JP2019215084A - 減速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部にセンサを搭載し、低コストかつ小型化を実現した減速機を提供すること。【解決手段】サイクロイド減速機1は、モータの回転を入力される偏心シャフト11と、所定の設置部材SMに固定された固定ハウジング31と、固定ハウジング31の外周に回転ハウジング51を有する。偏心シャフト11が回転すると、曲線板21は摺動される。曲線板21は、固定ハウジング31に支持された固定ハウジングローラ33等により制限された範囲を摺動し摺動する。曲線板21は、回転ハウジングローラ52等に力を伝える。その結果、回転ハウジング51は、偏心シャフト11よりも減速して回転する。このとき、センサ35は固定ハウジング31に固定され、センサケーブル36は固定ハウジングローラ33と略同一の円周上にある中空シャフト34を通る。【選択図】図1

Description

本発明は、減速機に関する。
従来より、トロコイド系歯形を用いた内接式遊星歯車減速装置の1つである、サイクロイド減速機が知られている。このような減速機は、固定された円筒形のハウジング(ケーシング)の両端に軸を備え、一方の軸はモータ等から回転を入力され、もう一方の軸から減速された回転を出力する構造を有する(例えば特許文献1参照)。
ここで、例えば減速機を用いてアーム等を駆動する場合において、減速機の出力軸の角度を測定する必要がある。この場合、減速機の出力軸の角度を測定するため、減速機の外部に角度測定用のセンサを設置することが通常である。
一方で、減速機の出力軸の角度を測定する目的のため、複数のセンサをあらゆる角度に備える技術が公開されている(例えば特許文献2参照)。
特開2010−007731号公報 特開2007−321879号公報
つまり、減速機にセンサを設置する場合おいて、単に減速機だけの場合と比較して、全体としてサイズも増加するし、コストも増加する。若しくは、例えばセンサを内蔵する場合、減速機内部において出力軸の外周に複数のセンサを備える等の複雑な構成をとる必要があり、コストが増加する。
その代替手法として、例えば減速機は出力軸にフォトインタラプタを備えることで角度の原点を測定し、更に入力であるモータの軸にインクリメンタルエンコーダを備えることで回転の回数を測定することで出力軸の絶対角度が導出できる。若しくは例えば、減速機は出力軸の一部を、中空構造とした入力軸から取り出す構造を有し、入力軸側に配されたアブソリュートエンコーダが出力軸の絶対角度測定を行うことができる。しかし、これらの代替手法を用いても、同様に、外部に備えるセンサや治具、入力軸の中空構造化やパーツの増加によるコスト増加が引き起こされる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、内部にセンサを搭載し、低コストかつ小型化を実現した減速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様の減速機は、
モータの出力がされる軸に接続して設けられ、前記出力を受け回転するシャフトと、
所定の設置部材に固定されて設けられ、前記シャフトを支持する固定ハウジングと、
前記固定ハウジングの外周に設けられ、前記シャフトの回転に基づいて回転する回転ハウジングと、
を備える。
本発明によれば、内部にセンサを搭載し、低コストかつ小型化を実現した減速機を提供することができる。
本発明の減速機の一実施形態に係るサイクロイド減速機の断面図である。 図1のサイクロイド減速機の断面図である。 図1のサイクロイド減速機の回転ハウジングを分割された内側の構成を示す斜視図である。 図1のサイクロイド減速機の分割された回転ハウジングの内側の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係るサイクロイド減速機の概念図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、次のように定義する方向を用いるものとする。
即ち、以下、前述の特許文献1及び2のような、モータ等から回転が入力される軸(以下、「入力軸」と呼ぶことがある)と減速された回転が出力される軸(以下、「出力軸」と呼ぶことがある)とを同一軸上に有するサイクロイド減速機において、入力軸と出力軸とが回転する中心軸を「軸AZ」と呼ぶ。また、軸AZの方向に3次元直交座標系のZ軸をとり、入力軸がある側を「Zが負の方向の側」又は「入力軸側」と呼び、出力軸がある側を「Zが正の方向の側」又は「出力軸側」と呼ぶ。また、3次元直交座標系におけるZ軸と直交する面(即ちX−Y平面)上において、軸AZから離れる方向を「外周(の方向)」又は「外側」と呼び、その逆を「内側」と適宜呼ぶ。
