1.概観
TGF−βスーパーファミリーは、TGF−β、アクチビン、Nodal、骨形成遺伝子タンパク質(BMP)、増殖分化因子(GDF)、および抗ミュラー管ホルモン(AMH)を含む、30を超える分泌因子から構成される[Weissら(2013年)、Developmental Biology、2巻(1号):47〜63頁]。スーパーファミリーのメンバーであって、脊椎動物および非脊椎動物のいずれにおいても見出されるメンバーは、多様な組織内で遍在的に発現し、動物の寿命を通して発生の最早期に機能する。実際、TGF−βスーパーファミリータンパク質は、幹細胞の自己再生、原腸形成、分化、器官の形態形成、および成体組織のホメオスタシスの鍵となるメディエーターである。TGF−βスーパーファミリーによるシグナル伝達の異常が広範にわたるヒト病態と関連することは、この活性の遍在性と符合する。
TGF−βスーパーファミリーのリガンドは、1つの単量体の中央3−1/2ターンヘリックスが、他の単量体のベータ−ストランドにより形成される凹部表面に対してパッキングされる、同じ二量体構造を共有する。TGF−βファミリーメンバーの大半は、分子間ジスルフィド結合によりさらに安定化される。このジスルフィド結合は、「システインノット」モチーフと称されるモチーフを生成する他の2つのジスルフィド結合により形成されるリングを横切る[Linら(2006年)、Reproduction、132巻:179〜190頁;およびHinckら(2012年)、FEBS Letters、586巻:1860〜1870頁]。
TGF−βスーパーファミリーのシグナル伝達は、I型およびII型のセリン/スレオニンキナーゼ受容体の異種複合体(heteromeric complex)によって媒介され、これらは、リガンド刺激の際に、下流のSMADタンパク質(例えば、SMADタンパク質1、2、3、5、および8)をリン酸化および活性化する[Massague、2000年、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.1巻:169〜178頁]。これらのI型およびII型受容体は、システインリッチな領域を持つリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および、予測セリン/スレオニンキナーゼ特異性を持つ細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。概して、I型受容体は、細胞内シグナル伝達を媒介する一方、II型受容体は、TGF−βスーパーファミリーリガンドの結合に必要とされる。I型およびII型の受容体は、リガンド結合後に安定な複合体を形成し、II型受容体によるI型受容体のリン酸化をもたらす。
TGF−βファミリーは、結合するI型受容体と、活性化させるSmadタンパク質とに基づき、系統発生上の2つの分枝に分けることができる。1つは、近年進化した分枝であり、例えば、TGF−β、アクチビン、GDF8、GDF9、GDF11、BMP3およびNodalを含み、これは、Smad2および3を活性化するI型受容体を介してシグナル伝達する[Hinck (2012) FEBS Letters 586:1860−1870]。他の分枝は、スーパーファミリーのより遠い関連タンパク質を含み、例えば、BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF1、GDF5、GDF6、およびGDF7を含み、これは、Smad1、5、および8を介してシグナル伝達する。
TGFβアイソフォームは、TGFβスーパーファミリーの創立メンバーであり、そのうち、哺乳動物では、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3と表示される、3つのアイソフォームが公知である。生物活性の成熟TGFβリガンドは、ホモ二量体として機能し、主に、I型受容体であるALK5を介してシグナル伝達するが、加えてまた、内皮細胞内のALK1を介してもシグナル伝達することが見出されている[Goumansら(2003年)Mol Cell 12巻(4号):817〜828頁]。TGFβ1は、最も夥多であり、かつ遍在的に発現するアイソフォームである。TGFβ1は、創傷治癒において重要な役割を果たすことが公知であり、構成的に活性のTGFβ1トランス遺伝子を発現させるマウスは、線維症を発症する[Clouthierら(1997年)J Clin. Invest.100巻(11号):2697〜2713頁]。TGFβ1の発現は、ヒト神経膠芽腫細胞において最初に記載されたが、胚性神経系のニューロン内および星状膠細胞細胞内で生じる。TGFβ3は当初、ヒト横紋筋肉腫細胞系から単離され、以来、肺腺癌および腎癌細胞系において見出されている。TGFβ3は、口蓋および肺の形態形成に重要であることが公知である[Kubiczkovaら(2012年)Journal of Translational Medicine 10巻:183頁]。
アクチビンは、TGF−βスーパーファミリーのメンバーであり、当初、濾胞刺激ホルモンの分泌の調節因子として発見されたが、その後、多様な生殖的および非生殖的役割が特徴付けられている。2つの近縁のβサブユニットのホモ/ヘテロ二量体(それぞれ、βAβA、βBβB、およびβAβB)である、3つの主要なアクチビン形態(A、B、およびAB)が存在する。ヒトゲノムはまた、主に肝臓内で発現する、アクチビンCおよびアクチビンEもコードし、βCまたはβEを含有するヘテロ二量体形態もまた公知である。TGF−βスーパーファミリーにおいて、アクチビンは、卵巣および胎盤の細胞におけるホルモン生成を刺激し得、神経細胞の生存を支援し得、細胞周期の進行に対して細胞型に依存して正もしくは負に影響を及ぼし得、そして、少なくとも両生類の胚において中胚葉分化を誘導し得る、独特かつ多機能の作用因子である[DePaoloら(1991年)、Proc Soc Ep Biol Med.198巻:500〜512頁;Dysonら(1997年)、Curr Biol.7巻:81〜84頁;およびWoodruff(1998年)、Biochem Pharmacol.55巻:953〜963頁]。いくつかの組織では、アクチビンのシグナル伝達は、その関連するヘテロ二量体であるインヒビンによってアンタゴナイズされる。例えば、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌の制御において、アクチビンは、FSHの合成および分泌を促進するが、インヒビンは、FSHの合成および分泌を低減する。アクチビンの生活性を調節し得、そして/または、アクチビンに結合し得る他のタンパク質としては、フォリスタチン(FS)、フォリスタチン関連タンパク質(FSRP、FLRGまたはFSTL3としても公知)およびα2−マクログロブリンが挙げられる。
本明細書で記載される通り、「アクチビンA」に結合する作用因子は、単離βAサブユニットの文脈であれ、二量体の複合体(例えば、βAβAホモ二量体またはβAβBヘテロ二量体)としてであれ、βAサブユニットに特異的に結合する作用因子である。ヘテロ二量体の複合体(例えば、βAβBヘテロ二量体)の場合、「アクチビンA」に結合する作用因子は、βAサブユニット内に存在するエピトープには特異的であるが、複合体のβA以外のサブユニット(例えば、複合体のβBサブユニット)内に存在するエピトープには結合しない。同様に、「アクチビンA」にアンタゴナイズする(これを阻害する)本明細書で開示される作用因子は、単離βAサブユニットの文脈であれ、二量体の複合体(例えば、βAβAホモ二量体またはβAβBヘテロ二量体)としてあれ、βAサブユニットにより媒介される1つまたは複数の活性を阻害する作用因子である。βAβBヘテロ二量体の場合、「アクチビンA」を阻害する作用因子は、βAサブユニットの1つまたは複数の活性を特異的に阻害するが、複合体のβA以外のサブユニット(例えば、複合体のβBサブユニット)の活性は阻害しない作用因子である。この原則はまた、「アクチビンB」、「アクチビンC」、および「アクチビンE」に結合し、かつ/またはこれらを阻害する作用因子にも当てはまる。「アクチビンAB」にアンタゴナイズする本明細書で開示される作用因子は、βAサブユニットにより媒介される1つまたは複数の活性と、βBサブユニットにより媒介される1つまたは複数の活性とを阻害する作用因子である。
BMPおよびGDFは、併せて、TGF−βスーパーファミリーの特徴的折り畳みを共有するシステインノットサイトカインのファミリーを形成する[Riderら(2010年)、Biochem J.、429巻(1号):1〜12頁]。このファミリーは、例えば、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7、BMP2a、BMP3、BMP3b(GDF10としても公知)、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、BMP8a、BMP8b、BMP9(GDF2としても公知)、BMP10、BMP11(GDF11としても公知)、BMP12(GDF7としても公知)、BMP13(GDF6)、BMP14(GDF5としても公知)、BMP15、GDF1、GDF3(VGR2としても公知)、GDF8(ミオスタチンとしても公知)、GDF9、GDF15およびdecapentaplegicを含む。骨形成を誘導する能力であって、BMPにそれらの名称を与えた能力のほか、BMP/GDFは、広範にわたる組織の発達における形態形成活性も提示する。BMP/GDFホモおよびヘテロ二量体は、I型およびII型受容体の二量体の組合せと相互作用して、複数の可能なシグナル伝達複合体をもたらし、SMAD転写因子の2つの競合するセットのうちの1つを活性化させる。BMP/GDFは、高度に特異的で、局在化された機能を有する。これらは、BMP/GDF発現の発達上の制限を含む多数の形で調節されており、高アフィニティでサイトカインに結合するいくつかの特異的BMPアンタゴニストタンパク質の分泌を介して調節されている。興味深いことに、これらの多数のアンタゴニストは、TGF−βスーパーファミリーのリガンドに相似している。
増殖および分化因子8(GDF8)は、ミオスタチンとしても公知であり、骨格筋量の負の調節因子である。GDF8は、発生中および成体中の骨格筋において高度に発現する。遺伝子導入マウスにおけるGDF8欠失変異は、骨格筋の顕著な肥大および過形成を特徴とする[McPherronら、Nature(1997年)、387巻:83〜90頁]。骨格筋量の同様の増加は、ウシおよび、驚くべきことに、ヒト[Ashmoreら(1974年)、Growth、38巻:501〜507頁;SwatlandおよびKieffer、J. Anim. Sci.、(1994年)38巻:752〜757頁;McPherronおよびLee、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、(1997年)94巻:12457〜12461頁;Kambadurら、Genome Res.、(1997年)7巻:910〜915頁;およびSchuelkeら(2004年)、N Engl J Med、350巻:2682〜8頁]におけるGDF8の天然に存在する変異において明らかである。研究は、ヒトにおけるHIV感染に関連する筋肉疲弊には、GDF8タンパク質の発現の増加が随伴することも示している[Gonzalez−Cadavidら、PNAS、(1998年)95巻:14938〜43頁]。加えて、GDF8は、筋肉特異的酵素(例えば、クレアチンキナーゼ)の生成を調節することが可能であり、筋芽細胞の増殖を調節し得る[国際特許出願公開第WO00/43781号]。GDF8プロペプチドは、成熟GDF8ドメイン二量体に非共有結合的に結合し、その生物活性を不活性化することができる[Miyazonoら(1988年)、J. Biol. Chem.、263巻:6407〜6415頁;Wakefieldら(1988年)、J. Biol. Chem.、263巻:7646〜7654頁;およびBrownら(1990年)、Growth Factors、3巻:35〜43頁]。GDF8または構造的に関連するタンパク質に結合し、それらの生物活性を阻害する他のタンパク質として、フォリスタチン、および、潜在的に、フォリスタチン関連タンパク質が挙げられる[Gamerら(1999年)、Dev. Biol.、208巻:222〜232頁]。
BMP11としても公知のGDF11は、マウス発生時に尾芽、肢芽、上顎弓および下顎弓、ならびに後根神経節において発現する分泌タンパク質である[McPherronら(1999年)、Nat. Genet.、22巻:260〜264頁;およびNakashimaら(1999年)、Mech. Dev.、80巻:185〜189頁]。GDF11は、中胚葉組織および神経組織の両方のパターン形成において、固有の役割を果たす[Gamerら(1999年)、Dev Biol.、208巻:222〜32頁]。GDF11は、発生中のニワトリの肢における軟骨形成および筋発生の負の調節因子であることが示された[Gamerら(2001年)、Dev Biol.、229巻:407〜20頁]。筋内のGDF11の発現はまた、GDF8と同様の方式での筋肉の増殖の調節におけるその役割も示唆する。加えて、脳内のGDF11の発現は、GDF11はまた、神経系の機能に関連する活性を有し得ることを示唆する。興味深いことに、GDF11は、嗅上皮における神経発生を阻害することも見出された[Wuら(2003年)、Neuron、37巻:197〜207頁を参照]。よって、GDF11は、筋疾患および神経変性疾患(例えば、筋委縮性側索硬化症)などの疾患を処置するのに、インビトロおよびインビボにおいて適用することができる。
一部には、本明細書に提示されているデータは、ActRIIアンタゴニスト(阻害剤)を使用して、がんを処置することができることを実証する。特に、ActRIIA/B抗体、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ二量体のいずれか別々による処置が、がんモデルにおける腫瘍負荷を減少し、生存時間を増加したことが示された。さらに、PD1−PDL1アンタゴニストと組み合わせたActRIIA/B抗体を使用して、いずれかの薬剤単独で観察される効果と比較して、抗腫瘍活性を相乗的に増加させ得ることが示された。いずれか特定の機構に束縛されることを望まないが、ActRIIA/B抗体、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチドおよびALK4:ActRIIBヘテロ二量体の効果が、主としてActRIIシグナル伝達アンタゴニスト効果に起因することが予測される。機構に関係なく、本明細書に提示されているデータから、ActRIIシグナル伝達アンタゴニストが、がん患者における腫瘍負荷の重症度を低減し、生存を延長することが明らかである。
本明細書で記載されている研究において使用されたがんのための動物モデルは、ヒトにおける有効性を予測するものと考慮され、したがって、本開示は、ActRIIアンタゴニストを、単独で、または1つまたは複数の支持療法および/または追加的な活性剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなど、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせて使用して、がんを処置し、特に、がんの1つまたは複数の合併症の重症度および/または進行を予防または低減する(例えば、腫瘍負荷を低減し、生存時間を増加させる)ための方法を提供する。加えて、データは、ActRIIアンタゴニスト療法の有効性が、免疫系に依存することを指し示す。したがって、一部には、本開示は、ActRIIアンタゴニストを免疫療法薬として使用して、特に、多種多様ながん(例えば、免疫抑制および/または免疫疲弊に関連するがん)を処置することができるという発見に関する。他の公知の免疫腫瘍学的薬剤と同様に、患者における免疫応答を増強するActRIIアンタゴニストの能力は、がん分野外のより幅広い治療上の意義を有することができる。例えば、免疫増強剤が、免疫抑制および/または免疫疲弊を促進する多種多様な感染性疾患、特に、病原因子の処置において有用となり得ることが提案された。また、このような免疫増強剤は、ワクチン(例えば、感染性疾患およびがんワクチン)の免疫化有効性のブーストにおいて有用となり得る。したがって、本開示は、単独でまたは組み合わせて使用して、任意選択で、1つまたは複数の支持療法および/または追加的な活性剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなど、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせて、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させる、がんを処置する、感染性疾患(病原体)を処置する、および/または免疫化有効性を増加させることができる様々なActRIIアンタゴニストを提供する。
本明細書で開示される通り、ActRIIアンタゴニストという用語は、例えば、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、アクチビン(例えば、アクチビンAおよびアクチビンB)、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10およびBMP9]を阻害するアンタゴニスト;1つまたは複数のActRII関連I型、II型または共受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIBおよびALK4)を阻害するアンタゴニスト;および1つまたは複数のActRII関連下流シグナル伝達構成成分(例えば、Smad2および3など、Smadタンパク質)を阻害するアンタゴニストを含む、ActRIIシグナル伝達のアンタゴナイズに使用することができる種々の薬剤を指す。本開示の方法および使用に従って使用されるべきActRIIアンタゴニストは、種々の形態、例えば、リガンドトラップ(例えば、可溶性ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチドおよびALK4:ActRIIBヘテロ二量体)、抗体アンタゴニスト(例えば、ActRIIA/B抗体、またはActRIIA抗体およびActRIIB抗体の組合せ)、小分子アンタゴニスト[例えば、アクチビン(例えば、アクチビンAおよびアクチビンB)、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、ALK4、ActRIIA、ActRIIBおよび1つまたは複数のSmadタンパク質(例えば、Smad2および3)のうち1つまたは複数を阻害する小分子]およびヌクレオチドアンタゴニスト[例えば、アクチビン(例えば、アクチビンAおよびアクチビンB)、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、BMP9、ALK4、ActRIIA、ActRIIBおよび1つまたは複数のSmadタンパク質(例えば、Smad2および3)のうち1つまたは複数を阻害するヌクレオチド配列]を含む。
本明細書中で使用される用語は、一般に、本開示の文脈の範囲内で、かつ、各々の用語が使用される特定の文脈において、当該分野におけるその通常の意味を有する。本開示の組成物および方法、ならびに、これらの作製方法および使用方法の記載において、専門家にさらなる案内を提供するために、特定の用語が以下または本明細書中の他の場所で論じられている。用語の任意の使用の範囲および意味は、それが使用される特定の文脈から明らかである。
「ヘテロマー」または「ヘテロ多量体」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも第1のポリペプチド鎖と、第2のポリペプチド鎖とを含む複合体であって、第2のポリペプチド鎖のアミノ酸配列が、第1のポリペプチド鎖と、少なくとも1つのアミノ酸残基だけ異なる複合体を指す。ヘテロマーは、第1および第2のポリペプチド鎖により形成される「ヘテロ二量体」を含む場合もあり、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖に加えて、1つまたは複数のポリペプチド鎖が存在する高次構造を形成する場合もある。ヘテロ多量体の例示的な構造は、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体およびさらなるオリゴマー構造を含む。本明細書では、ヘテロ二量体を、X:Yまたは、これと同義に、X−Yと表示する[表示中、Xは、第1のポリペプチド鎖を表示し、Yは、第2のポリペプチド鎖を表示する]。本明細書では、高次ヘテロマー構造および高次オリゴマー構造も、対応する形で表示する。
「相同」は、そのあらゆる文法的な形態および語の綴りのバリエーションにおいて「共通する進化的起源」を有する2つのタンパク質間の関係を指し、同じ生物種のスーパーファミリーからのタンパク質ならびに異なる生物種からの相同タンパク質を含む。このようなタンパク質(およびこれをコードする核酸)は、%同一性の観点であれ、特定の残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によるものであれ、その配列類似性によって反映されるように、配列の相同性を有する。しかし、一般的な用法およびこの出願において、用語「相同」は、「高度に」のような副詞で修飾されるとき、配列の類似性を指す場合があり、そして、共通する進化の起源に関連していてもしていなくてもよい。
用語「配列類似性」は、そのあらゆる文法的な形態において、共通する進化の起源を共有している場合も共有していない場合もある、核酸もしくはアミノ酸配列間の同一性もしくは対応性の程度をいう。
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に照らした「配列同一性パーセント(%)」とは、配列を決定し、必要な場合、最大の配列同一性パーセントを達成するようにギャップを導入した後における、保存的置換は配列同一性の一部と考えない場合の、候補配列内のアミノ酸残基(または核酸)の百分率であって、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列内のアミノ酸残基(または核酸)と同一であるアミノ酸残基(または核酸)の百分率と定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定することを目的とするアラインメントは、当該分野の技術の範囲内にある種々の方式で、例えば、BLASTソフトウェア、BLAST−2ソフトウェア、ALIGNソフトウェア、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなど、一般に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、配列を決定するのに適切なパラメータであって、比較される配列の全長にわたり最大のアラインメントを達成するのに必要とされる、任意のアルゴリズムを含むパラメータを決定することができる。しかし、本明細書の目的では、アミノ酸(核酸)配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムである、ALIGN−2を使用して生成する。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.により作成され、ソースコードは、使用説明書と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、ここで、米国著作権登録第TXU510087号として登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco、Calif.から一般に利用可能であるが、ソースコードからコンパイルすることもできる。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含む、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム上の使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムにより設定され、変化しない。
その全ての文法的形態において、「アゴナイズ」とは、タンパク質および/もしくは遺伝子を活性化させる(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を活性化させるか、もしくは増幅することにより、または不活性タンパク質を活性状態に入るように誘導することにより)か、またはタンパク質および/もしくは遺伝子の活性を増大させる過程を指す。
その全ての文法的形態において、「アンタゴナイズ」とは、タンパク質および/もしくは遺伝子を阻害する(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を阻害するか、もしくは減少させることにより、または活性タンパク質を不活性状態に入るように誘導することにより)か、または
タンパク質および/もしくは遺伝子の活性を減少させる過程を指す。
本明細書で使用する場合、他に記されていなければ、「Xに実質的に結合しない」は、薬剤が、「X」に対し約10−7、10−6、10−5、10−4超もしくはそれを超える(例えば、KDの決定に使用されるアッセイによって検出可能な結合なし)KDを有する、または「X」に対し相対的に弱い結合、例えば、約1×10−8Mもしくは約1×10−9Mを有することを意味すると意図される。
本明細書および特許請求の範囲を通して数値と関連して使用される場合の「約」および「およそ」という用語は、当業者にとって馴染みがあり、許容可能な、正確さの区間を表す。一般に、このような正確さの区間は、±10%である。代替的に、特に、生物学的系では、「約」および「およそ」という用語は、ある大きさの程度内、好ましくは、所与の値の≦5倍であり、より好ましくは、≦2倍以内である値を意味し得る。
本明細書で開示される数値範囲は、範囲を規定する数について包含的である。
「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、その用語が使用される文脈によりそうでないことが明らかに指示されるのでない限り、複数の言及を含む。本明細書では、「1つの(a)」(または「1つの(an)」)という用語、ならびに「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」という用語を、互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合の「および/または」とは、2つまたはこれを超える指定された特色または構成要素であって、他の特色または構成要素を伴うかまたは伴わない特色または構成要素の各々を具体的に開示するものとして理解されるものとする。したがって、本明細書において、「Aおよび/またはB」などの語句において使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される「および/または」という用語は、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)の各々を包摂することを意図する。
本明細書を通して、「〜を含む(comprise)」という語、または「〜を含む(comprises)」もしくは「〜を含むこと(comprising)」などの変化形は、言明された整数または整数の群の包含を含意するものであり、他のいずれの整数または整数の群の除外も含意するものではないと理解される。
2.ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドおよびALK4:ActRIIBヘテロ多量体
ある特定の態様では、本開示は、ActRIIポリペプチドおよびその使用(例えば、免疫応答の増加を必要とする対象における免疫応答の増加およびがんまたは病原体の処置)に関する。本明細書で使用する場合、「ActRII」という用語は、II型アクチビン受容体のファミリーを指す。このファミリーは、アクチビン受容体IIA型(ActRIIA)およびアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)を含む。一部の態様では、本開示は、本明細書において概して、「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体」または「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体」と称される、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドおよび少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含むヘテロ多量体およびその使用(例えば、免疫応答の増加を必要とする対象における免疫応答の増加およびがんまたは病原体の処置)に関する。
本明細書で使用する場合、用語「ActRIIB」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなActRIIBタンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるActRIIBに対する言及は、現在同定されている形態のうちの任意の1つに対する言及であるものと理解される。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび予測セリン/スレオニンキナーゼ活性を持つ細胞質ドメインから構成される、膜貫通タンパク質である。
用語「ActRIIBポリペプチド」は、ActRIIBファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチド、ならびに、有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、フラグメント、融合体およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを包含する。このような改変体ActRIIBポリペプチドの例は、本開示を通して提供されるほか、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2006/012627号、同第WO2008/097541号および同第WO2010/151426号においても提供されている。本明細書で記載される、全てのActRIIB関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記で提供される、ヒトActRIIB前駆体のタンパク質配列(配列番号1)の番号付けに基づく。
ヒトActRIIB前駆体のタンパク質配列は、以下の通りである。
シグナルペプチドは、一重下線で指し示し、細胞外ドメインは、太字フォントで指し示し、潜在的な、内因性N−連結グリコシル化部位は、二重下線で指し示す。
プロセシング後の細胞外ActRIIBポリペプチド配列は、以下の通りである。
一部の実施形態では、タンパク質は、N末端における「SGR・・・」配列により生成することができる。細胞外ドメインのC末端「テール」は、一重下線で指し示す。「テール」を欠失させた配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
配列番号1の64位においてアラニン(A64)を有するActRIIBの形態についてはまた、文献、例えば、Hildenら(1994年)、Blood、83巻(8号):2163〜2170頁を参照されたい、においても報告されている。A64置換を有するActRIIBの細胞外ドメインを含むActRIIB−Fc融合タンパク質は、アクチビンおよびGDF11に対するアフィニティが比較的低いことが確認された。これに対し、64位においてアルギニン(R64)を有する、同じActRIIB−Fc融合タンパク質は、アクチビンおよびGDF11に対するアフィニティが、低nM〜高pMの範囲である。したがって、R64を有する配列を、本開示におけるヒトActRIIBのための「野生型」参照配列として使用する。
64位においてアラニンを有するActRIIBの形態は、以下の通りである。
シグナルペプチドは、一重下線で指し示し、細胞外ドメインは、太字フォントで指し示す。
代替的なA64形態の、プロセシング後の細胞外ActRIIBポリペプチド配列は、以下の通りである。
一部の実施形態では、タンパク質は、N末端における「SGR・・・」配列により生成することができる。細胞外ドメインのC末端「テール」は、一重下線で指し示す。「テール」を欠失させた配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
ヒトActRIIB前駆体タンパク質をコードする核酸配列であって、ActRIIB前駆体のアミノ酸1〜513をコードする、Genbank参照配列NM_001106.3のヌクレオチド25〜1560を表す核酸配列を、下記(配列番号7)に示す。示される配列は、64位においてアルギニンを提示するが、代わりに、アラニンを提示するように改変することができる。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後のヒト細胞外ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列は、以下(配列番号8)の通りである。示される配列は、64位においてアルギニンを提示するが、代わりに、アラニンを提示するように改変することができる。
ヒトActRIIB細胞外ドメインおよびヒトActRIIA細胞外ドメインのアミノ酸配列のアラインメントを、図1に例示する。このアラインメントは、両方の受容体内のアミノ酸残基であって、ActRIIリガンドに直接接触すると考えられるアミノ酸残基を指し示す。例えば、複合ActRII構造は、ActRIIB−リガンドの結合ポケットが、部分的に、残基Y31、N33、N35、L38〜T41、E47、E50、Q53〜K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78〜N83、Y85、R87、A92、およびE94〜F101により規定されることを指し示した。これらの位置では、保存的変異が許容されることが予測される。
加えて、ActRIIBは、完全に保存された細胞外ドメインの大きな連なりを伴って、脊椎動物間で良好に保存されている。例えば、図2は、多様なActRIIBオーソログと比較してヒトActRIIB細胞外ドメインの多重配列アラインメントを描示する。ActRIIBに結合するリガンドの多くもまた、高度に保存されている。したがって、これらのアラインメントから、リガンド結合ドメイン内の鍵となるアミノ酸位置であって、正常なActRIIB−リガンド結合活性に重要なアミノ酸位置を予測するほか、正常なActRIIB−リガンド結合活性を著明に変更せずに、置換を許容する可能性が高いアミノ酸位置も予測することが可能である。したがって、本開示の方法に従い有用な活性ヒトActRIIB改変体ポリペプチドは、別の脊椎動物ActRIIBの配列に由来する、対応する位置における1つまたは複数のアミノ酸を含んでもよいし、ヒトまたは他の脊椎動物配列内の残基と類似する残基を含んでもよい。以下の例は、限定的であると意図せずに、活性ActRIIB改変体を規定するこの手法を例示する。ヒト細胞外ドメイン(配列番号103)内のL46は、XenopusのActRIIB(配列番号105)ではバリンであるので、この位置は変更することができ、任意選択で、V、I、もしくはFなどの別の疎水性残基、またはAなどの非極性残基に変更することができる。ヒト細胞外ドメイン内のE52はXenopusではKであり、この部位がE、D、K、R、H、S、T、P、G、YおよびおそらくAなどの極性残基を含む、広範な変化を許容し得ることを示す。.ヒト細胞外ドメイン内のT93はXenopusではKであり、広範な構造バリエーションがこの位置で許容され、S、K、R、E、D、H、G、P、GおよびYなどの極性残基が好まれることを示す。ヒト細胞外ドメイン内のF108はXenopusではYであり、したがってYまたは他の疎水性基、例えばI、VまたはLが許容されるはずである。ヒト細胞外ドメイン内のE111はXenopusではKであり、D、R、KおよびH,ならびにQおよびNを含む荷電残基がこの位置で許容されることを示す。ヒト細胞外ドメイン内のR112はXenopusではKであり、RおよびHを含む塩基性残基がこの位置で許容されることを示す。ヒト細胞外ドメイン内の119位のAは、比較的保存が不良であり、齧歯動物ではPとして現れ、XenopusではVとして現れるので、この位置では、本質的に任意のアミノ酸が許容されるはずである。
さらに、当該分野では、ActRIIタンパク質は、特にリガンド結合に関する、構造機能的特徴との関係で特徴付けられている[Attisanoら(1992年)、Cell、68巻(1号):97〜108頁;Greenwaldら(1999年)、Nature Structural Biology、6巻(1号):18〜22頁;Allendorphら(2006年)、PNAS、103巻(20号):7643〜7648頁;Thompsonら(2003年)、The EMBO Journal、22巻(7号):1555〜1566頁;ならびに米国特許第7,709,605号、同第7,612,041号、および同第7,842,663号]。本明細書の教示に加えて、これらの参考文献も、1つまたは複数の正常な活性(例えば、リガンド結合活性)を保持するActRIIB改変体をどのようにして生成するのかについての指針を十分に提供している。
例えば、3フィンガーの毒素フォールドとして公知の構造モチーフを規定することは、I型受容体およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、各単量体の受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に配置された保存されたシステイン残基により形成される[Greenwaldら(1999年)、Nat Struct Biol、6巻:18〜22頁;およびHinck(2012年)、FEBS Lett、586巻:1860〜1870頁]。したがって、これらの保存されたシステインの最外殻により画されるようなヒトActRIIBのコアとなるリガンド結合性ドメインは、配列番号1(ActRIIB前駆体)の29〜109位に対応する。これらのシステインによって画されるコア配列に隣接する構造的に秩序のより乏しいアミノ酸は、必ずしもリガンド結合性を変更することなく、N末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28残基だけ、かつ/またはC末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25残基だけ短縮することができる。N末端および/またはC末端短縮型についての例示的なActRIIB細胞外ドメインとして、配列番号2、3、5、および6が挙げられる。
Attisanoらは、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端におけるプロリンノットの欠失が、受容体のアクチビンに対するアフィニティを低減することを示した。本明細書の配列番号1のアミノ酸20〜119を含有するActRIIB−Fc融合タンパク質である「ActRIIB(20〜119)−Fc」は、GDF11およびアクチビンへの結合が、プロリンノット領域と、完全膜近傍ドメインとを含むActRIIB(20〜134)−Fcと比べて低減されている(例えば、米国特許第7,842,663号を参照されたい)。しかし、ActRIIB(20〜129)−Fcタンパク質は、プロリンノット領域が破壊されていてもなお、野生型と比べてある程度低減されているが、同様の活性を保持する。
よって、アミノ酸134、133、132、131、130および129(配列番号1に関する)で終止するActRIIB細胞外ドメインは全て、活性であることが予測されるが、134または133で終止する構築物は、最も活性であり得る。同様に、残基129〜134(配列番号1に関する)のいずれかにおける変異も、リガンド結合アフィニティを、大幅に変更することはないと予測される。この裏付けとして、当該分野では、P129およびP130(配列番号1に関する)の変異は、リガンド結合を、実質的に減少しないことが公知である。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、アミノ酸109(最終システイン)という前方の位置で終結し得るが、109および119において、または109〜119の間(例えば、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118または119)で終結する形態は、リガンド結合が低減されることが予測される。アミノ酸119(配列番号1に関する)は、保存が良好でないので、たやすく変更または切断される。128(配列番号1に関する)またはこの後方の位置で終結するActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップは、リガンド結合活性を保持するはずである。配列番号1に関して、119および127でまたは119〜127の間(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126または127)で終結するActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップは、中程度の結合能を有するであろう。これらの形態のいずれも、臨床状況または実験状況に応じて、使用が所望され得る。
ActRIIBのN末端では、アミノ酸29またはこの前方の位置(配列番号1に関する)で始まるタンパク質は、リガンド結合活性を保持することが予測される。アミノ酸29は、最初のシステインを表示する。24位(配列番号1に関する)における、アラニンからアスパラギンへの変異は、リガンド結合に実質的に影響を及ぼさずに、N結合型グリコシル化配列を導入する[米国特許第7,842,663号]。これは、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域との間の領域であって、アミノ酸20〜29に対応する領域内の変異が、良好に許容されることを確認する。特に、20、21、22、23および24位(配列番号1に関する)に始まるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップは、一般的なリガンド結合(biding)活性を保持するはずであり、25、26、27、28および29位(配列番号1に関する)に始まるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBに基づくGDFトラップもまた、リガンド結合活性を保持すると予測される。例えば、米国特許第7,842,663号では、驚くべきことに、22、23、24または25で始まるActRIIB構築物は、最も大きな活性を有することが実証されている。
まとめると、ActRIIBの活性部分(例えば、リガンド結合部分)の一般式は、配列番号1のアミノ酸29〜109を含む。したがって、ActRIIBポリペプチドは、例えば、配列番号1のアミノ酸20〜29のいずれか1つ(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つで始まる)に対応する残基で始まり、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸109〜134(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終わる)に対応する位置で終わるActRIIBの部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、から本質的になる、またはからなり得る。他の例として、配列番号1の20〜29(例えば、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、または29位のいずれか1つ)または21〜29(例えば、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、または29位のいずれか1つ)の位置で始まり、配列番号1の119〜134(例えば、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、または134位のいずれか1つ)、119〜133(例えば、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、または133位のいずれか1つ)、129〜134(例えば、129位、130位、131位、132位、133位、または134位のいずれか1つ)、または129〜133(例えば、129位、130位、131位、132位、または133位のいずれか1つ)の位置で終わるポリペプチドが挙げられる。他の例として、配列番号1の20〜24(例えば、20位、21位、22位、23位、または24位のいずれか1つ)、21〜24(例えば、21位、22位、23位、または24位のいずれか1つ)、または22〜25(例えば、22位、22位、23位、または25位のいずれか1つ)の位置で始まり、配列番号1の109〜134(例えば、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、または134位のいずれか1つ)、119〜134(例えば、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、または134位のいずれか1つ)または129〜134(例えば、129位、130位、131位、132位、133位、または134位のいずれか1つ)の位置で終わる構築物が挙げられる。上述の範囲内の改変体、特に、配列番号1の対応する部分に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一性を有するアミノ酸配列を含む、から本質的になるまたはからなる改変体も想定される。
本明細書で記載されている改変は、多様な形で組み合わせることができる。一部の実施形態では、ActRIIB改変体は、リガンド結合ポケット内の、1、2、5、6、7、8、9、10または15個を超えない保存的アミノ酸変化と、任意選択で、リガンド結合ポケットの40、53、55、74、79および/または82位における、0、1つまたはこれを超える非保存的変更とを含む。ばらつきが特に良好に許容され得る、結合ポケットの外側の部位は、細胞外ドメイン(上記で言及した)のアミノ末端およびカルボキシ末端と、42〜46および65〜73位(配列番号1に関する)とを含む。65位におけるアスパラギンからアラニンへの変更(N65A)は、R64バックグラウンドにおけるリガンド結合を減少させるとは思われない[米国特許第7,842,663号]。この変化はおそらく、バックグラウンドをA64とするときの、N65におけるグリコシル化を消失させることからこの領域内の著名な変化は、許容される可能性が高いことが実証される。R64A変化は、許容が不良であるが、R64Kは、許容が良好であるので、64位には、Hなど、別の塩基性残基も、許容され得る[米国特許第7,842,663号]。その上、当該分野で記載されている変異誘発プログラムの結果は、保存することが有益であることが多いアミノ酸位置がActRIIBに存在することを指し示す。配列番号1に関して、このような位置は、80位(酸性または疎水性アミノ酸)、78位(疎水性、特に、トリプトファン)、37位(酸性、特に、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、56位(塩基性アミノ酸)、60位(疎水性アミノ酸、特に、フェニルアラニンまたはチロシン)を含む。よって、本開示は、ActRIIBポリペプチドにおいて保存され得るアミノ酸のフレームワークを提供する。保存することが所望され得る他の位置を次に挙げる:全て配列番号1に関する、52位(酸性アミノ酸)、55位(塩基性アミノ酸)、81位(酸性)、98(極性または荷電、特に、E、D、RまたはK)。
ActRIIB細胞外ドメインへのさらなるN結合型グリコシル化部位(N−X−S/T)の付加の許容が良好であることがすでに実証されている(例えば、米国特許第7,842,663号を参照)。したがって、N−X−S/T配列は一般に、例えば、図1に定義されている、本開示のActRIIBポリペプチドにおけるリガンド結合ポケットの外側の位置に導入することができる。非内在性N−X−S/T配列の導入に特に適した部位は、アミノ酸20〜29、20〜24、22〜25、109〜134、120〜134または129〜134(配列番号1に関する)を含む。N−X−S/T配列は、ActRIIB配列およびFcドメインまたは他の融合構成成分の間のリンカーに、ならびに任意選択で、融合構成成分それ自体に導入することもできる。このような部位は、最小の労力で、既存のSもしくはTに関して正確な位置にNを導入することにより、または既存のNに対応する位置にSもしくはTを導入することにより、導入することができる。よって、N結合型グリコシル化部位を作製するであろう所望される変更を次に示す:A24N、R64N、S67N(おそらく、N65A変更と組み合わせた)、E105N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132N、R112SおよびR112T(配列番号1に関する)。グリコシル化されると予測される任意のSは、グリコシル化によって提供される保護により、免疫原性部位を作製することなくTに変更され得る。同様に、グリコシル化されると予測される任意のTは、Sに変更され得る。よって、S67TおよびS44T(配列番号1に関する)の変更が想定される。同様に、A24N改変体において、S26T変更を使用することができる。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、上述の通り1つまたは複数の追加的な非内在性N結合型グリコシル化コンセンサス配列を有する改変体となることができる。
ある特定の実施形態では、本開示は、そのフラグメント、機能的な改変体および修飾形態、ならびにその使用(例えば、免疫応答の増加を必要とする患者における免疫応答の増加、およびがんの処置)を含む、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含むActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。好ましくは、ActRIIBポリペプチドは、可溶性である(例えば、ActRIIBの細胞外ドメイン)。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]の活性(例えば、Smadシグナル伝達)をアンタゴナイズする。したがって、一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸20〜29に対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28または29のいずれか1つから始まる)、配列番号1のアミノ酸109〜134に対応する位置で終結する(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133または134のいずれか1つで終結する)ActRIIBの部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、から本質的になる、またはからなる。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29〜109と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29〜109と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸(自然発生の酸性アミノ酸DおよびEまたは人工の酸性アミノ酸)である。ある特定の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸25〜131と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる。ある特定の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸25〜131と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸である。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、73、77、78、128、131、132および133のうちいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、73、77、78、128、131、132および133のうちいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸である。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む、からなる、またはから本質的になり、配列番号1のL79に対応する位置は、酸性アミノ酸ではない(すなわち、自然発生の酸性(acid)アミノ酸DもしくはEまたは人工の酸性アミノ酸残基ではない)。
ある特定の実施形態では、本開示は、ActRIIAポリペプチドに関する。本明細書で使用する場合、「ActRIIA」という用語は、任意の種由来のアクチビン受容体IIA型(ActRIIA)タンパク質のファミリー、および変異誘発または他の修飾によるこのようなActRIIAタンパク質に由来する改変体を指す。本明細書におけるActRIIAの参照は、現在同定された形態のいずれか1つの参照であると理解される。ActRIIAファミリーのメンバーは一般に、システインリッチ領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインで構成された膜貫通タンパク質である。
