以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1乃至図12は本発明の一実施の形態を示す図である。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
包材の構成
まず、図1および図2により、本実施の形態による印刷装置により印刷が施される包装袋を含む包材の概要について説明する。
図1に示す包材10は、フィルム状の部材の内面同士を部分的に接合することによって形成されたものであり、印刷が施される表面11と、表面11の反対側に位置する裏面12とを含んでいる。また、このような包材10は、それぞれ内容物が充填された際に製品として出荷される、互いに連結された複数の包装袋10Aを含んでいる。
図1に示すように、各々の包装袋10Aは、それぞれ第1端部13と、第1端部13と第1方向D1において対向する第2端部14と、第1端部13から第2端部14まで第1方向D1に沿って延びる一対の側端部15a、15bと、を備えている。図1に示す例において、第1端部13及び第2端部14は、第1方向D1に直交する第2方向D2に延びており、包装袋10Aは、それぞれ矩形状の外形を有している。
包装袋10Aにおいて、表面11と裏面12とは、フィルム状の部材同士を接合するシール部において接着されている。シール部は、第1端部13に位置する第1端部シール部131と、第2端部14に位置する第2端部シール部141と、一対の側端部15a、15bに位置する側端部シール部151とを有している。なお、フィルム状の部材同士を接合して包装袋10Aを封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱などによってフィルム状の部材の一部を溶融させて、フィルム状の部材同士を溶着させることによって、シール部を形成してもよい。この際、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
また、包装袋10Aの表面11のうち、第1端部13と、一対の側端部15a、15bのうち一方の側端部15aとによって画定される角部に、包装袋10A内に内容物を充填し、充填された内容物を注出する注出口16が設けられている。この注出口16には、例えば打栓によって蓋材17が取り付けられている。また、注出口16は、表面11から外方に突出している。なお、図示はしないが、注出口16には、後述する充填装置110の注出口ホルダ114との係合を容易にするサポートリングが設けられていても良い。また、互いに連結された包装袋10A間には、各々の包装袋10Aを包装袋10A毎に分離するための易破断線18が設けられている。この易破断線18は、ミシン目や切れ目線等から構成されていても良い。
図1に示す包装袋10Aは、例えば牛乳、乳製品、油脂、出汁、液体調味料、水、洗剤などの流動性を有する内容物を封入する際に好適に使用することができる。
また、このような包材10は、注出口16が突出しているため、円筒状のロールに巻き付けることは難しい。このため、包材10は、図2に示すように、各々の包装袋10Aが折り畳まれた状態で保管されている。この場合、各々の包装袋10Aは、例えば第1方向D1および第2方向D2に沿って、注出口16同士が重ならないように、多列および多段に積み重ねられている。すなわち、第1方向D1に沿って、n枚の包装袋10Aが積み重ねられることにより包装袋10Aの列が形成されており、第2方向D2に沿って包装袋10Aの複数の列が積み重ねられている。この場合、一の列において、各々の包装袋10Aは、それぞれの表面11同士が対向するように折り畳まれている。また、包装袋10Aのうち、第1方向D1の第1側s1から1枚目(包装袋10A1)からn−1枚目(包装袋10A2)までの包装袋10Aにおいては、側端部15aの一部分同士がそれぞれ重なり合うように折り畳まれるとともに、側端部15b(図1参照)の一部分同士がそれぞれ重なり合うように折り畳まれている。一方、第1方向D1の第1側s1からn枚目の包装袋10A3においては、折り畳まれた部分の側端部15a、15bが、第1方向D1から傾斜する方向に延びるように折り畳まれている。また、包装袋10Aのうち、包装袋10A3に連結する包装袋10A4は、包装袋10A4の注出口16が、第2方向D2において、上述した包装袋10A1の注出口16に隣接するように配置されている。そして、包装袋10A4上に、上述した一の列と同様に、第1方向D1に沿って複数の包装袋10Aが積み重ねられている。このようにして、複数の包装袋10Aが、第1方向D1および第2方向D2に沿って、多列および多段に積み重ねられている。なお、第1方向D1に沿って積み重ねられる包装袋10Aの枚数は、例えば6枚以上8枚以下としても良い。
印刷装置の構成