詳細については後述するが、本発明の減速機の一実施形態に係るサイクロイド減速機は、軸AZと平行な中空シャフトを備える。軸AZ上の点から垂直に中空シャフトの中心軸上の点に向かう方向に3次元直交座標系のX軸をとり、中空シャフトがある側を「Xが正の方向」と呼び、その逆を「Xが負の方向」と呼ぶ。また、3次元直交座標系が右手系となるようにY軸を定め、夫々の方向を「Yが正の方向」及び「Yが負の方向」と呼ぶ。
図1は、本発明の減速機の一実施形態に係る減速機であるサイクロイド減速機についての、軸AZを通りY座標が一定の平面、即ちX―Z平面の断面図である。
図2は、図1のサイクロイド減速機についての、軸AZと直角に交わりZ座標が一定の平面、即ちX−Y平面の断面図である。
図1に示されるように、サイクロイド減速機1は、偏心シャフト11と、偏心シャフトベアリング12と、曲線板21A,21Bと、固定ハウジング31と、固定ハウジング締結ボルト32と、固定ハウジングローラ33と、中空シャフト34と、センサ35と、センサケーブル36と、ベアリング41A,41Bと、回転ハウジング51と、回転ハウジングローラ52と、回転ハウジングローラピン53と、回転ハウジング締結ボルト54と、センサ用磁石55と、を備えている。なお、以下、偏心シャフト11乃至センサ用磁石55の夫々等のサイクロイド減速機1の構成要素を「パーツ」とも呼ぶ。
なお、以下、曲線板21A,21Bを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「曲線板21」と呼ぶ。ベアリング41A,41Bを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ベアリング41」と呼ぶ。
ここで、サイクロイド減速機1が回転する際において、以下のパーツの夫々は相互に位置が固定され、支持する関係にある。
偏心シャフト11は、偏心シャフトベアリング12を支持する。また、固定ハウジング31は、固定ハウジング締結ボルト32と、固定ハウジングローラ33と、中空シャフト34と、センサ35と、センサケーブル36とを支持する。回転ハウジング51は、回転ハウジングローラ52と、回転ハウジングローラピン53と、回転ハウジング締結ボルト54と、センサ用磁石55とを支持する。
ここで、「ハウジング」とは、他のパーツを支持する機能と、同時に夫々を保護する容器としての機能を有するものである。即ち、固定ハウジング31及び回転ハウジング51の夫々は、これらの機能を有している。
以下、図1及び図2を用いてサイクロイド減速機1を構成する其々のパーツの相互の配置及び機能について説明する。
偏心シャフト11は、Zが負の方向即ち入力軸側に存在する図示せぬモータ等と接続され、軸AZを中心に回転することで、後述する曲線板21を摺動させるための偏心した構造を持つシャフト(偏心カム)である。図1及び図2によれば、偏心シャフト11と曲線板21の間には、後述する偏心シャフトベアリング12が取り付けられている。
偏心シャフトベアリング12は、偏心シャフト11の外周に位置し、偏心シャフト11と曲線板21との抵抗を軽減させ、双方を互いに支える軸受けである。偏心シャフトベアリング12としては、例えば、ころ軸受を採用することができる。ころ軸受は、線で力を受けることができ、点で力を受ける玉軸受よりも荷重に強いベアリングである。偏心シャフトベアリング12は、ころ軸受とすることにより、入力軸即ち偏心シャフト11へのラジアル荷重を支えることができるため、好適である。
曲線板21は、サイクロイド曲線を有する板であり、偏心シャフトベアリング12の外周に位置し、偏心シャフトベアリング12を介した偏心シャフト11からの入力により摺動される。図2によれば、曲線板21は、軸AZを中心に、後述する固定ハウジング締結ボルト32及び固定ハウジングローラ33により制限された範囲を摺動する。図1によれば、本実施形態では、曲線板21B及び曲線板21Aは、Zが正の方向にその順番で積層されている。
固定ハウジング31は、固定されたハウジングであり、設置部材SMに設置されて回転しない。図1によれば、固定ハウジング31は、複数に分割され、Zが正の方向に積層されて構成されている。図1及び図2によれば、固定ハウジング31には、後述するセンサ35を始めとする他のパーツの夫々が取り付けられている。
固定ハウジング締結ボルト32は、2つ以上に分割されている固定ハウジング31を締結するボルトである。図1によれば、固定ハウジング締結ボルト32は、固定ハウジング31を設置部材SMに固定するためにも用いられる。
固定ハウジングローラ33は、固定ハウジング締結ボルト32を介して固定ハウジング31に取り付けられ、曲線板21と固定ハウジング締結ボルト32との抵抗を軽減させるローラである。
