JP2019522675A - 興奮製神経毒性に関連した損傷の治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アミノ酸配列YEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 1)、又はその機能的変異体を含む、中枢神経系損傷を治療する活性ペプチドであるペプチドを提供する。また、本発明は、活性ペプチドと内因性ペプチドとを含むキメラペプチドを提供する。さらに、本発明は、活性ペプチド又はキメラペプチドを含む医薬組成物、及び活性ペプチド又はキメラペプチドの医学的用途を提供する。

Description

本発明は、医療の分野に関し、特に、中枢神経系損傷を治療するためのペプチド、組成物及び方法を提供する。
脳卒中は、中老や高齢者の急性脳血管疾患であり、且つ若年層への進展する傾向がある。それは、現在、世界中にヒトに最も有害である3つの疾患(癌、心血管疾患、糖尿病)の一つである。我が国では、毎年、約300万人が脳血管疾患に起因して死亡し、米国やヨーロッパよりも4〜5倍高く、日本の3.5倍であり、タイやインドなどの発展途上国よりもさらに高くなっている。発病率が年間のあたり8.7%の速率で上昇し、再発率が30%を超え、5年内に再発率が54%に達し、脳卒中患者の生存者の75%が様々な程度で作業能力を失い、重度の障害が40%である。
脳卒中は、虚血性脳卒中及び出血性脳卒中という2つの種類に大きく分けることができ、虚血性脳卒中は、脳卒中患者の総数の85%を占める。現在、虚血性脳卒中の治療薬は、主に次の種類:血管拡張剤(例えば、ジピリダモールなど)、微小循環を改善し、血液容量を拡張する薬物(例えば、低分子デキストランなど)、血栓溶解薬(例えば、ウロキナーゼなど)、抗凝固療法、(例えば、アスピリン)、中国医学、神経保護などを防ぐために、キナーゼ)、抗凝固療法、血小板凝集防止剤(例えば、アスピリンなど)、漢方薬、神経細胞保護剤などに分けられるが、これらの薬は、ほとんど副作用が大きく、潜在的なリスクがあり、又は治療効果が著しくない問題を持っているため、脳卒中の発病メカニズムを検討してその発病メカニズムに対して医薬品開発を行い、脳血管疾患の発生や進展を予防及び治療するために重要な社会的意義を持っている。
脳卒中は、局所虚血領域、脳出血領域及び/又は創傷領域における神経細胞死であることを特徴とする。脳虚血により引き起こされる神経細胞死又は損傷は、カスケード反応のプロセスであり、脳虚血後、組織の血液灌流が減少し、興奮性神経伝達物質が増加し、NMDA及びAMPA受容体を活性化させ、イオンチャネルの開放、カルシウムイオンの流入を引き起こし、多くの酵素を活性化させてシグナルカスケード反応をもたらし、複数の経路における神経細胞損傷を誘発する。その下流のシナプス後密度95タンパク質(PSD−95)は、様々なタンパク質との相互作用を介して一連の虚血性損傷を引き起こし、脳虚血損傷の鍵サイトであり、同時に薬物療のための潜在的な標的であるため、PSD−95阻害剤の研究開発は、脳卒中を含む多種の興奮性神経毒性による神経系損傷に対して非常に大きい薬用意義を持っている。
また、研究によれば、興奮性神経伝達物質NMDAは、不安、てんかん、及び様々な神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病又はハンチントン病などにおいて重要な役割を果たしていることが示されている。例えば、研究によれば、中枢におけるグルタミン酸作動系の過剰興奮は不安をもたらすことができ、且つNMDA受容体(NMDAR)は、グルタミン酸興奮性神経毒性の主要な部分を担っていることが示されている。てんかんの発作は、起動、発作性放電の維持及び拡大、並びに発作性放電の抑制という3つの異なる連続病態生理学的プロセスを含み、該プロセスにおいてグルタミン酸、アスパラギン酸などの興奮性神経伝達物質は重要な役割を果たしている。アルツハイマー病では、PSD−95 はGluR6−PSD−95−MLK3経路により、それにつながる神経毒性のメカニズムに関与している。さらに、ハンチントン病では、PSD−95はNMDA受容体、及びハンチンチンの突然変異体の神経毒性のメディエーターである。したがって、PSD−95阻害剤の研究開発は、上記の疾患の治療、改善及び予防のためにも重要な意味を持っている。
第1の態様によれば、本発明は、アミノ酸配列YEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 1)、又はその機能的変異体を含むペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGVセグメントに1つ又は複数の保存的置換によって生成された変異体である。いくつかの実施形態において、LDTGGVセグメントにおけるGGは置換されていない。
いくつかの実施形態において、保存的な置換は、DとEの間、L、VとIの間、及びTとSの間の置換からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGVセグメントを、VDTGGV、VDTGGI、VDTGGL、VDSGGV、VDSGGI、VDSGGL、VETGGV、VETGGI、VETGGL、VESGGV、VESGGI、VESGGL、LDTGGV、LDTGGI、LDTGGL、LDSGGV、LDSGGI、LDSGGL、LETGGV、LETGGI、LETGGL、LESGGV、LESGGI、LESGGL、IDTGGV、IDTGGI、IDTGGL、IDSGGV、IDSGGI、IDSGGL、IETGGV、IETGGI、IETGGL、 IESGGV、 IESGGI、及びIESGGLからなる群より選ばれる配列のいずれかで置換することによって生成される変異体である。
第2の態様によれば、本発明は、活性ペプチド及び内因性ペプチドを含むキメラペプチドを提供し、その中で、前記活性ペプチドは、第1の態様に記載のペプチドであり、前記内因性ペプチドは、前記キメラペプチドが細胞に取り込まれることを促進することができる。
いくつかの実施形態において、内因性ペプチドは、アミノ酸配列YGRKKRRQRRR(SEQ ID NO: 2)を含む。
いくつかの実施形態において、キメラペプチドは、アミノ酸配列YGRKKRRQRRRYEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 3)を含む。
第3の態様によれば、本発明は、第1の態様に記載のペプチド又は第2の態様に記載のキメラペプチド、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、中枢神経系損傷を治療するために用いられ、又は神経保護剤として用いられる。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、虚血性脳卒中に起因する神経系損傷を治療するために用いられるものである。
第4の態様によれば、本発明は、第1の態様に記載のペプチド、又は第2の態様に記載のキメラペプチド、又は第3の態様に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象(個体)に投与する中枢神経系損傷を治療する方法を提供する。
いくつかの実施形態において、対象(個体)は、虚血性脳卒中に罹患している対象(個体)である。
第5の態様によれば、本発明は、第1の態様に記載のペプチド、又は第2の態様に記載のキメラペプチド、又は第3の態様に記載の医薬組成物の、中枢神経系損傷を治療するための医薬或いは神経保護剤の製造における使用を提供する。
