JP2019217049A - 立体造形物の製造方法および立体造形物 - Google Patents

立体造形物の製造方法および立体造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】複数色の樹脂材料を用いて立体感と現実感を備えた立体造形物を製造する。【解決手段】樹脂材料が注入される凹部210を有するとともに内周面201から立ち上がる仕切壁220,230により複数の閉領域CA1,CA2,CA3が形成された正面型200を配置する配置工程と、正面型200の第1の閉領域CA1に仕切壁220を乗り越えないように第1の樹脂材料を注入する第1注入工程と、第1の閉領域CA1に隣接する第2の閉領域CA2に仕切壁220を乗り越えて第1の樹脂材料に重なるように第1の樹脂材料とは色が異なる第2の樹脂材料を注入する第2注入工程と、を備えることを特徴とする人型造形物の製造方法を提供する。【選択図】図8

Description

本発明は、立体造形物の製造方法および立体造形物に関する。
従来、合成樹脂によって形成された人型形状の人形玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示される人形玩具は、薄型形状に形成された人形型状体に磁石を内蔵させ、インテリアの装飾品やキーホルダーとして使用するものである。特許文献1では、人型形状の造形部層を多色で成形し、磁性体を挟んだ基部を単一色で成形して造形部層の一方の面に接合させたものである。
特許第5736401号公報
人形玩具を立体造形物として樹脂材料で製造する場合、現実の人に近づけるために、複数色の樹脂材料を用いることが考えられる。立体造形物の表面に異なる色の領域を隣接させる場合、隣接する領域の境界部分に溝を設けることで、立体感のある造形物にすることができる。しかしながら、溝の底部の色が、隣接する領域の色とは異なる色となってしまうと、現実の人とは大きく異なる見栄えとなってしまう。そのため、立体造形物の立体感と現実感が損なわれてしまう。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、複数色の樹脂材料を用いて立体感と現実感を備えた立体造形物を製造することが可能な立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。また、立体感と現実感を備えた樹脂製の立体造形物を提供することを目的とする。
前記課題は、本発明によれば、溝部により区切られた複数の表面領域が形成された樹脂製の立体造形物の製造方法であって、樹脂材料が注入される凹部を有するとともに内周面から立ち上がる仕切壁により複数の閉領域が形成された型を配置する配置工程と、前記配置工程により配置された前記型の第1の閉領域に該第1の閉領域を形成する前記仕切壁を乗り越えないように第1の樹脂材料を注入する第1注入工程と、前記第1の閉領域に隣接する第2の閉領域に該第2の閉領域を形成する前記仕切壁を乗り越えて前記第1の樹脂材料に重なるように前記第1の樹脂材料とは色が異なる第2の樹脂材料を注入する第2注入工程と、を備えることを特徴とする立体造形物の製造方法により解決される。
前記構成に係る立体造形物の製造方法によれば、仕切壁により形成された複数の閉領域の第1の閉領域に第1の樹脂材料を注入する第1注入工程においては、第1の樹脂材料が第1の閉領域を形成する仕切壁を乗り越えないようにする。そのため、第1の閉領域に隣接する第2の閉領域には、第1の樹脂材料が注入されることがない。第2の閉領域に第2の樹脂材料を注入する第2注入工程においては、第1の樹脂材料とは色が異なる第2の樹脂材料が仕切壁を乗り越えて第1の樹脂材料に重なるようにする。そのため、第1の閉領域と第2の閉領域の境界に形成される溝部の底部の色は、第2の樹脂材料の色となる。よって、溝部の底部の色が隣接する領域の色と同じになり、現実の人と同等の見栄えとなる。
このように、前記構成に係る立体造形物の製造方法によれば、複数色の樹脂材料を用いて立体感と現実感を備えた立体造形物を製造することができる。
本発明に係る立体造形物の製造方法において、好ましくは、前記第1の樹脂材料および前記第2の樹脂材料に重なるように前記第1の樹脂材料および前記第2の樹脂材料とは異なる色の第3の樹脂材料を注入する第3注入工程と、を備えることを特徴とする。
