JP2019215174A - 免疫測定用粒子及び免疫測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる免疫測定用粒子及び免疫測定方法を提供する。【解決手段】磁性粒子20と、磁性粒子20の表面に結合された検出用抗体30aと、磁性粒子20の表面に結合された酵素40aとを備える免疫測定用粒子10aであって、検出用抗体30aと酵素40aとの合計結合量に対し、検出用抗体30aの結合量の割合が40〜60質量%である免疫測定用粒子を作成する。【選択図】図2
Description
本発明は免疫測定用粒子及び免疫測定方法に関し、特に、酵素活性を用いる免疫測定用粒子及び免疫測定方法に関する。
マイクロプレート上において抗原に対して酵素標識された検出用抗体を反応させ、その後洗浄し、洗浄後にマイクロプレートに残る酵素活性を検出することで、検体中の抗原量を定量する酵素免疫測定法が一般に知られている。従来の酵素免疫測定法としては、例えば以下の非特許文献1及び非特許文献2に記載された酵素免疫測定法が知られている。非特許文献1及び非特許文献2に記載された酵素免疫測定法は、酵素標識された検出用抗体の代わりに、検出用抗体と酵素とが表面に結合された免疫測定用粒子を用いている。
Kurt G.I. Nilsson、"Journol of Immunological Methods"、(オランダ)、1989年9月、122巻、p.273〜277
Lili Chen、他4名、"Sensors and Actuators B"、(オランダ)、2011年1月、155巻、p.557〜561
しかしながら、従来の酵素免疫測定法に用いている免疫測定用粒子では、粒子表面に結合反応させる際の検出用抗体及び酵素の量は非特許文献1に記載されているが、実際に粒子表面に結合されている検出用抗体及び酵素の量は明確ではなく、そのため免疫測定において最も酵素活性を得られる条件が明確ではないために、免疫測定用粒子が少ない場合に抗原量を定量しにくいという問題点があった。
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、酵素免疫測定法において、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる免疫測定用粒子及び免疫測定方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、この発明に係る免疫測定用粒子は、磁性粒子と、磁性粒子の表面に結合された検出用抗体と、磁性粒子の表面に結合された酵素とを備える免疫測定用粒子であって、検出用抗体と酵素との合計結合量に対し、検出用抗体の結合量の割合が40〜60質量%であり、また、検出用抗体と酵素との合計結合量に対し、検出用抗体の結合量の割合が45〜55質量%であり、また、酵素は、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼであり、また、粒子がシリカあるいはポリマーにより組成され、また、飽和磁化値が10〜50emu/gである。
また、この発明に係る免疫測定方法は、上記免疫測定用粒子を用い、また、免疫測定用粒子を磁気により誘導する。
本発明に係る免疫測定用粒子によれば、磁性粒子の表面に結合された検出用抗体と、磁性粒子の表面に結合された酵素とを備え、免疫測定において最も酵素活性を得られる検出用抗体と酵素との結合量の割合の条件が明確であるために、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる。
また、本発明に係る免疫測定方法によれば、前記免疫測定用粒子を用いることで、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、この実施の形態で用いられる免疫測定用粒子10の構成を示す。免疫測定用粒子10は、シリカにより組成された磁性粒子20と、前記磁性粒子20の表面に共に結合された検出用抗体30及び酵素40とから構成されている。
図1に、この実施の形態で用いられる免疫測定用粒子10の構成を示す。免疫測定用粒子10は、シリカにより組成された磁性粒子20と、前記磁性粒子20の表面に共に結合された検出用抗体30及び酵素40とから構成されている。
前記磁性粒子20は、内部にフェライト粒子21を有している。すなわち、磁性体を構成する前記フェライト粒子21は、前記磁性粒子20を組成するシリカにより被覆されて内包されている。また、前記フェライト粒子21は、例えばマグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(γ−Fe2O3)及びその中間体等で構成されている。また、前記フェライト粒子21は、マグネタイトやマグヘマイト及びその中間体等のFeを一部置換して、Li、Mg、Mn、Co、Ni、Cu及びZnなどの各種元素を含有させることで、その特性を目的に応じて適正に制御した強磁性粒子であってもよい。いずれにせよ、前記フェライト粒子21は、前記免疫測定用粒子10が使用される温度で強磁性を有することが好ましい。そして、この前記フェライト粒子21を有する前記磁性粒子20の飽和磁化値は例えば10〜50emu/gであることが好ましい。なお、前記磁性粒子20はシリカにより組成されたものに限定されず、例えばポリマーにより組成されていてもよい。
