JP2019211233A - 部分放電校正装置、部分放電校正方法および部分放電測定方法 - Google Patents

部分放電校正装置、部分放電校正方法および部分放電測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既設の電気機器にも容易に取り付けることができ、部分放電測定器の校正の精度向上を図る。【解決手段】部分放電校正装置100は、給電ケーブル10の被覆12表面に設置する2つの電極1,2と、その少なくとも一方の電極2の押圧力を調整する電極押圧調整部材22と、部分放電信号を模擬する電圧源4と、電圧源4の電圧を2つの電極1,2に印加するための配線接続を、2つの電極1,2のそれぞれとグラウンドとの間に印加する場合と、2つの電極1,2の間に印加する場合とに、切り替えるスイッチ3と、電圧源4の電圧を2つの電極1,2のそれぞれとグラウンドとの間に印加する場合において、前記2つの電極からの電流が互いに相殺するように配線された位置に設置された電流センサ5と、電流センサからの信号値を計測する計測器と、を備えて構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、電気機器の部分放電測定器の校正に用いられる部分放電校正装置、部分放電校正方法、および、それらを用いた部分放電測定方法に関する。
モータや発電機といった回転機が突発故障により停止すると、大きな損害が発生する。とくに、工場設備の動力源として用いられている高圧モータに突発故障が生じ、その稼働が停止すると、生産設備の稼働率が大幅に低下するので、生産計画の見直しを余儀なくされるなど、その影響は甚大なものとなる。
ところで、高圧モータの故障原因の約25%は固定子巻線の絶縁劣化であるとの調査結果がある。また、省エネのためのインバータによる可変速駆動が高圧モータにまで普及してきており、インバータサージによる絶縁劣化加速という問題が発生している。この傾向は、SiC(炭化ケイ素)などの新材料を用いた半導体デバイスの登場によって一層顕著になると見込まれている。そのため、運転状態における高精度な絶縁劣化診断技術を実現し、モータや発電機の突発故障を防止するニーズが高まっている。
モータや発電機の絶縁劣化診断手法としては、絶縁抵抗測定法や誘電正接測定法などがあるが、運転中の高圧モータに適用可能で、かつ、微弱な劣化兆候に感度が高いのは、部分放電測定法である。とくに、運転中の部分放電測定は、停止中には再現困難なコイル振動や電圧分布が生じた条件下でのみ発生するような部分放電現象も検出できるため、絶縁故障予兆をより早期に捉えることができる。
絶縁劣化診断を目的に部分放電測定を行うときには、最初に部分放電測定器の校正を行うのが一般的である。部分放電測定器の校正は、通常、模擬信号として値が既知の電荷量を外部から注入し、その部分放電測定器でそのときの信号量を測定し、注入電荷量と測定信号量との関係を求める形で実施される。その際に問題になるのは、値が既知の電荷量をどのようにして注入するかである。実際の工場などの環境に設置された高圧モータの場合、安全のため端子周辺はテープなどで絶縁処理されており、金属部は露出していないことが多い。そのため、金属部に直接接触することなく、値が既知の電荷量を注入する技術が望まれている。
このようなニーズを受けて、例えば、特許文献1には、電力ケーブルの絶縁接続部の外表面に金属箔を取り付け、その金属箔の静電容量を介して校正電荷を注入する技術が開示されている。すなわち、この静電容量のうち一部の静電容量を異なった2以上の値に変化させ、それぞれの回路における電圧測定から未知の回路定数(ケーブル導体−金属箔間の静電容量など)を決定する。また、特許文献2には、回転機の固定子スロットの巻線近傍に設けられた電極から、既知の電荷量を有するパルスを金属非接触で前記巻線に注入する技術が開示されている。
特開平5−322965号公報 特開平9−222456号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術には、校正用コンデンサを複数用いる必要があり、校正回路が複雑になるという問題があった。さらに、この技術は、電力ケーブルの絶縁接続部で発生する部分放電の測定を目的にしており、ケーブルの先にあるモータや発電機で発生する部分放電の測定には用いることができないという問題があった。また、特許文献2に開示された技術の場合、電極を回転機内部に予め設置しておく必要があり、工場などの現場に設置済の全ての回転機に適用するのは難しいという問題があった。
以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、既設の電気機器にも容易に取り付けることができ、部分放電測定器の校正の精度向上を図ることが可能な部分放電校正装置、部分放電校正方法および部分放電測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る部分放電校正装置は、電気機器の部分放電測定器の校正に用いる部分放電校正装置であって、前記電気機器の給電ケーブルの被覆表面に設置する2つの電極と、前記2つの電極のうち、少なくとも一方の電極の静電容量を調整する静電容量調整機構と、部分放電信号を模擬する電圧源と、前記電圧源の電圧を前記2つの電極に印加するための配線接続を、前記2つの電極のそれぞれとグラウンドとの間に印加する場合と、前記2つの電極の間に印加する場合とに、切り替えるスイッチと、前記電圧源の電圧を前記2つの電極のそれぞれとグラウンドとの間に印加する場合において、前記2つの電極からの電流が互いに相殺するように配線された位置に設置された電流センサと、前記電流センサからの信号値を計測する計測器と、を備えたことを特徴とする部分放電校正装置。
本発明によれば、既設の電気機器にも容易に取り付けることができ、部分放電測定器の校正の精度向上を図ることが可能な部分放電校正装置、部分放電校正方法および部分放電測定方法が提供される。
