JP2019526530A - 新規ペプチド及びその用途 - Google Patents

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Abstract

本発明は、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチド、または薬学的に許容可能なその塩と、その用途を提供する。本発明によってベータアミロイドの脳内流入を抑制することができる。また、本発明は、ベータアミロイドの脳内作用抑制に関し、より容易に適用できるため、適用性に優れるという長所を有する。

Description

本発明は、新規ペプチドに関し、より詳細にはベータアミロイドの脳内流入を抑制する効果を表わす新規ペプチドとその用途に関する。
ベータアミロイド(beta−amyloid)は、脳内で作用し、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などの認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、脳内炎症などの疾患を誘発するものとして知られている(Irvine GB、El−Agnaf OM、Shankar GM、Walsh DM.“Protein aggregation in the brain:the molecular basis for Alzheimer’s and Parkinson’s diseases”Mol Med.2008;14(7−8):451−64.など参照)。その中でアルツハイマー病(Alzheimer’s disease、AD)は、認知症を起こす最も一般的な種類の退行性脳疾患であり、全体認知症の55〜70%を占める。
現在認知症に関連して開発された薬物の多くは記憶機能において非常に重要な神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を抑制するアセチルコリン分解酵素(acetylcholinesterase)抑制剤である(米国特許第4,895,841号明細書など参照)。アセチルコリン分解酵素抑制剤は、原因治療よりは症状緩和に焦点を合わせた薬物であり、これらの治療剤の主な副作用としてはアセチルコリンの過度な増加により副交感神経を亢進させてひどい下痢、吐き気、嘔吐、憂鬱症、不安、不眠、頭痛などのような消化器系と神経精神系の異常反応を示すものとして知られている。このような薬物は実用的なアルツハイマー病の治療剤であるとはいえない。
一方、特定のアミノ酸配列(DAEF)を含むペプチドの場合、ベータアミロイドによって誘導された神経細胞毒性を抑制する神経保護性ペプチドとして知られている(国際公開第2006/031330号参照)。このようなペプチドは、タウタンパク質のリン酸化または神経細胞死のようにベータアミロイドによって誘導された効果自体を低減または予防するものとして知られているだけである。
また、このような神経保護性ペプチドの場合、脳内で効果を表わすためには血液脳障壁(Blood−Brain Barrier;BBB)を通過しなければならないので、脳内への流入のための追加的な手段(例、神経外科手術によって挿入されるカテーテルなど)を適用しなければならないだけでなく、このような手段を適用することも容易でない問題があった。
したがって、ベータアミロイドの脳内作用抑制に関し、より容易に適用できる薬物の開発が必要である。
米国特許第4,895,841号明細書、1990.1.23、要約 国際公開第2006/031330号、2006.3.23、請求範囲
Irvine GB、El−Agnaf OM、Shankar GM、Walsh DM. "Protein aggregation in the brain: the molecular basis for Alzheimer’s and Parkinson’s diseases"Mol Med.2008;14(7−8):451−64
本発明が解決しようとする一つの課題は、適用性に優れた新規ペプチドを提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の一つの課題は、本発明のペプチドの用途を提供することにある。
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
本発明は、配列番号1のアミノ酸配列(DGEFF)または配列番号2のアミノ酸配列(DGEF)からなるペプチド、または薬学的に許容可能なその塩を提供する。
前記アミノ酸配列のDはアスパラギン酸(aspartic acid;Asp)、Gはグリシン(Glycine;Gly)、Eはグルタミン酸(Glutamic acid;Glu)、Fはフェニルアラニン(Phenylalanine;Phe)を示す。
前記ペプチドを構成するアミノ酸にはL−体、D−体、DL−体が存在し、本発明のペプチドを構成するアミノ酸はこれらをすべて含む。また、前記DはAspartate、またはAspartic acidで指称されるアミノ酸をすべて含む意味で解析できることは自明である。また、前記EはGlutamate、またはGlutamic acidで指称されるアミノ酸をすべて含む意味で解析できることは自明である。
前記ペプチドは変異体を含むものであり、自然的変異または人工的変異によって主要活性に変化を与えず、本発明のペプチド構造の一部が変異されたものを含む。
前記薬学的に許容可能な塩は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、スズ酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、またはp−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。
配列番号1のアミノ酸配列(DGEFF)や配列番号2のアミノ酸配列(DGEF)はいずれも共通してDGEFを含む。本発明者らはこのように共通配列を有する本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩は、ベータアミロイド(beta−amyloid)の脳内流入を抑制する効果を表わすことを以下の実験で確認した。
