各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を鉛直方向上側とし、負の側を鉛直方向下側とする鉛直方向である。X軸方向およびY軸方向は、Z軸方向と直交する水平方向であり、互いに直交する方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Y軸方向と平行な方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向Y」と呼び、軸方向Yのうち正の側を「軸方向一方側」と呼び、軸方向Yのうち負の側を「軸方向他方側」と呼ぶ。また、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、鉛直方向であるZ軸方向と平行な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。また、鉛直方向Zのうち正の側、すなわち鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向Zのうち負の側、すなわち鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。また、X軸方向と平行な方向を「幅方向X」と呼ぶ。
本実施形態において、軸方向Yは、所定方向に相当する。なお、鉛直方向、水平方向、幅方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1に示す本実施形態のモータ10は、内部に第1冷却媒体CM1を用いた冷却手段を有するモータである。図1に示すように、本実施形態のモータ10は、ロータ20と、ステータ30と、仕切部材40と、ハウジング50と、を備える。ロータ20は、中心軸Jを中心とするシャフト21と、ロータ本体22と、を有する。シャフト21は、軸方向Yに延びる円柱状である。ロータ本体22は、シャフト21の外周面に固定される。図示は省略するが、ロータ本体22は、ロータコアと、ロータマグネットと、を有する。
ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置し、ロータ20を囲む筒状である。図2に示すように、本実施形態においてステータ30は、ステータコア31と、複数のコイル34と、を有する。本実施形態においてステータコア31の表面は、例えば、絶縁塗料によって覆われる。ステータコア31は、コアバック32と、複数のティース33と、を有する。すなわち、ステータ30は、コアバック32と、複数のティース33と、を有する。
コアバック32は、ロータ20を囲む環状である。図3に示すように、本実施形態においてコアバック32は、中心軸Jを中心として軸方向Yに延びる円筒状である。コアバック32は、複数の第1溝部32aと、複数のコアバック溝部32bと、を有する。第1溝部32aは、コアバック32の径方向外側面から径方向内側に窪む。第1溝部32aは、軸方向Yに直線状に延びる。第1溝部32aの軸方向両側の端部は、コアバック32の軸方向両側の端面に開口する。
複数の第1溝部32aは、周方向に沿って非等間隔に配置される。図2に示すように、本実施形態において複数の第1溝部32aは、コアバック32のうち幅方向両側の部分と、コアバック32のうち上側の部分と、に設けられる。複数の第1溝部32aは、中心軸Jを挟んで幅方向Xに対称に配置される。複数の第1溝部32aの内側面のそれぞれは、上側を向き鉛直方向Zと直交する平坦面を有する。第1溝部32aは、例えば、中心軸Jを挟んで幅方向Xの両側に6個ずつ、合計12個設けられる。
図3に示すように、コアバック溝部32bは、コアバック32の軸方向Yの端面から軸方向Yに窪む。コアバック溝部32bは、コアバック32の軸方向両側の端面にそれぞれ複数ずつ設けられる。本実施形態においてコアバック溝部32bは、コアバック32の軸方向両側の端面にそれぞれ12個ずつ設けられる。
コアバック溝部32bは、軸方向Yと直交する方向に延びる。図3および図4に示すように、複数のコアバック溝部32bは、コアバック32の径方向内側面から各第1溝部32aの軸方向Yの端部まで延びる。各コアバック溝部32bは、各第1溝部32aの軸方向Yの端部のうち下側の端部に繋がる。各コアバック溝部32bのうち各第1溝部32aに繋がる側の端部は、各コアバック溝部32bのうちコアバック32の径方向内側面に開口する側の端部よりも上側に位置する。
コアバック32の軸方向一方側の端面に設けられる複数のコアバック溝部32bの配置と、コアバック32の軸方向他方側の端面に設けられる複数のコアバック溝部32bの配置とは、軸方向Yに沿って視て、互いに同じである。コアバック32の軸方向Yの各端面において、複数のコアバック溝部32bは、中心軸Jを挟んで幅方向Xに対称に配置される。
図3に示すように、複数のティース33は、コアバック32から径方向内側に突出する。本実施形態において複数のティース33は、軸方向Yに延びる四角柱状である。ティース33の周方向の寸法は、径方向の全体に亘って略均一である。ティース33の径方向内側の端面は、周方向に沿って湾曲する曲面である。ティース33の軸方向端部は、コアバック32の軸方向端部よりも、軸方向Yにおいてコアバック32の内側に離れた位置に位置する。図2に示すように、複数のティース33は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態においてティース33は、12個設けられる。複数のコイル34は、複数のティース33にそれぞれ装着される。
