JP2019215451A - 波長変換材、及びこれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

波長変換材、及びこれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】可視光及び近赤外光の光透過性に優れ、かつ紫外光及び青色光などの短波長の光を効率よく赤色光に波長変換させることができる波長変換材、及びその波長変換材を備えた太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】波長変換材は、樹脂と、前記樹脂に分散されている蛍光体とを含む波長変換材であって、前記樹脂は、屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内にあり、前記蛍光体は、Na3AlF6:Mn4+、Na5Al3F14:Mn4+及びK2SiF6:Mn4+からなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ化物蛍光体を含むことを特徴とする。太陽電池モジュールは、太陽電池と、上記の波長変換材とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、波長変換材、及びこれを用いた太陽電池モジュールに関するものである。
太陽電池は、太陽光をエネルギー源とすることから、環境への負荷が小さく、かつ持続的な発電装置として注目されている。太陽光は、紫外光から赤外光までの広い波長範囲の光を含む。これに対して、太陽電池の最適な励起光はその種類によって異なるが、例えば、単結晶シリコン太陽電池の場合、可視光から近赤外光の範囲内、特に赤色光から近赤外光の範囲内とされている。そこで、太陽電池の受光面に波長変換材を配置して、太陽光中の紫外光を可視光から近赤外光の光に波長変換して、太陽電池に供給することが検討されている。
特許文献1には、Ce3+又はEu2+で付活されたフッ化物蛍光体を封止材に分散させた波長変換材が開示されている。この特許文献1の実施例に記載されているフッ化物蛍光体は、発光ピーク波長が420〜460nmの範囲内にある青色発光蛍光体であり、また波長変換材は、590nmの光の透過率が81%である。
一方、NaAlF:Mn4+、NaAl14:Mn4+及びKSiF:Mn4+などのフッ化物蛍光体は、紫外光及び青色光で励起されることによって赤色光を発光する赤色発光蛍光体として知られている。例えば、本発明者による特許文献2には、NaAlF:Mn4+で表される赤色発光蛍光体が開示されている。
特開2016−145295号公報 特開2016−210986号公報
太陽電池のさらなる発電効率の向上ためには、可視光及び近赤外光に対して優れた光透過性を有し、かつ太陽光に含まれる紫外光や青色光などの短波長の光を、太陽電池の発電効率の向上に有効な赤色光あるいは近赤外光のような長波長の光に波長変換できる波長変換材が必要である。しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の波長変換材では、赤色光や近赤外光のような長波長の光を得ることは難しいという問題があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可視光及び近赤外光の光透過性に優れ、かつ紫外光及び青色光などの短波長の光を効率よく赤色光に波長変換させることができる波長変換材、及びその波長変換材を備えた太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するために検討を重ねた結果、屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内にある樹脂に、NaAlF:Mn4+、NaAl14:Mn4+及びKSiF:Mn4+などのフッ化物蛍光体を分散させた波長変換材は、可視光及び近赤外光の光透過性に優れ、かつ紫外光及び青色光などの短波長の光を赤色光に効率よく波長変換させることが可能となることを見出した。そして、その波長変換材を太陽電池の受光面に配置することによって、太陽電池の発電効率を向上させることが可能となることを確認して本発明を完成させた。
従って、本発明は以下の態様を含む。
[1]樹脂と、前記樹脂に分散されている蛍光体とを含む波長変換材であって、前記樹脂は、屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内にあり、前記蛍光体は、NaAlF:Mn4+、NaAl14:Mn4+及びKSiF:Mn4+からなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ化物蛍光体を含むことを特徴とする波長変換材。
