JP2019211734A - カラーフィルタ基板、液晶表示装置および積層体 - Google Patents

カラーフィルタ基板、液晶表示装置および積層体 Download PDF

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Shinsuke Nakazawa
伸介 中澤
剛史 戸田
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剛史 戸田
康正 加賀
Yasumasa Kaga
康正 加賀
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Abstract

【課題】コントラストの低下を抑制可能なカラーフィルタ基板、これを用いた液晶表示装置、および上記液晶表示装置に用いられる積層体を提供することを主目的とする。【解決手段】透明基材層21の一方の面に着色層22を有するカラーフィルタ部材2と、カラーフィルタ部材2の着色層22側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層11Aを有する第1の光学機能部材1Aと、カラーフィルタ部材2の透明基材層21側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層11Bを有する第2の光学機能部材1Bとを備えるカラーフィルタ基板であって、第1の光学機能部材1Aおよび上記第2の光学機能部材1Bの少なくとも一方は、カラーフィルタ部材2側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層13をさらに有し、紫外線遮蔽層13は、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率が所定の値以下である、カラーフィルタ基板を提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、カラーフィルタ基板、液晶表示装置、および液晶表示装置に用いられる積層体に関する。
近年、パーソナルコンピューター、特に携帯用のパーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶表示装置の需要が増している。また、最近では、家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、スマートフォン、タブレット端末も広く普及しつつあることから、益々液晶表示装置の市場は拡大する状況にある。
液晶表示装置は、一般に、カラーフィルタ基板、対向基板およびこれらの間に配置された液晶層を有する液晶パネルを有する。また、液晶表示装置は、例えば、バックライト光源、第1の直線偏光板、液晶パネルおよび第2の直線偏光板の順に配置された構成を有する。
最近では、スマートフォン等の普及により液晶表示装置は、屋内だけではなく、屋外においても頻繁に使用されるようになってきている。液晶表示装置は、例えば、屋外等の明るい環境下において表示が見えにくい。すなわち、液晶表示装置においては、明環境における表示視認性を向上させることが求められている。明環境における表示視認性を向上させる技術としては、例えば、観察者側の最表面における前面板に反射防止フィルムを配置する技術がある。また、特許文献1には、液晶表示素子の前面に保護板を備えた液晶ディスプレイにおいて、上記液晶表示素子が、第1の硝子板と、該第1の硝子板の内側裏面に形成された開口部分を有する制光子と、少なくとも外側表面に偏光子を固着された第2の硝子板と、上記第1の硝子板の内側と上記第2の硝子板の内側との間に封止された液晶と、該液晶と上記制光子との間に挿置されかつその光学主軸が上記偏光子の光学主軸に対し略45°傾けられた1/4波長板と、を備えて構成され、かつ、上記保護板が、偏光子と、該偏光子の裏面側に固着されその光学主軸が該偏光子の光学主軸に対し略45°傾けられた1/4波長板とを備えて構成されている、液晶ディスプレイが開示されている。
また、特許文献2〜10には、位相差層を保護するための保護層を形成することが開示されている。
特開平3−156420号公報 特開2017−67978号公報 特開2013−79995号公報 国際公開第2007/145339号公報 特許第4797320号公報 特開2004−185028号公報 特開2004−134122号公報 特開2007−101645号公報 特開2009−20382号公報 特開2009−69839号公報
上述したように、液晶表示装置においては、明環境における表示視認性を向上させることが求められている。明環境において表示視認性が低い理由の一つとしては、液晶パネルの内部における外光の反射光が観察者によって観察されることが挙げられる。本開示の発明者らは、液晶パネルの内部における外光の反射を抑制するため、二つの光学機能部材の間にカラーフィルタ部材が配置される構成を検討したところ、上記構成を有する液晶表示装置においては、コントラストが低下するとの課題が生じることを知見した。
そこで、本開示の発明者らは、コントラスト低下の原因を詳細に検討した。その結果、液晶表示装置の製造時において、光学機能部材の表面改質の為に照射される短波長紫外線(波長254nmの紫外線)により、位相差層の位相差値が低下することが原因であることを見出した。それぞれの光学機能部材に照射される短波長紫外線の照射量等は、液晶表示装置の層構成に応じて異なるため、二つの光学機能部材の位相差量に差異が生じやすい。その結果、暗表示時に光漏れが生じ、暗コントラストが著しく低下する。
本開示は、上記実情に鑑みてなされた発明であり、コントラストの低下を抑制可能なカラーフィルタ基板、これを用いた液晶表示装置、および上記液晶表示装置に用いられる積層体を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するため、本開示は、透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の上記着色層側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層を有する第1の光学機能部材と、上記カラーフィルタ部材の上記透明基材層側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層を有する第2の光学機能部材とを備えるカラーフィルタ基板であって、上記第1の光学機能部材および上記第2の光学機能部材の少なくとも一方は、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層をさらに有し、上記紫外線遮蔽層は、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率が50%以下である、カラーフィルタ基板を提供する。
本開示によれば、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の少なくとも一方が、特定の紫外線の紫外線透過率が所定の値以下である紫外線遮蔽層を有することにより、光学機能部材の位相差値の低下を抑制することができるため、液晶表示装置における暗コントラストの低下を抑制することができるカラーフィルタ基板とすることができる。
また、本開示は、透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の上記着色層側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層を有する第1の光学機能部材と、上記カラーフィルタ部材の上記透明基材層側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層を有する第2の光学機能部材とを備えるカラーフィルタ基板であって、上記第1の光学機能部材および上記第2の光学機能部材の少なくとも一方は、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線吸収層をさらに有し、上記紫外線吸収層は、波長254nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂層である、カラーフィルタ基板を提供する。
本開示によれば、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の少なくとも一方が、特定の紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有することにより、光学機能部材の位相差値の低下を抑制することができるため、液晶表示装置における暗コントラストの低下を抑制することができるカラーフィルタ基板とすることができる。
上記開示においては、少なくとも上記第1の光学機能部材が、上記紫外線遮蔽層を有することが好ましい。また、上記開示においては、少なくとも上記第1の光学機能部材が、上記紫外線吸収層を有することも好ましい。液晶表示装置においてインセル側に好適に配置される第1の光学機能部材が、紫外線遮蔽層または紫外線吸収層を有することにより、暗コントラストの低下を好適に抑制することができるからである。
上記開示においては、上記第1の光学機能部材の上記第1の位相差層と、上記第2の光学機能部材の上記第2の位相差層とは、波長分散性および位相差値の熱変化特性が同一であることが好ましい。液晶表示装置におけるコントラストの低下を抑制することができるカラーフィルタ基板とすることができるからである。
上記開示においては、上記第1の光学機能部材の上記第1の位相差層と上記第2の光学機能部材の上記第2の位相差層とは、上記液晶材料が同一であることが好ましい。第1の光学機能部材の第1の位相差層および第2の光学機能部材の第2の位相差層における波長分散性および位相差値の熱による変化特性の同一性を高くすることができるため、光学機能部材および第2の光学機能部材の光学補償状態を良好にすることができるからである。
上記開示においては、上記第1の光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材に直接配置された第1の固定層および上記第1の位相差層の積層体であり、上記第2の光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材に直接配置された第2の固定層および上記第2の位相差層の積層体であり、上記第1の固定層が、第1の配向層または第1の接着層であり、上記第2の固定層が、第2の配向層または第2の接着層であることが好ましい。カラーフィルタ部材の着色層側の配置される第1の光学機能部材の第1の位相差層およびカラーフィルタ部材の透明基材層側の面に配置される第2の光学機能部材の第2の位相差層の光軸、厚み等をより高い精度で合わせることができるため、光学機能部材および第2の光学機能部材の光学補償状態を良好にすることができるからである。
本開示は、上述したカラーフィルタ基板と、対向基板と、上記カラーフィルタ基板および上記対向基板の間に配置された液晶層とを有する、液晶パネルを少なくとも備える、液晶表示装置を提供する。
本開示によれば、上述したカラーフィルタ基板を有することにより、コントラストの低下が抑制された液晶表示装置とすることができる。
本開示は、上述した液晶表示装置に用いられる積層体であって、上記カラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の一方の面に配置され、液晶材料を含有する位相差層を有する光学機能部材とを有し、上記光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層をさらに有し、上記紫外線遮蔽層は、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率が50%以下である、積層体を提供する。
また、本開示は、上述した液晶表示装置に用いられる積層体であって、上記カラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の一方の面に配置され、液晶材料を含有する位相差層を有する光学機能部材とを有し、上記光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線吸収層をさらに有し、上記紫外線吸収層は、波長254nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂層である、積層体を提供する。
本開示によれば、上述した積層構造を有することにより、積層部材を基準として、光学機能部材が配置された面とは反対側の面に、もう一つの光学機能部材を配置することにより、上述した液晶表示装置を得ることができる。
本開示のカラーフィルタ基板は、コントラストの低下を抑制可能であるといった効果を奏する。
本開示のカラーフィルタ基板の一例および他の例を示す概略断面図である。 本開示における光学機能部材の光学補償状態を説明する説明図である。 本開示の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。 本開示の液晶表示装置における光源光および外光の挙動を説明する説明図である。 本開示のカラーフィルタ基板の他の例を示す概略断面図である。 本開示のカラーフィルタ基板の他の例を示す概略断面図である。 位相差層の液晶材料の配向状態を説明する説明図である。 位相差層の液晶材料の配向状態を説明する説明図である。 位相差層の波長分散性について説明する説明図である。 本開示における光学機能部材の形成方法の一例を示す工程図である。 アニール処理の条件の決定方法の一例を示すグラフである。 本開示の積層体の一例および他の例を示す概略断面図である。 実施例1〜2、および比較例1の透過率測定の結果である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
