JP2019214032A - 浄水フィルター用混抄シート及び浄水フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高空間速度条件下において、遊離残留塩素ろ過能力が高く、しかも通水圧力損失が抑制された浄水フィルターとして使用可能な浄水フィルター用シートを提供することである。【解決手段】浄水フィルターに使用される混抄シートであって、前記混抄シートが、繊維状活性炭及び熱融着性繊維を含有し、前記混抄シートの比表面積が1700〜3000m2/gであり、前記混抄シートの密度が0.15〜0.24g/cm3であり、且つ前記混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧が40〜55Paである、浄水フィルター用混抄シート。【選択図】なし

Description

本発明は、高い空塔速度(SV)条件下で、遊離残留塩素ろ過能力が高く、しかも通水圧力損失が抑制された浄水フィルターとして使用可能な浄水フィルター用混抄シートに関する。更に、本発明は、該混抄シートを利用した浄水フィルターに関する。
従来、水道水から塩素の除去等の浄水のために、活性炭を使用した浄水フィルターが使用されており、様々な浄水フィルターが開発されている。
例えば、特許文献1には、繊維状活性炭及び熱融着繊維を含有する混抄シートを捲回して得られる浄水フィルターが開示されている。具体的には、該特許文献1には、繊維状活性炭の比表面積は塩素ろ過能力が高い700m2/g以上のものが用いられること、具体的な実施例として、及び熱融着性繊維からなる混抄紙(目付60g/m2、密度0.13g/cm3)を多重に券着して、内径69mm、外径75mm、高さ25mm(体積が約15cm3)の円筒体とし、塩素ろ過能力が130〜250L(即ち、8.7〜16.7L/cm3)であったことが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、孔径が20Å以上500Å未満のメソ細孔の比表面積が100〜2500m2/gであり、且つ孔径が20Å未満のミクロ細孔の比表面積が600〜2500m2/gであり、全細孔容積に対するメソ細孔容積の比率が10〜40%である繊維状活性炭と、熱融着繊維との混合物を熱処理して得られものであって、見かけ密度が0.25〜0.60g/cm3である成型体からなる有機ハロゲン系化合物除去フィルターが開示されている。該特許文献2には、具体的な例として、ピッチ系繊維状活性炭85質量部と芯鞘型ポリエステル繊維15質量部を混合し、湿式抄紙法により坪量90g/m2で厚さ0.33mmのシート(即ち、密度が約0.27g/cm3)のシートを作成し、捲回して見掛け密度0.35g/cm3のフィルターを得たことが開示されている。そして、該特許文献2によれば、残留塩素等の除去性能を保持しながら、有機ハロゲン系化合物に対する除去性能に優れ、とりわけ2000〜10000/h程度の高SV条件下でも除去性能が劣化せず、圧力損失も小さい浄水フィルターが提供されることが開示されている。
特開平9−239214号公報 特開2008−149267号公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、前記特許文献1及び2の実施例として開示されている浄水フィルターでは、遊離残留塩素ろ過能力、とりわけ高SV条件下(例えば、空塔速度(SV)8000/h程度)における遊離残留塩素ろ過能力が劣るものであった。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、高SV条件下において、遊離残留塩素ろ過能力が高く、しかも通水圧力損失が抑制された浄水フィルターとして使用可能な浄水フィルター用シート、及び該シートを利用した浄水フィルターを提供することを主な課題とする。
上記問題を解決すべく本発明者が検討を進めたところ、特許文献1及び2に開示された浄水フィルターにおいて、遊離残留塩素ろ過能力を高めるべく、使用する繊維状活性炭の比表面積を単に高めた場合には、フィルター密度を如何に調整しても、高SV条件下において、遊離残留塩素ろ過能力の向上と通水圧力損失の抑制を両立することができなかった。
上記の原因について、本発明者が更に検討したところ、浄水フィルターの通水圧力損失は、混抄シート及びフィルターの密度のみに依存せず、含まれる繊維状活性炭の繊維長分布等の影響によりフィルター内流路の状態が変化するため、高SV条件下において、遊離残留塩素ろ過能力の向上と通水圧力損失の抑制を両立することができない、と考えた。即ち、例えば、比表面積を十分に高くした繊維状活性炭は、細孔を発達させる際の賦活が相当進むため、強度が低くなり、繊維長が短いものとなる。そして、混抄シートが短い繊維長の繊維状活性炭のみが含まれる場合、フィルター内の流路状態としては流れにくくなってしまい、高SV条件下において、遊離残留塩素ろ過能力の向上と通水圧力損失の抑制を両立できないと考えた。
そこで、本発明者が更に鋭意検討したところ、前記フィルター内流路状態を表すファクターとして、混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧によって評価できること、該差圧、含まれる繊維状活性炭の繊維長分布等によって調整可能なこと、そして、混抄シートの比表面積及び密度を特定範囲としつつ、前記差圧を特定範囲となるように設定することによって、初めて高SV条件下において、遊離残留塩素ろ過能力の向上と通水圧力損失の抑制を両立できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成された発明である。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 浄水フィルターに使用される混抄シートであって、
