JP2019502104A - 対象の細胞外液量状態のマーカーとしてのMR−proADM - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象の細胞外液量状態を決定する方法に関する。本方法は、対象から得られた試料においてマーカー、プロアドレノメデュリン(proADM)又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含む。更に、proADM又はその断片のレベルに基づき、体液バランスが決定され、前記体液バランスが細胞外液量状態を決定する。更に、proADM又はその断片のレベルに基づき、塩分バランスが決定され、前記塩分バランスが細胞外液量状態及び塩分貯留を決定する。更に、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、前記対象の前記細胞外液量状態及び塩分貯留は、本明細書で提供される方法によって決定される。更に、本発明は、本明細書で提供される方法を実施するためのキット及び/又は診断装置に関する。

Description

本発明は、対象、特にヘルスケア下、最も詳細には集中治療下にある患者の細胞外液量状態の決定に関する。本方法は、対象から得られた試料においてプロアドレノメデュリン(proADM)又はその断片、特に中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)のレベルを決定することを含む。更に、MR−proADMのレベルに基づき、体液バランス及び/又は塩分バランスが決定され得、従って、これが前記対象の細胞外液量状態の指標となる。
正確な血液量は評価が困難である。血球量は、ヘモグロビン濃度(本明細書では「Hb」とも称される)レベルを決定することにより推定し得る(Jacob,2012)。細胞外液量は、対象の体重に基づいて推定することができ、例えば、身体は60%が水分からなり、即ち70Kgの患者について42Lであり、細胞外液量は体内水分の40%と見なすため、即ち70Kgの患者について17Lである。図1を参照されたい。実際の臨床では、多くの急性の及び急性度の低い集中治療状況において、患者への処方の指針付け及び管理のため、血管内圧及び/又は心拍出量測定値の変化に関する動的情報の収集に基づく「有効」血液量が1日数回推定される。この推定は、血液増量剤の分量及びカテコールアミン又は輸血使用に関する基本的治療判断の基礎として一貫して用いられている。毎日、集中治療下の患者の推定40%が評価に従って血液増量剤の投与を受けている(Finfer,2011)。正の体液バランスを回避しながら適切な血液量を達成することは、急性炎症患者、例えば外傷性ストレス又は敗血症の日々のケアにおけるジレンマである。これは、まさに集中治療及び麻酔学文献中に存在する課題である(Rivers et al.,2001;Chappel et al.,2008;Sakr et al.,2005;Bagshaw et al.,2008;Payen et al.,2008;Murphy et al.,2009;Boyd et al.,2011;Kelm et al.,2015;及びAcheampong et al.,2015)。治療法の提言は、臓器への十分な酸素供給を確保するためのより高い心拍出量の急性管理の必要性に向けられている。主として塩分及び水分で構成される輸液負荷が、提案されている主な血液増量手段である(Cecconi et al.,2009)。
血液量を、水を伴う塩で増加させると、特にショックによる利尿の低下時に細胞外液量の増加が起こる。加えて、急性炎症状況では毛細血管透過性が極端に増加し、体液貯留リスクが悪化し得る(Chappell et al.,2009;Jacob et al.,2009;及びOstrowski et al.,2015)。血液増量の過負荷は、急性肺傷害、腹部コンパートメント症候群又は腎機能障害などの臓器機能障害を引き起こし得ることが認識されている(Sakr et al.,2005;Bagshaw et al.,2008;Sakr et al.,2012;及びBesen et al.,2015)。更に、諸研究により、水−ナトリウム過負荷に起因する死亡率の上昇が報告されている(Boyd et al.,2011;Kelm et al.,2015;及びAcheampong et al.,2015)。3〜4kgの重量増加の累積的正の体液バランス、又は3〜4リットルの水分増加によって生じる27〜36gの塩分が、死亡率及び罹患率が上昇する閾値と考えられている(Lobo et al.,2002;Brandstrup et al.,2003;及び Bjerregaard et al.,2005)。従って、この評価の精度は極めて重要である。これらの現象の防止又は修正に用いられている分析的方法は、血管内圧及び/又は心拍出量測定値の変化に関する動的情報の収集に基づく「有効」血液量に重点を置くものである。この戦略は、ショックから最初の数時間では有効であることが分かっているが、過剰な血漿増量を防ぐことはできない(Hilton,2011)。
輸血処方も血管内液量によって決定される。輸血閾値は、通常、ヘモグロビン(Hb)値又はヘマトクリット(これは、定義上、全血量に対する赤血球量の比率である)を踏まえて考慮される。様々な集中治療セッティングで行われた多くの臨床試験が、7〜11g/dLの濃度のHbについて、循環赤血球量の正確な評価が困難となるような不正確さを認めている(Takanishi,2008;Dorbout Mees,2011,Jacob,2012)。実際、広範な集中治療患者集団の臨床試験は、輸血が無効であり、7〜8g/dLの閾値で処方を制限する方策が有益であることを示している一方、対象を絞った集団で実施された他の臨床試験は、低Hbが予後予測に有利でないことを示している(Naidech,2007、Kellert,2011)。更に、これらの任意閾値は臨床上の個別の状況を考慮せず、十分に正確でないとして異議が唱えられている(Klein,2015)。
全血量を直接正確に測定し、それから血球量及び血漿量を推定することが可能である。しかしながら、この検査はコストが高く、時間がかかり、且つ労力を要するため、稀にのみ実施される。従って、この方法は、特異な疾患(例えば、真性赤血球増加症)に適用されるに過ぎない。最も信頼性の高い測定は、患者の赤血球をクロム51で標識することにより実施される(Gore,2005)。この検査は血管内液量を測定する黄金律として認められているが、これを毎日繰り返すことは不可能である(Gore,2005)。アルブミンをヨウ素125で標識してアルブミン分布容積を測定することにより、体内のアルブミン分布を決定することが可能である。このタンパク質は、赤血球と比べて毛細血管透過性障害に対する感受性がはるかに高い。クロム51法に見られるように、ヨウ素125法を毎日繰り返すことはできず、従って、これは特異な疾患に適用されるのみである。更に、この種の測定は、集中治療室患者の場合のように、患者の体液量状態に関する即時情報が必要な場合に好適でない。
多くの集中治療室では、看護師が毎日の体重又は毎日の体液の出入りの計算によって体液バランスを体系的に測定する。しかしながら、日々の実務では、看護師は、要求される情報の収集に必要な時間を割くことができない。加えて、この方法は正確でなく、更に、細胞外液量の変化を示すパラメータである塩分バランス評価が全く考慮されない。
ヘルスケア、特に集中治療では、組織への酸素供給のモニタリングを改善し、且つより近似的でない方法で治療の均衡をとるため、対象の細胞外液量状態の評価方法を改良することが根本的に必要とされている。更に、正の一日体液及び塩分バランスは浮腫を引き起こし得ると共に、正の一日体液バランスの長期にわたる持続は、急性腎傷害(Payen,2008)、急性呼吸窮迫症候群(Jozwiak,2013)、外傷(Elofson,2015)、くも膜下出血(Kissoon,2015)又は敗血症(Acheampong,2015)を有する重篤疾患患者のより高い死亡率に関連付けられているため、細胞外液量状態の評価方法の改良は決定的に重要である。
従って、本発明の根底にある技術的問題は、対象の細胞外液量状態を評価する迅速且つ信頼性の高い方法を提供する手段及び方法の提供である。
この技術的問題は、添付の特許請求の範囲において特徴付けられるとおりの、本明細書において以下に提供する実施形態の提供によって解決される。
本発明は、対象の細胞外液量状態を決定する方法に関し、この方法は、前記対象から得られた試料においてプロアドレノメデュリン(proADM)又はその断片、好ましくは中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)のレベルを決定することを含む。
更に、本発明は、対象の体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を決定する方法に関し、この方法は、前記対象から得られた試料においてプロアドレノメデュリン(proADM)又はその断片、好ましくは中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)のレベルを決定することを含む。
本明細書において以下及び添付の実施例に報告するとおり、意外にも、プロアドレノメデュリン(proADM)又はその断片、好ましくは中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)のレベルと対象の細胞外液量状態との間に強い統計的関係があることが予想外にも見出されたことから、本発明は、上記に特定した技術的問題を解決するものである。
添付の実施例では、臨床試験の結果を報告する。この臨床試験は、コルチゾール、カテコールアミン、レニン、アンジオテンシンII、アルドステロン系(RAAS)、CT−pro−AVP(本明細書では「コペプチン」とも称される)に反映されるバソプレシン、プロエンドセリンに反映されるエンドセリン及びプロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(MR−ProANP)に反映されるナトリウム利尿ペプチド、エリスロポエチン(EPO)、及び例えばMR−pro−ADMに反映されるプロアドレノメデュリンを含めた、試験したあらゆるバイオマーカーの中で、MR−proADMが予想外にも対象の細胞外液量状態と強い統計的関係を有することを実証している(例えば、図2、表6を参照されたい)。この関係は、入院後2日目、5日目及び7日目の患者の臨床状況のタイプ、例えば、動脈瘤(例えば、動脈瘤性くも膜下出血(SAH))、多発外傷(例えば、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT))、脳傷害又は頭部傷害(例えば、重度脳外傷(SBT))に罹患している患者、又はショックを伴う術後腹膜炎などの術後患者(P)とは無関係であることが報告される。例えば、図3を参照されたい。
従って、本明細書では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMが対象の細胞外液量状態の良好なサロゲートであることが示される。
添付の実施例は、高い又は上昇したMR−proADMのレベルが重篤疾患患者の入院後最初の1週間における細胞外液量中の塩分及び/又は水分上昇と強く相関すること(例えば、図2及び実施例1を参照されたい)、及びほぼ全ての対象に正の体液バランス及び/又は塩分バランス、即ち細胞外液量の上昇があることを示している。細胞外液量の増加は、対象の塩分バランスの変化及び水分バランスの変化として報告される。更に、添付の実施例では、正の体液バランス及び/又は塩分バランスが、例えば全血量又は血漿量と相関しないことが示される。例えば、実施例1を参照されたい。
血漿量を増加させるため、医師は、輸液(例えば、晶質)を患者に投与し得る。無差別的な輸液処置(例えば、積極的輸液療法による)は、細胞外液量に向かう、例えば間質腔内への体液移動が増加し、従って、例えば間質浮腫が引き起こされ得る。添付の実施例は、有効輸液量が組織灌流動脈血液量であることを実証している。
本明細書に示されるとおり、MR−proADMは、体液バランス及び/又は塩分バランスと有意な関係を有する(実施例1〜4、例えば、図2)。詳細には、高レベルのMR−proADMが体液量過負荷の指標であることが実証される。例えば、高レベルのMR−proADM、例えば少なくとも1〜少なくとも1.5nmol/lのMR−proADMは体液過負荷を示す。更に、高レベルのMR−proADM、並びに例えば少なくとも27g〜少なくとも36gのNa及び/又は少なくとも3L〜少なくとも4Lの水分の増加は、医師が直ちに適切な処置を行うべき危険信号である。過剰な塩分及び/又は体液バランスは、重篤疾患患者の罹患及び死亡のリスク要因と考えられる(Acheampong et al.,2015)。従って、本発明の方法は、MR−proADMのレベル(又はproADM又はproADMの別の断片のレベル)の測定を含め、対象の体液バランス、塩分バランス、血球量状態及び細胞外液量を迅速に、好都合に且つ高い信頼性で決定すること、及び対象が重篤な健康状態を有するかどうかを決定することへの高い医療的潜在能力を有する。
更に、添付の実施例では、追加的なマーカー及びパラメータなどの更なる共変量の評価が単一のマーカーproADM(又はその断片)、好ましくはMR−proADMの判別力を向上させることが報告される。例えば、MR−proADM単独は、体液バランスについて35%の分散でAUC(「曲線下面積」)0.82の良好な判別力及び塩分バランスについて42%の分散でAUC0.79の判別力を有する。例えば、実施例2を参照されたい。性別、年齢、血清総タンパク、BMI、体重及びHbなど、更なるマーカー及び更なるパラメータをMR−proADMに含めると、体液バランス及びナトリウムバランスの予測が更に改善され、例えば92%のROC曲線となる(表13及び表14並びに実施例4を参照されたい)。
多くの集中治療室では、看護師が毎日の体重又は毎日の体液の出入りの計算によって体液バランスを体系的に測定する。これらの方法は正確でない。例えば、添付の実施例では、体重と体液バランスとの間の関係が弱いことが分かった(r=0.33、添付の実施例1を参照されたい)。血漿タンパク又はヘモグロビンなどの先行技術に記載される従来の細胞外液量マーカーは、本明細書において以下に示すとおり塩分及び体液バランスとの関係が弱い(例えば、血漿タンパクとΔNaについてr=0.44又は血漿タンパクとΔHOについてr=0.35;HbとΔNaについてr2=0.15又はHbとΔHOについてr=0.24;添付の実施例1を参照されたい)。添付の実施例において、塩分及び体液バランスの測定には生体試料が多く必要となり、且つこの分析は常に2人の医師によって実施及び管理されたため、この手順は非常に多大な時間及び労力を要するものとなった。本明細書では、本発明の方法で用いられるproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMが塩分バランス及び/又は体液バランス、従って細胞外液量状態のより速く且つより正確な尺度を提供することが報告される。従って、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMを緊急用サロゲートとして用いることができる。様々な急性状況において、例えばショック後の最初の数日は、タイミングが決定的に重要である。急性肺傷害、腹部コンパートメント症候群、及び腎不全などの臓器損傷後に過負荷の発見が遅れると、重度の潜在的に致死的な結果に至り得る。添付の実施例では、また意外にも、多臓器不全スコア(SOFAスコア)(Vincent et al.,1996)と塩分及び体液バランスとの間に有意な関係があることも示された。この予測モデルはまた、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMが有利なサロゲート及びベッドサイドツールであることも報告する。
従って、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、治療マネジメント/管理及び/又は手術管理の方法に関し、前記対象の前記細胞外液量状態は、全血、血漿、血清又は尿中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを測定することによって決定される。前記対象の細胞外液量状態はまた、前記対象のナトリウム貯留も反映し得る。
本発明は、従来の方法と比べてとりわけ以下の利点を有する。本発明の方法は、対象の細胞外液量状態の決定に関して迅速で実施し易く、且つ正確であり、対象の細胞外液量状態並びに正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスについて信頼性の高い予測を提供する。
本発明の方法の1つの更なる利点は、体液バランス及び塩分バランスがSOFAスコアと相関することである。従って、本明細書で提供される方法は、正の体液及び/又は塩分バランスによって引き起こされる浮腫に起因する臓器機能障害又は臓器不全に罹患するリスクのある重篤な対象を同定する信頼性の高い且つ簡便な方法を提供する。更に、本発明の方法は、血球量状態の決定が可能である。実施例3及び特に表9は、Hb単独に基づく血球量の予測値と比較した本発明の方法の改善された予測値を報告する。
更に、本明細書で提供される本発明の方法は、正の塩分バランスの患者を層別化することができ、従って、高血圧、腎不全又は心不全及び肺水腫のリスク要因であるナトリウム貯留を有する患者を層別化することができる。かかる患者は、塩の間質から血管内系への動員を標的とする別の治療が必要であり得る。
意外にも、添付の実施例では、MR−proADMが対象の細胞外液量状態と有意な統計的関係を有することが示された。従って、本発明は、対象の細胞外液量状態を決定する方法に関し、この方法は、前記対象から得られた試料においてマーカーproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含む。
特定の態様において、本発明は、対象の細胞外液量状態の決定へのマーカー中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)の使用に関する。ペプチドのアドレノメデュリン(ADM)は、52アミノ酸を含む血圧降下ペプチドとして発見されたものであり、ヒト褐色細胞腫から単離された(Kitamura et al.,1993)。アドレノメデュリン(ADM)は、本明細書では配列番号1に示される、185アミノ酸を含む前駆体ペプチドとしてコードされる(「プレプロアドレノメデュリン」又は「pre−proADM」)。ADMはpre−proADMアミノ酸配列の95〜146位を含み、そのスプライス産物である。
「プロアドレノメデュリン」(「Pro−ADM」)は、シグナル配列(アミノ酸1〜21)を有しないpre−proADM、即ちpre−proADMのアミノ酸残基22〜285を指す。「中央領域プロアドレノメデュリン」(「MR−proADM」)はpre−proADMのアミノ酸42〜95を指す。MR−proADMのアミノ酸配列は配列番号2に提供される。また、本明細書では、対象の細胞外液量状態の予測など、本明細書に記載される方法にpre−proADM又はMR−proADMのペプチド及びその断片を使用し得ることも想定される。例えば、ペプチド及びその断片は、pre−proADMのアミノ酸22〜41(PAMPペプチド)又はpre−proADMのアミノ酸95〜146(成熟アドレノメデュリン)を含み得る。proADMのC末端断片(preproADMのアミノ酸153〜185)はアドレノテンシンと呼ばれる。proADMペプチドの断片又はMR−proADMは、例えば5アミノ酸以上を含む。従って、proADMの断片は、例えば、MR−proADM、PAMP、アドレノテンシン及び成熟アドレノメデュリンからなる群から選択されてもよく、好ましくは、本明細書では、断片はMR−proADMである。
また、本明細書では、配列番号2に示されるとおり少なくとも75%の配列同一性、例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するMR−proADMポリペプチドのレベルが決定されることも想定され、ここで、配列同一性の値は高いほど好ましい。本発明において、2つ以上のアミノ酸配列との関連における用語「配列同一性」、「相同性」又は「パーセント相同性」又は「同一」又は「パーセント同一性」又は「パーセンテージ同一性」は、当該技術分野において公知のとおりの配列比較アルゴリズムを用いるか又は手動のアラインメント及び目視検査によって測定されるとおり、比較ウィンドウにわたって(好ましくは完全長にわたって)又は指定された領域にわたって一致が最大となるように比較及びアラインメントしたときに同じであるか、又は同じであるアミノ酸を指定の割合だけ有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。例えば、70%〜90%又はそれを超える配列同一性を有する配列は、実質的に同一と見なされ得る。かかる定義はまた、試験配列の相補体にも適用される。好ましくは、記載される同一性は、少なくとも約15〜約20アミノ酸長の領域にわたって、より好ましくは少なくとも約25〜約45アミノ酸長の領域にわたって、最も好ましくは完全長にわたって存在する。当業者は、例えば、当該技術分野において公知のとおり、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson Nucl.Acids Res.2(1994),4673−4680)又はFASTDB(Brutlag Comp.App.Biosci.6(1990),237−245)に基づくものなどのアルゴリズムを用いて配列間/配列中のパーセント同一性をどのように決定し得るかが分かるであろう。
本明細書で使用されるとき、用語「マーカープロアドレノメデュリン(MR−proADM)又はその断片のレベル」は、対象から得られた試料中にあるマーカープロアドレノメデュリン又はその断片の分子実体の分量を指す。換言すれば、このマーカーの濃度は試料において決定される。従って、用語「マーカー中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)のレベル」は、対象から得られた試料中にあるマーカー中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)の分子実体の分量を指す。換言すれば、このマーカーの濃度は試料において決定される。上記に記載したとおり、本明細書ではまた、プロアドレノメデュリン(proADM)の断片、好ましくはMR−proADMを検出及び定量化し得ることも想定される。また、MR−proADMの断片を検出及び定量化することもできる。proADM又はその断片(好ましくはMR−proADM)のレベルを決定する好適な方法について、本明細書で以下に詳細に記載する。様々なフォーマットのイムノアッセイ、例えば、サンドイッチ、酵素結合免疫吸着アッセイ、発光イムノアッセイ、迅速検査フォーマット、ポイントオブケア検査に好適なアッセイ及び均一系アッセイ、例えばKryptorシステム(BRAHMS/Thermo Fisher Scientific)などを利用することができる。更に、質量分析手法を用いてproADM又はその断片、好ましくはMR−proADM又はその断片を検出及び定量化することができる。当業者は、本明細書に記載されるマーカーの決定/定量化に好適なアッセイを認識している。
本発明は、対象の細胞外液量状態を決定する方法に関する。本明細書で使用されるとき、細胞外液量は対象の体内水分の一部である。対象の体内水分は体重の約55〜75%程を占める。対象の体内水分は、対象の「細胞外液量」と「細胞内液量」とから本質的になる。図1を参照されたい。本明細書で使用されるとき、「細胞内液量」は、サイトゾル又は細胞内液(ICF)又は細胞質マトリックスを指し、細胞の内部に見られる液体である。通常、細胞内液量は体内水分の約60%である。Guyton(Guyton Arthur C.,(1991),p.275)によれば、40Lの体液を含む身体を有する対象は25Lの細胞内液量を有する。本明細書で使用されるとき、「細胞外液量」は、「全血量」と「間質液量」とから本質的になる。通常、細胞外液量は体内水分の約40%である。従って、約40Lの体液を含む対象は約15Lの細胞外液量を有する(Guyton Arthur C.,(1991),p.275)。本明細書で使用されるとき、「間質液量」、「間質液」又は「組織液」は、多細胞動物の組織細胞を浸して取り囲んでいる溶液である。通常、間質液量は体内水分の約28%又は細胞外液量の約70%である。本明細書で使用されるとき、「全血量」又は「血管内液量」は、「血漿量」と「赤血球量」とから本質的になる。通常、全血量は体内水分の約12%であり、約50%を血漿(細胞外液量の約15%又は体内水分の6%)が占め、及び約50%を血球量(細胞外液量の約15%)が占める。本明細書で使用されるとき、「赤血球量」はまた「血球量」とも称される。本明細書で使用されるとき、「血漿量」は、「血漿(blood plasma)」又は「血漿(plasma)」の容積を指し、通常、全血中に血球細胞を懸濁状態で保持している淡黄色の液状血液成分である。これにより、血漿は血球細胞の細胞外マトリックスとなる。血漿は身体の全血量の約55%を占める。血漿は細胞外液(細胞外にある全ての体液)の血管内液部分である。血漿は、ほとんどが水であり(最大95体積%)、溶解タンパク質(6〜8%)(即ち血清アルブミン、グロブリン、及びフィブリノゲン)、グルコース、凝固因子、電解質(Na、Ca2+、Mg2+、HCO 、Cl等)、ホルモン、及び二酸化炭素(血漿が排泄物輸送の主要な媒体である)を含有する。血漿はまた、人体のタンパク質貯蔵体としての役割も果たす。血漿は、電解質を平衡した形態に保ち且つ身体を感染及び他の血液障害から防御する血管内浸透圧効果において重要な役割を果たす。本明細書で使用されるとき、「赤血球量」はまた、平均血球体積、又は平均細胞体積(MCV)(これは赤血球(red blood corpuscle)(又は赤血球(red blood cell))の平均容積の尺度である)とも称される。
添付の実施例では、毎日塩分バランス及び/又は体液バランスを計算して細胞外液量の変化を推定することが報告される。添付の実施例1を参照されたい。添付の実施例において実証されるとおり、対象の体液バランス及び塩分バランスを決定するため、塩分及び水分(含有量)に関して前日の全流入−流出評価が毎日行われる。そこでは、必要に応じて例えば利尿、回腸造瘻術及び脳室ドレナージを決定することにより、対象のナトリウム及び/又は水分の喪失を測定できることが示される。ナトリウム(Na)の喪失は、液類から測定することができ、及び塩分寄与から推測することができる。しかしながら、塩分バランスの測定は特に難しい。流入水分(例えば、経腸栄養又は1日の晶質又はコロイド輸液の合計)と水分喪失との差も計算される。不感烝泄は体温の関数として推定される。添付の実施例では、「ナトリウム」又は「Na」の増加又は減少(本明細書では「ΔNa」、「Δナトリウム」又は「ナトリウムバランス」とも称される)及び水分又はHOの増加又は減少(本明細書では「ΔHO」又は「体液バランス」とも称される)を毎日計算し、それぞれ累積「体液バランス」又は「塩分バランス」として前日の結果と合計した。
添付の実施例では、意外にも、対象の試料、例えば血漿試料中のMR−proADMのレベルが体液バランス及び/又は塩分バランスと統計的関係を有することが実証された(図2)。従って、本発明は、対象の体液バランス、塩分バランス及び細胞外液量状態を決定する方法に関し、この方法は、前記対象から得られた試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含み、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき、体液バランス及び/又は塩分バランスが決定され、前記体液バランス及び/又は塩分バランスが対象の細胞外液量状態を決定/同定/反映する。高レベルのMR−proADMは高い体液バランス(有意な体液増加)又は高い塩分バランス(有意な塩分増加)と相関することが分かった。例えば、図2を参照されたい。従って、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを利用して、対象の塩分バランス及び体液バランスを予測することができる。換言すれば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMを体液バランス及び/又は塩分バランスの直接的なサロゲートとして使用することができる。従って、用語「(MR−)proADMのレベルに基づく」とは、(MR−)proADMのレベルによって対象の体液バランス及び/又は塩分バランスが同定/予測/決定されることを意味する。