前記磁性粒子20の表面に結合された前記検出用抗体30は、特定の抗原に選択的に結合される任意の種類の検出用抗体を用いることができる。すなわち、前記検出用抗体30はリガンドとして作用する。また、前記磁性粒子20の表面に結合された前記酵素40は、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horse Radish Peroxidase:HRP)等のペルオキシダーゼ、又はアルカリホスファターゼ等の、酵素免疫測定法において酵素反応により酵素基質を発色又は発光などをさせることのできる任意の種類の酵素を用いることができる。
次に、この実施の形態の前記免疫測定用粒子10を用いた免疫測定方法について説明する。
この実施例においては、定量対象の抗原として前立腺特異抗原(PSA)を定量する。図2に示すように、免疫測定用粒子10aにおいて、検出用抗体30aをPSAに選択的に結合可能な検出用抗体とし、酵素40aをHRPとして前記免疫測定用粒子10aを作成する。なお、前記免疫測定用粒子10aの大きさが200nmとなるように作成する。なお、前記酵素40aはアルカリホスファターゼを用いてもよい。
この実施例においては、定量対象の抗原として前立腺特異抗原(PSA)を定量する。図2に示すように、免疫測定用粒子10aにおいて、検出用抗体30aをPSAに選択的に結合可能な検出用抗体とし、酵素40aをHRPとして前記免疫測定用粒子10aを作成する。なお、前記免疫測定用粒子10aの大きさが200nmとなるように作成する。なお、前記酵素40aはアルカリホスファターゼを用いてもよい。
このとき、前記免疫測定用粒子10aに結合された前記検出用抗体30a及び酵素40aの合計結合量に対する、前記検出用抗体30aの結合量の割合をそれぞれ異なる値とした、免疫測定用粒子10aのサンプル1〜4を作成した。表1に、各サンプルにおける前記検出用抗体30a及び酵素40aの合計結合量と、前記検出用抗体30aの結合量及び前記酵素40aの結合量を示す。各サンプルにおける、前記検出用抗体30a及び酵素40aの合計結合量に対する前記検出用抗体30aの結合量の割合は、サンプル1は27%、サンプル2は32%、サンプル3は48%、サンプル4は58%である。なお、前記検出用抗体30aの結合量は、前記検出用抗体が結合した前記免疫測定用粒子10aを用いて免疫沈降法により過剰量の抗原を含む溶液から回収した抗原量から推定した。
次に、図3に示すように、前記免疫測定用粒子10aを分散させた溶液と、抗原50aとしてPSAを含む溶液とを分注して5分間混合する。前記免疫測定用粒子10aと、定量対象の抗原50aとが混合することで、図4に示すように前記抗原50aが前記免疫測定用粒子10aの前記検出用抗体30aに結合する。次に、図5に示すように、PSAと選択的に結合可能な捕捉用抗体31を表面に固相化した96ウェル透明プレートである抗体固相化プレート60に、前記免疫測定用粒子10aと抗原50aとが混合した液体を分注する。前記抗体固相化プレート60は透明な素材で形成されたプレートであり、底部に前記抗原50aと結合可能な前記検出用抗体30aが固相化されて設けられている。なお、この実施の形態では前記抗体固相化プレート60に、予め前記免疫測定用粒子10aと前記抗原50aとが混合した液体を分注したが、前記免疫測定用粒子10aを分散させた溶液と、前記抗原50aの溶液とを前記抗体固相化プレート60に分注して、5分間混合してもよい。
次に、図6に示すように前記抗体固相化プレート60のウェル底面下側から磁石61を約1分間当て、前記免疫測定用粒子10aを前記96ウェル透明プレート上に磁気捕集する。前記免疫測定用粒子10aの前記磁性粒子20は前記フェライト粒子21を内包しているため、前記免疫測定用粒子10aは前記磁石61に吸引される。そして、前記免疫測定用粒子10の前記検出用抗体30aに結合している前記抗原50aが、前記抗体固相化プレート60の前記捕捉用抗体31に結合する。すなわち、この磁気捕集の工程により、前記抗原50aと結合した前記免疫測定用粒子10aが、前記抗体固相化プレート60に結合する。
