JP2019530577A - 金属イオンを結合させるための方法及び溶解有機物画分の使用 - Google Patents

金属イオンを結合させるための方法及び溶解有機物画分の使用 Download PDF

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Abstract

本出願は、水中の金属イオンを結合させる方法を開示する。方法は、水を、溶解有機物(DOM)の画分と接触させて、DOM画分と金属イオンとの間で錯体を形成する工程、及び任意選択で、錯体を水から分離する工程を含む。本出願はまた、水中の金属イオンを結合させるためのDOMの使用も開示する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、同時係属中の、2016年8月19日に出願された米国仮出願第62/377,323号及び2017年5月31日に出願された同第62/513,018号による優先権の利益を主張し、これらの仮出願それぞれの内容は、それら全体が参照により本明細書に援用される。
本出願は、金属イオンを結合させる方法に関する。例えば、本出願は、廃水等の水中の金属イオンを結合させるための方法及び溶解有機物の使用に関する。
水銀(Hg)は、自然の酵素プロセスを撹乱し、細胞ストレスを引き起こす可能性がある、毒性金属である1a。無機のHgIIとして毒性があるだけでなく、ヒト及び野生生物は、強力な神経毒であるモノメチル水銀(MMHg)に対しても曝露される。大気から沈着すると、HgIIはまず、酸素を含んだ条件下において、無機配位子及び有機配位子と相互作用する。更に、微生物による、毒性のあるMMHgへのHgIIのメチル化は、無酸素性の条件下で起こるが、最新の報告では、メチル化が、無酸素性の微生物生息環境にのみ限定されるわけではない場合があることが示唆されている1b。したがって、大気からメチル化の現場に至るまでのHgII経路の研究に対する包括的アプローチには、酸素を含んだ淡水を含めた、幅広い範囲の環境にまたがる、HgIIの化学種決定及び微生物細胞に対するバイオアベイラビリティの研究が必要とされる2〜3。分子レベルでの溶解有機物(DOM)及びそれがどのようにHgIIと相互作用するかについて特徴付けるそのような研究について、これまでに開示されたものは知られていない。DOMは、例えば微生物の栄養源として作用し、溶液の光透過に影響を及ぼし、金属をキレート化することができる、様々な自発性及び外来の源に由来する不均質材料の複合混合物である4〜6
DOMは、理論によって束縛されることを意図するものではないが、HgIIといくつかの方法で相互作用することができる、非常に多様且つ動的な組成を有する。第1に、HgIIのDOMに対する結合は、大きな疎水性のDOM分子による準安定構造の形成を介して、その可動性及びバイオアベイラビリティを低下させる可能性がある5〜7。或いは、Hgの、アミノ酸又はペプチド(例えば、システイン又はグルタチオン(GSH))等の低分子に対する結合は、Hgのバイオアベイラビリティを増加させることが示されている8。DOMの水素化及び酸素化は、以前から、DOM栄養源の微生物による取り込みと関連付けられている9。例えば、水素化(H/Cがより大きく、O/Cがより低い)窒素含有化合物における高いDOMは、よりバイオアベイラブルな、アミノ酸が豊富な材料に対応するが、一方で、高度に酸素化された(O/Cがより大きく、H/Cがより低い)炭素源は、微生物の栄養源として好ましさが低くなる9〜10。スルフィド(遊離又はDOMと結合した)は、これもまたMMHgの形成を支持する無酸素性の条件下において、HgIIにとって重要な配位子であることが予測されるが、酸素を含んだ水中におけるHgIIとDOMとの間の強力な相互作用は、後続のスルフィドに対する結合に影響を及ぼす可能性がある7。これは、酸素を含んだ水柱が無酸素性の領域を覆っている、層状の水界生態系において重要である11〜14。HgのDOMに対する結合は、低減された硫黄種を含有するDOM内の相同的構造の基(R-SH)によって制御されるが、有機配位子の組成及びサイズがどのようにHgのバイオアベイラビリティに影響を及ぼすかを理解することも不足している15〜19
米国特許第7,220,417号(B2) 米国特許出願第2008/0194732号(A1)
Laboratory techniques in Biochemistry and Molecular Biology: Chapter 1 Lipids
したがって、本出願は、水中の金属イオンを結合させる方法であって、
水を、溶解有機物(DOM)の画分と接触させて、DOM画分と金属イオンとの間で錯体を形成する工程、及び
任意選択で、錯体を水から分離する工程
を含む、方法を含む。
本出願はまた、水中の金属イオンを結合させるための、溶解有機物(DOM)の画分の使用も含む。
本出願の他の特色及び利点は、以下の発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。しかしながら、発明を実施するための形態及び具体的な実施例は、本出願の実施形態を示すものではあるものの、例証として与えられるに過ぎず、特許請求の範囲は、これらの実施形態によって限定されるべきではなく、その記載と無矛盾である最も広い解釈が全体として与えられるべきであることを理解されたい。
これより、本出願について、図面を参照しながらより詳細に説明していく。
ガラス(濃い灰色)及びテフロン(登録商標)(薄い灰色)のシンチレーションバイアルに基づく本出願の実施例の様々な実施形態に関する、バイオルミネッセンス(cps)単位の、バイオアッセイ応答を示すプロットである。 Suwannee River(SRFA)の試料に関する、1〜20ppmの溶解有機炭素(DOC)による、正規化されたバイオルミネッセンス応答を示すプロットである。左から1番目から3番目までの棒は、配位子の不在下において添加された、それぞれ250pM、100pM、及び0pMのHgNO3を示している。 Pony Lake(PLFA)の試料に関する、1〜20ppmのDOCによる、正規化されたバイオルミネッセンス応答を示すプロットである。左から1番目から3番目までの棒は、配位子の不在下において添加された、それぞれ250pM、100pM、及び0pMのHgNO3を示している。 SRFA(薄い灰色)及びPLFA(より濃い灰色)の、254nmにおける非対称流れ流動場分離法(AF4)のフラクトグラムを示す図であり、縦棒は、低分子量(LMW、300〜900Da)、中分子量(MMW、900〜1800Da)、及び高分子量(HMW、1800〜3500Da)画分の間の境界を示している。 1ppmの未分画SRFA及びPLFA(それぞれ、左から4番目及び8番目の棒)に対するバイオアッセイ応答と比較した、250pMのHgNO3に対する図4の画分(左から5番目から7番目までの棒、SRFA及び左から9番目から11番目までの棒、PLFA)の応答を示すプロットである。左から1番目から3番目までの棒は、配位子の不在下において添加された、それぞれ250pM、100pM、及び0pMのHgNO3を示している。 炭素に関する、SRFA(左側の4本の棒)及びPLFA(右側の4本の棒)の、バルク(点付き)及びAF4サイズ画分内での、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT ICR-MS)加重元素寄与率を示す図である。アスタリスクは、SRFA及びPLFAの両方に関する、LMW画分とHMW画分との間の組成における有意差(p<0.05)を表している。 水素に関する、SRFA(左側の4本の棒)及びPLFA(右側の4本の棒)の、バルク(点付き)及びAF4サイズ画分内での、FT ICR-MS加重元素寄与率を示す図である。アスタリスクは、SRFA及びPLFAの両方に関する、LMW画分とHMW画分との間の組成における有意差(p<0.05)を表している。 酸素に関する、SRFA(左側の4本の棒)及びPLFA(右側の4本の棒)の、バルク(点付き)及びAF4サイズ画分内での、FT ICR-MS加重元素寄与率を示す図である。アスタリスクは、SRFA及びPLFAの両方に関する、LMW画分とHMW画分との間の組成における有意差(p<0.05)を表している。 窒素に関する、SRFA(左側の4本の棒)及びPLFA(右側の4本の棒)の、バルク(点付き)及びAF4サイズ画分内での、FT ICR-MS加重元素寄与率を示す図である。 硫黄に関する、SRFA(左側の4本の棒)及びPLFA(右側の4本の棒)の、バルク(点付き)及びAF4サイズ画分内での、FT ICR-MS加重元素寄与率を示す図である。 図6〜10のそれぞれのサイズ画分及び未分画試料の、正規化されたバイオアッセイと、対応する芳香族性指数(AI)との間の逆相関を示すプロットである。 平均で200回のスキャンに基づく、SRFA(上)及びPLFA(下)のFT ICR-MSスペクトル、並びに対応する3Dバンクレベレン図(挿入図)を示す図である。着色された図においては、バンクレベレン図の陰は、対応するピークの絶対強度に基づいている(薄い方から濃い方へと強度が増加する)。 SRFA(三角)及びPLFA(丸)による、原子比及びサイズ画分の主成分分析(PCA)を示す図である。 SRFA(上)及びPLFA(下)に関する、主成分1(PC1)固有値対正規化されたバイオルミネッセンス応答を示す図である。 本出願の実施例による理論上の同位体分布(下)と比較した、検出されたHg(Cys)2錯体に関する様々なイオンの相対的存在量(上)を示す図である。 本出願の実施例による、クロレラ(左)、クラミドモナス(中央)、及びユーグレナ(右)由来の植物プランクトン由来DOMに関する、質量スペクトル及びバンクレベレンプロット(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、クロレラ(左)、クラミドモナス(中央)、及びユーグレナ(右)由来の植物プランクトン由来DOM Hg錯体において見出された202Hgピークに関する、観測同位体分布(上)と予測同位体分布(下)との間の比較を示す図である。 本出願の実施例による、クロレラ(左)、クラミドモナス(中央)、及びユーグレナ(右)由来の植物プランクトン由来DOM Hg錯体に関する質量スペクトルを示す図である。ボックスは、左から右に、式:C37H66OHg、C8H15N2Hg、及びC10H11O2HgSのm/z軸における場所を示している。 本出願の実施例による、SRFA、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クラミドモナス・ラインハーティ(Chlamydomonas reinhardtii)、及びユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)からDOMを分離するために使用されたAF4のプロットであり、縦棒は、低分子量(LMW、300〜900Da)、中分子量(MMW、900〜1800Da)、及び高分子量(HMW、1800〜3500Da)画分の間の境界を示している。 本出願の実施例による、250pMのHg(NO3)2に対して曝露された図19における画分の関数としての、バイオルミネッセンス応答のプロットである(左から4〜6本目の棒:SRFA、左から7〜9本目の棒:クロレラ、左から10〜12本目の棒:クラミドモナス、左から13〜15本目の棒:ユーグレナ)。左から1番目から3番目までの棒は、配位子の不在下において添加された、それぞれ250pM、100pM、及び0pMのHgNO3を示している。 C38H76ON分子の13C同位体を確認して正確な式配置を強固にする、観測同位体分布(上)対理論上の同位体分布(下)の間の比較を示す図である。 C22H47O8NS分子の34S同位体を確認して正確な式配置を強固にする、観測同位体分布(上)対理論上の同位体分布(下)の間の比較を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの不在下において標準的(16:8時間)光レジームに曝露されたクロレラに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの存在下において標準的(16:8時間)光レジームに曝露されたクロレラに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの不在下において高(20:4時間)光レジームに曝露されたクロレラに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの存在下において高(20:4時間)光レジームに曝露されたクロレラに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの不在下において標準的(16:8時間)光レジームに曝露されたクラミドモナスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの存在下において標準的(16:8時間)光レジームに曝露されたクラミドモナスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの不在下において高(20:4時間)光レジームに曝露されたクラミドモナスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの存在下において高(20:4時間)光レジームに曝露されたクラミドモナスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの不在下において標準的(16:8時間)光レジームに曝露されたセネデスムスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの存在下において標準的(16:8時間)光レジームに曝露されたセネデスムスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの不在下において高(20:4時間)光レジームに曝露されたセネデスムスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、Hgの存在下において高(20:4時間)光レジームに曝露されたセネデスムスに関する、DOM組成物の質量スペクトル及びDOMを示す相同的CH2シフトを表示するためのケンドリックマスディフェクト(挿入図)を示す図である。 