添付の実施例では、塩分バランス及び/又は体液バランスを計算して細胞外液量の変化又は変動を推定する。体液バランス及び/又は塩分バランスは細胞外液量と相関することが知られている(Charra et al.,2004)。従って、体液バランス及び/又は塩分バランスが細胞外液量状態の変化を決定する。細胞外液量状態とは、細胞外液量中にある体液を指す(図1)。対象の細胞外液量は対象の体内水分の約40%である。対象の細胞外液量状態は対象の体液バランス及び/又は塩分バランスと相関する。従って、体液バランス又は塩分バランスの変動が細胞外液量の変動を表す。従って、対象の体液バランス及び/又は塩分バランスの変動から対象の細胞外液量状態を推定/決定することが可能である。換言すれば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMは対象の体液バランス及び/又は塩分バランスの直接的なサロゲートであり、従って、それは対象の細胞外液量状態の指標である。本明細書で使用されるとき、「体液バランス」は、対象の「水分変動」、「水分変化」、「デルタ水分」又は「ΔHO」を指す。換言すれば、「体液バランス」は、対象の「体液」又は「水分」の流入と流出との差である。本発明の好ましい態様において、体液バランスは対象の体液/水分の流入と流出との差である。更に一層好ましい態様において、体液バランスは、対象の入院中における体液/水分の流入と流出との差を反映する累積体液バランスである。本明細書で使用されるとき、用語「入院中」又は「入院1回当たり」は、患者が重篤な健康状況にある期間を意味する。従って、本明細書で使用されるとき、対象の入院は、対象が重篤状況及び/又は症状が軽減されるまでICUに入っている期間を意味し得る。或いは、この用語は、患者において例えば4Lの正の体液バランス、又は例えば36gの正の塩分バランスが蓄積した期間に関する。換言すれば、期間とは、この態様では、対象において例えば4Lの体液又は36gの塩の増加が蓄積した期間が意味される。添付の実施例では、体液バランス及び塩分バランスを毎日計算した。従って、体液バランスは、最初の1日以内(1日当たり)における対象の体液/水分の流入と流出との差である。好ましい態様において、体液バランスは累積体液バランスであり、これは、最初の2日間、更により好ましくは最初の5日間、最も好ましくは最初の1週間以内における対象の体液/水分の流入と流出との差、即ち7日後の対象の体液/水分の流入と流出との差である。本明細書では、対象の水分の増加/上昇とは、体液/水分の流出が水分の増加よりも少ないことに伴い、それ以前の時点(例えば、前日)と比較して多い水分を有する対象を指すことが理解される。本明細書では、対象の水分の減少/低下とは、それ以前の時点(例えば、前日)と比較して少ない水分を有する対象を指すことが理解される。本明細書では、対象の水分の変化がない又は有意な変化がないとは、それ以前の水分含有量(例えば、前日)と比較して同一又は同様の水分含有量を有する対象を指すことが理解される。好ましい態様において、MR−proADMは幾つかの時点で、例えば、治療施設、特に集中治療室への入院後0日目(「D0」)、2日目(「D2」)、5日目(「D5」)及び/又は7日目(「D7」)に決定される。本明細書では、マーカー及び/又はパラメータのレベルはいつでも及びどのような間隔でも、例えば毎時又は毎日(例えば、入院時D0、次に対象のICUへの入院後1日目(D1)、2日目(D2)、3日目(D3)、4日目(D4)、5日目(D5)、6日目(D6)及び/又は7日目(D7)など)又はこれらの組み合わせで決定し得ることが理解される。
添付の実施例では、MR−proADMのレベルが対象の体液バランスと相関することが示される。図2を参照されたい。本明細書では、高レベルのproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMが対象の体液の増加/上昇の指標であることが理解される。本明細書で使用されるとき、「正の体液バランス」を有する対象とは、体液の増加が体液の減少よりも多い対象を指す。従って、対象は体液/水分の流入と流出とが不均衡である。従って、正の体液バランスの対象は体内に水分/体液が蓄積する。従って、この対象は体重が増加する。換言すれば、水分含有量の上昇又は水分の増加がある対象は正の体液バランスを有する。例えば、輸液で治療される対象は、体液/水分が血管系から出る体液移動を有し得る。この体液は対象の細胞外液量、例えば間質液量に向かって移動し得る。例えば、蘇生3日後の患者の10Lを超える細胞外液量の過負荷は体内に封じ込められ、排泄されるのに3週間必要であることが示されている(Chappell et al.;A rational approach to perioperative fluid management,Anesthesiology;2008,109:723−40)。解剖学的喪失は、病的量での生理現象、即ち間質腔内への病的体液蓄積と見なされる(Chappell、前掲)。血管から間質腔に向かうインタクトな血管関門の生理的体液移動に含まれるタンパク質及び主小分子はごく少量のみであると見なすことができる。この移動がリンパ系によって定量的に管理されるとき、生理的移動は間質浮腫などの浮腫を生じない。しかしながら、リンパ系が例えば晶質などの輸液の過剰適用によって圧倒されると、浮腫が生じ得る。間質液量と機能的及び解剖学的に分かれている体液コンパートメントに相当する非解剖学的な第3の空間喪失もある。この第3の空間への喪失は、通常、体液を全く又はほとんど含まない空間に例えば外科手技又は外傷によって引き起こされる体液蓄積であり得る。例えば、第3の空間喪失は腹膜腔、腸、及び外傷組織に向かうものであり得る。
本発明の特定の態様において、3〜4kgの重量増加の正の体液バランス(入院中、例えば、最初の1日間、好ましくは最初の2日間、更により好ましくは最初の5日間、最も好ましくは最初の1週間の)は、死亡率及び罹患率が上昇する閾値と見なされる。従って、本発明の特定の態様において、少なくとも3L、好ましくは少なくとも4Lの体液増加は重篤と見なされる。細胞外液量の体液の少なくとも3L、好ましくは少なくとも4Lの増加は重篤と見なされる。重篤と見なされる体液増加はまた、対象の性別、年齢又は体重などの患者特性にも依存する。例えば、成人女性の体内水分は成人男性の体内水分よりも5〜10%少ない。従って、本明細書では、体重が軽い患者ほど(例えば、女性)、体液及び/又は塩分の増加に一層敏感に反応し得ることが理解される。更に、体液コンパートメントにおける体液の分布は対象の年齢に依存し、例えば、それは新生児の75%から成人の55%まで低下する。従って、少ない体液増加、例えば3L以下の体液の増加が女性又は老齢対象では既に重症転帰となり得る。他方で、体重が重い対象は(例えば、男性)、体液及び/又は塩分増加に対して前記軽い対象ほど敏感でない可能性がある。従って、かかる対象では死亡リスクは低下し得る。
別の態様において、少なくとも4Lの正の体液バランスが重篤と見なされる。換言すれば、少なくとも4Lの正の体液バランスは、対象が重篤と見なされる細胞外液量状態を有することを示す。詳細には、添付の実施例において、水分、例えば少なくとも4Lの水分の高い増加が危険信号であり、重篤な細胞外液量状態、従って重篤な対象の指標であることが報告される。内皮損傷及び/又は塩分貯留は体液バランスの増加に関与し得る。
本明細書で使用されるとき、「負の体液バランス」を有する対象とは、体液喪失が体液増加よりも多い対象を指す。従って、この対象は水分又は体液を失い、従って体重が減少する。換言すれば、水分含有量の低下又は水分喪失を有する対象は負の体液バランスを有する。本明細書で使用されるとき、同一又は同様の水分含有量を有する対象とは、「同一又は同様の体液バランス」を有する対象を指す。かかる対象は体液マネジメントの均衡がとれており、従って体液バランスは釣り合っているか又は正常である。換言すれば、体液/水分の流入が体液/水分の流出と同一又は同様である。換言すれば、対象は正常な体液バランスを有する。
本発明との関連において、対象の体液/水分バランスは、例えば血液増量剤を含め、経静脈療法によって例えば増加させることができる。特に好ましい態様において、対象の水分増加とは、それ以前の時点において決定された水分/体液と比較してより多くの水分/体液を有する対象を指し、ここで、より多くの水分/体液を有する前記対象とは、正の体液バランスを有する対象を指す。添付の実施例では、高レベルのMR−proADM、例えば少なくとも1nmol/lが水分増加、即ち正の体液バランス、従って上昇した細胞外液量状態の指標であることが示され、ここで、前記細胞外液量状態は重篤と見なされる。換言すれば、少なくとも4Lの正の体液バランスは、対象が重篤と見なされる細胞外液量状態にあることを示す。
本発明は、本明細書で提供される方法に関し、ここで、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき、塩分バランスが決定され、前記塩分バランスが細胞外液量状態を決定/同定する。本明細書で使用されるとき、「塩分バランス」又は「ナトリウムバランス」は、「ナトリウムの変動」、「ナトリウムの変化」、「デルタナトリウム」又は「ΔNa」を指す。「塩分バランス」は対象の「塩分」又は「ナトリウム」の流入と流出との差である。本発明の好ましい態様において、塩分バランスは対象の体液/水分の流入と流出との差である。更に一層好ましい態様において、塩分バランスは、対象の入院中の塩分/ナトリウムの流入と流出との差を反映する累積塩分バランスである。特定の態様において、塩分バランスは、最初の1日以内における1日当たりの対象の塩分/ナトリウムの流入と流出との差である。好ましい態様において、塩分バランスは、最初の2日間、更により好ましくは最初の5日間、最も好ましくは最初の1週間以内の対象の塩分/ナトリウムの流入と流出との差、即ち7日後の差である。添付の実施例では、意外にも、塩分バランスが対象の試料、例えば血漿試料中のMR−proADMのレベルと統計的関係を有することが実証された(図2B)。更に、添付の実施例では、対象の体液バランスが塩分バランスと統計的に関連していることが示される。実施例1を参照されたい。本明細書では、対象の塩、例えばナトリウムの増加/上昇とは、より高量/高含有量の塩、例えばナトリウムを有する対象を指すことが理解される。本明細書で使用されるとき、より高量/高含有量の塩を有する対象とは、正の塩分バランスを有する対象を指す。従って、「正の塩分バランス」を有する対象とは、本明細書では、対象の塩の喪失よりも多い塩の増加を有する対象を意味する。従って、この対象は、塩分/ナトリウムの流入と流出とが不均衡である。従って、正の塩分バランスを有する対象は体内に塩分/ナトリウムが蓄積する(例えば、塩分貯留)。換言すれば、塩分/ナトリウム量/含有量の上昇又はナトリウム/塩分の増加を有する対象は正のナトリウムバランスを有する。本明細書で使用されるとき、「ナトリウム貯留」又は「塩分貯留」は腎不全又は心不全の兆候であり得る。塩分貯留は体液/水分貯留及び血液量増加、血圧上昇及び炎症を引き起こし得る。理論によって拘束されるものではないが、炎症は塩分貯留を引き起こし得る。MR−proADMは塩分及び/又は体液バランスと強い統計的関係を有するため、MR−proADM(又はproADM又はその別の断片)は、炎症(又は炎症によって誘発される血管損傷及び透過性)の予後予測マーカーとして利用することができる。
本明細書で使用されるとき、「負の塩分バランス」を有する対象とは、塩分、例えばナトリウムの喪失が塩分増加よりも多い対象を指す。従って、対象は塩分又は体液を喪失し、従って体重が減少する。換言すれば、塩分含有量の低下又は塩分の喪失を有する対象は負の塩分バランスを有する。本明細書で使用されるとき、同一又は同様の塩分含有量を有する対象は、「同一又は同様の塩分バランス」を有する対象を指す。かかる対象は塩分マネジメントの均衡がとれており、従って塩分バランスは釣り合っているか又は正常である。換言すれば、塩分/ナトリウム流入が塩分/ナトリウム流出と同一又は同様である。換言すれば、対象は正常な塩分バランスを有する。
一態様において、正の塩分バランスとは、対象がそれ以前の時点と比較してより高い塩分含有量を有し、従って細胞外液量状態が上昇していることを意味する。添付の実施例では、高レベルの、例えば1nmol/lより高いMR−proADMが、塩分増加、正の塩分バランス、従って上昇した細胞外液量状態の指標であることが示され、ここで、前記上昇した細胞外液量状態は重篤と見なされる。詳細には、添付の実施例では、高い塩分増加、例えば少なくとも27g、好ましくは少なくとも36gのナトリウムの増加が危険信号であり、重篤な患者の指標であることが報告される。従って、本発明の特定の態様では、少なくとも約27〜少なくとも約36gの塩分増加が重篤と見なされる。本発明の好ましい態様では、少なくとも36gの正の塩分バランスが重篤と見なされる。換言すれば、少なくとも27g、又は好ましくは少なくとも36gの正の塩分バランスは、対象が重篤と見なされる細胞外液量状態を有することを示す。
本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、対象の血球量状態を決定する。詳細には、本明細書で提供される方法は、対象の血球量が20ml/kg未満であるかどうかの決定を可能にする。20ml/kg未満の血球量、又は好ましくは15ml/kg未満の血球量は、重篤な血球量状態の指標である。特定の態様において、20ml/kg未満の対象の血球量は、重篤な細胞外液量状態にある対象の予測性があり、前記重篤な細胞外液量状態は対象の重篤な健康状態の指標である。従って、20ml/kgを下回る血球量は、対象が正の体液バランスを有することを示し、ここで、前記正の体液バランスは重篤な細胞外液量状態の指標である。
本明細書で提供される方法は、対象の血球量状態を決定し、この方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、試料中のヘモグロビンレベル、対象のボディマスインデックス、対象の性別、対象の年齢、試料中の血清総タンパクレベル及び任意選択的に対象の体重を決定することを含む。
添付の実施例では、統計分析に更なるマーカー又はパラメータを含めると、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの予測力が向上することが報告される。例えば、実施例1〜4を参照されたい。統計分析により、意外にも、対象の細胞外液量状態と有意な関係を有するMR−proADMを含むコンセンサスモデルが見出された。本明細書で使用されるとき、コンセンサスモデルは2つ以上のマーカー及びパラメータを含み、前記コンセンサスモデルに基づき、対象の体液バランス及び/又は塩分バランス及び/又は細胞外液量状態を決定することができる。換言すれば、特定の態様において、本発明は、マーカー及びパラメータのパネル(又はマルチパネル)が決定される方法に関する。従って、本発明との関連において、更なるパラメータ及び/又はマーカーが決定され得る。換言すれば、本発明に係る方法は、他のマーカー、パラメータ及び/又は方法と組み合わせて行うことができる。これは、本発明に係る測定方法が特に有利には多重パラメータ診断として行われ得ることを意味する。これにより、好ましくは血管拡張因子の群から選択される少なくとも1つの更なるマーカーが追加で決定される。
本発明の特定の態様において、本明細書で提供される方法は、ヘモグロビン、血清総タンパク、レニン、プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(proANP)、C末端プロ−アルギニン−バソプレシン(CT−proAVP)タンパク質、エリスロポエチン、アンジオテンシンII、アルドステロン、コルチゾール、アドレナリン、エピネフリン、カテコールアミン類及びプロエンドセリン−1(pro−ET−1)からなる群から選択される少なくとも1つの更なるマーカーのレベルを決定することを含む。
特定の態様において、本発明は、ヘモグロビン、血清総タンパク、レニン、プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(proANP)、C末端プロ−アルギニン−バソプレシン(CT−proAVP)タンパク質、エリスロポエチン、アンジオテンシンII、アルドステロン、コルチゾール、アドレナリン、エピネフリン、カテコールアミン類及びプロエンドセリン−1(pro−ET−1)からなる群から選択される1つの更なるマーカーの使用に関する。
特定の好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、マーカー「ヘモグロビン(hemoglobin)」(本明細書では「ヘモグロビン(haemoglobin)とも称される」)のレベルを決定することを更に含む。「ヘモグロビン」又は「Hb」は、脊椎動物の赤血球中にある鉄含有酸素運搬金属タンパク質である。Hb濃度は、従来の血液検査に関連して、通常、全血球計算の一部として測定され得る。正常Hb濃度は、男性について13.8〜18.0g/dL(138〜180g/L、又は8.56〜11.17mmol/L);女性について12.1〜15.1g/dL(121〜151g/L、又は7.51〜9.37mmol/L);小児について11〜16g/dL(111〜160g/L、又は6.83〜9.93mmol/L);又は妊婦について11〜14g/dL、9.5〜15(妊娠中の通常値)(110〜140g/L、又は6.83〜8.69mmol/L)である。本発明との関連において、低ヘモグロビンとは、ある人のヘモグロビンレベルが、その年齢及び性別についての正常限界の下限(上記の正常値範囲を参照されたい)を下回ることを意味する。例えば、19歳男性は、検出された血液値が13.6g/dlを下回る場合に低ヘモグロビンレベルを有する。本発明との関連において、高ヘモグロビンレベルとは、測定されたヘモグロビンレベルがその人の年齢及び性別についての正常限界の上限(上記の正常値を参照されたい)を上回ることを意味する。例えば、検出されたヘモグロビンレベルが18.2g/dlを上回る19歳男性は高ヘモグロビンレベルを有する。
本明細書で使用されるとき、「血清総タンパク」は、血中にあるタンパク質の総量を指す。好ましい態様において、血清総タンパクは、血清又は血漿中にあるタンパク質の総量を指す。「血清総タンパク」はルーチンの検査で測定され、ICU及び他の医療サービスで使用される。血清又は血漿中における2つの主要なタンパク質成分は、アルブミン及びグロブリンである。グロブリンは、α、β、及びγ型と呼ばれる種々のタンパク質で構成される。血清総タンパクの検査では、総タンパク量、アルブミン、及びグロブリンについて別個の値が報告される。血清総タンパクは、例えば、ビウレット試薬によるか、又は屈折率測定法によって決定することができる。低タンパク血症は、肝不全、栄養不良に起因する合成欠損、又は腎性喪失によって起こる。血清タンパク質濃度の上昇には主な原因が2つあり、体内の水分が減っている脱水及び血液量低下である。最も一般的には、過剰産生されるタンパク質は免疫グロブリンであり、感染及び血液新生物ではそのレベルが上昇し得る。血清総タンパクの正常範囲は約60〜約80g/lである。
本明細書で使用されるとき、「レニン」又は「アンジオテンシノゲナーゼ」は、細胞外液量(即ち、血漿、リンパ液及び間質液の量)を媒介する体内のレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)、及び動脈血管収縮に関与する酵素である。従って、これは生体の平均動脈圧を調節する。レニンレベルは、好ましくは対象の血漿又は血清中で測定される。
本明細書で使用されるとき、「プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド」又は「proANP」は、128アミノ酸を含むプロホルモンを指す。本明細書で使用されるとき、128アミノ酸を含むプロホルモン(proANP)のC末端部の28アミノ酸(99〜126)を含むペプチドが実際のホルモンANPと称される。そのプロホルモンproANPからANPが放出されると、proANPの残りのより大きい部分ペプチドである、98アミノ酸からなるN末端proANP(NT−proANP;proANP(1〜98))の等モル量が循環中に放出される。NT−proANPは大幅に向上した半減期及び安定性を有するため、NT−proANPは、診断、経過観察及び療法管理の検査パラメータとして使用することができる。例えば、Lothar Thomas(Editor),Labor und Diagnose,5th expanded ed.,sub−chapter 2.14 of chapter 2,Kardiale Diagnostik,pages 116−118、及び国際公開第2008/135571号パンフレットを参照されたい。proANPのレベルは、好ましくは対象の血漿又は血清中で測定される。
本明細書で使用されるとき、エンドセリン−1は、プロエンドセリン−1と呼ばれる大型の前駆体分子に由来する。プロエンドセリン−1はタンパク質分解プロセシングを受けて記載されるとおりの様々な断片になる(欧州特許出願公開第2 108 958 A1号明細書;Proteolytic processing pattern of the endothelin−1 precursor in vivo.Peptides.2005 Dec;26(12):2482−6)。これらの断片は血液循環中でタンパク質分解に供され、これは断片のタイプ並びに循環中に存在するプロテアーゼのタイプ及び濃度/活性に応じて急速に起こることも又は緩慢に起こることもある。従って、本発明によれば、少なくとも12アミノ酸のこれらの断片、好ましくは少なくとも20アミノ酸、より好ましくは少なくとも30アミノ酸の断片のいずれかのレベルが測定され得る。好ましくは、C末端pro−ET−1(CT−proET−1)又はその断片が測定され得る。エンドセリン−1のレベルは、好ましくは対象の血漿又は血清中で測定される。
本明細書で使用されるとき、「バソプレシン」は「AVP」を指す。バソプレシンは強力な血管収縮剤である。そのプロホルモンのアッセイが尿崩症の症例に関する予後予測及び診断因子として調べられている。バソプレシン又は抗利尿ホルモン(ADH)は、体内水分及び水分バランスの調節における鍵の1つである。その分泌(これは一部にはストレスに関連している)は動脈圧の上昇及び水分の吸収を引き起こし、低ナトリウム血症の発症リスクをもたらす。しかしながら、ADHは不安定である。更に、その濃度はその血小板への結合に依存し、従って変動し易い。プロホルモンのC末端部分「CT−proAVP」は、より安定性の高いADH前駆体であり、その血漿濃度はADH分泌を反映する(Struck,2005、Morgenthaler,2007)。本明細書で使用されるとき、このプロホルモンのC末端部分は「CT−proAVP」又は「コペプチン」と称される。敗血症性ショック又は出血後の血漿レベルの上昇は血液浸透圧及び死亡率と相関する(Morgenthaler,2007)。CT−proAVPのレベルは、好ましくは対象の血漿又は血清中で測定される。
アンジオテンシンIは、酵素アンジオテンシン変換酵素(ACE)により、主に肺内のACE(内皮細胞及び腎臓上皮細胞にも存在するが)を介して2つのC末端残基が除去されるとアンジオテンシンIIに変換される。アンジオテンシンIIは、エンドクリン、オートクリン/パラクリン、及びイントラクリンホルモンとして作用する。アンジオテンシンIIのレベルは、好ましくは対象の血漿又は血清中で測定される。
特定の態様において、本明細書で提供される方法は、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、IGS II、乳酸塩、ナトリウム摂取量、液体摂取量及び患者群からなる群から選択される対象の少なくとも1つのパラメータを決定することを更に含む。特定の好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、ボディマスインデックス、体重、年齢及び性別からなる群から選択される対象の少なくとも1つのパラメータを決定することを更に含む。
本明細書で使用されるとき、ボディマスインデックス(BMI)は、対象の質量(体重)及び身長から求められる値である。BMIは、対象のボディマス、即ち対象の体重を身長の二乗で除したものとして定義され、体重がキログラム単位及び身長がメートル単位である結果としてkg/m単位で普遍的に表される。BMIはまた、表又はグラフ(参照値)を用いて決定されてもよく、これは、BMIを異なるBMIカテゴリに関する等高線又は色を用いて質量及び身長の関数として表示するものであり、2つの異なる測定単位を使用し得る。BMIは、個人の組織塊(筋肉、脂肪、及び骨)の量を定量化し、次にその人をその値に基づいて低体重、普通体重、過体重、又は肥満に分類しようとする試みである。一般に認められているBMI範囲は、低体重:18.5未満、普通体重:18.5〜25、過体重:25〜30、肥満:30超である。本発明の特定の態様では、BMIは0日目、例えば患者入院時に決定される。
本明細書で使用されるとき、「体重」はkg単位の対象の質量を指す(BMIを参照されたい)。本発明の特定の態様では、体重は0日目、例えば患者入院時に決定される。本発明との関連において、普通体重はデビン(Devin)の式又はハムウィ(Hamwi)法に従って理論的に計算することができる。ハムウィ(Hamwi)法によれば、男性の理想体重は48kg+1.5mを超える分について2.54cm毎に2.7kgである。女性について、理想体重は45kg+1.5mを超える分について2.54cm毎に2.3kgである。これらの正常値を下回る又は上回る値は、重篤な対象であるリスクが上昇する。
本明細書で使用されるとき、「年齢」は、年単位での個人が生きている時間の長さを指す。好ましい態様では、このパラメータは、本方法において、年齢の二乗及び三乗、即ち年齢及び年齢を加えることにより重み付けされる。
本明細書で使用されるとき、「IGS II」(「簡易重症度指標」の略称である)又は「SAPS II」(「簡易急性生理学的スコアII」の略称である)は、疾患又は障害の重症度の分類体系を指す(Le Gall JR et al.,Simplified Acute Physiology Score(SAPS II)based on a European/North American multicenter study.JAMA.1993;270(24):2957−63を参照されたい)。「IGS IIスコア」は12個の生理学的変数及び3個の疾患関連変数で構成される。ポイントスコアは、12個のルーチンの生理学的測定値、過去の健康状態に関する情報及びICUへの入院時に得られる何らかの情報から計算される。IGS IIは、任意の時点、好ましくは2日目に決定することができる。「最悪の」測定値は、最も高いポイント数に関係する尺度として定義される。SAPS IIスコアは0〜163ポイントの範囲である。この分類体系は、以下のパラメータ:年齢、心拍数、収縮期血圧、体温、グラスゴーコーマスケール、機械的換気又はCPAP、PaO2、FiO2、尿排出量、血中尿素窒素、ナトリウム、カリウム、重炭酸塩、ビリルビン、白血球、慢性疾患及び入院タイプを含む。死亡率とSAPS II総スコアとの間にはシグモイド関係がある。対象の死亡率は29ポイントのSAPSIIスコアで10%であり、死亡率は40ポイントのSAPSIIスコアで25%であり、死亡率は52ポイントのSAPSIIスコアで50%であり、死亡率は64ポイントのSAPSIIスコアで75%であり、死亡率は77ポイントのSAPSIIスコアで90%である(Le Gall、前掲)。
本明細書で使用されるとき、「液体摂取量」は、所与の時間内、例えば24時間以内における対象の体液摂取量を指す。例えば、患者又は対象の体液摂取量は輸液又は補液蘇生であり得る。好ましくは、液体摂取量は0日目、換言すれば患者入院時又はその後に決定される。
本明細書で使用されるとき、対象の「性別」は対象の生物学的性を指し、ここで、対象は男性又は女性のいずれかである。
本明細書で使用されるとき、「ナトリウム摂取量」は、生物が栄養(食物及び液体)又は輸液などの外部供給源から受け取る塩分、又は好ましくはナトリウム、例えば塩化ナトリウムの総量を指す。好ましくは、ナトリウム摂取量は0日目、換言すれば患者入院時又はその後に決定される。
本明細書で使用されるとき、「乳酸塩」又は「最高乳酸塩」は、血中で測定される最高乳酸濃度を指す。通常、乳酸濃度は毎日又は更にはそれより高い頻度で評価される。血中の乳酸濃度は乳酸オキシダーゼ分光光度法によって決定することができる。