仕切部材40は、ロータ20とステータ30との径方向の間に位置する。仕切部材40は、軸方向Yに延びる筒状の部材である。仕切部材40は、ステータ30に固定される。本実施形態において仕切部材40は、非磁性の金属製である。仕切部材40の材料は、例えば、アルミニウム等である。本実施形態において仕切部材40は、単一の部材である。図5に示すように、仕切部材40は、筒状部41と、複数の仕切壁部44と、一対の蓋壁部42,43と、を有する。
筒状部41は、軸方向Yに延びる。図2に示すように、筒状部41は、ティース33の径方向内側かつロータ20の径方向外側においてロータ20を囲む筒状である。本実施形態において筒状部41は、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒状部41の径方向外側面は、ティース33の径方向内側の端部と接触する。
複数の仕切壁部44は、筒状部41から径方向外側に突出する。複数の仕切壁部44は、周方向に沿って配置され、かつ、周方向に隣り合うティース33同士の間にそれぞれ位置する。本実施形態において複数の仕切壁部44は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態において仕切壁部44は、12個設けられる。
仕切壁部44の径方向外側の端部は、コアバック32の径方向内側の面に接触する。仕切壁部44における軸方向Yと直交する断面形状は、径方向外側の端部を頂点とする略三角形状である。仕切壁部44の径方向外側の端部における周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って大きくなる。図5に示すように、仕切壁部44は、軸方向Yに延びる。仕切壁部44は、一対の蓋壁部42,43同士を繋ぐ。
一対の蓋壁部42,43は、筒状部41の軸方向両側の端部から径方向外側に突出する。蓋壁部42は、筒状部41の軸方向一方側の端部から径方向外側に突出する。蓋壁部43は、筒状部41の軸方向他方側の端部から径方向外側に突出する。一対の蓋壁部42,43は、板面が軸方向Yを向く周方向に沿った略円環板状である。蓋壁部42の形状と蓋壁部43の形状とは、軸方向Yに対称である点を除いて同様の形状である。以下の説明では、一対の蓋壁部42,43を代表して、蓋壁部42の形状についてのみ説明する場合がある。
蓋壁部42は、蓋壁部42を軸方向Yに貫通する貫通部42aを有する。貫通部42aは、周方向に沿って非等間隔に複数設けられる。図4に示すように、貫通部42aは、径方向外側に開口する貫通部42aと、全周に亘って開口しない孔部である貫通部42aと、を含む。複数の貫通部42aは、中心軸Jを挟んで幅方向Xに対称に配置される。図5に示すように、貫通部42aは、軸方向Yに沿って視て、周方向に隣り合う各仕切壁部44同士の間と重なる位置に1つずつ設けられる。蓋壁部42と同様に、蓋壁部43も、貫通部43aを有する。本実施形態において貫通部42aと貫通部43aとは、それぞれ12個ずつ設けられる。
蓋壁部42は、蓋壁部42の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む蓋溝部42bを有する。蓋溝部42bは、周方向に沿って非等間隔に複数設けられる。蓋溝部42bは、蓋壁部42のうち周方向に隣り合う貫通部42a同士の間の部分に設けられる。蓋溝部42bは、軸方向Yと直交する方向に延びる。蓋溝部42bは、貫通部42aから蓋壁部42の径方向外縁部まで延びる。図4に示すように、蓋溝部42bは、コアバック溝部32bにおけるコアバック32の径方向内側面に開口する側の端部と繋がる。蓋溝部42bとコアバック溝部32bとが接続されることで、貫通部42aから第1溝部32aの軸方向一方側の端部まで延びる第3溝部65aが構成される。すなわち、第3溝部65aは、コアバック32と蓋壁部42とに跨って配置される。
一方、コアバック溝部32bのうちには、蓋溝部42bと繋がらずに、貫通部42aから第1溝部32aまで延びるコアバック溝部32bが含まれる。このコアバック溝部32bは、コアバック溝部32bのみで第3溝部65bを構成する。すなわち、第3溝部65bは、コアバック32のみに設けられる。以下の説明において、第3溝部65aと第3溝部65bとを区別しない場合には、各第3溝部65a,65bを、第3溝部65と呼ぶ。
図1および図2に示すように、ハウジング50は、ステータ30の径方向外側に位置し、ロータ20、ステータ30および仕切部材40を収容する筒状である。ハウジング50は、ハウジング本体51と、第1蓋部54と、第2蓋部55と、を有する。ハウジング本体51は、軸方向Yに延びる筒状である。本実施形態においてハウジング本体51は、中心軸Jを中心とする円筒状である。ハウジング本体51は、インナーケース52と、ジャケット53と、を有する。
