JP3180091U - 歯列矯正器具 - Google Patents

歯列矯正器具 Download PDF

Info

Publication number
JP3180091U
JP3180091U JP2012005109U JP2012005109U JP3180091U JP 3180091 U JP3180091 U JP 3180091U JP 2012005109 U JP2012005109 U JP 2012005109U JP 2012005109 U JP2012005109 U JP 2012005109U JP 3180091 U JP3180091 U JP 3180091U
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
bracket
orthodontic appliance
dentition
orthodontic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012005109U
Other languages
English (en)
Inventor
ギソン ベ
Original Assignee
有限会社ウィルデント
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 有限会社ウィルデント filed Critical 有限会社ウィルデント
Priority to JP2012005109U priority Critical patent/JP3180091U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3180091U publication Critical patent/JP3180091U/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】ブラケット及びワイヤを用いた歯列矯正治療において、ワイヤによるトルクを制御することができる歯列矯正器具を提供する。
【解決手段】所望の状態に移動したと想定した歯列を覆い、かつ、所望の状態に移動したと想定した歯列に取り付けられているブラケット3及びワイヤ4を覆うように成形される。ブラケット及びワイヤを覆うための凸部3a、4aが舌側に設けられ、ブラケット及びワイヤが中切歯から犬歯までの歯列に取り付けられた状態に対応している。
【選択図】図6

