JP2019213337A - 冷却システム - Google Patents
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Abstract
【課題】冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度調整を、状況に応じて適切に行うことのできる冷却システムを提供する。【解決手段】冷却システム10は、インバータ冷却部110及びオイル冷却部120を通る経路で冷却水が循環するように、冷却水を送り出すウォーターポンプWP1と、モータージェネレータ130及びオイル冷却部120を通る経路でオイルが循環するように、オイルを送り出すオイルポンプOPと、ウォーターポンプWP1及びオイルポンプOPの動作を制御する制御部500と、を備える。ラジエータ160と空調室外機310とは、それぞれのフィンOFを共有することにより、冷却水と冷媒との間で熱交換が行われるように構成されている。制御部500は、オイル冷却部120を通るオイルの温度に基づいて、ウォーターポンプWP1及びオイルポンプOPの動作を制御する。【選択図】図1
Description
本開示は、車両に搭載される冷却システムに関する。
車両には、各部を冷却するための冷却システムが搭載される。このような冷却システムには、例えば、インバータ等を通る冷却水を冷却するためのラジエータや、モータージェネレータを通るオイルを冷却するためのオイルクーラ、及び、車両用空調装置を通る冷媒を冷却するための凝縮器等が含まれる。
下記特許文献1には、上記のオイルクーラの一例が記載されている。当該文献には、低温時にはオイルの粘度が上昇ことにより、オイルによる潤滑を行うことが難しくなるという課題についても記載されている。
本発明者らは、冷媒と空気との間で熱交換を行うための熱交換器(例えば車両用空調装置の室外機)と、オイルクーラを通った冷却水と空気との間で熱交換を行うための熱交換器とを、互いのフィンを共有した一体の構成とすることについて検討を進めている。このような一体構造の熱交換器によれば、例えば、車両の始動直後における低温の冷却水を、冷房時において高温となった冷媒との熱交換によって加熱し、早期に温度上昇させることが可能となる。また、オイルからの熱の一部を、冷却水を介して冷媒に加えることにより、暖房用の熱として利用することも可能となる。
しかしながら、冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度は、車両の状況に応じて個別に変化する。このため、単に熱交換器を一体構造としただけでは、オイル等の温度調整が適切には行われない場合も生じ得る。
本開示は、冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度調整を、状況に応じて適切に行うことのできる冷却システム、を提供することを目的とする。
本開示に係る冷却システムは、車両に搭載される冷却システム(10)であって、インバータを冷却水によって冷却するインバータ冷却部(110)と、モータージェネレータ(130)を通るオイルを冷却水によって冷却するオイル冷却部(120)と、冷却水と空気との間で熱交換を行うラジエータ(160)と、車両に搭載される車両用空調装置の一部であって、冷媒と空気との間で熱交換を行う空調室外機(310)と、インバータ冷却部及びオイル冷却部を通る経路で冷却水が循環するように、冷却水を送り出すウォーターポンプ(WP1)と、モータージェネレータ及びオイル冷却部を通る経路でオイルが循環するように、オイルを送り出すオイルポンプ(OP)と、ウォーターポンプ及びオイルポンプの動作を制御する制御部(500)と、を備える。ラジエータと空調室外機とは、それぞれのフィン(OF)を共有することにより、冷却水と冷媒との間で熱交換が行われるように構成されている。制御部は、オイル冷却部を通るオイルの温度に基づいて、ウォーターポンプ及びオイルポンプの動作を制御する。
このような構成の冷却システムでは、ウォーターポンプ及びオイルポンプのそれぞれの動作が、オイル冷却部を通るオイルの温度に基づいて制御される。例えば、オイルが低温となっている場合には、オイルポンプの動作を停止させることでモータージェネレータ内にオイルを滞留させ、オイルの温度を早期に上昇させることが可能となる。また、オイルの温度が上昇した後には、ウォーターポンプ及びオイルポンプのそれぞれを動作させながら、ウォーターポンプから送り出される冷却水の流量を調整することにより、オイルの温度を適温範囲内に収めることが可能となる。
更に、オイルと冷却水との間における熱交換を上記のように調整することで、冷却水や冷媒の温度についても状況に応じて調整することが可能となる。
本開示によれば、冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度調整を、状況に応じて適切に行うことのできる冷却システムが提供される。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る冷却システム10は、車両(全体は不図示)に搭載されるものであって、モータージェネレータ130等の各部を冷却し適温に保つためのシステムとして構成されている。尚、冷却システム10が搭載される車両は、モータージェネレータ130の駆動力によって走行する電気自動車として構成されている。
図1に示されるように、冷却システム10は、インバータ冷却部110と、オイル冷却部120と、第1ラジエータ160と、バッテリ冷却部210と、チラー220と、第2ラジエータ260と、空調室外機310と、制御部500と、を備えている。
インバータ冷却部110は、車両に搭載された不図示のインバータを、冷却水との熱交換によって冷却するための熱交換器である。インバータは、不図示のバッテリから供給される電力を電力変換してモータージェネレータ130に供給したり、モータージェネレータ130で生じた回生電力を電力変換してバッテリに供給したりするための電力変換器である。車両の走行中においては、インバータでは電力変換に伴う熱が生じる。インバータは、インバータ冷却部110を通る冷却水によって冷却されることにより、その温度が適温に保たれる。
インバータ冷却部110は、冷却水が通る流路101の途中となる位置に設けられている。流路101を通る冷却水は、インバータ冷却部110を通る際においてインバータからの熱によって加熱され、その温度を上昇させる。
オイル冷却部120は、モータージェネレータ130を通るオイルを、冷却水との熱交換によって冷却するための熱交換器である。図1に示されるように、オイル冷却部120とモータージェネレータ130との間は、一対の流路121、122によって繋がれている。流路121、122は、オイル冷却部120とモータージェネレータ130との間でオイルを循環させるための流路である。一方の流路122にはオイルポンプOPが設けられている。オイルポンプOPは、モータージェネレータ130及びオイル冷却部120を通る経路でオイルが循環するように、オイルを送り出すための装置である。オイルポンプOPによってオイル冷却部120から送り出されるオイルは、流路122を通ってモータージェネレータ130に供給され、モータージェネレータ130によって加熱される。その後、当該オイルは流路121を通ってオイル冷却部120に戻る。オイルポンプOPの動作は、後述の制御部500によって制御される。
オイル冷却部120は、上記のインバータ冷却部110と共に、流路101の途中となる位置に設けられている。このため、流路101を通る冷却水は、先ずインバータ冷却部110における熱交換に供された後、続いてオイル冷却部120における熱交換に供される。
流路101には更に、第1ウォーターポンプWP1が設けられている。第1ウォーターポンプWP1は、インバータ冷却部110及びオイル冷却部120を順に通る経路で冷却水が循環するように、流路101において冷却水を送り出すためのポンプである。本実施形態の第1ウォーターポンプWP1は、流路101のうちインバータ冷却部及び110及びオイル冷却部120よりも下流側となる位置に配置されているのであるが、これとは異なる位置に配置されていてもよい。第1ウォーターポンプWP1の動作は制御部500によって制御される。
第1ラジエータ160は、冷却水と空気との間で熱交換を行うための熱交換器である。第1ラジエータ160には、冷却水の通る流路102、103が接続されている。流路102は、流路101のうちインバータ冷却部110側の端部と、第1ラジエータ160との間を繋ぐ流路である。流路103は、流路101のうち第1ウォーターポンプWP1側の端部と、第1ラジエータ160との間を繋ぐ流路である。流路101と流路102との間は、切り換え弁V1を介して接続されている。
切り換え弁V1は、流路101と、流路102と、後述の流路104との接続状態を切り換えることのできる電動の弁である。切り換え弁V1によって、流路101、流路102、及び流路104の全てが互いに連通している状態と、これらのうち任意の2つのみが連通している状態と、を切り換えることができる。切り換え弁V1の動作は制御部500によって制御される。図1に示される状態では、流路101と流路102とが互いに連通しており、流路104はこれらのいずれとも連通していない。切り換え弁V1による流路の切り換えについては後に説明する。
バッテリ冷却部210は、不図示のバッテリを、冷却水との熱交換によって冷却するための熱交換器である。当該バッテリは、モータージェネレータ130に駆動用の電力を供給するための電力源である。バッテリでは、充放電に伴って熱が生じる。バッテリは、バッテリ冷却部210を通る冷却水によって冷却されることにより、その温度が適温に保たれる。
バッテリ冷却部210は、冷却水が通る流路201の途中となる位置に設けられている。流路201を通る冷却水は、バッテリ冷却部210を通る際においてバッテリからの熱によって加熱され、その温度を上昇させる。
チラー220は、バッテリ冷却部210を通る冷却水を、冷媒との熱交換によって冷却する熱交換器である。チラー220は、上記のバッテリ冷却部210と共に、流路201の途中となる位置に設けられている。このため、流路201を通る冷却水は、先ずチラー220において冷却された後、続いてバッテリ冷却部210における熱交換に供される。
チラー220には、車両に搭載された車両用空調装置(全体は不図示)を循環する冷媒のうち、低温部分の冷媒が供給されている。チラー220は、当該冷媒と、流路201を通る冷却水との間で熱交換を行うことにより、冷却水の温度を低下させる。尚、チラー220は、供給される冷媒の流れを一時的に遮断することにより、冷媒と冷却水との間の熱交換が行われない状態とすることもできる。このような切り換えは、制御部500によって制御される。
流路201には更に、第2ウォーターポンプWP2が設けられている。第2ウォーターポンプWP2は、バッテリ冷却部210及びチラー220を通る経路で冷却水が循環するように、冷却水を送り出すためのポンプである。本実施形態の第2ウォーターポンプWP2は、流路201のうちバッテリ冷却部210及びチラー220よりも下流側となる位置に配置されているのであるが、これとは異なる位置に配置されていてもよい。第2ウォーターポンプWP2の動作は制御部500によって制御される。
第2ラジエータ260は、先に述べた第1ラジエータ160と同様に、冷却水と空気との間で熱交換を行うための熱交換器である。第2ラジエータ260は、特に、バッテリ冷却部210を通る冷却水と空気との間で熱交換を行うためのものとして設けられている。
第2ラジエータ260には、冷却水の通る流路202、203が接続されている。流路202は、流路201のうちチラー220側の端部と、第2ラジエータ260との間を繋ぐ流路である。流路203は、流路201のうち第2ウォーターポンプWP2側の端部と、第2ラジエータ260との間を繋ぐ流路である。流路201と流路202との間は、切り換え弁V2を介して接続されている。
切り換え弁V2は、流路201と、流路202と、後述の流路204との接続状態を切り換えることのできる電動の弁である。切り換え弁V2によって、流路201、流路202、及び流路204の全てが互いに連通している状態と、これらのうち任意の2つのみが連通している状態と、を切り換えることができる。切り換え弁V2の動作は制御部500によって制御される。図1に示される状態では、流路201と流路204とが互いに連通しており、流路202はこれらのいずれとも連通していない。切り換え弁V2による流路の切り換えについては後に説明する。