インナーケース52は、インナーケース本体52aと、フランジ部52bと、凸部52cと、を有する。インナーケース本体52aは、中心軸Jを中心として軸方向Yに延びる円筒状である。インナーケース本体52aの径方向内側には、ステータコア31が嵌め合わされる。インナーケース本体52aの内周面は、コアバック32の外周面と接触する。図2に示すように、インナーケース本体52aの内周面は、第1溝部32aの径方向外側の開口を閉塞する。
図1に示すように、フランジ部52bは、インナーケース本体52aの外周面のうち軸方向両側の端部から径方向外側に突出する。図2に示すように、フランジ部52bは、中心軸Jを中心とする円環状である。凸部52cは、インナーケース本体52aの外周面から径方向外側に突出する。図示は省略するが、凸部52cは、軸方向Yに延びて、軸方向両側のフランジ部52b同士を繋ぐ。凸部52cの径方向外側の端部は、フランジ部52bの径方向外側の端部よりも径方向内側に位置する。凸部52cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に複数設けられる。
ジャケット53は、インナーケース52の径方向外側に位置し、インナーケース52を囲む筒状である。本実施形態においてジャケット53は、中心軸Jを中心とする円筒状である。図1に示すように、ジャケット53の軸方向両側の端部における径方向内側には、各フランジ部52bが嵌め合わされる。フランジ部52bの外周面は、ジャケット53の内周面と接触する。
ジャケット53は、流入孔53aと、流出孔53bと、を有する。流入孔53aは、ジャケット53の上側の端部に設けられる。流入孔53aは、ジャケット53の上側の端部を鉛直方向Zに貫通する。流入孔53aは、軸方向Yに並んで2つ設けられる。流出孔53bは、ジャケット53の下側の端部に設けられる。流出孔53bは、ジャケット53の下側の端部を鉛直方向Zに貫通する。流出孔53bは、軸方向Yに並んで2つ設けられる。流入孔53aと流出孔53bとは、鉛直方向Zに沿って視て、それぞれ重なる位置に位置する。
ジャケット53の外周面には、流入コネクタ50aと、流出コネクタ50bと、が取り付けられる。流入コネクタ50aおよび流出コネクタ50bは、径方向に延びる円筒状である。流入コネクタ50aの内部は、流入孔53aと繋がる。流出コネクタ50bの内部は、流出孔53bと繋がる。
インナーケース52とジャケット53との径方向の間には、冷却流路70が設けられる。すなわち、ハウジング50は、冷却流路70を有する。冷却流路70は、ステータ30よりも径方向外側において第2冷却媒体CM2が流れる流路である。第2冷却媒体CM2は、例えば、水である。本実施形態において冷却流路70は、インナーケース本体52aの外周面とフランジ部52bの軸方向Yの端面とジャケット53の内周面とに囲まれて構成される。本実施形態において冷却流路70は、ステータ30を囲む円筒状である。冷却流路70には、流入孔53aと流出孔53bとが開口する。
図示は省略するが、流入コネクタ50aと流出コネクタ50bとには、ポンプが接続される。図2に示すように、ポンプは、流入コネクタ50aに第2冷却媒体CM2を送る。第2冷却媒体CM2は、流入コネクタ50aから流入孔53aを介して、冷却流路70内に流入される。冷却流路70内に流入された第2冷却媒体CM2は、冷却流路70内を周方向に沿って下側へと流れ、流出孔53bを介して流出コネクタ50bから流出する。流出コネクタ50bから流出された第2冷却媒体CM2は、例えば、ポンプによって再び流入コネクタ50aへ送られる。
図1に示すように、第1蓋部54は、ハウジング本体51の軸方向一方側に取り付けられる。より詳細には、第1蓋部54は、インナーケース52の軸方向一方側の端部における径方向内側に嵌め合わされて固定される。第1蓋部54の軸方向他方側の面は、ステータコア31の軸方向一方側の面と仕切部材40の軸方向一方側の面とに接触する。
図6および図7に示すように、第1蓋部54は、中心軸Jを中心とする円環状である。図7に示すように、第1蓋部54は、複数の第1凹部56aと、複数の第2凹部56bと、複数の第2溝部56cと、を有する。複数の第1凹部56aは、第1蓋部54の軸方向他方側の面から軸方向一方側に窪む。複数の第1凹部56aは、軸方向Yに沿って視て、仕切部材40における複数の貫通部42aと重なり合う位置にそれぞれ配置される。軸方向Yに重なり合う第1凹部56aと貫通部42aとは、軸方向Yに沿って視て、同じ形状である。軸方向Yに重なり合う第1凹部56aと貫通部42aとは、互いに繋がる。
第2凹部56bは、第1蓋部54の軸方向他方側の端部における外周面から径方向内側に窪む。第2凹部56bは、軸方向他方側に開口する。図6に示すように、複数の第2凹部56bは、軸方向Yに沿って視て、複数の第1溝部32aと重なり合う位置にそれぞれ配置される。軸方向Yに重なり合う第2凹部56bと第1溝部32aとは、軸方向Yに沿って視て、同じ形状である。軸方向Yに重なり合う第2凹部56bと第1溝部32aとは、互いに繋がる。
図7に示すように、複数の第2溝部56cは、第1蓋部54の軸方向他方側の面から軸方向一方側に窪む。複数の第2溝部56cは、軸方向Yと直交する方向に延びる。複数の第2溝部56cは、複数の第1凹部56aと複数の第2凹部56bとをそれぞれ繋ぐ。図1に示すように、複数の第2溝部56cは、軸方向Yに沿って視て、複数の第3溝部65と重なり合う位置にそれぞれ配置される。すなわち、第3溝部65は、軸方向Yに沿って視て、第2溝部56cと重なる。軸方向Yに重なり合う第2溝部56cと第3溝部65とは、軸方向Yに沿って視て、同じ形状である。軸方向Yに重なり合う第2溝部56cと第3溝部65とは、互いに繋がる。
