JP2022516574A - 新規ペプチドとその使用 - Google Patents

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Abstract

Ac-DEEEDEEL-NH2の配列、dEEEDEEL-NH2の配列又はAc-dEEEDEEL-NH2の配列を含むペプチド、該ペプチドを含む医薬組成物、及び疾患又は障害を治療するための該ペプチドの使用。【選択図】図1A

Description

本発明は、米国立衛生研究所(NIH)によって授与されたR44AG043278の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
関連出願の相互参照
この出願は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、2019年1月7日出願の米国仮特許出願第62/789,114号の利益を主張するものである。
配列表
この出願は、2020年1月3日に作成され、サイズが4,096バイトで、14461-003-228_SEQ_LISTING.txtと命名されたテキスト形式として、この出願と共に提出された配列表を引用により組み込んでいる。
(1.分野)
β-APP上のプレセニリン1及び/又はプレセニリン2結合ドメインに結合する新規ペプチド、並びにそれを含む医薬組成物、その方法及び使用が本明細書に提供される。
(2.背景)
神経変性障害は、特定の神経集団の喪失及び対応する神経機能の喪失を特徴とする進行性疾患である。様々な神経変性障害の中で、進行性記憶障害及び認知機能低下を特徴とするアルツハイマー病(AD)が最もよく見られる。ADの最も明確な神経病理学的特徴は、罹患した脳内のアミロイドプラーク及び神経原線維のもつれの存在である。前者は、γ-セクレターゼの切断後に、アミロイド前駆タンパク質(APP; Serrano-Pozoらの文献, 2011, Cold Spring Harb Perspect Med. 1,1, a006189参照)のタンパク質分解産物であるアミロイドβ(Aβ)の細胞外沈着によって形成される(Zhangらの文献, 2011, Mol. Brain 4, 3参照)。
プレセニリン1及び2(PS-1及びPS-2)は、γ-セクレターゼの触媒成分である。PS-1及びPS-2内の150超の異なる突然変異が、AD疫学研究で同定されており、Aβペプチド生成の調節と関連付けられた(Haasらの文献、2012年、, Cold Spring Harb Perspect Med. 2(5): a006270参照)。Aβの産生と蓄積は、神経変性事象のカスケードを開始し、ADにおける老人斑の形成及び神経原線維内のもつれ及び神経細胞喪失をもたらす(Greenfieldらの文献, 2000, Front. Biosci. 5, D72-D83; Golde, 2005, Brain Pathol. 15, 84-87参照)。
(3. 開示の概要)
一態様では、(i) N末端アミノ酸Aspがアセチル化され、C末端アミノ酸Leuがアミド化される
Figure 2022516574000002
の配列;(ii)N末端アミノ酸AspがDアミノ酸であり、C末端アミノ酸Leuがアミド化される
Figure 2022516574000003
の配列;又は(iii) N末端アミノ酸AspがDアミノ酸であり、アセチル化され、C末端アミノ酸Leuがアミド化される
Figure 2022516574000004
の配列を含むペプチドが本明細書に提供される。
いくつかの実施形態では、該ペプチドは、
Figure 2022516574000005
の配列を含む。いくつかの実施形態では、該ペプチドは、
Figure 2022516574000006
の配列を含む。さらに他の実施形態では、該ペプチドは、
Figure 2022516574000007
の配列を含む。
別の態様では、配列番号3、配列番号4又は配列番号5の配列を含む第1のドメイン、及び第2のドメインを含むペプチドが、本明細書に提供される。
いくつかの実施形態では、第2のドメインは、Fcドメインを含む。他の実施形態では、第2のドメインは、精製ペプチドを含む。
別の態様では、本明細書に提供されるペプチド及び医薬として許容し得る賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書に提供される。
別の態様では、細胞内のプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を減衰させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド又は医薬組成物と細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。
別の態様では、細胞内のアミロイドβの産生を減衰させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド又は医薬組成物と細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。
別の態様では、対象におけるアミロイドβレベルを減衰させる方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。
いくつかの実施形態では、アミロイドβはアミロイドβ40である。他の実施形態では、アミロイドβはアミロイドβ42である。
さらに別の態様では、対象における疾患又は障害を治療する方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド(又はアミロイドβ)関連疾患又は障害、アミロイド線維形成に関連付けられる疾患又は障害、凝集又は沈着、神経疾患、又は神経変性疾患である。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性脳損傷、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、及び認知症からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、前頭側頭型認知症、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、虚血性血管性認知症(IVD)、レビー小体型認知症、及びアルツハイマー型認知症からなる群から選択される認知症又は認知症関連疾患若しくは障害である。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、眼障害又はダウン症である。いくつかの実施形態では、眼障害はアルツハイマー病に関連する。他の実施形態では、眼障害は黄斑変性である。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、加齢黄斑変性(AMD)である。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、伝達性海綿状脳症、脳アミロイド血管症、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、軽度認知障害、孤発性封入体筋炎及び加齢黄斑変性からなる群から選択される。
さらに別の態様では、対象の記憶力を向上させる方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。
対象におけるアミロイドβ誘導活性を減衰させる方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。
対象におけるアミロイドβ誘導活性を阻害する方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。
細胞内のアミロイドβ誘導活性を減衰させる方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物と該細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。
対象においてタウタンパク質の産生を阻害する方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態では、タウタンパク質は、リン酸化タウタンパク質である。別の実施形態では、タウタンパク質は、高リン酸化タウタンパク質である。
対象においてタウタンパク質レベルを減衰させる方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態では、タウタンパク質は、リン酸化タウタンパク質である。別の実施形態では、タウタンパク質は、高リン酸化タウタンパク質である。
細胞内のタウタンパク質の産生を阻害する方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチド又は医薬組成物と細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態では、タウタンパク質は、リン酸化タウタンパク質である。別の実施形態では、タウタンパク質は、高リン酸化タウタンパク質である。
対象においてタウタンパク質誘導活性を減衰させる方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又は医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。
いくつかの実施形態では、該対象はヒト対象である。
(4.図面の簡単な説明)
図1A~1Dは、IV(図1A及び図B)並びにSC(図1C及び図1D)投与後のラット血漿及びCSF中のP8(丸)及び8M2D(正方形)の「平均濃度対時間」プロファイルを示す。
図2は、トランスジェニックマウスにおけるSC投与後の平均8M2D(mP8)血漿濃度を示す。
図3は、8M2Dが、P8及び8M1Dよりも効果的にAβ40を低下させることができることを実証する実施例4に記載の薬力学(PD)アッセイの結果を示し、そのアッセイでは、ラットに異なるペプチドを皮下投与し、血漿中のAβ40を投与後異なる時点で定量化した。
図4Aは、様々な脳領域におけるP8の濃度を示す。図4Bは、P8(左パネル)及び8M2D(中央及び右パネル)投与後のAPPトランスジェニックマウスのCSFにおけるAβ分析を示す。
(5.詳細な説明)
本開示は、β-APP上のプレセニリン1及び/又は2結合ドメインに特異的に結合する新規ペプチド、それを含む医薬組成物、その方法及び使用を提供する。より具体的には、本開示は、β-APPのAβへのプロセシングを阻害し得るペプチド、それを含む医薬組成物、その方法及び使用を提供する。
神経変性障害は、特異的神経細胞集団の喪失及び対応する神経機能の喪失を特徴とする進行性疾患である。神経変性障害の発症の最も一貫した危険要因は老化である(Tannerの文献, 1992, Neurol. Clin.10:317-329参照)。これらの神経変性障害には、例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)が含まれる(Przedborskiらの文献, 2003, J Clin Invest.111(1): 3-10参照)。
アルツハイマー病(AD)は、高齢集団において最もよく見られる神経変性障害であり、進行性の記憶障害及び認知機能低下を特徴とする。ADの最も明確な神経病理学的特徴は、影響を受けた脳内のアミロイドプラーク及び神経原線維のもつれの存在である。前者はアミロイド前駆タンパク質(APP; Serrano-Pozoらの文献, 2011, Cold Spring Harb Perspect Med. 1,1, a006189参照)のタンパク質分解産物であるアミロイドβ(Aβ)の細胞外沈着によって形成される。ADのサブセット(<10%)の家族性早期発症AD(FAD)は、孤発性症例よりも若い年齢で臨床的に識別可能なAD症状を有する常染色体優性障害である。1番染色体及び14番染色体上のプレセニリンをコードする遺伝子(PS-1及びPS-2)の変異が、FAD症例の大部分における原因であることが判明した(Levy-Lahadらの文献, 1995, Science 269, 973-977; Sherringtonらの文献, 1995, Nature 375, 754-760参照)。FADと孤発性AD症例の病理学的特徴の違いは最小限であるため、PS-1及びPS-2は、ADの大部分を構成する孤発性症例を含むADの一般的な病因に関与していると考えられている(Zhangらの文献, 2014, Front Cell Neurosci. 8, 427参照)。
プレセニリン1及び2が、γ-セクレターゼの触媒成分であることが発見されている。γ-セクレターゼは、膜内切断プロテアーゼ(i-CLiP)のファミリーに属し、そのメンバーは、調節された膜内タンパク質分解と呼ばれる過程で脂質二重層の平面内で基質を酵素切断する(Brownらの文献, 2000, Cell 100, 391-398; Kopan及びIlaganの文献, 2004, Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 5, 499-504)。γ-セクレターゼは、APPなどの複数の基質を切断することが証明されている。具体的には、APPは、最初にβ-セクレターゼによって切断され、可溶性のAPPβ(sAPPβ)とAPPのカルボキシル末端断片(CTF)になる。CTFは、さらにγ-セクレターゼによって切断され、AβとAPPの細胞内ドメイン(AICD)を生成する。γ-セクレターゼ媒介切断は様々な部位で起こり、その結果、Aβ40及びAβ42などの異なる種のAβが生じる(Zhangらの文献, 2011, Mol. Brain 4, 3参照)。
PS-1又はPS-2内の欠損は、γ-セクレターゼの活性に影響を及ぼし、そのため、Aβペプチドの生成を変化させ、Aβ42対Aβ40の相対量を変える(Haasらの文献, 2012, Cold Spring Harb Perspect Med. 2(5): a006270)。Aβの産生と蓄積は、神経変性事象のカスケードを開始させ、ADなどの様々な疾患又は障害において老人斑の形成及び神経細胞内原線維のもつれ及び神経細胞喪失をもたらす(Greenfieldらの文献, 2000, Front. Biosci. 5, D72-D83; Goldeの文献, 2005, Brain Pathol. 15, 84-87参照)。
APPに加えて、γ-セクレターゼはまた、とりわけ、多くの他のI型膜貫通タンパク質基質: Notch (De Strooperらの文献, 1999, Nature 398, 518-522参照)、Eカドヘリン(Marambaudらの文献, 2002, EMBO J. 21, 1948-1956参照)、ErbB4 (Niらの文献, 2001, Science 294, 2179-2181参照)、CD44 (Lammichらの文献, 2002, J. Biol. Chem. 277, 44754-44759参照)、チロシナーゼ(Wangらの文献, 2006, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 103, 353-358参照)、TREM2(Wunderlichらの文献, 2013, J. Biol. Chem. 288, 33027-33036参照)及びアルカデイン(Hataらの文献、2012, Mol. Neurodegener. 7:16. 10.1186/1750-1326-7-16参照)を切断することから、広大な範囲の生物活性におけるγ-セクレターゼの関与が示唆される(Zhangらの文献、2014, Front Cell Neurosci. 8, 427参照)。したがって、γ-セクレターゼを標的とするように設計された薬物は、臨床試験で十分な見込みを示さなかったことは驚くべきことではない。例えば、γ-セクレターゼ阻害剤(GSI)セマガセスタットの第III相臨床試験では、認知機能の改善に影響を及ぼさず、高用量を投与された患者は機能的能力が著しく悪化した。それはまた、皮膚癌及び感染症を含むより多くの有害事象と関連付けられた(Doodyらの文献、2013, N. Engl. J. Med. 369, 341-350参照)。Bristol-Myers-Squibb (BMS)社のBMS-708,163(Gillmanらの文献、2010, ACS Med Chem Lett 1: 120-124)、及びPfizer社のPF-3,084,014(Lanzらの文献, 2010, J Pharmacol Exp Ther 334: 269-277; De Strooperらの文献, 2012, Cold Spring Harb Perspect Med. 2(1): a006304参照)などのNotchを残しながらAPPに選択的に結合する新しいクラスのγ-セクレターゼ阻害剤であっても、臨床試験をさらに進めるという点では進展は見られなかった。その後、GSIの失敗後、業界はγ-セクレターゼモジュレーター(GSM)の開発に移行した。第1世代のGSMは、低い効力及び望ましくない神経薬物動態特性を示した(Zhangらの文献、2014, Front Cell Neurosci. 8, 427参照)。臨床開発に入った唯一の第2世代のGSMであるE2012は、2008年以来、そのスポンサーのEisai Medical Research社からの更新はなかった。そのため、他の基質に影響を与えることなく、γ-セクレターゼとβAPPの相互作用を特異的に妨害することができる新しい治療薬の必要性が残っている。
下の節6で実証されるように、ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、βAPP上の酵素結合部位を競合的に占有して、βAPPへのγ-セクレターゼの結合を防ぐ。本明細書に提供されるペプチドは、酵素γ-セクレターゼを標的とする代わりに、基質βAPPに結合するので、ペプチドに比類のない特異性を与え、優れた有効性及び安全性プロファイルに変わる可能性が非常に高い。本明細書に提供されるペプチドは、Aβ40を効果的に低下させる(例えば、1回の皮下投与後24時間、8M2Dは、Aβ40の約27%低下に対して長期的な効果を示した。本明細書に提供されるペプチドは、ヒトの新鮮な血漿においても比較的安定である(例えば、保持率は24時間のインキュベーション後に約50%~90%であった)。さらに、本明細書に提供されるペプチドは、異なる経路を介してラットに投与された場合に、強力な薬物動態曝露を有する。上記の及び他の性質のため、本明細書に提供されるペプチドは、Aβに関連する様々な疾患又は病態、例えば、ADを治療するのに都合の良い候補になる。
(5.1 定義)
本明細書に記載する開示の理解を容易にするために、いくつかの用語を下で定義する。
本明細書で説明又は参照される技術及び手順は、当業者による従来の方法論を用いて一般的によく理解されているものであり、かつ/又は一般的に採用されているものを含む。
本明細書で特に定義しない限り、本発明の説明で使用する技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。この明細書を解釈する目的で、以下の用語の説明が適用され、適切な場合には常に、単数形で使用される用語には複数形も含まれ、その逆もそうである。記載の用語の説明が引用により本明細書中に組み込まれている文書と矛盾する場合には、以下に記載の用語の説明が優先するものとする。
用語「ポリペプチド」及び「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直線状でも又は分岐状でもよく、改変アミノ酸を含んでよく、非アミノ酸によって中断されてもよい。この用語はまた、自然に、又は介入によって改変されたアミノ酸ポリマー;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは改変を包含する。また、例えば、非天然アミノ酸を含むが、これに限定されないアミノ酸の1以上の類似体、及び当技術分野で知られている他の改変を含むポリペプチドが定義内に含まれる。
用語「結合する」又は「結合」は、例えば、複合体を形成することを含む分子間の相互作用を指す。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及び/又はファンデルワールス相互作用を含む非共有結合相互作用であり得る。複合体はまた、共有結合又は非共有結合、相互作用、又は力によって一緒に保持される2以上の分子の結合を含むことができる。2つのペプチド間の合計の非共有結合相互作用の強さは、一方のペプチドと他方のペプチドの親和性である。ペプチドと別のペプチドの会合速度(kon)に対する解離速度(koff)の比率(koff/kon)は、親和性に反比例する解離定数KDである。KD値が低いほど、親和性は高くなる。本明細書に提供されるペプチドのその標的に対する解離定数KDは、本明細書に提供される任意の方法又は当業者によく知られている任意の他の方法を用いて決定することができる。
用語「変異体」は、ペプチドに関連して使用される場合、天然の又は未改変の配列と比較して、1以上(約1~約5など)のアミノ酸配列の置換、欠失、及び/若しくは付加を含むペプチド又はポリペプチドを指し得る。本明細書で使用する用語「変異体」はまた、ペプチドにおけるアミノ酸残基/位置の「改変」を含み、アミノ酸残基/位置の「改変」は、開始アミノ酸配列と比較して、主要なアミノ酸配列の変化を指し、前記アミノ酸残基/位置を含む配列の変更から変化が生じる。例えば、典型的な改変には、別のアミノ酸との残基の置換(例えば、保存的若しくは非保存的な置換)又はその異性体形態、アミノ酸残基の化学的改変、前記残基/位置に隣接する1以上の(例えば、一般的に5、4、若しくは3より少ない)アミノ酸の挿入、及び/又は前記残基/位置の欠失が含まれる。