第1の実施形態に係る部分放電校正装置の構成の例を模式的に示した図。 第1の実施形態の変形例に係る部分放電校正装置の構成の例を模式的に示した図。 給電ケーブルの被覆表面に電極を設置するクリップの構造の例を示した図。 給電ケーブルの両側の被覆表面に2つに分割された電極を設置するクリップの構造の例を示した図。 電極の押圧力を調整する電極押圧調整部材を備えたクリップの構造の例を示した図。 給電ケーブルの反対側から電極の押圧力を調整する電極押圧調整部材を備えたクリップの構造の例を示した図。 2つに分割された電極の押圧力を調整する電極押圧調整部材を挟み部の片側に備えたクリップの構造の例を示した図。 2つに分割された電極の押圧力を調整する電極押圧調整部材を挟み部の両側に備えたクリップの構造の例を示した図。 2つに分割された電極の押圧力を調整する電極押圧調整部材を挟み部の外側に備えたクリップの構造の例を示した図。 2つに分割された電極の押圧力を調整する電極押圧調整部材を挟み部の内側に備えたクリップの構造の例を示した図。 2つに分割された電極の押圧力を調整する電極押圧調整部材をつまみ部に備えたクリップの構造の例を示した図。 第1の実施形態に係る部分放電校正装置の全体外観図の例を示した図。 第1の実施形態に係る部分放電校正装置の全体外観図の別の例を示した図。 第1の実施形態に係る部分放電校正装置の全体外観図のさらに別の例を示した図。 第1の実施形態に係る部分放電校正装置の全体外観図のさらに別の例を示した図。 第1の実施形態に係る部分放電校正装置を用いて部分放電測定器を校正する工程の例を示した図。 第1の実施形態に係る部分放電校正装置においてスイッチを端子A側に倒して、2つの電極とグラウンドとの間に電圧源の電圧を印加する場合の配線経路の例を示した図。 図17のように2つの電極とグラウンドとの間に電圧源の電圧を印加した場合の等価回路図の例を示した図。 第1の実施形態に係る部分放電校正装置においてスイッチを端子B側に倒して、2つの電極間に電圧源の電圧を印加する場合の配線経路の例を示した図。 図19のように2つの電極間に電圧源の電圧を印加した場合の等価回路図の例を示した図。 部分放電測定器の校正が実施される場合の部分放電校正装置を含んだ等価回路の例を示した図。 部分放電測定器の校正が実施される場合の部分放電校正装置を含んだ等価回路の別の例を示した図。 部分放電測定器の校正が実施される場合の部分放電校正装置を含んだ等価回路のさらに別の例を示した図。 部分放電測定器の校正が実施される場合の部分放電校正装置を含んだ等価回路のさらに別の例を示した図。 第2の実施形態に係る部分放電校正装置の構成の例を模式的に示した図。 第3の実施形態に係る部分放電校正装置の構成の例を模式的に示した図。 第3の実施形態に係る部分放電校正装置を用いて部分放電測定器を校正する工程の例を示した図。 第3の実施形態の変形例に係る部分放電校正装置の構成の例を模式的に示した図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、以下では、絶縁劣化診断すなわち部分放電測定の対象となる電気機器は、電力を消費するモータまたはモータを含む電気機器を想定しているが、電力を発生する発電機などであってもよい。
≪第1の実施形態≫
図1は、本発明の第1の実施形態に係る部分放電校正装置100の構成の例を模式的に示した図である。図1に示すように、部分放電校正装置100は、電気機器につながる給電ケーブル10の被覆12表面に設けられた2つの電極1,2と、スイッチ3と、電圧源4と、電流センサ5と、電流センサ5で検出される電流を計測する計測器6と、を備えて構成される。
給電ケーブル10の被覆12表面に設けられた2つの電極1,2は、ほぼ同面積であり、うち一方の電極2は、押圧力が調整可能な電極押圧調整部材22により押圧される。したがって、本実施形態では、電極押圧調整部材22の押圧力を調整することによって、給電ケーブル10の導体11と電極2との間に生じる静電容量を調整することができる。なお、ここでは、電極押圧調整部材22は、給電ケーブル10の被覆12上の接触部分のみが破線で示されている。
図1において、スイッチ3は、電圧源4により発生する電圧を、2つの電極1,2のそれぞれとグラウンドとの間に印加するか(場合A)、あるいは、2つの電極1,2の間に印加するか(場合B)、を切り替える。また、電流センサ5は、電圧源4の電圧を2つの電極1,2のそれぞれとグラウンドとの間に印加した場合(場合A)において、2つの電極1,2からの電流が互いに相殺するように配線された位置に設けられる。そして、電流センサ5によって検出される電流に対応する信号値は計測器6で計測される。
詳細は後記するが、本実施形態では、まず、電圧源4の電圧を2つの電極1,2のそれぞれとグラウンドとの間に印加し(場合A)、電極押圧調整部材22で電極2の押圧力を調整することにより、2つの電極1,2の静電容量が同じになるように調整する。次に、電圧源4の電圧を2つの電極1,2の間に印加し(場合B)、2つの電極1,2の静電容量を求める。そこで、再度、電圧源4の電圧を2つの電極1,2のそれぞれとグラウンドとの間に印加し(場合A)、電極1,2を介して電気機器につながる給電ケーブル10の導体11に電荷を注入する。
以上のように、電圧源4により発生する電圧は、場合Aと場合Bとで異なる目的に使用される。したがって、電圧源4により発生する電圧の周波数や波形は、場合Aと場合Bとで変えることできるものとしている。後記するように、電圧源4は、場合Aでは、部分放電波形を模擬可能な1MHz以上の様々な周波数を含む高周波電圧を発生し、場合Bでは、高周波の正弦波を発生できるものが好ましい。
図2は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る部分放電校正装置100aの構成の例を模式的に示した図である。図2に示すように、本変形例では、2つの電極1,2の両方に押圧力が調整可能な電極押圧調整部材21,22が設けられたものとなっている。このことを除けば、本変形例に係る部分放電校正装置100aの構成は、図1に示した部分放電校正装置100の構成と同じであるので、以下、同様の説明を省略する。
