JP2019511323A - 歯の協調移動を促進する歯科矯正装置 - Google Patents

歯の協調移動を促進する歯科矯正装置 Download PDF

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Abstract

審美性ポリマーシェル装置及び伝統的なブレースの恩恵をもたらすことができる、協調調整装置が提供される。協調調整装置を作製する方法、及び協調調整装置を用いた治療の方法もまた開示される。

Description

歯列矯正術は、咬合機能、衛生状態、及び顔の審美性を改善することを目的とした歯列不正咬合の診断及び治療に関係する、歯科の専門領域である。矯正治療は、一般に、ブラケット及び臼歯チューブと呼ばれる装置を使用し、これらは患者の歯に結合される。ブラケット及び臼歯チューブは、それぞれ、矯正用アーチワイヤと呼ばれる弾力性のある「U」字形ワイヤを収容するためのスロット及び経路を含む。治療中、アーチワイヤは、ブラケット及び臼歯チューブのスロット及び経路の中に固定される。アーチワイヤは当初曲げられているが、治療の間に徐々に元の形状に戻り、それによって、位置異常の歯を正しい箇所に付勢するための治療目的の力を加える。
いくつかの場合には、例えば、叢生となったアーチ(即ち、歯のために存在する空間が不十分である)内における不正咬合を矯正しようとする場合には、矯正治療は、所与の歯列弓内に空間を形成するための歯の抜去を含む。空間の片側又は両側の歯を互いに向けて引き寄せることによって、この空間を閉じることは、正常又はほぼ正常な咬合を生み出すことに向けた1つのステップとして、アーチ内の歯の叢生を軽減することができる。他の場合には、正常な咬合へ向かうために、歯の間に自然に生じた空間を閉じることが必要である。
矯正治療の別のタイプとして、患者の歯列弓に適応する弾力性のあるポリマートレイの使用が挙げられる。アライナとしても知られているこれらのトレイ、整合シェル、及びポリマー装具は一連で提供され、歯を、所望の目標配列に向けて漸増的ステップで徐々に動かすために、連続的に装着されることが意図される。ポリマー装置のいくつかのタイプは、患者の歯列弓の各歯を受け入れるための、歯形状の受け部の列を有する。ポリマー材料の弾力特性のおかげで、各歯をその所望の目標位置に向けて漸増的に付勢するために、この受け部は、1つの装置から次の装置までに僅かに異なる位置に方向付けされる。
現在の取り外し可能な装置は、ある程度の衛生的利益を提供する一方で、治療の有効性に関する欠点も有し得る。例えば、ポリマーシェルは、特定の歯科不正咬合を矯正する能力に限界がある傾向がある。更に、押し出し、隙間閉鎖、及び大臼歯の移動は、これらのシェルがシェルと歯との間の比較的に弱い機械的保持力に依存するため、達成が困難であるか又は不可能となり得る。より伝統的なブラケット及びワイヤは、ばね、II級矯正器、又は弾性材料と共に用いられると、これらの移動を生み出すことができる。これは、ブラケットが、アーチワイヤに沿ってスライドすることを可能にされ、これが、歯の移動を誘導する役割を果たす結果であり得る。このスライド移動はアライナ治療においては生じず、むしろ、歯はアライナ内の空洞と密着したままである。一方、歯と係合するばね又はクラスプを使用するリテーナ状の装置は、歯がシェル装置と同じ速さでしか移動できないため、ポリマーシェルと同じ欠点の多くを有する。全体として、これらの装置は、正確なトルク、角度形成、回転、及び並進の制御を可能にする様式で、歯に積極的に係合しない可能性がある。更に、これらの装置の多くは、歯の顔側表面の上に存在する顔側ワイヤを使用して歯の前突を防止するため、一般的に審美的ではない。
本開示は、大臼歯の移動、正確な歯の移動、及び全体的な審美性を提供することができる協調調整装置を提供する。本開示の装置は、装置のアンカー留めブレースシステム又は固定区分を用いて、見えにくい後方歯を治療する。前方歯(例えば、切歯及び犬歯)は審美性シェル装置システムを用いて治療される。双方の装置システムが患者の歯列弓の少なくとも1本の歯へのアタッチメントを共有し、そのため、協調移動が達成され得る。シェル装置は、アライナ治療に典型的であるように、前方歯上の小さな連続的移動のためにプログラムすることができ、その一方で、アンカー留めシステムは、アンカー留めされた歯のためのより複雑な移動(例えば、遠心移動、抜去、空間閉鎖、挺出)を提供することができる。
一態様では、本開示は、患者の多数の歯に各々対応する受け部を有する凹状の溝であって、この溝は、患者の歯のうちの1本を第1の位置から第2の位置へ再配置するように構成された少なくとも1つの受け部を有する、凹状の溝を備える歯科矯正装置を提供する。装置は、結合基部及び本体を有する第1のアンカーと、結合基部及び本体を有する第2のアンカーとを更に含む。アーチ部材が第1のアンカー及び第2のアンカーに離脱可能に連結されており、凹状の溝は、アンカーの少なくとも一部分を少なくとも部分的に被覆し、これと係合する表面を有する受け部を含む。
別の態様では、本開示は、患者の多数の歯に各々対応する受け部を有するトレイであって、患者の歯のうちの1本を第1の位置から第2の位置へ再配置するように構成された少なくとも1つの受け部を有する、トレイを含む、患者の歯列弓のための歯科矯正アセンブリを提供する。アセンブリは、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第1のスロットを含む、第1のアンカーと、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第2のスロットを含む、第2のアンカーとを更に含む。アーチ部材が第1のスロット及び第2のスロット内に受け入れられており、トレイは、第1のアンカーの少なくとも一部分に取り外し可能に連結され、これを少なくとも部分的に被覆する受け部を含む。
更に別の態様では、本開示は、患者の多数の歯に各々対応する受け部を有するトレイを含む、患者の歯列弓のための歯科矯正アセンブリを提供する。アセンブリは、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第1のスロットを含む、第1のアンカーと、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第2のスロットを含む、第2のアンカーとを更に含む。アーチ部材が第1のスロット及び第2のスロット内に結紮されており、トレイは、第1のアンカーの少なくとも一部分に取り外し可能に連結され、これを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの受け部を含む。
更に別の態様では、本開示は、歯科矯正装置を設置するための方法であって、第1のアンカー、第2のアンカー、及びアーチ部材を得ることを含む、方法を提供する。本方法は、第1のアンカーを第1の歯上に、第2のアンカーを第2の歯上に設置し、アーチ部材を第1のアンカー及び第2のアンカーに連結することを更に含む。本方法は、取り外し可能なトレイを少なくとも第1の歯及び第1のアンカーの上に設置することであって、トレイは、第1の歯を第1の位置から第2の位置へ再配置するように構成された受け部を含む、設置することを更に含む。
本明細書で使用する場合、「前方歯」は、中切歯、側切歯、犬歯、及び第1小臼歯を含む。
本明細書で使用する場合、「後方歯」は、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯、及び第3大臼歯(患者が依然として親知らずを保持している場合)を含む。
「好ましい」及び「好ましくは」という言葉は、一定の状況下で一定の利益を提供できる、本開示の実施形態を指す。しかし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況において好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
本出願では、「a」、「an」、及び「the」等の用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために具体例の使用が可能な、一般分類を含む。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つの」と互換的に使用される。列挙が後続する「〜のうちの少なくとも1つ(at least one of)」及び「〜のうちの少なくとも1つを含む(comprises at least one of)」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
本明細書で使用する場合、用語「又は」は、内容がそうでない旨を特に明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。
用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
また、本明細書においては、全ての数は「約」という用語で修飾されるものと想定され、好ましくは「厳密に」という用語で修飾されると想定される。本明細書で、測定量に関して使用する場合、用語「約」は、当業者が測定を行い、測定の目的にふさわしい程度の注意を払ったこと、及び使用された測定機器の精度によって予想されるであろう、測定量のばらつきを指す。
また、本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
特性又は属性に対する修飾語として本明細書で使用する場合、用語「概して」とは、特に定めのない限り、その特性又は属性が、当業者によって容易に認識されるものであるが、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではないこと(例えば、定量化可能な特性に関しては、+/−20%の範囲内)を意味する。用語「実質的に」とは、特に定めのない限り、高い近似度(例えば、定量化可能な特性に関しては、+/−10%の範囲内)を意味するが、この場合もまた、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではない。同一、等しい、均一な、一定の、厳密に、などの用語は、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではなく、特定の状況に適用可能な、通常の許容誤差又は計測誤差の範囲内にあるものと理解される。
本開示の上記の概要は、開示される各々の実施形態、又は本開示の全ての実装形態を説明することを目的としたものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願を通していくつかの箇所において、例を列挙することによって指針が示されるが、それらの例は様々な組み合わせで使用することができる。いずれの場合にも、記載された列挙は、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的な列挙として解釈されるべきではない。