[2]前記樹脂の屈折率をnとし、前記蛍光体の屈折率をnとしたときに、下記の式(1)を満足する[1]に記載の波長変換材。
(|n−n|/n)×100<2.5%・・・・(1)
[3]波長610nmの光の透過率が90%以上である[1]又は[2]に記載の波長変換材。
[4]前記フッ化物蛍光体の含有量が、前記樹脂1質量部に対して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内にある[1]〜[3]のいずれか一項に記載の波長変換材。
[5]太陽電池と、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の波長変換材とを含む太陽電池モジュール。
本発明によれば、可視光及び近赤外光の光透過性に優れ、かつ紫外光及び青色光などの短波長の光を効率よく赤色光に波長変換させることができる波長変換材、及びその波長変換材を備えた太陽電池モジュールを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態の係る太陽電池モジュールの断面図である。
以下、本発明の一実施形態の係る波長変換材及び太陽電池モジュールについて、添付した図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の係る太陽電池モジュールの断面図である。図1において、太陽電池モジュール10は、太陽電池20と、太陽電池20の受光面21の上に配置された透明基板30と、透明基板30の上に形成された波長変換材40とを含む。
波長変換材40は、樹脂41と、樹脂41に分散されているフッ化物蛍光体42とを含む。フッ化物蛍光体42の含有量は、樹脂41の含有量を1質量部としたきに、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内にあることが好ましく、0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内にあることが特に好ましい。フッ化物蛍光体42の含有量が少なくなりすぎると、波長変換材40の赤色光への波長変換効率が低下して、太陽電池20の発電効率を向上させるのが難しくなるおそれがある。一方、フッ化物蛍光体42の含有量が多くなりすぎると、波長変換材40の光透過性が低下して、太陽電池20の発電効率が低下するおそれがある。
樹脂41は、屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内にある。なお、本実施形態において、樹脂41の屈折率は、樹脂単独で形成した膜の屈折率である。また、樹脂41の屈折率は、波長589nm(ナトリウムスペクトルのD線)の光に対する屈折率である。
樹脂41は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂などの硬化性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性フッ素樹脂、アクリル樹脂、AS樹脂が挙げられる。硬化性樹脂の例としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、硬化性ポリイミド、硬化性フッ素樹脂が挙げられる。
フッ化物蛍光体42としては、NaAlF:Mn4+、NaAl14:Mn4+及びKSiF:Mn4+が用いられる。これらのフッ化物蛍光体42は、紫外光及び青色光で励起されることによって赤色光を発光する赤色発光蛍光体である。フッ化物蛍光体42は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組合せて使用してもよい。
NaAlF:Mn4+は、氷晶石(NaAlF)のAl3+イオンの一部をMn4+イオンで置換した蛍光体である。NaAlF:Mn4+のMn4+の含有量は0.05モル%以上10モル%以下の範囲内にあることが好ましい。このNaAlF:Mn4+は、例えば、氷晶石粉末と二酸化マンガン粉末とを、フラックス粉末の存在下で焼成することによって製造することができる。なお、氷晶石粉末の代わりに、フッ化ナトリウム粉末と三フッ化アルミニウム粉末とを氷晶石を生成する割合で含む混合物を用いてもよい。フラックス粉末としては、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、ホウ酸、フッ化マグネシウムを用いることができる。これらのフラックス粉末は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組合せて使用してもよい。
