本発明の実施形態は、官能化ポリジエンを生成するプロセスの発見に少なくとも部分的に基づき、プロセスは、ランタニド系触媒系を使用して、共役ジエンを重合させて、反応性ポリジエンを形成することと、反応性ポリジエンを複素環ニトリル化合物と反応させて、次いで、重合混合物を限られた量の焼入冷却剤で急冷することと、を含む。本発明のプロセスにより製造された官能化ポリジエンは、有利な耐コールドフロー性を呈し、これは、重合が焼き入れされる方法から生じると考えられる。ここで、限られた量の焼入冷却剤を使用すると、複素環ニトリル化合物で変性されたポリマーが十分な耐コールドフロー性を保持することが見されている。いかなる特定の理論にも束縛されることは望ましくないが、従来技術のような過剰な量の焼入冷却剤を使用すると、複素環ニトリルの官能性によって結合されると考えられるポリマーの分離が引き起こされると考えられる。この分離の結果、保存時に問題となるポリマーの耐コールドフロー性が減少する。
重合
1つ以上の実施形態では、重合工程は、重合媒体とも称され得る重合混合物内で行われる。1つ以上の実施形態では、重合混合物は、モノマー(共役ジエン単量体など)、ポリマー(活性及び不活性ポリマーの両方)、触媒、触媒残渣、及び任意に溶媒を含む。活性ポリマーは、モノマーの添加を通して更なる重合を引き起こすことが可能な重合種を含む。1つ以上の実施形態では、活性ポリマーは、活性末端にアニオン又は負電荷を含んでもよい。これらのポリマーは、配位触媒を用いて調製したものを含んでもよい。これらの又は他の実施形態では、活性ポリマー種は、疑似リビングポリマー(pseudo-living polymer)と称されてもよい。非活性ポリマーは、モノマーの添加による更なる重合を受けることができないポリマー種を含む。
共役ジエン単量体の例には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、及び2,4−ヘキサジエンが挙げられる。前述のジエン系単量体のうちの2種以上の混合物が用いられてもよい。
触媒系
共役ジエン類を重合させる工程は、ランタニド系触媒系の存在下で行われる。1つ以上の実施形態では、これらの触媒系は、(a)ランタニド含有化合物、(b)アルキル化剤、及び(c)ハロゲン源を含む。他の実施形態では、ハロゲン源の代わりに、非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体を含有する化合物を用いることができる。これらの又は他の実施形態では、他の有機金属化合物及び/又はルイス塩基を、前述した構成成分又は成分に加えて用いることができる。例えば、一実施形態では、ニッケル含有化合物を、米国特許第6,699,813号に開示されているとおり分子量調節剤として用いることができる。なおこの文献は、本明細書において参照により組み込まれている。
本発明で有用なランタニド含有化合物は、ランタン、ネオジム、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、及びジジムのうち少なくとも1種の原子を含む化合物である。一実施形態では、これらの化合物には、ネオジム、ランタン、サマリウム、又はジジムを含めることができる。本明細書で用いる場合、用語「ジジム」は、モナズ砂から得られる希土類元素の市販の混合物を示すものとする。加えて、本発明で有用なランタニド含有化合物は、元素ランタニドの形態とすることができる。
ランタニド含有化合物中のランタニド原子は、種々の酸化状態であってもよく、例えば、限定するものではないが、0、+2、+3、及び+4の酸化状態であってもよい。一実施形態では、三価のランタニド含有化合物(ここで、ランタニド原子は、+3の酸化状態である)を用いることができる。好適なランタニド含有化合物には、ランタニドカルボキシレート、ランタニド有機ホスフェート、ランタニド有機ホスホネート、ランタニド有機ホスフィナート、ランタニドカルバメート、ランタニドジチオカルバメート、ランタニドキサンテート、ランタニドβ−ジケトネート、ランタニドアルコキシド又はアリールオキシド、ランタニドハライド、ランタニド疑似ハライド、ランタニドオキシハライド、及び有機ランタニド化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
1つ以上の実施形態では、ランタニド含有化合物は、炭化水素溶媒(例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は脂環式炭化水素)に可溶性であり得る。しかし、炭化水素不溶性のランタニド含有化合物も、本発明で有用な場合がある。重合媒体中で懸濁させて、触媒活性種を形成することができるためである。
説明を簡単にするために、有用なランタニド含有化合物についての更なる説明では、ネオジム化合物に焦点を合わせるが、当業者であれば、他のランタニド金属に基づく同様の化合物を選択することができるであろう。
好適なネオジムカルボキシレートには、ネオジムホルメート、ネオジムアセテート、ネオジムアクリレート、ネオジムメタクリレート、ネオジムバレレート、ネオジムグルコネート、ネオジムシトレート、ネオジムフマレート、ネオジムラクテート、ネオジムマレエート、ネオジムオキサレート、ネオジム2−エチルヘキサノエート、ネオジムネオデカノエート(別名、ネオジムベルサテート)、ネオジムナフテネート、ネオジムステアレート、ネオジムオレエート、ネオジムベンゾエート、及びネオジムピコリネートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジム有機ホスフェートには、ネオジムジブチルホスフェート、ネオジムジペンチルホスフェート、ネオジムジヘキシルホスフェート、ネオジムジヘプチルホスフェート、ネオジムジオクチルホスフェート、ネオジムビス(1−メチルヘプチル)ホスフェート、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジムジデシルホスフェート、ネオジムジドデシルホスフェート、ネオジムジオクタデシルホスフェート、ネオジムジオレイルホスフェート、ネオジムジフェニルホスフェート、ネオジムビス(p−ノニルフェニル)ホスフェート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフェート、及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジム有機ホスホネートには、ネオジムブチルホスホネート、ネオジムペンチルホスホネート、ネオジムヘキシルホスホネート、ネオジムヘプチルホスホネート、ネオジムオクチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジムデシルホスホネート、ネオジムドデシルホスホネート、ネオジムオクタデシルホスホネート、ネオジムオレイルホスホネート、ネオジムフェニルホスホネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)ホスホネート、ネオジムブチルブチルホスホネート、ネオジムペンチルペンチルホスホネート、ネオジムヘキシルヘキシルホスホネート、ネオジムヘプチルヘプチルホスホネート、ネオジムオクチルオクチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(1−メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジムデシルデシルホスホネート、ネオジムドデシルドデシルホスホネート、ネオジムオクタデシルオクタデシルホスホネート、ネオジムオレイルオレイルホスホネート、ネオジムフェニルフェニルホスホネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)(p−ノニルフェニル)ホスホネート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ブチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスホネート、及びネオジム(p−ノニルフェニル)(2−エチルヘキシル)ホスホネートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジム有機ホスフィネートには、ネオジムブチルホスフィネート、ネオジムペンチルホスフィネート、ネオジムヘキシルホスフィネート、ネオジムヘプチルホスフィネート、ネオジムオクチルホスフィネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムデシルホスフィネート、ネオジムドデシルホスフィネート、ネオジムオクタデシルホスフィネート、ネオジムオレイルホスフィネート、ネオジムフェニルホスフィネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムジブチルホスフィネート、ネオジムジペンチルホスフィネート、ネオジムジヘキシルホスフィネート、ネオジムジヘプチルホスフィネート、ネオジムジオクチルホスフィネート、ネオジムビス(1−メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムジデシルホスフィネート、ネオジムジドデシルホスフィネート、ネオジムジオクタデシルホスフィネート、ネオジムジオレイルホスフィネート、ネオジムジフェニルホスフィネート、ネオジムビス(p−ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィネートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジムカルバメートには、ネオジムジメチルカルバメート、ネオジムジエチルカルバメート、ネオジムジイソプロピルカルバメート、ネオジムジブチルカルバメート、及びネオジムジベンジルカルバメートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジムジチオカルバメートには、ネオジムジメチルジチオカルバメート、ネオジムジエチルジチオカルバメート、ネオジムジイソプロピルジチオカルバメート、ネオジムジブチルジチオカルバメート、及びネオジムジベンジルジチオカルバメートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジムキサンテートには、ネオジムメチルキサンテート、ネオジムエチルキサンテート、ネオジムイソプロピルキサンテート、ネオジムブチルキサンテート、及びネオジムベンジルキサンテートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジムβ−ジケトネートには、ネオジムアセチルアセトネート、ネオジムトリフルオロアセチルアセトネート、ネオジムヘキサフルオロアセチルアセトネート、ネオジムベンゾイルアセトネート、及びネオジム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジムアルコキシド又はアリールオキシドには、ネオジムメトキシド、ネオジムエトキシド、ネオジムイソプロポキシド、ネオジム2−エチルヘキソキシド、ネオジムフェノキシド、ネオジムノニルフェノキシド、及びネオジムナフトキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なネオジムハライドには、ネオジムフルオリド、ネオジムクロリド、ネオジムブロミド、及びネオジムヨージドが挙げられるが、これらに限定されない。好適なネオジム疑似ハライドとしては、ネオジムシアニド、ネオジムシアネート、ネオジムチオシアネート、ネオジムアジド、及びネオジムフェロシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。好適なネオジムオキシハライドとしては、ネオジムオキシフルオライド、ネオジムオキシクロライド、及びネオジムオキシブロマイドが挙げられるが、これに限定されない。ルイス塩基(例えば、テトラヒドロフラン(「THF」))を、このクラスのネオジム化合物を不活性有機溶媒中に可溶化しやすくするために用いてもよい。ランタニドハライド、ランタニドオキシハライド、又はハロゲン原子を含有する他のランタニド含有化合物を用いる場合、ランタニド含有化合物はまた、任意選択的に、上記触媒系におけるハロゲン源の全部又は一部として機能することができる。
本明細書で用いる場合、有機ランタニド化合物という用語は、少なくとも1つのランタニド−炭素結合を含有する任意のランタニド含有化合物を指す。これらの化合物は主に、排他的ではないが、シクロペンタジエニル(「Cp」)、置換シクロペンタジエニル、アリル、及び置換アリル配位子を含有する化合物である。好適な有機ランタニド化合物には、Cp3Ln、Cp2LnR、Cp2LnCl、CpLnCl2、CpLn(シクロオクタテトラエン)、(C5Me5)2LnR、LnR3、Ln(アリル)3、及びLn(アリル)2Cl(Lnは、ランタニド原子を表わし、Rはヒドロカルビル基を表わす)が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、本発明で有用なヒドロカルビル基は、へテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子等を含有していてもよい。
前述したように、本発明で用いる触媒系には、アルキル化剤を含めることができる。1つ以上の実施形態では、アルキル化剤(ヒドロカルビル化剤と称されることもある)には、1又は複数のヒドロカルビル基を別の金属に移すことができる有機金属化合物が含まれる。概して、これらの剤には、陽性金属、例えば、IUPAC番号付け方式において、第1族、第2族、及び第13族金属(IA族、IIA族、及びIIIA族金属)の有機金属化合物が含まれる。本発明で有用なアルキル化剤には、有機アルミニウム化合物及び有機マグネシウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いる場合、有機アルミニウム化合物という用語は、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合を含有する任意のアルミニウム化合物を指す。1つ以上の実施形態では、炭化水素溶媒に可溶性である有機アルミニウム化合物を用いることができる。本明細書で用いる場合、有機マグネシウム化合物という用語は、少なくとも1つのマグネシウム−炭素結合を含有する任意のマグネシウム化合物を指す。1つ以上の実施形態では、炭化水素に可溶性である有機マグネシウム化合物を用いることができる。後に詳細に説明するように、好適なアルキル化剤のいくつかの種をハライドの形態とすることができる。ここで、アルキル化剤はハロゲン原子が含み、アルキル化剤は、前述の触媒系におけるハロゲン源の全部又は一部としても機能する場合がある。
1つ以上の実施形態では、利用することができる有機アルミニウム化合物には、一般式AlRnX3−n(式中、各Rは、独立して、アルミニウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよく、各Xは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であってもよく、nは1〜3の範囲の整数であってもよい)によって表わされるものが挙げられる。有機アルミニウム化合物がハロゲン原子を含む場合、有機アルミニウム化合物は、アルキル化剤及び触媒系におけるハロゲン源の少なくとも一部の両方として機能することができる。1つ以上の実施形態では、各Rは独立に、ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基、及びアルキニル基であってもよく、それぞれの基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基は、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子を含有していてもよい。
一般式AlRnX3−nによって表わされる有機アルミニウム化合物の種類には、トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド、ヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド、ジヒドロカルビルアルミニウムカルボキシレート、ヒドロカルビルアルミニウムビス(カルボキシレート)、ジヒドロカルビルアルミニウムアルコキシド、ヒドロカルビルアルミニウムジアルコキシド、ジヒドロカルビルアルミニウムハライド、ヒドロカルビルアルミニウムジハライド、ジヒドロカルビルアルミニウムアリールオキシド、及びヒドロカルビルアルミニウムジアリールオキシド化合物が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルキル化剤には、トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド、及び/又はヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド化合物を含めることができる。一実施形態では、アルキル化剤に有機アルミニウムヒドリド化合物が含まれる場合、前述のハロゲン源は、スズハライドによって提供することができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第7,008,899号に開示されている。
好適なトリヒドロカルビルアルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−n−ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリス(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1−メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル−p−トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウム、及びエチルジベンジルアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物には、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソプロピルアルミニウムヒドリド、ジ−n−ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−オクチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジ−p−トリルアルミニウムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−オクチルアルミニウムヒドリド、p−トリルエチルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、p−トリルイソプロピルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、p−トリルイソブチルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−オクチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド、ベンジル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド、及びベンジル−n−オクチルアルミニウムヒドリドが含まれるが、これらに限定されない。
好適なヒドロカルビルアルミニウムジヒドリドには、エチルアルミニウムジヒドリド、n−プロピルアルミニウムジヒドリド、イソプロピルアルミニウムジヒドリド、n−ブチルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド、及びn−オクチルアルミニウムジヒドリドが含まれるが、これらに限定されない。
好適なジヒドロカルビルアルミニウムハライド化合物には、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ−n−オクチルアルミニウムクロリド、ジフェニルアルミニウムクロリド、ジ−p−トリルアルミニウムクロリド、ジベンジルアルミニウムクロリド、フェニルエチルアルミニウムクロリド、フェニル−n−プロピルアルミニウムクロリド、フェニルイソプロピルアルミニウムクロリド、フェニル−n−ブチルアルミニウムクロリド、フェニルイソブチルアルミニウムクロリド、フェニル−n−オクチルアルミニウムクロリド、p−トリルエチルアルミニウムクロリド、p−トリル−n−プロピルアルミニウムクロリド、p−トリルイソプロピルアルミニウムクロリド、p−トリル−n−ブチルアルミニウムクロリド、p−トリルイソブチルアルミニウムクロリド、p−トリル−n−オクチルアルミニウムクロリド、ベンジルエチルアルミニウムクロリド、ベンジル−n−プロピルアルミニウムクロリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムクロリド、ベンジル−n−ブチルアルミニウムクロリド、ベンジルイソブチルアルミニウムクロリド、及びベンジル−n−オクチルアルミニウムクロリドが含まれるが、これらに限定されない。
好適なヒドロカルビルアルミニウムジハライド化合物には、エチルアルミニウムジクロリド、n−プロピルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、n−ブチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、及びn−オクチルアルミニウムジクロリドが含まれるが、これらに限定されない。
一般式AlRnX3−nによって表わされ得るアルキル化剤として有用な他の有機アルミニウム化合物には、ジメチルアルミニウムヘキサノエート、ジエチルアルミニウムオクトエート、ジイソブチルアルミニウム2−エチルヘキサノエート、ジメチルアルミニウムネオデカノエート、ジエチルアルミニウムステアレート、ジイソブチルアルミニウムオレエート、メチルアルミニウムビス(ヘキサノエート)、エチルアルミニウムビス(オクトエート)、イソブチルアルミニウムビス(2−エチルヘキサノエート)、メチルアルミニウムビス(ネオデカノエート)、エチルアルミニウムビス(ステアレート)、イソブチルアルミニウムビス(オレエート)、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジイソブチルアルミニウムフェノキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジメトキシド、イソブチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジエトキシド、メチルアルミニウムジフェノキシド、エチルアルミニウムジフェノキシド、及びイソブチルアルミニウムジフェノキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明においてアルキル化剤として用いるのに適した別の分類の有機アルミニウム化合物は、アルミノキサンである。アルミノキサンには、以下の一般式によって表わすことができるオリゴマー直線状アルミノキサンと、
以下の一般式によって表わすことができるオリゴマー環式アルミノキサン
(式中、xは1〜約100、又は約10〜約50の範囲の整数であってもよく、yは2〜約100、又は約3〜約20の範囲の整数であってもよく、各Rは独立に、アルミニウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよい)と、を含めることができる。一実施形態では、各Rは独立に、ヒドロカルビル基、例えば、限定するものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基、及びアルキニル基であってもよく、各基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基はまた、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子を含有していてもよい。なお、本出願で用いるアルミノキサンのモル数とは、オリゴマーアルミノキサン分子のモル数ではなく、アルミニウム原子のモル数を指すことに留意すべきである。この慣習は、アルミノキサンを用いる触媒系の技術分野において広く用いられている。
アルミノキサンの調製は、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を水と反応させることによって行うことができる。この反応は、(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒中に溶解した後に水と接触させる方法、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、例えば金属塩に含有される結晶体の水又は無機若しくは有機化合物に吸着された水と反応させる方法、又は(3)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、重合するモノマー又はモノマー溶液の存在下で水と反応させる方法、等の既知の方法により行うことができる。
好適なアルミノキサン化合物には、メチルアルミノキサン(「MAO」)、改質メチルアルミノキサン(「MMAO」)、エチルアルミノキサン、n−プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n−ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n−ヘキシルアルミノキサン、n−オクチルアルミノキサン、2−エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1−メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン、及び2,6−ジメチルフェニルアルミノキサンが含まれるが、これらに限定されない。改質メチルアルミノキサンの形成は、当業者に既知の技術を用いて、メチルアルミノキサンのメチル基の約20〜80%を、C2〜C12ヒドロカルビル基、好ましくは、イソブチル基と置換することによって可能である。
アルミノキサンは、単独で、又は他の有機アルミニウム化合物と組み合わせて使用することができる。一実施形態では、メチルアルミノキサンと、少なくとも1種の他の有機アルミニウム化合物(AlRnX3−n等)、例えば、ジイソブチルアルミニウムヒドリドとを、組み合わせて用いることができる。米国特許出願公開第2008/0182954号には、アルミノキサン及び有機アルミニウム化合物を組み合わせて用いることができる他の例が示されており、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
上記のように、本発明に有用なアルキル化剤は、有機マグネシウム化合物を含むことができる。1つ以上の実施形態では、用いることができる有機マグネシウム化合物には、一般式MgR2(式中、各Rは独立に、マグネシウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよい)によって表わされるものが含まれる。1つ以上の実施形態では、各Rは独立に、ヒドロカルビル基、例えば、限定するものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、及びアルキニル基であってもよく、各基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基にはまた、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリン原子を含有していてもよい。
一般式MgR2で表わされ得る好適な有機マグネシウム化合物には、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、及びジベンジルマグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
アルキル化剤として用いることができる別のクラスの有機マグネシウム化合物は、一般式RMgX(式中、Rは、マグネシウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよく、Xは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であってもよい)で表わされ得る。ここで、有機マグネシウム化合物がハロゲン原子を含む場合、有機マグネシウム化合物は、アルキル化剤及び触媒系中のハロゲン源の少なくとも一部の両方として機能することができる。1つ以上の実施形態では、Rは、ヒドロカルビル基、例えば、限定するものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、及びアルキニル基であってもよく、各基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基はまた、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子を含有していてもよい。一実施形態では、Xは、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であってもよく、各基は、1〜約20の範囲の炭素原子を含有している。
一般式RMgXで表わされ得る有機マグネシウム化合物の種類には、ヒドロカルビルマグネシウムヒドリド、ヒドロカルビルマグネシウムハライド、ヒドロカルビルマグネシウムカルボキシレート、ヒドロカルビルマグネシウムアルコキシド、及びヒドロカルビルマグネシウムアリールオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
一般式RMgXによって表わされ得る好適な有機マグネシウム化合物には、メチルマグネシウムヒドリド、エチルマグネシウムヒドリド、ブチルマグネシウムヒドリド、ヘキシルマグネシウムヒドリド、フェニルマグネシウムヒドリド、ベンジルマグネシウムヒドリド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、ベンジルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、ヘキシルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヘキサノエート、エチルマグネシウムヘキサノエート、ブチルマグネシウムヘキサノエート、ヘキシルマグネシウムヘキサノエート、フェニルマグネシウムヘキサノエート、ベンジルマグネシウムヘキサノエート、メチルマグネシウムエトキシド、エチルマグネシウムエトキシド、ブチルマグネシウムエトキシド、ヘキシルマグネシウムエトキシド、フェニルマグネシウムエトキシド、ベンジルマグネシウムエトキシド、メチルマグネシウムフェノキシド、エチルマグネシウムフェノキシド、ブチルマグネシウムフェノキシド、ヘキシルマグネシウムフェノキシド、フェニルマグネシウムフェノキシド、及びベンジルマグネシウムフェノキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
前述したように、本発明で用いられる触媒系には、ハロゲン源を含めることができる。本明細書で用いる場合、ハロゲン源という用語は、少なくとも1つのハロゲン原子を含む任意の物質を指す。1つ以上の実施形態では、ハロゲン源の少なくとも一部を、前述したランタニド含有化合物及び/又は前述したアルキル化剤のいずれかによって提供することが、これらの化合物に少なくとも1つのハロゲン原子が含有されているときに可能である。言い換えれば、ランタニド含有化合物は、ランタニド含有化合物とハロゲン源の少なくとも一部との両方として機能することができる。同様に、アルキル化剤は、アルキル化剤とハロゲン源の少なくとも一部との両方として機能することができる。
他の実施形態では、ハロゲン源の少なくとも一部は、触媒系において、別個で異なるハロゲン含有化合物の形態で存在することができる。1又は複数のハロゲン原子を含有する種々の化合物(又はそれらの混合物)をハロゲン源として用いることができる。ハロゲン原子の例には、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられるが、これらに限定されない。2種類以上のハロゲン原子の組み合わせを用いることもできる。炭化水素溶媒に可溶性であるハロゲン含有化合物が、本発明で用いるのに適している。しかし、炭化水素不溶性のハロゲン含有化合物は、重合系において懸濁させて触媒活性種を形成することができるため、やはり有用である。
使用できる有用な種類のハロゲン含有化合物には、元素ハロゲン、混合ハロゲン、ハロゲン化水素、有機ハライド、無機ハライド、金属ハライド、及び有機金属ハライドが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明における使用のために好適な元素ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられるが、これらに限定されない。好適な混合ハロゲンのいくつかの具体例には、一塩化ヨウ素、一臭化ヨウ素、三塩化ヨウ素、及び五フッ化ヨウ素が挙げられる。
ハロゲン化水素には、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、及びヨウ化水素が挙げられるが、これらに限定されない。