流路201と流路203との接続部分には、流路205の一端が接続されている。流路205の他端には、切り換え弁V1から伸びる流路104の端部が接続されている。また、流路101と流路103との接続部分には、流路105の一端が接続されている。流路105の他端には、切り換え弁V2から伸びる流路204の端部が接続されている。冷却システムには更に、バイパス流路206が設けられている。バイパス流路206の一端は、流路104と流路205との接続部分に接続されている。バイパス流路206の他端は、流路204と流路105との接続部分に接続されている。
空調室外機310は、車両に搭載される車両用空調装置の一部であって、冷媒と空気との間で熱交換を行うための熱交換器である。車両用空調装置によって車室内の暖房が行われる際には、空調室外機310は、空気から熱を回収して冷媒を蒸発させるための蒸発器として機能する。車両用空調装置によって車室内の冷房が行われる際には、空調室外機310は、空気に熱を放出して冷媒を凝縮させるための凝縮器として機能する。このように機能を切り換えうる車両用空調装置の構成としては、これまでに知られていたものと同様の構成を採用し得るので、その具体的な図示や説明については省略する。
空調室外機310は、冷媒の通る流路311の途中となる位置に設けられている。尚、図1においては、空調室外機310が2つ描かれているのであるが、実際の空調室外機310は1つだけ設けられている。実際の構成においては、第1ラジエータ160と第2ラジエータ260とが互いに隣り合う位置に配置されており、単一の空調室外機310がこれらの近傍となる位置に配置されている。
第1ラジエータ160等の具体的な配置について、図2を参照しながら説明する。図2では、第1ラジエータ160、第2ラジエータ260、及び空調室外機310の配置が、上面視で模式的に示されている。同図に示される矢印は、車両の前方側にあるフロントグリルから導入された空気の流れを示すものである。
第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260は、空気の流れ方向に対して垂直な方向に沿って、互いに隣り合うように配置されている。一方、空調室外機310は、空気の流れ方向に沿って、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260よりも下流側となる位置に配置されている。空気の流れる方向に沿って見た場合においては、空調室外機310の外形が、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260を含む全体の外形と概ね重なっている。
図3を参照しながら、第1ラジエータ160等の具体的な構成について説明する。図3では、第1ラジエータ160等が備えるチューブTBやフィンOFの一部のみを、上面視で描いたものである。図3に示される矢印は、図2に示される矢印と同様に、車両の前方側にあるフロントグリルから導入された空気の流れを示すものである。図3では、それぞれのチューブTBを、その長手方向に沿って切断した場合における断面が示されている。
第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260は、内部を冷却水が流れるチューブTBを複数本備えており、これらが、空気の流れ方向に対して垂直な方向に沿って並ぶよう積層された構成となっている。また、それぞれのチューブTBの間には、金属板を波状に折り曲げることにより形成されたフィンOFが配置されている。
また、空調室外機310も上記と同様に、内部を冷媒が流れるチューブTBを複数本備えており、これらが、空気の流れ方向に対して垂直な方向に沿って並ぶよう積層された構成となっている。また、それぞれのチューブTBの間には、金属板を波状に折り曲げることにより形成されたフィンOFが配置されている。
図3では、第1ラジエータ160が有する複数のチューブTBのうち、互いに隣り合う一対のチューブTB1、TB2のみが示されている。また、空調室外機310が有する複数のチューブTBのうち、互いに隣り合う一対のチューブTB3、TB4のみが示されている。チューブTB3は、空気の流れ方向に沿って、チューブTB1の下流側となる位置に配置されたチューブである。チューブTB4は、空気の流れ方向に沿って、チューブTB2の下流側となる位置に配置されたチューブである。
図3に示されるように、チューブTB1とチューブTB2との間に挟み込まれているフィンOFは、下流側にある空調室外機310まで伸びており、チューブTB3とチューブTB4と間に挟み込まれている。つまり、第1ラジエータ160が有する複数のフィンOFは、空調室外機310が有するフィンOFと一体となっている。換言すれば、第1ラジエータ160と空調室外機310との間では、それぞれのフィンOFが共有されている。このため、第1ラジエータ160を通る冷却水と、空調室外機310を通る冷媒との間では、フィンOFを介した熱交換が行われる。
第2ラジエータ260と空調室外機310との間でも、上記と同様にそれぞれのフィンOFが共有されている。このため、第2ラジエータ260を通る冷却水と、空調室外機310を通る冷媒との間では、フィンOFを介した熱交換が行われる。
図1に戻って説明を続ける。制御部500は、冷却システム10の全体の動作を制御する装置である。制御部500は、CPU、ROM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。既に述べたように、制御部500は、第1ウォーターポンプWP1、第2ウォーターポンプWP2、オイルポンプOPのそれぞれの動作を制御する。また、制御部500は、切り換え弁V1、切り換え弁V2、及びチラー220の動作をも制御する。制御部500とチラー220との間を繋ぐ信号線の図示が省略されている。
冷却システム10には、各部の温度を測定するための温度センサが複数設けられている。それぞれの温度センサによって測定された温度は、制御部500に入力される。図1では、これらの温度センサのうち、水温センサ401と、油温センサ402と、水温センサ403と、冷媒温センサ404と、外気温センサ405と、が示されている。尚、図1においては、制御部500と水温センサ401等との間を繋ぐ信号線の図示が省略されている。
水温センサ401は、インバータ冷却部110やオイル冷却部120を通る冷却水の温度を測定するためのセンサである。水温センサ401は、流路101のうち、インバータ冷却部110とオイル冷却部120との間となる位置に設けられている。
油温センサ402は、オイル冷却部120を通るオイルの温度を測定するためのセンサである。油温センサ402は、モータージェネレータ130の一部に設けられている。このため、油温センサ402によって測定されるオイルの温度は、モータージェネレータ130の内部に存在するオイルの温度、ということもできる。
水温センサ403は、バッテリ冷却部210やチラー220を通る冷却水の温度を測定するためのセンサである。水温センサ403は、流路201のうち、バッテリ冷却部210とチラー220との間となる位置に設けられている。
冷媒温センサ404は、空調室外機310を通る冷媒の温度を測定するためのセンサである。冷媒温センサ404は、流路311のうち、空調室外機310の近傍となる位置に設けられている。
外気温センサ405は、外気温、すなわち、外部から導入されて第1ラジエータ160等の熱交換に供される空気の温度を測定するためのセンサである。外気温センサ405は、例えば、車両内部のうちフロントグリルの近傍となる位置に設けられている。
切り換え弁V1等による流路の切り換えについて説明する。図1に示される状態では、切り換え弁V1によって流路101と流路102とが互いに連通している一方で、流路104はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201と流路204とが互いに連通している一方で、流路202はこれらのいずれとも連通していない。
図1では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。第1ウォーターポンプWP1によって送り出された冷却水は、第1ラジエータ160、切り換え弁V1、インバータ冷却部110、オイル冷却部120を順に通って、第1ウォーターポンプWP1に戻る。当該冷却水は、バッテリ冷却部210及びチラー220を通らない経路で循環する。
また、第2ウォーターポンプWP2によって送り出された冷却水は、バイパス流路206を通った後、切り換え弁V2、チラー220、バッテリ冷却部210を順に通って、第2ウォーターポンプWP2に戻る。当該冷却水は、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、第1ラジエータ160、及び第2ラジエータ260のいずれをも通らない経路で循環する。
このように、図1に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1から送り出された冷却水が、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、及び第1ラジエータ160を通り、且つ、バッテリ冷却部210、及びチラー220を通らない経路で循環する。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、バッテリ冷却部210及びチラー220を通り、且つ、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、第1ラジエータ160、及び第2ラジエータ260を通らない経路で循環する。このような冷却システム10の状態のことを、以下では「第1状態」とも称する。
外気温が高いとき(例えば35℃以上のとき)に、第2ラジエータ260及びバッテリ冷却部210のそれぞれを通る経路で冷却水を循環させると、第2ラジエータ260を通る際において冷却水の温度が30℃を超えてしまい、バッテリ冷却部210においてバッテリが適切に冷却されなくなってしまう可能性がある。そこで、外気温が高いときには、上記の第1状態に切り換えて、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水を、第2ラジエータ260を通らない経路で循環させることとすればよい。このような理由により、第1状態は、原則として、外気温が高いときにおいてとられる状態となっている。
尚、第1状態においては、バッテリ冷却部210を通る冷却水の冷却が、チラー220のみによって行われる。
図4には、冷却システム10がとり得る他の状態が示されている。図4に示される状態では、切り換え弁V2によって流路201と流路202とが互いに連通している一方で、流路204はこれらのいずれとも連通していない。一方、切り換え弁V1の状態は、図1に示される第1状態のときと同じである。
図4では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。第1ウォーターポンプWP1によって送り出された冷却水が流れる経路は、第1状態における経路と同じである。一方、第2ウォーターポンプWP2によって送り出された冷却水は、第2ラジエータ260、切り換え弁V2、チラー220、バッテリ冷却部210を順に通って、第2ウォーターポンプWP2に戻る。当該冷却水は、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、及び第1ラジエータ160を通らない経路で循環する。
このように、図4に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1から送り出された冷却水が、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、及び第1ラジエータ160を通り、且つ、バッテリ冷却部210、及びチラー220を通らない経路で循環する。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、バッテリ冷却部210、チラー220、及び第2ラジエータ260を通り、且つ、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、及び第1ラジエータ160を通らない経路で循環する。このような冷却システム10の状態のことを、以下では「第2状態」とも称する。
