JP2019502508A - サーモクロミックインジケーターコーティングを含む容器 - Google Patents

Abstract

本発明は、食品の揚げ物、ベーキングまたは調理用の容器（２０）に関するものであり、少なくとも可視の第１の材料（３０）と、可視の第２の材料（３２）とを有し、少なくとも前記第１の材料（３０）が、加熱されると熱変色的に可逆的に変色する。前記２つの材料（３０，３２）の色は、前記容器（２０）が加熱された場合に、前記２つの材料（３０，３２）の間の色差が可視的に変化するように選択されている。

Description

本発明は、少なくとも可視の第１の材料と、可視の第２の材料とを有し、少なくとも第１の材料が、加熱されると熱変色性に可逆的に変色する、食品の揚げ物、ベーキングまたは調理用の容器に関する。

本発明は、具体的には、鍋またはポットを指すが、加熱または加温する他の容器にも適している。これらは周知であり、通常は金属（例えばステンレススチールまたはアルミニウム）およびプラスチック製であり、通常、プラスチックがその熱伝導の低さの故に、ハンドル（複数）を形成し、実際の容器本体は金属製である。容器の誘導加熱を可能にする材料は、ますます使用されるようになってきている。本発明は、誘導加熱式または非誘導式の加熱可能な容器の両方を参照する。 本発明は、セラミック（ゾル−ゲル）と共に使用するのにも適している。

鍋で調理される揚げ物またはベーキング物は、例えば、ある温度に達したときにのみ、鍋に入れなければならないことがしばしばある。しかし、鍋のそれぞれの温度は視覚的に認識できないので、これはしばしば困難である。特に、オイルまたは油脂がない場合、特にポリテトラフルオロエチレンＰＴＦＥ（テフロン（Ｔｅｆｌｏｎ）（登録商標））製のコーティングを備えた鍋の場合にしばしば問題となる。

この問題は、従来技術では様々な手段によって解決されている。一方では、鍋の底部に配置され、温度を表示することができる温度計が知られている。しかしながら、色を可逆的に変えられるサーモクロミック素子を有する容器も知られている。

例えば、ＵＳ ２０１２ ０３１２ ８２２Ａ１は、サーモクロミック色の領域が鍋ハンドルに配列された鍋を開示している。これは、鍋が加熱された場合に変化し、その結果、ユーザは、色の変化を通して鍋の底部の温度に対する知見を得る。同様のデバイスは、ドイツ実用新案ＧＭ７７３４０２３に開示されている。この場合にも、調理物で覆われていない領域、好ましくは鍋のハンドルにサーモクロミック素子が提供されている。

実用新案ＤＥ ２０ ２０１０ ００１ ５０１ Ｕ１は、食品の調理、ベーキング、揚げ物用の容器を開示しており、サーモクロミック材料がこれらの外殻表面に配置されている。容器の底にコーティングしないことで、支持面への接触が遮られないようになる。容器の内部では、調理、揚げ物またはベーキング・プロセスのための、最適なコーティングを選択することができる。容器の外殻外面を全面コーティングすることにより、どのような視野の角度からでも明確かつ迅速に色の変化を認識することができる。

上述した鍋および容器の欠点は、とりわけサーモクロミック素子および熱変色のの色が、それぞれ、鍋の底部の実際の温度を示さず、鍋の底部に単に熱伝導的に接続されていることにある。熱伝導が遮られたり、妨害された場合、誤った表示が生じる可能性がある。

上述した当技術分野の態様はまた、最適温度に達したときにサーモクロミック素子がどのように見えるかを、ユーザが知っていなければならないという欠点を有する。それぞれの色の変化は、ユーザの注意を引き付けるが、加熱プロセス中、何故に疑わしい場合においてもユーザがサーモクロミック素子を観察しなければならないのかということがある。特に、容器を長期間使用しない場合には、ユーザは、鍋を加温したときに、どの色の変化が起こるかをもはや知ることができない、ということが生じる。

本発明の目的は、できるだけ容易に使用することができる、食品の揚げ物、ベーキングまたは調理用の容器を提案することにある。特に、ユーザは、鍋の到達温度を可能な限り、迅速かつ直接的に認識できるべきである。