前記構成に係る立体造形物の製造方法によれば、型の凹部を充填するために、第3注入工程において、第1の樹脂材料および第2の樹脂材料とは異なる色の第3の樹脂材料が第1の樹脂材料および第2の樹脂材料に重なるように注入される。第1の閉領域と第2の閉領域の境界には第2の樹脂材料が注入されているため、第2の樹脂材料に重ねて第3の樹脂材料を注入しても、第1の閉領域と第2の閉領域の境界に形成される溝部の底部の色は第2の樹脂材料の色のままとなる。よって、溝部の底部の色が隣接する領域の色と同じになり、現実の人と同等の見栄えとなる。
本発明に係る立体造形物の製造方法において、好ましくは、前記立体造形物は、衣服を着用した人を模した造形物であり、前記第1の樹脂材料および前記第2の樹脂材料は、前記衣服を模して着色された樹脂材料であり、前記第3の樹脂材料は、前記衣服を着用した人の肌を模して着色された樹脂材料であることを特徴とする。
前記構成に係る立体造形物の製造方法によれば、隣接する第1の閉領域と第2の閉領域に、衣服を模して着色された第1の樹脂材料および第2の樹脂材料を注入するため、衣服が重なった状態を適切に模した立体造形物を製造することができる。また、衣服を模して着色された第1の樹脂材料および第2の樹脂材料の背面に、人の肌を模して着色された第3の樹脂材料が配置されるため、人が衣服を着用した状態を適切に模すことができる。
本発明に係る立体造形物の製造方法において、好ましくは、前記立体造形物は、衣服を着用した人を模した造形物であり、前記仕切壁は、人の関節に対応する位置に配置されていることを特徴とする。
前記構成に係る立体造形物の製造方法によれば、人の関節に対応する位置に仕切壁が配置されるため、立体造形物で人の関節を模した位置に溝部が形成される。そのため、溝部において関節を折り曲げることができ、より現実感を伴った人型の立体造形物を製造することができる。
本発明に係る立体造形物の製造方法において、好ましくは、前記第1の閉領域を平面視した第1面積は、前記第2の閉領域を平面視した第2面積よりも小さいことを特徴とする。
前記構成に係る立体造形物の製造方法によれば、平面視した面積が小さい第1の閉領域に先に第1の樹脂材料が注入され、その後に面積が大きい第2の閉領域に第2の樹脂材料が注入される。そのため、平面視した面積が小さい第1の閉領域に第2の樹脂材料が侵入して第1の樹脂材料の色が表面に出現しなくなる不具合が抑制される。
前記課題は、本発明によれば、表面に形成されるとともに溝部により区切られた第1の表面領域と、前記表面に形成れるとともに前記溝部を介して前記第1の表面領域に隣接する第2の表面領域と、を備え、前記第1の表面領域は、第1の樹脂材料により形成されており、前記第2の表面領域は、前記第1の樹脂材料とは色が異なる第2の樹脂材料により形成されており、前記第2の樹脂材料は、前記第1の表面領域を形成する前記第1の樹脂材料の背面側に重なる状態で配置されるとともに前記溝部の底部を形成していることを特徴とする立体造形物により解決される。
前記構成に係る立体造形物によれば、第2の表面領域を形成する第2の樹脂材料は、第1の表面領域を形成する第1の樹脂材料の背面側に重なる状態で配置される。また、第2の樹脂材料は、第1の表面領域と第2の表面領域の境界となる溝部の底部を形成している。そのため、第1の閉領域と第2の閉領域の境界に形成される溝部の底部の色は、第2の樹脂材料の色となる。よって、溝の底部の色が隣接する領域の色と同じになり、現実の人と同等の見栄えとなる。
このように、前記構成によれば、立体感と現実感を備えた樹脂製の立体造形物を提供することができる。
本発明によれば、立体感と現実感を損なうことなく複数色の樹脂材料を用いて立体造形物を製造することが可能な立体造形物の製造方法を提供することができる。また、立体感と現実感を備えた樹脂製の立体造形物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る人型造形物を正面側からみた斜視図である。 図1に示す人型造形物を背面側からみた斜視図である。 人型造形物の正面側半身の成形に用いられる正面型を示す平面図である。 人型造形物の背面側半身の成形に用いられる背面型を示す平面図である。 図3に示す正面型のI部分を示す部分拡大図である。 図5に示す正面型のII-II矢視断面図であり、配置工程が完了した状態を示す図である。 図5に示す正面型のII-II矢視断面図であり、第1注入工程が完了した状態を示す図である。 図5に示す正面型のII-II矢視断面図であり、第2注入工程が完了した状態を示す図である。 図5に示す正面型のII-II矢視断面図であり、正面型を取り外す前の人型造形物を示す図である。 図9に示す正面型を取り外した後の人型造形物を示す断面図である。 図1に示す右膝関節の縦断面図であり、正面型および背面型を取り外す前の状態を示す図である。 図1に示す右膝関節の縦断面図であり、正面型および背面型を取り外した後の状態を示す図である。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下、本発明の一実施形態に係る人型造形物およびその製造方法について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る人型造形物100を正面側からみた斜視図である。図2は、図1に示す人型造形物100を背面側からみた斜視図である。
