JP2019209055A - 光音響装置および制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光音響装置において、被検体が適切な位置に設置されているかを確認する。【解決手段】光が照射された被検体から発生した音響波を受信し、時系列の電気信号に変換する探触子と、前記被検体上における前記光の照射位置、または、前記探触子の位置の少なくとも一方を前記被検体に対して移動させる走査機構と、前記被検体に対して複数回の光照射を行う制御手段と、前記光照射ごとに得られた前記時系列の電気信号の波形を示す画像を生成する画像生成手段と、を有し、前記画像生成手段は、前記被検体の走査面内における所定の領域に前記照射位置または前記探触子の位置が含まれるタイミングで照射された光に起因する電気信号を用いて前記画像を生成する。【選択図】図1
Description
本発明は、被検体情報を取得する装置に関する。
光を用いて被検体内をイメージングする技術として、光音響トモグラフィ(PAT:PhotoAcoustic Tomography)が知られている。
光音響トモグラフィでは、レーザ光などのパルス光を被検体である生体に照射し、光を生体内で伝播・拡散させる。この光が被検体内の生体組織で吸収されると、熱膨張により音響波(典型的には超音波)が発生する。この現象を光音響効果と呼び、光音響効果により発生した音響波を光音響波と呼ぶ。被検体を構成する組織によって、光エネルギーの吸収率がそれぞれ異なるため、発生する光音響波の音圧も異なったものとなる。PATでは、発生した光音響波を探触子で受信し、受信信号を再構成することによって、被検体内の特性情報を画像によって得ることができる。
光音響トモグラフィでは、レーザ光などのパルス光を被検体である生体に照射し、光を生体内で伝播・拡散させる。この光が被検体内の生体組織で吸収されると、熱膨張により音響波(典型的には超音波)が発生する。この現象を光音響効果と呼び、光音響効果により発生した音響波を光音響波と呼ぶ。被検体を構成する組織によって、光エネルギーの吸収率がそれぞれ異なるため、発生する光音響波の音圧も異なったものとなる。PATでは、発生した光音響波を探触子で受信し、受信信号を再構成することによって、被検体内の特性情報を画像によって得ることができる。
特許文献1には、高い空間分解能で被検体情報を可視化する装置として、光音響顕微鏡が開示されている。光音響顕微鏡は、光学レンズや音響レンズを用いることで光や音をフォーカスすることにより、高分解能の画像を取得可能な装置である。
光音響顕微鏡は、焦点深度が浅いため、探触子の表面から数百マイクロメートル以内の位置に被検体を設置する必要がある。しかし、探触子と被検体との間にゼリー状の音響整合材を塗布するような場合、その厚さによっては被検体の位置が探触子の焦点を外れてしまうようなケースが発生しうる。このような場合、正しく被検体情報を取得することができなくなる。測定が終了した後に被検体情報が取得できていないことが分かると、再度の測定を行うこととなり、被検者の負担となる。
これに対処する方法として、光音響測定と並行して、被検体情報を再構成して画像を確認するという方法がある。しかし、使用するデータが少ない場合には画像中のアーチファクトが増加し、正確な判断ができなくなってしまう。
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、光音響装置において、光音響測定中に被検体が適切な位置に設置されているかを確認することを目的とする。
上記課題を解決するための、本発明に係る光音響装置は、
光が照射された被検体から発生した音響波を受信し、時系列の電気信号に変換する探触子と、前記被検体上における前記光の照射位置、または、前記探触子の位置の少なくとも一方を前記被検体に対して移動させる走査機構と、前記被検体に対して複数回の光照射を行う制御手段と、前記光照射ごとに得られた前記時系列の電気信号の波形を示す画像を生成する画像生成手段と、を有し、前記画像生成手段は、前記被検体の走査面内における所定の領域に前記照射位置または前記探触子の位置が含まれるタイミングで照射された光に起因する電気信号を用いて前記画像を生成することを特徴とする。
光が照射された被検体から発生した音響波を受信し、時系列の電気信号に変換する探触子と、前記被検体上における前記光の照射位置、または、前記探触子の位置の少なくとも一方を前記被検体に対して移動させる走査機構と、前記被検体に対して複数回の光照射を行う制御手段と、前記光照射ごとに得られた前記時系列の電気信号の波形を示す画像を生成する画像生成手段と、を有し、前記画像生成手段は、前記被検体の走査面内における所定の領域に前記照射位置または前記探触子の位置が含まれるタイミングで照射された光に起因する電気信号を用いて前記画像を生成することを特徴とする。
また、本発明に係る制御方法は、
光が照射された被検体から発生した音響波を受信し、時系列の電気信号に変換する探触子と、前記被検体上における前記光の照射位置、または、前記探触子の位置の少なくとも一方を前記被検体に対して移動させる走査機構と、を有する光音響装置が行う制御方法であって、前記被検体に対して複数回の光照射を行う制御ステップと、前記光照射ごとに得られた前記時系列の電気信号の波形を示す画像を生成する画像生成ステップと、を含み、前記画像生成ステップでは、前記被検体の走査面内における所定の領域に前記照射位置または前記探触子の位置が含まれるタイミングで照射された光に起因する電気信号を用いて前記画像を生成することを特徴とする。
光が照射された被検体から発生した音響波を受信し、時系列の電気信号に変換する探触子と、前記被検体上における前記光の照射位置、または、前記探触子の位置の少なくとも一方を前記被検体に対して移動させる走査機構と、を有する光音響装置が行う制御方法であって、前記被検体に対して複数回の光照射を行う制御ステップと、前記光照射ごとに得られた前記時系列の電気信号の波形を示す画像を生成する画像生成ステップと、を含み、前記画像生成ステップでは、前記被検体の走査面内における所定の領域に前記照射位置または前記探触子の位置が含まれるタイミングで照射された光に起因する電気信号を用いて前記画像を生成することを特徴とする。
本発明によれば、光音響装置において、被検体が適切な位置に設置されているかを確認することができる。
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、被検体から伝搬する音響波を検出し、被検体内部の特性情報を生成し、取得する技術に関する。よって本発明は、光音響装置またはその制御方法として捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPUやメモリ等のハードウェア資源を備える装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体としても捉えられる。