いくつかの実施形態において、前記医薬は、虚血性脳卒中に起因する神経系損傷を治療するために用いられるものである。
プルダウン実験でP6と PDZ1/2ドメインとの相互作用を検出することを示している図である。Mはタンパク質分子量マーカーを表し、レーン1はHis+PDZ1/2+P6であり、レーン2はHis+PDZ1/2であり、レーン3は単独のP6であり、レーン4はHis+P6である。レーン1に示す溶出バンドには、P6及びPDZ1/2の両方を含み、 P6がPDZ1/2ドメインとを結合できることが裏付けられる。 ポリペプチドP6がラットMCAOモデルの脳切片に対するTTC染色を示す図である。a. 通常群、b.偽操作群(シャム群)、c. モデル群、d. 陽性対照薬ブチルフタリド(NBP)注射群、e. NA−1、10mg/kg体重、f. YE−NA−1、10mg/kg体重、g. P6−10mg/kg体重、h. P6−3 mg/kg体重、i. P6−1mg/kg体重、j. 予防投与群P6−10mg/kg体重、k. 予防投与群P6−3mg/kg体重、l. 予防投与群P6−1mg/kg体重。 ポリペプチドP6の異なる用量群がラットMCAOモデルの治療及び予防投与で、脳梗塞体積の統計的データを示す図である。**p<0.01。 ラット脳におけるポリペプチドP6の分布を示す図である。 ラットの脳のTTC染色を示す図である。 ラット脳のパラフィン切片のHE染色の結果を示す図である。A:通常群、B:偽操作群、C:モデル群、D:陽性対照投与群、E:NA−1、F:YE−NA−1群、G:P6群、H:P6予防投与群。
本願の発明者らは、当技術分野で報告された少なくとも一部のNMDAR興奮性神経毒性に媒介される神経障害の損傷効果を低減することができるペプチドを検討した。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、このようなペプチドの少なくとも一部は、NMDARとシナプス後肥厚部95タンパク質(PSD−95)との間の相互作用を阻害することにより機能する(すなわち、PSD−95阻害剤)と考えられている。これこれに基づいて、本出願の発明者らは、虚血性脳卒中の治療のための複数のターゲットに対して深く検討し、生体内外の薬理学的及び薬力学実験を介してポリペプチドの神経保護剤を設計し、スクリーニングし、そしてスクリーニングにより望ましい特性を有するペプチドが得られた。
定義
特に断らない限り、本明細書に記載された用語は、一般的に、当業者によって理解される意味を有する。
本明細書に記載のアミノ酸に対して単一文字又は3文字の略語は、国際慣習に従っているものである。
用語「キメラペプチド」は、自然に互いに結合していないペプチド成分を有するペプチドを意味する。前記2つのペプチド成分は、融合タンパク質として、又は化学結合によって互いに結合されてもよい。
用語「PDZドメイン」は、約90アミノ酸のモジュラータンパク質ドメインを意味し、脳シナプスタンパク質PSD−95、ショウジョウバエ(Drosophila)分離コネキシンディスク・ラージDiscs−Large(DLG)、及び上皮タイトジャンクションタンパク質Z01とが高い配列同一性(例えば、少なくとも60%)を有することを特徴とする。PDZドメインは、ディスク・ラージホモログリピート(「DHRs」)及びGLGFリピートとしても呼ばれている。PDZドメインは、通常、コアコンセンサス配列(Doyle, D. A., 1996,Cell 85:1067−76)を保持することを示す。例示的なPDZドメイン含有タンパク質及びPDZドメイン配列は、米国特許出願No. 10/714,537に開示された。
用語「NMDA受容体」又は「NMDAR」は、NMDAと相互作用することが知られている膜関連タンパク質を指す。これらの受容体は、ヒト又は非ヒト(例えば、マウス、ラット、ウサギ、及びサルなど)であってもよい。
用語「特異的結合」とは、2つの分子(例えば、リガンドと受容体)間の結合を指し、多くの他の異なる分子の存在下であっても、1種の分子(例えば、リガンド)と他の1種の特定の分子(例えば、受容体)に結合する能力、すなわち、異種分子の混合物中に、1種の分子と別の1種の分子に優先的に結合する能力を特徴とする。リガリガンドと受容体との特定的結合も、次のように、過剰量の非標識リガンドが存在する場合、検出可能に標識されたリガンドと受容体との結合が低下した(すなわち、結合競合実験)ことが実証された。
用語「統計的に有意」とは、p値が0.05未満(p<0.05)で、好ましくは0.01未満(p<0.01)で、最も好ましくは0.001未満(p<0.001)であることを意味する。
用語「機能的変異体」は、母体(親)が同一又は類似の生物学的機能及び特性を有する変異体を指す。非限定的な例として、「機能的変異体」は、母体における1つ又は複数の保存的置換を行うことによって得られてもよい。
用語「内因性ペプチド」は、細胞透過性ペプチドとも呼ばれ、タンパク質薬物の分野で広く用いられ、その機能は、それに結合した活性ペプチドが細胞に取り込まれ、及び吸収されることを促進することである。非限定的な例として、内因性ペプチドは、Tatペプチドであってもよく、その中で、Tatペプチドの非限定的な例としては、YGRKKRRQRRR(SEQ ID NO: 2)であってもよい。
第1の態様によれば、本発明は、アミノ酸配列YEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 1)、又はその機能的変異体を含むペプチドを提供する。前記ペプチドは、本明細書に「活性ペプチド」とも呼ばれ、本発明のキメラペプチドにおいて、中枢神経系損傷の治療のために、又は神経保護剤の活性部位として用いられる。
既存の研究では、NMDARとPSD−95との間の相互作用を阻害する活性ペプチドは、NMDARの構造に基づくものである。例えば、NMDAR2B(GenBank ID 4099612)は、C末端における20個のアミノ酸のFNGSSNGHVYEKLSSLESDV、及びPLモチーフESDVを有する。いくつかの活性ペプチドは、NMDAR2BのC末端の一部アミノ配列を選択することにより、NMDAR2BとがPSD−95に対する競争阻害を生じる。ある研究では、上記ペプチドにおけるESDV又はLESDVセグメントは、NMDARとPSD−95タンパク質との相互作用を阻害することで重要な役割を果たしていることが考えられる。本出願の発明者は、任意の理論に縛られず、驚くべきことに、本明細書に記載の活性ペプチドYEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 1)中に、PLモチーフに対して変更した(疎水性が比較的強いグリシン(GG)2つの増加を含む)同時に、PLモチーフに対してN末端方向におけるYEKLアミノ酸配列を増加したことを見出し、本発明ではこのような変更が活性ペプチドとPDZ1/2ドメインとの相互作用を高めることが裏つけられる。同時に、YEKLモチーフに対して、そのC末端におけるLDTGGVセグメントは、変更することができ、活性ペプチドの活性に影響を及ぼさなく、又はその活性を高める可能性があることが予想されている。したがって、いくつかの実施形態において、本発明に係る機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGVセグメントに1つ又は複数の保存的置換によって生成された変異体である。
いくつかの実施形態において、保存的な置換は、DとEの間、L、VとIの間、及びTとSの間の置換からなる群から選ばれる。いくつかの実施形態において、LDTGGVセグメントにおけるGGは置換されていない。