「ActRIIAポリペプチド」という用語は、ActRIIAファミリーメンバーの任意の自然発生のポリペプチド、および有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、フラグメント、融合体およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含む。このような改変体ActRIIAポリペプチドの例は、本開示を通して、ならびにこれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開番号WO2006/012627およびWO2007/062188において提供される。本明細書で記載されている全ActRIIA関連ポリペプチドのアミノ酸のナンバリングは、他に特に表示がなければ、下に示すヒトActRIIA前駆体タンパク質配列(配列番号9)のナンバリングに基づく。
ヒトActRIIA前駆体タンパク質配列を次に示す:
シグナルペプチドは、一重下線によって指し示され;細胞外ドメインは、太字フォントで指し示され;潜在的内在性N結合型グリコシル化部位は、二重下線によって指し示される。
プロセシングされた細胞外ヒトActRIIAポリペプチド配列を次に示す:
細胞外ドメインのC末端「テール」は、一重下線によって指し示される。「テール」が欠失した配列(Δ15配列)を次に示す:
ヒトActRIIA前駆体タンパク質をコードする核酸配列を、次のように下に示す(配列番号12);Genbank参照配列NM_001616.4のヌクレオチド159〜1700。シグナル配列に下線を引く。
プロセシングされたヒトActRIIAポリペプチドをコードする核酸配列を次に示す:
ActRIIAは、脊椎動物の間で十分に保存されており、細胞外ドメインの大きいストレッチが完全に保存されている。例えば、図3は、様々なActRIIAオルソログと比較して、ヒトActRIIA細胞外ドメインの多重配列アライメントを描写する。ActRIIAに結合するリガンドの多くも高度に保存されている。したがって、これらのアライメントから、正常なActRIIA−リガンド結合活性に重要なリガンド結合性ドメイン内の鍵となるアミノ酸位置を予測すると共に、正常なActRIIA−リガンド結合活性を有意に変更することなく、置換に許容がある可能性があるアミノ酸位置を予測することが可能である。したがって、本明細書で開示されている方法に従って有用な活性ヒトActRIIA改変体ポリペプチドは、対応する位置に、別の脊椎動物ActRIIAの配列由来の1つまたは複数のアミノ酸を含むことができる、またはヒトもしくは他の脊椎動物配列における残基と同様の残基を含むことができる。
限定を意味するものではないが、次の例は、活性ActRIIA改変体を定義する本手法を説明する。図3に説明される通り、ヒト細胞外ドメイン内のF13は、Ovis aries(配列番号108)、Gallus gallus(配列番号111)、Bos Taurus(配列番号112)、Tyto alba(配列番号113)およびMyotis davidii(配列番号114)ActRIIAではYであり、F、WおよびYを含む芳香族残基がこの位置で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のQ24は、Bos Taurus ActRIIAではRであり、D、R、K、HおよびEを含む荷電残基がこの位置で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のS95は、Gallus gallusおよびTyto alba ActRIIAではFであり、E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基、およびおそらくL、IまたはFなどの疎水性残基を含む多種多様な変化がこの部位で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のE52は、Ovis aries ActRIIAではDであり、DおよびEを含む酸性残基がこの位置で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のP29は、比較的保存が不良であり、Ovis aries ActRIIAではS、Myotis davidii ActRIIAではLとして現れるので、この位置では、本質的に任意のアミノ酸が許容されるはずである。
さらに、上記で論じた、ActRIIタンパク質は、構造/機能的特徴の観点から、特に、リガンド結合に関して、当該分野において特徴付けられた[Attisanoら(1992年)Cell 68巻(1号):97〜108頁;Greenwaldら(1999年)Nature Structural Biology 6巻(1号):18〜22頁;Allendorphら(2006年)PNAS 103巻(20号):7643〜7648頁;Thompsonら(2003年)The EMBO Journal 22巻(7号):1555〜1566頁;ならびに米国特許第7,709,605号、同第7,612,041号および同第7,842,663号]。本明細書の教示加えて、これらの参考文献は、1つまたは複数の所望の活性(例えば、リガンド結合活性)を保持するActRIIA改変体を、どのようにして生成するのかについての指針を、十分に提供している。
例えば、3フィンガーの毒素フォールドとして公知の構造モチーフを規定することは、I型およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、単量体の各受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に配置された、保存的システイン残基により形成される[Greenwaldら(1999年)Nat Struct Biol 6巻:18〜22頁;およびHinck(2012年)FEBS Lett 586巻:1860〜1870頁]。したがって、これらの保存的システインの最外殻により画される、ヒトActRIIAの、コアとなるリガンド結合性ドメインは、配列番号9(ActRIIA前駆体)の30〜110位に対応する。したがって、このようなシステインが画すコア配列に隣接する構造的に規則正しくないアミノ酸は、必ずしもリガンド結合を変更することなく、N末端において約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または29残基、C末端において約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25残基で切断することができる。例示的なActRIIA細胞外ドメインの切断型は、配列番号10および11を含む。
したがって、ActRIIAの活性部分(例えば、リガンド結合)の一般式は、配列番号9のアミノ酸30〜110を含む、から本質的になる、またはからなるポリペプチドである。したがって、ActRIIAポリペプチドは、例えば、配列番号9のアミノ酸21〜30のいずれか1つに対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のいずれか1つから始まる)、配列番号9のアミノ酸110〜135のいずれか1つに対応する位置で終結する(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133または135のいずれか1つで終結する)ActRIIAの部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、から本質的になる、またはからなることができる。他の例として、配列番号9の21〜30(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のいずれか1つから始まる)、22〜30(例えば、アミノ酸22、23、24、25、26、27、28、29または30のいずれか1つから始まる)、23〜30(例えば、アミノ酸23、24、25、26、27、28、29または30のいずれか1つから始まる)、24〜30(例えば、アミノ酸24、25、26、27、28、29または30のいずれか1つから始まる)から選択される位置から始まり、配列番号9の111〜135(例えば、アミノ酸111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか1つで終結する)、112〜135(例えば、アミノ酸112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか1つで終結する)、113〜135(例えば、アミノ酸113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか1つで終結する)、120〜135(例えば、アミノ酸120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか1つで終結する)、130〜135(例えば、アミノ酸130、131、132、133、134または135のいずれか1つで終結する)、111〜134(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133または134のいずれか1つで終結する)、111〜133(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132または133のいずれか1つで終結する)、111〜132(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131または132のいずれか1つで終結する)または111〜131(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130または131のいずれか1つで終結する)から選択される位置で終結する構築物が挙げられる。上述の範囲内の改変体、特に、配列番号9の対応する部分に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一性を有するアミノ酸配列を含む、から本質的になるまたはからなる改変体も想定される。よって、一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30〜110と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるポリペプチドを含む、から本質的になる、またはからなることができる。任意選択で、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30〜110と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であり、リガンド結合ポケットに1、2、5、10または15個を超えない保存的アミノ酸変化を含む、ポリペプチドを含む。
ある特定の実施形態では、本開示は、そのフラグメント、機能的な改変体および修飾形態、ならびにその使用(例えば、免疫応答の増加を必要とする患者における免疫応答の増加、およびがんの処置)を含む少なくとも1つのActRIIAポリペプチドを含むActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。好ましくは、ActRIIAポリペプチドは、可溶性である(例えば、ActRIIAの細胞外ドメイン)。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]の(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸21〜30に対応する残基から始まり(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のいずれか1つから始まる)、配列番号9のアミノ酸110〜135のいずれか1つに対応する位置で終結する(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133または135のいずれか1つで終結する)ActRIIAの部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、から本質的になる、またはからなる。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30〜110と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる。ある特定の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸21〜135と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9、10、11、50、54および57のうちいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、GDFトラップポリペプチド(「GDFトラップ」とも称される)に関する。一部の実施形態では、本開示のGDFトラップは、改変体ActRIIポリペプチドが、対応する野生型ActRIIポリペプチドよりも1つまたは複数の変更されたリガンド結合活性を有するような、ActRIIポリペプチド(例えば、「野生型」または無修飾ActRIIポリペプチド)の細胞外ドメイン(リガンド結合性ドメインとも称される)に1つまたは複数の変異(例えば、アミノ酸付加、欠失、置換、およびこれらの組合せ)を含む改変体ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAおよびActRIIBポリペプチド)である。好ましい実施形態では、本開示のGDFトラップポリペプチドは、対応する野生型ActRIIポリペプチドと同様の少なくとも1つの活性を保持する。例えば、好ましいGDFトラップは、GDF11および/またはGDF8に結合し、その機能を阻害する(例えば、アンタゴナイズする)。一部の実施形態では、本開示のGDFトラップは、TGFβスーパーファミリーのリガンドの1つまたは複数にさらに結合し、これを阻害する。したがって、本開示は、1つまたは複数のActRIIリガンドに対する結合特異性が変更したGDFトラップポリペプチドを提供する。
説明するために、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンCおよび/またはアクチビンE)、特に、アクチビンAなど、1つまたは複数のActRII結合リガンドよりも、GDF11および/またはGDF8に対する変更されたリガンド結合性ドメインの選択性を増加させる1つまたは複数の変異を選択することができる。任意選択で、変更されたリガンド結合性ドメインは、野生型リガンド結合性ドメインに対する比と比べて少なくとも2、5、10、20、50、100またはさらには1000倍大きい、アクチビン結合に関するKdの、GDF11および/またはGDF8結合に関するKdに対する比を有する。任意選択で、変更されたリガンド結合性ドメインは、野生型リガンド結合性ドメインと比べて少なくとも2、5、10、20、50、100またはさらには1000倍大きい、アクチビンの阻害に関するIC50の、GDF11および/またはGDF8の阻害に関するIC50に対する比を有する。任意選択で、変更されたリガンド結合性ドメインは、アクチビンの阻害に関するIC50よりも少なくとも2、5、10、20、50、100またはさらには1000倍低いIC50で、GDF11および/またはGDF8を阻害する。
ある特定の好ましい実施形態では、本開示のGDFトラップは、GDF11および/またはGDF8(ミオスタチンとしても公知)に優先的に結合するように設計される。任意選択で、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、アクチビンBにさらに結合することができる。任意選択で、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、BMP6にさらに結合することができる。任意選択で、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、BMP10にさらに結合することができる。任意選択で、GDF11および/またはGDF8結合トラップは、アクチビンBおよびBMP6にさらに結合することができる。ある特定の実施形態では、本開示のGDFトラップは、例えば、野生型ActRIIポリペプチドと比較して、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンA/B、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE)に対し縮小された結合アフィニティを有する。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のGDFトラップポリペプチドは、アクチビンAに対し縮小された結合アフィニティを有する。
ActRIIBタンパク質のアミノ酸残基(例えば、配列番号1に関してE39、K55、Y60、K74、W78、L79、D80およびF101)は、ActRIIBリガンド結合ポケットに存在し、例えば、アクチビンA、GDF11およびGDF8を含むそのリガンドへの媒介性結合に役立つ。よって、本開示は、これらのアミノ酸残基に1つまたは複数の変異を含む、ActRIIB受容体の変更されたリガンド結合性ドメイン(例えば、GDF8/GDF11結合性ドメイン)を含むGDFトラップポリペプチドを提供する。
具体例として、ActRIIBのリガンド結合性ドメインの正に荷電したアミノ酸残基Asp(D80)を異なるアミノ酸残基へと変異させて、GDF8に優先的に結合するが、アクチビンに結合しないGDFトラップポリペプチドを産生することができる。好ましくは、配列番号1に関するD80残基は、無電荷アミノ酸残基、負のアミノ酸残基および疎水性アミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基へと変化させられる。さらに別の具体例として、配列番号1の疎水性残基L79を変更させて、変更されたアクチビン−GDF11/GDF8結合特性を付与することができる。例えば、L79P置換は、アクチビン結合よりも大きな程度までGDF11結合を低減する。対照的に、酸性アミノ酸[アスパラギン酸またはグルタミン酸;L79DまたはL79E置換]によるL79の置き換えは、GDF11結合アフィニティを保持しつつ、アクチビンA結合アフィニティを大幅に低減する。例示的な実施形態では、本明細書で記載されている方法は、任意選択で1つまたは複数の追加的なアミノ酸置換、付加または欠失と組み合わせた、配列番号1の79位に対応する位置に酸性アミノ酸(例えば、DまたはE)を含む改変体ActRIIBポリペプチドであるGDFトラップポリペプチドを利用する。
ある特定の態様では、本開示は、ALK4ポリペプチドおよびその使用(例えば、免疫応答の増加を必要とする患者における免疫応答の増加、およびがんまたは病原体の処置)に関する。本明細書で使用する場合、「ALK4」という用語は、任意の種由来のアクチビン受容体様キナーゼ−4タンパク質のファミリー、および変異誘発または他の修飾によるこのようなALK4タンパク質に由来する改変体を指す。本明細書におけるALK4の参照は、現在同定された形態のいずれか1つの参照であると理解される。ALK4ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインで構成された膜貫通タンパク質である。
用語「ALK4ポリペプチド」は、ALK4ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合体、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK4関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK4前駆体のタンパク質配列(配列番号14)の番号付けに基づく。
ヒトALK4前駆体のタンパク質配列(NCBI参照配列NP_004293)は、以下の通りである。
シグナルペプチドは、一重下線で指し示し、細胞外ドメインは、太字フォントで指し示す。
プロセシング後の細胞外ヒトALK4ポリペプチド配列は、以下の通りである。
ALK4前駆体タンパク質をコードする核酸配列を、下記(配列番号16)に示し、Genbank参照配列NM_004302.4のヌクレオチド78〜1592に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで指し示す。
細胞外ALK4ポリペプチドをコードする核酸配列は、以下の通りである。
ヒトALK4前駆体タンパク質配列の代替アイソフォームであるアイソフォームB(NCBI参照配列NP_064732.3)を次に示す:
細胞外ドメインは、太字フォントで指し示されている。
プロセシングされた細胞外ALK4ポリペプチド配列を次に示す:
ALK4前駆体タンパク質(アイソフォームB)をコードする核酸配列を下に示し(配列番号20)、これは、Genbank参照配列NM_020327.3のヌクレオチド186〜1547に対応する。細胞外ドメインをコードするヌクレオチドは、太字フォントで指し示されている。
細胞外ALK4ポリペプチド(アイソフォームB)をコードする核酸配列を次に示す:
ALK4は、脊椎動物間で、完全に保存された細胞外ドメインの大きな連なりを伴って、良好に保存されている。例えば、図4は、多様なALK4オーソログと比較してヒトALK4細胞外ドメインの多重配列アラインメントを描示する。ALK4に結合するリガンドの多くもまた、高度に保存されている。したがって、これらのアラインメントからは、リガンド結合性ドメイン内の鍵となるアミノ酸位置であって、通常のALK4−リガンドの結合活性に重要なアミノ酸位置を予測することが可能であるほか、通常のALK4−リガンドの結合活性を顕著に変更させずに、置換に対して許容性を有する可能性が高いアミノ酸位置を予測することも可能である。したがって、本開示の方法に従い有用な活性ヒトALK4改変体ポリペプチドは、別の脊椎動物ALK4の配列に由来する、対応する位置における1つまたは複数のアミノ酸を含んでもよいし、ヒトまたは他の脊椎動物配列内の残基と類似する残基を含んでもよい。
限定を意味するものではないが、次の例は、活性ALK4改変体を定義するこの手法を説明する。図4において説明される通り、ヒトALK4細胞外ドメイン(配列番号115)内のV6は、Mus muculus ALK4(配列番号119)ではイソロイシンであることから、この位置を変更することができ、任意選択で、Gallus gallus ALK4(配列番号118)に観察される通り、L、IもしくはFなどの別の疎水性残基またはAなどの非極性残基へと変更することができる。ヒト細胞外ドメイン内のE40は、Gallus gallus ALK4ではKであり、E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基およびおそらくAなどの非極性残基を含む多種多様な変化がこの部位で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のS15は、Gallus gallus ALK4ではDであり、幅広い構造改変が、この位置で許容されることが指し示され、S、T、R、E、K、H、G、P、GおよびYなど、極性残基が好ましい。ヒト細胞外ドメイン内のE40は、Gallus gallus ALK4ではKであり、D、R、K、Hを含む荷電残基ならびにQおよびNが、この位置で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のR80は、Condylura cristata ALK4(配列番号116)ではKであり、R、KおよびHを含む塩基性残基が、この位置で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のY77は、Sus scrofa ALK4(配列番号120)ではFであり、F、WおよびYを含む芳香族残基が、この位置で許容されることが指し示される。ヒト細胞外ドメイン内のP93は、比較的保存が不良であり、Erinaceus europaeus ALK4(配列番号117)ではSとして、Gallus gallus ALK4ではNとして現れるので、この位置では、本質的に任意のアミノ酸が許容されるはずである。
さらに、当該分野では、ALK4タンパク質は、特にリガンド結合に関する、構造機能的特徴との関係で特徴付けられている[例えば、Harrisonら(2003年)、J Biol Chem、278巻(23号):21129〜21135頁;Romanoら(2012年)、J Mol Model、18巻(8号):3617〜3625頁;およびCalvaneseら(2009年)、15巻(3号):175〜183頁]。本明細書の教示に加えて、これらの参考文献も、1つまたは複数の正常な活性(例えば、リガンド結合活性)を保持するALK4改変体をどのようにして生成するのかについての指針を十分に提供している。
例えば、3フィンガーの毒素フォールドとして公知の構造モチーフを規定することは、I型受容体およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、単量体の各受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に配置された、保存的システイン残基によって形成される[Greenwaldら(1999年)Nat Struct Biol 6巻:18〜22頁;およびHinck(2012年)FEBS Lett 586巻:1860〜1870頁]。したがって、これらの保存的システインの最外殻により画される、ヒトALK4の、コアとなるリガンド結合性ドメインは、配列番号14(ALK4前駆体)の34〜101位に対応する。このようなシステインが画すコア配列に隣接する構造的に規則正しくないアミノ酸は、必ずしもリガンド結合を変更することなく、N末端において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33残基、および/またはC末端において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25残基で切断することができる。N末端および/またはC末端切断のための例示的なALK4細胞外ドメインは、配列番号15および19を含む。
したがって、ALK4の活性部分(例えば、リガンド結合部分)の一般式は、配列番号14に関するアミノ酸34〜101を含む。したがって、ALK4ポリペプチドは、例えば、配列番号14のアミノ酸24〜34のいずれか1つ(例えば、アミノ酸24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34のいずれか1つで始まる)に対応する残基で始まり、配列番号14の任意の1つのアミノ酸101〜126(例えば、アミノ酸101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126のいずれか1つで終わる)に対応する位置で終わるALK4の部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。他の例として、配列番号14の24〜34(例えば、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、または34位のいずれか1つ)、25〜34(例えば、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、または34位のいずれか1つ)、または26〜34(例えば、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、または34位のいずれか1つ)の位置で始まり、配列番号14の101〜126(例えば、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、または126位のいずれか1つ)、102〜126(例えば、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、または126位のいずれか1つ)、101〜125(例えば、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、または125位のいずれか1つ)、101〜124(例えば、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、または124位のいずれか1つ)、101〜121(例えば、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、または121位のいずれか1つ)、111〜126(例えば、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、または126位のいずれか1つ)、111〜125(例えば、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、または125位のいずれか1つ)、111〜124(例えば、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、または124位のいずれか1つ)、121〜126(例えば、121位、122位、123位、124位、125位、または126位のいずれか1つ)、121〜125(例えば、121位、122位、123位、124位、または125位のいずれか1つ)、121〜124(例えば、121位、122位、123位、または124位のいずれか1つ)、または124〜126(例えば、124位、125位、または126位のいずれか1つ)の位置で終わる構築物が挙げられる。これらの範囲内の改変体、特に配列番号14の対応する部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するもの、もまた企図される。
本明細書に記載のバリエーションは、様々な形で組み合わせることができる。一部の実施形態では、ALK4改変体は、1、2、5、6、7、8、9、10または15以下の保存的アミノ酸変化をリガンド結合ポケットに含む。結合ポケット外の部位(変動が特によく許容され得る)は細胞外ドメインのアミノおよびカルボキシ末端を含む(上記)。
ある特定の実施形態では、本開示は、そのフラグメント、機能的な改変体および修飾形態、ならびにその使用(例えば、免疫応答の増加を必要とする患者における免疫応答の増加、およびがんの処置)を含む、少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含むヘテロ多量体であるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。好ましくは、ALK4ポリペプチドは、可溶性である(例えば、ALK4の細胞外ドメイン)。一部の実施形態では、ALK4ポリペプチドを含むヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]の(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する。一部の実施形態では、ALK4ポリペプチドを含むヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、ヘテロ多量体は、配列番号14に関するアミノ酸34〜101と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、100%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ヘテロ多量体は、配列番号14、15、18、19、73、74、76、77、79および80のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ヘテロ多量体は、配列番号14、15、18、19、74、76、79、80、143および145のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドからなるまたはから本質的になる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。
ある特定の態様では、本開示は、その使用(例えば、免疫応答の増加を必要とする患者における免疫応答の増加、およびがんの処置)を含む、本明細書において概して「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体」または「ALK4:ActRIIBヘテロ多量体」と称される、1つまたは複数のALK4受容体ポリペプチド(例えば、配列番号14、15、18、19、74、76、79、80、143および145ならびにこれらの改変体)および1つまたは複数のActRIIB受容体ポリペプチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、71、73、77、78、131、132、133、139、141およびこれらの改変体)を含むヘテロ多量体複合体に関する。好ましくは、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、可溶性である[例えば、ヘテロ多量体複合体は、ALK4受容体の可溶性部分(ドメイン)およびActRIIB受容体の可溶性部分(ドメイン)を含む]。一般に、ALK4およびActRIIBの細胞外ドメインは、このような受容体の可溶性部分に対応する。したがって、一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、ALK4受容体の細胞外ドメインおよびActRIIB受容体の細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]の(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、BMP6、GDF3、BMP10および/またはBMP9]に結合する。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号14、15、18、19、74、76、77、79、80、143および145のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、またはからなる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体は、配列番号14のアミノ酸24〜34、25〜34または26〜34のいずれか1つに対応する残基から始まり、配列番号14の101〜126、102〜126、101〜125、101〜124、101〜121、111〜126、111〜125、111〜124、121〜126、121〜125、121〜124または124〜126由来の位置で終結するALK4の部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号14に関するアミノ酸34〜101と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4−ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1、2、3、4、5、6、58、59、60、63、64、65、66、68、69、70、71、73、77、78、131、132、133、139、141のうちいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体は、配列番号1のアミノ酸20〜29、20〜24、21〜24、22〜25または21〜29のいずれか1つに対応する残基から始まり、109〜134、119〜134、119〜133、129〜134または129〜133由来の位置で終結するActRIIBの部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1のアミノ酸29〜109と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、配列番号1のアミノ酸25〜131と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、からなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体複合体は、配列番号1のL79に対応する位置が酸性アミノ酸ではない(すなわち、自然発生のDもしくはEアミノ酸残基または人工の酸性アミノ酸残基ではない)少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。本開示のALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、例えば、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体およびさらにより高次のオリゴマー構造を含む。例えば、図21〜図23を参照されたい。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のヘテロ多量体複合体は、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体である。
一部の実施形態では、本開示は、治療効率または安定性(例えば、保管寿命およびin vivoでのタンパク質分解に対する抵抗性)を増強することなどを目的として、ALK4ポリペプチドおよび/またはActRIIポリペプチドの構造を修飾することにより、機能的な改変体の作製することを想定する。改変体は、アミノ酸置換、欠失、付加またはこれらの組合せによって産生することができる。例えば、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンによる、アスパラギン酸のグルタミン酸による、スレオニンのセリンによる単離された置き換え、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸による同様の置き換え(例えば、保存的変異)に、その結果得られる分子の生物活性に主要な効果がないことを予測するのは妥当である。保存的置き換えは、その側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置き換えである。本開示のポリペプチドのアミノ酸配列の変化が、機能的なホモログをもたらすか否かは、野生型ポリペプチドと同様の様式で、細胞における応答を産生する、または例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLeftyを含む1つもしくは複数のリガンドに結合する、改変体ポリペプチドの能力を評価することにより容易に決定することができる。
ある特定の実施形態では、本開示は、ポリペプチドのグリコシル化を変更することができるような、ALK4ポリペプチドおよび/またはActRIIポリペプチドの特異的な変異を想定する。このような変異は、O結合型またはN結合型グリコシル化部位など、1つまたは複数のグリコシル化部位を導入するまたは消失させることができるように選択することができる。アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は一般に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列である、アスパラギン−X−スレオニンまたはアスパラギン−X−セリン(式中、「X」は任意のアミノ酸である)を含む。変更は、ポリペプチドの配列への1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基の付加またはこれによる置換(O結合型グリコシル化部位のため)によって為すこともできる。グリコシル化認識部位の1番目または3番目のアミノ酸位置の一方または両方における種々のアミノ酸置換または欠失(および/または2番目の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾されたトリペプチド配列における非グリコシル化をもたらす。ポリペプチドにおける炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、ポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素によるカップリングによる。使用されるカップリング機序に応じて、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)システインの遊離スルフヒドリル基など、遊離スルフヒドリル基;(d)セリン、スレオニンもしくはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基など、遊離ヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロシンもしくはトリプトファンの芳香族残基など、芳香族残基;または(f)グルタミンのアミド基に、糖(複数可)を接合することができる。ポリペプチドに存在する1つまたは複数の炭水化物部分の除去は、化学的におよび/または酵素により達せられることができる。化学的脱グリコシルは、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または均等な化合物へのポリペプチドの曝露が関与し得る。この処置は、アミノ酸配列をインタクトに保ちながら、連結糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除いた大部分または全ての糖の切断をもたらす。ポリペプチドにおける炭水化物部分の酵素による切断は、Thotakuraら[Meth. Enzymol.(1987年)138巻:350頁]によって記載されている通り、種々のエンドおよびエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。哺乳動物、酵母、昆虫および植物細胞は全て、ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入し得るため、ポリペプチドの配列は、使用される発現系の種類に応じて適宜調整することができる。一般に、ヒトにおける使用のための本開示のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドおよびヘテロ多量体は、HEK293またはCHO細胞系など、適したグリコシル化をもたらす哺乳動物細胞系において発現させることができるが、他の哺乳動物発現細胞系も同様に、有用であることが予測される。
本開示は、変異体、特に、ALK4および/またはActRIIポリペプチドならびに切断型変異体のコンビナトリアル変異体のセットを生成する方法をさらに想定する。コンビナトリアル変異体のプールは、機能的に活性である(例えば、TGFβスーパーファミリーリガンド結合)ALK4および/またはActRII配列の同定に特に有用である。このようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、変更された薬物動態または変更されたリガンド結合など、変更された特性を有するポリペプチド改変体を生成することとなり得る。種々のスクリーニングアッセイを下に示し、このようなアッセイを使用して、改変体を評価することができる。例えば、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドおよびALK4:ActRIIBヘテロ多量体改変体は、1つまたは複数のTGF−ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)に結合する、TGFβスーパーファミリー受容体へのTGFβスーパーファミリーリガンドの結合を予防する、および/またはTGF−ベータスーパーファミリーリガンドに起因するシグナル伝達に干渉する能力に関してスクリーニングすることができる。
ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の活性は、細胞に基づくアッセイまたはin vivoで試験することもできる。例えば、がん細胞におけるがん成長に関与する遺伝子の発現におけるActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の効果を評価することができる。これは、必要に応じて、1つまたは複数の組換えTGF−ベータスーパーファミリーリガンドタンパク質(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)の存在下で行うことができ、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体(heteromultimes)および任意選択でTGFβスーパーファミリーリガンドを産生することができるように、細胞をトランスフェクトすることができる。同様に、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体ヘテロ多量体をマウスまたは他の動物に投与することができ、当該分野で認識されている方法を使用して、筋肉形成および強度など、1つまたは複数の測定値を評価することができる。同様に、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドもしくはALK4:ActRIIBヘテロ多量体またはその改変体の活性は、例えば、本明細書で記載されているアッセイおよび当該分野の共通知識のアッセイによって、がん細胞において、このような細胞の成長におけるいずれかの効果に関して試験することができる。SMAD応答性レポーター遺伝子は、このような細胞系において使用して、下流シグナル伝達における効果をモニタリングすることができる。
参照ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体と比べて増加した選択性または全般的に増加した効力を有するコンビナトリアル由来改変体を生成することができる。このような改変体は、組換えDNA構築物から発現される場合、遺伝子療法プロトコルにおいて使用することができる。同様に、変異誘発は、対応する無修飾ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体とは劇的に異なる細胞内半減期を有する改変体を生じることができる。例えば、変更されたタンパク質は、無修飾ポリペプチドのタンパク質分解または破壊もしくはそうでなければ不活性化をもたらす他の細胞過程に対する安定性をより高く、または安定性をより低くすることができる。このような改変体およびこれをコードする遺伝子を利用して、ポリペプチドの半減期をモジュレートすることにより、ポリペプチド複合体レベルを変更することができる。例えば、短い半減期は、より一過性の生物学的効果を生じることができ、誘導性発現系の一部の場合、細胞内における組換えポリペプチド複合体レベルのより厳密な制御を可能にすることができる。Fc融合タンパク質において、変異を、リンカー(あるとすれば)および/またはFc部分に為して、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の半減期を変更することができる。
コンビナトリアルライブラリーは、潜在的ALK4および/またはActRII配列の少なくとも部分をそれぞれ含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーとして産生することができる。例えば、潜在的ALK4および/またはActRIIコードヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、あるいは、より大きい融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイのための)のセットとして発現できるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物は、遺伝子配列へと酵素によりライゲーションすることができる。
潜在的な相同体のライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から生成し得る、多くの方式が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動式DNA合成器で実行することができ、次いで、合成遺伝子は、発現に適切なベクターにライゲーションすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該分野で周知である[Narang, SA(1983年)、Tetrahedron、39巻:3頁;Itakuraら(1981年)、Recombinant DNA、Proc. 3rd Cleveland Sympos. Macromolecules、AG Walton編、Amsterdam、Elsevier、273〜289頁;Itakuraら(1984年)、Annu. Rev. Biochem.、53巻:323頁;Itakuraら(1984年)、Science、198巻:1056頁;Ikeら(1983年)、Nucleic Acid Res.、11巻:477頁]。このような技法は、他のタンパク質の指向進化で利用されている[Scottら、(1990年)、Science、249巻:386〜390頁;Robertsら(1992年)、PNAS USA、89巻:2429〜2433頁;Devlinら(1990年)、Science、249巻:404〜406頁;Cwirlaら、(1990年)、PNAS USA、87巻:6378〜6382頁のほか、米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、および同第5,096,815号]。
あるいは、他の形態の変異誘発を利用して、コンビナトリアルライブラリーを生成することができる。例えば、本開示のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発[Rufら(1994年)Biochemistry 33巻:1565〜1572頁;Wangら(1994年)J. Biol. Chem.269巻:3095〜3099頁;Balintら(1993年)Gene 137巻:109〜118頁;Grodbergら(1993年)Eur. J. Biochem.218巻:597〜601頁;Nagashimaら(1993年)J. Biol. Chem.268巻:2888〜2892頁;Lowmanら(1991年)Biochemistry 30巻:10832〜10838頁;およびCunninghamら(1989年)Science 244巻:1081〜1085頁]を使用したスクリーニングによって、リンカースキャニング変異誘発[Gustinら(1993年)Virology 193巻:653〜660頁;およびBrownら(1992年)Mol. Cell Biol.12巻:2644〜2652頁;McKnightら(1982年)Science 232巻:316頁]によって、飽和変異誘発[Meyersら(1986年)Science 232巻:613頁]によって;PCR変異誘発[Leungら(1989年)Method Cell Mol Biol 1巻:11〜19頁]によって;または化学的変異誘発[Millerら(1992年)A Short Course in Bacterial Genetics、CSHL Press、Cold Spring Harbor、NY;およびGreenerら(1994年)Strategies in Mol Biol 7巻:32〜34頁]を含むランダム変異誘発によってライブラリーから生成および単離することができる。特にコンビナトリアル状況におけるリンカースキャニング変異誘発は、トランケート(生物活性)形態のALK4および/またはActRIIポリペプチドを同定するための魅力的な方法である。
点変異および切断によって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、また、そのことについては、ある特定の特性を有する遺伝子産物に関してcDNAライブラリーをスクリーニングするための広範囲の技法が当該分野で公知である。このような技法は一般に、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体のコンビナトリアル変異誘発によって生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適応可能となるであろう。大きい遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用されている技法は典型的に、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングする工程と、その結果得られるベクターライブラリーにより適切な細胞を形質転換する工程と、所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの相対的に容易な単離を促通する条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させる工程とを含む。好ましいアッセイは、TGF−ベータリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)結合アッセイおよび/またはTGF−ベータリガンド媒介性細胞シグナル伝達アッセイを含む。
ある特定の実施形態では、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、ALK4および/またはActRIIポリペプチドに自然に存在するいずれかに加えて、翻訳後修飾をさらに含むことができる。このような修飾として、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が挙げられるがこれらに限定されない。結果として、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、ポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖およびリン酸塩など、非アミノ酸エレメントを含むことができる。ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドまたはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の機能性におけるこのような非アミノ酸エレメントの効果は、他のヘテロ多量体複合体改変体に関して本明細書で記載されている通り試験することができる。本開示のポリペプチドが、細胞において新生形態のポリペプチドを切断することにより産生される場合、翻訳後プロセシングがタンパク質の正確なフォールディングおよび/または機能に重要となることもできる。異なる細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH−3T3またはHEK293)は、このような翻訳後活性に特異的な細胞の仕組みおよび特徴的機構を有し、ALK4および/またはActRIIポリペプチドの正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。