用語「同一性」又は「相同性」は、配列を整列及び比較することによって決定されるように、2以上のポリペプチド分子又は2以上の核酸分子の配列間の関係を指す。参照ポリペプチド配列に関して「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、必要に応じて、最大パーセント配列同一性を達成するために、配列を整列してギャップを導入した後に、参照ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合として定義され、配列同一性の一部として保存的な置換を一切考慮しない。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアライメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMEGALIGN(DNAStar社)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の範囲内の様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要なアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。
本明細書では、用語「Fc領域」は、例えば、天然配列Fc領域、組換えFc領域、及びバリアントFc領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々である可能性があるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、位置Cys226、又はPro230のアミノ酸残基からそのカルボキシル末端に及ぶと定義されることが多い。Fc領域のC末端リジン(EU番号システムに従って残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製中、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって除去され得る。したがって、インタクト抗体の組成は、全てK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基を含む抗体と含まない抗体の混合物を有する抗体集団を含み得る。「機能Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を保有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合;CDC;Fc受容体結合;ADCC;食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御などが含まれる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域を結合領域又は結合ドメイン(例えば、抗体可変領域又はドメイン)と組み合わせることを必要とし、当業者に公知の様々なアッセイを用いて評価することができる。「バリアントFc領域」は、少なくとも1個のアミノ酸改変(例えば、置換、付加、又は欠失)によって天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1個のアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域若しくは親ポリペプチドのFc領域に約1~約10個のアミノ酸置換、又は約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書では、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域及び/若しくは親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、又はそれと少なくとも約90%の相同性、例えば、それと少なくとも約95%の相同性を保有することができる。
用語「ベクター」は、核酸配列を宿主細胞に導入するために、例えば、本明細書に提供されるペプチド又はその親ペプチドをコードする核酸配列を含む核酸配列を運ぶか、又は含むために使用される物質を指す。使用に適用できるベクターには、例えば、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体が含まれ、宿主細胞の染色体に安定的に組み込むために操作可能な選択配列又はマーカーを含むことができる。さらに、ベクターは、1以上の選択マーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。含めることができる選択マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質又は毒素に対する耐性を提供するか、栄養不足を補うか、又は培地に含まれない重要な栄養素を供給する。発現制御配列は、当技術分野で周知の構成的プロモーター及び誘導性プロモーター、転写促進剤、転写終結因子などを含むことができる。2以上の核酸分子が共発現する場合、両方の核酸分子を、例えば、単一発現ベクター又は別々の発現ベクターに挿入することができる。単一ベクター発現に関しては、コード核酸を、1つの共通発現制御配列に作用可能に連結するか、又は1つの誘導性プロモーター及び1つの構成的プロモーターなどの異なる発現制御配列に連結することができる。宿主細胞への核酸分子の導入は、当技術分野で周知の方法を用いて確認することができる。そのような方法には、例えば、mRNAのノーザンブロット又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの核酸分析、遺伝子産物の発現についての免疫ブロッティング、又は導入される核酸配列若しくはその対応する遺伝子産物の発現を試験する他の適切な分析方法が含まれる。当業者なら、核酸分子が所望の生成物を生成するのに十分な量で発現することを理解し、さらに、当技術分野で周知の方法を用いて十分な発現を得るために発現レベルを最適化できることを理解する。
本明細書で使用する用語「宿主」は、哺乳動物(例えば、ヒト)などの動物を指す。
本明細書で使用する用語「宿主細胞」は、核酸分子でトランスフェクトされ得る特定の対象細胞及びそのような細胞の子孫又は潜在的な子孫を指す。そのような細胞の子孫は、後継世代で生じ得る突然変異若しくは環境的影響又は宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みにより、核酸分子でトランスフェクトされた親細胞と同一でない可能性がある。
「単離核酸」は、天然配列に自然に付随する他のゲノムDNA配列並びにリボソーム及びポリメラーゼなどのタンパク質又は複合体から実質的に分離されている核酸、例えば、RNA、DNA、又は混合核酸である。「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術によって産生される場合には、他の細胞材料、若しくは培地を実質的に含み得ないか、又は化学的に合成される場合には、化学前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含み得ない。この用語は、自然発生環境から取り出された核酸配列を包含し、組換え又はクローニングされたDNAの分離物及び化学合成された類似体又は異種システムによって生物学的に合成された類似体を含む。実質的に純粋な分子は、分子の単離された形態を含み得る。
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、本明細書において交換可能に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/又はそれらの類似体、又はDNA若しくはRNAポリメラーゼ又は合成反応によってポリマーに組み込むことができる任意の物質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びその類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。本明細書で使用する「オリゴヌクレオチド」は、必ずしもそうではないが、一般に、約200より少ないヌクレオチド長である、短い、一般に一本鎖の合成ポリヌクレオチドを指す。用語「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドに対して等しく完全に適用可能である。特に指定しない限り、本明細書に開示される任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側端は5'末端である。二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向を5'方向と呼ぶ。新生RNA転写物の5'から3'の付加の方向は、転写方向と呼ばれている。RNA転写産物の5'末端に対して5'である、RNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれる。RNA転写産物の3'末端に対して3'であるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
本明細書で使用する用語「医薬として許容し得る」は、連邦政府又は州政府の規制機関によって承認されているか、又は米国薬局方、欧州薬局方、又は動物、及びより具体的にはヒトでの使用について他の一般的に認められた薬局方の一覧表に載っていることを意味する。
「賦形剤」は、液体若しくは固体の充填剤、希釈剤、溶媒、又はカプセル化材料などの医薬として許容し得る材料、組成物、又はビヒクルを意味する。賦形剤は、例えば、吸収促進剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香味剤、保湿剤、滑剤、香料、防腐剤、促進剤、放出剤、殺菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤及びそれらの混合物などのカプセル化材料又は添加物を含む。用語「賦形剤」はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全若しくは不完全)又はビヒクルを指すことができる。
いくつかの実施形態では、賦形剤は医薬として許容し得る賦形剤である。医薬として許容し得る賦形剤の例としては、リン酸塩、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化物質;低分子量(例えば、約10個より少ないアミノ酸残基)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸類;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール及びソルビトールなどの糖アルコール類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;並びに/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。医薬として許容し得る賦形剤の他の例は、Remington及びGennaroの文献、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)(第18版 1990)に記載されている。
一実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の成分と互換性があり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は他の問題若しくは合併症を伴わずに、合理的な利益/リスク比に見合い、ヒト及び動物の組織又は器官と接触して使用するのに適するという意味で「医薬として許容し得る」(Williams & Wilkinse(編)の文献, 2005, 医薬品賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients),第6版; Roweら(編)の文献, 2009, 医薬品添加物のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Additives),第3版;Ash及びAsh(編)の文献,2007, 医薬品予備製剤及び製剤(Pharmaceutical Preformulation and Formulation),第2版参照)。いくつかの実施形態では、医薬として許容し得る賦形剤は、採用される投与量及び濃度で、それに曝される細胞又は哺乳動物に対して毒性がない。いくつかの実施形態では、医薬として許容し得る賦形剤は、水性のpH緩衝溶液である。
いくつかの実施形態では、賦形剤は、水及び油類、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、野菜、又は合成起源の油類を含む無菌液体である。水は、組成物(例えば、医薬組成物)が静脈内に投与される場合の例示的な賦形剤である。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液は、特に注射用溶液用の液体賦形剤として用いることもできる。賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアリン酸、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなども含むことができる。該組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤も含有することができる。組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル剤、粉末、持続放出製剤などの形態をとることができる。製剤を含む経口組成物は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含むことができる。
医薬ペプチドを含む組成物は、適切な量の賦形剤と共に、例えば、単離又は精製された形態でペプチドを含んでよい。
本明細書で使用する用語「有効量」又は「治療有効量」は、所望の結果をもたらすのに十分である、本明細書に提供されるペプチド又は医薬組成物の量を指す。
用語「対象」及び「患者」は、互換的に使用され得る。本明細書で使用する場合、ある実施形態では、対象は、非霊長類(例えば、牛、豚、馬、猫、犬、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)などの動物である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。一実施形態では、対象は、病態又は障害を有すると診断された哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施形態では、対象は、病態又は障害を発症する危険性がある哺乳動物、例えば、ヒトである。
「投与する」又は「投与」は、身体外に存在する物質を粘膜、皮内、静脈内、筋肉内送達、及び/又は本明細書に記載の若しくは当技術分野で公知の物理的な送達の任意の他の方法などによって患者に注入するか又は別の方法で物理的に送達する行為を指す。
本明細書で使用する用語「治療する」、「治療」及び「治療すること」は、1以上の治療剤の投与に起因する疾患若しくは病態の進行、重症度、及び/若しくは期間の低下又は改善を指す。治療することは、患者が依然として基礎疾患に苦しんでいる可能性があるにもかかわらず、患者に改善が観察されるような、基礎疾患に関連付けられる1以上の症状の減少、軽減及び/又は緩和があったかどうかを評価することによって決定され得る。用語「治療すること」には、疾患の管理と寛解の両方が含まれる。用語「管理する」、「管理すること」及び「管理」は、対象において必ずしも疾患の治癒をもたらすとは限らない治療法から派生する有益な効果を指す。
用語「予防する」、「予防(preventing)」、及び「予防(prevention)」は、疾患、障害、病態、又は関連する症状(複数可)の発症(又は再発)の可能性を低下させることを指す。
用語「軽減する」及び「軽減」は、障害、疾患、又は病態の1以上の症状(例えば、疼痛)を緩和又は低減することを指す。この用語はまた、有効成分に関連付けられる副作用を低減することを指すことができる。時には、対象において予防剤又は治療剤から派生する有益な効果は、障害、疾患、又は病態の治癒をもたらさない。
用語「接触」又は「接触する」は、そのような接触の結果として生理学的及び/又は化学的効果が起こるように、治療剤と細胞又は組織の接合を指すことを意味する。接触は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボで生じ得る。一実施形態では、治療剤を細胞培養物中の細胞と(インビトロで)接触させ、細胞に対する治療剤の効果を決定する。別の実施形態では、細胞又は組織と治療剤の接触は、接触させる細胞又は組織を有する対象への治療剤の投与を含む。
ある実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、アミロイドβ活性を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ活性を少なくとも約95%減衰させる。ある実施形態では、本明細書に記載の化合物は、アミロイドβ活性を少なくとも約15%~約65%減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)ことができる。ある実施形態では、本明細書に記載の化合物は、アミロイドβ活性を少なくとも約30%~約65%減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)ことができる。
具体的な実施形態では、アミロイドβ活性の減衰は、当業者に公知の方法によって評価される。ある実施形態では、アミロイドβ活性の減衰は、本明細書に記載の化合物のどれも含まない刺激の存在下でのアミロイドβ活性に対するものである。
アミロイドβ活性の非限定的な例は、アミロイドβ誘導又は媒介シグナル伝達である。そのため、ある実施形態では、本明細書に提供される化合物は、アミロイドβ誘導シグナル伝達を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。アミロイドβ誘導シグナル伝達の別の非限定的な例は、グルコーストランスポーター、NMDAR、AMPAR及びアセチルコリン受容体、炎症性シグナル伝達経路の活性化、並びにGSK-3、CDK5、PKC、PKA及びErk1/2を含むがこれらに限定されない1以上のキナーゼの活性化を含むが、これらに限定されない受容体との(ブロッキングを含む)相互作用である。活性には、イオンチャネルの遮断、カルシウム恒常性の破壊、ミトコンドリア酸化ストレス、エネルギー代謝障害、異常なグルコース調節、及び/又は神経細胞死が含まれ得る。
ある実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、タウタンパク質活性を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質活性を少なくとも約95%減衰させる。ある実施形態では、本明細書に記載の化合物は、タウタンパク質を少なくとも約15%~約65%減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)ことができる。ある実施形態では、本明細書に記載の化合物は、タウタンパク質を少なくとも約30%~約65%減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)ことができる。
具体的な実施形態では、タウタンパク質活性の減衰は、当業者に公知の方法によって評価される。ある実施形態では、タウタンパク質活性の減衰は、本明細書に記載の化合物のどれも含まないタウタンパク質活性に対するものである。
タウタンパク質活性の非限定的な例は、タウタンパク質誘導又は媒介シグナル伝達である。そのため、ある実施形態では、本明細書に提供される化合物は、タウタンパク質誘導シグナル伝達を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。タウタンパク質活性の非限定的な例としては、微小管を安定化させるためにチューブリンと相互作用すること、ヘリックス及び/又はストレートのフィラメントの形成、炎症性シグナル伝達経路の活性化及び脳内のインスリンシグナル伝達障害が挙げられる。
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定され、部分的に値が測定又は決定される方法に依存する特定の値に対する許容し得る誤差を意味する。ある実施形態では、用語「約」又は「およそ」は、1、2、3、又は4の標準偏差内を意味する。ある実施形態では、用語「約」及び「およそ」は、所定の値若しくは範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、又はそれより低いことを意味する。
本明細書で使用する用語「アミロイド(若しくはアミロイドβ)に関連する疾患又は障害」、アミロイド(若しくはアミロイドβ)関連疾患又は障害」、「アミロイド(若しくはアミロイドβ)に関連付けられる疾患又は障害」、又は類似の用語は、臨床病理学的特徴が異常な量のアミロイドβ(Aβ)又はモノマー、可溶性オリゴマー、不溶性の線維、及びAβプラークなどのより大きな不溶性凝集体を含む異なるAβのアイソフォームを含む任意の疾患又は障害を指す。用語「Aβ」又は「アミロイドβ」は、本明細書で互換的に使用され、APP(AICD)の細胞内ドメイン以外のγ-セクレターゼによるβ-APPの切断からの様々な長さを有する任意の生成物を指す。
本開示及び特許請求の範囲で使用される単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数形を含む。
実施形態が用語「含む」を用いて本明細書で説明される場合はどこでも、「からなる」及び/又は「から本質的になる」の観点で説明される別の類似の実施形態も提供されることが理解される。実施形態が、語句「から本質的になる」を用いて本明細書で説明される場合はどこでも、「からなる」の観点で説明される別の類似の実施形態も提供されることが理解される。
「AとBの間」又は「A-B間」などの語句で使用される用語「間」は、AとBの両方を含む範囲を指す。
本明細書で「A及び/又はB」などの語句で使用される用語「及び/又は」は、AとBの両方;A又はB;A(単独);及びB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される用語「及び/又は」は、次の実施形態:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)の各々を包含することを意図する。