いくつかのさらに具体的な実施形態において、機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGVセグメントをVDTGGV、VDTGGI、VDTGGL、VDSGGV、VDSGGI、VDSGGL、VETGGV、VETGGI、VETGGL、VESGGV、VESGGI、VESGGL、LDTGGV、LDTGGI、LDTGGL、LDSGGV、LDSGGI、LDSGGL、LETGGV、LETGGI、LETGGL、LESGGV、LESGGI、LESGGL,IDTGGV、IDTGGI、IDTGGL、IDSGGV、IDSGGI、IDSGGL、IETGGV、IETGGI、IETGGL、IESGGV、IESGGI、及びIESGGLからなる群より選ばれる配列のいずれかで置換することによって生成される変異体である。
いくつかの実施形態において、本発明に記載の機能的変異体は、前記ペプチドと少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含む。本領域で既に分かるように、2種の蛋白質の間の「同一性(アイデンティティ)」は、1種のタンパク質のアミノ酸配列と、その保守的アミノ酸で置換された第2種の蛋白質の配列との比較によって決定される。2種のタンパク質の間の同一性の程度は、当業者に周知のコンピュータアルゴリズム及び方法によって決定される。2つのアミノ酸配列の間の同一性は、好ましくは、BLASTPアルゴリズムによって決定される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の機能的変異体は、上記ペプチドに比べると、上記で開示された具体的なペプチドと異なっている1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上のアミノ酸残基の置換、削除、追加、及び/又は挿入を有する。
前述のように、機能的変異体は、1つ又は多数の置換、削除、追加、及び/又は挿入により、上記で開示された特定のペプチドから区別することができる。これらの変異体は、天然に存在し又は合成的に生成したものでもよい。例えば、本明細書に記載の上記ペプチド配列の1つ以上を修飾し、本明細書に記載の当該分野によく知られている様々な技術のいずれかでその生物活性を評価することができる。
第2の態様によれば、本発明は、活性ペプチド及び内因性ペプチドを含むキメラペプチドを提供し、その中で、前記活性ペプチドは、第1の態様に記載のペプチドであり、前記内因性ペプチドは、前記キメラペプチドが細胞に取り込まれることを促進することができる。
活性ペプチド及び内因性ペプチドをキメラペプチドに組み込む主な目的は、より良好に活性ペプチドを作用の標的に送達することにあると、当業者によって理解されるべきである。また、当業者は、活性ペプチドの作用ターゲットが主に神経細胞内にあるために、神経細胞に特異的に適合することができる内因性ペプチドが好ましいと、理解すべきである。いくつかの実施形態において、内因性ペプチドはTatペプチドであってもよい。いくつかの実施形態において、Tatペプチドのアミノ酸配列はYGRKKRRQRRR(SEQ ID NO: 2)である。いくつかの実施形態において、キメラペプチドは、アミノ酸配列YGRKKRRQRRRYEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 3)を含む。
内因性ペプチドは、アミド結合を介して活性ペプチドに連結されて融合ペプチドを形成することができると理解すべきであるが、また、化学結合などの他の適切な手段を介して連結されてもよい。2つのコンポーネントのカップリングは、カップリング剤や接合剤により実現できる。このような試薬の多くは市販されており、S.S.Wong, Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking, CRC Press(1991)に記載されている。架橋剤のいくつかの例としては、J−スクシンイミド−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPOP)又はN、N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N、N’−エチリデン−ビス−(ヨードアセトアミド)又は、6〜11個の炭素メチレン橋(carbon methylene bridges)を有する他のこのような試薬(これはチオール基に対して比較的特異的である)、及び1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(それとアミノ基及びチロシン基とが不可逆的な結合を形成する)が挙げられる。その他の架橋剤は、P,P’−ジフルオロ−m,m’−ジニトロジフェニルスルホン(これはアミノ基とフェノール基と不可逆的な架橋を形成する)、ジエチルアミンヘキサン酸ジメチル(これはアミノ基に特異的である)、フェノール−1,4−ジスルホニルクロライド(これは主にアミノ基と反応する)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート又はジイソチオシアネート、又はフェニルアゾーpージイソシアネート(これは主にアミノ基と反応する)、グルタルアルデヒド(これはいくつかの異なる側鎖と反応する)及びビスジアゾ化ベンチジン(これは主にチロシンやヒスチジンと反応する)。
また、上記のようなペプチドは、必要に応じて誘導体化(例えば、アセチル化、リン酸化、及び/又はグリコシル化)を行って、それらの阻害剤に対する親和性を促進し、阻害剤の細胞膜を横切る輸送能を促進し、又はその安定性を促進することができる。
本発明に係る活性ペプチド、及びそれを内因性ペプチドに融合した融合ペプチドは、固相合成法又は組換え方法で合成される。ペプチドミメティクスは、科学文献及び特許文献に記載の様々なプロトコルや方法により合成することができ、前記科学文献及び特許文献は、例えば、「Organic Syntheses Collective Volumes, Gilmanら(編集)John Wiley & Sons, Inc., NY, al−Obeidi(1998)Mol. Biotechnol. 9 :205−223; Hruby(1997) Curr. Opin. Chem. Biol. 1 : 114−119; 0stergaard(1997)Mol. Divers. 3: 17−27; 0stresh(1996) Methods Enzymol. 267: 220−234」が挙げられる。
第3の態様によれば、本発明は、第1の態様に記載のペプチド又は第2の態様に記載のキメラペプチド、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される活性ペプチド又はキメラペプチドは、医薬組成物の形で投与することができる。医薬組成物は、従来の方法、例えば、混合、溶解、造粒、錠剤化、研磨、乳化、カプセル化、捕捉、又は凍結乾燥という方法により調製することができる。
医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容される、活性ペプチドやキメラペプチドを薬学的に許容される製剤に調製しやすい担体、希釈剤、賦形剤又は補助原料を用い、従来の方法で製剤化することができる。適切な製剤は、選ばれる投与経路に依存する。
いくつかの実施形態において、投与は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、又は筋肉内であってもよい。好ましくは静脈内投与である。
