JP2019510350A - イオン光学デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明のイオン光学デバイスは、ある空間内の第1の方向の2つの側において互いに対向して配置され、第1の方向に沿って延びる閉込め電極ユニットの1つまたは複数のペアと、逆の高周波電圧を閉込め電極ユニットのペアにそれぞれ適用し、閉込め電極ユニットに、第1の方向に対してほぼ垂直な第2の方向に分布された複数のDC電位を形成し、第1の方向の長さの少なくとも一部にわたって第2の方向にポテンシャル障壁を形成するための電力供給デバイスと、第2の方向におけるポテンシャル障壁の2つの側において空間内に位置する、少なくとも1つの第1のエリアおよび少なくとも1つの第2のエリアと、ポテンシャル障壁を変化させるように電力供給デバイスの出力を制御するために、電力供給デバイスに接続された制御デバイスであって、第1のエリア内に移送または貯蔵されたイオンを、イオンの質量電荷比または移動度に基づいて異なる方法で、ポテンシャル障壁を通して第2のエリアに移送されるように操作し、第1の方向に沿っての移送を継続する、制御デバイスと、を備え、イオン光学デバイスと同期して作動している他の下流のデバイスのイオン利用効率を向上させる。

Description

本発明は、質量分析の技術分野に関し、より具体的には、イオン光学デバイスに関する。
スキャニングモード(四重極型など)またはパルスモード(飛行時間型、静電イオントラップ型など)の下で作動している質量分析装置に関し、幅広い質量電荷比の範囲を有するイオンの流れを分析する場合、質量電荷比の特定の範囲外のイオンは、強度が低下する場合があったり、質量分析装置によって即座に分析することができるイオンの質量電荷比とイオンの流れの質量電荷比の範囲との間の不一致により使用できない場合がある。このことは、トリプル四重極、タンデム四重極−飛行時間型質量分光計または静電オービトラップ質量分光計などの、これら質量分析装置を使用する質量分光計の感度および質量分別に大きく影響する場合がある。この問題を解決する従来の方法には、以下のものが含まれる。
A.イオン貯蔵デバイスを使用してイオンを貯蔵し、次の段階の質量分析装置の要請に応じて同期してイオンを放出すること。
B.質量選択性の擬ポテンシャル障壁またはフリンジ場構造をイオンガイドの端部において追加するか、質量選択性共鳴に関してイオンの放出を調整すること。
C.追加のイオンガイドまたは貯蔵構造を使用して、飛行時間型分析装置などにおける前の段階のイオンを一時的に貯蔵し、その作動時間シークエンスに応じて、イオンの放出および分析を実施する。
D.追加の加速レンズおよび減速レンズを使用して、制御された時間において、後の段階の質量分析装置の時間シークエンスとイオンが継続的に同期していることを確実にする。
しかし、上述の方法には、以下の制限がある。
Aに関し、特許文献1、特許文献2に記載の線形イオントラップ、および、特許文献3に記載の、いわゆるScanwave(商標)技術を例に取ってみる。そのようなモードでは、イオンは、軸方向に配置された複数の電極、または、高周波擬ポテンシャルによって生成されるDC電位により、直接抑制される。さらに、このモードでは、イオンの軸方向の移送制御および質量選択的放出が、軸方向に形成された同じポテンシャル障壁によって制御され、イオン放出と質量の分離とが、同じ方向において生じる。いずれのイオン貯蔵デバイスも所定の貯蔵限界を有することから、ポテンシャル障壁は、イオンの流れが前記貯蔵限界を超えた場合、質量選択に対して非線形的に応答する。さらに、貯蔵デバイス自体は、ガス圧力または結合された高周波に起因して、放出されるイオンの引きずりや後加熱を生じる場合があり、また、高分解能質量分析装置については更なる高真空という制約もあり、質量分析装置とイオン貯蔵デバイスとの間に一定の遷移距離が通常は存在するようになっている。放出されたイオンが後の段階の質量分析装置の時間シークエンスと同期している場合であっても、遷移距離を移動した後の、異なる質量電荷比のイオンの異なる速度に起因して、質量の区別が再度生じる。
B.例として挙げるのは、特許文献4、特許文献5などに記載の複数の別個の電極構造を通して、イオン光学デバイスの長さ方向に確立された二次四重極DC電位井戸である。または、特許文献6、特許文献7に記載の軸方向に周期的な電極構造の導入を通して、異なる波長の複数の空間的高周波電位波形を使用することによって形成された、質量の分離が特徴の擬ポテンシャル障壁である。これら方法では、質量分離ポテンシャル障壁が、イオンの移動に関して軸方向に配置されており、そのフリンジ場構造自体が、場の軸におけるイオンの冷却および質量特性を損なう場合がある。イオンの迅速な放出のために、導入された軸方向の共鳴励起手段は、放出方向においてイオンのより大きなエネルギ分布を可能にする場合があり、これにより、当初の位相空間分布の悪化に起因して、四重極型、飛行時間型、および静電イオントラップ型分析装置などの高分解能分析装置の分解能特性を悪化させる。
