JP2014207933A - 被検体情報取得装置、被検体情報取得装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このように、音響波を用いて被検体の情報を取得する装置では、測定中に被検体が動かないように留意しなければならない。しかし、測定中に被検体がずれたことに測定後に気付いた場合、被検体を圧迫保持しながらの測定を最初からやり直す必要があり、被検者に対する大きな負担となっていた。
被検体内から到来する音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置であって、音響波を受信する探触子を前記被検体に対して走査させる走査手段と、前記探触子の走査経路である第一の経路を決定する経路設定手段と、前記被検体の位置に関する情報である位置情報を取得する位置情報取得手段と、を有し、前記経路設定手段は、前記位置情報に基づいて、走査経路を前記第一の経路とは異なる第二の経路に変更するか否かを決定することを特徴とする。
音響波を受信する探触子と、前記探触子を移動させる走査機構とを備え、被検体内から到来する音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報
取得装置の制御方法であって、前記探触子の走査経路である第一の経路を決定し、前記探触子を用いて前記被検体に対する走査を行う走査ステップと、前記被検体の位置に関する情報である位置情報を取得する位置情報取得ステップと、を含み、前記走査ステップは、前記位置情報に基づいて、走査経路を前記第一の経路とは異なる第二の経路に変更するか否かを決定することを特徴とする。
本発明の第一の実施形態に係る光音響測定装置は、レーザ光を被検体に照射し、当該レーザ光に起因して被検体内で発生した光音響波を受信して解析することで、被検体内の光学特性に関連した情報を画像化する装置である。光学特性に関連した情報とは、一般的には、初期音圧分布や、光吸収エネルギー密度分布、吸収係数分布、あるいは、組織を構成する物質の濃度分布である。
図1を参照しながら、第一の実施形態に係る光音響測定装置の構成を説明する。第一の実施形態に係る光音響測定装置は、光源11、光学系13、音響波探触子17、走査部18、信号処理部19、データ処理部20、入出力部21、測定部22、経路設定部23を有する。
まず、光源11から発せられたパルス光12が、光学系13を経由して被検体15に照射される。被検体内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体に吸収されると、熱膨張により当該光吸収体から音響波が発生する。被検体内で発生した音響波は、音響波探触子17で受信され、信号処理部19およびデータ処理部20で解析される。解析結果は、被検体内の特性情報を表す画像データ(光学特性値情報)に変換され、入出力部21を通して出力される。なお、音響波探触子の走査経路は、経路設定部23が決定する。
また、本実施形態に係る光音響測定装置は、被検体の位置を表す情報(位置情報)を測定部22が取得し、測定に影響を及ぼす被検体の位置変化が発生した場合、経路設定部23がこれを検出して、走査経路を再設定する。これにより、測定中に被検体の位置が変化した場合であっても、不完全な情報が生成されたり、情報が欠落したりすることを防止することができる。
以下、本実施形態に係る光音響測定装置を構成する各手段について説明する。
光源11は、被検体に照射されるパルス光を発生させる装置である。光源は、大出力を得るためレーザ光源であることが望ましいが、レーザの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプ等を用いることもできる。光源としてレーザを用いる場合、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なものが使用できる。照射のタイミング、波形、強度等は不図示の光源制御部によって制御される。この光源制御部は、光源と一体化されていても良い。
また、光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体である場合、光源から発生するパルス光のパルス幅は10〜50ナノ秒程度が好適である。また、パルス光の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には、被検体が生体である場合、500nm以上1200nm以下であることが望ましい。さらに、パルス光の波長は、観測対象に対して吸収係数が高いものであることが望ましい。