本明細書で使用されるとき、「全血量」、「TBV」又は「TV」は、クロム51(Cr51)で標識した赤血球を用いて測定することができる。全血量は、任意の時点、特に1日目〜3日目、例えば3日目、及び/又は6日目〜10日目、例えば10日目に測定することができる。本明細書では、患者自身の血液をクロム51(Cr51)で放射標識し、放射活性標識された赤血球を選択することが想定される。次に既知量の放射活性標識赤血球を全血循環中に再注入する。例えば、2時点、例えば10分及び30分で動脈ラインにおいて2つの試料を実施することができる。mL又はmL/kg単位の全血量(TBV)を推定するため、これらの2つの試料の放射活性を測定し、患者の体重を決定する(Gore et al.,2005)。ヘマトクリット数及び測定された全血量が、(mL又はmL/kg)単位の赤血球量(RBCV)及びmL又はmL/kg単位の血漿量(PV)を定義する。正常値(±20%)は、TBVについて約72±14mL/kg、RBCVについて約32±6mL/kg、及びPVについて約40±8mL/kgである(Gore et al.,2005)。
「血漿量」又は「PV」はヨウ素125を用いて測定し得る(PVI125)。血漿量は、任意の時点、例えば7日目に測定し得る。添付の実施例では、PVI125は7日目に測定する。ヨウ素125(I125)による放射標識アルブミンの規定量を患者に注入し、注入後の幾つかの時点、例えば、10分、30分及び2時間に試料を採取する(Fairbanks et al.,1996)。I125によって測定したPVの正常値は約45±10mL/kgである(Gore et al.,2005)。一般に、I125−アルブミンによって測定した血漿量は、Cr51−赤血球によって測定した血漿量よりもやや多く、これはアルブミンの分布容積が赤血球より大きいためである(Gore et al.,2005)。
本明細書で使用されるとき、「患者群」又は「群」は、対象がその疾患パターン又は医学的像に従って分類されることを意味する。添付の実施例で使用されるとき、対象は4群、即ち、重度脳外傷(SBT)、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)及びショックを伴う術後腹膜炎(P)に分類される。
特定の態様において、本方法は、対象の細胞外液量状態を決定し、この方法は、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM、性別、ヘモグロビン、血清総タンパク、IGS IIスコア、体液摂取量及びナトリウム摂取量からなる群から選択される少なくとも1つのマーカー及び/又はパラメータを決定することを含む。添付の実施例では、ランダムフォレスト分析を用いて、生じる誤差が最も小さいマーカー及びパラメータの組み合わせを選択し得ることが実証される。本明細書では、意外にも、MR−proADMのレベルを対象のボディマスインデックス、体重、年齢(年齢及び年齢)及び性別、ヘモグロビン及び血清総タンパクと組み合わせて用いることにより、対象の細胞外液量状態の予測に関する最良のモデルが実現することが示される。従って、本発明の最も好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、対象のボディマスインデックス、体重、年齢、性別、試料中のヘモグロビンレベル及び試料中の血清総タンパクレベルを決定することを含む。添付の実施例4に実証されるとおり、MR−proADM、血清総タンパク及びヘモグロビンなどのマーカーは、例えば体液バランスについて0.94のAUCの良好な予測力を有する。例えば、表13及び表14を参照されたい。対象のボディマスインデックス、体重、年齢及び性別などのパラメータをマーカーに追加すると、AUCが、例えば体液バランスについて0.95に改善される。対象のボディマスインデックス、体重、年齢及び性別などのパラメータ単独は、例えば体液バランスについて0.88のAUCを有する。従って、本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、対象のボディマスインデックス、体重、年齢、性別を決定することを含む。本発明の好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、試料中のヘモグロビンレベル及び試料中の血清総タンパクレベルを決定することを含む。本発明の最も好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、対象のボディマスインデックス、体重、年齢、性別、試料中のヘモグロビンレベル及び試料中の血清総タンパクレベルを決定することを含む。
添付の実施例、詳細には実施例3及び4に報告されるとおり、マーカー及びパラメータの種々の組み合わせを用いて対象の細胞外液量状態を決定し得る。本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、対象の体液バランスを決定し、この方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、対象のボディマスインデックス、体重、年齢、性別、試料中のヘモグロビンレベル、試料中の血清総タンパクレベル、対象のIGS IIスコア及び体液摂取量を決定することを含む。本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、対象の塩分バランスを決定し、この方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、対象のボディマスインデックス、体重、年齢、性別、試料中のヘモグロビンレベル、試料中の血清総タンパクレベル、試料中のナトリウム摂取量レベル、対象のIGS IIスコア及び体液摂取量を決定することを含む。添付の実施例3に示されるとおり、パラメータIGS II及び液体摂取量がなくても統計分析への効果は軽微であり、rが僅か2〜3%低下するに過ぎず、AUCに対する効果はない。例えば、表6を参照されたい。従って、本発明の特定の他の態様において、本明細書で提供される方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、対象のボディマスインデックス、体重、年齢、性別、試料中のヘモグロビンレベル及び試料中の血清総タンパクレベルを決定することを含む。
本発明の特定の態様において、本方法は、試料中のproANPレベル、全血量レベル、試料中のヘマトクリットレベル、赤血球量レベル、血漿量レベル、全尿量レベル、試料中のアンジオテンシンIIレベル、対象の患者群、試料中のコルチゾールレベル、血中の内皮幹細胞数、試料中のカテコールアミンレベル、対象の全血イオノグラム、対象の尿イオノグラム、対象の血液浸透圧、対象の尿浸透圧、対象の血糖、試料中のプロエンドセリン−1(pro−ET−1)レベル、試料中のCT−proAVPレベル、試料中のアルドステロンレベル、試料中の乳酸塩レベル、対象の急性生理学及び慢性健康評価II(APACHE II)、対象の世界脳神経外科連盟(WFNS)グレード分類、及び対象のグラスゴーコーマスケール(GCS)からなる群から選択される対象の少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータを決定することを含む。
添付の実施例では、対象の多臓器不全スコア(SOFAスコア)と体液バランス及び/又は塩分バランスとの間に有意な統計的関係があることが報告される。実施例1及び3及び図4を参照されたい。MR−proADMは体液バランス及び/又は塩分バランスと相関する。従って、特定の態様では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき、多臓器不全スコア(SOFAスコア)が決定される。換言すれば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMがSOFAスコアのサロゲートマーカーとして用いられる。
本発明の特定の他の態様では、体液バランス及び/又は塩分バランスに基づき、多臓器不全評価スコア(SOFAスコア)が決定される。添付の実施例では、年齢、BMI及び性別などの更なるパラメータを含めることにより、SOFAスコアを決定する予測力が改善されることが示される。図5を参照されたい。従って、特定の態様において、本明細書で提供される方法は、体液バランス及び/又は塩分バランスに基づいてSOFAスコアを決定し、この方法は、年齢、ボディマスインデックス及び性別からなる少なくとも1つのパラメータを決定することを含む。
更に、本発明は、方法であって、
(a)対象の試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定するステップ、及び
(b1)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルを、少なくとも1つの参照対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルに対応する参照データと比較するステップ;又は
(b2)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルを、以前の分析から得られた同じ対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルに対応するデータと比較するステップ;
(c)比較ステップ(b)に基づき、前記対象の体液バランス及び/又は塩分バランスを同定するステップ;及び
(c)ステップ(c)に基づき、血球量状態及び/又は細胞外液量状態を同定するステップ
を含む方法に関する。
換言すれば、本発明は、本明細書で提供される方法に関し、前記方法は、
(a)対象の試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定するステップ、及び
(b1)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベルを、少なくとも1つの参照対象又は参照対象集団のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの参照レベルと比較するステップ;又は
(b2)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベルを、以前の分析から得られた同じ対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの参照レベルと比較するステップ;
(c)比較ステップ(b)に基づき、前記対象の体液バランス及び/又は塩分バランスを同定するステップ;及び
(c)血球量状態及び/又は細胞外液量状態を同定するステップ
を含む。
更に、本発明は、インビトロ方法に関し、前記方法は、
(a)試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル及び対象の少なくとも1つの更なるマーカー及び/又は少なくとも1つの更なるパラメータのレベルを決定するステップ、及び
(b1)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、並びに少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルを、少なくとも1つの参照対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、及び前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルに対応する参照データと比較するステップ;又は
(b2)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、並びに少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルを、以前の分析から得られた同じ対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、及び前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルに対応するデータと比較するステップ;及び
(c)比較ステップ(b1)又は(b2)に基づき、前記対象の体液バランス及び/又は塩分バランスを同定するステップ;及び
(d)ステップ(c)に基づき、血球量状態及び/又は細胞外液量状態を同定するステップ
を含む。
本発明はまた、インビトロ方法にも関し、前記方法は、
(a)対象の試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、対象のボディマスインデックス、対象の体重、対象の年齢、対象の性別、試料中のヘモグロビンレベル及び試料中の血清総タンパクレベルを決定するステップ;及び
(b1)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルを、少なくとも1つの参照対象の前記マーカーの前記レベル及び前記パラメータに対応する参照データと比較するステップ;又は
(b2)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、ボディマスインデックス、体重、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルを、以前の分析から得られた同じ対象の前記マーカーの前記レベル及び前記パラメータに対応するデータと比較するステップ;
(c)比較ステップ(b1)又は(b2)に基づき、前記対象の体液バランス及び/又は塩分バランスを同定するステップ;及び
(d)ステップ(c)に基づき、血球量状態及び/又は細胞外液量状態を同定するステップ
を含む。
本発明の特定の態様では、用語「前記proADM又はその断片レベルを参照データと比較する」又は「前記proADM又はその断片レベルを、少なくとも1つの参照対象の前記proADM又は前記その断片レベルに対応する参照データと比較する」は、proADM又は前記その断片レベルが本明細書に記載されるとおり決定され、proADM又は前記その断片レベルが、少なくとも1つの参照対象で決定されたproADM又は前記その断片レベルと比較されることを意味する。従って、用語「前記MR−proADMレベルを参照データと比較する」又は「前記MR−proADMレベルを、少なくとも1つの参照対象の前記MR−proADMレベルに対応する参照データと比較する」は、MR−proADMのレベルが本明細書において言及するとおり決定され、そのMR−proADMのレベルが、少なくとも1つの参照対象で決定されたMR−proADMのレベルと比較されることを意味する。これらの態様において、参照データは、これらの参照対象で決定されたproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに対応する。換言すれば、前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルが、少なくとも1つの参照対象又は参照対象集団のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの参照レベルと比較される。参照レベルは、本明細書において、一般に参照データと称される。参照データは、例えば更なるマーカー及び/又はパラメータに対応するより多くのレベル/値を含み得る。本発明の好ましい態様において、用語「前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、並びに少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルを、少なくとも1つの参照対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、並びに前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルに対応する参照データと比較するステップ」は、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが決定され、少なくとも1つの更なるマーカー及び/又は少なくとも1つの更なるパラメータの少なくとも1つのレベルが決定されることと、そのproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、少なくとも1つの参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの対応するレベルと比較されることと、少なくとも1つの更なるマーカー及び/又は少なくとも1つの更なるパラメータのレベルが、少なくとも1つの参照対象の少なくとも1つの更なるマーカー及び/又は少なくとも1つの更なるパラメータの対応するレベルと比較されることとを意味する。特定の態様において、参照データは、参照対象で決定されたproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベル、並びに少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルに対応する。被験対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベル、並びに少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルは、かかる参照対象の参照データと比較される。
本発明の別の態様において、参照データは、参照対象で決定されたproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルに対応する。被験対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルは、かかる参照対象の参照データと比較される。
本発明の特定の態様では、参照対象は健常対象、例えば正常な細胞外液量状態を有する対象であってもよい。本発明の更なる態様において、参照対象は、疾患又は障害に罹患している対象であってもよい。健常な又は疾患/障害を有する参照対象の集団は、それぞれ健常対象又は疾患若しくは障害に罹患している対象から本質的になる。参照対象集団は、1〜200又はそれを超える参照対象を含む対象集団である。
詳細には、健常対象は、浮腫、脳損傷、動脈瘤破裂後、頭部傷害、神経学的障害、多発外傷性傷害、手術後、臓器不全、無制御のリンパ液流活性、腎機能不全、心機能不全、及び/又は乱れた体液バランスに関連する疾患に罹患していない。詳細には、健常対象は、動脈瘤、多発外傷、脳傷害及び/又は頭部傷害に罹患しておらず、及び術後患者でない。
詳細には、疾患又は障害に罹患している参照対象又は参照対象集団は、浮腫、脳損傷、動脈瘤破裂後、頭部傷害、神経学的障害、多発外傷性傷害、手術後、臓器不全、無制御のリンパ液流活性、腎機能不全、心機能不全、及び/又は乱れた体液バランスに関連する疾患など、重篤な細胞外液量状態及び/又は重篤な血球量状態に関連することが公知の疾患又は障害に罹患している。詳細には、疾患又は障害に罹患している参照対象又は参照対象集団は、動脈瘤、多発外傷、脳傷害、及び/又は頭部傷害に罹患しており、又は参照対象は、例えばショックを伴う腹膜炎に罹患している術後対象である。
参照対象からのマーカー及び/又はパラメータプロファイルが少なくとも1つの参照対象のマーカー及び/又はパラメータプロファイルの特有の特徴を含む場合、被験対象は、それぞれ健常である、例えば均衡した体液及び/若しくは塩分バランスを有するか、又は正の体液バランス及び/若しくは塩分バランスを発症するリスクがあるか若しくはそれを有し、且つ/又は重篤な細胞外液量状態及び/若しくは重篤な血球量状態のリスクがあるか若しくはそれを有すると診断され得る。
本発明の特定の態様では、本方法は、対象の体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を決定することに関し、この方法は、
前記対象の試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定するステップ、及び
前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベルを、少なくとも1つの参照対象であって、各々が健常である参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの参照レベルと比較するステップ;
比較ステップに基づき、前記対象の細胞外液量状態、血球量状態、体液バランス及び/又は塩分バランスを同定するステップ
を含み、
前記参照レベルと比較したときに上昇したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMは、前記対象が正の体液バランス、正の塩分バランス、重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有することを示し;
前記参照レベルと比較したときに同一又は同様のレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMは、前記対象が同一若しくは同様の体液バランス、及び/又は同一若しくは同様の塩分バランスを有することを示し、前記同一の体液バランス及び/又は塩分バランスは、対象が正常な細胞外液量状態及び/又は正常な血球量状態を有することを示し;及び/又は
前記参照レベルと比較したときに低下したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMは、前記対象が負の体液バランス及び/又は負の塩分バランスを有することを示す。
本発明のこれらの態様において、参照対象は健常対象(上記参照)、例えば正常な細胞外液量状態を有する対象である。健常対象は正常な体液バランス及び/又は塩分バランスを有する。健常対象は、通常、約0.4〜1nmol/LのMR−proADMのレベルを有する(Angeletti S et al.,Procalcitonin and mid−regional pro−adrenomedullin test combination in sepsis diagnosis.Clin Chem Lab Med.2013 May;51(5):1059−67;Christ−Crain M et al.,Mid−regional pro−adrenomedullin as a prognostic marker in sepsis:an observational study.Crit Care.2005;9(6):R816−24;又はSuzuki Y et al.,Development and clinical application of an enzyme immunoassay for the determination of midregional proadrenomedullin.J Pept Sci.2013 Jan;19(1):59−63)。一実施形態において、少なくとも1つの健常参照対象は、約0.5nmol/LのproADM又はその断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルを有する。別の実施形態において、少なくとも1つの健常参照対象は、約0.75nmol/LのproADM又はその断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルを有する。更なる実施形態において、少なくとも1つの健常参照対象は、約1.0nmol/LのproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを有する。添付の実施例で実証されるとおり、例えば、動脈瘤、多発外傷又は術後障害に罹患している対象は、1.0nmol/L以上のレベルを示した。換言すれば、疾患又は障害に罹患している対象は、高いproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを示した。この閾値はまた、ROCなどの統計分析によっても明らかになった。図4及び以下を参照されたい。本発明の特定の態様では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが健常対象の前記参照レベルと比較して上昇しているとき、被験対象は、正の体液バランス、正の塩分バランス、重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有すると見なされる。本明細書で使用されるとき、「前記参照レベルと比較したときに上昇したレベルの対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADM」又は「より高い」レベルとは、前記健常参照対象又は前記健常参照対象の前記集団のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルと比べて対象のレベルが少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、又は更により好ましくは少なくとも30%高いことを意味する。特定の態様において、「上昇した」又は「より高い」レベルとは、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが少なくとも0.5nmol/L、例えば、少なくとも0.5nmol/L、少なくとも0.75nmol/L、又は少なくとも1.0nmol/Lであることを意味する。
特定の態様において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは健常対象の前記参照レベルと比較され、ここで、細胞外液量状態、血球量状態、体液バランス及び/又は塩分バランスは、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを前記参照レベルと比較することにより同定され、ここで、例えば少なくとも1nmol/Lのレベル上昇は、対象が正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスを有することを示し、及び/又は前記正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスは、対象が重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有することを示す。
本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、前記MR−proADMのレベルを健常対象の前記参照レベルと比較することを含み、健常対象の参照データと比較したときに同一又は同様のレベルの対象のMR−proADMは、前記対象が同一若しくは同様の体液バランス及び/又は同一若しくは同様の塩分バランスを有することを示し、前記同一又は同様の体液バランス及び/又は塩分バランスは、対象が正常な細胞外液量状態及び/又は正常な血球量状態を有することを示す。本明細書で使用されるとき、「前記参照レベルと比較したときに同様のレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、健常参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルと比較して±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±2%、又は最も好ましくは同じ又は同一であることを意味する。例示的実施形態において、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの前記参照レベルは約0.5nmol/L〜1.0nmol/Lであり、前記レベルが約0.5nmol/L〜約1.0nmol/Lである場合、対象は同一又は同様のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルを有する。正常な細胞外液量は、例えば、約40Lの体液を含有する対象の約15Lである(Guyton Arthur C.,(1991),p.275)。本明細書に定義するとおり、正常な細胞外液量状態の対象は同一又は同様の体液及び/又は塩分バランスを有し、従って、対象の体液及び/又は塩分の流入と流出とは釣り合っている、即ち同一又は同様である。正常な血球量状態は、例えば20ml/kgを上回る血球量状態であり得る。
