以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
また、以下に記載される説明において、「第1の」、または、「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置および、半導体装置の評価方法について説明する。
<半導体装置の評価装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置の外観の例を示す側面図である。また、図2は、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置の一部の構成の例を概略的に示す断面図である。また、図3は、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置の、評価動作の前に検査対象に吹き付けられる気体の流れの例を概略的を示す図である。
図1に例が示されるように、半導体装置の評価装置1は主に、プローブ基体2と、チャックステージ3と、評価部4と、気体吹き付け部6と、異物除去部7と、排気部19と、移動アーム9とを備える。なお、図1において、異物除去部7の内部構造は、一部の構成のみが破線を用いて示されている。
図1では、チャックステージ3の上面3dに固定された半導体装置17の電気的特性を評価する前の状態が示されている。半導体装置17の電気的特性の評価は、図2に例が示されるように、半導体装置17の上面の接続パッド(詳細は図7を参照)と、チャックステージ3の上方においてチャックステージ3と対向して設けられるプローブ基体2におけるコンタクトプローブ10とが接触した状態で評価部4によって行われる。一方で、図1に例が示される、半導体装置17の電気的特性を評価する前の状態では、半導体装置17の上面の接続パッドとプローブ基体2におけるコンタクトプローブ10とは非接触の状態となる。
図1の、接続パッドとコンタクトプローブ10とが非接触の状態から、図2に例が示されるように、プローブ基体2をチャックステージ3の上面3dの方向に接近させた状態に移行した上で、図3に例が示されるように、気体吹き付け部6の気体噴出口6aから気体の吹き付けを行う。当該気体の吹き付けは、半導体装置17の電気的特性を評価する前に、半導体装置17の周囲からコンタクトプローブ10に向かう方向に向けて行う。
上記の気体の吹き付けおよび排気によって、半導体装置17の周囲、つまりは半導体装置17の上面、側面またはその近傍に存在する異物、および、コンタクトプローブ10に付着している異物の除去と、排気を利用する効率的な異物の吸引とが実施される。なお、排気は、平面視において半導体装置17を囲んで配置される異物除去部7によって行われるため、異物の除去のために吹き付けられた気体は、吹き付けの方向とは反対の方向に吸引される。
上記の気体の吹き付けによって吹き付けられる気体の流れは、図3の破線矢印100によって示される。気体の吹き付けは、異物除去部7の壁部7dとプローブ基体2の絶縁性基体16とが接触した状態で行われるため、絶縁性基体16、異物除去部7およびチャックステージ3によって半導体装置17を内部に収容する密閉空間を形成され、半導体装置17の周囲は外部に対して遮蔽される。そのため、除去された異物の外部への拡散は抑制される。
半導体装置17の電気的特性の評価は、図2に例が示されるように、半導体装置17の接続パッド18(詳細は図7を参照)とコンタクトプローブ10とを接触させた後に、図3に例が示されるように、気体吹き付け部6の気体噴出口6aから絶縁性の気体を吹き付けて、半導体装置17の周囲の評価空間20に絶縁性気体が充満した状態で行う。これによって、半導体装置17の電気的特性を評価する際の放電の発生を抑制する。
次に、図1、図2および図3を参照しつつ、半導体装置の評価装置1の構成を説明する。
本実施の形態では、半導体装置17の縦方向、つまり面外方向に大きな電流を流す縦型構造の半導体装置17が一例として示されるが、半導体装置17の構造はこれに限られるものではなく、半導体装置の一面において入出力を行う、横型構造の半導体装置であってもよい。
縦型構造の半導体装置17の電気的特性を評価する際、外部と接続するための一方の電極は、半導体装置17の上面に設けられた接続パッド18(詳細は図7を参照)と接触するコンタクトプローブ10である。そして、他方の電極は、半導体装置17の下面、つまり、設置面において半導体装置17と接触するチャックステージ3の上面3dである。チャックステージ3は、電極として機能する必要があるため、導電性の材料、たとえば、金属材料を用いて作製される。
図1に例が示されるように、プローブ基体2は、コンタクトプローブ10と、絶縁性基体16と、接続部8bとを備える。コンタクトプローブ10は、絶縁性基体16に固定されており、かつ、絶縁性基体16の接続部8bに接続された信号線5bを介して、評価部4と電気的に接続されている。
図1に例が示されるように、チャックステージ3は、チャックステージ3の側面に設けられた接続部8aにさらに接続された信号線5aを介して、評価部4と電気的に接続されている。
なお、コンタクトプローブ10は、大電流が印加されることを想定して複数個設置されている。それぞれのコンタクトプローブ10に印加される電流密度が略一致するように、それぞれのコンタクトプローブ10から、信号線5bと絶縁性基体16との接続位置である接続部8bまでの距離と、それぞれのコンタクトプローブ10から、チャックステージ3の側面に設けられた接続部8aまでの距離とが、どのコンタクトプローブ10を介する場合であっても略一致する位置に、接続部8aおよび接続部8bが設けられることが望ましい。
すなわち、接続部8aおよび接続部8bは、それぞれのコンタクトプローブ10を挟んで対向する位置に設けられることが望ましい。また、それぞれのコンタクトプローブ10と接続部8bとの間は、たとえば、絶縁性基体16の上面に設けられた金属板(ここでは、図示しない)を介して接続されている。
