JP2019211023A - 流体制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体制御弁の流通制御を精度良く行う。【解決手段】流体制御弁38は、弁ケーシング56に形成される筒形状の弁室67と、該弁室67内に配置される弁体134と、該弁室67の内面における弁口80近傍に配設されるバルブシート(シート体)82とを備え、弁体134とバルブシート82の近接離反により流路の開閉を行う。そして、流路の開閉は弁体134の軸方向の移動により行われる構成となっており、弁ケーシング56における弁室67を形成する内周面には、軸方向に形成される3箇所以上のリブ180が少なくとも120度間隔以内で形成されており、リブ180により弁体134は軸方向に摺動案内される配設とされている。【選択図】図7

Description

本発明は、流体制御弁に関する。特に、車両に搭載される蒸発燃料処理装置に用いられる流体制御弁に関する。
自動車等車両には、燃料タンクからエンジンまでの燃料供給経路に、蒸発燃料処理装置が備えられる。そして、この蒸発燃料処理装置には流体制御弁が用いられる。この流体制御弁は、通常、封鎖弁とも称される。封鎖弁と称される流体制御弁は、電動弁とリリーフ弁とを有する(下記特許文献1参照)。
蒸発燃料処理装置に用いられる流体制御弁は、電動弁とリリーフ弁とが同じ弁ケーシングに組合わせて配置されている。電動弁は蒸発燃料処理装置におけるメイン通路に配置されており、メイン通路の流路を開閉するようになっている。リリーフ弁はメイン通路に対するバイパス通路に配置されており、電動弁により閉鎖された状態におけるメイン通路の異常圧状態をバイパスさせて、回避させるようになっている。
そのため、リリーフ弁は、メイン通路(ガソリンタンク内)の圧力が所定の異常な正圧値以上の場合に開弁する正圧リリーフ弁機構と、メイン通路の圧力が所定の異常な負圧値以下の場合に開弁する負圧リリーフ弁機構とを備える。
そして、正圧リリーフ弁機構は次のような構成とされている。弁ケーシングには筒形状のリリーフ弁の弁室が形成されており、この弁室内に弁体が軸方向に移動可能に配置されている。この弁室の内面における弁室への流入口となる弁口近傍にはシート体が配設されており、弁体とシート体との近接離反により流路の開閉を行う構成とされている。
正圧リリーフ弁機構における開弁時の流路は、筒形状の弁室の内筒面と弁体の外周部との間に間隙が形成されており、この間隙が流路とされている。この間隙がバイパス通路の流路となり、流体が流通する。
また、弁室への流入口となる弁口近傍に配設されるシート体は、弁体と近接離反する部位個所は露出状態で配設されるが、その他の部位は弁室を形成する弁ケーシングに埋設されている。
特開2016−121791号公報
ところで、上述したリリーフ弁における正圧リリーフ弁機構の流路は、筒形状の弁室の内筒面と弁体の外周部との間に形成される間隙により形成される。この間隙により弁体は弁室の内筒面の一方向に偏りを生じることがある。この偏りは流体の流れにより内周面に沿って変化する。この弁体の偏りの変化は、いわゆる弁体の暴れ現象となり、騒音を発生することがある。また、弁体の暴れ現象においては、流路となる間隙の存在により流通方向に弁体に傾きが生じて、その流通量が変化するという問題がある。すなわち、正圧リリーフ弁機構の開弁時における流通制御が精度よく行われないという問題がある。
また、上述した正圧リリーフ弁機構においては、シート体の弁ケーシングへの配設において、次のような現象により流通制御が精度よく行われないという問題がある。すなわち、シート体は弁体とのシール性向上を図るために、面粗度および平面度の良好なシート体として弁ケーシングにインサート成形等により埋設される。この場合、シート体と弁ケーシングの熱膨張率の違いから、両者は界面剥離し、微小な隙間が生じる。この微小な隙間を通じて、閉弁時及び開弁時共に、流体がいわゆる洩れ流通する。この洩れ流通のため流通制御が精度良く行われないという問題を生じる。
なお、上述した洩れ流通を防止する対策として、シート体をインサート成形する前に、シート体にプライマー(シール材)を塗布して、密着性を確保する方法がある。しかし、この方法による時には、コストアップとなる問題がある。
而して、本発明は上述した問題を解消するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、流体制御弁の流通制御を精度良く行うことにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る流体制御弁は次の手段をとる。
本発明の第1の発明は、弁ケーシングにより形成される筒形状の弁室と、該弁室内に配置される弁体と、前記弁室の内面における前記弁室への流入口となる弁口近傍に配設されるシート体とを備え、前記弁体とシート体との近接離反により流路の開閉を行う構成とされている流体制御弁であって、前記流路の開閉は前記弁体の軸方向の移動により行われる構成となっており、前記弁ケーシングにおける、筒形状の弁室を形成する内周面には、軸方向に形成される3箇所以上のリブが少なくとも120度間隔以内で形成されており、前記リブにより前記弁体は軸方向に摺動案内される配設とされている、流体制御弁である。
上記第1の発明によれば、筒形状の弁室の内周面と弁体の外周部との間には、弁室の内周面に形成されてリブが軸方向に配設される。そして、リブは周方向の3箇所以上であって、しかも少なくとも120度間隔以内で形成される。このリブの配設により弁室の内周面と弁体の外周部との間には流路となる間隙が、周方向全体に亘って一様に形成される。そして、弁体の外周部は軸方向に形成されたリブに沿って軸方向に摺動移動するため、開弁流通時に弁体に偏りすなわち暴れを生じたり、弁体に傾きが生じることが抑制される。これにより、この間隙の流路を通じて流体は常時均等に流れるため、流通制御は精度よく行われる。また、暴れにより生じる騒音も防止ないし抑制することができる。
本発明の第2の発明は、上述した第1の発明の流体制御弁であって、前記シート体と前記弁ケーシングとは熱膨張率の異なる別材料で構成されており、前記シート体と前記ハウジングの界面には、第1の温度状態時に当該両者間が熱膨張率の違いにより接触状態となりシールを行う部位個所と、前記第1の温度状態時とは異なる第2の温度状態時に当該両者間が熱膨張率の違いにより接触状態となりシールを行う部位個所が別々に設定されている、流体制御弁である。
上記第2の発明によれば、シート体と弁ケーシングとは熱膨張率の異なる別材料で構成される。そして、両部材の熱膨張率の違いを利用して、例えば高温状態の第1の温度状態時に両者間が接触状態となりシールを行う部位個所と、例えば低温状態の第2の温度状態時に両者間が接触状態となりシールを行う部位個所とが別々に設定される。これにより異なる温度状態の第1の温度状態及び第2の温度状態のいずれの温度状態においても、シート体と弁ケーシングの界面の一部が確実にシールされる。このため、両者間の界面を通じて流体が洩れ流通することを防止ないし抑制することができる。その結果、流体制御弁の流通制御を精度よく行うことができる。
本発明の第3の発明は、上述した第1の発明又は第2の発明の流体制御弁であって、前記弁ケーシングは樹脂、前記シート体は金属で形成されている、流体制御弁である。
上記第3の発明によれば、弁ケーシングは樹脂、シート体は金属で形成される。樹脂と金属は熱膨張率が異なるので、上述した第2の発明を適切に実施できる。
本発明の第4の発明は、上述した第3の流体制御弁であって、前記シート体は、前記弁体とのシール面であるワッシャ状のフランジ部と、該フランジ部の外周から軸方向に沿って伸びる第1の筒部を有し、当該第1の筒部は前記弁ケーシング内に埋設されている、流体制御弁である。
上記第4の発明によれば、軸方向に形成される第1の筒部を有し、当該第1の筒部は弁ケーシング内に埋設されて構成される。これにより、第1の筒部の内周面側と外周面側の何れかの弁ケーシングとの面対向箇所が、第1の温度状態時又は第2の温度状態時のシールを行う部位個所となる。このため、第1の温度状態時および第2の温度状態時における弁ケーシングとシール体との界面を通じて生じる流体漏れを防止ないし抑制することができる。
