JP2019505348A - 紫外線ジェムストーン展示箱 - Google Patents

Abstract

展示箱は、天然に存在する蛍光体を有するジェムストーンの蛍光を表示する。展示箱は、底部にヒンジ止めされた天部を有する。小型紫外線ＬＥＤアセンブリは、ある取り付け角度で天部の空洞の中のインサートに取り付けられる。ＬＥＤアセンブリは、ＬＥＤ回路と、ＬＥＤ回路に配置された３ワット３６５ｎｍ紫外線ＬＥＤダイオードと、放射されたＬＥＤ放射線を１５°未満の広がりに集束させる放物面レンズを有する光学コリメーターとを備える。ＬＥＤアセンブリに電力を供給するための小型電池は、凹部を有する底部に備えられる。中央ホルダー／デッキは、放射され平行化されたＬＥＤアセンブリのＬＥＤ放射線のまっすぐな光路にジェムストーンを保持する。運転中、紫外線及びＬＥＤアセンブリが見えずに、中央ホルダー／デッキに着座したジェムストーンは、強い目に見える蛍光のコロナを放射する。

Description

本発明は、天然に存在する蛍光体（phosphors）を有するジェムストーン（gemstone）に高出力で集束された紫外線を供給して、ジェムストーンの蛍光を印象的で人目を引くように表示する装置に関する。

特定のジェムストーン（例えば、ダイヤモンド）中に蛍光体が存在することは、長年にわたり宝石商人及び宝石学者に知られている。ダイヤモンドの場合、蛍光体は、窒素、水素及びホウ素の不純原子の形態で存在しうる。これらの蛍光体は、自然光条件下ではほとんど検出されない。しかし、紫外光下では、蛍光体は濃淡のオレンジ色、青色、黄色又は緑色で蛍光を発しうる。蛍光とは、ＵＶ放射源に暴露されている間、吸収されたＵＶ放射を通して光を放射する物質の特性を指す。ジェモロジカル・インスティテュート・オブ・アメリカ（Gemological Institute of America）は、ダイヤモンドの約２５％〜３５％がある程度の蛍光を有すると推定している。

図１の通り、蛍光体を異なる濃度で含むダイヤモンドは、自然光（Ａ）では互いに実質的に区別できないが、紫外線（Ｂ）に暴露された時には他と異なって蛍光を発する。蛍光は、ジェムストーンからの直接の数ルーメンの放射として現れる。

濃い濃度で存在する場合、これらの蛍光体の存在は、傷のある宝石又は低品質の宝石と関連している。従って、蛍光は、宝石商人及び宝石学者によって、等級分け及び表記ツールとして使用されてきた。紫外線検査光は、典型的には、外光が遮られている実験室条件下で用いられる。このような紫外光は、顧客がいる場所や一般的に明るい周囲照明を有する店舗では用いられない。さらに、蛍光性の宝石の否定的な価値としての認識によって、宝石商人は顧客にこの特性を隠そうとし、又はこの特性を強調しないようにしてきた。ミディアムブルー、ストロングブルー又はベリーストロングブルーの蛍光性等級の宝石は、時々３０〜４０％程度に非常に大きく割引されて取引されている。

ジェムストーンの蛍光体含有特性が特に強調され又は促進される展示環境では、この効果は用いられない。

典型的な宝石箱や宝石展示装置は、周囲光の中で展示することで、又はジェムストーンや宝飾品から離れて反射された展示照明を用いて、ジェムストーンや宝飾品の美しさを強調する。しかし、既存の宝石箱は１つの宝石に魅力的な環境や背景を提供することができるが、積極的に宝飾品を宣伝し又は刺激して購入者や受取人に宝石を展示することがない、静止したホルダーとして単に機能する。

天然に存在する蛍光体を有するジェムストーンの蛍光を積極的に表示させて、典型的にこのようにすることでのみ宝石商人及び宝石学者によって「理解される（seen）」ような宝石の希少性及び独特性を顧客が見ることを可能にする、展示箱を提供することが望ましい。

