以下、実施形態の呼吸センサ、呼吸検出装置、生体情報処理装置、生体情報処理方法、コンピュータプログラム及びマインドフルネス支援装置を、図面を参照して説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
図1〜図3は、第1の実施形態の生体情報処理装置1の構成の概略を説明する図である。実施形態の生体情報処理装置は、自装置の筐体をなす筐体部と、自装置に駆動電力を供給する電源部と、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、ユーザのマインドフルネスを支援するための各種情報(以下「支援情報」という。)を生成する支援情報生成部と、支援情報を種々の形式で出力する出力部と、を備える。図1に示す生体情報処理装置1は、生体情報取得部の一例として呼吸センサ20及び脈波センサ132を備え、出力部14の一例として表示部141、LED(Light Emitting Diode)142、振動子143及びスピーカ144を備える。
筐体部11は、電力供給部12、呼吸センサ20、呼吸センサ制御装置30、脈波センサ132−1及び132−2、表示部141、発光部142、振動子143、スピーカ144、及びこれらの動作を制御する回路部15を内蔵する。図1では簡単のため省略しているが、筐体部11は、内蔵する各機能部を所定の位置に保持するための連結部材を含む。呼吸センサ20及び呼吸センサ制御装置30によって呼吸検出装置が構成される。
電力供給部12は、電源部の一例であり、生体情報処理装置1が備える各機能部に駆動電力を供給する。例えば、電力供給部12は蓄電池やバッテリ装置を用いて構成される。また、電力供給部12は、電源コンセントから電力を取得するための電源プラグを用いて構成されてもよい。
呼吸センサ20は、ユーザの呼吸の状態をセンシングするセンサである。呼吸センサ20は、ユーザの呼吸の状態を示す情報(以下「呼吸情報」という。)を取得できるセンサである。例えば、人の呼吸の状態を把握する方法の一つとして、人(ユーザ)の身体の一部、例えば腹部の動きを観測する方法がある。この場合、呼吸センサ20には、プローブと人体との間の距離を計測可能な距離センサを用いることができる。
このような呼吸センサ20としては、例えば、時間差検出センサと同等の機能を備えるセンサが用いられる。この呼吸センサ20は、信号発生器21と、コイル部22(図4参照)と、を備えている。コイル部22にはコイル51が設けられている。コイル51は、プローブであり、ユーザの腹部の変位の計測基準となる。信号発生器21は、所定の周波数の信号(交流信号)を発生させて、コイル部22に出力する。コイル部22のコイル51は、生体情報処理装置1の使用時に、ユーザの身体の一部に近接した位置に配置される。ユーザの身体の一部は、ユーザの呼吸に応じて変位する部位である。このユーザの身体の一部は、例えばユーザの腹部である。信号発生器21から出力される信号の発振周波数は、例えば、吐切状態における掃引による検出値から吸切状態における掃引による検出値を差し引いた値が最大となる周波数としてもよい。
信号発生器21から出力された信号は、コイル部22を通過して呼吸センサ制御装置30に入力される。ユーザは、呼吸を行うと腹部が変位する。例えば、ユーザは、息を吸い込むと腹部が張り出してコイル51に近接する。ユーザは、息を吐きだすと腹部が引っ込んでコイル51から離反する。コイル51は、ユーザの腹部の近接や離反により、インダクタンスが変化する。コイル部22を通過した信号は、呼吸検出信号となって呼吸センサ制御装置30に出力される。呼吸センサ制御装置30は、コイル部22を流れる電気信号の伝播速度の変化を呼吸検出信号の位相のずれから計測することによってコイル51と人体との間の距離を計測し、ユーザの呼吸を検出することができる。
コイル51の形状は、円筒形状が望ましいが、どのような形状でもよい。例えば、断面が楕円や長円でもよいし、断面が四角形や三角形、六角形などの多角形状でもよい。蜘蛛の巣のような扁平な同心円状でもよい。断面の面積が大きいほど、高感度に、腹部とコイルとの距離が離れていても計測できるので望ましい。また、コイル51は、単一のものでもよいし、分割されていてもよい。コイル51が分割されている場合には、分割されたそれぞれの形状が同じものでもよいし異なるものでもよい。また、コイル51を配置する際には、コイル51の軸がユーザの腹部表面と直角に近くなるように配置することが望ましい。言い換えれば、コイル51の断面がユーザの腹部表面と平行に近くなるように配置することが望ましい。
脈波センサ132−1及び132−2は、ユーザの脈波をセンシングするセンサである。脈波センサ132−1及び132−2は、ユーザの脈波の状態を示す情報(以下「脈波情報」という。)を取得できるセンサであればどのようなセンサを用いて構成されてもよい。図1において生体情報処理装置1に2つの脈波センサが設けられているのは、生体情報処理装置1を図2のように保持するユーザの両手の脈波を計測することを想定したものであるが、生体情報処理装置1は必ずしも両手の脈波を計測する必要はない。また、脈波の計測箇所は必ずしも手である必要はない。そのため、脈波センサの数や設置位置は、計測部位や計測部位の数に応じて任意に決定されてよい。
呼吸センサ20及び脈波センサ132などの生体センサは、筐体の表面近傍又は腹部や手などに接することができる位置に配置することが好適である。呼吸センサ20及び脈波センサ132をこれらの位置に配置することにより、ユーザの呼吸情報や脈波情報といった生体情報を容易に検知できる。
表示部141は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部141は、視覚を通じてユーザに支援情報を知覚させる手段の一例である。表示部141は、文字や数字、記号、図形、色、画像等の表示によって支援情報の内容をユーザに通知する。表示部141は筐体部11の外部に取り付けられていても構わないし、PC(Personal Computer)やスマホ、タブレットなどの表示部を利用しても構わない。
発光部142は、表示部141と同様に、視覚を通じてユーザに支援情報を知覚させる手段の一例である。発光部142は、その点灯色や点滅のパターンによって支援情報の内容を通知する。発光部142は、例えば、LED基板と、複数、例えば16個のLEDと、拡散レンズと、拡散用乳白板を備えている。複数のLEDは、いずれもLED基板に搭載されている。LEDが搭載されたLED基板は、拡散レンズ及び拡散乳白板によって覆われている。LEDは点光源であるが、複数のLEDを一斉に点灯させ、拡散レンズ及び拡散用乳白板によって光を拡散させることにより、発光部142は、点光源ではなく面光源として発光する。発光部142は、拡散レンズ及び拡散用乳白板を備えることにより、LEDの光が拡散されてぼんやりと広がったように見えるようにできる。発光部142は、拡散レンズ及び拡散用乳白板とともに又は代えて、LED基板を覆う拡散板や拡散フィルム等を有していてもよい。また、発光部142は、基板に搭載されていないLEDでもよい。LEDの代わりに、有機EL素子やレーザダイオード、フラッシュランプなどを用いてもよい。
振動子143は、触覚を通じてユーザに支援情報を知覚させる手段の一例であり、通電により振動するモータやボイスコイル等の駆動部品を用いて構成される。振動子143は、その振動パターンによって支援情報の内容を通知する。
スピーカ144は、聴覚を通じてユーザに支援情報を知覚させる手段の一例である。スピーカ144は、音声の出力によって支援情報の内容を通知する。
回路部15は、バスで接続されたプロセッサやメモリ、補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。このプログラムの実行により、回路部15は、呼吸情報や脈波情報等の生体情報に基づいて支援情報を生成する支援情報生成部として機能する。回路部15は、生成した支援情報を、その通知手段に応じた出力部の形式に変換して出力する。
例えば、画面表示によって支援情報を通知する場合、回路部15は支援情報を示す画面データを生成して表示部141に出力する。また、例えば、発光部142の点灯又は点滅によって支援情報を通知する場合、回路部15は支援情報の内容に対応する点灯色や点滅パターンを指示する制御情報を生成して発光部142に出力する。また、例えば、生体情報処理装置1の振動によって支援情報を通知する場合、回路部15は支援情報の内容に対応する振動パターンを指示する制御情報を生成して振動子143に出力する。また、例えば、音声によって支援情報を通知する場合、回路部15は生成した支援情報を音声データに変換してスピーカ144に出力する。なお、支援情報の種別と、通知手段との対応関係を示す情報は、予め回路部15の補助記憶装置等に記憶されているものとする。
なお、回路部15の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
図3は、第1の実施形態の生体情報処理装置1における各機能部の位置関係の概略を示す図である。図3(A)は図2のように保持された生体情報処理装置1を上から(z軸正方向からz軸負方向に)見た場合のイメージ図である。図3(B)は図2のように保持された生体情報処理装置1をユーザの対面方向から(y軸負方向からy軸正方向に)見た場合のイメージ図である。
この場合、呼吸センサ20はユーザの腹部に近接し、ユーザの腹部との間の距離を計測する。呼吸センサ20は計測値の時系列データを呼吸情報として取得する。また、この場合、脈波センサ132−1はユーザの右手の手のひら付近に接し、その状態でセンシング動作を行うことによりユーザの右手の指や手首の脈波を計測する。同様に、脈波センサ132−2はユーザの左手の手のひら付近に接し、その状態でセンシング動作を行うことによりユーザの左手の指や手首の脈波を計測する。脈波センサ132は、計測値の時系列データを脈波情報として取得する。なお、脈波センサ132は必ずしも指又は手首の脈波を計測する必要はない。脈波センサ132は、ユーザの身体のどの部分に接してもよく、どの部分の脈波を計測してもよい。
また、この場合、ユーザは図2のように保持された生体情報処理装置1を下に(z軸正方向からz軸負方向に)見ることで表示部141に表示された支援情報を確認することができる。また、この場合、図2のように生体情報処理装置1が保持された状態で振動子143が振動することにより、ユーザはその振動有無や振動パターンによって支援情報を知覚することができる。
図4は、第1の実施形態の生体情報処理装置1における呼吸センサ20及び呼吸センサ制御装置30の機能構成の具体例を示すブロック図である。呼吸センサ20は、図1に示した信号発生器21及びコイル部22を備える。コイル部22はコイル51以外にも抵抗やインダクタ、キャパシタを備える場合があり、コイル部22を通過する電気信号の時間のずれや位相差を生むことのできる回路を全体として構成する。呼吸センサ制御装置30は、信号処理部31及び呼吸センサ制御部32を備える。信号処理部31は、信号変換回路31A、オフセット除去回路31B、及び信号増幅回路31Cを備えている。オフセット除去回路31B、及び信号増幅回路31Cは順番が逆になっても構わないし、いずれかもしくは両方を備えなくても構わない。
信号変換回路31Aは、コイル部22から出力される信号の波形を変換する。具体的に、コイル部22から出力される信号は、信号発生器21からコイル部22に入力される波形が矩形波の場合は、矩形波もしくは矩形波がコイル部22を通過することにより崩れた波形となる。信号変換回路31Aは、コイル部22を通過して出力される信号とコイル部22を通過しない信号との時間差や位相差を電圧に変換するための回路である。例えば、望ましくはシュミットトリガ機能を備えたラインドライバーやインバーターと、時間差や位相差を検出するためのex−ORやNANDなどのロジック回路及びこの回路からの出力を一定の電圧値に変換するためのローパスフィルタ回路を備えており、この矩形波を滑らかな電圧波形に変換する。
信号変換回路31Aのカットオフ周波数は、キャリブレーションによって決定された周波数よりも小さい周波数に設定する。信号変換回路31Aのカットオフ周波数は、例えば、コイル部22から出力される信号の周波数よりも1桁以上小さい周波数とすることが望ましい。さらに望ましくは、ユーザの呼吸の周波数範囲のみを通過するフィルタを構成すれば、呼吸以外のノイズ成分、例えば、呼吸以外の体の動きを除去することができる。例えば一般に、成人の呼吸数は1分あたり12から18回とされている。成人の呼吸は、周波数にすると、およそ0.2Hzである。
例えば、コイル部22のコイル51を被験者の腹部近傍に固定した場合、コイル51のインダクタンスは、ユーザの吸切状態と吐切状態とのそれぞれで異なる。これは主として、コイル51とユーザの腹部との距離が呼吸により変化するため、コイル51周囲の透磁率が呼吸に伴って変化することが原因である。コイル部22は前述の通りコイル部22を通過する電気信号の時間のずれや位相差を生むことのできる回路を全体として構成しており、時間のずれや位相差の有無はコイル部22を通過する信号の周波数とコイル部22を構成する回路定数に依存する。例えば、コイル部22が全体としてローパスフィルタ様の回路を構成していた場合、この回路によって決まるカットオフ周波数よりも十分に低い周波数の信号がコイル部22を通過すれば時間のずれや位相差は生じず、逆に十分に高い周波数の信号が通過すれば時間のずれや位相差が生じる結果となる。さらに、前記透磁率の変化によりコイル部22のカットオフ周波数が変化する。つまり、ユーザの吸切状態と吐切状態とで変化するカットオフ周波数が信号発生器21から出力される信号の周波数をまたぐように設計された場合、信号の周波数がカットオフ周波数より低い場合、コイル部22を通過して出力される信号の位相は元の信号の位相から変化しないが、カットオフ周波数よりも高い場合は元の信号の位相に対してずれが生じる。当然のことながら、カットオフ周波数近傍では中間のずれ量となるが、信号の周波数に対する位相の変化の割合やずれ量の最大値は回路の特性により異なる。したがって、この位相の変化を検出すれば、ユーザの呼吸を検出することができる。
オフセット除去回路31Bは、信号処理部31Aから出力される信号に含まれるオフセット成分を除去する回路である。オフセット除去回路31Bは、ユーザの呼吸の周波数、前記の例では0.2Hzよりも低い周波数成分のオフセットを除去する。0.2Hzよりも遅い周波数成分のオフセットの除去は、ハイパスフィルタでは実現が困難である。以下、オフセット除去回路31Bの具体的な回路構成を数例説明する。
図5(A)は、オフセット除去回路31Bの一例を示す回路図である。オフセット除去回路31Bは、例えば、図5に示す計装アンプ310を備える差動増幅回路で構成されている。計装アンプ310の+入力に接続される入力ノード311には、信号変換回路31Aからの信号が入力される。計装アンプ310の−入力には、オフセット調整信号312が入力される。計装アンプ310の出力に接続される出力ノード313からは、オフセット除去信号が出力される。
