JP2019211292A - 磁性体の表面応力及び/または硬度評価装置 - Google Patents

磁性体の表面応力及び/または硬度評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 バルクハウゼンノイズに基づき、表面応力および硬度のそれぞれについて、評価の精度を向上させる。【解決手段】 評価対象材の表面を磁化する磁界を発生する励磁装置であって、前記磁界の印加方向を前記評価対象材の表面内で回転可能に構成された励磁装置1と、前記評価対象材が磁化されて発生するバルクハウゼンノイズを検出する検出センサ4と、前記磁界の強度および印加方向を制御する制御装置5と、前記検出センサで検出されるバルクハウゼンノイズを記録し、前記磁界の強度および印加方向と検出されたバルクハウゼンノイズから前記評価対象材の表面応力及び/または硬度を算出する計算装置7とを含む表面応力及び/または硬度の評価装置、並びにこれらを用いた磁性体の表面応力評価方法、硬度評価方法、及び最大主応力軸の評価方法を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、磁性体の表面応力及び/または硬度を評価する装置、並びに当該評価装置で採用される、磁性体の表面応力、硬度及び最大主応力軸の評価方法に関する。
橋梁、発電プラント等のインフラ設備を構成する構造部材には、製造工程で発生する残留応力や使用環境変化による応力変化が発生している。応力は金属疲労等の劣化の原因となる。特に、構造部材の表面で発生する表面応力は、腐食疲労や応力腐食割れの原因になることから、インフラ設備の劣化診断を目的として、表面応力を精度よく評価する装置および評価方法が求められていた。
このような部材には、磁性体である鋼材が用いられていることが多いため、鋼材の磁化過程で発生するバルクハウゼンノイズから表面応力を評価する装置および手法が提案されている(例えば特許文献1〜3を参照)。
特許文献1、2には、予め圧縮残留応力を付与した鋼管表面において、バルクハウゼンノイズを検出し、予め求めておいた外部応力とバルクハウゼンノイズの実効値電圧との関係を表す検量線を用いて、鋼管に負荷された外部応力を診断する応力評価方法が開示されている。また、特許文献3には、磁性体表面から生じるバルクハウゼンノイズの所与の周波数での最大値の逆数と応力の検量線を作成し、所与の周波数でのバルクハウゼンノイズを測定して表面応力を評価する応力評価装置および方法が開示されている。
また、構造部材の表面で発生する硬度についても、同様に腐食疲労や応力腐食割れの原因になることから、硬度を精度よく評価する装置および評価方法が求められていた。
硬度についても、前述のバルクハウゼンノイズに基づいて評価する装置および手法が提案されている。例えば、特許文献4には、磁性体表面から生じるバルクハウゼンノイズの発生に要する磁界の強さから磁性体の硬度を推定する方法が開示されている。また、特許文献5には、磁性体表面から生じるバルクハウゼンノイズの少なくとも1つのパラメータから磁性体の硬度を推定する方法が開示されている。
バルクハウゼンノイズは、表面応力、硬度と関係する材料組織、析出物、欠陥等の多くの要因により影響を受けることが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
また、磁性体が磁気異方性を有する場合、バルクハウゼンノイズは磁界印加方向依存性を有することが知られている。特に、磁性体が一軸の磁気異方性を有する場合、磁性体の磁化容易軸と磁界印加方向の間の角度をφとすれば、バルクハウゼンノイズはαcosφ+βで表される磁界印加方向依存性を有することが知られている(例えば、非特許文献2を参照)。
特許第4029119号 特許第4128297号 特許第5981420号 特開2001−133441号 特表2009−507220号
伊藤勇一、豊田中央研究所R&Dレビュー、vol.27、No.4、pp.1−11(1992) T.W.Krause,L.Clapham,D.L.Atherton,JournalofAppliedPhysics,vol.75,No.12、pp.7983−7985(1994)
バルクハウゼンノイズに基づき、表面応力および硬度のそれぞれについて、評価の精度をより向上させることが求められる。
本発明者は、鋭意検討の結果、バルクハウゼンノイズの磁界印加方向依存性に着目した。すなわち、磁界の印加方向を評価対象材の表面内で回転させてバルクハウゼンノイズを検出することにより、バルクハウゼンノイズに基づく物理量を応力に依存する項と硬度に依存する項とに分離して評価することに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一実施形態によれば、磁性体の表面応力及び/または硬度の評価装置であって、評価対象材の表面を磁化する磁界を発生する励磁装置であって、前記磁界の印加方向を前記評価対象材の表面内で回転可能に構成された励磁装置と、前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する検出センサと、前記磁界の強度および印加方向を制御する制御装置と、前記検出センサで検出されるバルクハウゼンノイズを記録し、前記磁界の強度および印加方向と検出されたバルクハウゼンノイズから前記評価対象材の表面応力及び/または硬度を算出する計算装置とを含む。
前記評価装置において、前記励磁装置が、励磁コイルが巻かれたヨークと、前記評価対象材表面の面直方向を回転軸として前記ヨークを回転させる磁界回転機構を備えることが好ましい。