NaAl14:Mn4+は、チオライト(NaAl14)のAl3+イオンの一部をMn4+イオンで置換した蛍光体である。NaAl14:Mn4+のMn4+の含有量は0.05モル%以上10モル%以下の範囲内にあることが好ましい。このNaAl14:Mn4+は、例えば、チオライト粉末と二酸化マンガン粉末とを、フラックス粉末の存在下で焼成することによって製造することができる。なお、チオライト粉末の代わりに、フッ化ナトリウム粉末と三フッ化アルミニウム粉末とをチオライトを生成する割合で含む混合物を用いてもよい。フラックス粉末の例は、NaAlF:Mn4+の製造で例示したものと同じである。
SiF:Mn4+は、ケイフッ化カリウム(KSiF)のSi4+イオンの一部をMn4+イオンで置換した蛍光体である。KSiF:Mn4+のMn4+の含有量は0.05モル%以上10モル%以下の範囲内にあることが好ましい。このKSiF:Mn4+は、例えば、過マンガン酸カリウムと、シリコンや二酸化ケイ素などのケイ素源とを、フッ化水素の存在下で反応させることによって製造することができる。
上記のフッ化物蛍光体42は、通常、屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内にある。樹脂41とフッ化物蛍光体42の屈折率がそれぞれ1.3以上1.5以下の範囲内にあって、その差が小さくなると、樹脂41とフッ化物蛍光体42の界面での可視光及び近赤外光の反射や散乱が抑制され、これにより、波長変換材40の可視光及び近赤外光の光透過性が向上する。波長変換材40の光透過性をより向上させるためには、樹脂41の屈折率とフッ化物蛍光体42の屈折率の差をより小さくすることが有効である。波長変換材40は、樹脂41の屈折率をnとし、フッ化物蛍光体42の屈折率をnとしたときに、式(|n−n|/n)×100は2.5%未満であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.6%以下であることが特に好ましい。なお、フッ化物蛍光体42の屈折率は、波長589nm(ナトリウムスペクトルのD線)の光に対する屈折率である。
また、上記のフッ化物蛍光体42は、励起光が紫外光及び青色光であり、緑色光から近赤外光までの広い波長範囲の光を吸収しにくい。これにより、波長変換材40は光透過性に優れたものとなる。波長変換材40は、波長610nmの光の透過率が90%以上であることが好ましい。
波長変換材40は、例えば、次のようにして製造することができる。
樹脂41が熱可塑性樹脂である場合は、樹脂41(熱可塑性樹脂)とフッ化物蛍光体42とを混合し、得られた混合物を加熱して溶融させ、次いで得られた溶融物を所望の形状に加工した後、溶融物を冷却して硬化させる方法によって製造することができる。一方、樹脂41が硬化性樹脂である場合は、樹脂41(硬化性樹脂)とフッ化物蛍光体42とを混合し、得られた混合物を所望の形状に加工し、次いで、硬化性樹脂を硬化させる方法によって製造することができる。
(透明基板)
透明基板30の材料としては、樹脂及びガラスを用いることができる。樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂などの硬化性樹脂であってもよい。樹脂としては、波長変換材40の樹脂41と同じものを用いてもよい。ガラスとしては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの基板用ガラスとして利用されている公知のガラスを用いることができる。
(太陽電池)
太陽電池20としては、特に制限はなく、例えば、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池を用いることができる。
以上のような構成とされた本実施形態の波長変換材40においては、樹脂41は屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内にあり、フッ化物蛍光体42はNaAlF:Mn4+、NaAl14:Mn4+及びKSiF:Mn4+からなる群より選ばれる少なくとも一種とされているので、樹脂41とフッ化物蛍光体42とは屈折率の差が小さい。また、フッ化物蛍光体42は緑色光から近赤外光までの広い波長範囲の光を吸収しにくい。このため、本実施形態の波長変換材40は、可視光及び近赤外光の光透過性に優れたものとなる。また、本実施形態の波長変換材40は、上記のフッ化物蛍光体42を含むので、紫外光及び青色光を、太陽電池の発電効率の向上に有効な赤色光に効率よく波長変換させることができる。