図5(B)は、オフセット除去回路31Bの他の一例を示す回路図である。オフセット除去回路31Bは、例えば、図5(B)に示すオペアンプ410及び第1抵抗411〜第4抵抗414を備える減算回路で構成されている。オペアンプ410の+入力には、第1抵抗411の一端が接続され、第1抵抗411の他端は入力ノード415には、信号変換回路31Aからの信号が入力される。また、第1抵抗411とオペアンプ410の+入力の間には、第3抵抗413の一端が接続されている。オペアンプ410の−入力には、第2抵抗412の一端が接続され、第2抵抗412の他端からはオフセット調整信号416が入力される。また、第2抵抗412とオペアンプ410の出力側の間には、第4抵抗414が接続されている。オペアンプ410の出力に接続される出力ノード417からは、オフセット除去信号が出力される。
図5(B)に示す減算回路において、第1抵抗411〜第4抵抗414の抵抗値R1〜R4において、R1=R2、R3=R4のとき、オペアンプ410の出力信号VOUTは、下記(1)式で示される。
VOUT=R3{(信号処理部31Aからの信号)−(オフセット調整信号)}/R1[V]
(1)
作動増幅回路及び減算回路に用いるオフセット調整信号は、キャリブレーションの結果及び呼吸センサ制御部32に取り込まれた過去の計測データから算出すればよい。キャリブレーションの結果から算出する場合には、キャリブレーション中に得られた最小値をオフセット調整信号として用いればよい。また、計測データから算出する場合には、現在から過去のある一定区間における計測データの最小値とするのが望ましい。現在から過去のある一定区間は、ユーザの呼吸1回にかかる時間よりも長い時間とするのが望ましい。オフセット調整信号は、例えば、制御部23のDAC(digital to analog converter)からオフセット除去回路32Bに印加される。例えば、吐切状態における信号変換回路31Aからの検出値をオフセット調整信号におけるオフセットの初期値とする。
図6(A)は、信号増幅回路31Cを含むオフセット除去回路31Bの一例を示す回路図である。オフセット除去回路31Bが、例えば、図5(A)に示す作動増幅回路である場合、信号増幅回路31Cは、計装アンプ310に含まれるゲイン調整抵抗510を可変抵抗とした回路となる。ゲイン調整抵抗510としての可変抵抗は、例えば、デジタルポテンショメータとしてもよい。デジタルポテンショメータを用いることにより、呼吸センサ制御部32からの通信によって抵抗を常時変化させて増幅率を変化させることができる。信号増幅回路31Cによって信号を増幅することにより、正規化されたオフセット信号を生成する。なお、呼吸センサ制御部32としては、マイコンやFPGA(field-programmable gate array)などを用いればよい。また、通信には、I2C(Inter-Integrated Circuit)やSPI(Serial Peripheral Interface)を用いればよい。信号増幅回路32Cは、オフセット除去後の小信号を増幅する。このため、ADC(analog to digital converter)の分解能を十分に活用し、SN比を向上させることができる。
信号増幅回路31Cは、吐切状態における信号変換回路31Aの検出値から吸切状態における信号変換回路31Aの検出値を差し引いた値(電圧差)を正規化の基準とする。具体的に、信号増幅回路31Cに対する増幅指令値は、例えば、ユーザの呼吸データを基に算出する。増幅指令値における増幅率gainは、一定区間の最大値maxと最小値minを用いればよく、例えば下記(2)式で決定すればよい。
gain=ADCの入力電圧範囲[V]/(max−min)[V] (2)
信号増幅回路32Cは、反転増幅のものでもよいし、非反転増幅のものでもよい。信号増幅回路31Cは、多段にしてもよい。信号増幅回路31Cを多段にすることにより、増幅率をより大きく変化させることができる。なお、正規化の基準は、呼吸センサ20による計測を開始した後に、順次更新されるようにしてもよい。
図6(B)は、信号増幅回路31Cを含むオフセット除去回路31Bの他の一例を示す回路図である。オフセット除去回路31Bが、例えば、図5(A)に示す差動増幅回路である場合、信号増幅回路31Cは、抵抗とダイオードを併用したものでもよい。図6(B)に示す信号増幅回路31Cを含むオフセット除去回路31Bでは、可変抵抗610、第1抵抗611〜第4抵抗614、第1ダイオード615、及び第2ダイオード616が設けられて増幅回路を構成している。可変抵抗610には、例えば、呼吸センサ制御部32からの通信によって抵抗値が変化され、増幅率が変化させられる。
図6(C)は、信号増幅回路31Cを含むオフセット除去回路31Bの他の一例を示す回路図である。オフセット除去回路31Bが、例えば、図5(A)に示す差動増幅回路である場合、信号増幅回路31Cは、FET(Field effect transistor、電界効果トランジスタ)710が設けられたものでもよい。FET710は、計装アンプ310の−入力に接続される。また、計装アンプ310とFET710との間には、第1抵抗711が接続されている。計装アンプ310と出力ノード313の間と第1抵抗と計装アンプ310の間には、第2抵抗712が接続されている。
信号処理部31は、上記のように、信号変換回路31A、オフセット除去回路31B、及び信号増幅回路31Cを備えて構成してもよいし、差動入力のADC(A/D変換部)を使用してもよい。図7は、呼吸センサ制御装置30の他の一例を示す回路図である。図7に示すように、呼吸センサ制御装置30は、ADC810及びADC810に接続される入力ノード811,812を備える。入力ノード811,812には、コイル部22からの信号と信号発生器21からの信号が入力される。この信号をADC810において変換して、呼吸センサ制御部32で処理してもよい。差動入力のADC810を用いる場合には、オフセット除去は、呼吸センサ制御部32においてソフトウェアで処理すればよい。
信号発生器21から出力される信号の周波数は、既知の周波数であり、どのような周波数でもよいが、例えば500kHz以上20MHz以下のいずれかの周波数とするのが好適である。また、コイル部22のコイル長さはどのような長さでもよいが、例えば10cm以上20m以下の長さとするのが好適である。望ましくは得られる感度の点から、8m以上12m以下とするのがより好適である。以下、これらの好適な範囲について、信号発生器21から出力される信号の周波数とともに説明する。
呼吸センサ20は、例えば、以下の(1)〜(4)の一連の処理で実現されるキャリブレーションを行うことで、プローブ部に印加する電気信号の周波数を決定する。このキャリブレーションは、最初の計測時に一度だけ行われてもよいし、毎回の計測ごとに行われてもよい。(1)の処理は省略することが可能である。
(1)ある周波数範囲(例えば0〜20MHzの間)を一定の周波数範囲で分割し(例えば100分割)、全体の周波数範囲について、分割した周波数範囲を掃引の単位とするプローブ部の周波数掃引試験を実施する。ここで、試験に要する時間を短くするため、1点の測定は極力短時間(例えば10ミリ秒)であることが望ましい。また、計測精度の低下を抑制するため、計測時にはプローブ部(コイルなど)の周りに手や体を近づけないことが望ましい。なお、この周波数範囲内で検出強度の基準を満たすセンシング結果が得られない場合、全体の周波数範囲を広げて再度周波数掃引試験を実施する。
(2)(1)で得られたセンシング結果のうち最も検出強度が高いセンシング結果を得た周波数(ピーク周波数)の前後で、全体の周波数範囲を狭めて再度周波数掃引試験を実施する。ここでの周波数範囲は、例えば下限をピーク周波数の中間値、上限をピーク周波数の1.5倍とする。ここでも、計測精度の低下を抑制するため、計測時にはプローブ部(コイルなど)の周りに手や体を近づけないことが望ましい。
(3)プローブ部に手や体を近づけた状態で(2)と同様の周波数掃引試験を実施する。
(4)(2)と(3)での検出値の差を計算し、その差が最も大きな値となる周波数を求める。この周波数が、キャリブレーションの結果となり、呼吸情報の取得時に呼吸センサ20に印加する電気信号の周波数となる。
図8は、電子回路50の一例を簡略化して示す図である。電子回路50は、コイル部22の一部を構成する。例えば、図8に示すように、電子回路50は、コイル51、第1抵抗52、キャパシタ53、及び第2抵抗54によって構成することができる。この電子回路50では、コイル51及びキャパシタ53のいずれか一方又は両方をプローブとして使用できるが、ここでは、コイル51をプローブとして使用する。また、コイル51、第1抵抗52、及び第2抵抗54の少なくとも一つは、後段の回路の内部抵抗となるようにしてもよい。
図8に示す電子回路50において、コイル51のインダクタンスL=0.5mH、第1抵抗52の抵抗値=0、キャパシタ53の静電容量C=20pF、第2抵抗54の抵抗値R=1Mohmとして電子回路50にパルス波を入力した場合のキャリブレーションの結果の一例を図9に示す。図9(A)は、電子回路50のゲイン線図、(B)は、電子回路50の位相線図である。
図9(A)に示すように、周波数が1MHz以下の場合、ゲインは見られないが、周波数が500kHzとなったあたりからゲインが見られ、1MHzをわずかに超えた値でゲインがピークとなり、それより高い周波数ではゲインが漸減する。つまり、1MHzを超えて周波数が高くなりすぎると信号が得られなくなる。また、図9(B)に示すように、周波数が500kHz以下の場合には、入力波形と出力波形の位相のずれはほとんどなく、周波数が500kHzを超えたあたりから電子回路50の入力波形と出力波形の位相のずれがわずかに見られ、周波数が1MHzを超えた後に急激に大きくなる。このため、信号発生器21から出力される信号の周波数は、500kHz以上20MHz以下の範囲で決定するのが好適であり、より好適な範囲は800kHz以上5MHz以下である。
次に、コイル(インダクタ)の特性について説明する。コイル(ソレノイドコイル)のインダクタンスLは、下記(3)式で表すことができる。また、周波数fは、下記(4)式で表すことができる。
L=kμ(線の長さ)2/4nl (3)
f=1/2π(LC)1/2 (4)
ここで、Lはインダクタンス、nは巻き数、kは長岡係数(=コイルの面積/長さ)、Sはコイルの断面積、μは透磁率、lはコイル長をそれぞれ表す。
次に、コイルの線の長さと好適な周波数との関係について説明する。図10(A)は、線の径が0.35mmのコイルを用いた実験から得られた、長さと周波数との関係を示すグラフ、(B)は、線の径が0.63mmのコイルの長さと周波数との関係を示すグラフである。図10(A)(B)において、縦軸の左側は周波数を示し、右側は信号処理部31から得られる出力の大きさを示している。
図10(A)に示すように、コイルの線の長さが3m程度以下の場合には、周波数が5MHzを超え、6m程度以下の場合には、出力が低下した。また、コイルの線の長さが15m程度以上となると、周波数及び出力ともに安定しなかった。特に、コイルの線の長さが8m以上12m以下の範囲では、周波数及びピークともに安定した結果となった。このため、コイルとして好適に用いられる線の長さが6m以上15m以下、より好適には8m以上12m以下の範囲とするのがよい。また、図10(B)に示すように、コイル線の径が0.63mmの場合でも、コイルとして好適に用いられる線の長さが6m以上15m以下、より好適には8m以上12m以下の範囲とするのがよい。
以上より、信号発生器21から出力される信号の周波数は、500kHz以上20MHz以下の範囲、コイルの線の長さは8〜12mであることが好適である。また、コイルにおける線の長さは長いほど周波数が小さくなり、コイル長は短いほど周波数は小さくなることが分かる。また、コイルの線の太さは周波数とは無関係であることもわかる。このようなコイル特性を考慮して周波数を決定してもよい。なお、コイルは、空芯コイルが好適であるが、鉄芯コイル等を用いてもよい。また、周波数は前述の通り、ユーザの呼吸の吸切状態と吐切状態の間で周波数がまたがるように設定することが好適である。なお、ユーザの呼吸の吸切状態は、ユーザが息を吸い切った状態をいう。吸切状態では、ユーザの腹部は、最も張り出した状態となっている。ユーザの呼吸の吐切状態は、ユーザが息を吐き切った状態をいう。吐切状態では、ユーザの腹部は、最も引っ込んだ状態となっている。言い換えると、信号発生器21から出力される信号の周波数は、吐切状態の周波数よりも低く、吸切状態の周波数よりも高くなるように設定するのが好適である。
また、浮遊容量や出力端のインピーダンスをあえて利用してもよい。例えば、図11(A)に示すように、コイルLに対してキャパシタ60を並列に接続するようにしてもよい。コイルLに対してキャパシタ60を並列に接続することにより、高い周波数のゲインが下がりすぎないようにできる。コイルLに対してキャパシタ60を並列に接続した場合のゲインの変化を図11(B)に示す。図11(B)に示すように、キャパシタ60の静電容量Cp=1pF、100pFの場合のいずれにおいても、ゲインが下がりすぎないようにできる。特に、キャパシタ60の静電容量Cp=100pFとしたときには、よりゲインが下がりすぎないようにできる。なお、キャパシタの面積は、3cm×3cm(9cm2)以上とするのが好ましい。また、キャパシタの形状は、正方形状でもよいし直方形状でもよい。あるいは、円形や楕円形、長円形などでもよい。
また、図12(A)に示すように、コイルLの出力側に抵抗61を接続し、抵抗61を接地させることにより、周波数のゲインが大きく変化しないようにできる。コイルLの出力側に抵抗61を接続し、抵抗61を接地させた場合のゲインの変化を図12(B)に示す。図12(B)に示すように、抵抗61の抵抗値RL=5kohms、500ohmsのいずれの場合でも、ゲインのピークが小さくなり、ゲインが大きく変化しないようにできる。特に、抵抗61の抵抗値RL=500ohmsの場合には、ピークをほとんどなくすことができる。こうして、位相が変化する周波数幅を呼吸センサとして適切な範囲に設定できる。
信号発生器21から出力される信号と、電子回路50もしくはコイル部22から出力される信号の時間的な変化(差)の測定は、時間差をもって行う直接法でもよいし、位相差をもって行う間接法でもよい。直接法の場合、信号発生器21から出力される信号と電子回路50もしくはコイル部22から出力される信号の時間差を時間カウンターにより直接的に測定すればいい。ただし、この場合の測定には非常に高速な測定回路を構成する必要があるため、より難易度の低い間接法を利用するのが一般的である。間接法には例えば非特許文献1の図1や図2にて説明される構成がある。図13(A)及び(B)は、信号発生器21から出力される信号と電子回路50もしくはコイル部22から出力される信号の取り出し個所を説明する図である。図13(A)に示すように、電子回路50の前後で時間差を測定しても良いし、電子回路50から出力される信号と電子回路50を通過しない信号との間で時間差を測定しても良い。
図14は、第1の実施形態の生体情報処理装置1の機能構成の具体例を示すブロック図である。生体情報処理装置1は、図1に示した呼吸センサ20、脈波センサ132、表示部141、発光部142、振動子143及びスピーカ144に加えて、通信部161、増幅器162及びアドレス変換器163を備える。また、上記の回路部15は、分析部151及び制御部152を備えることにより、上記の支援情報生成部として機能する。
通信部161は、他の通信機器との通信を可能にする通信インタフェースである。通信部161は、無線通信インタフェースであってもよいし、有線通信インタフェースであってもよい。マインドフルネスという利用形態では、生体情報処理装置1の設置位置は所定の位置に固定されない場合が多い。その意味では、通信部161は無線通信インタフェースであることが望ましい。