C.特許文献8を代表的なものとして挙げる。特許文献8において、2相の振幅非対称性の高周波を使用することにより軸上の高周波ポテンシャルが達成され、その高周波ポテンシャルを、端部DCによって導入された電極の多重極場と合わせることにより、イオンが、軸方向の質量電荷比に関して大から小の順番で放出される。しかし、そのようなガイドまたは貯蔵構造自体は、軸方向の非ゼロの高周波ポテンシャルに起因して、分析装置の場の完全性を容易に損ない、次のイオン集束に必要な条件の複雑さを増大させる。さらに、ガイドまたは貯蔵構造によって必要とされる非対称な高周波波形により、イオンが放出される際のイオンのエネルギおよび空間的分布の悪化を生じる場合がある。
D.特許文献9を代表的なものとして挙げる。特許文献9において、最初に、時間的に変化する電場を使用して、異なる質量電荷比のイオンを分離する。次いで、その空間的位置が、イオンが最終的に同時に飛行時間の加速エリアに入ることを可能にするように、非線形電場の加速の構築のために使用される。イオンはこの手段によって良好に軸方向に集束され得るが、電場の分布に関するラプラス方程式により、軸方向の非線形電場は、必然的に、径方向の大きな非線形発散電場を伴う。リウヴィルの定理によれば、イオンの時間的分布はこの方法によって圧縮されるが、径方向の空間およびエネルギの集束特性が犠牲となることは不可避である。このことは、高分解能の四重極型、飛行時間型、および静電イオントラップ型分析装置には非常に不利である。
米国特許第7208728号明細書 米国特許第7323683号明細書 米国特許第9184039号明細書 米国特許第8227151号明細書 米国特許第8487248号明細書 米国特許第8299443号明細書 米国特許第9177776号明細書 米国特許第7582864号明細書 米国特許第8754367号明細書
上述の既存の技術における欠点に鑑み、本発明は、軸方向の移送(すなわち、第1の方向)が可能であるイオン光学デバイスを構築することを目的としている。径方向(すなわち、第2の方向)におけるポテンシャル障壁の位置、高さ、または傾斜方向を操作することにより、イオンが、ポテンシャル障壁の一方の側における第1のエリアに導入および移送される。ポテンシャル障壁の位置、高さ、または傾斜方向を変更することにより、第1のエリアに移送または貯蔵されるイオンは、イオンの質量電荷比または移動度に応じて、貯蔵または移送のために、第2のエリアに移送されてもよい。これにより、軸方向に沿ってイオン光学デバイスから放出されるイオンの質量分析または移動度分析の時間シークエンスを調節するモードが最終的に達成され、イオン光学デバイスと同期的に作動する他の下流のデバイス、特に、パルスモードで作動する飛行時間型または静電トラップ型検出器におけるイオン利用の有効性を向上させる。四重極型質量分析装置に関し、イオン供給に関する時間も、調整の後に、四重極の質量分析チャネルと同期する場合があることから、感度分析に関する全体の有効性も、そのような質量分析装置がスキャニングモードで作動する際に、向上する場合がある。
前述の目的および他の関連する目的を達成するために、本発明は、次のものを有するイオン光学デバイスを提供する:空間内の第1の方向の2つの側に互いに対向して配置され、前記第1の方向に沿って延びる、閉込め電極ユニットの1つまたは複数のペア;前記第1の方向の上流に位置し、前記第1の方向に沿ってイオンを導入するためのイオン入口;互いに逆の高周波電圧を閉込め電極ユニットのペアにそれぞれ印加し、閉込め電極ユニットに、前記第1の方向に対してほぼ垂直な第2の方向に分布された複数のDC電位を形成し、前記第1の方向の長さの少なくとも一部にわたって前記第2の方向にポテンシャル障壁を形成するための電力供給デバイス;前記第2の方向におけるポテンシャル障壁の2つの側において前記空間内に位置する、少なくとも1つの第1のエリアおよび少なくとも1つの第2のエリア;前記ポテンシャル障壁を変化させるように前記電力供給デバイスの出力を制御するために、前記電力供給デバイスに接続された制御デバイスであって、前記第1のエリア内に移送または貯蔵されたイオンの、イオンの質量電荷比または移動度に基づいて異なる方法で、ポテンシャル障壁を通して前記第2のエリアへの移送を操作する制御デバイス。イオンの制御および移送が第1の方向で生じる一方、第2の方向で区別および分離が行われることから、これらによって必要とされる電場は直交させられ、こうして、背景技術で論じた、軸方向に冷却された移送と、軸方向の質量の分離との矛盾の問題が避けられる。
本発明の一実施形態では、前記制御デバイスは、前記電力供給デバイスの出力振幅または周波数を操作して、前記ポテンシャル障壁の位置、高さ、または方向を調整するために使用される。
本発明の一実施形態では、前記第2のエリア内のイオンは、前記第1の方向に沿ってイオン光学デバイスから放出されることになる。
本発明の一実施形態では、前記イオン光学デバイスは、前記第2のエリアの下流に配置され、該イオン光学デバイスの出口に接続された、前記第2のエリア内のイオンを前記第1の方向に沿ってイオン光学デバイスの外に放出するための抽出電極ユニットを備えている。