外気温がそれほど高くないとき(例えば10℃から20℃の範囲内のとき)には、第2ラジエータ260における外気との熱交換によって、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度を適温に保つことが可能となる。そこで、外気温がそれほど高くないときには、上記の第2状態に切り換えて、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水を、第2ラジエータ260を通る経路で循環させることとすればよい。このような理由により、第2状態は、原則として、外気温がそれほど高くないときにおいてとられる状態となっている。
尚、第2状態においては、バッテリ冷却部210を通る冷却水の冷却が、第2ラジエータ260によって十分に行われる。このため、チラー220における冷却水の冷却は停止された状態となる。
図5には、冷却システム10が更にとり得る他の状態が示されている。図5に示される状態では、切り換え弁V1によって流路101と流路104とが互いに連通している一方で、流路102はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201と流路204とが互いに連通している一方で、流路202はこれらのいずれとも連通していない。
図5では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。第1ウォーターポンプWP1によって送り出された冷却水は、切り換え弁V2、チラー220、及びバッテリ冷却部210、を通って、第2ウォーターポンプWP2に到達する。当該冷却水は、第2ウォーターポンプWP2によって更に送り出された後、切り換え弁V1、インバータ冷却部110、及びオイル冷却部120を順に通って、第1ウォーターポンプWP1に戻る。この場合の冷却水は、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260のいずれをも通らない経路で循環する。尚、このような経路での冷却水の循環は、第1ウォーターポンプWP1又は第2ウォーターポンプWP2のいずれか一方のみを動作させることによって実現されてもよい。
このように、図5に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1及び第2ウォーターポンプWP2のうち少なくとも一方から送り出された冷却水が、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、チラー220、及びバッテリ冷却部210を通り、且つ、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260を通らない経路で循環する。このような冷却システム10の状態のことを、以下では「第3状態」とも称する。
外気温が低いとき(例えば0℃未満のとき)に、第1ラジエータ160や第2ラジエータ260のそれぞれを通る経路で冷却水を循環させると、冷却水の温度が低下し過ぎてしまい、バッテリ等の温度を適温に保つことができなくなってしまう可能性がある。そこで、外気温が低いときには、上記の第3状態に切り換えて、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260を通らない経路で冷却水を循環させることとすればよい。このような理由により、第3状態は、原則として、外気温が低いときにおいてとられる状態となっている。
尚、第3状態においては、流路201等を循環する冷却水の冷却が、チラー220のみによって行われる。チラー220による冷却水の冷却は、例えば水温センサ403によって測定される冷却水の水温を参照しながら、必要に応じて断続的に行われる。
図6には、冷却システム10がとり得る他の状態が示されている。図6に示される状態では、切り換え弁V1によって流路102と流路104とが互いに連通している一方で、流路101はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路202と流路204とが互いに連通している一方で、流路201はこれらのいずれとも連通していない。
図6では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。当該状態においては、第1ウォーターポンプWP1は停止しており、第2ウォーターポンプWP2のみが動作している。第2ウォーターポンプWP2によって送り出された冷却水は、その一部が、第2ラジエータ260、切り換え弁V2、チラー220、及びバッテリ冷却部210を順に通って、第2ウォーターポンプWP2に戻る。第2ウォーターポンプWP2によって送り出された冷却水の残部は、切り換え弁V1、第1ラジエータ160、切り換え弁V2、チラー220、及びバッテリ冷却部210を順に通って、第2ウォーターポンプWP2に戻る。この場合の冷却水は、インバータ冷却部110及びオイル冷却部120のいずれをも通らない経路で循環する。このような冷却システム10の状態のことを、以下では「第4状態」とも称する。
車両が停止しており、且つ給電スタンドにおいてバッテリへの急速充電が行われているときには、バッテリが発熱する一方で、モータージェネレータ130等は殆ど発熱しない。そこで、急速充電時においては上記の第4状態に切り換えて、第1ラジエータ160や第2ラジエータ260によって冷却された冷却水をバッテリ冷却部210に流すこととすればよい。このような理由により、第4状態は、原則として急速充電時においてとられる状態となっている。
以上のような第1状態、第2状態、第3状態、及び第4状態のそれぞれは、制御部500が切り換え弁V1及び切り換え弁V2を動作させ、冷却水の循環する経路を変化させることによって実現される。切り換え弁V1及び切り換え弁V2は、本実施形態における「流路切り換え部」に該当する。
本実施形態に係る冷却システム10では、状況に応じて制御部500が冷却水の状態を切り換えたり、第1ウォーターポンプWP1や第2ウォーターポンプWP2の動作状態を変化させたりすることにより、冷却水及びオイルのそれぞれの温度が適温に保たれる。制御部500が行う制御の説明に先立ち、図7を参照しながらオイルの適温範囲について説明する。
図7には、モータージェネレータ130を循環するオイルの温度(横軸)と、動作中のモータージェネレータ130における損失(縦軸)との関係が示されている。同図に示される線L2は、オイルの粘性によって生じる損失を示すグラフである。当該損失は所謂「フリクション」とも称されるものである。
よく知られているように、オイルは、その温度が高くなるほど粘度が小さくなる。このため、線L2に示されるように、オイルの温度が高くなるほど、オイルの粘性によって生じる損失は小さくなる。
図7に示される線L3は、モータージェネレータ130において生じる電気的な損失の変化を示すグラフである。当該損失は、モータージェネレータ130が備える不図示の永久磁石の磁性が、温度の上昇に伴って低下してしまうことによる損失である。オイルの温度が高くなるほど、永久磁石の磁性は小さくなり、モータージェネレータ130において生じる電気的な損失は大きくなる。
このように、オイルの温度が高くなると、粘性によって生じる損失は小さくなる一方で、電気的な損失は大きくなる。図7に示される線L1は、粘性によって生じる損失と、電気的な損失と、の両方を勘案した損失を示すグラフである。線L1に示されるように、モータージェネレータ130における損失は、概ね60℃から80℃の範囲において最小となっている。
このため、本実施形態に係る冷却システム10では、60℃から80℃までの範囲がオイルの「適温範囲」として予め設定されている。制御部500は、モータージェネレータ130を循環するオイルの温度が可能な限りこの適温範囲内に収まるように、第1ウォーターポンプWP1等の動作を制御する。尚、上記とは異なる温度範囲が適温範囲として設定されていてもよい。
先に述べたように、本実施形態に係る冷却システム10では、第1ラジエータ160と空調室外機310との間でフィンOFが共有されており、第2ラジエータ260と空調室外機310との間でもフィンOFが共有されている。このような構成としたことの効果について、図8及び図9を参照しながら説明する。
図8に示されるのは、比較例に係る冷却システムを循環する冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度の時間変化である。この比較例では、本実施形態と異なり、第1ラジエータ160と空調室外機310との間でフィンOFが共有されておらず、第2ラジエータ260と空調室外機310との間でもフィンOFが共有されていない。つまり、第1ラジエータ160、第2ラジエータ260、及び空調室外機310のそれぞれが、互いに独立した熱交換器として構成されている。
図8では、車両が始動された以降における冷媒の温度変化が線LRFで示されている。また、車両が始動された以降における冷却水の温度変化が線LWTで示されており、車両が始動された以降におけるオイルの温度変化が線LOIで示されている。後に説明する図9でも同様である。
図8に示されるように、車両が始動された直後の時点では、冷媒、冷却水、及びオイルの温度はいずれも、概ね外気温と等しくなっている。以降は、モータージェネレータ130の発熱に伴ってオイルの温度(線LOI)は急速に上昇している。また、インバータの発熱や、オイルからの伝熱に伴って、冷却水の温度(線LWT)も急速に上昇している。冷却水の温度は、オイルの温度よりも僅かに低い程度となっている。
図8の例では、車両用空調装置によって車室内の暖房が行われている。このとき、空調室外機310は、外気から熱を回収するための蒸発器として機能している。このため、循環する冷媒の温度は急速に低下しており、外気温よりも低くなっている。
図9に示されるのは、本実施形態に係る冷却システム10を循環する冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度の時間変化である。本実施形態においても、車両が始動された後はオイルの温度(線LOI)が上昇している。しかしながら、オイル冷却部120を通る冷却水の熱は、第1ラジエータ160を通る際において、空調室外機310を通る冷媒へと伝えられる。つまり、モータージェネレータ130を循環するオイルの熱が、冷却水を介して低温の冷媒へと伝えられる。このため、図9の線LOIで示されるオイルの温度は、図8の線LOIで示されるオイルの温度よりも低くなっている。
このように、本実施形態では、第1ラジエータ160と空調室外機310との間でフィンOFが共有されていることにより、暖房時には低温の冷媒によってオイルの冷却を補助的に行うことが可能となっている。
尚、冷媒への伝熱によってオイルの温度が低下し過ぎてしまうと、先に述べたように、モータージェネレータ130における損失が大きくなってしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、制御部500が後に説明する制御を行うことにより、オイルの温度を適温範囲内に保つこととしている。
図9の線LWTで示される冷却水の温度は、図8の線LWTで示される冷却水の温度よりも低くなっている。これは、冷却水が第1ラジエータ160を通る際に、空調室外機310を通る低温の冷媒によって冷却されるからである。
このように、本実施形態では、第1ラジエータ160と空調室外機310との間でフィンOFが共有されていることにより、暖房時には低温の冷媒によって冷却水の冷却をも補助的に行うことが可能となっている。
ところで、冷媒への伝熱によって冷却水の温度が低下し過ぎてしまうと、図9の線LWTで示される例のように、冷却水の温度が一時的に外気温を下回ってしまう可能性がある。このような状態になると、インバータが露点以下の温度まで冷却されることにより、インバータで結露が生じてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、制御部500が後に説明する制御を行うことにより、冷却水の温度を概ね外気温以上に保つこととしている。