本発明の第5の発明は、上述した第4の発明の流体制御弁であって、前記シート体は、さらに前記フランジ部の内周から軸方向に沿って伸びる第2の筒部を有し、当該第2の筒部の外周面が前記弁ケーシングに接している、流体制御弁である。
上記第5の発明によれば、上述した第4の発明におけるフランジ部の内周から軸方向に沿って伸びる第2の筒部が形成され、その外周面が弁ケーシングに接して構成される。これにより第2の筒部の外周面と弁ケーシングの対向面間も、第1の温度状態時又は第2の温度状態時におけるシールを行う部位個所となる。このため、前述の第4の発明に加えて、前述の界面を通じて生じる流体漏れを防止ないし抑制することができる。
本発明の第6の発明は、上述した第3の発明の流体制御弁であって、前記シート体は、前記弁体とのシール面であるワッシャ状の第1のフランジ部と、該第1のフランジ部から軸方向に離間したワッシャ状の第2のフランジ部と、該第1のフランジ部と第2のフランジ部を繋ぐ接続部とから形成されており、前記シート体の第1のフランジ部と第2のフランジ部との間に樹脂で形成される前記弁ケーシングの一部が充填形成されている、流体制御弁である。
上記第6の発明によれば、シート体は、第1のフランジ部と、第2のフランジ部と、接続部とが断面コ字状に形成され、断面コ字状の間に弁ケーシングを形成する樹脂が充填されて構成される。これにより断面コ字状シート体と、この間に充填される樹脂との対向面間が、第1の温度状態時においてシールを行う部位箇所、或いは第2の温度状態時においてシールを行う部位箇所となる。このため、第1の温度状態時および第2の温度状態時における弁ケーシングとシール体との界面を通じて生じる流体漏れを防止ないし抑制することができる。
上述した本発明の手段によれば、流体制御弁の流通制御を精度良く行うことができる。
本発明の実施形態にかかる蒸発燃料処理装置を示す構成図である。 蒸発燃料処理装置に適用される封鎖弁(流体制御弁)の外観を示す斜視図である。 図2のIII−III線矢視断面図である。 図3のIV−IV線矢視断面図である。 封鎖弁を構成する電動弁の要部を示す拡大断面図である。 電動弁の要部を分解して示す斜視図である。 封鎖弁を構成するリリーフ弁の拡大断面図である。 第2弁室の内周面にリブが形成された状態を示す斜視図である。 第2弁室に配設されるリブの配置間隔を示す上面図である。 リブの作用効果を説明するための上面図である。 第1の弁体の作動状態を示す側面図である。 リブがない場合に第1の弁体が左方向に偏った作動状態を示す上面図である。 第1の弁体が図13の状態における作動状態を示す模式図である。 リブがない場合に第1の弁体が右方向に偏った作動状態を示す上面図である。 第1の弁体が図14の状態における作動状態を示す模式図である。 バルブシート(シート体)の第1の埋設形態を示す断面図である。 バルブシートの第2の埋設形態を示す断面図である。 バルブシートの第3の埋設形態を示す断面図である。 バルブシートの第4の埋設形態を示す断面図である。 図16に示すバルブシート単体の半裁斜視図である。 図17に示すバルブシートの第2の埋設形態における温度上昇時の作用状態を模式的に示す断面図である。 図17に示すバルブシートの第2の埋設形態における温度低下時の作用状態を模式的に示す断面図である。 図18に示すバルブシートの第3の埋設形態における温度上昇時の作用状態を模式的に示す断面図である。 図18に示すバルブシートの第3の埋設形態における温度低下時の作用状態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の流体制御弁38は、内燃機関(エンジン)14を搭載する自動車等の車両に搭載される蒸発燃料処理装置12に封鎖弁として備えられている。本実施形態における封鎖弁としての流体制御弁38は、電動弁52とリリーフ弁54とから成っている。そして、本発明で言う流体制御弁38に相当するのは、本実施形態ではリリーフ弁54である。以下、順次、実施形態の構成について説明する。
<蒸発燃料処理装置12の構成説明>
先ず、本発明が対象とするリリーフ弁54を有する流体制御弁38が配置される蒸発燃料処理装置12を説明する。図1は蒸発燃料処理装置12の構成を示す。蒸発燃料処理装置12は、自動車等の車両のエンジンシステム10に備えられている。エンジンシステム10は、エンジン14と、エンジン14に供給される燃料を貯留する燃料タンク15とを備えている。燃料タンク15には、インレットパイプ16が設けられている。インレットパイプ16は、その上端部の給油口から燃料を燃料タンク15内に導入するパイプであって、給油口にはタンクキャップ17が着脱可能に取付けられている。また、インレットパイプ16の上端部内と燃料タンク15内の蒸発燃料が存在する気層部とは、ブリーザパイプ18により連通されている。
燃料タンク15内には燃料供給装置19が設けられる。燃料供給装置19は、燃料タンク15内の燃料を吸入しかつ加圧して吐出する燃料ポンプ20、燃料の液面を検出するセンタゲージ21、大気圧に対する相対圧としてのタンク内圧を検出するタンク内圧センサ22等を備えている。燃料ポンプ20により燃料タンク15内から汲み上げられた燃料は、燃料供給通路24を介してエンジン14に供給される。詳しくは、各燃焼室に対応するインジェクタ(燃料噴射弁)25を備えるデリバリパイプ26に供給された後、各インジェクタ25から吸気通路27内に噴射される。吸気通路27には、エアクリーナ28、エアフロメータ29、スロットルバルブ30等が設けられる。
蒸発燃料処理装置12は、ベーパ通路31とパージ通路32とキャニスタ34とを備えている。ベーパ通路31の一端部(上流側端部)は、燃料タンク15内の気層部と連通されている。ベーパ通路31の他端部(下流側端部)は、キャニスタ34内と連通されている。また、パージ通路32の一端部(上流側端部)は、キャニスタ34内と連通されている。パージ通路32の他端部(下流側端部)は、吸気通路27におけるスロットルバルブ30よりも下流側通路部と連通されている。また、キャニスタ34内には、吸着材としての活性炭(不図示)が装填されている。燃料タンク15内の蒸発燃料は、ベーパ通路31を介してキャニスタ34内の吸着材(活性炭)に吸着される。
燃料タンク15内の気層部において、ベーパ通路31の上流側端部には、ORVR弁(On Board Refueling Vapor Recovery valve)35及びフューエルカットオフバルブ (Cut Off Valve)36が設けられている。
ベーパ通路31の途中には封鎖弁38が介装されている。すなわち、ベーパ通路31は、その途中で燃料タンク15側の通路部31aとキャニスタ34側の通路部31bとに分断され、その通路部31a,31bの相互間に封鎖弁38が配置されている。この本実施形態の封鎖弁38は、本発明の流体制御弁に相当する。封鎖弁38は、電動弁52及びリリーフ弁54を備える。電動弁52は、電気的な制御により通路を開閉することにより、ベーパ通路31を流れる蒸発燃料を含むガス(「流体」という)の流量を調整する。電動弁52は、エンジン制御装置(以下、「ECU」という)45から出力される駆動信号により開閉制御される。また、リリーフ弁54は、電動弁52をバイパスするバイパス通路(後述する)の途中に介装されている。リリーフ弁54は、電動弁52の閉弁時における燃料タンク15内の圧力を適正圧力に保つためのものである。なお、これら封鎖弁(流体制御弁)38の詳細については後述する。
パージ通路32の途中にはパージ弁40が介装されている。パージ弁40は、ECU45により算出されたパージ流量に応じた開弁量で開閉制御いわゆるパージ制御される。また、パージ弁40は、例えば、ステッピングモータを備えかつバルブ体のストロークを制御することで開弁量を調整可能である。なお、パージ弁40は、本実施形態では電磁弁であり、電磁ソレノイドを備え、非通電状態では閉弁し、通電によって開弁する。
キャニスタ34には大気通路42が配設されている。大気通路42の他端部は大気に開放されている。また、大気通路42の途中にはエアフィルタ43が介装されている。
ECU45には、タンク内圧センサ22、封鎖弁38の電動弁52、パージ弁40の他、リッドスイッチ46、リッドオープナー47、表示装置49等が接続されている。リッドオープナー47には、給油口を覆うリッド48を手動で開閉するリッド手動開閉装置(不図示)が連結されている。リッドスイッチ46は、ECU45に対してリッド48のロックを解除するための信号を出力する。また、リッドオープナー47は、リッド48のロック機構で、ECU45からロックを解除するための信号が供給された場合、又は、リッド手動開閉装置に開動作が施された場合に、リッド48のロックを解除する。