Description

本考案は、歯列の矯正に用いられるマウスピース型の歯列矯正器具に関する。
マウスピース型の歯列矯正器具として、インビザライン(登録商標:アラインテクノロジー社)及びクリアアライナーがよく利用されている。
インビザライン(登録商標)と呼ばれる矯正システムでは、特許文献1に示されるように、最初の歯列に対応するマウスピース型の歯列矯正器具から、中間の歯列に対応するマウスピース型の歯列矯正器具、最後の歯列に対応するマウスピース型の歯列矯正器具に至るまで、歯列の移動をコンピュータ上で想定して、全ての歯列矯正器具を予め準備しておき、矯正治療の進捗に応じて、適切な段階の歯列矯正器具を患者の歯に装着して、歯列を矯正する。
クリアアライナーは、透明で薄い歯形形状のマウスピース型の歯列矯正器具であり、材料の弾性を利用して、歯に必要な矯正力を与え、歯を移動させる器具である。インビザライン(登録商標)では、治療に使用すると予測された一連の歯列矯正器具を治療開始前に全部作製されて供給される。しかし、クリアアライナーを利用する場合、通常3〜4週間に一度の間隔で印象採取を行い、その都度、次に移動させたい状態まで歯列を配列したセットアップ模型を作製して、当該セットアップ模型を熱可塑性樹脂のラミネート板でラミネートして、次の治療で用いるクリアアライナーを製造して、治療を進める。
インビザライン(登録商標)やクリアアライナーを用いた場合、矯正用のワイヤを用いて歯列矯正する場合に比べて、審美性に優れている。
また、歯の舌側にブラケット及びワイヤを取り付けて、歯列を矯正するシステムも存在する。たとえば、非特許文献1に示す「2D
Lingual Bracket」は、ブラケットとワイヤとを結紮することなく、歯の舌側から矯正する。図9は、「2D
Lingual Bracket」で使用されるブラケット90の一例を示す斜視図である。図9において、ブラケット90に、想像線で示すワイヤ92が通されて、クリップ91がペンチ等によって挟まれる。ワイヤ92は、たとえば、ニッケルチタンなどの形状記憶合金である。なお、ワイヤ92として、形状記憶合金が用いられない場合もある。
特許第3620048号公報 特開2008−131979号公報
FORESTADENT社、"2D Lingual Brackets"、[online]、[平成21年7月28日検索]、インターネット<URL:http://www.forestadent.com/forestadent−en/Produkte/products/2D_Lingual_Brackets.php?navanchor=1710026>
しかし、インビザライン(登録商標)及びクリアアライナーを用いた矯正治療では、歯列矯正器具自体が患者の歯から着脱可能であるがために、下記のような問題を有する。まず、歯列矯正器具が取り外し可能であるといっても、一日あたり20〜22時間は装着していなければならない。したがって、矯正治療がうまくいくか否かは、患者の協力にかかっている。また、着脱可能であるがために、歯列矯正器具の紛失や破損も問題となる。また、インビザライン(登録商標)及びクリアアライナーを用いた矯正治療の適応症は、限られている。たとえば、インビザライン(登録商標)及びクリアアライナーを用いた矯正治療では、歯の水平移動や回転移動、先端部分の制御、歯の付け根部分の移動、咬合の制御が難しい。
しかし、ブラケットを舌側に取り付けて行う歯列矯正にも下記のような問題が存在する。図10は、図9に示したブラケット90を、矯正治療前の歯列に取り付けたときの様子を示す図である。図10では、中切歯から犬歯にかけて、舌側にブラケット90及びワイヤ92が取り付けられている様子が示されている。図11は、前歯が整列したときの様子を示す図である。ワイヤ92の戻り力によって、図11に示すように、前歯がアーチ状に整列する。ただし、犬歯が横に広がるように矯正されるので、犬歯と第1小臼歯との間に空隙が生じる。図12は、第1小臼歯にブラケット90を取り付けて、ワイヤ92を取り付けたときの様子を示す図である。図11に示すように、横に広がってしまった前歯を、次の段階では、第1小臼歯側に引き寄せるために、図12に示すように、第1小臼歯にもブラケット90を取り付ける。図13は、矯正治療が完了したときの様子を示す図である。図13に示すように、前歯が第1小臼歯側に引き寄せられて、歯列の矯正が完了する。
図11及び図12に示したように、前歯の歯並びを矯正する場合、最終段階で、第1小臼歯側にもブラケット90を取り付けなければならず、治療期間が長くなる。もちろん、初期段階から、中切歯から第1小臼歯までブラケット90及びワイヤ92を取り付けて矯正治療を行うことも可能であるが、歯の移動具合を予測しがたい点があり、実際の矯正治療では、上述のように、前歯から移動させて、第1小臼歯側に引き寄せるという手法が用いられている。このように、ブラケット及びワイヤを舌側に取り付けて矯正治療を行う場合でも、治療期間が長くなるという問題が存在する。
ブラケット及びワイヤを用いる場合、ワイヤによって生じるトルクによって、歯列が所望通りに矯正されない場合が生じる。図14は、ワイヤによって生じるトルクの問題を説明するための断面図である。図14において、矯正前の歯を93で示し、矯正後の歯を93aで示す。歯93に取り付けられているブラケット90及びワイヤ92において、ワイヤ92によって生じるトルクを矢印Aで示す。矢印Aの向きにトルクが生じるので、矯正後の歯93aは、斜め上方に回転しつつ矢印Bの方向に引っ張られることとなる。よって、矯正治療において、トルクを如何にして制御するかは、歯科医師の技術に頼るところがある。図11のように、犬歯と第1臼歯との間に空隙が生じた歯列になるのも、ワイヤによるトルクが一つの要因である。