有機ハライドとしては、t−ブチルクロリド、t−ブチルブロミド、塩化アリル、臭化アリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、クロロ−ジ−フェニルメタン、ブロモ−ジ−フェニルメタン、トリフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルブロミド、ベンジリデンクロリド、ベンジリデンブロミド(α,α−ジブロモトルエン又はベンザルブロミドとも称される)、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、プロピオニルクロリド、プロピオニルブロミド、クロロギ酸メチル、ブロモギ酸メチル、四臭化炭素(テトラブロモメタンとも称される)、トリブロモメタン(ブロモホルムとも称される)、ブロモメタン、ジブロモメタン、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、2,2−ジメチル−1−ブロモプロパン(ネオペンチルブロミドとも称される)、ホルミルブロミド、アセチルブロミド、プロピオニルブロミド、ブチリルブロミド、イソブチリルブロミド、バレリルブロミド、イソバレリルブロミド、ヘキサノイルブロミド、ベンゾイルブロミド、ブロモ酢酸メチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、3−ブロモプロピオン酸メチル、2−ブロモ酪酸メチル、2−ブロモヘキサン酸メチル、4−ブロモクロトン酸メチル、2−ブロモ安息香酸メチル、3−ブロモ安息香酸メチル、4−ブロモ安息香酸メチル、ヨードメタン、ジヨードメタン、トリヨードメタン(ヨードホルムとも称される)、テトラヨードメタン、1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、1,3−ジヨードプロパン、t−ブチルヨージド、2,2−ジメチル−1−ヨードプロパン(ネオペンチルヨージドとも称される)、アリルヨージド、ヨードベンゼン、ヨウ化ベンジル、メチルジフェニルヨージド、メチルトリフェニルヨージド、ベンジリデンヨージド(ベンザルヨージド又はα,α−ジヨードトルエンとも称される)、トリメチルシリルヨージド、トリエチルシリヨージド、トリフェニルシリルヨージド、ジメチルジヨードシラン、ジエチルジヨードシラン、ジフェニルジヨードシラン、メチルトリヨードシラン、エチルトリヨードシラン、フェニルトリヨードシラン、ベンゾイルヨージド、プロピオニルヨージド、及びヨードギ酸メチルが挙げられるが、これらに限定されない。
無機ハライドには、リントリクロリド、リントリブロミド、リンペンタクロリド、リンオキシクロリド、リンオキシブロミド、ボロントリフルオリド、ボロントリクロリド、ボロントリブロミド、シリコンテトラフルオリド、シリコンテトラクロリド、シリコンテトラブロミド、シリコンテトラヨージド、ヒ素トリクロリド、ヒ素トリブロミド、ヒ素トリヨージド、セレンテトラクロリド、セレンテトラブロミド、テルルテトラクロリド、テルルテトラブロミド、及びテルルテトラヨージドが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な金属ハライドには、スズテトラクロリド、スズテトラブロミド、アルミニウムトリクロリド、アルミニウムトリブロミド、アンチモントリクロリド、アンチモンペンタクロリド、アンチモントリブロミド、アルミニウムトリヨージド、アルミニウムトリフルオリド、ガリウムトリクロリド、ガリウムトリブロミド、ガリウムトリヨージド、ガリウムトリフルオリド、インジウムトリクロリド、インジウムトリブロミド、インジウムトリヨージド、インジウムトリフルオリド、チタンテトラクロリド、チタンテトラブロミド、チタンテトラヨージド、亜鉛ジクロリド、亜鉛ジブロミド、亜鉛ジヨージド、及び亜鉛ジフルオリドが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な有機金属ハライドには、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジエチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニウムジフルオリド、エチルアルミニウムジフルオリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソブチルアルミニウムセスキクロリド、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヨージド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズブロミド、トリエチルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、ジ−t−ブチルスズジクロリド、ジ−t−ブチルスズジブロミド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジブロミド、トリブチルスズクロリド、及びトリブチルスズブロミドが挙げられるが、これらに限定されない。
1つ以上の実施形態では、上述の触媒系は、非配位性アニオン又は非配位性アニオン前駆体を含む化合物を含むことができる。1つ以上の実施形態では、非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体を含有する化合物を、前述したハロゲン源の代わりに用いることができる。非配位アニオンは、立体的に嵩高いアニオンであり、立体障害があるために、例えば、触媒系の活性中心と配位結合を形成することはない。本発明で有用な非配位アニオンには、テトラアリールボレートアニオン及びフッ素化テトラアリールボレートアニオンが挙げられるが、これらに限定されない。また、非配位アニオンを含有する化合物は、対カチオン、例えば、カルボニウム、アンモニウム、又はホスホニウムカチオンを含有することができる。例示的な対カチオンには、トリアリールカルボニウムカチオン及びN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが挙げられるが、これらに限定されない。非配位アニオン及び対カチオンを含有する化合物の例には、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートが挙げられるが、これらに限定されない。
本実施形態では、非配位アニオン前駆体を用いることもできる。非配位アニオン前駆体とは、反応条件下で非配位アニオンを形成することができる化合物である。有用な非配位アニオン前駆体には、トリアリールホウ素化合物、BR3(ここで、Rは、電子求引性の高いアリール基、例えば、ペンタフルオロフェニル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基である)が挙げられるが、これらに限定されない。
1つ以上の実施形態において、ランタニド含有化合物に対するアルキル化剤のモル比(アルキル化剤/Ln)は、約1:1〜約1,000:1、他の実施形態では、約2:1〜約500:1、他の実施形態では、約5:1〜約200:1で変動してもよい。
アルミノキサン及び少なくとも1つの他の有機アルミニウム剤がアルキル化剤として用いられるこれらの実施形態において、ランタニド含有化合物に対するアルミノキサンのモル比(アルミノキサン/Ln)は、5:1〜約1,000:1、他の実施形態では、約10:1〜約700:1、他の実施形態では、約20:1〜約500:1で変動してもよく、また、ランタニド含有化合物に対する少なくとも1つの他の有機アルミニウム化合物のモル比(Al/Ln)は、約1:1〜約200:1、他の実施形態では、約2:1〜約150:1、他の実施形態では、約5:1〜約100:1で変動してもよい。
ランタニド含有化合物に対するハロゲン含有化合物のモル比は、ランタニド含有化合物中のランタニド原子のモル数に対するハロゲン源中のハロゲン原子のモル数の比(ハロゲン/Ln)の観点で最もよく説明される。1つ以上の実施形態では、ハロゲン/Lnモル比は、約0.5:1〜約20:1、他の実施形態では約1:1〜約10:1、及び他の実施形態では約2:1〜約6:1で変動し得る。
更に別の実施形態では、ランタニド含有化合物に対する非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体のモル比(An/Ln)は、約0.5:1〜約20:1、他の実施形態では約0.75:1〜約10:1、及び他の実施形態では約1:1〜約6:1であってもよい。
触媒形成
活性触媒は、様々な方法によって形成することができる。
1つ以上の実施形態では、活性触媒は、予備形成手順を用いて予備形成されてもよい。即ち、触媒構成成分を重合系の外側で予混合することを、わずかなモノマーも存在しない状態で又は少なくとも1種の共役ジエンモノマーが少量存在する状態で、約−20℃〜約80℃であり得る適温で行う。得られた触媒組成物は、予備形成触媒と称されることができる。予備形成触媒は、所望の場合、重合されるモノマーに添加される前に熟成されてもよい。本明細書で使用される際、少量のモノマーについての言及は、触媒形成中のモノマー100gあたり2mmolを超える、他の実施形態では3mmolを超える、他の実施形態では4mmolを超えるランタニド含有化合物の触媒充填について言及している。特定の実施形態において、予備形成された触媒は、触媒成分がフィードラインに導入されることによりインライン予備形成手順によって調製することができ、これらは、モノマーの不在下又は少なくとも少量の1種の共役ジエンモノマーの存在下のいずれか一方で混合される。得られた予備形成触媒は、後に使用するために保存してもよく、又は重合されるモノマーへ直接供給してもよい。
他の実施形態では、活性触媒は、重合されるモノマーに、触媒成分を段階的に又は同時にのいずれか一方で添加することによって、in situで形成され得る。例えば、触媒成分のうちの1種以上を一度に添加して、重合されるモノマーで完成させることができる。一実施形態では、アルキル化剤を最初に添加し、次に、ランタニド含有化合物、そして、次に、ハロゲン源又は非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体を含有する化合物を添加することができる。1つ以上の実施形態では、触媒成分のうちの2種は、モノマーに添加する前に事前に組み合わせられてもよい。例えば、ランタニド含有化合物とアルキル化剤とを予め組み合わせ、モノマーに単一ストリームとして添加することができる。あるいは、ハロゲン源とアルキル化剤とを予め組み合わせ、モノマーに単一ストリームとして添加してもよい。触媒のin situでの形成は、触媒形成中のモノマー100gあたり2mmol未満、他の実施形態では1mmol未満、他の実施形態では0.2mmol未満、他の実施形態では0.1mmol未満、他の実施形態では0.05mmol未満、他の実施形態では0.006mmol以下のランタニド含有化合物の触媒充填によって特徴付けられてもよい。
1つ以上の実施形態では、溶媒を担体として用いて、触媒及び/又は触媒成分を溶解するか又は懸濁させて、触媒及び/又は触媒成分を重合系へ送達することを促進してよい。他の実施形態では、モノマーを担体として用いることができる。更に別の実施形態では、触媒成分を、あらゆる溶媒も用いることなくそれらの純粋な状態で導入することができる。
1つ以上の実施形態では、好適な溶媒としては、触媒の存在下でモノマーを重合する間に、伝搬ポリマー鎖への重合も取り込みも受けない、有機化合物のようなものが挙げられる。1つ以上の実施形態では、これらの有機種は、周囲温度及び圧力で液体である。1つ以上の実施形態では、これらの有機溶媒は、触媒に対して不活性である。例示的な有機溶媒には、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素のような低い又は比較的低い沸点を有する炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、及びメシチレンが挙げられる。脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、イソオクタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシン、及び石油スピリットが挙げられる。また、脂環式炭化水素の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、及びメチルシクロヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。上記の炭化水素の混合物を使用することもできる。当該技術分野で知られているように、環境上の理由から、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素を用いることが望ましい場合がある。低沸点の炭化水素溶媒は典型的に、重合が終了したらポリマーから分離される。
有機溶媒の他の例としては、一般に油展ポリマーに使用される炭化水素油を含む高分子量の高沸点炭化水素が挙げられる。これらのオイルの例には、パラフィン系オイル、芳香油、ナフテン系オイル、ヒマシ油以外の植物油、及び低PCAオイル、例えばMES、TDAE、SRAE、重ナフテン系オイルが挙げられる。これらの炭化水素は不揮発性であるため、それらは典型的に、分離する必要がなく、ポリマー内に取り込まれたままである。
本発明に従ったポリマーの製造は、触媒的に有効量の活性触媒の存在下で、共役ジエンモノマーを重合させることにより実施可能である。触媒、共役ジエンモノマー及び任意の溶媒の導入は、使用される場合、重合混合物を形成し、その中で反応性ポリマーが形成される。使用される触媒の量は、使用される触媒の種類、成分の純度、重合温度、所望の重合速度及び所望の転化率、所望の分子量、及び他の多くの要因などの様々な要因の相互作用に依存し得る。したがって、具体的な触媒の量については、触媒的に有効な量の触媒を用いてもよいと言う以外に、明確に述べることはできない。
1つ以上の実施形態では、使用するランタニド含有化合物の量を、モノマー100グラム当たり約0.001〜約2mmol、他の実施形態では、約0.005〜約1mmol、更に他の実施形態では、約0.01〜約0.2mmolと変えることができる。
重合混合物
1つ以上の実施形態では、重合は、相当量の溶媒を含む重合系において行われる場合がある。一実施形態では、溶液重合系として、重合すべきモノマー及び形成されたポリマーの両方が溶媒に可溶であるものを用いてもよい。別の実施形態では、沈殿重合系を用いることを、形成されたポリマーが不溶性である溶媒を選択することによって行ってもよい。通常、両方の場合において、ある量の溶媒を、触媒を調製するときに用いてもよい溶媒量に加えて、重合系に添加する。更なる溶媒は、触媒を調製するときに用いる溶媒と同じであってもよいし又は異なっていてもよい。例示的な溶媒については前述している。1つ以上の実施形態では、重合混合物の溶媒含有量は、重合混合物の総重量に対して、20重量%超、他の実施形態では50重量%超、他の実施形態では約35重量%超、更に他の実施形態では80重量%超、他の実施形態では90重量%超であり得る。
他の実施形態では、使用する重合系は概ね、実質的に溶媒が含まれないか又は最小量の溶媒が含まれるバルク重合系であると考えられ得る。当業者であれば、バルク重合プロセス(すなわち、モノマーが溶媒として作用するプロセス)の利点を理解し、したがって、重合系は、バルク重合を行うことによって求められる利点に有害な影響を及ぼす溶媒より少ない溶媒を含む。1つ以上の実施形態では、重合混合物の溶媒含有量は、重合混合物の総重量に対して、約20重量%未満、他の実施形態では約10重量%未満、更に他の実施形態では約5重量%未満であり得る。別の実施形態では、重合混合物には、使用する原材料に固有の溶媒以外の溶媒は含有されていない。更に別の実施形態では、重合混合物は溶媒を実質的に欠いている。これは、存在していれば重合プロセスにかなりの影響を及ぼすであろう量の溶媒が、存在していないことを指す。溶媒を実質的に欠いている重合系は、溶媒を実質的に含まないとも言える。特定の実施形態では、重合混合物は溶媒を欠いている。
重合は、当該技術分野で知られている任意の従来の重合容器内で行ってもよい。1つ以上の実施形態では、溶液重合を従来の攪拌槽型反応器内で行うことができる。他の実施形態では、特にモノマー転化率が約60%未満である場合、バルク重合を従来の攪拌槽型反応器内で行うことができる。更に他の実施形態では、特にバルク重合プロセスにおけるモノマー転化率が約60%を超える場合(この場合、典型的に、高粘性のセメントが得られる)、バルク重合を細長い反応器(重合中の粘性セメントがピストンによって又は実質的にピストンによって動かされる)内で行う場合がある。例えば、セメントが自浄式一軸スクリュー又は二軸スクリュー撹拌器によって押し出される押出機が、この目的に適している。有用なバルク重合プロセスの例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,351,776号に開示されている。
1つ以上の実施形態では、重合に対して使用する構成成分を全て単一容器(例えば、従来の撹拌タンク反応器)内で混合することができ、重合プロセスの全ての工程をこの容器内で行うことができる。他の実施形態では、2つ以上の構成成分を1つの容器内で事前に組み合わせてから別の容器に移し、そこでモノマー(又は少なくともその大部分)の重合を行うことができる。
重合は、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスとして行うことができる。半連続プロセスでは、モノマーを必要に応じて断続的に充填して、すでに重合したモノマーと入れ替える。1つ以上の実施形態では、重合が進む条件を制御して、重合混合物の温度を、約−10℃〜約200℃、他の実施形態では、約0℃〜約150℃、他の実施形態では、約20℃〜約100℃の範囲に維持してもよい。1つ以上の実施形態では、重合の熱を取り除くことを、熱的に制御された反応器ジャケットによる外部冷却、反応器に接続された還流凝縮器を用いることによるモノマーの気化及び凝縮による内部冷却、又は2つの方法の組み合わせによって行ってもよい。また、重合条件は、約0.1気圧〜約50気圧、他の実施形態では約0.5気圧〜約20気圧、他の実施形態では約1気圧〜約10気圧の圧力下で重合を行うように制御することができる。1つ以上の実施形態では、重合を行い得る圧力には、大部分のモノマーが確実に液相となる圧力が含まれる。これらの又は他の実施形態では、重合混合物を嫌気条件下で維持してもよい。