ある特定の態様では、本開示のActRIIポリペプチドおよび/またはALK4ポリペプチドは、ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAまたはActRIIBポリペプチド)またはALK4ポリペプチドの少なくとも部分(ドメイン)および1つまたは複数の異種部分(ドメイン)を含む融合タンパク質である。このような融合ドメインの周知の例として、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)またはヒト血清アルブミンが挙げられるがこれらに限定されない。融合ドメインは、所望の特性を付与することができるように選択することができる。例えば、一部の融合ドメインは、アフィニティクロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティ精製の目的のため、グルタチオン、アミラーゼおよびニッケルまたはコバルトコンジュゲート樹脂など、アフィニティクロマトグラフィーのための関連するマトリックスが使用される。このようなマトリックスの多くは、(HIS6)融合パートナーと共に有用なPharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標)システム(Qiagen)など、「キット」形態で利用できる。別の例として、融合ドメインは、ActRIIポリペプチドの検出を促通することができるように選択することができる。このような検出ドメインの例として、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)と共に、通常、特異的抗体を利用できる短いペプチド配列である、「エピトープタグ」が挙げられる。特異的モノクローナル抗体を容易に利用できる周知のエピトープタグは、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)およびc−mycタグを含む。一部の事例では、融合ドメインは、関連するプロテアーゼが、融合タンパク質を部分的に消化し、これにより、そこから組換えタンパク質を遊離させることを可能にする、第Xa因子またはトロンビンに対応する部位など、プロテアーゼ切断部位を有する。続いて、その後のクロマトグラフィー分離によって、融合ドメインから遊離されたタンパク質を単離することができる。選択することができる他の種類の融合ドメインは、例えば、免疫グロブリン由来の定常ドメイン(例えば、Fcドメイン)を含む、多量体化(例えば、二量体形成、四量体形成)ドメインおよび機能ドメイン(追加的な生物学的機能を付与する)を含む。本明細書で記載されている通り、一部の実施形態では、好ましい多量体化ドメインは、非対称的ペア形成を促進して、ヘテロ多量体構造(例えば、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体)を形成する、修飾されたFcドメインである。
ある特定の態様では、本開示のActRIIポリペプチドおよび/またはALK4ポリペプチドは、ポリペプチドを「安定化」することができる1つまたは複数の修飾を含有する。「安定化」とは、破壊減少、腎臓によるクリアランス減少または薬剤の他の薬物動態効果によるものか否かに関係なく、in vitro半減期、血清半減期を増加させることを意味する。例えば、このような修飾は、ポリペプチドの保管寿命を増強する、ポリペプチドの循環半減期を増強する、および/またはポリペプチドのタンパク質分解を低減する。このような安定化修飾として、融合タンパク質(例えば、ActRIIポリペプチドまたはALK4ポリペプチドドメインおよびスタビライザードメインを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、本開示のポリペプチドへのグリコシル化部位の付加を含む)および炭水化物部分の修飾(例えば、本開示のポリペプチドからの炭水化物部分の除去を含む)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書で使用する場合、「スタビライザードメイン」という用語は、融合タンパク質の場合のような融合ドメイン(例えば、免疫グロブリンFcドメイン)を指すだけではなく、ポリエチレングリコールなど、炭水化物部分または非タンパク質性部分など、非タンパク質性修飾も含む。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIポリペプチドおよび/またはALK4ポリペプチドは、ポリペプチドを安定化する異種ドメイン(「スタビライザー」ドメイン)、好ましくは、in vivoでポリペプチドの安定性を増加させる異種ドメインと融合される。免疫グロブリンの定常ドメイン(例えば、Fcドメイン)との融合体は、広範囲のタンパク質に所望される薬物動態特性を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合体は、所望される安定化特性を付与することができる。
一部の実施形態では、本開示のALK4および/またはActRIIポリペプチドは、Fc融合タンパク質である。ヒトIgG1のFc部分(G1Fc)に使用することができるネイティブアミノ酸配列の例を下に示す(配列番号22)。点線の下線は、ヒンジ領域を指し示し、実線の下線は、自然発生の改変体を有する位置を指し示す。一部には、本開示は、配列番号22に対し70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一性を有するアミノ酸配列を含む、から本質的になるまたはからなるポリペプチドを提供する。G1Fcにおける自然発生の改変体は、配列番号22(Uniprot P01857を参照)で使用されるナンバリング方式に従ったE134DおよびM136Lを含むであろう。
任意選択で、IgG1 Fcドメインは、Asp−265、リジン322およびAsn−434などの残基に1つまたは複数の変異を有する。ある特定の事例では、これらの変異のうち1つまたは複数(例えば、Asp−265変異)を有する変異体IgG1 Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べて、Fcγ受容体への結合能が低減される。他の事例では、これらの変異のうち1つまたは複数(例えば、Asn−434変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型IgG1 Fcドメインと比べて、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)への結合能が増加する。
ヒトIgG2のFc部分(G2Fc)に使用することができるネイティブアミノ酸配列の例を下に示す(配列番号23)。点線の下線は、ヒンジ領域を指し示し、二重下線は、配列にデータベース矛盾が存在する位置を指し示す(UniProt P01859に従う)。一部には、本開示は、配列番号23に対し70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一性を有するアミノ酸配列を含む、から本質的になるまたはからなるポリペプチドを提供する。
ヒトIgG3のFc部分(G3Fc)に使用することができるアミノ酸配列の2つの例を下に示す。G3Fcにおけるヒンジ領域は、他のFc鎖におけるものの最大4倍の長さとなることができ、同様の17残基セグメントに先行される3つの同一15残基セグメントを含有する。下に示す第1のG3Fc配列(配列番号24)は、単一の15残基セグメントからなる短いヒンジ領域を含有する一方、第2のG3Fc配列(配列番号25)は、全長ヒンジ領域を含有する。各事例では、点線の下線は、ヒンジ領域を指し示し、実線の下線は、UniProt P01859に従った自然発生の改変体を有する位置を指し示す。一部には、本開示は、配列番号24または25に対し70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一性を有するアミノ酸配列を含む、から本質的になるまたはからなるポリペプチドを提供する。
G3Fc(例えば、Uniprot P01860を参照)における自然発生の改変体は、配列番号24で使用されるナンバリング方式へと変換された場合のE68Q、P76L、E79Q、Y81F、D97N、N100D、T124A、S169N、S169del、F221Yを含み、本開示は、これらの改変の1つまたは複数を含有するG3Fcドメインを含む融合タンパク質を提供する。加えて、ヒト免疫グロブリンIgG3遺伝子(IGHG3)は、異なるヒンジの長さによって特徴付けられる構造多型を示す[Uniprot P01859を参照]。特に、改変体WISは、V領域の大部分およびCH1領域の全体を欠いている。これは、ヒンジ領域に正常に存在する11個に加えて、7位に余分な鎖間ジスルフィド結合を有する。改変体ZUCは、V領域の大部分、CH1領域の全体およびヒンジの一部を欠く。改変体OMMは、アレル型または別のガンマ鎖サブクラスを表すことができる。本開示は、これらの改変体の1つまたは複数を含有するG3Fcドメインを含む追加的な融合タンパク質を提供する。
ヒトIgG4のFc部分(G4Fc)に使用することができるネイティブアミノ酸配列の例を下に示す(配列番号26)。点線の下線は、ヒンジ領域を指し示す。一部には、本開示は、配列番号26に対し70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一性を有するアミノ酸配列を含む、から本質的になるまたはからなるポリペプチドを提供する。
G1Fc配列(配列番号22)に関してFcドメインにおける種々の操作された変異が本明細書に提示されており、G2Fc、G3FcおよびG4Fcにおける類似の変異は、図18におけるG1Fcとそれらとのアライメントに由来し得る。不等なヒンジの長さにより、アイソタイプアライメント(図18)に基づく類似のFc位置は、配列番号22、23、24、25および26において異なるアミノ酸番号を保有する。ナンバリングが、Uniprotデータベースに見られるIgG1重鎖定常ドメイン全体(C
H1、ヒンジ、C
H2およびC
H3領域からなる)を包摂する場合、ヒンジ、C
H2およびC
H3領域からなる免疫グロブリン配列(例えば、配列番号22、23、24、25および26)における所与のアミノ酸位置が、同じ位置とは異なる番号によって同定されるであろうと察知することもできる。例えば、ヒトG1Fc配列(配列番号22)、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン(Uniprot P01857)およびヒトIgG1重鎖における選択されたC
H3位置の間の対応を次に示す。
ある特定の態様では、本明細書に開示されているポリペプチドは、少なくとも1つのActRIIBポリペプチドと共有結合または非共有結合により会合した少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む、タンパク質複合体を形成することができる。好ましくは、本明細書に開示されているポリペプチドは、ヘテロ二量体複合体を形成するが、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体およびさらなるオリゴマー構造などが挙げられるがこれらに限定されない、より高次のヘテロ多量体複合体(ヘテロ多量体)も含まれる(例えば、図21〜図23を参照)。一部の実施形態では、ALK4および/またはActRIIBポリペプチドは、少なくとも1つの多量体化ドメインを含む。本明細書で開示される通り、「多量体化ドメイン」という用語は、少なくとも第1のポリペプチドおよび少なくとも第2のポリペプチドの間の共有結合または非共有結合相互作用を促進する、あるアミノ酸または一連のアミノ酸を指す。本明細書に開示されているポリペプチドは、共有結合または非共有結合により、多量体化ドメインに連接することができる。好ましくは、多量体化ドメインは、第1のポリペプチド(例えば、ALK4ポリペプチド)および第2のポリペプチド(例えば、ActRIIBポリペプチド)の間の相互作用を促進して、ヘテロ多量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)を促進し、任意選択で、ホモ多量体形成(例えば、ホモ二量体形成)を邪魔するか、またはそうでなければ忌避し、これにより、所望のヘテロ多量体(例えば、図22を参照)の収量を増加させる。
当該分野で公知の多くの方法を使用して、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体を生成することができる。例えば、天然には生じないジスルフィド結合は、フリーのチオールが第2のポリペプチド(例えば、ActRIIBポリペプチド)上の別のフリーのチオール含有残基と相互作用して、ジスルフィド結合が第1のポリペプチドと、第2のポリペプチドとの間で形成されるように、第1のポリペプチド(例えば、ALK4ポリペプチド)上で、天然に生じるアミノ酸をシステインなどのフリーのチオール含有残基で置きかえることにより構築することができる。ヘテロ多量体の形成を促進する相互作用の追加の例は、Kjaergaardら、WO2007147901などに記載されているイオン性相互作用;Kannanら、U.S.8,592,562などに記載されている静電ステアリング効果;Christensenら、U.S.20120302737などに記載されているコイルドコイル相互作用;PackおよびPlueckthun、(1992年)、Biochemistry、31巻:1579〜1584頁などに記載されているロイシンジッパー;およびPackら、(1993年)、Bio/Technology、11巻:1271〜1277頁などに記載されているヘリックスターンヘリックスモチーフを含むが、これらに限定されない。多様なセグメントの連結は、例えば、化学的架橋、ペプチドリンカー、ジスルフィド架橋などによる共有結合、またはアビジン−ビオチンなどによるアフィニティ相互作用、またはロイシンジッパー技術を介して得ることができる。
ある特定の態様では、多量体化ドメインは、相互作用ペアの1つの構成成分を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドは、第2のポリペプチドに共有結合的または非共有結合的に会合した第1のポリペプチドを含むタンパク質複合体を形成することができ、ここで、第1のポリペプチドは、ALK4ポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用ペアの第2のメンバーのアミノ酸配列を含む。相互作用ペアは、相互作用して、複合体、特にヘテロ二量体の複合体を形成する任意の2つのポリペプチド配列であり得るが、実効的な実施形態はホモ二量体の複合体を形成することができる相互作用ペアもまた利用し得る。相互作用ペアの1つのメンバーは、例えば、配列番号2、3、5、6、15、および19のいずれか1つと少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列の配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチド配列を含む本明細書に記載されるようなALK4またはActRIIBポリペプチドに融合されてもよい。血清半減期の延長などの特性/活性の改善を付与するように相互作用ペアを選択することもでき、特性/活性の改善をもたらすように別の部分をその上に結合させるアダプターとして作用するように相互作用ペアを選択することもできる。例えば、ポリエチレングリコール部分を、相互作用ペアの構成要素の一方または両方へと結合させて、血清半減期の改善などの特性/活性の改善をもたらすことができる。
相互作用ペアの第1および第2のメンバーは非対称ペアであってもよく、これは、ペアのメンバーが、自己会合よりも優先的に互いに会合することを意味する。したがって、非対称相互作用ペアの第1および第2のメンバーは会合して、ヘテロ二量体の複合体を形成することができる(例えば、図22を参照)。代替的に、相互作用ペア非誘導型であってもよく、これは、アのメンバーが、実質的な優先性なく互いに会合することも自己会合することもでき、そのため、同じまたは異なるアミノ酸配列を有し得ることを意味する。したがって、非誘導相互作用ペアの第1および第2のメンバーは会合して、ホモ二量体複合体またはヘテロ二量体の複合体を形成してもよい。任意選択で、相互作用ペアの第1のメンバー(例えば、非対称ペアまたは非誘導相互作用ペア)は、共有結合的に相互作用ペアの第2のメンバーに会合する。任意選択で、相互作用ペアの第1のメンバー(例えば、非対称ペアまたは非誘導相互作用ペア)は、非有結合的に相互作用ペアの第2のメンバーに会合する。
具体例として、本開示は、ヘテロ多量体形成を促進するように修飾された、ヒトIgG1、IgG2、IgG3および/またはIgG4に由来するCH1、CH2またはCH3ドメインなど、免疫グロブリンの定常ドメインを含むポリペプチドに融合されたALK4またはActRIIBを含む融合タンパク質を提供する。単一の細胞系からの非対称免疫グロブリンに基づくタンパク質の大規模産生において生じる問題は、「鎖会合課題」として公知である。二特異性抗体の産生において顕著に直面する通り、鎖会合課題は、単一の細胞系において異なる重鎖および/または軽鎖が産生される場合に、固有に生じる複数の組合せの間から所望の多重鎖タンパク質を効率的に産生するという難題に関係する[Kleinら(2012年)mAbs 4巻:653〜663頁]。同じ細胞において2つの異なる重鎖および2つの異なる軽鎖が産生される場合、この問題は最も急を要し、この事例では、典型的には1通りのみが望まれる場合に、総計16通りの可能な鎖の組合せ(これらのうちいくつかは同一であるが)が存在する。にもかかわらず、同じ原理は、2つの異なる(非対称)重鎖のみを組み込む所望の多重鎖融合タンパク質の収量縮小を説明する。
単一細胞株においてFc含有融合ポリペプチド鎖の所望のペア形成を増加させて、許容される収量で好ましい非対称融合タンパク質を産生する様々な方法が、当該分野で公知である[Kleinら(2012年)mAbs 4巻:653〜663頁;およびSpiessら(2015)、Molecular Immunology 67(2A):95−106]。Fc含有鎖の所望のペア形成を得るための方法として、電荷に基づくペア形成(静電ステアリング(electrostatic steering))、「ノブ・ホール型(knobs−into−holes)」立体ペア形成およびSEEDbodyペア形成およびロイシンジッパーベースのペア形成が挙げられるがこれらに限定されない[Ridgwayら(1996年)Protein Eng 9巻:617〜621頁;Merchantら(1998年)Nat Biotech 16巻:677〜681頁;Davisら(2010年)Protein Eng Des Sel 23巻:195〜202頁;Gunasekaranら(2010);285:19637−19646;Wranikら(2012) J Biol Chem 287:43331−43339;US5932448;WO1993/011162;WO2009/089004およびWO2011/034605]。本明細書において記載されるように、これらの方法を使用して、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ多量体複合体を生成することができる。例えば、図23を参照のこと。
ALK4:ActRIIBヘテロ多量体およびこのようなヘテロ多量体を作製する方法は、以前に開示されている。例えば、その教示全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2016/164497を参照されたい。
融合タンパク質(例えば、免疫グロブリンFc融合タンパク質)の異なるエレメントを、所望の機能性と一貫した任意の様式で配列することができることが理解される。例えば、ActRIIポリペプチドドメインまたはALK4ポリペプチドドメインは、異種ドメインに対しC末端に設置することができる、あるいは、異種ドメインは、ActRIIポリペプチドドメインまたはALK4ポリペプチドドメインに対しC末端に設置することができる。ActRIIポリペプチドドメインまたはALK4ポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質において隣接している必要はなく、追加的なドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインに対しCもしくはN末端にまたはドメイン間に含まれていてよい。
例えば、ActRII(またはALK4)受容体融合タンパク質は、式A−B−Cに表記されているアミノ酸配列を含むことができる。B部分は、ActRII(またはALK4)ポリペプチドドメインに対応する。AおよびC部分は独立して0、1つまたは2つ以上のアミノ酸となることができ、AおよびC部分の両方は、存在する場合、Bにとって異種である。Aおよび/またはC部分は、リンカー配列を介してB部分に接合することができる。リンカーは、グリシン(例えば、2〜10、2〜5、2〜4、2〜3個のグリシン残基)またはグリシンおよびプロリン残基リッチとなることができ、例えば、スレオニン/セリンおよびグリシンの単一の配列、またはスレオニン/セリンおよび/またはグリシンの反復配列、例えば、GGG(配列番号27)、GGGG(配列番号28)、TGGGG(配列番号29)、SGGGG(配列番号30)、TGGG(配列番号31)、SGGG(配列番号32)またはGGGGS(配列番号33)シングレットまたは反復を含有することができる。ある特定の実施形態では、ActRII(またはALK4)融合タンパク質は、式A−B−C(式中、Aは、リーダー(シグナル)配列であり、Bは、ActRII(ALK4)ポリペプチドドメインからなり、Cは、in vivo安定性、in vivo半減期、取り込み/投与、組織局在もしくは分布、タンパク質複合体の形成、および/または精製のうち1つまたは複数を増強するポリペプチド部分である)に表記されているアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ActRII(ALK4)融合タンパク質は、式A−B−C(式中、Aは、TPAリーダー配列であり、Bは、ActRII(またはALK4)受容体ポリペプチドドメインからなり、Cは、免疫グロブリンFcドメインである)に表記されているアミノ酸配列を含む。好ましい融合タンパク質は、配列番号50、54、57、58、60、63、64、66、70、71、73、74、76、77、78、79、80、123、128、131、132、139、141、143および145のいずれか1つに表記されているアミノ酸配列を含む。
あるいは、ActRIIアンタゴニストは、本明細書で記載されている通り1つまたは複数の単鎖リガンドトラップを含むことができ、このトラップは任意選択で、1つまたは複数のALK4またはActRIIBポリペプチドおよび追加的なALK4:ActRIIB単鎖リガンドトラップと共有結合または非共有結合により会合していてよい[US2011/0236309およびUS2009/0010879]。図27を参照されたい。本明細書で記載されている通り、単鎖リガンドトラップは、多価となるのにコイルドコイルFcドメインなどの任意の多量体化ドメインへの融合を要求しない。一般に、本開示の単鎖リガンドトラップは、少なくとも1つのALK4ポリペプチドドメインおよび1つのActRIIBポリペプチドドメインを含む。本明細書において概して、結合性ドメイン(BD)と称されるALK4およびActRIIBポリペプチドドメインは任意選択で、リンカー領域によって連接されていてよい。ALK4:ActRIIB単鎖リガンドトラップは、以前に記載された。例えば、それぞれの教示全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2016/164497を参照されたい。
ある特定の好ましい実施形態では、本明細書で記載されている方法に従って使用されるべきActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドおよびALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、単離された複合体である。本明細書で使用する場合、単離されたタンパク質(またはタンパク質複合体)またはポリペプチド(またはポリペプチド複合体)は、その天然環境の構成成分から分離されたものである。一部の実施形態では、本開示のポリペプチドまたはヘテロ多量体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定された場合、95%、96%、97%、98%または99%超の純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法は、当該分野で周知である[Flatmanら、(2007年)J. Chromatogr. B 848巻:79〜87頁]。
ある特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドおよびALK4:ActRIIBヘテロ多量体は、種々の当該分野で公知の技法によって産生することができる。例えば、本開示のポリペプチドは、Bodansky, M.、Principles of Peptide Synthesis、Springer Verlag、Berlin(1993年)およびGrant G. A.(編)Synthetic Peptides: A User's Guide、W. H. Freeman and Company、New York(1992年)に記載されている技法など、標準タンパク質化学技法を使用して合成することができる。加えて、自動ペプチド合成機が市販されている(Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。あるいは、そのフラグメントまたは改変体を含む本開示のポリペプチドおよび複合体は、当該分野で周知の通り、様々な発現系[E.coli、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、バキュロウイルス]を使用して、組換えにより産生することができる。さらなる実施形態では、本開示の修飾または無修飾ポリペプチドは、例えば、プロテアーゼ、例えば、トリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシンまたは対形成塩基性アミノ酸変換酵素(PACE)を使用することにより、組換えにより産生された全長ALK4および/またはActRIIBポリペプチドの消化によって産生することができる。コンピュータ解析(市販のソフトウェア、例えば、MacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation,Inc.を使用)を使用して、タンパク質分解性切断部位を同定することができる。
3.ActRIIおよび/またはALK4ポリペプチドをコードする核酸
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に開示されているActRIIおよび/またはALK4ポリペプチド(そのフラグメント、機能的な改変体および融合タンパク質を含む)をコードする、単離されたおよび/または組換えの核酸を提供する。例えば、配列番号16は、自然発生のヒトALK4前駆体ポリペプチドをコードし、配列番号17は、ALK4のプロセシングされた細胞外ドメインをコードする。対象核酸は、一本鎖または二本鎖となることができる。このような核酸は、DNAまたはRNA分子となることができる。これらの核酸は、例えば、本明細書で記載されている通りのActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチドおよびALK4:ActRIIBヘテロ多量体を作製するための方法において使用することができる。
本明細書で使用する場合、単離核酸とは、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離核酸は、その核酸分子を通常含有するが、その核酸分子が染色体外またはその天然の染色体位置と異なる染色体位置に存在する細胞内に含有される核酸分子を含む。
ある特定の実施形態では、本開示のALK4またはActRIIポリペプチドをコードする核酸は、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、129、130、134、135、136、137、138、140、142、144および146ならびにその改変体のいずれか1つを含むと理解される。改変体ヌクレオチド配列は、アレル改変体を含む、1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加または欠失によって異なる配列を含み、したがって、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、129、130、134、135、136、137、138、140、142、144および146のいずれか1つに表示されているヌクレオチド配列とは異なるコード配列を含むであろう。
ある特定の実施形態では、本開示のALK4またはActRIIポリペプチドは、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、129、130、134、135、136、137、138、140、142、144および146と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む、から本質的になる、またはからなる単離されたまたは組換えの核酸配列によってコードされる。当業者は、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、129、130、134、135、136、137、138、140、142、144および146と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列と相補的な配列を含む、から本質的になる、またはからなる核酸配列も、本開示の範囲内にあることを察知するであろう。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離されていても、組換えであっても、および/または異種ヌクレオチド配列と融合されていてよい、またはDNAライブラリー中に存在してもよい。
他の実施形態では、本開示の核酸は、ストリンジェントな条件下で、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、129、130、134、135、136、137、138、140、142、144および146に表示されているヌクレオチド配列、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、129、130、134、135、136、137、138、140、142、144および146の相補体配列、またはそのフラグメントにハイブリダイズするヌクレオチド配列も含む。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件が変動し得ることを容易に理解するであろう。例えば、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、約45℃でハイブリダイゼーションを行い、続いて2.0×SSC、50℃の洗浄を行うことができる。例えば、洗浄工程における塩濃度は、約2.0×SSC、50℃の低ストリンジェンシーから、約0.2×SSC、50℃の高ストリンジェンシーまで選択することができる。加えて、洗浄工程における温度は、室温、約22℃の低ストリンジェンシー条件から、約65℃の高ストリンジェンシー条件へと増加させることができる。温度および塩の両方を変動させることができる、または他の変数を変化させつつ、温度もしくは塩濃度を一定に保つことができる。一実施形態では、本開示は、2×SSC、室温の洗浄が続いて行われる6×SSC、室温の低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸を提供する。
遺伝暗号の縮重のため、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、55、61、67、72、75、124、125、126、127、129、130、134、135、136、137、138、140、142、144および146に表記されている核酸とは異なる単離された核酸も、本開示の範囲内にある。例えば、多数のアミノ酸が、2つ以上のトリプレットによって表示される。同じアミノ酸を指定するコドンまたは同義(例えば、CAUおよびCACは、ヒスチジンの同義である)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を与えない「サイレント」変異をもたらすことができる。しかし、対象タンパク質のアミノ酸配列に変化を生じるDNA配列多型が、哺乳動物細胞の間に存在するであろうと予測される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの最大約3〜5%)におけるこのような改変が、天然のアレル改変により、所与の種の個体間に存在し得ることを察知するであろう。ありとあらゆるこのようなヌクレオチド改変およびその結果得られるアミノ酸多型は、本開示の範囲内にある。
特定の実施形態では、本開示の組換え核酸は、発現構築物において1または複数の調節性ヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。調節性のヌクレオチド配列は、一般に、発現のために使用される宿主細胞に対して適切なものである。種々の宿主細胞について、多数のタイプの適切な発現ベクターおよび適切な調節性配列が当該分野で公知である。代表的には、上記1または複数の調節性ヌクレオチド配列としては、プロモーター配列、リーダー配列もしくはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、ならびに、エンハンサー配列もしくはアクチベーター配列が挙げられ得るがこれらに限定されない。当該分野で公知の構成的もしくは誘導性のプロモーターが、本開示によって企図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーター、または、1つより多くのプロモーターの要素を組み合わせたハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラスミドのようにエピソーム上で細胞中に存在し得るか、または、発現構築物は、染色体中に挿入され得る。一部の実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするために、選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択可能なマーカー遺伝子は、当該分野で周知であり、そして、使用される宿主細胞により変化する。
本開示の特定の態様では、本主題の核酸は、ALK4および/またはActRIIポリペプチドをコードし、そして、少なくとも1つの調節性配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む発現ベクターにおいて提供される。調節性配列は当該分野で認識され、そして、ALK4および/またはActRIIポリペプチドの発現を誘導するように選択される。したがって、用語、調節性配列は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメントを含む。例示的な調節性配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990年)に記載される。例えば、作動可能に連結されたときにDNA配列の発現を制御する広範な種々の発現制御配列のいずれかが、ALK4および/またはActRIIポリペプチドをコードするDNA配列を発現させるためにこれらのベクターにおいて使用され得る。このような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスもしくはサイトメガロウイルスの前初期プロモーター、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TACもしくはTRCシステム、T7 RNAポリメラーゼによってその発現が誘導されるT7プロモーター、ファージλの主要なオペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼもしくは他の糖分解酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター(例えば、Pho5)、酵母α−接合因子(mating factor)のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーター、ならびに、原核生物もしくは真核生物の細胞、または、そのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知である他の配列、ならびにこれらの種々の組み合わせが挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが所望されるタンパク質のタイプのような要因に依存し得ることが理解されるべきである。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を制御する能力およびベクターによってコードされる任意の他のタンパク質(例えば、抗生物質マーカー)の発現もまた考慮されるべきである。
本開示の組換え核酸は、クローニングされた遺伝子またはその部分を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)のいずれか一方または両方における発現に適したベクターにライゲーションすることにより産生することができる。組換えTGFβスーパーファミリーI型および/またはII型受容体ポリペプチドの産生のための発現ビヒクルは、プラスミドおよび他のベクターを含む。例えば、適したベクターは、次の型のプラスミドを含む:E.coliなどの原核細胞における発現のための、pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよびpUC由来プラスミド。
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を促進するための原核生物の配列と、真核生物細胞において発現される1または複数の真核生物の転写単位との両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neoおよびpHyg由来のベクターは、真核生物細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのいくつかは、原核生物細胞および真核生物細胞の両方における複製および薬物耐性選択を容易にするために、細菌プラスミド(例えば、pBR322)からの配列を用いて改変される。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV−1)またはエプスタイン−バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)のようなウイルスの誘導体が、真核生物細胞におけるタンパク質の一過的な発現のために使用され得る。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、遺伝子治療送達系の説明において以下に見出され得る。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換において用いられる種々の方法は、当該分野で周知である。原核生物細胞および真核生物細胞の両方についての他の適切な発現系、ならびに、一般的な組換え手順、[Molecular Cloning A Laboratory Manual、3rd Ed.、Sambrook、FritschおよびManiatis編 Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年]。いくつかの場合において、バキュロウイルス発現系を用いて組換えポリペプチドを発現させることが望ましくあり得る。このようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来のベクター(例えば、pVL1392、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来のベクター(例えば、pAcUWl)およびpBlueBac由来のベクター(例えば、β−galを含むpBlueBac III)が挙げられる。
好ましい実施形態では、ベクターは、CHO細胞における本主題のALK4および/またはActRIIポリペプチドの生成のために設計される(例えば、Pcmv−Scriptベクター(Stratagene,La Jolla,Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)およびpCI−neoベクター(Promega,Madison,Wisc))。明らかであるように、本主題の遺伝子構築物は、例えば、タンパク質(融合タンパク質または改変体タンパク質を含む)を生成するため、精製のために、培養物において増殖させた細胞において本主題のALK4および/またはActRIIポリペプチドの発現を引き起こすために使用され得る。
本開示はまた、1または複数の本主題のALK4および/またはActRIIトラップポリペプチドのコード配列を含む組換え遺伝子をトランスフェクトされた宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、ALK4および/またはActRIIトラップポリペプチドは、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いる)、酵母細胞または哺乳動物細胞[例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株]において発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
したがって、本開示はさらに、本主題のALK4および/またはActRIIポリペプチドを生成する方法に関する。例えば、ALK4および/またはActRIIポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、ALK4および/またはActRIIポリペプチドの発現を起こすことが可能な適切な条件下で培養され得る。ポリペプチドは、ポリペプチドを含む細胞および培地の混合物から分泌および単離され得る。あるいは、ALK4および/またはActRIIポリペプチドは、細胞質または膜画分から単離されてもよいし、回収し、溶解された細胞から得られてもよい。細胞培養物は、宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周知である。本主題のポリペプチドは、タンパク質を精製するための当該分野で公知の技法であって、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ALK4および/またはActRIIポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体による免疫アフィニティ精製、およびALK4および/またはActRIIポリペプチドに融合させたドメインに結合する作用因子によるアフィニティ精製(例えば、プロテインAカラムを使用して、ALK4−Fcおよび/またはActRII−Fc融合タンパク質を精製することができる)を含む技法を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはこれらの両方から単離することができる。一部の実施形態では、ALK4および/またはActRIIポリペプチドは、その精製を容易とするドメインを含有する融合タンパク質である。
一部の実施形態では、例えば、任意の順序で、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはそれよりも多くを含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程によって、精製は達成される。ウイルス濾過および緩衝液交換によって精製を完了することができる。ALK4−Fcおよび/またはActRII−Fc融合タンパク質ならびにそれらのヘテロマー複合体は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定される場合に、90%、95%、96%、98%または99%を超える純度およびSDS PAGEによって決定される場合に、90%、95%、96%、98%または99%を超える純度まで精製することができる。純度の標的レベルは、哺乳動物系、特に、非ヒト霊長類、齧歯類(マウス)およびヒトにおける所望される結果の達成に十分なレベルとなるべきである。
別の実施形態では、組換えALK4および/またはActRIIポリペプチドの所望の部分のN末端におけるポリ(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列など、精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を使用したアフィニティクロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を可能にし得る。続いて、エンテロキナーゼによる処置により、精製リーダー配列をその後に除去して、精製されたALK4および/またはActRIIポリペプチドならびにそれらのヘテロマー複合体をもたらすことができる[Hochuliら(1987年)J. Chromatography 411巻:177頁;およびJanknechtら(1991年)PNAS USA 88巻:8972頁]。
融合遺伝子を作製するための技術は周知である。本質的には、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの接合は、ライゲーションのための平滑末端もしくは突出(stagger−ended)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた粘着末端のフィルイン(filling−in)、所望されない接合を回避するためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および酵素によるライゲーション、を用いる従来の技術に従って行われる。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、2つの連続した遺伝子フラグメント間の相補的なオーバーハング(overhang)を生じるアンカープライマーを用いて行われ得、これらのフラグメントは、その後、キメラ遺伝子配列を生じるようにアニーリングされ得る。例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992年を参照のこと。
4.抗体ActRIIアンタゴニスト
ある特定の態様では、本開示は、抗体、または抗体の組合せであるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、1つもしくは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合し得る。特に、本開示は、望ましい効果を達成することを必要とする対象において望ましい効果を達成する(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置する)ために、ActRIIアンタゴニスト抗体、もしくはActRIIアンタゴニスト抗体の組合せを、単独で、または1つもしくは複数のさらなる支持療法および/もしくは活性薬剤と組み合わせて使用する方法を提供する。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体を、免疫療法剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせて使用することができる。
ある特定の好ましい態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともActRII受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともActRIIAおよびActRIIB(ActRII A/B抗体)に結合する。一部の代替的な実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともActRIIAに結合するが、ActRIIBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10−7Mより大きいKDでActRIIBに結合するか、または比較的低い結合、例えば、約1×10−8Mもしくは約1×10−9Mを有する)。他の代替的な実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともActRIIBに結合するが、ActRIIAには結合しない、または実質的に結合しない(例えば、1×10−7Mより大きいKDでActRIIAに結合するか、または比較的低い結合、例えば、約1×10−8Mもしくは約1×10−9Mを有する)。本明細書で使用される場合、ActRII抗体(抗ActRII抗体)は、一般的に、抗体がActRIIを標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗ActRII抗体の、関連しない非ActRIIタンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のActRIIへの結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ActRII抗体は、異なる種に由来するActRII間で保存されたActRII(ActRIIAおよび/またはActRIIB)のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ActRII抗体は、ヒトActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)に結合する。他の好ましい実施形態では、抗ActRII抗体は、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]が、ActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)に結合するのを阻害し得る。ActRIIAは、ActRIIBに対する配列相同性を有し、したがって、ActRIIAに結合する抗体は、いくつかの場合、ActRIIBに結合する、および/またはそれを阻害することができ、その逆も当てはまることに留意すべきである。一部の実施形態では、抗ActRII抗体は、ActRII(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)と、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]とに結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、抗ActRII抗体は、ActRIIAとActRIIBとに結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、少なくとも抗ActRIIA抗体と、少なくとも抗ActRIIB抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんを処置すること)に関する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗ActRIIA抗体と、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置すること)に関する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗ActRIIB抗体と、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんを処置すること)に関する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗ActRIIA抗体と、抗ActRIIB抗体と、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4に結合する少なくとも1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんを処置すること)に関する。