前記混抄シートが、繊維状活性炭及び熱融着性繊維を含有し、
前記混抄シートの比表面積が1700〜3000m2/gであり、
前記混抄シートの密度が0.15〜0.24g/cm3であり、且つ
前記混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧が40〜55Paである、
浄水フィルター用混抄シート。
項2. 前記熱融着繊維が、ポリエステル樹脂を含み、
該ポリエステル樹脂のSb含有量が30mg/kg以下である、項1に記載の浄水フィルター用混抄シート。
項3. 項1又は2に記載の浄水フィルター用混抄シートが捲回されてなる浄水フィルター。
項4. 前記浄水フィルターの密度が0.15〜0.24g/cm3である、項3に記載の浄水フィルター。
項5. 空塔速度(SV)8000/hにおける遊離残留塩素ろ過能力が50L/cm3以上であり、下記測定条件で測定される通水圧力損失が0.05MPa以下である、項3又は4に記載の浄水フィルター。
<通水圧力損失の測定条件>
浄水フィルターをステンレス製ハウジングに装填し、0.1μmフィルターにより浄化処理したイオン交換水をSVが8000/hとなるように外側から内側に10分間通水を行った後、ブルドン管圧力計にて圧力損失X1(MPa)を測定する。また、同様に予めフィルターを除いたブランクでの圧力損失X2(MPa)を測定する。圧力損失X1から圧力損失X2を差し引いた値をフィルターの通水圧力損失(MPa)とする。
本発明によれば、高SV条件下における遊離残留塩素ろ過能力を高めつつ、通水圧力損失が抑制された浄水フィルターとして使用可能な浄水フィルター用混抄シートを提供することができる。また、当該浄水フィルター用混抄シートを捲回してなる浄水フィルターは、高い遊離残留塩素ろ過能力と通水圧力損失の抑制を両立させることができる。
1.浄水フィルター用混抄シート
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、繊維状活性炭及び熱融着性繊維を含有する混抄シートであって、該混抄シートの比表面積が1700〜3000m2/gであり、該混抄シートの密度が0.15〜0.24g/cm3であり、且つ該混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧が40〜55Paである、ことを特徴とする。以下、本発明の混抄シートについて詳述する。
[混抄シートの物性]
・比表面積
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、比表面積が1700〜3000m2/gである。このような比表面積を充足させると共に、後述する密度及び通気特性を充足することにより、高SV条件下において、遊離残留塩素ろ過能力を高めつつ、通水圧力損失を抑制することができる。高SV条件下における遊離残留塩素ろ過能力をより一層甲除プさせるという観点から、本発明の浄水フィルター用混抄シートの比表面積として、好ましくは2000〜2500m2/gが挙げられる。
なお、本発明において、浄水フィルター用混抄シートの比表面積は、窒素を被吸着物質として用いたBET法(1点法)により測定される値である。
本発明の浄水フィルター用混抄シートにおいて、前記比表面積の範囲を充足させるには、含有させる繊維状活性炭の比表面積や含有割合、含有させる熱融着性繊維の含有割合、該混抄シートの厚さ等を適宜設定すればよい。
・密度
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、密度が0.15〜0.24g/cm3である。このような比表面積を充足させると共に、後述する密度及び通気特性を充足することにより、高SV条件下において、高い遊離残留塩素ろ過能力と通水圧力損失の抑制を両立させることができる。本発明の浄水フィルター用混抄シートの密度として、好ましくは0.16〜0.20g/cm3が挙げられる。
なお、本発明において、浄水フィルター用混抄シートの密度(g/cm3)は、厚み測定器を用いて、任意の場所について3点測定した値の平均値をシートの厚さ(mm)とし、JIS L 1913:2010 6.2に準じて求めた単位面積当たりの質量(g/m2)を坪量として、該シートの厚さと該坪量から算出される値である。
本発明の浄水フィルター用混抄シートにおいて、前記密度の範囲を充足させるには、含有させる繊維状活性炭の大きさ、強度、含有割合、含有させる熱融着性繊維の含有割合等を適宜設定すればよい。
・通気特性
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、通気特性として、該混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧が40〜55Paになる特性を有することを要する。前述のように、本発明者の検討によれば、浄水フィルターの通水圧力損失は、浄水フィルターとする混抄シートの密度が同じであっても、含まれる繊維状活性炭の繊維長分布等の影響によって相違することを知得した。そして、本発明者が更に鋭意検討したところ、フィルター内流路状態を反映するファクターとして、混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧として表される通気特性を評価することができ、混抄シートの比表面積及び密度に加えて、該通気特性を所定範囲に設定することにより、初めて、高SV条件下において、高い遊離残留塩素ろ過能力と通水圧力損失の抑制を両立できることを見出したのである。
高SV条件下における通水圧力損失をより効果的に抑制させるという観点から、前記差圧として、好ましくは45〜55Paが挙げられる。