官能化
共役ジエンポリマーの調製において使用する溶媒の量(又は溶媒の不足)に関わらず、得られるポリマー鎖のうちの一部又は全ては、重合混合物を急冷する前に反応性鎖末端を保有してもよい。よって、反応性ポリマーに言及した場合、ポリマーとして、配位触媒を用いることによってポリマーを合成することから得られる反応性鎖末端を有するポリマーを指す。配位触媒(例えば、ランタニド系触媒)で調製した反応性ポリマーは、擬似リビングポリマーと称されてもよい。1つ以上の実施形態において、反応性ポリマーを含む重合混合物を活性重合混合物と言ってもよい。反応性末端を所有するポリマー鎖のパーセンテージは、種々の要因(例えば、触媒の種類、モノマーの種類、構成成分の純度、重合温度、モノマー転化、及び多くの他の要因)に依存する。1つ以上の実施形態において、ポリマー鎖の少なくとも約20%が反応性末端を保有し、他の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約50%が反応性末端を保有し、更に他の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約80%が反応性末端を保有している。いずれの場合でも、反応性ポリマーは、複素環ニトリル化合物と反応することができる。
複素環ニトリル化合物
1つ以上の実施形態では、複素環ニトリル化合物は、少なくとも1つの−C≡N基(すなわち、シアノ基又はニトリル基)及び少なくとも1つの複素環基を含む。特定の実施形態において、少なくとも1つのシアノ基は、複素環基に直接結合されている。これらの又は他の実施形態では、少なくとも1つのシアノ基は、複素環基に間接的に結合されている。
1つ以上の実施形態では、複素環ニトリル化合物は、式θ−C≡N(式中、θは、複素環基を表す)によって表すことができる。他の実施形態では、複素環ニトリル化合物は、式θ−R−C≡N(式中、θは複素環基を表し、Rは二価有機基を表す)によって表すことができる。
1つ以上の実施形態では、複素環ニトリル化合物の二価の有機基は、ヒドロカルビレン基であってもよく、これには、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキニレン、シクロアアルキニレン、又はアリーレン基が挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロカルビレン基には、置換ヒドロカルビレン基が含まれており、置換ヒドロカルビレン基は、1つ以上の水素原子がヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、シリル、又はシリルオキシ基などの置換基によって交換されているヒドロカルビレン基を指す。1つ以上の実施形態において、これらの基には、1個(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)〜約20個の炭素原子が含まれていてもよい。これらの基はまた、1つ以上のヘテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素、酸素、ホウ素、ケイ素、硫黄、スズ、及びリン原子を含有していてもよい。
1つ以上の実施形態では、θは、1つ以上の追加的シアノ基(すなわち、−C≡N)を含んでもよく、したがって、結果として、複素環ニトリル化合物は、2つ以上のシアノ基を含んでもよい。これらの又は他の実施形態では、複素環基は、不飽和を含んでもよく、芳香族又は非芳香族であってもよい。複素環基は、1つのヘテロ原子又は同じであっても異なっていてもよい複数のヘテロ原子を含んでもよい。特定の実施形態では、ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、ケイ素、スズ及びリンの原子からなる群から選択されてもよい。また、複素環基は、単環式、二環式、三環式、多環式であってもよい。
1つ以上の実施形態では、複素環基は、複素環の1つ以上の水素原子が一価の有機基などの置換基で置換されている複素環基である置換複素環基であってもよい。1つ以上の実施形態では、一価の有機基として、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニルシクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アルキニル基などのヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、これらの基には、1個(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)〜20個の炭素原子が含まれていてもよい。これらのヒドロカルビル基は、これに限定されないが、窒素、ホウ素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリン原子などのヘテロ原子を含有し得る。
1つ以上の窒素ヘテロ原子を含有する複素環基の代表的な例として、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、ピラジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、N−メチル−2−ピロリル基、N−メチル−3−ピロリル基、N−メチル−2−イミダゾリル基、N−メチル−4−イミダゾリル基、N−メチル−5−イミダゾリル基、N−メチル−3−ピラゾリル基、N−メチル−4−ピラゾリル基、N−メチル−5−ピラゾリル基、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル基、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−イル基、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イル基、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,2,4−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−6−イル基、1,3,5−トリアジニル基、N−メチル−2−ピロリン−2−イル基、N−メチル−2−ピロリン−3−イル基、N−メチル−2−ピロリン−4−イル基、N−メチル−2−ピロリン−5−イル基、N−メチル−3−ピロリン−2−イル基、N−メチル−3−ピロリン−3−イル基、N−メチル−2−イミダゾリン−2−イル基、N−メチル−2−イミダゾリン−4−イル基、N−メチル−2−イミダゾリン−5−イル基、N−メチル−2−ピラゾリン−3−イル基、N−メチル−2−ピラゾリン−4−イル基、N−メチル−2−ピラゾリン−5−イル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、N−メチルインドール−2−イル基、N−メチルインドール−3−イル基、N−メチルイソインドール−1−イル基、N−メチルイソインドール−3−イル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、1−フタラジニル基、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、2−キノキサリニル基、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、1−メチルインダゾール−3−イル基、1,5−ナフチリジン−2−イル基、1,5−ナフチリジン−3−イル基、1,5−ナフチリジン−4−イル基、1,8−ナフチリジン−2−イル基、1,8−ナフチリジン−3−イル基、1,8−ナフチリジン−4−イル基、2−プテリジニル基、4−プテリジニル基、6−プテリジニル基、7−プテリジニル基、1−メチルベンゾイミダゾール−2−イル基、6−フェナントリジニル基、N−メチル−2−プリニル基、N−メチル−6−プリニル基、N−メチル−8−プリニル基、N−メチル−β−カルボリン−1−イル基、N−メチル−β−カルボリン−3−イル基、N−メチル−β−カルボリン−4−イル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、4,7−フェナントロリン−1−イル基、4,7−フェナントロリン−2−イル基、4,7−フェナントロリン−3−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、ピロリジノ基、及びピペリジノ基が挙げられる。
1つ以上の酸素ヘテロ原子を含有する複素環基の代表的な例として、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾ[b]フリル基、3−ベンゾ[b]フリル基、1−イソベンゾ[b]フリル基、3−イソベンゾ[b]フリル基、2−ナフト[2,3−b]フリル基、及び3−ナフト[2,3−b]フリル基が挙げられる。
1つ以上の硫黄ヘテロ原子を含有する複素環基の代表的な例として、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ベンゾ[b]チエニル基、3−ベンゾ[b]チエニル基、1−イソベンゾ[b]チエニル基、3−イソベンゾ[b]チエニル基、2−ナフト[2,3−b]チエニル基、及び3−ナフト[2,3−b]チエニル基が挙げられる。
2つ以上の異なるヘテロ原子を含む複素環基の代表的な例として、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾール−4−イル基、1,2,3−オキサジアゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,2,3−チアジアゾール−4−イル基、1,2,3−チアジアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、2−オキサゾリン−2−イル基、2−オキサゾリン−4−イル基、2−オキサゾリン−5−イル基、3−イソオキサゾリニル基、4−イソオキサゾリニル基、5−イソオキサゾリニル基、2−チアゾリン−2−イル基、2−チアゾリン−4−イル基、2−チアゾリン−5−イル基、3−イソチアゾリニル基、4−イソチアゾリニル基、5−イソチアゾリニル基、2−ベンゾチアゾリル基、及びモルホリノ基が挙げられる。
式θ−C≡N(式中、θは、1つ以上の窒素ヘテロ原子である)により定義される複素環ニトリル化合物の代表例としては、2−ピリジンカルボニトリル、3−ピリジンカルボニトリル、4−ピリジンカルボニトリル、ピラジンカルボニトリル、2−ピリミジンカルボニトリル、4−ピリミジンカルボニトリル、5−ピリミジンカルボニトリル、3−ピリダジンカルボニトリル、4−ピリダジンカルボニトリル、N−メチル−2−ピロールカルボニトリル、N−メチル−3−ピロールカルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−4−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−5−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−3−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−4−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−5−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニトリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−カルボニトリル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−カルボニトリル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−5−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−6−カルボニトリル、1,3,5−トリアジンカルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−2−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−5−カルボニトリル、N−メチル−3−ピロリン−2−カルボニトリル、N−メチル−3−ピロリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−2−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−5−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−5−カルボニトリル、2−キノリンカルボニトリル、3−キノリンカルボニトリル、4−キノリンカルボニトリル、1−イソキノリンカルボニトリル、3−イソキノリンカルボニトリル、4−イソキノリンカルボニトリル、N−メチルインドール−2−カルボニトリル、N−メチルインドール−3−カルボニトリル、N−メチルイソインドール−1−カルボニトリル、N−メチルイソインドール−3−カルボニトリル、1−インドリジンカルボニトリル、2−インドリジンカルボニトリル、3−インドリジンカルボニトリル、1−フタラジンカルボニトリル、2−キナゾリンカルボニトリル、4−キナゾリンカルボニトリル、2−キノサリンカルボニトリル、3−シノリンカルボニトリル、4−シノリンカルボニトリル、1−メチルインダゾール−3−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−2−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−3−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−4−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−2−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−3−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−4−カルボニトリル、2−プテリジンカルボニトリル、4−プテリジンカルボニトリル、6−プテリジンカルボニトリル、7−プテリジンカルボニトリル、1−メチルベンゾイミダゾール−2−カルボニトリル、フェナントリジン−6−カルボニトリル、N−メチル−2−プリンカルボニトリル、N−メチル−6−プリンカルボニトリル、N−メチル−8−プリンカルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−1−カルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−3−カルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−4−カルボニトリル、9−アクリジンカルボニトリル、1,7−フェナントロリン−2−カルボニトリル、1,7−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1,7−フェナントロリン−4−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−2−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−4−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−1−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−2−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1−フェナジンカルボニトリル、2−フェナジンカルボニトリル、1−ピロリジンカルボニトリル及び1−ピペリジンカルボニトリルが挙げられる。
式θ−C≡N(式中、θは、1つ以上の酸素ヘテロ原子を含む)によって定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2−フロニトリル、3−フロニトリル、2−ベンゾ[b]フランカルボニトリル、3−ベンゾ[b]フランカルボニトリル、イソベンゾ[b]フラン−1−カルボニトリル、イソベンゾ[b]フラン−3−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]フラン−2−カルボニトリル、及びナフト[2,3−b]フラン−3−カルボニトリルが挙げられる。