本実施形態の太陽電池モジュール10は、上述の波長変換材40を用いるため、太陽電池20の受光面21に供給される赤色光の量が多くなる。このため、本実施形態の太陽電池モジュール10は、発電効率が向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、本実施形態の太陽電池モジュール10では、波長変換材40は、透明基板30の上に形成されているが、波長変換材40を太陽電池20の受光面21に直接形成してもよい。また、波長変換材40を自立膜として使用してもよい。
また、本実施形態では、波長変換材40を含む太陽電池モジュール10について説明したが、波長変換材40の用途は、太陽電池モジュール10に限定されるものではない。本実施形態の波長変換材40は、例えば、ビニールハウスの透明シートなどの太陽光の可視光及び近赤外光を利用する種々の分野に応用できる。本実施形態の波長変換材40を、ビニールハウスの透明シートとして用いると、ビニールハウス内に照射される赤色光が増加することによって、植物(農作物)の成長が促進されることが期待される。
以下、本発明の作用効果を実施例により説明する。
[実施例1]
フッ化物蛍光体として、KSiF:Mn4+赤色発光蛍光体(株式会社ネモト・ルミマテリアル製)を用意した。このKSiF:Mn4+赤色発光蛍光体は、発光ピーク波長が610nmで、屈折率が1.347であった。蛍光体の発光ピーク波長は下記の方法により測定した。
(発光ピーク波長の測定方法)
試料の蛍光体にブラックライト(波長:439nm)を照射し、蛍光体が発光した光のスペクトルを、分光蛍光光度計を用いて測定した。得られた発光スペクトルの最大ピークの波長を、発光ピーク波長とした。
また、樹脂として、UV硬化型フッ素系樹脂(ディフェンサOP−3801、DIC株式会社製)を用意した。このUV硬化型フッ素系樹脂は、屈折率が1.355(カタログ値、測定波長:589nm)である。
上記のKSiF:Mn4+赤色発光蛍光体とUV硬化型フッ素系樹脂とを、樹脂1質量部に対して蛍光体の含有量が0.13質量部となる割合で混合して、蛍光体含有樹脂組成物ペーストを調製した。
ソーダライムガラス板(厚さ:1mm、サイズ:5cm×5cm、屈折率:1.51)を2枚用意した。一方のソーダライムガラス板の表面に、厚さが80μmの枠型のスペーサを配置し、次いでスペーサの枠内に、上記の蛍光体含有樹脂組成物ペーストを刷毛塗り法により、スペーサの厚さで塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を挟むように、他方のソーダライムガラス板を重ねた。その後、塗布層にUV光を照射して、塗布層を硬化させて、2枚のソーダライムガラス板と、そのソーダライムガラス板の間に挟持された波長変換材とからなる波長変換材含有積層体を作製した。得られた波長変換材含有積層体の光透過率を下記の方法により測定した。その結果を、下記の表1に示す。
(光透過率の測定方法)
分光光度計(U−2010、株式会社日立製作所製)を用いて、試料の波長変換材含有積層体のガラス板面に波長610nmの光を照射し、その光の透過率を測定した。なお、表1には、後述の比較例1で作製したフッ素樹脂含有積層体の光透過率を100%とした相対値を記載した。
市販の太陽電池(OPL20A25101、OptoSupply社製)を用意した。この太陽電池の受光面に、γ−ブチロラクトン(屈折率:1.43)を、刷毛塗り法により厚さが1mmとなるように塗布した。次いで、γ−ブチロラクトン塗布層の上に、上記の波長変換材含有積層体のガラス板を、太陽電池の受光面とガラス板との間に空気が入らないように積載して、太陽電池モジュールを作製した。得られた太陽電池モジュールの発電量を下記の方法により測定した。その結果を、下記の表1に示す。
(太陽電池モジュールの発電量)
太陽電池モジュールの太陽電池の端子と1Ωの抵抗とを接続した。次いで、太陽電池モジュールの受光面に太陽光を照射しながら、抵抗両端の電圧(mV)を測定して、発電量を算出した。なお、表1に記載した太陽電池モジュールの発電量は、波長変換材含有積層体を積載する前の太陽電池単独で発電させたときの発電量を100とした相対値である。
[実施例2〜3]
樹脂1質量部に対する蛍光体の含有量を、下記の表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様にして、波長変換材含有積層体と、太陽電池モジュールとを作製した。そして、実施例1と同様にして、波長変換材含有積層体の光透過率と、太陽電池モジュールの発電量とを測定した。その結果を、下記の表1に示す。
[比較例1]