なお、本発明において、「混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧」は、次のようにして測定して得られる値である。即ち、混抄シートを通気断面積が7850mm2になるように風洞装置に固定して0.1m/秒で通気した状態にして、該混抄シートよりも上流側と下流側の差圧を差圧計で測定する。
本発明の浄水フィルター用混抄シートにおいて、前記通気特性を備えさせるには、例えば、使用する繊維状活性炭の繊維長や強度を適宜調節すればよく、具体的手法については、後述する。
・秤量及び厚さ
本発明の浄水フィルター用混抄シートの坪量としては、特に制限されないが、例えば、80〜120g/m2、好ましくは90〜110g/m2が挙げられる。
また、本発明の浄水フィルター用混抄シートの厚さとしては、特に制限されないが、例えば、0.33〜0.80mm、好ましくは0.38〜0.73mmが、更に好ましくは0.5〜0.6mmがより好ましく挙げられる。
[混抄シートの含有成分]
・繊維状活性炭
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、繊維状活性炭を含有する。
本発明で使用される繊維状活性炭の繊維長は、前述する混抄シートの比表面積、密度及び通気特性を満たす混抄シートが得られることを限度として、特に制限されないが、混抄シートに対して、前述する密度を充足させつつ、前述する通気特性を具備させるために、少なくとも、繊維長の最頻値が1.0〜10.0mmの範囲にある繊維状活性炭(以下、繊維状活性炭Aと表記することがある)と、繊維長の最頻値が0.1〜0.8mmの範囲にある繊維状活性炭B(以下、繊維状活性炭Bと表記することがある)と、を組み合わせて使用することが好ましい。上記繊維状活性炭Aの繊維長の最頻値として、好ましくは1.0〜8.0mm、より好ましくは1.0〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜3.0mm、特に好ましくは1.0〜2.0mmが挙げられる。また、上記繊維状活性炭Bの繊維長の最頻値として、0.1〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.4mm、更に好ましくは0.2〜0.3mmが挙げられる。本発明において、繊維状活性炭の最頻値は、L&W Fiber Tester(Lorentzen and Wettre社製)により、10000本以上の繊維状活性炭を濃度0.05質量%となるように水に希釈して繊維長分布(繊維長ヒストグラム)を求め、分布割合が最も高くなるピークが位置する繊維長を、繊維長の最頻値として読み取ることによって求められる。
上記繊維状活性炭Aの長さ加重平均長としては、通常1〜10mm、好ましくは1〜5mm、更に好ましくは1〜3mmが挙げられる。また、上記繊維状活性炭Bの長さ加重平均長としては、通常0.1〜0.8mm、好ましくは0.3〜0.8mm、更に好ましくは0.4〜0.7mmが挙げられる。本発明において、繊維状活性炭の長さ加重平均長は、L&W Fiber Tester(Lorentzen and Wettre社製)により、10000本以上の繊維状活性炭を濃度0.05質量%となるように水に希釈して測定される値である。
本発明で使用される繊維状活性炭の強度については、前述する混抄シートの比表面積、密度及び通気特性を充足し得ることを限度として特に制限されないが、例えば、前記繊維状活性炭Aの強度は、0.15GPa以上、好ましくは0.15〜0.25GPaであることが望ましい。前記繊維状活性炭Aがこのような強度を満たすことにより、抄紙工程等において該繊維状活性炭の繊維長が維持され易く、前述する通気特性を好適に充足させ易くなる。また、前記繊維状活性炭Bの強度については、特に制限されないが、例えば、0.1GPa以下、好ましくは0.01〜0.08GPaが挙げられる。
なお、本発明において、繊維状活性炭の強度は、JIS K 1477:2007 7.3.2に準じて測定して算出される値である。
本発明で使用される繊維状活性炭の比表面積については、前述する混抄シートの表面積を充足できるように適宜設定すればよいが、例えば、1700〜4000m2/gが挙げられる。より具体的には、前記繊維状活性炭Aの比表面積としては、好ましくは1700〜2500m2/g、更に好ましくは1800〜2200m2/gが挙げられる。また、前記繊維状活性炭Bの比表面積としては、好ましくは2600〜4000m2/g、更に好ましくは2800〜3500m2/gが挙げられる。
なお、本発明において、繊維状活性炭の比表面積は、77.4Kにおいて窒素吸着等温線に基づいて算出される値である。具体的には、次のようにして窒素吸着等温線が作成される。繊維状活性炭を77.4K(窒素の沸点)に冷却し、窒素ガスを導入して容量法により窒素ガスの吸着量V[cc/g]を測定する。このとき、導入する窒素ガスの圧力P[hPa]を徐々に上げ、窒素ガスの飽和蒸気圧P0[hPa]で除した値を相対圧力P/P0として、各相対圧力に対する吸着量をプロットすることにより窒素吸着等温線を作成する。窒素ガスの吸着量は、市販の自動ガス吸着量測定装置(例えば、商品名「AUTOSORB−1−MP」(QUANTCHROME製)など)を用いて実施できる。本発明では、窒素吸着等温線に基づき、BET法に従って比表面積を求める。この解析は、上記装置に付属する解析プログラム等の公知の手段を用いることができる。
本発明で使用される繊維状活性炭の繊維径については、特に制限されないが、例えば、5〜25μm、好ましくは10〜20μmが挙げられる。なお、繊維径の前記範囲は、前記繊維状活性炭A及びBのいずれにも適用される。
なお、本発明において、繊維状活性炭の繊維径は、JIS K 1477:2007 7.3.1に準じ、反射顕微鏡によって測定して算出される。
