JP2019529450A - 1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、1,1,2−トリクロロエタンから1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法であって、a)工程(iii)で得られる有機相を精製して、1−クロロ−ジフルオロエタン及びフッ化水素酸を含む第一の流れと、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れとを形成すること;b)1−クロロ−ジフルオロエタンを含む第三の流れを形成するために、前記第一の流れからフッ化水素酸を除去すること;及びc)1−クロロ−ジフルオロエタンを含む前記第三の流れを精製することを含む、本方法中に製造された有機相から1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを分離する少なくとも一つの工程を含む方法に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、フッ素化炭化水素の分野に関する。本発明は、より具体的には、1,1,2−トリクロロエタンから1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法に関する。
1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン(HCFC−142)は、発泡体の製造における発泡剤として知られているだけでなく、医薬化合物又は農薬化合物の製造における原料としても知られている。
1,1,2−トリクロロエタン及び/又は1,2−ジクロロエチレンが気相中フッ化水素酸と反応し、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、塩酸、フッ化水素酸及び1,1−ジクロロエチレンを含む流れを提供する少なくとも一つの工程を含む1,1,2−トリクロロエタン及び/又は1,2−ジクロロエチレンから1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法は、国際公開第2015/082812号により知られている。1,1−ジクロロエチレンの存在は、後続の反応工程における障害となり得る。
本出願人は、先行技術の欠点を有しない、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法、特に1,1−ジクロロエチレンの形成を回避する方法を開発した。
本発明は、(i)気相中、任意選択的に酸化剤の存在下で、且つフッ素化触媒の存在下又は非存在下で、1,1,2−トリクロロエタンがフッ化水素酸と反応し、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、塩酸、フッ化水素酸、並びに1,2−ジクロロエチレン類(シス及びトランス)、1−クロロ−2−フルオロエチレン類(シス及びトランス)、1,2−ジクロロ−2−フルオロエタン、及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンから選択される少なくとも一つの化合物Aを含む流れを提供する少なくとも一つの工程;(ii)反応工程から生じた化合物を分離して、塩酸を含む第一の流れと、フッ化水素酸、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び未反応の1,1,2−トリフルオロエタンを含む第二の流れとを提供する少なくとも一つの工程;(iii)第二の流れを分離して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンを含む有機相と、HFを含む非有機相とを提供する少なくとも一つの工程;(iv)(iii)で得られた有機相から、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを分離する少なくとも一つの工程;(v)工程(iv)での分離後、有機相を工程(i)に任意選択的に再循環させること;並びに(vi)工程(iii)から生じた非有機相を工程(i)に任意選択的に再循環させることを含む、1,1,2−トリクロロエタンから1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法であって、工程(iv)が、
a)工程(iii)で得られた有機相を精製して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及びフッ化水素酸を含む第一の流れと、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れとを形成すること;
b)前記第一の流れからフッ化水素酸を除去して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び少なくとも一つの化合物Aを含む第三の流れを形成すること;
c)1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを含む前記第三の流れを精製すること、好ましくは蒸留すること
を含むことを特徴とする、方法。
a)工程(iii)で得られた有機相を精製して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及びフッ化水素酸を含む第一の流れと、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れとを形成すること;
b)前記第一の流れからフッ化水素酸を除去して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び少なくとも一つの化合物Aを含む第三の流れを形成すること;
c)1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを含む前記第三の流れを精製すること、好ましくは蒸留すること
を含むことを特徴とする、方法。
好ましい一実施態様によれば、(iii)で得られる有機相の精製の工程a)は、蒸留であり、好ましくは、30から80℃の温度且つ1から4barの絶対圧力で行われる。
好ましい一実施態様によれば、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れは、好ましくは100から170℃の温度且つ1から4barの絶対圧力でのその蒸留後に、工程(i)へ再循環される。
好ましい一実施態様によれば、工程b)は、前記第一の流れを洗浄して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される前記少なくとも一つの化合物Aとを含む中間流れB、並びにフッ化水素酸を含む中間流れCを形成する工程を含む。