前記評価装置において、前記励磁装置が、励磁コイルが巻かれた2つのヨークであって、互いに磁界印加方向が異なる2つのヨークを含み、前記2つヨークが発生する磁界強度を制御することにより得られる合成磁界の印加方向及び強度が制御可能に構成されていることが好ましい。
前記評価装置において、前記検出センサが、前記評価対象材表面の面直方向に中心軸を持つコイルを含むことが好ましい。
前記評価装置において、前記検出センサが、前記評価対象材表面の面直方向を測定方向とするホール素子を含むことが好ましい。
前記評価装置において、前記検出センサが、前記評価対象材表面の面直方向を測定方向とする磁気抵抗素子を含むことが好ましい。
前記評価装置において、前記計算装置が、当該計算装置に格納された、前記磁界の強度および印加方向と検出されたバルクハウゼンノイズから得られる応力依存定数と表面応力の換算式に基づいて前記記録装置に記録されたバルクハウゼンノイズから表面応力を計算し出力するプログラムを実行する、及び/または、当該計算装置に格納された、前記磁界の強度および印加方向と検出されたバルクハウゼンノイズから得られる硬度依存定数と硬度の換算式に基づいて前記記録装置に記録されたバルクハウゼンノイズから硬度を計算し出力するプログラムを実行することが好ましい。
本発明は、別の実施形態によれば、磁性体の表面応力評価方法であって、評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、異なる磁界印加方向において検出されたバルクハウゼンノイズ、印加した交番磁界強度、及び磁界印加方向に基づいて、前記評価対象材の表面応力を算出する工程と
を含む。
前記表面応力評価方法において、前記評価対象材を磁化する交番磁界、もしくは交番磁界を発生させるための交番電流に対するバルクハウゼンノイズ強度を、交番磁界もしくは交番電流に対して積分して得られるバルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を決定する工程をさらに含み、前記算出する工程が、前記バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を基準とした磁界印加方向の角度の余弦の二乗に対する、バルクハウゼンノイズ積分強度の変化量を算出する工程と、前記変化量に基づいて、表面応力を評価する工程とを含むことが好ましい。
本発明は、別の実施形態によれば、磁性体の硬度評価方法であって、評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、異なる磁界印加方向において検出されたバルクハウゼンノイズ、印加した交番磁界強度、及び磁界印加方向に基づいて、前記評価対象材の硬度を算出する工程とを含む。
前記硬度評価方法において、前記評価対象材を磁化する交番磁界、もしくは交番磁界を発生させるための交番電流に対するバルクハウゼンノイズ強度を、交番磁界もしくは交番電流に対して積分して得られるバルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を決定する工程をさらに含み、前記算出する工程が、前記バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を基準とした磁界印加方向の角度の余弦の二乗に対して、バルクハウゼンノイズ積分強度をプロットし、一次関数にてフィッティングした際の切片の値を算出する工程と、前記切片から硬度を評価する工程とを含むことが好ましい。
本発明は、また別の実施形態によれば、磁性体の最大主応力軸の評価方法であって、評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、バルクハウゼンノイズ強度が最大となる磁界印加方向を決定する工程とを含む。
本発明の装置並びに方法によれば、バルクハウゼンノイズによる磁性体の表面応力評価、硬度評価の精度を向上させることができる。また、バルクハウゼンノイズの測定に基づいて従来は得ることができなかった、磁性体の最大主応力軸の評価も可能となる。
図1は、本発明の一実施形態に係る評価装置、及び評価対象材を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1におけるZ軸方向からの平面図上に表した、磁界の印加方向、最大主応力軸、並びに任意基準軸を模式的に示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る評価装置を構成する励磁装置の一例であって、合成磁界によって磁界印加方向の回転を実現する励磁装置を模式的に示す斜視図である。 図4は、評価対象材の磁性体を磁化する交番磁界を発生させるための交番電流の波形を説明するグラフであり、横軸が時間t、縦軸が電流iを表す。 図5は、バルクハウゼンノイズプロファイル、並びにバルクハウゼンノイズ積分強度IMBNの算出について説明する図であり、横軸が印加電流i、縦軸がバルクハウゼンノイズ強度(Vrms)を表す。 図6は、本発明の実施例において使用した評価装置、及び評価対象材を模式的に示す斜視図である。 図7は、実施例1における、評価鋼材に引張応力413MPaを印加した時の、バルクハウゼンノイズ強度(Vrms)の印加電流強度(i)依存性を、磁界印加角度φを0〜90°のあいだで、15°刻みで測定した結果を示すグラフである。 実施例1における、磁界印加方向を示す角度φの余弦の二乗cosφに対してバルクハウゼンノイズ積分強度(IMBN)をプロットした結果を示すグラフである。 実施例1における、cosφの変化量に対してバルクハウゼンノイズ積分強度の変化量(α値)と印加応力の関係を示した結果を示すグラフである。 比較例1における、バルクハウゼンノイズ積分強度と印加応力の関係を示した結果を示すグラフである。 実施例2における、評価鋼材に引張応力を印加した時の、磁界印加角度φの余弦の二乗cosφに対してバルクハウゼンノイズ積分強度(IMBN)をプロットした結果を示すグラフである。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
