本発明は、燃料を燃焼させる方法及びボイラーに関連する。
ボイラー炉内の燃料の燃焼は、異なるボイラー動作変数間のバランスをとることを必要とする。さまざまな有害物質の排出量を許容限度未満に保つ必要がある。さらに、ボイラーの動作及びボイラーの利用可能性に関するいくつかの問題を考慮に入れる必要がある。
燃焼プロセスを最適化して有害物質の低排出量を達成する一方で、良好な炎安定性及びボイラーの利用可能性を達成するようにボイラー動作を設計することが困難であることが多い。近い将来、欧州連合の加盟国では、有害物質に対するかなり厳しい新たな排出制限が施行されようとしている(産業排出指令、IEU)。新しい排出制限により、燃焼の最適化はさらにより困難になる。
バーナーの炎は、二次空気又は三次空気を接線方向の運動に設定することによって安定化されることが多い。これは、スワーラを通して炉内に空気を指向することによって達成することができ、スワーラはそれを通して流れる空気に接線方向の運動を与える。スワーラは、空気流の方向を変えるために所定の角度に設定された羽根を含む。空気のスワール数Sは、空気に所定の接線方向の速度を与えるように設定される。スワール数Sは、空気流の軸方向の運動量に対する接線方向の運動量の比を特徴付ける。スワール数が低いと、弱いスワールが発生し、流れの再循環はほとんど又はまったく存在しない。スワール数が高いと、再循環領域が形成される。
スワール数が増加すると、強い再循環領域が達成され、炎が安定化される。しかし、スワール数を増加させると、燃料が熱伝達壁の近くで渦を起こす。熱伝達は、高温流と熱伝達壁との間にある燃料ダストによって損なわれる。追加的に、スワール数を増加させると、燃焼中に形成された一酸化炭素が炉壁の近くの接線方向の空気流と共に移動し、それによって熱伝達面に深刻な腐食問題を引き起こす。
本発明の目的は、燃料の豊富な煙道ガスが炉壁から炉の中央まで同伴するのを助ける流れパターンを生じさせるように炉内の流体力学が影響を受ける、燃料を燃焼させる方法及びボイラーを提供することであり、それによって炉壁の腐食を低減する。また、一酸化炭素と窒素酸化物の排出量を許容限度未満に保つことが目的である。
本発明による方法は、請求項1に提示されているものによって特徴付けられる。
本発明によるボイラーは、請求項15に提示されているものによって特徴付けられる。
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供し、本明細書の一部を構成するために含まれ、本発明の実施形態を例示し、発明を実施するための形態と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
2つの対向する炉壁における一実施形態による一組のバーナーを含むボイラーの概略斜視図である。
一実施形態によるバーナーの概略断面図である。
第2実施形態に係るバーナーの概略断面図である。
ボイラー炉内における所定の水平バーナーレベルにある全体の流れ場の概略断面図である。
一態様によれば、燃料を燃焼させる方法が提供され、本方法は、バーナーの1つ以上によって炎を生成するために所定の水平バーナーレベル又はその付近にて炉壁上に配置された一組のバーナーを通して、炉壁を含むボイラー炉に燃料及び燃焼用空気を供給することを含む。燃焼用空気は一次空気と二次空気とを含む。燃料は、下流端を含む燃料供給管を通して供給される。各バーナーの炎は、炎安定化リングの下流に内側再循環領域を生成するために、燃料供給管の下流端に炎安定化リングを設けることによって安定する。各バーナーは空気係数(SRwing、SRcenter)を有し、バーナーを通して供給される二次空気はスワール数(Swing、Scenter)を有する。一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーと、を含む。本方法はさらに、
− 各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)を0.95以上に、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.9以下に設定する。
− 各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)を0〜0.3に設定する。
− 少なくとも1つの中央バーナーの炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成することによって、少なくとも1つの中央バーナーの炎の形状を広げる。
一態様によれば、炉壁を含むボイラー炉と、所定の水平バーナーレベル又はその付近にて炉壁上に配置された一組のバーナーと、を含むボイラーが提供される。一組のバーナーの各バーナーは、
下流端を含み、ボイラー炉内に燃料を供給するための燃料供給管と、
燃料供給管の周囲に配され、ボイラー炉内に二次空気を供給するための二次空気流チャネルと、
燃料供給管の下流端に取り付けられ、炎安定化リングの下流に内側再循環領域を生成するための炎安定化リングと、を含む。各バーナーは空気係数(SRwing、SRcenter)を有し、バーナーを通して供給される二次空気はスワール数(Swing、Scenter)を有する。
一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーと、を含む。各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95以上となるような量でボイラー炉内に燃焼用空気を供給するように構成され、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.9以下となるような量でボイラー炉内に燃焼用空気を供給するように構成される。
各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気に0〜0.3のスワール数(Swing)を与えるように構成される。
少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの炎の形状を広げるために、少なくとも1つの中央バーナーの炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成するように構成される。
本明細書に記載の方法は、所定の水平バーナーレベルにあるバーナーが、中央バーナーとウイングバーナーに対して異なる空気係数が提供されるように動作する二段燃焼システムである。本方法によれば、最も外側のウイングバーナーの炎の形状は狭く保たれる一方、最も内側の中央バーナーの炎の形状は幅広く短く保たれる。結果として、炉壁の近くにより酸素に富んだ状態をもたらす流れパターンが作成され、炉壁の腐食速度の減少に有利に働く。流れのパターンは、燃料に富んだ煙道ガスを炉壁から炉の中心に同伴させる。
流れパターンは一組のバーナーの適切な動作及び構成により達成される。ハイブリッドバーナーの構成と動作の組み合わせは、ウイングバーナーと中央バーナーの運動量の流れに違いをもたらす。
一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーと、を含む。一実施形態では、一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーとからなる。一組の中央バーナーを形成するいくつかの中央バーナーがある場合、少なくとも一つのウイングバーナーが一組の中央バーナーの両側に配置される。したがって、ウイングバーナーは、水平バーナーレベルにて炉壁と最も外側の中央バーナーとの間に配置される。中央バーナー間にウイングバーナーはない。一組のバーナーは、所定の水平バーナーレベルにて1つの炉壁上に隣接バーナーを含む。一組のバーナーは、例えば、3、4、5、6、7又は8つのバーナーからなってよい。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは1つの中央バーナーからなる。少なくとも1つの中央バーナーは、例えば、2、3、4、5又は6つの中央バーナーからなってよい。
一実施形態では、一組のバーナーは、中央部と、その中央部の両側にある側部と、を含む。中央部は少なくとも1つの中央バーナーを含む。側部は少なくとも1つのウイングバーナーを含む。一実施形態では、中央部は少なくとも1つの中央バーナーからなる。一実施形態では、側部は少なくとも1つのウイングバーナーからなる。
一組のバーナーのバーナーは実質的に同じ水平バーナーレベルに配置される。バーナーは正確に同じ水平バーナーレベルに配置される必要はなく、バーナーの水平レベルは互いにわずかに異なることがある。一実施形態では、一組のバーナーは、所定の水平バーナーレベルにて炉壁上に配置される。
それぞれが2つの対向する炉壁上に一組のバーナーを含む水平バーナーレベルの数は、例えば1、2、3、4又は5としてよい。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーの構造は、各ウイングバーナーの構造と同じである。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーの構造は、各ウイングバーナーの構造とは異なる。
各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)は0.95以上に設定されている。従って、各ウイングバーナーはほぼ化学量論比の空気と燃料で動作する。各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)は相対的に高いため、ウイングバーナーでの燃焼中に形成される一酸化炭素の量は少なく保たれ、部分的には、一酸化炭素によって引き起こされる炉壁の腐食を減少させるのを助ける。
一酸化炭素の形成が、各ウイングバーナーの相対的に高い空気係数(SRwing)によって低く保たれる一方で、高い空気係数は、ウイングバーナーでの燃焼中に形成される窒素酸化物の排出量を上昇させる。炉内で生成される窒素酸化物の総量は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.9以下に調整することによって許容限界未満に保たれ、中央バーナーでの燃焼において生成される窒素酸化物の量は、ウイングバーナーでの燃焼において生成される窒素酸化物の量よりもかなり少ないようにする。
少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)は0.9以下に設定されている。従って、各中央バーナーは、準化学量論比の空気と燃料で動作する。低い空気係数は、中央バーナーでの燃焼中に形成される窒素酸化物の量を低減する。同時に、準化学量論比の空気係数は、中央バーナーでの燃焼中に形成される一酸化炭素の量を増加させる。しかし、中央バーナーは水平バーナー列の最も内側のバーナーであるため、形成された一酸化炭素は炉壁から遠ざけられ、炉壁の近くに形成された一酸化炭素と同じ位で炉壁の腐食をもたらさない。少なくとも1つの中央バーナーの空気係数係数(SRcenter)の値は、炉内で生成される一酸化炭素の全体の量が許容限界未満に保たれるように調整される。
中央バーナーの空気係数(SRcenter)は、ウイングバーナーの空気係数(SRwing)よりも小さい。ウイングバーナーと中央バーナーの空気係数の違いにより、炉内の全体の流れ場が変化する。ウイングバーナーのバーナー領域付近よりも、中央バーナーのバーナー領域付近における空気量がより少ないため、ウイングバーナーの下流の圧力と比較して、中央バーナーの下流で負圧が生じる。中央バーナーの下流の負圧により、ウイングバーナーの炎が炉壁から離れて炉の中心に向かって曲がるようにする。これは一酸化炭素を炉壁から遠ざけ続けるのを助け、側壁の腐食の減少につながる。
用語空気係数の意味は、当業者にとって明らかである。空気係数又は化学量論比SRは、燃料の完全燃焼に必要な理論(化学量論)空気量と比較して、燃焼にどれだけの空気が使用されるかを示す。準化学量論燃焼では、空気係数SRは1未満であり、超化学量論燃焼では、空気係数SRは1を超える。バーナーの空気係数は、バーナーを通して供給される燃料の完全燃焼に必要な理論空気量と比較して、バーナーを通してどれだけの空気が供給されるかを示す。
バーナーを通して供給される燃焼用空気量又はバーナーの空気係数(SR)は、本分野で知られている従来の手段を使用して調整される。各バーナーを通して供給される燃焼用空気量は、バーナーを通して供給される燃料量と望ましい空気係数とに基づいて計算される。一実施形態では、バーナーを通して供給される燃焼用空気量は、ダンパ又は制御バルブによって調整される。ダンパ又は制御バルブによって、所定量の燃焼用空気がそれらを通して流れることができる。一実施形態では、バーナーを通して供給される燃焼用空気量は、バーナーに接続された共通のウインドボックスからのバーナーの圧力損失に対して燃焼用空気をバーナーに指向することによって調整される。各バーナーでの圧力損失は、例えば、バーナーを通して供給される燃焼用空気のスワール数を変更することによって調整することができる。
各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.3に設定されている。一実施形態では、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)は、0.01〜0.3又は0.1〜0.3に設定されている。一実施形態では、燃焼用空気は三次空気を含み、各ウイングバーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.3、0.01〜0.3、又は0.1〜0.3に設定されている。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーを通して供給される三次空気に0〜0.3、0.01〜0.3又は0.1〜0.3のスワール数(Swing)を与えるように構成される。燃料供給管の下流端に取り付けられた炎安定化リングは、炎を安定させることによってスワール数を減少させることを可能にする。一実施形態では、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.1に設定される。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気に0〜0.1のスワール数(Swing)を与えるように構成される。一実施形態では、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気のスワール数(Swing)は0に設定される、すなわちスワールは空気に提供されない。従って、炉壁近くに配置された各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気は、非渦運動であるか、又は弱い旋回が提供される。バーナー領域付近での空気と燃料の集中的な分離は避けられるが、むしろ、空気と燃料の流れは、炉壁への燃料の曲がりを避けるためにより軸方向である。
一実施形態では、各ウイングバーナーの二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルは、羽根によって二次空気又は三次空気を指向するためのスワーラを含む。スワーラは、各ウイングバーナーを通して供給される二次又は三次空気に、0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0のスワール数を与えるように構成される。羽根は、二次空気又は三次空気の流れに対して角度βで配される。角度βは、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気に、0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0のスワール数(Swing)を与えるように設定されている。一実施形態では、二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルはスワーラを含まない。
ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)を0〜0.3に設定することによって、炎の広がりが回避される、又は抑えられる。従って、一酸化炭素は改善された流れ場によって炉壁から離れるように指向される。炉壁近くの一酸化炭素の量が削減され、一酸化炭素による炉壁の腐食を減少させる。十分な軸方向の運動量フラックスは、流れの良好な進入をもたらす。追加的に、空気と燃料の軸方向の流れは、炉壁に対して燃料、例えば、微粉炭の広がりを抑える。高温流と熱伝達面との間の燃料の量が削減されるため、熱伝達が改善される。改善された熱伝達は炉出口のガス温度(FEGT)の低下を引き起こす。
スワール数Sは、空気流の軸方向の運動量に対する接線方向の運動量の比を特徴付ける。スワール数の概念は、当業者に常識である。スワール数の計算方法は、例えば、Beer, J. and Chigier, N.,Combustion Aerodynamics,1972,109-115ページに見つけることができる。空気流のスワール数は、空気流の方向に対してある角度に設定された羽根を含むスワーラを通して空気流を指向することによって変えることができる。スワーラは、それを通して流れる空気に接線方向の運動を与える。スワール数は、羽根の角度を調整し、空気の速度を変えることで調整することができる。燃焼用空気に所定のスワール数Sを供給するのに必要な羽根の角度は、スワーラの種類に依存する。スワーラは通常、二次又は三次空気流チャネル内に配置されている。
各組のバーナー、すなわち中央バーナーとウイングバーナーの両方に、炎安定化リングが設けられている。一実施形態では、燃料供給管はさらに外壁と出口とを含み、二次空気は燃料供給管の周囲に配された二次空気流チャネルを通して供給され、二次空気流チャネルは出口を含み、炎安定化リングは、燃料供給管の出口を囲み、二次空気流チャネルの出口に向かって突出するように、燃料供給管の外壁に取り付けられている。炎安定化リングは、二次空気流チャネルの出口の一部を塞いでいる。一実施形態では、燃料供給管はさらに外壁と出口とを含み、二次空気流チャネルは出口を含み、炎安定化リングは、燃料供給管の出口を囲み、二次空気流チャネルの出口に向かって突出するように、燃料供給管の外壁に取り付けられている。
燃料供給管を通して供給される燃料キャリアガス及び燃料は炎安定化リングの一方側を流れ、二次空気流チャネルを通して供給される二次空気は炎安定化リングの他方側を流れる。炎安定化リングは、二次空気流チャネルの出口の一部を塞いでいる。二次空気流の一部は炎安定化リングと衝突し、それによって空気の流れ場が変化する。内側再循環領域は炎安定化リングの下流に形成されている。内側再循環領域は、燃焼用空気をバーナーに逆流させることによって形成される。内側再循環領域は、炎安定化リングによって径方向、すなわち燃料供給管の中心軸に垂直な方向に、区切られている。二次空気流チャネルにおける炎安定化リングの背後、すなわち上流には、減圧フィールドが設けられて、炎の安定化を引き起こすか、又は少なくとも炎の安定性を高める。追加的に、炎は、炎安定化リングがない場合よりも炎安定化リングによってより良好に着火する。燃料は炎安定化リングの内側で発生した再循環流内で着火する。炎安定化リングは、炎を狭く保つように炎の流れ場を変える。
炎安定化リングは、バーナーノズルのすぐ近くで燃料を点火する。より正確には、燃料は炎安定化リングの内側で発生した再循環流内で着火される。改善された着火の結果として、燃料の燃焼度は増加し、そしてその結果、炉の上部の煙道ガス温度は約20〜50℃低下し、それはボイラー効率を上げる。バーナー領域内での燃焼が高まるため、過熱器に入るときの煙道ガスはより低い温度にあり、また煙道ガス内の温度分布はより均一となる。その結果、過熱器及び再熱器の材料温度はより低くかつより均一に保たれる。実験によれば、これによって加熱面での材料損傷が著しく減少することが示されている。
炎安定化リングの断面の直径は、ボイラー炉の中心に向かう方向に大きくなっている。炎安定化リングは炉壁の方向に広がっている。炎安定化リングは、ボイラー炉の中心及び炉壁に向かって開くように、実質的に円錐台形としてよい。炎安定化リングは、炎の流れ場を望ましい方向に変える限り、他の形状を有してよい。炎安定化リングの形状は、燃料供給管に固定された炎安定化リングの端部が燃料供給管の中心軸に対して垂直であり、炎安定化リングがボイラー炉の中心に向かってその取り付け点からある距離で回転するようにずらして配置してよい(staggered)。
一実施形態では、炎安定化リングは、燃料供給管の出口から離れる方向に広がる環状部分を含む。また、炎安定化リングは、燃料供給管内に径方向に延びる多数の歯状突起を含んでよい。一実施形態では、炎安定化リングの広がっている環状部分の壁厚は、火安定化リングの自由端に向かって着実に減少する。一実施形態では、燃料供給管の上流端は薄くされており、炎安定化リングは燃料供給管の薄くされた端部の周囲に嵌合されかつ固定リングによって固定され得る均一な環状部分を含む。一実施形態では、炎安定化リングは耐熱鋼製である。炎安定化リングは、一つ以上の部分からなってよい。歯状突起は、耐熱鋼又は耐熱セラミック材料で作ることができる。
本明細書で提供される方法及びボイラーでは、少なくとも1つの中央バーナーの炎の形状は、少なくとも1つの中央の炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成することによって広げられる。外側再循環領域は、燃焼用空気をバーナーに逆流させることによって形成される。外側再循環領域は着火性を改善し、炎を広げる。炎の広がりは窒素酸化物の量を削減するのに役立つ。中央バーナーの炎は、ウイングバーナーの炎よりも幅広く、軸方向、すなわち燃料供給管の中心軸方向に短い。炎の形状が広げられるため、バーナー領域付近での空燃比は最適に保たれ、さらなる燃焼用空気を燃料に混合する前に揮発性成分及び窒素を燃料から効率的に放出させることができる。それによって高温炎が生成される。本明細書に記載の方法及びボイラーを用いて、ボイラー炉における効率的な窒素酸化物の削減が達成される。
外側再循環領域は、内側再循環領域の周囲に形成されている。したがって、外側再循環領域は内側再循環領域を囲む。外側再循環領域は、炎安定化リングの外側に供給された燃焼用空気をボイラー炉の中心に運び、そこで燃焼用空気は加熱される。次いで、加熱された燃焼用空気は再循環流によってバーナー領域付近に引き戻され、バーナー領域付近に熱をもたらし、中央バーナーで効率的な燃焼を生成する。
本明細書で説明する方法及びボイラーでは、十分な空気ステージング効果が、バーナー領域付近、すなわち燃料と燃焼用空気の流れの分離において達成される。外側再循環領域は空気ステージング効果を向上させる。炎安定化リングの外側から供給される燃焼用空気と燃料との混合は後に起こり、各中央バーナーのバーナー領域付近で高温の還元状態が提供される。
一実施形態では、燃料は微粉燃料である。一実施形態では、燃料は微粉炭である。燃料は他の種類の燃料、例えば微粉木質ペレット又は微粉バイオマスであってもよい。一実施形態では、燃料は燃料供給管を通して供給される。一実施形態では、燃料はキャリアガスと一緒に供給される。一実施形態では、キャリアガスは空気である。一実施形態では、キャリアガスは一次空気である。一実施形態では、キャリアガスは空気と煙道ガスとの混合物である。
一実施形態では、バーナーは燃料供給管を含む。二次空気流チャネルが燃料供給管の周囲に配されている。二次空気流チャネルは、燃料供給管と、燃料供給管の周囲に同軸に配された第1の管とによって区切られている。二次空気流チャネルの断面は環状である。三次空気流チャネルが二次空気流チャネルの周囲に配されている。三次空気流チャネルは、第1の管と、第1の管の周囲に同軸に配された第2の管とによって区切られている。三次空気流チャネルの断面は環状である。
一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)を0.95〜1.1に設定することを含む。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95〜1.1となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95〜1.1であるとき、ウイングバーナーでの燃焼中に生成される一酸化炭素の量は、炉壁の広範な腐食を引き起こさないように十分に低く保たれる。一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)を1.0に設定することを含む。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が1.0となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。
一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.6〜0.9に設定することを含む。一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.7〜0.8に設定することを含む。一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.75に設定することを含む。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.6〜0.9となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.7〜0.8となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.75となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.6〜0.9であるとき、中央バーナーでの燃焼中に生成される窒素酸化物の量は、全体の窒素酸化物排出量を許容限界未満に保つように十分に低く保たれる。
窒素酸化物の還元は、過剰燃焼の前の炉の中心(炉内NOx還元)と、中央バーナーのバーナー領域付近で最も強く起こる)。不均衡なバーナー操作のために、未燃燃料(灰中の未燃カーボン、CO)がボイラー炉の中心により集中するため、過燃焼用空気(OFA)システムはそれに応じて修正され得る。
CFD計算によれば、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95〜1.1であり、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.6〜0.9であるとき、良好な全体的な流体力学が達成される。空気係数がこれらの値に設定されると、ウイングバーナーの炎は炉壁から離れ、炉の中心に向かうように曲げられることで、炉壁近くの一酸化炭素の量が減少する。中央バーナー及びウイングバーナーの空気係数をこれらの値に設定すると、流れ場全体が良好になる。炉壁から炉の中心へのガスの同伴は、バーナー動作によって引き起こされる不均衡効果を相殺する。結果として、炉の横断面におけるガスの上方質量流束は悪影響を受けない。
一実施形態では、過燃焼用空気ポートの前の燃焼領域内の全体の空気係数SRは、0.85〜0.9未満(below 0.85-0.9)である。
一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)を0.6〜1.5に設定することによって外側再循環領域を生成することを含む。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0.6〜1.5のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。このようにして、二次空気は相対的に強いスワールを与えられる、すなわち二次空気の接線方向の速度が増大する。接線方向に流れる二次空気は、中央バーナーの炎を広げる。その結果、炎を安定化させる外側再循環領域が内側再循環領域の周囲に形成される。炎の形状を広げると、燃焼も改善する。各中央バーナーにおける十分なスワール及び低い空気比は、ウイングバーナーの炎と比較して、より短い中央バーナーの炎をもたらす。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーの二次空気流は、二次空気を羽根によって指向するためのスワーラを含む。羽根は、二次空気の流れに対して角度βで配されている。少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気が0.6〜1.5若しくは0.9〜1.5又は1.1〜1.3のスワール数を提供するように角度βを設定することによって外側再循環領域を生成するように構成される。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)は、0.9〜1.5又は1.1〜1.3に設定されている。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0.9〜1.5又は1.1〜1.3のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、燃焼用空気は三次空気を含み、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は0.6〜1.5に設定されている。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0.6〜1.5のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、燃焼用空気は三次空気を含み、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は、0.9〜1.5又は1.1〜1.3に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0.9〜1.5又は1.1〜1.3のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。
中央バーナーを通して供給される二次空気に相対的に強いスワールを提供する代わりに、外側再循環領域を中央バーナーにウイングバーナーとは異なる構造を使用することによって生成してよい。一実施形態では、二次空気流チャネルはさらに下流端と外壁とを含み、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される燃焼用空気は三次空気を含み、三次空気は、二次空気流チャネルの周囲に配される三次空気流チャネルを通してボイラー炉に供給される。三次空気流チャネルは出口を含み、本方法は、二次空気流チャネルの下流端に二次空気流チャネルの外側壁に取り付けられた空気案内デバイスを設けることによって、二次空気流チャネルの出口を囲み、三次空気流チャネルの出口に向かって突出するようにして、外側再循環領域を提供することを含む。
一実施形態では、二次空気流はさらに下流端と外壁とを含み、少なくとも1つの中央バーナーは、ボイラー炉内に三次空気を供給するために二次空気流チャネルの周囲に配された三次空気流チャネルを含み、三次空気流チャネルは出口を含み、少なくとも1つの中央バーナーは、二次空気流チャネルの下流端に二次空気流チャネルの外側壁に取り付けられた空気案内デバイスを設けることによって二次空気流チャネルの出口を囲み、三次空気流チャネルの出口に向かって突出するようにして、外側再循環領域を提供するように構成される。
一実施形態では、空気案内デバイスは実質的に円錐台形である。一実施形態では、空気案内デバイスは、二次空気流チャネルの外側壁の拡張部分である。空気案内装置の横断面の直径はボイラー炉の中心に向かって増加する。空気案内デバイスは、三次空気流チャネルの出口の方向に広がる。空気案内デバイスは、三次空気流チャネルの出口の一部を塞いでいる。三次空気の一部は空気案内デバイスと衝突し、それによって空気の流れ場が変化する。空気案内デバイスは、三次空気を径方向外向きに流れるように回転させ、三次空気と燃料との混合を遅らせる。その結果、炎が広がり、効率的な燃焼をもたらす。炎を安定化させる外側再循環領域が内側循環領域の周囲に形成される。