上述したように、例えば、屋外等の明るい環境下において、液晶表示装置の表示をより見やすくすることが求められている。明環境において表示視認性が低い理由の一つとしては、液晶パネルの内部における外光の反射光が観察者から観察されることが挙げられる。本開示の発明者らは、液晶パネル内部における外光反射を抑制するため、λ/4板として機能する光学機能部材とカラーフィルタ部材とを組み合わせて配置することを検討した。具体的には、二つの光学機能部材の間にカラーフィルタ部材を配置することを検討した。上記配置とすることにより、観察者側に配置される光学機能部材を、観察者側に配置される直線偏光板とともに用いることで、円偏光板として機能させることができ、外光を吸収できると考えられる。また、二つの光学機能部材が互いに位相差を相殺し合う光学補償状態を取るようにすることで、バックライト光の透過を阻害しないようにすることができると考えられる。
しかしながら、本開示の発明者らは、更なる検討を進める中で、二つの光学機能部材の間にカラーフィルタ部材が配置された液晶表示装置においては、コントラストが低下するとの課題が生じることを知見した。
本開示の発明者らは、さらに検討を重ねた結果、コントラストが低下する理由について以下のことを知見した。すなわち、液晶表示装置の製造時において、光学機能部材の表面改質の為に照射される短波長紫外線(波長254nmの紫外線)により、位相差層の位相差値が低下することが原因であることを見出した。それぞれの光学機能部材に照射される短波長紫外線の照射量等は、液晶表示装置の層構成に応じて異なる。その結果、カラーフィルタ部材の着色層側の面に配置される第1の光学機能部材の第1の位相差層と、カラーフィルタ部材の透明基材層側の面に配置される第2の光学機能部材の第2の位相差層とで、位相差量に差異が生じやすい。これにより、二つの光学機能部材の光学補償状態が崩れるため、コントラストが低下する。特に、暗表示時に光漏れが生じ、暗コントラストが著しく低下する。
以上から、本開示の発明者らは、液晶表示装置のコントラストの低下を抑制可能とする、以下のカラーフィルタ基板、これを用いた液晶表示装置、および上記液晶表示装置に用いられる積層体を完成させた。以下、詳細を説明する。
A.カラーフィルタ基板
本開示のカラーフィルタ基板は、2つの実施形態を有する。
本開示のカラーフィルタ基板の第1実施形態は、透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の上記着色層側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層を有する第1の光学機能部材と、上記カラーフィルタ部材の上記透明基材層側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層を有する第2の光学機能部材とを備えるカラーフィルタ基板であって、上記第1の光学機能部材および上記第2の光学機能部材の少なくとも一方は、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層をさらに有し、上記紫外線遮蔽層は、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率が50%以下である。
また、本開示のカラーフィルタ基板の第2実施形態は、透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の上記着色層側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層を有する第1の光学機能部材と、上記カラーフィルタ部材の上記透明基材層側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層を有する第2の光学機能部材とを備えるカラーフィルタ基板であって、上記第1の光学機能部材および上記第2の光学機能部材の少なくとも一方は、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線吸収層をさらに有し、上記紫外線吸収層は、波長254nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂層である。
本開示のカラーフィルタ基板について図を用いて説明する。図1(a)は本開示の第1実施形態のカラーフィルタ基板の一例を示す概略断面図であり、図1(b)は本開示の第2実施形態のカラーフィルタ基板の一例を示す概略断面図である。図1(a)に示すように、本開示のカラーフィルタ基板10は、透明基材層21の一方の面に着色層22を有するカラーフィルタ部材2と、カラーフィルタ部材2の着色層22側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層11Aを有する第1の光学機能部材1Aと、カラーフィルタ部材2の透明基材層21側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層11Bを有する第2の光学機能部材1Bとを備える。また、本開示において、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bの少なくとも一方は、カラーフィルタ部材2側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層13をさらに有する。紫外線遮蔽層13は、特定の紫外線の紫外線透過率が所定の値以下である層である。図1(a)は、第1の光学機能部材1Aが、第1の紫外線遮蔽層13Aを有する例を示している。
本開示においては、図1(a)に示すように、第1の光学機能部材1Aがカラーフィルタ部材2に直接配置された第1の配向層12Aおよび第1の位相差層11Aとの積層体であってもよい。また、第2の光学機能部材1Bがカラーフィルタ部材2に直接配置された第2の配向層12Bおよび第2の位相差層11Bとの積層体であってもよい。
図1(a)に示すように、カラーフィルタ部材3は、通常、透明基材層21の一方の面に配置された着色層22を少なくとも有する。図1(a)においては、着色層22として、赤色着色層22R、緑色着色層22Gおよび青色着色層22Bを有する例を示している。また、カラーフィルタ部材2は、着色層22の境界領域と平面視上重なる領域に配置された遮光層23を有していてもよい。また、カラーフィルタ部材2は着色層22側の面に配置された保護層24を有していてもよい。本開示のカラーフィルタ基板10は、液晶表示装置としたとき、カラーフィルタ部材2の着色層22側の面が液晶層と対向するように配置されることが好ましい。すなわち、カラーフィルタ基板10は、液晶表示装置としたとき、第1の光学機能部材1Aが液晶層と対向するように配置され、第2の光学機能部材1Bが液晶表示装置の外部側に配置されることが好ましい。
図1(b)に示す第2実施形態のカラーフィルタ基板10については、図1(a)に示す第1実施形態のカラーフィルタ基板10における紫外線遮蔽層13の代わりに、紫外線吸収層14(第1の紫外線吸収層14A)を有する点以外は、上述した説明と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の配置について図を用いて説明する。図2(a)〜図2(c)は本開示における第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の配置を説明する説明図である。本開示においては、図2(a)に示すように、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bは、互いの第1の位相差層および第2の位相差層の位相差を相殺し合う(打ち消し合う)光学補償状態を有するように配置される。ここでは、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bがλ/4部材として機能する場合を挙げて説明する。第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bは、それらの第1の位相差層の光軸x1および第2の位相差層の光軸x2が直交するように配置される。
光学補償状態について、図2(a)においては、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bにおいて、第1の光学機能部材1A側から直線偏光Lline(0)が入射した場合の具体例を挙げて説明する。まず、直線偏光Lline(0)は、第1の光学機能部材1Aに入射することで、その振動方向には、第1の光学機能部材1Aの光軸方向に位相差が−λ/4生じる。その結果、直線偏光Lline(0)は円偏光Lに変換される。次に円偏光Lは、第2の光学機能部材1Bに入射することで、その振動方向には、第2の光学機能部材1Bの光軸方向に位相差が−λ/4生じる。その結果、円偏光Lは、再度、偏光方向Dline(0)である直線偏光Lline(0)に変換される。このように、直線偏光Lline(0)に対し、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bは、互いに位相差が打ち消し合うため、実効的に作用していない。そのため、図2(b)に示すように、第1の直線偏光板40Aおよび第2の直線偏光板40Bの間に、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bを配置した場合は、図2(c)に示すように、第1の直線偏光板40Aおよび第2の直線偏光板40Bの間に第1の光学機能部材および第2の光学機能部材を配置しない場合と同様に、直線偏光Lline(0)を進行させることができる。例えば、第1の直線偏光板40Aおよび第2の直線偏光板40Bの偏光方向が直交する場合、直線偏光Lline(0)は第2の直線偏光板40Bによって吸収される。なお、図2(c)においては、説明の容易のため、存在しない第1の光学機能部材および第2の光学機能部材を破線で示している。
図3は本開示のカラーフィルタ基板を用いた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図3に示すように、本開示の液晶表示装置100は、カラーフィルタ基板10と、対向基板20と、カラーフィルタ基板10および対向基板20の間に配置された液晶層30とを有する、液晶パネル100Aを少なくとも備える。液晶表示装置100は、例えば、バックライト50、第1の直線偏光板40A、第2の直線偏光板40Bをさらに有していてもよい。第1の直線偏光板40A、第2の直線偏光板40Bは、例えば、偏光方向が直交するように配置される。
図4は、図3に示す液晶表示装置における光源光(透過光)および外光(反射光)の挙動について説明する説明図である。なお、説明の容易のため、図4においては対向基板を省略して示している。
まず、光源光Tの挙動について説明について説明する。
液晶表示装置においてバックライト50から照射された光源光Tは、あらゆる振動方向の光を含む自然光Lomである。液晶表示装置100においては、光源光Tにおける自然光Lomの中から一方向の振動方向を有する直線偏光Lline(0)が第1の直線偏光板40Aから出射され、液晶層30へ入射される。直線偏光Lline(0)は、液晶層30における液晶材料によって、例えば、位相差が+λ/2生じることで、直線偏光Lline(90)に変換される。次に、直線偏光Lline(90)は、光学機能部材1Aに入射されることで円偏光Lに変換される。円偏光Lは、カラーフィルタ部材2に入射され、さらに光学機能部材1Bに入射されることで円偏光Lから直線偏光Lline(90)に変換される。直線偏光Lline(90)は、第2の直線偏光板40Bの偏光方向と平行な振動方向を有する。そのため、直線偏光Lline(90)は、第2の直線偏光板40を透過して、観察者に観察される。
次に外光Rについて説明する。
液晶表示装置100においては、外光Rは全方位光Lomである。外光Rは第2の直線偏光板40Bに入射されることで、全方位光Lomの中から一方向の振動方向を有する直線偏光Lline(90)が選択される。直線偏光Lline(90)は、光学機能部材1Bに入射されることで円偏光Lに変換される。次に円偏光Lがカラーフィルタ部材の構成により反射されることで、位相がλ/2分変化する。例えば、反射前の円偏光Lが右回りの円偏光である場合、反射後の円偏光Lc(Rev)は左回りの円偏光となる。反射された円偏光Lc(Rev)は、再度、光学機能部材1Bに入射されることで直線偏光Lline(0)に変換される。直線偏光Lline(0)は、第2の直線偏光板40Bの偏光方向に対して振動方向が直交するため、第2の直線偏光板40Bを透過することができない。そのため、観察者からは直線偏光Lline(0)は、観察されない。よって、外光反射による視認性の低下を抑制することができる。
上述したように、本開示のカラーフィルタ基板を用いた液晶表示装置においては、二つの光学機能部材の位相差層が互いに位相差を相殺し合う光学補償状態を取るようにすることで、明表示では、光源光の透過を阻害しないようにすることができる。また、図示しないが、暗表示では、光源光が透過しないようにすることができる。そのため、二つの光学機能部材の位相差層の位相差値が同じであることが好ましい。
本開示によれば、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の少なくとも一方が、特定の紫外線の紫外線透過率が所定の値以下である紫外線遮蔽層を有することにより、光学機能部材の位相差値の低下を抑制することができるため、液晶表示装置における暗コントラストの低下を抑制することができるカラーフィルタ基板とすることができる。
また、本開示によれば、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の少なくとも一方が、特定の紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有することにより、光学機能部材の位相差値の低下を抑制することができるため、液晶表示装置における暗コントラストの低下を抑制することができるカラーフィルタ基板とすることができる。