このような効果によって、本発明は、より直接的でかつ容易にベータアミロイドの脳内作用(脳内沈着など)を抑制できる。すなわち、本発明によって血液脳障壁を通過させるために追加的な手段(例、神経外科手術によって挿入されるカテーテルなど)を適用しなくてもベータアミロイドが脳内で作用することを容易に抑制できる。また、本発明は、ベータアミロイド自体の脳内への流入を抑制するので、より直接的にベータアミロイド関連の疾患、症状などに効果を表わすことができる。ベータアミロイドの脳内流入抑制による脳内の作用抑制の結果、ベータアミロイドの脳内作用による疾患、症状などの治療、予防、緩和などが可能であるからである。
前記ベータアミロイドの脳内流入抑制は、前記ペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩によるRAGE(Receptor for Advanced Glycation End products)とベータアミロイドの結合抑制によるものであり得る。RAGEは、ベータアミロイドを脳内へ輸送する受容体であり、前記ペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩がベータアミロイドの代わりにRAGEに結合することで、ベータアミロイドのRAGEとの結合を抑制し、ベータアミロイドの脳内流入を抑制できるものと見られる。
したがって、本発明は、また本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩の用途、好ましくはベータアミロイドの脳内流入抑制の用途またはアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、または脳内炎症の中から選ばれた一つ以上の治療または予防用途を提供する。治療は、症状の改善、軽減などを包括する意味であり、予防は、疾病以前の段階から疾病に発展することの抑制を包括する意味である。認知症は、アルツハイマー性認知症、血管性認知症、アルコール性認知症、またはレビー小体型認知症の中から選ばれた一つ以上であり得る。
前記アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、前記認知症、前記パーキンソン(Parkinson)病、前記ハンチントン(Huntington)病、または前記脳内炎症の中から選ばれた一つ以上は脳内のベータアミロイドの沈着によるものであり得る。
前記治療または予防は、ベータアミロイドの脳内流入抑制によるものであり得る。
また、前記治療または予防は、脳内のベータアミロイドの沈着抑制または脳内炎症抑制の中から選ばれた一つ以上によるものであり得る。
前記沈着抑制は、ベータアミロイドの脳内流入抑制によるものであり得る。
したがって、本発明は、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩を含むベータアミロイドの脳内流入抑制剤を提供する。
また、本発明は、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩を含むアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、または脳内炎症の中から選ばれた一つ以上の治療または予防用組成物を提供する。前記組成物は薬学組成物であり得る。
前記抑制剤または前記組成物は、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩を有効性分として含むことを特徴とし得る。
また、前記抑制剤または前記組成物は、薬剤学的に許容される添加剤をさらに含み、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩及び前記添加剤からなる。
本発明のペプチドは、ペプチド化学において通常用いられる方法によって製造できる。例えば、ペプチドをSchroder and Lubke著、「The Peptides」第1券、Acadmeic Press、New York(1965)などに記載された方法によって製造でき、溶液相合成または固体相合成などの方法によって製造できる。
ペプチド結合を形成するための方法の例としては、アシルアジド法、アシルハライド法、アシルイミダゾール法、カルボジイミド法、ホスホニウム法、無水物法、混合無水物法、酸化−還元法、及びWoodward試薬Kを使用する方法などがある。
縮合反応を行う前に反応に関与しないカルボキシル基、アミノ基などを保護させ得、縮合反応に関与するカルボキシル基などを当分野に公示された方法により活性化させ得る。
カルボキシル基を保護する基の例としては、メチル、t−ブチル、アリール、ペンタフルオロフェニル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、またはメトキシエトキシメチルのようなエステル形成基が挙げられる。
アミノ基を保護する基の例としては、トリチルカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、トリクロロエチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、及び/または9−フルオレニルメチルオキシカルボニルなどが挙げられる。
カルボキシル基の活性形態の例としては、混合無水物、アジド、アシルクロライドまたは活性エステル[アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、p−ニトロフェノール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロオキシフタルアミド、または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)とのエステル]などが挙げられる。
ペプチド結合を形成するための縮合反応に使用できる溶媒は、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、アセトン、ニトロメタン、シクロヘキサン、エーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、水、メタノール、またはエタノールなどの単一溶媒またはこれらの混合溶媒であり得る。
反応温度は、反応に一般的に使用される約−70℃〜100℃の範囲であり得、より好ましくは−30℃〜30℃の範囲であり得る。
ペプチド保護基を除去する反応は保護基の種類によって異なるが、ペプチド結合に何らの影響を与えず保護基を離脱させる酸化合物、塩基化合物、または遷移金属などを用いて除去し得る。