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともGDF11を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともGDF11に結合する。本明細書で使用される場合、GDF11抗体(抗GDF11抗体)は、一般的に、抗体がGDF11を標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでGDF11に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗GDF11抗体の、関連しない非GDF11タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のGDF11への結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗GDF11抗体は、異なる種に由来するGDF11間で保存されたGDF11のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗GDF11抗体は、ヒトGDF11に結合する。他の好ましい実施形態では、抗GDF11抗体は、GDF11が同族I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合するのを阻害し、かくして、これらの受容体を介するGDF11媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。GDF11は、GDF8に対する高い配列相同性を有し、したがって、GDF11に結合する抗体はまた、いくつかの場合、GDF8に結合する、および/またはそれを阻害することができることに留意すべきである。一部の実施形態では、抗GDF11抗体は、1つもしくは複数のさらなるリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗GDF11抗体と、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用に関する。
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともGDF8を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともGDF8に結合する。本明細書で使用される場合、GDF8抗体(抗GDF8抗体)は、一般的に、抗体がGDF8を標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでGDF8に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗GDF8抗体の、関連しない非GDF8タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のGDF8への結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗GDF8抗体は、異なる種に由来するGDF8間で保存されたGDF8のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗GDF8抗体は、ヒトGDF8に結合する。他の好ましい実施形態では、抗GDF8抗体は、GDF8が同族I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合するのを阻害し、かくして、これらの受容体を介するGDF8媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。GDF8は、GDF11に対する高い配列相同性を有し、したがって、GDF8に結合する抗体はまた、いくつかの場合、GDF11に結合する、および/またはそれを阻害することができることに留意すべきである。一部の実施形態では、抗GDF8抗体は、1つもしくは複数のさらなるリガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗GDF8抗体と、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用に関する。
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともアクチビンに結合する。本明細書で使用される場合、アクチビン抗体(抗アクチビン抗体)とは、一般的に、抗体がアクチビンを標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでアクチビンに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗アクチビン抗体の、関連しない非アクチビンタンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のアクチビンへの結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗アクチビン抗体は、異なる種に由来するアクチビン間で保存されたアクチビンのエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗アクチビン抗体は、ヒトアクチビンに結合する。他の好ましい実施形態では、抗アクチビン抗体は、アクチビンが同族I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合するのを阻害し、かくして、これらの受容体を介するアクチビン媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。アクチビンは、配列相同性を共有し、したがって、1つのアクチビン(例えば、アクチビンA)に結合する抗体は1つまたは複数のさらなるアクチビン(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAC)に結合することができることに留意すべきである。一部の実施形態では、抗アクチビン抗体は、少なくともアクチビンAおよびアクチビンBに結合する。一部の実施形態では、抗アクチビン抗体は、1つもしくは複数のさらなるリガンド[例えば、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗アクチビン抗体と、例えば、異なるリガンド[例えば、GDF8、GDF11、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用に関する。
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともGDF3を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともGDF3に結合する。本明細書で使用される場合、GDF3抗体(抗GDF3抗体)とは、一般的に、抗体がGDF3を標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでGDF3に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗GDF3抗体の、関連しない非GDF3タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のGDF3への結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗GDF3抗体は、異なる種に由来するGDF3間で保存されたGDF3のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗GDF3抗体は、ヒトGDF3に結合する。他の好ましい実施形態では、抗GDF3抗体は、GDF3が同族I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合するのを阻害し、かくして、これらの受容体を介するGDF3媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。一部の実施形態では、抗GDF3抗体は、1つもしくは複数のさらなるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗GDF3抗体と、例えば、異なるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置すること)に関する。
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともBMP6を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともBMP6に結合する。本明細書で使用される場合、BMP6抗体(抗BMP6抗体)とは、一般的に抗体がBMP6を標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでBMP6に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗BMP6抗体の、関連しない非BMP6タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のBMP6への結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗BMP6抗体は、異なる種に由来するBMP6間で保存されたBMP6のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗BMP6抗体は、ヒトBMP6に結合する。他の好ましい実施形態では、抗BMP6抗体は、BMP6が同族I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合するのを阻害し、かくして、これらの受容体を介するBMP6媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。一部の実施形態では、抗BMP6抗体は、1つもしくは複数のさらなるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗BMP6抗体と、例えば、異なるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置すること)に関する。
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともBMP9を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともBMP9に結合する。本明細書で使用される場合、BMP9抗体(抗BMP9抗体)とは、一般的に抗体がBMP9を標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでBMP9に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗BMP9抗体の、関連しない非BMP9タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のBMP9への結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗BMP9抗体は、異なる種に由来するBMP9間で保存されたBMP9のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗BMP9抗体は、ヒトBMP9に結合する。他の好ましい実施形態では、抗BMP9抗体は、BMP9が同族I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合するのを阻害し、かくして、これらの受容体を介するBMP9媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。一部の実施形態では、抗BMP9抗体は、1つもしくは複数のさらなるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、およびBMP6]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗BMP9抗体と、例えば、異なるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、およびBMP6]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置すること)に関する。
ある特定の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともBMP10を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともBMP10に結合する。本明細書で使用される場合、BMP10抗体(抗BMP10抗体)とは、一般的に抗体がBMP10を標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでBMP10に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗BMP10抗体の、関連しない非BMP10タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のBMP10への結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗BMP10抗体は、異なる種に由来するBMP10間で保存されたBMP10のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗BMP10抗体は、ヒトBMP10に結合する。他の好ましい実施形態では、抗BMP10抗体は、BMP10が同族I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合するのを阻害し、かくして、これらの受容体を介するBMP10媒介性シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。一部の実施形態では、抗BMP10抗体は、1つもしくは複数のさらなるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗BMP10抗体と、例えば、異なるTGF−βリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、およびBMP9]に結合する、ならびに/または1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置すること)に関する。
他の態様では、本開示のActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともALK4を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニスト抗体、または抗体の組合せは、少なくともALK4に結合する。本明細書で使用される場合、ALK4抗体(抗ALK4抗体)とは、一般的に抗体がALK4を標的とする際に診断剤および/または治療剤として有用であるような十分なアフィニティでALK4に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、抗ALK4抗体の、関連しない非ALK4タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合アフィニティアッセイによって測定された場合、抗体のALK4への結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ALK4抗体は、異なる種に由来するALK4間で保存されたALK4のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ALK4抗体は、ヒトALK4に結合する。他の好ましい実施形態では、抗ALK4抗体は、1つまたは複数のTGF−βリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]がALK4に結合するのを阻害し得る。一部の実施形態では、抗ALK4抗体は、ALK4と、1つまたは複数のTGF−βリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]ならびに/またはActRII(ActRIIAおよび/もしくはActRIIB)とに結合する多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組合せが、抗ALK4抗体と、例えば、1つまたは複数のリガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]ならびに/またはActRII(ActRIIAおよび/もしくはActRIIB)に結合する1つまたは複数のさらなる抗体とを含む、抗体の組合せ、ならびにその使用に関する。
用語「抗体」は、本明細書では最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、およびそれらが所望の抗原結合活性を示す限り、抗体フラグメントを含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。抗体フラグメントとは、インタクト抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部を含むインタクト抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディー;線状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含むがこれらに限定されない。例えば、Hudsonら(2003年)Nat. Med. 9巻:129〜134頁;Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、(Springer-Verlag、New York)、269〜315頁(1994年);WO93/16185;ならびに米国特許第5,571,894号、第5,587,458号、および第5,869,046号を参照されたい。本明細書に開示される抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、それに結合し、検出することができる標識を含む(例えば、標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素コファクターであってもよい)。好ましい実施形態では、本開示の抗体は、単離された抗体である。
ダイアボディーは、二価または二特異性であり得る、2つの抗原結合性部位を有する抗体フラグメントである。例えば、EP404,097;WO1993/01161;Hudsonら(2003年)、Nat. Med.、9巻:129〜134頁;およびHollingerら(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁を参照されたい。トリアボディー(triabody)およびテトラボディー(tetrabody)もまた、Hudsonら(2003年)、Nat. Med.、9巻:129〜134頁において記載されている。
単一ドメイン抗体とは、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部、または抗体の軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体フラグメントである。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。例えば、米国特許第6,248,516号を参照されたい。
抗体フラグメントを、本明細書に記載されるような、インタクト抗体のタンパク質分解的消化ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
本明細書の抗体は、任意のクラスの抗体であり得る。抗体のクラスとは、その重鎖により保有される定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。
一般に、本明細書に開示される方法における使用のための抗体は、好ましくは、高い結合アフィニティでその標的抗原に特異的に結合する。アフィニティは、Kd値として表され得、固有の結合アフィニティを反映する(例えば、最小化されたアビディティ効果を有する)。典型的には、結合アフィニティは、無細胞設定であっても、または細胞関連設定であっても、in vitroで測定される。例えば、表面プラズモン共鳴(Biacore(商標)アッセイ)、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)、およびELISAを含む、本明細書に開示されるものを含む、当該分野で公知のいくつかのアッセイのいずれかを使用して、結合アフィニティ測定値を得ることができる。一部の実施形態では、本開示の抗体は、その標的抗原[例えば、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に、少なくとも1×10−7もしくはそれよりも強い、1×10−8もしくはそれよりも強い、1×10−9もしくはそれよりも強い、1×10−10もしくはそれよりも強い、1×10−11もしくはそれよりも強い、1×10−12もしくはそれよりも強い、1×10−13もしくはそれよりも強い、または1×10−14もしくはそれよりも強いKDで結合する。
ある特定の実施形態では、KDは、以下のアッセイにより記載されるように、関心のある抗体のFabバージョンおよびその標的抗原で実施されるRIAにより測定される。Fabの抗原に対する溶液結合アフィニティは、Fabを、滴定系列の非標識抗原の存在下において、最低濃度の放射性標識された抗原(例えば、125Iで標識された)と平衡化し、次いで、結合した抗原を、抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する[例えば、Chenら(1999年)、J.Mol.Biol.、293巻:865〜881頁を参照されたい]。アッセイ条件を確立するために、マルチウェルプレート(例えば、Thermo Scientific製のMICROTITER(登録商標))を、捕捉用抗Fab抗体(例えば、Cappel Labs製)でコーティングし(例えば、一晩にわたり)、その後、好ましくは、室温(例えば、およそ23℃)において、ウシ血清アルブミンでブロッキングする。非吸着型プレートでは、放射性標識された抗原を、関心のあるFabの系列希釈液と混合する[例えば、Prestaら、(1997年)、Cancer Res.、57巻:4593〜4599頁における抗VEGF抗体である、Fab−12の評価と符合する]。次いで、関心のあるFabを、好ましくは、一晩にわたりインキュベートするが、平衡に到達することを確保するように、インキュベーションは、長時間(例えば、約65時間)にわたり継続することもできる。その後、混合物を、好ましくは、室温で約1時間にわたるインキュベーションのために、捕捉プレートに移す。次いで、溶液を除去し、プレートを、好ましくは、ポリソルベート20とPBSとの混合物で、複数回洗浄する。プレートを乾燥させたら、シンチレーション剤(例えば、Packard製のMICROSCINT(登録商標))を添加し、ガンマカウンター(例えば、Packard製のTOPCOUNT(登録商標))上で、プレートをカウントする。
別の実施形態によれば、KDは、例えば、抗原CM5チップを約10応答単位(RU)で固定化させた、BIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3000(Biacore,Inc.、Piscataway、N.J.)を使用する、表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定する。略述すると、供給元の指示書に従い、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、Biacore,Inc.)を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化させる。例えば、抗原は、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で、5μg/ml(約0.2μM)まで希釈してから、5μl/分の流量で注入して、およそ10応答単位(RU)のタンパク質のカップリングを達成することができる。抗原を注入した後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基をブロッキングする。反応速度の測定のため、Fabの2倍系列希釈液(0.78nM〜500nM)を、0.05%のポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))界面活性剤を含むPBS(PBST)に、およそ25μl/分の流量で注入する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、例えば、単純な一対一ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合センサーグラムおよび解離センサーグラムのフィッティングを同時に行うことにより計算する。平衡解離定数(KD)は、koff/kon比として計算する[例えば、Chenら、(1999年)、J. Mol. Biol.、293巻:865〜881頁を参照されたい]。オン速度が、例えば、上記の表面プラズモン共鳴アッセイで106M−1s−1を超える場合、オン速度は、徐々に増大する濃度の抗原の存在下におけるPBS中、20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の蛍光発光強度(例えば、励起=295nm;発光=340nm、16nmのバンドパス)であって、攪拌型キュベットを有するストップフロー装備型分光光度計(Aviv Instruments)、または8000シリーズのSLM−AMINCO(登録商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計により測定した場合の、蛍光発光強度の増加または減少を測定する蛍光消光法を使用することにより決定することができる。
ヒトActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9の核酸およびアミノ酸配列は、当該分野で周知であり、かくして、本開示に従う使用のための抗体アンタゴニストは、当該分野における知識および本明細書に提供される教示に基づいて、当業者によって慣例的に作製され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体とは、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来する一方、重鎖および/または軽鎖の残余は異なる供給源または種に由来する抗体を指す。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、(1984年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851〜6855頁に記載されている。一部の実施形態では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長動物に由来する可変領域)と、ヒト定常領域とを含む。一部の実施形態では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスを、親抗体のクラスまたはサブクラスから変化させた「クラススイッチ」抗体である。一般に、キメラ抗体は、その抗原結合フラグメントを含む。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキメラ抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体とは、非ヒト超可変領域(HVR)に由来するアミノ酸残基と、ヒトフレームワーク領域(FR)に由来するアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つの可変ドメインであり、典型的には2つの可変ドメインであって、HVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のHVR(例えば、CDR)に対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のFRに対応する、可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は任意選択で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」とは、ヒト化を経た抗体を指す。
ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、AlmagroおよびFransson(2008年)、Front. Biosci.、13巻:1619〜1633頁において総説されており、例えば、Riechmannら、(1988年)、Nature、332巻:323〜329頁;Queenら(1989年)、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA、86巻:10029〜10033頁;米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、および同第7,087,409号;Kashmiriら、(2005年)、Methods、36巻:25〜34頁[SDR(a−CDR)グラフティングについて記載する];Padlan、Mol. Immunol.、(1991年)、28巻:489〜498頁(「リサーフェシング」について記載する);Dall’Acquaら(2005年)、Methods、36巻:43〜60頁(「FRシャフリング」について記載する);Osbournら(2005年)、Methods、36巻:61〜68頁;ならびにKlimkaら、Br. J. Cancer(2000年)、83巻:252〜260頁(FRシャフリングへの「誘導選択」アプローチについて記載する)においてさらに記載されている。
ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域は、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域[例えば、Simsら(1993年)、J. Immunol.、151巻:2296頁を参照されたい];軽鎖可変領域または重鎖可変領域の特定の亜集団による、ヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域[例えば、Carterら(1992年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:4285頁;およびPrestaら(1993年)、J. Immunol.、151巻:2623頁を参照されたい];ヒト成熟(体細胞変異させた)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系列フレームワーク領域[例えば、AlmagroおよびFransson(2008年)、Front. Biosci.、13巻:1619〜1633頁を参照されたい];およびFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域[例えば、Bacaら、(1997年)、J. Biol. Chem.、272巻:10678〜10684頁;およびRosokら、(1996年)、J. Biol. Chem.、271巻:22611〜22618頁を参照されたい]を含むがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体を、当該分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、van Dijkおよびvan de Winkel(2001年)Curr. Opin. Pharmacol. 5巻:368〜74頁およびLonberg(2008年)Curr. Opin. Immunol. 20巻:450〜459頁に一般的に記載されている。
免疫原[例えば、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]を、抗原性チャレンジに応答してインタクトヒト抗体またはヒト可変領域を含むインタクト抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に投与することによって、ヒト抗体を調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えた、または染色体外に存在する、もしくは動物の染色体中に無作為に組み込まれた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含有する。そのようなトランスジェニック動物では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般に、不活化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を取得するための方法の概説については、例えば、Lonberg(2005年)Nat. Biotechnol. 23巻:1117〜1125頁;米国特許第6,075,181号および第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術を記載する);米国特許第5,770,429号(HuMab(登録商標)技術を記載する);米国特許第7,041,870号(K−M MOUSE(登録商標)技術を記載する);ならびに米国特許出願公開第2007/0061900号(VelociMouse(登録商標)技術を記載する)を参照されたい。そのような動物によって生成されるインタクト抗体に由来するヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによってさらに改変することができる。
本明細書で提供されるヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法により作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は記載されている[例えば、Kozbor、J. Immunol.、(1984年)、133巻:3001頁;Brodeurら(1987年)、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁、Marcel Dekker, Inc.、New York;およびBoernerら(1991年)、J. Immunol.、147巻:86頁を参照されたい]。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体はまた、Liら、(2006年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、103巻:3557〜3562頁において記載されている。追加の方法は、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのヒトモノクローナルIgM抗体の生成について記載)およびNi、Xiandai Mianyixue(2006年)、26巻(4号):265〜268頁(2006年)(ヒト−ヒトハイブリドーマについて記載)において記載されている方法を含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、VollmersおよびBrandlein(2005年)、Histol. Histopathol.、20巻(3号):927〜937頁;ならびにVollmersおよびBrandlein(2005年)、Methods Find Exp. Clin. Pharmacol.、27巻(3号):185〜91頁において記載されている。
本明細書で提供されるヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーより選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成することができる。次いで、このような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。ヒト抗体を抗体ライブラリーより選択するための技法は、本明細書で記載される。
例えば、本開示の抗体は、1つまたは複数の所望の活性を有する抗体のためのコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる。当該分野では、ファージディスプレイライブラリーを生成し、このようなライブラリーを、所望の結合特徴を保有する抗体についてスクリーニングするための、様々な方法が公知である。このような方法は、例えば、Hoogenboomら(2001年)、Methods in Molecular Biology、178巻:1〜37頁、O’Brienら編、Human Press、Totowa、N.J.において総説されており、例えば、McCaffertyら(1991年)、Nature、348巻:552〜554頁;Clacksonら、(1991年)、Nature、352巻:624〜628頁;Marksら(1992年)、J. Mol. Biol.、222巻:581〜597頁;MarksおよびBradbury(2003年)、Methods in Molecular Biology、248巻:161〜175頁、Lo編、Human Press、Totowa、N.J.;Sidhuら(2004年)、J. Mol. Biol.、338巻(2号):299〜310頁;Leeら(2004年)、J. Mol. Biol.、340巻(5号):1073〜1093頁;Fellouse(2004年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、101巻(34号):12467〜12472頁;ならびにLeeら(2004年)、J. Immunol. Methods、284巻(1〜2号):119〜132頁においてさらに記載されている。
ある特定のファージディスプレイ法では、VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリー中で無作為に組み換えられ、次いで、Winterら(1994年)Ann. Rev. Immunol.、12巻:433〜455頁に記載されたように抗原結合性ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)フラグメントとして、またはFabフラグメントとして、抗体フラグメントを展示する。免疫化された供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマの構築を要求することなく、免疫原[例えば、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に対する高アフィニティ抗体を提供する。あるいは、ナイーブなレパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、Griffithsら(1993年)EMBO J、12巻:725〜734頁によって記載された免疫化なしに様々な非自己およびまた、自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供することができる。最後に、HoogenboomおよびWinter(1992年)J. Mol. Biol.、227巻:381〜388頁によって記載されたように、幹細胞に由来する非再配置V遺伝子セグメントをクローニングし、高度に可変性のCDR3領域をコードし、in vitroでの再配置を達成するための無作為配列を含有するPCRプライマーを使用することによって、ナイーブなライブラリーを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載する特許刊行物としては、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号、第2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、および第2009/0002360号が挙げられる。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多特異性抗体、例えば、二特異性抗体である。多特異性抗体(典型的に、モノクローナル抗体)は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはこれを超える)抗原上の、少なくとも2つの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはこれを超える)異なるエピトープに対する結合特異性を有する。
「オクトパス抗体」を含む、3個またはそれよりも多くの機能的抗原結合性部位を有する操作された抗体も、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、可能な改変体抗体、例えば、天然に存在する変異を含有する、またはモノクローナル抗体調製物の生成時に発生する改変体抗体(このような改変体は、一般に少量で存在する)を除き同一であり、かつ/または同じエピトープに結合する。典型的に、異なるエピトープを指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一のエピトープを指向する。したがって、修飾語「モノクローナル」とは、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の性質を指し示し、任意の特定の方法により抗体の生成を必要とするとはみなさないものとする。例えば、本方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含有するトランスジェニック動物を活用する方法、本明細書で記載されるモノクローナル抗体を作製するためのこのような方法および他の例示的な方法を含むがこれらに限定されない様々な技法により作製することができる。
例えば、標準的なプロトコルを介して、GDF11に由来する免疫原を使用することにより、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清または抗タンパク質/抗ペプチドモノクローナル抗体を作製することができる[例えば、Antibodies: A Laboratory Manual(1988年)、HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Pressを参照されたい]。マウス、ハムスター、またはウサギなどの哺乳動物は、GDF11ポリペプチドの免疫原性形態、抗体応答を誘発することが可能である抗原性フラグメント、または融合タンパク質で免疫化することができる。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与するための技法は、キャリアへのコンジュゲーションまたは当該分野で周知の他の技法を含む。GDF11ポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与することができる。免疫化の進行は、血漿中または血清中の抗体力価の検出によりモニタリングすることができる。免疫原を抗原とする標準的なELISAまたは他のイムノアッセイを使用して、抗体生成レベルおよび/または結合アフィニティレベルを評価することができる。
GDF11の抗原性調製物で動物を免疫化した後、抗血清を得ることができ、所望の場合、ポリクローナル抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を生成するために、抗体生成細胞(リンパ球)を、免疫化動物から採取し、標準的な体細胞融合手順により、骨髄腫細胞など、不死化細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞をもたらすことができる。このような技法は、当該分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技法[例えば、KohlerおよびMilstein(1975年)、Nature、256巻:495〜497頁を参照されたい]、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法[例えば、Kozbarら(1983年)、Immunology Today、4巻:72頁を参照されたい]、およびヒトモノクローナル抗体を生成するEBVハイブリドーマ技法[Coleら(1985年)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc.、77〜96頁]が挙げられる。ハイブリドーマ細胞は、GDF11ポリペプチドと特異的に反応性である抗体、およびこのようなハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離されたモノクローナル抗体の生成について、免疫化学的にスクリーニングすることができる。
ある特定の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸改変を、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入し、これにより、Fc領域改変体を生成することができる。Fc領域改変体は、1つまたは複数のアミノ酸位置において、アミノ酸改変(例えば、置換、欠失、および/または付加)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、またはヒトIgG4のFc領域)を含み得る。
例えば、本開示は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有する抗体改変体であって、それを、in vivoでの抗体の半減期が、不要であるか、または有害である、ある特定のエフェクター機能[例えば、補体依存性細胞傷害性(CDC)および抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)]にとって依然として重要である用途のための望ましい候補にする抗体改変体を企図する。インビトロおよび/またはインビボにおける細胞傷害作用アッセイを実行して、CDC活性および/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体が、FcγR結合を欠く(よって、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRnへの結合能は保持することを確保することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIだけを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、例えば、RavetchおよびKinet(1991年)、Annu. Rev. Immunol.、9巻:457〜492頁にまとめられている。関心のある分子のADCC活性を評価するインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号;Hellstrom, I.ら(1986年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、83巻:7059〜7063頁、Hellstrom, Iら(1985年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82巻:1499〜1502頁;米国特許第5,821,337号;およびBruggemann, M.ら(1987年)、J. Exp. Med.、166巻:1351〜1361頁において記載されている。代替的に、非放射性アッセイ法を利用することができる(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害作用アッセイ;CellTechnology,Inc.、Mountain View、Calif.;およびCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害作用アッセイ、Promega、Madison、Wis.)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞として、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替的に、または加えて、関心のある分子のADCC活性は、インビボにおいて、例えば、Clynesら(1998年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95巻:652〜656頁において開示されている動物モデルなどの動物モデルにおいて評価することができる。また、C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合できず、よって、CDC活性を欠くことを確認することもできる[例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402における、C1q結合ELISAおよびC3c結合ELISAを参照されたい]。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを実施することができる[例えば、Gazzano−Santoroら(1996年)、J. Immunol. Methods、202巻:163頁;Cragg, M. S.ら(2003年)、Blood、101巻:1045〜1052頁;ならびにCragg, M. S.およびM. J. Glennie(2004年)、Blood、103巻:2738〜2743頁を参照されたい]。当該分野で公知の方法を使用して、FcRnへの結合およびインビボにおけるクリアランス/半減期の決定もまた、実施することができる[例えば、Petkova, S. B.ら(2006年)、Intl. Immunol.、18巻(12号):1759〜1769頁を参照されたい]。
エフェクター機能を低減した本開示の抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329のうちの1つまたは複数を置換した抗体を含む(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体は、アミノ酸265位、269位、270位、297位、および327位のうちの2つまたはこれより多くにおいて置換を有するFc変異体であって、残基265および297のアラニンへの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体を含むFc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
ある特定の実施形態では、システイン操作抗体、例えば、抗体の1つまたは複数の残基をシステイン残基で置換した「チオMAb」を創出することが望ましいと考えられる。特定の実施形態では、残基の置換を、抗体の接近可能な部位に施す。システインでこれらの残基を置換することにより、反応性のチオール基が抗体の接近可能な部位に配置され、抗体を、薬物部分またはリンカー−薬物部分など、他の部分にコンジュゲートして、本明細書でさらに記載されるような、免疫コンジュゲートを創出するのに使用することができる。ある特定の実施形態では、以下の残基:軽鎖のV205(Kabat番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);および重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)のうちの任意の1つまたは複数を、システインで置換することができる。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号において記載されているように生成することができる。
加えて、望ましい抗体を同定するための抗体をスクリーニングするのに使用される技法は、得られる抗体の特性に影響を及ぼし得る。例えば、抗体を、溶液中の抗原の結合に使用する場合、溶液中での結合について試験することが望ましいと考えられる。抗体と抗原との相互作用を試験して、特に望ましい抗体を同定するために、様々な異なる技法が利用可能である。このような技法として、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore(登録商標)結合アッセイ、Biacore AB、Uppsala、Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International,Inc.、Gaithersburg、Marylandの常磁性ビーズシステム)、ウェスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学が挙げられる。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体および/または結合ポリペプチドのアミノ酸配列改変体が企図される。例えば、抗体および/または結合ポリペプチドの結合アフィニティおよび/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体および/もしくは結合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列中に適切な改変を導入するか、またはペプチド合成により、抗体および/または結合ポリペプチドのアミノ酸配列改変体を調製することができる。そのような改変としては、例えば、抗体および/または結合ポリペプチドのアミノ酸配列からの欠失、および/またはその中への挿入、および/またはその中の残基の置換が挙げられる。最終構築物が所望の特徴、例えば、標的結合(ActRIIB、ActRIIA、ALK4、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、および/またはBMP9結合)を有するという条件で、欠失、挿入、および置換の任意の組合せを作製して、最終構築物に到達することができる。
