JP2019502839A - 炭素繊維用の前駆物質としてのリグニン含有繊維を製造するための湿式紡糸方法 - Google Patents

炭素繊維用の前駆物質としてのリグニン含有繊維を製造するための湿式紡糸方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、さらなる加工により炭素繊維及び活性炭素繊維を形成するのに適した前駆体繊維を製造するための方法に関する。この方法は湿式紡糸法であり、この方法では、リグニン又はリグニン誘導体、セルロースカルバメート及びアルカリ液からなる紡糸液は、ノズルの穴を通して押し出され、凝固浴中に直接導入される。浴中で析出した前駆体繊維は、別のさらなる工程にかけられてもよい。それは延伸され、後処理され、高温で乾燥され、巻き取られてもよい。それは、コスト効率の良い出発物質となるので、引き続いて炭素繊維及び活性炭素繊維を製造するために使用されることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、さらなる加工により炭素繊維及び活性炭素繊維を形成するのに適した前駆体繊維を製造するための方法に関する。この方法は湿式紡糸法であり、この方法では、リグニン又はリグニン誘導体、セルロースカルバメート及びアルカリ液からなる紡糸液は、ノズルの穴を通して押し出され、凝固浴中に直接導入される。浴中で析出した前駆体繊維は、別のさらなる工程にかけられてもよい。それは延伸され、後処理され、高温で乾燥され、巻き取られてもよい。それは、コスト効率の良い出発物質となるので、引き続いて炭素繊維及び活性炭素繊維を製造するために使用されることができる。
炭素繊維は、高性能の強化繊維であり、すでに、長い期間にわたって、航空機建設、高性能の車両建設(Formula I、高性能帆船など)における複合材料のために、スポーツ用品のために、及び風力発電所のために使用されている。現在の試みは、自動車製造において使用できるように、中等の質で、同時に低製造コストで炭素繊維を製造することにある。この目的の重要な推進力は、低重量であるにも関わらず安定な車体を有する電気自動車を提供するという目的である。
炭素繊維は、1000℃より高い温度で、有機前駆体繊維の熱処理によって製造される。セルロース前駆物質をベースとする炭素繊維の最初の工業的生産は、C.E. FordとC.V. Mitchellにより開発されて特許取得されている連続法(US 3,107,152)によって行われた。そのようにして製造された炭素繊維は、まず商品名「Thornel 25」として上市され、これは1.25GPaの強度と172GPaの弾性率を有した。さらなる開発により、向上した特性を有するさらなる炭素繊維が製造された。これらは、4.0GPaに至る強度と、690GPaに至る弾性率を有した。
良好な繊維特性のために重要なことは、当時でさえすでに特別なプロセス制御であった。セルロース繊維は、2500〜3000℃の温度にさらされ、そのプロセスにおいて変形された(いわゆる、延伸黒鉛化)。これらの高温でのみ、グラファイトは可塑的に変形することができ、繊維軸に沿って配向する。
FordとMitchellによる製造プロセスでは、しかしながら、10〜20wt%の炭素収率しか達成できなかった。さらに、このプロセスは、その特別な方法制御により、炭素繊維1000$/kgと非常に高価でもあった。このことは、この方法が非経済的であり、セルロースをベースとする炭素繊維の製造がほぼ完全に中止されるという結果をもたらした。
この開発は、別の出発物質からなる炭素繊維の分野における、徹底的な研究活動を伴った。それにより、同じ特性プロファイルでは、ポリアクリロニトリル(PAN)をベースとする、又はポリアクリロニトリルのコポリマーをベースとする炭素繊維が、明らかにコスト効率よく製造できることが明らかになった。今日でさえ、PAN及びPAN-コポリマーは、前駆体フィラメント糸及びそれから生産される炭素繊維を製造するための有力な出発物質である。これは、ピッチをベースとする超高弾性率炭素繊維を含む(J.P. Donnet et al., carbon fibers, third edition, Marcel Dekker, lnc. New York, Basel, Hong Kong)。
セルロースをPAN又はピッチで置換することにより、炭素繊維の製造は全体として見るとより望ましくなってきたが、製造コスト割合の配分が均等ではなく、原油価格に強く関連していた。PANとピッチはどちらも完全に石油系である。それらの製造及び単離は、炭素繊維の製造コストの約半分を占める。