図1に例が示されるように、プローブ基体2は、移動アーム9によって任意の方向へ移動可能に保持されている。ここでは、1つの移動アーム9のみでプローブ基体2を保持する構成が示されたが、プローブ基体2を保持する構成はこれに限られるものではなく、複数の移動アームによってプローブ基体2を安定的に保持する構成であってもよい。
また、移動アームがチャックステージ3を移動可能に保持する構成とし、プローブ基体2を移動するのではなく、半導体装置17、つまり、チャックステージ3を移動させる構成であってもよい。
図1に例が示されるように、チャックステージ3は、半導体装置17の設置面と接触して半導体装置17を固定する台座である。チャックステージ3は、半導体装置17を固定するための機能として、たとえば、真空吸着の機能を有する。当該吸着には、チャックステージ3の内部に設けられた吸着管3bおよび吸着管3bに接続された排気部19を利用する。
図1に例が示されるように、チャックステージ3の上面3dには、吸着溝3aと複数の吸着孔3c(詳細は図4を参照)が設けられる。吸着溝3aおよび複数の吸着孔3cは、吸着管3bと接続される。なお、半導体装置17を固定するための手段は真空吸着に限られるものではなく、たとえば、静電吸着などであってもよい。
本実施の形態では、チャックステージ3の上面3dに、平面視で半導体装置17を取り囲んで、異物除去部7が設置される。異物除去部7は、半導体装置17の周囲またはコンタクトプローブ10から異物を除去し、かつ、吸引する機能と、半導体装置17の周囲の評価空間20を絶縁性基体16とともに遮蔽する機能とを備えている。
異物除去部7には、半導体装置17を評価する前に存在していた異物の除去と、半導体装置17を評価している間に生じ得る放電の抑制とを行うために、気体吹き付け部6を構成する一対の気体噴出口6aが互いに対向して設置される。
半導体装置17の電気的特性を評価する前は、半導体装置17の上面を含む半導体装置17の周囲とコンタクトプローブ10とに、双方の気体噴出口6aから気体が吹き付けられる。
また、半導体装置17の電気的特性を評価している間は、半導体装置17の周囲の評価空間20に、気体噴出口6aから絶縁性気体が吹き付けられ、評価空間20は絶縁性気体で充満される。
図1に例が示されるように、気体吹き付け部6は、気体噴出口6aと、気体導出管6bと、気体供給部6cとを備えている。気体噴出口6aは、異物除去部7の上部において、壁部7dを貫通して設置される。
また、気体供給部6cは、気体導出管6bを介して、2つの気体噴出口6aに気体を供給する。また、気体供給部6cは、評価部4によって制御される。
評価部4は、気体供給部6cから気体噴出口6aへ、気体導出管6bを介する気体の供給を開始する2度のタイミングにおいて、気体供給部6cを制御する。
上記のうちの1度目のタイミングは、半導体装置17の電気的特性を評価する前である。当該タイミングでは、異物の除去と吸引とが目的である。当該タイミングでは、気体噴出口6aへ供給された気体によって、異物が評価空間20内から取り除かれる。
上記のうちの2度目のタイミングは、半導体装置17の電気的特性を評価している間である。当該タイミングでは、電気的特性を評価している間に生じ得る部分放電を抑制することが目的である。当該タイミングでは、気体噴出口6aへ供給された絶縁性気体によって、評価空間20が満たされる。
異物の除去および吸引の際に気体噴出口6aから吹き付けられる気体は、具体的には、絶縁性気体である二酸化炭素ガス、窒素ガス、圧縮空気、または、イオンを含む気体などである。しかしながら、当該気体は、これらに限られるものではない。なお、イオンを含む気体であれば、静電気を除去する効果を有するため、静電気を除去することによって、付着した異物の除去を促進する効果が見込める。
また、半導体装置17の電気的特性を評価している間に気体噴出口6aから吹き付けられる気体は、絶縁性気体である。当該気体は、熱的および化学的に安定であり、絶縁性能に優れ、かつ、電離性の低い気体であることが望ましい。具体的には、二酸化炭素ガスまたは窒素ガスなどである。しかしながら、これらに限られるものではない。上述の特性を有する気体によって評価空間20が満たされた状態で半導体装置17の電気的特性を評価することによって、半導体装置17の表面近傍に生じ得る部分放電を抑制することが可能となる。
ここで、気体噴出口6aはノズルを備えていてもよい。すなわち、気体噴出口6aの気体を噴出する先端がノズル状に形成されることによって、気体を高速で噴出させて、気体が確実に半導体装置17の周囲またはコンタクトプローブ10に吹き付けられる構成としてもよい。この場合、半導体装置17の周囲またはコンタクトプローブ10に付着または固着などしている異物を、効率よく除去することができる。
2つの気体噴出口6aは、半導体装置17を挟んで対向する位置に設置されているが、2つの気体噴出口6aの配置はこのような場合に限られず、たとえば、平面視において2つの気体噴出口6aから吹き付けられる気体の方向同士が直交するような位置関係であってもよい。2つの気体噴出口6aから同時に気体が吹き付けられる場合は、2つの気体噴出口6aが半導体装置17を挟んで対向する位置に設置されていると吹き付けられる気体の勢いが弱め合うこととなってしまうため、そのような場合には、平面視において2つの気体噴出口6aから吹き付けられる気体の方向同士が直交するような位置関係の方が望ましい。
なお、気体を連続的にではなく、断続的に交互に吹き付ける場合であれば、2つの気体噴出口6aが半導体装置17を挟んで対向する位置に設置されていても構わない。気体を断続的に吹き付ける場合であれば、吹き付け開始時に気体が異物とぶつかる際の衝撃を異物に複数回与えることができるため、当該衝撃に起因する異物の除去の効果が見込める。
また、半導体装置17の方向へ気体を吹き付ける気体噴出口6aと、コンタクトプローブ10の方向へ気体を吹き付ける気体噴出口6aとを分けて設置してもよい。すなわち、半導体装置17の方向のみへ気体を吹き付ける気体噴出口6aと、コンタクトプローブ10の方向のみへ気体を吹き付ける気体噴出口6aとをそれぞれ設置してもよい。また、気体を吹き付ける方向で分けるのではなく、吹き付ける気体の種類によって、複数の気体噴出口6aを使い分けてもよい。