変更(例えば、置換)をHVR内に施して、例えば、抗体のアフィニティを改善することができる。このような変更は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセスにおいて高頻度で変異を経るコドンによりコードされる残基(例えば、Chowdhury(2008年)、Methods Mol. Biol.、207巻:179〜196頁(2008年)を参照されたい)、および/またはSDR(a−CDR)に施すことができ、結果として得られる改変体VHまたは改変体VLを結合アフィニティについて調べる。当該分野では、二次ライブラリーを構築し、ここから再選択することによるアフィニティ成熟が記載されている[例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology、178巻:1〜37頁、O’Brienら編、Human Press、Totowa、N.J.(2001年)を参照されたい]。アフィニティ成熟の一部の実施形態では、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向変異誘発)のいずれかにより、成熟のために選択された可変遺伝子に多様性を導入する。次いで、二次ライブラリーを創出する。次いで、ライブラリーをスクリーニングして、所望のアフィニティを有する任意の抗体改変体を同定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6残基)をランダム化する、HVR指向アプローチを伴う。抗原の結合に関与するHVR残基は、例えばアラニン走査変異誘発またはモデル化を使用して、特異的に同定することができる。特にCDR−H3およびCDR−L3は、しばしば標的化される。
ある特定の実施形態では、このような変更が、抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減しない限りにおいて、1つまたは複数のHVR内に置換、挿入、または欠失を施すことができる。例えば、結合アフィニティを実質的に低減しない保存的変更(例えば、本明細書で提供される保存的置換)を、HVR内に施すことができる。このような変更は、HVR「ホットスポット」またはSDRの外部であり得る。上記で提供した改変体VH配列およびVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、不変であるか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有する。
変異誘発のために標的化され得る抗体および/または結合ポリペプチドの残基または領域の同定のための有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989年)Science、244巻:1081〜1085頁によって記載されたように、「アラニン走査変異誘発」と呼ばれる。この方法では、抗体または結合ポリペプチドの抗原との相互作用が影響されるかどうかを決定するために、残基または標的残基群(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)が同定され、中性の、または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンもしくはポリアラニン)によって置き換える。さらなる置換を、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入することができる。あるいは、またはさらに、抗原−抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との接触点を同定することができる。そのような接触残基および近隣の残基を、置換のための候補として標的化または排除することができる。改変体をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有するかどうかを決定することができる。
アミノ酸配列の挿入は、1残基〜100またはこれより多くの残基を含有するポリペプチドの範囲の長さのアミノ末端融合体および/またはカルボキシル末端融合体のほか、単一または複数のアミノ酸残基の内部配列挿入も含む。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入改変体として、抗体のN末端もしくはC末端の、酵素(例えば、ADEPTのための)、または抗体の血清中半減期を延長するポリペプチドへの融合体が挙げられる。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体および/または結合性ポリペプチドを、当該分野で公知であり、たやすく利用可能である、追加の非タンパク質性部分を含有するようにさらに修飾することができる。抗体および/または結合性ポリペプチドの誘導体化に適する部分は、水溶性ポリマーを含むがこれらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例として、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマー)、およびデキストラン、またはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、ポリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中のその安定性のために、製造において有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であることが可能であり、分枝状でもよく、非分枝状でもよい。抗体および/または結合ポリペプチドに付加させるポリマーの数は、変化させることができ、1つより多くのポリマーを付加させる場合、それらは、同じ分子でもよく、異なる分子でもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または種類は、抗体の誘導体および/または結合ポリペプチドの誘導体が規定の条件下での治療に使用されようと、改善する抗体および/または結合ポリペプチドの特定の特性または機能を含むがこれらに限定されない検討事項に基づき決定することができる。
本明細書に開示されるActRIIアンタゴニスト抗体のいずれかを、1つまたは複数のさらなるActRIIアンタゴニストと組み合わせて、所望の効果を達成することができる。例えば、ActRIIアンタゴニスト抗体を、i)1つもしくは複数のさらなるActRIIアンタゴニスト抗体、ii)1つもしくは複数のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、および/もしくはALK4:ActRIIBヘテロ二量体;iii)1つもしくは複数の小分子ActRIIアンタゴニスト;iv)1つもしくは複数のポリヌクレオチドActRIIアンタゴニスト;v)1つもしくは複数のフォリスタチンポリペプチド;ならびに/またはvi)1つもしくは複数のFLRGポリペプチドと組み合わせて使用することができる。
5.小分子アンタゴニスト
他の態様では、本開示は、小分子、または小分子の組合せであるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。ActRIIアンタゴニスト小分子は、1つもしくは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)、または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達構成成分(例えば、Smad2および/もしくは3)を阻害し得る。特に、本開示は、所望の効果を達成することを必要とする対象における所望の効果を達成する(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置する)ために、ActRIIアンタゴニスト小分子、またはActRIIアンタゴニスト小分子の組合せを、単独で、または1つもしくは複数のさらなる支持療法および/もしくは活性薬剤と組み合わせて使用する方法を提供する。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIアンタゴニスト小分子を、免疫療法剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせて使用することができる。
一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIAおよびActRIIBを阻害する、小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIAおよびActRIIBを阻害する、小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIAを阻害する、小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIAを阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIBを阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIBを阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF11を阻害する、小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF11を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF8を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF8を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、およびアクチビンAE)を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、アクチビンを阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF3を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF3を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP6を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP6を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP10を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP10を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP9を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP9を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、およびBMP10]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともALK4を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ALK4を阻害する小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、および/もしくはBMP9]、ActRIIA、および/またはActRIIBをさらに阻害する。
小分子ActRIIアンタゴニストは、直接的または間接的阻害剤であってもよい。例えば、間接的な小分子ActRIIアンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、少なくとも1つもしくは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達構成成分(例えば、Smad2および/もしくは2)の発現(例えば、転写、翻訳、細胞分泌、またはその組合せ)を阻害し得る。あるいは、直接的な小分子ActRIIアンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組合せは、例えば、1つもしくは複数のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達構成成分(例えば、Smad2および/もしくは3)のうちの1つまたは複数に直接的に結合し得る。1つまたは複数の間接的小分子ActRIIアンタゴニストと、1つまたは複数の直接的小分子ActRIIアンタゴニストとの組合せを、本明細書に開示される方法に従って使用することができる。
本開示の有機小分子アンタゴニストの結合を、公知の方法(例えば、PCT公開WO00/00823およびWO00/39585を参照されたい)を使用して同定し、化学的に合成することができる。一般に、本開示の小分子アンタゴニストは、通常、約2000ダルトン未満のサイズ、あるいは、約1500、750、500、250または200ダルトン未満のサイズであり、そのような有機小分子は、本明細書に記載のポリペプチド[例えば、ALK4、ActRIIB、ActRIIA、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]に、好ましくは特異的に結合することができる。そのような小分子アンタゴニストを、周知の技術を使用して過度の実験を行うことなく同定することができる。これに関して、ポリペプチド標的に結合することができる分子について有機小分子ライブラリーをスクリーニングするための技術は当該分野で周知であることに留意されたい(例えば、国際特許出願公開WO00/00823およびWO00/39585を参照されたい)。
本開示の結合有機低分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級アミン、三級アミン、N置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カーボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、アリールハロゲン化物、アリールスルホネート、アルキルハロゲン化物、アルキルスルホネート、芳香族化合物、複素環化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、スルホニル塩化物、ジアゾ化合物、および酸塩化物であり得る。
本明細書に開示される小分子ActRIIアンタゴニストはいずれも、1つまたは複数のさらなるActRIIアンタゴニストと組み合わせて、所望の、任意選択で、免疫療法剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)とさらに組み合わせて達成することができる。例えば、小分子ActRIIアンタゴニストを、i)1つもしくは複数のさらなるActRIIアンタゴニスト小分子、ii)1つもしくは複数のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、および/もしくはALK4:ActRIIBヘテロ二量体;iii)1つもしくは複数の抗体ActRIIアンタゴニスト;iv)1つもしくは複数のポリヌクレオチドActRIIアンタゴニスト;v)1つもしくは複数のフォリスタチンポリペプチド;ならびに/またはvi)1つもしくは複数のFLRGポリペプチドと組み合わせて使用することができる。
6.ヌクレオチドActRIIアンタゴニスト
他の態様では、本開示は、ポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドの組合せであるActRIIアンタゴニスト(阻害剤)に関する。ActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドは、1つもしくは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、1つもしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびALK4)、または1つもしくは複数のActRII下流シグナル伝達構成成分(例えば、Smad2および/もしくは3)を阻害し得る。特に、本開示は、所望の効果を達成することを必要とする対象における所望の効果を達成する(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、がんまたは病原体を処置する)ために、ActRIIアンタゴニストポリヌクレオチド、またはActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドの組合せを、単独で、または1つもしくは複数のさらなる支持療法および/もしくは活性薬剤と組み合わせて使用する方法を提供する。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドを、免疫療法剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせて使用することができる。
一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIAおよびActRIIBを阻害する、ポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIAおよびActRIIBを阻害する、ポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIAを阻害する、ポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIAを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともActRIIBを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ActRIIBを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF11を阻害する、ポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF11を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともGDF8を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF8を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、およびアクチビンAE)を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、アクチビンを阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIポリヌクレオチドは、少なくともGDF3を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、GDF3を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、BMP6、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP6を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP6を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP10、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP10を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP10を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、およびBMP9]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともBMP9を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、BMP9を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、およびBMP10]、ActRIIA、ActRIIB、および/またはALK4をさらに阻害する。一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくともALK4を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せである。一部の実施形態では、ALK4を阻害するポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組合せは、1つまたは複数のActRII関連リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、および/もしくはBMP9]、ActRIIA、および/またはActRIIBをさらに阻害する。
本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アンチセンス核酸、RNAi分子[例えば、小分子干渉RNA(siRNA)、小分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)]、アプタマーおよび/またはリボザイムであり得る。ヒトALK4、ActRIIA、ActRIIB、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9の核酸およびアミノ酸配列は、当該分野で公知であり、かくして、本開示の方法に従う使用のためのポリヌクレオチドアンタゴニストは、当該分野における知識および本明細書に提供される教示に基づいて、当業者によって慣例的に作製され得る。
例えば、アンチセンス技術は、アンチセンスDNAもしくはアンチセンスRNA、または三重螺旋形成を介して、遺伝子発現を制御するのに使用することができる。アンチセンス法は、例えば、Okano(1991年)、J. Neurochem.、56巻:560頁;Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression、CRC Press、Boca Raton、Fla.(1988年)において論じられている。三重螺旋形成は、例えば、Cooneyら(1988年)、Science、241巻:456頁;およびDervanら、(1991年)、Science、251巻:1300頁において論じられている。方法は、ポリヌクレオチドの、相補性DNAまたはRNAへの結合に基づく。一部の実施形態では、アンチセンス核酸は、所望の遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的な一本鎖RNA配列または一本鎖DNA配列を含む。しかし、絶対的な相補性は、好ましいが、必要ではない。
本明細書で言及される「RNAの少なくとも一部に相補的な」配列とは、RNAとハイブリダイズし、安定的な二重鎖を形成することが可能であるのに十分な相補性を有する配列を意味し、したがって、本明細書で開示される遺伝子の二本鎖アンチセンス核酸の場合、二重鎖DNAの一本鎖を試験してもよく、三重鎖形成をアッセイしてもよい。ハイブリダイズする能力は、アンチセンス核酸の相補性の程度および長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズさせる核酸が大型であるほど、それが含有し得るRNAとの塩基のミスマッチも多くなるが、なおも安定的な二重鎖(または、場合に応じて、三重鎖)を形成する。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定する標準的な手順の使用により、ミスマッチの許容可能な程度を確認することができる。
メッセンジャーの5’末端と相補的であるポリヌクレオチド、例えば、AUG開始コドンを含むそれまでの5’非翻訳配列は、翻訳の阻害において最も効率的に機能するはずである。しかしながら、mRNAの3’非翻訳配列と相補的な配列は、同様にmRNAの翻訳の阻害において有効であることが示されている[例えば、Wagner, R.(1994年)Nature 372巻:333〜335頁を参照されたい]。かくして、本開示の遺伝子の5’または3’非翻訳非コード領域と相補的なオリゴヌクレオチドを、アンチセンス法において使用して、内因性mRNAの翻訳を阻害することができる。mRNAの5’非翻訳領域と相補的なポリヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補体を含むべきである。mRNAコード領域と相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳の阻害剤としてあまり有効ではないが、本開示の方法に従って使用することができる。本開示のmRNAの5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、またはコード領域にハイブリダイズするように設計されたかに応じて、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長であるべきであり、好ましくは、6〜約50ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオチドである。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、または少なくとも50ヌクレオチドである。
一実施形態では、本開示のアンチセンス核酸は、外因性配列からの転写により、細胞内で生成される。例えば、ベクターまたはその一部は、転写され、本開示の遺伝子のアンチセンス核酸(RNA)を生成する。このようなベクターは、所望のアンチセンス核酸をコードする配列を含有する。このようなベクターは、所望のアンチセンスRNAを生成するように転写され得る限りにおいて、エピソームにとどまってもよく、染色体に組み込まれてもよい。このようなベクターは、当該分野で標準的な組換えDNA法により構築することができる。ベクターは、プラスミドベクターでもよく、ウイルスベクターでもよく、または当該分野で公知の他のベクターであって、脊椎動物細胞内の複製および発現のために使用されるベクターでもよい。本開示の所望の遺伝子またはこれらのフラグメントをコードする配列の発現は、脊椎動物細胞内、好ましくは、ヒト細胞内で作用することが当該分野で公知の任意のプロモーターによるものであり得る。このようなプロモーターは、誘導性であっても、恒常的であってもよい。このようなプロモーターとして、SV40初期プロモーター領域[例えば、BenoistおよびChambon(1981年)、Nature、29巻:304〜310頁を参照されたい]、ラウス肉腫ウイルスの3’側長末端リピート内に含有されるプロモーター[例えば、Yamamotoら(1980年)、Cell、22巻:787〜797頁を参照されたい]、ヘルペスチミジンプロモーター[例えば、Wagnerら(1981年)、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、78巻:1441〜1445頁を参照されたい]、およびメタロチオネイン遺伝子の調節配列[例えば、Brinsterら(1982年)、Nature、296巻:39〜42頁を参照されたい]が挙げられるがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドアンタゴニストは、1つまたは複数の遺伝子の発現を標的とする干渉RNAまたはRNAi分子である。RNAiとは、標的mRNAの発現を妨げるRNAの発現を指す。具体的には、RNAiは、siRNA(小分子干渉RNA)を介して特定のmRNAと相互作用することによって標的遺伝子をサイレンシングする。次いで、ds RNA複合体が、細胞による分解のために標的化される。siRNA分子は、十分に相補的である標的遺伝子(例えば、遺伝子と少なくとも80%同一である)の発現を妨げる、10〜50ヌクレオチド長の二本鎖RNA二重鎖である。一部の実施形態では、siRNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列と少なくとも85、90、95、96、97、98、99、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
さらなるRNAi分子は、短ヘアピンRNA(shRNA);また、短干渉ヘアピンおよびマイクロRNA(miRNA)を含む。shRNA分子は、ループによって接続された標的遺伝子に由来するセンスおよびアンチセンス配列を含有する。shRNAは、核から細胞質に輸送され、mRNAと共に分解される。Pol IIIまたはU6プロモーターを使用して、RNAiのためのRNAを発現させることができる。Paddisonら[Genes & Dev.(2002年)16巻:948〜958頁、2002年]は、RNAiを行うための手段として、ヘアピンに折り畳まれた小分子RNAを使用した。したがって、そのような短ヘアピンRNA(shRNA)分子もまた、本明細書に記載される方法において有利に使用される。機能的なshRNAのステムおよびループの長さは変化する;ステム長は、約25〜約30ntあたりの範囲であってよく、ループサイズはサイレンシング活性に影響しない4〜約25ntの範囲であってよい。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望むものではないが、これらのshRNAはDICER RNaseの二本鎖RNA(dsRNA)産物と似ており、いずれにしても、特定の遺伝子の発現を阻害することについて同じ能力を有すると考えられる。shRNAを、レンチウイルスベクターから発現させることができる。miRNAは、「ステム−ループ」構造を特徴とするプレ−miRNAとして最初に転写された後、RISCによるさらなるプロセシングの後に成熟miRNAにプロセシングされる、約10〜70ヌクレオチド長の一本鎖RNAである。
siRNAを含むがこれに限定せず、RNAiを媒介する分子は、インビトロで、化学合成(Hohjoh、FEBS Lett、521巻:195〜199頁、2002年)、dsRNAの加水分解(Yangら、Proc Natl Acad Sci USA、99巻:9942〜9947頁、2002年)、T7 RNAポリメラーゼによるインビトロ転写(Donzeetら、Nucleic Acids Res、30巻:e46頁、2002年;Yuら、Proc Natl Acad Sci USA、99巻:6047〜6052頁、2002年)、およびE.coli RNアーゼIIIなどのヌクレアーゼを使用する二本鎖RNAの加水分解(Yangら、Proc Natl Acad Sci USA、99巻:9942〜9947頁、2002年)によって生成することができる。
別の態様に従うと、本開示は、デコイDNA、二本鎖DNA、一本鎖DNA、複合体化DNA、封入型DNA、ウイルスDNA、プラスミドDNA、ネイキッドRNA、封入型RNA、ウイルスRNA、二本鎖RNA、RNA干渉をもたらすことが可能な分子、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないポリヌクレオチドアンタゴニストを提供する。
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アプタマーである。アプタマーは、ALK4、ActRIIB、ActRIIA、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、BMP6、BMP10、およびBMP9ポリペプチドなどの、標的分子に特異的に結合する三次構造に結合し、それを形成する、二本鎖DNAおよび一本鎖RNA分子を含む核酸分子である。アプタマーの生成および治療的使用は、当該分野で確立されている。例えば、米国特許第5,475,096号を参照されたい。アプタマーに関するさらなる情報は、米国特許出願公開第20060148748号に見出すことができる。核酸アプタマーは、当該分野で公知の方法を使用して、例えば、指数的濃縮によるリガンドの系統的進化(SELEX)プロセスによって選択される。SELEXは、例えば、米国特許第5,475,096号、同第5,580,737号、同第5,567,588号、同第5,707,796号、同第5,763,177号、同第6,011,577号、および同第6,699,843号に記載のような、標的分子に非常に特異的に結合する核酸分子のin vitro進化のための方法である。アプタマーを同定するための別のスクリーニング方法は、米国特許第5,270,163号に記載されている。SELEXプロセスは、様々な2次元および3次元構造を形成する核酸の能力、ならびに単量体であっても、多量体であっても、他の核酸分子およびポリペプチドを含む、実質的に任意の化合物とのリガンドとして作用する(特異的結合ペアを形成する)ヌクレオチド単量体内で利用可能な化学的多用途性に基づくものである。任意のサイズおよび組成の分子が、標的として働き得る。SELEX法は、所望の結合アフィニティおよび選択性を達成するために、同じ一般的選択スキームを使用する、候補オリゴヌクレオチドの混合物からの選択ならびに結合、分離および増幅の段階的反復を含む。無作為化配列のセグメントを含んでもよい核酸の混合物から出発して、SELEX法は、結合にとって好ましい条件下で混合物と標的とを接触させる工程;標的分子に特異的に結合した核酸から未結合の核酸を分離する工程;核酸−標的複合体を解離させる工程;核酸−標的複合体から解離した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮された混合物を得る工程を含む。結合、分離、解離および増幅の工程は、標的分子に対する高度に特異的な高アフィニティ核酸リガンドを得るために、必要に応じて多くのサイクルにわたって繰り返される。
典型的に、このような結合分子は、動物に別個に投与される[例えば、O’Connor(1991年)、J. Neurochem.、56巻:560頁を参照されたい]が、このような結合分子はまた、宿主細胞により取り込まれたポリヌクレオチドからインビボで発現させることもでき、インビボで発現させることができる[例えば、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression、CRC Press、Boca Raton、Fla.(1988年)を参照されたい]。
本明細書に開示される任意のActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドを、1つまたは複数のさらなるActRIIアンタゴニストと組み合わせて、所望のものを達成することができる。例えば、ActRIIアンタゴニストポリヌクレオチドを、i)1つもしくは複数のさらなるActRIIアンタゴニストポリヌクレオチド、ii)1つもしくは複数のActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、および/もしくはALK4:ActRIIBヘテロ二量体、iii)1つもしくは複数のActRIIアンタゴニスト、iv)1つもしくは複数の小分子ActRIIアンタゴニスト、v)1つもしくは複数のフォリスタチンポリペプチド、ならびに/またはvi)1つもしくは複数のFLRGポリペプチドと組み合わせて使用することができる。
7.フォリスタチンおよびFLRGアンタゴニスト
他の態様では、本明細書に開示される方法に従う使用のためのActRIIアンタゴニスト(阻害剤)は、所望の効果を達成する(例えば、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させ、病原体のがんを処置する)ために、単独で、または1つもしくは複数の追加的な支持療法および/もしくは本明細書に開示される活性薬剤と組み合わせて使用することができる、フォリスタチンまたはFLRGポリペプチドである。ある特定の好ましい実施形態では、フォリスタチンまたはFLRGポリペプチドを、免疫療法剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせて使用することができる。
用語「フォリスタチンポリペプチド」は、フォリスタチンの任意の天然起源のポリペプチドならびに有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、フラグメント、融合体、およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含み、フォリスタチンの任意の機能的単量体または多量体をさらに含む。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のフォリスタチンポリペプチドは、アクチビン、特に、アクチビンAに結合する、および/またはその活性を阻害する。アクチビン結合特性を保持するフォリスタチンポリペプチドの改変体を、フォリスタチンとアクチビンの相互作用を含む以前の研究に基づいて同定することができる。例えば、WO2008/030367は、アクチビン結合にとって重要であることが示されている特異的フォリスタチンドメイン(「FSD」)を開示する。以下の配列番号46〜48に示されるように、フォリスタチンのN末端ドメイン(「FSND」、配列番号46)、FSD2(配列番号48)、および比較的程度は低いが、FSD1(配列番号47)は、アクチビン結合にとって重要であるフォリスタチン内にある例示的ドメインである。さらに、ポリペプチドのライブラリーを作製し、試験するための方法は、ActRIIポリペプチドの文脈で上に記載されており、そのような方法もまた、フォリスタチンの改変体を作製し、試験することに関する。フォリスタチンポリペプチドは、フォリスタチンポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一であり、任意選択で、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い同一性を有する配列を有する任意の公知のフォリスタチンの配列に由来するポリペプチドを含む。フォリスタチンポリペプチドの例は、例えば、WO2005/025601に記載されたような、成熟フォリスタチンポリペプチドまたはヒトフォリスタチン前駆体ポリペプチドのより短いアイソフォームもしくは他の改変体(配列番号44)を含む。
ヒトフォリスタチン前駆体ポリペプチドのアイソフォームであるFST344は、以下の通りである。
シグナルペプチドに下線を付す;上記ではまた、このフォリスタチンアイソフォームを、下記に示される短いフォリスタチンアイソフォームであるFST317から弁別する、C末端伸長部分を表す最後の27残基にも下線を付している。
ヒトフォリスタチン前駆体ポリペプチドのアイソフォームであるFST317は、以下の通りである。
シグナルペプチドに下線を付す。
フォリスタチンのN末端ドメイン(FSND)配列は、以下の通りである。
FSD1およびFSD2の配列は以下の通りである:
他の態様では、本明細書に開示される方法に従う使用のためのActRIIアンタゴニストは、フォリスタチン関連タンパク質3(FSTL3)としても公知の、フォリスタチン様関連遺伝子(FLRG)である。用語「FLRGポリペプチド」は、FLRGの任意の天然起源のポリペプチド、ならびに有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、フラグメント、融合体、およびペプチド模倣形態を含む)を含む。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のFLRGポリペプチドは、アクチビン、特に、アクチビンAに結合する、および/またはその活性を阻害する。アクチビン結合特性を保持するFLRGポリペプチドの改変体を、FLRGとアクチビンの相互作用をアッセイするための日常的な方法(例えば、米国特許第6,537,966号を参照されたい)を使用して同定することができる。さらに、ポリペプチドのライブラリーを作製し、試験するための方法は、ActRIIポリペプチドの文脈で上に記載されており、そのような方法もまた、FLRGの改変体を作製し、試験することに関する。FLRGポリペプチドは、FLRGポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一であり、任意選択で、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%またはそれよりも高い同一性を有する配列を有する任意の公知のFLRGの配列に由来するポリペプチドを含む。
ヒトFLRG前駆体(フォリスタチン関連タンパク質3前駆体)ポリペプチドは、以下の通りである。
シグナルペプチドに下線を付す。
ある特定の実施形態では、フォリスタチンポリペプチドおよびFLRGポリペプチドの機能的な改変体または改変形態は、フォリスタチンポリペプチドまたはFLRGポリペプチドの少なくとも一部を有する融合タンパク質と、例えば、ポリペプチドの単離、検出、安定化、または多量体化を容易とするドメインなど、1つまたは複数の融合ドメインとを含む。適切な融合ドメインについては、ActRIIポリペプチドに関して、上記で詳細に論じられている。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト作用因子は、Fcドメインに融合させたフォリスタチンポリペプチドのアクチビン結合性部分を含む融合タンパク質である。別の実施形態では、本開示のアンタゴニスト作用因子は、Fcドメインに融合させたFLRGポリペプチドのアクチビン結合性部分を含む融合タンパク質である。
本明細書に開示される任意のフォリスタチンポリペプチドを、本開示の1つまたは複数のさらなるActRIIアンタゴニスト剤と組み合わせて、所望の効果を達成することができる。例えば、フォリスタチンポリペプチドを、i)1つもしくは複数のさらなるフォリスタチンポリペプチド、ii)1つもしくは複数のActRIIポリペプチドおよび/もしくはALK4:ActRIIBヘテロ多量体、iii)1つもしくは複数のActRIIアンタゴニスト抗体、iv)1つもしくは複数の小分子ActRIIアンタゴニスト、v)1つもしくは複数のActRIIアンタゴニストポリヌクレオチド、ならびに/またはvi)1つもしくは複数のFLRGポリペプチドと組み合わせて使用することができる。
同様に、本明細書に開示される任意のFLRGポリペプチドを、本開示の1つまたは複数のさらなるActRIIアンタゴニスト剤と組み合わせて、任意選択で、免疫療法剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)とさらに組み合わせて、所望の効果を達成することができる。例えば、FLRGポリペプチドを、i)1つもしくは複数のさらなるFLRGポリペプチド、ii)1つもしくは複数のActRIIポリペプチドおよび/もしくはALK4:ActRIIBヘテロ多量体、iii)1つもしくは複数のActRIIアンタゴニスト抗体、iv)1つもしくは複数の小分子ActRIIアンタゴニスト、v)1つもしくは複数のActRIIアンタゴニストポリヌクレオチド、ならびに/またはvi)1つもしくは複数のフォリスタチンポリペプチドと組み合わせて使用することができる。
8.スクリーニングアッセイ
ある特定の態様では、本開示は、ActRIIアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するための、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の使用に関する。このスクリーニングにより同定される化合物を試験して、がんおよび/または腫瘍増殖を調節するその能力を評価する、in vivoまたはin vitroでがんおよび/または腫瘍増殖を調節するその能力を評価することができる。これらの化合物を、例えば、動物モデルにおいて試験することができる。
TGFβスーパーファミリーリガンドシグナル伝達(例えば、SMADシグナル伝達)を標的化することにより組織増殖を調節するための治療剤をスクリーニングするためのいくつかの手法が存在する。ある特定の実施形態では、化合物の高効率スクリーニングを実行して、選択された細胞系に対するTGFβスーパーファミリー受容体により媒介される効果を混乱させる薬剤を同定することができる。ある特定の実施形態では、アッセイは、TGFβスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)などの、結合パートナーへの、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の結合を特異的に阻害するか、または低下させる化合物をスクリーニングし、同定するために実行される。あるいは、このアッセイを使用して、TGFβスーパーファミリーリガンドなどの結合パートナーへの、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の結合を増強する化合物を同定することができる。さらなる実施形態では、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体と相互作用するその能力によって、化合物を同定することができる。
種々のアッセイ形式が十分であり、そして、本開示を考慮すれば、本明細書中に明示的に記載されない形式は、本明細書中に記載されていないにもかかわらず、当業者によって理解される。本明細書中に記載されるように、本発明の試験化合物(作用因子)は、任意の組み合わせ化学の方法によって作製され得る。あるいは、本主題の化合物は、インビボまたはインビトロで合成された天然に存在する生体分子であり得る。組織増殖の調節因子として作用するその能力について試験される化合物(作用因子)は、例えば、細菌、酵母、植物または他の生物によって生成されても(例えば、天然の生成物)、化学的に生成されても(例えば、ペプチド模倣物を含む低分子)、組換えにより生成されてもよい。本発明によって企図される試験化合物としては、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモンおよび核酸分子が挙げられる。ある特定の実施形態では、試験作用因子は、約2000ダルトン未満の分子量を持つ小さな有機分子である。
本開示の試験化合物は、単一の別個の実体として提供され得るか、または、組み合わせ化学によって作製されたような、より複雑度の高いライブラリーにおいて提供され得る。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび有機化合物の他の分類を含み得る。試験システムに対する試験化合物の提示は、特に、最初のスクリーニング段階において、単離された形態または化合物の混合物としてのいずれかであり得る。任意選択で、化合物は、任意選択で他の化合物で誘導体化され得、そして、化合物の単離を容易にする誘導体化基を有し得る。誘導体化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化クロスリンカー、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムでは、所与の期間に調査される化合物の数を最大化するために高効率アッセイが望ましい。精製または半精製タンパク質を用いて誘導され得るものなどの無細胞系で実施されるアッセイは、試験化合物によって媒介される分子標的における変化の迅速な発達および比較的容易な検出を可能にするためにそれらを生成することができる点で、「一次」スクリーンとして好ましいことが多い。さらに、試験化合物の細胞傷害性またはバイオアベイラビリティの効果は、in vitro系では一般に無視することができ、アッセイはその代わりに、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体ならびにその結合パートナー(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)の間の結合アフィニティの変化において明らかであり得るような分子標的に対する薬物の効果に主に焦点を当てたものである。
単なる例示として、本開示の例示的なスクリーニングアッセイでは、関心のある化合物は、アッセイの意図に応じて適宜、通常TGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し得る単離および精製されたALK4:ActRIIBヘテロ多量体と接触させられる。その後、化合物とALK4:ActRIIBヘテロ多量体との混合物は、適当なTGF−βスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)を含む組成物に加えられる。ヘテロ多量体−スーパーファミリーリガンド複合体の検出および定量は、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体とその結合タンパク質との間の複合体の形成の阻害(または助長)における化合物の効力を決定するための手段を提供する。化合物の効力は、種々の濃度の試験化合物を用いて得られたデータから用量応答曲線を生成することによって評価され得る。さらに、比較のためのベースラインを提供するためのコントロールアッセイもまた行われ得る。例えば、コントロールアッセイでは、単離および精製されたTGF−βスーパーファミリーリガンドは、ALK4:ActRIIBヘテロ多量体を含む組成物に加えられ、そして、ヘテロ多量体リガンド複合体の形成は、試験化合物の非存在下で定量される。一般に、反応物が混合され得る順序は変化し得、そして、同時に混合され得ることが理解される。さらに、適切な無細胞アッセイ系を与えるように、精製したタンパク質の代わりに、細胞の抽出物および溶解物が使用され得る。
ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体の、別のタンパク質への結合を、様々な技術によって検出することができる。例えば、複合体の形成の調節を、例えば、イムノアッセイ、またはクロマトグラフィー検出により、放射標識(例えば、32P、35S、14Cもしくは3H)された、蛍光標識(例えば、FITC)された、もしくは酵素標識されたActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/もしくはALK4:ActRIIBヘテロ多量体などの検出可能に標識されたタンパク質ならびに/または結合タンパク質を使用して定量することができる。
ある特定の実施形態では、本開示は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体と、結合タンパク質との相互作用の程度を、直接的または間接的に測定する際の、蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイの使用を企図する。さらに、光導波路(PCT公開WO96/26432および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、および表面力センサーに基づくものなどの、他の検出様式は、本開示の多くの実施形態と適合する。
さらに、本開示は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体と、結合パートナーとの相互作用を破壊する、または強化する薬剤を同定するための、「2ハイブリッドアッセイ」としても公知の相互作用捕捉アッセイの使用を企図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993年)Cell 72巻:223〜232頁;Maduraら(1993年)J Biol Chem 268巻:12046〜12054頁;Bartelら(1993年)Biotechniques 14巻:920〜924頁;およびIwabuchiら(1993年)Oncogene 8巻:1693〜1696頁を参照されたい。特定の実施形態では、本開示は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体と、結合タンパク質との相互作用を解離させる化合物(例えば、小分子またはペプチド)を同定するための逆2ハイブリッド系の使用を企図する[VidalおよびLegrain(1999年)Nucleic Acids Res 27巻:919〜29頁;VidalおよびLegrain(1999年)Trends Biotechnol 17巻:374〜81頁;ならびに米国特許第5,525,490号;同第5,955,280号;および同第5,965,368号]。
ある特定の実施形態では、対象化合物は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体と相互作用するその能力によって同定される。化合物と、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体との相互作用は、共有結合性または非共有結合性であってもよい。例えば、そのような相互作用を、光架橋、放射標識リガンド結合、およびアフィニティクロマトグラフィーを含む、in vitroでの生化学的方法を使用して、タンパク質レベルで同定することができる[Jakoby WBら(1974年)Methods in Enzymology 46巻:1頁]。ある特定の場合、化合物は、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体に結合する化合物を検出するためのアッセイなどの、機構に基づくアッセイにおいてスクリーニングされ得る。これは、固相または液相結合事象を含んでもよい。あるいは、ActRIIポリペプチド、ALK4ポリペプチド、ActRIIA/B抗体、および/またはALK4:ActRIIBヘテロ多量体をコードする遺伝子を、レポーター系(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)と共に細胞中にトランスフェクトし、好ましくは、高効率スクリーニングにより、またはライブラリーの個々のメンバーを用いて、ライブラリーに対してスクリーニングすることができる。他の機構に基づく結合アッセイ;例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを使用してもよい。結合アッセイを、ウェル、ビーズもしくはチップに固定された、または固定された抗体により捕捉された、またはキャピラリー電気泳動により分解された標的を用いて実施することができる。結合した化合物を、通常は比色終点または蛍光もしくは表面プラズモン共鳴を使用して検出することができる。