本開示の完成させるに当たり、本開示の発明者らは、光学機能部材の位相差層の位相差値の低下と紫外線の波長との関係性について検討した。その結果、波長254nmの紫外線を照射した場合、位相差層の位相差層が低下する一方で、例えば、i線(365nm)、j線(313nm)といった比較的波長の長い紫外線を照射した場合は、位相差層の位相差値の低下は実質的に生じないことを知見した。すなわち、紫外線のなかでも、波長254nmの紫外線といった特定の紫外線が位相差層の位相差値の低下させることを見出した。この知見は従来知られていない知見であり、本開示は上記知見に基づき完成された発明である。
波長254nmの紫外線は、液晶表示装置の製造時において、各部材の表面における濡れ性を向上させるといった表面改質処理を行うために照射される紫外線である。近年の液晶表示装置の高精細化、薄膜化の要求に伴い、液晶表示装置を構成する各部材間の密着性が高いことが求められている。そのため、表面改質処理は液晶表示装置を製造する上で重要な処理となってきている。例えば、カラーフィルタ基板とTFT基板の距離を保つスペーサ部材の材料をカラーフィルタ基板上に塗布する際に、あるいはカラーフィルタ基板のマンサイド側に光学補償用の材料を塗布する際に、表面濡れ性が不十分であると塗布液のはじきが発生するという問題がある。別の例として、カラーフィルタ基板のマンサイド側に光学フィルムを接着させる際に、表面改質が不十分だと密着不良が発生するという問題がある。上述したi線、j線といった比較的波長の長い紫外線は、例えば、光硬化型樹脂の硬化反応に利用されるが、表面改質処理に適さない。そのため、表面改質処理に用いられる紫外線を変更することは難しいといった実情がある。
一方、本開示は、紫外線遮蔽層または紫外線吸収層を設けることで、カラーフィルタ基板に対し、既存の表面改質処理を行うことができるといった利点を有する。
以下、本開示のカラーフィルタ基板の詳細について説明する。
1.光学機能部材
カラーフィルタ基板において、第1の光学機能部材と第2の光学機能部材とは、その二つの光学機能部材の間にカラーフィルタ部材を挟んで配置される部材である。上記二つの光学機能部材は、互いの位相差層の位相差を相殺し合う(打ち消し合う)機能を有する。光学機能部材は、例えば、λ/4部材として機能することが好ましい。本開示において、上記二つの光学機能部材は、互いの位相差層の位相差を相殺し合う(打ち消し合う)光学補償状態を有するように配置される。
本開示における第1の光学機能部材および第2の光学機能部材は、その少なくとも一方が紫外線遮蔽層または紫外線吸収層をさらに有することを特徴とする。
以下、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の詳細について説明する。なお、以下の説明において、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の機能、構成層、その他の共通する事項に関する点については、「第1の」および「第2の」の表記を省略して説明する場合がある。
(1)光学機能部材の積層構造
本開示においては、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材は、少なくとも、固定層および位相差層を有し、さらに第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の少なくとも一方は、紫外線遮蔽層または紫外線吸収層を有する。換言すると、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の少なくとも一方は、紫外線遮蔽層および紫外線吸収層を有していなくてもよい。本開示における光学機能部材の積層構造は、例えば、固定層、位相差層、および紫外線遮蔽層がこの順に積層された構造であってもよく、固定層、位相差層および紫外線吸収層がこの順に積層された構造であってもよい。また、紫外線遮蔽層および紫外線吸収層を有しない場合、光学機能部材の積層構造は、例えば、固定層および位相差層がこの順に積層された構造であってもよく、固定層、位相差層および保護層がこの順に積層された構造であってもよい。
(2)紫外線遮蔽層
本開示において、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の少なくとも一方は、カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層をさらに有していてもよい。紫外線遮蔽層は、短波長紫外線による位相差層の位相差値の低下を抑制する機能を有する。また、紫外線遮蔽層は、例えば、位相差層を保護する保護層(オーバーコート層)としての機能を有していてもよい。
紫外線遮蔽層は、第1の光学機能部材のカラーフィルタ部材側とは反対側の面、および第2の光学機能部材のカラーフィルタ部材側とは反対側の面の少なくとも一方に配置される層である。また、紫外線遮蔽層は、通常、位相差層のカラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置される。また、光学機能部材が後述する固定層および位相差層の積層体である場合、紫外線遮蔽層は、通常、位相差層の固定層側とは反対側の面に配置される。
本開示においては、例えば、図1(a)に示すように、第1の光学機能部材1Aが紫外線遮蔽層13(第1の紫外線遮蔽層13A)をさらに有していてもよく、図5(a)に示すように、第2の光学機能部材1Bが紫外線遮蔽層13(第2の紫外線遮蔽層13B)をさらに有していてもよく、図5(b)に示すように、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材1Bの両方が、紫外線遮蔽層13(第1の紫外線遮蔽層13Aおよび第2の紫外線遮蔽層13B)をさらに有していてもよい。また、本開示においては、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の一方が紫外線遮蔽層をさらに有する場合、他方に後述する紫外線吸収層または保護層を有していてもよい。例えば、図5(c)に示すように、第1の光学機能部材1Aが紫外線遮蔽層13Aをさらに有する場合、第2の光学機能部材が紫外線吸収層14Bまたは保護層(図示なし)を有していてもよい。
中でも、本開示においては、図1(a)および図5(b)、(c)に示すように、少なくとも第1の光学機能部材1Aが、紫外線遮蔽層13を有することが好ましい。
本開示のカラーフィルタ基板を液晶表示装置に用いる場合、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材のうち、一方が液晶層側(インセル側)、他方が外部(アウトセル側)に配置される。カラーフィルタ基板のインセル側の面には、例えば、液晶層中の駆動液晶を配向させるための配向部材が配置される。また、例えば、液晶層のセルギャップを確保するため、スペーサ部材を形成する場合もある。そのため、カラーフィルタ基板のインセル側の面は、アウトセル側の面に比べて、上述した配向部材等の構成を配置するため、紫外線を照射する処理が行われる頻度が高い傾向にある。
本開示のカラーフィルタ基板を液晶表示装置に用いる場合、第1の光学機能部材側の面をインセル側に配置することが好ましいことから、第1の光学機能部材が紫外線遮蔽層を有することにより、第1の光学機能部材の位相差層の位相差値の低下を抑制することができ、暗コントラストの低下を好適に抑制することができる。
紫外線遮蔽層は、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率が所定の値以下である層である。紫外線遮蔽層における、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率は、50%以下であり、例えば、20%以下であってもよく、5%以下であってもよい。また、上記紫外線透過率は低いことが好ましく、0%が好ましいが、0%よりも大きくてもよい。上記紫外線透過率が高すぎると、光学機能部材の位相差層の位相差値の低下を十分に抑制することが困難となる可能性があるからである。
紫外線遮蔽層の上記紫外線透過率は、例えば、以下の方法により測定することができる。カラーフィルタ基板に配置された紫外線遮蔽層の一部を削り取り、測定用サンプルを作製する。次に、測定用サンプルに対し、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率を測定する。また、測定用サンプルの厚みを測定する。得られた透過率を測定用サンプルの厚みで除することで、紫外線遮蔽層の単位厚み(1μm)当たりの紫外線透過率を算出する。次に、紫外線遮蔽層の厚みを測定する。紫外線遮蔽層の厚みに対し、単位厚み当たりの紫外線透過率を掛けあわせて算出することで、紫外線遮蔽層の透過率を求めることができる。
測定用サンプルの紫外線透過率は、例えば、紫外線透過率を分光光度計を用いて測定する方法を挙げることができる。分光光度計は、特に限定されないが、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製日立分光光度計U−4100を用いることができる。また、厚みは一般的な測定方法により求めることができる。
紫外線遮蔽層は、少なくとも波長254nmの紫外線の透過率が所定の値以下であればよく、例えば、波長254nm未満の紫外線の透過率が低くてもよく、波長254nm未満の紫外線透過率が、上述した値以下であってもよい。すなわち、紫外線遮蔽層は、波長254nm以下の紫外線の紫外線透過率が、上述した値以下であってもよい。
紫外線遮蔽層は、液晶表示装置とした際、液晶層側から出射される表示光の視認性を妨げない程度の透明性を有する。紫外線遮蔽層の透明性は、液晶表示装置の用途等に応じて適宜調整され、特に限定されないが、例えば、可視光領域(例えば400nm以上700nm以下)の平均透過率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることが好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
紫外線遮蔽層における可視光領域の平均透過率は、例えば、以下の方法により測定することができる。上述した紫外線透過率の測定方法と同様に、測定用サンプルを作製し、測定用サンプルにおける可視光領域の平均透過率および測定用サンプルの厚みから、紫外線遮蔽層の単位厚み当たりの可視光領域の平均透過率を算出する。次に、紫外線遮蔽層の厚みを測定し、紫外線遮蔽層の厚みに対し、単位厚み当たりの可視光領域の平均透過率を掛けあわせて算出することで、紫外線遮蔽層の可視光領域の平均透過率を測定することができる。測定用サンプルの可視光の平均透過率は、例えば、分光光度計を用いて測定することができる。
紫外線遮蔽層に用いられる材料としては、上述した紫外線透過率を有する層を形成することができれば特に限定されない。紫外線遮蔽層に用いられる材料は、例えば、有機材料であってもよく、無機材料であってもよい。
紫外線遮蔽層に用いられる有機材料としては、例えば、樹脂材料を挙げることができる。樹脂材料としては、上述した紫外線透過率を有する層を得ることが可能であれば特に限定されないが、例えば、NN805(JSR株式会社製)、NN902(JSR株式会社製)等が挙げられる。特に波長254nmの紫外線吸収率の高いNN902等が好ましい。
有機材料を用いた紫外線遮蔽層は、上述した樹脂材料を少なくとも含有していればよく、必要に応じて、例えば、重合開始剤、各種添加剤等をさらに含有していてもよい。上記紫外線遮蔽層の厚みは、有機材料の種類等に応じて適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、1μm以上、5μm以下であってもよい。上記紫外線遮蔽層の形成方法は、一般的な樹脂層の形成方法と同様とすることができ、例えば、スピンコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法を挙げることができる。
一方、紫外線遮蔽層に用いられる無機材料としては、上述した紫外線透過率を有する層を得ることが可能であれば特に限定されないが、例えば、チタン酸化物(TiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられる。
無機材料を用いた紫外線遮蔽層の厚みは、無機材料の種類等に応じ適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、0.05μm以上、1μm以下であってもよい。上記紫外線遮蔽層の形成方法としては、一般的な無機材料層の形成方法と同様とすることができ、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法等を挙げることができる。
(3)紫外線吸収層
本開示においては、上記第1の光学機能部材および上記第2の光学機能部材の少なくとも一方は、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線吸収層をさらに有していてもよい。紫外線吸収層は、短波長紫外線による位相差層の位相差値の低下を抑制する機能を有する。また、紫外線吸収層は、例えば、位相差層を保護する保護層(オーバーコート層)としての機能を有していてもよい。
紫外線吸収層は、第1の光学機能部材のカラーフィルタ部材側とは反対側の面、および第2の光学機能部材のカラーフィルタ部材側とは反対側の面の少なくとも一方に配置される層である。また、紫外線吸収層は、通常、位相差層のカラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置される。また、光学機能部材が後述する固定層および位相差層の積層体である場合、紫外線吸収層は、通常、位相差層の固定層側とは反対側の面に配置される。
