JP2019209749A - 空気入りタイヤ、及び、空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤ、及び、空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量化を可能にしつつ、十分なタイヤ性能を確保できる、空気入りタイヤ、及び、当該空気入りタイヤを得るための、空気入りタイヤの製造方法を提供する。【解決手段】本発明の空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に螺旋状に延在するとともにゴムで被覆されたコードを有する、ベルト層40と、タイヤ周方向に対し傾斜した方向にベルト層の周りに巻かれている、樹脂ストリップ51と、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤ、及び、空気入りタイヤの製造方法に関する。
従来より、空気入りタイヤにおいては、カーカスのタイヤ外周側に、コードを層間で互いに逆向きで交差する方向に配列した2層のベルト層(交錯ベルト層)が配置されることが多い(例えば、特許文献1)。
特開平10−35220号公報
しかしながら、上述したような2層の交錯ベルト層を備えた空気入りタイヤにおいては、タイヤの重量が重くなるという問題があった。
そこで、ベルト層の数を1層に減らし、軽量化を図ることも考えられる。しかし、その場合、2層の交錯ベルト層を備えた場合と同等のタイヤ性能が得られないおそれがある。
本発明は、軽量化を可能にしつつ、十分なタイヤ性能を確保できる、空気入りタイヤ、及び、当該空気入りタイヤを得るための、空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の空気入りタイヤは、
タイヤ周方向に螺旋状に延在するとともにゴムで被覆されたコードを有する、ベルト層と、
タイヤ周方向に対し傾斜した方向に前記ベルト層の周りに巻かれている、樹脂ストリップと、
を備えている。
本発明の空気入りタイヤによれば、軽量化を可能にしつつ、十分なタイヤ性能を確保できる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、
前記樹脂ストリップは、前記ベルト層の表面の全体を覆っていると、好適である。
これによれば、タイヤの運動性能を向上できる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、
前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の外周面を覆う外周側ストリップ部分と、前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の内周面を覆う内周側ストリップ部分とは、タイヤ幅方向の一方側から他方側に向かうにつれて、タイヤ周方向における同じ側に向かって延在していると、好適である。
これによれば、タイヤの運動性能を向上できる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、
前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の外周面を覆う外周側ストリップ部分と、前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の内周面を覆う内周側ストリップ部分とは、タイヤ幅方向の一方側から他方側に向かうにつれて、タイヤ周方向における反対側に向かって延在していても、好適である。
これによれば、タイヤの運動性能を向上できる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、
前記樹脂ストリップの長手方向の引張弾性率は、前記樹脂ストリップの幅方向の引張弾性率よりも高いと、好適である。
これによれば、タイヤの運動性能を向上できる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、
前記樹脂ストリップは、前記樹脂ストリップの長手方向とほぼ平行に配向された繊維を含むと、好適である。
これによれば、タイヤの運動性能を向上できる。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、
上記の空気入りタイヤを製造する方法であって、
前記樹脂ストリップをタイヤ周方向に対し傾斜した方向に前記ベルト層の周りに巻回する、樹脂ストリップ巻回ステップと、