本開示の一実施形態に係る協調調整装置の等角図である。 取り外し可能区分が前方歯から係合離脱され、取り外された状態における、図1の協調調整装置の等角図である。 図1の協調調整装置の上面図である。 明確にするためにアーチ部材セグメントを省略した、図1の装置の受け部の断面図である。 二重治療歯上に係合されたアンカー及びシェルに焦点を当て、明確にするためにアンカーを省略した、図1の協調調整装置の一部分の断面図である。 本開示の別の実施形態に係る協調調整装置の等角図である。 本開示の協調調整装置において用いられるアンカーの等角図である。 本開示の協調調整装置において有用な別のアンカーの等角図である。 本開示の協調調整装置において有用な固定区分の等角図である。 本開示の別の実施形態に係る協調調整装置の等角図である。 本開示の協調調整装置を作製するための1つの可能な作業の流れである。
上記で特定された図は、本開示のいくつかの実施形態を記載するものであるが、本明細書で言及されるとおり、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、本開示は、限定ではなく、代表例の提示によって、本発明を提示する。当業者によって多数の他の改変及び実施形態が考案され得、それらは、本発明の原理の範囲内及び趣旨内に含まれることを理解されたい。
方向に関する定義
本明細書で使用する場合、
「近心」とは、患者の湾曲した歯列弓の中心に向かう方向を意味する。
「遠心」とは、患者の湾曲した歯列弓の中心から離れる方向を意味する。
「咬合側」とは、患者の歯の外側先端部に向かう方向を意味する。
「歯肉側」とは、患者の歯茎又は歯肉に向かう方向を意味する。
「顔面側」とは、患者の唇又は頬に向かう方向を意味する。
「舌側」とは、患者の舌に向かう方向を意味する。
図1〜図3に、協調調整装置10の一実装形態が全体的に示される。協調調整装置10は取り外し可能区分100と固定区分200を含む。固定区分は2つ以上のアンカー210及び少なくとも1つのアーチ部材250を含む。いくつかの実施形態では、取り外し可能区分100は、歯科矯正治療の段階の間に断続的に交換される複数の取り外し可能区分のうちの1つである。取り外し可能区分100は、内部空洞102を有するポリマーの凹状シェルを含み得る。内部空洞102は、歯を受け入れ、1つの歯の配列から、連続する歯の配列に弾性的に再配置するように形成される。内部空洞102は複数の受け部108を含むことができ、その各々は、患者の歯列弓のそれぞれの歯を受け入れるようになっている。受け部108は空洞の長さに沿って互いに離隔されている。ただし、隣接する受け部108の隣り合う領域同士は互いに流体連通し得る。患者の歯の位置決めを容易にするために、受け部108の少なくとも1つは、患者の対応する歯に対して位置合わせされていなくてもよい。このように、装置本体の取り外し可能区分100は、協調調整装置10が患者によって装着されている時に患者の対応する歯に回転力及び/又は並進力を印加するように構成されていてもよい。いくつかの特定の例では、取り外し可能区分100は、圧縮力又は直線力のみを付与するように構成されていてもよい。同じ又は異なる例では、取り外し可能区分は、受け部108内の歯のうちの1本以上に並進力を印加するように構成されていてもよい。
いくつかの実施形態では、取り外し可能区分100を含むポリマーの凹状の溝は、上顎又は下顎に存在するいくつか又は全ての前方歯の上に適合する。通例、歯のうちの特定のもののみが再配置され、その一方で、他の歯は、取り外し可能区分100が、再配置される歯に対して弾性的な再配置力を加える際に、取り外し可能区分100を所定の位置に保持するための基部又はアンカー領域を提供することになる。したがって、取り外し可能区分は、対応する受け部が、歯の現在の位置を維持するために、特定の位置における歯の保定を促進する形状に作られるよう、選択又は設計することができる。大臼歯遠心移動のために特に適した他の実施形態では、取り外し可能区分100内の受け部108の実質的に全てが、対応する歯を現在の位置において保定するように設計される。このような実装形態では、アンカー210と係合する受け部120は、再配置力を対応する歯に印加するように依然として構成され得る。
取り外し可能区分は透明材料(例えば、透明ポリマー材料)から形成することができる。特定の実装形態では、取り外し可能区分100は3D印刷を使用して形成してもよく、又は熱成形し、5軸フライス加工又はレーザ切削加工によってトリミングするなど、トリミングしてもよい。3D印刷では、取り外し可能区分100は3D印刷システムにより直接3D印刷されてもよいが、他の例では、取り外し可能な歯科装置100は、3D印刷を用いて形成された歯の型の上で熱成形されてもよい。
固定区分200は、図1において、患者の下側アーチの特定の後方歯に接続されて示されている。固定区分200は1つ以上のアンカー210を含むことができ、各アンカー210は、アンカー本体220と、アンカー210を歯の表面に接続するようになっている基部230とを含む。本明細書で更に説明するように、アーチ部材250は、アンカー本体220に離脱可能に接続可能であることができる。
任意選択的に、また図示のように、基部220及び本体230は、一体型の構成要素である。特定の実施形態では、基部220及び本体230は、例えば、米国特許第4,536,154号(Gartonら)で開示されているようなポリマー材料、米国特許第6,648,638号(Castroら)で開示されているような微粒子状多結晶アルミナなどのセラミック材料、あるいは、米国特許第5,078,596号(Carberryら)及び同第5,254,002号(Reherら)で開示されているようなガラス繊維強化ポリマー複合材料などのポリマー−セラミック複合材料から、機械加工又は成型を介して、一体的に作製することができる。他の好適な材料としては、例えば、金属材料(ステンレス鋼、チタン、及びコバルトクロム合金など)、及びプラスチック材料(繊維強化ポリカーボネートなど)が挙げられる。
アンカー210の基部230は、歯の任意の適切な表面に適合するようにカスタマイズされた、歯に面する表面輪郭を有することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、基部230は、所与の歯の舌側表面に適合するようにカスタマイズされた、歯に面する表面輪郭を有する。カスタマイズされた基部230を有することで、患者の快適性のためにアンカー210をより薄型に構成することができる。例えば、米国特許第6,776,614号(Wiechmannら)、同第7,811,087号(Wiechmannら)、及び、同第7,850,451号(Wiechmannら)、並びに米国特許出願公開第2005/0277084号(Cinader,Jr.ら)に記載の技法など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを、カスタマイズされた結合可能なアンカーを形成するために利用することができる。1つ以上の実施形態では、1つ以上のアンカー210の基部230は、必ずしも歯の特定の表面に適合するようにカスタマイズされていない任意の適切に形状決めされた表面、即ち、「汎用」基部を含むことができる。他の実装形態では、基部220は、アンカー基部220と歯牙構造との間の間隙を埋めることを支援する、固定式の圧縮性材料を含み得る。好適な圧縮性材料が、米国特許公開第2009/0233252号(Cinader,Jr.)に記載されている。
アンカー210は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して、対応する歯の表面に取り付けられ得る。例えば、アンカー210は、適切な接着剤又はセメントを使用して歯の表面に結合され得る。アンカー210は接着剤で結合される必要はない。例えば、1つ以上のアンカー210を歯科矯正バンドに溶接し、その後に、適切なバンドセメントを使用してバンドをそれぞれの歯に固定してもよい。1つ以上の実施形態では、アンカー210は、結合可能な舌側ボタン又は他の市販の既製の結合可能な装置である。更に、アンカー210を、TRANSBONDブランドの光硬化接着剤(3M Company,St.Paul,MNから入手可能)などの硬化性複合歯科材料から完全に形成し、米国特許出願公開第2007/0031774号(Cinader,Jr.ら)に記載されているような技法を使用して、生体内で患者の歯の上で硬化させてもよい。
アンカー本体220は、顔面側表面222と、本体220の顔面側表面222を横切って概ね近心−遠心方向に延在する、細長いスロット240とを有する。アーチ部材250はスロット240内に受け入れられ、典型的には、スロット240の壁の寸法と実質的に一致する概ね矩形状の断面を有する。アーチ部材250の寸法とスロット240の寸法との厳密な一致は、アーチ部材250とアンカー210との間の正確な連結をもたらすことができ、治療を行う施術者に、アンカー留めされた歯の移動に対する高度な制御を与える。本開示の協調調整装置では、スロット壁の寸法を厳密には近似しない、他のアーチ部材幾何学形状を使用することができる。
図1〜図3に示される(及び図2に最もよく図解される)実施形態では、固定区分200は、第1のアンカー211、第2のアンカー212、第3のアンカー213、及び第4のアンカー214を含む。第1のアンカー211は、アンカー本体220と、対応するアンカーを第1の歯14(この場合には左象限の第2大臼歯)の表面に接続するようになっている基部230とを含むことができる。第2のアンカー212は、アンカー本体220と、第2のアンカーを第2の歯15(この場合には左象限の第1小臼歯)の表面に接続するようになっている基部230とを含むことができる。第3のアンカー213は、アンカーカップリング220と、第3のアンカー213を第3の歯16(この場合には右象限の第1小臼歯)の表面に接続するようになっている基部230とを含むことができる。第4のアンカー214は、アンカーカップリング220と、第4のアンカー214を第4の歯17(この場合には右象限の第2大臼歯)の表面に接続するようになっている基部230とを含むことができる。更に、アーチ部材250は、第1及び第2のアンカー211、212を連結する第1のアーチ部材セグメント251と、第3及び第4のアンカー213、214を接続する第2のアーチ部材セグメント252とを含むことができる。各アーチ部材セグメント251、252は、対応するアンカーに離脱可能に接続可能であることができる。
アーチ部材セグメント251、252は、患者の歯に対する歯科矯正治療又は一連の治療を提供するために、アンカー211〜214を通じて患者の1本以上の歯に矯正力を与えることができる。アーチ部材セグメント251、252は、剛性及び弾性などの広範囲の材料特性をもたらす任意の適切な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。例えば、アーチ部材本体251、252は、金属材料、ポリマー材料、ガラス材料、及びこれらの組み合わせを含むことができる。1つ以上の実施形態では、アーチ部材セグメント251、252は、ニチノール、ステンレス鋼、ニッケルチタン、及びベータチタンのうちの少なくとも1つを含むことができる。アーチ部材セグメント251、252は単体であってもよく、又は、材料の1つ以上の層を含んでもよい。更に、各アーチ部材セグメント251、252は、その長さに沿って単体であることができる。