天然に存在する蛍光体を有するジェムストーンの蛍光を表示するための展示箱が提供される。展示箱は内部空洞を有する天部を有する。天部の内部空洞に取り付けられたインサートが設けられている。小型紫外線ＬＥＤアセンブリは、ある取り付け角度でインサートに取り付けられる。ＬＥＤアセンブリは、ＬＥＤ回路と、ＬＥＤ回路に配置された３ワット３６５ｎｍ紫外線ＬＥＤダイオードと、放射されたＬＥＤ放射線を１５°未満の広がりに集束させる放物面レンズ（parabolic lens）を有する光学コリメーターとを有する。天部とヒンジ関係にある展示箱の底部が、設けられている。底部は、ＬＥＤアセンブリに電力を供給するための小型電池を収容するための凹部（recess）を有する。中央ホルダー／デッキは、ジェムストーンを保持するために底部に電池上に配置され、それによってジェムストーンは放射され平行化されたＬＥＤアセンブリのＬＥＤ放射線のまっすぐな光路に保持される。展示箱は、運転中、紫外線及びＬＥＤアセンブリが見えずに、中央ホルダー／デッキに着座したジェムストーンは、強い目に見える蛍光のコロナを放射するように構成されている。

好ましくは、小型電池はリチウムイオン電池である。より好ましくは、小型電池は少なくとも１０００ミリアンペア時（ｍＡｈ）の出力を有するリチウムイオン電池である。

好ましくは、ＬＥＤアセンブリの取り付け角度は約６０°である。好ましくは、ＬＥＤアセンブリの位置、大きさ及び取り付け角度は、展示箱が閉じられた時にＬＥＤアセンブリとジェムストーンとの間の接触を避けるように選択される。

好ましくは、光学コリメーターが、放射された放射線を平行化して８〜１０°（を超えない）の広がりを有するように選択される。放射された放射線のこの焦点を用いて、スペクトル分布の希釈なしに、可能な限り直接ジェムストーンに放射する。さらに、放射された紫外線がジェムストーン以外の展示箱の表面を放射することを回避するように、放物面レンズの形状を選択することができる。

好ましくは、プログラム可能なチップセットが、熱管理のためにＬＥＤアセンブリと通信して用いられる。

展示箱が閉じている時、ＬＥＤアセンブリへの電力を止めるためのＬＥＤアセンブリと通信する圧力スイッチを、天部及び底部の一方又は他方に設けることができる。展示箱が開いている間、展示効果を生成させるためのＬＥＤアセンブリと通信する別のサイクルスイッチを設けることもできる。

異なる程度の天然の蛍光体を示す標準ダイヤモンドのセットの従来技術の配列である。図の後半は、紫外光下で蛍光を発せられたダイヤモンドを示す。 自然光中の宝飾品を展示する本展示箱（開いた状態）の実施態様の写真図である。 薄暗い大気照明における展示箱の隠れたＵＶ ＬＥＤアセンブリによって蛍光を発せられた宝飾品を展示する本展示箱（開いた状態）の実施態様の写真図である。 閉じた状態の本展示箱の実施態様の正面断面図である。 展示箱（閉じた状態）の右側断面図である。 展示箱（開いた状態）の右側断面図である。 平行化されたＵＶ放射線ビーム（目に見えない）及びジェムストーンの目に見える蛍光の角度を示すＬＥＤアセンブリ及び宝飾品の詳細図である。 他の状態では隠れているＬＥＤアセンブリを示すためにわずかに傾斜させた展示箱（開いた状態）の斜視図である。 展示箱の分解構成図である。 スケール比較のための標準的な宝石箱の横にある本展示箱（閉じた状態）の実施態様の写真図である。 スケール比較のための標準的な宝石箱の横にある本展示箱（開いた状態）の実施態様の写真図である。