一実施形態では、空気案内デバイスは、燃料供給管の中心軸の方向に対して角度αで配され、角度αは25〜45度である。一実施形態では、角度αは30〜40度である。一実施形態では、角度αは35度である。CFD計算によれば、角度αが25〜45度のときに良好な流体力学が達成される。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)は0〜0.5に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)は、0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は0〜0.5に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は、0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0に設定される。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0〜0.5のスワール数(Scenter)を供給するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0〜0.5のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0.2〜0.3又は0.01〜0.5又は0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。少なくとも1つの中央バーナーの二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルは、二次空気又は三次空気の流れに対して角度βで配された羽根によって二次空気又は三次空気を指向するためのスワーラを含む。角度βは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気又は三次空気に、0〜0.5又は0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を提供するように設定される。一実施形態では、二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルはスワーラを含まない。
一実施形態では、一組のバーナーの少なくとも一部は、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。一実施形態では、コア空気はコア空気ダクトを通して供給される。一実施形態では、コア空気ダクトを通して空気は供給されない。一実施形態では、コア空気ダクトを通して供給される空気は少しだけである。コア空気ダクトを通して空気がまったく供給されないか又は少しだけ供給される場合、コア空気ダクトは炎安定性を向上させるブラフ体として作用する。
一実施形態では、各ウイングバーナーは、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。一実施形態では、各ウイングバーナーと少なくとも1つの中央バーナーの両方が、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。
一実施形態では、各バーナーの二次空気流出口における二次空気の速度は、40〜60m/sに設定される。一実施形態では、各バーナーの二次空気流チャネルの出口における二次空気の速度は、40〜60m/sになるように配される。一実施形態では、二次空気流チャネルの出口における各バーナーの二次空気流チャネルの断面積は、二次空気の速度が40〜60m/sとなるように配される。一実施形態では、各バーナーの三次空気流チャネルの出口における三次空気の速度は40〜60m/sに設定される。一実施形態では、三次空気流チャネルの出口における各バーナーの三次空気チャネルの断面積は、三次空気の0速度が40〜60m/sになるように配される。一実施形態では、各バーナーの二次空気流チャネルの出口における二次空気及び三次空気流チャネルの出口における三次空気の両方の速度は、40〜60m/sに設定される。
二次又は三次空気に40〜60m/sの速度を与えることによって、空気のスワール数が増加し、内側及び外側再循環領域の両方が改善される。炎安定化リングの上流の再循環流は拡大する。また、炎の着火性も改善される。二次空気又は三次空気の速度は、空気の流路を狭めることによって増加させることができる。高速の二次又は三次空気は強力な乱流を発生させ、それが燃焼用空気と燃料の効率的な混合、及び急速な着火と高温の炎をもたらす。
二次又は三次空気流チャネルの出口における二次空気又は三次空気の速度は、空気の体積流量及び流れチャネルの出口における二次又は三次空気流チャネルの断面積に依存する。体積流量Qは、式Q=v・Aによって定義され、ここで、vは空気の速度であり、Aは流路の断面積である。体積流量及び所望の速度を知っていれば、当業者は、チャネルの出口における二次又は三次空気流チャネルの断面積を決定することができる。バーナーによって遭遇する空気圧降下は、通常150mmH2Oである。この圧力降下は、二次空気と三次空気をボイラーに供給する強制通風ファンによって処理される。
空気の体積流量はいくつかの要因によって異なります。各バーナーによる燃焼に必要な化学量論的量の空気は、バーナーの大きさに依存する。この方法で使用されるバーナーのサイズは、通常30〜120MWです。燃料の完全燃焼に必要な理論的(化学量論的)空気量と比較して、所望の空気係数、すなわち燃焼に使用される空気量を知っていれば、当業者は燃焼に使用される空気の体積流量を決定することができる。
空気は、一次空気、二次空気、及び任意選択で三次空気としてボイラーに導入される。一次空気は、燃料、例えば、微粉炭とともにボイラー炉内に供給される。一次空気の量は、燃料の揮発性物質の燃焼のために必要な空気の量に相当し、通常はバーナーを通して供給される空気の総量の20〜25%である。
一次、二次、三次空気の体積流量は、例えば3〜5で決定することができる。例えば、バーナーの空気係数が0.9である場合、バーナーを通して供給される一次空気の空気係数は、燃料中の揮発分量に応じて、例えば、0.2〜0.3としてよい。0.6〜0.7の空気係数に対応し、0.9の全体の空気係数を達成するのに必要とされる残りの空気量は、二次空気又は二次及び三次空気として供給される。典型的には、一次空気に加えて二次空気及び三次空気の両方が供給される場合、二次空気及び三次空気の総量の約1/6から1/3が二次空気であり、残りが三次空気である。
一実施形態では、シールド空気が、少なくとも1つの中央バーナーの下に配置された少なくとも1つの空気ノズルを通して、少なくとも1つの中央バーナーの下から供給される。一実施形態では、ボイラーは、少なくとも1つの中央バーナーの下からボイラー炉内にシールド空気を供給するために、少なくとも1つの中央バーナーの下に配置された少なくとも1つの空気ノズルを含む。一実施形態では、1つの空気ノズルが各中央バーナーの下に配置されている。一実施形態では、シールド空気は、最も低い水平バーナーレベルに配置された少なくとも1つの中央バーナーの下から供給される。一実施形態では、ボイラーは、最も低い水平バーナーレベルで少なくとも1つの中央バーナーの下に配置された少なくとも1つの空気ノズルを含む。一実施形態では、1つの空気ノズルが最も低い水平バーナーレベルで各中央バーナーの下に配置されている。シールド空気の目的は、一酸化炭素の量を減らすことによって一酸化炭素の腐食を引き起こす影響から炉壁を保護することである。シールド空気は、中央バーナーで形成される一酸化炭素の量を減らす。
一実施形態では、一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された2つのウイングバーナーと、を含む。一実施形態では、ボイラーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された2つのウイングバーナーと、を含む。一実施形態では、一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された2つのウイングバーナーと、からなる。中央バーナーの数が多い、例えば、4つの場合、所望の全体の流れ場を達成するために、2つのウイングバーナーは、一組の中央バーナーの両側に設けられてよい。
一実施形態では、本方法は対向壁燃焼用である。一実施形態では、ボイラーは対向壁燃焼用である。対向壁燃焼では、バーナーはボイラー炉の対向壁に配置されている。一実施形態では、複数組のバーナーが、2つの対向炉壁上の異なる水平バーナーレベルに配置されている。例えば、4つの水平バーナーレベル、又は任意の他の数のバーナーレベルがあり得る。
本明細書に記載された燃料を燃焼させる方法及びボイラーは、先行技術に対して顕著な利点を提供し得る。本明細書に記載された実施形態の少なくともいくつかは、炉壁の近くの一酸化炭素の存在が大幅に低減される方法及びボイラーを提供する。結果として、炉壁の腐食が低減され、ボイラーの利用可能性が改善される。同時に、本明細書に記載された実施形態の少なくともいくつかは、一酸化炭素排出量に実質的な変化を伴うことなく、窒素酸化物排出量の大幅な削減を提供する。追加的に、本明細書に記載の実施形態の少なくともいくつかは、炉ガス出口温度(FEGT)を低下させる。低下したFEGTはボイラー効率を改善する。スワールを発生させることなく安定した炎が実現される。
窒素酸化物排出量の削減は、窒素酸化物の還元に使用されるアンモニアの消費量の削減、及び触媒材料のより長い寿命をもたらす。
上記の本発明の実施形態は、互いに任意に組み合わせて使用してよい。実施形態のいくつかは、本発明のさらなる実施形態を形成するために互いに組み合わせてよい。本発明が関連する方法及びボイラーは、上記の本発明の実施形態の少なくとも1つを含み得る。
実施例
ここで本発明の実施形態を詳細に参照するが、その例は添付の図面に示されている。
簡単にするために、構成要素を繰り返す場合、参照番号は以下の例示的な実施形態で維持される。
一実施形態によるボイラーの概略斜視図である。図1のボイラーは、対向壁燃焼用に使用される。ボイラーは、ボイラー炉1と、ボイラー炉1内に燃料及び燃焼用空気を供給するために4つの水平バーナーレベル4にあるバーナー3と、を含む。4つの水平バーナーレベル4が存在し、各水平バーナーレベルは、2つの対向する炉壁2に一組のバーナー3を含む。
各組のバーナー3は、2つの中央バーナー8と、2つの中央バーナー8の一方側にある1つのウイングバーナー9と、2つの中央バーナー8の他方側にある別のウイングバーナー9と、を含む。行内の最も外側のバーナーは、ウイングバーナー9であり、行内の最も内側のバーナーは中央バーナー8である。
所定の水平バーナーレベル4にある図1のボイラーのバーナーは、異なる空気係数が中央バーナー8及びウイングバーナー9に供給されるように動作する。ウイングバーナー9は、ウイングバーナー9の空気係数(SRwing)が0.95以上、又は0.95〜1.1の範囲になるような量の燃焼用空気を供給するように構成される。中央バーナー8は、中央バーナー8の空気係数(SRcenter)が0.9以下、又は0.6〜0.9若しくは0.7〜0.8の範囲になるような量の燃焼用空気を供給するように構成される。
ウイングバーナー9は、ウイングバーナー9を通して供給される二次空気に0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0のスワール数(Swing)を与えるように構成される。すなわち、ウイングバーナー9を通して供給される二次空気には、弱いスワールが与えられるか、又はスワールが与えられない。
中央バーナー8は、炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成するように構成される。外側再循環領域は、中央バーナー8の炎の形状を広げる。
中央バーナー8の構造は、ウイングバーナー9の構造と同じであってもよく、又はウイングバーナー9の構造と異なっていてもよい。バーナー3の動作及び/又は構成により、ウイングバーナー9の炎が炉壁2から離れるようにボイラー炉1の中心に向かって曲がるようにする全体的な流れ場が達成される。従って炉壁2の近くの一酸化炭素の量が削減される。所定の水平バーナーレベルでの全体の流れ場を図4に示す。
水平バーナーレベル4の数は、ボイラー構造に応じて変わり得る。また、一組のバーナー3の中央バーナー8及びウイングバーナー9の数は異なり得る。
図1のボイラーは、2つの対向する炉壁2において最も低い水平バーナーレベル4の下に2つの空気ノズル20を含む。1つの空気ノズル20は、最も低い水平バーナーレベル4にある各中央バーナー8の下に配置される。空気ノズル20の数は2以外としてよい。シールド空気が、空気ノズル20を通してボイラー炉1内に供給される。シールド空気は、一酸化炭素の量を削減することによって一酸化炭素によって引き起こされる腐食から炉壁2を保護するために使用される。
図2は、一実施形態によるバーナー3の概略断面図である。このバーナーは、中央バーナー8又はウイングバーナー9として使用してよい。
バーナー3は、燃料供給管5と、燃料供給管5の周囲に配された二次空気流チャネル12とを含む。微粉燃料とキャリアガスとの混合物は、燃料供給管5を通してボイラー炉内に供給される。燃料空気混合物は、燃料供給管5の出口11を通してボイラー炉内に供給される。二次空気は、二次空気流チャネル12を通してボイラー炉内に供給される。二次空気流チャネル12の断面は環状である。燃料供給管5は、外壁10と、下流端6と、出口11とを含む。二次空気流チャネル12は、出口13を含む。
燃料供給管5の下流端6には炎安定化リング7が取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の外壁10に取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の出口11を囲み、二次空気流チャネル12の出口13に向かって突出している。したがって、炎安定化リング7は、二次空気流12の出口13の一部を塞いでいる。二次空気流チャネル12を通して供給される二次空気の一部は、炎安定化リング7と衝突し、空気の流れ場が変化する。炎安定化リング7は、炎安定化リング7の下流に内側再循環領域の形成を引き起こす。炎安定化リング7は、着火性を向上させ、炎を狭く保つ。炎安定化リング7は炎の安定化を引き起こす。
図2のバーナー3の炎安定化リング7は、燃料供給管5に固定された炎安定化リング7の端部が燃料供給管5の中心軸の方向に対して垂直となるようにずらして配置されている。炎安定化リング7は、その取り付け点からボイラー炉1の中心に向かってある距離で回転する。炎安定化リングは、それが望ましいやり方で流れ場を変える限り、円錐台形のような別の形状でもよい。
二次空気流12は、図2におけるように、1つのみのチャネル又は2つのチャネルからなることができる。図2のバーナー3の二次空気流チャネル12a、12bには、二次空気流チャネルを内側二次空気流チャネル12aと外側二次空気流チャネル12bに分割する環状隔壁21を設けている。内側二次空気流チャネル12aと外側二次空気流12bの両方には、スワーラ22、すなわちスワールジェネレータを設けてよい。しかし、内側二次空気流チャネル12a及び外側二次空気流チャネル12bは必ずしもスワーラ22を含む必要はない。
外側二次空気流12bにおけるスワーラ22のみ、図2に示す。内側二次空気流チャネル12a及び外側二次空気流12b内に配置されたスワーラは、内側二次空気流チャネル12a又は外側二次空気流チャネル12bに入る二次空気流に回転又はカーリング運動を加えることができる。スワーラ22は、二次空気流チャネル12a、12bを通して供給される二次空気に旋回運動を与えるように構成され得る。スワーラは、本分野で一般的に知られている従来の構造を有する。スワーラは通常羽根を含み、羽根の位置は燃焼用空気に所定のスワール数Sを与えるように調整される。