光学系13は、光源11で発生したパルス光12を被検体15へ導く手段であり、典型的には光を反射するミラーや、光を集光、拡大、または形状を変化させるレンズ、光を拡散させる拡散板などで構成される。これらの光学部材を用いて、パルス光の照射形状、光密度、被検体への照射方向といったような照射条件を任意のものに設定することができる。なお、光はレンズで集光させるより、ある程度の面積に広げた方が、被検体への安全性ならびに診断領域を広げられるという観点で好ましい。光源11および光学系13が、本発明における光照射部である。
被検体15および光吸収体14は、本発明を構成するものではないが、ここで説明する。被検体15は、光音響測定を行う対象物であり、典型的には人体や動物の乳房や指、手足などである。ここでは、人の乳房を被検体とする。
本実施形態に係る光音響測定装置では、被検体15の内部に存在する、相対的に光吸収係数が大きい光吸収体14をイメージングすることができる。被検体が生体である場合、光吸収体14とは、具体的には水、脂質、メラニン、コラーゲン、タンパク質、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンなどである。または、酸化あるいは還元ヘモグロビンを多く含む血管や、新生血管を多く含む悪性腫瘍などである。光吸収体をイメージングすることで、本実施形態に係る光音響測定装置は、血管の造影、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを行うことができる。
音響波探触子17は、被検体15に照射された光に起因して当該被検体の内部で発生した音響波を受信し、アナログの電気信号に変換する手段である。なお、本発明における音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、光音響波、光超音波と呼ばれる弾性波を含む。音響波探触子17は、被検体内で発生又は反射したこれらの弾性波を受信する。
音響波探触子17は、探触子またはトランスデューサとも呼ばれる。音響波探触子17は、単一の音響検出器からなってもよいし、複数の音響検出器からなってもよい。
また、音響波探触子17は、複数の受信素子が一次元、或いは二次元に配置されたものであってもよい。多次元配列素子を用いると、同時に複数の場所で音響波を受信することができるため、測定時間を短縮することができると共に、被検体の振動などの影響を低減することができる。
はPZT(圧電セラミックス)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、CMUT(容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ)、ファブリペロー干渉計を用いたものなどが挙げられる。ただし、ここに挙げたものだけに限定されず、音響波探触子としての機能を満たすものであれば、どのようなものであってもよい。
走査部18は、音響波探触子17を二次元方向に移動させる手段であり、走査機構とその制御手段からなる。走査部18を用いることで、音響波探触子17を二次元的に走査させながら光音響測定を行うことができる。本実施形態では、被検体15は固定されており、音響波探触子をX−Yステージ上で移動させることで、被検体と音響波探触子の相対的な位置を変える。
なお、本実施形態では、走査機構によって音響波探触子17を移動させているが、音響波探触子を固定し、被検体を動かす構成としてもよい。この場合、被検体を支持する支持部(不図示)を走査機構によって動かすようにしてもよい。
なお、走査の種類や方法は、ここに挙げたものだけに限定されず、被検体15と音響波探触子17のうち少なくとも一方を移動させることができるものであれば、どのようなものであってもよい。
信号処理部19は、音響波探触子17で得られた電気信号を増幅し、デジタル信号に変換する手段である。信号処理部19は、典型的には増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどで構成される。探触子から得られる検出信号
が複数の場合は、同時に複数の信号を処理できることが望ましい。
データ処理部20は、信号処理部19によって得られたデジタル信号を処理することによって、画像データを生成(画像再構成)する手段である。データ処理部20が実行する画像再構成方法には、例えば、フーリエ変換法、ユニバーサルバックプロジェクション法やフィルタードバックプロジェクション法、逐次再構成法などがあるが、どのような画像再構成方法を用いても構わない。また、信号処理部19、データ処理部20は一体化されていてもよい。信号処理部19およびデータ処理部20が、本発明における画像取得手段である。