好ましい一実施態様によれば、前記中間流れBは、乾燥して、前記第三の流れが形成される。
好ましい一実施態様によれば、乾燥は、0から30℃の温度且つ1から4barの絶対圧力で行われる。
好ましい一実施態様によれば、工程a)で得られる第一の流れ及び工程b)で得られる第三の流れはまた、トランス−1,2−ジクロロエチレンと、任意選択的にシス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つとを含む。
好ましい一実施態様によれば、工程c)は、好ましくは、優先的に35から79℃の温度且つ1から4barの絶対圧力での蒸留により行われる少なくとも一の蒸留を含む。
好ましい一実施態様によれば、工程a)で得られる第一の流れ、中間流れB及び工程b)で得られる第三の流れは、トランス−1,2−ジクロロエチレンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つとを含む。
好ましい一実施態様によれば、工程a)で得られる第一の流れ、中間流れB及び工程b)で得られる第三の流れは、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、トランス−1,2−ジクロロエチレンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つとを含む。
好ましい一実施態様によれば、工程c)は、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及びトランス−1,2−ジクロロエチレンを含む第四の流れと、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つを含む第五の流れとを形成する。
よって、本発明の目的は、1,1,2−トリクロロエタンから1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法である。本方法は以下の工程を含む:
(i)1,1,2−トリクロロエタンが、任意選択的に酸化剤の存在下、及びフッ素化触媒の存在又は不存在下、気相中フッ化水素酸と反応して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、塩酸、フッ化水素酸並びに1,2−ジクロロエチレン(シス及びトランス)、1−クロロ−2−フルオロエチレン(シス及びトランス)、1,2−ジクロロ−2−フルオロエタン及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンから選択される少なくとも一つの化合物Aを提供する少なくとも一つの工程;
(ii)反応工程から生じた化合物を分離して、塩酸を含む第一の流れと、フッ化水素酸、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び1,1,2−トリフルオロエタンを含む第二の流れとを提供する少なくとも一つの工程;
(iii)第二の流れを分離して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンを含む有機相と、HFを含む非有機相とを提供する少なくとも一つの工程;
(iv)(iii)で得られた有機相から1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを分離する少なくとも一つの工程;
(v)有機相を工程(iv)での分離後に工程(i)へ任意選択的に再循環すること、及び
(vi)工程(iii)から生じた非有機相を工程(i)へ任意選択的に再循環すること。
(i)1,1,2−トリクロロエタンが、任意選択的に酸化剤の存在下、及びフッ素化触媒の存在又は不存在下、気相中フッ化水素酸と反応して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、塩酸、フッ化水素酸並びに1,2−ジクロロエチレン(シス及びトランス)、1−クロロ−2−フルオロエチレン(シス及びトランス)、1,2−ジクロロ−2−フルオロエタン及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンから選択される少なくとも一つの化合物Aを提供する少なくとも一つの工程;
(ii)反応工程から生じた化合物を分離して、塩酸を含む第一の流れと、フッ化水素酸、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び1,1,2−トリフルオロエタンを含む第二の流れとを提供する少なくとも一つの工程;
(iii)第二の流れを分離して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンを含む有機相と、HFを含む非有機相とを提供する少なくとも一つの工程;
(iv)(iii)で得られた有機相から1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを分離する少なくとも一つの工程;
(v)有機相を工程(iv)での分離後に工程(i)へ任意選択的に再循環すること、及び
(vi)工程(iii)から生じた非有機相を工程(i)へ任意選択的に再循環すること。
好ましい一実施態様によれば、工程(iv)は以下を含む:
a)工程(iii)で得られた有機相を好ましくは蒸留により精製して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及びフッ化水素酸を含む第一の流れと、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れとを形成すること;
b)前記第一の流れからフッ化水素酸を除去して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び少なくとも一つの化合物Aを含む第三の流れを形成すること;
c)1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを含む前記第三の流れを精製すること、好ましくは蒸留すること。
a)工程(iii)で得られた有機相を好ましくは蒸留により精製して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及びフッ化水素酸を含む第一の流れと、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れとを形成すること;
b)前記第一の流れからフッ化水素酸を除去して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び少なくとも一つの化合物Aを含む第三の流れを形成すること;
c)1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを含む前記第三の流れを精製すること、好ましくは蒸留すること。