実施形態に係る光音響装置は、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体の特性情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置である。この場合、特性情報とは、光音響波を受信することにより得られる受信信号を用いて生成される、被検体内の複数位置のそれぞれに対応する特性値の情報である。
光音響測定により取得される特性情報は、光エネルギーの吸収率を反映した値である。例えば、光照射によって生じた音響波の発生源、被検体内の初期音圧、あるいは初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数、組織を構成する物質の濃度を含む。
また、異なる複数波長の光によって発生する光音響波に基づいて、被検体を構成する物質の濃度といった情報が得られる。この情報は、酸素飽和度、酸素飽和度に吸収係数等の強度を重み付けした値、トータルヘモグロビン濃度、オキシヘモグロビン濃度、またはデオキシヘモグロビン濃度であってもよい。また、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、または脂肪や水の体積分率であってもよい。
以下に説明する実施形態では、ヘモグロビンを吸収体として想定した波長の光を被検体に照射することで、被検体内の血管の分布・形状のデータと、その血管における酸素飽和度分布のデータを取得し、画像化する光音響イメージング装置を想定する。
また、異なる複数波長の光によって発生する光音響波に基づいて、被検体を構成する物質の濃度といった情報が得られる。この情報は、酸素飽和度、酸素飽和度に吸収係数等の強度を重み付けした値、トータルヘモグロビン濃度、オキシヘモグロビン濃度、またはデオキシヘモグロビン濃度であってもよい。また、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、または脂肪や水の体積分率であってもよい。
以下に説明する実施形態では、ヘモグロビンを吸収体として想定した波長の光を被検体に照射することで、被検体内の血管の分布・形状のデータと、その血管における酸素飽和度分布のデータを取得し、画像化する光音響イメージング装置を想定する。
被検体内の各位置の特性情報に基づいて、二次元または三次元の特性情報分布が得られる。分布データは画像データとして生成され得る。特性情報は、数値データとしてではなく、被検体内の各位置の分布情報として求めてもよい。すなわち、初期音圧分布、エネルギー吸収密度分布、吸収係数分布や酸素飽和度分布などの分布情報である。
本明細書における音響波とは、典型的には超音波であり、音波、光音響波と呼ばれる弾性波を含む。探触子等により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。ただし、本明細書における超音波または音響波という記載には、それらの弾性波の波長を限定する意図はない。光音響効果により発生した音響波は、光音響波または光超音波と呼ばれる。光音響波に由来する電気信号を光音響信号とも呼ぶ。なお、本明細書において、光音響信号とは、アナログ信号とデジタル信号の双方を含む概念である。分布データは、光音響画像データや再構成画像データとも呼ばれる。
本実施形態に係る光音響装置は、被検体にパルス光を照射し、被検体内において発生した光音響波を受信することで、被検体内の光学特性に関連した情報を生成する装置であって、特に、体表から比較的浅い範囲を観察するための光音響装置である。
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る光音響装置の構成を説明する図である。本実施形態に係る光音響装置は、探触子ユニット101、探触子ユニット保持機構113、信号取得部119、光源120、装置制御部122、表示装置121を有して構成される。
図1は、本実施形態に係る光音響装置の構成を説明する図である。本実施形態に係る光音響装置は、探触子ユニット101、探触子ユニット保持機構113、信号取得部119、光源120、装置制御部122、表示装置121を有して構成される。
探触子ユニット101は、被検体に対して光を照射し、被検体から発生した音響波を受信するユニットである。探触子ユニット101は、被検体への光の照射を行うための光照射部103と、音響波の受信を行う音響探触子102と、走査機構104を有して構成される。光照射部103および音響探触子102は、走査機構104によって一体的に移動可能に構成される。探触子ユニット101と被検体109は、生体接触膜106を介して接触する。以下の説明では、生体接触膜106を「(探触子ユニットと被検体との)接触面」と称する。
生体接触膜106は、ポリエチレンテレフタラートによって構成された膜である。生体接触膜106は、被検体によって変形しにくい強度と、光と音響波を透過させる特性を有する材質であることが好ましい。本実施形態では、測定に有効な領域は、30×30mm2である。生体接触膜106と音響探触子102との間には、音響伝播媒質である水105が貯留されている。なお、生体接触膜106は、膜の中での音響波の多重反射を避けるため100ミクロン程度の厚みとすることが好ましい。
生体接触膜106は、ポリエチレンテレフタラートによって構成された膜である。生体接触膜106は、被検体によって変形しにくい強度と、光と音響波を透過させる特性を有する材質であることが好ましい。本実施形態では、測定に有効な領域は、30×30mm2である。生体接触膜106と音響探触子102との間には、音響伝播媒質である水105が貯留されている。なお、生体接触膜106は、膜の中での音響波の多重反射を避けるため100ミクロン程度の厚みとすることが好ましい。
探触子ユニット保持機構113は、探触子ユニット101を保持および移動するための機構である。探触子ユニット保持機構113は、Z軸方向への移動を行うためのZ軸ステージ111と、X軸方向への移動を行うためのX軸ステージ116を含んで構成される。
Z軸ステージ111は、Z軸ハンドル112によって移動可能に構成される。これにより、探触子ユニット101を被検体109に対してZ軸方向に移動させることができる。Z軸ステージの位置はZ軸エンコーダ114によって検出され、これにより、探触子ユニットのZ軸方向における位置を算出することができる。
また、X軸ステージ116は、X軸ハンドル117によって移動可能に構成される。これにより、探触子ユニット101を被検体109に対してX軸方向に移動させることができる。X軸ステージの位置はX軸エンコーダ118によって検出され、これにより、探触