次に、図3乃至図5により、本実施の形態による印刷装置の概要について説明する。この印刷装置20は、上述した包装袋10Aに対して印刷を施すものである。なお、本明細書中、X方向とは、後述する搬送部40において包材10(包装袋10A)が搬送される方向(搬送方向)をいい、Y方向とは、後述する搬送部40における包材10の幅方向をいい、X方向とY方向とは互いに直交している。また、Z方向は、X方向及びY方向の両方に対して垂直な方向(上下方向)である。
図3に示すように、印刷装置20は、包装袋10Aを供給する供給ユニット30と、包装袋10AをX方向(搬送方向)に沿って搬送する搬送部40と、搬送部40によって搬送された包装袋10Aに対して印刷を施す印刷ユニット50と、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向マイナス側(搬送方向上流側)を挟持する第1挟持部60と、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向プラス側(搬送方向下流側)を挟持する第2挟持部70とを備えている。また、印刷装置20は、Y方向(搬送方向に直交する方向)において、印刷ユニット50の外側を挟持する一対の第3挟持部80を備えている。
このうち、供給ユニット30は、搬送部40のZ方向マイナス側に設けられ、包装袋10Aを収容する包材収容部31と、包材収容部31から繰り出された包装袋10Aを搬送部40に案内するガイドローラ32とを有している。包材収容部31は、例えば段ボール箱から構成されており、1つの包材収容部31につき、約150枚程度の包装袋10Aが連結された包材10を収容することができるように構成されている。
ガイドローラ32は、回転自在に構成されており、搬送部40の後述する搬送プレート41に近接して配置されている。また、このガイドローラ32の近傍には、包装袋10Aの搬送速度を調整可能なブレーキローラ33が設けられており、後述する搬送機構により搬送される包装袋10AがX方向プラス側に移動し過ぎることを抑制している。
搬送部40は、包装袋10Aが載置される搬送プレート41と、搬送プレート41上に設けられ、包装袋10Aの注出口16の移動を案内する注出口ガイド42とを有している。搬送プレート41は、平坦な表面(搬送面)41a(図4参照)を有する金属板等によって構成されており、搬送プレート41には、上述した第1挟持部60、第2挟持部70および一対の第3挟持部80が内部に配置される開口部43(図4および図5参照)が形成されている。
また、注出口ガイド42は、X方向に沿って延びる一対の金属板から構成されており、注出口16が注出口ガイド42内を通過することにより、包装袋10AがX方向に沿って移動するように構成されている。また、注出口ガイド42により、包装袋10AがY方向に位置決めされている。さらに、注出口ガイド42のX方向マイナス側の端部における幅(Y方向に沿った長さ)は、X方向プラス側の端部における幅よりも大きくなっており、包装袋10Aの注出口16が、注出口ガイド42に容易に案内されるようになっている。
印刷ユニット50は、上述したように、包装袋10Aに対して印刷を施すものであり、例えば、サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ等によって構成されている。この印刷ユニット50は、図示しない制御装置に接続されており、搬送プレート41上を搬送されてきた包装袋10Aの所定のタイミングで印刷を施すようになっている。
次に、図3乃至図5により、第1挟持部60、第2挟持部70および一対の第3挟持部80について説明する。
図3および図4に示すように、第1挟持部60は、包装袋10Aの表面11に接触する第1上部接触部材61と、包装袋10Aの裏面12に接触する第1下部接触部材62とを含んでいる。これらの第1上部接触部材61および第1下部接触部材62の材料としては、例えばウレタンゴム、天然ゴムなどの弾性力のある樹脂を挙げることができる。また、図4に示すように、第1上部接触部材61は、シリンダ機構63が接続された第1上部支持部材64に取り付けられている。このシリンダ機構63によって第1上部支持部材64を昇降させることにより、第1上部接触部材61がZ方向に移動し、包装袋10Aの表面11に接触できるように構成されている。一方、第1下部接触部材62は、第1下部支持部材65に取り付けられており、この第1下部支持部材65は、Z方向に移動しないように構成されている。また、第1下部接触部材62の上面62aは、搬送プレート41の搬送面41aと略同一平面上に位置しており、搬送プレート41の搬送面41a上を移動する包装袋10Aと、第1下部接触部材62とが干渉しないようになっている。