本発明の浄水フィルター用混抄シートにおける繊維状活性炭の総含有割合については、前述する混抄シートの比表面積、密度及び通気特性を充足し得ることを限度として特に制限されないが、例えば、70〜95質量%、好ましくは80〜90質量%が挙げられる。より具体的には、本発明の浄水フィルター用混抄シートにおける前記繊維状活性炭Aの含有割合としては、例えば10〜50質量%、好ましくは15〜45質量%が挙げられる。また、本発明の浄水フィルター用混抄シートにおける前記繊維状活性炭Bの含有割合としては、例えば30〜80質量%、好ましくは40〜70質量%が挙げられる。
・熱融着性繊維
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、熱融着性繊維を含有する。熱融着性繊維とは、加熱によって融着特性を示す繊維である
本発明で使用される熱融着性繊維の種類としては、特に制限されないが、例えば、融点又は軟化点の異なる2成分以上のポリマーで形成された熱融着性繊維が挙げられる。熱融着性繊維の好適な例として、高融点ポリマーを芯成分、低融点ポリマーを鞘成分とする芯鞘構造を有する複合繊維が挙げられる。芯鞘構造を有する複合繊維としては、例えば、芯部がポリプロピレン且つ鞘部が変性ポリエチレンからなる複合繊維、芯部がポリエチレンテレフタレート且つ鞘部がポリオレフィンからなる複合繊維、芯部がポリエチレンテレフタレート且つ鞘部が低融点ポリエステルからなる複合繊維等が挙げられる。これらの熱融着性繊維は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ここで、「低融点」とは、示差操作熱量計(DSC)にて測定される融点(Tm)が160℃程度以下、好ましくは140℃程度以下、である特性を示し、「高融点」とは、DSCにて測定される融点(Tm)が200℃程度以上、好ましくは220℃程度以上である特性を示す。
また、本発明で使用される熱融着性繊維にポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、低融点ポリエステル等)が含まれる場合、該ポリエステル樹脂は、Sb含有量が30mg/kg以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂は、通常Sbが重合触媒として用いて製造されるところ、例えば、重合触媒を非Sb、例えばTi、Ge、Al系触媒等を用いて製造されたものは、Sb含有量を前記範囲内とすることができる。このようなSb含有量のポリエステル樹脂を含む熱融着性繊維を使用することにより、浄水フィルターとして使用した際の鉛流出をより一層防ぐことができ、浄水フィルターとしてより好ましいものとすることができる。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂中のSb含有量は、湿式酸化後に誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)にて定量分析される値である。
本発明で使用される熱融着性繊維の繊度については、特に制限されないが、例えば、0.5〜5.0dtex、好ましくは0.8〜2.5dtexが挙げられる。
本発明で使用される熱融着性繊維の平均繊維長については、特に制限されないが、例えば、1〜10mm、好ましくは4〜7mmが挙げられる。
本発明の浄水フィルター用混抄シートにおける熱融着性繊維の含有割合については、前述する混抄シートの比表面積、密度及び通気特性を充足し得ることを限度として特に制限されないが、例えば、5〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは5〜15重量%が挙げられる。
・その他の成分
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、前記繊維状活性炭及び熱融着性繊維以外に、必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。該他の成分として、例えば、鉛を除去し得る成分、混抄シートの強度を向上させる成分等が挙げられる。
鉛を除去し得る成分としては、イオン交換繊維、イオン交換樹脂、キレート繊維、キレート樹脂、ケイ酸チタニウム、ゼオライト等が挙げられる。これらの成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の浄水フィルター用混抄シートにおいて鉛を除去し得る成分を含有させる場合、その含有割合としては、例えば、1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%が挙げられる。
混抄シートの強度を向上させる成分としては、例えば、パルプが挙げられる。該パルプとして、具体的には、セルロース系パルプ、アクリル系パルプ、ポリエチレン系パルプ等が挙げられる。これらの混抄シートの強度を向上させる成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の浄水フィルター用混抄シートにおいて混抄シートの強度を向上させる成分を含有させる場合、その含有割合としては、例えば、3〜10質量%が挙げられる。
[混抄シートの製造方法]
本発明の浄水フィルター用混抄シートの製造方法については、繊維状活性炭及び熱融着性繊維を含含有させ、且つ前述する比表面積、密度及び通気特性を具備させ得る限り、特に制限されないが、好ましくは湿式混抄法が挙げられる。湿式混抄法は、例えば乾式混抄法に比べて、密度が高い混抄シートを製造し易く、前述する比表面積、密度及び通気特性を具備する混抄シートの製造に好適である。