子ユニットのX軸方向における位置を算出することができる。
Z軸ステージ111は、Z軸ハンドル112によって移動可能に構成される。これにより、探触子ユニット101を被検体109に対してZ軸方向に移動させることができる。Z軸ステージの位置はZ軸エンコーダ114によって検出され、これにより、探触子ユニットのZ軸方向における位置を算出することができる。
また、X軸ステージ116は、X軸ハンドル117によって移動可能に構成される。これにより、探触子ユニット101を被検体109に対してX軸方向に移動させることができる。X軸ステージの位置はX軸エンコーダ118によって検出され、これにより、探触
子ユニットのX軸方向における位置を算出することができる。
光源120は、被写体に照射するパルス光を発生させる装置である。光源120は、大出力を得るためにレーザ光源であることが望ましいが、レーザの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプを用いることもできる。光源としてレーザを用いる場合、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なものが使用できる。
また、パルス光の波長は、被検体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特定の波長であって、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には、700nm以上1100nm以下であることが望ましい。
また、光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。本実施形態に示すように被検体が生体である場合は、光源から発生するパルス光のパルス幅は10〜50ナノ秒程度が好適である。
なお、光照射のタイミング、波形、強度等は、後述する装置制御部122によって制御される。
また、パルス光の波長は、被検体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特定の波長であって、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には、700nm以上1100nm以下であることが望ましい。
また、光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。本実施形態に示すように被検体が生体である場合は、光源から発生するパルス光のパルス幅は10〜50ナノ秒程度が好適である。
なお、光照射のタイミング、波形、強度等は、後述する装置制御部122によって制御される。
本実施形態では、パルス幅を10ナノ秒とし、繰り返し周波数を200Hzとする。また、532nmと1064nmの波長を切り替えることができるYAGレーザを使用する。532nmは、生体における吸収が大きい波長であるが、本実施形態における光音響装置は、被検体表面から5mm程度までを測定の対象とするため、当該波長が利用できる。なお、1064nmの波長を用いることによって、血管とメラニンを識別できる。
光源120から出射した光は、光照射部103である光ファイバを用いて被検体109に照射される。なお、光ファイバは、音響探触子102を中心にリング状に配置してもよい。また、光はレンズで集光させるより、ある程度の面積に広げる方が、生体への安全性ならびに診断領域を広げられるという観点で好ましい。
音響探触子102は、被検部の内部から到来する音響波を受信して、電気信号に変換する手段である。音響探触子は、探触子、音響波探触子、音響波検出素子、音響波検出器、音響波受信器、トランスデューサとも呼ばれる。
生体から発生する音響波は、100KHzから100MHzの超音波であるため、音響波探触子には、上記の周波数帯を受信できる素子を用いる。具体的には、圧電現象を用いたトランスデューサ、光の共振を用いたトランスデューサ、容量の変化を用いたトランスデューサなどを用いることができる。
生体から発生する音響波は、100KHzから100MHzの超音波であるため、音響波探触子には、上記の周波数帯を受信できる素子を用いる。具体的には、圧電現象を用いたトランスデューサ、光の共振を用いたトランスデューサ、容量の変化を用いたトランスデューサなどを用いることができる。
また、音響波探触子は、感度が高く、周波数帯域が広いものを用いることが望ましい。具体的にはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などを用いた圧電素子、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの高分子圧電膜材料、CMUT(容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ)、ファブリペロー干渉計を用いたものなどが挙げられる。ただし、ここに挙げたものだけに限定されず、探触子としての機能を満たすものであれば、どのようなものであってもよい。
本実施形態における音響探触子102は、PZTと音響レンズからなる音響フォーカス型の探触子であり、所定の焦点から発生した音響波を効率よく受信することができる。直径は6mmで、中心周波数は50MHzである。探触子の先端には石英ガラスによる音響レンズが組みつけられ、その開口数は0.6である。XY平面内の解像度は、音響探触子102の性能によって決まり、本実施形態では60μm程度である。また、深さ方向の解像度は、検出できる波長の8割程度(30μm程度)となる。焦点は、探触子から4mm離れた位置にあり、生体接触膜106の位置と一致する。なお、焦点の位置は、探触子側に近づけて配置したほうがよい場合もあり、その場合は、例えば0.5mm近づける。
信号取得部119は、音響探触子102が取得したアナログの電気信号を増幅してデジタル信号に変換する手段である。信号取得部119は、受信信号を増幅する増幅器、アナログ信号をデジタル変換するA/D変換器を用いて構成されてもよい。また、信号取得部119は、複数のプロセッサや演算回路から構成されていてもよい。
本実施形態では、サンプリング周波数を500MHz、サンプリング数を8192とする。サンプリングは、光照射のタイミングを表すトリガ信号の発生から所定の時間経過後に開始される。なお、信号取得部119は、受信信号を記憶するFIFO等のメモリと、FPGAチップ等の演算回路をさらに有していてもよい。また、装置制御部122は、汎用コンピュータや、専用に設計されたワークステーションによって実現されてもよい。
装置制御部122は、デジタル変換された信号(光音響信号)に基づいて、再構成処理を行うことで、被検体の内部の光吸収係数や酸素飽和度等といった被検体情報を取得する手段(本発明における画像生成手段)である。具体的には、収集された電気信号から三次元の被検体内における初期音圧分布を生成する。