(蒸発燃料処理装置12の動作説明)
次に、蒸発燃料処理装置12の基本的動作について説明する。
<蒸発燃料処理装置12の動作説明―駐車中―>
(1)先ず、[車両の駐車中]について説明する。車両の駐車中は、封鎖弁38の電動弁52が閉弁状態に維持される。したがって、燃料タンク15の蒸発燃料がキャニスタ34内に流入されることがない。また、キャニスタ34内の空気が燃料タンク15内に流入されることもない。このとき、パージ弁40が閉弁状態に維持される。なお、車両の駐車中等の電動弁52の閉弁時において、燃料タンク15内の圧力は、封鎖弁38のリリーフ弁54(後述する)によって適正圧力に保たれるようになっている。
<蒸発燃料処理装置12の動作説明―走行中―>
(2)次に、[車両の走行中]について説明する。車両の走行中において、ECU45は、所定のパージ条件が成立する場合に、キャニスタ34に吸着されている蒸発燃料をパージさせる制御を実行する。この制御では、パージ弁40が開閉制御される。パージ弁40が開弁されると、エンジン14の吸気負圧がパージ通路32を介してキャニスタ34内に作用する。その結果、キャニスタ34内の蒸発燃料が、大気通路42から吸入される空気とともに吸気通路27にパージされることによりエンジン14で燃焼される。また、ECU45は、蒸発燃料のパージ中に限り、封鎖弁38の電動弁52を開弁状態とする。これにより、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧近傍値に維持される。
<蒸発燃料処理装置12の動作説明―給油中―>
(3)次に、[給油中]について説明する。車両の停車中において、リッドスイッチ46が操作されると、ECU45が封鎖弁38の電動弁52を開弁状態とする。この際、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧より高圧であれば、封鎖弁38の電動弁52が開弁すると同時に、燃料タンク15内の蒸発燃料が、ベーパ通路31を通ってキャニスタ34内の吸着材に吸着される。これにより、蒸発燃料が大気に放出されることが防止される。これにともない、燃料タンク15のタンク内圧は大気圧近傍値に低下する。また、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧近傍値にまで低下すると、ECU45は、リッド48のロックを解除する信号をリッドオープナー47に出力する。その信号を受けたリッドオープナー47がリッド48のロックを解除することにより、リッド48の開動作が可能となる。そして、リッド48が開けられ、タンクキャップ17が開けられた状態で、燃料タンク15への給油が開始される。また、ECU45は、給油の終了(具体的にはリッド48が閉じられる)まで、封鎖弁38の電動弁52を開弁状態に維持する。このため、給油の際に、燃料タンク15内の蒸発燃料がベーパ通路31を通ってキャニスタ34内の吸着材に吸着される。
<封鎖弁(流体制御弁)38の説明>
次に、封鎖弁38の説明をする。図2は封鎖弁38を形成する弁ケーシング56の外観斜視図を示す。図3及び図4は封鎖弁38の全体構成を示す断面図であり、図3は図2のlll―lll線矢視断面の縦断面図、図4は図3のlV−lV線矢視断面の横断面図である。封鎖弁38は、図3及び図4に示すように、弁ケーシング56に形成される電動弁52と、リリーフ弁54とから構成される。なお、封鎖弁38を図示する各図に示す方向表示は、封鎖弁38は、通常、車両の床下に設置されるものであるから、車両の前後左右上下方向に対応して各方向を定めるが、封鎖弁38の配置方向を特定するものではない。
<弁ケーシング56、及びメイン通路74の説明>
図2は封鎖弁38を形成する弁ケーシング56の外観を示す。弁ケーシング56は樹脂製であり、弁ケーシング56の内部には、図3及び図4に示すように、封鎖弁38を構成する電動弁52とリリーフ弁54とが収容されている。そのため、弁ケーシング56には、電動弁52を構成するための第1収容筒部60と、リリーフ弁54を構成するための第2収容筒部61とを有する。また、弁ケーシング56には第1管部57と第2管部58とを備えている。第1管部57と第2管部58は、弁ケーシング56においてベーパ通路31(図1参照)の一部を成すメイン通路74を形成している。
弁ケーシング56においてメイン通路74を形成する第1管部57と第2管部58は、中空円管状に形成されており、第1管部57は前後方向に配設され、第2管部58は左右方向に配設されている。
更に、弁ケーシング56には、メイン通路74をバイパスする流路としてバイパス通路90が形成されている(図3参照)。このバイパス経路90中にリリーフ弁54が配置されている。そして、図3に示すように、リリーフ弁54と電動弁52とが連通通路84により連通されてバイパス通路90が形成されている。
更に、弁ケーシング56には、封鎖弁38を車両の床下面に装着するための取付部63を有している。取付部63は、図2及び図3に示すように、電動弁52を形成する第1収容筒部60の上方部に一体的に形成されており、図4に示すように、第1収容筒部60の左右両側位置で車両床面に取付けられるようになっている。その取付位置は、前後方向にオフセットされた位置とされている。
図3及び図4に示すように、電動弁52を形成する第1収容筒部60は、第1管部57の前端部から前方(同、左方)へ向かって段階的に径を大きくする段付円筒状に形成されている。第1管部57と第1収容筒部60とは同心状に形成されている。第1収容筒部60の後端部内に電動弁52の弁室65が形成されている。これを第1弁室65とする。第2管部58は、第1収容筒部60の第1弁室65から右方(図4において下方)へ延びる中空円管状に形成されている。
図3に示すように、リリーフ弁54の弁室67を形成する第2収容筒部61は、第1管部57の前端部の上側に有底円筒状に形成されている。図4の図示状態から分かるように、第2収容筒部61は、第1管部57の外径の約2倍の外径を有している。そして、第2収容筒部61の軸中心は第1管部57の軸中心線上の位置とされている。すなわち、第2収容筒部61は第1管部57の直上位置に設置されている。第2収容筒部61内にリリーフ弁54の弁室67が形成される(図3参照)。この弁室67を第2弁室とする。そして、本実施形態の第2弁室67が、本発明の弁室に相当する。
図4に示すように、第1管部57と第2管部58とは、同一管径又は略同一管径で形成されている。両管部57,58内は、第1弁室65を介して相互に連通されている。第1管部57の第1弁室65側の開口部は、電動弁52の弁口71とされている。この弁口71を第1弁口とする。第1弁口71は、第1管部57の内径よりも少し小さい内径で形成されている。第1弁口71の口縁部が弁座72とされている。第1管部57内は、第1弁口71の軸方向と同方向に沿って延びる第1通路部75とされている。第2管部58内は、第1弁口71の第1通路部75側(後側)とは反対側すなわち前側(図4において左側)で、第1通路部75の軸方向(前後方向)と異なる方向すなわち右方(図4において下方)に沿って延びる第2通路部76とされている。第1通路部75と第2通路部76とにより、エルボ状のメイン通路74が形成されている。
図3に示すように、リリーフ弁54の第2弁室67を形成する第2収容筒部61の下端部には、内径を小さくする段付部78が同心状に形成されている。段付部78内の中空部が、第2収容筒部61内の第2弁室67に連通する弁口80とされている。このリリーフ弁54の弁口80を第2弁口とする。第2弁口80は、第1管部57と第2収容筒部61との間の重複する壁部を貫通することにより第1通路部75に連通されている。段付部78の第2弁室67側の端面(上端面)には、金属製の円環板状のバルブシート82が同心状に配置されている。バルブシート82は段付部78に埋設されて配設されている。バルブシート82はリリーフ弁54のシート面を形成している。この0実施形態の説明からも理解されるように、本実施形態のバルブシート82は本発明のシート体に相当する。
<バイパス通路90の説明>
