞬時的運動方向は円上にあると見なされるべきである。しかしながら、図8の二重車輪構成において、ホイール312’の向きは、横振り運動の中心から対応する車輪の中心へと向けられる放射方向の向きとは相違する。横振り運動の中心は、車輪401’,401”の中間にあると推定される。このように、横振り運動を行う場合のホイール312’の実際の瞬時的運動方向は上記円の接線方向にある。従って、該瞬時的運動は円方向とは僅かに異なる。結果的に、車輪は横振り移動を辿るために僅かにスリップする必要があり得る。結果として高いローリング抵抗及び不正確な動きとなり得る制御不可能なスリップを防止するために、図10による構成を採用することができる。
二重オムニホイールの車輪部分302が横方向に向けられた図9による構成は、前方向に向けられた小ローラ径により前方向運動に対して高い抵抗を示し得る。
図10のT字状配置は、広範囲の応用シナリオを提供する。オムニホイールが直角方向で取り付けられる図10による該構成は、耐荷重能力及び全方向への移動可能性の点で良い解決策である。
図12は、本発明の一例示的実施態様による図10に基づくT字状オムニホイール装置の底面図を示す。オムニホイール312’及び312’’’を取り付けるためにハウジング1201が用いられる。長軸410は、ホイール312’’’の車輪シャフト301’’’に対して平行である。車輪本体302’’’は長軸410に対して垂直である。ローラ303a’’’,303b’’’及び303c’’’は、これらローラが長軸401の方向の移動(例えば、長手方向の移動)をサポートするように取り付けられる。
オムニホイール312’は、長軸410に対して垂直な車輪シャフト301’に取り付けられる。ローラ303a’,303b’,303c’及び303d’は、長軸401に対して垂直な移動、即ち横方向移動をサポートするように取り付けられる。長手方向の移動をサポートするために、車輪本体302’は実質的に長軸410の方向に向けられる。車輪302’,302’’’の運動を制御するために、電磁ブレーキ1220’,1220’’’等の制動装置1220’,1220’’’が、対応する車輪シャフト301’,301’’’に取り付けられる。複雑さを低減するために、ローラ303a’,303b’,303c’,303d’,303a’’’,303b’’’,303c’’’,303d’’’は、ブレーキが設置されていない(即ち、無制動である)。他の例は、ブレーキを備えたローラを有することもできる。
図13は、本発明の一例示的実施態様による図12のオムニホイールアセンブリの正面図である。図13は、車輪シャフト301’又は車軸301’を用いてオムニホイール312’が取り付けられたハウジング1201を示している。オムニホイール312’は、車輪本体302’及びローラ303a’,303d’を有している。図13に見られるように、車輪本体の外周はローラの外周との組み合わせで、表面に接触するために用いることができる。両外周面は共通の外周を形成するように互いを補完する。
図14は、本発明の一例示的実施態様による図12のオムニホイール装置の側面図である。オムニホイール装置1300又はオムニホイールアセンブリ1300は、図14には示されていない医療装置のプラットフォーム409に取り付けられる。オムニホイール312’及び312’’’を互いに直角の向きで取り付けるためにハウジング1201が用いられる。オムニホイールの向き又は方向は、当該車輪装置及び/又は車輪本体の方向により実質的に定められ得る。オムニホイール312’を取り付けるためにホイールシャフト301’が使用される一方、ホイール312’’’を取り付けるためにホイールシャフト301’’’が使用される。ハウジング1201を通した透視図1301は、車輪本体302’’’が長軸410に対して垂直に配置されていることを示している。更に、図11の軸支取り付けに類似したプラットフォーム409に対するオムニホイール装置1300の軸支取り付けを可能にする枢軸1302が示されている。
図15は、本発明の一例示的実施態様によるオムニホイール装置を備えた支持プレート(ベースプレート)409の側面図1401、底面図1402及び正面図1403を示す。側面図1401に見られるように、支持プレート409及びバランス車輪401’が当該オムニホイール装置1300と組み合わされている。底面図1402は、バランス車輪401’,401”及びオムニホイール装置1300が取り付けられたベースプレート409の底面側を示している。正面図1403は、支持プレート409、バランス車輪401’,401”及びオムニホイール装置1300を示している。
本発明の実施態様は異なる主題に関連して説明されていることに注意すべきである。特に、幾つかの実施態様は方法のタイプの請求項に関連して説明される一方、他の実施態様は装置のタイプの請求項に関連して説明されている。しかしながら、当業者であれば、上記及び以下の説明から、そうでないと明示しない限り、1つのタイプの主題に属するフィーチャの如何なる組み合わせにも加えて、異なる主題に関するフィーチャの間の如何なる組み合わせも本出願により開示されていると見なされることが分かる。しかしながら、全てのフィーチャは、斯かるフィーチャの単なる寄せ集め以上の相乗効果をもたらすように組み合わせることができるものである。
以上、本発明を図面及び上記記載において図示及び説明したが、このような図示及び説明は解説的又は例示的なものであって、限定するものではないと見なされるべきである。即ち、本発明は開示された実施態様に限定されるものではない。また、開示された実施態様の他の変形例は、当業者によれば、請求項に記載された本発明を実施するに際して図面、当該開示及び添付請求項の精査から理解し、実施することができる。
尚、請求項において“有する”なる文言は他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。また、単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を満たすことができる。また、特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。また、請求項における如何なる符号も、当該範囲を限定するものと見なしてはならない。