また、装置制御部122は、被検体に照射される光量に関する情報に基づいて、被検体内における三次元の光強度分布を生成する。三次元の光強度分布は、二次元の光強度分布に関する情報から光拡散方程式を解くことで取得できる。また、光音響信号から生成された被検体内の初期音圧分布と、三次元の光強度分布とを用いて、被検体内の吸収係数分布を得ることができる。また、複数の波長における吸収係数分布を演算することで、被検体内の酸素飽和度分布を得ることができる。
また、装置制御部122は、被検体に照射される光量に関する情報に基づいて、被検体内における三次元の光強度分布を生成する。三次元の光強度分布は、二次元の光強度分布に関する情報から光拡散方程式を解くことで取得できる。また、光音響信号から生成された被検体内の初期音圧分布と、三次元の光強度分布とを用いて、被検体内の吸収係数分布を得ることができる。また、複数の波長における吸収係数分布を演算することで、被検体内の酸素飽和度分布を得ることができる。
なお、装置制御部122は、光量分布の計算や背景の光学係数取得に必要な情報処理、信号補正など、所望の処理を実施する機能を有していてもよい。
また、装置制御部122は、後述する表示装置や入力インタフェースを介して、測定パラメータの変更、測定の開始・終了、画像の処理方法の選択、患者情報や画像の保存、データの解析などに関する指示を取得してもよい。
また、装置制御部122は、光音響装置が有する各構成要素の制御を行う手段でもある。例えば、被検体に対する光照射の制御、音響波や光音響信号の受信制御、探触子ユニットの移動制御など、装置全体の制御に関する指令を行う。
また、装置制御部122は、後述する表示装置や入力インタフェースを介して、測定パラメータの変更、測定の開始・終了、画像の処理方法の選択、患者情報や画像の保存、データの解析などに関する指示を取得してもよい。
また、装置制御部122は、光音響装置が有する各構成要素の制御を行う手段でもある。例えば、被検体に対する光照射の制御、音響波や光音響信号の受信制御、探触子ユニットの移動制御など、装置全体の制御に関する指令を行う。
装置制御部122は、CPUとRAM、不揮発メモリ、制御ポートを有するコンピュータで構成してもよい。不揮発メモリに格納されたプログラムがCPUで実行されることにより制御が行われる。装置制御部122は、汎用コンピュータや、専用に設計されたワークステーションによって実現されてもよい。また、装置制御部122の演算機能を担うユニットは、CPUやGPU等のプロセッサ、FPGAチップ等の演算回路で構成されていてもよい。これらのユニットは、単一のプロセッサや演算回路から構成されるだけでなく、複数のプロセッサや演算回路から構成されていてもよい。
また、装置制御部122の記憶機能を担うユニットは、ROM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの非一時記憶媒体や、RAMなどの揮発性の媒体であってもよい。なお、プログラムが格納される記憶媒体は、非一時記憶媒体である。なお、これらのユニットは、1つの記憶媒体から構成されるだけでなく、複数の記憶媒体から構成されていてもよい。装置制御部122の制御機能を担うユニットは、CPUなどの演算素子で構成される。
表示装置121は、装置制御部122が取得した情報およびその加工情報を表示する手段であり、典型的にはディスプレイ装置である。表示装置121は、複数の装置であってもよいし、単一の装置に複数の表示部を備え、並列表示が可能な装置であってもよい。なお、表示装置121には、高解像度でカラー表示が可能な30型以上、コントラスト比1000:1以上の装置を用いることが望ましい。
次に、本実施形態に係る光音響装置によって測定を行うためのユーザインタフェースの例を示す。
装置制御部122による制御は、アプリケーションソフトウェアによって行われる。図2は、アプリケーションソフトウェアの入力インタフェース画面を示す。当該画面は、表示装置121を介して表示される。
装置制御部122による制御は、アプリケーションソフトウェアによって行われる。図2は、アプリケーションソフトウェアの入力インタフェース画面を示す。当該画面は、表示装置121を介して表示される。
アプリケーションソフトウェアのウインドウ201は、測定タブ202、測定パラメータ設定タブ203、再構成タブ204、再構成パラメータ設定タブ205を有しており、装置のユーザ(操作者)は、そのいずれかを選択する。なお、図2は、測定タブ202を選択した状態を示している。
測定タブ202を選択すると、患者情報を入力する入力部206、走査範囲や測定時間を選択するための測定モード選択リスト207、2次元走査を開始する撮像ボタン208が利用可能になる。
測定モード選択リスト207は、走査ピッチおよび撮像サイズを選択するためのリストボックスである。本例では、走査ピッチは25、50、100μmから選択でき、撮像サイズは3×3、5×5、10×10mm2から選択できるものとする。なお、撮像サイズとは、再構成後に表示される画像の最大範囲である。実際の走査範囲は、撮像サイズよりも2mmずつ広い範囲となる。すなわち、走査範囲は、7×7、9×9、14×14mm2となる。これは、一画素分のデータを生成するために周辺のデータが必要となるためである。
測定モード選択リスト207は、走査ピッチおよび撮像サイズを選択するためのリストボックスである。本例では、走査ピッチは25、50、100μmから選択でき、撮像サイズは3×3、5×5、10×10mm2から選択できるものとする。なお、撮像サイズとは、再構成後に表示される画像の最大範囲である。実際の走査範囲は、撮像サイズよりも2mmずつ広い範囲となる。すなわち、走査範囲は、7×7、9×9、14×14mm2となる。これは、一画素分のデータを生成するために周辺のデータが必要となるためである。
さらに、測定タブ202を選択すると、光音響信号を所定の範囲において最大値投影した画像を表示する強度画像表示部209、位置選択スライダ210によって選択した位置の光音響信号を表示する信号表示部211が利用可能になる(後述)。
測定パラメータ設定タブ203を選択すると、音響探触子102の初期位置、信号のサンプリング数、光の照射周波数、走査方向、光音響信号の表示範囲などを設定するインタフェースが利用可能になる。
また、再構成パラメータ設定タブ205を選択すると、再構成で計算する画像の解像度、画像の処理範囲、再構成アルゴリズム、画像フィルタ、画像の出力形式などを設定するインタフェースが利用可能になる。
さらに、再構成タブ204を選択すると、データの選択および再構成の指示を行うことによって、光吸収係数の分布を表す画像、酸素飽和度の分布を表す画像の生成および表示をするインタフェースが利用可能になる。