式θ−C≡N(式中、θは、1つ以上の硫黄ヘテロ原子を含む)により定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2−チオフェンカルボニトリル、3−チオフェンカルボニトリル、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニトリル、ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニトリル、イソベンゾ[b]チオフェン−1−カルボニトリル、イソベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]チオフェン−2−カルボニトリル、及びナフト[2,3−b]チオフェン−3−カルボニトリルが挙げられる。
式θ−C≡N(式中、θは、2つ以上の別個のヘテロ原子を含む))により定義される複素環ニトリル化合物の代表例として、2−オキサゾールカルボニトリル、4−オキサゾールカルボニトリル、5−オキサゾールカルボニトリル、3−イソオキサゾールカルボニトリル、4−イソオキサゾールカルボニトリル、5−イソオキサゾールカルボニトリル、2−チアゾールカルボニトリル、4−チアゾールカルボニトリル、5−チアゾールカルボニトリル、3−イソチアゾールカルボニトリル、4−イソチアゾールカルボニトリル、5−イソチアゾールカルボニトリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−カルボニトリル、1,2,3−オキサジアゾール−5−カルボニトリル、1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニトリル、1,2,3−チアジアゾール−4−カルボニトリル、1,2,3−チアジアゾール−5−カルボニトリル、1,3,4−チアジアゾール−2−カルボニトリル、2−オキサゾリン−2−カルボニトリル、2−オキサゾリン−4−カルボニトリル、2−オキサゾリン−5−カルボニトリル、3−イソオキサゾリンカルボニトリル、4−イソオキサゾリンカルボニトリル、5−イソオキサゾリンカルボニトリル、2−チアゾリン−2−カルボニトリル、2−チアゾリン−4−カルボニトリル、2−チアゾリン−5−カルボニトリル、3−イソチアゾリンカルボニトリル、4−イソチアゾリンカルボニトリル、5−イソチアゾリンカルボニトリル、ベンゾチアゾール−2−カルボニトリル、及び4−モルホリンカルボニトリルが挙げられる。
式θ−C≡N(式中、θは、1つ以上のシアノ基を含む)によって定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2,3−ピリジンジカルボニトリル、2,4−ピリジンジカルボニトリル、2,5−ピリジンジカルボニトリル、2,6−ピリジンジカルボニトリル、3,4−ピリジンジカルボニトリル、2,4−ピリジンジカルボニトリル、2,5−ピリジンジカルボニトリル、4,5−ピリジンジカルボニトリル、4,6−ピリジンジカルボニトリル、2,3−ピラジンジカルボニトリル、2,5−ピラジンジカルボニトリル、2,6−ピラジンジカルボニトリル、2,3−フランジカルボニトリル、2,4−フランジカルボニトリル、2,5−フランジカルボニトリル、2,3−チオフェンジカルボニトリル、2,4−チオフェンジカルボニトリル、2,5−チオフェンジカルボニトリル、N−メチル−2,3−ピロールジカルボニトリル、N−メチル−2,4−ピロールジカルボニトリル、N−メチル−2,5−ピロールジカルボニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4−ジカルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジカルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3,6−ジカルボニトリル、2,3,4−ピリジントリカルボニトリル、2,3,5−ピリジントリカルボニトリル、2,3,6−ピリジントリカルボニトリル、2,4,5−ピリジントリカルボニトリル、2,4,6−ピリジントリカルボニトリル、3,4,5−ピリジントリカルボニトリル、2,4,5−ピリミジントリカルボニトリル、2,4,6−ピリミジントリカルボニトリル、4,5,6−ピリミジントリカルボニトリル、ピラジントリカルボニトリル、2,3,4−フラントリカルボニトリル、2,3,5−フラントリカルボニトリル、2,3,4−チオフェントリカルボニトリル、2,3,5−チオフェントリカルボニトリル、N−メチル−2,3,4−ピロールトリカルボニトリル、N−メチル−2,3,5−ピロールトリカルボニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリカルボニトリル、及び1,2,4−トリアジン−3,5,6−トリカルボニトリルが挙げられる。
式θ−R−C≡N(式中、θは、1つ以上の窒素ヘテロ原子を含む)によって定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2−ピリジルアセトニトリル、3−ピリジルアセトニトリル、4−ピリジルアセトニトリル、ピラジニルアセトニトリル、2−ピリミジニルアセトニトリル、4−ピリミジニルアセトニトリル、5−ピリミジニルアセトニトリル、3−ピリダジニルアセトニトリル、4−ピリダジニルアセトニトリル、N−メチル−2−ピロリルアセトニトリル、N−メチル−3−ピロリルアセトニトリル、N−メチル−2−イミダゾリルアセトニトリル、N−メチル−4−イミダゾリルアセトニトリル、N−メチル−5−イミダゾリルアセトニトリル、N−メチル−3−ピラゾリルアセトニトリル、N−メチル−4−ピラゾリルアセトニトリル、N−メチル−5−ピラゾリルアセトニトリル、1,3,5−トリアジニルアセトニトリル、2−キノリルアセトニトリル、3−キノリルアセトニトリル、4−キノリルアセトニトリル、1−イソキノリルアセトニトリル、3−イソキノリルアセトニトリル、4−イソキノリルアセトニトリル、1−インドリジニルアセトニトリル、2−インドリジニルアセトニトリル、3−インドリジニルアセトニトリル、1−フタラジニルアセトニトリル、2−キナゾリニルアセトニトリル、4−キナゾリニルアセトニトリル、2−キノキサリニルアセトニトリル、3−シンノリニルアセトニトリル、4−シンノリニルアセトニトリル、2−プテリジニルアセトニトリル、4−プテリジニルアセトニトリル、6−プテリジニルアセトニトリル、7−プテリジニルアセトニトリル、6−フェナントリジニルアセトニトリル、N−メチル−2−プリニルアセトニトリル、N−メチル−6−プリニルアセトニトリル、N−メチル−8−プリニルアセトニトリル、9−アクリジニルアセトニトリル、1,7−フェナントロリン−2−イルアセトニトリル、1,7−フェナントロリン−3−イルアセトニトリル、1,7−フェナントロリン−4−イルアセトニトリル、1,10−フェナントロリン−2−イルアセトニトリル、1,10−フェナントロリン−3−イルアセトニトリル、1,10−フェナントロリン−4−イルアセトニトリル、4,7−フェナントロリン−1−イルアセトニトリル、4,7−フェナントロリン−2−イルアセトニトリル、4,7−フェナントロリン−3−イルアセトニトリル、1−フェナジニルアセトニトリル、2−フェナジニルアセトニトリル、ピロリジノアセトニトリル、及びピペリジノアセトニトリルが挙げられる。
式θ−R−C≡N(式中、θは、1つ以上の酸素ヘテロ原子を含む)によって定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2−フリルアセトニトリル、3−フリルアセトニトリル、2−ベンゾ[b]フリルアセトニトリル、3−ベンゾ[b]フリルアセトニトリル、1−イソベンゾ[b]フリルアセトニトリル、3−イソベンゾ[b]フリルアセトニトリル、2−ナフト[2,3−b]フリルアセトニトリル、及び3−ナフト[2,3−b]フリルアセトニトリルが挙げられる。
式θ−R−C≡N(式中、θは、1つ以上の硫黄ヘテロ原子を含む)によって定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2−チエニルアセトニトリル、3−チエニルアセトニトリル、2−ベンゾ[b]チエニルアセトニトリル、3−ベンゾ[b]チエニルアセトニトリル、1−イソベンゾ[b]チエニルアセトニトリル、3−イソベンゾ[b]チエニルアセトニトリル、2−ナフト[2,3−b]チエニルアセトニトリル、及び3−ナフト[2,3−b]チエニルアセトニトリルが挙げられる。
式θ−R−C≡N(式中、θは、2つ以上の別個のヘテロ原子を含む)によって定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2−オキサゾリルアセトニトリル、4−オキサゾリルアセトニトリル、5−オキサゾリルアセトニトリル、3−イソオキサゾリルアセトニトリル、4−イソオキサゾリルアセトニトリル、5−イソオキサゾリルアセトニトリル、2−チアゾリルアセトニトリル、4−チアゾリルアセトニトリル、5−チアゾリルアセトニトリル、3−イソチアゾリルアセトニトリル、4−イソチアゾリルアセトニトリル、5−イソチアゾリルアセトニトリル、3−イソオキサゾリニルアセトニトリル、4−イソオキサゾリニルアセトニトリル、5−イソオキサゾリニルアセトニトリル、3−イソチアゾリニルアセトニトリル、4−イソチアゾリニルアセトニトリル、5−イソチアゾリニルアセトニトリル、2−ベンゾチアゾリルアセトニトリル、及びモルホリノアセトニトリルが挙げられる。
式θ−R−C≡N(式中、θは、1つ以上のシアノ基を含む)によって定義される複素環ニトリル化合物の代表的な例として、2,3−ピリジンジアセトニトリル、2,4−ピリジンジアセトニトリル、2,5−ピリジンジアセトニトリル、2,6−ピリジンジアセトニトリル、3,4−ピリジンジアセトニトリル、2,4−ピリミジンジアセトニトリル、2,5−ピリミジンジアセトニトリル、4,5−ピリミジンジアセトニトリル、4,6−ピリミジンジアセトニトリル、2,3−ピラジンジアセトニトリル、2,5−ピラジンジアセトニトリル、2,6−ピラジンジアセトニトリル、2,3−フランジアセトニトリル、2,4−フランジアセトニトリル、2,5−フランジアセトニトリル、2,3−チオフェンジアセトニトリル、2,4−チオフェンジアセトニトリル、2,5−チオフェンジアセトニトリル、N−メチル−2,3−ピロールジアセトニトリル、N−メチル−2,4−ピロールジアセトニトリル、N−メチル−2,5−ピロールジアセトニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4−ジアセトニトリル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジアセトニトリル、1,2,4−トリアジン−3,6−ジアセトニトリル、2,3,4−ピリジントリアセトニトリル、2,3,5−ピリジントリアセトニトリル、2,3,6−ピリジントリアセトニトリル、2,4,5−ピリジントリアセトニトリル、2,4,6−ピリジントリアセトニトリル、3,4,5−ピリジントリアセトニトリル、2,4,5−ピリミジントリアセトニトリル、2,4,6−ピリミジントリアセトニトリル、4,5,6−ピリミジントリアセトニトリル、ピラジントリアセトニトリル、2,3,4−フラントリアセトニトリル、2,3,5−フラントリアセトニトリル、2,3,4−チオフェントリアセトニトリル、2,3,5−チオフェントリアセトニトリル、N−メチル−2,3,4−ピロールトリアセトニトリル、N−メチル−2,3,5−ピロールトリアセトニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアセトニトリル、及び1,2,4−トリアジン−3,5,6−トリアセトニトリルが挙げられる。
共官能化剤
1つ以上の実施形態では、複素環ニトリル化合物に加えて、共官能化剤もまた重合混合物に加えて、調整された特性を有する官能化ポリマーを得ることもできる。2つ以上の共官能化剤の混合物もまた用いてもよい。共官能化剤は、複素環ニトリル化合物を導入する前に、導入と共に又は導入した後に重合混合物に添加することができる。1つ以上の実施形態では、共官能化剤は、複素環ニトリル化合物の導入後、少なくとも5分後、他の実施形態では少なくとも10分後、他の実施形態では少なくとも30分後に重合混合物に添加される。
1つ以上の実施形態において、共官能化剤には、本発明によって生成される反応性ポリマーと反応することが可能な化合物又は試薬が含まれ、その結果、ポリマーに、共官能化剤とは反応していない伝搬鎖とは異なる官能基が付与される。官能基は、他のポリマー鎖(伝搬及び/若しくは非伝搬)と反応的若しくは相互作用的であってもよいし、又はポリマーと組み合わせてもよい他の成分、例えば補強充填剤(例えば、カーボンブラック)と反応的若しくは相互作用的であってもよい。1つ以上の実施形態において、共官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、添加又は置換反応を介して進む。
有用な共官能化剤には、化合物として、単純に官能基をポリマー鎖の末端に付与することを2つ以上のポリマー鎖を互いに結合することなく行うもの、並びに化合物として、2つ以上のポリマー鎖を互いに結合又は接合することを機能的結合を介して行って単一の巨大分子を形成するものが含まれていても良い。後者のタイプの共官能化剤は結合剤と言っても良い。
1つ以上の実施形態において、共官能化剤には、へテロ原子をポリマー鎖に加えるか又は与える化合物が含まれる。特定の実施形態において、共官能化剤に含まれる化合物は、官能基をポリマー鎖に付与して、官能化ポリマーとして、官能化ポリマーから調製されるカーボンブラック充填された加硫ゴムの50℃ヒステリシス損を、非官能化ポリマーから調製される同様のカーボンブラック充填された加硫ゴムと比べて小さくする官能化ポリマーを形成する化合物である。1つ以上の実施形態では、このヒステリシス損の低減は、少なくとも5%、別の実施形態では、少なくとも10%、及び別の実施形態では、少なくとも15%である。
1つ以上の実施形態において、好適な共官能化剤には、本発明により生成される反応性ポリマーと反応する場合がある基を含む化合物が含まれる。典型的な共官能化剤には、以下のものが含まれる。ケトン、キノン、アルデヒド、アミド、エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキシド、イミン、アミノケトン、アミノチオケトン、及び酸無水物。これらの化合物の例は、米国特許第4,906,706号、同第4,990,573号、同第5,064,910号、同第5,567,784号、同第5,844,050号、同第6838,526号、同第6977,281号、及び同第6,992,147号、米国特許出願公開第2006/0004131(A1)号、同第2006/0025539(A1)号、同第2006/0030677(A1)号、及び同第2004/0147694(A1)号、並びに日本国特許出願第05−051406(A)号、同第05−059103A号、同第10−306113(A)号、及び同第11−035633(A)号に開示されている。なお、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれている。共官能化剤の他の例には、米国特許第7,879,952号に記載されたアジン化合物、米国特許第7,671,138号に開示されたヒドロベンズアミド化合物、米国特許第7,732,534号に開示されたニトロ化合物、及び米国特許第8,088,868号に開示された保護されたオキシム化合物が含まれる。これらはすべて本明細書において参照により取り入れられている。
特定の実施形態において、使用する共官能化剤は、金属ハライド、半金属ハライド、アルコキシシラン、金属カルボキシレート、ヒドロカルビル金属カルボキシレート、ヒドロカルビル金属エステル−カルボキシレート、及び金属アルコキシドであっても良い。
例示的な金属ハライド化合物には、スズテトラクロリド、スズテトラブロミド、スズテトラヨージド、n−ブチルスズトリクロリド、フェニルスズトリクロリド、ジ−n−ブチルスズジクロリド、ジフェニルスズジクロリド、トリ−n−ブチルスズクロリド、トリフェニルスズクロリド、ゲルマニウムテトラクロリド、ゲルマニウムテトラブロミド、ゲルマニウムテトラヨージド、n−ブチルゲルマニウムトリクロリド、ジ−n−ブチルゲルマニウムジクロリド、及びトリ−n−ブチルゲルマニウムクロリドが挙げられる。
例示的な半金属ハライド化合物には、シリコンテトラクロリド、シリコンテトラブロミド、シリコンテトラヨージド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ボロントリクロリド、ボロントリブロミド、ボロントリヨージド、リントリクロリド、リントリブロミド、及びリントリヨージドが挙げられる。
1つ以上の実施形態において、アルコキシシランには、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基が含まれていてもよい。
エポキシ基を含む例示的なアルコキシシラン化合物には、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリフェノキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジフェノキシシラン、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン、及び[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリエトキシシランが含まれる。
