本発明は、安定化システムに関し、より具体的には、傾斜面または拘束されていない地表などを安定させるための連動安定化システムに関する。
通常、広範囲の地均しを含む、傾斜面を安定させるための一般的な手法といえば、傾斜面の改造および危険の完全除去である。一般に、傾斜面の改造には、切り込みおよび充填技法のバリエーションが含まれるのが通常である。傾斜面の安定性は、傾斜面の頂部を降ろしたり取り除いたりして駆動力を減少させることによって、および/または、潜在的な破損面に沿って傾斜面の先端部に充填物を配置して抵抗力を増大させることによって高められ得ることが理解されよう。傾斜面を安定化させるための最も一般的な技術は、バットレスフィルである。したがって、バットレスフィルは、通常、統合が不十分であるかインコンピテントである岩盤、および比較的脆弱な堆積構造物を安定化させるために使用される。典型的な圧縮型バットレスフィルは、切り取られた傾斜面の外面を除去し、当該外面を設計された圧縮型充填材で置き換えることによって構築される。バットレスフィルの強度は、その背後で傾斜面を保持するように特に設計されており、通常、少なくとも1.5の安全係数が設定されている。バットレスフィルの傾斜面は、一般に、完成時の勾配を2:1(水平:垂直)として構築されるが、得られる充填傾斜面に十分なせん断強度が達成されるならば、より急な勾配が許容される場合がある。
安定化フィルは、該フィルの強度が脆弱な表面または深部の地滑りを支持するように設計されていないことを除いては、バットレスフィルと同様である。むしろ、安定化フィルは法面に沿って構築されて、荒れ、腐食および落石などの法面の崩壊を緩和する。安定化フィルのベース幅は、通常、傾斜面の高さの半分である。
傾斜面の安定化における別の段階は、地表面と地下水系の制御を確立することにある。したがって、潜在的に不安定な傾斜面の内部およびその近傍に、地表面および地下の排水装置を設置することによって、一般に水の制御が維持される。地表面および地下の排水設計は、通常、地表流出と地下水移動が隣接地の安定性と水質に及ぼす影響を考慮して行われる。地表面および地下水の流れを制御することは、敷地内および敷地外の浸食および沈降を最小限に抑える上で重要である。排水システムを適切に設計すれば、傾斜面の安定性が増して浸食および沈降が減少する。
さらに別の傾斜面の安定化は、地中埋設物のような支持体によるものである。地中埋設物は、金属製の棒であり、コンピテントな岩盤に打ち込まれたり掘削挿入されたりして、擁壁および保持杭のような、構造物のための安定した基礎を提供したり、高度に破壊されているか接合された岩石を共に保持する。地中埋設物は、山岳地帯や急勾配地帯の構造物を支持するために典型的に使用される基礎杭の代替物として時々使用され得る。地中埋設物には3つの一般的なタイプがあり、それは、地中アンカー、ソイルネイル、およびロックボルトである。恒久的な地中アンカーは、コンピテントな岩盤または土壌に配置されるテンドン(緊張材)であり、該テンドンは、変位を制御し、設計された構造物および自然の傾斜面に対して垂直方向および水平方向の支持を提供する。アンカーは、通常、ウォータフロント構造およびタイバック擁壁に使用されて、水の浮力に起因する回転負荷または故障による不具合を防止する。
ソイルネイリングは、土壌補強技術であり、金属製の棒またはロッドを狭い間隔で土壌中に配置して土壌の強度を高める技術である。したがって、ソイルネイルは、グラウトで固定されたドリル(掘削)穴に設置するか、地中に打ち込むことができる。ソイルネイルは、一般に、構造物の表面に配置されたコンクリート表面に取り付けられる。表面仕上げの機能は、構造的な支持体を提供するというよりむしろ、ソイルネイルを取り囲む表面材料の浸食を防止することにある。この表面仕上げは、周囲の地形の模様を模倣し、植生のためのスペースを提供するように構築することができるが、その表面形状は既存の土壌の上部と同じではない。
ロックボルト打設は、予め掘削された適切な深さの穴に鋼棒を挿入してしっかり固定することによって、切り取られた傾斜面における、緊密に接合されている岩石を固定するか、または高度に亀裂が入っている岩石を強化する方法である。ロックボルトは、一般に、取付け後に拡張する頭部を有し、それらの固定方法(拡張型、くさび型、グラウト型、爆発型)に従って分類される。ロックボルトは、ソイルネイルのように、一般に、いくつかのタイプの表面仕上げに取り付けられる。
地中埋設物の使用に関する制約および考慮事項は、通常、長期的な安定性の分野にある。金属封入物は、一般に、シーラントまたはグラウトによる腐食から保護されるが、地下水と頻繁に相互作用する環境では封入物の分解が加速してしまう。また、構造物の設計において、壁または他の固定システムの構造的完全性に対するクリープの影響も考慮しなければならない。さらには、アンカーの使用に適さない特定の土壌流動性および可塑性限界がある。しかしながら、アンカーは制限される場合があり、また、掘削によって既存のアンカーの安定性が損なわれる場合がある。
杭や擁壁のような、傾斜面の別の安定化材を使用することもできる。したがって、杭は、地面に対して垂直に、またはより安定した基層に荷重を伝達するように使用される角度(鋭角)で配置される、長くて比較的細い支柱である。杭は、多くの場合、地質学的に不安定な地域に建設された構造物を支持し、または安定させるために使用される。固定された安定化システムに杭を組み込むと、杭の有効性は劇的に増す。さらに、杭は、ウォータフロント構造の基礎に沿う洗掘やアンダーカットの影響を最小限にするために使用される。一般に、杭は、地面に打ち込まれるか、またはドリル穴に配置される。ドリル穴に配置された杭は、構造物の荷重を直接支持する。その一方で、打ち込まれた杭は、柔らかくまたは緩く固められた材料に取り付けられ、多くの場合、構造物の荷重を直接吸収しない。むしろ、駆動された杭によって押し退けられた土壌の体積に相当する空隙率の減少に起因して杭の周囲の土壌が緻密化するにつれて、土壌の耐力と安定性が向上する。さらに、杭は、杭打ちによる振動によって傾斜面崩壊が引き起こされる可能性があるため、慎重に研究された場所でのみ杭打ちを実施することができる。埋め込み杭の設置によっては、一般に、現場の岩または土壌の安定性は変化しない。