本発明に従い、上述した目的は、特許請求の範囲記載の請求項１の特徴を有する容器によって解決される。

すなわち、容器は、少なくとも熱変色的に可逆性に反応する第１の材料を含み、第２の材料は変色しない。２つの材料の着色は、２つの材料の色を互いに比較することによって、容器の温度がどの温度範囲であるかを認識できるように選択される。

換言すれば、サーモクロミック材料の色の変化を、ユーザが知る必要はもはやない。ユーザは、サーモクロミック材料の発生する色を、他の材料の色と比較するだけでよい。非サーモクロミックな他の材料は、言い換えれば、熱変色的に変化する材料の参照色として機能する。

以下では、鍋またはポットという用語は、本発明に適したすべての容器に同義語として使用される。鍋やポットという用語に関する限り、制限的であると理解されるべきではない。

具体的で単に目的を絞った実施形態では、すでに冷たい基本状態で、その色を熱変色的に変化させない第２の材料は、所望の温度に達した場合に熱変色的に変色可能な材料において生じる色を含む。この結果、２つの異なる色が容器の冷たい基本状態で認識可能となるが、しかしながら所望の温度範囲では互いに区別されることは、もはやないか、またはほとんどない。視覚的には、色の違いが消失する、言い換えれば、ユーザは、迅速かつ簡単に認識可能である。間違えやすい急速な色の変化も可能であるが、容器を加熱した場合に、色が次第に収束するようにすることも想定される。

本発明によれば、容器の冷たい基本状態において、第１の材料と第２の材料間の色の差は認識可能ではないが、色の差が加熱された場合に生じる。

本発明によれば、材料の１つをアルファベット・キャラクタの形で容器に適用することができる。特に、例えば、温度にヒントを与えるレタリングを提供することができる。実施例の一実施形態では、例えば、容器が所望の温度に達した場合に、“ホット”または“熱い”という単語が出現可能とされる。逆に、容器がまだ所望の温度または所望の温度範囲に達していない限り、“コールド”または“冷たい”という単語を提供することが可視化することができる。代替的に、または追加的に、容易に認識可能なシンボルを使用することもできる。

代替的に、一種の色勾配を有する参照領域を容器に適用し、この色勾配に隣接してサーモクロミック材料を配列することも想定される。サーモクロミック材料の変色は、温度の上昇に依存するので、熱変色的に色を変えない色勾配に基づいて、現在どの温度範囲に容器が加熱されているかを認識することができる。また、加熱中に、容器のその時点における温度範囲をそれぞれ示す数値を可視化させるか、または可視化させたままにすることができる。

具体的な単なる実施形態では、容器、好ましくは鍋は、内部にサーモクロミック材料の連続コーティングを含む。加えて、容器内部には、表面に広がった非サーモクロミック材料の領域が設けられている。これらの領域、例えばカラースペックルは、所望の温度範囲に達すると、可逆的に色を熱変色させる第１の材料が提供する色を有する。視覚的には、鍋の底部、場合によっては鍋の内側の縁部にも、冷たい基本状態で可視のカラースペックルが設けられる。鍋が加熱されると、これらは、鍋が所望の温度範囲で一貫して均一な着色を示すまで、徐々に消失する。代替的には、逆の配列も想定される。容器または鍋は、したがって、冷たい基本状態で連続的で均一な着色を有する。熱変色領域またはスペックルを加熱することによって、所望の温度範囲に達した場合に鍋が二つの色を帯びるように変化する。

本発明は、具体的には、ベーキング・トレイに適する。これらは通常、容器を参照しないが、本発明の趣旨においては、当該用語は、ベーキング・トレイをも参照することを明記する。ベーキング・トレイは、例えばケーキ用の容器として使用することができる。ベーキング・トレイに関しては、スイッチが切られているものの、まだ熱いオーブンにまだ置かれているという問題がしばしば発生する。これは、続いて熱いベーキング・トレイを取出す場合に、ユーザが自分自身を火傷させてしまう原因となる。このため、本発明による２つの異なる材料の使用は、例えば、ベーキング・トレイがまだ熱いときに、はっきりと目に見える警告を生成するようにして、本開示において使用することもできる。例えば、ベーキング・トレイが高温である限り、また、アルファベット・キャラクタ、または警告「ホット」が容易に認識可能である。これとは逆に、ベーキング・トレイが再度十分に冷たい場合、通知が見えるようにすることもできる。