図3は、給電ケーブル10の被覆12表面に電極1を設置するクリップ31の構造の例を示した図である。図3に示すように、クリップ31の挟み部(図ではクリップ31の上半部分)の一方の内側には、給電ケーブル10の外周部の丸みに沿った形状をした薄膜または薄板状の電極1が設けられている。また、クリップ31のつまみ部(図ではクリップ31の下半部分)の内側には、そのつまみ部を内側から外側に押圧する圧縮バネ30が設けられている。そのため、クリップ31のつまみ部は、圧縮バネ30の反発力により外側に広くなろうとする力を受け、逆に挟み部は、内側に狭くなろうとする力を受けることとなる。その結果として、電極1は、給電ケーブル10の被覆12の表面に押圧される。
また、電極1には、クリップ31に設けられた配線部材29を介して、外部から電圧を印加することが可能にされている。したがって、本実施形態では、部分放電測定対象の電気機器の給電ケーブル10をこのクリップ31の挟み部で挟むだけで、給電ケーブル10の被覆12表面に電極1を設置することができる。
図4は、給電ケーブル10の両側の被覆12表面に2つに分割された電極1a,1bを設置するクリップ31aの構造の例を示した図である。図4に示すように、クリップ31aの挟み部(図ではクリップ31aの上半部分)の両方の内側には、それぞれ給電ケーブル10の外周の丸みに沿った形状をした薄膜または薄板状の電極1a,1bが設けられている。また、クリップ31aのつまみ部(図ではクリップ31aの下半部分)の内側には、そのつまみ部を内側から外側に押圧する圧縮バネ30が設けられている。そのため、クリップ31aのつまみ部は、圧縮バネ30の反発力により外側に広くなろうとする力を受け、逆に挟み部は、内側に狭くなろうとする力を受けることとなる。その結果として、電極1a,1bは、給電ケーブル10の被覆12の表面に押圧される。
なお、図4における電極1a,1bは、図3における電極1を2つに分割したものに相当するものである。このことを除けば、クリップ31aの構造は、図3に示したクリップ31の構造と同じであるので、以下、同様の説明を省略する。
図5は、電極2の押圧力を調整する電極押圧調整部材22を備えたクリップ32の構造の例を示した図である。図5に示すように、クリップ32の挟み部(図ではクリップ32の上半部分)の一方の内側には、給電ケーブル10の外周の丸みに沿った形状をした薄膜または薄板状の電極2と、この電極2を給電ケーブル10側へ押圧する電極押圧調整部材22と、が設けられている。
さらに、電極押圧調整部材22が設けられたクリップ32の挟み部には、この電極押圧調整部材22の位置(給電ケーブル10の表面に対し略垂直方向の相対位置)をクリップ32の外側から調整するためのネジ24が設けられている。したがって、ネジ24および電極押圧調整部材22により、電極2が給電ケーブル10の被覆12表面を押圧する押圧力を調整することができる。
すなわち、電極押圧調整部材22の位置はネジ24により変える(ずらす)ことができるので、ネジ24によりにより電極押圧調整部材22が電極を押圧する押圧力を調整することができる。これは、電極2が給電ケーブルの被膜10を押圧する押圧力を調整できることを意味する。この場合、電極2が給電ケーブルの被膜10を押圧する押圧力が変われば、電極2と給電ケーブルの導体11との間隔が変わることになるので、電極2と給電ケーブルの導体11との間の静電容量も変わる。したがって、電極2と給電ケーブルの導体11との間の静電容量は、ネジ34によって調整される。すなわち、クリップ32に設けられたネジ24および電極押圧調整部材22は、電極2の押圧力調整機構であるとともに電極2の静電容量調整機構であるともいえる。
また、電極2には、クリップ32に設けられた配線部材29を介して、外部から電圧を印加することが可能にされている。したがって、本実施形態では、部分放電測定対象の電気機器の給電ケーブル10をこのクリップ32の挟み部で挟むだけで、給電ケーブル10の被覆12表面に電極2を設置することができる。
なお、以上のクリップ32の構造は、その挟み部に電極押圧調整部材22およびネジ24が設けられたことを除き、図3に示したクリップ31の構造と同じであるので、以下、同様の説明を省略する。
図6は、給電ケーブル10の反対側から電極2の押圧力を調整する電極押圧調整部材27を備えたクリップ32aの構造の例を示した図である。図6に示すように、クリップ32aの挟み部(図ではクリップ32aの上半部分)の一方の内側には、給電ケーブル10の外周の丸みに沿った形状をした薄膜または薄板状の電極2が設けられている。また、挟み部の他方の内側(電極2が設けられていない方の内側)には、給電ケーブル10の反対側から電極2を給電ケーブル10の被覆12表面に押圧する電極押圧調整部材27が設けられている。
さらに、電極押圧調整部材27が設けられた側のクリップ32aの挟み部には、この電極押圧調整部材27の位置(給電ケーブル10の表面に対し略垂直方向の相対位置)をクリップ32aの外側から調整するためのネジ28が設けられている。したがって、これらのネジ28および電極押圧調整部材27により、電極2が給電ケーブル10の被覆12表面を押圧する押圧力を調整することができる。
なお、以上のクリップ32aの構造は、電極2が設けられた側とは反対側の挟み部に電極押圧調整部材27およびネジ28が設けられていることを除き、図3に示したクリップ31の構造と同じであるので、以下、同様の説明を省略する。
図7は、2つに分割された電極2a,2bの押圧力を調整する電極押圧調整部材22を挟み部の片側に備えたクリップ32bの構造の例を示した図である。図7に示すように、クリップ32bの挟み部(図ではクリップ32bの上半部分)の一方の内側には、給電ケーブル10の外周の丸みに沿った形状をした薄膜または薄板状の電極2aと、電極2aを給電ケーブル10側へ押圧する電極押圧調整部材22と、が設けられている。また、クリップ32bの挟み部の他方の内側には、給電ケーブル10の外周の丸みに沿った形状をした薄膜または薄板状の電極2bが設けられている。