前記樹脂ストリップ巻回ステップの後、前記ベルト層及び前記樹脂ストリップを備えた未加硫タイヤを成形する、成形ステップと、
前記未加硫タイヤを加硫する、加硫ステップと、
を含む。
本発明の空気入りタイヤの製造方法によれば、軽量化を可能にしつつ、十分なタイヤ性能を確保できる。
本発明によれば、軽量化を可能にしつつ、十分なタイヤ性能を確保できる、空気入りタイヤ、及び、当該空気入りタイヤを得るための、空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤを示す、タイヤ半部のタイヤ幅方向断面図である。 図1の空気入りタイヤの内部構造を一部分解して示す、斜視図である。 本発明の第1変形例に係る空気入りタイヤの内部構造を一部分解して示す、斜視図である。 本発明の第2変形例に係る空気入りタイヤにおける、図2のA部に相当する部分を拡大して示す図面である。
以下、本発明に係る空気入りタイヤ、及び、空気入りタイヤの製造方法の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。
本発明に係る空気入りタイヤ、及び、空気入りタイヤの製造方法は、例えば乗用車用空気入りタイヤ等、任意の種類の空気入りタイヤに利用できるものである。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
本明細書では、「空気入りタイヤ」を、単に「タイヤ」ともいう。
図1は、本発明の一実施形態のタイヤ1のタイヤ半部を示すタイヤ幅方向断面図である。図2は、図1のタイヤ1の内部構造を一部分解して示す、斜視図である。図3は、本発明の第1変形例に係る空気入りタイヤ1の内部構造を一部分解して示す、斜視図である。
図1〜図3に示すように、タイヤ1は、トレッド部10と、トレッド部10のタイヤ幅方向両端部からそれぞれタイヤ径方向内側へ延びる一対のサイドウォール部11と、サイドウォール部11からそれぞれタイヤ径方向内側に連続する一対のビード部12と、から構成されている。また、タイヤ1は、各ビード部12にビードコア30を備えており、これらのビードコア30どうしの間には、少なくとも一層(図の例では1層)のカーカスプライを含むカーカス20が、トロイド状に延びている。図の例において、カーカス20は、一対のビードコア30どうしの間をトロイド状に延びる本体部20aと、タイヤ赤道面CLに対する両側のそれぞれにおいて、本体部20aのタイヤ径方向最内端から、ビードコア30の周りでタイヤ幅方向外側に向けて折り返された、一対の折り返し部20bと、を含んでいる。タイヤ1は、さらに、トレッド部10におけるカーカス20のクラウン域よりもタイヤ外周側において、1層のベルト層40と、このベルト層40の周りを覆う樹脂層50とを、備えている。樹脂層50は、後述するように、樹脂ストリップ51から構成されている。
タイヤ1は、ベルト層40を1層のみ有している。ベルト層40は、略タイヤ周方向に螺旋状に延在するとともにゴム(被覆ゴム)42で被覆されたコード41を有しているベルト層(以下、「スパイラルベルト層」という。)である。より具体的に、ベルト層40は、ゴム42で被覆された1本又は複数本のコード41が、略タイヤ幅方向の一方側へ向かいながらタイヤ1の回転軸線の周りを複数回にわたって螺旋状に巻回された状態のものである。
コード41としては、例えば、金属コード(スチールコード等)、有機繊維コード(アラミド繊維コード、ナイロン繊維コード等)、カーボン繊維コード等を用いるとよい。コード41は、モノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。有機繊維コードは、単繊維又は複数本の単繊維を撚り合わせたものを用いることができる。被覆ゴム42は、ベルトコーティングゴムに通常用いるゴム材料等、任意の既知のゴム材料を用いることができる。
コード41のタイヤ周方向に対する鋭角側の角度θ1(図2、図3)は、10°以下が好適であり、5°以下がより好適であり、1°以下がさらに好適である。
本実施形態では、タイヤ1が、ベルト層40を1層のみ有しているので、上述した従来のタイヤにおいて2層の交錯ベルト層を有する場合に比べて、軽量化が可能になる。なお、ベルト層の重量は、主に、コードが占めている。よって、ベルト層1層分のコードの重量を削減できることは、軽量化に大きく寄与する。