中空シャフト34は、固定ハウジング31に対して固定された、中空のシャフトである。図1によれば、このように中空シャフト34は中空構造を有しているため、後述するセンサケーブル36は、この中空内に配設されることが可能になる。図2によれば、本実施形態では、中空シャフト34は、固定ハウジングローラ33と同一円周に配置されている。
センサ35は、出力軸の絶対角度を測定するためのセンサであり、固定ハウジング31に固着される。センサ35としては、例えば、磁気式のアブソリュートエンコーダを採用することができる。
センサケーブル36は、固定ハウジング31に取り付けられているセンサ35のケーブルである。図1を見ると、センサ35に接続されたセンサケーブル36は、中空シャフト34を通して配置され、入力軸側即ち設置部材SM側に設けられた図示せぬセンサの電源やセンサ信号を受信する回路等とセンサ35を接続する。ただし、センサケーブル36が必要となるのはセンサ35が有線式である場合であって、センサ35が無線式の場合にはセンサケーブル36は不要であることは言うまでもない。
ベアリング41は、固定ハウジング31に設置され、後述する回転ハウジング51を支持する軸受である。図1によれば、本実施形態では、ベアリング41B及びベアリング41Aが、固定ハウジング31の外周において、Zが正の方向にその順番で積層されている。また、図示はしないが、ベアリング41は、構造を変更することで、1つのベアリング41のみを備える構造とすることもできる。
回転ハウジング51は、曲線板21や固定ハウジング31やベアリング41の外周に設置され、曲線板21の摺動に基づいて回転する、サイクロイド減速機1の出力軸と共に回転するハウジングである。図1によれば、回転ハウジング51は、複数に分割され、Zが正の方向に積層されて構成されている。図1及び図2によれば、回転ハウジング51には、後述するセンサ用磁石55等が取り付けられている。
回転ハウジングローラ52は、曲線板21や固定ハウジング31やベアリング41の外周に設置され、後述する回転ハウジングローラピン53を介して回転ハウジング51に取り付けられるローラである。図1及び図2によれば、回転ハウジングローラ52は、曲線板21の摺動による力を受け回転ハウジングローラピン53にその力を伝達するが、このときの抵抗を軽減する。
回転ハウジングローラピン53は、回転ハウジングローラ52の中心に位置し、回転ハウジングローラ52を支持するピンである。回転ハウジングローラピン53は、回転ハウジングローラ52を介して曲線板21の力を受け、更に回転ハウジング51にその力を伝達する。
回転ハウジング締結ボルト54は、2つ以上に分かれている回転ハウジング51を締結するためのボルトである。
センサ用磁石55は、センサ35に対応した磁石であり、回転ハウジング51のAZ軸上に固定されている。センサ用磁石55としては、例えば、磁気式のアブソリュートエンコーダに対応した磁石を採用することができる。固定ハウジング31に取り付けられているセンサ35が磁気式アブソリュートエンコーダである場合、センサ35は、センサ用磁石55の磁力を測定することで、回転ハウジング51の絶対角度を測定する。
以上、サイクロイド減速機1を構成する其々のパーツの相互の配置及び機能について説明した。
以下、サイクロイド減速機1のセンサを露出した状態、即ちサイクロイド減速機1の回転ハウジング51を分割された内側の構成について説明する。
図3は、サイクロイド減速機1の回転ハウジング51を分割された内側の構成を示す斜視図である。即ち、図3は、サイクロイド減速機1を、Y−Z平面上において、Yが負の方向、Zが正の方向から斜視した図となっている。ここで、図3において、図示せぬ軸AZは、円筒形である固定ハウジング31や回転ハウジング51の中心に位置し、センサ35を通るZ軸と平行する軸である。
図4は、サイクロイド減速機1の分割された回転ハウジング51の内側の構成を示す図である。即ち、図3は、取り外された回転ハウジング51をZが負の方向から視た図となっている。
図3によれば、サイクロイド減速機1は設置部材SMに設置されている。前述の通り、サイクロイド減速機1を動作させた場合において、固定ハウジング31は、設置部材SMに対して固定されており回転しない。
また、図3によれば、前述の通り、センサ35は、固定ハウジング31に固着される。更に、センサ35と接続されたセンサケーブル36は中空シャフト34を通りZが負の方向に引き出され設置部材SMへと導かれている。即ち、センサ35及びセンサケーブル36は回転しない。