各アーチ部材セグメント251、252はまた、施術者の必要に基づいて個々に構成することもできる。例えば、所与のアーチ部材セグメント251、252は、高いレベルの矯正力が所望される時にはステンレス鋼から作製され得、より低いレベルの力が所望される時にはニッケルチタンから作製され得、中間レベルの力が所望される時にはベータチタンから作製され得る。1つ以上の実施形態では、一方又は両方のアーチ部材セグメント251、252は、ポリマー又は充填複合材料などの非金属材料を含む他の材料を含むことができる。更に、各アーチ部材セグメント251、252の断面幾何形状を、所望の矯正力を与えるように調整することができる。例えば、任意の所与のアーチ部材セグメント251、252の形状及び/又は断面寸法(例えば厚さ)を、所望の矯正力を与えるように調整することができる。特定の実施形態では、各アーチ部材セグメント251、252は、患者及び施術者のうちの少なくとも一方の希望に応じて、異なる材料特性及び/又は幾何形状を呈してもよい。
アーチ部材セグメント251、252は、任意の適切な断面幾何学形状、例えば、形状、面積、向きなどを含むことができる。断面幾何学形状は所与のアーチ部材セグメント251、252の長さに沿って一定であるか、又は、変化することができる。アーチ部材セグメント251、252のどちらか又は両方はまた、任意の適切な断面形状、例えば、多角形(例えば、三角形、矩形など)、楕円形などを含むこともできる。所与のアーチ部材セグメント251、252の断面形状は、本体の長さに沿って均一であることができるか、又は他の実装形態では、形状は変化してもよい。更に、アーチ部材セグメント251、252のどちらか又は両方は、均一な断面積、又は、本体の長さに沿って変化する断面積を含むことができる。特定の適用では、アーチ部材セグメントは、従来のアーチワイヤから分離された区分であることができる。他の適用では、アーチワイヤ区分は、国際公開第2016/105466号の図11及び図12において説明される断面寸法の変化を含むことができる。
アーチ部材をアンカー本体に接続及び接続解除するのに必要な力は、患者がアーチ部材を容易に挿入したり取り外したりできるように十分に小さくされ得る。1つ以上の実施形態では、これらの力は、アーチ部材セグメントが患者の歯科構造体に接続し、治療中にアンカー210のいずれからも意図せず外れないよう、十分に高くすることができる。1つ以上の実施形態では、アンカー本体220は、可能な限り小さい係合力を生み出すようになっている。1つ以上の実施形態では、係合離脱力は、係合離脱が患者に不快感を与える程大きくはなく、治療中に自然に係合離脱が生じる程小さくもない。係合及び係合離脱力の最適値は、歯によってかなり異なり、アーチ部材セグメント251、252の構成に部分的に依存し得る。1つ以上の実施形態では、アーチ部材セグメント251、252のどちらか又は両方を接続解除するのに必要な力は、施術者のみが手持ち器具又はその他の道具を用いてアーチ部材250を取り外せるようなものにすることができる。
図3に示されるように、第1の及び第3のアンカー211、213は大臼歯装置を含み、その一方で、第2及び第4のアンカー212、214は各々、従来の歯科矯正ブラケットを含む。固定区分200は、患者の後方歯の唇側表面に結合されているように示されているが、全てでなくとも少なくとも1つのアンカー211〜214が患者の歯の舌側表面に結合されていることも可能である。歯の舌側表面に結合するために特に適したアンカーを、例えば、国際公開第2016/149007号及び国際公開第2016/105466号に見出すことができる。歯の舌側表面への結合にも適しているが、上述の同時係属出願におけるアーチ部材及びアンカーシステムは、唇側の結合、及び本開示の協調調整装置における使用によく適し得る。特定の状況では、並びに施術者若しくは患者の選択に依存して、比較的大きな頬側の高さを有するアンカーの唇側の結合が患者にとってはより快適であり得る。
図4を参照すると、被覆受け部120の断面図が、アンカーカップリングと、容易になった係合離脱との関係を示している。被覆受け部120はアンカー本体220の顔面側表面の少なくとも一部分の上に延在する。図1〜図3及び図4に示される実施形態では、被覆受け部120は、覆われた前方歯に隣接して位置するアンカー210の特定の顔面側表面222のみの上に延在する被覆受け部を特徴とする、図6に示される協調調整装置の実施形態とは対照的に、全ての顔面側表面の上に延在する。特定の状況では、アンカー本体220の顔面側表面222の一部分のみの上に延在することは、所望の移動を実現するために十分であり得、アンカー210からの取り外し可能区分100の係合離脱を容易にし得る。係合離脱の容易さが望ましいことではあり得るが、アンカー本体220の全ての顔面側表面の上に被覆受け部120を延在させることで、特に、歯16が、アーチ内の他の歯に対するアンカーの役割を果たすことが意図されている場合に、協調移動がもたらされ得る。更に他の実装形態では、被覆受け部120は、アンカー本体220の咬合顔面側表面の上を部分的に延在するのみであってもよく、そのため、アンカー本体220の歯肉部分が露出する。
被覆受け部120の幾何形状は、二重治療歯を、定められた移動経路に沿って弾性的に再配置するように選択又は形状設定され得る。本明細書で使用する場合、「二重治療歯」とは、アンカーを含み、協調調整装置が歯列弓上に受け入れられている時に受け部と接触している歯である。二重治療歯は、典型的には、第1又は第2小臼歯であるが、異なる後方歯(例えば、第1大臼歯)又は前方歯であってもよい。被覆受け部120は、アンカー本体220に近接した係合領域122及び逃げ領域124、並びに歯接触領域126を含む。係合領域122は取り外し可能区分100をアンカー本体220に連結し、特定の歯の移動を生じさせるための協調力をもたらす。被覆受け部120は、アンカー210及びアーチ部材セグメント251、252と併せて、変位力を歯16に更に又は追加的に印加するように構成することができる。このような協調移動力は、係合領域122、及び歯接触領域126を通じて印加され得る。このように、取り外し可能区分100及び固定区分200の両方による作用の正味の結果である変位力を歯(又は複数の歯)へ向けることができる。これは、被覆受け部120、所与のアーチ部材セグメント251、252、及びアンカー210の双方が移動力を歯16に付与する場で生じ得る。一例では、アンカー210及び被覆受け部120のうちの一方が歯と接触し、他の歯科矯正構成要素によって印加される移動力に影響を及ぼす、歯に対するてこ点又は抵抗点の役割を果たし得る。力のこのような二重の協調印加を用いると、ブレース(又はアライナ)のみを用いて達成され得るであろうよりも改善された移動(例えば、より良好な並進、低減された傾斜など)を可能にするよう、治療を向上させ得る。
逃げ領域124は、空洞102と固定区分200との間の不所望の接触を最小限に抑えつつ、患者の歯の上への取り外し可能区分100の配置を促進するように形状設定又は設計することができる。例えば、逃げ領域124は、歯の上への取り外し可能区分の配置を、困難なものにするか、又は場合によっては、取り外し可能区分100若しくは固定区分200の構造に損傷を与えるものにし得るであろう、空洞102とアンカー210との間の接触を最小限に抑えるように形状設定され得る。
逃げ領域124は様々な形状又は設計を含むことができ、例えば、突出部、泡、気嚢(envelope)、スロット形状、及び同様のものを含み得る。逃げ部分124はアライナ又は材料の連続的な又は実質的に連続的な部分によって画定されていてもよく、あるいはアライナの他の部分を形成する材料とは異なる1つ以上の材料で少なくとも部分的に又は全面的に構成されていてもよい。いくつかの場合には、逃げ部分は開放部分を形成してもよく、それにより、凹状の溝102の外部から空洞104まで延在する窓を形成する。逃げ領域124は、アライナが取り付け構造体と接触する、又はそれを切り取ることを回避するよう、アンカー及びアーチ部材セグメントを受け入れるための挿入経路を含むか、又は画定してもよい。それゆえ、逃げ領域124は、歯上に位置付けられたアンカーを妨害又は損傷し得るであろう、あるいはさもなければ固定区分を妨害する、不所望の接触を低減するか、又は最小限に抑えるように設計することができる。
取り外し可能区分とアーチ部材セグメントとの間の係合は所望の歯の移動を妨害し得る。目下好ましい状況では、逃げ領域124は、被覆受け部が、装着又は取り外し/設置のどちらかの間に、アーチ部材セグメントと最小限度で直接接触するか、又は直接接触しないように設計される。このような適合は、アーチ部材セグメントが、装着の間、又は取り外し/挿入の間に、外れるか、又は歪むことを防ぐことができる。図5を参照することによって理解することができるように、受け部120は、アーチ部材セグメント251に隣接する逃げ領域128を含むことができる。隣接する逃げ領域128は、アーチ部材と同じ大まかな断面形状を含むことができるが、アンカーの移動及び取り外し可能区分100の取り外し/着座の両方に適合させるために、より大きな寸法を有してもよい。更に、隣接する逃げ領域128は、シェルをアーチ部材251に対する適切な位置へ向かわせるために、傾斜した、又は傾いた表面を含んでもよい。
アーチ部材セグメント250と取り外し可能区分100との間の過剰な接触を回避することが、多くの場合、第一に考慮すべきことであるが、特定の状況下では、アンカー本体220と被覆受け部120との間の接触を最小限に抑えることも有利である。係合領域122は、所望の歯の移動を生じさせるために十分な程度にのみブラケットを連結するように構成されるべきである。この目的は、アンカー本体220がいくつかのアンダーカット、タイウィング、及び他の入り組んだ構造体(例えば、到達可能なアーチワイヤスロット)を顔面側表面又はその近傍に含む場合には、難易度が高くなり得る。これらの典型的な歯科矯正ブラケットの特徴は、被覆受け部120との潜在的な係合の複数の地点を提供し、治療中に有用である一方で、それにもかかわらず、挿入及び取り外しの作業のどちらか又は両方に望ましくない欠陥モードをもたらし得る。例えば、患者又は治療を行う施術者は、取り外し可能区分を、被覆受け部の一部分がタイウィング、又はアーチワイヤスロットの部分に引っ掛かるような仕方で動かし得る。この点以降に力を加え続けると、他の部分の空洞102の被覆受け部120をゆがめ得るだけでなく、また、アンカー基部230が歯から、又はアーチ部材セグメント250がアンカー本体220から外れ得る。
取り外し可能区分100と固定区分200との間の係合の最適化は様々な自己結紮歯科矯正ブラケットを用いて実現され得る。これらの装置は、スロット内にアーチワイヤを保持するために、一般的には、クリップ、バネ部材、ドア、シャッター、ベイル、又は、ブラケット自体に組み込まれた他の結紮機構を使用することにより、別個の結紮具の使用が不要となる。図7に、本開示の協調調整装置におけるアンカーとしての使用に特によく適した例示的な自己結紮ブラケットが示されている。自己結紮アンカー300は、基部302及び本体320を有し、スロット330が本体の顔面側表面を横切って延在する。アンカー300は、ヒンジ軸372を中心として位置合わせされ、ヒンジ370を中心として回転可能なドア341及び係止具(図示されていない)を含むラッチアセンブリを含む。ラッチアセンブリのドア341は、ドア341が閉鎖された時に、アーチ部材セグメント(典型的には、従来のアーチワイヤの区分)がスロット330内に捕捉されて保持されるように、ヒンジ370を中心として、開放された向きと閉鎖された向きとの間で回転可能である。ドア341は、顔面側表面352の反対側に、舌側表面(図示されていない)を含む。ドア341は、ラッチアセンブリが閉鎖位置にある時に、スロット330の上に延在する、咬合側縁部領域343を含む。したがって、アーチワイヤがアーチワイヤスロット330内に受け入れられると、咬合側縁部領域343の真下の舌側表面は、アーチワイヤとの接触が規定されている場合には、アーチワイヤと接触することになる。