また、上述した従来のタイヤにおいて2層の交錯ベルト層を有する場合は、交錯ベルト層間で、パンタグラフ変形時等においてせん断応力が集中し易く、それにより耐久性が低下するおそれがあるが、本実施形態では、タイヤ1が2層の交錯ベルト層を有していないので、タイヤ1の耐久性を向上できる。
また、本実施形態では、ベルト層40が、タイヤ周方向に螺旋状に延在するとともにゴム(被覆ゴム)42で被覆されたコード41を有する、スパイラルベルト層であるので、タイヤ1の周方向剛性を十分に確保することができ、ひいては、タイヤ1の直進時の操縦安定性や、径成長防止性能を、十分に確保できる。
以下では、ベルト層40を、「スパイラルベルト層40」ともいう。
ただし、タイヤ1は、軽量化が可能な範囲で、ベルト層40を2層以上有していてもよい。
ベルト層40のタイヤ幅方向の幅は、例えば、タイヤ1のタイヤ接地幅の90〜120%であると、好適である。
ここで、「タイヤ接地幅」は、タイヤ1を適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した状態での接地面のタイヤ幅方向最外側位置を接地端とし、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態での接地端間のタイヤ幅方向距離とする。
また、本明細書内のその他の寸法や角度は、タイヤを適用リムに装着して、規定内圧を充填し、無負荷状態とした状態で測定されるものとする。
本明細書において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されている、または将来的に記載される適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(すなわち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。また、「規定内圧」は、適用サイズのタイヤにおける上記JATMA等の規格のタイヤ最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいう。なお、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。「最大負荷荷重」は、適用サイズのタイヤにおける上記JATMA等の規格のタイヤ最大負荷能力、又は、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重を意味する。
図1〜図3に示すように、樹脂層50は、1本又は複数本(本例では、1本)の樹脂ストリップ51から構成されている。樹脂ストリップ51は、タイヤ周方向に対し傾斜した方向にベルト層40の周りに巻かれている。より具体的に、樹脂ストリップ51は、タイヤ周方向に対し傾斜した方向に延在しつつ、ベルト層40のタイヤ幅方向両側の端面40eで折り返されながら、ベルト層40の周りに複数回にわたって巻かれており、これにより、ベルト層40の表面(外周面、内周面、及びタイヤ幅方向両側の端面)の全体を覆っている。これにより、タイヤ幅方向断面(図1)において、樹脂層50は、ベルト層40の周りを環状に囲っている。
より具体的に、図2に示すように、樹脂ストリップ51は、タイヤ周方向の一方側へ向かいながら、タイヤ周方向に対する傾斜角度(θ2、θ3)を略一定に維持しつつ、ベルト層40のタイヤ幅方向両側の端面40eで複数回にわたって折り返されながら、タイヤ1周分にわたって、ベルト層40の周りに螺旋状に巻回された状態とされている。樹脂ストリップ51のうち、ベルト層40の外周面を覆う外周側ストリップ部分511と、樹脂ストリップ51のうち、ベルト層40の内周面を覆う内周側ストリップ部分512とは、それぞれの延在方向LDが略同じであり、タイヤ幅方向の一方側WD1から他方側WD2に向かうにつれて、タイヤ周方向における同じ側CD1に向かって延在している。樹脂ストリップ51のうち、ベルト層40のタイヤ幅方向端面40eを覆う端ストリップ部分513は、外周側ストリップ部分511と内周側ストリップ部分512とのタイヤ幅方向の同じ側の端部どうしを、一体に連結している。
図3に示す第1変形例では、図2の例とは異なる形態で樹脂ストリップ51がベルト層40の周りに巻かれている。