図4によれば、サイクロイド減速機1の分割された回転ハウジング51の内側には、センサ用磁石55が固定されている。前述の通り、サイクロイド減速機1を動作させた場合において、出力軸たる回転ハウジング51は、設置部材SMに対して回転する。即ち、センサ用磁石55は出力軸と共に回転する。
即ち、例えば、センサ35に磁気式アブソリュートエンコーダを採用し、センサ用磁石55に磁気式アブソリュートエンコーダに対応した磁石を採用した場合、設置部材SMと出力軸たる回転ハウジングとの絶対角度を1つのセンサで測定することができる。
以下、サイクロイド減速機1の減速機としての動作について説明する。
図5は、サイクロイド減速機1の動作に係る概念図である。図5は、サイクロイド減速機1の動作を示すため、図1の断面図の各パーツを概念化して描いている。
図5においては、曲線板21Aは、曲線板の断面21Aa乃至21Adとして描いている。即ち、曲線板の断面21Aa乃至21Adは図示する面以外において一体となっている。同様に、曲線板21Bは、曲線板の断面21Ba乃至21Bdとして描いている。また、固定ハウジング31及び、固定ハウジング31に支持されているパーツを固定ハウジング部31Gとして図示している。また、回転ハウジング51及び、回転ハウジング51に支持されているパーツを回転ハウジング部51Gとして図示している。
固定ハウジング部31Gは、斜線で示すように、図示せぬ設置部材SMに対して固定されている。偏心シャフト11は、モータと接続され回転し曲線板21A及び21Bを摺動する。曲線板21が摺動する範囲は、固定ハウジング部31G(具体的には固定ハウジング締結ボルト32及び固定ハウジングローラ33)により制限される。制限された範囲を摺動する曲線板21は、回転ハウジング部51G(具体的には回転ハウジングローラ52及び回転ハウジングローラピン53)に力を伝達する。回転ハウジング部51Gは、その力に基づき回転する。このとき、回転ハウジング51は、偏心シャフト11の回転に対して減速して回転する。即ち、減速機として機能する。
以上、サイクロイド減速機1の減速機としての動作について説明した。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
サイクロイド減速機1は、従来の減速機にある最外周にあるハウジングが固定される構造ではなく、即ち回転ハウジング51ではなく、固定ハウジング31が設置部材SMに対して固定される構造をもつことにより、以下の効果を奏する。
固定ハウジング31は、設置部材SMと固定されている。そのため、固定ハウジング締結ボルト32及び固定ハウジングローラ33及び中空シャフト34及びセンサ35及びセンサケーブル36は、固定ハウジング31に直接的又は間接的に固定されているため、同様に設置部材SMに対して固定されている。サイクロイド減速機1は、固定ハウジング31を回転ハウジング51の内側に備えることにより、回転に同期して移動することのない中空シャフト34を備える事ができる。
中空シャフト34は、中空構造を有しているため、センサケーブル36は、この中空内に配設されることが可能になる。これにより、センサケーブル36は、センサ35を設置部材SM側に設置された回路等と接続できる。更には、中空シャフト34は、曲線板の摺動に依る摩擦やサイクロイド減速機1の各部を潤滑するグリスから、中を通るセンサケーブル36を保護することができる。
換言すれば、回転ハウジング51の内側に固定ハウジング31を備えることにより、設置部材SMに対して固定された中空シャフト34を備える事ができるからこそ、サイクロイド減速機1はセンサ35を内部に備えることができる。これにより、センサ35を内蔵できる、即ち外部にセンサを設置するための構造を持つ必要がない。外部にセンサを設置するための構造を持つ場合、構造が複雑化や製造コストの上昇、減速機の大型化が起こる。即ち、固定ハウジング31を備えるからこそ、サイクロイド減速機1は、単純な構造と安価な製造コストを維持しつつ、センサ35を備える事ができる。
前述の実施形態において、サイクロイド減速機1は、中空シャフト34を固定ハウジング締結ボルト32及び固定ハウジングローラ33の同一円周上に備えている。即ち、中空シャフト34は、固定ハウジング締結ボルト32及び固定ハウジングローラ33を置き換えた位置に備える。固定ハウジング締結ボルト32及び固定ハウジングローラ33を置き換えた位置に配置する場合、中空シャフト34は固定ハウジングローラ33より細い形状とすることができる。これにより、中空シャフト34は、曲線板21に触れず抵抗の削減をすることができ、また、曲線板21及び中空シャフト34の損耗を防ぐことができる。
前述の実施形態において、サイクロイド減速機1は、ベアリング41として、ベアリング41Aとベアリング41Bの2つを備えているものとしたが、ベアリング41は2つに限らない。即ち、ベアリング41の数は、任意の個数用いることができる。