図9の線LRFで示される冷媒の温度は、図8の線LRFで示される冷媒の温度よりも高くなっている。これは、冷媒が空調室外機310を通る際に、第1ラジエータ160を通る高温の冷却水によって加熱されるからである。
冷媒に加えられた熱は、空調室外機310において空気から回収された熱と共に、暖房用の熱として利用されることとなる。このように、本実施形態では、第1ラジエータ160と空調室外機310との間でフィンOFが共有されていることにより、暖房時には、冷却水の熱を冷媒に加えることが可能となっている。これにより、車両用空調装置が備える不図示のコンプレッサを動作させるために必要な駆動力を低減し、車両用空調装置のエネルギー効率を高めることが可能となる。
制御部500によって行われる制御について説明する。先ず図10を参照しながら、暖房時に行われる制御の概要について説明する。
図10(A)に示されるのは、車両用空調装置による暖房運転(車室内の暖房)が行われているときにおいて、冷却システム10を循環する冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度の時間変化である。図10(A)でも図8や図9と同様に、冷媒の温度変化が線LRFで示されており、冷却水の温度変化が線LWTで示されており、オイルの温度変化が線LOIで示されている。尚、線LRFで示される冷媒の温度は、冷媒温センサ404で測定される冷媒の温度である。線LWTで示される冷却水の温度は、水温センサ401で測定される冷却水の温度である。線LOIで示されるオイルの温度は、油温センサ402で測定されるオイルの温度である。
図10(B)に示されるのは、暖房時における冷却システム10の状態の時間変化である。同図の縦軸における「1」、「2」、及び「3」は、それぞれ、冷却システム10の第1状態、第2状態、及び第3状態に対応する。
図10(C)に示されるのは、暖房時において第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量の時間変化である。本実施形態では、第1ウォーターポンプWP1が停止している状態(OFF)と、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量が比較的小さい状態(Min)と、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量が比中程度である状態(Mid)と、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量が比較的大きい状態(Max)と、の間で、第1ウォーターポンプWP1の状態が変化する。尚、このような状態の分類は説明の便宜上によるものであって、第1ウォーターポンプWP1の状態が、上記4つを含む範囲で連続的に変化する態様であってもよい。
図10(D)に示されるのは、暖房時におけるオイルポンプOPの動作状態の時間変化である。本実施形態では、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが行われている状態(ON)と、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが行われていない状態(OFF)と、の間で、オイルポンプOPの動作状態が変化する。このような態様に替えて、オイルポンプOPから送り出されるオイルの流量が連続的に変化する態様であってもよい。
先ず、オイルの温度を調整するための制御について説明する。図10(A)の線LOIに示されるように、車両が始動された以降は、オイルの温度は外気温から次第に上昇して行く。車両の始動後、オイルの温度が60℃(つまり、適温範囲の下限)よりも低いときには、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMaxに設定されており(図10(C))、オイルポンプOPは動作を停止している(図10(D))。
このような状態においては、オイルポンプOPの停止によってオイルが循環しなくなるので、モータージェネレータ130の内部におけるオイルの温度上昇が促進される。このため、短時間のうちにオイルの温度を適温範囲内まで上昇させることができる。また、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量を大きくすることにより、冷却水の温度変動を抑制しながら各部の暖機を行うことができる。
時刻t11において、オイルの温度が60℃に到達すると、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量がMaxからMinに切り換えられる(図10(C))。これと同時に、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが開始される(図10(D))。
オイルポンプOPを動作させることにより、オイル冷却部120におけるオイルの冷却が開始されるので、以降においてはオイルの温度上昇が抑制される。これにより、オイルの温度がさらに急激に上昇して、適温範囲の上限(80℃)を大きく超えてしまうような事態が防止される。また、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量を小さくすることで、オイル冷却部120においてオイルが冷却され過ぎてしまうような事態が防止される。
時刻t12においてオイルの温度が80℃(つまり、適温範囲の上限)を上回ると、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量がMinからMidに切り換えられる(図10(C))。これにより、オイル冷却部120においてオイルから冷却水へと伝えられる熱量が大きくなるので、以降においてはオイルの温度上昇が更に抑制される。オイルの温度は、80℃を超える程度まで上昇するのであるが、その後は低下し始める(図10(A))。つまり、オイルの温度が適温範囲内に戻される。
時刻t14において、オイルの温度が80℃を下回ると、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量がMidからMinに切り換えられる(図10(C))。これにより、オイル冷却部120においてオイルから冷却水へと伝えられる熱量がそれまでよりも小さくなるので、オイルの温度低下が抑制される。
時刻t15において、オイルの温度が60℃を下回ると、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量がMinからMaxに切り換えられる(図10(C))。これと同時に、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが停止される(図10(D))。すなわち、第1ウォーターポンプWP1及びオイルポンプOPの動作状態が、時刻t11よりも前の状態と同じ状態に切り換えられる。このため、時刻t15以降においては、オイルの温度上昇が促進されることとなるので、オイルの温度は適温範囲内に戻される。
時刻t17において、オイルの温度が60℃を上回ると、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量がMaxからMinに切り換えられる(図10(C))。これと同時に、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが開始される(図10(D))。つまり、第1ウォーターポンプWP1及びオイルポンプOPの動作状態が、時刻t11以降の状態と同じ状態に切り換えられる。これにより、以降はオイルの温度上昇が抑制され、オイルの温度が適温範囲内に抑えられる。
時刻t17以降は、時刻t11以降の処理と同様の処理が繰り返される。すなわち、オイルの温度が上昇して適温範囲内となる時刻t17から時刻t19までの期間では、時刻t11から時刻t12までと同様の処理が行われる。また、オイルの温度が80℃を超えた時刻t19から時刻t20までの期間では、時刻t12から時刻t14までと同様の処理が行われる。更に、オイルの温度が低下して適温範囲内となる時刻t20以降の期間では、時刻t14以降と同様の処理が行われる。以上のような制御により、オイルの温度が、概ね60℃から80℃までの適温範囲内に維持される。
尚、オイルの温度を適温範囲内に収めるための制御は、上記とは異なる態様で実行されてもよい。例えば、オイルの温度が80℃を上回った時刻t12以降では、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量がMidに切り換えられた状態となるが、この状態が、オイルの温度が60℃を下回る時刻t15まで継続されることとしてもよい。同様に、オイルの温度が60℃を下回った時刻t15以降は、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量がMaxに切り換えられ、オイルポンプOPからのオイルの送り出しが停止された状態となるが、この状態が、オイルの温度が80℃を上回る時刻t19まで継続されることとしてもよい。
続いて、冷却水の温度を調整するための制御について説明する。図10(A)の線LWTに示されるように、車両が始動された以降は、冷却水の温度は外気温から次第に上昇して行く。このとき、冷却システム10の状態は図5の第3状態に設定されている(図10(B))。このような状態では、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260を通らない経路で冷却水が循環する。このため、暖房の必要な冬期であっても、冷却水の温度を早期に上昇させ、各部の暖機を完了させることができる。
時刻t10において、冷却水の温度が30℃を超えると、冷却システム10の運転状態が第3状態から第2状態に切り換えられる(図10(B))。これにより、第1ラジエータ160において冷却水の冷却が開始されるので、冷却水の温度は、僅かに30℃を超えた後で低下し始める。尚、この30℃という温度は、インバータ等を適切に冷却し、且つ、空調室外機を通る冷媒を適度に加熱するために必要な、冷却水の温度範囲の上限として、予め設定された閾値である。閾値として30℃とは異なる温度が設定されてもよい。
時刻t13において、冷却水の温度が外気温(露点といってもよい)を下回ると、冷却システム10の運転状態が第2状態から第3状態に切り換えられる(図10(B))。これにより、冷却水が第1ラジエータ160を通らなくなるので、冷却水の温度は、僅かに外気温を下回った後に上昇し始める。
冷却水の温度が外気温よりも低くなってしまうと、インバータが露点以下の温度まで冷却されることにより、インバータで結露が生じてしまう可能性がある。これを防止するために、本実施形態では、必要に応じて第3状態に切り換えることによって冷却水の温度を上昇させ、概ね外気温以上に保つこととしている。
時刻t16以降は、時刻t10以降の処理と同様の処理が繰り返される。すなわち、上昇した冷却水の温度が30℃を上回った時刻t16以降では、先に述べた時刻t10以降と同様の処理が行われる。また、低下した冷却水の温度が外気温を下回った時刻t18以降は、先に述べた時刻t13以降と同様の処理が行われる。以上のような制御により、冷却水の温度が、概ね外気温(露点)から30℃(上記の閾値)までの範囲内に維持される。
尚、冷却水の温度を上昇させるために、第2状態から第3状態に切り換える処理が実行されるタイミングは、本実施形態のように冷却水の温度が低下して外気温を下回ったタイミング(時刻t13等)であってもよいが、制御の応答遅れ等を考慮し、冷却水の温度が30℃を下回ったタイミング(時刻t11等)であってもよい。また、冷却水の温度を低下させるために、第3状態から第2状態に切り換える処理が行われるタイミングは、本実施形態のように冷却水の温度が上昇して30℃を上回ったタイミング(時刻t16等)であってもよいが、制御の応答遅れ等を考慮し、冷却水の温度が外気温を上回ったタイミング(時刻t14等)であってもよい。
以上のような暖房時の制御を実現するために、制御部500によって実行される処理の流れについて、図11を参照しながら説明する。図11に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に、制御部500によって繰り返し実行される処理となっている。