保護基を酸処理、例えば、塩化水素、臭化水素、フッ化水素、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリメチルクロロシラン、またはこれらの混合物で処理することにより除去し得る。
前記酸処理により保護基を除去する反応を行う時、アニソール、フェノール及びチオアニソールなどを補助剤として添加して反応を促進させることができる。
保護基を塩基処理、例えば、アンモニア、ジエチルアミン、ヒドラジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、炭酸ナトリウム、またはこれら塩基の混合物を用いて除去し得る。
また、保護基を遷移金属処理、例えば、亜鉛、水銀、パラジウム/水素などを用いて除去し得る。
反応完結後、通常のペプチドの精製方法、例えば、抽出、層分離、固体沈殿、再結晶またはカラムクロマトグラフィーによってペプチドを精製し得る。
また、本発明のペプチドを通常の方法によって変異体または薬学的に許容可能なその塩に転換させ得る。
本発明によるペプチドは、自動ペプチド合成機によって合成でき、遺伝子組み換え技術によっても生産できる。例えば、遺伝子組み換えにより融合パートナーと本発明のペプチドからなる融合タンパク質とをコートする融合遺伝子を製造し、これにより宿主微生物を形質転換させた後、宿主微生物から融合タンパク質形態に発現させた後にタンパク質分解酵素または化合物を用いて融合タンパク質から本発明のペプチドを切断、分離して所望するペプチドを生産できる。
前記ペプチド、または薬学的に許容可能なその塩の投与量は、非経口投与時200mg/日〜500mg/日であり、好ましくは267mg/日〜400mg/日である。経口投与の場合、投与量は、非経口投与量の2〜5倍である。1日1回または数回に分けて投与することも可能であり、このような投与量は、成人(体重60kg)基準であり得るが、体重、身体状態などによって変わることは当然である。本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩を主に非経口的な方法で、例えば、局所注射、静脈または皮下注射、大脳室内または脊髄腔内投与、経皮投与、あるいは経鼻投与または直腸内投与により投与する。また、場合によっては経口的に投与し得る。
本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩、抑制剤または組成物は、薬学的に許容される添加剤とともに製剤化して注射剤、坐剤、粉末、点鼻剤、顆粒、錠剤、経皮投与用パッチ剤などの型で作ることができる。
薬学的に許容される添加剤は、当業者によく知られている様々な因子によって適用されるが、例えば、用いられた特定の生理活性物質、これの濃度、安定性及び意図した生体利用性;治療しようとする疾患及び疾病または状態;治療を受ける個体、年齢、大きさ及び一般的な状態;組成物の投与に用いられる経路、例えば、鼻腔、口腔、眼球、局所、経皮及び筋肉などの要因を考慮しなければならないが、これに制限されない。一般に経口投与の経路以外の生理活性物質の投与に用いられる薬剤学的に利用可能な添加剤にはD5W(水の中の5%ブドウ糖)、デキストロース及び生理学的塩を容積の5%以内で含む水溶液などを含み、病巣内局所注射の場合、治療効果を増進させて持続時間を増加させるために様々な注射可能なヒドロゲル(hydrogel)を使用し得る。また薬学的に利用可能な添加剤は、保存剤及び抗酸化剤のような活性成分の安定性を補強させる追加成分を含み得る。本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩、抑制剤、または組成物は、当該分野の適切な方法により製剤化でき、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PA(最近版)などに開示されている方法を参照して各疾患によってまたは成分によって好ましく製剤化できる。
本発明のペプチドを生理食塩水溶液で保管し得、マンニトールまたはソルビトールの添加後にアンプル(ample)に凍結乾燥させ得、これを投与するために使用する時は生理食塩水などに溶解させ得る。
本発明はまた本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩の投与を必要とする人間を含む哺乳類に投与する段階を含むベータアミロイドの脳内流入を抑制する方法を提供する。また、本発明は、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩の投与を必要とする人間を含む哺乳類に投与する段階を含むアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、または脳内炎症の中から選ばれた一つ以上の治療または予防法を提供する。また、本発明は、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩のベータアミロイドの脳内流入抑制剤の製造のための用途を提供する。また、本発明は、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩のアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、または脳内炎症の中から選ばれた一つ以上の治療または予防用製剤の製造のための用途を提供する。前記投与されるペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩は、有効量のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩であり得る。
特に言及しない限り、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能な塩、用途、抑制剤、組成物、方法において言及された事項は、互いに矛盾しない限り、同一性の範囲で互いに同一に適用される。
本発明は、ベータアミロイドの脳内流入を抑制する効果を有する。また、本発明は、ベータアミロイドの脳内作用抑制に関し、より容易に適用できるため、適用性に優れるという効果を有する。