本展示箱は、天然に存在する蛍光体を有するジェムストーンの蛍光を表示するように運転される。展示箱の構造は、隠れた高強度ＬＥＤアセンブリと、平行化した形態に集束された紫外線ダイオードの（自然には見えない）放射された放射線を用い、それによって展示箱内のジェムストーンはそれ自体で独特で印象的な形態で存在することができる。紫外線の影響下では、ジェムストーン自体はその蛍光を通して目に見える照明を放射する。放射線源が停止されると、その効果は止まる。

これによって、展示箱は宝石の購入者や受取人に新しい体験を提供することができる。展示箱の効果によって、しかし可視光源が用意されていなくても、展示箱が開くと、ジェムストーンは自発的に観察者の注意を引くように「ポン（pop）」と現れる。

図２Ａ及び図２Ｂは、宝飾品を展示する本展示箱（開いた状態）の実施態様の２つの写真図である。図２Ａでは、宝飾品（図中、ダイヤモンド）が自然光（ＵＶ ＬＥＤは消灯）中にある。図２Ｂでは、宝飾品が薄暗い大気照明中、展示箱の隠れたＵＶ ＬＥＤアセンブリによって蛍光を発せられて展示されている。これらの「前」及び「後」の写真で分かるように、展示箱内の隠れたＬＥＤから放射されたＵＶ放射線の影響下で蛍光を発せられた宝石のスペクトル効果は非常に強く、薄暗い大気照明下ではさらに顕著である。宝石自体は、光のコロナの中で、その台と展示箱ホルダーから離れて宙に浮いているように見える。

この効果は、図１（従来技術）に示された標準ダイヤモンドで見られるようなダイヤモンドの等級分けに用いられる検査グレードの紫外光にさえ依らない。目標とされたジェムストーンのエネルギー供与のために、しっかりと平行化した形態の特に長い波長（３６５ｎｍ）の高強度（３ワット）紫外線を用いることによって、宝石の蛍光を強調して高めるために、本発明で特に注意をした。

我々が本展示箱の構造の調査を始めることで、如何にこれらの効果が達成されるかを見てみよう。

展示箱１００の簡単な図が、例えば図３に示される。図３は、閉じた状態の正面断面図を示している。図に示されているように、展示箱１００は、２つの概括的部分：天部１００Ａ及び底部１００Ｂを有する。展示箱全体は約２〜３インチ四方であり、高さは約３〜４インチである。天部１００Ａ及び底部１００Ｂは、ＬＥＤアセンブリの凹部要素、電池及び電子機器を収容するために、典型的な宝石箱の寸法よりも高い／より深いものであってもよい。相対的により深いクラムシェル型の蓋、及び展示箱の比較的限定されたヒンジ角（好ましくは９０°未満）が設計されてもおり、それで周辺光が遮られる（典型的にはより広く開き、より多くの周囲光が許容され、又は入射する光を表示する標準的な宝石箱とは異なる）。標準的な宝石箱と比較した寸法の違いを図８と図９に示す。

重要なことに、図３に明瞭に示されるように、ジェムストーン１０４Ａを有する宝飾品１０４は、底部１００Ｂ内のデッキ／インサート１０６に配置することができる。それによって、２つの概括的部分が閉じている時、天部１００Ａ内のインサート１２０に取り付けられたＬＥＤアセンブリ１２２に宝石部品が接触しない。

この接触しないための隙間が図４にも示されている（宝飾品１０４の上端とＬＥＤアセンブリ１２２の底面との間の距離ｄ１，典型的には０．５インチ未満）。ＬＥＤアセンブリ１２２（インサート１２０で周囲を囲まれている）の取り付け角度もまた、宝飾品１０４とＬＥＤアセンブリ１２２との間の隙間に寄与する。ＬＥＤアセンブリ１２２は、全体として展示箱の蓋の軸に対して約６０°の角度で取り付けられる。

ＬＥＤアセンブリ１２２は、ＬＥＤ回路１２２Ｃを含む。このＬＥＤ回路１２２Ｃは、紫外線、最も好ましくは３６５ナノメートル（ｎｍ）の特定の波長の紫外線で放射するための発光ダイオード（特に番号は付けない）を含む。ダイオードは３ワットの高出力ダイオードである。電力は、小型電池、好ましくは少なくとも約１０００ｍＡｈのリチウムイオン電池で供給される。電池は、展示箱の底部及び天部の壁の隠れた配線管（特に番号は付いていない）を通じてＬＥＤ回路に配線されている。