バーナーは、二次又は三次空気に特定のスワール数を与えるように構成される。所望のスワール数は、バーナー3が中央バーナーとして使用されるのか、又はウイングバーナーとして使用されるのかに依存する。
環状隔壁21もボイラー炉の中心の方向にさらに延びてもよく、その場合、バーナーは別個の二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル(図2には示さず)を含んでよい。
第2実施形態に係るバーナーの概略断面図である。このバーナーは、中央バーナー8として使用してよい。
図2のバーナーと同様に、図3のバーナー3は、燃料供給管5と、燃料供給管5の周囲に配された二次空気流チャネル12と、を含む。微粉燃料とキャリアガスの混合物は、燃料供給管5を通してボイラー炉に供給される。燃料−空気混合物は、燃料供給管5の出口11を通してボイラー炉内に供給される。二次空気は、二次空気流12を通してボイラー炉内に供給される。二次空気流チャネル12の断面は環状である。燃料供給管5は、外壁10と、下流端6と、出口11とを含む。また、二次空気流チャネル12は、外壁15と、下流端14と、出口13とを含む。
環状隔壁21は、二次空気流チャネル12の出口領域まで延びる。従って、バーナー3は、図2のバーナーのように内側及び外側の二次空気流チャネルの代わりに別々の二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル16を含む。三次空気流16は、二次空気流12の周囲に配されている。三次空気流は、三次空気流チャネル16の出口17を通してボイラー炉内に供給される。
図2のバーナーのように、炎安定化リング7が燃料供給管5の下流端6に取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の外壁10に取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の出口11を囲み、二次空気流チャネル12の出口13に向かって突出している。したがって、炎安定化リング7は二次空気流チャネル12の出口13の一部を塞いでいる。二次空気流チャネル12を通して供給された二次空気の一部は、炎安定化リング7と衝突し、空気の流れ場が変化する。炎安定化リング7は、炎安定化リング7の下流に内側再循環領域の形成を引き起こす。炎安定化リング7は、着火性を向上させ、炎を狭く保つ。炎安定化リング7は炎の安定化を引き起こす。炎安定化リングは、それが望ましいやり方で流れ場を変化させる限り、円錐台形のような任意の形状のものでよい。
二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル16の両方は、二次空気及び三次空気を接線方向の運動に設定するためのスワーラ22を含んでよい。スワーラは、本分野で一般的に知られている従来の構造を有する。二次空気流12のスワーラは図示しない。図3のバーナーが中央バーナーとして使用されるとき、バーナーは、中央バーナーを通して供給される二次空気及び/又は三次空気に0〜0.5、0.2〜0.3、0.01〜0.5、0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を与えるように構成されてよい。すなわち、スワーラ22の羽根角度は、二次空気及び三次空気に0〜0.5、0.2〜0.3、0.01〜0.5又は0.1〜0.5又は0のスワール数を与えるように設定される。スワーラの設定は、スワーラの種類とスワーラの製造業者に依存する。二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル16は、必ずしもスワーラ22を含む必要はない。
空気案内デバイス18が、二次空気流チャネル12の下流端及び二次空気流チャネル12の外壁15に取り付けられている。空気案内デバイス18は、二次空気流チャネル12の出口13を囲み、三次空気流チャネル16の出口17に向かって突出する。空気案内デバイス18は、三次空気流チャネル16を通して供給される三次空気を半径方向外向きに向け、三次空気と燃料との混合を遅らせる。外側再循環領域は、炎安定化リング7の下流に形成された内側再循環領域の周囲に生成される。外側再循環領域は、炎の形状を広げ、着火性を向上させる。
図3のバーナーの空気案内デバイス18は実質的に円錐台形であり、燃料供給管5の中心軸の方向に対して角度αで配されている。角度αは25〜45度である。
図4は、ボイラー炉1内で所定の水平バーナーレベルにある全体の流れ場の概略断面図である。2つの対向する炉壁2は、ボイラー炉1内に燃料及び燃焼用空気を供給するために一組のバーナー8、9を含む。各組のバーナーは、2つの中央バーナー8と、中央バーナー8の一方側に配置された1つのウイングバーナー9と、中央バーナー8の他方側に配置された別のウイングバーナー9と、を含む。ウイングバーナー8は図2に示す構造を有してよく、中央バーナー8は図2又は図3に示す構造を有してよい。各バーナー8、9には、炎安定化リング(図示せず)を設けている。
ウイングバーナー9の炎の形状は狭く長く保たれている。ウイングバーナー9を通して供給される二次空気及び/又は三次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0に保たれる。
中央バーナー8の炎の形状は幅広く短く保たれている。これは、炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成することによって達成される。外側再循環領域は、中央バーナー8を通して供給される二次空気及び/又は三次空気のスワール数(Scenter)を0.6〜1.5、0.9〜1.5又は1.1〜1.3に設定することによって生成され得る。代替的には、外側再循環領域は、中央バーナーに空気案内デバイスを設けることによって、すなわち図3に示すバーナー構造を使用することによって生成され得る。外側再循環領域の形成は、中央バーナーの炎の形状を広げる。
ウイングバーナー9は、ウイングバーナー9の空気係数(SRwing)が0.95以上、又は0.95〜1.1の範囲となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。中央バーナー8は、中央バーナー8の空気係数(SRcenter)が0.9以下、又は0.6〜0.9若しくは0.7〜0.8の範囲となるような量の燃焼用空気を供給するように構成される。中央バーナー8を通してよりも少ない空気がウイングバーナー9を通してボイラー炉1内に供給されるため、低圧領域がボイラー炉1の中央部23内に引き起こされる。炉壁の近くにより酸素に富んだ状態をもたらす流れパターンが生成され、炉壁の腐食速度の減少に有利に働く。流れのパターンは、燃料に富んだ煙道ガスを炉壁から炉の中心に同伴させる。
以下において、本明細書に提供される方法は、実施例を参照することによって説明される。
実施例1
この実施例では、燃料の燃焼を従来のボイラーと本明細書で説明するボイラーとの間で比較した。従来のボイラーでは、ウイングバーナーと中央バーナーは実質的に同じ空気係数とスワール数で動作させた。また、ウイングバーナーと中央バーナーの構造は同様だった。
これら2つのボイラーにおける窒素酸化物と一酸化炭素の排出量及び炉壁の腐食を比較した。下記の値はCFD計算に基づく。
両方のボイラーにおいて、燃料と燃焼用空気は2つの対向する炉壁にある一組のバーナーを通して4つの水平バーナーレベルで供給された。燃料は微粉炭だった。一組のバーナーは、4つのバーナーを含んでいた。バーナーは、コア空気ダクトと、コア空気ダクトの周囲に同軸に配された燃料供給管と、燃料供給管の周囲に配された内側二次空気流チャネルと、内側二次空気流チャネルの周囲に配された外側二次空気流チャネル、とを含む。
各バーナーの炎は、バーナーに燃料供給管の下流端に取り付けられた炎安定化リングを設け、燃料供給管の出口を囲むことによって安定化された。シールドの空気は、一酸化炭素の腐食を引き起こす影響から炉壁を保護するために、2つの最も内側のバーナーの下に配置された2つの空気ノズルから供給された。
従来のボイラーでは、各組のバーナーは実質的に同じスワール数Sで動作させた。また、各組のバーナーは実質的に同じ空気係数SRで動作させた。各バーナーのスワール数は1.0であり、各バーナーの空気係数は0.90であった。
本明細書に記載のボイラーでは、一組のバーナーは、2つの中央バーナーと、中央バーナーの両側に配された1つのウイングバーナーと、を含んでいた。両方のウイングバーナーの空気係数SRwingを1.0に設定した。また、SRwingの任意の他の値が、0.95、1.05、1.1等の0.95〜1.1の範囲で選択され得る。両方の中央バーナーの空気係数SRcenterは、0.75に設定した。また、SRcenterの任意の他の値が、0.6、0.7、0.8、0.9等の0.6〜0.9の範囲で選択され得る。各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数Swingは、0〜0.3に設定した。0、0.1、0.2、0.3等の0〜0.3の範囲の任意の値のSwingが選択され得る。各中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数Scenterは、0.6〜1.5に設定した。0.6、0.75、0.9、1.1、1.3、1.5等の0.6〜1.5の範囲の任意の値のScenterが選択され得る。
CFD計算によると、燃料を燃焼させる従来の方法及び従来のボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は高かった。窒素酸化物の排出量は、約950mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約35mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2前の炉壁への熱伝達率は約730MWであった。SH2より前の炉出口ガス温度は1234℃だった。
CFD計算によると、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は低かった。窒素酸化物の排出量は約415mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約75mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2より前の炉壁への熱伝達率は約750MWであった。炉出口ガス温度は1200℃だった。
その結果に基づいて、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、従来のボイラーにおいて燃料を燃焼させる従来の方法と比較して、炉の側壁の腐食速度は著しく減少した。一酸化炭素の排出量は実質的に影響を受けなかったのに対し、窒素酸化物の排出量はかなり削減された。炉出口ガス温度は約35℃低下した。
実施例2
この実施例では、燃料の燃焼を従来のボイラーと本明細書に記載のボイラーとの間で比較した。従来のボイラーでは、ウイングバーナーと中央バーナーは実質的に同じ空気係数とスワール数で動作させた。また、ウイングバーナーと中央バーナーの構造は同様だった。これら2つのボイラーにおける窒素酸化物と一酸化炭素の排出量及び炉壁の腐食を比較した。下記の値はCFD計算に基づく。
両方のボイラーにおいて、燃料と燃焼用空気は2つの対向する炉壁の一組のバーナーを通して4つの水平バーナーレベルで供給された。燃料は微粉炭だった。一組のバーナーは、4つのバーナーを含んでいた。バーナーは、コア空気ダクトと、コア空気ダクトの周囲に同軸に配された燃料供給管と、を含んでいた。従来のボイラーでは、内側二次空気流チャネルが燃料供給管の周囲に配され、外側二次空気流チャネルが内側二次空気流の周囲に配されていた。本明細書に記載のボイラーでは、ウイングバーナーの構造は従来のボイラーのバーナーと同じであった。しかし、中央バーナーの構造は異なっていた。中央バーナーは、二次空気流チャネルの下流端に取り付けられ、燃料供給管の中心軸に対して25〜45度の角度で配された空気案内デバイスを含んでいた。空気案内デバイスは、二次空気流チャネルの出口を囲み、三次空気流チャネルの出口の一部を塞いで、三次空気と燃料との混合を遅らせる。
各バーナーの炎は、燃料供給管の下流端に取り付けられ、かつ燃料供給管の出口を囲む炎安定化リングをバーナーに設けることによって安定化された。シールド空気は、一酸化炭素の腐食を引き起こす影響から炉壁を保護するために、2つの最も内側のバーナーの下に配置された2つの空気ノズルから供給された。
従来のボイラーでは、各組のバーナーは実質的に同じスワール数Sで動作させた。また、各組のバーナーは実質的に同じ空気係数SRで動作させた。各バーナーのスワール数は1.0であり、各バーナーの空気係数は0.90であった。
本明細書に記載のボイラーでは、一組のバーナーは、2つの中央バーナーと、中央バーナーの両側に配置された1つのウイングバーナーと、を含んでいた。両方のウイングバーナーの空気係数SRwingを1.0に設定した。SRwingの任意の他の値が、0.95、1.05、1.1等の0.95〜1.1の範囲で選択され得る。両方の中央バーナーの空気係数SRcenterは、0.9に設定した。また、SRcenterの任意の他の値が、0.6、0.7、0.8等の、0.6〜0.9の範囲で選択され得る。各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数は0〜0.3に設定した。0、0.1、0.2、0.3等の0〜0.3の範囲の任意の値のSwingが選択され得る。各中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数Scenterは、0〜0.5に設定した。0、0.1、0.25、0.4、0.5等の0〜0.5の範囲の任意の値のScenterが選択され得る。
CFD計算によると、燃料を燃焼させる従来の方法及び従来のボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は高かった。窒素酸化物の排出量は、約950mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約35mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2前の炉壁への熱伝達率は約730MWであった。SH2より前の炉出口ガス温度は1234℃だった。
CFD計算によると、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は低かった。窒素酸化物の排出量は約510mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約5mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2より前の炉壁への熱伝達率は約750MWであった。炉出口ガス温度は1189℃だった。
その結果に基づいて、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、従来のボイラーにおいて燃料を燃焼させる従来の方法と比較して、炉の側壁の腐食速度は著しく減少した。一酸化炭素の排出量は実質的に影響を受けなかったのに対し、窒素酸化物の排出量はかなり削減された。炉出口ガス温度は約45℃低下した。
技術の進歩により、本発明の基本概念が様々な方法で実施され得ることは当業者にとって明らかである。したがって、本発明及びその実施形態は上記の例に限定されず、代わりにそれらは特許請求の範囲内で変更することができる。
本発明は、燃料を燃焼させる方法及びボイラーに関連する。
ボイラー炉内の燃料の燃焼は、異なるボイラー動作変数間のバランスをとることを必要とする。さまざまな有害物質の排出量を許容限度未満に保つ必要がある。さらに、ボイラーの動作及びボイラーの利用可能性に関するいくつかの問題を考慮に入れる必要がある。