次に前記抗体固相化プレート60を洗浄し、前記抗体固相化プレート60上の前記捕捉用抗体31に結合しなかった前記免疫測定用粒子10aを除去した後に、図7に示すように基質液として、基質液成分70を構成するテトラメチルベンジジン(TMB)を添加して数分間放置する。すると、前記96ウェル透明プレートに結合した、前記免疫測定用粒子10aに結合している前記酵素40aであるHRPの酵素活性による酸化作用により、前記基質液成分70であるTMBが反応し青色の化合物71に変化して発色する。次に、停止液を前記抗体固相化プレート60に添加して発色反応を停止させた後、例えばプレートリーダ等の分光器でこの青色の化合物71を含む溶液の、波長450nmにおける吸光度を測定する。この吸光度の測定結果に基づいて、溶液中における前記抗原50aの定量が行われる。
図8のグラフは、上記免疫測定方法において、溶液のPSA濃度を20ng/mlとして各サンプル1〜4の吸光度を定量した結果を比較したものである。サンプル3の前記免疫測定用粒子10aを用いる場合に、最も吸光度が高くなるという結果が得られた。すなわち、前記検出用抗体30a及び酵素40aの合計結合量に対する前記検出用抗体30aの結合量の割合が48%であって、合計結合量に対する前記酵素40aの結合量の割合が52%であるサンプル3(表1参照)を用いたときに、最も吸光度が高くなった。したがって、前記免疫測定用粒子10aは前記検出用抗体30a及び酵素40aの合計結合量に対する前記検出用抗体30aの結合量の割合は40〜60質量%であることが好ましく、また、45〜55質量%であることがさらに好ましい。
図9のグラフは、サンプル3の前記免疫測定用粒子10を用いた上記免疫測定方法を実施した場合における、実施前の溶液のPSA濃度と、前記酵素40aと前記基質液成分70との発色反応後の溶液の波長450nmにおける吸光度との関係を示したものである。PSA濃度と吸光度との間には正の相関関係があることがわかり、これにより発色反応後の溶液の吸光度を定量することで波長450nmにおける吸光度からPSAを定量することができる。
このように、前記磁性粒子20と、前記磁性粒子20の表面に結合された前記検出用抗体30aと、前記磁性粒子20の表面に結合された前記酵素40aとを備える免疫測定用粒子10aであって、前記検出用抗体30aと前記酵素40aとの合計結合量に対し、前記検出用抗体30aの結合量の割合が40〜60質量%であるため、免疫測定において最も酵素活性を得られる検出用抗体と酵素との結合量の割合の条件が明確であり、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる。
また、前記検出用抗体30aと前記酵素40aとの合計結合量に対し、前記検出用抗体30aの結合量の割合が45〜55質量%であることで、さらに効率的に抗原量を定量することができる。
また、前記酵素40aは、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼであるので、良好な酵素活性を得ることができる。
また、前記磁性粒子20がシリカあるいはポリマーにより組成されることにより、前記磁性粒子20を酵素免疫測定法に適したものにすることができる。
また、前記フェライト粒子21を有する前記磁性粒子20の飽和磁化値が10〜50emu/gであることで、前記免疫測定用粒子10aを効率よく磁気捕集して前記抗原50aと前記検出用抗体30aとを反応させることが可能であり、迅速な免疫測定が可能となる。
また、免疫測定方法において前記免疫測定用粒子10aを用いることで、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を効率的に定量することができる。
また、前記免疫測定方法において、前記免疫測定用粒子10aを磁気により誘導することで、前記免疫測定用粒子10aを効率よく磁気捕集して前記抗原50aと前記検出用抗体30aとを反応させることが可能であり、迅速な免疫測定が可能となる。
なお、この実施の形態においては、抗原としてPSAを定量するために、PSAに結合可能な検出用抗体30aを用いて前記免疫測定用粒子10aを作成したが、これに限定されるものではなく定量対象の抗原に対応した検出用抗体を用いることにより任意の抗原を定量することができる。また、前記免疫測定用粒子10aの大きさを、200nmとしたが、この大きさに限定されるものではなく、定量に適した任意の大きさとすることができる。
また、前記磁性粒子20は磁気捕集されるために内部にフェライト粒子21を有していたが、前記磁性粒子20はフェライト以外の強磁性体を内部に有していてもよいし、磁気捕集を行わない等の場合には内部に磁性体を有していなくてもよい。
また、この実施の形態における前記免疫測定用粒子10aは前記酵素40aとしてHRPを用い、基質液成分70としてTMBを用い、HRPとTMBとの酵素活性による発色反応の後に、青色の化合物71(図7参照)を含む溶液の波長450nmにおける吸光度を測定することでPSAを定量したが、前記酵素40a及び前記基質液成分70はこれに限定されるものではなく、酵素活性による発色反応を利用することのできる酵素及び基質液を適宜用いることができる。
