JP2019511514A - ブドウ抽出物およびそれに関する方法 - Google Patents

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Abstract

高いフェノール含有量を有する液体および粉末のブドウ抽出物が提供される。抽出物は、ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせから作られ得る。ある場合には、抽出物は、ブドウ種子抽出物およびブドウの皮の抽出物のブレンドであってよい。そのような抽出物を製造する方法も提供される。そのような方法は、抽出物中のフェノール化合物の収量を増大するための制御された温度条件を伴う。高血圧と関連する終末器官損傷および癌の治療を含む、対象を治療するために抽出を使用する方法も提供される。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号62/316,918の優先権の利益を主張し、それはその全体で参照により本明細書中に援用される。
[0002]ブドウを含む果物からジュースおよび栄養成分を抽出するための様々な方法が開発されている。しかしながら、そのような公知の方法は、果物から貴重な化合物を効率的に抽出または保存し得ない。
フェノール類、フラボノイド類およびレスベラトロールを含む抗酸化化合物は、ヒトの健康に有益であり得る。有益な効果は、例えば、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、糖尿病および一部の癌のような、酸化プロセスが生じる疾患に見られ得る。フラボノイド類は、フェニルプロパノイドパスウェイによって生産される天然のポリフェノール類の普及した一般的なグループを表す。それらは、ブドウ中の可溶性フェノール類の重要なグループであり、ブドウ由来製品の利益に対する主な貢献となっていると考えられる。
植物、および具体的にはブドウからの、ポリフェノール類および他の植物由来の植物性化学物質の抽出の改善された方法、および、疾患を治療するためのそのような産物に関する用途に関する必要性が存在する。
本明細書において、ブドウから作られた抽出物およびその製剤が記載される。本開示の抽出物は、それから作られる液体抽出物および粉末抽出物を含む。異なる抽出物を生産するための様々な方法および癌に関する治療の方法も提供される。
一態様では、ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせから、液体抽出物を製造する方法が提供されて、当該方法は、(a)ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせを提供するステップ;(b)ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせを蒸留水と接触させて、抽出混合物を形成するステップ;(c)120華氏〜200華氏の範囲の温度で抽出混合物を加熱するステップ(その加熱するステップの間、追加の蒸留水が添加される);(d)抽出混合物を冷却するステップ;(e)抽出混合物を濾過して固形物を除去し、それにより濾液を形成するステップ;(f)濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(g)濾液を冷却して、冷却された濾液を形成するステップ;および(h)冷却された濾液を濾過して、それにより液体抽出物を生産するステップ、を含む。
別の態様では、ブドウ種子抽出物を生産する方法が提供されて、当該方法は、(a)ブドウ種子を、蒸留水と接触させるステップ;(b)120華氏〜200華氏の範囲の温度でステップ(a)由来のブドウ種子および水を加熱するステップ(その間、追加の蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウ種子および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子および水を濾過して、ブドウ種子の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;および(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過して、それによりブドウ種子抽出物を生産するステップを含む。
別の態様では、ブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供されて、当該方法は、(a)ブドウの皮を蒸留水と接触させるステップ;(b)120華氏〜200華氏の範囲の温度でステップ(a)由来のブドウの皮および水を加熱するステップ(その間、追加の蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウの皮および水を濾過して、ブドウの皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;および(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過して、それによりブドウの皮の抽出物を生産するステップを含む。
別の態様では、ブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供されて、当該方法は、(a)ブドウ種子およびブドウの皮を蒸留水と接触させるステップ;(b)120華氏〜200華氏の範囲の温度でステップ(a)由来のブドウ種子およびブドウの皮および水を加熱するステップ(その間、追加の蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウ種子およびブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子およびブドウの皮および水を濾過して、ブドウ種子およびブドウの皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;および(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過して、それによりブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産するステップを含む。
別の態様では、ブドウ由来の液体抽出物を製造する方法が提供されて、当該方法は、(a)上述の方法によって作られるブドウ種子の液体抽出物を提供するステップ;(b)上述の方法によって作られるブドウの皮の液体抽出物を提供するステップ;(c)ブドウ種子の液体抽出物およびブドウの皮の液体抽出物を約50:50〜約85:15(体積/体積(v/v))の比で組みわせて、それによりブドウ由来の液体抽出物を形成するステップを含む。
別の態様では、ブドウ由来の粉末抽出物を製造する方法が提供されて、当該方法は、上述のように、ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせから、ブドウ由来の液体抽出物を取得または製造して、およびそれから、液体抽出物を噴霧乾燥させて粉末抽出物を形成するステップを含む。
別の態様では、上記および本開示の他の箇所に記載の方法によって生産される液体抽出物を噴霧乾燥するステップを含む、粉末抽出物を生産する方法が提供される。
別の態様では、ブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供されて、当該方法は、ブドウの皮の抽出物およびブドウ種子抽出物を組み合わせるステップを含む。
さらなる態様は、本開示に記載の方法を用いて生産される抽出物およびそれから生産される製剤を含む。一態様では、約25%〜50%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む粉末抽出物または製剤が提供される。別の態様では、少なくとも約30%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む粉末抽出物または製剤が提供される。別の態様では、粉末抽出物のグラムあたり約250〜500mgの合計フェノール化合物を含む抽出物が提供される。別の態様では、粉末抽出物のグラムあたり少なくとも約6mgの濃度の少なくとも1つの没食子酸またはエラグ酸を含む粉末抽出物が提供される。任意の上述の抽出物のブレンドである抽出物および製剤も提供される。
一部の実施態様では、本開示において提供される製剤の合計フェノール含有量は、少なくとも6ヶ月の期間にわたって安定のままであり、6ヶ月でたった10%の合計フェノール含有量の減少によって特徴付けられる。
本明細書において、対象における様々な疾患および症状を治療または予防する方法がさらに記載される。そのような疾患および症状を治療または予防する方法は、本開示に記載の有効量の抽出物を対象に投与するステップを含む。
別の態様では、疾患を有する、疾患のリスクが高い、または、再発のリスクがある対象を治療する方法が提供されて、当該方法は、本開示の先行するセクションにおいて記載される薬学的に有効量のブドウ由来の抽出物を対象に投与するステップを含む。ある場合には、当該方法は、液体抽出物または製剤を投与するステップを含む。ある場合には、当該方法は、粉末抽出物または製剤を投与するステップを含む。疾患は、任意の癌、高血圧によって誘導される線維症、放射線によって誘導される線維症、または放射線によって誘導される骨喪失を含んでよい。
1つまたは複数の態様および実施態様の詳細を、以下の説明および図面に示す。さらなる特徴、物、および利点は、説明および図面から、および特許請求の範囲から、明らかであろう。
粉砕されたマスカディンブドウ種子(GS Ground)を含む市販サプリメントと比較した、実施例1の方法に従って作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)のフェノール化合物含有量の評価を示す。図1Aは、比色分析法を用いた合計フェノール化合物の分析を示し、図1Bは、UPLC−質量分析による選択の個々のフェノール化合物(カテキン、没食子酸、エピカテキン、エラグ酸、プロシアニジン(procyanadin)、およびカテキン−没食子酸(cat−gall)の分析を示す。**は、p<0.01を表す。 本明細書に記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウの皮の抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関する細胞増殖分析を説明するグラフを示す。LnCaP(図2A)またはPC3(図2B)ヒト前立腺癌細胞は、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートされて、ウェルあたりの細胞の数をカウントすることによって細胞増殖を定量化した。データは、いずれの抽出物によっても処理されなかったコントロール(Con)の%として表される。n=12、**は、p<0.01を表す。ヒト前立腺癌細胞の増殖は、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮から単離された抽出物によって阻害された。マスカディンブドウ種子と比較して、マスカディンブドウの皮由来の抽出物を用いた前立腺癌細胞の増殖に違いはなかった。 本明細書に記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウ種子抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関する細胞増殖分析を説明するグラフを示す。ZR−75−1細胞は、ヒトエストロゲン受容体陽性乳癌細胞であり、MDA−MD−231は、ヒト三種陰性乳癌細胞であり、SKBR3細胞は、ヒト上皮増殖因子2(HER2)過剰発現乳癌細胞である。ZR−75−1、MDA−MD−231、およびSKBR3細胞を、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートして、ウェルあたりの細胞の数をカウントすることによって細胞増殖を定量化した。データは、いずれの抽出物によっても処理されなかったコントロール(Con)の%として表される。ZR−75−1細胞に関してn=9、MDA−MB−231細胞に関してn=6、および、SKBR3細胞に関してn=18;コントロールと比較して、は、p<0.05を表わし、**は、p<0.01を表す。ヒト乳癌細胞の増殖は、増加する濃度のいずれかの抽出物によって阻害された。 本明細書に記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウ種子抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関する細胞増殖分析を説明するグラフを示す。A549およびSK−LU−1ヒト肺癌細胞を、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートして、ウェルあたりの細胞の数をカウントすることによって細胞増殖を定量化した。データは、いずれの抽出物によっても処理されなかったコントロール(Con)の%として表される。A549細胞に関してn=12およびSK−LU−1細胞に関してn=9;**は、p<0.01を表す。ヒト肺癌細胞の増殖は、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮から単離された抽出物によって阻害された。マスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物によって処理された肺癌細胞の増殖に違いはなかった。 本明細書に記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウ種子抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関する細胞増殖分析を説明するグラフを示す。U87およびU373ヒト膠芽腫を、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートして、ウェルあたりの細胞の数をカウントすることによって細胞増殖を定量化した。データは、いずれの抽出物によっても処理されなかったコントロール(Con)の%として表される。U87細胞に関してn=12およびU373細胞に関してn=9;**は、p<0.01を表す。ヒト膠芽腫の増殖は、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮から単離された抽出物によって阻害された。マスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物によって処理された膠芽腫の増殖に違いはなかった。 本明細書に記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウ種子抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関する細胞増殖分析を説明するグラフを示す。HCT116およびHT29ヒト結腸癌細胞を、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートして、ウェルあたりの細胞の数をカウントすることによって細胞増殖を定量化した。データは、いずれの抽出物によっても処理されなかったコントロール(Con)の%として表される。HCT116細胞に関してn=15〜18およびHT29細胞に関してn=12;は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表す。ヒト結腸癌細胞の増殖は、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮から単離された抽出物によって阻害された。マスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物によって処理された結腸癌細胞の増殖に違いはなかった。 本明細書に記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウ種子抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関する細胞増殖分析を説明するグラフを示す。SKMEL28およびRPMI 7951ヒト結腸癌細胞を、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートして、ウェルあたりの細胞の数をカウントすることによって細胞増殖を定量化した。データは、いずれの抽出物によっても処理されなかったコントロール(Con)の%として表される。SKMEL28細胞に関してn=6およびRPMI 7951細胞に関してn=9;は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表す。ヒト皮膚癌細胞の増殖は、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮から単離された抽出物によって阻害された。マスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物によって処理された皮膚細胞の増殖に違いはなかった。 本明細書に記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウ種子抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関する細胞増殖分析を説明するグラフを示す。THP−1−急性ヒト単球性白血病細胞、HL60−急性ヒト前骨髄球性白血病細胞およびK562−慢性ヒト骨髄性白血病細胞を、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートして、ウェルあたりの細胞の数をカウントすることによって細胞増殖を定量化した。データは、いずれの抽出物によっても処理されなかったコントロール(Con)の%として表される。THP−1細胞に関してn=12、HL60に関してn=12、およびK562細胞に関してn=12;は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表す。ヒト白血病細胞の増殖は、増加する濃度のマスカディンブドウ種子またはブドウの皮から単離された抽出物によって阻害された。マスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物によって処理された白血病細胞の増殖に違いはなかった。 記載のものとは異なる方法を用いて作られたブドウの皮の抽出物またはブドウ種子抽出物によって処理された細胞株に関するMAPキナーゼ活性を説明するグラフを示す。ZR−75−1ヒトエストロゲン受容体陽性乳癌およびMBA−MD−231ヒト三種陰性乳癌細胞を、50μg/mLマスカディンブドウ種子抽出物(GSeE)またはマスカディンブドウの皮の抽出物(GSkE)とともに4時間インキュベートして、ホスホ−ERK(ERK1およびERK2の両方)を、Cell Signalingからの抗体を用いて測定した。ホスホ−ERKの量を、ローディングコントロールとしてβ−アクチンを用いてデンシトメトリーによって定量化した。代表的なゲルが含まれる。n=3〜7、***は、p<0.001を表す。マスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮からの抽出物の両方とも、乳癌細胞においてホスホ−ERK1/ERK2活性を減少させて、抽出物が乳癌細胞増殖を阻害することを示唆した。マスカディンブドウ種子抽出物またはマスカディンブドウの皮の抽出物による乳癌細胞の増殖における減少に違いはなかった。 実施例1に示される、マスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)における体重分析を説明するグラフを示す。マウスに、3週齢で開始して、それらの飲料水中にl−MGEを与えた。コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。マウスを、25週後(図4A)または31週後(図4Bおよび図4C)に安楽死させて、それらの乳腺腫瘍を除去して計量した;マウスは、腫瘍あり(図4Aおよび図4B)、または腫瘍なし(図4C)のいずれかで計量された。25週齢マウス由来の腫瘍に関してn=7〜12および31週齢マウスに関して7〜10;は、p<0.05を表す。通常の水またはl−MGEを25週間飲んだc−neuマウスの体重に違いはなかった。しかしながら、31週齢では、l−MGEを飲んでいるc−neuマウスの体重には違いがあり、違いは、これらの動物における大きな腫瘍に起因した;腫瘍なしの体重に違いはなかった。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)における心臓重量分析を説明するグラフを示す。マウスに、3週齢で開始して、それらの飲料水中にl−MGEを与えた。コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。マウスを、25週後(図5A)または31週後(図5B)に安楽死させて、それらの心臓を除去して計量した。25週齢マウス由来の腫瘍に関してn=7〜12および31週齢マウスに関して7〜10。通常の水またはl−MGEを25または31週間飲んだc−neuマウスの心臓重量に違いはなく、抽出物は心臓重量に対して効果がないことを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)における腎臓重量分析を説明するグラフを示す。マウスに、3週齢で開始して、それらの飲料水中にl−MGEを与えた。コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。マウスを、25週後(図6A)または31週後(図6B)に安楽死させて、それらの腎臓を除去して計量した。25週齢マウス由来の腫瘍に関してn=7〜12および31週齢マウスに関して7〜10。通常の水またはl−MGEを25または31週間飲んだc−neuマウスの腎臓の重量に違いはなく、抽出物は腎臓重量に対して効果がないことを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)における腫瘍多重度を説明するグラフを示す。マウスに、3週齢で開始して、それらの飲料水中にl−MGEを与えた。コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。マウスを、25週後に安楽死させて、乳腺腫瘍の数をカウントして、腫瘍多重度を決定した。個々の乳腺腫瘍を除去して計量して、腫瘍負荷を決定した(図8A〜8Bに示される)。n=7〜11;は、p<0.05を表す。l−MGEによるc−neuマウスの処置は、水を飲んでいるマウスと比較して乳腺腫瘍の数を有意に減少させて、マスカディンブドウ由来の抽出物が腫瘍多重度を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)における腫瘍重量分析を説明するグラフを示す。マウスに、3週齢で開始して、それらの飲料水中にl−MGEを与えた。コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。マウスを、25週後(左)または31週後(右)に安楽死させて、それらの乳腺腫瘍を除去して計量した。25週齢マウス由来の腫瘍に関してn=6〜12および31週齢マウスに関して7〜10;は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表す。l−MGEによるc−neuマウスの処置は、水を飲んでいるマウスと比較して腫瘍サイズを有意に減少させて、マスカディンブドウ由来の抽出物が腫瘍増殖を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)由来の腫瘍の増殖の分析を示す。飲料水(コントロール)またはl−MGEを与えられた25週齢マウス由来の腫瘍切片を、増殖性マーカーKi67に対する抗体とともにインキュベートした。Ki67染色に関して陽性の細胞のパーセンテージを示すグラフを、代表的な顕微鏡画像の隣に提供する。n=8〜10、は、p<0.05を表す。l−MGEによる25週齢c−neuマウスの処置は、通常の水を飲んでいるc−neuマウスと比較してKi67の量を有意に減少させて、マスカディンブドウ抽出物は、腫瘍細胞の増殖を低減させることによって、腫瘍増殖を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)由来の腫瘍における、活性ERK1/2MAPキナーゼの活性の分析を示す。飲料水(コントロール)またはl−MGEを与えられた25週齢c−neuマウス由来の腫瘍切片を、ホスホ−ERK1/2に対する抗体とともにインキュベートした。ホスホ−ERK陽性細胞のパーセンテージを示すグラフを、代表的な顕微鏡画像の隣に提供する。n=8〜10、は、p<0.05を示す。l−MGEによる25週齢c−neuマウスの処置は、通常の水を飲んでいるc−neuマウスと比較してリン酸化ERK1/2MAPキナーゼの量を有意に減少させて、l−MGEは、増殖性タンパク質キナーゼ活性を低減させることによって、腫瘍増殖を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)における、腫瘍内の血管新生の分析を示す。コントロールまたはl−MGEによって処置されたマウスc−neu由来の腫瘍切片を、CD34に対する抗体とともにインキュベートして、陽性免疫反応性および形態学によって血管を同定した。血管密度を示すグラフを、代表的な顕微鏡画像の隣に提供する。n=6〜8、は、p<0.05を示す。l−MGEによるc−neuマウスの処置は、コントロールマウスと比較して腫瘍内の血管の数を有意に減少させて、ブドウ抽出物は、血管新生を減少させて腫瘍サイズを減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された乳癌マウスモデル(c−neuマウス)における、腫瘍内の線維症の分析を示す。31週齢のコントロールまたはl−MGEによって処置されたc−neuマウス由来の腫瘍切片を、ピクロシリウスレッドによって染色して、組織線維症を測定した。線維症/領域(%)を示すグラフを、代表的な顕微鏡画像の隣に提供する。n=6〜8、***は、p<0.001を表す。l−MGEによる処置は、コントロールマウスと比較して、c−neu乳房腫瘍におけるピクロシリウスレッドによる染色の量を有意に減少させて、l−MGEは、腫瘍内の線維症を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された肺癌マウスモデルにおける、腫瘍数の分析を示す。3−メチルコラントレンによって処置された母親からの雌の子は、3週で開始して、それらの飲料水中にMGEを受け取り、1年後に安楽死された。肺表面上の腫瘍の合計数(図13A)または癒合していない腫瘍の数(図13B)をカウントした。n=26〜32。***は、p<0.001を表す。l−MGEを用いた、3−メチルコラントレンに対する子宮内曝露によって肺腫瘍を発症しやすい傾向を有するマウスの処置は、水を飲んでいるマウスと比較して肺腫瘍の数を有意に減少させて、マスカディンブドウ由来の抽出物が腫瘍多重度を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された肺癌マウスモデルにおける、腫瘍体積の分析を示す。3−メチルコラントレンによって処置された母親からの雌の子は、3週で開始して、それらの飲料水中にl−MGEを受け取り、1年後に安楽死された。肺表面上の合計腫瘍領域(左パネル)または癒合していない腫瘍の領域(右パネル)をカウントした。n=26〜32。***は、p<0.001を表す。l−MGEを用いた、3−メチルコラントレンに対する子宮内曝露によって肺腫瘍を発症しやすい傾向を有するマウスの処置は、水を飲んでいるマウスと比較して肺腫瘍の領域を有意に減少させて、マスカディンブドウ由来の抽出物が腫瘍体積を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された肺癌マウスモデルにおける、増殖の分析を示す。3−メチルコラントレンによって処置された母親の雌の子孫由来の腫瘍切片を、増殖マーカーである増殖細胞核抗原(PCNA)に対する抗体とともにインキュベートして、領域あたりの陽性に染色された細胞の合計数をカウントした。PCNA/細胞のパーセンテージを示すグラフを、代表的な顕微鏡画像の隣に提供する。n=26〜32、**は、p<0.01を表す。l−MGEを用いた、3−メチルコラントレンに対する子宮内曝露によって肺腫瘍を発症しやすい傾向を有するマウスの処置は、増殖マーカーPCNAの量を有意に低減させて、l−MGEは、雌マウスの発症している肺腫瘍内の腫瘍増殖を減少させることを示唆した。 実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)によって処置された肺癌マウスモデルにおける、血管新生の分析を示す。3−メチルコラントレンによって処置された母親の雌の子孫由来の腫瘍切片を、CD34に対する抗体とともにインキュベートして、陽性免疫反応性および形態学によって血管を同定して、領域あたりの陽性に染色された血管の合計数をカウントした。血管密度(CD34免疫反応性)を示すグラフを、代表的な顕微鏡画像の隣に提供する。n=26〜32、**は、p<0.01を表す。l−MGEを用いた、3−メチルコラントレンに対する子宮内曝露によって肺腫瘍を発症しやすい傾向を有するマウスの処置は、血管の量を有意に減少させて、l−MGEは、雌マウスの発症している肺腫瘍内の血管新生を減少させることを示唆した。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスに関する体重分析を示す。それぞれの処置群内のマウスを、処置期間の終わりに計量して、マウス重量に対するp−MGEの効果を決定した。コントロールと比較して、最も多い投与量のp−MGEを用いたマウスの重量において、小さいが有意な低減があった。n=5、p<0.05。4週の処置期間の終わりのマウスの重量は、コントロール群と比較して、3つの最も低い濃度のp−MGEと同様であった。最も高い濃度のp−MGEによって処置されたマウスは、合計体重において小さいが有意な低減があった(28.6±1.2グラム〜25.0±1.3グラム、それらの合計体重の15%未満を表す)。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスの食物摂取、糞便中排せつ、および尿容量の分析を示す。それぞれの処置群内のマウスを、食物摂取(図18A)、糞便中排せつ(図18B)および尿容量(図18C)を測定するために、処置の最後の週の間、代謝ケージ内に24時間置いた。n=5。p−MGEによって処置されたマウスの食物摂取、糞便産生、または尿容量に違いはなかった。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスの病理学的組織分析を示す。それぞれの処置群内のマウスの心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓および脳を除去した。心臓、肺、肝臓、腎臓、および脾臓の切片は、固定されて、パラフィン内に包埋されて、切断されて、H&Eによって染色されて、獣医病理学者によって試験された。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスの心臓重量の分析を示す。それぞれの処置群内のマウスの心臓を、処置期間の終わりに除去して計量して、心臓重量に対するp−MGEの効果を決定した。n=5。p−MGEによって処置されたマウスの心臓重量に違いはなかった。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスの血圧の分析を示す。血圧は、無麻酔マウス(血圧測定のために1週間トレーニングされた)においてテールカフ・プレチスモグラフィーによって測定された。n=5。未処置マウス(コントロール)と比較して、増加する濃度のp−MGEによって4週間処置されたマウスにおける血圧に違いはなかった。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスの心臓の心エコー検査を要約するグラフを示す。マウスをイソフルラン(isofluorane)によって麻酔して、4週目のあいだに、VEVOをMおよびBモードで用いて、駆出率(図22A)、短縮率(図22B)、心拍出量(図22C)、一回拍出量(図22D)および心拍数(図22E)を含む、様々な心臓パラメーターを計算した。n=5。増加する濃度のp−MGEによって処置されたマウスにおける、収縮期中に心臓から排出される血液の比率に違いはなかった。未処置マウスと比較して、p−MGEによって処置されたマウスの心臓における、短縮率として測定される心収縮力に違いはなかった。未処置マウス(コントロール)およびp−MGEによって処置されたマウスにおいて、どのくらい多くの血液が心臓によってくみ出されているかについての尺度としての心拍出量に違いはなかった。未処置マウス(コントロール)およびp−MGEによって処置されたマウスの間で、一回拍出量または心拍数に違いはなかった。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスの臓器重量評価を要約するグラフを示す。処置期間の終わりに、それぞれの処置群内のマウスの選択臓器を除去して計量して、臓器重量に対するp−MGEの効果を決定した(n=5)。p−MGEによって処置されたマウスの肺、腎臓、脾臓、または脳の重量に違いはなかった(図23A、23C−23E)。図23Bに示されるように、コントロールと比較して、2番目に最も高い投与量のp−MGEを用いた肝臓の重量に、小さいが有意な増大があった(p<0.05)。4週の処置期間の終わりのマウスの肝臓の重量は、コントロール群と比較して、2つの最も低い濃度で同様であった。2番目に高い濃度のp−MGEによって処置されたマウスは、コントロール群と比較して、肝臓重量において小さいが有意な増大があった。しかしながら、最も高い濃度のp−MGEによって処置されたマウスの肝臓重量は、コントロールと異ならなかった。 本開示の態様に係る、実施例1に記載の異なる投与量のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の影響を評価する毒性試験における、マウスの腎臓機能評価を要約するグラフを示す。未処置および処置されたマウスの尿中アルブミン量(処置の4週目のあいだに集めた)を、ラジオイムノアッセイによって測定して、尿クレアチニンの尺度として表した(n=5)。図24Aに示されるように、腎臓機能の尺度として、未処置マウスと比較して、4週間、増加する濃度で処置されたマウスの尿中の尿アルブミンの量に違いはなく、同動物の糸球体または尿細管においていかなる病理もないことと一致した。未処置マウス(コントロール)と比較して、増加する濃度のp−MGEによって4週間治療されたマウスの尿における腎臓損傷/機能の指標として、尿アンギオテンシノーゲン(Aogen)をラジオイムノアッセイによって測定した。尿中の尿クレアチニンも測定した。Aogenの量は、Aogen(ng)/クレアチニン(mg)として表される。n=5。図24Bに示されるように、未処置および処置されたマウスの間で尿Aogenの量に違いはなく、p−MGEは腎臓を損傷させないことを示唆し、病理学によって評価される腎臓糸球体および尿細管において病理がないことと一致した。 本開示の態様に係る、血圧に対する実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果の分析を示す。収縮期血圧を、通常の飲料水(コントロール)、0.2mg/mL p−MGE(p−MGE)、AngII(埋め込まれた浸透圧ミニポンプを介して投与される24μg/kg/hのAngII)、または、AngIIおよびp−MGEによって4週間処置された、雄Sprague−Dawleyラットにおいて測定した。血圧は、テールカフ・プレチスモグラフィーによって毎週測定した。n=8、は、p<0.05を表し、**は、p<0.005を表し、***は、p<0.001を表し、****は、p<0.0001を表す。この試験では、AngIIの投与は、4週の期間にわたってラットの血圧を上昇させた。p−MGEは、通常の水を飲んでいるコントロールのラットまたはAngIIによって処置されたラットの血圧に対して効果がなく、p−MGEは、高血圧を悪化させないことを示唆した。 本開示の態様に係る、図25に関して説明されたラットに関する体重の評価を示す。4週の処置期間の終わりに、ラットを計量して、p−MGEによる処置が、正常血圧または高血圧ラットの体重に効果があるかどうかを決定した。n=8、****は、p<0.0001を表す。AngIIは、p−MGEによる処置の存在または不存在において、ラットの体重を低減させた。p−MGEによる処置は、正常血圧、未処置ラットまたはAngIIによって処置された高血圧のラットにおいて、体重に対して効果がなく、p−MGEは体重に影響を及ぼさないことを示唆した。 本開示の態様に係る、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)および/またはAngIIによって処置されたSprague−Dawleyラットにおける、心臓収縮期性の機能の評価を示す。VisualSonics Vevo 2100 High−Resolution Imaging System(中央−乳頭レベルにおける、Mモード傍胸骨短軸像)を用いて測定された、AngII、p−MGE、または両方によって4週間処置されたラットにおいて、図27Aは駆出率を示し、図27Bは短縮率を示す。n=8。AngIIとp−MGEのいずれも単独または組み合わせで、コントロールと比較して駆出率および短縮率を改変せず、AngIIおよびp−MGE投与は、心臓収縮期性の機能に対して効果がないことを示した。 本開示の態様に係る、図27A−27Bに関して説明されるラットにおける心臓の特性の分析を示す。VisualSonics Vevo 2100 High−Resolution Imaging Systemを用いて中央−乳頭レベルで、Mモード傍胸骨短軸像において評価された、AngII、p−MGE、または両方によって4週間処置されたマウスにおいて、図28Aは、左後方壁の厚さの測定を示し、図28Bは、拡張終期直径の測定を示し、図28Cは、相対的な壁の厚さの測定を示す。n=8;コントロールと比較して、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001および****p<0.0001。AngIIは、左心室(LV)後方壁の厚さを増大させて、LVの拡張終期内径を低減させて、相対的な壁の厚さを増大させて、AngIIにより処置が、左心室の同心円状の再構築を誘導することを示唆した。p−MGEは、AngIIが介在する変化を悪化または減少させなかった。 本開示の態様に係る、AngII、p−MGE、または両方によって4週間処置された、図28A−28Bに関して説明されるラットにおける、拡張期機能の評価を示す。図2Aは、LV弛緩の尺度としてe’の評価を示し、図29Bは、左心室充填圧力の示度としてE/e’の評価を示す。n=8;コントロールと比較して、p<0.05、**p<0.01、および****p<0.0001;AngII単独と比較してp<0.05。AngIIによって誘導される拡張期の機能障害は、損なわれた心室弛緩において反映されて、左心室充填圧力を増大させた。p−MGEの同時投与は、Ang−IIが介在するE/e’の増大を減少させて、e’を増大させる傾向があり、p−MGEが、AngIIによって誘導される拡張期の機能障害を改善することを示唆した。 本開示の態様に係る、AngII、p−MGE、または両方によって4週間処置された、図28A−28Bに関して説明されるラットにおける、高血圧によって誘導される心臓の損傷の評価を示す。心臓の左心室切片をピクロシリウスレッドで染色して合計コラーゲンを同定して、それぞれのラットの左心室由来の4つの画像において定量化した。n=8;****コントロールと比較してp<0.0001;AngIIと比較してp<0.05。p−MGE同時投与は、左心室において、AngIIが介在する間質線維症の増大を改善させて、抽出物が、高血圧によって誘導される心臓の損傷を弱め得ることを示唆した。 本開示の態様に係る、AngII、p−MGE、または両方によって4週間処置された、図28A−28Bに関して説明されるラットにおける、高血圧によって誘導される心臓の損傷の評価を示す。心臓の左心室の切片を小麦胚芽アグルチニンで染色して、心筋細胞の輪郭を描いた。平均断面積(MCSA)を、それぞれの動物由来の少なくとも4つの別個の画像から平均した。コントロールと比較してp<0.05;AngII単独と比較してp<0.05。AngIIによって増大された心筋細胞MCSAは、p−MGEの同時投与により弱められて、心筋細胞肥大が、p−MGEの投与によって改善され得ることを示唆した。 本開示の態様に係る、ヒトMDA−MB−231三種陰性乳房腫瘍の増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を要約するグラフを示す。無胸腺マウス(n=8)に、MDA−MB−231細胞を注入して、4週間、それらの飲料水中に投与されたp−MGEによって処置した。腫瘍サイズを覚醒マウスにおいて1週間に2回測定して、腫瘍サイズを、半楕円に関する公式を用いて計算した。図32Aは、増加する濃度のp−MGEによる4週の処置は、無胸腺マウスにおいてヒト三種陰性乳房腫瘍の体積を減少させたことを説明するグラフを示す。は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表し、***は、p<0.001を表し、****は、p<0.0001を表す。これらのマウス(n=8)由来の腫瘍を除去して計量した。図32Bは、増加する濃度のp−MGEによる処置が、未処置マウスと比較して、マウスにおける腫瘍の重量を減少させたことを説明するグラフを示し、p−MGEの投与が、乳房腫瘍の増殖を減少させることを示唆する;は、p<0.05を表し、***は、p<0.001を表し、****は、p<0.0001を表す。