入出力部21は、データ処理部20で生成された画像を出力し、また、操作者からの入力操作を受け付ける手段であり、典型的にはタッチパネルディスプレイである。また、入出力部21は、後述する経路設定部23が被検体の位置ずれを検出した場合に、当該位置ずれについての詳細な情報を表示する手段である。なお、入出力部21は、必ずしも光音響測定装置と一体である必要はなく、外部に接続された装置であってもよい。
測定部22は、被検体の位置情報を取得するための測定手段であり、具体的には、被検体の表面を撮像する可視光カメラ、赤外線カメラ、被検体の形状を測定する距離センサな
どである。測定部22にカメラを用いる場合、そのフレームレートおよび解像度は、測定に影響を及ぼす被検体の位置変化を検出できる程度であればよい。測定部22が、本発明における位置情報取得手段である。
また、測定部22は、複数台の可視光カメラであってもよいし、被検体との距離を測定することができる一つ以上のセンサであってもよい。また、被検体表面の血管形状を測定できる赤外線カメラなど、被検体が移動または変形したことを捉えられるものであれば、どのようなものであってもよい。
第一の実施形態では、測定部22として、被検体の測定対象領域全体を捉えることができる可視光カメラを用いる。
経路設定部23は、測定を行う際の音響波探触子17の移動経路(走査経路)を生成し、走査部18を通して、音響波探触子17の移動を制御する手段である。また、測定部22によって得られた被検体画像に基づいて、走査中に発生した被検体のずれを検知し、走査経路を生成し直す手段である。経路設定部23が、本発明における経路設定手段および経路変更手段である。
ここで、被検体のずれについて説明する。光音響測定では、被検体内で発生する音響波を探触子で受信することで、音響波の発生源を推定する。すなわち、光音響測定中に被検体が移動したり変形したりすると、探触子に対する位置関係がずれてしまうため、誤った情報に基づいて画像が生成されてしまう。
経路設定部23は、このような測定に影響を及ぼす被検体のずれ(以降、単に位置ずれと称する)を検出し、走査経路を変更することで情報の欠落を回復ないし防止する。なお、位置ずれとは、測定対象領域における被検体の平行移動、伸縮、回転、歪みなどを含む。測定に影響を及ぼす被検体の動きであれば、検出対象はどのような動きであってもよい。
経路設定部23は、測定部22を介して被検体画像を複数枚取得し、それぞれの画像を用いて、被検体の位置ずれが発生したことを検出する。具体的な方法については後述する。
また、信号処理部19、データ処理部20、経路設定部23は、CPUと主記憶装置、および補助記憶装置を有するコンピュータであってもよいし、マイコンや、専用に設計されたFPGA等のハードウェアであってもよい。
次に、経路設定部23が、被検体の位置ずれを検出する方法について説明する。本例では、被検体画像のうち、位置ずれを検出する対象領域(関心領域)を定め、当該領域内における位置ずれを検出する。関心領域は、事前に操作者によって指定されてもよいし、装置が自動的に設定してもよい。
位置ずれの検出は、テンプレート画像と、測定中に周期的に取得した被検体画像を比較することによって行う。まず、測定開始前に被検体画像を取得し、当該画像をテンプレート画像として一時的に記憶する。そして、測定開始後、一定時間おきに被検体画像を取得し、テンプレート画像と各フレームにおける被検体画像とのマッチングを行う。具体的には、数式1で示したような、正規化相互相関(ZNCC:Zero-mean Normalized Cross-Correlation)を演算し、被検体の位置の変化量を算出する。
なお、本実施形態では、正規化相互相関による演算を行っているが、被検体の位置の変化を示すものであれば、他の方法によって算出してもよい。例えばSSD(Sum of Squared Difference)や、SAD(Sum of Absolute Difference)など、被検体の位置の変化
がわかる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。なお、本例では、被検体画像全
体を関心領域とするが、関心領域を指定する場合、各画像から関心領域を切り出して演算を行ってもよい。
り、Iavgは当該関心領域における輝度の平均値である。また、T(i,j)はテンプレート画像の関心領域における輝度値であり、Tavgは当該関心領域における輝度の平均値であ
る。