特に、ドア341は、アーチワイヤスロット330の咬合側には、ラッチアセンブリ340を本体320に固定するための、クリップ又は他の構造体を有さない。ドア341の回転を所望の状態に制止するためには、係止具と舌側表面との相互作用のみで十分である。係止具は、ドア341が開放された向きにある間に、アーチワイヤスロットに向かう咬合側縁部343の回転を最小限に抑えるか又は防止することにより、係止表面が係合されている限りは、アーチワイヤスロット330へのアクセスをラッチアセンブリが覆い隠すことを防ぐ。このことは、アーチワイヤを着座させている間にドア341が偶発的に閉鎖される、施術者に対するリスクを著しく低減する。同様に、係止具は、治療の間にアーチワイヤがアーチワイヤスロット330内に固定されている時に、偶発的な開放を最小限に抑えるか又は防止する。これらの特徴は、少なくとも部分的に、本体320の顔面側表面上又はその近傍のくぼみ及びアンダーカットの数を抑制する役割を果たし、アンカー300と被覆受け部120との間の係合離脱を容易にする。アンカー300の構造及び動作のための他の態様及び代替例を、国際公開第2016007646号(Yickら)に見出すことができる。本開示におけるアンカーとして使用するための、他の例示的な、特に好適な自己結紮ブラケット構成を、米国特許第7,963,767号(Lewisら)及び米国特許出願公開第20150223913号(Yickら)に見出すことができる。
他の実装形態では、アンカー本体320は、アーチワイヤをブラケットスロット内に保持するために用いられる伝統的な結紮方法(タイウィング、及びアンダーカットを含む)も可能にする構造を含むことができる。結紮は、例えば、エラストマーoリング又は結紮ワイヤを、アンダーカットの真下、スロット内に受け入れられたアーチ部材の上、及びタイウィングの真下に固定することによって、達成することができる。アンダーカット及びタイウィングはまた、所望の場合には、パワーチェーンを2つ以上のアンカーに固定するために用いられてもよい。このような実装形態では、被覆受け部の逃げ領域は係合領域より大きくてもよく、より大きな歯変位力を生じさせるよう受け部の歯接触領域を残す。
図8は、本開示の協調調整装置における使用によく適したアンカー本体420の別の実施形態の斜視図である。アンカー本体420は、アンカー本体420の近心−遠心側に連結された少なくとも1つのクリップ460を含み、クリップ460はスロット440を包囲するようになっている。アンカー本体420は、図6に示す実施形態において、1対のクリップ440を含む。各クリップ460は、概ね唇側−舌側方向又は咬合−歯肉方向に延在した後に互いに離れて外方へ曲がることのできる1対のアーム部分462、464を含む。アンカー本体420の近心面及び遠心面の各々の突出部428がクリップ460を貫いて延在し、これにより、クリップ460をアンカー本体420上に保持する。
アンカー本体420は、傾いた、概ね平面状の歯肉側表面425を更に含む。傾いた表面425は、取り外し可能区分が歯列弓上に挿入されるか、又はそこから取り外されるにつれて係合領域122又はその他の被覆受け部120の表面が移動するための一種の傾斜路を提供する。とりわけ、傾いた表面425には、取り外し可能区分の受け部と偶発的に係合し得るくぼみ又は他の領域が全くない。他の実施形態では、傾いた表面は、係合領域と相互作用するいくつかのくぼみ又はアンダーカットを含み得る。
クリップ460は、図8では、それらの通常の弛緩した向きで示されている。しかし、各クリップ460のアーム部分462、464は、アーチ部材セグメント(図示されていない)をスロット440内に入れるために、互いに遠ざかるように移動可能である。アーム部分462、464の滑らかな外側縁部は、アーチ部材セグメントをアーム部分462、464の外側の湾曲した縁部に対して押し付けることによって、各クリップ460がアーチ部材に係合することを可能にする。圧力がアーチ部材セグメントによって湾曲縁部に加えられると、アーム部分462、464は、アーチ部材セグメントをスロット440内に入れるために互いに遠ざかるようにたわむ。
アーチ部材セグメントがスロット440の壁と係合すると、アーチ部材セグメントはアンカー420に離脱可能に接続される。1つ以上の実施形態では、アーム部分462、464と突出部受容領域446との間の領域のクリップ460の幅は、スロット440の幅以下である。任意選択的に、クリップの内面を粗くする、又はギザギザにする、又はクリップの内面に鋸歯、溝若しくは他の構造を設けて、クリップ460とアーチ部材セグメントとの間の確実な非摺動接続を促進することができる。
任意選択的に、クリップ460の各々は、金属素材の平坦区分から切り出される。適切な金属材料は、ニチノール及びベータチタンの合金などのような形状記憶合金を含む。クリップ460は、スタンピング、ダイカッティング、化学的エッチング、EDM(放電加工)、レーザ切断、又はウォータージェット切断プロセスを使用して、素材から切断され得る。別の選択肢として、各クリップ460を形成し、次いで、その形状を固定させるように熱処理し得る。他の好適なクリップ及びクリップ機構が、米国特許第7,014,460号(Laiら)、同第7,252,505号(Lai)、同第7,367,800号(Laiら)、同第8,827,698号(Laiら)に記載されている。
図9は、協調調整装置の固定区分600の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図6の固定区分に関する設計考慮事項及び可能性は全て、図7の固定区分600に等しく当てはまる。固定区分600は、アーチ部材本体652、及び本体に接続された1つ以上のアーチ部材カップリング654を含む、アーチ部材セグメント650を含む。装置600はまた、アンカー本体620、及びアンカーを歯の表面に接続するようになっている基部(図示されていない)を各々含む1つ以上のアンカー610を含む。
アンカー本体620は、アーチ部材650のアーチ部材カップリング654を受け入れるようになっているスロット640を含む。スロット640は任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができる。アーチ部材カップリング654は、スロット640に挿入されるようになっているスロット付き部分656を含むことができる。1つ以上の実施形態では、スロット付き部分656は弾性であり、そのため、スロット付き部分656はスロット640内で圧縮され、その内部に保持され得る。アーチ部材カップリング654はアンカー本体620のスロット640内に摩擦嵌めされ得る。アーチ部材カップリング654はまた、アンカー本体620のスロット640により受け入れられるようになっている1つ以上のタブ655を含むことができる。タブ655はスロット640に係合することができ、それにより、アーチ部材セグメント650は、例えば、アンカー330に取り付けられた歯に角度をもたらすことができる。
アーチ部材本体652は1つ以上の非直線(例えば、弓形)部分を含み、この部分は、図示の実施形態では、ばね様の効果をアーチ部材セグメント650にもたらし、アンカーから歯肉方向に実質的にオフセットしたV字形部分653である。任意の適切な数のV字形部分を、アーチ部材カップリング654間に形成することができる。1つ以上の実施形態では、V字形部分653は、アーチ部材セグメント650に接続された歯の表面に実質的に平行な平面内に存在することができる。本明細書で使用する場合、「実質的に平行」という用語は、任意の非直線部分(例えば、V字形部分653)が、装置に接続された1本以上の歯の表面に対して約10度以下の角度をなす平面内に存在することを意味する。V字形部分653は、アーチ部材セグメント650に取り付けられた1本以上の歯に任意の適切な矯正力を与えることができる。
図示されてはいないが、アーチ部材650の1つ以上の部分はアーチ部材カップリング654間で異なる幾何学形状を含み、V字形部分653によって与えられる矯正力とは異なる1つ以上の矯正力を与えることができる。更に、アーチ部材本体652の断面幾何学形状は、任意の適切な1つ以上の部分において、例えば、V字形状の部分653を含む本体の一部分において、アーチ部材本体の長さに沿って変化することができる。1つ以上の実施形態では、1つ以上のアーチ部材カップリング654間の近心−遠心距離を、V字形部分653が選択された頂角を有するように選択することができる。
固定区分600を特徴とする協調調整装置では、各取り外し可能区分の被覆受け部は、少なくとも、取り外し可能区分100が挿入されるか、取り外されるか、又は再配置される時に、係合が固定区分を分離又は妨害し得る程度まで、アーチ部材カップリング654及びアーチ部材本体652との係合を回避するように構成されている。したがって、被覆受け部は、アンカー本体620の近心側及び遠心側縁部622、624に近接した係合領域を特徴とすることができる。
図10に、協調調整装置700のための別の構成が示されている。アンカー720及びアーチ部材セグメント750の1つのアンカー留めされたシステムのみが示されているが、歯列弓の他の象限が追加のアンカー及びアーチ部材セグメントを含んでもよい。図1〜図8の協調調整装置に関する設計考慮事項及び可能性は全て、図10の協調調整装置700に等しく当てはまる。しかし、調整装置700では、取り外し可能区分710は、協調調整装置が患者によって装着された時に、アーチ部材セグメント751による概ね前方向又は後方向の力の印加を支援するためのアンカー留め保持力を与えるように構成されている。ここで、取り外し可能区分によってアンカー留めされる歯が多いほど、前方歯の偶発的又は不所望の移動を防ぐのを助け、その一方で、後方歯は更に分離又は集中される。特に、被覆受け部720は、小臼歯16が、アーチ部材セグメント751によって生じる動きに抵抗するのを助け、アンカー留めされた大臼歯が遠心側に移動することを可能にする。
本実施形態又は他の実施形態におけるアーチ部材セグメント751は、長手方向の(即ち、概ねアーチ部材本体の長さに沿った方向の)移動を可能にする1つ以上の可撓性ばねを含むことができる。1つ以上の実施形態では、ばねは弾性であり、長手方向に引張力又は圧縮力を伝えることができる。Z字形のスプリング、コイルスプリング、オメガループ、プッシュロッド、又は、それらの任意の組み合わせを含む、様々なタイプのスプリングが使用され得る。
一般的に、アーチ部材及びアンカーの様々な実施形態は、選択された治療を行うために互換的に使用することができる。例えば、1つの例示的な実施形態では、患者の1本以上の歯は、図1〜図5に示される装置10のアンカー210に接続されてもよく、1本以上の追加の歯は、図7に示されるアンカー300に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、装置システムの異なる実施形態を治療の異なる段階で使用することができる。例えば、図9の固定区分600が早期の治療段階で利用されてもよく、図1〜図6の固定区分200が同じ患者の後期の治療段階で利用されてもよい。更に他の実施形態では、異なるアンカー及びアーチ部材の組み合わせが歯列弓の異なる象限上で用いられてもよく、一例として、アーチ部材750を右象限上の遠心移動のために用いることができ、その一方で、アーチ部材250又は650を左象限上の間隙閉鎖のために用いることができる。