湿式混抄法によって本発明の浄水フィルター用混抄シートを製造する方法としては、特に制限されないが、例えば、次のような方法が挙げられる。先ず、繊維状活性炭、熱融着性繊維、及び必要に応じて含有される他の成分を、パルパー、ビーター、リファイナー等の装置を用いて混合、せん断し、均一に水に分散したスラリーを作製する。得られたスラリーを所定の流量でワイヤー上に流し、脱水することで、所望の坪量に調整する。その後、プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥し、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取る等の公知の技術でシート状に成型する。シートの厚さは、熱プレスローラー等で所望の厚さに調整することができる。
[混抄シートの用途]
本発明の浄水フィルター用混抄シートは、所望の形状で捲回し、浄水フィルターとして使用される。当該浄水フィルターに関しては、後述する通りである。
2.浄水フィルター
本発明の浄水フィルターは、前記浄水フィルター用混抄シートが捲回されてなるフィルターである。
本発明の浄水フィルターが使用される浄水器のタイプについては、特に制限されず、蛇口直結型、水栓一体型、据え置き型(ホース取り付け型)、アンダーシンク型(ビルトイン型)、ポット型(ピッチャー型)等のいずれであってもよい。
本発明の浄水フィルターの密度については、特に制限されないが、例えば、0.15〜0.24g/cm3、好ましくは0.20〜0.24g/cm3が挙げられる。浄水フィルターの密度は、前記浄水フィルター用混抄シートが捲回する際の張力を制御することによって調製できる。例えば、前記浄水フィルター用混抄シートが捲回する際の張力を高くすると、得られる浄水フィルターの密度が高くなり、当該張力を低くすると、得られる浄水フィルターの密度が低くなる。
本発明において、浄水フィルターの密度は、浄水フィルターを熱風乾燥機にて80℃で3時間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した後、質量を秤量し、その質量(g)を浄水フィルターの体積(cm3)で除することにより求められる値である。
本発明の浄水フィルターの体積は、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、水栓一体型浄水器用の浄水フィルターである場合には、15〜60cm3程度が挙げられる。
また、本発明の浄水フィルターの形状についても、用途に応じて適宜設定することができ、例えば、円筒形状等が挙げられる。浄水フィルターの形状が円筒形状である場合、例えば、長さは20〜150mm程度、内径は5〜15mm程度、外径は12〜40mm程度とすることができる。
本発明の浄水フィルターは、高SV条件下でも、高い遊離残留塩素ろ過能力が発現され、しかも通水圧力損失を抑制できるため、浄水時のSVについては、特に制限されないが、例えば、1000〜9000/h程度が挙げられ、特に3000〜8000/h程度の高SVであってもよい。
本発明の浄水フィルターは、高SV条件下でも高い遊離残留塩素ろ過能力を有しており、例えば、SVが8000/hと大きい場合にも、遊離残留塩素ろ過能力が50L/cm3以上、好ましくは50〜70L/cm3とすることもできる。
なお、本発明において、前記遊離残留塩素ろ過能力は、JIS S 3201 2010 6.5.3揮発性有機化合物ろ過能力試験に準じて行われ、具体的には、次のようにして測定して得られる値である。
<遊離残留塩素ろ過能力の測定方法>
先ず、浄水フィルターの両端面をホットメルト又はシリコーンシーラントでシールした後、ステンレス製ハウジングに充填する。別途、活性炭フィルターにより浄化処理した水道水に、遊離残留塩素濃度が2.0±0.2mg/Lとなるように次亜塩素酸ナトリウムを添加したものを調整原水とし調製する。空塔速度(SV)が8000/hとなるように浄水フィルターの外側から内側に調整原水の通水を行う。例えば、内径8.3mm、外径21.0mm、長さ100.0mm、体積29.2cm3の浄水フィルターであれば、3.9L/minで通水すればよい。次いで、ろ過流量を維持したまま、1日5時間以上連続通水を行い、浄水フィルター通過前後で遊離残留塩素の濃度をDPD試薬吸光光度法にて定量測定し、流入水に対する流出水の遊離残留塩素の水中濃度が初期20%以上になる点を破過点とし、該破過点までの総ろ過水量(L)を求める。得られた総ろ過水量(L)を浄水フィルター体積(cm3)で割った値を遊離残留塩素ろ過能力(L/cm3)とする。
また、本発明の浄水フィルターは、高SV条件下でも通水圧力損失を抑制できており、例えば、SVが8000/hと大きい場合にも、通水圧力損失を0.05MPa以下、好ましくは0.03〜0.05MPaとすることができる。
なお、本発明において、浄水フィルターの通水圧力損失は、下記測定条件で測定して得られる値である。
<通水圧力損失の測定条件>
浄水フィルターをステンレス製ハウジングに装填し、0.1μmフィルターにより浄化処理したイオン交換水をSVが8000/hとなるように外側から内側に10分間通水を行った後、ブルドン管圧力計にて圧力損失X1(MPa)を測定する。また、同様に予めフィルターを除いたブランクでの圧力損失X2(MPa)を測定する。圧力損失X1から圧力損失X2を差し引いた値をフィルターの通水圧力損失(MPa)とする。
本発明の浄水フィルターは、前記浄水フィルター用混抄シートを所定の形状に捲回することにより得ることができる。また、前記浄水フィルター用混抄シートを捲回した状態で、例えば、該混抄シートに含まれる熱溶着性樹脂の融点以上の温度(例えば、130〜210℃)で加熱することにより、該混抄シートの捲回状態を固定して、形状を安定化させることもできる。なお、このような固定化のための熱処理では、前記浄水フィルター用混抄シートの物性(差圧、密度、比表面積等)は変化することはないので、該混抄シートの特性をそのまま浄水フィルターに活かすことができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