それゆえ、本考案の目的は、ブラケット及びワイヤを用いた歯列矯正治療において、ワイヤによるトルクを制御することができる歯列矯正器具を提供することである。
なお、特許文献2では、歯列に振動力を加えるために、ブラケット及びワイヤが取り付けられた歯列を覆うように歯列矯正マウスピースが製造されている(特許文献2の図7のS2及びS3参照)。しかし、特許文献2の歯列矯正マウスピースは、ワイヤによるトルクを制御するためのものではなく、加えて、所望の状態に移動した歯列にブラケット及びワイヤが取り付けられた状態で作製された歯列矯正器具ではない。
上記課題を解決するために、本考案は、以下のような特徴を有する。本考案は、所望の状態に移動したと想定した歯列を覆い、かつ、所望の状態に移動したと想定した歯列に取り付けられているブラケット及びワイヤを覆うように成形されたマウスピース型の歯列矯正器具であって、所望の状態に移動する前の歯列にブラケット及びワイヤが取り付けられた状態で歯列に装着されることを特徴とする。好ましくは、ブラケット及びワイヤを覆うための凸部は、舌側に設けられていると良い。好ましくは、凸部は、ブラケット及びワイヤが中切歯から犬歯までの少なくとも一部にかけて歯列に取り付けられた状態に対応していると良い。たとえば、所望の状態は、最終的な歯列の状態であると良い。
また、本考案は、所望の状態に移動させた歯形模型を作製する第1の工程と、歯形模型にブラケット及びワイヤを取り付ける第2の工程と、ブラケット及びワイヤが取り付けられた歯形模型を樹脂材料で覆う第3の工程と、歯形模型から硬化した樹脂材料を取り外して歯列矯正器具を作製する第4の工程とを経て製造された歯列矯正器具である。好ましくは、第2の工程では、ブラケット及びワイヤを舌側に取り付けると良い。好ましくは、第2の工程では、ブラケット及びワイヤを中切歯から犬歯までの少なくとも一部にかけて歯列に取り付けると良い。たとえば、所望の状態は、最終的な歯列の状態であると良い。
本考案によれば、ワイヤによって生じるトルクによる力は、歯列矯正器具によって抑えられることとなる。よって、ブラケット及びワイヤを用いた歯列矯正治療において、ワイヤによるトルクを制御することができる歯列矯正器具が提供されることとなる。トルクが制御されることにより、たとえば、前歯をワイヤで移動させたとしても、犬歯と第1臼歯との間に空隙が生じにくくなる。また、基本的な矯正力はワイヤによって実現されるので、歯の水平移動や回転移動、先端部分の制御、歯の付け根部分の移動、咬合の制御を行うことができる。よって、従来のインビザライン(登録商標)やクリアアライナーの場合と比べ、歯列矯正器具を使用した場合の治療可能な適応症は、制限を受けにくいと言える。また、患者の協力が得られなかったとしても、矯正の効果を得ることができる。さらに、トルクを制御することができるので、トルクによって生じた歯の移動を所望の状態に戻すという治療が必要なくなるので、治療期間の短縮が図られる。また、歯列矯正器具によって、ブラケットが舌に当たるのを防止することができるので、ブラケットを用いた矯正治療の不快感が解消される。また、場合によっては、歯列矯正器具だけで移動することができる歯が存在する場合もあるので、そのような歯は、歯列矯正器具による矯正力だけで矯正し、そのような歯にはブラケット及びワイヤを取り付けなくてもよくなる。
凸部を舌側に設けることによって、審美性を維持しつつ効果の高い矯正治療が実現される。ブラケット及びワイヤが中切歯から犬歯までの少なくとも一部にかけて歯列に取り付けられた状態に、凸部を対応させることによって、犬歯の広がりを効果的に防止することができる。
所望の状態を最終的な歯列の状態として歯列矯正器具を製造すれば、所望の最終的な状態に歯を移動させることができる。また、従来のインビザライン(登録商標)やクリアアライナーのように、複数の歯列矯正器具を製造する必要がないので、矯正治療に要する費用を削減することができる。また、通院回数を減らすことが期待でき、患者の負担が軽減される。また、矯正治療が完了した後、使用していた歯列矯正器具は、歯列が元に戻るのを防止するための保定器具(ポジショナー)として利用することができる。
本考案のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
図1は、所望の歯列に配列されたセットアップ模型2を示す平面図である。 図2は、セットアップ模型2に複数のブラケット3を取り付けたときの様子を示す図である。 図3は、複数のブラケット3に対して、アーチ状のワイヤ4を取り付けたときの様子を示す図である。 図4は、歯列矯正器具1が作製される様子を示す図である。 図5は、セットアップ模型2上に作製された歯列矯正器具1を示す正面図である。 図6は、歯列矯正器具1の斜視図である。 図7は、ワイヤ4によるトルクによって生じる力を説明するための図である。 図8は、ブラケット3及びワイヤ4が歯に取り付けられた状態で、歯列矯正器具1が装着されたときの様子を示す断面図である。 図9は、「2D Lingual Bracket」で使用されるブラケット90の一例を示す斜視図である。 図10は、図9に示したブラケット90を、矯正治療前の歯列に取り付けたときの様子を示す図である。 図11は、前歯が整列したときの様子を示す図である。ワイヤ92の戻り力によって、図11に示すように、前歯がアーチ状に整列する。 図12は、第1小臼歯にブラケット90を取り付けて、ワイヤ92を取り付けたときの様子を示す図である。 図13は、矯正治療が完了したときの様子を示す図である。 図14は、ワイヤによって生じるトルクの問題を説明するための断面図である。