(5.2 ペプチド)
発明者らは、β-APP結合活性を有するプレセニリン-1の66番目から73番目のアミノ酸セグメントと同一である
Figure 2022516574000008
の配列(「P8」)を含むペプチドを以前に開示した(PCT公開WO 10/132609の配列番号5参照)。β-APPに結合することにより、前記ペプチドは、全長天然プレセニリン-1がβ-APPに結合するのを防止するため、プレセニリン-1とβ-APPの結合を介して媒介される生物活性を阻害するためにドミナントネガティブ様式で作用し、それによってAβの形成を防止する。
P8の変異体であり、予想外に優れた安定性及び/又は高効率のAβレベルの低減を示す新規ペプチドが、本明細書に提供される。本明細書に提供されるペプチドには、C末端アミド化、N末端アセチル化、及び/又はD-アミノ酸での部分置換を有する合成ペプチドが含まれるが、これに限定されない。
より具体的には、本明細書に提供される1つのペプチド(8M1と命名)は、配列番号1へのC末端アミド化(すなわち、C末端アミノ酸Leuのアミド化)を含む配列を含み、前記ペプチドは、配列Asp L-Glu L-Glu L-Glu L-Asp L-Glu L-Glu L-Leu L-CONH2又は
Figure 2022516574000009
を含む。
本明細書に提供される別のペプチド(8M2と命名)は、配列番号2のN末端にアセチル基が付加された配列(すなわち、N末端アミノ酸Aspのアセチル化)を含み、前記ペプチドは、配列CH3CO-NH-Asp L-Glu L-Glu L-Glu L-Asp L-Glu L-Glu L-Leu L-CONH2又は
Figure 2022516574000010
を含む。
本明細書に提供されるさらに別のペプチド(8M1Dと命名)は、配列番号2のN末端の第1のアミノ酸(すなわち、N末端アミノ酸Asp)をそのD-アミノ酸であるL-アミノ酸のエナンチオマーと置換した配列を含み、前記ペプチドは、Asp D-Glu L-Glu L-Glu L-Asp L-Glu L-Glu L-Leu L-CONH2又は
Figure 2022516574000011
の配列を含む。
本明細書に提供されるさらに別のペプチド(8M2Dと命名)は、配列番号4のN末端にアセチル基を付加する配列(すなわち、N末端アミノ酸AspDのアセチル化)を含み、前記ペプチドは、配列CH3CO-NH-Asp D-Glu L-Glu L-Glu L-Asp L-Glu L-Glu L-Leu L-CONH2又は
Figure 2022516574000012
を含む。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を減衰させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約10%減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約95%減衰させる。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのアミロイドβ(Aβ)の産生を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でのAβの産生を少なくとも約95%減衰させる。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ(Aβ)の産生を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの量を少なくとも約95%減衰させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSF中のAβの量を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの量を少なくとも約95%減衰させる。
ある実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、アミロイドβ活性を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。アミロイドβ活性の非限定的な例は、アミロイドβ誘導又は媒介シグナル伝達である。そのため、ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ誘導シグナル伝達を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。アミロイドβ誘導シグナル伝達の別の非限定的な例は、グルコーストランスポーター、NMDAR、AMPAR及びアセチルコリン受容体、炎症性シグナル伝達経路の活性化、並びにGSK-3、CDK5、PKC、PKA及びErk1/2を含むがこれらに限定されない1以上のキナーゼの活性化を含むが、これらに限定されない受容体との(ブロッキングを含む)相互作用である。活性には、イオンチャネルの遮断、カルシウム恒常性の破壊、ミトコンドリア酸化ストレス、エネルギー代謝障害、異常なグルコース調節及び/又は神経細胞死が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質の産生を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約95%減衰させる。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウの産生を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約95%減衰させる。
ある実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、タウタンパク質活性を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。タウタンパク質活性の非限定的な例は、タウタンパク質誘導又は媒介シグナル伝達である。そのため、ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質誘導シグナル伝達を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。タウタンパク質活性の非限定的な例としては、微小管を安定化させるためにチューブリンと相互作用すること、ヘリックス及び/又はストレートのフィラメントの形成、炎症性シグナル伝達経路の活性化及び脳内のインスリンシグナル伝達障害が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、上述のペプチドの変異体を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドのアミノ酸配列の改変(複数可)が企図される。例えば、熱安定性、発現レベル、グリコシル化、及び/又は免疫原性の低下を含むが、これらに限定されないペプチドのある生物学的特性を改変又は改善することが望ましい場合がある。そのため、本明細書に記載のペプチドに加えて、ペプチド変異体を調製することができることが企図される。例えば、ペプチド変異体は、親ペプチドのコードDNAに適切なヌクレオチド変化を導入することによって、及び/又は所望のペプチドの合成によって調製することができる。
変更は、アミノ酸配列に変化をもたらす、親ペプチドをコードする1以上のコドンの置換、欠失、又は挿入であり得る。アミノ酸置換は、セリンとロイシンの置き換えなどの、1個のアミノ酸を類似の構造及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸との置き換え、例えば、保存的アミノ酸の置き換えの結果であり得る。当業者に公知の標準的な技術は、例えば、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発及びPCR媒介性変異誘発を含む、本明細書に提供される分子をコードするヌクレオチド配列に変異を導入するために使用することができる。置換、挿入又は欠失は、任意に約1~5個のアミノ酸の範囲内であり得る。ある実施形態では、置換、欠失、又は挿入は、元の分子に対して10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、又は2未満のアミノ酸置換を含む。具体的な実施形態では、置換は、1以上の予測される非必須アミノ酸残基で行われた保存的アミノ酸置換である。許容される変更は、配列中のアミノ酸の挿入、欠失、又は置換を体系的に行い、生じる変異体を全長又は成熟した天然配列によって示される活性について試験することによって決定され得る。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられる置換である。類似の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、極性無電荷側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。あるいは、変異は、飽和変異誘発などによってコード配列の全部又は一部に沿ってランダムに導入することができ、生じた変異体は、活性を保持する変異体を同定するために生物活性についてスクリーニングすることができる。変異誘発後、コードされたタンパク質を発現させることができ、タンパク質の活性を決定することができる。
アミノ酸は、側鎖の特性:(1)非極性: Ala (A)、Val (V)、Leu (L)、Ile (I)、Pro (P)、Phe (F)、Trp (W)、Met (M); (2)無電荷極性: Gly (G)、Ser (S)、Thr (T)、Cys (C)、Tyr (Y)、Asn (N)、Gln (Q); (3)酸性: Asp (D)、Glu (E);及び(4)塩基性: Lys (K)、Arg (R)、His(H)の類似性に従ってグループ化され得る(Lehningerの文献, Biochemistry 73-75 (第2版 1975)参照)。あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; (2)中性親水性: Cys、Ser、Thr、Asn、Gln; (3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性: His、Lys、Arg; (5)鎖の向きに影響を与える残基: Gly、Pro;及び(6)芳香族: Trp、Tyr、Pheに基づいてグループに分けられ得る。
一実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、下の実施例の節に記載のペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
変更は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR変異誘発などの当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。部位特異的変異誘発(Carterの文献, 1986, Biochem J. 237:1-7;及びZollerらの文献, 1982, Nucl. Acids Res. 10:6487-500参照)、カセット変異誘発(Wellsらの文献, 1985, Gene 34:315-23参照)、又は他の既知の技術は、親ペプチドのバリアントDNAを生成するためにクローニングしたDNA上で行うことができる。
本明細書に提供されるペプチドを含むオリゴマー又は融合ポリペプチドが、本開示によって包含される。いくつかの実施形態では、該オリゴマーは、本明細書に提供されるペプチドを含む。オリゴマーは、二量体、三量体、又はより高次のオリゴマーを含む共有結合又は非共有結合のマルチマーの形態であり得る。いくつかの実施形態では、該オリゴマーは、ポリペプチド成分の結合能を維持し、したがって、二価、三価などの結合部位を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ポリペプチドに融合したペプチド部分間の共有又は非共有相互作用を介して結合された本明細書に提供される複数のペプチドを含むオリゴマーを対象とし、そのようなペプチドは、オリゴマー化を促進する性質を有する。
本開示はまた、合成リンカーによって1以上の薬剤に共有結合された本開示のペプチドの任意の1つを含むコンジュゲートを提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、例えば、別の治療剤(例えば、細胞傷害性薬剤)又は診断用若しくは検出可能な分子にコンジュゲートされるか、又は組換え融合される。コンジュゲートされるか、又は組換え融合されたペプチドは、例えば、疾患若しくは障害を治療又は予防するのに有用であり得る。コンジュゲートされるか、又は組換え融合されたペプチドは、例えば、疾患若しくは障害の開始、発症、進行、及び/若しくは重症度の監視又は予後診断に有用であり得る。
そのような診断及び検出は、例えば、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素;限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン又はアビジン/ビオチンなどの補欠分子族;限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、又はフィコエリスリンなどの蛍光材料;限定されないが、ルミノールなどの発光材料;限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、又はエクオリンなどの生物発光材料;限定されないが、アクリジニウム系化合物又はHALOTAGなどの化学発光材料;限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123I、及び121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、及び111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga及び67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、又は117Snなどの放射性材料;様々な陽電子放出断層撮影を使用する陽電子放出金属;並びに非放射性常磁性金属イオンを含むが、これらに限定されない検出可能な物質に該ペプチドをカップリングさせることによって達成することができる。
融合タンパク質を生成するために、異種タンパク質又はポリペプチド(又はその断片、例えば、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100アミノ酸のポリペプチド)に組換え融合又は化学的にコンジュゲートされた(共有又は非共有コンジュゲーション)ペプチド、並びにその使用も本明細書に提供される。特に、本明細書に提供されるペプチドを含む融合タンパク質及び異種タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドが本明細書に提供される。一実施形態では、本明細書に提供されるペプチドが融合される異種タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドは、特定の細胞型に対して該ペプチドを標的化させるのに有用である。
免疫グロブリン系オリゴマーが本開示に包含される。本明細書に提供されるペプチドは、ポリペプチド結合部位の結合価を増大することを含む多くの目的のために、免疫グロブリンなどの分子に融合され得る。例えば、本明細書に提供されるペプチドは、直接又はリンカーペプチドを介して免疫グロブリンのFc部分に融合することができ、免疫グロブリンはIgG分子、又はIgM分子などの他のアイソタイプであり得る。本明細書で使用される用語「Fcポリペプチド」は、Fc領域のCHドメインのいずれか又は全部を含む抗体のFc領域から構成されるポリペプチドの天然型及び変異型を含む。
さらに、本明細書に提供されるペプチドは、精製を容易にするために、マーカー又はペプチドなどの「タグ」配列に融合させることができる。具体的な実施形態では、マーカー又はタグアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(例えば、QIAGEN社参照)に提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであり、それらの多くが市販されている。例えば、Gentzらの文献, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-24に記載されているように、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用な他のペプチドタグには、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応するヘマグルチニン(「HA」)タグ(Wilsonらの文献, 1984, Cell 37:767-78)、及び「FLAG」タグが含まれるが、これらに限定されない。
部分(ポリペプチドを含む)をペプチドに融合又はコンジュゲートさせる方法は、当技術分野で公知である。融合タンパク質は、例えば、遺伝子シャッフル、モチーフシャッフル、エキソンシャッフル、及び/又はコドンシャッフル(総称して「DNAシャッフル」と呼ばれる)の技術を介して生成され得る。本明細書に提供されるペプチドは、組換え前にエラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入、又は他の方法によってランダム変異誘発に供することによって変更することができる。本明細書に提供されるペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1以上の異種分子の1以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと組み合わせてよい。
本明細書に提供されるペプチドは、固体支持体に結合してもよく、これは、特に、結合パートナーの免疫アッセイ又は精製に有用である。そのような固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンが含まれるが、これらに限定されない。
リンカーは、細胞内のコンジュゲート剤の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得るが、切断可能でないリンカーも本明細書で企図される。本開示のコンジュゲートで使用するためのリンカーには、限定されないが、酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾンリンカー)、ジスルフィド含有リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー(例えば、アミノ酸、例えば、シトルリン-バリンなどのバリン及び/若しくはシトルリン又はフェニルアラニン-リジンを含むペプチドリンカー)、感光性リンカー、ジメチルリンカー(Chariらの文献, 1992, Cancer Res. 52:127-31;及び米国特許第5,208,020号参照)、チオエーテルリンカー、又は多剤トランスポーター媒介耐性を回避するように設計された親水性リンカー(Kovtunらの文献, 2010, Cancer Res. 70:2528-37参照)が含まれる。
ペプチドと薬剤のコンジュゲートは、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、スルホ-SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン酸)ベンゾエート)などの様々な二機能性タンパク質カップリング剤を使用して作製され得る。本開示は、ペプチドと薬剤のコンジュゲートが当技術分野で開示される任意の適切な方法を用いて調製され得ることをさらに企図する(Hermanson(編)の文献, 2008, Bioconjugate Techniques 第2版参照)。
(5.3 医薬組成物)
一態様では、本開示は、本開示の少なくとも1つのペプチドを含む医薬組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に提供される治療有効量のペプチド及び医薬として許容し得る賦形剤を含む。
ペプチドを含む医薬組成物は、所望の程度の純度を有する融合タンパク質を任意の生理学的に許容し得る賦形剤と混合することによって、水溶液の形態又は凍結乾燥若しくは他の乾燥形態で保存するために調製される(Remingtonの文献, 1980, レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences) 第18版参照)。
本開示のペプチドは、例えば、マイクロカプセル又はマクロエマルジョン(Remingtonの文献,上述;Parkらの文献, 2005, Molecules 10:146-61; Malikらの文献, 2007, Curr. Drug. Deliv. 4:141-51参照)として、持続放出製剤(Putney及びBurkeの文献, 1998, Nature Biotechnol. 16:153-57参照)として、又はリポソーム(Macleanらの文献, 1997, Int. J. Oncol. 11:325-32; Kontermannの文献, 2006, Curr. Opin. Mol. Ther. 8:39-45参照)中に、標的細胞/組織への送達に適する任意の形態で製剤化され得る。
本明細書に提供されるペプチドは、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)又はマクロエマルジョン中のヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル(methylmethacylate))マイクロカプセルに封入することもできる。そのような技術は、例えば、上述のRemingtonの文献に開示されている。