それゆえ、同程度にコスト効率が良いか又はさらにコスト効率が良く、その製造コストが、原油価格にPAN-系炭素繊維と同程度に相関しない、炭素繊維を製造する別の方法を開発することが現在の挑戦である。得られる炭素繊維のより低い特性も、より低い製造コストのために、受け入れられてきた。しかしながら、新しい市場区分を首尾よく占めるためには、炭素繊維は、少なくとも170GPaの弾性率と、1.7GPaの強度を有するべきである。
炭素繊維の別の前駆物質を製造するために最も集中的に研究された原材料は、バイオポリマー・リグニンである。これは、PAN(50wt%)あるいはセルロース(20〜30wt%)と比較して、非常に高い炭素収率(約60wt%)という利点を提供する。リグニンは、多環芳香族ポリオールであり、木材の構成成分であり、セルロース製造の副産物として大量に生じる。リグニンの化学構造は、セルロースプロセスにおいて使用される木材の種類、並びにセルロース消化の方法によって決まる。生じたリグニンの大部分は、現在、エネルギー的に使用されるだけである。極めてコスト効率の高い原材料を、未改質の形では実際には繊維を形成していないリグニンを用いて提供することができる。
炭素繊維用のリグニン系前駆体繊維を製造するためのあるプロセス変形例が、例えば、Kadla (J.F. Kadla et al., Carbon, 40, 2913-2920, 2002)に記載されている。この方法では、市販のクラフトリグニンを、溶融紡糸によって、リグニン繊維に加工している。しかしながら、この方法のデメリットとして、リグニンに高コストの熱前処理を行う必要があることが明らかになった。さらに、溶融紡糸されたリグニン含有前駆物質から製造された炭素繊維は、わずか約0.4GPaの強度及び40〜50GPaの範囲の弾性率を示した。それゆえ、それらは、自動車製造のために得ようと努められている機械的特性値を満たさない。
クボ(Kubo et al., Carbon, 36, 1119-1124, 1998)及びスドウ(K. Sudo et al. J. Appl. Polymer Sci., 44, 127-134, 1992)は、リグニンの溶融紡糸のための別の方法を開示している。これらでは、前処理工程において、溶融していない高分子成分をリグニンから除去しなければならず、これらのプロセスによって製造された炭素繊維は、同様に、低い強度レベルを示し、前記要求を満たさない。
それゆえ、リグニン含有前駆物質の溶融紡糸は、原理上は確かに可能であるが、高価な工程が必要であることを、技術水準は示している。それは、溶融可能な前駆体繊維を、もはや溶融されていない状態に変えるために、リグニンの架橋反応を必要とするので、前駆体繊維は、溶融紡糸法によって、単に不連続的に且つモノフィラメントとして、炭素繊維に変換された。
リグニンと繊維形成ポリマーとを含む溶液の使用は、それらが最初から非溶融性ポリマーであるという利点を有する。それらはより速い変換を可能とし、溶融性を取り除くための工程は必須ではない。
US 3,461,082は、このようなリグニン含有前駆体繊維を製造するための方法を記載する。この方法では、PAN又はビスコースなどのポリマーとリグニンとを含む溶液は、乾式紡糸法により処理される。紡糸材料は、紡糸ノズルを通して運ばれ、製造されたフィラメント束は、その後、高温のガス媒体が充填されている紡糸シャフトに入る。それゆえ溶媒は蒸発し、ポリマーは繊維の形態に再生され、さらに加工されてもよい。
繊維形成ポリマーとしてのPANの使用については、再び、原油価格への直接的な依存が生じる。しかしながら、ビスコースはキサントゲン酸セルロースであり、これは保存安定性の化合物を構成しないため、ビスコースの使用は、同様に、キサントゲン酸置換基がいつでも分離し得るという不利益を伴う。これは、炭素繊維への変換プロセスが、前駆物質に続いて生じるという品質要求を満たさない。
さらに、乾式紡糸法の場合は、キサントゲン酸セルロースを溶解するために使用されるアルカリ液の残渣が繊維内に残り、それゆえ、繊維がその後局所的に過熱しうるので、炭素繊維への変換の際に、欠陥が不可避的に生じ得ることを想定しなければならない。
たとえビスコース法が、間違いなく最もよく使用される、セルロース系化学繊維の製造方法であっても、その際に生じる副生成物(例えば、二硫化炭素、硫化水素、重金属など)は生態学的に問題があり、全プロセスは高い投資費用を伴う。それゆえ、すでに何年もの間、ビスコース法を別の方法で置き換える努力がなされてきた。