また、再構成パラメータ設定タブ205を選択すると、再構成で計算する画像の解像度、画像の処理範囲、再構成アルゴリズム、画像フィルタ、画像の出力形式などを設定するインタフェースが利用可能になる。
さらに、再構成タブ204を選択すると、データの選択および再構成の指示を行うことによって、光吸収係数の分布を表す画像、酸素飽和度の分布を表す画像の生成および表示をするインタフェースが利用可能になる。
次に、本実施形態に係る光音響装置が、被検体である生体を測定する方法について説明する。
まず、光源120から発せられたパルス光が、光照射部103を介して被検体に照射される。被検体の内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体に吸収されると、熱膨張により当該光吸収体から音響波が発生する。生体内にがんが存在する場合は、がんの新生血管において他の正常部の血液と同様に光が特異的に吸収され、音響波が発生する。光の照射に起因して生体内で発生した光音響波は、音響探触子102によって受信される。
まず、光源120から発せられたパルス光が、光照射部103を介して被検体に照射される。被検体の内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体に吸収されると、熱膨張により当該光吸収体から音響波が発生する。生体内にがんが存在する場合は、がんの新生血管において他の正常部の血液と同様に光が特異的に吸収され、音響波が発生する。光の照射に起因して生体内で発生した光音響波は、音響探触子102によって受信される。
本実施形態では、探触子ユニット101と被検体の相対的な位置関係を、走査機構によって変更しながら、光の照射および音響波の取得を行うことができる。すなわち、被検体上の異なる位置に光を複数回照射しながら光音響信号を取得することができる。
音響探触子102が受信した信号は、信号取得部119で変換されたのち、装置制御部122で解析される。解析結果は、生体内の特性情報(例えば、初期音圧分布や吸収係数分布)を表すボリュームデータとなり、二次元の画像に変換されたのちに表示装置121を介して出力される。
装置制御部122は、光音響信号を用いて画像再構成処理を実行する。画像再構成は、ユニバーサルバックプロジェクション法や整相加算法など既知の再構成手法を用いることができる。ここでは、ユニバーサルバックプロジェクション法を用いる場合を説明する。まず、光音響測定で発生する初期音圧分布P(r)は式(1)で表わされる。
このとき投影データに相当する項b(r0,t)を、式(2)に示す。ここで、pd(
r0,t)は音響探触子102で検出される光音響信号、r0は各音響探触子102の位
置、tは時間、Ω0は音響探触子102の立体角である。信号取得部119が取得したデ
ータを式(1)に基づいて処理をすることにより、初期音圧分布P(r)を得ることができる。
r0,t)は音響探触子102で検出される光音響信号、r0は各音響探触子102の位
置、tは時間、Ω0は音響探触子102の立体角である。信号取得部119が取得したデ
ータを式(1)に基づいて処理をすることにより、初期音圧分布P(r)を得ることができる。
上述のように光音響信号は時系列信号であり、取得時間と音速から、各探触子と光吸収体との距離を求めることができる。この距離の情報を用いて、当該光音響信号を出力した探触子の受信位置を中心とする円弧上に受信信号を投影することにより、吸収体が結像することになる。
吸収係数分布は、初期音圧分布P(r)から算出できる。すなわち、吸収体に光が照射された時に発生する音圧P(r)は、式(3)で表される。
P(r)=Γ・μa(r)・Φ(r) ・・・式(3)
Γは弾性特性値であるグリューナイセン(Gruneisen)係数であり、体積膨張係数(β)と音速(c)の二乗の積を比熱(Cp)で割ったものである。μaは吸収体における吸収係数である。また、Φ(r)は局所的な領域で吸収体に照射された光量である。式(3)を吸収係数について解くことによって、吸収係数分布μa(r)を得ることができる。なお、背景の光学係数は、吸収体の吸収係数より十分小さいため吸収係数分布には表れない。
P(r)=Γ・μa(r)・Φ(r) ・・・式(3)
Γは弾性特性値であるグリューナイセン(Gruneisen)係数であり、体積膨張係数(β)と音速(c)の二乗の積を比熱(Cp)で割ったものである。μaは吸収体における吸収係数である。また、Φ(r)は局所的な領域で吸収体に照射された光量である。式(3)を吸収係数について解くことによって、吸収係数分布μa(r)を得ることができる。なお、背景の光学係数は、吸収体の吸収係数より十分小さいため吸収係数分布には表れない。
光量分布Φ(r)は、深さ方向に一様に減衰するような場合、例えば式(4)のように、変数zを用いて表すことができる。
Φ=Φ0exp(−μeffz) ・・・式(4)
Φ0は、表面での計測光の光量である。μeffは、被検体内での平均的な等価減衰係数である。ところで、被検体内の背景の散乱係数や吸収係数は、例えば近赤外分光装置などによって測定することができる。また、複数の波長における吸収係数分布を演算することで、被検体内の酸素飽和度分布を得ることができる。
Φ=Φ0exp(−μeffz) ・・・式(4)
Φ0は、表面での計測光の光量である。μeffは、被検体内での平均的な等価減衰係数である。ところで、被検体内の背景の散乱係数や吸収係数は、例えば近赤外分光装置などによって測定することができる。また、複数の波長における吸収係数分布を演算することで、被検体内の酸素飽和度分布を得ることができる。
次に、本実施形態に係る光音響装置に特有な処理の概要について説明する。
本実施形態に係る光音響装置は、装置制御部122が、取得した光音響信号に基づいて再構成画像を生成する処理の他に、取得した光音響信号のアナログ波形を示す画像(以下
、信号波形画像)を生成する処理を実行可能に構成される。
本実施形態に係る光音響装置は、装置制御部122が、取得した光音響信号に基づいて再構成画像を生成する処理の他に、取得した光音響信号のアナログ波形を示す画像(以下
、信号波形画像)を生成する処理を実行可能に構成される。
信号波形画像について説明する。被検体内で発生した音響波に対応する光音響信号は、時系列データとして出力される。この時系列データを、振幅を縦軸に、時間を横軸にとった画像で表したものが、本実施形態における信号波形画像である。図3(A)は、信号波形画像の例である。なお、音響波の伝播時間は距離に比例する。よって、例示する画像では、横軸を距離に変換している(単位はミリメートル)。この変換は、音響伝搬媒質である水中での音速に基づいて行うことができる。なお、水中での音速は、水の温度に基づいて決定することができる。