また、気体噴出口6aは、2つに限らず、さらに多くの数の気体噴出口6aを設置してもよい。
気体が吹き付けられることによって、半導体装置17の周囲などから除去された異物は、異物除去部7に設けられた排気経路としての複数の異物回収孔7bで回収される。異物回収孔7bは、半導体装置17に対向する異物除去部7の内側側面に設けられ、かつ、評価空間20から排気を行う孔である。
本実施の形態では、平面視において四角形の半導体装置17のそれぞれの側面に対向して異物除去部7の内側側面が配置される。そして、異物除去部7の内側側面それぞれに、異物回収孔7bが設けられる。
それぞれの異物回収孔7bは、異物回収部7cと連通している。そして、異物回収部7cは、排気部19に接続されている。
半導体装置17の周囲などから除去された異物は、排気に誘導され、複数設けられた異物回収孔7bに吸引される。そしてさらに、当該異物は、異物回収部7cに回収される。
異物回収部7cは、図2または図3に例が示される排気管7aを介して排気部19に接続される。そして、回収された異物は、異物回収部7cから排出される。
異物除去部7の壁面には、フィルター7hとともに、複数の貫通孔7gが設けられる。そして、それぞれの貫通孔7gを通じて、吹き付けられた気体の一部が外部へ流れ出る。貫通孔7gが設けられることによって、異物回収孔7bの内部の圧力増加が抑制されるため、気体の吹き付けが円滑となる。
また、フィルター7hが設けられることによって、異物はフィルター7hで留まる。そのため、貫通孔7gから外部への異物の拡散が抑制される。
壁部7dは、チャックステージ3に固定された半導体装置17を覆い、かつ、平面視において半導体装置17の周囲を取り囲むように、異物除去部7の内側側面の上部に設けられる。壁部7dの、半導体装置17と対向する面は傾斜しており、Z軸正方向に向かうにつれて半導体装置17に近づくように傾斜する壁部傾斜面7eとなっている。
壁部7dの上部には、壁部7dの内側の評価空間20と通じるように、開口部7fが設けられる。この開口部7fを通じて、コンタクトプローブ10が評価空間20内に差し込まれる。開口部7fの周囲は、評価空間20を遮蔽する際に、絶縁性基体16と接触する接触面7iとなる。
評価空間20が遮蔽された状態で異物の除去と回収とが行われるため、異物の外部への拡散が抑制される。なお、異物が外部へ拡散してしまうと、半導体装置17の搬送時に、外部へ拡散した異物が半導体装置17に再び付着するおそれがある。さらに、半導体装置の評価装置が設置される評価室内が、拡散した異物によって汚染されるおそれがある。
異物除去部7は、チャックステージ3の上面3dに設置される。そのため、非導電性の材料、たとえば、エンジニアリングプラスチックなどの樹脂材料を用いて作製される。樹脂材料を用いる場合には、作製および加工が容易であるため、製造コストを低く抑えることができる。
なお、壁部7dは、柔軟性を有する材料、たとえば、シリコーンゴムなどのゴム系の材料を用いて作製されることが望ましい。
半導体装置17の電気的特性の評価を行う前の、異物の除去および回収は、評価空間20が遮蔽され、かつ、コンタクトプローブ10と半導体装置17とが非接触の状態で行われる。また、半導体装置17の電気的特性の評価は、評価空間20が遮蔽され、かつ、コンタクトプローブ10と半導体装置17とが接触している状態で行われる。
上記の双方の状態に対応すべく、壁部7dは柔軟性を有していることが望ましい。ただし、壁部7dは、柔軟性を有する材料のみによって構成されている必要はなく、壁部7dが、絶縁性基体16との接触箇所にのみ柔軟性を有する材料を用いて構成されていても構わない。なお、コンタクトプローブ10の絶縁性基体16の下面から突出する長さが調整可能であってもよい。
<チャックステージおよび排気部について>
次に、チャックステージ3および排気部19について説明する。図4は、本実施の形態に関するチャックステージ3と排気部19とを含む構成の例を概略的に示す平面図である。
図4に例が示されるように、チャックステージ3の上面3dは、半導体装置17を固定する台座である。上面3dにおいて、異物除去部7が半導体装置17を平面視で取り囲んで設けられる。また、異物除去部7の側面には、排気部19が接続される。
本実施の形態では、平面視における半導体装置17の外形は四角形であり、半導体装置17の側面にそれぞれ対向して、異物除去部7の異物回収孔7bが配置されている。
それぞれの異物回収孔7bは、異物除去部7の外周に沿って異物除去部7の内部に設けられた異物回収部7cと通じている。図4において、破線で囲まれた領域が異物回収部7cである。
異物回収部7cは排気管7aに接続される。そして、排気管7aは、バルブ19bと異物回収フィルター19aとを介して、排気部19に接続される。
排気部19は、具体的には、レギュレータまたは真空源などである。排気部19は、排気によって異物を回収し、また、吸着によって半導体装置17の固定を行う装置である。
排気管7aにはバルブ19bが設けられており、バルブ19bの開閉によって排気の開始と終了とが制御される。また、排気部19の上流側には異物回収フィルター19aが設けられており、回収された異物を異物回収フィルター19aに留めることによって、排気部19への異物の混入を抑制することができる。なお、排気部19に異物が混入してしまうと、排気部19の故障の原因となり得る。
半導体装置17は、チャックステージ3の上面3dの中央近傍に設置され、かつ、固定される。図4に示される例では、半導体装置17の設置の例として、設置された状態の半導体装置17の外形が一点鎖線で示されている。
半導体装置17の設置面は、チャックステージ3の上面3dに設けられた吸着溝3a、および、複数の吸着孔3cと対向するように設置される。吸着孔3cは吸着管3bに接続される。また、吸着管3bは、バルブ19bを介して排気部19に接続される。