以上、サイクロイド減速機1が有する効果を説明した。
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での、変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態において、曲線板21として、2対の曲線板21A及び21Bを有しているとしたが、特にこれに限定されない。つまり、曲線板21は、偏心シャフト11により摺動され、固定ハウジング締結ボルト及び固定ハウジングローラ33により摺動の範囲が制限され、後述する回転ハウジングを回転させることができれば足る。即ち、例えば、曲線板21は2枚に限らない。また、例えば、曲線の形状はサイクロイド曲線に限らず、サイクロイド曲線ではない他のトロコイド系曲線等であってよい。つまり、サイクロイド減速機1は、トロコイド系歯形を用いた内接式遊星歯車減速装置であってよい。トロコイド系歯車を用いた内接式遊星歯車減速機構を採用した場合、減速機は、高耐衝撃性、高効率、低バックラッシュの特性を有することができる。
更に言えば、サイクロイド減速機1はトロコイド系歯形を用いた内接式遊星歯車減速装置の1つであるサイクロイド減速機としたが、特にこれに限定されない。即ち、例えば、曲線板21を有さず、複数の遊星歯車(例えばプラネタリギア)を備える減速機でもよい。即ち、減速機は、モータ等の力を受け回転する入力軸に対し減速した出力軸を有する減速機であれば足る。
また例えば、上述の実施形態において、偏心シャフト11は、モータ等と接続され、軸AZを軸として回転し、曲線板21を摺動するための偏心した構造を持つシャフトとしたが、特にこれに限定されない。即ち、例えば、偏心シャフト11は、モータの軸と直接接続されてもよく、減速機構(例えば、平歯車やベルトによる減速機構)を介しモータの軸と接続されてもよい。つまり、偏心シャフト11は回転し、曲線板21を摺動できれば足る。
更に言えば、例えば、前述の複数の遊星歯車を備える減速機、即ち曲線板21を有さない減速機においては、曲線板21を摺動する必要はなく、偏心した構造を持たないシャフトでよい。即ち、例えば、モータの出力がされる軸に接続して設けられ、当該出力が入力され回転するシャフトであれば足る。
また例えば、上述の実施形態において、偏心シャフトベアリング12は、偏心シャフト11と曲線板21との抵抗を軽減させ、双方を互いに支える軸受けであるとしたが、特にこれに限定されない。つまり、偏心シャフトベアリング12は、偏心シャフト11と曲線板21との抵抗を軽減できれば足る。即ち、例えば、偏心シャフトベアリング12は、本実施形態ではころ軸受として転がり接触としたが、玉軸受として転がり接触としても良く、ローラを用いてすべり軸受けとしてもよい。更には、偏心シャフトベアリング12を設けず、偏心シャフト11と曲線板21を滑り接触とすることもできることは言うまでもない。
また例えば、上述の実施形態において、固定ハウジング31は、所定の設置部材SMに設置され回転しない固定されたハウジングであり、センサ35を始めとする他のパーツの夫々が取り付けられているとしたが、特にこれに限定されない。つまり、固定ハウジング31は、所定の設置部材SMに固定されて設けられ、前記シャフトを支持する固定ハウジングであれば足る。
また例えば、上述の実施形態において、固定ハウジング締結ボルト32は、2つ以上に分かれている固定ハウジング31を締結するボルトであり、固定ハウジング31を設置部材SMに固定するためにも用いられるとしたが、特にこれに限定されない。つまり、固定ハウジング31が2つ以上に分かれた構造となっていなければ、固定ハウジング締結ボルト32はピン状の構造を有し、曲線板21の動作の範囲を制限できればよい。また、例えば、固定ハウジング締結ボルト32は設置部材SMに固定ハウジング31を固定するためにも用いられたが、固定ハウジング31は他の方法によって固定されてもよい。
また例えば、上述の実施形態において、固定ハウジングローラ33は、固定ハウジング31に固定ハウジング締結ボルト32を介して取り付けられ、曲線板21と固定ハウジング締結ボルト32との抵抗を軽減するとしたが、特にこれに限定されない。つまり、固定ハウジングローラ33は、曲線板21と固定ハウジング31との抵抗を軽減できれば足る。即ち、固定ハウジングローラ33は、本実施形態ではローラとして滑り接触としたが、ベアリングとして転がり接触としても良く、更には固定ハウジングローラ33を用いず固定ハウジング締結ボルト32を単なるピンとして滑り接触としてもよい。