1.測定方法
1−1.繊維状活性炭の物性の測定
<比表面積>
繊維状活性炭の比表面積は、77.4Kにおいて窒素吸着等温線に基づいて算出した。具体的には、繊維状活性炭を77.4K(窒素の沸点)に冷却し、窒素ガスを導入して容量法により窒素ガスの吸着量V[cc/g]を測定した。このとき、導入する窒素ガスの圧力P[hPa]を徐々に上げ、窒素ガスの飽和蒸気圧P0[hPa]で除した値を相対圧力P/P0として、各相対圧力に対する吸着量をプロットすることにより窒素吸着等温線を作成した。窒素ガスの吸着量は、自動ガス吸着量測定装置(商品名「AUTOSORB−1−MP」(QUANTCHROME製))を用いて測定した。得られた窒素吸着等温線に基づき、前記自動ガス吸着量測定装置付属する解析プログラムで、BET法に従って比表面積を求めた。
<強度>
繊維状活性炭の強度は、JIS K 1477:2007 7.3.2に準じて測定して算出した。
<長さ加重平均繊維長>
繊維状活性炭の長さ加重平均繊維長は、L&W Fiber Tester(Lorentzen and Wettre社製)を用いて、濃度0.05質量%となるように水希釈して測定した。
<繊維径>
繊維状活性炭の繊維径は、JIS K 1477:2007 7.3.1に準じ、反射顕微鏡によって測定して算出した。
1−2.シートの物性の測定
<比表面積>
窒素を被吸着物質として用いたBET法(1点法)により測定した。
<厚さ・秤量・密度>
厚み測定器(株式会社尾崎製作所製商品名ピーコックH)を用いて、シートの厚さを3点測定し、それら平均値をシートの厚さ(mm)とした。また、JIS L 1913:2010 6.2に準じて、シートの単位面積当たりの質量(g/m2)を坪量した。前記シートの厚さと坪量値から密度を算出した。
<通気特性(差圧)>
シートを通気断面積が7850mm2になるように風洞装置に固定して0.1m/秒で通気した状態にして、該シートよりも上流側と下流側の差圧を差圧計(「マノスターゲージ W081FN100DV」、山本電機製作所)で測定した。
<繊維状活性炭の繊維長の最頻値>
L&W Fiber Tester(Lorentzen and Wettre社製)により、濃度0.05質量%となるように水希釈して測定し、得られた繊維長繊維長ヒストグラムから、分布割合が最も高くなるピークが位置する繊維長を、繊維長の最頻値として読み取った。なお、測定繊維本数は10000本以上とした。
<繊維状活性炭の長さ加重平均繊維長>
L&W Fiber Tester(Lorentzen and Wettre社製)により、濃度0.05質量%となるように水希釈して長さ加重平均繊維長を測定した。なお、測定繊維本数は10000本以上とした。
1−3.浄水フィルターの物性の測定
<密度>
浄水フィルターを熱風乾燥機にて80℃で3時間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した。次いで、電子天秤にて質量を秤量し、その質量(g)を浄水フィルターの体積(cm3)で除することによって、浄水フィルターの密度を求めた。
<遊離残留塩素ろ過能力>
遊離残留塩素ろ過能力は、JIS S 3201 2010 6.5.3揮発性有機化合物ろ過能力試験に準じて、以下の方法に従って求めた。先ず、浄水フィルターの両端面をホットメルト又はシリコーンシーラントでシールした後、ステンレス製ハウジングに充填した。別途、活性炭フィルターにより浄化処理した水道水に、遊離残留塩素濃度が2.0±0.2mg/Lとなるように次亜塩素酸ナトリウムを添加したものを調整原水とし調製した。空塔速度(SV)が8000/hとなるように浄水フィルターの外側から内側に調整原水を3.9L/minで通水した。次いで、ろ過流量を維持したまま、1日5時間以上連続通水を行い、浄水フィルター通過前後で遊離残留塩素の濃度をDPD試薬吸光光度法にて定量測定し、流入水に対する流出水の遊離残留塩素の水中濃度が初期20%以上になる点を破過点とし、該破過点までの総ろ過水量(L)を求めた。得られた総ろ過水量(L)を浄水フィルター体積(cm3)で割った値を遊離残留塩素ろ過能力(L/cm3)として算出した。
<通水圧力損失>
浄水フィルターをステンレス製ハウジングに装填し、0.1μmフィルターにより浄化処理したイオン交換水をSVが8000/hとなるように外側から内側に10分間通水を行った後、ブルドン管圧力計にて圧力損失X1(MPa)を測定した。また、同様に予めフィルターを除いたブランクでの圧力損失X2(MPa)も測定した。圧力損失X1から圧力損失X2を差し引いて、フィルターの圧力損失(MPa)として算出した。
2.混抄シート及び浄水フィルターの製造
2−1.実施例1
<繊維状活性炭の準備>
(1)繊維長の最頻値が1.0〜10.0mmの範囲にある繊維状活性炭A1
有機質材料として、軟化点が280℃の粒状石炭ピッチを、溶融押出機に供給し、溶融温度320℃で溶融混合し、吐出量20g/minで紡糸することによりピッチ繊維を得た。得られたピッチ繊維を空気中で常温から354℃まで1〜30℃/分の割合で54分間昇温することにより不融化処理を行い、不融化されたピッチ繊維である活性炭前駆体を得た。得られた活性炭前駆体を、H2O濃度が100容量%のガスを賦活炉内に連続的に導入し、雰囲気温度875℃で60分間熱処理することにより賦活を行い、繊維状活性炭を得た。得られた繊維状活性炭の比表面積は2000m2/g、強度は0.20GPa、繊維径は14μmであった。次いで、該繊維状活性炭をリファイナーによって叩解し、繊維長の最頻値が1.69mm、長さ加重平均繊維長が2.2mmである繊維状活性炭A1を調製した。
(2)繊維長の最頻値が0.1〜0.8mmの範囲にある繊維状活性炭B1