本明細書で使用されるとき、「参照レベルと比較したときに低下したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、健常参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの参照レベルと比べて対象のレベルが15%、好ましくは20%、より好ましくは25%、又は更により好ましくは30%低いことを意味する。好ましい態様において、「低下した」又は「より低い」レベルは、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが1.0nmol/L未満、例えば、0.75nmol/L未満、又は0.5nmol/L未満であることを意味する。換言すれば、対象は、前記レベルが1.0nmol/L未満、例えば0.75nmol/L未満、又は約0.5nmol/L未満である場合、低下したproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルを有する。これらの態様において、参照データと比較したときに低下したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMは、前記対象が負の体液バランス及び/又は負の塩分バランスを有することを示す。
かかる方法の感度及び特異度は、単に検査の分析品質に依存するばかりでなく、それはまた、異常又は正常結果をなすものの定義にも依存する。疾患/病態を有する及び有しない対象について、proADM又はその断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルの分布は重複し得る。かかる条件下では、試験は正常を疾患と100%の精度で絶対的に区別するわけではない。当業者は、対象の状態自体又は対象の少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータがデータの解釈に役立ち得ること、及びこの更なる情報によって重複範囲におけるより信頼性の高い予測が可能になることを認識している。従って、少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルが少なくとも1つの健常対象の参照データと比較され、ここで、前記参照データの前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータの対応するレベルと比較して同様又は同一の前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータの値/レベルは、対象が正の体液及び/又は塩分バランスを有するリスクが低下していることを示し、及び/又は前記参照データの前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータの対応するレベルと比較して高い又は低い前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベル/値は、正の体液及び/又は塩分バランスを有するリスクが上昇していることを示し、及び正の体液及び/又は塩分バランスは重篤な細胞外液量の指標である。参照対象が少なくとも1つの健常対象である場合、前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータの前記同様又は同一の値/レベルは正常値/レベルであり、即ち、前記マーカー及びパラメータの値又はレベルは正常範囲にある。マーカー及びパラメータの正常値/レベルは当業者に一般に公知である。ある種のマーカー及びパラメータの正常値/レベルは本明細書において上記に記載される。本発明の最も好ましい態様において、参照データは、参照対象で決定されたproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルに対応するか又はそれを含む。被験対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルは、かかる参照対象の参照データと比較される。
本明細書で使用されるとき、「同様又は同一」のレベル/値とは、レベル/値が対応するレベル/値と比較して±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±2%又は最も好ましくは同じ又は同一であることを意味する。本明細書で使用されるとき、「より低い」又は「低下した」又は「より高い」又は「上昇した」レベル/値とは、レベル/値が対応するレベル/値と比較して15%、好ましくは20%、より好ましくは25%、又は最も好ましくは30%だけそれぞれ高い又は低いことを意味する。
本発明の例示的実施形態において、本方法は、対象の体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を決定することに関し、この方法は、
前記対象の試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定するステップ、及び
前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベルを、少なくとも1つの参照対象又は参照対象集団のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの参照レベルと比較するステップであって、参照対象が、重篤な細胞外液量状態及び/又は重篤な血球量状態に関連することが公知の疾患又は障害に罹患している対象であるか、又は参照対象が、ショックを伴う腹膜炎に罹患している術後対象である、ステップ;及び
比較ステップに基づき、前記対象の細胞外液量状態、血球量状態、体液バランス及び/又は塩分バランスを同定するステップ
を含み、
前記参照レベルと比較したときに同様のレベル、同一のレベル又は上昇したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMは、前記対象が正の体液バランス、正の塩分バランス、重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有することを示し;及び/又は
前記参照データと比較したときに低下したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMは、前記対象が正常な体液バランス、正常な塩分バランス、正常な細胞外液量状態及び/又は正常な血球量状態を有することを示す。
本発明の特定の好ましい態様において、参照対象は、重篤な細胞外液量状態及び/又は重篤な血球量状態に関連することが公知の疾患又は障害に罹患している対象である。かかる疾患又は障害としては、例えば、動脈瘤、多発外傷、脳傷害、及び/又は頭部傷害、又は参照対象がショックを伴う腹膜炎に罹患している術後対象である場合が挙げられる。従って、疾患又は障害は、体液バランス、塩分バランス、体液、細胞外液量及び/又は細胞内液量が重篤である状態を伴うものであることが想定される。従って、例示的実施形態において、参照対象は、動脈瘤、多発外傷、脳傷害及び/又は頭部傷害に罹患しており、及び/又はショックを伴う腹膜炎などの疾患又は障害に罹患している術後対象である。別の実施形態において、参照対象は、動脈瘤(ANE)、外傷性脳傷害(TC)、多発外傷(ポリ)、消化器外科手術(CD)、重度脳外傷(SBT)、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)及びショックを伴う術後腹膜炎(P)から選択される疾患又は障害に罹患している対象である。被験対象のMR−proADMのレベルは、かかる参照対象の参照データと比較される。添付の実施例では、体液バランス及び塩分バランスを予測するための疾患又は障害を有する対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADM ROC曲線をプロットすることにより、重篤な細胞外液量状態を予測するproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの閾値が同定されたことが示される。実施例1及び図4を参照されたい。そこでは、高レベルのMR−proADM、例えば少なくとも約1.0〜少なくとも約1.5nmol/Lが、水分/体液及び/又はナトリウム/塩分の増加の指標であることが示される。従って、好ましい態様において、決定された前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルは、動脈瘤、多発外傷、脳傷害、及び/又は頭部傷害など、重篤な細胞外液量状態に関連することが公知の疾患又は障害に罹患しているか、又は参照対象がショックを伴う腹膜炎に罹患している術後対象である参照対象の参照レベルと比較され、ここで、高い又は上昇したレベル、例えば少なくとも1nmol/lは、その対象が正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有することを決定する。換言すれば、前記疾患又は障害に罹患している参照対象の参照レベルと比較して同様又は同一のレベル又は更には増加したレベルの決定されたproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMは、前記対象が正の体液バランス、正の塩分バランス、重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有することを示す。本明細書で使用されるとき、「前記参照レベルと比較したときに同様のレベル又は同一のレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、前記疾患及び/又は障害に罹患している少なくとも1つの参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルと比較して±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±2%又は更により好ましくは同じ又は同一であることを意味する。本明細書で使用されるとき、「前記参照レベルと比較したときに上昇したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、対象のレベルが、前記疾患又は障害に罹患している前記参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルと比べて少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、又は更により好ましくは少なくとも30%高いことを意味する。換言すれば、「前記参照レベルと比較したときに同様のレベル又は同一のレベル又は上昇したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、少なくとも前記疾患及び/又は障害に罹患している参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルと比較して±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±2%又は更により好ましくは同じ又は同一であるか、又は前記疾患又は障害に罹患している前記参照対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルと比べて少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、又は更により好ましくは少なくとも30%高いことを意味する。一態様において、参照対象が前記疾患又は障害に罹患している対象である場合、「同様のレベル又は同一のレベル又は上昇したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが約0.5nmol/L又は少なくとも0.5nmol/Lであることを意味する。別の態様において、「同様又は同一のレベル又は上昇したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが約0.75nmol/L又は少なくとも0.75nmol/Lであることを意味する。更なる態様において、「同様又は同一のレベル又は上昇したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが約1nmol/L又は少なくとも1nmol/L又は更には約1.5nmol/L又は少なくとも1.5nmol/Lであることを意味する。換言すれば、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの前記参照レベルは0.5nmol/L〜1.5nmol/Lの範囲、例えば0.5nmol/L、0.75nmol/L、又は1.0nmol/Lであり、ここで、前記レベルが約又は少なくとも0.5nmol/L〜約又は少なくとも1.5nmol/Lである場合、対象は同様又は同一のレベル又は上昇したレベルのproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMを有する。
対象において決定されたproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、前記疾患及び/又は障害を有する対象と比較して低下しているか又は低いとき、被験対象は正の体液及び/又は塩分バランスを有さず、むしろ正常な体液及び/又は塩分バランス、即ち同一又は同様の体液バランス及び/又は塩分バランスを有する。従って、体液及び/又は塩分バランスは釣り合っている。従って、この対象は正常な体液バランス、正常な塩分バランス、正常な細胞外液量状態及び/又は正常な血球量状態を有する。この低下した又はより低いレベルはまた、対象が負の塩分バランス及び/又は体液バランスを有することも示し得る。本明細書で使用されるとき、用語「低下したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」は、被験対象で決定されたproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、前記疾患又は障害に罹患している参照対象のレベルと比較して少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、又は更により好ましくは少なくとも30%低いproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルを有することを意味する。好ましい態様において、「低下したレベルの対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADM」又は「より低い」レベルは、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが1.0nmol/L未満、例えば、1.0nmol/L未満、0.75nmol/L未満、又は0.5nmol/L未満であることを意味する。換言すれば、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの前記参照レベルは0.5nmol/L〜1.0nmol/Lの範囲であり、ここで、対象は、前記レベルが1.0nmol/L未満、例えば、1.0nmol/L未満、0.75nmol/L未満、又は0.5nmol/L未満である場合、低下したproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルを有する。
重複範囲では、対象の更なる条件を決定することが予後予測に役立ち得る。従って、少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルが、疾患又は障害に罹患している少なくとも1つの対象の参照データと比較され、ここで、前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータ値/レベルが同様又は同一であると、正の体液及び/又は塩分バランスを有するリスクが上昇し、及び前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベル/値がより高い又はより低いと、対象が正の体液及び/又は塩分バランスを有するリスクが低下し、及び正の体液及び/又は塩分バランスは重篤な細胞外液量の指標である。
添付の実施例に示されるとおり、マーカー及びパラメータの組み合わせは、生じる誤差が最も小さくなるように選択される。この選択又は重要度分析は、標準的な統計分析、例えばランダムフォレスト分析で行われる。添付の実施例に示したとおり、マーカー及びパラメータである対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADM、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、ヘモグロビン及び血清総タンパクは、正の体液及び/又は塩分バランスに罹患している重篤な患者についての極めて信頼性の高い予測をもたらす。従って、本発明の好ましい態様では、患者転帰、即ち対象の体液バランス及び/又は塩分バランスの予測は、ランダムフォレストなどの標準的な統計分析で実施される。これらの態様において、マーカー及びパラメータは式に実装され、これはソフトウェアプログラムに組み込むことができる。従って、特定の実施形態において、本発明は、本明細書で提供される方法を用いた対象の体液バランス、塩分バランス、細胞外液量及び/又は血球量の決定に好適なソフトウェアに関する。従って、対象の試料でproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが決定され、ソフトウェアに入力される。他の実施形態では、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルが決定され、ソフトウェアに入力される。更なる実施形態において、ソフトウェアは、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル及び/又は更なるパラメータ及びマーカーに基づき、p−criticalを自動的に計算/決定し、対象が重篤な体液バランス、重篤な塩分バランス、重篤な細胞外液量及び/又は重篤な血球量を有するかどうかを決定する。換言すれば、このソフトウェアは対象が重篤な対象であるか否かの予後予測を提供する。かかるソフトウェアはグラフィカルユーザインターフェースによって利用することができる。インターフェースの背後にある式は、統計オープンソフトウェアRに実装された標準的な統計学的方法、例えばランダムフォレストを用いて患者データに基づいて自動的に生成される。従って統計分析によりマーカー及びパラメータのレベルが参照データと比較され、対象の体液バランス及び/又は塩分バランス、従って細胞外液量状態が予測される。ICUでは、医師がインターフェースを使用してマーカー及び/又はパラメータを入力することにより体液バランス及び塩分バランスの推定を得ることができ、これを用いて正の体液バランス及び/又は塩分バランスの対象を同定し得る。体液バランス又は塩分バランスが、体液バランスについて4lより多い、及び塩分バランスについて36gより多い場合、患者は重篤段階にある(p−critical>60%)。予測結果はグラフィカルユーザインターフェースに、例えば交通信号方式で表示され得る。例えば、それぞれ4L又は36gより多い体液バランス及び塩分バランスの値は、それらが重篤な患者の指標であることに伴い赤色で強調表示される。患者がそれぞれ4L又は36g未満の体液バランス又は塩分バランスを有する場合、患者又は値が緑色で強調表示される(患者は30%未満のp−criticalを有する)。これらの態様において、本明細書で提供される方法は、治療の指針付け(例えば、p−criticalが60%を超える場合、体液マネジメントが再検討される);正の体液及び塩分バランスの診断(この患者が、静脈内輸液蘇生を受けていない患者であっても、体液過負荷を有することを臨床医に知らせる);又は患者予後予測(患者がp−critical>90%を有する場合、その患者は高いSOFAスコア、低いRBCV、従って更に不良の予後を有する)(図6)に用いることができる。30%〜40%では、患者は中間的なp−criticalを有し、これは黄色で強調表示される。
本発明の特定の態様では、本方法は、対象の体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を決定することに関し、この方法は、
前記対象から得られた試料においてマーカーproADM又はその断片のレベル、好ましくはMR−proADMのレベルを決定するステップ;
前記proADM又は前記その断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルを、以前の分析から得られた同じ対象のproADM又は前記その断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルと比較するステップ;及び
比較ステップに基づき、前記対象の細胞外液量状態、血球量状態、体液バランス及び/又は塩分バランスを同定するステップ
を含み、
少なくとも1nmol/Lのレベルは、対象が正の体液バランス、正の塩分バランス、重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有することを示す。
本発明の特定の態様では、用語「前記proADM又は前記その断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルを、以前の分析から得られた同じ対象のproADM又は前記その断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルと比較する」は、proADM又は前記その断片レベル、好ましくはMR−proADMのレベルが本明細書において言及するとおり決定されること、及びこのproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、以前の分析で得られた同じ対象からproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの1つのレベル、又はproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの複数のレベルと比較されることを意味する。好ましくは、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルは幾つかの時点で決定され、即ち、以前の分析から得られた2つ以上のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが利用可能である。種々の時点で決定されたこれらのレベルによって系列を計算することができる。この系列は傾向を示し、これを用いて例えば対象の細胞外液量状態及び/又は血球量状態を決定することができる。換言すれば、MR−proADMレベルの傾向は細胞外液量状態を予測する。例えば、幾つかの過去の時点で例えばMR−proADMのレベル/値の計測値の系列が決定されている場合、当業者は、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM及び/又は更なるマーカー及び/又はパラメータの展開の解釈に用い得る傾向を計算することができる。例えば、正の傾向からは、即ち以前測定されたレベルと比べて値が上昇しているか又はそれより高いと、対象が正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有することが予測され得る。特定の態様において、以前の分析から得られた同じ対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが正の傾向を有し、且つ以前の分析から得られた同じ対象の少なくとも1つのproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが少なくとも0.5nmol/L〜少なくとも1.5nmol/Lの範囲、例えば、少なくとも0.5nmol/L、少なくとも0.75nmol/L、少なくとも1nmol/L又は少なくとも1.5nmol/Lである場合、対象は正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスを有することが示され、ここで、正の体液バランス及び/又は塩分バランスは、その対象が重篤な細胞外液量状態及び/又は重篤な血球量状態を有することを示し、ここで、対象の健康状態は悪化する。同様に、特定の態様において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、以前の分析から得られた同じ対象のレベルが負の傾向を示し、且つ以前の分析から得られた同じ対象のproADM、又はその断片、好ましくはMR−proADMの少なくとも1つのレベルが、例えば、少なくとも0.5nmol/L、少なくとも0.75nmol/L、又は少なくとも1nmol/Lである場合、対象は正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスを有することが示され、ここで、正の体液バランス及び/又は塩分バランスは、その対象が重篤な細胞外液量状態又は重篤な血球量状態を有するか又は有したことを示し、ここで、健康状態は改善する。添付の実施例では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは治療時間と共に低下する。理論によって拘束されるものではないが、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM濃度の低下は、内皮損傷の改善に起因する可能性がある。
特定の態様では、ある種の固定閾値を用いて対象の細胞外液量状態が決定される。一実施形態において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが0.5nmol/lより高い場合、患者は正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有すると決定され、ここで、正の体液バランス及び/又は塩分バランスは、対象が重篤な細胞外液量を有することを示す。別の実施形態において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが0.75nmol/lより高い場合、患者は正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有すると決定され、ここで、正の体液バランス及び/又は塩分バランスは、対象が重篤な細胞外液量を有することを示す。別の実施形態において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが1.0nmol/lより高い場合、患者は正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有すると決定され、ここで、正の体液バランス及び/又は塩分バランスは、対象が重篤な細胞外液量を有することを示す。別の実施形態において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが1.5nmol/lより高い場合、患者は正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有すると決定され、ここで、正の体液バランス及び/又は塩分バランスは、対象が重篤な細胞外液量を有することを示す。
本発明の特定の態様では、用語「前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、及び前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータレベルを、以前の分析から得られた同じ対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベル、及び前記少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータレベルに対応するデータと比較する」は、proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが決定され、且つ少なくとも1つの更なるマーカー及び/又は少なくとも1つの更なるパラメータの少なくとも1つの更なるレベルが決定されること、及びそのproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルが、以前の分析で決定された同じ対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの対応するレベルと比較されること、及び少なくとも1つの更なるマーカー及び/又は少なくとも1つの更なるパラメータのレベルが、以前の分析で決定された同じ対象の少なくとも1つの更なるマーカー及び/又は少なくとも1つの更なるパラメータの対応するレベルと比較されることを意味する。以前の分析から得られた少なくとも1つの更なるマーカー及び/又はパラメータのレベルは、多変量に基づいて傾向を予測するためにそれ自体と比較することができる。或いは、更なるマーカー及び/又はパラメータは、正常データ、例えば健常参照対象のデータと比較することができる。更なるマーカー及び/又はパラメータが正常レベルよりも高い又は低い場合、正の体液バランス及び/又は塩分バランスのリスクが上昇し、即ち対象は重篤な細胞外液量状態になり易い。