光学コリメーター１２２Ａが、回路１２２Ｃに取り付けられ、全体的に小型アセンブリ１２２を形成するように固定されている。放物面レンズ１２２Ｂを用いて、光学コリメーター１２２Ａは、ＵＶ ＬＥＤによって放射されるＵＶ放射線ビームを受け取り、細くする。この平行化されたビームの光路が、図５に好適に示される。展示箱の構成は、ＬＥＤアセンブリ１２２とジェムストーン１０４Ａとの間の距離（ｄ２）が比較的小さい（展示箱が開いている時に約２〜３インチ）ことを意味する。この短い距離によって、エネルギーの放散を最小にすることができる。このようにして、典型的な卓上設置型ＵＶ光源が目標の宝石から１２〜１８インチ又はそれ以上の位置にある典型的な「検査」条件とは異なって、宝石箱の形状のファクターによって、放射体から対象までの一貫した短距離の光路も提供される。ＵＶは距離と共に減衰し、その結果、あまり印象的ではない蛍光効果が導かれる。

エネルギー供与された状態で、ＬＥＤは、平行化され集束されたＵＶ放射線ビーム（１５°未満、より好ましくは８〜１０°以下の角度ａ）を放射し、底部１００Ｂのデッキ／インサート１０６に保持されたジェムストーンを直接放射する。ジェムストーン領域に対する角度及び特別な集束によって、放射されたＵＶが、展示箱の表面を避けながら、意図された対象（宝石）に主に、又はそれのみに放射することも可能になる。紫外線は、時間の経過と共に多くの材料に破壊的な効果を有することがある。

目に見えないＵＶエネルギーは、数ワット（ここで、好ましくは少なくとも３ワット）の放射性出力（すなわち、出力の強度）である。図５Ａに概念的に示されるように、エネルギーはジェムストーン１０４Ａによって放射される目に見える蛍光になる。ジェムストーンから放射される蛍光は、光度測定の出力の形態であり、人間の観察者に光がどれほど明るく見えるかに応じて、典型的にはルーメンで測定される。

宝石箱の狭いスペース（小型の形状のファクター）で高強度紫外線ダイオードを使用する場合、熱管理が重要である。ＵＶ ＬＥＤは、他の波長のＬＥＤよりも多くの熱を生成する。従って、ＬＥＤ回路（図示せず）と直接的に物理的に通信する受動的ヒートシンクを設けて、ダイオードから熱を放散することができる。あるいは、プログラム可能なチップセット１２６を用いて、生成された熱をより多くの放射されたエネルギーに変換するフィードバックプロセスを通じて温度を管理してもよい。チップセットは、好ましくは、隠れた配線管を通じてＬＥＤアセンブリ１２２と有線通信させて展示箱１００の底部１００Ｂに格納される。

図６は、インサート１２０に取り付けられた、他の状態では隠れているＬＥＤアセンブリを示すためにわずかに傾斜させた展示箱（開いた状態）の斜視図である（「隠れている」は図２Ａに好適に示される）。ジェムストーン１０４Ａを有する宝飾品１０４は、デッキ／インサート１０６中に取り付けられる。電池１０８及びプログラム可能なチップセットは、デッキ／インサート１０６の下に隠れる。

図６はまた、天部１００Ａの表面１２８によって接触された時に、電池１０８からＬＥＤアセンブリ１２２への電力回路を停止するボックススイッチ（ここでは圧力スイッチ１１２）を示す。ここでは開いているが、商業的実施態様では、ボックススイッチを柔らかい布又は他の詰め物の入った被覆物（参照、例えば、図２Ａ、図２Ｂ）で覆って、ボックススイッチを隠すことができる。図７に示すように、このボックススイッチは、回路基板１３０及びＵＳＢモレックス１３２と通信することができる。モレックスを用いて、ＵＳＢ源（５〜７ボルト）からの電力入力を再充電ポート１１０（はと目金１１０Ａで囲まれる）を通して再充電電池１０８に転換して、再充電中に同時にＬＥＤアセンブリに電力を供給することができる。他の形態の充電式電源（例えば、ＡＣ）を備えてもよい。連続運転中、本明細書で用いられる種類の電池（１０００ｍＡｈのリチウムイオン電池）が１回の充電で約１０〜１２時間持続することを出願人は見出した。