有機質材料として、軟化点が280℃の粒状石炭ピッチを、溶融押出機に供給し、溶融温度320℃で溶融混合し、吐出量20g/minで紡糸することによりピッチ繊維を得た。得られたピッチ繊維を空気中で常温から354℃まで1〜30℃/分の割合で54分間昇温することにより不融化処理をおこない、不融化されたピッチ繊維である活性炭前駆体を得た。得られた活性炭前駆体を、該活性炭前駆体の3倍の質量のKOHと混合した状態で、N2濃度が100容量%のガスを賦活炉内に連続的に導入し、雰囲気温度800℃で120分間熱処理することにより賦活を行いった。賦活した繊維状活性炭を希塩酸で中和、水洗し、乾燥することにより、繊維状活性炭を得た。得られた繊維状活性炭の比表面積は3000m2/g、強度は0.10GPa未満、平均繊維径は15μmであった。次いで、該繊維状活性炭をパルパーにて叩解し、繊維長の最頻値が0.25mm、長さ加重平均繊維長が0.6mmである繊維状活性炭B1を調製した。
<その他原料の準備>
熱融着性繊維として、芯部が融点255℃のポリエチレンテレフタレート、鞘部が融点110℃の共重合ポリエステルであって、Sb含有量が30mg/kg以下のポリエステル系熱融着性繊維(ポリエステルの重合触媒としてTi系触媒を使用、繊維長5mm、平均繊維径1.7dtex)を準備した。
また、アクリルパルプとして、日本エクスラン社製の商品名「ビィパル」を準備した。
<混抄シートの製造>
上記準備した繊維状活性炭A1、繊維状活性炭B1、熱融着性繊維及びアクリルパルプを、表1に記載の質量比として、パルパーを用いて混合し、均一に分散したスラリーを作製した。得られたスラリーを所定の流量でワイヤー上に流し、脱水することで坪量を調整した。その後、プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥し、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取った。その際、得られたシートの厚みは0.82mmであった。その後、熱プレスローラーでシートを110℃で熱プレスし、混抄シートを得た。
得られた混抄シートは、坪量96g/m2、厚さ0.55mm、密度0.174g/cm3、通気特性(差圧)48.8Pa、比表面積2330m2/gであった。
<浄水フィルターの製造>
上記得られたシートを、鉄製の円筒状パイプ(外径8.3mm、長さ1200mm)に捲回した。なお、捲回する際の張力は、最終的に密度が0.21g/cm3になるように調整した。捲回したシートを雰囲気温度150℃で2時間熱処理した。その後、前記円筒状パイプを除去した後に、カット機で100.0mmの長さにカットし、浄水フィルターを得た。
得られた浄水フィルターは、内径8.3mm、外径21.0mm、長さ100.0mm、密度0.21g/cm3であった。
2−2.実施例2
<混抄シートの製造>
実施例1で準備した繊維状活性炭A1、繊維状活性炭B1、熱融着性繊維及びアクリルパルプを用い、表1に記載の質量比として、パルパーを用いて混合し、均一に分散したスラリーを作製した。得られたスラリーを所定の流量でワイヤー上に流し、脱水することで坪量を調整した。その後、プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥し、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取り、混抄シートを得た。
得られた混抄シートは、坪量100g/m2、厚さ0.55mm、シート密度0.182g/cm3、通気特性(差圧)47.2Pa、比表面積2140m2/gであった。
<浄水フィルターの製造>
上記で得られた混抄シートを、鉄製の円筒状パイプ(外径8.3mm、長さ1200mm)に捲回した。なお、捲回する際の張力は、最終的に密度が0.22g/cm3になるように調整した。捲回したシートを雰囲気温度150℃で2時間熱処理した。その後、上記円筒状パイプを除去した後に、カット機で100.0mmの長さにカットし、浄水フィルターを得た。
得られた浄水フィルターは、内径8.3mm、外径21.0mm、長さ100.0mm、密度0.22g/cm3であった。
2−3.実施例3
<混抄シートの製造>
実施例2で得た混抄シートを用いた。
<浄水フィルターの製造>
上記混抄シートを、鉄製の円筒状パイプ(外径8.3mm、長さ1200mm)に捲回した。なお、捲回する際の張力は、最終的に密度が0.23g/cm3になるように調整した。捲回したシートを雰囲気温度150℃で2時間熱処理した。上記円筒状パイプを除去した後に、カット機で100.0mmの長さにカットし、浄水フィルターを得た。
得られた浄水フィルターは、内径8.3mm、外径21.0mm、長さ100.0mm、密度0.23g/cm3であった。
2−4.比較例1
<繊維状活性炭の準備>
実施例1で得た繊維状活性炭B1を用いた。
<その他原料の準備>
熱融着性繊維として、芯部が融点255℃のポリエチレンテレフタレート、鞘部が融点110℃の共重合ポリエステルであって、Sb含有量が30mg/kg以下のポリエステル系熱融着性繊維(ポリエステルの重合触媒としてTi系触媒を使用、繊維長5mm、平均繊維径1.7dtex)を準備した。
アクリルパルプとして、日本エクスラン社製の商品名「ビィパル」を準備した。
イオン交換繊維として、弱酸型ポリアクリレート系イオン交換繊維(Ca置換ポリアクリレート系イオン交換繊維(ユニチカ社製;A−02CAU))を準備した。
<混抄シートの製造>
上記で準備した繊維状活性炭B1、熱融着性繊維、アクリルパルプ及びイオン交換繊維を、表1に記載の質量比として、パルパーを用いて混合し、均一に分散したスラリーを作製した。得られたスラリーを所定の流量でワイヤー上に流し、脱水することで坪量を調整した。その後プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥し、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取り、混抄シートを得た。