さらに、クリップ32bにおいて、電極押圧調整部材22が設けられた側の挟み部には、この電極押圧調整部材22の位置(給電ケーブル10の表面に対し略垂直方向の相対位置)をクリップ32bの外側から調整するためのネジ24が設けられている。したがって、電極2a,2bが給電ケーブル10を押圧する押圧力は、ネジ24および電極押圧調整部材22を介して調整することができる。
なお、以上のクリップ32bの構造は、電極押圧調整部材22およびネジ24が設けられたことを除き、図4に示したクリップ31aの構造と同じであるので、以下、同様の説明を省略する。
図8は、2つに分割された電極2a,2bの押圧力を調整する電極押圧調整部材22a,22bを挟み部の両側に備えたクリップ32cの構造の例を示した図である。図8に示すように、クリップ32cの挟み部(図ではクリップ32cの上半部分)の両方の内側には、給電ケーブル10の外周の丸みに沿った形状をした薄膜または薄板状の電極2a,2bと、これらの電極2a,2bを給電ケーブル10側へ押圧する電極押圧調整部材22a,22bと、が設けられている。
さらに、クリップ32cの挟み部には、電極押圧調整部材22a,22bの位置(給電ケーブル10の表面に対し略垂直方向の相対位置)を外側から調整するためのネジ24a,24bが設けられている。したがって、電極2a,2bが給電ケーブル10へ押圧する押圧力は、ネジ24a,24bおよび電極押圧調整部材22a,22bを介して調整することができる。
なお、以上のクリップ32cの構造は、電極押圧調整部材22a,22bおよびネジ24a,24bが設けられたことを除き、図4に示したクリップ31aの構造と同じであるので、以下、同様の説明を省略する。
図9は、2つに分割された電極2a,2bの押圧力を調整する電極押圧調整部材23を挟み部の外側に備えたクリップ32dの構造の例を示した図である。図9に示すように、この例では、電極押圧調整部材23は、長ボルト25およびナット26により構成され、クリップ32dの挟み部の給電ケーブル10を挟む部分よりも外側の位置(図9では上側の位置)に設けられる。すなわち、クリップ32dの両側の挟み部は、給電ケーブル10を挟む部分よりも外側の位置で長ボルト25とナット26で接続されている。また、クリップ32dのつまみ部の内側には、そのつまみ部を内側から外側に押圧する圧縮バネ30が設けられている。
したがって、クリップ32dでは、長ボルト25およびナット26により両側の挟み部の間隔を調整することが可能になる。つまり、その挟み部の内側に設けられた電極2a,2bが給電ケーブル10の被覆12を押圧する押圧力を調整することができる。なお、以上のクリップ32dの構造は、図8のクリップ32cにおいて電極押圧調整部材22a,22bおよびネジ24a,24bの代わりに長ボルト25およびナット26からなる電極押圧調整部材23を設けたものに相当する。
図10は、2つに分割された電極2a,2bの押圧力を調整する電極押圧調整部材23aを挟み部の内側に備えたクリップ32eの構造の例を示した図である。図10に示すように、電極押圧調整部材23aは、長ボルト25およびナット26により構成され、クリップ32eの挟み部の給電ケーブル10を挟む部分よりも内側の位置(図10では下側の位置)に設けられる。すなわち、クリップ32eの両側の挟み部は、給電ケーブル10を挟む部分よりも内側の位置で長ボルト25とナット26で接続されている。また、クリップ32eのつまみ部の内側には、そのつまみ部を内側から外側に押圧する圧縮バネ30が設けられている。
したがって、クリップ32eでは、長ボルト25およびナット26により両側の挟み部の間隔を調整することが可能になる。つまり、その挟み部の内側に設けられた電極2a,2bが給電ケーブル10の被覆12を押圧する押圧力を調整することができる。
図11は、2つに分割された電極2a,2bの押圧力を調整する電極押圧調整部材23bをつまみ部の内側に備えたクリップ32fの構造の例を示した図である。図11に示すように、電極押圧調整部材23bは、突っ張り型の長ボルト25bおよび長ナット26bにより構成され、クリップ32eのはさみ部の内側に設けられる。すなわち、クリップ32eの両側の挟み部は、長ボルト25bおよび長ナット26bにより突っ張られるようにして接続されている。また、クリップ32fのつまみ部の内側には、そのつまみ部を内側から外側に押圧する圧縮バネ30が設けられている。
したがって、このクリップ32fでは、長ボルト25bおよび長ナット26bにより両側のつまみ部の間隔を調整することが可能になる。その結果として、挟み部の内側に設けられた電極2a,2bが給電ケーブル10の被覆12を押圧する押圧力を調整することができる。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る部分放電校正装置100の全体外観図の例を示した図である。図12に示すように、部分放電校正装置100は、外観的には、電極1(1a,1b)が設けられたクリップ31と、電極2(2a,2b)が設けられたクリップ32と、スイッチ3、電圧源4、電流センサ5、計測器6などが収納された筐体34と、を備えて構成される。そして、クリップ31,32と筐体34とは有線で接続されているとしている。なお、バネ30は、作図上の都合で省略している(以下、図13などでも同様)。
ここで、図12に描かれたクリップ31は、図4に描かれたクリップ31aに相当するが、図3に描かれたクリップ31であってもよい。また、図12に描かれたクリップ32は、図8に示されたクリップ32cに相当するが、図5、図6、図7などに描かれたクリップ32,32a,32bなどであってもよい。
図13は、本発明の第1の実施形態に係る別の部分放電校正装置101の全体外観図の例を示した図である。この例は、クリップ31,32と筐体34とが有線ではなく、無線で接続されていることを除き、図12と同じである。
図14は、本発明の第1の実施形態に係るさらに別の部分放電校正装置102の全体外観図の例を示した図である。図14に示されたクリップ33は、図12に示されたクリップ31とクリップ32を1つに合体したものに相当する。