SiF:Mn4+赤色発光蛍光体を使用しなかったこと、すなわち、蛍光体含有樹脂組成物ペーストの代わりにUV硬化型フッ素系樹脂を単独で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、2枚のソーダライムガラス板と、そのソーダライムガラス板の間に挟持されたフッ素系樹脂とからなるフッ素樹脂含有積層体を得た。そして、このフッ素樹脂含有積層体を用いて、太陽電池モジュールを作製した。フッ素樹脂含有積層体の光透過率と、太陽電池モジュールの発電量とを、下記の表1に示す。
Figure 2019215451
表1の結果から、実施例1〜3で作製したKSiF:Mn4+赤色発光蛍光体を含む波長変換材含有積層体は、光透過率が90%以上と高い値を示すことが確認された。また、この波長変換材含有積層体を用いた太陽電池モジュールは、発電量が106.4〜108.7であり、太陽電池単独で発電させたときと比較して発電量が顕著に向上することが確認された。
SiF:Mn4+赤色発光蛍光体を用いなかった比較例1の太陽電池モジュールは、発電量が101.9であり、太陽電池単独で発電させたときと比較して発電量がわずかに向上している。これは、フッ素樹脂層によって太陽光の表面反射が小さくなったためであると考えられる。
[実施例4]
実施例1で作製した波長変換材含有積層体について、赤色光の発光強度を下記のようにして測定した。次いで、波長変換材含有積層体を、上部が開口した容器に収容した。そして、容器の開口を食品用ラップフィルムで覆い、その状態で、日中太陽光に曝される環境下で13日間静置した。静置後の波長変換材含有積層体について、光透過率と発光強度を測定した。その結果、静置後の波長変換材含有積層体は、光透過率が静置前の光透過率に対して101.3%で、発光強度が静置前の発光強度に対して100.7%であり、静置前とほぼ同じであった。
(発光強度の測定方法)
波長変換材含有積層体に、ブラックライト(波長:439nm)を照射し、波長変換材含有積層体から放出された光のスペクトルを、分光蛍光光度計を用いて測定した。得られた発光スペクトルの最大ピークを、発光強度とした。
[実施例5]
氷晶石粉末(NaAlF:純度97質量%)と二酸化マンガン粉末(MnO:純度99.99%)と炭酸リチウム粉末(LiCO:純度99%)を用意した。氷晶石粉末と二酸化マンガン粉末とを、Mn/(Mn+Al)比がモル比で0.2となるように秤量し、メノウ乳鉢を用いて混合した。次いで、得られた混合物に対して、40質量%の炭酸リチウム粉末をフラックスとして添加した後、メノウ乳鉢を用いて再度混合した。得られた混合物を、大気雰囲気下、850℃で6時間焼成した。得られた焼成物のX線回折パターンを測定したところ、焼成物は、NaAlF:Mn4+であることが確認された。このNaAlF:Mn4+は、発光ピーク波長が673nmで、屈折率が1.388であった。従って、このNaAlF:Mn4+を、UV硬化型フッ素系樹脂と混合することによって、可視光及び近赤外光の光透過性に優れ、かつ紫外光及び青色光を効率よく赤色光に波長変換させることができる波長変換材を得ることが可能となる。
10 太陽電池モジュール
20 太陽電池
21 受光面
30 透明基板
40 波長変換材
41 樹脂
42 フッ化物蛍光体

Claims (5)

  1. 樹脂と、前記樹脂に分散されている蛍光体とを含む波長変換材であって、
    前記樹脂は、屈折率が1.3以上1.5以下の範囲内にあり、
    前記蛍光体は、NaAlF:Mn4+、NaAl14:Mn4+及びKSiF:Mn4+からなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ化物蛍光体を含むことを特徴とする波長変換材。
  2. 前記樹脂の屈折率をnaとし、前記蛍光体の屈折率をnbとしたときに、下記の式(1)を満足する請求項1に記載の波長変換材。
    (|n−n|/n)×100<2.5%・・・・(1)
  3. 波長610nmの光の透過率が90%以上である請求項1又は2に記載の波長変換材。
  4. 前記フッ化物蛍光体の含有量が、前記樹脂1質量部に対して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内にある請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長変換材。
  5. 太陽電池と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の波長変換材とを含む太陽電池モジュール。
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