このような第1挟持部60は、X方向に沿って移動しないように構成されており、第1挟持部60が印刷ユニット50から所定の位置において包装袋10Aを挟持するようになっている。この第1挟持部60は、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、X方向に20mm以上50mm以下離れた領域を挟持することが好ましい。すなわち、図4に示すように、印刷ユニット50の外縁50aから、第1上部接触部材61の外縁61aおよび第1下部接触部材62の外縁62bまでの距離d1が、20mm以上50mm以下であることが好ましい。第1挟持部60が、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、X方向に20mm以上離れた領域を挟持することにより、第1挟持部60と、印刷ユニット50とが干渉する不具合を抑制することができる。また、第1挟持部60が、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、X方向に50mm以下離れた領域を挟持することにより、包装袋10Aのうち、印刷ユニットによって印刷が施される領域に対して、X方向に沿って張力を効果的に作用させることができ、包装袋10Aのシワを効果的に取り除くことができる。
第2挟持部70は、包装袋10Aの表面11に接触する第2上部接触部材71と、包装袋10Aの裏面12に接触する第2下部接触部材72とを含んでいる。これらの第2上部接触部材71および第2下部接触部材72の材料としては、例えばウレタンゴム、天然ゴムなどの弾性力のある樹脂を挙げることができる。また、図4に示すように、第2上部接触部材71は、シリンダ機構73が接続された第2上部支持部材74に取り付けられている。このシリンダ機構73によって第2上部支持部材74を昇降させることにより、第2上部接触部材71がZ方向に移動し、包装袋10Aの表面11に接触できるように構成されている。一方、第2下部接触部材72は、第2下部支持部材75に取り付けられており、この第2下部支持部材75は、Z方向に移動しないように構成されている。また、第2下部接触部材72の上面72aは、搬送プレート41の搬送面41aと略同一平面上に位置しており、搬送プレート41の搬送面41a上を移動する包装袋10Aと、第2下部接触部材72とが干渉しないようになっている。
このような第2挟持部70は、X方向に沿って移動可能になっている。すなわち、第2上部支持部材74および第2下部支持部材75には、それぞれシリンダ機構76、77が接続されており、このシリンダ機構76、77によって第2上部支持部材74および第2下部支持部材75をX方向に移動させることにより、第2上部接触部材71および第2下部接触部材72がX方向に移動できるように構成されている。この第2挟持部70は、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、搬送方向に20mm以上50mm以下離れた領域を挟持することが好ましい。すなわち、図4に示すように、印刷ユニット50の外縁50aから、第2上部接触部材71の外縁71aおよび第2下部接触部材72の外縁72bまでの距離d2が、20mm以上50mm以下であることが好ましい。第2挟持部70が、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、X方向に20mm以上離れた領域を挟持することにより、第2挟持部70と、印刷ユニット50とが干渉する不具合を抑制することができる。また、第2挟持部70が、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、X方向に50mm以下離れた領域を挟持することにより、包装袋10Aのうち、印刷ユニットによって印刷が施される領域に対して、X方向に沿って張力を効果的に作用させることができ、包装袋10Aのシワを効果的に取り除くことができる。なお、第2上部支持部材74および第2下部支持部材75のX方向に沿った移動距離は、例えばそれぞれ5mm以上20mm以下とすることができる。
図3および図5に示すように、一対の第3挟持部80は、それぞれ包装袋10Aの表面11に接触する第3上部接触部材81と、それぞれ包装袋10Aの裏面12に接触する第3下部接触部材82とを含んでいる。これらの第3上部接触部材81および第3下部接触部材82の材料としては、例えばウレタンゴム、天然ゴムなどの弾性力のある樹脂を挙げることができる。また、各々の第3上部接触部材81は、それぞれシリンダ機構83が接続された第3上部支持部材84に取り付けられている。このシリンダ機構83によって第3上部支持部材84を昇降させることにより、第3上部接触部材81がZ方向に移動し、包装袋10Aの表面11に接触できるように構成されている。一方、各々の第3下部接触部材82は、それぞれ第3下部支持部材85に取り付けられており、これらの第3下部支持部材85は、Z方向に移動しないように構成されている。また、各々の第3下部接触部材82の上面82aは、搬送プレート41の搬送面41aと略同一平面上に位置しており、搬送プレート41の搬送面41a上を移動する包装袋10Aと、第3下部接触部材82とが干渉しないようになっている。