図15は、本発明の第1の実施形態に係るさらに別の部分放電校正装置103の全体外観図のさらに別の例を示した図である。図15に示されたクリップ33は、図13に示されたクリップ31とクリップ32を1つに合体したものに相当する。
図16は、本発明の第1の実施形態に係る部分放電校正装置100を用いて部分放電測定器42(図21参照)を校正する工程の例を示した図である。この工程は、校正の作業者によって実行される。
最初に、作業者は、部分放電測定対象の電気機器の給電ケーブル10の被覆12表面の2箇所に電極1,2を設置する(ステップS100)。具体的には、この工程は、校正作業者がクリップ31,32で給電ケーブル10の2箇所を挟むだけですむ。次に、校正作業者は、2つの電極1,2からの電流が相殺するように配線された位置に電流センサ5を設置する(ステップS101)。なお、予め、筐体34の中で電流センサ5が前記2つの電極1,2からの電流が相殺するように配線された位置に設置されている場合には、作業者は、この工程では何もしなくてもよい。
次に、作業者は、筐体34に収納されているスイッチ3を端子A側に倒して(図17参照)、電圧源4を介して2つの電極1,2とグラウンドとの間に電圧を印加し(場合A)、電流センサ5の計測値がほぼ零となるように電極2の押圧力を調整する(ステップS102)。なお、電極2が設けられたクリップ32(図5参照)の場合、電極2を押圧する押圧力は、ネジ24で調整することができる。また、電流センサ5の計測値がほぼ零とは、ネジ24で押圧力を調整したときに最小となる零にできるだけ近い値をいう。
図17は、第1の実施形態に係る部分放電校正装置100においてスイッチ3を端子A側に倒して、2つの電極1,2とグラウンドとの間に電圧源4の電圧を印加する場合(場合A)の配線経路の例を示した図である。この場合、2つの電極1,2に印加する電圧源4の電圧波形は、正弦波でもパルス波でもよいが、より高い周波数成分を含むほうが望ましい。
図18は、図17のように2つの電極1,2とグラウンドとの間に電圧源4の電圧を印加した場合(場合A)の等価回路図の例を示した図である。ここで、Lは、部分放電測定対象の電気機器のインダクタンス、Cは、前記電気機器の巻線とグラウンドとの間の静電容量を表す。このとき、作業者は、電流センサ5の計測値がほぼ零となるように電極2が給電ケーブル10の被覆12を押圧する押圧力を調整する。この押圧力の調整とにより、電極1と給電ケーブル10の導体11と間の静電容量Cと、電極2と給電ケーブル10の導体11との間の静電容量Cとをほぼ同じにすることができる。
図16の説明に戻る。次に、作業者は、筐体34に収納されているスイッチ3を端子B側に倒して(図19参照)、電圧源4を介して電極1と電極2との間に所定の電圧を印加し(場合B)、電極1,2の間に流れる電流を電流センサ5で計測する(ステップS103)。
図19は、第1の実施形態に係る部分放電校正装置100においてスイッチ3を端子B側に倒して、2つの電極1,2の間に電圧源4の電圧を印加する場合(場合B)の配線経路の例を示した図である。この場合、電極1,2に印加する電圧源4の電圧波形は、高周波数で振動する正弦波であることが望ましい。
図20は、図19のように2つの電極1,2の間に電圧源4の電圧を印加した場合の等価回路図の例を示した図である。ここで、Lは、部分放電測定対象の電気機器のインダクタンス、Cは、前記電気機器の巻線とグラウンドとの間の静電容量を表す。
再度、図16の説明に戻る。次に、作業者は、電流センサ5で計測される電流値を計測器6で読み取り、2つの電極1,2と給電ケーブル10の導体11との間の静電容量の直列合成値を求め、電極1,2の1つ当たりの静電容量を算出する(ステップS104)。この場合、静電容量の直列合成値は、計測器6で読み取った電流値と、電圧源4の電圧と、電圧源4の電圧波形(正弦波)の周波数とに基づき計算することができる。また、電極1,2の1つ当たりの静電容量は、前記求めた直列合成値を2倍することにより求めることができる。
例えば、ステップS103で、実効値100V、周波数5kHzの正弦波の電圧を印加したときに、実効値0.314mAの電流が計測された場合には、静電容量の直列合成値は、100pFと推定される。したがって、求められる電極1,2の1つの当たりの静電容量は、200pFとなる。
以上のようにして給電ケーブル10の導体11と電極1,2との間の静電容量の静電容量C,C(C≒C)が求められたことになる。そこで、作業者は、スイッチ3を再び端子A側に倒して、2つの電極1,2の両方または片方とグラウンドとの間に電圧を印加して給電ケーブル10の導体11に電荷を注入する(ステップS105)。次に、作業者は、給電ケーブル10の導体11を流れる電流を高周波電流センサ41(図21参照)などで測定した結果に基づき、部分放電測定器42の校正を行う(ステップS106)。
図21は、部分放電測定器42の校正が実施される場合の部分放電校正装置100を含んだ等価回路の例を示した図である。この場合には、スイッチ3は、端子A側に倒され、既知の静電容量C,Cを有する電極1,2の両方を介して、給電ケーブル10の導体11に電荷が注入される。すなわち、給電ケーブル10の導体11には、既知の電荷量が注入される。そこで、図21に示すように、給電ケーブル10の導体11に注入された既知の電荷量すなわち既知の電流値を部分放電測定器42の高周波電流センサ41で測定し、その測定値に基づいて、部分放電測定器42の校正を行うことが可能になる。
なお、部分放電測定対象のモータなどの電気機器において、巻線の絶縁部材内部ないしその近傍で発生する部分放電パルス信号の場合、主に1MHzから100MHzもしくはそれ以上の高周波領域の信号となって現れる。したがって、部分放電測定器の42の高周波電流センサ41としては、1MHzから100MHzもしくはそれ以上の高周波帯に良好な感度を有するものが使用される。そこで、部分放電測定器42の校正時に電圧源4で発生させる電圧波形は、1MHz以上の高周波数成分を多く含むパルスであることが望ましい。