本開示においては、例えば図1(b)に示すように、第1の光学機能部材1Aが紫外線吸収層14(第1の紫外線吸収層14A)をさらに有していてもよく、図6(a)に示すように、第2の光学機能部材1Bが紫外線吸収層14(第2の紫外線吸収層14B)をさらに有していてもよく、図6(b)に示すように、第1の光学機能部材1Aおよび第2の光学機能部材の両方が、紫外線吸収層14(第1の紫外線吸収層14Aおよび第2の紫外線吸収層14B)をさらに有していてもよい。なかでも、本開示においては図1(b)および図6(b)に示すように、少なくとも上記第1の光学機能部材1Aが、上記紫外線吸収層14を有することが好ましい。なお、理由については、上述した「(2)紫外線遮蔽層」の項で説明した、少なくとも第1の光学機能部材が紫外線遮蔽層を有することが好ましい理由と同様であるため、ここでの説明は省略する。
紫外線吸収層は、波長254nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂層である。紫外線吸収層は、通常、紫外線吸収剤と、バインダ樹脂とを少なくとも含有する。
紫外線吸収層における、波長254nmの紫外線に対する紫外線吸収率は、例えば、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
紫外線吸収層における紫外線吸収率は、例えば、以下の方法により測定することができる。上述した紫外線透過率の測定方法と同様に、測定用サンプルを作製し、測定用サンプルにおける波長254nmの紫外線に対する紫外線吸収率、および測定用サンプルの厚みから、紫外線吸収層の単位厚み当たりの紫外線吸収率を算出する。次に、紫外線吸収層の厚みを測定し、紫外線吸収層の厚みに対し、単位厚み当たりの紫外線吸収率を掛けあわせて算出することで、紫外線吸収層の紫外線吸収率を測定することができる。測定用サンプルの可視光の紫外線吸収率は、例えば、分光光度計を用いて測定することができる。
紫外線吸収層は、少なくとも波長254nmの紫外線の吸収率が所定の値以上であればよく、例えば、波長254nm未満の紫外線の吸収率が高くてもよく、波長254nm未満の紫外線吸収率が、上述した値以上であってもよい。すなわち、紫外線吸収層は、波長254nm以下の紫外線の紫外線吸収率が、上述した値以上であってもよい。
紫外線吸収層は、液晶表示装置とした際、液晶層側から出射される表示光の視認性を妨げない程度の透明性を有する。具体的な紫外線吸収層の可視光領域の平均透過率については、上述した紫外線遮蔽層の可視光領域の平均透過率と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
紫外線吸収層に含有される紫外線吸収剤としては、波長254nmの紫外線を吸収することができれば特に限定されない。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系(Hindered Amine Light Stabilizer)、およびヒンダードフェノール系(例えば、BHT)等が挙げられる。特に本開示においては、紫外線吸収層の可視光領域の透過率の観点からシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が望ましい。市販の紫外線吸収剤、またはポリマーと紫外線吸収剤の共重合体等を用いることができ、Univil3035、Univil3039、Univil3030(BASF製)等が好ましい。
紫外線吸収層における紫外線吸収剤の含有量は、位相差層の位相差値の低下を抑制することができる程度であれば特に限定されない。上記紫外線吸収剤の含有量は、例えば、5質量%以上、中でも10質量%以上、特に15質量%以上であることが好ましい。また、上記紫外線吸収剤の含有量は、例えば、30質量%以下、中でも25質量%以下、特に20質量%以下であることが好ましい。
上記紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると、位相差層の位相差値の低下を十分に抑制することが困難となる可能性があるからである。一方、上記紫外線吸収剤の含有量が多すぎると、紫外線吸収層を形成しにくくなる可能性があるからである。
紫外線吸収層は、通常、バインダ樹脂をさらに含有する。バインダ樹脂としては、上述した紫外線吸収剤を分散させることができれば特に限定されず、例えば、例えば、感光性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等の光硬化型樹脂または熱硬化型樹脂が挙げられる。また、紫外線吸収層は、必要に応じて、重合開始剤や各種添加剤等をさらに含有していてもよい。紫外線吸収層の透明性、厚み、形成方法については、上述した「(2)紫外線遮蔽層」の項で説明した、紫外線遮蔽層の透明性、ならびに有機材料を用いた紫外線遮蔽層の厚みおよび形成方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(4)位相差層
本開示における位相差層は、液晶材料を含有する層である。位相差層は光学機能部材に対し、光学補償状態が得られるような所定の位相差値を有する層である。位相差層は、例えば、λ/4部材としての機能を有する位相差値を有する層であることが好ましく、より具体的には、λ/4分に相当する位相差値を有することが好ましい。
本明細書において、位相差値とは、面内レタデーション値を示す。
面内レターデーション値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標であり、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚みをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。面内レターデーション値(Re値)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、微小領域の面内レターデーション値はAXOMETRICS社(米国)製のAxoScanでミューラーマトリクスを使って測定することもできる。また、本願明細書においては特に別段の記載をしない限り、面内レターデーション値は波長550nmにおける値を意味するものとする。
(i)位相差層の構成
本開示における位相差層は、液晶材料を含有する層である。位相差層においては、通常、位相差層の長さ方向に液晶材料が配向された状態で固定されている。位相差層は、光学機能部材にλ/4部材としての機能を付与する層であることが好ましい。
(液晶材料)
位相差層に含まれる液晶材料は、位相差層に所望の光学機能性を付与することができる材料であればよく、特に限定されない。中でも、感光性を示す液晶材料であることが好ましく、特に、ネマチック相を示す液晶材料が好適に用いられる。ネマチック液晶は、他の液晶相を示す液晶材料と比較して規則的に配列させることが容易だからである。
また、本開示における液晶材料には、重合性官能基を有する重合性液晶材料を用いることが好ましい。重合性液晶材料は重合性官能基を介して互いに重合することができるため、位相差層の機械強度を向上することができるからである。
このような重合性官能基としては、紫外線、電子線等の電離放射線、あるいは熱の作用によって重合する各種重合性官能基が挙げられる。重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、またはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。これらの中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
なお、重合性液晶材料は、重合性官能基を複数有していてもよく、または1つのみを有していてもよい。また、重合性官能基を複数有するものと、1つのみを有するものとを混合して用いてもよい。
また、重合性液晶材料の具体例としては、例えば、特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報、特開2003−287623号公報に記載されているような化合物が挙げられる。
上述のような液晶材料は、1種類でもよく、または2種類以上を混合して用いてもよい。本開示において2種類以上の液晶材料を混合して用いる場合は、重合性液晶材料と、重合性官能基を有さない液晶材料とを混合して用いてもよい。
本開示においては、第1の光学機能部材の第1の位相差層と、後述する第2の光学機能部材の第2の位相差層とは、液晶材料が同一であることが好ましい。後述するように、第1の光学機能部材の第1の位相差層および第2の光学機能部材の第2の位相差層の波長分散性および位相差値の熱変化特性の同一性を高くすることができるため、光学補償状態をより良好にすることができるからである。
ここで、「第1の光学機能部材の第1の位相差層と、第2の光学機能部材の第2の位相差層とは、液晶材料が同一である」とは、第1の位相差層および第2の位相差層に含有される液晶材料が同種で組成が同じ場合だけでなく、波長分散性が等しく熱的変化が同等のものも含む。
(その他)
位相差層の面内レターデーション値は、光学補償状態が得られるような範囲であればよく、例えば、λ/4分に相当する範囲内であることが好ましい。位相差層の面内レターデーション値がλ/4分に相当する場合、例えば、100nm以上160nm以下であることが好ましく、110nm以上150nm以下であることがより好ましく、120nm以上140nm以下であることがさらに好ましい。位相差層の厚みを位相差層の面内レターデーション値がλ/4分に相当するような範囲内の距離にする場合、具体的にどの程度の距離にするかは、後述する位相差層に含まれる液晶材料の種類に応じて適宜決定することができる。例えば、一般的な液晶材料を用いる場合には、位相差層の厚みは0.5μm以上5μm以下とすることができる。
位相差層は、本開示のカラーフィルタ基板を、例えば液晶表示装置に用いた際に、バックライトから照射された光を透過する部材となる。したがって、本開示における位相差層は、所定の透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、バックライトから照射された光を透過する程度に透明であることをいう。なお、位相差層の具体的な透過率については、一般的な光学機能部材に用いられる位相差層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(ii)位相差層の性質
本開示においては、第1の光学機能部材の第1の位相差層と、第2の光学機能部材の第2の位相差層とは、波長分散性および位相差値の熱変化特性が同一であることが好ましい。
ここで、本開示の発明者らは、二つの光学機能部材の間にカラーフィルタ部材が配置された液晶表示装置において、コントラストが低下する理由について、更に検討を重ね、液晶材料を含有する位相差層は、熱により位相差値が変化することを知見した。
光学機能部材において、液晶材料を含有する位相差層は、カラーフィルタ部材に積層されて配置される。また、光学機能部材は、液晶パネルを作製する前にカラーフィルタ部材に配置される。そのため、液晶パネルを作製する工程において、カラーフィルタ部材および光学機能部材に対し熱処理がされると、二つの光学機能部材の位相差量に差異が生じ、光学補償状態が崩れるため、コントラストが低下してしまうことを知見した。
上記知見を得た本開示の発明者らは、第1の光学機能部材の第1の位相差層と、第2の光学機能部材の第2の位相差層との位相差値の熱変化特性を同一とすることにより、コントラストの低下を抑制できることを見出した。液晶表示装置を組み立てたときに、第1位相差層と第2位相差層の位相差量が同程度であっても、位相差値の熱変化特性が異なる場合には製造後の使用環境等の温度により、第1の位相差層と第2の位相差層との位相差量に差異が生じて、光学補償状態が崩れ、コントラストの低下が生じてしまう。一方、第1の位相差層と第2の位相差層との位相差値の熱変化特性が同一である場合には、製造後の使用環境の温度による、第1の位相差層の位相差値の熱変化と第2の位相差層の位相差値の熱変化とが同一であるため、光学補償状態を維持することができ、コントラストの低下を抑制することができる。
また、二つの光学機能部材における位相差層の波長分散性が異なる場合、加熱による位相差値の変化により、可視光領域の短波長側または長波長側における位相差値の差が大きくなり、コントラストの低下がより顕著になることが懸念される。これに対し、本開示においては、第1の位相差層と第2の位相差層との位相差値の熱変化特性を同一とすることに加え、位相差値の波長分散性を同一とすることにより、コントラストの低下をより低減することができる。
したがって、本開示において、第1の光学機能部材の第1の位相差層および第2の光学機能部材の第2の位相差層の両方が、液晶材料を含有しており、波長分散性および位相差値の熱変化特性が同一であることにより、液晶表示装置におけるコントラストの低下を抑制することができるカラーフィルタ基板とすることができる。具体的には、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材は、第1の位相差層および第2の位相差層における位相差値の熱変化特性を同一であることにより、カラーフィルタ基板に熱処理がされた場合、第1の光学機能部材の第1の位相差層および第2の光学機能部材の第2の位相差層の位相差値は同じように変化するため、光学補償状態を維持することができる。さらに、第1の光学機能部材の第1の位相差層および第2の光学機能部材の第2の位相差層の波長分散性を同一であることにより、可視光領域の広い範囲にわたって、光学補償状態を良好にすることができる。よって、可視光領域の短波長側または長波長側における光漏れによるコントラストの低下を抑制することができる。