いくつかの実施形態において、非経口投与のための医薬組成物は、好ましくは無菌、及び実質的に等張性である。注射については、活性ペプチド又はキメラペプチドを水溶液に加えて調製してもよく、好ましくは、(注射部位に不快感を低減させるために)生理学的に適合する緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、又は生理食塩水若しくは酢酸緩衝液に加えて調製する。当該溶液は、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの製剤化薬剤を含有してもよい。
あるいは、活性ペプチドやキメラペプチドは、使用前に適切な担体(滅菌非熱源水)から構成するための粉末形態であってもよい。
経粘膜投与については、浸透しようとするバリアに適した浸透剤が製剤中に用いられる。該投与経路は、化合物を鼻腔まで転送することに用いられ、又は舌下投与に用いられる。
いくつかの実施形態において、経口投与については、活性ペプチド又はキメラペプチドと薬学的に許容可能なキャリアと共に、タブレット、丸剤、錠剤、トローチ、カプセル、液体、ゲル(ジェル)、シロップ、スラリー、懸濁液などに調製して、患者の治療のために経口摂取することに用いられる。例えば、粉末、カプセル及びタブレットなどの経口固形製剤に対して適切な賦形剤は、乳糖、ショ糖、マンニトール及びソルビトール等の糖類などの充填剤、コーンスターチ、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び/又はポビドン(PVP)などのセルロース調剤、並びに造粒剤及び結合剤が挙げられる。必要に応じて、崩壊剤(例えば、架橋性のポリビニルピロリドン、寒天など)、又はアルギン酸若しくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)を添加することができる。必要に応じて、固形剤形は、標準的な技術を用いて、糖又は腸溶性コーティングで被覆することができる。例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤などのような経口液体製剤に対して適切な担体、賦形剤又は希釈剤は、水、グリセロール、油及びアルコールが挙げられる。さらに、香味剤、防腐剤、着色剤等を添加してもよい。
前述製剤に加えて、活性ペプチド又はキメラペプチドをデポー製剤として製剤化してもよい。そのような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)、又は筋肉内注射によって投与することができる。従っ従って、例えば、化合物は、適当なポリマー材料、又は疎水性材料(例えば、許容される油におけるエマルジョンとして調製され)、又はイオン交換樹脂と共に製剤化することができ、又は、例えば難溶性塩のような難溶性誘導体に製剤化することができる。
或いは、他の薬物送達システムを用いることができる。キメラペプチドは、リポソーム、エマルションを用いて送達することができる。また、例えばジメチルスルホキシドのようないくつかの有機溶剤をも用いることができる。さらに、化合物は、治療剤含有固体重合体の半透性基質のような徐放性システム(持続放出性製剤)を用いて送達することができる。
化学的性質によると、徐放性カプセルは、キメラペプチドを数週間乃至100日間以上まで放出することができる。治療剤の化学的性質と生物学的安定性によると、タンパク質の安定化のための他の策略を用いることができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている活性ペプチド又はキメラペプチドが荷電の側鎖又は末端を含むことができるため、それらは、遊離酸もしくは塩基として、又は薬学的に許容される塩として前記製剤のいずれかに含めることができる。薬学的に許容される塩は、実質的に遊離塩基の生物学的活性を保持し、無機酸との反応しによって調製されたものである。医薬塩は、対応する遊離塩基のフォームよりも、水及び他のプロトン性溶媒中に溶けやすい傾向がある。
活性ペプチド又はキメラペプチドは、意図した目的を効果的に達成する(例えば、損傷的な脳卒中関連障害の損傷効果を低減させる)ための量で用いられる。治療有効量とは、本発明に係る活性ペプチド又はキメラペプチドで治療していない患者(又は動物モデル)対照グループにおける中枢神経系の損傷に対して、脳卒中に起因した損傷を有意に低減するのに十分な量を意味する。本明細書に記載の方法によって扱われていない比較可能な患者対照グループにおける平均出力(梗塞ボリューム又は障害指数によって測定される)に比べると、個体(対象)として治療された患者がより良い出力を達成した場合、この量は治療有効であると見なされる。個体として治療された患者がランキンスケール(Rankin scale)において2以下の障害を示しており、又はランキンスケールにおいて75以上を示している場合、この量も治療有効量であると考えられる。比較可能な、治療していないグループに比べると、治療された患者グループが障害スケールに有意な改善(すなわち、障害がより少ない)のスコア分布を示している場合、この用量も治療上有効であると考えられる(Leesら、N Engl J Med 2006; 354: 588−600を参照)。治療的に有効なレジメンは、治療的に有効な用量及び上記所望な目的を達成するために必要な投与頻度の組み合わせを表す。通常、単回投与で十分なものとすることができる。
いくつかの実施形態において、好ましい投与量範囲は、脳卒中後6時間以内患者体重1kgあたり活性ペプチド又はキメラペプチド0.001〜20μmolを含み、必要に応じて患者体重1kgあたり活性ペプチド又はキメラペプチド0.03〜3μmolとする。いくつかの方法において、6時間以内、患者体重1kgあたり活性ペプチド又はキメラペプチド0.1〜20μmolを投与する。いくつかの方法において、6時間以内、患者体重1kgあたり活性ペプチド又はキメラペプチド0.1〜10 μmolを投与し、より好ましくは、 6時間以内、患者体重1kgあたり活性ペプチド又はキメラペプチド約 0.3μmolを投与する。また、他の場合、用量範囲は患者体重1kgあたり活性ペプチド又はキメラペプチド0.005〜0.5μmolである。6.2で除することにより、異なる表面積:質量比を補償して体重1kgあたりの用量をラットからヒトに変換することができる。グラムで計算し、ヒトに適用される活性ペプチド又はキメラペプチドの適切な用量は、患者体重0.01〜100mg/kgを含み、又はより好ましくは患者体重0.01〜30mg/kg、又は0.01〜10mg/kg、又は0.01〜1mg/kgを含む。
いくつかの実施形態において、投与される活性ペプチド又はキメラペプチドの量は、治療されている被験者の体重、痛みの重症度、投与方法、処方医師の調整に依存している。症状が検出可能か、又は検出不能の時に、治療を繰り返すことができる。治療には、単独又は他の薬と組み合わせてを提供することができる。
本明細書に記載の活性ペプチド又はキメラペプチドの治療に有効な投与量は、有意な毒性を引き起こすことがなく、治療上の有益効果を与えることができる。キメラペプチドの毒性は、標準的な薬学的手順によって細胞培養又は実験動物において測定し、例えば、LD50(個体群群の50%を殺す用量)やLD1OO(個体群群の100%%を殺す用量)を測定して決定することができる。毒性効果と治療効果との用量比は、治療指数である。高い治療指数を示しているキメラペプチド又はペプチドミメティクスが好ましい(例えば、Fingl等、1975、In: The Pharmacological Basis of Therapeutics、第1章、第1頁を参照)。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、神経系損傷又は該損傷による病気や痛みを治療、改善又は予防するために用いられ、あるいは神経保護剤として用いられる。いくつかの実施形態において、前記神経系損傷は、興奮性神経毒性に起因した神経系損傷であり、前記損傷は末梢神経系若しくは中枢神経系に位置する。