図4に示す第1管部57及び第2管部58により形成されるメイン通路74には、図3に示すように、このメイン通路74をバイパスするバイパス通路90が形成される。バイパス通路90は、第1通路部75を分岐して配置されるリリーフ弁54の第2弁口80、第2弁室67を経由し、電動弁52の第1弁室65に連通通路84を経由して接続されて形成される。すなわち、バイパス通路90はメイン通路74の経路にある電動弁52の第1弁口71をバイパスして形成される。バイパス通路90はメイン通路74にある電動弁52が閉弁状態にあり、メイン通路74が遮断状態にある際の燃料タンク内の異常な正圧や負圧の圧力状態を、このバイパス通路90に設けられたリリーフ弁54の制御により逃がして調整する通路である。
<電動弁52の構成説明>
次に、電動弁52の構成を説明する。図5は電動弁52の拡大断面図であり、図6は分解斜視図である。図5に示すように、電動弁52は、弁ケーシング56の第1収容筒部60内に収容されている。電動弁52は、電動モータ92とバルブガイド94とバルブ体96とバルブスプリング98とを備えている。なお、図5は電動弁52の開弁状態を示している。
電動弁52の電動モータ92は、本実施形態ではステッピングモータである。ステッピングモータ92は、その軸方向を前後方向として第1収容筒部60内に設置されている。ステッピングモータ92は、正逆回転可能な出力軸93を有している。出力軸93は、後方へ指向されており、第1収容筒部60の第1弁室65内に同心状に配置されている。出力軸93の外周面には雄ネジ部100が形成されている。
図6に示すように、バルブガイド94は、円筒状の筒壁部102と、筒壁部102の前端開口部を閉鎖する端壁部103とを有している。筒壁部102の前端部には、外径を大きくする張出部104が段付き円筒状に形成されている。端壁部103の中央部には、円筒状の筒軸部105が同心状に形成されている。筒軸部105の前端開口部は閉鎖されている。図5に示すように、筒軸部105の内周面には雌ネジ部106が形成されている。
バルブガイド94は、第1弁室65内に対して軸方向すなわち前後方向に移動可能に配置されている。バルブガイド94は、第1弁室65の周壁部(第1収容筒部60)に対して、回り止め手段(不図示)により軸回り方向に回り止めされている。バルブガイド94の張出部104は、第1弁室65の内壁面に対して所定の隙間を隔てて嵌合されている。筒軸部105の雌ネジ部106は、ステッピングモータ92の出力軸93の雄ネジ部100にネジ合わされている。したがって、出力軸93の正逆回転に基いて、バルブガイド94が軸方向(前後方向)に移動される。なお、出力軸93の雄ネジ部100とバルブ体96の雌ネジ部106とにより送りネジ機構110が構成されている。
弁ケーシング56の弁座72とバルブガイド94の張出部104との間には、コイルバネからなる補助バネ112が介装されている。補助バネ112は、筒壁部102に嵌合されている。補助バネ112は、バルブガイド94を常に前方へ付勢することにより、送りネジ機構110のバックラッシュを抑制する。筒壁部102の後端面は、弁座72に対して当接可能に対向されている。
図6に示すように、バルブ体96は、円筒状の筒状部114と、筒状部114の後端開口部を閉鎖する弁板部115とを有している。弁板部115には、ゴム状弾性材からなる円環状のシール部材117が装着されている(図5参照)。このシール部材117を第1シール部材とする。
図5に示すように、バルブ体96は、バルブガイド94内に同心状にかつ前後方向に移動可能に配置されている。第1シール部材117は、弁座72に対して当接可能に対向されている。バルブガイド94とバルブ体96との間には、両部材94,96を軸方向(前後方向)に所定範囲内で移動可能に連結する連結手段120が設けられている。図6に示すように、連結手段120は、周方向に等間隔で複数組(例えば4組)配置されている。連結手段120は、バルブ体96の筒状部114に設けられた係合突起122と、バルブガイド94の筒壁部102に設けられた係合溝124とにより構成されている。
図6に示すように、係合突起122は、バルブ体96の筒状部114の外周面の前端部から半径方向外方に向けて突出されている。バルブガイド94の筒壁部102の内周面には、略U字状の溝形成壁126が突出状に形成されている。溝形成壁126により、筒壁部102内に開口しかつ前後方向に延びる係合溝124が形成されている。溝形成壁126の一方の側壁部は端壁部103に接続されている。溝形成壁126の他方の側壁部と端壁部103との間には、開口部127が形成されている。係合突起122は、溝形成壁126の開口部127から係合溝124内に係合されている。これにより、バルブガイド94にバルブ体96が周方向に回り止めされた状態で、軸方向(前後方向)に所定の移動量をもって移動可能に連結されている。
図5及び図6に示すように、バルブスプリング98はコイルバネからなる。バルブスプリング98は、バルブガイド94の端壁部103とバルブ体96の弁板部115との間に同心状に介装されている。バルブスプリング98は、バルブガイド94に対してバルブ体96を常に後方すなわち閉方向へ付勢している。
<リリーフ弁54の構成説明―本発明が対象とする弁構成の実施形態―>
次に、リリーフ弁54の構成を説明する。本リリーフ弁は、本発明が対象とする流体制御弁を示す弁構成の実施形態である。図7はリリーフ弁54の拡大断面図を示す。リリーフ弁54は正圧リリーフ弁機構130と負圧リリーフ弁機構132とを有する。図7の図示状態は当該両リリーフ弁機構130,132共、閉弁状態を示している。図7に示すように、リリーフ弁54は、弁ケーシング56の第2収容筒部61に配置される。
リリーフ弁54は、正圧リリーフ弁機構130及び負圧リリーフ弁機構132を同心状に有している。正圧リリーフ弁機構130の弁部材134、及び、負圧リリーフ弁機構132の弁部材136は、第2収容筒部61の第2弁室67内に同心状にかつ上下動可能に配置されている。なお、以後は、正圧リリーフ弁機構130の弁部材134は第1の弁体とし、負圧リリーフ弁機構132の弁部材136を第2の弁体とする。なお、本実施形態における第2弁室67が本発明の弁室に対応し、本実施形態の第1の弁体134が、本発明の弁体に対応する。
正圧リリーフ弁機構130の第1の弁体134は、円環板状の弁板138と、内外二重筒状をなす内筒部139及び外筒部140とを同心状に有している。弁板138の外周部は、第2収容筒部61のバルブシート82に対応する弁部141とされている。これを第1弁部141とする。第1弁部141は、バルブシート82から上方に離座するときは第2弁口80を開き、その状態からバルブシート82に着座することにより第2弁口80を閉じる。
内筒部139及び外筒部140は、弁板138上に立設されている。弁板138と内筒部139との接続部分には、弁板138を上下方向に貫通するとともに内筒部139を半径方向に貫通する複数(図7では2個を示す)の連通孔143が形成されている。第1弁部141の外周縁部の下面には、複数のストッパ片145が周方向に等間隔で形成されている。ストッパ片145は、第1の弁体134の閉弁時においてバルブシート82に当接する。これにより、第1の弁体134の閉弁位置が規定される。弁板138の内周部が負圧リリーフ弁機構132の弁座147とされている。
第2収容筒部61の上端開口部には、キャップ150及び抜け止め部材152が配置されている。キャップ150は、樹脂製で、円板状に形成されている。キャップ150は、第2収容筒部61の上端開口部を嵌合により閉鎖している。抜け止め部材152は、樹脂製で、円環状に形成されている。抜け止め部材152は、第2収容筒部61の上端部に溶着等により接合されている。抜け止め部材152は、キャップ150の外周部に係合されている。これにより、キャップ150が抜け止め部材152により抜け止めされている。
第1の弁体134の弁板138とキャップ150との対向面間には、第1コイルバネ154が同心状に配置されている。第1コイルバネ154は、第1の弁体134を下方すなわち閉弁方向に付勢している。第1コイルバネ154は、第1の弁体134の外筒部140内に嵌合されている。