図7に示すように、本実施形態において第1蓋部54は、第1部材54aと第2部材54bとの2部材によって構成される。第1部材54aおよび第2部材54bは、中心軸Jを中心とする円環状である。第1部材54aは、第2部材54bの径方向内側に嵌め合わされる。第1凹部56aは、第1部材54aに設けられる。第2凹部56bは、第2部材54bに設けられる。第2溝部56cは、第1部材54aと第2部材54bとに跨って設けられる第2溝部56cと、第2部材54bのみに設けられる第2溝部56cと、を含む。
図1に示すように、第2蓋部55は、ハウジング本体51の軸方向他方側に取り付けられる。より詳細には、第2蓋部55は、インナーケース52の軸方向他方側の端部における径方向内側に嵌め合わされて固定される。第2蓋部55の軸方向一方側の面は、ステータコア31の軸方向他方側の面と仕切部材40の軸方向他方側の面とに接触する。第2蓋部55の形状は、軸方向Yに対称である点を除いて、第1蓋部54の形状と同様である。すなわち、第1蓋部54と同様に、第2蓋部55にも、第1凹部56a、第2凹部56bおよび第2溝部56cが設けられる。図6に示すように、第1蓋部54の第1凹部56aと第2蓋部55の第1凹部56aとは、第1溝部32aの軸方向両側の端部に繋がる。第2蓋部55は、第1蓋部54と異なり、単一の部材である。
図1に示すように、ハウジング50と仕切部材40との径方向の間には、第1冷却媒体CM1が充填されて密閉された密閉室60が設けられる。本実施形態において第1冷却媒体CM1は、絶縁性を有する液体である。第1冷却媒体CM1は、例えば、フッ素系の不活性液体である。
本実施形態において密閉室60は、インナーケース52と仕切部材40と第1蓋部54と第2蓋部55とによって囲まれて構成される。密閉室60は、全体として、中心軸Jを中心とする円筒状である。密閉室60は、複数の冷却室61と、放熱室62と、第1接続路63および第2接続路64と、を有する。
図2に示すように、複数の冷却室61は、複数のコイル34をそれぞれ収容する。各コイル34は、各冷却室61内の第1冷却媒体CM1に浸漬される。複数の冷却室61は、コアバック32と仕切部材40との径方向の間に位置する。複数の冷却室61は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。複数の冷却室61は、コアバック32と筒状部41との径方向の間の空間が仕切壁部44によって周方向に仕切られて構成される。より詳細には、図1および図5に示すように、各冷却室61は、コアバック32と筒状部41と周方向に隣り合う一対の仕切壁部44と蓋壁部42,43とによって囲まれて構成される。複数の冷却室61は、軸方向Yに延びる。図5に示すように、貫通部42a,43aは、冷却室61に開口する。貫通部42a,43aは、各冷却室61の軸方向両側の壁に設けられる。
放熱室62は、放熱室62内に収容された第1冷却媒体CM1の熱を外部に放出する。図2に示すように、放熱室62は、ハウジング50とコアバック32との径方向の間に位置する。本実施形態において放熱室62は、第1溝部32aの径方向外側の開口がハウジング50によって閉塞されて構成される。より詳細には、放熱室62は、第1溝部32aの径方向外側の開口と、第1溝部32aの軸方向両側の端部に繋がる第2凹部56bの径方向外側の開口とがインナーケース52の内周面によって閉塞されて構成される。本実施形態において放熱室62は、周方向に沿って非等間隔に複数設けられる。各放熱室62の位置は、各第1溝部32aの位置と同じである。放熱室62は、冷却室61よりも径方向外側に位置する。図1および図6に示すように、各放熱室62は、軸方向Yに延びる。
図1に示すように、放熱室62は、第1接続路63および第2接続路64を介して、冷却室61に接続される。図4に示すように、本実施形態において複数の放熱室62は、それぞれ異なる冷却室61に接続される。各放熱室62は、接続される各冷却室61よりも上側に位置する。本実施形態では、中心軸Jを挟んだ幅方向両側のそれぞれにおいて、下側から上側に向かって順に、冷却室61と放熱室62とが接続される。図2に示すように、放熱室62は、冷却流路70の径方向内側に位置する。すなわち、冷却流路70は、放熱室62の少なくとも一部と径方向に重なる。
図1および図4に示すように、第1接続路63および第2接続路64は、複数の冷却室61のそれぞれから放熱室62まで延びる。図1に示すように、第1接続路63は、第1蓋部54とコアバック32の軸方向一方側の端部との間に位置する。より詳細には、第1接続路63は、第1蓋部54とコアバック32の軸方向一方側の端部および仕切部材40の軸方向一方側の端部との間に位置する。第2接続路64は、第2蓋部55とコアバック32の軸方向他方側の端部との間に位置する。より詳細には、第2接続路64は、第2蓋部55とコアバック32の軸方向他方側の端部および仕切部材40の軸方向他方側の端部との間に位置する。本実施形態において第1接続路63と第2接続路64とは、軸方向Yに対称な点を除いて、同様である。以下の説明においては、第1接続路63と第2接続路64と代表して、第1接続路63についてのみ説明する場合がある。