[評価装置]
本発明は一実施形態によれば、磁性体の表面応力及び/または硬度評価装置に関する。図1は、本発明の一実施形態による磁性体の表面応力及び/または硬度評価装置の概念的な斜視図である。以下、本明細書において、磁性体の表面応力及び/または硬度評価装置を評価装置とは、磁性体の表面応力のみを評価する装置、硬度のみを評価する装置、それらの両方を評価する装置を包含するものとする。また、当該評価装置は、磁性体の最大主応力軸の評価装置ということもできる。
図1に示す評価装置は、励磁装置1と、電源2と、バルクハウゼンノイズ検出センサ4と、磁界制御装置5と、バルクハウゼンノイズ記録装置6と、計算装置7とを主として備えている。
励磁装置1は、評価対象材10の表面を磁化する磁界を発生する装置であって、磁界の印加方向を評価対象材10の表面内で回転可能に構成されている装置である。励磁装置1は、例えば、評価対象材10に近接し、磁界を導入するヨーク8と、ヨークに巻かれた励磁コイル9と、磁界回転機構3とを備えるものであってよい。ヨーク8はC型(コの字型)の磁性体からなるヨークであって、励磁コイル9に通電することにより、ヨーク8と評価対象材10とで閉じた磁気回路を形成し、評価対象材10の評価部位近傍において、評価対象材10の表面に実質的に平行な磁界を形成することができるものであればよい。励磁コイル9の巻き位置は、特には限定されないが、検出センサ4との相互インダクタンスの影響を受けない程度に、検出センサ4と離間した位置とすることが好ましい。磁界回転機構3は、励磁コイル9が巻かれたヨーク8を矢印Rの方向に回転させることが可能な機構である。磁界回転機構3の回転軸Zは、評価対象材10の表面の法線方向と平行とする。これにより、磁界の印加方向を、評価対象材10の表面に平行に保ったまま評価対象材10の表面内で磁界の印加方向を回転させることができる。すなわち、図1のXY表面内で磁界の印加方向を回転させることができる。
ここで、磁界の印加方向について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示す磁界回転機構3の回転軸Zを法線とするXY平面を励磁装置1側から平面視した概念図であり、図中、励磁装置1を構成するヨーク8の配置を仮想線で示す。図2中、Hで示す矢印は、磁界の印加方向を示す。磁界の印加方向は、XY平面上に任意に設定することができる基準軸Aからの回転角度φで表すことができる。図2中、Sで示す矢印は評価対象材10の表面に印加された最大主応力軸を示す。磁界回転機構3の回転軸Zは、評価対象材10の面直方向と平行とすることにより、評価対象材10の最大主応力軸は、上記基準軸Aからの回転角度θsで表すことができる。なお、図1、2は、評価対象材10が、略平板状の場合を例示しているが、評価対象材10が鋼管などの曲面の場合は、評価対象材の評価部位の接平面がXY平面と一致するようにし、磁界回転機構3の回転軸Zを評価部位の法線と平行とすることにより、XY平面内における任意の基準軸からの回転角度φ並びに最大主応力軸θsを設定することができる。したがって、本発明における、評価対象材の表面内で回転可能に構成されている、とは、評価対象材の評価部位を含む平面であって、かつ、励磁装置が評価対象材の評価部位に形成する磁界方向と平行な平面内で回転可能に構成されていると言い換えることができる。また、評価対象材表面の面直方向とは、評価対象材の評価部位を含む平面であって、かつ、励磁装置が評価対象材の評価部位に形成する磁界方向と平行な平面の法線方向と言い換えることができる。
励磁装置は、図1に示した態様には限定されず、評価対象材の表面に実質的に平行な磁界を形成することができ、磁界を評価対象材の表面に実質的に平行かつ一様に保ったままで、磁界の印加方向を回転させ、印加方向φを変更することができるものであればよい。励磁装置の別の例を、図3に示す。図3に示す励磁装置は、それぞれに励磁コイル9a、9bが巻かれた2つのヨーク8a、8bであって、互いに磁界印加方向が異なる2つのヨークを含む。図示する2つのヨーク8a、8bは、互いに直角方向に磁界印加方向を持つように配置されているが、2つのヨーク8a、8bの配置角度は、特定の角度には限定されない。これらの2つヨークが発生する磁界強度を制御することにより、評価対象材10の表面に平行な合成磁界を発生させることができ、評価対象材10の表面内で、合成磁界の印加方向及び強度を制御することができる。利便性の観点からは、励磁コイル9a、9bが巻かれた2つのヨーク8a、8bは、同程度の磁界強度を発生させることが可能なC型ヨークであり、かつ、2つのC型ヨークの端部が同一表面上にあることが好ましいが、これらの態様には限定されない。その他にも、励磁装置は、1つのC型ヨークと、評価対象材の回転機構であって、評価対象材をその面直方向に平行な回転軸にて回転させる回転機構とから構成されるものであってもよい。
電源2は、励磁コイル9に交番電流を印加し、評価対象材10の表面に磁界を発生させることができるものであればよく、後述する好適な励磁周波数、及び波形にて交番電流を印加することができる安定化電源であってよい。