いくつかの実施形態において、興奮性神経毒性に起因した神経系損傷は、脳卒中又は脊髄損傷、脳や脊髄の虚血性又は外傷性損傷、及び急性中枢神経系損傷を含む中枢神経系(CNS)における神経細胞(ニューロン)損傷、虚血性脳卒中又は脊髄損傷、並びに低酸素症、虚血、機械的損傷、及び神経変性疾患、不安、てんかん、脳卒中による損傷を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、虚血性脳卒中に起因する神経系損傷を治療、改善又は予防するために用いられるものである。
脳卒中は、中枢神経系中の被害の血流に起因した障害である。可能な原因は、塞栓、出血、血栓を含む。いくつかの神経細胞(ニューロン)は、被害の血流に起因してすぐに死亡する。これらの細胞は、その構成分子(グルタミン酸を含む)を放出し、そして前記構成分子はNMDA受容体を活性化させ、前記NMDA受容体が細胞内カルシウムレベル及び細胞内酵素レベルを高め、これにより、さらに多くの神経細胞死(興奮性神経毒性カスケード増幅)にさせる。中枢神経系組織の死亡を梗塞と言われる。梗塞体積(すなわち、脳中に脳卒中による死亡の神経細胞の体積)は、脳卒中による病理学的損傷の程度の指標として使用できる。症候性効果は、梗塞の体積と梗塞の脳における存在場所との両方に依存している。障害指数は、症候性損傷の尺度(指標)、例えば、ランキン卒中出力ランキンスケール(Rankin Stroke Outcome Scale, Rankin, Scott MedJ; 2: 200−15(1957))及びバーテルインデックス(Barthel Index)として用いることができる。ランキンスケールは、次のとおり患者の全身状態(全身症状)を直接に評価することに基づいている。
0: 症状がまったくない。
1: 症状があるが、重大な障害がなく、日常の仕事や活動を実行できる。
2: 軽度の障害で、すべての以前の活動を実行することができないが、助けなしに自分の身辺の世話をすることができる。
3: いくつかの助けを必要となる中等度の障害であるが、助けなしに歩くことができる。
4: 中等度から重度の障害であり、助けなしに歩くことができなく、助けがなければ自分の体の世話をすることができない。
5: 重度の障害であり、寝たきり、失禁、且つ持続的なケアと注意を必要とする。
Barthelインデックスは、患者の日常生活における10種類の基本的な活動を実施する能力について一連の質問に基づき、前記質問から0と100の間のスコアを得、低いスコアはより多くの障害を表す(Mahoneyら、 Maryland State Medical Journal 14:56−61(1965))。
或いは、Web上ninds.nih.gov/doctors/NIH_Stroke_Scale_Booklet.pdfから入手可能であるNIH脳卒中スケールを用いて脳卒中の重症度/出力を測定することができる。該スケールは、患者の意識、運動、感覚、言語機能のレベルの評価を含む11グループの機能を実行する患者の能力に基づいている。
虚血性脳卒中は、より明確に、脳への血流の閉塞による脳卒中の1種類であることを指定している。そのような閉塞の潜在的な病状は、最も一般的に、血管壁に沿って脂肪沈着が起こっていることである。この病症(状態)は、アテローム性動脈硬化症と呼ばれている。これらの脂肪沈着は、2種類の閉塞を引き起こす可能性がある。脳血栓症は、血管の閉塞部で形成された血栓(血塊)を指す。「脳塞栓症」は、通常、様々な塞栓(例えば、心臓内の壁性血栓、動脈硬化性プラーク、脂肪、腫瘍細胞、線維軟骨又は空気など)のような血流に伴って脳動脈に入って血管を閉塞し、側副循環で補償できない場合、該脳動脈での血液供給領域における脳組織が虚血性壊死を引き起こして局所神経障害となっていることを意味する。塞栓症の第2の要因は、動脈細動と呼ばれる不整脈である。これは、次の病症を引き起こし、その中、血塊が心に形成し、移動して脳に転送されることが可能である。虚血性脳卒中の他の潜在的な原因は、出血、血栓、動脈や静脈の切断、心停止、何らかの原因(出血を含む)によるショック、及び脳血管又は脳に導入する血管に対する外科的損傷或いは心臓手術に行く医原性原因が挙げられる。虚血性脳卒中は、すべての脳卒中症例の約83%を占めている。
いくつかの他の神経学的病症(障害)は、NDMARにより媒介される興奮性神経毒性による神経細胞死を引き起こす可能性もある。上記病症(障害)は、神経変性疾患、不安、てんかん、低酸素症、脳卒中と関係のないCNSへの損傷、例えば外傷性脳損傷及び脊髄損傷などが挙げられる。したがって、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、神経変性疾患、不安又はてんかんを治療、改善又は予防するために用いられ、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、及びハンチントン病を含む。
第4の態様によれば、本発明は、第1の態様に記載のペプチド、又は第2の態様に記載のキメラペプチド、又は第3の態様に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象(個体)に投与する神経系損傷及び損傷に関連した疾患若しくは疼痛、神経変性疾患、不安、又はてんかんの治療、改善又は予防方法を提供する。
いくつかの実施形態において、興奮性神経毒性に起因した神経系損傷は、脳卒中又は脊髄損傷、脳や脊髄の虚血性又は外傷性損傷、及び急性中枢神経系損傷を含む中枢神経系における神経細胞損傷、虚血性脳卒中又は脊髄損傷、並びに低酸素症、虚血、機械的損傷、及び神経変性疾患、不安、てんかん、脳卒中による損傷を含む。
いくつかの実施形態において、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、及びハンチントン病を含む。
いくつかの実施形態において、対象(個体)は、虚血性脳卒中に罹患している対象(個体)である。いくつかの実施形態において、本発明に係る第1の態様に記載のペプチド、又は第2の態様に記載のキメラペプチド、又は第3の態様に記載の医薬組成物の投与によれば、脳虚血に起因した脳梗塞部分の体積を低減することができる。
第5の態様によれば、本発明は、第1の態様に記載のペプチド、又は第2の態様に記載のキメラペプチド、又は第3の態様に記載の医薬組成物の、神経系損傷及び損傷に関連した疾患若しくは疼痛、神経変性疾患、不安、又はてんかんの治療、改善又は予防のための医薬又は神経保護剤の製造における使用を提供する。
いくつかの実施形態において、興奮性神経毒性に起因した神経系損傷は、脳卒中又は脊髄損傷、脳や脊髄の虚血性又は外傷性損傷、及び急性中枢神経系損傷を含む中枢神経系における神経細胞損傷、虚血性脳卒中又は脊髄損傷、並びに低酸素症、虚血、機械的損傷、及び神経変性疾患、不安、てんかん、脳卒中による損傷を含む。
いくつかの実施形態において、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、及びハンチントン病を含む。
いくつかの実施形態において、前記医薬は、虚血性脳卒中に起因する神経系損傷を治療、改善又は予防するするために用いられるものである。