図22は、部分放電測定器42の校正が実施される場合の部分放電校正装置100を含んだ等価回路の別の例を示した図である。図21では、スイッチ3は、端子A側に倒されるとしたが、図22に示すように、スイッチ3をどの端子にも接触させないようにしてもよい。この場合には、図16のステップS105では、既知の静電容量Cを有する片方の電極1を介して、給電ケーブル10の導体11に電荷が注入される。
図23および図24は、部分放電測定器42の校正が実施される場合の部分放電校正装置100を含んだ等価回路の別の例を示した図である。部分放電測定器42は、図22のような給電ケーブル10の導体11を流れる電流を測定するものに限定されず、例えば、結合コンデンサ43のグラウンド側の電圧を測定するものであってもよい。この場合には、図23に示すように、部分放電測定器42は、結合コンデンサ43および検出インピーダンス44を介してグラウンドに電流が流れたとき、結合コンデンサ43のグラウンド側に現れる電圧を測定する。あるいは、図24に示すように、部分放電測定対象の電気機器の負荷を介した接地線に設置した高周波電流センサ45からの信号を測定してもよい。
なお、部分放電パルス信号を計測可能なセンサは、電流センサや電圧センサに限定されない。例えば、音波センサや電磁波センサでもよいし、それらのセンサを複数組み合わせ、併用してもよい。
以上、本発明の第1の実施形態に係る部分放電校正装置100,100aでは、電気機器の給電ケーブル10を挟むことが可能なクリップ31,32の挟み部の内側に電極1または2が設けられている。したがって、既設の電気機器の給電ケーブル10であっても、その給電ケーブル10をクリップ31,32で挟むだけで、校正に必要な電極1,2を給電ケーブル10の被覆12表面に容易に設置することができる。
また、本実施形態では、2つの電極1,2の給電ケーブル10の導体11に対する静電容量を精度よく求めることができる。したがって、給電ケーブル10の導体11に既知の電荷量を精度よく注入することができるようになるので、部分放電測定器42の校正の高精度化を図ることができる。また、その校正の工程においては、給電ケーブル10の導体11に全く接触しないため、部分放電計測対象の電気機器の運転中における部分放電測定器42の校正や、その部分放電測定器42を用いた電気機器の絶縁劣化診断などが可能になる。
≪第2の実施形態≫
図25は、本発明の第2の実施形態に係る部分放電校正装置100bの構成の例を模式的に示した図である。図25に示すように、この部分放電校正装置100bは、固定容量の電極1と、可変容量の電極2と、スイッチ3と、電圧源4と、電流センサ5と、電流センサ5で検出される電流を計測する計測器6と、スライドスイッチ9と、を備えて構成される。ここで、可変容量の電極2は、電極1とほぼ同じ面積を有する主電極2mと、面積の小さい複数の補助電極2sにより構成されている。そして、電極2の面積すなわち電極2の静電容量は、スライドスイッチ9に電気的に接続される補助電極2sの数により調整される。
この第2の実施形態に係る部分放電校正装置100bの構成は、第1の実施形態において電極押圧調整部材22により電極2の静電容量を調整したものに代えて、スライドスイッチ9により電極2の面積を調整し、その静電容量を調整するようにしたものである。部分放電校正装置100bを、このように構成することで、第1の実施形態における電極2の押圧力の調整と比較して、給電ケーブル10の導体11と電極2との間の静電容量の可変幅をより大きくすることができる。
なお、図25では電極2のみ可変容量としているが、同様の構造により、電極1も可変容量としてもよい。また、第2実施形態における部分放電測定器42を校正する工程の手順は、図16のステップS102で電極2の押圧力を調整する代わりに電極2の面積を調整することに変えるだけで、図16に示したものと実質的に同じである。
また、以上の第2の実施形態において、電極1としては、図3に示されたようなクリップ31の挟み部の内側に設けられたものを用いることができる。また、同様の構造を有するクリップの挟み部の内側に主電極2mと複数の補助電極2sとからなる電極2を設けることが可能である。さらに、そのクリップの中には、複数の補助電極2sに電気的に接続されるスライドスイッチ9を設けることもできる。
したがって、以上の第2の実施形態に係る部分放電校正装置100bでも、給電ケーブル10の導体11に直接接触するとなく、給電ケーブル10の被覆12表面に電極1,2を容易に設置することができる。また、その電極1,2を介して給電ケーブル10の導体11に既知の電荷量の電荷を注入することができるので、部分放電測定器42の校正の高精度化を図ることができる。また、給電ケーブル10の導体11に非接触であることから、部分放電計測対象の電気機器が運転中であっても部分放電計測による絶縁劣化診断が可能となる。
≪第3の実施形態≫
図26は、本発明の第3の実施形態に係る部分放電校正装置100cの構成の例を模式的に示した図である。図26に示すように、部分放電校正装置100cは、電極1と、電極1と、複数の電極2(2a,2b,2c,2d)と、スイッチ3と、電圧源4と、電流センサ5と、電流センサ5で検出される電流を計測する計測器6と、セレクタスイッチ7と、を備えて構成される。そして、複数の電極2a,2b,2c,2dのうち、給電ケーブル10の被覆12表面に設けられたときの静電容量が電極1の静電容量と最も近いものがセレクタスイッチ7で選択され、電極2として機能する。
なお、電極1および電極2(2a,2b,2c,2d)としては、それぞれ、図3に示されたようなクリップ31の挟み部の内側に設けられたものを用いることができる。この場合、電極2a,2b,2c,2dの面積は、電極1の面積と同じであってもよいし、それぞれ少しずつ違ってもいてもよい。また、図26では、電極2として選択される得る電極2a,2b,2c,2dは、4つ描かれているが、その数は4つに限定されない。また、スイッチ3、電圧源4、電流センサ5、計測器6、セレクタスイッチ7などは、図12に示されたような筐体34に収納されているものとする。
図27は、本発明の第3の実施形態に係る部分放電校正装置100cを用いて部分放電測定器42を校正する工程の例を示した図である。この工程は、図16の場合と同様に、校正の作業者によって実行される。