排気管7aのバルブ19bが開閉することによって、吸着溝3a、および、複数の吸着孔3cの吸着の開始と終了とが制御される。なお、ここでは図示されていないが、リーク弁を付与することによって、半導体装置17のチャックステージ3からの着脱を容易にしてもよい。
本実施の形態では、1つの排気部19を、排気による異物の回収と、吸着による半導体装置17の固定との双方に利用することによって、半導体装置の評価装置1の構成を簡素化している。
なお、本実施の形態においては、気体噴出口6aは、半導体装置17またはコンタクトプローブ10に対向して配置されており、これらに気体を直接吹き付けるように設けられている。しかしながら、気体噴出口6aの配置は、これに限られるものではない。
<チャックステージおよび排気部の別の例について>
図5は、本実施の形態に関するチャックステージ3と排気部19とを含む別の構成の例を概略的に示す平面図である。
4つの気体噴出口60aの気体を噴出する先端部は、半導体装置17またはコンタクトプローブ10に対向しては配置されておらず、半導体装置17またはコンタクトプローブ10に向かう方向に対して傾斜して設けられている。
上記の気体の吹き付けによって吹き付けられる気体の流れは、図5の破線矢印101によって示される。気体が、半導体装置17またはコンタクトプローブ10に向かう方向に対して傾斜して吹き付けられることによって、気体の渦流102が形成される。このように、渦流102を形成するように気体を吹き付けることによって、異物に対して異なる方向から気体を吹き付けることとなり、異物の除去効果の向上が見込まれる。
<プローブ基体の構成について>
図6は、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置1におけるプローブ基体2の構成の例を概略的に示す下面図である。絶縁性基体16の下面から突き出して、複数のコンタクトプローブ10が配置される。
図6の例において、絶縁性基体16の内部において破線で示された領域70iが、壁部7dとの接触面7iに対向する部分である。また、絶縁性基体16の内部において一点鎖線で示された領域170は、半導体装置17と対向する部分である。
コンタクトプローブ10は、半導体装置17の上面に設けられた接続パッドと対向するように設置されている。
<コンタクトプローブについて>
次に、コンタクトプローブ10について説明する。図7、図8および図9は、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置1におけるコンタクトプローブ10の動作を説明するための図である。なお、図7は、コンタクトプローブ10の動作のうちの初期状態を示す。また、図8は、コンタクトプローブ10の動作のうちの接触状態を示す。また、図9は、コンタクトプローブ10の動作のうちの押圧状態を示す。
コンタクトプローブ10は、下向き、すなわち、Z軸負方向に向けた状態で絶縁性基体16に固定されている。コンタクトプローブ10は、絶縁性基体16に固定される設置部14と、半導体装置17の上面に設けられた接続パッド18と機械的および電気的に接触するコンタクト部11を有する先端部12と、内部に組み込まれたスプリングなどのばね部材を介して接触時に摺動可能な押し込み部13と、先端部12と電気的に通じ、かつ、外部への出力端となる電気的接続部15とを備えている。
コンタクトプローブ10は、導電性を有する、たとえば、銅、タングステンまたはレニウムタングステンなどの金属材料により形成される。しかしながら、コンタクトプローブ10を構成する材料は、これらに限られるものではなく、特に、コンタクト部11は、導電性向上または耐久性向上などの観点から、別の部材、たとえば、金、パラジウム、タンタルまたはプラチナなどで被覆されていてもよい。
コンタクトプローブ10が、図7に示される初期状態から、半導体装置17の上面に設けられた接続パッド18に向けてZ軸負方向に下降する。そして、図8に例が示されるように、接続パッド18とコンタクト部11とが接触する。
その後、コンタクトプローブ10がさらにZ軸負方向に下降すると、図9に例が示されるように、押し込み部13が設置部14内にばね部材を介して押し込まれて、半導体装置17の接続パッド18との接触を確実なものとなる。
また、ここでは、コンタクトプローブ10が、Z軸方向に摺動性を有するスプリング式のものである場合が説明されたが、コンタクトプローブ10の構成はこれに限られるものではない。たとえば、コンタクトプローブ10は、カンチレバー式のコンタクトプローブであってもよい。なお、Z軸方向に摺動性を有するものである場合であっても、スプリング式に限らず、積層プローブまたはワイヤープローブなどであってもよい。
<半導体装置の評価装置の動作について>
次に、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置1の動作手順について説明する。図10は、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置1の動作手順の例を示すフローチャートである。
まず、半導体装置17の電気的特性を評価する前に、それぞれのコンタクトプローブ10のコンタクト部11の平行度を揃える(図10におけるステップST1)。
次に、半導体装置17をチャックステージ3の上面3dへ固定する前に、評価部4の制御によって、気体噴出口6aから、チャックステージ3の上面3dへ気体が吹き付けられる。そして、気体が吹き付けられる際に、排気部19によって異物回収孔7bを通じての排気も開始される。
チャックステージ3の上面3dへの気体の吹き付けによって、チャックステージ3の上面3dまたはその近傍に残存して付着または固着などしている異物が除去される。そして、除去された異物は、異物回収孔7bを通じて回収される(図10におけるステップST2)。