本発明の一実施例における血中のベータアミロイドの脳内流入の抑制効果の確認結果を示すグラフである。 本発明の一実施例における動物の学習及び記憶回復に及ぶ効果の確認結果を示すグラフである。 本発明の一実施例におけるベータアミロイド1−42の低減効果の確認結果を示すグラフである。 本発明の一実施例におけるTNF−αの低減効果の確認結果を示すグラフである。 本発明の一実施例におけるGFAP低減効果の確認結果を示すグラフである。
本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なそれの塩は、従来に知られているものがない。ただし、国際公開第2006/031330号にはベータアミロイドに関するペプチドが開示されているが、このようなペプチドはいずれもベータアミロイドの自体作用によって誘導された効果の低減または予防、特にベータアミロイドによって誘導されたタウタンパク質のリン酸化または神経細胞死を抑制する効果と関連しており、単に神経保護性ペプチドとして知られているだけである。すなわち、このような神経保護性ペプチドは、神経細胞死滅及びタウリン酸化などのベータアミロイドによって誘導された効果を抑制するものとして知られているだけである。神経保護性ペプチドが有するこのような効果は、本発明が有するベータアミロイドの脳内流入抑制効果とは相違する。本発明の場合、ベータアミロイドの脳内流入を抑制する効果を表わすので、血液脳障壁(BBB)の通過とは関係なく適用できるため適用性に優れるが、神経保護性ペプチドは、脳内で作用するためには血液脳障壁(BBB)を通過しなければならないからである。結局、神経保護性ペプチドは、所望する作用のために脳内への流入のための追加的な手段(例、神経外科手術によって挿入されるカテーテルなど)を適用しなければならないが、本発明の場合、脳内への流入のための追加的な手段が不要である点においても神経保護性ペプチドでは予想できない効果を有する。したがって、本発明の効果は、国際公開第2006/031330号に開示されたペプチドの効果とは全く相違するだけでなく、これより予想もできないものである。さらに、下記の実験結果においても確認されるように、神経保護性ペプチドは、ベータアミロイドの脳内流入抑制の効果を表わすことができないことからも、本発明がこのようなペプチドとは全く相違するだけでなく、これより予想できない効果を有するものであることを再確認できる。
以下、実施例、比較例及び製造例によって本発明をより詳細に説明するが、下記実施例及び製造例は、本発明を例示するためであり、本発明の内容は下記実施例や製造例によって限定されない。
以下、実施例などにおいて使用した試薬は、市販で入手できるものであり、最上品を使用し、特に言及しない限り、Sigma−aldrich社から購入したものを使用した。以下の実験結果については必要に応じて、平均と標準偏差とを求め、統計的な有意性を検定した。
<ペプチドの製造>
下記表1に記載したペプチドをAnyGen(株)(AnyGen Co.,Ltd.,韓国)に依頼して製造した。具体的にFmoc(9−fluorenyl−methoxycarbonyl)化学的性質を用いたソリッドフェーズ法(solid phase method)によって合成した。より具体的には、固相樹脂(Wang resin;Sigma−aldrich社)0.55mmol/gを使用してペプチドのC−末端を固相樹脂に結合して実施した。Fmoc−Phe−OHアミノ酸のカップリング(coupling)は、O−Benzotriazole−N,N,N’,N’−tetramethyl−uronium−hexafluoro−phosphate(HBTU)とともに実施された。アミノ酸の側鎖はtert−butylとtert−butyloxycarbonylで保護した。保護基の除去(Deprotection)とレジン(resin)での分離は、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)と水を95:5(v/v)の割合で混合した溶液を使用して室温で3時間実施した。粗(Crude)ペプチドは、ジエチルエーテル(diethylether)で繰り返して洗浄した後、真空乾燥してShimadzu 5 um Shimpak ODS C18 column(20x250mm)を用いて逆相高速液体クロマトグラフィー{reverse−phase HPLC;RP−HPLC}方法により精製した。精製されたペプチドは、Shimpak 5 um ODS C18 column(4.6x250mm)を用いて分析用逆相高速液体クロマトグラフィー(analytical RP−HPLC)方法により確認した。合成されたペプチドの分子量は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化マススペクトルメータ{matrix−assisted laser desorption ionization(MALDI)−mass spectrometer}(Axima CFR、Kratos Analytical、Manchester、UK)を用いて確認した。
[表1]
表1において、Dはアスパラギン酸(aspartic acid;Asp)、Gはグリシン(Glycine;Gly)、Eはグルタミン酸(Glutamic acid;Glu)、Fはフェニルアラニン(Phenylalanine;Phe)、Aはアラニン(Alanine;Ala)、Vはバリン(Valine;Val)、Kはリシン(Lysine;Lys)、Mはメチオニン(Methionine;Met)、Rはアルギニン(Arginine;Arg)を示す。
<ベータアミロイドの脳内流入抑制効果の確認I>
実施例1のペプチドが血中のベータアミロイド1−42の脳内流入を抑制することを実験により確認した。具体的には、実施例1のペプチドがアルツハイマー病の原因の一つであるベータアミロイド1−42の脳内への流入を阻害する効果を確認するために、ベータアミロイド1−42(American Peptide Company、Sunnyvale、CA、USA)1mgにヘキサフルオロイソプロパノ−ル(Hexafluoroisopropanol:HFIP)2ml処理後に常温で3日間放置し、100μLずつチューブに分注した。Speed vacuumを用いてヘキサフルオロイソプロパノ−ル(HFIP)を蒸発させた後、分注した一つのチューブ(tube)に無水DMSO溶液{anhydrous DMSO(dimethyl sulfoxide)}を10μL入れて十分に溶かした後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;phosphate buffer saline)400μLを追加して最終的に25uMのベータアミロイド1−42溶液になるように準備した。