9.例示的な治療的使用
本明細書に記載されるように、出願人は、ActRIIアンタゴニスト(阻害剤)が、単独で、または免疫療法剤と組み合わせて、例えば、がん患者における全身腫瘍組織量の減少および生存時間の増大を含む、がんの処置における驚くべき正の効果を有することを発見した。したがって、本開示は、部分的には、がんを処置するため、特に、がんの1つまたは複数の合併症を処置または防止するため(例えば、全身腫瘍組織量を減少させるため)に、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤(例えば、免疫療法剤)と組み合わせて、ActRIIアンタゴニストを使用する方法を提供する。さらに、データは、ActRIIアンタゴニスト療法の効能が、免疫系に依存することを示す。したがって、部分的には、本開示は、ActRIIアンタゴニストを、単独で、または1つまたは複数の追加的な活性薬剤と組み合わせて、免疫療法剤として使用して、特に、様々ながん(例えば、免疫抑制および/または免疫疲弊と関連するがん)を処置することができるという発見に関する。他の公知の免疫腫瘍剤と同様、ActRIIアンタゴニストが患者における免疫応答を強化する能力は、がんの分野の外ではるかに幅広い治療との関連を有し得る。例えば、免疫強化剤は、様々な感染性疾患、特に、免疫抑制および/または免疫疲弊を促進する病原因子を処置する際に有用であり得ることが提唱されている。また、そのような免疫強化剤は、ワクチン(例えば、感染性疾患およびがんワクチン)の免疫化効能を強化する際に有用であり得る。したがって、本開示は、単独で、または組み合わせて、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と共に使用して、免疫応答を増加させることを必要とする対象における免疫応答を増加させる、がんを処置する、感染性疾患を処置する、および/またはワクチン接種/免疫化効能を増加させることができる様々なActRIIアンタゴニストを提供する。
本明細書に記載され、特許請求される方法およびActRIIアンタゴニストを使用して、悪性または前悪性状態を処置する、および本明細書に記載の障害を含むがこれらに限定されない、新生物または悪性状態への進行を防止することができる。そのような使用は、特に、過形成、化生、または最も特には、異形成からなる非新生物性細胞増殖が起こった場合に、新生物またはがんへの進行に先行することが知られる、または疑われる状態で示される。
ある特定の態様では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、ActRIIアンタゴニスト(例えば、ActRIIA/B抗体)を使用して、がんまたは腫瘍を処置することを必要とする患者におけるがんまたは腫瘍を処置することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、がんまたは腫瘍細胞の増殖を阻害することを必要とする患者におけるがんまたは腫瘍細胞の増殖を阻害することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、がんまたは腫瘍の進行を阻害することを必要とする患者におけるがんまたは腫瘍の進行を阻害することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、がんまたは腫瘍の転移を阻害または防止することを必要とする患者におけるがんまたは腫瘍の転移を阻害または防止することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、がんまたは腫瘍細胞の組織量を減少させることを必要とする患者におけるがんまたは腫瘍細胞の組織量を減少させることができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、がんまたは腫瘍細胞に対する免疫応答を増強することを必要とする患者におけるがんまたは腫瘍細胞に対する免疫応答を増強することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、がんまたは腫瘍を処置することを必要とする患者における抗がん/腫瘍免疫応答を回避する免疫抑制と関連する、またはそれを用いるがんまたは腫瘍を処置することができる。
一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、ActRIIアンタゴニスト(例えば、ActRIIA/B抗体)を使用して、がんまたは腫瘍を処置することを必要とする患者における抗がん/腫瘍T細胞活性を回避するT細胞疲弊と関連する、またはそれを用いるがんまたは腫瘍を処置することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、抗がん/腫瘍免疫応答を増加させることを必要とする患者における抗がん/腫瘍免疫応答を増加させることができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、T細胞活性を増加させることを必要とする患者におけるT細胞活性を増加させることができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、免疫抑制と関連する疾患または状態のリスクがある対象を処置することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、免疫抑制と関連する疾患または状態のリスクがある対象を処置することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、免疫抑制を処置または防止することを必要とする患者における免疫抑制を処置または防止することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、T細胞疲弊と関連する疾患もしくは状態のリスクがある、またはT細胞疲弊を生じるリスクがある対象を処置することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、T細胞疲弊を処置または防止することを必要とする対象におけるT細胞疲弊を処置または防止することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、がんまたは細胞増殖疾患もしくは障害の症状を防止する、処置する、または軽減することを必要とする対象における、がんまたは細胞増殖疾患もしくは障害の症状を防止する、処置する、または軽減することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、免疫療法に応答するがんまたは腫瘍を阻害する、処置する、または防止することができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、免疫監視を増加させることを必要とする対象における免疫監視を増加させることができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストおよび/または活性薬剤を使用して、がんまたは腫瘍細胞に対する免疫を増加させることを必要とする対象におけるがんまたは腫瘍細胞に対する免疫を増加させることができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストおよび/または活性薬剤を使用して、感染性疾患に対する免疫を増加させることを必要とする対象における感染性疾患に対する免疫を増加させることができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、受動免疫を能動免疫に変換させることを必要とする対象における標的(例えば、がん細胞または感染性因子)に対する受動免疫を能動免疫に変換させることができる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、内因性免疫応答を強化することを必要とする対象(例えば、がん患者または感染性疾患を有する患者)における内因性免疫応答を強化することができる。ある特定の実施形態では、処置のための好ましい対象は、免疫応答の増加を必要とする患者である。
本明細書中で使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計的試料において、無処置の対照試料に対して、処置試料における障害もしくは状態の出現を低下させるか、あるいは、無処置の対照試料に対して、障害もしくは状態の1または複数の症状の発症を遅延させるか、または、重篤度を低下させるような化合物を指す。
用語「処置する」は、本明細書中で使用される場合、一度確立された状態の改善もしくは除去を含む。いずれの場合にも、予防または処置は、医師または他の医療提供者によって提供される診断、および、治療剤の投与の意図される結果において認識され得る。
一般に、本開示に記載される疾患または状態の処置または防止は、任意選択で、1つまたは複数の追加的な活性薬剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、有効量で投与することによって達成される。薬剤の有効量とは、所望の治療または予防結果を達成するのに必要な用量で、および期間にわたって有効な量を指す。本開示の薬剤の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体における所望の応答を惹起する薬剤の能力などの因子に応じて変化し得る。予防有効量とは、所望の予防結果を達成するのに必要な用量で、および期間にわたって有効な量を指す。
一般に、腫瘍とは、良性および悪性のがん、ならびに休止状態の腫瘍を指す。一般に、がんとは、一次悪性細胞または腫瘍(例えば、細胞が元の悪性腫瘍または腫瘍の部位以外の対象の体内の部位に移動していないもの)および二次悪性細胞または腫瘍(例えば、元の腫瘍の部位とは異なる二次的な部位への悪性細胞または腫瘍細胞の移動である転移から生じるもの)を指す。転移は、局所性または遠隔性であり得る。転移は、特定の症状のモニタリングに加えて、磁気共鳴イメージング(MRI)走査、コンピュータ断層撮影(CT)走査、血液および血小板計数、肝機能検査、胸部X線、骨走査の単独使用または組み合わせた使用、ならびにその組合せにより検出されることが最も多い。
一般に、免疫応答とは、刺激原に対する、B細胞、T細胞(CD4もしくはCD8)、調節性T細胞、抗原提示細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、NKT細胞、NK細胞、好塩基球、好酸球、または好中球などの免疫系の細胞による応答を指す。一部の実施形態では、応答は、特定の抗原に特異的であり(「抗原特異的応答」)、その抗原特異的受容体を介する、CD4 T細胞、CD8 T細胞、またはB細胞による応答を指す。一部の実施形態では、免疫応答は、CD4+応答またはCD8+応答などのT細胞応答である。これらの細胞によるそのような応答は、例えば、細胞傷害、増殖、サイトカインもしくはケモカイン産生、輸送、または食作用を含んでもよく、応答を受けている免疫細胞の性質に依存し得る。免疫応答は、侵入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん性もしくは他の異常な細胞、または自己免疫もしくは病理的炎症の場合、正常細胞もしくは組織の選択的標的化、それへの結合、それに対する損傷、その破壊、および/またはその体内からの排除をもたらし得る。
宿主免疫応答の免疫抑制は、持続感染および腫瘍免疫抑制におけるものなどの、様々な慢性免疫状態において役割を果たしている。免疫系に関して、本明細書で使用される場合、「非応答性」または「機能的疲弊」は一般に、活性化受容体またはサイトカインによる刺激などの刺激に対する免疫細胞の不応性(refractivity)を指す。非応答性は、例えば、免疫抑制剤への曝露、高用量もしくは一定用量の抗原への曝露のため、またはPD−1もしくはTIM−3などの阻害剤受容体の活性によって生じ得る。本明細書で使用される場合、用語「非応答性」は、活性化刺激に対する不応性を含む。そのような不応性は、一般に、抗原特異的であり、抗原への曝露が停止した後にも持続する。非応答性免疫細胞は、同じ型の対応する対照免疫細胞と比較して、細胞傷害活性、サイトカイン産生、増殖、輸送、食作用活性、またはそれらの任意の組合せの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはさらには100%の減少を有し得る。
一般に、免疫療法とは、免疫応答を誘導すること、増強すること、抑制すること、またはそうでなければ改変することを含む方法による、疾患に罹患した、または疾患の再発に罹る、もしくは罹患するリスクがある対象の処置を指す。
一般に、免疫応答の強化とは、対象における現存の免疫応答の有効性または効力の活性化または増大を指す。有効性および効力のこの活性化または増大は、例えば、内因性宿主免疫応答を抑制する機構に打ち勝つことにより、または内因性宿主免疫応答を活性化/増強する機構を刺激することにより達成され得る。
任意選択で、本開示の1つまたは複数の追加的な活性薬剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを、膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、子宮頸部、膵臓、直腸、前立腺、胃、表皮のがん;リンパ球または骨髄系列の造血腫瘍;線維肉腫または横紋筋肉腫などの間葉起源の腫瘍;メラノーマ、奇形癌、神経芽腫、神経膠腫、腺癌および非小細胞肺癌などの他の腫瘍型を含むがこれらに限定されない、様々な形態のがんの処置において使用することができる。がんの例は、癌腫、リンパ腫、グリア芽腫、メラノーマ、肉腫、および白血病、骨髄腫、またはリンパ性悪性腫瘍を含むがこれらに限定されない。そのようながんのより特定の例は、以下に記載され、扁平上皮がん(例えば、扁平上皮細胞がん)、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、星状細胞腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺癌および肺の扁平上皮が癌を含む肺がん、腹膜のがん、肝細胞がん、胃腸がんを含む胃がん(gastric cancer、stomach cancer)、膵がん、多形成グリア芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、肝癌、肝細胞癌、神経内分泌腫瘍、甲状腺髄様がん、分化甲状腺癌、乳がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮癌、唾液腺癌、腎臓がんまたは腎がん、前立腺がん、外陰がん、肛門癌、陰茎癌、ならびに頭頸部がんを含む。
がんまたは悪性腫瘍の他の例は、急性リンパ芽球性小児白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞がん、成人(原発性)肝臓がん、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓がん、成人軟部組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門がん、星状細胞腫、胆管がん、骨肉腫、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、腎盂および尿管のがん、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸がん、小児(原発性)肝細胞がん、小児(原発性)肝臓がん、急性リンパ芽球性小児白血病、急性骨髄性小児白血病、小児脳幹グリオーマ、小児小脳星状細胞腫、小児大脳星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部および視経路神経膠腫、リンパ芽球性小児白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児松果体およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、小児原発性肝臓がん、小児横紋筋肉腫、小児軟部組織肉腫、小児視経路および視床下部神経膠腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、膵内分泌腫瘍、子宮内膜がん、上衣腫、上皮がん、食道がん、ユーイング肉腫および関連腫瘍、膵外分泌腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん、女性乳がん、ゴーシェ病、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭がん、大腸がん、眼内メラノーマ、膵島細胞癌、膵島細胞がん、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭がん、口唇および口腔がん、肝臓がん、肺がん、リンパ増殖性疾患、マクログロブリン血症、男性乳がん、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、転移性原発不明扁平上皮頸部がん、転移性原発性扁平上皮頸部がん、転移性扁平上皮頸部がん、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄白血病、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔がん、上咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非メラノーマ皮膚がん、非小細胞肺がん、原発不明転移性扁平上皮頸部がん、口腔咽頭がん、骨/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、異常タンパク血症、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、腎盂および尿管がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮頸部がん、胃がん、テント上原始神経外胚葉および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、胸腺腫、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行上皮がん、移行腎盂および尿管がん、絨毛性腫瘍、尿管および腎盂細胞がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、視経路および視床下部神経膠腫、外陰がん、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、ならびに上に列挙された臓器系に位置する、新生物を除く任意の他の過増殖性疾患を含むが、これらに限定されない。
異形成は、頻繁には、がんの前兆であり、主に上皮に見出される。それは、個々の細胞均一性および細胞の構造的な向きの喪失を含む、最も無秩序な形態の非新生物性細胞増殖である。異形成は、特徴的には、慢性的な刺激または炎症が存在する場所で生じる。一部の実施形態では、任意選択で、1つまたは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストを使用して、異形成障害を処置することができる。異形成障害は、無汗性外胚葉性形成異常、前後異形成、窒息性胸郭異形成、心房指異形成(atriodigital dysplasia)、気管支肺異形成、脳異形成、子宮頸部異形成、軟骨外胚葉異形成、鎖骨頭蓋異形成、先天性外胚葉異形成、頭蓋骨幹異形成、頭蓋手根足根骨異形成、頭蓋骨幹端異形成、象牙質異形成、骨幹異形成、外胚葉異形成、エナメル質異形成、脳眼異形成、半肢骨端異形成(dysplasia epiphysialis hemimelia)、多発性骨端異形成、点状骨端異形成(dysplasia epiphysialis punctata)、上皮異形成、顔面指趾生殖器異形成、下顎の家族性線維性異形成、家族性白色襞性異形成、線維筋性異形成、線維性骨異形成、開花性骨異形成、遺伝性腎−網膜異形成、発汗性外胚葉異形成、発汗減少症性外胚葉異形成、リンパ球減少性胸腺異形成、乳腺異形成、下顎顔面異形成、骨幹端異形成(metaphysial dysplasia)、モンディーニ型内耳異形成、単骨性線維性骨異形成、粘膜上皮異形成、多発性骨端異形成、眼耳脊椎異形成、眼歯指異形成、眼脊椎異形成、歯原性異形成、眼下顎四肢異形成、根尖性セメント質異形成、多発性線維性骨異形成、偽軟骨発育不全脊椎骨端異形成、網膜異形成、中隔視神経異形成、脊椎骨端異形成、および心室橈骨異形成を含むが、これらに限定されない。
任意選択で、1つまたは複数の追加的な活性薬剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストで処置され得るさらなる前新生物障害は、良性増殖異常障害(例えば、良性腫瘍、線維嚢胞性状態、組織肥大、腸ポリープまたはアデノーマ、および食道異形成)、白板症、角化症、ボーエン病、農夫皮膚、日光口唇炎、および日光性角化症を含むがこれらに限定されない。
任意選択で、1つまたは複数の追加的な活性薬剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、ActRIIアンタゴニストで処置され得るさらなる過増殖性疾患、障害、および/または状態は、白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病を含む))および慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病)を含む)、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖疾患、ならびに線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫などの肉腫および癌腫、結腸癌、膵がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫(emangioblastoma)、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽腫、および網膜芽細胞腫などの肉腫および癌腫を含むがこれらに限定されない固形腫瘍などの悪性腫瘍および関連障害の進行および/または転移を含むがこれらに限定されない。
ある特定の態様では、細胞傷害剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、免疫調節剤、抗生物質、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、ケモカイン、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素または他の活性薬剤などのがん治療剤を、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストと組み合わせて使用することができる。有用な薬物は、例えば、抗有糸分裂剤、抗キナーゼ剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗生物質、アルカロイド剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、およびその組合せから選択される薬学的特性を有し得る。
本明細書で使用される場合、「と組み合わせた」、「共同投与」、「共同的に」とは、さらなる療法(例えば、第2、第3、第4など)が体内で依然として有効である(例えば、複数の化合物が患者において同時に有効であり、これらの化合物の相乗効果を含んでもよい)ような任意の形態の投与を指す。有効性は、血液、血清、または血漿中での薬剤の測定可能な濃度と相関しなくてもよい。例えば、異なる治療化合物を、同時に、または連続的に、異なるスケジュールで、同じ製剤中で、または別々の製剤中で投与することができる。かくして、そのような処置を受ける個体は、異なる療法の組み合わせた効果から利益を得ることができる。本開示の1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、1つまたは複数の他のさらなる薬剤および/または支持療法(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫チェックポイント阻害剤)と同時に、その前に、またはその後に投与することができる。一般に、それぞれの治療剤は、その特定の薬剤について決定された用量および/または時間スケジュールで投与されるであろう。レジメンにおいて使用するための特定の組合せは、本開示のアンタゴニストと、療法および/または所望のものとの適合性を考慮に入れる。
有用な薬物の例は、フルオロウラシル、アファチニブ、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アントラサイクリン、アキシチニブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、AVL−101、AVL−291、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ビカルタミド、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カペシタビン、カリケアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、Cox−2阻害剤、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、クラドリビン、カンプトテカン、クリゾチニブ、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シプロテロン、クロドロナート、ダカルバジン、ダサチニブ、ジエネストロール、ジナシクリブ、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エルロチニブ、エストラムスチン、エピドフィロトキシン、エルロチニブ、エンチノスタット、エストロゲン受容体結合剤、エトポシド(VP16)、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フィンゴリモッド、フロクスウリジン(FUdR)、フルオキシメステロン、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルドロコルチゾン、フルダラビン、フルタミド、ゴセレリン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、フラボピリドール、フォスタマチニブ、ガネテスピブ、GDC−0834、GS−1101、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イブルチニブ、イダルビシン、レバミソール、イデラリシブ、イフォスファミド、イマチニブ、レトロゾール、アスパラギナーゼ、ロイプロリド、ラパチニブ、レノリダミド、ロイコボリン、イリノテカン、LFM−A13、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メゲストロール、メトトレキサート、ミトキサントロン、ニルタミド、ミトラマイシン、マイトマイシン、ノコダゾール、オクトレオチド、ミトタン、ナベルビン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニトロソウレア、オラパリブ、プリコマイシン、プロカルバジン、パクリタキセル、オキサリプラチン、PCI−32765、ペントスタチン、プリカマイシン、PSI−341、ラロキシフェン、セムスチン、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、タモキシフェン、ポルフィマー、テモゾロミド、メスナ、テマゾロミド(DTICの水性形態)、トランス白金、サリドマイド、チオグアニン、ラルチトレキセド、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、バタラニブ、ビノレルビン、ビンブラスチン、リツキシマブ、パミドロナート、ビンクリスチン、ビンカアルカロイドおよびZD1839を含むがこれらに限定されない。
有用な毒素は、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、例えば、オンコナーゼ、DNase I、ブドウ球菌エントロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス菌外毒素、およびシュードモナス菌内毒素を含んでもよい。
有用なケモカインは、RANTES、MCAF、MIP1−アルファ、MIP1−ベータおよびIP−10を含んでもよい。
ある特定の実施形態では、アンギオスタチン、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体、抗PlGFペプチドおよび抗体、抗血管増殖因子抗体、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体およびペプチド、抗Kras抗体、抗cMET抗体、抗MIF(マクロファージ移動阻害因子)抗体、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン−12、IP−10、Gro−ベータ、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ポリ硫酸ペントサン、アンギオポエチン−2、インターフェロン−アルファ、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド(ロキニメックス)、サリドマイド、ペントキシフェリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、パクリタキセル、アックチン、アンギオスタチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板因子4、ALK1ポリペプチド(例えば、ダランテルセプト)またはミノサイクリンなどの抗血管新生剤が、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストと組み合わせて有用であり得る。
有用な免疫調節剤は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリスロポエチン、トロンボポエチンおよびその組合せから選択され得る。特に有用なものは、腫瘍壊死因子(TNF)などのリンホトキシン、インターロイキン(IL)などの造血因子、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)などのコロニー刺激因子、インターフェロン−アルファ、−ベータ、または−ラムダなどのインターフェロン、ならびに「S1因子」と命名されたものなどの幹細胞増殖因子である。サイトカインに含まれるものは、ヒト増殖ホルモン、N−メチオニルヒト増殖ホルモン、およびウシ増殖ホルモンなどの増殖ホルモン;副甲状腺ホルモン;サイロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝増殖因子;プロスタグランジン、線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン、OBタンパク質;腫瘍壊死因子−アルファおよび−ベータ;ミュラー管阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−ベータなどの神経成長因子;血小板増殖因子;TGF−アルファおよびTGFβなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子IおよびII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン−アルファ、−ベータ、および−ガンマなどのインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);IL−1、IL−1アルファ、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−21、IL−25などのインターロイキン(IL)、LIF、kitリガンドまたはFLT−3、アンギオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、腫瘍壊死因子およびLTである。
有用な放射性核種は、111In、177Lu、212Bi、213Bi、211At、62Cu、67Cu、90Y、125I、131I、32P、33P、47Sc、111Ag、67Ga、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、186Re、188Re、189Re、212Pb、223Ra、225Ac、59Fe、75Se、77As、89Sr、99Mo、105Rh、109Pd、143Pr、149Pm、169Er、194Ir、198Au、199Au、211Pb、および227Thを含むがこれらに限定されない。治療的放射性核種は、好ましくは、オージェ放射体については20〜6,000keVの範囲、好ましくは、60〜200keVの範囲、ベータ放射体については100〜2,500keV、およびアルファ放射体については4,000〜6,000keVの崩壊エネルギーを有する。有用なベータ粒子を放出する核種の最大崩壊エネルギーは、好ましくは20〜5,000keV、より好ましくは100〜4,000keV、最も好ましくは500〜2,500keVである。また、オージェ放出粒子と共に実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。例えば、Co−58、Ga−67、Br−80m、Tc−99m、Rh−103m、Pt−109、In−111、Sb−119、I−125、Ho−161、Os−189mおよびIr−192である。有用なベータ粒子を放出する核種の崩壊エネルギーは、好ましくは1,000keV未満、より好ましくは100keV未満、最も好ましくは70keV未満である。また、アルファ粒子の生成と共に実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。そのような放射性核種は、Dy−152、At−211、Bi−212、Ra−223、Rn−219、Po−215、Bi−211、Ac−225、Fr−221、At−217、Bi−213、Th−227およびFm−255を含むがこれらに限定されない。有用なアルファ粒子を放出する放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは2,000〜10,000keV、より好ましくは3,000〜8,000keV、最も好ましくは4,000〜7,000keVである。有用なさらなる潜在的な放射性同位体は、11C、13N、15O、75Br、198Au、224Ac、126I、133I、103Ru、105Ru、107Hg、203Hg、121mTe、122mTe、125mTe、165Tm、167Tm、77Br、113mIn、95Ru、97Ru、168Tm、197Pt、109Pd、105Rh、142Pr、143Pr、161Tb、166Ho、199Au、57Co、58Co、51Cr、59Fe、75Se、201Tl、225Ac、76Br、および169Ybを含む。
一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストは、少なくとも1つのアルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、アントラサイクリン、コルチコステロイドホルモン、性ホルモン、および/または標的抗腫瘍化合物と組み合わせた使用のためのものである。
標的抗腫瘍化合物は、標準的な化学療法薬ができるよりも特異的にがん細胞を攻撃するように設計された薬物である。これらの化合物の多くは、ある特定の遺伝子の変異を担持する細胞、またはこれらの遺伝子のコピーを過剰発現する細胞を攻撃する。一実施形態では、抗腫瘍化合物は、イマチニブ(Gleevec)、ゲフィチニブ(Iressa)、エルロチニブ(Tarceva)、リツキシマブ(Rituxan)、またはベバシズマブ(Avastin)であってもよい。
アルキル化剤は、DNAに直接作用して、がん細胞が増殖するのを防止する。これらの薬剤は、細胞周期の任意の特定の期に特異的なものではない。一実施形態では、アルキル化剤を、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、デカルバジン(DTIC)、メクロレタミン(窒素マスタード)、メルファラン、およびテモゾロミドから選択することができる。
代謝拮抗剤は、DNAおよびRNA合成を阻害する薬物のクラスを構成する。これらの薬剤は、細胞周期のS期の間に作用し、白血病、乳房、卵巣、および消化管の腫瘍、ならびに他のがんを処置するために一般的に使用される。一実施形態では、代謝拮抗剤は、5−フルオロウラシル、カペシタビン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン(ara−C)、フルダラビン、またはペメトレキセドであり得る。
トポイソメラーゼ阻害剤は、DNA複製において重要であるトポイソメラーゼ酵素を阻害する薬物である。トポイソメラーゼI阻害剤の一部の例としては、トポテカンおよびイリノテカンが挙げられるが、トポイソメラーゼII阻害剤の一部の代表例としては、エトポシド(VP−16)およびテニポシドが挙げられる。
アントラサイクリンも、DNA複製に関与する酵素を阻害する化学療法薬である。これらの薬剤は、細胞周期の全ての期において作用し、かくして、様々ながんの処置として広く使用されている。一実施形態では、本発明に関して使用されるアントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、またはミトキサントロンであり得る。
腫瘍は、特に、腫瘍抗原に特異的であるT細胞中で、ある特定の免疫チェックポイント経路を同時選択することによって免疫監視を回避する(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer 12巻:252〜264頁)。がん療法のためのチェックポイント阻害剤抗体に関する研究は、がん処置に対して耐性であると以前は考えられていたがんを処置するのに成功している(例えば、OttおよびBhardwaj、2013年、Frontiers in Immunology 4巻:346頁;MenziesおよびLong、2013年、Ther Adv Med Oncol 5巻:278〜85頁;Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer 12巻:252〜64頁;MavilioおよびLugliを参照されたい)。大部分の抗がん剤とは対照的に、チェックポイント阻害剤は腫瘍細胞を直接標的化するのではなく、リンパ球受容体またはそのリガンドを標的化して、免疫系の内因性抗腫瘍活性を増強する(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer 12巻:252〜264頁)。そのような阻害剤は主として、疾患を有する細胞、組織または病原体に対する免疫応答を調節することによって作用するため、それらを、そのような薬剤の抗腫瘍効果を増強するための対象となるActRIIアンタゴニスト、ADCおよび/またはインターフェロンなどの他の治療モダリティーと組み合わせて使用することができる。
抗PD1抗体は、メラノーマ、非小細胞肺がん、膀胱がん、前立腺がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん、白血病、リンパ腫および腎細胞がんの処置のために使用されてきた(Topalianら、2012年、N Engl J Med 366巻:2443〜54頁;Lipsonら、2013年、Clin Cancer Res 19巻:462〜8頁;Bergerら、2008年、Clin Cancer Res 14巻:3044〜51頁;Gildener-Leapmanら、2013年、Oral Oncol 49巻:1089〜96頁;MenziesおよびLong、2013年、Ther Adv Med Oncol 5巻:278〜85頁)。例示的な抗PD1抗体としては、ランブロリズマブ(MK−3475、MERCK)、ニボルマブ(BMS−936558、Bristol−Myers Squibb)、AMP−224(Merck)、およびピディリズマブ(CT−011、Curetech Ltd.)が挙げられる。抗PD1抗体は、例えば、ABCAM(AB137132)、Biolegend(EH12.2H7、RMP1−14)およびAffymetrix Ebioscience(J105、J116、MIH4)から市販されている。
抗CTL4A抗体は、メラノーマ、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がんの処置のための臨床試験において使用されている(RobertおよびGhiringhelli、2009年、Oncologist 14巻:848〜61頁;Ottら、2013年、Clin Cancer Res 19巻:5300頁;Weber、2007年、Oncologist 12巻:864〜72頁;Wadaら、2013年、J Transl Med 11巻:89頁)。例示的な抗CTLA4抗体としては、イピリムマブ(Bristol−Myers Squibb)およびトレメリムマブ(Pfizer)が挙げられる。抗PD1抗体は、例えば、ABCAM(AB134090)、Sino Biological Inc.(11159−H03H、11159−H08H)、およびThermo Scientific Pierce(PA5−29572、PA5−23967、PA5−26465、MA1−12205、MA1−35914)から市販されている。イピリムマブは、転移性メラノーマの処置について最近FDA認可を受けた(Wadaら、2013年、J Transl Med 11巻:89頁)。
CTLA4、PD1およびPD−L1に対するチェックポイント阻害剤が最も臨床的に進んでいるが、他の潜在的なチェックポイント抗原が公知であり、LAG3、B7−H3、B7−H4およびTIM3などの、対象となるActRIIアンタゴニストと組み合わせた治療的阻害剤の標的として使用することができる(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer 12巻:252〜264頁)。腫瘍および/または病原体に対する免疫応答を刺激するこれらの薬剤および他の公知の薬剤を、ActRIIaアンタゴニストと組み合わせて、単独で、またはがん療法の改善のために、インターフェロン−アルファなどのインターフェロン、および/または抗体−薬物コンジュゲートとさらに組み合わせて使用することができる。組み合わせて使用することができる他の公知の共刺激経路モジュレーターは、アガトリモッド、ベラタセプト、ブリナツモマブ、CD40リガンド、抗B7−1抗体、抗B7−2抗体、抗B7−H4抗体、AG4263、エリトラン、抗OX40抗体、ISF−154、およびSGN−70;B7−1、B7−2、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD48、LFA−3、CD30リガンド、CD40リガンド、熱安定抗原、B7h、OX40リガンド、LIGHT、CD70およびCD24を含むがこれらに限定されない。
治療剤は、光活性剤または色素を含んでもよい。蛍光色素、および他の色原体などの蛍光組成物、または可視光線に対して感受性のポルフィリンなどの色素が、病変に好適な光を向けることによって病変を検出し、処置するために使用されている。療法において、これは、光線照射、光線療法、または光線力学的療法と呼ばれている。Joniら(編)、PHOTODYNAMIC THERAPY OF TUMORS AND OTHER DISEASES(Libreria Progetto 1985年);van den Bergh、Chem. Britain(1986年)、22巻:430頁を参照されたい。さらに、モノクローナル抗体を、光線療法を達成するために、光活性化色素と結合させた。Mewら、J. Immunol.(1983年)、130巻:1473頁;同著者、Cancer Res.(1985年)、45巻:4380頁;Oseroffら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1986年)、83巻:8744頁;同著者、Photochem. Photobiol.(1987頁)、46巻:83頁;Hasanら、Prog. Clin. Biol. Res.(1989年)、288巻:471頁;Tatsutaら、Lasers Surg. Med.(1989年)、9巻:422頁;Pelegrinら、Cancer(1991年)、67巻:2529頁を参照されたい。
他の有用な治療剤は、好ましくは、bcl−2またはp53などの、がん遺伝子およびがん遺伝子産物に対するオリゴヌクレオチド、特に、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでもよい。好ましい形態の治療的オリゴヌクレオチドは、siRNAである。当業者であれば、任意のsiRNAまたは干渉RNA種を、標的組織への送達のために抗体またはそのフラグメントに結合させることができることを認識できる。様々な標的に対する多くのsiRNA種が当該分野で公知であり、任意のそのような公知のsiRNAを、特許請求された方法および組成物において使用することができる。
潜在的に有用な公知のsiRNA種としては、IKK−ガンマ(米国特許第7,022,828号);VEGF、Flt−1およびFlk−1/KDR(米国特許第7,148,342号);Bcl2およびEGFR(米国特許第7,541,453号);CDC20(米国特許第7,550,572号);トランスダクチン(ベータ)様3(米国特許第7,576,196号);KRAS(米国特許第7,576,197号);炭酸脱水酵素II型(米国特許第7,579,457号);補体成分3(米国特許第7,582,746号);インターロイキン−1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)(米国特許第7,592,443号);スルビビン(米国特許第7,608,7070号);スーパーオキシドジスムターゼ1(米国特許第7,632,938号);METプロトオンコジーン(米国特許第7,632,939号);アミロイドベータ前駆体タンパク質(APP)(米国特許第7,635,771号);IGF−1R(米国特許第7,638,621号);ICAM1(米国特許第7,642,349号);補体因子B(米国特許第7,696,344号);p53(米国特許第7,781,575号)、およびアポリポタンパク質B(米国特許第7,795,421号)に特異的なものが挙げられ、それぞれの参照された特許の実施例のセクションは参照により本明細書に組み込まれる。
さらなるsiRNA種は、特に、Sigma−Aldrich(St Louis、Mo.)、Invitrogen(Carlsbad、Calif.)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、Calif.)、Ambion(Austin、Tex.)、Dharmacon(Thermo Scientific、Lafayette、Colo.)、Promega(Madison、Wis.)、Mirus Bio(Madison、Wis.)およびQiagen(Valencia、Calif.)などの公知の商業的供給源から入手可能である。siRNA種の他の公共的に入手可能な供給源としては、Stockholm Bioinformatics CentreのsiRNAdbデータベース、MIT/ICBP siRNAデータベース、Broad InstituteのRNAi Consortium shRNA Library、およびNCBIのProbeデータベースが挙げられる。例えば、NCBI Probeデータベース中に30,852のsiRNA種がある。当業者であれば、任意の目的の遺伝子について、siRNA種が既に設計されているか、または公共的に利用可能なソフトウェアツールを使用して容易に設計することができることを認識できる。任意のそのようなsiRNA種を、対象となるDNL.TM.複合体を使用して送達することができる。
ActRIIアンタゴニスト免疫療法は、ワクチン接種プロトコルと組み合わせた場合に、より有効であり得る。腫瘍に対するワクチン接種のための多くの実験戦略が考案されている(Rosenberg, S.、2000年、Development of Cancer Vaccines、ASCO Educational Book Spring:60〜62頁;Logothetis, C.、2000年、ASCO Educational Book Spring:300〜302頁;Khayat, D.2000年、ASCO Educational Book Spring:414〜428頁;Foon, K. 2000年、ASCO Educational Book Spring:730〜738頁を参照されたい;また、DeVita, V.ら(編)、1997年、Cancer: Principles and Practice of Oncology、第5版中のRestifo, N.およびSznol, M.、Cancer Vaccines、第61章、3023〜3043頁も参照されたい)。これらの戦略の1つでは、ワクチンは、自己または同種異系腫瘍細胞を使用して調製される。これらの細胞性ワクチンは、腫瘍細胞がGM−CSFを発現するように形質導入された場合、有効性が増加することが示されている(Dranoffら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90巻:3539〜43頁)。したがって、一部の実施形態では、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを、がん性細胞、精製された腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、および炭水化物分子を含む)、細胞、および免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子をトランスフェクトされた細胞などの、免疫原性薬剤と組み合わせることができる(Heら(2004年)J. Immunol.173巻:4919〜28頁)。使用することができる腫瘍ワクチンの非限定例としては、gp100、MAGE抗原、Trp−2、MART1および/もしくはチロシナーゼのペプチドなどのメラノーマ抗原のペプチド、またはサイトカインGM−CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞が挙げられる。
様々な腫瘍における遺伝子発現および大規模遺伝子発現パターンの研究は、いわゆる腫瘍特異的抗原の定義をもたらした(Rosenberg, S A(1999年)Immunity 10巻:281〜7頁)。多くの場合、これらの腫瘍特異的抗原は、腫瘍中で、および腫瘍が生じた細胞中で発現される分化抗原、例えば、メラノサイト抗原gp100、MAGE抗原、およびTrp−2である。より重要なことに、これらの抗原の多くは、宿主に見出される腫瘍特異的T細胞の標的であると示すことができる。PDL1遮断剤を、腫瘍中で発現される組換えタンパク質および/またはペプチドの収集物と一緒に使用して、これらのタンパク質に対する免疫応答を生成させることができる。これらのタンパク質は通常、自己抗原として免疫系によって見られ、したがって、それらに対して寛容である。腫瘍抗原はまた、染色体のテロメアの合成にとって必要であり、85%を超えるヒトがんにおいて、および限られた数の体細胞組織においてのみ発現される、タンパク質テロメラーゼを含んでもよい(Kim, Nら(1994年)Science 266巻:2011〜2013頁)。これらの体細胞組織を、様々な手段によって免疫攻撃から保護することができる。タンパク質配列を変化させる、もしくは2つの非関連配列間の融合タンパク質(例えば、Philadelphia染色体中のber−abl)を作出する体細胞変異、またはB細胞腫瘍に由来するイディオタイプのため、腫瘍抗原はまた、がん細胞中で発現される「新抗原」であってもよい。
他の腫瘍ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBVおよびHCV)ならびにカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KHSV)などのヒトがんに関与するウイルスに由来するタンパク質を含んでもよい。ActRIIアンタゴニスト療法と一緒に使用することができる別の形態の腫瘍特異的抗原は、腫瘍組織自体から単離される精製熱ショックタンパク質(HSP)である。これらの熱ショックタンパク質は、腫瘍細胞に由来するタンパク質のフラグメントを含有し、これらのHSPは腫瘍免疫を惹起するための抗原提示細胞への送達において非常に有効である(Suot, RおよびSrivastava, P(1995年)Science 269巻:1585〜1588頁;Tamura, Y.ら(1997年)Science 278巻:117〜120頁)。