リポソーム中の封入、微粒子、マイクロカプセル、ペプチドを発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(Wu及びWuの文献、1987, J. Biol. Chem. 262:4429-32参照)、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築などを含むが、これらに限定されない様々な組成物及び送達システムが知られており、本明細書に記載のペプチドと共に使用することができる。別の実施形態では、組成物は、制御放出又は持続放出システムとして提供することができる。一実施形態では、制御放出又は持続放出を達成するために、ポンプが使用され得る(Langerの文献,上述; Seftonの文献, 1987, Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201-40; Buchwaldらの文献, 1980, Surgery 88:507-16;及びSaudekらの文献, 1989, N. Engl. J. Med. 321:569-74参照)。別の実施形態では、高分子材料を用いて、予防剤若しくは治療剤(例えば、本明細書に記載のペプチド)若しくは本明細書に提供される組成物の制御放出又は持続放出を達成することができる(Langer及びWise(編)の文献, 1974, 制御放出の医療用途(Medical Applications of Controlled Release); Smolen及びBall(編)の文献, 1984, 制御された薬物バイオアベイラビリティ、医薬品の設計と性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance); Ranger及びPeppasの文献, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61-126; Levyらの文献, 1985, Science 228:190-92; Duringらの文献, 1989, Ann. Neurol. 25:351-56; Howardらの文献, 1989, J. Neurosurg. 71:105-12;米国特許第5,679,377号;同第5,916,597号;同第5,912,015号;同第5,989,463号;及び同第5,128,326号; PCT公開WO 99/15154及びWO 99/20253参照)。徐放製剤に使用されるポリマーの例としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、持続放出製剤に用いられるポリマーは、不活性であり、浸出可能な不純物を含まず、貯蔵上安定で、無菌で、かつ生分解性である。
さらに別の実施形態では、制御放出又は持続放出システムは、特定の標的組織、例えば、鼻腔又は肺の近くに置くことができ、そのため、全身用量のほんの一部しか必要としない(Goodsonの文献, 1984, 制御放出の医療適用(Medical Applications of Controlled Release) 2巻, 115-38)。制御放出システムは、例えば、Langerの文献, 1990, Science 249:1527-33によって論じられている。当業者に公知の任意の技術を用いて、本明細書に記載されている1以上のペプチドを含む持続放出製剤を生成することができる(米国特許第4,526,938号、PCT公開WO 91/05548及びWO 96/20698、Ningらの文献, 1996, Radiotherapy & Oncology 39:179-89; Songらの文献, 1995, PDA J. of Pharma. Sci. & Tech. 50:372-97; Cleekらの文献, 1997, Pro. Int’l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-54; 及びLamらの文献, 1997, Proc. Int’l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-60参照)。
(5.4 ペプチドの作製方法)
さらに別の態様では、本明細書に提供される様々なペプチドを作製する方法が本明細書に提供される。本明細書に提供されるペプチドは、様々な化学合成法、組換え方法、又はそれらの組み合わせによって作製することができる。
本明細書に提供されるペプチドは、公知の従来の化学合成によって産生され得る。合成手段によって本開示のペプチドを構築する方法は、当業者に知られている。合成で構築されたペプチドは、一次、二次、若しくは三次構造及び/又は立体構造特性を天然ペプチドと共有することにより、ペプチド活性を含む共通の生物学的性質を所有し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、従来の段階的な溶液又は固相合成を用いて調製され得る(Merrifield, R.B.の文献, 1963, J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2154; Williamsら(編)の文献, 1997, ペプチドとタンパク質の合成への化学的アプローチ(Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins)及びその中で引用された参考文献; Atherton & Sheppard(編)の文献, 1989, 固相ペプチド合成:実用的なアプローチ(Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach)及びその中で引用された参考文献参照)。
あるいは、本明細書に提供されるペプチドは、例えば、Liuらの文献, 1996, Tetrahedron Lett. 37(7):933-936; Bacaらの文献, 1995, J. Am. Chem. Soc. 117:1881-1887; Tamらの文献, 1995, Int. J. Peptide Protein Res. 45:209-216; Schnolzer及びKentの文献, 1992, Science 256:221-225; Liu及びTamの文献, 1994, J. Am. Chem. Soc. 116(10):4149-4153; Liu及びTamの文献, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6584-6588; Yamashiro及びLiの文献, 1988, Int. J. Peptide Protein Res. 31:322-334)に記載されているように、セグメント縮合によって調製され得る。これは、特にGly(G)含有ペプチドの場合である。本発明のペプチド及びペプチド類似体の合成に有用な他の方法は、Nakagawaらの文献, 1985, J. Am. Chem. Soc. 107:7087-7092に記載されている。
本明細書に提供されるペプチドは、1以上の(D)アミノ酸で合成され得る。ペプチドに(L)又は(D)-アミノ酸を含める選択は、部分的には、ペプチドの所望の特性に依存する。(L)-アミノ酸の配列の全部又は一部をエナンチオマー(D)-アミノ酸のそれぞれの配列と置き換えると、ペプチド鎖のそれぞれの部分で光学異性体構造になる。(L)-アミノ酸の配列の全部又は一部の配列を反転すると、ペプチドのレトロ類似体になる。エナンチオマー(LからD、又はDからLへ)の置き換えと配列の反転を組み合わせると、ペプチドのレトロインベルソ類似体になる。エナンチオマーペプチド、それらのレトロ類似体、及びそれらのレトロインベルソ類似体は、親ペプチドと有意な形態関係を維持し、特に、親とそのレトロインベルソ類似体について高度な類似性が得られる場合が多いことが当業者に知られている。この関係と類似性は、ペプチドの生化学的特性、特に、それぞれのペプチド及び類似体の受容体タンパク質への高度な結合に反映され得る。ペプチドのレトロインベルソ類似体の特性の合成は、例えば、有機化学の方法(Methods of Organic Chemistry) (Houben-Weyl)、ペプチド及びペプチド模倣薬の合成(Synthesis of Peptides and Peptidomimetics)-Workbench(編)E22c巻(Editor-in-chief Goodman M.) 2004 (George Thieme Verlag Stuttgart, New York)及びその中で引用された参考文献で議論されており、これらの全ては、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている。
アミノ酸改変には、非天然アミノ酸を生成するための天然アミノ酸の変更が含まれる。非天然アミノ酸を用いた本発明のペプチドの誘導体は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれているChristopher J. Noren, Spencer J. Anthony-Cahill, Michael C. Griffith, Peter G. Schultzの論文 1989 Science, 244:182-188に記載されているように、化学合成によって、又は生合成中に非天然アミノ酸をペプチドに部位特異的に組み込むことによって作製することができる。
治療上有用なペプチドと構造的に類似しているペプチド模倣体は、同等の治療効果又は予防効果を生じさせるために使用され得る。一般に、ペプチド模倣薬は、パラダイムポリペプチド(すなわち、生化学的性質又は薬理活性を有するポリペプチド)と構造的に類似しているが、当技術分野で公知の方法及びさらに以下の参考文献: Spatolaの文献,1983, ペプチド骨格の修飾(Peptide Backbone Modifications); Morelyの文献, 1098, Trends Pharma Sci, pp. 463-468; Hudsonらの文献, 1979, Int J Pept Prot Re 14: 177-185 (--CH2-NH--, --CH2-CH2--); Spatolaらの文献,1986, Life Sci 38:1243-1249 (--CH2-S--); Hannの文献,1982, J. Chem. Soc. Perkin. Trans. I 307-314 (--CH=CH--, シス及びトランス); Almquistらの文献, 1980, J. Med. Chem. 23: 1392 (--COCH2--); Jennings-Whiteらの文献, 1982, Tetrahedron Lett 23:2533 (--COCH2--); Szelkeらの文献, 1982, European Appln. EP 45665 CA: 97: 39405 (--CH(OH)CH2--); Holladayらの文献, 1983, Tetrahedron Lett 24:4401-4404 (--C(OH)CH2--);及びHrubyの文献, 1982, Life Sci 31:189-199 (--CH2-S--);(これらの各々は、引用により本明細書中に組み込まれている)に記載の方法によって、必要に応じて--CH2-NH--、--CH2S--、--CH2-CH2--、--CH=CH-(シス及びトランス)、--COCH2--、--CH(OH)CH2--、及び-CH2SO--からなる群から選択される結合によって置き換えられる1以上のペプチド結合を有する。
別の実施形態では、特に好ましい非ペプチド結合は、--CH2NH--である。そのようなペプチド模倣体は、例えば、より経済的な生成、より高い化学的安定性、強化された薬理学的特性(半減期、吸収、効力、有効性など)、特異性の変更(例えば、広域スペクトルの生物活性)、抗原性の低下などを含めて、ペプチドの実施形態を上回る有意な利点を有し得る。
ペプチド模倣体について様々な設計が可能である。例えば、非ペプチドによって必要な立体構造が安定化される環状ペプチドが具体的に企図され、引用により全てが本明細書中に組み込まれている米国特許第5,192,746号、同第5,576,423号、同第5,051,448号、及び同第5,559,103号は、そのようなペプチドを作製する複数の方法について記載している。ペプチド配列を模倣する非ペプチド性ペプチドの合成も当技術分野で公知である。(引用によりその全体が本明細書中に組み込まれているEldredらの文献 1994, J. Med. Chem. 37:3882参照)ペプチド配列を模倣する非ペプチドアンタゴニストを説明している。同様に、一連のそのようなペプチドの合成はさらに解明される(引用によりその全体が本明細書中に組み込まれているKuらの文献、1995, J. Med. Chem 38:9参照)。
合成後にさらなる改変が実施されてもよい。例えば、該ペプチドは、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている2003年4月17日に20030072737-A1として公開され、化学修飾EPOを開示している米国特許出願第10/188,905号に従って、かつ2003年7月1日出願の米国特許出願第10/612,665号及び2000年12月29日出願の米国特許出願第09/753,132号に従って、さらに化学的に修飾され得る、すなわち、カルバミル化、アセチル化、スクシニル化、グアニジン化、ニトロ化、トリニトロフェニル化、アミジン化などがなされ得る。
さらに、該ペプチドは、組換えペプチドのムテインからなり得る。開示される変異には、置換、内部欠失を含む欠失、融合タンパク質を生じる付加を含む付加、又はアミノ酸配列内及び/又はアミノ酸配列に隣接するアミノ酸残基の保存的置換が含まれ得るが、応答性の細胞、組織、及び臓器の保護、回復、並びに強化のための組換え組織保護サイトカインとそれをコードする核酸と題するPCT/US03/20964(引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている)に以前に開示されたように、「サイレント」変化、及び非保存的なアミノ酸の変化及びより大きな挿入及び欠失が生じ得る。
保存的又は非保存的アミノ酸置換のいずれかが、1以上のアミノ酸残基にて行われ得る。保存的置換と非保存的置換の両方を行うことができる。保存的な置き換えは、その側鎖内の関連するアミノ酸のファミリー内で生じるものである。遺伝的にコードされるアミノ酸は、4つのファミリー: (1)酸性 = Asp (D)、Glu (G); (2)塩基性 = Lys (K)、Arg (R)、His (H); (3)非極性(疎水性) = Cys (C)、Ala (A)、Val (V)、Leu (L)、Ile (I)、Pro (P)、Phe (F)、Met (M)、Trp (W)、Gly (G)、Tyr (Y); 及び(4) 極性無電荷 = Asn (N)、Gln (Q)、Ser (S)、Thr (T)に分けることができる。非極性は、強い疎水性 = Ala (A)、Val (V)、Leu (L)、Ile (I)、Met (M)、Phe (F);及び中程度の疎水性 = Gly (G)、Pro (P)、Cys (C)、Tyr (Y)、Trp (W)に細分化することができる。別の方法では、アミノ酸レパートリーは、(1)酸性 = Asp (D)、Glu (G); (2)塩基性 = Lys (K)、Arg (R)、His (H)、(3)脂肪族 = Gly (G)、Ala (A)、Val (V)、Leu (L)、Ile (I)、Ser (S)、Thr (T)、ここで、Ser (S)とThr (T)は、必要に応じて脂肪族ヒドロキシルとして別々にグループ化される;(4) 芳香族 = Phe (F)、Tyr (Y)、Trp (W); (5)アミド= Asn (N)、Glu (Q);並びに(6) 硫黄含有= Cys (C)及びMet (M)としてグループ化することができる(引用によりその全体が本明細書中に組み込まれているStryer及びFreeman(編)の文献., 1995, Biochemistry, 第4版参照)。
あるいは、変異は、飽和変異誘発などにより、ペプチドのコード配列の全部又は一部に沿ってランダムに導入することができ、得られた変異体は、活性を保持する変異体を同定するために生物活性についてスクリーニングすることができる。変異誘発後、コードされたペプチドを組換え発現させることができ、組換えペプチドの活性を決定することができる。
別の実施形態では、該ペプチドは、ペプチドの半減期を延長するか、又はペプチドの組織保護効果を高める取り組みで、ポリマー(ポリエチレングリコールなど)、糖類、又は追加のタンパク質(融合構築物など)の付加を通してさらに改変され得る。そのような改変の例は、引用により本明細書中に組み込まれているWO/04022577 A3及びWO/05025606 A1内に開示されている。
選択されたコンジュゲーション化学及びペプチド上に既に存在するか又は作製された反応部位の数に応じて、1、2、又は選択された数のポリマーを再現可能な方法で付け加えることができる。PEG及びその誘導体のペプチドへの付着の主要な様式は、ペプチドアミノ酸残基を介する非特異的結合である(米国特許第4,088,538号、同第4,496,689号、同第4,414,147号、同第4,055,635号、及びPCT WO 87/00056参照)。PEGをペプチドに付着させる別の様式は、糖ペプチド上のグリコシル残基の非特異的酸化を介するものである(WO 94/05332参照)。これらの非特異的方法では、PEGは、ペプチド骨格上の反応性残基に対してランダムで非特異的な方法で付加される。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、親ペプチドを組換え生成し、次いで親ペプチドを化学的に修飾することによって作製することができる。例えば、本明細書に提供されるあるペプチドは、下の実施例の節に記載の組換え生成されたP8ペプチドを化学的に修飾することによって生成することができる。
組換え法によりペプチドを生成することは当技術分野で公知である。より具体的には、ポリヌクレオチドを、適切な供給源からのゲノム又はcDNA分子の単離を含む、いくつかの方法で同定することができる。ポリヌクレオチドの単離のためのプローブ又はプライマーとして、又はデータベース検索のためのクエリ配列として使用するための、本明細書に記載のアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列は、アミノ酸配列から「逆翻訳」することによって、又はコードDNA配列が同定されているペプチドを用いたアミノ酸同一性の領域の同定によって取得することができる。よく知られているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)手順を用いて、ヒトプレセニリン-1をコードするDNA配列を単離及び増幅することができる。DNA断片の組み合わせの所望の終端を定義するオリゴヌクレオチドは、5'及び3'プライマーとして採用される。オリゴヌクレオチドは、制限エンドヌクレアーゼの認識部位をさらに含み、発現ベクターへのDNA断片の増幅された組み合わせの挿入を容易にすることができる。PCR技術は、Saikiらの文献,1988, Science 239:487; Wuら(編)の文献, 1989, 組換えDNA方法論(Recombinant DNA Methodology) pp. 189-196; 及びInnisら(編)の文献, 1990, PCRプロトコル:方法と適用のガイド(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications)に記載されている。
本開示のポリヌクレオチド分子(例えば、P8のポリヌクレオチド)には、一本鎖及び二本鎖の両方の形態のDNA及びRNA、並びに対応する相補的配列が含まれる。DNAには、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学合成DNA、PCRにより増幅されたDNA、及びそれらの組み合わせが含まれる。本開示のポリヌクレオチド分子には、全長遺伝子又はcDNA分子、並びにその断片の組み合わせが含まれる。本開示のポリヌクレオチドは、ヒト供給源に由来し得るが、本開示には、同様に非ヒト種に由来するものが含まれる。
「単離ポリヌクレオチド」は、天然の供給源から単離されたポリヌクレオチドの場合に、ポリヌクレオチドが単離された生物のゲノムに存在する隣接遺伝子配列から分離されたポリヌクレオチドである。例えば、PCR産物、cDNA分子、又はオリゴヌクレオチドなどの、鋳型から酵素で合成されるか、又は化学的に合成されたポリヌクレオチドの場合には、そのようなプロセスから生じるポリヌクレオチドは単離ポリヌクレオチドであると理解される。単離ポリヌクレオチドは、別々の断片の形態で、又はより大きなポリヌクレオチド構築物の成分としてのポリヌクレオチドを指す。一実施形態では、本開示は、混入している内因性材料を実質的に含まない単離されたあるポリヌクレオチドに関する。該ポリヌクレオチドは、実質的に純粋な形態で、標準的な生化学的方法によるその成分ヌクレオチド配列の同定、操作、及び回収を可能にする量又は濃度で少なくとも1回単離されたDNA又はRNAに由来していることが好ましい(Sambrookらの文献, 1989, 分子クローニング、実験室マニュアル(Molecular Cloning. A Laboratory Manual),第2版参照)。そのような配列は、典型的には、真核生物遺伝子に存在する内部非翻訳配列によって中断されないオープンリーディングフレームの形態で、又はトランスで提供及び/又は構築される。非翻訳DNA配列は、オープンリーディングフレームから5'又は3'に存在することができ、それらはコード領域の操作又は発現を妨げない。