準備したICRマウス(The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME、USA)は、正常群、対照群、2群の実験群に分けた。実験群には各々実施例1のペプチドを2.5mg/kg、25mg/kg腹腔投与し、対照群には実施例1のペプチドの代わり賦形剤(10% DMSO in Saline、10ml/kg)を処理したことを除いては実験群と同様に処理した。20分経過後、対照群と実験群とにベータアミロイド1−42 25uM 400μLを尾静脈に静脈注射(i.v)して投与した。また、正常群は、ベータアミロイド1−42を処理しないことを除いては対照群と同様に処理した。ベータアミロイドを尾静脈に注射により投与して10分経過後、マウス眼窩静脈でナトリウムヘパリンを処理したキャピラリーチューブ(sodium heparinized capillary tube)を用いて50μL程度を採血し、直ちに二酸化炭素(CO)ガスで安楽死させた後マウスの右半球を摘出して液体窒素に保管した。採血したすべての血液サンプルを13,000rpmで10分間遠心分離した。準備したチューブに上層液のみ集めて、1/4000希釈後、ベータアミロイド1−42を酵素免疫測定法(ELISA;Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay、またはEnzyme−Linked ImmunoSpecific Assay)により測定した。
凍らせた右半球に3mlRIPAバッファー(RIPA buffer;Radio Immuno Precipitation Assay buffer)を入れて音波処理(sonication)した後、遠心分離機を用いて上澄液を分離した後、BCAアッセイ(BCA assay;bicinchoninic acid assay)を行い、タンパク質(protein)濃度を測定した。BCAアッセイは、キット(Thermo Scientific、Waltham、MA、USA、Cat.No.23227)内のプロトコルどおりに行った。脳内のベータアミロイド1−42濃度は、RIPA−ホモジネート(RIPA−homogenate)で酵素免疫測定法(ELISA)により測定した。酵素免疫測定法(ELISA)は、キット(IBL International、Hamburg、Germany、Code No.27711)内のプロトコルどおりに行った。
その結果を図1に示した。図1は本発明の一実施例における血中のベータアミロイドの脳内流入抑制効果の確認結果を示すグラフであり、図1の左側グラフは、正常群、対照群、2個の実験群(ペプチド2.5mg/kg投与群、ペプチド25mg/kg投与群)それぞれにおいて脳内のベータアミロイド濃度を測定した結果を示すグラフであり、右側グラフは、血液(血漿)のベータアミロイド濃度を測定した結果を示すグラフである。図面に示すように、実施例1のペプチド2.5mg/kg腹腔投与群と25mg/kg腹腔投与群とにおいて各々脳内のベータアミロイド1−42濃度は、195.5±5.6pg/mg、187.8±2.4pg/mgで測定され、対照群に対して脳内のベータアミロイド濃度が濃度依存的に減少することがわかる。また、このような結果は、統計的有意性(p<0.01)を有することがわかる。一方、血漿のベータアミロイド濃度は、対照群や実験群の両方とも大きな差は見られなかったことがわかる。このような結果から、血中のベータアミロイド1−42の脳内への流入を実施例1のペプチドが濃度依存的に抑制することがわかる。
したがって、本発明のペプチドは、血中のベータアミロイド1−42の脳内への流入抑制が可能であり、それによってアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などの認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、及び/または脳内炎症などの治療及び/または予防が可能であると見られる。
脳内に流入したベータアミロイドが沈着して誘発する疾患は、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などの認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、脳内炎症などが知られており(Irvine GB、El−Agnaf OM、Shankar GM、Walsh DM.Protein aggregation in the brain: the molecular basis for Alzheimer’s and Parkinson’s diseases.Mol Med.2008;14(7−8):451−64など参照)、本発明のペプチドは、血中のベータアミロイド1−42の脳内への流入を抑制するので、このような治療及び/または予防が可能である。
<動物モデルを用いた学習及び記憶回復効果の確認>
実施例1のペプチドの学習及び記憶回復効果を実験により確認した。具体的には、実施例1のペプチドがアルツハイマー病の症状の一つである学習能力及び記憶力の低下を抑制する効果を確認するために、遺伝子組み換えによりSwedish変異(Swedish mutation)があるベータアミロイド前駆タンパク質APP(APPsw;アミロイド突然変異)の人間由来遺伝子とγセクレターゼであるPS1遺伝子のエクソン−9欠損形態の人間由来遺伝子とが脳中に過量発現するようにして人間のアルツハイマー病を誘発させた30週齢のダブルトランスジェニックマウス{Double Transgenic mouse(DTgマウス)、Jackson Laboratory、米国}モデルを用いた実験を実施した。
DTgマウスは、生後1.5ヶ月前後で脳中にアミロイドプラーク(amyloid plaques)が発見され、4〜5ヶ月から認知機能の障害が現れることが知られているので(Oakley H、Cole SL、Logan S、Maus E、Shao P、Craft J、Guillozet−Bongaarts A、Ohno M、Disterhoft J、Van Eldik L、Berry R、Vassar R. “Intraneuronal beta−amyloid aggregates、neurodegeneration、and neuron loss in transgenic mice with five familial Alzheimer’s disease mutations: potential factors in amyloid plaque formation.” J Neurosci.2006 Oct 4;26(40):10129−40.参照)、実施例1のペプチドが学習及び記憶回復効果を表わすかどうかを確認するための動物モデルとして用いた。