また、本開示の発明者らは、液晶材料を含有する位相差層は、一旦、高温で熱処理した後は、その後の熱処理による位相差層の位相差量の変化が抑制され小さくなることを知見した。上記知見を得た発明者らは、第1の位相差層および第2の位相差層の両方が液晶材料を含有していることから、カラーフィルタ基板の製造時においてアニール処理を行うことで、位相差値の熱による変化を抑制することができることを見出した。すなわち、第1の位相差層および第2の位相差層の両方が液晶材料を含有していることにより、アニール処理後における第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値に基づいて第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の光学補償状態を設計することができる。よって、液晶表示装置におけるコントラストの低下を抑制可能なカラーフィルタ基板とすることができる。
ここで、位相差層の位相差値が熱により変化する理由については以下のように推測される。すなわち、図7(a)に示すように、位相差層11においては液晶材料11aが特定の方向Dorに配列された配向状態で固定されている。位相差層に熱が加わることにより、図7(b)、(c)に示すように、液晶材料11aの一部において配向状態に乱れが生じることで位相差値が減少すると推測される。また、図7(b)、(c)に示すように、位相差層に加わる熱量(加熱温度)により、配向状態の乱れが異なると推測される。
一方、位相差層を高温でアニール処理した後は、その後の熱処理による位相差層の変化が抑制される理由については以下のように推測される。すなわち、位相差層が高温でアニール処理されることにより、図8(a)に示すように、配向状態の乱れが生じた液晶材料11aが位相差層11中で再度固定され、安定状態を取るためと推測される。そのため、アニール処理後に、位相差層11に熱が加わった場合も、図8(b)に示すように、位相差層11中の液晶材料11aの配向状態は変化しにくくなると推測される。
なお、本開示において、上述したように、例えば、第1の位相差層および第2の位相差層の液晶材料が同一である場合、第1の位相差層および第2の位相差層の熱履歴を同程度とすることにより、第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値の変化量を同程度とすることができる。この場合は後述するアニール処理を不要とすることもできる。製造工程の一例としては、スペーサ部材、透明電極の形成の際に、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材に同じ熱処理をすることにより、第1の位相差層および第2の位相差層の熱履歴を同程度とすることができる。この場合、上記熱処理による第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値の変化量を等しくすることができる。また、第1の位相差層および第2の位相差層は製造工程で同じ加熱を受けていることから、信頼性試験等の加熱を受けても、第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値の変化量を等しくすることができる。そのため、光学的補償状態を維持することができる。さらに、第1の位相差層および第2の位相差層にアニール処理することにより、製造工程上の位相差量の変化量を小さくしておくことができる。
(波長分散性)
本開示において、第1の位相差層と第2の位相差層とは波長分散性が同一であることが好ましい。
「第1の位相差層および第2の位相差層の波長分散性」について説明する。
ここで、第1の位相差層および第2の位相差層は、液晶材料の種類等によっては、可視光領域の全体で同じ位相差値を示さず、短波長側における位相差値と、長波長側における位相差値とが異なる場合がある。具体的には、第1の位相差層および第2の位相差層に用いられる材料によっては、可視光領域における短波長側の位相差値が長波長側における位相差値よりも大きい場合や、短波長側の位相差値が長波長側における位相差値よりも小さい場合がある。
このように、可視光領域の波長により位相差値が変化する性質を波長分散性とする。
本開示における「第1の位相差層および第2の位相差層の波長分散性」を以下のように定量する。
第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値Reについて、可視光領域(例えば、400nm以上700nm以下)における第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値Reを測定する。測定値から、波長550nmにおける位相差値Re(550)に対する、波長xnm(xは、400≦x≦700を満たす)における位相差値Re(x)の比率Re(x)/Re(550)を算出する。可視光領域の波長を横軸、Re(x)/Re(550)を縦軸にとったグラフの傾きを波長分散性とする。例えば、図9に示す実線グラフの傾きを波長分散性とする。
また、「第1の位相差層および第2の位相差層の波長分散性が同一である」とは、上述したグラフにおいて、波長400nm以上700nm以下において、第1の位相差層のRe(x)/Re(550)の値と、第2の位相差層のRe(x)/Re(550)の値との差が±5%の範囲内であることをいい、好ましくは±2%の範囲内である。
「第1の位相差層および第2の位相差層の波長分散性が同一である」とは、具体的には、図9に示す実線グラフを第1の位相差層のグラフとしたとき、第2の位相差層のグラフの値の全てがハッチングの領域内に存在することを指す。
(位相差値の熱変化特性)
本開示において、第1の位相差層と第2の位相差層とは位相差値の熱変化特性が同一であることが好ましい。
「第1の位相差層と第2の位相差層との位相差値の熱変化特性が同一である」とは、本開示のカラーフィルタ基板を用いた液晶表示装置の製造工程における温度で、カラーフィルタに熱処理をした場合、第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値の変化分がそれぞれ±5%の範囲内であることをいい、好ましくは±2%の範囲内であることをいう。本開示においては、波長400nm以上700nm以下の全ての範囲における第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値の変化量が上述した範囲内であることが好ましい。
(5)固定層
本開示においては、上記第1の光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材に直接配置された第1の固定層および上記第1の位相差層の積層体であり、上記第2の光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材に直接配置された第2の固定層および第2の位相差層の積層体であり、上記第1の固定層が、第1の配向層または第1の接着層であり、上記第2の固定層が、第2の配向層または第2の接着層であることが好ましい。カラーフィルタ部材の着色層側の配置される第1の光学機能部材の第1の位相差層およびカラーフィルタ部材の透明基材層側の面に配置される第2の光学機能部材の第2の位相差層の光軸、厚み等をより高い精度で合わせることができるため、光学機能部材および第2の光学機能部材の光学補償状態を良好にすることができるからである。第1の光学機能部材の第1の位相差層と第2の光学機能部材の第2の位相差層との光軸、厚み等をより高い精度で合わせる観点からは、第1の光学機能部材が、第1の配向層および第1の位相差層の積層体であり、かつ、第2の光学機能部材が、第2の配向層および第2の位相差層の積層体であることが好ましい。塗布法によって、カラーフィルタ部材に、直接、配向層および位相差層を形成することができるため、特に、第1の位相差層と第2の位相差層との光軸を高い精度で合わせることができる。
ここで、「固定層がカラーフィルタ部材に直接配置されている」とは、固定層と、カラーフィルタ部材を構成する層とが直接接触して配置されていることをいう。「固定層がカラーフィルタ部材に直接配置されている」とは、典型的には、固定層とカラーフィルタ部材における透明基材層とが直接接触して配置されていることをいう。また、固定層と、カラーフィルタ部材における着色層側の最外層とが直接接触して配置されていることをいう。
(i)配向層
本開示においては、光学機能部材が、カラーフィルタ部材の面に直接配置された配向層と、位相差層との積層体であることが好ましい。この場合、通常、位相差層は配向層のカラーフィルタ部材側とは反対側の面に直接配置される。光学機能部材が配向層および位相差層の積層体である場合、例えば、カラーフィルタ部材に直接、配向層を形成し、配向層に液晶材料を塗布することで光学機能部材を配置することができるため、カラーフィルタ部材の各面に配置される位相差層の配向方向を精度よく配置することができる。また、位相差層の膜厚プロファイル(面内分布)を表裏で一致させるように形成することができるため、例えば、位相差層の位相差値が設定値から装置による公差でずれがあっても、公差分の位相差を表裏で打ち消し合う効果を発揮することができる。
具体的には、個々のスリットノズルに由来する塗布量の差分、個々のスリットコーターによる塗布量の差分があっても、表裏に配置される位相差層の厚みを各場所で一致させることで、上記効果を発揮することができる。
配向層は、上述した液晶材料を配列させる相互作用を発現することができればよいが、光配向材料を含む部材であることが好ましい。
ここで、配向層に含まれる「光配向材料」は、光配向法により配向規制力を発現できる材料を指す。また、「光配向法」とは、任意の偏光状態を有する光(偏光)を配向層に照射することにより配向層の配向規制力(異方性)を発現させる方法である。したがって、本開示における光配向材料は、偏光を照射することにより配向規制力を発現できる材料ということができる。さらに、「配向規制力」とは、位相差層に含まれる液晶材料を配列させる相互作用を意味する。
本開示における配向層は、構成材料に応じて厚みを調整することができる。本開示における配向層の厚みは、例えば、0.01μm以上2.0μm以下であることが好ましく、中でも0.02μm以上1.0μm以下であることが好ましく、特に0.03μm以上0.2μm以下であることが好ましい。本開示における配向層の厚みが上記範囲内であることにより、位相差層に含まれる液晶材料に対して所望の配向規制力を発現することができる。
なお、本開示における配向層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面を観察することにより測定することができる。
配向層は、本開示のカラーフィルタ基板を、液晶表示装置に用いた際に、バックライトから照射された光を透過する部材となる。したがって、本開示における配向層は、所定の透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、バックライトから照射された光を透過する程度に透明であることをいう。なお、配向層の具体的な透過率については、一般的な光学機能部材に用いられる配向層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
配向層に含まれる配向材料は、偏光を照射することにより配向規制力を発現することができる材料であれば特に限定されない。このような光配向材料は、シス−トランス変化によって分子形状のみを変化させて配向規制力を可逆的に変化させる光異性化材料と、偏光を照射することにより、分子そのものを変化させる光反応材料とに大別することができる。本開示においては、光異性化材料および光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光反応材料を用いることがより好ましい。
光反応材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであるため、不可逆的に配向規制力を発現することが可能になる。したがって、光反応材料の方が配向規制力に経時安定性があり優れている。
光反応材料は、偏光照射によって生じる反応の種類によってさらに分別することができる。具体的には、光二量化反応を生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料、光分解反応を生じることによって配向規制力を発現する光結合型材料、および光分解反応と光結合反応とを生じることによって配向規制力を発現する光分解−結合型材料等に分けることができる。本開示においては、上述した光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、中でも安定性および反応性(感度)等の観点から光二量化型材料を用いることが好ましい。
光二量化型材料は、光二量化反応を生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されない。本開示においては、中でも光二量化反応を生じる光の波長が、280nm以上であることが好ましく、特に280nm以上400nm以下であることが好ましく、さらには300nm以上380nm以下であることが好ましい。
このような光二量化型材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等が挙げられる。本開示においては、中でも、シンナメートおよびクマリンの少なくとも一方を有するポリマー、シンナメートおよびクマリンを有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表10−506420号公報、および特表2003−505561号公報に記載された化合物が挙げられる。
本開示において用いられる光配向材料は、1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。また、本開示において用いられる光配向材料は、耐熱性が高いことが好ましい。