擁壁は、土壌移動および水圧によって課される横方向の力に抗するように構成された工学的構造である。すべての擁壁の構築には地均しが必要であるが、掘削は主に傾斜面の先端に沿って行われ、何らかの変更があっても上方の傾斜面にはほとんど必要ない。傾斜面の先端を切り取ることによって滑動が不安定になる場合があるため、滑動の先端における擁壁の構築は、該構築中に滑動の安定が保持されることが判明した後にだけ実行されるべきである。擁壁は、一般に、勾配のついた範囲を減少させて道路を広げ、建物の周りに追加のスペースを作るために充填傾斜面と組み合わせて使用される。擁壁はまた、水の浸食力に対する保護として、かつ高速道路、鉄道、および建設現場に沿った傾斜面安定化の一手法として使用され得る。擁壁はまた、沿岸に沿って使用されて波による損傷や崖の破損を防ぐ。垂直壁と防壁の両方を保護に用いることができ、各々の設計は、岸部の洗掘、嵐の波の高さ、波の立ち上がり、潮位と将来的な海面の状態、および崖面の地質的な特性を考慮する必要がある。
擁壁は、安定性を提供するために、構造に作用する力のパラメータに基づいてカテゴリー分けされ得る。擁壁の3つのタイプは、アンカー式、重力式、および片持ち梁式である。これら3つはすべて海岸構造物として使用することができ、かつ傾斜面を安定化するために使用することができる。
傾斜面の安定化に対する様々な改良が提案されている。しかしながら、それらのいくつかは、設計および/または構成部品に特定の欠点があるようで、満足できるものではないことが分かっているため、広く使用されるに至っていない。したがって、傾斜面を安定化させるための従来の様々なシステムおよび方法は、傾斜面または不安定な地表の能動的および受動的ゾーン圧力を排除または克服するには不十分であることが分かっており、したがって、傾斜面や不安定な地表の不具合を最小限にするための有効性および適格性を向上させる、新たな進展を見出すための継続的な試みが依然として望まれている。
特許文献1は、掘削歩道用の一次的な擁壁を一般に含む、ソイルネイリングシステムを開示している。ソイルネイルは、土壌壁側に外向きに延びて、一時的な擁壁と一体化されている。ソイルネイルは、掘削位置に永久的な壁が設けられた後に、ソイルネイルを含む領域を掘削することができるように、例えば、ガラス繊維製の容易にせん断可能な補強ロッドを含む。
特許文献2は、ソイルネイルによるアーチ型の壁のためのシステムを開示しており、このシステムは、地表の直立面の完全性を維持するように使用されている。よって、このシステムは、地中に延びる複数の離間したソイルネイルを備え、直立面が交互に上下に延びる複数の凹凸部を有する波状の三次元形状を示し、該凹凸部が直立面の頂部から底部に連続的に延び、該凹部内にソイルネイルが挿入されており、該ソイルネイルによって直立面に対して保持された柔軟材料の引張ウェブを備え、該引張ウェブが、直立面の背後に少なくとも1つの圧縮土壌帯を積極的に形成している。
特許文献3は、傾斜面安定化システムおよび方法を開示している。よって、傾斜面安定化のためのこのシステムおよび方法は、様々な土壌からなる広範囲の傾斜面に適用可能である。好ましくは、ジオセンティック構造の層が、安定化されるべき傾斜面の表面上に展開されて、傾斜面の潜在的なスリップゾーンの基礎となる安定地帯に固定される。このシステムは、ジオファブリック層とその下の安定した地表領域との間の潜在的なスリップゾーンを積極的に維持する。
米国特許第6796745号明細書
米国特許第7377725号明細書
米国特許第4610568号明細書
これらおよび他の欠点を考慮して、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小限に抑えるように適合された安定化システムを提供することが望ましい。したがって、本発明は、傾斜面や不安定な地表などを安定化させるための連動安定化システムであって、傾斜面や不安定な地表などに存在する能動的および受動的ゾーン圧力を十分に排除および/または克服するように適合されて、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小限にするための有効性および適格性が達成され得るシステムを提供することを目的とする。
本発明の好適な例に従う連動安定化システム、およびその要素もしくは部品の組み合わせを、本明細書に説明し、かつ/または例示する。
本発明は、傾斜面や不安定な地表などを安定化するための連動安定化システムを提供することを目的とする。したがって、連動安定化システムは、a)圧縮ベアリングプレートと、b)テンドンバー/ワイヤを介して圧縮ベアリングプレートと連通する所定の深さまで貫通した複数の拡張可能な枢動ヒンジウィングを有する、少なくとも1つのアースアンカーと、を含み、圧縮ベアリングプレートは、テンドンバー/ワイヤを介して少なくとも1つのアースアンカーに向かって圧縮されて前進するようになっており、傾斜面や不安定な地表などの表面下に、反射円錐台のまたは密な土壌反応を形成し、少なくとも1つのアースアンカーの、複数の拡張可能な枢動ヒンジウィングは、アースアンカーが圧縮下で漸進的に引き抜かれるにつれてある角度まで外側に広がることができ、傾斜面や不安定な地表などの表面の所定の深さの下に、円錐台のまたは端部の支持力を形成し、かつ圧縮ベアリングプレートと、テンドンバー/ワイヤを介して漸進的に引き抜かれる少なくとも1つのアースアンカーと、の間に定義される作用−反作用力(すなわち、反射錐台と支持力)は、傾斜面や不安定な地表などの土壌を介して伝達されるようになっており、傾斜面や不安定な地表などに存在する能動的および受動的ゾーン圧力を排除または克服することができる。
本発明の好ましい実施例において、圧縮ベアリングプレートは、リンケージアームおよび/またはテンションロッド/ワイヤを介して、アレイ状に隣接する圧縮ベアリングプレートと連通するようになっており、任意の引張、圧縮および/またはせん断荷重を、傾斜面や不安定な地表などのより大きなバルク表面領域または容積領域に分配するための、表面連動を形成する。
したがって、圧縮ベアリングプレートは、少なくとも1つのアースアンカーをテンドンバー/ワイヤを介して所定の圧力で漸進的に引き抜くことによって、アースアンカーに向かって圧縮されて前進するようになっている。
圧縮ベアリングプレートの圧縮、および少なくとも1つのアースアンカーのテンドンバー/ワイヤを介した漸進的な引き抜きが、好ましくはジャッキによって実行されることが理解されよう。
限定ではなく例として、ジャッキは、機械式、空気式、油圧式または電気式ジャッキなどであり得る。