本出願の実施例による、標準的(16:8時間)光レジーム(それぞれのプロットの左側の3本の棒)又は高(20:4時間)光レジーム(それぞれのプロットの右側の3本の棒)に対して曝露された、クロレラ(黒い棒)、クラミドモナス(薄い灰色の棒)、及びセネデスムス(白い棒)から生成されたDOMの加重平均分子特性(左上から時計回りに、O/C、H/C、N/C、S/C、m/z、AI mod、NOSC、%S、%O、%N、%H、及び%C)のプロットを示す図である。 本出願の実施例による、20:4時間(下)の明:暗サイクルと比較した、16:8時間(上)で成長させたクロレラに由来する植物プランクトン由来DOMのバンクレベレン図を示す図である。より濃い陰は、より大きいm/zを有する分子に対応し、より大きいポイントサイズは、より大きいピーク強度に対応する。 本出願の実施例による、20:4時間(下)の明:暗サイクルと比較した、16:8時間(上)で成長させたクラミドモナスに由来する植物プランクトン由来DOMのバンクレベレン図を示す図である。より濃い陰は、より大きいm/zを有する分子に対応し、より大きいポイントサイズは、より大きいピーク強度に対応する。 本出願の実施例による、20:4時間(下)の明:暗サイクルと比較した、16:8時間(上)で成長させたセネデスムスに由来する植物プランクトン由来DOMのバンクレベレン図を示す図である。より濃い陰は、より大きいm/zを有する分子に対応し、より大きいポイントサイズは、より大きいピーク強度に対応する。 本出願の実施例による、20:4時間(下)の明:暗サイクルと比較した、16:8時間(上)で成長させた、クロレラ(左)、クラミドモナス(中央)、及びセネデスムス(右)によって放出された、左から右に、リグニン、タンパク質、不飽和炭化水素、脂質、炭水化物、タンニン、及び芳香族構造の相対的存在量(%)を描写するバンクレベレン図に基づく化合物クラスを示す図である。16:8時間及び20:4時間の明:暗サイクル両方に関して、エラーバーは、生物学的デュープリケート(n=2)に基づくものである。 モル比が1:2であるHg:システイン[HgC6H13N2O4S2]錯体の検出と、本出願の実施例による理論上の同位体分布(下)と比較した、検出された6種のHg同位体置換体(204Hg、202Hg、201Hg、200Hg、198Hg、及び196Hg)(上)とを示す図であり、それぞれの同位体の相対的存在量は合致している。また、精密質量の比較は、Hg同位体に関する±5ppmの質量精度を明らかにした。 Hgの不在下(上)及び存在下(下)における、クラミドモナス由来のDOMの質量スペクトルを示す図であり、Hgの添加後のHg同位体置換体の存在を示している。 理論上の同位体分布の対応するスペクトル(それぞれ、上から2番目、下から3番目、及び下)と比較した、本出願の実施例によるクロレラ(上)、クラミドモナス(上から3番目)、及びセネデスムス(下から2番目)に関する、特定されたHg含有DOMを示す図である。 精密質量及び同位体の立体構造に基づき、本出願の実施例による、16:8時間(上)及び20:4時間(下)におけるHg結合DOMの存在量を一般的分子式に基づいてグループ分けした、プロットを示す図である。白い棒:クロレラ、灰色の棒:クラミドモナス、及び黒い棒:セネデスムス。 本出願の実施例による、16:8時間の光サイクルにおけるHg結合DOMの構造特性に基づく、双方向の階層型クラスター分析を示す図である。また、スピアマンの相関行列が、構造特性に対するそれぞれの分子群の全質量を描写しており、着色がより濃いほど、より強い相関関係を示す。 本出願の実施例による、20:4時間の光サイクルにおけるHg結合DOMの構造特性に基づく、双方向の階層型クラスター分析を示す図である。また、スピアマンの相関行列が、構造特性に対するそれぞれの分子群の全質量を描写しており、着色がより濃いほど、より強い相関関係を示す。 本出願の実施例による、クロレラ20:4時間培養物において見出された、HgC37H54N5O13の実験式を有する細菌のシデロフォアカルボキシマイコバクチンの推定異性体を特定するための、対応する理論上の質量スペクトル(下)と比較した、実験上の質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、C32H54N5O10Hgの実験式を有するアシネトフェリンの精密質量及びHg同位体分布に基づく、Hg結合配位子の可能性のある異性体に関する、対応する理論上の質量スペクトル(下)と比較した、観測された質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、C27H49N6O10Hg + C4H7NO + H2O + Hgの実験式を有する、デスフェリオキサミンG1の精密質量及びHg同位体分布に基づく、Hg結合配位子の可能性のある異性体に関する、対応する理論上の質量スペクトル(下)と比較した、観測された質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、C41H57N9O12 + Hgの実験式を有する環状トリクリソバクチン(trichirsobactin)の精密質量及びHg同位体分布に基づく、Hg結合配位子の可能性のある異性体に関する、対応する理論上の質量スペクトル(下)と比較した、観測された質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、C29H32N5O13 + Hgの実験式を有するカルボキシマイコバクチンの精密質量及びHg同位体分布に基づく、Hg結合配位子の可能性のある異性体に関する、対応する理論上の質量スペクトル(下)と比較した、観測された質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、C27H53N10O12 + Hgの実験式を有するエキソケリンの精密質量及びHg同位体分布に基づく、Hg結合配位子の可能性のある異性体に関する、対応する理論上の質量スペクトル(下)と比較した、観測された質量スペクトル(上)を示す図である。 好気条件(上)及び嫌気条件(下)の下における、本出願の実施例による、左から右に、クラミドモナス・ラインハーティ、セネデスムス・オブリクス(Scenedesmus obliguus)、クロレラ・ブルガリス、及びユーグレナ・グラシリスに関する、Hg可動性に対するDOM濃度の効果を示す図である。 ユーグレナ・グラシリスによる様々な分子量のDOM分子の生成及び放出に対する、本出願の実施例による、30ppmのDOM濃度(右)と比較した、1ppmのDOM濃度(左)の効果を示す図である。 本出願の実施例による、オリゴペプチド-Cd錯体に関する、対応する予測質量スペクトル(下)と比較した観測質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、バクテリオホパンテトロールシクリトールエーテル-Cd錯体に関する、対応する予測質量スペクトル(下)と比較した観測質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、アザスピラシド-3-Cd錯体に関する、対応する予測質量スペクトル(下)と比較した観測質量スペクトル(上)を示す図である。 本出願の実施例による、ブルンスビカミドA-Cd錯体に関する、対応する予測質量スペクトル(下)と比較した観測質量スペクトル(上)を示す図である。
I.定義
別途指示のない限り、本セクション及び他のセクションにおいて記載される定義及び実施形態は、当業者によって理解されるようにそれらが好適である、本明細書に記載される本出願のすべての実施形態及び態様に対して適用可能であることが意図される。
本出願の範囲を理解するにあたり、「含む(comprising)」という用語及びその派生語は、本明細書において使用される場合、明言された特色、要素、成分、群、整数、及び/又は工程の存在を特定するものの、他の明言されていない特色、要素、成分、群、整数、及び/又は工程の存在を除外しない、オープンエンドの用語であることが意図される。また、前述のことは、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語等の同様の意味を有する語に対しても当てはまる。「からなる」という用語及びその派生語は、本明細書において使用される場合、明言された特色、要素、成分、群、整数、及び/又は工程の存在は特定するが、他の明言されていない特色、要素、成分、群、整数、及び/又は工程の存在は除外する、クローズド用語であることが意図される。「から本質的になる」という用語は、本明細書において使用される場合、明言された特色、要素、成分、群、整数、及び/又は工程だけでなく、特色、要素、成分、群、整数、及び/又は工程の基本的特性及び新規特性に対して実質的に影響を及ぼさないものの存在も特定することが意図される。
本出願において使用される場合、文脈が別途明確に規定しない限り、「ある1つの(a)」、「ある1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、複数の指示対象を包含する。
「追加的な」又は「第2の」成分を含む実施形態においては、第2の成分は、本明細書において使用される場合、その他の成分又は第1の成分とは異なる。「第3の」成分は、その他の成分、第1の成分、及び第2の成分とは異なり、更に列挙される成分又は「追加的な」成分も、同様に異なる。
II.方法及び使用
溶解有機物(DOM)は、天然系において水銀の行く末を支配し得る特性を有する、動的配位子である。モノメチル水銀の生成が無酸素性の条件下において起こる一方で、HgIIはまず、大気から沈着すると、酸素を含んだ条件下においてDOMと相互作用する。しかし、そのような相互作用について調査する研究は少なかった。本実施例では、HgII取り込みを定量化するように設計された全細胞バイオセンサと結び付けた、DOMの分子量分離のための非対称流れ流動場分離法、分解組成評価のための高分解能質量分析法に依拠する多方向アプローチを使用することで、DOM(Suwannee River(SRFA)及びPony Lake(PLFA)フルボ酸)の、Hgバイオアベイラビリティに対する役割について調査した。サイズ画分がHgIIバイオアベイラビリティに影響を及ぼしており、小さい脂肪族材料が豊富な、SRFAのより低分子量(MW)のサイズ画分が、HgIIの取り込みを支持し、理論によって束縛されることを意図するものではないが、DOMの低分子量(LMW)化合物が微生物へのHgIIシャトルとして作用する役割を支持していることが示された。より大きい芳香族材料で構成される高分子量(HMW:1800〜3500Da)画分は、SRFA及びPLFAの両方に関して、HGIIバイオアベイラビリティを有意に低減した(p<0.05)。本実施例は、酸素を含んだ環境においてHgIIバイオアベイラビリティを強化するLMW脂肪族DOMの有用性を実証しており、理論によって束縛されるものではないが、HgIIバイオアベイラビリティにおける差異が、窒素及び硫黄含有量によってのみ生み出されるのではなく、MW及び芳香族性特性によっても生み出されることが示唆される。
したがって、本出願は、水中の金属イオン(又は種)を結合させる方法であって、
水を、溶解有機物(DOM)の画分と接触させて、DOM画分と金属イオンとの間で錯体を形成する工程、及び
任意選択で、錯体を水から分離する工程
を含む、方法を含む。
本明細書において使用される場合、「水」という用語は、溶液、懸濁液、又はスラリーの形態の水を包含する。
本明細書において使用される場合、「水和物形態」という用語は、ある物質が、その固体形態において、任意選択でその結晶形態において水を含有していることを指す。