増幅器162は、振動子143及びスピーカ144に出力する電気信号を増幅する増幅器である。増幅器162は、制御部152から出力される電気信号を必要に応じて増幅し、増幅した電気信号を振動子143又はスピーカ144に出力する。
アドレス変換器163は、脈波センサ132から出力される脈波情報に対してアドレス変換処理を施し、アドレス変換処理後の脈波情報を分析部151に出力する。ここでいうアドレス変換処理とは、脈波センサ132−1によって取得された脈波情報(以下「第1脈波情報」という。)と、脈波センサ132−2によって取得された脈波情報(以下「第2脈波情報」という。)との対応づけを行う処理である。
一般に、異なる複数のセンサが接続された装置は、各センサから出力される計測情報を正しく処理するために複数のセンサを個々に識別する必要がある。アドレス変換器163は、2つの脈波センサ132−1及び132−2の出力をメモリ上の異なるアドレス領域で管理することで、分析部151が個々の脈波センサ132の計測情報を個別に処理することを可能にする。
分析部151は、呼吸センサ20によって取得された呼吸情報と、脈波センサ132によって取得された脈波情報とに基づいてユーザの心身状態の分析を行う。例えば、分析部151は、交感神経及び副交感神経のバランスや活性化の度合い等を分析する。分析部151は、分析結果を示す情報(以下「分析結果情報」という。)を制御部152に出力する。分析部151には、呼吸センサ制御部32が含まれていてもよい。
一般に、呼吸の状態や脈波の状態と自律神経の状態との間には相関性があることが知られている。例えば、分析部151は、呼吸情報や脈波情報等の生体情報について、統計分析やパターン分析、周波数解析等を行うことにより、ユーザの呼吸数や呼吸周期などを取得する。分析部151は、取得した呼吸数や呼吸周期等に基づいてユーザの自律神経の状態を推定する。このような分析手法は一例であり、生体情報に基づいて自律神経の状態を推定する手法には、既存のどのような手法が用いられてもよい。
また、分析部151は、ユーザの心身状態を第3者の心身状態と比較してもよい。ここでの比較対象は、呼吸情報や脈波情報等の生体情報そのものであってもよいし、これらの生体情報の分析結果であってもよい。この場合、生体情報処理装置1は、第3者の生体情報や心身状態を示す情報を予め記憶するように構成されてもよいし、必要に応じて他の装置や記録媒体から取得するように構成されてもよい。
また、分析部151は、種々のタイミングで分析を行い、ユーザの心身状態を取得し、制御部152に記憶させるようにしてもよい。例えば、分析部151は、ユーザの心が乱れた瞬間の心身状態を取得して制御部152に記憶させるようにしてもよい。分析部151は、呼吸センサ20によって取得されたユーザの呼吸情報と脈波センサ132によって取得されたユーザの脈波情報とに基づいて、ユーザの脈波を効果的に落ち着かせる又は活性化させる呼吸方法(吸う呼吸と吐く呼吸の周期等)を分析するようにしてもよい。分析部151がこのような分析を行うことにより、例えば、ユーザが早く落ち着くための呼吸や早く覚醒するための呼吸をユーザに知らせることができる。また、分析部151は、ユーザ自身の心身状態の分析情報とともに又は代えて、他のユーザの分析結果を元に、ユーザが早く落ち着くための呼吸や早く覚醒するための呼吸をユーザに知らせることができる。他のユーザの分析結果は、例えば、制御部152から取得するようにすればよい。また、分析部151は、ユーザがリラックスしている時の呼吸の揺らぎを分析するようにしてもよい。この分析により、ユーザがリラックスしている状態を好適に取得することができる。
制御部152は、分析部151の分析結果情報に基づいてユーザに通知すべき支援情報を、その通知形態に応じた形式で生成する。例えば、視覚を通じて支援情報を通知する場合、制御部152は、表示部141に分析結果情報を表示させるための画面データを支援情報として生成する。また、発光部142の点灯又は点滅によって支援情報を通知する場合、制御部152は、発光部142に分析結果情報に対応した点灯又は点滅を行わせるための制御信号を支援情報として生成してもよい。
また、例えば、聴覚を通じて支援情報を通知する場合、制御部152は、分析結果情報を示す音声データを支援情報として生成してもよい。また、例えば、触覚を通じて支援情報を通知する場合、制御部152は、振動子143に分析結果情報に対応したパターンの振動を行わせるための制御信号を支援情報として生成してもよい。
なお、制御部152は、他の生体情報処理装置1から取得される情報に基づいて支援情報を生成するように構成されてもよい。例えば、制御部152は、他の生体情報処理装置1から他のユーザの心身状態を示す情報を取得し、他のユーザの心身状態を自装置のユーザの心身状態とともに表示させる支援情報を生成してもよい。また、制御部152は、自装置で取得された分析結果情報や支援情報等の情報を他の生体情報処理装置1に送信するように構成されてもよい。また、制御部152は、支援情報の生成を生体情報の取得に応じて行ってもよいし、過去に取得された生体情報を蓄積しておき、必要となったタイミングで支援情報を生成してもよい。また、支援情報の送信も支援情報の生成に応じて行ってもよいし、過去に生成した支援情報を蓄積しておき、必要となったタイミングで支援情報を送信してもよい。また、過去に取得された生体情報や支援情報は生体情報処理装置1に蓄積されてもよいし、生体情報処理装置1と通信可能な他の装置に蓄積されてもよい。
図15は、第1の実施形態の生体情報処理装置1がユーザに支援情報を通知する処理の流れを示すフローチャートである。まず、生体情報処理装置1において、呼吸センサ20がユーザの呼吸の状態を示す呼吸情報を取得するとともに、脈波センサ132がユーザの脈波の状態を示す脈波情報を取得する(ステップS101)。呼吸センサ20は取得した呼吸情報を分析部151に出力し、脈波センサ132は取得した脈波情報を分析部151に出力する。
呼吸センサ20によってユーザの呼吸を検出する際には、コイル51をユーザの腹部の近傍に非接触、非侵襲の状態で配置する。ユーザが呼吸を行うと、ユーザとコイル51との距離が変化し、コイル51のインダクタンスが変動する。コイル部22には、信号発生器21から信号が出力されており、この信号は、コイル部22から出力される。コイル部22から出力される信号は、コイル51のインダクタンスの変動に伴って位相にずれが生じる。呼吸センサ制御装置30は、信号発生器21から出力される信号とコイル部22から出力される信号のずれに基づいて、ユーザの呼吸を検出する。
続いて、分析部151が呼吸情報及び脈波情報に基づいて、ユーザの心身状態を分析する(ステップS102)。分析部151は、分析結果を示す分析結果情報を制御部152に出力する。
続いて、制御部152が分析結果情報に基づいて出力形式に応じた支援情報を生成する(ステップS103)。制御部152は、生成した支援情報を、その出力形式に対応する機能部に出力する(ステップS104)。例えば、制御部152は、呼吸や脈拍の強弱をLED111の点灯色や明るさ又は点滅の周期によって表す支援情報を生成してもよい。
次に、呼吸情報の取得の際に行われる信号のキャリブレーションについて説明する。図16は、キャリブレーションの手順を示すフローチャートである。図16に示すように、キャリブレーションを開始する際には、まず、信号発生器21は、ユーザの呼吸が吐切状態のときに、あらかじめ設定された範囲の発振周波数で掃引する(ステップS51)。続いて、信号発生器21は、ユーザの呼吸が吸切状態のときに、あらかじめ設定された範囲の発振周波数で掃引する(ステップS52)。ステップS51及びステップS52における掃引が行われる間、呼吸センサ制御部32は、信号処理部31の出力信号を検出する。
続いて、呼吸センサ制御部32は、信号発生器21から出力される信号の発振周波数を決定する(ステップS53)。呼吸センサ制御部32は、吸切状態における掃引による信号の検出値と、吐切状態における掃引による信号の検出値との差が最大となる周波数を、信号発生器21から出力される信号の発振周波数として決定する。
続いて、呼吸センサ制御部32は、オフセット除去回路31Bにおいて除去されるオフセットの初期値を決定する(ステップS54)。呼吸センサ制御部32は、吐切状態における掃引による信号の検出値をオフセットの初期値として決定する。その後、呼吸センサ制御部32は、正規化基準値を決定する(ステップS55)。こうして、呼吸検出装置におけるキャリブレーションの処理を終了する。
また、コイル部22から出力される信号には、ノイズが含まれる。ノイズのうち、大きなノイズについては、異常値として検出して除去する。以下、異常値の除去について説明する。図17は、呼吸検出装置によって検出された検出値の時間変化の一例を示すグラフである。呼吸検出装置の検出値は、例えば、等間隔の時間でサンプリングされる。図17に示すように、呼吸センサ検出装置によって得られる呼吸情報のうち、突発的に大きく変化する呼吸量が発生する部分がある。この部分は、異常値であると考えられる。また、異常値の検出には、例えばk近傍法が用いられる。以下、この異常値を除去した検出値Xnを描画する手順について説明する。図18は、呼吸情報の検出値Xnの描画の手順を示すフローチャートである。なお、検出値Xnは、n回目の検出値であることを意味する。
図18に示すように、呼吸情報の異常値を検出する際には、呼吸センサ制御部32は、検出値の取得数が4以上であるか否かを判断する(ステップS71)。ここで、検出値が4以上でない場合(ステップS71:YES)、呼吸センサ制御部32は、検出した検出値Xnをそのまま描画して(ステップS75)、呼吸情報の検出値Xnの描画を終了する。また、検出値が4以上であると判断した場合(ステップS71:NO)、呼吸センサ制御部32は、Xn-3、Xn-2、Xn-1の中央値Mを算出する(ステップS72)。
続いて、呼吸センサ制御部32は、中央値Mと検出値Xnの差の二乗が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS73)。中央値Mと検出値Xnの差の二乗が所定の閾値以上であると判断した場合(ステップS73:YES)、呼吸センサ制御部32は、検出値Xnは異常値であると判断する。この場合、呼吸センサ制御部32は、検出値Xnを平均値Mに設定する(ステップS74)。このため、異常値となった検出値Xnを平均値Mで置き換えるので、異常値が除去される。なお、ここでの閾値は、例えば、コイル部22の性能試験等のデータに基づいて決定すればよい。
その後、呼吸センサ制御部32は、平均値Mに置き換えた検出値Xnを描画して(ステップS75)、呼吸情報の検出値Xnの描画を終了する。また、中央値Mと検出値Xnの差の二乗が所定の閾値以上でないと判断した場合(ステップS73:NO)、呼吸センサ制御部32は、検出した検出値Xnをそのまま描画して(ステップS75)、呼吸情報の検出値Xnの描画を終了する。
なお、異常値の除去にあたって、この例では、中央値Mを計算するためにはサンプリングデータを最低3個以上としているが、最低数を3個より多くしてもよいし少なくしてもよい。また、検出値Xnは、描画することによって異常値の検出に用いているが、他の用途に利用してもよい。例えばデータ保管用の信号処理として使用してもよい。
また、検出値であるユーザの波形データを蓄積し、蓄積した波形データを呼吸周期ごとに管理するようにしてもよい。また、管理された波形データと取得した波形データとの類似度又は非類似度を算出するようにしてもよい。また、算出した類似度又は非類似度から異常値を算出し、異常値が所定の閾値以上であるときに、取得した呼吸データが含まれる呼吸周期を異常値として検出するようにしてもよい。異常値として検出された呼吸周期は、ユーザの熟練度等を算出する際に含めない処理を行うようにすればよい。これにより、分析精度を向上させることができる。なお、異常値の検出等は、生体情報処理装置1の工場出荷時に行うようにしてもよい。
また、プローブとしては、また、プローブと人体との間の距離を計測可能な距離センサとしては、キャパシタ(静電容量センサ)と同等の機能を備えるセンサを用いてもよい。キャパシタは、プローブと人体とで形成されるキャパシタの静電容量の変化を計測することによってプローブと人体との間の距離を計測することができる。図8に示される電子回路50において、キャパシタ53がこの場合のプローブと人体とで形成されるキャパシタとなる。詳しくは、キャパシタ53のうち、上側(抵抗52に接続される側)の電極がプローブであり、下側(グラウンドに接続される側)の電極が人体に相当する。キャパシタとしては、プローブ電極をユーザの腹部の近傍に配置し、プローブ電極とユーザの腹部との間で帯電を行わせる。キャパシタの特性として、キャパシタのキャパシタンスCは、下記(5)式で表すことができる。
C=ε0εrS/d (5)
ここで、ε0は真空誘電率、εrはキャパシタとグラウンドの間の総合的な比誘電率、Sはキャパシタの電極面積、dはキャパシタの電極とグラウンドとの間の総合的な距離をそれぞれ表す。
キャパシタの特性としては、プローブ電極の面積が大きいほどキャパシタンスが大きくなる。キャパシタは、3cm×3cm以上の面積を持つのが好ましく、この場合には十分な感度を得ることができる。また、ユーザが吸切状態にあり、プローブ電極とユーザの腹部の距離が近いほどキャパシタンスCが大きく、吐切状態にあり、プローブ電極とユーザの腹部の距離が遠いほどキャパシタンスCが小さくなる。キャパシタンスCの差が大きいほど、得られる信号振幅が大きくなる。
プローブ電極の形状は、どのような形状でもよく、例えば円形、楕円形、長円形などとしてもよいし、四角形、三角形、六角形などの多角形状としてもよい。また、筒状や平面基板、フレキシブル基板のパターン、8の字形状等でもよい。また、プローブ電極を分割してもよい。この場合、プローブ電極をユーザの腹部を挟んだ前後両側に配置してもよいし横並びで配置してもよい。また、基板として、ベタ基板を用いてもよく、円形、楕円形、多角形などでもよい。この場合、面積は大きくすることが好ましい。また、筒状や平面基板、フレキシブルのパターン、テープ状でもよい。また、筐体部11と一体化してもよい。これらの点は、プローブがコイル51である場合にも適宜適用してもよい。また、プローブ電極を配置する際には、ユーザの腹部と平行となるように配置することが望ましい。
また、プローブにキャパシタを用いる場合には、ユーザ(人体)を接地するか、ユーザ(人体)を回路のグランド側に接続すること望ましい。ユーザ(人体)を接地するか、ユーザ(人体)を回路のグランド側に接続することにより、高感度でノイズ耐性の高い測定を行うことができる。
また、人の呼吸の状態を把握する方法には、人の腹部の動きを観測する上記方法以外にもさまざまな方法が考えられる。例えば、呼気による空気の動きを観測する方法や、呼気による温度又は湿度の変化を観測する方法なども考えられる。この場合、空気の動きを示す情報を出力するセンサや、人の口付近の温度又は湿度を出力するセンサが呼吸センサ20として用いられてもよい。また、例えば、人の腹囲を観測することによって呼吸の状態を把握する方法も考えられる。この場合、例えば、腹囲に装着されるベルトの長さを示す電気信号を出力するベルトトランスデューサが呼吸センサ20として用いられてもよい。
また、呼吸検出装置で取得された呼吸情報やその他のセンシングデータは、PCやスマートフォンのディスプレイなどにグラフ化して表示するようにしてもよい。呼吸情報を示す波形は、例えば、図19に示すように、グラフ化して示される。呼吸情報やその他のセンシングデータについては、リアルタイムで表示してもよいし、過去のデータを表示してもよい。