本発明の一実施形態では、イオンの放出に影響するために使用される周期的パルス電圧が、前記抽出電極ユニットに印加される。
本発明の一実施形態では、前記イオン光学デバイスの後の段階に、前記制御デバイスが接続される質量分析装置が設けられる。前記制御デバイスは、前記電力供給デバイスおよび前記質量分析装置を、放出のために前記第2のエリアに移送されるイオンの質量電荷比または移動度を、質量分析装置に関して前記制御デバイスによって設定された、分析を必要とするイオンの質量にマッチさせるように制御するように使用される。
本発明の一実施形態では、各閉込め電極ユニットが、前記第2の方向に沿って配置された複数の電極を備えている。逆相の高周波電圧およびDC電圧が、隣接する電極に印加される。2つのペアになっている閉込め電極ユニットの電極が、1対1のペアを形成し、逆相の高周波電圧が、2つのペアになっている電極にそれぞれ印加される。
本発明の一実施形態では、各閉込め電極ユニットの電極が、平行に離間している。
本発明の一実施形態では、各閉込め電極ユニットが、4以上の電極を備えている。
本発明の一実施形態では、前記空間内に衝突ガスが存在する。
本発明の一実施形態では、前記衝突ガスが、0.1Paから10Paの範囲の圧力を有する。
本発明の一実施形態では、0度より大きいが50度より小さい開角度が、前記第1の方向においてDC侵入場を導入するため、および、前記第1の方向における下流のイオンを圧縮するとともに移送するために、ペアになっている閉込め電極ユニット間に形成されている。
本発明の一実施形態では、0度より大きいが20度以下の開角度が、ペアになっている閉込め電極ユニット間に形成されている。
本発明の一実施形態では、前記第1の方向の2つの端部におけるペアになっている閉込め電極ユニット間の開距離の比が1から2.8である。
本発明の一実施形態では、前記第1の方向の2つの端部におけるペアになっている閉込め電極ユニット間の開距離の比が1.9から2.4である。
上述のように、本発明のイオン光学デバイスは、空間内の第1の方向の2つの側に互いに対向して配置され、前記第1の方向に沿って延びる、閉込め電極ユニットの1つまたは複数のペアと、互いに逆の高周波電圧を閉込め電極ユニットのペアにそれぞれ印加し、閉込め電極ユニットに、前記第1の方向に対してほぼ垂直な第2の方向に分布された複数のDC電位を形成し、前記第1の方向の長さの少なくとも一部にわたって前記第2の方向にポテンシャル障壁を形成するための電力供給デバイスと、前記第2の方向におけるポテンシャル障壁の2つの側において前記空間内に位置する、少なくとも1つの第1のエリアおよび1つの第2のエリアと、前記ポテンシャル障壁を変化させるように前記電力供給デバイスの出力を制御するために、前記電力供給デバイスに接続された制御デバイスであって、前記第1のエリア内に移送または貯蔵されたイオンの、イオンの質量電荷比または移動度に基づいた異なる方法で、ポテンシャル障壁を通して前記第2のエリアへの移送を操作する、制御デバイスと、を備え、イオン光学デバイスと同期的に作動している他の下流のデバイスのイオン利用効率を向上させる。
図1aおよび図1bは、本発明の一実施形態に係るイオン光学デバイスの概略構造図である。図1cは、イオン光学デバイスおよびタンデムの四重極の3次元構造を示す図である。 図2aから図2fは、本発明の一実施形態に係るイオン光学デバイスによって適用される原理の概略図である。 図3は、図2aから図2fに示す実施形態の時間シークエンスを示す図である。 図4は、図3の時間シークエンスの条件下で、イオン光学シミュレーションを通して得られた異なる質量電荷比を各々が有するイオンすべての、オーバーフローカーブの重ね合わせの図である。 図5aから図5cは、図2aから図2fの実施形態で実施されたテストの効果の図であり、イオンの分離の、14V/msから1.5V/msに変化する障壁ポテンシャルDC1の変化の割合の影響を示している。 図6aから図6gは、本発明のイオン光学デバイスの閉込め電極ユニット間の開角度が0度から50度の場合における、300Thおよび450Thの質量数を有するイオンが、イオン操作デバイスから放出される放出時間の分布図を示している。 図6aから図6gは、本発明のイオン光学デバイスの閉込め電極ユニット間の開角度が0度から50度の場合における、300Thおよび450Thの質量数を有するイオンが、イオン操作デバイスから放出される放出時間の分布図を示している。 図6aから図6gは、本発明のイオン光学デバイスの閉込め電極ユニット間の開角度が0度から50度の場合における、300Thおよび450Thの質量数を有するイオンが、イオン操作デバイスから放出される放出時間の分布図を示している。 図6aから図6gは、本発明のイオン光学デバイスの閉込め電極ユニット間の開角度が0度から50度の場合における、300Thおよび450Thの質量数を有するイオンが、イオン操作デバイスから放出される放出時間の分布図を示している。 