上記の詳細な説明は、本発明を当業者にさらに明確に理解させるだけを目指しているが、いずれの態様を限定するものではないことを理解すべきである。当業者は、前記実施形態に様様な修正及び変更をすることができる。
以下の実施例は、単に本発明のいくつかの実施形態を説明するために提供されたものであり、如何なる制限の目的又は性質にならない。
実施例1:活性ペプチド分子のスクリーニング
既に報告された研究結果によれば、Tat膜貫通ペプチドYGRKKRRQRRR(SEQ ID NO:2)を選択して他の異なる数のアミノ酸に連結してペプチドライブラリーを形成した。ペプチドライブラリーにおけるキメラペプチド分子を、それぞれ生体外で発現・精製されたPDZ1/2ドメインに相互作用し、相互作用力の強さによりポリペプチドに対して予備スクリーニングをした。
固定相分子(リガンド)は、PDZ1/2タンパク質で、分子量:約20kD、濃度:2mg/mLである。移動相分子(分析物)は、スクリーニングされているポリペプチドで、分子量:約2kD、濃度:10mg/mLであった。Biacore 3000機器を使用して、CM5チップが固定に用いられた。泳動バッファーは、PBS+0.005% Tween 20であった。アミノカップリング法を用いて固定した。リガンドの濃度は、10μg/mLであった。固定バッファーは、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.0であった。一定量の1400 RUでフロー細胞(flowcell)2に固定された。流速が10μL/mLであり、リガンド試料導入が1分間である。再生液がPH2.0+2.5の10mMのGlyを用い、再生は流速30μL/分間で行った。試料導入時間は30sであった。
動力学的分析は以下の条件で行われ、すなわち、対照チャネル:フロー細胞1、泳動バッファー:PBS、運行モード:Kinetic Analysis Wizardモード、濃度勾配:6.25n、12.5n、25n、50n、100n、200n、400nM、試料導入時間:1分間、解離時間:2分間、流速:30μL/分間。
データは、フィッティングソフトウェアBIAevaluation 4.1により適合(フィッティング)させた。フィッティングモデルは、1:1の結合モデルである。解離定数KD値は作用力に反比例した。
スクリーニングにより、PDZ1/2ドメインと強い相互作用能力を持つキメラペプチドが得られ、P6と命名し、その配列は次の通りである。
P6: YGRKKRRQRRRYEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 3)
報告された研究における類似のキメラペプチドと直接に比較するために、次のような配列を持つ対照キメラペプチドNA−1が導入された。
NA−1:YGRKKRRQRRRKLSSIESDV(SEQ ID NO: 4)
また、P6とNA−1との構造的差異を比較することにより、キメラペプチドNA−1の活性ペプチドのN末端に2つの残基YEを追加したキメラペプチドYE−NA−1はさらに導入され、その配列は、次の通りである。
YE−NA−1:YGRKKRRQRRRYEKLSSIESDV(SEQ ID NO: 5)
キメラペプチドNA−1、YE−NA−1とP6と同時に上記のPDZ1/2ドメインとの相互作用を試験した結果、下記表1に示した。
表1に示すように、対照キメラペプチドNA−1に比べると、キメラペプチドYE−NA−1及びP6とPDZ1/2ドメインとの相互作用力はより強く、且つP6の作用性質はより良い。したがって、本発明者らの推測によれば、活性ペプチドのN末端に付加的な2つのアミノ酸残基YEは、ポリペプチドとPDZ1/2ドメインとの相互作用に対して一定の強化効果をもたらした。また、P6は、YE−NA−1のカルボキシル末端に対して疎水性が比較的弱いアスパラギン酸(D)1つを低減して疎水性が比較的強いグリシン(GG)2つを増加した。発明者らの推測によれば、これによりポリペプチドとPDZ1/2ドメインとの相互作用をさらに高める可能性がある。
以下の実験において、キメラペプチドP6を選択してさらに試験し、且つ一部の実験においてNA−1及びYE−NA−1を対照とした。
実施例2:プルダウン実験でP6と PDZ1/2ドメインとの相互作用を検出する
P6がPDZ1/2ドメインとを相互作用できることを裏付けるために、プルダウン実験をした。
カラムは、100μLのHisビーズ及び1mLのMCAC−0バッファーを用いて5分間平衡させた。4℃で振とうした。得られた混合物を、4℃で5000gで遠心分離させ、上澄みを捨てた。混合物に、PDZ1/2タンパク質1mgを加え、そしてバッファーを用いて1mLになるまで追加した。4℃で、得られた混合物を1時間回転して結合させた。前記混合物を、4℃で5000gで遠心分離させ、上澄みを捨てた。得られた混合物を、1mLのMCAC‐0バッファーを用いて、1回あたり5分間(4℃で、振とうで洗浄し)で3回洗浄した。混合物に、P6タンパク質1mgを加え、そしてバッファーを用いて1mLになるまで追加した。4℃で、得られた混合物を2時間回転して結合させた。前記混合物を、4℃で5000gで遠心分離させ、上澄みを捨てた。得られた混合物を、1mLの溶解液(lysis buffer)を用いて、1回あたり5分間(4℃で、振とうで洗浄し)で3回洗浄した。洗浄後、20μLのMCAC−300を加えた。遠心分離し、溶出液を取ってSDS−PAGE検出を行った。実験結果は図1に示した。
図1に示すように、キメラペプチドP6の溶出バンドに、P6とPDZ1/2ドメインとの両方を同時に含んでおり、これにより、キメラペプチドP6がPDZ1/2ドメインに結合できることを裏付けた。
実施例3: ラットMCAOモデルに対するキメラ ペプチドの治療効果
MCAO調製法及び採点基準は、次の通りである。
局所脳虚血再灌流モデルの作製は、ロンガ(longa)によって提案された可逆中大脳動脈閉塞(MCAO)縫合法に従ってラットの脳解剖学的構造に基づいて改善し、局所脳虚血再灌流モデルの作製した。10%抱水クロラールを用いて用量0.3mL/kgで腹腔内投与して麻酔させた。麻酔後、頚部正中線で切開して総頚動脈(CCA)、外頚動脈(ECA)と翼口蓋動脈を露出させた。モノフィラメントナイロン釣り糸(0.26mm)の糸端部(0.5cm)をパラフィンで被覆し、長さ20mmの位置をマークし、全てのラットに対して右側CCA切口部から挿入され、翼口蓋動脈が誤挿入を防止するために一時的にクランプで締められた。咬合線の長さは、CCA分岐部から約18〜20mmとし、動物体重によって決め、右側にある中大脳動脈を閉塞し、次いで皮膚を縫合し、咬合線の末端部が皮膚に固定された。虚血が2時間に達した後、慎重に咬合線を抽出し、すなわち、再灌流を形成した。偽手術対照は、 ナイロン釣り糸が挿入されていない操作以外、手術群と同様にした。体の温度は、虚血期間及び再灌流後2時間、(37±0.5)℃に維持した。モデルの成功マーカーとしては、ラットが手術麻酔から覚めた後、左側の肢体が麻痺しており、直立が不安定になっていることで、ラットの尾を持ち上げた時に片側に回すことは、モデル成功の判断基準である。
神経学的機能欠陥徴候の採点は、動物が麻酔から目覚めた後24時間でLonga及びBedersonの5点法に参照して採点した。0点: 神経損傷の症状がない、1点:対側の前足を完全に伸ばすことができない、2点:対側に回す、3点:対側に傾き倒れる、4点:自発的に歩くことができず、意識消失を起こす。点数が高いほど、動物の行動障害がより深刻であると表す。
実験動物及び材料
動物: 成年SDラット(Vittalia)、SPFグレード、体重220〜250g、雄を用いた。