磁界制御装置5は、電源2の出力を制御することにより、交番電界の強度及び場合により方向を制御する。磁界制御装置5は、電源の制御アルゴリズムを組み込んだコンピュータであってよく、後述する記録装置6や計算装置7と一体として構成されていてもよい。
検出センサ4は、評価対象材10の表面から発生するバルクハウゼンノイズを検出可能なセンサであればよい。一例として、図1に示すように、中心軸が評価対象材10表面の面直方向Zに平行であるコイルを用いることができる。コイルは空芯コイルであってもよく、芯を備えるコイルであってもよい。検出センサ4では、測定対象物10の表面から発生する漏れ磁束Bの時間微分dB/dtで定義されるバルクハウゼンノイズを検出する。コイルからなる検出センサ4を用いることで、バルクハウゼンノイズをコイルに発生する電圧として検出することができる。センサの別の例として、前記評価対象材10表面の面直方向Zを測定方向とするホール素子や、前記評価対象材10表面の面直方向Zを測定方向とする磁気抵抗素子を用いることもできる。これらの素子を用いた場合にも同様に、バルクハウゼンノイズを素子に発生する電圧として検出することができる。
バルクハウゼンノイズ記録装置6は、検出センサ4で検出したバルクハウゼンノイズを記録する。記録装置6は所定のアルゴリズムを組み込んだコンピュータであってよく、計算装置7と一体として構成されていてもよい。
計算装置7は、磁界制御装置5が与えた磁界の強度および印加方向、および、記録装置6に記録されたバルクハウゼンノイズから表面応力及び/または硬度を計算し出力する。計算装置7は所定のアルゴリズムが組み込まれ、磁界の強度および印加方向、バルクハウゼンノイズから表面応力及び/または硬度を計算し出力するプログラムを実行するコンピュータであってよい。また、計算装置7は、所定の評価対象材において予め測定しておいた、表面応力と後述の傾きαとの関係、硬度と後述の切片βとの関係を格納していてもよい。なお、計算装置7が記録装置6と一体として構成される場合、計算装置7はバルクハウゼンノイズを記録し、磁界の強度および印加方向、および、記録装置6に記録されたバルクハウゼンノイズから表面応力及び/または硬度を計算し出力する装置として機能する。
このような評価装置を用いた、評価対象材の表面応力及び/または硬度の評価方法について説明する。評価対象材10は、磁化によりバルクハウゼンノイズを発生しうる磁性体であればよい。評価対象材10の形状は特に限定されるものではなく、図示する略平板状の対象の他、鋼管などの曲面状の対象であってもよい。本発明の方法においては、非破壊で評価対象材10の表面応力、硬度を測定することができるため、劣化診断の対象となるインフラ設備、例えば、タービン翼などを評価対象材10とすることができるが、評価対象材10は特定の製品には限定されない。
評価対象材10は図1に示すように、C型(コの字型)ヨーク8の2つの端部に近接するように設置する。ヨーク8は評価対象材10に接触させてもよいし、ある程度、離れていてもよく、ヨーク8と評価対象材10とが閉じた磁気回路を形成することができればよい。ヨーク8と評価対象材10とを接触させない場合は、印加磁界強度ならびにバルクハウゼンノイズ検出感度が変動しないように、ギャップは一定にするのが望ましい。
検出センサ4は評価対象材10の評価対象箇所の表面近傍に設置することができる。一例として、図1に示すように、測定対象物10のヨーク8と同じ側にある表面であって、ヨーク8の一端部と他端部との中央付近に設置することができる。あるいは、測定対象物10が比較的薄い板状試料の場合には、測定対象物10のヨーク8と反対側の表面であって、ヨークの一端部と他端部との中央付近に検出センサ4を配置することもできる。また、検出センサ4は評価対象材10と接触させてもよく、評価対象材10からある程度離れて設置してもよいが、検出センサ4と評価対象材10とを接触させない場合は、ギャップは一定にするのが望ましい。
[表面応力評価方法]
本発明は別の実施形態によれば、磁性体の表面応力評価方法に関する。表面応力評価方法は、先に説明した評価装置を用いて実施することができる。本実施形態による表面応力評価方法は、評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、異なる磁界印加方向において検出されたバルクハウゼンノイズ、印加した交番磁界強度、及び磁界印加方向に基づいて、前記評価対象材の表面応力を算出する工程とを含む。
評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程は、交番磁界の印加方向φを固定して、交番電流を励磁コイル9に印加することにより実施することができる。さらに具体的には、磁界制御装置5により制御された電源2により、例えば図4に示す三角波のように変化する交番電流iを励磁コイル9に印加することにより実施することができるが、特定の波形には限定されず、例えば正弦波やのこぎり波であってもよい。励磁周波数は、バルクハウゼンノイズの周波数帯域である数kHz〜数10kHzより小さくすることが好ましく、例えば1kHz以下であることが好ましいが、特定の周波数には限定されない。交番磁界の印加は、交番電流iの極大値imaxから極小値iminまで、あるいは極小値iminから極大値imaxまで行えばよく、すなわち、図4で示す交番電流波形の1/2周期にわたって印加すればよい。しかし、1/2周期以上に渡って印加を繰り返してもよい。