(ii)接着層
本開示においては、光学機能部材が、カラーフィルタ部材の面に直接配置された接着層と、位相差層との積層体であることが好ましい。この場合、通常、位相差層は接着層のカラーフィルタ部材側とは反対側の面に直接配置される。このとき、光学機能部材を転写法を用いて形成することができるため、カラーフィルタ基板の製造コストを安くすることができる。また、例えば、カラーフィルタ基板を多面付けして製造する場合、二つの光学機能部材の光軸を精度よく合わせて配置することができる。
接着層としては位相差層およびカラーフィルタ部材を接着させることができれば特に限定されないが、紫外線硬化型接着層であることが好ましい。紫外線硬化型接着層は、接着層の厚みを薄くすることができるため、カラーフィルタ基板の厚みを薄くすることができる。また、カラーフィルタ部材および光学機能部材の間の距離を小さくすることにより、バックライトからの光をより効率的に進行させることができるからである。
本開示における紫外線硬化型接着層は、紫外線を照射することにより硬化して接着性を示す部材を指す。また、紫外線硬化型接着層は、通常、紫外線を照射する前に所定の粘着性を有する。ここで、所定の粘着性とは、例えば、JIS K6854−2に規定の180度剥離試験によるガラス板に対する紫外線硬化型接着層の剥離強度が、10N/25mm幅以上であることが好ましく、中でも、15N/25mm幅以上であることが好ましく、特に、20N/25mm幅以上であることが好ましい。また、本開示においては、紫外線硬化型接着層の剥離強度が、例えば、50N/25mm幅以下であることが好ましく、中でも、45N/25mm幅以下であることが好ましく、特に、40N/25mm幅以下であることが好ましい。
本開示における紫外線硬化型接着層の厚みは、例えば、10μm以下であることが好ましく、中でも5μm以下であることが好ましく、特に2μm以下であることが好ましい。
また、本開示における紫外線硬化型接着層の厚みは、例えば、0.1μm以上であることが好ましい。なお、本開示における紫外線硬化型接着層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面を観察することにより測定することができる。
本開示における紫外線硬化型接着層は、本開示のカラーフィルタ基板を液晶表示装置に用いた際に、バックライトから照射された光を透過する部材となる。したがって、本開示における紫外線硬化型接着層は、所定の透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、バックライトから照射された光を透過する程度に透明であることをいう。例えば、紫外線硬化型接着層の全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることが好ましい。なお、全光線透過率は、例えば、JIS K7375:2008に準拠した方法により求めることができる。
本開示における紫外線硬化型接着層は、紫外線硬化型樹脂により構成され、紫外線の照射により硬化された層であればよい。紫外線硬化型接着層に用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば波長100nm以上450nm以下の紫外線を照射することにより硬化させることが可能な材料であれば特に限定されない。例えば、反応性エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコール(メタ)ジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン誘導体、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキキ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する表記である。
本開示においては、これらの紫外線硬化型樹脂を1種類のみ用いてもよく、または、2種類以上を混合して用いてもよい。
(6)保護層(光学機能部材用保護層)
本開示においては、光学機能部材が保護層をさらに有していてもよい。保護層が配置されていることにより、カラーフィルタ基板の運搬時等における位相差層の損傷等を抑制することができるからである。保護層は、光学機能部材の表面を覆うオーバーコート層としても用いることができる。
保護層の材料としては、光学機能部材を保護することができれば特に限定されず、一般的なカラーフィルタ基板の保護層として用いられる材料と同様とすることができ、例えば、感光性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等の光硬化型樹脂または熱硬化型樹脂、およびSiO等の無機材料等が挙げられる。また、その他の材料として、重合開始剤や各種添加剤等が挙げられる。保護層の厚みについては、カラーフィルタ基板の用途に応じて適宜選択することができる。
(7)光学機能部材の形成方法
本開示における光学機能部材の形成方法は、所望の光学補償状態を有する第1の光学機能部材および第2の光学機能部材を得ることができる方法であれば特に限定されない。本開示における光学機能部材の形成方法の一例について図を用いて説明する。図10は、本開示における光学機能部材の形成方法の一例を示す工程図である。本開示においては、例えば、図10(a)に示すように、カラーフィルタ部材2を準備する。カラーフィルタ部材2に対し、必要に応じて、洗浄処理を行ってもよい。次に、図10(b)に示すように、配向材料を含有する配向層用組成物を用いて塗膜12cを形成し、上記塗膜12cを偏光露光した後、熱処理をすることにより、図10(c)に示すように、配向層12を形成する。得られた配向層12に対し、洗浄処理を行ってもよい。次に、図10(d)に示すように、配向層12上に、液晶材料を含有する位相差層用組成物を用いて塗膜11cを形成する。この際、必要に応じて、塗膜11cに対し乾燥処理を行ってもよい。次に、液晶材料を熱処理することで液晶材料を配向させ、塗膜11cを露光することにより、図10(e)に示すように、位相差層11を形成する。以上の工程により、光学機能部材1を得ることができる。
配向層用組成物および位相差層用組成物の塗布方法、配向層を得るための偏光露光方法および熱処理方法、位相差層を得るための露光方法、洗浄処理方法、乾燥処理方法等の条件については、一般的な配向層および位相差層の形成方法において用いられる条件と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、本開示における光学機能部材は、例えば、転写法を用いて形成することもできる。
2.カラーフィルタ部材
本開示におけるカラーフィルタ部材は、第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の間に配置される部材である。本開示におけるカラーフィルタ部材は、透明基材層の一方の面に複数色の着色層を有する。
(1)透明基材層
本開示における透明基材層は、着色層を支持する部材である。
ここで、「透明」という場合には、特段の断りがない限り、本開示のカラーフィルタ基板を用いた液晶表示装置の観察者の、観察面からの視認を妨げない程度の透明性をいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本開示のカラーフィルタ基板の用途等に応じて透過性の度合いを決定することができる。
本開示における透明基材層の厚みとしては、各部材を支持できる程度の厚みであれば特に限定されず、本開示のカラーフィルタ基板の用途等に応じて適宜設計が可能である。透明基材層の具体的な厚みは、一般的なカラーフィルタ基板に用いられる透明基材層の厚みと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本開示における透明基材層の材料は、一般的なカラーフィルタ基板に用いられる材料であれば特に限定されないが、耐熱性を有することが好ましい。
透明基材層としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する樹脂基板等が挙げられる。中でも無機基板を用いることが好ましく、無機基板の中でもガラス基板を用いることが好ましい。さらには、ガラス基板の中でも無アルカリタイプのガラス基板を用いることが好ましい。無アルカリタイプのガラス基板は寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まないことから、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板に好適であるからである。
(2)着色層
本開示における着色層は、透明基材層の一方の面に配置される層である。着色層は、後述する遮光部の開口部に配置されることが好ましい。
本開示における着色層の厚みとしては、一般的なカラーフィルタに用いられる着色層の厚みと同様とすることができ、例えば1μm以上5μm以下で設定することができる。
本開示においては、例えば赤、緑、青の3色の着色層を有する。着色層の色としては、赤、緑、青の3色を少なくとも含むものであれば良く、例えば、赤、緑、青の3色、赤、緑、青、黄の4色、または、赤、緑、青、黄、シアンの5色等とすることもできる。
着色層としては、例えば色材をバインダ樹脂中に分散させたものを用いることができる。着色層に用いられる色材としては、各色の顔料や染料等が挙げられる。例えば、赤色着色部に用いられる色材としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。また、緑色着色層に用いられる色材としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。さらに、青色着色層に用いられる色材としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料や染料は単独で用いても良く2種以上を混合して用いても良い。着色層に用いられるバインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が挙げられる。
着色層には、上述した材料の他にも、必要に応じて、光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を含有させることができる。
また、着色層が形成されている同一平面上には、上述した色材を含有せず、バインダ樹脂を含有する白色層が形成されていても良い。
(3)遮光層
本開示におけるカラーフィルタ部材は、遮光層をさらに有していても良い。
本開示における遮光層は、透明基材層の一方の面に配置され複数の開口部を有する部材である。遮光層は、着色層の境界領域と平面視上重なる領域に配置される。また、遮光層は、例えば、透明基材層の着色層側の面に配置される。カラーフィルタ部材においては、透明基材層、遮光層および着色層の順に積層されていることが好ましい。
遮光層は、第1の方向および第1の方向に交差する第2の方向に延伸するように並列に配置され、開口部を画定する。開口部の形状としては、特に限定されず、例えば、矩形形状、ストライプ状、ドット状等が挙げられる。また、遮光層における開口部の幅としては、一般的なカラーフィルタ基板における遮光層の開口部の幅と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本開示における遮光層の線幅としては、本開示のカラーフィルタ基板の用途等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、1μm以上30μm以下であることが好ましく、中でも1.5μm以上28μm以下、特に2μm以上25μm以下であることが好ましい。遮光層の線幅が上記範囲よりも小さい場合には、十分に開口部を画定することができないおそれがある。また、遮光層の線幅が上記範囲よりも大きい場合には、高精細なカラーフィルタ基板を得ることができないおそれがある。
なお、遮光層の線幅が一定でない場合には、遮光層の線幅が、全て上記範囲内であることが好ましい。
本開示における遮光層の厚みとしては、所望の遮光性を示すことができる程度の厚みであれば特に限定されず、遮光層に用いられる材料に応じて適宜調整される。本開示における遮光層の具体的な厚みとしては、例えば、0.5μm以上3.0μm以下とすることができる。
本開示における遮光層の構成材料は、所望の遮光性を発揮することができるような材料であれば良く、特に限定されない。具体的には、遮光層は、通常、バインダ樹脂に黒色色材を含有した硬化物であるが、黒色色材の他にも必要に応じて有色色材を含有していても良い。遮光層の構成材料については、一般的なカラーフィルタ基板に用いられる材料と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(4)保護層
本開示におけるカラーフィルタ部材は、保護層をさらに有していても良い。
保護層は、透明基材層の着色層側の面に配置される層である。また、保護層は着色層および遮光層を覆うように配置されていることが好ましい。保護層の材料としては、一般的なカラーフィルタ基板における保護層の材料と同様とすることができ、例えば、上述した「1.光学機能部材 (6)保護層」の項で説明した材料を挙げることができる。保護層の厚みについては、カラーフィルタ基板の用途に応じて適宜選択することができる。
3.その他の構成
本開示のカラーフィルタ基板は、上述した光学機能部材と、カラーフィルタ部材とを有していればよく、必要な構成を適宜選択して追加することができる。その他の構成としては、例えば、スペーサ部材、配向部材等を挙げることができる。また、その他の構成としては、例えば、タッチパネル、直線偏光板、前面板等を挙げることができる。なお、これらの構成については、一般的な液晶表示装置において用いられる構成と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