親ペプチドの発現、単離、及び精製は、以下の方法を含むが、これに限定されない任意の適切な技術によって達成され得る。本開示の単離核酸は、pDC409ベクター(Giriらの文献, 1990, EMBO J. 13: 2821)又は誘導pDC412ベクター(Wileyらの文献, 1995, Immunity 3: 673)などの発現制御配列に作用可能に連結することができる。pDC400シリーズベクターは、CV-1又は293細胞などの一過性哺乳類発現系に有用である。あるいは、本開示の単離核酸を、pDC312、pDC316、又はpDC317ベクターなどの発現ベクターに連結することができる。pDC300シリーズベクターは全て、SV40複製起点、CMVプロモーター、アデノウイルス三要素リーダー、並びにSV40のポリA及び終結シグナルを含み、CHO細胞又はそれらの誘導体などの安定した哺乳類発現系に有用である。pMT2又はpED発現ベクター(Kaufmanらの文献, 1991, Nucleic Acids Res 19: 4485-4490;及びPouwelsらの文献, 1985, クローニングベクター、実験室マニュアル(Cloning Vectors. A Laboratory Manual))並びにGATEWAYベクター(Life Technologies; Rockville, Md.)などの他の発現制御配列及びクローニング技術も、ペプチドを組換え生成するために使用することができる。attB配列に隣接する本開示の単離核酸を、attP配列を含むpDONR201などのGATEWAYベクターとインテグラーゼ反応により組み換え、本開示の単離核酸を含むGATEWAYシステムにエントリーベクターを提供することができる。このエントリーベクターは、上記のpDC400及びpDC300シリーズのものなどの他の適切に調製された発現制御配列とさらに組み換えることができる。多くの適切な発現制御配列は、当技術分野で公知である。組換えペプチドを発現する一般的な方法は、Kaufmanの文献, 1990、Methods in Enzymology 185, 537- 566にも記載されている。本明細書で使用する「作用可能に連結された」は、適切な分子(ポリメラーゼなど)が存在する場合に、ポリヌクレオチドによってコードされるペプチドが発現するように、本開示のポリヌクレオチド及び発現制御配列が、構築物、ベクター、又は細胞内に位置することを意味する。本開示の一実施形態として、少なくとも1つの発現制御配列は、組換え宿主細胞又はその子孫において本開示のポリヌクレオチドに作用可能に連結され、該ポリヌクレオチド及び/又は発現制御配列は、例えば、形質転換又はトランスフェクションによって、又は他の任意の適切な方法によって宿主細胞に導入されている。本開示の別の実施形態として、少なくとも1つの発現制御配列が、本開示のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に作用可能に連結されるような組換え宿主細胞のゲノムに組み込まれる。本開示のさらなる実施形態では、少なくとも1つの発現制御配列は、転写因子などのトランス作用因子の作用により、インビトロで又は組換え宿主細胞内のいずれかで本開示のポリヌクレオチドに作用可能に連結される。
加えて、適切なシグナルペプチドをコードする配列(天然又は異種)を発現ベクターに組み込むことができる。シグナルペプチド又はリーダーの選択は、組換えペプチドが産生される宿主細胞の種類などの要因に依存し得る。例示するために、哺乳動物宿主細胞において機能する異種シグナルペプチドの例としては、米国特許第4,965,195号に記載のインターロイキン-7(IL-7)のシグナル配列; Cosmanらの文献, 1984, Nature 312:768に記載されているインターロイキン-2受容体のシグナル配列; EP 367,566に記載のインターロイキン-4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載のI型インターロイキン-1受容体シグナルペプチド;及びEP 460,846に記載のII型インターロイキン-1受容体シグナルペプチドが挙げられる。シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列は、DNAが最初に転写され、mRNAが、シグナルペプチドを含む融合ペプチドに翻訳されるように、本開示のポリヌクレオチドにインフレームで融合することができる。意図された宿主細胞で機能するシグナルペプチドは、ペプチドの細胞外分泌を促進する。シグナルペプチドは、細胞からペプチドを分泌する際に、ペプチドから切断される。当業者なら、シグナルペプチドが切断される位置(複数可)がコンピュータプログラムによって予測される位置と異なり、組換えペプチドを発現する際に、採用される宿主細胞の種類などの要因に応じて変えることができることも認識するだろう。ペプチド調製物は、2以上の部位でシグナルペプチドの切断から生じる異なるN末端アミノ酸を有するペプチド分子の混合物を含むことができる。
哺乳動物細胞にDNAを導入する確立された方法が記載されている(Kaufmanの文献, 1990, 大規模哺乳類細胞培養(Large Scale Mammalian Cell Culture), pp. 15-69)。リポフェクタミン脂質試薬(Lipofectamine lipid reagent) (Gibco/BRL)又はリポフェクタミンプラス脂質試薬(Lipofectamine-Plus lipid reagent)などの市販の試薬を使用する追加のプロトコルを用いて、細胞にトランスフェクトすることができる(Felgnerらの文献, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7417参照)。加えて、エレクトロポレーションを用いて、Sambrookらの文献. 1989, 分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第2版の中のものなどの従来の手順を使用して哺乳類細胞にトランスフェクトすることができる。安定な形質転換体の選択は、例えば、細胞傷害性薬物に対する耐性などの当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。Kaufmanらの文献, 1990, Meth. in Enzymology 185:487-511は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)耐性などのいくつかの選択スキームについて説明している。DHFR選択に適する株は、DHFRが欠損しているCHO株DX-B11であり得る(Urlaub及びChasinの文献, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)。DHFR cDNAを発現するプラスミドを株DX-B11に導入することができ、プラスミドを含む細胞のみが適切な選択培地で増殖することができる。発現ベクターに組み込むことができる選択マーカーの他の例としては、G418及びハイグロマイシンBなどの抗生物質に対する耐性を付与するcDNAが挙げられる。ベクターを保有する細胞は、これらの化合物に対する耐性に基づいて選択することができる。
あるいは、遺伝子産物は相同組換え、又は「遺伝子ターゲティング」技術によって取得することができる。そのような技術は、ゲノム上の特定の所定部位に外因性転写制御エレメント(CMVプロモーターなど)の導入を用いて、目的とする内因性ポリヌクレオチド配列の発現を誘導する。宿主染色体又はゲノムへの組込みの位置は、遺伝子の既知の位置及び配列が与えられるならば当業者が容易に決定できる。一実施形態では、本開示は、再び、宿主細胞から遺伝子自体を単離する必要はなく、増加した量の遺伝子産物を生成するために、増幅可能な遺伝子と組み合わせて外因性転写制御エレメントの導入も企図する。相同組換え又は遺伝子ターゲティングの実践は、Schimkeらの文献, 1987, Methods in Enzymology 151:85-104、及びCapecchiらの文献, 1989, TIG 5:70-76によって説明されている。
いく種類かの細胞が、ペプチドの発現に適する宿主細胞として作用し得る。哺乳類の宿主細胞には、例えば、サル腎臓細胞のCOS-7株(ATCC CRL 1651;Gluzmanらの文献, 1981, Cell 23:175参照)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK (ATCC CRL 10)細胞株、McMahanらの文献, 1991, EMBO J. 10: 2821によって記載されるアフリカミドリザル腎臓細胞株CVl (ATCC CCL 70)に由来するCVl/EBNA細胞株、ヒト腎臓293細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常な二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養に由来する細胞株、一次外植片、HL-60、U937、HaK又はJurkat細胞が含まれる。あるいは、酵母などの下等真核生物又は細菌などの原核生物内でペプチドを産生することが可能であり得る。潜在的に適切な酵母株には、サッカロミセスセレビシエ、シゾサッカロミセスポンベ、クルイベロミセス株、カンジダ、又は異種ペプチドを発現することができる任意の酵母株が含まれる。潜在的に適切な細菌株には、大腸菌、枯草菌、サルモネラ・ティフィムリウム、又は異種ペプチドを発現することができる任意の細菌株が含まれる。ペプチドが酵母又は細菌内で作られる場合、機能性ペプチドを得るために、例えば、適切な部位のリン酸化又はグリコシル化によって、その中で産生されるペプチドを改変する必要がある場合がある。そのような共有結合は、既知の化学的又は酵素的な方法を用いて達成され得る。ペプチドはまた、1以上の昆虫発現ベクター内の適切な制御配列に本開示の単離ポリヌクレオチドを作用可能に連結し、昆虫発現システムを用いることによって産生され得る。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系の材料及び方法は、例えば、Invitrogen, San Diego, Calif., U.S.A. (the MaxBac.RTM.キット)からキット形態で市販されており、そのような方法は、引用により本明細書中に組み込まれているSummers及びSmithの文献, Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No. 1555 (1987),並びにLuckow及びSummersの文献, Bio/Technology 6:47 (1988)に記載されているように、当技術分野で周知である。本明細書で使用する場合、本開示のポリヌクレオチドを発現することができる昆虫細胞は、「形質転換」される。無細胞翻訳系も、本明細書に開示されるポリヌクレオチド構築物由来のRNAを用いてペプチドを産生するために採用され得る。典型的には、少なくとも1つの発現制御配列に作用可能に連結された本開示の単離ポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
ペプチドは、組換えペプチドを発現するのに適する培養条件下で形質転換宿主細胞を培養することによって調製され得る。得られた発現ペプチドは、その後、ゲル濾過及びイオン交換クロマトグラフィーなどの公知の精製プロセスを用いて、そのような培養物から(例えば、培地又は細胞抽出物から)精製され得る。ペプチドの精製には、ペプチドに結合する薬剤を含む親和性カラム;コンカナバリンAアガロース、ヘパリンtoyopearl(登録商標)又はCibacrom blue 3GA Sepharose(登録商標)などの親和性樹脂上での1以上のカラム工程;フェニルエーテル、ブチルエーテル、若しくはプロピルエーテルなどの樹脂を使用した疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む1以上の工程;又は免疫親和性クロマトグラフィーも含まれ得る。あるいは、本開示のペプチドは、精製を促進する形態で発現させてもよい。例えば、それは、マルトース結合ペプチド(MBP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)又はチオレドキシン(TRX)のものなどの融合ペプチドとして発現させてよい。そのような融合ペプチドの発現と精製のためのキットはそれぞれ、New England BioLab (Beverly, Mass.)、Pharmacia (Piscataway, N.J.)及びInVitrogenから市販されている。ペプチドはまた、エピトープでタグ付けし、その後、そのようなエピトープに対する特異的抗体を用いることによって精製することができる。1つのそのようなエピトープ(Flag)は、Kodak (New Haven, Conn.)から市販されている。最後に、疎水性RP-HPLC培地、例えば、ペンダントメチル又は他の脂肪族基を有するシリカゲルを用いる1以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程を用いて、ペプチドをさらに精製することができる。上述の精製工程の一部又は全部を、様々な組み合わせで、実質的に均一な単離組換えペプチドを提供するために用いることもできる。このように精製されたペプチドは、他の哺乳動物ペプチドを実質的に含まず、本開示に従って、「精製ペプチド」として定義される。そのような本開示の精製ペプチドは、本開示のプレセニリンペプチドに結合する精製抗体、断片、変異体、結合パートナーなどを含む。本開示のペプチドは、ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む体細胞又は生殖細胞によって特徴付けられるトランスジェニック動物の生成物として、例えば、トランスジェニック牛、ヤギ、豚、又は羊のミルクの成分として発現させてもよい。
本開示のペプチドに対して作製されたモノクローナル抗体などの本開示のペプチド結合ペプチドを含む親和性カラムを利用して、発現したペプチドを親和性精製することも可能である。これらのペプチドは、例えば、高塩溶出緩衝液中で従来の技術を用いて親和性カラムから除去し、次いで、使用のためのより低い塩緩衝液中で透析するか、又は利用する親和性マトリックスに応じてpH又は他の成分を変えることによって除去するか、又は本開示に由来するペプチドなどの親和性部分の天然基質を用いて競合的に除去することができる。本開示のこの態様では、本開示のペプチドと相互作用することができる本開示又は他のペプチドの抗ペプチド抗体などのペプチド結合ペプチドは、それらの表面上で本開示のペプチドを発現する細胞を同定、分離、若しくは精製するのに適するカラムクロマトグラフィーマトリックス又は類似の物質などの固相支持体に結合させることができる。
固相接触面へのペプチド結合ペプチドの付着は、任意の数の技術によって達成することができ、例えば、磁気微小球は、これらのペプチド結合ペプチドでコーティングされ、磁場によりインキュベーション容器に保持することができる。細胞混合物の懸濁液は、その上にそのようなペプチド結合ペプチドを有する固相と接触する。その表面上に本開示のペプチドを有する細胞は、固定したペプチド結合ペプチドに結合し、その後、未結合細胞は洗い流される。この親和性結合法は、そのようなペプチド発現細胞を溶液から精製、スクリーニング、又は分離するのに有用である。固相から陽性選択細胞を放出する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、酵素の使用を包含する。そのような酵素は、好ましくは、細胞に対して非毒性で非有害であり、細胞表面結合パートナーを切断するように指示される。あるいは、本開示のペプチド発現細胞を含有していると疑われる細胞の混合物は、最初に、本開示のビオチン化ペプチド結合ペプチドとインキュベートすることができる。インキュベーション期間は、典型的には、本開示のペプチドに対して十分な結合を確実にするために、少なくとも1時間の持続時間である。次いで、得られた混合物を、アビジンコーティングビーズを詰めたカラムを通過させ、それによって、アビジンに対するビオチンの高い親和性がビーズへのペプチド結合細胞の結合を提供する。アビジンコーティングビーズの使用は、当技術分野で公知である(Berensonらの文献, 1986, J. Cell. Biochem., lOD:239参照)。未結合材料の洗浄及び結合細胞の放出は、従来の方法を用いて行われる。
所望の純度は、ペプチドの使用目的に依存する。例えば、ペプチドがインビボで投与される場合には、比較的高い純度が望まれる。そのような場合、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)による分析時に、他のペプチドに対応するペプチドバンドが検出可能でないようにペプチドは精製される。ペプチドに対応する複数のバンドが、差次的グリコシル化、差次的翻訳後プロセシングなどによりSDS-PAGEによって可視化され得ることは関連分野の技能者なら認識する。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、SDS-PAGEによる分析時に単一ペプチドバンドによって示されるように、実質的に均一になるまで精製される。ペプチドバンドは、銀染色、クマシーブルー染色、又はオートラジオグラフィー(ペプチドが放射標識されている場合)によって可視化することができる。
(5.5 ペプチド及び医薬組成物の使用法)
一態様では、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を減衰させる方法であって、本明細書に提供するペプチドと細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)とプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)の結合を少なくとも約10%減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態は、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内でプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とベータアミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を少なくとも約95%減衰させる。
一態様では、細胞内でアミロイドβ(Aβ)の産生を減衰させる方法であって、本明細書に提供されるペプチドと該細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のAβの産生を少なくとも約95%減衰させる。具体的な実施形態では、細胞は網膜細胞である。
別の態様では、対象におけるアミロイドβ(Aβ)の産生を減衰させる方法であって、本明細書に提供する有効量のペプチド又はそれを含む医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のAβの産生を少なくとも約95%減衰させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSF中のAβの産生を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象のCSFにおけるAβの産生を少なくとも約95%減衰させる。
さらに別の態様では、細胞内でアミロイドβ活性を減衰させる方法であって、本明細書に提供されるペプチドと該細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。さらに別の態様では、対象のアミロイドβ活性を減衰させる方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチド又はそれを含む医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。アミロイドβ活性の非限定的な例は、アミロイドβ誘導又は媒介シグナル伝達である。そのため、ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、アミロイドβ誘導シグナル伝達を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。アミロイドβ誘導シグナル伝達の別の非限定的な例は、グルコーストランスポーター、NMDAR、AMPAR及びアセチルコリン受容体、炎症性シグナル伝達経路の活性化、並びにGSK-3、CDK5、PKC、PKA及びErk1/2を含むがこれらに限定されない1以上のキナーゼの活性化を含むが、これらに限定されない受容体との(ブロッキングを含む)相互作用である。活性には、イオンチャネルの遮断、カルシウム恒常性の破壊、ミトコンドリア酸化ストレス、エネルギー代謝障害、異常なグルコース調節及び/又は神経細胞死が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。具体的な実施形態では、細胞は網膜細胞である。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるアミロイドβ活性(例えば、アミロイドβ誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。
一実施形態では、アミロイドβは、アミロイドβ36、アミロイドβ37、アミロイドβ38、アミロイドβ39、アミロイドβ40、アミロイドβ41、アミロイドβ42、アミロイドβ43、アミロイドβ44、アミロイドβ45、アミロイドβ46、アミロイドβ47、アミロイドβ48、アミロイドβ49、アミロイドβ50、アミロイドβ51、又はアミロイドβ52、又はそれらの組み合わせである。別の実施形態では、アミロイドβはアミロイドβ40である。さらに別の実施形態では、アミロイドβはアミロイドβ42である。
さらに別の態様では、細胞内のタウタンパク質の産生を減衰させる方法であって、本明細書に提供されるペプチドと該細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウの産生を少なくとも約95%減衰させる。具体的な実施形態では、細胞は網膜細胞である。
さらに別の態様では、対象におけるタウタンパク質の産生を減衰させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象の血漿中のタウの量を少なくとも約95%減衰させる。