より具体的に、図3の例において、樹脂ストリップ51は、タイヤ周方向の一方側へ向かいながら、ベルト層40のタイヤ幅方向両側の端面40eで複数回にわたって折り返されており、ベルト層40のタイヤ幅方向両側の端面40eで折り返される度に延在方向LDがタイヤ幅方向に対し反転されながら、タイヤ複数周分にわたって、ベルト層40の周りにジグザグ状に巻回された状態とされている。樹脂ストリップ51のうち、ベルト層40の外周面を覆う外周側ストリップ部分511と、樹脂ストリップ51のうち、ベルト層40の内周面を覆う内周側ストリップ部分512とは、タイヤ幅方向の一方側WD1から他方側WD2に向かうにつれて、タイヤ周方向における反対側CD1、CD2に向かって延在している。樹脂ストリップ51のうち、ベルト層40のタイヤ幅方向端面40eを覆う端ストリップ部分513は、外周側ストリップ部分511と内周側ストリップ部分512とのタイヤ幅方向の同じ側の端部どうしを、一体に連結している。
図2及び図3の各例において、ベルト層40の外周面上には、複数の外周側ストリップ部分511が、タイヤ周方向に配列されている。これら複数の外周側ストリップ部分511は、それぞれの延在方向が同じである。また、ベルト層40の内周面上には、複数の内周側ストリップ部分512が、タイヤ周方向に配列されている。これら複数の内周側ストリップ部分512は、それぞれの延在方向が同じである。また、ベルト層40のタイヤ幅方向の端面40e上には、複数の端ストリップ部分513が、タイヤ周方向に配列されている。
また、図2及び図3の各例において、複数の外周側ストリップ部分511どうし、複数の内周側ストリップ部分512どうし、複数の端ストリップ部分513どうしは、それぞれの幅方向端面どうしが接触しており、いいかえれば、それぞれの幅方向端面どうしの間には隙間がなく、また、互いに厚み方向に重なってはいない。
なお、樹脂ストリップ51の「延在方向(LD)」は、樹脂ストリップ51の長手方向と同じである。樹脂ストリップ51の「幅方向」は、樹脂ストリップ51の延在方向に垂直な方向である。
仮に、タイヤ1が樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)を有しておらず、スパイラルベルト層40のみを有する場合、タイヤ1は、タイヤ幅方向の剛性を殆ど確保することができず、ひいては、面内せん断剛性を十分に確保することができない。そのため、旋回時の操縦安定性等のタイヤ運動性能を十分に確保することができない。
一方、図2及び図3の各例においては、タイヤ1が、スパイラルベルト層40に加えて、タイヤ周方向に対し傾斜した方向にベルト層40の周りに巻かれた樹脂ストリップ51を有するので、タイヤ幅方向の剛性を十分に補うことができ、それにより、従来の2層の交錯ベルト層を備えた場合と同等以上の面内せん断剛性ひいてはタイヤ運動性能等のタイヤ性能を確保することができる。
また、樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)は、ベルト層が有するようなコードを有さず、また、ゴムよりも軽い樹脂材料からなるため、ベルト層40の外周側及び内周側で実質2層の樹脂層50が追加されたとはいえ、依然として、従来の2層の交錯ベルト層を備えた場合に比べて、タイヤの軽量化が可能である。
また、樹脂ストリップ51によってベルト層40を覆っていることにより、ベルト層40を構成するゴム(被覆ゴム)42の酸化劣化を抑制でき、タイヤの耐久性を向上できる。
なお、図2及び図3の各例のように、タイヤ周方向に対し傾斜した方向に延在する樹脂ストリップ51によってベルト層40の表面を覆う構成に代えて、例えば、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向のそれぞれに幅広く連続する樹脂シートによってベルト層40の表面を覆うことも考えられる。しかし、樹脂ストリップ51と樹脂シートとの厚み、材料及び物性が同じであるとしたとき、樹脂ストリップ51と樹脂シートとを比べると、その形状の違いから、樹脂ストリップ51は、その延在方向(長手方向)LDの強度引張弾性率がその幅方向の強度引張弾性率に比べて高いという異方性を有するのに対し、樹脂シートは、その厚み方向に垂直な各方向の強度引張弾性率が同等であるという等方性を有する。そのため、図2及び図3の各例のように、タイヤ周方向に対し傾斜した方向に延在する樹脂ストリップ51を設ける場合は、樹脂シートを設ける場合に比べて、樹脂ストリップ51の延在方向の強度、ひいては、タイヤ周方向に対し傾斜した方向の強度を、より高めることができ、ひいては、タイヤ1の面内せん断剛性をより向上できる。
ここで、樹脂シートを設ける場合に、面内せん断剛性を向上させるためには、樹脂シートを構成する樹脂材料の弾性率を高くすることが考えられるが、そうすると、タイヤ使用時の大変形に耐えることが難しく、亀裂等の損傷が発生するおそれがある。その点、図2及び図3の各例のように樹脂ストリップ51を設ける場合は、樹脂ストリップ51を構成する樹脂材料の弾性率をさほど高める必要がなく、タイヤ使用時の大変形による亀裂等の損傷の発生を抑制できるので、タイヤの耐久性を向上できる。