本開示に係る協調調整装置を作製する方法900は、図11において概説される一般的ステップを含むことができる。プロセスの個々の態様は、下記で更に詳細に説明する。プロセスは、患者の歯を再配置する治療計画を作成することを含む。簡潔に説明すると、治療計画は、患者の歯の当初配列を表現するデータを得ること(ステップ910)を含み、これは通常、治療開始に先立って患者の歯の印象又は走査画像を得ることを含む。治療計画はまた、求められるように患者の前方歯及び後方歯の最終的若しくは目標配列を特定すること(ステップ920)、並びに、少なくとも前方歯を治療経路に沿って当初配列から選択された最終的若しくは目標配列に向けて移動させるための、複数の計画的な連続的若しくは中間段階の歯の配列を特定すること(ステップ930)も含むことになる。治療計画はまた、患者の歯上のアンカーの所望の位置を決定すること(ステップ940)、及び所望のアンカー留めされた移動を実現するために必要なアーチ部材セグメントの数及び特定の幾何形状/組成を決定すること(ステップ950)も含むことができる。もう1つの調整装置構成要素(例えば、アンカー、取り外し可能区分、及びアーチ部材セグメント)を治療計画に基づいて作製して組み立て、患者に施すことができる(ステップ960)。
協調調整装置の取り外し可能区分は、単一の装置として、又はセットの装置若しくは複数の装置の一部として設計及び/又は提供することができる。各装置は、歯を受け入れる空洞が、装置のために意図される中間又は最終的な歯の配列に対応する幾何形状を有するように構成され得る。患者の歯の上での取り外し可能区分の幾何形状(例えば、歯を受け入れる空洞の幾何形状)を変更することによって、患者の前方歯(又はあまり典型でない状況では、後方歯)を当初の歯の配列から、目標とする歯の配列まで徐々に再配置することができる。目標とする歯の配列は、計画した全ての矯正治療の終わりにおいて患者の歯のために選択された、計画した最終的な歯の配列とすることができる。あるいは、目標配列は、矯正治療経過中の患者の歯の、多くの中間配列のうちの1つとすることができる。このように、目標とする歯の配列は、1つ以上の漸増する再配置段階に従う患者の歯の、計画して得られる任意の配列であり得ることが理解される。同様に、当初の歯の配列は、1つ以上の漸増する再配置段階が続く、患者の歯の任意の当初配列であり得る。2つ以上の取り外し可能区分は、全て同時に、又はセット若しくはバッチで作製することができる。患者は、処方医師によって指示される決められた期間の間、各取り外し可能区分を装着する。複数の異なる装具構成が、以下で更に特定する方法によって、患者が装具又は一連の装具のうちの任意の装具を装着する前に、設計及び製作され得る。取り外し可能区分構成を適切な時間にわたって装着した後、現在の取り外し可能区分を系列内の次の装置と交換し、患者は、系列内の全ての取り外し可能区分を装着していく。満足のいく治療結果を達成するまで、追加の一連の取り外し可能区分が製作され、装着され得る。
同様のアプローチが固定区分にも取られ得る。特定の治療では、アンカーは治療継続時間の間、歯に結合されたままとどまる。このような場合には、アーチ部材セグメントは所望に応じて交換されるか、又は更に、治療継続期間にわたって保持され得る。例えば、治療は、最初の移動を実現するためのステンレス鋼を含むアーチ部材セグメントを用いて開始してもよい。指定された時間の後、又は例えば、施術者の分析若しくは製造者の推奨に基づいて、ステンレス鋼アーチ部材セグメントは、ニチノール若しくはその他の形状記憶材料を含むアーチ部材セグメント、又はステンレス鋼セグメントと交換されたニチノールアーチ部材と交換されてもよい。他の治療計画は所与の治療段階のための異なるアンカーを特徴としてもよい。
治療計画を作成する
患者の歯科矯正治療のための協調調整装置を含む治療計画を規定し、作成するためのプロセスのステップは、1つ以上のコンピュータシステム上における実行のためのコンピュータプログラムモジュールとして実装することができる。治療計画を作成するシステム及び方法を、例えば、米国特許第7,435,083号(Chistiら)、米国特許第7,134,874号(Chistiら)、米国特許出願公開第2009/0286296号(Wenら)、同第2010/0260405号(Cinader,Jr.)、及び米国特許出願公開第2012/0061868号(Rabyら)に見出すことができる。
最初のステップとして、患者の歯(及び場合によっては、口腔組織)の型又は走査写真を取得する。これは一般的に、患者の歯及び歯茎の型を取ることを含み、追加又は代替で、ワックスバイトを取ること、直接接触走査、X線撮像、断層撮像、ソノグラフ撮像、並びに歯、顎、歯茎及び他の歯科矯正に関する組織の位置並びに構造についての情報を得るための、他の技法を含む。デジタルデータのセットが、当初(例えば事前治療)の患者の歯の配列、及び他の組織を表わすこのデータから導出される。次に歯列弓のコンピュータモデルが、走査データに基づいて再構築され得る。
当初配列(又は任意のその後の配列)の少なくとも一部分を取得するための1つの例示的な技法はデジタルスキャンである。患者の歯科構造体を表す仮想歯科モデルを、デジタル口腔内スキャンを用いて、又は、印象若しくは他の物理的な歯科モデルをデジタルスキャンすることによって、取り込むことができる。デジタル画像は、例えば、Brontes Technologies,Inc.(Lexington,MA)によって開発され、PCT国際公開第2007/084727号(Boerjesら)に記載される、能動波面サンプリングを使用する口腔内スキャナなどの、手持ち式口腔内スキャナを使用して提供され得る。仮想歯科用モデルをデジタルデータとして提供することを可能にするスキャンデバイスは、例えば、共に3M Deutschland GmbH製の、商品名Lava(商標)スキャンST及びLava(商標)Chairside Oral Scanner C.O.S.である。あるいは、3M Companyから入手可能な、3M True Definition(商標)スキャナなどの、他の口腔内スキャナ又は口腔内接触プローブが使用され得る。1つ以上の実施形態では、他の口腔内スキャナ又は口腔内接触プローブを使用し得る。別の選択肢として、デジタル構造データは、患者の歯のネガティブな印象を走査することによって提供され得る。更に別の選択肢として、デジタル構造データは、患者の歯のポジティブな物理的モデルを撮像することにより、又は患者の歯のモデル上で接触プローブを使用することにより提供され得る。スキャニングのために使用されるモデルは、例えば、アルギネート又はポリビニルシロキサン(PVS)などのような適切な印象材から患者の歯列の印象をキャスティングし、キャスティング材料(例えば、歯科矯正石膏又はエポキシ樹脂など)を印象の中へ注ぎ、キャスティング材料を硬化させることによって作製され得る。X線撮影、レーザスキャニング、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波画像診断を含む任意の他の適切な走査技法を、モデル又は実際の歯列を走査するために使用することができる。他の可能なスキャン方法が、例えば米国特許出願公開第2007/0031791号(Cinader,Jr.ら)に記載されている。
スキャン操作からの生データ、及び生データから導出した表面モデルを表すデータの両方を含み得る当初のデジタルデータのセットは、互いから組織組成を分割するために処理することができ、個別の歯科オブジェクトを画定することを含む。例えば、個々の歯冠をデジタルで表わすデータ構造が作成され得る。いくつかの実施形態において、計測又は推定される隠された表面及び根の構造を含む、歯全体のデジタルモデルが作成される。
当初のデータセットが処理されると、前方歯及び後方歯の所望の位置が、任意の二重治療歯に特に注目しつつ、決定される。前方歯(例えば、協調調整装置の取り外し可能区分を用いて治療されるべき歯)の所望の最終的位置は、例えば施術者から記述された処方箋の形態で受け取ることができるか、歯科矯正処方を用いて計算することができるか、又は臨床処方からコンピュータで推定することができる。所望の最終的な歯の位置の指定、及び歯自体のデジタル表現を用いることにより、各歯の最終的位置及び表面形状を指定し、所望の治療目標又は治療段階における歯の完全なモデルを形成することができる。このステップの結果は、推定される安定した組織に対してモデル化した歯の、所望の及び/又は歯科矯正的に正しい再配置を表わす、デジタルデータ構造のセットである。歯及び周囲の組織は共に、デジタルデータとして表現される。目標の歯列の導出に使用可能なソフトウェア及びプロセスについての更なる詳細が、例えば、米国特許第6,739,870号(Laiら)、並びに米国特許出願公開第2005/0170309号、同第2006/0073435号、同第2006/0073436号、同第2006/0105286号、及び同第2008/0233531号(Rabyら)に開示されている。
いくつかの実装形態では、アンカー留めされた歯の所望の最終的位置はアンカーの配置及び/又は向きによって決定され得る。コンピュータ支援によって、仮想オブジェクトを設計し、及び/又は仮想歯列弓に対して配置することを可能にする、様々な治療計画システムが存在する。このようなシステムが、例えば、米国特許第6,776,614号(Wiechmannら)、同第7,210,929号(Rabyら)、同第7,811,087号(Rabyら)、及び同第7,993,133号(Cinader,Jr.ら)に記載されている。仮想アンカーは、少なくとも部分的に設計され、及び/又はデータベースから抽出され得る。各アンカーは、仮想歯列弓内の仮想歯に対して、自動的に及び/又は手動で位置付けられ得る。アンカーの配置のために適するであろう、仮想ブラケットを歯の上に自動的に配置するためのシステムの例が、発行された米国特許第7,210,929号(Rabyら)、並びに米国特許出願公開第2006/0024637号(Rabyら)及び同第2007/0238064号(Rabyら)に記載されている。複合モデルを作製するための仮想歯上へのアンカーの配置は、治療専門家又は技術者によって、治療専門家の職場から遠く離れた場所で実施されてもよい。例えば、装置製造者の施設にいる技術者が、モデリングソフトウェアを用いて、歯科矯正治療方針からの基準又はガイドラインに基づいてアンカーを患者の歯列弓のモデル上に配置してもよい。装置配置のためのこれらの基準又はガイドラインはモデル内の各歯に特有のものであってもよい。技術者も、治療専門家により提供される具体的な指示に従ってアンカーを配置し得る。技術者がアンカーの位置及び得られた歯の最終位置に満足すれば、モデルは、アンカーの位置を表すデータと共に吟味のために治療専門家に転送され得る。次に、治療専門家は、技術者のアンカー配置位置を承認するか、又は必要に応じてアンカーを再配置することができる。
いくつかの実装形態では、次に、モデリングソフトウェアが、例えば、アンカーを仮想アーチ部材セグメントに仮想的に接続し、アンカー及びアーチ部材セグメントの位置に基づいて歯の最終的位置を計算することができる。装置を移動させることに対する代替例として、治療専門家又は技術者は、代わりに、モデリングソフトウェアを使用して歯の所望の位置を規定し、歯をそれらの所望の位置へ移動させるべくアンカーを配置するための好適な位置をモデリングソフトウェアに決定させてもよい。この仕方による仮想歯列矯正治療の例が、例えば、発行された米国特許第6,739,869号(Kopelmanら)、同第7,354,268号(Rabyら)、及び米国特許出願公開第2008/0096151号(Cinader,Jr.ら)に記載されている。