本発明の特定の態様では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、ボディマスインデックス、体重、ヘモグロビンレベル及び血清総タンパクレベルが、以前の分析で決定された同じ対象の対応するレベルと比較される。換言すれば、マーカー及びパラメータのレベルが種々の時点で決定され、レベルの傾向が細胞外液量状態の予測となる。
本明細書で使用されるとき、「以前の分析」は、マーカーのレベルが入院中に幾つかの時点で、例えば、0日目、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目等に決定されることを意味する。マーカー及び/又はパラメータの決定はまた、毎時実施することもでき、例えば、1回目の測定が患者の入院時に実施されてもよく、次に例えば1時間毎、2時間毎又は5時間毎に測定が繰り返されてもよい。マーカー、例えば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、及び任意選択的に、決定されたパラメータのレベルは、それ以前の時点において決定されたマーカー又はパラメータの1つのレベル/値、又はそれ以前の2つ以上の時点から計算したレベル/値の平均のいずれかと比較される。マーカーレベルの変化が対象の細胞外液量状態の指標である。
添付の実施例1及び図4に示されるとおり、重篤な患者を予測するためのMR−proADMの閾値が、集中治療患者、例えば、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)、重度脳外傷(SBT)に罹患している患者又はショックを伴う術後腹膜炎患者(P)の体液バランス及び塩分バランスを予測するためのMR−proADM ROC曲線をプロットすることにより、例えば少なくとも1nmol/lと同定された。本明細書では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの高い又は上昇したレベル、例えば1nmol/lを上回るレベルは、対象が体液過負荷、即ち正の体液バランスを有することを示すことが実証される。従って、本発明の好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含み、ここで、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの上昇したレベルは、前記対象が正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスを有することを示す。
添付の実施例では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの高いレベル、例えば少なくとも約1.0〜少なくとも約1.5nmol/Lが、対象の水分/体液及び/又はナトリウムの増加、即ち、例えば少なくともそれぞれ約3L〜4L又は約27g〜36gのナトリウム/塩分の、正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスの指標であることが示される。従って、本発明の実施形態において、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの上昇した又は高いレベルは、少なくとも0.5nmol/L、又は少なくとも0.6nmol/L、又は少なくとも0.7nmol/L、又は少なくとも0.75nmol/L、又は少なくとも0.8nmol/L、又は少なくとも0.9nmol/L、又は少なくとも1.1nmol/L、又は少なくとも1.2nmol/L、又は少なくとも1.3nmol/L、又は少なくとも1.4nmol/L、又は少なくとも1.5nmol/L、又は少なくとも1.0nmol/Lである。
添付の実施例では、種々の患者群、即ち、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)、重度脳外傷(SBT)に罹患している患者又はショックを伴う術後腹膜炎患者(P)は、全て上昇した又は高いMR−proADMのレベルを示した。詳細には、ショックを伴う術後腹膜炎に罹患している患者である患者(P)は、0日目、2日目及び7日目に特に高いMR−proADM値を実証した。図3を参照されたい。従って、本明細書では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが患者群に応じて変わり得ると共に、手術後など、ある種の障害が、重篤な体液量状態、正の体液及び/又は塩分バランスを同定するのに好適な更に高いレベルのproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMをもたらし得ることが想定される。従って、本明細書では、特定の疾患に罹患している患者の体液バランス及び塩分バランスを予測するためにproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルをROC(下記参照)にプロットすると、閾値が1nmol/Lよりも高くなり得るか又は低くなり得ることが想定される。例えば、術後対象における少なくとも1.5nmol/LのproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは、正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスの指標である。一般に、少なくとも1.0nmol/Lの上昇した値が、正の体液及び/又は塩分バランスを有する対象の指標である。本発明の好ましい態様において、対象において決定されたproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの濃度が少なくとも1nmol/L(濃度[MR−proADM]≧1.0nmol/L)である場合に上昇していると見なされる。換言すれば、対象における1nmol/Lより高いproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの濃度は、正の体液バランス(例えば、少なくとも4Lの)又は水分増加の指標である。或いは、対象における1.0nmol/Lより高いproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの濃度は、正の塩分バランス(例えば、少なくとも36gの)若しくは塩分増加又は重篤な細胞外液量状態の指標である。
本発明の好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、対象の細胞外液量を決定し、ここで、本方法は、前記対象から得られた試料においてマーカーproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含み、このproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づいて体液バランスが決定され、前記体液バランスが細胞外液量状態を決定し、ここで、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの上昇したレベルは、前記対象が正の体液バランスを有することを示し、MR−proADMの上昇したレベルは少なくとも1nmol/Lであり、前記レベルは前記正の体液バランスが少なくとも約4Lであることを示し、及び前記正の体液バランスは、前記対象が重篤と見なされる細胞外液量状態を有することを示す。
好ましい態様において、本明細書で提供される方法は、対象の細胞外液量を決定し、ここで、本方法は、前記対象から得られた試料においてマーカーproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含み、このproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき、塩分バランスが決定され、前記塩分バランスが細胞外液量状態を決定し、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの上昇したレベルは、前記対象が正の塩分バランスを有することを示し、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMの上昇したレベルは少なくとも1nmol/Lであり、前記レベルは、前記正の塩分バランスが少なくとも約36gであることを示し、及び前記正の塩分バランスは、前記対象が重篤と見なされる細胞外液量状態を有することを示す。
本明細書で使用されるとき、本発明の意味における「試料」は、血漿、リンパ液、尿、脳脊髄液、血液、唾液、血清、又は糞便など、対象の任意の体液及び対象の任意の生物学的組織であり得る。
好ましくは、本発明との関連において試料は血液試料、より好ましくは血清試料、又は最も好ましくは血漿試料である。
本発明の好ましい態様において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは試料において決定され、前記試料は血液又は血漿試料である。最も好ましい態様において、マーカーは血漿試料において決定される。
本明細書では、試料は、組織、例えば、肺組織、腹水、皮膚、心臓、腎臓、消化管、又は下肢浮腫、上皮組織、骨又は血液などの結合組織、内臓筋又は平滑筋及び骨格筋などの筋組織、神経組織、骨髄、軟骨、皮膚、粘膜又は毛髪であり得ることが想定される。試料は患者から採取/入手され、又は本発明に係る診断に供される。例えば、固体試料の場合のように、適宜試料を本発明における使用前に可溶化し、ホモジナイズし、又は溶媒で抽出して液体試料を入手する必要があり得る。好ましい態様において、試料は液体試料、例えば溶液又は懸濁液である。液体試料は本発明における使用前に1つ以上の前処理に供され得る。かかる前処理としては、限定はされないが、希釈、ろ過、遠心、濃縮、沈降、沈殿、又は透析が挙げられる。前処理としてはまた、酸、塩基、緩衝液、塩、溶媒、反応染料、界面活性剤、乳化剤、又はキレーターなど、溶液への化学的又は生化学的物質の添加も挙げることができる。好ましい態様において、前記試料は血液、血漿、血清又は尿である。最も好ましい態様において、試料は血漿である。
「血漿」は、本発明との関連において、遠心後に得られた抗凝固薬を含有する血液の事実上無細胞の上清である。例示的抗凝固薬としては、EDTA又はクエン酸塩などのカルシウムイオン結合化合物及びヘパリン塩又はヒルジンなどのトロンビン阻害薬が挙げられる。無細胞血漿は、抗凝固処理血液(例えば、クエン酸塩加、EDTA又はヘパリン添加血液)を例えば2000〜3000gで少なくとも15分間遠心することによって入手し得る。
「血清」は、本発明との関連において、血液を凝固させた後に収集される全血の液体画分である。凝固血液(凝血)を遠心すると、上清として血清を得ることができる。
proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル及び/又は更なるマーカーのレベルはイムノアッセイによって決定することができる。本明細書で使用されるとき、「アッセイ」又は診断アッセイは、診断学分野で適用される任意のタイプのものであってよい。好ましい検出方法には、様々なフォーマットのイムノアッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイ、化学発光及び蛍光イムノアッセイ、酵素結合免疫測定法(ELISA)、Luminexベースのビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、例えば免疫クロマトグラフィーストリップ検査などのポイントオブケア検査及び迅速検査フォーマットに好適なアッセイが含まれる。かかるアッセイは、検出しようとする分析物が特定の親和性で1つ以上の捕捉プローブに結合することに基づき得る。本明細書で使用されるとき、イムノアッセイは、抗体又は免疫グロブリンを用いて溶液中の巨大分子/ポリペプチドの存在又は濃度を測定する生化学検査である。本発明によれば、抗体はモノクローナル抗体並びにポリクローナル抗体であってもよい。従って、少なくとも1つの抗体がモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。本発明に係る方法が特に好ましく、ここで、pre−proADMのアミノ酸42〜95にわたる中央領域部分ペプチド又は配列番号2として提供されるアミノ酸が、試料中のMR−proADM又はその部分ペプチドの決定に用いられる。特定の態様において、マーカーのレベルは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される。特定の態様において、HPLCはイムノアッセイと組み合わせることができる。
本発明の特定の態様において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM又はその断片及び/又は更なるマーカー又はその断片はサンドイッチイムノアッセイで決定される。このサンドイッチイムノアッセイでは、例えば試料中にあるproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMなどの1つのマーカーについて2つの抗体が適用される。詳細には、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM又はその断片が、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM又はその断片の別の部分配列に特異的に結合する2つの抗体の使用によって決定される場合、これが好ましい。
本発明に係るインビトロ方法の好ましい態様では、抗体の1つが標識され、及び第2の抗体が固相に結合されているか又はそれに選択的に結合され得る。
アッセイの特に好ましい態様では、抗体の1つが標識される一方、他方が固相に結合されているか又はそれに選択的に結合され得るかのいずれかである。好ましい実施形態において、本方法は、異種サンドイッチイムノアッセイとして実施され、ここで、抗体の1つが任意に選ばれた固相上、例えば、コーティングした試験管の壁(例えば、ポリスチロール試験管;コーティングチューブ;CT)又はマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチロールでできている)に、又は例えば磁性粒子などの粒子に固定化され、ここで、他方の抗体が、検出可能標識に類似した又は標識への選択的付加を可能にする基を有し、これが形成されたサンドイッチ構造の検出に役立つ。好適な固相を用いた一時的に遅延させるか又は後の固定化も可能である。
本発明に係る方法は、均一方法として更に具体化することができ、ここで、1つ又は複数の抗体と、検出しようとするマーカー、例えば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM又はその断片とによって形成されるサンドイッチ複合体が液相中に懸濁されたままである。この場合、2つの抗体を用いるときは両方の抗体を検出系の一部で標識することが好ましく、これにより両方の抗体が単一のサンドイッチに組み込まれた場合にシグナルの生成又はシグナルの惹起につながる。かかる技法は、詳細には蛍光増強又は蛍光消光検出法として具体化されるべきである。特に好ましい態様は、例えば米国特許第4 882 733 A号明細書、欧州特許第B1 0 180 492号明細書又は欧州特許第B1 0 539 477号明細書に記載されているもの及びこれらの明細書に引用される先行技術など、対で使用すべき検出試薬の使用に関する。このようにして、単一の免疫複合体に両方の標識成分を含む反応産物のみが直接反応混合物において検出される測定が可能となる。例えば、かかる技術は商標TRACE(登録商標)(時間分解型増幅クリプテート発光(Time Resolved Amplified Cryptate Emission))又はKRYPTOR(登録商標)として提供され、上記に引用した出願の教示を実現する。従って、特に好ましい態様では、診断装置を用いて本明細書で提供される方法が実行される。例えば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル及び/又は本明細書で提供される方法の任意の更なるマーカーのレベルが決定される。特に好ましい態様において、診断装置はKRYPTOR(登録商標)である。
本発明は、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM、ヘモグロビン、血清総タンパク、レニン、プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(proANP)、C末端プロ−アルギニン−バソプレシン(CT−proAVP)、タンパク質、エリスロポエチン、アンジオテンシンII、アルドステロン、コルチゾール、アドレナリン、エピネフリン、カテコールアミン類及びプロエンドセリン−1(pro−ET−1)又はその断片からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを決定するための検出試薬を含み、且つ本明細書で提供される方法を実施するための補助物質を含む、被験対象から入手した試料において細胞外液量状態を決定するためのキットの使用に更に関する。特定の態様において、本発明は、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM又はその断片のレベルを決定するための検出試薬を含み、且つ本明細書で提供される方法を実施するための補助物質を含む、被験対象から入手した試料において細胞外液量状態を決定するためのキットの使用に関する。好ましい態様において、本発明は、マーカーproADM又はその断片、好ましくはMR−proADM、ヘモグロビン及び血清総タンパクを決定するための検出試薬を含み、且つ本明細書で提供される方法を実施するための補助物質を含む、被験対象から入手した試料において細胞外液量状態を決定するためのキットの使用に関する。
特定の態様において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM又はその断片のレベルを決定するための前記検出試薬は抗体を含み、これらの抗体の1つは標識されており、及び他方の抗体は固相に結合されているか又は固相に選択的に結合され得る。
特定の態様において、少なくとも1つのマーカーのレベルを決定するための前記検出試薬は抗体を含み、これらの抗体の1つは標識されており、及び他方の抗体は固相に結合されているか又は固相に選択的に結合され得る。
原則的に、放射性同位元素、酵素、蛍光標識、化学発光標識又は生物発光標識及び直接光学的に検出可能な色標識、例えば金原子及び色素粒子(これらは詳細にはポイントオブケア(POC)又は迅速検査で使用される)で標識するなど、前記タイプのアッセイに適用し得るあらゆる標識技法を用いることができる。不均一系サンドイッチイムノアッセイの場合、両方の抗体が、均一系アッセイのコンテクストにおける本明細書に記載されるタイプに従う検出系の一部を呈し得る。
好ましい態様では、液体反応培地に第1及び第2の抗体の両方が分散され、それにより、蛍光又は化学発光消光又は増強に基づく標識系の一部である第1の標識成分が第1の抗体に結合され、及びこの標識系の第2の標識成分が第2の抗体に結合され、それにより、両方の抗体の、検出しようとするマーカー、例えば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM若しくはその断片又は更なるマーカー若しくはその断片への結合後、測定溶液中で形成されたサンドイッチ複合体の検出を可能にする検出可能なシグナルが生成される。この代替例の一態様は、希土類クリプテート又はキレートなどの標識系を蛍光色素又は化学発光色素との組み合わせで含む。特に好ましい態様において、標識系は、希土類クリプテートを、詳細にはシアニン型の蛍光色素又は化学発光色素との組み合わせで含む。更に好ましい態様において、検出は競合イムノアッセイで行われる。好ましい態様において、ラジオイムノアッセイが用いられる。また、本明細書では、イムノアッセイ、又は質量分析ベースの手法と併用することのできる質量分光分析法によるか又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法によってマーカーのレベルを例えば決定し得ることも想定される。当業者は、マーカーのレベルを高い信頼性で決定することができる限り任意の利用可能なアッセイを用い得ることを理解する。
本発明の目的は、対象及び/又は患者の障害又は医学的状態の診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理のためのインビトロ方法であって、特に救急診療部(ED)又は集中治療室(ICU)の医師に信頼性の高い情報を提供する方法を提供することである。
従って、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、ここで、本明細書で提供される方法によって前記対象の細胞外液量状態、血球量状態、体液バランス及び/又は塩分バランスが決定される。
一実施形態において、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、ここで、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき対象の体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態が決定される。
他の実施形態において、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、ここで、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき、体液バランス及び/又は塩分バランスが決定され、前記体液バランス及び/又は塩分バランスが細胞外液量状態を決定する。
更なる実施形態において、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、ここで、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、ヘモグロビンレベル、血清総タンパクレベル、対象の体重、対象の年齢及び対象の性別に基づき、体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態が決定される。
本明細書で使用されるとき、「診断」は、本発明との関連において、対象の疾患又は臨床病態の認識及び(早期)発見に関し、鑑別診断も含み得る。また疾患又は臨床病態の重症度の評価も、特定の実施形態では用語「診断」に包含され得る。
本明細書で使用されるとき、「予後予測」は、特定の疾患又は臨床病態に罹患している対象の転帰又は特定のリスクの予測に関する。これには前記対象についての回復の可能性又は有害転帰の可能性の推定が含まれ得る。
用語「療法管理」は、本発明との関連において、前記患者の治療処置をモニタ及び/又は調整することに関する。「モニタする」は、既に診断された疾患、障害、合併症又はリスクの経過を追うこと、例えば疾患の進行又は特定の治療が疾患又は障害の進行に及ぼす影響を分析することに関する。
本発明において、用語「リスク評価」及び「リスク層別化」は、対象をその更なる予後予測に従って異なるリスク群に分類することに関する。リスク評価はまた、予防及び/又は治療手段の適用について層別化することにも関する。本明細書で使用されるとき、用語「手術管理」は、対象の術前管理、術中管理及び/又は術後管理に関する。詳細には、それは、本明細書では、体液バランス、塩分バランス、血球量状態及び/又は細胞外液量状態が管理されていることを意味する。従って、かかる対象の体液及び/又は塩分はモニタ及び管理される。
特定の態様において、障害又は医学的状態は、水分過負荷、浮腫、脳損傷、動脈瘤破裂後、重度頭部傷害、神経学的障害、重度多発外傷性傷害、手術後、心リスク、腎傷害、臓器不全、無制御のリンパ液流活性、腎機能不全、心機能不全、乱れた体液バランスに関連する疾患であり得る。
添付の実施例に示されるとおり、対象のMR−proADMと体液及び/又は塩分バランスとの間の有意な統計的関係が見出された。体液及び/又は塩分バランスは対象及び/又は患者の細胞外液量の指標である。添付の実施例において実証されたとおり、この強い関係は、重度脳外傷(SBT)、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)及びショックを伴う術後腹膜炎(P)の患者など、患者の幾つかの臨床状況で見出された(例えば、実施例1)。従って、特定の態様において、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、ここで、前記対象は脳又は頭部傷害、多発外傷性傷害、又は動脈瘤を有するか、又は手術後である。更なる態様において、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、ここで、前記対象は重度脳外傷(SBT)、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)及びショックを伴う術後腹膜炎(P)を有する。更なる態様において、本発明は、対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法に関し、ここで、前記対象は動脈瘤破裂後又は重度頭部傷害を有する。特定の態様において、前記対象は神経学的障害を有しない。特定の態様において、前記対象は重度多発外傷性傷害を有するか、又は手術後である。
本明細書で提供される方法は、対象又は患者の体液マネジメントにおいて用いることができる。本明細書で使用されるとき、用語「体液マネジメント」は、対象又は患者の体液状態のモニタリング及び管理並びに例えば静脈内輸液投与による輸液の投与を意味する。従って、特定の態様において、本発明は、対象の体液マネジメントにおける使用方法に関し、本明細書で提供される方法によって前記対象の前記細胞外液量状態が決定される。特定の態様において、本発明は、対象の体液マネジメントにおける使用方法に関し、本明細書で提供される方法によってproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき対象の細胞外液量状態が決定される。
特定の態様において、本発明は、対象の体液マネジメントに用いられる本明細書で提供される方法に関し、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき、及び/又は対象の体液及び/又は塩分バランスに基づき対象の障害又は医学的状態の療法が管理される。
特定の態様において、本発明は、対象の死亡リスク及び患者転帰を予測するための本明細書で提供される方法に関し、本明細書で提供される方法によって前記対象の細胞外液量状態が決定される。特定の態様において、本発明は、医師及び臨床医が直ちに適切な治療行動をとるための警告システムとして用いられる方法に関し、本明細書で提供される方法によって前記対象の前記細胞外液量状態が決定される。
特定の態様において、本発明は、対象の臓器不全、無制御のリンパ液流活性、腎機能不全、機能低下又は心機能不全リスクを予測するための本明細書で提供される方法に関し、本明細書で提供される方法によって前記対象の前記細胞外液量状態が決定される。
特定の態様において、本発明は、水分過負荷、浮腫、脳損傷、動脈瘤破裂後、重度頭部傷害、神経学的障害、重度多発外傷性傷害、手術後、心リスク、腎傷害、臓器不全、無制御のリンパ液流活性、腎機能不全、心機能不全、乱れた体液バランスに関連する疾患を含む群から選択される障害又は医学的状態に罹患している対象の治療に用いられる本明細書で提供される方法に関する。用語「治療」、「療法」などは、本明細書では、概して所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を達成することを意味して使用される。その効果は、疾患/医学的状態/障害又はその症状を完全に又は部分的に防ぐ点で予防的であってもよく、及び/又は疾患/医学的状態/障害及び/又は疾患/医学的状態/障害に起因する有害作用を部分的に又は完全に治癒する点で治療的であってもよい。用語「治療」は、本明細書で使用されるとき、対象の疾患/医学的状態/障害の任意の治療を包含し、(a)疾患/医学的状態/障害の素因があり得る対象の疾患/医学的状態/障害を予防及び/又は改善すること;(b)疾患/医学的状態/障害を阻害する、即ちその発生を止めること;又は(c)疾患/医学的状態/障害を軽減する、即ち疾患/医学的状態/障害の退縮を生じさせることを含む。例えば、本明細書で提供される方法を用いて蘇生患者の療法/治療を管理することができる。従って、例えば、本明細書で提供される方法を用いて対象の体液マネジメントを管理することができる。本明細書で提供される方法はまた、死亡率の上昇に関連する正の体液バランスが回避されるように対象の体液バランス及び/又は塩分バランスを均衡させるための静脈内輸液の管理にも用いることができる(Acheampong et al.,2015)。特定の態様において、本明細書で提供される方法はまた、間質腔への病的な量の体液移動及び/又は血液増量における過負荷を回避するための対象の体液マネジメントの評価及び管理にも用いることができる。重篤と見なされる血液増量における過負荷は、例えば、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内及び/又は好ましくは7日以内7で4L超である。