図32C−32Eは、図32Aおよび図32Bに関して記載される、それらの飲料水中に0.1mgのフェノール類/mLのp−MGEによって処置されたマウスまたはコントロールマウスのMDA−MB−231腫瘍における、それぞれ、二重特異性ホスファターゼ1(MAPキナーゼホスファターゼ1(DUSP1/MKP1)としても知られる)、血小板由来増殖因子(PDGF)、およびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤1(p21)の、mRNAレベルの分析を示す。TRIzolを用いて腫瘍からRNAを単離して、標的特異的なプライマー/プローブセット(Applied Biosystems)を用いて、および、18S rRNAを内部標準として用いて、mRNAを定量化した。結果は、Ct値として定量化されて、ここで、Ctは、増幅された産物が最初に検出されて相対的な遺伝子発現(標的/コントロールの比)として定義されるPCRの閾値サイクルとして定義された。n=8、****は、p<0.0001を表す。図32Cは、p−MGEによる処置が、DUSP1/MAKP1の相対的な発現を減少させたことを説明するグラフを示す。DUSP1/MAKP1は、癌細胞の増殖に関与することが知られるERK1およびERK2タンパク質キナーゼを脱リン酸化、したがって不活化することが知られている。DUSP1/MAKP1の増大は、p−MGEによって処置されたMDA−MB−231細胞および抽出物によって処置された脳特異的乳癌細胞の両方において観察されたホスホ−ERK1およびホスホ−ERK2の減少の原因であり得る。図32Dは、p−MGEによる処置が、細胞増殖の制御に関与する主な増殖因子の1つであるPDGFの相対的発現を減少させたことを説明するグラフを示す。p−MGEを用いた処置によるPDGFの減少は、p−MGEによって誘導される、腫瘍増殖の減少に関与し得る。図32Eは、p−MGEによる処置が、サイクリン/サイクリン依存性キナーゼ(CDK)複合体を阻害するサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CKI)であるp21の相対的発現を増大させたことを説明するグラフを示す。p−MGEを用いた処置によるp21の減少は、細胞周期が腫瘍増殖を減少させるのをp−MGEが阻害し得ることを示唆し、p−MGEによって処置された脳特異的乳癌細胞において観察されたサイクリンDの減少と一致する。図32Fは、細胞増殖の制御に関与する細胞周期パスウェイを示し、円はこのプロセスにおけるp21の役割を示している。p−MGEによって誘導されるp21の増大は、細胞周期を通して進行を減少させることによって、細胞増殖の制御に関与し得る。 本開示の態様に係る、脳特異的転移乳癌細胞株の増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。細胞株4T1.luc.2Br5またはEo771.luc.Br5を、クローン原性密度でプレーティングして、指示された濃度のp−MGEに曝した(これらの図においてMGEと標識される)。生じるコロニーを染色して定量化して、無(0)p−MGEコントロールに対して標準化した。データは、3回の実験の平均+/−SEMを表し、それぞれ少なくともトリプリケートで行なわれた。***は、p<0.001を表し、****は、p<0.0001を表す。p−MGEは、三種陰性乳癌の親細胞株(4T1)およびER+親細胞株(Eo771)から採取された2つの異なる脳特異的乳癌細胞株の増殖を減少させて、抽出物が、転移乳癌の増殖を阻害することを示唆した。 本開示の態様に係る、脳特異的乳癌細胞株の増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。脳特異的乳癌細胞(4T1−Br5、Eo771−Br5、MDA−MB231Br、およびMCF7.HER2.Br3)を、示されたとおりに、10μg/mL p−MGEとともに(M)、または、p−MGEを伴わずに(コントロールのため、C)、インキュベートして、合計ERK1/2と比較したリン酸化ERK1/2(pERK1/2)に関してウエスタンブロットにより分析した。示されるブロットは、3つの非依存性実験の代表であり;以下の定量化は、3つの非依存性実験からの平均値を表す。p−MGEによる24時間の処置後に、4T1−Br5は、ERK1/2リン酸化の有意な低減を示し(68%低減、p<0.05)、MAPキナーゼのリン酸化および活性化の減少が、p−MGEによって誘導される細胞増殖の減少に関与し得ることを示唆した。対照的に、ホスホ−ERK1/2は、Eo771、MDA−MB−231またはMCF−HER1脳特異的乳癌細胞で変わらず、異なるパスウェイが、異なるタイプの乳癌細胞における細胞増殖の阻害に関与し得ることを示唆した。 本開示の態様に係る、脳特異的乳癌細胞株の増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。脳特異的乳癌細胞(4T1−Br5、Eo771−Br5、MDA−MB231Br、およびMCF7.HER2.Br3)を、10μg/mL p−MGEとともに(M)、または、p−MGEを伴わずに(コントロールのため、C)、4時間または24時間インキュベートして、それから、ウエスタンブロット分析によって、サイクリンD1に対する抗体を用いてプローブして;チューブリンをローディングコントロールとして用いた。は、p<0.05を表し、**は、P<0.01を表す。p−MGEは、4T1三種陰性、E0771ER+、MDA−MB−231三種陰性、およびMCF7.HER2ER+/HER2過剰発現細胞株において、24時間の処置後にサイクリンD1の低減を引き起こし、抽出物が、細胞周期を通した進行を減少させて増殖を減少させることを示唆した。 本開示の態様に係る、脳特異的乳癌細胞株の増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。脳特異的乳癌細胞(4T1−Br5、Eo771−Br5、MDA−MB231Br、およびMCF7.HER2.Br3)を、示されたとおりに、10μg/mL p−MGEとともに(M)、または、p−MGEを伴わずに(コントロールのため、C)、4または24時間インキュベートして、PARPまたは開裂カスパーゼ3に関してウエスタンブロットにより分析して;β−アクチンをローディングコントロールとして用いた。PARP切断産物。示されるデータは、それぞれの細胞株に関する3つの非依存性実験の代表である。p−MGEは、アポトーシスのマーカーとして、開裂PARPおよび開裂カスパーゼ3の増大によって検出される、脳特異的4T1細胞株におけるアポトーシスを刺激した。対照的に、アポトーシスは、他の3つの脳特異的細胞株では、p−MGEによって増大されず、異なるメカニズムが、異なるタイプの転移乳癌における細胞増殖の減少の原因となっていることを示唆した。 本開示の態様に係る、三種陰性乳癌細胞増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。MDA−MB−231ヒトTNBC細胞を、製造元の指示に従って、Essen BioscienceからのIncuCyte(商標)NucLight(商標)Red Lentivirus Reagent(EF1α、Puro)によってトランスフェクトして、細胞核を標識した。トランスフェクションを製造元の指示に従って行なって、トランスフェクトされた細胞を選択して、ピューロマイシンを用いて維持した。標識化された細胞を96ウェルプレートに蒔いて、フェノール類(μg)/培地(mL)として計算される増加する濃度のp−MGEによって処置した。細胞増殖をパネルAに示されるように48時間で測定して、パネルBにおいて定量化した。4重でn=3、****は、p<0.0001を表す。p−MGEは、ヒトMDA−MB−231細胞の増殖を有意に減少させて、腫瘍増殖の減少と一致した。 本開示の態様に係る、三種陰性乳癌(TNBC)細胞増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。細胞増殖を、増加する濃度のp−MGEに応じて、BT−549(図37A)、BT−20(図37B)、および4T1(図37C)TNBC細胞株において測定した。4重でn=3;は、p<0.05を示し、**は、p<0.005を示し、***は、p<0.001を示し、****は、p<0.0001を示す。BT−549およびBT−20ヒト三種陰性乳癌細胞および4T1マウスTNBC細胞の増殖は、増加する濃度のp−MGEによって減少し、TNBCが、p−MGEによる処置に関する標的であることを示唆した。 本開示の態様に係る、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)によって処置された三種陰性乳癌(TNBC)細胞における、MAPキナーゼシグナリングの分析を示す。4T1細胞を、p−MGEによって12時間、10μg/mLまたは20μg/mLで処置して、細胞溶解物を、リン酸化および活性化MAPキナーゼp−ERK1およびp−ERK2およびMAPキナーゼERK1およびERK2に関する抗体を用いたウエスタンブロットによる分析のために調製した。ホスホ−ERK1およびERK2の量を、図38Aおよび図38Bにそれぞれ示されるように、非リン酸化ERK1および非リン酸化ERK2の量に対して標準化して、代表的なブロット画像を図38Cおよび図38Dに示す。n=6、は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表し、***は、p<0.001を表し、****は、p<0.0001を表す。p−MGEは、細胞増殖の制御に関与しているMAPキナーゼであるリン酸化活性化ERK1およびERK2の両方を有意に減少させて、ERK1/2活性の減少が、細胞増殖および乳房腫瘍増殖の低減に関与することを示唆した。 本開示の態様に係る、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)によって処置された三種陰性乳癌細胞における、示差的な遺伝子分析の結果を示す。4T1マウス三種陰性乳癌細胞を、20μgのフェノール類/mLのp−MGEとともに0、1、6または12時間インキュベートして、TRIzolを用いて合計RNAを単離した。示差的な遺伝子発現を、Wake Forest University Comprehensive Cancer Center Cancer Genomics Shared Resourceにおいて、RNAseqを用いて分析した。EPIG(xtracting microarray gene expression atterns and dentifying co−expressed enesに関する方法)Global Gene Pattern分析を用いてデータを分析して、9個の別個のパターンにわたる2009個の遺伝子の上方制御、下方制御または有意でない変化を示した。p−MGEによって上方制御された遺伝子ファミリーは、炎症性またはリポ多糖(LPS)応答に関与する29個の遺伝子、ウイルス防御またはIFNβ応答に関与する272個の遺伝子、および、自食作用または小胞体(ER)ストレス応答に関与する741個の遺伝子を含んだ。対照的に、ヌクレオソーム集合または先天性の免疫応答に関与する96個の遺伝子、および、細胞周期または細胞分裂に関与する748個の遺伝子は、下方制御された。4つのさらなる遺伝子パターンは、有意な富化を示さなかった。 本開示の態様に係る、三種陰性乳癌細胞の遊走に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。MDA−MB−231 TNBC細胞を、96ウェルプレート中でコンフルエンスまで増殖させて、800マイクロの領域を、IncuCyte(商標)WoundMaker(商標)を用いて露出させた。細胞をそれから、増加する濃度のp−MGEによって処置した(図に示されたとおり)。図40Aは、24時間の処置期間のあいだに、露出領域へ遊走するために移動した距離を描く代表的な画像を示し、その期間、細胞は25μgのフェノール類/mLの濃度でp−MGEによって処置された。図40Bは、それぞれの濃度のp−MGEで、24時間で細胞が遊走した定量化された距離を示す。4重でn=3;**は、p<0.05を表し、****は、p<0.01を表す。p−MGEは、MDA−MB−231 TNBC細胞の遊走を阻害し、p−MGEが、転移TNBCに導く遊走のプロセスの一部としての浸潤を減少させることを示唆した。 本開示の態様に係る、三種陰性乳癌細胞の遊走に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。4T1 TNBC細胞を、96ウェルプレート中でコンフルエンスまで増殖させて、800μmの領域を、IncuCyte(商標)WoundMaker(商標)を用いて露出させた。細胞を、増加する濃度のp−MGEによって処置して、創傷の近くに移動した距離を、図40Cのグラフに示されるように、48時間の処置期間のあいだ、計算した。24時間で細胞が遊走した距離を、図40Dのグラフに示されるように定量化した。4重でn=3;**は、p<0.005を表し、****は、p<0.0001を表す。p−MGEは、4T1 TNBC細胞の遊走を阻害して、p−MGEが、浸潤および転移増殖のプロセスの一部としてのTNBCの遊走を減少させることを示唆した。 本開示の態様に係る、HER2陽性乳癌細胞の増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。SKBr3ヒトHER2乳癌細胞を、増加する濃度のp−MGEによって処置して、フェノール類(μg)/培地(mL)として計算した。細胞増殖を48時間で測定して、コントロールの%として定量化した。4重でn=3、は、p<0.05を表し、**は、p<001を表し、***は、p<0.001を表し、****は、p<.0001を表す。p−MGEは、ヒトSKBr3ヒトHER2過剰発現細胞の増殖を有意に減少させて、抽出物が、HER2過剰発現乳房腫瘍の増殖を減少させ得ることを示唆した。 本開示の態様に係る、AKT/mTORシグナル伝達経路におけるタンパク質のリン酸化状態に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。SKBr3ヒトHER2細胞を、増加する期間、20μg/mLのpMGEによって処置して、ウエスタンブロットによる分析のために細胞溶解物を調製した。GelDocによってゲルを分析して、免疫反応性バンドを、ローディングしたタンパク質の合計量/レーンの分析によって、ローディングに関して標準化した。代表的な画像をグラフの下に示す。n=5、は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表し、***は、p<0.001を表す。図41Bは、セリン473におけるAKTリン酸化を示し、図41Cは、トレオニン308におけるAKTリン酸化を示し、図41Dは、m−TORにおけるリン酸化(p−mTOR)を示す。p−MGEは、AKTおよびm−TORのリン酸化および活性化を有意に減少させて、AKTパスウェイおよびmTORの活性化が、HER2過剰発現乳癌細胞および腫瘍における増殖および生存の制御に関与することを示唆した。 本開示の態様に係る、脳特異的転移乳癌細胞に関するコロニー増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)および/または放射線の効果を示す。4T1.luc2.Br5またはEo771.luc.Br5細胞を、クローン原性密度で一晩プレーティングして、p−MGE(図においてMGEと示される)に24時間曝して、示されたとおりに放射線照射した(IR)。コロニーを染色して、図42A(4T1.luc2.Br5)および図42B(Eo771.luc.Br5)に示されるように定量化した。生存率=#コロニー/プレーティングされた細胞数 シャム(sham)の放射線照射細胞のプレーティング効率。データは、3〜4回の非依存性実験に関する平均±SEMを表し、それぞれトリプリケートで行なわれた。図42Cは、4T1.luc2.Br5細胞に関する相対的コロニー数を示す図42Aからのデータであり;p−MGEおよびIRの組み合わせは、いずれかの条件単独よりも(that)大きな喪失をもたらす。**は、シャムコントロールに対するp<0.01を表し;****は、シャムコントロールに対するp<0.001を表し;bは、2Gyコントロールと比較してp<0.05、p−MGEシャムに対してp<0.001。トリプリケートで行なわれたn=3実験。図42Dは、Eo771.luc.Br5細胞による相対的コロニー数を示す図42Bからのデータである;p−MGEおよびIRの組み合わせは、いずれかの条件単独よりも大きな喪失をもたらす。は、シャムコントロールに対するp<0.05を表し;**は、シャムコントロールに対するp<0.01を表し;aは、2Gyコントロールと比較してp<0.01、p−MGEシャムに対してp<0.001。トリプリケートで行なわれたn=4実験。転移脳腫瘍を有する患者を治療するために典型的に用いられる放射線とp−MGEの組み合わせは、p−MGEまたは放射線いずれか単独よりも大きな増殖の減少をもたらし、放射線とp−MGEの同時投与が、腫瘍増殖の減少により効果的であり得ることを示唆した。 本開示の態様に係る、ER+乳癌腫瘍増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)および/またはタモキシフェンの効果を示す。無胸腺マウスの乳腺脂肪パッドに、ZR−75−1 ER+細胞(1×10細胞)を注入して、カリパスを用いて3日ごとに腫瘍増殖を測定した。腫瘍が30mmのサイズに到達したときに、マウスを、水/通常の固形飼料(コントロール)、0.1mgのフェノール類/mLのp−MGE(図においてMGEと標識)/通常の固形飼料、32mg/kg/dのおよその投与量のタモキシフェン(TAM、Harlan−Teklad由来の400ppm TAMシトレートを含む固形飼料で投与される)/通常の水、または、p−MGEおよびタモキシフェン(図において、TAM+MGE)を用いて、7週間処置した。半楕円に関する公式を用いて腫瘍サイズを計算した。は、p<0.05を表す;n=7〜8。p−MGEによる処置は、通常の水を飲んでいるマウスと比較して、7週の処置にわたって腫瘍体積を有意に減少させた。タモキシフェン単独による処置も、腫瘍サイズを減少させた。しかしながら、p−MGEおよびタモキシフェンの組み合わせは、腫瘍体積の減少において相加的な効果を引き起こし、p−MGEまたはタモキシフェン単独と比較して有意であった。これらの結果は、p−MGEをタモキシフェンと組み合わせて用いて、ER+腫瘍増殖を減少させることができることを示唆する。 本開示の態様に係る、ER+乳癌腫瘍重量に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)および/またはタモキシフェンの効果を示す。図43に記載のように、p−MGEおよび/またはタモキシフェンを用いてまたは用いずに処置されたZR−75−1腫瘍を、7週の処置後に除去して計量した。n=7〜8。p−MGEによる処置は、通常の水を飲んでいるマウスと比較して、7週の処置にわたって腫瘍重量を有意に減少させた。タモキシフェン単独(TAM)による処置も、腫瘍重量を減少させた。しかしながら、p−MGEおよびタモキシフェンの組み合わせ(TAM+MGE)は、腫瘍重量の減少において相加的な効果を引き起こし、p−MGEまたはタモキシフェン単独と比較して有意であった。これらの結果は、p−MGEをタモキシフェンと組み合わせて用いて、ER+腫瘍増殖を減少させることができることを示唆する。 本開示の態様に係る、ER+乳癌腫瘍細胞増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)および/またはタモキシフェンの効果を示す。図43に記載のように、タモキシフェンおよび/またはp−MGE(図においてTAMおよびMGEと標識される)を用いてまたは用いずに処置されたZR−75−1腫瘍を、7週の処置後に除去して、ホルマリンに固定化して、パラフィン包埋して、切断した。切片を、増殖のマーカーであるKi67に対する抗体とともにインキュベートした。Ki67細胞の数を領域あたりカウントして、図45Aに示されるように平均化した。それぞれの処置群からの代表的な写真を図45Bに示す。は、p<0.05を示す;n=7〜8。p−MGE単独による処置は、Ki67免疫反応性を有意に減少させて、抽出物が、ER+乳房腫瘍の増殖を阻害することを示唆した。エストロゲン受容体拮抗薬タモキシフェン(TAM)も、増殖を有意に減少させた。p−MGEおよびタモキシフェン(MGE+TAM)による処置は、p−MGEまたはタモキシフェン単独による処置よりも有意に増殖を減少させた。これらの結果は、p−MGEをタモキシフェンと組み合わせて用いて、ER+腫瘍増殖を減少させることができることを示唆する。 本開示の態様に係る、ER+乳癌腫瘍体積に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)および/またはタモキシフェンの効果を示す。無胸腺マウスの乳腺脂肪パッドに、MCF7ヒトER+細胞(1×10細胞)を注入して、カリパスを用いて3日ごとに腫瘍増殖を測定した。腫瘍が30mmのサイズに到達したときに、マウスを、水/通常の固形飼料(コントロール)、0.1mgのフェノール類/mLのp−MGE(図においてMGEと標識される)/通常の固形飼料、32mg/kg/dのおよその投与量のタモキシフェン(TAM、Harlan−Teklad由来の400ppm TAMシトレートを含む固形飼料で投与される)(TAM、それらの固形飼料で投与される)/通常の水、または、p−MGEおよびタモキシフェン(MGE+TAM)によって5週間処置した。腫瘍サイズを、半楕円に関する公式を用いて計算した。は、p<0.05を表し、n=7〜8。通常の水を飲んでいるマウスと比較して、p−MGEによる処置は、処置の5週にわたってMCF7腫瘍体積を減少させた。タモキシフェン単独による処置も、腫瘍サイズを減少させた。しかしながら、p−MGEおよびタモキシフェンの組み合わせは、腫瘍体積の低下において相加的な効果を引き起こし、p−MGEまたはタモキシフェン単独と比較して有意であった。これらの結果は、p−MGEをタモキシフェンと組み合わせて用いて、ER+腫瘍増殖を減少させることができることを示唆する。 本開示の態様に係る、ER+乳癌腫瘍重量に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)および/またはタモキシフェンの効果を示す。図46に記載のように処置されたMCF7ヒトER+乳房腫瘍を、5週の処置後に除去して計量した。は、p<0.05を表し、n=7〜8。p−MGEによる処置は、通常の水を飲んでいるマウスと比較して、5週の処置にわたって腫瘍重量を有意に減少させた。タモキシフェン単独による処置も、腫瘍重量を減少させた。しかしながら、p−MGEおよびタモキシフェンの組み合わせは、腫瘍重量の減少において相加的な効果を引き起こし、p−MGEまたはタモキシフェン単独と比較して有意であった。これらの結果は、p−MGEをタモキシフェンと組み合わせて用いて、ER+腫瘍増殖を減少させることができることを示唆する。 本開示の態様に係る、前立腺腫瘍サイズに対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。無胸腺マウスに、LNCaPヒト前立腺癌細胞を注入して、それらの飲料水中に投与された増加する濃度のp−MGEによって5週間処置した。5週の処置期間の終わりの腫瘍体積を覚醒マウスにおいて測定して、半楕円に関する公式を用いて腫瘍サイズを計算した。n=5〜6;は、p<0.05を表し、**は、p<0.01を表し、***は、p<0.001を表し、****は、p<0.0001を表す。増加する濃度のp−MGEにより処置は、無胸腺マウスにおけるヒト前立腺腫瘍のサイズの用量依存的減少を引き起こした。 本開示の態様に係る、前立腺腫瘍増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。未処置(コントロール)または増加する濃度のp−MGEによって処置された無胸腺マウス由来のLNCaP前立腺腫瘍を、5週の処置後に除去して計量した。n=5〜6、**は、p<0.01を表し、***は、p<0.001を表す。増加する濃度のp−MGEによる処置は、未処置マウスと比較して、無胸腺マウスにおいてヒト前立腺腫瘍の重量の用量依存的な減少を引き起こし、p−MGEの投与が、前立腺腫瘍増殖を減少させることを示唆した。 本開示の態様に係る、前立腺腫瘍細胞増殖に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。未処置(コントロール)または0.1mgのフェノール類/mLのp−MGE(p−MGE)によって処置された無胸腺マウス由来のLNCaP前立腺腫瘍を、パラホルムアルデヒドに固定化して、パラフィン包埋して、切片に切断して、Ki67に対する抗体を用いて染色した。グラフにおいて左側に示されるように、Ki67陽性細胞/領域の数をカウントした。代表的な切片を右側に示す。n=6、は、p<0.05を表す。p−MGEによる処置は、増殖のマーカーであるKi67によって染色された細胞のパーセントを減少させて、抽出物が、前立腺腫瘍細胞の増殖を減少させることを示唆した。 本開示の態様に係る、前立腺腫瘍内の血管数によって反映される血管新生に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。未処置(コントロール)または0.1mgのフェノール類/mLのp−MGE(p−MGE)によって処置された無胸腺マウス由来のLNCaP前立腺腫瘍を、パラホルムアルデヒドに固定化して、パラフィン包埋して、0.5mm切片に切断して、内皮細胞を染色するCD34に対する抗体を用いて染色した。血管数/領域を、陽性免疫反応性および形態学の両方によって同定した。n=6、は、p<0.05を表す。p−MGEによる処置は、領域あたりの血管の数を減少させて、抽出物が、前立腺腫瘍における血管新生を阻害することを示唆した。 本開示の態様に係る、前立腺腫瘍における、血管新生を調節する増殖因子であるVEGFおよびPLGFの発現に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。製造元の指示に従ってTRIzol試薬を用いて、未処置(コントロール)または0.1mgのフェノール類/mLのp−MGE(p−MGE)によって処置された無胸腺マウス由来のLNCaP前立腺腫瘍から、RNAを単離した。血管内皮増殖因子(VEGF)および胎盤増殖因子(PLGF)を、VEGF−またはPLGF−特異的なプライマー/プローブセット(Applied Biosystems)および内部標準として働く18S rRNAを用いて定量化した。結果は、Ct値として定量化されて、ここで、Ctは、増幅された産物が最初に検出されて相対的な遺伝子発現(標的/コントロールの比)として定義されるPCRの閾値サイクルとして定義された。n=6、は、p<0.05を表す。p−MGEによる処置は、VEGFおよびPLGFの両方の相対的発現を減少させて、それは、図51に示される血管の数の減少と一致し、抽出物が、前立腺腫瘍における血管新生を妨げるというさらなる証拠を提供した。 本開示の態様に係る、放射線治療に応答した筋原線維形成および免疫細胞浸潤に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。健康なマウスは、処置されず、または、放射線(IR)、p−MGE、または、放射線およびp−MGEを共に(IR+p−MGE)によって6週間処置された。前脛骨筋を単離して、H&Eによって染色して、筋組織の形態を可視化した。放射線治療を受けた筋肉は、有意な量の筋線維の再生(白の矢印)および免疫細胞の浸潤(黒の矢印)を示した。放射線によるマウスの後肢の処置は、筋原線維の再生および筋肉への免疫細胞の移動をもたらし、それは、p−MGEの同時投与によって減少された。 本開示の態様に係る、放射線によって誘導される線維症に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の効果を示す。健康なマウスは、処置されず、または、放射線(IR)、p−MGE、または、放射線およびp−MGE(IR+p−MGE)によって6週間処置された。前脛骨筋を単離して、マッソン三色染色法によって染色して、組織線維症の領域を特定した。組織における線維症のパーセントを、ImageJソフトウェアを用いて定量化した。放射線による処置は、線維症の領域を有意に増大させて、それはp−MGEの投与によって減少されたが、抽出物単独による処置は効果がなく、p−MGE処置が、放射線によって誘導される線維症を有意に減少させることを示唆した。 本開示の態様に係る、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)によって処置されたマウスにおける、照射に応答した筋組織内のTGBβ、CTGF、およびSMAD2タンパク質レベルの評価を示す。健康なマウスは、週に2回、2週間、7.3Gy/分割の合計2回の分割が放射線照射されて(ヒトにおける放射線癌治療をモデルとするため)、そして、水(コントロール、放射線治療なし)、それらの飲料水中にp−MGE(p−MGEのみ)、放射線単独(放射線照射)、または、放射線およびp−MGE(放射線照射+p−MGE)が投与された。筋組織におけるTGFβ、CTGFまたはSMAD2の濃度をELISAによって測定して、コントロールまたはp−MGE単独と比較した。照射は、TGFβ、CTGFおよびSMAD2の筋濃度を増大させた。p−MGE単独の投与は、任意の3つの因子に対して有意な効果がなかった。しかしながら、照射前、照射中、および照射後のp−MGEの投与は、TGFβおよびCTGFの組織レベルを、コントロールと異ならないレベルまで戻し、SMAD2は、p−MGE単独と異ならないレベルまで戻した。これらの結果は、放射線治療が、TGBβ/CTGF/SMADパスウェイを活性化して組織線維症を増大させること、および、p−MGEが、このパスウェイを弱めることによって線維症を減少させることを示唆する。 本開示の態様に係る、照射に応じた破骨細胞誘導に対する、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)による処置の効果を示す。RAW264.7前破骨細胞を、0.0001、0.0002、および0.0004μg/mLのp−MGEによって、2Gy照射の前に24時間処置して、破骨細胞の数を7日目にカウントした。NRは、放射線なし;IRは、2Gyでの放射線;NR MGE 0.0001、0002または0.0004は、放射線なしおよび増加する濃度のp−MGEによる処置;および、IR MGE 0.0001、0.0002または0.0004は、2Gyでの放射線および増加する濃度のp−MGEによる処置。リプリケートでn=2;は、コントロール単独と比較してp<0.05を表す。2Gy単独による処置は、破骨細胞への前破骨細胞の変換を増大させた。放射線によって誘導される破骨細胞数の増大は、0.0001、0.0002、および0.0004μg/mLのp−MGEによる24時間の事前処置によって防止されて、抽出物が、活性破骨細胞の増大から骨を保護することを示唆した。 本開示の態様に係る、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)と比較した、様々な市販のマスカディンブドウ製品中のフェノール含有量の分析を示す。マスカディンブドウから作られた9個の異なる市販製品由来のカプセルのフェノール含有量は、比色Folin−Ciocalteau法の改変および標準として没食子酸を用いた合計フェノール類の測定の前に、水に再懸濁されてTissueLyzer(商標)(Qiagen)を用いてホモジナイズされて評価された。カプセルあたりのフェノール類の量が定量化された。それぞれの製品に関する情報およびこの図に用いられる略称を表3に提供する。p−MGEを含むカプセルのフェノール含有量は、9個の試験された市販のマスカディンブドウ製品と比較して、最も高かった。 本開示の態様に係る、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)と比較した、様々なマスカディンブドウ製品におけるフェノール化合物の分析を示す。図57において評価されたマスカディンブドウ製品の3つおよびp−MGEを、個々のポリフェノール類に関してさらに分析した。サンプルを70%メタノール/1%ギ酸中で抽出して、Qiagen TissueLyser(商標)中でホモジナイズして;不溶性物質を、100,000×gで60分間、遠心分離によって除去した。抽出物に、同位体的に標識されたカテキンを内部標準として混ぜて、200pg/μLの検出限界で17のフェノール標準を分離するグラジエント条件を用いてUHPLC−MS分析のために直接的にアプライした。主な構成要素(エピカテキン(epitcatechin)、没食子酸、プロシアニジン、カテキンおよびカテキン−没食子酸)の同定を、標準との比較によって決定して定量した。p−MGEは、Nature’s Pearl、Biopower、またはMuscadinexによる製品と比較して、最も高い含有量のカテキン−没食子酸、プロシアニジン、エラグ酸、エピカテキン、没食子酸およびカテキンを含んだ。 本開示の態様に係る、実施例1に記載のマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の液体抽出物(l−MGE)およびマスカディンブドウ種子およびマスカディンブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)のクロマトグラフィー、質量分析の結果を示す。抽出物を、200pg/μLの検出限界で17のフェノール標準を分離するグラジエント条件を用いてUHPLC−MS分析によって評価した。およそ500〜2000分子量の製品の分析の分解能が高められた。抽出物の異なるフェノール組成物を表す特定の識別ピークを、点線ボックスによって示す。
ブドウから作られる抽出物およびその製剤が本明細書において記載される。本開示の抽出物は、それから作られる液体抽出物および粉末抽出物を含む。異なる抽出物を生産するための様々な方法および癌に関する治療の方法も提供される。既存のブドウ抽出物と比較して、本開示の抽出物はフェノール含有量が増加している。特に、本明細書に記載される製造方法は、抽出物のフェノール化合物含有量を維持するステップ(粉末および液体の両方)および不溶性含有量を最小限にするステップを含む。
本開示の態様および特徴は、以降に、本発明の実施態様が示される付随する図面および実施例に関して説明される。この説明は、本発明が実施され得る全ての異なる方法または本発明に加えられ得る全ての特徴の詳細なカタログであることを意図しない。例えば、一実施態様に関して示される特徴は、他の実施態様に取り込まれてよく、特定の実施態様に関して示される特徴は、その実施態様から消去されてよい。したがって、本発明は、本発明の一部の実施態様では、本明細書に示される任意の特徴または特徴の組み合わせが、除外または省略され得ることを検討する。加えて、本明細書に示唆される様々な実施態様に対する非常に多くの変動および付加は、本開示に照らして当業者に明らかであり、本発明から逸脱しない。それ故に、以下の説明は、本発明の一部の特定の実施態様を説明することが意図されて、それらの全ての並べ替え、組み合わせおよび変動を徹底的に特定しないことが意図される。
別段の定義がされない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者の一人によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本開示において用いられる専門用語は、特定の実施態様および特徴を説明する目的のためのみであり、限定を意図しない。
文脈が別段の指示をしない限り、本明細書に説明される様々な特徴および態様は、任意の組み合わせで用いられ得ることが明確に意図される。さらにまた、本開示は、一部の実施態様では、本明細書において示される任意の特徴または特徴の組み合わせは、除外または省略され得ることも検討する。説明すると、組成物が、構成要素A、BおよびCを含むと述べられる場合、A、BまたはCのいずれか、またはそれらの組み合わせが、単独でまたは任意の組み合わせで、省略および放棄され得ることが明確に意図される。
本開示および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形を同様に含むことが意図される。また、本明細書において用いられる「および/または」は、関係がある列挙された項目の1つまたは複数の任意および全てのあり得る組み合わせ、ならびに、選択肢で解釈された場合(「または」)は、組み合わせの欠失を指し、および包含する。
本明細書において用いられる用語「約」は、質量、投与量、時間、温度などの量のような測定可能な値に対する言及において用いられる場合、規定の量の0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、6、%、7%、8%、9%、10%、15%または実に20%の変動を指す。例えば、量が、「約50%のX」を含むと説明される場合は、一部の実施態様では、組成物は50%のXを含み、一方で他の実施態様では、それは、例えば、40%〜60%のX(すなわち、50±10%)のどこかを含み得ることが理解されるべきである。
本明細書において用いられる用語「および/または」は、関係がある列挙された項目の1つまたは複数の任意および全てのあり得る組み合わせ、ならびに、選択肢で(「または」)解釈された場合は組み合わせの欠失を指し、および包含する。
本明細書において用いられる、「XおよびYの間」および「約XおよびYの間」のような語句は、XおよびYを含むと解釈されるべきである。本明細書において用いられる「約XおよびYの間」のような語句は、「約Xおよび約Yの間」を意味し、「約XからYまで」のような語句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
本明細書において用いられる用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および、「含む(comprising)」は、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、エレメント、および/または、構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、エレメント、構成要素、および/または、それらのグループの存在または追加を排除しない。
用語「薬学的に有効量」は、本開示において「治療的に有効量」と相互交換可能に用いられて、対象において治療される疾患または状態の少なくとも1つの症候を、治療する、除去する、または緩和するのに効果的な薬理学的薬剤の量を指す。ある場合には、「治療的に有効量」または「有効量」は、対象において検出可能な治療的または阻害的効果を発揮するのに有用な機能性薬剤または医薬組成物の量を指してよい。効果は、当技術分野で知られている任意のアッセイ方法によって検出され得る。ある場合には、治療される疾患が癌である場合は、有効量は、細胞増殖、細胞遊走、血管新生、線維症、および炎症のいずれかの減少を含む抗癌応答を引き起こすのに効果的な量であってよい。
本明細書において用いられる、移行句「から本質的になる」は、クレームの範囲が、クレーム内に挙げられた規定の材料またはステップおよびクレームされた発明の基本的および新規の特徴(単数または複数)に実質的に影響を及ぼさないものを包含すると解釈すべきであることを意味する。したがって、用語「から本質的になる」は、本発明のクレームにおいて用いられる場合、「含む(comprising)」と同等であると解釈されることを意図しない。
本明細書において用いられる用語「増大する(increase)」、「増大する(increasing)」、「増大した(increased)」「増強する(enhance)」「増強した(enhanced)」「増強する(enhancing)」および「増強(enhancement)」(およびそれらの文法的変形)は、コントロールと比べて、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%またはそれよりも高い上昇を表す。
本明細書において用いられる用語「減少する(reduce)」および「低減する(decrease)」(およびそれらの文法上の異形)は、コントロールと比べて、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれよりも高い、特定のパラメーターの低減を指す。
本明細書において用いられる用語「絞りかす」は、果物からジュースが圧縮された後に残る果肉状物質を指す。絞りかすは、果物の果肉、種子および皮を含む。
I.抽出物の作製方法および処方
本明細書に記載される抽出物は、様々な方法で調製され得る。本明細書に記載される抽出物は、容易に利用可能な出発原料から調製され得る。
ブドウ種子、ブドウの皮またはそれらの組み合わせから、抽出物を生産する方法が提供される。ブドウ種子およびブドウの皮を抽出する前に、ブドウが圧縮されてジュースおよび絞りかすが生産されて、そして、絞りかすがジュースから分離される。一般に、ブドウの圧縮およびジュースからの絞りかすの分離は、室温(例えば、約70華氏)で生じる。絞りかすは、少なくとも約−20華氏から最大−50華氏の範囲の温度まで冷却されて、それは、絞りかす内の酸素レベルをゼロまたはゼロ付近まで減少させて、それにより、絞りかすの安定性を増大させて(微生物汚染などを減少させる)、高いフェノールレベルを維持する。抽出の前に、絞りかすは解凍されて、それから乾燥される。乾燥された絞りかす中の皮および種子は、互いから分離される。任意選択で、皮および種子は、不要なデブリを除去するために洗浄されてよい。ある場合には、種子および皮は、再び組み合わせられて、それから抽出されてよい。他の例では、種子および皮は、さらに説明されるように別個に抽出され得る。任意選択で、種子および皮から作られる抽出物は、組み合わせられてよい。