当該処理の最初のステップS01では、車両用空調装置がONとなっているか否かが判定される。車両用空調装置がOFFとなっている場合には、図11に示される一連の処理を終了する。この場合には、冷媒の温度を考慮した流路切り替え等の制御等は行われず、従来通りの方法によってオイルポンプOP等の動作が制御される。尚、車両用空調装置がOFFとなっている場合には、後に説明するステップS09以降の処理のみが行われることとしてもよい。
ステップS01において、車両用空調装置がONとなっている場合には、ステップS02に移行する。ステップS02では、空調の設定温度である車室要求温度が、外気温よりも高いか否かが判定される。車室要求温度が外気温よりも高い場合には、ステップS03に移行する。尚、それ以外の場合については、図13を参照しながら後に説明する。
ステップS03に移行した場合には、車室内の暖房を行う必要がある。このため、ステップS03では、暖房を行い得る状態となるように車両用空調装置の状態が切り換えられる。つまり、空調室外機310が蒸発器として機能するように、車両用空調装置において冷媒の流れる経路が切り換えられる。その後、車両用空調装置による暖房が開始される。また、暖房時における冷却システム10の状態は、この時点では第3状態とされる。
ステップS03に続くステップS04では、除霜要求が有るか否かが判定される。「除霜要求」とは、蒸発器である空調室外機310から、その表面に付着した霜を除去するよう、例えば、車両用空調装置の制御部から送信される要求信号である。車両用空調装置の制御部は、車両用空調装置の吹き出し口における空調風の温度や、空調室外機310を通る冷媒の圧力等に基づいて、空調室外機310における着霜の有無を判定する。着霜が生じたと判定された場合には、車両用空調装置の制御部から制御部500に向けて除霜要求が送信される。除霜要求が無かった場合には、ステップS05に移行する。尚、除霜要求が有った場合の処理については、図15を参照しながら後に説明する。
ステップS05では、水温センサ401で測定される冷却水の温度が、30℃を超えたか否かが判定される。冷却水の温度が上昇して30℃を超えた場合(例えば図10の時刻t10)には、ステップS06に移行する。ステップS06では、冷却システム10の状態を第2状態へと切り換える処理が行われる。これにより、先に述べたように冷却水の温度低下が図られる。その後、ステップS07に移行する。ステップS06において、冷却水の温度が30℃を超えていなかった場合には、ステップS06を経ることなくステップS07に移行する。
ステップS07では、水温センサ401で測定される冷却水の温度が低下して、外気温センサ405で測定された外気温を下回ったか否かが判定される。冷却水の温度が低下して外気温を下回った場合(例えば図10の時刻t13)には、ステップS08に移行する。ステップS08では、冷却システム10の状態を第3状態へと切り換える処理が行われる。これにより、先に述べたように冷却水の温度上昇が図られる。その後、ステップS09に移行する。ステップS07において、冷却水の温度が外気温を下回っていなかった場合には、ステップS08を経ることなくステップS09に移行する。
ステップS09では、油温センサ402で測定されるオイルの温度が、60℃(つまり適温範囲の下限)よりも低いか否かが判定される。オイルの温度が60℃よりも低い場合には、ステップS10に移行する。ステップS10では、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量をMaxとし、オイルポンプOPによるオイルの送り出しを停止させる処理が行われる。
このように、オイル冷却部120を通るオイルの温度が低下して所定の適温範囲の下限よりも低くなった場合には、制御部500は、第1ウォーターポンプWP1を動作させ、オイルポンプOPを停止させる。これにより、オイルの温度上昇が促進される。
ステップS09において、オイルの温度が60℃以上であった場合には、ステップS11に移行する。ステップS11では、油温センサ402で測定されるオイルの温度が、60℃以上であり且つ80℃未満であるか否かが判定される。つまり、オイルの温度が適温範囲に収まっているか否かが判定される。オイルの温度が適温範囲に収まっている場合にはステップS12に移行する。ステップS12では、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量をMinとし、オイルポンプOPによるオイルの送り出しを開始させる処理が行われる。
このように、オイル冷却部120を通るオイルの温度が適温範囲に収まっている場合には、制御部500は、第1ウォーターポンプWP1及びオイルポンプOPの両方を動作させる。これにより、オイルの温度が適温範囲内に維持される。
ステップS12において、オイルの温度が80℃以上となっている場合には、ステップS13に移行する。ステップS13では、油温センサ402で測定されるオイルの温度が、80℃以上であり且つ90℃未満であるか否かが判定される。この90℃という温度は、オイルの温度が上昇し過ぎたことを判定するために予め設定された「限界温度」である。尚、限界温度としては、適温範囲の上限よりも高い温度が設定されればよく、90℃とは異なる温度が設定されていてもよい。
オイルの温度が限界温度よりも低い場合には、ステップS14に移行する。ステップS14では、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量をMidとし、オイルポンプOPによるオイルの送り出しを開始させる処理が行われる。
このように、制御部500は、オイル冷却部120を通るオイルの温度が上昇して適温範囲の上限よりも高くなると、オイル冷却部120を通るオイルの温度が適温範囲に収まっている場合(ステップS11の判定がYesであった場合)に比べて、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量を大きくする。オイルの温度が適温範囲に収まっている場合に比べて冷却水の流量が大きくなるので、オイル冷却部120におけるオイルの冷却性能が高められる。これにより、オイルの温度は適温範囲内に戻される。
ステップS13において、オイルの温度が限界温度以上となっていた場合には、ステップS15に移行する。ステップS15では、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量をMaxとし、オイルポンプOPによるオイルの送り出しを開始させる処理が行われる。
このように、制御部500は、オイル冷却部120を通るオイルの温度が上昇して90℃(限界温度)よりも高くなると、オイル冷却部120を通るオイルの温度が90℃よりも高くない場合(ステップS13の判定がYesであった場合)に比べて、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量を更に大きくする。冷却水の流量が更に大きくなるので、オイル冷却部120におけるオイルの冷却性能が更に高められる。これにより、オイルの温度は適温範囲内に戻される。
以上のように、本実施形態に係る冷却システム10では、制御部500が、油温センサ402で測定されるオイルの温度、すなわちオイル冷却部120を通るオイルの温度に基づいて、第1ウォーターポンプWP1及びオイルポンプOPの動作を制御するように構成されている。これにより、オイルの温度を早い段階で適温範囲内に収まるように調整することができる。また、オイルの温度が適温範囲内に収まった後は、その状態を維持することができる。
車両用空調装置により暖房運転が行われる際において、制御部500は、オイル冷却部120を通る冷却水の温度が低下して外気温よりも低くなった場合(ステップS07の判定がYesであった場合)には、第3状態となるように切り換え弁V1及び切り換え弁V2(流路切り換え部)を制御する。これにより、冷却水の温度が外気温以上に維持されるので、インバータ等における結露が防止される。
車両用空調装置により暖房運転が行われる際において、制御部500は、オイル冷却部120を通る冷却水の温度が上昇して30℃(所定の閾値)よりも高くなった場合(ステップS05の判定がYesであった場合)には、第2状態となるように流路切り換え部(切り換え弁V1及び切り換え弁V2)を制御する。これにより、冷却水の温度が30℃以下に維持されるので、冷却水によるインバータの冷却等を適切に行うことができる。
続いて、図12を参照しながら、冷房時に行われる制御の概要について説明する。
図12(A)は、車両用空調装置による冷房運転(車室内の冷房)が行われているときにおいて、冷却システム10を循環する冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度の時間変化を、図10(A)と同様の方法で示すものである。
また、図12(B)は、冷房時における冷却システム10の状態の時間変化を、図10(B)と同様の方法で示すものである。図12(C)は、冷房時において第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量の時間変化を、図10(C)と同様の方法で示すものである。図12(D)は、冷房時におけるオイルポンプOPの動作状態の時間変化を、図10(D)と同様の方法で示すものである。
先ず、オイルの温度を調整するための制御について説明する。冷房時においても、先に説明した暖房時と同様の制御が行われることにより、オイルの温度は適温範囲内に維持される。例えば、時刻t31までの期間や、時刻t34から時刻t35までの期間のように、オイルの温度が60℃よりも低いときには、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMaxに設定され(図12(C))、オイルポンプOPによるオイルの送り出しは停止される(図12(D))。
また、時刻t31から時刻t32までの期間や、時刻t33から時刻t34までの期間や、時刻t35から時刻t36までの期間のように、オイルの温度が適温範囲に収まっているときには、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMinに設定され(図12(C))、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが行われる(図12(D))。
更に、時刻t32から時刻t33までの期間や、時刻t36から時刻t37までの期間等のように、オイルの温度が適温範囲の上限を上回っているときには、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMidに設定され(図12(C))、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが行われる(図12(D))。
以上のように、制御部500は冷房時においても、オイル冷却部120を通るオイルの温度に基づいて、第1ウォーターポンプWP1及びオイルポンプOPの動作を制御するように構成されている。これにより、オイルの温度を早い段階で適温範囲内に収まるように調整することができる。また、オイルの温度が適温範囲内に収まった後は、その状態を維持することができる。
続いて、冷却水や冷媒の温度調整について説明する。図12(A)の線LWTに示されるように、車両が始動された以降は、冷却水の温度は外気温から次第に上昇して行く。このとき、冷却システム10の状態は図1の第1状態に設定されている(図12(B))。このため、冷却水は第1ラジエータ160を通る経路で循環することとなる。
図12(A)の線LRFに示されるように、冷房時においては空調室外機310が凝縮器として機能するので、冷媒の温度は始動直後から急激に上昇する。このため、第1ラジエータ160においては、高温の冷媒によって冷却水が加熱される。冷房時においては、このような状態で第1ウォーターポンプWP1を動作させることにより、冷却水の温度上昇が促進される。
また、空調室外機310を通る高温の冷媒は、空気によって冷却されるだけでなく、第1ラジエータ160を通る冷却水によっても冷却される。これにより、冷媒の温度上昇が抑制されるので、車両用空調装置が備える不図示のコンプレッサを動作させるために必要な駆動力が低減される。
尚、冷房が行われる夏期のような期間では、冷却水によって冷媒からの放熱を促進することが優先される。また、冷媒によって加熱される冷却水の温度が、外気温を下回ってしまうことは無いので、インバータ等において結露が生じてしまうことも無い。このため、冷房時においては、インバータ冷却部110を通る冷却水の温度を、所定範囲に収めるような制御は行われない。