距離が0となる位置が、生体接触膜106が存在する位置である。すなわち、例示した信号波形画像は、生体接触膜106を基準として、−0.4mmから+0.8mmまでの近傍範囲において発生した音響波の強度を表したものであると言える。
ここで、本明細書において接触面の近傍は、生体接触膜を基準として±1mmの範囲とする。一般に、人体の表皮の厚さは0.1〜0.2mmとされている。被検体上に塗布される音響整合材の厚みが1mmほどになることもあるため、最大で生体接触膜に対して±1mmの範囲の音響波の強度が表示されればよい。
距離が0となる位置が、生体接触膜106が存在する位置である。すなわち、例示した信号波形画像は、生体接触膜106を基準として、−0.4mmから+0.8mmまでの近傍範囲において発生した音響波の強度を表したものであると言える。
ここで、本明細書において接触面の近傍は、生体接触膜を基準として±1mmの範囲とする。一般に、人体の表皮の厚さは0.1〜0.2mmとされている。被検体上に塗布される音響整合材の厚みが1mmほどになることもあるため、最大で生体接触膜に対して±1mmの範囲の音響波の強度が表示されればよい。
音速を1500m/sとし、サンプリング回数を8192回とした場合、24.6mmの深さまでの領域からデータを取得できる。しかし、光の深達長は5mm程度であり、一サンプリングでの深さ方向の解像度は3umであるため、本例では、400ピクセルの範囲のみを表示対象としている。
本例では、生体接触膜106が存在する位置から、+0.2mmまでの範囲(符号301)を着色してマーキング表示している。光音響信号は、皮膚の表面において強く発生するため、光音響信号のピークがこの範囲を外れている場合、生体接触膜106と被検体の表面が密着していないことが推定される。
図3(B)は、被検体の表面位置をマーカーによって重畳表示した例である。被検体の表面は、正の閾値305より大きい信号302と、負の閾値306より小さい信号303のペアを含み、生体接触膜106に最も近い位置にある範囲を抽出することで、その位置を推定することができる。
図3(C)は、異なるデザインによって生成した信号波形画像の例である。本例では、目標となる領域(以下、目標領域)を破線307で囲んでいる。また、光音響信号の波形のうち、被検体の表面に対応する部分を実線308で表示し、その他を点線で表示している。
本実施形態では、このような信号波形画像を測定中にユーザに提供する。信号波形画像は、測定中に随時生成されるため、信号波形画像を連続して観察することで、探触子ユニットと被検体が密着していない箇所を特定することができる。装置が行う処理の詳細は、フローチャートを参照しながら後述する。
信号波形画像をユーザに提供するタイミングは、走査パターンに基づいて決定される。図4に、走査パターンの例を示す。本実施形態において、走査パターンとは、測定中における探触子ユニットの位置の集合である。例えば、図4に示したように、主走査方向(X軸)への移動と、副走査方向(Y軸)への移動の組み合わせによって、複数の箇所で光の照射と音響波の受信を行うことができる。以降、光の照射位置および音響波の受信を行う位置を、測定位置と称する。図4の例では、それぞれ54箇所の測定位置が示されている。
図4において点線で示した領域は、走査面内において、信号波形画像をユーザに提供する測定位置を表す。
例えば、図4(A)の例では、X座標が同一である複数の測定位置において取得した光音響信号に基づいて信号波形画像を生成し、ユーザに提供する。かかる構成によると、Y軸方向に沿った被検体の配置状態を確認することができる。
このように、本実施形態では、走査面内において任意に設定した領域に測定位置が含まれる場合に、信号波形画像の生成を行う。この領域は、例えば、図4(B)に示したように、主走査方向または副走査方向に対して平行な向き以外に設定してもよい。
例えば、図4(A)の例では、X座標が同一である複数の測定位置において取得した光音響信号に基づいて信号波形画像を生成し、ユーザに提供する。かかる構成によると、Y軸方向に沿った被検体の配置状態を確認することができる。
このように、本実施形態では、走査面内において任意に設定した領域に測定位置が含まれる場合に、信号波形画像の生成を行う。この領域は、例えば、図4(B)に示したように、主走査方向または副走査方向に対して平行な向き以外に設定してもよい。
次に、本実施形態に係る光音響装置が行う処理のフローチャートを図5に示す。
まず、ステップS1で、測定を開始する。本ステップでは、装置のユーザが、X軸ハンドル117およびZ軸ハンドル112を用いて、探触子ユニット101(生体接触膜106)と被検体が概ね密着するように調整する。探触子ユニット101と被検体109の間には、音響整合のための超音波ジェルを塗ってもよい。
なお、本ステップで、前述した走査パターン、撮像サイズ(画像化を行う被検体上のサイズ)、走査ピッチ等を決定してもよい。本実施形態では、撮像サイズを3×3mm2、走査ピッチを50umとする。また、光の照射周波数は200Hzとする。走査機構104が、探触子ユニットを走査開始位置に移動させると、撮像ボタン208が押下可能になり、ボタンを押下すると処理はステップS2へ遷移する。
まず、ステップS1で、測定を開始する。本ステップでは、装置のユーザが、X軸ハンドル117およびZ軸ハンドル112を用いて、探触子ユニット101(生体接触膜106)と被検体が概ね密着するように調整する。探触子ユニット101と被検体109の間には、音響整合のための超音波ジェルを塗ってもよい。
なお、本ステップで、前述した走査パターン、撮像サイズ(画像化を行う被検体上のサイズ)、走査ピッチ等を決定してもよい。本実施形態では、撮像サイズを3×3mm2、走査ピッチを50umとする。また、光の照射周波数は200Hzとする。走査機構104が、探触子ユニットを走査開始位置に移動させると、撮像ボタン208が押下可能になり、ボタンを押下すると処理はステップS2へ遷移する。
ステップS2では、光音響測定を行う。本ステップでは、被検体109にパルス光を照射し、生体から伝播した光音響波を受信する。照射されたパルス光は、被検体109に到達した後、生体内部を伝搬し、光吸収体によって吸収される。そして、光吸収体から発生した光音響波は、生体接触膜106を透過し、音響探触子102で受信される。受信された音響波は電気信号に変換され、信号取得部119を介し、装置制御部122に送信される。得られた光音響信号は、測定位置と関連付けられ、一時的に記憶される。
ステップS3では、測定位置を主走査方向(図4の例ではX軸方向)に1ステップ移動させる。走査ピッチが50umである場合、X軸方向に探触子ユニットが50um移動する。