また、一対の第3挟持部80は、Y方向に沿って移動可能になっている。すなわち、第3上部支持部材84および第3下部支持部材85には、それぞれシリンダ機構86、87が接続されており、このシリンダ機構86、87によって第3上部支持部材84および第3下部支持部材85をY方向に移動させることにより、第3上部接触部材81および第3下部接触部材82がY方向に移動できるように構成されている。この一対の第3挟持部80が包装袋10Aを挟持する位置については、包装袋10Aに対して張力を作用させることができれば特に限定はされず、例えば、それぞれ印刷ユニット50から、Y方向に120mm以上170mm以下離れた領域を挟持するようになっていても良い。なお、第3上部支持部材84および第3下部支持部材85のY方向に沿った移動距離は、それぞれ例えば5mm以上20mm以下とすることができる。なお、一対の第3挟持部80は、必ずしも設けられていなくても良い。
また、これらの第1挟持部60、第2挟持部70および一対の第3挟持部80が包装袋10Aを挟持する際に、包装袋10Aに対して作用する挟持力は、それぞれ100N以上200N以下程度であることが好ましい。当該挟持力を100N以上とすることにより、第2挟持部70および一対の第3挟持部80が移動した際に、第1挟持部60、第2挟持部70および第3挟持部80と、包装袋10Aとの間で滑りが発生することを抑制し、包装袋10Aに対して張力を効果的に作用させることができる。また、当該挟持力を200N以下とすることにより、第2挟持部70および一対の第3挟持部80が移動した際に、包装袋10Aに張力が作用しすぎることを抑制することができ、包装袋10Aが損傷を受ける不具合を抑制することができる。
また、第2下部接触部材72の硬度は、第1上部接触部材61、第1下部接触部材62、第3上部接触部材81および第3下部接触部材82の硬度よりも高くなっている。これにより、第2挟持部70が包装袋10AをX方向プラス側に引っ張りすぎることを抑制することができる。この場合、JIS K6253−3:2012に準拠する測定方法により測定される、第2下部接触部材72のタイプAデュロメーター硬度は、70以上80以下とすることができる。第2下部接触部材72のタイプAデュロメーター硬度を70以上とすることにより、第2挟持部70の摩擦係数が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、第2挟持部70が、包装袋10Aを挟持して引っ張った際に、包装袋10Aに張力が作用し過ぎることを抑制することができ、包装袋10Aが損傷を受ける不具合を抑制することができる。また、第2下部接触部材72のタイプAデュロメーター硬度を80以下とすることにより、第2挟持部70の摩擦係数が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、第2挟持部70が包装袋10Aを挟持して引っ張った際に、包装袋10Aに張力を効果的に作用させることができる。なお、第1上部接触部材61、第1下部接触部材62、第3上部接触部材81および第3下部接触部材82のタイプデュロメーター硬度は、例えば50以上70以下とすることができる。なお、デュロメーター硬度は、硬度計(例えば、テクロック社製IRHD硬度計)によって測定することができる。
印刷充填装置の構成
次に、図3により、本実施の形態による印刷充填装置の概略について説明する。この印刷充填装置100は、包装袋10Aに対して印刷を施すとともに、包装袋10Aに対して内容物を充填するものである。
図3に示すように、印刷充填装置100は、上述した印刷装置20と、印刷装置20のX方向プラス側に設けられ、印刷が施された包装袋10Aに対して内容物を充填する充填装置110と、内容物が充填された包装袋10Aを搬出する搬出ライン120とを備えている。
充填装置110は、平坦な表面を有し、印刷が施された包装袋10Aが載置される搬送プレート111と、包装袋10Aに充填される内容物が保管されるタンク112と、タンク112から内容物を包装袋10A内に充填するノズル113と、ノズル113の下方に設けられるとともに、開閉自在に構成され、包装袋10Aの注出口16を保持する注出口ホルダ114とを有している。この充填装置110は、図示しない制御装置に接続されており、所望のタイミングで包装袋10A内に内容物を充填するとともに、注出口ホルダ114を開閉するようになっている。なお、注出口ホルダ114が包装袋10Aの注出口16を保持することにより、包装袋10Aの充填装置110に対する位置決めが行われる。