また、例えばヨガ教室などでインストラクタがユーザを指導する場合に、インストラクタのセンシングデータ又はユーザにとって望ましいセンシングデータを表示して、ユーザ自身のデータと比較できるようにしてもよい。
また、プローブは、PCやタブレット、スマートフォンの画面の枠、PCやタブレット、スマートフォンの画面透明電極、タブレットやスマートフォンのカバーに埋め込んだり、これらと兼用したりしてもよい。また、呼吸センサ20を含む生体情報処理装置1を保持する際には、ユーザの手や指が呼吸センサ20のプローブと腹部の間に入らないようにすることが望ましい。
また、コイル部22には、ローパスフィルタ様の回路が設けられているが、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ様の回路等が設けられてもよい。また、複数のフィルタが多段に構成されていてもよいし、オペアンプを使ったアクティブフィルタ等を構成してもよい。以下にこれらの構成例を電子回路の各種変形例として説明する。
図20(A)〜(C)は、コイル部22に含まれる電子回路の各種変形例を示す回路図である。図20(A)に示す電子回路では、コイルL11の上流側(信号発生器21側)に第1抵抗R11が設けられ、下流側(呼吸センサ制御部32側)には、第1キャパシタC11及び第2抵抗R12の一端がそれぞれ接続され、コイルL11と並列に第2キャパシタC21が設けられている。第2キャパシタC21を設けることにより、カットオフ周波数近傍における位相の変化を急峻にし、呼吸センサ20の感度を高めることができる。
図20(B)に示す電子回路では、コイルL11の上流側の第1抵抗R11及び下流側に接続される第1キャパシタC11及び第2抵抗R12は、図20(A)に示す電子回路と共通である。また、コイルL11の下流側に第2キャパシタC12が第1抵抗R11及びコイルL11に対して直列に設けられている。
図20(C)に示す電子回路では、コイルL11の上流側の第1抵抗R11及び下流側に接続される第1キャパシタC11及び第2抵抗R12は、図20(A)に示す電子回路と共通である。また、コイルL11の下流側において、第1キャパシタC11と直列に第2コイルL21が設けられている。
その他の例として、図20(A)〜(C)に示す電子回路において、抵抗、キャパシタ、コイルの各部品を複数設けるようにしてもよいし、0としてもよい。また、各部品同士を入れ替えて構成するようにしてもよい。例えば、第1抵抗R11とコイルL、コイルLと第1キャパシタC11などを適宜入れ替えるようにしてもよい。
このように構成された実施形態の生体情報処理装置1は、ユーザの生体情報に基づいてユーザの心身状態を分析し、その分析結果を種々の態様でユーザに通知することができる。これにより、生体情報処理装置1は、ユーザのマインドフルネスを支援することができる。生体情報には、上述した呼吸情報や脈波情報のほか、ユーザの表皮温度や経皮的動脈血酸素飽和度であるSpO2等の情報が用いられてもよい。
例えば、生体情報処理装置1は、呼吸情報及び脈波情報の一方又は両方を用いてユーザの自律神経の状態を推定し、その推定結果を示す情報を支援情報としてユーザに通知する。これにより、ユーザは、マインドフルネスの活動時における自己の状態を客観的に把握することが可能となり、自己の状態が改善するように活動を見直すことでマインドフルネスの効果を効率よく向上させることができる。
また、例えば、生体情報処理装置1は、腹式呼吸の練習をサポートするヘルスケア用具としても利用可能である。この場合、例えば、分析部151は、ユーザの呼吸情報と、マインドフルネスの専門家の呼吸情報とを比較し、制御部152が、その比較結果に基づいて支援情報を生成する。このような支援情報が提供されることにより、ユーザは腹式呼吸を正しく行えているか否かを確認しながら腹式呼吸を練習することができ、効率よく腹式呼吸を体得することが可能になる。
例えば、分析部151は、ユーザの呼吸情報及び専門家の呼吸情報から振幅を正規化した波形データを抽出し、抽出した波形データ間の相互相関係数を算出する。また、例えば、分析部151は、それぞれの波形データから呼吸周期を求め、その差あるいは差の絶対値を比較する。ここでの呼吸周期は、連続する呼吸動作における呼気と吸気との時間間隔、及び吸気と呼気との時間間隔とする。又は、より簡単には、呼吸周期は1呼吸にかかる時間としてもよい。分析部151は、このように取得される相互相関係数や呼吸周期の差の変化を示す情報を分析結果情報として制御部152に出力する。
また、実施形態の生体情報処理装置1は、マインドフルネス以外の用途にも利用可能である。例えば、生体情報処理装置1は、ユーザに注意喚起を行う装置としても利用可能である。この場合、例えば、分析部151は、ユーザの落ち着きの度合いや高揚の度合いなどを生体情報に基づいて分析し、制御部152が、その分析結果に基づいて支援情報を生成する。このような支援情報が提供されることにより、ユーザは、自己の暴走行為を自律的に抑制することが可能となる。具体的には、ギャンブルやスポーツ観戦等において、興奮によるユーザの暴走行為を抑制するのに効果的である。また、万引き等の犯罪を未然に防止するのにも効果的である。
また、実施形態の生体情報処理装置1は、ユーザに自己暗示をかける装置としても利用可能である。この場合、例えば、分析部151は、ユーザの潜在意識をコントロールするための暗示の内容及び手段を示す情報を支援情報として生成し、制御部152が暗示の手段に応じた出力部に支援情報を出力する。このような支援情報が提供されることにより、例えば、ユーザは、緊張を伴う場面で自己暗示をかけて自身を落ち着かせることが可能になる。また、自己暗示は乗り物酔いにも効果的であるため、実施形態の生体情報処理装置1は、乗り物酔いの抑制にも効果的である。
また、実施形態の生体情報処理装置1は、ユーザ間のコミュニケーションの円滑化にも寄与することができる。この場合、例えば生体情報処理装置1は、人体に装着可能なサイズに構成され、視覚を通じて支援情報を知覚可能にする出力部を備える。この場合、例えば、生体情報処理装置1は、発光部142を出力部として備える。このように構成された生体情報処理装置1を装着したユーザ同士は、互いの心身状態を把握しながらコミュニケーションを行うことができる。これにより、複数のユーザが、感情を共有し、一体感を醸成することが可能になる。また、このような生体情報処理装置1によれば、ユーザは、生体情報処理装置1がどのように支援情報を通知するかを、感情を伝えたい特定の人にのみ伝えておくことで、自身の感情を直接的に伝えるのではなく、間接的にさりげなく伝えるといったことも可能になる。
また、生体情報処理装置1に設けられる呼吸センサ20では、信号発生器21からコイル部22に入力された信号とコイル部22から出力された信号との位相のずれに基づいて、ユーザの呼吸を検出する。従来、病院や介護施設などで患者や入所者の呼吸の有無や呼吸数、呼吸の深さなどを把握する用途ばかりでなく、禅、坐禅、ヨガ、マインドフルネスなどにおいてもユーザの呼吸を把握するツールの実用化が検討されている。従来には、マット、アンテナ、カメラなどを利用してマイクロ波、電波、レーザ、電磁誘導、接触電極、圧力、温度、流量、体積変化、形状変化、音、音響効果、脳波、NIRS(Near-infrared spectroscopy、近赤外線分光法、放射、SpO2などから直接的、間接的に呼吸を検出するための検討が存在する。しかし、非接触、非侵襲、非装着で呼吸を検出する方法は少なかった。これに対して、生体情報処理装置1における呼吸センサ20のコイル部22は、ユーザから離れた位置に配置できるので、呼吸センサ20を用いることにより、ユーザの呼吸の様子を非接触、非侵襲の状態で検出できる。また、ユーザが非装着の状態でもユーザの呼吸の様子を検出できる。
また、呼吸センサ20は、信号の位相差を利用してユーザの呼吸を検出している。このため、信号発生器21から信号を出力するにあたり、制限抵抗を用いて出力電圧を調整する必要がないようにできる。また、回路構成やユーザとプローブとの位置関係などによっては、ユーザの実際の呼吸と呼吸センサによって得られるデータにずれが生じる場合がある。例えば、ユーザが一定の流量で息を吐き続けても、データが一定の勾配で変化しないことが起こりえる。この場合には、補正のための関数をあらかじめ算出しておき、呼吸センサ20によって得られるデータをこの関数によって変換することにより、実際の呼吸と変換結果を対応付けることができる。
以下、実施形態の生体情報処理装置1の変形例について説明する。生体情報処理装置1は、呼吸情報を精度よく取得することを目的として、加速度センサをさらに備えてもよい。例えば、腹式呼吸がうまく行えていない場合や、筐体部11と腹部が常時接触している場合に、呼吸センサ20では呼吸情報を十分に取得できないことがある。この場合、例えば分析部151は、呼吸センサ20の計測情報を加速度センサの計測情報に基づいて補正することにより、腹式呼吸と関係ない体動の影響を除外した呼吸情報を取得することができる。加速度センサは、例えば、XYZ軸の3方向の加速度をセンシングし、呼吸をしているときはユーザの揺れ、肩・腕の動き等を検知・分析する。また、腹式呼吸と胸式呼吸の判定を呼吸センサと加速度センサによって行うようにしてもよい。また、加速度センサの変動が著しく大きい場合は、腹式呼吸ができていないことを光や音で通知するようにしてもよい。
触覚を通じてユーザに支援情報を知覚させる手段には、印加電圧に応じた熱移動を生じるペルチェ素子が用いられてもよい。ペルチェ素子はユーザの身体に接触するように生体情報処理装置1の表面に配置される。この場合、例えば制御部152は、ユーザの呼吸状態に応じた制御信号をペルチェ素子に出力することで、呼吸状態の変化を温度の変化でユーザに知覚させることができる。具体的には、制御部152は、呼吸周期が短い場合にはペルチェ素子を吸熱方向に作動させる制御信号を出力することで、ユーザに「冷たさ」を知覚させることができる。また、制御部152は、呼吸周期が長い場合にはペルチェ素子を放熱方向に作動させる制御信号を出力することで、ユーザに「暖かさ」を知覚させることができる。なお、制御部152は、呼吸状態以外の情報に基づいて制御信号を生成してもよい。例えば、制御部152は、ユーザの脈波状態や、心身状態の分析結果等に応じた制御信号を出力してもよい。また、どのような場合にどのような温度をユーザに知覚させるかは任意に決定されてよい。例えば、制御部152は、ユーザの呼吸状態と専門家の呼吸状態との乖離が大きいほどより冷たい温度を知覚させ、乖離が小さいほどより暖かい温度を知覚させるような制御信号を出力してもよい。
生体情報処理装置1は、嗅覚を通じてユーザに支援情報を知覚させてもよい。例えば、嗅覚を通じてユーザに支援情報を知覚させる手段として芳香素子が用いられてもよい。芳香素子は、香料を含有する蝋を電熱体の通電加熱により溶融、蒸散させることで周囲に芳香を発散させる電気素子である。制御部152は、ユーザの呼吸状態に応じた制御信号を芳香素子に出力することで、呼吸状態を芳香の有無や芳香の強さでユーザに知覚させることができる。ペルチェ素子と同様に、制御部152は、ユーザの呼吸状態と専門家の呼吸状態との乖離の大きさに応じた制御信号を芳香素子に出力してもよい。アロマセラピーに代表されるように、心地良い芳香には人の心身を落ち着かせる効果がある。そのため、マインドフルネスの支援情報を芳香によってユーザに知覚させることで、マインドフルネスの効果を向上させることが可能になる。
生体情報処理装置1は、ユーザの心身状態に応じて他の機器の動作を制御する機能を有してもよい。例えば、制御部152は、分析部151の分析結果に基づいて、照明の明るさや空調の設定温度等の変更を指示する制御情報を生成し、生成した制御情報を、通信部161を介して制御対象機器に送信する。これにより、生体情報処理装置1は、ユーザの周囲の環境をユーザの心身状態に応じた環境に調整することができる。
生体情報処理装置1は、充電装置及び蓄電池を備え、不使用時に充電可能となるようにしてもよい。また、生体情報処理装置1を載置する置台(スタンド)が設けられていてもよい。置台は、生体情報処理装置1の専用のものでもよいし、共用のものでもよい。置台は、例えば、室内の机等の家具等に設置してもよい。また、置台は、壁掛け、卓上、移動架台いずれかの形態でもよく、それぞれを兼用できる形態でもよい。
また、置台は、生体情報処理装置1の蓄電池に充電を行う充電機能を備えていてもよい。充電機能は、無線充電によるものでもよいし、有線充電によるものでもよい。無線充電の場合には、QI(ワイヤレス給電)等の規格に沿ったものでもよいし、QIなどの規格以外の独自のものでもよい。有線充電の場合には、例えば、生体情報処理装置と置台に充電用の端子を設ければよい。
充電には、振動発電を用いてもよいし太陽電池を用いてもよい。振動充電の場合、例えば、生体情報処理装置1に振動によって発電する発電装置を内蔵し、ユーザが生体情報処理装置1を振る(生体情報処理装置1を振動させる)ことで発電するようにすればよい。太陽電池の場合、例えば、生体情報処理装置1の上部に太陽光パネルを設置し、太陽光や蛍光灯の光に晒すことで発電させるようにすればよい。これらの各充電機能は、互いを組み合わせるようにしてもよい。例えば、振動発電や太陽光発電などの充電不足を有線による充電で補うようにしてもよい。
置台は、例えば、電源スイッチの機能を兼ね備えるようにしてもよい。この場合、例えば、置台には磁石が内蔵され、生体情報処理装置1には、ホールセンサが内蔵されているようにしてもよい。これらの磁石及びホールセンサにより、生体情報処理装置1は、置台に置いた際、磁石を検知し電源をOFFにすることができる。
また、生体情報処理装置1において計測を開始する際のスタートスイッチとして、加速度センサを備えるものを用いてもよい。この場合、例えば、ユーザが生体情報処理装置1を握って腹式呼吸の練習を行うにあたり練習を始める際には、ダブルタップ終了する際にはトリプルタップするようにしてもよい。また、加速度センサは、ユーザのジェスチャを認識も可能であり、別の操作に割り振ることもできる。また、スタートスイッチは筐体部11の底部など、生体情報処理装置1を使用する際にユーザが触れる位置に設けるのが好適である。この場合、ユーザが生体情報処理装置1を手で保持することをきっかけとして動作を開始させることができる。また、スタートスイッチが例えば光学センサである場合、設けられた生体情報処理装置1を載置する置台としては、スタートスイッチを遮蔽できる構造とするのが好適である。この場合、外光によるスタートスイッチの誤作動を防止できる。
また、生体情報処理装置1は、風センサや送風システムを内蔵するものでもよい。風センサは、例えば、ユーザの周辺の風環境を計測する。具体的に、風センサは、例えば、風の向き、強さ、温度、水分量等を計測する。生体情報処理装置1は、風センサが計測したデータによって、発光部142の点灯や照明、スピーカから出力されるBGMを変化させるために使用したり、生体情報との相関関係を分析するために使用したりできる。送風システムは、ユーザに任意の強さ、向きの風を与えることができる。送風システムによって与えられる風には、お寺や森等のにおいが付加させていてもよい。送風システムは、空気清浄機の役割を成してもよい。