数式1を用いて、テンプレート画像の関心領域と、被検体画像の関心領域との間の類似度Rを求めることができる。また、座標をシフトさせながらマッチングを行い、最も類似度が高くなるシフト量を取得することで、X方向,Y方向それぞれのずれ幅を取得することができる。当該ずれ幅が、測定開始後に発生した被検体の移動量となる。
次に、経路設定部23が被検体の位置ずれを検知した場合に、走査経路の変更を行う方法について説明する。走査経路を変更する方法としては、その経路の一部を変更する、あるいは全部を変更することが考えられる。
図2を参照して説明を行う。ここでは、被検体15に対して測定を行う前に、操作者が、走査を行う対象領域である測定対象領域24を設定し、これに対して走査経路25が自動的に生成されたものとする。生成された走査経路を図2(a)に示す。走査は、音響波探触子17をX軸方向に移動させながら光音響データの取得を行う主走査と、Y軸方向に一定の距離だけ移動させる副走査を繰り返すことで行われる。なお、主走査によって走査される領域を走査ストライプと呼ぶ。なお、図2(b)〜(d)においてX軸およびY軸の表記は省略する。
されてしまう。これを防ぐための方法には、以下の三つの方法が考えられる。
第一の方法は、音響波探触子を、被検体が移動した分だけシフトさせて測定を続ける方法である。すなわち、被検体の動きに追従させて走査経路を移動させ、新しい走査経路上に音響波探触子を移動させて走査を継続する。図2(b)の例では、被検体の位置ずれを検知した時点で、走査経路25のうち未走査の経路を破棄し、当該未走査の経路を右下にシフトさせた走査経路28Aを生成する。音響波探触子は、新たな走査経路28A上に移動し、走査を継続する。点線で示した符号15Aが、移動後の被検体の位置を表す。また、点線で示した符号27Aが新たな走査ストライプである。
図2(c)の例では、第一の方法と同様に新たな走査経路28Bを生成するが、探触子を後退させる必要があるため、既走査の経路も変更の対象となる。本例では、走査経路25全体を走査経路28Bに置き換え、音響波探触子を走査経路28Bの先頭(走査開始地点)まで移動させ、走査を再度行う。符号27Bが新たな走査ストライプである。
なお、ここでは、走査経路25全体を変更の対象とし、走査経路28Bの先頭まで音響波探触子を後退させているが、例えば、走査経路25のうち、二本目のストライプの先頭以降のみを変更対象としてもよい。走査経路は、音響波探触子を、被検体の位置ずれの影響を受けない位置まで後退させられるような範囲で変更すればよい。
図2(d)の例では、符号29で示した領域が、位置ずれ発生後の新たな測定対象領域であるとする。位置ずれを検知した時点で、走査経路25は破棄され、測定対象領域29をカバーする新たな走査経路30が生成され、走査が再度行われる。なお、新たな測定対象領域29は、手動で再設定されてもよいし、自動で再設定されてもよい。
本実施形態に係る光音響測定装置が行う処理について、図3を用いて説明する。
まず、操作者が、被検体のずれ幅の閾値、すなわち移動量の許容最大値をピクセル数で入力する(S1)。閾値は、入出力部21から入力することが好ましいが、閾値は装置にあらかじめ所定の値として記憶されていてもよいし、装置が自動的に演算してもよい。
次に、経路設定部23が走査経路を決定する(S3)。走査経路は、測定対象領域全てを走査できるような経路である。測定対象領域とは、走査が可能な領域全体であってもよいし、被検体が存在する領域のみであってもよい。本実施形態では、測定対象領域をストライプで分割して、当該ストライプを全て走査する経路を自動で生成するが、操作者が手動で走査経路を指定するようにしてもよい。
ステップS3が終了すると、光音響測定が開始される。まず、測定部22が被検体画像
を取得し、経路設定部23が被検体の位置ずれを検出する(S4)。ここでは、前述したように、測定開始前に取得した被検体画像と、測定中に一定時間おきに複数回撮像した被検体画像のずれ幅(すなわち移動したピクセル数)を取得し、予め設定された閾値との比較を行う。この結果、ずれ幅が閾値を超えた場合、被検体の位置ずれが生じたと判定する。
なお、この他にも、被検体画像を取得するごとに、測定開始からのずれ幅を積算し、積算されたずれ幅が閾値を超えた場合に、被検体の位置ずれが生じたと判定してもよい。
そして、パルス光に起因して被検体内で発生した音響波を、音響波探触子17によって取得する(S7)。既定回数のパルス光を発光し、音響波の取得が完了したら、測定が全て完了したかを判定し(S8)、完了していたら処理を終了させる。未完了である場合は、処理はステップS4へ戻り、再度、被検体画像の取得を実行する。
ステップS5を実行した結果、ずれ幅が閾値を超過していた場合は、処理はステップS9に遷移し、走査経路の変更と音響波探触子の移動を行う。