一方、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度が30℃を超えてしまうと、既に述べたようにバッテリが適切に冷却されなくなってしまう可能性がある。このため、冷房時においては、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度を30℃以内に収めるための処理が実行される。当該処理については後述する。
以上のような冷房時の制御を実現するために、制御部500によって実行される処理の流れについて、図13を参照しながら説明する。図13に示される一連の処理は、図11のステップS02で、車室要求温度が外気温以下であると判定された場合において開始される処理である。
図13の処理が開始される場合には、車室内の冷房を行う必要が有る。このため、図13の処理の最初のステップS21では、冷房を行い得る状態となるように車両用空調装置の状態が切り換えられる。つまり、空調室外機310が凝縮器として機能するように、車両用空調装置において冷媒の流れる経路が切り換えられる。その後、車両用空調装置による冷房が開始される。また、冷房時における冷却システム10の状態は、この時点では第1状態とされる。
ステップS21に続くステップS22では、外気温センサ405で測定される外気温が、30℃よりも高いか否かが判定される。外気温が30℃よりも高い場合にはステップS23に移行する。ステップS23では、冷却システム10の状態を第1状態に切り換える処理が行われる。このとき既に第1状態であった場合には、当該状態が維持される。
外気温が30℃よりも高いときに、冷却システム10の状態が第2状態にされると、第2ラジエータ260を通って30℃以上まで加熱された冷却水が、バッテリ冷却部210を通る可能性がある。この場合、バッテリが冷却水によって30℃以上まで加熱されてしまうので好ましくない。そこで、本実施形態では、外気温が30℃よりも高い場合には第2状態に切り換えることとしている。
ステップS22において、外気温が30℃以下であった場合には、ステップS24に移行する。ステップS24では、水温センサ403で測定される冷却水の温度、すなわち、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度が、30℃よりも高いか否かが判定される。冷却水の温度が30℃よりも高い場合には、先に述べたステップS23に移行する。冷却水の温度が30℃よりも高くない場合には、ステップS25に移行する。ステップS25では、冷却システム10の状態を第2状態に切り換える処理が行われる。
尚、ステップS22の判定において基準となる温度(本実施形態では30℃)と、ステップS24の判定において基準となる温度(本実施形態では30℃)とは、互いに同じ温度であってもよく、互いに異なる温度であってもよい。また、それぞれの温度が30℃とは異なる温度であってもよい。
ステップS25に移行した場合には、バッテリ冷却部210を通過した後の冷却水が第2ラジエータ260を通る際に、空調室外機310を通る冷媒の熱が当該冷却水に伝えられる。これにより、バッテリ冷却部210を通る冷却水が、一時的に冷媒の冷却に供されることとなる。これにより、車両用空調装置が備える不図示のコンプレッサを動作させるために必要な駆動力が低減される。
冷却システム10の状態が第2状態に切り換えられると、以降は冷却水の温度が上昇する。その後、冷却水の温度が上昇して30℃よりも高くなると、ステップS23に移行して第1状態に戻される。
このように、車両用空調装置により冷房運転が行われる際において、制御部500は、外気温が30℃(所定温度)よりも高い場合(ステップS22の判定がYesである場合)には、第1状態となるように切り換え弁V1及び切り換え弁V2(流路切り換え部)を制御し、それ以外の場合には、第2状態となるように切り換え弁V1及び切り換え弁V2(流路切り換え部)を制御する。ただし、外気温が30℃(所定温度)よりも高くない場合であっても、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度が30℃(所定の閾値)よりも高い場合(ステップS24の判定がYesである場合)には、制御部500は、第1状態となるように切り換え弁V1及び切り換え弁V2(流路切り換え部)を制御する。
これにより、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度を概ね30℃以下に維持しながらも、冷却水による冷媒の冷却を可能な範囲において行うことができる。
ステップS23又はステップS25の処理が行われた後は、ステップS09に移行する。ステップS09以降において行われる処理は、図11のステップS09以降において行われる処理と同じである。このため、その説明については省略する。
続いて、図14を参照しながら、車両用空調装置によって除霜運転が行われる際の制御の概要について説明する。除霜運転とは、先に述べた除霜要求が送信された際に行われる運転のことである。除霜運転中においては、それまで蒸発器として機能していた空調室外機310に対し、一時的に高温の冷媒が供給される。これにより、チューブ等の表面に付着している霜が除供される。このような除霜運転は、例えば、車両用空調装置において冷媒の流れる経路を切り換えて、空調室外機310を一時的に凝縮器として機能させることによって実現することができる。
図14(A)は、車両用空調装置による除霜運転が行われているときにおいて、冷却システム10を循環する冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度の時間変化を、図10(A)と同様の方法で示すものである。
また、図14(B)は、除霜運転時における冷却システム10の状態の時間変化を、図10(B)と同様の方法で示すものである。図14(C)は、除霜運転時において第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量の時間変化を、図10(C)と同様の方法で示すものである。図14(D)は、除霜運転時におけるオイルポンプOPの動作状態の時間変化を、図10(D)と同様の方法で示すものである。
図14の例では、時刻t40が、除霜要求が送信されて除霜運転が開始される時刻となっている。時刻t40よりも前の期間では、図10を参照しながら説明したような暖房が行われている。
時刻t40において除霜運転が開始されると、空調室外機310を通る冷媒の温度は次第に上昇して行く。ただし、冷媒の温度は急激には上昇しないので、時刻t40からしばらくの期間においては、冷媒による除霜は行われない。冷媒の温度が十分に上昇するまでの期間においては、第1ラジエータ160を通る冷却水からの伝熱を利用して、空調室外機310の除霜が行われる。
除霜運転が開始される時刻t40では、冷却システム10の状態が第2状態へと切り替えられる(図14(B))。これにより、外気温よりも温度の高い冷却水が第1ラジエータ160に供給されるので、上記のように空調室外機310の除霜が行われる。尚、冷却水は、第1ラジエータ160を通る際において冷却されるので、線LWTに示されるようにその温度は次第に低下して行く。
その後の時刻t41において、次第に低下する冷却水の温度と、次第に上昇する冷媒の温度とが逆転している。このため、時刻t41以降においては、冷却水を用いることなく冷媒のみによって空調室外機310の除霜を行うことが好ましい。
そこで、時刻t41においては、冷却システム10の状態が第2状態から第3状態へと切り換えられる。第3状態(図5を参照)においては、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260のいずれにも冷却水が供給されないので、高温となった冷媒のみによって空調室外機310の除霜が行われる。
時刻t40から時刻t41までの期間は、冷媒による除霜に先立ち、冷却水による除霜が行われる期間となっている。当該期間は、本実施形態における「除霜準備期間」に該当する。
除霜運転が開始される時刻t40から、時刻t41までの期間においては、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMaxとされる。これにより、第1ラジエータ160における冷却水の温度低下が抑制される。また、このときのオイルポンプOPによるオイルの送り出しは、基本的には継続的に行われる。時刻t41までの期間においては、オイルの熱も(冷却水を介して)除霜のために用いられるので、オイルの温度は次第に低下して行く。当該期間では、オイルの温度を適温範囲に収めることよりも、除霜が優先される。このため、オイルの温度は適温範囲の下限よりも低くなる。
時刻t41以降の期間においては、第3状態に切り換えられるので、オイルの温度及び冷却水の温度は除霜に影響を及ぼさない。このため、当該期間においては、暖房時と同様の制御が行われることにより、オイルの温度が適温範囲に維持される。
例えば時刻t41から時刻t42までの期間のように、オイルの温度が60℃よりも低いときには、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMaxに設定され(図14(C))、オイルポンプOPによるオイルの送り出しは停止される(図14(D))。
また、時刻t42から時刻t43までの期間のように、オイルの温度が適温範囲に収まっているときには、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMinに設定され(図14(C))、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが行われる(図14(D))。
更に、時刻t43から時刻t44までの期間のように、オイルの温度が適温範囲の上限を上回っているときには、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量はMidに設定され(図14(C))、オイルポンプOPによるオイルの送り出しが行われる(図14(D))。
以上のような除霜運転時の制御を実現するために、制御部500によって実行される処理の流れについて、図15を参照しながら説明する。図15に示される一連の処理は、図11のステップS04で、除霜要求が有ると判定された場合において開始される処理である。
図15最初のステップS31では、除霜を行い得る状態となるように車両用空調装置の状態が切り換えられる。つまり、空調室外機310が凝縮器として機能するように、車両用空調装置において冷媒の流れる経路が切り換えられる。冷却システム10の状態は、この時点では第2状態とされる。
ステップS31に続くステップS32では、冷媒温センサ404で測定された冷媒の温度が、水温センサ401で測定された冷却水の温度(オイル冷却部120を通る冷却水の温度)よりも低いか否かが判定される。冷媒の温度が冷却水の温度よりも低い場合には、ステップS33に移行する。尚、ステップS33以降において行われる処理は、図14の例において時刻t40から時刻t41までの期間において実行される処理である。
ステップS33では、水温センサ401で測定された冷却水の温度が、外気温センサ405で測定された外気温よりも高いか否かが判定される。冷却水の温度が外気温よりも高い場合には、ステップS34に移行する。ステップS34では、冷却システム10の状態を第2状態に切り換える処理が行われる。このとき既に第2状態であった場合には、当該状態が維持される。
ステップS33において、冷却水の温度が外気温以下であった場合には、ステップS35に移行する。ステップS35では、冷却システム10の状態を第3状態に切り換える処理が行われる。尚、上記における「冷却水の温度」とは、オイル冷却部120を通る冷却水の温度であって、第2状態においては第1ラジエータ160を通る冷却水の温度である。
冷却水の温度が外気温以下であった場合には、そのような低温の冷却水を第1ラジエータ160に供給しても、空調室外機310の除霜を行うことができない。そこで、ステップS35に移行した場合には第3状態に切り換えることにより、除霜よりも冷却水の温度上昇を優先的に行うこととしている。