そのために、一方では、適切な溶媒(例えば、N-メチルモルホリン-N-オキシド又はイオン性液体など)へのセルロースの直接溶解に基づく方法が発展した。また、これから、リグニン含有セルロース系再生繊維も生じうる。しかしながら、このような紡糸液は、その高い粘性ゆえに、従来は、エアギャップ紡糸法によってさらに加工されていた。高い粘性は、その上、その紡糸液を輸送可能なより高価な処理装置を必要とし、溶液をろ過することが必要であった。溶媒の回収は、セルロースの直接溶解法に非常に大きな意義を有する。紡糸液中へのリグニン/リグニン誘導体の導入及び共通の沈殿プロセスによって、その後、ポリマー溶液がノズルから繊維形態で現れ、エアギャップを通過し、その後沈殿浴(析出浴)に入り、沈殿浴中にリグニン/リグニン誘導体が部分的に洗い落され、その中に溶媒も拡散する。沈殿浴に移行するある割合のリグニン/リグニン誘導体は、適切な添加剤によって減らすことができる。しかしながら、両方の場合で、溶媒のリサイクルのためにさらなるコストが生じ、それによって、増えた製造コストを、得られる炭素繊維に割り当てざるを得ず、それゆえ、予想されるコストの優位性は最小化される。
EP 57,105、EP 178,292及びEP 2,110,468は、セルロースカルバメート溶液の析出によって、再生セルロースからなる成形体を製造する可能性について記載している。セルロースカルバメートは、セルロースと尿素の反応によって形成され、冷たい水酸化ナトリウム溶液に可溶性であり、酸性の、塩含有水溶液又は加熱された水酸化ナトリウム溶液中で再生されることができる。
セルロースカルバメートから再生繊維を製造するこの方法の他に、EP 1,716,273 B1に記載されているように、セルロースカルバメートを、エアギャップギャップ紡糸によって、NMMOから変換することもできる。このプロセスにおいて、再生繊維の構造形成は、エアギャップ中で生じ、高弾性且つ高強度の繊維をもたらす。問題は、NMMO中にセルロースカルバメートを含む紡糸液の安定性であり、これはカルバメート置換基の分離の増加をもたらすので、それにより紡糸液のレオロジー特性が永続的に変化し、それゆえ紡糸挙動が変化する。さらに、分解産物として気体アンモニアが生じ、これは紡糸ノズルを通って漏れ、紡糸不安定性をもたらす。
それゆえ、リグニン含有前駆体繊維を製造する方法であって、上述した技術水準の方法が有する欠点を有しない方法を提供することが、本発明の課題であった。これは、紡糸液が、キサントゲン酸セルロースあるいはビスコースを含まないこと、及び湿式紡糸法によって加工されることができるべきであることを意味する。さらに、紡糸可能な溶液を製造するために、高価な前処理工程が必須でないことが必要である。前記方法は、これらの要求に加えて、持続可能で、コスト効率が良い必要がある。
さらに、本発明の課題は、高い弾性率と強度を有する、対応するリグニン含有前駆体繊維を示すことである。さらに、本発明は、炭素繊維への前駆体繊維のさらなる加工、及びそれにより製造された炭素繊維又は活性炭素繊維に関する。
この課題は、請求項1の特徴を有する、リグニン含有前駆体繊維を製造するための方法によって解決される。請求項15は、これにより製造された前駆体繊維に関する。さらに、請求項19は、前記前駆体繊維から炭素繊維を製造するための方法を示す。請求項22は、それにより製造された炭素繊維を提供し、請求項24は、この炭素繊維の使用を示す。それぞれの従属請求項は、有利な発展を示す。
炭素繊維及び/又は活性炭素繊維製造用のリグニン含有前駆体繊維を製造するための本発明に係る方法では、少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体、セルロースカルバメート及び溶媒を含む紡糸液が、凝固浴中に浸漬されている有孔紡糸ノズルを通じて押し出され、リグニン含有前駆体繊維が析出(固化)する。本発明に係る紡糸方法は、それゆえ、湿式紡糸法である。
本発明の方法によれば、驚くほど簡単な工程により、高いフィラメント数を有し保存安定性を有する前駆体繊維を製造することが可能であった。
本発明の方法において、前記少なくとも1種のリグニン又は前記リグニン誘導体中に含まれるリグニンは、針葉樹材、広葉樹材、又は一年生植物材から抽出されたものであることが特に有利であり、その際、前記リグニンは、特に好ましくは、500g/mol〜20000g/molの間の、特に好ましくは、2000g/mol〜10000g/molの間の、非常に好ましくは4000g/mol〜10000g/molの間の重量平均モル質量分布を有する。同様に、本発明の方法において、前記リグニン又はリグニン誘導体が、1wt%未満の灰分を含むことが好ましい。これは、対応するリグニン又はリグニン誘導体を、水で又は任意で酸で十分に洗浄した場合に達成できる。