イソシアネート基を含む例示的なアルコキシシラン化合物には、(3−イソシアネートプロピル)トリメトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)トリエトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)トリフェノキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)メチルジエトキシシラン(3−イソシアネートプロピル)メチルジフェノキシシラン、及び(イソシアネートメチル)メチルジメトキシシランが含まれる。
例示的な金属カルボキシレート化合物には、スズテトラアセテート、スズビス(2−エチルヘキサノエート)、及びスズビス(ネオデカノエート)が含まれる。
例示的なヒドロカルビル金属カルボキシレート化合物には、トリフェニルスズ2−エチルヘキサノエート、トリ−n−ブチルスズ2−エチルヘキサノエート、トリ−n−ブチルスズネオデカノエート、トリイソブチルスズ2−エチルヘキサノエート、ジフェニルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジ−n−ブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジ−n−ブチルスズビス(ネオデカノエート)、フェニルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)、及びn−ブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)が含まれる。
例示的なヒドロカルビル金属エステル−カルボキシレート化合物には、ジ−n−ブチルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジ−n−オクチルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジフェニルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジ−n−ブチルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)、ジ−n−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)、及びジフェニルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)が含まれる。
例示的な金属アルコキシド化合物には、ジメトキシスズ、ジエトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラ−n−プロポキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラ−n−ブトキシスズ、テトライソブトキシスズ、テトラ−t−ブトキシスズ、及びテトラフェノキシスズが含まれる。
重合混合物に添加することができる共官能化剤の量は、例えば、反応性ポリマーを合成するために用いる触媒の種類及び量、並びに所望の官能化度など種々の要因に依存する場合がある。1つ以上の実施形態において、反応性ポリマーをランタニド系触媒を用いることによって調製する場合、使用する共官能化剤の量は、ランタニド含有化合物のランタニド金属を基準にして記述することができる。例えば、共官能化剤対ランタニド金属のモル比は、約1:1〜約200:1、他の実施形態では、約5:1〜約150:1、及び他の実施形態では、約10:1〜約100:1であっても良い。
用いられる共官能化剤の量はまた、複素環ニトリル化合物を基準にして説明することができる。1つ以上の実施形態では、共官能化剤の、複素環ニトリル化合物に対するモル比は、約0.05:1〜約1:1、他の実施形態では、約0.1:1〜約0.8:1、他の実施形態では、約0.2:1〜約0.6:1であってもよい。
急冷
上述したように、反応性ポリマーと複素環ニトリル化合物(及び任意に共官能化剤)との反応を達成又は完了した後、重合混合物は急冷される。官能化工程の中で複素環ニトリル化合物を添加することにより、更なる重合(すなわち、モノマー転化)を停止させることができるが、アルミニウムアルキル錯体がポリマー生成物に顕著な影響を及ぼさないように系の急冷が行われる。また、本発明の実施によれば、限られた量の焼入冷却剤を使用すると、複素環ニトリル化合物で変性されたポリマーは十分な耐コールドフロー性を保持することが発見された。
焼入冷却剤は、反応性ポリマーと複素環ニトリル化合物との間で反応生成物をプロトン化し、残りの反応性ポリマー鎖を不活性化し、かつ/又は触媒若しくは触媒成分を不活性化するように容易に供与され得る少なくとも1つの不安定な水素原子を含む化合物であるプロトン性化合物を含み得る。好適な焼入剤には、アルコール類、カルボン酸類、無機酸類、水、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、及びt−ブチルアルコールが挙げられる。例示的なカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、及びオクタン酸が挙げられる。例示的な無機酸としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ酸、臭化水素酸、及び過塩素酸が挙げられる。
上記で提案されたように、限られた量の焼入冷却剤を重合混合物に添加して、重合混合物を急冷しながら、複素環ニトリル化合物で変性されたポリマーを十分な耐コールドフロー性を保持するようにすることができる。焼入冷却剤の量が本明細書で規定されている量より多い場合、複素環ニトリル化合物で変性されたポリマーは、ポリマーの加工及び/又は貯蔵に必要な十分な耐コールドフロー性を保持しないこととなることが見出されている。
1つ以上の実施形態では、添加される焼入冷却剤の量は、ランタニド化合物のランタニド金属を参照して説明され得る。
1つ以上の実施形態では、焼入冷却剤が水である場合、水対ランタニド金属のモル比は、最大1500:1、他の実施形態では、最大1450:1、他の実施形態では、最大1400:1、他の実施形態では、最大1350:1、他の実施形態では、最大1300:1、他の実施形態では、最大1200:1であってもよい。1つ以上の実施形態では、使用される焼入冷却剤の量は、残留反応性コポリマー鎖及び触媒組成物を非活性化させるのに十分な量である必要がる。これら又は他の実施形態では、水対ランタニド金属のモル比は、少なくとも300:1、他の実施形態では、少なくとも350:1、他の実施形態では、少なくとも400:1、他の実施形態では、少なくとも450:1、他の実施形態では、少なくとも500:1、他の実施形態では、少なくとも600:1であってもよい。1つ以上の実施形態では、水対ランタニド金属のモル比は、約300:1〜約1500:1、他の実施形態では、約350:1〜約1450:1、他の実施形態では、約400:1〜約1500:1、他の実施形態では、450:1〜約1350:1、他の実施形態では、約500:1〜約1300:1、他の実施形態では、約600:1〜約1200:1であってもよい。
焼入冷却剤がアルコール、カルボン酸、又は無機酸である他の実施形態で、焼入冷却剤中のプロトン性水素原子対ランタニド金属のモル比は、最大1500:1、他の実施形態では、最大1450:1、他の実施形態では、最大1400:1、他の実施形態では、最大1350:1、他の実施形態では、最大1300:1、他の実施形態では、最大1200:1であってもよい。1つ以上の実施形態では、使用される焼入冷却剤の量は、残留反応性コポリマー鎖及び触媒組成物を非活性化させるのに十分な量である必要がる。焼入冷却剤がアルコール、カルボン酸、又は無機酸であるこれら又は他の実施形態で、焼入冷却剤中のプロトン性水素原子対ランタニド金属のモル比は、少なくとも300:1、他の実施形態では、少なくとも350:1、他の実施形態では、少なくとも400:1、他の実施形態では、少なくとも450:1、他の実施形態では、少なくとも500:1、他の実施形態では、少なくとも600:1であってもよい。1つ以上の実施形態では、焼入冷却剤中のプロトン性水素原子対ランタニド金属のモル比は、約300:1〜約1500:1、他の実施形態では、約350:1〜約1450:1、他の実施形態では、約400:1〜約1500:1、他の実施形態では、450:1〜約1350:1、他の実施形態では、約500:1〜約1300:1、他の実施形態では、約600:1〜約1200:1であってもよい。
1つ以上の実施形態では、焼入冷却剤は、焼入冷却剤を重合混合物の中へ急速に取り込むことを可能にする容器に加えられてもよい。焼入冷却剤の重合混合物への取り込みは、重合混合物中の焼入冷却剤の均一の分布を意味する。重合混合物中に焼入冷却剤を組み込む速度は、成分の溶解性及び濃度、溶液の粘度、及び混合器の攪拌速度を含む多くの要因によって判定することができる。1つ以上の実施形態では、焼入冷却剤は、高せん断攪拌器(high shear mixture)を使用して重合混合物に取り込まれてもよい。
所望の量のモノマーをポリマーに変換した後、酸化防止剤を任意に添加してもよい。1つ以上の実施形態では、焼入冷却剤と共に酸化防止剤を添加してもよい。他の実施形態において、酸化防止剤は、重合混合物が急冷された後に添加される必要がある。酸化防止剤は、未希釈物質として添加されてもよく、あるいは、必要であれば、重合混合物に添加される前に溶媒又はモノマーの中に溶解されてもよい。1つ以上の実施形態では、酸化防止剤は、焼入冷却剤と同時に添加されない。1つ以上の実施形態では、酸化防止剤は、焼入冷却剤に添加され溶解されない。
好適な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤の例としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、及び2,6−ジヒドロカルビル−4−(ジヒドロカルビルアミノメチル)フェノールが挙げられる。
2,6−ジヒドロカルビル−4−(ジヒドロカルビルアミノメチル)フェノール酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジヒドロカルビルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジエチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジプロピルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジイソプロピルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジブチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジ−t−ブチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジフェニルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ジネオペンチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジメチル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジエチル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジプロピル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジイソプロピル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジフェニル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、及び2,6−ジネオペンチル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。2,6−ジヒロカルビル(dihyrocarbyl)−4−(シクロアミノメチル)フェノールの例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ピロリジノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ピペリジノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(ヘキサメチレンアミノメチル)フェノール、2,6−ジイソプロピル−4−(ピロリジノメチル)フェノール、2,6−ジイソプロピル−4−(ピぺリジノメチル)フェノール、2,6−ジイソプロピル−4−(ヘキサメチレンアミノメチル)フェノール、2,6−ジフェニル−4−(ピロリジノメチル)フェノール、2,6−ジフェニル−4−(ピペリジノメチル)フェノール、2,6−ジフェニル−4−(ヘキサメチレンアミノメチル)フェノール、2,6−ジネオペンチル−4−(ピロリジノメチル)フェノール、2,6−ジネオペンチル−4−(ピペリジノメチル)フェノール、及び2,6−ジネオペンチル−4−(ヘキサメチレンアミノメチル)フェノールが挙げられる。
亜リン酸塩は、酸化防止剤の別の好適な分類である。例示的な亜リン酸塩は、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)である。
アニリン系酸化防止剤は、酸化防止剤の別の好適な分類である。アニリン系酸化防止剤の具体的な例として、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、及びN,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミンが挙げられる。
1つ以上の実施形態では、添加される酸化防止剤の量は、ポリマー生成物の重量を参照して説明することができる。1つ以上の実施形態では、用いられる酸化防止剤の量は、ポリマー生成物の少なくとも0.01重量%、他の実施態様では、少なくとも0.03重量%、他の実施態様では、少なくとも0.1重量%であってもよい。1つ以上の実施形態では、用いられる酸化防止剤の量は、ポリマー生成物の最大1重量%、他の実施態様では、最大0.8重量%、他の実施態様では、最大0.6重量%であってもよい。1つ以上の実施形態では、用いられる酸化防止剤の量は、ポリマー生成物の約0.01重量%〜約1重量%、他の実施形態では、約0.03重量%〜約0.8重量%、他の実施形態では、約0.1重量%〜約0.6重量%であってもよい。
1つ以上の実施形態では、フェノール系酸化防止剤に加えて、亜リン酸塩を用いてもよい。フェノール系酸化防止剤に加えて亜リン酸塩が用いられる1つ以上の実施形態では、用いられる亜リン酸塩の量は、ポリマー生成物の約0.1重量%〜約1重量%、他の実施形態では、約0.2重量%〜約0.8重量%、他の実施形態では、約0.4重量%〜約0.6重量%であり、フェノール系酸化防止剤の量は、ポリマー生成物の約0.01重量%〜0.4重量%、他の実施形態では、約0.05重量%〜0.35重量%、他の実施形態では、約0.1重量%〜0.3重量%であってもよい。
脱揮
1つ以上の実施形態では、急冷が完遂又は完了した後、重合混合物は脱揮される。
1つ以上の実施形態では、脱揮領域は、外部加熱ジャケットによって加熱又は冷却され得るスクリュー又はパドル機器を含むが、これらに限定されない脱揮反応器を含み得る。スクリュー駆動装置は、一軸及び二軸押出機のような当該技術分野において既知である。あるいは、脱揮器は、パドルが取り付けられたシャフトを含む「押出機様」機器を含むことができる。これらの「押出機様」機器は、単一のシャフト又は複数のシャフトを含むことができる。シャフトは、機器の長さ及びポリマー又は重合媒体の流れに対して軸方向であり得る。ポリマー又は重合媒体は、ポンプを用いて機器を通って強制的に押し出されてもよく、シャフトが回転することにより、パドルがポリマー又は重合媒体を攪拌することができ、これによって、未反応モノマー及び/又は溶媒の放出を補助することができる。脱揮器を通る重合媒体の移動は、重合媒体を脱揮器に向けることができるポンプによって容易にすることができるが、脱揮器を通る重合媒体の移動を補助するようにパドルを角度付けることができ、脱揮器に連続して又は脱揮器の端部に任意に取り付けることができる押出成形機によって更に任意に補助されてもよい(すなわち、押出成形機が脱揮器を通って重合媒体を引き出すのを助ける)。脱揮器は、逆混合容器を更に含むことができる。一般に、これらの逆混合容器は、激しく混合し、重合媒体を素練りするのに用いることができるブレードを含む単一シャフトを含む。
1つ以上の実施形態では、所望の結果を達成するために、種々の脱揮機器の組み合わせを用いることができる。これらの組み合わせはまた、押出成形機の使用も含むことができる。一例では、単一シャフトの「押出機様」脱揮器は、二軸押出機と共に使用することができる。この例では、重合媒体は、まず、「押出機様」脱揮器に入り、次いで二軸押出機に入る。二軸押出機は、脱揮器を通って重合媒体を引き出す際に有利に補助する。搬送ニーズに合わせて脱揮器のパドルを調整することができる。