第2の弁体136は、円板状のフランジ156と、断面丸形状で長軸状の軸157とを有している。第2の弁体136は、軸157が第1の弁体134の内筒部139内にその下方から嵌合されている。フランジ156は、第1の弁体134の弁座147から下方に離座するときは連通孔143を開き、その状態から弁座147に着座することにより連通孔143を閉じる。軸157の先端部(上端部)には、円環板状のばね受け部材159が取付けられている。ばね受け部材159は、第2の弁体136の開弁時において第1の弁体134の内筒部139に当接する。これにより、第2の弁体136の最大開弁量が規定される。
第1の弁体134の弁板138とばね受け部材159との対向面間には、第2コイルバネ161が同心状に配置されている。第2コイルバネ161内に、第1の弁体134の内筒部139が配置されている。第2コイルバネ161は、第2の弁体136を上方すなわち閉弁方向に付勢している。第2コイルバネ161と第1コイルバネ154とは、内外二重環状に配置されている。第2コイルバネ161のコイル径、コイル長及びコイル線径は、第1コイルバネ154のコイル径、コイル長及びコイル線径よりも小さく設定されている。したがって、第2コイルバネ161の付勢力は、第1コイルバネ154の付勢力に比べて小さい。
第1の弁体134の弁板138の下面には、ゴム状弾性材からなる円環状のシール部材163が接着等により装着されている。このシール部材163を第2シール部材とする。第2シール部材163は、ゴム等のゴム状弾性材により形成されており、下面側に内外二重環状に突出する内外の両シール部164,165を有している。内周側のシール部164は、第2の弁体136のフランジ156に対向している。第2の弁体136の閉弁時には、第2の弁体136が第2コイルバネ161の付勢力によって上方へ付勢されることにより、フランジ156が内周側のシール部164に弾性的に接触すなわち密着される。また、外周側のシール部165は、弁ケーシング56のバルブシート82に対向されている。第1の弁体134の閉弁時には、第1の弁体134が第1コイルバネ154の付勢力によって下方へ付勢されることにより、外周側のシール部165がバルブシート82に弾性的に接触すなわち密着される。
<正圧リリーフ弁機構130>
次に、正圧リリーフ弁機構130(図7参照)について説明する。正圧リリーフ弁機構130は第1コイルバネ154によって正圧側の開弁圧が設定されている。これにより、第2弁口80側(燃料タンク側)の圧力が正圧側の開弁圧以上になると、第1の弁体134が第1コイルバネ154の付勢に抗して上昇する。これにより、正圧リリーフ弁機構130が開弁される。このとき、外周側のシール部165は、バルブシート82から離れ、自由状態となり、開弁する。
<負圧リリーフ弁機構132>
次に、負圧リリーフ弁機構132(図7参照)について説明する。負圧リリーフ弁機構132は第2コイルバネ161によって負圧側の開弁圧が設定されている。これにより、第2弁口80側の圧力(燃料タンク側)の圧力が負圧側の開弁圧以下になると、第2の弁体136が第2コイルバネ161の付勢に抗して下降する。これにより、負圧リリーフ弁機構132が開弁される。このとき、内周側のシール部164は、第2の弁体136のフランジ156から相対的に離れ、自由状態となり、開弁する。
<封鎖弁38とメイン通路74等との配置>
前述した封鎖弁38は、車両(不図示)に搭載される蒸発燃料処理装置12(図1参照)におけるベーパ通路31に介装される。すなわち、図3及び図4に示すように、弁ケーシング56の第1管部57にベーパ通路31の燃料タンク15側の通路部31aが接続されるとともに、第2管部58にベーパ通路31のキャニスタ34側の通路部31bが接続される。これにより、ベーパ通路31の両通路部31a,31bが弁ケーシング56のメイン通路74を介して相互に連通されている。このため、メイン通路74は、ベーパ通路31の一部を構成している。また、図3に示すように、弁ケーシング56の取付部63は、車両の床下側の固定側部材167に対してボルト等の締結により固定される。これにより、リリーフ弁54(図3参照)の軸線が天地方向に向くように、封鎖弁38が車両に搭載される。そして、リリーフ弁54の第2弁口80は、車両搭載状態で、メイン通路74に対して天側に配置されている。すなわち、図3に示されるように、第2弁口80は第1管部57により形成されるメイン通路74より上方位置に設定される。
<電動弁52の動作>
次に、封鎖弁38における電動弁52の動作について説明する。電動弁52の動作は、リリーフ弁54の正圧リリーフ弁機構130及び負圧リリーフ弁機構132が閉弁状態(図3参照)において行われる。
<電動弁52の開弁状態>
先ず、電動弁52の開弁状態について説明する。図5に示すように、電動弁52の開弁状態においては、バルブガイド94及びバルブ体96(第1シール部材117を含む)が第1収容筒部60の弁座72から前方(図5において上方)に離れている。また、バルブガイド94に対してバルブ体96がバルブスプリング98の弾性により後方(図5において下方)へ付勢されており、図6に示すバルブガイド94の係合溝124の溝底部(溝形成壁部126の前端部)にバルブ体96の係合突起122が当接されている。このため、バルブガイド94とバルブ体96とが連結手段120を介して連結されている。
また、ECU45(図1参照)によるステッピングモータ92の駆動制御に基いて、送りネジ機構110を介してバルブガイド94が軸方向にストローク制御される。これにより、バルブガイド94とともにバルブ体96が前後方向(図5において上下方向)に移動されることにより、バルブ体96の開弁量(リフト量)が調整される。また、開弁状態において、ステッピングモータ92の通電をオフ(OFF)にしても、ステッピングモータ92のディテントトルク、送りネジ機構110のリード角等によって開弁状態を保持することができる。
そして、上述した電動弁52の開弁状態では、弁ケーシング56内に形成されるメイン通路74は連通状態にある。すなわち、図4に示す燃料タンク15側のベーパ通路31の通路部31aに接続される第1管部57のメイン通路74と、キャニスタ34側のベーパ通路31の通路部31bに接続される第2管部57のメイン通路74とは連通状態にある。
<電動弁52の閉弁作動>
次に、電動弁52の閉弁作動について説明する。電動弁52の開弁状態(図5の状態)において、ステッピングモータ92が閉弁作動されると、出力軸93が閉弁方向に回転される。これにより、送りネジ機構110を介してバルブガイド94及びバルブ体96は後方へ移動していく。すると、バルブ体96(詳しくは第1シール部材117)が弁座72に着座して、バルブ体96の後方への移動が規制される。続いて、バルブガイド94がさらに後方へ移動していく。これにともない、図6に示すバルブ体96の係合突起122に対してバルブガイド94の係合溝124の溝底部(溝形成壁部126の前端部)が前方へ移動していく。このため、連結手段120によるバルブガイド94とバルブ体96との連結が解除される。
そして、バルブガイド94の筒壁部102が弁ケーシング56の弁座72に近接又は当接したときに、ECU45によりステッピングモータ92の閉弁作動が停止される。この状態が閉弁状態である。なお、バルブガイド94の筒壁部102が弁ケーシング56の弁座72に当接してから、ステッピングモータ92を所定量開弁作動させることにより、バルブガイド94を弁座72に近接させた状態としてもよい。
<電動弁52の閉弁状態>
次に、電動弁52の閉弁状態について説明する。電動弁52の閉弁状態では、バルブ体96がバルブスプリング98の付勢力によって弁ケーシング56の弁座72に着座した状態に弾性的に保持される。また、バルブ体96と弁座72との間は第1シール部材117によって弾性的にシールされる。また、閉弁状態において、ステッピングモータ92の通電をオフ(OFF)にしても、ステッピングモータ92のディテントトルク、送りネジ機構110のリード角等によって閉弁状態を保持することができる。
<電動弁52の開弁作動>