機器及び薬品: 線切断用鋏1つ、眼科手術鋏2つ、湾曲ピンセット4つ、手術用縫合糸4#と5#、三角形縫合針6×17、直径0.26mmの咬合線、持針器1つ。Enbipu塩化ナトリウム注射剤(石薬グループ恩必普薬業有限公司(Shijiazhuang Group NBP Pharmaceutical Co., Ltd.))、抱水クロラール、フロセミド(20mg/瓶)、硫酸ゲンタマイシン(80mg/瓶)、綿棒、医用トレイなど。ポリペプチドは、金斯瑞生物科技公司(Kingsray Biotech Inc.)により合成された。
実験の群分け(グルーピング)
実験動物は、陰性対照群、偽手術群、モデル群、陽性薬Enbipu群、NA−1群、YE−NA−1群及びP6群に分けした。虚血1時間後、各群のラットに、尾静脈注射によりそれぞれ生理食塩水、陽性薬Enbipu、NA−1(10mg/kg),YE−NA−1(10mg/kg)、P6(10mg/kg)、P6(3mg/kg)、P6(1mg/kg)を投与した。正常群と偽手術群には、何の薬を投与しなかった。
梗塞体積の計算
採点後のラットは断頭により犠牲死させた。脳組織を速やかに取って−20℃の冷蔵庫に入れ、10分間後、室温環境下に置いた。そして、前記脳をラット脳切片用金型に配置して嗅球、小脳及び低脳幹部を切除した後、プロファイルに示すように、厚さ(間隔)2mmで5回カットして6つの脳連続冠状粗切片にカットした。その後、脳切片は速やかに2%のTTCを含む溶液5mLに入れ、恒温37℃、遮光で30分間インキュベートし、この期間5分間おきに脳切片を反転した。TTC染色後、正常組織はローズレッドを呈し、梗塞組織は未染色で白色を呈した。各群の脳切片をきれいに配列し、撮影して保存し、画像解析システムのソフトウエアで処理して統計し、各脳切片の梗塞面積を計算して各脳切片の厚さ2mmを乗じた。個々の動物は、それぞれのすべての脳切片の梗塞面積に厚さを掛けて加算すると、脳梗塞体積となる。体積は、脳浮腫の影響を排除するために、大脳半球を占める割合として表した。
実験結果
実験結果を図2に示した。図2における脳梗塞体積のデータの統計的分析に基づき、図3に示すような脳梗塞体積データ統計のヒストグラムを作成し、同時に、脳梗塞体積の具体的な統計データを次の表2に示した。その結果によれば、最高用量(10mg/kg)であるP6の治療投与及び予防投与のいずれも脳虚血のラットにおける脳梗塞体積を有意に約50%(p<0.01)減少した一方、陽性薬Enbipu注射群は約16%(p<0.01)のみ減少し、NA−1群は約16%(p<0.01)減少し、YE−NA−1群は約26%(p<0.01)減少したことがわかった。2番目に高い用量(3mg/kg)であるP6の治療投与及び予防投与のいずれも、脳梗塞体積をよりよく減少した。さらに、データでは、梗塞体積を減少した数値がP6用量の増加に伴って減少していることを示し、治療効果が薬物の濃度に正相関することを示した。中でも、ポリペプチドYE−NA−1の治療効果は、NA−1よりも有意によかった。発明者の推測によると、2つのアミノ酸YEの追加では、ポリペプチドとPDZ1/2ドメインとの間の相互作用を高めたところ、NA−1よりもよい治療効果を示す可能にさせる。
実施例4: ラット脳におけるP6の分布
正常対照ラットとラットMCAOモデルは、モデリングしてから1時間後に、それぞれ、蛍光標識されたポリペプチドFITC−P6(10mg/kg)含有生理食塩水を尾静脈から注射した。投与後12時間の時点でラットを犠牲死させ、迅速に脳を取り出し、小動物生体イメージングシステム装置に入れて蛍光検出した。蛍光検出が完了した後、脳組織をTTC染料溶液に入れて染色し、虚血領域と薬物分布との相関性を決定した。図4及び図5に示すように、正常なラット脳は、TTCで完全に染色することができ、その中で蛍光標識されたポリペプチドの分布がなかったが、虚血性ラット脳の虚血部位は、TTCで染色することができなかったと共に、蛍光標識されたポリペプチドは中動脈領域をコア虚血領域とする虚血部位に分布しており、このように、ポリペプチドP6は虚血部位に標的として分布して治療効果を発揮することができ、且つその分布量が虚血程度に正相関することを示唆している。
実施例5: HE染色による組織学的変化の観察
各群のラットのいずれも虚血後24時間の時点に断頭して脳を取り出し、視交叉の付近により冠状切片を厚さ約4mmでカットし、切片を10%ホルマリン溶液で固定して70%から100%までの濃度勾配のアルコールで脱水した。その後、切片は、キシレンで2回透明化させ、さらにパラフィンに包埋させ、パラフィンブロックを注意深くトリムした後、パラフィン切片機に固定し、厚さ4μmの切片にカットし、パラフィン切片を完全に展開し、清浄な乾燥したガラススライドに付着し、4℃の冷蔵庫に保存し、通常のHE染色を行い、染色結果を光学顕微鏡で観察した。
実験結果は、図6のように示した。正常な脳組織の神経細胞は、核仁(核小体)が明晰で、核が円形で、核膜が完備している。虚血モデル群のラットの虚血側における脳組織は、重度の神経細胞壊死が現れ、細胞が膨張し、核凝縮し、細胞質が緩くて軽く染色し、且つ空胞化した。P6、10mg/kg治療・予防投与群は、上記の病理学的変化を有意に改善し、その結果、陽性薬Enbipu注射液、NA−1及びYE−NA−1(10mg/kg)投与群よりも優れていた。
実施例6: 急性毒性試験
ラットに対する急性毒性試験結果は、用量200mg/kg体重の場合、P6がラットに致死効果及び有意な毒性副作用を持たないことが明らかにされた。
本明細書に引用されている全ての出版物、特許文献は、個々の出版物又は特許がそれぞれ本明細書に組み込まれて参照としていることを明確に示されているように、参照により本明細書に援用する。本発明に開示された真の精神及び範囲から逸脱しない限り、本明細書に記載の実施形態に対して様様な変更及び均等物に置き換えることができる。特に文脈で断らない限り、本明細書に記載の実施態様に係る任意の特徴、ステップや実施形態は、任意の他の特徴、ステップや実施形態とを組み合わせて用いることができる。
いくつかの実施形態において、機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGV(SEQ ID NO: 6)セグメントを、VDTGGV(SEQ ID NO: 7)、VDTGGI(SEQ ID NO: 8)、VDTGGL(SEQ ID NO: 9)、VDSGGV(SEQ ID NO: 10)、VDSGGI(SEQ ID NO: 11)、VDSGGL(SEQ ID NO: 12)、VETGGV(SEQ ID NO: 13)、VETGGI(SEQ ID NO: 14)、VETGGL(SEQ ID NO: 15)、VESGGV(SEQ ID NO: 16)、VESGGI(SEQ ID NO: 17)、VESGGL(SEQ ID NO: 18)、LDTGGV(SEQ ID NO: 6)、LDTGGI(SEQ ID NO: 19)、LDTGGL(SEQ ID NO: 20)、LDSGGV(SEQ ID NO: 21)、LDSGGI(SEQ ID NO: 22)、LDSGGL(SEQ ID NO: 23)、LETGGV(SEQ ID NO: 24)、LETGGI(SEQ ID NO: 25)、LETGGL(SEQ ID NO: 26)、LESGGV(SEQ ID NO: 27)、LESGGI(SEQ ID NO: 28)、LESGGL(SEQ ID NO: 29)、IDTGGV(SEQ ID NO: 30)、IDTGGI(SEQ ID NO: 31)、IDTGGL(SEQ ID NO: 32)、IDSGGV(SEQ ID NO: 33)、IDSGGI(SEQ ID NO: 34)、IDSGGL(SEQ ID NO: 35)、IETGGV(SEQ ID NO: 36)、IETGGI(SEQ ID NO: 37)、IETGGL(SEQ ID NO: 38)、 IESGGV(SEQ ID NO: 39)、 IESGGI(SEQ ID NO: 40)、及びIESGGL(SEQ ID NO: 41)からなる群より選ばれる配列のいずれかで置換することによって生成される変異体である。