1つ以上の実施形態では、二軸「押出機様」脱揮器を用いることができる。ある実施形態では、それぞれのシャフト上のパドルは、回転するにつれて互いに噛み合うように整列されてもよい。シャフトの回転は、同じ方向か又は反対方向に発生可能である。
1つ以上の実施形態では、逆混合脱揮容器の後に二軸押出機を設置することができ、続いて、二軸「押出機様」脱揮容器を設置することができ、続いて、二軸押出機を設置することができる。
脱揮機器は、当該技術分野において既知であり、市販されている。例えば、脱揮器は、LIST(Switzerland)、Coperion Werner & Phleiderer、又はNFM Welding Engineers,Inc.(Ohio)から入手することができる。LISTから入手可能な例示的な機器としては、様々な混合/混練バー又はパドルを含む単軸「押出機様」脱揮器であるDISCOTHERM(商標)Bと、二軸「押出機様」脱揮器であって、それぞれの軸が互いに相関するCRP(商標)と、二軸脱揮器であって、それぞれの軸が互いの反対方向に回転するORP(商標)と、が挙げられる。
当業者が理解するように、より低い圧力での脱揮は、未反応モノマー及び不要な副生成物を重合混合物から除去する能力を向上させることができる。しかし、使用される特定の処理装置は、脱揮の間により高い圧力が使用されることを指示する場合がある。よって、使用する圧力は、機器の要件に合うように調整されてもよい。
1つ以上の実施形態では、脱揮器は、モノマー復元系に装着されている。換言すると、モノマーがポリマー生成物から分離されると、モノマーは、冷却系又は蒸発系に誘導されることができる。回収したモノマーは、重合混合物に原料として任意に戻すことができる。
連続プロセス
上記に示すように、官能化ポリマーは、連続プロセスで調製されることができる。1つ以上の実施形態では、本発明に係る官能化ポリジエンを合成する連続プロセスは、(i)溶媒又は希釈剤を実質的に含まない重合媒体内で共役ジエンを重合することと、(ii)次いで、反応性ポリジエンを複素環ニトリル化合物と反応させることと、(iii)重合媒体を急冷することと、(v)急冷後に重合媒体を脱溶媒化して、官能化ポリマーを未反応モノマーなどの揮発性化合物から分離させることと、を含む、複数工程のプロセスである。酸化防止剤は、焼入冷却剤と共に又は焼入冷却剤の後に添加されてもよい。1つ以上の実施形態では、プロセスは、例えば、脱揮に続く追加の乾燥又はポリマー加工工程を含む追加の工程を更に含むことができる。1つ以上の実施形態では、プロセスのそれぞれの工程は、重合系全体の異なる場所の中で生じる。同様の全体的なプロセスは、参照により本明細書に援用されている米国特許第7,351,776号において記載されているように当該技術分野において既知である。
重合領域13、官能化領域15、急冷領域17、及び脱揮領域19を有する重合系11を示す図を参照して、全体のプロセスを更に説明することができる。任意の実施形態では、阻害領域14が重合領域13と官能化領域15との間に配置される。
第1の工程において、共役ジエン類の重合は、1つ以上の反応器21を含み得る重合領域13において行われる。1つ以上の実施形態では、重合する工程は、反応器21内に形成された重合媒体と称されてもよい重合混合物内で起こる。これらの反応器は、この性質の反応が起こり得る適切な容器又は導管を含むことができる。特定の実施形態において、反応器21は、従来の攪拌タンク反応器である。特定の実施形態において、予備形成された触媒は、インライン予備形成手順によって調製され、これにより、触媒成分が反応器21のフィードラインに導入され、モノマーの不在下又は少量の少なくとも1種の共役ジエンモノマーの存在下のいずれか一方で混合される。得られた予備形成触媒は、後に使用するために保存されてもよく、又は重合させられるモノマーへと直接供給されてもよい。他の実施形態では、活性触媒は、重合されるモノマーに、触媒成分を段階的又は同時にのいずれか一方で添加することによって、in situで形成され得る。例えば、触媒成分のうちの一種以上を反応器21のフィードラインを介して一度に添加し、重合されるモノマーで完了させることができる。
特定の実施形態において、第1の工程において(例えば、反応器21内)で共役ジエンを重合させる工程は、溶媒又は希釈剤の実質的に不在下(すなわち、重合混合物が実質的に溶媒又は希釈剤を含まない)で行われる。当業者であれば、バルク重合プロセス(すなわち、モノマーが溶媒として機能するプロセス)の利益を理解するであろう。したがって、重合系に含まれる溶媒の量が、バルク重合を行うことによって求められる利益に有害な影響を及ぼす量よりも少ないことを理解するであろう。1つ以上の実施形態では、重合混合物の溶媒含有量は、重合混合物の総重量に対して、約20重量%未満、他の実施形態では、約10重量%未満、更に他の実施形態では、約5重量%未満、更に他の実施形態では、約3重量%未満であり得る。別の実施形態では、重合混合物には、使用する原材料に固有の溶媒以外の溶媒は含有されていない。更に別の実施形態では、重合混合物は溶媒を実質的に欠いている。これは、存在していれば重合プロセスにかなりの影響を及ぼすであろう量の溶媒が、存在していないことを指す。溶媒を実質的に欠いている重合系は、溶媒を実質的に含まないとも言える。特定の実施形態では、重合混合物は溶媒を欠いている。
1つ以上の実施形態では、重合に対して使用する構成成分を全て単一容器(例えば、従来の撹拌タンク反応器)内で混合することができ、重合の全ての工程をこの容器内で行うことができる。他の実施形態では、2つ以上の構成成分を1つの容器内で事前に組み合わせてから別の容器に移し、そこでモノマー(又は少なくともその大部分)の重合を行うことができる。
1つ以上の実施形態では、重合が進む条件(すなわち、重合領域13内での条件)を制御して、重合混合物の温度を、約−10℃〜約200℃、他の実施形態では、約0℃〜約150℃、他の実施形態では、約20℃〜約100℃の範囲に維持してもよい。特定の実施形態では、少なくとも0℃、他の実施形態では少なくとも10℃、他の実施形態では少なくとも20℃の温度で重合が行われるか、又は重合の少なくとも一部が行われる。1つ以上の実施形態では、重合の熱を取り除くことを、熱的に制御された反応器ジャケットによる外部冷却、反応器に接続された還流凝縮器を用いることによるモノマーの気化及び凝縮による内部冷却、又は2つの方法の組み合わせによって行ってもよい。重合条件はまた、約0.1気圧〜約50気圧、他の実施形態では約0.5気圧〜約20気圧、他の実施形態では約1気圧〜約10気圧の圧力下で重合を行うように制御することができる。1つ以上の実施形態では、重合を行い得る圧力には、大部分のモノマーが確実に液相となる圧力が含まれる。これらの又は他の実施形態では、重合混合物を嫌気条件下で維持してもよい。
1つ以上の実施形態では、重合系11(及び特定の実施形態では反応器21内)内のモノマー転化の程度は限定されている。当業者が理解するように、重合の程度は、反応器21内の滞留時間によって制限され得る。1つ以上の実施形態では、滞留時間は、反応器21内の重合(すなわちモノマー転化の程度)を、重合に使用可能な総モノマーの最大30重量%、他の実施形態では最大25重量%、他の実施形態では最大20重量%、他の実施形態では最大18重量%、他の実施形態では最大15重量%、他の実施形態では最大12重量%、他の実施形態では最大10重量%に制限するように操作される。よって、例えば、モノマー転化率が約10%に制限されている場合、重合混合物放置反応器21の流出は、モノマー及びポリマーの総重量に対して、約10重量%のポリマー及び約90重量%の未反応モノマーを含む。
重合の範囲を反応器21の中に制限することは有利であるが、とはいえ、重合を最小化することが望ましい。1つ以上の実施形態では、少なくとも3%、他の実施形態では少なくとも5%、他の実施形態では少なくとも8%、他の実施形態では少なくとも10%、他の実施形態では少なくとも12%のモノマー転化が反応器21内で成し遂げられる。
再び図を参照して、本発明のプロセスは、重合領域13(すなわち、反応器21)から重合混合物を除去し、活性ポリマーと複素環ニトリル化合物とを反応させる官能化領域15に重合混合物を移送することを含む。図に示すように、官能化領域15は、インライン混合装置33を含んでもよい1つ以上の導管31を含む。複素環ニトリル化合物は、入口35を介して官能化領域15に注入され得る。連続プロセスのコンテキスト内では、重合工程の下流で複素環ニトリル化合物の添加が生じる。
1つ以上の実施形態では、活性ポリマーと複素環ニトリル化合物との反応は、活性ポリマーの更なる成長を実質的に停止させる(すなわち、モノマーの重合を実質的に停止させる)。複素環ニトリル化合物の複素環基が、ランタニド系触媒系と連携して、重合を速やかに停止させると考えられる。また、活性ポリマーと複素環ニトリル化合物との反応により、ポリマー鎖の少なくとも一部の末端(すなわち、成長末端)に複素環ニトリル化合物の残渣が付与される。上記で提案されるように、重合領域13を去り、官能化領域15に入る重合混合物のポリマー鎖の一部又は全ては、反応性末端を保有してもよい。1つ以上の実施形態において、ポリマー鎖の少なくとも約20%が反応性末端を保有し、他の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約50%が反応性末端を保有し、更に他の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約80%が反応性末端を保有している。いずれの場合でも、反応性ポリマーは、複素環ニトリルと反応して、官能化ポリマーを形成することができる。
任意の実施形態では、重合混合物を重合領域13から取り出し、阻害領域14に移し、ルイス塩基を重合混合物に充填して、官能化剤に対してポリマー反応性を維持しながらポリマー鎖の更なる成長を阻害する。この点で、米国特許出願公開第2009/0043046号は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの実施形態では、重合混合物及びルイス塩基を阻害領域14内で接触させた後、重合混合物は、上記のように官能化領域15に移転される。
1つ以上の実施形態によれば、十分な量の複素環ニトリル化合物を官能化領域15に注入して、全ての活性ポリマー鎖を停止させる。重合混合物に添加することができる複素環ニトリル化合物の量は、例えば、重合を開始させるために用いる触媒の種類及び量、並びに所望の官能化度など種々の要因に依存する場合がある。1つ以上の実施形態では、反応性ポリマーが、ランタニド系触媒を用いることによって調製される場合、用いられる複素環ニトリル化合物の量は、ランタニド化合物のランタニド金属を参照して説明することができる。例えば、複素環ニトリル化合物対ランタニド金属のモル比は、約1:1〜約200:1、他の実施形態では、約5:1〜約150:1、他の実施形態では、約10:1〜約100:1であってもよい。
1つ以上の実施形態では、複素環ニトリル化合物の量並びに複素環ニトリル化合物が官能化領域15に添加される様式は、所望の全重合度(すなわち、総モノマー転化率)が官能化領域15で達成される前に、全活性ポリマー鎖を停止させるように操作される。ここで、総モノマー転化率は、重合領域13及び官能化領域15で起こるモノマー転化率を意味する。1つ以上の実施形態では、総モノマー転化率は、最大35%、他の実施形態では最大30%、他の実施形態では最大25%、他の実施形態では最大20%、他の実施形態では最大18%、他の実施形態では最大15%、他の実施形態では最大12%ある。
総モノマー転化率は、最小のモノマー転化によって特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、総モノマー転化率は、少なくとも3%、他の実施形態では少なくとも5%、他の実施形態では少なくとも8%、他の実施形態では少なくとも10%、他の実施形態では少なくとも12%である。
1つ以上の実施形態では、官能化が進行する条件(すなわち、官能化領域15内での条件)を制御して、温度を、約0℃〜約80℃、他の実施形態では、約5℃〜約50℃、他の実施形態では、約20℃〜約30℃の範囲に維持してもよい。1つ以上の実施形態では、官能化が実施され得る圧力には、モノマーの大部分が液相にあることを確実にする圧力が含まれる。これらの又は他の実施形態では、重合混合物は、官能化領域15内で嫌気性条件下で維持され得る。
複素環ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応が完了するのに必要な時間は、反応性ポリマーの調製に用いられる触媒のタイプ及び量、複素環ニトリル化合物のタイプ及び量、並びに官能化反応が行われる温度など、種々の要因に依存する。1つ以上の実施形態では、複素環ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応は、約10〜60分間行われ得る。
再び図を参照して、重合混合物を官能化領域15から急冷領域17に移送させ、重合混合物に焼入冷却剤を添加する。図示のように、急冷領域17は、インライン混合装置43を含むことができる1つ以上の導管41を含むことができる。焼入冷却剤は、入口45を介して官能化領域15に注入することができる。酸化防止剤は、焼入冷却剤と共に添加してもよく、焼入冷却剤と別々に添加しても又は混合してもよい。連続プロセスのコンテキスト内では、官能化工程の下流で焼入冷却剤の添加が生じる。重合混合物は、導管41から導管51を介してブレンドタンク75に移送される。酸化防止剤は、入口55を介して導管51に添加されるか、ブレンドタンク75に直接添加されてもよい。重合混合物は、急冷領域17から脱揮領域19に移送され、未反応モノマーなどの揮発性化合物が重合混合物から除去される。連続プロセスのコンテキスト内では、急冷工程の下流で脱揮が生じる。
更なる処理及び加工
1つ以上の実施形態では、脱揮から回収された官能化ポリマーは、従来技術で知られているように更に処理され得る。例えば、ポリマー生成物は、例えば、ポリマーを熱風トンネル内で熱に露出することによって更に乾燥させることができる。
ポリマー生成物
1つ以上の実施形態では、本発明に従って調製されるポリマーは、不飽和を含有してよい。これらの又は他の実施形態において、ポリマーは、加硫性である。1つ以上の実施形態では、ポリマーは、0℃未満、他の実施形態では−20℃未満、他の実施形態では−30℃未満であるガラス転移温度(Tg)を有することができる。一実施形態において、これらのポリマーは、単一のガラス転移温度を示してもよい。特定の実施形態において、ポリマーを水素化してもよいし又は部分水素化してもよい。
1つ以上の実施形態において、本発明のポリマーは、97%を超える、他の実施形態では98%を超える、他の実施形態では98.5%を超える、他の実施形態では99.0%を超える、他の実施形態では99.1%を超える、他の実施形態では99.2%を超える、シス−1,4−結合含有量を有するシス−1,4−ポリジエンであってもよい(百分率は、シス−1,4−結合を用いるジエンマー単位の数対ジエンマー単位の総数に基づく)。また、これらのポリマーは、約2%未満、他の実施形態では2.5%未満、他の実施形態では1%未満、他の実施形態では1.5%未満の1,2−結合含量を有することができ、ジエンマー単位の総数に対する1,2−結合を使用するジエンマー単位の数に基づく。ジエンマー単位の残部には、トランス−1,4−結合を採用してもよい。シス−1,4−、1,2−、及びトランス−1,4−結合含有量の測定は、赤外分光法によって行ってもよい。
1つ以上の実施形態では、これらのポリマーの数平均分子量(Mn)は、約1,000〜約1,000,000、他の実施形態では、約5,000〜約200,000、他の実施形態では、約25,000〜約150,000、他の実施形態では、約50,000〜約120,000であってもよく、その測定は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、その較正は、ポリスチレン標準と当該のポリマーに対するMark−Houwink定数とを用いて行う。
1つ以上の実施形態では、これらのポリマーの分子量分布又は多分散度(Mw/Mn)は5.0未満であってよく、他の実施形態では3.0未満、他の実施形態では2.5未満、他の実施形態では2.2未満、他の実施形態では2.1未満、他の実施形態では2.0未満、他の実施形態では1.8未満、他の実施形態では1.5未満であってもよい。
1つ以上の実施形態では、ポリマーのコールドフロー耐性は、Scott可塑性試験機を使用して測定され得る。耐コールドフロー性の測定は、ポリマーのサンプルから調製した円筒状ボタンの上に重しを置くことにより行われ得る。ポリマーサンプルのボタンの調製は、約2.5gのポリマーを100℃で20分間成形して、直径15mm及び高さ12mmの円筒状ボタンを調製することによって行われ得る。ボタンを室温まで冷却した後で、ボタンを型から取り外し得る。次いで、Scott可塑性試験機に室温でボタンを置き、5−kgの荷重をサンプルに加えることによって試験を行うことができる。8分後、残留サンプルゲージ(すなわち、サンプルの厚さ)が測定され得る。一般的に、残留サンプルゲージは、ポリマーの耐コールドフロー性の指標とすることができ、残留サンプルゲージが高いほど、良好な耐コールドフロー性を示す。