第1接続路63は、第1蓋部54に設けられた第2溝部56cと、コアバック32に設けられた第3溝部65と、によって構成される。図4に示すように、第1接続路63は、軸方向Yと直交する方向に延びる。第1接続路63のうち放熱室62に繋がる側の端部は、第1接続路63のうち冷却室61に繋がる側の端部よりも上側に位置する。第1接続路63の下側の端部は、軸方向一方側の貫通部42aに接続される。第1接続路63の下側の端部は、貫通部42aを介して冷却室61の上側の端部に接続される。第1接続路63の上側の端部は、放熱室62の軸方向一方側の端部における下側の端部に接続される。
図示は省略するが、第2接続路64の下側の端部は、軸方向他方側の貫通部43aに接続される。第2接続路64の下側の端部は、貫通部43aを介して冷却室61の上側の端部に接続される。第2接続路64の上側の端部は、放熱室62の軸方向他方側の端部における下側の端部に接続される。以上のように、軸方向Yに延びる冷却室61と軸方向Yに延びる放熱室62とは、軸方向両側の端部がそれぞれ第1接続路63と第2接続路64とによって接続される。
第1接続路63の延びる方向と直交する断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状である。第2接続路64の延びる方向と直交する断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状である。第1接続路63の内径および第2接続路64の内径は、気化した第1冷却媒体CM1の少なくとも一部が第1接続路63内あるいは第2接続路64内に滞留する大きさである。具体的には、第1接続路63の内径および第2接続路64の内径は、例えば、5mm以上、10mm以下程度の範囲が好ましい。各接続路の内径をこのような大きさにすることで、気化した第1冷却媒体CM1の気泡を、第1接続路63内および第2接続路64内に滞留させやすい。
モータ10を駆動すると、コイル34が発熱する。コイル34は、冷却室61に収容されるため、冷却室61内の第1冷却媒体CM1によって冷却される。本実施形態のモータ10においては、発熱したコイル34の温度に応じて、第1冷却媒体CM1によるコイル34の冷却度合を変化させることができる。
具体的に、第1冷却媒体CM1によるコイル34の冷却度合は、第1冷却フェーズPH1と第2冷却フェーズPH2と第3冷却フェーズPH3との3つの冷却フェーズがコイル34の温度によって適宜切り替えられることで変化する。3つの冷却フェーズは、コイル34の温度が大きくなるのに従って、第1冷却フェーズPH1、第2冷却フェーズPH2、第3冷却フェーズPH3の順で切り替えられる。
コイル34の温度が比較的小さい場合には、冷却フェーズは、第1冷却フェーズPH1となる。第1冷却フェーズPH1は、冷却室61内において生じる第1冷却媒体CM1の対流によって、コイル34を冷却するフェーズである。コイル34の温度が上昇すると、コイル34の周囲に位置する第1冷却媒体CM1の温度が上昇する。これにより、温度が上昇した第1冷却媒体CM1が冷却室61内において上昇し、対流が生じる。対流が生じると、対流によって冷却室61内における第1冷却媒体CM1が攪拌される。これにより、コイル34の周囲に位置する第1冷却媒体CM1を冷却室61内で循環させることができ、コイル34を冷却できる。第1冷却フェーズPH1においては、コイル34の温度は、第1冷却媒体CM1の沸点よりも小さい。
ここで、本実施形態において冷却室61と放熱室62とは、第1接続路63と第2接続路64とのみで接続される。そのため、自然状態では、冷却室61内の第1冷却媒体CM1と放熱室62内の第1冷却媒体CM1との間で第1冷却媒体CM1の循環は生じにくい。
なお、本明細書において、自然状態、とは、第1冷却媒体CM1が気化していない状態、および第1冷却媒体CM1が気化しても後述する気泡が第1接続路63または第2接続路64に滞留しない状態を含む。本明細書において、自然状態とは、第1冷却フェーズPH1および第2冷却フェーズPH2を含む。すなわち、第1冷却フェーズPH1および第2冷却フェーズPH2においては、冷却室61と放熱室62との間で第1冷却媒体CM1の循環は生じにくい。
冷却室61と放熱室62との間で第1冷却媒体CM1の循環が生じにくい場合、冷却室61と放熱室62との間で熱交換が行われにくい。冷却室61内の第1冷却媒体CM1は、コイル34を冷却するため、温度が比較的高くなりやすい。一方、放熱室62内の第1冷却媒体CM1は、熱を外部に放出するため、温度が比較的低くなりやすい。したがって、自然状態においては、放熱室62内の第1冷却媒体CM1の温度は、比較的低く保たれる。
また、冷却室61と放熱室62との間で第1冷却媒体CM1の循環が生じていない場合、冷却室61と放熱室62とを接続する第1接続路63および第2接続路64においても、第1冷却媒体CM1の温度が比較的低く保たれる。
第1冷却フェーズPH1ではコイル34を十分に冷却できず、コイル34の温度が第1冷却媒体CM1の沸点以上となった場合、冷却フェーズは、第1冷却フェーズPH1から第2冷却フェーズPH2に移行する。