さらに別の態様では、細胞内でタウタンパク質活性を減衰させる方法であって、本明細書に提供されるペプチドと該細胞とを接触させることを含む方法が本明細書に提供される。さらに別の態様では、対象においてタウタンパク質活性を減衰させる方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチド又はそれを含む医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。タウタンパク質活性の非限定的な例は、タウタンパク質誘導又は媒介シグナル伝達である。そのため、ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、タウタンパク質誘導シグナル伝達を減衰させる(例えば、部分的に減衰させる)。タウタンパク質活性の非限定的な例としては、微小管を安定化させるためにチューブリンと相互作用すること、ヘリックス及び/又はストレートのフィラメントの形成、炎症性シグナル伝達経路の活性化及び脳内のインスリンシグナル伝達障害が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、細胞内のタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。具体的な実施形態では、細胞は網膜細胞である。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約10%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約20%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約30%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約40%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約50%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約60%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約70%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約80%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約90%減衰させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象におけるタウタンパク質活性(例えば、タウタンパク質誘導シグナル伝達)を少なくとも約95%減衰させる。
さらに別の態様では、対象における疾患若しくは障害を治療又は予防する方法であって、本明細書に提供される治療有効量のペプチド又はそれを含む医薬組成物を該対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。本明細書で使用する場合、疾患又は障害はまた、疾患又は障害の1以上の症状を含む。
ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド(若しくはアミロイドβ)関連疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド線維形成、凝集又は沈着に関連付けられる疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経変性疾患である。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は眼障害である。いくつかの実施形態では、眼障害はアミロイドβの蓄積に関連する。いくつかの実施形態は、眼障害は黄斑変性である。いくつかの実施形態では、眼障害は加齢黄斑変性である。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、臨床状況に関係なく、アミロイド線維形成、凝集又は沈着に関連付けられる疾患を治療するために治療的又は予防的に投与され得る。本開示のペプチドは、以下の機構、例えば、限定されないが、アミロイド線維形成又は沈着の速度を遅くすること;アミロイド沈着の程度を減らすこと;アミロイド線維形成を抑制、低下、又は防止すること;アミロイド誘発炎症を抑制すること;例えば、脳からのアミロイドのクリアランスを高めること;又はアミロイド誘発(オリゴマー又は線維性)毒性から細胞を保護することのいずれかを使用してアミロイドβ関連疾患の経過を調節するように作用し得る。アミロイド沈着の調節は、アミロイド形成若しくは蓄積の予防又は停止、進行中のアミロイドーシスを有する、例えば、アミロイド凝集体をすでに有する対象におけるさらなるアミロイド凝集の阻害又は減速、並びに進行中のアミロイドーシスを有する対象におけるアミロイド凝集体の低下又は逆戻りを包含することが意図される。アミロイド凝集の調節は、未治療対象に対して若しくは治療前の治療対象に対して、例えば、臨床的に測定可能な改善によって決定されるか、又は脳アミロイドーシスを有する対象、例えば、アルツハイマー病若しくは脳アミロイド血管症の対象の場合には、認知機能の安定化又は認知機能のさらなる減少の予防(すなわち、疾患進行の予防、減速、若しくは停止)、又はCSFにおけるAβ又はタウの濃度などのパラメータの改善によって決定される。
家族型又は孤発型のアルツハイマー病は、高齢集団に見られる主要な認知症であるが、他の種類の認知症も見られる。これらには、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、レビー小体型の老人性認知症、前頭萎縮を伴うパーキンソニズムの認知症、進行性核上性麻痺及び大脳皮質基底核変性症及びダウン症関連アルツハイマー病が含まれるが、これらに限定されない。プラーク形成は、CJD、スクレイピー及びBSEなどの海綿状脳症にも見られる。本開示は、そのような神経変性疾患、特に神経毒性タンパク質プラーク、例えば、アミロイドプラークを含む疾患の治療を対象とする。
ダウン症は、800人の出生中1人の発生率で起こる重篤なヒト障害である。これは、影響を受けた個体における21番染色体の余分なコピー(トリソミー21)の存在に関連付けられる。β-アミロイド前駆体タンパク質(β-APP)遺伝子は、ダウン症遺伝子座に非常に近い21番染色体上にコードされている。ダウン症の全ての患者は、40年を超えて生存した場合に、アルツハイマー様認知症を発症し、脳内にAβが沈着する。したがって、Aβの過剰産生がADとダウン症の両方における認知症の発生と直接関連していることを提案する正当な理由がある。したがって、ADの症状の改善のための治療剤の識別の性質も、ダウン症の症状の改善にも有用であろう。
「認知症」は、見当識障害、記憶、判断力、及び知力の障害、並びに浅い不安定な感情を特徴とする器質的又は心理的要因による一般的な精神悪化を指す。本明細書における認知症には、血管性認知症、虚血性血管性認知症(IVD)、前頭側頭型認知症(FTD)、レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症などが含まれる。高齢者の間で認知症の最も一般的な形態は、アルツハイマー病(AD)である。
本明細書に提供されるペプチドは、軽度の認知障害を治療するために使用され得る。軽度認知障害(「MCI」)は、認知症の存在に関連付けられるとは限らない思考能力における軽度だが測定可能な障害の状態を特徴とする病態である。必ずしもそうではないが、MCIは頻繁にアルツハイマー病に先行する。
さらに、筋線維におけるAPP及びアミロイドβタンパク質の異常な蓄積は、孤発性封入体筋炎(IBM)の病理に関与している(Askanasらの文献,1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 1314-1319; Askanas, V.らの文献,1995, Current Opinion in Rheumatology 7: 486-496参照)。したがって、本明細書に提供されるペプチドは、筋繊維へのペプチドの送達によるEBMの治療などの、アミロイドβタンパク質が神経でない場所で異常に沈着する障害の治療において予防的又は治療的に使用され得る。
さらに、Aβは、加齢黄斑変性(ARMD)を有する個体において網膜色素上皮の基底面に沿って蓄積する、drusenとして知られている異常な細胞外沈着物に関連付けられることが示されている。ARMDは、高齢者の不可逆的な視力低下の原因である。Aβ沈着は、網膜色素上皮の萎縮、ドルーゼン新生、及びARMDの病因に寄与する局所炎症事象の重要な成分である可能性があると考えられている(Johnsonらの文献, 2002, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99(18), 11830-5)。
したがって、本開示は、対象(好ましくはヒト)におけるアミロイド関連疾患若しくは障害を治療又は予防する方法であって、一般に、アミロイド線維形成若しくは沈着、神経変性、又は細胞毒性が低下又は阻害されるように、本明細書に提供される治療量のペプチドを該対象に投与することを含む方法に関する。別の実施形態では、本開示は、対象(好ましくはヒト)におけるアミロイド関連疾患を治療又は予防する方法であって、認知機能が改善若しくは安定化されるか、又は認知機能のさらなる悪化が、脳アミロイドーシス、例えば、アルツハイマー病、ダウン症若しくは脳アミロイド血管症を有する患者において予防、減速、又は停止されるように、本明細書に提供される治療量のペプチドを該対象に投与することを含む方法に関する。
ある実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、又は認知症からなる群から選択される。ある実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病である。ある実施形態では、疾患又は障害は、外傷性脳損傷である。ある実施形態では、疾患又は障害は、筋萎縮性側索硬化症である。ある実施形態では、疾患又は障害は、多発性硬化症である。ある実施形態では、疾患又は障害は、認知症である。
ある実施形態では、疾患又は障害は、前頭側頭型認知症、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、虚血性血管性認知症(IVD)、レビー小体型認知症、及びアルツハイマー型認知症からなる群から選択される認知症又は認知症関連疾患若しくは障害である。
ある実施形態では、疾患又は障害は、眼障害である。ある実施形態では、障害、疾患、又は病態は、ダウン症である。
ある実施形態では、疾患又は障害は、伝染性海綿状脳症(羊のスクレイピー、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、牛の牛海綿状脳症(BSE)など)、脳アミロイド血管障害、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、軽度の認知障害、孤発性封入体筋炎及び加齢黄斑変性からなる群から選択される。
ある実施形態では、疾患又は障害はアルツハイマー病である。ある実施形態では、アルツハイマー病は、ステージ1のAD(障害なし)である。ある実施形態では、アルツハイマー病はステージ2のAD(非常に軽度の減退)である。ある実施形態では、アルツハイマー病はステージ3のAD(軽度の減退)である。ある実施形態では、アルツハイマー病は、ステージ4のAD(中程度の減退)である。ある実施形態では、アルツハイマー病は、ステージ5のAD(中程度の重篤な減退)である。ある実施形態では、アルツハイマー病は、ステージ6のAD(重篤な減退)である。ある実施形態では、アルツハイマー病は、ステージ7のAD(非常に重篤な減退)である。
ある実施形態では、障害、疾患、又は病態は、タウタンパク質によって媒介される障害、疾患、又は病態である。ある実施形態では、タウタンパク質によって媒介される障害、疾患、又は病態は、タウオパチーである。ある実施形態では、タウタンパク質によって媒介される障害、疾患、又は病態はアルツハイマー病である。
本明細書に提供される方法は、患者の年齢に関係なく対象を治療することを包含するが、いくつかの疾患又は障害は、ある年齢群でより一般的である。
治療される疾患及び対象の病態に応じて、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、大槽内注射若しくは注入、皮下注射、又はインプラント)、吸入、鼻腔、膣、直腸、舌下、又は局所(topical)(例えば、経皮若しくは局所(local))の投与経路によって投与することができる。本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物は、単独で、又は適切な投与単位で、各投与経路に適する医薬として許容し得る賦形剤、担体、アジュバント及びビヒクルと共に製剤化することができる。投与と投薬の詳細については、下の節5.6に提供される。
しかし、任意の特定の対象用の具体的な用量レベル及び投薬頻度は変更でき、用いられる特異的なペプチドの活性、そのペプチドの代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与の様式及び回数、排出速度、薬物の組み合わせ、特定の病態の重症度、並びに治療を受けている宿主を含む様々な要因に依存することが理解される。
ある実施形態では、対象は哺乳動物である。ある実施形態では、対象はヒトである。
本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物は、本明細書に記載される障害、疾患、若しくは病態の治療及び/又は予防に有用な他の治療薬と組み合わせるか、又は組み合わせて使用することもできる。
本明細書で使用する用語「組み合わせ」は、2以上の治療剤(例えば、1以上の予防剤及び/又は治療剤)の使用を含む。しかし、用語「組み合わせ」の使用は、治療剤(例えば、予防剤及び/又は治療剤)が、疾患又は障害を有する対象に投与される順序を制限しない。第1の治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチドなどの予防剤又は治療剤)は、第2の治療剤(例えば、予防剤及び/又は治療剤)の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)に、それと同時に、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に対象に投与することができる。三重療法も本明細書で企図される。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドの投与経路又はそれを含む医薬組成物は、第2の治療剤の投与経路とは無関係である。一実施形態では、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物は、経口投与される。別の実施形態では、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物は、静脈内投与される。そのため、これらの実施形態に従って、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物は、経口又は静脈内投与され、第2の治療剤は、口腔内、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、鼻腔内、リポソームで、吸入により、膣内、眼内、カテーテル若しくはステントによる局所送達により、皮下、脂肪内、関節内、髄腔内に投与するか、又は徐放剤形で投与することができる。一実施形態では、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物、及び第2の治療剤は、同じ投与様式によって、経口的に、又はIVによって投与される。別の実施形態では、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物は、1つの投与様式によって、例えばIVによって投与されるが、第2の薬剤は、別の投与様式によって、例えば、経口投与される。
ある実施形態では、本明細書に提供される各方法は、独立して、さらに、第2の治療剤を投与する工程を含んでよい。
(5.6 投与方法及び投薬方法)
具体的な実施形態では、疾患若しくは病態の予防及び/又は治療に使用するための、本明細書に提供されるペプチドを含む組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、疾患若しくは病態の予防に使用するための組成物であって、本明細書に提供されるペプチドを含む組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、疾患若しくは病態の治療に使用するための組成物であって、本明細書に提供されるペプチドを含む組成物が本明細書に提供される。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド(若しくはアミロイドβ)関連疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド線維形成、凝集又は沈着に関連付けられる疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経変性疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、又は認知症からなる群から選択される。ある実施形態では、疾患又は障害は、前頭側頭型認知症、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、虚血性血管性認知症(IVD)、レビー小体型認知症、及びアルツハイマー型認知症からなる群から選択される認知症又は認知症関連疾患若しくは障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は眼障害である。ある実施形態では、眼障害は黄斑変性である。ある実施形態では、眼障害は加齢黄斑変性である。ある実施形態では、障害、疾患、又は病態は、ダウン症である。ある実施形態では、疾患又は障害は、伝染性海綿状脳症(羊のスクレイピー、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、牛の牛海綿状脳症(BSE)など)、脳アミロイド血管障害、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、軽度の認知障害、孤発性封入体筋炎及び加齢黄斑変性からなる群から選択される。
ある実施形態では、対象は、それを必要とする対象である。いくつかの実施形態は、対象は、疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する危険性がある。いくつかの実施形態では、投与は、疾患若しくは病態の予防、管理、治療又は改善をもたらす。
一実施形態では、疾患若しくは病態の症状の予防及び/又は治療に使用するための組成物であって、本明細書に提供されるペプチドを含む組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、疾患若しくは病態の症状の予防に使用するための組成物であって、本明細書に提供されるペプチドを含む組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、疾患若しくは病態の症状の治療に使用するための組成物であって、本明細書に提供されるペプチドを含む組成物が本明細書に提供される。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド(若しくはアミロイドβ)関連疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド線維形成、凝集又は沈着に関連付けられる疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経変性疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、又は認知症からなる群から選択される。ある実施形態では、疾患又は障害は、前頭側頭型認知症、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、虚血性血管性認知症(IVD)、レビー小体型認知症、及びアルツハイマー型認知症からなる群から選択される認知症又は認知症関連疾患若しくは障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は眼障害である。ある実施形態では、眼障害は黄斑変性である。ある実施形態では、眼障害は加齢黄斑変性である。ある実施形態では、障害、疾患、又は病態は、ダウン症である。ある実施形態では、疾患又は障害は、伝染性海綿状脳症(羊のスクレイピー、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、牛の牛海綿状脳症(BSE)など)、脳アミロイド血管障害、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、軽度の認知障害、孤発性封入体筋炎及び加齢黄斑変性からなる群から選択される。
ある実施形態では、対象は、それを必要とする対象である。いくつかの実施形態は、対象は疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する危険性がある。いくつかの実施形態では、投与は、疾患若しくは病態の症状の予防又は治療をもたらす。