燃焼プロセスを最適化して有害物質の低排出量を達成する一方で、良好な炎安定性及びボイラーの利用可能性を達成するようにボイラー動作を設計することが困難であることが多い。近い将来、欧州連合の加盟国では、有害物質に対するかなり厳しい新たな排出制限が施行されようとしている(産業排出指令、IEU)。新しい排出制限により、燃焼の最適化はさらにより困難になる。
背景技術は、米国特許第3890084号明細書及び米国特許第5685242号明細書において論じられる。米国特許第3890084号は、バーナーの排気放出量を削減する方法を開示している。最高炎温度が理論的に得られる最高温度より低くなるように燃料を燃焼させる。これは、燃焼チャンバ壁との接触を介してチャンバ内の炎を冷却することと、2段階で炎の中央部分を燃焼させることとによって達成される。米国特許第5685242号は、微粉炭ノズルと、微粉炭ノズルと同心関係に設けられた二次および三次空気ノズルとを含む微粉炭燃焼バーナーを開示している。微粉炭ノズルの出口端に炎安定化リングが設けられ、微粉炭ノズル内に分離壁が設けられて、このノズル内の通路を二つの通路に分割する。微粉炭の着火性及び燃焼速度が向上し、NOxの排出量を削減する。
バーナーの炎は、二次空気又は三次空気を接線方向の運動に設定することによって安定化されることが多い。これは、スワーラを通して炉内に空気を指向することによって達成することができ、スワーラはそれを通して流れる空気に接線方向の運動を与える。スワーラは、空気流の方向を変えるために所定の角度に設定された羽根を含む。空気のスワール数Sは、空気に所定の接線方向の速度を与えるように設定される。スワール数Sは、空気流の軸方向の運動量に対する接線方向の運動量の比を特徴付ける。スワール数が低いと、弱いスワールが発生し、流れの再循環はほとんど又はまったく存在しない。スワール数が高いと、再循環領域が形成される。
スワール数が増加すると、強い再循環領域が達成され、炎が安定化される。しかし、スワール数を増加させると、燃料が熱伝達壁の近くで渦を起こす。熱伝達は、高温流と熱伝達壁との間にある燃料ダストによって損なわれる。追加的に、スワール数を増加させると、燃焼中に形成された一酸化炭素が炉壁の近くの接線方向の空気流と共に移動し、それによって熱伝達面に深刻な腐食問題を引き起こす。
本発明の目的は、燃料の豊富な煙道ガスが炉壁から炉の中央まで同伴するのを助ける流れパターンを生じさせるように炉内の流体力学が影響を受ける、燃料を燃焼させる方法及びボイラーを提供することであり、それによって炉壁の腐食を低減する。また、一酸化炭素と窒素酸化物の排出量を許容限度未満に保つことが目的である。
本発明による方法は、請求項1に提示されているものによって特徴付けられる。
本発明によるボイラーは、請求項15に提示されているものによって特徴付けられる。
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供し、本明細書の一部を構成するために含まれ、本発明の実施形態を例示し、発明を実施するための形態と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
2つの対向する炉壁における一実施形態による一組のバーナーを含むボイラーの概略斜視図である。
一実施形態によるバーナーの概略断面図である。
第2実施形態に係るバーナーの概略断面図である。
ボイラー炉内における所定の水平バーナーレベルにある全体の流れ場の概略断面図である。
一態様によれば、燃料を燃焼させる方法が提供され、本方法は、バーナーの1つ以上によって炎を生成するために所定の水平バーナーレベル又はその付近にて炉壁上に配置された一組のバーナーを通して、炉壁を含むボイラー炉に燃料及び燃焼用空気を供給することを含む。燃焼用空気は一次空気と二次空気とを含む。燃料は、下流端を含む燃料供給管を通して供給される。各バーナーの炎は、炎安定化リングの下流に内側再循環領域を生成するために、燃料供給管の下流端に炎安定化リングを設けることによって安定する。各バーナーは空気係数(SRwing、SRcenter)を有し、バーナーを通して供給される二次空気はスワール数(Swing、Scenter)を有する。一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーと、を含む。本方法はさらに、
− 各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)を0.95以上に、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.9以下に設定する。
− 各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)を0〜0.3に設定する。
− 少なくとも1つの中央バーナーの炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成することによって、少なくとも1つの中央バーナーの炎の形状を広げる。
一態様によれば、炉壁を含むボイラー炉と、所定の水平バーナーレベル又はその付近にて炉壁上に配置された一組のバーナーと、を含むボイラーが提供される。一組のバーナーの各バーナーは、
下流端を含み、ボイラー炉内に燃料を供給するための燃料供給管と、
燃料供給管の周囲に配され、ボイラー炉内に二次空気を供給するための二次空気流チャネルと、
燃料供給管の下流端に取り付けられ、炎安定化リングの下流に内側再循環領域を生成するための炎安定化リングと、を含む。各バーナーは空気係数(SRwing、SRcenter)を有し、バーナーを通して供給される二次空気はスワール数(Swing、Scenter)を有する。
一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーと、を含む。各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95以上となるような量でボイラー炉内に燃焼用空気を供給するように構成され、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.9以下となるような量でボイラー炉内に燃焼用空気を供給するように構成される。
各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気に0〜0.3のスワール数(Swing)を与えるように構成される。
少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの炎の形状を広げるために、少なくとも1つの中央バーナーの炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成するように構成される。
本明細書に記載の方法は、所定の水平バーナーレベルにあるバーナーが、中央バーナーとウイングバーナーに対して異なる空気係数が提供されるように動作する二段燃焼システムである。本方法によれば、最も外側のウイングバーナーの炎の形状は狭く保たれる一方、最も内側の中央バーナーの炎の形状は幅広く短く保たれる。結果として、炉壁の近くにより酸素に富んだ状態をもたらす流れパターンが作成され、炉壁の腐食速度の減少に有利に働く。流れのパターンは、燃料に富んだ煙道ガスを炉壁から炉の中心に同伴させる。
流れパターンは一組のバーナーの適切な動作及び構成により達成される。ハイブリッドバーナーの構成と動作の組み合わせは、ウイングバーナーと中央バーナーの運動量の流れに違いをもたらす。
一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーと、を含む。一実施形態では、一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された少なくとも1つのウイングバーナーとからなる。一組の中央バーナーを形成するいくつかの中央バーナーがある場合、少なくとも一つのウイングバーナーが一組の中央バーナーの両側に配置される。したがって、ウイングバーナーは、水平バーナーレベルにて炉壁と最も外側の中央バーナーとの間に配置される。中央バーナー間にウイングバーナーはない。一組のバーナーは、所定の水平バーナーレベルにて1つの炉壁上に隣接バーナーを含む。一組のバーナーは、例えば、3、4、5、6、7又は8つのバーナーからなってよい。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは1つの中央バーナーからなる。少なくとも1つの中央バーナーは、例えば、2、3、4、5又は6つの中央バーナーからなってよい。
一実施形態では、一組のバーナーは、中央部と、その中央部の両側にある側部と、を含む。中央部は少なくとも1つの中央バーナーを含む。側部は少なくとも1つのウイングバーナーを含む。一実施形態では、中央部は少なくとも1つの中央バーナーからなる。一実施形態では、側部は少なくとも1つのウイングバーナーからなる。
一組のバーナーのバーナーは実質的に同じ水平バーナーレベルに配置される。バーナーは正確に同じ水平バーナーレベルに配置される必要はなく、バーナーの水平レベルは互いにわずかに異なることがある。一実施形態では、一組のバーナーは、所定の水平バーナーレベルにて炉壁上に配置される。
それぞれが2つの対向する炉壁上に一組のバーナーを含む水平バーナーレベルの数は、例えば1、2、3、4又は5としてよい。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーの構造は、各ウイングバーナーの構造と同じである。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーの構造は、各ウイングバーナーの構造とは異なる。
各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)は0.95以上に設定されている。従って、各ウイングバーナーはほぼ化学量論比の空気と燃料で動作する。各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)は相対的に高いため、ウイングバーナーでの燃焼中に形成される一酸化炭素の量は少なく保たれ、部分的には、一酸化炭素によって引き起こされる炉壁の腐食を減少させるのを助ける。
一酸化炭素の形成が、各ウイングバーナーの相対的に高い空気係数(SRwing)によって低く保たれる一方で、高い空気係数は、ウイングバーナーでの燃焼中に形成される窒素酸化物の排出量を上昇させる。炉内で生成される窒素酸化物の総量は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.9以下に調整することによって許容限界未満に保たれ、中央バーナーでの燃焼において生成される窒素酸化物の量は、ウイングバーナーでの燃焼において生成される窒素酸化物の量よりもかなり少ないようにする。
少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)は0.9以下に設定されている。従って、各中央バーナーは、準化学量論比の空気と燃料で動作する。低い空気係数は、中央バーナーでの燃焼中に形成される窒素酸化物の量を低減する。同時に、準化学量論比の空気係数は、中央バーナーでの燃焼中に形成される一酸化炭素の量を増加させる。しかし、中央バーナーは水平バーナー列の最も内側のバーナーであるため、形成された一酸化炭素は炉壁から遠ざけられ、炉壁の近くに形成された一酸化炭素と同じ位で炉壁の腐食をもたらさない。少なくとも1つの中央バーナーの空気係数係数(SRcenter)の値は、炉内で生成される一酸化炭素の全体の量が許容限界未満に保たれるように調整される。
中央バーナーの空気係数(SRcenter)は、ウイングバーナーの空気係数(SRwing)よりも小さい。ウイングバーナーと中央バーナーの空気係数の違いにより、炉内の全体の流れ場が変化する。ウイングバーナーのバーナー領域付近よりも、中央バーナーのバーナー領域付近における空気量がより少ないため、ウイングバーナーの下流の圧力と比較して、中央バーナーの下流で負圧が生じる。中央バーナーの下流の負圧により、ウイングバーナーの炎が炉壁から離れて炉の中心に向かって曲がるようにする。これは一酸化炭素を炉壁から遠ざけ続けるのを助け、側壁の腐食の減少につながる。
用語空気係数の意味は、当業者にとって明らかである。空気係数又は化学量論比SRは、燃料の完全燃焼に必要な理論(化学量論)空気量と比較して、燃焼にどれだけの空気が使用されるかを示す。準化学量論燃焼では、空気係数SRは1未満であり、超化学量論燃焼では、空気係数SRは1を超える。バーナーの空気係数は、バーナーを通して供給される燃料の完全燃焼に必要な理論空気量と比較して、バーナーを通してどれだけの空気が供給されるかを示す。
バーナーを通して供給される燃焼用空気量又はバーナーの空気係数(SR)は、本分野で知られている従来の手段を使用して調整される。各バーナーを通して供給される燃焼用空気量は、バーナーを通して供給される燃料量と望ましい空気係数とに基づいて計算される。一実施形態では、バーナーを通して供給される燃焼用空気量は、ダンパ又は制御バルブによって調整される。ダンパ又は制御バルブによって、所定量の燃焼用空気がそれらを通して流れることができる。一実施形態では、バーナーを通して供給される燃焼用空気量は、バーナーに接続された共通のウインドボックスからのバーナーの圧力損失に対して燃焼用空気をバーナーに指向することによって調整される。各バーナーでの圧力損失は、例えば、バーナーを通して供給される燃焼用空気のスワール数を変更することによって調整することができる。
各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.3に設定されている。一実施形態では、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)は、0.01〜0.3又は0.1〜0.3に設定されている。一実施形態では、燃焼用空気は三次空気を含み、各ウイングバーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.3、0.01〜0.3、又は0.1〜0.3に設定されている。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーを通して供給される三次空気に0〜0.3、0.01〜0.3又は0.1〜0.3のスワール数(Swing)を与えるように構成される。燃料供給管の下流端に取り付けられた炎安定化リングは、炎を安定させることによってスワール数を減少させることを可能にする。一実施形態では、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.1に設定される。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気に0〜0.1のスワール数(Swing)を与えるように構成される。一実施形態では、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気のスワール数(Swing)は0に設定される、すなわちスワールは空気に提供されない。従って、炉壁近くに配置された各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気は、非渦運動であるか、又は弱い旋回が提供される。バーナー領域付近での空気と燃料の集中的な分離は避けられるが、むしろ、空気と燃料の流れは、炉壁への燃料の曲がりを避けるためにより軸方向である。