半導体装置17をチャックステージ3の上面3dへ固定する前に、チャックステージ3の上面3dに残存する異物が存在すると、半導体装置17とチャックステージ3との間に当該異物が挟み込まれてしまう場合がある。そうすると、半導体装置17をチャックステージ3に密着して固定させることができない。そのため、半導体装置17をチャックステージ3の上面3dへ固定する前に、チャックステージ3の上面3dにおける異物を除去しておくことが望ましい。
その後、半導体装置17の設置面とチャックステージ3の上面3dとが接触している状態で、半導体装置17は、排気部19からの排気によってチャックステージ3に吸着され、さらに、固定される(図10におけるステップST3)。
半導体装置17としては、たとえば、複数の半導体チップが形成された半導体ウエハまたは半導体チップそのものが考えられるが、これらに限られるものではなく、真空吸着などによって固定される半導体装置17であればよい。
半導体装置17がチャックステージ3の上面3dへ固定された後、移動アーム9によって、プローブ基体2が移動される(図10におけるステップST4)。移動後のプローブ基体2の位置は、コンタクトプローブ10が半導体装置17の上面の接続パッド18に対向する位置である。
そして、評価空間20は、絶縁性基体16の下面と壁部7dの接触面7iとが接触することによって遮蔽される。
そして、図3に例が示されたような、コンタクトプローブ10が接続パッド18と接触していない状態で、評価部4の制御によって、気体噴出口6aから気体が吹き付けられる。そして、気体の吹き付け時に、排気部19によって、異物回収孔7bを通じての排気も開始される。
半導体装置17またはコンタクトプローブ10の方向への気体の吹き付けによって、半導体装置17またはコンタクトプローブ10の表面またはその近傍に付着または固着などしている異物が除去される。その後、異物回収孔7bを通じて当該異物が回収される(図10におけるステップST5)。
この際、評価空間20が遮蔽されているため、外部から異物が取り込まれることがなく、かつ、除去された異物の外部への拡散も抑制される。
コンタクトプローブ10が接続パッド18と接触していない状態で上記の気体の吹き付けを行うのは、コンタクトプローブの先端部12に異物が付着などしている場合、コンタクトプローブ10と接続パッド18とが接触した後では、当該異物の除去が困難となるからである。
あらかじめ定められた時間、気体の吹き付けと排気とを行い、異物の除去と回収とを行う。そして、所定の時間の経過後に、気体の吹き付けと排気とを終了する。
なお、気体の吹き付けと排気とは同時に終了させるのではなく、まず気体の吹き付けを終了し、しばらく排気を継続させ、その後排気を終了させることが望ましい。
気体吹き付け部6からの気体の吹き付けによって半導体装置17またはコンタクトプローブ10の周囲から除去された異物は、除去後しばらくは評価空間20を浮遊する場合がある。それらの異物を確実に回収するために、排気をしばらく継続させ、その後終了させる。
異物の除去と回収とを行った後、接続パッド18を介してコンタクトプローブ10と半導体装置17とが接触することによって、電気的に接続される。なお、評価空間20の遮蔽は継続される。
その後、評価部4の制御によって、絶縁性気体が気体噴出口6aから評価空間20に吹き付けられ、評価空間20は絶縁性気体で満たされる(図10におけるステップST6)。なお、当該ステップST6は省略可能である。
そして、評価空間20が絶縁性気体で満たされた後、評価部4によって、半導体装置17に対して所望の電気的特性に関する評価が実施される(図10におけるステップST7)。
そして、評価部4は、上記の評価の終了とともに絶縁性気体の供給も終了させる(図10におけるステップST8)。このように、絶縁性気体によって評価空間20が満たされた状態で評価が実施されるため、半導体装置17の近傍で部分放電が発生することを効果的に抑制することができる。
なお、ここでは排気を利用して、効果的に異物を回収する動作手順についてのみ示されたが、これに限られるものではなく、排気を利用せず、気体の吹き付けと異物回収孔とを用いることで、異物の除去と回収とを行ってもよい。
次に、移動アーム9によって、プローブ基体2が移動される(図10におけるステップST9)。そして、半導体装置17が搬送される(図10におけるステップST10)。
以上のように、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置1は、半導体装置17を固定するチャックステージ3と、チャックステージ3に固定された半導体装置17に接続パッド18を介して電気的に接続され、かつ、半導体装置17の電気的特性を評価するために用いられるコンタクトプローブ10と、半導体装置17またはコンタクトプローブ10の方向に気体を吹き付ける気体吹き付け部6と、複数の異物回収孔7bを有する異物除去部7とを備える。
したがって、コンタクトプローブ10によって半導体装置17の電気的特性を評価する前に、気体吹き付け部6によって半導体装置17などに気体を吹き付けることで、複数の異物回収孔7bから異物を効率よく回収することができる。
また、評価空間20を遮蔽することによって、外部からの異物の取り込みと、除去された異物の外部への拡散が抑制される。
また、コンタクトプローブ10によって半導体装置17の電気的特性を評価する際に、気体吹き付け部6によって評価空間20内の半導体装置17に絶縁性気体を吹き付けて評価空間20を絶縁性気体で満たすことによって、評価の際の部分放電の発生が抑制される。
このため、半導体装置17への異物の再付着と評価時の部分放電とが抑制され、半導体装置17の歩留り向上を図ることができる。また、異物除去部7は、既存のチャックステージに容易に適用することが可能である。
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する半導体装置の評価装置、および、半導体装置の評価方法について説明する。以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