図6aから図6gは、本発明のイオン光学デバイスの閉込め電極ユニット間の開角度が0度から50度の場合における、300Thおよび450Thの質量数を有するイオンが、イオン操作デバイスから放出される放出時間の分布図を示している。 図6aから図6gは、本発明のイオン光学デバイスの閉込め電極ユニット間の開角度が0度から50度の場合における、300Thおよび450Thの質量数を有するイオンが、イオン操作デバイスから放出される放出時間の分布図を示している。 図6aから図6gは、本発明のイオン光学デバイスの閉込め電極ユニット間の開角度が0度から50度の場合における、300Thおよび450Thの質量数を有するイオンが、イオン操作デバイスから放出される放出時間の分布図を示している。 図7は、図6aから図6gの開角度が変化する場合の、長い貯蔵時間の後の、300Thおよび450Thのイオンの軸方向の分布長さを示している。 図8は、本発明のイオン光学デバイスの出口における電極の間隔が2mmである場合の、300Thおよび450Thのイオンの放出時間の分布での入口における電極の間隔の変化の影響を示す図である。 図9aおよび図9bは、抽出電極に様々な電極が印可される際の、短い複数のパルスクラスタ内に圧縮されている、放出されたイオンの効果の図、および、所望の範囲内で制御されている各短いクラスタ内のイオンの質量電荷比の効果の図である。
本発明の実施形態を、特定の例を通して以下に記載する。当業者は、本明細書に開示された内容から本発明の他の利点および機能を容易に知り得る。本発明は、他の異なる実施形態を通して実施または適用されてもよく、本発明に記載されたどの詳細も、本発明の精神から逸脱することなく、異なる視点および用途に基づき、修正または変更されてもよい。矛盾がない場合は、本出願の実施形態および実施形態の特徴は、互いに組み合わせられる場合があることに留意されたい。
図1aおよび図1bは、本発明に係るイオン光学デバイスの実施形態を示している。図1に示すように、イオン光学デバイスは、(ラインAに示すように)第1の方向が内部に存在する内部空間を有している。第1の方向は、イオン光学デバイスの入口と出口とを接続することから、イオン移送方向(以下、軸方向と呼ぶ)として使用される。閉込め電極ユニット11と12との1つまたは複数のペアが、上下方向において、軸方向の2つの側部にそれぞれ配置されている。ペアになっている閉込め電極ユニット11と12は、互いに逆の高周波電圧を有しており、第1の方向に直行する第2の方向(以下、径方向と呼び、図1aに示すように、紙面に対して垂直な方向を通る)に沿って提供されている複数のDC電位が、閉込め電極ユニット11および12に印加され得る。当然、複数のDC電位の形成は、たとえば、相分離と、それぞれのDC電圧を印加する複数の電極の構造とによって実現され得るが、本発明は、それに限定されない。
具体的には、図1bに示すように、各閉込め電極ユニットは、平行に離間している場合がある複数の電極(101から106)を備えている。電極(101から106)は、直線状のバンド形状を有し、軸方向、すなわち、イオン光学デバイスの入口端部付近から出口端部付近に延びている。この実施形態では、逆相の高周波電圧が、各閉込め電極ユニット11または12の、隣接して分布された電極間にさらに印加され、一方、2つの閉込め電極ユニット11と12との間の電極も、1対1のペアを形成する。たとえば、閉込め電極ユニット11が6つの電極を有して示され、この閉込め電極ユニット11とペアになっている閉込め電極ユニット12も6つの電極を有するようになっている。電極の各ペア間に追加的に印加される高周波電圧は、位相が逆になっていることにより、軸方向に入口100を通して導入されるイオンが、高周波電圧によって抑制され、閉込め電極ユニット11と12との間の空間内に閉込められるようになっている。当然、図示の電極の数は好ましい例にすぎず、本発明がそれに限定されないことに留意されたい。テストにより、各閉込め電極ユニットの電極数が好ましくは4つ以上であることが示されている。イオン光学デバイスの出口には、デバイスからイオンを抽出するための抽出電極110が設けられている。質量分析装置は、イオン光学デバイスの下流に連続的に接続され得る。図1cに示すように、四重極型質量分析装置200(以下、四重極と呼ぶ)は、イオン光学デバイスの後方に連続的に接続されて、放出されたイオンのさらなる質量分析または選択を実施してもよい。
本発明のイオン光学デバイスを、連続的または準連続的に導入されるイオンの流れを操作するために使用する場合に、図2aから図2fが参照され得る。たとえば、図2aを最初に参照すると、電極102、105のDC電位DC2は、2つの側部のポテンシャルDC1およびDC3よりも低く低減されるため、Wのような形状であり、軸方向の2つの側部において径方向に延びる空間的ポテンシャル障壁を実現するようになっている。ここで、径方向のポテンシャル障壁の2つの側部に位置するエリアは、第1のエリア(たとえば、104と105との間か、102と103との間の空間を含む)、および、第2のエリア(たとえば、103と104との間の空間を含む)であるように規定される。入口を通してイオン光学デバイス内に導入されるイオンは、ポテンシャル障壁の外の第1のエリアにおいてアクティブとなる。適切な衝突圧力(たとえば、0.1Paから10Pa)が導入される場合、導入されたイオンの流れは、衝突ガスとの衝突の間に徐々に冷却され得、W形状の径方向ポテンシャル障壁の2つの側部において閉込められた第1のエリア内に抑制される。イオン光学デバイスが軸方向に長い空間を特徴としているため、イオンは、長さ方向の複数の位置に分散する場合があり、低減された空間電荷密度になる。こうして、イオン光学デバイスは、最大貯蔵限界を、導入されるイオンに対して許容し、図2aに示すように、異なる質量の様々なイオンを包含する線形イオンクラウドを形成する。