触媒は、好ましくは工程(i)で、有利には酸化剤の存在下で使用される。この反応工程の温度は、好ましくは150から400℃、有利には200から350℃である。フッ素化反応が行われる圧力は、好ましくは1から30barの絶対圧力、有利には3から20barの絶対圧力、より具体的には3から15barの絶対圧力である。
この反応で使用されるフッ化水素酸の量は、好ましくは、HCC−140の1molあたり5から40mol、有利には10から30molである。
反応の温度及び圧力における、触媒の体積をガスの総体積流量で除したものとして定義される接触時間は、2から200秒、好ましくは2から100秒、有利には2から50秒でありうる。
酸化剤は、純粋な形態又は窒素との混合で、酸素及び塩素から選択されうる。好ましくは、塩素が選択される。
使用する酸化剤の量は、好ましくは、F140の1モルあたり0.01モル%から20モル%、有利には、HCC−140の1モルあたり0.01モル%から0.2モル%である。
F140に対して1mol%から10モル%の酸化剤の量は、非常に有望な結果を出した。
使用される触媒は、バルク又は担持触媒であってもよい。触媒は、金属、特に遷移金属、又はそのような金属の酸化物、ハロゲン化物若しくはオキシハロゲン化物の誘導体に基づいてもよい。例として、特に、FeCl3、クロムオキシフッ化物、NiCl2、CrF3及びそれらの混合物が挙げられる。
担持触媒としては、炭素上に担持されたもの又はマグネシウムに基づくもの(例えばマグネシウム誘導体、特にMgF2のようなハロゲン化物又はオキシフッ化物のようなオキシハロゲン化マグネシウムなど)、又はアルミニウムに基づくもの(例えばアルミナ、活性アルミナ又はアルミニウム誘導体、特にAlF3のようなハロゲン化物、又はオキシフッ化物のようなオキシハロゲン化アルミニウムなど)が挙げられる。
触媒はまた、Co、Zn、Mn、Mg、V、Mo、Te、Nb、Sb、Ta、P、Ni、Zr、Ti、Sn、Cu、Pd、Cd、Bi及び希土類金属又はそれらの混合物から選択される共触媒を含んでもよい。触媒がクロムをベースとする場合、Ni、Mg、及びZnが共触媒として有利に選択される。
共触媒/触媒の原子比は、好ましくは0.01から5である。
クロム系触媒が特に好ましい。
本発明で使用される触媒は、任意選択的に担体の存在下で、対応する塩の共沈によって調製することができる。
触媒はまた、対応する酸化物の共粉砕によっても調製することができる。
フッ素化反応の前に、触媒は、好ましくは100〜450℃、有利には200〜400℃の温度で1〜50時間、HFによる活性化の工程に供される。
HF処理に加えて、活性化は、酸化剤の存在下で行われ得る。
活性化工程は、大気圧で又は最大20barの圧力下で実施され得る。
本発明の好ましい一実施態様によれば、担体は、高い多孔率を有するアルミナから製造され得る。第一の工程において、アルミナは、空気及びフッ化水素酸を用いるフッ素化により、フッ化アルミニウム又はフッ化アルミニウムとアルミナとの混合物に転化され、このフッ化アルミニウムへのアルミナの転化率は、アルミナのフッ素化が行われる温度(通常は200℃から450℃、好ましくは250℃から400℃)に本質的に依存する。その後、担体は、クロム塩、ニッケル塩及び任意選択的に希土類金属塩の水溶液によって、又はクロム酸、ニッケル塩又は亜鉛塩、及び任意選択的に希土類の塩若しくは酸化物並びにメタノール(クロム還元剤として機能する)の水溶液によって、含浸する。クロム、ニッケル又は亜鉛塩及び希土類金属塩としては、塩化物又は他の塩、例えば、ニッケル及び希土類金属のシュウ酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩及び硫酸塩又は重クロム酸塩を使用することができる。ただし、これらの塩は、担体によって吸収され得る量の水に可溶である。
触媒はまた、上記のクロム、ニッケル又は亜鉛、及び任意選択的に希土類金属化の合物の溶液によるアルミナ(通常は活性アルミナ)の直接含浸によっても生成され得る。この場合、フッ化アルミニウム又はオキシフッ化アルミニウムへのアルミナの少なくとも一部(例えば70%以上)の転化が、触媒の金属を活性化する工程中に行われる。
触媒の生成に使用され得る活性アルミナは、よく知られている市販の製品である。通常、活性アルミナは、アルミナ白(水酸化アルミニウム)を300℃から800℃の温度でか焼することにより生成される。(活性又は非活性)アルミナは、触媒性能レベルに害を及ぼすことなく、大量(最大1000ppm)のナトリウムを含有することができる。
触媒は、好ましくは、調節又は活性化されており、すなわち、事前の「活性化」操作によって、(反応条件下で)活性且つ安定な構成要素に転化されている。この処理は、「in situ」で(フッ素化反応器中で)、又は活性化条件に耐えるように設計された適切な装置内でのいずれかで行うことができる。
担体の含浸後、空気又は窒素の存在下、100℃から350℃、好ましくは220℃から280℃の温度で触媒を乾燥させる。
次いで、任意選択的に酸化剤の存在下、フッ化水素酸を用いる一又は二の工程において、乾燥させた触媒を活性化させる。このフッ素化活性化工程の所要時間は6〜100時間で、温度は200から400℃である。
好ましくは、分離工程(ii)は、−60℃から120℃、より具体的には−60から89℃の温度で、且つ3から20bar、有利には3から11barの絶対圧力で有利に実施行われる少なくとも一の蒸留を含む。
1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、フッ化水素酸及び1,1,2−トリクロロエタンに加えて、工程(iii)で得られる有機相は、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つを含み得る。
工程(iii)での第二の流れの分離後、(iii)で得られる非有機相は、好ましくは、工程(iii)で得られる有機相と比較して、第二の流れに当初存在するHFの大部分を含有する。(iii)で得られる有機相はフッ化水素酸を含有し得る。有機相中のフッ化水素酸の量は、非有機相中のフッ化水素酸の量よりも少ない。有機相に存在するフッ化水素酸の非有機相に存在するフッ化水素酸に対するモル比は、1:10未満、好ましくは1:50未満、特に1:100である。
一実施態様によれば、工程(i)に再循環させる前に、HF含有量が90重量%以上になるように(iii)で得られた非有機相は精製される。好ましくは、この精製は、−23から46℃の温度で、且つ0.3から3barの絶対圧力で有利に行われる少なくとも一の蒸留を含む。
好ましくは、分離工程(iii)は、−20から60℃、より具体的には−20から10℃の温度で有利に行われる少なくとも一つのデカンティング工程を含む。