一態様では、ブドウ種子およびブドウの皮を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水(fractional vapor compression distilled water)と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来の水、ブドウ種子およびブドウの皮を、約120華氏〜最高200華氏の範囲の温度(例えば、約120華氏、125華氏、130華氏、135華氏、140華氏、145華氏、150華氏、155華氏、160華氏、165華氏、170華氏、175華氏、180華氏、185華氏、190華氏、195華氏、200華氏、または、その中の任意の範囲または値であるが200華氏を超えない)で加熱するステップ(その時間のあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウ種子、ブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子、ブドウの皮および水を濾過して、ブドウ種子および皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;および(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過して、それにより、ブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産するステップ、を含む、ブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、蒸留水中のブドウ種子およびブドウの皮をかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約15%の皮に対して約85%の種子、約20%の皮に対して約80%の種子、約25%の皮に対して約75%の種子、約30%の皮に対して約70%の種子、または、約35%の皮に対して約65%の種子であってよい。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約30%の皮に対して約70%の種子であってよい。さらなる実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約15%の皮に対して約85%の種子であってよい。
別の態様では、(a)ブドウ種子を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来のブドウ種子および水を、約120華氏〜最高200華氏の範囲の温度(例えば、約120華氏、125華氏、130華氏、135華氏、140華氏、145華氏、150華氏、155華氏、160華氏、165華氏、170華氏、175華氏、180華氏、185華氏、190華氏、195華氏、200華氏、または、その中の任意の範囲または値であるが200華氏を超えない)で加熱するステップ(その時間のあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウ種子および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子および水を濾過して、ブドウ種子の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;および(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過して、それにより、ブドウ種子抽出物を生産するステップを含む、ブドウ種子抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、蒸留水中でブドウ種子をかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。
さらなる態様では、(a)ブドウの皮(種子または果肉がない)を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来のブドウの皮および水を、約120華氏〜最高200華氏の範囲の温度で加熱するステップ(そのあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウの皮および水を濾過して、ブドウの皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;および(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過して、それにより、ブドウ種子抽出物を生産するステップを含む、ブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、ブドウの皮を蒸留水中でかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。この方法によって生産される抽出物中のフェノール類の濃度は、少なくとも約3g/L〜約8g/Lであってよい。
驚くべきことに、本明細書に記載の方法を用いて互いから別個にブドウ種子およびブドウの皮を抽出するステップは、減少された不溶性物質およびより高いポリフェノール含有量を有する抽出物を提供する。ブドウ種子およびブドウの皮は、1つまたは複数の適切なブドウ種から得ることができる。したがって、一部の態様では、ブドウ種子およびブドウの皮は、制限されないが、Vitis rotundifolia(以降、「マスカディンブドウ」)、Vitis vinifera(以降、「viniferaブドウ」)、Vitis labrusca、Vitis riparia、Vitis aestivalis、Vitis rupestris、Vitis coignetiae、Vitis vulpina、および/またはVitis amurensisを含む、1つまたは複数のブドウ種から得ることができる。一部の実施態様では、ブドウ種子および/またはブドウの皮は、1つまたは複数のマスカディンブドウ品種から得ることができる。例えば、一部の実施態様では、ブドウ種子および/またはブドウの皮は、African Queen、Alachua、Albermarle、Black Beauty、Black Fry、Carlos、Cowart、Darlene、Dixieland、Dixie Red、Doreen、Flowers、Fry、Fry Seedless、GA−1、Golden Isles、Granny Val、Higgins、Hunt、Ison、James、Jumbo、Magnolia、Memory、Mish、Nesbitt、NC−1、Noble、Polyanna、Rosa、Redgate、Regale、Scarlett、Scuppernong、Sterling、Sugargate、Summit、Supreme、Sweet Jenny、Tara、Tarheel、Thomas、Triumphおよび/またはWelderマスカディンブドウ、または、それらの2以上のマスカディン品種の任意の組み合わせから得ることができる。
抽出物は、蒸留水を用いて調製され得る。用いられる蒸留水は、蒸留、逆浸透、活性炭濾過、イオン交換、またはそれらの組み合わせを含む、従来の技術を用いて調製され得る。ある場合には、「分画蒸気圧縮蒸留水」が用いられ得る。本明細書において用いられる用語「分画蒸気圧縮蒸留水」は、高純度蒸気蒸留水を意味する。分画蒸留システムは、有機化合物を排出する脱ガス設備を備え、それにより、未蒸留水を汚染し得る化学物質の分画を除去する。純水は、11%水素および89%酸素からなる。未蒸留水(例えば水道水または湧水)は、不純物(例えば、溶解された固形物および有機化合物)を含んでよく、一方で、分画蒸気圧縮蒸留水は、実質的に減少されたレベルのこれらの不純物を有する。ある場合には、分画蒸気圧縮蒸留水は、約1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、または約10〜20ppmまでを有してよい。ある場合には、分画蒸気圧縮蒸留水は、約99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5% 99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、または99%純水であってよい。一例として、分画蒸気圧縮蒸留水は、塩素を含まず、または、未蒸留水と比較して実質的に減少されたレベルの塩素を含む。塩素は、ポリフェノール化合物を破壊し得る強力な酸化剤であり、したがって、フェノール類の抽出を妨げ得る。また、分画蒸気圧縮蒸留水は、例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄および多くの他の無機元素のような、未蒸留水(例えば水道水または湧水)中に典型的に見られる減少されたレベルの溶解された固形物も含む。これらのような無機元素の存在は、抽出プロセスの効率に影響を及ぼし得て、したがって、本開示に記載の抽出プロセスは、最小限の汚染物質を含む水を用いる。
一部の態様では、ブドウ種子を、蒸留水と接触させるステップは、ブドウ種子を、約0.5 galの水に対して約4.5 lbのブドウ種子から、約2.5 galの水に対して約4.5 lbのブドウ種子まで(例えば、約0.11 galの水に対して約1 lbのブドウ種子から、約0.56 galの水に対して約1 lbのブドウ種子まで)の範囲内およびその中の任意の範囲または量の比で、蒸留水と接触させるステップを含む。代表的な実施態様では、比は、約0.22 galの水に対して約1 lbのブドウ種子であってよい。他の態様では、ブドウの皮を蒸留水と接触させるステップは、ブドウの皮を、約0.5 galの水に対して約2 lbのブドウの皮から、約2.5 galの水に対して約2 lbのブドウの皮まで(例えば、約0.25 galに対して約1 lbブドウの皮から、約1.25 galの水に対して約1 lbのブドウの皮まで)の比で、水と接触させるステップを含む。代表的な実施態様では、比は、約1 galの水に対して約2 lbのブドウの皮(例えば、約0.5 galの水に対して約1 lbのブドウの皮)であってよい。一部の実施態様では、450 lbのブドウ種子または約200 lbのブドウの皮が、合計約140ガロンの蒸留水と接触され得る。とりわけ、ポリフェノール類は、ブドウ種子およびブドウの皮が互いに別個に抽出されると、ブドウの皮およびブドウ種子からより効率的に抽出される。しかしながら、一部の実施態様では、種子および皮は、一緒に抽出されてよい。したがって、代表的な実施態様では、当該方法は、約314 lbのブドウ種子および約59 lbのブドウの皮を、合計約140ガロンの分画蒸気圧縮蒸留水中で抽出するステップを含む。一例では、ブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせを蒸留水と接触させる比は、約0.5 galの水に対して約3.7 lbのブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせから、約2.5 galの水に対して約3.7 lbのブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせまでの比を含む。別の例では、ブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせを蒸留水と接触させるステップは、約1.0 galの水に対して約3.7 lbのブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせの比を含む。
加熱するステップに用いられ得る様々な適切な容器が存在する。容器は、所望の量の水およびブドウ種子および/またはブドウの皮を保持する必要がある。したがって、例えば、適切な容器は、制限されないが、スチームケトルを含んでよい。一部の態様では、当該方法は、大気圧下で行なわれ得る。本発明者は、煮沸に加えて、高圧条件がポリフェノール化合物を破壊し得て、それにより、ブドウの皮/種子の抽出の効率を減少させることを見いだした。したがって、一部の実施態様では、圧力容器は、ブドウの皮および/または種子を抽出するための適切な容器ではない。ある場合には、容器は閉じた容器ではない。ある場合には、容器は、加熱するステップ中に容器の含有物を撹拌するための撹拌手段を備えてよく、または備え付けられてよい。
フェノール類、フラボノイド類、およびレスベラトロールを含む、ブドウの種子および皮に存在する抗酸化化合物は、高温によって破壊され得る。本明細書に開示される200華氏の最大加熱温度は、抽出中の抗酸化化合物の破壊を最小限にする。一部の実施態様では、加熱するステップは、約120華氏〜最高200華氏(例えば、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200華氏、およびその中の任意の範囲または値)の温度で、約1時間〜約6時間(例えば、約1時間〜約5時間、約1時間〜約4時間、約1時間〜約3時間、または約1時間〜約2時間、約1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、またはその中の任意の範囲または値)であってよい。ある場合には、加熱するステップは、120華氏から200華氏までの範囲の温度で、1〜2時間であってよい。特定の例では、加熱するステップは、約175華氏から、せいぜい200華氏の範囲の温度で、1〜2時間であってよい。
追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水は、ステップ(b)において添加される(任意のブドウの皮の抽出、ブドウ種子の抽出、または、ブドウ種子およびブドウの皮の抽出方法に関して)。この追加の水は、一度に、または、加熱期間を通して増加的/定期的に添加され得る。増加的に添加される場合は、追加の水を添加する周期性は、加熱しながら、約5分ごと〜約60分ごと(例えば、約5、10、15、20、25、30、15、40、45、50、55、60分ごと、またはその中の任意の範囲または値)、またはそれらの一部の組み合わせであってよく、約0.92 galの水に対して約1 lbのブドウ種子またはブドウの皮から、約4.6 galの水に対して約1 lbのブドウ種子またはブドウの皮までの範囲内の、種子および/または皮に対する水の合計量を達成する。したがって、一部の実施態様では、追加の分画蒸気圧縮蒸留水は、ステップ(a)由来の水およびブドウの皮またはブドウ種子が加熱される期間にわたって、約5分ごと〜約60分ごと、またはそれらの一部の組み合わせで添加され得る。代表的な実施態様では、追加の分画蒸気圧縮蒸留水は、ステップ(a)由来の水およびブドウの皮またはブドウ種子が加熱される期間にわたって、約15分ごと〜約30分ごと、またはそれらの一部の組み合わせで添加され得る。
蒸留水とともにブドウ種子またはブドウの皮を加熱するステップの後および濾過の前に、蒸留水中のブドウ種子またはブドウの皮は、冷却され得る。一部の実施態様では、冷却するステップは、約40華氏〜約180華氏の範囲(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180華氏、またはその中の任意の範囲または値)の温度であってよい。代表的な実施態様では、冷却するステップは、約170華氏〜約180華氏の範囲(例えば、170華氏、171華氏、172華氏、173華氏、174華氏、175華氏、176F、177華氏、178華氏、179華氏、180華氏、またはその中の任意の範囲または値)の温度であってよい。
一部の実施態様では、ブドウ種子および水、ブドウの皮および水、または、ブドウの皮、ブドウ種子および水を、濾過するステップは、約20ミクロン〜約50ミクロン(例えば、約20、25、30、35、40、45、50ミクロン;例えば、約600メッシュ〜約300メッシュ(例えば、約600、500、400、300メッシュ))、およびその中の任意の範囲または値の篩サイズを通して濾過するステップを含む。
一部の実施態様では、用いられるフィルターは、プラスチックよりむしろステンレススチールからなり、それにより、プラスチック中に存在し得る化学物質が抽出物中に浸出するのを避ける。したがって、フィルターはプラスチックではない。同様に、このプロセスにおいて用いられる他のコンテナーおよび器具はプラスチックではない。例えば、濾液または抽出物を集めるための容器は、制限されないが、ステンレススチールバレルを含んでよい。
一部の実施態様では、食品防腐剤が、ブドウの皮の濾液またはブドウ種子の濾液に、約0.1%〜約20%(重量/体積)(w/v))(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20%w/v)の量で添加され得る。一部の実施態様では、食品防腐剤は、ブドウの皮の濾液またはブドウ種子の濾液に、約0.1%〜約15%、約0.1%〜約10%、約0.1%〜約5%、約0.1%〜約1%、およびその中の任意の値または範囲の量で添加され得る。代表的な実施態様では、食品防腐剤は、ブドウ種子の濾液またはブドウの皮の濾液に、約0.1%〜約1.0%w/vの量で添加され得る。一部の実施態様では、食品防腐剤は、制限されないが、ソルビン酸カリウム、クエン酸、酢酸、またはビタミンE(例えば、トコフェロール類、トコトリエノール類)の少なくとも1つを含んでよい。ある場合には、食品防腐剤は、ソルビン酸カリウムであってよい。特定の例では、食品防腐剤は、ブドウ種子の濾液、ブドウの皮の濾液、または、ブドウ種子およびブドウの皮の濾液に、約0.1%〜約1.0%w/vの量で添加されたソルビン酸カリウムであってよい。
ブドウ種子の濾液、ブドウの皮の濾液、または、ブドウ種子およびブドウの皮の濾液への、食品防腐剤の添加に続いて、濾液は、それから、冷蔵または冷却され得る。ある場合には、濾液は、約35華氏〜約45華氏の範囲(例えば、約35華氏、36華氏、37華氏、38華氏、39華氏、40華氏、41華氏、42華氏、43華氏、44華氏、45華氏、およびその中の任意の範囲または値)の温度まで冷却され得る。ある場合には、濾液は、約24時間〜約120時間(すなわち、約1日〜約5日)(例えば、約24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120時間、またはその中の任意の範囲または値)、冷蔵(冷却)され得る。一部の実施態様では、冷却は、約24時間〜約72時間であってよい。代表的な実施態様では、ブドウ種子の濾液、ブドウの皮の濾液、または、ブドウ種子およびブドウの皮の濾液の冷却は、約24時間であってよい。
冷蔵に続いて、冷却されたブドウ種子の濾液、冷却されたブドウの皮の濾液、または、冷却されたブドウ種子およびブドウの皮の濾液は、再び濾過され得る。一部の実施態様では、冷却された濾液を濾過するステップは、約1ミクロン〜約10ミクロン(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ミクロン)またはその中の任意の範囲または値(例えば、12,000メッシュ〜約1250メッシュ)の篩サイズを有するフィルターを通して濾過するステップを含む。
冷却されたブドウ種子の濾液、冷却されたブドウの皮の濾液、または、冷却されたブドウ種子およびブドウの皮の濾液の濾過の後に(ステップ(g))、食品グレードエタノールが、防腐剤として濾液に添加され得る。ある場合には、エタノールは、抽出物の約2%〜約5%の量(v/v)(例えば、約2%、3%、4%、5%またはその中の任意の範囲または値)で添加され得る。特定の例では、エタノールは、抽出物の2%(v/v)の量まで添加され得る。添加される食品グレードエタノールは、約190プルーフ(すなわち、95%エタノール)であり得る。一部の実施態様では、食品グレードエタノールは、制限されないが、トウモロコシ、コムギ、サトウキビ、および/またはブドウを含む任意の植物源から作られ得る。代表的な実施態様では、食品グレードエタノールは、有機エタノールであってよい。本明細書において用いられる用語「有機アルコール」は、例えば、有機トウモロコシ、コムギ、サトウキビ、ブドウおよび/またはエタノールの他の有機源から作られるアルコールを指す。食品を有機とラベルするための要件は、米国農務省によって設定されている(www.ams.usda.gov/rules−regulations/organic/labeling)。
したがって、一部の態様では、ブドウ種子およびブドウの皮を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来の水、ブドウ種子およびブドウの皮を、約120華氏〜最高200華氏の範囲の温度で加熱するステップ(その時間のあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される;(c)ステップ(b)由来のブドウ種子およびブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子、ブドウの皮および水を濾過して、ブドウ種子およびブドウの皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過するステップ;および(h)ステップ(g)由来の濾液に、食品グレードエタノールを添加して、それにより液体抽出物を生産するステップを含む、ブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、分画蒸気圧縮蒸留水中でブドウ種子およびブドウの皮をかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約15%の皮に対して約85%の種子、約20%の皮に対して約80%の種子、約25%の皮に対して約75%の種子、約30%の皮に対して約70%の種子、または、約35%の皮に対して約65%の種子であってよい。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約30%の皮に対して約70%の種子であってよい。さらなる実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約15%の皮に対して約85%の種子であってよい。
別の態様では、(a)ブドウ種子を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来のブドウ種子および水を、約120華氏〜最高200華氏の範囲の温度(例えば、約120華氏、125華氏、130華氏、135華氏、140華氏、145華氏、150華氏、155華氏、160華氏、165華氏、170華氏、175華氏、180華氏、185華氏、190華氏、195華氏、200華氏、または、その中の任意の範囲または値であるが200華氏を超えない)で加熱するステップ(その時間のあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウ種子および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子および水を濾過して、ブドウ種子の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過するステップ;および(h)ステップ(g)由来の濾液に、食品グレードエタノールを添加して、それにより液体抽出物を生産するステップを含む、ブドウ種子抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、蒸留水中でブドウ種子をかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。
さらなる態様では、(a)ブドウの皮(種子または果肉がない)を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来のブドウの皮および水を、約120華氏〜最高200華氏の範囲の温度で加熱するステップ(そのあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウの皮および水を濾過して、ブドウの皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過するステップ;および(h)ステップ(g)由来の濾液に、食品グレードエタノールを添加して、それにより液体抽出物を生産するステップを含む、ブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、ブドウの皮を蒸留水中でかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。
さらなる態様では、本明細書に記載される方法によって作られるブドウ種子の液体抽出物を提供するステップ;本明細書に記載される方法によって作られるブドウの皮の液体抽出物を提供するステップ;および、ブドウ種子の液体抽出物およびブドウの皮の液体抽出物を、約50:50〜約85:15(体積/体積(v/v))の比で組みわせて、それによりブドウ由来の液体抽出物を形成するステップを含む、ブドウの皮およびブドウ種子抽出物を生産する方法が提供される。ブドウの皮の抽出物に対するブドウ種子抽出物の比は、約15%の皮に対して約85%の種子抽出物、約20%の皮の抽出物に対して約80%の種子抽出物、約25%の皮の抽出物に対して約75%の種子抽出物、約30%の皮の抽出物に対して約70%の種子抽出物、または、約35%の皮の抽出物に対して約65%の種子抽出物であってよい。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約30%の皮の抽出物に対して約70%の種子抽出物であってよい。さらなる実施態様では、ブドウの皮の抽出物に対するブドウ種子の比は、約15%の皮の抽出物に対して約85%の種子抽出物であってよい。
一例では、ブドウ種子およびブドウの皮を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来の水、ブドウ種子およびブドウの皮を、約120華氏〜最高200華氏の温度で加熱するステップ(その時間のあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウ種子およびブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子、ブドウの皮および水を濾過して、ブドウ種子およびブドウの皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過するステップ;(h)ステップ(g)由来の濾液に、食品グレードエタノールを添加して、それにより、液体抽出物を生産するステップ、および(h)液体抽出物を噴霧乾燥して、粉末状のブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産するステップを含む、粉末状のブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、ブドウ種子およびブドウの皮を蒸留水中でかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約15%の皮に対して約85%の種子、約20%の皮に対して約80%の種子、約25%の皮に対して約75%の種子、約30%の皮に対して約70%の種子、または、約35%の皮に対して約65%の種子であってよい。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約30%の皮に対して約70%の種子であってよい。さらなる実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約15%の皮に対して約85%の種子であってよい。
別の例では、(a)ブドウ種子を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来のブドウ種子および水を、約120華氏から最高200華氏までの温度(例えば、約120華氏、125華氏、130華氏、135華氏、140華氏、145華氏、150華氏、155華氏、160華氏、165華氏、170華氏、175華氏、180華氏、185華氏、190華氏、195華氏、200華氏、または、その中の任意の範囲または値であるが200華氏を超えない)で加熱するステップ(その時間のあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウ種子および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウ種子および水を濾過して、ブドウ種子の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過するステップ;(h)ステップ(g)由来の濾液に、食品グレードエタノールを添加して、それにより液体抽出物を生産するステップ、および(h)液体抽出物を噴霧乾燥して粉末状のブドウ種子抽出物を生産するステップを含む、粉末状のブドウ種子抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、ブドウ種子を蒸留水中でかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。
さらなる例では、(a)ブドウの皮(種子または果肉がない)を、蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水と接触させるステップ;(b)ステップ(a)由来のブドウの皮および水を、約120華氏〜最高200華氏の範囲の温度で加熱するステップ(そのあいだ、追加の蒸留水、任意選択で、分画蒸気圧縮蒸留水が添加される);(c)ステップ(b)由来のブドウの皮および水を冷却するステップ;(d)ステップ(c)由来のブドウの皮および水を濾過して、ブドウの皮の濾液を生産するステップ;(e)ステップ(d)由来の濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(f)ステップ(e)由来の濾液を冷却して、冷却された濾液を生産するステップ;(g)ステップ(f)由来の冷却された濾液を濾過するステップ;(h)ステップ(g)由来の濾液に、食品グレードエタノールを添加して、それにより液体抽出物を生産するステップ、および(h)液体抽出物を噴霧乾燥させて粉末状のブドウの皮の抽出物を生産するステップを含む、粉末状のブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、加熱するステップ(b)は、ブドウの皮を蒸留水中でかき混ぜるステップをさらに含んでよい。さらに、さらなる実施態様では、加熱するステップは、大気圧下で行なわれ得る。
液体抽出物を製造する方法に加えて、粉末抽出物を生産する方法も提供される。本開示の粉末状の抽出物は、本明細書に記載の液体抽出物を乾燥させることによって調製され得る。ある場合には、液体抽出物は、噴霧乾燥され得る。用語「噴霧乾燥」は、液体混合物を小さな液滴に崩壊させるステップ(微粒化)、および、混合物から溶媒を急速に除去するステップを含むプロセスを広く指す。典型的な噴霧乾燥器具では、強力な駆動力が溶媒を液滴から蒸発させて、それは、乾燥ガスを提供することによって与えられ得る。非限定的な例のみとして、典型的な噴霧乾燥器具は、乾燥チャンバー、溶媒を含む供給材料を乾燥チャンバーへ、微粒化するための微粒化手段、微粒化された溶媒を含む供給材料から溶媒を除去するために乾燥チャンバーに流れる乾燥ガス源、乾燥産物のための出口、および、乾燥チャンバーから下流に位置する産物回収手段を備える。典型的に、産物回収手段は、乾燥器具に接続されたサイクロンを備える。サイクロンにおいて、噴霧乾燥中に生産された粒子は、乾燥ガスから分離されて溶媒が蒸発されて、粒子が回収されるのを可能にする。噴霧乾燥によって生産された粒子を分離および回収するためにフィルターが用いられてもよい。
噴霧乾燥は、本明細書に記載の方法で、従来の様式で行なわれ得る。乾燥ガスは、任意の適切なガスであってよいが、不活性ガス、例えば、窒素、窒素濃縮空気;およびアルゴンが好ましい。一部の実施態様では、窒素ガスが用いられる。噴霧乾燥によって生産される非晶質の共沈殿物は、当該分野において一般に用いられる技術によって、例えばサイクロンまたはフィルターを用いて、回収され得る。
溶媒の除去は、例えば、粉末抽出物を得るための不活性雰囲気下で、実質的に完全な溶媒の蒸発、溶液の濃縮、または溶媒の蒸留によって達成されてもよい。
一実施態様では、乾燥するステップは、大気圧または減圧、例えば、約200mmHgよりも下、または約50mmHgよりも下で、約25℃〜約90℃のような温度で行なわれる。乾燥するステップは、所望の結果を達成する任意の所望の期間、例えば、約1〜20時間、行なわれ得る。乾燥するステップは、産物の仕様に応じてより短いまたはより長い期間行なわれてもよい。温度および圧力は、用いられる溶媒の揮発性に基づいて選択されて、前述の条件は、一般的な手引きとしてのみ考慮されるべきである。乾燥するステップは、箱型乾燥器、真空オーブン、エアーオーブン内で、または、流動層乾燥機、スピンフラッシュ乾燥機、気流乾燥機などを用いて、適切に行われ得る。乾燥装置の選択は、十分に当業者の範囲内である。ある場合には、生じた粉末抽出物は、約3.0〜3.4%の残留水分量を有し得る。
一例では、液体抽出物は、44インチ×32インチの乾燥機に導入されたその噴霧によって微粒化され得て、18,000〜22,000cfmの流速で、約200〜400華氏(例えば、入口温度約400華氏および出口温度約200華氏)の範囲の温度で、加熱された天然ガスと混合する。
本開示の実施例1のような一例では、ブドウ種子およびブドウの皮を含む液体抽出物を微粒子化して噴霧を生産するステップ、および、噴霧を乾燥させるステップを含む、ブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を生産する方法が提供される。一部の実施態様では、乾燥するステップは、18,000〜22,000cfmの流速で天然ガスを用いて、乾燥機内で行なわれる。一部の実施態様では、乾燥するステップは、約200〜400華氏の範囲の温度で行なわれる。ある場合には、生産された粉末抽出物は、約3.0〜3.4%の残留水分量を有する。このプロセスによって形成される粉末抽出物は、カプセル化されてよく、または、再構成されて液体を形成してよい。ある場合には、粉末抽出物は、ヒプロメロースカプセル内に処方されてよい。抽出物、特に粉末抽出物は、期間の初めのフェノールレベルの少なくとも90%、例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である期間の終わりのフェノールレベルによって特徴付けられるように、少なくとも3、4、5、6、8、10、18、または24ヶ月の期間のあいだ安定であり得る。
ある場合には、粉砕されたブドウ種子または皮(または両方)を含む公知の市販抽出物と比較して、上述の方法によって生産される抽出物は、一般に、粉砕されたブドウ種子を含む市販されるカプセルよりも、合計または個々に、より多くのフェノール類を含む。説明される抽出物内の、高められた(濃縮)フェノール類は、例えば、カテキン、没食子酸、エピカテキン、エラグ酸、プロシアニジン(procyanadin)、およびカテキン−没食子酸(cat−gall)を含む。
本開示の実施例2のような一例では、開放されたスチームケトル中にブドウ種子を置くステップ、および、所望の量の分画蒸気圧縮蒸留水、例えば、450ポンドのブドウ種子に100ガロンの分画蒸気圧縮蒸留水を添加するステップを含む、マスカディンブドウ種子抽出物を生産する方法が提供される。分画蒸気圧縮蒸留水中のブドウ種子は、約175〜200華氏で約1〜2時間加熱されてよい。任意選択で、加熱中に、追加の分画蒸気圧縮蒸留水が、例えば、15〜30分ごとに5ガロンの増加量で、所望の合計量の水、例えば、140ガロンに到達するまで、添加されてよい。加熱するステップの後に、温度は、約170〜180華氏まで減少および冷却され得る。水中のブドウ種子は、それから、メッシュステンレススチール篩を通して濾過され得て、濾液が集められ得る。任意選択で、ソルビン酸カリウムがブドウ種子の濾液に添加されてよい。抽出物、特に粉末抽出物は、期間の初めのフェノールレベルの少なくとも90%、例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である期間の終わりのフェノールレベルによって特徴付けられるように、少なくとも3、4、5、6、8、10、18、または24ヶ月の期間のあいだ安定であり得る。
本開示の実施例3のような一例では、開放されたスチームケトル中にブドウの皮を置くステップ、および、所望の量の分画蒸気圧縮蒸留水、例えば、450ポンドのブドウ種子に100ガロンの分画蒸気圧縮蒸留水を添加するステップを含む、マスカディンブドウの皮の抽出物を生産する方法が提供される。分画蒸気圧縮蒸留水中のブドウの皮は、約175〜200華氏で約1〜2時間加熱されてよい。任意選択で、加熱中に、追加の分画蒸気圧縮蒸留水が、例えば、15〜30分ごとに5ガロンの増加量で、所望の合計量の水、例えば、140ガロンに到達するまで、添加されてよい。加熱するステップの後に、温度は、約170〜180華氏まで減少および冷却され得る。水中のブドウの皮は、それから、メッシュステンレススチール篩を通して濾過され得て、濾液が集められ得る。任意選択で、ソルビン酸カリウムがブドウの皮の濾液に添加されてよい。抽出物、特に粉末抽出物は、期間の初めのフェノールレベルの少なくとも90%、例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である期間の終わりのフェノールレベルによって特徴付けられるように、少なくとも3、4、5、6、8、10、18、または24ヶ月の期間のあいだ安定であり得る。
抽出物の組成物は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って、本明細書に記載の方法の任意のステージで監視され得る。例えば、組成物は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴分光法(例えばHまたは13C)、赤外線分光法、分光光度法(例えばUV可視)、質量分析によって、または、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーによって、または、それらの組み合わせによって、監視され得る。
一態様では、ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせから、液体抽出物を製造する方法が提供されて、当該方法は、(a)ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせを提供するステップ;(b)ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせを蒸留水と接触させて、抽出混合物を形成するステップ;(c)120華氏〜200華氏の範囲の温度で抽出混合物を加熱するステップ(その加熱するステップの間、追加の蒸留水が添加される);(d)抽出混合物を冷却するステップ;(e)抽出混合物を濾過して固形物を除去し、それにより濾液を形成するステップ;(f)濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(g)濾液を冷却して、冷却された濾液を形成するステップ;および(h)冷却された濾液を濾過して、それにより液体抽出物を生産するステップを含む。
一部の実施態様では、ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせは、Vitis rotundifolia、Vitis vinifera、Vitis labrusca、Vitis riparia、Vitis aestivalis、Vitis rupestris、Vitis coignetiae、Vitis vulpina、および、Vitis amurensisからなる群より選択されるブドウから採取される。特定の実施態様では、ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせは、Vitis rotundifoliaブドウから採取される。
一部の実施態様では、当該方法のためのブドウ種子が提供される。一実施態様では、蒸留水は、分画蒸気圧縮蒸留水である。一実施態様では、ブドウ種子を蒸留水と接触させるステップは、約0.5 galの水に対して約4.5 lbのブドウ種子から、約2.5 galの水に対して約4.5 lbブドウ種子までの比を含む。一実施態様では、ブドウ種子を蒸留水と接触させるステップは、約1 galの水に対して約4.5 lbのブドウ種子の比を含む。一実施態様では、追加の蒸留水は、約0.92 galの水に対して約1 lbのブドウ種子から、約4.6 galの水に対して約1 lbのブドウ種子までの比を達成するために添加される。
他の実施態様では、当該方法のためのブドウの皮が提供される。一実施態様では、ブドウの皮を蒸留水と接触させるステップは、約0.5 galの水に対して約2 lbのブドウの皮から、約1.25 galの水に対して約2 lbのブドウの皮までの比を含む。一実施態様では、ブドウの皮を蒸留水と接触させるステップは、約1 galの水に対して約2 lbのブドウの皮の比を含む。一実施態様では、追加の蒸留水は、約0.92 galの水に対して約1 lbのブドウの皮から、約4.6 galの水に対して約1 lbのブドウの皮までの比を達成するために添加される。
他の実施態様では、当該方法に関してブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせが提供される。
一実施態様では、ブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせは、約50%のブドウの皮に対して50%のブドウ種子(重量/重量(w/w))から、約15%のブドウの皮に対して85%のブドウ種子までの比を有する。一実施態様では、ブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせを蒸留水と接触させるステップの比は、約0.5 galの水に対して約3.7 lbのブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせから、約2.5 galの水に対して約3.7 lbのブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせまでの比を含む。一実施態様では、ブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせを蒸留水と接触させるステップの比は、約1.0 galの水に対して約3.7 lbのブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせの比を含む。
ある場合には、ブドウ種子、ブドウの皮、またはそれらの組み合わせの抽出物を製造する、提供される方法は、抽出混合物を約1〜約6時間加熱するステップを含む。ある場合には、加熱するステップは、約1〜約2時間行なわれる。一実施態様では、追加の蒸留水は、加熱するステップの間、複数の部分で抽出混合物に添加される。一実施態様では、加熱するステップの間、追加の蒸留水の一部が、約5分毎から約60分毎に抽出混合物に添加される。一実施態様では、加熱するステップの間、追加の蒸留水の一部が、約15毎から約30分毎に抽出混合物に添加される.