異なる質量電荷比のイオンの分離を所望する場合、もっとも外側の電極101および106のDC電位DC1を上昇させ、一方、中間の電極103および104のDC電位DC3を、徐々に下げてもよい。このとき、第1のエリアに貯蔵されるイオンは、W形状のポテンシャル障壁を通して、軸方向に近い中間の第2のエリアに入り始める場合がある。DC3電圧が0.5Vに低下した場合、5000Thの質量電荷比を有するイオンが、図2bに示すように第2のエリアに入る場合がある。DC3電圧が0.3Vに低下した場合、1000Thから2000Thの質量電荷比を有するイオンが、図2cに示すように第2のエリアに入る場合がある。DC3電圧が0.1Vに低下した場合、500Th以上の質量電荷比を有するイオンが、図2dに示すように第2のエリアに入る場合がある。同様に、DC2電圧を上昇させることによっても、径方向のポテンシャル障壁の除去の効果を達成できる。たとえば、図2eに示すように、DC2電圧が1Vに上昇した場合、100Th以上の質量電荷比を有するイオンがすべて、第1のエリアから放出されて、第2のエリアに入る場合がある。第2のエリアでは、線形の抑制構造および高周波電場の影響により、イオンが微細な線形ビームに圧縮されたまま、最終的にデバイスの外に抽出される。DC2とDC1とが同じ電圧を有する場合、第1のエリアと第2のエリアとを区別するポテンシャル障壁がもはや存在しないことから、すべてのイオンがデバイスの中間の軸エリアに入る。図2fは、U形状の移動経路を形成する移送の間の、様々な質量電荷比を有するイオンのルート全体を示している。イオンの放出に関する時間シークエンスは、DC1、DC2、およびDC3の変化によって抑制される。
このプロセスの間、高周波電圧によって形成される擬ポテンシャル障壁が異なる高さを有することから、異なる質量電荷比のイオンが、異なるポテンシャル障壁の強度でW形状のポテンシャル障壁を通して第2のエリアに連続して入る。第2のエリアに入るイオンは、電極103および104の高周波電圧によって形成される四重極場によって抑制され続け、さらに前に移送される。最終的に形成される全体の影響は、イオンが抽出電極110を通して質量電荷比に関して大から小に連続してイオン光学デバイスを出ることである。
このデバイスの利点の1つは、たとえば図1cに示すように、四重極型質量分析装置を組み込んだデバイスと協同するように、上流から導入される異なる質量のイオンが、下流の質量分析およびフィルタリングデバイスに移送される前に、下流の質量分析およびフィルタリングデバイスのプリセットに係る質量数を通しての濃縮効果を形成し得ることである。コントローラ300は、イオン光学デバイスのポテンシャル障壁電圧DC1からDC3および四重極型質量分析装置200の質量スキャニング制御電圧を同時にかつ同期して出力するために使用される。近年の機器では、コントローラ300は、コンピュータであるか、コンピュータに組み込まれた制御カード、または、適切なデジタル−アナログ変換回路および調整回路と協同することによって形成される、シングル・チップ・マイクロコンピュータ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、もしくはプログラマブル・ゲート・アレイ(PLD/FPGA)などの埋め込まれたシステムである場合がある。残留農薬分析では一般的である15Thから715Thの質量スキャンウィンドウの場合、農薬とバックグラウンドの不純物のイオンとが700Thの質量ウィンドウに一様に分散されているものと仮定して、イオン光学デバイスが追加的に設けられていない場合、スタンダードモードの四重極型質量分析装置200に分析可能な質量ウィンドウが1Thであることから、イオンの1/700のみがスキャニングモードで即座に四重極を通過して、検出器の応答を得ることができる。対照的に、イオン光学デバイスが追加的に設けられた場合、この質量ウィンドウ内の各イオンがDC1からDC3の電圧を調整することにより、四重極スキャニングに関する時間シークエンスで同期して放出され得る。このとき、イオンの100%が使用され得、信号のゲインは700である。実際のサンプルが大量の異なる質量電荷比を有することを考慮しても、本発明のイオン光学デバイスを四重極の前の段階の調整デバイスとして採用することにより、広域のスキャニングモードにおいて少なくとも2倍から5倍の信号のゲインが得られる。さらに、イオン光学デバイス内が高い衝突圧力(たとえば、5Paより大きい)の場合、イオン光学デバイスの質量電荷比は、移動電場および衝突ガスによって制御されるイオンの移動度によって制御される。このとき、後の段階の四重極型質量分析装置200の設定制御電圧は、移動度が測定されることになるイオンの質量電荷比にマッチしているものとする。