プロセスは、事前に構成されたアンカーを選択するか、又は特定の歯の移動を達成するために、アンカーを特別に設計することができるであろう。例えば、アンカーは、歯をその所望の位置/向きより先へ押すことによって、「過剰矯正する」ように設計することができるであろう。これはアーチ部材とアンカーとの間の遊び(又は「スロップ(slop)」)を克服し得る。遊びは、通例、歯が所望の位置/向きに近づくにつれてアーチ部材(特にアーチワイヤ)が力を失う傾向を生じさせ、その結果、歯の治療目標達成の失敗をもたらし、及び/又は再発の可能性を高め得る。アーチ部材は同様の仕方で設計することができる。移動段階ごとに新たなアーチ部材構成、幾何形状、又は材料を選択することができるという点で、一連のアーチ部材を、歯を逐次的に移動させるように設計することができる。例えば、歯がアーチから締め出されている場合には、アーチ部材は、締め出された歯を所定位置へ移動させる前にアーチ内に空間を生み出すことを期待して設計することができる。
歯ごとの初めの位置及び最終的目標位置の両方、並びにアンカーの所望の位置を有した上で、プロセスは、次に、取り外し可能区分100内に受け入れられて再配置される歯ごとの治療経路又は歯の経路を定める。これは、少なくとも、これらの歯(通例、前方歯)を、当初配列から選択された最終的配列に、治療経路に沿って移動させるための、複数の計画した連続する歯の配列を定めることを含む。
初めの位置と所望の最終的位置との間の、各歯の移動経路は、歯の移動の合計距離、歯を移動させる困難さ(例えば周囲の構造、移動させる歯の種類及び箇所等に基づく)、及び提供され得る他の対象者固有データを含む、多数のパラメータに基づいて計算され得る。この種の情報に基づき、使用者又はコンピュータプログラムは、適切な数の中間ステップ(治療ステップに対応する)を作成し得る。いくつかの変形において、使用者はステップの数を特定することができ、ソフトウェアはそれに応じて異なる装具構成をマッピングすることができる。あるいは、移動経路は使用者によって誘導(又は設定)され得る。
移動経路によって、歯が所定の量(例えばX又はYの平行移動において0.3mm未満)よりも動くことが必要となる場合、動きの経路は複数のステップに分割されてよく、各ステップは別々の目標配列に対応する。所定の量は一般に取り外し可能区分構成が、治療ステップごとに必要とされる時間内に歯を特定の方向に移動させることができる量である。例えばステップは、各個別の位置が、直線の歯の動きによって追うことができるか、又は先行する個別のステップによって達成される歯の位置からの単純な回転によって追うことができるよう、並びに各ステップにおいて必要とされる再配置量が、歯科矯正的に患者の歯列にかかる最適の力の量に関連するように、規定及び計算され得る。アンカーの所望の配置を決定する場合と同様に、この算出ステップは施術者との連係を含むことができる。施術者の連係は、歯の位置及びモデルを受け入れるようにプログラムされたクライアントプロセス、並びにプロセスの他のステップが実施されるサーバコンピュータ又はウェブベースのポータルからの経路情報を用いて実施され得る。
治療計画策定プロセスの際には、二重治療歯群(又は歯)上のアンカー配置の結果のシミュレーションを、取り外し可能区分に起因する予想移動と連携して、歯の目的又は目標位置を確立するために用いることができる。さもなければ、固定区分は、アンカー留めされた歯を、固定区分にプログラムされた目的地に向けて移動させ得るが、取り外し可能区分は歯を異なる目的地に向けて移動させようとすることがあり、この不一致が取り外し可能区分との二重治療歯群(又は歯)の適合不良を生じさせて、所望の協調が十分に達成されないことになり得る。
他の例では、取り外し可能区分のための治療計画を作成することは、既定の設計制約のセットに従って受け部108の寸法及び形状を選択することを含む。予め設計された設計制約のセットは、限定するものではないが、包囲された歯のうちの1本以上に印加される最大局所力、包囲された歯のうちの1本以上に印加される最大回転力、包囲された歯のうちの1本以上に印加される最大並進力、包囲された歯のうちの1本以上に印加される最大合力、包囲された歯の歯周靭帯に伝えられる最大応力及び歪み、及び包囲された歯がそれらの初期位置にある時に取り外し可能な歯科装置が患者によって装着された時に取り外し可能な歯科装置に印加される最大歪みを含む、1つ以上の因子を含み得る。
同じ又は異なる例では、取り外し可能区分の寸法及び形状を決定することは、取り外し可能歯科装置が患者によって装着された時に患者の1本以上の歯をそれらの当初位置から調節された位置へ再配置するために適した剛性を提供するために、シェル102の厚さを選択することを含む。このように選択された厚さは、厚さ約0.5〜約1.0ミリメートルなど、厚さ約0.25ミリメートル〜約2.0ミリメートルの範囲であってもよい。いくつかの例では、既定の設計制約に従って、又は必ずしも厚さを増大させることなく所望の剛性特性を与えるために、凹状シェル102の少なくとも一部分のための材料を選択することができる。
被覆受け部120の係合領域及び逃げ領域は、例えば、米国特許出願公開第2015/0231687号(Bleesら)に記載されているとおりの、仮想アンカー類似体を用いて設計されてもよい。各類似体は、所与の協調調整装置において使用するためのアンカーの仮想セットの仮想アンカーに関連付けられており、一部の場合には、その変更を表現する。一実施形態において、変更ステップは、アンカーの一部分のみを選択的に変更することによって、仮想アンカーブラケットにより表される3次元体積を増加させることを含む。例えば変更ステップは、アンカー本体形状に存在する、へこみの平坦化又は縮小を含むことができる。変更ステップは、アンカー形状の部分間の空間を少なくとも部分的に充填すること、又は仮想構造をアンカー形状に加えることを更に含み得る。このように、取り外し可能区分の挿入を妨げるか、又は取り外し可能区分が取り外されるのを最終的に邪魔し得るアンダーカットを最小化又は除去することができる。更に、変更ステップは、係合と設置/取り外しの容易さとのバランスを取るために、元の仮想アンカー形状の少なくとも一部分を維持すること、又は実質的に維持することを含み得る。このように、各仮想類似体の形状は、1つの仮想アンカーの形状に少なくとも部分的に実質的に対応し得る。したがって、類似体の形状を収容するように作られた取り外し可能区分は、物理的アンカーが被覆受け部内に配置されると、追加の逃げ領域を自然に生じさせることになる。
別の代替例として、仮想取り外し可能区分は、米国特許出願公開第2011/0091832号(Kimら)に記載されているものなどの方法を用いて、アンカー及び歯の仮想複合モデルから直接導出されてもよい。かかる方法の一例において、導出は、モデルアーチの少なくとも一部分にわたって延在し、アーチ及び設置されたアンカーから離れて離間配置された誘導線を画定することにより実行することができる。例えば誘導線は、仮想類似体の顔面側表面に概ね平行で、かつ咬合平面内に概ね存在する曲線経路をたどる。コンピュータ支援された一実施形態において、誘導線は、咬合方向から見た時にアンカーの最も顔面側の縁部を接続する線分をなぞり、線分を顔面方向に向かって外側に一定の距離だけオフセットさせ、その後、線分に平滑化操作を適用することにより画定される。所望する場合、一定の距離を使用して、所望のシェルの厚さを定めることができる。プロセスは、各々、複合仮想アーチモデルの舌側表面、咬合側表面、及び顔面側表面の上に延在し、各誘導線と概ね垂直な関係で交差し、それにより、各々のフィッティングされた弧が仮想モデル及び仮想アンカー(又は類似体)の上を、それらと接触することなく、通過する一連のフィッティングされた弧を定義することによって継続してもよい。
仮想取り外し可能区分の外面は、表面を、フィッティングされた弧のセットにフィッティングすることによって形成され得る。いくつかの実施形態において、外面は、モデル及びアンカー(及び/又は類似体)を含む仮想複合モデルの咬合側、舌側、及び顔面側を完全に覆う、開口端状シェルである。任意選択的に、その後、表面平滑化操作が外面に対して実行される。次いで、仮想シェルの残部が、外面を用いて導出される。外面、及び外面によって形成される空洞にわたって延在する平坦な表面を含む複合表面を画定することによって、ソリッドなシェルが形成され得る。仮想複合モデルと仮想的に位置合わせされると、仮想トレイ本体は歯及び類似体の両方を包囲する。次に、複合モデル(アンカー及び/又は類似体を含む)を仮想トランスファートレイ本体から仮想的に取り去り、仮想取り外し可能区分前駆体を作り出し得る。仮想取り外し可能区分前駆体は、通常、シェル状の形態を有することになる、本体を含み、アンカー及び/又は類似体のネガティブ仮想インプリントにより形成される1つ以上の受け部を更に含む。コンピュータ処理可能な3次元データファイルの形態で好ましくは存在する、仮想前駆体は、この仮想前駆体に基づいて物理的な取り外し可能区分を製造する付加製造機械に送信され得る。
いくつか又は全ての実施形態では、取り外し可能な歯科装置の寸法及び形状の決定時に、患者の歯及び取り外し可能な歯科装置にかかる力を解析するために、有限要素解析(finite element analysis、FEA)が用いられ得る。例えば、FEAは、モデル化された歯が当初位置からそれらの最終的位置へ移動する際の患者の歯のソリッドモデルを解析するために用いられ得る。いくつかの又は全ての実施形態において、本明細書において説明した治療計画は、臨床医のコンピューティングデバイス及び又は製造者のコンピュータのコンピュータ可読記憶媒体等の、コンピュータ可読記憶媒体内で具現化することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、実行されると上述の技法を実行するようにプロセッサを構成する、コンピュータ実行可能命令を記憶する。装置設計におけるFEAの使用が、例えば、米国特許第6,739,870号(Laiら)に記載されている。
現時点の装具を製造するために使用する完成した治療計画は、当初配列と所望の最終的配列との間に、複数の連続した配列を含む。複数の連続した歯列は、単一の装具に組み込まれてよく、又は連続して装着される複数の装具間に割り当てられてもよい。したがって、好適な治療計画は、受け入れ可能な系列内の多数の取り外し可能区分、アンカー、及びアーチ部材、並びに系列内の各装置のための目標配列及び開始時の配列を特定する。複数の計画した連続する配列は、目標配列と開始時の配列との間で記憶され得る。本明細書で定義する「目標配列」は、所望の最終的歯列、又は装具を用いた治療の後で患者が到達するべき、計画した連続する歯列であり得る。対照的に、「開始時の配列」は、装具が最初に患者の口に設置される時に、装具が対応するように構成される歯列である。このように、開始時の配列は、患者の歯の当初配列又は現在の配列に向きが最も近く、いくつかの実施形態では、現在の配列に対応する。
装置の製造及び編成