具体的には、６０℃〜１００℃の色変化が開始し、８０℃〜２５０℃で色変化が終了するような実施例が、好適な温度範囲として特に好ましいことが判明した。しかしながら、サーモクロミック材料の選択に依存して色の範囲は、他の、具体的にはより狭い制限を有する場合もある。

本発明によれば、ＰＴＦＥに基づく層システムの構造は、以下のように構成される：
1. プライマリー層
- 非粘着層の基材への接着を確実にする
2. 中間層
− システムを強化し、
− 高い非粘着性の成分を有し、
−好ましくは、完全な熱変色性を有するように設計することが好ましい。
3. 参照層
−例えば、スペックルの形でスプレーされ、
−中間層のサーモクロミック的な色変化の参照色を表す。
4. トップ層
− 非粘着層であり、
−透明、半透明である。

この構造は、意図的かつ実用的であることが証明されており、逸脱、追加または適合が当然の如くに可能である。特に、トップ層は、省略することもできる。温度を認識するために、サーモクロミック材料がかくして容器の非粘着系システムに導入される。その際、透明なトップ層を介して認識可能な中間層は、熱変色性を有するように設計される。熱の影響を受けて、中間層がその色を変える。スペックルの形の参照色が中間層に適用される。鍋が冷たい状態では、スペックルが中間層との色の違いにより明確に認識される。鍋が過熱されると、中間層の色が変化する。これがスペックルをほとんど認識できないようにし、スペックルが光学的に消える。鍋が冷えた場合、スペックルが再び見えるようになる。

本発明は、以下の図面に基づいて、より詳細に説明される。これらは実施例としてのみ理解されるべきであり、本発明を図示の実施形態に限定することを意図するものではない：

図１は、本発明により、冷たい基本的な状態の鍋を示す。 図２は、図１より、加熱した状態の鍋を示す。 図３は、本発明により、鍋の第２実施形態を示す。 図４は、本発明により、鍋の第３実施形態を示す。 図５は、本発明により、鍋の第４実施形態を示す。

図１〜５は、本明細書では上述の通り鍋とする本発明による容器２０を示す。ハンドル２２および容器本体２４は、認識可能である。容器本体２４は、底部２６および縁部２８を含む。

図１は、冷たい基本状態での容器２０を示す。第１材料３０および第２材料３２は、認識可能である。第１材料３０は、図示の実施形態では、容器本体２４の内部の全表面を覆い、第２材料３２は、スペックルまたは小面積の領域の特定の領域にのみ塗布される。第１材料３０は、熱変色的に可逆性であり、加熱の増加に伴って変色する。しかしながら、第２材料３２は、熱変色性でなく、第１の材料３０がある温度範囲に加熱されたときに、第１材料３０の示す色を有する。

図２は、容器２０が所望の温度範囲に到達したポイントに加熱した場合の状態を示す。第１の材料３０と、第２の材料３２との間の色差は、もはやほとんど存在しないので、以前に第２の材料３２の見えた領域またはスペックルはもはや見えない。第１の材料３０がサーモクロミック的に変色する間、第２の材料３２はその色を保持する。

既に述べたように、２つの材料３０，３には、また、逆の配置を提供することができる。それによれば、容器２０のベース領域は熱変色性でなく、第２の材料３２の小面積領域またはスペックルが変色することになろう。

図３は、アルファベット・キャラクタ３４が使用される実施形態を示す。図示された実施形態では、容器２０は、第１の材料３０と、第２の材料３２との間の色差で何が生じるかによって加温されるので、“ホット”の文字が明確に認識可能となっている。

しかしながら、図４は、容器２０が冷たい基本状態に置かれている場合に、第１の材料３０と、第２の材料３２との間に色差が生じる、逆の実施例を示す。鍋が加熱された場合に、認識可能なのは、任意的に現れる“コールド”の文字である。