一部の実施態様では、抽出混合物は、約40華氏〜約170華氏の温度に冷却される。一部の実施態様では、抽出混合物は、約20ミクロン〜約50ミクロンの篩サイズを有するフィルターを通して濾過される。
一部の実施態様では、食品防腐剤は、約0.1%〜約20%(重量/体積(w/v))の量で濾液に添加される。一実施態様では、食品防腐剤は、約0.1%〜約1%(w/v)の量で濾液に添加される。一実施態様では、防腐剤は、ソルビン酸カリウム、クエン酸、酢酸、またはビタミンEの少なくとも1つを含む。
一部の実施態様では、濾液は、約35華氏〜約45華氏の温度で冷却される。一実施態様では、濾液は、約24時間〜約120時間、冷却される。一実施態様では、濾液は、約24時間、冷却される。一実施態様では、冷却された濾液を濾過するステップは、冷却された濾液を、約1ミクロン〜約10ミクロンの篩サイズを有するフィルターを通して濾過するステップを含む。
一部の実施態様では、食品グレードエタノールが、ステップ(g)の濾過された冷却された濾液に添加されて、それにより液体抽出物を生産する。一実施態様では、食品グレードエタノールは、約190プルーフ(95%エタノール)である。一実施態様では、食品グレードエタノールは、トウモロコシ、コムギ、サトウキビ、またはブドウから作られる。一実施態様では、食品グレードエタノールは、有機の食品グレードエタノールである。一実施態様では、ステップ(g)の濾過された冷却された濾液に添加される食品グレードエタノールの体積は、液体抽出物の体積の約2%〜約5%である。
別の態様では、(a)上述の方法によって作られるブドウ種子の液体抽出物を提供するステップ;(b)上述の方法によって作られるブドウの皮の液体抽出物を提供するステップ;(c)ブドウ種子の液体抽出物およびブドウの皮の液体抽出物を約50:50〜約85:15(体積/体積(v/v))の比で組みわせて、それによりブドウ由来の液体抽出物を形成するステップ、を含む、ブドウ由来の液体抽出物を製造する方法が提供される。
別の態様では、上述のブドウ種子、ブドウの皮、またはそれらの組み合わせからブドウ由来の液体抽出物を取得または製造して、それから、液体抽出物を噴霧乾燥させて粉末抽出物を形成するステップを含む、ブドウ由来の粉末抽出物を製造する方法が提供される。
II.抽出物
本開示において、ブドウ種子、ブドウの皮、またはそれらの組み合わせから作られる抽出物も開示される。液体抽出物および粉末抽出物の両方が提供される。
本開示の抽出物は、セクションIに記載の方法によって作られる抽出物である。一部の実施態様では、抽出物は、ブドウ種子から作られる。一部の実施態様では、抽出物は、ブドウ種子の液体または粉末抽出物である。一部の実施態様では、抽出物は、ブドウの皮から作られる。一部の実施態様では、抽出物は、ブドウの皮の液体または粉末抽出物である。一部の実施態様では、抽出物は、ブドウ種子およびブドウの皮から作られる。抽出物がブドウ種子および皮の粉末抽出物である場合は、ブドウ種子および皮の液体抽出物から作られた、粉末乾燥された粉末抽出物を含んでよい。あるいは、ブドウ種子および皮の粉末抽出物は、ブドウ種子の液体抽出物およびブドウの皮の液体抽出物のブレンドから作られた、噴霧乾燥された粉末抽出物を含んでよい。あるいは、ブドウ種子および皮の粉末抽出物は、ブドウ種子の液体抽出物から作られた噴霧乾燥された粉末抽出物、および、ブドウの皮の液体抽出物から作られた噴霧乾燥された粉末抽出物のブレンドを含んでよい。抽出物がブドウ種子および皮の液体抽出物である場合は、それは、ブドウ種子の液体抽出物およびブドウの皮の液体抽出物のブレンド、ブドウ種子の液体抽出物とブドウ種子の粉末抽出物のブレンド、ブドウの皮の抽出物とブドウの皮の粉末抽出物のブレンド、ブドウの皮の液体抽出物とブドウ種子の粉末抽出物のブレンド、ブドウ種子の液体抽出物とブドウの皮の粉末抽出物のブレンド、または、その中に溶解された少なくとも1つのブドウ種子の粉末抽出物またはブドウの皮の粉末抽出物を含む溶液を含んでよい。ある場合には、本開示のブドウ種子および皮の液体抽出物は、(a)ブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせを提供するステップ;(b)ブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせを蒸留水と接触させて、抽出混合物を形成するステップ;(c)120華氏〜200華氏の範囲の温度で抽出混合物を加熱するステップ(その加熱するステップの間、追加の蒸留水が添加される);(d)抽出混合物を冷却するステップ;(e)抽出混合物を濾過して固形物を除去し、それにより濾液を形成するステップ;(f)濾液に食品防腐剤を添加するステップ;(g)濾液を冷却して、冷却された濾液を形成するステップ;および(h)冷却された濾液を濾過して、それにより液体抽出物を生産するステップ、を含む方法によって作られる液体抽出物を含まない。
本発明は、本発明の方法によって作られる抽出物をさらに提供する。生産される抽出物中のポリフェノール類の最終濃度は、プロセスで用いられるブドウ種子または皮に対する水の比を調節することによって調節され得る。したがって、一部の態様では、約140ガロンの水を約450 lbのブドウ種子とともに用いる場合、本発明の方法によって生産される抽出物は、15〜25g/L(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25g/Lおよびその中の任意の範囲または値)の合計ポリフェノール含有量を含んでよい。ある場合には、ブドウの皮から生産される抽出物中のポリフェノール類の最終濃度は、3g/L〜8g/Lであってよい。
本明細書に記載の抽出物は、100%ブドウ種子抽出物、100%ブドウの皮の抽出物、100%ブドウ種子およびブドウの皮の抽出物、またはそれらの任意の組み合わせを含んでよい。したがって、一部の態様では、ブドウの皮から生産される抽出物およびブドウ種子から生産される抽出物を組み合わせて、組み合わせられたブドウ種子およびブドウの皮の抽出物が生産され得る。ブドウの皮の抽出物に対するブドウ種子抽出物の比は、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50などであってよい。特定の態様では、ブドウの皮の抽出物に対するブドウ種子抽出物の比は、70:30であってよい。他の態様では、ブドウの皮の抽出物に対するブドウ種子抽出物の比は、85:15であってよい。
一例では、本開示に記載の抽出方法によって作られる液体抽出物が提供される。ある場合には、液体抽出物の合計フェノール化合物含有量は、約10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mLmg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、およびその中の任意の値または範囲であってよい。ある場合には、液体抽出物は、約20mg/mL〜200mg/mLの合計フェノール化合物含有量を有してよい。
ある場合には、液体抽出物は、ブドウ種子の液体抽出物およびブドウの皮の液体抽出物のブレンドである。例えば、ブドウ種子の液体抽出物およびブドウの皮の液体抽出物は、約50:50〜約85:15(体積/体積(v/v))の比であってよい。ブドウの皮の抽出物に対するブドウ種子抽出物の比は、約15%の皮に対して約85%の種子抽出物、約20%の皮の抽出物に対して約80%の種子抽出物、約25%の皮の抽出物に対して約75%の種子抽出物、約30%の皮の抽出物に対して約70%の種子抽出物、または、約35%の皮の抽出物に対して約65%の種子抽出物であってよい。一部の実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比は、約30%の皮の抽出物に対して約70%の種子抽出物であってよい。さらなる実施態様では、ブドウの皮に対するブドウ種子の比抽出物は、約15%の皮の抽出物に対して約85%の種子抽出物であってよい。
別の例では、本開示に記載の抽出方法によって作られる粉末抽出物が提供される。ある場合には、粉末抽出物は、約25%〜50%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む。別の例では、少なくとも約30%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む粉末抽出物が提供される。別の例では、粉末抽出物のグラムあたり約250〜500mgの合計フェノール化合物を有する粉末抽出物が提供される。ある場合には、粉末抽出物は、粉末抽出物のグラムあたり少なくとも約6mgの濃度の少なくとも1つの没食子酸またはエラグ酸を含んでよい。ある場合には、粉末抽出物は、約150mg/g〜約600mg/g(例えば、約150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、475、500、525、550、575、600mg/g、およびその中の任意の値または範囲)の合計フェノール濃度を有する。代表的な実施態様では、粉末抽出物は、約250mg/g〜約400mg/g、または約270mg/g〜約350mg/gのフェノール類の濃度を有してよい。
ある場合には、抽出物は、ソルビン酸カリウム、クエン酸、酢酸、またはビタミンE(例えば、トコフェロール類、トコトリエノール類)のような食品防腐剤を含む。例えば、液体抽出物は、0.1%w/vソルビン酸カリウムを含んでよい。ある場合には、抽出物は、食品グレードエタノールを含んでよい。例えば、液体抽出物は、液体抽出物体積の約2%〜約5%v/vでエタノールを含んでよい。ある場合には、エタノールは、95%エタノール(190プルーフ)である。
一部の実施態様では、ブドウ由来の粉末抽出物は、約25%〜50%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、ブドウ由来の粉末抽出物は、少なくとも約30%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、ブドウ由来の粉末抽出物は、粉末抽出物のグラムあたり約250〜500mgの合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、ブドウ由来の粉末抽出物は、粉末抽出物のグラムあたり少なくとも約6mgの濃度の少なくとも1つの没食子酸またはエラグ酸を含む。
一部の実施態様では、ブドウ由来の粉末抽出物は、高速液体クロマトグラフィー、質量分析に供された場合に706および1033の分子質量を有する固有の構成要素を含む。
一部の実施態様では、ブドウ由来の粉末抽出物は、高速液体クロマトグラフィー、質量分析に供された場合に730または1288の分子質量を有する構成要素を、分析から生じたクロマトグラフ上のピークの最も大きな30%の中に730または1288の分子質量を有する構成要素を作る量で含まない。
一部の実施態様では、本開示において提供される抽出物の合計フェノール含有量は、少なくとも6ヶ月の期間にわたって安定のままであり、6ヶ月でたった10%の合計フェノール含有量の減少によって特徴付けられる。
III.抽出物の特性化
実施例1〜3に記載の方法を用いて生産されるもののような、本開示によって提供されるマスカディンブドウ抽出物は、当技術分野でよく知られている方法を用いて、フェノール含有量について分析され得る。ある場合には、没食子酸は、フェノール含有量分析に関するアッセイの標準として用いられ得る。一実施態様では、フェノール含有量は、例えば実施例1に記載されるようなFolin−Ciocalteau法によって評価され得る。粉末抽出物を評価する場合、粉末抽出物は、水または他の適切な溶媒中に再懸濁されてよく、その中に含まれるフェノール類の測定の前にホモジナイズされてよい。本開示に記載の方法に従って製造される抽出物は、本開示に記載の方法に従って製造されないマスカディンブドウ由来のサプリメントまたは抽出物のフェノール含有量と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも20倍、より高いフェノール含有量を有してよい。一例では、抽出物は、162.3mgのフェノール類/カプセルを有する、実施例1に記載の方法に従って作られたマスカディンブドウ種子および皮の粉末抽出物(p−MGE)である。そのようなサプリメントおよび抽出物の非限定的な例は、市販されるPremium Muscadine Grape Seed Dietary Supplement(「NP」)、Muscadine Plus Dietary Supplement(「MN」)、Premium Muscadine(「NF」)、Muscadine Berries(「EN」)、Biopower Nutrition由来のMuscadine Grape Seed(「BP」)、Muscadine Grape Seed Herbal Supplement(「VIT」)、Muscadinex Dietary Supplement(「NCMH」)、Pure Muscadine Grape Seed(「BN」)、および、Muscadine Grape Seed(「FHN」)を含む。一実施態様では、図57に示されるように、p−MGEのフェノール含有量は、BP製品のフェノール含有量の16倍である。別の実施態様では、p−MGE製剤は、EN製品よりも、カプセルあたり12.4倍、より多い合計フェノール含有量、および、フェノール類(mg)/粉末(グラム)に基づいて14.9倍、より多い合計フェノール含有量を有する。
実施例1〜3に記載の方法に従って生産されるマスカディンブドウ抽出物は、1つまたは複数の個々のフェノール化合物に関して富化され得る。例えば、そのようなフェノール類は、限定されないが、エピカテキン(epitcatechin)、没食子酸、プロシアニジンB、エラグ酸カテキンおよびカテキン没食子酸を含んでよい。ある場合には、提供される抽出物は、以前のパラグラフに記載のものを含むマスカディンブドウから製造される市販サプリメントと比較して、有意により高いレベルのそのような個々のフェノール類を有してよい。一部の実施態様では、例えば図58に示されるように、マスカディンブドウ種子および皮の粉末抽出物(p−MGE)は、セクションIIIの以前のパラグラフに記載されるもののような市販サプリメントに見られるよりも、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも20倍高いレベルの少なくとも1つのタイプのフェノール化合物を含んでよい。富化フェノール化合物は、エピカテキン、没食子酸、プロシアニジンB、エラグ酸カテキンまたはカテキン没食子酸の1つまたは複数であってよい。この比較に用いられる市販サプリメントは、Premium Muscadine Grape Seed Dietary Supplement(「NP」)、Muscadine Plus Dietary Supplement(「MN」)、Premium Muscadine(「NF」)、Muscadine Berries(「EN」)、Biopower Nutrition由来のMuscadine Grape Seed(「BP」)、Muscadine Grape Seed Herbal Supplement(「VIT」)、Muscadinex Dietary Supplement(「NCMH」)、Pure Muscadine Grape Seed(「BN」)、Muscadine Grape Seed(「FHN」)のいずれか1つであってよい。ある場合には、市販サプリメントは、NP、BP、またはNCMHである。特定の一実施態様では、本明細書において提供されるp−MGEは、22.0±0.7mg/gのエピカテキン、13.5±0.6mg/gの没食子酸、7.1±0.3mg/gのプロシアニジンB、4.7±0.4mg/gのエラグ酸、2.7±0.1mg/gのカテキン、および1.8±0.1mg/gのカテキン没食子酸を含んでよい。
抽出物を分析するために質量分析(「MS」)を用いてもよい。一実施態様では、質量分析は、質量分析検出(UHPLC−MS)と組み合わせられた島津超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)である。ある場合には、実施例5に従って製造されたl−MGEは、実施例1に記載のように、抽出物の粉末状の形態(p−MGE)を生産するために噴霧膜方法によって処理されてよく、それから、カプセル化される。ある場合には、本明細書において提供されるp−MGEは、図59に示されるように、質量分析によって706および1033の分子質量を有する化合物に関して富化されて、それらはl−MGEには不存在である(または実質的に減少している)。ある場合には、本明細書において提供されるp−MGEは、図59に示されるように、l−MGE内に存在する730および1288の分子質量を有する化合物を含まない(または実質的に減少された量を含む)。
抽出物中のフェノール類は、経時的に低減し得る。実施例1〜3に従って生産されたブドウ抽出物は、市販目的に優れた安定性(貯蔵寿命)を示し得る。例えば、抽出物は、65華氏〜77華氏の範囲の周囲温度で、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、またはそれよりも長く安定したままであり得る。多くの標準が、本開示によって提供されるブドウ抽出物が安定であるかどうかを評価するために用いられ得る。ある場合には、ブドウ抽出物は、一定期間保管された後に、抽出物中の合計フェノール類含有量の低減がない、2%未満の低減、5%未満の低減、10%未満の低減、15%未満の低減、20%未満の低減、または、25%未満の低減のがある場合に、安定であるとみなされる。ある場合には、例えば、表4に示されるように、p−MGEの合計フェノール類含有量は実質的に同一のままであり、例えば、1年後に、低減せず、または、5%未満、または3%未満の低減を示す。
本開示に従って生産される抽出物は、一般に、生物学的にも安定であり、少なくとも12ヶ月、少なくとも16ヶ月、または少なくとも18ヶ月の期間にわたって、微生物増殖が低く、またはない。例えば、表5に示されるように、実施例1に記載の方法に従って作られたp−MGE抽出物は、16ヶ月の期間にわたって、大腸菌、黄色ブドウ球菌、および、サルモネラを含む微生物が存在しないままであり得る。他では、本開示の抽出物、具体的には、提供される粉末抽出物、より具体的には、実施例1に記載の方法に従って作られたp−MGEは、16ヶ月後に、10pcu/g未満の酵母およびカビの数および/または10pcu/g未満の好気性菌数を有し得る。
IV.製剤
本明細書に記載の抽出物は、医薬組成物(製剤)中に提供され得る。意図される投与モードに応じて、医薬組成物は、固体、半固体、液体の剤形、またはそれらの組み合わせ、例えば、好ましくは正確な用量の単回投与に適切な単位投与形態での、錠剤、坐薬、丸薬、カプセル、粉末、液体、または懸濁液の形態であってよい。組成物は、薬学的に有効量の本明細書に記載の抽出物、具体的にはその中のフェノール化合物を、薬学的に許容できる担体と組み合わせて含み、加えて、他の医学的薬剤、医薬品、担体、または希釈剤を含んでよい。用語「薬学的に許容できる」は、許容できない生物学的効果を引き起こさずに、または、それが含まれている医薬組成物の他の構成要素と有害な様式で相互作用せずに、選択された化合物と一緒に個体に投与され得る、生物学的または他の方法で望ましくないものでない物質を指す。
ある場合には、液体医薬製剤中のフェノール化合物の濃度は、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mLmg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mLの範囲、またはその中の任意の値または範囲であってよい。ある場合には、製剤は、約20mg/mL〜200mg/mLの合計フェノール化合物含有量を有し得る。ある場合には、固体の医薬製剤中のフェノール化合物の量は、約150mg/g〜約600mg/gの範囲(例えば、約150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、475、500、525、550、575、600mg/g、またはその中の任意の値または範囲)であってよい。例えば、製剤は、粉末抽出物のグラムあたり約250〜500mgの合計フェノール化合物を有してよい。一例では、製剤は、約250mg/g〜約400mg/gのフェノール濃度を有してよい。ある場合には、半固体の医薬製剤中のフェノール化合物の量は、約150mg/g〜約600mg/gの範囲(例えば、約150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、475、500、525、550、575、600mg/g、またはその中の任意の値または範囲)であってよい。例えば、製剤は、粉末抽出物のグラムあたり約250〜500mgの合計フェノール化合物を有してよい。一例では、製剤は、約250mg/g〜約400mg/gのフェノール濃度を有してよい。
本明細書において用いられる用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、バッファー、安定化剤、可溶化剤、脂質、安定化剤、または、医薬製剤での使用に関して当技術分野でよく知られている他の材料を包含する。組成物における使用のための担体の選択は、組成物に関する意図される投与経路に依存する。薬学的に許容できる担体の製剤およびこれらの材料を含む処方は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22d Edition,Lloyd et al.eds.,Pharmaceutical Press and Philadelphia College of Pharmacy at University of the Sciences(2012)に記載される。生理的に許容できる担体の例は、バッファー、例えば、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、および、他の有機酸を含むバッファー;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン;単糖類、二糖類、および、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール類;ナトリウムのような塩形成対イオン;および/または、非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)(ICI,Inc.;Bridgewater,New Jersey)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(商標)(BASF;Florham Park,NJ)を含む。
記載される組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および調合剤のような、アジュバントを含んでもよい。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって促進され得る。等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウムなどが含まれてもよい。
本明細書に記載の化合物またはその誘導体の経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒を含む。そのような固体剤形では、本明細書に記載の粉末抽出物は、少なくとも1つの不活性の習慣的な賦形剤(または担体)、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウム、または(a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸(alignates)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア、(c)保湿剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカでんぷん、アルギン酸、特定の複合シリケート、および炭酸ナトリウム、(e)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、およびグリセロールモノステアレート、(h)吸着剤、例えば、カオリンおよびベントナイト、および(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物と混合されてよい。カプセル、錠剤、および丸薬の場合は、剤形は、緩衝剤を含んでもよい。
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールのような賦形剤を用いて、軟および硬−充填ゼラチンカプセル中に充填剤として用いられてもよい。
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒のような固体剤形は、腸溶性コーティングおよび当技術分野で知られている他のもののような、コーティングおよびシェルによって調製され得る。それらは乳白剤を含んでよく、遅延した様式で腸管の特定の部分において活性成分を放出する組成物であってもよい。用いられ得る包埋組成物の例は、重合体物質およびワックスである。活性化合物は、マイクロカプセル化された形態であってもよく、適切な場合は、1つまたは複数の上述した賦形剤を含む。ある場合には、コーティングまたはシェルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース)から作られるカプセルまたはシェルのような、植物由来であってよい。
本明細書に記載の抽出物の経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容できるエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を含む。抽出物に加えて、液体剤形は、当該分野で一般に用いられる不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類、特に、綿実油、粉砕された落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、および、ソルビタンの脂肪酸エステル、または、これらの物質の混合物などを含んでよい。
そのような不活性希釈剤の他に、組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料、または、芳香剤のような、さらなる薬剤を含んでもよい。
懸濁液は、抽出物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル類、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカント、または、これらの物質の混合物などのような、さらなる薬剤を含んでよい。
本明細書に記載の抽出物の局所投与のための剤形は、軟膏、粉末、噴霧、および吸入剤を含む。本明細書に記載の抽出物は、滅菌条件下で、生理的に許容できる担体および任意の防腐剤、バッファー、または噴霧剤と、必要であり得るように混合されてよい。眼科用の製剤、軟膏、粉末、および溶液も、組成物の範囲内であると考えられる。
一部の実施態様では、粉末製剤は、約25%〜50%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、粉末製剤は、少なくとも約30%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、粉末製剤は、粉末抽出物のグラムあたり約250〜500mgの合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、粉末製剤は、粉末抽出物のグラムあたり少なくとも約6mgの濃度の少なくとも1つの没食子酸またはエラグ酸を含む。
一部の実施態様では、粉末製剤は、高速液体クロマトグラフィー、質量分析に供された場合に706および1033の分子質量を有する固有の構成要素を含む。
一部の実施態様では、粉末製剤は、高速液体クロマトグラフィー、質量分析に供された場合に730または1288の分子質量を有する構成要素を、分析から生じたクロマトグラフ上のピークの最も大きな30%の中に730または1288の分子質量を有する構成要素を作る量で含まない。
一部の実施態様では、本開示において提供される製剤の合計フェノール含有量は、少なくとも6ヶ月の期間にわたって安定のままであり、6ヶ月でたった10%の合計フェノール含有量の減少によって特徴付けられる。
V.治療の方法
提供される抽出物は、食品、飲料、化粧品、栄養補助食品、機能性食品などで用いられ得て、それにより、抗酸化含有量が増大した製品を提供する。
マスカディンブドウによって生産されるいくつかの植物性化学物質、例えば、エラグ酸およびレスベラトロールは、それらの健康利益に関する広範囲の生物医学的な証拠資料を有する。フラボノイド類は、一般に良好な抗酸化であり、それらを作る植物は、抗酸化の保護のためにそれらを用いる。これらの化合物は、酸化的なフリーラジカルを直接的にクエンチングすることができる。フラボノイド類は、しばしばフリーラジカル産生のための触媒である金属イオンをキレートすることができる。これらの化合物は、有益な方法で遺伝子発現を調節するのを助け得る。慢性病状は、遺伝子発現の不利なパターンをしばしば伴う。フラボノイド類は、健全な遺伝子発現パターンの強力なレギュレーターである。
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載の抽出物を含む食品製品を提供し、ここで、食品製品は、液体(例えば、経腸栄養または静脈内投与のための飲料または液体)、固体(例えば、バー)、錠剤、および/または、粉末であってよい。一部の実施態様では、食品製品は、カプセル化された粉末であってよい。一部の実施態様では、食品製品は、例えば、液体、固体、粉末、または丸薬の形態で提供され得る医療食であってよい。
本明細書において用いられる「医療食」は、Orphan Drug Actのセクション5(b)(3)(21 U.S.C.360ee(b)(3))に定義されるとおりであり、「医師の監督下で消費または経腸投与されるように処方される食品、および、独特の栄養要求が、認識された科学的原理に基づいて、医学的評価によって確立されている疾患または状態の特有の食事管理が意図される食品」を指す。
ある場合には、提供される抽出物は、抗酸化組成物を調製するために用いられ得て、ここで、抗酸化組成物は、酸化ストレスおよび/または炎症と関連する疾患および障害を治療するために対象に投与される。したがって、一部の実施態様では、本発明の抽出物を含む治療的に有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、酸化ストレスおよび/または炎症と関連する疾患および障害を治療する方法が提供される。
本明細書に記載の抽出物および製剤は、腫瘍学の領域において有用である。本明細書において、癌を有する対象を治療するための、記載される抽出物および製剤を用いる方法が提供される。癌のリスクが増大した対象を治療する方法も提供される。癌が再発するリスクのある対象を治療する方法も提供される。一般に、当該方法は、疾患または症状を有する対象に、本明細書に記載の有効量の抽出物または製剤を投与するステップを伴う。有効量は、提供される方法において投与される抽出物または製剤の量を説明するために用いられる場合、所望の薬理学的効果または他の生物学的効果を達成する抽出物または製剤のフェノール化合物含有量または抽出物の量を指す。
ある場合には、対象に投与される抽出物中の合計フェノール化合物の1日の総投与量は、300mg〜6000mgである。例えば、対象は、抽出物を介して、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、または1800mg(または任意のこれらの投与量の5%の量)の合計フェノール化合物の1日の総投与量を投与され得る。一部の例では、対象は、抽出物を介して、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、または6000mg(または任意のこれらの投与量の5%の量)の合計フェノール化合物の1日の総投与量を投与され得る。特定の例では、対象は、抽出物を介して、324mg、648mg、700mg、972mg、1400、1620mg、2800、または5600mgの抽出物中の合計フェノール化合物の1日の総投与量を投与され得る。本開示に記載のマウス研究は、ヒトのための投与を決定するのに有用であり得る。例えば、平均的なマウスは、0.025kgの重量である。1日あたりのマウスあたり、例えば、実施例1に記載の方法に従って作られる粉末状のマスカディンブドウ種子および皮の抽出物のような抽出物を介した、0.25、0.5、1および2mgの合計フェノール類の投与は、10、20、40、および80mgのフェノール類/kg/日の範囲の投与量に相当する。平均的なヒト成人が70kgの体重であると仮定すると、対応するヒト用量は、1日あたり、700、1400、2800、および5600mgの合計フェノール類であろう。
ある場合には、対象は、少なくとも1日2回の抽出物または製剤の投与量を投与される。例えば、ある場合には、対象は、1日2回、3回、4回、5回、または6回の抽出物または製剤の投与量を投与される。
ある場合には、粉末抽出物、または粉末抽出物を含む製剤が、対象に投与される。ある場合には、投与量あたりの粉末抽出物または製剤の合計フェノール化合物含有量は、約30〜50%(mg/mg)であってよい。ある場合には、粉末抽出物または製剤の投与量は、約150〜500mgの合計フェノール化合物を含む。
ある場合には、対象は、kg体重あたり少なくとも約10mgの合計フェノール化合物を含む液体抽出物または粉末抽出物の1日の総投与量を投与され得る。例えば、対象は、kg体重あたり約10mg、20mg、40mg、または80mgの合計フェノール化合物を含む液体抽出物または粉末抽出物の1日の総投与量を投与され得る。
ある場合には、投与量あたりの液体抽出物または製剤の合計フェノール化合物含有量は、少なくとも約20mg/mLである。ある場合には、投与量あたりの液体抽出物または製剤の合計フェノール化合物含有量は、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mLmg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、またはその中の任意の値または範囲であってよい。ある場合には、合計フェノール化合物含有量は、約20mg/mL〜200mg/mLの範囲であってよい。一例では、液体抽出物の投与量は、約2.5g〜約3.5gの合計フェノール化合物を含んでよい。
本明細書において用いられる対象は、哺乳類および非哺乳類の両方を意味する。哺乳類は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、猿人類およびサル)、ウシ、ウマ、ヒツジ、ラット、イヌ、ネコ、マウス、ブタ、およびヤギを含む。非哺乳類は、例えば、魚類、両生類、爬虫類、および鳥類を含む。本明細書に記載の抽出物および製剤は、制限されずに小児および老年人口を含むヒト、および動物における疾患および状態の治療、たとえば獣医用途に関して、有用である。
本明細書において用いられる用語「疾患または障害を、予防する(prevent)、予防すること(preventing)、および予防(prevention)」は、対象が疾患または障害の1つまたは複数の症候を示し始める前またはほぼ同時に生じる、疾患または障害の1つまたは複数の症候の発症または重症度を阻害または遅延させる、動作、例えば、組成物または治療的薬剤の投与を指す。
本明細書において用いられる用語「治療(treatment)、治療する(treat)、または、治療すること(treating)」は、疾患または状態の1つまたは複数の症候を減少させる方法を指す。したがって、開示される方法において、治療は、疾患または状態の1つまたは複数の症候の重症度における、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の減少を指し得る。例えば、疾患を治療する方法は、コントロールと比較した対象における疾患の1つまたは複数の症候または兆候(例えば、腫瘍サイズまたは腫瘍増殖速度)における10%の減少が存在するならば、治療であると考えられる。本明細書において用いられる「コントロール」は、処置されていない状態を指す(例えば、化合物および本明細書に記載の組成物によって処置されていない腫瘍細胞)。したがって、減少は、ネイティブまたはコントロールのレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または、10%と100%との間の任意の%の減少であってよい。治療は、疾患、状態、または、疾患または状態の症候の、治癒または完全なアブレーションを必ずしも指さないことが理解される。本明細書において用いられる、低減(decreasing)、減少(reducing)、または阻害(inhibiting)に対する言及は、コントロールレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれよりも大きな変化を含む。そのような用語は、完全な除去を含んでよいが、必ずしも含まない。
本明細書に記載の抽出物および製剤は、処置の予防的および治療的方法の両方に有用である。予防的用途については、本明細書に記載の薬学的に有効量の抽出物または製剤は、発症の前(疾患の明らかな兆候の前)、早期発症中(例えば、疾患の最初の兆候および症候の際)、または、疾患の進行後に対象に投与される。予防的投与は、疾患の症候の発現の数日から数年の間、生じ得る。治療的な処置は、疾患または状態が診断された後の、本明細書に記載の薬学的に有効量の化合物および組成物またはそれらの薬学的に許容できる塩の対象への投与を含む。
例示的な投与経路は、限定されないが、経口、腸内、皮膚、注入(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、静脈内、および腫瘍内)、舌下、経皮、鼻腔内、局所および吸入の経路を含む。そのような経路の議論は、セクションIIIに記載の製剤に関して上記に提供される。
本明細書に記載の組成物の投与は、疾患または状態を治療するのに効果的な期間のあいだ、薬学的に有効量を用いて行なわれ得る。本明細書に記載の有効量の抽出物および組成物は、当業者の一人によって決定され得て、1日あたり約600mg〜6000mg/kg体重の合計フェノール化合物の哺乳類に関する例示的な用量を含み、それは、単回投与で、または個々の分割された投与量の形態で、例えば少なくとも1日2回、投与され得る。対象の疾患または状態に応じて、薬学的に有効量の抽出物または組成物は、異なる治療的効果をもたらし得る。
任意の特有の対象に関する特定の投与量レベルおよび用量の頻度は異なってよく、用いられる特定の抽出物または製剤の活性;その化合物の作用の代謝安定性および長さ;対象の種、年齢、体重、健康全般、性別および食事;投与のモードおよび時間;排泄率;薬物の併用;対象が経験する疾患または状態の性質、および、特有の疾患または状態の重症度を含む、様々な因子に依存することを、当業者は理解している。製剤中に用いられるべき正確な投与量は、投与経路、および、疾患または障害の重症度にも依存し、熟練者の判断およびそれぞれの対象の状況に従って決定されるべきである。効果的な投与量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られる投与量応答曲線から推定され得る。さらに、投与経路に応じて、当業者は、対象の細胞、組織および/または臓器における所望のレベルの応答のための血漿濃度をもたらす投与量をどのように決定するかを知っている。