好ましくは、分離工程(iv)は、(iii)で得られる有機相の精製の工程を含み、これにより、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び1,1,2−トリクロロエタンの分離が可能になる。1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び1,1,2−トリクロロエタンに加えて、工程(iii)で得られる有機相はまた、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ又はすべて;並びに任意選択的にフッ化水素酸を含んでもよい。よって、工程(iii)で得られる有機相は、トランス−1,2−ジクロロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン及びシス−1−クロロ−2−フルオロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びシス−1,2−ジクロロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン、シス−1,2−ジクロロエチレン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンを含み得る。
好ましくは、(iii)で得られる有機相の精製の工程a)は、蒸留である。特に、(iii)で得られる有機相の蒸留は、10から100℃、好ましくは20から90℃、より優先的には30から80℃の温度、且つ0.3から8bar、好ましくは0.5から6bar、より優先的には1から4barの絶対圧力で行われる。
好ましい一実施態様によれば、工程a)で得られる第一の流れ及び工程b)で得られる第三の流れは、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの前記少なくとも一つを含む。好ましくは、工程a)で得られる第一の流れ及び工程b)で得られる第三の流れは、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも二つ、三つ、四つ又はすべてを含む。
よって、工程a)で得られる第一の流れ及び工程b)で得られる第三の流れは、トランス−1,2−ジクロロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン及びシス−1−クロロ−2−フルオロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びシス−1,2−ジクロロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン、シス−1,2−ジクロロエチレン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンを含み得る。
好ましい一実施態様によれば、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れは、好ましくはその精製後に工程(i)へ再循環され、精製は、特に、20から300℃、好ましくは50から250℃、より優先的には75から200℃、特に100から170℃の温度、且つ0.3から8bar、好ましくは0.5から6bar、より優先的には1から4barの絶対圧力での蒸留である。
好ましい一実施態様によれば、この工程は、第一の流れに存在する残りのフッ化水素酸を除去することを可能にする。よって、工程b)は、前記第一の流れを洗浄して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される前記少なくとも一の化合物Aとを含む中間流れB、並びにフッ化水素酸を含む中間流れCを形成する工程を含む。中間流れBは、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも二つ、三つ、四つ又はすべてとを含み得る。好ましくは、中間流れBは、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンに加えて、トランス−1,2−ジクロロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン及びシス−1−クロロ−2−フルオロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びシス−1,2−ジクロロエチレン又はトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン、シス−1,2−ジクロロエチレン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンを含み得る。
好ましくは、洗浄工程は0から30℃の温度で行われる。好ましくは、洗浄工程は1から4barの絶対圧力で行われる。
好ましくは、前記中間流れBは、乾燥して、前記第三の流れが形成される。特に、乾燥は0から30℃の温度で行われる。好ましくは、乾燥は1から4の絶対圧力で行われる。
特定の一実施態様によれば、工程a)で得られる第一の流れ、中間流れB及び工程b)で得られる第三の流れは、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、トランス−1,2−ジクロロエチレンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つとを含む。好ましくは、工程a)で得られる第一の流れ、中間流れB及び工程b)で得られる第三の流れは、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、トランス−1,2−ジクロロエチレンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び−1−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つ、二つ、三つ又はすべてとを含む。
好ましくは、フッ化水素酸を含む中間流れCは工程(i)へ再循環され得る。
好ましい一実施態様によれば、工程b)で得られる第三の流れは工程c)で精製される。前記精製は、好ましくは蒸留である。よって、工程c)は、35から79℃の温度で、好ましくは1から4barの絶対圧力で行われる蒸留であり得る。
上記のように、工程b)で得られる第三の流れは、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、トランス−1,2−ジクロロエチレン並びにシス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つを含む。よって、本方法の工程c)は、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及びトランス−1,2−ジクロロエチレンを含む第四の流れと、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つを含む第五の流れとを形成することを可能にする。
好ましい一実施態様によれば、第三の流れが、上記のように、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つ、二つ、三つ又はすべてを含む場合、第五の流れは、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン及びトランス−1−クロロ−2−フルオロエチレンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つ、二つ、三つ又はすべてを含み得る。
特定の一実施態様によれば、工程a)で得られる前記第一の流れは、中間流れB、工程b)で得られる第三の流れ及び/又は第四の流れは、1,1−ジクロロエチレンを含まない。従って、工程a)で得られる前記第一の流れ及び/又は前記中間流れB及び/又は工程b)で得られる前記第三の流れ及び/又は第四の流れに、1,1−ジクロロエチレンが存在しないことは、本発明によって得られる。
Claims (10)
- (i)気相中、任意選択的に酸化剤の存在下で、且つフッ素化触媒の存在下又は非存在下で、1,1,2−トリクロロエタンがフッ化水素酸と反応し、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、塩酸、フッ化水素酸、並びに1,2−ジクロロエチレン類(シス及びトランス)、1−クロロ−2−フルオロエチレン類(シス及びトランス)、1,2−ジクロロ−2−フルオロエタン、及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンから選択される少なくとも一つの化合物Aを含む流れを提供する少なくとも一つの工程;(ii)反応工程から生じた化合物を分離して、塩酸を含む第一の流れと、フッ化水素酸、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れとを提供する少なくとも一つの工程;(iii)第二の流れを分離して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及び未反応の1,1,2−トリクロロエタンを含む有機相と、HFを含む非有機相とを提供する少なくとも一つの工程;(iv)(iii)で得られた有機相から、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを分離する少なくとも一つの工程;(v)工程(iv)での分離後、有機相を工程(i)に任意選択的に再循環させること;並びに(vi)工程(iii)から生じた非有機相を工程(i)に任意選択的に再循環させることを含む、1,1,2−トリクロロエタンから1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを製造するための方法であって、工程(iv)が、
a)工程(iii)で得られた有機相を精製して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、少なくとも一つの化合物A及びフッ化水素酸を含む第一の流れと、1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れとを形成すること;
b)前記第一の流れからフッ化水素酸を除去して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び少なくとも一つの化合物Aを含む第三の流れを形成すること;
c)1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンを含む前記第三の流れを精製すること、好ましくは蒸留すること
を含むことを特徴とする、方法。 - (iii)で得られる有機相の精製の工程a)が、蒸留であり、好ましくは、30から80℃の温度且つ1から4barの絶対圧力で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 1,1,2−トリクロロエタンを含む第二の流れが、好ましくは100から170℃の温度且つ1から4barの絶対圧力での蒸留後に、工程(i)へ再循環されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 工程b)が、前記第一の流れを洗浄して、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタンと、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される前記少なくとも一つの化合物Aとを含む中間流れB、並びにフッ化水素酸を含む中間流れCを形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記中間流れBが乾燥されて、前記第三の流れを形成することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 乾燥が、0から30℃の温度且つ1から4barの絶対圧力で行われることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 工程a)で得られる第一の流れ及び工程b)で得られる第三の流れが、トランス−1,2−ジクロロエチレン並びに任意選択的にシス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つも含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 工程c)が、好ましくは、35から79℃の温度且つ1から4barの絶対圧力での蒸留により優先的に行われる、少なくとも一の蒸留を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 工程a)で得られる第一の流れ、中間流れB及び/又は工程b)で得られる第三の流れが、トランス−1,2−ジクロロエチレン並びにシス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- 工程c)が、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及びトランス−1,2−ジクロロエチレンを含む第四の流れと、シス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1−クロロ−2−フルオロエチレン、トランス−1−クロロ−2−フルオロエチレン及び1,2−ジクロロ−1−フルオロエタンからなる群より選択される化合物Aの少なくとも一つを含む第五の流れとを形成することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
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