また、図2及び図3の各例のように、樹脂ストリップ51をベルト層40のタイヤ幅方向両側の端面40eで複数回にわたって折り返しながらベルト層40の周りに巻いた構成に代えて、例えば、ベルト層40の外周面と内周面とをそれぞれ別々の短冊状の樹脂ストリップ51で覆い、ひいては、ベルト層40の外周面を覆う樹脂ストリップ51とベルト層40の内周面を覆う樹脂ストリップ51とを不連続にすることも考えられる。しかし、その場合は、タイヤ転動時において、短冊状の樹脂ストリップ51のタイヤ幅方向両側の端部が動きやすくなるため、その付近で応力が集中し、タイヤの耐久性が低下するおそれがある。その点、図2及び図3の各例では、ベルト層40の外周面を覆う樹脂ストリップ51(外周側ストリップ部分511)とベルト層40の内周面を覆う樹脂ストリップ51(内周側ストリップ部分512)とが、端ストリップ部分513を介して一体に連続しているため、タイヤ転動時における樹脂層50の端部付近での応力の集中を抑制し、タイヤの耐久性を向上することができる。
上述した各例において、互いに隣接する外周側ストリップ部分511どうし、内周側ストリップ部分512どうし、端ストリップ部分513どうしは、少なくとも一部分で互いにそれぞれの厚み方向に重なっていてもよい。
また、上述した各例において、樹脂ストリップ51の幅方向及び/又は厚み方向に配列された複数本の樹脂ストリップ51が、ベルト層40の周りに巻かれていてもよい。
図2及び図3の各例においては、樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)は、ベルト層40の表面の全体を覆っているので、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能を効果的に向上でき、また、ベルト層40の被覆ゴム42の酸化劣化を効果的に抑制できる。
ただし、上述した各例において、互いに隣接する外周側ストリップ部分511どうし、内周側ストリップ部分512どうし、端ストリップ部分513どうしは、互いからタイヤ周方向に離間し、それにより、樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)は、ベルト層40の表面のうち一部のみを覆っていてもよい。
樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)は、ベルト層40の表面の全体面積の90%以上の部分を覆っていると好適であり、95%以上の部分を覆っているとより好適であり、100%の部分(全部)を覆っているとさらに好適である。
図2及び図3の各例においては、互いに隣接する外周側ストリップ部分511どうし、内周側ストリップ部分512どうし、端ストリップ部分513どうしは、互いに固着(接着又は溶着)されていない。この場合、タイヤ1の製造時における、樹脂ストリップ51をベルト層40の周りに巻回する際(樹脂ストリップ巻回ステップ)において、固着作業が不要になるので、巻回作業を簡単化できる。ただし、互いに隣接する外周側ストリップ部分511どうし、内周側ストリップ部分512どうし、端ストリップ部分513どうしは、互いに重なる部分等で互いに固着(接着又は溶着)されていてもよい。
また、図2及び図3の各例においては、樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)とベルト層40とは、互いに固着(接着又は溶着)されていない。この場合、タイヤ1の製造時における、樹脂ストリップ51をベルト層40の周りに巻回する際(樹脂ストリップ巻回ステップ)において、固着作業が不要になるので、巻回作業を簡単化できるとともに、乗り心地性能等のタイヤ性能としても良好になる。ただし、樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)とベルト層40とは、互いに固着(接着又は溶着)されていてもよい。