得られた混抄シートは、坪量90g/m2、厚さ0.51mm、密度0.176g/cm3、通気特性(差圧)70.0Pa、比表面積2050m2/gであった。
<浄水フィルターの製造>
上記得られたシートを、鉄製の円筒状パイプ(外径8.3mm、長さ1200mm)に捲回した。なお、捲回する際の張力は、最終的に密度が0.23g/cm3になるように調整した。捲回したシートを雰囲気温度150℃で2時間熱処理した。上記円筒状パイプを除去した後に、カット機で100.0mmの長さにカットし、浄水フィルターを得た。
得られた浄水フィルターは、内径8.3mm、外径21.0mm、長さ100.0mm、密度0.23g/cm3であった。
2−5.比較例2
<繊維長の最頻値が10mm超の繊維状活性炭C1の準備>
有機質材料として、軟化点が280℃の粒状石炭ピッチを、溶融押出機に供給し、溶融温度320℃で溶融混合し、吐出量20g/minで紡糸することによりピッチ繊維を得た。得られたピッチ繊維を空気中で常温から354℃まで1〜30℃/分の割合で54分間昇温することにより不融化処理を行い、不融化されたピッチ繊維である活性炭前駆体を得た。得られた活性炭前駆体を、H2O濃度が100容量%のガスを賦活炉内に連続的に導入し、雰囲気温度875℃で50分間熱処理することにより賦活を行い、強度が比較的高い繊維状活性炭C1を得た。得られた繊維状活性炭C1の比表面積は1650m2/g、強度は0.23GPa、繊維径は15.5μmであった。なお、繊維状活性炭C1では、叩解等の工程は行っておらず、繊維長の最頻値は10mm超、長さ加重平均繊維長は10mm超であった。
<その他原料の準備>
熱融着性繊維として、芯部が融点255℃のポリエチレンテレフタレート、鞘部が融点110℃の共重合ポリエステルであって、Sb含有量が30mg/kg以下のポリエステル系熱融着性繊維(ポリエステルの重合触媒としてTi系触媒を使用、繊維長51mm、平均繊維径1.7dtex)を準備した。
<シートの製造>
上記準備した繊維状活性炭C1及び熱融着性繊維を、開繊と混合によるカードウェブ法により、シートを得た。
得られたシートは、坪量65g/m2、厚さ0.42mm、密度0.155g/cm3、通気特性(差圧)10.3Pa、比表面積1340m2/gであった。
<浄水フィルターの製造>
上記で得られたシートを、鉄製の円筒状パイプ(外径8.3mm、長さ1200mm)に捲回した。なお、捲回する際の張力は、最終的に密度が0.18g/cm3になるように調整した。捲回したシートを雰囲気温度150℃で2時間熱処理した。上記円筒状パイプを除去した後に、カット機で100.0mmの長さにカットし、浄水フィルターを得た。
得られた浄水フィルターは、内径8.3mm、外径21.0mm、長さ100.0mm、密度0.18g/cm3であった。
3.浄水フィルターの性能評価
前記各浄水フィルターの遊離残留塩素ろ過能力及び通水圧力損失を評価した結果を表1に示す。また、表1には、使用した原料、シート、浄水フィルターの他の物性についても併せて示す。この結果、繊維状活性炭及び熱融着性繊維を含有し、比表面積が1700〜3000m2/g、密度が0.15〜0.24g/cm3、通気特性(差圧)が40〜55Paを全て満たす混抄シートは、浄水フィルターに成形すると、8000/hという高SV条件で通水しても、高い遊離残留塩素ろ過能力が認められ、しかも通水圧力損失を抑制できることが確認された(実施例1〜3参照)。また、繊維状活性炭及び熱融着性繊維を含有する混抄シートは、含有させる繊維状活性炭として、加重平均繊維長1〜10mmと加重平均繊維長0.1〜0.8mmが含まれているものを選択することにより、比表面積1700〜3000m2/g、密度0.15〜0.24g/cm3、及び通気特性(差圧)40〜55Paを全て充足させ得ることも確認された。
Figure 2019214032

Claims (5)

  1. 浄水フィルターに使用される混抄シートであって、
    前記混抄シートが、繊維状活性炭及び熱融着性繊維を含有し、
    前記混抄シートの比表面積が1700〜3000m2/gであり、
    前記混抄シートの密度が0.15〜0.24g/cm3であり、且つ
    前記混抄シートの通気断面積7850mm2を風速0.1m/秒で通気する際の差圧が40〜55Paである、
    浄水フィルター用混抄シート。
  2. 前記熱融着繊維が、ポリエステル樹脂を含み、
    該ポリエステル樹脂のSb含有量が30mg/kg以下である、請求項1に記載の浄水フィルター用混抄シート。
  3. 請求項1又は2に記載の浄水フィルター用混抄シートが捲回されてなる浄水フィルター。
  4. 前記浄水フィルターの密度が0.15〜0.24g/cm3である、請求項3に記載の浄水フィルター。
  5. 空塔速度(SV)8000/hにおける遊離残留塩素ろ過能力が50L/cm3以上であり、下記測定条件で測定される通水圧力損失が0.05MPa以下である、請求項3又は4に記載の浄水フィルター。
    <通水圧力損失の測定条件>
    浄水フィルターをステンレス製ハウジングに装填し、0.1μmフィルターにより浄化処理したイオン交換水をSVが8000/hとなるように外側から内側に10分間通水を行った後、ブルドン管圧力計にて圧力損失X1(MPa)を測定する。また、同様に予めフィルターを除いたブランクでの圧力損失X2(MPa)を測定する。圧力損失X1から圧力損失X2を差し引いた値をフィルターの通水圧力損失(MPa)とする。
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