本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、
(a1)前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルを、少なくとも1つの参照対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベルに対応する参照データと比較するステップ;又は
(a2)前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルを、以前の分析から得られた同じ対象の前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMレベルに対応するデータと比較するステップ;
(b)比較ステップ(a)に基づき、前記対象の体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を同定するステップ
を含み、前記対象の体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態は、対象の死亡リスク及び患者転帰の予測に用いられ、及び/又は対象の体液マネジメントの評価及び管理に用いられる。
対象及び/又は患者の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理との関連において、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが少なくとも0.5nmol/L、例えば、少なくとも0.5nmol/L、少なくとも0.75nmol/L、又は少なくとも1nmol/Lであり、且つ対象が少なくとも4.0Lの体液バランスの上昇(1回の入院当たり4Lの水分の増加)を有する場合、その対象は重篤と見なされる正の体液バランス(上昇した体液バランス、即ち水分含有量の増加)を有する。換言すれば、重篤な対象では、正の体液バランスが少なくとも4Lであり、即ち重篤な健康状態の対象では水分増加が少なくとも4Lである。
好ましい態様において、本方法は、試料においてproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含み、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは少なくとも0.5nmol/L、例えば、少なくとも0.5nmol/L、少なくとも0.75nmol/L、又は少なくとも1nmol/Lであり、前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルは、前記対象が正の体液バランスを有することを示し、前記正の体液バランスは少なくとも4Lであり、及び前記正の体液バランスは、その対象が重篤な健康状態を有することを示す。換言すれば、前記正の体液バランスは、前記対象が重篤な細胞外液量状態を有することを示す。
特定の態様では、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルが少なくとも0.5nmol/L、例えば少なくとも0.5nmol/L、少なくとも0.75nmol/L、又は少なくとも1nmol/Lであり、且つ対象が少なくとも36gの塩分バランスの上昇(ナトリウム又は塩分の36gの増加)を有する場合、その対象は、重篤と見なされる正の塩分バランスを有する。最も好ましい態様において、ナトリウムの上昇は少なくとも36.0gであり、及び前記変化は、その対象が重篤と見なされる正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有することを示す。換言すれば、前記正の塩分バランス及び/又は体液バランスは、前記対象が重篤と見なされる細胞外液量状態を有することを示す。換言すれば、重篤な対象では、正の塩分バランス(上昇した塩分バランス、即ち塩分量の増加)が少なくとも36gであり、即ち重篤な対象では塩分増加が少なくとも36gである。
他の態様において、本方法は、試料においてproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含み、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは少なくとも1nmol/Lであり、前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルは、前記対象が正の塩分バランスを有することを示し、前記正の塩分バランスは少なくとも36gであり、及び前記正の塩分バランスは、対象が重篤な健康状態を有することを示す。
本明細書では、更なるマーカー及び/又はパラメータが、即ち、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMに加えて、体液及び/又は塩分バランスの予測を改善することが理解される。従って、特定の態様において、本方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベル、対象のボディマスインデックス、対象の体重、対象の年齢、対象の性別、試料中のヘモグロビンレベル及び試料中の血清総タンパクレベルを決定することを含み、前記マーカー及び前記パラメータに基づき体液バランス及び/又は塩分バランスが決定され、少なくとも36gの塩分バランス及び/又は4Lの体液バランスが、その対象が重篤な健康状態を有することを示す。好ましい態様では、少なくとも36gの塩分バランス及び4Lの体液バランスが、その対象が重篤な健康状態を有することを示す。
本明細書で使用されるとき、「重篤な状態」、「重篤な健康状態」、「重篤疾患患者」又は「重篤な対象」は、細胞外液量状態が重篤と見なされることに伴い対象又は患者が生死に関わる状況にあることを意味する。上記に記載したとおり、正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有する対象では死亡率が上昇する。例えば、対象は、それが例えば過剰な静脈内注入によって引き起こされた体液又は塩分の過負荷を有する場合に重篤な健康状態を有すると見なすことができる。従って、重篤な対象は、重篤な正の体液バランス(例えば、少なくとも4L)、重篤な正の塩分バランス(例えば、少なくとも36g)及び/又は重篤な血球量状態(20ml/kg未満)を有する。特定の態様において、対象は、それが低い血球量状態、例えば、約20ml/kg未満又は好ましくは約15ml/kg未満である場合に重篤な健康状態を有すると見なすことができる。特定の態様において、重篤な血球量状態は約15ml/kg未満の血球量である。
本明細書で決定されるマーカー及び/又はパラメータのレベルは、医師が直ちに適切な処置を行うべき危険信号である。本明細書で使用されるとき、「重篤な細胞外液量状態」は、上昇した又は高い細胞外液量を指す。本発明の好ましい態様において、上昇した細胞外液量は少なくとも3L、好ましくは少なくとも4Lであり、前記上昇した細胞外液量によって重篤な健康状態を有する対象が同定される。本明細書では、対象の死亡率を上昇させる体液増加又は塩分増加はまた、対象の特性、例えば、体重、年齢又は性別等にも依存することが想定される。例えば、重い男性対象で決定される4Lの正の体液バランスは、小さい子供における正の体液バランスと比較して異なる影響を有する。従って、本明細書では、重篤な対象の指標である体液増加及び/又は塩分増加、即ちそれぞれ4L又は36gが対象の特性に依存し、対象の特性に依存してそれぞれ4L又は36gよりも高いことも又は低いこともあり得ることが想定される。
添付の実施例では、結合予測因子、即ち体液バランス及び塩分バランスの組み合わせと、重篤疾患患者の決定との間に強い統計的関係があることが報告される。本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は重篤疾患患者を決定し、ここで、水分の上昇が少なくとも4Lであり、且つ塩分の上昇が少なくとも36gである。従って、好ましい態様において、本方法は、試料においてproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定することを含み、ここで、対象のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルは少なくとも1nmol/Lであり、前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルは、前記対象が正の塩分バランス及び正の体液バランスを有することを示し、前記正の塩分バランスは少なくとも36gであり、及び前記正の体液バランスは少なくとも4Lであり、及び前記正の塩分バランス及び前記正の体液バランスは、対象が重篤な細胞外液量状態を有することを示す。
添付の実施例は、多臓器不全スコア(SOFAスコア)と塩分バランス及び/又は体液バランスとの間に強い関係があることを実証している。実施例1及び3を参照されたい。従って、好ましい態様では、多臓器不全評価スコア(SOFAスコア)が体液バランス及び/又は塩分バランスに基づき決定される。更なる好ましい態様では、多臓器不全評価スコア(SOFAスコア)が体液バランス及び/又は塩分バランスに基づき決定され、体液バランス及び/又は塩分バランスがproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき決定される。従って、提供される本明細書の方法は、試料中のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定し、このproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づきSOFAスコアが決定される。
特定の態様において、14を上回るSOFAスコアは極めて重症度の高い健康状態の指標であり、対象の重篤な健康状態の指標である。0〜6のSOFAスコアは重症度の低い健康状態の指標であり、及び7〜14のSOFAスコアは重症度の高い健康状態の指標である。特定の態様において、上昇したproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMレベルは対象のSOFAスコアの指標であり、14を上回るSOFAスコアは、対象が重篤な健康状態を有することを示す。
添付の実施例では、年齢、BMI及び性別などの更なるパラメータを含めることにより、SOFAスコアを決定する予測力が改善されることが示される。図5を参照されたい。従って、特定の態様において、本明細書で提供される方法は、年齢、ボディマスインデックス及び性別からなる少なくとも1つのパラメータを決定することを更に含む。
本明細書では、多臓器不全評価スコア(SOFAスコア)が少なくとも15であることが想定され、及び前記スコアは、対象が重篤と見なされる正の体液バランス及び/又は塩分バランスを有することを示す。
本明細書で使用されるとき、「多臓器不全評価スコア」又は「SOFAスコア」は、集中治療室(ICU)に在室している間の患者の状態を追跡するのに用いられる1つのスコアである。SOFAスコアは、人の臓器機能の程度又は不全率を決定するための点数化方式である。このスコアは、呼吸器系、心血管系、肝臓系、凝固系、腎臓系及び神経系について各1つの6つの異なるスコアに基づく。平均及び最高の両方のSOFAスコアが転帰の予測因子である。ICUにおける最初の24〜48時間中のSOFAスコアの上昇は、50%以上95%以下の死亡率を予測する。9未満のスコアは33%の予測死亡率を与え、一方、14を上回るスコアは95%に近いか又はそれを上回り得る。以下のスコア表は、点数付けの条件のみを記載する(Vincent JL et al.The SOFA(Sepsis−related Organ Failure Assessment)score to describe organ dysfunction / failure.Intensive Care Med.1996;22:707−710)。生理学的パラメータがいずれの列にも該当しない場合、0点とする。生理学的パラメータが2つ以上の列に該当する場合、最も高い点数の列を選ぶ。これは医師、看護師、及び患者の医療チームの他のメンバーが敗血症に起因する罹患及び死亡リスクを推定することを促進する。
添付の実施例1及び4において、体液バランス及び塩分バランスの組み合わせが、対象は重篤な状態に直面することになるか、例えば正の体液バランス及び/又は正の塩分バランスを有することになるかどうかを効率的に予測し得る(AUC>0.92)ことが示される。本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、対象の体液バランス及びナトリウムバランスに基づき重篤な健康状態を有する対象を同定する。
添付の実施例はまた、体液バランス及び塩分バランスの組み合わせが対象の浮腫リスクを効率的に予測することができ、即ち、体液及び塩分バランスの組み合わせ検出は、浮腫の発生リスクがある重篤疾患患者を同定できることも実証する。本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法は、体液バランス及びナトリウムバランスに基づき重篤な浮腫リスクを有する対象を同定する。従って、本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法を用いて重篤な浮腫リスクを有する対象の療法が管理され、ここで、浮腫リスクは体液バランス及びナトリウムバランスに基づき決定される。本発明の特定の態様では、本明細書で提供される方法を用いて重篤な浮腫リスクを有する対象の療法が管理され、ここで、浮腫リスクは体液バランス及びナトリウムバランスに基づき同定され、この体液バランス及び/又は塩分バランスはproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルに基づき決定される。
本明細書においてタンパク質又はペプチドとの関連で言及するとき、用語「断片」は、大きいタンパク質又はペプチドから誘導可能な、従ってその大きいタンパク質又はペプチドの部分配列を含む小さいタンパク質又はペプチドを指す。前記断片は大きいタンパク質又はペプチドからアミノ酸の1つ以上を欠失させることにより大きいタンパク質又はペプチドから誘導可能である。
本明細書で使用されるとき、「マーカー」、「サロゲート」、「予後マーカー」、「因子」又は「バイオマーカー」又は「生物学的マーカー」などの用語は同義的に使用され、疾患/障害/臨床病態リスクなど、健康関連及び生理学関連評価の指標としての役割を果たす測定可能且つ定量化可能な生物学的マーカー(例えば、特定の酵素若しくはその断片の濃度、特定のホルモン若しくはその断片の濃度、又は生物学的物質若しくはその断片の存在)に関する。更に、バイオマーカーは、正常な生物学的過程、発病過程、又は治療介入に対する薬理反応の指標として客観的に測定及び判定される特性として定義される。バイオマーカーはバイオ試料で(血液、血漿、尿、又は組織検査として)測定されてもよい。
本明細書で使用されるとき、パラメータとは、特定の体系を定義するのに役立ち得る特性、特徴、又は測定可能因子である。パラメータは、疾患/障害/臨床病態リスクなど、健康関連及び生理関連評価に重要な要素である。更に、パラメータは、正常な生物学的過程、発病過程、又は治療介入に対する薬理反応の指標として客観的に測定及び判定される特性として定義される。例示的パラメータは、ボディマスインデックス、体重、年齢、性別、IGS II、液体摂取量、急性生理学及び慢性健康評価II(APACHE II)、世界脳神経外科連盟(WFNS)グレード分類、グラスゴーコーマスケール(GCS)及び多臓器不全評価スコア(SOFAスコア)からなる群から選択することができる。
本発明の目的上、「対象」(又は「患者」)は脊椎動物であり得る。本発明との関連において、用語「対象」には、ヒト及び動物の両方、特に哺乳類、及び他の生物が含まれる。従って、本明細書で提供される方法はヒト対象及び動物対象の両方に適用可能である。従って、前記対象は、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、ニワトリ、ヒツジ、ウシ種、ウマ、ラクダ、又は霊長類などの動物であり得る。好ましくは、対象は哺乳類である。最も好ましくは、対象はヒトである。本発明の意味において、細胞、組織、器官、生物などから採取される任意の試料が、診断される患者の試料であり得る。添付の実施例に示されるとおり、種々の障害又は疾患に罹患している対象の細胞外液量状態を予測することができる。従って、本明細書で提供される方法は、健常対象である任意の対象又は任意の疾患若しくは障害に罹患している対象に用いることができる。好ましい態様において、対象は疾患又は障害に罹患しており、ここで、疾患又は障害は、浮腫、脳損傷、動脈瘤破裂後、頭部傷害、神経学的障害、多発外傷性傷害、手術後、臓器不全、無制御のリンパ液流活性、腎機能不全、心機能不全、乱れた体液バランスに関連する疾患からなる群から選択される。本発明のより好ましい態様において、対象は、脳傷害、動脈瘤、頭部傷害及び/又は多発外傷性傷害に罹患しており、及び/又は前記対象は手術後である。最も好ましい態様において、対象は、重度脳外傷(SBT)、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)、ショックを伴う術後腹膜炎(P)に罹患しており、及び/又は消化管腹膜炎手術後である。
本明細書で使用されるとき、用語「多発外傷性傷害」、「多発外傷」、「多発性外傷」又は「多外傷」は、本発明との関連において、身体の少なくとも2つの範囲に2つ以上の重度の傷害を含む病態又は1つの身体領域に複数の傷害、即ち2つ以上の重度の傷害を含む病態を包含する。多発性外傷は、外傷性ショック及び/又は出血性低血圧及び1つ以上の生体機能が重大な危険に曝されることを伴い得る。2つ以上の傷害の少なくとも1つ又は全ての傷害がまとまって、傷害を負った多発性外傷対象の生命を危険に曝す。外傷は、外因からの物理的危害によって生物学上の生物に引き起こされる傷害又は損傷である。大外傷は、慢性痛などの重症度の高い長期転帰につながる可能性のある傷害である。
本明細書で使用されるとき、脳傷害は脳の傷害、例えば外傷性脳傷害である。脳傷害は、外力が脳に外傷性傷害を与えると起こる。頭部傷害は、通常、脳傷害を指すが、これは頭皮及び頭蓋など、脳以外の構造への損傷を含み得るため、より広いカテゴリである。動脈瘤(aneurysm)又は動脈瘤(aneurism)は、血管の壁にある限局性の血液が充満したバルーン様の膨らみである。動脈瘤はいかなる血管にも生じ得るもので、例としては、脳ウィリス動脈輪の動脈瘤、胸部大動脈に発症する大動脈瘤、及び腹部大動脈瘤が挙げられる。動脈瘤はまた、心臓自体の範囲内にも生じ得る。
本明細書で使用されるとき、術後対象は、手術を受けた対象である。より好ましくは、術後対象は、大手術を受けた対象である。大手術は、腹腔、骨盤腔、頭蓋腔又は胸腔の内容物の内部又はその上における任意の手術であり得、又はそれは、局所性、患者の状態、実施の難しさ又は時間的長さのレベルを所与として、生命又は器官若しくは組織の機能にとって危害となる。大手術は、通常、全身麻酔、様々な長さ(多くの場合に1週間)の入院期間が必要であり、二次診療病院の一般−有資格−外科医によるか、又は三次診療病院の手術専門分科医によって実施され得る。より好ましくは、術後対象は、消化器手術後の対象である。より好ましくは、術後対象は、大手術を受けた、且つ生命を脅かす疾患又は障害に罹患している対象である。この疾患又は障害は外科手術自体によって引き起こされ得る。最も好ましくは、術後対象は、ショックを伴う腹膜炎に罹患している対象である。
本明細書で使用されるとき、複数のマーカー、例えば、proADM又はその断片、好ましくはMR−proADM、及び/又はパラメータと、対象の細胞外液量状態、例えば、細胞外液量、血液量、又は障害/疾患/臨床病態との間の統計的関係は、本明細書の添付の実施例に示されるとおり統計的方法を用いて評価した。添付の実施例で実証されるとおり、ランダムフォレスト分析(Breiman,2001 and 2002;及びBoulesteix et al.(2012);重要度分析;前進選択法;線形回帰;一個抜き法;「R」又は「r」(決定係数);AUC(曲線下面積);及び生存分析を用いた。先行技術で利用可能な任意の対応する好適なアルゴリズム及びソフトウェアパッケージを使用してパラメータ/値間の統計的関係を計算及び分析することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「含む」及び「包含する」又はこれらの文法的変化形は、挙げられる特徴、整数、ステップ又は構成要素を指定するが、1つ以上の追加的な特性、整数、ステップ、構成要素又はそれらの群を除外しないものと解釈されなければならない。この用語には、用語「からなる」及び「から本質的になる」が含まれる。
従って、用語「含む」/「包含する」/「有する」は、任意の更なる構成要素(又は同様に特徴、整数、ステップなど)が存在できる/存在してもよいことを意味する。
用語「からなる」は、更なる構成要素(又は同様に特徴、整数、ステップなど)が存在しないことを意味する。
用語「から本質的になる」又はこれらの文法的変化形は、本明細書で使用されるとき、挙げられる特徴、整数、ステップ又は構成要素を指定するが、1つ以上の追加的な特徴、整数、ステップ、構成要素又はそれらの群の追加を除外せず、但し、その追加的な特徴、整数、ステップ、構成要素又はそれらの群が特許請求される組成物、装置又は方法の基本的な且つ新規の特性を実質的に変化させない場合に限るものと解釈されなければならない。
従って、用語「から本質的になる」は、それらの具体的な更なる構成要素(又は同様に特徴、整数、ステップなど)が存在することができ、即ちその組成物、装置又は方法の本質的な特徴に実質的に影響を及ぼさないものを意味する。換言すれば、用語「から本質的になる」(これは本明細書では、用語「実質的に含む」と同義的に使用することができる)は、指定される構成要素(又は同様に特徴、整数、ステップなど)に加え、組成物、装置又は方法に他の構成要素が存在することを許容し、但し、装置又は方法の必須の特性が他の構成要素の存在によって実質的に影響を受けないものとする。
用語「方法」は、限定はされないが、化学、生物学及び生物物理学の技術分野の実務者に公知であるか、又はその実務者によって公知の方法、手段、技法及び手順から容易に開発されるかのいずれかである方法、手段、技法及び手順を含めた、所与の課題を達成するための方法、手段、技法及び手順を指す。
用語「約」は、好ましくは、指示される数値の±10%、より好ましくは指示される数値の±5%、及び詳細には指示される数値自体を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、指示される数値の±10%、及び詳細には指示される数値の±5%を指す。用語「約」が用いられるときには常に、指示される数値自体への具体的な参照も含まれる。所与の核酸のヌクレオチド数など、整数で表されるパラメータとの関連で用語「約」が用いられる場合、指示される数値の±10%又は±5%に対応する数は最も近い整数に丸めるものとする。例えば、表現「約25アミノ酸」は、23〜28アミノ酸の範囲、詳細には24〜26アミノ酸の範囲を指し、及び好ましくは25アミノ酸という具体的な値を指す。
特に指示しない限り、例えばSambrook,Russell“Molecular Cloning,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.(2001))(全体として参照により本明細書に援用される)に記載されるとおりの、組換え遺伝子技術の確立された方法を用いた。
診断及び/又は予後予測検査の感度及び特異度は、単に検査の分析「品質」に依存するばかりでなく、それはまた、異常結果をなすものの定義にも依存する。実際には、ある変数の値を「正常」(即ち、出生前障害又は病態を有しない見掛け上健康な個体)及び「疾患」集団におけるその相対頻度に対してプロットすることにより、受診者動作特性曲線(ROC曲線)が典型的に計算される。任意の特定のマーカー(MR−proADMなど)について、疾患/病態を有する及び有しない対象のマーカーレベルの分布は重複する可能性がある。かかる条件下では、検査は正常を疾患と100%の精度で絶対的に区別するわけではなく、検査が正常を疾患と区別できないところが重複範囲によって指示され得る。閾値が選択され、それ未満では検査は異常であると見なされ、それを上回ると検査は正常と見なされ、又はそれを下回る若しくは上回るとき、検査は特定の状態の指標である。ROC曲線下面積は、見出された測定がある条件の正しい同定を可能にする確率の尺度である。ROC曲線は、検査結果が必ずしも正確な数を提供しない場合であっても用いることができる。結果を順位付けすることができる限り、ROC曲線を作成し得る。例えば、「疾患」試料に関する検査結果が程度に従って順位付けされてもよい(例えば、1=低い、2=正常、及び3=高い)。この順位付けは「正常」集団の結果と相関付けることができ、及びROC曲線を作成し得る。これらの方法は当該技術分野において周知である。例えば、Hanley et al.1982.Radiology 143:29−36を参照されたい。好ましくは、閾値は、約0.5より大きい、より好ましくは約0.7より大きい、更により好ましくは約0.8より大きい、更により好ましくは約0.85より大きい、及び最も好ましくは約0.9より大きいROC曲線面積を提供するように選択される。これに関連して用語「約」は、所与の測定値の±5%を指す。
ROC曲線の横軸は(1−特異度)を表し、これは偽陽性率と共に上昇する。曲線の縦軸は感度を表し、これは真陽性率と共に上昇する。従って、選択された特定のカットオフについて、(1−特異度)の値が決定されてもよく、及び対応する感度が求まり得る。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが疾患又は病態の正しい同定を可能にする確率の尺度である。従って、ROC曲線下面積を用いて検査の有効性を決定することができる。
他の実施形態では、陽性尤度比、陰性尤度比、オッズ比、又はハザード比が、ある検査のリスク予測能力又は障害若しくは病態診断能力(「疾患群」)の尺度として用いられる。陽性尤度比の場合、1の値は、陽性結果が「疾患」群及び「対照」群の両方の対象間で同様に確からしいことを示し;1より大きい値は、陽性結果が疾患群でより高い可能性で起こり得ることを示し;及び1より小さい値は、陽性結果が対照群でより高い可能性で起こり得ることを示す。陰性尤度比の場合、1の値は、陰性結果が「疾患」群及び「対照」群の両方の対象間で同様に確からしいことを示し;1より大きい値は、陰性結果が被験群でより高い可能性で起こり得ることを示し;及び1より小さい値は、陰性結果が対照群でより高い可能性で起こり得ることを示す。
オッズ比の場合、1の値は、陽性結果が「疾患」群及び「対照」群の両方の対象間で同様に確からしいことを示し;1より大きい値は、陽性結果が疾患群でより高い可能性で起こり得ることを示し;及び1より小さい値は、陽性結果が対照群でより高い可能性で起こり得ることを示す。
ハザード比の場合、1の値は、エンドポイント(例えば、死亡)の相対危険度が「疾患」群及び「対照」群の両方で等しいことを示し;1より大きい値は、危険度が疾患群でより高いことを示し;及び1より小さい値は、危険度が対照群でより高いことを示す。
当業者は、診断指標又は予後予測指標と診断又は将来の臨床転帰の予後リスクとの関連付けが統計分析であることを理解するであろう。例えば、Xより低いマーカーレベルは、統計的有意性のレベルによって決定するとき、患者が有害転帰を被る可能性がX以上のレベルの患者よりも高いことを示すものであり得る。加えて、ベースラインレベルからのマーカー濃度の変化は患者予後の反映であり得ると共に、マーカーレベルの変化の程度は有害事象の重症度に関係し得る。統計的有意性は、多くの場合、2つ以上の集団を比較し、且つ信頼区間及び/又はp値を決定することにより決定される。例えば、Dowdy and Wearden,Statistics for Research,John Wiley&Sons,New York,1983を参照されたい。本発明の好ましい信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%及び99.99%であり、一方、好ましいp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、及び0.0001である。