4.製造方法
本開示のカラーフィルタ基板の製造方法は、上述した構成を有するカラーフィルタ基板を得ることができれば特に限定されず、例えば、上記カラーフィルタ部材を準備するカラーフィルタ部材準備工程と、上記カラーフィルタ部材の上記着色層側の面に上記第1の光学機能部材を配置する第1の光学機能部材配置工程と、上記カラーフィルタ部材の上記透明基材層側の面に上記第2の光学機能部材を配置する第2の光学機能部材配置工程とを有する製造方法を挙げることができる。なお、各工程に用いられるカラーフィルタ部材の形成方法、光学機能部材の配置方法等については、上述した各項目で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本開示のカラーフィルタ基板の製造方法においては、上記第1の光学機能部材配置工程および上記第2の光学機能部材配置工程の後、上記カラーフィルタ基板にアニール処理をするアニール処理工程を有することが好ましい。また、上記アニール処理の温度が、上記カラーフィルタ基板を用いた液晶表示装置の製造工程における、熱処理の最高温度と同等以上の温度であることが好ましい。
本開示において、アニール処理工程を行うことにより、得られたカラーフィルタ基板における第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値が、その後の液晶表示装置の製造工程の熱処理により変化されることを抑制することができる。よって、アニール処理後における第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値に基づいて第1の光学機能部材および第2の光学機能部材の光学補償状態を設計することで、液晶表示装置とした際にコントラストを良好にすることが可能なカラーフィルタ基板を得ることができる。
本開示におけるアニール処理は、カラーフィルタ基板にアニール処理をする工程であり、より具体的には、カラーフィルタ基板に配置された第1の光学機能部材および第2の光学機能部材にアニール処理をする工程である。また、アニール処理においては、上記アニール処理の温度が、上記カラーフィルタ基板を用いた液晶表示装置の製造工程における、熱処理の最高温度と同等以上の温度とする。
ここで、「カラーフィルタ基板を用いた液晶表示装置の製造工程における、熱処理の最高温度」とは、本開示により得られたカラーフィルタ基板を用いて、液晶表示装置を製造する際に、カラーフィルタ基板に配置された第1の光学機能部材および第2の光学機能部材に加わる熱処理温度のうち、最も高い温度をいう。以下、単に、「最高温度」と称して説明する場合がある。
アニール処理の温度は、得られたカラーフィルタ基板とともに液晶表示装置に用いられる基板、材料等の種類、液晶表示装置の製造条件に応じて適宜選択され、限定されない。アニール処理の温度は、例えば、150℃以上250℃以下であってもよく、200℃以上230℃以下であってもよい。アニール処理の時間、雰囲気等の条件については、材料の種類、液晶表示装置の製造条件に応じて適宜選択される。
本開示においては、アニール処理の条件を以下の方法により決定してもよい。
例えば、ガラス基板上に、第1の位相差層および第2の位相差層と同様の材料、厚みを有する評価用のサンプルを作製する。評価用サンプルをアニール処理の温度を加え、時間ごとの位相差値の変化を測定し、位相差値に変化が見られなくなる時間を求める(例えば、図11のグラフにおけるX時間)。また、X時間アニール処理した評価サンプルに対し、例えば、信頼性評価のための加熱を行った場合に第1の位相差層および第2の位相差層の位相差値の変化分が、上述した「1.光学機能部材」の項に記載した値となることを確認する。
5.カラーフィルタ基板
本開示のカラーフィルタ基板は、液晶表示装置に用いられる。本開示のカラーフィルタ基板は、例えば、透過型液晶表示装置に用いられることが好ましい。
B.液晶表示装置
本開示の液晶表示装置は、上述した「A.カラーフィルタ基板」の項で説明したカラーフィルタ基板と、対向基板と、上記カラーフィルタ基板および上記対向基板の間に配置された液晶層とを有する、液晶パネルを少なくとも備える。
本開示の液晶表示装置の一例としては、上述した「A.カラーフィルタ基板」の項に記載した図3に示す液晶表示装置100が挙げられる。
本開示によれば、上述したカラーフィルタ基板を有することにより、明環境における表示視認性が良好な液晶表示装置とすることができる。
本開示の液晶表示装置における液晶パネルに用いられるカラーフィルタ基板については、上述した「A.カラーフィルタ基板」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。また、本開示における対向基板および液晶層については、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
液晶表示装置は、上述した液晶パネル以外にも必要な構成を適宜選択して追加することができる。その他の構成としては、例えば、直線偏光板、バックライト、前面板等を挙げることができる。本開示の液晶表示装置は、透過型液晶表示装置であることが好ましい。
本開示の液晶表示装置は、例えば、テレビ、パソコン、スマートフォン、タブレット端末等に適用することができる。
C.積層体
本開示の積層体は2つの実施形態を有する。
本開示の積層体の第1実施形態は、上述した「B.液晶表示装置」の項で説明した液晶表示装置に用いられる積層体であって、透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の一方の面に配置され、液晶材料を含有する位相差層を有する光学機能部材とを有し、上記光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層をさらに有し、上記紫外線遮蔽層は、波長254nmの紫外線に対する透過率が50%以下である。
また、本開示の積層体の第2実施形態は、上述した「B.液晶表示装置」の項で説明した液晶表示装置に用いられる積層体であって、透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、上記カラーフィルタ部材の一方の面に配置され、液晶材料を含有する位相差層を有する光学機能部材とを有し、上記光学機能部材が、上記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線吸収層をさらに有し、上記紫外線吸収層は、波長254nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂層である。
図12(a)は、本開示の第1実施形態の積層体の一例を示す概略断面図であり、図12(b)は、本開示の第2実施形態の積層体の一例を示す概略断面図である。図12に示すように、本開示の積層体60は、透明基材層21の一方の面に着色層22を有するカラーフィルタ部材2と、カラーフィルタ部材2の一方の面に配置され、液晶材料を含有する位相差層11を有する光学機能部材1とを有する。また、光学機能部材1は、カラーフィルタ部材2側とは反対側の面に紫外線遮蔽層13を有する。図12(a)においては、積層体60が、第1の光学機能部材1Aを有する例を示している。
図12(b)に示す第2実施形態の積層体60については、図12(a)に示す第1実施形態の積層体60における紫外線遮蔽層13の代わりに、紫外線吸収層14(第1の紫外線吸収層14A)を有する点以外は、上述した説明と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本開示によれば、上述した積層構造を有することにより、積層部材を基準として、光学機能部材が配置された面とは反対側の面に、もう一つの光学機能部材を配置することにより、上述した液晶表示装置を得ることができる。
本開示の積層体に用いられる積層部材を構成するカラーフィルタ部材および光学機能部材については、上述した「A.カラーフィルタ基板」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
[参考例1]
以下の手順により、透明基材層上に、配向層および位相差層(液晶層)がこの順に積層された光学機能部材を得た。
配向層は、JSR株式会社製の光配向膜材料(固形分4.5%)を、膜厚0.2μmになるように塗工し、120℃で1分乾燥後、偏光露光装置にて30mJ/cmの偏光紫外線を照射して作製した。偏光露光装置の角度は、液晶パネルに設置される偏光板の光軸と、位相差層の光軸の成す角度が45度となるように調整した。
位相差層には、重合性棒状液晶材料を適用し、下記の化学式(1)及び化学式(2)の棒状化合物を混合比1:1で混合した化合物と、開始剤であるBASFジャパン株式会社イルガキュア907と、DIC株式会社製メガファック(F477)とを、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの1:1の混合溶剤に溶解して25質量%の溶液を作製して適用した。上記溶液を、スピンコーターで塗布し、90℃で1分間乾燥させた後、露光量500mJ/cm、露光波長365nmで露光し、位相差層を形成した。正面位相差Re(nm)は、位相差層形成後に行うプロセスの影響、特に加熱などで変化するためすべての工程が終了した後に、波長550nmでλ/4となるよう、位相差層形成後の正面位相差値を調整した。具体的には、位相差層形成後の位相差変化量を予め測定しておき、位相差層形成後の正面位相差値は変化量を見込んだ値とした。
得られた光学機能部材に対し、低圧水銀灯を用いて紫外線を照射した場合と、高圧水銀灯を用いて照射した場合とで、光学機能部材の位相差層の位相差値の低下(位相差ドロップ)が生じるか否かを評価した。高圧水銀灯を有する装置として大日本科研のMA−1200、低圧水銀灯を有する装置としてテクノビジョン社のUV−208を使用した。
紫外線照射前後で位相差値が2.0%を超えて低下した場合を位相差ドロップ有りとし、2.0%以下の場合を位相差ドロップ無しとした。なお、低圧水銀灯を用いた場合と、高圧水銀灯を用いた場合との紫外線照射量は、低圧水銀灯は波長254nmにおいて500mJ、高圧水銀灯は波長365nmにおいて500mJとした。結果を表1に示す。
表1の結果から、低圧水銀灯を照射した場合には位相差ドロップが生じる一方で、高圧水銀灯を照射した場合には位相差ドロップが生じないことが確認された。低圧水銀灯は波長254nmの紫外線を照射光とする光源であり、高圧水銀灯は波長313nmおよび365nmの紫外線を照射光とする光源である。このことから、位相差層の位相差ドロップは波長254nmの紫外線といった特定の紫外線によって生じることが確認された。
[比較例1]
以下の手順により、カラーフィルタ部材、および光学機能部材(配向層、位相差層および紫外線遮蔽層)がこの順に積層された評価用積層体を作製した。
(カラーフィルタ部材の作製)
下記の手順により、カラーフィルタ部材を作製するための、共重合樹脂溶液、硬化型樹脂組成物、遮光層用組成物、および着色層用組成物を調製した。
(共重合樹脂溶液の調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、およびハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
(硬化型樹脂組成物の合成)
下記の材料を室温で攪拌及び混合して硬化性樹脂組成物を得た。
<硬化性樹脂組成物の組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%)…16質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名:SR399、サートマー社製)
…24質量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:エピコート180S70、油化シェルエポキシ社製)…4質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン (商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)…4質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(純正化学社製)…52質量部
(遮光層用組成物の調製)
まず、下記の分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調製した。
<黒色顔料分散液の組成>
・黒色顔料…23質量部
・高分子分散材(ビックケミー・ジャパン(株)Disperbyk111)…2質量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル)…75質量部
次に、下記の分量の成分を十分に混合し、遮光層用組成物を得た。
<遮光層用組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液…61質量部
・上記硬化性樹脂組成物…20質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル…30質量部
(着色層用組成物の調製)
赤色、緑色、および青色のそれぞれの着色層用組成物は、まず顔料と分散剤を下記の分量で混合し、サンドミルにて十分に分散し、着色顔料分散液を調製した。次に、着色顔料分散液と上記硬化性樹脂組成物、溶剤をそれぞれの分量で混合して着色層形成用組成物を得た。
<赤色着色層用組成物の組成>
・C.I.ピグメントレッド254…7質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…3質量部
・上記硬化性樹脂組成物…23質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
