JP2019216512A - 鉄道車両の定位置停止制御システムおよび車上装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、ATC制御をモニタしながら自動運転を実行するようにした自動運転システムにおける定位置停止制御装置に関する発明が記載されている。
従来のTASC地上子を利用した定位置停止制御は、在来線において実施されており、列車速度がそれほど大きくないため、100〜200m手前から順次TASC地上子を設置しておけばよかったが、高速鉄道においてTASC地上子を利用した定位置停止制御を適用しようとすると、駅の数100mないしは数km手前から順次TASC地上子を設置しなければならず設置数が多くなるとともに、地上子の設置作業において数cmの位置精度が要求されるため、地上子の設置コストが大幅に高くなってしまう。また、地上子の設置数が多いと線路改良工事が発生した場合に、地上子の移転や増設等の工事が発生するリスクが大きくなるという課題がある。
しかしながら、現行の定位置停止制御システムや特許文献1、2に記載されている定位置停止制御方式は、いずれも停止位置の精度が充分でないという課題がある。また、列車の走行中には、滑走と呼ばれる車輪が回転しないまま移動する現象や車輪の空転が頻繁に発生し、車軸の回転数から走行距離(在線位置)を把握しながら走行する列車においては、速度発電機等からの累積誤差により自列車の在線位置に誤差が生じ易いため、精度の高い定位置停止が困難であるという課題がある。
本発明の他の目的は、自動運転制御で列車を走行させたい場合に、既にTASC地上子が設置されている駅においては、TASC地上子を追加することなく自動運転制御による高精度の定位置停止を実行することができる鉄道車両の定位置停止制御システムを提供することにある。
軌道の上を走行しブレーキ装置を制御することで走行パターンに従って車両速度を減速して設定された停止位置に停止させる機能を有する車上装置を備えた鉄道車両の定位置停止制御システムにおいて、
前記軌道の前記停止位置よりも上流側に、前記停止位置までの残距離を前記車上装置に認知させるための情報を保持する道標が設置され、
前記車上装置は、
前記道標から情報を取得可能な情報取得手段と、
自列車の位置を把握する位置把握手段と、
前記停止位置よりも安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第1走行パターンを生成する第1走行パターン生成手段と、
前記情報取得手段により取得された情報と前記位置把握手段により把握した位置情報とから、前記停止位置を終点とする第2走行パターンを生成する第2走行パターン生成手段と、
を備え、前記位置把握手段により把握した位置情報に基づいて自列車の位置が所定位置になったと判断すると前記第1走行パターン生成手段により第1走行パターンを生成し、前記情報取得手段により前記道標から情報を取得すると、前記第2走行パターン生成手段により第2走行パターンを生成して走行パターンを更新するように構成したものである。
さらに、自動運転制御で列車を走行させたい場合に、既にTASC地上子が設置されている駅においては、TASC地上子を道標として利用することで、TASC地上子を追加することなく自動運転制御による高精度の定位置停止を実行可能な定位置停止制御システムを構築することができる。
前記位置把握手段は、前記情報取得手段により前記信号保安設備の地上子から取得された情報に基づいて前記自列車の位置を補正する位置補正手段を備えるようにする。
かかる構成によれば、従来の信号保安設備制御機能(ATC制御機能)を有したまま自動運転制御による定位置停止を実行することができるとともに、自列車の位置を補正する位置補正手段を備えるため、位置把握手段が把握している自列車の位置に誤差が生じてもそれを補正することができ、より精度の高い定位置停止制御を実行することができる。
前記第1走行パターン生成手段は、軌道回路の境界に設定されている定位置停止制御区間の入口または2以上の前記道標のうち最も上流側の道標の設置位置にて前記第1走行パターンを生成し、
前記第2走行パターン生成手段は、最も上流側の道標の次の道標の設置位置にて前記第2走行パターンを生成するように構成する。
かかる構成によれば、車上装置が定位置停止制御区間に進入したことを認知して第1走行パターンを生成し、定位置停止制御区間の入口で第1走行パターンに従った減速を開始するような停止制御が可能となる。