第2冷却フェーズPH2は、第1冷却媒体CM1の対流と、第1冷却媒体CM1の気化と、によってコイル34を冷却するフェーズである。第2冷却フェーズPH2においては、コイル34の温度が第1冷却媒体CM1の沸点以上となることで、コイル34の周囲の第1冷却媒体CM1が気化し、第1冷却媒体CM1の気体からなる気泡が生じる。そのため、第1冷却媒体CM1が気化する際の潜熱によって、コイル34の熱が吸熱され、コイル34が冷却される。
このように第2冷却フェーズPH2においては、冷却室61内における第1冷却媒体CM1の対流に加えて、第1冷却媒体CM1の気化によってもコイル34が冷却される。そのため、第2冷却フェーズPH2におけるコイル34を冷却する効果は、第1冷却フェーズPH1におけるコイル34を冷却する効果よりも大きい。
第2冷却フェーズPH2において生じた気泡は、上側に上昇し、例えば、第1接続路63内に移動する。上述したように第2冷却フェーズPH2においては、冷却室61と放熱室62との間で第1冷却媒体CM1の循環が生じにくいため、第1接続路63内における第1冷却媒体CM1の温度は比較的低く保たれている。これにより、第1接続路63内に移動した気泡は、凝縮し、再び液体へと戻る。
ここで、第2冷却フェーズPH2において、第1冷却媒体CM1の気泡は、第2接続路64に移動してもよいし、第1接続路63または第2接続路64を介して放熱室62に移動してもよい。第2接続路64内および放熱室62内においても、第1冷却媒体CM1の温度は比較的低く保たれているため、第2接続路64内および放熱室62内に移動した気泡は、凝縮し、再び液体へと戻る。すなわち、冷却室61内の第1冷却媒体CM1が気化した場合、気化した第1冷却媒体CM1の少なくとも一部は、第1接続路63内、第2接続路64内、および放熱室62内のいずれかにおいて凝縮する。
第2冷却フェーズPH2によってコイル34が冷却され、コイル34の温度が、第1冷却媒体CM1の沸点よりも小さくなった場合、冷却フェーズは、第2冷却フェーズPH2から第1冷却フェーズPH1へと戻る。
一方、第2冷却フェーズPH2ではコイル34を十分に冷却できず、コイル34の温度の上昇とともに、気化する第1冷却媒体CM1の量がある程度増加すると、冷却フェーズは、第2冷却フェーズPH2から第3冷却フェーズPH3に移行する。
第3冷却フェーズPH3は、第1冷却媒体CM1の気化と、冷却室61と放熱室62との間で生じる第1冷却媒体CM1の循環と、によってコイル34を冷却するフェーズである。コイル34の温度がさらに上昇すると、気化する第1冷却媒体CM1の量が増加し、気泡の量が増加する。ここで、第1接続路63の内径および第2接続路64の内径は、気化した第1冷却媒体CM1の気泡を第1接続路63内および第2接続路64内に滞留させやすい大きさとなっている。そのため、気泡の量が増加すると、第1接続路63内において気泡が滞留する。これにより、第1接続路63内における気泡が滞留する部分の鉛直方向長さの分だけ、第1接続路63と冷却室61との接続される箇所の圧力が、第2接続路64と冷却室61との接続される箇所の圧力よりも小さくなる。
これにより、第2接続路64内の第1冷却媒体CM1が、重力によって冷却室61に移動する。第2接続路64内の第1冷却媒体CM1が冷却室61内に移動すると、冷却室61内の第1冷却媒体CM1の一部が第1接続路63に押し出され、第1接続路63を介して放熱室62に移動する。第1接続路63からの第1冷却媒体CM1の流入、および第2接続路64からの第1冷却媒体CM1の流出に伴って、放熱室62内における第1冷却媒体CM1の一部が第2接続路64に押し出され、第2接続路64を介して冷却室61に移動する。これにより、冷却室61と放熱室62との間で、第1冷却媒体CM1の循環が生じる。
以上のように、第3冷却フェーズPH3においては、冷却室61内における第1冷却媒体CM1の一部が気化した場合に、気化した第1冷却媒体CM1の少なくとも一部が第1接続路63内に移動する。そして、第3冷却フェーズPH3においては、冷却室61の第1冷却媒体CM1が第1接続路63を介して放熱室62へと流れ放熱室62の第1冷却媒体CM1が第2接続路64を介して冷却室61へと流れる循環が生じる。
第1冷却フェーズPH1および第2冷却フェーズPH2において放熱室62内における第1冷却媒体CM1の温度は比較的低く保たれているため、放熱室62内における第1冷却媒体CM1が冷却室61内に移動することで、コイル34をより冷却することができる。
このように第3冷却フェーズPH3においては、第1冷却媒体CM1の気化に加えて、冷却室61と放熱室62との間の第1冷却媒体CM1の循環によってもコイル34が冷却される。そのため、第3冷却フェーズPH3におけるコイル34を冷却する効果は、第2冷却フェーズPH2におけるコイル34を冷却する効果よりも大きい。また、第3冷却フェーズPH3において、圧力差によって生じる冷却室61と放熱室62との間の第1冷却媒体CM1の循環する速度は、第1冷却媒体CM1が対流する速度よりも速くなる。その結果、コイル34を冷却する効果が向上する。
なお、冷却室61と放熱室62との間の第1冷却媒体CM1の循環が生じる場合、比較的温度が高い冷却室61内の第1冷却媒体CM1が放熱室62に流入する。しかし、放熱室62は第1冷却媒体CM1の熱を外部に放出するため、冷却室61から流入した比較的温度が高い第1冷却媒体CM1は、放熱室62において冷却され、比較的温度が低い第1冷却媒体CM1となって、再び冷却室61へと流入される。