上述した各例において、樹脂ストリップ51を構成する樹脂材料は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーであるのが好適であり、また、熱や電子線によって架橋が生じる樹脂や、熱転位によって硬化する樹脂を用いることもできる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、かつ、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、かつ、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸びが50%以上、かつ、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。なお、ここでいう樹脂材料には、ゴム(常温でゴム弾性を示す有機高分子物質)は含まれないものとする。
上述した各例において、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能を向上させる観点や、樹脂ストリップ51の製造し易さ及び耐久性の観点から、樹脂ストリップ51の1本当たりの厚みT1(図1)は、10μm以上が好適であり、20μm以上がより好適である。一方、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能等のタイヤ性能を向上させる観点や、タイヤ1の良好な乗り心地性能を確保する観点や、タイヤの軽量化の観点や、樹脂ストリップ51のベルト層40の周りでの巻き易さの観点から、樹脂ストリップ51の1本当たりの厚みT1は、1000μm以下が好適であり、500μm以下がより好適である。
図1に示すように、図2及び図3の各例では、樹脂層50の厚みT2が、樹脂層50の全体にわたって、樹脂ストリップ51の1本当たりの厚みT1と等しい。ただし、樹脂層50は、上述のように、その少なくとも一部分で、樹脂ストリップ51(またはその一部分)どうしが重なったり、樹脂ストリップ51(またはその一部分)どうしの間に隙間が形成されたりする構成も取り得る。いずれの構成においても、上述した各例において、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能等のタイヤ性能を向上させる観点や、樹脂層50の製造し易さ及び耐久性の観点から、樹脂層50の厚みT2の最大値(樹脂層50のうち、厚みT2が最大となる部分の厚み)は、10μm以上が好適であり、20μm以上がより好適である。一方、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能を向上させる観点や、タイヤ1の良好な乗り心地性能を確保する観点や、タイヤの軽量化の観点から、樹脂層50の厚みT2の最大値は、1000μm以下が好適であり、500μm以下がより好適である。
上述した各例において、樹脂ストリップ51をベルト層40の周りに巻回する際(樹脂ストリップ巻回ステップ)において、樹脂ストリップ51をベルト層40の表面に密着させやすくする観点や、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能等のタイヤ性能を向上させる観点から、樹脂ストリップ51の幅W(樹脂ストリップ51の幅方向の長さ、図2及び図3)は、20mm以下が好適であり、15mm以下がより好適である。特に、図2の例は、図3の例よりも、樹脂ストリップ51の端ストリップ部分513をベルト層40のタイヤ幅方向端面40eにフィットさせにくいため、端ストリップ部分513をベルト層40のタイヤ幅方向端面40eにフィットさせやすくする観点から、図2の例では、樹脂ストリップ51の幅Wが、10mm以下であるとさらに好適である。
一方、樹脂ストリップ51をベルト層40に巻く作業をしやすくする観点や、樹脂ストリップ51の耐久性の観点から、樹脂ストリップ51の幅Wは、3mm以上が好適であり、5mm以上がより好適である。
上述した各例において、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能等のタイヤ性能を向上させる観点から、外周側ストリップ部分511のタイヤ周方向に対する鋭角側の角度θ2(図2及び図3)と、内周側ストリップ部分512のタイヤ周方向に対する角度θ3(図2及び図3)とは、それぞれ、10°以上〜170°以下の範囲内であると好適であり、また、10°以上90°未満または90°超170°以下の範囲内であるとより好適である。特に、図2の例は、図3の例よりも、樹脂ストリップ51の端ストリップ部分513をベルト層40のタイヤ幅方向端面40eにフィットさせにくいため、端ストリップ部分513をベルト層40のタイヤ幅方向端面40eにフィットさせやすくする観点から、図2の例では、外周側ストリップ部分511及び内周側ストリップ部分512のタイヤ周方向に対する角度θ2、θ3が、25°以上155°以下の範囲内であると好適であり、また、25°以上90°未満または90°超155°以下の範囲内であるとより好適である。ただし、いずれの例においても、角度θ2、θ3が90°であってもよい。