前記停止位置から第1安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第1走行パターンを生成する第1走行パターン生成手段と、
前記情報取得手段により取得された停止制御情報と前記位置把握手段により把握した在線位置情報とから、前記停止位置を終点とする第2走行パターンを生成する第2走行パターン生成手段と、
前記停止位置から第1安全余裕距離よりも短い第2安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第3走行パターンを生成する第3走行パターン生成手段と、
予め設定された停止位置よりも上流側に、前記道標が少なくとも2以上設置され、
前記第1走行パターン生成手段は、軌道回路の境界に設定されている定位置停止制御区間の入口にて前記第1走行パターンを生成し、
前記第3走行パターン生成手段は、2以上の前記道標のうち最も上流側の道標の設置位置にて前記第3走行パターンを生成し、
前記第2走行パターン生成手段は、最も上流側の道標の次の道標の設置位置にて前記第2走行パターンを生成するように構成する。
予め設定された停止位置よりも上流側に、前記停止位置までの残距離を認知させるための情報を保持する複数の道標が設置されている軌道の上を走行する鉄道車両に搭載され、ブレーキ装置を制御することで走行パターンに従って走行速度を減速して停止位置に停止させる機能を有する鉄道車両の車上装置であって、
前記道標から情報を取得可能な情報取得手段と、
自列車の位置を把握する位置把握手段と、
前記軌道に沿って設置されている信号保安設備の地上子から情報を取得可能なATC情報取得手段と、
前記信号保安設備の地上子から受信した情報を基づいて生成された速度照査パターンに従って走行速度を制御する信号保安設備制御装置と、
前記情報取得手段が前記信号保安設備の地上子から取得した情報に基づいて、前記位置把握手段が把握している自列車の位置を補正する位置補正手段と、
前記停止位置よりも所定の安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第1走行パターンを生成する第1走行パターン生成手段と、
前記情報取得手段により取得された情報と前記位置把握手段により把握した位置情報とから、前記停止位置を終点とする第2走行パターンを生成する第2走行パターン生成手段と、
を備え、前記位置把握手段により把握した位置情報に基づいて自列車の位置が所定位置になったと判断すると前記第1走行パターン生成手段により第1走行パターンを生成し、前記情報取得手段により前記道標から情報を取得すると、前記第2走行パターン生成手段により第2走行パターンを生成して走行パターンを更新するように構成したものである。
上記のように構成された車上装置によれば、精度の高い定位置停止制御を実行することができる。
また、本発明によれば、既にTASC地上子が設置されている駅においては、TASC地上子を追加することなく自動運転制御による高精度の定位置停止を実行することができる鉄道車両の定位置停止制御システムを構築することができるという効果がある。
なお、車上装置20および地上装置に無線通信機能を持たせ、各列車の車上装置20は無線により地上装置へ自列車の位置情報を送信し、地上装置は後続列車の車上装置20へ先行列車の位置情報を送信するように構成しても良い。ここで、各列車から送信される位置情報は、例えば当該列車の車上装置20が速度発電機等からの信号に基づいて把握している位置情報(トランスポンダからの受信情報により補正される)である。
図2において、符号10が付されているのは列車などの鉄道車両が走行する軌道であり、軌道10に沿って所定の間隔をおいて設けられている鉤形(逆L字)の記号は、軌道回路の境界部を表わしている。また、黒塗りの逆三角形「▼」の記号は、軌道10に沿って設けられているトランスポンダと呼ばれるATC制御のためのデータ送信機能を有する地上子(以下、ATCトランスポンダと称する)であり、本実施形態においては、列車が自己の位置を補正するための情報を受信して位置補正に使用する位置補正用地上子として機能する。
また、図2において、符号TP0が付されているのは駅等において列車が停止すべき位置(目標停止位置)、符号SPが付されているのはATC制御で列車を停止させる位置(保安上の停止位置)である。この停止位置SPは、当該停止位置の進行方向前方の軌道回路境界部に設定されている停止限界SLよりも、保安装置の余裕距離Dだけ手前に設定される。この余裕距離Dは、列車の駅進入速度および列車の滑走(車輪の回転が停止したまま走行する状態)、速度発電機等からの累積誤差を考慮して決定される。本明細書では、保安装置の余裕距離を安全余裕距離と称する。