第3冷却フェーズPH3において、第1接続路63内に滞留した気泡は、第1冷却媒体CM1の循環によって液体である第1冷却媒体CM1とともに放熱室62に移動し、凝縮される。
なお、上述した例においては、放熱室62内の第1冷却媒体CM1が第2接続路64から冷却室61に流入し、冷却室61内の第1冷却媒体CM1が第1接続路63から放熱室62に流入する循環について説明したが、これに限られない。第1接続路63内よりも第2接続路64内に気泡が多く滞留した場合には、第2接続路64と冷却室61との接続される箇所の圧力が、第1接続路63と冷却室61との接続される箇所の圧力よりも小さくなる。そのため、第1接続路63内の第1冷却媒体CM1が、重力によって冷却室61に移動する。したがって、放熱室62内の第1冷却媒体CM1が第1接続路63から冷却室61に流入し、冷却室61内の第1冷却媒体CM1が第2接続路64から放熱室62に流入する循環が生じる場合もある。
以上のように、本実施形態においては、冷却フェーズが、コイル34の温度に応じて、自動的に第1冷却フェーズPH1から第3冷却フェーズPH3までの間で変化する。これにより、モータ10の回転数の変化等に伴ったコイル34の温度に応じて、適切な冷却フェーズを自動的に実行することが可能であり、コイル34を効率的に冷却することができる。
また、上述したように冷却室61から放熱室62に入った気泡は、冷却されて液体に戻る。すなわち、放熱室62が凝縮器としての機能を有する。これにより、生じた気泡を順次液体へと戻すことができ、密閉室60内に気泡が大量に滞留することを抑制できる。したがって、大型の凝縮器を別途設けて大量の気泡を液体に戻す必要がない。そのため、モータ10が大型化することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、複数のコイル34がそれぞれ異なる冷却室61に収容される。そのため、各冷却室61内において、位置による第1冷却媒体CM1の温度の差が大きくなりにくい。これにより、コイル34の位置によらず、各コイル34のそれぞれを同様の冷却度合で冷却することができる。
また、本実施形態によれば、仕切部材40をステータコア31の径方向内側に嵌め込むことによって、容易に各コイル34が収容される複数の冷却室61を作ることができる。そのため、モータ10の部品点数が増加することを抑制でき、モータ10を製造する手間およびコストが増加することを抑制できる。
以上により、本実施形態によれば、モータ10を製造する手間およびコストが増加することを抑制しつつ、複数のコイル34の冷却度合を均一化しやすくできる。
また、本実施形態によれば、中心軸Jが延びる所定方向は、鉛直方向Zと直交する水平方向である。この場合、複数のコイル34の鉛直方向Zの位置は、コイル34によって異なる。そのため、例えば、1つの冷却室61にすべてのコイル34が収容された場合、コイル34の鉛直方向Zの位置によって、特にコイル34の冷却度合が異なりやすい。したがって、冷却室61をコイル34ごとに設けて、コイル34の冷却度合を均一化しやすくできる効果は、中心軸Jが延びる所定方向が鉛直方向Zと直交する水平方向である場合に特に有用に得られる。
また、本実施形態によれば、第1接続路63の下側の端部および第2接続路64の下側の端部は、冷却室61の上側の端部に接続される。そのため、上述した第3冷却フェーズPH3において、第1冷却媒体CM1の気泡が、第1接続路63または第2接続路64に移動しやすい。これにより、冷却室61と放熱室62との間で第1冷却媒体CM1の循環を生じさせやすく、コイル34の冷却効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、放熱室62は、ハウジング50とコアバック32との径方向の間に位置し、軸方向Yに延びる。そのため、放熱室62内の第1冷却媒体CM1の熱を、ハウジング50を介して外部に放出しやすい。これにより、放熱室62内の第1冷却媒体CM1の温度をより低く保ちやすい。また、例えば放熱室62がコアバック32の内部のみに設けられるような場合に比べて、放熱室62の容積を十分に確保しやすい。
また、本実施形態によれば、放熱室62は、コアバック32に設けられた第1溝部32aの径方向外側の開口がハウジング50によって閉塞されて構成される。そのため、放熱室62の位置を径方向内側にしやすく、放熱室62をコイル34に近づけやすい。これにより、コイル34の熱を、コアバック32を介して放熱室62に逃がしやすくでき、コイル34の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1接続路63は、第1蓋部54とコアバック32の軸方向一方側の端部との間に位置し、第2接続路64は、第2蓋部55とコアバック32の軸方向他方側の端部との間に位置する。このように、第1蓋部54および第2蓋部55を利用して第1接続路63および第2接続路64を作ることで、冷却室61の軸方向両端部を、冷却室61の上側に位置する放熱室62の軸方向両端部に繋ぎやすい。