好ましい実施例において、圧縮ベアリングプレートの圧縮、および少なくとも1つのアースアンカーのテンドンバー/ワイヤを介した漸進的な引き抜きは、ウェッジによって保持される。
なお、テンドンバー/ワイヤを介して少なくとも1つのアースアンカーと連通している保持された圧縮ベアリングプレートは、セメントグラウトによって固定されていることに留意されたい。
したがって、セメントグラウトは、グラウトチューブを通って、掘削された通路に導入される。
掘削された通路は、気泡または空気がエアフローバルブを通って確実に放出されるように所定の圧力で加圧されていることが理解されよう。
なお、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して固定されたセメントグラウトは、傾斜面や不安定な地表などの内部のいかなるせん断力または動きも防止するように、さらなる摩擦力を提供するようになっている点に留意されたい。
必要に応じて、連動安定化システムは、地震に起因する傾斜面や不安定な地表の内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動をさらに防止するために、地震用のダンパーを任意に備えることができる。
好ましい実施例において、ダンパーは、独立した保持プレートおよび付勢手段を含み、独立した保持プレートおよび付勢手段は、キャップと圧縮ベアリングプレートとの間に構成され、付勢手段は、地震に起因する傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動を防止するように、応力が加えられるようになっている。
限定しないが例として、付勢手段は、機械ばね、空気/油圧ばねなどとすることができる。
限定しないが、キャップは、ウェッジストッパーによって、テンドンバーの遠位端に確実に保持されていることが好ましい。
本発明は、以下の詳細な説明および図面に完全に記載されかつ図示される、いくつかの新規の特徴および部分の組合せからなるが、本発明の範囲から逸脱することなく、または本発明の利点のいずれかを犠牲にすることなく、詳細における様々な変更が行われ得ることが理解されよう。
本発明は、本明細書の以下の詳細な説明および添付の図面から十分に理解されるであろう。これらは単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
傾斜面や不安定な地表などを安定させるための連動安定化システムの側断面図であり、その要素または部分の組合せは、本発明の好適な実施例によるものである。
本発明の好適な実施例に従う、図1に示す連動安定化システムのセクションAの補助的な拡大図である。
連動安定化システムの側断面図であり、ベアリングプレートが圧縮されるように、テンドンバー/ワイヤを介してアースアンカーを漸進的に引き抜くように力を導入する、システム上に構成されたジャッキを示す図であり、テンドンバー/ワイヤを介してアースアンカーと連通している保持された圧縮ベアリングプレートは、次いで、本発明の好ましい実施例に従うセメントグラウトによって固定される。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションBの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションCの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションDの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションEの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションFの補助的な拡大図である。
本発明の他の好適な実施例に従う、地震用のダンパーが導入されている連動安定化システムの側断面図である。
本発明の他の好適な実施例に従う、図3に示す連動安定化システムのセクションGの補助的な拡大図である。
本発明は、傾斜面や不安定な地表などを安定化させるための連動安定化システムに関する。以下、本明細書では、本発明の好適な実施形態に従って本発明を説明する。しかしながら、本明細書での説明を本発明の好適な実施例に限定しているのは、単に、本発明の説明を容易にするためであり、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく様々な改変および等価物を考案できることが理解されよう。
本発明は、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小限にするようにした、傾斜面や不安定な地表などを安定化するための連動安定化システムを提供することを目的とする。したがって、本発明の連動安定化システムは、傾斜面や不安定な地表に存在する能動的および受動的ゾーン圧力を十分に排除および/または克服することができるので、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小化するための効果と適格性が達成される。
本発明の好適な実施例に従う、傾斜面や不安定な地表などを安定化するための連動安定化システムを、添付の図1〜3aの各々またはその任意の組合せに従って説明する。
図1は、傾斜面や不安定な地表などを安定化させるための連動安定化システム(100)の配置を示し、その関連する構成要素は、本発明の好適な実施例によるものである。したがって、連動安定化システム(100)は、一般に、圧縮ベアリングプレート(110)と、傾斜面や不安定な地表などの所定の深さまで貫通するアースアンカー(150)と、を含む。少なくとも1つのアースアンカー(150)は、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して圧縮ベアリングプレート(110)と連通していることが理解されよう。
限定ではなく例として、本発明の圧縮ベアリングプレート(110)は、隣接する他の圧縮ベアリングプレート(110)と連通するように構成されていてもよい。したがって、圧縮ベアリングプレート(100)は、リンケージアーム(120)および/またはテンションロッド/ワイヤ(130)を介して、アレイ状に隣接する他の圧縮ベアリングプレート(100)と連通するようになっており、任意の引張、圧縮および/またはせん断荷重を、傾斜面や不安定な地表などのより大きなバルク表面領域または容積領域に分配するための、表面連動(140)を形成することができる。リンケージアーム(120)および/またはテンションロッド/ワイヤ(130)は、連動安定化システム(100)、特には、傾斜面や不安定な地表などの表面領域または容積領域に、保持特性をさらに提供することができることが理解されよう。
本発明の好適な実施例において、圧縮ベアリングプレート(110)は、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して少なくとも1つのアースアンカー(150)に向かって圧縮されて前進するようになっており、傾斜面や不安定な地表などの表面下に、反射円錐台のまたは密な土壌反応(112)を形成することができる。したがって、圧縮ベアリングプレート(110)は、少なくとも1つのアースアンカー(150)をテンドンバー/ワイヤ(160)を介して所定の圧力で漸進的に引き抜くことによって、当該アースアンカー(150)に向かって圧縮されて前進するようになっている。
少なくとも1つのアースアンカー(150)には、好ましくは、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して圧縮ベアリングプレート(110)と連通する、所定の深さまで貫通した複数の拡張可能な枢動ヒンジウィング(152)が設けられている。したがって、少なくとも1つのアースアンカー(150)の、複数の拡張可能な枢動ヒンジウィング(152)は、アースアンカー(150)が圧縮下で漸進的に引き抜かれるにつれてある角度まで外側に広がることができ、傾斜面や不安定な地表などの表面の所定の深さの下に、円錐台のまたは端部の支持力(154)を形成することができる。
圧縮ベアリングプレート(110)と、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して漸進的に引き抜かれる少なくとも1つのアースアンカー(150)と、の間に定義される作用−反作用力(すなわち、反射錐台と支持力)は、傾斜面や不安定な地表などの土壌を介して伝達されるようになっており、傾斜面や不安定な地表などに存在する能動的および受動的なゾーン圧力を排除または克服することができることに留意されたい。
本発明の好ましい実施例において、圧縮ベアリングプレート(110)の圧縮、および少なくとも1つのアースアンカー(150)のテンドンバー/ワイヤ(160)を介した漸進的な引き抜きが、ジャッキ(200)によって実行されることが好ましい。限定ではなく例として、ジャッキ(200)は、機械式、空気式、油圧式または電気式ジャックなどとすることができる。好ましくは、限定しないが、圧縮ベアリングプレート(110)の圧縮、および少なくとも1つのアースアンカー(150)のテンドンバー/ワイヤ(160)を介した漸進的な引き抜きが、次いで、ウェッジ(300)によって保持される。
テンドンバー/ワイヤ(160)を介して少なくとも1つのアースアンカー(150)と連通する保持された圧縮ベアリングプレート(110)は、次いで、セメントグラウト(400)によって固定されることが理解されよう。限定ではなく例として、セメントグラウト(400)は、好ましくは、グラウトチューブ(430)を通って、掘削された通路(420)に導入される。したがって、掘削された通路(420)は、好ましくは、気泡または空気がエアフローバルブ(440)を通って確実に放出されるように所定の圧力で加圧されている。テンドンバー/ワイヤ(160)を介して固定されているセメントグラウト(400)は、傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や動きを防止するように、さらなる摩擦力(164)を提供するようになっている。
必要に応じて、連動安定化システム(100)は、地震に起因する傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動をさらに防止するために、地震用のダンパー(500)が任意に設けられていてもよい。限定ではなく例として、ダンパー(500)は、好ましくは、独立した保持プレート(520)および付勢手段(540)を備え、独立した保持プレート(520)および付勢手段(540)は、キャップ(560)と圧縮ベアリングプレート(110)との間に構成され、付勢手段(540)は、地震に起因する傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動を防止するように、応力が加えられるようになっている。
限定ではなく例として、付勢手段(540)は、機械ばね、空気/油圧ばねなどとすることができる。好ましくは、限定しないが、ダンパー(500)のキャップ(560)は、ウェッジストッパ(580)によって、テンドンバー(160)の遠位端に確実に保持されている。
例示的であるが、本明細書では、本発明の構成および機能を説明する際に、ダンパー(500)と、付勢手段(540)と、ウェッジストッパ(580)を備えたキャップ(560)と、を使用しているが、ダンパー、付勢手段、キャップストッパならびにそれに関連する構成要素および/もしくは部材、またはそれらのアセンブリの他のバリエーション、設計および/もしくは構成も企図される。このように、本明細書に記載されるダンパー(500)、付勢手段(540)、ウェッジストッパー(580)を備えるキャップ(560)は、決して限定的に解釈されるべきではない。
上述の実施形態を実行するために使用される様々な部品、要素および/または部材の構成は例示であり、例示的なものにすぎないことに留意されたい。当業者であれば、本明細書で使用される構成、部品、要素および/または部材が、異なる効果または所望の動作特性を得るように変更され得ることが理解されよう。本発明の実施において使用される上述の構成、配置、構造、用途、機能または構成要素の他の組合せおよび/または変更は、具体的に列挙されていないものに加えて、その一般的な原理から逸脱することなく、特定の環境および条件、製造仕様、設計パラメータまたは他の動作要件に応じて変更または変形されてもよい。
このように本発明を説明したが、これは、多くの点で変更可能であることは明らかである。そのような変形は、本発明の原理および範囲から逸脱するものとみなされるべきではなく、当業者にとって明らかであるそのようなすべての変更が、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
本発明は、安定化システムに関し、より具体的には、傾斜面または拘束されていない地表などを安定させるための連動安定化システムに関する。
通常、広範囲の地均しを含む、傾斜面を安定させるための一般的な手法といえば、傾斜面の改造および危険の完全除去である。一般に、傾斜面の改造には、切り込みおよび充填技法のバリエーションが含まれるのが通常である。傾斜面の安定性は、傾斜面の頂部を降ろしたり取り除いたりして駆動力を減少させることによって、および/または、潜在的な破損面に沿って傾斜面の先端部に充填物を配置して抵抗力を増大させることによって高められ得ることが理解されよう。傾斜面を安定化させるための最も一般的な技術は、バットレスフィルである。したがって、バットレスフィルは、通常、統合が不十分であるかインコンピテントである岩盤、および比較的脆弱な堆積構造物を安定化させるために使用される。典型的な圧縮型バットレスフィルは、切り取られた傾斜面の外面を除去し、当該外面を設計された圧縮型充填材で置き換えることによって構築される。バットレスフィルの強度は、その背後で傾斜面を保持するように特に設計されており、通常、少なくとも1.5の安全係数が設定されている。バットレスフィルの傾斜面は、一般に、完成時の勾配を2:1(水平:垂直)として構築されるが、得られる充填傾斜面に十分なせん断強度が達成されるならば、より急な勾配が許容される場合がある。
安定化フィルは、該フィルの強度が脆弱な表面または深部の地滑りを支持するように設計されていないことを除いては、バットレスフィルと同様である。むしろ、安定化フィルは法面に沿って構築されて、荒れ、腐食および落石などの法面の崩壊を緩和する。安定化フィルのベース幅は、通常、傾斜面の高さの半分である。
傾斜面の安定化における別の段階は、地表面と地下水系の制御を確立することにある。したがって、潜在的に不安定な傾斜面の内部およびその近傍に、地表面および地下の排水装置を設置することによって、一般に水の制御が維持される。地表面および地下の排水設計は、通常、地表流出と地下水移動が隣接地の安定性と水質に及ぼす影響を考慮して行われる。地表面および地下水の流れを制御することは、敷地内および敷地外の浸食および沈降を最小限に抑える上で重要である。排水システムを適切に設計すれば、傾斜面の安定性が増して浸食および沈降が減少する。
さらに別の傾斜面の安定化は、地中埋設物のような支持体によるものである。地中埋設物は、金属製の棒であり、コンピテントな岩盤に打ち込まれたり掘削挿入されたりして、擁壁および保持杭のような、構造物のための安定した基礎を提供したり、高度に破壊されているか接合された岩石を共に保持する。地中埋設物は、山岳地帯や急勾配地帯の構造物を支持するために典型的に使用される基礎杭の代替物として時々使用され得る。地中埋設物には3つの一般的なタイプがあり、それは、地中アンカー、ソイルネイル、およびロックボルトである。恒久的な地中アンカーは、コンピテントな岩盤または土壌に配置されるテンドン(緊張材)であり、該テンドンは、変位を制御し、設計された構造物および自然の傾斜面に対して垂直方向および水平方向の支持を提供する。アンカーは、通常、ウォータフロント構造およびタイバック擁壁に使用されて、水の浮力に起因する回転負荷または故障による不具合を防止する。
ソイルネイリングは、土壌補強技術であり、金属製の棒またはロッドを狭い間隔で土壌中に配置して土壌の強度を高める技術である。したがって、ソイルネイルは、グラウトで固定されたドリル(掘削)穴に設置するか、地中に打ち込むことができる。ソイルネイルは、一般に、構造物の表面に配置されたコンクリート表面に取り付けられる。表面仕上げの機能は、構造的な支持体を提供するというよりむしろ、ソイルネイルを取り囲む表面材料の浸食を防止することにある。この表面仕上げは、周囲の地形の模様を模倣し、植生のためのスペースを提供するように構築することができるが、その表面形状は既存の土壌の上部と同じではない。
ロックボルト打設は、予め掘削された適切な深さの穴に鋼棒を挿入してしっかり固定することによって、切り取られた傾斜面における、緊密に接合されている岩石を固定するか、または高度に亀裂が入っている岩石を強化する方法である。ロックボルトは、一般に、取付け後に拡張する頭部を有し、それらの固定方法(拡張型、くさび型、グラウト型、爆発型)に従って分類される。ロックボルトは、ソイルネイルのように、一般に、いくつかのタイプの表面仕上げに取り付けられる。
地中埋設物の使用に関する制約および考慮事項は、通常、長期的な安定性の分野にある。金属封入物は、一般に、シーラントまたはグラウトによる腐食から保護されるが、地下水と頻繁に相互作用する環境では封入物の分解が加速してしまう。また、構造物の設計において、壁または他の固定システムの構造的完全性に対するクリープの影響も考慮しなければならない。さらには、アンカーの使用に適さない特定の土壌流動性および可塑性限界がある。しかしながら、アンカーは制限される場合があり、また、掘削によって既存のアンカーの安定性が損なわれる場合がある。
杭や擁壁のような、傾斜面の別の安定化材を使用することもできる。したがって、杭は、地面に対して垂直に、またはより安定した基層に荷重を伝達するように使用される角度(鋭角)で配置される、長くて比較的細い支柱である。杭は、多くの場合、地質学的に不安定な地域に建設された構造物を支持し、または安定させるために使用される。固定された安定化システムに杭を組み込むと、杭の有効性は劇的に増す。さらに、杭は、ウォータフロント構造の基礎に沿う洗掘やアンダーカットの影響を最小限にするために使用される。一般に、杭は、地面に打ち込まれるか、またはドリル穴に配置される。ドリル穴に配置された杭は、構造物の荷重を直接支持する。その一方で、打ち込まれた杭は、柔らかくまたは緩く固められた材料に取り付けられ、多くの場合、構造物の荷重を直接吸収しない。むしろ、駆動された杭によって押し退けられた土壌の体積に相当する空隙率の減少に起因して杭の周囲の土壌が緻密化するにつれて、土壌の耐力と安定性が向上する。さらに、杭は、杭打ちによる振動によって傾斜面崩壊が引き起こされる可能性があるため、慎重に研究された場所でのみ杭打ちを実施することができる。埋め込み杭の設置によっては、一般に、現場の岩または土壌の安定性は変化しない。
擁壁は、土壌移動および水圧によって課される横方向の力に抗するように構成された工学的構造である。すべての擁壁の構築には地均しが必要であるが、掘削は主に傾斜面の先端に沿って行われ、何らかの変更があっても上方の傾斜面にはほとんど必要ない。傾斜面の先端を切り取ることによって滑動が不安定になる場合があるため、滑動の先端における擁壁の構築は、該構築中に滑動の安定が保持されることが判明した後にだけ実行されるべきである。擁壁は、一般に、勾配のついた範囲を減少させて道路を広げ、建物の周りに追加のスペースを作るために充填傾斜面と組み合わせて使用される。擁壁はまた、水の浸食力に対する保護として、かつ高速道路、鉄道、および建設現場に沿った傾斜面安定化の一手法として使用され得る。擁壁はまた、沿岸に沿って使用されて波による損傷や崖の破損を防ぐ。垂直壁と防壁の両方を保護に用いることができ、各々の設計は、岸部の洗掘、嵐の波の高さ、波の立ち上がり、潮位と将来的な海面の状態、および崖面の地質的な特性を考慮する必要がある。
擁壁は、安定性を提供するために、構造に作用する力のパラメータに基づいてカテゴリー分けされ得る。擁壁の3つのタイプは、アンカー式、重力式、および片持ち梁式である。これら3つはすべて海岸構造物として使用することができ、かつ傾斜面を安定化するために使用することができる。
傾斜面の安定化に対する様々な改良が提案されている。しかしながら、それらのいくつかは、設計および/または構成部品に特定の欠点があるようで、満足できるものではないことが分かっているため、広く使用されるに至っていない。したがって、傾斜面を安定化させるための従来の様々なシステムおよび方法は、傾斜面または不安定な地表の能動的および受動的ゾーン圧力を排除または克服するには不十分であることが分かっており、したがって、傾斜面や不安定な地表の不具合を最小限にするための有効性および適格性を向上させる、新たな進展を見出すための継続的な試みが依然として望まれている。
特許文献1は、掘削歩道用の一次的な擁壁を一般に含む、ソイルネイリングシステムを開示している。ソイルネイルは、土壌壁側に外向きに延びて、一時的な擁壁と一体化されている。ソイルネイルは、掘削位置に永久的な壁が設けられた後に、ソイルネイルを含む領域を掘削することができるように、例えば、ガラス繊維製の容易にせん断可能な補強ロッドを含む。
特許文献2は、ソイルネイルによるアーチ型の壁のためのシステムを開示しており、このシステムは、地表の直立面の完全性を維持するように使用されている。よって、このシステムは、地中に延びる複数の離間したソイルネイルを備え、直立面が交互に上下に延びる複数の凹凸部を有する波状の三次元形状を示し、該凹凸部が直立面の頂部から底部に連続的に延び、該凹部内にソイルネイルが挿入されており;該ソイルネイルによって直立面に対して保持された柔軟材料の引張ウェブを備え、該引張ウェブが、直立面の背後に少なくとも1つの圧縮土壌帯を積極的に形成している。
特許文献3は、傾斜面安定化システムおよび方法を開示している。よって、傾斜面安定化のためのこのシステムおよび方法は、様々な土壌からなる広範囲の傾斜面に適用可能である。好ましくは、ジオセンティック構造の層が、安定化されるべき傾斜面の表面上に展開されて、傾斜面の潜在的なスリップゾーンの基礎となる安定地帯に固定される。このシステムは、ジオファブリック層とその下の安定した地表領域との間の潜在的なスリップゾーンを積極的に維持する。
米国特許第6796745号明細書
米国特許第7377725号明細書
米国特許第4610568号明細書
これらおよび他の欠点を考慮して、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小限に抑えるように適合された安定化システムを提供することが望ましい。したがって、本発明は、傾斜面や不安定な地表などを安定化させるための連動安定化システムであって、傾斜面や不安定な地表などに存在する能動的および受動的ゾーン圧力を十分に排除および/または克服するように適合されて、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小限にするための有効性および適格性が達成され得るシステムを提供することを目的とする。
本発明の好適な例に従う連動安定化システム、およびその要素もしくは部品の組み合わせを、本明細書に説明し、かつ/または例示する。
本発明は、傾斜面や不安定な地表などを安定化するための連動安定化システムを提供することを目的とする。したがって、連動安定化システムは、a)圧縮ベアリングプレートと、b)テンドンバー/ワイヤを介して圧縮ベアリングプレートと連通する所定の深さまで貫通した複数の拡張可能な枢動ヒンジウィングを有する、少なくとも1つのアースアンカーと、を含み、圧縮ベアリングプレートは、テンドンバー/ワイヤを介して少なくとも1つのアースアンカーに向かって圧縮されて前進するようになっており、傾斜面や不安定な地表などの表面下に、反射円錐台のまたは密な土壌反応を形成し、少なくとも1つのアースアンカーの、複数の拡張可能な枢動ヒンジウィングは、アースアンカーが圧縮下で漸進的に引き抜かれるにつれてある角度まで外側に広がることができ、傾斜面や不安定な地表などの表面の所定の深さの下に、円錐台のまたは端部の支持力を形成し、かつ圧縮ベアリングプレートと、テンドンバー/ワイヤを介して漸進的に引き抜かれる少なくとも1つのアースアンカーと、の間に定義される作用−反作用力(すなわち、反射錐台と支持力)は、傾斜面や不安定な地表などの土壌を介して伝達されるようになっており、傾斜面や不安定な地表などに存在する能動的ゾーンおよび受動的ゾーン圧力を排除または克服することができる。
本発明の好ましい実施例において、圧縮ベアリングプレートは、リンケージアームおよび/またはテンションロッド/ワイヤを介して、アレイ状に隣接する圧縮ベアリングプレートと連通するようになっており、任意の引張、圧縮および/またはせん断荷重を、傾斜面や不安定な地表などのより大きなバルク表面領域または容積領域に分配するための、表面連動を形成する。
したがって、圧縮ベアリングプレートは、少なくとも1つのアースアンカーをテンドンバー/ワイヤを介して所定の圧力で漸進的に引き抜くことによって、アースアンカーに向かって圧縮されて前進するようになっている。
圧縮ベアリングプレートの圧縮、および少なくとも1つのアースアンカーのテンドンバー/ワイヤを介した漸進的な引き抜きが、好ましくはジャッキによって実行されることが理解されよう。
限定ではなく例として、ジャッキは、機械式、空気式、油圧式または電気式ジャッキなどであり得る。
好ましい実施例において、圧縮ベアリングプレートの圧縮、および少なくとも1つのアースアンカーのテンドンバー/ワイヤを介した漸進的な引き抜きは、ウェッジによって保持される。
なお、テンドンバー/ワイヤを介して少なくとも1つのアースアンカーと連通している保持された圧縮ベアリングプレートは、セメントグラウトによって固定されていることに留意されたい。
したがって、セメントグラウトは、グラウトチューブを通って、掘削された通路に導入される。
掘削された通路は、気泡または空気がエアフローバルブを通って確実に放出されるように所定の圧力で加圧されていることが理解されよう。
なお、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して固定されたセメントグラウトは、傾斜面や不安定な地表などの内部のいかなるせん断力または動きも防止するように、さらなる摩擦力を提供するようになっている点に留意されたい。
必要に応じて、連動安定化システムは、地震に起因する傾斜面や不安定な地表の内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動をさらに防止するために、地震用のダンパーを任意に備えることができる。
好ましい実施例において、ダンパーは、独立した保持プレートおよび付勢手段を含み、独立した保持プレートおよび付勢手段は、キャップと圧縮ベアリングプレートとの間に構成され、付勢手段は、地震に起因する傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動を防止するように、応力が加えられるようになっている。
限定しないが例として、付勢手段は、機械ばね、空気/油圧ばねなどとすることができる。
限定しないが、キャップは、ウェッジストッパーによって、テンドンバーの遠位端に確実に保持されていることが好ましい。
本発明は、以下の詳細な説明および図面に完全に記載されかつ図示される、いくつかの新規の特徴および部分の組合せからなるが、本発明の範囲から逸脱することなく、または本発明の利点のいずれかを犠牲にすることなく、詳細における様々な変更が行われ得ることが理解されよう。
本発明は、本明細書の以下の詳細な説明および添付の図面から十分に理解されるであろう。これらは単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
傾斜面や不安定な地表などを安定させるための連動安定化システムの側断面図であり、その要素または部分の組合せは、本発明の好適な実施例によるものである。
本発明の好適な実施例に従う、図1に示す連動安定化システムのセクションAの補助的な拡大図である。
連動安定化システムの側断面図であり、ベアリングプレートが圧縮されるように、テンドンバー/ワイヤを介してアースアンカーを漸進的に引き抜くように力を導入する、システム上に構成されたジャッキを示す図であり;テンドンバー/ワイヤを介してアースアンカーと連通している保持された圧縮ベアリングプレートは、次いで、本発明の好ましい実施例に従うセメントグラウトによって固定される。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションBの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションCの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションDの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションEの補助的な拡大図である。
本発明の好適な実施例に従う、図2に示す連動安定化システムのセクションFの補助的な拡大図である。
本発明の他の好適な実施例に従う、地震用のダンパーが導入されている連動安定化システムの側断面図である。
本発明の他の好適な実施例に従う、図3に示す連動安定化システムのセクションGの補助的な拡大図である。
本発明は、傾斜面や不安定な地表などを安定化させるための連動安定化システムに関する。以下、本明細書では、本発明の好適な実施形態に従って本発明を説明する。しかしながら、本明細書での説明を本発明の好適な実施例に限定しているのは、単に、本発明の説明を容易にするためであり、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく様々な改変および等価物を考案できることが理解されよう。
本発明は、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小限にするようにした、傾斜面や不安定な地表などを安定化するための連動安定化システムを提供することを目的とする。したがって、本発明の連動安定化システムは、傾斜面や不安定な地表に存在する能動的ゾーンおよび受動的ゾーン圧力を十分に排除および/または克服することができるので、傾斜面や不安定な地表などの不具合を最小化するための効果と適格性が達成される。
本発明の好適な実施例に従う、傾斜面や不安定な地表などを安定化するための連動安定化システムを、添付の図1〜3aの各々またはその任意の組合せに従って説明する。
図1は、傾斜面や不安定な地表などを安定化させるための連動安定化システム(100)の配置を示し、その関連する構成要素は、本発明の好適な実施例によるものである。したがって、連動安定化システム(100)は、一般に、圧縮ベアリングプレート(110)と、傾斜面や不安定な地表などの所定の深さまで貫通するアースアンカー(150)と、を含む。少なくとも1つのアースアンカー(150)は、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して圧縮ベアリングプレート(110)と連通していることが理解されよう。
限定ではなく例として、本発明の圧縮ベアリングプレート(110)は、隣接する他の圧縮ベアリングプレート(110)と連通するように構成されていてもよい。したがって、圧縮ベアリングプレート(100)は、リンケージアーム(120)および/またはテンションロッド/ワイヤ(130)を介して、アレイ状に隣接する他の圧縮ベアリングプレート(100)と連通するようになっており、任意の引張、圧縮および/またはせん断荷重を、傾斜面や不安定な地表などのより大きなバルク表面領域または容積領域に分配するための、表面連動(140)を形成することができる。リンケージアーム(120)および/またはテンションロッド/ワイヤ(130)は、連動安定化システム(100)、特には、傾斜面や不安定な地表などの表面領域または容積領域に、保持特性をさらに提供することができることが理解されよう。