評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程においては、検出センサ4でバルクハウゼンノイズを検出する。検出センサ4がコイルの場合、交番磁界の印加工程において、評価対象材表面から発生する漏れ磁束Bの時間変化により、空芯コイル16に誘導電流が発生するので、バルクハウゼンノイズをコイルに発生する電圧として検出することができる。検出した電圧は、必要に応じて差動増幅器で増幅した後、バンドパスフィルタを通して低周波成分および高周波成分を除去し、バルクハウゼンノイズ記録装置6に取り込むことができる。
所定の交番磁界の印加方向φにおいて、交番磁界を印加する工程及び評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程を実施した後、印加方向φを変えて、同様の測定を行う。φの変更(回転)は図1に示す実施形態においては、磁界回転機構3及びこれを制御する制御装置5によって実施することができる。あるいは、図2に示す実施形態においては、2つのヨーク8a、8bおよび励磁コイル9a、9bから発生する磁界強度を制御装置によって制御することで、2つのヨークから発生する磁界の合成磁界の方向を制御することができる。磁界印加方向φは、φ=0〜90°の範囲で3点以上測定することが好ましいが、特定の態様には限定されない。交番磁界を印加する工程及び評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程は、印加周波数の大きさや印加時間にもよるが、数秒で実施することができる。φ=0〜90°の範囲で連続的にφを変化させてバルクハウゼンノイズを検出することもできるし、離散的な検出であってもよく、本発明は特定のφの変化態様には限定されない。
次いで、印加した交番磁界の強度、交番磁界の印加方向、及び検出されたバルクハウゼンノイズに基づいて、前記評価対象材の表面応力を算出する工程を実施する。より具体的にはこの工程は、バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を決定する工程と、前記バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を基準とした磁界印加方向の角度の余弦の二乗に対する、バルクハウゼンノイズ積分強度の変化量を算出する工程と、前記変化量に基づいて、表面応力を評価する工程とを含む。
本発明において、バルクハウゼンノイズ強度は、検出センサ4により検出した電圧の二乗平均平方根で定義され、VRMSとも表す。また、バルクハウゼンノイズ積分強度は、交番電流iに対するバルクハウゼンノイズ強度VRMSをプロットし(以下、バルクハウゼンノイズプロファイルと指称する)、得られたバルクハウゼンノイズプロファイルの面積で定義され、IMBNとも表す。図5にバルクハウゼンノイズプロファイル及びその面積で定義されるIMBNを模式的に示す。図5中、斜線で示す面積が、バルクハウゼンノイズ積分強度に相当する。
上記面積で定義されるバルクハウゼンノイズ積分強度は、印加する交番電流をi、交番電流の極大値をimax、極小値をiminとしたとき、以下の式(1)で表すこともできる。
また、印加交番電流iと印加する磁界Hの関係は以下の式(2)で表される。
式中、aは比例定数である。式(1)、(2)より、バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNは、印加する交番磁界Hの極大値をHmax、極小値をHminとしたとき、以下の式(3)で表すこともできる。
したがって、交番磁界Hに対してバルクハウゼンノイズ強度VRMSをプロットしたバルクハウゼンノイズプロファイルを用いても、同様にバルクハウゼンノイズ積分強度IMBNを定義することができる。したがって、バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNは、評価対象材を磁化する交番磁界、もしくは交番磁界を発生させるための交番電流に対するバルクハウゼンノイズ強度を、交番磁界もしくは交番電流に対して積分して得られる値であると定義することができる。
本発明者は、バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNと、磁界印加角度φについて、以下の式で表される関係を見出した。
式中、φは図2を参照して定義したとおりであって、測定部位を含み、磁界と実質的に平行な平面内で定義される任意の基準軸Aと磁界印加方向Hとがなす角度であって、0〜90°であり、θsは、基準軸Aと評価対象材の最大主応力軸Sとがなす角度であって、0〜90°である。傾きαは、評価対象材の応力のみに依存する定数であり、βは材料組織等の他要因に起因し、応力に依存しない定数である。
また、本発明者は、φを変えて評価対象材に磁界を印加した場合に、バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNが最大値をとる場合の磁界の印加方向が、評価対象材の最大主応力軸θsと一致することを見出した。したがって、例えば、先の図2において、バルクハウゼンノイズ強度が最大値をとる角度φにおける磁界方向を基準軸Aとし、θs=0と定義し直せば、バルクハウゼンノイズ積分強度は、
と表すことができ、この関係式から、バルクハウゼンノイズ積分強度の変化量に相当する傾きαを求めることができる。
次いで、予め求めておいた傾きαと表面応力との換算式に基づいて、検出したバルクハウゼンノイズに基づいて求められた傾きαから、評価対象材の表面応力の値を得ることができる。傾きαと表面応力値との関係を表す換算式(換算曲線)は、例えば、X線やその他の方法により測定した表面応力値と、傾きαとの関係を、組成及び/または製造方法が異なる所望の評価対象材について求めておき、計算装置7に格納しておくことができる。