一態様では、本開示において提供される抽出物を投与するステップを含む、対象における癌を治療または寛解させる方法が、本明細書において提供される。本開示において提供される抽出物を投与するステップを含む、対象において生じる癌の可能性を予防または減少させる方法も提供される。本開示において提供される抽出物を投与するステップを含む、癌を有する対象において生じる転移の可能性を予防または減少させる方法も提供される。本開示において提供される抽出物を投与するステップを含む、対象における癌細胞の増殖または激増を阻害する方法、組織における血管新生を阻害する方法、および、組織における線維症を阻害する方法も提供される。ある場合には、対象における癌を治療する方法は、本開示において提供される有効量の抽出物または製剤を対象に投与するステップを含む。ある場合には、抽出物または製剤を投与するステップは、対象における癌細胞の増殖または激増を阻害する。ある場合には、抽出物または製剤を投与するステップは、腫瘍増殖、転移、または、腫瘍増殖および転移の両方の可能性を、予防または減少させる。ある場合には、抽出物または製剤を投与するステップは、癌細胞の増殖または激増、血管新生、炎症、または線維症の少なくとも1つを阻害する。ある場合には、抽出物または製剤を投与するステップは、内皮細胞の細胞増殖または激増を阻害する(インビボ、インビトロ)。
一態様では、癌を有する対象、癌のリスクが高い対象、または、再発するリスクのある対象を治療する方法が提供されて、当該方法は、本開示に記載の薬学的に有効量の液体抽出物、粉末抽出物、またはいずれかを含む製剤を対象に投与するステップを含む。ある場合には、抽出物を投与するステップは、癌関連細胞の増殖または激増、血管新生、炎症、または線維症の少なくとも1つを阻害する。
本開示によって提供される抽出物は、癌の治療に幅広い有用性がある。そのような癌は、制限されずに、癌腫、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、および混合タイプの癌を含む。一実施態様では、癌は、ユーイング肉腫、骨肉腫および横紋筋肉腫のような骨癌、および他の軟組織肉腫である。別の実施態様では、癌は、脳腫瘍、例えば、乏突起神経膠腫、上衣腫、髄膜腫(menengioma)、リンパ腫、神経鞘腫、または髄芽腫である。ある場合には、癌はグリオーマである。別の実施態様では、癌は乳癌である。ある場合には、乳癌は、HER2過剰発現乳癌、エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌、または、三種陰性乳癌である。ある場合には、癌は、脳特異的転移乳癌である。別の実施態様では、癌は、内分泌系の癌、例えば、副腎、膵臓、副甲状腺、下垂体、および甲状腺の癌である。別の実施態様では、癌は、胃腸の癌、例えば、肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、肝臓、および小腸の癌である。例えば、癌は、胆道の癌腫または胆管細胞癌であってよい。一例では、癌は肝臓癌である。別の例では、癌は肝細胞の癌腫である。別の実施態様では、癌は、婦人科の癌、例えば、頸部、子宮内膜、子宮、卵管、妊娠性絨毛の疾患、絨毛癌、卵巣、膣、または外陰の癌である。別の実施態様では、癌は、頭頚部癌、例えば、喉頭、咽頭、食道、中咽頭、副甲状腺、または甲状腺癌である。別の実施態様では、癌は、メラノーマ、扁平上皮細胞癌腫、または基底細胞癌である。別の実施態様では、癌は、白血病性の癌、例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、毛様細胞白血病、または、骨髄増殖性の障害である。別の実施態様では、癌は、肺癌、例えば、中皮腫または、非小細胞肺癌である。別の実施態様では、癌は、リンパ腫、例えば、皮膚のT細胞リンパ腫、ホジキン病、または非ホジキン病である。別の実施態様では、癌は、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫である。別の実施態様では、癌は、陰茎癌である。別の実施態様では、癌は、前立腺癌である。別の実施態様では、癌は、精巣癌である。別の実施態様では、癌は、甲状腺癌、例えば、乳頭、小胞、髄質、退形成性、または未分化の甲状腺癌腫である。別の実施態様では、癌は、尿路癌、膀胱癌、または、腎臓癌および肝細胞癌腫のような腎癌である。ある場合には、癌は、尿生殖器癌である。ある場合には、癌は、腹膜癌である。別の例では、癌は、肉腫である。例えば、癌は、滑膜の癌腫であってよい。特定の実施態様では、癌は、乳癌、前立腺癌、結腸癌、膠芽腫、肺癌、皮膚癌、白血病、またはリンパ腫であってよい。別の実施態様では、癌は、例えば、乳癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、結腸癌、前立腺癌、または膵癌のような、HER2過剰発現である。別の例では、癌は、転移性癌である。ある場合には、癌は、原発性癌である。
対象における癌を治療または予防する方法は、治療的薬剤、放射線療法、またはそれらの組み合わせを、対象に投与するステップをさらに含んでよい。したがって、提供される組成物および方法は、1つまたは複数のさらなる薬剤を含んでよい。1つまたは複数のさらなる薬剤および本明細書に記載の抽出物または製剤は、随伴性、同時、または連続の投与を含む任意の順序で投与され得る。連続の投与は、数日まで空いた時間的に離された順序で投与され得る。当該方法は、前記の1つまたは複数のさらなる薬剤および/または本明細書に記載の抽出物または製剤の単回より多い投与を含んでもよい。1つまたは複数のさらなる薬剤および抽出物または製剤の投与は、同一または異なる経路によるものであってよく、同時または連続であってよい。
さらなる治療的薬剤は、限定されないが、化学療法剤を含む。化学療法剤は、異常に増殖している細胞の増殖を阻害または阻止するのに効果的な化合物または組成物である。したがって、そのような薬剤は、癌ならびに異常な細胞増殖によって特色付けられる他の疾患を治療するために効果的に用いられ得る。化学療法化合物の例示的な例は、限定されないが、ベキサロテン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ゲムシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、トポテカン、イリノテカン、テモゾロミド、カルムスチン、ビノレルビン、カペシタビン、ロイコボリン、オキサリプラチン、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ボルテゾミブ、オブリメルセン、ヘキサメチルメラミン、イホスファミド、CPT−11、レフルノミド(deflunomide)、シクロヘキシミド、ダカルバジン(dicarbazine)、アスパラギナーゼ、ミトタン(mitotant)、ビンブラスチンサルフェート、カルボプラチン、コルヒチン、エトポシド、メルファラン、6−メルカプトプリン、テニポシド、ビンブラスチン、抗生物質誘導体(アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、およびジエチルスチルベストロールドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、およびダクチノマイシンを含む);抗アンドロゲン(例えば、エンザルタミド、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、およびARN−509);抗エストロゲン薬(例えばタモキシフェン);代謝拮抗剤(例えば、フルオロウラシル(FU)、5−FU、メトトレキサート、フロクスウリジン、インターフェロンα−2B、グルタミン酸、プリカマイシン、メルカプトプリン、および6−チオグアニン);細胞傷害剤(例えば、カルムスチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エストラムスチン、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シスプラチン、ビンクリスチンおよびビンクリスチンサルフェート);ホルモン類(例えば、メドロキシプロゲステロン、エストラムスチンホスフェートナトリウム、エチニルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、ジエチルスチルベストロール二リン酸、クロロトリアニセン、およびテストラクトン);ナイトロジェンマスタード誘導体(例えば、メファレン(mephalen)、クロラムブシル、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)およびチオテパ);ステロイド類(例えば、ベタメタゾンリン酸ナトリウム);Akt阻害剤;グルココルチコイド受容体阻害剤(例えば、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、ミフェプリストン、モメタゾン、およびトリアムシノロン);および生存因子阻害剤(例えば、ニューロトロフィン、サイトカイン、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、ヘパリン−結合上皮増殖因子(HB−EGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、色素上皮由来因子(PEDF)、神経鞘腫由来増殖因子(SDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、形質転換増殖因子−α(TGF−α)、形質転換増殖因子−β(TGF−β)、骨形成タンパク質(BMP1−BMP15など)、増殖分化因子−9(GDF−9)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ミオスタチン(GDF−8)、エリスロポエチン(EPO)、およびトロンボポエチン(TPO)の阻害剤を含む。
任意選択で、前記の1つまたは複数のさらなる薬剤は、抗体を含んでよい。抗体は、完全な免疫グロブリンまたはそのフラグメントを含んでよく、免疫グロブリンは、様々なクラスおよびアイソタイプ、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3、IgMなどを含む。そのフラグメントは、Fab、FvおよびF(ab’)2、Fab’などを含んでよい。抗体は、単鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または、特定の結合部位に特異的な結合活性を保持する当業者に公知の任意の他の抗体誘導体であってもよい。加えて、免疫グロブリンの凝集体、ポリマー、およびコンジュゲート、またはそれらのフラグメントは、特定の結合部位に関する結合親和性が維持される限り、適切な場合に用いられ得る。例示的な抗体は、トラスツズマブ、アレムツズマブ、イブリツモマブ、ブリナツモマブ、ベバシズマブ、およびセツキシマブを含む。
任意選択で、前記の1つまたは複数のさらなる薬剤は、例えば、転移前立腺癌を有する一部の人での使用のために、米国連邦医薬品局(U.S.Federal and Drug Administration)によって2010年に承認された、シプリューセル−T(PROVENGE(登録商標)、Dendreon製)のような癌ワクチンを含んでよい。
任意の前述のさらなる薬剤は、本明細書に記載の抽出物または製剤との任意の組み合わせで用いられ得る。組み合わせは、併用して(混合物など)、別個だが同時に(例えば、同一の対象への別個の静脈内ラインを介して)、または、連続して(例えば、化合物または薬剤の1つが最初に与えられて、その後に2つめが続けられる)、投与される。したがって、用語「組み合わせ」は、2以上の薬剤の随伴性、同時、または連続の投与を指すために用いられる。
ある場合には、薬学的に有効量での、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の投与は、三種陰性乳房腫瘍の増殖を減少させることができる。ある場合には、腫瘍サイズの減少は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも66%、例えば、約66%であり得る。治療的有効量は、対象の重量に依存し得る。例えば、25mgのマウスについては、用量は、0.5mg〜5mgのフェノール類/日、例えば、0.5〜2mg/日であってよい。ある場合には、抽出物の治療的有効量は、20〜80mgの合計フェノール類/kg/日、すなわち、患者の質量のkgそれぞれあたり、20〜80mgの合計フェノール類/日の範囲であってよい。一例では、図32Aに示されるように、0.05、0.1、0.2、または0.4mgフェノール類/mLの投与量での、ヒト三種陰性乳房腫瘍を保有するマウス(平均25mg体重)へのp−MGEの投与は、0.25、0.5、1、または2mgフェノール類/日と同等であり、腫瘍体積を50%〜65%減少させることができる。一例では、図32Bに示されるように、0.05、0.1、0.2、または0.4でのp−MGEの投与は、0.25、0.5、1、または2mgのフェノール類/日と同等であり、30日の処置期間の終わりに、未処置マウスと比較して、腫瘍重量を405〜70%減少させることができる。一例では、図32Cに示されるように、25グラムのマウスに関する、0.5mgフェノール類/日でのp−MGEの投与は、DUSP1(MKP1)の発現を約50%増大させることができ、リン酸化された、活性化されたMAPキナーゼの量の減少をもたらす。一例では、図32Dに示されるように、0.1mg/mLでのp−MGEの投与は、25グラムのマウスに関する0.5mgのフェノール類/日と同等であり、PDGF発現を約50%減少させる。別の例では、図32Eに示されるように、0.1mg/mLでのp−MGEの投与、すなわち、25グラムのマウスに関する0.5mgのフェノール類/日は、p21の発現を、未処置の対象の約2倍まで増大させる。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、特に、対象の質量(体重)のkgあたり、10〜80、例えば、20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与した場合、乳癌腫瘍体積または重量を、40〜70%減少させ得る。例えば、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、乳癌腫瘍体積または重量(または両方)を、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、または70%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。
ある場合には、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、薬学的に有効量での、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の投与は、前立腺腫瘍の増殖を減少させることができる。例えば、p−MGEは、患者の質量のそれぞれのkgあたり、10〜80mg、例えば、20mgの合計フェノール類/日の範囲で投与されてよい。ある場合には、前立腺腫瘍の体積減少は、未処置コントロールと比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%、例えば、約46%、または約52%であってよい。これの一例は、本明細書において図48に関して説明される。ある場合には、p−MGE処置は、前立腺腫瘍細胞の増殖を、少なくとも20%、25%、30%、35%、または40%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させる。例えば、本明細書において図50に説明されるように、前立腺腫瘍を保有するマウスに0.1mgフェノール類/mLのp−MGEを投与することは、領域あたりのKi67陽性細胞の数の36%減少をもたらし、p−MGEが、前立腺腫瘍細胞の増殖を減少させることを示唆した。別の例では、本明細書において図48に関して説明されるように、前立腺腫瘍を保有するマウスを、0.5mgフェノール類/日または2mgフェノール類/日でp−MGEを用いて処置することは、未処置マウスと比較して、腫瘍体積をそれぞれ約52%または75%減少させることができる。ある場合には、前立腺腫瘍の重量減少は、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%、例えば、約59%であってよい。これの一例は、本明細書において図49に関して説明される。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、特に、対象の質量(重量)のkgあたり、20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、前立腺癌の腫瘍体積または重量を40%〜75%減少させ得る。例えば、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、前立腺癌の腫瘍体積または重量(または両方)を、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、または75%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。
ある場合には、対象に投与される、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、前立腺腫瘍における血管新生を阻害し得る。ある場合には、p−MGEは、前立腺腫瘍における血管の数を、未処置コントロールと比較して、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、または少なくとも30%減少させ得る。一例では、本明細書において図51に関して説明されるように、前立腺腫瘍を保有するマウスを、p−MGE 0.1mgフェノール類/mL(0.5mgフェノール類/日と同等である)によって処置することは、未処置マウスと比較して血管の数を約42%減少させることができる。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、血管形成を、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。ある場合には、p−MGEは、腫瘍細胞におけるVEGFおよびPLGFの両方(血管新生を調節する増殖因子)の相対的発現を、未処置コントロールと比較して、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、または少なくとも30%減少させ得る。ある場合には、本明細書において図52A〜52Bに関して説明されるように、前立腺腫瘍を保有するマウスを、0.1mgフェノール類/mL(0.5mgフェノール類/日と同等である)でp−MGEによって処置することは、VEGFおよびPLGFの発現を約30%〜40%減少させることができる。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、VEGF発現、PLGF発現、または両方を、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、または45%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。
ある場合には、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、脳特異的転移乳癌細胞の増殖を阻害するために薬学的に有効量で投与され得る。これらの細胞は、脳に特異的に転移する三種陰性乳癌細胞(「TNBC」)であり得る。ある場合には、本明細書において図33A〜33Bに関して説明されるように、p−MGEの投与は、三種陰性乳癌細胞、ER+乳癌細胞、または両方に由来する脳特異的転移乳癌細胞の増殖を減少させ得る。例えば、p−MGEは、三種陰性乳癌細胞株4T1またはER+細胞株Eo7714T1に由来する細胞株と同様にふるまう癌に由来する脳特異的乳癌細胞の増殖を阻害し得る。別の例では、p−MGEは、脳特異的乳癌細胞株luc.2Br5、Eo771.luc.Br5、または両方と同様にふるまう脳特異的乳癌細胞の増殖を阻害し得る。ある場合には、粉末抽出物は、細胞周期の進行を阻害、および/または、脳特異的転移乳癌細胞のアポトーシスを誘導することができる。ある場合には、本明細書において図34Aに関して説明されるように、脳特異的乳癌細胞にp−MGEを投与することは、ERK1/2リン酸化を有意に低減することができる。例えば、本明細書において図34Bに関して説明されるように、p−MGEの投与は、例えば細胞内のサイクリンD1レベルを減少させることによって、細胞周期の進行の阻害を通して、腫瘍細胞の増殖を阻害し得る。加えて、一部の例では、本明細書において図35に関して説明されるように、24時間の10μg/mLでのp−MGE処置は、カスパーゼ3の活性の開裂型および開裂PARPの存在によって示されるように、アポトーシスを誘導することができる。
ある場合には、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、三種陰性乳癌細胞(TNBC)の増殖を減少させるために、薬学的に有効量で投与され得る。ある場合には、本開示によって提供される抽出物の治療的な量の投与は、TNBCの一次増殖を減少させることができる。例えば、本明細書において図36A〜36Bおよび図37A〜37Cに関して説明されるように、p−MGEは、5μg/mlから、および25μg/mlの濃度(フェノール類/投与量)で、TNBCの増殖を低減することができる。ある場合には、本明細書において図38A〜38Dに関して説明されるように、p−MGEの投与は、リン酸化および活性化されたERK1およびERK2の両方を有意に減少することができて、それらは細胞増殖の制御に関与するMAPキナーゼである。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり、20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与される場合、癌細胞の増殖を、具体的には乳癌細胞に関して、より具体的には三種陰性乳癌細胞に関して、80%も減少させ得る。例えば、本開示によって提供される抽出物の投与は、癌細胞増殖、具体的には乳癌細胞、より具体的には三種陰性乳癌細胞を、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させる。
ある場合には、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、本明細書において図39に関して説明されるように遺伝子パスウェイまたはファミリーを上方制御または下方制御するために、三種陰性乳癌を有する対象に薬学的に有効量で投与され得る。例えば、20μg/mLのp−MGE(フェノール類/投与量)による三種陰性乳癌細胞の処置は、炎症性またはリポ多糖(LPS)応答に関与する遺伝子、ウイルス防御またはインターフェロンβ(IFNβ)応答に関与する遺伝子、および、自食作用または小胞体(ER)ストレス応答に関与する遺伝子を、上方制御し得る。別の例では、20μg/mLのp−MGE(フェノール類/投与量)による三種陰性乳癌細胞の処置は、ヌクレオソーム集合に関与する遺伝子、先天性の免疫応答に関与する遺伝子、および、細胞周期または細胞分裂に関与する遺伝子を、下方調節し得て、それは、p−MGEによる処置の際に観察される細胞周期の制御に関与するタンパク質およびMAPキナーゼシグナル伝達における変化の反映であり得る。
ある場合には、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、HER2過剰発現(陽性)乳癌細胞の増殖を減少させるために、薬学的に有効量で投与され得る。ある場合には、本開示によって提供される治療的な量の抽出物の投与は、そのような細胞の一次増殖を減少させることができる。例えば、本明細書において図41Aに関して説明されるように、p−MGEは、10μg/mlから、および40μg/mlの濃度(フェノール類/投与量)で、HER2過剰発現(陽性)乳癌細胞の増殖を低減させることができる。ある場合には、本明細書において図41B〜41Dに関して説明されるように、p−MGEの投与は、生理学における細胞増殖および生存ならびに癌のような病状に重要な細胞内シグナル伝達経路の重要な構成要素である、リン酸化された活性化されたAKTおよびm−TORを有意に減少させることができる。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり、20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与される場合、具体的には乳癌細胞に関して、より具体的にはHER2過剰発現(陽性)乳癌細胞に関して、癌細胞増殖を約60%減少させ得る。例えば、本開示によって提供される抽出物の投与は、癌細胞の増殖、具体的には乳癌細胞、より具体的にはHER2過剰発現(陽性)乳癌細胞を、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させる。
ある場合には、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、三種陰性乳癌細胞(TNBC)の遊走を減少させるために、薬学的に有効量で投与され得る。ある場合には、本開示によって提供される治療的な量の抽出物の投与は、TNBCの浸潤性の増殖を減少させることができる。例えば、これは、そのような腫瘍細胞の浸潤性を減少させ得る。ある場合には、本明細書において図40A〜40Dに関して説明されるように、p−MGEは、10μg/mLおよび25μg/mLの合計用量に関して10μg/mlから、および25μg/ml(フェノール類/投与量)の範囲の投与量で投与される場合、一次腫瘍からのTNBCの遊走を減少させる。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり、20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与される場合、具体的には乳癌細胞に関して、より具体的には三種陰性乳癌細胞に関して、癌細胞の遊走を25%〜50%減少させ得る。例えば、本開示によって提供される抽出物の投与は、癌細胞の遊走、具体的には乳癌細胞、より具体的には三種陰性乳癌細胞を、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、55%、または60%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させる。
ある場合には、薬学的に有効量での、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の投与は、エストロゲン受容体陽性(ER+)ヒト乳房腫瘍の増殖を減少させることができる。例えば、治療期間は、少なくとも6週、少なくとも7週、または少なくとも8週であってよい。ある場合には、p−MGEの投与は、未処置のコントロール対象における腫瘍増殖と比較して、腫瘍増殖を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%阻害し得る。ある場合には、p−MGEは、ER+ヒト乳房腫瘍を治療するためにエストロゲン受容体拮抗薬と組み合わせて対象に投与され得る。ある場合には、エストロゲン受容体拮抗薬は、タモキシフェンであってよい。ある場合には、p−MGEおよびエストロゲン受容体拮抗薬による組み合わせ治療は、いずれかの治療単独よりも大きく腫瘍増殖を減少させ得る。一例では、本明細書において図43、44、46、および47に関して説明されるように、p−MGEは、25グラムのマウスに関して、1日あたり0.5mgフェノール類/マウスの投与量で、ZR−75−1細胞またはMCF7細胞によって形成されたER+腫瘍を保有するER+マウスに投与されて、腫瘍の増殖を有意に減少させて、腫瘍増殖の減少は、本明細書において図45に関して記載されるように、増殖マーカーKi67に関して陽性である細胞の数の減少と関連する。したがって、ある場合には、対象の質量(重量)のkgあたり、20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与される場合、本開示によって提供される抽出物の投与は、単独または化学療法と組み合わせて、腫瘍増殖、腫瘍サイズ、または両方を、50%〜95%減少させ得る。ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、単独または化学療法と組み合わせて、腫瘍増殖、腫瘍サイズ、または両方を、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。
ある場合には、薬学的に有効量での、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、それらの疾患、例えば、癌の過程で患者を治療するために、放射線と組み合わせて投与されてよい。ある場合には、抽出物は、2Gy放射線と組み合わせて投与されてよい。ある場合には、組み合わせ治療は、放射線治療またはp−MGE治療のいずれか単独よりも大きな程度まで、疾患細胞の増殖を阻害および/または疾患細胞を死滅させる。一例では、本明細書において図42A〜42Bに関して説明されるように、放射線は、放射線感度を有意に増大させない。別の例では、本明細書において図42C〜42Dに関して説明されるように、p−MGEの投与は、いずれかの治療単独よりも、マウスの脳特異的転移乳癌細胞、例えば、4T1.luc2.BR5細胞またはEo771.luc.Br5細胞の大きな減少を引き起こすことができる。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、脳転移性癌細胞、具体的には脳転移乳癌細胞を、15%〜50%減少させ得る。例えば、本開示によって提供される抽出物の投与は、単独または化学療法と組み合わせて、腫瘍増殖、腫瘍サイズ、または両方を、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。ある場合には、放射線療法と合わせて、本開示によって提供される抽出物の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、脳転移性癌細胞、具体的には脳転移乳癌細胞を、50%〜80%減少させ得る。例えば、本開示によって提供される抽出物の投与は、放射線療法と組み合わせて、脳転移性癌細胞、具体的には脳転移乳癌細胞を、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。
ある場合には、薬学的に有効量での、化学療法剤と組み合わせた、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の投与は、ブドウ抽出物または化学療法剤のいずれか単独の投与と比較して、ER+腫瘍のより大きな増殖減少を引き起こすことができる。一実施態様では、化学療法剤は、タモキシフェンである。これの1つの例は、本明細書において図43に関して説明される。ある場合には、本明細書において図44に関して説明されるように、タモキシフェンと組み合わせてp−MGEを用いて、ER+腫瘍を有する対象を治療することは、腫瘍増殖の阻害において相加的効果を有し、すなわち、その組み合わせは、p−MGEまたはタモキシフェンのいずれかの治療単独よりも大きな程度まで腫瘍重量を有意に減少させる。また、併用療法は、本明細書において図45A〜45Bに関して説明されるように、いずれかの治療単独と比較して、Ki67陽性腫瘍細胞のパーセントを低減させ得て、それは、ブドウ抽出物およびタモキシフェンの組み合わせが、いずれかの治療単独よりも大きな程度まで腫瘍細胞増殖を減少させることができることを示す。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物および化学療法剤の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、腫瘍サイズ(領域)を、具体的には乳癌腫瘍、より具体的にはER+乳癌腫瘍を、抽出物単独よりも30%〜40%多く、化学療法単独よりも30%〜50%多く、または両方で、減少させ得る。例えば、化学療法剤とともに、本開示によって提供される抽出物は、腫瘍サイズ(領域)、具体的には乳癌腫瘍、より具体的にはER+乳癌腫瘍を、抽出物単独、化学療法単独、または両方よりも少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%(または、これらの値の5%内の程度まで)多く、減少させ得る。ある場合には、本開示によって提供される抽出物および化学療法剤の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、腫瘍重量を、具体的には乳癌腫瘍、より具体的にはER+乳癌腫瘍を、抽出物単独よりも25%〜50%多く、または、化学療法単独よりも10%〜20%多く、または両方で、減少させ得る。例えば、化学療法剤とともに、本開示によって提供される抽出物は、腫瘍重量を、具体的には乳癌腫瘍、より具体的にはER+乳癌腫瘍を、抽出物単独、化学療法単独、または両方よりも、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%(または、これらの値の5%内の程度まで)多く、減少させ得る。ある場合には、本開示によって提供される抽出物および化学療法剤の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、腫瘍細胞増殖、例えば決定されるKi67陽性発現を、抽出物単独または化学療法単独のいずれか、または両方よりも20%〜30%多く、減少させ得る。
別の態様では、本開示において提供される抽出物を投与するステップを含む、対象における放射線によって誘導される線維症および骨喪失を減少または改善する方法が本明細書において提供される。薬学的に有効量での、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)の投与は、放射線によって誘導される線維症を減少させることができる。抽出物は、照射後の骨格筋線維症を防ぎ得て、放射線によって誘導される骨損傷を減少させ得て、または両方である。線維症の減少は、放射線照射された組織における炎症の減少によって説明/反映され得る。一実施態様では、線維症の減少は、組織染色、すなわち、マッソン三色染色法によって検出される。一実施態様では、本明細書において図53および図54に関して説明されるように、p−MGEによる治療は、放射線治療によって誘導された線維症を、放射線照射されていないレベルまで減少させることができる。抽出物は、本明細書において図55A〜55Cに関して説明されるように、TGFβ、CTGF、またはSMAD2の放射線によって誘導される産生を阻害することによって、線維症を減少させ得る。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、放射線に曝された対象の骨格筋における線維症を、80%〜90%減少させ得る。例えば、本開示によって提供される抽出物は、放射線に曝された対象の骨格筋における線維症を、抽出物を受けない対象と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。一例では、本明細書において図56および図57に関して説明されるように、放射線と同時または放射線の前の、p−MGEによる前破骨細胞の処置は、放射線単独と比較して、前破骨細胞によって形成される破骨細胞の数を減少させることができる。ブドウ抽出物による処置は、放射線に曝されるが本開示の抽出物は投与されない対象と比較して、放射線によって誘導される活性の破骨細胞の増大を減少させ得て、活性の破骨細胞の減少は、それにより、骨吸収を減少および骨喪失を防止する。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、骨喪失(骨密度の喪失、ミネラル含有量)を、前破骨細胞の数を減少または破骨細胞への前破骨細胞の成熟を減少させることによるものを含み、95%〜100%減少させ得る。例えば、本開示によって提供される抽出物は、骨喪失(骨密度の喪失、ミネラル含有量)を、抽出物を受けない対象と比較して、前破骨細胞の数を減少または破骨細胞への前破骨細胞の成熟を減少させることによるものを含み、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させ得る。
別の態様では、本明細書に開示されるブドウ抽出物は、高血圧を有する患者を治療するために用いることができる。ある場合には、患者は、終末器官損傷のような臓器に対する高血圧の効果を減少させるように治療される。高血圧とは、動脈壁に対する長期の血液の力が異常に高いため、最終的に健康問題を引き起こし得る状態である。心疾患は、一般に高血圧と関連する。高血圧は、収縮期圧および拡張期圧を含む、水銀柱ミリメートル(mmHg)で与えられる血圧を測定することによって典型的に診断される。正常な血圧は、120/80mmHgよりも下であり、高血圧前症は、120〜139mmHgの範囲の収縮期圧または80〜89mmHgの範囲の拡張期圧を有する状態である。ステージ1高血圧は、140〜159mmHgの範囲の収縮期圧または90〜99mmHgの範囲の拡張期圧を有する状態である。より重度の高血圧であるステージ2高血圧は、160mmHg以上の収縮期圧または100mmHg以上の拡張期圧を有する状態である。本明細書に開示されるブドウ抽出物の治療から恩恵を受け得る患者は、制限されないが、ステージ1およびステージ2高血圧患者を含む。特に、本開示によって提供される抽出物は、しばしば心筋において発生して筋肉の硬直および心機能の減少をもたらす線維症のような高血圧と関連する終末器官損傷を減少させるのに有用である。
一部の実施態様では、実施例1〜3において生産されるマスカディンブドウ抽出物、例えば、実施例1に記載の方法に従って製造されるマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)は、AngIIによって誘導される高血圧を悪化させずに、薬学的に効果的な投与量で、高血圧を有する患者に薬学的に有効量で投与され得る。例えば、p−MGEは、1日あたり10〜80mgの範囲の合計フェノール類/患者質量のkg(10〜80mg/kg/日)の投与量で投与され得る。ある場合には、本明細書において図25に関して説明されるように、p−MGEの投与は、Ang−IIによって誘導される高血圧を有する治療された対象およびp−MGE処置によって治療されない対象において、収縮期血圧の実質的な変化がないことによって示されるとおり、高血圧を悪化させない。別の例では、本明細書において図26に関して説明されるように、p−MGE治療は、AngIIによって誘導される体重の減少を悪化させない。これは、Ang−IIによって誘導される高血圧を有する治療された対象の重量が、p−MGE処置によって治療されない対象と実質的に同一であるという事実によって示される。別の例では、p−MGE処置は、本明細書において図27A〜27Bに関して説明されるように、高血圧患者の心収縮力または左心室再構築に対して効果を有し得ない。ある場合には、本明細書において図28A〜28Cに関して説明されるように、AngIIによって誘導される増大された血圧を有する対象へのp−MGEの投与は、p−MGEによって治療されない対象と比較して、左心室の壁の厚さまたは内径に対して効果を有さない。したがって、本開示の抽出物は、一般に、高血圧を悪化させない。しかしながら、一部の実施態様では、本明細書において図29A〜29Bに関して説明されるように、p−MGEの投与は、p−MGEによって治療されない対象と比較して、AngIIによって誘導されるE/e’値の増大を防ぐことができる。したがって、一部の実施態様では、p−MGEは、AngIIによって誘導される拡張期の機能障害を改善することができる。ある場合には、本明細書において図31A〜31Bに関して説明されるように、高血圧を有する対象におけるp−MGEの投与は、例えば、左心室における筋細胞の平均断面積(サイズ)を低減させることによって、心臓肥大を低減させ得る。ある場合には、本明細書において図30A〜30Bに関して説明されるように、p−MGEの投与は、AngIIによって仲介されるコラーゲンの増大を弱めることができ、それにより、左心室の剛性を低減させる。ある場合には、p−MGE治療は、心筋細胞肥大、拡張期の機能障害を有意に弱めることができ、心臓の間質線維症を減少させることができ、および/または、心筋細胞サイズを減少させることができる。したがって、ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、高血圧と関連する線維症を減少させ得て、具体的には、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合、心臓肥大を90%〜100%減少させる。例えば、本開示によって提供される抽出物は、高血圧と関連する線維症を減少させて、具体的には、抽出物を受けない対象と比較して、心臓肥大を少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させる。ある場合には、本開示によって提供される抽出物の投与は、高血圧と関連する線維症を減少させ得て、具体的には、対象の質量(重量)のkgあたり20〜80mgの合計フェノール類/日の投与量で投与された場合に、コラーゲン産生を60%〜70%減少させる。例えば、本開示によって提供される抽出物は、高血圧と関連する線維症を減少させて、具体的には、抽出物を受けない対象と比較して、コラーゲン産生を、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、または75%(または、これらの値の5%内の程度まで)減少させる。