別の実施形態では、対象における疾患若しくは病態を予防及び/又は治療する方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチドを投与することを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態では、対象における疾患又は病態を予防する方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチドを投与することを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態では、対象における疾患又は病態を治療する方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチドを投与することを含む方法が本明細書に提供される。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド(若しくはアミロイドβ)関連疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド線維形成、凝集又は沈着に関連付けられる疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経変性疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、又は認知症からなる群から選択される。ある実施形態では、疾患又は障害は、前頭側頭型認知症、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、虚血性血管性認知症(IVD)、レビー小体型認知症、及びアルツハイマー型認知症からなる群から選択される認知症又は認知症関連疾患若しくは障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は眼障害である。ある実施形態では、眼障害は黄斑変性である。ある実施形態では、眼障害は加齢黄斑変性である。ある実施形態では、障害、疾患、又は病態は、ダウン症である。ある実施形態では、疾患又は障害は、伝染性海綿状脳症(羊のスクレイピー、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、牛の牛海綿状脳症(BSE)など)、脳アミロイド血管障害、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、軽度の認知障害、孤発性封入体筋炎及び加齢黄斑変性からなる群から選択される。
ある実施形態では、対象は、それを必要とする対象である。いくつかの実施形態は、対象は、疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する危険性がある。いくつかの実施形態では、投与は疾患若しくは病態の予防又は治療をもたらす。
別の実施形態では、対象における疾患若しくは病態の症状を予防及び/又は治療する方法であって、本明細書に提供される有効な量のペプチドを投与することを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態では、対象における疾患又は病態の症状を予防する方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチドを投与することを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態では、対象における疾患又は病態の症状を治療する方法であって、本明細書に提供される有効量のペプチドを投与することを含む方法が本明細書に提供される。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド(若しくはアミロイドβ)関連疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は、アミロイド線維形成、凝集又は沈着に関連付けられる疾患又は障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は神経変性疾患である。ある実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、又は認知症からなる群から選択される。ある実施形態では、疾患又は障害は、前頭側頭型認知症、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、虚血性血管性認知症(IVD)、レビー小体型認知症、及びアルツハイマー型認知症からなる群から選択される認知症又は認知症関連疾患若しくは障害である。ある実施形態では、疾患又は障害は眼障害である。ある実施形態では、眼障害は黄斑変性である。ある実施形態では、眼障害は加齢黄斑変性である。ある実施形態では、障害、疾患、又は病態は、ダウン症である。ある実施形態では、疾患又は障害は、伝染性海綿状脳症(羊のスクレイピー、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、牛の牛海綿状脳症(BSE)など)、脳アミロイド血管障害、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、軽度の認知障害、孤発性封入体筋炎及び加齢黄斑変性からなる群から選択される。
ある実施形態では、対象は、それを必要とする対象である。いくつかの実施形態は、対象は、疾患又は病態を有する。他の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有する危険性がある。いくつかの実施形態では、投与は、疾患若しくは病態の症状の予防又は治療をもたらす。
本明細書に提供される有効量のペプチド又は本明細書に提供されるペプチドを含む医薬組成物を対象に投与することによって、疾患若しくは病態を予防及び/又は治療する方法も本明細書に提供される。一態様では、該ペプチドは、実質的に精製される(すなわち、その効果を制限するか、又は望ましくない副作用を生じる物質を実質的に含まない)。治療剤を投与される対象は、非霊長類(例えば、牛、豚、馬、猫、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、カニクイザルなどのサル、又はヒト)などの哺乳動物であり得る。一実施形態では、対象はヒトである。別の実施形態では、対象は、疾患又は病態を有するヒトである。
様々な送達システムが知られており、リポソーム内のカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、ペプチドを発現できる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(Wu及びWuの文献, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432参照)、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築などを含むが、これらに限定されない予防剤又は治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチド)を投与するために使用することができる。予防剤若しくは治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチド)、又は医薬組成物を投与する方法には、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)、硬膜外、及び粘膜(例えば、鼻腔内及び口腔経路)の投与が含まれるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、予防剤若しくは治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチド)、又は医薬組成物は、鼻腔内、筋肉内、静脈内、又は皮下に投与される。予防剤若しくは治療剤、又は組成物は、任意の都合のよい経路、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜内層(例えば、口腔粘膜、鼻腔内粘膜、直腸及び腸の粘膜など)を介した吸収によって投与され、他の生物活性剤と共に投与され得る。投与は、全身又は局所であり得る。加えて、肺投与はまた、例えば、吸入器又は噴霧器の使用によって、及びエアロゾル化剤を有する製剤を用いることもできる。例えば、米国特許第6,019,968号、同第5,985,320号、同第5,985,309号、同第5,934,272号、同第5,874,064号、同第5,855,913号、同第5,290,540号、及び同第4,880,078号;並びにPCT公開WO 92/19244、WO 97/32572、WO 97/44013、WO 98/31346、及びWO 99/66903を参照されたく、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている。
具体的な実施形態では、本明細書に提供される予防剤又は治療剤、又は医薬組成物を、治療を必要とする領域に局所投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、限定されないが、局所注入によって、局所投与によって(例えば、鼻腔内スプレーによって)、注射によって、又はインプラントによって達成することができ、前記インプラントは、シラスティック(sialastic)膜などの膜、又は繊維を含む多孔質、非多孔質、又はゼラチン状の材料である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドを投与する場合、ペプチドが吸収しない材料を使用するように注意しなければならない。
別の実施形態では、本明細書に提供される予防剤又は治療剤、又は組成物は、小胞で、特にリポソームで送達することができる(Langerの文献, 1990, Science 249:1527-1533; 感染症と癌の治療法におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer)内のTreatらの文献, 1989, pp. 353- 365; Lopez-Beresteinの文献, 同上, pp. 317-327;一般的には同上参照)。
別の実施形態では、本明細書に提供される予防剤又は治療剤、又は組成物は、制御放出又は持続放出システムで送達することができる。一実施形態では、ポンプは、制御放出又は持続放出を達成するために使用され得る(Langerの文献, 上述; Seftonの文献, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20; Buchwaldらの文献, 1980, Surgery 88:507; Saudekらの文献, 1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施形態では、高分子材料は、予防剤又は治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチド)又は本明細書に提供される組成物の制御放出又は持続放出を達成するために使用することができる(Langer及びWise(編)の文献,1974, 制御放出の医療用途(Medical Applications of Controlled Release); Smolen及びBall(編)の文献, 1984,制御される薬物バイオアベイラビリティ、医薬品製品の設計と性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance; Ranger及びPeppasの文献, 1983, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61; Levyらの文献, 1985, Science 228:190; Duringらの文献, 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardらの文献, 1989, J. Neurosurg. 7 1:105;米国特許第5,679,377号;同第5,916,597号;同第5,912,015号;同第5,989,463号;同第5,128,326号; PCT公開WO 99/15154;及びPCT公開WO 99/20253参照)。持続放出製剤に使用されるポリマーの例としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレンコビニル酢酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチドコグリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、持続放出製剤に使用されるポリマーは、不活性であり、浸出性不純物を含まず、貯蔵上安定で、無菌で、かつ生分解性である。さらに別の実施形態では、制御放出又は持続放出システムは、治療標的の近く、すなわち、鼻腔又は肺に配置することができ、そのため、全身用量のほんの一部しか必要とされない(Goodsonの論文, 制御放出の医療用途(Medical Applications of Controlled Release),上述, 2巻, pp. 115-138 (1984)参照)。制御放出システムは、Langer(1990, Science 249:1527-1533)によるレビューで議論されている。当業者に知られている任意の技術を用いて、本明細書に提供される1以上のペプチドを含む持続放出製剤を生成することができる(米国特許第4,526,938号、PCT公開WO 91/05548、PCT公開WO 96/20698; Ningらの文献、1996, Radiotherapy & Oncology 39:179-189; Songらの文献, 1995, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397; Cleekらの文献, 1997, Pro. Int’l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854、及びLamらの文献, 1997, Proc. Int’l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760を参照されたく、これらの各々は引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている)。
具体的な実施形態では、本明細書に提供される組成物が、予防剤又は治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチド又はその親ペプチド)をコードする核酸である場合、該核酸は、それを適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、例えば、レトロウイルスベクター(米国特許第4,980,286号参照)の使用によって、又は直接注入によって、又は微粒子銃(例えば遺伝子銃; Biolistic, Dupont)の使用によって細胞内に入るように投与するか、又は脂質若しくは細胞表面受容体若しくはトランスフェクション剤でコーティングするか、又は核に移行することが知られているホメオボックス様ペプチドと結合させて投与すること(Joliotらの文献, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868参照)などによって、そのコードされた予防剤又は治療剤の発現を促進するためにインビボで投与することができる。あるいは、核酸を細胞内に導入し、相同組換えによる発現のために宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
具体的な実施形態では、本明細書に提供される組成物は、本明細書に提供される1つ、2つ又はそれ以上のペプチドを含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、本明細書に提供される1つ、2つ又はそれ以上のペプチド及び本明細書に提供されるペプチド以外の予防剤若しくは治療剤を含む。一実施形態では、該薬剤は、疾患又は病態の予防、管理、治療及び/又は寛解に有用であることが知られているか、又はそれらのために使用されてきたか、又は現在使用されている。予防剤又は治療剤に加えて、本明細書に提供される組成物は賦形剤も含んでよい。
本明細書に提供される組成物は、単位剤形の調製に使用することができる医薬組成物(例えば、対象又は患者への投与に適する組成物)の製造に有用なバルク薬物組成物を含む。一実施形態では、本明細書に提供される組成物は、医薬組成物である。そのような組成物は、予防有効量若しくは治療有効量の1以上の予防剤又は治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチド又は他の予防剤若しくは治療剤)、及び医薬として許容し得る賦形剤を含む。該医薬組成物は、対象への投与の経路に適するように製剤化することができる。
具体的な実施形態では、用語「賦形剤」はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全若しくは不完全)又はビヒクルを指すことができる。医薬賦形剤は、水及び油類、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、野菜、又は合成起源の油類を含む無菌液体であり得る。水は、医薬組成物が静脈内に投与される場合の例示的な賦形剤である。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液はまた、特に注射用溶液用の液体賦形剤として用いることができる。適切な医薬賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアリン酸、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。該組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤も含有することができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル剤、粉末、持続放出製剤などの形態をとることができる。経口製剤には、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤が含まれ得る。適切な医薬品賦形剤の例は、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences) (1990) Mack Publishing Co., Easton, PAに記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するように、適切な量の賦形剤と共に、精製された形態などで本明細書に提供される予防有効量又は治療有効量のペプチドを含有する。該製剤は、投与様式に適している必要がある。
一実施形態では、該組成物は、日常的な手順に従って、ヒトへの静脈内投与に適合した医薬組成物として製剤化される。典型的には、静脈内投与用の組成物は、無菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要に応じて、該組成物はまた、可溶化剤及び注射部位での痛みを緩和するためのリグノカイン(lignocamne)などの局所麻酔薬を含んでよい。しかし、そのような組成物は、静脈内以外の経路によって投与され得る。
一般に、本明細書に提供される組成物の成分は、単位剤形で、例えば、活性剤の量を示すアンプル又はサシェットなどの密閉容器内の凍結乾燥粉末又は水を含まない濃縮物として個別に又は混合されて供給される。該組成物が注入によって投与される予定の場合には、医薬品グレードの滅菌水又は生理食塩水を含む注入ボトルを用いて分配することができる。該組成物が注射によって投与される場合には、投与前に成分を混合することができるように、注射用の無菌水又は生理食塩水のアンプルを提供することができる。
本明細書に提供されるペプチドは、ペプチドの量を示すアンプル又はサシェットなどの密閉容器にパッケージ化することができる。一実施形態では、該ペプチドは、密閉容器内に乾燥滅菌された凍結乾燥粉末又は水を含まない濃縮物として供給され、例えば、対象に投与するのに適する濃度に水又は生理食塩水を用いて再構成することができる。凍結乾燥ペプチドは、元の容器内に2~8℃で保存することができ、該ペプチドは、再構成後6時間以内、5時間以内、3時間以内、又は1時間以内などの12時間以内に投与することができる。代替の実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、ペプチドの量及び濃度を示す密閉容器に液体形態で供給される。
本明細書に提供される組成物は、中性形態又は塩形態として製剤化することができる。医薬として許容し得る塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどの陰イオンで形成されるもの、及びナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものなどの陽イオンで形成されるものが含まれる。
疾患又は病態の予防及び/又は治療に有効である予防剤若しくは治療剤(例えば、本明細書に提供されるペプチド)、又は本明細書に提供される組成物の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、インビトロアッセイは、必要に応じて、最適な投与範囲を同定するのに役立つものとして用いられ得る。製剤に使用されるべき正確な用量はまた、投与経路、及び疾患又は病態の重篤度に依存し、医師の判断及び各患者の状況に応じて決定されるべきである。
有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験システムから導き出される用量応答曲線から推定され得る。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドの用量の患者への投与経路は、鼻腔内、筋肉内、静脈内、又はそれらの組み合わせであるが、本明細書に記載の他の経路も許容し得る。各用量は、同一の投与経路によって投与されても、又は投与されなくてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、本明細書に提供される他の用量の同じ又は異なるペプチドと同時に、又はその後に、複数の投与経路を介して投与され得る。
ある実施形態では、本明細書に提供されるペプチドは、対象に予防的又は治療的に投与される。本明細書に提供されるペプチドは、その疾患若しくは症状を予防、軽減又は寛解するために、対象に予防的又は治療的に投与することができる。
(5.7 キット)