また、充填装置110は、包装袋10AをX方向に搬送する搬送機構115を有し、搬送機構115は、包装袋10Aを間欠的に搬送する。この場合、上述した印刷装置20は、包装袋10Aが停止している間に、包装袋10Aに対して印刷を施すようになっている。本実施の形態においては、搬送機構115は、上述した注出口ホルダ114によって構成されている。すなわち、注出口ホルダ114を開状態にすることにより、内容物が充填された包装袋10Aが自重によって移動する。これにより、包装袋10Aが互いに連結された包材10が搬送方向に沿って移動する。一方、注出口ホルダ114を閉状態にすることにより、包装袋10Aの注出口16が注出口ホルダ114によって保持され、包装袋10Aの搬送方向に沿った移動が抑制される。
また、図示はしないが、充填装置110には、包装袋10Aの注出口16から蓋材17を取り外すとともに、内容物が充填された包装袋10Aの注出口16に蓋材17を取り付けるためのキャップ開閉部が設けられている。
搬出ライン120は、水平面に対して傾斜した傾斜部121と、傾斜部121の下流側に設けられた水平部122とを有している。傾斜部121は、回転自在に構成された複数のフリーローラにより構成されており、内容物が充填された包装袋10Aが、自重により傾斜部121を滑り落ちることが可能に構成されている。この傾斜部121の途中には、包材10を包装袋10A毎に切断する切断機構123が設けられている。この切断機構123は、包材10の易破断線18(図1参照)を破断させることができるものであれば特に限定はされず、例えばZ方向に移動可能に構成された金属板から構成されていても良い。また、傾斜部121のうち、切断機構123の下流側には、傾斜部121を滑り落ちた包装袋10Aを支持する支持板124が設けられている。この支持板124は、Z方向に移動可能に構成されている。水平部122は、傾斜部121を滑り落ちた包装袋10Aを次工程に搬出するものであり、例えば、ベルトコンベアによって構成されていても良い。
また、印刷充填装置100は、印刷装置20と充填装置110との間に、包装袋10Aに施された印刷を検査する検査部130を備えている。この検査部130は、図示はしないが、例えば、包装袋10Aを撮像することにより包装袋10Aの画像を取得するカメラと、カメラに接続された画像処理装置とを有していても良い。また、検査部130の近傍に、上述した印刷装置20において説明した第1挟持部60、第2挟持部70および一対の第3挟持部80のような挟持部を設けても良い。この場合、検査部130によって、包装袋10Aに施された印刷を検査する際に、包装袋10Aのシワを取り除くことができ、検査精度を向上させることができる。
印刷方法
次に、このような構成からなる本実施の形態における作用について説明する。ここでは、図3乃至図5に示す印刷装置を用いた印刷方法および印刷充填装置を用いた印刷充填方法について図6、図7(a)−(e)、図8(a)−(e)、図9(a)−(b)、図10(a)−(b)、図11(a)−(b)および図12により説明する。
まず、作業者が包装袋10Aを供給する(図6の符号S1)。この際、まず、供給ユニット30の包材収容部31に収容された包材10を準備する。次いで、作業者が供給ユニット30の包材収容部31に収容された包材10を手動で搬送部40に供給する。この包材10は、複数の包装袋10Aが連結された状態で供給される。
次に、作業者が包装袋10Aを搬送する(図6の符号S2)。この場合においても、作業者が手動で包装袋10Aを搬送する。この際、包装袋10Aは、搬送部40の搬送プレート41上において、X方向に沿って搬送される。また、この際、包装袋10Aは、包装袋10Aの注出口16が、搬送部40の注出口ガイド42内に配置されるように搬送される。これにより、後述するように、包装袋10Aを自動で搬送する際に、包装袋10AがX方向に沿って搬送されるようにすることができる。
次いで、第1挟持部60によって、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向マイナス側を挟持するとともに、第2挟持部70によって、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向プラス側を挟持する(図6の符号S3)。この際、まず、図7(a)および図8(a)に示すように、包装袋10Aを所定の位置に配置する。次に、シリンダ機構63、73を駆動する。これにより、図7(b)に示すように、第1上部支持部材64および第2上部支持部材74がZ方向マイナス側に移動し、第1上部接触部材61および第2上部接触部材71が、それぞれ包装袋10Aの表面11に接触する。また、シリンダ機構63、73を駆動すると同時に、シリンダ機構83を駆動する。これにより、図8(b)に示すように、一対の第3上部支持部材84がそれぞれZ方向マイナス側に移動し、一対の第3上部接触部材81が、それぞれ包装袋10Aの表面11に接触する。