ステップS4では、主走査方向への一回の走査が完了したかを判断する。撮像サイズが3×3mm2である場合、走査範囲は全体で7×7mm2となる。主走査方向の行程が7mmで、ピッチが50umである場合、主走査方向における一回の測定回数は141回となる。なお、レーザの照射周波数が200Hzであって、走査ピッチが50umである場合、主走査は10mm/sの等速運動となる。主走査の往路にかかる時間と、光音響測定の一走査分のデータ取得時間は略等しい。
ステップS4では、主走査方向への一回の走査が完了したかを判断する。撮像サイズが3×3mm2である場合、走査範囲は全体で7×7mm2となる。主走査方向の行程が7mmで、ピッチが50umである場合、主走査方向における一回の測定回数は141回となる。なお、レーザの照射周波数が200Hzであって、走査ピッチが50umである場合、主走査は10mm/sの等速運動となる。主走査の往路にかかる時間と、光音響測定の一走査分のデータ取得時間は略等しい。
主走査方向への一回の走査が完了すると、当該主走査に対応する複数の測定位置の中に、信号波形画像を提供する測定位置が含まれるかを判定し、含まれる場合、対応する光音響信号に基づいて信号波形画像を生成し、表示する(ステップS5)。
ここで、一回の主走査で生成される信号波形画像が一枚である場合、すなわち、主走査に対応する複数の測定位置の中に、信号波形画像を提供する測定位置が一箇所のみ含まれる場合、生成した画像を表示装置121(信号表示部211)に出力する。なお、一回の主走査で複数の信号波形画像が生成される場合、複数の画像を動画像として表示装置121(信号表示部211)に出力してもよい。
なお、一回の主走査で生成される信号波形画像が一枚である場合も、以下に説明する処理を繰り返すことで、信号波形画像が周期的に更新される。
ここで、一回の主走査で生成される信号波形画像が一枚である場合、すなわち、主走査に対応する複数の測定位置の中に、信号波形画像を提供する測定位置が一箇所のみ含まれる場合、生成した画像を表示装置121(信号表示部211)に出力する。なお、一回の主走査で複数の信号波形画像が生成される場合、複数の画像を動画像として表示装置121(信号表示部211)に出力してもよい。
なお、一回の主走査で生成される信号波形画像が一枚である場合も、以下に説明する処理を繰り返すことで、信号波形画像が周期的に更新される。
次に、ステップS6で、主走査に対応する複数の測定位置においてそれぞれ取得した光音響信号を、時間軸方向(すなわちZ軸方向)に投影し、その最大値を表す画像(以下、
MIP画像)を生成する。これにより、被検体をZ軸方向から観察した場合における信号の強度を確認することができる。MIP画像は、強度画像表示部209に表示され、主走査が完了するごとに更新される。
MIP画像)を生成する。これにより、被検体をZ軸方向から観察した場合における信号の強度を確認することができる。MIP画像は、強度画像表示部209に表示され、主走査が完了するごとに更新される。
次に、ステップS7で、測定位置を副走査方向(図4の例ではY軸方向)に1ステップ移動させる。走査ピッチが50umである場合、Y軸方向に探触子ユニットが50um移動する。
ステップS8では、撮像対象のエリアが全て走査されたかを判定する。走査が完了していなければ、処理はステップS2へ戻る。走査が完了した場合、ステップS9に遷移し、レーザ照射を終了し、ステージを初期位置に戻す。
ステップS8では、撮像対象のエリアが全て走査されたかを判定する。走査が完了していなければ、処理はステップS2へ戻る。走査が完了した場合、ステップS9に遷移し、レーザ照射を終了し、ステージを初期位置に戻す。
次に、ステップS10で、画像の再構成を行う。再構成された画像は、表示装置121に出力される。生成される画像は、初期音圧を表す画像、吸収係数を表す画像、酸素飽和度を表す画像などである。また、複数の断層画像から最大値投影画像(MIP)を生成して表示してもよい。これにより、血管のつながりを把握しやすくなる。
以上説明したように、本実施形態に係る光音響装置は、走査パターンに含まれる所定の測定位置において、時系列で得られた光音響信号の波形を示す画像を生成し、出力する。かかる形態によると、波形のピークが現れる位置に基づいて、探触子ユニットと被検体とが正しく接しているかを判定することができる。
前述したように、探触子ユニットの接触面と被検体とが正しく接しているかを測定後に判断すると、正しい接触状態にないことが分かった場合に測定を再度実行することになるため、被検者に負担をかけてしまう場合がある。一方、本実施形態によると、被検体の配置状態が正しいかについての判断を測定の最中に行うことができる。そのため、再測定になったとしてもその影響を小さくすることができる。
前述したように、探触子ユニットの接触面と被検体とが正しく接しているかを測定後に判断すると、正しい接触状態にないことが分かった場合に測定を再度実行することになるため、被検者に負担をかけてしまう場合がある。一方、本実施形態によると、被検体の配置状態が正しいかについての判断を測定の最中に行うことができる。そのため、再測定になったとしてもその影響を小さくすることができる。
また、信号波形画像は、主走査が完了するごとに生成されるため、ユーザに提供する画像を一定の周期で更新することができる。
特に、図4(A)のように、信号波形画像を生成する測定位置を副走査方向に沿って配置することで、ユーザに提供する動画像のフレームレートを抑制することができ、より認識が容易になる。
特に、図4(A)のように、信号波形画像を生成する測定位置を副走査方向に沿って配置することで、ユーザに提供する動画像のフレームレートを抑制することができ、より認識が容易になる。
なお、本実施形態では、図4に示したように、探触子ユニットを往復させながら測定を行う形態を例示したが、測定パターンはこれ以外であってもよい。例えば、図6に示したように、往路でのみ光音響信号を取得するようにしてもよい。往路と復路でそれぞれ光音響信号を取得する場合、全体の測定時間が短くなるというメリットがあるが、探触子ユニットの機械的特性が往路と復路で異なる場合、画像の特性が変化する場合がある。図6のパターンは、このようなケースに対応することができる。
また、測定パターンは、必ずしも主走査と副走査を組み合わせたものでなくてもよい。例えば、探触子ユニットを周回軌道に沿って移動させてもよいし、スパイラル状に移動させてもよい。この場合、データの取得間隔は、一定の角度ごと、または、時間ごととすればよい。
また、測定パターンは、必ずしも主走査と副走査を組み合わせたものでなくてもよい。例えば、探触子ユニットを周回軌道に沿って移動させてもよいし、スパイラル状に移動させてもよい。この場合、データの取得間隔は、一定の角度ごと、または、時間ごととすればよい。