樹状細胞(DC)は、抗原特異的応答をプライミングするために使用することができる強力な抗原提示細胞である。DCをエクスビボで産生させ、それに、様々なタンパク質およびペプチド抗原ならびに腫瘍細胞抽出物をロードすることができる(Nestle, F.ら(1998年)Nature Medicine 4巻:328〜332頁)。同様に遺伝的手段によってDCを形質導入して、これらの腫瘍抗原を発現させることもできる。また、免疫化のために、DCを腫瘍細胞に直接的に融合させた(Kugler, A.ら(2000年)Nature Medicine 6巻:332〜336頁)。ワクチン接種の方法として、DCの免疫化を、ActRIIアンタゴニストと有効に組み合わせて、より強力な抗腫瘍応答を活性化することができる。
本開示の他の方法は、特定の毒素または病原体に曝露された患者を処置するために使用される。したがって、本開示の別の態様は、対象における感染性疾患(例えば、ウイルス、細菌または寄生虫感染)を処置または防止するための方法であって、感染性疾患を処置または防止することを必要とする対象に、治療有効量の1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを投与することを含み、任意選択で、感染性疾患を処置するための1つもしくは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤を投与することをさらに含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、例えば、感染性疾患に罹患した対象における内因性免疫応答を強化することによって、対象における感染性疾患を処置するための方法であって、対象に、治療有効量の1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを投与することを含み、任意選択で、感染性疾患を処置するための1つもしくは複数の追加的な支持療法および/または活性薬剤を投与することをさらに含む、方法を提供する。
感染性ウイルスの例は、レトロウイルス科;ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(胃腸炎を引き起こす株など);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブンガウイルス科(例えば、ハンターンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アリーナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(多くのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1およびHSV−2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(アフリカ豚コレラウイルスなど);ならびに未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原因子、デルタ肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠損サテライトであると考えられる)、非A型非B型肝炎の因子(クラス1=内部伝染;クラス2=非経口伝染(すなわち、C型肝炎);ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)を含むがこれらに限定されない。本明細書に記載のActRIIアンタゴニストおよび方法は、これらのウイルス因子による感染の処置における使用について企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、例えば、AIDS、AIDS関連合併症、水痘、風邪、ウイルス性気管支炎、サイトメガロウイルス感染、コロラドダニ熱、デング熱、エボラ出血熱、流行性耳下腺炎、「手足口」病、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、HPV、インフルエンザ(インフル)、ラッサ熱、麻疹、マールブルグ出血熱、感染性単核球症、おたふく風邪、ポリオウイルス感染症、進行性多巣性白質脳症、狂犬病、風疹、SARS、天然痘、ウイルス性脳炎、ウイルス性胃腸炎、ウイルス性髄膜炎、ウイルス性肺炎、西ナイル熱、および黄熱病を含むウイルス感染を処置または防止するために、任意選択で、1つもしくは複数の支持療法および/または活性薬剤と組み合わせて、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを使用する方法を提供する。
感染性細菌の例は、Helicobacter pyloris、Borelia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria sp(M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaii、M.gordonaeなど)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群Streptococcus)、Streptococcus agalactiae(B群Streptococcus)、Streptococcus(ビリダンス群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(嫌気性種)、Streptococcus pneumoniae、病原性Campylobacter sp.、Enterococcus sp.、Haemophilus influenzae、Bacillus anthracia、corynebacterium diphtheriae、corynebacterium sp.、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides sp.、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、およびActinomyces israelliを含むがこれらに限定されない。本明細書に記載のActRII組成物および方法は、これらの細菌性因子による感染の処置における使用について企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、例えば、炭疽、細菌性成人呼吸窮迫症候群、細菌性髄膜炎、ブルセラ症、カンピロバクター感染症、猫ひっかき病、気管支炎、コレラ、ジフテリア、発疹チフス、淋病、レジオネラ症、らい病(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、MRSA感染、マイコバクテリア感染、髄膜炎、ノカルジア症、腎炎、糸球体腎炎、歯周病、ペルツシス(百日咳)、ペスト、肺炎球菌性肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山発疹熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱、細菌性赤痢、梅毒、敗血性ショック、出血性ショック、敗血症候群、破傷風、トラコーマ、結核、ツラレミア、腸チフスを含む細菌感染を処置または防止するために、任意選択で、1つもしくは複数の支持療法および/または活性薬剤と組み合わせて、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを使用する方法を提供する。
感染性真菌の例は、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、およびCandida albicansを含むがこれらに限定されない。本明細書に記載のActRIIアンタゴニストおよび方法は、これらの真菌因子による感染の処置における使用について企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、例えば、アスペルギルス症;鵝口瘡、クリプトコッカス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、およびヒストプラスマ症を含む真菌感染を処置または防止するために、任意選択で、1つもしくは複数の支持療法および/または活性薬剤と組み合わせて、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを使用する方法を提供する。
感染性寄生虫の例は、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondii、Nippostrongylus brasiliensisを含むがこれらに限定されない。本明細書に記載のActRIIアンタゴニストおよび方法は、これらの因子による感染の処置における使用について企図される。したがって、一部の実施形態では、本開示は、例えば、アフリカトリパノソーマ症、アメーバ症、回虫症、バベシア症、シャーガス病、肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、神経嚢虫症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、自由生息アメーバ感染、ランブル鞭毛虫症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、カラアザール、レーシュマニア症、マラリア、メタゴニムス症、ハエウジ症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、蟯虫感染、疥癬、住血吸虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫病(Trichinellosis)、旋毛虫病(Trichinosis)、鞭虫症、およびトリパノソーマ症を含む真菌感染を処置または防止するために、任意選択で、1つもしくは複数の支持療法および/または活性薬剤と組み合わせて、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを使用する方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、感染性疾患を処置することを必要とする患者に、有効量のActRIIアンタゴニストを、単独で、または感染性疾患(病原体)を処置するための第2の治療剤、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、または抗寄生虫薬と組み合わせて投与することによって、感染性疾患を処置する方法を提供する。
一般に、抗生物質とは、細菌の増殖を阻害する、または細菌を殺傷する任意の化合物を指す。抗生物質の有用な非限定例としては、リンコサミド(クリンドマイシン);クロラムフェニコール;テトラサイクリン(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど);アミノグリコシド(ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、アミカシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシンなど);ベータラクタム(ペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、アズトレオナムなど);バンコマイシン;バシトラシン;マクロライド(エリスロマイシン)、アンホテリシン;スルホンアミド(スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファセタミド、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファシチン、スルファドキシン、マフェニド、p−アミノ安息香酸、トリメトプリム−スルファメトキサゾールなど);メテナミン;ニトロフラントイン;フェナゾピリジン;トリメトプリム;リファンピシン;メトロニダゾール;セファゾリン;リンコマイシン;スペクチノマイシン;ムピロシン;キノロン(ナリジクス酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペルフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシンなど);ノボビオシン;ポリミキシン;グラミシジン;および抗緑膿菌剤(カルベニシリン、カルベニシリンインダニル、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリンなど)またはその任意の塩もしくは改変体が挙げられる。Physician's Desk Reference、第59版(2005年)、Thomson P D R、Montvale N.J.;Gennaroら編、Remington's The Science and Practice of Pharmacy、第20版(2000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版(2001年)、McGraw Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy(1992年)、Merck Research Laboratories、Rahway N.J.も参照されたい。使用される抗生物質は、細菌感染の型に依存するであろう。
一般に、抗真菌剤とは、真菌の増殖を阻害する、または真菌を殺傷する任意の化合物を指す。非限定例としては、イミダゾール(グリセオフルビン、ミコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、およびイトラコニゾールなど);ポリエン(アンホテリシンBおよびナイスタチンなど);フルシトシン;およびカンジシジンまたはその任意の塩もしくは改変体が挙げられる。Physician's Desk Reference、第59版(2005年)、Thomson P D R、Montvale N.J.;Gennaroら編、Remington's The Science and Practice of Pharmacy、第20版(2000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版(2001年)、McGraw Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy(1992年)、Merck Research Laboratories、Rahway N.J.も参照されたい。使用される抗真菌剤は、真菌感染の型に依存するであろう。
抗ウイルス薬とは、ウイルスの作用を阻害する任意の化合物を指す。非限定例としては、インターフェロンアルファ、ベータもしくはガンマ、ジダノシン、ラミブジン、ザナマビル、ロパニビル、ネルフィナビル、エファビレンズ、インジナビル、バラシクロビル、ジドブジン、アマンタジン、リマンチジン、リバビリン、ガンシクロビル、ホスカルネット、およびアシクロビルまたはその任意の塩もしくは改変体が挙げられる。Physician's Desk Reference、第59版(2005年)、Thomson P D R、Montvale N.J.;Gennaroら編、Remington's The Science and Practice of Pharmacy、第20版(2000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版(2001年)、McGraw Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy(1992年)、Merck Research Laboratories、Rahway N.J.も参照されたい。使用される抗ウイルス薬は、ウイルス感染の型に依存するであろう。
抗寄生虫剤とは、寄生虫の増殖を阻害する、または寄生虫を殺傷する任意の化合物を指す。抗寄生虫剤の有用な非限定例としては、クロロキン、メフロキン、キニン、プリマキン、アトバクオン、スルファソキシン、およびピリメタミンまたはその任意の塩もしくは改変体が挙げられる。Physician's Desk Reference、第59版(2005年)、Thomson P D R、Montvale N.J.;Gennaroら編、Remington's The Science and Practice of Pharmacy、第20版(2000年)、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison's Principles of Internal Medicine、第15版(2001年)、McGraw Hill、NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy(1992年)、Merck Research Laboratories、Rahway N.J.も参照されたい。使用される抗寄生虫剤は、寄生虫感染の型に依存するであろう。
上記で論じられた腫瘍へのその適用と同様、本明細書に記載のActRIIアンタゴニストを、単独で、またはアジュバントとして、ワクチンと組み合わせて使用して、病原体、毒素、および自己抗原に対する免疫応答を刺激することができる。これらの手法を、サイトカイン処置(例えば、インターフェロン、GM−CSF、G−CSFまたはIL−2の投与)などの他の形態の免疫療法と組み合わせることができる。この治療手法が特に有用であり得る病原体の例としては、現在有効なワクチンがない病原体、または従来のワクチンが完全に有効ではない病原体が挙げられる。これらのものは、HIV、肝炎(A、B、およびC)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、レーシュマニア、Staphylococcus aureus、およびPseudomonas Aeruginosaを含むがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、乳がんを有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、多発性骨髄腫を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、乳がんを有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、骨髄異形成症候群を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、FSH分泌性下垂体部腫瘍を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、前立腺がんを有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、正常で健康な患者と比較して、免疫活性が望ましくなく上昇した(例えば、T細胞活性が増加した)患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、自己免疫障害、または自己免疫関連障害を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、T細胞活性の望ましくない上昇によって媒介される自己免疫障害、または自己免疫関連障害を有する患者には投与されない。例えば、一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、急性播種性脳脊髄炎、急性壊死性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血漿、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群(APS)、自己免疫性血管性浮腫、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性肝炎、自己免疫性脂質異常症、自己免疫性免疫不全、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性蕁麻疹、軸索およびニューロン神経障害、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、カッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、クローン病、コーガン症候群、寒冷凝集素症、コクサッキー心筋炎、CREST病、本態性混合型クリオグロブリン血症、脱髄性ニューロパシー、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、実験的アレルギー性脳脊髄炎、エバンス症候群、線維化性肺胞炎、巨細胞性動脈炎、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化症、免疫調節性リポタンパク質、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性筋炎、川崎症候群、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA疾患(LAD)、ループス(SLE)、ライム病(慢性)、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎、混合性結合組織疾患(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、視神経脊髄炎(デビック病)、眼部瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ、PANDAS(連鎖球菌と関連する小児自己免疫性神経精神疾患)、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリー・ロンベルグ症候群、パーソネージ・ターナー症候群、扁平部炎(末梢ブドウ膜炎)、天疱瘡、静脈周囲脳炎、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、I型、II型およびIII型多腺性自己免疫症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎、プロゲステロン皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン初稿群、精子および精巣の自己免疫、全身硬直症候群、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、トローザ・ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織疾患(UCTD)、小水疱水疱性皮膚病、ウェゲナー肉芽腫症のうちの1つまたは複数を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、組織または臓器移植を受けている患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、組織または臓器移植を受けた患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、移植片対宿主疾患を有する患者には投与されない。一部の実施形態では、本開示のActRIIアンタゴニストは、1つまたは複数の免疫抑制剤および/または療法で処置される患者には投与されない。
一部の実施形態では、ActRIIアンタゴニストを、単独で、またはがんを処置するための支持療法もしくは追加的な活性薬剤(例えば、PD1−PDL1アンタゴニストなどの免疫療法剤)と組み合わせて使用して、がん患者の生存を改善する(死亡のリスクを低減する)ことができる。本明細書で使用される場合、がん患者の生存の改善とは、一定期間に、または一定期間を超えて、対象集団によって経験される致死的ながん関連事象の数を維持すること、または減少させることを指す。第1の群(処置群)が本発明の方法によって処置され、第2の群(プラセボ群)が、本発明の方法による処置の代替として、またはその代わりに、プラセボ(すなわち、偽薬)を使用することによって処置される、2群の対象の間で、一定期間を超える、またはその間の致死的ながん関連事象の発生率を比較することによって、がん患者の生存の改善を評価または測定することができる。処置群の致死的がん関連事象の数が、プラセボ群の致死的がん関連事象の数よりも少ない場合、がん患者の生存の改善があった、またはかつてあったとの決定が為される。あるいは、第1の期間に関する致死的がん関連事象のベースライン数を決定した後、第2の、より後の期間での対象集団に関する致死的がん関連事象の数を測定することにより、致死的心血管事象の発生率の減少を評価または決定することができる。第2の、より後の期間での対象集団に関する致死的がん関連事象の数が、第1の期間での対象集団に関する致死的がん関連事象の数と同じであるか、またはそれよりも少ない場合、前記対象集団に関するがん患者の生存の改善があったとの決定が為される。
ある特定の実施形態では、本開示は、患者における1つまたは複数の血液パラメータを測定することによって、本開示の1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置された、または処置される候補である患者を管理するための方法を提供する。血液パラメータを使用して、本開示のアンタゴニストで処置される候補である患者のための適切な用量を評価する、処置中の血液パラメータをモニタリングする、本開示の1つもしくは複数のアンタゴニストによる処置中に用量を調整すべきかどうかを評価する、および/または本開示の1つもしくは複数のアンタゴニストの適切な維持用量を評価することができる。1つまたは複数の血液パラメータが正常レベルから外れている場合、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストの投与を減少させる、遅延させる、または終結させることができる。
本明細書に提供される方法に従って測定され得る血液パラメータとしては、当該分野で認識される方法を使用した、例えば、赤血球レベル、血圧、鉄貯蔵、および赤血球レベルの増加と相関する体液中に認められる他の因子が挙げられる。そのようなパラメータを、患者由来血液試料を使用して決定することができる。赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、および/またはヘマトクリットレベルの増加は、血圧の増加を引き起こし得る。
一実施形態では、1つまたは複数の血液パラメータが、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置される候補である患者における正常範囲から外れているか、または正常高値にある場合、1つまたは複数のアンタゴニストの投与の開始を、血液パラメータが、自然に、または治療的介入によって、正常レベルまたは許容し得るレベルに戻るまで遅らせることができる。例えば、候補患者が高血圧または前高血圧である場合、その患者を、患者の血圧を低下させるための血圧低下剤で処置することができる。例えば、利尿剤、アドレナリン阻害剤(アルファ遮断剤およびベータ遮断剤を含む)、血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断剤、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、またはアンギオテンシンII受容体遮断剤を含む、個々の患者の状態にとって適切な任意の血圧低下剤を使用することができる。あるいは、食事および運動のレジメンを使用して、血圧を処置することができる。同様に、候補患者が正常より低い、または正常の低い側にある鉄貯蔵を有する場合、患者の鉄貯蔵が正常レベルまたは許容し得るレベルに戻るまで、患者を、食事および/または鉄補給剤の適切なレジメンで処置することができる。正常な赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルよりも高い患者については、そのレベルが正常レベルまたは許容し得るレベルに戻るまで、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの投与を遅らせることができる。
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の血液パラメータが、1つまたは複数のActRIIアンタゴニスト剤で処置される候補である患者における正常範囲から外れているか、または正常高値にある場合、投与の開始を遅らせなくてもよい。しかしながら、1つまたは複数のアンタゴニストの用量または投与頻度を、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの投与時に生じる血液パラメータの許容できない増加のリスクを低減させる量に設定することができる。あるいは、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストと、望ましくないレベルの血液パラメータに対処する治療剤とを組み合わせる治療レジメンを患者のために開発することができる。例えば、患者の血圧が上昇している場合、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストと、血圧低下剤との投与を含む治療レジメンを設計することができる。所望の鉄貯蔵より低い患者については、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストと、鉄補給剤とを含む治療レジメンを開発することができる。
一実施形態では、1つまたは複数の血液パラメータのベースラインパラメータを、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置される候補である患者について確立し、ベースライン値に基づいて、その患者に関する適切な投薬レジメンを確立することができる。あるいは、患者の病歴に基づく確立されたベースラインパラメータを使用して、患者に関する適切なアンタゴニスト投薬レジメンについて情報提供することができる。例えば、健康な患者が規定の正常範囲より上である確立された血圧読取り値を有する場合、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストを用いる処置の前に、患者の血圧を、一般的な集団に関する正常と考えられる範囲に持って行く必要はない。1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを用いる処置の前の1つまたは複数の血液パラメータに関する患者のベースライン値を、本明細書に記載の1つまたは複数のアンタゴニストを用いる処置中の血液パラメータに対する任意の変化をモニタリングするために関連する比較値として使用することもできる。
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の血液パラメータは、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置される患者において測定される。血液パラメータを使用して、処置中に患者をモニタリングし、本開示の1つもしくは複数のアンタゴニストの投薬または別の治療剤のさらなる投薬の調整または終結を可能にすることができる。例えば、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストの投与が血圧、赤血球レベル、もしくはヘモグロビンレベルの増加、または鉄貯蔵の減少をもたらす場合、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの用量を、量または頻度において減少させて、1つまたは複数の血液パラメータに対する本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの効果を低下させることができる。1つまたは複数のActRIIアンタゴニストの投与が、患者にとって有害である1つまたは複数の血液パラメータの変化をもたらす場合、本明細書に記載の1つまたは複数のアンタゴニストの投薬を、一時的に、血液パラメータが許容し得るレベルに戻るまで、または永続的に終結させることができる。同様に、1つまたは複数の血液パラメータが、本明細書に記載の1つまたは複数のアンタゴニストの用量または投与頻度を減少させた後に許容し得る範囲内にならない場合、投薬を終結させることができる。本明細書に記載の1つまたは複数のアンタゴニストの投薬を減少させるか、または終結させる代わりに、またはそれに加えて、例えば、血圧低下剤または鉄補給剤などの、血液パラメータの望ましくないレベルに対処するさらなる治療剤を患者に投与することができる。例えば、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストで処置される患者の血圧が上昇している場合、本開示の1つもしくは複数のアンタゴニストの投薬を、同じレベルで継続し、血圧低下剤を処置レジメンに加え、1つもしくは複数のアンタゴニスト(例えば、量および/もしくは頻度)および血圧低下剤の投与を処置レジメンに加えるか、または1つもしくは複数のアンタゴニストの投薬を終結し、患者を血圧低下剤で処置することができる。
10.医薬組成物
ある特定の態様では、本開示の、任意選択でPD1−PDL1アンタゴニストなどの1つまたは複数の追加的な活性薬剤と組み合わせたActRIIアンタゴニストを、単独で、または医薬製剤の成分(治療組成物もしくは医薬組成物とも称される)として投与することができる。医薬製剤とは、その中に含有される活性成分(例えば、本開示の薬剤)の生物活性が有効であることを可能にするような形態にあり、製剤が投与される対象にとって許容されないほどに毒性的であるさらなる成分を含有しない調製物を指す。対象化合物を、ヒト医学または獣医学における使用のための任意の都合の良い方法での投与のために製剤化することができる。例えば、本開示の1つまたは複数の薬剤を、薬学的に許容される担体と共に製剤化することができる。薬学的に許容される担体とは、一般に、対象にとって非毒性的である、活性成分以外の、医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、緩衝剤、賦形剤、安定剤、および/または保存剤を含むがこれらに限定されない。一般に、本開示における使用のための医薬製剤は、発熱源を含まず、対象に投与される場合に生理的に許容される形態にある。任意選択で、上記の製剤中に含有されてもよい、本明細書に記載のもの以外の治療的に有用な薬剤を、本開示の方法において対象薬剤と組み合わせて投与することができる。
ある特定の実施形態では、組成物は、非経口投与される[例えば、静脈内(I.V.)注射、動脈内注射、骨内注射、筋内注射、髄腔内注射、皮下注射、または皮内注射により]。非経口投与に適する薬学的組成物は、本開示の1つまたは複数の作用因子を、1つまたは複数の薬学的に許容される無菌かつ等張の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または使用直前に無菌の注射可能な溶液もしくは分散液へと再構成され得る無菌粉末と組み合わせて含み得る。注射可能な溶液または分散液は、抗酸化物質、緩衝剤、静菌剤、懸濁剤、増粘剤、または製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る。本開示の医薬製剤において利用され得る、適切な水性および非水性のキャリアの例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば、オリーブ油)、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、およびこれらの適切な混合物を含む。適正な流動性は、例えば、コーティング材料(例えば、レシチン)の使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒子径の維持によって、および、界面活性剤の使用によって維持することができる。
一部の実施形態では、例えば、局所投与、眼内(例えば、硝子体内)注射によるか、またはインプラントもしくはデバイスにより、化合物を眼に投与する。硝子体内注射を、例えば、扁平部を介して、縁に対して3mm〜4mm後部に注射することができる。眼への投与のための医薬組成物を、例えば、点眼剤、点眼液、点眼懸濁剤、点眼エマルジョン、硝子体内注射剤、テノン嚢下注射剤、眼科用生分解性インプラント、および非生分解性眼科用挿入物またはデポーを含む、様々な方法で製剤化することができる。
一部の実施形態では、本開示の治療法は、インプラントもしくはデバイスから薬学的組成物を全身投与または局所投与する工程を包含する。さらに、薬学的組成物は、カプセル化され得、または、標的組織部位(例えば、骨髄または筋肉)へと送達するための形態で注射され得る。特定の実施形態では、本開示の組成物は、標的組織部位(例えば、骨髄または筋肉)に本開示の1つまたは複数の作用因子を送達し得、成長中の組織のための構造を提供し得、そして、最適には身体内へと再吸収され得るマトリクスを含み得る。例えば、マトリクスは、本開示の1つまたは複数の作用因子の遅速放出を提供し得る。このようなマトリクスは、他の移植医療用途に現在使用される材料から形成され得る。
マトリクス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、見かけ上の様相および界面の特性のうちの1つまたは複数に基づいてもよい。本主題の組成物の特定の用途が、適切な製剤を画定する。組成物のための可能性のあるマトリクスは、生分解性でかつ化学的に画定された硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ無水物であり得る。他の可能性のある材料は、生分解性でかつ生物学的に十分に画定されたもの(例えば、骨または皮膚のコラーゲンが挙げられる)である。さらなるマトリクスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリクスの成分から構成される。他の可能性のあるマトリクスは、非生分解性でかつ化学的に規定されたもの(例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオグラス、アルミン酸塩、または他のセラミクスが挙げられる)である。マトリクスは、上述のタイプの材料のいずれかの組み合わせ(例えば、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイト、または、コラーゲンおよびリン酸三カルシウム)を含み得る。バイオセラミクスは、組成物(例えば、カルシウム−アルミン酸−リン酸)中で変化され得、孔径、粒子径、粒子の形状および生分解性のうちの1つまたは複数を変更するように加工され得る。
ある特定の実施形態では、本開示の医薬組成物を、局所的に投与することができる。「局所適用」または「局所的」とは、医薬組成物と、例えば、皮膚、創傷部位、および粘膜を含む、体表面との接触を意味する。局所医薬組成物は、様々な適用形態を有してもよく、典型的には、組成物を局所的に投与する際に、組織の近くに、または組織と直接接触して配置されるように適合される、薬物含有層を含む。局所投与にとって好適な医薬組成物は、任意選択で、液体、ゲル、クリーム、ローション、軟膏、気泡、ペースト、パテ、半固体、または固体として同時に製剤化される、本開示のPD1−PDL1アンタゴニストなどの1つまたは複数の追加的な活性薬剤と組み合わせた、1つまたは複数のActRIIアンタゴニストを含んでもよい。液体、ゲル、クリーム、ローション、軟膏、気泡、ペースト、またはパテ形態の組成物を、標的組織に組成物を拡散させる、噴霧する、塗布する、軽く叩く、またはローラーで延ばすことによって適用することができる。また、組成物を、滅菌包帯、経皮パッチ、膏薬、および包帯に含浸させることもできる。パテ、半固体または固体形態の組成物は、変形可能であってもよい。それらは弾性または非弾性(例えば、可撓性もしくは剛性)であってもよい。ある特定の態様では、組成物は、複合物の一部を形成し、同じか、または異なる組成を有する繊維、粒子、または多層を含んでもよい。
液体形態の局所用組成物は、薬学的に許容される溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、および懸濁液を含み得る。有効成分に加えて、液体剤形は、当該分野において一般に使用される不活性の希釈剤であって、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および/もしくは乳化剤[例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、または1,3−ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物]を含む希釈剤を含有し得る。
局所用のゲル、クリーム、ローション、軟膏、半固形または固形組成物は、多糖、合成ポリマーまたはタンパク質ベースのポリマーなどの1つまたは複数の増粘剤を含み得る。本発明の一実施形態では、本明細書のゲル化剤は、適切に非毒性であり、所望の粘性をもたらすゲル化剤である。増粘剤として、ビニルピロリドン、メタクリルアミド、アクリルアミドN−ビニルイミダゾール、カルボキシビニル、ビニルエステル、ビニルエーテル、シリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ビニルアルコール、アクリル酸ナトリウム、アクリレート、マレイン酸、NN−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、Pluronic、コラーゲン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニレン、ポリビニルシリケート、糖(例えば、スクロース、グルコース、グルコサミン、ガラクトース、トレハロース、マンノース、またはラクトース)で置換されたポリアクリレート、アシルアミドプロパンスルホン酸、テトラメトキシオルトシリケート、メチルトリメトキシオルトシリケート、テトラアルコキシオルトシリケート、トリアルコキシオルトシリケート、グリコール、プロピレングリコール、グリセリン、多糖、アルギネート、デキストラン、シクロデキストリン、セルロース、修飾セルロース、酸化セルロース、キトサン、キチン、グアーガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、イヌリン、デンプン、修飾デンプン、アガロース、メチルセルロース、植物ガム、ヒアルロナン(hylaronans)、ハイドロゲル、ゼラチン、グリコサミノグリカン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、低メトキシペクチン、架橋デキストラン、デンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニレン、ポリエチルビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアルカノエート、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、スルホン化ハイドロゲル、AMPS(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、SEM(スルホエチルメタクリレート)、SPM(スルホプロピルメタクリレート)、SPA(スルホプロピルアクリレート)、N,N−ジメチル−N−メタクリロキシエチル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、メタクリル酸アミドプロピル−ジメチルアンモニウムスルホベタイン、SPI(イタコン酸−ビス(1−プロピルスルホン酸(sulfonizacid)−3)エステル二カリウム塩)、イタコン酸、AMBC(3−アクリルアミド−3−メチルブタン酸)、ベータ−カルボキシエチルアクリレート(アクリル酸二量体)、およびマレイン酸無水物−メチルビニルエーテルポリマー、これらの誘導体、これらの塩、これらの酸、ならびにこれらの組合せによる、ポリマー、コポリマー、および単量体が挙げられ得る。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、例えば、カプセル、カシェ、丸剤、錠剤、ロゼンジ(スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの矯味矯臭基材を使用する)、散剤、顆粒剤、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、水中油もしくは油中水の液体エマルジョン、またはエリキシルもしくはシロップ、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基材を使用する)、かつ/またはマウスウォッシュの形態で経口投与することもでき、各々が、所定量の、本開示の化合物と、任意選択で、1つまたは複数の他の活性成分とを含有する。本開示の化合物と、任意選択で、1つまたは複数の他の活性成分とはまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとしても投与することができる。
経口投与のための固体投薬形態(例えば、カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤および顆粒剤)において、本開示の1または複数の化合物は、1または複数の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア)、湿潤剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、アガー−アガー、炭酸カルシウム、ポテトもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、溶液抑制因子(solution retarding agent)(例えば、パラフィン)、吸収加速剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、加湿剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸着剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ)、潤滑剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤およびこれらの混合物を含む)と共に混合され得る。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、医薬製剤(組成物)はまた、緩衝剤も含み得る。また、同様の種類の固形組成物も、例えば、ラクトースまたは乳糖のほか、高分子量ポリエチレングリコールを含む、1つまたは複数の賦形剤を使用して、軟充填ゼラチンカプセル中および硬充填ゼラチンカプセル中の充填剤として利用することができる。
薬学的組成物の経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性成分に加え、液体投薬形態は、当該分野で一般に用いられる不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒が挙げられる)、可溶化剤および/または乳化剤[例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物]を含み得る。不活性な希釈剤に加え、経口用組成物はまた、例えば、加湿剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、芳香剤、保存剤およびこれらの組み合わせを含む佐剤を含み得る。
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー−アガー、トラガント、およびこれらの組み合わせを含む懸濁剤を含有し得る。
微生物の作用および/または増殖の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、およびソルビン酸フェノールを含む、種々の抗細菌剤および抗真菌剤を組み入れることにより確保することができる。
ある特定の実施形態では、例えば、糖、または塩化ナトリウムを含む等張化剤を組成物中に組み入れることも望ましいと考えられる。加えて、注射可能な医薬形態の吸収の遅延も、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含む、吸収を遅延させる作用因子を組み入れることにより、もたらすことができる。
投薬レジメンは、本開示の1つまたは複数の作用因子の作用を修飾する種々の要因を考慮して主治医によって決定されることが理解される。赤血球の形成を促進するActRIIアンタゴニストの場合では、種々の要因として、患者の赤血球数、ヘモグロビンレベル、所望の標的赤血球数、患者の年齢、患者の性別、および患者の食餌、赤血球レベルの低下に寄与し得る任意の疾患の重症度、投与時間、ならびに他の臨床的要因が挙げられ得るがこれらに限定されない。他の公知の活性の作用因子の、最終組成物への添加もまた、投与量に影響を及ぼし得る。進行は、赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、網状赤血球レベル、および造血プロセスの他の指標のうちの1つまたは複数の定期的な評価によりモニタリングすることができる。
特定の実施形態では、本開示はまた、本開示の1つまたは複数の作用因子のインビボ産生のための遺伝子治療を提供する。このような治療は、上に列挙したような障害のうち1つまたは複数を有する細胞または組織中に作用因子配列を導入することによってその治療作用を達成する。作用因子配列の送達は、例えば、キメラウイルスのような組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を用いることによって達成され得る。本開示の1つまたは複数の作用因子配列の好ましい治療的送達は、標的化されたリポソームの使用である。
本明細書中で教示されるような遺伝子治療に利用され得る種々のウイルスベクターとしては、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または、RNAウイルス(例えば、レトロウイルス)が挙げられる。レトロウイルスベクターは、マウスもしくはトリのレトロウイルスの誘導体であり得る。単一の外来遺伝子が挿入され得るレトロウイルスベクターの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベーマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。多数のさらなるレトロウイルスベクターが多数の遺伝子を組み込み得る。これらのベクターは全て、形質導入された細胞が同定および生成され得るように、選択マーカーについての遺伝子を移送または組み込み得る。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を付着させることによって、標的特異的とされ得る。好ましい標的化は、抗体を用いて達成される。当業者は、本開示の1つまたは複数の作用因子を含むレトロウイルスベクターの標的特異的な送達を可能にするために、特定のポリヌクレオチド配列がレトロウイルスゲノム中に挿入され得るか、または、ウイルスエンベロープに付着され得ることを認識する。
あるいは、組織培養細胞は、従来のリン酸カルシウムトランスフェクション法によって、レトロウイルスの構造遺伝子(gag、polおよびenv)をコードするプラスミドを用いて直接トランスフェクトされ得る。これらの細胞は、次いで、関心のある遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトされる。得られた細胞は、培養培地中にレトロウイルスベクターを放出する。
本開示の1つまたは複数の作用因子のための別の標的化送達システムは、コロイド分散系である。コロイド分散系としては、例えば、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズおよび脂質ベースの系(水中油エマルジョン、ミセル、混合型ミセルおよびリポソームを含む)が挙げられる。特定の実施形態において、本開示の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボで送達ビヒクルとして有用な人工の膜小胞である。RNA、DNAおよびインタクトなビリオンが、水性の内部に封入され得、そして、生物学的に活性な形態で細胞へと送達され得る[Fraleyら(1981年)、Trends Biochem. Sci.、6巻:77頁]。リポソームビヒクルを用いた効率的な遺伝子移入のための方法は当該分野で公知である[Manninoら(1988年)、Biotechniques、6巻:682頁、1988]。
リポソームの組成は通常、リン脂質の組み合わせであり、ステロイド(例えば、コレステロール)を含み得る。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。また、他のリン脂質または他の脂質であって、例えば、ホスファチジル化合物(例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシド)、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンを含むリン脂質または脂質も使用することができる。例えば、器官特異性、細胞特異性および細胞小器官特異性に基づいたリポソームの標的化もまた可能であり、当該分野で公知である。
本発明は、ここで、一般的に記載されるが、単に特定の実施形態および本発明の実施形態を例示する目的のために含められ、本発明を限定することは意図されない以下の実施例を参照するとより容易に理解される。
(実施例1)
ActRIIa−Fc融合タンパク質
出願人は、間にリンカーを有する、ヒトまたはマウスFcドメインに融合されたヒトActRIIaの細胞外ドメインを有する可溶性ActRIIA融合タンパク質を構築した。この構築物は、それぞれ、ActRIIA−hFcおよびActRIIA−mFcと称される。
ActRIIA−hFcは、CHO細胞系から精製されたものとして以下に示される(配列番号50):
ActRIIA−hFcおよびActRIIA−mFcタンパク質を、CHO細胞系中で発現させた。3つの異なるリーダー配列を考慮した:
(i)ミツバチメリチン(HBML):MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号51)