以下の非限定的な図及び例を参照することにより本発明を更に説明する。
体内水分の分布であり、体内水分は細胞外液量(楕円で囲んだ部分)と細胞内液量(約57%相当)とに分けることができる。細胞外液量は、それ自体、血液量、即ち血球量(約6%相当)及び血漿(約6%相当)と、間質液量(約27%相当)とに更に細分することができる。 MR−proADM(対数目盛)と体液バランス(ΔH2O)(A)及び塩分バランス(ΔNa)(B)とのデミング回帰である。 MR−proADM(対数目盛)と体液バランス(ΔH2O)(A)及び塩分バランス(ΔNa)(B)とのデミング回帰である。 動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)、重度脳外傷(SBT)又はショックを伴う術後腹膜炎患者(P)に罹患している集中治療室患者の2日目(A)、5日目(B)及び7日目(C)におけるMR−proADM濃度(nmol/L単位)の箱ひげ図である。2日目、5日目及び7日目のMR−proADMの平均濃度(nmol/L単位)を示す(D)。 動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)、重度脳外傷(SBT)又はショックを伴う術後腹膜炎患者(P)に罹患している集中治療室患者の2日目(A)、5日目(B)及び7日目(C)におけるMR−proADM濃度(nmol/L単位)の箱ひげ図である。2日目、5日目及び7日目のMR−proADMの平均濃度(nmol/L単位)を示す(D)。 動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)、重度脳外傷(SBT)又はショックを伴う術後腹膜炎患者(P)に罹患している集中治療室患者の2日目(A)、5日目(B)及び7日目(C)におけるMR−proADM濃度(nmol/L単位)の箱ひげ図である。2日目、5日目及び7日目のMR−proADMの平均濃度(nmol/L単位)を示す(D)。 動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)、重度脳外傷(SBT)又はショックを伴う術後腹膜炎患者(P)に罹患している集中治療室患者の2日目(A)、5日目(B)及び7日目(C)におけるMR−proADM濃度(nmol/L単位)の箱ひげ図である。2日目、5日目及び7日目のMR−proADMの平均濃度(nmol/L単位)を示す(D)。 動脈瘤性くも膜下出血、頭部外傷を伴わない重度外傷、重度脳外傷又はショックを伴う術後腹膜炎に罹患している集中治療室患者の体液バランス(ΔH2O)(A)及び塩分バランス(ΔNa)(B)の予測に関するMR−proADMのROCプロットである。 動脈瘤性くも膜下出血、頭部外傷を伴わない重度外傷、重度脳外傷又はショックを伴う術後腹膜炎に罹患している集中治療室患者の体液バランス(ΔH2O)(A)及び塩分バランス(ΔNa)(B)の予測に関するMR−proADMのROCプロットである。 予測SOFA(一個抜き法)である。患者をSOFAの昇順にソートする。黒色の実線が真のSOFA値を示す。x軸は患者インデックス(患者はSOFA値の昇順にソートしている)、y軸は予測SOFA。黒色の実線は、全ての患者についての(昇順の)真のSOFA値を示す。青色の丸は予測SOFAを示す。 201人の患者の予測ΔH2O、ΔNa及びP−criticalである。126人の「普通の」患者(浮腫を有しない患者)を白抜きの丸で表し、75人の「重篤な」患者(浮腫を有する患者)を塗り潰した丸で表す。 血球量参照モデルのランダムフォレスト変数重度度である。
配列
配列番号1: pre−pro−ADMのアミノ酸配列:
1 MKLVSVALMY LGSLAFLGAD TARLDVASEF RKKWNKWALS RGKRELRMSS
51 SYPTGLADVK AGPAQTLIRP QDMKGASRSP EDSSPDAARI RVKRYRQSMN
101 NFQGLRSFGC RFGTCTVQKL AHQIYQFTDK DKDNVAPRSK ISPQGYGRRR
151 RRSLPEAGPG RTLVSSKPQA HGAPAPPSGS APHFL
配列番号2: MR−pro−ADM (pre−pro−ADMのAS 45〜92)のアミノ酸配列:
ELRMSSSYPT GLADVKAGPA QTLIRPQDMK GASRSPEDSS PDAARIRV
本実施例は、MR−proADMを検出することにより実施した。しかしながら、以上に概説したとおり、本発明はまた、proADM又はその別のペプチド断片を検出することにより実施してもよい。
以下の非限定的な実施例により本発明を例示する。
実施例1:重篤疾患患者における正の体液バランス、血液量及びMR pro−ADM
方法
患者及び手順
この前向き7日間観察研究は、2012年3月〜2014年9月に仏国ビセートル大学病院(Bicetre University Hospital)の30床の麻酔及び集中治療科で実施した。ビセートル病院(Bicetre hospital)の施設内治験審査委員会が2011年12月に本研究を承認し、全ての患者又はその血縁者がインフォームドコンセントに署名した。
4種類の患者:重度脳外傷(SBT)、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)、頭部外傷を伴わない重度外傷(PT)及びショックを伴う術後腹膜炎(P)の患者を調べた。患者はD2(D2)に持続的に機械換気する必要があった場合に組み入れた。SBTは、9未満のグラスゴーコーマスコア(GCS<9)の脳外傷として定義した。SAHは、WFNSスケールのスコアが4又は5であったとき組み入れた(Brisman et al.,2006)]。PTは、ISSスコアが25以上であったとき組み入れた。Pは、腹部手術後に血行動態上の合併症(低血圧、低心拍出量)を伴うショックの徴候を伴うもの又は集中治療室入院時における乳酸塩>4mmol/L及びカテコールアミンの処方を組み入れた。
除外基準は、年齢<18歳、妊娠及び慢性心不全(NYHA II又はIV)であった。
一般的及び人口統計学的データ:年齢、性別、BMI用の体重及び身長、IGS II、ISS、入院日、集中治療を出る前のグラスゴーアウトカムスコア(GOS)を収集した。到着時(D0)、D2、D5及びD7に多臓器不全評価(SOFA)スコアを測定した(Vincent et al.,1996)。
毎日、各患者について平均動脈圧(MAP)及び使用する場合にはノルエピネフリンの用量を記録した。生化学パラメータ:ヘモグロビン濃度[Hb]及び血漿タンパク、血漿中及び尿中Na+、K+、Cl−、尿素、クレアチニン及びオスモル濃度を測定した。全24時間利尿から朝に得られた生化学的尿結果を用いて前日の尿中Na+、K+、尿素排泄量の合計及びクレアチニンのクリアランスを計算した。2日目(D2)、5日目(D5)及び7日目(D7)に体重及び体温を測定した。
超音波検査徴候と人工呼吸患者の体液応答性の徴候と心充満の反復測定との組み合わせを毎日の輸液投与の指針とした(Feissel et al.,2004;Feissel et al.,2001;Monnet et al.,2013;及びGore et al.,2005)。更に、静脈内輸液の投与量はまた、心拍数、動脈圧、血中乳酸塩レベル及び心拍出量を含めた幾つもの変数によっても決定した。
細胞外液量の判定
毎日塩分及び体液バランスを計算して細胞外空間の変化を推定した。毎朝塩分及び水分に関して前日の全流入−流出評価を行った。正確な塩分及び水分の寄与を記録した。全ての喪失:必要に応じて利尿、回腸造瘻術及び脳室ドレナージを測定した。ナトリウム(Na)喪失を液類から測定し、塩分寄与から推定した。流入水分(経腸栄養及び晶質又はコロイド輸液の当日の合計)と水分喪失との差も計算した。不感烝泄は体温の関数として推定した。Na(ΔNa)及び水分(ΔHO)の増加又は減少を毎日計算し、累積体液バランスとして前日の結果と合計した。クレアチニンのクリアランスも毎日計算した。各患者の計算は全て一医師が行い、第2の医師が確認した(BV、PEL及びHF)。
血液量測定
D2及びD7に、クロム51(Cr51)で標識した赤血球による全血量を測定した。実際上の理由で、D2は必ずしも患者の入院後正確に2日目というわけではなく、1日目〜3日目における何れかの時点である。7日目は6日目〜10日目である。
検査室で10mLの患者自身の血液をクロム51(Cr51)で放射標識し、全ての血漿放射活性を慎重に取り除くことにより放射活性標識された赤血球を慎重に選択した。次に、既知量の放射性赤血球を全血液循環に注入し戻し、10分及び30分時に動脈ラインで2つの試料を実施した。これらの2つの試料の放射活性の測定により、全血量(TBV)(mL又は患者の体重を用いる場合にはmL/Kg単位)の推定が可能であった(Gore et al.,2005)。次に、ヘマトクリット値及び測定した全血量によって赤血球量(RBCV)(mL又はmL/Kg)及び血漿量(PV)(mL又はmL/Kg単位)が確定した。正常値(±20%)はTBVについて72±14mL/Kg、RBCVについて32±6mL/Kg及びPVについて40±8mL/Kgである(Gore et al.,2005)。D7に、既知量の少量のヨウ素125(I125)放射標識アルブミンを患者に注射し、10、30分及び2時間で試料を採取して血漿量(PVI125)を直接測定した(Fairbanks et al.,1996)。I125で測定したPVの正常値は45±10mL/Kgである(Gore et al.,2005)。通常、I125−アルブミンで得られる血漿量は、Cr51赤血球による測定から得られる血漿量よりもやや多く、これはアルブミンの分布容積が赤血球より大きいためである(Gore et al.,2005)。
D2及びD7における血液量測定の実施時、経胸壁心エコー測定を用いることにより2つの指標:下大静脈変動(ΔIVC)及びE/E’でストレス負荷量を判定した(Vincent et al.,1996及びFeissel et al.,2004)。
バイオマーカー分析
各患者について、D2、D5及びD7に血漿バイオマーカーを調べた。D2及びD7は血液量測定日であった。D5試料は常にD7の正確に2日前に行った。プロアドレノメデュリン(MR pro−ADM)、Pro−ANP、レニン、アンジオテンシンII、アルドステロン、コルチゾール、アドレナリン及びエピネフリン、CT−プロアルギニンバソプレシン(コペプチン)及びプロエンドセリンをバイオマーカーとして測定した。これらは潜在的に細胞外液量又は血漿量に干渉し、動脈圧を低下(MR pro−ADM及びPro−ANP)又は上昇させる。エリスロポエチン(EPO)は、RBCVと共に変化するその能力に関して測定した。用いられる標準及び技法を表3に示す。
統計分析
検定力分析:同様の患者における脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)及びエリスロポエチン(EPO)濃度値の既発表の範囲を用いて必要な患者数を計算した(Dorhout Mees et al.,2011)。80%の検定力、50%の期待群間差を考慮した。
分位点−分位点(qq)プロット及びシャピロ検定を用いてデータ分布の正規性を調べた。データが対数正規分布している場合、統計比較は変換したデータで実施した。データは平均値±標準偏差(SD)又は中央値(25〜75パーセンタイル)又はカウント及び度数(パーセント)として報告される。
データの正規性に応じて線形回帰又はスピアマンの回帰を用いて相関を調べた。加えて、ほとんどのデータが誤差を伴う測定であったため、等しい分散のデミング回帰を用いて回帰曲線の傾きを計算した。群内及び群間比較はANOVA(反復測定の因子)又はノンパラメトリック(クラスカル・ワリス又はフリードマン)検定と、続くチューキー又はマン・ホイットニー/ウィルコクソン検定を用い、後者はボンフェローニ補正で多重比較補正した。
受診者動作曲線(ROC)を作成して、体液及びナトリウムバランスの予測に関するバイオマーカーの性能を計算した。重み付けのないヨーデン指標を用いて最良の感度/特異度カットオフを計算した。
最後に、15%の「グレーゾーン」除外有り及び無しの四象限プロットを使用したコンコーダンス分析を用いてマーカー並びに体液及びナトリウムバランスの変動を比較した(Perrino et al.,1998)。
分析はR(The R Foundation for Statistical Computing、ウィーン工科大学(Vienna University of Technology)、オーストリア国ウィーン、http://www.r−project.org/、2015年6月20日アクセス)を用いて実施した。統計的有意性はP<0.05に設定した。
体液バランス及び血液量とバイオマーカーとの間に独立した関連性が見出された。選択された一部の「妥当な」共変量を用いた重篤疾患患者の体液状態の臨床的に利用可能な予測因子を決定するため、バイオマーカー及び他の有意なパラメータを用いて数学的予測ツールを構築した。患者の状態に関する重症度スコア、SOFAスコア(マルチレベルの順序変数である)を追加の応答変数として考慮した。
体液バランス(ΔNa及びΔH2O)について、ΔNa>36g及びΔH2O>4Lの両方を有する重篤疾患患者を同定する結合予測因子を構築した。そのために、本発明者らは、初めに、(ΔNa及びΔH2O)に関する一個抜き法の残差を合わせて考慮し、その分布が共分散行列のガウス型(中心がある)であることが見出された。従って、(ΔNa及びΔH2O)の予測値の各組み合わせについて、mvtnormパッケージを用いて容易に計算される重篤確率(Pcritical)を求めることが可能である(Genz et al.,2009;及びGenz et al.,2014)。
結果
ICU入院後の最初の7日間に、SBT(n=21)、HSA(n=20)、PT(n=20)及びP(n=6)に分布した67人の患者を調べた。一般的人口統計学的データ及び各臨床状況で試験した患者数を表4に示す。D0、D2、D5及びD7におけるSOFAスコアを表5に提示する。
全ての患者を調べた。細胞外液量の増加は、各臨床状況についてD2及びD7における塩分の変化(ΔNa)及び水分の変化(ΔHO)として報告される。D2においてほぼ全ての患者(ΔNaについて64/67又はΔHOについて63/67)、及びD7において大部分(ΔNaについて42/67又はΔHOについて41/67)が、正の体液バランス、即ち細胞外液量の上昇を示した。D2及びD7において含水ソーダの正のバランスが全ての病変に観察され、PT及びPについての塩分の上昇がSHT及びSAHよりも高い。例えば、D2では、PT及びPは70±32g及び77±28gの塩分の累積的上昇を示し、このとき、STBと、一方でSAHとは、43±24g及び28±24gを示す。ΔNaはΔHOと関連があり、貯留水分が貯留塩分と密接に結び付いていることが示される(r=0.67;p<0.0001)。細胞外空間の既知の指標として、タンパク質の血漿濃度及び体重の変動がΔNa及びΔHOに関係するものの、それらの関係性は弱い(血漿タンパクとΔNaについてr=0.44、血漿タンパクとΔHOについてr=0.35、及び体重とΔHOについてr=0.33)。血漿タンパクと同じく、[Hb]がΔNa(r=0.15)及びΔHO(r=0.24)と弱い関係を有する。
Cr51によって測定した容積(全血量(TBV)、赤血球量(RBCV)及び血漿量(PV))をD2に62患者及びD7に63患者で調べた。ほとんどの患者でTBVの低下が観察された。D2において21患者及びD7において25患者のみが正常な20%範囲内である。TBVが正常値の20%未満である血液量減少が、D2において46患者(74%)及びD7において42患者(66%)に存在した。D2の1患者及びD7の2患者を除き、全ての患者に低RBCVが見出された。正常なRBCVを有するこれらの患者は全て輸液した。非出血病態であっても(SBT又はSAH)、RBCVの低下が有意となることができ、D2において25患者(40%)及びD7において21患者(33%)が正常RBCVの50%以下の不足であった。TBV又はRBCVと体液バランス、即ちΔNa又はΔH2Oとの間に統計的関係はない。
PVの分布は正常範囲である。PVと体液バランス、即ちΔNa又はΔH2Oとの間に関係はなく、本発明者らはまた、D2又はD7間におけるPVの変化とΔH2Oの変化との間の関係も認めなかった。PVの変化は血漿タンパク質濃度の変化に関係しない。ヘモグロビン濃度はRBCVと弱い関係があり(r=0.33)、及びVPとは関係がない(r=0.026)。
D7に、58患者のVPをI125によって測定した(PVI125)。両方のPV(PV Cr51及びPVI125)間には統計的に有意な関係がある。デミング回帰により、0.852の傾き(CI 95% 0.610〜1.08)及び780mLの切片(CI 95% 103〜1485mL)(信頼区間は本明細書ではCIと称される)が見出され、r=0.752でPVI125に有利であった。
血液量と下大静脈の変動(ΔIVC)又はE/E’との間に関係は見出されなかった。
バイオマーカー
全てのバイオマーカーの詳細な動態を付録Iに示す。これらの多くはD2に上昇し、次に、D5及びD7に統計的に低下する(コペプチン、アンジオテンシンII、レニン);一部はD7にのみ統計的に低下する(MR pro−ADM、EPO)。他のバイオマーカーは3日間の考察中に変化しない(コルチゾール、アルドステロン、Pro−ANP、プロエンドセリン)。血漿ノルエピネフリンは、患者の治療として用いられた外部注入に起因して偏りがあるため本試験に適切でない。
試験した全てのバイオマーカーの中で、本発明者らは、2つのバイオマーカー、レニン及びMR pro−ADMのみがΔNa及び/又はΔHOと統計的関係を有することを見出した(表6)。MR pro−ADMとΔNa及び/又はΔHOとの間の関係は極めて強く、且つ臨床状況のタイプと完全に独立しているように見える。
次に、ΔH2Oについて4L及び/又はΔNaについて36g(4リットルの9‰は36gの塩となる)を正の体液バランスの閾値と見なした(Bjerregaard et al.,2005)。ROC曲線により、不均衡なヨーデン指標の感度/特異度の最良の妥協を示唆するMR−proADMの最良の閾値を見出すことが可能となった(図4)。
MR−proADMが塩分バランス及び体液バランス(ΔNa及びΔH2O)を予測できる許容可能な確率が分かったため、MR−proADM及び他の単純共変量でΔNa及び/又はΔHOの予測スコアを構築した。ΔNa及び/又はΔHOについて、最良の予測モデルには、強い方のパラメータから最も弱いパラメータへの順に、MR−proADM、D0におけるBMI、D0における体重、年齢、性別、[Hb]、IGS及びD0における体液摂取量が必要である。このモデルからMR−proADMを取り除くと予測力が低下する。これらの2つのモデルは独立に分散の約70%を説明することができ、ΔNaについて88%及びΔHOについて92%のAUCの良好な判別力を有する。更に、IGS及びD0における体液摂取量がないことの影響はこの2つのモデルにおいて極めて限定的であり、rの2〜3%の損失に過ぎず、及びAUCに対する効果はない。
ΔNa>36g及びΔHO>4Lの両方を有する重篤疾患患者を決定する結合予測因子を、統計に関する段落に先述したとおり構築した場合、性能が有意に改善された。この結合予測因子の判別力は高く、AUC=0.9987(95%CI[0.9964−1])である。例えば、P−criticalを0.4の閾値とすると、0.988の感度及び0.949の特異度が得られた。更に、この体液バランス予測因子は患者のSOFAスコアに有意に結び付けられる。
更に、バイオマーカーを試験して血液量を測定した。興味深いことに、全てのバイオマーカーの中で体液バランスに関しては同じ2つのバイオマーカー、レニン及びMR pro−ADMが血液量と統計的関係を有する。しかしながら、血液量をバイオマーカー値の対数で混合目的の回帰によって再び分析した場合、マーカーの予測特性は弱く、ROC曲線のAUCは低かった(レニンについて:AUC TBV=0.5798及びAUC PV=0.6159及びMR pro−ADMについて:AUC TBV=0.5967及びAUC PV=0.6277)。更に、及び高い確率にも関わらず(p=0.0002)、値にあまりに特徴がなく且つ低値であったため、RBCVについてROC曲線を構築してAUCを測定することは不可能であった。このような状況では、閾値及び予測モデルは試験しなかった。
考察
この研究は、内皮透過性の指標として知られる単純なバイオマーカー、MR−proADMが(Christ−Crain et al.2005及びKoyama et al.,2013)、重篤疾患患者の入院後最初の1週間における細胞外液量中の塩分及び水分の上昇に関する良好なサロゲートであることを示している。加えて、D2及びD7における塩分バランス又は体液バランスの上昇と直接的な血液量測定値との間に関係は見出されなかった。
ここで、過剰な塩分又は体液バランスは重篤疾患患者における罹患及び死亡のリスク要因と見なし得ることは明らかである(Boyd et al.,2011;Kelm et al.,2015;Acheampong et al.,2015;及びMalarian et al.,2014)。心拍出効率を得るという目標から血液増量の実施による有効性の達成が提案されるため、この状況は高頻度で起こる(Cecconi et al.,2011及びVincent et al.,2011)。侵害後第1日目の高炎症状態(敗血症、外傷又は脳動脈瘤における)において高頻度で、毛細血管透過性が過剰となり、体液が上昇し、利尿が低下し、及び血漿量中に塩を維持することが困難となることに起因して、多くの患者は細胞外液量中に水と共に塩が蓄積するリスクが高い。患者の輸液蘇生に対する応答は様々である。従って、治療を個別化する:より多くの液体を灌流させるか、又はカテコールアミン若しくは利尿薬で調整するため患者をより良く層別化し、及び間質中に正の塩分バランスを有する患者を同定する明確且つ迅速なサロゲートマーカーが必要とされている。このマーカーはまた、集中治療における入院理由の種類とは無関係でなければならない。
MR−proADMが塩分及び体液バランスの特に良好な指標と思われる場合、それは単に毛細血管透過性の指標というだけではない。Na平衡は腎臓によって調節されるだけではない(Titze et al.,2014)。Naの間質クリアランスは、間質の毛細リンパ管系を通じたNa排除を調節する免疫細胞、特にマクロファージによって媒介されるものと思われる(Titze et al.,2014)。炎症状態では、そのNa除去能力の不全に伴うマクロファージによる恒常性維持免疫細胞調節の喪失により、間質におけるNa蓄積が明らかとなり得る(Jantsch et al.,2014)。興味深いことに、アドレノメデュリンペプチドは特に器官形成におけるリンパ管の組織化において役割を果たすことが知られている(Kahn et al.,2008)。
間質中の過剰総量は炎症及びNaクリアランスの低下に起因するだけではない。それは、高い平均動脈圧(MAP)若しくは速い注入速度(Bark et al.,2013)によって誘発される静水圧の亢進又は過剰心拍出量によって強制される血管拡張の亢進など、生理学的原因によって悪化し得る。高いMR−proADM(1nmol/l超)はソーダ過負荷の指標であり、例えば36gのNa及び4Lの水を上回る増加は、医師が直ちに適切な処置を行うべき危険信号であり得る。
多くの集中治療室では、看護師が毎日の体重又は毎日の体液の出入りの計算によって体液バランスを体系的に測定する。これらの方法は正確でない。例えば、本発明者らの観察研究では、体重と体液バランスとの間の関係は弱いことが見出された(r=0.33)。血漿タンパク又は[Hb]などの通常の細胞外液量マーカーは、塩分及び体液バランスと弱い関係を有する(r=0.35、及びr=0.24)。この研究では、塩分及び体液バランスの測定は多量の生体試料を要したと共に、常に2人の医師によって実施及び管理された。日々の実務では、看護師は要求される情報の収集に必要な時間を割くことはできない。MR−proADMは塩分バランス及び細胞外液状態のより正確な測定をもたらすものと思われ、また、状況の緊急化に伴う緊急用サロゲートとして使用することもできる。一部の急性状況では、ショック後最初の数日はタイミングが決定的に重要であり得る。現実には、過負荷の存在の発見は遅過ぎ、臓器損傷(急性肺傷害、腹部コンパートメント症候群、腎不全)後であることが多い。SOFAスコアと塩分及び体液バランス予測モデルとの間の関係は、MR−proADMが興味深い臨床ツールであり得るという考えを裏付ける。
全血量(TBV)、血漿量(PV)又は赤血球量(RBCV)を推定するマーカーは見出されなかった。レニン及びMR−proADMは有意であることが分かったが、有効な予測モデルの構築には不十分であった。更に、ΔNa又はΔHOは血液量の予測因子でない。
この研究の別の興味深い結果は、PVと体液バランスとの間に関係がないことの実証である。血液増量が体液灌流の主な理由であるため、これは特に予想外であった。それにも関わらず、PVは、患者の多くがD2及びD7に正常範囲にある唯一の液量である。体液バランスとPVとの間に相関がないことから、Na及び水分は間質液量に捕捉されるという仮説が裏付けられる。日々の実務では、この血漿量をより良好に管理することが有用であり得るが、しかし、本発明者らは、バイオマーカーのタンパク質又は[Hb]とも、超音波検査で測定されるストレス負荷量に関係する徴候とも関連しないことを発見した。この問題を研究するには、バイオマーカー又は他の要素の組み合わせによる他の研究を行わなければならない。
D7においてPVの2つの測定方式(Cr51及びI125)間に見出された相関から、本明細書において同定された結果が裏付けられた。アルブミンは、特に病的状況で毛細血管透過性が上昇した場合、赤血球よりも大きい分布容積を有し得る。D7では、この差はむしろ強く(780mL)、毛細血管透過性が完全には修復されないことが示唆される。この比較をD2でも考察することは興味深いものであり得る。残念ながら、D2におけるI125を用いた測定は、バイオマーカーの一部の測定方法との相互作用が原因で実施することができなかった(表1)。
低RBCV、貧血はかなり一般的であり、低いTBV結果を説明する。RBCVは評価が難しく、CR51法及び放射活性ユニットの管理が必要である。その評価は、バケー病などの稀な症例において行われるのみである。日々の実務では、[Hb]閾値検査(<7〜8g/dl)を用いて輸血の必要性が決定される。[Hb]はPVとRBCVとの比であるため、[Hb]はRBCVの不十分なサロゲートである(Takanishi et al.,2008)。患者は11g/dLの[Hb]で正常RBCVの僅か50%であり得る。正常赤血球の50%が欠けると、患者の健康に重大な影響があり得る。RBCの総量が認知回復に関する予後マーカーとなり得ることを示唆している研究もある(Naidech et al.,2007)。それにも関わらず、RBC輸血は欠損細胞の補充のみにとどまらない。本研究では、EPOがRBCVのレベルに依存しないことから、EPOはRBCVの良好なサロゲートでないこと、及びEPO刺激がRBCの量のみならず、RBCの質によっても説明されることが示唆される。
本研究に記載される臨床状況は、我々のサービスの日々の実務を反映する。重度外傷、脳傷害及び神経学的状況は頻度が高く、敗血症性ショックはそれほど存在しない。それにも関わらず、共変量としてのこの群が体液バランス又は血液量の予測に介入しないことから、体液量障害がむしろ病理と無関係であることが示唆される。この結果を確認するには他の研究が必要であろう。
ショック後の過負荷は重要であり、過小評価されている生存因子である。正の塩分バランスは、実際、重要な予後予測マーカーとして報告されている。血液量は血液増量に自動的に結び付くものではない。MR−proADMは、重篤疾患患者において急性炎症状況後の最初の1週間の塩分及び体液バランスを評価するための興味深いサロゲートである。高頻度の過剰な血液増量の抑制が提案される。
実施例2:MR−proADMによる体液バランス及び/又は塩分バランスの予測
1.序論
本研究の目的は、以下の疑問に答えることである:
・バイオマーカー及び/又は他の共変量を用いてNa及びH2Oの変動を予測することは可能であるか?
・バイオマーカー及び/又は他の共変量を用いて血液量応答を予測することは可能であるか?