本実施形態の方法によれば、短い測定時間でかつ非侵襲的に磁性体からなる評価対象材の表面応力を測定することができる。従来技術である、バルクハウゼンノイズ積分強度から磁界印加方向の角度依存性を考慮せずに表面応力を評価する方法では、応力のみに依存する項(α項)と他要因による項(β項)を分離できていなかった。本実施形態の方法では、表面応力のみに依存するαを決定し、αの大きさから表面応力を評価すことができ、α項とβ項を分離できるため、他要因による影響を受けることなく、表面応力を精度よく評価できる。
[硬度評価]
本発明は別の実施形態によれば、磁性体の硬度評価方法に関する。硬度評価方法は、先に説明した評価装置を用いて実施することができる。本実施形態による硬度評価方法は、評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、異なる磁界印加方向において検出されたバルクハウゼンノイズ、印加した交番磁界強度、及び磁界印加方向に基づいて、前記評価対象材の硬度を算出する工程とを含む。
硬度の評価方法においても、交番磁界を所定の印加方向で印加する工程、バルクハウゼンノイズを検出する工程、並びに印加方向を前記磁性体表面内で回転させることは、応力評価方法と同様に実施することができる。硬度の評価方向においては、硬度を算出する工程が、バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を決定する工程と、前記バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を基準とした磁界印加方向の角度の余弦の二乗に対して、バルクハウゼンノイズ積分強度をプロットし、一次関数にてフィッティングした際の切片の値を算出する工程と、前記切片から硬度を評価する工程を含む。
すなわち、バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を決定し、式(4)においてθsが0となる方向を基準として、式(5)に基づいて、切片の値βを算出する。
次いで、予め求めておいた切片βと硬度との換算式に基づいて、検出したバルクハウゼンノイズに基づいて求められた切片βから、評価対象材の硬度の値を得ることができる。切片βと硬度との関係を表す換算式は、例えば、圧子を使った押し込み試験やその他の方法により測定した硬度値と傾きαとの関係を、組成及び/または製造方法が異なる所望の評価対象材について求めておき、計算装置7に格納しておくことができる。
本実施形態の評価方法によれば、短い測定時間でかつ非侵襲的に磁性体からなる評価対象材の硬度を測定することができる。従来技術である、バルクハウゼンノイズ積分強度から磁界印加方向の角度依存性を考慮せずに硬度を評価する方法では、硬度のみに依存する項(β項)と、その他の要因に依存する項(α項)とを分離できていなかった。本実施形態の方法では、硬度のみに依存するβを決定し、βの大きさから硬度を評価すことができ、α項とβ項を分離できるため、他要因による影響を受けることなく、硬度を精度よく評価できる。
[最大主応力軸評価]
本発明は別の実施形態によれば、最大主応力軸評価方法に関する。本実施形態による最大主応力軸評価方法は、評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、前記交番磁界の印加方向を前記磁性体表面内で回転させることにより、バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる印加方向を特定する工程とを含む。
本実施形態においても、交番磁界を印加する工程、バルクハウゼンノイズを検出する工程、並びに交番磁界を回転させることは、先の評価装置を用い、先の表面応力評価方法、硬度評価方法において説明した条件に従って実施することができる。また、バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる印加方向、すなわち角度φの特定についても先の実施形態と同様とすることが出来る。
一般に、表面応力評価では、最大主応力軸は明らかではない。その場合であっても、本実施形態に係る方法によれば、バルクハウゼンノイズ積分強度の印加磁界方向依存性を測定し、バルクハウゼンノイズ積分強度の最大値をとる角度の方向を、最大主応力軸と特定することができる。好ましくは、バルクハウゼンノイズ積分強度を余弦関数の二乗でフィッティングする。これにより、バルクハウゼンノイズ積分強度のばらつきがあっても、零点を決定することができ、最大主応力軸を評価することができる。
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
[1.応力評価]
(実施例1)
図6に示す評価装置を製造し、これを用いて評価対象材の表面応力評価を実施した。評価対象材10としては、強磁性体であるマルテンサイト系ステンレス鋼を板状に加工し、曲げ試験機を用いて引張応力を印加したものを用いた。図6に示す評価装置において、励磁装置1は、NiZnフェライトからなるC型ヨーク11と、ヨーク11に巻かれた励磁コイル12とから構成した。励磁コイル12はエナメル線を200周巻いて作成した。励磁装置1に交番電流を供給する電源13は交流安定化電源を用い、電流出力をコンピュータ14にて制御して変化させた。交番磁界の印加方向は、ヨーク11を回転ステージ15に連結し、回転ステージ15をコンピュータ14にて制御しながら回転させることで変化させた。バルクハウゼンノイズを検出する検出センサとして、エナメル線を100周巻いた空芯コイル16を用いた。本実施例においては、ヨーク11の両端部のそれぞれと評価対象材10と近接させ、ギャップを0.1mmで固定した。空芯コイル16は、図示するように、C型ヨーク11の一端部と他端部との間に配置した。