また例えば、上述の実施形態において、中空シャフト34は、中空構造を有しているため、センサケーブル36はこの中空内に配設することが可能になるとしたが、孔が開いた孔部であれば足る。つまり、中空シャフト34は、シャフト構造を有する必要はなく、後述するセンサケーブル36を通す事ができれば足る。また例えば、上述の実施形態において、1つの中空シャフト34を有するが、中空シャフト34(即ち孔部)の数は1つに限らない。即ち、例えば、サイクロイド減速機1は必要に応じて複数の孔部を有してもよい。更に言えば、中空シャフト34を使用する目的は、センサケーブル36を配設することに限定されない。即ち、例えば、潤滑油を刺すために用いたり、内部を点検するために用いたりしてもよい。
また例えば、上述の実施形態において、中空シャフト34は、固定ハウジング締結ボルト32及び固定ハウジングローラ33と略同一円周上に設けられるものとしたが、所定の設置部材SMに対して移動しない孔である孔部であれば足る。即ち、例えば、中空シャフト34が固定ハウジングローラ33よりも細い形状である場合、固定ハウジングローラ33と同一円周上ではなく、固定ハウジングローラ33と略同一の円周上に設けることも可能である。
また例えば、上述の実施形態において、中空シャフト34は固定ハウジングローラ33よりも細い形状としたが、これに限らない。即ち、例えば、中空シャフト34は固定ハウジング締結ボルトと略同一の太さとし、中空シャフト34と曲線板21との間に固定ハウジングローラ33を備えてもよい。
また例えば、前述のように中空シャフト34は孔があいた孔部であれば足り、更に、孔部は、図示はしないが中空構造をとる偏心シャフト11に設けられた孔部であれば足る。
ただし、サイクロイド減速機1に回転運動を入力する、即ち一定の剛性が必要である偏心シャフト11を中空構造とすることは、さらなるコストがかかる。従って、孔部は偏心シャフト11ではなく、外周に設けるのが好適である。
また例えば、上述の実施形態において、センサ35は、固定ハウジング31に固定された、出力軸の絶対角度を測定するためのセンサであり、例えば、磁気式のアブソリュートエンコーダを採用することができるとしたが、特にこれに限定されない。つまり、前記固定ハウジングに設けられたセンサであれば足る。即ち例えば、絶対角度を測定するセンサだけではなく、出力の変位を測定するセンサでもよく、更に言えば、角度センサに限らず、温度センサ等いかなるセンサでもよい。
また例えば、上述の実施形態において、ベアリング41は、ベアリング41Aと41Bの2つを有するものとしたが、特にこれに限定されない。つまり、ベアリング41の数はいくつでもよく、ベアリング41は固定ハウジング31と回転ハウジング51の間の抵抗を軽減し、支持できれば足る。即ち、例えば、構造を変更することで、1つのベアリング41のみを備える構造とすることもできる。
ただし、1つのベアリング41のみを備える構造とした場合、サイクロイド減速機1に対する例えば出力軸(本実施形態の例では回転ハウジング)を曲げようとする荷重、即ち所謂、モーメント荷重に対応するため、荷重に強いベアリングを採用することが好適である。荷重に強いベアリングとは、例えばクロスローラベアリング等である。
一方でクロスローラベアリングは、ボールベアリング等と比較して高価である。従って、例えば、ベアリングのコストを削減する場合、サイクロイド減速機1は2つ以上のベアリング41を備える構造とするのが好適である。
また例えば、上述の実施形態において、回転ハウジング51は、曲線板21の摺動に基づいて回転する、サイクロイド減速機1の出力軸たるハウジングであり、センサ用磁石55等が取り付けられているとしたが、特にこれに限定されない。つまり、前記固定ハウジングの外周に設けられ、前記シャフトの回転に基づいて回転する回転ハウジングであれば足る。
また例えば、上述の実施形態において、回転ハウジングローラ52は、回転ハウジング51に回転ハウジングローラピン53を介して取り付けられるローラであるとしたが、特にこれに限定されない。つまり、回転ハウジングローラ52は、曲線板21と回転ハウジングローラピン53との抵抗を軽減できれば足る。即ち、例えば、回転ハウジングローラ52は、本実施形態ではローラとして滑り接触としたが、ベアリングとして転がり接触としても良く、更には固定ハウジングローラ33を用いず回転ハウジングローラピン53を単なる回転ハウジング51に力を伝達するピンとして滑り接触としてもよい。
また例えば、上述の実施形態において、センサ用磁石55は、回転ハウジング51に固定された、センサ35に対応したセンサ用の磁石であり、例えば、磁気式のアブソリュートエンコーダに対応した磁石を採用することができるとしたが、前記回転ハウジングに設けられた前記センサに対応するセンサ用磁石であれば足る。