一部の実施態様では、実施例1〜3によって生産されるブドウ抽出物は、高血圧の治療に効果的な1つまたは複数のさらなる薬剤と組み合わせて用いられ得る。前記の1つまたは複数のさらなる薬剤および本明細書に記載の抽出物または製剤は、随伴性、同時、または連続の投与を含む任意の順序で投与され得る。連続の投与は、数日まで空いた時間的に離された順序で投与され得る。当該方法は、前記の1つまたは複数のさらなる薬剤および/または本明細書に記載の抽出物または製剤の単回より多い投与を含んでもよい。1つまたは複数のさらなる薬剤および抽出物または製剤の投与は、同一または異なる経路によるものであってよく、同時または連続であってよい。そのような薬剤の非限定的な例は、利尿剤、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体ブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、αブロッカー、α−2受容体アゴニスト、αおよびβ−ブロッカーの組み合わせ、中枢アゴニスト、末梢アドレナリン作動性阻害剤、血管ダイレータ(血管拡張剤)、およびβ−ブロッカーを含む。これらの薬剤の投与の仕方の方法および投与量レジメンは、当業者によく知られている。
一般に、妊娠可能年齢の女性または妊婦へのp−MGEの投与は、実施例7において議論されるように、母親の心血管系機能(収縮機能および心収縮力の心血管系測定を含む)、血圧、体重、または臓器重量、または、子孫の数または長さに関して、母親または子孫の健康全般に悪影響を及ぼさない。
一態様では、疾患を有する、疾患のリスクが高い、または、再発のリスクがある対象を治療する方法が提供されて、当該方法は、対象に、本開示の先行するセクションに記載の薬学的に有効量のブドウ由来抽出物を投与するステップを含む。ある場合には、当該方法は、液体抽出物または製剤を投与するステップを含む。ある場合には、当該方法は、粉末抽出物または製剤を投与するステップを含む。一部の実施態様では、対象は、粉末抽出物または製剤の投与量を、少なくとも1日に2回投与される。
一部の実施態様では、投与量あたりの粉末抽出物または製剤の合計フェノール化合物含有量は、約30〜50%(mg/mg)である。一部の実施態様では、粉末抽出物または製剤の投与量は、約150〜500mgの合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、対象は、kg体重あたり少なくとも約10mgの合計フェノール化合物を含む液体抽出物または粉末抽出物の1日の総投与量を投与される。一部の実施態様では、対象は、kg体重あたり約10mg、20mg、40mg、または80mgの合計フェノール化合物を含む液体抽出物または粉末抽出物の1日の総投与量を投与される。一部の実施態様では、投与量あたりの液体抽出物または製剤の合計フェノール化合物含有量は、約20mg/mLである。一部の実施態様では、液体抽出物の投与量は、約2.5g〜約3.5gの合計フェノール化合物を含む。
一部の実施態様では、疾患は癌である。一部の実施態様では、抽出物の投与は、癌関連の細胞の増殖または激増、血管新生、炎症、または線維症の少なくとも1つを阻害する。一部の実施態様では、癌は、乳癌、前立腺癌、結腸癌、膠芽腫、肺癌、皮膚癌、白血病、または、リンパ腫の少なくとも1つを含む。一部の実施態様では、乳癌は、三種陰性乳癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、または、HER2過剰発現乳癌の少なくとも1つである。一部の実施態様では、癌は、脳転移乳癌を含む。一部の実施態様では、抽出物は、化学療法剤または放射線療法の少なくとも1つと組み合わせて投与される。
一部の実施態様では、疾患は、高血圧によって誘導される線維症である。
一部の実施態様では、疾患は、放射線によって誘導される線維症である。
一部の実施態様では、疾患は、放射線によって誘導される骨喪失である。これは、骨強度の喪失および/または骨の脆さの増大、カルシウム含有量の低減、および骨質量の減少に反映され得る。
ここで、本発明の態様は、その態様がより完全に理解および認識され得るように、以下の実施例において、および、添付図面を参照して、特定の好ましい実施態様に関して説明されるが、本発明をこれらの特定の実施態様に制限することを意図しない。それとは対照的に、本出願は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替、改変および等価物をカバーすることが意図される。したがって、好ましい実施態様を含む以下の実施例は、説明される組成物、方法、およびキットの実施を例示する役割を果たし、示される特定のものは、例としてのものであり、好ましい実施態様の例示的な議論の目的のためのみであり、そして、処方手順ならびに本発明の原理および概念的態様の便利かつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供する理由で提供されることが理解される。本明細書に記載の発明は、その本質的な属性を逸脱せずに他の特定の形態で実現化され得ることは、当業者に明らかであり、したがって、この実施態様および実施例は、全ての点において、例示であり制限でないと考えられることが望まれて、したがって、前述の説明よりむしろ添付の特許請求の範囲に対してなされる参照、および、特許請求の範囲の意味および等価の範囲内である全ての変更は、その中に包含されることが意図される。
実施例1:マスカディンブドウ種子およびブドウの皮の液体抽出物および粉末抽出物の生産
(1)314ポンドのブドウ種子および59ポンドの皮を、オープンスチームケトル内に置いた。
(2)100ガロンの分画蒸気圧縮蒸留水を、容器内のブドウ種子およびブドウの皮に加えた。
(3)分画蒸気圧縮蒸留水中のブドウ種子およびブドウの皮を、約175華氏〜最高200華氏で約1時間〜約2時間加熱した。抽出を大気圧で行なった。沸騰はフェノール化合物を破壊させ得て最終抽出物中の全体的な合計フェノール化合物含有量を減少させるので、200華氏の最高温度は、ブドウ種子、ブドウの皮および水を沸騰させるのを避けるように設定される。加熱のあいだ、さらなる分画蒸気圧縮蒸留水が、合計140ガロンの水に到達するまで、15〜30分ごとに5ガロンの増加で加えられた。加熱のあいだ、ブドウ種子、ブドウの皮、および分画蒸気圧縮蒸留水の混合物を、へらで撹拌することによってかき混ぜた。オープンスチームケトルを用いたが、所望の量の水およびブドウ種子および皮膚を大気圧で保持することのできる任意の容器が適切であり得る。
(4)加熱後に、温度は低下されて、ケトルの含有物は約170華氏〜約180華氏に冷却されて、それから、600メッシュのステンレススチール篩を通して濾過された。濾液をステンレススチールバレル内に集めた。
(5)ソルビン酸カリウムを(3)のブドウ種子およびブドウの皮の濾液に0.1%w/vまで添加した。
(6)(5)の濾液を、約35華氏〜約40華氏の温度で少なくとも24時間冷蔵して、それから、1ミクロンフィルターを通して濾過した。有機食品グレードアルコール(95%)を抽出物の2%(v/v)まで添加して、ブドウ種子およびブドウの皮の液体抽出物を生産した。このプロセスによって形成された液体抽出物を、実施例5に記載の試験において用いた。
以下のステップを行なって、ブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を生産した。
(7)液体抽出物を噴霧乾燥によって粉末抽出物に処理した。液体抽出物を、44インチ×32インチの乾燥機に導入された噴霧によって微粒子化した。乾燥は、18,000〜22,000cfmの流速および約200〜400華氏の範囲(例えば、入口温度約400華氏および出口温度約200華氏)の温度で、天然ガスを用いて行なった。生じた粉末抽出物は、約3.0〜3.4%の残留水分量を有した。
このプロセスによって形成された粉末抽出物は、例えば、カプセル化されてよく、または、再構成されて液体を形成してよい。実施例6および7に記載の試験のために、この実施例に記載のように作られた粉末抽出物を、ヒプロメロースカプセル中に処方した。
室温でヒプロメロースカプセル中に処方された、粉末抽出物の安定性を、3〜6ヶ月にわたって評価した。最初の合計フェノールレベルは301.4±18.0mg/g(n=3)であり、3〜6ヶ月後には296.6±22.5mg/g(n=3)であった。6ヶ月保管後の微生物汚染の証拠はなかった。
上述のように生産された液体抽出物の例示的な分析を表1に提供する。分析は、高速液体クロマトグラフ(HPLC);脚注によって以下に記される方法論を用いて行なった。NDは、「検出されず」を意味する。
Ftnt1:Wang,S.Y.,et al.,Resveratrol Content in Strawberry Fruit is Affected by Preharvest Conditions,J.Agri.Food Chem.2007,55:8269−8274に従って行われた分析。検出限界:0.05μg/mL。
Ftnt2:Lui,X.,et al.,Simultaneous determination of seven active flavonols in the flowers of abelmoschus manihot by HPLC,J.Chromatogr.Sci.2009,47:206−210に従って行われた分析。
Ftnt3:Urska,V.,et al.,Concentration and mean degree of polymerization of rubus ellagitannins evaluated by optimized acid methanolysis,J.Agric.Food Chem.2006、54:4469−4475に従って行われた分析。
Ftnt4:Heudi,O.,et al.,Separation of water−soluble vitamins by reversed−phase high performance liquid chromatography with ultra−violet detection:Application to polyvitaminated premixes.J.Chromatography 2005,1070:49−56に従って行われた分析。検出限界:チアミン−0.2μg/mL、ニコチンアミド−0.2μg/mL、ピリドキサミン−0.1μg/mL。
Ftnt5:Chen,G.,et al.,Melatonin in Chinese medicinal herbs,Life Sciences 2003,73:19−26に従って行われた分析。
Ftnt6:Santasania,C.T.,et al.,Application Report 194−LC−MS Analysis of Catechins on Ascentis(商標)RP−Amide,2004に従って行われた分析、sigma−aldrich.com/supelcoで入手可能。
Ftnt7:Cheng,G.W.et al.,Activity of phenylalanine ammonia−lyase(pal)and concentrations of anthocyanins and phenolics in developing strawberry fruit.J.Am.Soc.Hortic.Sci.1991,116(5):865−869に従って行われた分析。アントシアニンの結果は、リットルあたりのシアニジン−3−グルコシド(ミリグラム)当量として表される。
Ftnt8:Chen,J.,et al.,Determination of Seven Flavonoids in Ixeridium gracile(DC.)Shih by High−Performance Liquid Chromatorgraphy,J.AOAC Int.2009,92:773−778に従って行われた分析。検出限界:0.14μg/mL。
Ftnt9:Lin,L.L.,et al.,An effective sample preparation approach for screening the anticancer compound piceatannol using HPLC coupled with UV and fluorescence detection,J.Chromatogr.B Analyt.Technol.Biomed Life Sci.2007,853:175−182に従って行われた分析。検出限界:0.14μg/mL。
Ftnt10:Robbins,R.J.,et al.,Method performance and multi−laboratory assessment of a normal phase high pressure liquid chromatography−fluorescence detection method for the quantification of flavanols and procyanidins in cocoa and chocolate containing samples,J.Chromatorg.A 2009,1216:4831−4840によって行われた分析。検出限界:0.9μg/mL。
上述のように生産された粉末抽出物の例示的な分析を図1A〜1Bに示す。粉末抽出物(p−MGE)を、それが処方されたカプセルから除去した(446mgの合計粉末抽出物)。市販される粉砕されたブドウ種子製品(Premium Muscadine Grape Seed Supplement,Nature’s Pearl,Advance NC)に対して、比較分析も行われた。合計フェノール類を、没食子酸を標準として用いて、比色Folin−Ciocalteau法の改変を用いて測定した。市販製品由来の粉末および含有物を水中に再懸濁させて、TissueLyzer(商標)(Qiagen)を用いてホモジナイズした。図1Aにおいて、データは、粉末または固体のグラムあたりのフェノール類のmgとして表される。n=3、**は、p<0.01を表わる。本開示の粉末抽出物は、粉砕されたブドウ種子を含む市販されるカプセルよりも有意に多いフェノール類を含む。粉末抽出物および市販の粉砕されたブドウ種子カプセル中の、個々のポリフェノール類−カテキン、没食子酸、エピカテキン、エラグ酸、プロシアニジン、およびカテキン−没食子酸(cat−gall)−も、質量分析検出(UPLC−MS)と組み合わせた島津超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)によって測定されて、標準に対する比較によって同定された。図1Bにおいて、データは、粉末のグラムあたりmgとして表される。評価された個々のフェノール化合物は、2つの製品間で同等または本開示の粉末抽出物において実質的に上昇した。
実施例2:マスカディンブドウ種子抽出物の生産
(1)450ポンドのブドウ種子を、オープンスチームケトル内に置いて、100ガロンの分画蒸気圧縮蒸留水を加えた。実施例1のように、オープンスチームケトルを用いたが、所望の量の水およびブドウ種子および皮を大気圧で保持することのできる任意の容器が適切であり得る。
(2)分画蒸気圧縮蒸留水中のブドウ種子を、約175華氏〜最高200華氏で約1時間〜約2時間加熱した。沸騰はフェノール化合物を破壊させるので、200華氏の最高温度は、ブドウ種子および水を沸騰させるのを避けるように設定される。加熱のあいだ、さらなる分画蒸気圧縮蒸留水が、合計140ガロンの水に到達するまで、15〜30分ごとに5ガロンの増加で加えられた。
(3)加熱後に、温度は低下されて、水中のブドウ種子は約170華氏〜約180華氏に冷却されて、それから、600メッシュのステンレススチール篩を通して濾過された。濾液をステンレススチールバレル内に集めた。
(4)ソルビン酸カリウムを(3)のブドウ種子の濾液に0.1%w/vまで加えた。
(5)(4)の濾液を約35華氏〜約40華氏の温度で少なくとも24時間冷蔵して、それから、1ミクロンフィルターを通して濾過した。有機食品グレードアルコールを抽出物の2%(v/v)まで加えて、ブドウ種子の液体抽出物を生産した。
上記の方法を用いて調製されたブドウ種子の液体抽出物は、実施例3に記載の方法を用いて作られたブドウの皮の液体抽出物と組み合わせ(ブレンド)されてよい。実施例2に記載の方法を用いて作られたブドウの皮の液体抽出物およびブドウ種子の液体抽出物の組み合わせ、またはブドウの皮の液体抽出物は、粉末抽出物を生産するために実施例1に記載のように噴霧乾燥されてよく、それは、例えば、カプセル化されてよく、または再構成されて液体を形成してよい。
実施例3:マスカディンブドウの皮の抽出物の生産
(1)200ポンドのブドウの皮をオープンスチームケトル内において、100ガロンの分画蒸気圧縮蒸留水を加えた。実施例1および2のように、オープンスチームケトルが用いられたが、所望の量の水およびブドウの種子および皮を大気圧で保持することのできる任意の容器が適切であり得る。
(2)ブドウの皮を、約175華氏〜最高200華氏で約1時間〜約2時間、分画蒸気圧縮蒸留水中で加熱した。最高温度の200華氏は、ブドウの皮および水が沸騰してフェノール化合物を破壊するのを避ける。加熱のあいだ、さらなる分画蒸気圧縮蒸留水が、合計140ガロンの水の添加のために、15〜30分ごとに5ガロンの増加で添加される。
(3)加熱後、温度を低下させて、水中のブドウの皮を約170華氏〜約180華氏まで冷却させて、それから、600メッシュのステンレススチール篩を通して濾過した。濾液をステンレススチールバレル内に集めた。
(4)ソルビン酸カリウムを、それから、ブドウの皮の濾液に0.1%w/vまで添加した。
(5)濾液を、それから、約35華氏〜約40華氏の温度で少なくとも24時間冷蔵して、それから、1ミクロンのフィルターを通して濾過した。有機食品グレードのアルコールを2%まで添加して、ブドウの皮の液体抽出物を生産した。
一部の態様では、ブドウの皮の抽出物中の合計フェノール類は、少なくとも約3g/L〜約8g/Lであってよい。
ブドウの皮の液体抽出物、単独、または実施例2に記載の方法を用いて作られたブドウ種子の液体抽出物の一部と組み合わせ。ブドウの皮の液体抽出物および実施例2に記載の方法を用いて作られたブドウ種子の液体抽出物の組み合わせ、または、ブドウの皮の液体抽出物を、実施例1に記載のように噴霧乾燥して粉末抽出物が生産され得て、それは、例えば、カプセル化されてよく、または再構成されて液体を形成してよい。
実施例4:公知のマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の抽出物を用いたヒト癌細胞におけるインビトロ試験
この実施例に記載される試験は、本開示に記載のものとは異なる方法によって作られたマスカディンブドウ種子の液体抽出物またはマスカディンブドウの皮の液体抽出物を用いて行なわれた。具体的には、抽出プロセスは加圧容器内で行なわれて、抽出温度は、少なくとも212華氏(沸騰)に到達した。
A.マスカディンブドウ種子およびブドウの皮の抽出物による癌細胞増殖の阻害
活発に増殖しているヒト前立腺、乳房、肺、膠芽腫、結腸、皮膚および白血病細胞−2または3個の異なる細胞株−を、24ウェルプレートの個々のウェル中に置いて、マスカディンブドウ種子または皮由来の増加する濃度の抽出物によって7日間処理して、抽出物が前立腺癌細胞の増殖を減少させるかどうかを決定した。ブドウ種子および皮の両方とも、抽出物は、ヒト前立腺癌(LnCaPおよびPC3細胞;図2A〜2B)、乳癌(ZR−75−1エストロゲン受容体陽性乳癌細胞、MDA−MB−231三種陰性乳癌細胞およびSKBR3 HER2過剰発現乳癌細胞;図2C〜2E)、肺癌(A549およびSK−LU−1細胞;図2F〜2G)、膠芽腫(U87およびU373細胞;図2H〜2I)、結腸癌(HCT116およびHT29細胞;図2J〜2K)、皮膚癌(SKMEL28およびRPMI 7951細胞;図2L〜2M)および白血病(THP−1急性ヒト単球性白血病細胞、HL60急性ヒト前骨髄球性白血病細胞、およびK562慢性ヒト骨髄性白血病細胞;図2N〜2P)を含む全ての7つのタイプの癌の増殖を減少させた。応答は、用いられた抽出物の投与量に依存し、同様の応答は、ブドウの皮の抽出物と比較したブドウ種子抽出物によって得られた。
B.マスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物によるMAPキナーゼ活性の阻害
ヒトMDA−MB−231またはZR−75−1乳癌細胞を、増加する期間、50μg/mLのマスカディンブドウ種子またはブドウの皮の抽出物とともにインキュベートした。分裂促進因子活性化タンパク質(MAP)キナーゼ活性を、Cell Signaling由来のホスホ−ERK1/ERK2に対する抗体を用いたウエスタンブロットハイブリダイゼーションによって、細胞抽出物において定量した。ホスホ−ERK活性の低減を、ローディングコントロールとしてβ−アクチンを用いてデンシトメトリーによって計算した。図3Aおよび図3Bにそれぞれ示されるように、マスカディンブドウ種子およびブドウの皮からの抽出物は両方とも、ホスホ−ERKの有意な減少を生じ、抽出物が増殖を有意に減少させることを示唆した。ブドウの皮の抽出物に対してブドウ種子の応答に有意差はなかった。
まとめると、実施例4に記載のインビトロの結果は、マスカディンブドウ種子またはマスカディンブドウの皮から単離された抽出物が、前立腺癌、乳癌、肺癌、脳腫瘍(膠芽腫)、結腸癌、および皮膚癌ならびに白血病の細胞の増殖を阻害することを示す。乳癌細胞の増殖の減少は、成長促進タンパク質キナーゼ、MAPキナーゼERK1およびERK2の活性の低減と関連した。これらの結果は、マスカディンブドウ由来の抽出物が、腫瘍増殖を減少させ得ることを示唆する。
実施例5:公知の液体マスカディンブドウ抽出物(l−MGE)による乳癌および肺癌の予防
この実施例に記載される試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の液体抽出物を用いて行なわれた。この液体抽出物は、以下、「l−MGE」と呼ばれる。
パートA:c−neuマウスにおけるl−MGEによる乳房腫瘍形成の予防
マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーターの指揮下の活性化ラットErbb2(c−neu)癌遺伝子が乳腺において特異的に発現された、雌FVB−Tg(MMTV)NKAMul/Jトランスジェニックマウス(c−neuマウス)は、6〜8月齢までには乳腺腫瘍(ヒト乳癌の同等物)を形成して、乳癌の予防のためのモデルとして用いられ得る。c−neuマウスを、3週齢(離乳時)に開始してマスカディンブドウ種子およびブドウの皮由来の液体抽出物(l−MGE)によって処置して、腫瘍が触知可能になるとすぐに(25週齢のとき)、または腫瘍が癒合したとき(31週齢のとき)に、屠殺した。l−MGEの投与量は、1日あたり25グラムのマウスに関しておよそ1.0mgのフェノール類であった(70kgの男性に関して1日あたりおよそ大さじ10杯または148mLの液体抽出物および20,000mgのフェノール類/リットルのl−MGEの平均濃度と同等である)。l−MGEを飲料水に加えて、1週あたり2回取り替えた。l−MGEを含む水と比較して、通常の水を受け取るマウスにおいて水または食物摂取の違いはなかった。25または31週の屠殺時に、乳房組織を除去して計量して、処置が、乳房腫瘍の増殖を減少させるかどうか決定した。加えて、マウスの総重量を決定して;組織学の後の評価のために心臓および腎臓も除去して計量した。
16匹(16)のマウスを平均21週間処置して、18匹(18)のマウスを平均31週間処置した(3週齢、離乳時に処置を開始)。21週齢マウスについては、10匹のマウスが通常の飲料水(コントロール)を飲み、6匹のマウスがl−MGEを飲み;31週マウスについては、10匹のマウスが通常の飲料水(コントロール)を飲み、8匹のマウスがl−MGEを含む水を飲んだ。体重、心臓および腎臓の重量の一般的パラメーターを図4A〜4C、図5A〜5B、および図6A〜6Bに示す。25週齢において、処置されたマウスまたは未処置マウスにおいて体重に違いはなかった(図4A)。31週齢において、l−MGEと比較して水を飲んでいるマウスの合計体重に有意差があった(図4B)。しかしながら、これは、マウスにおける大きいサイズの腫瘍に起因した;腫瘍なしの31週齢マウスの重量に違いはなかった(図4C)。25または31週齢において、水を飲んでいるマウス(コントロール)またはl−MGEを飲んでいるマウスの心臓重量または腎臓重量には、図5A〜5B、および図6A〜6Bにそれぞれ示されるように、有意差はなかった。処置中、マウスの食事または飲料の習慣に変化はなく、体重、心臓または腎臓重量の肉眼的変化がないことと一致した。これらの結果は、l−MGEによる処置がマウスによって十分に許容されたことを示唆する。
腫瘍は、雌c−neuマウスの乳腺組織全体を通じて進行して、およそ25週齢までには触知可能であった。25週齢c−neuマウスにおける個々の乳腺腫瘍を数えて、除去して計量して、合計腫瘤を決定した。未処置の25週齢c−neuマウスの乳腺組織には平均11.8±2.1の腫瘍が存在し、一方で、腫瘍の数は、l−MGEによって治療されたマウスの乳腺組織において5.4±0.9mまで減少して、図7に示されるように、54%(p=0.0327)の減少であった。25週例の未処置マウス由来の集められた腫瘍は1.3±0.3gの重量であり、一方で、l−MGEによって治療された25週齢マウス由来の集められた腫瘍は平均0.3±0.08gの重量であって、図8Aに示されるように、77%の減少(p=0.0132)であった。31週齢c−neuマウスにおける乳腺腫瘍が癒合して、合計腫瘤を除去および計量した。腫瘤は、l−MGEによって処置された31週齢c−neuマウスにおいても、平均9.2±1.2gから平均3.6±1.4gまで減少して、図8Aに示されるように、61%の減少(p=0.0012)であった。このことは、l−MGEが、乳房腫瘍の多重度および腫瘍負荷の両方を著しく減少させたことを示唆する。
25週齢で屠殺されたマウス由来の乳腺組織を、4%ホルマリン中に固定して、パラフィン包埋して、免疫組織化学分析のために5ミクロン切片に切断した。切片を、細胞増殖の尺度としてKi67に対する抗体とともにインキュベートした。図9に示されるように、l−MGEを飲んだ25週齢マウス由来の腫瘍は、未処置マウスと比較して増殖性細胞の数が有意に低減した。Ki67に関して染色された細胞の数は、l−MGEによって処置されたマウス由来の切片において領域あたり2.9±1.0細胞であるのに比較して、未処置マウス由来の切片において領域あたり6.8±1.4であり、57%の減少であった(p=0.384)。これらの結果は、l−MGEが細胞増殖を減少させることを示し、培養された乳癌細胞で観察された細胞数の減少と一致する。
25週齢で屠殺されたc−neuマウス由来の乳腺組織の切片も、活性ERK1/2MAPキナーゼ活性の尺度としてホスホ−ERK1/2に対する抗体とともにインキュベートした。図10に示されるように、リン酸化ERK1/2は、l−MGEによって処置されたc−neuマウスにおいて、未処置マウス由来の組織での10.5±3.1%から、2.9±0.9%に有意に減少して(n=7〜12、p=0.0375)、72%の減少であった。ERK1/2は、活性化の際に自己リン酸化されるので、リン酸化ERK1/2の減少は、l−MGEによって処置されたマウスの腫瘍組織における増殖性MAPキナーゼ活性の低減を示す。
通常の水(コントロール)またはl−MGEを飲んでいるc−neuマウス由来の腫瘍切片を、内皮細胞マーカー、CD34に対する抗体とともにインキュベートして、形態学および陽性CD34免疫反応性の組み合わせによって血管を同定した。図11に示されるように、l−MGEを飲んでいるマウス由来の腫瘍は、未処置マウス由来の組織での5.7±0.6血管/領域から、3.6±0.6血管/領域に、通常の水を飲んでいるマウスよりも少ない血管を有し(n=7〜12、p=0.0226)、37%の減少であった。このことは、ブドウ抽出物が血管新生を阻害することを示唆する。
間質腫瘍性線維症を、c−neuマウス由来の乳房腫瘍組織切片において定量化して、ピクロシリウスレッド、非特異コラーゲン染色によって染色した。コラーゲン反応産物は、コントロールと比較してl−MGE投与によって著しく減少した(図12)。ピクロシリウスレッド染色の相対量を定量化して、腫瘍内のコラーゲン量を領域あたりの線維症%として表した。MGEによる処置は、コントロールマウス由来の腫瘍における領域あたり2.7±0.7%線維症から、l−MGEによって処置されたマウスの腫瘍における領域あたり0.1±0.05%線維症まで、90%よりも多く間質線維症を減少させて(n=7〜12、p=0.0005)、抽出物が乳房腫瘍において癌関連の線維症を減少させることを示した。合わせると、これらの試験は、l−MGEが、乳房腫瘍の負荷および多重度の両方を、増殖、血管新生および線維症の低減を通して減少させることを示唆して、マスカディンブドウ由来の抽出物が、乳癌の予防のための新規の機能性食品を代表し得ることを示唆する。
まとめると、l−MGEによるc−neuマウスの処置は、増殖性マーカーKi67、成長促進タンパク質キナーゼ活性、血管の数および組織線維症の減少を伴って、腫瘍負荷および多重度を減少させた。これらの結果は、マスカディンブドウ由来の抽出物が、乳癌を予防し得ることを示唆する。
パートB:c−neuマウスにおけるl−MGEによる肺腫瘍形成の予防
発生中の胎児は、飲食物およびタバコの煙中の環境発癌物質の発癌性効果、焼成食品、および、経胎盤性の曝露後の空気汚染に非常に敏感である。母体および胎児の組織の両方による毒性物の酸化代謝は、DNA損傷を引き起こし、小児癌の始まりを最終的にもたらし得る。癌形成の潜伏に起因して、発癌物質に対する子宮内曝露は、晩年に発生する癌にさえ個々をかかりやすくさせ得る。BALB/c雄マウスをC57BL/6雌マウスと交尾させて、環境毒物に対する子宮内曝露に関するモデルとして用いた。妊娠マウスを、オリーブ油に溶解させた45mg/kg投与量の3−メチルコラントレンの腹腔内注入によって、懐胎の17日目に処置して、胎児において肺腫瘍を誘導した。オリーブ油ビヒクルの注入(0.5mL/0.35kg)をコントロールとして用いた。0日目は、腟栓が検出された場合、1日目として考えた。離乳後、マウスのコホートは、飲料水単独またはl−MGEを含む水(およそ1.0mgフェノール類/25gマウス)を受け取り、12月齢で屠殺された。
全てのマウスが肺腫瘍を発生したが、腫瘍多重度は、図13A〜13Bに示されるように、l−MGEによって処置された動物と比較して、コントロールマウスにおいてより高かった(4.2±0.5の合計腫瘍に対して、6.8±0.4の合計腫瘍、n=26〜32、p=0.0001)。l−MGEは、図14A〜14Bに示されるように、通常の水を飲んでいるコントロールマウスにおいて見られる合計腫瘍組織と比較して、雌マウスにおいて、合計腫瘍負荷も、およそ48%有意に減少させた(12.4±1.9g対6.5±1.2g、n=26〜32、p=0.014)。これらの結果は、l−MGEが、3−メチルコラントレンに子宮内で曝露されたマウスの雌の子孫において肺腫瘍の多重度および負荷の両方を減少させることを示唆する。
1年後に屠殺された雌マウス由来の肺組織を、4%ホルマリン中に固定して、パラフィン包埋して、免疫組織化学分析のために5ミクロンの切片に切断した。切片を、細胞増殖の尺度として増殖細胞核抗原(PCNA)に対する抗体とともにインキュベートした。図15に示されるように、l−MGEを投与されたマウス由来の腫瘍組織切片は、コントロール動物由来の腫瘍と比較してPCNAが有意に低減して(22.4±1.8対14.2±1.3、p=0.0009)、l−MGEは、腫瘍細胞増殖を低減させることよって、部分的に腫瘍付加を減少させることを示唆した。通常の水またはl−MGEを飲んでいる雌マウス由来の肺腫瘍切片を、内皮細胞マーカー、CD34に対する抗体とともにインキュベートして、血管を形態学および陽性CD34免疫反応性の組み合わせによって同定した。l−MGEによる処置は、図16に示されるように、通常の水を飲んでいる雌マウスと比較して、肺腫瘍組織における血管密度を有意に減少させて(20.5±2.2対11.3±1.3、p=0.0012)、ブドウ抽出物が血管新生を阻害することを示した。
まとめると、これらの結果は、l−MGEは、母親が子宮において化学発癌物質によって処置されて子孫が肺癌を発症しやすくされた雌マウスにおいて、腫瘍負荷および多重度、増殖性マーカーPCNA、および血管数を減少させることを示す。これらの結果は、マスカディンブドウから単離された抽出物が、環境毒物への子宮内曝露によって誘導される肺腫瘍の予防のための新規の機能性食品を代表し得ることを示唆する。
実施例6:齧歯類におけるマスカディンブドウ粉末抽出物(p−MGE)の毒性評価
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
p−MGEに対する齧歯類毒性試験の第一目標は、副作用を引き起こさない、または、生命を危うくする投与量の範囲を特定することであった。p−MGEに対する毒性試験は、マウスにおいて行なわれて、マウスの健康全般ならびにそれらの心臓、肝臓、肺および腎臓に対する抽出物の効果を評価した。
雄C57黒マウス(8週齢)を、飲料水単独(コントロール)または合計フェノール類の測定によって決定されたp−MGEの合計フェノール含有量に基づいて4つの上昇する投与量で飲料水中のp−MGEを受け取る群にランダム化した。マウスの日々の観察は、重量喪失(急激または累進的な重量喪失)、衰弱性下痢、脱水または減少した皮膚弾力、浮腫、かなり大きな腹部の拡大または腹水、進行性の皮膚炎、身づくろい不足に起因する荒い被毛または乱れた外観、痛みを示す丸まった姿勢、欲求欠如に起因する無気力または持続的な横臥位(decumbency)、咳、努力呼吸、鼻汁、黄疸、チアノーゼ、蒼白/貧血、不適当なヘッドキャリッジまたは頭の振りによって示される神経学的兆候、任意のオリフィスからの出血、または、日々の活動(例えば、飲食、歩行、または排泄)を妨げる任意の状態の評価を含んだ。屠殺する前に、マウスを代謝ケージに24時間置いて、食物摂取および糞便産生を測定して、尿を採取して腎臓損傷のマーカーを定量した。処置の4週目のあいだに、覚醒マウスにおいて血圧をテールカフ・プレチスモグラフィーによって決定して、イソフルラン(isofluorane)によって麻酔したマウスにおいて非侵襲性の小動物VEVO超音波イメージングシステムをMおよびBモードで用いて心臓機能を評価して、駆出率、短縮率、一回拍出量、心拍数および心拍出量を測定または計算した。マウスを処置の1ヶ月後に屠殺して;組織(心臓、腎臓、肺、肝臓、脾臓および脳)を計量して、4%ホルマリン中に固定して、パラフィン包埋して、5ミクロンで切断して、我々の施設の動物資源プログラムにおける獣医病理学者による分析のためにヘマトキシリン&エオシン(H&E)によって染色して、任意の全般的な構造上の異常を評価した。
4つの濃度のp−MGEが試験された。試験される濃度の範囲は、l−MGEによって慢性的に処置されたc−neuトランスジェニックマウスにおける乳房腫瘍の数およびサイズの有意な減少および実施例5に上述の肺癌の経胎盤性モデルにおける肺腫瘍のサイズおよび数の同様の減少を示す以前の試験に基づいた。これらの試験では、1日あたりのマウスあたりの液体マスカディンブドウ抽出物中の1mgのフェノール類の毎日の濃度が、腫瘍の多重度および投与量を減らすのに効果的であった。マウスにおける毒性試験に関して、試験されたp−MGEの4つの投与量は、0.25、0.5、1.0および2.0mgフェノール類/マウス/日であり、マウスにそれらの飲料水中に投与された。この月齢の平均的なマウスは、およそ25gまたは0.025kgの重量であるので、これは、10、20、40および80mgフェノール類/kg/日の投与量範囲に相当する。
4つの投与量でのp−MGEの4週の投与のあいだ、下痢、脱水、浮腫、腹部の拡大、被毛の喪失、減少した毛づくろい、または低減したレベルの活性、欲求、飲料または呼吸の観察はなかった。蒼白(palor)、黄疸またはチアノーゼまたは不快感(不適当なヘッドキャリッジまたは頭の振り)の任意の神経的兆候の示度はなかった。いかなるオリフィスからも出血または漏出はなかった。これらの結果は、マウスが、それらの正常な毎日の活動または健康に影響する任意の病理からフリーであったことを示唆する。
マウスを処置期間の終わりに計量して、合計体重に対するp−MGEの効果を決定した。より低い3つの濃度のp−MGEで処置されたマウスの体重に効果はなかったが、最も高い濃度のp−MGEによって処置されたマウスの平均体重は、未処置のコントロール群と比較してわずかに減少した(図17)。しかしながら、処置の最後の週の間に測定して、未処置マウスと比較して、食物摂取(図18A)、糞便産生(図18B)または尿容量(図18C)に効果はなく、飲食行動に対するp−MGEの効果をほとんど示唆しなかった。
屠殺のときに、様々な臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓および脳)を除去して計量して、それぞれの投与量のp−MGEによって処置したマウスの臓器重量を、未処置のコントロール群と比較した。それぞれの臓器の一部をホルマリン中に固定して、切断して、獣医病理学者による評価のためにH&Eで染色した。
屠殺のときに、心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓および脳(皮質、小脳、視床下部および脳幹内の領域)の切片を除去して計量して、それぞれの投与量のp−MGEによって処置されたマウスの臓器重量を、未処置のコントロール群と比較した。切片を4%パラホルムアルデヒド中で一晩固定して、70%エタノール中に2日間置いて、パラフィン包埋して、5ミクロンで切断して、H&Eで染色した。スライドは、動物資源プログラムの病理学部門に提出されて、獣医病理学者によって盲検様式で試験された。試験の結果を以下の表2に作り、以下に要約する。図19に代表的な画像も提供する。
全ての処置群内のマウスの心臓は、正常範囲内であるようだった;コントロールマウスの1つの心臓は、血管周囲リンパ球を有した。コントロール群および全ての治療群内のマウスの肺は、異常な肺病変を有する最も低い濃度のp−MGEで処置された群内の1匹のマウスを除いて正常範囲内であった。マウスの肝臓の大部分は正常であるようだったが、全ての群内のマウスは、コントロール群内のマウスでさえ、ある程度の髄外造血を有した;このタイプの造血はマウスの肝臓では珍しいことではない。加えて、一部のマウスは、ある程度まで生理学的であり損傷の示度でない肝臓の糖原病を有した。マウスの脾臓は一般に正常範囲内であり、最も高いp−MGE処置群内の1匹のマウスは、いくらかの髄外造血を有した。マウスの脳の異なる領域が試験されて、一般に正常範囲内であったが、2匹のマウスは、それらの位置およびサイズから正常な神経機能を妨げ得る偶発的な良性過誤腫であると考えられる類表皮嚢胞(epiermoid cysts)を有し;しかしながら、サイズの増大の遅さが占拠性病変(space−occupying mass)の存在に対する神経系による適合および補償を可能にするので、これらは、通常は臨床上サイレントである。