走査経路を設定し直す場合、被検体に生じたずれ幅の分だけ走査経路をシフトしてもよいし、新たな走査経路を生成してもよい。新たな走査経路が生成された場合、音響波探触子を新たな走査経路上に移動させる。この場合、ただちに走査を再開してもよいし、ずれをカバーできる分だけ音響波探触子を後退させた後に走査を再開してもよい。また、最初から走査をし直してもよい。ステップS9では、これらの指示を操作者から受け付け、音響波探触子を移動させる。
図4の画面は一例であり、操作者に提示する画面は、被検体の位置が変化したことを通知できれば、どのように構成されていてもよい。例えば、位置の変化量や変化ベクトルを数値で表示してもよいし、被検体画像に重畳表示してもよい。また、被検体の位置変化量は、長さ(ミリメートル)で表示してもよいし、変化ボクセル値や変化量のベクトルで表示してもよい。また、Z方向についての変化ピクセル数が検知可能である場合、併せて表示してもよい。装置が扱うことができる値であれば、どのような形式で表示してもよい。
また、走査経路の変更は、装置が自動的に行うことが好ましいが、画面上に選択肢を表示し、以降の処理を操作者に選択させるようにしてもよい。例えば、図4の例では、「測定をやり直す」「被検体の動きに探触子を追従させて測定を継続」「被検体の動きに追従させた走査経路を新たに生成して再測定」「測定中断」の4つの選択肢を提示している。もちろん、この他にも、装置において実現しうる方法であれば、どのような選択肢を提示
してもよい。
第一の実施形態では、光音響測定を開始する前に取得したテンプレート画像と、測定中に取得した被検体画像とのずれ幅を取得した。すなわち、被検体の位置ずれは一つのベクトルで表現されていた。これに対し、第二の実施形態は、被検体表面の特徴点を抽出し、特徴点ごとに変位量を求めたうえで位置ずれの発生を総合的に判断する実施形態である。
また、第二の実施形態に係る経路設定部23は、撮像した画像同士をパターンマッチングさせるのではなく、各画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点の移動を検出することで位置ずれの発生を判断するという点において第一の実施形態と相違する。
特徴点の抽出には、既知の技術を用いることができる。例えば、画像にフィルタをかけることで得られるエッジ情報から特徴点を抽出してもよいし、画像における生体構造上の特徴(例えば乳房における乳頭、血管の陰影、メラニン色素沈着、乳房輪郭、しわ)から特徴点を抽出してもよい。特徴点の位置の変化をフレーム間で追跡できるものであれば、特徴点の抽出方法は特に限定されない。
また、これらの情報をフレーム間で一定時間積算し、積算後に平均して得られた情報から特徴点を抽出してもよい。また、撮影した各フレームから特徴点を求める際は、画像の一部のみを用いてもよいし、全部を用いてもよい。さらに、操作者が入出力部21を通して関心領域を設定し、当該関心領域内で特徴点の追跡を行うようにしてもよい。
なお、特徴点は、被検体の移動を追跡するための微小な領域であり、必ずしも一つの画素に対応する点である必要は無い。
ステップS1は、第一の実施形態と同様に、被検体の位置ずれの閾値、すなわちずれ幅の許容最大値を設定するステップであるが、第二の実施形態では、被検体全体の移動量に対応する値ではなく、変形量の許容最大値を閾値として設定する。具体的には、「最も変位量の大きい特徴点のずれ幅の許容最大値」を閾値として設定する。ずれ幅の許容値は、ピクセル数で入力してもよいし、ボクセル換算値、距離換算値などで入力してもよい。
なお、閾値を自動的に設定するようにしてもよい。例えば、被検体が装置に挿入されて測定準備が整った後から測定を開始するまでに、それぞれの特徴点に対応する変位情報(例えば動きベクトル値やその絶対値)を取得し、当該変位情報を一定倍したものを閾値として使用するようにしてもよい。これらの演算は、測定部22が行ってもよいし、経路設定部23が行ってもよい。
ステップS3で行う走査経路の生成処理は、第一の実施形態と同様である。
)法を用いることで、被検体が平行移動をしているか、変形しているかをさらに推定することができる。RANSAC法では、ランダムに特徴点をn個抽出し、対応する特徴点同士で変換行列を求める。そして、当該変換行列を、ランダムに抽出した他の特徴点に適応する。
この結果、残差の2乗和が最小になる変換行列が有意に多く得られた場合、平行移動によるずれが発生していると判定することができる。反対に、多く得られなかった場合は、回転ないし変形が発生していると判定することができる。もちろん、上記の方法に限らず、他の方法を用いてもよい。