そのため、データマイニング技法及びモデル選択を用いた提供のバイオマーカー及び共変量の予測性能を評価した。
2 材料及び方法
以下の材料及び方法の節は、あくまでも例示的実施形態として提供される実施例2〜4で使用した材料及び方法について記載していることに留意されたい。
2 材料及び方法
2.1 データ
ここで、本報告で使用する変数及びデータセットを説明する。3.5%の欠測データ率(max.乳酸塩について54%)が観察されたが、この値は低い。従って、欠測データは本研究においてそれほど大きい問題ではなかった。このため、本発明者らは全ての欠側値を、対応する各列の平均値を用いて割り当てることにした。
応答変数
合計2つの目的の応答変数を考慮した:
・ΔHO(D2、D5、D7):水分(H2O)の変動、リットル(L)で表される。変動≧4.0Lを重篤と見なす。
・ΔNa(D2、D5、D7):ナトリウム(Na)の変動、グラム(g)で表される。変動≧36.0gを重篤と見なす。
・VT(D2、D7):全血量、mL/kgで表される。全血量≦60mL/kgを重篤と見なす(72の古典的閾値を下げて対照の数を増やした)。
・VP(D2、D7):血漿量、mL/kgで表される。血漿量≦40mL/kgを重篤と見なす。
・VG(D2、D7):血球量、mL/kgで表される。血球量≦15mL/kgを重篤と見なす(32の古典的閾値を下げて対照の数を増やした)。
・SOFA(D2、D5、D7):多臓器不全評価スコア。マルチレベルの順序応答:患者の病態の重症度と共にスコアが増える。1つのみ観察されるSOFAスコアを避けるため、15を上回る4つのSOFAスコアは15に設定したことに留意されたい。
注:D7について、CR51の代わりにヨウ素を使用した2番目の容積測定は破棄した。
共変量
・患者共変量(8):年齢、性別、体重.D0、bmi.D0(ボディマスインデックス)、IGS.II(IGS IIスコア)、GOS(グラスゴーアウトカムスケール)、体液.D0(D0における液体摂取量)、Na.D0(D0におけるナトリウム摂取量)
・1日共変量(5):max.temp(最高体温)、max.乳酸塩(乳酸塩)、min.PAM(中間動脈圧の最小値)、FC(心拍数)、max.cathe(カテコールアミン)。
・バイオマーカー共変量(11):Hb、Prot.D0(0日目における血清総タンパク)、Prot(血清総タンパク)、Angio(アンジオテンシンII)、レニン、Aldo(アルドステロン)、Pro.ANP、Adre(アドレナリン)、Pro.Endo(プロエンドセリン−1)、CT.proAVP、MR.proADM、コルチゾール、Nor(ノルアドレナリン)、EPO(全て対数スケール、log1p変換)。
注:bmiは身長及び体重から式:bmi.J0=体重.J0/(身長.J0/100)2を用いて計算した。共変量の身長.D0は体重.D0及びbmi.D0との重複を避けるため破棄した。
2.2 統計的方法
全ての統計計算は、Rソフトウェア(Rmanual)、バージョン3.0.2を用いて行った。
ランダムフォレスト
ランダムフォレスト(Breiman,2001;Breiman,2002)を用いることにより共変量を使用して応答変数を予測した。この手法は、ブートストラップデータから決定木を繰り返し構築することにある。各ランにつき合計50,000本の木(一個抜き法手順では500本)が構築される。これは、非線形効果であっても捕捉可能であることが知られる強力な決定手法である。生物医学的コンテクストにおけるランダムフォレストの優れた入門書については、Boulesteix,2012を参照されたい。
重要度
共変量を重要度の降順で順位付けするため、感度分析を実施した。各共変量について、調べる共変量有り又は無しでランダムフォレスト予測を実施したと共に、予測品質の点でそれが存在しない場合の影響を測定する。
前進選択法及び後退選択法
共変量間の高い相関構造に起因して、単純にk個の最も重要な変数を用いることによる最良モデルの選択は、必ずしも最も精度の高い予測につながらない。この問題を解消するための古典的手法(Diaz 2006;Nguyen,2013)は、ランダムフォレストを用いた後退選択手順の実施である。
前進選択法の場合、その考え方は、空のモデルで開始し、感度分析を実施して(変数毎に1RF)、目的の基準(ここではR2を使用し、下記の説明を参照されたい)の最も低い改善をもたらす変数を追加し、その拡大したモデルで再び開始するというものである。ランダムフォレストの高度に確率論的な性質に起因して、前進選択手順の結果は反復試験毎に異なり得る。従って、合計5回の反復試験を多数の木で体系的に実施し(木=50,000)、全反復試験にわたって安定しているように見えるコンセンサスモデルを選択した。
後退選択法の場合、その考え方は、完全なモデルで開始し、感度分析を実施して(変数毎に1RF)、目的の基準(ここではR2(rとも称される)を使用し、下記の説明を参照されたい)の最も低い改善をもたらす変数を除去し、その縮小したモデルで再び開始するというものである。ランダムフォレストの高度に確率論的な性質に起因して、後退選択手順の結果は反復試験毎に異なり得る。従って、合計5回の反復試験を多数の木で体系的に実施し(木=50,000)、全反復試験にわたって安定しているように見えるコンセンサスモデルを選択した。
線形回帰
選択されたモデルに対して古典的線形回帰も実施する。線形係数を調べることも、応答変数に対する共変量の個々の効果を理解する単純な方法をもたらす。
一個抜き法
データを訓練データセットと試験データセットとに分割すべきでないことに伴い、オーバーフィッティングを回避するため「一個抜き法」と呼ばれる古典的交差検証技法を用いた。本発明者らはこの手法を用いて、データから1つのエントリを抜き、縮小したデータセットで本発明者らのモデルを訓練し(線形回帰又はランダムフォレスト)、次に得られたモデルを用いて除外したエントリの値を予測することを繰り返した。
R2
応答変数と予測応答との間の相関は相関の二乗R2(又はr)で測定される。線形モデルのコンテクストでは、これはまさに説明される分散の割合に相当する。R2は、常に0〜100%であり、高いほど良い。
AUC
分類性能はROC曲線下面積(AUC)で測定される。この古典的基準は、可能な全ての閾値を同時に考慮し、且つH0誤り率を調節する必要さえないため、多くの場合に検出力より好ましい。AUCは常に0〜100%である。約50%のAUCは純粋なノイズに相当し、70%未満のAUCは弱いと見なされ、70%〜80%のAUCは正しい、80%〜90%は良好、及び90%超は優良と見なされる。AUC推定は、ここではpROC Rパッケージ(robin2011proc)を用いて実施される。
生存分析
標準的な生存分析を用いた:Coxモデル(Andersen and Gill,1982;Therneau,2000)、カプラン・マイヤーノンパラメトリックハザード推定値(Kaplan and Meier,1958)、及び生存曲線間の有意性に関する差のログ・ランク検定(Harrington and Fleming,1982)。ランダムフォレストについては、パッケージrandomForestSRCを使用した(Ishwaran and Kogalur,2007;Ishwaran et al.,2008;Ishwaran and Kogalur,2015)。
3 結果及び考察
3.1 体液バランス
MR.proADMはΔH2Oの予測に関して良好な性能を示す。MR.proADM自体は良好な分類力を実現し(AUC≒0.82)(図2A)、応答変数は35%の分散である。
ΔH2Oの選択手順を実施した。重要度分析から、以下の患者及び1日共変量の重要度が指摘された:bmi.D0、体重.D0、年齢、性別、BMI、総タンパク、Hb、液体摂取量.D0(体液.D0)、患者群(群)。バイオマーカーのMR.proADMは、最も高い重要度を実現した。更なるバイオマーカーが役割を果たすように見える:Pro.Endo、CT.proAVP、EPO、血清総タンパク及びHb。
3.2 塩分バランス
ΔHOについて観察されたとおり、MR.proADMが良好な分類力を有し(AUC≒0.79)、rは0.42である(図2B)。
実施した重要度分析から、ΔH2Oについての観察と同じマーカー/パラメータが指摘され、違いはD0におけるナトリウム摂取量(Na.D0)がD0における液体摂取量(体液.D0)に代わったことであった。
4.結論
ΔH2O及びΔNaの予測に関するMR−proADMの鍵となる役割が明確に確認された。それにも関わらず、MR−proADMを更なるマーカー及び/又はパラメータと組み合わせた場合、体液及び/又は塩分バランスの予測が改善され得る。
実施例3:更なるパラメータを含めることによる予測の改善
本研究の目的は、選択された一連の共変量(更なるマーカー又はパラメータ)を用いて(表7を参照されたい)、臨床的に利用可能な予測因子を構築することである。
1.1 体液バランス及びナトリウムバランス
ΔH2O予測の参照モデル:
ΔH2O〜MR.proADM+bmi.D0+体重.D0+年齢+性別+Hb+Prot+IGS.II+体液.D0
ここで、IGS.II及び体液.D0は、両方ともに実際上臨床のコンテクストでは入手が困難であるために任意選択である。
表8を見ると分かるとおり(応答「H2O」)、このモデルは分散の約70%を説明し、92%のAUCの極めて良好な判別力を有した(95%CIの下限は約89%である)。IGS.II及び/又は体液.D0がないことの影響は非常に限定的であり、rの低下は2〜3%に過ぎず、AUCに対しては何ら効果がなかった。
このモデルはまた、患者体重及びProtから構築した予測因子とも比較した。D5の体重は利用できなかったため、この時間点は完全に除き、従ってより小さいデータセットとなった。結果は表8に提供した(応答「H2O(−D5)」)。体重及びProtから構築した予測因子は80%のAUCを達成したに過ぎなかった。この降下は本発明者らの参照モデルからは有意であった(90%のAUC)ことに留意されたい。更に、この低下は、体重(AUC=71%)又はProt(AUC=63%)のみを考慮したとき更に劇的であったことから、これらの2つの共変量の有益性が限られていることが更に判明した。また、これらのモデルでは、特に線形回帰のみを用いるとき、rが極めて限られていることにも留意すべきである。
ナトリウムバランス
ΔNa予測の参照モデル:
ΔNa〜MR.proADM+bmi.D0+体重.D0+年齢+性別+Hb+Prot+Na.D0+IGS.II+体液.D0
ΔH2Oについて観察されたとおり、IGS.II及び体液.D0は両方ともに任意選択である。
表8を見ると(応答「Na」)、このモデルが分散の約70%を説明し、88%のAUCの良好な判別力を有した(95%CIの下限は約84%である)ことが分かる。ΔH2Oについて観察されたとおり、IGS.II及び/又は体液.D0がないことの影響は非常に限定的であった。この場合にも、ΔH2Oについて観察されたとおり、体重及びProtは応答変数の予測に関する有益性が明らかに限られており、R(約20%)及びAUC(約63〜75%)は両方とも低かった。
結合予測因子の構築
この節では、「重篤な」患者、即ち、ΔH2O>4L及びΔNa>36gの両方を有する患者の予測因子を開発する。そのため、(ΔH2O、ΔNa)に関する一個抜き法の残差を合わせて考慮し、その分布は以下の共分散行列のガウス型(中心がある)であることが見出された。
従って、予測値(ΔH2O、ΔNa)の各組み合わせ(x,y)について、重篤である確率を以下のとおり計算することが可能である:
この確率はmvtnorm Rパッケージで容易に計算される(Genz and Bretz,2009;Genz et al.,2014)。
二次元Pcritical(p−critical)関数を図式表示すれば、ΔH2O及びΔNa予測値のみを用いて非重篤患者と重篤患者との間を区別することが可能になり得る。この結合予測因子の判別力はAUC=0.92と高いことに留意されたい(実施例4も参照されたい)。
2.2 血液量応答
全血量及び血漿量
ΔH2O及びΔNaは、意外にも、VT及びVPについて最適以下の予測因子であることが見出された(表9)。実際、これらが説明したのは分散のせいぜい7%であり、判別力の点でランダム分類器(最良のAUC=64%)よりも優れていることはほとんどなかった。このことから、塩水を「患者に充填する」という臨床的考え方は期待される血漿応答を惹起しないことが明確に実証された。
血球量
血球量(VG)について、ΔH2O及びΔNaとの相関が観察された。予測(参照)モデルを構築することが可能であった。
VG〜MR.proADM+Hb+bmi.D0+性別+年齢+Prot
表9を見ると分かるとおり、このモデルは分散の45%を説明し(これは低い)、しかし、それにも関わらず、82%のAUCをもたらした(95%CI下限は75%である)。これは明らかに、僅か30%のr(ランダムフォレストでなく線形モデル)及び70%のAUC(95%下限は60%)を達成したHbのみを用いた単純モデルの改善であった。この結果は、現行の臨床標準である、血球量応答に関する単一のバイオマーカーとしてのHbの限界を強調したため興味深いものであった。
表9を見ると、MR−proADMを含まない「参照」モデルが48%のr及び84%のAUCで同様の性能を実現したことが分かる。MR−proADMを含む参照モデルは、低い(<20又は15)VG又はRBCVの患者を同定する。
最良VGモデルの一個抜き法の残差を考慮したとき、本発明者らは、明らかに、これらの残差が3.2〜3.3の標準偏差でガウス型の中心のある分布に従って分布することを観察した。観察された分散の大部分はこのモデルによっては説明されなかったという事実にも関わらず、それらは既に重篤な患者:VG<20mL/kgの患者の検出に用いることができる。実際、xが予測VGである場合、以下となる。
図7はPcritical関数を示す。この決定関数は、信頼性の高い方法で重篤な患者を検出するためのHbに代わる妥当な方法を提供し得る。
2.3 SOFA
図5には、専門家及び一個抜き手順によって選択されたモデルを用いた予測SOFA値を示す。予測精度はとてつもないものではなかったにしても、相関は極めて高かった。実際、表10には、正確な予測(差=0)は僅か19%の精度であったが、予測SOFAと正確なSOFAとの間のより大きい差を許容した場合、この数値が劇的に上昇した。4の差では、82%のSOFAが求められた。
SOFA〜ΔHO+ΔNa年齢+bmi.D0+性別
本発明者らはまた、SOFAを3クラスに再編成しようと試みたが、有意な改善はなかった(33%誤り率)ことに留意されたい。
2.4 浮腫持続期間
利用可能なデータについては、表11を参照し得る。
Coxモデル
分析は、これらのデータに比例ハザードモデルを当てはめることから開始した(表12)。試験した共変量のうち、年齢及びSOFAのみが有意であった。詳細には、MR.proADMは重要な役割を果たさないものと見られた。本発明者らは、年齢について41.5歳(中央値)及びSOFAについて9(中央値)を参照として、年齢及びSOFAのみを含むCoxモデルを当てはめることにより、調整した浮腫持続期間を構築した。
カプラン・マイヤー推定値
D2における低い値(MR.proADM<1.5)及び高い値(MR.proADM>1.5)に基づき層別化して、生存曲線のカプラン・マイヤー推定値を分析した。これらの2つの曲線の差は明らかに有意でなかったことから、表12の結果が確認された。未調整の浮腫持続期間を用いると、2つの曲線間に有意な差(p=0.01)が観察されたが(データは示さず)、年齢及びSOFAで調整すると、この結果はなくなったことに留意されたい。
ランダムフォレスト
同じ(未調整の)データに関してランダムフォレストを実施した。この手順では41%の全誤り率に達し、これは高い(この誤り率の正確な性質については不明であった)。変数重要度の点で、年齢の重要な役割が確認されたが、SOFA及びMR.proADMは、両方ともこの非線形フレームワークの結果に対する影響は弱いように思われた。一個抜き法を用いて、各患者について共変量(年齢、SOFA及びMR.proADM)に基づきランダムフォレストを用いて生存曲線を予測した。2つのデータセット間の差は、主に、D2におけるMR−proADMが高い患者の大部分が試験終了時に治癒しなかったことに起因した。しかしながら、D2におけるMR−proADMがより低い患者は、年齢及びSOFAの効果を含めると、治癒に向かう明らかな傾向がなくなった。
3.結論
血球量について、MR.proADMは妥当な関連性を有した。更に、本発明者らの研究によれば、現行のバイオマーカー(Hb)の限界が指摘され、臨床医が今後重篤なVGの患者をモニタリングするのに有用となり得る新規モデルが提案される。
本研究の更に興味深い成果は、明らかに、入手が容易な臨床共変量(bmi.D0、体重.D0、年齢、性別及び任意選択的にIGS.II及び体液.D0)のみを3つのバイオマーカー:MR.proADM、Hb、及びProtと共に用いて重篤な浮腫リスクのある患者を極めて効率的に(AUC>0.99)検出するΔH2O及びΔNa予測を組み合わせた浮腫の予測手段である。
実施例4:予測の更なる改善
モデル
本明細書で提供されるモデルを単純化するため、元のモデルからIGS.II、体液.J0及びNa.J0を取り除くことにより、ΔH2O及びΔNaの両方を予測する単一の単純モデルを得た(以下で「モデル2」と称する)。このモデルに年齢2=年齢及び年齢3=年齢を含めると、予測力が更に改善された。これが唯一の変換した共変量の追加であり、有意な効果があると見られた。体液バランス及び塩分バランスを予測する実施例3に提示したモデル、即ちパラメータIGS.II、体液.J0及びNa.J0を含むモデルは「モデル1」と称する。
・「モデル2」:〜bmi.J0+体重.J0+年齢+年齢2+年齢3+性別+MR.proADM+Hb+Prot
・「バイオマーカーなし」:〜bmi.J0+体重.J0+年齢+年齢2+年齢3+性別
・「バイオマーカーのみ」〜MR.proADM+Hb+Prot
注:MR.proADM、Hb及びProtは元の計測値のlog1p変換を指すことに留意されたい。
これらのモデルの各々について、一個抜き手法を用いるか、又は完全なデータセットを用いるかのいずれかで予測を実施することができる。当然ながら、性能は常に前者よりも後者で高くなり得る。ロバストな且つ可能な再現性のある結果を得るには一個抜き推定を選好すべきであり、より楽観的な観点について並びに非常に粗雑な方法(MR.proADMを直接使用して普通の患者と重篤な患者とを判別するなど)との比較については、完全なデータセットの推定を用いるべきである。
AUC結果
単純な共変量及び選択されたバイオマーカーのみを用いる本明細書で提供されるモデル2は、実施例3に提示したモデル1と比べて同様の又は更にはより良好な性能を実現した。いずれの状況でも、PcriticalはΔH2O及びΔNa予測を効率的に組み合わせるように見え、これらの2つの方法の最良のものと比べて僅かな改善があった。いかなるバイオマーカーも含まないモデルを考察すると、性能の有意な低下があった。しかしながら、このモデルはそれにも関わらず高い浮腫リスクの患者を指摘することに留意すべきである。バイオマーカーのみを考察すると、最良モデルと比較して性能は同様であったが、それはなおも劣っていた。
比較のため、MR.proADM単独を実施して普通の患者と重篤な患者とを区別するとAUC=0.845[0.791〜0.898]が実現し、これが一貫しているためには表14のAUC(最良モデルについて0.990)と比較しなければならない。従って、更なるマーカー及び/又はパラメータを組み合わせると、予測力のなお一層の改善がもたらされた。
最良モデルの詳細
3つの異なる方法、即ち、1)予測ΔH2Oのみを使用する方法;2)予測ΔNaのみを使用する方法;3)両方の予測をPcriticalに組み合わせる方法で得たROCを比較した。ΔH2Oの効率が他の2つと比べてはるかに低い場合(これは表13及び表14と一致する)、ΔNa及びPcriticalのROCは極めて類似する。しかしながら、Pcriticalは高い特異度の点で(例えば、Spe>0.95)ΔNaよりも優れている。このことは、Spe∈[1.00,0.95]の(調整済みの)部分的AUCを考えることにより明らかになり得る。ΔH2Oについて0.781の値、ΔNaについて0.882の値、及びPについて0.948の値が得られた。これらの結果から、高い特異度が要求されるとき、Pcriticalの信頼性がΔNa(及びΔH2O)よりも更に一層高かったことが示唆された。
表15には、様々な閾値でPcriticalを用いた予測の性能を要約した。偽陽性及び偽陰性のコストに応じて、これは、2つが同時に起こるリスク間の最良の妥協を達成する閾値の選択を可能にすべきである。
本研究に組み入れた201人の患者の予測ΔH2O対予測ΔNaを分析した(図6)。両予測は高度に相関し(cor≒0.9)、これは観察されたΔH2O及びΔNa(cor≒0.8)と一致している。このPcriticalの表現から、高リスク領域がほぼ「重篤な」患者によってのみ表され、及び低リスク領域が「普通の」患者によってのみ表されることが実証された。
Pcritical、SOFA及びVG間の相関
本節では、本発明者らは新規PcriticalスコアとSOFA及びVG(血球量)との比較を行う。表16及び表17を見ると、SOFAとPcriticalとの間に良好な相関があることが分かる。
これ以降、本発明者らは、目的とする2つの特定の群:合計86人のPcritical<0:1の患者(201人中)が集まる「低リスク」群、及び55人のPcritical>0:9の患者が集まる「高リスク」群に焦点を合わせた。
SOFAは「低リスク」群よりも「高リスク」群で有意に高かったことが確認される。対照的に、VGは「高リスク」群で有意に低かった。
最後に、Pcriticalを使用してVG<15の患者(91症例)とVG≧15の患者(43対照)とを判別した。0:76のAUROC(95%CIは[0.67〜0.85]である)が得られた。データセット中にVGの測定が134例のみであることに起因してCIがかなり大きいことに留意されたい。
結論
バイオマーカー(MR.proADM、Hb、Prot)及び単純な共変量(bmi、体重、年齢、性別)のみを用いる本明細書で提供されるモデルは、一個抜きフレームワークで0.926の最も高いAUC、及び全てのデータを使用したとき0.990のAUCを達成した。この性能は優れている。臨床応用の点で、図6に提供されるとおりの図が臨床医に有用な情報を提供し得るであろう。
本明細書に引用する全ての参考文献は、全体が参照によって援用される。ここで、本発明を詳細に説明したことにより、当業者は、本発明の趣旨若しくは範囲又はその任意の実施形態に影響を及ぼすことなく、広い均等な範囲内にある種々の条件、パラメータなどで本発明が実施され得ることを理解するであろう。
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Claims (15)

  1. 対象の細胞外液量状態、体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を決定する方法であって、前記対象から得られた試料においてプロアドレノメデュリン(proADM)又はその断片のレベルを決定することを含み、好ましくは、前記断片がMR−proADMである、方法。
  2. (a1)前記proADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを、少なくとも1つの参照対象又は参照対象集団のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの参照レベルと比較するステップ;又は
    (a2)前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルを、以前の分析から得られた同じ対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルと比較するステップ;及び
    (b)それぞれステップ(a1)又は(a2)における比較に基づき、前記対象の前記細胞外液量状態、前記血球量状態、前記体液バランス及び/又は前記塩分バランスを同定するステップ
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記参照対象が健常対象である、請求項2に記載の方法。
  4. (i)前記参照レベルと比較したときに上昇したレベルの前記対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMが、前記対象が正の体液バランス、正の塩分バランス、重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有することを示し;
    (ii)前記参照レベルと比較したときに同一又は同様のレベルの前記対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMが、前記対象が同一若しくは同様の体液バランス、及び/又は同一若しくは同様の塩分バランスを有することを示し;前記同一の体液バランス及び/又は塩分バランスが、前記対象が正常な細胞外液量状態及び/又は正常な血球量状態を有することを示し;及び/又は
    (iii)前記参照レベルと比較したときに低下したレベルの前記対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMが、前記対象が負の体液バランス及び/又は負の塩分バランスを有することを示す、請求項3に記載の方法。
  5. 前記参照対象が、動脈瘤、多発外傷、脳傷害、及び/又は頭部傷害など、重篤な細胞外液量状態に関連することが公知の疾患又は障害に罹患している対象であり、又は前記参照対象が、ショックを伴う腹膜炎に罹患している術後対象である、請求項2に記載の方法。
  6. (i)前記参照レベルと比較したときに同様のレベル、同一のレベル又は上昇したレベルの前記対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMが、前記対象が正の体液バランス、正の塩分バランス、重篤な血球量状態及び/又は重篤な細胞外液量状態を有することを示し;及び/又は
    (ii)前記参照レベルと比較したときに低下したレベルの前記対象のproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMが、前記対象が正常な体液バランス、正常な塩分バランス、正常な細胞外液量状態及び/又は正常な血球量状態を有することを示す、請求項5に記載の方法。
  7. 前記試料中におけるproADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMの1nmol/L以上のレベルが、重篤な細胞外液量状態、重篤な血球量状態、正の塩分バランス及び/又は正の塩分バランスの指標である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. (i)ヘモグロビンレベル及び/又は血清総タンパクレベルを決定するステップ;
    (ii)ボディマスインデックス、体重、年齢及び性別からなる群から選択される前記対象の少なくとも1つのパラメータを決定するステップ;及び/又は
    (iii)前記試料中のproANPレベル、全血量レベル、前記試料中のヘマトクリットレベル、赤血球量レベル、血漿量レベル、全尿量レベル、前記試料中のアンジオテンシンIIレベル、前記対象の患者群、前記試料中のコルチゾールレベル、血中の内皮幹細胞数、前記試料中のカテコールアミンレベル、前記対象の全血イオノグラム、前記対象の尿イオノグラム、前記対象の血液浸透圧、前記対象の尿浸透圧、血糖、前記試料中のプロエンドセリン−1(pro−ET−1)レベル、前記試料中のCT−proAVPレベル、前記試料中のアルドステロンレベル、前記試料中の乳酸塩レベル、前記対象の急性生理学及び慢性健康評価II(APACHE II)、前記対象の世界脳神経外科連盟(WFNS)グレード分類、及び前記対象のグラスゴーコーマスケール(GCS)からなる群から選択される前記対象の少なくとも1つのマーカー及び/又はパラメータを決定するステップが決定されること;又は
    (iv)前記対象のボディマスインデックス、前記対象の体重、前記対象の年齢、前記対象の性別、前記試料中のヘモグロビンレベル及び前記試料中の血清総タンパクレベルを決定するステップ
    を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記対象が脳傷害、動脈瘤、頭部傷害、多発外傷性傷害に罹患しており、及び/又は前記対象が手術後である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記試料が血液、血漿、血清又は尿である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記proADM又は前記その断片、好ましくはMR−proADMのレベルがイムノアッセイによって決定され、前記アッセイが均一相又は不均一相で実施される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 対象の障害又は医学的状態のインビトロ診断、予後予測、リスク評価、リスク層別化、療法管理及び/又は手術管理の方法であって、前記対象の細胞外液量状態が、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって決定され、
    任意選択的に、前記障害又は医学的状態が、浮腫、脳損傷、動脈瘤破裂後、頭部傷害、神経学的障害、多発外傷性傷害、手術後、臓器不全、無制御のリンパ液流活性、腎機能不全、心機能不全、乱れた体液バランスに関連する疾患からなる群から選択される、方法。
  13. 対象の細胞外液量状態、体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を決定するためのキットの使用であって、前記キットが、前記対象の試料中におけるproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMのレベルを決定するための1つ以上の検出試薬を含み、任意選択的に、前記検出試薬が抗体を含み、前記抗体の1つが標識されており、及び他方の抗体が固相に結合されているか又は固相に選択的に結合され得る、使用。
  14. 第1及び第2の抗体が液体反応混合物中に分散して存在し、蛍光又は化学発光の消光又は増幅に基づく標識系の一部である第1の標識成分が前記第1の抗体に結合され、及び前記標識系の第2の標識成分が前記第2の抗体に結合され、それにより、両方の抗体のproADM又はその断片、好ましくはMR−proADMへの結合後、前記測定溶液中の得られたサンドイッチ複合体の検出を可能にする測定可能なシグナルが生成され、任意選択的に、前記標識系が、希土類クリプテート又はキレートを、詳細にはシアニン型の蛍光又は化学発光色素と組み合わせて含む、請求項13に記載の使用。
  15. 前記proADMの断片が、MR−proADM、PAMP、アドレノテンシン及び成熟アドレノメデュリンからなる群から選択され、好ましくは、前記断片がMR−proADMである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
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