このようにして、第1挟持部60の第1上部接触部材61および第1下部接触部材62によって、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向マイナス側が挟持され、第2挟持部70の第2上部接触部材71および第2下部接触部材72によって、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向プラス側が挟持される。この際、第1挟持部60および第2挟持部70は、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、X方向に20mm以上50mm以下離れた領域を挟持する。また、一対の第3挟持部80の第3上部接触部材81および第3下部接触部材82によって、Y方向において、包装袋10Aのうち印刷ユニット50の外側が、それぞれ挟持される。この際、第3挟持部80は、包装袋10Aのうち、印刷ユニット50から、Y方向に120mm以上170mm以下離れた領域を挟持する。
次に、包装袋10Aを挟持した第2挟持部70をX方向に沿って移動させることにより、包装袋10Aを引っ張る(図6の符号S4)。この際、シリンダ機構76、77を駆動する。これにより、図7(c)に示すように、第2上部支持部材74および第2下部支持部材75がX方向プラス側に移動する。このため、第2上部接触部材71および第2下部接触部材72が包装袋10Aを挟持した状態で、X方向プラス側に移動する。また、この際、第1挟持部60は、X方向に沿って移動しない。このため、第2挟持部70の移動により、第2挟持部70が包装袋10AをX方向プラス側に引っ張ることができる。
また、第2挟持部70をX方向に沿って移動させることと並行して、包装袋10Aを挟持した一対の第3挟持部80を、互いに離間するようにY方向に沿って移動させる。この際、シリンダ機構86、87を駆動する。これにより、図8(c)に示すように、一対の第3上部支持部材84および一対の第3下部支持部材85がそれぞれY方向に移動する。このため、一対の第3上部接触部材81および第3下部接触部材82が包装袋10Aをそれぞれ挟持した状態で、X方向プラス側に移動する。このようにして、包装袋10AがY方向に引っ張られる。この結果、第1挟持部60、第2挟持部70および一対の第3挟持部80によって、包装袋10AをX方向およびY方向に引っ張ることができる。このため、包装袋10Aの面方向に略均一に張力を作用させることができ、包装袋10Aに発生していたシワをより効果的に取り除くことができる。
ここで、第2下部接触部材72の硬度は、第1上部接触部材61、第1下部接触部材62、第3上部接触部材81および第3下部接触部材82の硬度よりも高くなっている。これにより、第2挟持部70が包装袋10AをX方向プラス側に引っ張り過ぎることを抑制することができる。このため、第2挟持部70が、包装袋10Aを挟持して引っ張った際に、包装袋10Aに張力が作用し過ぎることを抑制することができ、包装袋10Aが損傷を受ける不具合を抑制することができる。
次に、第2挟持部70および第3挟持部80によって引っ張られた状態の包装袋10Aに対して、印刷ユニット50を用いて印刷を施す(図6の符号S5)。このとき、印刷ユニット50が下降し、印刷ユニット50の図示しない印刷ヘッドが包装袋10Aの表面11に接触する。この状態で包装袋10Aに印刷が施され、包装袋10Aの表面11に文字や絵柄等が表示される。ところで、図2を用いて説明したように、包材10は、複数の包装袋10Aが第1方向D1および第2方向D2に沿って多段および多列に積み重ねられて保管されている。このため、各包装袋10Aには、様々な形状のシワが発生する可能性がある。これに対して、本実施の形態においては、第2挟持部70および第3挟持部80によって引っ張られた状態の包装袋10Aに対して印刷を施すため、包装袋10Aにシワが発生していた場合であっても、包装袋10Aのシワを取り除いた状態で、包装袋10Aに対して印刷を施すことができる。このため、包装袋10Aに施された印刷が擦れる不具合を抑制することができる。
次いで、シリンダ機構63、73を駆動する。これにより、図7(d)に示すように、第1上部支持部材64および第2上部支持部材74がZ方向プラス側に移動し、第1上部接触部材61および第2上部接触部材71が、それぞれ包装袋10Aの表面11から離間する。また、シリンダ機構63、73を駆動すると同時に、シリンダ機構83を駆動する。これにより、図8(d)に示すように、一対の第3上部支持部材84がそれぞれZ方向プラス側に移動し、一対の第3上部接触部材81が、それぞれ包装袋10Aの表面11から離間する。