一実施形態では、各ウイングバーナーの二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルは、羽根によって二次空気又は三次空気を指向するためのスワーラを含む。スワーラは、各ウイングバーナーを通して供給される二次又は三次空気に、0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0のスワール数を与えるように構成される。羽根は、二次空気又は三次空気の流れに対して角度βで配される。角度βは、各ウイングバーナーを通して供給される二次空気又は三次空気に、0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0のスワール数(Swing)を与えるように設定されている。一実施形態では、二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルはスワーラを含まない。
ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Swing)を0〜0.3に設定することによって、炎の広がりが回避される、又は抑えられる。従って、一酸化炭素は改善された流れ場によって炉壁から離れるように指向される。炉壁近くの一酸化炭素の量が削減され、一酸化炭素による炉壁の腐食を減少させる。十分な軸方向の運動量フラックスは、流れの良好な進入をもたらす。追加的に、空気と燃料の軸方向の流れは、炉壁に対して燃料、例えば、微粉炭の広がりを抑える。高温流と熱伝達面との間の燃料の量が削減されるため、熱伝達が改善される。改善された熱伝達は炉出口のガス温度(FEGT)の低下を引き起こす。
スワール数Sは、空気流の軸方向の運動量に対する接線方向の運動量の比を特徴付ける。スワール数の概念は、当業者に常識である。スワール数の計算方法は、例えば、Beer, J. and Chigier, N.,Combustion Aerodynamics,1972,109-115ページに見つけることができる。空気流のスワール数は、空気流の方向に対してある角度に設定された羽根を含むスワーラを通して空気流を指向することによって変えることができる。スワーラは、それを通して流れる空気に接線方向の運動を与える。スワール数は、羽根の角度を調整し、空気の速度を変えることで調整することができる。燃焼用空気に所定のスワール数Sを供給するのに必要な羽根の角度は、スワーラの種類に依存する。スワーラは通常、二次又は三次空気流チャネル内に配置されている。
各組のバーナー、すなわち中央バーナーとウイングバーナーの両方に、炎安定化リングが設けられている。一実施形態では、燃料供給管はさらに外壁と出口とを含み、二次空気は燃料供給管の周囲に配された二次空気流チャネルを通して供給され、二次空気流チャネルは出口を含み、炎安定化リングは、燃料供給管の出口を囲み、二次空気流チャネルの出口に向かって突出するように、燃料供給管の外壁に取り付けられている。炎安定化リングは、二次空気流チャネルの出口の一部を塞いでいる。一実施形態では、燃料供給管はさらに外壁と出口とを含み、二次空気流チャネルは出口を含み、炎安定化リングは、燃料供給管の出口を囲み、二次空気流チャネルの出口に向かって突出するように、燃料供給管の外壁に取り付けられている。
燃料供給管を通して供給される燃料キャリアガス及び燃料は炎安定化リングの一方側を流れ、二次空気流チャネルを通して供給される二次空気は炎安定化リングの他方側を流れる。炎安定化リングは、二次空気流チャネルの出口の一部を塞いでいる。二次空気流の一部は炎安定化リングと衝突し、それによって空気の流れ場が変化する。内側再循環領域は炎安定化リングの下流に形成されている。内側再循環領域は、燃焼用空気をバーナーに逆流させることによって形成される。内側再循環領域は、炎安定化リングによって径方向、すなわち燃料供給管の中心軸に垂直な方向に、区切られている。二次空気流チャネルにおける炎安定化リングの背後、すなわち上流には、減圧フィールドが設けられて、炎の安定化を引き起こすか、又は少なくとも炎の安定性を高める。追加的に、炎は、炎安定化リングがない場合よりも炎安定化リングによってより良好に着火する。燃料は炎安定化リングの内側で発生した再循環流内で着火する。炎安定化リングは、炎を狭く保つように炎の流れ場を変える。
炎安定化リングは、バーナーノズルのすぐ近くで燃料を点火する。より正確には、燃料は炎安定化リングの内側で発生した再循環流内で着火される。改善された着火の結果として、燃料の燃焼度は増加し、そしてその結果、炉の上部の煙道ガス温度は約20〜50℃低下し、それはボイラー効率を上げる。バーナー領域内での燃焼が高まるため、過熱器に入るときの煙道ガスはより低い温度にあり、また煙道ガス内の温度分布はより均一となる。その結果、過熱器及び再熱器の材料温度はより低くかつより均一に保たれる。実験によれば、これによって加熱面での材料損傷が著しく減少することが示されている。
炎安定化リングの断面の直径は、ボイラー炉の中心に向かう方向に大きくなっている。炎安定化リングは炉壁の方向に広がっている。炎安定化リングは、ボイラー炉の中心及び炉壁に向かって開くように、実質的に円錐台形としてよい。炎安定化リングは、炎の流れ場を望ましい方向に変える限り、他の形状を有してよい。炎安定化リングの形状は、燃料供給管に固定された炎安定化リングの端部が燃料供給管の中心軸に対して垂直であり、炎安定化リングがボイラー炉の中心に向かってその取り付け点からある距離で回転するようにずらして配置してよい(staggered)。
一実施形態では、炎安定化リングは、燃料供給管の出口から離れる方向に広がる環状部分を含む。また、炎安定化リングは、燃料供給管内に径方向に延びる多数の歯状突起を含んでよい。一実施形態では、炎安定化リングの広がっている環状部分の壁厚は、火安定化リングの自由端に向かって着実に減少する。一実施形態では、燃料供給管の上流端は薄くされており、炎安定化リングは燃料供給管の薄くされた端部の周囲に嵌合されかつ固定リングによって固定され得る均一な環状部分を含む。一実施形態では、炎安定化リングは耐熱鋼製である。炎安定化リングは、一つ以上の部分からなってよい。歯状突起は、耐熱鋼又は耐熱セラミック材料で作ることができる。
本明細書で提供される方法及びボイラーでは、少なくとも1つの中央バーナーの炎の形状は、少なくとも1つの中央の炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成することによって広げられる。外側再循環領域は、燃焼用空気をバーナーに逆流させることによって形成される。外側再循環領域は着火性を改善し、炎を広げる。炎の広がりは窒素酸化物の量を削減するのに役立つ。中央バーナーの炎は、ウイングバーナーの炎よりも幅広く軸方向、すなわち燃料供給管の中心軸方向に短い。炎の形状が広げられるため、バーナー領域付近での空燃比は最適に保たれ、さらなる燃焼用空気を燃料に混合する前に揮発性成分及び窒素を燃料から効率的に放出させることができる。それによって高温炎が生成される。本明細書に記載の方法及びボイラーを用いて、ボイラー炉における効率的な窒素酸化物の削減が達成される。
外側再循環領域は、内側再循環領域の周囲に形成されている。したがって、外側再循環領域は内側再循環領域を囲む。外側再循環領域は、炎安定化リングの外側に供給された燃焼用空気をボイラー炉の中心に運び、そこで燃焼用空気は加熱される。次いで、加熱された燃焼用空気は再循環流によってバーナー領域付近に引き戻され、バーナー領域付近に熱をもたらし、中央バーナーで効率的な燃焼を生成する。
本明細書で説明する方法及びボイラーでは、十分な空気ステージング効果が、バーナー領域付近、すなわち燃料と燃焼用空気の流れの分離において達成される。外側再循環領域は空気ステージング効果を向上させる。炎安定化リングの外側から供給される燃焼用空気と燃料との混合は後に起こり、各中央バーナーのバーナー領域付近で高温の還元状態が提供される。
一実施形態では、燃料は微粉燃料である。一実施形態では、燃料は微粉炭である。燃料は他の種類の燃料、例えば微粉木質ペレット又は微粉バイオマスであってもよい。一実施形態では、燃料は燃料供給管を通して供給される。一実施形態では、燃料はキャリアガスと一緒に供給される。一実施形態では、キャリアガスは空気である。一実施形態では、キャリアガスは一次空気である。一実施形態では、キャリアガスは空気と煙道ガスとの混合物である。
一実施形態では、バーナーは燃料供給管を含む。二次空気流チャネルが燃料供給管の周囲に配されている。二次空気流チャネルは、燃料供給管と、燃料供給管の周囲に同軸に配された第1の管とによって区切られている。二次空気流チャネルの断面は環状である。三次空気流チャネルが二次空気流チャネルの周囲に配されている。三次空気流チャネルは、第1の管と、第1の管の周囲に同軸に配された第2の管とによって区切られている。三次空気流チャネルの断面は環状である。
一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)を0.95〜1.1に設定することを含む。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95〜1.1となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95〜1.1であるとき、ウイングバーナーでの燃焼中に生成される一酸化炭素の量は、炉壁の広範な腐食を引き起こさないように十分に低く保たれる。一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)を1.0に設定することを含む。一実施形態では、各ウイングバーナーは、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が1.0となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。
一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.6〜0.9に設定することを含む。一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.7〜0.8に設定することを含む。一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)を0.75に設定することを含む。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.6〜0.9となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.7〜0.8となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.75となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.6〜0.9であるとき、中央バーナーでの燃焼中に生成される窒素酸化物の量は、全体の窒素酸化物排出量を許容限界未満に保つように十分に低く保たれる。
窒素酸化物の還元は、過剰燃焼の前の炉の中心(炉内NOx還元)と、中央バーナーのバーナー領域付近で最も強く起こる)。不均衡なバーナー操作のために、未燃燃料(灰中の未燃カーボン、CO)がボイラー炉の中心により集中するため、過燃焼用空気(OFA)システムはそれに応じて修正され得る。
CFD計算によれば、各ウイングバーナーの空気係数(SRwing)が0.95〜1.1であり、少なくとも1つの中央バーナーの空気係数(SRcenter)が0.6〜0.9であるとき、良好な全体的な流体力学が達成される。空気係数がこれらの値に設定されると、ウイングバーナーの炎は炉壁から離れ、炉の中心に向かうように曲げられることで、炉壁近くの一酸化炭素の量が減少する。中央バーナー及びウイングバーナーの空気係数をこれらの値に設定すると、流れ場全体が良好になる。炉壁から炉の中心へのガスの同伴は、バーナー動作によって引き起こされる不均衡効果を相殺する。結果として、炉の横断面におけるガスの上方質量流束は悪影響を受けない。
一実施形態では、過燃焼用空気ポートの前の燃焼領域内の全体の空気係数SRは、0.85〜0.9未満(below 0.85-0.9)である。
一実施形態では、燃料を燃焼させる方法は、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)を0.6〜1.5に設定することによって外側再循環領域を生成することを含む。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0.6〜1.5のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。このようにして、二次空気は相対的に強いスワールを与えられる、すなわち二次空気の接線方向の速度が増大する。接線方向に流れる二次空気は、中央バーナーの炎を広げる。その結果、炎を安定化させる外側再循環領域が内側再循環領域の周囲に形成される。炎の形状を広げると、燃焼も改善する。各中央バーナーにおける十分なスワール及び低い空気比は、ウイングバーナーの炎と比較して、より短い中央バーナーの炎をもたらす。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーの二次空気流は、二次空気を羽根によって指向するためのスワーラを含む。羽根は、二次空気の流れに対して角度βで配されている。少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気が0.6〜1.5若しくは0.9〜1.5又は1.1〜1.3のスワール数を提供するように角度βを設定することによって外側再循環領域を生成するように構成される。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)は、0.9〜1.5又は1.1〜1.3に設定されている。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0.9〜1.5又は1.1〜1.3のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、燃焼用空気は三次空気を含み、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は0.6〜1.5に設定されている。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0.6〜1.5のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、燃焼用空気は三次空気を含み、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は、0.9〜1.5又は1.1〜1.3に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0.9〜1.5又は1.1〜1.3のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。
中央バーナーを通して供給される二次空気に相対的に強いスワールを提供する代わりに、外側再循環領域を中央バーナーにウイングバーナーとは異なる構造を使用することによって生成してよい。一実施形態では、二次空気流チャネルはさらに下流端と外壁とを含み、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される燃焼用空気は三次空気を含み、三次空気は、二次空気流チャネルの周囲に配される三次空気流チャネルを通してボイラー炉に供給される。三次空気流チャネルは出口を含み、本方法は、二次空気流チャネルの下流端に二次空気流チャネルの外側壁に取り付けられた空気案内デバイスを設けることによって、二次空気流チャネルの出口を囲み、三次空気流チャネルの出口に向かって突出するようにして、外側再循環領域を提供することを含む。
一実施形態では、二次空気流はさらに下流端と外壁とを含み、少なくとも1つの中央バーナーは、ボイラー炉内に三次空気を供給するために二次空気流チャネルの周囲に配された三次空気流チャネルを含み、三次空気流チャネルは出口を含み、少なくとも1つの中央バーナーは、二次空気流チャネルの下流端に二次空気流チャネルの外側壁に取り付けられた空気案内デバイスを設けることによって二次空気流チャネルの出口を囲み、三次空気流チャネルの出口に向かって突出するようにして、外側再循環領域を提供するように構成される。