<緑色着色層用組成物の組成>
・C.I.ピグメントグリーン58…7質量部
・C.I.ピグメントイエロー138…1質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…3質量部
・上記硬化性樹脂組成物…22質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
<青色着色層用組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー1…5質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…3質量部
・上記硬化性樹脂組成物…25質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
(遮光層の形成)
透明基材層として、厚み0.7mmのガラス基板(旭硝子(株) AN材)を準備した。透明基材層上に上述の遮光層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、厚み約1μmの遮光層を形成した。当該遮光層を、超高圧水銀ランプで遮光パターン(RGBの繰り返しが75μmピッチのストライプ状)に露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して複数の開口部を有する遮光層を形成した。
(赤色着色層の形成)
上記のようにして遮光層を形成した指示基材に対して、低圧水銀UVランプを遮光層形成側から照射して第1領域とした後、上述の赤色着色層用組成物を、スピンコーティング法により上記第1領域に塗布(塗布厚み2.0μm)し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。次いで、赤色着色層用組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色部の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色着色層用組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を230℃の雰囲気下に25分間放置することにより、加熱処理を施して遮光層の開口部に赤色のレリーフパターン(赤色着色層)を形成した。
(緑色着色層の形成)
次に、上述した光照射工程と同様にして第2領域を形成し、上述の組成の緑色着色層用組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程により、第2領域に緑色のレリーフパターン(緑色着色層)を形成した。
(青色着色層の形成)
さらに、上述した光照射工程と同様にして第3領域を形成し上述の組成の青色着色層用組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程により、第3領域に青色のレリーフパターン(青色着色層)を形成した。
(保護層の形成)
その後、保護層として上述の硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布、乾燥し塗布膜を形成した(塗布厚み2.0μm)。硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して、プロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて保護膜の形成領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後基板を230℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して保護層を形成した。
以上の工程により、カラーフィルタ部材を作製した。
(光学機能部材の作製)
得られたカラーフィルタ部材の保護層上に、参考例1と同様にして配向層および位相差層を形成し、光学機能部材を作製した。
(紫外線遮蔽層の作製)
光学機能部材の位相差層上に、紫外線遮蔽層としてSiO膜(厚み0.1μm)を下記の方法で作製した。プラズマCVD法を用いた。供給ガスとして、ArガスとOガスとをArガス:Oガス=30(sccm):30(sccm)でCVD装置の真空チャンバー内に供給した。Arガスはプラズマを生成するためのキャリアーガスとして、Oガスは原料の一部として用いた。このキャリアーガスにより、モノマー材料としてのHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)をバブリングしてモノマー材料を供給した。バブリング温度は室温(25℃)とした。プラズマは100W、13.56MHzの電力を上部電極とアース電極の間に印加して発生させた。なお、成膜条件は、例えば特許第3773340号公報に記載の成膜条件を参考にすることができる。
[実施例1]
光学機能部材の位相差層上に、紫外線遮蔽層としてITO膜(厚み0.1μm)を下記の方法で作製した点以外は、比較例1と同様にして評価用積層体を作製した。反応性スパッタリング法を用いた。ターゲットはITO(酸化インジウムIn:酸化スズSnO=9:1(モル比))とし、投入電力を760Wとした。厚み0.1μmとなるようにスパッタリング時間を設定し、成膜したITO膜を150℃で1時間熱処理し、ITO膜を結晶化させた。なお、成膜条件は、特許第5751027号公報に記載の成膜条件を参考にすることができる。
[実施例2]
光学機能部材の位相差層上に、紫外線遮蔽層としてTiO膜(厚み0.1μm)を作製した点以外は、比較例1と同様にして評価用積層体を作製した。RFスパッタリング法を用いた。ターゲットを酸化チタン(TiO)とし、成膜チャンバー内の到達圧力を2×10−4Paとした。供給ガスとしてArガス(スパッタ放電用ガス)とOガス(反応性ガス)とを、Arガス:Oガス=10(sccm):10(sccm)で導入し、圧力を1Paとなるように調整した。室温(25℃)の環境下で、RF電力を200W投入して成膜を行った。なお、成膜条件は、特許第6291823号公報に記載の成膜条件を参考にすることができる。
[比較例2]
光学機能部材の位相差層上に、下記の手順により、紫外線遮蔽層として厚み1.0μmのNN805(JSR株式会社製)を含む樹脂層を作製した点以外は、比較例1と同様にして評価用積層体を作製した。スピンコーティング法を用いてNN805(JSR株式会社製)を塗布し、乾燥させて塗布膜を形成した。得られた塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して、プロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて紫外線遮蔽層の形成領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して紫外線遮蔽層を形成した。比較例2では、紫外線遮蔽層の厚みを1.0μmとした。
[実施例3]
光学機能部材の位相差層上に、紫外線遮蔽層として厚み1.4μmのNN805(JSR株式会社製)を含む樹脂層を作製した点以外は、比較例2と同様にして評価用積層体を作製した。
[実施例4]
光学機能部材の位相差層上に、紫外線遮蔽層として厚み2.0μmのNN805(JSR株式会社製)を含む樹脂層を作製した点以外は、比較例2と同様にして評価用積層体を作製した。
[実施例5]
光学機能部材の位相差層上に、紫外線遮蔽層として厚み2.0μmのNN902(JSR社製)を含む樹脂層を作製した点以外は、比較例2と同様にして評価用積層体を作製した。
[評価]
(紫外線遮蔽層の透過率)
実施例1〜5、比較例1、2の評価用積層体の紫外線遮蔽層における、特定の波長の光に対する透過率を測定した。具体的には、波長400nm、365nm、313nmおよび254nmの光に対する透過率を測定した。結果を表2に示す。また、無機材料について、波長250nmから波長700nmまでの透過率の測定結果を図13に示す。
(位相差ドロップ)
評価用サンプルにおける光学機能部材の位相差層の位相差値を測定した。次に、上記位相差層に対し、波長254nmの紫外線を積算光量が500mJ/cmとなるように照射し、紫外線照射後の位相差層の位相差値を測定した。紫外線照射前の位相差層の位相差値をx1とし、紫外線照射後の位相差層の位相差値をx2とした場合、(x1−x2)/x1×100の算出式から得られる値を位相差ドロップ(量)として求めた。結果を表2に示す。
実施例1〜5および比較例1、2の結果から、波長254nmの紫外線の透過率が50%以下である層を紫外線遮蔽層として形成することにより、位相差ドロップを抑制できることが確認された。
1A,1B … 光学機能部材
11,11A,11B … 位相差層
12,12A,12B … 配向層
13,13A,13B … 紫外線遮蔽層
14,14A,14B … 紫外線吸収層
2 … カラーフィルタ部材
10 … カラーフィルタ基板
20 … 対向基板
30 … 液晶層
60 … 積層体
100A … 液晶パネル
100 … 液晶表示装置

Claims (10)

  1. 透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、前記カラーフィルタ部材の前記着色層側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層を有する第1の光学機能部材と、前記カラーフィルタ部材の前記透明基材層側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層を有する第2の光学機能部材とを備えるカラーフィルタ基板であって、
    前記第1の光学機能部材および前記第2の光学機能部材の少なくとも一方は、前記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層をさらに有し、
    前記紫外線遮蔽層は、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率が50%以下である、カラーフィルタ基板。
  2. 少なくとも前記第1の光学機能部材が、前記紫外線遮蔽層を有する、請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
  3. 透明基材層の一方の面に着色層を有するカラーフィルタ部材と、前記カラーフィルタ部材の前記着色層側の面に配置され、液晶材料を含有する第1の位相差層を有する第1の光学機能部材と、前記カラーフィルタ部材の前記透明基材層側の面に配置され、液晶材料を含有する第2の位相差層を有する第2の光学機能部材とを備えるカラーフィルタ基板であって、
    前記第1の光学機能部材および前記第2の光学機能部材の少なくとも一方は、前記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線吸収層をさらに有し、
    前記紫外線吸収層は、波長254nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂層である、カラーフィルタ基板。
  4. 少なくとも前記第1の光学機能部材が、前記紫外線吸収層を有する、請求項3に記載のカラーフィルタ基板。
  5. 前記第1の光学機能部材の前記第1の位相差層と、前記第2の光学機能部材の前記第2の位相差層とは、波長分散性および位相差値の熱変化特性が同一である、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ基板。
  6. 前記第1の光学機能部材の前記第1の位相差層と前記第2の光学機能部材の前記第2の位相差層とは、前記液晶材料が同一である、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ基板。
  7. 前記第1の光学機能部材が、前記カラーフィルタ部材に直接配置された第1の固定層および前記第1の位相差層の積層体であり、
    前記第2の光学機能部材が、前記カラーフィルタ部材に直接配置された第2の固定層および前記第2の位相差層の積層体であり、
    前記第1の固定層が、第1の配向層または第1の接着層であり、
    前記第2の固定層が、第2の配向層または第2の接着層である、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ基板。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ基板と、対向基板と、前記カラーフィルタ基板および前記対向基板の間に配置された液晶層と、を有する、液晶パネルを少なくとも備える、液晶表示装置。
  9. 請求項8に記載の液晶表示装置に用いられる積層体であって、
    前記カラーフィルタ部材と、
    前記カラーフィルタ部材の一方の面に配置され、液晶材料を含有する位相差層を有する光学機能部材とを有し、
    前記光学機能部材が、前記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線遮蔽層をさらに有し、
    前記紫外線遮蔽層は、波長254nmの紫外線に対する紫外線透過率が50%以下である、積層体。
  10. 請求項8に記載の液晶表示装置に用いられる積層体であって、
    前記カラーフィルタ部材と、
    前記カラーフィルタ部材の一方の面に配置され、液晶材料を含有する位相差層を有する光学機能部材とを有し、
    前記光学機能部材が、前記カラーフィルタ部材側とは反対側の面に配置された紫外線吸収層をさらに有し、
    前記紫外線吸収層は、波長254nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する樹脂層である、積層体。
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