図５は、加熱プロセスの間に温度変化が認識可能な実施形態を示す。参照フィールド３６には、列のフィールドまたは領域を示す実施形態で、色の勾配が示されている。参照フィールド３６は、サーモクロミック材料の温度に依存する変色にそれぞれ対応し、異なる色の範囲を有する。図示する実施形態では、第１の材料３０は、再度熱変色性であり、少なくとも底部２６を覆っている。参照フィールド３６は、非サーモクロミック材料３２で形成されている。これにより、参照フィールド３６内の各フィールドは、着色に関連したある温度範囲を表す。ここで、容器２０が加熱されると、第２の材料３０の色は、例えば淡い赤色の色相から濃い赤色の色相に連続的に変化する。異なる温度範囲の参照フィールド３６、例えば、０〜５０℃、５０〜１００℃、１００〜 １５０℃、１５０〜２００℃および２００℃以上は、それぞれサーモクロミック材料３０の赤色の濃淡を有する。したがって、ユーザは、容器２０または鍋が実際にどの温度を有するかを、一見して認識することが可能となる。参照フィールド３６は、図示された実施形態では、底部２６に配列されるが、また、好ましくは縁部２８の近くに提供することもできる。また、例えば底部２６および縁部２８に、いくつかの参照フィールド３６を使用することも想定する。

容器２０は、例えば、ステンレススチール、アルミニウムまたは他のコーティングに適した材料といった異なる材料で形成されることができる。

本発明によれば、単に底部２６が２つの材料３０，３２を有することができるが、また、縁部２８が２つの材料３０，３２を有することも有効である。これは、底部２６がしばしば完全に揚げ物で覆われているので、特に有用である。

本発明は、説明し、かつ図示された実施形態に制限されるものではなく、多数の他の可能な用途がある。２つの材料３０，３２に発生する色差を使用して、温度範囲を可視化することが本質的である。

Claims (8)

1. 少なくとも可視の第１の材料（３０）と、可視の第２の材料（３２）とを有し、少なくとも前記第１の材料（３０）が、加熱されると熱変色的に可逆的に変色し、前記２つの材料（３０，３２）のうちの１つの色は、前記それぞれの他の材料（３０，３２）のための参照色として機能し、前記容器（２０）が加熱された場合に、前記２つの材料（３０，３２）の間の色差が可視的に変化することを特徴とする、食品の揚げ物、ベーキングまたは調理用の容器（２０）。
2. 前記容器（２０）の冷たい基本状態に応答する、第１の温度範囲の前記２つ材料（３０，３２）間の色差が大きく、前記容器（２０）の加熱状態での所望の温度範囲に対応する、第２の温度範囲の色差が小さいことを特徴とする、請求項１に記載の容器（２０）。
3. 前記容器（２０）の冷たい基本状態に応答する、第１の温度範囲の前記２つの材料（３０，３２）間の色差が小さく、前記容器（２０）の加熱状態での前記所望の温度範囲に対応する、第２の温度範囲の色差が大きいことを特徴とする、請求項１に記載の容器（２０）。
4. 前記容器（２０）の少なくとも１つの底部（２６）が、前記２つの材料（３０，３２）を含むことを特徴とする、請求項１〜３のいずれかに記載の容器（２０）。
5. 前記容器（２０）の少なくとも１つの内側の縁部（２８）が、前記２つの材料（３０，３２）を含むことを特徴とする、請求項１〜３のいずれかに記載の容器（２０）。
6. アルファベット・キャラクタ（３４）は、前記容器（２０）の前記冷たい基本状態に対応する前記第１の温度範囲で認識可能であり、前記第２の温度範囲でほとんどまたは全く認識できないことを特徴とする、請求項１〜５のいずれかに記載の容器（２０）。
7. アルファベット・キャラクタ（３４）は、前記容器（２０）の前記冷たい基本状態に対応する前記第１の温度範囲でほとんどまたは全く認識できず、前記容器（２０）の前記第２の温度範囲で認識可能であることを特徴とする、請求項１〜４のいずれかに記載の容器（２０）。
8. 前記容器（２０）は、前記２つの材料（３０，３２）の色差の変化により、前記容器（２０）の加熱または冷却の間の異なる温度範囲を読取り可能とする参照フィールド（３６）を含むことを特徴とする、請求項１〜７のいずれかに記載の容器（２０）。

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