さらに、セルロースカルバメートが、粘度測定法によって測定される、150〜750の間のDPcuoxam、特に好ましくは250〜550の間のDPcuoxamを有することが有利である。好ましくは、前記セルロースカルバメートは、0.1〜1.0の間の、特に0.2〜0.6の間の置換度も有する。さらに好ましい本発明の実施形態では、セルロースカルバメートは、紡糸液に対して、6wt%より高い、特に好ましくは8wt%より高い、非常に好ましくは10wt%より高い濃度で使用される。この方法では、前記繊維をさらに加工して炭素繊維を形成する際に有利な効果を有する前駆体繊維の窒素含量が生じる。
さらに、前記紡糸液において、セルロースカルバメートと前記少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体の質量比は、0.60〜1.80の間、特に好ましくは0.80〜1.20の間、非常に好ましくは1.00であることが好ましい。
本発明の一実施形態では、前記溶媒は、以下からなる群より選択される
・アルカリ液、特に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム;
・三級アミンオキシド、特に、N-メチルモルホリン-N-オキシド;
・イオン性液体、好ましくは、イミダゾリウム化合物、ピリジニウム化合物又はテトラアルキル-アンモニウム化合物からなる群より選択されるもの、特に好ましくは、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート;及び/又は
・これらの混合物。
特に、前記溶媒が、アルカリ液、三級アミンオキシド(特に、N-メチルモルホリン-N-オキシド)のみからなること、及び前記溶媒が、イオン性液体を含まないことが好ましい。
これは、イオン性液体それ自身と、又はイオン性液体の分解産物とセルロースカルバメートとの望ましくない副反応が生じ得ないという利点を有する。それにより、イオン性液体の又はその分解産物のイミダゾリウムカチオンが、セルロースカルバメートのセルロース単位及び/又は他のアルデヒド基の還元末端と反応する(C−C結合の形成を伴う)こと、及び、この不明確な置換が、形成された前駆体繊維中で、セルロースカルバメート/セルロースカルバメートの又はセルロースカルバメート/リグニンの相互作用に影響を与えることをうまく避けることができる。さらに、紡糸液からイオン性液体を排除することによって、繊維における不利な温度プロファイルの形成を防ぐことができる。
さらに、紡糸液が、少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体、セルロースカルバメート及び溶媒からなり、それが、イオン性液体、セルロース、さらなるセルロース誘導体及び他の添加剤を含まないことが、特に好ましい。
さらに、前記方法において、紡糸液が、無機物質(特に、ZnO)、有機添加剤、特に、4級アンモニウム化合物(カチオン性、例えば、Berol Spin 641)、ポリオキシエチレングリコールのアルキルエーテル(非イオン性、例えば、Berol Visco 32)、又はスルホン化油(アニオン性)、又はそれらの混合物からなる群より選択される、紡糸助剤を含むことが好ましい。
紡糸液は、5℃未満、好ましくは0℃未満の温度にて、前記溶媒中で、少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体及びセルロースカルバメートを撹拌又は混練することによって、製造することができる。その際、溶液が均一になり、繊維がなくなるまで、撹拌又は混練を続ける。このようにして得られた紡糸液は、有孔紡糸ノズルを通じて凝固浴中に押し出される前に、ろ過される。それにより、存在し得る不溶性の成分を分離することができる。
好ましい実施形態では、有孔紡糸ノズルは、50〜500μm、特に好ましくは50〜100μmの紡糸孔径を有する。
本発明に係る方法のさらに有利な側面では、凝固浴は、好ましくは、1〜7の間の、特に好ましくは2〜5の間のpH値を有する。紡糸浴の温度は、好ましくは5℃〜60℃、特に好ましくは10〜50℃である。
さらに、紡糸ノズルを通じて押し出された後に繊維が析出(沈殿)する凝固浴は、好ましくは、水及び/又は溶媒(アルコール、飽和あるいは不飽和炭化水素、極性非プロトン化合物、特に好ましくは、DMF、DMSO、DMAc、又はそれらの混合物の群より選択される溶媒)を、特に、10〜50vol%の割合で、又は、水、酸、特に好ましくは硫酸、及び塩、特に好ましくは硫酸塩、塩化物、カチオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、ニッケル、カドミウム又はこれらの混合物である塩の群から選択されるものを、好ましくは、40〜240g/Lの間の濃度で、特に好ましくは60〜240g/Lの間の濃度で含んでもよい。
凝固浴の組成は、それゆえ、好ましくは、紡糸液の組成に依存する。紡糸液が、極性の非プロトン性添加剤(例えば、DMSO、DMF、DMAcなど)を粘度調節のために含む場合、紡糸浴は好ましくは、水及び/又はアルコール、飽和あるいは不飽和炭化水素、極性非プロトン化合物、特に好ましくはDMF、DMSO,DMAc、又はそれらの混合物から構成される。
アルカリ性水溶液から紡糸される場合、紡糸浴は、好ましくは、水及び/又は硫酸及び塩から構成される。
さらに、凝固浴中で析出した前駆体繊維は、その後、延伸浴中に導入され、その長さの110〜500%、好ましくは110〜300%に伸長され、ここで、前記延伸浴は、水、空気、あるいは水と溶媒の混合物を、好ましくは60℃より高い温度で、特に好ましくは80℃より高い温度で、非常に好ましくは100℃より高い温度で含むか、又はそれらからなり、及び、前記前駆体繊維は、蒸留水で洗浄され、40〜100℃、好ましくは60〜80℃の温度にて、加熱されたローラー及び/又は通気乾燥によって乾燥され、及び/又は巻き取られることが好ましい。
前駆体繊維の延伸によって達成される、構造配向の程度は、予想外に高く、得られる炭素繊維の非常に良好な機械的特性に寄与する。
本発明に係る方法のさらに好ましい変形例では、前駆体繊維は、乾燥される前に及び/又は後に、紡糸油剤でコーティングされる。
同様に、前記方法では、前駆体繊維は、安定化の際に、連続的マルチフィラメント糸の形態で存在し、これが連続的にオーブンを通して運ばれることが好ましい。前駆体繊維は、10〜100分の間の滞留時間及び100〜350℃の間のオーブン温度で、非溶融性、及び不燃性の状態になり得る。機械的張力の適用によって、さらに、前駆体繊維の延伸を達成することができ、同時に、オーブン中で繊維がゆるくたるむのを阻止することができる。
本発明によれば、同様に、炭素繊維の製造用の前駆体繊維が示される。本発明に係る前駆体繊維は、少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体の含有率が、5wt%より多い、好ましくは10wt%より多い、特に好ましくは30〜80wt%の間であり、DIN53834に従って測定した強度が、少なくとも5cN/tex、好ましくは少なくとも10cN/tex、特に好ましくは少なくとも15cN/tex、非常に好ましくは少なくとも20cN/texであり、及び、弾性率が、少なくとも350cN/tex、好ましくは少なくとも550cN/tex、非常に好ましくは少なくとも750cN/texであることを特徴とする。
本発明に係る前駆体繊維は、驚くべきことに、前駆体繊維の安定化の際に適用される、50℃/分までの非常に高い加熱速度に耐える。さらに、それらは、炭素繊維を形成するための炭化後に、予想外に高い炭素収率を有する。また、引掛け強さ(ループ強度)、座屈強度、及び引張強さは、150〜200MPaの範囲であり、それらの破断点伸び特性は注目に値し、技術水準の同等のリグニン前駆体繊維の対応する特性を上回る。
好ましくは、先行する請求項の前駆体繊維は、0.06未満、特に好ましくは0.04未満、非常に好ましくは0.02未満の、窒素/炭素-質量比を有する。
さらに、前駆体繊維は、直径が70μm未満の円形の横断面を有することが好ましい。
本発明の前駆体繊維は、前述した方法によって特に有利に製造することができる。
本発明によれば、同様に、炭素繊維を製造するための方法が開示され、この方法では、前駆体繊維は、100〜300℃の間の温度で安定化され、同時に、初期長さに対して0〜300%の間の範囲で延伸され、この際、前駆体繊維は非溶融性及び不燃性になり、配向構造が得られる。
その後、安定化された、配向化された前駆体繊維は、300〜900℃の間の温度で予備炭化され、初期長さに対して0〜300%の範囲で延伸されてもよく、この際、繊維の炭素比率は、80wt%より高く、配向構造が得られる。
任意で、このようにして得られた炭素繊維を、2000〜3000℃の温度にて、黒鉛化してもよい。
さらに、本発明は、リグニン-含有前駆体繊維に由来する炭素繊維であって、80wt%を超える、好ましくは90wt%を超える炭素比率を有する炭素繊維を提供する。
さらに、本発明の炭素繊維は、前述の炭素繊維の製造方法によって有利に製造することができる。
さらに、本発明の目的は、前述した炭素繊維の製造方法によって製造された炭素繊維を、化学的に活性な炭素繊維を製造するため及び/又は複合材料を製造するために使用することである。
炭化あるいは黒鉛化炭素繊維は、酸化雰囲気下での熱処理、あるいはその表面へのプラズマ処理又は化学物質を用いた処理によって、物理的にあるいは化学的に活性化されてもよい。
250gのセルロースカルバメート(DPCuox 258、N含有率2.2%、水分含有率10wt%)を、−4℃に冷却した2000gの7wt%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、撹拌下で溶解した(90分以内)。この溶液に、続けて250gのクラフトリグニン(水分含有率10wt%)を添加し、この混合物をさらに30分間撹拌した。その後、溶液を、低温で、窒素を用いた加圧下で(2bar)、10μmの金属フィルターでろ過し、溶液を20時間保管した。このようにして得られた低粘度の紡糸液を、+5℃の温度にて、紡糸ポンプを用いて紡糸ノズル(600穴、70μm)に運搬した(前記ノズルは、40℃に調節された、80g/Lの硫酸と140g/Lの硫酸ナトリウムを含む水性紡糸浴中に突き出ている)。凝固フィラメントを、0.7のノズルドラフトで取り除き、洗浄した。フィラメントを、60℃に加熱した蒸留水で洗浄し、80℃で乾燥した。このようにして得られたフィラメントは、19cN/texの強度、6%の延伸、及び923cN/texの弾性率を有した。フィラメントのリグニン含有率は、49wt%であった。
実施例1の方法によって製造された、リグニンとセルロースカルバメートからなる(50/50質量%)連続マルチフィラメント糸を、互いに空間的に離れた2つの管状オーブンを通して連続的に輸送し、熱をかけた。連続的に空気が流れる第一管状オーブンにおいて、マルチフィラメント糸に安定化プロセスが実施され、このために100〜300℃の範囲の温度、及び対応する温度で約80分の作用時間が適用された。管状オーブンの上流及び下流の糸輸送装置の異なる速度によって、熱作用の間に、100%のマルチフィラメント糸の延伸が達成された。このようにして繊維物質の構造は配向化され、それゆえ最終C繊維の機械的特性は著しく向上した。得られた配向化及び安定化連続マルチフィラメント糸は、その後、ボビンコアに巻き取られた。対応するマルチフィラメント糸は、非溶融性、不燃性、非接着性、十分な引掛け強さ、座屈強度及び引張強さ(約200MPa)及び約5%の破断点伸びを特徴とする。不活性ガスが連続的に流れる第二管状オーブンでは、予備炭化プロセスが実施され、このために、300〜900℃の範囲の温度、及び対応する温度で30分の作用時間が適用された。オーブンの上流及び下流の糸輸送装置の異なる速度によって、熱作用の間に、約10%のマルチフィラメント糸の延伸が達成された。得られた配向化及び予備炭化連続マルチフィラメント糸は、その後、ボビンコアに巻き取られた。対応するマルチフィラメント糸は、80wt%より高い炭素比率を特徴とする。最後に、さらなるオーブンにおいて、900〜1600℃の温度で炭化プロセスが実施され、90wt%を超える炭素比率を特徴とする、配向化された炭化マルチフィラメント糸が得られた。
300gのセルロースカルバメート(DPCuox: 274, DS 0.3)を、300gのオルガノソルブリグニンとともに、1500gのエチルメチルイミダゾリウムアセテート及び500gのジメチルスルホキシドと混合し、水平混練機中で、110℃にて2.5時間以内で溶解した。得られた均一な黒色の溶液は完全に繊維を含まず、50℃で65Pa・sの粘度を示した。
ろ過した溶液を、加圧ギアポンプによって、120穴-紡糸ノズル(孔径70μm)を通じて、10vol%のエチルメチルイミダゾリウムアセテートを含む水性の凝固浴に運び、析出させた。フィラメントを60℃に加温した蒸留水で洗浄し、80℃で乾燥した。このようにして得られたフィラメントは、24cN/texの強度、8%の延伸、及び1150cN/texの弾性率を有した。フィラメントのリグニン含有率は41wt%であった。
実施例3の方法によって製造された連続マルチフィラメント糸は、リグニンとセルロースカルバメートからなり(50/50質量%)、管状オーブンを通って連続的に運ばれ、熱をかけられた。この工程(安定化)の間に、マルチフィラメント糸は、100〜300℃の範囲の温度にて、対応する温度で約80分の作用時間、空気雰囲気に曝された。実施例3によって製造されたマルチフィラメント糸は、熱作用の間に延伸可能であったが、最大で10%のみであり、それにより、繊維物質の構造は不十分にのみ配向された。続く予備炭化及び炭化(実施例2と同様)の工程の後、実施例3によって製造されたマルチフィラメント糸に基づく最終C繊維の機械的特性は、実施例1のマルチフィラメント糸で達成された水準のほんの一部だけとなった。

Claims (24)

  1. 炭素繊維及び/又は活性炭素繊維を製造するためのリグニン含有前駆体繊維を製造する方法であって、紡糸液が
    A)少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体
    B)セルロースカルバメート、及び
    C)溶媒を含んでおり、
    凝固浴に浸漬されている、有孔紡糸ノズルを通じて押し出され、リグニン含有前駆体繊維が析出することを特徴とする方法。
  2. 前記少なくとも1種のリグニン又は前記リグニン誘導体中に存在するリグニンが、針葉樹材、広葉樹材、一年生植物材から抽出されたものであり、前記リグニンは好ましくは、500g/mol〜20000g/molの間の、特に好ましくは2000g/mol〜10000g/molの間の、非常に好ましくは4000g/mol〜10000g/molの間の、重量平均モル質量分布を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記セルロースカルバメートが、粘度測定法によって測定された150〜750の間のDPcuoxam、好ましくは250〜550の間のDPcuoxamを有し、前記セルロースカルバメートが、0.1〜1.0の間の、好ましくは0.2〜0.6の間の置換度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記セルロースカルバメートが、紡糸液に対して、6wt%より高い、好ましくは8wt%より高い、非常に好ましくは10wt%より高い濃度で存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記溶媒が、
    ・アルカリ液、特に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム;
    ・三級アミンオキシド、特に、N-メチルモルホリン-N-オキシド;
    ・イオン性液体、特に、イミダゾリウム化合物、ピリジニウム化合物又はテトラアルキル-アンモニウム化合物、好ましくは、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテートからなる群より選択されるもの;及び/又は
    ・これらの混合物
    からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記紡糸液において、セルロースカルバメートと前記少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体との質量比が、0.60〜1.80の間、好ましくは0.80〜1.20の間、特に好ましくは1.00であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記紡糸液が、前記少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体及びセルロースカルバメートを、前記溶媒中で、5℃未満、好ましくは0℃未満の温度で撹拌あるいは混練することによって製造されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記紡糸液が、無機物質、特に、ZnO、有機添加剤、特に、4級アンモニウム化合物(カチオン性、例えばBerol Spin 641)、ポリオキシエチレングリコールのアルキルエーテル(非イオン性、例えばBerol Visco 32)、又はスルホン化油(アニオン性)、又はそれらの混合物からなる群より選択される、紡糸助剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記紡糸液が、有孔紡糸ノズルを通じて凝固浴中に押し出される前に、ろ過されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記有孔紡糸ノズルが、50〜500μm、好ましくは50〜100μmの紡糸孔径を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記凝固浴が、1〜7の間の、好ましくは2〜5の間のpH値を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記凝固浴が、