(ii)組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA):MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号52)
(iii)ネイティブ:MGAAAKLAFAVFLISCSSGA(配列番号53)。
選択された形態は、TPAリーダーを使用し、以下のプロセシングされていないアミノ酸配列を有する。
このポリペプチドは、以下の核酸配列によってコードされる。
ActRIIA−hFcとActRIIA−mFcは両方とも、組換え発現に顕著に適していた。図5に示されるように、タンパク質は、単一の、明確に規定されたピークのタンパク質として精製された。N末端配列決定により、−ILGRSETQE(配列番号56)の単一配列が示された。例えば、任意の順序で、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはそれよりも多くを含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程によって、精製を達成することができた。ウイルス濾過および緩衝液交換によって精製を完了することができた。ActRIIA−hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定された場合、98%を超える純度およびSDS PAGEによって決定された場合、95%を超える純度まで精製された。
ActRIIA−hFcおよびActRIIA−mFcは、リガンドに対する高いアフィニティを示した。GDF−11またはアクチビンAを、標準的なアミンカップリング手順を使用して、Biacore(商標)CM5チップ上に固定した。ActRIIA−hFcおよびActRIIA−mFcタンパク質をシステム上にロードし、結合を測定した。ActRIIA−hFcは、5×10−12の解離定数(KD)でアクチビンに結合し、9.96×10−9のKDでGDF11に結合した。図6を参照されたい。ActRIIA−mFcも同様の挙動であった。
ActRIIA−hFcは、薬物動態試験において非常に安定であった。ラットに、1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgのActRIIA−hFcタンパク質を投与し、タンパク質の血漿レベルを、24、48、72、144および168時間で測定した。別の試験において、ラットに、1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgで投与した。ラットでは、ActRIIA−hFcは、11〜14日の血清半減期を有し、薬物の循環レベルは2週間後でも非常に高かった(1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初期投与について、それぞれ、11μg/ml、110μg/ml、または304μg/ml)。カニクイザルでは、血漿半減期は14日よりも実質的に大きく、薬物の循環レベルは、1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初期投与について、それぞれ、25μg/ml、304μg/ml、または1440μg/mlであった。
(実施例2)
ActRIIA−hFcタンパク質の特徴付け
ActRIIA−hFc融合タンパク質を、配列番号52の組織プラスミノーゲンリーダー配列を使用して、pAID4ベクター(SV40 ori/エンハンサー、CMVプロモーター)に由来する安定にトランスフェクトされたCHO−DUKX B11細胞中で発現させた。実施例1に上記したように精製されたタンパク質は、配列番号50の配列を有していた。Fc部分は、配列番号50に示されるような、ヒトIgG1 Fc配列である。タンパク質分析により、ActRIIA−hFc融合タンパク質がジスルフィド結合を含むホモ二量体として形成されることが示された。
CHO細胞により発現される材料は、ヒト293細胞中で発現されるActRIIa−hFc融合タンパク質について報告されたものよりも、アクチビンBリガンドに対する高いアフィニティを有する[del Reら(2004年)J Biol Chem. 279巻(51号):53126〜53135頁を参照されたい]。さらに、TPAリーダー配列の使用は、他のリーダー配列よりも多い産生を提供し、ネイティブリーダーを用いて発現されたActRIIA−Fcと違って、非常に純粋なN末端配列を提供した。ネイティブリーダー配列の使用は、それぞれ、異なるN末端配列を有する、2つの主要な種のActRIIA−Fcをもたらした。
(実施例3)
代替的なActRIIA−Fcタンパク質
本明細書に記載の方法に従って使用され得る様々なActRIIA改変体が、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2006/012627(例えば、55〜58頁を参照されたい)として公開された国際特許出願に記載されている。代替的な構築物は、C末端テール(ActRIIAの細胞外ドメインの最後の15アミノ酸)の欠失を有し得る。そのような構築物の配列を以下に提示する(Fc部分に下線を付す)(配列番号57)。
(実施例4)
ActRIIB−Fc融合タンパク質の生成
出願人は、間にリンカー(3個のグリシンアミノ酸)を有する、ヒトまたはマウスFcドメインに融合されたヒトActRIIBの細胞外ドメインを有する可溶性ActRIIB融合タンパク質を構築した。この構築物は、それぞれ、ActRIIB−hFcおよびActRIIB−mFcと称される。
ActRIIB−hFcは、CHO細胞系から精製されたものとして以下に示される(配列番号58)。
ActRIIB−hFcおよびActRIIB−mFcタンパク質を、CHO細胞系中で発現させた。3つの異なるリーダー配列:(i)ミツバチメリチン(HBML)、ii)組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)、および(iii)ネイティブ:MGAAAKLAFAVFLISCSSGA(配列番号59)を考慮した。
選択された形態は、TPAリーダーを使用し、以下のプロセシングされていないアミノ酸配列(配列番号60)を有する。
このポリペプチドは、以下の核酸配列によってコードされる(配列番号61)。
CHO細胞により産生される材料のN末端配列決定により、−GRGEAE(配列番号62)の主要な配列が示された。注目すべきことに、文献で報告された他の構築物は、−SGR...配列から始まる。
例えば、任意の順序で、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはそれよりも多くを含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程によって、精製を達成することができた。ウイルス濾過および緩衝液交換によって精製を完了することができた。
ActRIIB−Fc融合タンパク質を、HEK293細胞およびCOS細胞中でも発現させた。全ての細胞系に由来する材料および合理的な培養条件は、in vivoで筋肉増強活性を有するタンパク質を提供したが、おそらく、細胞系の選択および/または培養条件に関して効力の変動が観察された。
出願人は、ActRIIBの細胞外ドメイン中で一連の変異を生成し、細胞外ActRIIBと、Fcドメインとの可溶性融合タンパク質としてこれらの変異体タンパク質を産生した。バックグラウンドActRIIB−Fc融合体は、配列番号58の配列を有する。
NおよびC末端切断を含む、様々な変異を、バックグラウンドActRIIB−Fcタンパク質中に導入した。本明細書に提示されるデータに基づいて、これらの構築物は、TPAリーダーと共に発現された場合、N末端セリンを欠くと予想される。PCR変異誘発により、ActRIIB細胞外ドメイン中で変異を生成した。PCR後、フラグメントを、Qiagenカラムを通して精製し、SfoIおよびAgeIで消化し、ゲル精製した。これらのフラグメントを、ライゲーション時に、ヒトIgG1との融合キメラを作出するように、発現ベクターpAID4(WO2006/012627を参照されたい)中にライゲーションした。E.coli DH5アルファ中への形質転換時に、コロニーを拾い、DNAを単離した。マウス構築物(mFc)については、マウスIgG2aを、ヒトIgG1に置換した。全ての変異体の配列を検証した。
全ての変異体を、一過的トランスフェクションによってHEK293T細胞中で産生させた。まとめると、500mlのスピナー中で、HEK293T細胞を、250ml容量でFreestyle(Invitrogen)培地中、6×105細胞/mlに設定し、一晩増殖させた。次の日、これらの細胞を、0.5μg/mlの最終DNA濃度で、DNA:PEI(1:1)複合体で処理した。4h後、250mlの培地を添加し、細胞を7日間増殖させた。細胞をスピンダウンすることによって馴化培地を集め、濃縮した。
例えば、プロテインAカラムを含む様々な技術を使用して変異体を精製し、低pH(3.0)のグリシン緩衝液を用いて溶出させた。中和後、これらのものをPBSに対して透析した。
また、変異体を、同様の方法によってCHO細胞中でも産生させた。変異体を、参照により本明細書に組み込まれるWO2008/097541およびWO2006/012627に記載の結合アッセイおよび/またはバイオアッセイにおいて試験した。一部の例では、精製タンパク質よりもむしろ馴化培地を用いてアッセイを実施した。ActRIIBのさらなる変化は、米国特許第7,842,663号に記載されている。
出願人は、ネイティブActRIIBリーダーに置換されたTPAリーダー配列とN末端で融合され、最小リンカー(3個のグリシン残基)を介してヒトFcドメインとC末端で融合された、N末端およびC末端切断(配列番号1のネイティブタンパク質の残基25〜131)を有するヒトActRIIB細胞外ドメインを含む、ActRIIB(25−131)−hFc融合タンパク質を生成した(図7;配列番号123)。この融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、図8に示す(配列番号124はコード鎖であり、配列番号125は相補鎖である)。コドンを改変したところ、ActRIIB(25−131)−hFcタンパク質をコードする核酸改変体は、初期の形質転換体の発現レベルの実質的な改善を提供することがわかった(図9;配列番号126はコード鎖であり、配列番号127は相補鎖である)。
成熟タンパク質は、以下のようなアミノ酸配列を有する(N末端配列決定により確認されたN末端)(配列番号63)。
アミノ酸1〜107は、ActRIIBに由来する。
例えば、任意の順序で、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはそれよりも多くを含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程を使用して、発現された分子を精製した。ウイルス濾過および緩衝液交換によって精製を完了することができた。
ActRIIB(25−131)−hFcおよびその完全長対応物ActRIIB(20−134)−hFcに対するいくつかのリガンドのアフィニティを、Biacore(商標)機器を用いてin vitroで評価し、その結果を以下の表にまとめる。k
onおよびk
offの正確な決定を妨げる、複合体の非常に急速な会合および解離のため、安定状態のアフィニティ適合により、Kd値を得た。ActRIIB(25−131)−hFcは、高いアフィニティでアクチビンA、アクチビンB、およびGDF11に結合した。
ActRIIB−hFc形態のリガンドアフィニティ:
(実施例5)
GDFトラップの生成
出願人は、以下のようにGDFトラップを構築した。GDF11および/またはミオスタチンと比較してアクチビンA結合が大きく低下した(配列番号1の79位でのロイシンからアスパラギン酸への置換の結果として)、ActRIIBの改変された細胞外ドメイン(L79D置換を有する配列番号1のアミノ酸20〜134)を有するポリペプチドを、間の最小リンカー(3個のグリシンアミノ酸)を用いてヒトまたはマウスFcドメインに融合した。この構築物は、それぞれ、ActRIIB(L79D 20−134)−hFcおよびActRIIB(L79D 20−134)−mFcと称される。79位にアスパラギン酸よりもむしろグルタミン酸を有する代替的な形態も、同様に実施した(L79E)。以下の、配列番号64に関して226位にバリンよりもむしろアラニンを有する代替的な形態も生成し、試験した全ての点において同等に実施した。79位のアスパラギン酸(配列番号1と比較、または配列番号64と比較した60位)を、以下に二重下線で示す。配列番号64と比較した226位のバリンも、以下に二重下線で示す。
GDFトラップActRIIB(L79D 20−134)−hFcを、CHO細胞系から精製されたものとして以下に示す(配列番号64)。
GDFトラップのActRIIB由来部分は、以下に記載のアミノ酸配列(配列番号65)を有し、その部分を、単量体として、または単量体、二量体、もしくはより高次の複合体としての非Fc融合タンパク質として使用することができた。
GDFトラップタンパク質を、CHO細胞系中で発現させた。3つの異なるリーダー配列を考慮した:(i)ミツバチメリチン(HBML)、(ii)組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)、および(iii)ネイティブ。
選択された形態は、TPAリーダー配列を使用し、以下のプロセシングされていないアミノ酸配列を有する。
このポリペプチドは、以下の核酸配列(配列番号67)によってコードされる。
例えば、任意の順序で、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはそれよりも多くを含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程により、精製を達成することができた。ウイルス濾過および緩衝液交換によって精製を完了することができた。精製スキームの一例では、細胞培養培地を、プロテインAカラム上を通過させ、150mM Tris/NaCl(pH8.0)中で洗浄した後、50mM Tris/NaCl(pH8.0)中で洗浄し、0.1Mグリシン、pH3.0で溶出させる。低pHの溶出液を、ウイルスクリアランス工程として、室温で30分間保持する。次いで、溶出液を中和し、Q−セファロースイオン交換カラム上を通過させ、50mM Tris pH8.0、50mM NaCl中で洗浄し、50mM Tris pH8.0中、150mM〜300mMのNaCl濃度で溶出させる。次いで、溶出液を、50mM Tris pH8.0、1.1M硫酸アンモニウムに変更し、フェニルセファロースカラム上に通過させ、洗浄し、50mM Tris pH8.0中、150〜300mMの硫酸アンモニウムで溶出させる。溶出液を透析し、使用のために濾過する。
さらなるGDFトラップ(ミオスタチンまたはGDF11結合に対するアクチビンA結合の比が低減されるように改変されたActRIIB−Fc融合タンパク質)は、参照により本明細書に組み込まれるWO2008/097541およびWO2006/012627に記載されている。
(実施例6)
GDF−11およびアクチビンにより媒介されるシグナル伝達のためのバイオアッセイ
A−204レポーター遺伝子アッセイを使用して、GDF−11およびアクチビンAによるシグナル伝達に対するActRIIB−Fcタンパク質およびGDFトラップの効果を評価した。細胞系:ヒト横紋筋肉腫(筋肉に由来する)。レポーターベクター:pGL3(CAGA)12(Dennlerら、1998年、EMBO 17巻:3091〜3100頁に記載されている)。CAGA12モチーフは、TGF−ベータTGFβ応答遺伝子(例えば、PAI−1遺伝子)中に存在するため、このベクターは、SMAD2および3を介する因子のシグナル伝達にとって一般的に有用である。
1日目:A−204細胞を48ウェルプレートに分割する。
2日目:A−204細胞に、10μgのpGL3(CAGA)12またはpGL3(CAGA)12(10μg)+pRLCMV(1μg)およびFugeneをトランスフェクトする。
3日目:因子(培地+0.1%BSA中に希釈したもの)を添加する。細胞に添加する前に1h、阻害剤を因子と共に予備インキュベートする必要がある。6時間後、細胞をPBSですすぎ、溶解した。
この後、ルシフェラーゼアッセイを行う。任意の阻害剤の非存在下では、アクチビンAは、レポーター遺伝子発現の10倍の刺激を示し、ED50は約2ng/mlであった。GDF−11:16倍刺激、ED50:約1.5ng/ml。
ActRIIB(20−134)は、このアッセイにおいて、アクチビンA、GDF−8、およびGDF−11活性の強力な阻害剤である。下記に記載されている通り、ActRIIB改変体もこのアッセイで試験した。
(実施例7)
ActRIIB−Fc改変体、細胞に基づく活性
ActRIIB−Fcタンパク質およびGDFトラップの活性を、上記のような細胞に基づくアッセイにおいて試験した。結果を、以下の表にまとめる。いくつかの改変体を、異なるC末端切断型構築物中で試験した。上で論じられたように、5個または15個のアミノ酸の切断は、活性の低下を引き起こした。GDFトラップ(L79DおよびL79E改変体)は、GDF−11のほぼ野生型の阻害を保持しながら、アクチビンA阻害の実質的な喪失を示した。
GDF11およびアクチビンAへの可溶性ActRIIB−Fcの結合:
+ 弱い活性(およそ1x10
-6 K
I)
++ 中程度の活性(およそ1x10
-7 K
I)
+++ 良好な(野生型)活性(およそ1x10
-8 K
I)
++++ 野生型より高い活性
(実施例8)
GDF−11およびアクチビンAの結合
ある特定のActRIIB−Fcタンパク質およびGDFトラップの、リガンドへの結合を、Biacore(商標)アッセイにおいて試験した。
ActRIIB−Fc改変体または野生型タンパク質を、抗hFc抗体を使用してシステム上に捕捉した。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を、以下の表にまとめる。
IIB改変体のリガンド結合特異性:
無細胞アッセイで得られたこれらのデータは、細胞に基づくアッセイデータを確認するものであり、A24N改変体がActRIIB(20−134)−hFc分子のものと同様のリガンド結合活性を保持すること、およびL79DまたはL79E分子がミオスタチンおよびGDF11結合を保持するが、アクチビンAへの結合の顕著な低下(定量不可)を示すことを示している。
他の改変体は、WO2006/012627(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に報告されたように生成および試験された。例えば、デバイスにカップリングされたリガンドを使用し、カップリングされたリガンドに対して受容体を流す、59〜60頁を参照されたい。注目すべきことに、K74Y、K74F、K74I(およびおそらく、K74Lなどの、K74での他の疎水性置換)、およびD80Iは、野生型K74分子と比較した、アクチビンA(ActA)結合のGDF11結合に対する比の低下を引き起こす。これらの改変体に関するデータの表を、以下に再現する。
GDF11およびアクチビンAへの可溶性ActRIIB−Fc改変体の結合(Biacore(商標)アッセイ)
* 観察された結合なし
-- WTの1/5未満の結合
- WTの約1/2の結合
+ WT
++ 2倍未満増加した結合
+++ 約5倍増加した結合
++++ 約10倍増加した結合
+++++ 約40倍増加した結合
(実施例9)
ActRIIB細胞外ドメインが切断されたGDFトラップの生成
ActRIIB(L79D 20−134)−hFcと称されるGDFトラップを、ロイシンからアスパラギン酸への置換(配列番号1中の残基79での)を含有するActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1中の残基20〜134)へのTPAリーダーのN末端融合およびヒトFcドメインと、最小リンカー(3個のグリシン残基)とのC末端融合によって生成した(図10;配列番号128)。この融合タンパク質に対応するヌクレオチド配列は、図11に示される(配列番号129、センス鎖;および配列番号130、アンチセンス鎖)。
ActRIIB(L79D 25−131)−hFcと称される、ActRIIB細胞外ドメインが切断されたGDFトラップを、ロイシンからアスパラギン酸への置換(配列番号1中の残基79での)を含有する切断された細胞外ドメイン(配列番号1中の残基25〜131)へのTPAリーダーのN末端融合およびヒトFcドメインと、リンカー(3個のグリシン残基)とのC末端融合によって生成した(図12;配列番号131)。細胞精製型のActRIIB(L79D 25−131)−hFcの配列は、図13(配列番号132)中に提示され、リーダー、リンカーまたはFcドメインを含まない成熟細胞外ドメインは、図14(配列番号133)に提示される。この融合タンパク質をコードする1つのヌクレオチド配列を、その相補配列(配列番号135)と共に図15(配列番号134)に示し、全く同じ融合タンパク質をコードする代替的なヌクレオチド配列を、その相補配列(配列番号137)と共に図16(配列番号136)に示す。
(実施例10)
ActRIIB細胞外ドメインが二重切断されたGDFトラップによる選択的リガンド結合
いくつかのリガンドに対するGDFトラップおよび他のActRIIB−hFcタンパク質のアフィニティを、Biacore(商標)機器を用いてin vitroで評価した。結果を、以下の表にまとめる。k
onおよびk
offの正確な決定を妨げる、複合体の非常に急速な会合および解離のため、安定状態アフィニティ適合により、Kd値を得た。
ActRIIB−hFc改変体のリガンド選択性:
細胞外ドメインが切断されたGDFトラップ、ActRIIB(L79D 25−131)−hFcは、より長い改変体、ActRIIB(L79D 20−134)−hFcによって示されるリガンド選択性と同等であるか、またはそれを上回るものであり、L79D置換を欠くActRIIB−hFc対応物と比較して、アクチビンA結合の顕著な喪失、アクチビンB結合の部分的欠失、およびGDF11結合のほぼ完全な保持を示した。切断型単独(L79D置換を含まない)では、ここに示されたリガンド間で選択性を変化させなかった[ActRIIB(L79 25−131)−hFcとActRIIB(L79 20−134)−hFcとを比較]ことに留意されたい。ActRIIB(L79D 25−131)−hFcはまた、Smad2/3シグナル伝達リガンドGDF8ならびにSmad1/5/8リガンドBMP6およびBMP10への強いものから中間の結合を保持する。
(実施例11)
ActRIIB5に由来するGDFトラップ
他者は、ActRIIB膜貫通ドメインを含むエクソン4が異なるC末端配列によって置き換えられた、別の可溶性形態のActRIIB(ActRIIB5と命名されている)を報告した(例えば、WO2007/053775を参照されたい)。
そのリーダーを含まないネイティブなヒトActRIIB5の配列は、以下の通りである。
ロイシンからアスパラギン酸への置換、または他の酸性の置換を、記載のようにネイティブな79位(下線)で実施して、以下の配列を有する改変体ActRIIB5(L79D)を構築することができる。
この改変体を、TGGGリンカー(一重下線)を用いてヒトFc(二重下線)に接続して、以下の配列を有するヒトActRIIB5(L79D)−hFc融合タンパク質を生成することができる。
この構築物を、CHO細胞中で発現させることができる。
(実施例12)
マウスにおけるActRIIA−FcおよびActRIIB−Fcの抗腫瘍活性
出願人は、同系マウス白血病モデルにおいてホモ二量体ActRIIA−Fc(配列番号50のホモ二量体)およびActRIIB−Fc(配列番号58のホモ二量体)融合タンパク質の潜在的な抗腫瘍活性を調査した。7週齢のBALB/cマウスを、処置に無作為に割り当て(n=10匹/群)、腫瘍埋込みの2日前に開始して、週2回、ActRIIA−mFc(10mg/kg)、ActRIIB−mFc(10mg/kg)、またはビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水、PBS、5ml/kg)で腹腔内処置した。0日目に、それぞれのマウスに、PBS(100μL)中に懸濁した1×106個のRL♂1(RL雄1)細胞を皮下接種した。RL雄1は、BALB/c起源のx線誘導性白血病であり(Sato Hら、1973年、J Exp Med 138巻:593〜606頁)、細胞は、MEXT、日本のナショナルバイオリソースプロジェクトを介してRIKEN BRC(バイオリソースセンター)細胞バンクから得られたものであり、これらの試験における使用のためにサブクローニングされたものであった。マウスへの接種後、体重および腫瘍体積を週に2回測定した。カリパスを用いて得られた2次元測定値から、腫瘍体積を算出した:腫瘍体積(mm3)=(LxWxW)/2(式中、LおよびWは、それぞれ、腫瘍の長さおよび幅(mm)である)。完全な腫瘍退縮および無腫瘍生存を両方とも、Teicher BA(編)Anticancer Drug Development Guide: Preclinical Screening, Clinical Trials, and Approval;Humana Press、1997年に従って定義した。地方のIACUC規則により、生存分析のために使用された終点は、2000mm3より大きい腫瘍体積、20%を超える体重減少、または後肢麻痺であった。異なる群の生存曲線を、GraphPad Prism 5ソフトウェアを使用して、中央生存により、ならびにログランク(Mantel−Cox)検定により比較した。
以下の表に示されるように、ActRIIA−mFcおよびActRIIB−mFcは両方とも、抗腫瘍活性を示した。
ActRIIA−mFcまたはActRIIB−hFcを用いる処置は、ビヒクル処置されたマウスのうちの0匹と比較して、10匹のマウスのうちの2匹(20%)において56日目に無腫瘍状態をもたらした。ログランク検定における中央生存の増加および高い有意性(表を参照されたい)もまた、ActRIIA−mFcおよびActRIIB−mFcがそれぞれ、腫瘍担持マウスの生存を促進したことを示す。ActRIIB−mFc処置されたマウスの50%が、ビヒクル処置群における0%と比較して、34日目までに完全な腫瘍退縮を示したため、ActRIIB−mFcに対する初期応答は特にロバストであった。これらの結果は、ActRIIA−mFcおよびActRIIB−mFcが、in vivoで抗腫瘍活性を有することを示す。さらに、これらのデータは、他のActRIIアンタゴニストが患者におけるがんおよび腫瘍の処置において有用であり得ることを示す。
(実施例13)
マウスにおけるActRIIA−FcおよびActRIIB−Fcの抗腫瘍活性は、T細胞を必要とする
出願人は次に、ActRIIB−hFcがActRIIB−mFcのものと同様の抗腫瘍活性を有するかどうか、および抗腫瘍活性がT細胞媒介性免疫に依存するかどうかを、同じマウス白血病モデルにおいて調査した。7週齢のBALB/cマウスを、処置に無作為に割り当て(n=10匹/群)、腫瘍埋込みの2日前に開始して、週2回、ActRIIB−mFc(10mg/kg)、ActRIIB−hFc(10mg/kg)、またはビヒクル(PBS、5ml/kg)で腹腔内処置した。さらに、T細胞免疫欠損を有する7週齢のNCrヌードマウスを、処置に無作為に割り当て(n=10匹/群)、腫瘍埋込みの2日前に開始して、週2回、ActRIIB−mFc(10mg/kg)、ActRIIB−hFc(10mg/kg)、またはビヒクル(PBS、5ml/kg)で腹腔内処置した。最後に、以前の実験中に約7週間にわたって無腫瘍を保持した4匹のマウス(実施例12;ActRIIA−mFcで処置された2匹のマウスおよびActRIIB−mFcで処置された2匹のマウス)に、本実験においてRL雄1細胞を再チャレンジして、抗腫瘍免疫記憶について試験した。0日目に、それぞれのマウスに、PBS(100μL)中に懸濁した1×106個のRL♂1(RL雄1)細胞を皮下接種した。マウスへの接種後、体重および腫瘍体積を週に2回測定した。地方のIACUC規則により、生存分析のために使用された終点は、2000mm3より大きい腫瘍体積、20%を超える体重減少、または後肢麻痺であった。
以下の表に示されるように、ActRIIB−mFcおよびActRIIB−hFcの抗腫瘍効果は、マウス株に依存していた。
以前の実験において観察されたように、ActRIIB−hFcとActRIIB−mFcは両方とも、免疫応答性BALB/cマウスにおいて抗腫瘍活性を示した。ActRIIB−mFcまたはActRIIB−hFcを用いる処置は、ビヒクル処置されたマウスの0%と比較して、56日目にそれぞれ10%または30%のマウスの無腫瘍状態をもたらした。ログランク検定における中央生存の増加および高い有意性(表を参照されたい)はまた、ActRIIB−mFcおよびActRIIB−hFcがそれぞれ、腫瘍担持マウスの生存を促進したことを示す。重要なことに、NCrヌードマウスにおけるActRIIB−mFcおよびActRIIB−hFcの抗腫瘍効果は、BALB/cマウスと比較して、存在しないか、または顕著に鈍った(表を参照されたい)が、それによって、ActRIIBリガンドのこれらの阻害剤に関する作用機構においてT細胞免疫を関与させる。さらに、以前の実験から持ち越された4匹全部の無腫瘍マウスが、RL雄1腫瘍細胞の反復接種にも拘わらず、本実験を通して検出可能な腫瘍増殖を示さなかった。これらの結果は、免疫細胞が、BALB/cバックグラウンド上でのActRIIA−mFcまたはActRIIB−mFcを用いる処置によって引き起こされるRL雄1腫瘍の退縮を媒介すること、および有効な抗腫瘍免疫応答が腫瘍抗原に対する免疫記憶を生成したことのさらなる証拠を提供する。まとめると、これらの結果は、in vivoでのActRIIB−hFcおよびActRIIB−mFcの抗腫瘍活性を確認し、ActRIIアンタゴニストに関してこの活性にT細胞免疫を強く関与させる。したがって、このデータは、ActRIIアンタゴニストを使用して、特に、がんを処置するための免疫腫瘍剤として、免疫活性を促進することができる。
(実施例14)
ALK4:ActRIIBヘテロ二量体の生成
出願人は、それぞれ、リンカーが細胞外ドメインとFcドメインとの間に位置付けられたFcドメインに融合されたヒトActRIIBおよびヒトALK4の細胞外ドメインを含む可溶性ALK4−Fc:ActRIIB−Fc異種複合体を構築した。個々の構築物を、それぞれActRIIB−Fc融合ポリペプチドおよびALK4−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。
ALK4−Fc:ActRIIB−Fc異種複合体の形成を促進するための方法は、ActRIIB−FcまたはALK4−Fcホモ二量体の複合体とは反対に非対称異種複合体の形成を誘導するためにFcドメインのアミノ酸配列に変更を導入する。Fcドメインを使用して非対称相互作用ペアを作製するための多くの異なるアプローチが、本開示において記載される。
1つのアプローチでは、それぞれ配列番号71および73および配列番号74および76のActRIIB−FcおよびALK4−Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。ActRIIB−Fc融合ポリペプチドおよびALK4−Fc融合ポリペプチドは、それぞれ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを利用する。
ActRIIB−Fcポリペプチド配列(配列番号71)は以下に示される:
リーダー(シグナル)配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(酸性アミノ酸をリジンで置き換える)が、上の二重下線で示されるようにActRIIB融合タンパク質のFcドメインに導入され得る。配列番号71のアミノ酸配列は、任意選択で、C末端からリジン(K)が除去されて提供されてもよい。
このActRIIB−Fc融合タンパク質は以下の核酸配列(配列番号72)にコードされる:
成熟ActRIIB−Fc融合ポリペプチド(配列番号73)は、以下の通りであり、任意選択で、C末端からリジン(K)が除去されて提供されてもよい。
ALK4−Fc融合ポリペプチド(配列番号74)の相補的形態は、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。上記配列番号71および73のActRIIB−Fc融合ポリペプチドでヘテロ二量体形成を誘導するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアスパラギン酸で置き換える)が、上の二重下線で示されるようにALK4−Fc融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号74のアミノ酸配列は、任意選択で、リジン(K)がC末端に付加されて提供されてもよい。
このALK4−Fc融合タンパク質は以下の核酸(配列番号75)にコードされる:
成熟ALK4−Fc融合タンパク質配列(配列番号76)は、以下の通りであり、任意選択で、リジン(K)がC末端に付加されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号73および配列番号76のActRIIB−FcおよびALK4−Fcタンパク質を、CHO細胞系、から共発現させ、精製して、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcを含む異種複合体が得られ得る。
非対称Fc融合タンパク質を使用するヘテロ多量体複合体の形成を促進する別のアプローチでは、Fcドメインは、それぞれ、配列番号77および78および配列番号79および80のActRIIB−FcおよびALK4−Fcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。ActRIIB−Fc融合ポリペプチドおよびALK4−Fc融合ポリペプチドは、それぞれ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを利用する。
ActRIIB−Fcポリペプチド配列(配列番号77)は以下に示される:
リーダー(シグナル)配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合タンパク質のFcドメインに導入され得る。配列番号77のアミノ酸配列は、任意選択で、C末端からリジン(K)が除去されて提供されてもよい。
成熟ActRIIB−Fc融合ポリペプチドは、以下の通りである:
ALK4−Fc融合ポリペプチド(配列番号79)の相補的形態は、以下の通りであり、任意選択で、C末端からリジン(K)が除去されて提供されてもよい。
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。上記配列番号77および78のActRIIB−Fc融合ポリペプチドでヘテロ二量体形成を誘導するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK4融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号79のアミノ酸配列は、任意選択で、C末端からリジン(K)が除去されて提供されてもよい。
成熟ALK4−Fc融合タンパク質配列は、以下の通りであり、任意選択で、C末端からリジン(K)が除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号78および配列番号80のActRIIB−FcおよびALK4−Fcタンパク質を、CHO細胞系から同時発現させ、精製して、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcを含む異種複合体を生じさせることができる。
様々なALK4−Fc:ActRIIB−Fc複合体の精製を、例えば、任意の順序で、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはそれよりも多くを含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程によって達成することができた。精製を、ウイルス濾過および緩衝液交換によって完了することができた。
非対称性Fc融合タンパク質を使用するヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別の手法では、Fcドメインを変化させて、それぞれ、配列番号139〜142および配列番号143〜146のActRIIB−FcおよびALK4−Fcポリペプチド配列中に示されるように、正味の分子電荷に基づく精製を容易にするために、2つのFcドメイン間に相補的疎水性相互作用、さらなる分子間ジスルフィド結合、および静電気的差異を導入する。ActRIIB−Fc融合ポリペプチドおよびALK4−Fc融合ポリペプチドはそれぞれ、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)リーダーを使用する。
ActRIIB−Fcポリペプチド配列(配列番号139)を以下に示す。
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体複合体のいずれかよりもALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2個のアミノ酸置換(セリンをシステインで、およびスレオニンをトリプトファンで置き換える)を、上で二重下線によって示されるように融合タンパク質のFcドメイン中に導入することができる。ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体の精製を容易にするために、2個のアミノ酸置換(リジンを酸性アミノ酸で置き換える)も、上で二重下線によって示されるように融合タンパク質のFcドメイン中に導入することができる。配列番号139のアミノ酸配列は、任意選択で、C末端にリジンを付加して提供され得る。
このActRIIB−Fc融合タンパク質は、以下の核酸(配列番号140)によってコードされる。
成熟ActRIIB−Fc融合ポリペプチドは、以下の通りであり(配列番号141)、任意選択で、C末端にリジンを付加して提供され得る。
このActRIIB−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号142)によってコードされる。
相補形態のALK4−Fc融合ポリペプチド(配列番号143)は、以下の通りであり、任意選択で、C末端からリジンを除去して提供され得る。
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。上の配列番号139および配列番号141のActRIIB−Fc融合ポリペプチドとのヘテロ二量体形成を導くために、4個のアミノ酸置換(チロシンをシステインで、スレオニンをセリンで、ロイシンをアラニンで、およびチロシンをバリンで置き換える)を、上に二重下線によって示されたようにALK4融合ポリペプチドのFcドメイン中に導入することができる。ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体の精製を容易にするために、2個のアミノ酸置換(アスパラギンをアルギニンで、およびアスパラギン酸をアルギニンで置き換える)を、上に二重下線で示されたようにALK4−Fc融合ポリペプチドのFcドメイン中に導入することもできる。配列番号143のアミノ酸配列は、任意選択で、C末端からリジンを除去して提供され得る。
このALK4−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号144)によってコードされる。
成熟ALK4−Fc融合ポリペプチド配列は以下の通りであり(配列番号145)、任意選択で、C末端からリジンを除去して提供され得る。
このALK4−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号146)によってコードされる。
それぞれ、配列番号141および配列番号145のActRIIB−FcおよびALK4−Fcタンパク質を、CHO細胞系から同時発現させ、精製して、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcを含む異種複合体を生じさせることができる。
様々なALK4−Fc:ActRIIB−Fc複合体の精製を、例えば、任意の順序で、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、エピトープに基づくアフィニティクロマトグラフィー(例えば、ALK4またはActRIIB上のエピトープに対する抗体または機能的に等価なリガンドを用いる)、および多様なクロマトグラフィー(例えば、静電気的リガンドと疎水性リガンドの両方を含有する樹脂を用いる)のうちの3つまたはそれよりも多くを含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程によって達成することができた。精製を、ウイルス濾過および緩衝液交換によって完了することができた。
実施例15.ActRIIB−Fcホモ二量体およびALK4−Fcホモ二量体と比較したALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体のリガンド結合プロファイル
Biacore(商標)ベースの結合アッセイを使用して、上記で記載したALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体複合体のリガンド結合選択性を、ActRIIB−Fcホモ二量体複合体およびALK4−Fcホモ二量体複合体のリガンド結合選択性と比較した。ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体、ActRIIB−Fcホモ二量体、およびALK4−Fcホモ二量体を、抗Fc抗体を使用するシステムに独立に捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上を流動させた。結果を、下記の表にまとめ、この表では、有効なリガンドトラップを最もよく示すリガンドのオフ速度(k
d)を、グレーの影で表示する。
これらの比較結合データは、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体が、ActRIIB−Fcホモ二量体またはALK4−Fcホモ二量体と比べて結合プロファイル/結合選択性の変更を有することを実証する。、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体は、ホモ二量体と比較してアクチビンBへの結合の増強を提示し、ActRIIB−Fcホモ二量体について観察されるようなアクチビンA、GDF8、およびGDF11への強い結合を保持し、BMP9、BMP10、およびGDF3への結合の実質的な低減を呈示する。特に、BMP9は、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体に対して低度のアフィニティを提示するか、または観察可能なアフィニティを提示しないが、このリガンドは、ActRIIB−Fcホモ二量体には強く結合する。ActRIIB−Fcホモ二量体と同様に、ヘテロ二量体は、BMP6への中レベルの結合を保持する。図19を参照。
加えて、A−204レポーター遺伝子アッセイを使用して、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体およびActRIIB−Fc:ActRIIB−Fcホモ二量体の、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、BMP10、およびBMP9によるシグナル伝達に対する効果を評価した。細胞系:ヒト横紋筋肉腫(筋肉に由来する)である。レポーターベクター:pGL3(CAGA)12である(Dennlerら、1998年、EMBO、17巻:3091〜3100頁において記載されている通り)。CAGA12モチーフは、TGF−β応答性遺伝子(PAI−1遺伝子)内に存在するので、このベクターは、Smad2および3を介してシグナル伝達する因子のために一般に使用される。例示的なA−204レポーター遺伝子アッセイを、下記に概括する。
1日目:A−204細胞を、48ウェルプレートに分注する。
2日目:A−204細胞に、10ugのpGL3(CAGA)12またはpGL3(CAGA)12(10ug)+pRLCMV(1ug)およびFugeneをトランスフェクトする。
3日目:因子(培地+0.1%のBSAに希釈した)を添加する。阻害剤は、細胞に添加する前に約1時間にわたり因子と共にプレインキュベートする必要がある。約6時間後、細胞をPBSですすぎ、次いで、溶解させる。
上記の工程の後、出願人は、ルシフェラーゼアッセイを実施した。
このアッセイでは、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体およびActRIIB−Fc:ActRIIB−Fcホモ二量体のいずれも、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、およびGDF8の強力な阻害剤であることが決定された。特に、図19に例示される比較ホモ二量体/ヘテロ二量体IC50データにおいて見ることができるように、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体は、ActRIIB−Fc:ActRIIB−Fcホモ二量体と同様にアクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11シグナル伝達経路を阻害する。しかし、BMP9およびBMP10シグナル伝達経路のALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体による阻害は、ActRIIB−Fc:ActRIIB−Fcホモ二量体と比較して著明に低減した。このデータは、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11に対しては、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体およびActRIIB−Fc:ActRIIB−Fcホモ二量体のいずれもが、強い結合を提示するが、BMP10およびBMP9は、ActRIIB−Fc:ActRIIB−Fcホモ二量体と比較してALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体に対して著明に低減されたアフィニティを有することを観察した上記で論じた結合データと符合する。
したがって、まとめると、これらのデータは、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体が、ActRIIB−Fcホモ二量体と比較してアクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11のより選択的なアンタゴニストであることを実証する。したがって、このような選択的アンタゴニズムが有利なある特定の適用では、ALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体が、ActRIIB−Fcホモ二量体より有用である。例として、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAC、GDF8、およびGDF11のうちの1つまたは複数に対するアンタゴニズムは保持するが、BMP9、BMP10、GDF3、およびBMP6のうちの1つまたは複数に対するアンタゴニズムは最小化することが所望される治療適用が挙げられる。
(実施例16)
マウスにおけるALK4−Fc:ActRIIB−Fcヘテロ二量体の抗腫瘍活性
出願人は、ホモ二量体ALK4−FcまたはActRIIB−Fc(上記参照)と比較して、リガンド結合プロファイルの変化を示す、ヘテロ二量体融合タンパク質ALK4−hFc:ActRIIB−hFcの潜在的な抗腫瘍活性を調査した。8週齢のBALB/cマウスを、処置に無作為に割り当て(n=10匹/群)、腫瘍埋込みの2日前に開始して、週に2回、ALK4−hFc:ActRIIB−hFc(5mg/kg)またはビヒクル(PBS、5ml/kg)で腹腔内処置した。0日目に、それぞれのマウスに、PBS(100μL)中に懸濁した1×106個のRL♂1(RL雄1)細胞を皮下接種した。マウスへの接種後、体重および腫瘍体積を週に2回測定した。IACUC規則により、生存分析のために使用された終点は、2000mm3より大きい腫瘍体積、20%を超える体重減少、または後肢麻痺であった。
ALK4−hFc:ActRIIB−hFcヘテロ二量体を用いる処置は、ビヒクル処置されたマウスの0匹と比較して、41日目に10匹のマウスのうちの4匹(40%)において、無腫瘍状態をもたらした。ログランク検定における中央生存の増加および高い有意性(表を参照されたい)はまた、ALK4−hFc:ActRIIB−hFcが、腫瘍担持マウスの生存を促進したことを示す。これらの結果は、ヘテロ二量体ALK4−hFc:ActRIIB−hFc融合タンパク質複合体がin vivoで抗腫瘍活性を有することを示している。
まとめると、前記結果は、ホモ二量体ActRIIA−Fc、ホモ二量体ActRIIB−Fc、および異種ALK4−Fc:ActRIIB−Fc融合タンパク質複合体は、がんのげっ歯類モデルにおいて抗腫瘍活性を有することを示す。そのような活性は、少なくとも部分的には、T細胞免疫の変化によって媒介されると考えられる。かくして、このデータは、ActRIIアンタゴニストが、特に、がんを処置するための免疫腫瘍剤として、免疫活性を増加させることを必要とする患者における免疫活性を増加させるのに有用であり得ることを示す。
(実施例17)
マウス腫瘍モデルにおける、単独での、およびPD1−PDL1アンタゴニストと組み合わせたActRIIA/B抗体の抗腫瘍活性
出願人は、同系マウス白血病モデルにおけるActRIIA/Bモノクローナル抗体の潜在的な抗腫瘍活性を調査した。7週齢のBALB/cマウスを処置群に割り当て(n=10匹/群)、ActRIIA/B抗体(10mg/kg)、抗PD1抗体(3mg/kg)、ActRIIA/B抗体と抗PD1抗体との組合せ(それぞれ、10mg/kgと3mg/kg)、またはビヒクルのみ(PBS、5ml/kg;対照マウス)で腹腔内処置した。腫瘍埋込みの2日前に開始して、マウスをActRIIA/B抗体で処置し、その後、週に2回のベースで処置した。マウスを、腫瘍埋込み後、3、6、および9日目に抗PD1抗体で処置した。0日目に、それぞれのマウスに、PBS(100μL)中に懸濁した1×106個のRL♂1(RL♂1)細胞を皮下接種した。RL♂1は、BALB/c起源のx線誘導性白血病であり(Sato Hら、1973年、J Exp Med 138巻:593〜606頁)、細胞は、MEXT、日本のナショナルバイオリソースプロジェクトを介してRIKEN BRC(バイオリソースセンター)細胞バンクから得られたものであり、これらの試験における使用のためにサブクローニングされたものであった。マウスへの接種後、体重および腫瘍体積を週に2回測定した。カリパスを用いて得られた2次元測定値から、腫瘍体積を算出した:腫瘍体積(mm3)=(LxWxW)/2(式中、LおよびWは、それぞれ、腫瘍の長さおよび幅(mm)である)。地方のIACUC規則により、生存分析のために使用された終点は、2000mm3より大きい腫瘍体積、20%を超える体重減少、または後肢麻痺であった。
以下の表に示されるように、組合せ療法は、いずれかの単剤療法よりも、がんの処置に対する驚くべき高い効果を有していた。
それぞれの単剤療法は、がん処置に対する中程度の効果を示し、マウスの20%が34日目に無腫瘍であった(それに対して、ビヒクル群の全マウスが20日目までに最大腫瘍サイズに達した)。対照的に、ActRIIB/A mAbとPD−1 mAbとの組合せによる処置は、抗腫瘍活性の驚くべき有意な増加をもたらした。特に、組合せ療法は、34日目に60%のマウスに無腫瘍をもたらしたが、これは、その別々の効果の合計よりも高い。この型の相乗作用は一般に、個々の薬剤が異なる細胞機構を介して作用していることの証拠であると考えられる。腫瘍負荷に対する効果の増大はまた、組合せ療法を受けているマウスにおける生存時間の増大とも相関していた。34日目までに、ActRIIA/B mAbまたはPD1 mAbのいずれかを受けているマウスのわずか20%が生存していた。対照的に、ActRIIA/B mAbとPD1 mAbとの組合せ療法を受けているマウスの60%が、試験の34日目に依然として生存していた。
したがって、このデータは、ActRIIまたはPD1−PDL1シグナル伝達経路のいずれかの阻害が、がんの処置において有用であり得るが、両方の経路の阻害を使用して、抗腫瘍活性の増加が望ましいそのような実験または臨床状況において抗腫瘍活性を相乗的に増大させることができることを示している。例えば、補完的であるが、明確ではない機構により作用して、ActRIIアンタゴニストとの同時処置により、より低用量のPD1−PDL1アンタゴニストについて抗腫瘍効果を得ることができ、それによって、より高レベルのPD1−PDL1アンタゴニストと関連する潜在的な有害副作用または他の問題を回避することができる。かくして、このデータは、がんおよび腫瘍を処置するために、ActRIIアンタゴニストを単独で使用することができるだけでなく、特に、他の免疫療法剤と組み合わせて使用することができることを示している。
参照による組込み
本明細書に記載の全ての刊行物および特許は、あたかもそれぞれ個々の刊行物または特許が具体的かつ個別的に参照により組み込まれると示されたかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
主題の特定の実施形態が論じられてきたが、上記明細書は例示的なものであり、限定的なものではない。多くの変更が、本明細書および以下の特許請求の範囲を見れば、当業者には明らかとなるであろう。本発明の完全な範囲は、その等価物の完全な範囲と共に、特許請求の範囲を、また、そのような変更と共に、本明細書を参照することによって決定されるべきである。