図20に示されるように、増大する投与量のp−MGEによって処置されたマウスの心臓の重量に違いはなく、表2および図19に示されるように、心臓の構造に対するいかなる効果もなかった。また、血圧も、治療およびコントロールマウス間で同様であった(図21)。未処置マウスの心臓のうちの1つは血管周囲リンパ球を有したが、p−MGEによって処置されたマウス由来の心臓は全て正常範囲内であった。心臓のパラメーター−駆出率、短縮率、心拍出量、一回拍出量および心拍数−は、全て、未処置のコントロールマウスと比較して、p−MGEによって処置されたマウスで同様であった(図22A〜22Eに示される)。これらの結果は、p−MGEが、心臓または血管系の構造または機能に対して効果がなかったことを示唆する。
未処置のコントロールマウスと比較して、p−MGEによって処置されたマウスの肺の重量に違いはなく(図23A)、肺の構造は、異常な肺病変を有した最も低いp−MGE治療群内の1匹のマウスを除いて、全て正常範囲内であった(表2を参照)。呼吸に対する抽出物のいかなる観察可能な効果もないことと組み合わせて、これらの結果は、p−MGEが、肺の構造または機能に効果がなかったことを示唆する。
2つの最も低いp−MGE(0.25および0.5mgフェノール類/マウス/日)および最も高いp−MGE(2.0mgフェノール類/マウス/日)濃度で処置されたマウスの肝臓の重量は、未処置マウスの肝臓の重量と異ならなかった。しかしながら、1.0mgフェノール類/マウス/日でのマウスの肝臓の重量は、コントロールと比較してわずかに増大した(図23B)。マウスの肝臓の大部分は、正常な構造を有するように見えたが、全ての群内のマウスは、コントロール群でさえ、ある程度の髄外造血を有した;病理学者は、このタイプの造血はマウスの肝臓では珍しいことではないと示した(表2を参照)。加えて、一部のマウスは肝臓の糖原病を有し、病理学者はそれを、生理学的であり損傷の示度ではないと示した。
マウスの腎臓を計量して、未処置マウスと比較して、p−MGEによって処置されたマウスの腎臓重量に違いはなかった(図23C)。上述のように、図18Cに示されるように尿容量に違いはなかった。尿アルブミンおよび尿アンギオテンシノーゲン(Aogen)を測定して腎機能を評価して、それらの値を尿クレアチニンの機能として表した。腎機能の尺度として、未処置マウスと比較して、増加する濃度で4週間処置されたマウスの尿中の尿アルブミンの量に違いはなく(図24A)、同動物の糸球体または尿細管におけるいかなる病理のないことと一致した(表2)を参照。加えて、未処置および処置されたマウス間で尿Aogenの量に違いはなく(図24B)、p−MGEは腎臓を傷つけないことを示唆し、病理学によって評価されたように腎臓糸球体および尿細管における病理がないことと一致した(表2を参照)。
p−MGEによって処置されたマウスの脾臓重量は、未処置のコントロールマウスと有意に異ならず(図23D)、マウスの脾臓は一般に正常範囲内であり、最も高いp−MGE処置群内の1匹のマウスは、いくらかの髄外造血を有した(表2を参照)。
p−MGEによって処置されたマウスの脳の重量は、未処置マウスと有意に異ならなかった(図23E)。脳を4つの領域−皮質、小脳、視床下部および脳幹−に分けて、それぞれ獣医病理学者によって試験された。試験された全ての脳領域は正常範囲内であったが;2匹のマウスは、それらの位置およびサイズから正常な神経機能を妨げ得ると病理学者が示す偶発的な良性過誤腫であると考えられる類表皮嚢胞を有したが、サイズの増大の遅さが占拠性病変の存在に対する神経系による適合および補償を可能にするので、これらは、通常は臨床上サイレントである(表2を参照)。
まとめると、これらの結果は、0.05、0.1、0.2および0.4mgフェノール類/mL/日のp−MGEの投与量によるマウスの4週の処置は、体重、臓器重量(心臓、肺、肝臓、腎臓、脳または脾臓)または構造、心機能および血圧、または腎機能に対して効果がなかったことを示す。これらの結果は、p−MGEが、試験された投与量でマウスによって十分に許容されたことを示唆する。
マウスにおいて毒性試験のために用いられたp−MGEの投与量は、0.05、0.1、0.2および0.4mgフェノール類/mL/日であった。マウスは、およそ5mL/日を飲むので、これは、それらの飲料水中でマウスに投与された試験されたp−MGEの投与量が、0.25、0.5、1.0および2.0mgの合計フェノール類/マウス/日であったことに相当する。この月齢の平均的なマウスは、およそ25gまたは0.025kgの重量であるので、これは、10、20、40および80mgの合計フェノール類/kg/日の範囲の投与量に相当する。ヒト成人患者に関して70kgの平均質量に基づいて、これは、ヒト成人に関して700、1400、2800、および5600mgのフェノール類/日の投与量の範囲に対応する。p−MGEカプセルは162mgの合計フェノール類/カプセルを含むので、これは、5、10、21および42カプセル/日を摂取することに対応する。マウスを治療するために用いられたフェノール類の量、および、これらの投与量で毒性がないことは、対応する数のカプセル中のフェノール類の量が、患者によって十分に許容されること示唆する。
実施例7:妊娠に対するp−MGEの効果
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
妊娠ラットをp−MGEで処置して、母親およびそれらの子孫の両方の健康に対する抽出物の効果を測定して、妊娠可能年齢の女性および妊娠した母親へのp−MGEの投与の安全性を決定した。Sprague−Dawleyラットに、交尾の1週前およびそれらの妊娠の時間全体を通して、p−MGE(それらの飲料水中、0.2mg/mL)を投与した。懐胎の19日目に(ラットの通常の妊娠は21日である)、妊娠ラットをVEVO 2100でスキャンして、子宮および臍部の血流を測定して、心血管系の機能を決定した。ラットを代謝ケージ内に置いて、尿排泄作用、食事および水分の取り込みを、母体健康としての測定として測定した。懐胎の21日目に、妊娠ラットの血圧を測定してラット/子ラットを屠殺して、子ラットの数、子ラットの重量および子ラットの健康を測定した。
p−MGEをそれらの飲料水中に投与された妊娠した母親の心臓の健康を、心臓の超音波によって評価した。通常の水を飲んでいる妊娠ラットと、妊娠した母親を比較して、心収縮力および収縮機能(一回拍出量、駆出率、短縮率または心拍出量)のパラメーターに対する、p−MGEの効果はなかった。臍静脈を通る血流として測定された、成長中の子に対する血流にも効果がなかった。これらの結果は、p−MGEが、妊娠した母親の心血管系の健康を損なわないことを示唆する。妊娠した母親を懐胎の10〜20日目に代謝ケージ内に24時間置くことによって測定された食事または水分の取り込みまたは尿容量に対しても、p−MGE処置の効果はなかった。テールカフ・プレチスモグラフィーによって測定された血圧も、通常の水またはp−MGEを飲んでいる妊娠ラットで異ならなかった。母親の様々な臓器(膵臓、肝臓、脾臓、肺、脳、心臓および腎臓)の重量は、通常の水またはp−MGEを飲んでいる妊娠した母親で異ならなかった。最後に、コントロールと比較して、p−MGEを投与された母親からの子の長さ、または、p−MGEを飲んでいる親に生まれた子の数に、違いはなかった。
まとめると、これらの結果は、妊娠可能年齢の女性または妊婦へのp−MGEの投与は、母親の心血管系の機能、血圧、体重、または臓器重量、または、子の数または長さに関して、母親またはそれらの子孫の健康全般に負の影響を及ぼさないことを示唆する。子の内臓組織学的分析は、進行中である。
実施例8:AngIIによって誘導される高血圧に対するp−MGEの効果
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
高血圧および高血圧によって誘導される心臓損傷に対するp−MGEの効果を、アンジオテンシンII(AngII)によって誘導される高血圧を有するラットにおいて測定した。Sprague−Dawleyラット(雄、8〜12週齢)を、通常の飲料水(コントロール)、p−MGE単独(それらの飲料水中に0.2mg/mLの合計フェノール類)、AngII単独(埋め込まれた浸透圧ミニポンプを介して24μg/kg/h)、または、p−MGEおよびAngIIによって、4週間処置した。250gラットについて、この量のp−MGEは、およそ20mgフェノール類/kg/日に相当する。p−MGEの投与は、AngIIによる処置の1週間前に開始された。血圧を、同一の個体によって同じ時刻に、テールカフ・プレチスモグラフィーによって毎週記録した。イソフルランによって鎮静されたラットにおいて、VisualSonics Vevo 2100 High−Resolution Imaging Systemを21MHz周波数変換で用いて心エコー検査を行なった。心臓パラメーターを定量化するためのスキャンを、中央−乳頭レベルでMモード傍胸骨短軸像において、組織ドップラーを、4チャンバービューにおいて僧帽弁輪で、および、脈波ドップラーを、4チャンバービューにおいて取得して、経僧帽弁流入を測定した。
通常の水を飲んでいるラットの収縮期血圧は、4週の処置期間にわたって変わらなかった(ベースラインで118.6±2.4mmHgおよび4週で123.1±2.3mmHg)。AngIIによるインフュージョンは、収縮期血圧を、4週の期間にわたって120.4±2.4mmHgから213.1±6.8mmHgに有意に増大させた。飲料水へのp−MGEの添加は、図25に示されるように、AngIIによる処置を伴うまたは伴わないラットにおいて、4週の処置にわたって収縮期血圧を変えなかった。4週の処置の終わりに、ラットを計量して、p−MGEが体重に対して有するかどうか決定した。AngIIは4週の処置期間にわたって体重を減少させたが、p−MGEは、図26に示されるように、AngIIの不存在または存在において体重に対して効果がなかった。屠殺のときに、心臓を除去して計量して、脛骨を解剖して測定して、心臓肥大の全体測定として心臓重量/脛骨長を決定した。いかなる処置群においても心臓重量/脛骨長に違いはなかった(データ示さず)。これらの結果は、p−MGEによる処置が、AngIIによって誘導される高血圧またはAngIIによって誘導される体重の減少を悪化させないことを示す。
心臓の駆出率および短縮率を、収縮機能の尺度として、VisualSonics Vevo 2100 High−Resolution Imaging Systemを用いて中央−乳頭レベルでMモード傍胸骨短軸像において測定した。図27A〜27Bに示されるように、心臓の駆出率も短縮率も、正常血圧のラットと比較して、高血圧を有するラットにおいて異ならなかった。加えて、正常血圧または高血圧ラットの心臓の駆出率または短縮率に対するp−MGEの効果はなかった。このことは、AngIIもp−MGEも、心収縮力に対して効果がないことを示唆する。
左心室の再構築に対するp−MGEの効果を測定するために、左心室の後方壁の厚さ、拡張期の終わりの左心室の直径、および、左心室の壁の厚さを、p−MGEによる4週の処置後に、中央−乳頭筋のレベルでMモード傍胸骨短軸像を用いて正常血圧およびAngII依存性高血圧ラットにおいて測定した。図28A〜28Cに示されるように、AngIIは、左心室の後方壁の厚さ、ならびに、相対的な壁の厚さを増大させたが(パネルAおよびC)、左心室の直径を低減させて(パネルB)、AngIIまたはAngII依存性の血圧の増大が、左心室の肥大を引き起こして、壁の厚さを増大させて、心室の空洞を減少させることを示唆した。p−MGEの同時投与は、正常血圧または高血圧ラットにおいて、壁の厚さまたは左心室の内径に効果がなかった。これらの結果は、AngIIは左心室再構築を引き起こすが、p−MGEの同時投与は左心室再構築を悪化も減少もしないことを示唆する。
拡張期の機能をe’として測定して、左心室の弛緩を評価して、E/e’を測定として、左心室の充填圧力を評価した。図29A〜29Bに示されるように、AngIIによる4週の処置は、e’を減少させて、AngIIまたはAngIIによって仲介される血圧増大は、左心室が拡張期中に弛緩する能力を減少させることを示唆した。p−MGEによる処置は、e’の減少を防ぐ傾向にあるが、結果は統計的有意性に到達しなかった。しかしながら、E/e’は、AngIIによる処置によって有意に増大して、E/e’の増大は、p−MGEの同時投与によって防止された。これらの結果は、AngIIが拡張期の機能障害を引き起こすこと、および、p−MGEの同時投与がAngIIによって誘導される拡張期の機能障害を改善することを示す。
処置されたラットの心臓切片を、ホルマリン中に固定して、パラフィン包埋して、5ミクロンの切片に切断した。それぞれの心臓由来の切片をピクロシリウスレッドによって染色して、合計コラーゲン沈着を同定した。図30A〜30Bに示されるように、AngIIは、代表的な画像における赤染色の増大として示されてグラフにおいて定量化されるように、間質線維症の量を増大させた。p−MGEによる同時投与は、AngIIによって仲介されるコラーゲンの増大を弱めて、左心室の剛性を低減させる合計コラーゲン染色を減少させた。これは、抽出物が心室の剛性を低減させて拡張期の機能障害を減少させる能力の原因となり得る。
処置されたラットの心臓切片を、小麦胚芽アグルチニンに対する抗体によっても染色して、個々の心筋細胞の細胞膜の輪郭を描いた。それから、図31A〜31Bに示されるように平均断面積(MCSA)を決定した。AngIIまたはAngIIによって仲介される高血圧は、左心室内の筋細胞のMCSAを増大させて、心臓肥大を引き起こした。p−MGEの同時投与は、AngIIによって仲介される筋細胞領域の増大を有意に弱めて、p−MGEが心筋細胞肥大を減少させることを示した。心臓肥大におけるこの低減は、p−MGEが拡張期の機能障害を減少させる能力にも寄与し得る。
まとめると、これらの結果は、p−MGEが、AngIIによって誘導される高血圧および心臓損傷を悪化させないことを示す。さらに、抽出物は、心臓の間質線維症および心筋細胞サイズの減少を伴って、拡張期の機能障害を有意に弱めた。これらの結果は、p−MGEが、高血圧を有する患者において安全に用いられること、および、高血圧によって誘導される線維症および拡張期の機能障害から心臓を保護し得ることを示唆する。
実施例9:乳房腫瘍におけるマスカディンブドウ種子および皮の粉末抽出物(p−MGE)の有効性
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
乳房腫瘍増殖に対するp−MGEの有効性を、増大する投与量でp−MGEによって処置された雌マウスにおいて腫瘍増殖を測定することによって決定した。無胸腺マウス(雌、15〜20g、5〜6週齢)の第4鼠径部乳腺パッドに、3×10の活発に増殖しているMDA−MB−231ヒト三種陰性乳癌細胞(マトリゲル中に50:50で懸濁される)を注入した。マウスは、12時間の明暗サイクルでHEPA濾過空気とともにケージ内に閉じ込められて、通常のラット固形飼料を適宜供給された群である。腫瘍サイズを、カリパスを用いて、意識のある動物において1週間に2回測定して、半楕円(4/3πr)/2)]に関する式を用いて腫瘍体積を計算した。腫瘍が100mmのサイズに到達したときに、飲料水中に0.05、0.1、0.2、または0.4mgフェノール類/mLのp−MGEによる処置のためにマウスを無作為化して(25gマウスに関して0.25、0.5、1および2mgフェノール類/マウス/日の投与量に対応する);コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。4週の処置後に、マウスを屠殺して腫瘍を計量した。
無胸腺マウスにおいて増殖しているヒト三種陰性乳房腫瘍の体積は、4週の期間にわたって増大した。p−MGEによる処置は、腫瘍体積の用量依存的な減少を引き起こし、それは、図32Aに示されるように、4週の処置後に、全ての4つの試験された投与量においてコントロールマウスと有意に異なった。腫瘍の重量も、図32Bに示されるように、通常の水を飲んでいるマウス(コントロール)と比較して、投与量依存的に減少した。
p−MGEによる腫瘍増殖の減少に関するメカニズム(単数または複数)を同定するために、処置されなかった腫瘍(コントロール)および0.1mgフェノール類/mLによって処置された腫瘍からRNAを単離して、細胞増殖に関与する重要なタンパク質および酵素をコードする遺伝子をRT−PCRによって定量化した。図32Cに示されるように、二重特異性ホスファターゼ1(DUSP)としても知られる、分裂促進因子活性化タンパク質(MAP)キナーゼホスファターゼ(MAKP1)は、p−MGEによる処置によって有意に増大した。DUSP1は、MAPキナーゼの活性を減少させるので、DUSP1の増大は、乳癌細胞において観察されるMAPキナーゼ活性の減少の原因となり得る。対照的に、血小板由来増殖因子(PDGF)は、図32Dに示されるように、コントロールマウスと比較して、p−MGEによって処置されたマウス由来の腫瘍において、有意に減少された。PDGFはMAPキナーゼシグナリングに関与する主な成長因子なので、p−MGEによって誘導されるPDGFの減少は、p−MGEによる処置によって腫瘍増殖の減少にも関与し得る。細胞周期の制御も腫瘍増殖に重要でありかつ複雑であり、非常に多くの調節タンパク質、タンパク質キナーゼおよびサイクリンを伴う。p−MGEは、図32Eに示されるように、コントロールマウスの腫瘍と比較して、p−MGEによって処置されたマウスの腫瘍において、p21を有意に増大させた。図32Fにおけるパスウェイに示されるように、p21はサイクリン依存性タンパク質キナーゼ/サイクリンの活性を調節する阻害剤であるので、p−MGEによる処置によるその減少も、p−MGEによって誘導される腫瘍サイズの減少に関与し得る。
まとめると、これらの結果は、0.05〜0.4mg/mLの濃度のp−MGEは、無胸腺マウスにおいてヒト三種陰性乳房腫瘍の体積および重量を減少させたことを示す。MAPキナーゼホスファターゼDUSP1の関係がある増大、成長因子PDGFの減少、および、サイクリン依存性タンパク質キナーゼ阻害剤p21の増大は、p−MGEによって処置されたマウスにおける乳房腫瘍増殖の減少に関与し得て、p−MGEによる処置が、乳癌を有する女性のための新規の治療となり得ることを示唆する。
実施例10:脳特異的転移細胞に対するp−MGEの効果
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
脳に特異的に転移する三種陰性乳癌細胞株を開発して、脳特異的三種陰性乳癌に対するp−MGEの効果をインビトロおよびインビボで試験した。脳への三種陰性乳癌転移の2匹の同一遺伝子のマウスモデルを、動脈内の注入後に、同一遺伝子の宿主の、脳を通る細胞の連続的な選択(5×)を介して、Wake Forest School of Medicineにおいて開発した(Balb/cマウスにおいて「三種陰性」4T1.luc2−Br5およびC57Bl/6マウスにおいてER+Eo771.luc−Br5)。生じた細胞は、脳に高度に特異的であった。3つのさらなるヒト脳転移細胞株が得られた(HER2+MDA−MB−361およびMCF7−HER2−Br3は、Dr.Pat Steegによって寄贈されて、「三種陰性」MDA−MB−231Brは、Dr.Janet Priceによって寄贈された)。これらの細胞株を用いて、クローン原性増殖、激増、DNA損傷およびアポトーシスを測定することによって、転移増殖に対するp−MGEの効果を試験した。
4T1.luc2−Br5およびER+Eo771.luc−Br5の細胞を、6ウェル組織培養プレート内にクローン原性密度で蒔いて一晩付着させて、その後にp−MGEによって処置して、細胞を10〜14日間増殖させた。クローン原性効率を、蒔かれた細胞のパーセンテージとして形成されたコロニーの数として計算して、それから、コントロールに対して標準化した。図33に示されるように、7.5μg/mLの投与量で、p−MGEは、4T1.luc2−Br5細胞のクローン原性生存を50%低減させた。Eo771.luc.Br5細胞は、p−MGEに対してわずかにより感受性であり、5μg/mLで33%阻害および7.5μg/mLで91%阻害を示した。
転移脳細胞の増殖の阻害に関する分子メカニズムを同定し始めるために、細胞をp−MGE(10μg/mL、4または24時間)とともにインキュベートして、細胞溶解物をウエスタンブロット分析によってプローブした。図34Aに示されるように、細胞溶解物は、活性化された分裂促進因子活性化タンパク質(MAP)キナーゼ、リン酸化ERK1/2に対する抗体を用いてプローブされた。全ERK1/2タンパク質に対するERK1/2の相対的リン酸化は、ImageJを用いてデンシトメトリーによって得られた。24時間のp−MGE処置は、4T1.luc2.Br5細胞株において、その対応するコントロールと比較して、リン酸化ERKの68±3%低減を引き起こし(p<0.05)、一方で、ERK1/2リン酸化における一貫した有意な変化は、Eo771.luc.Br5、MDA−MB−231Br、またはMCF7.HER2.Br3細胞株で観察されず、増殖性タンパク質キナーゼが、4T1三種陰性脳特異的細胞においては、p−MGEによって誘導される細胞増殖の阻害に関与し得るが、全ての脳特異的転移乳癌細胞においては関与しないことを示唆した。
脳特異的溶解物を、サイクリンD1に対する抗体によってもプローブして、p−MGEが、細胞周期の減少によって細胞増殖を低減させるかどうか決定した。サイクリンD1は、細胞周期の進行および増殖の主な調節因子である。図34Bに示されるように、データは、24時間のp−MGE処置は、サイクリンD1タンパク質レベルを、4T1.luc2.Br5、Eo771.luc.Br5、およびMDA−MB−231Br細胞において低減させたことを示唆し、抽出物が細胞周期を調節して増殖を減少させ得ることを示唆する。
最後に、脳特異的乳癌細胞溶解物を、PARPおよびカスパーゼ3に対する抗体によってプローブして、p−MGEが、乳癌細胞の増殖を減少させるメカニズムとしてアポトーシスを増大させるかどうか決定した。図35に示されるように、p−MGE処置(10μg/mL、24時間)は、ウエスタンブロットによる開裂PARPならびにカスパーゼ3の活性の開裂型の検出によって示される、4T1.luc2.Br5細胞のアポトーシスを誘導した。対照的に、PARPまたはカスパーゼ3切断は、これらの条件下では、Eo771.luc.Br5、MDA−MB−231Br、またはMCF7.HER2.Br3において観察されなかった(図35および図示せず)。これらの結果は、p−MGEが、細胞増殖の減少に関するメカニズムの一部として、全てではないが一部の脳特異的乳癌細胞において、アポトーシスを刺激することを示唆する。
実施例11:乳癌増殖および遊走に対するp−MGEの効果[新]
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
A.三種陰性乳癌(TNBC)
転移乳癌増殖に対するp−MGEの効果を決定するために、我々は、IncuCyte Zoomリアルタイムイメージングシステムを用いてインビトロ試験で、三種陰性乳癌(TNBC)細胞が増殖および遊走する能力を評価した。図36Aおよび図36Bに示されるように、MDA−MB−231ヒトTNBC細胞の増殖は、増加する濃度のp−MGEによって用量依存的な様式で低減した。48時間の処置後、25μg/mLのp−MGEは、増殖を2.7±0.2から1.4±0.1細胞核/mmまで減少させて、未処置またはコントロール細胞と比較して48%の阻害であった。図37A〜37Cに示されるように、同様の用量依存的な増殖の減弱が、3つのさらなるTNBC細胞株で見られた:(1)BT549ヒトTNBC細胞、48時間の処置後、25μg/mLのp−MGEは、増殖を1.6±0.1から0.9±0.1細胞核/mmまで減少させて、未処置またはコントロール細胞と比較して44%の阻害であった;(2)BT−20ヒトTNBC細胞、48時間の処置後、25μg/mLのp−MGEは、増殖を1.5±0.1から1.1±0.1細胞核/mmまで減少させて、未処置またはコントロール細胞と比較して27%の阻害であった;(3)4T1マウスTNBC細胞、48時間の処置後、25μg/mLのp−MGEは、増殖を3.0±0.3から1.2±0.2%コンフルエンスまで減少させて、未処置またはコントロール細胞と比較して60%の阻害であった。増加する濃度のp−MGEは、図38A〜38Dに示されるように、ERK1およびERK2のリン酸化および活性化を、10μg/mLのp−MGEで40%、20μg/mLのp−MGEで80%減少させて、p−MGEがMAPキナーゼ活性を低減させて、三種陰性乳癌細胞の増殖を減少させることを示唆した。
p−MGEによる三種陰性乳癌細胞増殖の阻害に関与するパスウェイを同定するために、4T1マウス三種陰性乳癌細胞を、減少した血清培地中で24時間、事前インキュベートして、その後に、1から12時間まで増大する期間のあいだ、20μg/mLのp−MGEによってインキュベーションした。RNAを、製造業者の指示書に従ってTRIzolにおいて単離して、RNAseqを用いた遺伝子発現プロファイリングの分析のためにWake Forest University Comprehensive Cancer Center Genomics Coreに提出した。多くの遺伝子が、12時間の経過にわたってp−MGEによる処置によって変化した;RT−PCRおよびウエスタンブロットハイブリダイゼーションによるさらなる分析が、遺伝子発現におけるこれらの変化を実証するために必要である。これらの遺伝子アレイのEPIG(マイクロアレイ遺伝子発現パターンを抽出し、同時発現された遺伝子を同定する(xtracting microarray gene expression atterns and dentifying co−expressed enes)ための方法)GlobalGenePattern分析は、図39に示されるように、p−MGEを用いた処置によって上方制御される、下方制御される、または有意に変更されない、9個の別個のパターンにわたる2009個の遺伝子を同定した。p−MGEによって上方制御された遺伝子ファミリーは、炎症性またはリポ多糖(LPS)応答に関与する29個の遺伝子、ウイルス防御またはインターフェロンβ(IFNβ)応答に関与する272個の遺伝子、および、自食作用または小胞体(ER)ストレス応答に関与する741遺伝子を含んだ。対照的に、ヌクレオソーム集合または先天性の免疫応答に関与する96個の遺伝子、および、細胞周期または細胞分裂に関与する748個の遺伝子は、下方制御された(細胞周期の制御に関与するタンパク質およびMAPキナーゼシグナリングにおける変化と一致する)。4つのさらなる遺伝子パターンは、有意な富化を示さなかった。
TNBCは、肺、肝臓、骨および脳を含む体内の様々な臓器に転移する乳癌の侵襲性の形態であり、転移乳癌は、TNBCを有する女性においてしばしば死亡原因となる。転移増殖につながるカスケードにおける第一ステップとして、TNBC細胞は、原発性腫瘍から離れて遊走して、血流中に血管内侵入して、離れた部位に移行して、組織中に血管外遊出して、増殖して転移腫瘍を形成する。TNBC細胞の遊走を、IncuCyte(商標)Zoomシステムを用いて分析して、コンフルエントな細胞単一層の中央において800μmゾーンを露出させることによって作られた「創傷」への移動を測定した。試験された細胞株は、4T1細胞、MB−MDA−231細胞、およびBT−549細胞であった。MB−MDA−231を用いて行われた実験に関する代表的な画像セットを図40Aに示す。露出領域は、それぞれの画像を横切る中央の淡い灰色の水平のストリップとして見られて、画像の上部および下部の中位の灰色の領域は、露出領域のそれぞれのサイドにおけるコンフルエントな細胞の領域である。それから、露出されたストリップの上部および下部から細胞が創傷へ移動した距離を記録して、増加する濃度のp−MGEによる24〜48時間の処置期間にわたって2時間ごとに測定した。細胞の遊走は、t=12時間およびt=24時間に関して、淡い灰色の露出領域へ侵入している最も濃い灰色ゾーンとして、画像中に可視化される。図40Bに示されるように、露出されたゾーンへのMDA−MB−231ヒトTNBC細胞の移動は、時間とともに増加して;移動距離の減少は、p−MGEの量に依存性であった。同様に、図40Cおよび図40Dに示されるように、4T1細胞は、処置期間中に創傷へ移動し、細胞遊走は用量依存的に減少した。同様の結果が、BT−549 TNBC細胞を評価する実験において得られた(データ示さず)。
まとめると、これらの結果は、p−MGEが、TNBC細胞の増殖および遊走を減少させて、離れた転移部位へのTNBCの遊走/侵襲を低減させることを示唆する。p−MGEは、MAPキナーゼERK1/2のリン酸化および活性化を減少させる。最近の遺伝子発現プロファイリングは、p−MGEとともにインキュベートされた4T1三種陰性乳癌細胞において上方制御される、下方制御される、または変更されない数多くの遺伝子を同定していて、非常に多くのパスウェイが、抽出物による細胞増殖の制御に関与することを示唆する。これらの結果は、p−MGEが、乳癌のこの侵襲性形態における主な死亡原因であるTNBCにおける一次および侵襲性の増殖の両方を減少させ得ることを示す。
B.HER2過剰発現乳癌
ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)過剰発現乳癌は、HER2の発現の増大によって特徴付けられる。HER2陽性乳癌は、乳癌の侵襲性の形態であり、肺、肝臓、骨および脳を含む体内の様々な臓器へしばしば転移する。エストロゲン受容体(ER)またはプロゲステロン受容体(PR)が、HER2乳癌内に存在してよく、または存在しなくてよい。HER2過剰発現乳癌のための標的化療法は、ハーセプチン(登録商標)として市販される、モノクローナル抗体治療的なトラスツズマブを含むが、原発性疾患を有する患者の20%および転移性疾患を有する患者の70%は、この薬物に反応せず、初めに応答する70%は、転移性疾患に進行する。したがって、原発性または転移HER2陽性乳癌を有する患者のためのさらなる薬物に関する明らかな必要性が存在する。この研究は、IncuCyte Zoomリアルタイムイメージングシステムを用いて、HER2陽性ヒトSKBr3乳房細胞がインビトロで増殖する能力に対するp−MGEの影響を評価した。細胞を96ウェルプレートに蒔いて、フェノール類(μg)/培養培地(mL)として計算して増加する濃度のp−MGEで処置した。細胞増殖を48時間に測定して、水のみで処置されたコントロールマウスにおける増殖のパーセントとして定量化した。図41Aに示されるように、SKBr3細胞の増殖は、増加する濃度のp−MGEによって用量依存的な様式で低減されて;40μg/mLのp−MGEによる処置は、コントロールと比較して、増殖を60%減少させた。
HER2過剰発現乳癌細胞の阻害に関与する分子メカニズムを同定するために、SKBr3細胞を、増加する期間のあいだ、20μg/mLのp−MGEとともにインキュベートして、細胞溶解物を、(1)セリン473上のAKTリン酸化に関する抗体、(2)トレオニン308上のAKTリン酸化に関する抗体、および(3)リン酸化mTOR(p−mTOR)に関する抗体を用いてウエスタンブロットによって分析した。GelDocを用いてゲルを分析して、免疫反応性バンドを、ローディングしたタンパク質の合計量/レーンの分析によって、ローディングに関して標準化した。乳癌細胞および腫瘍において活性化される主なパスウェイの1つは、AKT/タンパク質キナーゼBパスウェイであり、増大した増殖および生存をもたらす。図41Bおよび図41Cに示されるように、20μg/mLのp−MGEによるSKBr3細胞の処置は、セリン473またはトレオニン308のそれぞれに対してAKTリン酸化の時間依存的な減少を引き起こした。16時間の処置後、セリン473またはトレオニン308に対するAKTのリン酸化は、p−MGEによって60%減少された。リン酸化Aktに応答して活性化される主な標的は、ラパマイシンの哺乳類の標的、mTORである。また、増加する濃度のp−MGEによるSKBr3細胞の処置は、図41Dに示されるように、リン酸化および活性化されたmTORの用量依存的な増大をもたらした。16時間の処置後、mTORのリン酸化は、p−MGEによって50%減少された。
これらの結果は、p−MGEによるHER2過剰発現乳癌細胞の処置は、増殖の減少に関与し得るAKT/mTORシグナリングを減少させることを示し、抽出物が、HER2乳癌を有する患者のための有用な治療となり得ることを示唆する。
実施例12:放射線と組み合わせたp−MGEの有効性
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
癌患者の3分の2よりも多くが、それらの疾患の経過中に放射線による治療を受ける。放射線療法は、部分的/全体的な脳放射線療法として、または標的化されたガンマナイフ療法として送達されるかにかかわらず、ときには外科的処置とともに、乳癌患者における脳転移病変の治療のための治療の標準のままである。我々は、放射線の存在下および不存在下でp−MGEを用いて脳特異的乳癌細胞を処置して、組み合わせた治療の効果を決定した。4T1.luc2.BR5またはEo771.luc.Br5細胞株のマウスの脳特異的転移乳癌細胞を、6ウェル培養プレート内にクローン原性密度で24時間蒔いて、それから、p−MGEによって24時間処置した。24時間の薬物処置後、細胞を、約4Gy/分の線量率で1〜6Gyの137Csγ光線によってシャム放射線照射または放射線照射して、細胞をさらに10〜14日間インキュベートした。そのときに、コロニーをクリスタルバイオレットで染色して、≧50細胞を含むコロニーをクローン原性生存数とスコアした。形成されたコロニーの数を、蒔かれた細胞の数で割って、シャム放射線照射細胞のプレーティング効率を掛けたものとして、生存率(fractional survival)(f)を計算した。組み合わせたモダリティ生存曲線を薬物単独の死滅に関して補正して、p−MGEの放射線増感の潜在性を評価した。図42Aおよび図42Bに示されるように、p−MGEによる処置は、放射線感度を有意に増大させなかった。しかしながら、図42Cおよび図42Dに見られるように、p−MGEおよび2Gy放射線(脳転移を有する患者の治療のための関連のある分割線量)の投与は、いずれかの処置単独よりも(then)大きな低下をもたらし、相加的効果を示唆した。
これらの結果は、p−MGEが、放射線療法と組み合わせて安全に用いられ得ること、および、その併用療法が、個々の治療単独よりも効果的であり得ることを示唆する。
実施例13:タモキシフェンと組み合わせたp−MGEの有効性
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
乳房腫瘍の大部分は、腫瘍細胞の表面上のエストロゲン受容体(ER)の存在に基づき、ER+サブタイプである。ER+乳房腫瘍の増殖は、タモキシフェンのような受容体拮抗薬を用いたエストロゲン受容体のブロックによって、または、エストロゲンの産生をブロックする薬物(アロマターゼ阻害剤)によって、有意に減少され得て、それらは、ER+乳癌の治療のための標準治療と日常的に用いられる。ER+乳房腫瘍増殖の乳房腫瘍増殖の増殖を減少させるp−MGEの有効性を、p−MGEによって単独またはマウス固形飼料中に投与されるER+受容体拮抗薬タモキシフェンの存在下で処置された雌マウスにおけるER+腫瘍増殖を測定することによって決定した。無胸腺マウス(雌、15〜20g、5〜6週齢)の第4鼠径部乳腺パッドに、1×10の活発に増殖しているZR−75−1またはMCF7ヒトER+乳癌細胞を注入した。マウスは、12時間の明暗サイクルでHEPA濾過空気とともにケージ内に閉じ込められて、通常のラット固形飼料を適宜供給された群である。腫瘍サイズを、カリパスを用いて、意識のある動物において1週間に2回測定して、半楕円(4/3πr)/2)]に関する式を用いて腫瘍体積を計算した。腫瘍が30mmのサイズに到達したときに、0.1mgフェノール類/mL飲料水(25gのマウスに関して0.5mgフェノール類/マウス/日の投与量に対応する)、32mg/kg/dのおよその投与量のタモキシフェン(TAM、通常のマウスの固形飼料を、タモキシフェンを含む固形飼料で置き換えることによって投与される)、または、p−MGEおよびタモキシフェンの組み合わせのいずれかによる処置のためにマウスを無作為化して;コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。ZR−75−1ヒトER+乳房腫瘍を含むマウスのための7週の処置、または、MCF7 ER+乳房腫瘍を含むマウスのための5週の処置の後に、マウスを屠殺して、腫瘍を除去して計量した。
ZR−75−1 ER+乳房腫瘍またはMC7 ER+腫瘍のサイズおよび重量は、それぞれ図43および図46に示されるように、処置の期間にわたって増大した。p−MGEによる処置は、ZR−75−1またはMCF腫瘍の増殖を有意に減少させて、抽出物がER+乳房腫瘍において効果的であることを示唆した。予期されたとおり、タモキシフェンは、エストロゲン受容体をブロックすることによりER+腫瘍の両方の増殖を減少させて、増殖を減少させた。ZR−75−1およびMCF腫瘍の両方とも、p−MGEおよびタモキシフェンの組み合わせは、p−MGEまたはタモキシフェンのいずれか単独の効果と比較して、腫瘍増殖をさらに減少させた。腫瘍重量における同様の減少が、図44および47に示されるように、ZR−75−1およびMCF7腫瘍の両方で観察された。p−MGE、タモキシフェンまたは組み合わせを用いた処置によるZR−75−1腫瘍の腫瘍体積および重量の減少は、図45に示されるように、増殖マーカーKi67に関して陽性である細胞数の減少と関連した。
まとめると、これらの結果は、p−MGEが、ER+ヒト乳房腫瘍の増殖を減少させたことを示す。エストロゲン受容体拮抗薬タモキシフェンとp−MGEによる処置の組み合わせは、いずれかの処置単独と比較して、腫瘍増殖をさらに減少させて、p−MGEおよびタモキシフェンが組み合わせで用いられ得ることを示唆した。これらの結果は、p−MGEによる処置が、単独またはER+乳癌を有する女性のための標準治療であるエストロゲン受容体拮抗薬タモキシフェンと組み合わせて、ER+乳癌を有する女性のための新規の治療となり得ることを示唆する。
実施例14:LNCaP前立腺腫瘍に対するp−MGEの効果
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
p−MGEの有効性を、増加する投与量でp−MGEによって処置されたマウスにおけるLNCaP前立腺腫瘍増殖を測定することによって決定した。無胸腺マウス(雄、15〜20g、5〜6週齢)に、1.6×10 LNCaPヒト前立腺癌細胞(マトリゲル中に50:50で懸濁される)を下側脇腹へ皮下注入した。マウスは、12時間の明暗サイクルでHEPA濾過空気とともにケージ内に閉じ込められて、通常のラット固形飼料を適宜供給された群である。腫瘍サイズを、カリパスを用いて、意識のある動物において1週間に2回測定して、半楕円(4/3πr)/2)]に関する式を用いて腫瘍体積を計算した。腫瘍が100mmのサイズに到達したときに、0.05、0.1、0.2および0.4mgフェノール類/mL飲料水による増加する投与量のp−MGEによる処置のためにマウスを無作為化して(25gのマウスに関して、0.25、0.5、1および2mgフェノール類/マウス/日に対応する);コントロールのマウスは、通常の水を飲んだ。5週の処置後に、マウスを屠殺して腫瘍を計量した。