障壁高さに影響する電圧を変化させること、具体的には、その変化速度を調整することにより、一部のイオンが近い時間セグメントにおいて重合される一方、質量範囲がこの範囲の数倍であるイオンは次の時間セグメントで抽出される。このような特性は、飛行時間型質量分光計の質量電荷比のダイナミックレンジの拡大には非常に重要である。図3は、ポテンシャル障壁を変化させるための通常の作動時間シークエンスを示している。準備段階では、高電位が抽出電極110に印加され、このとき、イオンはイオン光学デバイスを通過できない。約250マイクロ秒では、DC1からDC3に生じるポテンシャルの変化に伴い電圧が低下する。5000Thから1500Thの質量電荷比の範囲内のイオンは、その後約250マイクロ秒の内に放出されることになる。DC1からDC3のスキャニングスロープも1000マイクロ秒と2000マイクロ秒において変化し、1500Thから400Thおよび400Thから100Thの範囲内のイオンがセグメントの内に放出されるようになっている。放出されるイオンの各バッチは概ね、同時に1パルスだけ抽出されたパルス反発のエリアの長さ範囲内となる場合がある。この理由は、抽出されるように操作されたイオンが各セグメント内で約3倍だけの低から高の質量ウィンドウを有しており、すべてのイオンが検出および使用され得るようになっているためである。こうして、限定された反発エリアの長さに起因して直交型飛行時間型質量分析装置の質量スペクトルに生じる質量範囲の抑制の問題が避けられる。図4は、図3の時間シークエンスの条件下で、イオン光学シミュレーションを通して得られた異なる質量電荷比を各々が有するイオンすべての、オーバーフローカーブの重ね合わせの図である。図からわかるように、異なる質量電荷比のウィンドウ内のイオンは、実際のところ、約250マイクロ秒の対応する時間ウィンドウ内に良好に分布している。
デバイス内に形成されたポテンシャル障壁またはポテンシャル井戸の高さの変化速度が変化する場合、質量電荷比の分離効果はさらに向上し得る。図5aから図5cは、外側の障壁のポテンシャルDC1の変化の割合が14V/マイクロ秒から1.5V/マイクロ秒に変化する場合を示している。14V/マイクロ秒の最初の条件下では、225および450の質量数を有するイオンは底部で分離されない場合があるが、スキャニング速度が低減されると、2つの質量電荷比のイオンは、分離を開始し、スキャニング速度が1.5V/マイクロ秒に達すると、完全に分離される。感度を追求する小さい飛行時間型質量分光計に関し、3倍の低から高の質量ウィンドウでは、構造のサイズの制限に起因して、同時に飛行時間型質量分析装置の反発エリア内にイオンがあることを確実にすることはできない。しかし、スキャニング速度の低減に伴い、約1.5倍の低から高の質量ウィンドウの分離が実現され得るため、そのような小さい機器もより良好な完全な質量の感度の性能を得られる。
イオン光学デバイスは、イオンを区別するために、第1の方向と直交する第2の方向におけるイオンポテンシャル障壁に依存するため、ポテンシャル障壁を可能性のあるイオン遷移領域内で一定に維持することが、異なる質量数のイオンを区別するイオン光学デバイスの性能の向上のために非常に重要であることに留意されたい。異なる軸方向の位置においてポテンシャル障壁を区別することに関し、第2の直交する方向における高さは、軸方向における端部の抽出電極110などの場の侵入に起因して、異なる軸方向の位置において変化し得、それにより異なるイオンの分離効率に影響する。
この問題を解決するために、図1aに示すように、角度が付けられた開口が、閉込め電極ユニットのペア間に形成され得る。図6aから図6gを参照すると、これらの図は開角度が0度、2.5度、5度、10度、20度、35度、および50度の際のイオン光学デバイスのイオン分離効果に関して行われたコンピュータ軌跡分析にそれぞれ対応している。300Thおよび450Thの質量数のイオンの分解効果が、上記図に示されている。図からわかるように、イオン光学デバイスが0度より大きい入口開角度を有する限り、そのイオン分離能力が向上する。図7に示すように、長時間(たとえば、100msより長い)の間、光学デバイス内にイオンが導入された後に、軸方向におけるイオンの分布長さを分析することにより、開角度の存在により、擬ポテンシャル場も軸方向に沿ってイオン光学デバイス内に形成され得ることがわかる。さらに、電圧が径方向のポテンシャル障壁に関して設定された場合に伴うDC侵入場に起因して、軸方向におけるイオンの分離距離112が短くなり、異なるイオンがイオンの分離に使用されるポテンシャル障壁を遷移する際に、異なる軸方向の位置において生じるポテンシャル障壁の変化が、遷移が生じ得る軸方向の位置の多様性が損なわれるという事実に起因して、さらにいくらか抑制されるようになっており、分解効果を向上させる。さらに、DC侵入場により、軸方向におけるスムーズなイオンの移送を促進し、デバイス内のイオンの滞留時間を低減し、不要な分子−イオン反応を低減し、また、空間電荷分布によって生じる負の影響を低減し得る。