まず、作業者は、部分放電測定対象の電気機器の給電ケーブル10の被覆12表面の3箇所以上の複数箇所に電極を設置する(ステップS300)。具体的には、校正の作業者は、それぞれ同じまたは互いに少しずつ異なる面積を有する電極が設けられた複数のクリップ31(図3参照)で給電ケーブル10の3箇所以上の複数箇所を挟む。
次に、作業者は、給電ケーブル10の被覆12表面に設置された複数の電極から2つの電極1,2を選択する(ステップS301)。この場合、例えば、中間の面積を有する電極を電極1として用い、それ以外の複数(2つ以上)の電極のうち、セレクタスイッチ7(図26参照)を介して選択された電極を、電極2として用いる。なお、図26の部分放電校正装置100cの場合、電極1およびセレクタスイッチ7につながる複数の電極2(2a,2b,2c,2d)は、予め決められている。したがって、作業者は、この工程では、セレクタスイッチ7を用いて電極2a,2b,2c,2dの中から1つを選択し、電極2とする。
次に、校正作業者は、選択した2つの電極1,2からの電流が相殺するように配線された位置に電流センサ5を設置する(ステップS302)。なお、予め、筐体34の中で電流センサ5が前記2つの電極からの電流が相殺するように配線された位置に設置されている場合には、作業者は、この工程では何もしなくてもよい。
次に、校正作業者は、筐体34に収納されているスイッチ3を端子A側に倒して、電圧源4を介して2つの電極1,2とグラウンドとの間に電圧を印加する(場合A:ステップS303)。この場合、2つの電極1,2に印加する電圧源4の電圧波形は、正弦波でもパルス波でもよいが、より高い周波数成分を含むほうが望ましい。
次に、校正作業者は、計測器6で測定される電流センサ5の計測値がほぼ零か否かを判定する(ステップS304)。なお、この場合、電流センサ5の計測値がほぼ零とは、予め定められた零に近い閾値以下であることをいう。この判定の結果、電流センサ5の計測値がほぼ零でない、すなわち、予め定められた閾値を上回っている場合には(ステップS304でNo)、ステップS301に戻って、2つの電極を選択し直し、それ以降の工程を繰り返して実行する。なお、図26の例において2つの電極を選択し直す場合、電極2としては電極2a,2b,2c,2dのうち、以前の工程で未選択のものを選択する。
また、前記の判定で、電流センサ5の計測値がほぼ零、すなわち、所定の閾値以下となった場合には(ステップS304でYes)、給電ケーブル10の導体11に対する電極1,2の静電容量がほぼ一致したとみなし、ステップS305以下の工程に移行する。すなわち、作業者は、筐体34に収納されているスイッチ3を端子B側に倒して、電圧源4を介して電極1と電極2との間に所定の電圧を印加し(場合B)、電極1と電極2との間に流れる電流を電流センサ5で計測する(ステップS305)。
次に、作業者は、電流センサ5で計測される電流値を計測器6で読み取り、給電ケーブル10の導体11と電極1,2との間の静電容量の直列合成値を求め、電極1,2の1つの当たりの静電容量を算出する(ステップS306)。この場合、静電容量の直列合成値は、計測器6で読み取った電流値と、電圧源4の電圧と、電圧源4の電圧波形(正弦波)の周波数とに基づき計算することができる。また、電極1,2の1つ当たりの静電容量は、前記求めた直列合成値を2倍することにより求めることができる。
次に、作業者は、スイッチ3を再び端子A側に倒して、2つの電極1,2とグラウンドとの間に電圧を印加して(場合A)、給電ケーブル10の導体11に電荷を注入する(ステップS307)。続いて、作業者は、給電ケーブル10の導体11を流れる電流を高周波電流センサ41(図21参照)などで測定した結果に基づき、部分放電測定器42の校正を行う(ステップS308)。
なお、以上の工程のうち、ステップS305〜ステップS308の工程は、図16に示したステップS103〜ステップS106の工程と実質的に同じである。また、ステップS307では、スイッチ3を端子A側に倒したが、スイッチ3をどの端子にも接触させないで、電極1を介して給電ケーブル10の導体11に電荷を注入してもよい。
図28は、本発明の第3の実施形態の変形例に係る部分放電校正装置100dの構成の例を模式的に示した図である。本変形例に係る部分放電校正装置100dと、図26に示した部分放電校正装置100cとでは、給電ケーブル10の導体11への電荷注入に用いられる2つの電極1,2を選択する選択方法に相違がある。
すなわち、図26の部分放電校正装置100cでは、電極1は、給電ケーブル10の被覆12表面に設けられた複数の電極の中で予め固定されており、電極2は、残りの複数の電極2a,2b,2c,2dの中からセレクタスイッチ7で選択可能にされていた。これに対し、本変形例に係る部分放電校正装置100dでは、給電ケーブル10の被覆12表面に設けられた複数の電極1a,1b,1c,1d,1eの中から任意の2つを選択して、それらを電極1,2とできるようにされている。
したがって、本変形例では、複数の電極1a,1b,1c,1d,1eの中から任意の2つを選択して電極1,2とする2つのセレクタスイッチ7,8が設けられている。ここで、セレクタスイッチ7,8の各端子は、電極1a,1b,1c,1d,1eのいずれかに接続されている。また、逆には、電極1a,1b,1c,1d,1eは、セレクタスイッチ7,8の両方に端子に接続されているということもできる。
以上のように、本変形例では、電極1a,1b,1c,1d,1eの中からセレクタスイッチ7,8により任意の2つを選択して、それらを給電ケーブル10の導体11への電荷注入用の電極1,2とすることができる。したがって、図26の場合のように、電極1が固定される場合に比べ、給電ケーブル10の導体11に対する静電容量がほぼ一致する電極の組み合わせの自由度が大きくなる。すなわち、静電容量ができるだけ一致した2つの電極を選択して電荷注入用の電極1,2として用いることが可能になる。