なお、図示は省略するが、樹脂ストリップ51は、ベルト層40の周りに1周のみ巻かれた状態からなる環状に構成され、このような環状の樹脂ストリップ51がタイヤ周方向に沿って配列されてもよい。この場合においても、樹脂ストリップ51の外周側ストリップ部分511及び内周側ストリップ部分512のタイヤ周方向に対する角度θ2、θ3は、上記の数値範囲内であると好適である。
上述のように、樹脂ストリップ51は、一方向に長いという形状に起因して、その長手方向の引張弾性率が、樹脂ストリップの幅方向の引張弾性率よりも高い。これにより、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能等のタイヤ性能を向上させることができる。
ここで、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能等のタイヤ性能を向上させる観点から、樹脂ストリップ51は、その長手方向の引張弾性率が、樹脂ストリップの幅方向の引張弾性率の1.1倍以上であると好適であり、1.2倍以上であるとより好適である。
なお、本明細書において、樹脂ストリップ51の引張弾性率は、JIS K7161-1:2014に準拠して測定される。
樹脂ストリップ51の長手方向の引張弾性率は、50〜5000MPaが好適である。
また、樹脂ストリップ51は、その延在方向に1方向延伸されたものであると、好適である。この構成により、樹脂ストリップ51の長手方向の引張弾性率を、樹脂ストリップの幅方向の引張弾性率に対してさらに高くすることができ、ひいては、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能をさらに向上させることができる。
この構成は、例えば、樹脂ストリップ51の製造時(樹脂ストリップ製造ステップ)において、樹脂材料を用いて、樹脂ストリップ51をインフレーション成型、Tダイ成型、カレンダー成型など等により成形し、得られた樹脂ストリップ51を1方向延伸することで、実現できる。あるいは、樹脂ストリップ51の製造時(樹脂ストリップ製造ステップ)において、樹脂材料を用いて、樹脂ストリップ51よりも幅広い樹脂シートをインフレーション成型、Tダイ成型、カレンダー成型など等により成形し、得られた樹脂シートを1方向延伸し、その後、樹脂シートを当該1方向延伸された方向と平行に帯状に裁断し、樹脂ストリップ51を得ることでも、実現できる。
上述した各例においては、図4に示す第2変形例のように、樹脂ストリップ51は、樹脂ストリップ51の長手方向LDとほぼ平行に配向された繊維Fを含むようにしても、好適である。この構成により、樹脂ストリップ51の長手方向の引張弾性率を、樹脂ストリップの幅方向の引張弾性率に対してさらに高くすることができ、ひいては、タイヤ1の面内せん断剛性ひいては運動性能をさらに向上させることができる。
この構成は、例えば、樹脂ストリップ51の製造時(樹脂ストリップ製造ステップ)において、繊維Fを含む樹脂材料を用いて、繊維Fが樹脂ストリップ51の長手方向とほぼ平行に配向されるよう、樹脂ストリップ51をインフレーション成型、Tダイ成型、カレンダー成型など等により成形することで、実現できる。あるいは、樹脂ストリップ51の製造時(樹脂ストリップ製造ステップ)において、繊維Fを含む樹脂材料を用いて、インフレーション成型、Tダイ成型、カレンダー成型などをすることにより、略1方向に繊維を配向させた、樹脂ストリップ51よりも幅広い樹脂シートを成形し、得られた樹脂シートを、繊維Fが配向された方向と略平行に帯状に裁断し、樹脂ストリップ51を得ることでも、実現できる。押出成形においては、押出方向とほぼ平行に繊維Fが配向される。射出成形においては、金型内のゲートの位置を調整することで、繊維Fの配向を制御できる。
なお、樹脂ストリップ51内の繊維Fは、樹脂ストリップ51の長手方向に対する鋭角側の角度が、30°以下であると好適であり、15°以下であるとより好適である。