ステップS9では、第一の実施形態と同様に、画面表示によって操作者に対する通知を行い、走査経路を変更する。平行移動が検知された場合、第一の実施形態と同様に、被検体に生じたずれ幅の分だけ走査経路をシフトしてもよいし、新しい走査経路を生成してもよい。回転移動や変形が検知された場合、新たな走査経路を生成し、最初から走査し直すことが好ましいが、最初から走査を行わずとも位置ずれをカバーできる場合、新たな走査経路の途中から走査を再開してもよい。すなわち、被検体の一部のみが変形した場合、変形した部分に係る走査経路のみを再生成してもよい。
なお、動きベクトルは、例示した方法以外の方法によって示すようにしてもよい。例えば、類似する動きベクトルを類似した色で表示するようにしてもよいし、グループ分けする線の色を変えてもよい。また、矢印以外を用いて動きベクトルを表してもよいし、被検体全体を表示せず、動きベクトルが大きい領域のみを拡大表示するようにしてもよい。
なお、各実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む被検体情報取得装置の制御方法として実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
また、モラベック・オペレータによる移動体追跡手法、KLT(Kanade-Lucas-Tomasi
)法、局所相関の対応付けによる方法や、大域整合性を考慮した方法による情報などであってもよい。また、単純に、予め設定された領域から被検体がはみ出した場合に、位置ずれが発生したと判断してもよい。被検体の位置や外形の変化がわかる情報であれば、どのような情報を用いて位置ずれ発生の判断を行ってもよい。
また、ずれ量を大・中・小に分類した結果や、位置ずれの種類(例えば「平行移動」や「一部歪み」等)、座標系におけるそれぞれの軸上の初期状態からのずれ値などであってもよい。位置ずれがどのようなものであるかを表現できれば、どのような値を用いてもよい。
Claims (18)
- 被検体内から到来する音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置であって、
音響波を受信する探触子を前記被検体に対して走査させる走査手段と、
前記探触子の走査経路である第一の経路を決定する経路設定手段と、
前記被検体の位置に関する情報である位置情報を取得する位置情報取得手段と、
を有し、
前記経路設定手段は、前記位置情報に基づいて、走査経路を前記第一の経路とは異なる第二の経路に変更するか否かを決定する
ことを特徴とする、被検体情報取得装置。 - 前記経路設定手段は、前記位置情報に基づいて被検体の移動量を取得し、前記移動量が所定の値を超えている場合に、走査経路の変更を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載の被検体情報取得装置。 - 前記第二の経路は、前記被検体の移動に追従して前記第一の経路を平行移動させた経路である
ことを特徴とする、請求項2に記載の被検体情報取得装置。 - 前記経路設定手段は、走査経路の変更を行う場合に、前記第一の経路のうち既走査の経路を含む経路を第二の経路に変更し、
前記走査手段は、前記第二の経路を用いて走査を再度行う
ことを特徴とする、請求項2または3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記経路設定手段は、走査経路の変更を行う場合に、前記第一の経路のうち未走査の経路を第二の経路に変更し、
前記走査手段は、前記第二の経路を用いて走査を継続する
ことを特徴とする、請求項3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記経路設定手段は、前記位置情報に基づいて被検体の変形量を取得し、前記変形量が所定の値を超えている場合に、走査経路の変更を行う
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記経路設定手段は、走査経路の変更を行う場合に、前記位置情報に基づいて、前記第一の経路のうち、前記被検体の変形した部分に係る走査経路を第二の経路に変更する
ことを特徴とする、請求項6に記載の被検体情報取得装置。 - 被検体内に光を照射し、前記光に起因して前記被検体内で発生する音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置であって、
前記被検体に光を照射する光照射部と、
前記探触子が受信した音響波を解析することで、前記被検体内の光学特性に関連した情報を画像化する画像取得手段と、
をさらに有する