実験動物は、実験動物の試験ガイドラインに従い、入手後動物室で順化させて承認された動物実験計画書に従って行った。実験的環境は、温度23±1℃、湿度50±5%を維持し、明暗周期は12時間(07:00消灯−19:00点灯)とした。実験が行われる間に動物は水と飼料を自由に摂取した。実験動物は、各々10匹ずつ二つの群に分けて、一つの群は対照群、他の一つの群は実験群とした。実験群は、実施例1のペプチドを50mg/kgの濃度で一日一回注射器を用いて週5回の頻度で総13週間腹腔投与した。対照群は、実施例1のペプチドの代わり賦形剤(10% DMSO in Saline、10ml/kg)を処理したことを除いては実験群と同様に処理した。実施例1のペプチドを投与して10週経過時、行動実験(Y字迷路試験)を1回実施した。
Y字迷路試験は、動物の新しい環境に対する自発的な探索傾向を短期記憶能力により観察する実験である。実験は、動物を迷路の真ん中に位置させた後8分間自由に迷路内で動くようにし、動物がそれぞれの通路に入る順序を視覚的に観察、記録する方式で行った。自発的交替行動量(%、Spontaneous alternation値)は、次の数式により計算した。
%自発的交替行動量={(実際交差回数)/(全体交差回数−2)}x100
実際交差回数は、動物がそれぞれ異なる3つの方向の通路を重なることなく連続して入った時を1回として測定した。試験結果に対する統計処理は、SPSSプログラム(IBM SPSS Statistics)を用いた。Unpaired t−testを用いて対照群に対して実験群(実施例1のペプチド投与群)について統計的な有意性を検定した。有意性の認定はp<0.05,p<0.01とした。図2にその結果を示す。
図2は本発明の一実施例における動物の学習及び記憶回復に及ぶ効果の確認結果を示すグラフである。図2に示すように、自発的交替行動量値が、対照群は49.44±3.88%、実施例1のペプチド投与群は63.22±2.56%で各々測定され、実施例1のペプチドが投与された実験群において学習及び記憶回復効能が有意に(P<0.01)回復することを確認した。
したがって、実施例1のペプチドは学習及び記憶回復に効果を有することがわかる。
結果的に、学習及び記憶回復によって治療及び/または予防が可能なアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などの認知症、パーキンソン病(Parkinson)などの治療及び/または予防が本発明のペプチドによって可能であると見られる。
<動物モデルにおけるバイオマーカー変化効果の確認>
<動物モデルを用いた学習及び記憶回復効果の確認>実験において総13週間の投与期間が終了した動物モデルを用いてバイオマーカー変化効果を確認する実験を実施した。総13週間の腹腔投与が終了した動物モデルを二酸化炭素(CO)を用いて安楽死させた後、直ちに脳を摘出した。脳を摘出する時、傷をつけないように脳全体を取り出した後生理食塩水を用いて軽く洗浄した。手術用メスを用いて半球を分離して左半球は準備したEPチューブ(EpPendorf tube)に入れた後、液体窒素で急速冷却させて次の実験時まで摂氏−80度のディープフリーザー(deep freezer)に保管した。
摂氏−80度のディープフリーザー(deep freezer)に保管した左半球をRIPAバッファー(RIPA buffer;Radio Immuno Precipitation Assay buffer)に入れて音波処理(sonication)して脳ホモジネート(brain homogenate)を準備した。その後、BCAアッセイ(BCA assay;BicinChoninic Acid assay)を行いタンパク質(protein)量を確認した。BCAアッセイは、キット(Thermo Scientific、saltham、MA、USA、Cat.No.23227)内のプロトコルどおりに行った。バイオマーカーの発現量は、酵素免疫測定法(ELISA)方法により測定し、酵素免疫測定法(ELISA)は、キット{Amyloid−beta(1−42)Elisa kit:IBL International、Hamburg、Germany(27711)、TNF−αELISA kit : Koma Biotech、ソウル、韓国(K0331186P)、GFAP Elisa kit:Millipore Corporantion、Billerica、MA、USA(NS830)}内のプロトコルどおりに行った。すべての反応が完了した後、スペクトロフォトメーター(Spectrophotometer)を用いて吸光度450nmでサンプルのOD値(Optical Density)を測定して定量分析プログラムを用いて濃度を算出した。
ELISAを用いて測定したバイオマーカーは、ベータアミロイド1−42、TNF−α、GFAP(glial fibrillary acidic protein;グリア繊維酸性タンパク質)であった。ELISAによって測定したバイオマーカーの発現量は、対照群と実験群(実施例1のペプチド50mg/kg投与群)の各群別に平均値と標準偏差とを計算して算出した。
その結果を図3ないし図5に示した。
図3は本発明の一実施例におけるベータアミロイド1−42の低減効果の確認結果を示すグラフである。図3に示すように、対照群のベータアミロイド1−42濃度は、76.03±25.63ng/mgタンパク質、実験群のベータアミロイド1−42濃度は、57.56±28.47ng/mgタンパク質で各々測定され、対照群に対して僅かに減少したことを確認した。
図4は本発明の一実施例におけるTNF−αの低減効果の確認結果を示すグラフである。図4に示すように、対照群のTNF−α濃度が1109.91±285.30pg/mgタンパク質、実験群のTNF−α濃度が798.99±172.90pg/mgタンパク質で各々測定され、対照群に対して統計的に有意(p<0.05)に減少することを確認した。TNF−αは炎症因子であり、これの低減は、炎症の抑制を意味すると解釈できる。特にこのような結果から、実施例1のペプチドによって脳内の炎症を抑制できることがわかる。