図1に示す人型造形物100は、樹脂材料(例えば、PVC(ポリ塩化ビニル))により形成される立体造形物であり、衣服を着用した人を模した人型の造形物である。人型造形物100は、例えば、ストラップ(図示略)をつけてキーホルダーとして利用することができる。図1に実線で示す部分は、複数の異なる色の樹脂材料により形成される表面領域の境界部分に形成される溝部である。図1では溝部が実線で示されているが、溝部は実線に沿った方向に延びるとともに所定の深さと底部を有する。
図1に示すように、人型造形物100は、表面に形成される第1の表面領域SA1と、表面に形成される第2の表面領域SA2と、第3の表面領域SA3を含む。以下では、第1の表面領域SA1,第2の表面領域SA2,第3の表面領域SA3のみを説明するが、人型造形物100は、他の複数の表面領域を有する。
第1の表面領域SA1は、平面視して楕円状に形成される溝部110により区切られた領域である。第2の表面領域SA2は、平面視して楕円状に形成される溝部120により区切られた領域である。第1の表面領域SA1と第2の表面領域SA2は、溝部110を介して第1の表面領域SA1に隣接する領域である。
図1に示す第1の表面領域SA1と第2の表面領域SA2は、人の右目を模した領域である。第1の表面領域SA1は第1の樹脂材料により形成されており、第2の表面領域SA2は第2の樹脂材料により形成されている。第1の樹脂材料と第2の樹脂材料は異なる色である。例えば、第1の樹脂材料が黒色であり、第2の樹脂材料が白色である。
図1に示す第3の表面領域SA3は、第1の表面領域SA1と第2の表面領域SA2を取り囲む領域である。第3の表面領域SA3は、人の顔の肌部分を模した領域である。第3の表面領域SA3は、第1の樹脂材料および第2の樹脂材料とは色が異なる第3の樹脂材料により形成されている。第3の樹脂材料は、例えば、肌色の樹脂材料である。
図1に示すように、右手関節130,左手関節140,右膝関節150,左膝関節160には、それぞれ2本の溝部が形成されている。これらの溝部は、各関節を折り曲げることを可能にしている。そのため、人型造形物100は、関節部を備えたアクションフィギュアに類似した動作が可能である。
次に、人型造形物100を成形するための正面型200および背面型300について説明する。図3は、人型造形物100の正面側半身の成形に用いられる正面型200を示す平面図である。図4は、人型造形物100の背面側半身の成形に用いられる背面型300を示す平面図である。図5は、図3に示す正面型200のI部分を示す部分拡大図である。
正面型200および背面型300は、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金により形成されており、加熱された樹脂材料を注入して内周面の形状と一致する表面を有する造形物を成形するものである。正面型200および背面型300を樹脂材料で充填し、正面型200と背面型300の樹脂材料が露出した面を重ね合わせることにより、正面側半身と背面側半身を結合した人型造形物100が製造される。
図3および図5に示すように、正面型200は、樹脂材料が注入される凹部210を有するとともに内周面201から立ち上がる仕切壁220,230により第1の閉領域CA1,第2の閉領域CA2,第3の閉領域CA3が形成されている。
図4に示すように、背面型300は、樹脂材料が形成される凹部310を有するとともに内周面301から立ち上がる仕切壁が形成されている。
図5に示すように、第1の閉領域CA1は、仕切壁220と仕切壁230により取り囲まれた閉領域である。第2の閉領域CA2は、仕切壁220と仕切壁230により取り囲まれた領域である。第1の閉領域CA1と第2の閉領域CA2は、仕切壁220により隔離されている。第1の閉領域CA1は、人型造形物100の第1の表面領域SA1に対応する領域である。第2の閉領域CA2は、人型造形物100の第2の表面領域SA2に対応する領域である。第3の閉領域CA3は、人型造形物100の第3の表面領域SA3に対応する領域である。