本明細書に提供されるペプチドはまた、当業者に周知の包装材料を用いて製造品として提供することができる。米国特許第5,323,907号;同第5,052,558号;及び同第5,033,252号を参照されたい。医薬品包装材料の例としては、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、袋、バイアル、容器、注射器、並びに選択される製剤及び意図される投与様式及び治療に適する任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、医療従事者によって使用される場合、対象への適切な量の有効成分の投与を簡素化できるキットも本明細書に提供される。ある実施形態では、本明細書に提供されるキットは、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物の容器及び剤形を含む。
ある実施形態では、該キットは、本明細書に記載の1以上の他の治療剤(複数可)を含む容器中に、本明細書に提供されるペプチド又はそれを含む医薬組成物の剤形を含む容器を含む。
本明細書に提供されるキットは、有効成分を投与するために使用される装置をさらに含むことができる。そのような装置の例としては、注射器、針のないインジェクタードリップバッグ、パッチ、及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に提供されるキットはまた、有効成分の投与のためのコンドームを含むことができる。
本明細書に提供されるキットは、さらに、1以上の有効成分を投与するために使用できる医薬として許容し得るビヒクルを含むことができる。例えば、非経口投与用に再構成しなければならない固体形態で有効成分が提供される場合、該キットは、有効成分を溶解して、非経口投与に適する粒子を含まない無菌溶液を形成することができる適切なビヒクルの密閉容器を含むことができる。医薬として許容し得るビヒクルの例としては、注射用の水USP、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸リンゲル注射液が挙げられるが、これらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールを含むが、これらに限定されない水混和性ビヒクル;並びにコーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルを含むが、これらに限定されない非水性ビヒクルを含むが、これらに限定されない。
簡潔に説明するため、本明細書ではある種の略語が使用される。一例は、アミノ酸残基を表す一文字の略語である。アミノ酸とそれに対応する三文字及び一文字の略語は次のとおりである:
Figure 2022516574000013
本発明は、一般に、多数の実施形態を説明するために、肯定的な言語を使用して本明細書に開示される。本発明はまた、具体的には、物質又は材料、方法の工程及び条件、プロトコル、手順、アッセイ又は分析など、特定の主題が完全又は部分的に除外される実施形態を含む。そのため、本発明は、本発明が含んでいないものの観点から本明細書には一般的に表していなくても、本発明に明示的に含まれていない態様は、それにもかかわらず本明細書で開示される。
(6. 実施例)
以下は、本研究に用いられる様々な方法や材料の説明であり、本発明の作成方法及び使用方法の完全な開示並びに説明を当業者に提供するように述べられているものであり、本発明者らが発明とみなすものの範囲を限定するものでもなく、下の実験が実行され、実行され得る全ての実験であることを表すことを意図するものでもない。本時に書かれた例示的な記述は必ずしも実行されるわけではないが、むしろ本発明の教示に関連付けられるデータなどを生成するために説明が行われ得ることを理解されたい。使用される数値(例えば、量、パーセンテージなど)に関して正確性を確実にするための努力がなされているが、いくつかの実験的な誤り及び偏差を考慮する必要がある。
(6.1 実施例1 - P8ペプチドの変異体の生成)
P8ペプチド及びその変異体を、固相ペプチド合成により合成した。ペプチドは、p-ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂(Wang resin)を用いることによって調製した。全てのアミノ酸を、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)-誘導体(Nova Biochem)として結合させた。tert-ブチル基を側鎖の保護基として適用した。8M2及び8M2Dについては、20%無水酢酸溶液を樹脂に添加することにより、アセチル化修飾を行った。8M1、8M2、8M1D、及び8M2Dについては、ヘキサフルオロリン酸アザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加することによってアミド化を実行し、次いで、アンモニアガスを通過させて進めた。合成完了後に、ペプチドを樹脂から切断した。粗生成物を、使用前に約98%を超える程度まで逆相カラム(RP-HPLC)上の高速液体クロマトグラフィーによって精製した。
表1. P8及びその変異体ペプチドのペプチド配列
Figure 2022516574000014
注: -NH2はC末端アミド(-CONH2)を意味する;Acは、N末端アセチル化を意味する;dはD-アミノ酸を意味する。
(6.2 実施例2 - 新鮮なヒト血漿中のペプチドの代謝安定性)
P8、8M1、及び8M1Dを実施例1に従って生成し、純度は98.0%~99.0%の範囲であった。1.00mMの一次ストック溶液を、各ペプチドに対してアセトニトリル又はアセトニトリル:水(1:1、v/v)のいずれかで調製した。0.200mMの作業用ストックを、アセトニトリル:水(1:1、v/v)の一次ストックから作製し、反応のために使用した。一次ストック溶液及び作業用ストック溶液を、使用しないときには-20℃で保存し、使用時にはできるだけ短時間、室温で保管した。新鮮なヒトの血漿を、抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを添加することによって維持した。
インキュベーション手順を、異なるペプチドの0.2mM(作業用ストック溶液)5.00μLを、1.7mLのスナップチューブ中の新鮮なヒト血漿0.995mLに添加した際に開始した。インキュベーションの3、8及び24時間後に、2重の血漿のアリコート50.0μLを取り除き、反応を止めるように作用するメタノール150μLを含む抽出管に入れ、インキュベーションを終了した。各時点について、アリコートを、ボルテックス混合及び遠心分離によって直ちに抽出した。生じた上清を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)バイアルに保存し、全ての試料を抽出した後に、LC/MS/MSによって分析した。バラシクロビルを陽性対照として用いた。
インキュベーション溶液のLC/MS/MS分析を、質量分析計による検出前に、クロマトグラフィーを用いて、試験品のピークの初期分離により行った。LC/MSシステムは、TQS-Micro又はQuattro Premier (Waters, Milford, MA)と組み合わせたHPLCで構成されていた。ペプチド用の陽イオン化モードでエレクトロスプレーに設定したZスプレー源/界面で加熱窒素を用いて移動相を噴霧した。イオン化ペプチドを、Tandem Quadropole質量分析法(MS/MS)を用いて検出した。データを、MassLynx (Waters, Milford, MA)を用いて取得した。
ペプチド及びバラシクロビル対照のHPLCを、ガードカラムなしで、0.3mL/分の流量、カラム温度40℃、及びオートサンプラー温度10℃で行った。ペプチドのカラムは、MacMod ACE 2 Excel C18PFP, 100 X 2.1-mm, 2.0μmであり、対照用のカラムはWaters Atlantis T3, 150 X 2.1-mm, 5.0μmであった。ペプチドの注入ループ及び量は、それぞれ50.0μL及び20.0μLであり、対照用の注入ループ及び量は20.0μL及び2.00μLであった。ペプチド及びバラシクロビル対照の質量分析計については、供給源温度を150℃に設定し、脱溶媒和温度を350℃に設定し、極性をエレクトロスプレーイオン化法のポジティブモードに設定した。HPLC及び質量分析計の他のパラメータを下の表2.1、表2.2及び表3に示す。
表2.1. ペプチドのためのHPLC線形勾配プログラム
Figure 2022516574000015
表2.2. バラシクロビルのためのHPLC線形勾配プログラム
Figure 2022516574000016
注釈:溶媒Aは、水中0.1%のギ酸である;溶媒Bは、メタノール中0.1%のギ酸である。
表3. ペプチド及びバラシクロビルの質量分析計の条件
Figure 2022516574000017
LC/MS/MS分析の結果を下の表4にまとめ、異なるペプチドが新鮮なヒト血漿中で異なる速度で代謝されることが明らかになり、8M1Dが最も遅く、8M1が最も速かった。具体的には、ペプチドP8及び8M1Dは、新鮮なヒトの血漿中で比較的安定しており、8M1DはP8を上回った。
表4. P8、8M1、及び8M1Dの代謝安定性アッセイの結果
Figure 2022516574000018
(6.3 実施例3 - ラットにおける薬物動態研究)
血漿及びCSFにおけるペプチドP8、8M1D及び8M2Dの薬物動態(PK)を決定するために、ラットでインビボ研究を行った。静脈内(IV)及び皮下(SC)の2つの投与経路を介して各ペプチドを評価した。各ペプチドを用いて各用量群に3匹のラットを割り当てた。ペプチド当たり合計12匹のラットを使用した。研究設計を表5に示す。
表5. 各ペプチドについてのラットにおける薬物動態研究の設計
Figure 2022516574000019
頸静脈カニューレを介して血液を採取し、試料を、K2EDTAを有するチューブに集めた。4,000xgで、2~8℃の温度で5分間遠心分離を行った後、得られた血漿を等分のアリコートに分け、凍結し、-60~-80℃で保存した。1つのアリコートはPK分析用であり、もう1つはAβ分析用であった(実施例4参照)。
CSF採取は、最初に、80mg/kgのケタミンと8mg/kgのキシラジンの混合物を用いて、指定した時点(表5参照)で動物を麻酔することによって行った。麻酔の深さをつま先のピンチによって監視した。CSFを大槽(約0.05mL)を介して採取し、等しいアリコートに分け、凍結し、-60~-80℃で保存した。
8M1Dと8M2Dの両方が、Cmax及びその後のほとんどの時点で血漿中のP8より曝露が良好であった(下の表6、7、及び8参照)。8M2Dより8M1Dで曝露がやや高かった。8M1D及び8M2Dは、P8よりも長く血漿中で検出可能であった。具体的には、8M1D及び8M2Dは、投与後も4時間及び6時間でなお検出可能であったが、P8は2時間後には検出できなかった。
表6. ラットにおけるP8のPK研究の結果
Figure 2022516574000020
表7. ラットにおける8M1DのPK研究の結果
Figure 2022516574000021
表8. ラットにおける8M2DのPK研究の結果
Figure 2022516574000022
表9、10、及び11に示すように、8M1Dと8M2Dの両方は、Cmax及びその後のほとんどの時点でCSF中のP8より曝露が良好であった。CSFの曝露は8M1Dより8M2Dで高かった。8M1D及び8M2Dはまた、P8よりもはるかに長い時間、CSF中で検出可能であった。具体的には、8M1Dは8時間の時点でまだ検出可能であり、8M2Dは投与後12時間の時点で検出可能であったが、P8は2時間後には検出できなかった。
表9. ラットにおけるP8のPK研究の結果
Figure 2022516574000023
表10. ラットにおける8M1DのPK研究の結果
Figure 2022516574000024
表11. ラットにおける8M2DのPK研究の結果
Figure 2022516574000025
ペプチドP8及び8M2Dの薬物動態(PK)を、特に血漿及びCSFで比較した。同様に、各試験品を、2つの投与経路IV及びSCにより評価した。試験品あたり用量群あたりN=3。結果を図1A~1Dに示す。図のように、血漿中において8M2Dは、Cmax及びその後のほとんどの時点でP8よりも曝露が良好であった。8M2Dはまた、P8よりも長く血漿で検出可能であった(投与後2時間で検出できなくなったP8と比較して、投与後4時間及び6時間の時点で)。同様に、CSFにおいて、8M2Dは、Cmax及びその後のほとんどの時点でP8よりも曝露が高かった。8M2Dはまた、P8よりもはるかに長い間CSFで検出可能であった(投与後2時間で検出できなくなったP8と比較して、投与後最大12時間)。
8M2Dの薬物動態(PK)を、1日目及び13日目に、トランスジェニックマウスにおいて様々な用量でさらに分析した(APPSWE (B6; SJL 2576 Kha; Taconic))。Hsiaoらの文献、トランスジェニックマウスにおける相関記憶障害、Aβ上昇、及びアミロイドプラーク(Correlative memory deficits, Aβ elevation, and amyloid plaques in transgenic mice. Science) 274:99-102 (1996);及びHaugabookらの文献、ホスファチジルイノシトールキナーゼ阻害剤のワートマニンの経口投与後のアルツハイマー病のTg2576動物モデルにおけるAベータ蓄積の低下(Reduction of Abeta accumulation in the Tg2576 animal model of Alzheimer's disease after oral administration of the phosphatidyl- inositol kinase inhibitor wortmannin) Faseb J 15:16-18 (2001)を参照されたい。結果を表12及び図2に示す。
表12. トランスジェニックマウスにおける8M2DのPK分析
Figure 2022516574000026
(6.4 実施例4 - ラット血漿中のAβ40の低下におけるP8、8M1D及び8M2Dの有効性)
ラット(ペプチドあたりn=3)にP8、8M1D、又は8M2D(10mg/kg)を皮下投与し、血漿を投与後0、6、12、及び24時間に時点で採取し、Aβ40分析をELISA (Invitrogen)によって実行した。
結果(図3参照)から、8M2Dが、Aβ40の量をより大きな程度まで低下させるという点で、P8及び8M1Dよりも強力であることが明らかになった。具体的には、投与後12時間の時点で、8M2Dは、Aβ40を約35%低下させた;一方で、P8はAβ40を約22%低下させ、8M1DはAβ40を約27%低下させた。投与後24時間に時点で、8M2Dは依然として、約27%のAβ40の低下に長期的な影響を示し、約13%のAβ40の低下をもたらしたP8と比較して2倍を超えていた。8M2Dはまた、24時間の時点でAβ40に約19%の低下をもたらした8M1Dよりも優れていた。
表13. P8、8M1D及び8M2Dで治療したラットの血漿におけるAβ40の減少率
(結果はペプチドあたり3匹のラットの平均値を示す)
Figure 2022516574000027
Aβ42の低下に対するペプチドの効率を分析するために、同様の研究を行う。
(6.5 実施例5 - トランスジェニックマウスにおけるAβの低下におけるP8及び8M2Dの脳への送達と有効性)
ADのような疾患に対する任意の治療剤の開発に重要なのは、それを脳に送達できるという必須要件である。Aβの低下におけるP8及び8M2Dの脳への送達並びに有効性を、上の節6.3に記載したトランスジェニックマウスで分析した。
下の4A~4B及び表14に示すように、SC投与は、P8及び8M2DをAPPTgマウス脳に送達し、脳内のAβを低下させるのに十分な量で行う。具体的には、P8(図4A)及び8M2D(図4B)の投与後のAPPトランスジェニックマウスのCSFにおけるAβ分析は、SC投与を用いた標的関与、脳浸透及び有効性を示す(CSF及び脳における分析)。Aβを過剰発現するTgマウスにおける8M2Dの最大有効用量は、50mg/kg超である。これにより、Aβ42の65%の低下が生じる。用量を5倍増加させると、有効性がわずかに増加する。Tgマウスにおける最小有効用量を確立するために実験を行う。
表14. 脳の濃度
Figure 2022516574000028
(6.6 実施例6 - 網膜におけるAβの低下)
この実施例では、網膜におけるAβの蓄積を研究した。アルツハイマー病患者由来の人工多能性幹細胞(iPSC)から網膜細胞を分化させた。結果は、これらの網膜細胞がAβの産生の増加を示し、P8又は8M2Dの存在下で低下させることができることを示している。
加齢黄斑変性を有する患者からの網膜細胞内のAβの低下におけるP8及び8M2Dの機能を試験するために、同様の実験を行う。

Claims (23)

  1. (i)N末端アミノ酸Aspがアセチル化され、C末端アミノ酸Leuがアミド化される
    Figure 2022516574000029
    の配列;
    (ii)N末端アミノ酸AspがDアミノ酸であり、C末端アミノ酸Leuがアミド化される
    Figure 2022516574000030
    の配列;又は
    (iii)N末端アミノ酸AspがDアミノ酸であり、アセチル化され、C末端アミノ酸Leuがアミド化される
    Figure 2022516574000031
    の配列
    を含むペプチド。
  2. 前記ペプチドが
    Figure 2022516574000032
    の配列を含む、請求項1記載のペプチド。
  3. 前記ペプチドが
    Figure 2022516574000033
    の配列を含む、請求項1記載のペプチド。
  4. 前記ペプチドが
    Figure 2022516574000034
    の配列を含む、請求項1記載のペプチド。
  5. 配列番号3、配列番号4又は配列番号5の配列を含む第1のドメイン、及び第2のドメインを含むペプチド。
  6. 前記第2のドメインがFcドメインを含む、請求項5記載のペプチド。
  7. 前記第2のドメインが精製ペプチドを含む、請求項5記載のペプチド。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド及び医薬として許容し得る賦形剤を含む医薬組成物。
  9. 細胞内のプレセニリン-1(PS-1)及び/又はプレセニリン-2(PS-2)とβ-アミロイド前駆体タンパク質(β-APP)の結合を減衰させる方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド又は請求項8記載の医薬組成物と細胞とを接触させることを含む、前記方法。
  10. 細胞内のアミロイドβの産生を減衰させるか、アミロイドβ活性を減衰させるか、タウタンパク質の産生を減衰させるか、又はタウタンパク質活性を減衰させる方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド又は請求項8記載の医薬組成物と前記細胞とを接触させることを含み、必要に応じて、アミロイドβ活性がアミロイドβ誘導シグナル伝達であり、必要に応じて、タウタンパク質活性がタウタンパク質誘導シグナル伝達である、前記方法。
  11. 対象においてアミロイドβの産生を減衰させるか、アミロイドβ活性を減衰させるか、タウタンパク質の産生を減衰させるか、又はタウタンパク質活性を減衰させる方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の治療有効量のペプチド又は請求項8記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含み、必要に応じて、アミロイドβ活性がアミロイドβ誘導シグナル伝達であり、必要に応じて、タウタンパク質活性がタウタンパク質誘導シグナル伝達である、前記方法。
  12. 前記アミロイドβがアミロイドβ40である、請求項10又は11記載の方法。
  13. 前記アミロイドβがアミロイドβ42である、請求項10又は11記載の方法。
  14. 対象における疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド又は請求項8記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  15. 前記疾患又は障害が、アミロイド(若しくはアミロイドβ)関連疾患又は障害、アミロイド線維形成に関連付けられる疾患又は障害、凝集又は沈着、神経疾患、又は神経変性疾患である、請求項14記載の方法。
  16. 前記疾患又は障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性脳損傷、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、及び認知症からなる群から選択される、請求項14記載の方法。
  17. 前記疾患又は障害が、前頭側頭型認知症、ピック病に関連付けられる前頭側頭型変性症、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、虚血性血管性認知症(IVD)、レビー小体型認知症、及びアルツハイマー型認知症からなる群から選択される認知症又は認知症関連疾患若しくは障害である、請求項14記載の方法。
  18. 前記疾患又は障害が、眼障害又はダウン症である、請求項14記載の方法。
  19. 前記眼障害がアルツハイマー病に関連する、請求項18記載の方法。
  20. 前記眼障害が黄斑変性であり、必要に応じて、前記黄斑変性が加齢黄斑変性(AMD)である、請求項18記載の方法。
  21. 前記疾患又は障害が、伝達性海綿状脳症、脳アミロイド血管症、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、軽度認知障害、孤発性封入体筋炎及び加齢黄斑変性からなる群から選択される、請求項14記載の方法。
  22. 対象の記憶を改善する方法であって、治療有効量の請求項1~7のいずれか一項記載のペプチド又は請求項8記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、前記方法。
  23. 前記対象がヒト対象である、請求項11~22のいずれか一項に記載の方法。
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