一実施形態では、空気案内デバイスは実質的に円錐台形である。一実施形態では、空気案内デバイスは、二次空気流チャネルの外側壁の拡張部分である。空気案内装置の横断面の直径はボイラー炉の中心に向かって増加する。空気案内デバイスは、三次空気流チャネルの出口の方向に広がる。空気案内デバイスは、三次空気流チャネルの出口の一部を塞いでいる。三次空気の一部は空気案内デバイスと衝突し、それによって空気の流れ場が変化する。空気案内デバイスは、三次空気を径方向外向きに流れるように回転させ、三次空気と燃料との混合を遅らせる。その結果、炎が広がり、効率的な燃焼をもたらす。炎を安定化させる外側再循環領域が内側循環領域の周囲に形成される。
一実施形態では、空気案内デバイスは、燃料供給管の中心軸の方向に対して角度αで配され、角度αは25〜45度である。一実施形態では、角度αは30〜40度である。一実施形態では、角度αは35度である。CFD計算によれば、角度αが25〜45度のときに良好な流体力学が達成される。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)は0〜0.5に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数(Scenter)は、0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は0〜0.5に設定される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気のスワール数(Scenter)は、0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0に設定される。
一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0〜0.5のスワール数(Scenter)を供給するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気に0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0〜0.5のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される三次空気に0.2〜0.3又は0.01〜0.5又は0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を提供するように構成される。少なくとも1つの中央バーナーの二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルは、二次空気又は三次空気の流れに対して角度βで配された羽根によって二次空気又は三次空気を指向するためのスワーラを含む。角度βは、少なくとも1つの中央バーナーを通して供給される二次空気又は三次空気に、0〜0.5又は0.2〜0.3又は0.01〜0.5若しくは0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を提供するように設定される。一実施形態では、二次空気流チャネル又は三次空気流チャネルはスワーラを含まない。
一実施形態では、一組のバーナーの少なくとも一部は、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。一実施形態では、コア空気はコア空気ダクトを通して供給される。一実施形態では、コア空気ダクトを通して空気は供給されない。一実施形態では、コア空気ダクトを通して供給される空気は少しだけである。コア空気ダクトを通して空気がまったく供給されないか又は少しだけ供給される場合、コア空気ダクトは炎安定性を向上させるブラフ体として作用する。
一実施形態では、各ウイングバーナーは、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。一実施形態では、少なくとも1つの中央バーナーは、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。一実施形態では、各ウイングバーナーと少なくとも1つの中央バーナーの両方が、燃料供給管の内側に同軸に配されたコア空気ダクトを含む。
一実施形態では、各バーナーの二次空気流出口における二次空気の速度は、40〜60m/sに設定される。一実施形態では、各バーナーの二次空気流チャネルの出口における二次空気の速度は、40〜60m/sになるように配される。一実施形態では、二次空気流チャネルの出口における各バーナーの二次空気流チャネルの断面積は、二次空気の速度が40〜60m/sとなるように配される。一実施形態では、各バーナーの三次空気流チャネルの出口における三次空気の速度は40〜60m/sに設定される。一実施形態では、三次空気流チャネルの出口における各バーナーの三次空気チャネルの断面積は、三次空気の0速度が40〜60m/sになるように配される。一実施形態では、各バーナーの二次空気流チャネルの出口における二次空気及び三次空気流チャネルの出口における三次空気の両方の速度は、40〜60m/sに設定される。
二次又は三次空気に40〜60m/sの速度を与えることによって、空気のスワール数が増加し、内側及び外側再循環領域の両方が改善される。炎安定化リングの上流の再循環流は拡大する。また、炎の着火性も改善される。二次空気又は三次空気の速度は、空気の流路を狭めることによって増加させることができる。高速の二次又は三次空気は強力な乱流を発生させ、それが燃焼用空気と燃料の効率的な混合、及び急速な着火と高温の炎をもたらす。
二次又は三次空気流チャネルの出口における二次空気又は三次空気の速度は、空気の体積流量及び流れチャネルの出口における二次又は三次空気流チャネルの断面積に依存する。体積流量Qは、式Q=v・Aによって定義され、ここで、vは空気の速度であり、Aは流路の断面積である。体積流量及び所望の速度を知っていれば、当業者は、チャネルの出口における二次又は三次空気流チャネルの断面積を決定することができる。バーナーによって遭遇する空気圧降下は、通常150mmH2Oである。この圧力降下は、二次空気と三次空気をボイラーに供給する強制通風ファンによって処理される。
空気の体積流量はいくつかの要因によって異なります。各バーナーによる燃焼に必要な化学量論的量の空気は、バーナーの大きさに依存する。この方法で使用されるバーナーのサイズは、通常30〜120MWです。燃料の完全燃焼に必要な理論的(化学量論的)空気量と比較して、所望の空気係数、すなわち燃焼に使用される空気量を知っていれば、当業者は燃焼に使用される空気の体積流量を決定することができる。
空気は、一次空気、二次空気、及び任意選択で三次空気としてボイラーに導入される。一次空気は、燃料、例えば、微粉炭とともにボイラー炉内に供給される。一次空気の量は、燃料の揮発性物質の燃焼のために必要な空気の量に相当し、通常はバーナーを通して供給される空気の総量の20〜25%である。
一次、二次、三次空気の体積流量は、例えば3〜5で決定することができる。例えば、バーナーの空気係数が0.9である場合、バーナーを通して供給される一次空気の空気係数は、燃料中の揮発分量に応じて、例えば、0.2〜0.3としてよい。0.6〜0.7の空気係数に対応し、0.9の全体の空気係数を達成するのに必要とされる残りの空気量は、二次空気又は二次及び三次空気として供給される。典型的には、一次空気に加えて二次空気及び三次空気の両方が供給される場合、二次空気及び三次空気の総量の約1/6から1/3が二次空気であり、残りが三次空気である。
一実施形態では、シールド空気が、少なくとも1つの中央バーナーの下に配置された少なくとも1つの空気ノズルを通して、少なくとも1つの中央バーナーの下から供給される。一実施形態では、ボイラーは、少なくとも1つの中央バーナーの下からボイラー炉内にシールド空気を供給するために、少なくとも1つの中央バーナーの下に配置された少なくとも1つの空気ノズルを含む。一実施形態では、1つの空気ノズルが各中央バーナーの下に配置されている。一実施形態では、シールド空気は、最も低い水平バーナーレベルに配置された少なくとも1つの中央バーナーの下から供給される。一実施形態では、ボイラーは、最も低い水平バーナーレベルで少なくとも1つの中央バーナーの下に配置された少なくとも1つの空気ノズルを含む。一実施形態では、1つの空気ノズルが最も低い水平バーナーレベルで各中央バーナーの下に配置されている。シールド空気の目的は、一酸化炭素の量を減らすことによって一酸化炭素の腐食を引き起こす影響から炉壁を保護することである。シールド空気は、中央バーナーで形成される一酸化炭素の量を減らす。
一実施形態では、一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された2つのウイングバーナーと、を含む。一実施形態では、ボイラーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された2つのウイングバーナーと、を含む。一実施形態では、一組のバーナーは、少なくとも1つの中央バーナーと、その少なくとも1つの中央バーナーの両側に配置された2つのウイングバーナーと、からなる。中央バーナーの数が多い、例えば、4つの場合、所望の全体の流れ場を達成するために、2つのウイングバーナーは、一組の中央バーナーの両側に設けられてよい。
一実施形態では、本方法は対向壁燃焼用である。一実施形態では、ボイラーは対向壁燃焼用である。対向壁燃焼では、バーナーはボイラー炉の対向壁に配置されている。一実施形態では、複数組のバーナーが、2つの対向炉壁上の異なる水平バーナーレベルに配置されている。例えば、4つの水平バーナーレベル、又は任意の他の数のバーナーレベルがあり得る。
本明細書に記載された燃料を燃焼させる方法及びボイラーは、先行技術に対して顕著な利点を提供し得る。本明細書に記載された実施形態の少なくともいくつかは、炉壁の近くの一酸化炭素の存在が大幅に低減される方法及びボイラーを提供する。結果として、炉壁の腐食が低減され、ボイラーの利用可能性が改善される。同時に、本明細書に記載された実施形態の少なくともいくつかは、一酸化炭素排出量に実質的な変化を伴うことなく、窒素酸化物排出量の大幅な削減を提供する。追加的に、本明細書に記載の実施形態の少なくともいくつかは、炉ガス出口温度(FEGT)を低下させる。低下したFEGTはボイラー効率を改善する。スワールを発生させることなく安定した炎が実現される。
窒素酸化物排出量の削減は、窒素酸化物の還元に使用されるアンモニアの消費量の削減、及び触媒材料のより長い寿命をもたらす。
上記の本発明の実施形態は、互いに任意に組み合わせて使用してよい。実施形態のいくつかは、本発明のさらなる実施形態を形成するために互いに組み合わせてよい。本発明が関連する方法及びボイラーは、上記の本発明の実施形態の少なくとも1つを含み得る。
実施例
ここで本発明の実施形態を詳細に参照するが、その例は添付の図面に示されている。
簡単にするために、構成要素を繰り返す場合、参照番号は以下の例示的な実施形態で維持される。
一実施形態によるボイラーの概略斜視図である。図1のボイラーは、対向壁燃焼用に使用される。ボイラーは、ボイラー炉1と、ボイラー炉1内に燃料及び燃焼用空気を供給するために4つの水平バーナーレベル4にあるバーナー3と、を含む。4つの水平バーナーレベル4が存在し、各水平バーナーレベルは、2つの対向する炉壁2に一組のバーナー3を含む。
各組のバーナー3は、2つの中央バーナー8と、2つの中央バーナー8の一方側にある1つのウイングバーナー9と、2つの中央バーナー8の他方側にある別のウイングバーナー9と、を含む。行内の最も外側のバーナーは、ウイングバーナー9であり、行内の最も内側のバーナーは中央バーナー8である。
所定の水平バーナーレベル4にある図1のボイラーのバーナーは、異なる空気係数が中央バーナー8及びウイングバーナー9に供給されるように動作する。ウイングバーナー9は、ウイングバーナー9の空気係数(SRwing)が0.95以上、又は0.95〜1.1の範囲になるような量の燃焼用空気を供給するように構成される。中央バーナー8は、中央バーナー8の空気係数(SRcenter)が0.9以下、又は0.6〜0.9若しくは0.7〜0.8の範囲になるような量の燃焼用空気を供給するように構成される。
ウイングバーナー9は、ウイングバーナー9を通して供給される二次空気に0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0のスワール数(Swing)を与えるように構成される。すなわち、ウイングバーナー9を通して供給される二次空気には、弱いスワールが与えられるか、又はスワールが与えられない。
中央バーナー8は、炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成するように構成される。外側再循環領域は、中央バーナー8の炎の形状を広げる。
中央バーナー8の構造は、ウイングバーナー9の構造と同じであってもよく、又はウイングバーナー9の構造と異なっていてもよい。バーナー3の動作及び/又は構成により、ウイングバーナー9の炎が炉壁2から離れるようにボイラー炉1の中心に向かって曲がるようにする全体的な流れ場が達成される。従って炉壁2の近くの一酸化炭素の量が削減される。所定の水平バーナーレベルでの全体の流れ場を図4に示す。
水平バーナーレベル4の数は、ボイラー構造に応じて変わり得る。また、一組のバーナー3の中央バーナー8及びウイングバーナー9の数は異なり得る。
図1のボイラーは、2つの対向する炉壁2において最も低い水平バーナーレベル4の下に2つの空気ノズル20を含む。1つの空気ノズル20は、最も低い水平バーナーレベル4にある各中央バーナー8の下に配置される。空気ノズル20の数は2以外としてよい。シールド空気が、空気ノズル20を通してボイラー炉1内に供給される。シールド空気は、一酸化炭素の量を削減することによって一酸化炭素によって引き起こされる腐食から炉壁2を保護するために使用される。
図2は、一実施形態によるバーナー3の概略断面図である。このバーナーは、中央バーナー8又はウイングバーナー9として使用してよい。
バーナー3は、燃料供給管5と、燃料供給管5の周囲に配された二次空気流チャネル12とを含む。微粉燃料とキャリアガスとの混合物は、燃料供給管5を通してボイラー炉内に供給される。燃料空気混合物は、燃料供給管5の出口11を通してボイラー炉内に供給される。二次空気は、二次空気流チャネル12を通してボイラー炉内に供給される。二次空気流チャネル12の断面は環状である。燃料供給管5は、外壁10と、下流端6と、出口11とを含む。二次空気流チャネル12は、出口13を含む。
燃料供給管5の下流端6には炎安定化リング7が取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の外壁10に取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の出口11を囲み、二次空気流チャネル12の出口13に向かって突出している。したがって、炎安定化リング7は、二次空気流12の出口13の一部を塞いでいる。二次空気流チャネル12を通して供給される二次空気の一部は、炎安定化リング7と衝突し、空気の流れ場が変化する。炎安定化リング7は、炎安定化リング7の下流に内側再循環領域の形成を引き起こす。炎安定化リング7は、着火性を向上させ、炎を狭く保つ。炎安定化リング7は炎の安定化を引き起こす。
図2のバーナー3の炎安定化リング7は、燃料供給管5に固定された炎安定化リング7の端部が燃料供給管5の中心軸の方向に対して垂直となるようにずらして配置されている。炎安定化リング7は、その取り付け点からボイラー炉1の中心に向かってある距離で回転する。炎安定化リングは、それが望ましいやり方で流れ場を変える限り、円錐台形のような別の形状でもよい。