ステップS34又はステップS35の処理が行われた後は、ステップS36に移行する。ステップS36では、水温センサ401で測定された冷却水の温度が、油温センサ402で測定されたオイルの温度よりも低いか否かが判定される。冷却水の温度がオイルの温度よりも低い場合には、ステップS37に移行する。ステップS37では、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量をMaxとし、オイルポンプOPによるオイルの送り出しを開始させる処理が行われる。
ステップS36において、冷却水の温度がオイルの温度以上であった場合には、ステップS38に移行する。このような場合においてオイルポンプOPによるオイルの送り出しを開始すると、低温のオイルで冷却水が冷却されてしまい、除霜が効率的に行われなくなってしまう。そこで、ステップS38では、第1ウォーターポンプWP1から送り出される冷却水の流量をMaxとし、オイルポンプOPによるオイルの送り出しを停止させる処理が行われる。これにより、低温のオイルで冷却水が冷却されてしまうような事態が防止される。
ステップS32において、冷媒の温度が冷却水の温度以上であった場合には、図16のステップS41に移行する。尚、ステップS41以降において行われる処理は、図14の例において時刻t41以降の期間において実行される処理である。
ステップS41では、冷却システム10の状態を第3状態に切り換える処理が行われる。ステップS41に続くステップS42では、水温センサ403で測定される冷却水の温度、すなわち、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度が、30℃よりも高いか否かが判定される。冷却水の温度が30℃よりも高い場合には、ステップS43に移行する。ステップS43では、チラー220による冷却水の冷却を開始させる処理が行われる。
ステップS42において、冷却水の温度が30℃以下であった場合には、ステップS44に移行する。ステップS44では、チラー220による冷却水の冷却を停止させる処理が行われる。
以上のような処理により、バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度が、バッテリを例規約するために適切な温度に維持される。尚、ステップS42の判定において基準となる温度(本実施形態では30℃)は、30℃とは異なる温度であってもよい。
ステップS43又はステップS44の処理が行われた後は、ステップS09に移行する。ステップS09以降において行われる処理は、図11のステップS09以降において行われる処理と同じである。このため、その説明については省略する。
以上のように、車両用空調装置により除霜運転が行われる際の制御部500は、基本的には第3状態となるように切り換え弁V1及び切り換え弁V2(流路切り換え部)を制御する(ステップS41)。ただし、除霜運転が開始された後の除霜準備期間では、制御部500は、第2状態となるように切り換え弁V1及び切り換え弁V2(流路切り換え部)を制御する。除霜準備期間とは、図14の例における時刻t40から時刻t41までの期間のように、空調室外機310を通る冷媒の温度が、オイル冷却部120を通る冷却水の温度よりも低くなっている期間のことである。
尚、冷媒温センサ404で測定された冷媒の温度が、水温センサ401で測定された冷却水の温度(オイル冷却部120を通る冷却水の温度)、及び、水温センサ403で測定された冷却水の温度(バッテリ冷却部210を通る冷却水の温度)、のいずれよりも低くなっている期間を、上記の除霜準備期間とするような態様であってもよい。
除霜準備期間においては、冷却システムの状態は原則として第2状態とされる。しかしながら、除霜準備期間であっても、オイル冷却部120を通る冷却水の温度が外気温以下である場合(ステップS33の判定がNoであった場合)には、制御部500は、第3状態となるように切り換え弁V1及び切り換え弁V2(流路切り換え部)を制御する。これにより、除霜よりも冷却水の温度上昇を優先的に行うことしている。
また、除霜準備期間において、オイル冷却部120を通る冷却水の温度が、オイル冷却部120を通るオイルの温度よりも高くなった場合(ステップS36の判定がNoであった場合)には、制御部500はオイルポンプOPによるオイルの送り出しを停止させる。これにより、低温のオイルで冷却水が冷却されてしまうような事態が防止される。
以上のように、本実施形態に係る冷却システム10によれば、第1ウォーターポンプWP1やオイルポンプOP等の動作状態を調整したり、冷却水の流路の切り換えを行ったりすることにより、各部を流れる冷媒、冷却水、及びオイルのそれぞれの温度調整を、状況に応じて適切に行うことができる。
第2実施形態について説明する。本実施形態では、冷却システム10における冷却水の流路の配置において第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
図17を参照しながら、本実施形態に係る冷却システム10の構成について説明する。尚、本実施形態でも、第1実施形態と同様にモータージェネレータ130をオイルが循環するのであるが、同図においては、オイル冷却部120に繋がる流路121、122、モータージェネレータ130、及びオイルポンプOPの図示が省略されている。図18、19においても同様である。
本実施形態では、第1ラジエータ160に繋がる流路103の途中となる位置に、第1ウォーターポンプWP1が配置されている。また、第1ラジエータ160に繋がる流路102の端部と、第2ラジエータ260に繋がる流路203の端部との間が、流路104によって接続されている。更に、第1ラジエータ160に繋がる流路103の端部と、第2ラジエータ260に繋がる流路202の端部との間が、流路105によって接続されている。
流路105と流路202との間は、切り換え弁V1を介して接続されている。切り換え弁V1には更に、後述の流路204の端部が接続されている。切り換え弁V1によって、流路105、流路202、及び流路204の全てが互いに連通している状態と、これらのうち任意の2つのみが連通している状態と、を切り換えることができる。
流路201のうちバッテリ冷却部210側の端部には、第1切り換え弁V1から伸びる流路204の端部が接続されている。また、流路201のうち上記とは反対側の端部には、流路205を介して流路203の端部が接続されている。
流路205と流路201との間は、切り換え弁V2を介して接続されている。切り換え弁V2には更に、バイパス流路206の一端が接続されている。バイパス流路206の他端は、流路204と流路201との接続部分に接続されている。
切り換え弁V2によって、流路201、流路205、及びバイパス流路206の全てが互いに連通している状態と、これらのうち任意の2つのみが連通している状態と、を切り換えることができる。
本実施形態では、第2ウォーターポンプWP2が、流路201のうちチラー220よりも上流側となる位置に配置されている。
切り換え弁V1等による流路の切り換えについて説明する。図17に示される状態では、切り換え弁V1によって流路105と流路202とが互いに連通している一方で、流路204はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201とバイパス流路206とが互いに連通している一方で、流路205はこれらのいずれとも連通していない。
図17では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。図17に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1から送り出された冷却水が、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、第1ラジエータ160、及び第2ラジエータ260を通り、且つ、バッテリ冷却部210、及びチラー220を通らない経路で循環する。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、チラー220、及びバッテリ冷却部210を通り、且つ、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、第1ラジエータ160、及び第2ラジエータ260を通らない経路で循環する。この状態は、本実施形態における「第1状態」に該当する。
図18には、本実施形態に係る冷却システム10がとり得る他の状態が示されている。図18に示される状態では、切り換え弁V1によって流路202と流路204とが互いに連通している一方で、流路105はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201と流路205とが互いに連通している一方で、バイパス流路206はこれらのいずれとも連通していない。
図18では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。図18に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1から送り出された冷却水が、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、及び第1ラジエータ160を通り、且つ、バッテリ冷却部210、及びチラー220を通らない経路で循環する。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、チラー220、バッテリ冷却部210、及び第2ラジエータ260を通り、且つ、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、及び第1ラジエータ160を通らない経路で循環する。この状態は、本実施形態における「第2状態」に該当する。
図19には、本実施形態に係る冷却システム10が更にとり得る他の状態が示されている。図19に示される状態では、切り換え弁V1によって流路105と流路204とが互いに連通している一方で、流路202はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201と流路205とが互いに連通している一方で、バイパス流路206はこれらのいずれとも連通していない。
図19では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。図19に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1は動作を停止している。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、チラー220、バッテリ冷却部210、インバータ冷却部110、オイル冷却部120を通り、且つ、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260を通らない経路で循環する。この状態は、本実施形態における「第3状態」に該当する。
本実施形態に係る制御部500は、以上のような構成の冷却システム10に対し、第1実施形態について説明したものと同様の制御を行う。このような態様でも、第1実施形態について説明したものと同様の効果が得られる。
第3実施形態について説明する。本実施形態でも、冷却システム10における冷却水の流路の配置において第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
図20を参照しながら、本実施形態に係る冷却システム10の構成について説明する。尚、本実施形態でも、第1実施形態と同様にモータージェネレータ130をオイルが循環するのであるが、同図においては、オイル冷却部120に繋がる流路121、122、モータージェネレータ130、及びオイルポンプOPの図示が省略されている。図21、22においても同様である。
本実施形態では、第1ラジエータ160に繋がる流路102の途中となる位置に、第1ウォーターポンプWP1が配置されている。更に、第1ラジエータ160に繋がる流路103の端部と、第2ラジエータ260に繋がる流路202の端部との間が、流路105によって接続されている。
流路101と流路104との間は、切り換え弁V1を介して接続されている。切り換え弁V1には更に、流路102の端部が接続されている。切り換え弁V1によって、流路101、流路102、及び流路104の全てが互いに連通している状態と、これらのうち任意の2つのみが連通している状態と、を切り換えることができる。