<半導体装置の評価装置の構成について>
図11は、本実施の形態に関する半導体装置の評価装置の一部の構成の例を概略的を示す断面図である。また、図12は、図11に例が示されたチャックステージ30の一部と排気部19とを含む構成の例を概略的に示す平面図である。なお、図12では、異物除去部7は図示が省略されている。
第1の実施の形態では、異物除去部7がチャックステージ3の上面3dに設置されていた。一方で、図11および図12に例が示された本実施の形態においては、外形が小さいチャックステージ30において、設置プレート21を介して異物除去部7がチャックステージ30の上部に設置されている。設置プレート21は、チャックステージ30の上面からはみ出して設けられる。なお、他の構成については、第1の実施の形態に記載されたものと同様であるため、説明を省略する。
平面視において、チャックステージ30の外形が、異物除去部7の下面の開口部分よりも小さい場合、そのままでは異物除去部7をチャックステージ30の上面30dに設置することはできない。
その際は、開口部21aを有する設置プレート21がチャックステージ30の上面30dに設置され、その設置プレート21の上部に異物除去部7が設置される。
ここで、設置プレート21の開口部21aは、半導体装置17がチャックステージ30の上面30dに固定されることを妨げないように繰り抜かれた部位である。設置プレート21の開口部21aは、平面視においてチャックステージ30に固定された半導体装置17を内包する。その設置プレート21の開口部21aの外縁部において、下面がチャックステージ30の上面30dと接触する。
異物除去部7が設置プレート21を介してチャックステージ30の上面30dに設置されることによって、平面視におけるチャックステージ30の外形が、異物除去部7の下面の開口部分よりも小さい場合であっても、異物除去部7の形状を変更せずに、そのまま異物除去部7をチャックステージ30の上面30dに設置することができる。
設置プレート21は、設置プレート21の上部に異物除去部7が設置されても変形しない板状の剛体で作製される。具体的には、鉄などの金属材料、または、poly phenylene sulfide(PPS)などのエンジニアリングプラスチックで作製されることが望ましいが、設置プレート21の材料はこれらに限られるものではない。
このように、異物除去部7が設置プレート21を介してチャックステージ30の上面30dに設置されることによって、平面視におけるチャックステージ30の外形が、異物除去部7の下面の開口部分よりも小さい場合であっても、半導体装置の評価装置の構成に大きな変更を伴わずに、異物の除去と異物の回収とが可能となる。よって、低いコストで、半導体装置17への異物の再付着と評価時の部分放電とを抑制することができ、半導体装置17の歩留り向上を図ることができる。
なお、上記の実施の形態においては、異物除去部7は一体化されて構成されたものであったが、異物除去部7は、分割して構成され、かつ、設置の自由度を向上させるものであってもよい。
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置17の電気的特性を測定する半導体装置の評価装置は、半導体装置17を固定するチャックステージ3と、チャックステージ3の上面に設けられる異物除去部7と、チャックステージ3の上方においてチャックステージ3と対向して設けられ、かつ、チャックステージ3に対して相対的に移動可能である絶縁性基体16と、絶縁性基体16の下面から突出して設けられるコンタクトプローブ10と、コンタクトプローブ10と電気的に接続され、かつ、半導体装置17の電気的特性を評価する評価部4とを備える。ここで、コンタクトプローブ10は、チャックステージ3に固定された半導体装置17の上面に接触することによって、半導体装置17と電気的に接続される。また、異物除去部7は、壁部7dと、気体吹き付け部6と、排気機構とを備える。ここで、排気機構は、たとえば、異物回収孔7b、異物回収部7c、貫通孔7gおよびフィルター7hを備える構造に対応するものである。壁部7dは、チャックステージ3に固定された半導体装置17を覆う。また、壁部7dは、上方に第1の開口部を有する。ここで、第1の開口部は、たとえば、開口部7fに対応するものである。気体吹き付け部6は、半導体装置17に向けて気体を吹き付ける。排気機構は、吹き付けられた気体を排気する。そして、絶縁性基体16が、壁部7dにおける開口部7fを塞ぐように異物除去部7の上面に配置されることで、絶縁性基体16、異物除去部7およびチャックステージ3によって半導体装置17を内部に収容する密閉空間を形成する。ここで、密閉空間は、たとえば、評価空間20に対応するものである。
このような構成によれば、半導体装置の電気的特性を評価する前の密閉空間が形成された状態で、半導体装置17に向けて気体を吹き付け、かつ、吹き付けられた気体を排気することによって、密閉空間の外部から新たな異物を取り込むことを抑制することができる。そのため、気体の吹き付けによって一旦除去された異物が再度半導体装置に付着することも抑制し、半導体装置の電気的特性を評価する際に、半導体装置の周囲またはコンタクトプローブなどに付着する異物を効果的に除去することができる。また、気体の吹き付けおよび排気を行う機構が異物除去部7に設けられ、かつ、異物除去部7がチャックステージ3の上面に設けられることによって、既存の半導体装置の評価装置への適用、特に、従来のチャックステージへの適用が容易な構造となる。また、密閉空間において気体の吹き付け、および、異物の吸引がともに行われるため、半導体装置17を半導体装置の評価装置1の外部へ搬送する際にも、半導体装置17に異物が再度付着することを抑制することができる。
なお、これらの構成以外の本願明細書に例が示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