二次空気流12は、図2におけるように、1つのみのチャネル又は2つのチャネルからなることができる。図2のバーナー3の二次空気流チャネル12a、12bには、二次空気流チャネルを内側二次空気流チャネル12aと外側二次空気流チャネル12bに分割する環状隔壁21を設けている。内側二次空気流チャネル12aと外側二次空気流12bの両方には、スワーラ22、すなわちスワールジェネレータを設けてよい。しかし、内側二次空気流チャネル12a及び外側二次空気流チャネル12bは必ずしもスワーラ22を含む必要はない。
外側二次空気流12bにおけるスワーラ22のみ、図2に示す。内側二次空気流チャネル12a及び外側二次空気流12b内に配置されたスワーラは、内側二次空気流チャネル12a又は外側二次空気流チャネル12bに入る二次空気流に回転又はカーリング運動を加えることができる。スワーラ22は、二次空気流チャネル12a、12bを通して供給される二次空気に旋回運動を与えるように構成され得る。スワーラは、本分野で一般的に知られている従来の構造を有する。スワーラは通常羽根を含み、羽根の位置は燃焼用空気に所定のスワール数Sを与えるように調整される。
バーナーは、二次又は三次空気に特定のスワール数を与えるように構成される。所望のスワール数は、バーナー3が中央バーナーとして使用されるのか、又はウイングバーナーとして使用されるのかに依存する。
環状隔壁21もボイラー炉の中心の方向にさらに延びてもよく、その場合、バーナーは別個の二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル(図2には示さず)を含んでよい。
第2実施形態に係るバーナーの概略断面図である。このバーナーは、中央バーナー8として使用してよい。
図2のバーナーと同様に、図3のバーナー3は、燃料供給管5と、燃料供給管5の周囲に配された二次空気流チャネル12と、を含む。微粉燃料とキャリアガスの混合物は、燃料供給管5を通してボイラー炉に供給される。燃料−空気混合物は、燃料供給管5の出口11を通してボイラー炉内に供給される。二次空気は、二次空気流12を通してボイラー炉内に供給される。二次空気流チャネル12の断面は環状である。燃料供給管5は、外壁10と、下流端6と、出口11とを含む。また、二次空気流チャネル12は、外壁15と、下流端14と、出口13とを含む。
環状隔壁21は、二次空気流チャネル12の出口領域まで延びる。従って、バーナー3は、図2のバーナーのように内側及び外側の二次空気流チャネルの代わりに別々の二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル16を含む。三次空気流16は、二次空気流12の周囲に配されている。三次空気流は、三次空気流チャネル16の出口17を通してボイラー炉内に供給される。
図2のバーナーのように、炎安定化リング7が燃料供給管5の下流端6に取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の外壁10に取り付けられている。炎安定化リング7は燃料供給管5の出口11を囲み、二次空気流チャネル12の出口13に向かって突出している。したがって、炎安定化リング7は二次空気流チャネル12の出口13の一部を塞いでいる。二次空気流チャネル12を通して供給された二次空気の一部は、炎安定化リング7と衝突し、空気の流れ場が変化する。炎安定化リング7は、炎安定化リング7の下流に内側再循環領域の形成を引き起こす。炎安定化リング7は、着火性を向上させ、炎を狭く保つ。炎安定化リング7は炎の安定化を引き起こす。炎安定化リングは、それが望ましいやり方で流れ場を変化させる限り、円錐台形のような任意の形状のものでよい。
二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル16の両方は、二次空気及び三次空気を接線方向の運動に設定するためのスワーラ22を含んでよい。スワーラは、本分野で一般的に知られている従来の構造を有する。二次空気流12のスワーラは図示しない。図3のバーナーが中央バーナーとして使用されるとき、バーナーは、中央バーナーを通して供給される二次空気及び/又は三次空気に0〜0.5、0.2〜0.3、0.01〜0.5、0.1〜0.5又は0のスワール数(Scenter)を与えるように構成されてよい。すなわち、スワーラ22の羽根角度は、二次空気及び三次空気に0〜0.5、0.2〜0.3、0.01〜0.5又は0.1〜0.5又は0のスワール数を与えるように設定される。スワーラの設定は、スワーラの種類とスワーラの製造業者に依存する。二次空気流チャネル12及び三次空気流チャネル16は、必ずしもスワーラ22を含む必要はない。
空気案内デバイス18が、二次空気流チャネル12の下流端及び二次空気流チャネル12の外壁15に取り付けられている。空気案内デバイス18は、二次空気流チャネル12の出口13を囲み、三次空気流チャネル16の出口17に向かって突出する。空気案内デバイス18は、三次空気流チャネル16を通して供給される三次空気を半径方向外向きに向け、三次空気と燃料との混合を遅らせる。外側再循環領域は、炎安定化リング7の下流に形成された内側再循環領域の周囲に生成される。外側再循環領域は、炎の形状を広げ、着火性を向上させる。
図3のバーナーの空気案内デバイス18は実質的に円錐台形であり、燃料供給管5の中心軸の方向に対して角度αで配されている。角度αは25〜45度である。
図4は、ボイラー炉1内で所定の水平バーナーレベルにある全体の流れ場の概略断面図である。2つの対向する炉壁2は、ボイラー炉1内に燃料及び燃焼用空気を供給するために一組のバーナー8、9を含む。各組のバーナーは、2つの中央バーナー8と、中央バーナー8の一方側に配置された1つのウイングバーナー9と、中央バーナー8の他方側に配置された別のウイングバーナー9と、を含む。ウイングバーナー8は図2に示す構造を有してよく、中央バーナー8は図2又は図3に示す構造を有してよい。各バーナー8、9には、炎安定化リング(図示せず)を設けている。
ウイングバーナー9の炎の形状は狭く長く保たれている。ウイングバーナー9を通して供給される二次空気及び/又は三次空気のスワール数(Swing)は、0〜0.3、0.01〜0.3、0.1〜0.3、0〜0.1又は0に保たれる。
中央バーナー8の炎の形状は幅広く短く保たれている。これは、炎安定化リングの下流に生成された内側再循環領域の周囲に外側再循環領域を生成することによって達成される。外側再循環領域は、中央バーナー8を通して供給される二次空気及び/又は三次空気のスワール数(Scenter)を0.6〜1.5、0.9〜1.5又は1.1〜1.3に設定することによって生成され得る。代替的には、外側再循環領域は、中央バーナーに空気案内デバイスを設けることによって、すなわち図3に示すバーナー構造を使用することによって生成され得る。外側再循環領域の形成は、中央バーナーの炎の形状を広げる。
ウイングバーナー9は、ウイングバーナー9の空気係数(SRwing)が0.95以上、又は0.95〜1.1の範囲となるような量で燃焼用空気を供給するように構成される。中央バーナー8は、中央バーナー8の空気係数(SRcenter)が0.9以下、又は0.6〜0.9若しくは0.7〜0.8の範囲となるような量の燃焼用空気を供給するように構成される。中央バーナー8を通してよりも少ない空気がウイングバーナー9を通してボイラー炉1内に供給されるため、低圧領域がボイラー炉1の中央部23内に引き起こされる。炉壁の近くにより酸素に富んだ状態をもたらす流れパターンが生成され、炉壁の腐食速度の減少に有利に働く。流れのパターンは、燃料に富んだ煙道ガスを炉壁から炉の中心に同伴させる。
以下において、本明細書に提供される方法は、実施例を参照することによって説明される。
実施例1
この実施例では、燃料の燃焼を従来のボイラーと本明細書で説明するボイラーとの間で比較した。従来のボイラーでは、ウイングバーナーと中央バーナーは実質的に同じ空気係数とスワール数で動作させた。また、ウイングバーナーと中央バーナーの構造は同様だった。
これら2つのボイラーにおける窒素酸化物と一酸化炭素の排出量及び炉壁の腐食を比較した。下記の値はCFD計算に基づく。
両方のボイラーにおいて、燃料と燃焼用空気は2つの対向する炉壁にある一組のバーナーを通して4つの水平バーナーレベルで供給された。燃料は微粉炭だった。一組のバーナーは、4つのバーナーを含んでいた。バーナーは、コア空気ダクトと、コア空気ダクトの周囲に同軸に配された燃料供給管と、燃料供給管の周囲に配された内側二次空気流チャネルと、内側二次空気流チャネルの周囲に配された外側二次空気流チャネル、とを含む。
各バーナーの炎は、バーナーに燃料供給管の下流端に取り付けられた炎安定化リングを設け、燃料供給管の出口を囲むことによって安定化された。シールドの空気は、一酸化炭素の腐食を引き起こす影響から炉壁を保護するために、2つの最も内側のバーナーの下に配置された2つの空気ノズルから供給された。
従来のボイラーでは、各組のバーナーは実質的に同じスワール数Sで動作させた。また、各組のバーナーは実質的に同じ空気係数SRで動作させた。各バーナーのスワール数は1.0であり、各バーナーの空気係数は0.90であった。
本明細書に記載のボイラーでは、一組のバーナーは、2つの中央バーナーと、中央バーナーの両側に配された1つのウイングバーナーと、を含んでいた。両方のウイングバーナーの空気係数SRwingを1.0に設定した。また、SRwingの任意の他の値が、0.95、1.05、1.1等の0.95〜1.1の範囲で選択され得る。両方の中央バーナーの空気係数SRcenterは、0.75に設定した。また、SRcenterの任意の他の値が、0.6、0.7、0.8、0.9等の0.6〜0.9の範囲で選択され得る。各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数Swingは、0〜0.3に設定した。0、0.1、0.2、0.3等の0〜0.3の範囲の任意の値のSwingが選択され得る。各中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数Scenterは、0.6〜1.5に設定した。0.6、0.75、0.9、1.1、1.3、1.5等の0.6〜1.5の範囲の任意の値のScenterが選択され得る。
CFD計算によると、燃料を燃焼させる従来の方法及び従来のボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は高かった。窒素酸化物の排出量は、約950mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約35mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2前の炉壁への熱伝達率は約730MWであった。SH2より前の炉出口ガス温度は1234℃だった。
CFD計算によると、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は低かった。窒素酸化物の排出量は約415mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約75mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2より前の炉壁への熱伝達率は約750MWであった。炉出口ガス温度は1200℃だった。
その結果に基づいて、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、従来のボイラーにおいて燃料を燃焼させる従来の方法と比較して、炉の側壁の腐食速度は著しく減少した。一酸化炭素の排出量は実質的に影響を受けなかったのに対し、窒素酸化物の排出量はかなり削減された。炉出口ガス温度は約35℃低下した。
実施例2
この実施例では、燃料の燃焼を従来のボイラーと本明細書に記載のボイラーとの間で比較した。従来のボイラーでは、ウイングバーナーと中央バーナーは実質的に同じ空気係数とスワール数で動作させた。また、ウイングバーナーと中央バーナーの構造は同様だった。これら2つのボイラーにおける窒素酸化物と一酸化炭素の排出量及び炉壁の腐食を比較した。下記の値はCFD計算に基づく。
両方のボイラーにおいて、燃料と燃焼用空気は2つの対向する炉壁の一組のバーナーを通して4つの水平バーナーレベルで供給された。燃料は微粉炭だった。一組のバーナーは、4つのバーナーを含んでいた。バーナーは、コア空気ダクトと、コア空気ダクトの周囲に同軸に配された燃料供給管と、を含んでいた。従来のボイラーでは、内側二次空気流チャネルが燃料供給管の周囲に配され、外側二次空気流チャネルが内側二次空気流の周囲に配されていた。本明細書に記載のボイラーでは、ウイングバーナーの構造は従来のボイラーのバーナーと同じであった。しかし、中央バーナーの構造は異なっていた。中央バーナーは、二次空気流チャネルの下流端に取り付けられ、燃料供給管の中心軸に対して25〜45度の角度で配された空気案内デバイスを含んでいた。空気案内デバイスは、二次空気流チャネルの出口を囲み、三次空気流チャネルの出口の一部を塞いで、三次空気と燃料との混合を遅らせる。
各バーナーの炎は、燃料供給管の下流端に取り付けられ、かつ燃料供給管の出口を囲む炎安定化リングをバーナーに設けることによって安定化された。シールド空気は、一酸化炭素の腐食を引き起こす影響から炉壁を保護するために、2つの最も内側のバーナーの下に配置された2つの空気ノズルから供給された。
従来のボイラーでは、各組のバーナーは実質的に同じスワール数Sで動作させた。また、各組のバーナーは実質的に同じ空気係数SRで動作させた。各バーナーのスワール数は1.0であり、各バーナーの空気係数は0.90であった。
本明細書に記載のボイラーでは、一組のバーナーは、2つの中央バーナーと、中央バーナーの両側に配置された1つのウイングバーナーと、を含んでいた。両方のウイングバーナーの空気係数SRwingを1.0に設定した。SRwingの任意の他の値が、0.95、1.05、1.1等の0.95〜1.1の範囲で選択され得る。両方の中央バーナーの空気係数SRcenterは、0.9に設定した。また、SRcenterの任意の他の値が、0.6、0.7、0.8等の、0.6〜0.9の範囲で選択され得る。各ウイングバーナーを通して供給される二次空気のスワール数は0〜0.3に設定した。0、0.1、0.2、0.3等の0〜0.3の範囲の任意の値のSwingが選択され得る。各中央バーナーを通して供給される二次空気のスワール数Scenterは、0〜0.5に設定した。0、0.1、0.25、0.4、0.5等の0〜0.5の範囲の任意の値のScenterが選択され得る。
CFD計算によると、燃料を燃焼させる従来の方法及び従来のボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は高かった。窒素酸化物の排出量は、約950mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約35mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2前の炉壁への熱伝達率は約730MWであった。SH2より前の炉出口ガス温度は1234℃だった。
CFD計算によると、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、炉の側壁の腐食速度は低かった。窒素酸化物の排出量は約510mgNO2/m3n(ドライ6%O2)だった。さらに、一酸化炭素の排出量は約5mgCO/m3n(ドライ6%O2)だった。SH2より前の炉壁への熱伝達率は約750MWであった。炉出口ガス温度は1189℃だった。
その結果に基づいて、本明細書に記載の方法及びボイラーを使用した場合、従来のボイラーにおいて燃料を燃焼させる従来の方法と比較して、炉の側壁の腐食速度は著しく減少した。一酸化炭素の排出量は実質的に影響を受けなかったのに対し、窒素酸化物の排出量はかなり削減された。炉出口ガス温度は約45℃低下した。
技術の進歩により、本発明の基本概念が様々な方法で実施され得ることは当業者にとって明らかである。したがって、本発明及びその実施形態は上記の例に限定されず、代わりにそれらは特許請求の範囲内で変更することができる。