繊維Fとしては、有機繊維又は無機繊維が好適であり、例えば、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、セラミック(SiC、Al23など)、金属(ボロン、ステンレスなど)等の繊維が挙げられる。これらの繊維Fは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、繊維Fの長さは、任意でよい。ただし、繊維Fは、長さが10mm以下の短繊維であることが好ましい。繊維Fの長さが長い方が衝撃強度は向上するが、成型時に繊維束が残り分散性の課題を残すためである。
以上に説明した構成を有する空気入りタイヤ1を製造する方法を、例示的に説明する。
まず、樹脂材料を用いて、樹脂ストリップ51を製造する(樹脂ストリップ製造ステップ)。樹脂ストリップ製造ステップにおいては、例えば、樹脂材料を用いて、インフレーション成型、Tダイ成型、カレンダー成型など等により樹脂ストリップ51を成形する。あるいは、樹脂材料を用いて、インフレーション成型、Tダイ成型、カレンダー成型など等により、樹脂ストリップ51よりも幅広い樹脂シートを成形し、得られた樹脂シートを帯状に裁断し、樹脂ストリップ51を得る。
その後、樹脂ストリップ製造ステップにより得られた樹脂ストリップ51を、図2及び図3を参照しながら上述したように、タイヤ周方向に対し傾斜した方向に、別途予め成形したベルト層40の周りに巻回し、樹脂層50を形成する(樹脂ストリップ巻回ステップ)。この巻回作業は、手作業で行ってもよいし、装置によって自動的に行ってもよい。
樹脂ストリップ巻回ステップの後、ベルト層40及び樹脂ストリップ51(ひいては樹脂層50)と残りのタイヤ構成部材とを備えた未加硫タイヤを成形し(成形ステップ)、成形した未加硫タイヤを加硫する(加硫ステップ)。その後、加硫済みの空気入りタイヤ1が得られる。
本発明に係る空気入りタイヤ、及び、空気入りタイヤの製造方法は、例えば乗用車用空気入りタイヤ等、任意の種類の空気入りタイヤに利用できるものである。
1:空気入りタイヤ(タイヤ)、 10:トレッド部、 11:サイドウォール部、 12:ビード部、 20:カーカス、 20a:本体部、 20b:折り返し部、 30:ビードコア、 40:ベルト層(スパイラルベルト層)、 41:コード、 42:被覆ゴム(ゴム)、 40e:幅方向端面、 50:樹脂層、 51:樹脂ストリップ、 511:外周側ストリップ部分、 512:内周側ストリップ部分、 513:端ストリップ部分、 F:強化繊維、 CL:タイヤ赤道面

Claims (7)

  1. タイヤ周方向に螺旋状に延在するとともにゴムで被覆されたコードを有する、ベルト層と、
    タイヤ周方向に対し傾斜した方向に前記ベルト層の周りに巻かれている、樹脂ストリップと、
    を備えた、空気入りタイヤ。
  2. 前記樹脂ストリップは、前記ベルト層の表面の全体を覆っている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の外周面を覆う外周側ストリップ部分と、前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の内周面を覆う内周側ストリップ部分とは、タイヤ幅方向の一方側から他方側に向かうにつれて、タイヤ周方向における同じ側に向かって延在している、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の外周面を覆う外周側ストリップ部分と、前記樹脂ストリップのうち、前記ベルト層の内周面を覆う内周側ストリップ部分とは、タイヤ幅方向の一方側から他方側に向かうにつれて、タイヤ周方向における反対側に向かって延在している、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記樹脂ストリップの長手方向の引張弾性率は、前記樹脂ストリップの幅方向の引張弾性率よりも高い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記樹脂ストリップは、前記樹脂ストリップの長手方向とほぼ平行に配向された繊維を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤを製造する方法であって、
    前記樹脂ストリップをタイヤ周方向に対し傾斜した方向に前記ベルト層の周りに巻回する、樹脂ストリップ巻回ステップと、
    前記樹脂ストリップ巻回ステップの後、前記ベルト層及び前記樹脂ストリップを備えた未加硫タイヤを成形する、成形ステップと、
    前記未加硫タイヤを加硫する、加硫ステップと、
    を含む、空気入りタイヤの製造方法。
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