図1〜図6を用いて、本考案の一実施形態に係る歯列矯正器具1の製造方法を説明する。図1は、所望の歯列に配列されたセットアップ模型2を示す平面図である。まず、患者から歯形陰型が印象採取され、当該歯形陰型に基づいて歯形模型が作製され、当該歯形模型の一部又は全部を分割して所望の状態に移動させて、所望の状態に移動した分割歯形模型をワックス等で固定する。このようにして、所望の歯列に配列されたセットアップ模型2が完成する。所望の状態としては、好ましくは、矯正治療が完了した最終的な歯列の状態であると良い。なお、ここで示したセットアップ模型の製造方法は一例に過ぎず、本考案を限定するものではない。たとえば、歯形のデジタルデータを加工してセットアップ模型をデータ上で作製し、セットアップ模型のデータを光造形等の再現装置を利用して再現し、当該再現されたセットアップ模型を本考案に用いるようにしても良い。
図2は、セットアップ模型2に複数のブラケット3を取り付けたときの様子を示す図である。ブラケット3としては、周知のあらゆるブラケットを用いることができる。すなわち、本考案において、ブラケット3の形状や材質、構造等は特に限定されない。図2において、ブラケット3の形状は、図9に示した形状のブラケット90と同様であるとしている。なお、ブラケット3をセットアップ模型2の適切な位置に取り付ける方法として、周知のあらゆる方法を用いることができる。図2では、中切歯から犬歯にかけてブラケットを取り付けることとしたが、ブラケットが取り付けられる歯は、特に限定されない。患者の歯の状態に基づいて、ブラケットが取り付けられる歯は、歯科医師によって適宜決定される。なお、審美性を考慮すれば、ブラケットは、舌側に取り付けられていると良いが、唇側にブラケットが取り付けられても良い。
図3は、複数のブラケット3に対して、アーチ状のワイヤ4を取り付けたときの様子を示す図である。ワイヤ4は、たとえば、金属製ワイヤや形状記憶合金ワイヤある。図3に示すブラケット3は、図9に示すタイプのブラケット90であるので、ブラケット3のクリップ部分がペンチ等で挟まれて、ワイヤ4がブラケット3に固定される。ワイヤをブラケットに針金等で結紮するタイプのブラケットを用いる場合、ワイヤがブラケットに結紮された状態で、セットアップ模型2にブラケット及びワイヤが取り付けられる。
図4は、歯列矯正器具1が作製される様子を示す図である。熱可塑性樹脂からなるラミネート板(たとえば、ドイツのSCHEU−DENTAL社のデュラン)を加熱し、柔らかくなったラミネート板をセットアップ模型2に接触させ、チャンバ内を吸引(又は加圧)して、ラミネート板をセットアップ模型2に密着させる。ラミネート板の材質は、たとえば、ポリエチレンテレフタレートである。熱可塑性樹脂が硬化すると、図4に示すように、セットアップ模型2上に、歯列矯正器具1が成型される。なお、歯列矯正器具1の内、余計な樹脂部分は切断する。チャンバ内で、加熱し、吸引又は加圧するための加熱圧接器としては、たとえば、ドイツのSCHEU−DENTAL社のバイオスターを用いることができる。なお、セットアップ模型2を樹脂材料で覆う方法として、周知のあらゆる方法を用いることができ、上記に示した例に限られない。
図5は、セットアップ模型2上に作製された歯列矯正器具1を示す正面図である。好ましくは、図5に示すように、歯列矯正器具1は、歯部分だけでなく、歯茎部分にまで成型されていると良い。ただし、症例によっては、歯部分にだけ歯列矯正器具1が形成されていても良い。
図6は、歯列矯正器具1の斜視図である。図6に示すように、歯列矯正器具1は、所望の状態に移動したと想定したときの歯型を覆う陰型となる。さらに、歯列矯正器具1は、所望の状態に移動したと想定した歯列に取り付けられているブラケット3及びワイヤ4を覆う凸部3a及び4aを舌側に有することとなる。
なお、歯列矯正器具1の取り外し時にブラケット3及び/又はワイヤ4が邪魔になるのを防止するために、ブラケット3及び/又はワイヤ4の顎側や周辺にワックス等を盛っておいて、歯列矯正器具1の凸部3a及び/又は4aを少し大きめに成形しても良い。
次に、歯列矯正器具1の使用方法について説明する。症例によって歯列矯正器具1の使用方法は種々異なるが、ここでは、代表的な使用方法を説明する。
(使用方法その1)
矯正治療の初期段階から最終段階に至るまで、歯列にブラケット及びワイヤと取り付けると共に、所望の状態に歯列が移動する前の段階で歯列矯正器具1が装着される。この場合、矯正治療が完了する前の状態では、歯列と歯列矯正器具1との間に空隙が生じ、歯列矯正器具1は、歯列にぴったりと密着して装着されるわけではない。しかし、基本的には、ワイヤによる矯正力が主たる矯正力として働き、矯正治療が進む。
好ましくは、できる限り長時間、歯列矯正器具1を装着しておいた方が良いが、ワイヤによる矯正力によって矯正治療が進んでいくので、従来のクリアアライナーと異なり、患者の協力が無くても、歯の移動は進んでいく。