次に、人型造形物100の製造方法について、図面を参照して説明する。図6から図9は、図5に示す正面型200のII-II矢視断面図である。図6は、配置工程が完了した状態の正面型200を示す。図7は第1注入工程が完了した状態を示し、図8は第2注入工程が完了した状態を示す。図9は正面型200を取り外す前の人型造形物100を示す断面図であり、図10は正面型200を取り外した後の人型造形物100を示す断面図である。
人型造形物100の製造する作業者は、正面型200を設置面(図示略)に凹部210を上方に向けた状態で配置し、正面型200を設置面に凹部310を上方に向けた状態で配置する配置工程を実行する。図6は、正面型200を設置面に凹部210を上方に向けた状態で配置する配置工程が完了した状態を示す。
次に、作業者は、樹脂注入具401を用いて正面型200の第1の閉領域CA1に第1の樹脂材料RM1を注入する第1注入工程を実行する。図7に示すように、第1注入工程において、作業者は、第1の閉領域CA1を形成する仕切壁220,230を乗り越えないように第1の樹脂材料RM1を注入する。作業者は、仕切壁220,230を乗り越えないように第1の閉領域CA1に注入する第1の樹脂材料RM1の注入量を調整する。
次に、作業者は、樹脂注入具401を用いて正面型200の第2の閉領域CA2に第2の樹脂材料RM2を注入する第2注入工程を実行する。図8に示すように、第2注入工程において、作業者は、第2の閉領域CA2を形成する仕切壁220を乗り越えて第1の閉領域CA1に注入された第1の樹脂材料RM1に重なるように第2の樹脂材料RM2を注入する。作業者は、仕切壁220を乗り越えるように第2の閉領域CA2に注入する第2の樹脂材料RM2の注入量を調整する。
図5に示すように、第1注入工程で第1の樹脂材料RM1が注入される第1の閉領域CA1を平面視した面積(第1面積)は、第2注入工程で第2の樹脂材料RM2が注入される第2の閉領域CA2を平面視した面積(第2面積)よりも小さい。本実施形態の人型造形物100の製造方法では、隣接する第1の閉領域CA1と第2の閉領域CA2に樹脂材料を注入する際に、平面視した面積の小さい第1の閉領域CA1に先に樹脂材料を注入している。これは、平面視した面積が小さい第1の閉領域CA1に第2の樹脂材料RM2が侵入して第1の樹脂材料RM1の色が表面に出現しなくなる不具合を抑制するためである。
以上説明した第1注入工程および第2注入工程では、作業者が樹脂注入具401,402を用いて樹脂材料を注入するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、樹脂注入具401,402による樹脂材料の注入を、樹脂材料の注入を制御する制御装置を用いて自動的に実行するようにしてもよい。後述する第3注入工程および第4注入工程も、第1注入工程および第2注入工程と同様に、樹脂材料の注入を、制御装置を用いて自動的に実行するようにしてもよい。
次に、作業者は、樹脂注入具(図示略)を用いて正面型200の第3の閉領域CA3に第3の樹脂材料RM3を注入する第3注入工程を実行する。第3の樹脂材料RM3は、第1の樹脂材料RM1および第2の樹脂材料RM2とは異なる色の樹脂材料である。図9に示すように、第3注入工程において、作業者は、第3の閉領域CA3を形成する仕切壁230を乗り越えて第1の閉領域CA1に注入された第1の樹脂材料RM1に重なるように第3の樹脂材料RM3を注入する。作業者は、さらに第2の樹脂材料RM2にも重なるように第3の樹脂材料RM3を注入する。作業者は、仕切壁220,230を乗り越えるように第3の閉領域CA3に注入する第3の樹脂材料RM3の注入量を調整する。
次に、作業者は、樹脂注入具(図示略)を用いて正面型200の凹部210の全体を充填するように第4の樹脂材料RM4を注入する第4注入工程を実行する。第4の樹脂材料RM4は、例えば、人の髪の毛の色を模した黒色あるいは茶色の樹脂材料である。第4の注入工程が完了すると、正面型200の凹部210の全体が樹脂材料で充填された状態となる。
以上の配置工程と第1〜第4の注入工程は、正面型200を配置して正面型200の凹部210に樹脂材料を充填するものであった。以上の配置工程と第1〜第4の注入工程と同様の工程を、背面型300に対しても実行するものとする。
作業者は、正面型200の凹部210と背面型300の凹部310の双方を樹脂材料で充填した後に、正面型200と背面型300の樹脂材料が露出した面を重ね合わせる。これにより、正面型200の凹部210に充填された樹脂材料と背面型300の凹部310に充填された樹脂材料とが結合し、人型造形物100の製造が完了する。作業者は、人型造形物100の製造が完了して樹脂材料の温度が十分に低下した後に、人型造形物100から正面型200と背面型300を取り外す。