DOMの画分は、任意の好適なDOMの画分であってもよい。例えば、本開示の研究においては、微生物をDOMの低分子量有機化合物画分に対して曝露したところ、細胞の水銀可動化における有意な増加が観察された。したがって、ある実施形態においては、DOMの画分は、DOMの低分子量有機化合物画分(LMW-DOM)である。別の実施形態においては、LMW-DOMは、150〜900又は300〜900Daの範囲の分子量を含む。別の実施形態においては、LMW-DOMは、少なくとも100、150、200、250、300、350、又は400Daからの分子量を含む。別の実施形態においては、LMW-DOMは、最大で700、750、800、850、又は900Daまでの分子量を含む。ある実施形態においては、LMW-DOMは、3-メチルジオキシインドール、ベレンジン、リノレオイル、グルコナピン、N-アセチルロイシル-ロイシル-メチオニアナール、アミノペントール、モモルジシリン、スルファニルアミド、ジヒドロキシペンタトリアコンタ-2,4-ジエン酸、オリゴペプチド(例えば、Ala-Thr-Leu-His、L-ロイシル-L-アスパラギニルグリシル-L-リジル-L-アラニル-L-ロイシル-L-バリル-L-グルタミン酸、L-ロイシル-L-アスパラギニルグリシル-L-リジル-L-アラニル-L-ロイシル-L-バリル-L-グルタミン酸、及び/又はL-バリル-L-アスパラギニル-L-イソロイシル-L-グルタミニル-L-リジル-L-α-グルタミル-L-イソロイシン)、2-ヒドロキシヘプタン酸、(E)-ペンタ-1,3-ジエン-2-オール、ジグリセリド、トリカプリル酸グリセロール(glycerol triaprylate)、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-3,6,5'-トリメトキシフラボン、9-オクタデセン酸、1,2,3,4-テトラキス-o-(4-ニトロベンゾイル)ペントピラノース、セラミド、セフスロジンモノバクタム、2,7,9-トリカルボキシピロロ(2,3-f)キノリン-4-オール-5-オン、テトラデカン-1、1-(O-アルファ-D-グルコピラノシル)-3-ケト-(1,25R,27R)-オクタコサントリオール、2,4-ビス[4,5-ビス(ペンチルアミノ)イソキノリン-1-イル]シクロブタン-1,3-ジオン、バクテリオホパンテトロールシクリトールエーテル、アザスピラシド-3、ブルンスビカミドA、シデロケリンA、ベナルチン、クリソバクチン、ジヒドロキシ安息香酸、リゾバクチン、シゾキネン、デスフェリオキサミン、環状トリクリソバクチン、カルボキシマイコバクチン、エキソケリン、ビブリオフェリン、アシネトフェリン、フェリオキサミン、又はそれらの混合物である化合物を含有する。ある実施形態においては、LMW-DOMは、シデロケリンA、ベナルチン、クリソバクチン、ジヒドロキシ安息香酸、リゾバクチン、シゾキネン、デスフェリオキサミン、環状トリクリソバクチン、カルボキシマイコバクチン、エキソケリン、ビブリオフェリン、アシネトフェリン、フェリオキサミン、又はそれらの混合物である化合物を含有する。一部の実施形態では、固体形態の化合物は、その水和物形態である。当業者であれば、DOM中の化合物の独自性は、例えば、DOMの源(例えば、それを生成する微生物の種)に基づき得るため、本出願の実施形態は、それに従って変わり得ることを理解するであろう。
或いは、DOMの高分子量有機化合物画分(HMW-DOM)を使用することによって、結果として生じる、金属及びHMW-DOMの非不安定性錯体は、バイオアベイラビリティが低くなり、この特性を利用する方法を通じて分離することができる。当業者であれば、本出願を参照することにより、また公知の方法等の通常の一般知識の観点から、そのような方法を容易に選択することができるであろう。したがって、本出願の別の実施形態においては、DOMの画分は、DOMの高分子量有機化合物画分(HMW-DOM)である。更なる実施形態においては、HMW-DOMは、1800〜3500Da又は最大1μmまでの範囲の分子量を含む。
本出願の別の実施形態においては、DOMの画分は、DOMの中分子量有機化合物画分(MMW-DOM)である。更なる実施形態においては、MMW-DOMは、900〜1800Daの範囲の分子量を含む。
本出願の実施例において使用される高分解能質量分析法(HRMS)等の技法を使用することで、Hg2+等の金属イオンに容易に結合するDOM化合物に関する質量電荷比等の構造情報がもたらされ得る。例えば金属イオン錯体化DOM画分の相同的群を分離するために、任意選択で、分画法を後に適用してもよい。
水中の金属イオンを結合させる方法は、水中の金属イオンを結合させることが所望される任意の好適な用途のために使用することができる。例えば、方法は、廃水の浄化だけでなく、他の水処理及び水精製用途のためにも使用することができる。ある実施形態においては、方法は、除去されるべき金属イオンを有する廃水の浄化のためのものであり、水が廃水である。廃水は、任意の好適な廃水であってもよい。例えば、廃水は、生活廃水、都市廃水、産業廃水、又はそれらの組合せであってもよい。「産業廃水」という用語は、金属イオンを含有し、且つ産業からの廃棄物である任意の好適な水を包含する。例えば、産業廃水は、金属加工流出液又は電気めっきプロセスからの廃水を含んでもよい。例えば、鉱物及び堆積物の粉砕から生じる廃水は、二価金属、例えば本出願の方法で結合させることができる水銀等の溶解金属を含み得る。したがって、ある実施形態においては、産業廃水は、採掘作業からの流出液を含む。本出願の方法はまた、目的とする金属イオンを水から捕捉するために使用することもできる。例えば、そうすることによって、金属イオンを金属へと変換することができる。
ある実施形態においては、錯体は、水から分離される。分離の方法は、任意の好適な分離手段を伴ってもよく、例えば、水をDOM画分と接触させる方法に左右されることになる。ある実施形態においては、分離は、錯体を微生物と接触させて、錯体を捕捉することを含む。微生物は、錯体を取り込む(捕捉する)ことができる任意の好適な微生物であってもよい。例えば、本出願の研究では、グラム陰性細菌である大腸菌(E. coli)を試験したが、任意の他の好適な微生物を使用することができる。
当業者であれば、本出願の方法において、水をDOM画分と接触させるための好適な手段を選択することができる。
本明細書において使用される場合、「溶解有機物」又はDOMという用語は、(例えば、1.0、0.7、0.45、又は0.2μmの孔径の)フィルタ孔を通過する材料として操作的に定義することができる、複合有機分子の広範な混合物を指す。DOMには、脂質、ペプチド、タンパク質、アミノ酸、アミノ糖、炭水化物、リグニン、タンニン、縮合芳香族化合物、及び飽和又は不飽和炭化水素等の生体分子が含まれ得る。特定のDOMの組成は、例えば、DOMの源に左右されることになる。例えば、水中又は陸上で見出される任意の生存生物又は死んだ生物が、DOMを生成する。そのような生物には、すべての植物プランクトン、微生物、及び真菌が包含される。生存生物は、例えば、代謝老廃物の結果としてDOMを生成し得る。植物及び樹木(又はそれらの一部、例えば葉等)、並びに陸上生物及び水生生物等の死んだ材料の分解もまた、DOMを生成する。本明細書において使用される場合、「溶解有機物」又は「DOM」という用語は、すべてのそのような天然源によって生成されたDOMだけでなく、化学的に合成されたDOM又はその成分(すなわち、DOMにおいて見出される1種又は複数の化合物)も包含する。天然源に由来するDOMには、環境から収集されたDOMだけでなく、培養生物から得られたDOM又はその一部も含まれる。
したがって、ある実施形態においては、DOMは、植物プランクトンに由来する。別の実施形態においては、植物プランクトンは、クロレラ種、クラミドモナス種、ユーグレナ種、ケイ藻類、ラン藻類、原生生物、又はそれらの混合物である。更なる実施形態においては、植物プランクトンは、ユーグレナ種である。これは、植物プランクトンが、クロレラ・ブルガリス、クラミドモナス・ラインハーティ、ユーグレナ・グラシリス、ユーグレナ・ミュータビリス(Euglena mutabilis)、セネデスムス・オブリクス、タラシオシラ・ワイスフロギイ(Thalassiosira weissflogii)、又はそれらの組合せである、実施形態である。ある実施形態においては、植物プランクトンは、クロレラ(例えば、クロレラ・ブルガリス)である。別の実施形態においては、植物プランクトンは、クラミドモナス(例えば、クラミドモナス・ラインハーティ)である。更なる実施形態においては、植物プランクトンは、ユーグレナ(例えば、ユーグレナ・グラシリス又はユーグレナ・ミュータビリス)である。別の実施形態においては、植物プランクトンは、セネデスムス(例えば、セネデスムス・オブリクス)である。更なる実施形態においては、植物プランクトンは、タラシオシラ(例えば、タラシオシラ・ワイスフロギイ)である。別の実施形態においては、植物プランクトンは、ユーグレナ・グラシリス、ユーグレナ・ミュータビリス、又はそれらの組合せである。更なる実施形態においては、植物プランクトンは、ユーグレナ・グラシリスを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
本出願の別の実施形態においては、DOM(又はその画分)は、化学的に合成される。化学的に合成されるDOMは、公知の方法によって合成されてもよく、又は商業的供給源から入手されてもよい。
更なる実施形態においては、DOM画分は、水素化窒素含有化合物を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、前記化合物の水素対炭素の元素比(H/C)は、1.65を上回る(脂質及びタンパク質材料に対するカットオフ)。本開示の研究においては、水素化DOMが、高度に酸素化されたDOM成分とは対照的に、優先的に取り込みを促進することが観察された。したがって、そのような化合物を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる(例えば、それに富んでいる)DOM画分の使用は、分離がそのような手段によって実行される実施形態においては、微生物による取り込みを促進することができる。
一部の実施形態においては、DOM画分は、DOMから単離される。DOM画分は、任意の好適な手段によって、DOMから単離することができる。ある実施形態においては、DOM画分は、流動場濾過、限外濾過、又は超遠心分離によってDOMから単離される。別の実施形態においては、DOM画分は、流動場濾過を含む方法によってDOMから単離される。
DOMは、任意選択で、DOM画分中において増加した百分率の1種又は複数の所望される金属イオン結合化合物を得るのに好適な条件下で生成されてもよい。例えば、条件は、DOM画分中において増加した百分率の1種又は複数の所望される金属イオン結合化合物を得るのに好適な条件下で植物プランクトンの培養物を成長させることを含んでもよい。そのような生成の増進は、限定されるものではないが、培地、温度、光、pH、イオン強度、及び金属濃度等の培養条件によって影響を及ぼされ得る。したがって、ある実施形態においては、条件は、所望される培地、温度、光、pH、イオン強度、及び金属濃度のうちの1つ又は複数を含む。例えば、活性酸素種(ROS)の生成及び代謝ストレスが、システイン(Cys)及びグルタチオン(GSH)等の抗酸化剤の増加を誘発する可能性がある。したがって、培養金属(culturing metal)、温度、及び/又は光強度若しくは持続期間の増加(植物プランクトンにとって耐容できる範囲内)は、LMW化合物を誘発する。光の増加はまた、より高分子量の化合物の、より低分子量の化合物への光分解を引き起こし得る。同様に、培養pHの低下もまた、より高分子量のDOM化合物の、より小さいサブユニットへの分解を引き起こし得る。植物プランクトン培養物の、非致死性の金属濃度に対する曝露は、選択圧として作用する可能性があり、ここでは、耐容性の細胞が、ペプチド及びアミノ酸の組成及び濃度において変化を呈する。本出願の別の実施形態においては、条件は、光レジームを変えることを含む。更なる実施形態においては、光レジームは、16:8時間の明:暗である。本出願の別の実施形態においては、光レジームは、20:4時間の明:暗である。
金属イオンは、DOM画分と錯体を形成する任意の好適な金属イオンであることができる。本明細書において使用される場合、「DOM画分と金属イオンとの間で錯体を形成する」及び「DOM画分と錯体を形成する金属イオン」という表現は、金属イオンと、DOM画分の成分である少なくとも1種の化合物との間で錯体が形成されることを指す。金属イオンは、ヒ素、希土類元素、ウラニウム、及び放射性核種等の、アニオン性金属又はカチオン性金属であってもよい。当業者であれば、DOM画分が、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)等の、好適な金属イオンと結合可能であるヘテロ原子を有する化合物を含み得ることを理解するであろう。DOM画分は、特定の金属又はそのクラスの結合のために選択することができる。例えば、A型金属が典型的にはO及びN含有配位子とより安定な錯体を形成する一方で、B型金属は典型的にはS含有配位子とより安定な錯体を形成し、金属は、A型金属とB型金属との中間の挙動を呈することが知られている。一部の実施形態においては、金属は、遷移金属である。一部の実施形態においては、金属は、金属イオン(すなわち、M2+)であり、任意選択で、Hg2+又はヘテロ原子(例えば、N、O、及びS)に対して同様の結合を示す別の金属、例えばCd2+、Zn2+、Co2+、Ni2+、又はPb2+等である。別の実施形態においては、金属イオンは、希土類元素、二価金属、遷移金属、又は二価遷移金属である。別の実施形態においては、金属イオンは、Hg2+である。本出願の別の実施形態においては、金属イオンは、Cd2+である。
本出願はまた、水中の金属イオンを結合させるための、溶解有機物の画分の使用も含む。
当業者であれば、本開示の使用の実施形態は、本開示の方法に関して本明細書において記載されているように変更可能であることを理解するであろう。
以下の非限定的実施例は、本出願を例証するものである。
(実施例1)
溶解有機物サイズ画分及び組成の、好気性水銀取り込みに対する役割
DOMの分子量(MW)及び組成がHgバイオアベイラビリティに対して有する役割を評価するために、分子量に基づいてDOMを分離するための非対称流れ流動場分離法(AF4)、MW画分の分解組成評価のためのフーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析(FT ICR-MS)、及び全細胞バイオセンサの使用に依拠する多方向アプローチを展開して、有機配位子のサイズ及び組成が、酸素を含んだ条件下においてどのようにHgIIバイオアベイラビリティに影響を及ぼすかについて調査した。多方向アプローチにおいてこれらの技法を使用することで、Suwannee River(外来性入力に支配されている)及びPony Lake(微生物に基づく南極地方の水生生態系)に由来する2つのフルボ酸参照標準を比較して、DOMのサイズ画分及び組成がどのようにHgIIバイオアベイラビリティに影響を及ぼすかについて研究した。