生体情報処理装置1は、電気筋肉刺激(EMS:Electrical Muscle Stimulation)をユーザに付与するEMS装置を内蔵するものでもよい。EMS装置からユーザの呼吸に合わせて、ユーザに電気刺激を与えることにより、ユーザが肩に警策を受けた感覚を与えることができる。EMS装置の形状は、皮膚に触れる通電面にジェルを塗布して使用するものや、粘着性をもったパッドを直接皮膚に貼るものでもよい。また、警策以外にも、滝行や座禅を擬似的に体験できるように、送風システムや音感デバイスといったシステムと組み合わせてもよい。
生体情報処理装置1は、ホログラフィーを内蔵するものでもよい。例えば、ユーザと対話するシステムを、ホログラフィーを用いてマスコット等に映像化し、呼吸と連動してマスコットの映像を変化させてもよい。また、音声認識装置を設け、この音声認識装置と組み合わせることとで、ユーザが測定開始や記録を参照する際に声だけで操作が可能になる。ホログラフィーによる映像の表示場所としては、生体情報処理装置、床、机といった任意の場所が挙げられる。
呼吸センサ20は、上記の静電容量センサや信号遅延センサ等に代えて、画像センサを用いて構成することも可能である。画像センサは、可視光の画像を取得するものであってもよいし、赤外光の画像を取得するものであってもよい。この場合、例えば、画像センサは、ユーザの腹部を撮像可能な位置に設置され、時系列に取得される画像データに基づいてユーザの腹部の動きを観測する。なお、画像センサの被写体がユーザの腹部の動きに応じて変化する場合、画像センサは必ずしもユーザの腹部を撮像可能な位置に設置される必要はない。この場合、画像センサは、任意の被写体の動きを観測し、観測した被写体の動きに基づいてユーザの腹部の動きを算出してもよい。ここで、被写体の動きを追跡する方法には、画像内の所定の領域を追跡するパーティクルフィルターや、画像内の特徴点を追跡するオプティカルフローなどの物体追跡手法を用いることができる。なお、被写体の移動量は、各フレーム(例えば30fps)における同じ被写体間の距離を算出することによって取得することができるが、線形補間やスプライン補間等のリサンプリング処理を行うことによってサンプリングレートを向上させてもよい。また、画像センサは、腹部の輪郭の大きさや輪郭のゆがみ、腹部の平行移動量や回転量等を計測し、その計測値に基づいてユーザの呼吸の状態を計測するものであってもよい。また、画像センサは、必ずしも生体情報処理装置1に内蔵されたものでなくてもよい。例えば、画像センサは、生体情報処理装置1と別体に構成され、通信によって呼吸情報を生体情報処理装置1に送信するものであってもよい。
呼吸センサ20は、腹部の体積の変化をセンシングするものであってもよい。これに対して、上記の実施形態で説明した静電容量センサや信号遅延センサなどは、腹部の体積と、センサと腹部との間の距離と、を分離せずにセンシングする。そのため、超音波センサやToF(Time of Flight)センサなどの距離センサを併用し、静電容量センサや信号遅延センサなどの計測データから超音波センサやToFセンサなどの計測データを差し引くことにより腹部の体積の変化を検出することができる。
分析部151は、ユーザの自律神経の活性化の度合いやバランスを分析した結果に基づいて、より適切な呼吸ペースや呼吸時間を算出してもよい。例えば、分析部151は、交感神経が活性化しすぎている人に対しては副交感神経を活性化させる呼吸ペースや呼吸時間を算出する。また、例えば、分析部151は、副交感神経が活性化しすぎている人に対しては交感神経を活性化させる呼吸ペースや呼吸時間を算出する。このように算出された呼吸ペースや呼吸時間がユーザに通知されることにより、ユーザはより効率よく自律神経を整えることができる。
生体情報処理装置1は、自装置のユーザに提供する支援情報を他のユーザと共有する機能を有してもよい。例えば、生体情報処理装置1は、他の生体情報処理装置1との間で支援情報を送受信してもよいし、ネットワークを介して通信可能なクラウド上のサーバを介して支援情報を共有してもよい。また、この場合、分析部151が有する生体情報の分析機能や、制御部152が有する支援情報の生成機能はクラウド上のサーバに備えられてもよい。この場合、生体情報処理装置1は、取得した呼吸情報や脈波情報等の生体情報をクラウドサーバに送信し、クラウドサーバによって生成された支援情報を受信してユーザに通知してもよい。
また、この場合、クラウドサーバは、各ユーザの生体情報に基づいてユーザのランキングやスコアリング等を行い、その結果を示す支援情報を生体情報処理装置1に提供してもよい。例えば、クラウドサーバは、ユーザが座禅を開始してから理想的な状態(呼吸数や脈拍数)に至るまでの時間や、理想状態の持続時間、理想状態に達した累積回数などに基づいてランキングやスコアリングを行ってもよい。また、このような支援情報は、生体情報処理装置1だけでなく、スマートフォンや携帯電話、PC等のユーザ端末に送信されてもよい。
生体情報処理装置1は、制御部152に学習機能(AI:artificial intelligence)を備えており、脈波データ、呼吸データからユーザを特定することができるようにしてもよい。また、ユーザのこれまでの使用時間や過去の練習結果からユーザの腹式呼吸の熟練度を算出してもよい。また、腹式呼吸の練習をサポートする際、ユーザの熟練度に合わせて適切な難易度の支援情報を提供するようにしてもよい。これにより、ユーザは常に効果的な腹式呼吸の練習が行える。
この学習機能は、スマートフォンやPC等のユーザ端末と連動する際は、スマートフォンアプリやPCソフトに有してもよい。この場合、連動したアプリもしくはPCソフトのよって、ユーザ情報とこれまでの学習記録を取得する。アプリやPCソフトにユーザ情報があるため、普段使用していない別の生体情報処理装置においても普段通り、腹式呼吸の練習が可能である。新たに取得した腹式呼吸の練習の情報は、アプリ及びPCソフトに保存する。
この学習機能は、クラウドサーバ上に有してもよい。この場合、生体情報処理装置1がネットワークに繋がれていれば、どの生体情報処理装置を用いてもこれまでの練習記録に基づいて練習ができる。上記機能を実現するためには、複数の生体情報処理装置間の個体差を無くす又は小さくする必要がある。個体差を無くす又は小さくするために、工場出荷時に呼吸センサ20のキャリブレーションを行う。キャリブレーションは、呼吸センサ20の出力が一定になるように、各個体のセンサに印加する信号の周波数を微調整する。
また、生体情報処理装置1は、SDカードを内蔵するようにしてもよい。この場合、生体情報処理装置1は、SDカードによって、ユーザ情報、呼吸データ等の各種データの保存を行うことができる。また、SDカードを差し替えることによって、異なるユーザであっても、ユーザごとに生体情報処理装置1をカスタマイズすることができる。また、生体情報処理装置1は、ヘッドホンジャックを内蔵し、ヘッドホンと連携できるようにしてもよい。この場合、生体情報処理装置1は、ユーザが腹式呼吸を行う際、より集中できるように心地よい音楽などをユーザに聞かせることができる。
制御部152は、生体情報処理装置1の利用状況をユーザに通知するように構成されてもよい。例えば、制御部152は、生体情報処理装置1の利用回数に応じてLED111を点灯又は点滅させてもよいし、利用回数をユーザ端末に通知するように構成されてもよい。また、例えば、制御部152は、生体情報処理装置1の利用状況を示す情報をクラウドサーバから取得してユーザに通知してもよい。この場合、例えば、クラウドサーバは、各生体情報処理装置1から各ユーザの利用状況を示す情報を収集し、利用回数の多さや利用時間の長さなどでランキングを行う。制御部152は、自装置のユーザが全ユーザ中の何番目であるかをクラウドサーバに問い合わせ、問い合わせの結果をユーザに通知する。
制御部152は、予め定められた所定の条件が満たされた場合に、所定の情報を出力部14に出力させてもよい。例えば、制御部152は、祝日や祭日、ユーザが予め登録した日時にLED13を点滅させてもよいし、表示部113に所定のメッセージを表示させてもよい。なお、所定の情報は、ユーザ端末に通知されてもよい。
呼吸センサ20の計測精度の低下を抑制するため、生体情報処理装置1は、呼吸センサ20のプローブ部と腹部との間に呼吸センサ20のセンシングに影響を及ぼす可能性のある電子部品や部材等を有さないことが望ましい。例えば、生体情報処理装置1は、呼吸センサ20のプローブ部の周囲や、プローブ部とユーザの腹部との間には筐体部11以外の部材を有さないように構成されることが望ましい。
筐体部11は、ユーザが安定して生体情報処理装置1を保持できるような形状であることが望ましい。また、筐体部11は、ユーザが安定して生体情報処理装置1を保持できるように正しい保持の仕方などを示す表示を有していることが望ましい。例えば、筐体部11には、呼吸センサ20がユーザの腹部に対向した状態を正しい向きとして、ユーザが正しい向きで生体情報処理装置1を保持することを支援する表示がなされてもよい。また、例えば、筐体部11は、そのような正しい向きで保持することを容易にする形状を有してもよい。そのため、筐体部11は、例えば、生体情報処理装置1を所定の向きで保持させるための保持部を備えてもよいし、そのような保持を支援する表示を有してもよい。例えば、筐体部11には、ユーザの指や手のひらの位置を定める窪みが設けられてもよい。また、例えば、筐体部11は、座禅をしているユーザが組んだ手のひらに収まりやすいようにお椀型やすり鉢状の形状を有してもよい。また、筐体部11は、正しく保持されたときに上側にくる部分と、下側にくる部分とを示す表示や配色、形状等を有してもよい。例えば、筐体部11において、上側の表面が赤色に、下側の表面が青色に配色されてもよい。また、例えば、筐体部11の表面には、上側と下側との境界を示す線や凹凸部などが設けられてもよい。また、例えば、筐体部11は、上側が下側より小さい形状を有してもよい。この場合、上側を下側よりも明るい色にしてもよい。また、発光部142を上側に設け、上側を下側よりも軽くしてもよい。また、筐体部11の表面には、生体情報処理装置1の上下、前後又は左右を識別可能にする表示や記載がなされてもよい。
発光部142は、例えば、色や明るさを外部から調整可能なLEDを複数配列したものとすればよい。複数のLEDが設けられることにより、装飾を華やかにできる。発光部142は、例えばそれぞれのLEDの色や明るさを個別に調整するための制御部が接続されるものでもよい。制御部が設けられることにより、発光部142における発光を好適に制御できる。発光部142における複数のLEDは、どのように配列されていてもよいが、例えば、筐体部11の上部もしくは横側に円周上に配列されているとよい。このような配列により、外観上好ましいものにできる。
分析部151は、呼吸センサ20及び脈波センサ132から計測情報を取得するタイミングを調整してもよい。例えば、分析部151は、脈波センサ132から脈波情報が取得されたタイミングで呼吸情報の取得を開始してもよいし、呼吸センサ20から呼吸情報が取得されたタイミングで脈波情報の取得を開始してもよい。
生体情報処理装置1はスピーカ144から、自装置の使用方法を示す音声を出力するように構成されてもよい。また、生体情報処理装置1は、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置を接続する音声出力部を備え、自装置の使用方法を示す音声をこれらの音声出力装置に出力するように構成されてもよい。
生体情報処理装置1が出力部14の1つとして備える表示部141は、生体情報処理装置1に内蔵されていない外部の表示装置であってもよい。例えば、複数のユーザ間で支援情報を共有する場合、外部の表示装置は、複数のユーザが視認しやすいように大型の表示部を備えた表示装置であることが望ましい。同様に、出力部14として備えられる発光部142や振動子143、スピーカ144等も生体情報処理装置1に内蔵されていない外部装置として構成されてもよい。例えば、外部装置の一例として、イヤホンやネックバンド型スピーカ、スピーカ内蔵メガネなどの人体に装着可能な音響デバイスなどが挙げられる。
支援情報の表示は、呼吸センサ20や脈波センサ132の計測開始又は計測終了を契機として行われてもよい。例えば、支援情報の表示は、計測開始又は計測終了と同時に行われてもよいし、計測開始又は計測終了から所定時間が経過した後に行われてもよい。
制御部152は、現在の分析結果と過去の分析結果との比較を示す支援情報を生成してもよい。
生体情報処理装置1は、外部機器と連動させるようにしてもよい。例えば、生体情報処理装置1と外部機器とを連動させて、コンテンツを表示する。生体情報処理装置1と連動させる外部機器としては、例えば、テレビ、PC、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、航空機などの乗り物に搭載されているディスプレイなどを挙げることができる。また、これらの外部機器に表示するコンテンツとしては、呼吸教師データ、呼吸、脈波、体温、発汗量、温度、湿度、重心、O2、CO2、などの測定データやグラフ、アロマの種類、経過時間、呼吸情報処理装置の状況(計測中、試算中、電池残量、充電中など)、エラー表示、設定画面、ガイダンスムービー、風景の映像、遠隔地ユーザの状況、ランキング、SNSの画面、テレビ電話、自撮り画像(内蔵カメラ)などを挙げることができる。
また、生体情報処理装置1と連動させる外部機器には、ロボット、指輪、リストバンド、照明、空調などを挙げることもできる。指輪やリストバンドは、例えば、ユーザの脈波、体温、発汗量、重心、O2、CO2、などのセンサを内蔵したものが挙げられる。呼吸情報処理装置と指輪やリストバンドから得た情報を合わせてユーザの状況を細かくかつ精度よく把握できる。また、照明や空調は、ユーザの呼吸、脈波、体温、発汗量、重心、O2、CO2、などの測定データに応じて照度や強度などを調整できるものを用いる。照明や空調を調整することにより、ユーザが落ち着く環境を提供できる。
また、ロボットは、以下のコンテンツに応じて作動させることができる。また、指輪やリストバンドは、以下のコンテンツによってユーザの状況の把握が補助される。また、照明や空調では、以下のコンテンツによって照度や強度などを変化させることができる。これらのためのコンテンツとしては、例えば、呼吸教師データ、呼吸、脈波、体温、発汗量、温度、湿度、重心、O2、CO2、などの測定データやグラフ、経過時間、呼吸情報処理装置の状況(計測中、試算中、電池残量、充電中など)、エラー表示、遠隔地ユーザの状況、ランキングなどを挙げることができる。
また、生体情報処理装置1と連動させる外部機器としてはプロジェクタを挙げることができる。プロジェクタは、生体情報処理装置1と離れた個別に設けられていてもよいし、生体情報処理装置1に内蔵されていてもよい。生体情報処理装置1に内蔵されたプロジェクタでは、例えば、以下のコンテンツに応じた情報を前方壁面又は床面に表示することができる。情報を表示するためのコンテンツとしては、例えば、呼吸教師データ、呼吸、脈波、体温、発汗量、温度、湿度、重心、O2、CO2、などの測定データやグラフ、アロマの種類、経過時間、呼吸情報処理装置の状況(計測中、試算中、電池残量、充電中など)エラー表示、設定画面、ガイダンスムービー、風景の映像、遠隔地ユーザの状況、ランキング、SNSの画面、テレビ電話、自撮り画像(内蔵カメラ)などを挙げることがきる。
外部機器との連動にあたり外部機器とのデータの送受信には、BLEやWifi、SubGHz通信などのプライベート通信機能および公衆回線(携帯通信網、公衆Wifi、LPWAなど)との通信機能の一方又は両方を利用するようにしてもよい。あるいは可視光通信を利用してもよい。また、これらの外部機器は、筐体部11の内側に設けられていてもよい。