図5は本発明の一実施例におけるGFAP低減効果の確認結果を示すグラフである。図5に示すように、アストロサイト(astrocyte)マーカーGFAP(glial fibrillary acidic protein)の場合、対照群のGFAP濃度が70.61±26.82ng/mgタンパク質、実験群のGFAP濃度が47.63±24.92ng/mgタンパク質で各々測定され、対照群に対して僅かに減少したことを確認した。
このようなバイオマーカーの実験結果から、実施例1のペプチドの長期投与時、脳内のベータアミロイドが減少し、炎症反応が抑制されることがわかる。このようなバイオマーカーの変化は、実施例1のペプチドによる動物の学習及び記憶回復効能増加の結果を裏付けるものであると見られる。
以上の結果から、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩によって、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などの認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、及び/または脳内炎症などの治療及び/または予防が可能であると見られ、このような治療及び/または予防は、ベータアミロイドの脳内流入抑制、脳内のベータアミロイド沈着抑制及び/または脳内の炎症抑制によるものであることがわかる。
<ベータアミロイドの脳内流入抑制効果の確認II>
実施例1に対する以上の実験結果に基づいて、実施例1とともに実施例2及び比較例1ないし2のベータアミロイド1−42の脳内流入抑制効果の有無を確認するための実験を実施した。
実施例2のペプチドは、実施例1のペプチドから末端のFを除いた4個のアミノ酸からなるペプチド(DGEF)であり、比較例1は、国際公開第2006/031330号に開示された神経細胞保護ペプチドのうち代表的でかつ核心的なアミノ酸配列(DAEF)からなるペプチドであり、比較例2は、当該アミノ酸配列を含むものと知られた神経細胞保護ペプチドのうち最も効果が優れるペプチドである。
具体的には、まずベータアミロイド1−42(American Peptide Company、Sunnyvale、CA、USA)1mgにヘキサフルオロイソプロパノ−ル(Hexafluoroisopropanol:HFIP)2ml処理後、常温で3日間放置して100μLずつチューブに分注した。Speed vacuumを用いてヘキサフルオロイソプロパノ−ル(HFIP)を蒸発させた後、分注した一つのチューブ(tube)に無水DMSO溶液{anhydrous DMSO(dimethyl sulfoxide)}を10μL入れて十分に溶かした後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;phosphate buffer saline)400μLを追加して最終的に25uMのベータアミロイド1−42溶液になるように準備した。
準備したICRマウス(The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME、USA)は、正常群、対照群、4群の実験群に分けた。実験群には各々実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のペプチドを25mg/kg腹腔投与し、対照群にはペプチドの代わり賦形剤(10% DMSO in Saline、10ml/kg)を処理したことを除いては実験群と同様に処理した。20分経過後、対照群と実験群とにベータアミロイド1−42 25uM 400μLを尾静脈に静脈注射(i.v)して投与した。また、正常群は、ベータアミロイド1−42を処理しないことを除いては対照群と同様に処理した。ベータアミロイドの尾静脈に注射投与して10分経過後、マウス眼窩静脈でナトリウムヘパリンを処理したキャピラリーチューブ(sodium heparinized capillary tube)を用いて50μL程度を採血し、直ちに二酸化炭素(CO)ガスで安楽死させた後、マウスの右半球を摘出して液体窒素に保管した。採血したすべての血液サンプルを13,000rpmで10分間遠心分離した。準備したチューブに上層液のみ集めて、1/4000希釈後、ベータアミロイド1−42を酵素免疫測定法(ELISA;Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay、またはEnzyme−Linked ImmunoSpecific Assay)により測定した。
凍らせた右半球に3ml RIPAバッファー(RIPA buffer;Radio Immuno Precipitation Assay buffer)を入れて音波処理(sonication)した後、遠心分離機を用いて上澄液を分離した後、BCAアッセイ(BCA assay;bicinchoninic acid assay)を行い、タンパク質(protein)濃度を測定した。BCAアッセイは、キット(Thermo Scientific、Waltham、MA、USA、Cat.No.23227)内のプロトコルどおりに行った。脳内のベータアミロイド1−42濃度は、RIPA−ホモジネート(RIPA−homogenate)で酵素免疫測定法(ELISA)により測定した。酵素免疫測定法(ELISA)は、キット(IBL International、Hamburg、Germany、Code No.27711)内のプロトコルどおりに行った。
その結果を下記表2に示した。
[表2]
表2に記載したように、実施例2のペプチドは、実施例1のペプチドと同様にベータアミロイドの脳内流入を効果的に抑制することがわかる。結局、実施例2のペプチドは、実施例1のペプチドと同様、ベータアミロイドの脳内流入を抑制し、ベータアミロイドの脳内沈着を抑制することがわかる。その結果、実施例2のペプチドもベータアミロイドの脳内沈着と関連するアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などの認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、及び/または脳内炎症などの治療及び/または予防が可能であると見られ、このような治療及び/または予防は、ベータアミロイドの脳内流入抑制、脳内のベータアミロイド沈着抑制及び/または脳内の炎症抑制によるものであることがわかる。