空芯コイル16で検出した電圧は差動増幅器17で増幅した後、バンドパスフィルタ18を通して低周波成分および高周波成分を除去し、コンピュータに取り込んだ。本実施例のカットオフ周波数は、検討の結果、10kHzおよび200kHzとした。
評価対象材10に印加する交番磁界の強度を変化させるため、安定化電源の電流出力を図4に示す三角波のように変化させ、励磁周波数は1Hzとした。また、交番電流出力の振幅の最大値は、あらかじめ評価鋼材の飽和磁界を評価し、飽和磁界よりも交番磁界の最大値が大きくなるように設定した。
引張応力413MPaを印加した評価対象材の、バルクハウゼンノイズプロファイルを図7に示す。本実施例では、最大主応力軸が既知であり、応力印加方向からの角度はφ−θsと等しいため、θs=0と定義し、交番磁界の印加方向として、応力印加方向からの角度φを0°から90°まで15°刻みで変えて測定を行った。バルクハウゼンノイズプロファイル、および、そこから算出されるバルクハウゼンノイズ積分強度は、角度φが大きくなるにしたがい、小さくなる傾向を示した。次いで、バルクハウゼンノイズ積分強度とcosφとの関係をプロットした。結果を図8に示す。図8から、バルクハウゼンノイズ積分強度とcosφとの関係は、先の関係式(5)で示されるIMBN=αcosφ+βなる角度依存性を有していることが確認された。
続いて、引張応力値を変えながらα値を算出し、換算曲線を求めた。図9に、本実施例でのα値と印加応力の関係を示す。図中の点線は、フィッティングにて求めた換算曲線を示す。各測定点の換算曲線からのばらつきは非常に小さく、α値から応力を精度よく評価可能であることがわかった。換算曲線からのばらつきで定義される応力評価誤差は最大16MPaであった。
(比較例1)
本比較例として、従来技術と同様、バルクハウゼンノイズ積分強度から、関係式(5)によらずに応力を評価した。上記実施例と同一の評価装置および評価鋼材を用いて、バルクハウゼンノイズ積分強度を求め、応力の換算曲線を作成した。図10は、印加応力とバルクハウゼンノイズ積分強度の関係を示す。図中の点線は、フィッティングにて求めた換算曲線を示す。換算曲線からのばらつきで定義される応力評価誤差は最大84MPaであった。これは、実施例に比べて大きい値である。したがって、本発明による応力評価精度向上の効果が確認できた。
[2.硬度評価]
(実施例2)
実施例1と同じ評価装置を用いて測定対象物の硬度評価を実施した。測定対象物10は実施例1と同じく、マルテンサイト系ステンレス鋼を板状に加工し、引張応力を印加したものとし、交番磁界の印加条件も実施例1と同様とした。
図11は、測定対象物10の鋼材に引張応力を0MPaから400MPaに変えながら印加した時のバルクハウゼンノイズ積分強度IMBNを、cosφに対してプロットしたものを示す。交番磁界の印加方向は、バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる印加方向からの角度を0°から90°まで15°刻みで変えて測定を行った。バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNはcosφに対して線形に変化し、さらに一次関数にてフィッティングした際の傾きαは印加応力の増加とともに大きくなった。一方、一次関数フィッティングで得られた切片βは印加応力にほとんど依存していなかった。
本実施例で用いた鋼材の焼入れ温度を変えて、本発明の方法にて算出した切片βと硬度との関係を評価した結果を表1に示す。硬度は、ビッカース硬度計により測定した。鋼材の硬度の違いに対応して切片βの値が変化しており、バルクハウゼンノイズ切片評価が可能であることが示された。焼入れによりマルテンサイト変態が進行し、転位密度が増加することで、硬度およびバルクハウゼンノイズ切片が変化したと考えられる。
(比較例2)
本比較例2では、バルクハウゼンノイズ積分強度と硬度の関係を評価した。表2に、実施例で行った測定で得られたバルクハウゼンノイズ積分強度IMBNを示す。バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNは大きな変動幅を有する。これは、印加応力および磁界角度によって、バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNが変化したためである。したがって、バルクハウゼンノイズ積分強度IMBNから硬度を評価することはできない。一般に残留応力の大きさおよび方向は未知であり、バルクハウゼンノイズ積分強度の値は、同一の硬度を有する鋼材であっても変化するので、バルクハウゼンノイズ積分強度から硬度を評価するのは困難であると考えられる。
1励磁コイル、2電源、3磁界回転機構、4バルクハウゼンノイズ検出センサ
5磁界強度・印加方向制御装置、6バルクハウゼンノイズ記録装置
7硬度計算装置、8、8a、8bヨーク、9、9a、9b励磁コイル
10励磁装置、11ヨーク、12励磁コイル、13電源
14制御コンピュータ、15回転ステージ、16空芯コイル
17差動増幅器、18バンドパスフィルタ

Claims (12)

  1. 評価対象材の表面を磁化する磁界を発生する励磁装置であって、前記磁界の印加方向を前記評価対象材の表面内で回転可能に構成された励磁装置と、