次に、電動弁52の開弁作動について説明する。電動弁52の閉弁状態において、ステッピングモータ92が開弁作動されると、出力軸93が開弁方向に回転される。これにより、送りネジ機構110を介してバルブガイド94が前方(開方向)へ移動されていく。これにともない、バルブガイド94の係合溝124がバルブ体96の係合突起122に沿って上方へ移動していく。これにともない、バルブスプリング98及び補助バネ112がその弾性復元力により伸長する。そして、係合溝124の溝底部(溝形成壁部126の前端部)がバルブ体96の係合突起122に当接する。これにより、バルブガイド94とバルブ体96との相対移動が規制される。このため、バルブガイド94とバルブ体96とが連結手段120を介して連結される。続いて、バルブガイド94及びバルブ体96がさらに上昇されていく。これにともない、補助バネ112がその弾性復元力により伸長する。これにより、バルブ体96(詳しくは第1シール部材117)が弁ケーシング56の弁座72から離座することにより、開弁状態となる(図5の状態)。
<リリーフ弁54の作動>
次に、図7に基づいてリリーフ弁54の作動を説明する。リリーフ弁54における正圧リリーフ弁機構130の開弁作動、及び負圧リリーフ弁機構の開弁作動は、いずれも電動弁52の閉弁状態において行われる。
<正圧リリーフ弁機構130の開弁作動>
正圧リリーフ弁機構130の開弁動作は、燃料タンク15に正圧リリーフ弁機構130の開弁圧以上の正圧が生じた場合に行われる。すなわち、開弁圧以上の正圧が生じると前述したように第1の弁体134が上動して、正圧リリーフ弁機構130が開弁し、第2弁口80と第2弁室67が連通する。これにより、バイパス通路90が連通状態となり、メイン通路74における電磁弁52の第1弁口71が閉弁状態にあり、メイン通路74が遮断された状態にあっても、バイパス通路90を介して連通状態となる。このバイパス通路90の連通により、燃料タンク15側からの流体は、第1通路部75からバイパス通路90を通り、第2通路部76からキャニスタ34側へと流れる。これにより、燃料タンク15内の圧力を低下させることができる。
<負圧リリーフ弁機構132の開弁作動>
負圧リリーフ弁機構132の開弁作動は、燃料タンク15に負圧リリーフ弁機構132の開弁圧以下の負圧が生じた場合に行われる。すなわち、開弁圧以下の負圧が生じると前述したように第2の弁体136が下降して開弁して、負圧リリーフ弁機構132が開弁し、第2弁口80と第2弁室67が連通する。これにより、正圧リリーフ弁機構130の開弁の場合と同様に、バイパス通路90が連通状態となり、メイン通路74が遮断された状態にあっても、バイパス通路90を介して連通状態となる。このバイパス通路90の連通により、燃料タンク15側からの流体は、第1通路部75からバイパス通路90を通り、第2通路部76からキャニスタ34側へと流れる。これにより、燃料タンク15内の圧力を上昇させることができる。
<本実施形態の特徴構成>
上述した実施形態の封鎖弁(流体制御弁)において、本発明が特徴とする構成は、リリーフ弁54に取入れられている。その内容を以下に説明する。
<本実施形態の特徴構成―その1;第2弁室67に形成するリブ180>
本実施形態が特徴とする構成は、先ず、図8及び図9に示すように、上述したリリーフ弁54の第2弁室67の内周面67Aにリブ180を形成する構成である。図8は第2弁室67の内周面67Aにリブ180が形成された状態を示す斜視図を示し、図9はそのリブ180の配置間隔を示す上面図である。図7に示すようにリリーフ弁54の第2弁室67は、前述もしたように、樹脂製の第2収容筒部61内の上部位置に樹脂製のキャップ150の円筒部150Aが嵌合して形成される。そして、リリーフ弁54の第1の弁体134の外周部は、キャップ150の円筒部150Aが配置されない第2の弁室67の下方部の第2収容筒部61の内周面の範囲で上下移動するようになっている。この第1の弁体134の上下移動により正圧リリーフ弁機構130の開閉作動が行われる。
リブ180は、上記した第1の弁体134の上下動する範囲内における第2弁室67の内周面67Aに形成されている。そのリブ180の形成状態が図8及び図9に示される。リブ180は第2収容筒部61と一体的に形成されており、樹脂製とされている。リブ180は、図9に示すように、第2弁室67の内周面67Aに等間隔に配置されている。本実施形態では8個のリブ180が45度の等間隔で配置されている。なお、図8に示すようにリブ180は第2弁室67の軸方向に形成されている。このリブ180が配設される軸方向は、第1の弁体134が上下移動する移動方向と同じ方向である。
第1の弁体134の外周部134Aは、上述した第2弁室67の内周面67Aに形成したリブ180の配設により、当該リブ180に沿って上下方向に摺動移動する構成となる。このため、第2弁室67の内周面67Aと第1の弁体134の外周部134Aとの間には、リブ180の存在により間隙が形成される。この間隙が正圧リリーフ弁機構130の開弁時における流路となり、流体が流通する。本実施形態においては流路は、リブ180が45度間隔で均等に配置されているため、第2弁室67の内周面67A周りに一様に形成される。これは、リブ180が3個以上で、その間隔が120度以内であれば、第1の弁体134に偏りが生じることなく、間隙は均等に形成されることによる。
<本実施形態の特徴構成(その1)による作用効果>
上述した第2弁室67の内周面67Aにリブ180を設ける構成によれば、第1の弁体134にいわゆる暴れを生じることなく、正圧リリーフ弁機構130の開弁流通を行うことができる。このため、流通制御を精度良く行うことができる。図10及び図11は本実施形態の特徴構成の作用効果を説明するため模式的に示した図である。図10は上面図、図11は第1の弁体134の作動状態を示す側面図である。
図10に示すような本実施形態の特徴構成によれば、第2弁室67の内周面67Aに均等に配設されたリブ180により、正圧リリーフ弁機構130における開弁流通時の流通隙間は第1の弁体134の外周に一様に形成される。これにより、図11に示すように、流体が第1の弁体134の外周の間隙を流通する際に第1の弁体134はリブ180に沿って白抜き矢印で示すように平行に上下方向に移動するため、偏りを生じることがない。このため一様に形成された外周の間隙を一様に流通し、その流通は精度良く行われる。また、本実施形態によれば、後述するように第1の弁体134の暴れを防止ないし抑制することができることから、これに伴う騒音の発生も防止ないし抑制することができる。
図12〜図15は上述した本実施形態の特徴構成による作用効果と比較するために示したものであり、本実施形態のようにリブが配設されていない構成の場合である。図12及び図13は当該図で見て第1の弁体134が左方向に偏り、第1の弁体134の右側が上方に傾いた状態となった場合を示している。図14及び図15は当該図で見て逆に第1の弁体134が右方向に偏り、第1の弁体134の左側が上方に傾いた状態となった場合を示している。
図12及び図13の状態は、第2弁室67の内周面67Aにリブが配設されていないことにより、流体の流通間隙を流通する作用力等の違いにより第1の弁体134が左方向に移動した状態を示す(図12参照)。この状態では、図13に示すように第1の弁体134が左側を支点とする片持ち状態となり、白抜き矢印で示すように右側が上方に傾いた状態となる。この状態では、図12及び図13に示すように、流体の流通は第1の弁体134の右側のみから流通が行われる。このため、流通精度が不安定となる問題がある。
図14及び図15の状態は、上記とは逆に、流体の流通間隙を流通する作用力等の違いにより第1の弁体134が右方向に移動した状態を示す(図14参照)。この状態では、図15に示すように第1の弁体134が右側を支点とする片持ち状態となり、白抜き矢印で示すように左側が上方に傾いた状態となる。この状態では、図14及び図15に示すように、流体の流通は第1の弁体134の左側のみから流通が行われる。このため、その流通精度が不安定となる問題がある。
なお、図12及び図13の状態と図14及び図15の状態は、流体の流通間隙を流通する作用力により第2弁室67の内周面67Aの円周上に沿って変化していく。この変化は第1の弁体134の暴れ現象として、第2弁室67内に生じ、騒音を発生する問題を生じさせている。
<本実施形態の特徴構成―その2;リリーフ弁54におけるバルブシート(シート体)82の弁ケーシング56への埋設構成>