しかし、比較例1と比較例2のペプチドは、実施例1のペプチドとは異なりベータアミロイドの脳内流入を全く抑制できないことがわかる。
このような結果から本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩は、知られた神経保護性ペプチドとは全く相違する効果を表わすことがわかる。
結局、本発明は、血液脳障壁の通過のための追加的な手段なしにもベータアミロイドの脳内作用抑制が可能である面から、容易に適用できる長所を有する。
また、本発明は、ベータアミロイドが脳内で作用することを源泉的に抑制するので、ベータアミロイドの脳内作用抑制に関してより直接的に適用できるので、適用性に優れることがわかる。
<ベータアミロイドの脳内流入抑制効果の確認III>
下記の方法により、実施例1と実施例2のペプチドがRAGEと結合することを確認することで、ベータアミロイドとRAGEとの結合が抑制されてベータアミロイドの脳内流入が抑制されることを確認した。
これは、血液脳障壁内皮細胞膜に発現されるRAGE(Receptor for Advanced Glycation End products)がベータアミロイドを脳に輸送する役割を果たし、RAGEとベータアミロイドとの結合抑制物質が、脳組織にベータアミロイドタンパク質の沈着と関連する疾病であるアルツハイマー病、認知障害、または認知症などに対し、治療または予防効果がある点を用いたものである(Neurology.2004 Jun 8;62(11):1984−1989;J Clin Invest.2012 Apr;122(4):1377−1392など参照)。
具体的に、MST(Microscale Thermophoresis)技術を用いて、実施例1または実施例2のペプチドとRAGEとの結合力を測定した。
まず、キット{Monolith NTTM Protein Labeling Kit RED−NHS(L001、 NanoTemper technologies)}を用いて、extracellular domain組み換えタンパク質RAGE(11629−H08H、Sino Biological Inc.)にRED fluorescent dye NT−647−NHSを結合させた後に精製する。その後、MST buffer(50mM Tris−Hcl pH7.4、150mM NaCl、10mM MgCl、0.05% Tween−20)溶液中のRED fluorescent dye NT−647−NHS labeled RAGEが20uM含量になるようにRAGE溶液を準備する。また、実施例1または実施例2のペプチドを各々50uMから始めて1.52nMになるまでMST bufferで希釈を繰り返す方式により、16段階の濃度になるようにペプチド溶液を準備する。その後、RAGE溶液とペプチド溶液とを各々100ulずつ入れて混合して毛細管に注入した後、Monolith NT.115(G009、NanoTemper technologies)のトレーに濃度順に装着する。Monolith NT.115作動方法を守ってソフトウェアを作動する。同様の方法で3回繰り返した後、Kd(dissociation constant)の平均値を得た。
その結果、RAGEと実施例1のペプチドとの間のKdは、76.86nMであり、RAGEと実施例2のペプチドとの間のKdは、80.89nMであった。この結果から実施例1のペプチド及び実施例2のペプチドはいずれもRAGEと結合することで、ベータアミロイドがRAGEと結合することを抑制して脳への流入を抑制する作用をすることがわかる。
結局、本発明のペプチドは、RAGEとベータアミロイドとが結合することを抑制することで、ベータアミロイドの脳内流入を抑制し、より源泉的にベータアミロイドの脳内作用を抑制することがわかる。その結果、本発明のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩は、ベータアミロイドの脳内沈着と関連するアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などの認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、及び/または脳内炎症などの治療及び/または予防が可能であると見られる。また、本発明は、ベータアミロイドの脳内作用の抑制に関し、より直接的でかつ容易に適用できるため、適用性に優れることがわかる。
<製造例>注射液剤の製造
実施例1または実施例2と同様の方法により製造したペプチド500mgを生理食塩水に溶解させて溶液10mlを作る。作られた溶液は、注射剤用アンプルに充填して製造例1または製造例2の注射液剤を製造する。
本発明は、ベータアミロイドの脳内流入を抑制する効果を有する。また、本発明は、ベータアミロイドの脳内作用の抑制に関し、より容易に適用できるため、適用性に優れる効果を有する。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列または配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチド、または薬学的に許容可能なその塩。
  2. 請求項1のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩を含む、ベータアミロイドの脳内流入抑制剤。
  3. 請求項1のペプチドまたは薬学的に許容可能なその塩を含む、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、または脳内炎症の中から選ばれた一つ以上の治療または予防用薬学組成物。
  4. 前記アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、前記認知症、前記パーキンソン(Parkinson)病、前記ハンチントン(Huntington)病、または前記脳内炎症の中から選ばれた一つ以上は、脳内のベータアミロイド沈着によるものである請求項3に記載の薬学組成物。
  5. 前記治療または予防は、ベータアミロイドの脳内流入抑制によるものである請求項3に記載の薬学組成物。

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