流路201のうちバッテリ冷却部210側の端部には、流路204を介して流路105の端部が接続されている。また、流路201のうち上記とは反対側の端部には、切り換え弁V1へと伸びる流路104の端部が接続されている。
流路104と流路201との間は、切り換え弁V2を介して接続されている。切り換え弁V2には更に、バイパス流路206の一端が接続されている。バイパス流路206の他端は、流路204と流路201との接続部分に接続されている。
切り換え弁V2によって、流路201、流路104、及びバイパス流路206の全てが互いに連通している状態と、これらのうち任意の2つのみが連通している状態と、を切り換えることができる。
本実施形態では、第2ウォーターポンプWP2が、流路201のうちバッテリ冷却部210よりも上流側となる位置に配置されている。
本実施形態では、第1ラジエータ160と第2ラジエータ260との間が、接続流路107によって接続されている。接続流路107は、第1ラジエータ160を通った冷却水の一部を、第2ラジエータ260の上流側端部に供給するための流路である。
切り換え弁V1等による流路の切り換えについて説明する。図20に示される状態では、切り換え弁V1によって流路101と流路102とが互いに連通している一方で、流路104はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201とバイパス流路206とが互いに連通している一方で、流路104はこれらのいずれとも連通していない。
図20では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。図20に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1から送り出された冷却水が、第1ラジエータ160、第2ラジエータ260、インバータ冷却部110、及びオイル冷却部120を通り、且つ、バッテリ冷却部210、及びチラー220を通らない経路で循環する。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、バッテリ冷却部210及びチラー220を通り、且つ、インバータ冷却部110、オイル冷却部120、第1ラジエータ160、及び第2ラジエータ260を通らない経路で循環する。この状態は、本実施形態における「第1状態」に該当する。
図21には、本実施形態に係る冷却システム10がとり得る他の状態が示されている。図21に示される状態では、切り換え弁V1によって流路101と流路102とが互いに連通している一方で、流路104はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201と流路104とが互いに連通している一方で、バイパス流路206はこれらのいずれとも連通していない。
図21では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。図21に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1から送り出された冷却水が、第1ラジエータ160、インバータ冷却部110、及びオイル冷却部120を通り、且つ、一部の冷却水が、第2ラジエータ260、バッテリ冷却部210、及びチラー220を通る経路で循環する。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、第1ラジエータ160、バッテリ冷却部210、チラー220、及び第2ラジエータ260を通り、且つ、一部の冷却水が、インバータ冷却部110、及びオイル冷却部120を通る経路で循環する。この状態は、本実施形態における「第2状態」に該当する。
図22には、本実施形態に係る冷却システム10が更にとり得る他の状態が示されている。図22に示される状態では、切り換え弁V1によって流路101と流路104とが互いに連通している一方で、流路102はこれらのいずれとも連通していない。また、切り換え弁V2によって流路201と流路104とが互いに連通している一方で、バイパス流路206はこれらのいずれとも連通していない。
図22では、このような状態における冷却水の流れが複数の矢印で示されている。図22に示される冷却システム10の状態では、第1ウォーターポンプWP1は動作を停止している。また、第2ウォーターポンプWP2から送り出された冷却水が、バッテリ冷却部210、チラー220、オイル冷却部120、及びインバータ冷却部110を通り、且つ、第1ラジエータ160及び第2ラジエータ260を通らない経路で循環する。この状態は、本実施形態における「第3状態」に該当する。
本実施形態に係る制御部500は、以上のような構成の冷却システム10に対し、第1実施形態について説明したものと同様の制御を行う。このような態様でも、第1実施形態について説明したものと同様の効果が得られる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
10:冷却システム
110:インバータ冷却部
120:オイル冷却部
130:モータージェネレータ
160:第1ラジエータ
310:空調室外機
500:制御部
OF:フィン
OP:オイルポンプ
WP1:第1ウォーターポンプ
110:インバータ冷却部
120:オイル冷却部
130:モータージェネレータ
160:第1ラジエータ
310:空調室外機
500:制御部
OF:フィン
OP:オイルポンプ
WP1:第1ウォーターポンプ
Claims (15)
- 車両に搭載される冷却システム(10)であって、
インバータを冷却水によって冷却するインバータ冷却部(110)と、
モータージェネレータ(130)を通るオイルを冷却水によって冷却するオイル冷却部(120)と、
冷却水と空気との間で熱交換を行うラジエータ(160)と、
車両に搭載される車両用空調装置の一部であって、冷媒と空気との間で熱交換を行う空調室外機(310)と、
前記インバータ冷却部及び前記オイル冷却部を通る経路で冷却水が循環するように、冷却水を送り出すウォーターポンプ(WP1)と、
前記モータージェネレータ及び前記オイル冷却部を通る経路でオイルが循環するように、オイルを送り出すオイルポンプ(OP)と、
前記ウォーターポンプ及び前記オイルポンプの動作を制御する制御部(500)と、を備え、
前記ラジエータと前記空調室外機とは、それぞれのフィン(OF)を共有することにより、冷却水と冷媒との間で熱交換が行われるように構成されており、
前記制御部は、前記オイル冷却部を通るオイルの温度に基づいて、前記ウォーターポンプ及び前記オイルポンプの動作を制御する冷却システム。 - 前記オイル冷却部を通るオイルの温度が低下して所定の適温範囲の下限よりも低くなると、
前記制御部は、
前記ウォーターポンプを動作させ、前記オイルポンプを停止させる、請求項1に記載の冷却システム。 - 前記オイル冷却部を通るオイルの温度が前記適温範囲に収まっている場合には、
前記制御部は、
前記ウォーターポンプ及び前記オイルポンプの両方を動作させる、請求項2に記載の冷却システム。 - 前記制御部は、
前記オイル冷却部を通るオイルの温度が上昇して前記適温範囲の上限よりも高くなると、前記オイル冷却部を通るオイルの温度が前記適温範囲に収まっている場合に比べて、前記ウォーターポンプから送り出される冷却水の流量を大きくする、請求項3に記載の冷却システム。 - 前記適温範囲の上限よりも更に高い限界温度が設定されており、
前記制御部は、
前記オイル冷却部を通るオイルの温度が上昇して前記限界温度よりも高くなると、前記オイル冷却部を通るオイルの温度が前記限界温度よりも高くない場合に比べて、前記ウォーターポンプから送り出される冷却水の流量を更に大きくする、請求項4に記載の冷却システム。 - 前記ウォーターポンプは第1ウォーターポンプ(WP1)であり、
前記ラジエータは第1ラジエータ(160)であり、
バッテリを冷却水によって冷却するバッテリ冷却部(210)と、
バッテリ冷却部を通る冷却水を、冷媒との熱交換によって冷却するチラー(220)と、
前記バッテリ冷却部及び前記チラーを通る経路で冷却水が循環するように、冷却水を送り出す第2ウォーターポンプ(WP2)と、
前記バッテリ冷却部を通る冷却水と空気との間で熱交換を行う第2ラジエータ(260)と、を更に備えており、
前記第2ラジエータと前記空調室外機とは、それぞれのフィンを共有することにより、冷却水と冷媒との間で熱交換が行われるように構成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷却システム。 - 冷却水の循環する経路を変化させることにより、第1状態、第2状態、及び第3状態との間を切り換える流路切り換え部(V1,V2)を更に備えており、
前記第1状態は、
前記第1ウォーターポンプから送り出された冷却水が、前記インバータ冷却部、前記オイル冷却部、及び前記第1ラジエータを通り、且つ、前記バッテリ冷却部、及び前記チラーを通らない経路で循環し、
前記第2ウォーターポンプから送り出された冷却水が、前記バッテリ冷却部及び前記チラーを通り、且つ、前記インバータ冷却部、前記オイル冷却部、前記第1ラジエータ、及び前記第2ラジエータを通らない経路で循環する状態であり、
前記第2状態は、
前記第1ウォーターポンプから送り出された冷却水が、前記インバータ冷却部、前記オイル冷却部、及び前記第1ラジエータを通り、且つ、前記バッテリ冷却部、及び前記チラーを通らない経路で循環し、
前記第2ウォーターポンプから送り出された冷却水が、前記バッテリ冷却部、前記チラー、及び前記第2ラジエータを通り、且つ、前記インバータ冷却部、前記オイル冷却部、及び前記第1ラジエータを通らない経路で循環する状態であり、
前記第3状態は、
前記第1ウォーターポンプ及び前記第2ウォーターポンプのうち少なくとも一方から送り出された冷却水が、前記インバータ冷却部、前記オイル冷却部、前記チラー、及び前記バッテリ冷却部を通り、且つ、前記第1ラジエータ及び前記第2ラジエータを通らない経路で循環する状態である、請求項6に記載の冷却システム。 - 前記車両用空調装置により冷房運転が行われる際において、
前記制御部は、
外気温が所定温度よりも高い場合には、前記第1状態となるように前記流路切り換え部を制御し、それ以外の場合には、前記第2状態となるように前記流路切り換え部を制御する、請求項7に記載の冷却システム。 - 前記車両用空調装置により冷房運転が行われる際において、
前記制御部は、
外気温が前記所定温度よりも高くない場合であっても、前記バッテリ冷却部を通る冷却水の温度が所定の閾値よりも高い場合には、前記第1状態となるように前記流路切り換え部を制御する、請求項8に記載の冷却システム。 - 前記車両用空調装置により暖房運転が行われる際において、
前記制御部は、
前記オイル冷却部を通る冷却水の温度が低下して外気温よりも低くなると、前記第3状態となるように前記流路切り換え部を制御する、請求項7に記載の冷却システム。 - 前記車両用空調装置により暖房運転が行われる際において、
前記制御部は、
前記オイル冷却部を通る冷却水の温度が上昇して所定の閾値よりも高くなると、前記第2状態となるように前記流路切り換え部を制御する、請求項10に記載の冷却システム。 - 前記車両用空調装置により除霜運転が行われる際において、
前記制御部は、
前記第3状態となるように前記流路切り換え部を制御する、請求項7に記載の冷却システム。 - 前記制御部は、
前記除霜運転が開始された後において、
前記空調室外機を通る冷媒の温度が、前記オイル冷却部を通る冷却水の温度よりも低くなっている除霜準備期間では、
前記第2状態となるように前記流路切り換え部を制御する、請求項12に記載の冷却システム。 - 前記除霜準備期間であっても、
前記オイル冷却部を通る冷却水の温度が外気温以下である場合には、
前記制御部は、前記第3状態となるように前記流路切り換え部を制御する、請求項13に記載の冷却システム。 - 前記除霜準備期間において、
前記制御部は、
前記オイル冷却部を通る冷却水の温度が、前記オイル冷却部を通るオイルの温度よりも高くなると、前記オイルポンプを停止させる、請求項13又は14に記載の冷却システム。
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