さらに、本実施形態においては、目標停止位置TP0よりもそれぞれ所定距離L1,L2だけ手前(以下、上流側と称する)に目標停止位置TP1,TP2が設けられている。L1,L2は、任意の速度で定位置停止制御区間(駅構内)へ進入して来る場合、速度に応じて個別に設定することが考えられる。
なお、上記実施形態におけるATOトランスポンダ12やATC(ATS)トランスポンダ13は、電源を有するものでも良いし、電源を持たずに車上子から電力の供給を受けて情報を送信する地上子(電子タグを含む)あるいは光学的に情報を読み取ることが可能に構成されたタグ(バーコード等)であってもよい。
また、図3には示されていないが、自動運転制御装置27は、速度発電機21からの回転数信号を読み込んで回転数と車輪径とから自列車の速度および走行距離を演算し、出発点の在線位置情報に走行距離を加算することで常時自列車の位置(キロ程)を把握しつつ、ATCトランスポンダ13から受信した情報に基づいて位置を補正するとともに、ATC(ATS)制御装置24により生成された速度照査パターン(ATCパターン)等を監視する処理を実行しており、走行速度がATCパターンで規制される速度に達するとブレーキ装置22を作動させて減速を行う。
その後、例えば駅進入部に設けられているポイント(分岐器)の設置箇所(図2の14c)のような定位置停止制御区間の入口で、駅構内の安全余裕距離を考慮して決定された所定距離(図2のL1)を差し引いた地点(図2のTP1)を第2の暫定目標停止点に変更して、当該目標停止点を終点とするATO走行パターン(図2のP2)を作成(更新)する(ステップS4)。
その後、ATOトランスポンダ(図2の12b,12a)からの情報を受信すると、受信の度に実列車の位置を補正し、補正した在線位置情報に基づいてステップS5で更新したATO走行パターンに従って速度が変化するようにブレーキ装置22を制御し減速する(ステップS6)。上記のような制御を実行することで、例えば±35cmのような精度で目標停止位置に停止させることができる。
また、上記実施形態では、最初のATOトランスポンダ12cが駅進入口の分岐器のある軌道回路の境界部14cよりも駅ホームに近い箇所に設置されているが、最初のATOトランスポンダ12cは分岐器のある軌道回路の境界部14cよりも駅ホームから遠い位置に設置されていても良い。
また、車上装置20が把握した在線位置情報を地上装置へ送信し、地上装置は車上装置20へ他の列車の在線位置情報を送信し、後続列車は先行列車の在線位置情報に基づいてATCパターンを生成するように構成しても良い。
また、滑走や速度発電機等の累積誤差を考慮した安全余裕距離を持たせた地上子の配置を行うことで、ATCに限らず、ATS等のその他信号保安設備による構成にしても良い。
さらに、本発明は、自動運転制御装置を備えた列車における定位置停止制御に限定されず、自動運転でない列車における定位置停止制御にも利用することができる。
11 列車(車両)
12 ATOトランスポンダ(ATO地上子:道標)
13 ATCトランスポンダ(ATC地上子)
20 車上装置
21 速度発電機
22 ブレーキ装置
23 ATC(ATS)受信装置(ATC情報取得手段)
24 ATC(ATS)制御装置
25 ATO車上子(情報取得手段)
26 走行駆動装置
27 自動運転制御装置(位置把握手段、走行パターン生成手段)
Claims (5)
- 軌道の上を走行しブレーキ装置を制御することで走行パターンに従って車両速度を減速して設定された停止位置に停止させる機能を有する車上装置を備えた鉄道車両の定位置停止制御システムであって、
前記軌道の前記停止位置よりも上流側に、前記停止位置までの残距離を前記車上装置に認知させるための情報を保持する道標が設置され、
前記車上装置は、
前記道標から情報を取得可能な情報取得手段と、
自列車の位置を把握する位置把握手段と、
前記停止位置よりも安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第1走行パターンを生成する第1走行パターン生成手段と、
前記情報取得手段により取得された情報と前記位置把握手段により把握した位置情報とから、前記停止位置を終点とする第2走行パターンを生成する第2走行パターン生成手段と、