しかしながら、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、気体吹き付け部6は、平面視における、チャックステージ3に固定された半導体装置17の周囲から半導体装置17に向かう方向である第1の方向に気体を吹き付ける。また、排気機構は、第1の方向とは反対の方向である第2の方向に気体を排気する。このような構成によれば、気体が吹き付けられることによって半導体装置17の周囲またはコンタクトプローブ10などから除去された異物が、平面視において半導体装置17の周囲に位置する排気機構に吸引されるため、当該異物が再度半導体装置17などに付着することを抑制することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、排気機構は、平面視において、チャックステージ3に固定された半導体装置17を取り囲んで配置される。このような構成によれば、気体が吹き付けられることによって半導体装置17の周囲またはコンタクトプローブ10などから除去された異物は、平面視において半導体装置17を取り囲む排気機構に吸引されるため、当該異物が再度半導体装置17などに付着することを抑制することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、気体吹き付け部6は、評価空間20において、半導体装置17の上面に接触していない状態のコンタクトプローブ10に気体を吹き付ける。このような構成によれば、密閉空間を形成した状態で、半導体装置17の上面に接触していない状態のコンタクトプローブ10に気体を吹き付けることができるため、密閉空間の外部から新たな異物を取り込むことを抑制しつつ、コンタクトプローブ10の先端などに付着している異物も除去することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、壁部7dの、チャックステージ3に固定された半導体装置17に対向する面は、チャックステージ3から離れるにつれて第1の方向に向かう傾斜面である。このような構成によれば、壁部7dの下方に位置する異物回収孔7bから異物を回収する際に、回収漏れを抑制することできる。また、気体吹き付け部6によって気体を吹き付けた際に異物回収孔7bから回収されなかった異物に関しても、壁部7dの傾斜面に沿って評価空間20内の下方へ落ち込むため、当該異物も後に異物回収孔7bから回収することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、壁部7dは、柔軟性を有する材料からなる。このような構成によれば、壁部7dの変形によって、コンタクトプローブ10と半導体装置17の上面との間の距離を調整することができるため、密閉空間を形成した状態で、コンタクトプローブ10と半導体装置17の上面とが非接触の状態、および、コンタクトプローブ10と半導体装置17の上面とが接触している状態を双方実現することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、排気機構は、排気経路と、貫通孔7gとを備える。ここで、排気経路は、たとえば、異物回収孔7bに対応するものである。異物回収孔7bは、気体を排気するための孔である。貫通孔7gは、異物回収孔7bの途中に形成され、かつ、気体を外部に放出する。このような構成によれば、異物回収孔7bの途中に貫通孔7gが形成されるため、異物回収孔7b内の圧力が過剰に上昇することを抑制することができる。したがって、異物回収孔7bに吸引された気体の流動を円滑化させることができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、排気機構は、貫通孔7gに設けられるフィルター7hを備える。このような構成によれば、貫通孔7gから外部へ放出される気体はフィルター7hを介して外部へ放出されるため、半導体装置17の周辺またはコンタクトプローブ10などから除去された異物が外部へ放出されることを抑制することができる。そのため、半導体装置17を半導体装置の評価装置1の外部へ搬送する際にも、半導体装置17に異物が再度付着することを抑制することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、排気機構は、異物回収孔7bの端部に設けられる異物回収部7cを備える。このような構成によれば、異物回収孔7bから吸引された異物は異物回収部7cにおいて回収される。そのため、半導体装置17の周辺またはコンタクトプローブ10などから除去された異物が外部へ放出されることを抑制することができる。したがって、半導体装置17を半導体装置の評価装置1の外部へ搬送する際にも、半導体装置17に異物が再度付着することを抑制することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置の評価装置は、異物回収フィルター19aを介して、排気機構の異物回収部7cに接続される排気部19を備える。このような構成によれば、異物回収孔7bから吸引された異物は異物回収部7c、さらには、排気部19において回収される。そのため、半導体装置17の周辺またはコンタクトプローブ10などから除去された異物が外部へ放出されることを抑制することができる。また、吸引された異物は、異物回収フィルター19aを介して異物回収部7c、さらには、排気部19に回収されるため、異物回収フィルター19aにおいて確実に保持される。