    前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する検出センサと、
    前記磁界の強度および印加方向を制御する制御装置と、
    前記検出センサで検出されるバルクハウゼンノイズを記録し、前記磁界の強度および印加方向と検出されたバルクハウゼンノイズから前記評価対象材の表面応力及び/または硬度を算出する計算装置と
    を含む、磁性体の表面応力及び/または硬度の評価装置。
  2. 前記励磁装置が、励磁コイルが巻かれたヨークと、前記評価対象材表面の面直方向を回転軸として前記ヨークを回転させる磁界回転機構を備える、請求項1に記載の評価装置。
  3. 前記励磁装置が、励磁コイルが巻かれた2つのヨークであって、互いに磁界印加方向が異なる2つのヨークを含み、前記2つヨークが発生する磁界強度を制御することにより得られる合成磁界の印加方向及び強度が制御可能に構成されている、請求項1に記載の評価装置。
  4. 前記検出センサが、前記評価対象材表面の面直方向に中心軸を持つコイルを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価装置。
  5. 前記検出センサが、前記評価対象材表面の面直方向を測定方向とするホール素子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価装置。
  6. 前記検出センサが、前記評価対象材表面の面直方向を測定方向とする磁気抵抗素子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価装置。
  7. 前記計算装置が、
    当該計算装置に格納された、前記磁界の強度および印加方向と検出されたバルクハウゼンノイズから得られる応力依存定数と表面応力の換算式に基づいて前記記録装置に記録されたバルクハウゼンノイズから表面応力を計算し出力するプログラムを実行する、及び/または、
    当該計算装置に格納された、前記磁界の強度および印加方向と検出されたバルクハウゼンノイズから得られる硬度依存定数と硬度の換算式に基づいて前記記録装置に記録されたバルクハウゼンノイズから硬度を計算し出力するプログラムを実行する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の評価装置。
  8. 評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、
    前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、
    前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、異なる磁界印加方向において検出されたバルクハウゼンノイズ、印加した交番磁界強度、及び磁界印加方向に基づいて、前記評価対象材の表面応力を算出する工程と
    を含む、磁性体の表面応力評価方法。
  9. 前記評価対象材を磁化する交番磁界、もしくは交番磁界を発生させるための交番電流に対するバルクハウゼンノイズ強度を、交番磁界もしくは交番電流に対して積分して得られるバルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を決定する工程をさらに含み、
    前記算出する工程が、前記バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を基準とした磁界印加方向の角度の余弦の二乗に対する、バルクハウゼンノイズ積分強度の変化量を算出する工程と、
    前記変化量に基づいて、表面応力を評価する工程と
    を含む、請求項8に記載の表面応力評価方法。
  10. 評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、
    前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、
    前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、異なる磁界印加方向において検出されたバルクハウゼンノイズ、印加した交番磁界強度、及び磁界印加方向に基づいて、前記評価対象材の硬度を算出する工程と
    を含む、磁性体の硬度評価方法。
  11. 前記評価対象材を磁化する交番磁界、もしくは交番磁界を発生させるための交番電流に対するバルクハウゼンノイズ強度を、交番磁界もしくは交番電流に対して積分して得られるバルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を決定する工程をさらに含み、
    前記算出する工程が、前記バルクハウゼンノイズ積分強度が最大となる磁界の印加方向を基準とした磁界印加方向の角度の余弦の二乗に対して、バルクハウゼンノイズ積分強度をプロットし、一次関数にてフィッティングした際の切片の値を算出する工程と、
    前記切片から硬度を評価する工程と
    を含む、請求項10に記載の磁性体の硬度評価方法。
  12. 評価対象材に交番磁界を所定の印加方向で印加する工程と、
    前記評価対象材が発生するバルクハウゼンノイズを検出する工程と、
    前記交番磁界の印加方向を前記評価対象材表面内で回転させることにより、バルクハウゼンノイズ強度が最大となる磁界印加方向を決定する工程と
    を含む、磁性体の最大主応力軸の評価方法。
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