JP2019502696A - Kv3チャネルのヒダントインモジュレーター - Google Patents

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Abstract

本発明は、式(I):
【化1】
Figure 2019502696

の化合物を提供する。該化合物は、Kv3チャネルの阻害剤であり、関連する障害の予防又は治療に有用である。
【選択図】なし

Description

(技術分野)
本発明は、特に、抗精神病薬としての、新規化合物、それらを含有する医薬組成物、及び療法におけるそれらの使用に関する。該化合物の他の用途としては、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害及び聴覚関連障害、並びに統合失調症、双極性障害、てんかん、睡眠障害、及び認知機能低下が症状である障害の予防又は治療が挙げられる。
(発明の背景)
Kv3電位開口型カリウムチャネルファミリーには4種のメンバー、Kv3.1、Kv3.2、Kv3.3、及びKv3.4がある。Kv3チャネルは、形質膜の脱分極により-20mVより正の電圧に活性化される。さらに、該チャネルは、膜の再分極と同時に急速に不活性化する。これらの生物物理的性質により、ニューロン活動電位の脱分極相のピークに向かってチャネルが開口して再分極を開始することが確実になる。Kv3チャネルにより媒介される活動電位の迅速な停止は、ニューロンがより急速に回復して、閾値下膜電位に到達するのを可能にし、そこからさらなる活動電位を引き起こすことができる。結果として、特定のニューロンにおけるKv3チャネルの存在は、高頻度で発火するそれらの能力に貢献している(Rudyらの文献、2001)。Kv3.1〜3サブタイプは中枢神経系において優勢である一方で、Kv3.4チャネルは骨格筋及び交感神経細胞に主として見られる(Weiserらの文献、1994)。Kv3.1〜3チャネルサブタイプは、介在ニューロンのサブクラスにより、皮質及び海馬脳領域において(例えば、Chowらの文献、1999;Martinaらの文献、1998;McDonaldらの文献、2006;Changらの文献、2007)、視床において(例えば、Kastenらの文献、2007)、小脳において(例えば、Saccoらの文献、2006;Puenteらの文献、2010)、及び聴性脳幹核において(Liらの文献、2001)差次的に発現されている。
テトラエチルアンモニウム(TEA)が、低ミリモル濃度で該チャネルを阻害することが示されており(Rudyらの文献、2001)、かつイソギンチャク、アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)由来の降圧物質(blood-depressing substance)(BDS)毒素(Diochotらの文献、1998)が、Kv3チャネルを高い親和性で選択的に阻害することが示されている(Yeungらの文献、2005)。
Kv3チャネルは、運動制御のために重要な脳の領域である小脳の機能の重要な決定因子である(Johoらの文献、2009)。Kv3サブタイプのうちの1つ以上が欠失したマウスの特性評価によって、Kv3.1の非存在が、増加した自発運動活性、変化した脳波活動、及び断片化された睡眠パターンを生じさせることが示されている(Johoらの文献、1999)。Kv3.2の欠失は、発作閾値の低減及び変化した皮質脳波活動をもたらす(Lauらの文献、2000)。Kv3.3の欠失は、軽度失調症及び運動障害と関連する(McMahonらの文献、2004)。Kv3.1及びKv3.3の二重欠失は、自発性発作、失調症、及びエタノールの作用に対する増加した感受性を特徴とする重症の表現型を生じさせる(Espinosaらの文献、2001;Espinosaらの文献、2008)。ヒトにおけるKv3.3遺伝子の変異が、脊髄小脳失調症(SCA13)の形態と関連付けられている(Figueroaらの文献、2010)。
双極性障害、統合失調症、不安、及びてんかんは、抑制性介在ニューロン及びガンマ-アミノ酪酸(GABA)伝達の低下した機能と関連付けられている中枢神経系の重篤な障害である(Reynoldsらの文献、2004;Benesらの文献、2008;Brambillaらの文献、2003;Aroniadou-Anderjaskaらの文献、2007;Ben-Ariの文献、2006)。皮質及び海馬においてKv3チャネルを発現するパルブアルブミン陽性バスケット細胞は、局所回路内部でフィードバック抑制を生じさせるのに重要な役割を果たす(Markramらの文献、2004)。これらの回路において、グルタミン酸作動性錐体ニューロンへの抑制性入力よりも興奮性シナプス入力が比較的優位であることから、抑制性入力を供給する介在ニューロンの高速発火は、バランスの取れた阻害を確実とするのに必須である。さらに、抑制性入力の正確なタイミングは、例えば、認知機能と関連付けられているガンマ周波数電場電位振動の発生において、ネットワーク同期を維持するのに必要である(Fisahnらの文献、2005;Engelらの文献、2001)。特に、ガンマ振動の減少が、統合失調症の患者で観察されている(Spencerらの文献、2004)。したがって、Kv3チャネルの正のモジュレーターが、脳における特定の群の高速発火ニューロンの発火能力を高めることが期待され得る。これらの作用は、これらのニューロン群の異常な活性に関連する障害に有益となり得る。加えて、Kv3.2チャネルは、CNSにおける主要な概日ペースメーカーである視交叉上核(SCN)のニューロンにより発現されることが示されている(Schulzらの文献、2009)。
Kv3ファミリーの電位開口型イオンチャネルは、聴性脳幹核において高レベルで発現されており(Liらの文献、2001)、そこでこれらは、蝸牛からより高次の脳の領域へと聴覚情報を伝達するニューロンの高速発火を可能とする。聴性脳幹ニューロンにおけるKv3.1及びKv3.3チャネルのリン酸化が、騒音への曝露の間に保護的な役割を果たし得る騒音レベルへの迅速な生理的適応に貢献することが提唱されている(Desaiらの文献、2008;Songらの文献、2005)。中枢聴覚ニューロン(central auditory neuron)中のKv3.1チャネル発現の喪失が、聴覚障害のマウスで観察され(von Hehnらの文献、2004);さらに、Kv3.1発現の低下は、高齢マウスにおける聴覚の喪失と関連している可能性があり(Jungらの文献、2005)、かつKv3チャネル機能の喪失も、騒音-外傷誘発性聴覚消失の結果として起こることがある(Pilatiらの文献、2012)。さらに、聴性脳幹ネットワークの病理学的柔軟性が、異なる種類の聴覚消失を患う多くの人々が被っている症状の一因であるように思われる。近年の研究により、Kv3.1チャネルの機能及び発現の調節が、聴覚ニューロン興奮性の制御において主要な役割を果たしていることが示されており(Kaczmarekらの文献、2005)、これは、この機序が、耳鳴を生じさせる柔軟な変化のいくつかを説明し得ることを示唆する。耳鳴は、脳幹から聴覚皮質までの中枢聴覚伝導路での適応変化の結果として、騒音性聴覚消失の後に起こることがある(Robertsらの文献、2010)。Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルは、これらの回路の多くで発現されており、これらの回路の機能を制御し得るGABA作動性抑制性介在ニューロンの機能の一因となる。
最も広い意味では、疼痛は、急性疼痛及び慢性疼痛に分類することができる。急性疼痛は、自己限定的であり、かつ一般に最長で数週間を超えない治療を必要とする疼痛と定義され、例えば、術後疼痛又は骨折などの急性筋骨格痛が挙げられる(米国食品医薬品局、2014)。慢性疼痛は、最初の外傷が回復してから1ヶ月を超えて持続する疼痛又は3ヶ月を超えて持続する疼痛のいずれかとして定義することができる。慢性疼痛には明確な原因が存在しないことが多く、多くの別の健康問題、例えば、疲労、うつ状態、不眠症、気分変動、及び運動の減少が、慢性疼痛に伴うことが多い。
慢性疼痛は、以下の群:神経障害性疼痛、慢性筋骨格痛、及び種々の慢性疼痛に細分化することができる。神経障害性疼痛は、通常、組織傷害に伴うものであり、切断、卒中、糖尿病、又は多発性硬化症などの、神経系(末梢神経系及び/又は中枢神経系)への損傷によって開始されるか又は引き起こされる。慢性筋骨格痛は、変形性関節炎及び慢性腰痛などの疾患の症状であることがあり、筋組織に対する損傷並びにある領域に対する外傷、例えば、骨折、捻挫、及び脱臼の後に起こることがある。種々の慢性疼痛は、全ての他の種類の長期疼痛を包含し、非神経障害性疼痛状態、例えば、がん性疼痛及び線維筋痛症、並びに頭痛及び腱炎を含む。
慢性疼痛は、臨床徴候のうちで最も厄介かつ管理が難しいものであり続ける高度に不均質の状態である(McCarbergらの文献、2008;Woolfの文献、2010;Finnerupらの文献、2015)。長年の研究及び医薬品開発にもかかわらず、重要な副作用及び依存症リスクがなく、有効性でオピオイドに匹敵し得る治療の特定における進歩はほとんどない。電位開口型イオンチャネルが、具体的な疼痛徴候、とりわけ、神経障害性疼痛状態の管理の重要な標的とされてきた。さらに、特定のイオンチャネルにおける遺伝子変異が、いくつかの慢性疼痛障害と結び付けられている(Bennettらの文献、2014)。医薬の標的として調査中の電位開口型イオンチャネルの例としては:ナトリウムチャネル(とりわけ、NaV1.7)−Sunらの文献、2014;Dib-Hajjらの文献、2013;N型カルシウムチャネル−Zamponiらの文献、2015;Kv7カリウムチャネル−Devulderの文献、2010;Wickendenらの文献、2009;及びSLACK−Luらの文献、2015が挙げられる。
これらのアプローチの根底にある根本仮説は、慢性疼痛状態が、末梢感覚ニューロン、とりわけ、有痛性の感覚刺激の伝達に関与するニューロン、例えば、後根神経節のC線維及び脊髄内の特定の回路などの増加した興奮性及び/又は異常な発火と関連するということである(Baranauskasらの文献、1998;Cerveroの文献、2009;Woolfらの文献、2011;Baronらの文献、2013)。神経障害性及び炎症性慢性疼痛の動物モデルは、因果関係の証明は未だなされていないものの、本仮説の主な裏付けとなるものを提供する(Cerveroの文献、2009)。
過剰興奮性を標的とする薬物、例えば、ナトリウムチャネルブロッカー(例えば、CNV1014802、ラモトリギン、カルバマゼピン、及び局所麻酔薬)、Kv7の正のモジュレーター(例えば、フルペルチン(flupertine)、及びレチガビン)、並びにN型カルシウムチャネルモジュレーター(例えば、N型カルシウムチャネルのα2δサブユニットと相互作用するガバペンチン、及びイモガイ毒素から誘導されるジコニチド(ziconitide))などは、炎症性疼痛及び/又は神経障害性疼痛のモデルにおいてエフィカシーを示す。しかしながら、これらの薬物の間で、臨床的エフィカシー、例えば、エフィカシーと中枢神経系に対する副作用の増加した負荷との釣り合いをとることのエビデンスは混乱している。動物モデルにおけるエフィカシーとヒトにおけるエフィカシーとの不一致は、さまざまな因子が原因でありそうであるが、とりわけ、ヒトにおいて達成可能な薬物濃度(低い認容性を原因とする)及びヒト疼痛状態の不均質性が、主な原因でありそうである。疼痛徴候については、疼痛緩和を、低減された耐性又はタキフィラキシーで、かつ低減された乱用傾向及び/又は依存症リスクで達成することができる標的を特定する必要性もある。
このように、疼痛の薬理学的管理を向上させることは、低減された副作用負荷、低減された耐性又はタキフィラキシー、及び低減された乱用傾向及び/又は依存症リスクと共に、良好なエフィカシーを提供することが可能な機序に焦点を合わせている。
近年、Kv3.4チャネルが、慢性疼痛の治療のための興味深い標的とされている。Kv3.4チャネルは、後根神経節のニューロン上に発現され(Ritterらの文献、2012;Chienらの文献、2007)、そこでは、Kv3.4チャネルは、主に、感覚性C線維上に発現される(Chienらの文献、2007)。Kv3チャネルはまた、脊髄におけるニューロンの特定のサブセットによっても発現される。具体的には、Kv3.1b(Deucharsらの文献、2001;Brookeらの文献、2002)、Kv3.3(Brookeらの文献、2006)、及びKv3.4サブユニット(Brookeらの文献、2004)が、常に感覚の処理に関わる回路に関連しているわけではないものの、齧歯動物の脊髄において同定されている。
近年の動物モデルデータは、有痛性刺激に対する過敏症に関連する、脊髄傷害後のDRGニューロンにおけるKv3.4チャネル表面発現の下方制御を示唆する(Ritterらの文献、2015)。同様に、脊髄結紮後の齧歯動物のDRGにおいて、Kv3.4発現の下方制御が存在することが観察されている(Chienらの文献、2007)。この後者の研究はまた、アンチセンスオリゴヌクレオチドをラットへ髄腔内投与してKv3.4の発現を抑制すると、機械的刺激に対する過敏症がもたらされることを示した。Kv3.4チャネル不活性化が、該チャネルのプロテインキナーゼC依存性リン酸化に影響を受ける可能性があること、及びこの生理学的な機序が、DRGニューロンが有痛性刺激に応答するその発火特性を変化させることを可能にするかもしれないことが示されている(Ritterらの文献、2012)。これらの研究は、機械的異痛症の出現と低減したKv3.4チャネル発現又は機能との間の因果関係を示唆する。SC又はDRGニューロンにおけるKv3.1、Kv3.2、又はKv3.3発現の評価は、これらの研究のうちのいずれにおいても実施されておらず、これら2つのサブタイプの発現は、DRGニューロン上で明示的には実証されていない(しかしながら、上で言及したように、これらは、脊髄の特定の領域内に大量に存在する)。上で報告したインビボでの研究は、特定の神経障害性疼痛状態の治療に対する新規のアプローチとしてのKv3.4の調節の論理的根拠を提供する。Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルサブタイプを疼痛処理に具体的に結びつけるデータは、現在のところ存在しない。
レビー小体型認知症(DLB)及びパーキンソン病(PD)は、結合性の喪失及びニューロンの細胞死に繋がる、レビー小体におけるタンパク質、アルファ-シヌクレインの蓄積と関連する重篤な神経変性障害である。DLBの症状としては、進行性失認、特に、計画及び注意に関する困難性が挙げられる。幻視もまた好発し、約60%の患者でみられる。PDは、初めは、主にドーパミンニューロンの喪失が原因の運動障害と関連する。現在のところ、Kv3チャネルをDLB又はPDへと直接結びつける研究は存在しないものの、皮質及び大脳基底核回路におけるKv3チャネル、特に、Kv3.1の位置及び役割は、これらのチャネルのモジュレーターが、単独又は現行の治療、例えば、DLB対するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤又はPDに対するL-DOPAとの組み合わせのいずれかで、DLB又はPDの症状を向上し得ることを示唆する。
特許出願第WO2011/069951号、第WO2012/076877号、第WO2012/168710号、第WO2013/175215号、及び第WO2013/182851号は、Kv3.1及びKv3.2のモジュレーターである化合物を開示する。さらに、そのような化合物の有用性が、発作、活動亢進、睡眠障害、精神障害、聴覚障害、及び双極性障害の動物モデルで実証されている。
特許出願第WO2013/175211号は、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3チャネルの調節が、急性の騒音曝露から生ずる永続的聴覚消失の確立を予防又は制限するのに有益であることが見出されたことを開示する。そのような予防の利益は、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3モジュレーターの投与が中止された後にも観察されることもある。
Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3の代替モジュレーター、特に、Kv3.1及び/又はKv3.2のモジュレーターの特定の必要性が依然存在する。そのようなモジュレーターは、高いインビボでのポテンシー、チャネル選択性又は所望の薬物動態学的パラメーター、例えば、インビボでの治療効果に必要とされる用量を減少させる高い脳アベイラビリティを示す可能性がある。バランスの取れたKv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3モジュレーター性を有する化合物、例えば、Kv3.1及びKv3.2を同じ又は類似の程度調節する化合物が、望ましいことがある。特定の治療効能のために、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3チャネルに対して異なるモジュレーター作用を有する化合物、例えば、チャネルゲーティング又はチャネル不活性化のキネティクスを変化させ、かつインビボで該チャネルの負のモジュレーターとしての挙動を示し得る化合物を特定する必要性もある。
(発明の概要)
本発明は、式(I)の化合物:
Figure 2019502696
(式中:
Wは、(Wa)基、(Wb)基、又は(Wc)基であり:
Figure 2019502696
(式中:
R1は、H、C1-4アルキル、ハロ、ハロC1-4アルキル、CN、C1-4アルコキシ、又はハロC1-4アルコキシであり;
R2は、H、C1-4アルキル、C3-5スピロカルボシクリル、ハロC1-4アルキル、又はハロであり;
R3は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R3は、存在せず;
R13は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R13は、存在せず;
R14は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R14は、存在せず;
Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員又は6員の飽和又は不飽和の複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基、又はシクロブチル基、又はシクロペンチル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成し;
R16は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルコキシ、又はCNであり;
R17は、H、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシであり;但し、R17が、Hである場合、R16は、パラ位にはないことを条件とする);
R4は、C1-4アルキルであり;
R5は、H又はC1-4アルキルであり;或いは
R4及びR5は、縮合してC3-4スピロカルボシクリルを形成することができ;
ここで、R2及びR3は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよく;R2は、縮合した環原子に結合していてもよく;かつ、ここで、R13及びR14は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよい)
を提供する。
式(I)の化合物は、その医薬として許容し得る塩及び/又は溶媒和物の形態で提供されてもよい。本発明の一実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得る塩の形態で提供される。
式(I)の化合物を、薬品として、特に、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、並びに統合失調症、双極性障害、てんかん、睡眠障害、認知障害、又は失調症の予防又は治療のために用いてもよい。式(I)の化合物は、物質乱用障害又は疼痛、例えば、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、もしくは種々の疼痛の予防又は治療に使用してもよい。式(I)の化合物は、急性騒音性聴覚消失の予防に用いられてもよい。
さらに、式(I)の化合物を対象に投与することによる、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、並びに統合失調症、双極性障害、てんかん、睡眠障害、認知障害、又は失調症の予防又は治療のための方法が提供される。また、式(I)の化合物を対象に投与することによる、物質乱用障害又は疼痛、例えば、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、もしくは種々の疼痛の予防又は治療のための方法も提供される。式(I)の化合物を対象に投与することによる、急性騒音性聴覚消失の予防の方法も提供される。
式(I)の化合物を、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、並びに統合失調症、双極性障害、てんかん、睡眠障害、認知障害、又は失調症の予防又は治療のための薬品の製造に用いてもよい。物質乱用障害又は疼痛、例えば、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、もしくは種々の疼痛の予防又は治療のための薬品の製造のための式(I)の化合物の使用も提供される。式(I)の化合物を、急性騒音性聴覚消失の予防のための薬品の製造に用いてもよい。
また、式(I)の化合物及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含有する医薬組成物が提供される。また、式(I)の化合物及び式(I)の化合物の調製に有用な新規中間体を調製するための方法が提供される。さらに、式(I)の化合物のプロドラッグ誘導体が提供される。
(図面の簡単な説明)
本発明を、以下の図面を参照して、単に例としてのみ説明する。
図1aは、生物学的実施例1に記載したアッセイを用いて記録されたhKv3.2電流である。示されたデータは、参照実施例RE1の化合物の2種類の濃度で4個の異なる細胞から記録された-15mVまでの脱分極電圧ステップの期間における個々の電流である。データは、Prismバージョン5(Graphpad Software社)のフィッティング法を用いた単一の指数関数曲線(実線)によってフィッティングする。図1bは、生物学的実施例1に記載したアッセイを用いて記録されたhKv3.2電流である。示されたデータは、参照実施例RE3の化合物の2種類の濃度でこの2個の異なる細胞から記録された-15mVまでの脱分極電圧ステップの期間における個々の電流である。データは、Prismバージョン5(Graphpad Software社)のフィッティング法を用いた単一の指数関数曲線(実線)によってフィッティングする。 図2は、マウスの体性感覚皮質において同定された「高速発火」介在ニューロンから得られた記録である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
Figure 2019502696
(式中:
Wは、(Wa)基、(Wb)基、又は(Wc)基である:
Figure 2019502696
(式中:
R1は、H、C1-4アルキル、ハロ、ハロC1-4アルキル、CN、C1-4アルコキシ、又はハロC1-4アルコキシであり;
R2は、H、C1-4アルキル、C3-5スピロカルボシクリル、ハロC1-4アルキル、又はハロであり;
R3は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R3は、存在せず;
R13は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R13は、存在せず;
R14は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R14は、存在せず;
Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員又は6員の飽和又は不飽和の複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基、又はシクロブチル基、又はシクロペンチル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成し;
R16は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルコキシ、又はCNであり;
R17は、H、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシであり;但し、R17が、Hである場合、R16は、パラ位にはないことを条件とする);
R4は、C1-4アルキルであり;
R5は、H又はC1-4アルキルであり;或いは
R4及びR5は、縮合してC3-4スピロカルボシクリルを形成することができ;
ここで、R2及びR3は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよく;R2は、縮合した環原子に結合していてもよく;かつ、ここで、R13及びR14は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよい)
の化合物、又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。
式(I)の化合物は、任意に、医薬として許容し得る塩及び/又は溶媒和物の形態で提供されてもよい。本発明の一実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得る塩の形態で提供される。本発明の第2の実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得る溶媒和物の形態で提供される。本発明の第3の実施態様において、式(I)の化合物は、塩又は溶媒和物の形態ではない。
本発明の一実施態様において、R1は、H、C1-4アルキル、ハロ、ハロC1-4アルキル、又はCNである。好適には、R1は、H、C1-4アルキル、ハロ、又はハロC1 4アルキルである。本発明の一実施態様において、R1は、H、メチル、又はCNである。本発明の別の実施態様において、R1は、H又はメチルである。本発明の一実施態様において、R1は、Hである。本発明の別の実施態様において、R1は、C1 4アルキル、とりわけ、メチルである。Wが、(Wa)基である場合、好適には、R1は、Hである。Wが(Wb)基である場合、好適には、R1は、H又はメチルである。
Wが(Wb)基である場合、好適には、R1は、以下:
Figure 2019502696
に示されるとおり、フェニル環のパラ位に位置する。
本実施態様において、好適には、R1は、Hではない。
好適には、R2は、H、C1-4アルキル、C3-5スピロカルボシクリル、又はハロC1-4アルキルである。本発明の一実施態様において、R2は、H、C1-4アルキル、C3-5スピロカルボシクリル、又はハロである。本発明の一実施態様において、R2は、C1-4アルキル、とりわけ、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、又はシクロプロピル、特に、メチル、エチル、イソプロピル、又はtert-ブチルである。本発明の一実施態様において、R2は、メチルである。本発明の一実施態様において、R2は、C3-5スピロカルボシクリルである。本発明の一実施態様において、R2は、C3スピロカルボシクリルである。本発明の別の実施態様において、R2は、C4スピロカルボシクリルである。本発明のさらなる実施態様において、R2は、C5スピロカルボシクリルである。本発明の一実施態様において、R2は、ハロC1-4アルキル、とりわけ、トリフルオロメチル又は2,2,2-トリフルオロエチルである。本発明の一実施態様において、R2は、ハロ、とりわけ、フルオロである。本発明の別の実施態様において、R2は、Hである。