本発明の1つ以上の実施形態によって製造されたポリマー生成物は、有益な耐コールドフロー性という特徴を有し得る。この有利な耐コールドフロー性は、本明細書で定義した閾値量を超える量の焼入冷却剤で処理された類似のポリマー組成物(すなわち、シス−1,4−ポリジエン)と比較して、重力によるコールドフローを、少なくとも1.0%減少、他の実施形態では少なくとも1.4%減少、他の実施形態では少なくとも1.8%減少、他の実施形態では少なくとも2.0%減少、他の実施形態では少なくとも3.0%減少、他の実施形態では少なくとも4.2%減少、他の実施形態では、6.1%減少させる。耐加速コールドフロー性は、Scott試験機及び上記の分析を用いて測定される。
産業上の利用性
本発明のポリマーは、タイヤ部品の製造に使用可能であるゴム組成物の調製に特に有用である。ゴム配合技術及び当該技術で用いられる添加物は、概して、「Rubber Technology(2nd Ed.1973)」における「The Compounding and Vulcanization of Rubber」に開示されている。
ゴム組成物は、本発明のポリマーを単独で又は他のエラストマー(すなわち、ゴム又はエラストマー特性を保有する組成物を形成するために加硫処理が可能なポリマー)と共に使用することにより、調製することができる。使用してもよい他のエラストマーには、天然及び合成ゴムが含まれる。合成ゴムは典型的に、共役ジエンモノマーの重合、共役ジエンモノマーと他のモノマー(例えばビニル置換芳香族モノマー)との共重合、又はエチレンと1つ以上のα−オレフィン及び任意追加的に1つ以上のジエンモノマーとの共重合から得られる。
例示的なエラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン−コ−イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン−コ−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−コ−ブタジエン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、及びこれらの混合物などが挙げられる。これらのエラストマーは、無数の巨大分子構造、例えば、直線状、分岐状、及び星形構造を有することができる。
ゴム組成物には、充填剤、例えば、無機及び有機充填剤が含まれていてもよい。有機充填剤の例には、カーボンブラック及びデンプンが含まれる。無機充填剤の例には、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク(水和ケイ酸マグネシウム)、及びクレイ(水和アルミニウムシリケート)が挙げられる。カーボンブラック及びシリカは、タイヤの製造において用いられる最も一般的な充填剤である。ある実施形態では、異なる充填剤の混合物を有利に用いてもよい。
1つ以上の実施形態では、カーボンブラックには、ファーネスブラック、チャンネルブラック、及びランプブラックが含まれる。カーボンブラックのより具体的な例には、超摩耗ファーネスブラック、中間超摩耗ファーネスブラック、高磨耗ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、半強化ファーネスブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。
特定の実施形態では、カーボンブラックの表面積(EMSA)は、少なくとも20m2/g、他の実施形態では少なくとも35m2/gであってもよく、表面積値は、ASTM D−1765によって、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)技術を用いて決定することができる。カーボンブラックは、ペレット化された形態又はペレット化されていない綿状形態であり得る。カーボンブラックの好ましい形態は、ゴム化合物を混合するために使用される混合機器の種類に依存し得る。
ゴム組成物中で用いるカーボンブラックの量は、ゴム100重量部(phr)当たり最大で約50重量部であってもよく、約5〜約40phrが典型的である。
使用され得るいくつかの市販のシリカとしては、Hi−Sil(商標)215、Hi−Sil(商標)233、及びHi−Sil(商標)190(PPG Industries,Inc.、Pittsburgh,Pa.)が挙げられる。市販のシリカの他の供給業者としては、Grace Davison(Baltimore,Md.)、Degussa Corp.(Parsippany,N.J.)、Rhodia Silica Systems(Cranbury,N.J.)、及びJ.M.Huber Corp.(Edison,N.J.)が挙げられる。
1つ以上の実施形態では、シリカは、その表面積によって特徴付けることができ、これにより、その補強特性の尺度が与えられる。ブルナウアー−エメット−テラー(「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309 et seq.に記載されている)は、表面積を決定するための広く認められている方法である。シリカのBET表面積は、一般に450m2/g未満である。表面積の有用な範囲としては、約32〜約400m2/g、約100〜約250m2/g、約150〜約220m2/gが挙げられる。
シリカのpHは、概して、約5〜約7である。あるいは、わずかに7より高い。また、他の実施形態では、約5.5〜約6.8である。
1つ以上の実施形態では、シリカを充填剤として(単独で又は他の充填剤と組み合わせて)用いる場合、混合中に結合剤及び/又は遮蔽剤をゴム組成物に添加して、シリカとエラストマーとの相互作用を高めることがある。有用な結合剤及び遮蔽剤は以下の文献に開示されている。米国特許第3,842,111号、同第3,873,489号、同第3,978,103号、同第3,997,581号、同第4,002,594号、同第5,580,919号、同第5,583,245号、同第5,663,396号、同第5,674,932号、同第5,684,171号、同第5,684,172号、同第5,696,197号、同第6,608,145号、同第6,667,362号、同第6,579,949号、同第6,590,017号、同第6,525,118号、同第6,342,552号、及び同第6,683,135号。これらは本明細書において参照により組み込まれている。
ゴム組成物中に用いるシリカの量は、約1〜約100phr、又は他の実施形態では約5〜約80phrであり得る。有用な上限範囲は、シリカによって与えられる高粘性によって限定される。シリカをカーボンブラックと共に用いるとき、シリカの量を約1phr程度に低くすることができる。シリカの量が低いため、使用する結合剤及び遮蔽剤の量を少なくすることができる。概ね、結合剤及び遮蔽剤の量は、使用するシリカの重量に対して、約4%〜約20%の範囲である。
硫黄又は過酸化物系硬化系を含む、多数のゴム硬化剤(加硫剤とも呼ばれる)が用いられてもよい。硬化剤は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.20,pgs.365〜468,(3rd Ed.1982)、特に、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,pgs.390〜402、及びA.Y.Coran,Vulcanization,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,(2nd Ed.1989)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
ゴム配合において典型的に用いられる他の成分もまた、ゴム組成物に添加されてもよい。これらには、促進剤、促進活性剤、油、可塑剤、蝋、スコーチ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、強化用樹脂、脂肪酸、例えばステアリン酸、解こう剤、劣化防止剤、例えば酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤が挙げられる。特定の実施形態では、用いられる油としては、従来から伸展油として用いられるものが挙げられる。これは、前述したとおりである。
ゴム組成物のすべての成分は、標準的な混合機器、例えばバンバリー又はブラベンダーミキサ、押出機、ニーダー、及び2つの圧延ミルを用いて混合することができる。1つ以上の実施形態では、構成成分を2段階以上で混合する。第1の段階(多くの場合、マスターバッチ混合段階とも呼ばれる)において、いわゆるマスターバッチ(典型的に、ゴム成分及び充填剤が含まれる)を調製する。早期加硫(別名スコーチ)を防止するために、マスターバッチから加硫剤を除外してもよい。マスターバッチの混合を、開始温度が約25℃〜約125℃、吐出温度が約135℃〜約180℃で行ってもよい。いったんマスターバッチが調製されると、加硫剤を、最終混合段階において、マスターバッチ内に導入及び混合してもよく、これは典型的には、時期尚早な加硫の機会を減少させるように、比較的低温で実施される。任意的に、しばしば再ミルと呼ばれる付加的な混合段階を、マスターバッチ混合段階と最終的な混合段階との間で用いることができる。ゴム組成物にシリカが充填剤として含まれる場合、1又は複数の再ミル段階が用いられることが多い。本発明のポリマーを含む種々の構成成分の添加を、これらの再ミル中に行うことができる。
シリカ充填されたタイヤ配合物に特に適用可能な混合手順及び条件は、米国特許第5,227,425号、同第5,719,207号、及び同第5,717,022号、並びに欧州特許第890,606号に記載されており、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれている。一実施形態では、最初のマスターバッチの調製は、結合剤及び遮蔽剤が実質的にない状態でポリマー及びシリカを含めることによって行う。
本発明のポリマーから調製されるゴム組成物が特に有用であるのは、タイヤ部品、例えばトレッド、サブトレッド、サイドウォール、ボディプライスキム、ビーズ充填剤などを形成する場合である。1つ以上の実施形態において、これらのトレッド又は側壁配合物には、約10重量%〜約100重量%、他の実施形態では約35重量%〜約90重量%、及び他の実施形態では約50重量%〜約80重量%(配合物内のゴムの総重量に基づく)の本発明のポリマーが含まれていても良い。
ゴム組成物をタイヤの製造において用いる場合、これらの組成物を処理してタイヤ部品にすることを、普通のタイヤ製造技術、例えば、標準的なゴム成形技術、成型技術、及び硬化技術により行うことができる。典型的に、加硫は、加硫性組成物を成形型内で加熱することによって達成される。例えば、成形型は、約140℃〜約180℃に加熱されてもよい。硬化又は架橋されたゴム組成物は、一般的に熱硬化性の三次元ポリマー網状組織を含有する、加硫物と称され得る。充填剤及び加工助剤などの他の成分は、架橋された網状組織全体に亘って一様に分散してもよい。空気入りタイヤは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,866,171号、同第5,876,527号、同第5,931,211号、及び同第5,971,046号に記載されるように作製され得る。
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正式に限定されるものではない。
実施例
実験手順
以下の実施例において、ポリマーサンプルのムーニー粘度(ML1+4)が、大ロータ、1分間の予備加熱時間、及び4分間の運転時間でMonsanto Mooney粘度計を用いて100℃で求められた。ポリマーサンプルの数平均(Mn)及び重量平均(Mw)分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求められた。ポリマーサンプルのシス−1,4−結合、トランス−1,4−結合、及び1,2−結合含有量は、13CNMR分光法によって求められた。耐コールドフロー性測定のために、それぞれのポリマーサンプル(2.5グラム)は、カルバープレスを使用してインストロン圧縮型内で、100°で20分間溶融プレスされた。冷却後、サンプルをプレスから取り出し、サンプルは、13.00mmの均一な厚さの直径及び高さを有する円筒形であった。Scott試験機は、重り(5000グラム)を使用して、ポリマーサンプルの厚さを測定するために30分間サンプルをプレスした。押圧後、ポリマーは、貯蔵中に十分な耐コールドフロー性を有するように、2.55mmを超える最小厚さを有する必要がある。
実施例1
機械式攪拌装置(シャフト及びブレード)付きの1ガロンのステンレスシリンダーからなる重合反応器は、高粘度ポリマーセメントの混合が可能であった。反応器の上部は、重合の間を通して反応器の内側で発生した1,3−ブタジエンの蒸気を、運搬、凝縮、及びリサイクルするための還流凝縮器システムに接続された。反応器には、冷水で冷やされる冷却ジャケットも付けた。重合の熱は、一部は、還流凝縮器システムの使用による内部冷却によって、また一部は、冷却ジャケットへの熱移動による外部冷却によって、消散された。
反応器は、乾燥窒素流で徹底的にパージされ、その後、100gの乾燥1,3−ブタジエンモノマーを反応器に充填し、反応器を65℃まで熱し、続いて、還流凝縮器システムの上部から、液体1,3−ブタジエンが反応器内からなくなるまで1,3−ブタジエンの蒸気をガス抜きすることによって、1,3−ブタジエンの蒸気と入れ替えた。冷却水を、還流凝縮器及び反応器ジャケットに適用し、1302gの1,3−ブタジエンモノマー及び3.9mLの、0.4Mのピリジンが、反応器内に充填された。モノマーを、27℃で温度調節した後、6.5gの、ヘキサン中19.2重量%の1,3−ブタジエン、0.72mLの、ヘキサン中0.054Mのネオジムベルサテート、2.4mLの、トルエン中1.5Mのメチルアルミノキサン(MAO)、2.91mLの、ヘキサン中1.0Mの水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)、及び1.56mLの、ヘキサン中0.025Mのテトラブロモメタン(CBr4)の順序で混合することによって調製した予備形成触媒を反応器に充填し、混合物を15分間熟成させることにより重合を開始させた。開始から13.5分後、重合混合物は、3.9mLの、トルエン中1.0Mの2−シアノピリジンで処理され、15分間攪拌された。次いで、0.2mLの水(311H2O/Nd)を重合に添加した後、ヘキサン中、0.094Mのトリスノニルフェニルホスファイト(TNPP)及び0.049Mのイルガノックス1076(I1076)を含有する10.0mLの溶液を添加した。15分間攪拌した後、重合混合物を、1360gのヘキサン中に溶解させた6.0mLのイソプロパノールで希釈し、このバッチを、5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する11Lのイソプロパノール内に滴下することによって、重合を停止させた。凝固したポリマーをドラム乾燥させた。
2−シアノピリジン変性超高シス−1,4−ポリブタジエンは、2.55mmの最低限の許容可能な耐コールドフロー性を上回る3.06mmの耐コールドフロー性を有する。ポリマーのムーニー粘度、微細構造及び分子量データは表1に見出すことができる。
実施例2
H2O/Ndが957であり、耐コールドフロー性測定値が、2.55mmの最低限の許容可能な耐コールドフロー性を上回る2.86mmであったことを除いて、実施例1で使用した同じ手順を、実施例2で使用した。ポリマーのムーニー粘度、微細構造及び分子量データは表1に見出すことができる。
実施例3
H2O/Ndが1196であり、耐コールドフロー性測定値が、2.55mmの最低限の許容可能な耐コールドフロー性を上回る2.56mmであったことを除いて、実施例1で使用した同じ手順を、実施例3で使用した。ポリマーのムーニー粘度、微細構造及び分子量データは表1に見出すことができる。
実施例4
H2O/Ndが1435であり、耐コールドフロー性測定値が、2.55mmの最低限の許容可能な耐コールドフロー性を上回る2.60mmであったことを除いて、実施例1で使用した同じ手順を、実施例4で使用した。ポリマーのムーニー粘度、微細構造及び分子量データは表1に見出すことができる。ポリマーのムーニー粘度、微細構造、及び分子量データは表1に見出すことができる。
実施例5
H2O/Ndが1674であり、耐コールドフロー性測定値が、2.55mmの最低限の許容可能な耐コールドフロー性を下回る2.52mmであったことを除いて、実施例1で使用した同じ手順を、実施例5で使用した。ポリマーのムーニー粘度、微細構造及び分子量データは表1に見出すことができる。
実施例6
H2O/Ndが1913であり、耐コールドフロー性測定値が、2.55mmの最低限の許容可能な耐コールドフロー性を下回る2.41mmであったことを除いて、実施例1で使用した同じ手順を、実施例6で使用した。ポリマーのムーニー粘度、微細構造及び分子量データは表1に見出すことができる。
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正式に限定されるものではない。