また、センサ用磁石55は、回転ハウジング51に固定された、センサ35に対応したセンサ用の磁石であり、例えば、磁気式のアブソリュートエンコーダに対応した磁石を採用することができる。固定ハウジング31に取り付けられているセンサ35である磁気式アブソリュートエンコーダは、センサ用磁石55の磁力を測定することで、回転ハウジングの角度を測定するものであってよい。ただし、センサ35はこれに限らない。即ち、例えば、絶対角度を測定するセンサだけではなく、出力の変位を測定するセンサでもよい。更に言えば、温度センサ等、いかなるセンサでもよい。また、センサ用磁石55が必要となるのはセンサ35が対応する磁石を要する場合であって、センサ35が磁石を要しない場合には、センサ用磁石55は不要であることは言うまでもない。
また例えば、上述の実施形態において、センサ35は、固定ハウジング31に固定され、センサ用磁石55は、回転ハウジング51に固定されるものとしたが、特にこれに限定されない。即ち、例えば、センサ35とセンサ用磁石55は、逆の位置に固定してもよい。つまり、減速機にセンサを設置する場合おいて、モータやセンサ35等を含む制御用の回路は設置部材SMにまとめて配置するのが好適であるが、これに限らない。例えば、モータとその制御用の回路は設置部材SMに固定し、出力軸側にセンサ35とその回路を固定するような構成としてもよい。
本明細書におけるモータとは、電気により回転運動を発生する電気モータに限らず、物を動かす事ができるものをいう。即ち例えば、流体の圧力や流れにより回転運動を発生する圧力モータでもよい。更に言えば、対象物に動きをあたえたり運動させたりするものであれば足る。即ち例えば、回転運動に限らず、直線運動等を発生するものでもよい。つまり、偏心シャフト11を回転することができれば、いかなるものであってもよい。
以上を換言すると、本発明が適用される減速機は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される減速機(例えば図1等のサイクロイド減速機1)は、
モータの出力がされる軸に接続して設けられ、前記出力を受け回転するシャフト(例えば図1等の偏心シャフト11)と、
所定の設置部材(例えば図1の設置部材SM)に固定されて設けられ、前記シャフトを支持する固定ハウジング(例えば図1等の固定ハウジング31)と、
前記固定ハウジングの外周に設けられ、前記シャフトの回転に基づいて回転する回転ハウジング(例えば図1等の回転ハウジング51)と、
を備える減速機であれば足りる。
これにより、例えば角度センサ等を備える場合には、従来の構造において角度センサを備える場合に必要な複雑な構造ではなく、単純な構造をとることができる。更に、例えば複数のベアリングを備える場合には、従来の構造においてベアリングを1つしか備えられない場合に採用する比較的高価な荷重に強いベアリングではなく、安価なボールベアリング等のベアリングを採用することができる。即ち、減速機は単純な構造を維持できるため、小型であり安価な製造コストを維持することができる。
さらに、前記固定ハウジングに設けられたセンサ(例えば図1等のセンサ35)、
をさらに備えることができる。
これにより、例えば固定ハウジングに設けられたセンサは、固定ハウジングの外周に設けられた回転シャフトの内部に設けられる。つまり、減速機はセンサを内蔵することができる。即ち、減速機は単純な構造と小型であり安価な製造コストを維持したまま、センサを内蔵することができる。
さらに、前記回転ハウジングに設けられた前記センサに対応するセンサ用磁石(例えば図1等のセンサ用磁石55)、
をさらに備えることができる。
これにより、例えばセンサが磁気式角度センサの場合には、磁気式角度センサに対応するセンサ用磁石を備える。つまり、減速機は、センサ用磁石を回転ハウジングの内側に備えることにより、角度を測定することができる。これにより、減速機はセンサとセンサ用磁石を内蔵することができる。即ち、減速機は単純な構造と小型であり安価な製造コストを維持したまま、センサとセンサ用磁石を内蔵することができる。
さらに、孔が開いた孔部(例えば図1の中空シャフト)、
を更に備え、
前記センサの線は前記孔部を通して設けることができる。
これにより、例えば孔部を固定ハウジングに設けセンサが有線式のセンサである場合には、センサの線は孔部に配設されることが可能になる。つまり、センサの線は孔部に配設されることで、固定された固定ハウジングから引き出すことができる。即ち、センサの線を回転しない設置部材から引き出すことができる。これにより、例えばスリップリング等の複雑な構成を用いずに、センサの線を引き出すことができる。即ち、減速機は単純な構造と小型であり安価な製造コストを維持したまま、有線式のセンサを内蔵することができる。