本実施形態が特徴とする次の構成は、図7に示すように、リリーフ弁54の正圧リリーフ弁機構130における第1の弁体134との開閉のシール部を構成するバルブシート82の弁ケーシング56への埋設構成である。バルブシート82は、前述したリリーフ弁54の構成で説明したように、第2弁室67の内面における第2弁室67への流入口となる第2弁口80の近傍位置に配設される。そして、バルブシート82は弁ケーシング56に埋設して配設される。弁ケーシング56とバルブシート82は熱膨張率の異なる別材料で形成される。本実施形態では、弁ケーシング56は樹脂、バルブシート82は金属で形成される。
本実施形態では、バルブシート82の弁ケーシング56への埋設構成において、両者は別材料で形成されることから両部材82,56間には界面が形成される。この両部材82,56間の界面における、異なる界面部位の個所で、両部材82、56の熱膨張率の違いにより異なる温度状態で両部材82,56間の界面部位がシール状態となる埋設構成とされている。
例えば、高温状態の第1の温度状態時に、両部材82,56間における設定された位置の界面部位の箇所が熱膨張率の違いにより強い接触圧状態となり、その界面部位の箇所がシール状態となる部位個所を有する埋設構成とされている。そして、第1の温度状態時とは異なる例えば低温状態時の第2の温度状態時に、両部材82,56間における別に設定された位置の界面部位の箇所が熱膨張率の違いにより強い接触圧状態となり、その界面部位がシール状態となる部位個所を有する埋設構成とされている。なお、以後の説明においては、高温状態の第1の温度状態時にシールを行う部位箇所をH部位箇所とし、低温状態の第2の温度状態時にシールを行う部位箇所をC部位箇所として説明する。なお、本実施形態におけるH部位箇所が設定される界面部位の位置と、C部位箇所が設定される界面部位の位置は異なった界面部位の位置とされている。
上述したバルブシート82の弁ケーシング56への埋設形態は、種々の形態がある。その形態を以下に順次説明する。
先ず、第1の埋設形態について説明する。第1の埋設形態は図16に示される。この形態は図7に示すリリーフ弁54に組み込まれた構成の形態と同じである。図20はバルブシート82単体の半裁斜視図を示す。この形態のバルブシート82は、図20に示されるように断面コ字形の開口が下方に向けて配設された形態となっており、ワッシャ状のフランジ部82Aと、第1の筒部82Bと、第2の筒部82Cとから成っている。フランジ部82Aは平板のワッシャ状に形成されており、その上面は第1の弁体134とのシール面となっている。第1の筒部82Bはフランジ部82Aの外周側が下方に折り曲げ形成されて軸方向下方に伸びて形成されている。第2の筒部82Cはフランジ部82Aの内周側が下方に折り曲げ形成されて軸方向下方に伸びて形成されている。このフランジ部82Aと、第1の筒部82Bと、第2の筒部82Cは金属製でプレス成形で一体に形成されている。
上記第1の埋設形態のバルブシート82は、図16に示すように、樹脂製の弁ケーシング56に埋設される。詳細には、平面形状のフランジ部82Aは下面部82Aaのみが埋設される。軸方向下方に配設される第1の筒部82Bは内周面82Baおよび外周面82Bbの両面が埋設される。そして、第2の筒部82Cは外周面82Cbのみが埋設される。熱膨張率はバルブシート82を形成する金属より、弁ケーシング56を形成する樹脂の方が大きいため、この形態におけるシール部位箇所は次の通りとなる。すなわち、第1の筒部82Bの内周面82BaはH部位箇所、外周面82BbはC部位箇所となる。また、第2の筒部82Cの外周面82CbはC部位箇所となる。
次に、第2の埋設形態について説明する。第2の埋設形態は図17に示される。なお、以後の説明においては、バルブシート82の形態において同じ部位と認められる部位には同じ符号を付して示し、その説明を省略することがある。この第2の埋設形態のバルブシート82は、断面L字形で形成されており、ワッシャ状のフランジ部82Aと、第3の筒部82Dとから成っている。フランジ部82Aは前述の第1の埋設形態と同じであり、平板のワッシャ状に形成されており、その上面は第1の弁体134とのシール面となっている。第3の筒部82Dはフランジ部82Aの外周側が上方に折り曲げ形成されて軸方向上方に伸びて配設されている。このフランジ部82Aと、第3の筒部82Dとは金属製でプレス成形で一体に形成されている。
上記第2の埋設形態におけるバルブシート82の樹脂製の弁ケーシング56への埋設は次の通りである。平面形状のフランジ部82Aは下面部82Aaのみが埋設される。軸方向上方に配設される第3の筒部82Dは内周面82Daおよび外周面82Dbの両面が埋設される。そして,この第2の埋設形態における界面のシール部位個所は次の通りとなる。第3の筒部82Dの内周面82DaはH部位箇所、外周面82DbはC部位箇所となる。
次に、第3の埋設形態について説明する。第3の埋設形態は図18に示される。第3の埋設形態のバルブシート82は、断面がクランク形状で形成されており、ワッシャ状のフランジ部82Aと、第2の筒部82Cと,第3の筒部82Dとから成っている。この第3の埋設形態は、前述の第1の埋設形態と第2の埋設形態とを組合せ構成したものである。すなわち、フランジ部82Aは前述の第1及び第2の埋設形態と同じであり、平板のワッシャ状に形成されており、その上面は第1の弁体134とのシール面となっている。第2の筒部82Cはフランジ部82Aの内周側が下方に折り曲げ形成されて軸方向下方に伸びて配設されている。第3の筒部82Dはフランジ部82Aの外周側が上方に折り曲げ形成されて軸方向上方に伸びて配設されている。このフランジ部82A、第2の筒部82C、及び第3の筒部82Dは金属製でプレス成形で一体に形成されている。
上記第3の埋設形態におけるバルブシート82の樹脂製の弁ケーシング56への埋設状況は、上述した第1及び第2の埋設形態におけるフランジ部82A、第2の筒部82C、第3の筒部82Dと同じである。したがって、この第3の埋設形態における界面のシール部位個所は次の通りである。第2の筒部82Cの外周面82BbはC部位箇所、第3の筒部82Dの内周面82DaはH部位箇所、外周面82DbはC部位箇所となる。
次に、第4の埋設形態について説明する。第4の埋設形態は図19に示される。第4の埋設形態のバルブシート82は、断面コ字形に形成されており、第1のフランジ部82Eと、第2のフランジ部82Fと、接続部82Gとから成っている。第1のフランジ部82Eは前述の第1の埋設形態から第3の埋設形態におけるフランジ部82Aに相当する部位であり、平板のワッシャ状に形成されており、その上面は第1の弁体134とのシール面となっている。第2のフランジ部82Fも平板のワッシャ状に形成されており、第1のフランジ部82Eから軸方向、図19で見て下方に離間して、第1のフランジ部82Eと並行に配置されている。接続部82Gは第1のフランジ部82Eの内周部と第2のフランジ部82Fの内周部とを繋ぐ部位であり、前述の第1の埋設形態とら第3の埋設形態における第2の筒部82Cに相当する部位である。
上記第4の埋設形態におけるバルブシート82の樹脂製の弁ケーシング56への埋設構成は次の通りである。弁ケーシング56を形成する樹脂は、第1のフランジ部82Eの下面部82Eaと第2のフランジ部82Fの上面部82Fbとの間、及び第2のフランジ部82Fの下面部82Faに充填されて埋設される。これにより、この第4の埋設形態における界面のシール部位個所は次の通りとなる。第1のフランジ部82Eの下面部82EaはH部位個所 ,第2フランジ部82Fの上面部82FbもH部位個所、接続部82Gの外周面82GbはC部位個所となる。
<本実施形態の特徴構成(その2)による作用効果>
上述した本実施形態の特徴構成(その2)によれば、バルブシート82と弁ケーシング56とは熱膨張率の異なる材料を用いる。これにより、異なる温度状態時、例えば温度上昇時または温度低下時に、両部材82、56間の異なる界面個所(H部位個所又はC部位個所)で当該界面をシールする構成となる。すなわち、熱膨張率の違いにより当該界面個所におけるバルブシート82の部位と弁ケーシング56の部位との接触圧が強くなり、流体の流通を封止する。これにより、バルブシート82と弁ケーシング56との界面間はシールされ、正圧リリーフ弁機構130における流体の流通制御が精度良く行われる。
上記作用効果を、上述した図17に示す第2の埋設形態と、図18に示す第3の埋設形態の場合を代表例として説明する。図21及び図22は第2の埋設形態の場合であり、図23及び図24は第3の埋設形態の場合である。本実施形態はいずれの場合も、バルブシ-ト82は金属製であり、弁ケーシング56は樹脂製の場合である。熱膨張率及び熱収縮率は金属より樹脂の方が大きい。