また、実施形態の説明では、図3に示した信号波形画像を順次更新しながらユーザに提供するものとしたが、時間の経過がより分かりやすいフォーマットで画像を生成してもよい。
図7は、縦軸を深さ方向の距離、横軸を走査面内における位置とし、波形のピーク位置をプロットした画像である。白い矩形が正のピーク、黒い矩形が負のピークを表し、点線が目標領域の位置を表す。このような画像を、主走査が完了するごとに更新することで、被検体の表面が目標領域に収まっているかが判定しやすくなる。動画像によって情報を提
供した場合、フレームレートや動きの激しさによっては情報の読み取りが難しくなるおそれがあるが、本例のようにすることで、把握が容易になる。なお、図7に示した画像は、光照射を行うごとに更新してもよいし、図4に示したように、所定の測定位置にて測定が行われるごとに更新してもよい。
図7は、縦軸を深さ方向の距離、横軸を走査面内における位置とし、波形のピーク位置をプロットした画像である。白い矩形が正のピーク、黒い矩形が負のピークを表し、点線が目標領域の位置を表す。このような画像を、主走査が完了するごとに更新することで、被検体の表面が目標領域に収まっているかが判定しやすくなる。動画像によって情報を提
供した場合、フレームレートや動きの激しさによっては情報の読み取りが難しくなるおそれがあるが、本例のようにすることで、把握が容易になる。なお、図7に示した画像は、光照射を行うごとに更新してもよいし、図4に示したように、所定の測定位置にて測定が行われるごとに更新してもよい。
また、実施形態の説明では、被検体の表面が目標領域から外れていることをユーザが判断する場合を説明したが、被検体の表面が目標領域から外れていることを装置が判定してもよい。かかる場合、測定を中止あるいは停止してもよいし、警告を出力するようにしてもよい。さらにまた、被検体の表面が目標領域から外れていることを装置が判定した後、被検体の表面が再び目標領域に入った場合に、停止していた測定を再開するように装置を構成してもよい。
(変形例)
なお、実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。
例えば、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む光音響装置として実施することもできる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む制御方法として実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
なお、実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。
例えば、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む光音響装置として実施することもできる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む制御方法として実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、FPGAやASIC)によっても実現可能である。
102:音響探触子、104:走査機構、122:装置制御部
Claims (10)
- 光が照射された被検体から発生した音響波を受信し、時系列の電気信号に変換する探触子と、
前記被検体上における前記光の照射位置、または、前記探触子の位置の少なくとも一方を前記被検体に対して移動させる走査機構と、
前記被検体に対して複数回の光照射を行う制御手段と、
前記光照射ごとに得られた前記時系列の電気信号の波形を示す画像を生成する画像生成手段と、を有し、
前記画像生成手段は、前記被検体の走査面内における所定の領域に前記照射位置または前記探触子の位置が含まれるタイミングで照射された光に起因する電気信号を用いて前記画像を生成する
ことを特徴とする、光音響装置。 - 前記画像生成手段は、前記時系列の電気信号から、前記探触子が前記被検体と接触する面である接触面の近傍に対応する範囲を抽出し、当該範囲に含まれる前記電気信号の波形を示す画像を生成する
ことを特徴とする、請求項1に記載の光音響装置。 - 前記画像生成手段は、前記接触面の位置に対応するマーカーを前記画像に重畳する
ことを特徴とする、請求項2に記載の光音響装置。 - 前記画像生成手段は、前記電気信号の波形に基づいて前記被検体の表面位置を推定し、前記推定した表面位置に対応するマーカーを前記画像に重畳する
ことを特徴とする、請求項2または3に記載の光音響装置。 - 前記所定の領域は、前記走査面内に配置された軸を含む領域である
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の光音響装置。 - 前記走査機構は、前記照射位置または前記探触子の位置を、主走査方向に対応する第一の軸と、副走査方向に対応する第二の軸に沿ってそれぞれ移動可能であり、
前記所定の領域は、前記第一の軸における座標が同一である複数の点を含む領域である
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光音響装置。 - 前記走査機構は、前記照射位置または前記探触子の位置を、主走査方向に対応する第一の軸と、副走査方向に対応する第二の軸に沿ってそれぞれ移動可能であり、
前記画像生成手段は、前記主走査方向への走査が完了するごとに前記画像を生成する
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光音響装置。 - 前記画像生成手段は、複数の前記画像を連続して生成し、動画像として表示装置に出力する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の光音響装置。 - 前記探触子が、音響フォーカス型の探触子である
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の光音響装置。 - 光が照射された被検体から発生した音響波を受信し、時系列の電気信号に変換する探触子と、前記被検体上における前記光の照射位置、または、前記探触子の位置の少なくとも一方を前記被検体に対して移動させる走査機構と、を有する光音響装置が行う制御方法であって、
前記被検体に対して複数回の光照射を行う制御ステップと、
前記光照射ごとに得られた前記時系列の電気信号の波形を示す画像を生成する画像生成ステップと、を含み、
前記画像生成ステップでは、前記被検体の走査面内における所定の領域に前記照射位置または前記探触子の位置が含まれるタイミングで照射された光に起因する電気信号を用いて前記画像を生成する
ことを特徴とする、制御方法。
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