患者が歯科医師の指導にしたがって、歯列矯正器具1を適切に取り付けていた場合、ワイヤによるトルクによって、歯列が所望しない方向に移動するのを防止することができる。図7は、ワイヤ4によるトルクによって生じる力を説明するための図である。図7に示す歯は、上顎の歯である。ワイヤ4による戻り力によって、図7の矢印Cに示すように、上方向にトルクが生じる。
図8は、ブラケット3及びワイヤ4が歯に取り付けられた状態で、歯列矯正器具1が装着されたときの様子を示す断面図である。図8において、矯正前の歯を10で示し、矯正後の歯を10aで示す。ワイヤ4によって生じるトルクは、図7と同様、図8においても矢印Cで示す。図8上、トルクが上方に働くが、矯正後の所望の状態に成形された歯列矯正器具1によって歯が覆われているので、ワイヤ4のトルクによって生じる力は、歯列矯正器具1による反作用力によって、ほとんど打ち消される。そのため、ワイヤ4のトルクによって生じる力が歯列の矯正に作用するのを抑えることができる。よって、歯列が所望の状態に配列するように矯正される。ゆえに、図8に示すように、歯10aは、所望の状態に成形された歯列矯正器具1に適切に収まるように、移動することとなる。このように、トルクがコントロール可能な矯正治療が実現される。
たとえば、図10に示した症例の場合、歯列にブラケット3及びワイヤ4を取り付けると共に、歯列矯正器具1を装着して、治療を進めていく。すると、図11のように、犬歯が広がることなく、第1小臼歯へのブラケット接着は無い状態で、図13に示すような歯列の並びに治療されることとなる。すなわち、歯列矯正器具1をブラケット3及びワイヤ4と一緒に用いた場合は、図11及び図12の段階を経ることなく、矯正治療が実現されることとなる。
(使用方法その2)
使用方法その1のように、初期段階から、歯列矯正器具1が装着可能であれば、その1に示す矯正治療も実現できるが、歯並びが悪い場合、初期段階では、歯列矯正器具1を挿入できない可能性がある。そこで、初期段階では、ブラケット3とワイヤ4による治療を行い、歯列矯正器具1が装着可能な程度に歯列が移動した段階で、歯列矯正器具1を装着して、使用しても良い。
(使用方法その3)
歯列矯正器具1を夜だけ使用するという方法もある。睡眠中の約7〜8時間の間、歯列矯正器具1が装着されることとなる。このような装着によっても、犬歯の望ましくない広がりが防止することが可能である。
(使用方法その4)
初期段階では、従来のクリアライナーを利用して、ある程度移動が進んだ後に、ブラケット3及びワイヤ4を取り付け、歯列矯正器具1を一緒に装着して、最終段階での治療で、ワイヤ4によるトルクが働き、歯が望ましくない方向に移動するのを防止することができる。
なお、矯正治療が完了した後、使用していた歯列矯正器具1は、歯列が元に戻るのを防止するための保定器具(ポジショナー)として利用することができる。
このように、本実施形態によれば、ブラケット3及びワイヤ4を用いた歯列矯正治療において、ワイヤ4によるトルクを制御することができる歯列矯正器具1が提供されることとなる。トルクが制御されることにより、たとえば、前歯をワイヤ4で移動させたとしても、犬歯と第1臼歯との間に空隙が生じにくくなる。
また、基本の矯正力はワイヤ4によって実現されるので、歯の水平移動や回転移動、先端部分の制御、歯の付け根部分の移動、咬合の制御を行うことができる。よって、インビザライン(登録商標)やクリアアライナーの場合と比べ、歯列矯正器具1を使用した場合の治療可能な適応症は、制限を受けにくいと言える。
また、患者の協力が得られなかったとしても、矯正の効果を得ることができる。
さらに、トルクを制御することができるので、トルクによって生じた歯の移動を所望の状態に戻すという治療が必要なくなるので、治療期間の短縮が図られる。
また、歯列矯正器具1によって、ブラケットが舌に当たるのを防止することができるので、ブラケットを用いた矯正治療の不快感が解消される。
また、場合によっては、歯列矯正器具1だけで移動することができる歯が存在する場合もあるので、そのような歯は、歯列矯正器具1による矯正力だけで矯正し、そのような歯にはブラケット及びワイヤを取り付けなくてもよくなる。
以上、本考案を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本考案の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本考案の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
本考案は、歯列矯正器具に関し、産業上利用可能である。
1 歯列矯正器具
2 セットアップ模型
3 ブラケット
3a,4a 凸部
4 ワイヤ
10 矯正前の歯
10a 矯正後の歯
上記課題を解決するために、本考案は、以下のような特徴を有する。本考案は、所望の状態に移動したと想定した歯列を覆い、かつ、所望の状態に移動したと想定した歯列に取り付けられているブラケット及びワイヤを覆うように成形されたマウスピース型の歯列矯正器具である。本考案の歯列矯正器具は、所望の状態に移動する前の歯列にブラケット及びワイヤが取り付けられた状態で歯列に装着される。好ましくは、ブラケット及びワイヤを覆うための凸部は、舌側に設けられていると良い。好ましくは、凸部は、ブラケット及びワイヤが中切歯から犬歯までの少なくとも一部にかけて歯列に取り付けられた状態に対応していると良い。たとえば、所望の状態は、最終的な歯列の状態であると良い。