また、本実施形態によれば、第1接続路63のそれぞれは、第1蓋部54に設けられた第2溝部56cと、コアバック32に設けられた第3溝部65と、によって構成される。そのため、例えば、第1蓋部54の内部のみに第1接続路63を設ける場合に比べて、第1蓋部54の軸方向Yの寸法を小さくしやすい。これにより、モータ10を軸方向Yに小型化しやすい。また、例えば、コアバック32の内部のみに第1接続路63を設ける場合に比べて、コアバック32において磁束が通る経路を確保しやすく、モータ10の磁気特性が低下することを抑制できる。これらの効果は、第2接続路64についても同様である。
また、本実施形態によれば、第3溝部65のうち第3溝部65aは、コアバック32と蓋壁部42とに跨って配置される。すなわち、第3溝部65の少なくとも1つは、コアバック32と蓋壁部42とに跨って配置される。そのため、蓋壁部42と第1蓋部54との間にも第1接続路63を設けることができる。これにより、第1接続路63を配置する自由度を向上できる。したがって、第1接続路63によって、冷却室61と放熱室62とを繋ぎやすい。この効果は、第2接続路64についても同様である。
また、本実施形態によれば、複数の放熱室62が、それぞれ異なる冷却室61に接続される。そのため、各放熱室62は、複数の冷却室61のうち接続される冷却室61よりも上側に位置すればよく、複数の冷却室61の全てに対して上側に位置する必要がない。すなわち、接続されない冷却室61であれば、放熱室62より上側に位置してもよい。これにより、放熱室62を配置する自由度を向上でき、ハウジング50とコアバック32との径方向の間に放熱室62を設ける構成を採用しやすい。本実施形態においても、複数の放熱室62の一部は、複数の冷却室61の一部よりも下側に位置する。
また、複数の放熱室62が設けられるため、十分な容積を有する範囲内で各放熱室62を比較的小さくできる。これにより、放熱室62内の第1冷却媒体CM1の熱を外部に放熱しやすくできる。また、複数の放熱室62が設けられる場合、複数の放熱室62の容積を合計した容積を有する放熱室が1つ設けられる場合よりも、放熱室62の内側面の合計面積を大きくできる。これにより、第1冷却媒体CM1が接触する放熱室62の内側面の合計面積を大きくでき、第1冷却媒体CM1から放熱される熱量の総計を大きくできる。したがって、放熱室62内の第1冷却媒体CM1をより冷却しやすくでき、コイル34の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、ティース33の径方向内側の端部は、筒状部41の径方向外側面と接触し、仕切部材40は、非磁性の金属製である。そのため、コイル34の熱がティース33から仕切部材40に伝わりやすく、コイル34の熱を、仕切壁部44を介してコアバック32へと逃がしやすい。また、冷却室61内の第1冷却媒体CM1の熱を仕切部材40からコアバック32へと逃がしやすい。したがって、コイル34の熱をより放出させやすくでき、コイル34の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、ティース33の径方向内側の端面は、周方向に沿って湾曲する曲面である。そのため、ティース33の径方向内側の端面全体を、円筒状である筒状部41の外周面に好適に接触させることができる。したがって、コイル34の熱をよりティース33から仕切部材40に伝わりやすくできる。
また、本実施形態によれば、冷却流路70は、放熱室62の少なくとも一部と径方向に重なる。そのため、冷却流路70の第2冷却媒体CM2によって、放熱室62内の第1冷却媒体CM1の熱を放出させることができる。これにより、放熱室62内の第1冷却媒体CM1の温度をより低く保つことができる。したがって、上述した第3冷却フェーズPH3における第1冷却媒体CM1の循環によるコイル34の冷却効果をより大きく得られる。また、放熱室62の凝縮器としての機能を向上できる。また、冷却流路70によってステータ30を径方向外側から冷却できる。これにより、冷却流路70と冷却室61とによって、径方向外側と径方向内側とからステータ30を冷却することができる。したがって、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1冷却媒体CM1は、絶縁性を有する液体である。そのため、第1冷却媒体CM1に浸漬される複数のコイル34に絶縁処理を施す必要がなく、簡便である。
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。仕切部材は、コアバックと筒状部との径方向の間の空間を仕切壁部によって周方向に仕切れるならば、特に限定されない。仕切部材は、非磁性の金属製でなくてもよい。仕切部材は、例えば、熱伝導性に優れた樹脂製であってもよい。ハウジングは、冷却流路を有しなくてもよい。中心軸Jが延びる所定方向は、特に限定されず、例えば鉛直方向Zであってもよい。
放熱室は、接続される冷却室よりも上側に位置すれば、どこに設けられてもよい。放熱室は、1つのみ設けられてもよい。この場合、複数の冷却室は、複数の第1接続路および複数の第2接続路を介して、1つの放熱室に接続される。また、この場合、放熱室は、すべての冷却室よりも上側に位置する。
上述した実施形態のモータの用途は、特に限定されない。また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。