また、以上に記載された実施の形態によれば、チャックステージ3は、半導体装置17を固定するための吸着管3bを備える。また、排気部19は、吸着管3bと接続される。このような構成によれば、半導体装置17を固定するための吸着管3bにおける吸引と、異物を回収するための異物回収孔7bにおける吸引とを、共通する排気部19によって行うことができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、気体吹き付け部6は、気体を噴出させる気体噴出口6aと、噴出させる気体を導出する気体導出管6bと、噴出させる気体を供給する気体供給部6cとを備える。このような構成によれば、気体噴出口6aにノズルなどを付与することによって、気体の噴出力を増強することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、気体噴出口6aは、第1の方向に、または、平面視において第1の方向から傾斜する方向に気体を噴出させる。このような構成によれば、気体噴出口6aは、第1の方向に気体を噴出させることによって、異物に直接的に気体を当てて当該異物を除去することができる。また、気体噴出口6aは、第1の方向から傾斜する方向に気体を噴出させることによって気体の回転流を生じさせ、異物に異なる方向から気体を当てて当該異物を除去することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、気体噴出口6aから噴出される気体は、イオンを含む気体である。このような構成によれば、吹き付けられる気体の静電気除去効果によって、異物の除去精度が高まる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、気体噴出口6aは、連続的または断続的に気体を噴出する。このような構成によれば、連続的に気体が吹き付けられる場合には、短時間で異物を除去することができる。また、断続的に気体が吹き付けられる場合には、気体と異物とがぶつかる際の衝撃を異物に対して複数回与えることができるため、当該衝撃によって異物の除去精度が高まる。また、断続的に気体が吹き付けられる場合には、気体と異物とがぶつかる際の衝撃を異物に対して複数回与えることができるため、異物除去のために吹き付ける気体の量を抑えることができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置の評価装置は、設置プレート21を備える。設置プレート21は、チャックステージ30の上面からはみ出して設けられる。また、設置プレート21は、平面視においてチャックステージ30に固定された半導体装置17を内包する第2の開口部を有する。ここで、第2の開口部は、たとえば、開口部21aに対応するものである。異物除去部7は、設置プレート21の上面に設けられる。このような構成によれば、大きさの異なるチャックステージに対しても、設置プレート21を介して異物除去部7を設置することができる。したがって、異物除去部7を設置可能なチャックステージの種類を増やすことができる。
以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置17の電気的特性を測定する半導体装置の評価方法において、半導体装置17を固定するチャックステージ3と、チャックステージの上面に設けられる異物除去部7と、チャックステージ3の上方においてチャックステージ3と対向して設けられ、かつ、チャックステージ3に対して相対的に移動可能である絶縁性基体16とによって半導体装置17を内部に収容する評価空間20を形成する。ここで、絶縁性基体16には、チャックステージ3に固定された半導体装置17の上面に接触することによって、半導体装置17と電気的に接続されるコンタクトプローブ10が下面から突出して設けられる。また、異物除去部7は、チャックステージ3に固定された半導体装置17を覆い、かつ、上方に開口部7fを有する壁部7dを備える。また、絶縁性基体16が、壁部7dにおける開口部7fを塞ぐように異物除去部7の上面に配置されることで、評価空間20が形成される。そして、評価空間20において、半導体装置17と、半導体装置17の上面に接触していない状態のコンタクトプローブ10とに気体を吹き付け、その後、半導体装置17の上面にコンタクトプローブ10を接触させる。そして、コンタクトプローブ10が半導体装置17の上面に接触している状態で、評価空間20を絶縁性気体で満たす。そして、絶縁性気体で満たされた評価空間20において、半導体装置17の電気的特性を評価する。
このような構成によれば、密閉空間において、半導体装置17と、半導体装置17の上面に接触していない状態のコンタクトプローブ10とに気体を吹き付けることによって、半導体装置17の上面およびコンタクトプローブ10の先端などに付着している異物を、半導体装置17の電気的特性を評価する前に除去することができる。さらに、コンタクトプローブ10が半導体装置17の上面に接触している状態で、評価空間20を絶縁性気体で満たすことによって、半導体装置17の電気的特性を評価する際に放電が生じることを抑制することができる。
なお、これらの構成以外の本願明細書に例が示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
しかしながら、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
また、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、評価空間20において、半導体装置17と、半導体装置17の上面に接触していない状態のコンタクトプローブ10とに気体を吹き付けるとともに、半導体装置17とコンタクトプローブ10とに吹き付けられた気体を評価空間20から排気する。そして、その後、半導体装置17の上面にコンタクトプローブ10を接触させる。このような構成によれば、密閉空間において、半導体装置17と、半導体装置17の上面に接触していない状態のコンタクトプローブ10とに気体を吹き付けるとともに、半導体装置17とコンタクトプローブ10とに吹き付けられた気体を評価空間20から排気することによって、半導体装置17の周囲またはコンタクトプローブ10などから一旦除去された異物が、再度半導体装置17などに付着することを抑制することができる。
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
また、本願明細書における説明は、本技術に関するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。