また、生体情報処理装置1は、振動子、モータなどを内蔵し、これらによる表示を通知ができるようにしてもよい。また、スピーカを内蔵して、音楽や呼吸教師手順などを提供してもよい。さらには、これらによる通知や提供に代えて又は加えて、テレビ画面やPC,スマートフォンなどの外部機器を利用した通知や提供を行えるようにしてもよい。なお、生体情報処理装置1に振動子を設ける場合、振動子の振動によって生じる雑音が不快となる得る場合等には、雑音をキャンセルするキャンセング構造を設けてもよい。
また、生体情報処理装置1は、スピーカから音楽を出力したり、芳香素子によって芳香を提供したり、発光部142に発光させる際にユーザの状況に応じたサービスを提供してもよい。例えば、ユーザを落ち着かせたいときには落ち着かせる音楽をスピーカから出力したり、ユーザを覚醒させたいときには覚醒を促す音楽をスピーカから出力したりしてもよい。
また、生体情報処理装置1は、筐体部11の一部、例えば側部に光透過部を設け、この光透過部を介して発光部142から照射される光を筐体部11の外部に放射するようにしてもよい。また、生体情報処理装置1は、光透過部を介して発光部から照射される光を筐体部11の外部に放射するにあたり、内部位置センサを設け、筐体部11が所定の姿勢となったときに光を照射するようにしてもよい。例えば、筐体部11に設けられた開口部が真上を向いたときに、光照射部が上方に光を照射するようにしてもよい。
また、生体情報処理装置1は、正面にプロジェクタと3軸センサを内蔵したものでもよい。この生体情報処理装置1では、前方壁面又は床面に対して、画像による情報を表示し、表示された情報に基づく操作を行う。この生体情報処理装置1は、例えば、前後左右に傾けることにより、プロジェクタによって表示された情報を指定するポインタを動かせるようになっている。また、生体情報処理装置1を支持する指でダブルクリックを行うことにより、ポインタで指定した情報を決定できる。こうして、プロジェクタによって表示された画像内の複数のボタンから、任意のボタンを選定してできる。また生体情報処理装置1を下に下げることにより、ボタンを押下できる。また、生体情報処理装置1を前後左右に動かしても、プロジェクタによって表示される画像は3軸センサによる動きと連動して、元の表示位置から動かないようにできる。このため、目的のボタンを確実に選定して決定し、押下できる。
また、生体情報処理装置1は、生体情報処理装置1の正面にプロジェクタと、ユーザの指先を感知するセンサを内蔵したものとしてもよい。この生体情報処理装置1では、前方壁面又は床面に対して、画像による情報を表示し、表示した情報に対する操作を行う。表示される情報(画面)としては、例えば、操作画面、設定画面、遠隔地ユーザとのコミュニケーションツールとしての画面などを挙げることができる。また、プロジェクタは、レーザプロジェクタでもよい。
また、生体情報処理装置1は、落下防止、あるいは落下時の対策として、筐体部11の表面素材、形状、構造、重心等を工夫したものでもよい。筐体部11の表面素材としては、例えば、シリコンラバー、布地などやわらかく、滑りにくい素材とすればよい。この場合、生体情報処理装置1が手から滑り落ちにくくなり、落下防止に寄与できる。また、柔らかい素材であれば、落下時の衝撃を吸収しやすくできる。なお、筐体部11をこれらの素材で構成するほか、筐体部11の一部、例えばユーザが手で触れる位置や落下時に下方を向きやすい位置をこれらの素材としてもよい。また、筐体部11にこれらの素材からなるカバーを被せるようにしてもよい。
生体情報処理装置1の形状(筐体部11の形状)としては、指がかかりやすいよう凹みやガイドとなる溝を持たせ、手から滑り落ちにくい形状とするのが好適である。あるいは、筐体を球体形状としてもよい。この場合、生体情報処理装置1が落下した際には、転がることになるので、衝撃を吸収しやすくできる。また、生体情報処理装置1の形状は、お椀型、皿型、ボール型、スティック型、筒状の形状、ベルト型、マット型、ヘルメット型等であってもよい。
また、生体情報処理装置1は、筐体部11が互いに相対的に変位可能な外殻と内殻の2重構造を持ち、内殻にセンサや基板等の各種部品を封入し、外殻と内殻との間は空気やジェルといった流体や弾性体などの衝撃緩衝材が封入されたものとしてもよい。このうち、外殻の素材としては、固体から布地や風船などやわらかい素材まで様々のものを使用することができる。この場合、生体情報処理装置1が落下して床面等に衝突したとしても、内殻の内側に封入されたセンサや基板等の各種部品への衝撃を小さくできる。このため、各種部品の損傷等を防止できる。
また、生体情報処理装置1は、外殻と内殻の2重構造を持ち、内殻にセンサや基板等の各種部品を封入し、外殻は衝撃によって分割易い構造としてもよい。この外殻の構造は、例えば、予め分割された半球状の部品同士が組み合わされたものでよい。この場合、生体情報処理装置1が落下して床面等に衝突し、生体情報処理装置1に衝撃が与えられた場合に、外殻が分割しやすくなっているので、内殻の内側に封入されたセンサや基板等の各種部品への衝撃を小さくできる。
また、生体情報処理装置1は、外殻と内殻の2重構造を持ち、呼吸センサ20がユーザの腹部側(例えば下側)に来るように、生体情報処理装置1(内殻)の向きを調整する向き調整構造としてもよい。向き調整構造としては、ジャイロセンサや加速度センサで生体情報処理装置1の向きを検出し、検出された生体情報処理装置1の向きを、呼吸センサ20がユーザの腹部側に向くように調整する構造を有すればよい。また、呼吸センサ20がユーザの腹部側(例えば下側)に来るようにボールの重心を設計してもよい。このため、例えば重量の大きい振動子を筐体部11の下部に配置すればよい。また、重心を下方に配置した場合、落下した生体情報処理装置1は下面が床面に衝突する可能性が高いので、下面に衝撃吸収材(緩衝材)を配置してもよい。また、落下時の衝撃を防音材で緩和させてもよい。
また、生体情報処理装置1における筐体部11の上部には、表示部が設けられ、筐体部11の重心が生体情報処理装置1の下部に位置するようにしてもよい、この場合、生体情報処理装置1が落下して床面等に衝突する場合でも、表示部の落下を抑制することができ、表示部の損傷を防止できる。また、この場合の筐体部11の下部には、柔らかい緩衝材が設けられていてもよい。
また、生体情報処理装置1の外装材、例えば筐体部11として、自然材、天然由来の材料を用いてもよい。生体情報処理装置1の外装材が自然材、天然由来の材料であることにより、ユーザの気持ちが癒され、心の落ち着きを促すことができる。自然材、天然由来の材料としては、例えば、木材、漆器、ガラス、石類、布類などを例示できる。
また、生体情報処理装置1が前後左右に振幅を繰り返したり、発光部142が点滅したりするなど踊っているような動きを見せるものでもよい。このように、生体情報処理装置1が踊っているような動きをみせるタイミングとしては、種々のタイミングとしてよい。例えば、教師データとユーザの計測データのマッチングが特定の値を超えたときとしてもよい。あるいは、生体情報処理装置1が一定期間使用されていないときとしてもよい。あるいは、登録している遠隔地のユーザが使用を開始したときとしてもよい。
また、生体情報処理装置1を使用する際に、教師データに合わせた呼吸を行ってもよいし、それ以外の呼吸を行ってもよい。教師データに合わせた呼吸以外の呼吸としては、ユーザが自然体で呼吸を行うようにすればよい。この場合、生体情報処理装置1は、ユーザの呼吸、脈波、心拍、血圧、体温、CO2ガス、SpO2、発汗、脳波などのセンサから得られる各種データを蓄積してもよい。また、生体情報処理装置1は、蓄積したデータと検出したデータとを比較し、両者の差異に基づいて、ユーザの異常を検知するようにしてもよい。
また、生体情報処理装置1のスピーカ144からは、教師データに近いリズムを持つ音楽が流れるようにしてもよい。また、教師が遠隔地にいる場合でも、生体情報処理装置1から遠隔地にいる教師の音声が流れるようにしてもよい。また、生体情報処理装置1をマタニティヨガで利用することもできる。この場合、妊婦が胎動や胎児の脈を計測できる。計測したデータは、蓄積してもよいし医師に転送してもいし両方を行ってもよい。この場合、妊婦や医師は、妊婦と胎児の状況を把握できる。
また、生体情報処理装置1における各種部品の組付けにあたり、特殊ねじや分解防止シールを使用したり、分解を検知するスイッチ等を設けたりしてもよい。また、ネジにスイッチ機能を持たせてもよい。これらの場合、生体情報処理装置1の分解の防止を図ることができる。
また、生体情報処理装置1の故障を検知する故障検知構造を設けてもよい。この故障検知構造において、生体情報処理装置1の故障が検知された場合には、例えば、筐体部11に設けられた発光部142におけるLEDを点灯、点滅させるなどして故障の発生に応じた表示を行うようにしてもよい。この場合、生体情報処理装置1の故障を外部から認識しやすくできる。
生体情報処理装置1は、例えば、使用時と非使用時において、下記の機能を有するようにしてもよい。
[使用時]
(1)2周期以上の自呼吸の測定データをもとに平均値(呼吸周期、呼吸数、呼吸の深さ、呼吸の測定波形など)を表示する。この場合し、ユーザの呼吸ごとの乱れを抑制するための参考にできる。
(2)毎日の呼吸数や呼吸の深さのトレンドを記録し、表示する。この場合、ユーザは、自身の健康状態などを推定できる。
(3)推奨される呼吸数や呼吸の深さを表示する。この場合、ユーザの適切な運動等を補助できる。
(4)生体情報処理装置1を正しい向きに自然に持てるように、指や印字等のガイドを設けたり、内蔵LEDなどで誘導したりする。この場合、ユーザは、生体情報処理装置1を正しく持つことができる。
(5)生体情報処理装置1の向きが正しくない場合、内蔵LEDや振動、スピーカ等で通知する。この場合、生体情報処理装置1の向きが異なることをユーザに知らせることができる。
(6)各種設定(使用者の特定、カスタマイズなど)をPCやスマホで行えるようにする。この場合、生体情報処理装置1を複数のユーザが共用できる。
(7)脈波、心拍、血圧、加速度や傾き(重心移動や体幹の揺れ、姿勢の崩れ、体の振動)、室温、体温、CO2ガス、SpO2、湿度、発汗、脳波、気圧、照度、筋電などのセンサも内蔵し、体調や環境の状態や変化などを測定、分析できるようにする。この場合、ユーザの生体情報のほか、ユーザの周囲の環境情報も取得できる。
(8)バイオマーカーを血液から取得することによりセロトニン量の計測を行うことでも同様な測定、分析が行えるようにする。この場合、呼吸情報や脈波情報以外の生体情報を好適に取得できる。
(9)クラウドでデータ処理する。この場合、データを容易に保存できる。
(10)重心を下方にして落下時に床とぶつかる場所を固定、その場所を強化しておく。この場合、生体情報処理装置1の損傷を抑制できる。
(11)首から吊り下げるひもや手首に巻くストラップを付けられる取付部を設ける。例えば、指の入る穴を設ける。この場合、生体情報処理装置1の保持姿勢の決定や落下防止に寄与できる。
(12)筐体部11内に加熱装置を内蔵してユーザのお腹や手を温める。この場合、温熱療法的な効果を生むことができる。
[非使用時]
(1)置台に置くだけで充電できるとともに、充電量を表示する。この場合、充電状況を容易に把握することができる。
(2)置台又は生体情報処理装置1にタイマを設け、一定時間でスリープモードに移行するようにする。この場合、生体情報処理装置1の省電力化を図ることができる。
(3)置台に生体情報処理装置1を載置したときに、PCやスマートフォンの着信表示を行う。この場合、PCやスマートフォンの着信を確実に認識できる。
生体情報処理装置1は、例えば、自宅で使用する場合には、使用時と非使用時において、下記の態様で利用できる。
[使用時]
(1)家族の健康管理に役立てることができる。
(2)生体認証により使用者を特定することができる。
(3)生体情報処理装置1をぬいぐるみなどに内蔵することができる。
[非使用時]
(1)イルミネーション、スマートスピーカー、TVスピーカ、ラジオ、臨時警報機能を内蔵することができる。
(2)遠隔家族の安否状態を表示できる。
(3)睡眠を誘導するLEDやスピーカとして利用できる。
(4)実時刻を把握するためのクロックを内蔵することにより、目覚まし時計などに利用できる。
生体情報処理装置1は、例えば、教室、施設、職場、数十人程度の規模のイベント等で使用する場合には、使用時と非使用時において、下記の態様で利用できる。
[使用時]
(1)個人認証用のカードスロットや非接触型ICカード等で個人認証や課金を行うことができる。
(2)教室で生徒のみで仕様する場合には、自宅使用時と同等の態様で利用できる。
(3)教室で教師と生徒で仕様する場合には、BLE又はWiFiにて生徒を集中管理できる。また、クラスメイト全体の傾向を把握できる。
(4)机や椅子、ベッド、トイレなどに内蔵して常時使用できる。
[非使用時]
(1)保管、充電用のラック、コンテナなどに保管することができる。
生体情報処理装置1は、例えば、数百人以上の規模のイベント等で使用する場合には、使用時と非使用時において、下記の態様で利用できる。
[使用時]
(1)アドホック通信により、少数の基地局からの電波が到達しないような広い範囲で使用する場合にも通信が途切れることなく利用できる。
(2)クライアントサーバー機能を発揮できる。
(3)内蔵LEDの全体連携表示(教師データ、音楽など)で盛り上げることができる。
(4)防水、防塵機能を持たせることができる。この場合、滝に打たれた修行や湯船の中での使用などにも利用できる。
(5)GNSS、Beacon、高度計で位置を把握、記録し、位置に応じた処理をできる。例えば、ヨガスタジオや大規模イベント会場、電車内などの使用状況を把握し、その場に応じた設定を切り替えたりできる。
[非使用時]
(1)保管、充電用のラック、コンテナなどに保管することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、生体情報処理装置1がより効率よくユーザに支援情報を知覚させることを可能にする筐体部11、振動子143及びスピーカ144の構成例について説明する。
[第1の構成例]
図21は、第2の実施形態の生体情報処理装置1の第1の構成例を示す図である。第1の構成例において、筐体部11は、呼吸センサ20の保持部に振動の減衰率が所定の基準値よりも大きい第1部材111を備え、それ以外の部分に振動の減衰率が上記基準値よりも小さい第2部材112を備える。第1部材111と第2部材112は、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。例えば、第1部材111と第2部材112とに同じ材質の部材を用いる場合、第1部材111に厚肉の部材を用い、第2部材112に薄肉の部材を用いてもよい。また、例えば、第1部材111と第2部材112とに異なる材質の部材を用いる場合、第1部材111に剛性の低い部材を用い、第2部材112に剛性の高い部材を用いてもよい。
このような第1の構成例の生体情報処理装置1では、振動子143の振動やスピーカ144が出力する音声による振動が、減衰率の小さい第1部材111によって伝達されるため振動子143やスピーカ144が出力する支援情報をより確実にユーザに知覚させることができる。一方で、生体情報処理装置1では、振動の減衰率が大きい第1部材111が呼吸センサ20を保持するため、振動子143やスピーカ144による振動が呼吸センサ20に与える影響を低減することができる。そのため、呼吸センサ20の計測精度の低下を抑制することができる。