次に、第2挟持部70をX方向マイナス側に移動させる(図6の符号S)。この際、シリンダ機構76、77を駆動する。これにより、図7(e)に示すように、第2上部支持部材74および第2下部支持部材75がX方向マイナス側に移動する。このようにして、第2挟持部70がX方向における所望の位置に到達するまで、第2挟持部70をX方向マイナス側へ移動させる。
また、第2挟持部70をX方向マイナス側に移動させることと並行して、一対の第3挟持部80を、互いに近づくようにY方向に沿って移動させる。この際、シリンダ機構86、87を駆動する。これにより、図8(e)に示すように、一対の第3上部支持部材84および一対の第3下部支持部材85がそれぞれY方向に移動する。このようにして、一対の第3挟持部80がY方向おける所望の位置に到達するまで、一対の第3挟持部80を互いに近づくようにY方向へ移動させる。
次いで、検査部130により、包装袋10Aに施された印刷を検査する(図6の符号S6)。この際、印刷が施された包装袋10Aが、検査部130へと搬送され、印刷が適正か否かが判断される。なお、図示はしないが、包装袋10Aに施された印刷が不適正であった場合、当該印刷が施された包装袋10Aは、内容物が充填されることなく排斥されるように構成されていても良い。
次に、充填装置110により、包装袋10Aに内容物を充填する(図6の符号S7)。この際、まず、包装袋10Aが充填装置110へと搬送され、包装袋10Aの注出口16が充填装置110の注出口ホルダ114によって保持される。これにより、包装袋10AのX方向プラス側への移動が抑制されるとともに、充填装置110に対する位置決めが行われる。また、この場合、図9(a)に示すように、注出口ホルダ114によって注出口16が保持された包装袋10Aのうち、注出口16よりも下流側の部分は、搬出ライン120の傾斜部121上に位置するように停止する。
次いで、包装袋10Aに内容物が充填される。この際、まず、図示しないキャップ開閉部により、包装袋10Aの注出口16から蓋材17が取り外される。次に、図9(b)に示すように、充填装置110のノズル113から内容物が包装袋10A内に充填される。その後、注出口16に蓋材17が取り付けられる。
包装袋10A内に内容物が充填された後、充填装置110の注出口ホルダ114が閉状態から開状態にされる。この際、内容物が充填された包装袋10Aは、図10(a)に示すように、内容物の自重により、搬出ライン120の傾斜部121を滑り落ちる。ここで、上述したように、包材10は、複数の包装袋10Aが連結されて構成されている。このため、内容物が充填された包装袋10Aの上流側に位置する複数の包装袋10Aは、内容物が充填された包装袋10Aの移動に伴って、それぞれが下流側に移動する。このように、充填装置110の注出口ホルダ114が、搬送機構115の役割を果たしている。
一方、充填装置110の注出口ホルダ114は、開状態にされた後、内容物が充填された包装袋10Aに隣接する包装袋10Aの注出口16を保持するために、閉状態にされる。この場合、注出口ホルダ114は、内容物が充填された包装袋10Aの注出口16が注出口ホルダ114を通過した後、直ちに開状態から閉状態にされても良い。そして、図10(b)に示すように、内容物が充填された包装袋10Aに隣接する包装袋10Aの注出口16が注出口ホルダ114に保持されることにより、内容物が充填された包装袋10Aは、搬出ライン120の傾斜部121上において停止する。このため、内容物が充填された包装袋10Aは、搬出ライン120の傾斜部121の所定の位置に配置される。また、内容物が充填された包装袋10Aの移動が停止することにより、内容物が充填された包装袋10Aの上流側に位置する複数の包装袋10Aの移動も停止し、包材10の移動が停止する。なお、上述した包材10の供給工程および搬送工程を自動で行う場合には、一の包装袋10Aの注出口16が注出口ホルダ114に保持され、包材10の移動が停止している間に、当該一の包装袋10Aの上流側に位置する包装袋10Aに対して印刷を施すようにしても良い。
次に、図11(a)に示すように、搬出ライン120の傾斜部121に設けられた切断機構123がZ方向マイナス側へと移動し、包材10の易破断線18(図1参照)を破断する。これにより、内容物が充填された包装袋10Aは、他の包装袋10Aから分離して、傾斜部121を滑り落ち、切断機構123の下流側に設けられた支持板124に当接する。
次いで、図11(b)に示すように、切断機構123がZ方向プラス側へと移動する。