先ず、図21及び図22に示す第2の埋設形態の場合について説明する。図21は温度上昇時の状態の場合であり、図22は温度低下時の場合である。図21における温度上昇時においては、金属製のバルブシート82より樹脂製の弁ケーシング56の方が熱膨張率は大きいため、バルブシート82の第3の筒部82Dにおける径方向外方(図21で見て右方向)への膨張(伸長)は、第3の筒部82Dよりその周囲の弁ケーシング56の膨張の方が矢印で示すように大きい。このため、第3の筒部82Dの内周面82Daと当該内周面82Daに対向する弁ケーシング56の面との界面は、強い接触圧の接触状態となり流体の流通を封止する。すなわち、両者間の界面をシールする。この状態が前述したH個所部位であり、本発明で言う第1の温度状態時及び第2の温度状態時のいずれか一方の状態時である。
図22に示す温度低下時の場合は、逆に、金属製のバルブシート82より樹脂製の弁ケーシング56の方が熱収縮率は大きいため、バルブシート82の第3の筒部82Dにおける径方向内方(図22で見て左方向)への収縮は、第3の筒部82Dよりその周囲の弁ケーシング56の収縮の方が矢印で示すように大きい。このため、第3の筒部82Dの外周面82Dbと当該外周面82Dbに対向する弁ケーシング56の面との界面は、強い接触圧の接触状態となり流体の流通を封止する。すなわち、両者間の界面をシールする。この状態が前述したC個所部位であり、本発明で言う第1の温度状態時及び第2の温度状態時のいずれか他方の状態時である。
次に、図23及び図24に示す第3の埋設形態の場合について説明する。図23は温度上昇時の状態の場合であり、図24は温度低下時の場合である。第3の埋設形態におけるバルブシート82の第3の筒部82Dは、前述の第2の埋設形態における第3の筒部82Dと同じ形態であり、同じ作用効果を成すので重複説明は省略する。したがって、第2の筒部82Cについて説明する。図23に示す温度上昇時の状態では、金属製のバルブシート82より樹脂製の弁ケーシング56の方が熱膨張率は大きいため、バルブシート82の第2の筒部82Cにおける径方向外方(図23で見て右方向)への膨張(伸長)は、第2の筒部82Cよりその周囲の弁ケーシング56の膨張の方が矢印で示すように大きい。このため、シール機能を成さない。
図24に示す温度低下時の場合は、逆に、金属製のバルブシート82より樹脂製の弁ケーシング56の方が熱収縮率は大きいため、バルブシート82の第2の筒部82Cにおける径方向内方(図24で見て左方向)への収縮は、第2の筒部82Cよりその周囲の弁ケーシング56の収縮の方が矢印で示すように大きい。このため、第2の筒部82Cの外周面82Cbと当該外周面82Cbに対向する弁ケーシング56の面との界面は、強い接触圧の接触状態となり流体の流通を封止する。すなわち、両者間の界面をシールする。したがって、第3の埋設形態においては、温度低下時には第2の筒部82Cでも界面のシールが行われる。そして、この状態が前述したC個所部位であり、本発明で言う第1の温度状態時及び第2の温度状態時のいずれか他方の状態時である。
<本実施形態の他の構成による効果>
本実施形態の封鎖弁(流体制御弁)38によると、電動弁52及びリリーフ弁54を互いの軸方向が異なる方向となるように配置される。すなわち、電動弁52とリリーフ弁54とは、互いの軸線がねじれの位置関係をなすように配置される。詳しくは、電動弁52は軸方向が前後方向となるように配置されるとともに、リリーフ弁54は軸方向が上下方向となるように配置される。これによって、リリーフ弁54の軸方向に沿う方向(上下方向)の寸法を短縮し、封鎖弁38をコンパクト化することができる。
また、弁ケーシング56に、第1弁口71を有するメイン通路74と、第2弁口80を有するバイパス通路90とが形成されている。このため、電動弁52及びリリーフ弁54を集約し、封鎖弁38をコンパクト化することができる。
<実施形態の変形例>
以上、本発明を特定の実施形態について説明したが、本発明はその他各種の形態でも実施可能なものである。
例えば、第2弁室67の内周面67Aに形成されるリブ180の断面形状は、第1の弁体134が軸方向に摺接移動できる形状であればよく、本実施形態のように半丸形状に限らない。
また、リブ180の配設個数は3個以上であればよく、且つ、その配設間隔は120度以内であれば問わない。要は、第1の弁体134が偏った配置とならない配置構成であればよい。ただし、配置構成のバランス上からはリブ180は等間隔とするのが好ましい。
また、バルブシート82の弁ケーシング56への埋設形態は、構成材料の熱膨張率の違いにより当該構成材料の界面に上述したいわゆるH部位個所及びC部位個所が生じる構成であればよい。
また、バルブシート82及び弁ケーシング56の構成材料は金属及び樹脂に限定されることなく、両部材が熱膨張率が異なるものであればよい。
また、本実施形態の封鎖弁(流体制御弁)38は、蒸発燃料処理装置12に限らず、その他の必要な装置に適用してもよい。また、電動弁52とリリーフ弁54とは、互いの軸方向が異なる方向となるように配置されていればよく、その方向は限定されない。
12…蒸発燃料処理装置
15…燃料タンク
31…ベーパ通路
34…キャニスタ
38…封鎖弁(流体制御弁)
52…電動弁
54…リリーフ弁
56…弁ケーシング
65…第1弁室
67…第2弁室(弁室)
74…メイン通路
80…第2弁口(弁口)
82…バルブシート(シート体)
82A…フランジ部
82B…第1の筒部
82C…第2の筒部
82D…第3の筒部
82E…第1のフランジ部
82F…第2のフランジ部
82G…接続部
90…バイパス通路
130…正圧リリーフ弁機構
132…負圧リリーフ弁機構
134…第1の弁体(弁体)
136…第2の弁体
180…リブ

Claims (6)

  1. 弁ケーシングにより形成される筒形状の弁室と、該弁室内に配置される弁体と、前記弁室の内面における前記弁室への流入口となる弁口近傍に配設されるシート体とを備え、前記弁体とシート体との近接離反により流路の開閉を行う構成とされている流体制御弁であって、
    前記流路の開閉は前記弁体の軸方向の移動により行われる構成となっており、
    前記弁ケーシングにおける、筒形状の弁室を形成する内周面には、軸方向に形成される3箇所以上のリブが少なくとも120度間隔以内で形成されており、前記リブにより前記弁体は軸方向に摺動案内される配設とされている、流体制御弁。
  2. 請求項1に記載の流体制御弁であって、
    前記シート体と前記弁ケーシングとは熱膨張率の異なる別材料で構成されており、
    前記シート体と前記弁ケーシングの界面には、第1の温度状態時に当該両者間が熱膨張率の違いにより接触状態となりシールを行う部位個所と、前記第1の温度状態時とは異なる第2の温度状態時に当該両者間が熱膨張率の違いにより接触状態となりシールを行う部位個所が別々に設定されている、流体制御弁。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の流体制御弁であって、
    前記弁ケーシングは樹脂、前記シート体は金属で形成されている、流体制御弁。
  4. 請求項3に記載の流体制御弁であって、
    前記シート体は、前記弁体とのシール面であるワッシャ状のフランジ部と、該フランジ部の外周から軸方向に沿って伸びる第1の筒部を有し、当該第1の筒部は前記弁ケーシング内に埋設されている、流体制御弁。
  5. 請求項4に記載の流体制御弁であって、
    前記シート体は、さらに前記フランジ部の内周から軸方向に沿って伸びる第2の筒部を有し、当該第2の筒部の外周面が前記弁ケーシングに接している、流体制御弁。
  6. 請求項3に記載の流体制御弁であって、
    前記シート体は、前記弁体とのシール面であるワッシャ状の第1のフランジ部と、該第1のフランジ部から軸方向に離間したワッシャ状の第2のフランジ部と、該第1のフランジ部と第2のフランジ部を繋ぐ接続部とから形成されており、
    前記シート体の第1のフランジ部と第2のフランジ部との間に樹脂で形成される前記弁ケーシングの一部が充填形成されている、流体制御弁。
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