本発明の一実施態様において、R3は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、又はハロである。或いは、R3は、H、C1-4アルキル、又はハロC1-4アルキルである。好適には、R3は、H又はC1-4アルキルである。本発明の一実施態様において、R3はHである。本発明の一実施態様において、R3は、C1-4アルキル、とりわけメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、又はシクロプロピル、特に、メチル又はエチルなどの、メチル、エチル、イソプロピル、又はtert-ブチルである。本発明の一実施態様において、R3は、メチルである。本発明の一実施態様において、R3は、ハロC1-4アルキル、とりわけトリフルオロメチル又は2,2,2-トリフルオロエチルである。本発明の一実施態様において、R3は、ハロ、とりわけ、フルオロである。当業者は、A環の大きさ、ヘテロ原子の存在、及び不飽和度によって、R3が存在しないことがあることを認識するであろう。したがって、本発明の別の実施態様において、R3は存在しない。好適には、R3は、H、メチル、又はトリフルオロメチルである。
本発明の一実施態様において、R2は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、又はC3-5スピロカルボシクリル(carbocycyl)でよく、R3は、H、C1-4アルキル、又はハロC1-4アルキルでよい。本発明の特定の実施態様において、R2は、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、C3-5スピロカルボシクリル、トリフルオロメチル、又は2,2,2-トリフルオロエチルでよく、R3は、H、メチル、エチル、又はトリフルオロメチルでよい。本発明の特定の実施態様において、R3はHであり、R2は、H、メチル、エチル、イソプロピル、又はC3-4スピロカルボシクリルである。本発明のさらなる実施態様において、R3とR2はどちらもフルオロである(同じ環炭素原子に結合するなど)。本発明の一実施態様において、R2はC1-4アルキルであり、且つR3はHであり、例えば、R2は、メチル、エチル、tert-ブチル、又はシクロプロピルである。本発明の一実施態様において、R2はC1-4アルキルであり、且つR3はC1-4アルキルであり、例えば、R2はメチルであり、且つR3はメチルであり、R2はエチルであり、且つR3はエチルであり、又はR2はメチルであり、且つR3はエチルである。本発明の別の実施態様において、R2はトリフルオロメチルであり、且つR3はメチルである。
本発明の一実施態様において、R2及びR3は、同じ環原子に結合している。本発明の代替実施態様において、R2及びR3は、異なる環原子に結合している。
本発明の一実施態様において、R13は、H、F、又はメチルである。本発明の一実施態様において、R13はHである。本発明の別の実施態様において、R13は、C1-4アルキル、とりわけメチルである。本発明のさらなる実施態様において、R13はハロ、とりわけフルオロである。本発明の追加の実施態様において、R13は、トリフルオロメチルなどのハロC1-4アルキルである。当業者は、A環の大きさ、ヘテロ原子の存在、及び不飽和度によって、R13が存在しないことがあることを認識するであろう。したがって、本発明の別の実施態様において、R13は存在しない。
本発明の一実施態様において、R14はH、F、又はメチルである。本発明の一実施態様において、R14はHである。本発明の別の実施態様において、R14はC1-4アルキル、とりわけメチルである。本発明のさらなる実施態様において、R14はハロ、とりわけフルオロである。本発明の追加の実施態様において、R13は、トリフルオロメチルなどのハロC1-4アルキルである。当業者は、A環の大きさ、ヘテロ原子の存在、及び不飽和度によって、R14が存在しないことがあることを認識するであろう。したがって、本発明の別の実施態様において、R14は存在しない。
本発明の一実施態様において、R13及びR14は同じ環原子に結合している。本発明の代替実施態様において、R13及びR14は異なる環原子に結合している。
本発明の特定の実施態様において、R2、R3、R13、及びR14は、それぞれ、H、C1-4アルキル、及びハロC1-4アルキルなどの、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、及びハロから独立に選択される。好適には、R2、R3、R13、及びR14は、それぞれ、H、F、メチル、及びトリフルオロメチルから独立に選択される。
好適には、Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員又は6員の飽和又は不飽和の複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成する。本発明の一実施態様において、Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員の飽和又は不飽和の複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基、シクロブチル基、又はシクロペンチル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成する。本発明の別の実施態様において、Aは、少なくとも1つのO原子を有する6員の飽和又は不飽和の複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基、シクロブチル基、又はシクロペンチル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成する。
本発明の一実施態様において、Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員の飽和又は不飽和の複素環であり、該複素環は、シクロプロピル基と縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成する。本発明の別の実施態様において、Aは、少なくとも1つのO原子を有する6員の飽和又は不飽和の複素環であり、該複素環は、シクロプロピル基と縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成する。本発明の一実施態様において、Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員の飽和又は不飽和の複素環である。本発明の一実施態様において、Aは、少なくとも1つのO原子を有する6員の飽和又は不飽和の複素環である。一実施態様において、環Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員の飽和複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基、又はシクロブチル基、又はシクロペンチル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成する。
本発明の特定の実施態様において、環Aは1つのヘテロ原子を含む。一実施態様において、環Aは、酸素である1つのヘテロ原子を含む。本発明の他の実施態様において、環Aは、2つのヘテロ原子(例えば、2つの酸素原子、1つの酸素原子及び1つの窒素原子、又は1つの酸素原子及び1つの硫黄原子)、とりわけ、2つの酸素原子又は1つの酸素原子及び1つの窒素原子を含む。
一実施態様において、Aは、ジヒドロフラン、イソキサゾール、ジヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,3-オキサジン、又はジヒドロピランである。好適には、Aは、シクロプロピル基と縮合したジヒドロフラン、イソキサゾール、ジヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,3-オキサジン、又はジヒドロピランである。
本発明の一実施態様において、Aはジヒドロフランである。本発明の一実施態様において、Aはジヒドロピランである。本発明の別の実施態様において、Aは、シクロプロピル基、シクロブチル基、又はシクロペンチル基と縮合したジヒドロフランである。本発明の別の実施態様において、Aは、シクロプロピル基、シクロブチル基、又はシクロペンチル基と縮合したジヒドロピランである。本発明のさらなる実施態様において、Aは、シクロプロピル基と縮合したジヒドロフランである。本発明のなおさらなる実施態様において、Aは、シクロプロピル基と縮合したジヒドロピランである。
本発明の一実施態様において、Aは、シクロプロピル基と縮合している。別の実施態様において、Aは、シクロブチル基と縮合している。本発明のさらなる実施態様において、Aは、シクロペンチル基と縮合している。本発明の一実施態様において、Aは、シクロプロピル基、シクロブチル基、又はシクロペンチル基と縮合していない。
本発明の一実施態様において、Wは(Wa)基:
Figure 2019502696
である。
本発明の一実施態様において、Wは(Wb)基:
Figure 2019502696
である。
本発明の一実施態様において、Aは、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、フラン、ピラン、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジン、ジオキシン、又は1,3-ジオキサランである。別の実施態様において、Aは、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、又は1,3-ジオキサランである。
本発明の一実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明の一実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明の別の実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明の一実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示し、「o」及び「m」は、基Aが縮合されるフェニル環のオルト位及びメタ位を示す)
からなる群から選択される。
本発明の一実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示し、「m」及び「p」は、基Aが縮合されるフェニル環のメタ位及びパラ位を示す)
からなる群から選択される。
本発明の一実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明の一実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明の一実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明のさらなる実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明の特定の実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
特定の実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明の特定の実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
である。
本発明のさらなる実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示す)
である。
本発明のさらなる実施態様において、環Aは:
Figure 2019502696
(式中、
Figure 2019502696
は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示す)
である。
Aが、酸素原子を1つ含む5員の複素環である場合、好適には、該複素環は、ジヒドロフランである。
Aが1つの酸素原子を含む5員複素環である場合、好適には、該酸素原子は、フェニル環に対してベンジル位に位置する。一実施態様において、環Aが、酸素である1つのヘテロ原子を含む5員の複素環である場合、好適には、該酸素原子は、フェニル環に対してフェノール位に位置する。
Wが(Wa)基である場合、好適には、Aは、1つのヘテロ原子を含む5員複素環であって、該酸素原子がフェニル環に対してベンジル又はパラ位に位置する5員複素環である。
Wが(Wb)基である場合、好適には、Aは、1つのヘテロ原子を含む5員複素環であって、該酸素原子がフェニル環に対してベンジル又はメタ位に位置する5員複素環である。
Wが、(Wa)基である場合、本発明の一実施態様において、(Wa)基は:
Figure 2019502696
である。
Wが、(Wa)基である場合、本発明の別の実施態様において、(Wa)は:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の一実施態様において、(Wb)は:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の別の実施態様において、(Wb)は:
Figure 2019502696
である。
Wが、(Wb)基である場合、本発明のさらなる実施態様において、(Wb)は:
Figure 2019502696
である。
Aが1つの酸素原子を含む6員複素環を含む場合、好適には、該複素環はジヒドロピランである。
Wが(Wa)基である場合、好適には、Aは、1つの酸素原子を含む6員複素環であって、該酸素原子がフェニル環に対してパラ位に位置する6員複素環である。
Wが(Wb)基である場合、好適には、Aは、1つの酸素原子を含む6員複素環であって、該酸素原子がフェニル環に対してメタ位に位置する6員複素環を含む。
Wが、(Wa)基である場合、本発明の一実施態様において、(Wa)は:
Figure 2019502696
である。
Wが、(Wa)基である場合、本発明の別の実施態様において、(Wa)は:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の一実施態様において、(Wb)は:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の一実施態様において、(Wb)は:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の一実施態様において、(Wb)は:
Figure 2019502696
である。
Wが、(Wa)基である場合、本発明の一実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
である。
Wが、(Wa)基である場合、本発明の一実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
(式中、m及びpは、フェニル環に対する環Aのメタ位及びパラ位をそれぞれ示す)
である。
Wが、(Wa)基である場合、本発明のさらなる実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
(式中、m及びpは、フェニル環に対する環Aのメタ位及びパラ位をそれぞれ示す)
からなる群から選択される。
Wが(Wb)基である場合、本発明の一実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の一実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の一実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
である。
Wが(Wb)基である場合、本発明の別の実施態様において、Aは:
Figure 2019502696
である。
好適には、R4は、メチル、エチル、イソプロピル、又はt-ブチルである。本発明の一実施態様において、R4は、メチルである。本発明の別の実施態様において、R4は、エチルである。本発明のさらなる実施態様において、R4は、イソプロピルなどのプロピルである。本発明のなおさらなる実施態様において、R4は、t-ブチルなどのブチルである。
好適には、R5は、H又はメチルである。本発明の一実施態様において、R5は、Hである。本発明の第2の実施態様において、R5は、C1-4アルキル、とりわけ、R5は、メチルである。
本発明の一実施態様において、R4とR5は共にC3スピロ炭素環を形成する。本発明の第2の実施態様において、R4とR5は共にC4スピロ炭素環を形成する。本発明のさらなる実施態様において、R4はメチルであり、R5はメチルである。特に興味深い一実施態様において、R4はエチルであり、R5はメチルである。別の実施態様において、R4はエチルであり、R5はエチルである。追加の実施態様において、R4はエチルであり、R5はHである。
好適には、R4及びR5が、以下:
Figure 2019502696
の立体化学配置を有する。
好適には、式(I)の化合物は、以下のフェノール基:
Figure 2019502696
のうちの1つに対応する(Wa)基を含む。
好適には、式(I)の化合物は、以下のフェノール基:
Figure 2019502696
のうちの1つに対応する(Wb)基を含む。
或いは、式(I)の化合物が、以下のフェノール基:
Figure 2019502696
のうちの1つに対応する(Wb)基を含む場合。
一実施態様において、Wは、Wc基である。
Wが、(Wc)基である場合、本発明の一実施態様において、R16はC1-4アルコキシである。本発明の別の実施態様において、、R16はメトキシである。本発明の一実施態様において、R16はC1-4アルキルである。本発明の別の実施態様において、R16はメチルである。本発明のさらなる実施態様において、R16はエチルである。本発明のなおさらなる実施態様において、R16はプロピルである。本発明のなおさらなる実施態様において、R16はブチルである。本発明の一実施態様において、R16はハロである。本発明の別の実施態様において、R16はクロロである。本発明のさらなる実施態様において、R16はフルオロである。本発明の一実施態様において、R16はハロ-C1-4アルコキシである。本発明の別の実施態様において、R16はトリフルオロメトキシである。本発明の一実施態様において、R16はハロ-C1-4アルキルである。本発明の別の実施態様において、R16はトリフルオロメチルである。本発明の一実施態様において、R16はシアノである。
本発明の一実施態様において、R16は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロC1-4アルキル、ハロC1-4アルコキシ、又はCNである。一実施態様において、R16は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロC1-4アルキル、又はハロC1-4アルコキシである。本発明の一実施態様において、R16は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、又はハロC1-4アルコキシである。本発明の一実施態様において、R16は、ハロ、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシである。本発明の一実施態様において、R16は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はCNである。
本発明の一実施態様において、R17はHである。本発明の一実施態様において、R17はC1-4アルキルである。本発明の別の実施態様において、R17はメチルである。本発明の一実施態様において、R17はハロである。本発明の別の実施態様において、R17はクロロである。本発明のさらなる実施態様において、R17はフルオロである。本発明の一実施態様において、R17はシアノである。
本発明の一実施態様において、R17は、H、ハロ、CN、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシである。本発明の一実施態様において、R17は、H、CN、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、又はハロC1-4アルコキシである。本発明の一実施態様において、R17は、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシである。本発明の一実施態様において、R17は、H、CN、又はC1-4アルキルである。本発明の一実施態様において、R17は、H、CN、又はメチルである。本発明の一実施態様において、R17は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメトキシ、又はCNである。
本発明の一実施態様において、R16は、C1-4アルコキシ、及びR17は、C1-4アルキルである。本発明の一実施態様において、R16は、メトキシであり、かつR17は、メチルである。本発明の一実施態様において、R16は、メタ位のC1-4アルコキシであり、かつR17は、パラ位のC1-4アルキルである。本発明の別の実施態様において、R16は、メタ位のメトキシであり、かつR17は、パラ位のメチルである。本発明のさらなる実施態様において、R16は、メタ位のメトキシであり、R17は、パラ位のメチルであり、R4は、C1-4アルキルであり、R5はHであり、R4は、R配置である。
好適には、R16及びR17のうちの一方が、メタ位にあり、かつR16又はR17のうちの残りの一方が、パラ位にある。或いは、R16及びR17のうちの一方が、メタ位にあり、かつ残りのR16又はR17が、オルト位にある。
本発明の一実施態様において、Wが、(Wc)基であり、かつR16及び/又はR17がCNである場合、CNであるR16及び/又はR17は、フェニル環のパラ位には無い。
本発明の別の実施態様において、前記化合物は:
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]-2-ピリジル]-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
からなる群から選択されるか、又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物である。
疑義を避けるために記すと、本発明の化合物のいずれか1個の特徴の実施態様は、本発明の化合物の他の特徴の任意の実施態様と組み合わされて、さらなる実施態様を作り得る。
本明細書で使用される「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。ハロの特別な例は、フッ素及び塩素であり、特にフッ素である。
化合物が、C1-4アルキル基を含む場合、それが単独でも、より大きい基、例えばC1-4アルコキシの一部を形成していても、該アルキル基は、直鎖でも、分岐鎖でも、環式でも、これらの組み合わせでもよい。C1-4アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロプロピル、及びシクロブチルである。例示的なC1-4アルキル基の特別な群は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルである。C1-4アルコキシの例はメトキシである。
本明細書で使用される「ハロC1-4アルキル」という用語は、1個以上のハロ原子により置換された1〜4個の炭素原子を含む直鎖、分岐鎖、又は環式のアルキル基を含み、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、及びトリフルオロメチルがある。例示的なハロC1-4アルキルの特別な群には、トリフルオロメチル又は2,2,2-トリフルオロエチルなど、1〜3個のハロ原子、特に1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル及びエチル基がある。
本明細書で使用される「ハロC1-4アルコキシ」という用語は、1個以上のハロ原子により置換された1〜4個の炭素原子を含む直鎖、分岐鎖、又は環式のアルコキシ基を含み、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、及びトリフルオロメトキシがある。例示的なハロC1-4アルキルの特別な群には、1〜3個のハロ原子、特に1〜3個のフッ素原子により置換されたメトキシ及びエトキシ基がある。
「少なくとも1つのO原子を有する5員又は6員の飽和又は不飽和の複素環」という用語は、例えば、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、フラン、ピラン、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジン、ジオキシン、モルホリン、又は1,3-ジオキサランを含む。
医薬で使用するためには、式(I)の化合物の塩は、医薬として許容し得るものでなくてはならないことが認識されるであろう。医薬として許容し得る好適な塩は当業者には明らかであろう。医薬として許容し得る塩には、Bergeらの文献(1977)に記載されるものがある。そのような医薬として許容し得る塩には、無機酸、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、又はリン酸などと形成される酸付加塩、及び有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸と形成される酸付加塩がある。他の塩、例えば、シュウ酸塩又はギ酸塩も、例えば、式(I)の化合物の単離において使用することができ、本発明の範囲に含まれる。
式(I)の化合物のいくつかは、1当量以上の酸と酸付加塩を形成し得る。本発明は、その範囲内に、可能性のある化学量論的形態及び非化学量論的形態の全てを含む。
式(I)の化合物は、結晶性形態又は非晶性形態で調製でき、結晶性の場合、例えば、水和物として、任意に溶媒和されていてよい。本発明は、その範囲内に、化学量論的溶媒和物(例えば、水和物)、並びに、可変量の溶媒(例えば、水)を含む化合物を含む。
本発明が、式(I)の化合物の医薬として許容し得る誘導体を含むこと、及びこれらが本発明の範囲内に含まれることが理解されるであろう。
本明細書で使用される「医薬として許容し得る誘導体」は、受容者に投与されると式(I)の化合物又はその活性代謝産物若しくは残基を(直接的又は間接的に)提供できる式(I)の化合物のエステル又はそのようなエステルの塩などの任意の医薬として許容し得るプロドラッグを含む。
好適には、医薬として許容し得るプロドラッグは、例えば、以下:
Figure 2019502696
(式中、R4及びR5は、本明細書において上で定義された通りである)
に示されるように、基「L」によって、ヒダントインの二級窒素を官能化することにより形成される。
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物は、ヒダントインの二級窒素を介して基Lで官能化されており、ここでLは:
-PO(OH)O-・M+(式中、M+は、医薬として許容し得る一価の対イオンである)、
-PO(O-)2・2M+
-PO(O-)2・D2+(式中、D2+は、医薬として許容し得る二価の対イオンである)、
-CH(RX)-PO(OH)O-・M+(式中、RXは、水素又はC1-3アルキルである)、
-CH(RX)-PO(O-)2・2M+
-CH(RX)-PO(O-)2・D2+
-SO3 -・M+
-CH(RX)-SO3 -・M+、及び
-CO-CH2CH2-CO2・M+
から選択される。
本発明が、式(I)の異性体及びそれらの医薬として許容し得る誘導体の全てを、それらの幾何異性、互変異性、及び光学異性形態、並びにその混合物(例えば、ラセミ混合物)の全てを含めて包含することを理解すべきである。追加のキラル中心が式(I)の化合物に存在する場合、本発明は、その範囲内に、可能性のある全てのジアステレオ異性体を、その混合物も含めて含む。異なる異性体形態は、従来の方法により互いに区別して分離又は分割でき、或いは、ある異性体を、従来の合成方法により、又は立体特異的合成若しくは不斉合成により得ることができる。
本発明は、1つ以上の原子が、天然に最も普通に存在する原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子により置換されている事実以外式(I)に詳述されたものと同一である同位体標識された化合物も含む。当業者は、多くの状況において、天然にあまり見られない原子質量又は質量数を有する原子の比率を増加させること(「同位体濃縮」と称される)もできることを認識するだろう。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、3H、11C、14C、18F、123I、又は125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ヨウ素、及び塩素の同位体がある。別の興味深い同位体は、13Cである。別の興味深い同位体は、2H(重水素)である。
上述の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物及び該化合物の医薬として許容し得る塩は、本発明の範囲内である。同位体標識された本発明の化合物、例えば、3H又は14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム標識された同位体、すなわち3H同位体、及び炭素-14同位体、すなわち14C同位体は、その調製の容易さ及び検出性のために特に好ましい。11C及び18F同位体は、PET(陽電子放出断層撮影)に特に有用である。
式(I)の化合物は医薬組成物において使用されることを意図されているので、それらがそれぞれ実質的に純粋な形態で、例えば、少なくとも純度60%、より好適には少なくとも純度75%、好ましくは少なくとも純度85%、特に少なくとも純度98%で(%は、重量対重量の基準である)提供されることが好ましいことは容易に理解されるであろう。化合物の純粋ではない調製物を、医薬組成物において用いられる、より純度の高い形態を調製するのに用いてもよい。
本発明のさらなる態様により、式(I)の化合物及びその誘導体の調製のためのプロセスが提供される。以下のスキームに、本発明の化合物に至る合成経路を詳述する。以下のスキームにおいて、反応性基は、確立された技術により保護基で保護すること、脱保護することができる。
一般に、式(I)の化合物は、当業者に公知である有機合成技法にしたがって、並びに以下に述べる代表的な方法、実施例にある方法、及びその改良法により製造できる。
特許出願第WO2011/069951号、第WO2012/076877号、第WO2012/168710号、及び第WO2013/175215号は、本発明の化合物の製造において有用となり得る中間体の合成のための方法を提供する。
スキーム1
Figure 2019502696
工程(ii):式(I)の化合物は、溶媒、例えば、ジクロロメタン中での、カルボニル化剤、例えば、優先的に同じ溶媒中に前もって希釈され、2回目に0℃で塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下添加されるトリホスゲンでの、式(II)の化合物の環化によって調製することができる。場合によっては、酢酸エチルを溶媒として使用することができる。任意に、触媒量のDMAPを添加することができる。
工程(i):式(II)の化合物は、0℃、RTで、酸性、例えば、TFA条件下、溶媒、例えば、ジクロロメタン中でのBOC保護基の除去によって、式(III)の化合物から調製することができる。
スキーム2
Figure 2019502696
工程(iii):式(I)の化合物(式中、R4及びR5は、Hではない)は、溶媒、例えば、メタノール中での、0℃から60℃までの範囲の温度での、式(IV)の尿素と塩基、例えば、ナトリウムメトキシドとの反応によって調製することができる。
工程(ii):式(IV)の尿素は、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン又は酢酸エチル中で、カルボニル化剤、例えば、塩基、例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン存在下優先的に同じ溶媒中に前もって希釈されたトリホスゲンを用い、任意に、触媒量又は化学量論量のDMAPを添加して、0℃から60℃までの範囲の温度で式(V)のアニリンと式(VI)のアミノエステル(塩酸塩)との反応によって調製することができる。
工程(i):式(VI)のアミノエステル(塩酸塩)は(市販されていない場合には)、触媒量又は化学量論量の塩化チオニル(thyonyl chloride)の存在下での、室温からリフラックスまでの範囲の温度での、メタノールとの反応によって市販の式(VII)のアミノ酸(塩酸塩)から調製することができる。
スキーム3
Figure 2019502696
工程(i):式(II)の化合物は、カップリング剤、例えば、T3Pの存在下、溶媒、例えば、酢酸エチル、アセトニトリル、又はそれらの混合物中、室温からリフラックスまでの範囲の温度でのアミドカップリングによって式(V)のアニリン及び式(VII)のアミノ酸塩酸塩から調製することができる。
スキーム4
Figure 2019502696
工程(ii):式(III)の化合物は、溶媒、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド中、塩基、例えば、DIPEA及びカップリング剤 例えば、HATU、TBTUの存在下、アミドカップリングによって式(V)のアニリン及び式(VIII)のN保護アミノ酸から調製することができる。
工程(i):式(V)のN-Boc保護アミノ酸のうちのいくつかは市販されており、例えば、N-{[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}-2-メチルアラニンは、例えば、Aldrich社から、N-{[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}-D-アラニンは、例えば、Aldrich社から、(2R)-2-({[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸は、例えば、Bachem UK社から、N-{[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}-D-イソバリンは、例えば、Nagase社から市販されている。
式(V)のN保護アミノ酸は、例えば、Boc無水物を用いて、塩基、例えば、NaHCO3水、水酸化ナトリウム水の存在下、溶媒、例えば、THF、メタノール、ジオキサン中で、式(VI)の化合物から調製することもできる。文献に多くの記述が利用可能である(例えば、Tetrahedron, 2006, 62(42), 9966-9972)。
スキーム5
Figure 2019502696
工程(i):式(V)のアニリンは、ニトロ化合物(IX)から調製することができる。(IX)を(V)へと変換する適当な反応条件は、例えば、以下のものである:
-Fe粉末及び塩化アンモニウムの存在下、溶媒、例えば、THF/水の混合物中、例えば、室温での還元
-Fe粉末及び塩酸の存在下、溶媒、例えば、エタノール/水の混合物中、室温からリフラックスまでの範囲の温度での還元。
スキーム6
Figure 2019502696
工程(i):式(IX)の化合物は、求核芳香族置換によって調製することができる。該反応においては、塩基、例えば、炭酸カリウムの存在下、溶媒中、例えば、アセトニトリル中、室温からリフラックスまでの範囲の温度で、式(XI)の市販のニトロ誘導体(式中、Z=F又はZ=Clである)、及び式(X)のフェノールが用いられる。
スキーム7
Figure 2019502696
工程(vii):式(Xaa)及び(Xab)のフェノールは、例えば、HCl水を、溶媒中、例えば、メタノール中で用い、例えば、50℃で加熱する酸性条件下でのMOM保護基の除去によって、式(XI)の化合物から調製することができる。
工程(vi):式(XI)の化合物は、トリフェニルホシン(triphenylphosine)を溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で用い、0℃から室温までの範囲の温度でアゾジカルボン酸ジイソプロピルを添加する光延反応によって、式(XII)の化合物から調製することができる。
工程(v):
式(XII)の化合物は、逐次様式で式(XIII)の化合物から調製することができる
-エタノール中の水中2N HClなどの酸性条件における脱保護
-溶媒のエバポレーション、0℃でのMOMClの添加、及び0℃での、溶媒、例えば、THF中での強塩基、例えば、NaHの使用
-0℃でのリチウムアルミニウムヒドリドを用いる還元。
工程(iv):式(XIII)の化合物は、室温で実施するCorey-Chaykovskyシクロプロパン化反応を用いて、式(XIV)の化合物から調製することができる。ジメチルオキソスルホニウムメチリドを前もって形成するために、トリメチルスルホキソニウムヨージドを、塩基、例えば、NaHの存在下、溶媒、例えば、DMSO中で使用することができ、該式(XIV)の化合物(DMSO中にあらかじめて希釈したもの)は、2回目に添加される。
工程(iii):式(XIV)の化合物は、Wittig反応を用いて、式(XV)の化合物から調製することができる。イリドを前もって形成するために、ホスホニウム塩、例えば、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド及び強塩基、例えば、KHMDSを、0℃から室温で、溶媒、例えば、THF中で使用することができる。該溶液を、溶媒、例えば、THF中に前もって希釈された式(XV)の化合物に、2回目に、0℃で添加することができる。
工程(ii):式(XV)の化合物は、BuLiを、溶媒、例えば、ヘキサン又はTHF中、-78℃から室温までの範囲の温度で用いるリチオ化によって化合物(XVI)から調製することができ、該溶液は、2回目に、-78℃で、求電子剤、例えば、クロロ(オキソ)酢酸エチル(例えば、THFで予め希釈したもの)に添加される。
工程(i):式(XVI)の化合物は、MOM-Cl及び塩基、例えば、NaHを用いて、適当な溶媒、例えば、DMF中、0℃から室温までの範囲の温度で、式(XVII)の市販のフェノールから調製することができる。
スキーム8
Figure 2019502696
工程(iv):
式(Xac)のフェノールは、水酸化物塩基、例えば、水酸化ナトリウムを用いて、溶媒、例えば、水及びメタノールの混合物中、例えば、室温で、式(XVIII)の化合物から調製することができる。
工程(iii):式(XVIII)の化合物は、水素化トリブチルすず及びAIBNを、適当な溶媒、例えば、トルエン中、適当な温度、例えば、リフラックスで用いる、環化によって、式(XIX)の化合物から調製することができる。
工程(ii):
式(XIX)の化合物は、溶媒、例えば、アセトニトリル中、例えば、室温で、塩基、例えば、炭酸カリウム及び求電子剤、例えば、3-ブロモ-2-メチル-1-プロペンを用いて、式(XX)の化合物から調製することができる。
工程(i):式(XX)の化合物は、例えば、無水酢酸、塩基、例えば、トリエチルアミンを、溶媒、例えば、ジクロロメタン中、例えば、室温で用いるアセチル化によって、式(XXI)の化合物から調製することができる。
スキーム9
Figure 2019502696
工程(iv):式Xad)のフェノールは、式(XXII)のTiPSで保護された化合物から、該保護基を、フッ化物源、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリドの存在下、適当な溶媒、例えば、THF中、室温で除去して調製することができる。
工程(iii):式(XXII)の化合物は、適当な溶媒、例えば、THF又はEt2O又はn-ヘキサン中、-78℃から室温までの範囲の温度でブチルリチウム又はsec-ブチルリチウム又はtert-ブチルリチウムを用いる金属-ハロゲン交換、及び第2の段階においてメチル化剤、例えば、ヨードメタンを、-78℃から室温までの範囲の温度で添加することによって、式(XXIII)の化合物から調製することができる。
工程(ii):式(XXIII)の化合物は、臭素化剤、例えば、NBSを、適当な溶媒、例えば、DMF又はアセトニトリル又はTHF中、室温で用いることによって、式(XXIV)の保護されたフェノールから調製することができる。
工程(i):式(XXIV)の化合物は、塩基、例えば、ブチルリチウムの存在下、溶媒、例えば、THF中0℃及び室温からの範囲の温度で、例えば、クロロトリイソプロピルシランを用いるシリル化によって、式(Xac)の出発フェノールから調製することができる。
スキーム10
Figure 2019502696
工程(v):
式(Xba)及び(Xbb)のフェノールは、式(XXVa)及び(XXVb)のTBDMSで保護された化合物から、フッ化物源、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリドの存在下、適当な溶媒、例えば、THF中、0℃から室温までの範囲の温度で該保護基を除去して調製することができる。
工程(iv):式(XXVa)及び(XXXVb)の化合物は、溶媒、例えば、THF中、例えば、0℃で塩基、例えば、nBuLiを用い、2回目に、例えば、0℃で4-メチルベンゼンスルホニルクロリドを添加し、その後、第2の当量の塩基、例えば、nBuLiを、例えば、0℃〜室温で添加する、式(XXVIa)及び(XXXVIb)の化合物の環化によって調製することができる。
任意に、2つの工程(iv)及び(v)を、ワンポットで実施することができる。
工程(iii):式(XXVIa)及び(XXVIb)の化合物は、2当量のブチルリチウムを、適当な溶媒、例えば、ヘキサンもしくはTHF、又はそれらの混合物中、-78℃から室温までの範囲の温度で用いる金属-ハロゲン交換、及び第2の段階において、-78℃から室温までの範囲の温度で適当なカルボニル化合物(アルデヒド又はケトン)を添加することによって式(XXVII)の化合物から調製することができる。
工程(ii):式(XXVII)のアルコールは、還元性試薬、例えば、リチウムアルミニウムヒドリド又は水素化ホウ素リチウムを、適当な溶媒、例えば、THF中、0℃で用いるか、水素化ホウ素ナトリウムを、適当な溶媒、例えば、メタノール中、0℃で用いて、式(XXVIII)のアルデヒドから調製することができる。
工程(i):式(XXVIII)の化合物は、例えば、クロロ(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシラン、1Hイミダゾールを、溶媒、例えば、ジクロロメタン中、室温で用いるシリル化によって、式(XXIX)の化合物から調製することができる。
本明細書で使用される「モジュレーター」は、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1及び/又はヒトKv3.2及び/又はヒトKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する化合物を指す。
本発明の式(I)の化合物は、Kv3.1のモジュレーターである。式(I)の化合物は、Kv3.2及び/又はKv3.3のモジュレーターであることもある。本発明の化合物を、生物学的実施例1のアッセイにおいて試験して、それらのKv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルに対するモジュレーター性を決定してもよい。
用語「Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3」は、「Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3」と同じことを意味するものとし、「Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3」と呼ばれることもある。
一実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する。好適には、該モジュレーターのpEC50は、4〜7の範囲である(例えば、5〜6.5)。
一実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.2チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する。好適には、該モジュレーターのpEC50は、4〜7の範囲である(例えば、5〜6.5)。
一実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する。好適には、該モジュレーターのpEC50は、4〜7の範囲である(例えば、5〜6.5)。
別の実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1及びKv3.2チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する。
別の実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1及びKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する。
別の実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.2及びKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する。
さらなる実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1、Kv3.2、及びKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する。
本発明は、療法に使用するための式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を提供する。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩は、Kv3.1もしくはKv3.2又はKv3.1及びKv3.2チャネルのモジュレーターが必要とされる疾患又は障害の治療又は予防に有用である可能性がある。本明細書で使用される、Kv3.1もしくはKv3.2又はKv3.1及びKv3.2のモジュレーターは、これらのチャネルの性質を、正又は負のいずれかに変化させる化合物である。本発明の特定の態様において、式(I)の化合物は、正のモジュレーターである。本発明の化合物は、生物学的実施例1のアッセイにおいて試験して、それらのモジュレーター性を決定してもよい。特定の障害において、Kv3.1又はKv3.2のモジュレーターであって、該2つのチャネル間で特定の選択性プロファイルを示す前記モジュレーターを利用することが有益である可能性がある。例えば、化合物は、Kv3.2チャネルの調節よりもKv3.1チャネル調節に対して選択的であることがあり、例えば、Kv3.2チャネルに対するよりもKv3.1チャネルに対して少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示す。或いは、化合物は、Kv3.1チャネル調節よりもKv3.2チャネルの調節に対して選択的であることがあり、例えば、Kv3.1チャネルに対してよりもKv3.2チャネルに対して少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示す。別の場合において、化合物は、Kv3.1及びKv3.2チャネルの調節間で同程度の活性を示すことがあり、例えば、各チャネルに対する活性が、他方のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。化合物の活性は、好適には、EC50値によって示されるそのポテンシーによって定量化される。
特定の障害において、Kv3.3もしくはKv3.1又はKv3.3及びKv3.1のモジュレーターであって、該2つのチャネル間で特定の選択性プロファイルを示す、前記モジュレーターを利用することが有益である可能性がある。例えば、化合物は、Kv3.1チャネル調節よりもKv3.3チャネルの調節に対して選択的であることがあり、例えば、Kv3.1チャネルに対してよりもKv3.3チャネルに対して少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示す。
本発明の別の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/又はそれらの誘導体は、Kv3.3チャネルの調節よりもKv3.1チャネル調節に対して選択的である。ここでも、選択的に、とは、化合物が、Kv3.3チャネルに対してよりもKv3.1チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示すことを意味する。
本発明の特定の実施態様において、化合物が、Kv3.3及びKv3.1チャネルの調節間で同程度の活性を示す可能性があり、例えば、各チャネルに対する活性が、他方のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。
特定の障害において、Kv3.3もしくはKv3.2、又はKv3.3及びKv3.2のモジュレーターであって、該2つのチャネル間で特定の選択性プロファイルを示す前記モジュレーターを利用することが有益である可能性がある。化合物が、Kv3.2チャネルの調節よりもKv3.3チャネルの調節に対して選択的である可能性があり、Kv3.2チャネルに対してよりもKv3.3チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示す。
本発明の別の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/又はそれらの誘導体は、Kv3.3チャネルの調節よりもKv3.2チャネルの調節に対して選択的である。ここでも、選択的に、とは、化合物が、Kv3.3チャネルに対してよりもKv3.2チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示すことが意味される。
別の特定の実施態様において、化合物が、Kv3.3及びKv3.2チャネルの調節間で同程度の活性を示す可能性があり、例えば、各チャネルに対する活性が、他方のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。
本発明のまたさらに特定の実施態様において、化合物が、Kv3.3、Kv3.2、及びKv3.1チャネルの調節間で同程度の活性を示す可能性があり、例えば、各チャネルに対する活性が、任意の他のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。化合物の活性は、好適には、EC50値によって示されるそのポテンシーによって定量化される。
Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルの調節により媒介され得る疾患又は状態は、以下のリストから選択され得る。以下に列記された疾患の後の括弧内の数は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)によって公表されている「精神障害の診断及び統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」、第4版(DSM-IV)及び/又は「疾病の国際分類(International Classification of Diseases)」、第10版(ICD-10)における分類コードを指す。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソード、及び軽躁エピソードを含むうつ状態及び気分障害;大鬱病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能の鬱病性障害(311)を含む鬱病性障害;双極性I型障害、双極性II型障害(軽躁エピソードを伴う再発性の大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)、及び特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;鬱病的特徴を有する亜型、大鬱病様エピソードを有する亜型、躁病的特徴を有する亜型、及び混合特徴を有する亜型を含む全身病状を原因とする気分障害(293.83)を含む他の気分障害、物質誘発性気分障害(鬱病的特徴を有する亜型、躁病的特徴を有する亜型、及び混合特徴を有する亜型を含む)、並びに特定不能の気分障害(296.90);季節性感情障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、亜型の妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、非定型型(295.90)、及び残遺型(295.60)を含む、統合失調症;統合失調症様障害(295.40);亜型の双極型及び鬱型を含む、統合失調性感情障害(295.70);亜型のエロトマニア型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型、及び特定不能型を含む、妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想を伴う亜型及び幻覚を伴う亜型を含む、全身病状を原因とする精神病性障害;妄想を伴う亜型(293.81)及び幻覚を伴う亜型(293.82)を含む、物質誘発性精神病性障害;並びに特定不能の精神病性障害(298.9)の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、パニック発作を含む不安障害;広場恐怖症を伴わないパニック障害(300.01)及び広場恐怖症を伴うパニック障害(300.21)を含む、パニック障害;広場恐怖症;パニック障害の病歴のない広場恐怖症(300.22)、亜型の動物型、自然環境型、血液-注射-損傷型、状況型、及び他の型を含む、特定恐怖症(300.29、かつての単純恐怖症))、社会恐怖症(社会不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、全身病状を原因とする不安障害(293.84)、薬物誘発性不安障害、分離不安障害(309.21)、不安を伴う適応障害(309.24)、並びに特定不能の不安障害(300.00)の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、物質使用障害、例えば、物質依存症、物質渇望、及び物質乱用;物質誘発性障害、例えば、物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害、及び幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック);アルコール関連障害、例えば、アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒性せん妄、アルコール離脱性せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能障害、アルコール誘発性睡眠障害、及び特定不能のアルコール関連障害(291.9);アンフェタミン(又はアンフェタミン様)関連障害、例えば、アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒性せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能障害、アンフェタミン誘発性睡眠障害、および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9);カフェイン関連障害、例えば、カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害、及び特定不能のカフェイン関連障害(292.9);大麻関連障害、例えば、大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒性せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害、及び特定不能の大麻関連障害(292.9);コカイン関連障害、例えば、コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒性せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能障害、コカイン誘発性睡眠障害、及び特定不能のコカイン関連障害(292.9);幻覚剤関連障害、例えば、幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒性せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害、及び特定不能の幻覚剤関連障害(292.9);吸入剤関連障害、例えば、吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒性せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害、及び特定不能の吸入剤関連障害(292.9);ニコチン関連障害、例えば、ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)、及び特定不能のニコチン関連障害(292.9);オピオイド関連障害、例えば、オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒性せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能障害、オピオイド誘発性睡眠障害、及び特定不能のオピオイド関連障害(292.9);フェンシクリジン(又はフェンシクリジン様)関連障害、例えば、フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒性せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害、及び特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9);鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬関連障害、例えば、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬依存(304.10)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬乱用(305.40)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬中毒(292.89)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬離脱(292.0)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬中毒性せん妄、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬離脱性せん妄、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬持続性認知症、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬持続性健忘障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性気分障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性不安障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性性機能障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性睡眠障害、及び特定不能の鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬関連障害(292.9);多剤関連障害、例えば、多剤依存(304.80);並びにタンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤、及び亜酸化窒素などの、他の(又は未知の)物質関連障害を含む物質関連障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、他の疾患、例えば、統合失調症、双極性障害、うつ状態、認知障害、例えば、アルツハイマー病と関連する他の精神障害及び精神病的状態における認知障害の治療を含む認知の増強に有用である可能性がある。或いは、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、認知障害、例えば、統合失調症、双極性障害、うつ状態、認知障害、例えば、アルツハイマー病と関連する他の精神障害及び精神病的状態などの疾患と関連している可能性があるものなどの予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)並びに/又はその誘導体は、失調症、特に、脊髄小脳失調症、特に、R420H、R423H、又はF448L変異に伴う失調症を含む失調症の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、原発性睡眠障害、例えば、睡眠異常、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)、及び特定不能の睡眠異常(307.47);原発性睡眠障害、例えば、睡眠時随伴症、例えば、悪夢障害(307.47)、睡眠時驚愕障害(307.46)、睡眠時遊行障害(307.46)、及び特定不能の睡眠時随伴症(307.47);別の精神障害に関連する睡眠障害、例えば、別の精神障害に関連する不眠症(307.42)及び別の精神障害に関連する過眠症(307.44);全身病状を原因とする睡眠障害、特に、神経障害、神経障害性疼痛、下肢静止不能症候群、心及び肺疾患などの疾患と関連する睡眠障害;並びに亜型の不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型、及び混合型を含む、物質誘発性睡眠障害;睡眠時無呼吸及び時差ぼけ症候群を含む睡眠障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、摂食障害、例えば、亜型の制限型及び過食/パージング型を含む、神経性無食欲(307.1);亜型のパージング型及び非パージング型を含む神経性過食症(307.51);肥満症;強迫性摂食障害;過食障害;並びに特定不能の摂食障害(307.50)の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩は、自閉症性障害(299.00)、アスペルガー障害(299.80)、レット障害(299.80)、小児期崩壊性障害(299.10)、及び特定不能の広汎性障害(299.80、非定型自閉症を含む)を含む自閉症スペクトラム障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、亜型の注意欠陥/多動障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動障害不注意優勢型(314.00)、注意欠陥/多動障害多動-衝動型(314.01)、及び特定不能の注意欠陥/多動障害(314.9);多動性障害;破壊的行動障害、例えば、亜型の小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)、及び不特定発症型(312.89)を含む行為障害、反抗挑戦性障害(313.81)、並びに特定不能の破壊的行動障害;並びにチック障害、例えば、トゥレット障害(307.23)を含む注意欠陥/多動障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、亜型の妄想性パーソナリティ障害(301.0)、スキゾイドパーソナリティ障害(301.20)、統合失調型パーソナリティ障害(301,22)、反社会性パーソナリティ障害(301.7)、境界型パーソナリティ障害(301,83)、演技性パーソナリティ障害(301.50)、自己愛性パーソナリティ障害(301,81)、回避性パーソナリティ障害(301.82)、依存性パーソナリティ障害(301.6)、強迫性パーソナリティ障害(301.4)、及び特定不能のパーソナリティ障害(301.9)を含むパーソナリティ障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、性的欲求障害、例えば、性的欲求低下障害(302.71)及び性嫌悪障害(302.79);性的興奮障害、例えば、女性の性的興奮障害(302.72)及び男性の勃起障害(302.72);オルガズム障害、例えば、女性のオルガズム障害(302.73)、男性のオルガズム障害(302.74)、及び早漏症(302.75);性的疼痛障害、例えば、性交疼痛症(302.76)及び腟痙(306.51);特定不能の性機能障害(302.70);性的倒錯、例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、接触性愛(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)、及び特定不能の性的倒錯(302.9);性同一性障害、例えば、小児の性同一性障害(302.6)及び青年又は成人の性同一性障害(302.85);並びに特定不能の性障害(302.9)を含む、性機能障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は:間欠性爆発性障害(312.34)、窃盗症(312.32)、病的賭博(312.31)、放火症(312.33)、抜毛症(312.39)、特定不能の衝動制御障害(312.3)、過食、買い物嗜癖、強迫性性行動、及び強迫性ため込みを含む衝動制御障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、聴覚神経障害、聴覚処理障害、突発性聴覚消失、騒音性聴覚消失、物質誘発性聴覚消失、60歳超の成人における聴覚消失(老人性難聴)を含む聴覚消失、並びに耳鳴を含む聴覚障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、脆弱X症候群及び自閉症を含む聴覚過敏及び音量知覚の障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、てんかん(これらに限定されないが、局在関連てんかん、全般てんかん、全般発作及び局所発作双方を伴うてんかんなどを含む)、レノックス・ガストー症候群に伴う発作、疾患又は状態の合併症としての発作(例えば、脳症、フェニルケトン尿症、若年性ゴーシェ疾患、ルントボルク進行性ミオクローヌスてんかん、卒中、頭部外傷、ストレス、ホルモンの変化、薬物使用又は離脱、アルコール使用又は離脱、睡眠遮断、発熱、感染症などに伴う発作)、本態性振戦、肢静止不能症候群、部分及び全般発作(強直性発作、間代性発作、強直性間代性発作、脱力発作、ミオクローヌス発作、欠神発作を含む)、二次性全身性発作、側頭葉てんかん、欠神てんかん(小児、若年性、ミオクローヌス性、光およびパターン誘発性のものを含む)、重篤なてんかん性脳症(低酸素関連性のもの及びラスムッセン症候群を含む)、熱性痙攣、持続性部分てんかん、進行性ミオクローヌスてんかん(ウンフェルリヒト・ルントボルク病及びラフォラ病を含む)、頭部傷害に関連するものを含む外傷後発作/てんかん、単純反射てんかん(感光性(photosensive)、体性感覚、及び固有受容性、聴原性及び前庭性のものを含む)、てんかんによく関連する代謝障害、例えば、ピリドキシン依存性てんかん、メンケスのねじれ毛病、クラッベ病、アルコール及び薬物乱用(例えば、コカイン)を原因とするてんかん、てんかんに伴う皮質奇形(例えば、二重皮質症候群又は皮質下帯状異所性灰白質)、発作又はてんかんに関連する染色体異常(chromosomal anomolies)、例えば、部分的モノソミー(15Q)/アンジェルマン症候群の治療又は予防に有用である可能性がある。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)並びに/又はその誘導体は、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、又は種々の疼痛を含む疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
侵害受容性疼痛は、組織、例えば、皮膚、筋肉、内臓器官、関節、腱、又は骨の侵害性の損傷又は傷害に対する通常の応答を表す。本発明の一部を形成する侵害受容性疼痛の例としては、体性疼痛:筋骨格のもの(関節痛、筋筋膜痛)もしくは皮膚のもの(これは、多くの場合高度に局在化している);又は内臓痛:中空器官又は平滑筋が挙げられる。
神経障害性疼痛は、体性感覚神経系における原病巣又は原疾患によって開始されるか又は引き起こされる疼痛である。知覚障害は、異常知覚(しびれ)として知覚される欠損から、過敏症(痛覚過敏又は異痛症)及び異常感覚(刺痛及び他の感覚)にまでわたる。本発明の一部を形成する神経障害性疼痛の例としては、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷疼痛、幻肢(切断後)痛、及び卒中後中枢性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。神経障害性疼痛の別の原因としては、外傷、化学療法、及び重金属曝露が挙げられる。
Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルのモジュレーターによって改善され得る神経障害性疼痛は、中枢又は末梢神経障害性疼痛であってもよい。中枢神経障害性疼痛は、脳、脳幹、及び脊髄が挙げられるが、これらに限定されない中枢神経系(CNS)に対する損傷又はその機能障害によって引き起こされる。末梢神経障害性疼痛は、感覚神経、運動神経、及び自律神経が挙げられるが、これらに限定されない末梢神経系に対する損傷又はその機能障害によって引き起こされる。一実施態様において、前記神経障害性疼痛は、中枢神経障害性疼痛である。別の実施態様において、前記神経障害性疼痛は、末梢神経障害性疼痛である。
炎症性疼痛は、組織炎症の部位で放出される種々のメディエーターによる侵害受容性疼痛経路の活性化及び鋭敏化の結果として起こる。炎症性疼痛におけるキープレーヤーとしてとして意味づけられてきたメディエーターは、浸潤白血球、血管内皮細胞、又は組織常在性マスト細胞によって放出される、炎症促進性サイトカイン、例えば、IL-1-アルファ、IL-1-ベータ、IL-6、及びTNF-アルファ、ケモカイン、活性酸素種、血管作用性アミン、脂質、ATP、酸、及び他の因子である。本発明の一部を形成する炎症性疼痛の原因の例としては、虫垂炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及び帯状疱疹が挙げられる。
種々の疼痛は、簡単には分類できない疼痛状態又は障害を指す。これらの障害の具体的な療法は良く知られているものの、それらの根本的な機序の現在の理解は、未だ初歩的なものにとどまる;種々の疼痛には、がん性疼痛、片頭痛及び他の原発性頭痛、並びに線維筋痛症型の広範囲にわたる疼痛が含まれる。
好適には、Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルのモジュレーターにより媒介され得る具体的な疼痛徴候は、神経障害性疼痛及び/又は炎症性疼痛である。
疼痛は、主観的状態であり、かつ臨床の現場においては、患者の自己評価によって測定される傾向がある。したがって、疼痛閾値を測定して数量化することが難しいことがある。慢性疼痛には、典型的には、主観的11ポイント評定尺度が使用され、そこでは、0が無痛であり、10が、想定できる最悪の疼痛である。対象は、一般に、所与の期間、通常1日の間の自身の最悪の疼痛を記録する。最小平均ベースラインスコアも記録され、薬物療法に対する反応が、ベースラインに対して相対的に測定され、例えば、ベースラインスコアからの少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%の疼痛の低減が観察され得る。
個体の薬品への反応は、異なり得るために、全ての個体が、ベースラインスコアからの疼痛の低減を経験するわけではない可能性もある。したがって、好適には、低減は、試験した個体の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は全てで観察される。
したがって、本発明の一実施態様において、ベースラインスコアからの少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%の疼痛の低減が、それを必要としている対象への、Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与時に観察される。
Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーターの投与は、予想される疼痛の発症の前又は疼痛の発症の後とすることができる。疾患又は障害の進展が、対象が被る疼痛の増加に繋がり得ると予想される場合、Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を、投与することができる。対象が既に疼痛を被っている場合、Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を、それを必要としている対象に投与してもよい。
それを必要としている対象の治療は、治療が必要とされる限りは、例えば、1日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、1年超、2年超、5年超、又は10年超続けてもよい。したがって、本発明の一実施態様において、治療的有効量のKv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、それを必要としている対象に、1日〜1ヶ月、1週間〜3ヶ月、1ヶ月〜6ヶ月、3ヶ月〜1年、又は1年超投与される。
対象における疼痛の低減は、外部刺激例えば、機械的又は熱的刺激(例えば、低温刺激)(実験セクションに記載されているようなもの)に対する反応を評価することによって測定可能である。該低減は、反転百分率(影響されていない疼痛部位と共に、影響された疼痛部位の投与前及び投与後閾値を測定することにより計算される、例えば、実験セクションのデータ分析部分により詳細に記載されるようなもの)としてか、又は影響を受けた疼痛部位の引っ込め閾値(withdrawal thresholds)を測定することかのいずれかにより検討することができる。好ましくは、反転百分率計算が用いられる。
したがって、本発明の一実施態様において、疼痛(例えば、神経障害性疼痛又は炎症性疼痛)への感受性が、治療的有効量のKv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与時に、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超反転される。好適には、疼痛への感受性が、80%超、又は90%超反転される。
Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーターを受ける対象は、二次的利益、例えば、機能、気分、睡眠、生活の質の向上、非稼働時間(time off work)の低減のうちの1つ以上を経験することがある。特定の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)並びに/又はその誘導体は、神経障害性疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
特定の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)並びに/又はその誘導体は、炎症性疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
特定の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)並びに/又はその誘導体は、種々の疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
一実施態様において、急性騒音性聴覚消失の予防に使用するための式(I)の化合物が提供される。
一実施態様において、急性騒音性聴覚消失の予防のための方法であって、それを必要としている対象に、式(I)の化合物を投与することを含む、前記方法が提供される。
一実施態様において、急性騒音性聴覚消失の予防のための薬品の製造における、式(I)の化合物の使用が提供される。
急性騒音性聴覚消失は、事象、例えば、大きな騒音又は爆発音への曝露によって引き起こされ得る。未来の事象が急性騒音性聴覚消失を起こし得ると予測されるこれらの場合において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を、急性騒音性聴覚消失を予防又は低減するために、該事象の前に投与してもよい。化合物(I)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物及び/もしくは誘導体の投与は、任意の急性騒音性聴覚消失を予防し得るか、又は急性騒音性聴覚消失の重症度を低減させ得るか、又は急性騒音性聴覚消失から生じる他の症状、例えば、耳鳴を緩和し得る。
「急性聴覚消失」は、数時間又は数日の間に急速に起こる聴覚消失と定義される。例えば、聴覚消失は、数分、数時間、又は数日の間に(例えば、最長で1日、例えば、最長で2日、3日、4日、5日、6日、又は7日の間に)起こり得る。急性聴覚消失は、典型的には、大きな音又は爆発音への曝露により起こるものである。大きな音又は爆発音への曝露によって引き起こされる聴覚消失は、本明細書では、「騒音性誘導性聴覚消失(noise-induced induced hearing loss)」と称される。したがって、「急性騒音性聴覚消失」は、大きな音又は爆発音への曝露によって引き起こされる、数時間又は数日の間に急速に起こる聴覚消失である。
急性聴覚消失の重要な症状としては、下記のものが挙げられる:
1.可聴閾の変化、すなわち、他の音が全く存在しない状態で聞くことができる純音の最低の音レベルの上昇;
2.耳鳴;及び
3.中枢性聴覚処理の低下、例えば、損なわれた聴覚の時間的処理及び/又は音声理解。
「大きな」騒音又は爆発音は、少なくとも90dB、例えば、少なくとも100dB、少なくとも110dB、少なくとも120dB、又は少なくとも130dBであり得る。
一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の前に開始される。例えば、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の最高で2週間前、例えば、最高で1週間、6日、5日、4日、3日、2日、24時間、12時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、又は最高で15分前に開始してもよい。式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の前の複数の機会に投与してもよい。
一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音への曝露の可能性の前に、永続的耳鳴の発生を予防又は低減するために;可聴閾の永続的シフトの発生を予防又は低減するために;或いは、例えば、聴覚の時間的処理及び/又は音声理解を含む持続的に劣化する中枢性聴覚処理の発生を予防又は低減するために投与される。
事前の投与は、対象が、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音に曝露される恐れがあると考えられる状況で行われ得るが、そのような曝露が最終的は起こる状況に限定されないことが認識されるであろう。
一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の間に開始される。式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の間の複数の機会に投与してもよい。
一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、初めは、永続的耳鳴の発生を予防又は低減するために;可聴閾の永続的シフトの発生を予防又は低減するために;或いは、例えば、聴覚の時間的処理及び/又は音声理解を含む持続的に劣化する中枢性聴覚処理の発生を予防又は低減するために、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音の間投与される。
一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の後に開始される。
従って、一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、初め、永続的耳鳴の発生を予防又は低減するために;可聴閾の永続的シフトの発生を予防又は低減するために;或いは、例えば、聴覚の時間的処理及び/又は音声理解を含む持続的に劣化する中枢性聴覚処理の発生を予防又は低減するために、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音の後に投与される。
式(I)の化合物が、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の後に投与される場合、そのような投与は、通常、「急性相」の間、すなわち、聴覚消失が確立される前に始められる。
一実施態様において、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の最高で2ヶ月後、例えば、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の最高で1ヶ月、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、24時間、12時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、又は最高で15分後に開始してもよい。式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の後の複数の機会に投与してもよい。
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、最高で7日(例えば、最高で1日、最高で2日、最高で3日、最高で4日、最高で5日、最高で6日、又は最高で7日)の期間にわたるか、1〜2週間(例えば、7〜8日、7〜9日、7〜10日、7〜11日、7〜12日、7〜13日、又は7〜14日)、2〜4週間(例えば、2〜3週間又は2〜4週間)か、又は1〜2ヶ月(例えば、4〜6週間又は4〜8週間)投与してもよい。
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音の最高で1日前、例えば、最高で2日前、最高で3日前、最高で5日前、最高で1週間、最高で2週間前、又は最高で1ヶ月前に初めて投与され得る。急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音への曝露の前の任意の時点で開始された投与は、典型的には、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音への曝露の後、最高で2ヶ月間、例えば、その後最高で1ヶ月間、3週間、最高で2週間、最高で1週間、最高で5日、最高で3日、最高で2日、又は最高で1日継続される。
一実施態様において、可聴閾の永続的シフトの発生の予防又は低減に使用するための式(I)の化合物又は医薬として許容し得る塩、溶媒和物及び/又はその誘導体が提供され、ここで、該可聴閾の永続的シフトは、少なくとも10dB、例えば、少なくとも15dB、少なくとも20dB、少なくとも30dB、少なくとも40dB、又は完全に低減される。
レビー小体型認知症(DLB)及びパーキンソン病(PD)は、結合性の喪失及びニューロンの細胞死に繋がる、レビー小体におけるタンパク質、アルファ-シヌクレインの蓄積と関連する重篤な神経変性障害である。DLBの症状としては、進行性失認、特に、計画及び注意に関する困難性が挙げられる。幻視もまた好発し、約60%の患者でみられる。PDは、初めは、主にドーパミンニューロンの喪失が原因の運動障害と関連する。現在のところ、Kv3チャネルをDLB又はPDへと直接結びつける研究は存在しないものの、皮質及び大脳基底核回路におけるKv3チャネル、特に、Kv3.1の位置及び役割は、これらのチャネルのモジュレーターが、単独又は現行の治療、例えば、DLB対するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤又はPDに対するL-DOPAとの組み合わせのいずれかで、DLB又はPDの症状を向上し得ることを示唆する。
本発明の一実施態様において、うつ状態及び気分障害、聴覚障害、統合失調症、物質乱用障害、睡眠障害、又はてんかんの治療又は予防のための式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩が提供される。
本発明の一実施態様において、双極性障害又は躁病の治療又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。
本発明の一実施態様において、失調症、例えば、脊髄小脳失調症の治療又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。
本発明の一実施態様において、認知障害の治療又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。
本発明の一実施態様において、聴覚消失又は耳鳴を含む聴覚障害及び聴覚関連障害の治療又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。
本明細書で使用される「治療」又は「治療すること」という用語は、疾患状態又はその症状の管理、緩和、低減、又は調節を含む。
本明細書で使用される「予防」という用語は、対象の疾病若しくは障害の症状を予防すること又は罹患している対象の疾病若しくは障害の症状の再発を予防することを意味するように本明細書において使用され、病気の完全な予防に限定されない。
本発明はまた、Kv3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において上で言及された疾患及び障害を治療又は予防する方法であって、それを必要としている対象に、有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む前記方法を提供する。特に、本発明は、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において上で言及された疾患及び障害を治療又は予防する方法であって、それを必要としている対象に、有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体を投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明はまた、Kv3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において上で言及された疾患及び障害の治療又は予防に使用するための、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。
特に、本発明はまた、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において上で言及された疾患及び障害の治療又は予防のための薬品の製造における、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体の使用を提供する。
本発明はまた、Kv3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において上で言及された疾患及び障害の治療又は予防のための薬品の製造における、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくは誘導体は、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量知覚の障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、てんかん、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛などの疼痛、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
本発明は、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量知覚の障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、てんかん、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛などの疼痛、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体を投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明はまた、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量知覚の障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、てんかん、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛などの疼痛、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防のための薬品の製造における、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)並びに/又はその誘導体の使用を提供する。
本発明はまた、うつ状態及び気分障害、統合失調症、物質乱用障害、睡眠障害、又はてんかん、例えば、本明細書において上で言及された適応症を治療する方法であって、それを必要としている対象に、有効量のKv3モジュレーター又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、前記方法を提供する。
療法に使用するために、本発明の化合物は、通常、医薬組成物として投与される。本発明はまた、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物を提供する。
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩は、任意の簡便な方法によって、例えば、経口、非経口、頬側、舌下、鼻腔内、直腸、又は経皮投与によって投与してもよく、医薬組成物を、それに合わせて適合させる。他の可能な投与経路としては、鼓室内及び蝸牛内が挙げられる。
経口投与された場合に活性のある式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩は、液体又は固体として、例えば、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、カプセル剤、又はロゼンジ剤として製剤化できる。
液体製剤は、一般的に、好適な液体担体(複数可)、例えば、水、エタノール、若しくはグリセリンなどの水性溶媒、又はポリエチレングリコール若しくは油などの非水性溶媒中の有効成分の懸濁液又は溶液からなるものである。製剤は、懸濁化剤、保存剤、着香剤、及び/又は着色剤も含んでよい。
錠剤の形態の組成物は、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、ラクトース、スクロース、及びセルロースなどの、固体製剤の製造にルーチン的に使用される任意の好適な医薬担体(複数可)を利用して製造できる。
カプセルの形態の組成物は、ルーチンのカプセル化手順を利用して製造でき、例えば、有効成分を含むペレットを標準的な担体を利用して製造でき、次いで硬質ゼラチンカプセルに充填できる。或いは、分散液又は懸濁液を、任意の好適な医薬担体(複数可)、例えば水性ゴム、セルロース、シリケート、又は油を利用して製造でき、次いで該分散液又は懸濁液を軟質ゼラチンカプセルに充填できる。
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体又は非経口的に許容し得る油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油、又はゴマ油中の有効成分の溶液又は懸濁液からなる。或いは、溶液を凍結乾燥して、次いで投与の直前に好適な溶媒により再構成することができる。
鼻腔内投与用の組成物は、簡便には、エアロゾル剤、ドロップ剤、ゲル剤、及び散剤として製剤化できる。エアロゾル製剤は、典型的には、医薬として許容し得る水性又は非水性溶媒中の有効成分の溶液又は微細懸濁液を含み、通常、噴霧装置と共に使用するためのカートリッジ又はレフィルの形態をとり得る密閉容器中の滅菌形態の一回量又は多用量で提供される。或いは、密閉容器は、一回量鼻腔内吸入器又は計量バルブを備えたエアロゾルディスペンサーなどの使い捨て分注装置であってもよい。剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、それは、圧縮ガス、例えば空気、又はフルオロクロロ炭化水素又はヒドロフルオロカーボンなどの有機噴射剤とすることができる噴射剤を含むであろう。エアロゾル剤形は、ポンプアトマイザーの形態もとり得る。
頬側又は舌下投与に好適な組成物には、錠剤、ロゼンジ剤、及び香錠があり、有効成分は、糖及びアラビアゴム、トラガカント、又はゼラチン及びグリセリンなどの担体と共に製剤化される。直腸投与用の組成物は、簡便には、ココアバターなどの従来の坐剤基剤を含む坐剤の形態である。経皮投与に好適な組成物には、軟膏剤、ゲル剤、及びパッチ剤がある。一実施態様において、該組成物は、錠剤、カプセル剤、又はアンプル剤などの単位用量形態である。
該組成物は、投与の方法によって、重量で0.1%〜100%、例えば重量で10〜60%の活性物質を含むことがある。該組成物は、投与の方法によって、重量で0%〜99%、例えば重量で40%〜90%の担体を含むことがある。該組成物は、投与の方法によって、0.05mg〜1000mg、例えば1.0mg〜500mgの活性物質を含むことがある。該組成物は、投与の方法によって、50mg〜1000mg、例えば100mg〜400mgの担体を含むことがある。上述の障害の治療に利用される化合物の一回投与量は、障害の重篤度、患者の体重、及び他の類似因子により通常変わるものである。しかしながら、一般的な基準として、好適な単位用量は、0.05〜1000mg、より好適には1.0〜500mgでよく、そのような単位用量は、1日2回以上、例えば、1日2回又は3回投与され得る。そのような療法は、数週間又は数ヶ月継続され得る。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体と、1種以上のさらなる治療薬剤とを含む組合せを提供する。
本発明は、1種以上のさらなる治療薬剤との組み合わせでの使用のための式(I)の化合物を提供する。
前記化合物が、別の治療薬剤と組み合わせて用いられる場合、該化合物は、任意の簡便な経路で、順次にか又は同時にかのいずれかで投与してもよい。
上で言及した組合せは、好都合には、医薬製剤の形態での使用のために提供され得る。従って、上で定義されたような組合せと共に、医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を含む。そのような組合せの個々の成分は、別々の又は組み合わされた医薬製剤で、順次又は同時のいずれかで投与し得る。組合せの個々の成分は、同じ又は異なる経路で、別々に投与され得る。
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る誘導体が、同じ疾患状態に対して活性な第2の治療薬剤と組み合わせて用いられる場合、各化合物の用量は、該化合物が単独で用いられる場合のものとは異なり得る。好適な用量は、当業者によって容易に認識されるであろう。
本発明の医薬組成物は、好適には周囲温度及び大気圧で混合により製造され得るが、通常、経口、非経口、又は直腸投与に適しており、したがって、錠剤、カプセル剤、経口液体調合物、散剤、顆粒剤、ロゼンジ剤、再構成用散剤、注射若しくは注入用の液剤若しくは懸濁剤、又は坐剤の形態であり得る。経口投与用組成物が一般的に好ましい。
本発明はまた、うつ状態及び気分障害、聴覚障害、統合失調症、物質乱用障害、睡眠障害、又はてんかんの治療又は予防に使用するための、Kv3モジュレーター、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくはその溶媒和物を提供する。
特に、Kv3モジュレーター又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物は、大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソード、及び軽躁エピソードを含むうつ状態及び気分障害;大鬱病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能の鬱病性障害(311)を含む鬱病性障害;双極性I型障害、双極性II型障害(軽躁エピソードを伴う再発性の大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)、及び特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;鬱病的特徴を有する亜型、大鬱病様エピソードを有する亜型、躁病的特徴を有する亜型、及び混合特徴を有する亜型を含む全身病状を原因とする気分障害(293.83)を含む他の気分障害、物質誘発性気分障害(鬱病的特徴を有する亜型、躁病的特徴を有する亜型、及び混合特徴を有する亜型を含む)、並びに特定不能の気分障害(296.90)、季節性感情障害の治療又は予防において特に有用である可能性がある。
本発明はまた、うつ状態及び気分障害、聴覚障害、統合失調症、物質乱用障害、睡眠障害、又はてんかん、例えば、本明細書において上で言及されたこれらの障害を含めたものを治療する方法であって、それを必要としている対象に、有効量のKv3モジュレーター又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明はまた、うつ状態及び気分障害、聴覚障害、統合失調症、物質乱用障害、睡眠障害、又はてんかん、例えば、本明細書において上で言及されたこれらの障害を含めたものの治療又は予防に使用するための、Kv3モジュレーター、又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。
本発明はまた、うつ状態及び気分障害、聴覚障害、統合失調症、物質乱用障害、睡眠障害、又はてんかん、例えば、本明細書において上で言及されたこれらの障害を含めたものの治療又は予防のための薬品の製造における、Kv3モジュレーター、又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用を提供する。
療法に使用するために、前記Kv3モジュレーターは、通常医薬組成物、例えば、Kv3モジュレーター又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに医薬として許容し得る担体を含む組成物として投与される。式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含むそのような組成物、及びその投与の方法の例は、本明細書において上で記載されている。そのような組成物及び投与の方法は、うつ状態及び気分障害、聴覚障害、統合失調症、物質乱用障害、睡眠障害、又はてんかん、例えば、本明細書において上で言及されたこれらの障害を含めたものの治療において、別のKv3モジュレーター又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物に使用してもよい。
さらに、本発明は、式(I)の化合物を生産するための方法、式(I)の化合物の製造において有用な新規中間体、及びそのような中間体の製造に関する。
興味深い特定の中間体としては、式Va、Vb、又はVc:
Figure 2019502696
(式中、R1、R2、R3、R13、R14、R16、及びR17は、本明細書において上で定義された通りである)
の化合物が挙げられる。
以下の具体的な化合物を含む:
5-[(7-メチルスピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ]ピリジン-2-アミン
Figure 2019502696
5-[(3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピリジン-2-アミン
Figure 2019502696
5-(スピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ)ピリジン-2-アミン
Figure 2019502696
(実験)
本発明を、以下に記載する化合物によって説明する。以下の実施例は、具体的な本発明の化合物の実験室的合成を説明するものであり、化合物又はプロセスに関して本発明の範囲を限定することを決して意味しない。具体的な試薬、溶媒、温度、及び時間が用いられるが、類似の結果を生じさせるために使用することができる多くの可能な等価な代替手段が存在することが理解される。本発明は、そのような等価物を含むことを意図している。
(分析用設備)
特に断りのない限り、出発材料、試薬、及び溶媒は、商業的な供給業者から得て、さらなる精製を行わずに使用した。特に断りのない限り、キラル中心を有する全ての化合物は、ラセミ体である。反応が、以前のもの、より完全には記載した反応と、類似の様式で実施されたと記載されている場合、使用した一般反応条件は本質的に同じである。使用したワークアップ条件は、本技術分野において標準的なタイプのものであるが、ある反応と別の反応とで改変した可能性もある。出発材料は、必ずしも言及されたバッチから調製されたものではない可能性がある。合成された化合物は、例えば、85%から98%までの範囲にわたるさまざまな純度を有し得る。場合によってはモル数及び収率の計算は、これに合わせる。
核磁気共鳴(NMR)スペクトル(1H;13C;及び19F)は、300、400、500、もしくは600MHzのVarianの機器、又は400MHzのBrukerの機器のいずれかで記録した。化学シフトは、残留溶媒線を内部標準として用いてppm(δ)で報告される。分裂パターンは、s(一重線)、br.s(ブロードな一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)、及びm(多重線)として示される。NMRスペクトルは、25から30℃までの範囲の温度で記録された。
直接注入質量スペクトル(MS)は、HPLC機器Agilent 1100シリーズと連結されたES(+)及びES(-)イオン化モードで動作する質量分析計で行った[LC/MS-ESI(+)分析は、Supelcosil ABZ+Plus(33×4.6mm、3μm)で行った(移動相:2.2分間で10%[CH3CN+0.05%TFA]から90%[CH3CN+0.05%TFA]及び10%[水]、該条件下で2.8分間。T=45℃、流束=0.9mL/分)]。記載した化合物の分析的キャラクタリゼーションにおける本方法の使用は、「MS_2(ESI)」で示す。
品質管理:酸性条件下でのLC/MS-ES+を、Zorbax SB C18カラム(1.8μm、3×50mm)で行った。移動相:A:(H2O+0.05体積%TFA)/B:(CH3CN+0.05体積%TFA)。グラジエント:t=0分で0%の(B)、2.5分で0から95%までの(B)、95%の(B)を0.2分間、0.2分間で95から100%までの(B)、100%の(B)を0.4分間、0.1分間で100%から0%までの(B)。停止時間4分。カラムT=60℃。流速:1.5ml/min。質量範囲ES+:(100〜1000amu、F=60)。UV検出波長:DAD 1A=220.8、DAD 1B=254.8。記載した化合物の分析的キャラクタリゼーションにおける本方法の使用は、「LC/MS:QC_3_MIN」で示す。
(酸性グラジエントを用いる超高速液体クロマトグラフィー)
全イオン電流(TIC)及びDAD UVクロマトグラフィーによるトレースは、ピークに関連するMS及びUVスペクトルと共に、2996 PDA検出器を取り付け、かつ正又は負のエレクトロスプレーイオン化モードで動作するWaters Micromass ZQ(商標)質量分析計に連結されたUPLC/MS Acquity(商標)システムで取得した[LC/MS-ES(+又は-):分析は、Acquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50×2.1mm、1.7 μm粒度)を用いて行った。一般方法:移動相:A:(水+0.1% HCO2H)/B:(CH3CN+0.06% HCO2H)。グラジエント:t=0分で3%の(B)、t=0.05分で6%の(B)、t=0.57分で70%の(B)、t=1.06分で99%の(B)、0.389分間継続、t=1.45分で3%の(B)、停止時間1.5分。カラムT=40℃。流速=1.0mL/分。質量範囲:ES(+):100〜1000amu。ES(-):100〜800amu。UV検出範囲:210〜350nm。記載した化合物の分析的キャラクタリゼーションにおける本方法の使用は、「UPLC」で示す。
(塩基性グラジエントを用いる超高速液体クロマトグラフィー:)
全イオン電流(TIC)及びDAD UV クロマトグラフィーによるトレースは、ピークに関連するMS及びUVスペクトルと共に、PDA検出器を取り付け、かつ正及び負の交互エレクトロスプレーイオン化モードで動作するWaters SQD質量分析計に連結されたUPLC/MS Acquity(商標)システムで取得した[LC/MS-ES+/-:分析は、Acquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50×2.1mm、1.7μm粒度)を用いて行った。移動相:A:(NH4HCO3の10mM水溶液(アンモニアでpH10に調整))/B:CH3CN。グラジエント:t=0分で3%の(B)、t=1.06分で99%の(B)、0.39分間継続、t=1.46分で3%の(B)、停止時間1.5分。カラムT=40℃。流速=1.0mL/分。質量範囲:ES(+):100〜1000amu。ES(-):100〜1000amu。UV検出範囲:220〜350nm。記載した化合物の分析的キャラクタリゼーションにおける本方法の使用は、「UPLC_B」で示す。
いくつかの調製においては、精製は、Biotage自動フラッシュクロマトグラフィー(SP1及びSP4)又はFlash Master Personalシステムを用いて行った。
フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル230〜400メッシュ(Merck AG Darmstadt社、ドイツより供給)又はシリカゲル300〜400メッシュ(Sinopharm Chemical Reagent社より供給)、Varian Mega Be-Siプレパックドカートリッジ、プレパックドBiotageシリカカートリッジ(例えば、Biotage SNAPカートリッジ)上で実施した。
(略語)
Figure 2019502696
(中間体1)
(酢酸2-ブロモ-3-ヒドロキシフェニル)
Figure 2019502696
ジクロロメタン(70ml)中の2-ブロモ-1,3-ベンゼンジオール(3.028g、16.02mmol)の溶液に、TEA(3.35ml、24.03mmol)及び無水酢酸(1.512ml、16.02mmol)を撹拌しながら加えた。反応混合物を、室温で1晩撹拌した。反応を、塩化アンモニウムの飽和溶液(100ml)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(3×70ml)した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートして、表題化合物を、黒色のオイルとして得て、それを次工程に直接用いた(3.028g)。
UPLC_B:0.41分、229[M-H]-
(中間体2)
(酢酸2-ブロモ-3-[(2-メチル-2-propen-1-イル)オキシ]フェニル)
Figure 2019502696
アセトニトリル(60ml)中の酢酸2-ブロモ-3-ヒドロキシフェニル(中間体1、3028mg)の溶液に、炭酸カリウム(3623mg、26.2mmol)及び3-ブロモ-2-メチル-1-プロペン(2123mg、15.73mmol)を加えた。反応混合物を、室温で1晩撹拌した。該混合物を、水で洗浄した(3×60ml)。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、100g-SNAPカラム及び溶離液として100/0から80/20のシクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を、無色のオイルとして得た(2.324g)。
Figure 2019502696
UPLC:0.81分、285[M+H]+
(中間体3)
(酢酸3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)
Figure 2019502696
トルエン(20ml)中の酢酸2-ブロモ-3-[(2-メチル-2-propen-1-イル)オキシ]フェニル(中間体2、2.324g)の溶液に、AIBN(1.606g、9.78mmol)及びトリブチルスタンナン(4.73g、16.30mmol)を加えた。反応混合物を撹拌し、100℃で2時間加熱し、その後、室温で4時間置いた。反応を、水(60ml)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(3×50ml)した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、100g-SNAPカラム及び溶離液として100/0から70/30のシクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を、無色のオイルとして得た(1.290g)。
Figure 2019502696
UPLC:0.72分、207[M+H]+
(中間体4)
(3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-オール)
Figure 2019502696
メタノール(50ml)中の酢酸3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル(中間体3、1.290g)の溶液に、水(25.00ml)中の水酸化ナトリウム(0.375g、9.38mmol)の溶液を加えた。反応混合物を、室温で30分間撹拌した。該混合物を、その後、HCl 5%で、pH=5まで酸性化し、酢酸エチルで抽出(3×50ml)した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、25g-SNAPカラム及び溶離液として100/0から80/20のシクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を、白色固体として得た(855mg)。
Figure 2019502696
UPLC:0.65分、165[M+H]+。
(中間体5)
(1,3-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}ベンゼン)
Figure 2019502696
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(13.62ml)中の1,3-ベンゼンジオール(1.5g、13.62mmol)の0℃の溶液に、水素化ナトリウム(0.981g、40.9mmol)を加え、反応混合物を、15分間、同温度で撹拌した。MOM-Cl(3.10ml、40.9mmol)を、素早く添加し、温度を室温へと到達させながら、反応混合物を1時間撹拌した。反応を、食塩水(20ml)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(3×50ml)した。有機層を、食塩水(2×30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートし、残渣を、50gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(1.59g、8.02mmol)を無色のオイルとして得た。
Figure 2019502696
(中間体6)
(2,6-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェニル)(オキソ)酢酸エチル)
Figure 2019502696
乾燥テトラヒドロフラン(10ml)中の1,3-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}ベンゼン(中間体5、2.19g)の室温の溶液に、ヘキサン中1.6MのBuLi(8.29ml、13.26mmol)を加え、反応混合物を、30分間同温度で撹拌した。混合物を-78℃まで冷却し、それを、-78℃の乾燥テトラヒドロフラン(10ml)中のクロロ(オキソ)酢酸エチル(2.263g、16.57mmol)の溶液に、(カニューレ移送によって)加えた。反応混合物を、-78℃で30分間撹拌した。反応を、塩化アンモニウムの飽和水溶液(10ml)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(2×30ml)。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、100gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物を淡黄色オイルとして得た(1.75g)。
Figure 2019502696
(中間体7)
(2-(2,6-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェニル)-2-プロペン酸エチル)
Figure 2019502696
乾燥テトラヒドロフラン(30ml)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(3.13g、8.75mmol)の0℃懸濁液に、KHMDS(1.745g、8.75mmol)を、ゆっくりと加え、反応混合物を、0℃で15分間及び室温で45分間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(10mL)中の(2,6-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェニル)(オキソ)酢酸エチル(中間体6、1.74g)の溶液をゆっくりと加え、反応混合物を、0℃で2時間撹拌した。反応を、塩化アンモニウムの飽和水溶液(10ml)でクエンチし、水(20ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×50ml)。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、100gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物を無色のオイルとして得た(1.37g)。
Figure 2019502696
(中間体8)
(1-(2,6-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェニル)シクロプロパンカルボン酸エチル)
Figure 2019502696
乾燥ジメチルスルホキシド(20mL)中のトリメチルスルホキソニウムヨージド(1.805g、8.20mmol)の溶液に、水素化ナトリウムの鉱油中60%分散物(0.310g、7.75mmol)を加え、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。乾燥ジメチルスルホキシド(10mL)中の2-(2,6-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェニル)-2-プロペン酸エチル(中間体7、1.35g)の溶液を、ゆっくりと加え、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。反応を、塩化アンモニウムの飽和水溶液(10ml)でクエンチし、水(20ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×50ml)。有機層を、水で洗浄し(50ml)、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、50gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製し、表題を無色のオイルとして得た(1.14g)。
Figure 2019502696
(中間体9)
(2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]-3-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェノール)
Figure 2019502696
エタノール(10ml)中の1-(2,6-ビス{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェニル)シクロプロパンカルボン酸エチル(中間体8、490mg)の溶液に、水中2NのHCl(0.789mL、1.579mmol)を加え、反応混合物を、50℃で1晩撹拌した。トルエン(20mL)を加え、合わせた溶媒を減圧下除去した。残渣を、トルエン(20ml)に再懸濁し、溶媒をエバポレートした。得られた残渣を、乾燥テトラヒドロフラン(20ml)に溶解し、混合物を0℃まで冷却し、NaHの鉱油中60%分散物(126mg、3.16mmol)を加え、反応混合物を、30分間同温度で撹拌した。その後、MOM-Cl(0.120mL、1.579mmol)を加え、反応混合物を、0℃で2時間撹拌した。LiAlH4(THF中1M、1.579ml、1.579mmol)を加え、反応混合物を、同温度で1時間さらに撹拌した。反応を、塩化アンモニウムの飽和水溶液(10ml)でクエンチした、水(10ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×50ml)。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートし、残渣を、25gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル7:3を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物を無色のオイルとして得た(191mg)。
Figure 2019502696
UPLC:0.59分、225[M+H]+。
(中間体10)
(4-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}スピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン])
Figure 2019502696
乾燥テトラヒドロフラン(10ml)中の2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]-3-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}フェノール(中間体9、190mg)の溶液に、トリフェニルホスフィン(333mg、1.271mmol)を加え、反応混合物を、PPh3が完全に溶解するまで撹拌した。その後、DIAD(0.198ml、1.017mmol)を滴下して、反応混合物を、室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下取り除いた。残渣を、25gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル9:1を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物を淡黄色オイルとして得た(120mg)。
Figure 2019502696
UPLC_B: 0.88分、207[M+H]+。
(中間体11)
(スピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール)
Figure 2019502696
メタノール(5ml)中の、4-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}スピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン](中間体10、118mg)の溶液に、水中2NのHCl(0.286mL、0.572mmol)を加え、反応混合物を、50℃で1晩撹拌した。合わせた溶媒を減圧下除去し、残渣をトルエン(10ml)中に再溶解させ、溶媒を除去した。残渣を、10gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル7:3を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製し、表題化合物を白色固体として得た(70mg)。
Figure 2019502696
(中間体12)
(2,4-ビス(メトキシメトキシ)-1-メチル-ベンゼン)
Figure 2019502696
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(30ml)中の4-メチルベンゼン-1,3-ジオール(4g、32.26mmol)の0℃の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物)(3.87g、96.78mmol)を加え、反応混合物を、15分間、同温度で撹拌した。MOM-Cl(7.35ml、96.78mmol)を、素早く添加し、温度を室温へと到達させながら、反応混合物を1時間撹拌した。反応を、食塩水(40ml)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(3×80ml)。有機層を、氷冷食塩水で洗浄し(2×50ml)、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートし、残渣を、100gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物を無色のオイルとして得た(6.1g)。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.811分;213[M+H]+。
(中間体13)
(2-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-3-メチル-フェニル]-2-オキソ酢酸エチル)
Figure 2019502696
乾燥テトラヒドロフラン(50ml)中の2,4-ビス(メトキシメトキシ)-1-メチル-ベンゼン(中間体12、5.5g、25.94mmol)の室温の溶液に、ヘキサン中1.6MのBuLi(19.45ml、31.13mmol)を加え、反応混合物を、30分間同温度で撹拌した。混合物を-78℃まで冷却し、それを、乾燥テトラヒドロフラン(30ml)中のクロロオキソ酢酸エチル(4.35ml、38.9mmol)の溶液に-78℃で(カニューレ移送によって)加えた。反応混合物を、-78℃で30分間撹拌した。反応を、水(20ml)でクエンチし、食塩水(50ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×100ml)。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、100gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製し、表題化合物(4.65g)を、淡黄色オイルとして得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.865分。
(中間体14)
(2-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-3-メチル-フェニル]プロパ-2-エン酸エチル)
Figure 2019502696
乾燥テトラヒドロフラン(50ml)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(8.78g、24.6mmol)の0℃の懸濁液に、トルエン中のKHMDSの0.5M溶液(44.22ml、22.11mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を、0℃で15分間及び室温で45分間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、それを、乾燥テトラヒドロフラン(25mL)中の2-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-3-メチル-フェニル]-2-オキソ酢酸エチル(中間体13、4.6g、14.74mmol)の溶液に0℃でゆっくりと加え、反応混合物を、0℃で2時間撹拌した。反応を、水(50ml)でクエンチし、食塩水(50ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×100ml)。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、100gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(3.8g)を無色のオイルとして得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.930分。
(中間体15)
(1-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-3-メチル-フェニル]シクロプロパンカルボン酸エチル)
Figure 2019502696
乾燥ジメチルスルホキシド(30mL)中のトリメチルスルホキソニウムヨージド(4.4g、20mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物)(0.720g、18mmol)を加え、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。乾燥ジメチルスルホキシド(15mL)中の2-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-3-メチル-フェニル]プロパ-2-エン酸エチル(中間体14、3.5g、11.29mmol)の溶液を、ゆっくりと加え、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。反応を、塩化アンモニウムの飽和水溶液(10ml)でクエンチし、水(40ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×100ml)。有機層を、水で洗浄し(2×50ml)、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートした。残渣を、100gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(3.1g)を無色のオイルとして得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=2.028分。
(中間体16)
(2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]-3-(メトキシメトキシ)-6-メチル-フェノール)
Figure 2019502696
エタノール(10ml)中の1-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-3-メチル-フェニル]シクロプロパンカルボン酸エチル(中間体15、300mg、0.93mmol)の溶液に、水中6NのHCl(0.4mL、2.4mmol)を加え、反応混合物を、50℃で1晩撹拌した。合わせた溶媒を減圧下除去した。残渣を乾燥トルエン(10mL)中に懸濁させ、溶媒をエバポレートした。得られた残渣を、乾燥テトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、混合物を0℃まで冷却し、NaH(鉱油中60%分散物)(80mg、2mmol)を加え、反応混合物を、30分間同温度で撹拌した。その後、MOM-Cl(0.083mL、1.1mmol)を加え、反応混合物を、0℃で1時間撹拌した。LiAlH4(THF中1M、1.2ml、1.2mmol)を加え、反応混合物を、同温度で1時間さらに撹拌した。反応を、塩化アンモニウムの飽和水溶液(10ml)でクエンチし、水(20ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×50ml)。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレートし、残渣を、25gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル7:3を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製し、表題化合物(70mg)を白色固体として得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.690分;239[M+H]+。
(中間体17)
(4-(メトキシメトキシ)-7-メチル-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン])
Figure 2019502696
乾燥テトラヒドロフラン(5ml)中の2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]-3-(メトキシメトキシ)-6-メチル-フェノール(中間体16、65mg、0.27mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(84mg、0.32mmol)を加え、反応混合物を、PPh3が完全に溶解するまで撹拌した。その後、DIAD(0.056ml、0.285mmol)を滴下し、反応混合物を、室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下除去し、残渣を、10gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル8:2を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(40mg)を淡黄色オイルとして得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=2.024分;221[M+H]+。
(中間体18)
(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール)
Figure 2019502696
エタノール(5ml)中の4-(メトキシメトキシ)-7-メチル-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン](中間体17、38mg、0.17mmol)の溶液に、水中6NのHCl(0.1mL、0.6mmol)を加え、反応混合物を、室温で4日間撹拌した。合わせた溶媒を減圧下除去し、残渣を、10gのSNAPカラム及び溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン/酢酸エチル7:3を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(24mg)を淡橙色固体として得た。
Figure 2019502696
ROESY (400 MHz, DMSO-d6): 6.65ppmのプロトンと2.02ppmのプロトン(CH3)との間にNOE相関、9.02ppmのプロトンと6.06ppmのプロトンとの間にNOE相関
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.647分;177[M+H]+。
(中間体19)
(5-[(7-メチルスピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ]-2-ニトロピリジン)
Figure 2019502696
乾燥アセトニトリル(1mL)中の7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール(中間体18、50mg、0.2838mmol)の溶液に、炭酸ジカリウム(58.826mg、0.4256mmol)及び5-クロロ-2-ニトロ-ピリジン(42.737mg、0.2696mmol)を加え、反応混合物を、90℃で1晩撹拌した。冷却後、反応を水(1ml)でクエンチし、食塩水(5ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×10ml)。有機層を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、エバポレートして、さらなる精製を行わずに次工程で用いた表題化合物を白色固体として得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=2.036分;299[M+H]+。
7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール(中間体18)を、適当なフェノールに置き換えた前述の方法を用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は別の適当な溶媒系)によって精製した。
Figure 2019502696
(中間体22)
(5-[(7-メチルスピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ]ピリジン-2-アミン)
Figure 2019502696
5-[(7-メチルスピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ]-2-ニトロピリジン(中間体19)を、エタノール(2.5mL)/水(0.5000mL)に溶解し、鉄(106mg,1.90mmol)及び水中6Nの塩化水素(0.047ml、0.284mmol)を加え、反応混合物を、80℃で1時間撹拌した。反応を、NaHCO3(5ml)の飽和水溶液及び酢酸エチル(10ml)で希釈し、触媒を濾別した。2相が分離した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、エバポレートし、残渣を、カラムとしてSNAPを10g、溶離液として80:20〜50:50のシクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(23mg)を白色固体として得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.688分;269[M+H]+。
5-[(7-メチルスピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ]-2-ニトロピリジン(中間体19)を適当なニトロピリジンに置き換えた前述の方法を用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は別の適当な溶媒系)によって精製した。
Figure 2019502696
(中間体25)
(N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]カルバモイル]プロピル]カルバミン酸tert-ブチル)
Figure 2019502696
乾燥DMF(5mL)中の(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(470mg,2,3mmol)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(445mg、3,44mmol)を加え、それに続き、[ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウムテトラフルオロホウ酸塩(730mg,2,27mmol)を分割添加し、反応混合物を、15分間撹拌し、その後、乾燥DMF(2mL)中の5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピリジン-2-アミン(中間体22、560mg、2,1mmol)の溶液を加えた。反応混合物を、室温で24時間撹拌した。
反応を、氷でクエンチし、その後、MTBE(30ml)及びHClの0.5N水溶液(10ml)を加えた。混合物を振盪(shacken)したところ、2相が分離した。有機層を、HClの0.5N水溶液(10ml)で洗浄し、その後、氷冷食塩水(2×10ml)で洗浄し、その後乾燥し(Na2SO4)、濾過し、エバポレートした。残渣を、カラムとして25gのSNAP及び溶離液として100:0〜70:30のシクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(540mg)を白色固体として得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=2.51分;454[M+H]+。
(中間体26)
((2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]ブタンアミド)
Figure 2019502696
DCM(8mL)中のN-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]カルバモイル]プロピル]カルバミン酸tert-ブチル(中間体25、540mg、1,19mmol)の0℃の溶液に、2,2,2-トリフルオロ酢酸(2980mg、26mmol)を、ゆっくりと加え、反応混合物を、同温度で3時間撹拌した。揮発性物質を減圧下除去し、残渣を、DCM及びNaHCO3の飽和水溶液間に分配した。2相が分離し、有機層を乾燥し、濾過し、エバポレートして、表題化合物(410mg)を白色固体として得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.988分;354[M+H]+。
(中間体27)
(N-[(1R)-1-[(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル)カルバモイル]プロピル]カルバミン酸tert-ブチル)
Figure 2019502696
中間体27は、GlaxoSmithKline s.p.a.によって調製され、キャラクタリゼーションデータは、現在のところ入手可能ではない。
(中間体28)
((2R)-2-アミノ-N-[5-(スピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ)ピリジン-2-イル]ブタンアミド)
Figure 2019502696
中間体28は、GlaxoSmithKline s.p.a.によって調製され、キャラクタリゼーションデータは、現在のところ入手可能ではない。
(実施例1)
((5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン)
Figure 2019502696
酢酸エチル(1mL)中の炭酸ビス(トリクロロメチル)(12.7mg,0.043mmol)の溶液に、酢酸エチル(1mL)中の5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピリジン-2-アミン(中間体22、23mg,0.086mmol)/N-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(0.15ml、0.86mmol)の溶液を、ゆっくりと加え、反応混合物を、室温で15分間撹拌した。過剰のホスゲンを除去するために真空にし(2分間)、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(10.5mg、0.086mmol)を加えた。酢酸エチル(1mL)中の(2R)-2-アミノ-2-メチル-ブタン酸メチル塩酸塩(28.7mg,0.17mmol)の溶液を加え、反応混合物を、室温で30分間撹拌した。反応を、NH4Clの飽和水溶液(1ml)でクエンチし、HClの0.5M水溶液(5ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(2×10ml)。有機層を、HClの0.5M水溶液(5ml)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、エバポレートし、残渣を、カラムとしてSNAPを10g及び溶離液として99.5:0.5〜95:5のジクロロメタン/メタノールを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物を白色固体として得た。
Figure 2019502696
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=1.994分;394[M+H]+。
5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピリジン-2-アミン(中間体22)を適当なアニリンで置き換えた前述の方法を用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;ジクロロメタン/メタノール、シクロヘキサン/EtOAc又は別の適当な溶媒系)によって精製した。
Figure 2019502696
(2R)-2-アミノ-2-メチル-ブタン酸メチル塩酸塩を、α-アミノイソ酪酸メチル塩酸塩に置き換えて前述の方法を用いて(中間体22を用いて)、以下の化合物を調製した。最終生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;ジクロロメタン/メタノール、シクロヘキサン/EtOAc又は別の適当な溶媒系)によって精製した。
Figure 2019502696
(実施例4)
((5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン)
Figure 2019502696
DCM(20mL)中の(2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]ブタンアミド(中間体26、400mg、1,13mmol)の溶液に、トリエチルアミン(363mg,3,6mmol)を加え、反応混合物を0℃まで冷却した。DCM(5mL)中の炭酸ビス(トリクロロメチル)(135mg、0,45mmol)の溶液をゆっくりと加え、反応混合物を、同温度で30分間撹拌した。
反応を、DCM(30ml)で希釈し、水(20ml)でクエンチした。2相が分離し、有機層を、0.5N HCl水溶液(2×20ml)で洗浄し、その後、食塩水(20ml)で洗浄した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、エバポレートし、残渣を、カラムとして25gのSNAP及び溶離液として80:20〜40:60のシクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(Biotageシステム)によって精製して、表題化合物(380mg)を白色固体として得た。
LC/MS:QC_3_MIN:Rt=2.18分;380[M+H]+。
(実施例5)
(5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン)
Figure 2019502696
実施例5は、GlaxoSmithKline s.p.a.によって調製され、キャラクタリゼーションデータは、現在のところ入手可能ではない。
(実施例6)
((5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン)
Figure 2019502696
実施例6は、GlaxoSmithKline s.p.a.によって調製され、キャラクタリゼーションデータは、現在のところ入手可能ではない。
以下の参照実施例:
参照実施例RE1
(5R)-5-エチル-3-(6-{[4-メチル-3-(メチルオキシ)フェニル]オキシ}-3-ピリジニル)-2,4-イミダゾリジンジオン
Figure 2019502696
参照実施例RE3
3-(1,1-ジメチルエチル)-4-({5-[(4R)-4-エチル-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジニル]-2-ピリジニル}オキシ)ベンゾニトリル
Figure 2019502696
参照実施例RE9
(5R)-5-エチル-3-[6-(スピロ[1-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ)-3-ピリジニル]-2,4-イミダゾリジンジオン
Figure 2019502696
を、WO2012/076877に記載されているように調製した。
(生物学的実施例1)
本発明の化合物の電位開口型カリウムチャネルサブタイプKv3.2又はKv3.1を調節する能力は、以下のアッセイを利用して決定できる。類似の方法を利用して、本発明の化合物のKv3.3及びKv3.4を含む他のチャネルサブタイプを調節する能力を調べることができる。
(細胞生物学)
ヒトKv3.2チャネル(hKv3.2)に対する化合物の効果を評価するために、hKv3.2を発現している安定な細胞系を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)-K1細胞を、pCIH5-hKv3.2ベクターにより形質移入して作成した。細胞は、10%ウシ胎児血清、1×非必須アミノ酸(Invitrogen社製)、及び500μg/mLのハイグロマイシン-B(Invitrogen社製)を補ったDMEM/F12培地中で培養した。空気中5%のCO2を含む加湿環境中37℃で、細胞を増殖及び維持した。
ヒトKv3.1チャネル(hKv3.1)に対する化合物の影響を評価するために、CHO/Gam/E1A-クローン22別名CGE22細胞を、hKv3.1 BacMam試薬を使用して形質導入した。この細胞系は、野生型CHO-K1に比べてリコンビナントタンパク質発現を増大させるために改善されたCHO-K1-系宿主となるように設計された。該細胞系を、アデノウイルス-Gam1タンパク質を発現するBacMamウイルスによるCHO-K1細胞の形質導入及びジェネティシン-G418による選択の後に生成させ、安定な細胞系、CHO/Gam-A3が生じた。CHO/Gam-A3細胞を、pCDNA3-E1A-Hygroにより形質移入し、それに続いてハイグロマイシン-B選択、及びFACSソーティングして、単細胞クローンを得た。次いで、BacMam-Luciferase及びBacMam-GFPウイルスを一過性形質導入試験に使用して、最高のBacMam形質導入及びリコンビナントタンパク質発現に基づいてクローンを選択した。300μg/mlのハイグロマイシン-B及び300μg/mlのG418を添加した、hKv3.2 CHO-K1安定細胞系に使用したのと同じ培地に、CGE22細胞を培養した。他の条件は全てhKv3.2 CHO-K1細胞のものと同じであった。実験の前日、1,000万のCGE22細胞をT175培養フラスコに蒔き、hKv3.1 BacMam試薬(pFBM/ヒトKv3.1)を加えた(MOI50)。形質導入された細胞を24時間後に使用した。
(IonWorks Quattro(商標)実験のための細胞調製)
実験当日に、細胞をインキュベーターから取り出し、培地を除いた。細胞を、カルシウム及びマグネシウムを含まない5mlのDulbeccoのPBS(DPBS)により洗浄して、3mlのVersene(Invitrogen社製、イタリア)の添加により脱着し、それに続いて37℃で5分間短時間のインキュベートをした。フラスコを軽くたたいて細胞を移動させ、カルシウム及びマグネシウムを含む10mlのDPBSを加えて、細胞懸濁液を調製した。次いで、細胞懸濁液を15mlの遠心分離管に入れ、1200rpmで2分間遠心分離した。遠心分離の後、上清を除き、細胞のペレットを5mlのピペットを使用してカルシウム及びマグネシウムを含む4mlのDPBSに再懸濁させ、ペレットを粉砕した。次いで、細胞懸濁液体積を補正して、アッセイのために1mlあたりおよそ300万の細胞の細胞濃度を得た。
細胞に加えた溶液は全て、事前に37℃に温めた。
(電気生理学)
実験は、室温で、PatchPlate(商標)PPCを用いたIonWorks Quattro(商標)平面アレイ電気生理学技術(Molecular Devices Corp.社製)を使用して実施した。刺激プロトコル及びデータ取得は、マイクロコンピューター(Dell Pentium 4)を使用して実施した。平面電極ホール抵抗(planar electrode hole resistance)(Rp)は、各ウェルの間に10mVの電圧ステップを印加して決定した。これらの測定は、細胞添加前に実施した。細胞添加及びシール形成の後、-80mVから-70mVの電圧ステップを160ms印加することにより、シール試験を実施した。この後、アムホテリシン-B溶液を、電極の細胞内面に加えて、細胞内へのアクセスを得た。細胞を-70mVに維持した。50msの過分極(10mV)プレパルスを印加してリーク電流を誘発し、それに続いて試験パルスの前に保持電位での20msの期間をおくことにより、リーク減算を全ての実験において実施した。-70mVの保持電位から-15mVへの第1の試験パルスを100ms印加し、さらに-70mVでさらに100msの後、40mVへの第2のパルスを50ms印加した。次いで、細胞を-100mVでさらに100ms維持し、次いで、-100mVから40mVへの電圧ランプを200msにわたり印加した。試験パルスプロコトルは、被験化合物の非存在下(先読み取り)及び存在下(後読み取り)で実施できる。先読み取りと後読み取りとを、化合物の添加とそれに続く3分のインキュベーションにより分けることができる。
(溶液及び薬物)
細胞内液は下記を含んでいた(mM):グルコン酸カリウム100、KCl 54、MgCl2 3.2、HEPES 5、KOHによりpH 7.3に調整。アムホテリシン-B溶液を、50mg/mlのDMSO中のストック溶液として調製し、細胞内液で0.1mg/mlの最終使用濃度に希釈した。外液は、Dulbeccoのリン酸緩衝食塩水(DPBS)であり、下記を含んでいた(mM):CaCl2 0.90、KCl 2.67、KH2PO4 1.47、MgCl.6H2O 0.493、NaCl 136.9、Na3PO4 8.06、pHは7.4。
本発明の化合物(又はN-シクロヘキシル-N-[(7,8-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3-キノリニル)メチル]-N'-フェニルウレアなどの参考化合物)を、10mMのストック濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。これらの溶液を、Biomek FX(Beckman Coulter社製)を使用し384化合物プレート中でさらにDMSOで希釈した。各希釈液(1μL)を別な化合物プレートに移し、0.05%プルロン酸を含む外液(66μL)を加えた。本発明の化合物を含む各プレートからの3.5μLを加え、IonWorks Quattro(商標)実験の間、細胞と共にインキュベートした。最終アッセイ希釈は200であり、最終化合物濃度は50μM〜50nMの範囲であった。
(データ分析)
化合物の非存在下でのシール抵抗(>20MΩ)とピーク電流振幅(>500pA、40mVの電圧ステップで)の両方を使用して記録を分析及びフィルター処理し、不適切な細胞をさらなる分析から除いた。-15mV電圧ステップで測定した薬物添加前と添加後の間の一対比較を利用して、各化合物の正の調節効果を決定した。Kv3チャネルにより媒介される外向き電流を測定し、-15mV電圧パルスの最後の10msにわたる電流の平均強度から、-15mVステップの直前の10ms期間にわたる-70mVでの平均ベースライン電流を引いて決定した。次いで、被験化合物を加えた後のこれらのKv3チャネル電流を、化合物を加える前に記録した電流と比較した。データは、参考化合物(50μMのN-シクロヘキシル-N-[(7,8-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3-キノリニル)メチル]-N'-フェニルウレア)の最大効果及びビヒクル対照(0.5%DMSO)の効果に対して標準化した。標準化したデータを、ActivityBase又はExcelソフトウェアを使って分析した。参考化合物により生み出される最大増加の50%電流を増やすのに要する化合物の濃度(EC50)は、ActivityBase又はXLフィットソフトウェアにおいて4パラメータロジスティック関数を利用する濃度-反応データのフィッティングにより決定した。
N-シクロヘキシル-N-[(7,8-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3-キノリニル)メチル]-N'-フェニルウレアは、ASINEX社から入手した(登録番号:552311-06-5)。
実施例化合物の全てを、Kv3.1又はKv3.2又はKv3.1及びKv3.2(以下、「Kv3.1及び/又はKv3.2」)の増強を測定する上記のアッセイで試験した。Kv3.1及び/又はKv3.2の正のモジュレーターは、上記のアッセイにおいて、50μMのN-シクロヘキシル-N-[(7,8-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3-キノリニル)メチル]-N'-フェニルウレアでみられる増加の、平均で、少なくとも20%の全細胞電流の増加を生じさせる。このように、生物学的実施例1のリコンビナント細胞アッセイにおいて、実施例化合物の全ては、Kv3.1及びKv3.2チャネルの正のモジュレーターとして作用する。本明細書で使用される場合、Kv3.1及び/又はKv3.2の正のモジュレーターは、生物学的実施例1(生物学的アッセイ)において記載されたアッセイを用いて決定した場合、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1及び/又はヒトKv3.2チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも20%の増強を生じさせることが示されている化合物である。生物学的実施例1に記載されるアッセイからのデータの二次分析を利用して、脱分極電圧パルスの開始からの電流の立ち上がり速度に対する化合物の効果を調査できる。化合物の効果の大きさは、-15mVの脱分極電圧パルスの開始後のKv3.1又はKv3.2電流の立ち上がりの、以下に示す式を利用する非線形フィットから得られる時定数(Tauact)から決定できる。
Y=(Y0-Ymax)*exp(-K*X)+Ymax
(式中、
Y0は、脱分極電圧パルスの開始時の電流値であり;
Ymaxはプラトー電流であり;
Kは速度定数であり、且つTauactは、活性化時定数であり、Kの逆数である)。
同様に、-15mV脱分極電圧パルスの終了時のチャネルの閉口時にKv3.1及びKv3.2電流が減衰するのにかかる時間に対する化合物の効果も調査できる。この後者の場合、チャネル閉口に対する化合物の効果の大きさは、脱分極電圧パルスの終了直後の電流の減衰(「テール電流」)の非線形フィットの時定数(Taudeact)から決定できる。
活性化時定数(Tauact)を、実施例の化合物の全てに対して決定した。図1は、2つの化合物についてのデータを示す。表1は、このように分析された実施例の全てについてのTauactデータを提供する。
図1aは、生物学的実施例1に記載したアッセイを用いて記録されたhKv3.2電流を示す。示されたデータは、化合物(参照実施例RE1)の2種類の濃度で4個の異なる細胞から記録された-15mVまでの脱分極電圧ステップの期間における個々の電流である。データは、Prismバージョン5(Graphpad Software社)のフィッティング法を用いた単一の指数関数曲線(実線)によってフィッティングした。
図1bは、生物学的実施例1に記載したアッセイを用いて記録されたhKv3.2電流を示す。示されたデータは、参照実施例RE3の化合物の2種類の濃度で2個の異なる細胞から記録された-15mVまでの脱分極電圧ステップの期間における個々の電流である。データは、Prismバージョン5(Graphpad Software社)のフィッティング法を用いた単一の指数関数曲線(実線)によってフィッティングした。
表1:活性化時間(Tauact)の分析で得たhKv3.2概要データ。化合物間での比較を可能にするために、最大電流が<0.1nAであるビヒクルを除けば、選択した化合物濃度は、電圧パルスの最後に類似の電流(〜0.3nA)を生じさせるものであった。
Figure 2019502696
表1から分かるように、化合物の非存在下かつビヒクルの存在下で、Tauactは、7.1±1.7msecであった。それぞれを、Kv3.2電流を同様のレベル(〜0.3nA)まで増加させる濃度で試験した場合、試験化合物の存在下、Tauact値の範囲(7.3〜50.1msec)が観察された。Kv3.1及びKv3.2チャネルは、ニューロンが高頻度で活動電位を発火することができるように、非常に速やかに活性化及び不活性化しなければならない(Rudyらの文献、2001)。活性化の緩徐化は、活動電位再分極の始まりを遅らせそうであり;不活性化の緩徐化は、ニューロンの興奮性を低下させニューロンがさらなる活動電位を発火できるまでの時間を遅らせる過分極電流を生みだす可能性がある。チャネル活性化及び不活性化に対するこれらの緩徐化の効果を合わせると、高頻度で発火するニューロンの能力の促進よりはむしろ低下をもたらすようである。そのため、Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルに対するこの緩徐化効果を有する化合物は、ニューロン発火を緩徐化し得る。化合物、例えば、Tauactを50.1±7.5msecまで顕著に増加させる参照実施例RE9(表1)によるこのニューロン発火の緩徐化は、インビトロで電気生理学的技術を利用する、ラットの脳の皮質における「高速発火」介在ニューロンから作られた記録から観察することができる。図2でみられるように、参照実施例RE9の添加は、300Hzの脱分極パルスのトレインに反応してニューロンが発火する能力を低下させる。
図2は、マウスの体性感覚皮質において同定された「高速発火」介在ニューロンから得られた記録を示す。ニューロンは、100、200、及び300Hzの高周波脱分極電流パルスのトレインによって高頻度で発火するよう誘導される。各パルスにおいてニューロンが活動電位を発火させる能力が決定される。グラフのy軸上のスパイク確率が1とは、脱分極電流パルスのそれぞれに対して、活動電位がニューロンによって生成されることを示す。薬物の非存在下では(黒丸、n=9)、ニューロンは、300Hzまで1のスパイク確率を維持した。しかしながら、参照実施例RE9(1μM;白丸、n=6)の存在下では、ニューロンは、最高周波数ではトレインについていくことができなかった。*p<0.05、反復測定分散分析。したがって、本明細書で同定された全ての実施例が、生物学的実施例1のリコンビナント細胞アッセイにおいて正のモジュレーターとして作用するものの、Tauactの値を著しく増加させるこれらの化合物は、ネイティブ組織のニューロンが高頻度で発火する能力を低下させる可能性がある。
(生物学的実施例2:血液及び脳組織結合の決定)
(材料及び方法)
抗凝固剤としてK3-EDTAを用いて実験の週に採取されたラット全血を、等張リン酸バッファー1:1(v/v)で希釈する。-20℃で凍結して保管したラット全脳を解凍して、人工脳脊髄液(CSF)1:2(w/v)にホモジナイズする。
適当な量の試験化合物を、DMSOに溶解させ、5ミリモル溶液を得る。その後、166.7マイクロモル作業溶液を得るために、さらなる希釈物を、MilliQ水中50%のアセトニトリルを用いて調製する。本作業溶液は、血液をスパイクして全血中に0.5マイクロモルの終濃度を得るのに用いられる。同様に、作業溶液は、脳試料をスパイクして全脳中に5マイクロモルの終濃度を得るのに用いられる。これらのスパイクした血液及び脳調製物から、対照試料(n=3)を直ちに抽出し、試験項目の初期回収率を算出するのに用いる。
2つのハーフウェルを半透膜で分離した状態で、150μLの化合物不含バッファー(血液には等張リン酸バッファー又は脳には人工CSFバッファー)を、一方のハーフウェルに入れ、150μLのスパイクしたマトリックス(血液又は脳)を、他方のハーフウェルに充填する。37℃で5時間の平衡化期間の後に、50μLの透析したマトリックス(血液又は脳)を、50μLの対応する化合物不含バッファーに添加し、逆に、マトリックス(血液又は脳)に対するバッファーの体積が同じのままであるように、バッファーに対しても同様とする。その後、試料を、ロリプラム(正のイオン化モード用の対照)又はジクロフェナク(負のイオン化モード用の対照)を内部標準として含有する300μLのアセトニトリルを用いるタンパク質析出によって抽出して、2800rpmで10分間遠心分離する。上清を採取し(100μL)、MilliQ水中18%のACN(200μL)で希釈し、その後、HPLC-MS/MS又はUPLC-MS/MSシステム内に注入して、存在する試験化合物の濃度を決定する。
(分析)
その後、血液及び脳組織結合を、以下の式を用いて決定する:
Afu=バッファー/血液、又はAfu=CSF/脳
(式中、Afu=見かけの非結合画分;バッファー=バッファー区画で決定された分析物/内部標準の比率;血液=血液区画で決定された分析物/内部標準の比率;脳=脳区画で決定された分析物/内部標準の比率である)
Figure 2019502696
(式中:fucr=補正された非結合画分;D=マトリックス希釈係数(血液ではD=2、脳ではD=3)である)
従って:
%結合率=(1-fucr)×100
%非結合率=100-%結合率。
(脳/血液分配比(Kbb)決定)
血液/脳関門(BBB)を自由に通過可能な化合物については、血液及び脳内での非結合濃度は、定常状態分布条件下では等価であろう。したがって、Kbb値は:
Fu(血液)/Fu(脳)
として計算でき、これは、排出ポンプ輸送体が関与しないとすれば、脳中濃度対血中濃度比(Ct(脳)/Ct(血液))と等価であると期待される。
(生物学的実施例3:インビボでの薬物動態学的パラメーターの決定)
(材料及び方法)
成体雄性ラット(Charles River社、イタリアItaly)に、試験化合物を、1mg/kg(5ml/kg、水中5%v/vのDMSO、0.5%w/vのHPMC中)で経口投与、及び0.5mg/kg(2ml/kg、生理食塩水中5%v/vのDMSO40%w/vのPEG400中)で静脈内投与する。経口投与の後に、血液試料を、深いイソフルオラン麻酔下、各ラット(1時点あたりラット1頭)の門脈及び心臓から採取する。静脈内投与の後に、連続的な血液試料を、各ラットの外側尾静脈から採取する。ラットのさらなる群(試験化合物1種あたりn=1)は、上記したような1mg/kgでの試験化合物の経口投与のすぐ前に、PgP輸送阻害剤であるエラクリダール(3mg/kg)の単回の静脈内投与を受ける。血液及び脳試料を、これらの動物への投与の0.5時間後である単一の時点に採取する。全ての場合において、血液試料は、カリウムEDTAチューブ内に採取される。
血液及び脳試料を、アセトニトリルを用いるタンパク質析出に基づく方法、及びそれに続く最適化された分析法でのHPLC/MS-MS分析を用いて、試験化合物の濃度についてアッセイすることができる。
(分析)
経口又は静脈内いずれかでの投与後の種々の時点での血液中(ng/mlとして表す)及び脳内(ng/gとして表す)の試験化合物の濃度を、WinNonLin Professionalバージョン4.1を用いる非コンパートメント薬物動態モデルを用いて分析する。以下のパラメーターが得られる:
静脈内投与:経時的最高濃度(Cmax)、経時的積分濃度(AUC)、クリアランス(Clb)、分布の体積(Vss)、及び半減期(t1/2)。
経口投与:Cmax、最高濃度の時間(Tmax)、AUC、バイオアベイラビリティ(F%)、吸収された画分(Fa%)、血液対脳比(AUC BB)、及びエラクリダールの存在下でのAUC BBの倍数変化。
本発明の化合物は、脳組織における良好なアベイラビリティを示すことが期待され得る。
(生物学的実施例4:ラットにおける神経障害性疼痛及び炎症性疼痛のモデルにおける機械的刺激及び低温刺激への感受性に対するKv3.1/Kv3.2チャネルのモジュレーターの作用の評価)
以下の化合物:
5,5-ジメチル-3-[2-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピリミジン-5-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン-WO2012/076877の実施例58(本明細書では「化合物X」と称する)
Figure 2019502696
のエフィカシーを、神経障害性疼痛及び持続性炎症性疼痛のラットモデルを用いて調査した。
(材料及び方法)
対象は、1群あたり6頭の雄性Wistar Hanoverラットを含んでいた(225±2g)。
ビヒクル(12% Captisol(登録商標);0.5%w/v HPMC、及び0.1%w/v Tween-80;腹腔内経路によって5ml/kg)を、使用1週間前以内にオートクレーブ処理した脱イオン水を用いて調製した。
5,5-ジメチル-3-[2-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピリミジン-5-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(化合物X)を用いて行った試験の詳細を、表1に概説する。
表1:神経障害性疼痛及び炎症性疼痛モデルの投薬レジメン
Figure 2019502696
1(i.p.)腹腔内投与
神経障害性疼痛モデルについての対照は、経口送達によって30mg/kgで投与されたラモトリギンであった。炎症性疼痛モデルについての対照は、経口送達によって30mg/kgで投与されたジクロフェナクであった。一元配置分散分析を用いて統計解析を行い、TukeyのHSD検定を用いて時間を一致させたビヒクル群との比較を行った。ここで、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001である。
(実験プロトコル)
実験手順は全て、研究における動物の使用に関する施設内倫理委員会による審査の後に承認され、英国内務省動物処置法(UK Home Office Animal Procedures Act)(1986)に従い実施された。治療群を無作為化しかつ盲検とした。6頭のラットの群を用いた。
(神経障害性疼痛)
神経障害性疼痛を、坐骨神経の部分的結紮によって誘導した。簡単に述べると、ラットを麻酔し(イソフルラン/O2吸入)、左坐骨神経を小さな切込みから大腿中央レベルで露出させ、神経の厚みの1/3〜1/2を、7.0絹縫合糸内にしっかりと結紮した。該創傷を、外科手術用接着剤で閉じた。動物を回復するに任せ、外科手術の12〜15日後に試験した。
薬物又はビヒクルの投与の前(投与前)及びその後24時間まで、同側の(結紮した)足及び対側の(結紮していない)足の双方について、引っ込め閾値を測定した。
投与前行動測定を、神経結紮の14日後;薬物治療の開始前に足引っ込めを測定することにより得た。治療の後、投与後1、3、6、及び24時間に、さらなる読み取り値を得た。
(炎症性疼痛)
機械的痛覚過敏を、持続性の炎症性疼痛モデルにおいて調査した。痛覚過敏を、Freundの完全アジュバント(FCA)の左後足内への足底内注入(25μl)によって誘導した。
試験化合物の作用を評価するために、同側の(FCAを注入した)足及び対側の(注入しない)足の双方に対して、FCA注入前(未処置)及びFCA注入の24時間後(投与前)、並びにその後の薬物又はビヒクルの投与の1、3、6、24時間後に足引っ込め閾値を測定した。
(行動試験)
機械的痛覚過敏を、くさび形のプローブ(面積1.75mm2)を取り付けた無痛覚計(Analgesymeter)(Ugo-Basile社、Milan)を用いてラットの足の背面に対して加えられた増加する機械的な力に対する足引っ込め閾値(PWT)を測定することにより、神経障害性疼痛のモデルにおいて調査した。カットオフは、250gに設定し、エンドポイントは、後足の引っ込めとした。同側及び対側双方の足引っ込め読み取り値を得た。
低温感受性を、市販のコールドプレート(Ugo Basile社、Milan)を用いて評価することができる。該コールドプレートを、試験前に設定温度で5分間安定化させる。足引っ込め潜時(PWL)を、10℃に設定したコールドプレートを用いて決定する。動物を軽く拘束し、各後足を順番に、コールドプレートの表面に載せる。エンドポイントを足の引っ込めとし、同側の足及び対側の足の引っ込め潜時として記録する。30秒の最高カットオフを、各足に対して用いる。
(全般的な観察結果)
行動の疼痛読み取り値に加えて、試験全体にわたって各ラットを一般行動の変化について観察した。
(データ分析)
(神経障害性疼痛)
データを、引っ込め閾値(g)及び以下の式:
Figure 2019502696
によって計算された反転百分率として表した。
(炎症性疼痛)
データを、引っ込め閾値(g)及び以下の式:
Figure 2019502696
によって計算された反転百分率として表した。
統計解析を、反復測定を伴う分散分析及びそれに続くTukeyのHSD検定を用いて引っ込め閾値読み取り値に対して実施した。統計学的な有意水準を、p<0.05に設定した。
(結果)
(神経障害性疼痛試験)
坐骨神経の部分的結紮は、該影響を受けた足の、機械的刺激に対する引っ込め閾値及び低温刺激に対する引っ込め潜時の顕著な低減をもたらした。神経結紮の14日後、対側の足における104±1gと比較して、66±1gの投与前閾値読み取り値が同側の足において測定された。
化合物Xは、迅速な開始及び長い作用期間を伴って機械的感受性の用量関連反転を生じさせた。
機械的感受性のピーク反転が投与3時間後に見られた(10mg/kgで31%、30mg/kgで73%、及び60mg/kgによって81%)。陽性対照であるラモトリギンは、投与3時間後に、67%のピーク反転を与えた。
(炎症性疼痛試験)
FCAの足底内注入は、該影響を受けた足の機械的刺激に対する引っ込め閾値の顕著な低減をもたらした。平均未処置閾値読み取り値は、105±1gであった。FCA注入の24時間後、対側の足における104±1.0gと比較して、65±1.0gの投与前閾値読み取り値が同側の足において測定された。
化合物Xは、投与1〜3時間後に、作用の迅速な開始及びピーク反転を伴い機械的感受性の用量関連反転を生じさせた。機械的感受性のピーク反転は、30mg/kg及び60mg/kg(それぞれ74%及び92%)では投与1時間後に見られ、10mg/kg(64%反転)では投与3時間後に見られた。該反転は長く持続し、投与6時間後でもなお、かなりの活性がはっきりとみられた:機械的感受性は、60mg/kgで45%反転された。陽性対照であるジクロフェナクは、機械的(投与1時間後)で64%のピーク反転を与えた
(結論)
神経障害性疼痛及び炎症性疼痛のラットモデルにおいて、Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルの選択的モジュレーターである化合物Xは、急性投与した場合、疼痛の行動測定を反転させるのに効果的であったが、通常の行動には有意な変化をもたらさなかった。これらのデータは、Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルの調節が、疼痛の治療において見込みがあるという命題を強く支持する。
(追加の動物モデル)
特許出願第WO2011/069951号、第WO2012/076877号、第WO2012/168710号、第WO2013/175215号、及び第WO2013/182851号(動物モデルデータを提供する目的のために全てが引用により組み込まれる)は、発作、活動亢進、睡眠障害、精神障害、聴覚障害、及び双極性障害の動物モデルにおけるKv3.1及びKv3.2のモジュレーターである化合物の活性を実証している。
特許出願第WO2013/175211号(動物モデルデータを提供する目的のために引用により組み込まれる)は、チンチラでの急性騒音性聴覚消失のモデルにおけるKv3.1及びKv3.2のモジュレーターである化合物のエフィカシーを実証し、また、中枢性聴覚処理欠損及び耳鳴のモデルにおける該化合物のエフィカシーを評価している。
明細書及び下記の特許請求の範囲全体で、文脈から反対の意味が要求されない限り、「含む(comprise)」という言葉並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変形体は、述べられた整数、工程、整数の群、又は工程の群の包含を意味するが、他の整数、工程、整数の群、又は工程の群を排除しないと理解されるであろう。
本明細書及び特許請求の範囲がその一部をなしている本出願は、後願に関する優先権の基礎として使用され得る。そのような後願の特許請求の範囲は、本明細書に記載の任意の特徴又は特徴の組み合わせを対象とすることがある。それらは、製品、組成物、プロセス、又は使用クレームの形態をとることがあり、例として、非限定的に、下記の特許請求の範囲を含み得る。
(参考文献)
本明細書に引用された、特許及び特許出願を含むがそれらに限定されない刊行物の全ては、各個別の刊行物が、完全に述べられているかのように本明細書に引用により組み込まれていると具体的且つ個別に示されるかのように、引用により本明細書に組み込まれる。
Figure 2019502696
Figure 2019502696
Figure 2019502696
Figure 2019502696

Claims (60)

  1. 式(I)の化合物:
    Figure 2019502696
    (式中:
    Wは、(Wa)基、(Wb)基、又は(Wc)基であり:
    Figure 2019502696
    (式中:
    R1は、H、C1-4アルキル、ハロ、ハロC1-4アルキル、CN、C1-4アルコキシ、又はハロC1-4アルコキシであり;
    R2は、H、C1-4アルキル、C3-5スピロカルボシクリル、ハロC1-4アルキル、又はハロであり;
    R3は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R3は、存在せず;
    R13は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R13は、存在せず;
    R14は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R14は、存在せず;
    Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員又は6員の飽和又は不飽和の複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基、又はシクロブチル基、又はシクロペンチル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成し;
    R16は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルコキシ、又はCNであり;
    R17は、H、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシであり;但し、R17が、Hである場合、R16は、パラ位にはないことを条件とする);
    R4は、C1-4アルキルであり;
    R5は、H又はC1-4アルキルであり;或いは
    R4及びR5は、縮合してC3-4スピロカルボシクリルを形成することができ;
    ここで、R2及びR3は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよく;R2は、縮合した環原子に結合していてもよく;かつ、ここで、R13及びR14は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよい)
    又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物。
  2. 以下のものである請求項1記載の化合物:
    Figure 2019502696
    (式中:
    Wは、(Wa)基、(Wb)基、又は(Wc)基であり:
    Figure 2019502696
    (式中:
    R1は、H、C1-4アルキル、ハロ、ハロC1-4アルキル、CN、C1-4アルコキシ、又はハロC1-4アルコキシであり;
    R2は、H、C1-4アルキル、C3-5スピロカルボシクリル、ハロC1-4アルキル、又はハロであり;
    R3は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R3は、存在せず;
    R13は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R13は、存在せず;
    R14は、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、ハロであり;或いは、R14は、存在せず;
    Aは、少なくとも1つのO原子を有する5員又は6員の飽和又は不飽和の複素環であり;該複素環は、シクロプロピル基、又はシクロブチル基、又はシクロペンチル基と任意に縮合して、フェニルと共に考えられる場合三環を形成し;
    R16は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルコキシ、又はCNであり;
    R17は、H、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシであり;但し、R17が、Hである場合、R16は、パラ位にはないことを条件とする);
    R4は、C1-4アルキルであり;
    R5は、H又はC1-4アルキルであり;或いは
    R4及びR5は、縮合してC3-4スピロカルボシクリルを形成することができ;
    ここで、R2及びR3は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよく;R2は、縮合した環原子に結合していてもよく;かつ、ここで、R13及びR14は、同じ又は異なる環原子に結合していてもよい)。
  3. Wが(Wa)基である、請求項1又は2記載の化合物。
  4. Wが(Wb)基である、請求項1又は2記載の化合物。
  5. 環Aが:
    Figure 2019502696
    (式中、
    Figure 2019502696
    は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示す)
    である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
  6. 環Aが:
    Figure 2019502696
    (式中、
    Figure 2019502696
    は、環Aが縮合するフェニル環の一部を示す)
    である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
  7. 環Aが、ヘテロ原子を1つ有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
  8. 環Aが:
    Figure 2019502696
    (式中、
    Figure 2019502696
    は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示す)
    である請求項7記載の化合物。
  9. 環Aが:
    Figure 2019502696
    (式中、
    Figure 2019502696
    は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示す)
    である、請求項8記載の化合物。
  10. 環Aが:
    Figure 2019502696
    (式中、
    Figure 2019502696
    は、環Aがフェニル環に縮合される位置を示す)
    である請求項8記載の化合物。
  11. R1が、Hである、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
  12. R1が、メチルである、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
  13. R2が、H、C1-4アルキル、C3-5スピロカルボシクリル、又はハロC1-4アルキルである、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
  14. R2が、H、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、C3-5スピロカルボシクリル、トリフルオロメチル、又は2,2,2-トリフルオレチル(trifluorethyl)である、請求項13記載の化合物。
  15. R2が、メチル、エチル、tert-ブチル、シクロプロピル、又はC3-5スピロカルボシクリルである、請求項14記載の化合物。
  16. R3が、H、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、又はハロである、請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物。
  17. R3が、H、メチル、エチル、tert-ブチル、シクロプロピル、トリフルオロメチル、又は2,2,2-トリフルオレチル(trifluorethyl)である、請求項16記載の化合物。
  18. R3が、H、メチル、エチル、又はトリフルオロメチルである、請求項17記載の化合物。
  19. R3が、Hである、請求項18記載の化合物。
  20. R3が、存在しない、請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物。
  21. R13が、H、メチル、トリフルオロメチルであるか、又は存在しない、請求項1〜20のいずれか1項記載の化合物。
  22. R13が、Hであるか又は存在しない、請求項21記載の化合物。
  23. R14が、H、メチル、トリフルオロメチルであるか、又は存在しない、請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物。
  24. R14が、Hであるか又は存在しない、請求項23記載の化合物。
  25. R4が、メチル又はエチルである、請求項1〜24のいずれか1項記載の化合物。
  26. R5が、Hである、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物。
  27. R5が、C1-4アルキルである、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物。
  28. R5が、メチルである、請求項27記載の化合物。
  29. R4及びR5が、以下の立体化学配置:
    Figure 2019502696
    を有する、請求項1〜28のいずれか1項記載の化合物。
  30. Wが、(Wc)基である、請求項1又は2記載の化合物。
  31. R16が、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ、又はシアノであり、かつR17が、H、ハロ、C1-4アルキル、及びC1-4アルコキシであり;但し、R17が、Hである場合、R16は、パラ位にはないことを条件とする、請求項30記載の化合物。
  32. R16が、ハロ、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシである、請求項31記載の化合物。
  33. R16が、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、又はハロ-C1-4アルコキシであり;かつR17が、H、シアノ、又はアルキルである、請求項30記載の化合物。
  34. R16が、プロピル、ブチル、メトキシ、プロポキシ、又はトリフルオロメトキシであり;かつR17が、H、シアノ、又はメチルである、請求項30記載の化合物。
  35. R16及びR17のうちの一方が、メタ位にあり、かつR16又はR17のうちの残りの一方が、パラ位にある、請求項30〜34のいずれか1項記載の化合物。
  36. R16及びR17のうちの一方がメタ位にあり、かつR16又はR17のうちの残りの一方が、オルト位にある、請求項30〜34のいずれか1項記載の化合物。
  37. (5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
    (5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]-2-ピリジル]-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
    5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
    (5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
    5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;及び
    (5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-2-ピリジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン
    からなる群から選択される請求項1記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩及び/又は溶媒和物。
  38. 薬品としての使用のための、請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物。
  39. 聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量知覚の障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、てんかん、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛などの疼痛、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療に使用するための、請求項38記載の化合物。
  40. 聴覚障害、統合失調症、双極性障害、てんかん、又は睡眠障害の予防又は治療に使用するための、請求項39記載の化合物。
  41. 急性騒音性聴覚消失の予防に使用するための、請求項38記載の化合物。
  42. 聴覚消失又は耳鳴の予防又は治療に使用するための、請求項39又は40記載の化合物。
  43. 医薬として活性なさらなる薬剤と併用するための、請求項38〜42のいずれか1項記載の化合物。
  44. 請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物を対象に投与することによる、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量知覚の障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、てんかん、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛などの疼痛、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための方法。
  45. 急性騒音性聴覚消失の予防のための方法であって、それを必要としている対象に、請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
  46. 聴覚障害、統合失調症、双極性障害、てんかん、又は睡眠障害の予防又は治療のための、請求項44記載の方法。
  47. 聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量知覚の障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、てんかん、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛などの疼痛、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための薬品の製造における、請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物の使用。
  48. 聴覚障害、統合失調症、双極性障害、てんかん、又は睡眠障害の予防又は治療のための薬品の製造における請求項47記載の化合物の使用。
  49. 急性騒音性聴覚消失の予防のための薬品の製造における請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物の使用。
  50. 前記疾患又は障害が、聴覚障害である、請求項39記載の使用のための化合物、請求項44記載の方法、又は請求項47記載の使用。
  51. 前記聴覚障害が、聴覚神経障害、聴覚処理障害、聴覚消失、例えば、突発性聴覚消失、騒音性聴覚消失、物質誘発性聴覚消失、60歳超、65歳超、70歳超又は75歳超の年齢の成人における聴覚消失(老人性難聴)、及び耳鳴から選択される、請求項50記載の使用のための化合物、方法、又は使用。
  52. 前記疾患又は障害が、統合失調症である請求項39記載の使用のための化合物、請求項44記載の方法、又は請求項47記載の使用。
  53. 前記疾患又は障害が、物質乱用障害である、請求項39記載の使用のための化合物、請求項44記載の方法、又は請求項47記載の使用。
  54. 前記疾患又は障害が、疼痛である、請求項39記載の使用のための化合物、請求項44記載の方法、又は請求項47記載の使用。
  55. 前記疼痛が、神経障害性疼痛である、請求項54記載の使用のための化合物、方法、又は使用。
  56. 前記疼痛が、炎症性疼痛である、請求項54記載の使用のための化合物、方法、又は使用。
  57. 前記疼痛が、種々の疼痛である、請求項54記載の使用のための化合物、方法、又は使用。
  58. 請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
  59. 式Va、Vb、及びVc:
    Figure 2019502696
    (式中、R1、R2、R3、R13、R14、R16、及びR17は、請求項1において定義された通りである)
    から選択される化合物、又はその塩。
  60. 以下:
    Figure 2019502696
    (式中、Lは、以下:
    a)-PO(OH)O-・M+(式中、M+は、医薬として許容し得る一価の対イオンである)、
    b)-PO(O-)2・2M+
    c)-PO(O-)2・D2+(式中、D2+は、医薬として許容し得る二価の対イオンである)、
    d)-CH(RX)-PO(OH)O-・M+(式中、RXは、水素又はC1-3アルキルである)、
    e)-CH(RX)-PO(O-)2・2M+
    f)-CH(RX)-PO(O-)2・D2+
    g)-SO3 -・M+
    h)-CH(RX)-SO3 -・M+、及び
    -CO-CH2CH2-CO2・M+
    から選択され、かつ
    R4及びR5は、請求項1において定義された通りである)
    に示されるとおり、ヒダントインの二級窒素で官能化された、請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物のプロドラッグ。
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