さらに、前記孔部は、前記シャフトの外周に設けられ、前記固定ハウジングに対して固定されることができる。
これにより、例えばモータの出力を受け回転するシャフトの外周部、即ち所定の設置部材に固定され動かない位置に孔部を備えることができる。孔部が固定ハウジングに固定されることで、センサの線は孔部を通し所定の設置部材から引き出されることができる。つまり、センサの線は、所定の設置部材に備えられたセンサを制御や測定するための電子回路等と接続されることができる。また、減速機の入力を行う即ち回転するシャフトの外周に位置するため、回転と干渉しない位置に孔部を設けることができる。この場合、例えば剛性が必要となる回転部に孔部を設ける場合に対して、比較的安価な加工とすることができる。即ち、減速機は単純な構造と小型であり安価な製造コストを維持したまま、有線式のセンサを内蔵し制御することができる。
さらに、前記孔部は、前記シャフトに設けられ、中空の前記シャフトとして設けられることができる。
これにより、例えばモータの出力を受け回転するシャフトに孔部を備えることができる。即ち所定の設置部材側のセンサの線は中空のシャフトを通して、所定の設置部材がある側に引き出すことができる。つまり、センサの線は、所定の設置部材側に備えられたセンサを制御や測定するための電子回路等と接続されることができる。即ち、減速機は単純な構造と小型であり安価な製造コストを維持したまま、有線式のセンサを内蔵し制御することができる。
さらに、前記センサは、磁気式アブソリュートエンコーダであり、
前記センサ用磁石は、磁気式アブソリュートエンコーダ用磁石であることができる。
これにより、例えば角度を測定するセンサとセンサに対応した磁石に磁気式アブソリュートエンコーダの一式を採用することができる。つまり、1つの磁気式センサにより出力軸の絶対角度を測定することが可能となる。更に、この場合、例えば出力軸の絶対角度を測定するために、入力であるモータの軸にインクリメンタルエンコーダを備えることで回転の回数を測定し、更に出力軸側等にフォトインタラプタを備えることで角度の原点を測定する場合に対して、比較的安価な加工とすることができる。即ち、減速機は単純な構造と小型であり安価な製造コストを維持したまま、出力軸の絶対角度測定することができる。
さらに、前記回転ハウジングは、複数のベアリングを介して前記固定ハウジングにより支持されることができる。
これにより、例えばベアリングとして、従来の構造においてベアリングを1つしか備えられない場合に採用する比較的高価な荷重に強いベアリングではなく、安価なボールベアリング等を採用することができる。即ち、減速機は単純な構造と小型であり安価な製造コストを維持することができる。
1・・・サイクロイド減速機、11・・・偏心シャフト、12・・・偏心シャフトベアリング、21・・・曲線板21、31・・・固定ハウジング、32・・・固定ハウジング締結ボルト、33・・・固定ハウジングローラ、34・・・中空シャフト、35・・・センサ、36・・・センサケーブル、41・・・ベアリング、51・・・回転ハウジング、52・・・回転ハウジングローラ、53・・・回転ハウジングローラピン、54・・・回転ハウジング締結ボルト、55・・・センサ用磁石

Claims (8)

  1. モータの出力がされる軸に接続して設けられ、前記出力を受け回転するシャフトと、
    所定の設置部材に固定されて設けられ、前記シャフトを支持する固定ハウジングと、
    前記固定ハウジングの外周に設けられ、前記シャフトの回転に基づいて回転する回転ハウジングと、
    を備える減速機。
  2. 前記固定ハウジングに設けられたセンサ、
    を更に備える請求項1に記載の減速機。
  3. 前記回転ハウジングに設けられた前記センサに対応するセンサ用磁石、
    を更に備える請求項2に記載の減速機。
  4. 孔が開いた孔部、
    を更に備え、
    前記センサの線は前記孔部を通して設けられた、
    請求項3に記載の減速機。
  5. 前記孔部は、前記シャフトの外周に設けられ、前記固定ハウジングに対して固定された、
    請求項4に記載の減速機。
  6. 前記孔部は、前記シャフトに設けられ、中空の前記シャフトとして設けられた、
    請求項4に記載の減速機。
  7. 前記センサは、磁気式アブソリュートエンコーダであり、
    前記センサ用磁石は、磁気式アブソリュートエンコーダ用磁石である、
    請求項3乃至6の何れか1項に記載の減速機。
  8. 前記回転ハウジングは、複数のベアリングを介して前記固定ハウジングにより支持される、
    請求項1乃至6の何れか1項に記載の減速機。
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