なお、本発明による免疫測定用粒子の要旨としては、以下の通りである。すなわち、前記磁性粒子20と、前記磁性粒子20の表面に結合された前記検出用抗体30aと、前記磁性粒子20の表面に結合された前記酵素40aとを備える免疫測定用粒子10aであって、前記検出用抗体30aと前記酵素40aとの合計結合量に対し、前記検出用抗体30aの結合量の割合が40〜60質量%であり、また、前記検出用抗体30aと前記酵素40aとの合計結合量に対し、前記検出用抗体30aの結合量の割合が45〜55質量%であり、また、前記酵素40aは、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼであり、また、前記磁性粒子20がシリカにより組成され、また、前記磁性粒子20がポリマーにより組成され、また、飽和磁化値が10〜50emu/gである構成である。
また、本発明による免疫測定方法の要旨としては、前記免疫測定用粒子10aを用い、また、前記免疫測定用粒子10aを磁気により誘導する方法である。
また、本発明による免疫測定方法の要旨としては、前記免疫測定用粒子10aを用い、また、前記免疫測定用粒子10aを磁気により誘導する方法である。
本発明による免疫測定用粒子は、粒子と、粒子の表面に結合された検出用抗体と、粒子の表面に結合された酵素とを備える免疫測定用粒子であって、検出用抗体と酵素との合計結合量に対し、検出用抗体の結合量の割合が40〜60質量%であるので、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる。
また、本発明による免疫測定方法は、前記免疫測定用粒子を用いるので、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる。
また、本発明による免疫測定方法は、前記免疫測定用粒子を用いるので、免疫測定用粒子が少ない場合であっても抗原量を定量することができる。
10,10a 免疫測定用粒子
20 磁性粒子
30,30a 検出用抗体
40,40a 酵素
20 磁性粒子
30,30a 検出用抗体
40,40a 酵素
Claims (8)
- 磁性粒子(20)と、
前記磁性粒子(20)の表面に結合された検出用抗体(30,30a)と、
前記磁性粒子(20)の表面に結合された酵素(40,40a)と
を備える免疫測定用粒子であって、
前記検出用抗体(30,30a)と前記酵素(40,40a)との合計結合量に対し、前記検出用抗体(30,30a)の結合量の割合が40〜60質量%であることを特徴とする免疫測定用粒子。 - 前記検出用抗体(30,30a)と前記酵素(40,40a)との合計結合量に対し、前記検出用抗体(30,30a)の結合量の割合が45〜55質量%であることを特徴とする請求項1に記載の免疫測定用粒子。
- 前記酵素(40,40a)は、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の免疫測定用粒子。
- 前記磁性粒子(20)がシリカにより組成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫測定用粒子。
- 前記磁性粒子(20)がポリマーにより組成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫測定用粒子。
- 飽和磁化値が10〜50emu/gであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫測定用粒子。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫測定用粒子を用いることを特徴とする免疫測定方法。
- 前記免疫測定用粒子を磁気により誘導することを特徴とする請求項7に記載の免疫測定方法。
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JP2020016522A (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | 国立大学法人 岡山大学 | 磁性粒子を用いた免疫染色法 |
CN111944773A (zh) * | 2020-08-17 | 2020-11-17 | 珠海丽珠试剂股份有限公司 | 一种Jo-1抗原偶联磁微粒及其制备方法、应用和产品 |
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2018
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