プログラム可能なチップセットと通信して、展示箱が開いている間、展示効果（例えば、時間指定されたオンオフシーケンス、一定期間後の停止、又は段階的強度効果）をトグルで止めることを可能にするサイクルスイッチ１２４（アクセスポート１２４Ａを通じてアクセス可能）を、任意選択的に備えてもよい。すなわち、ＵＶ ＬＥＤ（展示箱が開いている時、デフォルトで「オン」（すなわち、放射線の放射））は、他のシーケンスを実行するためにプログラム可能なチップセット１２６によって別の方法で指示されることができる。これは、上記の熱管理に使用される同じプログラム可能なチップセット１２６である。

本発明は、特定の形態及び実施態様を参照して開示されているが、非常に多数の変形が本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実施しうることは明らかであろう。例えば、本出願に具体的に開示された要素について均等な要素に置換することができ、また本発明の特定の特徴は、特許請求の範囲に定義された本発明から逸脱することなくすべて、他の特徴とは独立して用いることができる。

Claims (10)

1. 天然に存在する蛍光体を有するジェムストーンの蛍光を表示するための展示箱であって、
   内部空洞を有する天部と、
   天部の内部空洞に取り付けられたインサートと、
   ある取り付け角度でインサートに取り付けられた小型紫外線ＬＥＤアセンブリであって、
   ＬＥＤ回路、
   ＬＥＤ回路に配置された３ワット３６５ｎｍ紫外線ＬＥＤダイオード、及び
   放射されたＬＥＤ放射線を１５°未満の広がりに集束させる放物面レンズを有する光学コリメーターを有するＬＥＤアセンブリと、
   天部とヒンジ関係にあり、ＬＥＤアセンブリに電力を供給するための小型電池を収容するための凹部を有する底部と、
   ジェムストーンを保持するために底部に電池上に配置され、それによってジェムストーンが放射され平行化されたＬＥＤアセンブリのＬＥＤ放射線のまっすぐな光路に保持される中央ホルダー／デッキとを備え、
   紫外線及びＬＥＤアセンブリが見えずに、中央ホルダー／デッキに着座したジェムストーンが強い目に見える蛍光のコロナを放射する、展示箱。
2. 小型電池がリチウムイオン電池である、請求項１に記載の展示箱。
3. リチウムイオン電池が少なくとも１０００ｍＡｈの出力を有する、請求項２に記載の展示箱。
4. ＬＥＤアセンブリの取り付け角度が６０°である、請求項１に記載の展示箱。
5. 放射された放射線が８〜１０°の広がりを有するように平行化される、請求項１に記載の展示箱。
6. 熱管理のためのＬＥＤアセンブリと通信するプログラム可能なチップセットをさらに備える、請求項１に記載の展示箱。
7. 展示箱が閉じている時、ＬＥＤアセンブリへの電力を止めるためのＬＥＤアセンブリと通信する圧力スイッチを、天部及び底部の一方又は他方にさらに備える、請求項１に記載の展示箱。
8. 展示箱が開いている間、展示効果を生成させるためのＬＥＤアセンブリと通信するサイクルスイッチをさらに含む、請求項１に記載の展示箱。
9. 放射された紫外線がジェムストーン以外の展示箱の表面を放射することを回避するように、放物面レンズの形状が選択される、請求項１に記載の展示箱。
10. ＬＥＤアセンブリの位置、大きさ及び取り付け角度は、展示箱が閉じられた時にＬＥＤアセンブリとジェムストーンとの接触を避けるように選択される、請求項１に記載の展示箱。