Claims (8)

  1. 所望の状態に移動したと想定した歯列を覆い、かつ、前記所望の状態に移動したと想定した歯列に取り付けられているブラケット及びワイヤを覆うように成形されたマウスピース型の歯列矯正器具であって、前記所望の状態に移動する前の歯列に前記ブラケット及び前記ワイヤが取り付けられた状態で歯列に装着されることを特徴とする、歯列矯正器具。
  2. 前記ブラケット及び前記ワイヤを覆うための凸部は、舌側に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の歯列矯正器具。
  3. 前記凸部は、前記ブラケット及び前記ワイヤが中切歯から犬歯までの少なくとも一部にかけて前記歯列に取り付けられた状態に対応していることを特徴とする、請求項2に記載の歯列矯正器具。
  4. 前記所望の状態は、最終的な歯列の状態であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の歯列矯正器具。
  5. 所望の状態に移動させた歯形模型を作製する第1の工程と、
    前記歯形模型にブラケット及びワイヤを取り付ける第2の工程と、
    前記ブラケット及び前記ワイヤが取り付けられた前記歯形模型を樹脂材料で覆う第3の工程と、
    前記歯形模型から硬化した前記樹脂材料を取り外して歯列矯正器具を作製する第4の工程とを経て製造された、歯列矯正器具。
  6. 前記第2の工程では、前記ブラケット及び前記ワイヤが舌側に取り付けられていることを特徴とする、請求項5に記載の歯列矯正器具。
  7. 前記第2の工程では、前記ブラケット及び前記ワイヤが中切歯から犬歯までの少なくとも一部にかけて前記歯列に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の歯列矯正器具。
  8. 前記所望の状態は、最終的な歯列の状態であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の歯列矯正器具。
JP2012005109U 2012-08-21 2012-08-21 歯列矯正器具 Expired - Fee Related JP3180091U (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012005109U JP3180091U (ja) 2012-08-21 2012-08-21 歯列矯正器具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012005109U JP3180091U (ja) 2012-08-21 2012-08-21 歯列矯正器具