図10に示すように、正面型200が取り外された人型造形物100には、正面型200の仕切壁220が配置されていた位置に、溝部110が形成される。溝部110は底部111を有する。底部111は、第2の樹脂材料RM2により形成されている。第2の樹脂材料RM2は、第1の樹脂材料RM1の背面側に重なる状態で配置されている。そのため、底部111は、第2の樹脂材料RM2の背面側に配置される第3の樹脂材料RM3では形成されていない。
次に、人型造形物100の関節を模した部分について、図面を参照して説明する。
図11は、図1に示す右膝関節150の縦断面図であり、正面型200および背面型300を取り外す前の状態を示す図である。図12は、図11に示す右膝関節150の縦断面図であり、正面型200および背面型300を取り外した後の状態を示す図である。
図11に示すように、人型造形物100の右膝関節150を形成する正面型200には、右膝関節150に対応する位置に、仕切壁240および仕切壁250が形成されている。同様に、人型造形物100の右膝関節150を形成する背面型300には、右膝関節150に対応する位置に、仕切壁340および仕切壁350が形成されている。
図11に示すように、仕切壁240の背面型300に向けた端面と仕切壁340の正面型200に向けた端面との間の幅はWである。右膝関節150を可動しやすくし、かつ右膝関節150部分が切断されるのを抑制するために、幅Wは例えば0.5mm以上かつ8mm以下に設定するのが望ましい。より好ましくは、0.5mm以上かつ5mm以下である。
図11に示すように、仕切壁240と仕切壁250の間に樹脂材料RM11が注入されており、仕切壁250を乗り越えて樹脂材料(第1の樹脂材料)RM11に重なるように樹脂材料(第2の樹脂材料)RM12が注入されている。仕切壁340と仕切壁350の間に樹脂材料RM11が注入されており、仕切壁350を乗り越えて樹脂材料RM11に重なるように樹脂材料RM12が注入されている。仕切壁240および仕切壁340よりも人型造形物100の足先側には、樹脂材料(第3の樹脂材料)RM13が注入されている。樹脂材料RM13は、右膝関節150の中心部分の全長に渡って注入されている。
樹脂材料RM11と樹脂材料RM12は、異なる色でありかつ人の衣服を模して着色された樹脂材料である。また、樹脂材料RM13は、衣服を着用した人の肌を模して着色された樹脂材料である。
以上説明した本実施形態の人型造形物100の製造方法が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態に係る製造方法によれば、仕切壁220,230により形成された複数の閉領域の第1の閉領域CA1に第1の樹脂材料RM1を注入する第1注入工程においては、第1の樹脂材料RM1が第1の閉領域CA1を形成する仕切壁220を乗り越えないようにする。そのため、第1の閉領域CA1に隣接する第2の閉領域CA2には、第1の樹脂材料RM2が注入されることがない。第2の閉領域CA2に第2の樹脂材料RM2を注入する第2注入工程においては、第1の樹脂材料RM1とは色が異なる第2の樹脂材料RM2が仕切壁220を乗り越えて第1の樹脂材料RM1に重なるようにする。そのため、第1の閉領域CA1と第2の閉領域CA2の境界に形成される溝部110の底部111の色は、第2の樹脂材料RM2の色となる。よって、溝部110の底部111の色が隣接する領域の色と同じになり、現実の人と同等の見栄えとなる。
このように、本実施形態に係る人型造形物100の製造方法によれば、複数色の樹脂材料を用いて立体感と現実感を備えた人型造形物100を製造することができる。
本実施形態に係る人型造形物100の製造方法によれば、正面型200の凹部210を充填するために、第3注入工程において、第1の樹脂材料RM1および第2の樹脂材料RM2とは異なる色の第3の樹脂材料RM3が第1の樹脂材料RM1および第2の樹脂材料RM2に重なるように注入される。第1の閉領域CA1と第2の閉領域CA2の境界には第2の樹脂材料RM2が注入されているため、第2の樹脂材料RM2に重ねて第3の樹脂材料RM3を注入しても、第1の閉領域CA1と第2の閉領域CA2の境界に形成される溝部110の底部111の色は第2の樹脂材料RM2の色のままとなる。よって、溝部110の底部111の色が隣接する領域の色と同じになり、現実の人と同等の見栄えとなる。