既存の研究では、NMDARとPSD−95との間の相互作用を阻害する活性ペプチドは、NMDARの構造に基づくものである。例えば、NMDAR2B(GenBank ID 4099612)は、C末端における20個のアミノ酸のFNGSSNGHVYEKLSSLESDV(SEQ ID NO: 42)、及びPLモチーフESDV(SEQ ID NO: 43)を有する。いくつかの活性ペプチドは、NMDAR2BのC末端の一部アミノ配列を選択することにより、NMDAR2BとがPSD−95に対する競争阻害を生じる。ある研究では、上記ペプチドにおけるESDV又はLESDV(SEQ ID NO: 44)セグメントは、NMDARとPSD−95タンパク質との相互作用を阻害することで重要な役割を果たしていることが考えられる。本出願の発明者は、任意の理論に縛られず、驚くべきことに、本明細書に記載の活性ペプチドYEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 1)中に、PLモチーフに対して変更した(疎水性が比較的強いグリシン(GG)2つの増加を含む)同時に、PLモチーフに対してN末端方向におけるYEKL(SEQ ID NO: 45)アミノ酸配列を増加したことを見出し、本発明ではこのような変更が活性ペプチドとPDZ1/2ドメインとの相互作用を高めることが裏つけられる。同時に、YEKLモチーフに対して、そのC末端におけるLDTGGVセグメントは、変更することができ、活性ペプチドの活性に影響を及ぼさなく、又はその活性を高める可能性があることが予想されている。したがって、いくつかの実施形態において、本発明に係る機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGVセグメントに1つ又は複数の保存的置換によって生成された変異体である。

Claims (17)

  1. アミノ酸配列YEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 1)又はその機能的変異体を含む、ペプチド。
  2. 前記機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGVセグメントの1つ又は複数の保存的置換によって生成された変異体であり、好ましくは、前記保存的置換は、DとEとの間の置換、LとVとIとの間での置換、及びTとSとの間の置換からなる群より選ばれる、請求項1に記載のペプチド。
  3. 前記機能的変異体は、SEQ ID NO: 1におけるLDTGGVセグメントを、VDTGGV、VDTGGI、VDTGGL、VDSGGV、VDSGGI、VDSGGL、VETGGV、VETGGI、VETGGL、VESGGV、VESGGI、VESGGL、LDTGGV、LDTGGI、LDTGGL、LDSGGV、LDSGGI、LDSGGL、LETGGV、LETGGI、LETGGL、LESGGV、LESGGI、LESGGL,IDTGGV、IDTGGI、IDTGGL、IDSGGV、IDSGGI、IDSGGL、IETGGV、IETGGI、IETGGL、IESGGV、IESGGI、及びIESGGLからなる群より選ばれる配列のいずれかで置換することによって生成される変異体である、請求項2に記載のペプチド。
  4. 活性ペプチド及び内因性ペプチドを含み、その中で、前記活性ペプチドは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチドであり、前記内因性ペプチドは、キメラペプチドが細胞に取り込まれることを促進することができる、キメラペプチド。
  5. 前記内因性ペプチドは、アミノ酸配列YGRKKRRQRRR(SEQ ID NO: 2)を含む、請求項4に記載のキメラペプチド。
  6. アミノ酸配列YGRKKRRQRRRYEKLTTLDTGGV(SEQ ID NO: 3)を含む、請求項5に記載のキメラペプチド。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド、又は請求項4〜6のいずれか1項に記載のキメラペプチド、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  8. 哺乳類における神経系損傷と該損傷に起因した関連の疾患若しくは疼痛、神経変性疾患、不安、及びてんかんからなる群より選ばれる疾患を治療、改善又は予防するために用いられ、或いは神経保護剤として用いられる、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド、又は請求項4〜6のいずれか1項に記載のキメラペプチド、又は請求項7〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、哺乳類における神経系損傷と該損傷に起因した関連の疾患若しくは疼痛、神経変性疾患、不安、及びてんかんからなる群より選ばれる疾患を治療、改善又は予防する方法。
  10. 哺乳類における神経系損傷と該損傷に関連した疾患若しくは疼痛、神経変性疾患、不安、及びてんかんからなる群より選ばれる疾患を治療、改善又は予防するための医薬又は神経保護剤の製造における、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド、又は請求項4〜6のいずれか1項に記載のキメラペプチド、又は請求項7〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
  11. 前記疾病は、脳卒中、又は脳卒中による神経系損傷である、請求項8に記載の医薬組成物、請求項9に記載の方法又は請求項10に記載の使用。
  12. 前記脳卒中は、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、及び虚血性脳卒中から変換された出血性脳卒中を含む、請求項11に記載の医薬組成物、方法又は使用。
  13. 前記脳卒中は虚血性脳卒中である、請求項12に記載の医薬組成物、方法又は使用。
  14. 前記神経系損傷は、興奮性神経毒性に起因した神経系損傷である、請求項8に記載の医薬組成物、請求項9に記載の方法、又は請求項10に記載の使用。
  15. 前記損傷又は疼痛は、末梢神経系若しくは中枢神経系に位置する、請求項8に記載の医薬組成物、請求項9に記載の方法、又は請求項10に記載の使用。
  16. 前記興奮性神経毒性に起因した神経系損傷は、脳卒中又は脊髄損傷、脳や脊髄の虚血性又は外傷性損傷、及び急性中枢神経系損傷を含む中枢神経系(CNS)における神経細胞損傷、虚血性脳卒中又は脊髄損傷、並びに低酸素症、虚血、機械的損傷、及び神経変性疾患、不安、てんかん、脳卒中による損傷を含む、請求項8に記載の医薬組成物、請求項9に記載の方法、又は請求項10に記載の使用。
  17. 前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、及びハンチントン病を含む、請求項8に記載の医薬組成物、請求項9に記載の方法、又は請求項10に記載の使用。
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