開角度が大きいほど良好というわけではないことに留意されたい。開角度が35度より大きい場合、電極間隔(場の半径とも呼ぶ)の急激な低減により、軸方向の端部において、イオンが過度に強い高周波ポテンシャル障壁を受ける場合がある。イオンが1mm未満のポイントの空間内に概ね圧縮され得るが、これらイオンは、集束されたイオンビームの形態で、端部の抽出電極110を通過することが不可能であるが、それに伴う強い四重極型DC偏向場に起因して、バンド形状の閉込め電極で消滅する。開角度が35度未満である場合、イオンは抽出電極110を通ってイオン光学デバイスを出ることができるが、異なる軸方向の位置における障壁の高さの変化が非常に厳しいため、イオンの分解能もひどく邪魔される。これに関し、図1bに示すように、軸方向の長さ全体における、電極間隔113(すなわち、この実施形態における閉込め電極ユニット11と12とのペア間の間隔)の変化の割合を制御して、軸方向に沿う障壁の高さの変化の振幅を制御することが必要である。(イオンの出口に隣接している)軸方向端部における閉込め電極の間隔が2mmである場合、300Thおよび450Thのイオンの時間分解能でのイオンの入口100に隣接して配置される、閉込め電極ユニット11と12とのペアの間隔によって示される効果は、図8に示されている。2つのタイプのイオンの、放出時間の分布幅と、平均放出時間との間の差の割合は、最大で約0.95に制御され得る。このことは、2つのタイプのイオンの底のピーク幅におけるほぼ完全な分離に対応している。この場合、入口における対応する電極間隔113は、4mmから4.8mm(図8におけるCに対応し、より良好な分解能の状況を示している)であり、第1の方向での2つの端部における閉込め電極ユニット11と12とのペアの間の対応する開口の比は、2から2.4である。入口における電極間隔113が5.6mm未満である場合(図8のBに対応し、質量分解能の上限を実質的に所持していることを示している)、2つのタイプのイオンの半分の高さのピークの幅と、平均放出時間との間の差の割合が、1未満に制御され得、このことは、2つの端部の対応する開口の比が1から2.8の範囲内にある2つのタイプのイオンの実際の質量区別効果をイオン光学デバイスが有していることを意味している。
現在の高パルス繰返し率の飛行時間型システムに関し、放出されるイオンが、コントローラ300を通して抽出電極110に追加のパルス電圧を印加することによってさらに調整され得ることにも留意されたい。たとえば、上述のデバイスでは、30%のデューティサイクルおよび50KHzの周波数の、−30V/−10Vの矩形波が、抽出電極(Skimmer)の電位に適用される場合、入口における電極間隔に関する乏しい状況が向上され得る。たとえば、入口における電極間の、220マイクロ秒の最初の幅のイオンクラスタが、各々が約20マイクロ秒の幅を有する短い複数のパルスクラスタに圧縮され得る。特定の抽出時間の各々に関し、放出されるイオンの質量電荷比の範囲が、高度に確認可能であることから、抽出されたイオンの予測された平均動的質量変化を通して、飛行時間型質量分析装置の反発パルス遅延時間を得ることが可能であり、高速から、50KHzの反復パルス比の範囲の飛行時間型機器が、将来的に様々な質量電荷比のイオンを完全に使用し得るようになっている。10KHzの既存の飛行時間型システムに関し、そのような調整により、1.5倍の質量電荷比の範囲のイオンを、底部の分離の代わりに、約30マイクロ秒の幅のパルスに調整することが可能になり得、また、質量を区別する同期質量分析および検出も、非常に良好に達成され得る。
具体的には、図9aおよび図9bに示されているように、図9aが、30%のデューティサイクルおよび50KHzの周波数の−30V/−10Vの電圧がイオン操作デバイスの抽出電極110に追加的に印加された場合の、短い複数のクラスタに圧縮されている、放出されたイオンの効果の図を示している。225Th、300Th、および450Thのイオンが、例として取られている。図9bは、これら隣接する短いクラスタの各々の中のイオンの質量電荷比の範囲が、同じ中間の質量電荷比のイオンが2つの隣接するクラスタに分割されていることから、質量電荷比の範囲の1.5倍の範囲内に制御され得るように、30%のデューティサイクルおよび10KHZの周波数の、−25V/8Vの電圧が抽出電極に印加されている、効果の図である。
上述の実施形態は、単に例を挙げて本発明の原理および機能を示しており、本発明を限定することは意図していない。当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、上述の実施形態に対して修正または変更を行い得る。このため、本発明に開示の精神および技術思想から逸脱することなく、本技術分野における通常のスタッフによって達成される修正または変更のすべての均等物が、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。