[第2の構成例]
図22は、第2の実施形態の生体情報処理装置1の第2の構成例を示す図である。第2の構成例において、筐体部11は、次の(11)式を満たす面密度Mを有する材料で構成される。
式(1)において、TL[dB]は周波数fの音波が面密度Mを有する材料を透過する際の損失を表す。ここで、スピーカ144が出力する音声の周波数がfであり、筐体部11が面密度Mを有する材料で構成される場合、TLが10dB(閾値の一例)以上であると、スピーカ144が出力する音声が筐体部11によって遮断される。その結果、筐体部11の外部に伝播する音は相対的に振動子143の振動音の方が大きくなる。そのため、スピーカ144が出力する周波数fの音声の透過損失TLが10dBよりも小さくなるような面密度Mを有する材料で筐体部11を構成することにより、スピーカ144が出力する音声を高い音質で外部に伝播させることができる。これにより、生体情報処理装置1は、より効率よくユーザに支援情報を知覚させることができる。
[第3の構成例]
図23は、第2の実施形態の生体情報処理装置1の第3の構成例を示す図である。第3の構成例において、振動子143及びスピーカ144に入力される支援情報の電気信号(以下「入力信号」という。)は、その振幅又は位相が支援情報に応じて調整される。この調整は、制御部152によって行われる。このような振幅又は位相の調整により、振動子143は支援情報に応じて異なる強度又は位相で振動し、スピーカ144は支援情報に応じて異なる強度又は位相の音声を出力する。この場合、生体情報処理装置1は、振動子143による筐体部11の振動と、音声による筐体部11の振動との干渉の度合いによって異なるパターンの振動を行う。そのため、振動子143への入力信号の振幅又は位相と、スピーカ144への入力信号の振幅又は位相との組み合わせを支援情報に応じて調整することで、支援情報に応じた異なる振動パターンで支援情報をユーザに知覚させることができる。また、振動子143は、支援情報に応じて調整された振幅又は位相で振動するため、支援情報に応じた強度又は位相の振動音を発生させる。そのため、生体情報処理装置1は、支援情報に応じて異なる振動音で支援情報をユーザに知覚させることができる。
[第4の構成例]
図24は、第2の実施形態の生体情報処理装置1の第4の構成例を示す図である。第4の構成例において、生体情報処理装置1は第1振動子143−1及び第2振動子143−2を備える。2つの振動子143−1及び143−2は、制御部152によって位相が調整される。このような位相の調整により、生体情報処理装置1は、各振動子143の位相の組み合わせに応じて異なる振動を行う。制御部152は、支援情報に応じて位相の組み合わせを変更することで、支援情報に応じた振動パターンで生体情報処理装置1を振動させることができる。例えば、制御部152は、各振動子143の位相を同位相に調整することにより、より大きな振動を発生させてもよい。また、制御部152は、各振動子143の位相を逆位相に調整することにより、振動を抑制してもよい。また、制御部152は、各振動子143の位相差を90°に調整することにより、筐体部11の表面波を増幅してもよい。例えば、図24の例において、振動子143−1の位相を振動子143−2の位相に対して+90°に調整した場合、筐体部11の表面において右向きに伝搬する表面波が増幅される。また、振動子143−1の位相を振動子143−2の位相に対して−90°に調整した場合、筐体部11の表面において左向きに伝搬する表面波が増幅される。なお、このような振動パターンの調整は、生体情報処理装置1の正しい使い方をユーザに通知する手段として用いられてもよい。例えば、生体情報処理装置1は、脈波センサ132−1及び132−2の一方又は両方がユーザの脈波を正しく計測できていない場合、その旨を振動によってユーザに通知するように構成されてもよい。例えば、制御部152は、右手の脈波が計測されていない場合には右向きの表面波を増幅するように各振動子143の位相を調整してもよい。このような通知がなされることにより、ユーザは生体情報処理装置1の使用法を改善することができる。なお、増幅する表面波の伝搬方向は、左右のみに限定されず、振動子143の設置位置を変えることによって任意の方向に調整されてよい。
[第5の構成例]
図25は、第2の実施形態の生体情報処理装置1の第5の構成例を示す図である。第5の構成例において、生体情報処理装置1は2つのスピーカ144−1及び144−2を備える。2つのスピーカ144−1及び144−2は、制御部152によって出力音声の位相が調整される。このような位相の調整により、生体情報処理装置1は、各スピーカ144の位相の組み合わせに応じて異なる振動を行う。制御部152は、支援情報に応じて位相の組み合わせを変更することで、各スピーカ144に支援情報に応じた位相の音波を出力させる。各スピーカ144がこのように調整された音声を出力することで、生体情報処理装置1は、筐体部11の外側に伝播する音声(以下「放射音」という。)の指向性や音量を制御することができる。具体的には、スピーカ144−1及び144−2は、各機能部を支持する筐体部11の内側表面上に設置され、筐体部11内部でのバッフル効果によって放射音を増幅又は減衰させる。
図26は、開放空間に配置された複数の音源の出力する音波が互いに干渉して減衰する様子を示す図である。図26(A)は、開放空間に2つの音源AS11及びAS12が配置された場合における各音源の位置関係を示す。この例では、音源AS11が主音源を示し、AS12が副音源を示す。ここで、主音源は減衰させる対象の音波を出力する音源を意味し、副音源は主音源が発する音波に干渉して減衰させる音波を発する音源を意味するものとする。dは主音源AS11と副音源AS12との間の距離を表す。同様に、図26(B)は、開放空間に3つの音源AS21、AS22及びAS23が配置された場合における各音源の位置関係を示す。この例では、音源AS21が主音源を示し、音源AS22及びAS23が副音源を示す。dは主音源AS21と、各副音源AS22及びAS23との間の距離を表し、Lは副音源AS22とAS23との間の距離を表す。
図26(C)は、図26(A)及び図26(B)に示す主音源が出力する音波(以下「主音波」という。)が、副音源が出力する音波(以下「副音波」という。)と干渉して減衰する様子を示す図である。ここで、横軸は、主音波と副音波との位相差を表し、縦軸は副音波の干渉による主音波の減衰量ηを表す。図26(C)において、曲線L1は図26(A)に示す主音源AS11の減衰量η1を表し、曲線L2は図26(B)に示す主音源AS21の減衰量η2を表す。減衰量η1及びη2は、それぞれ次の(12)式及び(13)式のように表される。
ここで、θk=kdであり、θkは主音波と副音波との間の位相差を表す。また、L=2dとした場合、2θk=kLであり、2θkは副音波間の位相差を表す。(12)式及び(13)式は制御前の音圧に対する制御後の音圧の相対的な減衰量を表す。すなわち、図26(C)の例において、0dBでは制御前後で主音波の音圧に変化がなく、−10dBでは制御後に主音波の音圧が10dB減少する。図26(C)が示すように、主音波の減衰量は副音源が多い方が小さくなることが分かる。そのため、放射音の減衰量をより小さくするためには、生体情報処理装置1は、より多くのスピーカ144を備えることが望ましい。
なお、放射音の増幅又は減衰は、筐体部11の内部でヘルムホルツ共鳴を発生させることによっても実現可能である。この場合、スピーカ144に代えて振動子143を筐体部11の内部に設置するとともに、筐体部11の内向きに円筒管を設置する。このようにすることで、振動子143によって筐体部11の内部に生じる放射音が円筒管にてヘルムホルツ共鳴で増幅される。
以上のように生体情報処理装置1は、呼吸情報を振動や音で周囲に伝えることも可能となるが、生体情報処理装置1の内部には、音響センサとしてマイクがさらに備えられてもよい。この場合、例えば、制御部152がマイクを介して計測した音圧情報に基づいて増幅器162の出力バランスを調整することによって、効果的に振動や音を伝えることができる。
例えば、振動子143が最大振幅で振動を行っている場合など、スピーカ144から出力された音声が振動子143の振動によって阻害され、所望の音量を確保できないことが考えられる。特に、振動子143による放射音と、スピーカ144による放射音とでは、筐体部11の構成部材やサイズ等によって、実現可能な音の帯域に限界がある。そのため、このような音声の阻害を考慮せずに振動子143の振幅を過度に増大させると、筐体部11のひずみが増大し、音質の劣化や、呼吸センサ20等の他の精密部品に対する必要以上の加振が生じ、機器が破損してしまう恐れがある。そのため、実際に生じている音圧に基づいて増幅器162の出力バランスを調整することにより、音質の劣化や機器の破損を抑制することができる。具体的には、制御部152は、所望の音量が得られていない場合には、振動子143の出力レベルを抑制し、スピーカ144の出力レベルを増大させることによって所望の音量を確保することができる。
なお、このような出力バランスの調整に用いられるマイクは、複数の生体情報処理装置1の間での情報の共有手段として用いられてもよい。例えば、制御部152は、他の生体情報処理装置1から出力された音声をマイクから入力し、取得された音声信号を分析することによって他の生体情報処理装置1の支援情報を取得することができる。また、他の生体情報処理装置1が自身の状態を示す音声を出力すれば、制御部152は、音声信号を分析することによって他の生体情報処理装置1の状態を監視することもできる。よって、この機能を備えた生体情報処理装置1は、無線通信手段を備えずとも、複数のユーザが感情を共有し、一体感を醸成する活動をさらにきめ細かく支援することが可能になる。また、集音マイクでユーザの呼吸音を収集するようにしてもよい。集音マイクで収集した音源を分析し、ユーザが息を吸っている状態であるか吐いている状態であるかを検出するようにしてもよい。
また、生体情報処理装置1は、筐体部11に内蔵したマイクで取得した周囲環境音を分析し、周囲騒音が大きい時には、振動子143の出力を上げて、振動でユーザの生体情報をより認識させやすくしてもよい。この場合、例えば、マイクに音響信号分析部、閾値判定部、信号加工部、信号増幅部等を接続して、振動子143の振動量を調整するようにしてもよい。
振動子143の振動の大きくすると、通常は、振動の増大に伴い、不要音も発生しやすくなるが、騒音にマスクされるため、不要音を気にせずに、振動を増幅できる。また、使用環境ごと、この音量や振動のレベルは異なることから、予め、閾値を事前に設定することにより、不要音を気にせずに、振動を増幅できるような対応も可能となる。
また、生体情報処理装置1は、スピーカ144から白色雑音などの計測用の音声(以下「計測音」という。)を出力し、マイクを介してその音声信号を取得することで、筐体部11の内部の音響特性を取得することができる。このような音響特性を取得することにより、制御部152は、周波数特性や時間特性(インパルス応答)等の違いに基づいて、呼吸センサ20がユーザの腹部の動きを正しく観測できる状態にあるか否かを間接的に検知することができる。特に、このような音響特性の計測においては周囲の雑音と計測音とは無相関であることから、周囲の環境(暗騒音や人の声、機械音、生体情報処理装置1による振動子143やスピーカ144からの放射音や稼働音など)に影響されずに音響特性を評価することができる。
[第6の構成例]
図27は、第2の実施形態の生体情報処理装置1の第6の構成例を示す図である。第6の構成例において、生体情報処理装置1は2つのスピーカ144−1及び144−2を備える。2つのスピーカ144−1及び144−2は、制御部152の制御により、ユーザに仮想音像を知覚させる音声を出力する。具体的には、制御部152は、出力対象の音声データについて、ユーザの耳からスピーカ144までのHRTF(Head-Related Transfer Function:頭部伝達関数)を用いた信号処理を行うことにより、生体情報処理装置1のユーザだけが頭部の周囲に仮想音像を知覚するような音声信号を生成してスピーカ144に出力する。
図28は、第6の構成例の生体情報処理装置1がユーザの周囲に仮想音像を生成する様子を示す図である。図28(A)はユーザの頭部が仮想音像を知覚可能な位置にある状態を示し、図28(B)はユーザの頭部が仮想音像を知覚しない位置にある状態を示している。ユーザは、仮想音像を知覚することができる図28(A)の位置(以下「知覚可能位置」という。)でのみ仮想音像を知覚し、図28(B)のように知覚可能位置から外れた位置では仮想音像を知覚しない。このような仮想音像の性質を利用すれば、生体情報処理装置1は、ユーザに正しい姿勢を教示することができる。このような機能を有する生体情報処理装置1によれば、例えば、マインドフルネスの手段として座禅を行うユーザは、生体情報処理装置1が形成する仮想音像を知覚できる姿勢を保つことを意識することで、正しい座禅を効率よく学習することができる。
仮想音像により、ユーザへ提供される音声は、ユーザの腹式呼吸の計測結果及びこれまでの練習結果によって変化するようにしてもよい。例えば、初期状態では正しい姿勢、腹式呼吸を促す音声が流れるが、徐々に心地よい音に変化するようにしてもよい。心地よい音とは、例えば、ヒーリングミュージック等のBGM、鳥のさえずり、川のせせらぎといったような自然界の音である。又は実際に仏寺で座禅しているかのように体感させるため、実際の仏寺で録音された音声を流してもよい。心地よい音の他にユーザが指定した楽曲やBGMを流してもよい。また、仮想音像とともに又は代えて、においが変化するようにしてもよいし、映像などのコンテンツの配信を行ってもよい。また、ユーザと仮想音像とのマッチングの度合いによって、音量、リズム、楽曲の種類等が変化するようにしてもよい。
[第7の構成例]
図29は、第7の構成例の生体情報処理装置を示す図である。図29(A)は、生体情報処理装置1を上方から見た状態を示す。図29(B)は、生体情報処理装置1の使用状態を示す。図29(C)は、生体情報処理装置1の他の使用状態を示す。図29(A)に示すように、生体情報処理装置1は、筐体部11を備えている。この例での筐体部11は、筒状をなしている。この例の生体情報処理装置1は、小型で携帯可能なスティック型の装置である。
筐体部11の内側には、呼吸センサ20が設けられている。呼吸センサ20の左右両側方には、それぞれ脈波センサ132−1,132−2が設けられている。脈波センサ132−1,132−2の左右両側方には、押込ボタン211−1、211−2が設けられている。押込ボタン211−1、211−2は、いずれも図示しない付勢部材。例えばばねによって外方に付勢されている。また、生体情報処理装置1には、電力供給部212が接続されている。電力供給部212は、生体情報処理装置1に電力を供給する。
押込ボタン211−1,211−2をバネの付勢力に抗して内側に押し込むと、押込ボタン211−1,211−2が脈波センサ132−1,132−2に接触し、脈波センサ132−1,132−2が反応して計測を開始する。また、脈波センサ132−1,132−2が計測を開始すると、呼吸センサ20も計測を開始する。この生体情報処理装置1は、図1に示す生体情報処理装置1のような発光部142、振動子143、スピーカ144、及び回路部15を備えていないが、これらの一部又は全部を備えるものでもよい。