なお、図28では、給電ケーブル10の被覆12表面に5つの電極1a,1b,1c,1d,1eが設けられるものとして描かれているが、その電極の数は、5つに限定されない。また、5つの電極1a,1b,1c,1d,1eの面積は、全て同じであってもよいし、それぞれ少しずつ違っていてもよい。そして、この場合、電極1a,1b,1c,1d,1eとしては、図3、図4に示されたクリップ31,31aを用いることができる。
したがって、以上の第3の実施形態およびその変形例に係る部分放電校正装置100c,100dでも、給電ケーブル10の導体11に直接接触するとなく、給電ケーブル10の被覆12表面に電極1,2を容易に設置することができる。また、その電極1,2を介して給電ケーブル10の導体11に既知の電荷量の電荷を注入することができるので、部分放電測定器42の校正の高精度化を図ることができる。また、給電ケーブル10の導体11に非接触であることから、部分放電計測対象の電気機器が運転中であっても部分放電計測による絶縁劣化診断が可能となる。
なお、本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態や変形例の構成の一部について、他の実施形態や変形例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
1,2 電極
1a,1b,1c,1d,1e 電極
2a,2b,2c,2d 電極
2m 主電極
2s 補助電極
3 スイッチ
4 電圧源
5 電流センサ
6 計測器
7,8 セレクタスイッチ(静電容量調整部材)
9 スライドスイッチ(静電容量調整部材)
10 給電ケーブル
11 導体
12 被覆
21,22,22a,22b,27 電極押圧調整部材(静電容量調整部材)
23,23a,23b 電極押圧調整部材(静電容量調整部材)
24,24a,24b,28 ネジ(静電容量調整部材)
25,25b 長ボルト(静電容量調整部材)
26 ナット (静電容量調整部材)
26b 長ナット(静電容量調整部材)
30 圧縮バネ
31,31a クリップ
32,32a,32b,32c,32d,32e,32f クリップ
33 クリップ
34 筐体
41,45 高周波電流センサ
42 部分放電測定器
43 結合コンデンサ
44 検出インピーダンス
100,100a,100b,100c,100d 部分放電校正装置
101,102,103 部分放電校正装置

Claims (8)

  1. 電気機器の部分放電測定器の校正に用いる部分放電校正装置であって、
    前記電気機器の給電ケーブルの被覆表面に設置する2つの電極と、
    前記2つの電極のうち、少なくとも一方の電極の静電容量を調整する静電容量調整機構と、
    部分放電信号を模擬する電圧源と、
    前記電圧源の電圧を前記2つの電極に印加するための配線接続を、前記2つの電極のそれぞれとグラウンドとの間に印加する場合と、前記2つの電極の間に印加する場合とに、切り替えるスイッチと、
    前記電圧源の電圧を前記2つの電極のそれぞれとグラウンドとの間に印加する場合において、前記2つの電極からの電流が互いに相殺するように配線された位置に設置された電流センサと、
    前記電流センサからの信号値を計測する計測器と、
    を備えること
    を特徴とする部分放電校正装置。
  2. 請求項1に記載の部分放電校正装置であって、
    前記静電容量調整機構は、
    前記少なくとも一方の電極が前記給電ケーブルの被膜表面を押圧する押圧力を調整する電極押圧調整機構であること
    を特徴とする部分放電校正装置。
  3. 請求項1に記載の部分放電校正装置であって、
    前記静電容量調整機構は、
    前記少なくとも一方の電極の面積を調整する電極面積調整機構であること
    を特徴とする部分放電校正装置。
  4. 請求項1に記載の部分放電校正装置であって、
    前記給電ケーブルの被覆表面に設置される前記2つの電極はいずれも、前記給電ケーブルを挟むように構成されたクリップの挟み部の内側に設けられていること
    を特徴とする部分放電校正装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに1項に記載の部分放電校正装置を用いて前記部分放電測定器を校正する部分放電校正方法であって、
    前記電圧源の電圧が前記2つの電極のそれぞれとグラウンドとの間に印加されるように前記スイッチを切り替えて、前記静電容量調整機構を介して、前記電流センサで検出される信号が零に近くなるように前記少なくとも一方の電極の静電容量を調整する第1の工程と、
    前記電圧源の電圧が前記2つの電極の間に印加されるように前記スイッチを切り替えて、前記電流センサで検出される信号を前記計測器で計測し、その計測値を用いて前記2つの電極の静電容量を計算する第2の工程と、
    前記電圧源の電圧が前記2つの電極の少なくとも一方とグラウンドとの間に印加されるように前記スイッチを切り替えて、前記給電ケーブルの導体に電荷を注入する第3の工程と、
    を備えること
    を特徴とする部分放電校正方法。
  6. 請求項5に記載の部分放電校正方法にしたがって校正した部分放電測定器を用いて前記電気機器に発生する部分放電を測定する部分放電測定方法であって、
    前記給電ケーブルの導体を流れる電流を測定すること
    を特徴とする部分放電測定方法。
  7. 請求項5に記載の部分放電校正方法にしたがって校正した部分放電測定器を用いて前記電気機器に発生する部分放電を測定する部分放電測定方法であって、
    前記給電ケーブルの導体とグラウンドとの間に設けられた結合コンデンサのグラウンド側に現れる電圧を測定すること
    を特徴とする部分放電測定方法。
  8. 請求項5に記載の部分放電校正方法にしたがって校正した部分放電測定器を用いて前記電気機器に発生する部分放電を測定する部分放電測定方法であって、
    前記電気機器の負荷を介してグラウンド側に流れる電流を測定すること
    を特徴とする部分放電測定方法。
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