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009194705A Continuation JP2011045441A (ja) 2009-08-25 2009-08-25 歯列矯正器具及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3180091U true JP3180091U (ja) 2012-12-06

Family

ID=48006688

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012005109U Expired - Fee Related JP3180091U (ja) 2012-08-21 2012-08-21 歯列矯正器具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3180091U (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019511323A (ja) * 2016-04-14 2019-04-25 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 歯の協調移動を促進する歯科矯正装置
CN110013332A (zh) * 2019-05-23 2019-07-16 四川大学 一种猫形辅弓隐形矫治器
CN110717686A (zh) * 2019-10-15 2020-01-21 浙江隐齿丽医学技术有限公司 一种壳状牙科矫治器生产系统及方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09135849A (ja) * 1995-11-16 1997-05-27 Dento Shoji:Kk 歯列矯正装置
JP2005516727A (ja) * 2002-02-13 2005-06-09 テーオーペー ゼルヴィース フュール リングアールテヒニック ゲーエムベーハー 調製歯科矯正装置用モジュールシステム
WO2007116654A1 (ja) * 2006-03-28 2007-10-18 Matsushita Electric Works, Ltd. 歯列矯正装置
JP2008131980A (ja) * 2006-11-27 2008-06-12 Matsushita Electric Works Ltd 歯列矯正マウスピース
JP4150376B2 (ja) * 2005-01-13 2008-09-17 裕之 石川 歯列矯正用具

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09135849A (ja) * 1995-11-16 1997-05-27 Dento Shoji:Kk 歯列矯正装置
JP2005516727A (ja) * 2002-02-13 2005-06-09 テーオーペー ゼルヴィース フュール リングアールテヒニック ゲーエムベーハー 調製歯科矯正装置用モジュールシステム
JP4150376B2 (ja) * 2005-01-13 2008-09-17 裕之 石川 歯列矯正用具
WO2007116654A1 (ja) * 2006-03-28 2007-10-18 Matsushita Electric Works, Ltd. 歯列矯正装置
JP2008131980A (ja) * 2006-11-27 2008-06-12 Matsushita Electric Works Ltd 歯列矯正マウスピース

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019511323A (ja) * 2016-04-14 2019-04-25 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 歯の協調移動を促進する歯科矯正装置
JP7051705B2 (ja) 2016-04-14 2022-04-11 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 歯の協調移動を促進する歯科矯正装置
CN110013332A (zh) * 2019-05-23 2019-07-16 四川大学 一种猫形辅弓隐形矫治器
CN110013332B (zh) * 2019-05-23 2024-01-30 四川大学 一种猫形辅弓隐形矫治器
CN110717686A (zh) * 2019-10-15 2020-01-21 浙江隐齿丽医学技术有限公司 一种壳状牙科矫治器生产系统及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11806208B2 (en) Orthodontic appliances with shell segments and elastic segments
US20230233291A1 (en) Aligners with elastics and associated systems
US20230346520A1 (en) Systems and methods for correcting malocclusions of teeth
US20180318044A1 (en) Orthodontic device
JP6033905B2 (ja) 矯正装置
JP6502953B2 (ja) 治療計画ごとの咬合調整構造物
CN111295153A (zh) 具有选择性牙合负荷和受控牙尖交错的牙科器具
JP6656280B2 (ja) 咀嚼式歯列矯正装置
CA2976592A1 (en) Primer aligner stages for lag issue resolution in low-stage clear aligner treatments
JP2011045441A (ja) 歯列矯正器具及びその製造方法
US20210128277A1 (en) Orthodontic brackets, systems, and methods
JP3180091U (ja) 歯列矯正器具
JP5635575B2 (ja) 歯列矯正用ブラケット、及び、歯列矯正用ブラケットの作成方法
KR101804991B1 (ko) 치열 교정용 브라켓 부착을 위한 몰드형 지그 제작 방법 및 그 몰드형 지그
JP6029220B1 (ja) 歯列矯正用セットの提供方法
KR102053983B1 (ko) 치아교정용 악궁 확장장치 및 교정방법
JP4530636B2 (ja) スナップ様式を利用して不正咬合の歯列を矯正するコンピュータプログラムシステム
WO2022168394A1 (ja) 歯列矯正用ブラケット及び歯列矯正用ブラケットの作成方法
JP2016198503A (ja) 歯列矯正用ワイヤ
JP2023127580A (ja) 歯科矯正装置
CN109823105A (zh) 一种定制式托槽的个性化弓丝制造方法
JP2021087465A (ja) 歯列矯正具
CN115399901A (zh) 设计拔牙病例前牙内收的隐形矫治器的方法
Kalantzis et al. A predictable alternative to a smile in six months?
KR20170103710A (ko) 치열 교정용 브라켓 부착을 위한 몰드형 지그 제작 방법 및 그 몰드형 지그

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121002

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151114

Year of fee payment: 3

A623 Registrability report

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A623

Effective date: 20140219

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees