JP2019510605A5 - - Google Patents

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人工膝関節置換用プロテーゼ
本開示は、人工膝関節置換技術に関し、具体的には、人工膝関節置換用の大腿骨側および脛骨側のプロテーゼ(prosthesis)、並びに初期膝関節内側コンパートメント(compartment)、外側コンパートメントおよび膝蓋大腿骨関節骨関節炎に適用される単一コンパートメント置換プロテーゼに関する。
人工膝関節全置換術(TKA)は、進行した骨関節炎、リウマトイド関節炎または外傷性関節炎を治療する最良の方法である。ヘルスケアリサーチアンドクオリティ庁(Agency for Healthcare Research and Quality)によると、米国だけで600,000件以上のTKA手術があり、総費用は数百億ドルにのぼる。通常、TKA手術を受けている膝関節の大腿骨遠位端は、大腿骨プロテーゼコンポーネントを受けるために部分的に切除され、そして脛骨近位端は、脛骨プロテーゼコンポーネントを受けるために部分的に切除される。大腿骨プロテーゼコンポーネントの関節面の幾何学的形状は、手術後の膝の機能に直接影響するので、大腿骨プロテーゼの設計が重要である。正常な大腿骨顆部の幾何学的特徴に最も近い大腿骨プロテーゼは、通常の膝関節に最も近い感覚を手術を受けた人に提供することができる。
もともと、大腿骨顆部は円形であり、固定軸を中心に回転していると考えられている。ある従来技術は、図1に示すように、単一の曲率半径を使用してTKA大腿骨プロテーゼを設計する方法を提案する。この大腿骨プロテーゼ1の設計の原理は、大腿骨の内顆および外顆を、半径が類似する2つの円形の弧として扱うことである。この2つの円形の中心は重ならないが、それらの接続線は、大腿骨の内顆および外顆の最も高い点の接続線である経上顆部軸(transepicondylar axis,TEA)と重なると考えられる。すなわち、TEAと大腿骨遠位端との間の距離は、TEAと後顆表面との間の距離とほぼ等しい。このような単一の半径の原理を用いて設計された大腿骨プロテーゼは、大腿骨後顆の偏心(offset)距離を欠くので、多くの学者によって術後屈曲制限の重要な原因の1つであると考えられている。患者の手術後の膝の運動も、正常な膝の運動とは大きく異なる。同時に、この設計は、内顆および外顆の高さが等しい対称性設計であり、膝が屈曲するときに靭帯の張力特性に適合しないので、膝関節の不安定性を引き起こすと考えられる。
その後、大腿骨顆部は螺旋状であり、回転軸が固定されていないが、瞬時的な回転中心があったという見解を持つ学者もいた。図2は、瞬間的な回転中心の設計原理を採用した、従来技術による螺旋状の大腿骨顆部を示している。この原理で設計された大腿骨プロテーゼ21では、大腿骨顆部関節面の輪郭を螺旋状とみなされ、円形半径が異なる複数の曲面から構成されている。しかしながら、この原理によるプロテーゼの設計方法は極めて煩雑である。
1990年代、学者たちは、もう一度、大腿骨顆部が丸く、回転軸が固定されているという見解を支持した。特に、核磁気的サジタルスキャンの適用により、これらの研究者は、大腿骨顆部がサジタル位置に複数の円から構成されていることをしっかりと信じさせる。例えば、大腿骨顆部の輪郭は、半径が異なる3つまたは4つの円からなると考えられ、これらの円の中心は、図3に示すように、互いに分離されている。この原理に従って設計されたTKA大腿骨プロテーゼ31は、膝関節の屈曲および伸長中に、大腿骨顆部の回転中心が突然1つの中心から次の中心にジャンプする。この突然の大きな回転中心のジャンプは、膝関節プロテーゼの安定性を損ない、プロテーゼの摩耗を引き起こす。
膝関節は、内側コンパートメント、外側コンパートメントおよび膝蓋大腿コンパートメントの3つのコンパートメントに分割される。初期膝関節骨関節炎(OA)は、あらゆるコンパートメントを傷つける可能性があるが、特に膝関節の内側コンパートメントに損傷を与える。このとき、膝関節の力線は内側に変位し(内転変形)、内側コンパートメントの過度の磨耗が生じ、大腿骨内顆および対応する内側脛骨プラトー軟骨面が薄くなり、剥離する。内側コンパートメントOAの典型的な症状は、内転変形、痛みに伴う関節ロッキング、骨棘形成、および側副靭帯の緩和である。保守的または非外科的処置(非ステロイド性抗炎症性鎮痛薬、関節軟骨栄養保護薬、ヒアルロン酸の関節内注射、膝ブレースなど)は軽度のOA患者にのみ有効である。保守的治療が有効でない場合、膝関節内側コンパートメント単顆置換術(Unicompartmental Knee Arthroplasty,UKA)が究極の治療法である。膝関節の内側コンパートメントUKAとは、膝関節の内側に位置する脛骨と大腿骨との間の関節面(すなわち、内側大腿骨遠位端が屈伸運動中に内側脛骨プラトーと直接接触する関節軟骨表面および対応する脛骨プラトー関節軟骨表面)を手術で切除することである。手術の目的は、最小限の外科的外傷で正常な関節構造をできるだけ維持し、最終的にはより良好な機能回復を達成するとともに、将来可能な全膝関節置換術のために十分な残留骨量および操縦の余地を維持することである。さらに、インプラント材料および処理技術の改善、症例適応症のより適切な選択、および外科技術の改善により、内側コンパートメントUKAの有効性がますます認識されている。外側コンパートメントおよび膝蓋大腿コンパートメントにおけるOAの発生率は、内側コンパートメントOAの発生率よりもはるかに低いが、治療の原則は内側コンパートメントOAと同じであり、必要であれば、UKAプロテーゼの置換も必要である。
内側および外側コンパートメントUKAプロテーゼは、脛骨側UKAプロテーゼ(脛骨プラトーの内外側UKAプロテーゼ)および大腿骨側UKAプロテーゼ(大腿骨内外顆UKAプロテーゼ)にさらに分割することができ、膝蓋大腿コンパートメントUKAプロテーゼは、滑車(部)UKAプロテーゼおよび膝蓋骨プロテーゼに分割する。大腿骨側UKAプロテーゼの設計は、術後膝機能に直接影響を及ぼすため、脛骨側UKAプロテーゼの設計よりも重要である。現在、正常な大腿骨内外顆の幾何学的特徴に最も近い大腿骨側UKAプロテーゼが、正常な膝関節に最も近い運動感覚を提供できることが国内外で合意されている。しかしながら、大腿骨内外顆の幾何学的特徴は極めて複雑であり、一貫して認識されていない。もともと、大腿骨内外顆は円形であり、固定軸1を中心に回転していると考えられていた。その後、大腿骨内外顆は螺旋状であり、回転軸が固定されていないが、瞬時的な回転中心2があったという見解を持つ学者もいた。1990年代、学者たちはもう一度、大腿骨内外顆が丸く、回転軸が固定されているという見解を支持した。特に、核磁気的サジタルスキャンの適用により、これらの研究者は、大腿骨の内顆と外顆がサジタル位置に2つの円から構成されていることをしっかりと信じさせる。これらの異なる理論は、異なる生体力学的および運動学的実験結果をもたらし、大腿骨内外顆UKAプロテーゼの設計に直接影響を与えた。例えば、大腿骨顆部が単一曲率円であるという理論によれば、Oxford単顆プロテーゼが設計され、大腿骨顆部が2つ以上の円形からなるという理論によれば、Miler-Galanteプロテーゼが設計された。しかし、現在の大腿骨内外顆UKAプロテーゼは、多かれ少なかれ不利な点がある。例えば、Oxford単顆プロテーゼ(Oxford UKA)は、長期追跡調査の結果は良好であるが、プロテーゼの形状は大腿骨顆部の形状と一致せず、プロテーゼおよび大腿骨顆部に深い磨耗溝を生じる。そして、単一曲率円の設計のため、Oxford単顆プロテーゼは患者の内反変形した下肢の力線を復元しない。他のタイプのUKAプロテーゼの形状は、手術中に大腿骨内外顆と一致しないことが多く、膝屈曲時の膝蓋骨とプロテーゼとの間の衝撃につながり、痛みおよび手術の失敗を引き起こしやすい。大腿骨滑車の幾何学的形状は、大腿骨滑車UKAプロテーゼを製造することにとって基本的であるが、大腿骨滑車の幾何学的特性はより複雑であり、解釈が困難である。このため、滑車UKAプロテーゼは、外転した溝として単純化され、膝蓋骨表面は対応して凸状に取り替えられた。
従来技術によって製造された大腿骨内外顆UKAプロテーゼおよび大腿骨滑車UKAプロテーゼの形態は、大腿骨内外顆および大腿骨滑車とよく一致しなかった。この形態のミスマッチは、膝屈曲時の膝蓋骨とプロテーゼとの間の衝撃につながり、膝屈曲時の痛み、プロテーゼの弛緩、および手術の失敗を引き起こす。Oxford単顆プロテーゼは、衝撃の発生率が比較的低いが、大腿骨内顆が単一曲率を有する円形であることに基づいて設計されている。この結果は、UKAプロテーゼの前面と大腿骨内顆の残りの骨との間に深い溝があることである。この溝が膝関節の運動学またはプロテーゼの寿命に影響を及ぼすという臨床的な証拠はないが、実際にはこの溝は大腿骨の最も遠位の部分であり、その高さは回復できないので、膝の内反変形は矯正できない。内反変形を矯正するために、プロテーゼをより高く配置しなければならず、これにより、屈曲中に脛骨がプロテーゼと衝突することになる。オックスフォード単顆手術技術において内側側副靭帯を解放させない方法は、それ自体、摺動パッドの脱落を防止することを意図している。
従来技術における1つまたは複数の問題を考慮して、本開示の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼが提案されている。
本開示の一態様では、人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼが開示される。前記人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼは、内側部材と外側部材とを備え、前記内側部材は、内顆部と内側滑車部とを備え、前記内顆部の関節面は、矢状位置において第1の楕円(38、大腿骨内顆の楕円)の弧として現れており、前記内側滑車部の関節面は、矢状位置において第2の楕円または円(40、大腿骨内側滑車の楕円または円)の弧として現れており、前記外側部材は、外側滑車部と外顆部とを備え、前記外側滑車部の関節面は、矢状位置において第3の楕円または円(80、大腿骨外側滑車の楕円または円)の弧として現れており、前記外顆部の関節面は、矢状位置において第4の楕円(78、大腿骨外顆の楕円)の弧として現れている。
本発明のある特定の局面では、前記内側滑車部と前記外側滑車部との間に介在された滑車溝の最も凹んだ部分の関節面は、矢状位置において第5円(70、滑車溝の最も凹んだ部分)の弧である。
本発明の他の特定の局面では、第1の楕円の長軸は大腿骨の機械軸に対して垂直であり、その中心は、大腿骨内顆の内側副靭帯取り付け点に対応する。
本発明の別の特定の局面では、第4の楕円の長軸は第1の楕円の長軸に対してある角度だけ時計回りに偏向されており、その中心は、大腿骨外顆の外側副靭帯取り付け点に対応する。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記第1の楕円の中心と前記第4の楕円の中心とは、矢状位置において重なり、これらの間の接続ラインは、過顆線TEAの方向に一致し、Whiteside線に対して垂直である。
本発明のさらに別の特定の局面では、第2の楕円の長軸は第1の楕円の長軸に対して垂直であり、第2の楕円または円の中心と第3の楕円または円の中心とは、矢状位置において重なり、これらの間の接続ラインは、過顆線TEAの方向に一致し、Whiteside線に対して垂直である。
本発明のさらに別の特定の局面では、第1の楕円の長軸および短軸が、第2の楕円の長軸および短軸と交差して得られる長方形は、8mm〜16mmの長さと、4mm〜12mmの幅とを有する。
本発明のさらに別の特定の局面では、第1の楕円の中心と第2の楕円の中心との間の接続ラインと、第1の楕円の長軸とのなす角度は、25〜35度である。
本発明のさらに別の特定の局面では、矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第1の楕円は、中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が同じであり、これらの楕円は共に3次元で完全な大腿骨内顆部の形状を形成しており、すべての中心の接続ラインは、過顆線TEAの方向に重なり、Whiteside線に対して垂直である。
本発明のさらに別の特定の局面では、矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第4の楕円は、中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が同じであり、これらの楕円は共に3次元で完全な大腿骨外顆部の形状を形成しており、すべての中心の接続ラインは、過顆線TEAの方向に重なり、Whiteside線に対して垂直であり、大腿骨内顆部の円の中心の接続ラインに重なる。
本発明のさらに別の特定の局面では、矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第2の楕円または円は、中心が矢状位置において重なり、これらの楕円または円は、3次元で配列され、完全な大腿骨内側滑車関節面の形状を形成している。
本発明のさらに別の特定の局面では、大腿骨内側滑車関節面が同心楕円である場合、これらの楕円の長軸と短軸は同じ方向であり、各楕円の偏心は異なっており、これらの楕円のサイズはフィボナッチシーケンスでソートされており、すべての中心の接続ラインは、過顆線TEAの方向に重なり、Whiteside線に対して垂直である。
本発明のさらに別の特定の局面では、矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第3の楕円または円は、中心が矢状位置において重なり、これらの楕円または円は、3次元で配列され、完全な大腿骨外側滑車関節面の形状を形成している。
本発明のさらに別の特定の局面では、大腿骨外側滑車関節面が同心円である場合、すべての中心の接続ラインは、過顆線TEAの方向に重なり、Whiteside線に対して垂直であり、大腿骨内側滑車関節面の中心の接続ラインに重なる。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記外顆部の後部は、前記内顆部の後部よりも矢状位置において短く且つ低い。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記外側滑車部の前縁は、前記内側滑車部の前縁よりも矢状位置において長く且つ高い。
本発明のさらに別の特定の局面では、大腿骨プロテーゼ全体の外面および内面の幾何学的設計パラメータは、第1の楕円と第2の楕円との関係およびそれらのパラメータサイズによって決定されている。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記内顆部の関節面は、冠状位置において第6の円(94、大腿骨内顆の冠状位置の円)の弧として表されており、前記円の中心は第1の楕円の中心と重なり、半径は第1の楕円の半短軸である。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記内顆部の関節面は、冠状位置において50度から90度の範囲の角度を有する円の弧として表されている。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記外顆部の関節面は、冠状位置において第7の楕円(96、大腿骨外顆の冠状位置の楕円)の弧として表されており、前記楕円の中心は、第4の楕円の中心と重なり、楕円の長軸は、過顆線TEAに対して冠状位置において25〜35度内側に回転する。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記外顆部の関節面は、冠状位置において50度から90度の範囲の角度を有する第7の楕円の弧として表されている。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記外顆部の関節面は、冠状位置において円の弧として表されており、前記円の中心は第4の楕円の中心と重なり、半径は第4の楕円の半短軸である。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記プロテーゼは、顆間構造調整を行った後に、十字靭帯保持型プロテーゼ、後方安定型プロテーゼ、他のタイプの修正型プロテーゼ、個別化された3D印刷プロテーゼ、膝蓋骨非置換型プロテーゼ、膝蓋骨置換型プロテーゼ、運動学的アライメント(kinematic alignment)型プロテーゼ、および組立型プロテーゼのいずれかに適用可能である。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記プロテーゼの軸間距離は、冠状位置における大腿骨内顆の円および大腿骨外顆の楕円のパラメータサイズに直接関係している。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記第1の楕円の弧は、150度から200度の範囲の角度を有し、前記第4の楕円の弧は、120度から160度の範囲の角度を有する。
本開示の別の態様によれば、前記人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼと共に使用するための脛骨側プロテーゼが提供され、前記脛骨側プロテーゼの冠状位置における形状は、内側脛骨プラトー表面と外側脛骨プラトー表面とを備え、前記内側脛骨プラトー表面は、大腿骨内顆の冠状位置における円形の形状に適合する円形の凹状形状であり、前記外側脛骨プラトー表面は、大腿骨外顆の冠状位置における楕円の形状に適合する楕円の凹状形状である。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記脛骨側プロテーゼの底面は、運動学的アライメント型の脛骨プラトーの骨切り面に適しているように、0度、1度、2度、3度の内側回転角を有するように設計されている。
本開示の別の態様によれば、人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼが提供される。前記人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼは、内側部材と外側部材とを備え、前記内側部材は、内顆部と内側滑車部とを備え、前記内顆部の関節面は、矢状位置において第1の円の弧として現れており、前記内側滑車部の関節面は、矢状位置において第2の楕円または円の弧として現れており、前記外側部材は、外側滑車部と外顆部とを備え、前記外側滑車部の関節面は、矢状位置において第3の楕円または円の弧として現れており、前記外顆部の関節面は、矢状位置において第4の楕円の弧として現れている。
本開示の別の態様によれば、人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼが提供される。前記人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼは、内側部材と外側部材とを備え、前記内側部材は、内顆部と内側滑車部とを備え、前記内顆部の関節面は、矢状位置において第1の楕円の弧として現れており、前記内側滑車部の関節面は、矢状位置において第2の楕円または円の弧として現れており、前記外側部材は、外側滑車部と外顆部とを備え、前記外側滑車部の関節面は、矢状位置において第3の楕円または円の弧として現れており、前記外顆部の関節面は、矢状位置において第4の円の弧として現れている。
本開示の別の態様によれば、大腿骨側の内側単顆プロテーゼが提供され、関節面と内面とを備え、前記関節面は、膝関節運動中に膝蓋骨の内側および脛骨プラトーの内側と接触する表面であり、矢状位置において第1の楕円の弧として現れており、冠状位置において第6の円の弧として現れており、前記内面は、前記プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨顆部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分であり、直線状の断面として現れる内面後顆と、関節面の弧に一致した内面遠位端部とを備える。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記大腿骨側の内側単顆プロテーゼは、前記第1の楕円の中心に対応して前記内面に配置された第1の支柱と、前記第1の楕円の焦点に対応して前記内面に配置された第2の支柱とをさらに備える。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記大腿骨側の内側単顆プロテーゼの前側の先端に係止ねじ孔が形成されており、係止ねじ孔に挿入される係止ねじの方向が第1の支柱および第2の支柱の方向と異なるように、係止ねじ孔が形成されている。
本発明のさらに別の特定の局面では、第1の楕円の長軸は大腿骨の機械軸に対して垂直であり、その中心は、大腿骨内顆の内側副靭帯取り付け点に対応する。
本発明のさらに別の特定の局面では、矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第1の楕円は、ともに3次元で完全な大腿骨内側単顆プロテーゼの形状を形成しており、これらの楕円の中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が一致し、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に重なり、Whiteside線に対して垂直である。
本発明のさらに別の特定の局面では、軸線方向視において、前記プロテーゼは、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直に配置されており、前記プロテーゼの外側は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直である平坦なエッジを有し、内側円弧縁部は、大腿骨内顆の遠位端の形状に適合するように弧状とされており、前方円弧縁部の屈曲度は、研磨工具の円のパラメータに対応し、底部の曲率は、冠状位置の第6の円の曲率である。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記第1の楕円の弧は、150度から200度の範囲の角度を有し、前記第6の円の弧は、50度から90度の範囲の角度を有する。
本開示の別の態様によれば、大腿骨側の外側単顆プロテーゼが提供され、関節面と内面とを備え、前記関節面は、膝関節運動中に膝蓋骨の外側および脛骨プラトーの外側と接触する表面であり、矢状位置において第4の楕円の弧として現れており、冠状位置において第7の楕円の弧として現れており、前記内面は、前記プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨顆部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分であり、直線状の断面として現れる内面後顆と、関節面の弧に一致した内面遠位端部とを備える。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記大腿骨側の外側単顆プロテーゼは、前記第4の楕円の焦点に対応して前記内面に配置された第3の支柱をさらに備える。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記大腿骨側の外側単顆プロテーゼの遠側の先端に係止ねじ孔が形成されており、係止ねじ孔に挿入される係止ねじの方向が第3の支柱の方向と異なるように、係止ねじ孔が形成されている。
本発明のさらに別の特定の局面では、矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第4の楕円は、ともに3次元で完全な大腿骨外側単顆プロテーゼの形状を形成しており、これらの楕円の中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が一致し、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に重なり、Whiteside線に対して垂直である。
本発明のさらに別の特定の局面では、軸線方向視において、前記プロテーゼは、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直に配置されており、前記プロテーゼの内側は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直である平坦なエッジを有し、外側円弧縁部は、大腿骨外顆の遠位端の形状に適合するように弧状とされており、前方円弧縁部の屈曲度は、円の曲率パラメータに対応し、底部の曲率は、冠状位置の第7の楕円の弧の曲率である。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記第4の楕円の弧は、120度から160度の範囲の角度を有し、前記第7の楕円の弧は、50度から90度の範囲の角度を有する。
本開示の別の態様によれば、大腿骨滑車プロテーゼが提供され、関節面と内面とを備え、前記関節面は、膝関節運動中に膝蓋骨関節面と接触する表面であり、矢状位置において第2の楕円または円の弧と第3の楕円または円の弧との空間的集合として現れており、前記内面は、前記プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨滑車部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分であり、大腿骨滑車関節面の形状と一致するように現れている。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記第2の楕円または円および前記第3の楕円または円は同心円状に配置され、同心軸は空間的に前記TEAと平行で、Whiteside線に垂直である。
本発明のさらに別の特定の局面では、前記大腿骨滑車プロテーゼは、中央に支柱と、周囲に係止ねじを受け入れるための4つの係止ねじ孔とを有する。
本開示の上記の実施形態によるプロテーゼを利用すれば、正常な人体大腿骨顆部の幾何学的形状により近づくことができ、様々な型番の大腿骨プロテーゼの設計パラメータ値を簡略化する。
本開示の実施形態または従来技術をより明確に説明するために、実施形態または従来技術の説明で使用される図面を、以下で簡単に説明する。当業者には、これらの図によれば、創造的な労力を払うことなく、他の図面を得ることができることが明らかであろう。
従来技術の大腿骨プロテーゼを示す概略図である。 別の従来技術の大腿骨プロテーゼを示す概略図である。 別の従来技術の大腿骨プロテーゼを示す概略図である。 本開示の一実施形態による大腿骨プロテーゼの膝関節内顆の矢状位置における断面を示す概略図である。 本開示の一実施形態による大腿骨プロテーゼの膝関節内側滑車の矢状位置における断面を示す概略図である。 本開示の一実施形態による大腿骨プロテーゼ滑車の最も凹んだ部分の矢状位置における断面を示す概略図である。 本開示の一実施形態による大腿骨プロテーゼの膝関節大腿骨外顆および大腿骨滑車の矢状位置における断面を示す概略図である。 本開示の実施形態による大腿骨プロテーゼの膝関節の矢状位置における大腿骨顆部の楕円および円の重なりを示す概略図である(左は内側、右は外側) 本開示の実施形態による大腿骨プロテーゼの大腿骨内外顆の冠状面における楕円および円を示す図である。 本開示による大腿骨プロテーゼの矢状位置(内側と外側は重なる)における断面を示す概略図であり、各楕円と円の関係および形状構造が示されている。 本開示の大腿骨プロテーゼの軸方向位置における断面を示す概略図であり、大腿骨プロテーゼの関節面の非対称性と内面の対称性、および大腿骨内顆部の内側回転が示されている。 本開示の大腿骨プロテーゼの冠状位置における後面図を示し、膝蓋骨の非置換の場合の大腿骨内外顆の冠状位置における形状および対応するプラトー部分の構造が示されている。 本開示の一実施形態による大腿骨内顆UKAプロテーゼの矢状位置における図である。 本開示の一実施形態による大腿骨内顆UKAプロテーゼの冠状位置における図である。 本開示の一実施形態による大腿骨内顆UKAプロテーゼの軸方向位置における図である。 本開示の一実施形態による大腿骨内顆UKAプロテーゼを示す斜視図である。 本開示の一実施形態による大腿骨内顆UKAプロテーゼをインプラントする動作および対応する器具の使用を示す概略図である。 本開示の一実施形態による大腿骨内顆UKAプロテーゼをインプラントする動作および対応する器具の使用を示す概略図である。 本開示の一実施形態による大腿骨外顆UKAプロテーゼの矢状位置における図である。 本開示の一実施形態による大腿骨外顆UKAプロテーゼの冠状位置における図である。 本開示の一実施形態による大腿骨外顆UKAプロテーゼを示す斜視図である。 本開示の一実施形態による大腿骨滑車UKAプロテーゼの構成原理を示す斜視図である。
以下、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。本開示に記載された実施形態は、説明のためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことに留意されたい。以下の説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が述べられている。しかしながら、当業者には、本開示がこれらの具体的な詳細によって実施される必要はないことは明らかであろう。他の例では、本開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の材料または方法は具体的に記載されていない。
本開示の一実施形態によるTKA大腿骨プロテーゼは、正常な人体大腿骨の顆部および滑車部の幾何学的特徴に近い。この楕円形の原理および大腿骨プロテーゼの設計方法は、以下のような1つまたは複数の実施形態で詳述される。1つ以上の実施形態を図面と共に説明する。しかしながら、これらの図および説明は、本開示が保護しようとするものを限定するものではない。各図と説明は他の図と関連している。
1つまたは複数の実施形態によれば、本開示によって提供される大腿骨プロテーゼコンポーネントは、大腿骨プロテーゼ関節面と大腿骨プロテーゼ内面とを含む。その中で、大腿骨プロテーゼ関節面は、大腿骨プロテーゼの内側顆、外側顆、内側滑車、外側滑車、および滑車の最も凹んだ部分の層面にさらに分割される。大腿骨プロテーゼの内面は、大腿骨プロテーゼの前方切断面、遠位切断面、後方切断面、前方斜面、および後方斜面にさらに分割される。具体的には、前記大腿骨プロテーゼの内側顆は、膝関節運動中に脛骨内側コンパートメントと関節接合されている部分を指し、前記大腿骨プロテーゼの外側顆は、膝関節運動中に脛骨外側コンパートメントと関節接合されている部分を指し、前記大腿骨内側滑車は、膝関節運動中に膝蓋骨の内側表面に対応する部分を指し、前記大腿骨外側滑車は、膝関節運動中に膝蓋骨の外側表面に対応する部分を指し、前記大腿骨滑車の最も凹んだ部分の層面は、大腿骨内側滑車と大腿骨外側滑車が交差する層面を指し、臨床的にWhiteside線の位置に対応する。前記大腿骨プロテーゼの前方切断面は、大腿骨プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨前側顆部の骨切り面に隣接する部分を指し、前記大腿骨プロテーゼの遠位切断面は、大腿骨プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨遠位端顆部の骨切り面に隣接する部分を指し、前記大腿骨プロテーゼの後方切断面は、大腿骨プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨後側顆部の骨切り面に隣接する部分を指し、前記大腿骨プロテーゼの前方斜面は、前方切断面および遠位切断面に連結された部分を指し、前記大腿骨プロテーゼの後方斜面は、遠位切断面および後方切断面に連結された部分を指す。本明細書で使用される「前」とは人体の腹側を指し、「後」とは人体の裏側を指し、「近」とは人体の頭側を指し、「遠」とは人体の足側を指す。同様に、「矢状位置」、「冠状位置」および「軸方向位置」の記述は、解剖学的平面の定義と同じである。「水平軸」は「前方」および「後方」方向を指し、そして地面に平行であり、「垂直軸」は「遠」および「近」方向を指し、そして地面に垂直である。一般的に、大腿骨プロテーゼコンポーネントの「最遠点」は、膝関節が完全に伸びたときに、対応する脛骨サポートが接触している最も遠い接触点を指し、大腿骨プロテーゼコンポーネントの「最後点」は、「最遠点」に対して垂直で大腿骨プロテーゼの後方偏心の最大点を指す。大腿骨プロテーゼコンポーネントの「最前点」は、「最後点」とは反対側の大腿骨プロテーゼの前方偏心の最大点を指す。
本開示に記載の実施形態では、左側大腿骨プロテーゼのコンポーネントが示されている。左側大腿骨プロテーゼコンポーネントと右側大腿骨プロテーゼコンポーネントは、矢状面に関して相互に鏡像である。したがって、本明細書に記載の大腿骨プロテーゼの特徴の原理は、左膝または右膝の構成に等しく適用可能であると述べられている。本開示の大腿骨プロテーゼ設計は、「十字靱帯保持型」(CR)プロテーゼを含むことが理解されるべきである。他の考えられる設計には、「後方安定型」(PS)プロテーゼおよび「中間レベル拘束型」(MLC)プロテーゼなどが含まれる。前記「十字靱帯保持型」(CR)プロテーゼは、「後方安定型」(PS)プロテーゼに比べて、大腿骨プロテーゼコンポーネントにおけるカム構造および脛骨プロテーゼコンポーネントにおける支柱構造を省略している。これにより、「十字靱帯保持型」(CR)プロテーゼは、外側顆と内側顆の間で大腿骨のカム構造によって中断されていない開いた顆間空間を有することが可能になる。本開示の大腿骨プロテーゼを適切に修正して、大腿骨プロテーゼコンポーネントにおけるカム構造および脛骨サポートにおける支柱構造を増加させることによって、「後方安定型」(PS)プロテーゼおよび「中間レベル拘束型」(MLC)プロテーゼを得ることができる。したがって、本開示に記載された原理の全ては、潜在的に予想される大腿骨プロテーゼ設計に使用することができる。潜在的に予想される大腿骨プロテーゼ設計は、本明細書に記載される特徴の全てを含むことができるが、特定の用途または他の状況に応じて、本明細書に記載された特徴のいくつかを省略または追加することも考えられる。
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、矢状位置において、大腿骨プロテーゼの内顆および外顆の関節面形状は、楕円で構成され、内側および外側滑車関節面形状は、楕円および/または円で構成され、冠状位置において、大腿骨プロテーゼの内顆および外顆の関節面形状は、楕円および円で構成されている。
例えば、大腿骨プロテーゼの内顆および外顆は、楕円の原理で設計され構築され、いずれも楕円の弧である。大腿骨内顆の楕円はやや大きく、その長軸は水平線に平行であり、大腿骨外顆の楕円はやや小さく、その長軸方向は大腿骨内顆の楕円に対して一定の角度だけ時計回りに回転する。同時に、大腿骨の内顆と外顆の楕円の中心は、大腿骨プロテーゼの矢状位置において重なり、これは過顆線(TEA)の臨床的方向に一致している。
矢状位置において、大腿骨内顆の関節軟骨表面の各層面は楕円の集合であり、三次元で完全な大腿骨内顆部の形状を形成している。大腿骨内顆の関節軟骨表面は、過顆線(TEA)に対して垂直であり、Whiteside線に平行な同心楕円構造であり、大腿骨外顆の関節軟骨表面は、過顆線(TEA)に対して垂直であり、Whiteside線に平行な同心楕円構造である。
本開示の実施形態によれば、大腿骨プロテーゼの滑車部は、円および楕円の原理で設計および構築されている。大腿骨滑車溝の最も凹んだ部分の関節面は円の弧であり、大腿骨内側滑車関節面は、楕円または円の弧であり、大腿骨外側滑車関節面は、円または楕円の弧である。その楕円の短軸方向は、大腿骨内顆の楕円の長軸に対して垂直である。大腿骨滑車部の楕円または円の中心は、矢状位置に重なる。
例えば、矢状位置において、大腿骨滑車の全ての層面は、楕円または円で現れている。それらは三次元で完全な大腿骨滑車構造を形成している。矢状位置において、大腿骨内側滑車の関節軟骨表面の各層面は楕円の集合であり、これらの楕円の長軸と短軸は同じ方向にあり、各楕円の中心は同心円状に配置されている。しかし、各楕円の偏心は同じではありません。これらの楕円のサイズは、例えば、フィボナッチシーケンスでソートされる。大腿骨外側滑車の全ての層面は、円で現れており、各円の半径は異なるが、円の中心の投影は重なる。
本開示の実施形態による(大腿骨内側顆、大腿骨外側顆および大腿骨滑車関節面を備える)UKAプロテーゼは、その外形が正常な人体大腿骨の顆部および滑車部の幾何学的特徴に近い。この楕円形の原理およびUKAの設計方法は、以下のような1つまたは複数の実施形態で詳述される。1つまたは複数の実施形態によれば、本開示によって提供されるUKAプロテーゼコンポーネントは、大腿骨内側顆、大腿骨外側顆および大腿骨滑車置換部品とを含む。それらは、特定の単一コンパートメントの骨関節炎の場合に単独で使用してもよいし、2つまたは3つのコンパートメントの骨関節炎の場合に組み合わせて使用してもよい。具体的には、前記大腿骨内側顆UKAプロテーゼコンポーネントは、膝関節運動中に脛骨内側コンパートメントと関節接合されている部分を指し、前記大腿骨外側顆UKAプロテーゼコンポーネントは、膝関節運動中に脛骨外側コンパートメントと関節接合されている部分を指し、前記大腿骨滑車UKAプロテーゼコンポーネントは、膝関節運動中に膝蓋骨に対応する部分を指す。UKAプロテーゼコンポーネントのいずれも、プロテーゼ関節面およびプロテーゼ内面を含む。本明細書で使用される「前」は人体の腹側を指し、「後」は人体の裏側を指し、「内」は人体の体幹の軸に向かう方向を指し、「外」は人体の体幹の軸から離れた方向を指し、「近」は人体の頭側を指し、「遠」は人体の足側を指す。同様に、「矢状位置」、「冠状位置」および「軸方向位置」の記述は、解剖学的平面の定義と同じである。「水平軸」は「前方」および「後方」方向を指し、そして地面に平行であり、「垂直軸」は「遠」および「近」方向を指し、そして地面に垂直である。一般的に、UKAプロテーゼコンポーネントの「最遠点」は、膝関節が完全に伸びたときに、対応する脛骨サポートが接触している最も遠い接触点を指し、UKAプロテーゼコンポーネントの「最後点」は、「最遠点」に対して垂直でUKAプロテーゼの後方偏心の最大点を指す。UKAプロテーゼコンポーネントの「最前点」は、「最後点」とは反対側のUKAプロテーゼの前方偏心の最大点を指す。
本開示に記載の実施形態では、左側大腿骨UKAプロテーゼコンポーネントが示されている。左側大腿骨UKAプロテーゼコンポーネントと右側大腿骨UKAプロテーゼコンポーネントは、矢状面に関して相互に鏡像である。したがって、本明細書に記載の大腿骨UKAプロテーゼの特徴の原理は、左膝または右膝の構成に等しく適用可能であると述べられている。本開示の大腿骨滑車UKAプロテーゼ設計は、「膝蓋骨関節面の置換」および「膝蓋骨関節面の非置換」のプロテーゼを含むことに留意されたい。そのうち、「膝蓋骨関節面の置換」の大腿骨滑車UKAプロテーゼが、「膝蓋骨関節面の非置換」プロテーゼと比較して、膝蓋骨に対応する滑車の溝および角度が設計されている。
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、矢状位置において、大腿骨の内顆および外顆の関節面形状は、楕円で構成され、内側および外側滑車関節面形状は、楕円および/または円で構成され、冠状位置において、大腿骨の内顆および外顆の関節面形状は、楕円および円で構成されている。
例えば、大腿骨内顆UKAプロテーゼは、矢状位置における楕円および冠状位置における円の原理で設計および構築されている。矢状位置において、大腿骨内顆の関節面の各層面は楕円の集合であり、三次元で完全な大腿骨内顆部の形状を形成している。大腿顆内顆の関節軟骨表面は、過顆線(TEA)に対して垂直であり、Whiteside線に平行な同心楕円構造である。冠状位置において、大腿顆内顆の関節面は円の弧として現れている。
例えば、大腿骨外顆UKAプロテーゼは、矢状位置における楕円および冠状位置における楕円の原理で設計および構築されている。矢状位置において、大腿骨外顆の関節面の各層面は楕円であり、三次元で完全な大腿骨外顆部の形状を形成している。大腿骨外顆の楕円は大腿骨内顆の楕円よりやや小さく、その長軸方向は大腿骨内顆の楕円に対して一定の角度だけ時計回りに回転する。大腿顆外顆の関節軟骨表面は、過顆線(TEA)に対して垂直であり、Whiteside線に平行な同心楕円構造である。冠状位置において、大腿顆外顆の関節面は楕円の弧として現れている。
本開示の実施形態によれば、大腿骨滑車UKAプロテーゼは、楕円および円の原理で設計および構築されている。矢状位置において、大腿骨滑車の全ての層面は、楕円または円で現れている。それらは三次元で完全な大腿骨滑車構造を形成している。矢状位置において、大腿骨内側滑車の関節軟骨表面の各層面は楕円の集合であり、これらの楕円の長軸と短軸は同じ方向にあり、各楕円の中心は同心円状に配置されている。しかし、各楕円の偏心は同じではない。これらの楕円のサイズは、例えば、フィボナッチシーケンスでソートされる。大腿骨外側滑車の全ての層面は、円で現れており、各円の半径は異なるが、円の中心の投影は重なる。大腿骨滑車の楕円と円の中心を結ぶ直線は、過顆線(TEA)に垂直で、Whiteside線に平行である。大腿骨内顆の楕円と大腿骨滑車の最も凹んだ部分の円のパラメータは、プロテーゼ全体の形状および長径と短径のパラメータを決定する。
例えば、膝関節の磁気共鳴(MRI)の矢状位置の最良または最も正確な位置、すなわち、膝関節がまっすぐ0度の位置にあるとき、膝関節の軸方向のMRI走査は、大腿骨内外顆の最高点の接続線(TEA方向)に沿って設定され、膝関節の冠状位置におけるMRI走査は、脛骨プラトー関節面の接線方向に沿って設定される。大腿骨内顆の幾何学的特性は、楕円で表すことができ、楕円上の弧に属する。例えば、この弧は150度から200度の範囲である。一実施形態では、大腿骨内顆の後方偏心の最大点が位置する矢状面、すなわち大腿骨内顆の中間層面が選択され、大腿骨内顆と楕円との間の関係が図4Aに示されている。膝伸展時に、内側半月板前方角33は、大腿骨内顆42の関節軟骨表面36に前方切り跡(凹部)34を形成し、膝屈曲時に、内側半月板後方角43は、大腿骨内顆42の関節軟骨表面36に後方切り跡(凹部)35を形成する。前方切り跡(凹部)34から、後方切り跡(凹部)35まで、この部分の大腿骨内顆42の関節軟骨表面36は、楕円38と重なる。この楕円38の長軸は大腿骨の機械軸に対して垂直であり、その中心39は、軸方向のMRIと冠状位置におけるMRIにおいて大腿骨内顆の内側副靭帯取り付け点123に対応する。一実施形態では、この楕円38は、31mmの半長軸、25mmの半短軸、および0.591の偏心を有する。別の実施形態では、この楕円の半長軸は27mmであり、半短軸は22mmであり、偏心は0.58である。様々な実施形態において、その半長軸は20mm〜35mmであり、半短軸は16mm〜30mmであり、偏心は0.5〜0.7である。同時に、楕円中心39と前後切り跡34,35との間の角度α、楕円中心39と後切り跡35との接続線が楕円38の長軸に対する角度βにより、この部分の関節軟骨表面36の形状および長さを記述することができる。一実施形態では、角度αは180度であり、角度βは35度である。別の実施形態では、角度αは190度であり、角度βは40度である。様々な実施形態では、角度αは170〜195度であり、角度βは20〜45度である。大多数の場合において、大腿骨内顆の中間層面の前には大腿骨内側滑車関節面は存在しない。すなわち、大腿骨内顆の中間層面の楕円38は、大腿骨内側滑車の前方偏心の最大点がある層面に対応しない。そして、この2つの層面の楕円は一致していない。したがって、大腿骨内顆の楕円38は、図4Bに示すように、大腿骨内側滑車の前方偏心の最大点がある層面までMRI矢状走査方向に沿って投影することができる。膝伸展時に、内側半月板前方角45は、大腿骨内顆42の関節軟骨表面36に前方切り跡(凹部)46を形成し、この前方切り跡(凹部)46から、前方および上方に向かって、この層面における大腿骨内側滑車関節軟骨表面37の終点まで、この部分の滑車関節軟骨表面37は、楕円40の弧として現れることができる。いくつかの被験者にとっては、大腿骨プロテーゼのこの部分の関節面が円形として現れることが理想的であるが、大部分の被験者にとっては、大腿骨プロテーゼが楕円として現れることが理想的である。この大腿骨内側滑車関節軟骨表面の楕円40の長軸は、大腿骨内顆中間層面の楕円38の長軸に対して垂直である。この楕円40は、図5に示す大腿骨滑車の最も凹んだ部分の層面における円70を基準に作られているので、矢状面走査においてこの楕円40の中心41と大腿骨滑車の最も凹んだ部分の層面(図5)における円70の中心41との投影は重なる。一実施形態では、この楕円40は、29mmの半長軸、27mmの半短軸、および0.365の偏心を有する。様々な実施形態において、この楕円40の半長軸は20mm〜35mmであり、半短軸は20mm〜30mmである。一般に、この楕円40の半長軸と半短軸との間の差は、1mm、2mm、または3mmのように大きくない。同時に、円の中心41と前切り跡46とを結ぶ線と、円の中心41と滑車軟骨表面終点とを結ぶ線との間の角度γ、円の中心41と滑車軟骨表面終点とを結ぶ線が楕円40の半短軸に対する角度γ’により、この部分の滑車関節軟骨表面の弧形37を記述することができる。様々な実施形態では、角度γは40〜80度であり、角度γ’は-5〜40度である。
いくつかの実施形態によれば、大腿骨内顆の楕円38の中心39と大腿骨内側滑車の楕円40の中心41との間の位置関係により、大腿骨顆部と大腿骨滑車部の間の全体的な空間的位置関係を決定し、大腿骨プロテーゼの外径および内径のパラメータ値を決定する。大腿骨内顆の楕円38と大腿骨内側滑車の楕円40との間の関係は、それらの長軸と短軸が交差して形成する矩形50で表すことができる。一実施形態では、矩形50は、長さ107が13mmで幅109が9mmである。別の実施形態では、矩形50は、12mmの長さ107と7mmの幅109とを有する。様々な実施形態では、矩形50の長さ107は8mm〜16mmであり、幅109は4mm〜12mmである。この2つの楕円38,40の中心39,41を結ぶ線と大腿骨内顆の楕円38の長軸との間の角度はθである。一実施形態では、θは32度である。別の実施形態では、θは35度である。様々な実施形態において、θは25度〜35度である。
大腿骨滑車の最も凹んだ部分の層面62は、図5に示すように、臨床Whiteside線が位置する層面である。この層面62は、大腿骨の内側および外側の滑車関節面の幾何学的形状を決定するための重要な基礎である。この滑車層面62の関節軟骨表面64と最適に重なり、同時に、スケールダウン後この層面62の軟骨下骨表面65の円とも最適に重なる円は、円70が1つだけである。MRI矢状走査において、この円70の中心41の投影は、大腿骨内側滑車の楕円40の中心および大腿骨外側滑車の円80の中心41’’と重なるので、中心41によって示される。臨床的なBlumensaat線63は、この円70に包含される。前述の説明と同様に、この層面62の滑車関節軟骨表面64は、円70の弧であり、円70の半径および角度によって表すことができる。中心41と滑車関節軟骨表面64の前後の境界との間の角度はψであり、中心41と関節軟骨表面64の前境界とを結ぶ線が水平軸に対する角度はεである。一実施形態では、円70の半径は24mmであり、ψは100度であり、εは0度である。別の実施形態では、円70の半径は25mmであり、ψは105度であり、εは5度である。様々な実施形態において、円70の半径は16mm〜30mmであり、ψは90度〜125度であり、εは-20度〜10度である。そして、円70の半径は、大腿骨内顆の楕円38の半長軸の長さに対して、例えば2/5,3/5,3/4などの特定の比率である。
本開示の実施形態によれば、大腿骨外顆の幾何学的特性は、楕円で表すことができ、楕円上の弧に属する。例えば、この弧は120度から160度の範囲である。一実施形態では、大腿骨外顆の後方偏心の最大点がある矢状面、すなわち大腿骨外顆の中間層面が選択され、矢状位置において、この層面は同時に大腿骨外側滑車の前方偏心の最大点がある層面であり、この関係を図6に示す。膝伸展時に、外側半月板前方角73は、大腿骨外顆82の関節軟骨表面76に前方切り跡(凹部)74を形成し、膝屈曲時に、外側半月板後方角83は、大腿骨外顆82の関節軟骨表面76に後方切り跡(凹部)75を形成する。前方切り跡(凹部)74から、後方切り跡(凹部)75まで、この部分の大腿骨外顆82の関節軟骨表面76は、楕円78と完全に重なる。楕円78の長軸は、大腿骨内顆の楕円38の長軸に対してある角度Ωだけ時計回りに回転する。角度Ωは、例えば、一実施形態では12度、他の実施形態では18度である。様々な実施形態で、Ωは平均して5〜25度である。その中心79は、大腿骨内顆の楕円38の中心39と重なるように矢状面に投影され、MRI軸方向位置(図9A)において、大腿骨外顆の外側副靭帯取り付け点122に対応する。一実施形態では、楕円78は、30mmの半長軸および26mmの半短軸を有し、別の実施形態では、楕円78は、26mmの半長軸および23mmの半短軸を有する。様々な実施形態において、楕円78は、21mm〜33mmの半長軸、16mm〜30mmの半短軸、および0.5〜0.7の偏心を有する。同時に、中心79と前切り跡74とを結ぶ線と、中心79と後切り跡75とを結ぶ線との間の角度φ、中心79と後切り跡75とを結ぶ線が外顆の楕円78の長軸に対する角度ζにより、この部分の関節面76の弧を記述することができる。一実施形態では、φは130度であり、ζは40度である。様々な実施形態では、角度φは120〜160度であり、角度ζは30〜70度である。
この層面において、前方切り跡(凹部)74から、大腿骨外側滑車関節軟骨表面77まで、この部分77は、円または楕円80によって表すことができる。いくつかの被験者にとっては、この部分が楕円として現れることが理想的であるが、大部分の被験者にとっては、この部分が円として現れることが理想的である。MRI矢状位置において、この大腿骨外側滑車層面72の円80の中心41’’は、大腿骨内側滑車の楕円40の中心41および大腿骨滑車の最も凹んだ部分の層面62の円の中心41’と完全に重なる。この円80の半径は、25mm〜35mm、例えば、28mm、または26mmである。円80の中心41’’と楕円78の下方交点とを結ぶ線と、円80の中心41と大腿骨外側滑車軟骨関節面の終点とを結ぶ線との間の角度はρであり、円80の中心41’’と大腿骨外側滑車軟骨表面の終点とを結ぶ線の水平軸に対する角度はρ’である。角度ρは、80度〜120度、例えば90度、100度または110度であり、角度ρ’は、-30度〜20度、例えば-10度、0度、または10度である。
本開示の一実施形態によれば、大腿骨顆部をMRI矢状方向に走査すると、図7Aに示すように、大腿骨内外顆の関節軟骨表面のほとんどは楕円で表すことができ、大腿骨内外滑車の関節軟骨表面のほとんどは楕円および/または円で表すことができ、大腿骨滑車の最も凹んだ部分(すなわち、滑車溝の中心)は円で表すことができる。
図7Aに示すように、大腿骨内顆の関節軟骨表面の各矢状面は、同心楕円の集合92であり、各楕円は異なるサイズを有し、長軸と短軸は同じ方向で重なり、そして各楕円は近似偏心を有する。これは、大腿骨外顆プロテーゼの方向が矢状方向と同じであることを意味する。したがって、大腿骨内顆の関節軟骨表面の真の方向は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に対して垂直である。図7Aに示すように、大腿骨外顆の関節軟骨表面の各矢状面は、楕円の集合93である。各楕円は大きさが異なり、長軸と短軸は同じ方向でほぼ重なる。すなわち、各楕円の中心は同心円状にほぼ重なる。これは、大腿骨外顆プロテーゼの方向が矢状方向と同じであることを意味する。したがって、大腿骨外顆の関節軟骨表面の真の方向は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に対して垂直である。矢状位置において、大腿骨内側滑車の関節軟骨表面の各層面は楕円の集合であり、これらの楕円の長軸と短軸は同じ方向にあり、各楕円の中心は同心円状に配置されている。しかし、各楕円の偏心は同じではない。これらの楕円のサイズは、例えば、フィボナッチシーケンスでソートされる。大腿骨顆部をMRI矢状方向に走査すると、大腿骨外側滑車の全ての層面は、円または楕円で現れており、各円の半径は異なり、または各楕円の長軸と短軸は異なるが、円の中心41’’の投影は重なる(図7A)。
大腿骨内顆の楕円中心39および大腿骨外顆の楕円中心79を通る冠状面において、図7Bに示すように、冠状位置における大腿骨内外顆の関節面95,97は、円および楕円で表すことができる。大腿骨内顆の楕円中心39を中心とする円94(第6の円)は、冠状位置における大腿骨内顆の関節面95とよく重なることができ、円94は、大腿骨内顆の楕円38の半短軸に等しい半径を有する。この部分の関節面の弧度は、角度λで表すことができ、例えば、この弧度の範囲は50度〜90度である。垂直線はλをλ1とλ2に分割し、λ1とλ2は等しくても異なっていてもよい。一実施形態では、角度λは65度であり、別の実施形態では、角度λは70度である。楕円96(第7の楕円)は、大腿骨外顆の楕円中心79を中心に時計回りにある角度δ1だけ回転し、内側の円94(第6の円)に接し、冠状位置における大腿骨外顆の関節面97と重なる。この楕円96の偏心は0.618に等しく、これは完全な楕円である。この部分の関節面の弧度は、角度δで表すことができ、例えば、この弧度の範囲は50度〜90度である。垂直線はδをδ1とδ2に分割し、δ1とδ2は等しくない。一実施形態では、角度δは70度であり、別の実施形態では、角度δは75度である。
矢状位置では、本開示の一実施形態による大腿骨側プロテーゼにおいて、後顆は楕円の形状を有し、滑車は楕円および/または円の形状を有し、外側後顆は内側後顆よりも短く且つ低い、外側滑車は内側滑車よりも長く且つ高い。上記実施形態によれば、大腿骨内顆の楕円38の中心39が大腿骨外顆の楕円78の中心79と重なり、大腿骨内側滑車の楕円40の中心41、大腿骨外側滑車の円80の中心41’’および大腿骨滑車の最も凹状の層面における円70の中心41が重なるので、本開示の一実施形態によるTKA大腿骨プロテーゼ100の矢状位置における形状は、図8に示すようになる。本開示の大腿骨プロテーゼ100は、膝関節の運動中に膝蓋骨および脛骨と接触するプロテーゼ外面である関節面と、プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨顆部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分である内面とに分割する。矢状位置において、大腿骨プロテーゼ100の関節面は、非対称であるように設計されている。大腿骨プロテーゼ100の関節面の前後方向の直径および高さは、関節面を構成する5つの基本要素38(大腿骨内顆の楕円),40(大腿骨内側滑車の楕円または円),70(滑車溝の最も凹んだ部分),78(大腿骨外顆の楕円),80(大腿骨外側滑車の楕円または円)のパラメータおよび角度θおよびβによって決定される。説明の便宜上、大腿骨プロテーゼ100は、大腿骨プロテーゼ内側部材(大腿骨プロテーゼ内顆部51と大腿骨プロテーゼ内側滑車部131とを備え)、大腿骨プロテーゼ外側部材(大腿骨プロテーゼ外顆部91と大腿骨プロテーゼ外側滑車部141とを備え)、大腿骨プロテーゼ滑車溝101(すなわち、滑車の最も凹状の平面)に分割することができる。矢状位置では、大腿骨プロテーゼ内側部材51,131の関節面の幾何学的形状は、楕円38および楕円40から構成され、大腿骨プロテーゼ外側部材91,141の関節面の幾何学的形状は、楕円78および円または楕円80から構成され、大腿骨プロテーゼ滑車溝101の関節面の幾何学的形状は円70で構成されている。
大腿骨プロテーゼの関節面輪郭は非対称であり、大腿骨プロテーゼの外側部分は内側部分に対して前進している。したがって、大腿骨プロテーゼの外顆91の後側偏心は内顆51よりも小さく、高さは内顆51よりも低い。大腿骨プロテーゼの前顆141の偏心は、内側131よりも大きい。軸方向の位置では、大腿骨プロテーゼはそれ自身の外部回転を有する。一般に、大腿骨プロテーゼの外顆の後部は内顆よりも小さく且つ低いという形状は、膝の屈曲角を増加させるのに役立つので、保護が必要である。大腿骨プロテーゼの関節面輪郭の前後方向の直径および高さは、大腿骨プロテーゼを構成する楕円、円、および重要な角度値を用いて正確に計算することができる。パラメータ値は、大腿骨プロテーゼの型番によって異なる。
矢状位置において、大腿骨プロテーゼ外側部材91,141は、大腿骨プロテーゼ内側部材51,131に対してある距離だけ前方に前進している。この距離は、1mm、2mm、3mm、または4mmのように、プロテーゼの型番に応じて異なるパラメータ値を有する。具体的には、大腿骨プロテーゼ外顆91の後方部分は、大腿骨プロテーゼ内顆51の後方部分よりも短くかつ低い。これにより、図8に示すように、それらの間の距離差Dpと高さの差Hdが形成される。DpおよびHdのパラメータ値は、固定値ではなく、プロテーゼの型番によって異なり、すなわち、関節面を構成する楕円38,40,78および円または楕円70,80のパラメータ値によって変化する。例えば、Dpの値は2mm、3mmまたは4mmであり、Hdの値は1mm、2mmまたは3mmである。大腿骨プロテーゼ外顆91の後端はわずかに尖っているが、大腿骨プロテーゼ内顆51の後端はわずかに平坦な鈍い表面117になる。この平坦な鈍い表面117のパラメータ値もまた、プロテーゼの型番によって異なる。大腿骨プロテーゼの外側滑車部分141の外縁は、矢状位置においてより前方にあり、図9Aのように、大腿骨プロテーゼの内側滑車部分131の外縁よりも軸方向位置において高い。これは、それらの間に距離差Daを形成する。Daの値は固定されておらず、関節面を構成する楕円38,40,78および円または楕円70,80のパラメータによって変化する。例えば、Daの値は、2mm、3mm、または4mm、5mmとすることができる。大腿骨プロテーゼ100の前縁の上部(フランジ)118,119,120は、大腿骨骨幹部の前部皮質に接しており、膝蓋骨の圧迫を軽減するために短いストレート形状に設計されている。この前縁の上部(フランジ)の最高点は大腿骨滑車の最も凹状の円70の最高点と同じレベルにある。
大腿骨プロテーゼの内面輪郭は、骨切り術段階および隙間均衡段階を容易にするために対称的に存在する。骨切り線に対応する内面輪郭のパラメータ値は、大腿骨プロテーゼを構成する楕円、円、および重要な角度値を用いて正確に計算することができる。パラメータ値は、大腿骨プロテーゼの型番によって異なる。
大腿骨プロテーゼ100の内面52,53,54,55,56は、骨切り術後に遠位大腿骨と接触する矩形構造(骨セメントあり/なし)である。骨切り術のステップを単純化し、術中隙間均衡技術を容易にするために、大腿骨プロテーゼ100の内面は対称矩形として設計される。大腿骨プロテーゼの内面の後方切断面52は、図8に示すように、水平軸に垂直であり、すなわち、大腿骨内顆の内側楕円38の長軸に垂直である。本開示の後方切断面52は、図4Bに示すように、大腿骨内外顆42,82の関節面の端部まで切断することができる。さらに、大腿骨プロテーゼの内面の後方切断面52の位置および高さパラメータ値は、大腿骨内顆の内側楕円38によって決定することができる。大腿骨プロテーゼの内顆部51の後顆関節面の終点と大腿骨内顆の内側楕円38の中心39とを結ぶ接続線は、大腿骨プロテーゼの外顆部91の後顆関節面の終点を通る。この接続線は、大腿骨内顆の内側楕円38の長軸に対して角度βである。したがって、大腿骨プロテーゼの内面の後方切断面52の位置および高さは、楕円基本式によって計算することができる。プロテーゼの型番によって、この後方切断面52の位置および高さが変化する。大腿骨プロテーゼの内面の下方切断面53および後方斜面55のパラメータ値は、後方切断面52によって直接影響される。下方切断面53および後方斜面55は、大腿骨の内顆部51の後顆関節面の終点を1つの端点とする長方形であって、大腿骨の内側楕円38の長軸および短軸に平行な直線によって囲まれた長方形のフレーム内に位置する。そして、そのパラメータ値はプロテーゼの型番によって異なる。大腿骨プロテーゼ100の内面の前方切断面54は、大腿骨プロテーゼ滑車溝101を基準として軟骨表面の厚さに等しい距離(例えば2mmまたは3mm)だけ後方に移動し、滑車の最も凹んだ部分の軟骨表面の除去を確実にする。同時に、大腿骨遠位端の前部皮質(notch)への損傷を防止するために、垂直軸、すなわち内側楕円38の短軸に対して、2度の前傾角を有し、この前傾角は、1度または3度であってもよい。内面の下方切断面53の端から、内側楕円38の長軸と45度の角度をなす線分は引き出されている。この線分は、内面の前方切断面54と交差して、内面の前方斜面56を形成する。従って、大腿骨プロテーゼの内面の前方切断面54および前方斜面56のパラメータは、大腿骨内外側の楕円38,78、大腿骨滑車の楕円40、大腿骨滑車の円または楕円70,80のパラメータ、およびθとβ角度によって決定される。大腿骨プロテーゼの滑車溝101は、1/4円弧として設計され、その特定のパラメータ値(深さおよび半径)は、滑車の最も凹んだ層面の円70、大腿骨内側の楕円38、およびθ角度によって直接的に決定され、プロテーゼの型番によって異なる。
本開示の大腿骨プロテーゼ100は、図9Aに示されるように、軸方向の位置から見られる。大腿骨プロテーゼの内側滑車部131、大腿骨プロテーゼの外顆部91、大腿骨プロテーゼの外側滑車部141、および大腿骨プロテーゼの滑車溝101の設計方向は、大腿骨内外顆楕円中心39,79を結ぶ線(TEA)に垂直な全体方向133である。ここで、軸方向位置において、大腿骨内側楕円38の中心39は、大腿骨内顆の最も高い点、すなわち内側副靭帯取り付け点123に対応し、大腿骨外側楕円78の中心79は、大腿骨外顆の最も高い点、すなわち外側副靭帯取り付け点122に対応する。大腿骨外側滑車関節面の外側の前縁は、大腿骨内側滑車関節面の内側の前縁の最も高い点よりも高く、その距離は上記のようにDaである。大腿骨プロテーゼの外顆91の後部の最大偏心は、内顆51の後部の最大偏心より小さく、この差は上記のようにDpであり、その接続線はTEAに対して角度πであり、例えば、πの角度は3度、2度または4度などとすることができる。
上記の矢状位置における楕円および円の原理並びに冠状位置における楕円および円の原理によれば、膝蓋骨非置換型のプロテーゼでは、冠状位置において、大腿骨内顆は円弧構造であり、大腿骨外顆は楕円弧構造である。脛骨プラトー面は対応する非対称構造である。そして、脛骨プラトー面は、全体の下肢の力線に対応する内反角度を有するように修正される。膝蓋骨置換型のプロテーゼでは、冠状位置において、大腿骨内外顆は対称的な円弧構造である。
本開示の大腿骨プロテーゼ100の冠状位置における後方図が図9Bに示されている。大腿骨プロテーゼの外顆91の高さは、大腿骨プロテーゼの内顆51よりも低い(前述のようにHd)。人種と手術状況に基づいて、冠状位置における大腿骨内外顆関節面外形および大腿骨滑車溝101の設計は、膝蓋骨非置換型および膝蓋骨置換型の2つの場合に分けることができる。患者の膝蓋骨が交換されていない場合、冠状位置における大腿骨プロテーゼ100内外顆関節面は、図7Bおよび図9Bに示すように、円と楕円の弧の設計である。冠状位置における大腿骨プロテーゼ内側顆関節面95は、角度λで示される円94の弧である。円94は、大腿骨内顆の楕円38の中心39を中心とし、大腿骨内顆の楕円38の半短軸を半径とする。関節面95に対応するプラトープロテーゼ150の内側プラトー冠状面151は、関節面95の曲率に完全に適合する円形の凹状形状である。冠状位置における大腿骨プロテーゼ外側顆関節面97は、角度δで示される楕円96の弧である。楕円96の中心は、大腿骨外顆の楕円78の中心79であり、偏心は0.618であり、半径はほぼ大腿骨内顆の楕円38の半短軸である。関節面97に対応するプラトープロテーゼ150の外側プラトー冠状面152は、関節面97の曲率に完全に適合する楕円の凹状形状である。従って、膝蓋骨非置換型の大腿骨プロテーゼに対応する脛骨プラトープロテーゼ150の冠状位置における構造は、上記の通りである。全体の下肢の力線および正常な脛骨プラトー(すなわち、内反が存在する場合)(すなわち、運動学的アライメントkinematic alignment)に適応させるために、脛骨プラトープロテーゼ150の遠位端表面154は、脛骨機械軸に対して垂直になるように設計されてもよく、また、内向きのω角度にすることもできる。ω角は、1度、2度、または3度とすることができる。滑車溝101の設計は、図7Aに示すように、矢状位置における大腿骨内外滑車の楕円および円40,70,80を参照して構成されている。患者の膝蓋骨を交換する場合、冠状位置における外顆関節面の円の弧の設計が用いられ、滑車溝は、膝蓋骨プロテーゼのドーム形状に対応するように、外側に6°の角度を反転させる溝として設計されている。
以上の楕円の原理によって構築された大腿骨プロテーゼは、適切な顆間調整を行った後に、十字靭帯保持型大腿骨プロテーゼ(CRプロテーゼ)の製造、および/または後方安定型大腿骨プロテーゼ(PSプロテーゼ)の製造に適用可能である。
以上の楕円の原理によって構築された大腿骨プロテーゼは、適切な調整を行った後に、単顆置換プロテーゼの設計および製造、および/または前顆滑車部置換プロテーゼの設計および製造、および/または組立型大腿骨プロテーゼの製造に適用可能である。
上記の実施形態によれば、大腿骨プロテーゼの内外顆は、矢状位置において楕円の弧である。内側顆の楕円の長軸は、大腿骨の長軸に対して垂直であり、外側顆の楕円は、内側顆の楕円の長軸に対して所定角度(7度から22度)時計回りに回転させることができる。いくつかの実施形態によれば、大腿骨の内側および外側顆のすべては、サジタル走査平面上の楕円によって表され得る。これは、過顆線(TEA)の正確な空間的位置、大腿骨後顆の偏心の起源と大きさ、および脛骨プラトーの後傾を説明する良い方法である。いくつかの実施形態によれば、矢状位置において、大腿骨の内側滑車関節面は楕円の弧とされ、この楕円の長軸は、内側楕円の長軸に垂直である。矢状位置において、大腿骨の外側滑車関節面は円または楕円の弧とされる。上記の実施形態によるプロテーゼは、正常な人体大腿骨顆部に最も近い幾何学的形状を有し、TKA大腿骨プロテーゼをより良く設計するのに役立ち、様々な型番の大腿骨プロテーゼの設計パラメータ値を大幅に簡略化する。
本開示の実施形態によれば、矢状位置において、大腿骨内顆楕円は、過顆線(TEA)に垂直で、Whiteside線に平行である同心楕円構成として設計されており、正常な人体大腿骨内顆の方向および形状と最も一致する。大腿骨外顆の楕円は、正常な人体膝関節の大腿骨外顆の後部関節軟骨表面の形状に従って設計される。大腿骨外顆の楕円は大腿骨内顆の楕円よりやや小さく、その長軸方向は大腿骨内顆の楕円に対して一定の角度だけ時計回りに回転する。同時に、大腿骨の内顆と外顆の楕円の中心は、大腿骨プロテーゼの矢状位置において重なる。しかし、代替的に、大腿骨外顆の楕円の長軸方向と短軸方向を大腿顆内顆の楕円と一致させるように簡略化することができ、それによって時計回りの回転ステップがなくなり、大腿骨プロテーゼ設計プロセスをさらに単純化する。変更後の形状は、正常な人体膝関節の大腿骨外顆の後部関節軟骨表面の形状と一致しないが、そうすることも可能である。一致する脛骨プラトー側のプロテーゼスペーサーを用いて良好な関節運動学的効果を得ることもできる。
また、上記実施形態では、大腿骨の内外側滑車を楕円または円で構成したが、この解決策は、統計的分析に基づくものである。ほとんどの実施形態では、大腿骨内顆は楕円として現れているが、いくつかの実施形態では、大腿骨内顆は円として現れている。また、ほとんどの実施形態では、大腿骨外顆は円として現れているが、いくつかの実施形態では、大腿骨外顆は楕円として現れている。
注意すべきは、本明細書に記載の大腿骨プロテーゼの特徴の原理は、左膝または右膝の構成に等しく適用可能である。本開示の大腿骨プロテーゼの設計は、「十字靱帯保持型」(CR)プロテーゼ、「後方安定型」(PS)プロテーゼ、または他のタイプの修正型プロテーゼの設計を含むことが理解されるべきである。前記「十字靱帯保持型」(CR)プロテーゼは、「後方安定型」(PS)プロテーゼに比べて、大腿骨プロテーゼコンポーネントにおけるカム構造および脛骨プロテーゼコンポーネントにおける支柱構造を省略している。これにより、「十字靱帯保持型」(CR)プロテーゼは、外側顆と内側顆の間で大腿骨のカム構造によって中断されていない開いた顆間空間を有することが可能になる。本開示の大腿骨プロテーゼを適切に修正して、大腿骨プロテーゼコンポーネントにおけるカム構造および脛骨サポートにおける支柱構造を増加させることによって、あらゆるタイプのプロテーゼを得ることができる。したがって、本開示に記載された原理の全ては、潜在的に予想される大腿骨プロテーゼ設計に使用することができる。潜在的に予想される大腿骨プロテーゼ設計は、本明細書に記載される特徴の全てを含むことができるが、特定の用途または他の状況に応じて、本明細書に記載された特徴のいくつかを省略または追加することも考えられる。
いくつかの特殊な場合、例えば、単顆プロテーゼ(単一コンパートメント内顆プロテーゼおよび/または単一コンパートメント外顆プロテーゼ)および/または滑車プロテーゼ、並びにそれらを組み合わせたプロテーゼを製造する場合でも、この特許によって保護され得る。
本開示の実施形態による大腿骨内顆UKAプロテーゼは、矢状位置において楕円の幾何学的形状を有し、冠状位置において円の幾何学的形状を有する。上記実施形態によれば、大腿骨内顆は同心楕円の集合であり、これらの楕円面は、滑車のWhiteside線に対して空間的に平行である。これらの楕円の中心は、大腿骨内顆の内側副靱帯取り付け点に対応する。したがって、大腿骨内顆UKAプロテーゼの幾何学的形状は、矢状位置において図10に示すように同心楕円で構成され、冠状位置において図11に示すように円で構成されている。本開示の大腿骨内顆UKAプロテーゼ201は、膝関節運動中に膝蓋骨の内側および脛骨プラトーの内側と接触するプロテーゼ外面である関節面と、大腿骨内顆UKAプロテーゼ201がインプラントされた後の、大腿骨顆部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分である内面とに分割する。前記内面は、直線状の断面として現れる内面後顆と、関節面の弧に一致した内面遠位端部とを備える。
矢状位置において、図10に示すように、大腿骨内顆UKAプロテーゼ201は楕円38の弧203である。この弧203の前後の点は半月板の切り跡(凹部)に対応する。この弧203は、150度から200度のようなある範囲の弧度αを形成し、この弧度αは一実施形態では175度であり、別の実施形態では185度であり、さらに別の実施形態では180度である。これは、楕円の中心39を通る半月板の前後切り跡(凹部)207,208を結ぶ直線と楕円の長軸との間の角度βとして具体的に表すことができる。この角度βは、一実施形態では30度、別の実施形態では35度、別の実施形態では40度である。大腿骨内顆UKAプロテーゼの内面後顆202は、楕円の長軸に垂直な半月板の後切り跡(凹部)208の垂線、すなわち、後顆骨切り術の位置である。この位置は、プロテーゼのパラメータによって異なる。大腿骨内顆UKAプロテーゼ201の遠位端203は、楕円の弧の構成を有する。その内面は、楕円の中心39に対応する中央支柱204と、楕円の焦点に対応する後部支柱205との2つの支柱をそれぞれ有する。このUKAプロテーゼの遠位端203の端部には、係止ねじ206’を固定するための係止ねじ孔206もある。この位置は、正常時に半月板と接触し、脛骨プラトー関節面に接触せず、膝蓋骨に接触しないので、この位置でのネジ固定は関節面接触に影響しない。また、係止ねじ206’の係止方向が中央支柱および後部支柱の固定方向と異なり、プロテーゼの安定性を高めることができる。当業者は、必要に応じてより多くの数の支柱を提供することができる。
冠状位置では、図11によれば、大腿骨内顆の関節面の外形は、円94の弧95によって表され、その弧度はλである。例えば、その弧度は50度から90度である。したがって、内顆UKAプロテーゼ201の冠状位置における外形が図11に示されている。矢状位置において、弧203は、UKAプロテーゼ201の冠状位置における円94の半径よりも大きい半径を有する円221とほぼ重なるとみなすことができる。この円221の曲率およびパラメータは、骨床表面を準備するための研磨工具のパラメータとして使用される。
軸線方向視において、大腿骨内顆UKAプロテーゼ201の関節面は、図12に示すように非対称である。プロテーゼの配置方向は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に対して垂直である。プロテーゼの内側および外側はそれぞれ、Whiteside線に平行でTEAに対して垂直な平坦なエッジ243および245を有する。内側円弧縁部241は、大腿骨内顆の遠位端の形状に適合するように弧状とされており、前方円弧縁部242の屈曲度は、研磨工具の円221のパラメータに対応し、底部244の曲率は、冠状位置の円94の曲率である。したがって、大腿骨内顆UKAプロテーゼ201の三次元表示が図13に示されている。上述した様々な位置に加えて、プロテーゼの内面には、骨セメントを収容するための対応する凹状溝が設けられている。
最良のプロテーゼのサイズおよび位置は、前述した大腿骨顆部のMRI走査方向に従って、術前MRI画像上で計画することができる。具体的な外科手術は以下の通りである。暴露後は、まず滑車溝のWhiteside線を決め、内顆面においてWhiteside線に平行なプロテーゼの方向線を電気メスでマークする。大腿骨内顆の楕円と最も適合する楕円測定研磨工具251は、図14Aに示すように、関節面によくフィットする。測定研磨工具251の前端部は、内側後部顆部を良好に保持することができる把持部254を有する。測定研磨工具251の端部には、2つの釘穴255がある。これらの釘穴255では、短い釘で固定することによってより大きな安定性が達成される。測定研磨工具の中空アーム257が内側副靭帯取り付け点の方向、すなわち楕円中心39の方向に対応することが保証されなければならない。この中空アーム257にドリルビットが配置され、大腿骨内顆にドリル穴258を穿孔することができ、それにより、次のステップでの研削センター固定杭の配置が容易になる。測定研磨工具251の下端には、大腿骨内顆の後方骨切り線202に対応する骨切り溝256がある。そして、図14Bに示すように、測定研磨工具251を取り除き、固定杭259をセンタードリル穴258に配置し、半径が前述した円221に等しい中空ドリル271で穿孔する。研削の深さは、固定杭259によって制限され、その間にプロテーゼのテストモールドを使用して深さを連続的に比較する。
本開示の実施形態による大腿骨外顆UKAプロテーゼは、矢状および冠状の両方の位置において楕円形状を有する。上記実施形態によれば、大腿骨外顆は同心楕円の集合であり、これらの楕円面は、滑車のWhiteside線に対して空間的に平行である。これらの楕円の中心は、大腿骨外顆の外側副靱帯取り付け点に対応する。したがって、大腿骨外顆UKAプロテーゼの幾何学的形状は、矢状位置において同心楕円で構成され、冠状位置において図10に示すように楕円で構成されている。本開示の大腿骨内顆UKAプロテーゼ301は、膝関節運動中に膝蓋骨の内側および脛骨プラトーの内側と接触するプロテーゼ外面である関節面と、大腿骨内顆UKAプロテーゼ301がインプラントされた後の、大腿骨顆部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分である内面とに分割する。前記内面は、直線状の断面として現れる内面後顆と、関節面の弧に一致した内面遠位端部とを備える。
矢状位置において、図15に示すように、大腿骨外顆UKAプロテーゼ301は楕円78の弧である。この弧の前後の点は半月板の切り跡(凹部)307,308に対応し、120度から160度のようなある範囲の弧度を形成し、この弧度は一実施形態では145度であり、別の実施形態では150度である。具体的には、半月板の前後切り跡(凹部)307,308と楕円中心79とのなす角度αとして表すことができる。中心79と半月板の後切り跡308とを結ぶ線は、水平軸に対して角度βであり、この角度βは、一実施形態では35度、別の実施形態では40度、様々な実施形態では平均35度である。大腿骨外顆UKAプロテーゼ301の内面後顆の骨切り方向302は、水平軸に対して垂直である。この位置は、楕円パラメータによって異なる。大腿骨外顆UKAプロテーゼ301の遠位端303は、楕円の弧の構成を有する。その内面は、楕円の焦点に対応する後部支柱305を有する。このUKAプロテーゼの遠位端303の端部には、係止ねじ306’を固定するための係止ねじ孔306もある。この位置は、正常時に半月板と接触し、脛骨プラトー関節面に接触せず、そてし外側に位置し、膝蓋骨に接触しないので、この位置でのネジ固定は関節面接触に影響しない。また、係止ねじ306’の係止方向が後部支柱の固定方向と異なり、プロテーゼの安定性を高めることができる。
冠状位置では、図16によれば、中心79を通る大腿骨外顆の関節面の外形は、楕円96の弧97によって表され、その弧度はδである。例えば、その弧度は50度から90度である。したがって、外顆UKAプロテーゼ301の冠状位置における外形が図16に示されており、対応する脛骨側プロテーゼの冠状位置における関節面形状はこの楕円に適合する凹状形状325である。この円弧97は、中心79を通過しない円321とほぼ重なることができ、円321の中心は322、半径は、楕円96の半短軸の長さとみなすことができる。垂直軸に対する角度が15度である方向軸323は、後部支柱305の方向だけでなく、研削ドリルおよび固定杭の方向でもある。この円321の曲率およびパラメータは、骨床表面を準備するための研磨工具のパラメータとして使用される。冠状位置では、係止ねじ孔および係止ねじ306は、垂直軸に対して15度の角度で配向される。したがって、係止ねじ306は、プロテーゼの最大の安定性を達成するために、後部支柱305に対して30度の角度である。
軸線方向視において、大腿骨外顆UKAプロテーゼ201の関節面は、図12に示すように非対称である。プロテーゼの配置方向は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に対して垂直である。プロテーゼの内顆および外顆はそれぞれ、Whiteside線に平行でTEAに対して垂直な平坦なエッジ343および345を有する。外側円弧縁部341は、大腿骨外顆の遠位端の形状に適合するように弧状とされており、前方円弧縁部342の屈曲度は、円321の曲率パラメータに対応し、底部344の曲率は、冠状位置の楕円96の曲率である。したがって、大腿骨内顆UKAプロテーゼ301の三次元表示が図17に示されている。上述した様々な位置に加えて、プロテーゼの内面には、骨セメントを収容するための対応する凹状溝が設けられている。
大腿骨外顆UKAプロテーゼを配置する手術の手順は、内顆UKAプロテーゼを配置するための手順と同じであり、対応する特殊形状の研磨工具があり、これについては再度説明しない。
本開示の実施形態による大腿骨滑車UKAプロテーゼにおいて、矢状位置では、内側滑車は楕円または円の幾何学的形状を有し、外側滑車は円または楕円の幾何学的形状を有する。また、この大腿骨滑車UKAプロテーゼは、非膝蓋骨置換および膝蓋骨置換に適した設計を有する。例えば、大腿骨滑車プロテーゼ401は、関節面と内面とを備え、前記関節面は、膝関節運動中に膝蓋骨関節面と接触する表面であり、矢状位置において楕円または円40の弧37と楕円または円80の弧77との空間的集合として現れており、前記内面409は、前記プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨滑車部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分であり、大腿骨滑車関節面の形状と一致するように現れている。上記実施形態によれば、大腿骨の内外滑車は、図18に示すように、それぞれ楕円と円の弧で同心円状に配置されている。したがって、本開示の大腿骨滑車UKAプロテーゼ401は、大腿骨の内側滑車が同心円状に配置された楕円からなり、外側滑車が同心円状に配置された円からなるように設計される。(中心41、41’と41’’を接続する)同心軸41’は、空間的にTEAに平行であり、Whiteside線に垂直である。図18のAに示すように、内外側滑車部の同心の楕円と円の構成が示されており、中心円70は、Whiteside線を通る滑車の最も凹んだ部分の円である。図18のBに示すように、大腿骨滑車UKAプロテーゼ401の中心は、支柱402を有し、周囲に係止ねじを受け入れるための4つの係止ねじ孔403,404,405,406を有する。
上記の実施形態では、大腿骨外顆UKAプロテーゼの設計は、大腿骨外顆の楕円構造に基づいており、大腿骨外顆の楕円は、正常な人体膝関節の大腿骨外顆の後部関節軟骨表面の形状に従って設計される。大腿骨外顆の楕円は、大腿骨内顆の楕円よりやや小さい。その長軸方向は大腿骨内顆の楕円に対して一定の角度だけ時計回りに回転する。同時に、大腿骨の内顆と外顆の楕円の中心は、大腿骨プロテーゼの矢状位置において重なる。代替的に、大腿骨外顆の楕円の長軸方向と短軸方向を大腿顆内顆の楕円と一致させるように簡略化することができ、それによって時計回りの回転ステップがなくなり、大腿骨プロテーゼ設計プロセスをさらに単純化する。変更後の形状は、正常な人体膝関節の大腿骨外顆の後部関節軟骨表面の形状と一致しないが、そうすることも可能である。一致する脛骨プラトー側のプロテーゼスペーサーを用いて良好な関節運動学的効果を得ることもできる。
さらに、滑車UKAプロテーゼの設計では、大腿骨の内外側滑車が楕円または円で構成されている。この解決策は、統計的分析に基づくものである。ほとんどの実施形態では、大腿骨内顆は楕円として現れているが、いくつかの実施形態では、大腿骨内顆は円として現れている。また、ほとんどの実施形態では、大腿骨外顆は円として現れているが、いくつかの実施形態では、大腿骨外顆は楕円として現れている。具体的な実施形態は、中国の人々の正常な膝構造の分析に基づいており、人種的な違いによる差異を排除するものではない。大腿骨内顆を円で表現し、大腿骨外顆を楕円で表現する場合、または大腿骨の内顆および外顆を円で表現し、またはその両方を楕円で表現する場合、一致する膝蓋骨置換プロテーゼを用いて良好な関節運動学的効果を得ることもできる。
なお、本開示によって提案されたプロテーゼは、非大量生産の場合でも(カスタマイズされた個別化された三次元3D印刷膝関節プロテーゼなど)、この特許によって保護され得る。
したがって、本開示の実施形態で提案される楕円形や円形のプロテーゼは、正常な人体の膝関節の幾何学的構造にさらに適合する。この楕円形や円形の原理は、複雑で解釈不能な膝関節構造を、単純で効果的に反復可能な楕円形や円形の空間的構造に単純化する。
さらに、本開示の実施形態によって提案される楕円形や円形の原理によって作成された大腿骨プロテーゼについては、各構成要素のパラメータは、楕円形や円形の重要な角度パラメータによって反映することができ、そして、各パラメータによって変わる。これにより、異なる型番のプロテーゼを正確に製造することができる。また、個々のUKAプロテーゼは、単独で、または組み合わせて使用することができる。関節の力線の補正を行うことができる。
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を参照して記載されているが、使用される用語は例示的であり、限定的ではないことが理解される。本開示は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、様々な形態で具体化されてもよい。上述の実施形態は詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される精神および範囲内で広く解釈されるべきである。特許請求の範囲またはその等価物の範囲内に入るすべての変更および修正は、添付の特許請求の範囲によってカバーされることが意図される。

Claims (28)

  1. 人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)であって、内側部材(51、131)と外側部材(91、141)とを備え、
    前記内側部材(51、131)は、内顆部(51)と内側滑車部(131)とを備え、前記内顆部の関節面は、矢状位置において第1の楕円(38)の弧として現れており、前記内側滑車部の関節面は、矢状位置において第2の楕円または円(40)の弧として現れており、
    前記外側部材(91、141)は、外側滑車部(141)と外顆部(91)とを備え、前記外側滑車部の関節面は、矢状位置において第3の楕円または円(80)の弧として現れており、前記外顆部の関節面は、矢状位置において第4の楕円(78)の弧として現れており
    前記内側滑車部(131)と前記外側滑車部(141)との間に介在された滑車溝(101)の最も凹状の関節面は、矢状位置において第5円(70)の弧である、人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  2. 第1の楕円(38)の長軸は大腿骨の機械軸に対して垂直であり、その中心(39)は、大腿骨内顆の内側副靭帯取り付け点(123)に対応しており、
    第4の楕円(78)の長軸は第1の楕円(38)の長軸に対してある角度だけ時計回りに偏向されており、その中心(79)は、大腿骨外顆の外側副靭帯取り付け点(122)に対応する、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  3. 前記第1の楕円(38)の中心(39)と前記第4の楕円(78)の中心(79)とは、矢状位置において重なり、これらの間の接続ラインは、過顆線TEAの方向に一致し、Whiteside線に対して垂直であり、
    第2の楕円(40)の長軸は第1の楕円(38)の長軸に対して垂直であり、第2の楕円または円(40)の中心(41)と第3の楕円または円(80)の中心(41’’)とは、矢状位置において重なり、これらの間の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に一致し、Whiteside線に対して垂直である、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  4. 第1の楕円(38)の長軸および短軸が、第2の楕円(40)の長軸および短軸と交差して得られる長方形は、8mm〜16mmの長さ(107)と、4mm〜12mmの幅(109)とを有し、
    第3の楕円(80)の長軸および短軸が、第4の楕円(78)の長軸および短軸と交差して得られる長方形は、8mm〜16mmの長さ(107)と、4mm〜12mmの幅(109)とを有し、
    第1の楕円(38)の中心(39)と第2の楕円(40)の中心(41)との間の接続ラインと、第1の楕円(38)の長軸とのなす角度は、25〜35度であり、
    第3の楕円(80)の中心(41’’)と第4の楕円(78)の中心(79)との間の接続ラインと、第1の楕円(38)の長軸とのなす角度は、25〜35度である、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  5. 矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第1の楕円(38)は、中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が同じであり、これらの楕円は共に3次元で完全な大腿骨内顆部の形状を形成しており、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)に重なり、Whiteside線に対して垂直であり、
    矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第4の楕円(78)は、中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が同じであり、これらの楕円は共に3次元で完全な大腿骨外顆部の形状を形成しており、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に重なり、Whiteside線に対して垂直であり、大腿骨内顆部の円の中心の接続ラインに重なる、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  6. 矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第2の楕円または円(40)は、中心が矢状位置において重なり、これらの楕円または円は、3次元で配列され、完全な大腿骨内側滑車関節面の形状を形成しており、
    大腿骨内側滑車関節面が同心楕円である場合、これらの楕円の長軸と短軸は同じ方向であり、各楕円の偏心は異なっており、これらの楕円のサイズはフィボナッチシーケンスでソートされており、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に重なり、Whiteside線に対して垂直である、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  7. 矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第3の楕円または円(80)は、中心が矢状位置において重なり、これらの楕円または円は、3次元で配列され、完全な大腿骨外側滑車関節面の形状を形成しており、
    大腿骨外側滑車関節面が同心円である場合、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に重なり、Whiteside線に対して垂直であり、大腿骨内側滑車関節面の中心の接続ラインに重なる、請求項6に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  8. 前記外顆部(91)の後部は、前記内顆部(51)の後部よりも矢状位置において短く且つ低い、
    前記外側滑車部(141)の前縁は、前記内側滑車部(131)の前縁よりも矢状位置において長く且つ高い、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  9. 大腿骨プロテーゼ全体の外面および内面(52,53,54,55,56)の幾何学的設計パラメータは、第1の楕円(38)と第2の楕円(40)との関係およびそれらのパラメータサイズによって決定されている、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  10. 前記内顆部(51)の関節面(95)は、冠状位置において第6の円(94)の弧として表されており、前記円(94)の中心は第1の楕円(38)の中心(39)と重なり、半径は第1の楕円(38)の半短軸である、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  11. 前記外顆部(91)の関節面(97)は、冠状位置において第7の楕円(96)の弧として表されており、前記第7の楕円(96)の中心は、第4の楕円(78)の中心(79)と重なり、第7の楕円(96)の長軸は、過顆線(TEA)に対して冠状位置において25〜35度内側に回転する、請求項10に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  12. 前記外顆部(91)の関節面は、冠状位置において円の弧として表されており、前記円の中心は第4の楕円(78)の中心(79)と重なり、半径は第4の楕円(78)の半短軸である、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  13. 前記プロテーゼ(100)は、顆間構造および/またはコンポーネントの調整を行った後に、十字靭帯保持型プロテーゼ、後方安定型プロテーゼ、他のタイプの修正型プロテーゼ、個別化された3D印刷プロテーゼ、膝蓋骨非置換型プロテーゼ、膝蓋骨置換型プロテーゼ、運動学的アライメント(kinematic alignment)型プロテーゼ、および組立型プロテーゼのいずれかに適用可能である、請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  14. 前記プロテーゼ(100)の軸間距離は、冠状位置における大腿骨内顆の第6の円(94)および大腿骨外顆の楕円(96)のパラメータサイズに直接関係している、請求項11に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  15. 前記内顆部(51)の関節面は、矢状位置において150度から200度の範囲の角度を有する第1の楕円(38)の弧として表されており、前記外顆部(91)の関節面は、矢状位置において120度から160度の範囲の角度を有する第4の楕円(78)の弧として表されており、
    前記内顆部(51)の関節面(95)は、冠状位置において50度から90度の範囲の角度を有する第6の円(94)の弧として表されており、
    前記外顆部(91)の関節面(97)は、冠状位置において50度から90度の範囲の角度を有する第7の楕円(96)の弧として表されている、請求項14に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  16. 請求項1に記載の人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)と共に使用するための脛骨側プロテーゼ(150)であって、前記脛骨側プロテーゼ(150)の冠状位置における形状は、内側脛骨プラトー表面(151)と外側脛骨プラトー表面(152)とを備え、前記内側脛骨プラトー表面(151)は、大腿骨内顆の冠状位置における円形の形状に適合する円形の凹状形状であり、前記外側脛骨プラトー表面(152)は、大腿骨外顆の冠状位置における楕円の形状に適合する楕円の凹状形状である脛骨側プロテーゼ(150)。
  17. 人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)であって、内側部材(51、131)と外側部材(91、141)とを備え、
    前記内側部材(51、131)は、内顆部(51)と内側滑車部(131)とを備え、前記内顆部の関節面は、矢状位置において第1の楕円(38)の弧または複数の円の複数の弧として現れており、前記内側滑車部の関節面は、矢状位置において第2の楕円または円(40)の弧として現れており、
    前記外側部材(91、141)は、外側滑車部(141)と外顆部(91)とを備え、前記外側滑車部の関節面は、矢状位置において第3の楕円または円(80)の弧として現れており、前記外顆部の関節面は、矢状位置において第4の楕円(78)の弧または複数の円の複数の弧として現れている、人工膝関節置換用大腿骨側プロテーゼ(100)。
  18. 大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)であって、関節面と内面とを備え、
    前記関節面は、膝関節運動中に膝蓋骨の内側および脛骨プラトーの内側と接触する表面であり、矢状位置において第1の楕円(38)の弧(203)として現れており、冠状位置において第6の円(94)の弧(95)として現れており、
    前記内面は、前記プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨顆部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分であり、直線状の断面として現れる内面後顆(202)と、関節面の弧(203)に一致した内面遠位端部(209)とを備え、大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)
  19. 前記第1の楕円(38)の中心(39)に対応して前記内面に配置された第1の支柱(204)と、
    前記第1の楕円(38)の焦点に対応して前記内面に配置された第2の支柱(205)とをさらに備え、
    前記大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)の前側の先端に係止ねじ孔(206)が形成されており、係止ねじ孔(206)に挿入される係止ねじ(206’)の方向が第1の支柱(204)および第2の支柱(205)の方向と異なるように、係止ねじ孔(206)が形成されている、請求項18に記載の大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)
  20. 第1の楕円(38)の長軸は大腿骨の機械軸に対して垂直であり、その中心(39)は、大腿骨内顆の内側副靭帯取り付け点(123)に対応しており、
    前記大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)の関節面は、矢状位置において150度から200度の範囲の角度を有する第1の楕円(38)の弧(203)として表されており、前記大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)の関節面は、冠状位置において50度から90度の範囲の角度を有する第6の円(94)の弧(95)として表されている、請求項18に記載の大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)
  21. 矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第1の楕円(38)は、ともに3次元で完全な大腿骨内側単顆プロテーゼの形状を形成しており、これらの楕円の中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が一致し、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に重なり、Whiteside線に対して垂直である、請求項18に記載の大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)
  22. 軸線方向視において、前記プロテーゼ(201)は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直に配置されており、前記プロテーゼ(201)の外側は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直である平坦なエッジ(243)を有し、内側円弧縁部(241)は、大腿骨内顆の遠位端の形状に適合するように弧状とされており、前方円弧縁部(242)の屈曲度は、研磨工具の円(221)のパラメータに対応し、底部(244)の曲率は、冠状位置の第1の円(94)の曲率である、請求項18に記載の大腿骨側の内側単顆プロテーゼ(201)
  23. 大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)であって、関節面と内面とを備え、
    前記関節面は、膝関節運動中に膝蓋骨の外側および脛骨プラトーの外側と接触する表面であり、矢状位置において第4の楕円(78)の弧(303)として現れており、冠状位置において第7の楕円(96)の弧(97)として現れており、
    前記内面は、前記プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨顆部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分であり、直線状の断面として現れる内面後顆(302)と、関節面の弧(303)に一致した内面遠位端部(309)とを備え、大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)
  24. 前記第4の楕円(78)の焦点に対応して前記内面に配置された第3の支柱(305)をさらに備え、
    前記大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)の遠側の先端に係止ねじ孔(306)が形成されており、係止ねじ孔(306)に挿入される係止ねじ(306’)の方向が第3の支柱(305)の方向と異なるように、係止ねじ孔(306)が形成されている、請求項23に記載の大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)。
  25. 矢状位置において各層面に対応するそれぞれの第2の楕円(78)は、ともに3次元で完全な大腿骨外側単顆プロテーゼの形状を形成しており、これらの楕円の中心が矢状位置において重なり、長軸および短軸の方向が一致し、すべての中心の接続ラインは、過顆線(TEA)の方向に重なり、Whiteside線に対して垂直であり、
    前記大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)の関節面は、矢状位置において120度から160度の範囲の角度を有する第4の楕円(78)の弧(303)として表されており、前記大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)の関節面は、冠状位置において50度から90度の範囲の角度を有する第7の楕円(96)の弧(97)として表されている、請求項23に記載の大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)
  26. 軸線方向視において、前記プロテーゼ(301)は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直に配置されており、前記プロテーゼ(301)の内側は、Whiteside線に平行で、過顆線(TEA)に垂直である平坦なエッジ(343)を有し、外側円弧縁部(341)は、大腿骨外顆の遠位端の形状に適合するように弧状とされており、前方円弧縁部(342)の屈曲度は、円(321)の曲率パラメータに対応し、底部(344)の曲率は、冠状位置の第7の楕円(96)の弧(97)の曲率である、請求項23に記載の大腿骨側の外側単顆プロテーゼ(301)
  27. 大腿骨滑車プロテーゼ(401)であって、関節面と内面とを備え、
    前記関節面は、膝関節運動中に膝蓋骨関節面と接触する表面であり、矢状位置において第2の楕円または円(40)の弧(37)と第3の楕円または円(80)の弧(77)との空間的集合として現れており、
    前記内面は、前記プロテーゼがインプラントされた後の、大腿骨滑車部の骨切り面および骨セメントに隣接する部分であり、大腿骨滑車関節面の形状と一致する内面(409)であると現れている、大腿滑車プロテーゼ(401)
  28. 前記第2の楕円または円および前記第3の楕円または円は同心円状に配置され、同心軸(41’)は空間的に前記TEAと平行で、Whiteside線に垂直であり、
    前記大腿骨滑車プロテーゼ(401)は、中央に支柱(402)と、周囲に係止ねじを受け入れるための4つの係止ねじ孔(403,404,405,406)とを有す、請求項27に記載の大腿骨滑車プロテーゼ(401)
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