協調調整装置は、アンカーのセット、1つ以上のアーチ部材セグメント、及び治療計画からの連続又は中間配列に各々対応する一連の取り外し可能区分を含む。アンカー及びアーチ部材セグメントは、既存の商品目録若しくはいわゆる市販の装置から選択されるか、又は別個に製作されてもよい。協調調整装置の各々の所望の取り外し可能区分100は、自動製造システムを用いて、コンピュータシステムによって作成された取り外し可能区分のデジタルモデルに基づいて製造されてもよい。異なる例では、取り外し可能区分100は3D印刷を使用して形成してもよく、又は熱成形し、5軸フライス加工又はレーザ切削加工によってトリミングするなど、トリミングしてもよい。3D印刷では、取り外し可能区分100は3D印刷システムにより直接3D印刷されてもよいが、他の例では、取り外し可能な歯科装置100は、3D印刷を用いて形成された歯の型の上で熱成形されてもよい。例えば、最終的歯列を、コンピューターアルゴリズム、又は治療専門家からの上述の治療計画への入力を用いて決定することができ、治療を一連の個別のステップに細分化することによって導出される1つ以上の中間歯列を作り出すことができる。1つ以上の実施形態では、中間の歯の配列のうちの1つ以上は、例えば、米国特許出願公開第2010/0260405号(Cinader,Jr.)に説明されているように、縮小画像を含むことができる。そのような仕方で各々の中間の歯の配列又は最終的な歯の配列が導出されると、それぞれの歯のモデル及び/又は取り外し可能区分は、ラピッドプロトタイピング方法を用いて直接製作され得る。ラピッドプロトタイピング法の例としては、3次元(3D)印刷法、選択領域レーザ積層法又は選択的レーザ焼結(SLS)法、電気泳動積層法、ロボキャスティング法、熱溶解積層法FDM)法、薄膜積層法(LOM)法、ステレオリソグラフィ(SLA)法、及びフォトステレオリソグラフィ法などが挙げられるが、これらに限定されない。スキャンされたデジタルデータからポジティブ歯科モデルを形成するこれら及び他の方法が、例えば、米国特許第8,535,580号(Cinader,Jr.)に開示されている。
アンカーは、口腔内での使用のために適しており、かつ、歯科矯正治療の過程で通常遭遇する応力に抵抗するために十分な強度を有する、任意の材料で作製することができる。好適な材料としては、例えば、金属材料(ステンレス鋼など)、セラミック材料(単結晶又は多結晶アルミナなど)、及びプラスチック材料(繊維強化ポリカーボネートなど)が挙げられる。目下好ましい特定の状況では、アンカーは、金属射出成形又は付加製造プロセスによって、単一構成要素として一体に作製される。1つ以上の実施形態では、アーチ部材セグメントは、押し出しにより形成され、その後既知の技術を使用して成形することができる。1つ以上の実施形態では、アーチ部材セグメントは、基材を切断、スタンピング、又はエッチングすることによって形成することができる。1つ以上の実施形態では、ポリマー材料を熱成形又は鋳造し、アーチ部材セグメントを提供することができる。1つ以上の実施形態では、アーチ部材セグメントは、上述されたとおりの3D印刷技術を使用して形成することができる。
製造は、未硬化樹脂を除去し、支持構造を除去する、又は様々な部品を組み立てる後処理を含んでもよく、後処理は、臨床的環境においても必要なことがあり、実行され得るであろう。
協調調整装置を用いた治療
典型的には、協調調整装置は現場で少なくとも部分的に組み立てられる。即ち、全ての構成要素が、装置を患者のアーチ上に着座させる前に連結されるわけではない。典型的な第1のステップでは、アンカーは患者の後方歯のうちの1本以上結合される。これは、アンカーを歯に直接結合することによって、又は米国特許第7,556,496号(Cinader,Jr.ら)、同第7,845,938号(Kimら)、並びに米国特許出願公開第2011/0091832号(Kimら)及び同第2015/0231687号(Bleesら)に例示されているとおりのトランスファートレイを使用することによって、達成され得る。目下好ましい実施形態では、アンカーは、米国特許出願第20090233252号(Cinader,Jr.)に記載されているように、トレイ内に装填され、結合基部上に圧縮性材料を備える。
いくつかの実施形態(例えば、図9に示される固定区分)では、アンカーが、対応する歯に結合される前に、アーチ部材セグメントをアンカー本体に連結することができる。他の実施形態では、アーチ部材セグメントは、アンカーが歯上に適切に着座させられた後に、アンカーに連結される。
次に、第1の取り外し可能区分がアーチ上に設置され、1つ以上の二重治療歯上のアンカーの上に嵌合させられる。第1の取り外し可能区分は、第1の装着期間を定めるための規定された時間にわたって装着される。第1の装着期間の終わりに、患者(又は施術者)は取り外し可能区分を口から取り外し、患者の治療計画内の次の連続的中間配列を表す新たな取り外し可能区分と交換する。
治療施術者はまた、不正咬合の重症度又は複雑さが、単一の固定区分構成だけでは歯を当初の位置から最終的位置へ再配置するために不十分であるほどのものである場合には、装置の固定区分に対する繰り返しアプローチを選び得る。最初の固定区分は、1つ以上の取り外し可能区分と協働して、歯を、中間の最終でない歯の配列へ移動させるように構成することができる。これらの場合、治療は多段階にて行われてもよく、一連の2つ以上のアーチ部材セグメントが、アンカーの単一のセットと共に連続的に使用されて、歯を不正咬合歯列から最終的な矯正された歯列へと、漸増的かつ漸進的に移動させる。
この治療の例示的な実施形態では、第1のアーチ部材セグメントがアンカーに接続されて、患者の不正咬合している歯を中間歯列に再配置する。その後、第1のアーチ部材セグメントを口腔から取り外す。次に、第1のアーチ部材の弛緩時の構成とは異なる弛緩時の構成を有する第2のアーチ部材を同様に使用して、患者の歯を中間の歯列から最終的な歯列に再配置することができる。所望の場合には、上記のプロセスは、2つ以上の中間歯列に拡張され得る。1つ以上の実施形態において、第1のアーチ部材及び第2のアーチ部材は、同じ構成を含むことができるが、第2のアーチ部材は、第1のアーチ部材とは異なる材料特性を有することができる。例えば、第2のアーチ部材セグメントの1つ以上の部分は、第1のアーチ部材により与えられる矯正力とは異なる矯正力を与える剛性を含むことができる。
任意の数の取り外し可能区分及び/又はアーチ部材セグメントを装着した後に、患者は、治療の第1の繰り返しの結果を評価し得る施術者に戻ってもよい。治療の第1の繰り返しによって、患者の歯が満足な状態で最終設置された場合、治療を終了してもよい。しかしながら、治療の第1の繰り返しによって、患者の歯の所望の移動が完了しなかった場合、1回以上の追加の治療の繰り返しを実施してもよい。治療の次の繰り返しを開始するために、施術者は、順序付けられた取り外し可能な歯科装置のセットの設計を容易にするべく、患者の歯のスキャンをもう一度行ってもよい。いくつかの例では、治療の最初の繰り返しの結果の評価は、患者の歯のスキャンをもう一度行うことを含んでもよく、この場合、治療の次の繰り返しを開始することは、別の取り外し可能区分又は一連の取り外し可能区分が患者の歯の新たな位置に基づき患者のために製造され得るように、患者の歯のデジタルモデルを製造施設に送ることを単に含むだけであってもよい。更に他の例において、新たに取得したスキャンを用いて、取り外し可能区分の1つ以上の繰り返しを、臨床医の施設において作成してもよい。
患者の歯の漸進的な治療を利用する1つ以上の実施形態では、第2、第3、又はそれ以上の歯の中間スキャンは、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して実施され得る。次に、臨床医又は製造者はこれらの中間スキャンを利用して1つ以上の追加的な装具を提供することができ、1つ以上の追加的な装具は、1つ以上の歯が後続の中間配列又は最終的な目標配列のいずれかに再配置されるように、1つ以上の矯正力を歯に提供するようになっている。例えば、米国特許出願公開第2010/0260405号(Cinader,Jr.)及び国際公開第2016/109660号に説明されている技法など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを利用して、これらの中間スキャン、モデル、及びアーチ部材を提供することができる。
本開示の様々な技法は、サーバ(クラウドを含む)、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、スマートフォン、及び同様のものなどの、多様なコンピュータデバイスにおいて実施してもよい。機能的な側面を強調するために任意の構成要素、モジュール又はユニットを記載しており、異なるハードウェアユニットによる実現化は必ずしも必要としない。また、本明細書に記載の技法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせによって実施され得る。モジュール、ユニット又は構成要素として説明した任意の特徴部は、集積論理デバイス中に一緒に実装してもよく、又は、個別であるが相互使用可能な論理デバイスとして別々に実装してもよい。いくつかの場合において、様々な特徴部は、集積回路チップ又はチップセット等、集積回路デバイスとして実装され得る。更に、本明細書全体にわたって、それらの多くが固有の機能を実行するいくつかの別個のモジュールについて説明してきたが、モジュールの全ての全機能を単一のモジュールへと組み合わせてもよく、又は更なる追加のモジュールへと分割してもよい。本明細書で説明したモジュールは、例示的なものにすぎず、理解をより一層容易にするように記載したものである。
ソフトウェアで実施される場合、この技法は、プロセッサで実行される時に、上述の方法のうちの1つ以上を実行する命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体によって少なくとも部分的に実現され得る。コンピュータ可読媒体は、有形のコンピュータ可読記録媒体を含んでよく、梱包材料を含み得るコンピュータプログラム製品の一部を形成してよい。コンピュータ可読記憶媒体は、同期型ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)等のランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去型再書き込み可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気又は光学データ記憶媒体等を含み得る。また、コンピュータ可読記憶媒体は、ハードディスク、磁気テープ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、ホログラフィックデータ記憶媒体又は他の不揮発性記憶デバイス等の不揮発性記憶デバイスを含み得る。本明細書で使用する場合「プロセッサ」という用語は、前述の構造のうちのいずれか、あるいは本明細書で説明した技法の実施に適した任意の他の構造を指し得る。加えて、いくつかの態様において、本明細書で説明した機能は、本開示の技法を実行するように構成された専用のソフトウェアモジュール又はハードウェアモジュール内に提供され得る。ソフトウェアで実施される場合であっても、当該技法は、ソフトウェアを実行するプロセッサ等のハードウェア、又はソフトウェアを記憶するメモリを使用し得る。このような場合には、本明細書で説明したコンピュータは、本明細書で説明した特定の機能を実行することが可能な特定のマシンを規定し得る。また、当該技法は、プロセッサと見なしてもよい1つ以上の回路又は論理素子に完全に実装してもよい。
実施形態
A.