    水及び/又は溶媒であって、アルコール、飽和あるいは不飽和炭化水素、極性非プロトン化合物、好ましくは、DMF、DMSO、DMAc、又はそれらの混合物の群より選択される溶媒を、特に、10〜50vol%の間の割合で、又は、
    水、酸、好ましくは硫酸、及び塩、好ましくは硫酸塩、塩化物、カチオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、ニッケル、カドミウム又はこれらの混合物である塩の群から選択される塩を、特に、40〜240g/Lの間の濃度で、特に好ましくは60〜240g/Lの間の濃度で含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記凝固浴中で析出された前駆体繊維が、その後
    i.延伸浴中に導入され、その長さの110〜500%、好ましくは110〜300%に延伸される:ここで、前記延伸浴は、水、空気、あるいは水と溶媒の混合物を、好ましくは60℃より高い温度で、特に好ましくは80℃より高い温度で、非常に好ましくは100℃より高い温度で含むか、又はそれらからなる、
    ii.蒸留水で洗浄され、
    iii.40〜100℃、好ましくは60〜80℃の間の温度にて、加熱されたローラー及び/又は通気乾燥によって乾燥され、及び/又は
    iv.巻き取られる
    ことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記前駆体繊維が、工程iii)で乾燥される前及び/又は後に、紡糸油剤でコーティングされることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 少なくとも1種のリグニン又はリグニン誘導体を、5wt%より多く、好ましくは10wt%より多く、特に好ましくは30〜80wt%含む前駆体繊維であって、前記前駆体繊維の、DIN53834に従って測定した強度が、少なくとも5cN/tex、好ましくは少なくとも10cN/tex、特に好ましくは少なくとも15cN/tex、非常に好ましくは少なくとも20cN/texであり、及び、弾性率が、少なくとも350cN/tex、好ましくは少なくとも550cN/tex、特に好ましくは少なくとも750cN/texであることを特徴とする、前駆体繊維。
  16. 前記前駆体繊維が、0.06未満の、好ましくは0.04未満の、特に好ましくは0.02未満の、窒素/炭素-質量比を有することを特徴とする、請求項15に記載の前駆体繊維。
  17. 前記前駆体繊維が、70μm未満の直径を有する円形の横断面を有することを特徴とする、請求項15又は16に記載の前駆体繊維。
  18. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によって製造された、前駆体繊維。
  19. 請求項15〜18のいずれか1項に記載の前駆体繊維を、100〜300℃の間の温度で安定化し、300〜900℃で予備炭化し、その後、不活性条件下で900〜2000℃で炭化する、炭素繊維の製造方法。
  20. 前記前駆体繊維が、100〜300℃の間の温度で安定化され、同時に、初期長さに対して0〜300%の範囲で延伸され、前記前駆体繊維が、非溶融性及び不燃性になり、配向構造を得ることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 請求項20に記載の安定化され配向化された前駆体繊維が、300〜900℃の間の温度で予備炭化され、初期長さに対して0〜300%の範囲で延伸され、それにより、80wt%を超える炭素比率及び配向構造を得ることを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 80wt%を超える、好ましくは90wt%を超える炭素比率を有することを特徴とする、リグニン含有前駆体繊維由来の炭素繊維。
  23. 請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法によって製造可能な、炭素繊維。
  24. 化学的に活性な炭素繊維を製造するための、及び/又は、複合材料を製造するための、請求項22又は23に記載の炭素繊維の使用。

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