I.材料及び方法
(a)標準及び非対称流れ流動場分離法
SRFA及びPLFAを、国際腐植物質学会から入手し、超純水(MQW、18mΩ)中に溶解し、0.7μmのガラス繊維フィルタを通して濾過した。SRFA及びPLFAは様々な精製処理に供されたが、これらの標準は、Hgバイオアベイラビリティに対して影響を及ぼすことにおけるDOMのMW及び構造の役割に対する初期調査にとって好適なDOM源として働き、金属のバイオアベイラビリティについて研究するための参照材料として広く使用されていた20。オンラインUV-可視分光光度計(Shimadzu社、SPD-M20A)及びフラクションコレクタ(Varian ProStar 701)を備えたAF2000 Focus分画システム(Postnova Analytics社)を使用して、DOMのサイズ画分を単離した。軸流、焦点流、及び交差流に関して、それぞれ0.25、2.2、及び2.45mL/分の流れ設定を伴う、300Daのポリエーテルスルホネート(PES、Postnova Analytics社)。高分子タンパク質の較正溶液を利用して、SRFA及びPLFAの分子量を較正した21〜23。およそ2mLの200ppm-CのSRFA及びPLFAを、300μLの試料ループに注入し、溶離段階中に1分間隔で画分を収集した。それぞれのサイズ画分の溶解有機炭素(DOC)の濃度を、254nmでのUV-可視吸光度を使用して決定し、ここでは、公知のSRFA及びPLFAの濃度と、対応するUV-可視吸光度の値の較正曲線を決定した。更なる分析のために、低(LMW、300〜900Da)、中(MMW、900〜1800Da)、及び高MW(HMW、1800〜3500Da)の分子量画分を収集した。LMW画分及びMMW画分は、それぞれ、SRFA及びPLFAの両方に関して、AF4フラクトグラムにおいてピーク最大値が一致した。
(b)バイオレポーターアッセイ
大腸菌の全細胞バイオセンサを使用して、HgIIバイオアベイラビリティを評価した24。ここで、アッセイ条件については、Chiasson-Gouldら(2014年)25に記載されていた。培養物をシングルプレートコロニーから得て、カナマイシンの存在下、37℃で5mLのLB培地(LB)に播種し、対数期に至るまで6〜7時間掛かった。50マイクロリットルの培養物を、5mLのグルコース最小培地(GMM)を含有する25mLの血清ボトルに移し、一晩インキュベートした。朝に、20mLの新鮮なGMMを添加し、振盪しながら細胞を2時間インキュベートした。次いで、4mLの培養物を10,000rpmで90秒間遠心分離した後、67mMのリン酸緩衝液中に再懸濁させた。600nmでの光学密度(OD600)として測定した最終細胞密度を0.4(細胞3.0×108個/mL)に設定し、1/10希釈液をアッセイのために使用した。
1.8mLのアッセイ培地、200μLの細胞、可変的なDOM濃度(最終濃度:1、5、10、15、及び20ppm-C)、及び0.2MのHNO3中でHg(NO3)2として供給される250pMの濃度のHgIIで充填された、テフロン(登録商標)及びホウケイ酸ガラスのシンチレーションバイアルの両方において、アッセイを準備した(図1)。分画アッセイのために、同様の体積のアッセイ培地、細胞、及びHgを、それぞれの画分についてDOC濃度の影響を最小化しながらバイオセンサ応答を最大化するために、1ppm-CのDOCとともに使用した。Hgは、細胞を添加する前に1時間、シンチレーションバイアルにおいて、それぞれの処理と平衡させた。細胞を添加した直後、200μLのアッセイ溶液を96ウェルテフロン(登録商標)プレート(PFA)に移し、バイオルミネッセンスを、マルチモードプレートリーダー(Tecan社、F200 Pro)において4時間(5分毎)測定した。陰性対照(DOMなし、Hgなし)及び陽性対照(DOMなし、250pMのHg)のルミネッセンスを実行した。連続的に発光する対照株(大腸菌HMS174 pRB27)を、Hgの存在とは無関係な、光生成における変動に関して試験するために使用した。2種の独立した細菌培養のテクニカルトリプリケートを、すべての濃度レジーム及びすべてのサイズ画分に対して行った。細胞内Hgの存在から結果として生じる、誘導されたルミネッセンスのデータ(相対発光量、RLUとして表される)を、同じ条件下において対照株によって生成されたルミネッセンス(RLU)に対して補正した。したがって、バイオアベイラブルなHgのデータは、単位なしで提示される。
(c)FT ICR MS及び統計的分析
エレクトロスプレーイオン化(ESI)イオン源及びParaCellイオンサイクロトロン共鳴(ICR)セルを備えた、Bruker社の7T SolariX XR FT ICR-MS(Billerica、Massachusetts)を使用して、超高分解能質量スペクトルを得た。SRFA及びPLFAのバルク試料及び画分を、pH2において、1ppm-Cに希釈した。メタノール対水/試料の比(40:60)を、それぞれ、ブランク及び試料のために、FT ICR-MSに注入した。FT ICR-MSは、サンプル注入の前に、NaTFAチューニングミックス(Thermo Scientific社)で外部較正し、3つのロック質量(すなわち、248.9603、656.8848、及び928.8344 m/z)で内部較正した。試料は、4500Vのキャピラリー電圧、120μL/時間の連続的注入速度、及び2秒のイオン蓄積時間を用いて、ネガティブESIにおいて進めて、吸着モードで200回のスキャンを蓄積した26
ピークの帰属について、Bruker Compass DataAnalysis(v4.2)を使用して分析した。ここでは、式の帰属に関する元素の制約は、12C(0〜50)、1H(0〜100)、16O(0〜30)、14N(0〜2)、32S(0〜2)、13C(0〜1)であり27〜28、±2ppmの許容誤差を使用した。元素の式をエクスポートし、バンクレベレン図の合成及び組成パーセントの計算のために、社内のMatlab(7.10)スクリプトを利用した29。芳香族性指数(AI)を、Koch及びDittmar、2006年30に基づいて計算して、試料化合物の平均芳香族性を決定した31(式1)。
分散分析(ANOVA)試験を、Excel 2011において実行して、生物学的デュープリケートに基づいて有意性について試験した。画分の組成間における関係性を調べるために、FactoMineRパッケージ及びソフトウェアPAST(2.17)31からの多変量統計を使用して、主成分分析(PCA)をR(3.22)において生成した。
II.結果及び考察
(a)Hgバイオアベイラビリティに対するDOC濃度の効果
HgIIバイオアベイラビリティはまず、1から20ppm-Cの範囲の濃度のSRFA(図2)及びPLFA(図3)のバルク画分の存在下において試験した。HgIIの取り込みは、DOMを含まない試料と比較した場合、1ppm-CのSRFAの存在下において有意に増加した(一元配置ANOVA、p<0.05)が、[DOC]>5ppmにおいては減少した。PLFAの存在下においては、HgIIバイオアベイラビリティは、1ppm-Cから20ppm-Cに向かって減少した。これらのデータは、DOM濃度がHgの取り込みに影響を及ぼす平衡条件下でこれまでに観察されたこと25、32と一致している。
(b)Hgバイオアベイラビリティに対するDOMの分子量の影響
AF4フラクトグラムによって、SRFA及びPLFAの両方に関して、LMW画分におけるUV 254nmのピーク最大値が明らかにされ(図4)、続いてサイズ範囲が増加するにつれて、UV応答は減少した(図2)。HgIIの取り込みは、SRFAに由来するLMW及びMMWの存在下においては、それぞれ18.1%及び4.95%増加したが(図5)、すべてのPLFA画分がHgIIの取り込みを阻害した。これは理論によって束縛されることを意図するものではないが、HgIIの取り込みを促進する可能性が高い化合物が、SRFAのLMW及びMMWには存在するが、PLFAでは不在であることが示唆される(図2)。すべての場合において、HMW画分は、HgIIバイオアベイラビリティの減少において最も有効であり、SRFA及びPLFAに関して、LMW画分と比較した場合、バイオアベイラブルなHgIIにおける18.6%及び37.1%の有意な低減(p<0.05、一元配置ANOVA)をもたらした。
(c)DOM画分の組成の差異
SRFAのLMW及びMMW画分の存在下におけるHgII取り込みの増加は、理論によって束縛されることを意図するものではないが、PLFAのLMW及びMMW画分と比較して、SRFAのH含有量が多く、O含有量が少ないことに起因するものであり得る(図6〜図11、Table 1(表1)及びTable 2(表2)、図12)。これらの結果から、理論によって束縛されることを意図するものではないが、水素化DOMが、高度に酸素化されたDOM成分とは対照的に、優先的に取り込みを促進することが示唆される33。更に、SRFAのLMW及びMMW画分に関する芳香族性指数(AI)は、PLFAのLMW画分に関するものよりも低かった(図11)。AIとバイオアベイラビリティとの間のこの逆相関は、SRFA(r2=0.97)及びPLFA(r2=0.99)の両方に関して観察され、AIがHgIIバイオアベイラビリティのための有用な予測ツールとなり得ることが示唆された(図11)2、34。HMW画分におけるAIの増加は、Hg結合に関与する、高度に分極性の配位子である芳香族フェニル官能基の存在の増加を示唆している35。HMW画分はまた、有意により低いC含有量(p<0.05)、H含有量(p<0.05)、より高いO含有量(p<0.01)、及び最大のAI値(p<0.05)を有しており、SRFA及びPLFAの両方のLMW及びMMW画分よりも酸素化された芳香族DOMであることが示された。SRFA及びPLFAの試料では、N及びS含有量における有意差は観察されず(p>0.05、図9〜図10)、理論によって束縛されることを意図するものではないが、HgIIバイオアベイラビリティにおける差異が、N及びS含有量によってのみ生み出されるのではなく、MW及び芳香族性特性によっても生み出されることが示唆された。
Table 1(表1)は、FT ICR-MSに基づく、サイズ画分及び未分画バルク材料に関するSRFAの平均原子比及び加重組成百分率を示している。Table 2(表2)は、FT ICR-MSに基づく、サイズ画分及び未分画バルク材料に関するPLFAの平均原子比及び加重組成百分率を示している。SRFA及びPLFAの両方に関して、LMW画分は、HMW画分と有意に(p<0.05)異なる%C、%H、及び%Oの組成を有している。
(d)組成、サイズ、及びHg(II)バイオアベイラビリティ
画分と組成の差異との間における関係性を調べるために、組成パーセントの主成分分析(PCA)及びAIを実行した(図13)。主成分1(PC1)が、脂肪族材料を示す負の値及び強化された芳香族特性の正の値によって、分散全体の52.6%を規定している一方で、主成分2(PC2)は、N/C比及びS/C比に対する相関関係によって、分散の31.5%を規定した。脂肪族材料を示す高いH/C比9は、SRFA(H/C=1.46)及びPLFA(H/C=1.31)の両方のLMW画分に対して寄与した。より大きいMWの画分がAIと関連付けられるとはいえ、これらの寄与率について、それらが本質的に関連すると叙述することはできない36
PLFAの画分は、LMW画分からHMW画分に向かって、AIにおける有意な(p<0.05)増加を示したが、S含有量における変化は観察されなかった。PC1固有値は、SRFA及びPLFAの両方に関して、HgIIバイオアベイラビリティに対する強い負の関係性を示しており(それぞれ、r2=0.85及び0.94)(図14)、理論によって束縛されることを意図するものではないが、AIの増加とHgIIバイオアベイラビリティの減少との間における直線関係が示唆された。
これまでの研究によって、より高いO/C比を有するDOMは、より高いH/C比を呈するDOMよりも、微生物にとってバイオアベイラビリティが低いことが示されている9。この新しいデータと合わせると、これは、理論によって束縛されることを意図するものではないが、HgIIの取り込みもまた、栄養源としてのDOM成分の使用と結び付けられる、活動プロセスであり得ることが示唆される。更に、実験室研究では、システイン等のLMW S含有アミノ酸が、より大きい硫黄含有ペプチド(例えばグルタチオン、GSH)よりも、Hg取り込みを支持することが示されている37。同様に、現場実験3、38では、HgIIバイオアベイラビリティが、小さいタンパク質様LMW物質の存在下において支持されることが示されている2〜3、37〜38。対照的に、より大きい分子量の画分は、多座相互作用(polydendate interaction)及び錯体の立体遮蔽を通じてHgIIの安定化を支持し、HgIIバイオアベイラビリティを低減する7、36〜40
HgIIバイオアベイラビリティに対するDOMの役割を調査する研究によって、有機配位子が、Hg取り込みを強化することもあり、阻害することもある、DOMの複雑性が明らかとなっている2、7、25、32。この二重性は、DOMの源及び組成にも関連している。例えば、微生物が処理した材料に富む海産DOMは、より大きい芳香族の陸生DOMと比較して、Hgバイオアベイラビリティを増加させた39。陸生DOMは、光化学変換及び微生物変換を受けることで、大きい分子がより小さい水素化断片へと加水分解され、究極的には微生物の炭素消費が強化される17、41。SRFAのLMW及びMMWの存在下におけるHgIIの取り込みの増加は、理論によって束縛されることを意図するものではないが、HgIIの能動的取り込みが、単量体アミノ酸及び炭水化物等のより小さい水素化化合物の存在によって促進されることを示唆している42〜43