を備え、前記位置把握手段により把握した位置情報に基づいて自列車の位置が所定位置になったと判断すると前記第1走行パターン生成手段により第1走行パターンを生成し、前記情報取得手段により前記道標から情報を取得すると、前記第2走行パターン生成手段により第2走行パターンを生成して走行パターンを更新するように構成されていることを特徴とする鉄道車両の定位置停止制御システム。 - 前記軌道に沿って複数の信号保安設備の地上子が設置され、前記車上装置は、前記信号保安設備の地上子から情報を取得可能な情報取得手段と、前記信号保安設備の地上子から受信した情報を基づいて生成された速度照査パターンに従って走行速度を制御する制御手段とを有し、
前記位置把握手段は、前記情報取得手段により前記信号保安設備の地上子から取得された情報に基づいて前記自列車の位置を補正する位置補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の定位置停止制御システム。 - 予め設定された停止位置の上流側には、前記道標が少なくとも2以上設置され、
前記第1走行パターン生成手段は、軌道回路の境界に設定されている定位置停止制御区間の入口または2以上の前記道標のうち最も上流側の道標の設置位置にて前記第1走行パターンを生成し、
前記第2走行パターン生成手段は、最も上流側の道標の次の道標の設置位置にて前記第2走行パターンを生成するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両の定位置停止制御システム。 - 前記車上装置は、
前記停止位置から第1安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第1走行パターンを生成する第1走行パターン生成手段と、
前記情報取得手段により取得された停止制御情報と前記位置把握手段により把握した在線位置情報とから、前記停止位置を終点とする第2走行パターンを生成する第2走行パターン生成手段と、
前記停止位置から第1安全余裕距離よりも短い第2安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第3走行パターンを生成する第3走行パターン生成手段と、
予め設定された停止位置よりも上流側に、前記道標が少なくとも2以上設置され、
前記第1走行パターン生成手段は、軌道回路の境界に設定されている定位置停止制御区間の入口にて前記第1走行パターンを生成し、
前記第3走行パターン生成手段は、2以上の前記道標のうち最も上流側の道標の設置位置にて前記第3走行パターンを生成し、
前記第2走行パターン生成手段は、最も上流側の道標の次の道標の設置位置にて前記第2走行パターンを生成するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両の定位置停止制御システム。 - 予め設定された停止位置よりも上流側に、前記停止位置までの残距離を認知させるための情報を保持する複数の道標が設置されている軌道の上を走行する鉄道車両に搭載され、ブレーキ装置を制御することで走行パターンに従って走行速度を減速して停止位置に停止させる機能を有する鉄道車両の車上装置であって、
前記道標から情報を取得可能な情報取得手段と、
自列車の位置を把握する位置把握手段と、
前記軌道に沿って設置されている信号保安設備の地上子から情報を取得可能な情報取得手段と、
前記信号保安設備の地上子から受信した情報を基づいて生成された速度照査パターンに従って走行速度を制御する信号保安設備制御装置と、
前記情報取得手段が前記信号保安設備の地上子から取得した情報に基づいて、前記位置把握手段が把握している自列車の位置を補正する位置補正手段と、
前記停止位置よりも所定の安全余裕距離以上上流側に暫定停止点を設定し当該暫定停止点を終点とする第1走行パターンを生成する第1走行パターン生成手段と、
前記情報取得手段により取得された情報と前記位置把握手段により把握した位置情報とから、前記停止位置を終点とする第2走行パターンを生成する第2走行パターン生成手段と、
を備え、前記位置把握手段により把握した位置情報に基づいて自列車の位置が所定位置になったと判断すると前記第1走行パターン生成手段により第1走行パターンを生成し、前記情報取得手段により前記道標から情報を取得すると、前記第2走行パターン生成手段により第2走行パターンを生成して走行パターンを更新するように構成されていることを特徴とする鉄道車両の車上装置。
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