本発明の好適な実施例において、圧縮ベアリングプレート(110)は、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して少なくとも1つのアースアンカー(150)に向かって圧縮されて前進するようになっており、傾斜面や不安定な地表などの表面下に、反射円錐台のまたは密な土壌反応(112)を形成することができる。したがって、圧縮ベアリングプレート(110)は、少なくとも1つのアースアンカー(150)をテンドンバー/ワイヤ(160)を介して所定の圧力で漸進的に引き抜くことによって、当該アースアンカー(150)に向かって圧縮されて前進するようになっている。
少なくとも1つのアースアンカー(150)には、好ましくは、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して圧縮ベアリングプレート(110)と連通する、所定の深さまで貫通した複数の拡張可能な枢動ヒンジウィング(152)が設けられている。したがって、少なくとも1つのアースアンカー(150)の、複数の拡張可能な枢動ヒンジウィング(152)は、アースアンカー(150)が圧縮下で漸進的に引き抜かれるにつれてある角度まで外側に広がることができ、傾斜面や不安定な地表などの表面の所定の深さの下に、円錐台のまたは端部の支持力(154)を形成することができる。
圧縮ベアリングプレート(110)と、テンドンバー/ワイヤ(160)を介して漸進的に引き抜かれる少なくとも1つのアースアンカー(150)と、の間に定義される作用−反作用力(すなわち、反射錐台と支持力)は、傾斜面や不安定な地表などの土壌を介して伝達されるようになっており、傾斜面や不安定な地表などに存在する能動的ゾーン(600)および受動的ゾーン(800)圧力を排除または克服することができることに留意されたい。
本発明の好ましい実施例において、圧縮ベアリングプレート(110)の圧縮、および少なくとも1つのアースアンカー(150)のテンドンバー/ワイヤ(160)を介した漸進的な引き抜きが、ジャッキ(200)によって実行されることが好ましい。限定ではなく例として、ジャッキ(200)は、機械式、空気式、油圧式または電気式ジャックなどとすることができる。好ましくは、限定しないが、圧縮ベアリングプレート(110)の圧縮、および少なくとも1つのアースアンカー(150)のテンドンバー/ワイヤ(160)を介した漸進的な引き抜きが、次いで、ウェッジ(300)によって保持される。
テンドンバー/ワイヤ(160)を介して少なくとも1つのアースアンカー(150)と連通する保持された圧縮ベアリングプレート(110)は、次いで、セメントグラウト(400)によって固定されることが理解されよう。限定ではなく例として、セメントグラウト(400)は、好ましくは、グラウトチューブ(430)を通って、掘削された通路(420)に導入される。したがって、掘削された通路(420)は、好ましくは、気泡または空気がエアフローバルブ(440)を通って確実に放出されるように所定の圧力で加圧されている。テンドンバー/ワイヤ(160)を介して固定されているセメントグラウト(400)は、傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や動きを防止するように、さらなる摩擦力(164)を提供するようになっている。
必要に応じて、連動安定化システム(100)は、地震に起因する傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動をさらに防止するために、地震用のダンパー(500)が任意に設けられていてもよい。限定ではなく例として、ダンパー(500)は、好ましくは、独立した保持プレート(520)および付勢手段(540)を備え、独立した保持プレート(520)および付勢手段(540)は、キャップ(560)と圧縮ベアリングプレート(110)との間に構成され、付勢手段(540)は、地震に起因する傾斜面や不安定な地表などの内部におけるいかなるせん断力や地面の動きまたは振動を防止するように、応力が加えられるようになっている。
限定ではなく例として、付勢手段(540)は、機械ばね、空気/油圧ばねなどとすることができる。好ましくは、限定しないが、ダンパー(500)のキャップ(560)は、ウェッジストッパ(580)によって、テンドンバー(160)の遠位端に確実に保持されている。
例示的であるが、本明細書では、本発明の構成および機能を説明する際に、ダンパー(500)と、付勢手段(540)と、ウェッジストッパ(580)を備えたキャップ(560)と、を使用しているが、ダンパー、付勢手段、キャップストッパならびにそれに関連する構成要素および/もしくは部材、またはそれらのアセンブリの他のバリエーション、設計および/もしくは構成も企図される。このように、本明細書に記載されるダンパー(500)、付勢手段(540)、ウェッジストッパー(580)を備えるキャップ(560)は、決して限定的に解釈されるべきではない。
上述の実施形態を実行するために使用される様々な部品、要素および/または部材の構成は例示であり、例示的なものにすぎないことに留意されたい。当業者であれば、本明細書で使用される構成、部品、要素および/または部材が、異なる効果または所望の動作特性を得るように変更され得ることが理解されよう。本発明の実施において使用される上述の構成、配置、構造、用途、機能または構成要素の他の組合せおよび/または変更は、具体的に列挙されていないものに加えて、その一般的な原理から逸脱することなく、特定の環境および条件、製造仕様、設計パラメータまたは他の動作要件に応じて変更または変形されてもよい。
このように本発明を説明したが、これは、多くの点で変更可能であることは明らかである。そのような変形は、本発明の原理および範囲から逸脱するものとみなされるべきではなく、当業者にとって明らかであるそのようなすべての変更が、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。