好気性HgII取り込みは、理論によって束縛されることを意図するものではないが、Hgがどのように大気から無酸素性の領域へと移されるかについて理解する際の、ミッシングピースを表し得る。今回のデータは、HgIIが沈着する際に、小さく、水素化された、生物学的に不安定なDOMに対して結合することによって、HgIIバイオアベイラビリティが強化されることを示している。したがって、理論によって束縛されることを意図するものではないが、バイオアベイラブルなHgIIのプールは、好気性微生物バイオマス中に一時的に保管される場合があり、その後、無酸素性の環境に定着し、ここでメチル化の現場まで送達され得る。この微生物バイオマスにおけるHgIIの一時的保管は、さもなければ(微)生物相へそれが移されることを制限し得る大きいDOM成分とのその相互作用を制限し得る。本研究は、Hgバイオアベイラビリティに対するDOMの役割を評価するために、DOMを分子レベルで特性評価する必要性について強調しており、最先端の分析アプローチと微生物学アプローチとを合わせた多方向アプローチが、Hg変換及び重要な生物地球化学的プロセスの研究に有用であることを示している。
(実施例2)
高分解能質量分析法を使用した水銀-溶解有機物錯体の検出
水銀は、その無機形態(HgII)において、自然の酵素プロセスを撹乱し、細胞ストレスを引き起こす可能性を有する、毒性金属である。最近の人間によるプロセスは、水生系における水銀濃度の増加をもたらしており、Hgの化学種決定についての現在の理解に対して更なる調査が促されている。大気から水生系へとHgIIが沈着する際、植物プランクトンによって生成される複合溶解有機物(DOM)との即時の相互作用が、結果として生じる錯体の錯体形成、可動性、及びバイオアベイラビリティに影響を及ぼす25。DOMは、0.45μm未満の材料として操作的に定義することができる、複合有機分子の広範な混合物である。淡水環境中でのHgとDOMとの間の相互作用について理解することは、可動性及び水生生物相に対する毒性の理解にとって有用である。本研究は、Hg植物プランクトンDOM錯体を検出するための、Orbitrap質量分析法の使用に関する。いくつかの公知の研究が、これまでに、公知の配位子とのHgの相互作用を調べるためにHRMSを利用しているが、これがHRMSを使用してHg-DOMの相互作用を調べる初めての研究である。バルク植物プランクトンDOMに対するHRMSの実行及びHg相互作用の研究という前提は、分画法について検証するためであった。
I.材料及び方法
高分解能質量分析法(HRMS)は、複合不均質混合物の正確な特性評価を可能にした。本研究は、HRMSを利用して、淡水環境中で植物プランクトンによって生成されるDOM、及びそれがどのようにして環境的に関連性のある濃度のHg(II)と相互作用するかについて調べた。通常のHg同位体シフトを特定することによって、Hgのピークを特定することができ、Hgに対して結合する、対応する有機配位子及び官能基について同時に特定することができる。クラミドモナス・ラインハーティ、クロレラ・ブルガリス、及びユーグレナ・グラシリスに由来する植物プランクトンDOMを、0.2μmフィルタを通して培養物を濾過することによって入手した。L-システイン(ThermoScientific社)を、Hgに対して2:1のモル比で利用して、公知の結合配位子の存在下においてHgを検出した。
2.5×10-6MのHgを、DOM試料に添加し、超高純度MeOHで希釈した(50:50)。結果として得られた溶液を、NaOHを用いてpH6.8にし、50μl/分の注入体積でOrbitrap Q-Exactive(ThermoFisher社)に注入し、ESIポジティブモードにおいて最低200回のスキャンを得た。分子式を、2ppm以下の質量精度ウィンドウで、ピークに対して帰属させた。式の帰属に関する元素の制約は、12C(0〜50)、1H(0〜100)、16O(0〜30)、14N(0〜2)、32S(0〜2)、13C(0〜1)、202Hg(0〜1)であり、奇窒素ルールを使用した44。Thermo社のQualbrowser(Xcalibur 3.0.63)同位体シミュレーションを利用して、観測された化合物及びそれらの理論上の同位体シフトに関する同位体パターンを強固にした。観測された同位体パターンを更に強固にするために、コンピュータプログラム「Winnow」を使用して、特定のHg含有化合物の同位体パターンを検出した45
II.結果及び考察
(a)水銀-システイン相互作用
図15に提示されている結果から確認することができるように、モル比が2:1のシステイン及びHgの溶液中では、Hg(Cys)2錯体が検出され(上)、50:50のMeOH対水マトリックスにおいて、理論上の同位体分布(下)に対して94%の類似度で同等であった。
(b)植物プランクトン由来DOM
図16は、Hgの不在下における、クロレラ(左)、クラミドモナス(中央)、及びユーグレナ(右)由来の植物プランクトン由来DOMに関する結果を示している。スペクトルは、CH2ケンドリックマスシフトを伴う正規分布である。植物プランクトンDOMの加重平均m/zは、それぞれ、394、267、及び298である。内側にあるバンクレベレンプロットは、クロレラにおける脂質材料、クラミドモナスにおける不飽和炭化水素、及びユーグレナによって生成されたタンパク質の、相対的により大きい寄与率を示している44,28。これは、バンクレベレン図によって描写されているO/C比及びH/C比に基づいていた。植物プランクトン由来DOM中に存在する低分子量材料(900Da未満)の存在量は、理論によって束縛されることを意図するものではないが、高度に不安定な化合物が生成されることを示唆する。Hgに対して環境的に関連性のある濃度及び比のDOMでは、多くの割合のHgが、植物プランクトンDOM中の窒素及び硫黄含有ヘテロ原子に対して結合しているのが見出された。Hg-DOM相互作用、並びに平衡条件及び偽平衡条件の両方について調べることで、Hgの場所における全体的変化が示された。Hgの即時の大気沈着の際における、植物プランクトン由来DOMとの相互作用を理解することは、例えば、淡水系におけるHgの可動性及びバイオアベイラビリティを予測するのに役立ち得る。
(c)植物プランクトン由来DOM Hg錯体
図17は、測定された錯体を描写するスペクトル(上)、及び下にある理論上の同位体分布との比較を示している。観測されたスペクトルでは、観測対予測m/zにおいて、±5ppmの差異が見出された。Winnowによるピークの逆重畳は、Hgの7つの同位体パターンの存在を更に強固にした。例えば、理論上の同位体分布と、式C37H66OHgを有する錯体(クロレラ由来)は72%の類似度を有し、式C38H62ONHgS2を有する錯体(クラミドモナス由来)は69%の類似度を有し、式C4H11O4HgS2を有する錯体(ユーグレナ由来)は62%の類似度を有した。
(d)Hgバイオアベイラビリティ及び有意性
図18は、質量スペクトル、並びにHgと錯体形成していることが見出された、検出された有機配位子と関連するボックス、すなわち、C37H66OHg(クロレラ由来、左)、C38H62ONHgS2(クラミドモナス由来、中央)、及びC4H11O4HgS2(ユーグレナ由来、右)を示している。他の研究で、DOM源における差異が、Hgの取り込み及びバイオアベイラビリティに対してどのように影響を及ぼし得るかについて調べてもよい(例えば、実施例1を参照されたい)。ChemSpiderにおける構造との比較に基づいて、これらの式に関する提案された構造を、それぞれ、スキーム1に示す。
III.概要
Hgに結合する有機配位子を特定するために、高分解能質量分析法を利用することができる。バイオアッセイの結果に基づけば、可変性を決定する場合、DOMのサイズは重要な変項である。したがって、HRMSによる、検出されたHg-DOM錯体の相対的存在量及びm/zを使用して、バイオアベイラビリティを予測することができる。後続のHg-DOM錯体の分画を促進することができる。以前の方法が化学種決定に関する最小限の情報しか提供しないのに対して、本方法は、Hg結合に関する、植物プランクトンによって生成された有機配位子の元素情報及び構造情報を提供することができる。
(実施例3)
水銀の可動化のための分画されたLMW化合物
非対称流れ流動場分離法(AF4)を使用して、Suwannee Riverフルボ酸(SRFA)、クロレラ・ブルガリス、クラミドモナス・ラインハーティ、及びユーグレナ・グラシリスに由来する溶解有機物を、分子量に基づいて3つの別個の画分へと分離した(図19)。低分子量(LMW:300〜900Da)、中分子量(MMW:900〜1800Da)、及び高分子量(HMW:1800〜3500Da)の画分を収集し、250pMのHg(NO3)2に対して曝露した。棒グラフの結果が、(図20)に示されている。これらの知見は、例えば、分画されたLMW有機化合物を、汚染水域における水銀の可動化を制御するために利用できることを示している。
(実施例4)
水銀結合LMW化合物の特定:高分解能質量分析法によって明らかになった、植物プランクトン系DOMと水銀との間における分子相互作用
植物プランクトンDOMの組成、及びHgとのその相互作用は、無機Hgがメチル化を行う生物によってどのように吸収されるかを理解するための基本的な工程である。高分解能質量分析法(HRMS)が、国際腐植物質学会(IHSS)の標準、藻類、及びDOMに関する化合物レベルの情報を提供するために使用されてきた。この作業の目的は、例えば、(1)HRMSを使用して、植物プランクトンDOM-Hg相互作用を評価すること、及び(2)異なる光サイクル中の、Hg結合DOMの構造特性を調査することである。Orbitrap質量分析法の感度及び分解能が、DOM-Hg錯体の検出を可能とする。
I.材料及び方法
(a)藻類成長及びDOC濃度
ユーグレナ・グラシリス・クレブス(Euglena gracilis Klebs)を、Boreal Laboratory Supplies Ltd社(St. Catharines、ON、Canada)から入手した。ユーグレナ・グラシリスを、ボールド基本培地(BBM)を使用して、pH5.65において、16:8時間の明対暗サイクルの下で成長させた。DOM分析のために、細胞を、細胞およそ1.0×106個/mLで収集した。クラミドモナス・ラインハーティ、クロレラ・ブルガリス、及びセネデスムス・オブリクスの実験室で成長させた培養物を、Waterloo、OntarioのCanadian Phycological Culture Center(CPCC)から入手し、クラミドモナスには高塩培地(HSM)を、クロレラ及びセネデスムスにはBBMを使用して成長させた。成長条件には、フォトン90〜100μmol/m/秒の一定の光強度及び21℃の一定の温度における、標準光レジーム及び高光レジームの光周期(それぞれ、16:8時間及び20:4時間の明対暗)が含まれた。培養物を、細胞密度が細胞1×106個/mLとなった、指数成長期の中頃に収集し、予燃焼した0.7μmのガラス繊維フィルタ(GF/F Whatman)を通して濾過し、酸洗浄及び予燃焼したガラス器具内に入れた。植物プランクトン由来DOMの生物学的デュープリケートを、両方の光レジームにおいて収集した。濾過した植物プランクトン由来DOCの濃度を、全有機炭素(TOC)分析計を使用して測定し、更なる分析のために、1mg C/Lに固定した(Table 3(表3))。
(b)qBBr滴定
0.001MのqBBrの新鮮な貯蔵液(Sigma Aldrich社)を、アンバーガラス瓶に毎日準備し、アルミニウム箔で覆った。一連のqBBr標準添加溶液は、5mLのDOM試料を、異なる体積のqBBr(0、25、50、100、250、400、500、600、750、900μL)と混合することによって調製し、0、4.98、9.90、19.61、47.62、74.07、90.91、107.14、130.43、152.54μMの対応する最終qBBR濃度が結果としてもたらされた。混合物をアルミニウム箔で覆い、室温で1時間混合した。qBBr当量チオール濃度を、1cmのクォーツキュベットを備えたFluoromax4分光光度計(Horiba Jobin Yvon社)を使用して、この標準添加によって決定した。380nmの励起波長を使用し、試料の発光を、400から500nmで監視した。qBBr発光バックグラウンドを補正した後、470nmでの最大発光(λ470)が測定された。qBBr溶液のバックグラウンド蛍光を得るために、DOM試料の代わりにmilliQを用いて、一連の溶液について同様に調べた。qBBrタグはチオールに対して1:1のモル比で結合するため、試料におけるqBBrの飽和レベルは、チオール濃度に対応する。総チオール濃度を、非線形区分回帰(SigmaPlot、v10)を使用して決定した(0.97<R2<0.99、p<0.05)21
(c)高分解能質量分析法
植物プランクトン由来DOMの分子組成を、加熱エレクトロスプレーイオン化(HESI)源を備えたOrbitrap Q Exactive(Thermo Fisher Scientific社、Bremen、Germany)を使用して決定した。注入前に、超高純度MeOH(99.9% HPLCグレード、Sigma Aldrich社)を用いて50:50の試料対MeOH比に試料を希釈し、超高純度NaOH(Sigma Aldrich社)を用いてpHを6.8に調整した。ポジティブイオン化モード[M+H]+を利用し、50μL/分の一定の流速で試料を注入し、エレクトロスプレーニードル電圧は4kVであり、加熱キャピラリー温度は300℃であった。Chenら、2017年によれば、高分解能質量分析法を使用した場合、Hg含有化合物はネガティブモードでは検出されなかった一方で、細菌由来DOMを調べた際にポジティブESIが利用されていた53ことから、ESIにはポジティブイオン化を利用した。140,000の分解能(m/z 200における半値全幅)が見出され、それぞれの試料に対して、トリフルオロ酢酸ナトリウム(NaTFA、Sigma-Aldrich社、98%)を内部標準として添加して、200〜1000m/zの質量範囲の間における精密質量精度を確保した。Thermo Xcalibur Qual Browser(3.0.63)ソフトウェアのデータ事後解析段階において共付加するための200回のスキャンが可能となるように、試料を最低5分間得た。式の帰属の前に、植物プランクトン成長培地及びMeOH:超高純度の混合物に対して、バックグラウンド除去法を実行した。式の帰属に関する元素の制約は、:12C(0〜50)、1H(0〜100)、16O(0〜30)、14N(0〜2)、32S(0〜2)、13C(0〜1)、34S(0〜1)、及び23Na(0〜1)であり、奇窒素ルールを使用した。分子式を、相同系列のケンドリックマスディフェクトシフト(CH2)、炭素及び硫黄の同位体(13C及び34S)に基づいて検証して、シグナル・ノイズ比が4以上であり、精密質量誤差が±2ppm以内の式にした(それぞれ、図21及び図22)28、49。0.67を上回る改変された芳香族性指数(AImod)を有する分子式は、更なる分析から省略した30。MatLabスクリプトを使用して、バンクレベレン図に基づいて、高分解能質量分析法による化合物クラスの数を決定した。簡潔に述べれば、脂質材料(0.01≦O/C≦0.1、1.5≦H/C≦2.0)、不飽和炭化水素(0.01≦O/C≦0.1、0.75≦H/C≦1.5)、縮合芳香族構造(0.01≦O/C≦0.65、0.25≦H/C≦0.75)、タンパク質(0.1≦O/C≦0.65、1.5≦H/C≦2.3、N≧1)、ヘテロ原子を伴わない(CHOのみ)リグニン(0.1≦O/C≦0.65、0.75≦H/C≦1.5)、タンニン(0.65≦O/C≦0.85)、(0.75≦H/C≦1.5)、及び炭水化物(0.65≦O/C≦1.0、1.5≦H/C≦2.5)28、29、49を見出すことができた。また、O/Cwa、H/Cwa、S/Cwa、%Cwa、%Hwa、%Owa、%Nwa、%Swaの強度加重平均、m/zwa、改変された芳香族性指数(AImod)、及び見かけの炭素の酸化状態(NOSC)も、両方の光レジームにおいて、植物プランクトン由来DOMに関して計算した50〜52
(d)水銀検出
2.5×10-6mol/LのHg(NO3)(AASグレード)及び1ppmの有機配位子(すなわち、植物プランクトンDOM又はL-システイン)を混合することによってHg溶液を調製し、分析の前に少なくとも24時間暗中で保持した。Orbitrap質量分析法を使用してHg-硫黄相互作用を調べる先行研究において、同等のHg濃度を利用した47。pH溶液を、超高純度NaOHを用いて、pH6.8に固定した。L-システイン(SigmaAldrich社)又はDOMにHgを添加した後、24時間の接触時間の後、Orbitrap質量分析計において試料を分析した。Hg含有化合物を検出するために、以前のESI高分解能質量分析法によるHg研究46と同様に、202Hg及び200Hg同位体を、式の帰属に関する元素の制約に加えた。Winnowソフトウェア45を使用して、7種のHgの同位体置換体を検出した(196Hg、198Hg、200Hg、201Hg、202Hg、及び204Hg)。70%を上回るWinnowスコアを有するピークのみ、202Hg及び200Hgの天然のHg同位体存在量に基づいて検証して、Xcalibur同位体シミュレーション(3.0.63)を使用して、Hg含有DOM化合物を確信的に特定した。Hg結合DOMの間の構造的差異を比較するために、16:8時間及び20:4時間のサイクルにおいて、双方向の階層型クラスター分析及びノンパラメトリックなスピアマンの相関行列を、JMP(バージョン11)を使用して、O/C、H/C、N/C、S/C原子比の加重平均、%C、%H、%N、%O、%Sに関する元素の組成百分率、並びにAImod、NOSC、及びm/zに基づいて実行した。クラスターは、95%信頼区間でのBray-Curtis類似度測定に基づいた。また、加重平均、m/z分布における変化、及び化合物クラスの差異を比較するために、生物学的デュープリケートについて、一元配置分散分析(ANOVA)を実行した。
(e)推定上の分子特定
推定上の配位子-Hg錯体を特定するために、Hgと錯体形成している有機配位子を、2ppm以下の誤差でのm/z比較及び同位体パターンの比較に基づき、公知の細菌のシデロフォアのデータベース、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)データベース及びMetlin Metaboliteデータベースからの配位子と更に比較した45、54〜58。同様のアプローチを、高い度合いの精度での代謝物の高スループット検出を可能にするために、FT ICR-MSを組み込んだメタボロミック操作を実行した59。シデロフォア及び配位子の潜在的な精密質量特定を可能にするために、構造をデータベースと比較する際に、14Nの範囲を3未満から7未満に増加させた。これらの化合物の構造は、例えば、タンデムMS/MS分析を実行することによって確認することができる。Hg結合化合物の精密質量及び同位体確認を可能にするために、これらの推定上の同位体の理論上の同位体分布を調べた。
II.結果及び考察
(a)光曝露の増加によるDOM組成における変化
図23〜図26は、Hgの不在下(図23及び図25)及びその存在下(図24及び図26)における、光曝露の増加による、クロレラ由来のDOM組成の変化を示している。図27〜図30は、Hgの不在下(図27及び図29)及びその存在下(図28及び図30)における、光曝露の増加による、クラミドモナス由来のDOM組成の変化を示している。図31〜図34は、Hgの不在下(図31及び図33)及びその存在下(図32及び図34)における、光曝露の増加による、セネデスムス由来のDOM組成の変化を示している。総計で482〜1541の質量ピークを、2つの光周期中の、これらの3つの分類群の間で帰属させた。質量ピークは主に、単荷電ピークで構成されており(図23〜図34)、CH2相同系列でシフトを検証した(図23〜図34、内側のグラフ)。16:8時間の明:暗光周期の持続期間において、これらの3つの植物プランクトン分類群のそれぞれが、生成されたDOMにおける組成の差異を呈した。第1に、クロレラは、セネデスムス及びクラミドモナスよりも低い平均m/zwaを示した(643対731及び676、図35、上の行右から2番目のプロット)。クロレラは、他の分類群と比較した場合、より大きいH/Cwa、N/Cwa、及びS/Cwaを示し、理論によって束縛されることを意図するものではないが、より小さい、脂肪族の硫黄含有タンパク質の放出が示唆された(図35、上の行左から2〜4番目のプロット)60。クラミドモナスDOMが最大の%Cwa(70.8%)を有し、セネデスムス(68.7%)及びクロレラ(67.7%)が続いた(図35、下の行左端のプロット)。光周期の持続期間を20時間に増加させた後、植物プランクトンDOMの平均元素比は、より高いH/Cwa及びより低いAImodへとシフトしており、これは、すべての植物プランクトンに関して、より多くの脂肪族水素化材料の分泌と一貫性があった(図35、それぞれ、上の行左から2番目のプロット及び上の行右端のプロット)。%Nwaは、クロレラ(2.89±0.08%対2.32±0.14%)、セネデスムス(2.08±0.13%対1.98±0.02%)、及びクラミドモナス由来DOM(1.79±0.07%対1.97±0.28%)に関して、有意に変化しなかった(図35、下の行左から3番目のプロット)。%Sは、クロレラ(3.33±0.06%対3.81±0.17%)及びクラミドモナス(3.37±0.02%対4.05±0.22%)に関して有意に増加したが、一方でセネデスムスについては、%Sにおける有意な変化は見出されなかった(3.21±0.07%対3.45±0.11%、ANOVA、p>0.05)。qBBr滴定は、クロレラ及びクラミドモナスに関して、qBBr活性チオール濃度における有意な増加を明らかにしたが(ANOVA、p<0.05)、これらの傾向は、HRMSの結果と同等に、セネデスムスについては観察されなかった(Table 4(表4))。NOSCwa値は、すべての植物プランクトンDOMに関して増加し、理論によって束縛されることを意図するものではないが、光の持続期間が増加するにつれて、無極性からより極性の化合物へとシフトすることが示唆された(図35、下の行右端のプロット)。光酸化ストレスは明示的に測定されなかったが、光酸化ストレスによって引き起こされる、より高い度合いの光呼吸が、理論によって束縛されることを意図するものではないが、植物プランクトンにおいて増加した炭素損失のメカニズムとして提案されており、これは、より高い光の培養物において測定された、増加したDOC濃度と合致している(Table 3(表3))61
バンクレベレン図(図36〜図38)は、より高い光の持続期間(下)が、標準的な光の持続期間(上)と比較して、植物プランクトンによって排出されるDOMの化合物クラスに影響を及ぼしたことを示した。タンパク質(45.3%〜57.5%)、脂質(21.4〜26.3%)、及び不飽和炭化水素(3.85〜10.1%)(ANOVA、p<0.05)化合物群における有意な増加が、すべての植物プランクトン分類群にわたって観察され、これは、藻類によって放出されるアミノ酸、脂肪酸、及び単糖類の存在量と一貫性があった(図39)21、60〜62。化合物のうちの非常に小さい割合を構成しているものの、芳香族構造は、光曝露が増加すると、クラミドモナスにおいては0.45%から0.06%、セネデスムスについては0.51%から0.11%に減少した。これは、理論によって束縛されることを意図するものではないが、π構造の光分解に起因する可能性が高い63(図39)。脂質及びタンパク質の存在量は、クロレラにおいては14〜15%増加したが、セネデスムスに関しては、脂質DOMのみが増加した(17%、ANOVA、p<0.05)。クラミドモナス、クロレラ、及びセネデスムスは、高い細胞内タンパク質及び脂質含有量を有することは知られているが64〜66、セネデスムスによって放出されるタンパク質及び脂質の相対的存在量における有意な変化を誘発するには、より高い光の持続期間は十分ではなかった可能性がある。これは、理論によって束縛されることを意図するものではないが、セネデスムスの、延長された光曝露に対する高い耐容性に起因する可能性が高い67。海生植物プランクトンを増加した光に対して曝露した場合、システイン及びGSH等の多くの硫黄含有アミノ酸及びタンパク質が、濃度において増加することが示されているが68、セネデスムスは、使用される光サイクルに対して耐性である場合がある。セネデスムスは、より高い光曝露によって不飽和炭化水素において有意な減少(10.1%〜6.28%、ANOVA、p<0.05)を示した唯一の生物である(図39、上の行左から3番目のプロット)。理論によって束縛されることを意図するものではないが、より高い光曝露は、藻類において、不飽和奇数鎖炭化水素のより小さい飽和脂質への変換を引き起こす可能性がある69。クラミドモナス及びセネデスムスに関して、炭水化物含有量は、光曝露によって有意に増加した(p<0.05)。これは、理論によって束縛されることを意図するものではないが、光によって誘発された酸化ストレスの期間中に、植物プランクトンの細胞壁が分解したことに起因する可能性が高い(図39、それぞれ、上の行右から3番目のプロット及び下の行右から3番目のプロット)70
光周期の持続期間を増加させると、クロレラDOM浸出物においては、リグニンDOMにおける51%の増加(11.5%〜7.61%、ANOVA、p<0.05)及びタンパク質材料DOMにおける14%の減少(45.3〜52.2%、ANOVA、p<0.05)が観察された(図39、それぞれ、上及び下の行左から1番目及び2番目のプロット)。クロレラに関しては、より高い光レジームにおいて、他のDOM化合物クラスは有意な変化を示さなかった(図23〜図34及び図39)。リグニンは、細胞壁の支持をもたらすことが知られているが71、これらの化合物の能動的分泌は、非維管束植物由来リグニン源の潜在的な源として報告されている72。アミノ酸及びより大きいペプチドの形態のタンパク質性材料、並びに環状炭水化物は、全溶解有機窒素(DON)の有利な成分として働き、植物プランクトンによって放出される材料の50%より多くを占める、主要な化合物クラスである61、73、74。これは、本研究において見出された高いタンパク質存在量と合致している(図39、上及び下の行左から2番目のプロット)。クラミドモナスは、より高い光曝露における芳香族種の有意な減少(0.51対0.10%、p<0.05)を除けば、大半の化合物クラスに関して、有意に異なることはなかった(p>0.05)。放出されるDOMは、植物プランクトン分類群に応じて異なったが、より高い光曝露は、概して構造においてより脂肪族であり、且つ極性である低分子の全体的増加をもたらした。このことから、理論によって束縛されることを意図するものではないが、植物プランクトンの大増殖が亜寒帯環境において進行した場合の、よりタンパク質及び脂質が豊富な環境へと向かうシフトが示唆される。
(b)Hg-システイン
Hg錯体形成は、モデル配位子、すなわちシステインの存在下において観察された。ここでは、精密質量は、単純なMeOH:H2Oマトリックスにおいて、すべてのHg同位体に関して±5ppm未満であった46。6種のHg含有式の中でも、202HgC6H13N2O4S2 +が、Hg-システイン試料(モル比は1:2)において、ポジティブモードで特定された(図40、上)。Hg同位体の全体的分布は、理論上の同位体分布の天然存在量(図40、下)と一貫性があった46。実験由来のスペクトルは、最も豊富なピークとして、それぞれ理論上の分布から-2.25ppm及び-2.26ppm異なる、202Hg及び200Hg同位体を明らかにした。202Hgと200Hgとの間のピーク強度比は、検出されたHg-Cys錯体に関して0.81:1であり、これは、天然の同位体比(0.77:1)46と同等であった。15Tフーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析(FT ICR MS)を組み込んだ他の研究において、Hg同位体の精密質量は±1ppmを達成しているが、これらの結果は、錯体混合物においてOrbitrap質量分析法を使用することで、Hg同位体を有用に特定できることを示している75。FT ICR-MSは、DOMの特性評価に関して一般的に好まれる独立型の方法となっているが、支配的なHg同位体に関する確信的情報を提供しながら、DOMの分子組成を正確に決定するために、Orbitrap質量分析法を利用してもよい75
(c)光によるHg配位子組成における変化
植物プランクトン由来DOMのスペクトル全体は、Hg添加の前後で同様であり、理論によって束縛されるものではないが、ESI Orbitrap HRMS中のイオン抑制が限定されていることが示唆された(図23〜図34)。総計で44、61、及び52種のHg-DOM錯体が、16:8時間光レジームにおいて検出され、それぞれ、クロレラ、クラミドモナス、及びセネデスムスの20時間光培養物において85、121、及び53種に増加した。検出されたHg-DOM錯体は、すべての試料にわたって帰属された総ピークのうち、およそ1.6〜2.6%を占めた。植物プランクトンDOMに対するHgの添加は、金属を含まない試料においても同様のピークを保持しながら、Hgの同位体置換体の特定を可能にした(図41)。実験的に検出された、[202HgC35H60O7N2S]+、[202HgC39H82O6NS2]+、及び[202HgC37H64O6N]+の元素式を、それぞれ、クロレラ、クラミドモナス、及びセネデスムスにおける精密質量及び理論上のHg同位体分布に基づいて検証した(図42、それぞれ、上から2番目、下から3番目、下)。200Hg及び202Hg同位体については、Hgの同位体確認のためにチェックした一方で、より低い存在量のHg同位体(すなわち、196Hg、198Hg、201Hg、及び204Hg)もまた観察されたが(図42)、15T FT ICR-MS46と比較すると相対的強度は遥かに低かった。
16:8時間の光サイクルにおいては、Hgと錯体形成した大部分のDOMは、クロレラ(15個の式)、クラミドモナス(14個の式)、及びセネデスムス(10個の式)に関して、組成がCHOであった(図43、上)。Hg及びDOM配位子の結合定数を決定する場合のHg:DOMの比の重要性については実証されており76、天然の条件では、Hg対DOMの比は、DOM1mg当たりおよそ5nMのHgであり、ここでは、化学種決定は主として、還元チオール官能基によって定義される76。本研究においては、Hg DOMの比は、DOM1mg当たり250nMのHgであり、理論によって束縛されることを意図するものではないが、多くのHg結合部位が、酸素官能基によって支配されていることが示唆される46、61、76。しかしながら、より高い光レジーム20:4(図43、下)においては、酸素及び窒素原子の両方を含有する化合物クラスが、クラミドモナス及びセネデスムスに関して、Hg結合DOMの大多数を構成した。これは、高いHg:DOMの比と結び付けられる、CHONの生成の強化及びその存在量に起因する61、74。硫黄ヘテロ原子は、より低いHg:DOMの比において考慮すべき重要な変項であり、硫黄含有DOMの含有量は、分類群間で異なった(5.15〜5.89%)。クラミドモナスによって生成された、総計で8個のCHOS2式がHgと結合し、16:8時間光周期の持続期間において、最も豊富な、Hgと結合する硫黄含有クラスとなった(図43、上)。少なくとも1個の硫黄原子を含有する、検出されたHg結合DOMクラス(CHOS、CHOS2)は、クロレラ及びクラミドモナスに関しては、それぞれ9から54、17から21に増加したが、セネデスムスに関しては有意な変化は観察されなかった(27から25、16:8〜20:4時間)。これは、より高い光レジームにおける%Swaの全体的傾向と一貫性がある(図35、下の行右から2番目のプロット)。これらの結果は、光曝露の増加が、クロレラ・ブルガリスにおいて、主にHg結合CHONS化合物の形態で、S含有配位子Hgの数における2.13倍の増加を促したことを強調している。
また、Hg結合DOMの割合も、16から20時間の光曝露で変化した。最も注目すべき差異は、すべての分類群におけるHg結合CHO種における低減であった(クロレラに関しては15から11個の分子、クラミドモナスに関しては14から11個の分子、及びセネデスムスに関しては10から6個の分子)(図43、下)。光の持続期間を増加させると、Hgと錯体形成するすべての化合物のうち、クロレラによって生成されるCHONS化合物の3から27への急上昇が促され、これは、より高い光強度におけるタンパク質材料の全体的増加と一貫性がある(図39、上及び下の行左から2番目のプロット)。Hgと錯体形成する、検出されたCHOS化合物は、すべての分類群にわたって、光曝露によって増加した。(クロレラに関しては3から10、クラミドモナスに関しては3から7、及びセネデスムスに関しては3から5)。
(d)Hg結合DOMの構造特性
Hg結合DOMの構造特性が、分類群の間で、また光曝露によってどのように異なるかを評価するために、相関ヒートマップによる双方向の階層型クラスター分析を実行した(図44〜図45)。3つのクラスターが、それぞれの光レジームに関して、95% Bray-Curtis類似度測定に基づいて見出された(図44〜図45)。グループ1は主に、分泌されたHg結合DOMの%Nwa、N/Cwa、m/zwa、%Hwa、H/Cwa、及び%Cwaの間における類似度によって結び付けられるセネデスムス及びクロレラに由来する、16:8時間光レジームにおける分子式化合物クラスの70%を含んだ。クラミドモナスのCHOS、CHOS2、CHO、及びCHON2S Hg結合DOM化合物は、主として、%Owa、O/Cwa、NOSCwa、及びAImodの強力な影響に起因して、グループ2にクラスター化された。グループ3は、主として高い%Swa、S/Cwa、O/Cwa、及びNOSCwaに影響を及ぼされた、クロレラ及びセネデスムスのCHOS2化合物を含んだ。クラミドモナスによって放出された、より大きく、より芳香族であり、且つ酸化されたDOMと比較した場合、クロレラ及びセネデスムスは、より小さく、Nが豊富であり、且つ極性のHg結合配位子を生成した。光周期の持続期間における変化が、Hg結合分子の数及び割合における変化をもたらした一方で、Hg結合DOMの全体的構造特性(AImod、%Cwa、%Hwa、%Owa)は有意に変化しなかった。16:8から20:4でのCHO及びCHONSの割合における有意な変化(p<0.05)は観察されたが、Hg結合DOMの全体的構造特性(AImod、O/Cwa、N/Cwa)は、光レジーム間において有意に変化しなかった。
より高い光曝露は%Swaを増加させ、Hg-硫黄相互作用の数を増加させ、硫黄含有分子の構造特性は、有意に異ならなかった。植物プランクトン分類群の影響は、より高い光曝露によって引き起こされる組成変化よりも、Hg結合DOMに対してより重要であった。光周期が増加すると、CHOによって錯体形成されたHgからCHONS、CHON、及びCHON2S配位子へのシフトが観察され、芳香族DOMに対するHg結合から、タンパク質豊富なDOMに対するHg結合へのシフトが示された41、77。増加した光周期においては、より多くのスルフヒドリル結合部位が利用可能となるため、より高いDOM:Hgの比においても、アミン及びカルボキシル官能基からチオールへのシフトが観察され得る(Table 4(表4))78。放出されたDOMの構造特性は、主として、植物プランクトン種によって支配されており、存在するチオール及びスルフヒドリル結合部位を評価することが、Hg錯体形成の予測を可能にするとしても、硫黄含有基に結合する側鎖の構造は、錯体のバイオアベイラビリティに対する有利な関連性を有する78、79。低分子量のチオールが豊富なある特定の植物プランクトンDOMが、細菌へのHgのシャトルとして作用し得るが、より大きい沈降植物プランクトンDOMが、Hgの可動性を促進してより大きいコロイド状有機物画分にし、ここではHgのメチル化も起こる41、79、80
(e)Hg-植物プランクトン由来DOM錯体の特定
本研究は、Hg-植物プランクトン由来DOM錯体の確信的な特定を可能とするために、Orbitrap高分解能質量分析法を組み込む。低分子量DOMは、少なくとも、クロレラ由来のデスフェリオキサミン、環状トリクリソバクチン、カルボキシマイコバクチン一水和物、エキソケリン、クラミドモナス由来のフェリオキサミン、セネデスムス由来のデスフェリオキサミン、デスフェリオキサミン一水和物、ビブリオフェリン、及びアシネトフェリン、並びにユーグレナ由来のシデロケリンA、ベナルチン、クリソバクチン、ジヒドロキシ安息香酸、リゾバクチン、及びシゾキネンを含むように特定された。Table 5(表5)は、クロレラ、クラミドモナス、セネデスムス、及びユーグレナ・グラシリス由来のLMW DOM化合物の独自性を示している。
トップダウンショットガンに基づくアプローチを組み込むことによって、これまでに考案された細菌のシデロフォア、KEGG配位子データベース、及びMetlinを検索して、植物プランクトン浸出物中に存在する推定上のHg結合代謝物を特定した。細菌のシデロフォアが、従来、金属ホメオスタシスにとって必要とされる鉄を捕捉するように生成されている一方で、これらの配位子は、Hgを含む幅広い範囲の軟質金属と相互作用することが知られている81。シデロフォアのデータベース56に基づき、また実験上及び理論上の同位体パターンを比較することで、7種の潜在的なHg結合シデロフォアの実験式を特定した(図46〜図51)。推定上の化合物は、クロレラにおけるデスフェリオキサミン、環状トリクリソバクチン、カルボキシマイコバクチン、及びエキソケリン、並びにセネデスムスにおけるアシネトフェリン及びデスフェリオキサミンを含んだ。クラミドモナスに関してもHg-DOM錯体は検出されたが、これらの検出された化合物はいずれも、シデロフォアのデータベース56には見出されなかった。
KEGG配位子データベースを使用して、追加的な推定上の配位子を、精密質量及び分子組成に基づいて見出した(Table 6(表6))。
より低い光レジームにおいては、クロレラ浸出物において、トリプトファン代謝及び分解の指標である3-メチルジオキシインドール80、並びに硫黄系アミノ酸プロテアーゼ阻害剤であるN-アセチル-ロイシル-メチオニン82に類似した潜在的構造を有する分子、C9H9O2N及びC12H15O2Nとの一致が見出された。より高い光レジームにおいては、トウモロコシ及び他の脂質豊富な栄養物において一般的に見出される、真菌のマイコトキシンの加水分解生成物であるアミノペントール(C22H47O5N)の潜在的な異性体が、クラミドモナス浸出物においてHgと錯体形成して見出された83
Metlinを使用して植物プランクトン浸出物を調べることで、微生物起源の追加的な化合物が得られた(Table 7(表7))。例えば、より高い光レジームにおいてクロレラ培養物中で見出されたC7H14O3は、Hgと錯体形成した、藻類において一般的に見出される油性カルボン酸であるヘプタン酸の潜在的な異性体を生成した84。更に、より高い光レジーム中にクラミドモナスにおいて見出されたC42H81NO3は、運動性藻類が光に向かって泳ぐのを支援する脂質であるセラミドの潜在的な異性体である85。最後に、より低い光の持続期間におけるセネデスムスは、Hgと錯体形成している、抗微生物性を保有するテトラデカンの潜在的な異性体であるC38H67N2O4Sを放出した86
(f)更なる考察
本研究は、Hg-植物プランクトン由来DOM錯体の特定を可能とするために、Orbitrap高分解能質量分析法を組み込む。Hg結合DOMの分子組成は、Orbitrap HRMSを使用して確信的に決定することができる。本研究は、異なる光周期での分類群間における植物プランクトンDOM組成の多様性、及びこれらのDOM-Hg錯体を、HRMSを使用してどのように検出及び特性評価することができるのかについて強調している。植物プランクトンにおける分類学的差異が、Hg結合において役割を果たしていること、及びセネデスムスとクロレラHg結合DOMとの間には、クラミドモナスよりも大きい類似度が存在することが示された。Orbitrap HRMSの使用は、Hg結合DOM分子の推定上の特定のために利用することができる。
(実施例5)
細菌のHgバイオアベイラビリティに対するDOM濃度の効果
I.材料及び方法
実施例1に記載されているようなバイオレポーターアッセイを使用して、クロレラ、クラミドモナス、セネデスムス、及びユーグレナ・グラシリスに由来する植物プランクトン有機物の増加する濃度の影響を評価した。酸素を含んだ条件及び無酸素性の条件の両方において、DOMの不在下の5nMのHgを較正として利用して、DOMを欠いた系を観察した。クロレラ、クラミドモナス、セネデスムスに関しては、0.1、0.5、及び1ppmの増加する濃度のDOMを、アッセイ前に1時間、Hgと結合させた。ユーグレナに関しては、1ppm未満の濃度はHgの可動性に対して有意に影響を及ぼさなかったため、1、5、10、20、及び30ppmの範囲の濃度のDOMを使用した。
また、DOM組成が濃度とともにどのように変化するかを評価するために、ユーグレナ・グラシリスに関して、1及び30ppmのDOMにおいて、Orbitrap高分解能質量分析法を実行した。
II.結果及び考察
DOM濃度が増加するにつれて、好気性アッセイのユーグレナ・グラシリスを除き、好気性アッセイ及び嫌気性アッセイの両方において、すべての植物プランクトンに関してHgの可動性が減少するという、一貫性があり且つ有意な傾向が存在する。10ppmを上回って増加するDOMの濃度は、大腸菌細胞内へのHgの可動性を強化することが示された(図52)。Orbitrap高分解能質量分析法のスペクトルは、一部のより高い分子量のDOM分子が1ppmのDOMでユーグレナ・グラシリスによって生成されているものの、これらの化合物は、30ppmのDOMというより高いDOM濃度では優先的には放出されないことを明らかにしている(図53)。理論によって束縛されることを意図するものではないが、これらの結果は、より高いDOM濃度においてユーグレナ・グラシリスによって選択的に放出される低分子量の分子の強化が、これらの位置エネルギー源に結合したHgイオンをより小さい細菌に対して輸送し得ることを示している。
(実施例6)
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析法を使用した、セネデスムス・オブリクスによって生成された溶解有機物中の有機配位子の特定
実験室で成長させたセネデスムス・オブリクスの培養物を、Waterloo、OntarioのCanadian Phycological Culture Center(CPCC)から入手した。細胞を、成長チャンバにおいて恒常的に通気しながら、フォトン90〜100μmol/m/秒の一定の光強度及び21℃の一定の温度における標準的光レジーム(16:8時間、明対暗)で、ボールド基本培地(BBM)を使用して成長させた。
Cdの毒性(EC50=133pbb又はμL-1 Cd)を、増加する濃度のCd(NO3)2を使用して決定した。4つの藻類培養物を、Replicate 1に関しては1mL当たり100万個の細胞、またReplicate 2に関しては1mL当たり200万個の細胞で始めて、異なるレベルのCd:対照(0μL-1 Cd)、EC20(19.5μL-1 Cd)、EC30(46.4μL-1 Cd)、及びEC40(78.8μL-1 Cd)の存在下で成長させた。更なる分析のために、細胞を初期の静止期に収集した。
遠心分離によって、上清(浸出物)を細胞から分離した。浸出物を、0.45μmのWhatmanフィルタを使用して濾過した。50%のメタノール及び50%の濾過した浸出物で構成されたアリコートを、pH6に調整した後、FT ICR-MSを使用して分析した(FT-ICR ESI 7 Tesla、16M、範囲:m/z 200〜2000、ネガティブモードでスキャン200回)。浸出物の別のセットに、pH6において、100nM(Rep 1)及び300nM(Rep 2)のCd(ICP-MS標準)を添加し、分析前に一晩インキュベートした。
データをエクスポートし、Compassデータ分析ソフトウェア(バージョン4.2、Bruker Daltonics社)を使用して分析した。Cd含有化合物を検出するために、ソフトウェアWinnow45を使用して、Cdの8種の同位体置換体(106Cd、108Cd、110Cd、111Cd、112Cd、113Cd、114Cd、及び116Cd)を検出した。90%を上回るWinnowスコアを有するピークのみ、少なくとも112Cd及び114Cdの天然のCd存在量の比に関して比較して、Compassデータ分析同位体シミュレーション機能を使用して、Cd分子組成を確信的に特定した。推定上の配位子のCdとの錯体を特定するために、90%を上回るWinnowスコアを有するピークを更に、2ppm以下の誤差を有する正確なm/zに基づいて、公知のシデロフォア及びそれらの誘導体の改変されたデータベースだけでなく、異なるメタボロミックオンラインデータベース、例えばMetlin、Chemspider、ChEBI、KEGG、又はPubchem等45、54〜56とも比較した。
EC30処理に由来する浸出物のRep 1とRep 2との間では、錯体の数は、とても類似していた(Table 8(表8))。しかしながら、処理の大部分において、Rep 2における錯体の増加が観察された。Rep 2において見出された錯体の数は、Rep 1におけるものよりも多く、理論によって束縛されることを意図するものではないが、これは、より高い細胞密度のCd濃度がRep 2において使用されたためであった。
Cdの不在下(「対照」)及びEC40で成長させた細胞の2つの生物学的レプリカの抽出物においては、5種の化合物が見出された(Table 9(表9))。Cd結合構造について提案された構造を、精密質量及び天然のCd同位体分布に基づいて検証した。すべての提案された構造が、これまでに微生物において報告されていた。
オリゴペプチド錯体の分子式を、上位5種のCd同位体(106Cd、108Cd、114Cd)をそれらの予測される強度(下のパネル)と一致させることによって特定した(図54)。Cdの不在下でセネデスムスによって生成された浸出物において見出された、Cd結合配位子の3種の潜在的な候補:L-ロイシル-L-アスパラギニルグリシル-L-リジル-L-アラニル-L-ロイシル-L-バリル-L-グルタミン酸(ChemSpider ID8366570)、L-ロイシル-L-アスパラギニルグリシル-L-リジル-L-アラニル-L-ロイシル-L-バリル-L-グルタミン酸(ChemSpider ID8366570)、及びL-バリル-L-アスパラギニル-L-イソロイシル-L-グルタミニル-L-リジル-L-α-グルタミル-L-イソロイシン(ChemSpider ID9495360)を見出した。これらはそれぞれ、以下の構造を有する。
図55は、本出願の実施例による、バクテリオホパンテトロールシクリトールエーテル-Cd錯体に関する、対応する予測質量スペクトル(下)と比較した観測質量スペクトル(上)を示しており、その配位子は以下の構造を有する。
図56は、アザスピラシド-3-Cd錯体に関する、対応する予測質量スペクトル(下)と比較した観測質量スペクトル(上)を示しており、その配位子は以下の構造を有する。
図57は、ブルンスビカミドA-Cd錯体に関する、対応する予測質量スペクトル(下)と比較した観測質量スペクトル(上)を示しており、その配位子は以下の構造を有する。
本出願について、実施例を参照しながら説明してきたが、特許請求の範囲は、実施例において示される実施形態によって限定されるべきではなく、その記載と無矛盾である最も広い解釈が全体として与えられるべきであることを理解されたい。
すべての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれ個別の刊行物、特許、又は特許出願についてその全体が参照により援用されるように具体的且つ個別に示したのと同じ程度で、それらの全体が参照により本明細書に援用される。本出願における用語が、参照により本明細書に援用される文書において異なって定義されていることが見出された場合、本明細書において提供される定義が、その用語に対する定義として働くものとする。
本明細書において言及される文書の完全な列挙
(参考文献)

Claims (25)

  1. 水中の金属イオンを結合させる方法であって、
    水を、溶解有機物(DOM)の画分と接触させて、DOM画分と金属イオンとの間で錯体を形成する工程、及び
    任意選択で、錯体を水から分離する工程
    を含む、方法。
  2. DOMの画分が、DOMの低分子量有機化合物画分(LMW-DOM)である、請求項1に記載の方法。
  3. LMW-DOMが、150〜900Da、任意選択で300〜900Daの範囲の分子量を含む、請求項2に記載の方法。
  4. LMW-DOMが、3-メチルジオキシインドール、ベレンジン、リノレオイル、グルコナピン、N-アセチルロイシル-ロイシル-メチオニアナール、アミノペントール、モモルジシリン、スルファニルアミド、ジヒドロキシペンタトリアコンタ-2,4-ジエン酸、オリゴペプチド(例えば、Ala-Thr-Leu-His、L-ロイシル-L-アスパラギニルグリシル-L-リジル-L-アラニル-L-ロイシル-L-バリル-L-グルタミン酸、L-ロイシル-L-アスパラギニルグリシル-L-リジル-L-アラニル-L-ロイシル-L-バリル-L-グルタミン酸、及び/又はL-バリル-L-アスパラギニル-L-イソロイシル-L-グルタミニル-L-リジル-L-α-グルタミル-L-イソロイシン)、2-ヒドロキシヘプタン酸、(E)-ペンタ-1,3-ジエン-2-オール、ジグリセリド、
    トリカプリル酸グリセロール、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-3,6,5'-トリメトキシフラボン、9-オクタデセン酸、1,2,3,4-テトラキス-o-(4-ニトロベンゾイル)ペントピラノース、セラミド、セフスロジンモノバクタム、2,7,9-トリカルボキシピロロ(2,3-f)キノリン-4-オール-5-オン、テトラデカン-1、1-(O-アルファ-D-グルコピラノシル)-3-ケト-(1,25R,27R)-オクタコサントリオール、2,4-ビス[4,5-ビス(ペンチルアミノ)イソキノリン-1-イル]シクロブタン-1,3-ジオン、バクテリオホパンテトロールシクリトールエーテル、アザスピラシド-3、ブルンスビカミドA、シデロケリンA、ベナルチン、クリソバクチン、ジヒドロキシ安息香酸、リゾバクチン、シゾキネン、デスフェリオキサミン、環状トリクリソバクチン、カルボキシマイコバクチン、エキソケリン、ビブリオフェリン、アシネトフェリン、フェリオキサミン、又はそれらの混合物を含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. DOMの画分が、DOMの高分子量有機化合物画分(HMW-DOM)である、請求項1に記載の方法。
  6. HMW-DOMが、1800〜3500Daの範囲の分子量を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 方法が、除去されるべき金属イオンを有する廃水の浄化のためのものであり、水が廃水である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 廃水が、生活廃水、都市廃水、産業廃水、又はそれらの組合せである、請求項7に記載の方法。
  9. 産業廃水が、採掘作業からの流出液を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 分離が、錯体を微生物と接触させて、錯体を捕捉することを含む、請求項1から4及び7から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. DOMが、植物プランクトンに由来する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 植物プランクトンが、クロレラ種、クラミドモナス種、ユーグレナ種、ケイ藻類、ラン藻類、原生生物、又はそれらの混合物である、請求項11に記載の方法。
  13. 植物プランクトンが、クロレラ・ブルガリス、クラミドモナス・ラインハーティ、ユーグレナ・グラシリス、ユーグレナ・ミュータビリス、セネデスムス・オブリクス、タラシオシラ・ワイスフロギイ、又はそれらの組合せである、請求項12に記載の方法。
  14. 植物プランクトンが、ユーグレナ・グラシリスである、請求項13に記載の方法。
  15. DOM画分が、化学的に合成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  16. DOM画分が、水素化窒素含有化合物を含み、前記化合物の水素対炭素の元素比(H/C)が、1.65を上回る、請求項1から3及び5から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. DOM画分が、流動場濾過、限外濾過、又は超遠心分離によってDOMから単離される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. DOM画分が、流動場濾過を含む方法によってDOMから単離される、請求項17に記載の方法。
  19. DOMが、DOM画分中において増加した百分率の1種又は複数の所望される金属イオン結合化合物を得るのに好適な条件下で生成される、請求項17又は18に記載の方法。
  20. 条件が、DOM画分中において増加した百分率の1種又は複数の所望される金属イオン結合化合物を得るのに好適な条件下で植物プランクトンの培養物を成長させることを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 条件が、所望される培地、温度、光、pH、イオン強度、及び金属濃度のうちの1つ又は複数を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 条件が、光レジームを変えることを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 金属イオンが、希土類元素、二価金属、遷移金属、又は二価遷移金属である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 金属イオンが、Hg2+又はCd2+である、請求項22に記載の方法。
  25. 水中の金属イオンを結合させるための、溶解有機物(DOM)の画分の使用。
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