その後、図12に示すように、支持板124がZ方向プラス側へと移動することにより、内容物が充填された包装袋10Aが、搬出ライン120の傾斜部121を更に滑り落ち、搬出ライン120の水平部122に到達する。そして、当該包装袋10Aは、水平部122により、次工程に搬送される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、包装袋10Aに対して印刷を施す印刷ユニット50と、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向マイナス側を挟持する第1挟持部60と、包装袋10Aのうち印刷ユニット50のX方向プラス側を挟持する第2挟持部70とを備え、第2挟持部70が、X方向に沿って移動可能である。これにより、包装袋10Aを挟持した第2挟持部70がX方向プラス側に移動することにより、包装袋10Aに対して張力を作用させることができる。このため、包装袋10Aにシワが発生していた場合であっても、シワを取り除くことができる。この結果、包装袋10Aに施された印刷が擦れる不具合を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、Y方向において、印刷ユニット50の外側を挟持する一対の第3挟持部80を更に備え、一対の第3挟持部80が、それぞれY方向に沿って移動可能である。これにより、包装袋10Aの面方向に略均一に張力を作用させることができ、包装袋10Aに発生していたシワをより効果的に取り除くことができる。
また、本実施の形態によれば、第2下部接触部材72の硬度が、第1上部接触部材61、第1下部接触部材62、第3上部接触部材81および第3下部接触部材82の硬度よりも高くなっている。これにより、第2挟持部70が包装袋10AをX方向プラス側に引っ張りすぎることを抑制することができる。このため、第2挟持部70が、包装袋10Aを挟持して引っ張った際に、包装袋10Aに張力が作用し過ぎることを抑制することができ、包装袋10Aが損傷を受ける不具合を抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、搬送機構115が、内容物が充填された包装袋10Aおよび充填装置110の注出口ホルダ114により構成されている例について説明したが、これに限られない。例えば、包装袋10Aを搬送する駆動コンベアを設けても良く、作業者が手動で包装袋10Aを搬送し続けても良い。
また、上述した本実施の形態においては、充填が施されるまでは作業者が手動で包装袋10Aを搬送していた例について説明したが、これに限られない。この場合においても、例えば、包装袋10Aを搬送する駆動コンベアを設けても良い。
次に本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例)
まず、図3乃至図5に示す構成からなる印刷装置20により、包装袋10Aに対して印刷を施した。
この場合、包装袋10Aとしては、450mm×500mmのサイズの包装袋10Aを使用した。
また、第1挟持部60および第2挟持部70は、印刷ユニット50から、X方向に20mm離れた領域を挟持した。さらに、一対の第3挟持部80は、印刷ユニット50から、Y方向に150mm離れた領域を挟持した。この際、第1上部接触部材61、第1下部接触部材62、第2上部接触部材71、第3上部接触部材81および第3下部接触部材82のタイプAデュロメーター硬度は、50であった。また、第2下部接触部材72のタイプAデュロメーター硬度は、70であった。
さらに、第1挟持部60、第2挟持部70および一対の第3挟持部80が包装袋10Aを挟持する際の挟持力は、150Nとした。
そして、1万袋の包装袋10Aに対して印刷を施し、印刷の掠れの発生を観察し、印刷の掠れが発生していた包装袋10Aを不良品として個数を計測した(表1)。
(比較例)
他方、比較例として、第1挟持部、第2挟持部および一対の第3挟持部を使用しなかったこと、以外は、上述した実施例と同様にして、包装袋10Aに対して印刷を施した。そして、上述した実施例と同様に、印刷の掠れの発生を観察し、印刷の掠れが発生していた包装袋を不良品として個数を計測した(表1)。
表1に示すように、比較例においては、印刷を施した1万袋の包装袋に対して、印刷に掠れが発生した不良品の個数が784袋あり、約7.8%の不良品が発生していた。一方、実施例においては、印刷を施した1万袋の包装袋に対して、印刷に掠れが発生した不良品の個数が18袋であり、不良品の比率が約0.2%まで低下した。
このように、実施例による印刷装置20は、比較例による印刷装置と比べて、印刷の掠れの発生を抑制することができた。このため、包装袋10Aにシワが発生している場合であっても、印刷の擦れを抑制することができると考えられる。
上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。