尚、請求項において“有する”なる文言は他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。また、単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を満たすことができる。また、特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。また、請求項における如何なる符号も、当該範囲を限定するものと見なしてはならない。
Claims (15)
- 移動のための少なくとも1つのオムニホイールを有する移動手術用システムであって、前記オムニホイールは、
車輪本体を有する少なくとも1つの車輪装置と、
前記車輪本体の中心に配置された車輪シャフトと、
少なくとも1つのローラ装置と、
車輪制動装置及びローラ制動装置の少なくとも一方と、
を有し、
前記少なくとも1つのローラ装置はローラ軸及びローラ本体を有し、
前記少なくとも1つのローラ装置は前記車輪本体上に該ローラ装置の周面の少なくとも一部が前記車輪本体の周面の少なくとも一部を形成するように配置され、
前記車輪制動装置は前記車輪シャフトの回りにおける前記車輪本体の運動を抑止し、
前記ローラ制動装置は前記ローラ軸の回りにおける前記ローラ本体の運動を抑止し、
前記車輪制動装置及び前記ローラ制動装置が独立に作動可能である、
移動手術用システム。 - 前記少なくとも1つのローラ装置が前記車輪装置内で移動可能である、請求項1に記載の移動手術用システム。
- 前記ローラ装置の直径が前記車輪装置の直径よりも小さい、請求項1又は請求項2に記載の移動手術用システム。
- 前記車輪制動装置及びローラ制動装置の少なくとも一方が、制動プレート、モータ及びシャフト抑止装置の少なくとも1つを有する、請求項1ないし3の何れか一項に記載の移動手術用システム。
- 他のオムニホイールと取り付けプレートとを更に有し、
前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールが前記取り付けプレートの同一の側に取り付けられる、請求項1ないし4の何れか一項に記載の移動手術用システム。 - 前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールが前記取り付けプレートに、前記少なくとも1つのオムニホイールにおける前記車輪装置の車輪シャフトが前記他のオムニホイールにおける前記車輪装置の車輪シャフトと同一の仮想軸上に位置するように取り付けられる、請求項5に記載の移動手術用システム。
- 前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールが前記取り付けプレートに、前記少なくとも1つのオムニホイールにおける前記車輪装置の車輪シャフトが前記他のオムニホイールにおける前記車輪装置の車輪シャフトの仮想軸に対して垂直な仮想軸上に位置するように取り付けられる、請求項5に記載の移動手術用システム。
- 前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールが共通のハウジング内に取り付けられる、請求項5ないし7の何れか一項に記載の移動手術用システム。
- 前記少なくとも1つのオムニホイール及び前記他のオムニホイールが枢軸上に取り付けられる、請求項5ないし8の何れか一項に記載の移動手術用システム。
- 車輪本体を有する車輪装置と、
前記車輪本体の中心に配置された車輪シャフトと、
少なくとも1つのローラ装置と、
車輪制動装置及びローラ制動装置の少なくとも一方と、
を有するオムニホイールであって、
前記少なくとも1つのローラ装置はローラ軸及びローラ本体を有し、
前記少なくとも1つのローラ装置は前記車輪本体上に該ローラ装置の周面の少なくとも一部が前記車輪本体の周面の少なくとも一部を形成するように配置され、
前記車輪制動装置は前記車輪シャフトの回りにおける前記車輪本体の運動を抑止し、
前記ローラ制動装置は前記ローラ軸の回りにおける前記ローラ本体の運動を抑止する、
オムニホイール。 - 第1の請求項10に記載のオムニホイールと、
第2の請求項10に記載のオムニホイールと、
取り付けプレートと、
を有し、
前記第1のオムニホイール及び前記第2のオムニホイールが前記取り付けプレートの同一の側に取り付けられる、
オムニホイール装置。 - 請求項10に記載のオムニホイールを制御する方法であって、
所望の移動方向を決定するステップと、
前記所望の移動方向が前記車輪シャフトに対して平行である場合に前記車輪制動装置を作動させるステップと、
前記所望の移動方向が前記車輪シャフトに対して垂直である場合に前記ローラ制動装置を作動させるステップと、
移動が望まれない場合に前記車輪制動装置を作動させると共に前記ローラ制動装置を作動させるステップと、
を有する、方法。 - 請求項7に記載の移動手術用システムを制御する方法であって、
所望の移動方向を決定するステップと、
前記所望の移動方向が前記少なくとも1つのオムニホイールの前記車輪シャフトに対して平行である場合に該オムニホイールの車輪の前記車輪制動装置を作動させると共に前記少なくとも1つのオムニホイールに対して垂直な前記他のオムニホイールの前記車輪制動装置をロック解除するステップと、
前記所望の移動方向が前記少なくとも1つのオムニホイールの前記車輪シャフトに対して垂直である場合に、前記少なくとも1つのオムニホイールの前記ローラ制動装置を作動させ及び/又は前記他のオムニホイールの車輪制動装置を作動させるステップと、
移動が望まれない場合に前記少なくとも1つのオムニホイールの前記車輪制動装置及び/又は前記他のオムニホイールの前記車輪制動装置を作動させるステップと、
を有する、方法。 - 請求項10に記載のオムニホイール及び/又は請求項7に記載の移動手術用システムを制御するプログラムであって、プロセッサにより実行された場合に請求項12に記載の方法及び/又は請求項13に記載の方法を実行する、プログラム。
- 請求項10に記載のオムニホイール及び/又は請求項7に記載の移動手術用システムを制御するためのコンピュータ読取可能な媒体であって、プロセッサにより実行された場合に請求項12に記載の方法及び/又は請求項13に記載の方法を実行するプログラムコードを有する、コンピュータ読取可能な媒体。
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