ヌードマウスの脇腹で増殖する前立腺腫瘍の体積は、5週の処置期間にわたって未処置マウスにおいて765.2±101.8mmまで増大したが、図48に示されるように、0.1mgフェノール類/mLで処置されたマウスの腫瘍は、364.2±108.9mmまで体積が増大して、0.4mgフェノール類/mLでは、190.2±26.4mmまで増大した。通常の水(コントロール)または増加する濃度のp−MGEのいずれかを飲んでいるマウス由来の前立腺腫瘍の重量も、図49に示されるように減少した。腫瘍をパラホルムアルデヒドに固定して、パラフィン包埋して、切断して、増殖のマーカーとしてKi67に対する抗体によって染色した。図50に示されるように、0.1mgフェノール類/mLによる処置は、領域あたりのKi67陽性細胞の数の36%減少を引き起こし、p−MGEが前立腺腫瘍細胞の増殖を減少させることを示唆した。
腫瘍の切片を、内皮細胞を標識するCD34に対する抗体でも染色して、腫瘍内の血管を同定して、血管の数に対するp−MGEの効果を決定した。図51に示されるように、0.1mgフェノール類/mLによる処置は、血管の数を有意に減少させた。コントロールおよびp−MGEによって処置された腫瘍の両方からRNAを単離して、血管新生因子血管内皮増殖因子(VEGF)および胎盤成長因子(PLGF)の相対的発現を、図52に示されるように、RT−PCRによって測定した。p−MGEによる処置は、コントロールと比較して、前立腺腫瘍におけるVEGFおよびPLGFの両方を減少させて、血管新生促進因子の減少は、p−MGEによって誘導される血管の減少と関連することを示唆した。
まとめると、これらの結果は、p−MGEが、増殖および血管新生の減少を伴って、マウスモデルにおいてヒト前立腺腫瘍増殖を減少させることを示し、p−MGEが前立腺癌のための効果的な治療となり得ることを示唆する。
実施例15:放射線によって誘導される線維症に対するp−MGEの効果
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
A.p−MGEおよび放射線によって誘導される筋線維症
癌を有する多くの患者は、彼らの治療の標準の一部として放射線治療を受ける。例えば、軟組織肉腫を有する患者は、放射線によって日常的に治療されて、骨格筋線維症および関節拘縮をもたらす。放射線による治療は、筋組織および隣接真皮内でコラーゲンの進行性の沈着を引き起こし得る。組織内のコラーゲン沈着の増大は、組織弾性を減少させて、機能硬直をもたらし、それは、放射線治療を受ける個々において、痛みおよび罹患の実質的かつ重大な原因である。
B.p−MGEは、照射後の骨格筋線維症骨格筋を予防する
軟組織肉腫のための放射線治療は、筋肉照射を含み、筋肉内のコラーゲンの沈着および肢硬直をもたらす。放射線によって誘導される骨格筋線維症に対するp−MGEの効果を決定するために、16週齢の雌Swiss Albinoマウスの右後肢は、四肢肉腫を有するヒトの治療をモデル化する放射線療法の模擬的コースを受けた(7.3 Gray(Gy)/分割の4つの合計分割は、2週のあいだ毎週2回与えられた。p−MGE(0.1mg/mL)が、放射線療法の前6日間および放射線療法が完了した後6週間、飲料水中で継続的に送達された。前脛骨筋(TA)の筋肉を組織学のために処理して、形態学における変化[ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色]および線維症(マッソン三色染色法)に関して試験した。放射線照射された筋肉は、活性の炎症の明瞭な領域を示し、それは、図53に示されるように、主に筋内膜の空間に含まれた。定性的に、この炎症は、p−MGEによって処置されたマウス由来の放射線照射された筋肉において小さくなったようであった。マッソン三色染色法を用いて組織線維症の領域を同定して、ImageJソフトウェアを用いて定量化した。p−MGEによる処置は、図54に示されるように、放射線治療によって誘導される線維症を、放射線照射していないレベルまで減少させた。
p−MGEによって誘導される線維症の減少のメカニズム(単数または複数)を決定するために、8週齢の雌の無胸腺マウスの右後肢は、ヒトでの四肢肉腫の治療のために用いられるものに関して生物学的に同等の投与量を適用することによって、軟組織肉腫の治療を再度模した放射線療法のコースを受けた:7.3 Gray(Gy)/分割の4つの合計分割が、2週間、毎週2回与えられて、p−MGEは、放射線療法の開始前6日間および試験全体を通して、飲料水(0.1mg/mL)中で送達された。線維症およびコラーゲン沈着のバイオマーカーは、6週の放射線療法の完了のときに特徴付けられた。形質転換増殖因子β(TGFβ)は、コラーゲン産生の公知の促進因子であり、照射後のブタの骨格筋内で増大する。筋肉内TGFβの増大は、8週の放射線の終わりにマウスにおいて観察されて、p−MGE治療は、図55Aに示されるように、放射線によって誘導されるTGFβ産生を有意に減少させた。TGFβシグナリングは、組織線維症の別の特徴である結合組織成長因子(CTGF)の産生を促進する。図55Bに示されるように、放射線治療は、CTGFの産生も増大させて、それは、p−MGEの同時投与によって有意に減少された。TGFβは、SMADシグナリングも開始させて、それは、コラーゲン産生を増大させて;SMADタンパク質は、リン酸化の際に、核に入って線維症を進行させるタンパク質の産生を増大させる転写因子として作用する、タンパク質のファミリーである。放射線治療は、SMAD2の発現を増大させて、それは、図55Cに示されるように、p−MGEの投与によって有意に減少された。これらの結果は、放射線治療が、組織線維症を増大させるようにTGBβ/CTGF/SMADパスウェイを活性化すること、および、p−MGEが、このパスウェイを弱めることによって線維症を減少させることを示唆する。
C.p−MGEは、放射線によって誘導される骨損傷を減少させる
170万の新規の年1回の癌診断のおよそ半分は、治療的電離放射線によって治療される。癌のスクリーニングおよび治療の改善がほとんどのタイプの癌に関する患者死亡率を低減させたので、放射線療法によって誘導される骨折もまた、主な関心事である。特に、衰弱させるものは、頸部、直腸および肛門癌のための骨盤放射線療法を受ける患者において高い割合で生じる大腿および骨盤不足の骨折であり;放射線治療によって生じる顎のネクローシスも、頭頚部癌の生存者において生じる。放射線療法は、したがって、癌患者における骨損傷および骨折の主な危険因子であり、機能性障害、痛み、および死亡率の主な原因として作用する。臨床的に生じる放射線療法によって誘導される骨損傷の原因は不明であるが、歴史的には低い骨形成および骨ミネラル密度を導く骨芽細胞への持続的な損傷に起因する。しかしながら、放射線治療は、骨を再吸収する破骨細胞の数および活性も急速に増大させて、骨の損失を導く。
破骨細胞の形成に対するp−MGEの効果を決定するために、前破骨細胞(RAW264.7細胞)を、0.0001、0.0002、または0.0004μg/mLのp−MGEによる24時間の事前処置後に、2Gyの照射によって処置した。単一の2Gy線量の放射線は、曝露の第一週内の破骨細胞数を増大させることが知られる1分割の放射線療法の治療と同等であり、急性骨喪失をもたらし;この線量の放射線は、齧歯類において放射線照射された部位における重大な早期骨喪失および細胞培養モデルにおいて破骨細胞の形成の増大も誘導する。図56に示されるように、2Gy照射前の24時間の0.0001、0.0002、および0.0004μg/mLのp−MGEによる前破骨細胞RAW264.7細胞の処置は、7日目に観察される早期の放射線によって誘導される破骨細胞数の増大を防いだ。このことは、ブドウ抽出物による処置が、放射線によって誘導される活性破骨細胞の増大を減少させて、骨吸収を減少させて骨喪失を防止し得ることを示唆する。
これらの試験は、p−MGEが、線維症を進行させるタンパク質の発現の増大をもたらすTGBβ/CTGF/SMADパスウェイの減少を通して、放射線によって誘導される線維症から筋肉を保護することを示す。加えて、放射線によって誘導される骨芽細胞形成の増大は、p−MGEによって減少される。これらの結果は、放射線療法によって治療された患者へのp−MGEの投与が、放射線によって誘導される線維症および骨芽細胞形成の増大を減少させ得て、関係がある筋硬直および骨喪失の低減をもたらすことを示唆する。
実施例16:他のマスカディンブドウ製品に対する比較における、p−MGEの特性化
この実施例に記載の試験は、実施例1に記載の方法によって作られたマスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物を用いて行なわれた。具体的には、粉末抽出物は、実施例5に上述した液体抽出物から作られた。以下、液体抽出物は「l−MGE」と呼ばれ、粉末抽出物は「p−MGE」と呼ばれる。
マスカディンブドウから作られた9個の異なる市販製品由来のカプセルの含有量を、比色Folin−Ciocalteau法の改変および没食子酸を標準として用いて、合計フェノール含有量/カプセルについて分析した。カプセルを周囲温度(およそ65華氏〜72華氏の室温)で保管して、試験されるときに、カプセルの含有物を水中に再懸濁して、合計フェノール類の測定の前にTissueLyzer(商標)(Qiagen)を用いてホモジナイズした。フェノール類の量を、図57に示されるように、カプセルあたり定量化した。分析された市販製品を以下の表3に記載する。カプセルの合計フェノール含有量は、p−MGEに関する178.9mg±6の高さから、Biopower Nutrition(BP)由来のMuscadine Grape Seed製品に関する11.8mg±0.9まで多様であった。Earth Natural Supplements由来のMuscadine Berries製品と比較して、p−MGE製剤は、カプセルあたり12.4倍、より高い合計フェノール含有量、および、フェノール類(mg)/粉末(グラム)に基づいて14.9倍、より高い合計フェノール含有量を有した。
4つの製品−カテキン、没食子酸、エピカテキン、エラグ酸、プロシアニジン、およびカテキン−没食子酸(cat−gall)−に存在する個々のポリフェノール類を、質量分析検出(UPLC−MS)と組み合わせた島津超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)で測定して、標準との比較によって同定した。図58に示されるように、個々のフェノール成分のUHPLC−MS分析は、p−MGEが、主に、エピカテキン、没食子酸、プロシアニジン、カテキンおよびカテキン−没食子酸を含むことを示した。種子から作られたNature’s Pearl(NP)は、主に、エピカテキンおよび没食子酸を含み、一方で、皮から生産されたMuscadine Naturals由来のMuscadine Plus Dietary Supplement、および、皮/種の製品であるMuscadinexは、主に、エラグ酸および没食子酸を含んだ。p−MGEは、他のサプリメントと比較して、有意により高いレベルのエピカテキン[22.0±0.7mg/g]、没食子酸[13.5±0.6mg/g]、プロシアニジンB[7.1±0.3mg/g]、エラグ酸[4.7±0.4mg/g]、カテキン[2.7±0.1mg/g]およびカテキン没食子酸[1.8±0.1mg/g]を含んだ。レスベラトロール、ケルセチンおよびミリセチンを含む他のフェノール類は、分析された4つの製品すべてにおいて、分析検出限界よりも下であった。試験されたマスカディン製品のうち、p−MGEが、より高いレベルのエピカテキン、没食子酸、エラグ酸、カテキンおよびプロシアニジンを反映する、最も高い合計フェノール含有量を含んだ。

p−MGEの調製中、液体製剤(l−MGE)は、噴霧膜の技術によって商業的に処理されて、MGEの粉末化された形態が生産されて、それから、カプセル化される。p−MGEは、UHPLC−MS分析によってl−MGEと比較された。およそ500〜2000の分子サイズで存在する種を拡大する図59におけるトレーシングに示されるように、赤いボックスに可視化されるように2つの製剤の間には明らかな違いがあった。p−MGEは、l−MGEには明らかに存在しない706および1033の分子サイズにピークを有する成分を含み、一方で、l−MGEは、p−MGEには明らかに存在しない730および1288の分子サイズにピークを有する成分を含んだ。現在行われている試験は、これらのピークの同一性を評価している。
p−MGEの3つの異なる製剤中の合計フェノール類を、2年の期間にわたってFolin−Ciocalteau法を用いて測定して、製品の安定性を決定した。試験されたロットは:Lot#013−1(「p−MGE2」;DOM:1/13/15)(実施例18に記載のフェーズ1試験が行われている);Lot#086−1(「p−MGE3」;DOM:3/27/15);およびLot#219−1(「p−MGE4」;DOM:8/7/15)であった。以下の表4に示されるように、p−MGEの3つの製剤のフェノール含有量は、試験の2年の期間にわたってかなり安定であった。
p−MGEは、微生物含有量ならびに農薬および重金属について試験された。好気性菌数、酵母およびカビの数、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、腸内細菌科および緑膿菌のカウントは、以下の表5に示されるように、16ヶ月の期間にわたって、低いか、または存在しなかった。加えて、農薬、水銀、鉛、カドミウムおよびヒ素は、全て低くて、規制限度であった。
実施例18:進行性悪性腫瘍を有する対象におけるp−MGEによる治療を評価する臨床試験
A.進行性悪性腫瘍におけるマスカディンブドウ種子および皮の粉末抽出物(p−MGE)のフェーズ1試験
2016年1月9日に開始されている、「進行性悪性腫瘍におけるマスカディンブドウ抽出物(MGE)のフェーズ1試験」というタイトルのフェーズ1臨床試験(IND 128937)が進行中である(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02583269)。試験で用いられた医薬は、実施例1に記載の方法に従って製造されて、ヒプロメロースカプセル中に162mgの合計フェノール類(440mgの合計粉末抽出物)として処方された、マスカディンブドウ種子およびブドウの皮の粉末抽出物(p−MGE)である。試験デザインは、標準的な3+3用量漸増統計デザインであり、1日あたり2個の丸薬の用量で始まり(朝および夕方)、段階的に1日あたり4、6、8および10個の丸薬(半分を朝、残りを夕方)まで進める。患者集団は、標準的な治療を失敗または辞退した、転移または切除不能悪性腫瘍を有する成人患者である。この試験の目的は、この患者集団における成人患者へのp−MGE投与の安全性および最大耐量を決定することである。第二の目的は、p−MGEを摂取した患者における、フェノールレベル、サイトカイン、および増殖因子の変化を評価すること、全体的な奏効率、無増悪生存、および全生存を観察すること、全体的な生活の質および疲労を評価すること、および、p−MGE治療に対する順守(adherence)を評価することである。この試験状況は、開示されて登録されている。
この試験に含まれるための基準は、転移または切除不能である固形腫瘍悪性腫瘍を有する18才以上(18+)の任意の成人を含む。全ての患者は、標準的な治療を失敗または拒絶していなければならない。患者は、≦2のECOG状態、十分な臓器/髄質機能、絶対的な好中球カウントが>1000/mcL、≧50,000/mcLの血小板カウント、通常の施設制限内の合計ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ[SGOT]/アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ[SGPT])が≦2.5×施設の上限または通常、クレアチニンクリアランスが≧40mL/分、試験開始前2週間よりも長い安定したサプリメント使用および試験中に変更しない意欲、>3ヶ月の平均余命、および、試験に参加する同意する意欲および能力を有している必要がある。除外基準は、登録の2週以内に任意の化学療法または放射線療法、任意の治験の癌に向けられた薬剤を受けること、p−MGEまたは同様の化合物に対するアレルギー反応の病歴、経口薬剤の摂取不能または腸切除または胃腸疾患に起因する吸収不良の病歴、登録前21日間の毎日の制吐治療を必要とする持続的な吐き気/嘔吐または無制御な下痢の存在、および、着床または妊娠または母乳哺育を制限し得る感染、鬱血性心不全、不安定な狭心症、心不整脈、精神医学的疾病/社会的状況を含む無制御な介入疾病を含む。原発性脳腫瘍を有する患者も除去された。
患者は、試験の経過中、完全な支持療法を受ける(血液製剤の輸血、抗生物質、制吐剤、抗炎症剤または麻薬鎮痛剤、慢性の随伴性状態のための薬剤、生命を脅かす医学的問題のための治療)。
一次成果の測定は、4週に評価される用量制限毒性(DLT)である。有害事象/毒性は、4、8週目、および患者が治療を続ける場合はその後4週毎に評価される。
試験は、記載されるように3+3用量漸増試験として構成されて、進行中である。レベル1:三(3)患者は、1日あたり2カプセル(324mgの合計フェノール類)で30日間治療される。治療が十分に耐容されて、患者の腫瘍が進行していない場合は、これらの三患者は治療を続ける(さらに30日間、それから、監視される)。レベル2:三患者の第二の群は、1日あたり4カプセル(648mgの合計フェノール類)で治療されて、30日後に評価される。この治療が十分に耐容されて、患者の腫瘍が進行していない場合は、これらの三患者は、再度、治療を続ける(さらに30日間、それから、監視される)。レベル3:同じ形式が、1日あたり6カプセルの投与について従われる(972mgの合計フェノール類)。同じ形式がレベル4に関して続けられて、1日あたり8カプセルを投与して(972mgの合計フェノール類)(現在の登録)、続いて、レベル5は、1日あたり10カプセルを投与する(1620mgの合計フェノール類)。これらのいずれかの群が用量制限毒性を有する場合は、追加の三患者が、その投与量で治療される。追加の三患者が毒性を有さない場合は、その結果、次の投与量が試験において用いられた/用いられる。
この単一サイト試験の1年目に、3人の女性および7人の男性の10個人が登録された。これらのうち、90%が70歳以上であり、90%は非ヒスパニック系白人であり、一方で、10%は非ヒスパニック系黒人だった。最初の年1回の報告のときに(以下の表に要約されるように、2016年1月9日から2017年1月8日までの試験の1年目に報告)、9人の対象が治療を完了した。これらの9人のうち、2人は、早期に試験を終了し−1人は有害事象のせいでレベル2(4丸薬/日)−3人の追加の患者がレベル2で加えられた。臨床試験の2年目の最初の2ヶ月の間に、1年目の登録からの10番目の患者が試験から外されて、4人の追加の患者が登録された。レベル1(n=3)は10週で完了されて;レベル2(n=7)は20週で完了されて、レベル3(n=3)は5週で完了された。1参与者以外、全ての患者は、彼らの投薬、約束、および家での丸薬日記の完成を順守したようであった。
p−MGE投与による予期される有害事象(AE)は、鼓腸、下痢、吐き気、消化不良、および腹部痙攣である。最初の年1回の報告では、グレード2またはそれよりも高くてp−MGEに寄与すると考えられるたった2つのAEが報告されて;一方の対象は、グレード3の便秘を有し、他方はグレード2の下痢を有し、両方ともp−MGEに起因すると考えられた。グレード3の便秘を有する患者は、腸閉塞の疑いで入院した。さらなる精密検査によって、彼の症候が原因の可能性として疾患進行が明らかになった。患者は、進行性の転移性疾患を有することが最終的に決定されて、p−MGEが彼の症候において役割を果たしたかどうか定かでなかった。INDの安全性の報告は1年目のあいだ、提出されず、この試験の登録のあいだに死亡した参与者はいなかった。疾患進行を有する者は、ホスピスケアまたは死亡前にプロトコルによって試験から除外された。
最初の9人の参与者に関する試験中の平均時間は7.4週であり、1〜20週の範囲であった。試験を離れる理由は、疾患進行(1患者)、用量制限毒性(1患者)、ホスピス撤退(1患者)または服薬不履行(1患者)であった。最初の14人の参与者の癌診断は、群によって:膵臓(3)、虫垂(apendiceal)(1)、直腸(1)、肝内胆管(1)、尿生殖器/前立腺(4)、腹膜の肉腫(1)、肺(2)および胸腺腫(thyoma)(1)を含む。
患者の臨床評価は、血液検査によって評価される腫瘍マーカーの安定化によるp−MGEでの臨床改善および8週におけるイメージングにおける治療に対する混合された応答を経験した結腸直腸癌を有する1人の患者を含む。この患者は、最も低い投与量を受けて、腫瘍進行前に5ヶ月間、試験に残った。胃腸原発性腫瘍を有する第二の患者は、疾患進行の前に第二の投与量で6と1/2ヶ月の治療を完了した。フェーズ1臨床試験のこのステージでの結果は、p−MGEが、972mgの合計フェノール類の1日の総投与量に関して、6カプセル/日(午前中に3および午後に3)までの投与量で、十分に耐容であることを示唆する。
全体的な奏効率(CR、PR、およびSD)は、8週に評価される。無増悪生存および全生存は、進行まで6±2週毎のフォローアップとともに、カプラン・マイヤー法を用いて評価されて、生存試験エンドポイント(メジアン生存率および関係がある95%信頼区間;最終コンタクトの日におけるセンサー)をモニタリングする。生活の質(Functional Assessment of Cancer Therapy−General(FACT−G)の測定、および、PROMIS Fatigue−Short Formを用いた疲労も、治療レジメンに対する順守として(as will adherence)評価される。
B.進行性前立腺および乳癌におけるマスカディンブドウ種子および皮の粉末抽出物(p−MGE)のフェーズ2試験
進行性前立腺および乳癌におけるp−MGEの効果に対する2つのフェーズ2臨床試験は、2017年に開始されることが予測されていて、FDAへのIND申請の準備が進行中である。p−MGEの同一の製剤は、第I相臨床試験に関するパートAに記載のとおりに用いられる。
前立腺癌患者におけるフェーズ2臨床試験は、無作為化された、二重盲検であり、生化学的に再発性の前立腺癌を有する男性における、p−MGE対プラセボの、プラセボがコントロールである試験である。患者集団は、決定的治療法が完了した、転移はないが前立腺特異的な抗原(PSA)が増加している、前立腺癌を有する男性である。二百(200)人の患者が、8カプセル/日を受けて3ヶ月ごとにフォローされるプラセボおよび治療群に無作為化されると予期される。主要エンドポイント評価は9ヶ月にされて、再発および生存を測定するための12ヶ月までのフォローアップを伴う。一次成果は、無病生存率およびPSA増加率の減少である。p−MGEを受けた患者におけるプラセボを受けた患者と比較したPSAの増加率の有意な減少または無病生存率の長さの増加は、転移前立腺癌に対する抽出物のポジティブな影響として解釈される。
乳癌患者におけるフェーズ2臨床試験は、無作為化された、二重盲検であり、以前の6ヶ月以内にアジュバント化学療法を完了している三種陰性乳癌を有する女性における、プラセボがコントロールである試験である。患者集団は、ステージ1〜3の三種陰性乳癌を有する女性(160人の患者)であり、プラセボまたはp−MGE治療群(8カプセル/日のレベル)にランダム化される。主要エンドポイントは、6ヶ月において評価される疲労である。患者は、再発および生存成果に関して24ヶ月までの間、6ヶ月毎にフォローされる。プラセボと比較して、p−MGEを摂取している三種陰性乳癌を有する女性における、(PROMIS−疲労として測定される疲労の有意な減少、CES−Dによって評価される改善された気分、ピッツバーグの睡眠の質の指標により評価されるより少ない睡眠障害、Functional Assessment of Cancer Therapy[FACT]−Cogによって評価されるより低い認知的苦情、全体的な健康に関連した生活の質(FACT−B)の改善、Short Physical Performance Batteryに対する身体能力の改善、6分ウォーキングの体力、VO2ピークおよび二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による脂肪症の低減は、転移三種陰性乳癌に対する抽出物のポジティブな影響として解釈される。
本開示において参照される全ての印刷された特許および刊行物は、それらの全体で参照により本明細書中に援用される。

Claims (63)

  1. ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせから、液体抽出物を製造する方法であって、前記方法は、
    (a)ブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせを提供するステップ;
    (b)前記のブドウ種子、ブドウの皮、または、それらの組み合わせを蒸留水と接触させて、抽出混合物を形成するステップ;
    (c)120華氏〜200華氏の範囲の温度で前記抽出混合物を加熱するステップ(その加熱するステップの間、追加の蒸留水が添加される);
    (d)前記抽出混合物を冷却するステップ;
    (e)前記抽出混合物を濾過して固形物を除去し、それにより濾液を形成するステップ;
    (f)前記濾液に食品防腐剤を添加するステップ;
    (g)前記濾液を冷却して、冷却された濾液を形成するステップ;および
    (h)前記の冷却された濾液を濾過して、それにより前記液体抽出物を生産するステップ、
    を含む、
    方法。
  2. 請求項1の方法であって、
    前記ブドウ種子、前記ブドウの皮、または、それらの組み合わせは、Vitis rotundifolia、Vitis vinifera、Vitis labrusca、Vitis riparia、Vitis aestivalis、Vitis rupestris、Vitis coignetiae、Vitis vulpina、および、Vitis amurensisからなる群より選択されるブドウから採取される、
    方法。
  3. 請求項1または2のいずれか一項の方法であって、
    前記ブドウ種子、前記ブドウの皮、または、それらの組み合わせは、Vitis rotundifoliaブドウから採取される、
    方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項の方法であって、
    前記蒸留水は、分画蒸気圧縮蒸留水(fractional vapor compression distilled water)である、
    方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項の方法であって、
    ブドウ種子が提供される、
    方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項の方法であって、
    前記のブドウ種子を蒸留水と接触するステップは、約0.5 galの水に対して約4.5 lbのブドウ種子から、約2.5 galの水に対して約4.5 lbブドウ種子までの比を含む、
    方法。
  7. 請求項1から5のいずれか一項の方法であって、
    前記のブドウ種子を蒸留水と接触するステップは、約1 galの水に対して約4.5 lbのブドウ種子の比を含む、
    方法。
  8. 請求項1から7のいずれか一項の方法であって、
    前記の追加の蒸留水は、約0.92 galの水に対して約1 lbのブドウ種子から、約4.6 galの水に対して約1 lbブドウ種子までの比を達成するために添加される、
    方法。
  9. 請求項1から4のいずれか一項の方法であって、
    ブドウの皮が提供される、
    方法。
  10. 請求項1から4または9のいずれか一項の方法であって、
    前記のブドウの皮を蒸留水と接触させるステップは、約0.5 galの水に対して約2 lbのブドウの皮から、約1.25 galの水に対して約2 lbのブドウの皮までの比を含む、
    方法。
  11. 請求項1から4、9、または10のいずれか一項の方法であって、
    前記のブドウの皮を蒸留水と接触させるステップは、約1 galの水に対して約2 lbのブドウの皮の比を含む、
    方法。
  12. 請求項1から4または9から11のいずれか一項の方法であって、
    前記の追加の蒸留水は、約0.92 galの水に対して約1 lbのブドウの皮から、約4.6 galの水に対して約1 lbのブドウの皮までの比を達成するために添加される、
    方法。
  13. 請求項1から4のいずれか一項の方法であって、
    ブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせが提供される、
    方法。
  14. 請求項1から4または13のいずれか一項の方法であって、
    前記のブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせは、約50%のブドウの皮に対して50%のブドウ種子(重量/重量(w/w))から、約15%のブドウの皮に対して85%のブドウ種子の比を有する、
    方法。
  15. 請求項1から4、13、または14のいずれか一項の方法であって、
    前記のブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせを蒸留水と接触させるステップの比は、約0.5 galの水に対して約3.7 lbの前記のブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせから、約2.5 galの水に対して約3.7 lbの前記のブドウ種子およびブドウの皮の組み合わせまでの比を含む、
    方法。
  16. 請求項1から4または13から15のいずれか一項の方法であって、
    前記のブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせを蒸留水と接触させるステップは、約1.0 galの水に対して約3.7 lbの前記のブドウの皮およびブドウ種子の組み合わせの比を含む、
    方法。
  17. 請求項1から16のいずれか一項の方法であって、
    前記の加熱するステップは、約1〜約6時間行なわれる、
    方法。
  18. 請求項1から17のいずれか一項の方法であって、
    前記の加熱するステップは、約1〜約2時間行なわれる、
    方法。
  19. 請求項1から18のいずれか一項の方法であって、
    前記の追加の蒸留水は、前記の加熱するステップ中の複数の部分において前記抽出混合物に添加される、
    方法。
  20. 請求項19の方法であって、
    前記の追加の蒸留水の一部は、前記の加熱するステップの間、約5分毎から約60分毎に前記抽出混合物に添加される、
    方法。
  21. 請求項19の方法であって、
    前記の追加の蒸留水の一部は、前記の加熱するステップの間、約15毎から約30分毎に前記抽出混合物に添加される、
    方法。
  22. 請求項1から21のいずれか一項の方法であって、
    前記抽出混合物は、約40華氏〜約170華氏の温度に冷却される、
    方法。
  23. 請求項1から22のいずれか一項の方法であって、
    前記抽出混合物は、約20ミクロン〜約50ミクロンの篩サイズを有するフィルターを通して濾過される、
    方法。
  24. 請求項1から23のいずれか一項の方法であって、
    前記食品防腐剤は、約0.1%〜約20%(重量/体積(w/v))の量で前記濾液に添加される、
    方法。
  25. 請求項1から24のいずれか一項の方法であって、
    前記食品防腐剤は、約0.1%〜約1%(w/v)の量で前記濾液に添加される、
    方法。
  26. 請求項1から25のいずれか一項の方法であって、
    前記防腐剤は、ソルビン酸カリウム、クエン酸、酢酸、またはビタミンEの少なくとも1つを含む、
    方法。
  27. 請求項1から26のいずれか一項の方法であって、
    前記濾液は、約35華氏〜約45華氏の温度で冷却される、
    方法。
  28. 請求項1から27のいずれか一項の方法であって、
    前記濾液は、約24時間〜約120時間、冷却される、
    方法。
  29. 請求項1から28のいずれか一項の方法であって、
    前記濾液は、約24時間、冷却される、
    方法。
  30. 請求項1から29のいずれか一項の方法であって、
    前記の冷却された濾液を濾過するステップは、前記の冷却された濾液を、約1ミクロン〜約10ミクロンの篩サイズを有するフィルターを通して濾過するステップを含む、
    方法。
  31. 請求項1から30のいずれか一項の方法であって、
    食品グレードエタノールが、ステップ(g)の濾過された冷却された濾液に添加されて、それにより前記液体抽出物を生産する、
    方法。
  32. 請求項31の方法であって、
    前記食品グレードエタノールは、約190プルーフ(95%エタノール)である、
    方法。
  33. 請求項31または32の方法であって、
    前記食品グレードエタノールは、トウモロコシ、コムギ、サトウキビ、またはブドウから作られる、
    方法。
  34. 請求項31から33のいずれか一項の方法であって、
    前記食品グレードエタノールは、有機の食品グレードエタノールである、
    方法。
  35. 請求項31から34のいずれか一項の方法であって、
    ステップ(g)の濾過された冷却された濾液に添加される食品グレードエタノールの体積は、前記液体抽出物の体積の約2%〜約5%である、
    方法。
  36. ブドウ由来の液体抽出物を製造する方法であって、
    (a)請求項1から8または17から35のいずれか一項の方法によって作られるブドウ種子の液体抽出物を提供するステップ;
    (b)請求項1から4、9から12、または17から35のいずれか一項の方法によって作られるブドウの皮の液体抽出物を提供するステップ;
    (c)前記のブドウ種子の液体抽出物および前記のブドウの皮の液体抽出物を、約50:50〜約85:15(体積/体積(v/v))の比で組み合わせて、それにより前記のブドウ由来の液体抽出物を形成するステップ、
    を含む、
    方法。
  37. 請求項1から36のいずれか一項の方法によって作られる、
    液体抽出物。
  38. 請求項37の液体抽出物を噴霧乾燥するステップを含む、
    ブドウ由来の粉末抽出物を製造する方法。
  39. 請求項38の方法によって作られる、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  40. 約25%〜50%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  41. 少なくとも約30%(重量/重量(w/w))の合計フェノール化合物を含む、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  42. 粉末抽出物のグラムあたり約250〜500mgの合計フェノール化合物を含む、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  43. 前記粉末抽出物のグラムあたり少なくとも約6mgの濃度の少なくとも1つの没食子酸またはエラグ酸を含む、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  44. 請求項39から43のいずれか一項のブドウ由来の粉末抽出物であって、
    前記抽出物は、高速液体クロマトグラフィー、質量分析に供された場合に706および1033の分子質量を有する固有の構成要素を含む、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  45. 請求項39から44のいずれか一項のブドウ由来の粉末抽出物であって、
    前記抽出物は、高速液体クロマトグラフィー、質量分析に供された場合に730または1288の分子質量を有する構成要素を、前記分析から生じたクロマトグラフ上のピークの最も大きな30%の中に730または1288の分子質量を有する構成要素を作る量で含まない、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  46. 請求項39から45のいずれか一項のブドウ由来の粉末抽出物であって、
    前記抽出物の合計フェノール含有量は、少なくとも6ヶ月の期間にわたって安定のままであり、6ヶ月でたった10%の合計フェノール含有量の減少によって特徴付けられる、
    ブドウ由来の粉末抽出物。
  47. 疾患を有する、疾患のリスクが高い、または、再発のリスクがある対象を治療する方法であって、
    前記方法は、薬学的に有効量の請求項37の液体抽出物、請求項39から43のいずれか一項の粉末抽出物、または、いずれかを含む製剤を、対象に投与するステップを含む、
    方法。
  48. 請求項47の方法であって、
    投与量あたりの前記の粉末抽出物または製剤の合計フェノール化合物の含有量は、約30〜50%(mg/mg)である、
    方法。
  49. 請求項47または48の方法であって、
    前記の粉末抽出物または製剤の投与量は、約150〜500mgの合計フェノール化合物を含む、
    方法。
  50. 請求項47から49のいずれか一項の方法であって、
    前記対象は、kg体重あたり少なくとも約10mgの合計フェノール化合物を含む前記の液体抽出物または前記の粉末抽出物の1日の総投与量を投与される、
    方法。
  51. 請求項47から50のいずれか一項の方法であって、
    前記対象は、kg体重あたり約10mg、20mg、40mg、または80mgの合計フェノール化合物を含む前記の液体抽出物または前記の粉末抽出物の1日の総投与量を投与される、
    方法。
  52. 請求項47から51のいずれか一項の方法であって、
    前記対象は、前記の粉末抽出物または製剤の投与量を、少なくとも1日に2回投与される、
    方法。
  53. 請求項47の方法であって、
    投与量あたりの前記の液体抽出物または製剤の合計フェノール化合物含有量は、約20mg/mLである、
    方法。
  54. 請求項47または53の方法であって、
    前記の液体抽出物の投与量は、約2.5g〜約3.5gの合計フェノール化合物を含む、
    方法。
  55. 請求項47から54のいずれか一項の方法であって、
    前記疾患は癌である、
    方法。
  56. 請求項55のいずれか一項の方法であって、
    前記抽出物の投与は、癌関連の細胞の増殖または激増、血管新生、炎症、または線維症の少なくとも1つを阻害する、
    方法。
  57. 請求項55または56の方法であって、
    前記癌は、乳癌、前立腺癌、結腸癌、膠芽腫、肺癌、皮膚癌、白血病、または、リンパ腫の少なくとも1つを含む、
    方法。
  58. 請求項55から57のいずれか一項の方法であって、
    前記乳癌は、三種陰性乳癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、または、HER2過剰発現乳癌の少なくとも1つである、
    方法。
  59. 請求項55から58のいずれか一項の方法であって、
    前記乳癌は、脳転移乳癌を含む、
    方法。
  60. 請求項55から59のいずれか一項の方法であって、
    前記抽出物は、化学療法剤または放射線療法の少なくとも1つと組み合わせて投与される、
    方法。
  61. 請求項47から54のいずれか一項の方法であって、
    前記疾患は、高血圧によって誘導される線維症である、
    方法。
  62. 請求項47から54のいずれか一項の方法であって、
    前記疾患は、放射線によって誘導される線維症である、
    方法。
  63. 請求項47から54のいずれか一項の方法であって、
    前記疾患は、放射線によって誘導される骨喪失である、
    方法。
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