この例の生体情報処理装置1は、押込ボタン211−1,211−2を内側方向に押し込むことで、使用できる。このため、例えば、図29(B)に示すように、坐禅の恰好をしたユーザの右腕及び左腕のそれぞれの手首で生体情報処理装置1をはさんで使用することができる。また、図29(C)に示すように、ユーザの指で生体情報処理装置1を左右に指で押し込んで使用する。このため、指刺激による腹式呼吸をしやすくすることができる。また、小型で携帯可能なスティック型であるので、携帯に便利である。
[第8の構成例]
図30は、第8の構成例の生体情報処理装置を示す図である。この例では、生体情報処理装置1がカバー部材230に保持される。図30(A)は、カバー部材230が保持される前の生体情報処理装置1を示す。図30(B)は、カバー部材230が保持された後の生体情報処理装置1を示す。図30(A)に示すように、生体情報処理装置1の筐体部11よりも一回り大きいカバー本体231を備えている。カバー本体231は、筐体部11に取り付けられた表示部141が露出した状態で筐体部11を覆う形状となっている。
カバー本体231の周囲には、先鋭状の突起部232が周面全方向に略等間隔で配置されている。突起部232は、人体、例えば指等に押し付けられることにより、人体における押し付けられた部位に刺激を与える。カバー本体231及び突起部232は、共通の素材で一体成型されていてもよいし、突起部232がカバー本体231に接着や溶着等されていてもよい。また、カバー本体231と突起部232は異なる素材でもよい。また、複数の突起部232は、同一形状でもよいし異なる形状でもよい。カバー本体231及び突起部232は、ゴムなどの弾性体で形成されていてもよいし、熱可塑性樹脂などで構成されていてもよい。また、カバー本体231は、伸縮性を備えていてもよい。また、突起部232は、先鋭状でない形状、例えば半球体形状等でもよい。また、突起部232に代えてくぼみ部が形成されていてもよい。
生体情報処理装置1における筐体部11の先端部には、装置側連結部222−1,222−2が設けられている。また、カバー部材230におけるカバー本体231の先端部には、カバー側連結部233−1,233−2が設けられている。図30(B)に示すように、装置側連結部222−1,222−2とカバー側連結部233−1,233−2とは、互いに連結可能とされている。
カバー部材230は、ユーザの意思等によって、生体情報処理装置1に対して着脱可能である。カバー部材230は、装置側連結部222−1,222−2とカバー側連結部233−1,233−2によって生体情報処理装置1に保持されている。装置側連結部222−1,222−2とカバー側連結部233−1,233−2とが互いに連結されることにより、カバー部材230が生体情報処理装置1に固定される。
この例の生体情報処理装置1では、カバー部材230が取り付けられることにより、外部の衝撃等を緩和し、損傷などを抑制できる。また、カバー部材230は、装置側連結部222−1,222−2とカバー側連結部233−1,233−2とが互いに連結されて生体情報処理装置1に保持される。このため、カバー部材230を生体情報処理装置1に確実に取り付けておくことができる。また、カバー部材230には、突起部232が設けられている。このため、ユーザの人体に刺激を与えることができるとともに、生体情報処理装置1に対する外部からの衝撃をより緩和できる。また、カバー部材230が弾性体等で構成されることにより、生体情報処理装置1に対する外部からの衝撃をさらに緩和できる。
[第9の構成例]
図31は、第9の構成例の生体情報処理装置を示す図である。図31は、カバー部材240が保持された生体情報処理装置1を示す。図31に示すように、生体情報処理装置1は、カバー部材240を保持している。生体情報処理装置1には、連結部245が設けられている。連結部245は、カバー部材240の端部に対して連結可能とされている。
カバー部材240は、筐体部11よりも一回り大きいカバー本体241を備えている。カバー本体241には、ユーザの手を挿入可能な把手242−1,242−2が設けられている。把手242−1,242−2は、貫通穴である。ユーザは、把手242−1,242−2に手を挿入することにより、カバー部材240で覆われた生体情報処理装置1を容易に保持することができる。
把手242−1,242−2が形成された位置に対応する筐体部11の内部には、脈波センサ132−1,132−2が設けられている。ユーザが把手242−1,242−2に手を挿入して生体情報処理装置1を保持する場合、ユーザの手は、脈波センサ132−1,131−2の近傍に配置される。この把手242−1,242−2が形成されていることにより、生体情報処理装置1を保持するユーザの手を脈波センサ132−1,131−2の近傍に容易に誘導できる。なお、把手は、筐体部11を貫通しない凹部でもよい。
[第10の構成例]
図32は、第10の構成例の生体情報処理装置1を示す図である。図32は、周辺構造に囲まれた生体情報処理装置1を示す。図32に示すように、生体情報処理装置1は、円筒状のホルダ251に収容されている。ホルダ251は、自立可能であり、ホルダ251の上面には、開口が形成され、この開口に生体情報処理装置1が挿入されている。生体情報処理装置1がホルダ251に収容されている。ホルダ251の内側であって、生体情報処理装置1の外側には、燃焼部材252が設けられている。燃焼部材252としては、例えばろうそくが用いられる。さらに、ホルダ251の内部には、そのほか図示しないファン、発光装置、スピーカなどが収容されている。これらの燃焼部材252、ファン、発光装置、スピーカは、生体情報処理装置1で計測した生体情報に基づいて作動する。
ホルダ251における生体情報処理装置1が収容された開口の側方には、小径の小開口部253−1,253−2が設けられている。小開口部253からは、燃焼部材252が燃焼することによって発生、ファンによって送風される芳香が放出される。また、スピーカが発する音や発光装置が発する光などが放出される。このような、芳香、音、光等をホルダ251の外部に放出して可視化等することにより、生体情報処理装置1を観賞用として利用することもできる。
また、別の生体情報処理装置1を使って計測中の生体情報をこの容器内のファンや発光装置やスピーカに入力し、呼吸や脈波の揺らぎを、光や風や香りや音で可視化等するようにしてもよい。あるいは、ユーザが過去に計測した生体情報に基づいて、ホルダ251内におけるファンや発光装置やスピーカで可視化等してもよい。
また、生体情報処理装置1は、再生部が設けられているようにしてもよい。再生部は、生体情報処理装置1が取得した生体情報に基づいて、音、光、匂いなどを発生する構造である。再生部には、発光部142、振動子143、スピーカ144、などを用いてもよい。また、生体情報処理装置1では、生体情報を取得する構造、例えば呼吸センサ20や脈波センサ132等を設けることなく、再生部のみを設けるようにしてもよい。
他のユーザの生体情報の取得状態を第三者が可視化等する目的、例えば、呼吸法を指導するインストラクタが生徒の状態を把握したい場合は、その可視化等する部分だけの機能で十分である。生体情報を取得する構造があると、正確な生体取得を実現するために、筐体部に内蔵される呼吸センサ20や脈波センサ132等を筐体部11に保持する各連結部も複数必要となり、筐体部11は頑丈な材料で構成され、発光部142のLEDや振動子143の振動等を大幅に変化させることは難しくなる。その結果、他人の状態を正確に把握することは困難となる。そこで、発光部142、振動子143、スピーカ144など、再生部だけを内蔵した再生可視化専用のいわば生体情報可視化装置としてもよい。例えば、振動子143を振動させる際には、振幅を増幅させて、筐体部11自体を変形させることで、より誇張させて微小な動きを再生、可視化してもよい。この場合、筐体部11は、伸縮性や変形性などを有する素材で構成するのがよい。
[第11の構成例]
図33は、第11の構成例の生体情報処理装置1を示す図である。図33は、複数の生体情報処理装置1が共通プレート260の上に搭載されている状態を示す。図33に示すように、生体情報処理装置1は、共通プレート260上に複数搭載されている。共通プレート260には、生体情報処理装置1を搭載するための搭載穴が複数設けられている。これらの搭載穴に生体情報処理装置1がそれぞれ搭載される。
例えば、生体情報処理装置1には、第10の構成例で説明した再生部が設けられている。共通プレート260の各搭載穴及び生体情報処理装置1には、それぞれ接続可能なコネクタが取り付けられており、このコネクタを接続することにより、生体情報処理装置1の生体情報を共通プレート260側に出力可能となっている。このコネクタを生体情報処理装置1の充電に利用することもできるし、コネクタの代わりに、Qiなどの無線給電装置を利用し、生体情報処理装置1の内部にレシーバーを設け、共通プレート260にトランスミッターを設けることで、充電することもできる。共通プレート260には、図示しない情報管理装置が設けられており、この情報管理装置によって複数の生体情報処理装置1から出力された生体情報を処理可能となっている。なお、この情報管理装置は共通プレート260とは別に設けられていてもよい。また、コネクタを接続することにより、共通プレート260から各生体情報処理装置1に対して、発光部142、振動子143、スピーカ144などを操作する操作信号が出力可能となっている。
また、共通プレート260には、入出力情報データ送受信部及び目標データ発信部が設けられている。目標データ発信部は、生体情報に関する目標データが含まれている。また情報管理装置には、教師データ相関判別部が設けられている。情報管理装置は、教師データ相関判別部において、生体情報処理装置1から取得した生体情報と、目標データとの相関を判別することにより、各ユーザの生体情報に関する目標値を算出する。情報管理装置は、この目標値を入出力情報データ送受信部から各生体情報処理装置1に出力する。
共通プレート260上に複数の生体情報処理装置1が搭載されることにより、他のユーザの生体情報の取得状態を第三者が可視化できる。共通プレート260に複数の生体情報処理装置1を搭載することにより、例えば、呼吸法を指導するインストラクタが、複数人が取得した生体情報を同時に可視化することができる。大人数になるほど、一人ひとりの動きを瞬時には把握しにくい。この点、複数の生体情報処理装置1を共通プレート260に搭載するだけで、時間同期、同時再生により、発光部142のLEDの色の違い等から、正常にできていないユーザを特定できる。あるいは、この共通プレート260を介して、教師データを各自の生体情報処理装置の情報記憶部に一斉送信し、各ユーザは、このプレートから同装置を取り出し、この情報を元に、教師データを参照しながら呼吸法のトレーニングを実施することもできる。
また、上記の共通プレート260に代えて、図34に示す装飾スタンド270を用いてもよい。装飾スタンド270は、上記の共通プレート260に設けられた情報管理装置が設けられている。また、装飾スタンド270には、生体情報処理装置1を取り付ける取付部が複数設けられており、これらの取付部には、生体情報処理装置1を保持するホルダ部及び共通プレート260と同様のコネクタが設けられている。この装飾スタンド270を用いることにより、共通プレート260を用いた場合と同様の作用効果を得られるとともに、装飾性を向上させることができる。
[その他の構成例]
また、生体情報処理装置1は、ユーザが横たわった状態で使用しやすい構造としてもよい。この場合には、例えば、坐禅の状態での生体情報処理装置1の使用をマスターしているユーザが、就寝前に横たわった状態で生体情報処理装置1を利用することができるようになる。また、生体情報処理装置1には、タイマ機能を設けてもよい。タイマ機能では、例えば、発光部142、振動子143、スピーカ144などの作動開始時間を設定しておき、作動開始時間が経過した後、発光部142、振動子143、スピーカ144から、強い光や振動や音を鳴らしてもよい。これらの光や振動や音によって、ユーザがそのまま就寝することを防止できる。また、生体情報処理装置1を横たえることにより、筐体部11の側面から発光部142の光が漏れることを防止できる構造としてもよい。この場合には、睡眠中のユーザに発光部142が発した光が当たることを防止できる。
また、生体情報処理装置1の筐体部11の側面に光透過部を設け、光透過部を透過した光が、天井や壁などに映し出されるようにしてもよい。例えば、横たわったユーザが生体情報処理装置1を横向きに所持して、光透過部を透過した光が、天井に映し出されるようにしてもよい。この場合、例えば、ジャイロセンサ等によって生体情報処理装置1の向きを検知し、光透過部が上方に配置されているときに発光部142が所定の光を照射するようにしてもよい。このように、発光部142は、生体情報処理装置1の姿勢に基づいて光を照射してもよい。
また、生体情報処理装置1が記憶する生体情報に応じた再生信号を、振動子143に出力して、振動子143において再生するようにしてもよい。この場合、筐体部11の揺れの状態から、ユーザ自身の呼吸パターンを確認することができる。また、振動子143の配置およびその保持機構を工夫することで、振動の動きをディフォルメできる。
また、表示部141とともに又は代えて、ソーラパネルを設けてもよい。また、これらの表示部141、ソーラパネル、筐体部11の少なくとも1つが防滴防水機能を備えるものでもよい。これらの構成では、生体情報処理装置1を、例えば海岸で使用する場合に、充電が可能となるとともに、海水による劣化を抑制することができる。また、生体情報処理装置1には、高温、直射日光回避機能を持たせてもよいし、紫外線回避機能を持たせてもよい。
また、生体情報処理装置1は、ヨガスタジオやスポーツジム等で使用できるようにしてもよい。この場合、生体情報処理装置1は、例えば、インストラクタや受講生が使用するものでもよい。また、ヨガスタジオやスポーツジム等で生体情報処理装置1を使用するときには、使用者は、生体情報処理装置1を所持して使用してもよいし、使用者の近傍または離れた位置に載置して使用してもよい。また、複数の受講者が生体情報処理装置1を使用する場合に、多数の生体情報処理装置1を並べて使用してもよい。生体情報処理装置1を複数使用する場合に、例えば、複数の生体情報処理装置1とこれらを搭載する共通プレートを用いて生体情報処理システムなどを構成するようにしてもよい。生体情報処理システムでは、複数の生体情報処理装置1から得られるデータについて演算を行う制御部などを設け、各生体情報処理装置1から得られるデータに応じた種々の生体情報処理や生体情報処理によって得られた結果に基づく教師などを行うようにしてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ユーザの呼吸の状態を示す呼吸情報を取得する呼吸センサ20と、呼吸情報に基づいてユーザの活動を支援する支援情報を生成する分析部151及び制御部152(呼吸情報処理部の一例)と、呼吸情報又は支援情報を出力する表示部141、発光部142、振動子143又はスピーカ144を持つことにより、ユーザのマインドフルネスを支援することができる。ここで、表示部141、発光部142、振動子143又はスピーカ144は、呼吸情報又は支援情報を、呼吸情報又は支援情報に応じた所定の態様で出力する出力部の一例である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。