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 被検体内に音響波を送信し、前記被検体内で反射した前記音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置であって、
前記探触子を用いて前記被検体内に音響波を送信する音響波送信手段と、
前記探触子が受信した音響波を解析することで、前記被検体内の音響特性に関連した情
報を画像化する画像取得手段と、
をさらに有する
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 音響波を受信する探触子と、前記探触子を移動させる走査機構とを備え、被検体内から到来する音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記探触子の走査経路である第一の経路を決定し、前記探触子を用いて前記被検体に対する走査を行う走査ステップと、
前記被検体の位置に関する情報である位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
を含み、
前記走査ステップは、前記位置情報に基づいて、走査経路を前記第一の経路とは異なる第二の経路に変更するか否かを決定する
ことを特徴とする、被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記走査ステップでは、前記位置情報に基づいて被検体の移動量を取得し、前記移動量が所定の値を超えている場合に、走査経路の変更を行う
ことを特徴とする、請求項10に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記第二の経路は、前記被検体の移動に追従して前記第一の経路を平行移動させた経路である
ことを特徴とする、請求項11に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記走査ステップでは、走査経路の変更を行う場合に、前記第一の経路のうち既走査の経路を含む経路を第二の経路に変更し、前記第二の経路を用いて走査を再度行う
ことを特徴とする、請求項11または12に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記走査ステップでは、走査経路の変更を行う場合に、前記第一の経路のうち未走査の経路を第二の経路に変更し、前記第二の経路を用いて走査を継続する
ことを特徴とする、請求項12に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記走査ステップでは、前記位置情報に基づいて被検体の変形量を取得し、前記変形量が所定の値を超えている場合に、走査経路の変更を行う
ことを特徴とする、請求項10〜14のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記走査ステップでは、走査経路の変更を行う場合に、前記位置情報に基づいて、前記第一の経路のうち、前記被検体の変形した部分に係る走査経路を第二の経路に変更する
ことを特徴とする、請求項15に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 被検体内に光を照射する光照射部を有し、前記光に起因して前記被検体内で発生する音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記光照射部から光を発生させる光照射ステップと、
前記探触子が受信した音響波を解析することで、前記被検体内の光学特性に関連した情報を画像化する画像取得ステップと、
をさらに含む
ことを特徴とする、請求項10〜16のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記探触子から被検体内に音響波を送信し、前記被検体内で反射した音響波を受信および解析することで、前記被検体内の情報を取得する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記探触子から音響波を発生させる音響波送信ステップと、
前記探触子が受信した音響波を解析することで、前記被検体内の音響特性に関連した情報を画像化する画像取得ステップと、
をさらに含む
ことを特徴とする、請求項10〜16のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置の制御方法。
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