Claims (15)

  1. 空間内の第1の方向の2つの側に互いに対向して配置され、前記第1の方向に沿って延びる、閉込め電極ユニットの1つまたは複数のペアと、
    前記第1の方向の上流に位置し、前記第1の方向に沿ってイオンを導入するためのイオン入口と、
    互いに逆の高周波電圧を閉込め電極ユニットのペアにそれぞれ印加し、閉込め電極ユニットに、前記第1の方向に対してほぼ垂直な第2の方向に分布された複数のDC電位を形成し、前記第1の方向の長さの少なくとも一部にわたって前記第2の方向にポテンシャル障壁を形成するための電力供給デバイスと、
    前記第2の方向におけるポテンシャル障壁の2つの側において前記空間内に位置する、少なくとも1つの第1のエリアおよび少なくとも1つの第2のエリアと、
    前記ポテンシャル障壁を変化させるように前記電力供給デバイスの出力を制御するために、前記電力供給デバイスに接続された制御デバイスであって、前記第1のエリア内に移送または貯蔵されたイオンが、前記イオンの質量電荷比または移動度に基づいて異なる方法で、ポテンシャル障壁を通して前記第2のエリアに移送されるように操作し、前記第1の方向に沿っての移送を継続する、制御デバイスと、を備えた、イオン光学デバイス。
  2. 前記制御デバイスは、前記電力供給デバイスの出力振幅または周波数を操作して、前記ポテンシャル障壁の位置、高さ、または傾斜方向を調整するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
  3. 前記第2のエリア内のイオンは、前記第1の方向に沿って前記イオン光学デバイスから放出されることになることを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
  4. 前記第2のエリアの下流に配置され、前記イオン光学デバイスの出口に接続された、前記第2のエリア内のイオンをイオン光学デバイスの外に放出するための抽出電極ユニットをさらに備えている、請求項3に記載のイオン光学デバイス。
  5. イオンの放出に影響するために使用される周期的パルス電圧が、前記抽出電極ユニットに印加されることを特徴とする、請求項4に記載のイオン光学デバイス。
  6. 前記イオン光学デバイスの後の段階に、前記制御デバイスが接続された質量分析装置が設けられ、前記制御デバイスは、前記電力供給デバイスおよび前記質量分析装置を、放出のために前記第2のエリアに移送されるイオンの質量電荷比または移動度を、前記質量分析装置に関して前記制御デバイスによって設定された、分析を必要とするイオンの質量にマッチするように制御するために使用されることを特徴とする、請求項3に記載のイオン光学デバイス。
  7. 各閉込め電極ユニットは、前記第2の方向に沿って配置された複数の電極を備え、逆相の高周波電圧とDC電圧は、隣接する電極に印加され、2つのペアになっている閉込め電極ユニットの前記電極は、1対1のペアを形成し、逆相の高周波電圧は、2つのペアになっている電極にそれぞれ印加されることを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
  8. 各閉込め電極ユニットの電極は、平行に離間していることを特徴とする、請求項7に記載のイオン光学デバイス。
  9. 各閉込め電極ユニットは、4以上の電極を備えていることを特徴とする、請求項7に記載のイオン光学デバイス。
  10. 前記空間内に衝突ガスが存在することを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
  11. 前記衝突ガスは、0.1Paから10Paの範囲の圧力を有することを特徴とする、請求項10に記載のイオン光学デバイス。
  12. 0度より大きく50度より小さい開角度が、前記第1の方向においてDC侵入場を導入するため、および、前記第1の方向における下流のイオンを圧縮するとともに移送するために、前記ペアになっている閉込め電極ユニット間に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
  13. 0度より大きく20度以下の開角度が、ペアになっている閉込め電極ユニット間に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
  14. 前記第1の方向の2つの端部におけるペアになっている閉込め電極ユニット間の開距離の比が1から2.8であることを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
  15. 前記第1の方向の2つの端部におけるペアになっている閉込め電極ユニット間の開距離の比が1.9から2.4であることを特徴とする、請求項1に記載のイオン光学デバイス。
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