患者の多数の歯に各々対応する受け部を有する凹状の溝であって、この溝は、患者の歯のうちの1本を第1の位置から第2の位置へ再配置するように構成された少なくとも1つの受け部を有する、凹状の溝と、結合基部及び本体を有する第1のアンカーと、結合基部及び本体を有する第2のアンカーと、第1のアンカー及び第2のアンカーに離脱可能に連結されたアーチ部材と、を備える歯科矯正装置であって、凹状の溝は、アンカーの少なくとも一部分を少なくとも部分的に被覆し、これと係合する表面を有する受け部を含む、歯科矯正装置。
B.アーチ部材がアーチワイヤ又はばねである、実施形態Aに記載の歯科矯正装置。
C.アーチ部材が、アーチ部材の長さに沿って変化する断面幾何形状を含む、実施形態A又はBに記載の歯科矯正装置。
D.凹状の溝が第1のアンカーに取り外し可能に連結されている、実施形態A〜Cのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
E.凹状の溝が第2のアンカーに直接連結されていない、実施形態A〜Dのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
F.装置が歯列弓上に設置されている時には、第1のアンカー及び対応する受け部の両方が第1の歯と接触している、実施形態A〜Eのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
G.第1の歯が小臼歯である、実施形態Fに記載の歯科矯正装置。
H.歯列弓上に設置されている時には、第1のアンカー結合基部が第1の歯に結合されている、実施形態Fに記載の歯科矯正装置。
I.第1のブラケット及び空洞が協働して第1の歯を第1の位置から第2の位置へ再配置する、実施形態F〜Hのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
J.多数の歯が前方歯である、実施形態A〜Iのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
K.装置が歯列弓上に設置されている時には、第2のアンカーが大臼歯に結合されている、実施形態A〜Jのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
L.第1のアンカー及び第2のアンカーが各々、本体を横切って延在するスロットを含み、各アンカーが、アーチ部材を対応するスロット内に保持するために位置付けられたラッチを含む、実施形態A〜Kのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
M.第1のアンカーを被覆する受け部が第1のアンカーの少なくとも顔面側表面と係合する、実施形態A〜Lのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
N.第3のアンカーと第4のアンカーとを更に備え、第3のアンカー及び第4のアンカーは、装置が歯列弓上に設置されている時には、第1のアンカー及び第2のアンカーとは異なる歯列弓の象限内の歯群に結合されている、実施形態A〜Mのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
O.溝が、第3のアンカーの少なくとも一部分を被覆し、これと係合するように構成された空洞を含む、実施形態Nに記載の歯科矯正装置。
P.受け部が第3のアンカーの顔面側表面を覆う、実施形態Oに記載の歯科矯正装置。
Q.装置が歯列弓上に設置されている時には、第1のアンカー及び第3のアンカーが小臼歯に結合されており、第2のアンカー及び第4のアンカーが大臼歯に結合されている、実施形態Pに記載の歯科矯正装置。
R.歯列弓上に設置されている時には、凹状の溝が多数の歯の咬合面を覆う、実施形態A〜Qのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
S.患者の歯列弓のための歯科矯正アセンブリであって、患者の多数の歯に各々対応する受け部を有するトレイであって、患者の歯のうちの1本を第1の位置から第2の位置へ再配置するように構成された少なくとも1つの受け部を有する、トレイと、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第1のスロットを含む、第1のアンカーと、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第2のスロットを含む、第2のアンカーと、第1のスロット及び第2のスロット内に受け入れられたアーチ部材と、を備え、トレイは、第1のアンカーの少なくとも一部分に取り外し可能に連結され、これを少なくとも部分的に被覆する受け部を含む、歯科矯正アセンブリ。
T.装置が歯列弓上に設置されている時には、第1のアンカー及び対応する受け部の両方が第1の歯と接触している、実施形態Sに記載のアセンブリ。
U.第1のアンカーが第1の歯に結合されており、受け部が、第1の歯のエナメル質表面と接触した内表面を含む、実施形態Tに記載のアセンブリ。
V.アーチ部材が、アーチ部材の長さに沿って変化する断面幾何形状を含む、実施形態S〜Uのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
W.凹状の溝が第1のアンカーに取り外し可能に連結されている、実施形態A〜Vのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
X.凹状の溝が第2のアンカーに直接連結されていない、実施形態A〜Wのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
Y.第1のアンカーを被覆する受け部が第1のアンカーの少なくともいくらかの顔面側表面と係合する、実施形態A〜Xのいずれか1つに記載の歯科矯正装置。
Z.患者の歯列弓のための歯科矯正アセンブリであって、患者の多数の歯に各々対応する受け部を有するトレイと、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第1のスロットを含む、第1のアンカーと、結合基部及び本体を有し、本体がその正面を横切って延在する第2のスロットを含む、第2のアンカーと、第1のスロット及び第2のスロット内に結紮されたアーチ部材と、を備え、トレイは、第1のアンカーの少なくとも一部分に取り外し可能に連結され、これを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの受け部を含む、歯科矯正アセンブリ。
上記の特許及び特許出願の全てを、参照により本明細書に明確に援用するものである。上述の実施形態は本発明を例示するものであり、他の構造もまた可能である。したがって、本発明は、上記に詳細に説明し、添付図面に示した実施形態に限定されるものと見なされるべきではなく、均等物を併せた以下の特許請求の範囲の正当な範囲によってのみ限定されるものである。

Claims (22)

  1. 患者の多数の歯に各々対応する受け部を有する凹状の溝であって、前記溝は、前記患者の歯のうちの1本を第1の位置から第2の位置へ再配置するように構成された少なくとも1つの受け部を有する、凹状の溝と、
    結合基部及び本体を有する第1のアンカーと、
    結合基部及び本体を有する第2のアンカーと、
    前記第1のアンカー及び前記第2のアンカーに離脱可能に連結されたアーチ部材と、
    を備える歯科矯正装置であって、
    前記凹状の溝は、前記アンカーの少なくとも一部分を少なくとも部分的に被覆し、これと係合する表面を有する受け部を含む、
    歯科矯正装置。
  2. 前記アーチ部材がアーチワイヤ又はばねである、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  3. 前記アーチ部材が、前記アーチ部材の長さに沿って変化する断面幾何形状を含む、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  4. 前記凹状の溝が前記第1のアンカーに取り外し可能に連結されている、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  5. 前記凹状の溝が前記第2のアンカーに直接連結されていない、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  6. 前記装置が歯列弓上に設置されている時には、前記第1のアンカー及び前記対応する受け部の両方が第1の歯と接触している、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  7. 前記第1の歯が小臼歯である、請求項6に記載の歯科矯正装置。
  8. 前記歯列弓上に設置されている時には、前記第1のアンカー結合基部が前記第1の歯に結合されている、請求項6に記載の歯科矯正装置。
  9. 第1のブラケット及び空洞が協働して前記第1の歯を前記第1の位置から前記第2の位置へ再配置する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の歯科矯正装置。
  10. 前記多数の歯が前方歯である、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  11. 前記装置が歯列弓上に設置されている時には、前記第2のアンカーが大臼歯に結合されている、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  12. 前記第1のアンカー及び前記第2のアンカーが各々、前記本体を横切って延在するスロットを含み、各アンカーが、前記アーチ部材を前記対応するスロット内に保持するために位置付けられたラッチを含む、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  13. 前記第1のアンカーを被覆する前記受け部が前記第1のアンカーの少なくとも顔面側表面と係合する、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  14. 第3のアンカーと第4のアンカーとを更に備え、前記第3のアンカー及び前記第4のアンカーは、前記装置が歯列弓上に設置されている時には、前記第1のアンカー及び前記第2のアンカーとは異なる前記歯列弓の象限内の歯群に結合されている、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  15. 前記溝が、前記第3のアンカーの少なくとも一部分を被覆し、これと係合するように構成された空洞を含む、請求項13に記載の歯科矯正装置。
  16. 前記受け部が前記第3のアンカーの少なくともいくらかの顔面側表面を覆う、請求項14に記載の歯科矯正装置。
  17. 前記装置が前記歯列弓上に設置されている時には、前記第1のアンカー及び前記第3のアンカーが小臼歯に結合されており、前記第2のアンカー及び前記第4のアンカーが大臼歯に結合されている、請求項14に記載の歯科矯正装置。
  18. 歯列弓上に設置されている時には、前記凹状の溝が前記多数の歯の咬合面を覆う、請求項1に記載の歯科矯正装置。
  19. 患者の歯列弓のための歯科矯正アセンブリであって、
    患者の多数の歯に各々対応する受け部を有するトレイであって、前記患者の歯のうちの1本を第1の位置から第2の位置へ再配置するように構成された少なくとも1つの受け部を有する、トレイと、
    結合基部及び本体を有し、前記本体がその正面を横切って延在する第1のスロットを含む、第1のアンカーと、
    結合基部及び本体を有し、前記本体がその正面を横切って延在する第2のスロットを含む、第2のアンカーと、
    前記第1のスロット及び前記第2のスロット内に受け入れられたアーチ部材と、
    を備え、
    前記トレイは、前記第1のアンカーの少なくとも一部分に取り外し可能に連結され、これを少なくとも部分的に被覆する受け部を含む、歯科矯正アセンブリ。
  20. 前記装置が前記歯列弓上に設置されている時には、前記第1のアンカー及び前記対応する受け部の両方が第1の歯と接触している、請求項19に記載のアセンブリ。
  21. 前記第1のアンカーが前記第1の歯に結合されており、前記受け部が、前記第1の歯のエナメル質表面と接触した内表面を含む、請求項20に記載のアセンブリ。
  22. 患者の歯列弓のための歯科矯正アセンブリであって、
    患者の多数の歯に各々対応する受け部を有するトレイと、
    結合基部及び本体を有し、前記本体がその正面を横切って延在する第1のスロットを含む、第1のアンカーと、
    結合基部及び本体を有し、前記本体がその正面を横切って延在する第2のスロットを含む、第2のアンカーと、
    前記第1のスロット及び前記第2のスロット内に結紮されたアーチ部材と、
    を備え、
    前記トレイは、前記第1のアンカーの少なくとも一部分に取り外し可能に連結され、これを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの受け部を含む、歯科矯正アセンブリ。
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