本実施形態に係る人型造形物100の製造方法によれば、隣接する閉領域に、衣服を模して着色された樹脂材料RM11および樹脂材料RM12を注入するため、衣服が重なった状態を適切に模した人型造形物100を製造することができる。また、衣服を模して着色された樹脂材料RM11および樹脂材料RM12の背面に、人の肌を模して着色された樹脂材料RM13が配置されるため、人が衣服を着用した状態を適切に模すことができる。
本実施形態に係る人型造形物100の製造方法によれば、人の関節に対応する位置に仕切壁240,250,340,350が配置されるため、人型造形物100で人の関節を模した位置に溝部が形成される。そのため、溝部において関節を折り曲げることができ、より現実感を伴った人型造形物100を製造することができる。
本実施形態に係る人型造形物100の製造方法によれば、平面視した面積が小さい第1の閉領域CA1に先に第1の樹脂材料RM1が注入され、その後に面積が大きい第2の閉領域CA2に第2の樹脂材料RM2が注入される。そのため、平面視した面積が小さい第1の閉領域CA1に第2の樹脂材料RM2が侵入して第1の樹脂材料RM1の色が表面に出現しなくなる不具合が抑制される。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
100・・・人型造形物(立体造形物)、 110,120・・・溝部、 111・・・底部、 130・・・右手関節、 140・・・左手関節、 150・・・右膝関節、 160・・・左膝関節、 200・・・正面型、 210・・・凹部、 220,230240,250・・・仕切壁、 300・・・背面型、 310・・・凹部、 340,350・・・仕切壁、 401,402・・・樹脂注入具、 CA1・・・第1の閉領域、 CA2・・・第2の閉領域、 CA3・・・第3の閉領域、 RM1・・・第1の樹脂材料、 RM2・・・第2の樹脂材料、 RM3・・・第3の樹脂材料、 SA1・・・第1の表面領域、 SA2・・・第2の表面領域、 SA3・・・第3の表面領域

Claims (6)

  1. 溝部により区切られた複数の表面領域が形成された樹脂製の立体造形物の製造方法であって、
    樹脂材料が注入される凹部を有するとともに内周面から立ち上がる仕切壁により複数の閉領域が形成された型を配置する配置工程と、
    前記配置工程により配置された前記型の第1の閉領域に該第1の閉領域を形成する前記仕切壁を乗り越えないように第1の樹脂材料を注入する第1注入工程と、
    前記第1の閉領域に隣接する第2の閉領域に該第2の閉領域を形成する前記仕切壁を乗り越えて前記第1の樹脂材料に重なるように前記第1の樹脂材料とは色が異なる第2の樹脂材料を注入する第2注入工程と、を備えることを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記第1の樹脂材料および前記第2の樹脂材料に重なるように前記第1の樹脂材料および前記第2の樹脂材料とは異なる色の第3の樹脂材料を注入する第3注入工程と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記立体造形物は、衣服を着用した人を模した人型造形物であり、
    前記第1の樹脂材料および前記第2の樹脂材料は、前記衣服を模して着色された樹脂材料であり、
    前記第3の樹脂材料は、前記衣服を着用した人の肌を模して着色された樹脂材料であることを特徴とする請求項2に記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記立体造形物は、衣服を着用した人を模した造形物であり、
    前記仕切壁は、人の関節に対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記第1の閉領域を平面視した第1面積は、前記第2の閉領域を平面視した第2面積よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
  6. 表面に形成されるとともに溝部により区切られた第1の表面領域と、
    前記表面に形成されるとともに前記溝部を介して前記第1の表面領域に隣接する第2の表面領域と、を備え、
    前記第1の表面領域は、第1の樹脂材料により形成されており、
    前記第2の表面領域は、前記第1の樹脂材料とは色が異なる第2の樹脂材料により形成されており、
    前記第2の樹脂材料は、前記第1の表面領域を形成する前記第1の樹脂材料の背面側に重なる状態で配置されるとともに前記溝部の底部を形成していることを特徴とする立体造形物。
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